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2017/06/16 第193回国会 参議院 参議院会議録情報 第193回国会 本会議 第34号
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2017/06/16 第193回国会 参議院

参議院会議録情報 第193回国会 本会議 第34号

#1
第193回国会 本会議 第34号
平成二十九年六月十六日(金曜日)
   午後五時三十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三十五号
  平成二十九年六月十六日
   午後四時三十分開議
 第一 社会保障に関する日本国とスロバキア共
  和国との間の協定の締結について承認を求め
  るの件(衆議院送付)
 第二 社会保障に関する日本国とチェコ共和国
  との間の協定を改正する議定書の締結につい
  て承認を求めるの件(衆議院送付)
 第三 農業災害補償法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一より第三まで
 一、文化芸術振興基本法の一部を改正する法律
  案(衆議院提出)
 一、刑法の一部を改正する法律案(内閣提出、
  衆議院送付)
 一、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域
  法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
  院送付)
 一、青少年が安全に安心してインターネットを
  利用できる環境の整備等に関する法律の一部
  を改正する法律案(衆議院提出)
 一、法務局、更生保護官署、入国管理官署及び
  少年院施設の増員に関する請願外百九十一件
  の請願
 一、委員会及び調査会の審査及び調査を閉会中
  も継続するの件
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 日程第一 社会保障に関する日本国とスロバキア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第二 社会保障に関する日本国とチェコ共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
  (いずれも衆議院送付)
 以上両件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長宇都隆史君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔宇都隆史君登壇、拍手〕
#4
○宇都隆史君 ただいま議題となりました条約二件につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、スロバキアとの社会保障協定は、人的交流に伴って生ずる年金制度への二重加入等の問題を解決するため、年金制度の適用の調整を行うこと、加入期間の通算により年金受給権を確立すること等について定めるものであります。
 次に、チェコとの社会保障協定の改正議定書は、現行の社会保障協定の内容を部分的に改正し、一方の締約国から他方の締約国に一時的に派遣される被用者に対し、派遣元の締約国の法令のみを適用する場合を明確化すること等について定めるものであります。
 委員会におきましては、両件を一括して議題とし、チェコとの社会保障協定改正の背景と他のEU諸国と締結した社会保障協定への影響、中国を始め今後の社会保障協定の締結交渉の方針と見通し等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終え、順次採決の結果、両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(伊達忠一君) これより両件を一括して採決いたします。
 両件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#6
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#7
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百四十  
  賛成            二百四十  
  反対               〇  
 よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#8
○議長(伊達忠一君) 日程第三 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長渡辺猛之君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔渡辺猛之君登壇、拍手〕
#9
○渡辺猛之君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、最近における農業をめぐる状況の変化に鑑み、農業経営の安定を図るため、農業経営収入保険制度を創設するとともに、農業共済事業について加入方式等の見直しを行い、これに伴い法律の題名を農業保険法に改めようとするものであります。
 なお、衆議院において、農業保険への加入促進に関する規定を追加する等の修正が行われました。
 委員会におきましては、参考人を招致してその意見を聴取するとともに、政府に対し、農業共済の役割と見直しの在り方、収入保険制度導入の意義、改正趣旨の十分な周知等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して紙理事より反対、希望の会(自由・社民)を代表して森委員より反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#11
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#12
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百四十  
  賛成            二百十八  
  反対             二十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#13
○議長(伊達忠一君) この際、日程に追加して、
 文化芸術振興基本法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長赤池誠章君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔赤池誠章君登壇、拍手〕
#15
○赤池誠章君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、衆議院文部科学委員長の提出によるものであり、文化芸術に関する施策の一層の推進を図る観点から、文化芸術振興基本法について、題名の改正、基本理念の見直し、文化芸術推進基本計画等に係る規定の整備を行うとともに、メディア芸術、組踊を始めとする伝統芸能、食文化を始めとする生活文化、芸術祭その他の国際交流、障害者芸術などの文化芸術に関する基本的施策の拡充等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきまして、趣旨説明を聴取した後、文化芸術の振興に向けた国の支援の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#16
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#17
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#18
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百四十  
  賛成            二百四十  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#19
○議長(伊達忠一君) この際、日程に追加して、
 刑法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長秋野公造君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔秋野公造君登壇、拍手〕
#21
○秋野公造君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、近年における性犯罪の実情等に鑑み、事案の実態に即した対処をするため、強姦罪の構成要件及び法定刑を改めて強制性交等罪とするとともに、監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪を新設するなどの処罰規定の整備を行い、あわせて、強姦罪等を親告罪とする規定を削除しようとするものであります。
 なお、衆議院において、施行後三年を目途とした見直し規定を追加する修正が行われております。
 委員会におきましては、強姦罪の構成要件等を見直し、強制性交等罪とする趣旨、監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪の現に監護する者の範囲、性犯罪関係規定を非親告罪とする趣旨、強制性交等罪における暴行、脅迫の要件、性犯罪被害の実態調査の在り方等について質疑を行うとともに、参考人から意見を聴取いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、民進党・新緑風会を代表して真山理事より本法律案に賛成する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#22
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#23
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#24
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十九  
  賛成           二百三十九  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#25
○議長(伊達忠一君) この際、日程に追加して、
 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長難波奨二君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔難波奨二君登壇、拍手〕
#27
○難波奨二君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案は、産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に関する施策の総合的かつ集中的な推進を図るため、国家戦略特別区域農業支援外国人受入れ事業に係る出入国管理及び難民認定法の特例措置その他の国家戦略特別区域に係る法律の特例に関する措置の追加等を行うとともに、経済社会の構造改革及び地域の活性化を図るため、地域の特産物を用いた単式蒸留焼酎及び原料用アルコールの製造に係る酒税法の特例措置の追加等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、本法律案について審査を進めた後、さらに、礒崎哲史君外三名発議に係る国家戦略特別区域法の適用の停止等に関する法律案と一括して議題とし、審査を行いました。
 委員会における主な質疑の内容は、農業支援外国人受入れ事業の適正な運営の確保、小規模認可保育所の対象年齢の拡大に伴う子供の安全の確保、テレワーク推進等に係る事業者等への支援の在り方、自動車の自動運転等の近未来技術の実証の推進と安全性の確保の両立、適用停止法の成立が国家戦略特別区域制度に与える影響、国家戦略特別区域の意義及び成果、国家戦略特別区域における規制改革メニューの全国展開の考え方、国家戦略特別区域における獣医学部設置をめぐる内閣府等の説明責任、国家戦略特別区域諮問会議等の構成員の選定及び情報公開の在り方等でありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 本法律案について質疑を終了した後、希望の会(自由・社民)の山本委員より、国家戦略特別区域諮問会議の有識者議員に対する利害関係のある議案についての議事参加の制限、農業支援外国人受入れ事業に係る規定の適用の延期等を内容とする修正案が提出されました。
 次いで、討論に入りましたところ、民進党・新緑風会の神本委員より原案に反対、日本共産党の田村委員より原案及び修正案に反対、希望の会(自由・社民)の山本委員より原案に反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
 次いで、順次採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
 次に、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案は、青少年によるインターネットの利用の状況の変化に鑑み、青少年有害情報フィルタリングソフトウエア及び青少年有害情報フィルタリングサービスの利用の促進を図るため、携帯電話インターネット接続役務提供事業者等の青少年確認義務、説明義務及び青少年有害情報フィルタリング有効化措置実施義務を新設するとともに、インターネット接続機器の製造事業者の義務の対象となる機器の範囲の拡大等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、衆議院内閣委員長秋元司君より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#28
○議長(伊達忠一君) ただいま委員長報告がありました議案のうち、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。矢田わか子君。
   〔矢田わか子君登壇、拍手〕
#29
○矢田わか子君 民進党・新緑風会の矢田わか子です。
 会派を代表し、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論を行います。
 本法案への意見を表明する前に、まず、昨日、参議院本会議において、中間報告という参議院の委員会中心主義を無視した手段によって、組織犯罪処罰法、いわゆる共謀罪法が強行採決されたことに強く抗議をいたします。
 この法律に基づき犯罪の計画、準備行為を事前に把握するには、警察当局が日常的に監視体制を取る必要があり、私たちは監視社会がつくられることを大きく懸念いたします。電話やメールやソーシャルネットワークの監視、あるいは隠しカメラによる撮影などが一般市民にまで及ぶ可能性は否定できません。国民生活に大きな影響を与える法案をたった十七時間という僅かな審議で打ち切り、これを強行採決したことは許されることではありません。改めて強く抗議するとともに、一般の国民や組織、団体が不当に監視や捜査の対象にならぬよう、私たちも厳格な歯止めを掛けていきたいと思います。
 さて、獣医学部新設をめぐる文部科学省のメール、文書の調査ですが、国民世論に押されて、文部科学省は、昨日、ようやく二回目の調査結果を出しました。しかし、肝腎の、官邸の最高レベルが言っている、あるいは総理の御意向という文言の入った文書については、存在は明らかにされましたが、指示を出した内閣府側は本日の内閣委員会でも否定をしています。
 一方、今回の調査で明らかになった点もあります。それは、新しいメールが報告され、その中に萩生田官房副長官の指示で修正を行ったことが明示されていることです。本日、内閣及び予算委員会で関与を否定されています。加えて、先ほどの予算委員会で山本大臣からは、職員が隠れてやったことなどと驚くべき発言がありましたが、依然として不可解な点もまだ多く、今後、徹底的に調査をしていかなければならないと考えております。
 いずれにしても、このような文書管理、文書開示の在り方では、国民の皆さんが納得できようはずがありません。本通常国会は、延長なしで間もなく閉会します。このままで終わってしまえば、国民の政治不信は高まるばかりです。閉会中審査も含め、国民の皆さんが理解、納得できるようにしていかなければなりません。
 あわせて、公益通報者保護制度の改正が必要だと改めて感じました。なぜならば、勇気を持って告発した前川喜平前文部科学事務次官は、この制度の対象にはなっていないのです。また、同じく内部告発された現役官僚の皆さんがきちんと保護される公務員制度の運用改善を提案いたします。このことが政治、行政への不信を取り除く第一歩になると考えます。
 さて、本題の国家戦略特区改正案ですが、私たちがなぜこの法案に反対するのか、理由を述べさせていただきます。
 私たちは、様々な規制改革メニューの活用を通じて、成長力のある日本をつくる、あるいは国際競争力を強化するという国家戦略特区制度の考え方自体を決して否定するわけではありません。今回の法案の小規模認可保育所の対象年齢の拡大や、自動走行、ドローン等の先端実証実験などは、課題は残っていますが一定の評価をしています。なぜならば、これらのプロジェクトは、国家戦略特区の目的にかなっているだけではなく、制度の運用の原則である、一つ、情報公開の徹底、二つ、透明性の確保、三つ、調査審議の公平性、中立性の確保、この三つを遵守しているからです。
 しかしながら、強力なトップダウンで進められている国家戦略特区制度は、運用によっては一部の者を過度に優遇することになりかねない構造的な課題をはらんでいます。それは、構造改革特区制度とは異なり、規制を所管する官庁はもとより、与党の皆さんとすら十分な調整が行われることなく物事が決まっていくからです。そのため、安倍総理や政治家、さらには諮問会議メンバーなど、結び付きの強い者の事業が認定されているのではないかという疑いが出てきました。
 そこで、本法案に反対する具体的理由として、この国家戦略特区の本質を、本来趣旨を逸脱した例を御紹介させていただきます。
 第一に、言わずもがな、今治市における獣医学部の設立に関わる問題です。
 この問題の本質は、広島県・今治市の特区の指定から獣医学部の新設において、全てが加計学園ありきで進められたのではないかということです。
 文科省の再調査で存在が明らかになった、先端ライフサイエンス研究や地域における感染症対策など、新しいニーズに対応する獣医学部の設置の文書の中で、山本大臣の判断で広域的にという文言が付け加えられました。本日の内閣委員会で山本大臣は、この加筆をした意図は、ほかの地域にできないようにという趣旨の答弁を行いました。これこそが加計学園ありきで進められてきた証左なのです。
 今治市の獣医学部設置の要望は二〇〇七年から一四年まで十五回にわたって出されていましたが、これが実現しなかったのは、獣医師の需給には問題がなかったという当たり前の判断からでした。しかし、今回、なぜこんなにも短期間で認可されたのかといえば、残念ながら、総理の腹心の友だからではないでしょうか。
 第二に、成田市の国際医療福祉大学です。
 平成二十八年九月二十六日の藤原内閣府審議官との打合せ概要の中で、成田市の際には三省の方針に一校と記載、諮問会議としては三省が決めたことなど知ったことではないが、方針を出さないと省としてもたないということで作った、裏では政治的なやり取りがあったと記されています。大事な点は、裏で政治的なやり取りがあったということです。
 国際医療福祉大学は、数多くの官僚を受け入れています。この大学ができるときにも、文部科学省の元事務次官から、政治案件だから文部科学省は粛々と事務だけを行うようにという趣旨の電話が入っています。この国際医療福祉大学の設置過程は、加計学園設置のモデルになっています。そのことからも分かるように、本当に大きな問題を抱えているのです。
 第三に、諮問会議の民間議員、竹中平蔵氏が関与している案件です。
 例えば、神奈川県の特区で規制緩和された家事支援外国人受入れ事業について、大手人材派遣会社が事業者として認定されましたが、その会長は竹中氏その本人です。また、農業分野で特区に指定された兵庫県養父市では、竹中氏が社外取締役を務めるオリックスの子会社オリックス農業が参入しており、審査する側が仕事を受注するという極めて不公平な事態が起きております。
 このように国家戦略特区制度は、非常に不透明で、不公正に物事を決めることができる構造を抱えているのです。とりわけ、加計学園の理事長が安倍総理大臣と親密な関係にあったことから、ますます疑念が深まっています。総理の御意向なのか、いわゆるそんたくなのかは分かりませんが、事実関係を曖昧にすることは、良識の府としての参議院では絶対に許されません。このように国家戦略特区法が恣意的に運用されていないかという疑念が残る限り、私たちとしては制度の見直しを求めざるを得ないのです。
 この点を踏まえ、民進党・新緑風会は、国家戦略特区法の適用を停止するとともに、国家戦略特別区域に関する制度の見直しについて定める法律案を本院に提出しました。この法案の概要は、今後認定される事業について、その適用を一旦停止し、これまでに特区に指定された事業に関して、その効果や決定プロセスを再評価しようというものです。残念ながら、数の力で採決されることはありませんでした。
 今後、この考え方に立ち、区域計画の作成や規制改革メニューの検討において、本来の理念に沿っているのかという検証、あるいは経済的波及効果についての検証をすべきことを強く求めます。また、今回、これほどまでに広がってしまった国民の政治不信を取り除くために、政策決定プロセスが厳格に管理され、国民に明示されることを提案したいと思います。
 以上の理由から、私たちは本法案に反対いたします。
 議員各位におかれましては、国家戦略特区の事業が当初の理念に沿わない現実を直視していただき……
#30
○議長(伊達忠一君) 矢田君、時間が参りました。
#31
○矢田わか子君(続) そして、皆さんの良心にもう一度向き合っていただき、本法案に反対していただきますよう切にお願いを申し上げ、私の反対討論といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
#32
○議長(伊達忠一君) 田村智子君。
   〔田村智子君登壇、拍手〕
#33
○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 加計学園の獣医学部新設をめぐり、内閣府が総理の御意向、官邸の最高レベルが言っていると、今治市への獣医学部新設を最短スケジュールで認めるよう文科省に圧力を掛けたことを示す文書が文科省の調査によって昨日、明らかにされました。菅官房長官が怪文書扱いし、調査を否定し、とうとう会期末ぎりぎりまで調査が出てこなかったことは重大であり、政府に猛省を求めるものです。
 これらの文書には、平成三十年四月開学を大前提にスケジュールを作ること、今治市ありきでのスケジュール表が作られていたこと、獣医学部新設の決定が確実に今治市になるように国家戦略特区諮問会議の決定文書が修正されたことなどが生々しく示されています。
 文科省の調査結果を受けて昨日夕方から急遽行われた内閣府の調査は、余りに不十分です。その上、本日の内閣委員会、予算委員会の質疑で、安倍総理、山本大臣、内閣府は、文科省出向職員をまるで内通者であるかのように答弁し、何の根拠も示さずに文科省の文書の内容を否定しました。それで説明責任が果たされたとでも言うのでしょうか。既に今治市への情報開示請求によって出てきた七千八百枚を超える資料と照らしても、今治市そして加計学園ありきの結論を持って内閣府が動いていたことは明らかです。
 安倍総理の腹心の友が理事長を務める加計学園への利益誘導に国家戦略特区が利用された、行政がゆがめられた、この疑惑はますます深まりました。本法案の審議終了をもって、また国会閉会をもって幕引きを図ることは断じて許されません。関係する委員会での早期の閉会中審査、文科省事務次官であった前川喜平氏始め関係者の証人喚問を行うよう強く求めるものです。
 加計学園の問題を通じても、改めて、国家戦略特区をてこに、結論ありきの規制緩和が安倍総理と内閣府によって無理やりに進められていることが浮き彫りになっています。
 本法案による新たな規制緩和の一つは小規模保育所の対象年齢の拡大ですが、これは、子供の成長、発達への影響を全く考慮しない、やってはならない規制緩和です。ゼロから二歳児、定員十九人以下の小規模保育所に三から五歳児まで受入れを認める、その理由として待機児童の解消が挙げられていますが、待機児童が最も深刻なのは一歳前後の乳児であり、問題の解決にならないばかりか、育休明けの待機児童問題を更に深刻にしかねません。
 東京二十三区を始め待機児童数の多い大都市部では小規模保育所の多くがビルやマンションの一室で、園庭もなく、今でもスペースが不十分であると指摘されています。そこに動きの活発な三歳以降の幼児を受け入れれば、すし詰め保育そのものです。この当然の懸念について、規制緩和を決定した国家戦略特区諮問会議は何一つ議論していません。
 では、ワーキンググループではどういう議論をしたのか。委員会審議が始まっても、議事要旨はできてもいませんでした。委員会質疑でこの点を厳しく指摘すると、与党議員からも批判の声が上がり、先日やっと議事要旨が配付されましたが、目を疑う議論が行われていました。
 厚労省が、待機児童対策として有効でないこと、他の受入先がない場合など今でも三歳児以降の入所はできること、何より保育の質の確保から年齢拡大は適当ではないことなど説明しても、それらをまともに受け止めようともせず、一人の面積は減るけれども小規模というのは妥協の産物、まずは実験的にできるのではないかと押し切る、この議論のどこが有識者だというのでしょうか。
 乳幼児の一年は、人格形成にも大きな影響を与えるかけがえのない時間です。実験的に、明らかに保育の質を引き下げる規制緩和は絶対に許されません。
 農業支援の外国人受入れ事業は、入国管理の規制緩和です。政府は、国際テロ犯罪への対策を強調し、無理やりに共謀罪法案をテロ対策だと強弁し、本会議での強行採決を図りました。その一方で、テロリストの紛れ込みの水際作戦にとって極めて重要な入国管理を国家戦略特区を使って規制緩和するという。法務省はどのような懸念を示したのか、それがどうクリアされたのか、調べようと思っても、ワーキンググループの議事は全て非公開、誰が議論に参加したのかも、配付資料も、もちろん議事要旨も一切見ることができない、こんなことが許されるでしょうか。
 この事業は、特定機関に認定された派遣会社等が外国人労働者を雇用し、農業経営体に派遣するものですが、派遣元との雇用契約についての定めは法案にはありません。指針に常用雇用と定めるとの説明ですが、それは雇用期間三十一日以上ならばよいということです。例えば、二か月の雇用契約で反復更新して派遣先に送る、しかし、農閑期や自然災害などで派遣先を確保できなければ、契約終了をもって派遣切りし、母国に帰国させることも可能なのです。まさに国境を越えた季節労働、農業における雇用の調整弁として外国人労働者を受け入れるものではありませんか。
 これまでも派遣労働は、低賃金かつ不安定な雇用の温床、そして様々な違法労働の温床となってきました。また、農業分野では外国人実習生の深刻な人権侵害の事例が多数生じています。
 関係自治体、関係四府省の出先機関でつくる適正受入れ管理協議会が事業の監査や外国人労働者の相談に乗るといいますが、法令に基づく処分はその法令を所管する省庁にしかできません。四府省の職員がそろって監査に行くわけでもない、それでどこまで監督指導ができるのか、全く不明瞭です。
 そもそも、我が国の外国人労働者受入れは、専門的な職業を原則とし、いわゆる単純労働での受入れは行っていません。これは、外国人労働者を低賃金労働の受皿にしないための規制です。それを根底から掘り崩すのが本法案の規制緩和です。
 既に、特区を突破口に農地の株式会社取得の規制緩和が行われ、オリックスが事業参入していますが、その役員はほかならぬ特区諮問会議のメンバー、竹中平蔵氏です。この春から事業がスタートした家事労働の外国人労働者受入れも、竹中氏が会長を務めるパソナが事業参加しています。農業への外国人労働者派遣にも当然参入することが考えられます。利益相反を避けるために、利害関係者を諮問会議の審議や議決に参加させないとした運営規則にも違反しているではありませんか。これが日本の農業振興を真剣に考えた規制緩和なのでしょうか。
 日本の農業は、家族的経営によって質の高い生産活動が行われてきました。農業を基幹産業と位置付け、担い手の所得を保障して育てることこそが喫緊の課題です。営利企業、派遣会社のビジネスチャンスのために、農業の在り方も外国人労働者の受入れの原則もゆがめることは断じて認められません。
 最後に、共謀罪法案をめぐる余りにも乱暴な国会運営、安倍総理の進退に関わる疑惑に蓋をする質問封じに改めて強く抗議いたします。国会は、たとえ与党であっても、内閣をチェックする役割を放棄してはならないはずです。数の多数をもって委員会の法案審査権限を奪うなど、国会の自殺行為にほかなりません。
 憲法をないがしろにし、暴走を続ける安倍内閣、それをどこまでも支えかばう政党に、国民は決して屈することなく、声を上げ行動するでしょう。市民と立憲野党の共同を広げ、この国会を必ず変える、その決意を表明し、討論を終わります。(拍手)
#34
○議長(伊達忠一君) これにて討論は終局いたしました。
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#35
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 まず、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#36
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#37
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十九  
  賛成            百六十七  
  反対             七十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#38
○議長(伊達忠一君) 次に、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#39
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#40
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十八  
  賛成           二百三十四  
  反対               四  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#41
○議長(伊達忠一君) この際、日程に追加して、
 本日法務委員長及び厚生労働委員長から報告書が提出されました法務局、更生保護官署、入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願外百九十一件の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
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   〔審査報告書は本号末尾に掲載〕
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#43
○議長(伊達忠一君) これらの請願は、委員長の報告を省略して、両委員会決定のとおり採択することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 よって、これらの請願は両委員会決定のとおり採択することに決しました。
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#45
○議長(伊達忠一君) この際、委員会及び調査会の審査及び調査を閉会中も継続するの件についてお諮りいたします。
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#46
○議長(伊達忠一君) 本件は各委員長及び各調査会長要求のとおり決することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 よって、本件は各委員長及び各調査会長要求のとおり決しました。
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#48
○議長(伊達忠一君) 議事を終了するに当たり、一言御挨拶を申し上げます。
 今国会では、国民生活に深く関わる諸課題について熱心な議論が交わされました。特に、皇室典範の特例法は、両院の一致協力の下で各政党・各会派の皆さんの御努力により成立いたしました。
 会期終盤には緊張の高まる場面もありましたが、ここに議員が一堂に会し最後の議事を終えられますことは、皆さんの御尽力のたまものと、心から敬意を表する次第でございます。
 内外の時局ますます多端な折、皆さんにおかれましては、御自愛の上、一層御活躍くださいますようお祈り申し上げて、御挨拶といたします。(拍手)
 これにて散会いたします。
   午後六時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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