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2017/06/14 第193回国会 参議院 参議院会議録情報 第193回国会 本会議 第32号
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2017/06/14 第193回国会 参議院

参議院会議録情報 第193回国会 本会議 第32号

#1
第193回国会 本会議 第32号
平成二十九年六月十四日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三十三号
  平成二十九年六月十四日
   午前十時開議
 第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(衆
  議院提出)
 第二 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置
  法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の
  入港禁止の実施につき承認を求めるの件(第
  百九十二回国会内閣提出、第百九十三回国会
  衆議院送付)
 第三 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置
  法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の
  入港禁止の実施につき承認を求めるの件(衆
  議院送付)
 第四 商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査
  の実施に関する法律案(徳永エリ君外六名発
  議)
 第五 児童福祉法及び児童虐待の防止等に関す
  る法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
  衆議院送付)
 第六 ホームレスの自立の支援等に関する特別
  措置法の一部を改正する法律案(衆議院提出
  )
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一より第六まで
 一、国務大臣山本幸三君問責決議案(相原久美
  子君外一名発議)(委員会審査省略要求)
 一、本決議案の議事における発言時間は趣旨説
  明については十五分、討論その他については
  一人十分に制限することの動議(牧野たかお
  君外一名提出)
 一、法務大臣金田勝年君問責決議案(真山勇一
  君外二名発議)(委員会審査省略要求)
 一、本決議案の議事における発言時間は趣旨説
  明については十五分、討論その他については
  一人十分に制限することの動議(牧野たかお
  君外一名提出)
 一、法務委員会において審査中の組織的な犯罪
  の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等
  の一部を改正する法律案について、速やかに
  法務委員長の中間報告を求めることの動議を
  この際議題とすることの動議(牧野たかお君
  提出)
 一、法務委員会において審査中の組織的な犯罪
  の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等
  の一部を改正する法律案について、速やかに
  法務委員長の中間報告を求めることの動議(
  牧野たかお君提出)
 一、議院運営委員長山本順三君解任決議案(吉
  川沙織君外一名発議)(委員会審査省略要求
  )
 一、本決議案の議事における発言時間は趣旨説
  明については十五分、討論その他については
  一人十分に制限することの動議(牧野たかお
  君外一名提出)
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員長有田芳生君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔有田芳生君登壇、拍手〕
#4
○有田芳生君 ただいま議題となりました法律案につきまして、政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、都道府県又は市の議会の議員の選挙において、候補者の政策等を有権者が知る機会を拡充するため、候補者が選挙運動のためのビラを頒布することができることとする等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長竹本直一君から趣旨説明を聴取した後、地方議会選挙におけるビラ頒布解禁の意義、町村議会選挙のビラ頒布及び文書図画の自由化についての見解等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#6
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#7
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百四十  
  賛成            二百四十  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#8
○議長(伊達忠一君) 日程第二 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(第百九十二回国会内閣提出、第百九十三回国会衆議院送付)
 日程第三 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(衆議院送付)
 以上両件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長増子輝彦君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔増子輝彦君登壇、拍手〕
#9
○増子輝彦君 ただいま議題となりました両承認案件につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(第百九十二回国会内閣提出、第百九十三回国会衆議院送付)は、平成二十八年十二月九日の閣議決定に基づき、平成二十九年四月十三日までの間、北朝鮮籍の全ての船舶、北朝鮮の港に寄港したことが確認された第三国籍船舶及び国連安保理の決定等に基づき制裁措置の対象とされた船舶に加え、平成二十八年十二月九日以後に北朝鮮の港に寄港したことが確認された日本籍船舶に関し、入港禁止措置が講じられたことについて、国会の承認を求めようとするものであります。
 次に、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(衆議院送付)は、本年四月七日の閣議決定に基づき、現在、入港が禁止されている特定船舶について、その入港禁止の期間を平成三十一年四月十三日まで二年間延長する措置が講じられたことについて、国会の承認を求めようとするものであります。
 委員会におきましては、両件を一括して議題とし、国土交通大臣より順次趣旨説明を聴取した後、順次採決の結果、両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(伊達忠一君) これより両件を一括して採決いたします。
 両件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#11
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#12
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十九  
  賛成           二百三十九  
  反対               〇  
 よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#13
○議長(伊達忠一君) 日程第四 商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律案(徳永エリ君外六名発議)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長渡辺猛之君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔渡辺猛之君登壇、拍手〕
#14
○渡辺猛之君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査を安定的かつ継続的に実施するために必要な事項を定めることにより、商業捕鯨の実施による水産業等の発展及び海洋生物資源の持続的な利用への寄与を目的とするものであります。
 委員会におきましては、発議者徳永エリ君より趣旨説明を聴取した後、南極海及び我が国沿岸における捕鯨の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#15
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#16
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#17
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十九  
  賛成           二百三十七  
  反対               二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#18
○議長(伊達忠一君) 日程第五 児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 日程第六 ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長羽生田俊君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔羽生田俊君登壇、拍手〕
#19
○羽生田俊君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律案は、虐待を受けている児童等の保護を図るため、施設入所等の措置に関する承認の申立てがあった場合には、家庭裁判所が都道府県に対して保護者指導を求めることができることとするなど、児童の保護についての司法関与を強化する等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、要保護児童の保護に係る手続における司法関与及び保護者指導の在り方、一時保護所の現状及び課題、児童相談所及び家庭裁判所の体制強化の必要性、児童虐待の発生を予防するための取組等について質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 次に、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の一部を改正する法律案は、ホームレスの自立の支援等に関する施策を引き続き計画的かつ着実に推進するため、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の有効期限を平成三十九年八月六日まで十年延長しようとするものであります。
 委員会におきましては、提出者である衆議院厚生労働委員長丹羽秀樹君より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#20
○議長(伊達忠一君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#21
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#22
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百四十一  
  賛成           二百四十一  
  反対               〇  
 よって、両案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#23
○議長(伊達忠一君) この際、お諮りいたします。
 相原久美子君外一名発議に係る国務大臣山本幸三君問責決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 よって、本決議案を議題といたします。
 牧野たかお君外一名から、賛成者を得て、
 本決議案の議事における発言時間は趣旨説明については十五分、討論その他については一人十分に制限することの動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 足立信也君外四十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#25
○議長(伊達忠一君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#26
○議長(伊達忠一君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#27
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十八票  
  白色票          百六十五票  
  青色票           七十三票  
 よって、本動議は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#28
○議長(伊達忠一君) これより発議者の趣旨説明を求めます。相原久美子君。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔相原久美子君登壇、拍手〕
#29
○相原久美子君 民進党・新緑風会の相原久美子です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました国務大臣山本幸三君に対する問責決議案の提案理由を説明させていただきます。
 まず、決議案の案文を朗読いたします。
  本院は、国務大臣山本幸三君を問責する。
   右決議する。
 以上であります。
 以下、提案理由を申し述べます。
 去る五月三十一日、私は、この本会議場において、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案についての代表質問をさせていただきました。ちょうど二週間前のことです。その際に申し上げたことを、たった二週間後に、同じこの本会議場において再度同じことを繰り返さなければならないことに、じくじたる思いを禁じ得ません。
 昨日まで、内閣委員会では、国家戦略特区法等の一部改正案、そして昨日は我が党が提出の国家戦略特区の停止法案が審議されてきました。衆議院の審議時間を超える議論が行われ、何ゆえここまで時間を取って審議を行ってきたのでありましょうか。それは、国家戦略特区を使って今治市に獣医学部の新設が認められたことに疑念が持たれたからです。
 皆さん御案内のとおり、加計学園の理事長は、安倍総理の腹心の友です。この腹心の友のために便宜を図ったのではないかという疑念が浮上し、野党の議員が追及していました。衆議院では委員会採決後に、前川前文部科学省事務次官が、行政がゆがめられたと告発されました。
 獣医学部は五十二年間新設が認められてきませんでした。その理由は明快で、全国的な需給は満たされているからであり、獣医学部新設のためには、日本再興戦略改訂二〇一五に定められている四条件を満たさなければなりません。これは閣議決定です。
 四条件とは、一つ、現在の提案主体による既存獣医師養成でない構想が具体化、二つ、ライフサイエンスなど獣医師が新たに対応すべき分野の具体的需要が明らかになること、三つ、既存の大学・学部では対応困難な場合、四つ、近年の獣医師の需要動向を考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う。
 しかしながら、今回の加計学園はこの四条件を満たしているとは到底言えないものであるばかりか、質疑の中では、この閣議決定に基づいて規制監督をつかさどる文部科学省、農林水産省などとの徹底検証がなされたという事実もないことが明らかになっています。ですから、前川前文部科学省事務次官は、行政がゆがめられたと言って告発に踏み切りました。
 この告発に対して、安倍総理は、現職中に言えばよかったという趣旨の発言をされていますが、安倍総理一強の中、まして内閣人事局で人事を官邸に握られている中で一官僚が言えるはずもないことは、この間の告発以降の人格攻撃を見れば明らかなことです。
 真意を確認することなく、個人のスキャンダルを探し、マスコミを使って報道をさせる、これこそ総理の言う印象操作以外の何物でもなく、とても許される行為ではないことは明らかであり、共謀罪が成立した後の運用を考えるととても恐ろしいことだと思います。絶対に共謀罪も成立させるわけにはいきません。
 さて、内閣委員会の審議で明らかになってきたことは、公平公正であるべき行政がゆがめられてきたことは、情報公開の不十分さにも言えることです。山本大臣は、戦略特区の担当大臣であるだけでなく、公文書管理担当でもあります。しかしながら、この間、私どもは、情報開示法に基づいて出されてきた今治市情報を提示し、今回決定に至った各段階の情報の開示、また、文部科学省で共有されていたとする文書等についても調査、確認し、提出するよう求めてきましたが、大臣は、その担当であるにもかかわらず不誠実な答弁を繰り返すばかりでした。不都合なものには目をつぶるその姿勢は、国民に対する背信としか思えません。
 本来、国家戦略特別区域に獣医学部を新設する計画について、文部科学省に官邸の最高レベルが言っている、総理の御意向などと記載されていると報道された段階で、内閣府からそういう発言をした官僚などの調査を自らがリーダーシップを取って指揮を執るべきが大臣の責務であるはずです。にもかかわらず、その指揮を執ることもない大臣は、その任にあらずと言わざるを得ません。
 また、五十数年ぶりとなる獣医学部の新設をなぜ加計学園と決定したのか、その具体的根拠についても委員会で何度もただされました。山本大臣からは、もう一方の名のりを上げていた京都府と京都産業大学を退けた明白な理由は、当初の全国的見地で選考するとしていた応募要件を昨年十一月に広域的に獣医師養成系大学等の存在しない地域に限りとしたこと以外、結局お答えいただくことがありませんでした。
 しかも、その基準に特化して留め置けばよいものを、加計学園ありきを払拭させるためか、加計学園の提案内容の熟度が高い点についてるる述べられようとされました。その中の一つに、地元の水産資源を対象とした感染症対策など、地元固有の資源に着目した、より具体的な内容になっているとの答弁をされました。これに対し、我が党の櫻井議員が具体の内容をただしたところ、大臣は、その辺の詳しいところを十分に知っているわけではない、提案書の中にそういったことが書かれているからとしか答えられていません。
 この間、大臣が何度も、最終的には私が判断する立場にあったと繰り返されていますが、提案書の内容すらも理解をされていない、すなわち、専門家でもない大臣が最終判断をするような国家戦略特区の仕組み自体が間違いの根幹ではないでしょうか。
 結局は加計学園ありきだったということに国民の疑念が行き着くのだと思います。だからこそ、トップダウン方式の国家戦略特区の仕組みがおかしいと考え、私たち民進党は、いま一度原点に立ち返り総点検をするべく停止法案を出させていただいたのです。
 また、審議の中で、私は大臣の答弁に何度も愕然としたことがあります。
 大臣は経済にはお強いと自信を持っていらっしゃるようで、六月一日には、規制緩和というのは新規参入を増やすわけですから供給を増やすわけですね、そのことによって価格が下がり、それで消費者は喜ぶ、経済の理論からいえば、供給を増やせば増やすほど社会全体の利益は上がるということ、人数は多ければ多いにこしたことはないととうとうと述べられました。
 大臣、お子さんがいらっしゃるかお孫さんがいらっしゃるかは存じませんが、子供たちが自分の進学について相談をされたとして、獣医師が増えれば勤め先も増えるから新設校へ進めとおっしゃるのでしょうか。また、昨日の審議でも明らかになったように、確定もないままに、教授陣はそろっているから是非にと加計学園を勧められるのでしょうか。そもそも論として、教育を市場原理に委ねるその姿勢は許せないと思ったのは私だけでしょうか。
 そもそも、今回獣医学部を新設する目的は、先端ライフサイエンス研究や感染症に係る水際対策などへの対応のためと言っていませんでしたか。にもかかわらず、六日の質疑でも八日にも、またまた経済学理論を持ち出して、ペットの診療について価格の高止まりがある、もっと価格が下げた方がよいなどと繰り返し答弁をされています。産業獣医師が少ないなどの指摘はされていますが、加計学園は、先端ライフサイエンス研究や感染症の水際対策のためではなく、ペット獣医師を増やす目的としている答弁であり、本来目的をおざなりでよいと言っているようなものではありませんか。
 また、五月三十日の記者会見では、獣医学部の新設に関して、国際機関による獣医学部のランキングでは東大が三十四位で、五十位以内に日本の大学は一校しか入っていない、長年にわたって認めなかったことで日本の獣医学部の質は落ちていると発言し、委員会においても同様の発言を繰り返しています。
 これに対して、全国大学獣医学関係代表者協議会と日本獣医学会は、六月八日、見解を発表し、ランキングの低迷の背景にある最大の要因は、教育研究の根本的な基盤となる教員数、支援スタッフの数に日本と他国の間で大きな差があることを指摘した上で、山本大臣の発言について、公的な場における根拠なき批判は、多くの先達を始め、現在、獣医学教育改善に取り組む全国獣医系十六大学の教職員と獣医学生の努力を否定するものと強く大臣の発言を批判しています。
 このような発言は、前回登壇で指摘した、事実の確認がないままに学芸員を批判したり、大英博物館での事実に基づかない職員解雇を堂々と言い切る姿勢と同じ轍を踏んでいるということです。
 東京大学の専門課程で経済学部に転科される過程として理科一類に御入学された大臣であればこそ御理解いただいていると思いますが、科学研究の世界は一朝一夕に結果が出るものではありません。昨年、ノーベル医学・生理学賞を受賞された大隅良典東京工業大栄誉教授は、基礎科学の重要性を訴えられており、数年で成果が上がるか否かで役に立つのかどうか判断をすることに警鐘を鳴らしています。我が国の現在の獣医学教育においても同様のことが言えるのではないでしょうか。
 このような大臣が、国家戦略特別区域法の本来目的である国民経済の発展及び国民生活の向上を考えているとはとても思えません。
 参議院内閣委員会は、衆議院から法案が送付されてから、難波委員長を始め、上月自民党筆頭理事、そして与野党を問わず内閣委員会委員の皆さんの誠実な審議を続けてきました。それは、私たち議員は国民の負託を受けているという責務を受け止めているという自覚があるからだと思います。
 大臣は、諮問会議のメンバーに関しても、大変に高い見識を持つ有識者で議論がされてきていると答弁をされています。もちろん、そのような方たちもいらっしゃると思います。しかしながら、我田引水をするような方が有識者だとはとても言えないのではないかと思います。与党の皆さんの中にも、有識者と言われる諮問会議のメンバーが与党審査も無視して決定していくことにじくじたる思いを持っていらっしゃると思います。
 世も末という言葉がありますが、このような利益誘導をされる有識者と呼ばれる方に政策をゆがめられていることに法案担当である山本大臣が同調されることに、担当大臣の資質はないと断ぜざるを得ません。
 六月十八日の会期末を目前に控え、遅かれ早かれ今国会は閉会とさせられてしまうのでしょう。その上で、政権与党は、今回の加計学園疑惑、そして近日中に強引な採決を予定しているであろう共謀罪、また中途半端なままになっている森友学園問題等々を国民はすぐに忘れるだろうと、ほとぼりが冷めてから次期国会を開催する腹積もり、こんなふうになってはいけないのだと思います。
 その間に予定されるであろう文部科学省の大学設置・学校法人審議会における今回の獣医学部新設に係る設置認可の判断の可否が、そこに携わる方々による真摯な議論を尽くした上での結果となることを切に願っております。
 重ねて申し上げます。良識の府と言われてきたこの参議院で、内閣委員会は、真摯に国家戦略特別区域法等改正案について審議をしてきました。昨日、理事会においての合意を無視し、質疑予定者二人を残しての与党の不規則発言により委員会が散会となったことは……
#30
○議長(伊達忠一君) 時間が経過しております。簡単に願います。
#31
○相原久美子君(続) 国会の機能自体を与党自らが踏みにじり、良識の府としての参議院議員としての矜持すらも捨て去る暴挙だと申し上げ、最後にはその矜持を思い出し、この問責決議案に賛同いただくことを改めてお願い申し上げ、趣旨説明を終わります。(拍手)
    ─────────────
#32
○議長(伊達忠一君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。岡田直樹君。
   〔岡田直樹君登壇、拍手〕
#33
○岡田直樹君 自由民主党の岡田直樹です。
 私は、ただいま議題となりました山本幸三国務大臣問責決議案に対し、自民・公明を代表して、断固反対の立場から討論いたします。
 第百九十三通常国会の会期も残すところあと僅かでありますが、この国会で一部の野党諸君はどのような議論に力を注いできたでしょうか。振り返れば、今回の問責決議案の理由に挙げられた獣医学部設置などに余りにも多くの時間が割かれ、我が国の安全保障や経済政策といった議論はどこに行ってしまったのか、こんな思いを抱く国民も多いのではないでしょうか。
 我が国は、内外を問わず重大な問題に直面しており、その対応は待ったなしであります。内にあっては、少子高齢化や年金、医療費など社会保障費の問題がございます。さらに、経済改革、構造改革をどのように加速し、経済の好循環を持続させるのか。若者の将来が明るい希望に満ちたものにするためには、経済の道筋をはっきりさせねばなりません。
 外にあっては、北朝鮮の弾道ミサイル等の脅威は新たな段階に入っております。関係各国と協力して、北朝鮮の暴挙に歯止めを掛けなければなりません。また、一般市民を狙った無差別テロは国境を越えて発生しており、我が国にもいつ何どきテロが発生してもおかしくない時代であります。一日も早く、国際社会と連携してテロを封じ込めなければなりません。
 今、我々国会議員が行わなければならないことは、与野党議員が真摯にこれらの諸問題を議論し、お互いの持つ知恵を結集して対策を講じていくことであります。この参議院での正々堂々とした議論を通じて、国民にその姿を示すべきではないでしょうか。
 今回民進党が提出した理不尽極まりない山本国務大臣問責決議案の理由の一つに、獣医学部新設をめぐる事実の隠蔽に加担したとあります。獣医学部新設については、特区の指定、規制改革項目の追加、事業者選定のプロセス、いずれも関係法令に基づいて適切に実施されたことは、これまでの議論で明らかであります。
 国家戦略特区は、そもそも、諮問会議で民間議員の方々が基本的に主導して決めていく仕組みになっております。この会議では曇りのない議論がされてまいりました。議事録も既に公開されており、議論の経緯が適切であったことは明白な事実であります。
 鳥インフルエンザや口蹄疫等に備えた体制をどう整えるのか、その観点から新たな獣医学部が必要か、四国に一校も獣医学部がないことをどう考えるか、公務員獣医、産業獣医が不足している中でどのように対応すべきかといった状況を勘案した上で、諮問会議での議論を踏まえて山本国務大臣が責任を持って判断されたのであります。
 岩盤規制と言われる強固な規制を緩和するのは並大抵のことではありません。山本国務大臣は、長い間破られなかった強固な規制に穴を開けたのであります。にもかかわらず、行政がゆがめられたといって質問を繰り返す一部野党諸君の有様は、政治主導を言っていた過去を忘れ、官僚主導、しゃくし定規な行政を懐かしむ姿のように見えるのではないでしょうか。
 国家公務員の天下り問題についても、山本国務大臣は、二度と国民から疑念を持たれることがないよう、全省庁にわたり慎重かつ徹底的に調査を行っているところであります。霞が関全体を調査するわけでありますから、ある程度の時間を要するのはやむを得ないことであります。それを、天下りの実態を隠蔽しているとのそしりは到底受け入れることができません。
 また、文化財観光の振興をめぐる不適切な発言はございましたが、直ちに謝罪し、修正をされました。その後は、従来にも増して、全力を挙げて地方創生、行政改革の司令塔として日々全力で職務に取り組んでおられます。週末ごとに地域経済を盛り上げようと各地方を奔走し、地方の自立による地域の活性化につながるよう、熱意を持って積極的にリーダーシップを取り、その責務を全うしておられる姿には、深い敬意を抱くほどであります。
 一部野党からの全くのいわれなき問責を受けた山本国務大臣におかれては、これに屈することなく、これまでの経験、能力を存分に発揮し、国家国民のために十分御活躍をいただきたい。そのことを切に願い、問責決議に断固反対する旨訴えまして、私の反対討論といたします。(拍手)
#34
○議長(伊達忠一君) 神本美恵子君。
   〔神本美恵子君登壇、拍手〕
#35
○神本美恵子君 民進党・新緑風会の神本美恵子です。
 ただいま議題になりました国務大臣山本幸三君問責決議案に対し、会派を代表して、賛成の立場から討論を行います。
 討論に入る前に、言論の府である参議院において、討論の時間を制限し言論を封殺するような与党の国会を自らおとしめる行為に対して厳重に抗議をいたします。
 山本大臣は、あったことをなかったことにしようとする大臣であります。国会の審議が進むにつれて、加計学園に対する疑惑がますます深まっています。前川前文部科学事務次官の告発や現職官僚の内部告発、そして情報公開請求により出されてきた今治市の資料、これらを調べれば調べるほど、加計学園ありきだったことが明らかになってきています。本来であれば総理自らが出席してその疑いを晴らすべきですが、今国会で党首討論が一度も行われていないことから明らかなように、安倍総理は説明責任を果たしていません。このような総理の態度を断じて許すことはできませんし、予算委員会での集中審議や党首討論を求めていきたいと考えます。
 今般提出された国家戦略特区法案は、岩盤規制をドリルで打ち破り、世界で一番ビジネスがしやすい国を目指す安倍総理が、規制監督をつかさどる関係省庁を意思決定機関から排除し、規制改革を希望する民間有識者、あるいは事業者と関係地方公共団体の長、そして山本国家戦略特区担当大臣だけで決定する仕組みとなっています。
 この特区制度による規制緩和は、国民や地域住民に対し、その決定過程について政府はしっかり説明責任を果たさなければなりません。これこそ民主主義の基本であり、その責任者が山本幸三国家戦略特区担当大臣であります。
 しかし、山本大臣は、安倍総理のお友達である加計学園をめぐる不透明な決定過程を問われる中で、責任者は私であります、私が決めましたと答弁を繰り返すばかりです。山本大臣は、一体誰に対して責任を取ろうとしていたのでしょうか。国民ではなく安倍総理、あるいは自分の口では言えないという総理の意を酌んだ内閣府に対してでしょうか。そのようなことが断じてあってはならないのです。
 また、国家戦略特区はトップダウンで決定され、与党の議員や関係省庁も意見が言えず、竹中平蔵氏に代表されるような、怪しげな民間人によって決定されていきます。今回も、平成二十八年七月、神奈川県の特区で規制緩和された家事支援外国人受入れ事業について、大手人材派遣会社のパソナが事業者として認定されましたが、パソナグループの会長は、諮問会議の民間議員の一人である竹中平蔵氏であります。また、農業分野で特区に指定された兵庫県養父市では、竹中氏が社外取締役を務めるオリックスの子会社オリックス農業が参入しており、審査する側が仕事を受注するという極めて不公平な事態が起きています。
 与党の皆さん、この悪事を許してよいのでしょうか。私は、許すことができません。信じられないことに、山本幸三大臣は竹中氏を有識者として評価しているのですから、それだけで大臣失格であると言わざるを得ません。
 以下、私が山本大臣の問責決議案に賛成する理由を具体的に述べていきたいと思います。
 第一に、山本幸三大臣は法律を正しく理解することができないことです。
 情報公開法第五条五号には、情報公開できない内容が次のように書かれています。「国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの」であります。
 この法文から分かるように、審議、検討又は協議に関する情報である場合は情報公開を拒むことができますが、今回のように加計学園という結論が出てからは情報公開をしなくてはならないのです。
 しかし、再三再四質問をしても、山本幸三大臣の答弁はいつも同じです。なぜならば、大臣自らが法文を読もうとせず、官僚の作った答弁書をただ繰り返し読むだけだからです。そうしなければ総理を守れないからでしょう。法律違反をしてでも国民に真実を隠し続ける人に、大臣の資格はありません。
 第二に、獣医学部の新設のためには、いわゆる石破四条件を満たしていなければなりません。しかし、山本幸三大臣は、何の根拠もなく、加計学園はこの条件を満たしていると答弁し続けていることです。
 山本幸三大臣に対して四条件について一つ一つ質問していくと、下を向き、はっきりしない声でもごもごと答弁書を繰り返し読むだけです。科学的根拠もなく、答えに窮すると、最後は開き直る。獣医学部の需給に対する神の見えざる手論は余りにお粗末です。国家戦略特区がこれほどまでにいいかげんな需給予測に基づいて指定されているのであれば、文部科学省の規制監督省としての抵抗は当たり前のものであります。
 第三に、山本大臣は、教育機関に対して適切な判断ができないことです。
 獣医学部の新設に意欲を見せていたのは加計学園だけではありません。京都産業大学も、国家戦略特区のワーキンググループでプレゼンテーションを行ったことがあります。二〇〇四年の北近畿で発生した鳥インフルエンザの解決に向けて、京都産業大学の研究者と鳥インフルエンザ研究センターが京都府と協力して行ったことや、総合生命科学部を二〇一〇年に設立し、ライフサイエンスに向けて総合的な研究を行っていること等が紹介されました。何の実績もない加計学園とどちらがふさわしいのか。こんな簡単な判断もできないのが山本幸三大臣なのであります。
 この実績を踏まえたら京都産業大学の方がすばらしいのではないかという同僚議員の質問に対して、山本幸三大臣は、加計学園にはまだ獣医学部がないからという答弁でありました。京都産業大学にも獣医学部はありません。これだけの準備をしていながら、総理の腹心の友ではないという理由で落とされるのは、本当に大きな問題だと思います。
 前川前文部科学事務次官は、行政がゆがめられた、あったものをなかったことにはできないと言って告発されました。この勇気ある行動は称賛に値するものです。しかし、信じられないことに、安倍政権では、国家権力を使い、前川前文部科学事務次官のスキャンダルを探し、マスコミに報道させるという行為に出ました。とても許される行為ではありませんし、共謀罪が成立した後の運用を考えてくると、とても恐ろしいことだと思います。安倍政権の下で共謀罪を成立させるわけにはいかないことも、併せてこの場で申し上げておきたいと思います。
 総理官邸は、前川前文部科学事務次官の発言に対して虚偽であるという趣旨の発言をされていますが、もし本当にそう思われるなら、御本人は証人喚問も受けるとおっしゃっているのですから、国会の場で堂々と議論を行うべきだと思います。総理官邸が証人喚問に否定的であるという事実一つで、どちらが正しいかすぐに分かると思います。
 私は、前川前文部科学事務次官と一緒に仕事をさせていただいた経験があります。彼の教育に対する熱意、常に学ぶ者の側に立つ姿勢があるからこその告発だと私は受け止めました。
 総理官邸からスキャンダルが報じられた後、みんなで前川前事務次官のすばらしい点をアピールしたいと思っていたやさきに、週刊誌で、前田っちに助けられたという趣旨の記事が掲載されました。
#36
○議長(伊達忠一君) 神本君、時間が超過しております。簡単に願います。
#37
○神本美恵子君(続) 個人の人格を攻撃する総理官邸、それに対して何の言い訳もしなかった前川前文部科学事務次官、どちらの言い分が正しいかは、良識ある議員の方だけに御理解いただけると思います。
 前川氏を慕う若手官僚からだと思いますが、勇気ある内部告発が行われました。
#38
○議長(伊達忠一君) 神本君、簡単に願います。
#39
○神本美恵子君(続) 文部科学省は調査を行いましたが、おざなりの調査で国民の皆さんから批判を浴び、再調査をすることになりました。文部科学省の内部調査に対し、国民の多くの皆さんから批判を浴び、再調査を決断せざるを得なくなりました。この調査が犯人捜しであっては決してならないのです。
#40
○議長(伊達忠一君) 時間が超過しております。簡単に願います。
#41
○神本美恵子君(続) 国民に真実を明らかにするために、この結果については必ず国会議論をしなければなりません。
 最後に、教育の現場にいた者として許し難い、山本大臣の発言について申し上げます。
 これまでも、特区制度を利用して多くの株式会社立学校が設立されてきました。しかし、様々な問題が起き……
#42
○議長(伊達忠一君) 神本君、時間が超過しております。簡単に願います。
#43
○神本美恵子君(続) 廃校に追い込まれている例もあるのです。(発言する者あり)聞いてください。
 教育の場である学校、学部の設置を特区という実験の対象にしてはいけないのです。失敗したときに最大の被害を被るのは学生、生徒です。失敗は許されないのです。
 山本大臣は、こういう教育の場である獣医学部を新設するに当たって、神の見えざる手という市場メカニズムを持ち出し、需要の見通しは困難であるとの強弁を続けました。
#44
○議長(伊達忠一君) 時間が過ぎております。簡単に願います。
#45
○神本美恵子君(続) これは、山本大臣が学生の未来を単なる消費財と考えていること、安価で買いたたき、要らなければ容易に捨ててしまえと考えていることが明らかであります。この意味で、山本大臣が、大臣どころか政治家としての資質に欠けていると言わざるを得ません。
#46
○議長(伊達忠一君) 神本君、時間が過ぎております。簡単に願います。
#47
○神本美恵子君(続) 第一次安倍政権で改悪される前の教育基本法の第十条には、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。」とあります。お友達の利益のために、岩盤規制と称してドリルで穴を開け、市場メカニズムで教育をゆがめる安倍総理と山本大臣を認めることは断じて許せないことを申し上げ、私の賛成討論といたします。(拍手)
#48
○議長(伊達忠一君) 田村智子君。
   〔田村智子君登壇、拍手〕
#49
○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました国務大臣山本幸三君問責決議案に賛成の討論を行います。
 第一に、加計学園の獣医学部新設をめぐり、官邸と内閣府の圧力によって行政がゆがめられたのではという、安倍総理の進退に関わる疑惑の究明に、国家戦略特区を担当する山本大臣が全く背を向けていることです。
 私は、五月三十一日の本会議、翌日から四回の内閣委員会で、獣医学部新設の方針決定の過程、またその事業者として加計学園を決定した過程について、それが適正に行われたのかどうかを事実に即してただしてきました。
 獣医学部新設については、二〇一五年六月、獣医師が新たに対応すべき具体的な需要が明らかになり、既存の大学・学部では対応が困難な場合などの要件を閣議決定しています。
 これまでの審議で明らかになったのは、文科省、農水省ともこの要件に照らして獣医学部新設の必要性を認めていなかった、また、十一月九日の国家戦略特区諮問会議でも要件に照らした審議はないままに獣医学部新設が決定されたという事実です。
 内閣府は、文科省、農水省との個別の協議を行ったのだと言います。しかし、省庁間でいかなる協議が行われたのかを検証できるように資料の提出を何度求めても、山本大臣は拒否し続けています。
 一方で、文科省事務次官だった前川喜平氏は、内閣府の藤原審議官が文科省に、総理の御意向、官邸の最高レベルが言っていると獣医学部新設を認めるよう迫っていたことを記者会見で明らかにし、証人喚問にも応じると述べています。その後、複数の文科省の現役職員からも、前川氏が指摘した文書が文科省内で共有されていたとの情報が発信されました。怪文書扱いする菅官房長官の発言、また、おざなりの調査で文書は確認できなかったとする文科大臣の説明に国民は納得せず、とうとう文科大臣は文書の存在等について再調査に追い込まれました。
 しかし、総理の御意向という圧力の発信源は内閣府です。昨年九月十六日、最後の省庁ヒアリングでも獣医学部新設に否定的だった文科省、農水省が、十一月九日までになぜ態度を変えたのか。前川氏の証言、問題となっている文書が唯一の合理的な説明ではありませんか。ところが、山本大臣は、内閣府職員への調査は必要ないの一点張りです。総理の御意向などの圧力はないというのならば適正な協議の証拠を示すべきなのに、資料提出さえも拒否をする。これでは、山本大臣自ら疑惑に蓋をしているのと同じではありませんか。断じて認められません。
 第二に、山本大臣自らが、加計学園ありきで獣医学部新設の決定を強引に進め、そのことを事実で指摘されると、虚偽答弁までして自らの責任を認めようとしないことです。
 安倍総理は、五十二年ぶりの獣医学部新設を認めたもの、岩盤規制改革だと言いますが、この間の内閣委員会の審議で、総理の腹心の友が理事長を務める加計学園ありきで事が進められたことはもはや明らかです。
 今治市への情報開示請求によって出てきた資料は、今治市が国家戦略特区に認定される前から、市職員が内閣府、そして首相官邸をも訪問していたことを示しています。これ以降、内閣府との協議は十回を超え、平成三十年四月開学というスケジュールも内閣府に示していたこと等が明らかになっています。
 昨日の委員会質疑で、内閣府佐々木局長は、平成三十年四月というスケジュールを担当者レベルで共有していたことを認めました。また、最後の協議となった昨年十一月八日には、あろうことか、翌日の国家戦略特区諮問会議で配付する資料を今治市に渡していたことも明らかとなり、不適切であったと答弁するに至っています。この中には、広域的に獣医師系養成大学等が存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするための関係制度の改正を直ちに行うという、まさに獣医学部新設の方針決定案が含まれているのです。
 こうした事実を示しているにもかかわらず、山本大臣はルールに従って決定したと強弁する。これは、もはや事実を覆い隠す虚偽答弁だと言わなければなりません。
 国家戦略特区諮問会議の決定を受け、今年一月四日に獣医学部新設の事業者公募が行われましたが、山本大臣は、自身の判断で広島県・今治市特区に限定したと答弁しています。まさに今治市ありきです。
 なぜ、広島県・今治市特区に限定したのかとの私の質問に、大臣は、当時提案があったのは京都府と今治市だけ、京都府の提案と比べて、今治市の提案は早期実現性で熟度が高かったと繰り返しました。京都府と京都産業大学の提案と今治市の提案を比較すれば、学術研究の専門性も鳥インフルエンザ対策の実績も、明らかに京都府の提案が圧倒的に熟度が高いと言わなければなりません。
 さらに、山本大臣は、今治市が早期実現性で熟度が高い根拠として専任教員の確保を挙げましたが、今治市は、獣医学部開設の事業者については何一つ説明していません。教員の確保は事業者にしかできません。京都産業大学は十一人の獣医師を始め専門教員の確保をしているにもかかわらず、今治市の方が教員確保の面で早期実現性があるなどとなぜ判断できたのでしょうか。
 昨日の私の繰り返しの質問に山本大臣は答弁不能となり、とうとう藤原審議官が、市が事業者候補と議論し資料を作ったと答弁せざるを得ませんでした。山本大臣が提案者でもない加計学園の計画を採用し、京都産業大学を排除した、これ以外に説明のしようがありません。
 山本大臣、加計学園ありきで事を進めてきたといいかげんお認めになってはいかがですか。なぜ加計学園と言えないのか、それを認めたら安倍総理の進退が問われるからではありませんか。安倍総理をかばうために虚偽答弁もいとわない、このような大臣は日本の政治に百害あって一利なし、即刻辞任すべきです。
 第三に、山本幸三大臣が不見識な暴言を繰り返してきたことです。
 一番のガンは文化学芸員と言われる人たちだ、観光マインドが全くない、一掃しなければ駄目だ、四月十六日のこの発言は、事実誤認、そして学芸員の役割を全く理解しない重大なものでした。翌日撤回しましたが、その後も、真意が伝わらなかったとの言い訳と、より一層観光マインドを持っていただきたいとの無反省ぶりを露呈しています。
 文化財を保護し後世に伝えていくことがどれほど専門的かつ困難か、その仕事に当たる方々がどれほどの努力をしているか、専門的な知見から観光利用に待ったを掛ける学芸員も必要不可欠の存在です。それを認めない発言は不見識に不見識を重ねるものだと言わなければなりません。
 獣医学部新設をめぐっても、山本大臣は、長年にわたって獣医学部新設を認めなかったことによって日本の獣医学部の質は落ちているとの発言を繰り返しています。今月八日、日本獣医学会、国内で獣医学部を持つ全十六大学の関係者が連名で、根拠なき批判は教職員と獣医学生の努力を否定するもの、日本の獣医師、獣医学教育への信頼を低下させると抗議声明を発表しました。
 大臣が根拠に挙げたのは国際的な大学ランキングですが、獣医学にとどまらず、ほとんどの分野で日本の大学は著しく順位を落としているのが実態です。その最大の要因は、大学の基盤的経費を削減してきたことにあります。大学の危機を政府自らつくりながら、既存の獣医学部をおとしめる、このような暴言を断じて許すことはできません。
 以上の理由から、山本幸三大臣は即刻辞任すべきです。そして、加計学園問題は、安倍総理の進退こそ問われなければならない。安倍総理は国会質疑の場から逃げずに予算委員会等に即刻応ずるよう強く求め、問責決議案への賛成討論を終わります。(拍手)
#50
○議長(伊達忠一君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#51
○議長(伊達忠一君) これより本決議案の採決をいたします。
 足立信也君外四十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#52
○議長(伊達忠一君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#53
○議長(伊達忠一君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#54
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十八票  
  白色票           七十三票  
  青色票          百六十五票  
 よって、本決議案は否決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#55
○議長(伊達忠一君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十二分休憩
     ─────・─────
   午後六時二十一分開議
#56
○議長(伊達忠一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 真山勇一君外二名発議に係る法務大臣金田勝年君問責決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#57
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 よって、本決議案を議題といたします。
 牧野たかお君外一名から、賛成者を得て、
 本決議案の議事における発言時間は趣旨説明については十五分、討論その他については一人十分に制限することの動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 足立信也君外四十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#58
○議長(伊達忠一君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#59
○議長(伊達忠一君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#60
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十五票  
  白色票          百六十二票  
  青色票           七十三票  
 よって、本動議は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#61
○議長(伊達忠一君) これより発議者の趣旨説明を求めます。真山勇一君。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔真山勇一君登壇、拍手〕
#62
○真山勇一君 民進党・新緑風会の真山勇一です。
 今日起きている一連の議院運営のやり方に厳しく抗議と怒りを込めた上で、ただいま議題に上がりました法務大臣金田勝年君の問責決議案について、提出の趣旨を述べさせていただきます。
 まず、問責決議案を朗読いたします。
  本院は、法務大臣金田勝年君を問責する。
   右決議する。
 金田法務大臣の問責を求める理由を申し上げます。金田大臣が共謀罪法案をめぐる国会の質疑に今なお明確な説明をしていただけないから、これに尽きます。
 私たち民進党は、共謀罪法案の徹底した審議を求め続けてきました。法案に対する国民の理解が広がっていないというより、むしろ、いや、この法案は怪しいという正しい理解が深まっていると言えるのではないでしょうか。更なる熟議を求める声が今なお大半を占めているのが現状です。だからこそ、私たちは、昨日の法務委員会の開催に当たっては、採決をしないと確約するよう求めました。しかし、政府・与党は、採決をするともしないとも約束しませんでした。そして、法務大臣は相変わらずつじつまの合わない迷走答弁でのらりくらりと審議時間を浪費するばかりで、審議の中身はちっとも深まりませんでした。
 そうした中で、同じ時刻に開かれていた内閣委員会で採決の動議が出される動きがあったのです。徹底審議を求める国民の声に応えることなく、理事会での合意なしで採決を強行しようとした政府・自民党のこうしたやり方を受けて、私たちは、苦渋の決断として法務大臣に対して問責決議案を提出しました。これ以上、金田大臣の下で法案の審議をすることは不可能です。そして、金田大臣の下で共謀罪法案の採決をするなど、到底容認できません。
 もはや、問責の理由は明らかと思います。
 衆議院から始まり、与党席からも失笑ややじが飛ぶような迷走答弁を続ける大臣などほとんど前代未聞、いや、その見事さにかえって感心さえしてしまいます。答弁については基本的に林刑事局長に丸投げ。たまに大臣が手を挙げて答弁するかと思うと、聞かれたことには答えず、関係ない内容を繰り返す。またあるときは、後ろに座る官僚の方を振り返り、耳打ちされた言葉をそのままオウム返しで繰り返すだけ、それも全部マイクが拾っているのです。こうした不思議な質疑の様子がテレビで繰り返し放映され、国民の怒りと失笑を買っています。情けない質疑を許している国会の権威は大いに失墜したと言わざるを得ません。良識の府である参議院は、断固、金田大臣を問責すべきなのは当然ではないでしょうか。
 与党の皆さん、冷静に考えてみてください。もう国会も最終盤なのに、金田大臣は共謀罪について何度聞かれてもごく基本的なことすら明確に答えていません。TOC条約はテロとは無関係という国際合意があるのに、なぜテロ等準備罪という名の法律が条約締結のために必要なのでしょうか。この法案ではテロは防げないと与党議員の方ですら認めているばかりでなく、近年世界各国で起きているローンウルフ型のテロにはこの法案は無力であることを林刑事局長も認めているではありませんか。それでもなぜ強引に法案を成立させようとするのでしょうか。
 そもそも、テロ対策のためと言いながら、この法案にはテロに直接的に関連する条文がほとんどなく、テロの定義すらないのはなぜなのか。我が国は、暴力団対策法などに参加罪が設けられており、また、重大な犯罪の多くに予備罪があり、共謀共同正犯の考え方も確立されているのに、それでもTOC条約に入れないと政府が言う理由は何なのか。現行の法体系を国連側に示した上で、それでも条約を締結できないことをいつどうやって確認したのか。そして、実行行為がないと処罰されないというこれまで守られてきた刑事法の大原則が、こうした不明確な理由でいとも簡単に大転換されてしまうのはなぜか。さらには、従来の刑事法の基本原則が強引に改変されることで実際の捜査、逮捕、裁判、弁護などの実務が大混乱するという指摘があるのに、本当に組織犯罪を防ぐことができるのか。疑問点は後から後からと山のように出てきています。
 国会審議での金田大臣の役割は、こうしたことに一つ一つ丁寧に国民の皆さんに理解してもらえるようきちんと説明することだったはずです。法案について大事なことを一切説明しない大臣を私たちはどうやって信任することができるのでしょうか。与党の皆さんが野党だったときも、時の政権に対して問責決議案を連発されていたようですが、過去、これほど国会を軽視し、最初から説明責任を放棄した大臣がいたでしょうか。
 今、日本各地で国会音読という運動が広がっているのを御存じでしょうか。一般の人たちが衆議院、参議院法務委員会の議事録を取り寄せて、それぞれ役割を分担して発言内容を音読する、言わば国会劇場の上演会が行われているんです。参加した人たちは、金田大臣の答弁の意味不明さ加減に笑い、あきれ、怒る一方で、その意味するところの恐ろしさを感じ、戦慄していると聞いています。与党の皆さん、是非、法務委員会の議事録を音読してみていただきたいと思います。
 参議院での審議時間はまだ十七時間五十分、まだたった十七時間五十分ですが、私としては共謀罪法案について重要なことが一つ明らかになったと考えています。それは、この法案によって全ての国民が監視され、捜査の対象になり得るということです。この事実は限りなく重いことです。
 つまるところ、一般の人かどうかは捜査当局がその都度決めるのであり、一般の人について法文上は定まった定義などはありません。政府は、嫌疑を受けない人が一般の人に当たると答弁してきました。それは、全国民が監視あるいは捜査の対象になるということとほとんど同じ意味になりませんか。
 また、組織的犯罪集団の定義は今なお曖昧なままですが、林刑事局長は、特定の団体に所属していなくても、周辺の人とみなされれば捜査の対象になると明言しました。そして、その周辺の人かどうかを判断するのは捜査当局なんです。任意捜査は誰に対してでもできます。令状を請求するから歯止めはあるといったところで、現状では却下される令状請求は僅か一%ほどしかなく、裁判所はチェック機能の役割を果たせていません。
 私とて、警察や検察は公正中立で不偏不党であると信じたいところです。しかし、現時点でたくさんの冤罪事件が存在しており、冤罪を根絶するための検察改革はまだまだ道半ばというのに、更に捜査当局に都合の良い法律を作るのは一体どういう理由でしょうか。今や、訴訟手続の中に匿名証人制度があり、司法取引もあります。また、特定秘密保護法で情報を隠匿、廃棄することも可能です。これに加えて共謀罪法案が成立してしまったら、権力の側にある者は全国民を好きなだけ徹底的に監視することが可能な社会になります。そして、自らにとって都合の悪い人間を好きなように罪に陥れ、社会的生命を葬り去ることもできます。
 私は、この法案の代表質問で、安倍内閣の皆さんは育ちも心根も良いから、この法律を悪いようには使わないと信じているということを申し上げましたが、今これを訂正したいと思います。
 文部科学省の前事務次官前川喜平氏が義憤に駆られて政権を糾弾するや、官邸は前川氏の真偽不明の個人的な醜聞をリークして、その社会的生命を葬り去ろうとしたと言われています。ほら、見てください。安倍政権は、自分に都合の悪い人間は常時監視し、社会的生命を絶とうとするのです。一方、政権にべったりとされるある記者については、安倍政権が彼の犯罪行為をもみ消そうとしたという報道もあります。私はこの報道の真偽が分かりませんし、個別具体の事件ですから、ここではこれ以上言及は差し控えます。
 しかし、政府は是非、分かりやすく国民に説明をし、国民の不安を取り除くべきです。安倍政権は、国民を常時監視したいのではないか。法律を恣意的に運用して、政権にとって都合が悪い人物や団体を弾圧したいのではないか。今、私たちの周りで起きていることを見ると、そう思われてなりません。国民の不安をあおっているのは、私たち野党の議員が国会で延々と議論をするからではなく、こうした安倍政権の実際の言動や振る舞いのためなのだと思います。
 先日の参議院本会議において、この場所です、金田法務大臣は見過ごすことのできない答弁をしました。隠れみのという発言です。環境問題や人権問題など正当な目的を標榜する団体であっても、それが隠れみのにすぎない場合があり、それらを暴くためにこの法案が必要であるとこの場ではっきりと明言したのをここにいる皆さん全員がお聞きになったはずです。
 金田大臣、ある団体が隠れみのかどうかは捜査をしなければ分かりませんよね。ということは、正当な目的の一般の団体であっても、当局はいつでも監視をし、捜査できるということではありませんか。特定の団体の構成員であってもなくても、共謀罪法案は処罰が可能ということになりますね。政権にとって都合の悪いことを言う団体や人物をいつでも監視し、捜査し、逮捕することがこの法案で可能になりますね。そして、これこそがこの共謀罪法案の本当の目的ではないかと疑われているのです。
 このように考えてくると、一つ納得できることがあります。金田大臣御自身が実はその隠れみのではないかということです。国民を監視し、都合の悪い団体や個人を弾圧し、葬り去りたいという安倍政権の本音を隠すために、大臣が隠れみのとなって、意味不明な答弁を延々と続けて時間を潰しているのではないかとさえ思えてくるのです。
 私の感じていることをあえてここで言わせていただければ、私は、金田大臣が無能であるとも、法案について理解していないとも思いません。金田大臣、あなたは大変に優秀な方ではないかと思います。東大の入試が中止になった年に一橋大学に進学し、その後、大蔵省で主計官まで務められたのですから、大臣の頭脳の優秀さは折り紙付きです。そんな切れ者だったからこそ、竹下元首相に見出され、政界に転身されたと伺っています。
 大臣がこの法案の本当の目的を隠すために隠れみのの役割をあえて演じているなら、金田大臣の罪は大きく、国会をないがしろにし、国民を欺き、民主主義を破壊する行為です。参議院として断固問責すべきでしょう。もし、私のこの推測が当たっておらず、誠心誠意の回答をしてもなお今のような答弁を繰り返すのであれば、金田大臣は資質に欠けると言うほかはありません。これもまた、当然ながら問責に値します。これが、私たちが今回、金田法務大臣の問責決議案を提出した理由なのです。
 最後に、安倍政権の皆さんに申し上げます。
 参議院の法務委員会に出席した新倉参考人は、この法案を違憲無効の欠陥法案と言い切りました。また、松宮参考人は、戦後最悪の治安立法とまで断言しました。共謀罪法案は、法文上、罪のない人に疑いを掛け、内心の自由を制限できる法律です。安倍政権はこの法律が濫用されることはないと言っていますが、何を根拠にその言葉を信じろというのでしょうか。
 安倍政権がやってきた政治の本質は、お友達の優遇と反対者への攻撃です。安倍総理に近ければ近いほど、法律や規則が都合よく恣意的に運用されて、たっぷりと甘い汁が吸えます。森友学園や加計学園の問題で国民の怒りが覚えたのはそこではないでしょうか。李下に冠を正さずと言いますが、権力者として最も戒めるべき国政の私物化をやったと疑われているのです。安倍政権にとって不都合なことを言う人はヒステリックに攻撃され、批判にさらされます。そして、ついには、国連人権理事会の理事国として自ら任命した特別報告者であるにもかかわらず、その報告者から投げかけられた疑問について、一切何も誠実な回答をしないまま、ただただ感情的な抗議だけをたたきつけました。
#63
○議長(伊達忠一君) 真山君、時間が超過しております。簡単に願います。
#64
○真山勇一君(続) 昨日の委員会で外務副大臣が答弁しましたが、今なお回答を準備していないばかりか、カンナタチ氏が求める法案の英文訳についての作成作業にすら着手していないことが分かりました。一国の総理として、国家を代表する内閣として、余りに品格と常識に欠ける振る舞いではないでしょうか。
#65
○議長(伊達忠一君) 真山君、簡単に願います。
#66
○真山勇一君(続) こうした政権の横暴な振る舞いに厳重な抗議を申し上げ、金田法務大臣への問責決議案の趣旨説明を終わらせていただきます。
 今日のこれから起きる出来事は、しっかりと歴史に残ります。残したいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
    ─────────────
#67
○議長(伊達忠一君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。佐々木さやか君。
   〔佐々木さやか君登壇、拍手〕
#68
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
 私は、自民・公明を代表し、ただいま議題となりました金田勝年法務大臣に対する問責決議案に対しまして、断固反対の立場から討論を行います。
 金田法務大臣は、昨年八月に大臣に就任して以来、大臣として法務行政に係る職責を果たしてこられ、国会においても提出法案の審議において誠実かつ真摯な答弁を行うなど、国民のために尽くしてこられました。組織犯罪処罰法改正案においても、金田大臣は、毎回の委員会に各委員に対して最大の敬意を示しながら誠実に取り組まれ、丁寧な説明を行うなど、今日まで強い責任感と使命感を持って職務を遂行されてきています。
 法務委員会が政府参考人として刑事局長の出席を求めることとしたのは、組織犯罪処罰法改正案が国民の関心事であり、丁寧かつ分かりやすく審議を進めることが重要であって、細目的、技術的事項についても、刑事罰則の理論や捜査、公判の実務などに精通した政府参考人から詳細な答弁をする必要が極めて高いと判断されたことによるものであって、法務大臣の問責理由とは全く関係はありません。
 私は、改めて、金田法務大臣の国会答弁などで明らかになった組織犯罪処罰法改正案の意義、必要性について申し上げたいと思います。
 ここ数年、イギリスを始め、フランスやドイツ、ベルギーなど、ヨーロッパ各地でテロ事件が相次いでいます。テロを含む国際的な組織犯罪を未然に防止する、そのためにも国際組織犯罪防止条約の締結は不可欠です。条約が締結できれば、締結国の間において捜査共助や逃亡犯罪人引渡しが円滑、迅速にできるようになり、国際組織犯罪の捜査に大いに資することが期待されます。
 我が国では、二〇〇三年、社民党を除く各党の賛成で条約締結についての国会承認がされました。締結国は既に百八十七か国・地域となりましたが、日本は今日まで未締結。国連加盟国のうち未締結国は、南スーダン、ソマリア、コンゴ、イランなど、日本を含む僅か十一か国。世界各地でテロ組織が勢いを増し、各地で過激なテロが頻発する中、このままでは我が国が国際的なテロ対策の抜け穴となってしまいかねません。二〇一九年ラグビーワールドカップ、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを迎えるに当たって、国民の命、安全を守ることは、開催国としての責務であります。
 今回の組織犯罪処罰法改正案は、TOC条約締結に必要な国内法整備であります。ところが、一部野党は、現行法のままで条約締結ができるなどと主張しています。しかし、TOC条約は、重大な犯罪を行うことの合意又は組織的な犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方を犯罪化することを義務付けています。金田法務大臣も、共謀罪、陰謀罪が設けられているのはごく一部の犯罪にすぎない、予備罪は予備行為の処罰であって、合意を処罰するものではない、個別に予備罪を設けても条約上の義務を担保することにはならないと何度も答弁をされているとおりです。これまでの国会審議において明らかにされた国連薬物犯罪事務所の口上書からも、重大な犯罪の合意罪、すなわちテロ等準備罪の創設が不可欠であることが確認されています。
 そして、法案は、テロ等準備罪について厳格かつ明確な要件を定めており、国民の自由、人権を不当に侵害するようなものではありません。
 テロ等準備罪は、犯罪の計画を合意しただけでは処罰を認めていません。その計画が組織的犯罪集団の関係者によって行われ、さらに、凶器購入のための資金調達や逃走経路の下見などの実行準備行為がないと処罰はできません。そもそも、このテロ等準備罪が対象にするのはテロ集団や暴力団などであり、一般市民の生活を監視するものでは一切ありません。
 法案審議の中で、一般の方々が捜査の対象になるのではないかとの議論がありました。しかし、捜査は、任意捜査、強制捜査を問わず、犯罪の嫌疑が生じて初めて行われるものです。本法案では、犯罪主体について組織的犯罪集団に限定されている以上、これと関わりのない一般の方々に犯罪の嫌疑が発生する余地はなく、捜査の対象になることは考えられません。加えて、LINEやメールなどの通信が本罪の嫌疑を理由に傍受されることもなく、テロ等準備罪の新設は、現在の捜査の在り方に何ら影響を与えるものでもありません。
 さらには、最近、国連人権理事会の特別報告者が公にした公開書簡についても、一部野党は、あたかも国際社会や国連機関そのものが法案に懸念を示しているかのような誤解を与え、国民の不安をあおっています。
 そもそも、この書簡は特別報告者が個人の見解を述べたものであって、国連事務総長も国連とは別の個人の資格で活動していると説明しており、報告者の主張は国連の総意を反映する性質のものではありません。また、特別報告者がマスコミに出している内容のほとんどは日本政府に対しては何ら説明等もなく、一部野党は、都合よく国連の名前を利用し、レッテル貼りをしているように思えてなりません。
 今回の組織犯罪処罰法改正案は、テロ等の組織犯罪による重大な被害が発生する前にこれを未然に防止し、国民の安全と安心を確保するために極めて重要なものであります。この法案を共謀罪と呼び、現代の治安維持法、一億総監視社会などと偏った認識を基にした発言や事実に基づかないプロパガンダで国民を欺くことが断じて許されるわけがありません。
 以上のことから、真摯に職務に当たってきた金田法務大臣に対し今回提出された問責決議案には全く理由がないことが明らかであり、このような決議案は速やかに否決していただくことを求めまして、私の討論を終わります。(拍手)
#69
○議長(伊達忠一君) 福山哲郎君。
   〔福山哲郎君登壇、拍手〕
#70
○福山哲郎君 民進党・新緑風会の福山哲郎です。
 会派を代表して、ただいま議題となりました金田勝年法務大臣を問責する決議案に賛成の討論をさせていただきます。
 まず、与党の諸君に申し上げます。国会の議論は時間を制限する、文書は捨てる、出さない、数々の虚偽答弁。挙げ句の果ては、法務委員会を開会せず、僅か十七時間五十分で審議を打ち切り、この本会議で強行採決をしようというのでしょうか。国民の皆さん、中間報告などというきれいな言葉でごまかされないでください。中間報告とは、数の力による審議打切りの強行採決です。与党の究極の審議拒否です。
 私も二十年間参議院に籍を置きますが、こんなことは初めてです。前代未聞であり、考えられない暴挙です。安倍政権による議会制民主主義の否定そのものです。断固として許すことはできません。我が国の民主主義の歴史に禍根を残す一日となりました。政府・与党に恥を知れと強く申し上げたいと思います。
 まず、先週の金曜日、文科大臣が加計学園に関する省内の文書の再調査を言い出しました。確認できない、再調査の必要なしと強弁していたものが一変しました。週末、土日の前の時間稼ぎにほかなりません。最初の調査は僅か一日で確認できなかったと発表しました。今回の再調査は、当該文書は存在するに決まっているわけですから、例の同姓同名の文科省の官僚諸君にヒアリングし、メールを確認すれば、文書の存否と真偽なら半日もあれば十分と思われます。
 ところが、既に四日が経過しました。案の定、文科省は、速やかに調査結果を出したいの一点張り。昨日も今日も、いつ出すのか分からないような状態が続いています。挙げ句の果てには、昨日、自民党の竹下国会対策委員長が、会期後でもいいと思っていると、信じられないような発言をされています。なぜこんなに時間が掛かっているのでしょうか。たとえ数の力があろうとも、こんなことが通用するはずがありません。
 結局、今回の再調査の発表は、国民の声に応えたのではなく、逆に、国会会期末を迎え、時間稼ぎをし、国民を欺く極めて不誠実なやり方と言わざるを得ません。今すぐ存否と真偽を明らかにするべきです。他人事のように、調査の必要はないなどと述べている内閣府にも強く抗議します。
 政府・与党は、よもや、このまま再調査の結果も出さず、予算委員会の開会も前川文科省前次官の証人喚問も実現しないまま、国会を閉じるようなことはないと信じたいところですが、そんなことは断じて認められないということを申し上げます。
 前川前次官の証言によれば、和泉総理補佐官に呼ばれて、補佐官の口から、これは総理が自分の口から言えないから、私が代わって言うんだということです。まさに、そんたくそのものではありませんか。安倍総理に加え、前川前次官、そして和泉総理補佐官を参考人としてお呼びして、予算委員会の集中審議を強く求めます。
 四月以来求め続けているのに、一向に予算委員会は開かれず、逃げ回るばかりです。審議拒否をやり続けているのは安倍内閣そのものと断じざるを得ません。身の潔白を証明したいのなら、堂々と予算委員会に出てきて国民の前で説明するべきです。誰からも突っ込まれないラジオや新聞に出て、好きなことを言うのはやめていただきたい。
 よく考えてみてください。森友学園に事務官を連れて何度も訪れ、籠池夫妻と何度も連絡を取り合い、お手伝いしたいと講演会で話していたのは、安倍総理の夫人である昭恵さんです。総理の意向と官僚に言わせ、究極のそんたくを重ねたのは、安倍総理の腹心の友、加計学園の理事長の獣医学部の設置のためでした。行政がゆがめられてはいけないと、勇気を持って文書の存在を認め、総理の意向があったと証言した前川前事務次官、この人を事務次官に任命したのも安倍総理自身です。
 今国会の混乱は全て安倍総理が関わっています。何を強弁しようが、国民はもう分かっています。行政をゆがめ、私物化した安倍総理には、どうぞ潔くお辞めくださいとお伝えしたいと思います。
 続きまして、金田法務大臣の問責について申し上げます。
 この場で金田大臣の問責決議案に賛成討論をすることを大変残念に思います。大臣が参議院議員でいらしたとき、共通の知人が京都にいることもあり、その知人宅で食事を共にしたこともありました。気さくに声を掛けていただいたことを覚えています。
 大蔵省出身のあなたが、御病気のことがあったとはいえ、官僚である刑事局長に答弁を委ねなければならないことに内心じくじたる思いもあったのではないでしょうか。しかしながら、そのことが、過去三回国会で廃案に追い込まれ、明治以来の我が国の刑法体系を揺るがし、国民の内心の自由を侵しかねない共謀罪の所管大臣としてのあなたの責任を免れることには残念ながらなりません。
 今年の通常国会冒頭、一月三十日の本院予算委員会の審議において、既にあなたの答弁能力には大きな疑問符が付きました。法務省が示した事例について、あなたは自ら、裁判例を見ますと、と答弁されたにもかかわらず、私の具体的な判例はという問いに対して、判例としてどれを指すかと言われますと、私の方からただいま申し上げることはできませんがと言われました。それがすぐに、直接の判例はありませんに変わり、最後は、判例的な考え方を申し上げていると、同じ委員会中に三度も答弁が変わりました。以後、成案ができるまで検討中と答弁を避けることが目立つようになりました。
 その頃、政府は、今回の共謀罪は以前の共謀罪とは全く別物であること、新しい共謀罪は一般の方々は対象にならないこと、テロ等準備罪という呼称を使い始めるなど、国民をごまかすための印象操作を展開し始めていました。しかしながら、以前の共謀罪と別物とはどういうことであるのか、さらに、一般人が対象にならないことの法的根拠を幾ら質問しても、金田大臣からは十分な答弁が得られなかったことは言うまでもありません。残念ながら、国会終盤の今に至るまで同じやり取りが続いています。
 こうしたさなか、二月六日、大臣の指示で、メディアに向けて驚くべき文書が配付されました。その文書には、刑事局長や外務大臣と議論するべき、予算委員会ではなく法案提出後に法務委員会で議論をしてほしいと記されていました。行政府の一員である法務大臣が立法府における審議の在り方について注文を付ける、そしてそれをメディアに配付する、その異様な感覚に、立法府への言論弾圧、マスコミ操作と抗議の声が上がりました。
 法務官僚の諸君は、こんな文書を出せば大騒ぎになると分かっていたはずです。にもかかわらず、なぜ止めなかったのでしょうか。法務官僚の諸君も、その時点でもう金田大臣にお引き取りいただきたかったと考えていたと推察せざるを得ません。
 さらには二月八日、ただいまの御意見に対しましては、私の頭脳というんでしょうか、ちょっと対応できなくて申し訳ありません、是非事前に御通告をいただくと有り難い、立派な答弁を直ちにできるかなというトライをしてみたいなどという大臣の意味不明の珍答弁が次々と飛び出し、辞任論が噴き上がりました。私はこの時点で大臣は辞任すべきだったと考えています。
 金田大臣を法務大臣にとどめさせた安倍総理の責任も極めて重いと思います。予算委員会で安倍総理がわざわざ金田大臣の席に歩み寄り答弁のアドバイスをしたり、記憶に新しい、答弁しようと挙手をしている金田大臣を安倍総理が慌てて押さえる様子や、部下である副大臣が大臣に答弁をさせなかった映像が何度も何度も繰り返し国民に示されていました。このことは、まさに安倍総理自身が金田大臣の答弁能力のなさを証明していることにほかなりません。そして、金田大臣をさらしものにし続けたのも安倍総理です。
 また、衆参両法務委員会で、委員からの要求もない中で政府参考人である刑事局長の出席を包括議決として強行採決したことは甚だ遺憾であり、与党に猛省を促したいと考えます。しかし、このことも、政府・与党一体となって金田法務大臣の答弁能力と資質に問題があることを認めている証左と言えるでしょう。実は、我々よりも早く金田大臣に不信任を突き付けたのは、皮肉なことに安倍総理と与党なのではないでしょうか。
 法案の内容にも触れておきたいと思います。
#71
○議長(伊達忠一君) 福山君、時間が超過しております。簡単に願います。
#72
○福山哲郎君(続) 私は法律家ではありませんが、我が国で長年にわたり培われてきた近代刑法の理念と体系が崩れてしまうのではないかという懸念を強く持っています。
 そのうちの一つは、明確性の原則です。刑罰法規は、どのような犯罪に対して誰がどの程度の刑罰が科せられるかが一般国民にとっても予測可能な程度に明確でなければならないということです。
 第二が、犯罪と刑罰の均衡が取れなければならない適正処罰の原則。
#73
○議長(伊達忠一君) 福山君、時間が来ております。簡単にお願いいたします。
#74
○福山哲郎君(続) 第三が、刑法の介入が許されるのは、他者の意思に反してその法益を侵害し、あるいは侵害の危険が発生して初めて処罰されるというものです。すなわち、既遂が原則です。
 一方で、重要な犯罪については未遂を例外的に処罰することができ、その理由は、実際に被害が発生する前に時間的に遡って国家権力の介入を認め、それはもちろん生命などの利益を守るためです。さらに、殺人や強盗など極めて重大な犯罪についてのみ、その実行の着手前に予備行為を例外中の例外として処罰しています。
#75
○議長(伊達忠一君) 福山君、簡単に願います。
#76
○福山哲郎君(続) 時間的に予備行為の更に以前に遡る共謀は、我が国の刑法の下で二百七十七もの犯罪に適用して処罰の対象にすべきではありません。
 こういった原則が極めて曖昧になり、金田大臣の答弁により混乱を来しています。警察の運用現場がより恣意的になることも否定できません。
 また、本法案の一条の目的にはTOC条約を実施するためという文言が付け加えられていますが、テロ対策という文言の追加はありません。
#77
○議長(伊達忠一君) 福山君、簡単に願います。
#78
○福山哲郎君(続) そもそも、TOC条約は、マフィアや暴力団によるマネーロンダリングや人身売買などの犯罪を取り締まることを目的とする条約です。物質的利益を得ることを間接的に目的とするという意味で、百歩譲ってテロリスト集団がTOC条約で全く対象にならないわけではないとしても、その主たる目的が組織犯罪対策でありテロ対策でないことは、TOC条約の審議経過からも明らかです。当該条約の国連立法ガイドを編さんしたパッサス氏は、TOC条約はテロ防止を目的としたものかという質問に、明確に違うと答えています。
#79
○議長(伊達忠一君) 福山君、時間が来ております。簡単に願います。
#80
○福山哲郎君(続) 我が国は、国連の十三のテロ防止関連条約を既に批准し、必要な国内法の整備を終えており、テロ対策はされています。さらに、四十五の予備罪、準備罪があり、予備罪についても共謀共同正犯が認められており、銃刀の所持が処罰されるなど、実質的に見て、未遂よりも前の段階で組織的犯罪集団の重大な犯罪を取り締まる法律は存在しており、二百七十七もの罪について計画罪を新設しなければTOC条約を締結できないことはありません。具体的な立法事実を踏まえて一つずつ個別立法で対応すれば足りると考えられます。
#81
○議長(伊達忠一君) 福山君、時間が過ぎております。簡単に願います。
#82
○福山哲郎君(続) 次に、到底看過できない答弁のぶれを指摘したいと思います。(発言する者あり)ここは重要だから聞いてください。
 五月八日の衆議院予算委員会で金田大臣は、テロ等準備罪は犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定しましたと答弁しました。しかし、六月一日の法務委員会では、組織的犯罪集団の構成員ではないが組織的犯罪集団と関わりがある周辺者につきましてはテロ等準備罪で処罰されることもあり得るとして、犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定しないという全く異なる答弁をされたのです。関わりがある周辺者では、対象が全く明確ではありません。
 次が大事です。(発言する者あり)ちょっと聞いてください。
 五月八日、安倍総理がテロ等準備罪は犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定していると述べていることに対して、六月一日、刑事局長は、テロ等準備罪の主体に制限はございませんと、百八十度違った答弁をしています。このことを問うたところ、それに対する金田大臣の答えは、全体として同じことを言っているでした。どこが同じことなのでしょうか。さっぱり分かりません。こんな答弁で法案の運用ができるのでしょうか。
 一般の人も対象になるのではないかという法案審議当初から懸念されていた問題について、このように、総理、大臣、局長の答弁が大きくぶれてきています。どこまで対象が広がるのか、不安は拡大するばかりです。
 次も大事です。
 さらに、国連のプライバシー権に関する特別報告者であるカナタッチ氏からの公開書簡に対して、安倍政権の対応は常軌を逸しています。書簡に対して、内容は明らかに不適切なもの、強く抗議を行った、何か背景があって出されるのではないかと口を極めて批判し、個人の資格で活動をしていると主張しました。国連人権理事会の理事国としての日本の信頼にも関わる問題だと思います。国際ペン会長からの反対声明、フランスのル・モンド紙も批判記事を出しています。国連特別報告者を意図的に個人的なものにしたいようですが、とんでもありません。
 次も大事です。
 今年の春の叙勲において、日本は国連特別報告者経験者お二人が何と叙勲の栄に浴しています。そのうちの一人は日本人で、何と当該法務省の顧問までされています。政府のカナタッチ氏の扱いが的外れであることは自明です。御都合主義もいいかげんにしてください。
 カナタッチ氏は、日本政府の抗議を受けて、法案の公式英語訳を求めるとともに、自分の書簡内容が不正確な場合には公開の場で撤回するということまで言ってきています。ところが、三週間以上経過をしているにもかかわらず、外務省の答弁は、英語訳は作っておらず、追って説明するを繰り返すばかりで、時期を明らかにしません。
 まずは英語訳を送り、国連代表部からカナタッチ氏に説明させることが日本政府のやるべきことなのではないでしょうか。なぜ、そんな当たり前のことができないのですか。英語訳を送れば、カナタッチ氏の指摘が正しいことが明らかになってしまう。だから、英訳も送らないし……
#83
○議長(伊達忠一君) 福山君、時間が過ぎております。簡単にお願いいたします。
#84
○福山哲郎君(続) 説明もしないというのが本音なのではないでしょうか。自信のない、できの悪い法案を、審議を打ち切って強行に採決するなんてあり得ません。
 金田大臣は何度も立法事実は条約だと言われています。国連の条約を批准するために審議中の法案が、その国連からプライバシーの侵害の懸念があるから拙速に成立させないでくれと言われている。一体何なんですか、これは。
 所管大臣の金田大臣の答弁を求めても、外務副大臣の答弁が政府の見解であると繰り返すばかり。自らの判断を放棄しています。本来なら、外務省を説得してでも英語訳を送って誤解を解くのがあなたの役割なのではないでしょうか。
#85
○議長(伊達忠一君) 福山君、時間が相当過ぎております。まとめてください。
#86
○福山哲郎君(続) この法案は、論点が散らばり、いまだに議論が不十分な条文や内容が山積しています。採決など考えられる状況ではありません。
 分かりました。もうすぐやめます。もうすぐやめます。議長の御指導に従って、少し省いて、もうすぐやめます。
 例えば、これまでならハイジャックはチケット購入時点で予備罪で処罰できたのに、今回無理やり予備罪で処罰できない場合をつくってしまったので穴が空いてしまっています。自民党が主張している、水道水に毒物を混入する計画をして毒物を準備した場合であってもこの時点で処罰できないという事例は、果たして立法事実たり得るのでしょうか。この事例は、本来は殺人予備で十分処罰可能であり、国民をいたずらに不安に陥れるのはやめてください。毒物を準備して処罰できないような日本の刑法ではありません。
 また、計画を実施するための実行準備行為は構成要件なのか処罰条件なのか、参考人質疑で専門家と金田大臣の答弁は真っ向から異なっています。これもどちらかはっきりさせなければいけません。(発言する者あり)あともう一枚です。
 警察は、刑事訴訟法に定められている捜査以外に、調査、検討という令状によらない個人の情報を集めています。今回、計画実行準備行為が処罰対象になるということは、犯罪よりもかなり手前の時点で……
#87
○議長(伊達忠一君) 福山君、時間が相当過ぎております。
#88
○福山哲郎君(続) 尾行や口座の確認やレンタカーの使用状況などの情報を警察が入手する可能性は否定できません。(発言する者あり)次、大事なので聞いてください。もうやめますから。
 共謀罪は、プライバシー権の侵害が萎縮をもたらすものです。包括的な共謀の処罰は、包括的なプライバシー情報の収集、管理なくして実現しません。計画段階で嫌疑を掛けるには、嫌疑の嫌疑を掛けるために、調査、検討と称して国家の目と耳を広範に社会の中に溶け込ませる必要が出てまいります。プライバシーという権利は、実際に監視しているか否か以前の問題として、監視されているかもしれないという感覚を持たせることで人々が萎縮し、我々の自由が侵害されるのです。
 その対象犯罪が二百七十七もの犯罪に広がっていることに、国民の監視社会への不安も広がっています。なぜ与党の諸君は、民主主義の基盤である法的安定性と法秩序を壊すことにこんなに鈍感で謙虚さがないのでしょうか。立法府の一員として、矜持は一体どこに行ってしまったのでしょうか。
 まだまだ議論が必要であることは言うまでもありません。数の力があるということと正義は同義ではありません。
#89
○議長(伊達忠一君) 福山君、時間が相当過ぎておりますので、まとめてください。
#90
○福山哲郎君(続) 金田大臣の問責決議案に対して議員各位に御賛同いただき、新たな大臣の下で共謀罪法案を一旦廃案にしていただくことが最良の道であることを申し上げ、冒頭申し上げました中間報告、つまり審議打切り、強行採決をこの本会議で絶対にやってはいけません。議会の自殺行為です。今からでも間に合います。与党の諸君に自制を求めて、私の討論を終わります。(拍手)
#91
○議長(伊達忠一君) 東徹君。
   〔東徹君登壇、拍手〕
#92
○東徹君 日本維新の会の東徹です。
 会派を代表して、法務大臣金田勝年君問責決議案について、反対の立場から討論を行います。
 まず最初に、民進党に申し上げます。議会のルールぐらい守れ。ルール無視は許されません。議長の発言をしっかり聞くべきです。議会人として当然のことでしょう。
 先週の本会議において法務委員長の解任決議案が審議された際、私は、大臣の問責決議案が出された場合には、同じ討論になるので、もう時間が無駄ですから、次回は討論しないと申し上げました。しかしながら、昨日の法務委員会の出来事は余りにも理不尽で、余りにもひどい仕打ちに我慢に我慢を重ねましたが、どうしても討論せざるを得ません。
 民進党の筆頭理事は、昨日の委員会が開催される条件として、採決はしないということを自民党に求めてきましたが、そのことを私も賛同いたしておりました。参考人質疑が行われた日の採決は、余りにも非常識としか言いようがないからです。
 また、民進党の筆頭理事は、充実した審議をすべきということを何度も何度も繰り返し主張しておりました。政府の説明が不十分であるという国民の声が多くある中、それは当然だと私も思いました。なのに、なのにですよ、まさか、民進党と共産党が質疑を行って、さあこれから私の番が回ってきて質疑を始めた途端に、法務大臣の問責決議案を出して審議を止めてしまうなんて、あり得ないことが起こりました。
 民進党は、充実した審議をすべきだと言っておいて、審議拒否をする。国民を欺くのもいいかげんにやめろと言いたい。自分たちは質問するだけして後の人たちの質問は止めてしまうやり方は、余りにも自分勝手で、人の質問権を奪う卑劣極まりない行為は、まるでテロのような不意打ちであり、これこそ処罰されるべきであります。口では立憲主義と言いながら、憲法で保障された国会議員の質問権を侵害することは断じて許すことができません。
 民進党は、結党宣言において、国民の信頼に支えられ、国民とともに進むと誓っておきながら、恒例行事のように、取りあえず大臣の問責決議案を出す、他の会派の質疑など知ったことない、こういう態度では国民の信頼を得ることなどできるはずがありません。国民は、二週続けての無駄な時間稼ぎに、単なるアピールに、ただただあきれるばかりであります。
 我々国会議員がすべきことは重要法案について真剣に議論することであり、そのことでしか国民の負託に応えられません。委員会審議を妨害する民進党のやり方は、国会議員の責任を放棄するものであることは明らかであります。民進党、共産党には猛省を促します。
 世界各地でテロによる被害が相次ぐ中、ISがイスラム教の断食月、ラマダン中のテロを呼びかける声明を出すなど、テロの脅威は高まっており、テロ等準備罪の審議は待ったなしです。
 我が会派は、これまでの質疑で、取調べの可視化や法案修正の意義、TOC条約締結の効果、組織的犯罪集団の意味など、様々な点について議論してきましたが、テロ等準備罪の必要性や国連特別報告者であるケナタッチ氏の公開書簡の問題、組織的犯罪集団の周辺者の範囲、海外の法制度との比較など、議論すべき論点はまだまだ残っています。
 法案に対してまともに審議することをせず、犯罪と全く関係ない一般人が巻き込まれるとか、一億総監視社会になるとか、国民の不安をいたずらにあおることはやめていただきたい。そのような行為によって、審議が深められるどころか、わざと法案を分かりにくくし国民を混乱させているのは民進党であり、その罪は非常に大きいと言わざるを得ません。
 一方、与党は、十六日に国会を終わらせるため、この後、テロ等準備罪を含む組織的犯罪処罰法改正案の審議について中間報告の動議を出し、審議を無理やり終わらせようとしています。参議院の審議時間は、衆議院の三十時間と比べれば十分とは言えません。与党のやろうとしていることは、民進党や共産党と同じじゃありませんか。国会議員の質問権を侵害し、国民に対する説明を放棄しようとするものです。議論すべき点が残っている以上、やるべきことは中間報告の動議を出すことではありません。国民の負託に応えるため、早々に法務委員会での審議を再開すべきことを与党に対し強く申し上げます。
 そして、大臣におかれましては、再開後の委員会で、自分で分かりやすくしっかりと答弁していただくことを申し上げ、法務大臣問責決議案の反対討論とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
#93
○議長(伊達忠一君) 山添拓君。
   〔山添拓君登壇、拍手〕
#94
○山添拓君 私は、日本共産党を代表して、金田勝年法務大臣に対する問責決議案に賛成の討論を行います。
 初めに、今日この後、憲法違反の共謀罪法案を、中間報告という名の審議打切り、強行採決を狙おうという与党の皆さんに満腔の怒りを持って抗議を申し上げます。
 なぜそれほどまでに焦るのか。それは、森友学園、加計学園、政治の私物化について安倍政権に向けられた国民の疑惑に蓋をし、その解明に背を向け、国民の批判をかわしながら、共謀罪法案のみは何が何でも通そうとするものにほかならないではありませんか。
 共謀罪法案についての法務委員会の審議は全く尽くされていません。二度目の参考人質疑を行ったのは昨日午前のことです。参考人の村井敏邦名誉教授が参考人質疑を儀式にしてほしくないと述べたのをお忘れになったのですか。徹底審議が引き続き必要であることは、公明党秋野委員長を始め、与野党の委員の皆さんが十分認識されているはずであります。この状況は、昨日、問責決議案の提出後から全く変わっていません。
 ところが、その現場の状況すら無視し、把握をすることなく、会期末を総合的に判断したなどといって、異例で、異常なやり方で強行採決を狙っています。その姿勢自体が、この法案は民主主義とは相入れない、よこしまな狙いに基づくものであることをはっきり示していると言うべきではないでしょうか。
 共謀罪法案で問われているのは、自由と権利に重大な制約を課す刑罰法規だということです。何をしたら罪に問われるのか分からない、明確性のない法律は絶対に許されません。ところが、法案は、審議すればするほど、いよいよ矛盾と疑問が深まるばかりです。そもそも、この法案が人々の内心の自由を脅かす憲法違反の悪法であるからにほかなりません。
 テロ対策のため、TOC条約締結のためだと言いますが、その立法事実は既に崩れ去っています。国連の立法ガイドを作成したニコス・パッサス教授は、条約の目的はテロ防止ではない、既存の法律で対応できれば新法は要らないと述べています。東京オリンピックを始めイベントの開催を脅かすようなテロなどの犯罪に対し、現在の法体系で対応できないものは見当たらないとの指摘をなぜ真摯に受け止めないのですか。
 昨日の参考人質疑では、法案に賛成する福田充教授も含め全ての参考人が、テロ対策にはテロを起こさない努力が必要であると述べ、見解が一致しました。戦争のない平和な社会をつくる、貧困をなくす、教育や就労の支援、日本政府が行うべき真のテロ対策はここにあります。共謀罪法案をしゃにむに強行することでは断じてありません。
 法案は、憲法違反であり、刑法の大原則を覆すものです。村井教授が参考人質疑で指摘されたとおり、刑法の基本原則は行為主義です。危険な行為、危険な結果があって初めて罪に問われます。戦前、日本やナチスが行為ではなく行為者の危険性を処罰したことがいかに人々の自由を侵害し恐怖に陥れたか、その反省に立ったものです。計画や実行準備行為で処罰することはこの行為主義と相入れない、それが歴史の到達であります。
 政府は、組織的犯罪集団、計画、実行準備行為、三つの構成要件で限定したと言います。しかし、村井教授や松宮孝明教授など専門家の指摘はいずれも、準備行為の規定ぶりからは処罰条件としか読めない、構成要件ではないというのです。計画だけで犯罪が成立するなら紛れもない共謀罪であります。また、政府は、準備行為は英米法に言うオーバートアクトとも違うと言い始め、結果、刑法学会で理事長を務めた村井教授が、よく分からないと突き放すほどに不透明な概念となっています。これを強行するなら、不明確な刑罰法規のために実務を混乱させるのは余りにも明らかです。
 大臣は、衆議院の審議で、共謀罪の主体は組織的犯罪集団に限定されると繰り返し、そのごまかしを指摘されるたびに答弁を二転三転させ、ついには与党が強行採決で審議を打ち切りました。参議院の二週間余りの審議で対象範囲はどんどん広がっています。環境保護団体や人権団体が隠れみのであれば対象になる、組織的犯罪集団の構成員だけでなく周辺者も含まれる、法案のどこにもない言葉が次々と登場しています。
 そもそも組織的犯罪集団とは何なのか。大臣はこれまで、テロ組織や暴力団を例に挙げ、いかにも強固な組織だけが対象であるかのように描いてきました。しかし、現実の裁判では、友人の集まりにすぎないと弁護人が主張するグループが振り込め詐欺組織だと認定されています。その境目はどこなのかと質問すると、継続的結合体、指揮命令関係や役割分担による組織性など、政府は長々説明するのですが、結局曖昧になるばかりです。
 刑法は、二人以上で犯罪を共同する共犯や幇助犯、唆しについて、話し合っただけ、共謀だけでは処罰しません。計画、共謀段階で処罰をされる組織的犯罪集団なのか、それとも共謀だけでは罪とはならない共犯なのか、その大事な境目があやふやであることは、刑罰法規にとって致命傷だと言うべきです。
 あやふやな境目で振り分けていくのは捜査機関です。社会保険庁の職員が休日にしんぶん赤旗号外を配布したことが国家公務員法違反に当たるとして逮捕、起訴された堀越事件は、最高裁で無罪が確定しました。この犯罪でも何でもない行為について、公安警察は徹底した捜査を行いました。二十九日間にわたり延べ百七十一名の捜査員が、少なくとも四台の車と六台のビデオカメラを使用して尾行し盗撮する。公安警察が犯罪の嫌疑ありとした被疑者だけではなく、接触した第三者まで追跡をしていました。捜査の必要からだと言うのですが、それは捜査機関がターゲットとした人物のみならず、関係する人物も含めて洗いざらい調べ上げることにほかなりません。プライバシー侵害は極めて深刻です。
 皆さん、これが令状なく行えるという任意捜査の実態であります。捜査機関が必要と判断すれば、犯罪の実行行為の前であってもここまで行ってはばからないのです。
 共謀罪の捜査となれば、計画、共謀の前から捜査を行うでしょう。客観的には危険な行為も結果も生じていない、予備罪すら成立しない段階で、起訴して有罪にできる証拠を獲得するには、計画、共謀のまさにその瞬間を押さえようとして、恣意的な判断で狙いを付けて尾行や監視、通信を含めて丸裸にする捜査が行われる、こう考える方が自然です。
 政府は、法案は実体法であり、捜査はこれまでと変わらないと言いますが、それは全くの間違いです。実体法である共謀罪を新たに創設すれば、捜査の在り方を大きく変えるからです。にもかかわらず、大臣は、警察の活動について具体的に申し上げられる立場にはございませんなどと述べ、答弁を避けています。余りにも無責任ではありませんか。
 国連人権理事会の特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏が懸念を表明したのも、まさにこの点です。政府は、ケナタッチ氏からただ怒りの言葉が並べられているだけと反論された感情的な抗議文を慌てて送り付ける一方で、寄せられた質問に対しては一切回答していません。
 テロ対策のためであっても、国民の権利、自由が不当に侵害されてはならないことは、総理も認めました。ところが、大臣は、ケナタッチ氏への回答を外務省に任せ、例えば捜査機関による監視に対する事前の第三者機関によるチェックなど、本来、法務大臣として検討し、回答すべきことまで放置しています。
#95
○議長(伊達忠一君) 山添君、時間が超過しております。簡単に願います。
#96
○山添拓君(続) 恥ずかしい態度と言わなければなりません。
 金田大臣は、治安維持法は、当時、適法に制定され、適法に執行されたと言い放ちました。小林多喜二を始め、拷問や虐殺の犠牲者は数十万人に上ります。その痛みと苦しみ、家族や周囲の人々の悲しみを思うとき、大臣がいかなる認識であのように述べられたのか。あの治安維持法の法案審議においても、一般人は対象にならないと強調されながら……
#97
○議長(伊達忠一君) 山添君、簡単に願います。
#98
○山添拓君(続) 幅広い市民を巻き込んでいった歴史を大臣は一体どう受け止めておられるのか、その資質を疑わざるを得ません。
 痛苦の経験と反省の上に日本国憲法があり、思想、信条の自由を保障する十九条、拷問と残虐な刑罰を絶対に禁ずる三十六条は、国家が内心の自由に踏み込んではならないことを明記しています。
#99
○議長(伊達忠一君) 山添君、時間が超過しております。簡単にまとめてください。
#100
○山添拓君(続) ところが、大臣は、憲法の個々の条文の成り立ちについては意見を差し控えたいと言います。歴史の事実に対する認識がないとしか思えません。その大臣が、自らも説明できない共謀罪法案を提出し、押し通そうとする。国民の不安と懸念は、払拭されるどころか高まる一方です。
 法案に反対する市民の声は、連日にわたり国会を包囲しています。全国各地で沸き上がっています。それは、秘密保護法、安保法制、戦争法を強行し、憲法改悪まで狙う安倍政権がこの法案を手にすれば……
#101
○議長(伊達忠一君) 山添君、簡単に願います。まとめてください。
#102
○山添拓君(続) 平和でより良い世界を願い声を上げる多くの市民を監視し、その声を封じる道具として使いかねない。不安と懸念の世論が大きく膨らんでいるからにほかなりません。
 事実と論理に向き合わず、異論や批判をことごとくはねのけ、憲法違反の共謀罪法案を強行採決するなど、断じて許されません。
 廃案しかないことを改めて強調し、金田法務大臣の問責決議案に賛成の討論を終わります。(拍手)
#103
○議長(伊達忠一君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#104
○議長(伊達忠一君) これより本決議案の採決をいたします。
 足立信也君外四十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#105
○議長(伊達忠一君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#106
○議長(伊達忠一君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#107
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十七票  
  白色票           七十三票  
  青色票          百六十四票  
 よって、本決議案は否決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#108
○議長(伊達忠一君) 牧野たかお君から、賛成者を得て、
 法務委員会において審査中の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案について、速やかに法務委員長の中間報告を求めることの動議が提出されました。
 また、牧野たかお君から、賛成者を得て、
 この中間報告を求めることの動議をこの際議題とすることの動議が提出されました。
 これより中間報告を求めることの動議をこの際議題とすることの動議の採決をいたします。
 足立信也君外四十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#109
○議長(伊達忠一君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#110
○議長(伊達忠一君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#111
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十九票  
  白色票          百四十九票  
  青色票            九十票  
 よって、本動議は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#112
○議長(伊達忠一君) 法務委員会において審査中の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案について、速やかに法務委員長の中間報告を求めることの動議を議題といたします。
     ─────・─────
#113
○議長(伊達忠一君) この際、お諮りいたします。
 吉川沙織君外一名発議に係る議院運営委員長山本順三君解任決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#114
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 よって、本決議案を議題といたします。
 牧野たかお君外一名から、賛成者を得て、
 本決議案の議事における発言時間は趣旨説明については十五分、討論その他については一人十分に制限することの動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 足立信也君外四十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#115
○議長(伊達忠一君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#116
○議長(伊達忠一君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#117
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十七票  
  白色票          百六十四票  
  青色票           七十三票  
 よって、本動議は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#118
○議長(伊達忠一君) これより発議者の趣旨説明を求めます。吉川沙織君。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔吉川沙織君登壇、拍手〕
#119
○吉川沙織君 民進党の吉川沙織です。
 私は、ただいま議題となりました山本順三議院運営委員長解任決議案に対し、会派を代表して、提案の理由を御説明申し上げます。
 今回もまた、昨年の十二月十四日に引き続き、多数の専制により、本決議案の議事における趣旨説明は十五分、討論その他の発言時間は一人十分に制限することの動議が与党から提出されたことに遺憾の意を強く表明いたします。
 良識の府たる本院で、各議員に認められた最も基本的な権能の一つである発言権を制限することは、多数の専制による少数派の意見の抑圧にほかなりません。しかも、この議事に入ってから自民党議員の多くがこの議場を退席しております。本会議の定足数を満たす責任は最大会派にある、それは基本だと思います。
 今日は九時三十分から議院運営委員会の理事会が予定どおり開会をされ、九時四十分から議院運営委員会がこれまた予定どおり開会をされ、本日の本会議は十時にベルが鳴り、十時一分に議長がギャベルをたたき、開議となりました。
 今朝九時三十分の議運理事会並びに九時四十分の議院運営委員会で与野党各会派、院内交渉会派で合意した議事日程は、議了案件の採決並びに昨日提出をいたしました内閣府特命担当大臣並びに法務大臣に対する問責決議案の処理のみでございます。そこまでが合意した議事日程でございました。
 しかも、今朝九時三十分からの議院運営委員会の理事会で、与党の筆頭理事から、次の理事会は本会議散会後に再開をしたい、このようなお申出がありましたので、私どもとしても、会期末でございます、毎日本会議を立てなければならない事情もございましょう、ですので、本散後、理事会の再開ということで合意をいたしましたところ、休憩時間中に、十三時の本会議の開会はちょっと見送ってくれないか。しかも、先ほど議事日程になりました「法務委員会において審査中の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案について、速やかに法務委員長の中間報告を求めることの動議」をこの際議題とすることの動議が議事日程に追加をされました。
 我が良識の府参議院は、今から七十年前に現行憲法下で、五月二十日の第一回国会においてその産声を上げました。良識の府として、国会法や先人が築いてきた規則や先例にのっとって議会運営を、議事運営を行ってきたはずです。その中で、確かに中間報告の規定は国会法第五十六条の三にございます。ただ、その規定につきましては、「特に必要があるときは、中間報告を求めることができる。」、このような規定になっております。
 つまり、例外的であるならば、それは皆さんが納得できる理由がなければこれをやってはならない。だからこそ、中間報告の過去例は、直近の例でいえば、この議場にその当時いらっしゃった議員もいらっしゃいますが、平成二十一年七月十日、十三日、臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案、これは中間報告となっておりますが、これは政党間の対立というよりも、むしろ委員会で議決を採ることが逆に議員間の対立を深めるからこそ中間報告を求めて、その後は本会議に委ねるという、こういう形式を取ったわけでございますので、これは今出されている中間報告の事例とは異なります。
 その前の例でいえば、第百六十六回国会、平成十九年六月三十日、国家公務員法等の一部を改正する法律案、その前は、第百五十九回国会、平成十六年六月十四日、金融機能の強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案、その前の例は、第百四十五回国会、平成十一年八月十二日、住民基本台帳法の一部を改正する法律案、全て野党の委員長に対して中間報告を求める動議が出され、じくじたる思いで野党の委員長は中間報告の求めに応じて中間報告をさせられたということでございます。
 このような形で、委員会中心主義を取っている参議院において、委員会での審議を途中で打ち切り、本会議でその議事を決するようなことは、立法府の我が良識の府参議院としての自殺行為であると言わざるを得ません。
 昭和三十八年七月五日、参議院与野党各派の申合せ、このようなことが中間報告において行われております。
  参議院の各会派は、議院の正常な運営を図るため、少数意見の尊重と議員の審議権確保に留意するとともに、議院の品位と秩序の保持に互に協力することとし、次のとおり申し合わせる。
  一、議案の中間報告は、審査につき委員会中心主義を採用している国会法の趣旨にかんがみ、みだりに行なわないものとすること。
  二、中間報告に関連し、本会議の運営が混乱した実情にかんがみ、今回のような中間報告は行なわないよう努力すること。
 これは、昭和三十八年七月五日、議会の先人が与野党各派で申し合わせた内容でございます。
 だからこそ、平成に入ってから、中間報告の例は、野党に求めた三例並びに臓器移植法案のみとなっております。その前の例は、私が生まれる前の昭和五十年の例が最後です。
 良識の府たる参議院で、法律案の審議において、従来から委員会中心主義を貫き、実質的審議を深めてくることができたのは、議会の先人が築いてきた伝統と努力によるものです。そのいずれにも代え難き良き伝統をいとも簡単に踏みにじる今回の理不尽極まりない中間報告の議事の日程の追加を議院運営委員長は容認されてしまったのです。
 国会法第五十六条の三に基づいて、今、中間報告を求めることの狙いは、報告後直ちに本会議による審議と採決を強行しようとするものではないでしょうか。従来から委員会中心主義を取ってきた本院として中間報告を行うことは、委員会の審議権を侵害することであり、絶対に容認することはできませんし、今後の議院運営にも大きな禍根を残すこととなるのではないかと、大きな危惧を抱いています。
 一匹の妖怪が徘回しています、今、行政独裁という妖怪が。治安維持法が国民を萎縮させた昭和初期の政治体制を昭和の妖怪と言うなら、よりまがまがしい行政独裁という平成の妖怪に国民は苦しめられています。昨年五月十六日、私は立法府の長であると衆議院予算委員会で発言し、慌てて答弁訂正した総理の真意は、独裁的に行政運営するとの意思表示だったのでしょう。立法も司法も行政の下に隷属する国家は、まさに行政独裁国家です。
 官邸、内閣に権限を集中し、総理の権限が一層強化される中で、公務員は周囲の空気を読み、そんたくしつつ、自由な主体的意識を持つことなく、自らの良心を行動の制約とせず、より上位の者に抑圧、規定され、その抑圧を下位の者に順次移譲していく抑圧移譲の原理の下で働いています。
 総理は形跡をとどめず指示を出し、総理周辺からの各種働きかけにより、各行政主体は総理の意向を推し量り、責任の帰属の明確化を避けつつ、曖昧な行政運営が冥々行われています。ただただ総理へのそんたくによって事態が雪だるま式に重大化してしまい、かといって、総理はもとより誰も結果責任を取らない、丸山真男が言う日本特有の統治構造である無責任の体系がよみがえったのです。この総理の行政独裁を法的に支えるのが、米国デザインの特定秘密保護法、安保関連法、そして米国のシステムを利用し個人情報を大量に収集するためのいわゆる共謀罪法案なのです。
 政府権力の腐敗や濫用から国民の自由と権利を保護するため、政府の行動を国民の監視の下に置くという、民主主義制度を根底から覆し、国民を監視する大量監視社会を実現しようとするのが現政権の狙いです。
 共謀罪法案は、テロ対策のため、オリンピック・パラリンピックのため、国際組織犯罪防止条約のため、一般人は処罰対象にはならないなどといったうそで固めた理由で国民を欺き、政府への批判的活動を弾圧するため、捜査権限を肥大化させ、一般市民の自由や権利を過剰に制約するものです。国民全体を監視するようなこれまで日本になかった監視文化を醸成し、公安警察が猛威を振るったような暗い時代を再現させようとするのでしょうか。
 ただ、実体は、前文部科学次官の発言に対する一部メディアや官邸からの脊髄反射的な人格攻撃からも明らかなように、共謀罪法案は、既に秘密裏に進む個人情報の収集活動を裏の活動から表の活動へと法的に追認するものと言えましょう。
 共謀罪法案には国際ペンクラブなどの国際的批判も強く、言論と自由に関する国連特別報告者も、プライバシーや表現の自由を制約する懸念があるとし、同報告書では、政府がメディアに対して直接又は間接的に働きかけている、安全保障を根拠とした情報統制が進んでいることが日本の民主主義基盤を損なわないよう注意する必要があることなどが指摘されています。
 国連人権委員会での報告に対する日本政府の批判に対して、世界は納得できないことでしょう。総理自身もメディアを選別し、自分の主張や反論を意図的に示す言論操作をしているのですから。報道、言論、表現の自由度が圧倒的に低いという国際的評価のとおりです。
 それでは、なぜ総理はこれほどまでに無謀な共謀罪法案を成立させようとするのでしょうか。それは、総理年来の宿願であり、米国が反対する憲法改正を実現するため、ひたすら米国の意向に沿いつつ、そんたくにそんたくを重ねて、情報統制国家にしようとするのが総理の真意でしょう。
 米国は明確な意見を表示しているわけではなく、そこには米国をリーダーとする形を変えた無責任の体系が見て取れるのです。もちろん、そこでは総理と志を一にする人間以外の国民の意思などは一顧だにされていないことは言うまでもありません。
 これらの民主主義基盤を切り崩す政策を進めるため、総理は国民の意見が大きく二分される重大な政策変更を、多数決を錦の御旗に、数の暴力である採決の強行を続けており、これはJ・S・ミルが言う多数の専制そのものです。多数の専制においては、多数派は、国民の多数を代表するとの擬制の下で、多数派の主張を実現するためポピュリズムをあおり、国民の利益が短期的に守られるように見せながら、少数派の意見は抑圧され、長期的には国民の真の利益は侵害されるのです。
 将来世代への影響が大きく、現在、喫緊の課題である巨額の長期債務残高を抱えながら、国際公約であるその解消策について政府は真摯な姿勢を示さない一方で、テロやオリンピック・パラリンピック、北朝鮮の不安を喧伝しつつ、国民生活に甚大な影響を与える民主主義基盤の侵害を強引に進めています。多数の専制の弊害を避けるためには、徹底した自由な討論と少数意見の保障が不可欠であるにもかかわらず、現政権は、我が立法府をコントロールし、十分な審議の尊重などは眼中にないからこそ、中間報告を求める動議など出してきたのではないでしょうか。
 マックス・ウェーバーは、政治家を、自分の理念を語る言葉に自ら酔ってしまう傾向の心情倫理型政治家と、結果に対する責任を心の底から感じることができ、自分の語る理念の行方を冷めた目で見守る覚悟がある成熟した責任倫理型政治家に分けています。政治家はこの心情倫理と責任倫理とのバランスが重要とされますが、現総理は心情倫理が突出し、責任倫理のかけらも感じられません。
 老子第六十六章には、民に上たらんと欲すれば、必ず言をもってこれに下り、民に先んぜんと欲すれば、必ず身をもってこれにおくるとあります。統治者は謙虚であれとして、統治者となって人民の上に立ちたいと望むなら、必ず自分の言葉を謙虚にして人にへりくだり、指導者になって人民の先頭に立ちたいと望むなら、必ず自分の振る舞いを抑えて人の後から付いていくような謙虚な態度が必要であるとされています。
 これまで、疑惑などが発覚し政治道徳あるいは政治倫理上の説明責任を果たせない場合、政策的破綻よりも政治倫理上の説明責任を重視し、自らに対する国民からの説明不足を指摘する声に配慮し出処進退を決めてきたのがこれまでの政治家でした。
 ところが、道徳教育に熱心な総理や官房長官は、国民が求める十分な説明を無視し、ノーコメントや答弁をそらし、証人喚問を否定し、証拠書類を出所不明の怪文書として立証責任を転嫁し、前文部科学次官などのイメージを悪く印象操作するなど、およそ謙虚な統治者像とは真逆の唯我独尊、高圧的な姿勢を貫いています。
#120
○議長(伊達忠一君) 吉川君、時間が経過しております。簡単に願います。
#121
○吉川沙織君(続) 総理にも官房長官にも、過ちは改めるにしくはなしという真摯な姿勢は全くなく、全てを政治闘争と考えて自己の非を認めないのです。
 各国民が行えば不公正と非難される行為も国が行えば公正となるのでしょうか。森友問題、加計問題は共に官僚の無責任な体系を悪用し……
#122
○議長(伊達忠一君) 吉川君、時間ですので、簡単に願います。
#123
○吉川沙織君(続) 原則非公開の行政内部手続を通じた国家的便宜供与のロンダリングにほかならないのです。
 総理や官房長官は違法ではないと連呼しますが、巨悪ほどよく眠ると言われるように、地位を利用した公権力の行使については、性善説に立ち、微に入り細をうがつ法規定はせず、その裏付けとして公務員や政治家に高い倫理観を求めているのです。ところが、総理らは政治倫理をみじんも感じず、この法の間隙を悪用しています。
#124
○議長(伊達忠一君) 吉川君、簡単に願います。
#125
○吉川沙織君(続) 現総理の疑惑に対する国民の批判は、辞職した前都知事に対する都民のものと同じなのです。国民も都民も、法を犯していると批判しているわけではありません。(発言する者あり)もう少しで終わります。
 より高い倫理を求められる権力者の地位に立つ者は、李下に冠を正さず、厳格な説明責任を求められるということです。国民に真相が見透かされているにもかかわらず、権力をかさに着た威圧的言動、他者への責任転嫁など、目に余ります。国民からの説明不足を指摘する声が高まっているにもかかわらず、現政権は、頬かむりしたまま国会を数で押し切り、疑惑報道が減り、国民の関心が薄れるのを待つという、余りにも国民を愚弄する態度です。
 国会における一強状況を背景として、高い政治倫理を無視し、民主的行政システムをゆがめ、行政独裁により国民を萎縮させつつ……
#126
○議長(伊達忠一君) 吉川君、簡単に願います。
#127
○吉川沙織君(続) ひたすら最終目標である憲法改正に向け暴走する現総理は、即刻退陣すべきです。
 以上、申し述べてきたような重大な政治状況の中で、日本の民主主義基盤を破壊するような行政独裁を食い止めることこそが、憲法が規定する権力分立の下にある国会に本来求められている最も重要な役割のはずです。
 ところが、現政権の暴走を抑止するどころか、行政府の意向を常にそんたくし、多数の専制を助長し、立法府の存在意義、良識の府である参議院の価値を毀損する国会運営を行わんとする山本議院運営委員長に解任決議案を出さざるを得ませんでした。
 行政府だけでなく、立法府も総理を頂点とした無責任の体系に繰り込まれており、総理の発言どおり、実質的には総理が立法府の長状態になっています。行政独裁を進める現総理の与党多数による横暴に対し、立法府たる国会としても強く抗議の声を上げ、阻止しなければならないのです。(発言する者あり)もう少しで終わりますので、もう少しだけお時間いただけませんでしょうか。
 今日の議事日程は二大臣の問責決議案で終わるはずだったんです。
#128
○議長(伊達忠一君) 吉川君、時間が相当経過しております。まとめてください。
#129
○吉川沙織君(続) その議事日程の追加をされたからこそ、残念ながら議院運営委員長に解任決議案を出さざるを得なかった、この思いを分かってください。中間報告をこのような形で求めることの動議を出して、法案を委員会から奪い、本会議で議事を決するようなこんな議事運営、あっていいわけありません。
 この危機的状況の中で、国民の代表として将来世代に対する説明責任を果たすためにも、現政権に強く抗議しつつ、山本議院運営委員長の解任を求めて、私の提案理由の説明を終わります。(拍手)
    ─────────────
#130
○議長(伊達忠一君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。佐藤正久君。
   〔佐藤正久君登壇、拍手〕
#131
○佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久です。
 自民・公明を代表いたしまして、ただいま提出されました山本順三議院運営委員長解任決議案に対し、断固反対、絶対反対の立場から討論いたします。
 まず、山本議運委員長をなぜ解任しようとするのか、全く理解することができません。野党の諸君は、山本議運委員長が、議事を追加し法務委員長に中間報告を求めたことを強引な進め方であると批判をされておりますが、山本議運委員長は、与野党理事から意見を聞き、十分に議論を行い、いわゆるテロ等準備罪の重要性に鑑み、熟慮に熟慮を重ねて、法務委員長に中間報告を求めたものであります。
 今回の組織的犯罪処罰法改正案は、国際組織犯罪捜査の国際協力を可能とする国際組織犯罪防止条約、いわゆるTOC条約の締結に伴い必要となる法整備を行おうとするものであります。テロ等に立ち向かう国際的な連携に入れない、ひいてはテロ行為を防ぐ国際的なネットワークの抜け穴になるおそれがあるという我が国の状況は、一日も早く解消されるべきであります。
 既に法務委員会では、野党の諸君が審議を拒否した質疑時間を含めれば三十時間を超える議論となる上に、二度の参考人質疑を行っております。
 TOC条約には組織的犯罪処罰法改正案なしに現行法のままで加盟ができるという一部野党の主張がありましたが、法務委員会の審議を通じて、その主張は正しくない、間違いであるということが明らかになりましたし、何より、本条約を所管する国連薬物犯罪事務所の口上書においては、重大な犯罪の合意罪、すなわちテロ等準備罪の創設が不可欠であることが確認されています。
 さらに、野党の諸君は、この法案を共謀罪と呼び、治安維持法の復活だとか一億総監視社会が始まるといったワンフレーズのみで、現実的にはあり得ない事例を出してきては、法案の中身を説明することもなく、国民を欺くかのような主張を何度も何度も繰り返してきました。しかし、法案は、以前の国会審議過程の中で挙げられた懸案等を踏まえ立案されており、国民の不安や疑念を十分払拭したものとなっていることもこれまでの審議で明らかになっております。
 野党の諸君は、審議時間が足りないと言いながら、法務委員長解任決議案や法務大臣問責決議案を提出し、委員会での審議をストップさせる矛盾した行動を繰り返しており、既に、ただただ採決を遅らせるという日程闘争以外の何物でもないことは明らかであります。単に時間を空費するだけの全くもってむなしい議論を、国民は誰一人として望んではおりません。
 また、議長応接室前での騒然とした野党議員の動きも見られましたが、本来は与えられた審議時間の中で議論を尽くすべきであり、これこそが国民の期待する参議院の姿ではないでしょうか。
 このような状況に鑑み、法務委員長に中間報告を求め、本会議での審議の可否について議論することは、国民の生命、安全に直結する重要な法案を速やかに採決すべき時期が来たと判断される以上、議運委員長としての職務を全うする上で至極当然のことであります。どうしてこの判断が議運委員長の解任につながるのでしょうか。全く理解ができません。まさに、法案の成立を阻止するため、あらゆる手段を講じようとする理不尽極まりない決議案であります。
 野党の諸君に申し上げます。我々参議院議員は、多様な人材が集まり、長期かつ安定した任期であるため、充実した審議を行うことができます。院も政府もいい意味で緊張関係を保ちながら、誠実な議論の積み重ねが行える良識の府でなければなりません。良識の府として参議院の在り方を考え、参議院の役割を果たすためにも、熟議の後に決めるべきときには決めなければならない、これが民主主義のルールであります。このルールを無視して採決を拒否することは絶対にあってはなりません。
 山本議運委員長は、地方議会の経験も長く、不易流行をモットーに、ライフワークである教育再生や農林水産業振興、経済再生、国民の安全、安心の確保など、参議院議員としてその使命を果たすべく全身全霊で活動されてきました。加えて、決算、ODAを重視する参議院におきまして、決算委員長、政府開発援助等に関する特別委員長を歴任されてきました。これらの委員長を任せられる信頼感、能力、人柄は、参議院議員である皆様であれば当然理解できるはずであります。そして、これらを経験されてきた山本議運委員長の議会運営能力につきましては当然信頼できるものであり、解任決議には全く当たりません。その中立公平、不偏不党の議会運営は、多くの方から尊敬されこそすれ、批判されることは全く理解できません。
 以上申し上げましたが、山本議院運営委員長に対する解任決議案には何ら正当な理由がありません。法案の採決を遅らせるために解任決議案を提出するという暴挙に断固抗議し、野党の諸君に猛省を求め、私の反対討論を終わります。(拍手)
#132
○議長(伊達忠一君) 白眞勲君。
   〔白眞勲君登壇、拍手〕
#133
○白眞勲君 民進党・新緑風会の白眞勲でございます。
 私は、会派を代表いたしまして、ただいま議題となりました議院運営委員長山本順三君解任決議案に賛成する立場から討論をいたします。
 今、与党議員からこの決議案に対して、何でかさっぱり分からないという話がありましたけれども、今から私がゆっくりと説明いたしますので、しっかりと聞いていただきたい、そういうふうに思っております。
 私は、参議院議員として長年にわたって本院に貢献してこられた山本順三議院運営委員長に対する解任決議案に賛成することは、同じ参議院に身を置く者として、誠に残念でなりません。議員会館のエレベーターでお会いする山本委員長は、いつも円満で、本当にすばらしい方だと尊敬をしておりました。この悲しいお役をしなければならない私は本当にかわいそうです。
 この中間報告を悪用しようとするのは、山本委員長の本来の気持ちではないですよね。きっと誰かの指示でこのような中間報告制度を悪用した議院運営委員会の判断、やむを得ずやられたものだと深い同情を禁じ得ません。このような悪用はやめましょうよ。
 特に、現行憲法下の二院制の下で、良識の府である参議院の存在がますます重要になってきている今日、今回、山本順三議院運営委員長の取った行為は、今期国会において参議院改革協議会を設置し、今後の参議院の更なる発展を企図し、全会派の合意の下、円満に参議院の未来を議論している現下の流れに重大な障害を及ぼすものであり、良識の府である参議院に汚点を残すものであります。
 もとより、法務委員長秋野公造君解任決議案、さらには法務大臣金田勝年君問責決議案を提出するに至った経緯は、衆議院では審議が全く尽くされないまま送付されてきたこの共謀罪法案について、せめて参議院では国民の懸念や疑問点に対ししっかりと応えなければならないという、良識の府に身を置く我々の当然の思いに何ら応える真摯さを見せない与党の消極的姿勢に対するやむを得ない対応でした。先ほど、うちの吉川議員が説明したとおりですよ。分かっていますか。ちゃんと聞いていましたでしょう。
 本来、中間報告というのは委員会中心主義の大きな例外なんですよ。今までは野党の委員長の下での中間報告の例が当たり前で、与党の委員長が行うというのはどういうことなんですか。この制度は厳に慎んで運用されるべきであります。しかるに、本案については、委員会における審査が全く不十分であるにもかかわらず中間報告制度を利用して本会議の運営を強行することは、国会法の趣旨をないがしろにするものであり、公正円満な運営をすべき議院運営委員長として決して取るべき対応ではありません。
 なぜこのようなことをするんですか。そもそも、中間報告などしないで、延長すればいいじゃないですか。しっかりと議論しましょうよ。なぜできないんですか。後ろめたいことがあるんでしょう。それは、加計問題、森友問題を意図的に隠そうとする官邸の強い意向があるにほかならないんじゃありませんか。さっさとシャッターを閉めて店じまいするなど、国民の負託に応じなければならない良識の府である参議院の取るべき姿なんでしょうか。
 なぜ前川前事務次官の証人喚問をしないんですか。本人は出ると言っているじゃないですか。森友問題の籠池さんの場合は、総理を侮辱したといって証人喚問したじゃありませんか。前川氏は行政がゆがめられたと言っているんですから、これは本当に総理に対する籠池さん以上の侮辱じゃないんですか。証人喚問しないということは、総理が行政をゆがめたことを認めたことになるんじゃないんですか。全くもってちんぷんかんぷんですよ。
 さらには、共謀罪法案についても申し上げましょう。総理は一般の人は関係ないと言いますけど、じゃ聞きましょう。生まれた赤ちゃんはみんな一般人ですよ。組織的犯罪集団に属する赤ちゃんは存在するはずありませんよ。途中から変わるでしょう。その根拠はどこにあるんですか。全く答えになりません。ましてや、一般人から組織的犯罪集団に変わるのは捜査当局が決めることであって、本人じゃないんですよ。これについてきちんとした説明してくださいよ。
 そもそも、五月三十日の法務委員会で金田大臣が説明しようと手を挙げたとき、何と安倍総理が慌てて金田大臣の肩を押さえている、答弁させませんでしたよね。どういうことですか。ましてや、金田大臣の部下である副大臣も、腕を押さえて政府参考人に答弁させるよう仕向けました。こんなの初めて見ました。大臣自身に説明させないような法をそもそも提出しないでくださいよ。
 国際組織犯罪防止条約、TOC条約に新たな立法が必要になるという論法に無理があることは明らかです。しかも、これまでの共謀罪と中身は一緒じゃありませんか。組織犯罪処罰法、テロ等準備罪と名前を変えただけじゃありませんか。東京オリンピック・パラリンピックにかこつけて、法整備ができなければ開催できないと総理は発言していますが、まさに総理による印象操作じゃないんでしょうか。大体、オリンピックにかこつけて何で憲法改正までしなけりゃならないんですか。さっぱり分かりませんよ。拉致問題だってそうですよ。大体、政権の最優先課題として、今まで何の進展もないじゃありませんか。
 そんな中、この凶暴極まりないやり方で中間報告でお茶を濁すというのは、良識の府としての参議院に汚点を残すことになりますし、国民を愚弄することにほかなりません。
 本院の運営に重大な責任を有する議院運営委員長としては、これまでの法務委員会の審査経過をしっかりと見つつ、法案を付託した当事者として、円満、慎重な審査を促進させなければならないはずであります。
 しかるに、中間報告制度を悪用した本会議運営の判断は、現下、参議院改革協議会で議論されるべき参議院の在り方にまさに逆行するものであります。
 衆議院をチェックし、そして抑制機関として参議院が作用することを自ら放棄し、また衆議院の足らざるところを補充する補完機能をも放棄したものと言わざるを得ません。参議院自らが二院制の意義を否定するものであり、立法府としての自殺行為にほかなりません。
 本日、久々に開催がやっと合意された憲法審査会も、このままじゃ結局開催できないじゃありませんか。中川雅治自民党筆頭も、懸命に開催のために頑張ってしてくれましたよ。開催できない理由、二院制の説明、それをやっていこうじゃないか、二院制の議論をやっていこうじゃないか、真摯に議論をやっていこうじゃないか、そういうことで我々は一生懸命やっているにもかかわらず、その二院制を否定するような今回の動きは、本当に私は頭にきているんですよ。この憲法審査会について開催できない理由は与党自民党にあることを、これをしっかりと申し述べておきます。
 参議院の存在意義を根本的に問わなければならない事態を招いた山本順三議院運営委員長の責任は、極めて重大であります。
 山本順三委員長、今回あなたがお取りになった行為は、なりふり構わず突き進む安倍政権の独善的な姿勢を体現する共謀罪法案の強行採決にくみしたものと言わざるを得ません。
#134
○議長(伊達忠一君) 白君、時間でございます。まとめてください。
#135
○白眞勲君(続) 議院運営委員長としての公正公平であるべき職分、権限を忘失したものであります。
 以上、民進党・新緑風会を代表いたしまして、議院運営委員長山本順三君解任決議案に賛成する理由を述べ、議員各位の真摯なる判断をお願いし、討論を終わります。(拍手)
#136
○議長(伊達忠一君) 山下芳生君。
   〔山下芳生君登壇、拍手〕
#137
○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました議院運営委員長山本順三君解任決議案に賛成の討論を行います。
 そもそも、今日は、本会議散会後に、次回の日程を協議するために議院運営委員会理事会を開くことを朝の理事会で確認しておりました。にもかかわらず、山本議院運営委員長は、昼休みに突然、理事会を開いたのであります。なぜか。今日、昼前に突然、与党代表自民党国対委員長から野党代表民進党国対委員長に対し、共謀罪法案については中間報告を行いたい、その上で採決したいと、一方的な通告があったからであります。
 与党の諸君は恥を知りなさいと言わなければなりません。国会は何のためにあるのか。参議院は何のためにあるのか。政府の行うことを国民の立場からチェックする行政監視機能こそ、国会の最も重要な役割であり、衆議院の議論に加えて、異なる選挙制度、異なる時期に国民から選ばれた我々参議院がより深くより丁寧に議論を尽くすことこそ、二院制における参議院の役割ではないのでしょうか。それこそ、国民の期待する国会、参議院の使命ではないかと確信するものであります。
 共謀罪法案について、国民はどう見ているでしょうか。六月に入って実施された北海道新聞の世論調査で、共謀罪反対の声は一四ポイント増えて五九%と、賛成三四%を大きく上回りました。テロ対策のためなど政府寄りの設問であるNHKの世論調査でも、反対、どちらとも言えないが六割以上を占め続けているのであります。
 共謀罪法案は、審議すればするほど国民の中に不安が広がる法案であります。国会が仮にも国民の代表者であるなら、徹底審議して不安をなくすのが当たり前ではないでしょうか。不安がなくならないのなら廃案とするのが当然ではないでしょうか。それを中間報告で審議を打ち切り採決するとは、国会、参議院の自殺行為に等しいと言わなければなりません。
 だからこそ、参議院野党四会派は、中間報告の通告がなされた直後、小川敏夫民進党・新緑風会会長、福島みずほ希望の会会長、糸数慶子沖縄の風会長と私が伊達忠一議長の元を訪ね、先ほど述べた中間報告の問題点を丁寧にお伝えし、与党によって一方的に政党間協議が打ち切られた以上、ここは議長が賢明な御判断をと要請したのであります。
 私は、その場で、かつて自民党出身の河野謙三参議院議長は七三の構えを説かれ、与党に三、野党に七顔を向けてこそ議院の公正な運営ができると、このことを貫かれました、今こそこの役割が求められているのではないでしょうかと私は伊達議長に申し上げました。議長は、しっかり受け止めます、信頼が大事ですねとお答えになったのであります。
 にもかかわらず、山本委員長は、中間報告をやろうとする議院運営委員会理事会を開きました。開かれた議運理事会でどんな議論があったか、詳しく報告したいと思います。
 自民党の理事から、状況が変化した、中間報告の動議を出したい旨の発言がありました。我が党仁比理事から、朝、本散後に次回本会議の日程を協議すると言っていたではないか、状況が変わったとは一体何が変わったのか。昨日の法務委員会でも、自民党の理事、西田理事から、今日採決は考えていない旨の発言があり、法務委員長も、採決はまだだ、こういう認識を示されました。これから一体何が変わったのか、仁比理事が質問いたしました。自民党の議運理事は、……、答えられない状況があったわけであります。維新の理事から、仁比さんの言うとおりだ、こういう発言があり、激しい抗議とともに持ち帰るという発言がありました。仁比理事から、持ち帰る前に一つ確認したいことがある、中間報告にする一体理由はどこにあるのか、こう詰め寄りました。自民党の理事からは、動議は自民党会派として出す、お怒りはごもっとも、会期末なので、こういう理由しか示されなかったのであります。それを受けて仁比理事は、公明党は知らなかったのか、屈服するのか、こう問いましたが、公明党の理事は、……、答えがなかったのであります。仁比理事が改めて、会期末に本会議で強行採決するのか、こう詰め寄りましたら、またも自民党はうつむいたまま返事はありません。ここで休憩になり、山本議院運営委員長は、指摘は重く受け止めると、休憩に入ったのであります。
 にもかかわらず、山本議院運営委員長は、公正公平な議院の運営という自らの役割を投げ捨て、議会制民主主義を踏みにじる中間報告のための本会議を開催するための委員会を強行いたしました。解任は当然であります。
 共謀罪法案の参議院法務委員会における審議はまだ十八時間弱、緒に就いたばかりです。時間だけの問題でもありません。審議すればするほど、矛盾と問題点が噴出しています。審議すべき問題点は山のようにあります。にもかかわらず、委員会での審議を打ち切って、数の力で召し上げて、強行採決で成立を図ろうなどということは、参議院と国会の存在を否定する行為だと言わなければなりません。
 与党に言われるがままにその暴挙を唯々諾々と受け入れようとする議院運営委員長は、そのことだけを取っても解任に値すると言わなければなりません。
 しかも、共謀罪で問われているのは、人権とプライバシーが脅かされることになるのではないかという重大問題です。一つ、内心に踏み込む捜査や処罰が行われるのではないか。二つ、一般人が捜査や処罰の対象となるのではないか。三つ、民主主義の根幹に重大な萎縮をもたらす監視社会になるのではないか。(発言する者あり)ないということが言えるんだったら、ちゃんと審議したらいいじゃないですか。
 参議院の参考人の三人のうち二人がこの懸念を出したわけであります。参考人に対して、審議を尽くすのが参議院の礼儀ではないでしょうか。
 こうした大問題は、国民の不安、専門家の指摘の焦点です。僅かな審議においても、新たな重大問題が次々と明らかになっています。こうした国民の懸念、批判に真摯に向き合い、問題を究明する徹底した審議こそ、参議院に求められている責務であります。
 そして、この徹底した審議を支える柱が委員会中心主義であります。戦前の本会議中心主義に対して、新憲法下の新しい国会は、その運営について委員会中心主義を採用いたしました。より突っ込んで、より充実した審議をすることを目的としているのが委員会中心主義であります。中間報告の濫用は、その新しい国会の柱を乱暴に破壊するものと言わなければなりません。
 今、安倍政権は、森友問題、加計問題に象徴されるように、行政を私物化し、政治をほしいままにしております。
#138
○議長(伊達忠一君) 時間でございます。まとめてください。
#139
○山下芳生君(続) これに対し、多くの国民が厳しい批判、怒りの声を上げています。
 我が党は、こうした国民とともに、野党とも力を合わせて闘うことを表明し、議院運営委員長解任決議案への賛成討論といたします。(拍手)
#140
○議長(伊達忠一君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#141
○議長(伊達忠一君) これより本決議案の採決をいたします。
 足立信也君外四十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#142
○議長(伊達忠一君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#143
○議長(伊達忠一君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#144
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十五票  
  白色票           七十三票  
  青色票          百六十二票  
 よって、本決議案は否決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#145
○議長(伊達忠一君) 本日はこれにて延会いたします。
   午後九時四十二分延会
ソース: 国立国会図書館
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