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2017/05/29 第193回国会 参議院 参議院会議録情報 第193回国会 本会議 第27号
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2017/05/29 第193回国会 参議院

参議院会議録情報 第193回国会 本会議 第27号

#1
第193回国会 本会議 第27号
平成二十九年五月二十九日(月曜日)
   午後一時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十八号
  平成二十九年五月二十九日
   午後一時開議
 第一 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制
  等に関する法律等の一部を改正する法律案(
  趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 日程第一 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。法務大臣金田勝年君。
   〔国務大臣金田勝年君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(金田勝年君) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明をいたします。
 三年後に東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控える中、世界各地で重大なテロ事犯が続発し、我が国もテロの標的として名指しをされ、邦人にも多数の被害者を出すテロ事件が発生をいたしております。また、こうしたテロを敢行する犯罪組織は、テロを通じ、組織の威力を誇示して賛同者等を集めるとともに、薬物犯罪や人身に関する搾取犯罪を始めとする様々な組織犯罪によって資金を獲得し、組織の維持拡大を図っている状況にあります。さらに、国内においても、暴力団等が関与する対立抗争事犯や市民を標的とする殺傷事犯、高齢者等に対する特殊詐欺事犯等の組織犯罪も後を絶たず、国民の平穏な生活を脅かす状況にあります。
 こうした中、テロを含む組織犯罪を未然に防止をし、これと戦うための国際協力を可能とする国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約は、平成十五年五月に国会においてその締結につき承認をされ、既に百八十七の国・地域が締結済みでありますが、我が国はこの条約を締結するための国内法が未整備のため、いまだこれを締結をしておりません。
 そこで、この法律案は、近年における犯罪の国際化及び組織化の状況に鑑み、並びにこの条約の締結に伴い、必要となる罰則の新設等所要の法整備を行おうとするものであります。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一は、死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている一定の罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの、又はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益の獲得等の目的で行われるものの遂行を二人以上で計画する行為であって、その計画に基づき当該犯罪を実行するための準備行為が行われたものを処罰する規定を新設するものであります。
 第二は、死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪等に係る刑事事件に関し、虚偽の証言、証拠の隠滅、偽変造等をすることの報酬として利益を供与する行為を処罰する規定を新設するものであります。
 このほか、いわゆる前提犯罪の拡大など犯罪収益規制に関する規定、一定の犯罪に係る国外犯処罰規定等、所要の規定の整備を行うこととしております。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院におきまして一部修正が行われております。
 第一に、テロ等準備罪の対象犯罪のうち告訴がなければ公訴を提起することができないもの、いわゆる親告罪に係るテロ等準備罪について、告訴がなければ公訴を提起することができない旨を明記することとしております。
 第二に、テロ等準備罪に係る事件についての被疑者の取調べその他の捜査を行うに当たって、その適正の確保に十分に配慮しなければならない旨の規定を追加することとしております。
 第三に、附則の検討条項として次の二つの事項について定めることとしております。
 一、政府は、刑事訴訟法等一部改正法附則第九条第一項の規定により取調べの録音・録画等に関する制度の在り方について検討を行うに当たっては、新組織的犯罪処罰法第六条の二第一項及び第二項の規定の適用状況並びにテロ等準備罪に係る事件の捜査及び公判の状況等を踏まえ、特に、当該罪に係る事件における証拠の収集の方法として被疑者の取調べが重要な意義を有するとの指摘があることにも留意をして、可及的速やかに、当該罪に係る事件に関する当該制度の在り方について検討を加えるものとする。
 二、政府は、テロ等準備罪に係る事件の捜査に全地球測位システムに係る端末を車両に取り付けて位置情報を検索し把握する方法を用いることが、事案の真相を明らかにするための証拠の収集に資するものである一方、最高裁判所判決において、当該方法を用いた捜査が、刑事訴訟法上、特別の根拠規定がある場合でなければ許容されない強制の処分に当たり、当該方法を用いた捜査が今後も広く用いられ得る有力な捜査方法であるとすれば、これを行うに当たっては立法措置が講ぜられることが望ましい旨が指摘されていることを踏まえ、この法律の施行後速やかに、当該方法を用いた捜査を行うための制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(伊達忠一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。古川俊治君。
   〔古川俊治君登壇、拍手〕
#6
○古川俊治君 自由民主党の古川俊治です。
 自由民主党・こころを代表し、ただいま議題となりました組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案、いわゆるテロ等準備罪を新設するための組織的犯罪処罰法改正案について質問いたします。
 まず冒頭、本日午前五時四十分頃の北朝鮮による弾道ミサイル発射に対して強く抗議いたします。
 本院では、本年三月八日に抗議の決議を行ったところですが、それ以降も北朝鮮はミサイル発射実験を繰り返し実施しております。政府におかれまして、北朝鮮に対し厳重に抗議を行うとともに、引き続き、関係各国と緊密に協力し、挑発行為の自制を強く求めること、同時に我が国独自の制裁の強化を図るべきこと、今後も迅速、的確な情報提供を要望いたします。総理の御見解を伺います。
 一昨年のパリ同時多発テロ、昨年のベルギー・ブリュッセル空港、地下鉄でのテロ、バングラデシュ・ダッカでのレストラン襲撃人質テロなど、世界中でテロが立て続きに発生し、邦人も含め、大勢の貴重な命が失われました。今月二十二日には、イギリス・マンチェスターで自爆テロが発生し、八歳の女の子を含む二十二人が犠牲となり、百人以上が負傷するという大惨事となりました。犠牲となられた方々の御冥福をお祈りし、負傷された方々にお見舞いを申し上げます。今回のG7においても、テロ対策の強化に連携して取り組む方針が声明として打ち出されました。
 技術の発展により、人の移動や相互連絡が高速かつ容易に可能となり、さらに簡単な操作で瞬時に壊滅的な被害を与え得る攻撃手段が比較的容易に入手できるようになりました。その結果、近年の組織犯罪集団の活動は、国境を越えて行われるようになり、かつ国際社会にとって格段に危険なものとなっています。
 これに有効に対応するためには、従来の被害が発生してからの刑事対応では遅く、大規模な被害を未然に抑止するための国際的な連携関係を確立することが必要です。
 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約、いわゆるTOC条約は、国際社会のこのような認識の下に締結されました。日本がこの条約に基づく共同の取組に参加できていないことは、国際的な薬物犯罪やテロ犯罪の計画準備が日本では規制を受けずに行われてしまう、言わば我が国が国際犯罪対策の抜け穴となってしまうということであり、極めて危険な状況である上、日本の国際的な威信にも関わる問題でもあります。
 我が国は、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックを開催いたします。オリンピックなどの大規模なイベントが開催される際には、多数の観客が開催地を訪れるため、テロだけでなく多様な組織的犯罪が増加すると指摘されており、このままでは、東京オリンピック・パラリンピックはテロその他の組織犯罪の格好の標的となりかねません。
 そこで、総理に伺います。TOC条約を締結することは、国民や我が国を訪れる海外の方々の安全の確保はもちろん、国際的組織犯罪防止に一体として取り組んでいる国際社会への貢献という観点でも我が国の責務だと考えますが、いかがでしょうか。
 TOC条約締結のために合意罪を新設する国内法整備が必要であるとの認識は、政権交代時を通じて我が国政府の一貫した考え方です。それが正しい認識であることは先日の国連薬物犯罪事務所からの口上書でも確認されていると考えますが、一部には、現行法のままでも条約に加入できるという主張もあるようです。
 そこで、TOC条約への加入には合意罪の新設が必要であるのか、現行法のままでの加入はなぜできないのか、外務大臣に伺います。
 また、TOC条約に加入することで我が国における国際的組織犯罪の防止に関してどのようなメリットがあるのか、具体的事例に即して、外務大臣より分かりやすく説明をお願いします。
 過去にも、TOC条約締結のための国内法整備として共謀罪の新設が議論されてきましたが、これにより、政府の方針に反対する活動ができなくなる、憲法が保障する言論の自由や思想、良心の自由に反するものとなるとの懸念が一部にありました。
 そこで、今回のテロ等準備罪では、適用対象を明文上組織的犯罪集団に限定した上で、主として組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定し難い犯罪等を除くことで対象犯罪を絞り込んでいます。さらに、二人以上での対象犯罪の計画を要件とするだけでなく、この計画に基づく実行準備行為を必要としています。
 計画及び実行準備行為の要件は、新設される犯罪の合意に関する構成要件が内心の自由とは別次元であることを明確にしており、評価できます。
 ただ、対象犯罪を絞り込んだ点については説明が必要だと思います。共謀罪審議当時でも、その適用対象である団体は犯罪の実行を共同の目的とする多人数の継続的結合体であり、解釈上、今回の法案に言う組織的犯罪集団と実質的に変わるものではありませんでした。
 そうすると、共謀罪審議当時でも今回と同様の対象犯罪の絞り込みは十分可能であったのではないか、要するに、共謀罪審議当時は外務省が深く考えていなかっただけなのではないかという疑問も湧いてきます。
 共謀罪審議当時と異なり、今回のテロ等準備罪を新設したことによってなぜ対象犯罪が絞り込めることになったのか、外務大臣にお聞きします。
 衆議院での審議でも、一般の方々がテロ等準備罪の対象となることがあるのかないのか、特に、株式会社や宗教団体であったものの実態が変化して、専ら犯罪の実行だけを行うような集団になった場合などについていろいろと議論がありました。
 ただ、株式会社や宗教団体だけでなく、環境保護や人権保護を建前とする団体がその主張を誇示するような場合であっても、犯罪の実行を共同の目的として集まり、役割分担や指揮命令系統が明確になっていると認められるようなものに関しては危険性が大きく、犯罪の計画と実行準備行為が行われれば被害を未然に防ぐ必要性に変わりありません。
 要は、一般の方々をどのように定義するかですが、このような例外的な場合であれば、環境保護や人権保護を建前とする団体の構成員であってもテロ等準備罪の対象になり得ると考えますが、いかがでしょうか。法務大臣に伺います。
 テロ等準備罪が新設されると監視社会になるのではないかという懸念も聞かれます。しかし、刑事訴訟法が改正されるわけではなく、テロ等準備罪が新設されたからといって、捜査方法が変わるわけではありません。
 刑事訴訟法上、犯罪が実行された場合や、犯罪が実行される蓋然性があって捜査の必要性があると認められるような場合でなければ任意捜査も行われず、また、令状なくして国民の重要な権利利益の侵害が許されないことは憲法上の基本原理でもあります。
 警察も検察も必要な業務以外に労力を割く余裕はないのが実情であり、恣意的に一般市民を監視することなどあり得ないと考えますが、いかがでしょうか。法務大臣に明確に説明していただきたいと存じます。
 TOC条約に加入し、我が国も国際的組織犯罪の防止のための体制を強化すべきなのは当然ですが、本条約により合意罪の創設が求められているのは金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得る組織犯罪であり、条文上から見ると、TOC条約はテロリズムの防止に正面から対応しているわけではありません。例えば、新設されるテロ等準備罪も単独犯によるテロは対象となっていません。
 東京オリンピック・パラリンピックを控え、テロリズム抑止の体制を強化するために、TOC条約に加入するほかにどのような対策を進める必要性があると考えられるのか、法務大臣にお聞きします。
 テロリズムその他の組織的犯罪は基本的人権と民主主義に対する最大の脅威の一つであり、参議院の責務として、十分な審議を重ね、一日も早く本法案を成立させ、TOC条約を締結させるべきことを皆様に呼びかけて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#7
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 古川俊治議員にお答えをいたします。
 北朝鮮の弾道ミサイル発射についてお尋ねがありました。
 北朝鮮は、本日早朝、弾道ミサイルを発射し、我が国のEEZ、排他的経済水域内に落下したものと見られます。国際社会の度重なる強い警告を無視し挑発行為を続ける北朝鮮に対し、我が国としても最も強い表現で非難し、厳重に抗議いたしました。
 G7サミットでは、北朝鮮の問題が、北東アジアにとどまらずグローバルな脅威であり、国際社会の最優先事項との認識を共有することができました。G7として、北朝鮮への圧力を強化し、国際社会の取組を主導していくことで一致いたしました。
 我が国としては、北朝鮮に対し挑発行動の自制や関連安保理決議の遵守を求めるとともに、更なる制裁や国連での緊密な連携などを通じて、北朝鮮に対する圧力を強化するため、米国や韓国と協力していく考えであります。現時点で具体的な内容は控えますが、北朝鮮を抑止するため、米国とともに具体的行動を取ってまいります。
 米国、韓国、中国、ロシアを始め国際社会と緊密に連携しながら、高度の警戒態勢を維持し、国民の安全確保に万全を期してまいります。
 国際組織犯罪防止条約の締結の意義についてお尋ねがありました。
 今般のG7タオルミーナ・サミットにおいては、英国マンチェスターでのテロ事件を受け、国際社会の喫緊の課題であるテロ及び暴力的過激主義対策について真剣な議論が行われました。そして、その結果、首脳間で採択されたテロに関するG7の特別声明では、国際組織犯罪防止条約を含むテロ対策の実施の重要性が強調されました。
 世界各地でテロが続発する中、東京オリンピック・パラリンピックの開催を三年後に控え、テロ対策に万全を期すことは、開催国の責務であります。このような中、本条約は、テロを含む幅広い国際的な組織犯罪を一層効果的に防止するための国際的な枠組みであり、既に百八十七か国・地域が締結している極めて重要な条約です。この条約を締結していないのは世界で十一か国だけであり、G7では日本だけです。我が国が国際社会における法の抜け穴となるわけにはいきません。
 御指摘のように、我が国の国民及び我が国を訪れる海外の方々の安全確保のためにも、また、テロを含む国際的な組織犯罪に対して国際社会と一致結束して対処するためにも、この条約の締結が必要です。この条約が締結されれば、捜査共助に関する条約を締結していない国との間で捜査共助を行う場合でも、外交ルートではなく当局同士の直接のやり取りが可能となり、迅速な対応ができます。こうした観点から、この条約の締結に必要な国内法整備、すなわちテロ等準備罪処罰法を成立させ、本条約を早期に締結することが必要不可欠であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣金田勝年君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(金田勝年君) 古川俊治議員にお答えを申し上げます。
 まず、環境保護や人権保護を建前としているものの、実態は組織的犯罪集団と認められる団体の構成員にテロ等準備罪が成立し得るかとのお尋ねがありました。
 組織的犯罪集団とは、組織的犯罪処罰法上の団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大な犯罪等を実行することにあるものをいいます。ある団体について、結合関係の基礎としての共同の目的が何であるかについては、個別具体的な事案における事実認定の問題でありますが、当該団体が標榜している目的や構成員らの主張する目的のみによって判断するのではなく、継続的な結合体全体の活動実態等から見て、客観的に何が構成員の結合関係の基礎になっているかについて、社会通念に従って認定されるべきものと考えられます。
 したがって、対外的には環境保護や人権保護を標榜していたとしても、それが言わば隠れみのであって、実態において、構成員の結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大な犯罪等を実行することにある団体と認められるような場合には組織的犯罪集団と認められ、その構成員はテロ等準備罪で処罰され得ることになります。
 我々は、テロ等準備罪との関係においては、一般の方々とは、組織的犯罪集団と関わりがない方々という意味で用いておりまして、対外的には環境保護や人権保護を標榜しているものの、実態は組織的犯罪集団と認められる団体の構成員は一般の方々とは言えないことは当然であると考えております。
 次に、テロ等準備罪の新設により監視社会になるとの懸念についてのお尋ねがありました。
 今回の法整備は、刑事手続法ではありません。刑事実体法の改正であります。テロ等準備罪の新設に伴い、新たな捜査手法を導入するものではありません。また、テロ等準備罪は通信傍受の対象犯罪ではなく、テロ等準備罪をその対象犯罪に追加する法改正を行うことは予定をしておりません。したがって、テロ等準備罪の捜査についても、現在行われている他の犯罪と同様の方法で、刑事訴訟法の規定に従い、犯罪の具体的な嫌疑がある場合に開始され、適正に行われるものと考えております。
 加えて、テロ等準備罪の対象となる団体は、重大な犯罪を行うことを目的とするテロリズム集団その他の組織的犯罪集団に限定しており、一般の方々がテロ等準備罪による処罰の対象となることはありません。
 したがって、テロ等準備罪の新設により、捜査機関が常時国民の動静を監視するといったような監視社会とはなりようがなく、恣意的に一般市民が監視されるなどといったことがあり得ないことは御指摘のとおりであります。
 最後に、テロリズム対策のための体制整備等についてお尋ねがありました。
 テロが世界各地で発生し、日本人も犠牲となる中、我が国は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を三年後に控えており、テロ対策は喫緊の課題であると認識をしております。
 もとより、テロ対策は、今回の法整備を行って国際組織犯罪防止条約を締結することにとどまるものではなく、テロリズムの抑止に向けて様々な対策を行うことが重要であると考えております。
 現在、政府においては、官邸直轄の国際テロ情報収集ユニットを設置し、国際社会と緊密に連携をして情報収集、分析を強化するとともに、水際対策の徹底、重要施設やソフトターゲット等に対する警戒警備の強化、サイバーセキュリティー対策の強化といった総合的なテロ対策を強力に推進しているものと承知をしております。
 法務省としても、引き続き、関係省庁等と連携をして、テロ対策に取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(岸田文雄君) まず、国際組織犯罪防止条約の締結に当たり、重大な犯罪の合意を犯罪化する必要性と本条約を締結するメリットについてお尋ねがありました。
 本条約第五条は、締約国に対し、重大な犯罪の合意又は組織的な犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方をその未遂又は既遂とは別に犯罪化することを義務付けています。しかし、我が国には、現行法上、参加罪は存在しない上、重大な犯罪の合意罪に相当する罪もごく一部しか存在いたしません。したがって、我が国の現行の国内法では本条約の義務を履行できていないため、新たな立法措置が必要であり、テロ等準備罪を新設しなければ本条約を締結することができないと考えております。
 次に、本条約を締結するメリットについて申し上げると、例えば捜査共助に関しては、本条約に基づく義務として一層確実に、かつ、外交ルートによることなく中央当局間でより迅速かつ効率的に共助が行われるようになります。また、犯罪人引渡しに関しては、我が国との間で引渡条約を締結していない国との間で犯罪人引渡しの要請の実効性が高まることが期待されます。
 具体的に申し上げると、例えば、米国は、本条約を二〇〇五年に締結して以来、同条約に基づき、これまでに三百回以上の捜査共助を実施するとともに、他の国に対し二百回近くの犯罪人引渡請求を行っていると承知をしております。
 次に、テロ等準備罪の対象犯罪の限定についてお尋ねがありました。
 過去の法案の組織的な犯罪の共謀罪においては、本法案に規定する組織的犯罪集団という文言や定義が明文で定められてはおりませんでした。過去の法案は、このような規定を前提とし、法案においてはこの対象犯罪を限定することとはしてはおりませんでした。
 他方、今回の法案のテロ等準備罪においては、一般の方々が処罰の対象とならないことを明確にするという観点から、本条約が認めるオプションを、法文上、犯罪主体が組織的犯罪集団に限られることを明記した上で、対象犯罪についても、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定される重大な犯罪二百七十七個に限定をいたしました。
 このようなテロ等準備罪の対象犯罪の限定は、本条約が対象犯罪を組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪に限定することを締約国に認めていること、こうした本条約のオプションを活用したものであり、本条約の義務を履行できるものであると考えております。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(伊達忠一君) 真山勇一君。
   〔真山勇一君登壇、拍手〕
#11
○真山勇一君 民進党・新緑風会の真山勇一です。
 会派を代表し、組織犯罪処罰法案、すなわち共謀罪法案について質問をいたします。
 まず、質問の冒頭で申し上げたいと思います。
 今朝、北朝鮮内から発射された弾道ミサイルは、我が国の排他的経済水域、EEZ内に着水したと見られるとのことです。今年になって北朝鮮は弾道ミサイルの発射を繰り返しています。これは我が国の主権と国民の安全を脅かすものであり、断固抗議いたします。
 北朝鮮情勢についてはG7においても議論されたとのことですが、安倍総理は、我が国に迫る北朝鮮の脅威について国際社会にどのように訴えたのか、また、我が国は今後どのような対応を取るおつもりなのか、お答えください。
 さて、本法案に対する質問に先立ち、新たに広がった加計学園をめぐる疑惑についてお尋ねいたします。
 安倍総理、単刀直入に伺います。文部科学省の前事務次官前川喜平氏は、総理の意向などと記された文書は本物と言い切りました。もはや確認できないでは済まされません。本物なのか、そうでないのか、どちらなのでしょうか。はっきりさせましょう。
 前川氏は、また、国会の証人喚問に応じると答えています。怪文書と突っぱねたり個人的な悪口をあげつらったりするときではありません。証人喚問の実現を国民は見守っています。総理、証人喚問を行い、国会で疑惑を解明しましょう。
 森友疑惑はまだ全く払拭されておらず、一方で、加計学園の疑惑もますます膨らむばかりです。国会は国民に真相を明らかにする義務があり、そうでなければ今や誰も納得しません。総理の御意向があったのであれば、当然、総理は総理大臣を辞め、国会議員もお辞めになるとおっしゃったはずです。総理、明確にお答えください。
 この問題については、黒を白と言い募り、国の政を私物化する安倍政権の振る舞いに、多くの国民が驚き、あきれ、そして怒っています。
 このところの安倍政権の専横ぶり、いや、独裁ぶりは目に余ると多くの人が感じています。衆議院における共謀罪法案の審議においても、総理官邸の主導する強引な委員会運営が繰り返されました。国会議員なら誰もが御存じのように、人権に最も密接に関連する法律を扱う法務委員会では、与野党理事の合意の下に審議を進めることが不文律です。しかし、衆議院の審議では委員長の職権による強行的な運営が何度もなされ、法務委員長の解任決議案まで出されました。参議院に送るに当たって、そんなことがなされた、いや、せざるを得なかった法案なんです。
 今回の法案審議に当たり、まず最初に、私たち民進党・新緑風会の立場を明確にしたいと思います。
 TOC条約の締結は、国際的にも急ぐべきなのは当然であり、テロ対策が必要であることも言うまでもありません。TOC条約を締結するため、また、本当にテロ対策のための法整備であるなら、私たちは協力を惜しみません。しかし、本法案はTOC条約とは全く関係ない上に、テロ対策にもなっていないのです。黒を白と言い募るのは無理です。
 TOC条約は、マフィアなどによる麻薬取引、人身売買、マネーロンダリングなど、経済的な利益を目的とした国際的な組織犯罪を防止するための条約です。ほかならぬ日本政府も、テロ行為を除外するよう条約の作成される段階で求めていました。国連の立法ガイドを書いたニコス・パッサス教授も、この条約はテロとは無関係であると断言しています。国連のテロ対策の条約は別に存在しています。我が国はその主要な十三本の条約に参加し、関連する法整備も済んでいます。
 岸田外務大臣に伺います。
 テロとは無関係な条約の締結に、なぜテロ対策のためと称する法律が必要なのでしょうか。いつ、どのような理由でTOC条約の締結にテロ対策が必要であると解釈を変更されたのか、お答えください。
 日弁連を始め多くの法曹関係者や学者が、我が国の現行の法体系でTOC条約に参加することは可能であると述べています。それに、国連には参加国がこの条約の参加要件を満たすかどうか事前審査する機関もありません。ですから、仮に参加国の法制度に条約にそぐわない部分があったとしても、一部留保しつつ参加することは可能ですし、参加した後に必要な法整備を行うという方法もあるはずです。
 新しく法律を制定してTOC条約を締結した国は非常に少数だと聞いていますが、少なくともOECD諸国三十五か国の中で何か国あるのか、外務大臣にお伺いします。また、それらの国は、既存の法原則まで変更したのでしょうか。それとも、共謀罪をつくらないと我が国がTOC条約の締結ができないなどという、いつ、誰に、どんな形でこれを確認されたのでしょうか。
 日本政府は、TOC条約の起草審議の際に、共謀罪の創設は我が国の法原則になじまないと主張していたではありませんか。一定の留保をしたり、後日の法整備を検討したりなどの形で、まず現行の法体系のままTOC条約への参加を試みたことはないのでしょうか。外務大臣、明確にお答えください。
 そしてまた、国連人権理事会から正式に任命された特別報告者、ジョセフ・カンナタチ氏が法案への懸念を表明しています。外務省は感情的な抗議文を送ったそうですが、抗議よりもまず誠実に回答すべきではなかったでしょうか。本法案の目的に国連のTOC条約締結を挙げるのならば、丁寧に内容を説明する回答をして、国連における我が国への疑念が払拭されたことを確認してからにすべきではないでしょうか。
 また、TOC条約の締結問題とは全く別の話として、テロ対策そのものに漏れや抜けがあってはいけないのは当たり前です。しかし、この共謀罪法案ではテロは防げないとの指摘があります。例えば、自民党の皆さんのお仲間で検察出身の若狭勝代議士も、そう断言しています。また、元警察庁長官の国松孝次氏も、この法案があってもオウム事件は防げなかったと述べています。
 先日もこんなことがありました。羽田空港の入国検査を擦り抜けて外国人が堂々と入国してしまうという事案が起きました。安倍政権は世界一安全な国を標榜していますが、最も大切な空港の水際対策がこんな状態で、本当にテロを防ぐつもりがあるのかどうかすら危ぶまれます。法案は、TOC条約が求める国際的な犯罪集団の取締りとは関係のない条文が大半である上に、こうした水際対策についても手付かずという不可思議なことになっているのです。
 金田法務大臣、その理由は何でしょうか。私たち民進党は、空港でテロを防ぐための水際対策を厳正かつ迅速に行うための法案をこれまで何度も国会に提出しています。これこそテロ対策として、まず真っ先に取り組むべき課題だからです。
 この法案の中身は分からないことだらけです。衆議院での法務大臣の迷走答弁によって疑問点はどんどん増えてしまい、法案の六条二項に関する部分だけでもおよそ二百項目もの不明点が指摘されています。理解不能、しかも裁量が入る余地が大きいなら、その時点で欠陥法案ではないでしょうか。
 また、未遂罪、予備罪のない犯罪にまで共謀罪を追加する本法案は、従来の刑事法体系から逸脱する整合性のなさ、矛盾が随所にあります。具体例を挙げましょう。強盗を共謀すれば五年以下の懲役です。ところが、この共謀から次の予備罪の段階まで準備を進めると二年の懲役、つまり罪が軽くなってしまうという矛盾、逆転現象が起きるのです。
 内閣法制局長官に伺います。こうした粗雑、不整合な欠陥法案をなぜ通そうとするのでしょうか。説明してください。
 衆議院での審議はたった三十時間余り、ごくごく基本的な中身も不明なまま参議院に送られてきました。立法事実として事前に示された三つの事例は全て現行法で対応が可能と証明されるや、政府はだんまりを決め込んでいます。
 金田法務大臣、この法案が必要な事例を一つでも具体的にお示しいただけないでしょうか。大臣は、一般の人はこの法案の対象にならないと答弁されました。しかし、副大臣は、対象にならないことはないと否定しました。一体、一般の人は対象になるのでしょうか。そして、大臣のおっしゃる一般の人とは一体どんな定義によるものなのでしょうか。法文に犯罪組織の要件が明確に書かれていないため、構成員ではない一般の人でも幇助犯とみなされれば捜査対象となり、嫌疑及び告発の対象になると読むことが可能です。法務大臣、この点を明確にお答えください。
 また、法案では、犯罪集団と一般の団体との区別が全く不明確です。大臣は、通常の団体が組織的犯罪集団に一変することがあるとおっしゃいましたが、それは誰がどんな基準で判断をするのでしょうか。犯罪集団に一変しないかどうか確認するために捜査当局はどんな団体も常時監視してよいと解釈されかねませんが、法務大臣、この点も明確にお答えください。
 国家公安委員長にもお尋ねします。
 岐阜県大垣市で、環境問題を考える集会に参加した一般の人を警察が調べていたことが明らかになりました。大垣事件と呼ばれるこの事件に関連して、犯罪組織でない団体を監視することも警察の通常任務であるとの答弁がありました。この答弁に変わりはないのでしょうか。もしそうなら、市民運動や労働運動、そして政治活動、宗教活動など、あらゆる団体にそうした嫌疑が掛かる懸念が生じないでしょうか。
 法案の対象犯罪を見ると、大半は組織犯罪とは関係がない一方、一般の団体の正当な活動に関するものが数多くあります。法務大臣、ストライキは本法案が対象とする業務妨害になるのでしょうか。デモは騒乱罪に当たるのでしょうか。
 懸念はまだあります。政治的意図を持った当局の恣意的な運用や国策捜査、そして意図的な冤罪のおそれも指摘されています。裁判で有罪にはならなくても、捜査対象として嫌疑を掛けることは可能です。今は刑事訴訟法に匿名証人制度が導入されており、司法取引も可能です。政府がテロ関連と指定した情報は特定秘密に指定できます。誰から何の罪でどういう状況で告発されるか分からないなら、市民の活動を萎縮させるには十分です。これではまるで一億総監視社会です。法務大臣、絶対に政治的、恣意的に運用されないという保証は法文に明記されているのでしょうか。
 スペイン出身の哲学者であり詩人であるジョージ・サンタヤナはこんな言葉を残しています。過去を思い起こし得ない者は、過去を繰り返すように運命付けられている。過去を思い起こし得ない者は、過去を繰り返すように運命付けられている。
 国家権力に都合の良い統治の道具によって、古今東西、甚だしい悲劇が起きました。戦前の治安維持法もそうです。治安維持法は、国体や私有財産制度を否定する運動を取り締まるものとされました。当時、国内にいた千人ほどの共産主義者のみが対象であり、一般の人々は対象ではないと説明されたと聞いています。
 しかし、現実には、労働運動から政治運動、宗教活動、さらにメディアの言論活動へと治安維持法の対象は拡大され、最後は政府部内の路線闘争にまで使われました。逮捕者は二十万人、勾留中の拷問などによる死者は二千人に上ると言われています。国民はすっかり萎縮し、政府の方針に反対するどころか、戦争の勝敗に関することさえ一切口にできなくなったことは、ここにおられる公明党の皆さんこそよく御存じのことと思います。
 特定秘密保護法、改正刑事訴訟法、そしてこの共謀罪を組み合わせれば、強力な監視社会ができ上がるという指摘があります。安倍政権の皆さんは育ちも心も良い方ばかりですから、悪い目的では使わないと私も信じたいところです。
 しかし、将来、どんな主義主張の政党や団体が政権を取るかは誰にも分かりません。そして、法文が曖昧なら、どんな形で恣意的、政治的に運用されるか分かりません。そのとき、嫌疑を掛けられ捜査の対象になるのは、一般の人であり、皆さんの子供、そして孫かもしれないのです。
 私たちは参議院、参議院は良識の府です。一つ一つの法案を後世へ重い責任を持って成立させる使命があります。
#12
○議長(伊達忠一君) 真山君、時間が超過しております。簡単に願います。
#13
○真山勇一君(続) 議場の議員の皆さん、後に続く世代の人々に恥ずかしくない、良識のある議論をしようではありませんか。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#14
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 真山勇一議員にお答えをいたします。
 北朝鮮の弾道ミサイル発射についてお尋ねがありました。
 北朝鮮は、本日早朝、弾道ミサイルを発射し、我が国のEEZ内に落下したものと見られます。国際社会の度重なる強い警告を無視し挑発行為を続ける北朝鮮に対し、我が国として最も強い表現で非難し、厳重に抗議いたしました。
 G7サミットでは、北朝鮮の問題が、北東アジアにとどまらずグローバルな脅威であり、国際社会の最優先事項との認識を共有することができました。G7として、北朝鮮への圧力を強化し、国際社会の取組を主導していくことで一致しました。
 現時点で具体的な内容は控えますが、北朝鮮を抑止するため、米国とともに具体的行動を取ってまいります。韓国を始め国際社会と緊密に連携しながら、高度の警戒態勢を維持し、国民の安全確保に万全を期してまいります。
 獣医学部の設置についてお尋ねがありました。
 私は、岩盤規制改革を全体としてスピード感を持って進めるよう常に指示してきましたが、獣医学部の新設については、これまで繰り返し申し上げてきたとおり、特区の指定、規制改革項目の追加、事業者の選定のいずれのプロセスも関係法令に基づき適切に実施しており、圧力が働いたということは一切ありません。このことは、まず冒頭、はっきりと申し上げておきたいと思います。
 そもそも、今治市の獣医学部誘致は、平成十九年、構造改革特区に最初の提案があって以降、自民党政権下で対応不可とされていました。これが民主党政権下で平成二十二年度中を目途に速やかに検討と、前向きに格上げされております。
 こうした中、当時の民主党政権下の文部科学副大臣が国会で、産業動物獣医師や公務員獣医師の役割は重要になっておりますし、その確保について懸念があるというのは私ども承知いたしております、現在、協力者会議を設置して議論を重ねているところでございますと答弁をしておられます。さらに、民主党政権下の平成二十二年六月に閣議決定した新成長戦略に言及して、新成長戦略の中で、ライフイノベーションへの対応など、今後の獣医学教育の在り方について検討を新成長戦略によってすべし、こういうことになっているところでございまして、そのことに沿って今まさに検討を行っていると答弁をされておられるわけであります。
 その上で、獣医学部の新設について、国家戦略特区諮問会議等の一連の手続、関係省庁の合意というプロセスを経て、政府全体として適切に判断したところでございます。(発言する者あり)
#15
○議長(伊達忠一君) 静粛に願います。
#16
○内閣総理大臣(安倍晋三君)(続) なお、民進党から提出された文書については、文部科学省において調査を行った結果、該当する文書の存在は確認できなかったと承知しています。また、証人喚問など国会運営については、国会においてお決めいただくことと認識しております。
 規制改革には抵抗勢力が必ず存在します。岩盤のように固い規制に挑戦すればするほど、既得権益を握る勢力の激しい抵抗は避けられません。こうした中で、獣医学部の新設という半世紀ぶりの改革に向けて、民主党政権においても大変御苦労されたものとお察し申し上げます。
 しかし、安倍内閣は、いかなる抵抗勢力に対しても決して絶対に屈することはありません。政局目当てで既得権益に妥協したり、抵抗勢力と手を結ぶようなことは決してしないわけであります。これからも総理大臣である私が先頭に立って、内閣の総力を挙げてあらゆる岩盤規制に挑戦していく決意であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣金田勝年君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(金田勝年君) 真山勇一議員にお答えを申し上げます。
 まず、本法案の内容と水際対策についてお尋ねがありました。
 テロ等準備罪を設けることにより、テロを含む組織犯罪について、実行着手前の段階での検挙、処罰が可能となり、その重大な結果の発生を未然に防止することができるようになります。また、テロ等準備罪を整備して、国際組織犯罪防止条約、TOC条約を締結することにより、国際的な逃亡犯罪人引渡しや捜査共助、情報収集において国際社会と緊密に連携をすることが可能となります。
 このように、テロ等準備罪を含む国際組織犯罪防止条約、TOC条約を締結するための国内法の整備は、テロ対策として有効であります。
 議員御指摘の羽田空港における擦り抜け事案につきましては、厳格な水際対策が求められている中にあってこのような事案が発生をいたしましたことは遺憾であります。再発防止を徹底するよう入国管理局に指示をしているところであります。
 法務省としましては、引き続き、関係省庁等と連携をして、水際対策にも万全を期してまいる所存であります。
 次に、テロ等準備罪の立法事実に関してお尋ねがありました。
 法務省からお示しをした三事例は、テロ等準備罪について、その成案を得られていない段階で、条約を締結してテロを防ぐため、現行法上のどこに不十分な点があるかについて分かりやすく御理解をいただくための例としてお示しをしたものであります。これらの事例によって示される現行法に不十分な点があるということが、立法の必要性を裏付けるいわゆる立法事実の一つであると考えています。
 すなわち、国際組織犯罪防止条約第五条は、締約国に対し、重大な犯罪を行うことの合意又は組織的な犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方をその未遂又は既遂とは別に犯罪化することを義務付けております。
 しかし、現行法上、参加罪は存在しない一方、共謀罪、陰謀罪が設けられているのはごく一部の犯罪にすぎません。これに加え、予備罪は予備行為を処罰するものであって、合意を処罰するものではない上に、客観的に相当の危険性がなければ処罰の対象とはなりません。
 このように、現行法が条約第五条が定める犯罪化義務を果たしておらず不十分であることは制度の対比からして明らかであり、政府としては十分に立法事実をお示ししていると考えております。
 次に、一般の方々がテロ等準備罪の対象となるか否かについてお尋ねがありました。
 そもそも、一般の方々という言葉は、使用される文脈によってその意味は異なるものと思いますが、我々は、一般の方々はテロ等準備罪の対象とならないという文脈においては、組織的犯罪集団と関わりがない方々、言い換えれば、何らかの団体に属しない人はもとより、通常の団体に属し、通常の社会生活を送っている方々という意味で用いています。
 その上で、テロ等準備罪は、犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定したことにより、組織的犯罪集団と関わりがない一般の方々に適用されることはありません。また、組織的犯罪集団と関わりがあるという疑いがなければ、その者に対する捜査が行われることもありません。
 そして、組織的犯罪集団とは、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織などの違法行為を目的とする団体に限られ、一般の方々がこれらと関わりを持つことがないのはもちろん、関わりを持っていると疑われることも考えられません。
 したがいまして、組織的犯罪集団と関わりのない一般の方々、すなわち何らかの団体に属しない人はもとより、通常の団体に属し、通常の社会生活を送っている方々は、テロ等準備罪で処罰されることも、テロ等準備罪の被疑者として捜査の対象となることもないと言えます。
 次に、一般の方々もテロ等準備罪の幇助犯の嫌疑で捜査の対象となるのではないかとのお尋ねがありました。
 例えば、テロ等準備罪の被疑者に計画を話し合う場所を提供した者には、御指摘のように、テロ等準備罪の幇助犯が成立する場合があります。そのような事案においてテロ等準備罪の幇助犯が成立するためには、場所を提供した者において、提供の相手方が組織的犯罪集団であることだけではなく、提供した場所で組織的犯罪集団が団体の活動として組織により行う特定の重大な犯罪の計画の話合いが行われることを認識していない限り、テロ等準備罪の幇助犯は成立しません。
 先ほども申し上げましたとおり、組織的犯罪集団は条文上明確に定義されており、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織など違法行為を目的とする団体に限られ、一般の方々がこれらと関わりを持つことがないのはもちろん、関わりを持っていると疑われることも考えられません。したがって、組織的犯罪集団に関わりがない方々が先ほど申し上げたような認識を持って場所を提供することも想定されません。
 このように、組織的犯罪集団と関わりのない一般の方々、すなわち何らかの団体に属しない人はもとより、通常の団体に属し、通常の社会生活を送っている方々にテロ等準備罪の幇助犯が成立することもあり得ず、テロ等準備罪の幇助犯の嫌疑を受け、被疑者として捜査の対象となることもありません。また、このような組織的犯罪集団と関わりがない方々について告発を行った場合には、虚偽告訴罪で処罰される可能性があり、そのような一般の方々を告発することは通常想定されません。
 次に、組織的犯罪集団の判断主体、判断基準や団体に対する監視の可否等についてお尋ねがありました。
 まず、組織的犯罪集団に該当するか否かの認定及び判断は、捜査を開始する時点においては捜査機関が行うこととなりますが、捜索差押えや逮捕などの強制捜査を行うためには、令状請求を受けた裁判官において、組織的犯罪集団か否かの点も含めてテロ等準備罪の嫌疑が客観的に認められるか、刑事訴訟法の強制捜査の要件を満たしているかについて慎重に判断されることとなります。最終的にテロ等準備罪で処罰されるか否かは、裁判所が、公判に提出された証拠に基づき、組織的犯罪集団であるか否かの点も含めまして、テロ等準備罪の要件を満たすか否かを判断して決定することとなります。
 次に、具体的な事案において、ある団体が組織的犯罪集団に該当するか否かは、当該事案の時点において、当該団体の活動実態等を総合的に考慮し、構成員の結合の目的が一定の重大な犯罪等を実行することにあるか否かにより判断をすることとなります。
 なお、団体の性格が一変することは、テロ等準備罪の要件となるものではありません。したがって、テロ等準備罪の新設により、団体を常時監視の対象とする必要はありません。加えて、テロ等準備罪についても、他の犯罪の捜査と同様に、犯罪の具体的な嫌疑がなければ捜査が行われることはなく、同罪の新設によって団体を常時監視の対象とすることが許されることにはなりません。
 次に、ストライキやデモと本法案との関係についてお尋ねがありました。
 テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する犯罪、重大な犯罪の計画行為、その計画に基づく実行準備行為という厳格な三つの要件を設けております。そして、組織的犯罪集団とは、一定の重大な犯罪等を行うことを構成員の結合関係の基礎としての共同の目的とする団体をいうことから、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織など違法行為を目的とする団体に限られます。したがって、正当な活動を目的とする一般の団体は組織的犯罪集団に当たらず、その活動については、組織的な威力業務妨害罪や騒乱罪に係るものを含め、テロ等準備罪が適用されることはありません。
 最後に、テロ等準備罪処罰法案が政治的、恣意的に運用される懸念についてお尋ねがありました。
 まず、テロ等準備罪につきましては、対象となる団体を明文で組織的犯罪集団に限定をして、一般の会社や市民団体、労働組合などの正当な活動を行っている団体が対象とならないことを一層明確にするとともに、対象犯罪についても、組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定されるものをリスト化し、対象犯罪を明確にしました。また、犯罪の計画行為だけでは処罰されず、実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることにより、内心を処罰するものではないことについても一層明確にするとともに、処罰範囲も限定しました。このように、テロ等準備罪は、条文上成立要件を明確かつ厳格なものにすることにより、政治的、恣意的に運用されることはないものとなっております。
 また、法案が成立した後には、テロ等準備罪を含む本法案が適切に運用されるよう、その趣旨、内容を関係機関に周知をしてまいります。(拍手)
   〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(岸田文雄君) まず、国際組織犯罪防止条約とテロとの関係及び本法案の必要性についてお尋ねがありました。
 まず、一般論として、国際的な組織犯罪とテロ活動との間には強い関連性があるということが指摘をされています。本条約を採択した二〇〇〇年十一月の国連総会決議においても、国際的な組織犯罪とテロ犯罪との関連が増大しており、本条約がこのような犯罪行為と闘うための有効な手段であることが指摘をされています。さらに、二〇一四年十二月の国連安保理決議、またG7、G8サミットにおいても、テロ防止の観点から、各国に対し本条約の締結が要請をされています。
 本条約は、重大な犯罪の合意又は組織的な犯罪集団への参加の犯罪化を義務付け、テロを含む組織犯罪への未然の対処を可能とするとともに、マネーロンダリングの犯罪化も義務付けています。したがって、テロ行為それ自体に対処できるのみならず、テロ組織の資金源となっている犯罪行為にも対処でき、テロの根本を断つことができるものです。
 このように、本条約は、テロを含む幅広い国際的な組織犯罪を一層効果的に防止するための枠組みです。本法案は、本条約の義務を履行して本条約を締結するためのものであり、テロを含む組織犯罪対策に資するものであると考えています。
 そして、国際組織犯罪防止条約とテロ対策との関係に関する解釈についてお尋ねがありました。
 まず、政府として、本条約の解釈は変更はしておりません。国際的な組織犯罪とテロ犯罪との間に関連性があることについては、ただいま述べましたとおり、本条約を採択した二〇〇〇年十一月の国連総会決議などからも明らかであり、我が国もコンセンサスによる採択に加わっています。
 また、テロ組織が本条約に言う組織的な犯罪集団に該当する場合には、そのような組織が行う犯罪は本条約の対象となり得るものであって、現に、本条約の締約国の間では、本条約に基づく捜査共助として、例えば、テロ資金犯罪に関する警察記録の提供要請やテロ捜査のための記録の提供要請等が行われています。
 このように、本条約は、国際社会においてテロ対策に必要なものとして認識され、かつ、現にそのために活用されているものであって、本条約がテロを含む幅広い国際的な組織犯罪を一層効果的に防止するための重要な枠組みであることは疑いがないところです。
 次に、OECD加盟国における国際組織犯罪防止条約締結のための法整備の状況についてお尋ねがありました。
 OECD加盟国のうち、本条約の締結に際し、重大な犯罪の合意罪又は参加罪を新たに創設した国は四か国であると承知をしております。これは、他の国においては従前から国内法として重大な犯罪の合意罪又は参加罪の一方又はその双方を有していたため、新たに犯罪化を行う必要がなかったことを示すものにすぎないと考えます。
 御指摘の既存の法原則の意味するところが必ずしも明らかではありませんが、一般に、他国が条約を国内で実施するに当たりいかなる立法措置を講じているかについて、我が国として必ずしも網羅的にその詳細を承知しているものではなく、先ほど申し上げた四か国が御指摘の既存の法原則を変更したかどうかについてお答えするのは困難であると考えます。
 なお、我が国における自国の国内法の基本原則、本条約第三十四条1にも記載されている自国の国内法の基本原則ですが、これは罪刑法定主義、適正手続の保障等をいうものであると考えており、本法案はこれを変更するものではありません。
 いずれにせよ、本条約の事務局である国連薬物犯罪事務所、UNODCからの口上書においては、本規定の本質が義務的であることは変わりはない、締約国は共謀のオプション又は犯罪の結社のオプションのいずれかを選択しなければならないとされており、これらをいずれも犯罪化しないことは許されない、このことが確認をされています。
 次に、国際組織犯罪防止条約を締結するための国内法整備の必要性についてお尋ねがありました。
 本条約第五条は、締約国に対し、重大な犯罪の合意又は組織的な犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方をその未遂又は既遂とは別に犯罪化することを義務付けております。しかし、我が国には、現行法上、参加罪は存在しない上、重大な犯罪の合意罪に相当する罪もごく一部しか存在しません。したがって、我が国の現行の国内法では本条約の義務を履行できていないため、新たな立法措置が必要であり、テロ等準備罪を新設しなければ本条約を締結することはできないと考えております。
 この点については、本条約の立法ガイドを作成した国連薬物犯罪事務所、UNODCからの本年四月十一日付けの口上書においても、締約国は重大な犯罪の合意罪又は組織的な犯罪集団の活動への参加の二つのオプションのいずれかを選ぶことができるが、本規定の本質が義務的であることには変わりはなく、締約国はいずれかを選択しなければならない、このようにされております。
 次に、現行の国内法のまま国際組織犯罪防止条約を締結することに関する検討についてお尋ねがありました。
 先ほど申し上げたとおり、政府としては、我が国の現行の国内法では本条約の義務を履行できていないため、新たな立法措置が必要であり、テロ等準備罪を新設しなければ本条約を締結することはできないと考えております。
 その上で申し上げれば、本条約の交渉過程における御指摘の趣旨の主張ですが、これは、その当時の案文において、重大な犯罪の合意罪について、組織的な犯罪集団が関与するものとの要件を付すことが認められておらず、重大な犯罪の範囲も定まっていなかった、このことを前提として行ったものであり、現在の本条約の規定を前提としたものではありません。
 重大な犯罪の合意又は組織的な犯罪集団の活動への参加の犯罪化について規定する本条約第五条は、国際的な組織犯罪への効果的な対処を目的とした本条約の中核を成す規定です。したがって、このような規定に留保を付すことは本条約の趣旨及び目的と両立せず、留保を付すことはできないと考えています。また、手続上も、本条約については、政府として留保を付さずに締結することについて国会にお諮りをし、既に平成十五年に国会の御承認を得ていますので、留保を付さずに締結することとしております。
 そもそも、我が国としては、締結した条約等を誠実に遵守することを必要とすると規定する日本国憲法第九十八条第二項に従い、本条約の各規定を誠実に履行することができるよう、国内法をしかるべく整備した上で本条約を締結する必要があると考えております。
 このように、一貫して、現行の国内法のまま本条約を締結することはできないと考えており、そのようなことを行うことは考えておりません。
 最後に、国連人権理事会プライバシーの権利特別報告者の公開書簡への対応についてお尋ねがありました。
 特別報告者とは、特定の国の状況又は特定の人権に関するテーマに関し調査報告を行うために、人権理事会から個人の資格で任命された独立の専門家です。この点については、G7タオルミーナ・サミットの機会に安倍総理と懇談したアントニオ・グテーレス国連事務総長も、人権理事会の特別報告者は国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない旨述べております。
 そもそも、先般のカンナタチ氏の公開書簡については、法案を作成した当事者である日本国への照会などの機会を持つことなく、公開書簡の形で一方的にその見解を発表した点で不公正かつ不適切であると考えております。また、この書簡に示された懸念や指摘事項が一部の関係者から得た限られた情報のみに基づくものであることがうかがわれ、これまで国会審議等の場において政府が説明してきた内容を踏まえていないものであって、その内容は明らかに不適切であります。そこで、我が国として直ちに抗議をしたものであります。
 なお、このような公開書簡でありますが、我が国の取組を国際社会において正確に説明するためにも、同書簡の照会事項については、追ってしっかりと我が国の立場を説明するものをしっかりお返しをしたいと考えております。
 いずれにしましても、国連は、累次の国連総会決議や安保理決議において繰り返し表明されているとおり、我が国を含む数少ない未締結国に対し、国際組織犯罪防止条約の早期締結を求めております。また、本年五月二日、本条約の国連における事務局である国連薬物犯罪事務所、フェドートフ事務局長も私に対しまして、日本による同条約の締結に向けた努力が成功し、早期の条約締結につながることを期待する、このように述べたところであります。(拍手)
   〔国務大臣松本純君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(松本純君) 岐阜県大垣警察署の活動について、通常行っている警察業務とした過去の答弁についてのお尋ねがありました。
 警察は、公共の安全と秩序の維持という責務を果たす上で必要な範囲において警察活動を行っており、このような活動を通常行っている警察業務と表現したものと承知をしております。
 なお、一般論として申し上げますと、警察においては、テロ対策や犯罪、トラブルの未然防止など、公共の安全と秩序の維持という警察の責務を果たすため必要な情報収集を行っていますが、もとより法令に基づき適切に職務を遂行しているものと承知しております。(拍手)
   〔政府特別補佐人横畠裕介君登壇、拍手〕
#20
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 本法律案と既存の法体系との間に不整合や矛盾があるのではないかとのお尋ねがありましたので、お答えいたします。
 まず、本法律案で新設するいわゆるテロ等準備罪は、一定の重大犯罪に当たる行為であって、明確に定義された組織的犯罪集団の団体の活動として当該行為を実行するための組織により行われるもの等の遂行を二人以上で計画し、計画をした者のいずれかにより実行準備行為が行われた場合を処罰の対象とするものであり、その構成要件の明確性に問題はないと考えております。
 また、我が国の現行の刑事法制上、爆発物の使用や内乱などの一定の重大な犯罪について、その共謀行為や陰謀行為を処罰する規定があり、これらは当該行為の危険性、すなわち重大な結果発生につながる危険性に着目して犯罪とされているものであり、テロ等準備罪において、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織などの組織的犯罪集団が関与する実行準備行為を伴う一定の重大犯罪の計画行為について、同様にその行為の危険性に着目して処罰の対象とすることは、我が国の刑事法体系を逸脱するものではありません。
 このように、テロ等準備罪は、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織といった組織的犯罪集団が関与する重大犯罪の計画行為の危険性に着目したものであり、その対象犯罪や法定刑については、そのような組織的犯罪集団が関与しない個人の行為も対象となる単なる予備罪や未遂罪が設けられているかやこれらの予備罪等の法定刑とは区別して考えるべきでございます。予備罪や未遂罪が設けられていない罪を対象犯罪とすることが不整合であるということはなく、また、組織的犯罪集団が関与することを前提とする強盗についてのテロ等準備罪の法定刑が一般の強盗予備罪の法定刑よりも重いということに何ら矛盾はありません。
 なお、組織的犯罪集団が関与する強盗についてのテロ等準備罪の犯行が予備罪に当たる段階に進んだ場合にも、包括一罪として重いテロ等準備罪によって処罰されることとなるので、御指摘の逆転現象が生ずるということはありません。
 以上、申し上げたとおり、粗雑かつ不整合な欠陥法案との御指摘は当たらないと考えます。(拍手)
    ─────────────
#21
○議長(伊達忠一君) 浜田昌良君。
   〔浜田昌良君登壇、拍手〕
#22
○浜田昌良君 公明党の浜田昌良です。
 質問に入ります前に、本日早朝、北朝鮮からミサイルが発射され、我が国排他的経済水域への落下が推定される事案がありました。国際社会からの自制を無視し、このような暴挙を繰り返す北朝鮮に対し、改めて断固抗議するとともに、我が国平和と安全確保に向け最善を尽くすことを政府に求めます。
 続きまして、ただいま議題となりました組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案について、公明党を代表して質問します。
 まず、国際組織犯罪防止条約、いわゆるTOC条約及び関連議定書の早期締結の意義について質問します。
 四月二十五日の衆議院法務委員会において、全ての参考人からTOC条約締結に賛成の立場が表明されました。二〇一九年のラグビーワールドカップ日本開催、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、我が国の治安を向上させるとともに、国際的組織犯罪の規制の抜け穴を塞ぐ観点から、我が国の早期締結の決意について、そして、十年以上前に衆参共に全会一致で議定書及び国内担保法が承認、可決されているにもかかわらず、親条約たるTOC条約が未締結ゆえ、いまだ締結できていない人身取引議定書及び密入国議定書の我が国早期締結の意義について、安倍総理に伺います。
 次に、TOC条約と新たにテロ等準備罪等を設ける国内担保法との関係、その必要性について質問します。
 TOC条約が国連で全会一致により決議され、加盟国に締結を要請している背景には、移動、通信手段の高速化、壊滅的攻撃手段の入手容易化を受けた国際的組織犯罪の蔓延があります。これを食い止めるための組織的犯罪に対する処罰の早期化、前倒し化という全世界的現象を踏まえ、我が国においても事後的、応報的な処罰から、早期介入による被害の未然防止へと機能転換していくことが必要であります。
 このことは、一部ではありますが、予備罪、陰謀罪を既に導入している我が国刑法体系と矛盾せず、また、思想、良心の自由や処罰規定の内容の適正化を含む適正手続の保障等、憲法の諸規定に反するものでもないと考えますが、法務大臣の見解を求めます。
 一方、一部で主張されている内乱や外患誘致等で我が国刑法でも設けられている予備罪の対象を個別に拡大することや、予備罪の共同共謀正犯の適用により、条約第五条の義務を果たすことは可能なのでしょうか。また、二〇〇三年の条約の国会審議において、条約第五条の義務の留保に関してどのような議論があった上で承認されたのでしょうか。さらに、今年四月に回答を得たTOC条約を担当するUNODC、国連薬物犯罪事務所からの口上書によれば、我が国がTOC条約を締結するためには、我が国の刑法体系の中でどのような法整備が必須となるのでしょうか。外務大臣の答弁を求めます。
 また、我が国の法案同様、本条約の合意罪の法制を既に採用しているイギリス、アメリカなどで合意罪が人権抑圧に使われているという懸念は聞いたことがないとの参考人の陳述があった一方、別の参考人から、かつてこれらの国で労働運動の弾圧に共謀罪が使われたとの指摘もありました。今日なお、かつての状況があるとは思えませんが、いずれにしましても、我が国の国内担保法案は、組織的な犯罪集団が関与していること及び合意の内容を推進するための行為を伴うことという条約上の二つのオプションを共に援用している点で、国際的にも人権抑圧に対して最も留意した規定となっていると評価できると考えますが、外務大臣の見解を求めます。
 一方、五月十八日付けで国連プライバシー権利特別報告者のジョセフ・カンナタチ氏から、総理宛ての本法案に対する公開書簡が発出されたとの報道がありました。これは、国連の総意に基づくものでもなく、また、日本政府に直接説明する機会も与えられず、一方的に発出されたとして、我が国として抗議をしたとされていますが、指摘されている国際人権法の規範及び基準と本法案の整合性はどのようになっているのでしょうか。その他、本法案に対する正確な理解を内外に広げていくためにも、求められている日本政府からの情報提供については適切に対応していくことが必要と考えますが、外務大臣の見解を求めます。
 次に、一部で懸念されているような監視社会化、人権侵害などを回避するために、今回の国内担保法においてどのような手当てがなされているかについて質問します。
 衆議院段階の答弁で、テロ等準備罪では、組織的犯罪集団であること自体が犯罪ではないので、テロ等準備罪の嫌疑が生じていない段階で、ある団体が組織的犯罪集団になるか否かが捜査の対象となることはない、また、組織的犯罪集団に関与することもなく通常の社会生活を送っている一般の方々にテロ等準備罪の嫌疑が生じることはなく、一般の方々がテロ等準備罪の捜査の対象となることはないとありましたが、一方で、ある参考人から、犯罪の発生時点を前倒しすることにより、警察の情報収集活動の拡大等につながるとの懸念も示されました。一般の団体や一般の方々が、任意を含め、捜査の対象とならないという根拠について、まして、監視社会になることはないことについて、国民に分かりやすい説明を法務大臣に求めます。
 また、単なる共謀から、具体的、現実的な計画や、当該計画に基づく外形的な実行準備行為をテロ等準備罪の構成要件としたことにより、どのように内心の自由が侵害されるという不安や懸念に対応したと言えるのでしょうか。さらに、法文上は抑制的になっていたとしても、実際の法執行面において、警察による捜査関係事項照会など司法警察活動のみならず、行政警察活動の濫用の懸念についてどう応えていくのか、衆議院段階で修正がなされていることも踏まえ、安倍総理の答弁を求めます。
 さらに、今回の法案では、テロ等準備罪の対象犯罪を、長期四年以上の懲役、禁錮に当たる六百七十六の罪から二百七十七に限定しています。その意義について、また、国内での組織犯罪集団の関与可能性等から、これらの対象犯罪は必要かつ十分な範囲に限定されていると言えるのかについて、法務大臣の答弁を求めます。
 最後に、参議院段階での参議院らしい審議により、本法案に対する国民の正確な理解が更に広がり行くことを強く期待しまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#23
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 浜田昌良議員にお答えをいたします。
 我が国の治安の向上及び国際組織犯罪防止条約等の締結の必要性についてお尋ねがありました。
 我が国は、二〇一九年にラグビーワールドカップ、二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控えており、治安対策は最重要課題の一つであると認識しており、政府一丸となってテロ対策に万全を期し、開催国としての責務を果たしてまいります。
 そうした中、国際組織犯罪防止条約は、テロを含む幅広い国際的な組織犯罪を一層効果的に防止するための国際的な枠組みであり、既に百八十七の国・地域が締結している極めて重要な条約です。
 今般のG7タオルミーナ・サミットにおいて首脳間で採択されたテロに関するG7の特別声明においても、テロ対策のための世界的な行動に不可欠な要素として、国際組織犯罪防止条約を含む国際文書の実施の重要性が強調されました。この条約を締結していないのは世界で十一か国だけであり、G7では日本だけです。我が国が国際社会における法の抜け穴となるわけにはいきません。我が国としては、この条約の締結に必要な国内法としてテロ等準備罪処罰法を成立させ、この条約を早期に締結することが必要不可欠であります。
 人身取引議定書及び密入国議定書は、両議定書の関連規定において本条約を補足するものとして位置付けられており、浜田議員の御指摘のとおり、両議定書の締約国となるためには本条約の締約国でなければなりません。
 人身取引議定書は、人身取引の防止等を目的として、人身取引行為の犯罪化、人身取引被害者の保護、国際協力等について規定するものであり、本年五月時点で既に百七十の国・地域が締結しています。また、密入国議定書は、移民を密入国させることの犯罪化や国際協力等について規定するものであり、現在、百四十三の国・地域が締結しています。
 今後、日本を訪れる外国の方々が一層増えることが見込まれる中、我が国においても本条約を締結し、そして、これら二つの議定書の締結により人身取引や密入国に係る行為等の捜査協力や犯罪人引渡しといった国際協力を一層強化し、我が国が人身取引や密入国の温床とならないよう、人身取引対策や密入国対策に積極的に取り組んでいくことが重要であると考えております。
 テロ等準備罪により内心の自由が侵害されるとの不安、懸念や警察活動に対する懸念への対応についてお尋ねがありました。
 テロ等準備罪における計画行為は、二人以上の者が一定の重大な犯罪の実行を具体的かつ現実的に合意する行為をいうものであり、その段階で、考えただけにとどまる内心の問題ではなくなっております。その上で、今回のテロ等準備罪は、計画行為に加えて、実行準備行為が行われて初めて成立するものであり、内心の自由が侵害されるといった不安や懸念を払拭する内容となっていると考えています。
 また、テロ等準備罪は、その主体が組織的犯罪集団に限定されているなど、その成立要件は明確となっており、捜査機関が恣意的に適用することはできません。
 警察においては、公共の安全と秩序の維持という警察の責務を果たすため、必要な活動を行っていますが、もとより法令に基づき適切に職務を遂行しているものと承知しており、テロ等準備罪処罰法案が成立した場合においても、こうした活動は法令に従って適切に行われるものと承知しております。
 自民党、公明党、日本維新の会が共同で提出された修正案は、これまでの国会審議において指摘された御懸念等を踏まえ、テロ等準備罪の捜査を行うに当たって、適正の確保に配慮すべき旨の規定を加えるなど必要な修正がなされたものと承知しており、修正案を含む本法案が成立した折には、政府として、その趣旨に沿った運用に努めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣金田勝年君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(金田勝年君) 浜田昌良議員にお答えを申し上げます。
 まず、テロ等準備罪の新設と我が国の刑法体系、憲法の諸規定との関係についてお尋ねがありました。
 テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の計画行為に加えて、実行準備行為が行われた場合に限って成立するものであります。このような場合には、その計画された犯罪が実行される可能性が高い上に、一たび実行されると重大な結果や莫大な不正利益が生ずることが多く、特に悪質で違法性が高く、未然防止の必要性が高いことから、実行の着手前の段階であっても処罰する必要性が高いと考えられます。
 我が国の刑事法においては、特に重大な犯罪や取締り上必要がある犯罪について、予備罪や共謀罪等、実行の着手前の行為をも処罰することとしており、テロ等準備罪もその処罰の必要性の高さに着目して創設をするものでありまして、我が国の刑事法における刑罰の基本的な定め方に整合するものと言えます。
 また、テロ等準備罪は、一定の重大な犯罪の計画行為と実行準備行為という行為を処罰の対象とするものでありまして、内心を処罰するものではなく、思想、良心の自由を侵害するものではないことはもちろん、処罰範囲が明確かつ限定的なものとなっており、憲法が保障する国民の権利、自由を不当に制約するものではありません。
 次に、一般の方々がテロ等準備罪の捜査の対象となることがないと言える根拠等についてお尋ねがありました。
 テロ等準備罪についても、他の犯罪の捜査と同様に、犯罪の具体的な嫌疑がなければ捜査が行われることはありません。犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定しない場合には、一般の方々も犯罪の嫌疑があれば捜査の対象となります。
 しかし、テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する犯罪、重大な犯罪の計画行為、その計画に基づく実行準備行為という厳格な三つの要件を設けております。テロ等準備罪の嫌疑があると認めるためには、組織的犯罪集団と関わり合いがあるという嫌疑を含むこの三つの要件についての嫌疑が必要であり、組織的犯罪集団に関わり合いがあるとの疑いがなければ、その者に対する捜査は行われません。
 さらに、組織的犯罪集団とは、一定の重大な犯罪等を行うことを構成員の結合関係の基礎としての共同の目的とする団体をいうことから、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織などの違法行為を目的とする団体に限られ、一般の方々がこれらと関わり合いがないことはもちろん、関わり合いがあると疑われることも考えられません。
 したがって、組織的犯罪集団と関わり合いのない一般の方々、すなわち、何らかの団体に属していない人はもとより、通常の団体に属し、通常の社会生活を送っている方々はテロ等準備罪の被疑者として捜査の対象とはなりません。加えて、テロ等準備罪の新設に伴い新たな捜査手法を設けるものではなく、テロ等準備罪の新設により捜査機関が常時国民の動静を監視する監視社会になるとの御懸念は理由のないものであります。
 最後に、テロ等準備罪の対象犯罪を限定した意義についてお尋ねがありました。
 国際組織犯罪防止条約は、重大な犯罪の合意の犯罪化に当たり、締約国に対し、国内法上、組織的な犯罪集団が関与するものとの要件を付すことを認めております。この要件を付した場合には、犯罪化が義務付けられる合意の対象は組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪となることから、組織的な犯罪集団が関与することが現実的に想定される罪を重大な犯罪の合意罪の対象とすれば本条約の義務を履行することができると解されているものと承知をしております。
 このような解釈に基づき、長期四年以上の懲役、禁錮等に当たる罪のうち、犯罪の主体、客体、行為の態様、犯罪が成立し得る状況、現実の犯罪情勢等に照らし、組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定されるか否かという基準により選択をした結果、テロ等準備罪の対象犯罪は、本法案により新設することとしております証人等買収罪を除き二百七十七個になったものであります。(拍手)
   〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(岸田文雄君) まず、本条約第五条の犯罪化義務と予備罪との関係、そして同条の留保に関する平成十五年当時の国会審議の内容、そして同条の義務を履行するために必要な国内法の内容、以上三点につきましてお尋ねがありました。
 まず、第五条と予備罪との関係ですが、本条約第五条1(a)の(1)は、重大な犯罪の合意そのものを処罰の対象とすることを義務付けた上で、国内法において合意の内容を推進するための行為を伴うとの要件を付すことを認めております。
 予備罪に関する御指摘の考え方は、いわゆる推進行為の要件に対応するものとして予備罪の予備行為を規定することで同条1(a)の(1)の義務を履行しようとするものと考えられますが、予備行為の概念について、裁判例に見られる客観的に相当の危険性の認められる程度の準備が整えられた場合といった考え方を前提にすれば、そのような危険性の認められる程度の準備がなされなければ処罰できないということになり、さきに述べたような同条(a)の(1)の趣旨に反するおそれが高いものと考えております。
 そして、条約審議時における議論ですが、平成十五年当時、政府は本条約を留保を付さずに締結することについて国会にお諮りし、御承認を得ました。また、その際の国会審議において、本条約第五条を留保することは可能かとの質問に対し、同条は条約の中心的な規定であり、同条について留保をするということは適当ではない、このような答弁を行っております。
 そして、御指摘の本条約の事務局であります国連薬物犯罪事務所、UNODCからの口上書においては、本条約第五条1の(a)について、本規定の本質が義務的であることは変わりはない、締約国は共謀のオプション又は犯罪の結社のオプションのいずれかを選択しなければならない、このようにされております。
 しかし、我が国には、現行法上、参加罪は存在しない上、重大な犯罪の合意罪に相当する罪もごく一部しか存在しません。したがって、我が国の国内法では本条約の義務を履行できていないため、新たな立法措置が必要であり、テロ等準備罪を新設しなければ本条約を締結できないと考えております。
 次に、テロ等準備罪において採用している条約上のオプションについてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、衆議院での審議に際しましては参考人から種々の陳述があったところですが、テロ等準備罪の立案に当たっては、過去の国会審議等において受けた様々な御指摘を踏まえて、一般の方々が処罰の対象とならないことを明確にするとの観点から、本条約が認めるオプションを活用した次第であります。
 すなわち、第一に、合意の内容を推進するための行為を伴うとの要件に係るオプションを活用して、計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときとの要件を新たに付すことにより、計画に加え、計画をした犯罪を実行するための準備行為があったときに初めて処罰の対象になることといたしました。
 第二に、組織的な犯罪集団が関与するとの要件に係るオプションを活用して、法文上、犯罪主体が組織的犯罪集団に限られることを明記した上で、対象犯罪についても、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定される重大な犯罪二百七十七個に限定することといたしました。
 OECD加盟国において、この二つのオプションの双方を採用して厳格な要件を定めている締約国はないものと承知をしており、国際的に見ても、テロ等準備罪は人権に十分配慮したものになっていると考えております。
 最後に、国連人権理事会プライバシーの権利特別報告者から発出された公開書簡についてお尋ねがありました。
 特別報告者とは、特定の国の状況又は特定の人権に関するテーマに関し調査報告を行うために、人権理事会から個人の資格で任命された独立の専門家であり、同専門家の見解は国連の立場を反映するものではありません。
 この点について、G7タオルミーナ・サミットの際に安倍総理と懇談したグテーレス国連事務総長も、人権理事会の特別報告者は国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない、このように述べております。
 いずれにしましても、国連の立場は、累次の国連総会の決議や安保理決議において繰り返し表明されているとおり、我が国を含む数少ない未締結国に対し、国際組織犯罪防止条約の早期締結と実施を求めております。
 そもそも、テロ等準備罪処罰法案においては、過去の国会審議における様々な御指摘を踏まえ、先ほど申し上げたオプションを活用して十分に厳格な要件を定めており、国際人権法の規範、基準に照らしても、プライバシーの権利や表現の自由を不当に制約するなどの指摘は当たらないと考えます。
 政府としましては、今後とも、本法案に対する正確な理解を内外に広げていくため、適切な形で情報提供に努めてまいりたいと考えます。(拍手)
    ─────────────
#26
○議長(伊達忠一君) 仁比聡平君。
   〔仁比聡平君登壇、拍手〕
#27
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、憲法違反の共謀罪、組織的犯罪処罰法改定案を何が何でも押し通そうとする安倍政権に満身の怒りを持って抗議するとともに、総理及び関係大臣に質問いたします。
 まず、加計学園疑惑について伺いたい。
 格差が大きく広がる中で、政治や行政を私物化し、これが発覚すると権力ずくで隠蔽する。森友学園疑惑に国民はあきれ果て、うんざりする中、総理の腹心の友が理事長を務める加計学園の獣医学部新設問題について、前川文科省前事務次官の重大な発言がなされたのです。にもかかわらず、先ほど来の開き直った総理の答弁に国民の怒りは沸騰することでしょう。
 同学部新設を可能ならしめた規制緩和が総理の意向という一連の文書は、確実に存在した、次官として共有していた文書であり、あったものをなかったことにはできない。極めて薄弱な根拠で、公平公正であるべき行政がゆがめられたという証言です。
 事は総理自身の進退に関わる重大問題です。文科省に直ちに再調査を指示すべきです。予算委員会の集中審議と前次官の証人喚問に直ちに応じ、自ら真相を明らかにすべきであります。そこに背を向け、重大な権力の恣意的濫用が懸念される共謀罪法案を推し進めるなど、もってのほかではありませんか。
 衆議院法務委員会の強行採決に、説明不十分という国民の声は七七%に上りました。説明できない法案通すなという怒りの声は当然です。ところが、これを受けて金田大臣が、これまでどおり、丁寧な答弁に努め、理解を得ていきたいと答弁したのにはあきれ返るばかりです。
 質疑をすればするほど国民の懸念が広がる。それは、総理、そもそも法案がどんな行為を処罰の対象とするのか全く不明確で、人の生命や身体、財産などの法益を侵害する危険性が客観的にはない合意や実行準備行為を、限りなく人の内心に踏み込んで処罰するものだからではありませんか。
 その捜査の危険は重大です。恣意的濫用にどう歯止めを掛けるというのですか。内心の捜査に歯止めは掛けられない、それは、治安維持法と戦前の我が国社会の痛苦の教訓です。だからこそ定められた憲法十九条、二十一条、三十一条に法案は明らかに反し、近代刑法の大原則を根底から覆すものではありませんか。
 この国会の冒頭、総理は、テロ等準備罪であって、これを共謀罪と呼ぶのは全くの誤りであると強弁しましたが、法案が紛れもない憲法違反の共謀罪であることはもうはっきりしました。にもかかわらず強行する政府・与党に対して、この間、国際社会からも厳しい忠告が寄せられています。
 総理にお尋ねしたい。
 一つは、総理が、テロ対策のためにTOC条約締結が必要、そのために共謀罪が不可欠としてきた、条約の国連立法ガイドを起草したニコス・パッサス教授が、東京オリンピックのようなイベントの開催を脅かすようなテロなどの犯罪に対して、現在の法体系で対応できないものは見当たらないとし、条約を批准することは可能、国内法の整備は法の支配にのっとり公正でなくてはいけない、日本国民の意向を反映させるべきだと忠告していることです。この指摘をどう受け止めますか。TOC条約は、国内法原則、すなわち日本国憲法に従って国際組織犯罪対処の措置を求めているのです。既に国会承認はなされており、現行法で条約を締結すべきです。
 もう一つは、国連プライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・ケナタッチ教授が、TOC条約批准のためという政府に対し、このことはプライバシーの権利に対する十分な保護もないこの法案を成立することを何ら正当化するものではありませんと厳しく批判していることです。政府が国連の立場を反映するものではないなどと反発するのは、独立した立場で人権理事会への報告を行う特別報告者の権限を理解しない、驚くべき姿です。外務大臣、特別報告者の任務と権限について明確に説明いただきたい。
 国連条約のために必要不可欠と言いながら、国連特別報告者からプライバシー権や表現の自由への過度の制限になると厳しく批判されたらこれを敵視する。国際社会に通用するはずもありません。総理、抗議を撤回し、特別報告者と協議を行うべきではありませんか。
 政府は、実行準備行為が行われて初めて処罰されると言いますが、今や法務大臣は、花見であればビールや弁当を持っているのに対して、下見であれば地図や双眼鏡を持っていると、荒唐無稽な答弁に至っています。幾ら実行準備行為が必要と言ってみても、結局、犯罪とは無縁な市民の日常生活と区別できないのではありませんか。
 組織的犯罪集団の計画に基づくものに限定したとも言います。総理は、一般の方々が対象となることはあり得ないと言い、大臣は、一般人とは組織的犯罪集団と関わりない人と繰り返します。しかし、法案の組織的犯罪集団とは、その言葉から多くの国民がイメージする、あらかじめ特定された暴力団やテロ組織のことではありません。結局、政府は、人々が何かを話し合い合意をしたことを警察が重大犯罪の共謀だと疑いを掛けたとき、その人々が組織的犯罪集団だと警察が判断すると言っているだけではありませんか。何の説明にもなっていないだけでなく、捜査権力を振るう国家の側が、警察に捜査対象と目されれば誰もが一般人でなくなるという態度こそ、強権姿勢にほかなりません。
 我が国の警察は、戦後も、犯罪の未然防止や任意捜査の名で、犯罪とは無縁の市民の人権、プライバシーを深く侵害する公安警察活動、司法警察活動を行い続けてきました。
 国家公安委員長、岐阜県警大垣署が、中部電力の子会社の風力発電計画について勉強会を開いた地元住民の個人情報を収集し、その会社に提供したことを通常業務の一環とした認識は今も変わらないのですか。
 昨年夏の参議院選挙で、大分県警別府署が野党統一候補を推す労働組合の事務所を隠し撮りした事件について、敷地に侵入しなければ任意捜査として許されるとした認識でこれからも行うのですか。
 GPS端末を被疑者のみならず知人や交際相手の車にもこっそり取り付けて、二十四時間三百六十五日監視しながら、裁判所の令状も取らず、警察組織全体に保秘の徹底を厳命して、国民はもちろん、検察官にさえ隠し続けてきたのが警察です。プライバシーを著しく侵害することは明らかなのに、任意捜査だとしてきた理由は何ですか。
 総理、このように秘密裏に、可能な限りの技術を用いて国民のプライバシーを侵害してきた警察の活動をなお正当化されるのでしょうか。
 四月下旬、新たに日本に関するスノーデン・ファイルが明らかになりました。Xキースコアと名付けられた監視システム、すなわち、インターネット上でやり取りされるあらゆる通信を複製、保管し、必要なときに検索、閲覧可能なスパイのグーグルと呼ばれる世界規模の通信監視システムが、二〇一三年四月には米国NSAから防衛省情報本部電波部に提供されていたというのです。総理、日本はこの提供を受けたのですか。防衛省情報本部電波部の部長は代々警察庁出身者が務めているのではありませんか。明確な答弁を求めます。
 共謀罪を新設して人々の話合いを広く処罰対象とするなら、警察権限を拡大し、情報通信技術が一層高度化する中、監視社会への危険を飛躍的に強めることになります。それは、特定秘密保護法、安保法制、戦争法、憲法九条改憲と一体に、戦争する国づくりを推し進めようとするものにほかなりません。日本共産党は、国民の皆さんと力を合わせ、断固として廃案を求めて闘う決意を表明し、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#28
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 仁比聡平議員にお答えをいたします。
 獣医学部の設置についてお尋ねがありました。
 私は、岩盤規制改革を全体としてスピード感を持って進めるよう常々指示してきましたが、獣医学部の新設については、これまで繰り返し申し上げてきたとおり、特区の指定、規制改革項目の追加、事業者の選定のいずれのプロセスも関係法令に基づき適切に実施しており、圧力が働いたということは一切ありません。このことをまずはっきりと申し上げたいと思います。
 そもそも、今治市の獣医学部誘致は、平成十九年、構造改革特区に最初の提案があって以降、自民党政権下で対応不可とされていました。これが民主党政権下で平成二十二年度中を目途に速やかに検討と、前向きに格上げされております。(発言する者あり)
#29
○議長(伊達忠一君) 静粛に願います。
#30
○内閣総理大臣(安倍晋三君)(続) こうした中、当時の民主党政権下の文部科学副大臣が国会で、産業動物獣医師や公務員獣医師の役割は重要になっておりますし、その確保について懸念があるというのは私どもも承知いたしております、現在、協力者会議を設置して議論を重ねているところでございますと答弁し、さらに、民主党政権下の平成二十二年六月に閣議決定した成長戦略に言及して、新成長戦略の中で、ライフイノベーションへの対応など、今後の獣医学教育の在り方について検討を新成長戦略によってすべし、こういうことになっているところでございまして、そのことに沿って今はまさに検討を行っていると答弁しているところであります。
 その上で、獣医学部の新設について、国家戦略特区諮問会議等の一連の手続、関係省庁の合意というプロセスを経て、政府全体として適切に判断したところであります。
 なお、民進党から提出された文書については、文部科学省において調査を行った結果、該当する文書の存在は確認できなかったと承知しています。また、テロ等準備罪は、その対象が組織的犯罪集団に限定されており、その成立要件が明確となっているなど、捜査機関が恣意的に適用することはできません。
 規制改革には抵抗勢力が必ず存在します。岩盤のように固い規制に挑戦すればするほど、既得権益を握る勢力の激しい抵抗は避けられません。そうした中で、獣医学部の新設という半世紀ぶりの改革に向けて、民主党政権においても大変な御苦労をされたものとお察しいたします。
 しかし、安倍内閣はいかなる抵抗勢力にも絶対に屈しません。政局目的で、政局目当てで既得権益に妥協したり、抵抗勢力と手を結ぶようなことはありません。これからも総理大臣である私が先頭に立って、内閣の総力を挙げてあらゆる岩盤規制に挑戦していく決意であります。
 テロ等準備罪の処罰対象、恣意的濫用の防止策、憲法や刑法の原則との関係についてお尋ねがありました。
 テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の計画行為に加えて、実行準備行為が行われた場合に限って成立するものです。すなわち、テロ等準備罪は、計画行為及び実行準備行為という行為を処罰するものであって、内心を処罰するものではなく、思想、良心の自由を侵害するものではありません。また、捜査機関による捜査については、テロ等準備罪についても現在行われている他の犯罪と同様の方法で刑事訴訟法の規定に従い、必要かつ適正な捜査を行うこととなります。
 テロ等準備罪の処罰範囲は明確かつ限定的なものであるとともに、我が国においては裁判所による審査が機能していることから、捜査機関による恣意的な運用はできない仕組みとなっています。したがって、テロ等準備罪の創設は、憲法が保障する国民の権利、自由を不当に制約するものではなく、憲法に反するといった御指摘は全く当たりません。
 テロ等準備罪が成立する場合には、その計画された犯罪が実行される可能性が高い上、一たび実行されると重大な結果が生じることが多く、特に悪質で違法性が高く未然防止の必要性が高いことから、実行の着手前の段階であっても処罰する必要性が高いと考えられます。我が国の刑事法においては、特に重大な犯罪や取締り上必要がある犯罪について、予備罪や共謀罪等、実行の着手前の行為をも処罰することとしており、テロ等準備罪もその処罰の必要性の高さに着目して創設するものであることから、我が国の刑事法における刑罰の基本的な定め方に整合するものであり、近代刑法の大原則を覆すといった御指摘も全く当たりません。
 パッサス教授の指摘と現行法で国際組織犯罪防止条約を締結することについてお尋ねがありました。
 国連の立法ガイドは二〇〇四年に作成されましたが、その後、ISILのような凶悪なテロ組織が登場して世界各地で活発に活動し、日本人も犠牲になっています。こうした組織は様々な犯罪行為で収益を上げ、それを資金源に暴力的な活動を行っています。今日の国際社会においては、テロ行為そのものへの対処に加えて、テロ行為を可能とする資金源を断つことがテロの最終的な根絶に向けて効果的な方策となっています。
 二〇一四年十二月に採択された安保理決議は、あらゆる形態のテロリズムを防止するために共同して取り組むことの必要性を強調し、国際組織犯罪防止条約を始めとする国際約束を優先的に批准し、加入し、実施することを加盟国に要請し、テロリストが国際組織犯罪から資金を得ることを防止するよう明確に求めています。
 本条約第五条は、締約国に対し、重大な犯罪を行うことの合意又は組織的な犯罪集団への参加の少なくとも一方をその未遂又は既遂とは別に犯罪化することを義務付けています。しかし、我が国においては、現行法上参加罪は存在しない上、共謀罪、陰謀罪が設けられているのはごく一部の犯罪にすぎません。
 このように、我が国では現行法が本条約第五条が定める犯罪化義務を満たしていないことは明らかであり、テロ等準備罪を新設しなければ本条約を締結することはできないと考えています。
 カンナタチ教授から発出された公開書簡についてお尋ねがありました。
 カンナタチ教授は、伊原在ジュネーブ代表部大使に宛てた別の書簡の中で、自分はこれまでNGOが作成したテロ等準備罪処罰法案の非公式な英訳を見て立場を表明してきたが、日本政府の公式な英訳を見た上で、自分の立場が間違っているのであれば立場を訂正する用意があると述べています。
 特別報告者は、各国の人権状況について調査し、その結果を人権理事会へ報告することとなっていますが、今回の公開書簡はそのような正式な報告ではなく、唐突に発出されたものです。この公開書簡は、法案を作成した当事者である日本政府からの説明を聞くことなく、一方的に見解を表明した著しくバランスを欠く不適切なものであります。この点について、G7タオルミーナ・サミットの機会に懇談したアントニオ・グテーレス国連事務総長も、人権理事会の特別報告者は国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない旨述べていました。
 カンナタチ教授による今回の言動は著しくバランスを欠き、客観的であるべき専門家の振る舞いとは言い難く、また信義則にも反するものです。日本政府の説明を無視した一方的なものである以上、政府のこれまでの説明の妥当性を減ずるものでは全くないと考えております。
 我が国の取組を国際社会において正確に説明するためにも、この公開書簡の照会事項については、追ってしっかりと我が国の立場を説明するものを返したいと考えています。
 警察の活動についてお尋ねがありました。
 警察がその責務を果たすために行う行動は、もとより法令に基づき適切に遂行されなければならないものであります。警察には、引き続き、国民の信頼に応えるべく、法令を遵守し、適正に職務の遂行に当たってもらいたいと考えております。
 防衛省情報本部電波部に関わるお尋ねがありました。
 御指摘のいわゆるスノーデン・ファイルと呼ばれる出所不明の文書について、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。
 防衛省情報本部の電波部長には警察庁出身者が就いてきていますが、これはその時々の任命権者が適切に判断した結果であると認識しています。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣金田勝年君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(金田勝年君) 仁比聡平議員にお答えを申し上げます。
 まず、実行準備行為と市民の日常生活上の行為との区別についてお尋ねがありました。
 これまでの議論では、ある行為が実行準備行為に当たるか否かを判断するに当たり、計画をした者であるか否かや計画の具体的内容を問題とすることなく、当該行為のみから実行準備行為該当性を判断するかのような誤解があるように思われます。
 しかしながら、テロ等準備罪における実行準備行為は、条文上、計画をした者のいずれかにより計画に基づき行われることが必要とされております。したがって、ある行為が実行準備行為に該当するためには、まず、計画をした者による計画に基づく行為と認められることが必要であります。
 その上で、行為の目的などの主観面についても捜査や認定の対象となりますが、その際には、一般的な犯罪における犯意の認定などと同様に、様々な証拠のうち、客観的証拠や供述の裏付け証拠の有無、内容が重視されるものと考えられます。
 このように、実行準備行為に当たるか否かの判断に当たりましては、計画をした者による計画に基づく行為と認められるか否かに加えまして、当該行為をしている者の携帯品、当該行為をしている際の状況など、外形的な事情も行為の目的を区別する一つの要素となり得るものと考えております。
 なお、先日、私が、例えば花見であればビールや弁当を持っている、下見であれば地図や双眼鏡、メモ帳などを持っていると答弁いたしましたのも、このような理解を分かりやすく説明するために外形的事情としての携帯品の例を申し上げたものにすぎず、それらの携帯品を所持していることから直ちに下見目的の実行準備行為と認定できると考えているわけではありません。
 次に、政府が一般の方々はテロ等準備罪の捜査の対象とはならないと説明していることについてのお尋ねがありました。
 テロ等準備罪についても、他の犯罪の捜査と同様に、犯罪の具体的な嫌疑がなければ捜査が行われることはありません。犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定しない場合には、一般の方々も犯罪の嫌疑があれば捜査の対象となります。
 しかしながら、テロ等準備罪には、組織的犯罪集団が関与する犯罪、重大な犯罪の計画行為、その計画に基づく実行準備行為という厳格な三つの要件が設けられております。このように、組織的犯罪集団が関与する犯罪との要件を設けたことによりまして、客観的に組織的犯罪集団に関わり合いがあるとの嫌疑が認められなければ、その者に対する捜査は行われません。
 そして、組織的犯罪集団とは、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織など違法行為を目的とする団体に限られ、一般の方々がこれらと関わり合いを持つことがないのはもちろん、関わり合いを持っていると疑われることも考えられません。
 したがって、組織的犯罪集団と関わり合いのない一般の方々、すなわち、何らかの団体に属していない人はもとより、通常の団体に属し、通常の社会生活を送っている方々は、テロ等準備罪の被疑者として捜査の対象となりません。
 このように、我々は、捜査機関が捜査対象と考えたかどうかで一般の方々か否かを判断しているわけではありませんので、御指摘は当たりません。(拍手)
   〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(岸田文雄君) 国連人権理事会の決議により設置されたプライバシーの権利特別報告者の任務と権限についてお尋ねがありました。
 特別報告者とは、特定の国の状況又は特定の人権に関するテーマに関し調査報告を行うために、人権理事会から個人の資格で任命された独立の専門家であり、同専門家の見解は国連の立場を反映するものではありません。
 今回のプライバシーの権利特別報告者が発出した公開書簡は、法案を作成した当事者である日本政府に対して照会するなどの機会を持つことなく、公開書簡の形で一方的にその見解を発表した点で不公正かつ不適切であると考えております。
 その上で申し上げるならば、プライバシーの権利特別報告者は、二〇一五年三月に国連人権理事会において採択されたデジタル時代のプライバシーの権利決議によって設置されました。決議において、プライバシーの権利特別報告者は、プライバシーの権利の保護、促進に向けて、情報収集、国際会議等への参加、意識啓発等を任務とするとされております。また、特別報告者は、その任務の範囲内で各国への情報提供の要請あるいは調査訪問等を行うことができる、このようにされていると承知をしております。(拍手)
   〔国務大臣松本純君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(松本純君) 岐阜県大垣警察署の活動について、通常行っている警察業務とした過去の答弁についてお尋ねがありました。
 警察は、公共の安全と秩序の維持という責務を果たす上で必要な範囲において警察活動を行っており、このような活動を通常行っている警察業務と表現したものと承知しております。
 なお、一般論として申し上げますと、警察においては、テロ対策や犯罪、トラブルの未然防止など、公共の安全と秩序の維持という警察の責務を果たすため必要な情報収集を行っていますが、もとより、法令に基づき適切に職務を遂行しているものと承知しております。
 次に、大分県警察における不適正捜査についてのお尋ねがありました。
 お尋ねの事案は、昨年七月施行の参議院議員通常選挙の違反取締りに当たっていた大分県別府警察署において、公職選挙法違反に関する証拠を採取する目的で別府地区労働福祉会館敷地内にビデオカメラを設置し、同敷地内の駐車場及び会館への出入口を撮影したものと承知しております。
 大分県警察本部による調査、捜査の結果、別府署員の行為は、刑法の建造物侵入罪に該当する上、他人の敷地内を撮影する必要性及び相当性も認められないことから、不適正な捜査であったと認められたものであります。
 警察においては、本事案を受け、全国の都道府県警察に通達を発出し、捜査用のカメラの適正な使用の徹底について指示するなどしたところであります。今後とも、同種事案の再発防止に向け、警察を指導してまいる所存でございます。
 次に、GPS捜査についてのお尋ねがありました。
 これまで警察においては、連続的に発生する窃盗等の一定の犯罪の捜査において、捜査上特に必要があるときに限り、捜査対象車両にGPS端末を取り付けて、その位置情報を検索する捜査を行ってきたと承知しております。
 警察においては、こうしたいわゆるGPS捜査は尾行を機械的に補助するものであり、通常の張り込みや尾行等の方法と比して特にプライバシー侵害の程度が大きいものではなく、刑事訴訟法第百九十七条第一項に基づき任意捜査として行うことが許容されると考えていたものであり、同旨の裁判例も複数見られたところであると承知しております。
 しかしながら、本年三月、最高裁判所判決において、GPS捜査は強制処分に該当するとされたところであり、警察庁においては、この判断を真摯に受け止め、都道府県警察に対して通達を発出し、こうした捜査を控えるよう指示したものと承知しております。(拍手)
    ─────────────
#34
○議長(伊達忠一君) 東徹君。
   〔東徹君登壇、拍手〕
#35
○東徹君 日本維新の会の東徹です。
 会派を代表して、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 まず、北朝鮮のミサイル発射について伺います。
 北朝鮮は、本日、一発の弾道ミサイルを発射し、我が国の排他的経済水域内に落下したものと推定されています。北朝鮮の弾道ミサイルの発射は、今年だけでも既に九回を数えます。このような北朝鮮の態度は断じて容認できるものではなく、政府には厳正なる措置をとっていただくよう申し上げます。
 安倍総理は、北朝鮮を抑止するため、アメリカとともに具体的な行動を取っていくと述べられましたが、どのような行動を想定しているのか、また、北朝鮮への制裁に慎重な中国に対してどのように対応するのか、安倍総理の見解を伺います。
 自由と安全との関係について伺います。
 今月二十二日、英国マンチェスターでの二十二人もの死者が出た自爆テロ事件が起こり、ISが犯行声明を出しています。テロは、何の罪もない人たちを殺害する最も卑劣な行為であり、国際社会が結束して立ち向かっていかなくてはなりません。我が国では、アルカイダの関係者が過去何回も出入国を繰り返していた事実もあるように、我が国もテロと無関係ではなく、テロを未然に防ぎ、国民の生命や財産を守ることは国の責務であります。
 しかし、国民の安全確保のための対策は、国民の自由を制約せざるを得ないことがあります。そこでは、自由と安全のバランスをどのように取るかが根本的な問題として生じてきます。
 そこで、自由と安全のあるべきバランスについてどのように考えているか、世界で頻発するテロを含む組織犯罪に対しどのような対策を講じるべきと考えているか、安倍総理の見解を伺います。
 本法案の必要性について伺います。
 二〇〇一年九月十一日の同時多発テロ以降、各国は、国民の生命の安全を守るため、テロ対策に重点を置くようになってきました。本法案は、テロ等準備罪という呼称が付けられていますが、国民の間には、まだまだ法案は本当に必要なのか、テロ対策に有効なのかという疑問が残っています。
 また、我が国は、二〇一九年ラグビーワールドカップや二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が控えており、また、二〇二五年に開催される国際博覧会を大阪に誘致しようと立候補しました。
 大阪への万博誘致に向けた意気込みに併せ、このような世界的イベントの開催を控えた我が国において本法案がいかにテロ対策として必要であるか、まず、安倍総理から国民に対して説明いただきたいと思います。
 次に、我が党との修正協議等について伺います。
 我が党は、テロ等の重大な組織犯罪に対処するため、本法案の必要性を認めつつ、一方で、恣意的な捜査で冤罪が起こりかねない、自白偏重の捜査が行われるのではないかなど、いまだに残る国民の懸念を払拭するため、いわゆる取調べの可視化を始め五つのポイントを与党に提案し、修正協議を行いました。
 その結果、第六条の二第四項として、テロ等準備罪の取調べその他の捜査を行う際の適正確保に向けた配慮義務を追加するなど、取調べの可視化やGPS捜査の制度の在り方、親告罪の取扱いの明記という三つのポイントについて合意に達することができました。
 この三党での修正合意は、組織的犯罪集団による重大犯罪の抑止を図りつつ、人権保障や国民の予測可能性の確保に資するものと考えますが、安倍総理はどのように評価されているのか、見解を伺います。
 また、附則に盛り込まれた取調べの可視化について、その必要性や今後の検討の在り方について、安倍総理の認識を伺います。
 取調べの可視化について、イギリスでは、もはや当然の前提にしながら刑事手続が行われており、その中で、警察における取調べ技術の向上のためトレーニングスクールが設置され、様々な訓練コースを年間約七千人が受講しています。
 可視化をどのように促進するのか、また、可視化された後も公正かつ効果的な取調べが実施できるよう、我が国にもトレーニングスクールを設置するべきではないですか。安倍総理の見解を伺います。
 国連特別報告者の書簡について伺います。
 今月十八日、国連特別報告者が、日本政府に対する公開書簡で、本法案に対し、プライバシーの権利などを損なうおそれがあると懸念を示しました。国連にも加盟する百八十七の国と地域が共謀罪等を整備するなどによりTOC条約を締結している事実があるにもかかわらず、我が国だけが批判をされています。
 政府は、この書簡のどこがおかしいと考えているか、今後どのような対応をするか、岸田大臣の見解を伺います。
 TOC条約の締結について伺います。
 TOC条約の三十二条には、締約国会議を設置すること、本条約の実施状況を定期的に検討し、改善のための勧告を行うことが定められていますが、いまだ具体的な仕組みはありません。
 今後、どのような仕組みがつくられ、どのような調査が我が国に対して行われると見込んでいるのか、また、今、我が国が同条約を締結することで、我が国がその仕組みづくりに関与し、北朝鮮のように本条約の実施状況に懸念のある国家に対し勧告を行うことができるようになるのか、岸田大臣に見解を伺います。
 情報収集の在り方について伺います。
 政府は、テロ等準備罪の計画がなされているとの嫌疑があれば、準備行為がなくても捜査ができるとしています。捜査実務を踏まえると、テロ等準備罪に通信傍受が想定し難いとの政府答弁がありましたが、オウム真理教事件では警察に情報がなかったため、仮にテロ等準備罪があっても防げなかったとの意見もあります。
 準備行為がなされる前段階でテロ等の防止に必要な情報をどのように集めるのか、金田大臣の見解を伺います。
 組織的犯罪集団について伺います。
 テロ等準備罪は、犯罪の主体が組織的犯罪集団に限定されているため、その適用に当たっては、ある団体が組織的犯罪集団であるかどうかが重要であり、これが政府の言う一般人の範囲を決める基準にもなります。
 組織的犯罪集団であるかどうかを何をもって判断するのか、どのような証拠に基づいて認定されるのか、金田大臣の見解を伺います。
 加えて、組織的犯罪集団かどうか判然としない団体がテロ等準備罪の対象犯罪の計画を立て、準備行為まで行った場合、捜査の可否を含め、どのような扱いとなるのか、見解を伺います。
 計画等と準備行為の認定について伺います。
 我が国では、共謀に加わるのみで犯罪の実行行為を行わなかった者も処罰できるとする共謀共同正犯が判例上確立されています。
 共謀共同正犯より処罰を早期化したテロ等準備罪において、その要件である計画や準備行為がどのようなもので、具体的にどういうことが行われれば認定されるのか、また、その立証に必要な証拠としてはどのようなものが考えられるのか、金田大臣の見解を伺います。
 衆議院における修正について伺います。
 衆議院における修正では、捜査の適正確保への配慮義務が追加され、捜査権限の濫用を防ぐ効果が期待されています。
 そこで、配慮義務により具体的にどのようなことが行われるのか、また、そこに我が党が求めている取調べの可視化が含まれるのか、金田大臣の見解を伺います。
 加えて、附則において、GPS捜査に関する制度の検討等が行われることとされていますが、いつまでにどのような検討を行うものと考えているのか、金田大臣の見解を伺います。
 これから行われる法務委員会での審議では、本法案に対する国民の懸念を払拭し、その必要性を御理解いただけるよう、政府の誠実な対応を求め、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#36
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 東徹議員にお答えをいたします。
 北朝鮮の弾道ミサイル発射についてお尋ねがありました。
 北朝鮮は、本日早朝、弾道ミサイルを発射し、我が国のEEZ内に落下したものと見られます。国際社会の度重なる強い警告を無視し挑発行為を続ける北朝鮮に対し、我が国としても最も強い表現で非難し、厳重に抗議いたしました。
 我が国としては、更なる制裁や国連での緊密な連携などを通じて、北朝鮮に対する圧力を強化するため、米国や韓国と協力していく考えです。現時点では具体的な内容は控えますが、北朝鮮を抑止するため、米国とともに具体的行動を取ってまいります。
 中国に対してはこれまでも様々なレベルで、北朝鮮の更なる挑発行為に対して断固たる姿勢を示すことが重要であり、中国が更なる役割を果たすことを求めてきましたが、本日から訪日予定の楊潔チ国務委員との間でも、北朝鮮問題を取り上げ、連携強化について働きかける予定です。
 米国、韓国、中国、ロシアを始め国際社会と緊密に連携しながら、高度の警戒態勢を維持し、国民の安全確保に万全を期してまいります。
 テロを含む組織犯罪対策、自由と安全のバランスについてお尋ねがありました。
 世界各地で重大なテロ事犯が続発し、我が国もテロの標的として名指しされ、邦人にも多数の被害者を出すテロ事件が発生しております。政府としては、国民の生命や財産を守るため、国際社会と連携しながら、テロを含む組織犯罪対策に全力を尽くすことが必要と考えております。その際、国民の権利や自由を不当に制約してはならないことは当然のことであり、そのため、今般のテロ等準備罪においては処罰範囲を明確かつ限定的なものとしております。
 また、テロを含む組織犯罪に対しては様々な対策を総合的に行っていかなければなりません。政府においては、現在御審議いただいているテロ等準備罪の創設と併せ、国際社会と緊密に連携して情報収集、分析を強化するとともに、水際対策の徹底、重要施設やソフトターゲット等に対する警戒警備の強化、サイバーセキュリティー対策の強化等、テロを含む組織犯罪への総合的な対策に全力を尽くしてまいります。
 大規模な国際イベントにおけるテロ対策及びテロ等準備罪の必要性についてお尋ねがありました。
 国際博覧会の国内への誘致は、日本の魅力を世界に発信する絶好の機会であり、開催地のみならず、我が国各地を訪れる観光客が増大し、地域経済が活性化する起爆剤にもなると考えます。何としても誘致を成功させるという決意で、国を挙げて誘致に全力で取り組んでまいります。
 その上で、国際博覧会に限らず、ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピック競技大会などの大規模な国際イベントの開催に当たっては、安全の確保が開催国の極めて重要な責務であり、テロ対策は最重要課題の一つであると認識しています。
 この点において、テロ等準備罪を創設し、国際組織犯罪防止条約を締結することは必要不可欠です。国際組織犯罪防止条約は、テロを含む幅広い国際的な組織犯罪を一層効果的に防止するための国際的な枠組みであり、既に百八十七の国・地域が締結している極めて重要な条約です。
 今般のG7タオルミーナ・サミットにおいて首脳間で採択されたテロに関するG7の特別声明においても、テロ対策のための世界的な行動に不可欠な要素として、国際組織犯罪防止条約を含む国際文書の実施の重要性が強調されました。この条約を締結していないのは世界で十一か国だけであり、G7では日本だけです。我が国が国際社会における法の抜け穴となるわけにはいけないのであります。そして、条約締結により国際的な逃亡犯罪人引渡しや捜査共助が可能となり、ないしは更に充実するほか、情報収集において国際社会とより緊密に連携することが可能になります。
 また、テロ等準備罪の創設により、テロリズム集団を含む組織的犯罪集団による犯罪の実行着手前の段階で検挙、処罰が可能となり、こうした犯罪による重大な結果の発生を未然に防止することができるようになるとともに、組織の資金源を断つことにも資するものであることから、この罪の創設はテロ対策に極めて効果的であると考えております。
 テロ等準備罪処罰法案の修正等に関するお尋ねがありました。
 日本維新の会が、国民の安全、安心を守るため、テロ等準備罪処罰法案の必要性や内容について極めて実のある真剣な検討をされたことに、まずもって敬意を表したいと思います。その中で、修正案という形で実のある議論をしていただいたことは、国会、国会議員の果たすべき役割をしっかりと担っていただいているものと感じております。
 その上で、与党との間で合意に至り、修正案が三党共同で提出されたことについては、これまでの国会審議において指摘された御懸念等に対応するものであると承知しており、政府としても建設的で有益な御提案と受け止めております。
 取調べの録音、録画については、供述の任意性等の的確な立証、判断に資する、取調べの適切な実施に資するなどの有用性が認められるものと認識しています。本法案が成立した際には、修正の趣旨に従った検討に資するよう、必要な資料収集等に努め、適切に所要の検討を行ってまいります。
 警察における取調べの在り方についてお尋ねがありました。
 平成三十一年六月までに取調べの録音・録画制度に関する刑事訴訟法の規定が施行されることに備え、警察においては、現在、取調べの録音、録画の試行に取り組んでおり、捜査現場においても録音、録画の実施が徐々に定着しつつあるものと認識しております。
 今後、警察において、録音・録画機材の整備等に取り組むとともに、現在、警察大学校等において行われている取調べ技術向上のための研修の充実強化等を通じ、制度の施行に向けた準備を着実に進めていくものと承知しております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣金田勝年君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(金田勝年君) 東徹議員にお答えを申し上げます。
 まず、実行準備行為がなされる前の段階における情報収集についてお尋ねがありました。
 テロ等準備罪の捜査につきましても、他の多くのひそかに行われる犯罪の場合と同様の方法で、捜査の端緒を得て、必要かつ適正な捜査を尽くすことになると考えております。例えば、実際に行われた別の犯罪の捜査の過程で、計画についての供述や犯行手順が記載されたメモのような証拠が得られることが考えられますほか、計画に参加した者の自首や、計画の状況を聞いた者からの情報提供等によって計画の存在が発覚することもあると考えられます。
 また、組織的犯罪集団が関与します一定の重大な犯罪の計画行為が既に行われた嫌疑がある場合には、実行準備行為が行われていない段階にあっても、個別具体的な事実関係の下で、計画に基づく実行準備行為が行われる蓋然性が高度に認められるような犯罪の嫌疑があり、捜査の必要性、手段の相当性が認められる範囲において任意捜査を行うことが許されるものと考えております。
 これによって、必要に応じ各種の捜査関係事項照会、関係者からの事情聴取など、所要の任意捜査が行われるものと考えられます。さらに、テロ等準備罪を整備するなどして国際組織犯罪防止条約を締結することによりまして、情報収集においても国際社会と緊密に連携することが可能となると期待をいたしております。
 次に、組織的犯罪集団に該当するか否かの判断方法についてお尋ねがありました。
 組織的犯罪集団とは、組織的犯罪処罰法上の団体のうち、構成員の継続的な結合関係の基礎となっている共同の目的が、改正後の組織的犯罪処罰法の別表第三に掲げる一定の重大な犯罪等を実行することにあるものをいいます。ある団体が組織的犯罪集団に該当するか否かは、捜査機関が刑事訴訟法の規定に従い収集した証拠に基づいて、継続的な結合体全体の活動実態等から見て、客観的に構成員の結合関係の基礎となっている共同の目的が一定の重大な犯罪等を実行することにあるかどうかについて、社会通念に従って判断して認定することとなります。
 次に、組織的犯罪集団であるかどうかが明らかでない団体によります犯罪の計画や実行準備行為に対する捜査の可否等についてお尋ねがありました。
 テロ等準備罪についても、他の犯罪の場合と同様に、犯罪の嫌疑がなければ捜査が行われることはありません。テロ等準備罪には、組織的犯罪集団が関与する犯罪、重大な犯罪の計画行為、その計画に基づく実行準備行為という厳格な三つの要件が設けられており、同罪の嫌疑があると認めるためには、組織的犯罪集団が関与する犯罪であることについての嫌疑が必要であります。
 もっとも、捜査は、犯罪の嫌疑がある場合に事案の真相を解明し、公訴提起の要否を決するなどのために行われるものであり、捜査の開始時点において犯罪の要件の全部又は一部について確定的に認定できている必要がないことは無論であります。すなわち、組織的犯罪集団であると確定的に認められなくても、その嫌疑が客観的に存在する場合には捜査を開始することができることとなります。
 次に、テロ等準備罪の要件である計画及び実行準備行為の意義及びその立証方法等についてお尋ねがありました。
 テロ等準備罪における計画とは、組織的犯罪集団の構成員らが組織的犯罪集団が関与する特定の犯罪を実行することについて具体的かつ現実的な合意をすることをいい、具体的例としては、例えば、テロリズム集団が、多数人が集まる特定の場所で銃を乱射して多数の人を殺害することについて、指揮命令関係や役割分担等を含めて具体的かつ現実的に計画することなどが考えられます。
 また、実行準備行為とは、計画とは別の行為であって、計画に基づき行われる資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為をいいます。例えば、先ほどの銃を乱射する事例でいいますと、多数人が集まる特定の場所の下見をすることや犯行の手順の訓練をすることなどが考えられます。
 いずれの要件につきましても、物証のほか、関係者の行動などの情況証拠、被疑者や関係者の供述など、捜査機関が刑事訴訟法の規定に従って収集した証拠により立証することとなります。
 次に、衆議院における修正により追加されましたテロ等準備罪処罰法案第六条の二第四項の配慮義務についてお尋ねがありました。
 このような規定がない場合でありましても、捜査に当たってその適正を確保することは言うまでもないことでありますが、このような規定が置かれた場合には、捜査機関におきましては、テロ等準備罪に関する国会での議論の経過をも踏まえ、御指摘の取調べの録音、録画を適切に実施することを含め、一層慎重な対応をすることとなるものと思われます。
 本法案が成立した場合には、この配慮義務規定の趣旨及び内容について、関係機関に周知してまいりたいと考えております。
 最後に、衆議院における修正により追加された附則第十二条第二項に基づきますGPS捜査に関する検討についてお尋ねがありました。
 法務省におきましては、先般の最高裁判決を受け、GPS捜査を行うための制度の在り方について、この種の捜査の具体的態様等に即して検討を行ってまいりました。今後とも、関係機関と連携をし、修正の趣旨を踏まえて所要の検討を行ってまいりたい、このように考えております。(拍手)
   〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(岸田文雄君) まず、国連人権理事会プライバシーの権利特別報告者から発出された公開書簡についてお尋ねがありました。
 特別報告者は、本来、各国の人権状況について調査をし、その結果を人権理事会へ報告することとなっていますが、今回の書簡はそのような正式な報告ではなく、唐突に発出されたものです。この公開書簡は、法案を作成した当事者である日本政府からの説明を聞くことなく、一方的に見解を発表した著しくバランスを欠く不適切なものです。
 また、この書簡に示された懸念事項や指摘事項は、一部の関係者から得た限られた情報のみに基づくものであることがうかがわれ、これまで国会審議等の場において政府が説明してきた内容を踏まえていないものであって、その内容は明らかに不適切なものであります。
 このような公開書簡でありますが、我が国の取組を国際社会において正確に説明するためにも、同書簡の照会事項については、追ってしっかりと我が国の立場を説明するものを返したいと考えています。
 いずれにしても、国連は、累次の国連総会決議や安保理決議において繰り返し表明されているとおり、我が国を含む数少ない未締結国に対し、国際組織犯罪防止条約の早期締結と実施を求めております。
 そして、今後つくることが見込まれる本条約の実施状況を検討するための仕組みと、その仕組みづくりへの我が国の関与などについてお尋ねがありました。
 まず、本条約の実施状況のレビューをどのように行うかについては、御指摘の締約国会議において、国連腐敗防止条約の条約実施レビューメカニズムを念頭に、各国から様々な意見が提出され、引き続き議論を深めていくこととなりました。
 なお、国連腐敗防止条約では、条約の実施状況について国別の報告書を作成し、良い事例、グッドプラクティスや課題を特定することや、課題を克服するための技術援助について検討すること等を定めた条約実施レビューメカニズムが設けられています。
 こうした点を踏まえれば、本条約についても、将来、締約国会議において条約実施レビューメカニズムが設けられる可能性があると考えており、我が国が本条約を締結すれば、このレビューの対象となり得るものと考えられます。
 同時に、本条約を締結することにより、我が国としても、締約国会議に参加をして、このような仕組みの構築に関与することが可能になります。また、構築される仕組みの下で、実施状況に懸念のある国に対し、適切な対応が取られるようになるものと考えております。(拍手)
#39
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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