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2016/11/15 第192回国会 参議院 参議院会議録情報 第192回国会 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 第4号
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2016/11/15 第192回国会 参議院

参議院会議録情報 第192回国会 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 第4号

#1
第192回国会 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 第4号
平成二十八年十一月十五日(火曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十四日
    辞任         補欠選任
     高野光二郎君     こやり隆史君
     相原久美子君     藤田 幸久君
     舟山 康江君     川合 孝典君
     河野 義博君     谷合 正明君
    佐々木さやか君     高瀬 弘美君
     片山虎之助君     石井 苗子君
     山本 太郎君     福島みずほ君
     和田 政宗君     中野 正志君
 十一月十五日
    辞任         補欠選任
     こやり隆史君     高野光二郎君
     藤田 幸久君     相原久美子君
     大門実紀史君     岩渕  友君
     辰巳孝太郎君     井上 哲士君
     石井 苗子君     石井  章君
     行田 邦子君   アントニオ猪木君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         林  芳正君
    理 事
                石井 準一君
                二之湯武史君
                福岡 資麿君
                三宅 伸吾君
                山田 修路君
                小川 勝也君
                大野 元裕君
                浜田 昌良君
                紙  智子君
    委 員
                こやり隆史君
                古賀友一郎君
                佐藤  啓君
                佐藤 正久君
                進藤金日子君
                高野光二郎君
                高橋 克法君
                滝波 宏文君
                中西  哲君
                中西 祐介君
                平野 達男君
                藤木 眞也君
                堀井  巌君
                舞立 昇治君
                松川 るい君
                山田 俊男君
                吉川ゆうみ君
                渡邉 美樹君
                相原久美子君
                石上 俊雄君
                江崎  孝君
                川合 孝典君
                田名部匡代君
                徳永 エリ君
                浜口  誠君
                藤田 幸久君
                熊野 正士君
                高瀬 弘美君
                谷合 正明君
                平木 大作君
                井上 哲士君
                岩渕  友君
                大門実紀史君
                石井  章君
                儀間 光男君
                福島みずほ君
              アントニオ猪木君
                行田 邦子君
                中野 正志君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       外務大臣     岸田 文雄君
       厚生労働大臣   塩崎 恭久君
       農林水産大臣   山本 有二君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(消費者
       及び食品安全)
       )        松本  純君
       国務大臣     石原 伸晃君
   副大臣
       農林水産副大臣  齋藤  健君
       経済産業副大臣  松村 祥史君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤田 昌三君
       常任委員会専門
       員        宇佐美正行君
       常任委員会専門
       員        大川 昭隆君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       増田 和夫君
       内閣官房内閣審
       議官       澁谷 和久君
       内閣官房東京オ
       リンピック競技
       大会・東京パラ
       リンピック競技
       大会推進本部事
       務局企画・推進
       統括官      多田健一郎君
       内閣府国際平和
       協力本部事務局
       長        宮島 昭夫君
       外務省経済局長  山野内勘二君
       厚生労働省医薬
       ・生活衛生局生
       活衛生・食品安
       全部長      北島 智子君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   山口 英彰君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   水田 正和君
       農林水産大臣官
       房政策評価審議
       官        塩川 白良君
       農林水産省消費
       ・安全局長    今城 健晴君
       農林水産省食料
       産業局長     井上 宏司君
       農林水産省生産
       局長       枝元 真徹君
       農林水産省農村
       振興局長     佐藤 速水君
       農林水産省政策
       統括官      柄澤  彰君
       林野庁長官    今井  敏君
       水産庁長官    佐藤 一雄君
       経済産業省通商
       政策局通商機構
       部長       渡辺 哲也君
       観光庁審議官   瓦林 康人君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○委員派遣承認要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○環太平洋パートナーシップ協定の締結について
 承認を求めるの件(第百九十回国会内閣提出、
 第百九十二回国会衆議院送付)
○環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関
 係法律の整備に関する法律案(第百九十回国会
 内閣提出、第百九十二回国会衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(林芳正君) ただいまから環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、和田政宗君、片山虎之助君、高野光二郎君、舟山康江君、河野義博君、佐々木さやか君、相原久美子君及び山本太郎君が委員を辞任され、その補欠として中野正志君、石井苗子君、こやり隆史君、川合孝典君、谷合正明君、高瀬弘美君、藤田幸久君及び福島みずほ君が選任されました。
 また、本日、辰巳孝太郎君が委員を辞任され、その補欠として井上哲士君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(林芳正君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案につき、現地において意見を聴取するため、来る十七日、北海道及び茨城県に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(林芳正君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(林芳正君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の審査のため、来る十八日午後一時に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(林芳正君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#9
○委員長(林芳正君) 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を一括して議題といたします。
 本日は、TPPと我が国の経済・国民生活等についての集中審議を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。
 質問の機会を与えていただき、本当にありがとうございます。昨日に続きまして、参議院らしい中身の充実した審議に努めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 総理、やはり多くの私の知り合い等と話しても、今一番関心が高いのはTPPとアメリカの議会の承認の行方、これが一番関心が高いようであります。ただ、実際上、アメリカがTPPに入らなければこの協定は発効しないという現実もあります。
 TPPに反対する人の中には、日本が途中から参加したことに対して米国追従だと批判した人がいましたが、今度は、日本が早期承認をして率先して米国の承認を働きかけようとすると、拙速だ、米国の状況をもっと見極めるべきだという批判をする人もいます。どっちがどっちか分からない。反対反対と言って国民の暮らしが豊かになるなら、私も思いっ切り反対します。やはり対策が必要です。
 国民の暮らしを豊かにするためには、守りだけではなく、攻めの政策も必要だと考えます。私は、今こそ日本外交がリーダーシップを発揮をして、その真骨頂を見せる時期だと思います。
 米国ではトランプ氏が大統領選挙で勝利し、上院、下院とも共和党が多数を持ちました。これでTPPは終わったとの論調が一部にありますが、本当にそうでしょうか。そもそも、オバマ大統領がTPP推進の理由を、中国のような国々に世界経済のルールを作らせるわけにはいかないと述べて、アメリカが世界経済の秩序、これを形成するんだということを述べておられました。この主張は共和党の主張にも合致しますし、アメリカ・ファースト、米国国益を第一とするトランプ氏の主張にも合うところが多いと思います。
 ただ、トランプ氏は選挙戦で、TPPからの離脱を表明してまいりました。離脱とはどういう意味なのか、実際、私にはよく分かりません。TPP協定を米国政府は行政府として今署名をしています。次に議会にかける段階です。
 政府参考人にお伺いします。協定の発効前に離脱という規定はあるのでしょうか。
#11
○政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。
 TPP第三十章第六条は、TPP協定からの脱退につき規定しておりますが、この規定はTPP協定が発効をしなければ効力は持ちません。協定発効前のTPP協定からの離脱、脱退については取決めはございません。
#12
○佐藤正久君 そうなんですよ。協定発効前の離脱の規定はないんです。
 議会の承認後に、協定が発効した後に米国が離脱するというのは分かりますけれども、事前の、議会承認の前の離脱は規定がありません。ということは、議会の承認を待っているという状態が続くということに実態上はなります。よって、トランプ氏の次の大統領が議会に承認をかける可能性もあれば、トランプ氏が途中で米国にとってTPPはメリットが大きい、アメリカ・ファーストにかなうというふうに考えれば、前言を撤回し、一年後ぐらいに議会に承認を求める可能性もゼロではないというふうに思います。海外には賢い者は変わるが愚か者は変わらないという言葉があるように、君子豹変すという言葉があるように、それは可能性はあると思います。
 リーダーが方針を変更した例は日本にもございます。普天間飛行場の移設を県外、国外、最低でも県外と言った鳩山総理も、海兵隊の抑止力を学べば学ぶにつけ大事だというふうに理解をして辺野古案に戻しました。トランプ氏が破棄すると言ったオバマ・ケアの一部も、オバマ大統領との会談によって多くの人が恩恵を被っているということを受けて、一部オバマ・ケアを受け入れるという話もございます。リーダーは国益と現実を考え、変わるものだと思います。
 総理、リーダーが変わるということについてのお考えをお聞かせください。
#13
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 君子豹変す、これは、まさに自分のために、自分の保身で豹変するのではなくて、それが国や国民のためになるという判断の中で、言わばメンツを捨てて判断する、それが我々指導者に求められる姿勢ではないかと、このように思う次第でございます。
#14
○佐藤正久君 やっぱりそれがリーダーなんですよ。やっぱり国民の暮らしと命を守る、これが一番原点だと思います。
 資料四、これを見てください。これは、TPPあるいはRCEPが次第にFTAAPというものに移行するという資料です。(資料提示)
 このTPP、この右下のものですけれども、これはまさに日米豪、これが中心としてTPPというものを形作っております。アメリカにとって日本もオーストラリアも同盟国です。同盟というのは三つを共有しないと同盟とは言えないという話もあります。一つは価値観の共有、二つ目は負担の共有、三つ目がリスクの共有です。まさにその三つを共有した日米豪、これはGDP的にも大きな日米豪が中心になってこのTPPを形作っている。そこに今、韓国やフィリピン等が参加の動きを見せている。
 これ、仮にTPPが発効されなければ、この韓国やフィリピン等、今から入ろうとしている五か国も、TPPに入るのではなく、逆にRCEPの方に傾く可能性もあります。中国が入ったRCEPや日EU・EPA、これが加速されて、まさにアメリカが自由貿易経済の圏内からどんどん外されていくという懸念もあると思います。これは共和党の政策にも反すると思います。この絵をトランプ氏の移行チームが見れば、TPPが米国ファーストにかなう部分が多いということも理解すると思います。
 米国のこのTPPの離脱が経済圏構想からアメリカが孤立するということを理解したのか、あるいはTPPのメリットがやっぱりあるんだということを理解したのか、このトランプ氏側の公式サイトが週末にアップデートされ、選挙公約であったTPPからの離脱の表現は削除され、雇用を米国外に流出させた数十年にわたる政策を反転させるとの表現に改まりました。総理の感想をお聞かせください。
#15
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この今お示しになった地図を見ても、TPP、TPPがなかなか進まないということになれば、これ、重心は、軸足はRCEPに移っていくのは間違いないわけであります。RCEPには米国が入っていないわけでありまして、そこのGDP世界最大の国は米国ではなくて中国になっていくわけであります。
 例えば、TPPにおいては国有企業に対しては厳しい制限が課せられるわけでありますが、RCEPで果たしてそうなっていくのか、あるいは知財の保護については、TPPにおいてはしっかりとルールによって守られる、では果たしてRCEPについてはどうなのかということはこれから交渉次第でありますが、その意味におきましては、TPPが一つのモデルにならなければならないというのは確かなことではないかと、こう思う次第でございます。
 いずれにいたしましても、我々としては、日本としてはしっかりとこの委員会の場で御議論をいただき、TPPの目的、意義について世界に発信をしていく、米国にも発信していく、そのことによって今のこの保護主義の流れを変えていく、そして、やはりTPPのような志の高い自由で公正な四割の経済圏をつくっていくことがそれぞれの国や地域には利することになっていく、こう我々は示していくことが求められているんだろうと、このように思います。
#16
○佐藤正久君 ありがとうございます。
 まさに、このTPPがなくなれば重心がRCEP、中国の方がリードする可能性はゼロではありません。それはやっぱりアメリカにとってメリットが少ないということから、TPPからの離脱という表現が削除されて、方針変換ということもあるかもしれません。
 実際にある専門家は、トランプ氏は政治家というよりもビジネスマンの色彩が強い、よって、彼の選挙での発言というのは結論というよりも提言に近いものだと、よって、状況によってはそれが修正される可能性はあるという批評をする人もおられますので、引き続き私はアメリカとの交渉というのは非常に大事だと。実際に、ほかの参加国も日本のこの動向に注目していると思います。まさに日本のリーダーシップが大事だと思います。
 そういう意味におきまして、まさに十七日の安倍総理とトランプ氏との会談や、あるいはペルーでのAPECの機会を捉えてのオバマ大統領との二国間会談や、あるいはほかのTPP参加国との首脳会談は極めて重要な機会と捉えますが、総理の意気込み、覚悟を伺いたいと思います。
#17
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 十七日にトランプ次期大統領と会談を行うことになります。
 これは、もちろん、まだトランプ次期大統領は大統領でもございませんから、国同士の首脳会談にはならないわけでございまして、大統領が二人いるという状況にはしてはならないと思っているわけであります。そういう前提条件の中で会談を行いたいと思います。
 そこで、私といたしましては、様々な課題、経済や貿易やあるいは安全保障について、そして日米関係、同盟関係について忌憚のない意見交換を胸襟を開いて行っていくことによって信頼関係を築いていきたいと、このように思います。その際にも、これはトランプ大統領も重々承知だろうと思いますし、共和党の党是と言ってもいい自由貿易の大切さ等についても私の考えを述べたいと、こう思っている次第でございます。
 そして、APECで行われるTPP参加十二か国の首脳会議におきましては、首脳同士でしっかりとこのTPPを発効させようという意思を確認し合う、そして国内手続を進めていこうという一致を見て、それを発信していきたいと、こう考えているところでございます。
#18
○佐藤正久君 非常に大事な大事なトランプ氏との会談、そしてAPECだと思いますので、結果を楽しみにしております。
 次に、国民と話すと、もう一つTPPに関しまして言われることは、やっぱりどういうメリットがあるのかまだまだよく分からないと。その中で、特に中小企業の方々、農林水産業の方々がどういうメリットがあるかという部分がまだまだ伝わっていないような感じがします。
 総理、北ヨーロッパにノルウェーという国があります。今回のTPP、これを議論するときに一つモデルになるような国だと思っています。
 ノルウェーの面積は日本とほぼ一緒です。人口は僅か五百万人ですが、二〇一四年の水産物の輸出総額は一兆円を超えました。一五年は一兆三千億まで行っています。日本の水産品、これは、二〇一四年、いまだ一兆円に届かず、二千四百億程度です。
 ノルウェーは、日本を含め海外の市場調査をやり、プロモーション等営業努力もしております。総理も回転ずしの方に行かれたことがあると思いますけれども、日本はすしが好きだ、特にサーモンが好きだ、サーモンはとろサーモンが好きだ、であればとろサーモンを作ってしまえと、とろサーモンを作ってしまいました。さらに、成田空港と関西空港のそばにサーモンの加工工場までノルウェーは造りました。今、回転ずしのとろサーモンはノルウェー産が多いと聞きます。私は、京都の福知山連隊長をやりました。福井の若狭地方や京都北部、あるいは兵庫県北部の方の産品として、へしこというサバのみそ漬けがあります。そのサバも、脂が乗ったノルウェー産が今多く使われております。
 私が、二十年前アメリカに留学した際に、お店に行くと、キッコーマンのしょうゆが置いてありました。調べてみたら、キッコーマンの会社の方が一軒一軒お店を回って、肉を焼いてしょうゆを掛けて食べてもらって、おいしいという評価を得ながら販路を広げていったようです。
 私は、もうこのような企業努力、これも大事ですけれども、やはりこのTPPというものをにらんだ上で政府がやっぱり関与する、官民挙げてこういう中小企業の海外進出や農林水産品の輸出拡大、これに関与する、これはまさに安倍総理のリーダーシップに懸かっていると思いますが、御所見をお願いしたいと思います。
#19
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員が例として挙げられたノルウェーも、一時は水産業、大変厳しい時期があった。それを乗り越えるために改革をして、船も大型化し、生産性を上げ、そして様々な市場調査をしていく中において大きな成功を収められたと、こう承知をしています。
 TPPによってはもう、まずもちろん工業製品の関税が撤廃されるわけでありますが、同時に、今までも、日本の中小企業や私の地元もそうですが、小規模事業者が海外に出ていこうと海外に進出していきます。でも、多くの企業は実は結構ひどい目に遭うんですね。せっかく技術をつくってそれを売ったら、直ちに模倣品が出てくるということがあります。同時に、技術移転しろということを言われ、技術移転をした後はもう出ていけという態度に変わっていく、税のルールも途中で変えられてしまうということはよくあるわけでありまして、もう海外は懲り懲りだというそういう気持ちになっている企業は大変多いわけでありますが、そういう皆さんはしかし黙っている場合が多いんですね。成功した人が、俺、成功したぞと言っていますが、結構成功しているのかと思うと実は失敗をしている例が相当多くあるわけであります。
 しかし、TPPが発効すれば、このTPPの圏内においてはしっかりとその知財が守られるわけであります。昨日の議論で、例えば電子商取引を行う場合も守られるわけでありまして、サーバーを向こうで設置しろと、そんなことを言われないようになってくるわけでありまして、十分にメリットが、海外展開をしていくことが可能だろうと思います。
 しかし、じゃ、自分たちでどんどん出ていけといっても、それはなかなかちゅうちょするんだろうと思います、大きな企業のように海外に支店を置くというそういう体力はないわけでありますから。そこで、例えば、今年二月に設立した新輸出大国コンソーシアムを通じてこれまで全国津々浦々の二千社を超える中堅・中小企業に支援を始めています。そういう出ていこうという企業を個々に支援をしてまいります。
 おいしくて安全な日本の農水産物にとって、またTPPは輸出拡大のチャンスでもあります。このため、本年五月に農林水産業の輸出力強化戦略を決定し、民間の意欲的な取組を加速するための多様な施策を講じています。
 具体的には、需要の掘り起こしに向けたプロモーション、そして販路開拓のための相談や商談会出展等への支援、そして物流の高度化への支援、また輸出先の輸入規制の緩和、撤廃等、輸出環境の整備等に取り組んでいるところであります。今回の補正予算では、輸出基地・輸出対応型施設の整備、国際競争力のある産地の形成などを支援することとしております。
 例えば、福島の産品については輸入規制があるところがあります。もう随分これは輸入規制撤廃されてきました。しかし、加盟国においては、科学的根拠がないところは、それをなくさなければ、輸入を解禁しなければいけないわけでありますし、また輸入制限をして、科学的理由なしに例えば福島の農産品を輸入規制しているところに対しては、そういう国は新たにTPPには入れませんよということになっていくということもあるわけであります。
 いずれにせよ、きめ細かく支援をしていきたいと、このように考えております。
#20
○佐藤正久君 資料一をお願いします。
 まさにそうなんですよ。多くの中小企業等も、チャンスと捉えてもその海外進出のノウハウがやっぱり少ない。そこで、今総理が言われた輸出大国コンソーシアム、これにつきまして、経産副大臣、御説明をお願いします。
#21
○副大臣(松村祥史君) 佐藤委員から、新輸出大国コンソーシアムについてのお尋ねがあったかと思います。総理からも詳しくお話がございましたけれども、今回、TPPをきっかけに海外展開を目指したいという企業は多数いらっしゃいますが、なかなかその情報がなく、ちゅうちょしていらっしゃる方もたくさんいらっしゃると、このように理解をしております。
 そこで、海外ビジネスに精通をいたしましたジェトロでありますとか、最寄りの自治体や商工会議所、商工会、地域金融機関などが一体となりまして、そういった相談に乗りまして支援を行う体制でございます。現在、九百八十八の方々に参加をいただいて、支援機関をつくっております。
 具体的には、支援企業のニーズというのはそれぞれございますので、まず、海外展開の計画書の策定、市場調査、現地での商談会、そしてバイヤーの選定でありますとか、また現地に出ていったときの店舗の立ち上げ、また基準や認証制度への対応、その企業の進出の方々のそれぞれの段階において伴走型の支援をやっていこうという体制で臨んでおります。十一月十一日時点で二千百六十九社に対して支援を開始しているところでもございます。また、こういった情報を御存じない方が多数いらっしゃいますので、現在、四十七都道府県で百二十回にも及ぶ説明会を行いまして、情報の提供に努めているところでございます。
 引き続き、きめ細やかな支援体制を全力で取り組んでまいりたいと、このように考えております。
#22
○佐藤正久君 非常に分かりやすい説明をありがとうございます。
 このまさに専門家が大事なんです。専門家がいかに相談に乗るか、その体制を充実してほしいと思いますが、この写真の例にあるシンガポールに進出した納豆、これは納豆だけあって粘り強いPRで今回販路を拡大した。まず、フリーズドライの納豆、これが人気があるようです。さらにもう一枚、エビの加工機械。これは、エビというのは見栄えを良くするために筋を切って真っすぐに伸ばします。それは今まで人手でやっていたのを自動化して、さらにパン粉を付けるまで一連を自動化にした。まさにTPPによって水産物が取引が増えれば、この機械も多分輸出が増えるだろうという期待を持っている。これを今支援しているのが新輸出大国コンソーシアムです。
 今後、コンビニエンスストアの数が増えれば、当然そこに置かれる日本の商品も増えますし、日本食のレストランが増えれば、そこに置かれる日本酒の量も増えます。いろんな面で可能性は無限ですので、しっかり取組をお願いしたいと思います。
 次、資料二、これをお願いします。
 ただ一方、農林水産品の方が若干体制が弱いような感じがします。この資料二にあるように、やっぱり海外での拠点をつくってニーズを発掘すると同時に、国内の方でも農家任せではなくしっかりとした商品開発、これも大事だと思いますし、先ほど総理が言われたように、いい品種がどんどん流出していってしまう、国際条約というもののための登録をしていないために、ブドウやあるいはイチゴ、いいものはどんどんまねされて作られている、それを止めることができないという懸念事項もあります。
 今後の輸出体制の強化について農林水産大臣の見解をお伺いします。
#23
○国務大臣(山本有二君) これまで我が国の生産農家は国内市場への出荷しか考えられなかったわけでありますが、海外輸出という新たな選択肢を得ることができました。しかし、経験のないことでございますので、大切なのは先生御指摘のような適切なアドバイスということではないかと思っております。
 農林省とジェトロが一緒になりまして食品輸出の相談窓口を設けたところ、窓口には年間一万件を超える御相談が寄せられることになりました。それだけ意欲ある輸出への期待を持った農家がいらっしゃるということではないかというように思っております。
 特に、例えば九州の小さな小芋は出荷されずに畑にたたき込んでおったわけでございますが、香港では逆に小さなカンショの方がいいということで、捨てておったものが商品になったという例もございます。そんな意味では、海外市場のニーズ、これに合わせた生産及び商品開発、こういったことによって輸出が促進されるだろうというように思っております。
#24
○佐藤正久君 是非とも中小企業の海外進出と農林水産業の輸出拡大、これは非常にみんな期待が高い反面、非常に悩んでいる方が多いので、しっかり政府がやっぱり主導して取り組むということが、このTPP発効をにらんで今からやることが大事だと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、資料五、お願いします。
 ただ、その一方で、やっぱり海外における危機管理体制の構築も、これも併せてやらないといけないと思います。米国は全ての大使館に海兵隊員を配置しておりますが、私は、少なくともTPP締約国の十二か国を含む環太平洋の在外公館等には自衛官や警察出身の武官や警備員、警備対策官を増員して、進出企業への警備情報の提供とか相談、訓練支援を強化すべきだと思います。
 資料五にありますように、実際、TPP参加国十一か国の大使館のうち武官がいるのは、常駐しているのは僅か五か国だけで、特に南アメリカ大陸はもうTPP未参加国のブラジルに一名いるだけです。警備対策官、これは二百三十五公館等のうち三十一公館等に未配置であり、警備対策官が領事を兼務しているのは十八公館もあります。日本へのビザ発給等、領事業務が忙しくなれば、警備官業務、これが十分できなくなるのは明らかであります。本来は別々に配置すべきだと思います。この警備対策官の未配置と領事兼務の計四十九公館等に課題があると思います。これは全体の二〇%強になります。
 憂いあれども備えなしでは、やっぱり、外務大臣、駄目です。もうこれだけやっぱり海外での邦人が巻き込まれる事案が増えているという状況、さらにこれから海外進出の強化をするのであれば、この辺りの対策が必要だと思いますけれども、外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#25
○国務大臣(岸田文雄君) 今後、TPP等によって中小企業を含む日本企業の海外進出が進むということを考えますときに、こうした危機管理、安全管理、大変重要な観点であると認識をいたします。平時及び緊急事態発生時、こうした事態に際しましても十分な対応ができますように体制を整備していかなければならない、このように認識をいたします。
 その中で、この防衛駐在官の派遣につきましては、派遣元の防衛省とも協議の上、外交上必要に応じた適切な配置となるよう努力を続けてきましたが、今後、国際的な安全保障環境の変化を踏まえ、限られたリソースの中で適切な配置になるよう引き続き努力を続けていきたい、このように考えます。
 そして、警備対策官についても御指摘をいただきました。この警備対策官、これは在外公館の警備の要であります。危機管理の専門家として、あるいは警備の企画立案、情報収集、さらには日系企業関係者等への安全対策指導、こうしたものも行っております。
 こうした重要性に鑑みまして、今兼務につきまして御指摘もいただきましたが、是非、警備対策官の増員にも取り組み、適切な配置が行われ、そしてこの領事につきましても適切な配備に努め、より実践的な取組が可能になるように努力を続けていきたい、このように考えます。
#26
○佐藤正久君 是非ともよろしくお願いします。
 次に、TPPと東北の復興支援の関係について総理に伺います。
 私の出身は福島県の福島市の西部の方で、石原大臣には私の実家の近くまで行っていただき、あづま運動公園があるようなところなんですけれども、非常に中山間地域です。私の出た小学校は今全校生徒がもう二十六名という、市内でもそういう状況です。
 特に福島の場合は、やっぱり風評被害に加えて、お米の全袋検査に見られるように、やっぱり残留放射能検査もしないといけない。さらに、資料の三お願いします。先ほど来話があるように、外国の輸入規制というのもまだ現実に残っている。さらに、中山間地に行けば、元々平地が少ないとか、あるいは少子高齢化というハンディキャップもあります。
 今回のTPPによって被災地は取り残されてしまうのではないかという懸念がやっぱり一部に、総理、ございます。やはり、TPP発効をにらみながら、いかにして被災地、とりわけ福島のような中山間地域、これを支援するかという部分も大事だと思います。実際に、福島の阿武隈山系、これは平地が少ないために酪農とか葉たばこ農家が多いです。実際に、今全村避難を強いられている飯舘村やあるいは川俣町の山木屋地区もそうです。
 やはり、TPPによってこういう地域に光を当てるんだと、TPPの恩恵を被災地に届けるんだという総理からのメッセージを被災地に向けて一言お願いしたいと思います。
#27
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 被災地においても、このTPPを見据えて既に動き出している中小企業があります。先ほど申し上げました新輸出大国コンソーシアムを通じて、これまで、宮城県で五十九社、そして委員の御地元福島県の三十社、岩手県の八社を含め、全国津々浦々の二千社を超える今中堅・中小企業に支援を始めておりますが、この被災地におきましては、今申し上げました五十九社、三十社、八社ということになっておりますが、もっともっときめ細かく相談を展開しながら数を増やしていきたいと、こう思っています。
 被災地においては、例えば被災地水産加工の販路回復に資するよう、復興庁において被災地水産加工品等の輸出を視野に入れた先進的な取組を後押しするなど、輸出に取り組む事業者への一層の支援に努めています。また、原子力災害で被災された福島県の中小事業者一社一社を福島相双復興官民合同チームが戸別に訪問をして、様々なニーズに応える支援メニューを御紹介をし、活用をいただいています。言わば個々それぞれ状況が違いますから、戸別訪問、戸別訪問というのは基本でありますが、いろいろな面で基本でありますが、この戸別訪問をしながらしっかりと対応しているということでありまして、被災中小事業者に寄り添った支援に努めてまいりたいと、こう思っている次第でございます。
 原発事故から五年以上が経過しても、先ほど申し上げましたように、事故を理由に日本産食品等に対する厳しい輸入規制を設けている国があるのは大変残念なことであります。TPPが発効すれば、先ほど申し上げましたように、参加国は、SPS章というものがあります。このSPS章にあるルール、これは科学的根拠なしに輸入規制を掛けてはいけないということでありますが、このルールに基づく対応を求めることができますし、このため、新しく参加を希望する国に対しては、TPP参加を希望している国の中には輸入禁止している国があります。そういう国に対しては、これやめなければTPP入れませんよということは明らかになるわけであろうと思います。
 昨年十一月に取りまとめました総合的なTPP関連政策大綱に基づいて、今後とも、TPPの効果を我が国の経済再生、そして地方創生、そして被災地の復興にしっかりと役立てていきたいと、このように考えております。
#28
○佐藤正久君 力強いメッセージありがとうございます。
 戸別訪問は本当に基本だと思います。私も全国比例区の議員ですけれども、戸別訪問することによって、本当に目からうろこのような、現場のことが分かる、非常に大事な視点だと思いますので、是非ともよろしくお願いしたいと思います。
 次に、TPPは地域の安全保障にとっても重要だという議論がこれまでもなされています。本日、もう一つ、地域の安全保障上大事な閣議決定がなされました。これは、南スーダンPKOにおける駆け付け警護等の新たな任務付与に関してのものであります。
 まず、自衛隊派遣の意義についてお伺いいたします。
 南スーダンは世界で最も若い国の一つであり、PKOの当初の目的が国づくり支援であったように、国際社会の支援なくして統治機構や経済、インフラ整備もままなりません。南スーダンが更に不安定化すれば、周辺国とのバランスが崩れて更に難民が増大し、アフリカや世界にテロが拡散する可能性すらあります。すなわち、南スーダンの安定というのは、一国のみならず、周辺国の平和と安定、ひいてはアフリカ全体の平和と安定につながるものと考えます。
 私も二度南スーダンを訪れましたが、PKOにも六十か国以上の国々が要員を派遣し、治安が不安定な中、責任感を持ってスーダンの国づくりに汗を流している姿をじかに見てまいりました。
 一方、今朝、南スーダンがカオスに陥るという極めて現実的な見通しに関する、国連事務総長が強く懸念している等の記述が含まれる国連事務総長報告が発出されたというふうに聞いておりますが、国際社会として南スーダンの安定に向けた取組を継続すべきということは言うまでもありません。
 日本も国際社会の中でしっかりとその責任を果たしていくべきだし、自衛隊の派遣は文民支援共に日本の貢献を具現化する上で極めて大事だと思いますが、総理の御認識をお伺いします。
#29
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 南スーダンは最も新しい国連加盟国であり、独立してから間もない世界で一番若い国と言ってもいいんだろうと思います。独立をして、しっかりといい国をつくっていこうという中で、ただ、様々な状況、厳しい状況の中でもがいていると言ってもいいんだろうと思います。反政府勢力の存在や部族間の対立があること、また、約二十年にわたるスーダンとの武力紛争を経て独立に至りましたが、その間に使用された多数の武器が国内に出回っていることなどから、治安情勢は極めて厳しいのは事実であります。
 このような厳しい状況の中で、南スーダンは、自らの力だけでは平和と安定を確保することができません。だからこそ国連による平和維持活動が行われており、我が国も、専門的な教育訓練を受け、厳しい環境でも活動できる自衛隊を派遣し、自衛隊にしかできない仕事を行っています。
 国連の旗の下、国際社会が協力して南スーダンの平和と安定のため力を合わせています。地域ごとに見ても、アジア、アフリカ、南北アメリカ、ヨーロッパ、南太平洋の島国など、まさに世界のあらゆる地域から六十か国以上が部隊等を派遣し、南スーダンのために力を合わせているわけであります。
 南スーダンは、六か国と国境を接し、アフリカ大陸を東西南北に結ぶ極めて重要な位置にあります。南スーダンの平和と安定は、南スーダン一国のみならず、周辺諸国の平和と安定、ひいてはアフリカ全体の平和と安定につながるものであります。また、テロや難民問題も含め、アフリカの多くの国が苦しんでいる不安定と治安の問題を解決するという意味において、アフリカ全体の希望につながるものであります。
 このような意味で、自衛隊派遣は大きな意義があると考えています。このような自衛隊派遣は、南スーダン政府や国連を始め、国際社会からも高い評価を得ていることは我々にとっても誇りと言ってもいいんだろうと思います。
 今この委員会においては自由貿易について議論をしているわけでありますが、自由貿易というのは、この前提は、地域の平和と安定、自由な航行、移動ができなければそれは担保されないわけであります。これはまさに、南スーダンやその地域だけではなくて、世界にとって重要なことだろうと私は認識しております。
 南スーダンでは、現在も地方を中心に武力衝突や一般市民の殺傷行為が度々生じています。自衛隊が展開している首都ジュバについても、七月に大規模な武力衝突が発生し、今後の状況は楽観できず、引き続き注視する必要がありますが、現在は比較的落ち着いています。七月の衝突事案の後も、治安を理由に部隊を撤退させた国はありません。むしろ、国連は新たに四千人の地域保護部隊を創設をし、増派を決めるなど、国際社会は取組を強化しているわけであります。
 このような情勢認識については、稲田防衛大臣や柴山総理補佐官はUNMISSのロイ代表と会談し、同代表の認識が我が国の情勢認識と基本的に異なることはないことを確認をしています。
 そこで、今、佐藤委員から御紹介をいただいた、本日国連が公表した報告書の治安情勢の部分の内容も、実は同様に我が国と基本的に異なるものではないと認識しています。これは、言わば治安情勢の部分は私たちの認識と同じであります。
 そして、今、報告書の末尾には、事務総長の所見としてニューヨークにおいて書き加えられたものでありますが、ニューヨークにおいて潘基文事務総長の意見が記述されていますが、その内容は報告書全体の治安情勢の評価と一致しない部分があり、その趣旨、真意等を国連側に照会をいたしました。確かに、カオスというのは、随分これは強い表現であります。実際にカオスであれば我々は考えなければいけないわけでありますが、それについて我々は国連に照会をいたしました。
 その結果、国連側からは、当該部分の表現は、安保理が行動を取らなければ状況が深刻になるという趣旨であり、現在の南スーダンの状況がカオスであるという趣旨ではない旨、及び治安情勢の悪化が起きているのはジュバ以外、特に西部及び北部であり、ジュバは比較的安定している、ただし、引き続き情勢を注視する必要がある旨の回答を得ているところでございます。
 これに加えまして、他の安保理理事国や要員派遣国にも直接確認したところ、いずれも我が国とおおむね同様の認識をしているということで確認をしているところであります。
 いずれにせよ、まずは情勢認識については我々と変わらない。しかし、ニューヨークにおいて国連事務総長が付け加えた所見において強い表現があったので、それに対して我々は、これ果たしてどうなんですかと言ったら、正確性を期して向こう側から今言ったような説明があったわけでありまして、私といたしましては、今後、国連がこうした情勢について発表する以上、しっかりと正確なものを、分かりやすいものをちゃんと発表していただきたいと、こう思っている次第であります。
 政府としては、今後とも現地情勢について緊張感を持って注視をしていくわけであります。その上で、南スーダンにおいて、自衛隊の安全を確保し、意義のある活動が困難であると判断する場合には撤収をちゅうちょすることはありません。この点は明確に申し上げておきたいと思います。
#30
○佐藤正久君 まさに、冷静に情勢を判断しながら対応するということが大事だと思いますが、ただ、最近の国会やテレビの議論を聞いていると、南スーダンの治安情勢が厳しいことを理由に、法律で言う武力紛争が発生しているのではないかという主張が聞かれております。これは、派遣継続の二つの判断要素、すなわち実態面の判断と法的判断を混同している議論だと思います。判断要素は、一つに、要員の安全を確保した上で意義ある活動を行えるかという実態面の判断とPKO参加五原則を満たしているかという法的な判断、すなわち、実態面の判断と法的な判断は異なった判断要素であり、両者を区別して考える必要があります。
 民主党政権時代にも、ゴラン高原PKOにおいてPKO五原則は維持されておりましたが、要員の安全を確保した上で意義ある活動を行うことが困難になったという判断から自衛隊を撤収させております。このように二つの判断要素を分けて考えることは民主党政権時代を含め政府の一貫した考えだというふうに思いますが、現在、この二つの要素を混同した議論が見られることは派遣隊長経験者としても非常に残念に思います。
 実際に、法的判断にしていえば、民主党政権時代の二〇一二年四月、スーダン軍が南スーダンを繰り返し空爆するなど大規模な武力衝突が発生しましたが、その際も、私が提出した質問主意書に、野田政権は武力紛争は発生していないとの答弁書を閣議決定しています。
 ぎりぎりの判断だと思いますが、撤収せずに踏みとどまっているのは正しい判断だと思います。改めて総理から、南スーダンに自衛隊を派遣し活動を継続するに当たっての判断要素について説明をしていただきたいと思います。
#31
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員がおっしゃったように、自衛隊をPKOに派遣をし活動を継続するに当たって大きく二つの判断要素があるということでありまして、議論が分かりにくくなるのは、この二つの要素を混同させることによって非常にこれは分かりにくくなってきたのは事実であります。せっかくの機会でございますから、そのことを整理をさせていただきたいと思います。
 まずは、要員の安全を確保した上で意義のある活動を行えるのかという実態面の判断であり、もう一つは、PKO参加五原則を満たしているかという法的な判断であります。この二つは分けて考える必要があり、武力紛争が発生しているか否かはこのうちの後者の法的な判断であります。PKO参加五原則に関する判断は憲法に合致した活動であることを担保するものであり、そのような意味で法的な判断であります。
 具体的には、憲法第九条が、武力の行使などを、「国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と定めているように、憲法との関係では、国家又は国家に準ずる組織の間で武力を用いた争いが生じているかという点を検討し判断することとなります。仮にそのような争いが生じているとすれば、それはPKO法上の武力紛争が発生しているということになります。南スーダンの治安状況は極めて悪く、多くの市民が殺傷される事態が度々生じていますが、武力紛争の当事者となり得る国家に準ずる組織は存在しておらず、PKO法上の武力紛争が発生したとは考えていないわけであります。
 他方、もう一つの判断要素である実態面について申し上げれば、自衛隊は、現在も厳しい状況の下ではありますが、専門的な教育訓練を受けたプロとして、安全を確保しながら道路整備や避難民向けの施設構築を行うなど意義のある活動を行っています。危険の伴う活動ではありますが、自衛隊にしかできない責務をしっかりと果たすことができると、このように思います。このような自衛隊派遣は、南スーダンから高い評価を受けています。例えば、キール大統領及び政府内で反主流派を代表するタバン・デン第一副大統領からも自衛隊のこれまでの貢献に対して謝意が示されています。また、国連を始め国際社会からも高い評価を得ているところであります。
 しかしながら、政府としては、PKO参加五原則が満たされている場合であっても、安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と判断する場合には撤収をちゅうちょすることはありません。この点は本日の閣議決定においても初めて明記をしたところでございます。(発言する者あり)
#32
○委員長(林芳正君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#33
○委員長(林芳正君) 速記を起こしてください。
 佐藤君。
#34
○佐藤正久君 どうもありがとうございました。
 これまで、TPPと米国との関係、あるいは被災地支援、あるいは中小企業、あるいは農産品の海外進出等に対する政府の意見等を伺いました。
 今後とも、TPPについては非常に多くの国民が関心を持っておりますので、是非とも総理のリーダーシップ、これを発揮していただいて、いい方向に導いていただきたいと思いますし、外務大臣も外交力の真骨頂を発揮する大事な時期ですので、どうぞよろしくお願いします。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#35
○高橋克法君 自由民主党の高橋克法です。
 質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございました。
 トランプ・アメリカ大統領の誕生によって、TPP協定発効の見通しはまだどうなるか分かりませんが、交渉参加を決めた民主党政権においても今の政権においても、貿易に関する取決めであるTPPという手段を取ることが日本の国益にかなうという信念に基づいて交渉参加を決め、交渉を行い、大筋合意を経て署名の後に、現在は国内の手続を進めていると思います。
 十一月十一日の参議院本会議においても、民進党の浜口議員が、私たち民進党は、綱領にも定めたとおり、市場経済を基本とし、持続可能な経済成長を実現するために、TPPや日中韓FTA、RCEPなどの高いレベルの経済連携により、将来にわたる日本の経済成長を更に推し進めていきたいと考えておりますと述べられました。TPP議論の幹の部分というのは一致をしている。つまり、将来にわたる日本の経済成長を更に推し進めるために、TPPというのは手段としてしっかりと位置付けられているということだと思います。
 我々議員の議論というのは、どうしてもお金の分配の議論に偏りがちになります。もちろん議員の立場としてはそれでよいとしても、立場が変わって一国を預かる総理の立場に立てば、分配の議論の前に、分配する財源の確保、つまり、国をいかに豊かにするか、国富をいかに蓄積をするかということを真っ先に考えなければならないんだと思います。そういう意味で、総理は国の将来に責任を持つという使命感によってこのTPP問題に取り組んでこられたと自分は考えています。その考えを前提として質問に入ります。
 まず最初に、総理は我が国の将来に責任を持つという覚悟から、熟慮の上にTPPに対する判断をされたのだと思いますが、総理のお考えをお伺いいたします。
#36
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このTPPについては、言わば交渉参加するかどうかということについては、我々が野党のときからこの交渉は、交渉に参加するかどうかということについての交渉についてはスタートしたわけでございます。
 そこで、党内でも随分議論がございました。私の地元も農村地域であり中山間地域でありますので、比較的不利な耕作状況がございます。その中で果たして大丈夫なのかと、これは本当に真剣に考えたところでございます。私が初めての選挙のときにも、多くの農家の方々が私の手をしっかりと握る、農家の方々は結構強く握る人が多いわけでありますから、痛いとなっちゃうぐらい握るんですが、応援しちょるけ、農家を守っておくれよと。この言葉を私は絶対守らなければいけないと思って今日まで政治を続けてきたところでございます。
 その中で、例えば初当選のときに、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉の結果、ミニマムアクセス米として数々の国連決議があって、米は一粒たりとも入れないという決議があったにもかかわらず、ミニマムアクセス米を入れることが決定されました。当時、私はまだ若かったものでありますから、同僚議員とともに座込みをしたことがある、当時野党だったんですが、覚えております。
 しかし、そうやって一生懸命守ってきた結果、現在、農業も平均年齢は六十六歳を超えているという状況になっている。守るだけでは実は守れないわけでありまして、ここで大きく農政の大改革をしなければ、農政新時代をつくっていかなければ大切な農業を守っていくことができない。かつ、日本の人口は減少していく、消費者は減っていくんですから、新たな消費者を求めていく。
 それは、アジア太平洋地域の人口は増えていきます。このアジア太平洋地域の成長とダイナミズムを日本に取り込んでいくことによって日本は成長していくことができる。成長していかなければ税収は増えていかない。税収を増やしていかなければ将来伸びていく社会保障費の自然増にも対応できないんですね。大切な大切な社会保障を守っていくためにも私たちは成長しなければならない。そのためには、このアジア太平洋地域で生まれようとしている、基本的価値を共有する、普遍的価値を共有する国々とともに、公正で自由なGDP四割の経済圏をつくっていく必要がある、こう結論に達したところでございます。
#37
○高橋克法君 総理の決意が分かりました。当今の毀誉は懼るるに足らず、後世の毀誉は懼るべし。これは、多分佐藤一斎の言葉だったと思いますが、今はどのような批判を受けても、この国の将来のためになる、そして将来必ずや評価を受けるのだと思っています。
 次に、TPP大筋合意を受けて、アメリカそして日本においても経済的効果を含めた影響についての試算がなされていると思いますが、その結果はどうなっているのか、お伺いをいたします。
#38
○国務大臣(石原伸晃君) 数字だけ私の方から御報告させていただきます。
 昨年の末に我が国が行いました経済分析効果によりますと、TPPの効果が発生したと考えられる時点でのGDPの水準は二・六%増えます。二〇一四年度のGDPをこの二・六%に満たして換算をさせていただきますと、およそ十四兆円の拡大効果が見込まれます。それに伴いまして、雇用の方は一・三%増加いたしますので、これもまた二〇一四年度の就業者数を用いて換算すると、およそ八十万人の増が見込まれる、こういう試算をさせていただいているところでございます。
#39
○高橋克法君 TPP協定の光と影、日本経済に対する影響について質問いたします。
 どんな事例でもメリットだけという話は存在をいたしません。必ずメリットとデメリットが混在をしています。そこで、日本経済へのメリットとデメリットについてお伺いをいたします。
#40
○国務大臣(石原伸晃君) 高橋委員、光と影という形でメリット、デメリットについてというお尋ねだったと思っております。
 総理も先ほどお話をされておりますとおり、農業でも守ろうと思っても守り切れないものがあった、日本の人口構造を見ますと、減少化社会にあって、世界の成長、特にこの発展著しいアジアの成長をどうやって取り込むか、ここがポイントになってくると思います。TPP協定は世界のGDPのおよそ四割、八億人の人口という巨大市場をつくり出します。そこで、これも総理がかねがね申されておりますとおり、ルールメーキング、新しい二十一世紀型の貿易のルールを作る。一つの経済圏を構築する試みだと思っております。
 これまでの同僚の佐藤委員との議論の中でも、中小企業でも外に出ていきたいけれどもちゅうちょしている方がいらっしゃる、こういう人たちには十分手を差し伸べて、またこれも、総理のお話の中山間地域の農業についても、対策でしっかりと手を差し伸べてオープンな世界へ果敢に農業者の方も中小企業の方も踏み出す、そういうものを作っていくというのが一つ大きなメリットではないかと思っております。巨大市場を活用することで日本の経済が活性化する、これが大きなメリットだと思っております。
 TPPのルールは、日本が交渉いたしました結果、我が国のこれまで行ってきた商慣行等々に新たに様々なものを加えなくても我が国のもので対応できる、TPPのメリットというものが真に理解されるよう、しっかりと説明をしていかなければならないと思います。
 なお、一方、農林水産業、やはり中山間地域の方々をどう守っていくかということは実は対策でフォローをしていかなければならないものだと思います。その一方で、重要五品目につきましては関税撤廃の例外、原則関税撤廃ですから、そんな中で農林水産物については二割近くの例外を勝ち得た、セーフガード措置、国家貿易、こういうものを勝ち得たわけでございます。
 さらに、そこでまだ不安な方、その方々がデメリットを感じていらっしゃると思うんですけれども、そういう方々に対しては政策で、酪農業の方々あるいは牛や豚を飼育されている方々、様々な方がいらっしゃると思います、こういう方々に対してはしっかりと手を差し伸べていく、そしてデメリットと感じている方々の不安を払拭していくということに政府を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
#41
○高橋克法君 政府の試算でも明らかなように、農林水産物へのデメリットは間違いなくあります。そこで、確認のために質問させていただきますが、TPPの農林水産物の生産に与える影響はどのくらいなのか、重要五品目については具体的な数字を挙げてお答えをいただきたいと思います。
#42
○政府参考人(山口英彰君) 今般のTPP交渉におきましては、農林水産物について我が国は約二割の関税撤廃の例外を獲得し、そのほかにも長期の関税削減期間やセーフガード措置などを確保できたところでございます。
 さらに、総合的なTPP関連政策大綱に基づき、新たな国際環境の下においても生産者が安心して再生産に取り組めるよう、体質強化対策を集中的に講じるとともに経営安定対策の充実を図るなど、万全の対策を講じることとしております。これらによりまして、農林水産物の生産に与える影響につきましては、関税削減等の影響により価格の低下が生じるため、農林水産物の生産額は約千三百億円から二千百億円減少することになっておりますが、国内の生産量は維持されると見込んでいるところでございます。
 なお、重要五品目につきましては、お米につきましての生産減少額はゼロ、小麦につきましては約六十二億円、砂糖につきましては約五十二億円、牛肉につきましては三百十一億円から六百二十五億円、豚肉につきましては百六十九億円から三百三十二億円と見込んでいるところでございます。
#43
○高橋克法君 日本全体の経済効果はGDPの二・六%ですから、約十四兆円となると思います。
 一方で、日本農業は確実に痛むという事実が今説明がありました。だからこそ農業者の皆さんは大きな不安を持っていらっしゃいます。全体の利益のために一部を犠牲にしてそれでよしとする考えは政府にはないと思います。実際に、TPP対策を策定し、予算化を図って実行してきているというその事実もございます。しかし、まだまだ将来に対する不安は大きいままであるというのも残念ながら現実であります。これまでの農政に対する不信感が不安を増幅しているということなのかもしれません。
 そこで、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品について、その対策をお伺いしたいと思います。(資料提示)
 まず米です。
 今、米農家は二重の不安の中にいます。一つは人口減、そして消費減によって毎年八万トンの需要が減少しているという現実。さらに、今回のTPP交渉によるアメリカ、オーストラリア向けの国別枠の設定による輸入米によって、国産米の価格が更に低下をするのではないかという懸念。そういう状況の中で米に対してどのような対策を行っていくのか、お伺いいたします。
#44
○政府参考人(柄澤彰君) お答えいたします。
 米につきましては、厳しい交渉の結果、一キロ当たり三百四十一円の関税、すなわち六十キロ当たり約二万円の枠外税率を維持することといたしました。また、協定発効から十三年目以降、合計で最大七万八千四百トンということで、国内消費量の約一%程度の数量の国別枠の設置にとどめることができたところでございます。さらに、この国別枠は、枠数量分の米を必ず輸入することを約束しているものではございませんで、実際に枠数量が埋まるかどうかにつきましては、需給や価格水準を反映した入札結果によることとなっております。
 しかしながら、米の価格は品質及び需給によって決定されるという中で、仮に国内の米の流通量が国別枠による輸入量の分増加することとなれば、国産米全体の価格水準が下落するとの強い懸念がございます。したがいまして、国別枠の輸入量に相当する国産米を備蓄米として買い入れまして、国別枠の輸入量の増加が国産の主食用米の需給及び価格に与える影響を遮断することとしているところでございます。
#45
○高橋克法君 米の価格の肝というのは需給関係にあります。そのことからすると、需給をしっかりと締めるという意味では、現在、政府が行っている、農水省が行っている飼料用米、これは非常に現場でも評価は高いんです。そういう制度でありますので、米の価格の肝である需給関係ということを考えると、この飼料用米については制度の恒久化が必要だと思いますし、現場の声もそういう声が非常に多い。
 さらに、最近余り言われなくなりましたけれども、米粉の普及。私、昔地元の小さな町の町長のときに、この米粉というのが、普及させようという運動になりまして、もう学校給食のパンを始め、米粉が使えるものは何かということで大分努力をして取り入れたという記憶があるんですが、最近どうも米粉という言葉余り聞かないんですね。今でも行われているんですよ。
 そういうことで、飼料用米の恒久化、さらに米粉の普及というのをもう一度力を入れるべきではないかと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
#46
○政府参考人(柄澤彰君) 今委員御指摘のように、我が国におきましては主食用米の需要が毎年おおむね八万トンずつ減少しているという状況でございます。そういった中で、食料自給率や食料自給力の向上を図るために、主食用米から麦、大豆、飼料用米、さらには今御指摘の米粉用米などへの転換を行っていくいわゆる水田のフル活用の政策を進めているところでございます。
 そういった中で、飼料用米につきましては、昨年三月に閣議決定いたしました食料・農業・農村基本計画におきまして、平成三十七年度に百十万トンとするという生産努力目標を掲げ、それに向けまして水田活用の直接支払交付金による支援などによる生産性の向上ですとか生産努力目標の確実な達成ということを明確に位置付けております。政府といたしましては、この閣議決定を踏まえまして、農業者の方々が安心して飼料用米などの生産に引き続き取り組めるように努力をし、また必要な財源をしっかり確保してまいりたいと思います。
 また、今御指摘の米粉につきましても、昨年三月の食料・農業・農村基本計画におきまして、平成二十五年度の約二万トンの生産量を平成三十七年度には十万トンにするという生産努力目標を設定しております。米粉の利用につきましても、この生産努力目標の確実な達成に向けまして、多様な用途に対応した加工技術の改良、開発及びその普及による加工コストの低減、あるいは新たな米粉製品の開発等の取組を政府として推進しているところでございます。
#47
○高橋克法君 今の御答弁で、農業者の皆さんが安心して飼料用米に取り組めるというふうにしていきたいということは、恒久化についても、はっきり申されませんでしたけれども、当然そういうことも含めてこれから組立てをしていかなければならないという基本的なスタンスであるというふうに私は理解をしましたので、どうぞよろしくお願いします。
 次に、麦であります。
 麦の経営所得安定対策の財源の一部には麦のマークアップ収入が充てられております。総合的なTPP関連政策大綱には引き続き経営所得安定対策を着実に実施をするとありますが、TPP協定が発効すると、輸入麦のマークアップの削減によって経営安定対策に必要な財源が不足するんではないのかという懸念が現場にはあります。
 そうじゃなくても、飼料用米についても財務省との財源の交渉というのが厳しいというようなことも聞いておりますので、麦の経営安定対策についてはTPP発効後の政府の対応をどうしていくのか、お伺いしたいと思います。
#48
○政府参考人(柄澤彰君) 御指摘のように、麦につきましては、現在販売価格が生産コストを恒常的に下回っているという状況でございますので、外国との生産条件の格差から生じる不利を補正するために、いわゆる経営所得安定対策という対策でコスト割れを補填するいわゆるゲタ対策という交付金を交付しているところでございます。
 この対策の財源につきましては多くを麦のマークアップ収入によっているところでございますが、今般のTPP合意におきまして、この麦のマークアップ収入につきまして、協定発効後、九年目までに原則としてマークアップを四五%削減するということになりました。また、マークアップの引下げに伴いまして、輸入麦の価格の下落が国産麦の販売価格に影響を及ぼすことも懸念されているところでございます。
 このため、先ほど御指摘がございましたとおり、平成二十七年十一月のTPP関連政策大綱におきましては、「マークアップの引下げやそれに伴う国産麦価格が下落するおそれがある中で、国産麦の安定供給を図るため、引き続き、経営所得安定対策を着実に実施する。」ということが規定されております。
 また、御指摘の財源でございますが、この財源につきましても、同じ政策大綱におきまして、「農林水産分野の対策の財源については、TPP協定が発効し関税削減プロセスが実施されていく中で将来的に麦のマークアップや牛肉の関税が減少することにも鑑み、既存の農林水産予算に支障を来さないよう政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保する」ということが明確に記載されております。これに即しまして必要な予算を確保してまいりたいと存じます。
#49
○高橋克法君 麦の懸念材料についてよく御存じでよかったです。そして、政府全体で対処していくんだということ、政府全体ですから、農林水産省だけの問題ではないということですね。よろしくお願いします。
 次は、牛肉・豚肉、乳製品についてお伺いします。
 牛肉については、関税の削減によって、輸入牛肉と競合する乳用種を中心に国産牛肉全体の需要減少であるとか価格下落が懸念されるほか、輸入が急激に増えたときに発動するセーフガードの実効性を疑問視するという指摘もあります。
 豚肉の輸入では、輸入業者が高価な部位と安価な部位を組み合わせて輸入するいわゆるコンビネーション輸入が一般的に行われていますが、このことによって安価な輸入豚肉の大量流入を抑制しているという側面もあります。差額関税制度が維持をされたことによって、TPP発効後も引き続きコンビネーション輸入が行われるというふうに思いますけれども、低価格帯に適用される従量税が削減されたことで安価な部位の輸入が拡大される可能性も、これも指摘をされているところです。
 乳製品につきましては、近年、国内でのバターや脱脂粉乳の供給不足が慢性化をしており、TPP枠の新設によって供給不足がある程度解消されるとの期待がありますし、TPP枠を超えて乳製品の輸入が急増する可能性は低いのではないかと言われていますが、ホエーやチーズ等の関税の撤廃によって長期的には国内の加工原料乳価格が下落する可能性があり、酪農経営への影響が懸念をされているんです。
 そこで、このような状況の中で、牛肉・豚肉、乳製品に対する対策はどのようなものなのか、お伺いをいたします。
#50
○政府参考人(枝元真徹君) お答え申し上げます。
 TPPにおけます畜産物への影響でございますけれども、長期間の関税削減期間の確保ですとか、御指摘ございました豚肉の差額関税制度の維持など交渉で獲得いたしました措置や、アジアなど我が国以外の牛肉・豚肉の需要が急激に伸びており、他の輸入国との買い付け競争が激しくなる可能性もございます。また、乳製品につきましては、バター、脱脂粉乳は近年の国家貿易の追加輸入量の範囲内で関税割当てを設定したこと等から、牛肉・豚肉、乳製品につきましては当面は輸入の急増は見込み難いと考えてございます。
 しかしながら、今御指摘いただきましたようなことから、長期的には価格が低下することも懸念されるというふうに考えてございまして、畜産クラスター事業等の体質強化対策を強力に推進することといたしまして、平成二十八年度補正予算におきましては畜産クラスター事業に六百八十五億円を措置したところでございます。
 さらに、このような体質強化策を講じましても対応できないような価格下落が将来生じた場合に備えまして、経営安定対策といたしまして、牛肉・豚肉については牛・豚マルキンを法制化した上で補填割合を八割から九割に引き上げる、豚マルキンの国庫負担水準を国一対生産者一から国三対生産者一に引き上げることといたしました。
 また、乳製品につきましても、加工原料乳生産者補給金制度の対象に生クリーム等の液状乳製品を追加し、補給金単価を一本化することとしたところでございます。
#51
○高橋克法君 るる対策を、パネルにもありますように、概要がありますが、政府としては打っている。ただ、今答弁にもありましたが、状況が刻々と変化する中で新たな問題が出てくる可能性もあるわけで、その辺のところは機動的に対応できるように。
 先ほど申し上げましたけれども、TPPは全体として十四兆円の経済効果があると試算されている、これはアメリカが出している資料でもそう言っていますから、ある程度の正確性はあるんだと思います。ただ、一部間違いなく農産物については痛みが出る。だから、先ほど言ったように、一部の痛みをそのままにして、一部が痛んだまま全体が繁栄すればいいんだって、これは日本人、日本の国柄に合いませんからね、この考え方は。日本人は、自分だけがいいじゃなくて人様も良くて自分もいいという、そういう精神性を持った国民なんだと思うので、農業分野が痛んで、それで国全体が栄えていいことには絶対なりませんから、その辺のところをしっかりと御認識をいただいて対策を取っていただきたい、そうお願いを申し上げます。
 次に、今までデメリットの、マイナスの話ばかりしてきましたけれども、実は、農業分野においてデメリットがあるということは、逆に言えば、見方を逆にすれば日本の農産物輸出が有利になるということに間違いなくつながるわけで、これは有効に生かさなきゃならない。そのために、輸出拡大のための戦略をお伺いしたい。先ほど佐藤先生の質問でも関連で出ていましたけれども、それについて戦略をお伺いしたいと思います。お願いします。
#52
○副大臣(齋藤健君) 高橋委員御指摘のように、これから輸出を増やすということは、これから人口が減少していくことが見込まれる我が国におきまして極めて重要な政策だと思っております。
 現在、農林水産物・食品の輸出額は平成二十七年に七千四百五十一億円というふうに順調に伸びてきておりますけれども、実はこのうちTPP参加国向けは千九百八十三億円となっておりまして、全体の二六・六%を占めておりますので、我が国の重要な輸出先であろうと思います。
 TPP交渉におきましては、こういう状況を鑑みまして、我が国が世界に誇る牛肉、水産物、米、日本酒、お茶、これを輸出拡大の重点品目として位置付けまして、相手国の関税撤廃を何とか獲得していこうという交渉をいたしましたが、その結果、これらの重点品目につきましては全て関税撤廃を獲得することができました。これは、今後、輸出促進において大きなチャンスになるんだろうと思っております。
 こういうことを生かすために、政府といたしましては、平成三十一年の農林水産物・食品の輸出額一兆円目標の達成に向けて、今年五月に農林水産業の輸出力強化戦略というのを策定いたしまして、各般の政策を実行していくという戦略的取組を行うことになっております。
 具体的には、まず一つは、海外市場のニーズ把握や需要の掘り起こし、これに向けたプロモーションを実行していくと。それから二つ目は、販路開拓のための相談体制の強化や商談会出展等への支援、これ先ほど新輸出大国コンソーシアムの話がありましたけれども、そういうものも活用していただきたいと。それから三つ目は、ハード面の整備といたしましても、コールドチェーンの整備など物流の高度化へも支援をしていきたいと思っておりますし、また、輸出先国のいろんな規制がございます、輸入規制、これを交渉によりまして撤廃を獲得していくという努力もしていかなくちゃいけないということで、各省いろんな取組を行いながら総合的に輸出促進に向けた環境整備をしていきたいと思っております。
 高橋委員の御地元の栃木県では、とちぎ農産物マーケティング協会、この協会がジェトロによる商談会なんかを活用いたしまして、JAグループや県内の輸出事業者と連携して、牛肉、梨、ブドウ、これらの輸出拡大に取り組んでおられまして、これ順調に伸びてきていると認識しておりますので、これからも側面サポートをしていきたいと思っております。
#53
○高橋克法君 是非引き続きしっかりとした戦略を策定いただいて実行していただきたいし、戦略は大事なんですが、戦略の先にある現場、最先端で動く人間、先ほど佐藤先生のお話にもありました、キッコーマンがなぜ普及していったか。キッコーマンの社員の方々が一軒一軒足を棒にして汗を流して歩いて、そして商品の良さを理解していただいたというお話ありました。
 そういう意味でいうと、お手元に今日資料を配付させていただきました。地元の下野新聞という新聞のコピーでございます。これは十一日の記事なんですが、実は今日、十五日、ロシアのモスクワにあります在ロシア日本大使館主催のレセプションがあるそうで、七百人の政官財界の方々が出席されると。そのレセプションにJA全農とちぎと栃木県が県産のスカイベリー、梨の「にっこり梨」、また本県のブランド米の「とちほのか」などを提供して県農産物をPRするということなんです。
 調べましたら、今モスクワは大変な日本食ブームであって、モスクワ市内だけで六百店以上の日本食料理店があるそうなんですね。そういうこともあるのかもしれませんが、そういうレセプションにJA全農とちぎと県が共同で食材を提供する。実はこの食材提供の道を開いたのが、我が栃木県第二選挙区の西川公也衆議院議員がロシアのモスクワの在ロシア日本大使館を訪れた際に是非どうだろうかという御提案をして、受け入れてくださったということなんです。
 まさに大使館というのはそういう機能も持っているわけで、そういう意味で、これは一つの参考事例としてお話をしましたけれども、岸田大臣、質問通告していないんですけれども、これロシアの在日本大使館がこういうことをやってくださったということで、外務大臣としての御所感をお伺いできればと思うんですが。これ、質問通告ないんで申し訳ありません。
#54
○国務大臣(岸田文雄君) 全世界にあります我が国の在外公館、これは我が国の外交にとりまして拠点として重要な存在でありますが、それぞれの外交における拠点を活用する観点から様々な取組を進めています。そしてその一つが、海外に進出する様々な動き、企業であり、あるいは地方自治体であり、様々な団体、こういったものを支援していく、こうした取組であると認識をしています。そのために在外公館を活用する、あるいは外交のノウハウをしっかりと共有する、こういった取組、これは全世界で進めています。
 今委員の方から御紹介いただいたロシアの取組、これも大変重要な取組であると思いますし、一つの良い例であると考えます。是非こうした取組、引き続き全世界で、そして様々な分野で努力を続けていきたい、このように考えます。
#55
○高橋克法君 大臣、済みません、質問通告ないのに求めまして。ありがとうございました。
 次に、今のことにも関係するんですが、御存じのようにユネスコで和食が世界文化遺産に登録をされた、また、健康志向ということもありまして日本食の人気が大変世界中で高まっている。二〇〇六年には四万二千店のお店しかありませんでしたけれども、二〇一五年には八万九千店の日本食レストランが世界に展開し、二〇〇六年と比べると二倍になっています。
 ジェトロのホームページによりますと、先ほどの話じゃないですが、現在、ロシアでは日本食が大変人気があるそうなんですね。これは高級の専門店だけじゃなくて、大衆向けチェーン店やカフェなどでも日本食を提供する店が増えていて、モスクワではさっきも申し上げたように六百店以上の店舗があると言われているんです。
 ただ、残念なことに、日本食、本当の日本食という言い方が正しいかどうか分かりませんが、それを知らない客層の方々がターゲットになるものですから、何といっても日本食といえばうまい米なんです。うまい栃木県の米なんですよ。しかし、どうしても、日本と比べて安い中国産や台湾産などのアジア産の米を提供しているということなんだそうです。
 これは多分モスクワだけの問題じゃなくて、日本食レストラン、世界中にある日本食レストランを取り巻く共通の状況ではないかと思います。日本食ブームにもかかわらず、日本食の重要な食材である日本の米が高価で手に入らない、又は、値段の問題はいずれにしても、流通がないから手に入らないというのは何とも皮肉な話なんです。
 そこで、米の輸出の問題についてお伺いいたします。
 米の輸出については、私の地元の農協の組合長ともお話をしましたが、各JA単位、農協単位とか県単位では、やはりやることに限界がある、コストも掛かるということで、オールジャパン、全国で、日本の米、それは各地域によって特色はあるかもしれない、栃木県のコシヒカリが一番だと僕は思っていますけれども、ただ、それは特色があるかもしれないが、オールジャパンで日本全体として米の輸出をするような機構ができないだろうか、全農や国と協力し合ってという提案を受けたんですが、そのことについてお伺いいたします。
#56
○政府参考人(柄澤彰君) お答えいたします。
 まず、足下の米の輸出量でございますが、昨年は七千六百四十トンと、前年から六九%増ということでございますし、本年に入っても高い伸びを維持しているところでございます。こういった中で、今後とも米の輸出拡大を図るためには、まさに委員御指摘のとおり、オールジャパンの体制で取り組んでいく必要があるということは共通の認識を持っているところでございます。
 そこで、米の生産者、集荷事業者、あるいは日本酒やお煎餅などの加工業者などが広く参加いたします輸出促進のための全国団体を実は平成二十六年十一月に立ち上げたところでございます。この団体におきまして、統一ロゴマークの開発ですとかオールジャパンでのプロモーションを推進しているところでございます。
 これに加えまして、本年五月に策定いたしました農林水産業の輸出力強化戦略におきましては、海外マーケットの現地ニーズに応じまして、機能性成分を売りにした商品や、炊飯器がなくても日本で食べるのと遜色なく食べられる、いわゆるパック御飯などの加工形態での商品など、いろいろな売り方の多様化、あるいは、国内におきまして、担い手への農地集積なり生産資材費の低減などによる生産コストの削減といったようなことを通じまして輸出を伸ばしていこうという政策を取っております。
 さらには、今委員から御指摘ございました、今後、品目横断的にも海外のニーズを詳細に把握して、オールジャパンで統一的、戦略的なプロモーションなどを行うための新たな体制の整備も取り組んでまいりたいということでございます。
#57
○高橋克法君 引き続きしっかりとよろしくお願いいたします。
 次に、TPPは市場経済の原則にのっとるのに対して、食料安全保障の概念は市場経済原則に委ねては危険であるという、考え方としては全く逆のベクトルを持っているんだと思います。しかし、この二つは両立をさせなければなりません。本来、食料は一〇〇%自給できることが望ましいんですが、現実には今、日本では三九%。そして、そのことからいうと、国民に食料を安定的に供給することが最も重要で基本的なこととなります。
 我が国は、戦後の高度経済成長の過程で食料等の輸入を増大して豊かな食生活を実現してきましたが、例えば一九七三年の米国による大豆輸出規制、ちょうど私は中学生ぐらいでしたけれども、このときには店頭からお豆腐がなくなるような事態になりましたが、そういった輸入の確保に支障が生じる事態も懸念をされます。
 アメリカには輸出管理法という法律があって、国家安全保障上の理由や外交政策上の理由で大統領が農産物輸出禁止命令を出すことができるということになっていますが、そういう状況の中で今般TPP協定が大筋合意をいたしましたけれども、我が国の食料安全保障はしっかりと確保されるのかどうか。どうしても食料安全保障の議論というのは余り聞かれないものですから、政府の見解をお伺いいたします。
#58
○副大臣(齋藤健君) 食料を将来にわたって確保していくということは国家の最も基本的な責務であると考えておりますし、このためには、国内生産の増大をしっかり図っていくことを基本として、そしてこれと輸入と備蓄を組み合わせて安定供給を確保するということを基本といたしております。
 実は、今回のTPP交渉におきましては、農林水産物について我が国は約二割の関税撤廃の例外、これを確保いたしましたが、それと同時に、この交渉の結果といたしまして、実は、食料輸出国が輸出禁止制限措置を講じる場合、原則六か月以内に終了しなければならないという規定がこの交渉結果、盛り込まれることになっておりまして、これは実は現在WTOでもその手のものはあるんですけど、それよりも一歩踏み込んだ規定がこの中に設けられているということでありますので、一定の前進が図られているんだろうと思います。
 さらに加えて、総合的なTPP関連政策大綱に基づきまして、新たな国際環境下におきましても生産者が安心して再生産に取り組めるように、もう先生御案内のように、体質強化対策や経営安定対策の充実、これらを図ることによりまして万全の対策を講じるということにしておりますので、今般のTPPにつきましてもこれらを総合的に実施することによりまして、我が国の食料の安定供給、しっかり確保していきたいと考えております。
#59
○高橋克法君 ありがとうございました。
 多分最後の質問になると思いますが、全農、指定生乳生産者団体制度等の改革について最後にちょっとお伺いしたいんです。
 先週の十一月十一日に、内閣府の会議である規制改革推進会議農業ワーキング・グループにおいて、農協改革に関する意見及び牛乳・乳製品の生産・流通等の改革に関する意見が取りまとめられました。私自身としては、改革をしなければならない必要性というのは確かに存在をいたします、ただ、そのワーキング・グループからの意見の内容を読みまして危惧を抱いている一人でありますけれども、今後どのように対応するのか、農林水産大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#60
○国務大臣(山本有二君) 十一日のワーキング・グループの取りまとめは、七日に規制改革推進会議で総理から御指示のあった点を踏まえた取りまとめでございます。総理は、あくまで農家所得を向上したいという一心で農業改革、農協改革に取り組んでいらっしゃるわけでございますが、まず生産資材の購買事業の見直しをしていただいて、農家が機械を買うときにもっと安く買えないかということ、それから、全農が中間流通中心の販売体制を、委託販売することによって、言わば農家の立場に立てないんじゃないかと、買取り販売に変えてくれないかという立場でございます。
 そして、先生御指摘の牛乳・乳製品の生産、流通の改革に関しましては、指定団体たる農協だけが補給金を交付する相手というようなことではなくて、意欲ある生産者が公平にその補給金を交付してもらえる、すなわち新規参入の機会も意欲ある方には言わば提供していくというような改革が必要なのではないかと、こういうことでございまして、全農も農協もそれぞれ自己努力をしていただいておるわけでございますから、今後、そうした点も踏まえながら、与党の皆さんの御意見もいただき、改革を進めたいというように思っております。
#61
○高橋克法君 間違いなく、現場でJAの方々とか全農の方々、もう危機感を持ってやっぱりこれまでのことを変えなければいけないという高い意識で動いていること、事実なんです。
 それはまず御認識いただきたいんですが、ただ、このワーキング・グループからの意見を読みますと、農協改革集中推進期間において農協が自己改革により目指すべき姿を示しましたということで結ばれているんですね。ただ、中を読んでみると、例えば、一年以内に委託販売を廃止し、全量を買取り販売に転換すべきでありますとか、自分の名義で信用事業を営む地域農協を三年後を目途に半減させるべき、ちょっと私にすれば乱暴な意見なのかなという思いがあります。特に気になったのが、大臣、この文章の中に「全農も、協同組合組織である間は、」と書いてあるんですね。これ、何か協同組合でなくなることを前提とするような記述なのかというと、これはちょっと踏み込み過ぎなのかなというふうに思います。
 ただ、先ほど申し上げたように、改革する必要は絶対あるんです、それは現場の人たちも分かっていますから。だから、これらのことも含めて、自民党はもちろんですけれども、自己改革を進めているJAグループの皆様とも十分な協議を強く求めたいと思っています。
 また、指定生乳生産者団体制度についてですが、この制度の歴史的経緯とか、指定団体が果たしてきた需給調整によって安定した需給や価格が実現をしているから、指定団体に属さないアウトサイダーと呼ばれている生産者が成り立っているという面、これは軽視してはいけないんだと思います。
 かつてイギリスで行われたMMB、ミルク・マーケティング・ボードの解体によるその後の結果、これらも私たちに歴史の教訓というのを教えてくれているんだと思うんです。
 この問題についても生産者の声を最も尊重する必要があると思いますのでよろしくお願いしたいし、協同組合の理念というのは、一人は万人のために、万人は一人のために、公益を考えて真面目に行動する方々がばかを見るような制度は社会を劣化させますから、その辺のところを御認識いただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。
    ─────────────
#62
○委員長(林芳正君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、石井苗子君及び行田邦子君が委員を辞任され、その補欠として石井章君及びアントニオ猪木君が選任されました。
    ─────────────
#63
○田名部匡代君 民進党の田名部匡代でございます。今日はよろしくお願いいたします。
 まず冒頭、国会の中にもいろいろと最低限のルールというものがあろうと思います。この委員会はTPPに関して議論をする場であります。先ほど自民党の佐藤委員から全く関係のない南スーダンの御質問がなされました。まあ、そういうことをそちらもやったんだからこちらもといえば、まさにこれはぐちゃぐちゃになるわけでありますから、そういうことはいたしませんけれども、やっぱり最低限のルールというものを守って、お互いそこのところはしっかりと守り合っていい議論をしていくべきではないかなと、そんなふうに思っています。そういう意味で、佐藤委員に猛省を促したいと、そのように思っています。
 今日、質問するに当たりまして、私も三年半ずっと国会を離れておりましたので、いろいろとこれまでの議論を含めて、どういう問題点があったのかな、資料を読もうと思ったら、本当に、いや、幅広い分野なだけではなくて、物すごい量の資料でありまして、それを読み切るというところまでなかなか行き着かない。そして、読んでいっても、その裏側に隠されているものは一体何なんだろうか、そんなことがなかなか読み取れないというような状況でありました。まさにその全体像を把握するというのは非常に難しい。まさに、世論調査で、直近のNHKの調査でありますけれども、国民の皆さんが、反対そしてまた分からないという方々が七割、その国民の皆さんの分からないという気持ちがよく理解できるわけであります。
 そして、これまでの議論、議事録も読ませていただきました。これがまたますます分からない。閣僚の皆さんの、大臣の皆さんの御答弁が、なかなか質問に対する答えになっていないのではないかなということを感じるわけです。何にも不安に答えていないし、また、いろんなところで秘密というか情報が十分に出てきていないわけで、こんなに隠したいことがあるというのは、よほど何か隠さねばならないことでもあるのではないかという不信感が増すばかりでありました。
 この交渉に入る前、まさにそういった不安ということも含めて、自民党を始めほかの党の皆さんも、しっかりと国益を守ろうということで国会決議がなされたと思います。そこには与党も野党もなかっただろう、真剣にこの国の利益を考え、そして未来を考えていたのだろうと、そんなふうに思うわけですけれども、残念なのは、政権に就かれた途端、一緒になって鉢巻きを締めて拳を上げていた皆さんの中から反対のハの字、ハの声も聞こえなくなった。
 内心はどう思われているのか分からないですけれども、私は、これだけこの国会で多くの問題が指摘をされている、しかもアメリカの大統領選挙で状況は変わったわけであります。ここはしっかりと立ち止まって、そして国益を真剣に考えるときではないのかな、そんなふうに思うんですけれども、衆議院では強行採決。
 昨日、我が党の委員からの質問に対しまして、総理は、強行採決はしていないんだと、強行採決だと思っていないというようなことをおっしゃっておられましたけれども、何やら今日の新聞、マスコミ報道を見ますと、御党の、自民党の国対委員長が、衆議院では強行採決がされた、ぐちゃぐちゃになっちゃった、そんなことをおっしゃっておられました。残念だというふうにおっしゃっておられたんですね。残念だとおっしゃったということは、できれば強行採決をせず、もう少し議論を深めたいと思っていらっしゃったのかもしれない、しかしその意に反して何か力が働いてこういうことになっているのかな、そんなことも勝手に想像をするわけであります。
 単純に、アメリカの大統領選挙が終わってトランプさんが誕生したその時点で、総理に対して、ここは一旦アメリカの状況を見極めようじゃないか、そんなことをおっしゃった方はおられないのかなと、本当にそんなふうに、本当にそこは疑問に思うんですね。
 総理、通告をしておりませんけれども、そういう方はいらっしゃらなかったのかどうか、教えていただけないでしょうか。
#64
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大統領の今までの発言ということについては私も承知をしておりますし、多くの人たちが認識をしているんだろうと、こう思います。
 しかし、この大統領が当選をし、このTPPの大筋合意の中身が変わったわけではないわけでございます。要は、米国がそれを批准するかどうかが残っているわけでございまして、これはまさに米国の議会が判断することであり、新しい大統領が判断することであります。
 私たちは、このTPPを批准すべきだと、こう思っているわけでございますから、私たちは、私たちのそれは国益につながっていく、アジア太平洋地域の利益にもつながっていくと、これは確信を持っておりますから、当然その確信の下に粛々と議論していくべきだろうと、こう考えているところでございます。
#65
○田名部匡代君 何か私からすると、結婚しようと言っていた相手が、やっぱり結婚したくないんだと、そう言っているのに、その気持ちに構わずお構いなしに披露宴の準備をしているような……(発言する者あり)全然違う。例えが悪かったですかね。ある意味、トランプさんは嫌だと、しないんだと言っているのに、何か一生懸命になっているような、勝手にですね、そういうふうに進めているような気がしてならないんです。
 私は、もっともっと実は大事な議論がいろいろあるんだろうというふうに思っていますし、これはいい機会なので、是非とも、どういう問題が今国内にあるのか、そして国民の皆さんがどういう不安を抱えていらっしゃるのか。
 私も、ふるさと青森に毎週帰っておりまして、私は青森が大好きです。総理も、今年も三度、そしてこれまでも何度も青森にお越しいただいていると思います。青森がどんなにすばらしいところか総理もよく知っていらっしゃるんじゃないかなというふうに思うんですね。でも、その目で見る美しさとは違って、そこにある生活の苦しみ、不安というものは本当に切実です。そして、私はそういう皆さんの思いを託していただいて今この場に立っていると思います。ですから、できるだけそうした皆さんの思いが少しでもこの国会に届くように、そして受け入れていただけるように、一生懸命質問してまいりたいと、そんなふうに思っています。
 私の出会った方々というのは、何も特別なぜいたくを望んでいるわけではないと、私はそう感じているんですね。ごくごく当たり前の安心だとか安定だとか、そういうことを求めていらっしゃる。本当にたくさんの涙と出会うんです、助けてくださいというような、分かってほしいという。拝むように手を合わせて、何度も何度もおじぎをしたおばあちゃんとも出会いました。普通に農家をやって暮らしていければいい、漁業をやってそれで安心して生きていければいい、医療や老後や子育てやそんなことに何にも心配しないであの美しい青森で暮らしていければいいというのが、私は、地方で暮らす人たちの思いなのではないかな、そんなふうに思うんです。
 先ほど委員会が始まる前、石原大臣から青森のことを褒めていただきました。青森のお米はおいしいね、青森のお酒も飲んでいるよ、そんなふうに言っていただきました。とてもうれしいです。まさにそれが青森の誇りであり、青森の文化であり、青森の守るべきものだな、そんなふうに思っているんです。
 ただ、やっぱりこのTPP、いろいろ議論していくと、もちろん全てが駄目だということではないと思います。メリットの大きい分野もあろうと思うんです。でも一方で、大きなデメリットがある分野もある、それはまさに農林水産業が一つであろうと思っているんですね。
 山本大臣、以前、御発言で、国民の皆さん、全ての国民の皆さんが御納得いただけるまで議論したいと、そうおっしゃっていただきました。御冗談でしょうか。本気でそう思っていらっしゃるなら、私は、農水大臣としてこの国の農林水産業を守る本当に責任あるお立場ですから、安倍内閣の一員だとしても、本当にそれで国民を守ることができるのか、地方を守ることができるのか、真剣にお考えをいただきたい、その暮らしに責任を持っていただきたいというふうに思うんですが、いかがですか。
#66
○国務大臣(山本有二君) このTPPの審議における私の立場というのは、輸出促進という面もあるかもしれませんが、そして同時に、中小零細な農家の不安を払拭するというものが私は大半でなければならないというように思っております。
 その意味において、丁寧に説明し、まさに委員御質問のようなきちんとした議論を尽くさせていただいて、その不安を払拭することができればという理想に立っておる次第でございます。
#67
○田名部匡代君 そういう意味では、そもそもなぜこんなふうに皆さんがいまだに不安に思っていらっしゃるかというのは、当初、政府が出された試算の中にも、影響額の試算の中にもあると思うんです。私はそれは非常に甘い試算だと思っています。大臣はどうお考えですか。
#68
○国務大臣(山本有二君) このTPPと申します概念に、私は三つあるような気がしてなりません。一つは、TPPの合意前の試算という意味での不安を背景にした試算、三兆円の損失があるというものが一つ。もう一つは、合意をして、セーフガード等、国会の決議を後ろ盾に一生懸命交渉した挙げ句、やっとたどり着いた我が国の利益のその成果、これが二番のTPP。三番のTPPは、昨年のその政策大綱によって国内対策をしたTPP、加えて、補正予算二回ありましたが、この補正でもって国内対策をした後のTPP。
 そういう意味では、一、二、三あるわけでございますが、この三に立って考えたときに、私は不安はかなり大幅に払拭できたという充実感を持っております。
#69
○田名部匡代君 それが甘いのではないかというふうに申し上げているんですね。例えば、セーフガードだっていずれ撤廃、若しくは牛肉だって十六年目以降、四年連続発動されなければ撤廃。豚肉だってそうです。
 じゃ、大臣、これは、TPPだって、いつの時点で何にどんな影響が出てくるかというのは違うと思うんですよ。この試算をしたのは、どの時点を想定してこういう試算を出されているんですか。
#70
○国務大臣(山本有二君) 試算というものは、各品目ごとに洗い出しながら、そしてこの重要五品目を中心にして考えてきたわけでございます。一定の時点で一定の仮定を置いたマクロ的な数字でございます。
 その意味におきましては、その時点時点で変化するということではなくて、試算をしまして、その試算に対して我々は対策を打っていくというように考えているわけでございまして、この試算についての物の考え方というのは変わるわけではありません。
#71
○田名部匡代君 きちんとした試算ができなければ、きちんとした対策ができないのではないでしょうか。
 大臣、今のは全く何を御答弁されているのか理解ができませんでした。いろいろ、十年目で影響が出るもの、五年目で出るもの、もっと先に出るもの、いろいろあるわけですよ。大臣、もう一回答弁してください。
#72
○国務大臣(山本有二君) 農林水産物の試算と申しますのは、TPPによる関税削減等の影響の試算でございます。
 平成二十五年三月の試算も、何年後という具体的な時点を想定したものではありません。そして、今回の試算につきましても同様にそれぞれの品目の関税削減等の最終年における品目ごとの生産減少額を積み上げたものでございまして、品目によって最終年の時点が異なっているという点でも、何年後という具体的な時点を想定しているわけではありません。
#73
○田名部匡代君 品目ごといろいろ影響もある、もっと言えば、地域ごとにだっていろいろ影響は違うわけです、作られている作物の構成、産業構成。しかも、直接生産者の方々だけじゃないですよね、影響があるのは。それら含めてその影響額の試算をされていらっしゃるんですか。
#74
○国務大臣(山本有二君) 品目ごとに考えた試算であるわけでございまして、それが関税撤廃との関係でいかなる影響があるかという判断をしたものでございます。
#75
○田名部匡代君 大臣の御答弁の意味が、もしかして私の理解力が足りないんでしょうか、全く、私の質問していることに対する答えなのか、その内容の意味が分からないんですね。
 私が申し上げているのは、まさにその影響額を出されているけれども、短期で影響が出るもの、長期で出るもの、いろいろな影響の出方があると思うんです。いつの時点を想定して、そして影響があるというふうに試算をされたのか、もうちょっと具体的に、丁寧に御説明していただけないでしょうか。
#76
○国務大臣(山本有二君) これは、二十五年試算につきましても二十七年試算につきましても、それぞれ関税削減等の影響でございまして、それをその年限を切ってここでこの額の影響があるというようにしたものではありません。あくまで、お米であれば十三年目、これを、国別枠が始まって輸入量が七・八四万トン増える、そうしたことを前提にして試算をしたわけでございまして、私どもこの試算のやり方につきましては、これは間違いのない精緻なものだというように思っております。(発言する者あり)
#77
○委員長(林芳正君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#78
○委員長(林芳正君) 速記を起こしてください。
#79
○国務大臣(山本有二君) もう少し具体的に申し上げれば、米で十三年目、小麦で九年目、牛肉で十六年目、豚肉で十年目、乳製品で二十一年目という最終年を置いた試算というようになります。
#80
○田名部匡代君 すぐに影響が出るもの、そしてもうちょっと長期的に見なければいけないもの、いろいろあると思うんですね。
 私は、もし試算が甘いのであればきちんとし直せばいいだけだと思っているので、例えば、今の品目別で中長期的な見通し、さらにもっと時間がたってから、すぐに影響の出るものとそうではないものがあると思うんです。地域別だって、作るものが違えば受ける影響も違う、作っている量によっても違う、いろいろあると思うんですね。
 それぞれの自治体で心配をされているのは、本当に政府の出したような影響で済むのだろうかと。もしかしたらもっと大きな影響が出るのではなかろうか、そのときに自分たちの地域の産業を守れるだろうか、こういうことを思っているんです。独自に自治体でその影響額を試算しているところもある。大臣、御覧になったことありますか。
#81
○国務大臣(山本有二君) 例えば、米についてのそれぞれの県での試算については拝見したことがございます。
#82
○田名部匡代君 それについて、政府は米について御覧になったことがあるとおっしゃるけど、政府は米についての影響はゼロとおっしゃっていますよね。じゃ、御覧になったものは影響があるという数字のものだったんじゃないですか。大臣、いかがですか。
#83
○国務大臣(山本有二君) それは国内対策がないときの時点のものもあり、また、このSBS米についての影響についての懸念を強く抱いて考えられたものもあり、それぞれ様々な観点からお考えになっているというように思っております。
#84
○田名部匡代君 じゃ、大臣は、それぞれのその独自に試算されたものに対して、ああ、この数字、そんなわけないなと、そんな影響あるはずないなと思って御覧になっていたんでしょうか。(発言する者あり)
#85
○副大臣(齋藤健君) 御指名ですので。
 今回のTPPの影響の試算につきましては、都道府県、四十七都道府県ありますが、そのうちの三十八道府県で試算を独自に行われております。米につきましては、大半の県、三十八の道府県のうち二十九道県において、政府の試算と同様に、国別枠の輸入量に相当する国産米を備蓄米として買い入れるので国産米への影響が遮断されるという、そういう試算をされております、二十九がですね。
 一方、青森県を始めといたしまして一部の県におきましては、特定の銘柄の米の価格、これがSBS輸入米と価格、これ比較をいたしまして、それで、その価格の差分が当該県産の米の価格が下がるという仮定をされて影響を試算されている、これが青森を含めて九府県ございます。
 しかしながら、私どもの調査、これもこの国会で何度も答弁させていただいておりますが、SBS米が国産米の価格に与えるということを総合的に検討いたしまして、そういう事実は見出せなかったということでありますので、そのSBS、今回そういう形で輸入が増えることによりまして価格に影響が出るということを我々は考えておりませんので、私どもの試算はそういう前提でさせていただいたということでございます。
#86
○田名部匡代君 もし本当にそんなふうにおっしゃっているんだとしたら認識が甘いと思いますよ。
 例えば、生産されている方、それに関連して加工や流通、二次、三次だけではなくて、例えば他県であっても経済取引があるようなところであれば、そういう影響だって受ける、他県からの影響だって受ける、幅広い影響が考えられる。今のお米の問題、後でやりますから今はいいですけれども。
 けれども、私は、青森県だけではないですよね、お米に影響が出るというのは。じゃ、長野だってそうです、岩手だってそうです、北海道もそうです、いろんなところでそういう試算を出されている、影響があるのではないかと。
 皆さんのその試算、大丈夫だという根拠が、体質強化するから大丈夫なんだみたいなことを言っていらっしゃるわけですよ。でも、私はその試算をもっと丁寧に出して、それぞれの地域別にやらなければならない対策を、的確な対策を打つということ、そして財源をきっちり確保するということ、そのことを国として責任を持ってやっていただきたい。そうでなければ地域が壊れてしまう。全体から見たら僅かな影響額かもしれないけれども、その地域にとっては死活問題、まさに地域ごと潰れてしまうような問題なんです。ですから、入口のこの影響額の試算というのは非常に大事だ、しつこいようだけれども、これは大事なんです。
 大臣、もう一度その試算、関連も含めてきちんとした試算を出されるおつもりはないでしょうか。
#87
○国務大臣(山本有二君) 田名部委員の提出されました資料にありますように、青森県は独自の試算をされておられます。そして、二十三億円の減少額があるというようにされております。
 また、青森では、「まっしぐら」あるいは「つがるロマン」、こうした業務用米についての評価は非常に高いものがありまして、私ども、こうした業務用米におけるシェアはどんどん広がっていくものだろうというように考えております。
 また、こうした評価をそれぞれの県でされながら、そこにまだ、影響試算についてマイナスがあるだろうというところもあるわけでございますが、それぞれにこの影響を県ごとに考えるという作業はしておりません。
 私どもの米に関する価格の算定というのは、品質と需給、こうしたものにのっとって考えておるわけでございまして、民間の在庫量、そして今年の作柄あるいは生産高そして需要量、そうしたものを入れ込んだ形で、例えば来年が百九十四万トンの来年の在庫になるならば、二百万トンを切るわけですから、そうすると、だんだんにお米の値段というのは、米価格というのは下がらずに上がっていく基調じゃないかなとかいうような判断をさせていただいているわけでございます。
 その意味においては、私は、直近の今の足下では、こうした青森県の懸念というのは、今年、来年に向けてはないものというように思っております。
#88
○田名部匡代君 そういう調査を農水省としてされたことがあるんですか。影響があるかないか、影響がこれまでもあったかないか、そういうことをお調べになっておっしゃっているんですか。
#89
○副大臣(齋藤健君) 地域別に農水省として影響を試算しているかと言われれば、それは今しておりません。
 それで、田名部委員が、今お話し申し上げましたように、地域ごとにどういう影響が出るかというのはこれは我々も注視をしていかなくちゃいけないと思っています。
 ただ、全体としての対策としては、先ほど申し上げましたように、SBS米が入ってきましたら、それと同量、備蓄米として買い上げるということで国内の需給に与える影響は遮断をさせていただくので、全体への影響はなかろうというふうに見ておりますが、ただ、地域ごとに産物も違いますから、状況はよく注視をしていきたいというふうに思っております。
#90
○田名部匡代君 なぜ国として責任を持って試算をされないんでしょうか。
#91
○国務大臣(山本有二君) 個々の銘柄、品質についての影響試算というものではなくて、例えば生産数量目標をそれぞれの県がこれからやっていただいているし、今もやっていただいているわけでございまして、その意味においての米の出来高、作柄等についての報告をそれぞれにいただいているわけでございまして、そうした中で各県ごとの米の推移というものは正確に把握しているところでございます。
#92
○田名部匡代君 それぞれで試算をやっていただいている、でも国としてはそんな影響があるとは思っていない、しかも調査もしていない、そして国として責任持ってその試算をするつもりもない、そういうことですよね、大臣。それぞれの県で独自にやった。でも、国としては影響がないと思っていらっしゃるんですよね。
 地方としては、影響があるのではないか、しっかり対策を打ってもらいたいんだ、本当にこの数字で合っているのか、もっともしかしたら大きい数字なんじゃないか。例えば農水省の、私たちのときに農水省が出されたのは関税即時撤廃を前提に出されていたと思いますけれども、そのときの数字もある。例えば、大学の教授の皆さんが独自に試算をした数字もある、アメリカで出した数字もある。それぞれ全く影響の大きさが違うんですね。
 まさに、私たちは見ていても、本当にどれが正しいのか、どれが一番その影響に近いものなのか、どれが詳細にいろんなものを加味して出された試算なのか、分からないんです。それでも、少なくとも関連産業まで含めて幅広い影響が出るのではないかと言われれば、それが一番、ああ、そのとおりかなと思うじゃないですか。
 だから、もしもそんなほかの人たちの影響試算に惑わされない方がいいというのであれば、国が責任を持ってそれぞれの地域の影響がどうなるのか、その試算をなされて、そして対策を打つべきじゃないんでしょうか。
#93
○国務大臣(山本有二君) 先ほど申し上げましたように、言わば生産における目標面積等についての御協力を各都道府県でやっていただいて、作柄についても御相談いただきながら、今、米政策を推進させていただいているわけでございます。その意味では、各県の米の動向についてはやり取りをして十分な情報交換ができているというわけでございます。
 このTPPを合意することと関税を撤廃するというような影響がさて米にどうあるかにつきましては、先ほど申し上げましたように、国内対策もし、また枠外税率も六十キロ二万円というとんでもない大きなものをさせていただきまして、そしてMA米の七十七万トン以外には十三年後に七・八四万トンという、そういうことに限定をさせていただいたという意味で影響がなくなったと。そして、備蓄米でその遮断をさせていただきまして、市場の需給にバランスが取れる、米農家は安心して営農できるというような考え方を取ったわけでございます。
 その意味においてゼロということでございまして、青森県の「まっしぐら」については、なお農林省としては注視しつつ、その価格まで見させていただきまして、もし何か影響があるならば、その対策について県とも協議をさせていただきたいというように思っております。
#94
○田名部匡代君 大臣、試算を農水省としてやられるんですか、やらないんですか、それだけお答えください。
#95
○国務大臣(山本有二君) 二十七年にしました試算、米についての試算、これを置きました以上の要因はいまだないというように思っておりますので、この試算で十分だと私は思っております。
#96
○田名部匡代君 さっきからなぜか大臣も副大臣もお米の話ばかりしているんですけれども、別に私、お米に特化した話をしているわけじゃないですよね。地域ごとに作られるものも違う、作られる量も違う、いろいろな影響が地域ごとに違うんじゃないんですかと。何か米、米、米、米言っていますけれども、お米の話だけじゃないんですね。
 例えば、私の地元の地域の中には人口二千六百人の村があるんです。村の労働力人口は千六百人、そして、そのうちの半数八百十一名、これ平成二十二年の国勢調査ですけど、八百十一名の方が一次産業に従事をしているという小さな村があります。まさにそれは米だけを作っているわけじゃないんです、ナガイモを作っていたりトマトを作っていたり。でも、その一つ一つの小さな影響が村全体に影響を及ぼす、それぞれによって違う。まあそこまで、細かく市町村までとは言わないけれども、せめて都道府県ごとの影響ぐらい私は国としてやるべきだと思いますよ。
 そんなTPPに参加をしたらバラ色だみたいな話ばかりされても、そんなことでは国民は納得できない。だから、今日まで議論をしても七割の方が反対と分からないというふうになっているんじゃないですか。農家の皆さんの不安の声は聞こえていますか、大臣にはその声聞こえていないんですか。
 大臣、一次産業従事者の皆さんがどんな思いでいらっしゃるか、大臣、どんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#97
○国務大臣(山本有二君) これは、TPPのみならず、農家を守るというのは、これは農林省として常に念頭に置いてしなければならない農政の大事な分野でございます。その意味において、TPPで影響があろうがなかろうが、農家所得が低減をする、あるいは大雨で被害になるというようなこと全てにおいて農家を守る体制でやっております。
 その意味において、TPPだけで損失を受けるというものではなくて、それぞれの体質強化策をさせていただきまして、経営安定対策をしながら、その上で、もし何か不足があれば県当局との御相談の上にいい手だてを考えていきたい、打っていきたいと、こう思っておる次第でございます。
#98
○田名部匡代君 TPP対策、体質強化、これまでも随分その言葉を聞かせていただきました。
 TPP対策というのは、農林水産省としてどんなものでしょうか。
#99
○国務大臣(山本有二君) 余りにも各般にわたるものですから。
 大綱で考えています、生産者が安心して再生産に取り組めるようにしたものは大きく分けて三つございまして、攻めの農林水産業への転換、言わばこれは簡単に言うと産地パワーアップと畜産クラスター、体質強化策でございます。経営安定、安定供給のための備えとして、協定発効に合わせて牛マルキン、豚マルキンの法制化、経営安定対策の充実、そしてあわせて、今現在取りまとめを行っていただいております農林水産業の成長産業化を一層進めるための検討継続項目の十二項目、こうしたものをその大綱で考えておるわけでございまして、今後、それに加えて、二回の補正予算あるいは明年の当初予算等でこうした体質強化策に更に充実感を持って対処していきたいというように思っております。
#100
○田名部匡代君 今おっしゃったような対策は、じゃ、TPPに進まなかったら必要のない対策ですか。
#101
○国務大臣(山本有二君) これは、TPPを契機として日本農業が対外的競争力を持つという意味もありますし、それぞれ農家対策として我々が今までやっている延長上のものもありますし、いずれにしましても、TPPを契機として補正予算が二つ組まれたという意味におきましては、かなり農家にとりましては体質が強化されたという認識でございます。
#102
○田名部匡代君 私から言わせていただくと、別に特別なものではなくて、今の日本の現状を見たときに、もう既にこれまでやっていなければならなかったこと、そして、これまでもやってきたけれどもなかなか成果が出ない、すぐに成果が出ないものもあると思います。それら全てを別に責め立てるつもりはありません。結果が出るには時間の掛かるものもあるかもしれない。それでも、何かTPPに向けてこれだけのものをやるんだから、そして補正で予算付けたんだから、だから、所得も減らない、食料自給率も減らない、そして生産量も減らない、大丈夫なんですよ、影響もないみたいなことをおっしゃるから、私はそれは不誠実だというふうに思うんです。
 本来、TPPに関係なく、今の日本の一次産業の現状というものは本当に厳しい状況にあって、立て直さなければならないような、そういう状況になっているんじゃないでしょうか。今のTPPの対策、継続したものもあるとおっしゃっているけれども、成果の出ていないものもたくさんあると思いますよ。
 少し、そういったことも含めて、今の一次産業について必要な政策について、農水省の取組とこれまで取り組んできたことの成果と、そういったことをお聞きをしたいというふうに思っています。
 一つは、担い手育成です。経営能力のある担い手育成、別に担い手育成だって今の対策の中に入っていると思いますけど、今TPPに向けて必要なわけじゃなくて、担い手育成というのはこれまでだって非常に重要な政策でした。農業も漁業も全てにおいてです。この担い手育成、私たちのときに、青年就農給付金、こういった制度も立ち上げて、こういったことも少しは成果につながってきているのかな、まだまだ十分ではないと思うけれども、少しはそういうことも成果になっているのかなというふうに思っています。
 当時、たしか議論したときは年齢制限が四十だったんですね、今は四十五未満だと思いますけど。私、四十五で押し切った、四十五まで必要だと言った一人でありまして、ちょうど私たちの世代というのは、親が年を取ってきて、都会で働いていたけれども、もう親元に帰って親の面倒を見なければいけないなと、そういう世代なんですね。でも、ふるさとに帰ってきても、なかなかそれは仕事に就けない。親が農業をやっているからといって、生活や所得のことを考えれば、簡単にそれも戻ってきて農家を継ぐということにはならない。そういう世代の人たちに少しでもチャンスが与えられるように、生活が守られるように、そんな思いで当時私もおりました。しかしながら、ここも十分に成果が出されていないと思うんですね。
 大臣、この担い手育成、今の現状をどんなふうに捉えていらっしゃるか、その実際の数字も含めて教えてください。
#103
○国務大臣(山本有二君) 担い手育成につきましては、これは不断に我が国ではたゆまざる努力や改革をしていき、その実績を踏んでいかなきゃなりませんが、平成二十七年において、四十九歳以下の新規就農者が二万三千人を超えました。これは過去七年を振り返りましても最大の伸び率、就農者になってきつつございます。
 そんな意味では、先ほど委員がおっしゃられた新しい施策の成果が徐々に上がってきているのではないかというように評価をするところでございます。
#104
○田名部匡代君 でも、そこで、その数字だけにとらわれてその先を見誤ってはいけないというか、全体を捉え損なってはいけないというふうに思っているんです。
 この担い手の皆さん、新規就農者の皆さんへのアンケートというものがあります。アンケートの中で上位五位、就農してどうだったかということの答えなんですけれども、まずは所得が少ないというのが約六〇%、次いで技術が未熟四八%、投資資金不足、運転資金不足、労働力不足、こういう答えになっているんですね。つまり、青年就農給付金なんかを使って就農した、でも、実は就農してから全く生活が成り立たないというような状況、まさに農業所得で生計が成り立っている人というのはその中で三割しかいらっしゃらないというのが現実なんです。
 ですから、しっかりとしたその後の対策ということも担い手をしっかりと継続的に育てていくには必要だというふうに思うんです。大臣、どうでしょうか。
#105
○国務大臣(山本有二君) 担い手につきましては、本当に我々も新しい施策を考えたいと常に思っているんですが、二十九年度の概算要求でお示しさせていただきますと、新規就農や経営継承の総合支援事業、それから農業人材力強化総合支援事業に移り変わりまして、さらに青年就農給付金事業を農業次世代人材投資事業と名称変更をさせていただいて、農業における雇用事業と併せましてグローバル人材の育成に対応できるものにして、さらには新規就農者育成支援事業を農業経営確立支援事業と名称を変更しつつ、経営感覚に優れた担い手を育成する農業経営塾、こうしたものをつくりまして、今まで農家任せにしておった農業技術というものを国も関与しながら、経営塾という形で販路や加工やそのほか農業所得が上がる方法というものを一緒に考える、そういう手段を今工夫を凝らしているところでございます。
#106
○田名部匡代君 いろいろと手を打っていただくことは悪いことではないので、しっかりと進めるべきものは進めていただきたいと思いますけれども、先ほどのアンケートの結果で申し上げたように、一番は、圧倒的に多いのは所得が少ない、生活ができない、農業をやってもそれで生活できないという、そういう状況なんですね。
 例えば、私たちのやった戸別所得補償制度、こういったものが実は経営の安定につながっていた。でも、これも廃止をされますよね。どうやって農業を継続し、安定させ、所得を向上させるおつもりですか。
#107
○国務大臣(山本有二君) 平成六年に日本の農業総生産額は十一兆三千でございました。平成十六年、十年たって八兆七千になりました。それで、平成二十六年、二十年たちますと八兆三千というように、徐々にじわじわじわじわ総生産額が減りつつございます。
 これの分析についてはまだ十分できておりませんけれども、一つには高齢化と人口減少があるように思います。とするならば、我々は、食べるものを生産するのに、食べてくれる人が少なくなっていくマーケットだけに頼って農家所得が上がるのかといいますと、それは少し無理なのではないかと考えたときに、やはり対外的な海外への輸出というものも考えてみる必要があるのかなと。
 例えば、生産高では世界十位でございますが、輸出額では六十位と。普通の国は生産高と輸出高が均衡しているわけでございまして、日本というのは逆に余りにも対外的輸出に目を向けていない農業分野であったのかなという反省の下に、私は、TPPというものをきっかけにして、攻める農業の一つにオランダ型農業というような輸出というものを考えることも、農家所得が上がる、そして青年が就労していただけるということにつながるのじゃないかというように期待しておるところでございます。
#108
○田名部匡代君 輸出にうまく取り組めて、それで、何というか、収入が増える人たちももちろんいらっしゃると思いますよ。でも、それは全体の中の一部ではないでしょうか。
 輸出に取り組むことは何も否定しません。でも、輸出のことだって今までもずっと取り組んでこられた。まあ、輸出は輸出として取り組んでください。せっかく、日本食、和食の世界文化遺産登録、大臣、私、言い出しっぺだったって知っていますか。私のときに、言い出しっぺで、震災もあって、それぞれの地域にそれぞれのすばらしい食文化がある、是非ともその日本のすばらしい食文化を発信することでそれがまた被災地の力になればいいと、本当にそう思いましたし、そのことで観光が増え、地域が盛り上がればいいなというふうに思っていたんです。登録までは現職でおりました。しかし、決定したときには落選中で、テレビの前であの報道を見ておりました。大変うれしかったです。是非そういうものももっと生かしていただいて取り組んでいただきたいと思います。
 でも、それはやっぱりまだまだ一部の話であって、例えば田んぼだってお米だって、規模が小さければ小さいほどまさに生産費の方が高くて利益になっていない。それでも、何とかみんなその土地を守って頑張ってもらっているわけです。それは、成長だとか産業だとか、そういう面だけで捉えるのではなくて、まさに地域を守ることであり、多面的機能の維持であり、いろんな役割がそこにはあるんですよね。
 ですから、できるだけ、農業に従事される方ももう高齢化をしてきました、当然、後継者を育てていくことにも全力を尽くさなければならないけれども、今こうして頑張って守ってくださっている人たちに対しても、できる限り頑張って維持をしていく支援を政府としてもするべきだというふうに思っているんです。
 先ほど大臣はちょっと話をすり替えられたと思うんです。所得補償の話をしました。どうやって所得を維持し、向上させ、生活を守っていくんですか。それは、輸出もあるでしょう、そうではない、もっと全体的に農家の所得というものをどうやって守っていこうとお考えなのか、お聞かせください。
#109
○国務大臣(山本有二君) 御党がやってこられました戸別所得補償というものには少し課題もあるのではないかと。例えば、一律に申し込んだところに全部配分するということにしたならば、やはり農地集積だとか意欲ある人だとかいうようなことを忘れ去られる可能性もないことはないというようなことでもございます。その意味においては、我々としましては、新しい形での水田フル活用の施策を取り入れて、意欲ある方々に配分が渡っていくという施策も一つの考え方で大事ではないかなというように思っております。
 それから、田名部委員がおっしゃるように、農業というものを社会、国が一つ大事な産業として位置付ける必要が私はあるというように思っております。特に、衣食住という人間が必要な、生活を維持する上において大事なものについて生産しているわけでございまして、私は、そういう意味では自然災害あるいは大不況、そういったところで農家が支えたものというのは歴史的に大きなものがあったのではないかというように思っております。したがいまして、不採算ではあるけれども、農業、農村を守る価値というものをお互い共有していくならば、私は、農業についての評価がまた変わり、また施策も十分に行き渡る、また所得もそこで確保できるというように思っております。
 また、農家における、中山間における直接支払制度あるいはEU型のデカップリングについても参考になるわけでございますし、また、アメリカが大幅な直接支払制度についての思い切った、農業リスク、価格リスク、そういったものに応じた展開をしたと、改正をしたということも参考になっていくのではないかというように思っております。
#110
○田名部匡代君 まさに、大臣、農家の皆さん、別に、あれですよ、私たちが作ったものだからすごいでしょうという話ではなくて、農家が継続的に経営を続けていける、そしてそこに後継者が育っていく、こういう制度をしっかりつくることが大事なのであって、それは、どっちがつくったかは別にどうでもいいことだと思うんですね。
 そういう意味では、所得補償制度というのは非常に高い評価を受けている、これを何とか維持してほしい。大臣おっしゃったように、いろいろ問題はあるかもしれません。私たちも百点満点だったとは言いません。でも、問題があるのであれば、そこをしっかりと見直していけばいいだけの話で、それを廃止してしまって生活を壊すようなことになったら、まさに私は、これこそ地方は守れない、生活は守れないということなんだろうと思うんですね。
 まさに大事なことは、何か今、収入保険制度ですか、何かいろいろ御議論されていらっしゃるんですか、分かりませんけれども、生産コストをしっかりと下支えをしていく制度が必要だと思うんです。価格と生産費、これをしっかりと支えていく、その差額を支えていく制度が必要なんだと思うんです。
 まさにアメリカだって多額の補助金を出しています。よく日本は、過保護だ過保護だ、農業には甘い、金いっぱい出していると言われるけれども、もう大臣、これは釈迦に説法、よく御存じだと思います。日本は、世界と比べても、まだまだそういうしっかりとした安定的な支援は足りていません。だから、後継者が育たないのではないでしょうか。このままでは手遅れになると思うからこそ、真剣にこうして訴えさせていただいています。
 どうか、まさにこれまでの政策も、よく農業に関わっている皆さんから、猫の目行政で、ころころ変わる中で振り回されてきた、こういう話を聞くわけですけれども、しっかりとその所得補償のような直接支払、私は所得補償の見直しでいいと思うんですよ、手直しだけすれば。しっかりとそういうものを維持して日本の農業を守っていっていただきたい、そんなふうに思っています。
 今大臣からも、これは産業としてだけではなくていろいろ重要な役割があると。まさにそれは自給率を守っていくという食の安全保障に関わるような分野もあると思います。実は、この生産者が減っていく、担い手が育たず生産者が減っていけば当然自給率だって下がっていく、こういうことについても農林水産省としてしっかり責任を持っていかなければならないと思います。
 もう最初の影響額のところでたくさん時間を使って、もういっぱい寝ずに質問を準備してきたんですけれど、本当に、時間になりました。でも、大臣、大臣には、どうか冗談ではなくて、この国の、日本の一次産業、本気で守るんだと、体を張って守るんだということをどうかお考えになってこれからも取り組んでいただきたい。そのことを心から願って、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#111
○川合孝典君 民進党で政調副会長を仰せ付かっております川合孝典でございます。
 私は、三年ぶりに国会に戻ってまいりましたので、この場で質問させていただくのは三年半ぶりということになります。したがいまして、安倍総理に御質問をさせていただくのも今回初めてということでございますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 まず、質問に入ります前に少し総理に御確認をさせていただきたいことがございます。先ほど同僚の田名部議員が少し質問しましたが、強行採決をめぐる安倍総理の御認識についての話であります。実は今後の国会運営上にも非常に大きな影響を及ぼすことがあることから、この点について少し確認をさせていただきたいと思います。
 今回、昨日のこのTPPの特別委員会において総理は、我が党は立党以来、強行採決をしようとしたことはない、そして、さきの衆議院の採決についても、野党である政党が一部出席して賛成したのでこれは強行採決ではないと御答弁をされました。そのことに対して、その後、自民党竹下国対委員長は会合で、すぐ強行採決し、ぐちゃぐちゃになる結果を今国会でも経験したとお述べになられています。
 政府、与党ということでございますが、ここに足並みの乱れというか認識の相違がございますが、この点について、安倍総理の認識を改めてお聞かせいただきたいと思います。
#112
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国会が、また委員会がどのような形で議論を行い、そして採決を行うかは、それぞれ国会が、そして委員会がお決めになることであろうと、こう思うわけであります。
 そこで、私は、自民党総裁としてお答えをさせていただいたのは、今まで自民党は結党以来、強行採決をしようと考えたことはないと、こう申し上げてきたとおりでございまして、そしてまた、質問の際、安倍さん、そう言ったのに、何だ、このTPPの衆議院の採決はと、こういう御質問でございましたから、これは、どういう採決であったかということについては、これはまさに委員会がお決めになり、委員会において御評価されることだろうと、こう思うわけでございますが、私としての認識は、野党の皆様にも御出席をいただき採決されたものと、こう申し上げているところでございます。
#113
○川合孝典君 論点をすり替えていらっしゃると思いますよ、私は。
 どう見ても委員長の発言が全く聞こえないような状況、議事録も取れないような状況で採決をされてしまったということについて、竹下国対委員長は恐らく混乱をさせてしまったということをおっしゃっているわけであります。また、一般の人たちの感覚からいっても、普通に採決をされるというのは、採決をしますで粛々と採決をすることを採決普通にされたということであって、議場がこれだけ混乱するということは、これは強行採決と、どう考えても、私、我々というか、一般の皆さんは御理解をされるということであります。
 改めまして、自民党さんの国会対策委員会と安倍総理の間に大きな認識の隔たりがあるということについては確認をさせていただきたいと思います。
 済みません、貴重な時間をこれ以上こんなことに使うわけにはまいりませんので、ここからはTPPの内容について御質問させていただきたいと思います。
 質問に当たりまして、私自身のスタンスについて少しお話を申し上げたいと思います。
 私は、民主党政権時代にこのTPPの議論については、現在のグローバル化が進展する中で、日本もその枠組みの中でどう生き残りを図るのかということについては議論せざるを得ない状況に置かれているということを認識いたしておりました。したがいまして、TPPについても、そのことが国の利益を極大化するために資するものなのであれば、交渉のテーブルに着いて内容について精査するべきであると主張してきた立場の人間であります。そういう意味では、今回、TPPがこういう形であったにせよ前に進もうとしていること自体については、私は頭ごなしに反対ありきで議論をするつもりはないわけであります。
 むしろ残念なのは、菅内閣の時代にこのTPPの問題に初めて言及し、そして野田内閣で何とかしようとしたときに、当時、自民党の皆さんはこの問題に対して断固TPP反対と言って反対をされたわけであります。全て反対だとおっしゃったわけであります。そのことによって、交渉のテーブルに着き、またTPPによって様々な対策、政策を講じる上での時間的なロスをしてしまったということであります。このことについては、もしもすぐに進めることができれば恐らく二年近く早く始められたはずであります。これを、そうした状況が今あるということでありますので、ここから先はそのことを真摯に受け止めていただいた上で議論にお答えをいただきたいと思います。
 そして、まず私からお話を申し上げたいのは、TPPを議論する上で、当然のことながら、自由貿易をやるわけでありますから、得をする分野と損をする分野というのが必ず出ます。必ず出るんです。得をする分野は正直言って放置しておいてもそれなりに利益が上がるということになりますが、問題は、このTPP、自由貿易の進展によって痛みを被る分野に対してどう施策を講じていくのかというこの一点なんです。
 TPP、FTA交渉というのは、国内対策をどうするのかということをより具体的にさせなければいけないと私は思っております。そういう意味では、幸か不幸か、この三年間、全国を回らせていただいてまいりました。この一年数か月はテレビを見ながら国会におけるTPPについての議論についても聞いてまいりましたが、残念ながら、国会の情報を見ていても、国民の皆さんや当事者の皆さんがTPPの中身についてしっかりと理解をされているとはとても言い難い状況にあります。
 したがって、非常に限られた時間でやります。これからTPPの特別委員会は本格的に動くことになりますが、農業の問題が非常に大きな問題として取り上げられておりますけれども、それ以外にもたくさんの実は課題があるんだということを国民の皆様や本日ここにお座りの委員の皆様にも御認識をいただきたいと思いますので、そういうスタンスで質問をさせていただきます。
 前置きが長くなりましたが、まず、金融サービスの分野について御質問をさせていただきたいと思います。
 余り金融サービスということについてはこのTPPの議論の中ではなされてこなかった分野でございますが、実はこのTPPの第十一章、金融サービスという章がございますが、ここで定められている金融の定義というものがございます。全ての保険、銀行、その他の金融サービスというのが金融の定義であるというふうに言われておりまして、したがいまして、この定義の中には、これまでのアメリカがずっと主張してきた金融の規制緩和の議論を踏まえて考えると、かんぽ生命ですとかいわゆる共済、こういうものもこの金融サービスの中に含まれると理解するのがごく自然だと思っております。
 今回TPPが施行されることで、今後この金融に関わる様々な規制についても見直しが行われることが容易に想定されるわけであります。今後、アメリカがもしTPPに加盟して、民間保険会社よりもかんぽ生命や共済が非常に恵まれているんだということを主張して、民間保険会社と同様の扱いを求めてこられるということ、このことが実は業界や関係者の方々の間では懸念されているわけであります。
 そこで、質問です。かんぽ生命や共済は今後どのようになるのか、総理にお伺いをしたいと思います。
#114
○国務大臣(石原伸晃君) 総論については総理にお聞き願いたいと思いますが、どういうふうになっているかという条約上の解釈について私の方からお話をさせていただければと存じます。
 まず、かんぽ生命でございますが、かんぽ生命は、TPP協定第十一章、金融サービスの章の附属書Bにおきまして、郵便保険事業体と民間保険会社に同一の規制を課すこと、二といたしましては、郵便保険事業体を優遇する措置の禁止等が規定されております。
 日本においては、かんぽ生命ももう既に内外の民間保険会社と同様に保険業法の規制、監督下にあるわけでございます。それによりまして、保険会社は競争条件においては違いないと認識をしている、TPP協定の内容は既に日本の現行制度によって、すなわち、かんぽ生命が例えば委員の御懸念のアメリカからおかしいじゃないかと言われるようなことではない、もう金融庁の監視下に、しっかり監督下に入っているというふうに御理解いただきたいと思います。
 また、もう一点御指摘のございました共済でございます。これはTPP協定の特有の規律は実は存在いたしません。共済は、金融サービス章、先ほど御紹介いたしました第十一章の一般的な規定が適用されるものと承知しております。他の締約国の金融機関等に対し共済と比べて差別的な措置を課すなどといった措置は行っておらず、同章の規定にこの共済の存在が抵触するということはございませんので、他国からこの共済についてとやかく言われるということはないものと承知しております。
#115
○川合孝典君 政府としての現在の御認識はそうだということについては承りました。
 がしかし、実はこのTPPの議論を進めるに当たって、日本の国内がどうなのかということとは別に、同じ締約国であるアメリカが翻ってどうなのかということを見てみますと、アメリカにとってみれば、今回、TPP交渉に参加することによって得をする分野と損をする分野というのは当然彼らは彼らで分析をしているわけでありますが、その中で、得をする分野、いわゆる今後将来にわたってアメリカのGDPを押し上げる効果がある分野として挙げている分野に金融サービスというのが当然入っているわけでありまして、これ二千数百億円は利益が上がるだろうというのが実は彼らの見通しなわけでありまして、いや、それは彼らが考えているだけのことだから我々は関係ないと皆さん強弁されるのかもしれませんけれども、実際に今回の、かんぽや共済と今言いましたけれど、かんぽ生命、共済、JA共済、さらにはGPIFの百四十兆円のお金、そして企業がこれまで七十年間掛けて内部留保してきた内部留保金三百五十兆円、全部足しますと八百兆円以上の実はお金があるわけでありますが、この日本の膨大なストックをどう流動化させるのかということの議論が今後アメリカ主導でなされること自体は我々は想定しておかなければいけないんですよ。
 これ、実は郵政民営化で大騒ぎを皆さん過去されましたけれども、それ以上の実はインパクトのある話なんです。このことがこのTPPの議論の中で一切これまでなされてこなかった、問題すら提起されてこなかったということに対して、私たち参議院は正直言ってかなりの違和感を実は感じているということをこの場で申し上げさせていただきたいと思います。
 これ以上この問題に踏み込んでしまいますとほかのことが一切できなくなってしまいますので、次に移らせていただきたいと思います。
 続きまして、これも何度も何度も衆議院や参議院に来てからも指摘がございましたけれども、ISDS条項について御質問をさせていただきたいと思います。
 さきの本会議の代表質問に対する総理の御回答がありましたが、総理は絶対に大丈夫だとおっしゃいました。日本が海外の投資家から訴えられることは想定していないと議事録にも記載をされております。何をもって日本が訴えられる危険性がないとおっしゃっているのか、総理の御見解をお伺いします。
#116
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPP協定の投資章では、投資受入れ国が公共の福祉に係る正当な目的のために必要かつ合理的な措置を講ずることは妨げられないこととされており、仮に訴えられたとしても我が国が敗訴することは想定されていません。
 ISDS手続は我が国の海外進出企業を守ってきました。これまでの経済連携協定や投資協定のISDS制度と同様、投資受入れ国政府に外国投資家の利益を不当に侵害させないという抑止効果を持つと理解をしています。
 今申し上げましたように、そういう意味において、我が国においてはこの合理的な措置を講じてはいるわけではありますが、そうではない、例えば外国の企業であるからそれを排除するというような、そうした制度ということは設けていないわけでございますから、よって、今申し上げましたように、我が国が敗訴することは想定をしていないということでございます。
#117
○川合孝典君 同様の御回答を総理がなさっていることについては私も実は承知しているんですけど、私はこのISDSという条項があること自体が駄目なんだと言っているわけではないんですよ、実は。自由貿易協定を行う上で一定のルールというものは当然必要でありますし、日本がこれまで海外と結んできたFTAについても、ISDS条項というのが当然入っているものはたくさんあるわけであります。だから、このことによってルールが守られるということについては私は否定はしないんです。
 ただ、私が申し上げたいのは、今回のTPPの投資の項の中に今総理がおっしゃったような文面が含まれているから、だから大丈夫なんだと。これ、恐らく根拠になっているのは、濫訴防止のためにこう書かれています。TPPや他の国際協定で違反があったとしても、公正、衡平とありますが、この待遇義務違反にはならないと。これはNAFTA協定には入っていなかった文言なんです。さらには、投資家の正当な期待を裏切っただけでは義務違反にならないと、一応こう書いてあるんです。
 だから、NAFTA協定よりは内容を踏み込んで、NAFTA協定自体のこのISDS条項の穴の部分というのをきちんと埋めるということでこれが書かれているという点では、これは確かに前進はしているんです。ところが、よく読んでみますと、義務違反にはならないという、こういう非常に実は曖昧な書き方になっているんですね。
 NAFTAが非常に問題になったのは、公正かつ衡平な待遇を要は守りなさいというこれだけだったんです。これについて、公正かつ衡平な待遇に対する義務を負わなければならないと、こう書いてあるんです。
 これが、今回はいろいろ文言は付加されておりますけれども、義務違反にはならないという、またこういう書き方がしてあるわけでありまして、実はこれ何が義務違反なのかという義務違反の定義はないんですよ。ということは、恣意的な要は認定というものが今後様々な国際的な議論の場でなされる可能性を十分に蓋できているかどうかといったら、全然できていないんです、これ。
 このことが実はあるという状況の中で、本当に実はISDSが大丈夫なんですかと言ったのは、ISDS条項というのは基本的に、衡平、公正といいながらも、やはり国力のある国、経済的に強い国の方が有利であります。これまで日本が海外と結んできた様々な協定というのは、やはり日本がパワーがある状況の中で結んできているわけでありますが、今回のTPPというのは、多国間協定とは言っておりますけれども、実質上経済規模でいけば日米FTAなんですよ。この状況の中で、アメリカの様々な要求や要望に対して、果たしてこの枠組みで本当にこれまでのように一〇〇%抑えられると断言できる状況には決してないんだということを実は私は申し上げているわけであります。
 もっと危機感を持っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#118
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、私は野党時代も一貫してTPP反対と言ったことは一回もないということは申し上げておきたいと思いますし、私が申し上げてきたのは、まさに聖域なき関税撤廃を前提とする以上TPP交渉には参加はしないということしか言ったことないわけでありますし、基本的に私はTPPに参加すべきだということを党内ではずっと議論をしてきたわけでございます。
 そこで、とはいえ、このISDSについては実は私も慎重に考えておりました。確かに、今まで日本が結んできた相手国とは違い、米国とやる、しかもこれ裁判は当然英語でやるということになるわけでございまして、アウエーの勝負になる以上これは、なかなかそれは、日本にも優れた弁護士もいますが、母国語と外国語ではそれはやはり差も出てくるから果たして大丈夫かと、また米国の弁護士事務所はどんどん訴えるんじゃないかということで、私もここについては大丈夫かということを何回も何回もそれは議論、また総理になってからも議論したところでございます。
 しかし、今まで、例えばNAFTAにおいてカナダ等が訴えられた例もございますが、先進国政府との関係においては、日本と米国もこれ先進国同士ということになるわけでありますが、先進国政府が敗訴している場合は、表向きは公共目的のための内外無差別な体裁を取っていても実際には外国企業を差別する意図があったと立証された場合、あるいは政府の手続が不透明、不適正な場合などであり、仮に提訴されても日本政府が敗訴されることは予想、想定されておりませんが、しかし同時に、しっかりとこちらも体制を緊張感を持って整えていかなければならないと、こう考えております。
#119
○委員長(林芳正君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#120
○委員長(林芳正君) ただいまから環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、大門実紀史君及び藤田幸久君が委員を辞任され、その補欠として岩渕友君及び相原久美子君が選任されました。
    ─────────────
#121
○委員長(林芳正君) 休憩前に引き続き、環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を一括して議題とし、TPPと我が国の経済・国民生活等についての集中審議を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#122
○川合孝典君 民進党の川合孝典でございます。午前中に引き続きまして質問をさせていただきたいと思います。
 午後から塩崎厚生労働大臣に御配慮をいただきました。実は、私、十六問質問を作ってまいりましたが、丁寧な総理の答弁をいただきましたおかげで二問しかまだできていないということでございまして、幅広に質問をさせていただく、問題提起をさせていただくと申し上げましたので、一番長引きそうな農業分野については後に回させていただくことにいたしまして、まず厚生労働の分野について御質問させていただきたいと思います。
 私が確認をさせていただきたいのは、今回のTPPに入ることで国民皆保険制度は今後どうなっていくのか、そしてもう一つは、これまでアメリカが日本に対して幾度となく要求を繰り返してきた混合診療というものの解禁について今後どういう動きが起こってくるのかということについてお伺いをしたいと思いますが、まず、総理、今のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#123
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 混合診療あるいは日本の医療保険制度にTPPがどのような影響があるかということでありますが、我が国の制度自体は合理的にできているものであり、そしてまた国民の健康を守るためにできているものであることから、TPPによって変更が求められるものではないかと、このように考えております。
#124
○川合孝典君 そのことについては、今回、協定で守られるということについては私も異論がないわけなんですが、実は、皆さんにも聞いていただきたいのは、この協定第二十六章、透明性及び腐敗行為の防止というところや、透明で公正な手続を行うようにといったような、そういうことについてはきちんと書かれているんですけれど、その一方で、例えば日米二国間の交換文書、サイドレターと言っておりますが、このサイドレターにも、例えば、薬価の決定に当たって海外の利害関係者が政府の審議会に出席することや意見書を提出することができるように定められているといったような内容があったり、さらには、このサイドレターには、これ、私、非常に重要な問題提起だなと思っておりますのは、関連する将来の保健制度について協議する用意があることを確認したと実は書かれているんです。
 将来の保健制度というのは、これは日本では国民皆保険制度のことを指すわけでありますが、したがいまして、今後に交渉の余地を残したということがここに書かれているということなんですけれども、この点について確認をさせていただきたいと思います。
#125
○国務大臣(塩崎恭久君) 先生御指摘のように、このTPPの協定そのもの、それに加えて附属書があり、また交換文書、いわゆるサイドレター、御指摘の点がございましたが、こういったものがございますけれども、この薬価の問題についての将来懸念を今頂戴いたしましたが、TPP協定には、薬価決定に対する外国企業の影響力行使のような我が国の公的医療保険制度を揺るがすような内容は含まれていないということは先ほど総理から答弁したとおりでありまして、また、TPP協定の医薬品等に関する附属書、これにおいては、医薬品は保険適用希望の申請に対する検討を一定の期間内に完了をさせること、それから手続規則、方法、原則及び指針を開示すること、それから薬価収載希望者に意見提出の機会を設けることなど、この保険給付における薬価決定手続の公正な実施に関する内容が規定をされておりますけれども、その内容は我が国の現在の薬価決定プロセスと整合的にできておりますから変える必要は全くないというのは、さっき総理から答弁したとおりであります。
 加えて、今御指摘のサイドレター、いわゆる交換文書、これにつきましては、医薬品等に関する附属書に関するあらゆる事項について協議をする用意がある旨を確認をしているわけでございますけれども、これは米国政府の意見をそのまま受け入れるというようなことでは全くないわけで、そういったことを約束するものではないということでございます。
 したがって、我が国の制度を変更する必要はなく、また、TPP協定によって、将来アメリカからの圧力によって我が国の薬価が高騰するとか制度変更しなきゃいけないとか、そういうことは、御懸念は当たっていないのではないかというふうに私たちは思っております。
#126
○川合孝典君 協定の交渉をするに当たってそういう御認識で政府が交渉を進められたということについて、そのこと自体を否定するつもりは私はございませんが、先ほどもちらっと申し上げましたが、アメリカ政府がこのTPPに入るに当たって、アメリカにとってのメリット、デメリットを検証を当然彼らはしておりますが、そうした中で、保険や医療、あと医療保険のサービスも含めてなんですけれども、こうした領域が彼らにとって最もGDPを押し上げる項目の一つとして掲げられているということはこれ事実なわけであります。
 実際にTPPの加盟国の中で経済規模や市場の規模を考えたときに、アメリカにとって最も魅力的なマーケットがどこなのかといえば、日本しかないんです、これは。誰が何と言おうが日本なんですよとなったときに、今回のこの枠組みで、それだけで守られるのかということについて、私は正直言って、今、塩崎大臣がおっしゃったような内容だけではちょっと心もとないというのが正直、偽らざる気持ちなんです。
 これまで国の審議会で決められてきた薬価についても、その薬価を決める審議会にもアメリカの利害関係者が出ることができると、さらには意見書を出すこともできるということになっております。透明、公正な薬価決定のプロセスを日本は踏んでいるといっても、アメリカのように大変高い薬価で大変高額な医療を当たり前として行っている国にとって、薬価というものの考え方自体がそもそも日本とは違うわけでありますので、このことによってアメリカが、不当にアメリカの製薬企業の利益を要は侵害しているんだということを申し立てることは、可能性としては非常に実は私、大きいと思っているんです。
 このことに対して、今の段階からどう向き合うのかということが求められているわけでありますが、総理、この点いかがでしょうか。
#127
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 薬価のルールにおいては、まず医療費を全体、これ二年に一回改定していく中において薬価の改定も行っていくわけでございますが、二年に一回薬価改定するのを、二年間の薬剤費の動向を見て、そしてそれを修正をしていくわけでありますし、また新たに収載する薬については、掛かったコスト、そしてその効能や、あるいはどれぐらいの対象、患者さんになるかということを見て算出をしていくわけでございますが、いずれにせよ、まずは全体の、薬剤費全体を決めるわけでございまして、その中で後は、その同じパイの中で後は個別に決めていくということになっていくわけでございまして、そこで、最近オプジーボのようにこれは非常に高額なものが出てきているのは事実でありますが、これは、メラノーマにしか効かないと言われていたものが肺がんにも適用されるということで三十数倍に対象が増えてしまったということで、これはちょっと当初と違うということになったわけでありますし、またC型肝炎のお薬もそうですが、それは直ちに変えていくわけでありますが、そうではなくて、では、米国から、自分の国の薬だから、今でももちろん米国のお薬というのは薬価の中に収載はされておりますが、米国の圧力で高くするということについては、これは基本的には今までもなかったわけでありますし、TPPがもしこれ批准された中においてこれが影響を受けて高くなっていくということはないと、これは言えるのではないかと、このように思っております。
#128
○川合孝典君 ここまでの枠組みという意味では今確かに総理がおっしゃったとおりの経過をたどってきているわけでありますけれども、実際に、TPPというのは、そうした障壁も含めて障壁を低くするというのがそもそものTPPの、自由貿易の目的ということでいえば、そういう危険性が生じる可能性というものを否定してかかるということについて、私はその姿勢はいかがなものかということは残念ながら申し上げなければいけないと思っております。
 それと、もう一つなんですけれども、薬価の話が出てまいりましたので、いわゆる新薬のデータ保護期間の問題について、これは塩崎大臣でよろしいでしょうか、御質問させていただきたいと思いますが。
 この新薬のデータ保護期間については、短くしろというオーストラリアを始めとする国と、それに対して長くしろと言っていたアメリカとの間を取る形で、従来の日本の考え方である八年ということに決まったということについては多くの方々が御理解をされていると思うんですけれども、この新薬のデータ保護期間、実はよく協定文書を見てみますと、八年に限定することができると書かれているんですね。限定することができる、八年に限定するではないんですよ。
 この曖昧な表現がどういう意味を持っているのかということと、それともう一つは、この協定が仮に発効したら、発効後十年で再協議が当然行われるということになっていますので、うがった物の見方かもしれませんけれども、取りあえず八年ということにしてあるけど、十年後の再協議でこの期間については再度見直しを図ることで何らかのことをしますよということを、そう受け取られる可能性もある実は内容になっているということであります。
 私が懸念いたしておりますのは、いやいや、アメリカ政府と日本政府はそんな話はしていないよということなのかもしれませんが、日本と違ってアメリカの医薬品業界はアメリカの連邦政府や政治の世界に対して絶大なプレゼンスを持っております。かつ、アメリカのトップ企業、いわゆるメガファーマと言われる企業、トップの企業と、日本でいえば、日本のナンバーワンの武田薬品さんですが、三倍以上の実は差があるんですね。ほかの業界に比べると実は医薬品業界というのは日本の企業、内資系の企業が非常に世界的にはポジショニングが低い業界でもあります。
 したがいまして、今私が御指摘をさせていただきましたようなところをきちんと守っていくということを今のうちに手を打っておかないと、気が付いたら日本で流通している医薬品というのは高いアメリカ製の医薬品、海外から導入された医薬品だけになりかねないという、ここが私が御指摘をさせていただきたい点なんです。
 私は、日本の医療保険制度というのは世界最高のものだと実は理解しております。なぜ日本という国が世界一の長寿国たり得たのか、日本の優れた医療保険制度のおかげですよ。日本だって一人当たり医療費は高いと言われていますが、アメリカの一人当たり医療費は日本の二・四、五倍掛かっているわけであります。日本は、良質な医療をある程度一定のリーズナブルな金額で供給できるという制度、これを国民皆保険制度、医療保険制度で長年にわたって守り育ててきたわけであります。その制度を補完する形で様々な医薬品や医療機器関連産業というものもあるわけであります。
 これが壊されるようなことがあれば、アリの一穴で、そういうところから、もし海外から今私が指摘したようなものが入ってくることになれば、医療保険制度、皆保険制度も含めて、日本の医療インフラが崩壊してしまうことの危険性があるということを是非御理解いただきたい、これが私からの御指摘ということでございます。これは答弁は求めませんので、次に行かせていただきたいと思います。
 次ですが、労働の分野について少し、これは塩崎厚生労働大臣のお考えをお聞かせいただきたいんですけど、パネルをお願いします。(資料提示)
 皆様にも資料をお配りしておりますが、ちょっと順番が変わっておりますが、これ、TPPの第十九章、労働の部分の要旨を抜き出して、私の事務所で作ったものであります。
 実は、ここには労働者の権利に関してILO加盟国としての義務を負うということがTPPの協定には書き込まれております。しかしながら、実は残念ながら日本は、このTPPの労働者の権利を守るための条約、いわゆる中核的八条約と呼ばれるもののうち、ILO百五号並びに百十一号条約についてはまだ批准できていないんです、実は。これは何かといいますと、百五号条約というのが強制労働に関する規定、そして百十一号条約というのが雇用及び職業に関する差別の撤廃という、今更何を言っているんだというようなことを思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、実はこの強制労働と雇用、職業の差別撤廃についてのILO条約が批准できていないと。誠実にこのILO宣言を遵守していくということを確認をされたわけでありますから、ILOのこの百五号、百十一号条約については早急に私は批准すべきかと考えております。
 残念ながら、今回のTPP関連法案の中では労働法の整備が入っていなかったわけでありまして、なぜそうなっているのかということを塩崎厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
#129
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、ILO百五号とそれから百十一号についてお話がございましたが、繰り返しになりますけれども、このTPP協定の今パネルで御指摘いただいております十九章の労働章というところでは、ILO基本条約を批准することが求められているものではないわけでございまして、また、ILO基本条約に規定されている具体的な義務を締約国に課すものではないということでございます。
 いかなる国内法令などを採用、維持するかについては、一義的にはこれは各締約国が判断をするという国内の問題でございます。その上で、ILO条約につきましては、それぞれの条約の目的、内容、そして日本にとっての意義などを十分検討をした上で、国内法制との整合性を確保する上で批准する必要があるわけであります。
 我が国においては、八つのILO基本条約のうち、今お話しのように六つは批准済みでございますけれども、第百五号条約と第百十一号条約、この二つについては国内法制との整合性という観点からなお検討すべき点があるということで、この批准については慎重な検討が必要であるというふうに考えているところでございます。
#130
○川合孝典君 想像したとおりの実はお答えを今頂戴したわけでありますが、国内法との整合性が取れているということについてなんですが、私の方でいろいろと調べさせていただきました。
 百五号、百十一号共にいろいろと問題が含んでいるなと思いますが、まず、百十一号の雇用及び職業に関する差別の撤廃についてということなんですが、国内法との整合性が取れているというこの政府側の御答弁の根拠になっているのは、日本国憲法第十四条。この日本国憲法の十四条及び十九条の規定によって、十四条というのは、全ての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は社会的関係において差別されないと、こう書かれているわけでありますので、ILOのこの差別規定の項目についてはクリアしているという、こういう実は理解に自然に考えればなっているはずなわけでありますが。
 ところが、この憲法の十四条の規定というものについて過去の最高裁の判例の中で、ある方が会社に就職活動をしておられる折に、その就職活動中にいわゆる自己申告に虚偽の記載があったということ、記載漏れというものがあったということを理由に、いわゆる採用で、試用期間が終わる前にその企業が雇い止めにしたと、採用しなかったということ、そういう事例がありました。
 その折に実は最高裁の判決がどうなっているかというと、憲法十四条それから憲法十九条に思想及び良心の自由という項目がございますが、この憲法十四条及び十九条、今回のILOの規定を満たしている、国内法で満たしていると言われている要件となっているこの憲法の二条ですが、これについて最高裁はこう言っています。専ら国又は公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではないと、こう言っているわけであります。
 実は、労働というのは私人の関係ということになるわけでありますので、したがいまして、この憲法十四条があるから大丈夫という政府側の見解については、実は大きな穴が空いてしまっているんですね。ここをどうしていくのかということが実は議論されなければいけないということであります。
 これも突っ込んでいきますと、この課題だけで一時間以上話を続けられるわけでありますが、本日の趣旨はそういうことではございませんので、これで、問題提起ということだけで終わらせていただきたいと思いますけれども、改めて申し上げます。
 このILOの百五号と百十一号ですが、ILO加盟百八十七か国中、百七十五か国、百七十三か国が既に批准しているルールなんです。よくよく調べてみますと、批准していない国をよく見て見ますと、アメリカはしていないんです。実は、アメリカはしていないんです。つまり、アメリカがやっていないから日本もやらなくていいと思われかねないような状況に実はこれ陥ってしまっているわけでありまして、私は、安倍総理が日頃から、日本がリーダーシップを発揮して、要はアメリカに気付きを与えるんだという趣旨のことを繰り返しおっしゃっているわけであります。
 是非とも、このILO百五号、百十一号条約についても前向きに批准することについて御議論いただきたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。
#131
○国務大臣(塩崎恭久君) 先生は十分国内事情を御存じの上で今御指摘をいただいているわけでございますので、今の強制労働の廃止に関する条約の百五号とそれから雇用及び職業についての差別待遇に関するこの百十一号については、先ほど申し上げたとおり、やはり国内法制、他の法律との兼ね合い、そしてまた日本の置かれている状況などを確保した上で批准が求められるわけでありますので、その点についての整理が付かないままに批准をするということはなかなか難しいということを先ほど申し上げたとおりでございます。
#132
○川合孝典君 なぜILOのこの二条約を批准しないのかということについて超党派の議連で勉強会をやった折に厚生労働省の方がお越しになられて、なぜ批准しないのと聞きましたところ、義務の違反という、この義務違反を確定するためには、他の締約国が法律、規則又は慣行を採用せず、又は維持しなかったことが締約国間の貿易又は投資に影響を及ぼす態様であったことを示さなければいけないと、要は立証しなければいけないんだと、相手国がと、だから、これはILO条約を批准しなくても大丈夫なんだよという、こういう実は趣旨の説明を残念ながらされました。
 つまりは、相手が立証できないんだったら別にやらなくてもいいじゃないかという話でありまして、そういうスタンスでは、より弱い立場の労働者を保護する立場にあると、全ての。一億総活躍なんでしょう、だったら弱い立場の方々にきちんと光が当たるという枠組みをどう整備していくのかという根っこの部分をきちんと整備していかなければいけないということを申し上げさせていただきまして、この問題についても終わらせていただきます。
 このまま行きますと、お楽しみの農林水産ができなくなってしまいますので、農水の関係について少し山本大臣、お伺いをさせていただきたいと思います。(発言する者あり)済みません、お楽しみとは不適切な表現でございました。多くの国民の皆様が関心を寄せていらっしゃるこの農林水産分野について御質問させていただきたいと思います。
 お手元に資料をお配りしておりますが、パネルでまとめさせていただきました。既に本日、もう何人かの委員の皆さんがこの問題について御指摘をされましたので、私は大きく問題意識だけお話をさせていただきたいと思います。
 こちらのボードは、二〇一三年、TPPの交渉が始まった当初に農林水産省が出したTPPの影響試算、そしてもう一つが、二〇一五年にTPP交渉を行った上で影響試算を改めて内閣官房でまとめて出されたものというものでありますが、これを御覧いただきますと、一般的な皆さんがこれを御覧になられていて、魔法のような実は数字が並んでいるわけであります。いやいや、これは関税を守り、守るべきところを守ったから、例えばお米であれば一兆百億円の減少額であるものが当面はゼロに守られたんだよという、こういう説明になるのかもしれませんが、不思議だなと思いますのは、その下、見ていただきますと、二〇一五年の試算では、小麦で六十二億円、大麦四億円、ざっと下並んでおりますが、生産減少額というのはあるわけでありますが、生産量は減少していないんですよ。
 これ、どういうロジックでこういう数字になっているのかを分かりやすく手短に御説明いただきたいと思います。
#133
○国務大臣(山本有二君) 品目ごとにそれぞれ検討をしました結果、国内対策やあるいは合意内容を基に各生産者の意見聴取しながら、生産量については変化がないというような判断をしたところでございます。
#134
○川合孝典君 私、率直に申し上げまして、この交渉を行った瞬間の関税だとか様々な条件だけでいけば、この農林水産品の要は量が減るとかということについては、たちまち減るということにはひょっとしたらならないのかもしれないと、好意的に見てそういうふうに理解もできますが、しかしながら、今後、三百四十一円、例えばお米はキログラム当たり関税が一応守られたということになっておりますけれども、これについても将来徐々に関税率というのは下がってまいります。今後、お米自体の国内での消費量も下がってきておりますが、米価自体も徐々に下落傾向にある、こういう状況にあります。さらには、日本という市場が開放されたことによって海外の加盟国から品質改良した優れた農産品が入ってくるという、こういうことだって考えられるわけですよね。当然我々には答弁いただけないかもしれませんが、そういう対策については政府部内では議論していないとおかしいはずなんですよ。
 そういうことを考えたときに、大事なことですよ、おかしいじゃないかとこの数字をあげつらって、私、物が言いたいんじゃないんですよ。必ず痛みが生じるということに対してどうこれから向き合っていくのかということについて、残念ながら今の政府の皆様の説明では、農林水産業で働いていらっしゃる方々、さらには競争力のない零細業者の方々は、とてもじゃないけどこれじゃ納得できないです。そのことを問題提起をさせていただいているんですよ。是非そのことを御理解をいただきたいと思います。
 この問題につきましては、是非とも、与野党がどうこうということではなく、農林水産業、食の安全、いろいろな問題が絡んでいる課題でございますので、是非とも与野党でこの問題については掘り下げる議論というのを行っていただきたいということを委員の皆様にもお願いをさせていただきたいと思います。
 それから、いよいよ時間がなくなってまいりましたので、関係ないと思われております、これまで余り議論をされてこなかった点について、一点だけ最後に御質問をさせていただきたいと思います。漁業についてであります。
 これまで日本は、零細漁業者の皆様のために、漁港の整備ですとか燃料の補助金、さらには漁船を造るための低金利などの融資といったような対応策を取ってこられておられました。TPPの第二十章の環境の章では、乱獲や過剰な漁獲能力に寄与する補助金は規制し、削減、撤廃が求められていると、こうなっておるわけであります。こうなってくると、国が補助金を出すことで漁獲能力を高めていく、そのことは不公平な競争に当たるのではないかとTPP締約国から言われる可能性があるわけでありますが、この点について、大臣、いかがでしょうか。手短にお願いします。
#135
○国務大臣(山本有二君) おっしゃるとおり、漁獲に対する補助金であって、乱獲された状態にある魚類資源に悪影響を及ぼすものの補助金、そしてIUUの漁業を行う漁船に対し交付される補助金、これは禁止されております。しかし、我が国の漁業補助金はこれら禁止補助金に該当しない、そして補助金に対する我が国の政策決定権はなお維持されたという認識でTPPの合意をしたわけでございます。
#136
○川合孝典君 あくまでもこれまでの日本の考え方に基づいてということでありますが、とてもではありませんが、今の御答弁では漁業が守れるということには当たらないと思います。
 済みません、時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますけれども、これ以外にもたくさん課題があるんです。国のためにどうあるべきなのかということをもっと前向きに議論をしていただきたいと思いますし、そうしたことがきちんと整理できない状況の中で急いでTPPを議決して決めてしまうということについては、やはり国民目線から見ておかしいということを改めて申し上げさせていただき、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#137
○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
 TPP協定の質問でございますけれども、今日は、その前に一問だけ、災害関連について総理に質問させていただきたいと思います。
 鳥取県中部を震源とする地震、これは十月二十一日に起きました。三週間が過ぎております。私ども公明党も真っ先に対策本部を立ち上げまして、私自身も発災直後に現地入りをいたしました。現地では、被災地の皆様、もう総力を挙げて復旧復興に取り組んでいるところでございます。全壊、半壊の世帯こそ少ないものの、ブルーシートで応急処置をした家屋もまだまだ数多くありますし、また、避難所にもいまだ三十名を超える方々が避難生活を余儀なくされているというふうに承知をしております。
 風化をさせてはならないとの思いで、今日は冒頭にこの問題を取り上げさせていただいております。一日も早く日常生活に戻っていただけるよう、政府には、鳥取県また関係市町村ともしっかり連携を取っていただいて、必要な支援をしていただくようお願いをするものであります。
 十一月三日には石井国土交通大臣も現地を視察いたしました。また、総理自ら、発災直後に鳥取県の平井知事から緊急要請を受けまして、観光であるとか農業でありますとか財政支援の要請を受けたところでございます。
 その中で強かった要望の一つが、特に観光についての風評被害対策でございました。鳥取県中部のみならず、地域的に離れている東部やまた西部の方でも宿泊のキャンセルが相次いだということでありまして、特に地方経済は観光に支えられている部分がありますので、鳥取県といたしましても、この要望の最重点事項として観光対策、特に風評被害対策をということで具体的に国としてプロモーション活動やキャンペーン活動をしていただきたいと、そういう要請を総理にもしたところでございます。
 そこで、まず、総理を先頭に政府一丸となって、鳥取県中部のこの地震復旧に関して、特に観光政策を後押しをお願いしたいと思います。総理の決意を伺いたいと思います。
#138
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 改めまして、鳥取県中部を震源とする地震により被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。私自身、鳥取県知事を始め地元の皆様から直接被害の状況と御要望を伺いました。
 鳥取県には鳥取砂丘を始め、倉吉の白壁土蔵や三朝温泉など魅力的な観光地が多数あり、住家の被害や農業被害への対策に加え、一刻も早く観光客に戻ってもらえるようにするような対策を実施していくことが必要だろうと、またこういう強い要望があるのも事実でございます。
 このため、観光庁などにおいて、国内外に向け地震被害の正確な情報や鳥取の魅力を発信していくとともに、鳥取県の隠れた魅力を発掘し、被害の大きかった地区を周遊する旅行を新たに支援するなど、鳥取応援プログラムを早急に取りまとめ、風評被害を払拭していきたいと考えています。
 被災者の皆様が一日も早く元の生活に戻れるよう、生活やなりわいの改善、復旧に向け、政府一丸となって、できることは全て行うという精神で取り組んでいく考えでございます。
#139
○谷合正明君 是非、政府一丸となって取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、TPP協定の質問に入りたいと思います。
 今、国民の皆様の最大の関心事は、トランプ次期アメリカ大統領のこの政治の方向性であると思っております。御案内のとおり、トランプ次期大統領は、選挙期間中、TPP、環太平洋パートナーシップ協定からの撤退を表明しておりました。TPP協定は事実上日本と米国が批准しないと発効できないという仕組みでございますので、そこで、今のTPP協定の行方に不安が広がっているわけであります。そして、この自由貿易体制そのものに世界の中で不安が広がっているわけであります。
 そうした中、ちょうど先週、選挙が行われた直後にトランプ次期大統領の勝利演説が行われまして、恐らく世界中の皆様が固唾をのんでこの演説の内容を見守ったのではないかなというふうに思っております。私もその内容を後でいろいろと読んでもみましたけれども、選挙期間中の発言とは打って変わって非常に穏やかな、穏当な演説ではなかったのかなというふうに思っております。例えば、常にアメリカの利益を最優先するというところは主張はあるんですけれども、当然これはアメリカの利益を最優先するんだけれども、全ての国とも公正に対応する、敵意や対立ではなくて、この機会にパートナーシップを、共通認識を探っていきますというくだりもあったかというふうに思っておりますが。
 総理は、この勝利演説をどのように聞いていらっしゃったのかなという、トランプ次期大統領の当選直後の言動についてどのように今御評価されているのかというのが一つと、今週十七日にはニューヨークでトランプ次期大統領と総理が直接お会いするということでありまして、恐らく世界中の首脳の中で最初にトランプ次期大統領と会談するのが安倍総理ではないかということで、日米関係のみならず、世界中の首脳者がこの総理との会談に注目しているということでありまして、まず総理に、この十七日の会談についてどのように臨むという決意なのか、この二点をお伺いした上で、さらに、今参議院ではTPP協定の審議をしておりますけれども、TPP協定の発効をリードする我が国のこの基本姿勢は変わらないのかと、この点、三点についてお伺いしたいと思います。
#140
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私も、トランプ次期大統領の当選のスピーチ、注目をしておりまして、テレビで拝見をいたしました。大変落ち着いた雰囲気で、冷静な態度での演説だったと思います。この勝利演説において、米国の分裂の傷を手当てし、協力して偉大な国を一つにする旨呼びかけました。全ての国々に対して、敵対ではなく共通基盤を、対立ではなくパートナーシップを求めたものと評価をしております。事実、演説をしている最中に世界の市場は大きく変化をしていたということであります。
 当選の翌日に電話会談を行ったところでございますが、その際、日米同盟関係の重要性について認識を共有することができたと思っております。トランプ次期大統領とはまずは個人的な信頼関係を構築をしていきたいと、その意味におきましては、この電話会談、いいスタート、有意義なスタートになったと思っておりますが、十七日に行われる会談でございますが、トランプ次期大統領はまだ大統領に就任しておりませんから、首脳同士の会談ということにはならないわけでございます。現在もアメリカの大統領はオバマ大統領でおられるわけでありますから、我々も大統領が二人いるかのごときの対応は慎まなければならないと、向こう側もそうだと思いますが。
 その中で、次の大統領と様々な課題について意見交換をしていくことは日米同盟関係にとっても有意義であろうと思うわけでございます。そこで、貿易、経済について、そしてまた日米同盟関係について、また、できれば、例えば地域情勢も含めて胸襟を開いた対話をしたいと、こう考えているわけでございまして、信頼関係構築の第一歩にしていきたいと、こう思っているところでございます。
#141
○谷合正明君 そうした信頼関係を新たに築いていくということでございました。
 その上で、TPP協定、今この参議院で審議をしているわけでございます。改めてTPP協定を早期に批准していくことを総理の方から国民の皆様に、まだ国民の皆様、なぜこのTPP協定、この審議を急ぐのかという声もございます。そうした中で、改めてこの早期承認の意義について総理の方から御説明をしていただきたいというふうに思っております。
#142
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPP協定の意義でございますが、TPP協定は自由で公正な世界の四割経済圏を生み出すわけでありまして、さらに、大筋合意から参加を希望する国や地域が相次いでおり、当初の十二か国を超えて大きく拡大していくことが期待されます。日本経済が国内の人口減少を乗り越えて中長期的に力強く成長していく基礎となると、こう思っています。
 TPP協定の発効は、他の通商交渉を活性化し、そして保護主義の蔓延を防ぐことにつながっていきます。これは、自由貿易によって発展してきた日本にとって主導すべきことであろうと思います。基本的価値を共有する国々が経済のきずなを深め、更にその輪を広げていくことは地域の安定や安全保障に資すると、このように確信をしております。
#143
○谷合正明君 今、TPP協定の意義について御説明をいただきました。この協定が発効されますれば日本国内の市場の七倍の規模が登場するということで、日本から輸出するときの関税はほぼゼロになるわけでありますから、国内と同様の自由に取引できる市場が七倍になるとも言えるわけでありまして、国際機関の一つでも日本国内のGDPが十四兆円増加するとも試算をしております。消費者にとっても選択肢が増えるわけでありますから、このTPP協定はしっかりと推進していく必要がございます。
 しかしながら、実はまだ世論調査では、TPP協定の賛否、TPPそのものの賛否については拮抗しているわけですね。賛成が反対を上回っているとはいえ、しかしながら、世論調査の中には、むしろこの国会に入ってからの審議の中でなかなか賛成が反対を大きく上回るというような状況にもなっていないわけでございます。それは謙虚に受け止めながら、この参議院の審議でも丁寧に国民に説明をしていただきたいと思いますし、関係閣僚においてはしっかりと緊張感を持ってこの国会に臨んでいただきたいわけでございます。
 大事なことは、国民の皆様の、一つはメリットもそうなんですけれども、不安に対してどうお応えしていくかと。一部には、TPP協定などの自由貿易協定を進めることが、例えば一部の富裕層であるとかあるいは大企業ばかりに恩恵が行って、格差が拡大するのではないかといった不安もございます。
 大事なことは、アベノミクスの柱であるこのTPPによってアジア太平洋地域の成長を国内に取り込んでいくんだと。と同時に、昨日、我が党の同僚議員、浜田委員の方からも指摘がありましたけれども、このTPPを持続可能な社会経済を築いていくという一つのてこにしていくんだと。この持続可能な社会、包摂的な経済成長を成し遂げていくということが極めて大事でありまして、言わば成長と分配の好循環だと。その成長と分配の好循環こそ、自公政権が今国民から期待されているところでございます。
 先日、総務省が、二〇一四年の相対的貧困率、また子供の相対的貧困率を公表いたしました。統計を取り始めた十五年以上前から初めてこの数字が実は改善をされました。特に、子供の相対的貧困率は二〇〇九年の九・九%から二〇一四年七・九%、改善されたと。これも私は成長と分配の好循環の一つの成果ではないかというふうに思っているわけであります。
 改めて総理から、このTPPの下で成長と分配の好循環をどう実現していくのか、その決意を伺いたいと思っております。
#144
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員が指摘された点が大変重要な視点だと思います。これは自由貿易か保護主義かという考え方だと私は思うんですが、一方、そうではなくて、それは多国籍大企業対貧しい人々になっていくんではないか、多国籍大企業や一部の富裕層ばかりがどんどんどんどん豊かになっていく危険性があるじゃないか、そういうものだという考え方があります。
 確かに、ちゃんとしたルールがなければそうなっていくんだろうと思います。グローバル化が広がっていけば広がっていくほど、同じルールで全ての人たちがそこに放り込まれるということになってくるわけでありますが、しかし、TPPは決してそうではないわけでございます。むしろ、しっかりとルールが作られる。
 日本でいえば、中小企業の皆さんにとっては、海外に進出する、これはなかなか敷居が高いわけでございます。それは、せっかくいい技術を自分でつくり出したとしても、海外に出ていったら、それはすぐに模倣品を作られてしまう、海賊版が出ていってしまう、挙げ句はいきなりルールを変えられてしまう、しっかりと得た利益が持って帰れないということに急になってしまう。それが今度のTPPでは起こらない。みんな同じルールでしっかりと守られる。法の支配が強化されるわけでありますから、中小企業も安心して出ていくことができるし、あるいは出ていかなくても、サプライチェーンの一環を、関税が域内ではなくなっていきますから、国においてもサプライチェーンを担うことができるということになるわけでございます。
 と同時に、農業におきましても、今まで御説明をさせていただいたとおりでございますが、新しい市場がアジア太平洋地域にできるわけでございます。それは、日本の消費者が減っていく中においてアジア太平洋地域の消費者は増えていくわけであります。そこに道を見付けなければ、農家の所得を増やしていくという、あるいは若い人たちが農業を選んでいくという、そういう分野にはならないんだろうと、こう思うわけであります。
 同時に、大切なことは、各国がその国においてしっかりと、それは一部の人たちに富が集中しないという仕組みをちゃんとつくっていくことがとても大切であろうと、このように思います。
 例えば、確かにトヨタを始め自動車産業は恐らく輸出が増えていきます。これは利益を得るでしょう。今、事実、この為替の変動によって利益が出ている。では、それはトヨタだけの利益にしてしまうのかということではないわけでありまして、我々はそこで賃上げを要請し、従業員に、そして、トヨタだけではなくてトヨタと取引をしている企業との関係、下請企業、中小企業、零細企業との関係においても取引慣行の適正化を求めているわけでありまして、それを進めていきます。賃上げが進み、そうしたことを進めていくことによって、生み出した富が均てんされていくということにもつながっていくんだろうと、こう思うわけでございます。
 と同時に、消費者は様々な選択肢が増えていく、また、より安いものも得ることができるということにもつながっていくんだろうと、こう思うわけでありまして、格差が固定化されない、誰にでもチャンスがある社会をつくっていきたいと思いますが、チャンスは間違いなく増えていくわけでございますし、格差を固定化していかない、それは政策的にしっかりとそれを担保していく必要があるんだろうと。
 我々は、経済を成長させるというアベノミクスを進めてきました。一方には、成長を進めていけば格差は広がっていくという批判があった。その中で、相対的貧困率の話がずっとよく国会で出ましたね。しかし、先般、新しい指標が出されたら急にこの議論がなくなったんですが、これは指標を十五年前から取り始めて初めて改善し、特に今挙げていただきましたが、子供の相対的貧困率が、取り始めた十五年前は九・二、それが九・七に上がり、九・九に五年前上がったものが初めて下がった。しかも二ポイント下がると。これは大きなポイント、九・二、九・七、九・九と来て、今度は七・九に下がったわけでございまして、これはまさに、その層の人々の所得が上がったことによってこの子供の相対的貧困の層から上に上がってきたということではないか。
 言えることは、しっかりとこのTPPによってチャンスをつかみ、同時に、多くの人たちが利益を得ることができる、そういう仕組みをつくっていくことではないかと、このように考えているところでございます。
#145
○谷合正明君 是非、その成長と分配の好循環、これからも自公政権としてもしっかりとやっていかなければなりませんし、総理、政府一丸となってやっていただきたいと思っております。
 今、農業の話も答弁の中に話が出ていました。私、これから、今日の質問の中は、TPPによって影響が懸念される農業の分野について中心に質問をしていきたいと思っております。
 農業は国の基であると言われておりまして、この国の発展を農が支えるということは現代においても変わらないわけであります。しかし、今や、農業生産額の減少でありますとか耕作放棄地の増加でありますとか限界集落の増加でありますとか、農業、農村を取り巻く環境というのは非常に厳しいものがございます。
 片や国政に目を転じましても、例えば農業政策の変更が重なる、そこに対して猫の目農政であるという批判も受けてまいりました。したがって、農政の安定的な推進というのは喫緊の課題であると言わなければなりません。
 日本の国土はアメリカやオーストラリアと違いますから、地形的な制約を受けておりますので規模拡大には限界があります。また、その地形的な側面から多面的な機能も有しているとも言えまして、まさにこのTPPを議論する際に、この持続可能な農業をどうこれから構築していくかということが問われていくんだと思っております。
 まずはこの農業政策、また農業をこれからどうしていきたいとか、その基本的な姿勢、基本理念をまずお尋ねしたいと思っております。
#146
○内閣総理大臣(安倍晋三君) よく委員会等でも話をするんですが、私が初めて選挙に出ました平成五年、街宣車で走っておりますと、農家のおじいさんが私の車のそばまでやってきまして、私の手をしっかりと握るんですね。そのおじさんの手は非常にごつごつしているんですね。農家の皆さんの手はいつも土と向き合っていますからごつごつしている、そして鎌なんかで傷が付いていますから、指が落ちていたりとかするんですね。しかし、それで手をしっかりと握りながら、応援しちょるけ、日本の農家を守ってくれよと、こうおっしゃった。このごつごつした手でまさに日本の食料を守り、農業を守り、地域を守り、環境を守り、そして文化を守り、日本の国柄を守ってきたんだろうと私は思っています。
 ですから、農業というのは産業という側面だけで切り取ることはできません。多面的な機能をしっかりと私は評価していく必要があると思います。しかし、同時に、農業の平均年齢、農業に携わる人々の平均年齢は六十六歳を超えてしまった。このままでは守ることができませんから、産業として切り取ることのできる面についてはしっかりと更に競争力を上げていく。農業人口は減っていくわけでありますから、農家の所得を増やしていくということにおいては、これは、農家の所得を増やしていくために様々な今改革を行っておりますが、同時にしっかりと輸出も増やしていく必要があるんだろうと。それはそう簡単なことではありませんが、今までそれは力をそれほど入れてこなかった分野でありますから、まだまだ十分に可能性はあるんだろうと、このように思うわけであります。
 同時に、世界の食市場の規模は更に大きく伸びるものと考えられるわけでありまして、かつ、アジア太平洋地域の人々の所得はだんだん上がっていくわけでありますから、日本の農産品にも、比較的値段が高いと言われている日本の農産品にもチャンスは間違いなくあるんだろうと、こう思っているところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、安倍内閣では、農業の成長産業化の実現に向けまして、農政全般にわたる抜本的な改革を進めてまいりました。具体的には、アジアを中心に拡大し続ける世界の食市場の需要を積極的に取り込むための輸出拡大、担い手への農地集積によりコスト削減を実現する農地集積バンクの創設、六次産業化の推進による付加価値の向上などの改革を強力に進めてきたところであります。また、日本型直接支払制度を創設をし、農村地域の共同活動や営農の継続等に必要な支援を行うなど、地域の活力を維持向上させるための施策を着実に実施をしてまいりました。
 このような改革を進めてきた結果、四十代以下の新規就農者が年間二万人を超えまして、この九年間で最も多くなっているのは事実でございます。
 引き続き、御党ともよく緊密に連携しつつ、抜本的な農政改革を進め、新しい国際環境の下で持続的に発展できる強い農業を実現していく、夢や情熱を持って農業の未来にたくさんの皆さんが挑戦していただけるような分野に変えていきたいと、こう考えているところでございます。
#147
○谷合正明君 大変にありがとうございます。
 それでは、具体的に農業分野に質問させていただきたいと思います。
 先ほど来、今日の委員会では農業分野の影響試算がテーマになっておりました。政府は昨年の十二月に、TPP発効によります農林水産物の生産額の減少を一千三百億円から二千百億円と、その影響について試算を発表いたしました。
 まず、農林水産大臣に質問したいのは、この影響試算は千三百―二千百億円と出ているんですけれども、大事なことは、実際これ発効した後に、これは試算でありますから、今後どのような変化が生じるかというのは実は予測し切れない部分もあるのではないか、そういう不安が実は農家サイドにあるわけでございます。当然、食料自給率についても農家所得についても、実はTPPによってこの影響、額は減るんだけれども、生産額は減るんだけれども自給率は変わらないというのが政府の説明でありますが、しかし、そもそも今、食料自給率については三九%を四五%に増やしていこうという目標があるわけですね。そこに向かっていかなければならないわけであります。
 そこで、まず影響試算でありますけれども、しっかり、協定が発効されれば影響についての不断の検証を行いつつ必要な国内対策を効果的に講じていく、そういうPDCAサイクルを回していくということが極めて大事ではないかと、私はそういうふうに思うわけでありますが、農林水産大臣の答弁を求めます。
#148
○国務大臣(山本有二君) 大事な御指摘だと思っております。
 TPP関連対策につきましては、新たな国際環境の下におきまして生産者が安心して再生産に取り組めますように、総合的なTPP関連政策大綱を置いております。そこで、産地パワーアップ事業、畜産クラスター事業、これらをやらせていただきまして、協定発効に合わせまして、牛マルキン、豚マルキンの法制化と補填率の引上げ、こうしたことで経営安定対策の充実も講じております。こうした不断の点検、見直しについて御指摘でございますが、まさにそれがこの政策大綱の趣旨であろうと思っておりまして、今後、さらにPDCAサイクルを回すというような物の考え方が必要であろうというように思っております。
 また、御指摘の自給率との関係でございますが、自給率の方程式は分母に国内消費仕向を置いております。すなわち、これは、輸入量が増えますとこれは自給率が落ちる関係になっておりますし、また、輸出量が増えますとこれは相殺される関係になっております。TPPの合意事項を踏まえてこれを計算したところ、ほぼ自給率は横ばいでございます。若干、カロリーベースで考えましたときに六キロカロリー減るということでございますが、三九%であることにおいては変わりがないということでございます。
#149
○谷合正明君 自給率を維持していくのみならず、向上させていくというその先の政策をしっかりと取っていただきたいと思っているわけであります。
 そこで、農家サイドから心配、不安の声のもう一つの声として、影響試算の額もそうなんですけれども、再協議規定というものがございまして、発効から七年後に再協議を行うという規定がございます。この再協議規定により、例えば重要品目などの関税が撤廃されるのではないかという懸念もあるわけであります。この規定の性格の趣旨についてTPP担当大臣にお尋ねしたいと思います。
#150
○国務大臣(石原伸晃君) ただいま谷合委員から七年後の再協議の規定の読み方についての御質問がございました。
 これは、TPP協定においては、関税撤廃の例外を勝ち取った品目につきまして、協定発効から七年経過した後、相手国からの要請に基づいて関税等の取扱いに関して協議を行う旨を、オーストラリア、カナダ、チリ、ニュージーランド、そしてアメリカと相互に規定をしているものでございます。協定の第二章でございます。
 このような再協議に関する規定は、これも何度も答弁をさせていただいておりますが、これまで我が国が結んでまいりました経済連携協定では一般的なものだと承知をしているところでもございます。
 よく読んでいただければすぐお分かりだと思うのですが、協議を行うとしか示しておりませんで、協議の結果何が決まるかということは何にも予見させる文章にはなっておりません。当然、協議をするわけでございますので、我が国の国益というものを最大限尊重して協議に臨むわけでございますから、仮に国益を損なうような御指摘が相手方からあったとしても、それは合意することに至らない。万一、その協議の結果、我が国の関税等について見直しを行うのであればどうするかということを考えていただいても分かりますように、これは国会審議を経ない限りはできないわけですから、二重に、この再協議がありましても、規定がありましても、国益を損なうようなことがないようにというふうに解釈をさせていただいているところでございます。
#151
○谷合正明君 大事なところは国会の関与があるということだと思っておりますし、今大臣の方からも我が国に不利な形での改定は行わないと、まあ行わないというか、これは、双方が合意しなければこれはできないわけでありますから、私はそういう意味ではしっかり大臣の方から答弁していただいたというふうに思っております。
 それでは、パネルで見ていただきたいんですけれども。(資料提示)
 農政新時代ということで、これは昨年、農水省の方として取りまとめていただいた、つまりTPP発効に伴って農業をどうしていくのかということでありまして、この守り、守りというんでしょうか、農家の不安を支えていくという政策と、もう一つは攻めの農林水産業への転換ということでございまして、これらを総称して国内対策、国内対策と我々は申し上げているわけであります。
 先ほど来、影響試算の話もございました、再協議規定のいろいろ話ありました。やっぱり大事なことは、国内対策を、今TPPの行方に変化が生じたとしても、これ、しっかり農業をやっていくんだ、農業の政策をやっていくんだ、先行してできる国内対策はしっかりやっていくんだという意思をしっかりと示していただくことだと思っております。また、仮にこの影響試算を超えるような万々が一予期せぬ事態があったとしても、しっかりそこは政府として対策を講じていくんだという決意を示していただくことが私は農業の生産現場の安心につながっていくんだと思っております。
 総理に一言御決意を伺いたいと思います。
#152
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 関税撤廃が原則というTPP交渉の中で、特に農業分野については重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかりと確保し、関税割当てやセーフガード等の例外措置を獲得しました。それでもなお残る農業者の方々の不安を受け止めて、安心して再生産に取り組めるようにしていくのが私たちの責任であろうと思っております。
 その中で、総合的なTPP関連政策大綱に基づきまして万全な対策を講じていきます。
 今回の補正予算においても、農林水産物の輸出の拡大、次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成、中山間地域の農業所得の向上などに必要な対策を盛り込みました。
 また、重要五品目について、TPP協定発効後の経営安定や安定供給に万全を期すため、TPP整備法案等により経営安定対策の充実等を図るための措置を講じることとしております。
 さらに、生産資材及び農産物の流通加工構造の改革の具体策や、将来の農業を担う人材の育成策等について、与党とも緊密に連携をしつつ年内を目途に改革プログラムを取りまとめていく考えでありますが、引き続きまして、農業の成長産業化を実現し、農家の所得を向上させていく施策を強力に推し進めていきたいと考えております。
#153
○谷合正明君 重要五品目の一つであります米でございますが、この米政策について農林水産大臣に伺いたいと思います。
 今、農家はTPP協定の交渉結果に対するところに関心があるだけではなくて、平成三十年産を目途に始めようとしている、これ生産調整見直しですね、その生産調整見直し後の具体的なイメージができていないことに対して不安を抱いているのではないかというふうに思います。
 そこでまず、政府は現在の国、都道府県の生産数量目標及び都道府県から市町村に下ろされる生産数量目標に代わりどのような情報提供を行おうとしているのか、また政府の役割及び取組の方針についての見解を伺いたいと思います。
 さらに、今、現行、収入減少影響緩和対策、ナラシ対策と、通称ナラシ対策でありますけれども、これは生産数量目標の範囲内で生産された米が交付対象となるということでございまして、この生産調整の見直しの後どうなるのかという議論もあるわけでありますが、しかしながら、これは法律に基づいている措置でございますし、生産現場サイドからすると大変影響が大きいわけでありますので、このナラシ対策については、法律に基づいて三十年産以降もしっかりと継続していくということを明らかにしていただきたいと思います。
 さらに、三点目に、米の直接支払交付金の廃止による収入面の不安というのもあるわけであります。多くの農家は今なお困惑状況にあると考えております。この平成三十年産については、見直しの初年度ということもありまして、米価がどのように変動していくかということも、これは不測の事態が生じる可能性もあるわけでございまして、そういう意味では、直接支払交付金の予算というのは、しっかりと私はこれ今後水田などの農業政策へ振り向けていくべきであると考えております。
 以上、三点、農水大臣に伺いたいと思います。
#154
○国務大臣(山本有二君) 過去二年にわたりまして、生産農家の御理解を得ることによって、過剰作付け、これがなくなりました。したがいまして、今の米の価格というのは堅調に推移するだろうというように予測されております。
 そういう中で、米政策の見直しにつきましては、米農家が自身の考え方で作付けができるというようなことを目指して、三十年産を目途に、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも生産者自ら経営判断する、そういう農業に変わっていただけるというように考えております。
 そして、この場面におきまして国の役割でございますが、環境整備をしなきゃなりません。そのためには、まず、全国の需要見通しに加えまして、各産地における販売や在庫の状況などに関するきめ細かな情報提供を行おうと思っております。また、麦、大豆、飼料用米等の戦略作物の生産に対する支援等を併せて行っていきたいと思います。
 二十七年産、二十八年産におきまして、各産地における主食用米から飼料用米を始めとする作物への転換によりまして、二年連続で全国の過剰作付けが解消されている状況でございまして、こうした転換が自主的に行われることが三十年産以降の姿そのものでございます。二十九年産におきましても、引き続きその予行演習的考え方でお願いをしているところでございます。
 国といたしましては、現場の関係者の意見も伺いながら、三十年産以降においてきめ細かな情報提供や水田フル活用のための支援を行うことで、農業者が安心して需要に応じた生産に取り組めますように努力をしていくところでございます。
 また、ナラシ、収入減少影響緩和対策でございますが、米政策が、三十年産以降につきましてもセーフティーネット対策として担い手経営安定法に基づいて実施していくことには変わりがございません。
 また、米の直接支払交付金、二十九年度限りで廃止されることになっております。この財源も加えて、米生産がよりスムーズにいくような施策が取れればというように希望しておるところでございます。
#155
○谷合正明君 公明党も創設に向けて強く働きかけてまいりましたのが収入保険制度の創設であります。
 現行の農業共済制度というのは自然災害による収量の減少を対象としておりまして、価格低下などは対象外となっております。
 そこで、そうした現行の制度をカバーするような形で収入保険制度を農業経営全体を対象とする形で創設できないかと考えているわけでありますが、この収入保険はより多くの農業者が加入できるような工夫をすべきであると考えております。
 例えば、青色申告五年以上の要件の特例でありますとか、これを機会に青色申告への促進を図るべきと考えておりますが、農水大臣の見解を伺います。
#156
○国務大臣(山本有二君) 御指摘の収入保険制度につきましては、農業経営全体の収入に着目したセーフティーネットとして検討が進められております。農業経営者ごとの収入を正確に把握する必要がありますことから、事業化調査における仮スキームということで、青色申告を五年間継続している農業者を対象として考えているところでございます。一方、五年間の青色申告実績がない新規就農者につきまして、その取扱いが今何とかできないかという観点から検討を重ねているところでございます。
 いずれにしましても、本制度につきましては、対象者の要件を含めまして、総合的なTPP関連政策大綱における検討項目十二項目の一つでございまして、政府・与党において検討を進めていくところでございまして、さらに、委員の御協力、検討を進めるお知恵を頂戴したいというように思っております。
#157
○谷合正明君 今、農林水産大臣の方から、この年末までに取りまとめる検討項目の一つであるというお話がございました。
 実は、先ほど農政新時代ということで、攻めの農林水産業への転換でありますとか経営安定・安定供給のための備えが取りまとめられたところであると申し上げましたが、もう一つの宿題として年内に取りまとめをしなければならないのが、この検討の継続項目でございます。そのうち、人材力、そして戦略的輸出体制の整備や原料原産地表示、こうした点について残りの時間で確認をさせていただきたいというふうに思います。
 人材でありますが、もう言うまでもなく、これから農業の分野に若い人あるいは女性が参入していく仕組みをもっともっとつくっていかなければなりません。しかしながら、現状、例えば農業高校の高校生、卒業生のうち、およそ五%程度の人しか就農していないという結果もございますし、また近年、大学で農学部が設置をされ始めました。これは、若い人の農業分野への回帰を表している象徴でもあるんですが、大学の農学部の先生にお伺いしても、ちょうど卒業する頃になって、やはり農業分野で就職したいんだけれども、その就職の受皿がなかなか地方に、隅々まで行き渡っていないのが課題ではないかという話だったんですね。
 農業の担い手というのは生産面だけじゃありませんから、経営であるとか金融だとか幅広いわけでありますが、そうした農業の受皿をしっかりつくっていくことがこれから大事だというふうに思っております。今、地方では特に農産物の流通の多様化ということで、やはり人材として求められておりますのは、生産と流通の両方に関して高度な知識を備えている、農と商を結ぶことができる人材ではないかというふうに思っております。
 ただし、流通と申しましても、農産物の流通は非常に特殊でございまして、量に関する不確実性であるとか、また瞬時に価格を決定し取引を成立させなければならないという特殊な流通でありますから、そうしたことをしっかりと踏まえた人材育成というのが大事だと思いますが、大臣の答弁を求めたいと思います。
#158
○国務大臣(山本有二君) 農業を取り巻く内外の環境は大きく変化をしております。生産のみではなく、流通、販売まで視野に入れた経営感覚が担い手育成には大事だと考えております。生産量が八兆円、輸入量が六兆円、この十四兆を基に、最終的な消費まで行きますと百兆円近くなるわけでございまして、そんな意味で農は成長産業だと言われているところでございます。
 先生御指摘の新しい農の考え方の中に、山梨大学がワインの学部をつくったと聞いております。そういうような新しい発想で担い手が農に取り組んでいただけるということを農林省も希望しておりまして、就農前の段階で、農林中央金庫や食品企業等が参画した一般社団法人アグリフューチャージャパンというのは経営セミナーを就農前の方々にしておりますし、就農後に関しましては、既に頑張っておられる農家の方々に、農業経営塾というものを設置して、それぞれ勉強をして新しい農業に携わっていただけるというような道を開きたいというように思っております。
#159
○谷合正明君 新規就農などの話をさせていただきましたが、安倍総理も先ほど、四十代以下の新規就農者が二万人を超えたということは、これは大変喜ばしいことであります。
 私も、実はいろいろ現場を回っていくと、若い人たちと懇談すると、新規就農者の方がどれくらいいるかなと思いながら聞くと、実はやっぱり半分以上は親元就農なんですね。
 ですから、視点といたしましては、この新規就農もそうでありますし、親の後を継ぐいわゆる親元就農に対しても、当然私はしっかりと光を当てていかなければならないと思っております。制度上何か差別をしているわけじゃないと思いますが、しっかりこの親元就農に対してもやっていくんだぞということを、姿勢を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#160
○国務大臣(山本有二君) 持続可能な力強い農業を実現していくためには、親、それから子、子から孫というような地域、農村が必ず必要でございます。その意味で、御指摘の親元就農を含め農業の内外からの新規就農を促進し、世代間バランスの取れた農業構造にしていくことが重要だと考えております。
 そこで、二十四年から就農準備段階や経営開始直後の青年就農者を対象とした青年就農給付金の交付をしておりまして、また、農の雇用事業における、農業法人等における雇用就農者の研修の支援もしております。さらに、無利子融資等を活用した機械、施設等の取得の支援もさせていただいております。
 親元就農を含め、青年が農に携わるということに対してはもう徹底的に支援の手を緩めないようにしていきたいと思っております。
#161
○谷合正明君 続きまして、輸出促進、国産食材などの振興について質問をいたします。
 パネルを御覧ください。これは、ロンドン・オリンピックの競技大会における食材の調達基準ということでございます。
 実は、ロンドン・オリンピックのとき以来、リオ・オリンピックもそうなんですが、その大会期間中に出される飲食についてはどうするかということを大会の組織委員会、検討委員会が決めていくという仕組みになっておりまして、例えばロンドン大会でどうだったかというと、右下に書いてありますが、大会全体で一千五百万食以上が提供された。選手村では約二百万食、選手村のピーク時には三十分で一万食という提供をしなければならなかったと。
 この中身をどうするかということで、農産物、乳製品、牛肉、羊の肉、水産物と分けてそれぞれ書いてあるんですが、ここに英国産のレッドトラクター認証品ということで、認証品を使っていくんだと、原則使っていくんだということに取決めしたわけです。
 このレッドトラクター認証というのは、イギリスの農業者団体が運営する認証制度でありまして、食品安全や環境保全、動物福祉等に配慮した農産物や加工食品を認証するというものでありまして、今イギリスの市場では大体七割ぐらいがこのレッドトラクター認証品ということでなっているわけであります。
 そこで、東京オリンピック・パラリンピックでございますが、まさに今大会組織委員会でこの基本戦略と食材の調達基準を策定中と伺っております。短期間のうちに一千五百万食以上提供するというのはこれ大変なことでございまして、総理も本会議の質問の答弁に際して、これからグローバルギャップという国際認証の推進を図るという答弁があったんですが、GAPにはグローバルギャップ認証と日本GAP、この二つが我が国にはございます。認証を受けている農場の数というのは、それぞれ今、グローバルギャップで四百、またJGAP、日本GAPでは四千、国内にありますが、この数であると、オリンピック期間中に一千五百万食、まだGAPを使うとは決まっていないわけでありますけれども、仮にGAP認証を使うとすれば、この一千五百万食を提供するにはちょっと足りないわけですね。
 そこで、五輪をてこに、輸出促進のため、国産の農産品、水産品の普及のために、日本GAP認証の国際標準化、GAPを取得している農場の増加、またGAP認証食材を使用してもらうための流通体制をこれ至急整備する必要があると考えますが、政府の対策を尋ねます。
#162
○国務大臣(山本有二君) 御指摘の食品安全、環境への配慮、こうしたものを実現するため、国際的に工程管理が重要視されております。国内でもGAPの普及を推進しております。
 近年、農産物の輸出において、海外の民間事業者から国際的に通用するGAPの認証取得を求められるようになってきております。また、御指摘の二〇二〇年のオリパラ東京大会で組織委員会が年度内をめどに決定することにしております食料調達基準、これにおきましても、ロンドン大会と同様、国際的に通用する水準のGAPの認証取得が求められる可能性がございます。
 このため、農林水産省としましては、民間団体によるJGAPの国際規格化の取組の支援、生産者がJGAPやグローバルギャップの認証を取得する場合の費用の支援、GAPにより認証されました農産物とその他の農産物を分別管理するための施設整備に対する支援、これを行おうとしておるところでございまして、こうした取組を通じまして、オリパラを契機に、また国際的に通用する認証を受けた農産物の生産を大幅に増やし、世界各国への輸出等が一層拡大する環境をつくること、これに取り組んでまいりたいと思っております。
#163
○谷合正明君 御答弁ありがとうございます。
 しかしながら、もう時間がないわけですね。ですから、総理に、二〇一九年の農産物輸出一兆円という前倒しの目標を掲げているわけでありますが、ちょうどやはり二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックのこうした大会があるわけでありますから、しっかりこの大会を活用して、このGAP認証の推進など輸出体制をしっかりと政府一丸となって強化していく、これは私は国産の産品を生産する生産農家にとっても追い風になると思うんです。よく輸出は、何というか、実は使っているものが外国産であるという、そういう批判もあるんですが、私は、今回のオリンピックで認証制度を使ってやっていけば、しっかり国産の食材もPRするまたとない機会となると思いますので、総理の決意を伺いたいと思います。
#164
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そもそも日本の食材は、しっかりと管理され、おいしくて安全なものが作られていますから、そこでこのGAPの認証、まだ十分に認識されていない点もありますから、しっかりとこの認識を広めていく中において農業者のGAPへの取組をしっかりと支援し、体制を構築をしていきたいと、このように考えております。
#165
○谷合正明君 続きまして、輸出の関係で申し上げると、日本酒の輸出ということも昨日の委員会でも何人かの委員が取り上げておりました。
 日本酒の輸出は和食ブームを背景に増加傾向にありまして、輸出量、輸出金額共に過去最高を昨年は記録しておりますが、平成二十五年、二〇一三年には、この日本酒を造るための酒造好適米、酒米が不足したと。その不足したことから、酒造好適米の需要増に対応できるように平成二十六年度からの生産数量目標の枠外での生産を可能にしたところ、平成二十七年度、二〇一五年度の酒造好適米は逆にかえって供給過剰になってしまったということでございます。
 今後の日本酒の輸出の増加に対しまして、この酒造好適米、酒米の生産体制をきっちりと進めていくことが大事だと思いますが、政府の対応を伺います。
#166
○副大臣(齋藤健君) 山田錦等の酒造好適米については、谷合委員御指摘のように、栽培適地が限られているということ、それから豊凶によって生産量の変動が大きいということがありますので、御指摘のように、きちんとした需要に応じた安定供給ができる、そういう体制をつくっていくことが大事なんだと考えております。
 そのためには、生産される方が酒造メーカーのニーズをきちんと把握をして生産をしていくということが極めて大事だと思っておりまして、このため農林水産省では、本年三月と六月に産地及び酒造メーカーの関係者によります日本酒原料米の安定取引に向けた情報交換会を開催をいたしまして、その一環として、産地がより的確に需要に応じた生産ができるように酒造メーカーに対しまして需要量の調査を実施をいたしまして、その結果を公表したところでございます。
 産地においては、この需要量調査の結果と併せて、酒造好適米の需給状況も踏まえて生産をされていくということが重要であると思っておりまして、今後とも、このような情報交換会を毎年開催をいたしまして、安定取引に向けた取組状況等の検証も行いまして、需要に応じた生産体制の確立に向けた民間の取組を促進していきたいと考えております。
#167
○谷合正明君 よろしくお願いいたします。
 それでは最後に、加工食品の原料原産地表示について、大臣に端的にお伺いします。
 十一月二日に中間取りまとめ案が公表されまして、加工食品の原料原産地表示制度につきましては義務化していくという方向になるわけでありますが、一方で、当然例外も設けられていくわけであります。その例外の中で、大くくり表示ということで輸入又は国産というような表示も可能とするわけでありまして、そうすると、輸入又は国産という表示を見たときに消費者は、一体これはどこの産品なんだと、結局は全世界のイメージということになってしまうわけでありまして、消費者の商品選択に資するかという疑問が呈されているわけであります。
 あの中間取りまとめ案自体は実行可能性に重点を置いたものというふうに私は評価しておりますし、消費者の、また事業者の利益等、様々なヒアリングをしたものと評価しているわけでありますが、最後に、この例外を認める際に消費者の誤認を防止するための措置について伺います。
#168
○国務大臣(松本純君) 現在、加工食品の原料原産地表示の義務対象品目は、加工食品全体の一割程度にとどまっているという調査結果があることは承知をしております。加工食品の原料原産地表示制度については、本年一月より有識者検討会を開催しておりまして、全ての加工食品に原料原産地表示を導入し、消費者の誤認を防止するための方法を明確にした上で、事業者の実行可能な例外的な表示方法を整備することについて合意が得られたところでございます。
 今後、検討会の取りまとめを踏まえまして制度を具体化するに当たり、消費者の誤認を防止するための具体的な方法として、例えば使用割合が極めて少ない産地については○○産と表示しない、過去の使用実績等に基づく表示であることを容器包装に注意書きするなどの方法を講じることを検討してまいりたいと存じます。
 また、新しい制度を十分理解いただけるよう、パンフレット作成や説明会を実施することなどにより消費者への啓発活動も積極的に行ってまいりたいと思います。
#169
○谷合正明君 終わります。
#170
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 TPP協定で新たに今回設置することになるTPP委員会について、今日はお聞きをしたいと思います。
 今、もう国会ではTPP協定等関連法案を議論しておりますけれども、TPPが仮に発効されるということになると、TPP協定の運営はTPP委員会が行うということになります。
 そこで、TPP委員会についてお聞きします。TPP委員会というのはどういうメンバーで構成されるのでしょうか。
#171
○国務大臣(石原伸晃君) ただいま紙委員がお示しいただきました環太平洋パートナーシップ委員会、通称TPP委員会のメンバーについての御質問でございますが、TPP委員会は各締約国の政府の代表者から成ると規定をしているところでございます。
#172
○紙智子君 それは閣僚でなきゃならないということはないわけですか。
#173
○国務大臣(石原伸晃君) その点につきましては、大臣又は上級職員のレベルということでございまして、今御質問にございましたとおり、閣僚に限定はされていないというふうに理解をさせていただいているところでございます。
#174
○紙智子君 このTPP委員会は、日本の国内組織ではなく、TPPに参加している十二か国でつくる組織ということでよろしいでしょうか。
#175
○国務大臣(石原伸晃君) 紙委員が仮に発効されたらということを前提条件に付けられて御質問をされておりますとおり、まだ決まっておりませんで、どこにどういうふうにやるかということはまだ決まっておりません。先ほど条文の内容について御説明させていただいたとおりでございます。
#176
○紙智子君 TPP委員会のそうすると本部はどこにつくるとかいうようなことはお決まりでしょうか。
#177
○国務大臣(石原伸晃君) 仮に発効いたしましたら、締約国の中で御議論がスタートするというふうに理解をさせていただいております。
#178
○紙智子君 それはまだ、そうすると、全く話にはなっていないということでしょうか。
#179
○国務大臣(石原伸晃君) くどいようですけれども、現時点ではまだ決まっていないというふうに御理解をいただきたいと思います。
#180
○紙智子君 それでは、TPP委員会を設置する目的、そして役割、これについて御説明をお願いします。
#181
○国務大臣(石原伸晃君) 役割、任務について条文でどのようになっているかということしか今の段階では御説明できないんでございますが、これはTPP協定の第二十七章の二条の一に規定されておりまして、任務として、TPP協定の実施又は運用に関する問題を検討すること、TPP協定の発効の日から三年以内に、及びその後は少なくとも五年ごとに、締約国間の経済上の関係及び連携を見直すこと、TPP協定の改正又は修正の提案を検討すること、TPP協定に基づいて設置される全ての補助機関の活動を監督すること、締約国間の貿易及び投資を一層拡大するための方法を検討することと記載をされているところでございます。
#182
○紙智子君 つまり、TPP委員会は協定の改正あるいは修正を検討すると。三年以内に、その後五年ごとに、貿易と投資を拡大するために見直すということなわけですね。
 TPP交渉では、閣僚会議が大筋合意ということで言われたように、重要なことを閣僚会議で決定をしたわけです。先ほど、必ずしも閣僚でなくてもいいという話がありました。そうしますと、TPP協定の調印式に、当時、高鳥修一内閣府の副大臣が行かれたわけですけれども、要するに、政府を代表するのであれば閣僚でなくてもいいということですよね。総理、お願いします。
#183
○国務大臣(石原伸晃君) まだ発効されておりませんので現時点では決まっていないというふうに御答弁させていただきましたが、条文上は政府の代表者、そしてその上級者のレベルというのは、多分、ちょっと想像の範囲でございますけれども、首席代表というのがTPPの取りまとめの中でいらっしゃいました。そういう大使級というんでしょうか、そういう方を念頭にこういうような文言になっているんだと承知をしているところでございます。
#184
○紙智子君 TPP委員会は協定の改正、修正などを行うわけだけれども、閣僚でなくても決定できるということだと思うんですけど、これはちょっと驚きです。
 それで、ちょっとパネルを見てください。(資料提示)
 この間、TPP協定の組織図、実際にこの統治機構ってどうなるんだろうかと、条文を見ながら、いろいろお聞きをしながら作らせていただきました。作ってみますと、相当これ大掛かりな組織だなということが分かるわけです。
 TPPは、関税と非関税障壁の撤廃が原則だと言われています。物品の貿易がしやすいように、日本に入ってくる農産物に掛ける関税ですね、税金を掛ける、それをなくしていくということ。あるいは関税以外の方法、関税は掛けないけれども、貿易を規制する、制限するような非関税貿易の障壁をなくしていく。例えば、貿易を制限するような食の安全基準を緩和する行為なども入るんじゃないかと。
 パネルにお示しをいたしましたけれども、関税を扱うというのは、そこにちょっと色分けしましたけれども、二つの組織なわけです。物品貿易小委員会、農業の貿易小委員会と。これは関税のところですね。
 それから、非関税障壁を扱う組織が二十もあるんですね。相当、この間、農業の問題、随分集中してやってきたんですけれども、それ以外のところ、非関税のところも物すごくたくさんあるということなわけです。
 総理は、丁寧に説明する、あるいは熟した論議が必要だというふうに言われましたけれども、総理、こんなにも多くのTPP協定を推進する組織があるということは御認識をされておりましたか。
#185
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 全般について概要は説明を受けております。
#186
○紙智子君 説明を受けていたということであります。
 それで、TPP委員会とこの二十二の小委員会、作業部会とがどういう関係にあるのかということも、石原大臣、お聞きしたいと思います。
#187
○国務大臣(石原伸晃君) ただいま委員がこの図をお示しいただいているとおり、この親会をTPP委員会とすると、こういう形でぶら下がっているというふうに解釈をさせていただいております。
 そして、条文を若干読ませていただきますと、TPP協定二十七章二条の一におきまして、TPP委員会は、この協定に基づいて設置される、委員がお示しいただいているこの下のものでございます、全ての小委員会、作業部会その他の補助機関の活動を監督する義務を負っている旨定めているところでございます。
 また、TPP委員会は、小委員会、作業部会その他の補助機関に問題を付託することができる、いわゆる上から下にというこの矢印の点でございます。一方、補助機関はTPP委員会に対し問題を提起することができると定められております。委員がお示しいただいている下から上に行く図でございます。
#188
○紙智子君 今パネルのとおりに言っていただいたんですけれども、TPP委員会が問題を付託する、そして小委員会が提起する問題を検討することになるわけです。
 それで、通商交渉でこれまでこれだけ多くの小委員会をつくったことというのはあったんでしょうか。
#189
○国務大臣(岸田文雄君) このような補助機関ですが、これまで日本が締結したEPAにおいても設置されています。ただ、種類とか数はそれぞれの協定に応じて異なっております。TPP協定については御指摘のように二十二機関ですが、過去の例を見ますと、日タイEPAで二十補助機関をつくっています。日ベトナムEPAで十六補助機関をつくっています。十以上補助機関をつくっている協定は数多くあるというのが実情であります。
#190
○紙智子君 そうしますと、国民生活に関わる多くのことが扱われることになるわけですね。
 それで、パネルをちょっと御覧いただきたいんですけれども、食の安全に関わる衛生植物検疫小委員会、食品の表示に関する貿易の技術的障害小委員会、自由職業サービス作業部会とか、それからビジネス一時的入国小委員会とか労働評議会とかですね、こういうふうにいろいろあって、これ雇用に一体どういうふうに関わってくるのかな、変わってくるのかなというふうに思いながら見るわけです。
 環境小委員会あるいは開発小委員会とあるわけですけれども、開発が優先されるようなことになるのかなと思ったり、それから、その農業貿易小委員会の横にバイオテクノロジー作業部会があります。これ、なぜここに入ったんでしょうか。
#191
○国務大臣(石原伸晃君) なぜ入ったかということを、結果論としてそこに入っているというふうに御理解をいただければと思います。
#192
○紙智子君 結果論というのはどういうことですか。どんな議論があって結果になったんですか。
#193
○国務大臣(石原伸晃君) 経緯については、これまでどおり説明できる限りのことを説明してきておりますけれども、ここの部分は、協定を取りまとめている中で、そこにバイオテクノロジーを補助機関として、ところにぶら下げたと、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
#194
○紙智子君 全然分からないんですけれども。
 これ、ちょっと途中になっているのは何でなのかなと。関税に入るんですか、それとも非関税障壁に入るんですか、どちらに入るんですか。
#195
○国務大臣(石原伸晃君) まさにこの紙委員がお示ししていただいた絵の色のとおり、非関税障壁でございます。
#196
○紙智子君 ずっと中身を読んでいくと、農業貿易小委員会の下につくられているというふうに文書あったんですけど、関税なんですか、非関税なんですか。
#197
○国務大臣(石原伸晃君) 農業貿易小委員会は関税に関するものを取り扱いますけれども、このバイオテクノロジーの作業部会というものは非関税障壁について議論をするものだと御解釈いただいて結構でございます。
#198
○紙智子君 なぜ農業に、この下につくられたんでしょうか。変わっていますよね、これ。今までは衛生植物検疫のところに入っていたと思うんですけど、変わっていますよね。
#199
○国務大臣(石原伸晃君) 何度も御答弁させていただいておりますけれども、バイオテクノロジーの遺伝子組換えのものについて、微量のものが入っている入っていない、そういうものを議論をするということでございますので、農業貿易小委員会のところにぶら下がっている、そしてバイオテクノロジーの問題というのは、関税の問題ではなくて非関税障壁の問題だと整理をさせていただいております。
#200
○紙智子君 これは条文に書いてあることなので、てきぱきと答えていただきたいと思います。
 そこで、TPP委員会の任務があるんですけれども、そこで注目したことは、協定の運用の見直しに当たり、非政府の者又は団体の助言を求めることというふうになっているわけです。これ、二十七章の二条四ですね。つまり、民間人や民間団体、多国籍企業もあれば経済団体もありますが、なぜこうした方から意見を聞くのでしょうか。
#201
○国務大臣(石原伸晃君) TPP協定におきまして、委員がお示しいただいておりますTPP委員会が経済上の関係及び連携を見直すことがその二十七条の二章一に規定をされていることはもう御承知のとおりでございます。そして、今御質問のございました見直しについては、過去にも例があるということは既に外務大臣から御答弁をさせていただいてまいりました。今委員御指摘の、適当な場合には、締約国の非政府の者又は団体からの意見を考慮することが、実は第二十七章二条四項で記載されてあります。したがいまして、委員の御質問のとおりでございます。
#202
○紙智子君 なぜこういう方々から意見を聞くのでしょうかというふうにお聞きしています。
#203
○国務大臣(石原伸晃君) ただいま、なぜ、議員の御質問のとおりであるかということを説明させていただきましたのは、幅広く意見を聞く、もう既に日本でも様々な方法でいろいろな方から意見を聞くシステムが既にございます。それと同等のところを考えてこのようになっていると御理解をいただきたいと思います。
#204
○紙智子君 幅広い方々から意見を聞かなきゃいけないんだというお話なんですけれども、民間人の意見は聞くということなんですけれども、国民の代表である国会の意見を聞く規定というのはあるんでしょうか。国会の関与についてということなので、総理の方からお答えください。
#205
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPP協定では、協定の発効の日から三年以内、及びその後は少なくとも五年ごとのTPP委員会による見直しが規定されています。小委員会などの補助機関が見直しを行うことを規定している章もあります。それはもう今御議論をいただいたところでありますが。
 TPP委員会や補助機関等の全ての決定は、いずれの国からも反対がないことが条件になるため、日本が反対するような内容が決定されることはないということは繰り返し答弁をさせていただいておりますが、見直しの結果、これは当然見直しをするということは我が国も賛成するということでありますが、見直しの結果、協定を改正する場合は国会の承認が必要となります。
#206
○紙智子君 見直しの結果、改正する必要があるときは聞くというか、国会の承認ということなんですけれども、国会の関与の仕方で、いろんなことについて議論されるんだけれども、これ全部話し合ったことを全部国会の承認を得るんですか。ということにはなっていませんよね。
#207
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これ、今申し上げましたように、まさにこの協定を改正する場合は、その改正案について国会で御議論をいただき、その承認が必要となってくると、こういうことでございます。
#208
○紙智子君 改正するというのは、例えばどういうことをですか。
#209
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このまさに協定の中身を改定すると、こういうことでございますが、繰り返しになりますが、日本が同意しないものは、それが改定ということにはならないということは繰り返し申し上げているところでございます。
#210
○紙智子君 法律に関わる問題とか、あるいは財政事項に関わる問題とか、あるいは政治的に重要な問題とか、そういうことということですか。
#211
○国務大臣(石原伸晃君) もう既に総理から御答弁をいただいておるんですが、協定の見直しに関するものについては、当然協定を見直すわけでございますから、委員会はどこになるのか存じませんけれども、国会の承認を得ない限りは発効しないというふうに御理解をいただきたいと思います。
#212
○紙智子君 その国会にかけなきゃいけないかどうかということは誰が判断するんでしょうか。
#213
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、条文が改正になれば当然国会の承認が必要になるということでございますから、条文が改正になればこれは自動的に国会の承認が必要となると、こういうことでございます。
#214
○紙智子君 条文が変わるということになればと言いましたけど、それ以外にもたくさんありますよね。いろんなことが議論されるんですけど。
#215
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当然、これ議論はございますけれども、議論された結果、これ変わらなければ、これは我々、国民生活にも業界にも影響がないわけでございますから、議論は議論でございますが、議論の結果を受けて条文が変われば、それは国会の承認が必要となるということでございます。
#216
○紙智子君 それ以外についてはどうでしょうか。条文以外。
#217
○国務大臣(石原伸晃君) ただいま総理が御答弁させていただきましたとおり、この委員がお示しの小委員会あるいは作業部会で様々な議論がなされます。これは十二か国が議論をすることになるわけですけれども、そこで、総理が申しておりますのは、日本もその案をのんで、よし変えようと十二か国が合意したといたします。そうしますと、条文の改正になりますので、当然国会の御審議を経た後に御承認をいただかない限りならないという意味で条文の改正というふうに総理が御答弁をさせていただいているところでございます。
#218
○紙智子君 このTPP委員会は、もうこういうふうにたくさんのことをいろいろ議論する、検討すると。それについては条文に関わらない部分もたくさんあるわけですけど、関わらないけれども、この中で話し合われて決まったことというのはどんどん進んでいくということになるんでしょうか。
#219
○国務大臣(石原伸晃君) これももう既に総理が御答弁をいただいているんですが、様々なことについて御議論が、これもあくまで発効してできたという仮定の話でございますけれども、議論がなされると思います。しかし、議論の結果、私はそう思う、うちの国はそう思わないとなれば、それは改正、見直しにはつながらない、こういうふうに御理解をいただければと思います。
#220
○紙智子君 民間の方たちですとか団体の意見をいろいろ聞くというふうになっていて、国会との関わりということでいうと、どういう案件を、じゃ、どうするのかというところというのはなかなかはっきり見えてこないわけですよ。
 それで、国民の健康や命や暮らしに関わる二十二の分野というのは、もうどの分野も、働く、労働の問題だとかいろんなことに関わって、暮らしにも関わってくるわけですよね。だから、こういう二十二の分野を扱って、経済連携の在り方を五年ごとに何回も見直すと。
 だから、TPP協定は生きた協定というふうに言われてきたと思うんですけれども、TPP委員会が、この経済連携協定を見直す責務、権限というのを、これ委員会が持っているわけですよ。しかしながら、意見を聞くのは、そういう多国籍企業や財界の民間人や、言い換えれば貿易を推進したいというふうに思っている人たち、こういう人たちの、TPP協定の実施や運営に意見を言う、介入できるということになるわけです。一方で、国民の代表たる国会の関わりというのは、その案件によっては、条文を変えるときは変えるかもしれないけれども、そのほかのことについてはよく分からないと。
 これでは、やっぱり利潤をどんどんどんどん追求する経済活動が優先されかねないんじゃないかというふうに思います。そのことをちょっと申し上げておきたいと思うんです。
 それから、次に小委員会についてもお聞きをしたいと思います。
 小委員会には、これ横断的分野と言われる小委員会があります。例えば、競争力・ビジネス円滑化小委員会、開発小委員会、規制整合性小委員会などが挙がっております。TPP協定全体に関わって、これ全体に関わっていくことができるという、そういう組織なわけです。
 そこで、この規制整合性小委員会についてお聞きしますけれども、過去の通商協定に、EPAに規制整合性小委員会というのはあったんでしょうか。
#221
○国務大臣(岸田文雄君) TPPの第二十五章の規制の整合性章、こうした章は、これまで我が国が締結した経済連携協定において規定されたことはありません。したがって、同章において設置される小委員会に関する規定についても、これまで設けられたことはありません。
#222
○紙智子君 つまり、初めてつくられた、設けられたということですよね。
 それで、この規制整合性小委員会の目的と役割を御説明ください。
#223
○国務大臣(石原伸晃君) ただいま紙委員が御指摘されましたこの一番右端に書いてあります規制整合性小委員会、今外務大臣から御答弁をさせていただきましたように、二十五章の二条一項にございますとおり、各国、日本も含めてですけれども、行う規制について良い慣行を用いていく、いわゆるグッドプラクティスと申しておりますけれども、それに努めていくという努力規定になっております。また、そうした良い慣行など、規制に関する情報交換や協力を行う努力規定を定めたものでございます。
 ここから読み取れますことは、各国が規制に関する情報交換や、こういう規制がある、こういう規制をこれからやっていこう、こういう協力について話し合う、それが規制整合性小委員会、そして、外務大臣から御答弁をさせていただいたとおり、今回のTPP交渉においてここが出てまいったということは事実でございます。
#224
○紙智子君 パネルをこれもちょっと見ていただきたいんですけれども、上から二列目の第二十五章の三条のところ、対象規制措置の範囲というところです。それで、締約国は速やかに自国の対象規制措置の範囲を決定する、各締約国は、当該対象規制措置の範囲を決定するに当たり、相当な範囲を対象とすることを目標とするというふうになっています。
 この相当な範囲というのはどういうものが入るのか。例えば、食品添加物の定義とか遺伝子組換えの食品の表示基準を例えばアメリカに合わせるということも相当な範囲というところに入るのでしょうか。
#225
○国務大臣(石原伸晃君) ただいま委員が御説明をいただきましたとおり、二十五条の三条、上の赤線の入っているところにございますけれども、各国は、TPP協定の発効後一年以内に対象となる規制の範囲を各国の判断で具体的に決定することとされております。そして、決定に当たっては、今御質問のございました規制の、相当な範囲を対象とすることを目標とすべきという規定になっております。
 しかし、ここにあります相当な範囲について、何をもって具体的であるかというような基準は定められておりません。
#226
○紙智子君 全然、だからまだ何も範囲というのは入っていない、何も決まっていないんですか。各国が定めるということは、それは全然煮詰まっていない、これからという話なんですか。
#227
○国務大臣(石原伸晃君) 先ほど委員が一枚目の表でお示しいただきましたこの小委員会並びに作業部会、補助機関でございますけれども、これは、発効後つくることができるということでございます。
 そしてまた、このTPP委員会の、前段の御議論でございましたとおり、大臣並びに上級者を念頭に置いて、そして、その上級者というものは、私の考えで、TPP交渉に当たられました大使級の首席交渉官等々が念頭にあるというお話をさせていただきましたとおり、まだ発効しておりませんし、委員会もできておりませんし、決まっておりますことは各国の判断で規制を決めることができるということでございまして、その相当な範囲ということについては、具体的な基準は定められておりません。
#228
○紙智子君 各国の判断に任せるということはちょっと怖い話ですよね。
 農業でいえば、企業の農地参入を認めろという意見も国内的にも議論されているわけですけど、アメリカはJAの金融事業を特別扱いしないで民間の金融と同じように扱うように要求をしています。これも相当な範囲に入るのかどうか。政府の規制改革会議の議長は安倍総理なので、規制措置の範囲ということですから、総理、お答えを願います。
#229
○国務大臣(石原伸晃君) 総理にお答えいただきます前に、私の御答弁が誤解を招いてはならないのでちょっともう少し詳しく話させていただきますと、各国の判断で具体的に規制を決めることができる各国の判断というのは、例えば日本が、委員が御指摘されたようなものについて自国の判断で決められるというふうに御理解をいただきたいということと、相当な範囲については、この経緯からして、まだ具体的な基準は定められておりません。
#230
○紙智子君 総理も。責任者なので。
#231
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは大臣が答弁をいたしましたように、そこで決めた規律については自分で、言わばその規律については自分でしっかりと規律を決めていくということになるわけでございまして、言わば我々が他国によってそれを強制されることにはならないということでございます。
#232
○紙智子君 それだけでは分からなくて、我々が決めていることは影響されないという話されるんだけど、各国の判断によってそれは決まってくる。これからというわけですよね。(発言する者あり)自分の判断。ちょっと、いろいろ聞いていてもよく分からない。各国の判断でとおっしゃいましたけど、まだ決まっていないですよね。これは、決まらないのに入ろうということをおっしゃっているんですか。
#233
○国務大臣(石原伸晃君) 先ほどちょっと誤解があるので御説明させていただいたんですけど、様々な規制というのは各国もう既に持っております。そして、TPP協定が発効されたとしても、TPP協定の文言を読む限り、我が国の規制を相手国の言いなりになって変えるというようなことは一切ないということを総理は申し述べているのであって、規制をあくまで規制していくのは我が国の場合は我が国であると、こういうふうに御理解をいただきたいのと、このTPP委員会の一番右端にお示しいただいた小委員会等々は、これから相当な範囲について、文言を読ませていただきますと、「相当な範囲を対象とすることを目標とすべきである。」と二十五章第三条の対象規制措置の範囲ということで示されている。まだ小委員会も開かれておりませんし、TPP委員会も開かれておりませんし、各国が各国の規制を行っていくというのが現状のあるべき姿だと認識をしております。
#234
○紙智子君 相当な範囲についてどこまで入るのかということがよく分からない不確かな中で、安心なんてできないわけですよ。
 次、パネルのこの二十五章の八のところを見ていただきたい。利害関係者の関与というところがあります。規制整合性小委員会は、締約国の利害関係者が規制の整合性の推進に関連する事項についての意見を提供する機会を与えるために適当な仕組みを設けるとあるんですけれども、この意見を提供する機会を与えるための仕組みというのはどういう仕組みなんでしょうか。総理かな。
#235
○国務大臣(石原伸晃君) 意見提供の機会に関する具体的な仕組みについての御質問だと聞かせていただきました。
 その設置された後に小委員会の会合においてこの議論をされるわけでございますけれども、TPP協定第二十七章三条に、小委員会は、いずれの国からも反対がないことが条件となるコンセンサス方式で意思決定がされる、これももう既に総理が述べておりますように、仮に我が国もそうだといったときには、先ほどの、前の議論に戻るわけですけれども、条約の改正等々になりますから、国会の承認をいただくことになる。
 そして、利害関係者というものに疑念を持たれての御質問かと存ずるのでございますが、意見提供の機会に関する具体的な仕組みについては先ほどもう既に御答弁させていただいておりますけれども、小委員会が設置された後にその小委員会の会合において議論されます。TPP協定二十七章第三条に基づいて、小委員会は、これもしつこいようですけれども、いずれの国からも反対のないことが条件となるコンセンサス方式で意思決定をされる。
 ですから、どんな方が出てきて、どういう形になるか分かりませんけれども、委員の念頭にあるような、大企業の方が出てきて自社の利益に資するような規制の変更を求めるようなことがあっても、仮にあったとしても我が国の利害を害するような仕組みが導入されることがなぜないかといえば、総理が御答弁されているように、我が国も、おお、そうだなと言わない限りはそれが改正に当たらないから、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
#236
○紙智子君 安倍総理、私は、もしかすると、民間人が多く入っている規制改革推進会議のようなそういうイメージなんじゃないのかなというふうにも思うんですけど、いかがですか。
#237
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 例えば、規制改革会議において決まったことにおいても、これ最終的には、これは法改正が必要であれば、国会の御審議がなければそれは言わば法律とはならないわけでございますが、しかし、この今開いた、この小委員会においては、まさにそこで様々な議論が出されるわけでありますが、繰り返しになりますが、そこで言わば我が国も同意をして条文を変えようということになって初めて国会で御審議をいただき、そしてそれは条文が変わっていくということになるわけでありますが、例えばこの小委員会で、我々が作った法律で、例えば厚労省関係の法律を作って、勝手に厚労省で政令を作っていって、政令は国会の審議がないのでその政令が確立をしていくということは、ここではないということでございまして、これはまさに、ここでは利害関係者が出てきて話をするかもしれませんが、ここで話したことが我が方が賛成しなければまさにそれは条文改正とはならず、条文改正となったとしても、それはそれぞれの国、日本は日本において国会で御審議をいただくことになると、こういうことでございます。
#238
○紙智子君 TPP協定については交渉過程が秘密なわけですよ。知らされていなかった。どんなやり取りがあったのか分からなかったわけですよ。それで、出された協定も今後どうなるかということは、今のこのやり取りだけでも、まだ各国に委ねられるところもあったりしてよく分からないと。TPPは生きた協定というふうによく言われるわけですけれども、貿易と投資を拡大するということのために中身的にはどんどん進化していくんじゃないのかなというふうに思うわけです。
 そうすると、まだ分からないところがある中で、そのバスに乗ったら一体どこに連れていかれるのか分からないと、そういう心配はないんですか、総理。
#239
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このバスに乗っても、我々もちゃんと運転席に乗っていますから、ですから、勝手に、客席にずっと乗っているということではなくて、我々もまさに運転席に乗っていく、どういうふうにこのバスを運行していくかというルール作りも我々も行ってきたということではないかと思います。
#240
○紙智子君 ブレーキが利かなかったりしたら本当にこれは恐ろしいことになるなと思います。
 TPPというバスは、私はどこに行くか分からないと。国会の関与も分からないと、具体的に。しかし、はっきりしていることは、やっぱりこの経済団体、多国籍企業、利害関係者が関与していく、そこで意見を述べられる、介入する仕組みがあるということははっきりしているわけです。それで、協定の見直しが待てないという企業があればISDSといって国を訴える権利まで与えられているんじゃないか、二重三重の仕掛けをつくって多国籍企業や巨大企業を応援する、企業のための歯止めなき協定と言えるんじゃないかというふうに思います。
 次の質問に入りますけれども、TPP協定の関税の部分、これ農業分野についてなんですけれども、TPPは言うまでもなく関税と非関税障壁の撤廃が原則です。農産物については、総理は、TPP協定に基づいて見直しのための再協議が求められても、日本に不利な合意はする必要はないんだということを言われてきたわけですね。
 そこで、ちょっとパネルをまた見てほしいんですけれども、これは第二章の四条です。関税撤廃について書かれている、文章は本当はもっと長いんですけれども、その一番の要点というかポイントのところだけを抜き出しました。
 ここでは、一つ目に、現行の関税を引き上げ、又は新たな関税を採用してはならない、二つ目のところは、漸進的に関税を撤廃する、三つ目のところは、関税の撤廃時期の繰上げについて検討するため、協議すると。だから、関税の繰上げのための検討をするんだ、協議するんだということが書かれているわけですよ。もうどれにしても全部関税は撤廃していくという方向に向かうわけですね。
 その附属書があります。二のD、日本の関税率、譲許表がその後載っているんですけれども、関税率表では九の(a)のところで、オーストラリア、カナダ、チリ、ニュージーランド又はアメリカ合衆国の要請に基づき、市場アクセスを増大させる観点から、七年以降に協議すると。つまり、アクセス数を増やすための再協議だということですよね。
 そして、その下の第二十七章の二条、TPP委員会の任務、任務については、協定を修正検討する第一番目に農業が書かれているわけです。つまり、附属書の二のDの関税率表の修正は関税の撤廃時期の繰上げに限ると、限ると限定されている、特出しになっているわけですよ。
 第二章四条、第二十七章の二条を見ますと、TPP協定は関税撤廃に進んでいく仕組みがあると思います。関税撤廃に進んでいく仕組みというふうに私は思うんですが、総理はお認めになりますか。
#241
○国務大臣(石原伸晃君) 条文でございますので、総理に御答弁いただく前に説明をちょっとさせていただきたいんですが。
 ただいま委員が御指摘いただきましたいわゆる二章四条の二項でございますが、「各締約国は、この協定に別段の定めがある場合を除くほか、原産品について、附属書二―D」、その赤線で引かれている下段のところでございます、「の自国の表に従って、漸進的に関税を撤廃する。」というふうになっております。
 それはどういうことかと申しますと、TPP協定の二章四条の二項ではこの関税の扱いが規定されておりますけど、その規定ぶりを見ますと、「各締約国は、この協定に別段の定めがある場合を除くほか、原産品について、附属書二―Dの自国の表に従って、漸進的に関税を撤廃する。」と、この規定はここまで読んで、全てまとめて読んでいただかないと間違ってしまうと思うので。
 そして、漸進的という言葉も、どういう意味かといいますと、関税を撤廃すると合意した品目について定めているんでございまして、我が国は、例えば米は国家貿易を維持しておりますし、関税も維持しております。その「協定に別段の定めがある場合」というのが、今お話をさせていただいた関税撤廃の例外が認められているもの、我が国が関税撤廃の例外を獲得した品目、今、二、三例を出させていただきましたけれども、それは関税率表において例外の内容が具体的に、年、廃止の時期はばらばらでございますけれども規定されておりますので、関税撤廃の例外として扱われます。
 すなわち、何が申したいかと申しますと、関税撤廃の例外として獲得した品目は、この二章の四条で規定されている関税撤廃の義務を負うことにはなりません。そういう中で総理の御答弁をいただければと存じます。
#242
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私が、私が答弁しようと、既に答弁をしておりますが、要は、ここに「漸進的に関税を撤廃する。」と、こう書いてあるものでございますから、我々が獲得した例外もこの中に入るのではないかという、そういう御指摘かと思いますが、それはそうではなくて、ただいま石原大臣から答弁をしたように、第二章の第四条の規定は例外品目についての関税撤廃の根拠にはならないと、こういうことでございます。
#243
○紙智子君 この間、必ずそういうふうに別段の定めのところによりどころにしながら例外を確保できたんだというふうに繰り返し言われてきたと思うんですね。それで、だから例外を守れるんだという話をされているんだけれども、しかし、見直しに当たって締約国の非政府の者又は団体が介入することも認めているわけですよ。そうすると、アメリカの米や豚肉の業界団体が堂々とそこに参加をして意見を言う、介入することができると。TPP協定で合意した関税率が守れる保証は私は全くないのではないかと。
 これ以上の関税率の削減や撤廃はしなくてよいなどという協定になっているんでしょうか。
#244
○国務大臣(石原伸晃君) 今委員が御指摘されました全米の豚肉協会ですか、これは大変強いロビーイングの団体であるということは承知しておりますが、そのロビーイングの団体が出てきてアメリカ政府を動かし、関係諸国全てを合意させて協定の見直しに及ぶ経緯には私は至らないのではないか、こんなふうに考えているところでございます。
 話を聞くのは、NGOの方も含めて様々な御意見がある、先ほど紙委員が御指摘されましたように、開発と環境というのは裏表で、両方の立場を主張される方がいるわけですから、幅広くいろいろな方から意見を聞いて議論を深めていく、協議を深めていく、そういう性格のものであると理解をしているところでございます。
#245
○紙智子君 不必要な合意はしないんだという話がされるんですけれども、なかなか、やっぱりこれまでの経緯をたどると、本当にそれが貫けるのかというふうな思いになるわけです。
 自民党さんは、安倍総理はそうじゃなかったかという話をされましたけど、うそはつかない、TPP断固反対、ぶれない自民党というふうに選挙のときにも訴えてこられました。自民党には強い外交力があるんだというふうに言われて政権に就いたと。ところが、三か月もたたないうちに、重要農産物は除外されないことが分かっているわけですけれども、しかし、聖域は確保できると言ってこの交渉参加に突き進んでいったと。TPP協定には関税撤廃に突き進む仕組みがある以上、いずれこれ撤廃は避けられないのではないかと。国会決議に反する協定を数の力で押し切るということがあってはならないというふうに私は言いたいと思います。
 あと七分ありますので、ちょっと全部は難しいかもしれませんけれども、遺伝子組換えの問題についてもお聞きをしたいと思います。
 それで、基本的なことについてお聞きをします。
 世界の貿易ルールを定めたWTOの衛生植物検疫の問題を扱うSPS協定や過去のEPAにおいて、遺伝子組換え作物の取扱いというのはどうなっていたでしょうか、厚生労働大臣。
#246
○国務大臣(塩崎恭久君) 今御指摘のWTOの食の安全に関する協定、いわゆるSPS協定におきましては、加盟国に対して、食品安全について科学的根拠に基づく適切な措置をとる権利が認められているということでございます。この権利に基づいて、我が国におきまして、食品衛生法に基づいて、食品安全委員会による安全性の評価を経ていない遺伝子組換え食品の輸入や販売等を禁止をするとともに、厚生労働省や地方自治体において、これに違反をした遺伝子組換え食品が流通しないように監視指導や取締りを行うということでございます。
 なお、食品の安全に関する措置を定めましたTPP協定第七章では、WTOの食の安全に関するただいまのSPS協定と同様に、各国に科学的根拠に基づく適切な措置をとることを認めておりまして、我が国の食品安全に関する制度に何ら変更を強いられるものではないということでございます。
#247
○紙智子君 今までの扱いについてお聞きしたんですよね。経済連携協定に遺伝子組換え作物が入ったというのは、これは今回、TPPで初めてなんでしょうか。今までは入っていなかったと思うんですけど。
#248
○政府参考人(北島智子君) お答えいたします。
 TPP協定第二章の第二・二七条は、未承認の遺伝子組換え食品が微量に混入した食品の輸入の未然防止や発生時の迅速な対応のため、TPP締約国の間で協力や情報交換を図る規定であると認識しております。
 現時点で把握し得る限り、これまでの通商協定において本協定と同様の規定を有している協定は確認できておりませんが、WTOの食品の安全に関する協定、SPS協定に基づき、遺伝子組換え食品を含む食品全般に関する規制について透明性の確保を図っているところでございます。
#249
○紙智子君 経済連携協定に遺伝子組換え作物が入ったのは初めてでしょうか。
#250
○政府参考人(北島智子君) お答えいたします。
 ただいま答弁申し上げましたとおり、このような規定は初めてでございます。
#251
○紙智子君 遺伝子組換え食品の安全性全般を扱うSPS協定でカバーされていたという話もありましたけれども、なぜTPP協定の農業、物品の分野に入ったんでしょうか。
#252
○政府参考人(北島智子君) 理由というのは一つではないかもしれませんけれども、この二・二七条の規定は、先ほど答弁申し上げましたとおりに、締約国の間で協力や情報交換を図る規定であると認識しております。
#253
○紙智子君 大臣、なぜ入ったんですか、その理由です。
#254
○国務大臣(塩崎恭久君) これ、二十七条を御覧をいただくとお分かりのように、今また部長から答弁申し上げたように、情報交換をする、あるいは協力を促進をする、そういったことで話し合う場として作業部会も設けられておりますし、初めてではございますけれども、いろんな意味でこのバイオテクノロジー生産品に関して議論をする場として設けられているのではないかというふうに思います。
#255
○紙智子君 今までは食品安全が問題となる第七章の衛生植物検疫に入っていたものが農業貿易に組み込まれたということですよね。
 これからは、だから心配をすると、安全性よりも貿易を優先することになって安全性が後景に押しやられることにならないのかというふうに思うわけですけれども、いかがですか。
#256
○国務大臣(塩崎恭久君) これ、二十七条の例えば第二項には、自国の権利及び義務に基づいて措置を採用することは妨げないことが明記をされております。それから第三項にも、遺伝子組換え食品等を規制するための自国の法令及び政策を採用し修正することを求めるものではないということも明記をされているわけでありますし、また第四条には、透明性の確保、これについても明確な規定をされているわけでありますので、これは初めてでありますけれども、今申し上げたように様々な議論をするということで設けられたものというふうに理解をしております。
#257
○紙智子君 現実に、遺伝子組換え作物が交雑、混入する不安というのがあって、今年の七月三十日にも、アメリカ西部のワシントン州の農地に遺伝子組換え小麦が自生していたということが確認されたばかりです。ほかにもたくさんあります。有機農業をやっている人にとってはこれ非常に深刻で、遺伝子組換えが含まれた農作物は有機栽培と認証されない、だから、遺伝子組換え作物を生産しているようなモンサント社やバイオメジャー企業に対して有機農業者が裁判などを起こしてきたということもあると。
 カルタヘナ議定書では、生物の多様性の保全や維持可能な利用に著しい影響を及ぼすおそれのあるものは、意図的でなくても国境を越えていく可能性があるということで緊急措置を議決しましたし、日本も締約国ですから、一部米国から輸入を停止したこともあったわけで、こういうことが後を絶たないということに対して厳しくしないといけないということなのに、実際にはこれを緩くするんじゃないかということも含めてあるので、私は、それらを含めて、本当にこれから先も含めて、もっと詳しい議論が必要だということを申し上げて、質問を終わります。
#258
○石井章君 日本維新の会、石井章、党を代表いたしまして質問をしたいと思います。
 今回のTPPの本題の中身に入る前に、この一週間の間にアメリカの大統領選挙でトランプ氏が当選されまして、TPPに関しては雲行きが怪しくなってきた、暗いトンネルに突き進むような感じになってきたわけでありますけれども、トランプ氏は以前からこのTPPに関しては悲観的でありまして、特に、大統領選挙の投票日の直近になって、十月二十二日に発表したマニフェストにはTPPの離脱を明確に表明しております。
 日本政府がTPPへの参加を決断するに至った大きな要因が、これは同盟国でありますアメリカの存在があったわけであります。日本政府がTPPへの加速をするに当たりまして、特に、総理は平成二十五年の三月十五日に、TPP協定に向けた交渉への参加を決めた、そのときの記者会見で、日本が同盟国である米国とともに新しい経済圏をつくる、これが一つ。日本と米国という二つの経済大国が参加してつくられる新たな経済秩序は、その先にある東アジア地域包括的経済連携、RCEP、さらにはアジア太平洋自由貿易圏、FTAAPにおいてルールづくりのたたき台となるだろうという期待感を込めて記者会見を行いました。
 そして、TPP協定に向けた交渉への参加は、これは国益にも資するということを説明されまして、また、昨年の十月、大筋合意された記者会見でも、日本と米国という世界第一位、第三位の経済大国でつくるTPPは世界最大の経済圏となり、日本・EU経済連携協定、EPA交渉にも大きな弾みを与えると。
 これ、そのとおりだと思いますけれども、しかし、そこで二十一世紀のスタンダードになっていくということも述べられておりますけれども、今回、TPPに関するトランプ氏の発言をここのところずっと見ておりますと、どうも批准しないという選択の可能性も高いのではないかと思いますが、現時点での総理のお考えを御答弁願います。
#259
○内閣総理大臣(安倍晋三君) トランプ次期大統領の政権がこのTPPについてどういう判断をしていくかということについて、現時点で予断を持ってお話をすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、既に石井委員から御紹介をいただいたように、日本と米国がまさに価値を、普遍的価値を共有する、日米が中心となって、また、多くの同志的な国々とアジア太平洋地域に世界のGDPの四割の経済圏をつくっていく、自由で公正な経済圏をつくっていくことは、地域の経済そして発展又は安全保障においても極めて有意義だと、こう思っております。
 ちなみに、ニュージーランドにおいては、本日、第三読会を、TPP関連法案通過をしたということでございまして、あとは英国女王の認可という形式行為のみということでございましたので、国会における承認は終えているということではないかと思います。
#260
○石井章君 総理、おめでとうございました、ニュージーランドのですね。
 では、ちなみに我が党はTPP推進という立場でありますので、基本的なところは御案内のとおりだと思うんですけれども、特に、今度の十七日に総理が訪米します。その際にトランプ氏と面会されるわけですけれども、トランプ氏と会った際には、これは表敬もありますし、いきなり頭から、政治の世界ではこれはもう安倍総理の方が先輩なわけでありますけれども、いきなり総理がTPP頼むよ頼むよとは、これ言わないと思いますよ。そのために今政府関係者が事前に行って調整をしているわけですが、しかし、懇切丁寧な説明が、やはり胸襟を開いてしっかりと日本の立場を説明するというのが大切なことだと思います。互恵互助の精神でこれを乗り切っていただきたいと思うんですけれども、しかしトランプ氏もなかなか、マスコミからの情報を見るところによると、一筋縄にはいかないというところも非常にマスコミを通じて映っているわけなんですけれども。
 そういったところで、総理は、政治家でないトランプ氏とこれまで何らかの、直接じゃないにしても何らかの接点があったのかどうか、そこをお伺いしたいんですが。
#261
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この部屋におられる方々も、石井さんも含めて一筋縄ではいかない方々ばかりだろうと思うわけでございますが、これが政治の世界であるわけでございますし、そこで、トランプ氏とは私自身は残念ながら接点はないわけでございますが、十七日の会談によって、日米同盟関係というのは日本の安全保障、外交の基軸でございますから、しっかりと信頼関係を築いていく第一歩としたいと、こう思っております。
#262
○石井章君 それで、本年、総理はアメリカに訪米された際にクリントンさんとはお会いになったわけであります。それで、クリントンさんとは会ったわけですけれども、なぜそのときにトランプさんとも会わなかったのか、それとも会おうとしたのかどうか、まずお伺いしたいんですけど。
#263
○内閣総理大臣(安倍晋三君) クリントン当時の候補とお目にかかったのは、そもそも先方から会いたいという要請がございました。これは既にクリントン当時の候補と面識があったということなんだろうと、こう思います。しかし同時に、トランプ候補側には、クリントン候補から会いたいという要請があったので会いますよということはお伝えをしているところでございます。
 その結果、実は大体同じタイミングでトランプ氏を支持している有力者とはお目にかかったわけでございますが、その際、先方から、トランプ当時の候補は遊説日程でこのニューヨークにはおらず、お目にかかれず残念だったというメッセージが届けられたところでございます。
#264
○石井章君 であるならば安心しましたけれども。
 やっぱりこれ政治のセオリー、一流の政治家としてのセオリーでありまして、ああいう選挙の際、特に、一部メディアは大差を付けて発表している、いわゆる世論調査は大差を付けて発表しているところもありましたけれども、しかし実際にはそんなに長期的に見て差がなかったわけでありますから、一流の政治家は大体両方に顔を出す。ただ、日本の国内の選挙に関しては別ですよ。例えば、自民党公認のところに公認者がいて、全然関係ない野党に挨拶に行くことはこれはできないと思うでしょうけれども、取りあえずアメリカの、同盟国の選挙でありますから、どちらに転んでもいいように回っておくべきだと思うわけでありますけれども、その辺はそういう作業がなされたという、努力されたということなので、これは私からの質問だけにしておきます。
 そして、報道によると、十一月十日にトランプ氏は英国のメイ首相との電話会談で、その際にトランプ氏がメイ首相に対して、どうしてもアメリカに来ていただきたいと、いわゆるトランプ氏の方からアメリカに招きたいという会談の意向を伝えたやに聞いておりますけれども、そのときにメイ首相からは、英国のEU離脱の件もありまして両国の経済関係を強化したいという旨を伝えたと言われておりますが、今回、総理が十七日に米国に行くわけですけれども、今回の米国の訪米はトランプ氏側からの誘いがあったのかどうか、お伺いします。
   〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕
#265
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、私の電話会談において、私の方から早い段階でお目にかかれればという話をしたところでございますが、ちょうど私がAPECに行く、まあ給油をしなければいけないわけでありまして、いずれにしてもニューヨーク経由で行く予定にしておりましたので、その際会うことができればいいという話をしましたら、それは大変いいアイデアだということで、そこですぐに決まったということでございます。
#266
○石井章君 いずれにしましても、英国の方が先にやって、そういう形でやり取りがあったということを聞くと、日本人とすれば、何か一歩先に越されたのかなという気持ちにもなるんですけれども、とにかく今回は、このTPPに関してもそうですけれども、なかなか固い扉、重い扉で閉ざされていると思いますね。これはもう総理の卓越した手腕に懸かっていると思います。この重い扉を総理のこの腕でぴしっと開けて、何とかいろんな交渉事もうまくいくようにしっかりと十七日の日には頑張っていただきたいと思いますが、総理のお考えをお伺いします。
#267
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このTPPについてどうするかということについては、例えばレームダックセッションにおいては、現在の構成している議会で、米国の議会で判断をされることだろうと思いますし、次の政権であるトランプ政権においては、これはトランプ次期大統領が判断されることでありますが、私どもといたしましては、このTPP、日本にとっても米国にとっても極めて有意義であり、その理解が広がっていくことを期待したいと、こう考えております。
#268
○石井章君 そうはいいましても、なかなか、これトランプさんも、約束したいろんな方々の内容を見ますと簡単にいかないわけでありまして、総理は今まで、これは日本国民もそう思っているんですけれども、これは米国と一緒であるからインセンティブもあって国益につながるということでありますが、ややもすると、TPPがアメリカがこれ批准しないということになれば、日本も再考せざるを得ないという形にもなると思うんですが、現時点でもしそれが、お考え聞かせていただければ、よろしくお願いします。
#269
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我々としては、このTPPに交渉参加して以来、二〇一三年、参加して以来、交渉を通じてこのTPPというのは極めて戦略的なものとなったわけであります。大変有益、有意義なものとなったわけでございますので、是非米国にも批准をしていただきたいと、こう強く思っている次第でございまして、ペルーにおいて開催されるTPP首脳会合においては、オバマ大統領とともにその強いメッセージを他の全ての首脳とともに発出をしていきたいと、こう考えております。
#270
○石井章君 これ、パネルでトランプ氏がほえておりますが、これは何を指しているかというと、いわゆる自国の皆さんに選挙中に約束した内容であります。この内容を十月二十二日に発表したわけでありますが、これをトランプ氏は百日以内に実施すると公約をしておりました。(資料提示)
 時間が切迫する中で、これ、悠長なことを日本としても言っていられないわけでございますが、しかし百日というのは恐らく四月末ぐらいがちょうど期限でありまして、こういう内容で、この内容をもしトランプ氏が強硬に百日以内でやるということを推し進めたならば、これはもう大変な痛手でありまして、GDPの比率六〇%以上を占める米国が抜けるということになれば、我が国は、このTPPの問題だけじゃなくて、先ほど言いました日EU経済連携協定やEPAに関する交渉にもつながるような大きな国益とはなかなかなりにくいというように思っております。
 それだけ重要なことだと思っておりますけれども、あるいは、総理の脳裏の中に、万が一のときのために、例えばアメリカが批准しない、参加しないということになれば、これはここで終わってしまうわけにもいかないと思いますけれども、アメリカがいなければ中国は入りたいというような意向もあるようなんですが、現時点で、アメリカがもし入らないときのための新たな枠組み等をリーダーシップ取りながら何か考えているのかどうか、お伺いします。
#271
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現時点で、既に日本はEUと交渉しておりまして、年内に大枠の合意に至りたいと、こう思っているわけでございます。この日EUのEPAがございます。
 そしてまた、これは米国は入っておりませんが、RCEPがあるわけでございます。基本的には、TPPを是非批准し、そしてその上に発効し、その上においてRCEPと進んでいくことにおいて、まさにTPPで決めた自由や民主主義や基本的人権や法の支配といった普遍的価値を共有する国々、日米が主導して国々が集まって決めたこれがスタンダードになっていくことが我々は望ましいと思っております、RCEPに行くに当たってですね。
 しかし、そうならなければ、まさに先ほども申し上げたわけでございますが、RCEPには米国は入っていないわけでありますが、そこで一番GDPが大きな国は中国になっていくということになるわけであります。そこで果たして、TPPでルールとして決めた、知財の保護もそうですね、電子商取引等々についてのルールがございます、国営企業に対する制約等のルールがございます、そうしたものがしっかりと入るかどうかということも大きな議論になっていくわけでございまして、基本的には、やはりTPPがしっかりと発効し、その上においてRCEP、そしてFTAAPと発展していくことが望ましいのではないかと、このように思っております。
#272
○石井章君 今回の選挙、トランプ氏の勝因は、サイレントマジョリティーの若者層や、あるいは中西部のデトロイトなどの白人中間層の取り込みに成功したと、そこに起因があるということでありますけれども、自動車産業の再興を約束した、そういうことで、自動車産業界は、非常にアメリカの自動車産業界は喜んでいると。なぜならば、気になることをトランプ氏は選挙期間中に言っています。牛肉に関税を掛けるのならば同じだけ車にも関税を掛けるべきだということをおっしゃっているわけでございますが、そういった発言を繰り返しているトランプ氏は自動車産業などへの保護政策にこれは完全にかじを切るものとアメリカ国民は思っておりますが、一番そこが危惧されているわけですけれども。
 しかし、我が日本は、政府としても、これはもう、いわゆるクリントンさんが受かろうが、今回はトランプさんが受かったわけですが、いかなる不測の事態に備えても、備えよ常にというボーイスカウトの言葉があるんですけれども、常に備えをしておかなきゃならないということでありますが、その辺、総理あるいは担当大臣から。
#273
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自動車産業につきましては、七〇年代、八〇年代は確かに、自動車を中心として日本の製造業が造った生産性の高い安いものがどんどんアメリカに売られたわけでございまして、言わば貿易摩擦と言われた時代があったわけでございます。そして、あれから我が国も学び、そして自動車メーカーも学んだわけでありまして、今や、米国で米国人が乗っている車の多くは米国で造っているわけでございまして、つまり、米国で大きな雇用をつくっているのは事実でございます。
 米国で雇用をつくり、米国の利益にもなっているということでございまして、これは割と米国側でも十分に認識されていないことがございまして、例えばこのTPP交渉の初期にはいろんなやり取りが、ジャブの打ち合いのときには必ず、日本は随分アメリカに車を輸出しているのに日本には全然アメリカの車は走っていないじゃないかなんということは言う人もいたんですが、しかし実際は、我々は、そうではなくて、米国で走っている車の多くは言わば米国で生産をしている、そして日本においては完全に市場は開かれているという話をしているわけでございまして、日本において、例えば日本で米国車ということであれば、例えば東京自動車ショーぐらいには出展してもらいたいし、テレビでもっとCMをやったらどうですか、ディーラーの数を減らしたら売れませんよという話もしてきたわけでございまして、ですから、そうした誤解というのは常にありますから、そうした誤解をお互いに両国で解いていくことも大切なんだろうと、こう思っております。
 繰り返しになりますが、我が国の自動車産業は米国において大きな雇用をつくっているわけでございます。そして、為替の変動で円安になった際にも言わばシェアを広げるということはしなかったわけでございまして、そこは慎重に動いたんだろうと。つまり、そこではむしろ利益を得ることを中心に、安く売ってシェアを広げて相手に打撃を与えるということはしなかったということではないかというふうに思うところでございます。
#274
○石井章君 トランプ大統領の誕生についての総括で総理にお聞きしたいんですが、トランプ氏が受かった勝因というか、あるいはクリントンさんが負けた敗因について簡単に、国民に分かりやすいように、安倍総理が思っていらっしゃるようなことをちょっとお聞きしたいんですが。
#275
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 他国の、第三国の選挙結果において日本の総理大臣である私が論評することは差し控えさせていただきたいと、このように思います。様々な議論が、評論がなされているわけでありますが、多くの評論においては、米国は変化を求めたという評論が多かったと、このように思います。
#276
○石井章君 まさしく米国は変化を求めたということで、東京大学大学院の久保文明先生もそのようなことで論評をしておりますけれども、いわゆるトランプ氏は変化、そしてクリントンさんは現状維持という中で、いわゆる現状維持が否定されたということは何かというと、これは言わずもがな、今回の大統領選というのはクリントン対トランプという簡単な図式ではなくて、これはオバマ政権の八年間の評価、八年間の通信簿というか、そういうことで評価されたんだろうと私は思っております。
   〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕
 結果的には、GDPも上がったり、株も相当上がりました。しかし、その果実というものは一部富裕層にだけ回って、末端のいわゆる白人中間層以下のところには全くその果実が回っていなかったということが言われております。日本も、アベノミクス、非常にいい成果は上げている部分もありますが、まだまだ末端までしっかりと果実が下りていないというのも実情でありますので、そういったことを踏まえてTPPに関する中身に入っていきたいと思います。
 先ほど公明の委員さんから、TPPの意義については先ほど総理から答弁ありましたが、TPPについてはまだまだ日本の国内の方々、特に農村部に行きますと、うちの方は茨城でありますので、私もちょっと茨城なまりと標準語交じっていますから聞きにくいところもあると思うんですけれども、TPPっちゃ何だというのを大体、農家のじいちゃん、ばあちゃん聞くんですね。TPPはどっかから安い米入ってくるんだっぺ、石井さんよと、おらやっていけねえのか、農家という、うちの近所のおじいちゃん、おばあちゃんが野良作業をやっているところへ行くと、大体そういう地域なんですね。ほかの地域もそんなに代わり映えしないと思うんですよ。
 特にその中で、先週ですかね、衆議院のTPPの委員会において、民進党のある先生からサイドレターのことでかなりしつこく突っ込んで聞いていた、私の同期の先生なんですけれども。じゃ、サイドレター、ラブレターと違いましてサイドレターというのはどういうものなのか。あの質問だけを聞いていると、何かもうアメリカにだまされて、いずれ落とし穴にでも入ってしまうんじゃないかというような質問の仕方をしていたんですけれども、このサイドレターというのを簡単に、国民に分かりやすいように説明していただきたいと思います。
#277
○国務大臣(岸田文雄君) 衆議院のTPP特委においても議論のありましたサイドレターですが、これは保険等の非関税措置に関する日米並行交渉の結果を取りまとめた文書であります。これは、これまでの取組や今後の取組を確認するものであり、国際約束ではなく、我が国が法的に義務を負うものではありません。
 交渉においては、我が国の制度に問題がないことを説明しつつ粘り強く交渉を続けた結果、各分野において我が国として既存の国内法令を適切に実施していることを確認したり、元々自発的にとることとしていた措置等の内容を文書に盛り込むことにより、日米双方の受入れ可能な形で取りまとめることができたものであります。要は、新たな約束をしたというものではないということであります。
#278
○石井章君 トランプさんで時間を大分使ってしまったので。要するに、このサイドレターがあることによって日本が不利益を被ることではないということで理解をしておきたいと思います。
 私は、我が党は、日本維新の会は、TPPには賛成の立場としてずっと今日まで一貫してきました。ただし、中身についてしっかりと国民に知らせるのは我が国会議員の役目であり、私はそういう立場で今質問しておりますけれども、特に、政府が策定しました総合的なTPP関連政策大綱が、私の先ほど言った、じいちゃん、ばあちゃんがいるような農耕地の皆さんが果たして適切にワークできるのかどうか、そういう地区でですね、非常に心配しているところであります。
 私の地元は茨城県の南部でありまして、取手とか龍ケ崎とかを中心としたところなんですが、ちょうど筑波山の麓から利根川、そしてその支流の小貝川があって、昨年、皆さんに非常にお世話になって、激甚災害も指定を受けた鬼怒川の決壊もあったが、本当に豊富な水もあって、優良農耕地であります。そして、筑波山の麓では、北条米といって、これはもう本当に日本でも一、二番を争うようなおいしいお米の取れるところでもありまして、また、私の地元も、取手、龍ケ崎を中心に昔から相馬二万石と言われた米どころでもあります。
 そこで、私どもの茨城県内の地元の農業従事者の年齢が非常に高くなっておりまして、一人一人いろいろな事情があって、規模拡大の波にはなかなか乗り切れない。しかし、小規模であっても頑張っています、一生懸命毎日頑張っています。しかも、日々の農作業で体鍛えていますから、すこぶる元気で、TPPが来ようが何が来ようが農家は引退しないという人が多いんです。そういう中で、気持ちだけは十分に、日本の食料事情の中で作ったものを供給する気概は十分にありまして、農業が心底好きな人たちの集まりでもあります。
 そこで、我が地元の愛すべき高齢農業者の立場に立って、農業者の方が、TPP、おら分かんねえよという人がたくさんいますので、そういう立場の人の目線に立って質問をもう少し深くしたいと思います。
 先ほど言ったとおり、大筋合意からもう一年たっています。しかし、大筋合意からたってはいますけれども、もう一年たっていますけれども、これはまだまだ国民に理解をされていないということは、これは紛れもない政府側の説明責任ではないかと思います。
 安倍総理の答弁ですと、まあこれは売り言葉に買い言葉があったと思うんですが、四千ページもちゃんと資料も用意して、そこまでしっかり政府はやっているんだということではありますが、しかし一般国民は、TPPって大体今聞くと、何か変な大臣が変なことを言って国会で暴れているんだっぺって言うんです、皆さん、地元に帰ると。まあ誰だとは言いませんけれども、そのうち出ます。暴れているのは野党、一部野党、私たちじゃありませんからね、野党であっても。
 TPPに関して国民にもう少し分かりやすいように説明すべきだと思いますが、担当大臣、どのように、総理でいいですか、石原さん、たまにはよろしくお願いします。
#279
○国務大臣(石原伸晃君) ただいま四千ページの資料を出すだけじゃ駄目だとお叱りを受けましたので、その後、やはり、何が分からないか、また何に関心があるかということも人それぞれに違いますので、QアンドAに取りまとめさせていただいて、例えば米は安い米が入ってくるのか、石井議員が御指摘されたようなQがございまして、それはこうこうこういう仕組みがありますから大丈夫ですよみたいな、そういうものも実は作らせていただいて、意見をいただいてそれを直させていただいております。
 それと、十八の県に説明の要望、県の側からですね、今委員がおっしゃられたとおり、そういう地域の方々が質問に来られても答えられない、どう説明すればいいのかということで、十八の県に説明者を出しまして県の方といろいろお話をさせていただくとか、幅広く丁寧に情報提供を行わせていただきました。
 あと、中堅・中小企業の分野の例えば食品とか、そういう具体的な十一の分野について、TPP協定における関連規定やメリット、こういうことをやればこういうことになりますよといったようなものをファクトシートという形で公表して、これは私も見たんですけれども、割と分かりやすくできておりまして、分野ごとに業界への説明も行わせていただいております。
 もう委員の御指摘のとおり、総理を先頭に、当委員会の審議等々も通じまして、また時間があれば外に出まして説明を続けてまいりたいと思っております。
#280
○石井章君 やっぱり業界団体への説明はそれは当たり前のことでありまして、家で団らんしながら語らいをしている一家の主婦の皆さんや、あるいは高校生、中学生でも分かるように、政府の広報誌、漫画でも、漫画ででもいいんですよ、分かりやすいですから。活字を並べたって、これは役人が作ったものは誰も分かりませんからね。ですから、やっぱり漫画でも結構ですから、一度、TPPがこれ、交渉の席にのったときには、しっかりとそういった説明責任を果たしていただきたいと。
 そこで、先ほど私がちょっと言いましたけれども、山本大臣が二回ほど口を滑らせたということで、TPPの衆議院の理事懇あるいは委員会において山本大臣は皆さんに約束した、先ほど野党のどなたかも質問していましたけれども、いわゆる、大臣は国民に十分理解できるようにしっかりと審議をしていくということをお約束しました。
 今この現状、今の段階でそれがきちんと果たされているかどうか、あなたの思いも含めて、自分はしたいんだけどどうなのかも含めて、御答弁願います。
#281
○国務大臣(山本有二君) 農林分野でできる限りの分かりやすい、いい説明に努めてはおりますけれども、私の能力の足らざるところ、まだ十分には御説明に至っていないというようには思います。しかし、衆議院の採決もいただきました。参議院でも審議をしていただいております。その意味におきまして、なお努力をいたしたいというように思っております。
#282
○石井章君 素直な答弁でありがとうございます。
 要するに私が言いたいのは、山本大臣はしっかりと説明責任を果たしたいと言ったんですよ。しかし、衆議院においてはその約束させた張本人たちが委員会をボイコットして委員会が開けなかったわけですから、それは我々は強行採決とは思っていないんですよ。しっかりと議論する、国会議員はしっかりと議論をする、反対は反対でこの場ですると。しかし、約束させておいて、山本さん、幾ら答弁したくても説明したくてもそういう機会がなかったということも、助け船ではないんですが、そういうことも現実的にあったということも国民の皆さんも理解していただきたいと思います。
 それから次です、時間がないので。
 食料・農業・農村基本法の第二十七条について、これが我々茨城の一番弱い農家に対しても肝のところなんですが、高齢農業者の活動の促進ということでありますけれども、国は、地域農業における高齢農業者の役割分担並びにその有する技術及び能力に応じて、生きがいを持って農業に関する活動を行うことができる環境を整備推進をし、高齢農業者の福祉向上を図るものとするということをうたっておりますが、現時点でこれに関わるような方策が取られているのかどうかをお伺いします。
#283
○国務大臣(山本有二君) 農業の成長産業化を図るためには、将来に向けて農業で生計を立てていく意欲ある農業者であれば、年齢あるいは規模の大小にかかわらず幅広く支援することとしておるところでございます。また、高齢農業者がその豊富な知識や経験を生かして農業や六次産業化、さらには地域活動に積極的に取り組むことは、農山漁村の維持、活性化や高齢農業者の福祉の向上を図る上で意義あるものと認識しております。
 このような観点から、農林水産省では、水路、農道等の地域の資源を高齢農業者を含む地域全体で維持管理し、農業、農村の多面的機能の発揮を図る活動、そして地域で長年農業に従事されてきた方の豊富な経験を生かした特産品作りや、都市住民や学童等の農業体験活動の受入れ等の取組、こうしたものに支援策を講じているところでございます。
 現在、日本の農業は六十五歳以上の方々が相当な数を占めておりまして、約六五%でございます。高齢農業と言われますけれども、逆に高齢者が主体となって働く、また成長産業化するという当事者であるという認識の下に農林水産省は支援を重ねていきたいと思っております。
#284
○石井章君 時間がないので、具体的に。
 私どもの茨城というのは、農産物の生産の量でも非常に多い、また作付面積等も非常に多い県でありまして、私どもの知事、橋本知事って総務省のOBなんですが、一生懸命先頭に立って、農産物の販売等にも茨城空港なども利用しながらやっているところなんですけれども、ここで一つ、パネルに出したんですが、担い手確保・経営強化支援事業ということで、先ほど融資の話は大臣おっしゃっていましたけれども、これなかなか、私どもで優れた経営感覚を備えた若手というのはいないんですね。大体六十歳以上が農家をやっていらっしゃる方の八〇%、三十代が一%、そういうような状況であります。しかし、そういうような状況の農村地区でも優良農村の位置付けになっています。
 そこで、一つまずお聞きしたいのは、補助率で事業費の二分の一というふうにありますが、これ私、直接農家の方に聞かれたんですけれども、個人で一千五百万、いわゆる個人で最低でも七百五十万用意しなきゃならないと。じゃ、これ、また田んぼ売るしかあんめなと。ところが、田んぼは安い、売れない。売っても、七百五十万つくったら田んぼが全部なくなっちゃうんです。
 そうすると、個人で一千五百万をつくるにもなかなかつくれないとなると、補助金が入ってきても、先ほどいろいろ、青色申告五年以上だ云々、青色申告なんか大体やっていませんから、みんな白色ですから。大臣、その辺を認識していただきたいんですが。
 普通、商工業とか中小零細企業ですと、商工会あるいは商工会議所という窓口があって、利子補給制度等を利用して経営指導員がきちんと融資のつなぎをするわけです、県の保証協会とかも通して。しかし、農業のこういった一般の末端の方々は自己資金がないんですけれども、自己資金のつくり方に関して少し大臣の方から、つくり方というか、これは借りてくればいいだろうとか、自分のうちのことだからみんなで金出し合えとかという、金はないですから農家は。でも、この制度を利用するんですからお金は調達しなきゃならないと。
 農水省として何かいい方策があるのかどうかを答弁お願いします。
#285
○国務大臣(山本有二君) 手元資金がなくても意欲だけで事業が推進できる、そうした制度を設けております。担い手確保・経営強化支援事業でございます。これは、融資主体型の補助事業でございまして、事業費の二分の一を融資で賄う場合に、残りの二分の一を補助するものでございます。当該融資の相談は、日本政策金融公庫のほか、農協、地銀などの金融機関でも対応していただいておりますし、また、融資の金利負担を軽減するため、スーパーL資金につきまして金利負担軽減措置を実施しているところでございます。
#286
○石井章君 時間がないので、最後に総理、十七日に訪米して、最初は話を聞くことが大事だと思うんですけれども、互恵互助の精神で、日本人らしい振る舞いをして、安倍総理ここにありということをしっかりと肝に銘じながら日本の代表者としてしっかり交渉していただきたいと思いますが、最後に御決意のほどを御答弁お願いします。
#287
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日米同盟のきずなを更に強固にする、そういう会談にしたいと思っております。
#288
○石井章君 ありがとうございました。
 これで終わります。ありがとうございました。
#289
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今日、政府は南スーダンPKOに関して駆け付け警護の任務付与をしました。南スーダンは今内戦状態、PKO五原則も崩壊をしています。駆け付け警護も、これも危険が増します。君死にたまふことなかれ、この南スーダンPKO、撤退をすべきですし、駆け付け警護の任務付与に強く抗議をしたいというふうに思います。
 TPPの問題について、まず遺伝子組換え食品から質問をいたします。
 国内の大手粉ミルクメーカー六社の全てで、遺伝子組換え作物を原料とする加工品が使用されています。そして、発泡酒や新ジャンル、第三のビールにも遺伝子組換えトウモロコシ由来の原料が使われています。たねと食とひと@フォーラムの問合せに対する各社からの回答です。赤ちゃんが飲む粉ミルクやみんなが喜んで飲む発泡酒に遺伝子組換え食品が使われているということに私自身も大変ショックを受けました。
 お酢、ヨーロッパ、EUに輸出する場合には、これは遺伝子組換え食品が入っているということを表示をしなければなりません。でも、日本で同じお酢を売る場合には、遺伝子組換え食品について、まさにこれは表示する必要はありません。これは、まさに日本もこれはEU基準を取り入れてやるべきではないでしょうか。いかがでしょうか。
#290
○国務大臣(松本純君) 我が国の遺伝子組換え表示制度は、実効性を担保するため、当該食品を分析し、遺伝子組換え農作物を含んでいるかどうか科学的に検証できるものに限定して表示義務の対象としております。表示義務のある食品に表示をしなかった場合に、罰則の対象としております。
 粉ミルクの原材料として使用されている植物油や発泡酒に使用されているトウモロコシ由来の液糖などは、組み換えられたDNA等が最終製品において検出できないことから、表示義務の対象としておりません。今は表示義務の対象となっていないものについても、分析技術が向上して組み換えられたDNA等の検出が可能になった場合には新たに表示義務の対象とすることとしており、現在、制度の見直しに必要な調査を実施しているところでございます。
#291
○福島みずほ君 そうだとすれば、今は製造過程で組換え作物の遺伝子が残らないために表示義務はないということなんですが、じゃ、分析方法によってこれが出るということであれば表示をするということでよろしいでしょうか。
#292
○国務大臣(松本純君) 罰則を伴っているというところから、その証拠として検出ができるかどうかということが重要でありまして、まずそれが前提となるということを申し上げました。
#293
○福島みずほ君 つまり、検出されれば、それは罰則があるけれども、考える余地はあるわけです。EUはそもそも、検出されるかどうかに関係なく、遺伝子組換え食品使っていれば表示義務があります。
 ところで、遺伝子組換え食品は今回のTPPに盛り込まれています。この遺伝子組換え食品に関して、例えばEUはノー、そしてアメリカはオーケー、日本もまあオーケーなわけですが、これに関してEU並みにやるべきだ。
 例えば、今大臣おっしゃいましたが、検出方法ができた、それで検出できる、表示義務を強化する、あるいは遺伝子組換えをそもそも使っていたら規制しようと日本で考えたときに、これを規制強化をしたときにISDS条項で訴えられる可能性はありますね。
#294
○国務大臣(石原伸晃君) 委員御指摘のとおり、ISDSはTPPの投資の章で規定をされております。いわゆる外国企業を自国企業と差別しない、あるいは正当な補償なしに収用しない、この規定されている義務に国が違反し、投資家が損害を受けた場合には、仲裁廷に損害賠償又は原状回復のみを訴え、提訴するものでございます。
 しかしながら、今委員御指摘にありました食品の安全や表示に関するルールは、TPP協定のいわゆるSPS協定、あるいはその次の章のTBT章に規定されているもので、ISDSはこれらの章に規定された義務の違反を訴えるものではございません。
#295
○福島みずほ君 しかし、これは外国の多国籍企業が自分たちで訴えることは自由じゃないですか。
 例えば、アメリカたばこ会社のフィリップ・モリスは、これはTPPではありませんけれども、国際商取引法委員会に対してオーストラリアを訴えました。結局、箱のパッケージのロゴとそれから色に関してオーストラリア政府が国民の健康を考えて規制するということで、これをやると決めたところ、フィリップ・モリス側がこれを訴えました。
 このように、投資というのは幅広い概念です。TPPのこの条項の中で契約も入っています。そうすると、この場合はフィリップ・モリス側はどういう根拠で訴えたかといいますと、規制強化が数十億オーストラリア・ドルの損害をもたらしかねず、相当の金銭的補償を求める法的根拠があるという理由からです。
 ですから、表示もありますし、日本が遺伝子組換え食品について、より規制を強化する、EU並みにするとなったときに、表示ではないですよ、ISDSで訴えられる可能性があるじゃないですか。
#296
○国務大臣(石原伸晃君) 松本大臣が御答弁されたとおり、科学的な根拠に基づいて検出が認知できましたら変えることはやぶさかではないという御答弁であったように、私も福島委員と同じく、聞かせていただいたとおり、規制を強化することは可能でございますし、それによって相手国、相手企業から我が国が訴えられることはございません。
#297
○福島みずほ君 訴えられることがないという理由が分からないんですよ。遺伝子組換え食品をTPP協定の投資の条項は除外していないじゃないですか。
#298
○国務大臣(石原伸晃君) もう少し詳細にその義務規定についてお話をさせていただきますと、いわゆる九章の十六条、環境や健康などの正当な目的のために各国が必要かつ合理的な規制を差別的でない形で行うことを妨げるものではない、先ほど後段で御説明をさせていただいたことでございます。
 また、我が国は、協定上で例外規定や留保を確保したことによって、我が国が現在又は将来に必要と考えられる国内法で規制があること、すなわち、将来留保等々の措置をとっているものがあるということでございます。
 これまでの投資協定や経済連携協定において、我が国は当該協定上の義務に違反するような措置をとったことはございません。そして、TPP協定においても、TPP協定上の義務違反となるような措置を我が国がこれからわざわざとるということが考えられない以上は、仮に訴えられたとしもISDSで敗訴することはないですし、委員の御指摘のとおり、広いという意味であったとしてもそれはないというふうに御理解をいただきたいと思います。
#299
○福島みずほ君 信じられないですよ。訴えられることはないし負けることはないって、そのすさまじい自信はどこから来るんでしょうか。
 このTPPが問題なのは、多国籍企業、グローバル企業のみしか、というか企業しかISDS条項で訴えられないということですよ。大企業の大企業による大企業のための制度がTPPで、ISDS条項も、組合も人々もNGOも政府も訴えられないが、なぜか企業のみ訴えることができるんですよ。私が多国籍企業の企業だったら訴えますよ。これが自分たちの投資を非常に害すると思ったら訴えますよ。
 オーストラリアは、頑張ってたばこをTPPのこのISDS条項から除外しました。でも、日本はそんなことやっていないじゃないですか。遺伝子組換え食品は明文上除外されていません、訴えることは可能だし。
 そして、もう一つ申し上げます。客観的な科学的な根拠に基づいて立証しなくちゃいけないとおっしゃいましたよね。そのとおりなんですよ。でも、遺伝子組換えも、そしてゲノム操作も、食べたら今すぐ死ぬというわけじゃないんですよ。直ちに影響はありません。だから、この立証は困難なんですよ。ヨーロッパは、だから予防原則に立っています。だから予防原則に立っています。
 客観的に科学的にその危険性を立証しなければ、日本は負ける可能性があるんですよ。いかがですか。
#300
○国務大臣(石原伸晃君) 委員の論点が、そういうものをまだ検出できない以上は表示することができなくて、我が国がそういうものをリジェクトしたときに相手の企業から訴えられるという論点であるとするならば、そのようなことはないと御答弁をさせていただいているところでございます。
#301
○福島みずほ君 表示もさることながら、日本が遺伝子組換え食品について、今よりもEU並みに規制する、それだったら訴えられるじゃないですか。表示だって訴えられますよ。なぜ訴えられないという根拠があるんですか。
#302
○国務大臣(石原伸晃君) TPP協定では、いわゆる予防原則について明示的には触れられておりません。TPP協定のSPS協定の規定は、これももう何度もお話をさせていただいておりますけれども、WTOのSPS協定と同様に、加盟国に食品の安全を確保するために必要な措置をとる権利というものを認めております。ですから、その権利に基づいて我が国がどのような規制をしようとも、その措置が科学的な原則に基づいている旨規定しておりますし、その科学的に沿った、そしてこれまでも様々な協定を結んでおりますけれども、我が国の取った政策に対して一件もないという事実もまた事実でございますので、そこのところを勘案していただければと存じます。
#303
○福島みずほ君 全く納得できません。今まで一回も訴えられていないから、これからも訴えられないだろうというのはのうてんきですよ。無責任じゃないですか。TPPで新たにISDS条項をやる、企業が訴えることができる制度を新たに導入して、本当に訴えられるかもしれないんですよ。弁護士の仕事は訴えることですよ。幾らだって訴えますよ。だから、今のような答弁で納得することはできません。
 遺伝子組換え食品、除外していないじゃないですか。
#304
○国務大臣(石原伸晃君) もう少しTPPの協定に沿ってお話をさせていただきますと、遺伝子組換えの農産品の貿易に関する規定、いわゆるTPP協定第二章二十七条三項におきまして、この条のいかなる規定も、締約国に対して、自国の領域においていわゆる委員御指摘の遺伝子組換え農産品を規制するための自国の法令、政策の修正を求めるものではないと明記されております。
 遺伝子組換え食品の安全性審査の基準を緩めたりすることは到底我が国は考えませんし、そのようなことを行わない以上は、我が国を訴えても勝訴するということはないのではないでしょうか。
#305
○福島みずほ君 裁判はやってみなきゃ分からないですよ。しかも、この今の答弁で納得はいかないですよ。なぜならば、日本がこれから遺伝子組換え食品の規制を緩めることはないと言った。私の質問は、遺伝子組換え食品の規制を強化したり、そういうときに多国籍企業から自分たちがそれで損害を被るとして訴えられる可能性があるじゃないかという質問です。それに対してちっとも答えになっておりません。日本でそれを防げないですよ。訴えるのは自由なんですよ。訴えるのは自由ですよ、濫訴防止はあるけれども。
 これに、何で企業だけなんですか。アメリカに二〇一〇年十二月に行ったときに、組合は大反対だと言っていました。組合もNGOも人々も政府も訴えられないが、企業のみ訴えることができるこの制度は、まさに多国籍企業のものではないでしょうか。
 次に、公共調達についてお聞きをいたします。
 日本には地域を大事にする地域振興型の条例がたくさんあります。ちょっと例を言いますと、例えば滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山の一府四県、そして二十二自治体が地酒で乾杯条例というのを作っています。被災者支援のための住宅を建設する際、地元の材木を使って地元の工務店をやるということを、建設と県がやっぱり地元振興ということで結んでいるという例も増えてきました。また、かつて地方の公共調達を調査したときに、地方公共団体が公共調達するときに、地域の消防団で活動しているかどうかを公共調達の加点理由にしているというものもありました。
 地域振興、大事じゃないですか。これらがISDS条項で訴えられる可能性があるんじゃないですか。
#306
○国務大臣(石原伸晃君) 結論から申しますと、投資の章でございますので、ISDS条項が訴えられることはございません。
 TPP協定投資章の特例措置の履行要求の禁止条項の現地調達に関する規定は、政府調達には適用されません。また、地方政府による現行の措置にも適用されないことになっていると御理解をいただきたいと思います。
#307
○福島みずほ君 それは違いますよ。政府調達については、条文、第九・十二条、適合しない措置、第九・四条、第九・五条、最恵国待遇と特定措置の履行要求、経営幹部及び取締役会の規定は、次のものについては適用しない、政府調達とあります。しかし、それ以外のことについて、例えば公正かつ衡平な待遇並びに十分な保護及び保障を含むを与える。第九・六条、待遇に関する最低基準などは除外事由になっていないじゃないですか。政府調達に関して、それが全く除外されているということはないですよ。
#308
○国務大臣(石原伸晃君) それは多分福島委員は分かっていてお話になっていると思いますが、例えば消防が火事のとき消しに来ない、泥棒が入ったけど警察が来ない、それが委員が御指摘になられた最低のところなんですね。それと、その前段にお話をされた内国民待遇、最恵国待遇等々とは大幅に違うものであるということは是非御理解をいただきたいと思います。
 もう少し丁寧に御説明させていただきますと、投資の章、いわゆるチャプターナインの内国民待遇、最恵国待遇、経営幹部及び取締役会、特定措置の履行要求に関する義務については、先ほどもお話をさせていただきましたとおり、政府調達の適用除外とされているために義務違反を構成し得ないわけであります。
 御指摘の適用除外でないいわゆる最低基準、先ほど言いましたけれども、警察が泥棒が入ったのに来ないとか、あるいは、土地収用が掛かって、ビルが建っていて、それを外資の企業が持っていて、収用をされたのに収用のお金を払わないといったような、サービスといったものである以上は、そういうことでそういう事態が我が日本国で起こるとは想定されない、このように御理解をいただきたいと思います。
#309
○福島みずほ君 学校給食において地元の食材を優先的に使う旨の条例について、例えば実際に韓国では、米韓FTA下において、ISDS条項で訴えられることを恐れた多くの自治体が地産地消条例を改めることを余儀なくされました。つまり、訴えられるかもしれないと思って、自分たちで、これ、だから食材の額にもよりますが、ISDS条項では。しかし、訴えられるかもしれないということで条例を変えたんですよ。ISDS条項が一体何が問題なのか。民主主義を乗り越えちゃうんですよ、壊すんですよ。国会が作る法律、それから地方公共団体が作った条例、地産地消やいろんなことに関してISDS条項で訴えられるかもしれないということで、現に米韓FTAでは韓国はこれを変えてしまったんですよ、条例で。
 さっき大臣は四つの件に関して除外をされていると言いました。私の質問は、適用される国際慣習法上の原則に基づく待遇、公正かつ衡平な待遇並びに十分な保護及び保障、第九・六条待遇などは除外されていません。だから、ISDS条項で訴えられる可能性があるじゃないですか。
 しかも、今後三年以内にISDS条項で拡大をする、地方の公共調達については拡充する方向で検討するということも言われています。だったら、地方の公共調達、それから政府の公共調達もISDSで訴えられて大変な状況になる。あるいは、訴えられる可能性があるということで、地方の条例案作りや地方の地域振興が壊れると思います。いかがですか。
#310
○国務大臣(石原伸晃君) 誤解があると思うんですが、政府調達というのは相互主義なんですね。アメリカの州政府も、例えば公共投資については開いていません。ですから、それと同じように、TPP協定の発効によりまして、地方公共団体を含めて、日本の政府調達に関する制度を変更することが新たに求められたり裁判に訴えられることは、相互主義である以上はないわけですね。
 委員御指摘の学校給食でございますけれども、TPP協定の政府調達の規律の対象は、地方公共団体でも都道府県と政令指定都市に限られるわけでございますが、これらの地方公共団体に関しても食料提供サービスの調達に関しては規制の対象外となっております。仮にですけれども、都道府県及び政令地方都市が食料提供サービスを調達する形ではなく、自らが食材自体を購入する場合であっても、一度に調達する食材、先ほど金額の話を委員されておりましたけれども、一定額、三千三百万円、現行の円換算で、以上となるもののみがTPP協定の規律の対象となりますが、この基準の額については、我が国が締結済みのWTO政府調達協定の下で、基準額と何ら変わるものはない、このように御理解をいただきたいと思います。
#311
○福島みずほ君 これは相互主義であることも存じております。アメリカが開放していない限りはそうですが、将来、でも、地方公共調達についてもTPPの中で相互に開放していく、問題にすることが起こり得るわけじゃないですか。今の答弁でも、金額によって食料を買うことについてはTPPの対象になるわけじゃないですか。そのことが起こり得るということなんですよ。だから、共済についてや様々な薬の薬価や、様々なことについてISDS条項で訴えられる可能性がある。訴えるのは自由ですよ。敗訴することはないというのは間違っていると思います。
 以上で終わります。
#312
○アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば何でもできるということで、今日はお許しをいただきましてありがとうございます。いつも、南門から入るときに学生たちが国会見学をしていまして、車を止めて元気ですかと言うと、みんなが一斉に手を挙げて応えてくれるんですが、本当に国会も今日一日、本当に長い時間、昨日、今日とも、関係者の皆様も本当にお疲れさまです。この時間はちょっと、余り難しくないと思いますので、リラックスしてもらって結構だと思いますが。
 本当に、今回のトランプ旋風というか、これによってTPPも今暗礁に乗り上げているというのが現状かなと思いますが、一つ、上り坂、下り坂、まさかという坂があるという話を聞いたことがありますが、そのまさかという、そこが見れなかったのかなという気がいたします。
 そこで、先日、稲田防衛大臣がテレビでインタビューをしておりまして、今回のトランプさんの当選は想定内ですかと質問をされていた場面を見まして、はい、想定内でしたという答えをされておりました。そうであれば、本当にこんなに慌ただしくしなくてもよかったかなと。一つにマスコミのやっぱり情報のミス、もう一つは新聞のやっぱり扱い方、それに我々は当然左右されるんですが、そういう中で、本当に確かな情報というものが我々は手にしなきゃいけない。かつて、湾岸戦争の場合もそうですが、戦争は間違いじゃなかったけど情報が間違っていたと、そんなことを言われた。ブッシュ大統領でしょうかね。
 そんな中で、総理にお伺いしたいんですが、今回の大統領選の結果はいろんな分野で予測はしたと思いますが、想定内だったんでしょうか。
#313
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 政治の世界では、これ猪木さんも御承知のとおり、いろんなことが起こるわけでございまして、かつて猪木さんがスポーツ平和党というのをつくって、あのときどのマスコミも議席を取るとは想定していなかったんですね。しかし、見事に議席を獲得されたと。これは、それは大変そのとき、どうだという気持ちになられたんだろうと思いますよ。
 ですから、政治の世界では様々なことが起こる、そしてそれに対応していくことが大切だろうと、このように思っております。
#314
○アントニオ猪木君 思い出しますが、当時は、ある先生に話をしたときに、スポーツ党ということだったら、スポーツは、おまえ、政治と関係ないんだよというのが当時の考え方でした。そこで、平和を付けてスポーツ平和党という名前にしましたが。
 既にニュースでも一部流れて、私も今外交防衛に所属させてもらっておりますが、そんな中で、本当にいろんなやはり世界を歩いたときに、自分の目で足で確かめるということで、現地とまた情報との違いが多分にあります。
 そういう中で、今、外務省の対応は大変難しいと思いますが、これだけ、CNNという番組が入ってきたときに、今までは、それこそニュースが出された、それを受け取れば、ところが、現地に行ってしまって、そこから生中継で流す、テッド・ターナーさんというのが立ち上げましたが、そういう情報というかニュースがいきなり入ってくる。
 それだけに、まあ外務省がごまかしているとは思いませんが、その辺の確かな情報というのをしっかりつかんでおかないと、今回のトランプ氏の優勢情報、いち早く手にしまして、私も、予備選挙のときから、多分トランプ氏は泡沫じゃなくて行くんじゃないかなと、これは私の直感ですが。
 非常にいろんな人たちがいて、隠れトランプというのがよく新聞にも出ていますが、非常にプロレスファンというのは義理堅いというか、前にも申し上げたとおり、リングで髪切りマッチというのを、一九九七年ですかね、やったり、そういうパフォーマンスもやっておりました。
 マスコミというのは、ある意味都合のいいところだけ取って、前と後ろを切り取ってしまう、その辺に非常に混乱する要素があると思います。
 それで、今回、総理が十七日にニューヨークに行かれ、トランプ氏と直接会談をする。本当に、選挙結果、迅速に行動されて、大変動きが良かったなと、大変評価させていただきます。今回、河井克行さんとか、あと秋葉外務審議官の方がもう飛んでおられるようですが、一日も早いその外交チャンネルを築かれて、本当に信頼関係という。
 これは、リングの上で私も戦ってきた中で、一瞬、相手の弱点と相手のやっぱり強さと、それを分析するのと同時に自分の直感で見極めると。そういう意味では、今回のトランプ大統領候補と会談されるわけですが、一流の、プーチンさんやいろんな外交をやられた中で、是非安倍総理の経験とそしてまた直感力を生かして、最終的には平和外交という形に持っていっていただければいいと思います。
 一つ、トランプ氏の人脈ということで、いろんな人がいますが、前にデニス・ロッドマンというのが北朝鮮に行って話題になりましたが、彼も非常にトランプさんと仲いいし、それからまた、さっき言ったプロレスのプロモーターであったりタイソンであったりとか、そういう私なりのスポーツ関係を通じた、トランプさんとは会ったことありませんが、そういうチャンネルもあります。
 そこで、日本の基本姿勢ということで、TPPについて、私はかなり最初の段階からこの選挙戦がどうなるかというのを予想しておりましたし、外交防衛委員会でも何度かその辺を質問させてもらいました。ヒラリーさんが当選した場合は、国務長官時代に賛成だったこともあり、間を取って妥協案を出すはずだと日本政府が油断していたのではないでしょうか。TPPは、アメリカか日本が反対した場合、成り立たないと言われますが、今後どうなるのでしょうか。正直、どうなるか分からない、駄目になるかもしれない協定に対して、大変質問が絞りにくい。相手の出方が分からない、リングに上がったら相手がいない、一人で戦えよというような今のTPPの状況じゃないかなと思います。
 国民に、先ほどから同僚議員からも質問もありました、もう一度総理から分かりやすい説明をいただければと思いますが。
#315
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPPというのは、自由や民主主義や人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々がアジア太平洋地域に世界のGDPの四割の自由で公正な経済圏をつくっていこうという試みでありまして、十二か国が長い議論を経て、交渉を経て、大変戦略的で質の高いものができ上がったと、このように思います。
 これは日本にとっても、日本は人口が減少していく中において大きな消費地が誕生するわけでございます。そこでは同じルール、そして関税の障壁がない中においては、中小企業、またそこで働く労働者にとっても大きなチャンスがありますし、消費者が減っていく農業者にとっても所得を増やしていくチャンスにつながっていくと、こう思っているわけでございます。
 また、米国にとっては、まさに米国が信奉してきた自由貿易、そして普遍的価値を中心とした新たな、それを基盤とした新たなルールができ上がっているわけでございます。このルールを基に、RCEP、そしてFTAAPへとつながっていく、これはモデルとなっていくわけでございます。そうなれば、日本とアメリカがルールを作り、それが基盤となっていくということは、地域の平和と安定にも大きく寄与していくということではないかと。それを米国においてしっかりと評価をしていただき、批准をし、そして発効に向けて進んでいくように期待したいと思います。
 そういう中で、今週、ペルーで開かれるAPECの際にも、十二か国の首脳が集まって、それぞれの国々が国内手続を進めていく、そういう意思を発信していきたい。幸い、今日ニュージーランドが関連法案を成立をさせたという意味においては、大きなこれは弾みではなかったかなと、このように思います。
#316
○アントニオ猪木君 これからの先行きについていろんな戦略を立てられると思います。
 日頃、私は一歩踏み出す勇気ということを言っていますが、また、一歩退く勇気も大事かなと。そういう、米議会でも承認しないということが言われていますが、一つは日本人気質ということで、ちょっと言わせてもらうと、まあ本当に何で、あの戦争を振り返ってみたときに、反対する人がいなかったのかなという思いもあります。みんなで渡れば怖くないというよく昔はやった言葉がありますが。
 そんな中で、戦時中、米軍の兵隊さんが捕虜になると、捕虜になってでも生き残れという、日本人はとにかく先が見えなくても突っ込んで玉砕という、そんな日本人気質、まあ一部ですが、そんな気質の中で、日本の基本姿勢、今ここで明確にしなければならない、日本独自のある戦略というんでしょうかね、もう一度総理にお聞きしたいと思います。
#317
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日本が批准すれば、例えばそれでいきなり発効して日本が義務を負って日本の関税を下げなければいけなくなることではないわけでありますから、ですから、これを批准しても日本が義務を負う、何かそこで日本にデメリットが発生するわけではこれは全くないんですよ、全くない。つまり、これ、発効した後に、言わばこれが、米国が批准して発効していくわけでございまして、そこでやはり新たなこのTPPという四割の経済圏が発生するということでございますから、これ日本がやみくもに何かに突っ込んでいってどうしようもないことになるということではこれは全くないわけで、これは全くの誤解だろうと、こう思うわけでございます。
 今やるべきことは、世界に保護主義が蔓延する中において、自由な貿易、自由貿易をしっかりと進めていこうではないかという機運をつくっていく、それが日本の役割だろうと。今、日本がここで批准ができなかったら、これは、何とか名目を保っているTPPは、これは終わりであります。恐らく、これはもう米国においてもですね。しかし、時間を取って将来ということにも、これすらならないんだろうと、こう思うわけでございます。だからこそニュージーランドも、ニュージーランドもこういう状況の中において国内の手続を行ったと、あとは国王の認可を受けるだけ、まあこれは形式的なものですから、事実上の国内手続を終えたということではないかと、このように思います。
#318
○アントニオ猪木君 先日、フィリピンのドゥテルテ大統領が来日されましたが、TPPについては何か話をされたんでしょうか。
 アキノ前大統領は参加に前向きだったと認識しています。ドゥテルテ大統領は慎重姿勢と聞いていますが、日本がTPP法案を成立させるというのであれば、ASEAN諸国に働きかけ、参加国を増やした方がメリットがあるのではないか。
 現在、タイ、インド、インドネシア、台湾、韓国、TPP参加を検討していると聞きます。各国に対して日本はどのような働きを掛けるのか、またどのような考え方があるか、お聞かせください。
#319
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日本が、もしこのTPPが発効すれば、日本は最初のメンバーになる。最初のメンバーはどういう権利を持つかというと、後から入りたいという国に対して、あなた駄目ですよということが言える権利を私たちは持つわけでございます。その中で、入りたいという国々が来ているのは事実でありまして、日本に是非支持してもらいたいという、そういう要請も来ているのは事実でございます。
 そこで、TPP協定の大筋合意後、フィリピンがTPP参加に強い関心を表明したのに対し、我が国からは、フィリピンが協定の求める高い水準を満たす用意があることを示した上で正式に参加表明する場合にはこれを歓迎したい、また、日本としてはそのための協力をする用意がある旨伝えてきたところであります。したがって、ドゥテルテ大統領が訪日した際には、特段のイシューとはならず、TPPそのものについてのやり取りはありませんでしたが、いずれにせよ、我が国としてはフィリピンの新規加入を引き続き後押ししていく考えでございます。
 現在、フィリピン以外にも、韓国、台湾、インドネシア、タイ等、TPP参加に強い関心を有している国々があります。我が国としては、ASEAN諸国を始めTPPに関心を有する地域に対し、協定内容に関する情報提供を行うなどの協力を進め、TPP協定への新規加入を広げていくように取り組んでいく考えであります。
 TPPは基本的にかなり高い水準でございますから、このハードルを越えないとこちらに入ってこれない。ハードルを越えるに当たって、我々もこのハードルを越えるための協力はしていきたいと、こういうことでございます。
#320
○アントニオ猪木君 先ほども申し上げたように、幾つかの道というんですか、これが駄目ならこちらという基本方針は当然あって、その中で戦略というのを立てることが大事だということで、第三の道というか、アメリカが乗ってこなかった場合、非常に厳しい状況になるだろう。これまでTPP特別委員会でも、メリットとデメリットというあれをいろいろ議論をしました。昨日いただいた本ですけれども、見ると、これは二十四のTPPの疑問ということで、一つには、TPP交渉のときに全く書面が黒塗りで我々には全然分からなかったと、いろんなことがここにも書いてあります。
 そういう中で、今の原案よりも良い選択肢があれば、これから第三の道を検討する余地が、そういう考え方がおありでしょうか。
#321
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほども申し上げましたが、いずれにせよ、今このTPPとともにEUとはEPAの交渉を進めておりまして、年内の大枠の合意を目指しているところでございます。そして、将来においてはRCEP、これには米国は入っておりませんが、その後、APECの国々が入っているFTAAPへと進んでいくことが期待されるわけでございます。
 いずれにせよ、大切なことは、せっかくTPP、厳しい交渉をした結果、大変いいものができたんですから、これをまさにモデルとして、そのルールを基に次なるこのRCEP、FTAAPに進んでいくことが、日本の国益であり、地域の利益につながっていくんだろうと、このように思います。
#322
○アントニオ猪木君 是非、総理が言われた方向に話が進んで平和が一日も早く来ますように、そんな思いでいます。
 それで、いつもネットでちょっと募集をしまして、ネットの意見を一つ読ませてもらいますが。世の中が不寛容な社会に向かう中、日本は孤立化への道は歩んではならないと思います。日本は一貫して、TPPに限らず、国連やアメリカ、新大統領となるトランプ氏にロシアの協調を根気強く進め、またそのリーダーシップを取られるよう、政治を期待していますと。中には総理にすごいきついやつもありますが、それは読みません。
 もう一つ、最後に。
 トランプ氏が金正恩氏と会談する、会ってもいいよというような記事がありました。アメリカと北朝鮮がそういうことが実現するのであれば、日本の拉致問題、核・ミサイル実験に対しても制裁をどういうふうになっていくのか。
 本当に日本が今目指している方向に是非この十七日の会談が成功されますようにお祈りいたしまして、終わります。
#323
○中野正志君 日本のこころの中野正志でございます。
 まず、今、私ども東北、宮城の地元でも、TPPの議論、大変熱く語られております。同時に、私たちの宮城県は例の長沼ボート場の話、大変持ち切りであります。この長沼ボート場の近郊は、大変にうまい米の作れるまさに米どころ、そしてまた畜産も大変盛んなところであります。
 前回の予算委員会のときにこのお話を持ち出しまして、丸川大臣からは、復興を成し遂げつつある被災地の姿を世界に向けて発信するということは、政府のオリンピック・パラリンピック基本方針においても大会の大きな目的の一つとして掲げているという答弁をいただきました。しかし、その当時は、丸川大臣、直接的に候補地をどうのこうのするという立場ではありませんでした。ところが、その後IOCの考え方も変わりまして、IOCのコーツ副会長、それから組織委員会の森会長、それから東京都の小池知事、そして丸川五輪担当大臣、四者のトップ会談でこの十一月三十日にも決定をされると、こう聞いておるのであります。
 その前に、もう組織委員会の森会長、さすがでございまして、被災地の福島に野球、ソフトボール、この競技を持っていこうということで、この間明らかにされました。
 御存じをいただきますように、東京五輪招致のときから、復興五輪、これを高らかに基本理想として掲げられまして招致成功しましたし、その後も国民の皆様、我々、東北、宮城、何としてもこの復興五輪成功させなければならないと。そのためにも何にかかにかそれなりの競技、必ず来るのではないか。私たち宮城県、実はサッカーの予選もありますけれども、やっぱり復興五輪というこの基本コンセプトを考えたら、この長沼ボート場、宮城県が一生懸命頑張るという誓いもされておりますから、何とか十一月三十日の四者トップ会談、長沼ボート場、お決めいただくと被災地にしっかりと大きな元気を与えていただけると思いますし、米どころでもありますから、なおさら元気がもらえると。
 丸川大臣に是非こういった思いを、安倍総理、しっかりお伝えをいただきたいと思うのでありますが、一言御所見をいただけませんでしょうか。
#324
○内閣総理大臣(安倍晋三君) あの大震災から復興しつつある、力強く復興しつつある被災地の姿を世界に発信していくと同時に、日本の伝統や文化、すばらしい点を世界に発信していく大会にしたい、東京オリンピック・パラリンピックをそういう大会にしたいと、このように考えています。
 そこで、御指摘の競技会場の見直しについては、開催都市である東京都、大会運営に責任を有する組織委員会、IOC、そして内外の競技団体が協議した上で決定することが基本と考えております。今回の四者協議においても、このような基本方針の下、調整が行われるものと理解をしておりますし、丸川大臣もこのような考え方の下にこの四者協議の場に臨んでいくんだろうと、こう思っております。
#325
○中野正志君 是非、政府全体としてもよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 今、猪木議員のお話にもありました。TPPが発効されれば、アジア太平洋地域において我が国を含む十二か国による巨大な自由貿易圏が生まれることになる。八億人のマーケット、我が国のGDPを約十四兆円押し上げる。私たちの日本は少子化社会を迎えるわけでありますし、また、人口減少も続きますけれども、この巨大な経済圏の誕生というのは、まごう方なく私たちの日本経済を強くするものであります。
 ただ、いかんせん、御存じをいただくように、なかなか国民の皆様の理解度が深くならない、そういう御指摘をいただくとおりでありますけれども、問題は、やっぱり中国をしっかり意識しているということをお話ししないからだと思うのであります。
 去年を思い起こしてください。あの新しい安全保障法制の問題のときにも、政府側は、北朝鮮の核開発やミサイル発射のことはお話しされました。中東の問題もお話しされました。しかし、総理も日中首脳会談を控えて意識したせいか、中国の南シナ海でのあの軍事的な横暴を全く取り上げなかった、衆議院段階では。東シナ海のこともさっぱり取り上げなかった。ですから、国民の皆さん、何でやという、実はそういう考え方があった。参議院側に来て、中国のあの南シナ海の横暴を取り上げるようになってから、だんだん国民の皆様の考え方も変わってきた。今、法律が仕上がって、世論調査をしますと、やっぱり新しい安全保障法制は仕上げてよかった、必要だと国民の皆さんも認識をされるようになった。
 この実はTPPも同じなんでありますよ。日本、アメリカを中心として、この環アジア太平洋地域の経済的な安全保障という側面、そういう国家戦略で取り上げなければならない、私はそう思っておるんであります。
 ですから、このTPP、トランプさんが当選をされました。しかし、アメリカ議会、そこまででない。大変残念だと思うんでありますが、次期大統領もアメリカ議会も、もうこの地球上で大きな影響力を確保したいと思って、今、軍事面のみならず、金融だ、あるいは通商だ、いろいろな形で中国が、もうある意味お金の力でああいう、私たちからすると横暴を繰り広げているわけでありますから、真っ正面のライバルは中国なんだ、それを日本、アメリカを中心としたグループでしっかり対抗するのだ、こういう国家戦略で臨まなければならないと、こう思っておるのであります。
 とりわけ中国、もう御存じのとおり、アジアインフラ投資銀行をつくりました。それに加盟される国々も確かにあります。私たち、そしてアメリカは入っておりませんけれども、どうあれ、私たちは、安倍総理が先ほどお話しされましたように、自由な民主主義そして法の支配といった基本価値を有する国々がこういうときにしっかり手を組んでいく、そして国家の大戦略としてTPPを成功させるんだと、こういう考え方でなければならないと私たちは思うのであります。
 そういう意味で、安倍総理、やっぱり中国を見据えて対処しなければならない、こう私たちは考えている。やがて中国が、このグレードの高い、次元の高いTPPのルール、私たちもしっかり守りますから入れてくださいというんなら、そのときはしっかり審査をして入れればいい、そう思っておるのでありますけれども、総理の御所見をお願いをいたします。
#326
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このTPPの意義については、これはもう委員が指摘をされたように、自由、民主主義、人権、そして法の支配、基本的価値を共有する国々とともに自由で公正な経済圏をつくっていくということであります。その世界では、これは関税というよりも、委員が指摘されたように、まさに法の支配を強化していくという側面が極めて重要であります。
 海外に出ていく企業、中国に出ていく企業もそうですが、模倣品に苦しむ、海賊品に苦しむわけであります。出ていってほんのちょっとたったら同じようなものが作られてしまうということになっていく、結果、なかなかできない、あるいは途中で税制のルールを変えられてしまう、あるいは資産を置いていけと言われるということがあるわけでございます。そしてまた、同時に国有企業との戦いがあるわけでございます。
 そういうことについてしっかりと網羅的に正しいルール、公正なルールを作ったのがこのTPPであります。もちろん、今委員が中国について言及されました。中国が入ってくるということであれば我々は歓迎でありますが、当然、このハードルを越えてもらわなければならない。越えて入っていただけるということは、むしろこの我々の価値を共有していただけるということになり、地域はより安定し、そして平和となっていくんだろうと、こう期待をしているわけでございます。
 まさにここが正念場であって、米国も日本とともに苦労してつくってきたこのTPPのルール、これをまさにスタンダード、モデルとしてこれを広げていく、FTAAPまで広げていくという姿が世界が正しく発展していく姿となっていくんだろうと、こう期待をしているところでございます。
#327
○中野正志君 ありがとうございます。
 安倍総理に是非確認をしておきたいと思いますけれども、今日もISDS、いろいろ議論がありました。正直、これが認められたことで、日本政府のいろいろな政策に対して外国の投資家から訴えられ、国民皆保険であるとか、あるいは食品表示を始めとする食の安全とか、あるいは環境規制などについて変更せざるを得なくなったり、あるいは必要な規制が導入できなくなったりする、そういうことであると大変懸念の声、現実ありますけれども、同時に、先ほど来ありますように、よその国で投資家とで争われて、投資家側が勝った例で語られる例が多いのであります。
 とりわけ、私たちもいろいろ懇談会でお話をするのでありますけれども、このISDSのことで日本らしさや日本の心が失われるのではということが語られますけれども、是非、そういうふうにはならない、明らかに約束をいただいておきたいと思います。
#328
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このISDSにおいては、投資家が訴える、国を訴えることができます。これは先ほど議論がありましたが、これは企業だけではありません、個人でも投資家は訴えられます、NGOでも訴えることができます。
 そこで、TPP協定の投資章では、投資受入れ国が、公共の福祉に係る正当な目的のために必要かつ合理的な措置を講ずることが妨げられないこととされており、我が国が敗訴することは想定されておりません。我々そういうことをしておりませんが、そういうことをしませんから、提訴を避けるために既存の制度を変更したり、必要な規制の導入を手控えたりするようなことはなく、我が国の政策が萎縮してしまうとの指摘は当たらないと考えております。
 言わば、よく言われることは、アメリカのニューヨークのウォールストリートの弁護士たちがそういう投資家の手先になっていろんなことで訴えて、そして日本のあるべき姿を変えていこうとするんではないか、敗訴するんではないかという心配であります。決してそんなことはないわけでありまして、世界に誇る国民皆保険制度、食の安全、安心、美しいふるさとなど、日本の国柄は今後もしっかりと守っていく考えであります。
 ISDS手続は、我が国の海外進出企業をむしろ守ってきたのが事実であります。これまでの経済連携協定や投資協定のISDS制度と同様、投資受入れ国政府に外国投資家の利益を不当に侵害させないという抑止効果を持つと理解をしております。
 これは、では、日本と先進国ではなくて、途上国とたくさん結んでいるではないかと言う人がいますが、その途上国にも大きな企業があります。大きな企業は米国のまさにニューヨークのウォールストリートの弁護士事務所と契約もしていますから、当然それ、日本を、そのISDSを使って、米国の言わばそういう優秀な弁護士を使って日本を訴えることはできたんですが、それは今まで一回も起こっていないというのは厳然たる事実であります。
 ですから、そこの弁護士だけではなくて、むしろそういうところのも雇って、日本も米国の弁護士を雇ったりしますよ。ですから、そういう意味においては、今まで日本が結んでいる国々も、多くのそこにある大企業は、そこにある大企業は米国のそうした法律家事務所とも契約を結んでいるんですから、繰り返しになりますが、日本を訴えることもできるんですが、ただし、一回もそれは起こっていない。つまり、全く勝てない訴訟はしなかったということであります。
 ただ、先進国が敗訴している場合もあります、米国にですね。それは、先ほども申し上げたんですが、表向きは公共目的のための内外無差別な体裁を取っていても、実際には外国企業を差別する意図があったと立証された場合であります。また、政府の手続が不透明、不適正な場合などであり、これは政府としても調べてみたんですが、これはしようがないだろうなという例でありました。
 ですから、そうした例を見てみましても、日本が、日本政府が敗訴をするようなことは想定されないと、このように思います。
#329
○中野正志君 力強い御決意、ありがとうございました。
 時間がありませんので問題変えますけれども、TPPで国民が心配していることの大きな一つに、やっぱり食品の安全、安心が確保されるかということであります。アメリカでは、先ほど話もありましたが、トウモロコシや大豆の九割が遺伝子組換え品種であるということでありますけれども、遺伝子組換え品種であるとの表示を義務付けるルールが日本よりも緩いとされております。TPP協定によって直接日本の表示ルールが修正されるものではないとしても、将来、技術的協議があって、日本の安全基準に干渉が入るおそれがないか、これが一つ。また、防カビ剤についても、日本ではオレンジやグレープフルーツに使用した場合は食品添加物としての表示義務が課せられています。しかし、アメリカでは農薬として登録すればよくて、表示義務がないと聞いております。
 アメリカによる防カビ剤の認可手続の簡素化要請に対して我が国はどう対処していくのか、将来にわたって表示義務をしっかり維持できるのかどうか、各大臣にお伺いをしておきます。
#330
○国務大臣(松本純君) 我が国では、食品衛生法に基づき、収穫後に食品の保存の目的で使用される防カビ剤を食品添加物として取り扱っております。
 食品添加物の表示については、食品表示法に基づく食品表示基準におきまして、当該添加物の物質名等を表示することが規定されております。TPP協定が発効後も食品安全に関する基準の緩和を行うものではなく、収穫後に使用する防カビ剤は引き続き食品添加物として食品表示法上の表示を行う義務があると考えております。よって、将来にわたって表示義務は維持されると考えます。
#331
○国務大臣(塩崎恭久君) 食品の安全、極めて大事でありますけれども、TPP協定の第七章で、協約国が自国の食品の安全を確保するために科学的根拠に基づいて必要な措置をとる権利を認めているわけであります。したがって、我が国は従来から防カビ剤についても科学的根拠に基づいて審査をしておりまして、制度の変更は必要ないと思っております。
 御指摘のかんきつ類等に使用される防カビ剤につきましては、米国では収穫前後を問わず農薬として扱われておるわけでありますけれども、我が国では、昭和四十六年以降現在に至るまで、収穫後に使用されるものは食品添加物として扱っております。このため、日米並行交渉の結果作成した書簡では、防カビ剤については、引き続き収穫後については食品添加物として取り扱うということを前提に、収穫前の農薬の承認手続と収穫後の食品添加物の承認手続を効率化することとしたものでございます。
 具体的には、同じ防カビ剤であっても、使用のタイミングによって、収穫前は農薬、収穫後は食品添加物と手続が異なるものを一体的に実施することで手続を迅速化するものでございまして、審査の省略や食品安全に関する基準の緩和を行うものではございません。したがって、今後とも、収穫後に使用される防カビ剤については、引き続き食品添加物として科学的根拠に基づいて適切に対応してまいります。
#332
○中野正志君 山本大臣、済みません。
 終わります。
    ─────────────
#333
○委員長(林芳正君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、こやり隆史君が委員を辞任され、その補欠として高野光二郎君が選任されました。
 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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