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1947/06/02 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 厚生委員会 第5号
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1947/06/02 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 厚生委員会 第5号

#1
第002回国会 厚生委員会 第5号
昭和二十三年六月二日(水曜日)
    午前十一時二十七分開議
 出席委員
   委員長 山崎 岩男君
   理事 中嶋 勝一君 理事 田中 松月君
   理事 山崎 道子君 理事 武田 キヨ君
      近藤 鶴代君    村上 清治君
      太田 典禮君    松谷天光光君
      武藤運十郎君    師岡 榮一君
      小野  孝君    最上 英子君
      野本 品吉君    齋藤  晃君
      榊原  亨君
 出席政府委員
        総理廳事務官  三橋 則雄君
        厚生事務官   久下 勝二君
        厚 生 技 官 濱野規矩雄君
 委員外の出席者
        議     員 内海 安吉君
        議     員 受田 新吉君
        議     員 寺本  齋君
        議     員 多賀 安郎君
        総理廳事務官  師岡健四郎君
        專門調査員   川井 章知君
    ―――――――――――――
五月二十八日
 兒童福祉事業の振興に関する請願(山崎道子君
 紹介)(第一〇五八号)
 保健婦の待遇改善等に関する請願(山崎道子君
 紹介)(第一〇六六号)
 旧住宅営團の住宅拂下に関する請願(村上勇君
 紹介)(第一〇七〇号)
 恩給増額に関する請願外一件(中島守利君紹
 介)(第一〇九三号)
 藥事法改正反対に関する請願(有田二郎君紹
 介)(第一〇九七号)
 恩給増額に関する請願(松原一彦君外六名紹
 介)(第一一〇二号)
 沖繩地方民救済に関する請願(坂東幸太郎君紹
 介)(第一一二一号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
  請願
 一 傷痍者の保護に関する請願(武藤運十郎君
   紹介)(第四号)
 二 療術師法制定に関する請願(武田キヨ君紹
   介)(第四四号)
 三 青森市に國立綜合病院設置の請願(山崎岩
   男君紹介)(第六三号)
 四 恩給増額に関する請願(受田新吉君紹介)
   (第一四八号)
 五 同(受田新吉君紹介)(第一九三号)
 六 性病予防及び撲滅に関する請願(武田キヨ
   君紹介)(第一九六号)
 七 蛔虫駆除に関する請願(武田キヨ君紹介)
   (第二三〇号)
 八 遺族の援護に関する請願(飯村泉君外一名
   紹介)(第二三一号)
 九 恩給増額に関する請願(寺本齋君外二名紹
   介)(第二四九号)
一〇 岡山縣の住宅建設問題に関する請願(多賀
   安郎君外六名紹介)(第二七〇号)
一一 恩給増額に関する請願(岡村利右衞門君紹
   介)(第三一九号)
一二 恩給増額に関する請願外二件(受田新吉君
   紹介)(第三七六号)
一三 恩給増額に関する請願(武藤嘉一君紹介)
   (第三八五号)
一四 元住宅営團経営住宅に関する請願(武藤運
   十郎君紹介)(第四五三号)
一五 同(門司亮君紹介)(第四六三号)
一六 恩給増額に関する請願(坪川信三君紹介)
   (第四九七号)
一七 恩給増額に関する請願外四件(受田新吉君
   紹介)(第五四二号)
一八 恩給法等の改正に関する請願(松崎朝治君
   紹介)(第五六六号)
一九 恩給増額に関する請願(小坂善太郎君紹
   介)(第六三八号)
二〇 療術師法制定の請願(内海安吉君外二名紹
   介)(第六三九号)
二一 恩給増額に関する請願(今澄勇君紹介)(
   第六七四号)
二二 同(受田新吉君紹介)(第七一八号)
二三 同(荒木萬壽夫君紹介)(第七二六号)
二四 療術業存続の請願(福田繁芳君紹介)(第
   七四八号)
二五 恩給法改正に関する請願(松浦東介君紹
   介)(第七五二号)
二六 恩給増額に関する請願(西田隆男君紹介)
   (第七六三号)
二七 旧住宅営團の住宅拂下に関する請願(細野
   三千雄君紹介)(第七六八号)
二八 恩給増額に関する請願(松本七郎君紹介)
   (第八三二号)
二九 同(上林山榮吉君紹介)(第八七三号)
三〇 遺族援護強化の請願(伊瀬幸太郎君紹介)
   (第八八五号)
三一 恩給増額に関する請願(受田新吉君紹介)
   (第八九二号)
三二 同(淵上房太郎君紹介)(第八九八号)
三三 同(淵上房太郎君紹介)(第八九九号)
三四 同(五坪茂雄君外二名紹介)(第九〇〇
   号)
三五 傷痍軍人保護に関する請願(小平久雄君紹
   介)(第九〇一号)
三六 恩給増額に関する請願(川野芳滿君外五名
   紹介)(第九一七号)
三七 旧住宅営團の住宅拂下に関する請願(村上
   勇君紹介)(第一〇七〇号)
三八 恩給増額に関する請願外一件(中島守利君
   紹介)(第一〇九三号)
三九 恩給増額に関する請願(松原一彦君外六名
   紹介)(第一一〇二号)
    ―――――――――――――
#2
○山崎委員長 これより会議を開きます。
 請願の審査に入るに先だちまして、審査の方針についてお諮りいたします。請願の審査はあらゆる角度からの愼重審議を要しますので、本日審査を願う諸件についての採択、不採択の決定は、しばらく留保いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○山崎委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決定いたします。
 これより請願の審査に入ります。日程第二、療術師法制定に関する請願、文書表第四四号、日程第二〇療術師法制定の請願、文書表第六三九号、及び日程第二四療術業在続の請願、文書表第七四八号の審査に入ります。紹介議員内海安吉君。
#4
○内海安吉君 この問題は武田委員の提出されたものと同一案でありますので、一括してその理由を御説明申し上げます。
 現在わが國におきまして、療病保健を業とするものには、医師、あんま、鍼灸、柔道、整復、療術の四種があります。そのうち前三者は法律をもつて業務が保障されているにもかかわらず、療術は昨年末國会を通過いたしまして、昨年一月一日から施行せられましたあんまその他の営業法によつて禁止せられることになりました。当局は療術の禁止理由といたしまして、第一に、療術業者は医学的知識が低い、第二には、療術はその業種が四百余種もあつて、法制化することはむずかしいというような二点をあげているのでありますが、從來療術は、民間療法の名のもとに、日本独特の療病保健法として研究発達したものでありまして、無害であつて有効なるもののみが各地方廳の取締令下に認許されていたのであります。すなわち有害なるものは取締によつて禁止せられ、無効なるものは大衆に批判によつて自然消滅しておつたのであります。眞に無害にして有効なるもののみが存続してきたのであります。從つて昭和七、八年以來、請願または建議により、國会においても療術師法制定とその保護助長が約束されてまいりました。その一例を申しますならば、第七十六帝國議会におきましても、西尾末廣氏の質問に対し、政府委員一松定吉氏は、療術を保護助長したいという御意見については、私もあなたと同感であります、と答弁されたのを見ても明らかであります。かくのごとく旧法制下においてさえ、保護助長の趣旨が認められておりまして、民主主義憲法下においては、療術は一層尊重さるべきものと全國十万の業者が、旱天に雲霓を望むがごとく、保護助長の法規の成立を期待しておつたのであります。ところが突如として新しい法律によりまして、今後の新規開業を許さないのみか、昭和三十年限り禁止せられることになつたのであります。いわば從來の業者の既得権というものを剥奪せられるのみか、憲法第二十五條によつて保障せられたるわれわれの生活権を拒否するものと言わなければなりません。しかも今回の政府措置の理由を承りますと、その調査資料は昭和十四年ごろの宗教的な加持であるとかあるいは呪詛、祈祷であるというような一切の行為を包含したものを療術とみなし、その業種四百余種と算定したのでありまして、その根底において誤解があり、誤算があることは申すまでもありません。この新法律制定の最大の理由として、過去二十数年間にわたり、社会民衆のために奉仕してまいりましたところの科学的療法をも抹殺されることになつたのは、まことに遺憾にたえない次第なのであります。現在わが全國療術協同組合に加入せる業種の届出名稱は多種であつても、その実体は左の二類七種に分類されることになつております。第一類は手の技術であります。手肢、指圧療法、整体療法第二類は電氣療法等のいわゆる機械類によつてやるところの療法でありまして、光線療法、磁氣療法、温熱療法、刺戟療法、こういつたようなものでありまして、当局の言われる業種多樣にして法制化することが困難であるという説明には首肯することができないのであります。從つて昭和二十二年十二月九日全國療術業者大会の席上におきましても、この問題に対して、一松厚生大臣は、療術の効果あることは自分も治療を受けているから認めている。ただ業者の中には、瓦と金剛石がまじつている。そこで石を除き、よい石が分類できたならば、新規開業を許すこともやぶさかでないということを申されたのであります。また昭和二十二年十一月二十日衆議院厚生常任委員会に提出した政府原案、あん摩鍼灸柔道整復療術行為営業法第一項には、療術行為既存業者の既得権を認める。そして第二項には、昭和三十年まで所定の修習を受けることとあり、療術行為既存業者は右に準じて業務を継続し得るとありました。しかるにこの政府案が究如変更され、療術業を十杷一束として八箇年の壽命を限り禁止となりましたことは、他の業者が新しい法律によりまして保護され、継続される業権を與えられたのに比べて不公正でありをつたく了解に苦しむところであります。つきましては憲法第二十五條に基き、全國十万の業者が正しい職業としてのその生活を法律によつて保障してくださるよう謹しんで請願する次第であります。何とぞ委員会におきましてもこの請願を御了察くださいまして、満場一致御採択あらんことをお願いする次第でございます。
#5
○山崎委員長 政府側の御意見があれば承りたいと存じます。
#6
○久下政府委員 ただいまの御請願に対しまして私から一言政府の意見を申し上げたいと思います。請願の御趣旨にもありましたように療術行為につきましては、あんま、鍼灸、柔道、整腹術を除きまして、昨年第一回國会を通過した法律によりまして、一應原則的には禁止になつたのでありますが、既得権につきましてはお話の通り、八年間の猶予を認めまして、業務の継続ができることにいたしたのであります。かようにいたしました趣旨は、ただいま御請願の趣旨にもありましたような理由のみではないのでありまして、むしろ本質的にはこれら一應原則的には禁止になりました療術行為は、今日までのところ、積極的に疾病傷痍の治療に対して有効であるという医学的な認定がなされておらないことに基くのであります。決して種類が多いから分類が困難であるという理由ではないのでございます。この法律が制定をせられましてからまだ日も浅いことでありまして、政府といたしましてはこの種の各種療術行為が、積極的に医療上の効果ありと認定を得るまでに基づておらない実情でございます。当時國会におきまして厚生大臣からも答弁を申し上げておりますように、政府といたしましてはこれら療術行為につきましては、八年間の猶予期間のうちに、十分徹底的に、積極に有効であるという認定がつくようになりましたならば、そのついたものについては、あんま、鍼灸、柔道、整腹術と同樣な扱いをすることは十分考えておるということを申し上げておるのでございまして、今日におきましても同業の考え方をもつて処理しておるつもりでございます。ただ遺憾ながら今日までのところではそういうことを積極的に認定するまでに基づていないという実情でございます。
#7
○内海安吉君 ただいまの御説明によりますと、医学的に認定はできないというのでありまするが、一体この問題は必ずしも医学的という立場からのみではなく、もつと廣い範囲において、――ただ技術上の問題のみをもつて限定するというところに誤りがあると思うのであります。しからばもう一度承りたいのですが、認め得るというのは一体具体的にどういうことであるか、それを承りたいと思います。
#8
○久下政府委員 どういうふうにして認めるかというお尋ねでございますが、別にこれらのものを認定するはつきりした認定機関があるわけではないのでありますが、いずれにいたしましても、人間の疾病、傷痍を治療する行為でありまするので、政府が國民に対しまして、この行為ならばほんとうにその標榜するごとく効果があるというような認定に達しなければ、積極的に法律の制定とか、保護するというようなふうに立ち至るべきでないと考えておるのであります。さような意味合におきましては、すでに各方面に医学の研究機関もございまするし、あるいはまた学会もございまするし、そういうような方面におきましての意見を聽き、その認定に基きまして政府としては決定いたしたいと考えておるのであります。
#9
○内海安吉君 この問題はすでに一松さんが厚生次官あるいは厚生大臣としての答弁もあり、またその前に西尾さんあたりがみずから卒先してこの問題を遂行しなければならないというような、むしろ挙党一致でもつてこの問題を通さなければならぬということは、この議会におきましても前後八回にわたつて請願なり、あるいは建議案なりが通うておるのであります。それにもかかわらず何らの標準がなく、何とかもつと進んだならばという、漠としたような御答弁をもつてしては、これはほんとうに百年河清を持つようなものであつて、まことにこれは政府の怠慢と言わざるを得ないと私は思う。少くとも八議会を通じて議会においても満場一致をもつて通つておるにもかかわらず、今なおいかなる方法をもつて、いかなる規定のもとにこの問題を取扱つたならばという標準もつかんでいないで、ただいたずらに医学上の見地からいかぬということならば、私は政府の答弁に満足できないと思う。この点についてもう一應御説明願いたいと思う。
 議会の前後八回にもわたる決議に対して安閑としておつて、それで政府の責任は足るものであるかどうか、それを承りたい。
#10
○久下政府委員 お尋ねのような大きな問題につきましては、私からお答えすべき性質のものでないと思いますが、一松厚生大臣のお話が出たようでありますが、御引例になりました保護助長すると明言したということは、いつのことでありましたか、私も記憶ございません。少くとも第一回國会におきまして、この法案の御質問に対して一松厚生大臣がお答えいたしましたのは、私が先ほど申し上げたことと全然同一のことを申し上げておるはずでございます。
#11
○榊原(亨)委員 ただいまの請願につきましては、療術師の側におきましては多大の熱望をもつて、早く療術師法を制定されることを望んでおるのでございまして、殊にこの療術行為の中には、ただいま政府委員がおつしやられましたところの医学的の根拠をもつものも多数あるのでございまして、その点はあんま、鍼灸と同じようなものもたくさんあるのでございますから、この際政府におきましては、速やかに療術行為に対するところの調査委員会というようなものを設けられまして、科学的にこれを証明し得るものにつきましては、八年間の猶予期間を待たずして、速やかに療術師法を制定されまして、そして業者が安んじてその業務に服せられるように努力せられんことを望む次第であります。
#12
○田中(松)委員 私あるいは政府委員のお言葉をちよつと聽き漏らしたかとも思いますけれども、たとえ政府委員がどういう意図をもつておいでになりましても、われわれ國会といたしましては、國会独自の考え方をもつておるものでありまして、政府委員がたとえ医学上納得ができなければ許さないのである、医学上理解できるようになつたらそのときに考えるのである。こういうようなお考えをおもちになつておつたとしますならば、それは政府だけのお考えであつて、國会といたしましては、それはなるほど今日の医学は進歩いたしたおります。私ども敬服はいたしておりますけれども、人知の発達というものはきりがないのでございまして、それでもつて万全ということはできません。たとえば医学的に説明はできなくとも、結果から見ますと、現実にそれでもつて多くの人たちが安い金でもつて利益を得ておる。いわゆる病氣を治すことができておる。そういうような事実がいくつもある。そういうものを私どもはただ業者の口から聽いただけで納得するわけにはいきませんけれども、たとえば公開の席上で、こういう病氣はこういう治療をすればこういう結果が出てくる。そういうようなことを万人の目で見る公開の席上で実驗をする。しかもどういうわけでそういう結果が出るかはわからぬけれども、結果として実際こういういい結果が出てきた。そういうような結論を見出すことができたならば、國会は國会独自の立場で、政府の意図がいかがであろうとも、私どもはこの問題に対しては、別途の立場から立法府の権威のもとに別な考え方をもつものである。これは厚生委員会全体の意見ではありませんけれども、もし政府委員の方でそういう意味ではなかつたということであつたならば失礼にあたりますけれども、私が聽き取つたような意味であつたならば、厚生委員会の中にはこういう意見もあるということをを一つお含みを願つておきたいと思うのであります。
#13
○武田委員 この療術の問題は、今のように日本人の國民生活が窮迫しておりますし、そして健康状態は低下しておる。みんな理想的に言うならば完全な医療の要求をもつておりますけれども、そういうところまでなかなかまいりません。それでいかに國民大衆が療術の方面を安心して受けられるような態勢を猛めておるかと申しますことは、この間私の方にございました報告でも、実際体驗して者がぜひこれを要望しておる。療術を受けております者が五百万以上だということを私の方に通知しております。そしてこれは古いことでありますが、昭和十五年の警視廳の発表によりましても、都下の五大新聞に傳えられておりますのは、都下に三千の療術業者がおりまして、患者数は三万人取扱つておると申します。私の今手もとにございますのは、私の出身地の呉の方でこの二月にまとめてまいりました、療術行為存続の請願に対する治療を受けました者たちの署名であります。わずかの間に三千四百人以上の者の署名が集まつておりまして、ことごとくこれが療術行為の効果があることを認め、ぜひ現在の状態でりつぱにもつと進んだものにもつていくようにと要求しておるのでございます。ただいまこれに対して政府の方では、医療上の効果があるという認定を得るに至つていないということが、この療術行為を認めないということの理由にされておるのでございますけれども、しかしこの療術行為は、今までの期間にどういうふうな医療的の効果があつたかといういとは、多くの人の体驗が一番有力に物語るものではないかと思われます。現在の日本の氣候とか風土とか、そういうものから考えますと、もう私どものようなものは、自身の体驗からも、あるいはロイマチスとか神経痛とか、いわゆる風土病的のものもございます。それに対してはまだ医療としても正確な治療の方法はないと聞いております。國民大衆の要望というものを正しい途にもつていくためには、先ほど榊原委員も言われましたように、これに対する一つの調査研究の機図を設けて、そして少くともこれを正しい方へもつていく。そして今全國の療術界においても、めいめい講習会をしたり、いろいろと研究の機会を多くもつて、この際ぜひこれをさきに出まして鍼灸、あんま、マツサージのあの法律の中に同じようにして、認めてもらいたいということに努力しております。この際政府の方でもここまでもつていこうという氣持をもつて療術師法の制定ということをお研究願いたいと思います。
#14
○久下政府委員 榊原委員からお話があり、またただいまは武田委員のお話でございますが、実は政府としても昭和十九年から約二年ほど國庫の補助を出して、当時の同愛記念病院内に附設いたしました東亞治療研究所において療術行為の科学的な研究を始めておつたのであります。ところが戰災に遭つたり、あるいは御承知のようにあの場所が接收されたり、いろいろな事情で、また一方においては予算の要求も承認せられなかつたりというような事情がございまして、この研究が中絶していることを私どもとしてもはなはだ遺憾に思つておりまして、実は予算のつど、ただいまお話のような調査研究をすることに努力してまいつているのでございますが、御趣旨の点もございましたので、なお力を入れて、大いにこの方面の指導、研究には政府としても力を入れてやつていきたいと思つております。
#15
○師岡委員 政府委員の先ほどの御答弁によりますと、積極的な医学的効果を認めることができないということが、大体禁止の理由になつているようでありますが、積極的な医学的効果が上らぬということはどういうことを指すものであるか。たとえば医学的には何らの効果がないというふうにお考えになるのか、その点を明確に御答弁願いたいと思います。
#16
○久下政府委員 請願の御趣旨の中にもあつたようでありますが、從來の療術行為に対する政府並びに地方廳の取扱いの方針は、療術行為そのものが人体に有害である場合には禁止をいたしますが、害がないという場合には容認をするという態度をとつてきておるのであります。從つてその療術そのものが積極的に有効であるかどうかという点については、從來の取扱いは少くとも科学的な認定をいたしておらないように理解いたしております。そういう意味合において申し上げておるのでございまして、先ほど申し上げたごくわずかな期間の研究ではございましたけれども、たとえば指圧療法について研究を始め、その一部の研究報告も私の方に届いておるのであります。それらを見ても指圧療法は特定の疾病には非常によくきくというようなことは出ておるのであります。しかしながらその標榜するごとく、すべての疾病にほんとうに有効であるかどうかということを認定するのは困難であります。なかなか事業としては大きな仕事でありまして、口で申しても簡單にまいらぬ点はございますけれども、私どもとしてはそういうような研究の進むにつれて、小くとも有効と認定された場合には、これを正式に法律で取上げていくようにいたしたいというような考えでおります。
#17
○山崎委員長 御質疑ありませんか。
    ―――――――――――――
#18
○山崎委員長 次に日程第四、文書表第一四八号、日程第五、文書表第一九三号、日程第九、文書表第二四九号、日程第一一、文書表第三一九号、日程第一二、文書表第三七六号、日程第一三、文書表第三八五号、日程第一六、文書表第四九七号、日程第一七、文書表第五四二号、日程第一九、文書表第六三八号、日程第二一、文書表第六七四号、日程第二三文書表第七一八号、日程第二三、文書表第七二六号、日程第二六、文書表第七六三号、日程第二八、文書表第八三二号、日程第二九、文書表第八七三号、日程第三一、文書表第八九二号、日程第三二、文書表第八九八号、日程第三三、文書表第八九九号、日程第三四、文書表第九〇〇号、日程第三六、文書表第九一七号、日程第三八、文書表第一〇九三号、日程第三九、文書表第一一〇二号、以上恩給増額に関する請願及び日程第一八、文書表第五六六号及び日程第二五、文書表第七五二号、以上恩給法等の改正に関する請願に入ります。紹介議員受田新吉君。
#19
○受田新吉君 恩給増額の請願が多数出ておりまするが、私この多くの請願の中で相当数紹介をしておる責任者として、この請願の趣旨の説明をいたしたいと思います。
 今未曾有の物價高騰の際に、社会のあらゆる面は一つとして革新を見ていないものはないのであります。しかし残念ながら退職官公吏とか教職員とか、こういう者の恩給が昔のままでありまして、ために恩給を受けておる適格者は悲痛の叫びをしており、困苦窮乏の苦しみは言語に絶するものがあるのであります。この点に対し受恩給者がここにその生活の打開をはかり、もつて再建日本の基盤となろうと強く決意して、ここにこの恩給増額の請願をいたしまして、國家の恩養、保護を受けたいと申出をしておるわけであります。特にこの恩給生活者が現在どういうふうに立場で他の一般國民との間にギヤツプがついておるかということについて、請願者の総意を推しはかつてみますのに、恩給を受けておる者は、かつて國家の公務員として一切の営利事業に関與することが許されなくて、低給に甘んじて黙々としてその職責に邁進しておつた人たちである。その人たちが者退職後恩給を保障されたがために、他の仕事にもつくことができなくて、目下まつたく五里霧中の中で生活力を喪失しておるのであります。また新たに制定されましたところの國家公務員法及びその関係法規は、退職後の恩給支給をはつきり規定しておりますし、また今後規定しようとしておるのでありますが、これは当然にすでに権利を得ておる者にも及び、現行恩給法の改正が行われるということを信じておるますけれども、それら恩給を受ける人たちの日常生活は、そうした徐々とした手続の遷延を待つことができないほど急を告げておるのでありまして、その点につきまして、その実現を見るに至るまで、臨時の暫定処置を講じて緊急事態に対処せられたい、これが請願者の根本的な趣旨なのであります。ここで昭和二十一年十月に恩給に関する暫定措置法が施行せられまして、例の八百万ベースが実施せられたし同時に過程温給を定めまして、四十五円ないし六万五十円がきめられたと思いますが、これは当時の八万円ベースが水ぶくれの俸給であるというのでこの過程恩給をきめたのでありますけれども、今や政府職員に対するところの新給與に関する法律案が、六月一日かる実施されておるこの際、一千円ないし一万円の新しいこの俸給に対して、未だ依然として從來の、あのささやかなりし時代の恩給算定基礎をもつてしておるということは矛盾もはなはだしいと思うのであります。この点につきまして、速やかに恩給に関する暫定措置法の別表を改正して、新しい給與に基く率をこの際速やかに実施の上に移していただきたい、こういう点紹介議員として特に申し添えたい点なのであります。わけて恩給生活者はその思想の堅固なること、及び平素生活の上における黙々として國策に順應しておるという点においては、他のあらゆる階層の人たちよりも、もつて範とする人たちばかりでありますし、この人たちは生活保護法の適用を受けることを快しとしていないという点もあります。七十、八十の老人が、恩給の増額がないためにその生活に苦しんで、巡礼行脚をやつてこじきのような生活をしているという例も聞いておりますし、また七十に近い受恩給者が家族を多数抱えて、しかもそれらがかたわとか病人というような者を多数抱えて、その日の生活にも困つて、遂に罪を犯していたというふうな実例は、幾多社会に起つている現象なのであります。その在職中の尊い多くの國家への奉仕、それに対する報いとしてはありまに残酷であると思います。この点につきまして、國家として速やかにこれら恩給生活者に、その生活をある程度保障し得るに足るだけの恩給増額を期せられたい。そして少くとも新して給與に基くところの恩給の率を高めることに速やかに手をつけていただきたい。私この点に関しまして、政府当局において恩給増額に関して現にいかなる用意をしつつあるのか。わずかに恩給を受けている一例を普通恩給を受ける者にとりまするならば、普通恩給の受給者の平均金額が四百六十六円にすぎません。これは生活保護法の扶養を受けている人たちに比べても、はるかに下まわつている現状であります。こういうような実例で恩給とは名ばかりであつて、ほとんど燒石に水のようなことに対して、何とか手を打という御努力をされていることは十分お察ししますが、現実の上に六月一日、きのうから実施されたこと俸給に対する恩給生活者の保護という点についてどいうい御用意をしているか、そして御用意がしてあるならばたいへん結構でありますから、速やかに実施していただきたい。なお用意が不十分であるならば、この際根本的に、恩給生活者の、現在わずか三億円に過きない國庫負担に対して速やかに増額をせられて、これらの人たちに対して、喜んで日本再建の大業を完遂することができるように一役員わしていただきたい。こう考えるものであります。先般教育会館において全國約一千名に余る受恩給者が集つて、ある老骨たとがほんとうに悲壯な叫びをしておりましたけれども、この点に関しましても國家は速やかに何らか愛情のこもつた政治を断行していただいて、この敗戰後の日本を強く起ち上らせるところの男氣をもつた人たちを、政府として一人でも多くつくつていただくことに政治の面を向けていただきたいと思います。恩給増額の請願の趣旨を申し述べたついでに、紹介議員としての意見をこれに加えまして、特に政府当局の絶大なる御支援をお願い申し上げたいと思う次第であります。
#20
○山崎委員長 政府側の御意見があれば承りたいと思すます。
#21
○三橋政府委員 ただいま上程になりました請願の内容は、大まかにわけまして、傷病軍人の恩給に関する事柄と、もう一つは一般恩給の増額に関することと考えられますので、この二つのものにわけまして政府の意見を申し上げたいと思います。
 傷病軍人の恩給につきましては、七項症以下の恩給をもらつたものについて再審査をしていただきたい、こういうようなことが要望されておるのでありまするが、退職しました後におきまして、障害の程度が増進をいたしました場合とか、あるいはまた恩給の裁定を受けました後において障害が増進して惡くなつたというような場合におきましては、現行の恩給制度のもとにおいても再審査の制度を認めておるところでございまして、そういうような七項症以下の恩給をもらつた場合におきましても、症状が惡くなつたような場合におきましては、申出によりまして、その症状の惡くなつたというそのことが、やはり公務に起因しておると認められる場合におきましては、それ相当の恩給の改正をするようにいたしております。それでこの点につきましては、一々具体的に申出の内容を檢討いたしまして、ある場合におきましては再審査をいたしまして、恩給を改定するように今後いたしていきたいと思つております。
 それから傷病軍人の恩給につきまして、將校、下士官、兵につきまして金額に差別がつけられております。これを撤廃してもらいたいという要望が一つあるようでありますが、これは傷病軍人の恩給がどうしてこういうようにきめられたかということを一應御説明する方がおわかりやすいと思いますので、一應御説明申し上げますると、傷病軍人の恩給はすでに御承知かと思いまするが、連合軍の最高司令官の命令によりまして、從來の傷病軍人の恩給を改めることになつた結果、こうなつておるのでありまして、その覚書によりまして、傷病軍人の恩給が、肉体的な障害に対するいろいろな保障制度の中において最も低いところの保障制度を標準にとつて、その金額を改めるということになつたのであります。ところでその当時におきまするところの肉体的障害に対する保障制度に対しましては、一般官吏でございまするならば、恩給制度の中にありまする傷病恩給、また鉄道逓信共済組合の組合員でありまするならば、共済組合制度の中にそれぞれの規定があり、また一般の勤労者につきましては、厚生年金保險法の保險制度の中に障害給付金の制度があつたのでありますが、これらの諸制度の中におきまして、厚生年金保險制度の中の障害給付の制度というものが一番障害給付の低いものでありましたから、これを標準にしまして、実は傷病軍人の恩給の算出の方法を定めたのであります。ところで厚生年金保險制度の中の障害給付の制度は、障害を受けましたときの俸給を基磯といたしまして、そしてその金額を算定することになつておりまするから、障害を受けましたときの俸給の多い者は、自然また保障の金額も多いということに相なつておるのであります。この例にならいまして、傷病軍人につきましても、退職の際におけるところのその俸給の多い少いによつてその保障の金額を定めるようになつておるのでありまして、ただ單に將校であるがゆえに、ただ單に下士官、兵であるがゆえに、それだけを考えて差別的な取扱いをしているわけではございませんのでありまするから、そのよつてきているところの標準になつているものを考えまするというと、一律にこの差別を摘発してしまうということもいかがかと考えておるのであります。
 次に一般の恩給の増額の問題につきましては、恩給の金額が非常に少くて、このままではいかない、何とかしなければならないということにつきましては、政府当局におきましても、いろいろと苦慮いたしておるところでございまするが、何と申しましても、國家の現在におきましては、政府としていろいろと施策しなければならないことが山積しておりますにかかわらず、他面におきましては、國家の財政的な支出がきわめてきゆうくつな現状でもりまするために、何とかしなければならないということは考えつつも、実はそれに手がまわらないでおるような実情でございます。この恩給法の臨時特例の別表の規定、俸給の表につきましても、近く改正いたしまして、議会の御承認を仰ぐことになると存じまするが、この際におきましても、できることならば新しい給與に即應いたしまして恩給が支給されるように、また現在の恩給受給者の恩給につきましても、その線にまで増額し得るように、できればそういうようにいたしたいと考えておりまするけれども、しかしいろいろな点がありまして、今ただちにここにおいてそういうふうにいたし得るとまでは明言し得ない実情に至つております。しかし政府といたしまいては、できるだけこういう恩給受給者で生活に困つておる方々につきまして、何とかしなければならないということに、いろいろと心を碎いておりまするので、その点御了承願いたいと思つておるのであります。
#22
○寺本齋君 私も紹介議員の一人としてお願い申したいと思つておる次第でありますが、先ほど受田君から詳細御説明申し上げまして、すでに盡きておると思います。また今の三橋政府委員からの御答弁で、大体了承いたしましたが、政府においても何とかしなければならぬというお考えがおありになるならば、どうかひとつ、さきに受田君から申し上げましたように、この恩給受給者というものは、大体思想的にも堅実な人でありますし、日本再建についても大体必要な人と考える。この人たちが生活の困難に苦しんでおるこの現状をどうか御賢察の上、万難を排して、別表の改正にも、また予算の編成にあたつても、政府はそのお考とを実現していただきたいと、私は強くお願いいたしておきたいと思うのであります。
#23
○山崎委員長 ほかに御質疑ありませんか。ないようですから、次に移ります。
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#24
○山崎委員長 日程第六、性病予防及び撲滅に関する請願、文書焦第一九六号の審査にはいります。紹介議員武田キヨ君。
#25
○武田(キ)委員 性病は今、敗戰の結果の社会情勢に拍車をかけられ、非常に拡がつておるようにわれわれは考えられるのであります。私ども殊に婦人の立場から申しまして、一番憂えるのは、これが家庭にはいるということであります。政府としては、性病予防については本國会に新しい法案を出されるということも聞いておりますので、その方についてはまた法案の審議の際に、予防の細部にわたつては取扱うことにいたしまして、今ここで請願いたしますのは、性病予防、撲滅に関しての二つの條件を申し上げたいと思います。
 一つは、すべて結婚にあたつて、双方が健康診断書の交換によつて性病の危險を避けさしていく。またその健康診断をした際に罹病しております者は、完全に治癒した後でなければ結婚ができないように、これを法の力をもつて強制をすること。それからもう一つは、妊婦に対して、ある時期において身体檢査を行い、性病の罹病者である場合には、出産前半期において完全に治癒さすように、やはりこれは法の力によつて強制さすことでございます。
 私の恐れますのは、性病が單に病氣としてというよりは、それがその子供に遺傳するということ、そのことも非常に大きい恐怖でございます。現在の状態でございますと、最近の医学報告によりますと、百人のうち五、六人は黴毒にかかつておる。そうしますと、日本の人口を八千万と仮定しますと、実に四百八十万人という黴毒患者があるという数字になるのでございます。淋病の方になりますと、もつと黴毒より多い。約三倍くらい多いという状況でありまして、二千万人というものがこの疑いをもつておると言われております。こういうふうな状態で、これを徹底的に撲滅する処置を講じないでおきますならば、想像するに余りあるような、われわれとして未曽有の恐怖の時代が現出すると考えられます。政府としては性病予防についての法律を出すことについての用意があると聞いておりますが、さらに一歩別の面から、進んで結婚に対しての健康診断書の交換と、それから罹病者について、結婚前においての治療、すべての妊婦に対しての血液檢査と身体檢査、そして完全に性病を治癒してりつぱな子供を産むようにということを、法律の上で制定されるように、請願者に代りましてお願いいたします。
#26
○山崎委員長 政府側の御意見を承ります。
#27
○濱野政府委員 ただいま仰せの通り、性病に対しましては相当敗戰後の日本といたしましては考えなければならぬ問題だ多々ございまして、前議会以來この問題については議せられておりまするが、政府として今度性病予防法を制定いたしまして、今議会に提出すべく、ただいま準備をいたしております。その法律の第八條と第九條に仰せの点は盛つておりますのですが、ただここで私たちが今盛つておりますものは、罰則を伴つておりません。道徳規定でいたしております。それは婚姻をしましようとするときに、お互いに健康診断書を交換するようにしてもらいたい。こういう意味の道徳規定でありまして、今のところ罰則を伴つておりませんのが提出されるのでありますが、それは健康診断もやかましく申しますれば、どうしてもその局所をみなければならないということになるのでありますが、これがむつかしい点が一つあります。もう一つは、日本におきます婚姻は外國と違いまして、婚姻の届出は、婚礼が済んでからの婚姻届になつておる。外國では婚姻届を持つて行つて、初めて牧師さんが婚姻させることになつておる。そういうふうな若干不自由がありますので、お仲人さんが、婚礼をします場合に両者から健康診断書をとるという、そのときにもし希望であるならば外陰部までみてもろうてもよいでしようが、大体は血液の檢査と尿の檢査をしてもろうだけでよいのではないか、その上においてまたいろいろありますれば、そのときの話合いでそういうことをされたらいいのではないか。こういうので、大体罰則の伴わない。道徳的の規定を御審議願うべく用意いたしておるのでございます。なお病氣にかかりました性病患者は、今度の法律の趣旨では、この間の会議で若干御説明申し上げましたように、性病は國家と、それから公共團体と、個人において責任をもつて治していく。早期に発見いたし、徹底的な治療をいたすと同時に、予防思想を普及していきたい。これが法律の趣旨となつておるのでありますが、そういう意味におきまして、かかつておる患者は全部届出の制度をとることになつております。またかかつた人は、徹底的に治療しなければならない義務を負わされております。從つてもしかかつた者が第三者にうつすときには、これはまた別の法律で傷害罪に問われることになつております。今仰せの趣旨は、それによりまして徹底的な治療をこれでし、またうつしたときには罰を受ける。こういうかつこうで徹底的に治療させるべく今度の法律の中にはいつております。なお妊産婦につきましては、妊娠手帳と同時に血液檢査をいたしまして、これも徹底的に治療する。治療しなければ罰するという点も、これは道徳的規定でいたしております。性病予防法のときにいずれ御審議願いたいと思いますが、大体そういう程度で提出いたしております。
#28
○山崎委員長 よろしゆうございますか。――ほかに御質疑ありませんか。
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#29
○山崎委員長 次に日程第七、蛔虫駆除に関する請願、文書表第二三〇号の審査にはいります。紹介議員武田キヨ君。
#30
○武田委員 專門家の推定によりますと、日本の現在の人口のうち約六千万が蛔虫をもつておるということでございまして、八割以上、九割にも達しはしないかという状態でございます。このために國民がどれだけ健康を虫ばまれておりますかということは、想像にかたくないものがございます。このことは、われわれ國民の今の最大関心事でございます。食糧問題についてもずいぶん大きな問題でございまして、極端に申しますならば、食糧を日本人は非常に食べるのですが、この食べるのはいくらかは自分の体内の虫を養うためにも、食糧を多く要求しているのではないかと考えられるほどでございます。もちろん、一方保健衛生の問題からは、申すまでもなくゆゆしい問題でございますので、國家としてこの際急速に全國の科学者、医師製藥業者その別を動員しまして、そうして國家的な総合的な対策委員会を設置して、全國民をして一日も早く寄生虫の恐るべき害から脱却するように一大施策をとられたいというのであります。現在の状態でございますと、殊に家庭菜園その他につきましては、これから肥料などについても人糞などを使いますから、ずいぶん傳播が多いと考えられます。一方に、また駆虫剤のサントニンその他のものが手にはいりにくい状態にもあるようでございますが、政府としてはぜひこれに対しての総合的な対策を國家的に立てられるようにということが、この蛔虫駆除に対する請願の要旨でございます。
#31
○濱野政府委員 蛔虫の害毒については仰せの通りでございまして、戰後特に人糞が肥料に代ります今日におきまして、また家庭菜園を特にしなければならない実情におきましては、仰せの通り私たちの手もとにあります調査におきましても、八〇ないし九〇%くらい蛔虫の卵をもつている実情でございますことは、非常に憂慮すべきことでございます。私たちにおきましても、蛔虫がいかにしてわれわれのからだにはいつていくか、どう防ぐべきかということは、すでにあらゆる形におきまして研究も済ませ、またこれにより寄生虫予防法も設けてあるのでございますが、なにせ人糞を肥料として使わなければならないような実情でありますので、このごろは人糞をかけましたならば極力泥をその上にかけてもらうことを奬励し、また奬めております。一方藥に対しましては、そういう権威者を集めまして、國内でできるものはないかという調査も極力いたしておりますが、サントニンは、和製のサントニンが今のところ年額約七百キロぐらいできます。その他このごろレゾルシンもだんだんできてまいりました。しかし一方から申しますれば、少くとも國民全体に一回だけサントニンを與えんとすれば、約五トン半ないし五・八トンくらいのサントニンが必要なのでありますが、ただいまサントニン、レゾルシン、その他集めまして、ほぼこれに近い量がアメリカからも逐次輸入されつつある実情でございまして、これがうまくずつといきますと、一回は駆虫ができるではないか。駆虫したあと口の中に入れないように、個人々々が注意してもらえば非常に結構ではないか。蛔虫がいかにして口にはいつてくるかということははつきりしておる点であります。私たちといたしましては、あとサントニンに代るべき――今レゾルシンもできまするが、それ以外にアメリカありたそうでありますとか、かいじんそうでありますとか、そういうような特に蛔虫に効きます藥を國内で増産することによつて――よく会議で質問いたすのですが、なにせサントニンが一番効きますので、どうしてもこれに頭が向くのでございまして、極力サントニンの増産ということについてただいま努力している次第でありますが、一方レゾルシンが國内で相当できるようになつてまいりましたので、遠からずしてこういう問題は藥的には一部解決つきましようが、要は國民全体が蛔虫の卵を食べないような生活に早くなることが望ましい。この点につきまして、政府としては極力そういう意味の教育を考えております。
#32
○松谷委員 今のサントニンの点について、重ねてお伺いしたいのですが、おしやるように、確かにサントニンが一番効果をよく現わす、現在その量が少いというお話でございますが、過日の委員会でも、徳田球一さんからたしかサントニン輸入についての請願があつたと記憶いたします。聞きますとソ連が一番生産地であるということでございますが、政府はソ連のサントニンに対して、なんらかの手をお打ちになつているのでありましようか。ソ連からのサントニンの輸入ということは見込みがないのでございましようか。
#33
○久下政府委員 御承知の通り、現在私どもの方におきまして、すべての藥品の輸入につきましては、連合軍総司令部の方に話をいたしてりおまして、サントニンの國内産は非常に少いものでありまするから、必要量を輸入していただくように懇請をいたしておるのであります。その輸入先にまで私どもくちばしを入れるわけにまいりませんので、実質上に藥がはいりますように懇請をいたしておるところであります。
#34
○武田委員 ただいまのお話で、とにかく駆除剤というものがただいまとして一番重要な問題ではありますけれども、これがなかなか全般には行渡らない。あるいは一回はありましても、そのあと連続して使用するだけの量がすぐには期待できないような請勢にあるのでありますが、一方蛔虫そのほかすべて寄生虫に対してそうでございますけれども、これをできるだけ卵をあとからのまないように、それから今の小さな例で言うならば、家庭菜園に対しての肥料のかけ方、泥をかけるというような問題についても、どんなに蛔虫などの害が恐るべきものであるかということが、割合にみなんにまだ軽く考えられておるのではないかと思います。何といつてもこれは藥の力でもやらなければいけませんが、しかしあとからあとからとすぐにまたこれが生れてくるのでございますから、ぜひ徹底してこれをみんなにわからすだけのことを、厚生省としてはあらゆる手段をとつて教育なり、宣傳なりして、國民の氣持が蛔虫を恐ねて、これを退治なければいけないということをわからせなければいけないと思います。もちろん当局としてはその御意向でありますけれども、しかし一般は非常にこれに対してまだルーズな考えをもつておりまして、なるほどそうだと思つていましても、やはり野菜などを生で食べるときなんかでも、これを消毒するというふうなことを頭では考えるかもしれませんが、なかなか実行しません。これはやはり必要な藥もありますけれども、あるいは肥料ひとつかれますにも、今おつしやつたようなことが徹底しておらぬために、簡單にできることをやらないで、みすみす寄生虫を十分な消毒をしないでそのままで食べるというようなことになつてしまいます。だからそういう点ではもつともつと本氣に、一方藥の方と神時に、國民にこれをどうやつて防ぐか、どうやつてこれを駆除するかということを徹底して知らすような方策をとつていただきたいと思います。
#35
○濱野政府委員 蛔虫の防ぎ方、治療はもうすでにきまつた定石のものでございまして、要するに便所が全部水洗便所になりますれば一番きれいになる。これはなかなか望んでも困難であります。極力教育によりましてそういうものを補つて、再び口にはいりませんようにしたいというので、政府としましては大正十四年からこういう研究は政府自身がいたしております。すでにそれを防ぐべく、便所で非常によいものもつくりましたが、戰爭によるセメントの不足で、今これは立ち消えになつております。現在は使つている便から蛔虫の卵がわれわれの口にはいらぬように、抑せの通り極力この指導をいたしております。なかなか徹底しないことは抑せの通り残念な次第でございます。今度予算の中にとりましたのは鼠族昆虫駆除というので約三億円になつております。相当のそういう衛生の班ができることになりました。これは予算がとれ次第相当動員をいたしまして、実施にこういうことを教えることができますれば、かなりの成績はあがるように考おております。これは予算がきまり次第それを動員いたしまして、蚊や、蠅や、そういう便所の始末をすることを実地に指導する考えであります。ちようど人口十三万に対しまして一班であります。一班は六人で、そういうものを使いまして極力努力していきたい、こう考えております。
#36
○武田委員 鼠属昆虫の駆除の予算の三億というのは、これは指導と、やはりその藥の方もはいるのですか。
#37
○濱野政府委員 指導と藥代がおもなものであります。それから人件費であります。
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#38
○山崎委員長 次に日程第一〇、岡山縣の住宅建設問題に関する請願、文書表第二七〇号、日程第一四、文書表第四五三号及び日程第一五、文書表第四六三号元住宅営團経営住宅に関する請願、及び日程第二七、文書表第七六八号、旧住宅営團の住宅拂下に関する請願の審査に入ります。紹介議員多賀安朗君
#39
○多賀安郎君 私は岡山縣から提出いたしております引揚者及び戰災者住宅問題に関する請願の理由を説明申し上げまして、委員各位の御了承をいただき、さらに本請願を御採択いただくようお願い申し上げる次第であります。
 岡山縣における終戰後の住宅建設の状況は、資材、輸送並びに資金等の條件が、他府縣に比べまして著しく惡く、その上、たとえば半額國庫補助による庶民向け賃貸住宅の建設、及び臨時建築制限規則に基いてなされる一般の自力建設の促進などに関する中央よりの割当がきわめて少かつたこと、さらには需要者の購買力及び建設意欲の低下等が累積いたしましたために、戰災復興院よりの資材の裏付けによる分譲住宅の建設、並びに炭鉱労務者用住宅、重要産業給與住宅の建設等、いずれも所期の成果をあげることができなかつたのであります。これらを統計の上から申しますると、昨昭和二十二年九月現在における岡山縣の住宅不足数は戰災によるもの、疎開取壊しによるもの、復員者、引揚者等による利用増加によるもの、戰時中の供給不足数及び終戰後の災害損失によるもの等、これらを合計いたしますと、不足戸数は七万六百八十六戸に相なつておるのであります。これに対し終戰後建設された住宅数は、わずかに不足戸数に対する一割五分、すなわち一万千九百七十戸に過ぎず、差引不足数は五万八千七百十六戸となり、今日深刻なる住宅難に喘いでおるのであります。詳細な統計等はすでに提出しておる請願書の中に記載しております。しかも現在までに建設済の大部分は、自力建設能力のあるものの範囲を出ないのでありまして、ほんとうに地獄のような生活をいたしておる戰災者、引揚者その他いわゆる生活困窮者、さらには將來の引揚者等によつて増加する住宅難を考えますとき、われわれは深刻の度を通り越した住宅難から、いろいろな好ましからざる社会惡の発生することさえ心配いたすのであります。これが対策といたしましては、全額ないし高率の國庫補助による賃貸住宅、あるいは鉄筋、木筋等によるアパートの大量建設以外に緩和の方途はないと考えるのであります。この点に関し將來と言わず、今日におきまして、速やかに強力なる中央の施策を要望いたしてやまない次第であります。これは岡山縣選出の代議士十名はもちろん、百四十万岡山縣民の切実なる願いであります。何とぞ委員各位におかれましては、岡山縣におけるこの深刻なる住宅事情を御了承くださいまして、以上述べました深刻な悩みを解消いたすため、本請願を御採択の上格別の御援助を賜りますよう、重ねてお願い申し上げる次第であります。
#40
○山崎委員長 政府側の御意見があれば承りたいと存じます。
#41
○師岡説明員 ただいまお話がありましたように、住宅問題は非常に深刻でありまして、何分にも戰災によりまして非常に多数の住宅が失われたことでありますし、また戰爭中にその供給もとだえておつた。それに加えまして引揚者の増加、また日本の住宅の本質として木造でありますので、だんだん腐朽していく。こういういろいろの事情がありまして、現在の日本の番宅難が非常に深刻化しておるのでございます。岡山縣といたしましても戰災が相当ありましたし、また海外からの引揚も相当多いのでありますので、これまた全國的住宅難と同じ住宅難に悩んでおられることでありますが、これに対しまして建設院といたしましては、資材、資金、あるいは都市問題、そういうあらゆる角度からできるだけ強力な措置を講じておるわけであります。終戰後いろいろな各方面の惡條件が重つておりました際にかかわらず、今日までにようやく八十万戸という住宅が全國におきまして建設されておるのでありますが、もとより現在の住宅不足に対しましては、まだまだ十分でありません。そこで建設院といたしましては、現在の住宅不足を約十五否かかつて解決するということであります。これは一つには資材の面からの制約があるのでありまして、二十三年度を基準として申しますと、現在の木材としまして約千七百万石住宅にまわすことができるということになつておりますので、これを標準といたしますと、約四十万から五十万戸二十三年度において建設可能と考えております。そこでこれを現在やつておりますように、國の補助を出しまして、府縣や市町村に賃貸住宅を建てさせるという行き方と、それから一般の方に建てていただくという、二つの大かな分類が出るわけでございます。前者の國庫補助による賃貸住宅につきましては、これは御承知の通り公共事業費によりまして施行されているわけでありますが、何分にも公共事業費全体の予算が限定されておりまして、なかなかに思い通りに建設ができないという実情にあります。もちろんわれわれとしまして十分に努力をいたしているのでありますが、さらに本年度におきましては國の補助以外に、一般の人が建てます際に、何と申しましても先だつものは金の問題でありますので、住宅資金を融通しまして、そうして一般の人に家を建てていただく、そういう方向を強力に進めていきたい、かように考えまして、目下関係方面と折衝しているようなわけでございます。全体としましてかような次第でありまして、岡山縣の事情も私ども十分承知しているわけでありますが、この全体の施策が強力に進むのと相まちまして、岡山縣の住宅復興につきましても十分に努力していかたいと考えております。
#42
○山崎委員長 本日の日程中、審査にはいらない部分は時間の都合上全部延期いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後零時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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