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2016/11/22 第192回国会 参議院 参議院会議録情報 第192回国会 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 第8号
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2016/11/22 第192回国会 参議院

参議院会議録情報 第192回国会 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 第8号

#1
第192回国会 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 第8号
平成二十八年十一月二十二日(火曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十一日
    辞任         補欠選任
     元榮太一郎君     中西 祐介君
     相原久美子君     古賀 之士君
     伊藤 孝恵君     江崎  孝君
     斎藤 嘉隆君     宮沢 由佳君
    佐々木さやか君     高瀬 弘美君
     福島みずほ君     山本 太郎君
     行田 邦子君    薬師寺みちよ君
     中山 恭子君     中野 正志君
 十一月二十二日
    辞任         補欠選任
     小川 克巳君     堀井  巌君
     古賀 之士君     相原久美子君
     平山佐知子君     川合 孝典君
     山添  拓君     大門実紀史君
     浅田  均君     清水 貴之君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         林  芳正君
    理 事
                石井 準一君
                二之湯武史君
                福岡 資麿君
                三宅 伸吾君
                山田 修路君
                小川 勝也君
                大野 元裕君
                浜田 昌良君
                紙  智子君
    委 員
                古賀友一郎君
                佐藤  啓君
                佐藤 正久君
                進藤金日子君
                高野光二郎君
                高橋 克法君
                滝波 宏文君
                中西  哲君
                中西 祐介君
                平野 達男君
                藤木 眞也君
                堀井  巌君
                舞立 昇治君
                松川 るい君
                山田 俊男君
                吉川ゆうみ君
                渡邉 美樹君
                相原久美子君
                石上 俊雄君
                江崎  孝君
                川合 孝典君
                古賀 之士君
                徳永 エリ君
                浜口  誠君
                宮沢 由佳君
                河野 義博君
                熊野 正士君
                高瀬 弘美君
                平木 大作君
                大門実紀史君
                辰巳孝太郎君
                儀間 光男君
                清水 貴之君
                山本 太郎君
               薬師寺みちよ君
                中野 正志君
   国務大臣
       財務大臣     麻生 太郎君
       法務大臣     金田 勝年君
       外務大臣     岸田 文雄君
       文部科学大臣   松野 博一君
       厚生労働大臣   塩崎 恭久君
       農林水産大臣   山本 有二君
       環境大臣     山本 公一君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(消費者
       及び食品安全)
       )        松本  純君
       国務大臣     石原 伸晃君
   副大臣
       農林水産副大臣  齋藤  健君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        豊田 俊郎君
       財務大臣政務官  杉  久武君
       財務大臣政務官  三木  亨君
       経済産業大臣政
       務官       井原  巧君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤田 昌三君
       常任委員会専門
       員        宇佐美正行君
       常任委員会専門
       員        大川 昭隆君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       澁谷 和久君
       内閣官房内閣人
       事局人事政策統
       括官       若生 俊彦君
       内閣府知的財産
       戦略推進事務局
       長        井内 摂男君
       金融庁総務企画
       局審議官     白川 俊介君
       消費者庁次長   川口 康裕君
       法務省入国管理
       局長       井上  宏君
       外務省経済局長  山野内勘二君
       財務大臣官房審
       議官       藤城  眞君
       財務省主計局次
       長        茶谷 栄治君
       文化庁次長    中岡  司君
       厚生労働省医薬
       ・生活衛生局生
       活衛生・食品安
       全部長      北島 智子君
       厚生労働省保険
       局長       鈴木 康裕君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   山口 英彰君
       農林水産省食料
       産業局長     井上 宏司君
       農林水産省農村
       振興局長     佐藤 速水君
       農林水産省政策
       統括官      柄澤  彰君
       経済産業省通商
       政策局通商機構
       部長       渡辺 哲也君
       経済産業省商務
       情報政策局長   安藤 久佳君
       中小企業庁長官  宮本  聡君
       観光庁次長    蝦名 邦晴君
       観光庁審議官   瓦林 康人君
       環境大臣官房審
       議官       森下  哲君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○環太平洋パートナーシップ協定の締結について
 承認を求めるの件(第百九十回国会内閣提出、
 第百九十二回国会衆議院送付)
○環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関
 係法律の整備に関する法律案(第百九十回国会
 内閣提出、第百九十二回国会衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(林芳正君) ただいまから環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、元榮太一郎君、佐々木さやか君、行田邦子君、中山恭子君、福島みずほ君、相原久美子君、伊藤孝恵君及び斎藤嘉隆君が委員を辞任され、その補欠として中西祐介君、高瀬弘美君、薬師寺みちよ君、中野正志君、山本太郎君、古賀之士君、江崎孝君及び宮沢由佳君が選任されました。
 また、本日、平山佐知子君、浅田均君、小川克巳君及び山添拓君が委員を辞任され、その補欠として川合孝典君、清水貴之君、堀井巌君及び大門実紀史君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(林芳正君) 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
 まず、本日五時五十九分に福島県沖での地震がありました。津波も起きているということでございます。また、避難をされている方もおられるということでございますので、けがをされた方含めて心からのお見舞いを申し上げたいと思います。
 それでは、昨日の続きをまず豊田政務官からお聞きしていきたいと思います。
 この民泊新法において、仮に外国法人に対して事務所の国内設置を要求した場合、TPPの協定違反になるのではないか。現地拠点設置要求の禁止に抵触するから、中間整理では要求をしていたものが、これが第二期の中間整理では取り除かれたのではないか。このことについてお答えいただきたい。
#5
○大臣政務官(豊田俊郎君) お答えを申し上げます。
 仮に、IT室において、第一期中間整理にあるように、民泊を仲介する海外事業者に対して事業所の国内設置を求める措置について法案を作成し、当該措置が法制化された場合には、当該措置はTPPに抵触する可能性もあるものと考えております。
#6
○辰巳孝太郎君 これをはっきり認めていただいたわけですね。つまり、国民の安全や衛生を守るために必要だと言われているこの規制がTPPではできないということをお認めになったわけであります。
 では続けて、外務大臣にお聞きしたいと思います。
 外務省はIT戦略室に対して、この第一期の中間整理の事務所要求、これはTPPに抵触するので第一期中間整理から事務所の設置の削除を求めたということだったと私は政府から聞いておりますけれども、これでよろしいでしょうか。
#7
○国務大臣(岸田文雄君) 確認しましたところ、本年二月、外務省と内閣官房IT総合戦略室の担当者の間で打合せを行い、当省からは、民泊仲介事業者は旅行業サービスを行っているとの認識の下、同事業者に対して現地拠点の設置を要求することはGATSその他締結済みのEPAに違反する可能性が高い旨指摘をし、またTPP協定違反ともなる可能性が高い旨付言したということであります。
 外務省としましては、この民泊仲介事業者に対する現地拠点の設置要求の禁止は、TPP協定固有の問題ではなく、GATSや我が国がこれまで締結してきたEPA等とも関連する問題であると認識をしております。
#8
○辰巳孝太郎君 今GATS、EPAという話がありましたけれども、当初それらが結ばれたときというのは、こういう新しい仲介業者というのが旅行業者なのか何なのか、これは分からなかったわけですね。この業者そのものがなかったわけであります。旅行業であるという認識の下、抵触する可能性があるということをおっしゃいましたけれども、今でも政府は、このエアビーアンドビーなどの業種が旅行業なのかどうか、これはっきりさせていないわけなんですね。いないんですよ。
 ですから、これ、TPPというのはポジティブリストではなくてネガティブリストですから、旅行業かどうか分からない、そういう業種に関しては、仮に、事務所の設置を要求したいのでこれは留保しますとやろうとしても、これ、どの業種か分からないからできないということになるんですよ。国際的な一致をまだ見ていないし、日本政府もこれは旅行業かどうかというのは分からないということなんですね。
 ですから、安全規制を実効性のあるものにするためにも、政府として、TPPの協議の過程においてこの仲介業者をどう位置付けるのか、このような業界、業種に対して拠点設置要求を禁止してしまうのはまずいのではないか、TPPに署名する前にそういう議論をしなきゃならないんですよ。それをしていないからおかしいと言っているんですよ。
 石原大臣、最後に聞きますけれども、罰則に外国法人と日本国内の法人に違いがある。これはイコールフッティングではないということだと思いますが、これはどうですか。
#9
○国務大臣(石原伸晃君) 辰巳委員が御指摘されましたとおり、現在、昨日も御答弁をさせていただきましたが、観光庁並びに厚労省において、立入検査や今委員の御指摘の罰則を科すか科さないかを含めて、具体的な制度設計の最中であると認識をしているところでございます。
 これももう既に昨日の答弁で明らかになったとおり、我が国に拠点を持たない事業者に立入検査や罰則を科すことは、やはり通常極めて困難であると私も考えております。制度設計を行う場合には、そのことも踏まえた、委員御指摘の内外事業者のバランスを含めた総合的な検討がなされるものだと承知をしております。
 具体的な制度設計については、現時点ではまだお答えするほどの情報を持ち得ておりません。
#10
○辰巳孝太郎君 ですから、イコールフッティングではないということですね。
 今後も、民泊以外でも同様の問題は起こり得ると思います。安全や衛生、消費者保護のために新たな事業者規制が必要となっても、TPP協定において留保していなければ十分な規制はできません。
 多国籍企業利益優先と言わなければならないTPPは絶対に批准すべきではない、このことを申し上げて、私の質問を終わります。
#11
○渡邉美樹君 自由民主党の渡邉美樹でございます。質問の機会をいただきましたこと、心から感謝申し上げます。
 私は、マーケットが広がるという視点で、このTPPは賛成でございます。この特別委員会では、マーケットが広がるということで、日本をどう守るかということが中心で話し合われているように感じます。私は、今日は、どう攻めるかという視点で御質問をさせていただきたいと、そのように思います。
 水戸の地方公聴会のお二人の公述人の意見から質問をさせていただきたいと思います。
 お一人の公述人でございました、米の生産農家でございました。百三十二ヘクタールの水田を持ち、毎年、十から十五ヘクタールずつ拡大をされておりました。二・五キロメートル四方内に水田を集中させて、農機等の移動効率を高めておりました。七品種を組み合わせることで育成期を分散させて、結果として繁忙期も分散させておりました。また、田植機やコンバインなどの大型農機も一台でこなしておりました。つまり、資本効率を上げておりました。人員効率を高め、生産性向上に高め、研究開発も行っておりました。また、スーパーやインターネットなどによって直販を行って、少しでも高く売る努力をしておりました。そして六次産業化も進められておりました。
 この公述人、経営者の方は、小さいコストで、小さい資本で品質を上げて、単収を上げて、売上げを上げるというすばらしい経営をされておりました。特に米の輸出にも意欲的でございました。しかし一方、見方を変えれば、この手法は企業にとっては非常に常識的なことであります。企業であれば当たり前のことを当たり前にやられているというふうに感じました。私は、これらのことがまともになされていれば、日本の農業はしっかり守られるというふうに実は感じております。
 ある試算によりますと、この二十年間で農政について七十兆円の予算が使われ、二十年間で農業の総産出額は十一兆から八兆円に減り、そして農業の所得も五兆円から三兆円に減り、耕地面積は五十万ヘクタール減り、農業従事者は百万人減り、そして従事者の六十五歳以上は三四%から六三%になったと。つまり、TPPに関係なく、日本の農業は衰退の一途をたどっているわけであります。ですから、私は、企業の力を、企業の存在を利用するべきだと考えております。
 資料一をどうぞ御覧ください。企業が農業に進出する七つのメリットとして挙げさせていただきました。
 規模拡大をいたします。米農家において言うならば、一ヘクタール、二ヘクタールの農家と十ヘクタールの農家、コストは半分でございます。そして、企業がやることによって経営原則を実行いたします。企業家は当然資本に対するリターン、そして自己資本に対するリターンを意識します。ですから、無駄なトラクターを買うわけがありません。高い肥料も買いません。そして、マーケティング、ブランディングをすることによって高く売る努力をいたします。六次産業化も進めて、輸出をする力もございます。また、技術開発、研究開発をすることによって品質向上、単収向上もさせます。また、地方創生への貢献もいたします。企業の地方進出もそれによってなされます。また、人材育成も非常に重要でございます。農家の育成、これに予算も取っておられますが、多くの、特に私が雇用してまいりました数百人の方々は、農業をやりたいけれども心配だと、心配だから大企業ならば安心して農業ができるということで、企業の農業をやりたがっている方が大変多くいらっしゃいました。
 このような面から考えておりますと、企業が農業に参入するメリットというものは御理解いただけると思います。しかし、現状の農政は、企業の農業参入を積極的に促すようにはなっておりません。株式を公開している法人は農地を所有できません。企業が五〇%以上の株式を保有している法人は農地を所有できないわけであります。
 私事で恐縮ではございますが、経営者として二十年間、北海道から九州まで七百ヘクタールの有機農業をやってきた経験からしまして、農業というのは土作りであります。何年も何年も堆肥を入れて良い土にしていく、これが農業の基本であります。つまり、借りればいいじゃないかという声がありますが、車と違いまして、車ならば借りたら返せばいいわけです、しかし農地の場合には、借りて、それに投資して投資して投資してお返ししなきゃいけないわけです。やはりそのような状況においてはなかなか投資することは難しいわけであります。もちろん、企業は経営でありますので、全ての農地を買うわけではありません。必要な農地だけを恐らく効率的に購入していくというふうに思います。
 そこで質問です。TPPを機に、日本の農業を強くするために、企業の農地取得の更なる規制緩和も含めて、企業の農業参入を促す政策が私は必要だと考えておりますが、どのように考えていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。
#12
○副大臣(齋藤健君) 渡邉委員の今の御主張はこれまでも拝聴させていただいております。
 農業がほかの産業と違いますところは、単なる産業として農業を見たときには、渡邉委員おっしゃるように、企業の経営ノウハウというものが全面に展開されればそれはふさわしいんでしょうけれども、一方で、日本の農業というのは、地域を守っている、地域政策の側面も非常に強く持っているということでありまして、例えば今の農家の皆さんは無報酬でその地域を守るためのことをやったりしているわけですね。そういう活動とのバランスというものをどういうふうに考えていくかというのが、農政の場合、産業政策と異なるところではないかというふうに思っております。
 ただ、一方で、やっぱりこれから生産にとらわれているだけでは日本の農業の将来が見通せないということでありますので、農業も、輸出ですとかそれから流通、加工に生産分野から出ていかないとじり貧になっていくという厳しい現状があるのも事実でありますので、企業の持っているノウハウですとか、そういうものを最大限活用していくということは今後必要になっていくと思っております。
 長々と説明するつもりはありませんが、そういう観点から、リース方式での土地の利用というものを全面解禁をさせていただいたり、それから様々な、例えば農地を利用しやすいような全国農地ナビを整備させていただいたり、それから企業の農地取得についても、参議院でも随分議論をされてきておりますが、農地を所有できる法人の要件について、本年四月に施行された改正農地法によりまして農業者以外の議決権比率を四分の一以下から二分の一未満にまで拡大されるとか、それから本年九月に施行された改正国家戦略特別区域法によって養父市において試験的に企業の農地取得が認められるようになったとか、悩みながら前進をさせてきているところでございます。
 ただ、現場では、法人が農地を取得した後で農業から撤退してしまった後、産廃置場になるのではないかとか、そういう地域としての不安というものが多々あるわけでありますので、これらの見直しの現場の実施状況をよく見ていきながら、その産業政策と地域政策のバランスを図っていきたいと思っております。
#13
○渡邉美樹君 ありがとうございます。
 地域を守るという視点においては全く同感でございます。私の、もう元経営した形ですが、社員がその地域に行って、最初の一年、二年では仲間として認めてもらえません。それが三年、四年、五年その地域で活動をし、そしてその地域の一員になったときに、おお、いいじゃないかと、会社でも同じなんだなと、ついてはこの土地貸してあげるよということで、現在は土地がどんどんどんどん集まっている状況でございます。ですから、企業に対して、全部それを企業と一くくりにせずに、こういう案件を、例えば三年間こうしたらいいんではないかとかということで是非前に進めていただきたいなというふうに思います。
 そして、もう一つでありますが、私は農家に対する経営指導、これはもう企業を別にしましても、農家に対する経営指導こそが一番大事だと思っております。この農業の衰退というのは、農家の方々がおいしいものを作ればそれでいいんだと思ってきたがゆえに今このような問題が起きていて、実は農業というのは、しっかりとそれを高く売る努力もしなきゃいけないし、そしてそれを安く作る努力もしなきゃいけないんだ、つまり経営の基本に戻らなきゃいけないということを農家の方々に伝えることで農家の方々はこれからも生き延びていくと思うんですが、農家の方々に対する経営指導について今どうなっているか、お話を聞かせていただきたいと思います。
#14
○副大臣(齋藤健君) 今、渡邉委員御指摘の点は、私どもも大変重要だと思っております。
 人口がどんどん減少をしていく中で国内マーケットは縮小をしていくわけでありますので、今までと同じような生産にずっと継続をしていくだけではじり貧になっていってしまうというのは目に見えた現実でありますので、できるだけ流通、加工に出てそこの付加価値を取っていくとかあるいは直接マーケットに訴えかけてより高い付加価値を生み出すとか、今までと違った努力が必要になってきて、そのときには、御指摘のように、経営という感覚で農家が農業をやっていくことがこれからはもう必須なのではないかというふうに思っております。
 このため、これまでも都道府県の普及指導員や農協の営農指導員が直接農家に接して、できるだけ収益性の高い作物の導入を支援したり、それから簿記等の指導等も行っているところでありまして、今、都道府県の普及指導員は約六千三百人おります。農協も営農指導員を抱えておりまして、約一万四千人が活動をしておりまして、法人化等のより高度な経営指導が必要な場合には税理士さんですとか中小企業診断士さん等の経営の専門家も一緒に農家に出向いていって直接指導を行うという体制を整えてきているところでありますし、それから、このような取組に加えまして、農家自身が経営を学ぶ場、これをつくっていかなくちゃいけないということで、オンラインアグリビジネススクールを開講いたしまして、現在三千人を超える農業者等が受講しておりますし、新たに地域の農業者が営農しながら体系的に経営を学ぶ、営農しながら経営を学ぶという場として農業経営塾、これを各地へ展開させたいということを今進めておりまして、平成二十八年度補正予算によりましてその開講準備を支援しているところでございます。
 こういった取組を通じて農家の経営力の向上を図ってまいりたいと思いますが、企業の経験のあります渡邉委員の御指導をまたいただきながら前進をさせていきたいと思っております。
#15
○渡邉美樹君 農家に対する経営指導、更なる充実をお願いしたいと思います。
 さて、ここで、実は私は百軒以上の農家とずっと情報交流を続けているわけでありますが、その担い手農家の方の意見を少し皆様にお話を、また質問をさせていただきたいというふうに思います。
 先日の担い手農家の方々の集まりで、ある方が言われました。一体幾らお米関係で使っているんだ、国はという質問が出ました。調べさせていただきました。二十八年度の所得安定対策等におきまして、水田活用等の直接支払交付金三千七十八億、ゲタ対策そしてナラシ対策、それから米直接支払交付金等々、合計で六千五百八十四億円使っているわけであります。
 担い手いわく、休んだら金あげるよとか、人間じゃなくて牛が食べるものを作ったらお金あげるよとかいうのは根本的に間違っているのではないかと、俺たちはおいしい米を作りたいんだと、そして何を作るかは俺たちが考えたいということを言っておりました。これは彼らの意見でございます。そこで、彼らと話し合って、非常に乱暴な試算ではございますが、商売の基本はいいものを安く作って高く売るでございますから、そのインセンティブになるような使い方をこの六千五百八十四億円で使ったらどうなるだろうかという話合いをしました。
 日本全国でお米が作れる畑の面積は二百十一万七千ヘクタールでございます。その全てでお米を作ることはないわけでありますが、仮にそこの全てでお米を作るとなりますと、一年間に千百二十四万トン、日本ではお米ができるわけであります。六千五百八十四億円をこの一千百二十四万トンで割りますと、一キロ当たり六十円の交付金ができると、つまり補助金ができるということであります。
 これで非常に盛り上がったわけでございますが、どういうことかと申しますと、先日の公述人も一キロ百五十円で達成できるというように言っておりました。一キロ百六十円で今作っている、現在作っているとも言っておりました。もし百五十円で作れたならば、六十円の補助金が付けば九十円でございます。九十円ということは、アメリカに持っていって、アメリカは一・五四倍輸送費や保険費で掛かりますが、それでもアメリカで百三十九円で売れるわけであります。そしてまた、台湾であるならば、台湾は関税ゼロでありますから、一・五倍の卸値、その輸送費や保険費で一・五倍掛かりますので百三十五円でございます。つまり、日本のお米が、六十円のこの今のお金を分けることによってアメリカでは百三十九円、台湾では百三十五円で売れるわけであります。
 ちなみに、すぐ台湾の日本食レストランに電話をしました、一体幾らで仕入れているんだと。そうしましたら、答えが百六十三円でございました。つまり、台湾で百六十三円で台湾のお米を買っていて、日本のお米が百三十五円で入るならば、台湾の日本食レストランを含めてどうしますかというアンケートを取りましたら、全部が日本のお米を買うというように答えてくれました。
 米農家の大規模化を推進し、経営指導を行うことで生産コストを引き下げ、さらに一キロ当たり六十円の助成金が付けば、TPPを契機に安全、安心、品質に優れた日本の米は世界中に輸出できるようになると、私はそう考えます。ほかの担い手農家にもそのことについて相談をしました。全員大賛成だという意見でございました。このことは、日本の消費者や食品加工業者、外食産業にとっても安いお米が食べられるということで大変なメリットでございます。
 そして、もう一言申し添えるならば、日銀の異次元金融緩和によってこれから私は円安になると、そう考えているわけでありますが、円が安くなればますます輸出にチャンスは広がると。つまり、日本の農業の未来は非常にバラ色ではないかと、そのように考えるわけであります。
 現行の経営所得安定対策の予算を抜本的に見直し、一円でも安く作り、一円でも高く売るために、日夜大規模化や生産性向上に励んでいる農家にインセンティブが働くように、米について一キロ六十円を助成するという政策案について御意見をお伺いしたいというふうに思います。
#16
○政府参考人(柄澤彰君) 今の委員の御指摘は、理解いたしますと、米の生産自体に着目して、その収穫量に応じて直接補助金を支払うという政策はどうかという御指摘だというふうに理解しております。
 そういった政策方向につきましては、現在の私どもの政府の考え方としましては、大変恐縮ではございますけれども、そういった考え方を取りますと、全ての販売農家を対象として補助金を直接お支払するということになりますと、どうしても農地の流動化を通じた大規模化のペースを遅らせる。あるいは、米という商品を考えてみますと、麦、大豆などと違いまして十分な国境措置がございます。そういった中で、諸外国との生産条件の格差から生ずる不利はない。あるいは、そもそも国内におきましては、現在、米につきましては潜在的生産力が需要を上回っているという、余っている潜在的に状況にあるというようなことから、直接、米自体の生産に着目して直接補助金を支払うという政策はなかなか難しい面があるというふうに整理しているところでございます。
 加えまして、輸出の面で考えますと、輸出に仕向けられることを目的として米の生産に対して補助金を交付するというようなことになりますと、WTOにおきまして我が国が交付しないことを約束しております輸出補助金に関するルールなどに抵触する可能性もございますので、そういった面からも慎重に検討するということでございますが。
 ただ、私どもとしましても、もちろん米農家の大規模化あるいは生産性向上を図るためのインセンティブという考えについては共通の認識を持っております。そういったためには、むしろ担い手への農地集積、あるいは担い手の生産コスト削減の取組自体に着目した支援を行うことが有効ではないかという観点から、現在、政府としまして、例えば農地中間管理機構の活用による担い手への農地集積に対する支援、産地パワーアップ事業による担い手の生産性向上に向けた機械、施設等の導入支援あるいは生産資材費の低減等の取組を進めているところでございます。
#17
○渡邉美樹君 お米が余るといいますが、私はお米は加工して世界にどんどん輸出すればいいと思いますし、それは先ほどの意見全てと考え方が違うものですから、済みません、それについてはお話しするのはやめておきます。
 済みません、もう一つのお話させていただきます。
 実は、公述人もう一人いらっしゃいまして、この方はメーカーの社長でございました。中小企業のメーカーの社長でございます。工場を日本に二つ、ベトナムに一つ持っております。車のブレーキのゴムの製品のメーカーで社長さんでございます。この方は、ベトナムに知人がいたというきっかけでベトナムに工場を造りました。今や、現在ベトナムで作っている製品を全て日本に輸入しているという状況でございました。その方の御意見としましては、TPPは自社にとってチャンスにしたいけれども、メキシコなどの業者との競争が非常に不安であるというようなことを言われていました。
 実は私、そのお話を聞いていて、その後、ちょっと二人でも話をさせてもらったんですが、メキシコなどの競合先と比べて自社の優位性がどこにあるのかとか、例えば日本の逆輸入以外の海外の取引先の開拓はしているのかとか、例えば為替が円安になれば、この海外で作っていることは全く無意味になりますから、要するにそんなことを考えていらっしゃるのかというところで質問しましたら、非常に不安だというふうにおっしゃっていました。
 しかし、今日私が何を質問したいのかというと、そういうことを指導されていたのが実はジェトロとかコンソーシアムなんです。つまり、今回、コンソーシアムがいい、いいという話を一生懸命されていますが、コンソーシアムは確かに、コンシェルジュがいて、あるビジネスモデルがあるものに対しては、このパートナーがいいですよとか、ここと組んだらいいですよということできるんですが、そのビジネスモデル自体の指導というのが全くされていないんではないかということを私は思っていたんですが、事実、この方とお話をしてそのことを感じました。
 実際、私も十を超える海外で日本のレストラン百以上やってきたものですから、ジェトロについてはよく知っております。ただ、ジェトロさんにおいて、大体、大方行きますと、カタログを渡されて、これでどうぞ、後は考えてくださいということなんですが、今回、コンシェルジュによってもう一歩進んで、その担当としてしっかりとサポートするということができたことは大変いいことだというふうに思っております。
 しかし、こちらの別紙をどうぞ御覧ください。これ見ていただくと分かるんですが、左側が進出をしようとしている企業でございます。そして、通常ですとコンソーシアムに相談がある。Aでございます、相談があるわけでございます。
 しかし、一つ大事なことは、今回欠けているなと思ったのは、掘り起こすということ、つまり、八割以上の企業が進出する力があってもしたくないと言っている。この現状の中で掘り起こしていくという仕事をコンソーシアムはしっかりやるべきではないか。そして、それがコンソーシアムに来たならば、これ、今まともにすぐコンシェルジュの方に運んじゃっているわけです、このバツ印を付けさせていただいていますが。それではビジネスモデルが、まだそれが勝てるか負けるか、それからそれが有効かどうかというのを確認もせずにコンシェルジュは案内役になるわけです。これでは私は危険過ぎると思います。
 ですから、そこに取次ぎ、三番でございますが、経営の高度専門家チーム、それは、本当にビジネスモデルをつくり上げられるチームをつくって、そしてそこが仲介役となって、この事業にはこういうパートナーが必要ですよ、こういうエキスパートが必要ですよ、コンシェルジュさん、あなた探してくださいねなら、これは非常に有効だというふうに思うんです。
 と同時に、お金におきましても、クールジャパン機構、先日、中枢の方とお話しさせていただいたんですが、案件がない、結局それでお金が余ってしまっていると、箱物にたくさん投入することによって何とかかさは稼いでいるけれどもというお話でした。
 私はもったいないと思います。このクールジャパン機構もコンソーシアムも非常に有効な機能なのに、そこに、真ん中にビジネスモデルをつくり上げるという機能がないがゆえに、せっかくの機能が有効ではなくなってしまっている。これを強く現場の彼らと話をしていて感じるわけであります。
 ですから、是非この専門家チームをその輸出コンソーシアムの視点から、またクールジャパンの視点から見直していただきたいというふうに思うわけでありますが、是非御意見を聞かせていただきたいというふうに思います。
#18
○政府参考人(宮本聡君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、この新輸出大国コンソーシアムなどによる支援を通じまして、中小企業・小規模事業者の海外展開を成功に導くためには、やはり専門家による事業計画について経営上の的確な助言、これが大変重要かと考えております。こうした観点から、ジェトロの専門家を通じた支援に加えまして、このコンソーシアムに参加している中小企業支援機関が海外展開を考えている中小企業・小規模事業者に対しまして、その経営上の課題を含めまして、海外展開の可否あるいは事業計画などに係る相談に応じているところでございます。
 例えばでございますけど、各都道府県に設置されておりますいわゆるよろず支援拠点においては、海外での事業展開を手掛けてきた企業OBなどを相談員に採用いたしまして、海外展開を考えている中小企業に対して、経営上の課題、それから販路拡大の方針、こうしたものについて助言を行うなど、その貿易実務の前の段階から相談に応じているところでございます。
 また、本年度はこの相談員を一・五倍に増員するとともに、御指摘のありましたマーケティング、こうした能力の高い専門員も配置しているところでございます。その他、商工会、商工会議所におきましても、一昨年に改正されました小規模事業者支援法により、国が一歩踏み込んだ支援を計画として認定する、こうしたことでその支援能力を高める努力をしているところでございます。
 今後も、委員の御指摘の、御提案の趣旨を踏まえまして、こうした各支援機関に蓄積されました経験あるいは専門性を生かしつつ、相互の連携を深めることで支援機関全体といたしまして機能を高めるとともに、中小企業・小規模事業者の目線に立った支援の一層の充実を図るために、支援体制の不断の見直し、これを行っていきたいと思います。
#19
○渡邉美樹君 ありがとうございます。
 このTPPが、攻める農業、攻める中小企業のきっかけとなり、実体経済の成長につながることを祈念しまして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございます。
#20
○古賀之士君 民進党・新緑風会の古賀之士でございます。
 質問に当たる前に、本日、午前六時前、福島県沖で大地震が発生しました。最大震度五弱を観測、また津波警報も出されるなど、この時間も不安なお気持ちで過ごされている方々も大勢いらっしゃると思います。謹んでお見舞いを申し上げますとともに、また与野党関係なく情報収集に努め、かつ適切な対応に努めてまいりたい、そう思う一人でもございます。
 さて、質問に入らせていただきます。
 今日は数多くの重大なニュースが飛び込んできております。大変恐縮ではございますけれども、通告なしにまず一つ、今日の、飛び込んできた今朝方のニュースの中で、岸田外務大臣に御質問させていただくことをどうぞお許しください。
 といいますのも、トランプ次期アメリカ大統領が就任初日にTPP離脱指示へというニュースが飛び込んでまいりました。総理は、それこそAPECに向かわれる途中にわざわざニューヨークに立ち寄られて、予定を大幅に超える九十分間、トランプ次期大統領と会談をされました。その一体中身や意味は何だったんだろうかということを、改めてどうしているんだろうかという声も上がっているところでございます。
 そういう声を踏まえまして、現状で結構でございますので、岸田外務大臣のお立場で、現在のこのトランプ次期アメリカ大統領が就任初日にTPP離脱指示へという、このニュースに対しましての見解をお伺いします。
#21
○国務大臣(岸田文雄君) まず、委員御指摘の発言を含めて、トランプ次期大統領、選挙戦中も様々な発言をされてこられました。そして、この後新政権がスタートするわけですが、新政権がスタートし、具体的にどういった政策を行うのか、これについては今の段階で予断を持って申し上げるのは控えるというのが政府の立場であります。
 TPPにつきましては、米国の現政権の下、十九日にTPPの首脳会談も開催されました。米国も含めて、国内の手続を進めていくことの重要性を確認いたしましたし、経済的、戦略的な重要性も確認をしたところであります。今はまずもって我が国も各国と連携しながら国内手続を進め、機運を盛り上げるべきだというふうに思います。
 そして、先日のトランプ次期大統領と安倍総理の会談が何だったのかという御指摘がありましたが、この会談はトランプ次期大統領と安倍総理の信頼関係を構築する上でこれは大変重要な機会であったと思います。外交においては人と人との関係が基本であります。どんな政策を進めるに当たっても信頼関係が基本であるということを考えますときに、世界の首脳に先駆けて次期米国大統領とこうした会談を持ったこと、これは大変重要なことであったと思いますし、信頼関係構築の上において貴重な第一歩であったと認識をいたします。
#22
○古賀之士君 突然の質問に対しまして御返答いただきまして、本当にありがとうございました。
 その一方で、トランプ次期大統領は、このTPPの離脱の通告の代わりに、雇用と産業をアメリカに取り戻す公平な二国間貿易協定の交渉を進めていくと言明もしております。この辺につきましては、また後半、質問をさせていただこうと思っております。
 では、本来通告をさせていただきました質問に戻らせていただきます。
 まず、税関職員の現状と今後についてお伺いをいたします。まず現状からでございます。
 我が国の税関職員数は人口千人当たりどれくらいなんでしょうか。アメリカ、カナダ、オーストラリアはどれくらいで、TPPの協定国のうち日本は何位ぐらいなんでしょうか。
#23
○政府参考人(藤城眞君) お答え申し上げます。
 税関の機能は国によりまして異なるところがございますが、WCO、世界税関機構のデータによりますと、人口千人当たりの税関職員数は平成二十七年時点で、アメリカにつきましては約〇・一九人、これはTPP締結国十二か国中上から六番目でございます。カナダにつきましては約〇・三八人で同三番目。豪州につきましては約〇・二二人で同五番目となっております。
 他方で、日本につきましては、本年十一月時点で約〇・〇七人でございまして、これはTPP締約国十二か国中十一番目となっております。
#24
○古賀之士君 それぐらい非常に人の少ない中で税関職員の皆さんたちは仕事に励んでいらっしゃるということが浮き彫りになったかと思います。
 財務省といたしまして、税関職員の現状と中長期的なプランをどうお考えなのか。その際、国税職員や財務局職員との調整、いわゆる数合わせをしないようにお願いしたいところでございますが、その辺についてどうお考えでしょうか。
#25
○国務大臣(麻生太郎君) 今、政府全体では総人件費の抑制というのを基にして、税関も例外ではありませんで、始めとして、皆、各組織は限られた人員で効率的な推進を進めているところですが、一方、増大いたしております行政需要、例えば観光客が急激に増えているとか、いわゆるBEPSの話とかいろいろありますので、こちらの方にとりましては、これは極めて人員確保というものは重要な問題でありまして、御指摘のありました税関でも、二〇二〇年の外国人旅行者が約四千万人というのを目標にいたしておりますので、入国管理に限らず、これ検疫の問題もありますし、そういったものと連携しながら中長期的な人員確保というのはこれはやらねばならぬところだと思っております。
 このほか、国税庁におきましても、これは国際的な租税回避対策の強化という、いわゆるBEPSの話ですけれども、これも喫緊の課題となっておりますので、国際戦略のトータルプランに基づく体制整備をやらねばならぬと思っております。
 加えて、財務局におきましても、そのほかにも国有地を今活用した介護サービス基盤の確保といった一億総活躍や地方創生などの政府の重要課題に向けた体制整備もやらないかぬということで、中長期的に立った人員確保というのに取り組む必要があると考えておりますので。
 いずれにいたしましても、こういった国税局内の各般にわたる行政需要の増大に対するため、これは業務の効率化というものを続けるのは当然なんですが、内閣人事局とも調整をして現場職員というものの充実をやらぬと物理的に無理で、これ、機械化で全部対応できるような話ではないと思っておりますので、そこのところは人事局ともよくよく調整をさせていただきたいと思っております。
#26
○古賀之士君 それを受けまして、ちなみに来年度の要求、人員ですとか予算ですとか、分かる範囲で結構ですのでお答えいただけないでしょうか。
#27
○大臣政務官(三木亨君) お答えいたします。
 本年八月に行いました平成二十九年度の財務省の定員要求においては、税関においては観光立国の実現やテロ対策を含む水際取締りのための体制整備等のため三百七人、国税庁においては税制改正や国際的な租税回避等への対応のための体制整備等のため千百七人、財務局においては金融監督等のための体制整備や国有財産の有効活用のための体制整備等のために百十六人等の増員要求を行っておりまして、財務省全体では千五百四十五人の増員要求を行っているところでございます。また、これに併せまして既存業務の見直し等により千三百十三人の減員を行うこととしておりまして、差引きでは二百三十二人の増員要求となっております。
 いずれにいたしましても、厳しい財政事情の下ではございますけれども、引き続き業務の効率化を図りつつ、体制整備を適切に進めてまいりたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
#28
○古賀之士君 ありがとうございました。
 なお、麻生財務大臣からお話が出ました内閣人事局、内閣人事局としましては、TPPなど自由貿易協定を始めとする政策分野及びこれまでの参議院の、お手元の資料ございますが、参議院財政金融委員会での附帯決議を踏まえまして、税関職員の数、これをどうお考えなのか、お答え願えますでしょうか。
#29
○政府参考人(若生俊彦君) お答えいたします。
 税関につきましては、安全、安心な社会の実現、あるいは適正かつ公正な関税等の確保、貿易の円滑化という使命の下に、観光立国の実現やテロ対策を始めとする重要な業務を担っているというふうに認識しております。
 こうした税関業務の重要性に鑑みまして、これまで毎年度の定員増に加えまして累次の緊急増員を行うなど、最大限の措置を行ってきているところでございますが、平成二十九年度の要求におきましても、先ほど委員御指摘の附帯決議の趣旨も踏まえつつ、要求内容をよく精査をさせていただきまして、現場体制の整備等に意を配してまいりたいというふうに考えてございます。
#30
○古賀之士君 では、今度はTPPを取り巻く国際環境についてお話を伺います。
 まず、我が国において締結済み、合意済みである条約、特に自由貿易協定の再交渉、中止、破棄を行った事例というのはこれまで存在するんでしょうか、お答え願えますか。
#31
○政府参考人(山野内勘二君) 発効済みの自由貿易協定あるいは経済連携協定について、再交渉、中止、破棄を行った例があるかという御質問でございました。
 我が国はこれまで十六の経済連携協定を発効させておりますが、署名発効までに再交渉を行った、あるいは発効後に破棄、脱退を行った事例、これは存在しておりません。
#32
○古賀之士君 では、逆に、我が国以外のTPP協定国のうち、締結済み、合意済みであるこの自由貿易協定、特にですね、これについて、これまで再交渉、中止、破棄を公約に掲げた候補者や党が政権を担った国はあるんでしょうか。また、ある場合は、実際に再交渉、中止、破棄を行った事例というものを御紹介いただけたら有り難いです。
#33
○政府参考人(山野内勘二君) 第三国の事例ということでございますので、網羅的に把握することはなかなか容易ではございませんけれども、その点をまず御理解いただいた上で、二つの例を申し上げます。
 まず、米国におきまして二〇〇八年に選出されましたオバマ大統領でございますけれども、オバマ大統領はその選挙期間中に、実は二〇〇七年四月に交渉が妥結していた米韓FTAというものがございますが、これに反対しておりました。その後、大統領に就任されて、その後の二〇一〇年の六月、米韓首脳会談において、米韓FTAについて改めて協議するということを米韓の首脳で合意して、その後、補足文書の署名を得て二〇一二年三月に発効したという事例がございます。
 もう一つ、同じオバマ大統領でございますけれども、オバマ候補のときに、大統領選挙期間中にNAFTAの再交渉を主張しておられましたが、大統領就任後に再交渉を要求したといった事例はないというふうに承知しております。
#34
○古賀之士君 それぞれの国で逆もまた真なりというところが事例としては挙げられると思いますが、それでは、アメリカ以外のTPP協定国で、批准が現時点で難しい、あるいは大幅に遅れると思われる国はあるんでしょうか。
#35
○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。
 TPPは、十二か国で交渉し、十二か国で署名をして、各国で今国内手続を進めているところでございます。我々が把握しているところによりますと、まずニュージーランドでございますけれども、十一月十五日にその法案の議会承認を終えたというふうに承知しております。さらに、オーストラリア、マレーシア、メキシコ、ペルーでは、協定あるいはその国内担保法について議会の審議が行われているというふうに承知しております。
#36
○古賀之士君 まだ審議が行われているところも随分ありますし、それからあと、ベトナムの首相も、先日、アメリカがTPPの議会への提出を見送ると発表したため、ベトナムが批准案を提出する条件を満たせなくなったと述べております。これも一つ事例として私から御紹介をさせていただきます。
 それでは次は、我が国がTPPの発効時期、これ、いつを予定をしていらっしゃるんでしょうか。また、それが遅れた場合、およそ十四兆円とされる経済的な影響というのは、これは単にスライドするというだけでよろしいんでしょうか、考え方としては。
#37
○政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。
 まず、協定の発効の時期でございますけれども、先ほど外務大臣がお話しされたとおり、先日リマで開催されたTPP首脳会合におきまして、会合を通じてTPP協定の経済的、戦略的重要性、各国がそれぞれの国内手続を進めていくことが確認、共有されたところでございます。我が国としては、TPP、できるだけ早期の発効を目指しているところでございます。
 お尋ねの経済効果でございますが、御指摘のとおり、発効が遅れますと、TPPによって我が国が新たな成長経路に移行する時点も遅れると考えられます。これは、経済効果の発現が単に後ろにスライドするというだけではなくて、目には見えないんですけれども、遅れることによる機会費用を伴っていると考えられることから、決して好ましいことではないと考えております。
#38
○古賀之士君 では、二十八年度の第二次補正予算、TPPの関連部分について、これ、発効を前提に恐らく予算を考えてあると思うんですけれども、発効しなかった場合、どのような法的効果が生じるんでしょうか。平たく言うと、その予算はどうなってしまうんでしょうか。
#39
○政府参考人(茶谷栄治君) お答え申し上げます。
 我が国としては引き続きTPP協定の早期発効を目指していく方針でございますが、お尋ねの平成二十八年度第二次補正予算につきましては、未来への投資を実現する経済対策を踏まえ編成したところでございますが、これはTPP協定の発効を見据えたものではございますが、TPP協定の発効を前提とした予算は盛り込まれていないところでございます。
#40
○古賀之士君 では、次の質問に移ります。地方への影響を伺います。
 TPPが地方経済に及ぼす影響について、都道府県別の試算、あるいは農林水産業あるいは自動車産業、こういった産業別試算を行う必要があるんではないかというふうに考えておりますが、政府の見解はいかがでしょうか。
#41
○政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。
 TPPの経済効果分析、私どもの用いましたGTAPというモデルでございますが、国単位の集計データを用いる仕様となっておりますので、都道府県ごとの影響の分析は行っておらないところでございます。
 また、今回行いました経済効果分析は、TPPによる国全体のマクロの経済成長メカニズムを明らかにしつつ、それによって生み出されるマクロ経済的な効果を試算したものでございます。産業別の細かい分析を行うには多くの仮定とシナリオを想定する必要がございますので、今回そのような分析は行っていないところでございます。
 ただし、政府といたしまして、金融、情報通信、医療、環境など具体的な十一の分野につきまして、TPPにおける関連規定やメリット、さらには影響などにつきまして、TPP分野別ファクトシートとして資料を作成、公表しているところでございます。
 今後とも、こうした具体的な分野でのTPPによるメリット、影響などをしっかりと説明してまいりたいと思っております。
#42
○古賀之士君 そういった意味でも是非、地方の皆さんたち、都道府県別あるいは自治体ごと、産業別、それこそきめの細かい大変な作業になるかと思いますが、是非御検討いただければと思います。
 次の質問です。
 先々週、JR博多駅前で大規模な陥没事故が発生しましたが、関係者の努力により短期間で復旧いたしました。念のために伺いますが、TPPの政府調達関連部分は、災害時など緊急対応において適用されるのでしょうか、されないのでしょうか。
#43
○政府参考人(澁谷和久君) TPP協定第十五章が政府調達の規定でございます。その第十条で限定入札という規定がございます。調達機関が予見することができない事態によりもたらされた極めて緊急な理由のため、原則である公開入札ですとか選択入札によっては必要な期間内に物品、サービスを入手することができないという場合におきまして、真に必要な場合は限定入札を用いることができる、これ、すなわち通常のルールを適用しないことを選択できると、こういう規定でございます。
 なお、WTO政府調達協定でも同様の規定がございますので、TPPによって現行の制度の変更が求められるわけではないということを申し添えたいと思います。
#44
○古賀之士君 次は、総合的なTPP関連政策大綱について御質問いたします。
 この中にあります企業の海外進出支援、これとは一体具体的にどのようなものなんでしょうか。また、特に地域の金融機関、例えば海外に支店を持っていないような地域の金融機関、これの海外進出支援もこの大綱の中に含まれているのか、お答え願えますでしょうか。
#45
○政府参考人(白川俊介君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、TPP関連政策大綱には、金融機関等による企業の海外進出支援というものが含まれております。これは、TPPを契機として海外における販路拡大や現地法人の設立などを求める企業に対して、地域金融機関などがジェトロや中小企業基盤整備機構といった公的な支援機関と連携した知見、ノウハウの提供、海外展開に必要な資金の円滑な供給などを通じて企業を支援していくことを指しております。
 金融庁といたしましては、金融機関とこうした支援機関が連携して事業者の海外進出を支援した優良事例を取りまとめたパンフレットを作成し、金融機関に配付するとともに、金融庁ホームページでも公表するといったことによって、金融機関が企業の海外進出支援を行いやすい環境を整備しているところでございます。
 また、御指摘のとおり、地域金融機関を含む本邦金融機関の海外展開の促進についても重要と考えておりまして、これにつきましては、例えば新興国に対しまして、法制度の整備や検査監督のノウハウの提供を通じて現地の基礎的な金融インフラを整備する、若しくは現地金融当局との間の人材交流を通じて新興国における金融人材を育成するといった取組によって現地における本邦金融機関の円滑な事業展開に貢献してきたところであります。
 金融庁といたしましては、今後ともこうした取組を継続することで地域金融機関を含む本邦金融機関の海外展開の促進に資するよう努めてまいりたいと思います。
#46
○古賀之士君 ありがとうございます。
 御存じのように、マイナス金利の中、特に地域の中小の金融機関は大変苦しい状況にございます。今お答えいただいて非常に希望が持てる部分もございます。といいますのも、地域の金融機関というのはメガバンクと違いまして多く支店を持っているわけではございませんし、そういった地域の中小の金融機関が海外への進出のチャンスがあるということを踏まえれば、それぞれの地方の地元の中小企業とうまく連携やタッグを組んで海外進出の足掛かりをつくったり、あるいはまた新しい金融商品をつくって、地域に限らず多くの顧客に対して売り込みを図ることができるからでございます。是非、積極的な取組をお願いいたしたいと思っております。
 さて、続きましては、多くの方々が加入をし、そして保険料を納めていらっしゃいます共済について、その影響について御質問をさせていただきます。
 自主共済、職場などを中心とした自主共済や、それからJA、コープ、それから全労済に代表される制度共済、こういった共済がTPPの影響が及ぶかどうか、お答え願えないでしょうか。
#47
○政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。
 共済についての御心配の声、この委員会でも何回か御議論いただいたところでございます。既に御説明申し上げたところでございますが、共済が関係するのは金融サービス、第十一章でございます。そもそも、TPP協定の第十一章で我が国の金融関係の制度変更を求めるような規定はございません。それに加えまして、この金融サービスの章には共済特有の規定も存在いたしません。
 我が国の共済制度は元々WTOのサービス貿易に関する一般協定あるいは締結済みのEPAに何ら反することなく整合的に運用されているところでございますので、既に締結済みの協定と同様、我が国の共済制度の見直しがTPP協定によって求められることはないというふうに考えているところでございます。
#48
○古賀之士君 ありがとうございます。
 では、冒頭の質問に若干関連してまたお伺いをいたします。
 トランプ次期大統領、トランプ新政権がTPPを批准しないという場合、実際に初日に、そういう意向を表明しているわけですけれども、アメリカが日本に対して二国間協定を結ぶことを求める可能性はあるとこれはお考えでしょうか。
#49
○政府参考人(山野内勘二君) 先ほどから委員の冒頭の質問に対して岸田外務大臣よりお答え差し上げたとおり、トランプ次期政権の方針については、現段階で予断をもってコメントすることは差し控えたいというのが政府の立場でございます。
 また、その関連で、TPP協定でございますけれども、これは二十一世紀型の新たな共通ルールをアジア太平洋地域に作り上げ、自由、公正で巨大な一つの経済圏を構築するものというものでございます。さらに、基本的価値を共有する国・地域が経済のきずなを深め、その輪を広げていくことで更なる地域の安定を図るという戦略的意義もあるところでございます。
 我が国としては、こうした意義も踏まえて、米国を含む十二か国によるTPP協定の早期発効に向け、各国の国内手続の早期完了を引き続き粘り強く働きかけていくという考えでございます。
#50
○古賀之士君 共済の制度から若干ちょっと逸脱した質問になってしまいまして大変恐縮なんですけれども、今朝飛び込んできたニュースで、トランプ次期大統領が、貿易に関しては我が国に災難をもたらすおそれがある環太平洋連携協定からの離脱の通知を出すつもりだ、その代わりに雇用と産業を米国に取り戻す公平な二国間貿易協定の交渉を進めていくと言明されています。したがいまして、これは日本もとても看過できる問題ではないと思っておりますので、総理の帰国を待って、またきちんとした御説明なり御報告を求めていきたいと、そういうものを希望いたしております。
 それでは、もう一問質問をさせていただきます。
 これもまた共済に関連する御質問に戻らせていただきますが、交渉中、進行中のRCEP、また日EU経済連携協定と、それに可能性の指摘されているこれまた日米二国間協定など、これはもう別個の交渉中の二国間協定ですけれども、これ今後、自由貿易協定の交渉臨むに当たって、この共済制度、自主共済やあるいはJAやコープ、全労済、こういった制度共済を守っていく意思がおありか、伺います。よろしくお願いいたします。
#51
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御質問のRCEP及び日EU経済連携協定、これは今交渉中であります。よって、この具体的なやり取りの開示、これは交渉の今後に影響することになりますので、これを明らかにすることは控えなければならないと思います。
 そして、日米二国間の経済連携協定、これにつきましては、もうあくまでも仮定の話になってしまいますので、仮定に基づいてのお答えは控えなければなりません。
 その上で申し上げるならば、我が国の共済、これは一定の地域、職業あるいは職域でつながる者が構成した協同組合等の内部において、組合員自らが出資し、その事業を利用し合うという制度であり、広範な組合員間の相互扶助組織の一環として行われるものであります。
 今後、RCEPあるいは日EU経済連携協定等の交渉において共済について議論が行われる場合には、このような我が国の共済の特性を踏まえて、我が国の国益を害さない形で、すなわち今の制度を守る方向で適切に交渉に臨んでいく所存であります。
#52
○古賀之士君 ありがとうございます。
 やはりこういった共済制度というのは、保険に関してはもちろんなんですけれども、この共済制度を活用されて多くの皆さんたちが加入し、また、保険金を支払って多くの皆さんたちを救っているというかけがえのない制度でございますので、その外務大臣の守っていくという固い決意を是非推し進めていただけるよう、お願いをいたします。
 また、これから更に、総理が帰国をして、いろいろな形での御質問なりをさせていただくことになるかと思いますが、とにかく農林水産業それから自動車産業、こういったものも含めて大変裾野の広い分野が数多くこのTPPに関連して、それぞれの関わっている人たちや環境それから企業、こういった部分が非常に多うございますので、この参議院では三十日ルールがございますので、もう限りある時間しかございません。しかし、会期も迫っております。まず会期ありきということを前提に私たちは進めさせていただきます。そして、その会期の中でできる限り国民の皆様たちに納得いく御説明ができるようにこれからも質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 これで、民進党・新緑風会を代表いたしまして、私、古賀之士の質問を終えます。ありがとうございました。
#53
○宮沢由佳君 民進党・新緑風会の宮沢由佳でございます。
 初めに、今朝の福島県沖の地震によりけがをされた方、避難された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 では、食の安全について質問させていただきます。今、インターネット中継を見ている海外の方も含めた消費者の代弁者としてここに立たせていただいております。
 生きることは食べること、食べることは生きること、食べるものによって私たちの体も心もつくられていきます。特に、赤ちゃんや育ち盛りの子供たちに安心、安全なものを食べさせたいと思う気持ちは子供の幸せな成長を願っている人たちの共通な思いであり、万国共通な願いです。
 特に、日本には四季折々の旬な食材が豊かであり、日本食ブームも手伝って世界中から注目されています。日本は治安もいいし食も安全だと言っていただき、海外からの評価がとても高いことは大変うれしいことです。しかし一方で、TPPの発効によって関税が撤廃され、世界中から様々な食品が大量に輸入されるようになると、日本の食の安全が保たれないのではないかと不安になる声があるというのも事実です。
 資料の一を御覧ください。
 これは食の安全に関する全国意識調査の結果ですが、食品の安全性についての不安を感じているかと聞いたところ、非常に不安であるが二四%、やや不安であるが五二%、四人に三人の人が不安を感じています。補足しますと、不安を感じる点として最も多かったのは生産地、原産地、つまり国産か輸入品かなどに関することが六二・一%で、次いで食品添加物、残留農薬、食品衛生、品質管理、食品表示などが並んでいました。ここからは、日本人の食品への意識の高さがうかがえると思います。
 また、輸入食品について聞いたところ、資料の右側ですね、輸入食品について聞いたところ、非常に不安であるが四二・三%、やや不安である、四四・六%と、不安を感じる人が九割を占め、輸入食品への不安が強いことが分かります。こちらも補足しますと、生産地や生産国を意識して購入する食品としては、肉類六八%が最も高く、野菜、魚介類と生鮮食品が上位を占めます。
 また、資料の二を御覧ください。
 食品の安全性の保証について組織や人がどの程度信頼できると思うかと尋ねたところ、信頼感は、個々の農家が八割を超え、最も高い。次いで、生産者団体、消費者団体となり、どちらかといえば信頼できないと信頼できない合計が過半数を占めたのは、政府や役所、外食産業、輸入業者で、特に輸入業者に対する信頼度は極めて低いです。つまり、これは、顔が見えることが食の安心につながり、顔が見えにくい海外からの輸入に対しては不安が高くなるということがうかがえます。
 そこで、我が国では、輸出入のバランスを保ちながら、国産食品も輸入食品も安心、安全を確保した上で、国民の食の安全性に対する不安を払拭するために情報を国民にしっかりと伝えていかなければなりません。
 そこで、農水大臣に質問させていただきます。TPPの発効後、五年後、十年後の輸入牛肉量の試算はどうなっているでしょうか。
#54
○国務大臣(山本有二君) 今現在の国内生産量が三十五万四千トンで、輸入量が五十三万六千トンでございます。そういう中で、TPP交渉の結果、牛肉につきましては、関税撤廃ではなく、十六年目に最終税率九%として長期にわたる関税削減期間を確保させていただきました。
 また、国内産の牛肉、和牛、交雑種、乳用種のうち和牛、交雑種牛肉は、品質、価格面で輸入牛肉と差別化されておりまして、競合の度合いは小さいと見込まれております。
 また、十六年という先ほど申し上げました長期の関税削減期間におきまして、国内の農家の体質強化対策などを活用することによりまして国内牛肉の競争力の向上が見込まれております。我が国以外の牛肉の需要が急激に現在伸びておりまして、他の輸入国との買い付け競争も激しくなる可能性もございます等々、当面輸入の急増は見込み難いと考えておるところでございます。
#55
○宮沢由佳君 ありがとうございます。
 では、五年後、十年後、輸入牛肉量は今と変わらないということでよろしいですか。
#56
○国務大臣(山本有二君) TPP発効後におきまして、GTAPモデルというそういう計算方式を取りますと、輸入量も増えますが輸出量も増えるという意味におきましては、この輸入量が増加するということは十分考えられるところでございます。
#57
○委員長(林芳正君) 宮沢君、指名を待って御発言ください。
#58
○宮沢由佳君 申し訳ありませんでした。
 私の手元にある試算ですと、余り輸入量が増えないというものもありますので、輸入量が同じともし仮定をするとすると、日本の人口が減っていきますので、国産牛肉の生産量が減っていくのではないかという心配があるんですけれども、それについてはいかがでしょうか。
#59
○国務大臣(山本有二君) 逆に、いろんな物の考え方がございますけれども、輸入の価格水準がかなり高騰するように予測される向きもございます。その意味におきましては、国内産牛肉の需要がかえって増える、そして輸入が減るというようなケースもかなりの度合いで蓋然性があるように思っております。
#60
○宮沢由佳君 農水省が出されている「TPPに関する疑問にお答えします」という資料の中で、ここ十年間で中国の牛肉輸入が七十八倍増え、アジア地域では二・七倍急増し、二〇一四年では我が国と中国で世界の輸入の三割を占めているという状況だと書いてあります。このように、我が国以外の牛肉需要が急激に伸び、いつまでも我が国が思うままに牛肉を輸入できる環境になく、買い負けが起きる可能性が高いため、国内生産をしっかりと振興することが重要だと書いてあります。
 このことに関してお答えをお願いします。
#61
○国務大臣(山本有二君) この委員の御指摘は、アメリカの農務省の牛肉需給予測に基づいたものだというように拝察いたします。
 まず、それによりますと、二〇〇四年の牛肉輸入量につきましては、中国は一万トン、アジア地域が八十三万トンでございました。十年後の二〇一四年に中国の牛肉輸入は七十八万トン、おっしゃるように八十倍に急増しております。アジア地域でも二・六倍、二百十四万トンとなっております。この農務省は、更に十年後、二〇二四年の予測もしておりまして、中国の牛肉輸入は更に倍、百五十一万トンに達しておりまして、アジア地域も一・六倍の三百三十四万トンに達すると見込まれております。
 一方、日本の牛肉輸入量は、二〇〇四年は四十五万トンでございまして、十年後の二〇一四年は五十二万トンとほぼ横ばいでございます。
 今後、中国等の牛肉輸入が更に伸びると予測される中、輸入商社などの関係者からも、いつまでも我が国が思うように牛肉を輸入できる環境にはない、買い負けを懸念する声も多いわけでございます。こうした状況を踏まえ、世界の牛肉市場の状況を注視するとともに、体質強化対策等を通じて国内生産をしっかりと振興することが重要だと考えておるところでございます。
#62
○宮沢由佳君 国内生産をしっかりと振興すること、国内産の牛肉をしっかり増やしていくこと、これが大切だという御答弁をいただきました。
 では、次の質問をさせていただきます。肥育ホルモンについてです。
 肉牛を育てるときに通常よりも短期間で体を大きくするために使用されている動物医薬品である肥育ホルモンは、日本では使われることがないため、国産牛肉には使用されておらず、主にアメリカ、オーストラリアからの輸入肉に使用されていると言われています。
 松本大臣は以前の答弁の中で、消費者の不安に対して、消費者の不安を払拭し、安心を確保していくためには、我が国においてどのようにして輸入牛肉の安全性が確保されているか、動物用医薬品の残留基準や輸入牛肉の検査体制がどのような考え方で定められ、実施されているかなどについて丁寧に説明していかなければなりません、関係省庁の、具体的な懸念に応じて分かりやすく情報を発信するよう、不断の努力を重ねてまいりますとお答えになっていますが、そもそも、その動物医薬品である肥育ホルモンについて国民がどのくらいこの情報を得ていると思われるでしょうか。消費者担当大臣、厚生労働大臣にお伺いいたします。
#63
○国務大臣(松本純君) 御指摘の一般国民が肥育ホルモンについて認知されている割合については、関係府省庁のいずれにおいても把握していないと承知をしております。
#64
○国務大臣(塩崎恭久君) 御指摘の肥育ホルモン、これ大体六種類ぐらいあるわけでございますけれども、国民がどの程度認知をされているのかということについて私ども厚労省として把握をしているわけではございませんが、厚労省においてどういう扱いをしているのかということを少し申し上げれば、食品の安全性を確保するために、まず、松本大臣の所管でございます食品安全委員会、ここによるリスク評価などの科学的知見を踏まえて、厚労省の薬事・食品衛生審議会の審議を経て、人の健康に悪影響を及ぼさないことを確認をして、動物用医薬品である肥育ホルモンやそれから農薬などの食品中の残留基準というのを定めております。
 この残留基準の設定に当たっては、従来から、食品安全委員会や今の薬事・食品衛生審議会における審議の公開、国民に向けての公開、それから議事録や資料のホームページでの公表など、透明性の確保に私どもとしては努めているところでございます。
 また、御指摘の肥育ホルモンを始め国民の皆様方の食の安全に関する不安を解消するために、厚生労働省ホームページに食の安全に関するQアンドAというのを掲載をしておりますが、ここの内容の充実を図って国民の皆様方に少しでも知っていただこうというふうに考えております。
#65
○宮沢由佳君 私の周りの子育て中の母親、友人などに聞いたところ、ほとんどの方が肥育ホルモンについて知りませんでした。そこで、私が肥育ホルモンについてその安全性も併せて説明したところ、こんな感想が聞かれました。えっ、じゃ、知らない間に食べているってこと、それはおかしい、幾ら安全だからといって知らない間に食べさせられているというのは納得いかない、医薬品を使用しているのならそれを選択する権利があるでしょうなど、いろいろな意見がありました。これはごく普通の意見だと思います。つまり、知らないことによる不安、説明不足による混乱があるということです。
 そこで、消費者担当大臣に質問いたします。輸入牛肉の中で肥育ホルモンが利用されている確率、割合を教えてください。
#66
○国務大臣(松本純君) 御指摘の輸入牛肉の中で肥育ホルモンが利用されている確率についてでございますが、牛肉の輸入検疫を担当している厚生労働省においても、輸入時の届出事項としておらず、把握していないと承知しております。
#67
○宮沢由佳君 スーパーで国産牛肉がたくさん並んでいるので輸入肉は少ないと思っている人が多いかもしれませんが、実際には、日本国内で消費されている牛肉の国産の割合は約四〇%、つまり六〇%が輸入。では、どこでその輸入肉が多く消費されているかといえば、それは外食、例えばレストランなど、そして中食、チュウショクとも言いますが、つまりコンビニ、スーパーのお総菜などと思われます。
 そこでお聞きします。外食、中食で肥育ホルモンが使用された肉を食べる確率はどれくらいでしょうか。消費者担当大臣にお伺いします。
#68
○国務大臣(松本純君) 肥育ホルモンは、現在のところ、国内流通では輸入された肉にしか使用されておりませんが、輸入牛肉の中で肥育ホルモンが使用されている率が把握されていないことから、御指摘の外食、中食で肥育ホルモンが使用された肉を食べる確率も把握できないと承知しております。
#69
○宮沢由佳君 済みませんでした、無理な質問をさせていただいたかもしれません。
 実は、この質問をさせていただいたことには訳があるんです。聞いていただきたいと思います。
 実は、私にはEUに住んでいる日本人の友人がいます。今、ネットで見ています。仕事の関係で彼女は一年間に四、五回日本へ帰ってきます。先日、肥育ホルモンが話題となり、彼女が私にこう言いました。海外に出たときはある程度仕方がないと諦める人が多いかもしれない。でも、EUにいれば肥育ホルモンで育った肉は少なくとも食べませんから、つまり機会がありませんから。EUは肥育ホルモンを使用した肉を作ることも輸入することも禁止されています。EUにいれば肥育ホルモンで育った肉は少なくとも食べませんから、つまり機会がありませんから、日本へ行ってそれを実は食しているという可能性があるのは嫌です。日本はオリンピックまでに食の安全性とその表示義務についても考え直す必要があるのではないでしょうか。
 彼女を含め、肥育ホルモンの使用も輸入も禁止されている国から日本へ来る多くの方々にどんな説明をされるのか、お伺いします。そもそも、なぜ日本は肥育ホルモンを使用した肉を輸入しているのか、厚生労働大臣にお伺いします。
#70
○国務大臣(塩崎恭久君) 国内で使用されていないにもかかわらず海外で使用されている肥育ホルモンなど動物用の医薬品や農薬などにつきましては、食品中の残留基準を設定をいたしまして、その基準の範囲内で輸入を認めているわけでございます。
 これは、我が国では、従来、残留基準が設定をされていなかった動物用医薬品などにつきまして、食品中の残留の程度にかかわらず、かつては輸入を認めておりましたけれども、平成十八年に新たな制度を導入をいたしました。これは、いわゆるポジティブリスト化をするという、ポジティブリストに変わったわけでございまして、原則全ての動物用医薬品などに残留基準を設定をして規制を強化をしたことによるものでございます。これによって、国内ではニーズがなく使用されていない動物用医薬品や農薬などについても、海外で使用されている場合には科学的に安全と認められる残留基準を設定するとともに、これを超える輸入食品の流通を禁止をし、安全性を確保するという形を取っているわけでございます。
 我が国では、肥育ホルモンが使用された牛肉について、科学的な根拠に基づいて、人の健康に悪影響を与えることのない量として国際的なリスク評価機関JECFAが定める一日当たり摂取許容量を下回る範囲内で肥育ホルモンの残留基準を設定をいたしまして、その基準を超える食品の輸入、販売を禁止をしているということから、食品の安全性は確保されているものと考えているところでございます。
#71
○宮沢由佳君 では、なぜEUは肥育ホルモンの使用も輸入も禁止しているのでしょうか。厚生労働大臣にお伺いします。
#72
○国務大臣(塩崎恭久君) なぜEUが肥育ホルモンの使用も、あるいは肥育ホルモンを使った肉の輸入も禁止しているのかと、こういう御質問でございましたが、EUにおきましては、肥育ホルモンについては、人への健康影響の有無について、現状では安全性を評価するためのデータなどが不十分であり評価を行うことができないという独自の主張で肥育ホルモンの使用及び肥育ホルモンを使用した肉の輸入を禁止しているというふうに承知をしております。
 なお、EUの肥育ホルモンの輸入禁止措置は、過去に米国がWTOにEUを提訴をいたしました。その結果、科学的根拠に裏付けられた措置ではないとしましてEUは敗訴をいたしまして、その結果、報復関税措置などを課せられたと承知をしているところでございます。
#73
○宮沢由佳君 ありがとうございます。
 私が紹介しようと思ったことを言っていただきました。そして、課税が課せられた上で、EUはアメリカにホルモンフリーの牛肉を輸入するということで、アメリカからホルモンフリーの牛肉を輸入しています。つまり、アメリカは分けて、肥育ホルモンを使った肉と、そしてホルモンフリーの肉を相手国によって差別化して輸出しているわけですね。
 では、次の質問です。我が国が一番多く牛肉を輸入している国、オーストラリアが牛肉を輸出している主な国を教えてください。
#74
○国務大臣(山本有二君) 二〇一五年のオーストラリアの牛肉輸出量は世界一位、百三十一万七千トンとなっております。輸出相手国は、第一位がアメリカでシェアは三二%、二位が日本でシェアは二一%、三位が韓国でシェアは一四%、四位が中国、香港でシェアは一二%、五位がEUでシェアは一〇%でございます。
#75
○宮沢由佳君 ありがとうございます。
 では、日本が牛肉を輸入している二番目の国、アメリカが牛肉を輸出している主な国を教えてください。
#76
○国務大臣(山本有二君) 二〇一五年のアメリカの牛肉輸出量は世界第四位で、七十一万四千トンでございます。主な輸出相手国は、第一位が日本でシェアは二四%、二位がメキシコでシェアは一六%、三位がカナダでシェアは一四%、四位が韓国でシェアは同じく一四%、五位が中国でシェアは同じく一四%、EUにつきましてはシェアは二%でございます。
#77
○宮沢由佳君 御丁寧にありがとうございます。
 では、肥育ホルモンの使用を禁止している国、輸入を禁止している国を教えてください。
#78
○国務大臣(塩崎恭久君) まず、御指摘の肥育ホルモンの使用につきましては、現在把握している限りでは、EU各国、それから中国、ロシアにおいて使用が禁止されていると承知をしております。また、肥育ホルモンが使用された牛肉の輸入については、現在把握している限りでは、EU各国、中国において輸入が禁止されているものと承知をしております。ロシアにつきましては不明でございます。
#79
○宮沢由佳君 ありがとうございます。
 では、資料の三を御覧ください。
 我が国が牛肉を多く輸入しているアメリカもオーストラリアも、肥育ホルモンを禁止しているEUや中国にはそれにきちんと対応して肥育ホルモンを使用していないホルモンフリーの牛肉を生産して輸出しています。ロシアも肥育ホルモンの使用を禁止しています。アメリカとブラジルの業者は生産ラインを国内向けとロシア向けに分けることでロシアの輸出を許可されています。
 日本もきっぱりとホルモンフリーの牛肉を輸出するようにアメリカやオーストラリアに対して強い姿勢で要求するべきじゃないでしょうか。日本がホルモンフリーの肉を要求することはそういった生産を伸ばすことになります。また、日本国内の輸入肉は不安だというイメージを払拭することになるのではないでしょうか。
 次の質問です。海外から日本への観光客数と、そのうち肥育ホルモンを禁止しているEU、中国、ロシアからの観光客数を教えてください。
#80
○政府参考人(瓦林康人君) お答え申し上げます。
 EU加盟国からの訪日旅行者数の合計は、二〇一五年で百十一万人となっております。中国からの訪日旅行者数、二〇一五年で四百九十九万人でございます。ロシアからは二〇一五年で五万人となっております。これらの国・地域、合計いたしますと、二〇一五年で六百十六万人となっております。
#81
○宮沢由佳君 ありがとうございます。
 私の手元にある安倍内閣三年間の成果という、新たな数値目標という中で、訪日外国人の旅行者数、二〇二〇年四千万人目標というふうにも掲げられています。
 先ほど、私の友人のように肥育ホルモンの使用も輸入も認められていない国から日本へ来てくださる方々が、日本へ来ることで肥育ホルモン使用の肉を口にする可能性があるというのは、最初に述べた日本食は安心だというイメージを壊すことになるのではないでしょうか。オリンピックでも、これから海外から多くの観光客が来日します。食の安全の見地から、その表示をしっかりと行うべきじゃないでしょうか。消費者担当大臣、TPP担当大臣、御意見をお聞かせ願います。
#82
○国務大臣(松本純君) 我が国においては、大きく二つの考え方があります。一つは、厚労大臣から御説明があったように、日本で販売、流通をされている食品に関しては安全性が確保、担保されているということが一つと、もう一つは、例えば表示について言えば、どのようにそれを証明するかということについて、その罰則が付いてのいろいろ制度がつくられているという一面もあります。
 また、肉につきましては、ホルモンそのものが十分な日数で代謝されて体外に出てしまうということなどから、これは測ることができないということで、そのホルモンを使った、あるいは使っていないということがいずれも証明できないというような流れになっているところでありまして、それで、そのために、我が国の国内流通をしている食品、また海外から入ってきている牛肉につきましてもその安全性は十分担保されているという流れの中から進んでおります。
 また、御心配をされている御友人の皆さんが海外から来られて、ホルモンの入っていないものが食したいというような御要望に対しては、ホルモンフリーということに対しての対応というのは、肥育ホルモンを使用した輸入牛肉を避けたいという消費者のニーズを踏まえて、肥育ホルモン使用をしていないという表示を行うことは現行の仕組みにおいても企業の任意で取り組めるものでありまして、したがって、肥育ホルモンの使用の有無について企業が情報を得ていれば積極的に表示がなされるものと考えているところでございます。
#83
○国務大臣(石原伸晃君) TPPの下でも食の安全ということは全く同じでございますので、委員のような御懸念に応えられるようにしっかりと、松本大臣を中心に、この科学的な問題を解明して応えられるようにしていくことが肝要であると考えております。
#84
○宮沢由佳君 消費者の間では、肥育ホルモンなどを使用せずに育てたオーガニックな食肉へのニーズも高まっています。その動きに応じて、アメリカ農務省からオーガニックの認証を得た小規模な農場も三千から一万三千に達したという情報もあります。また、アメリカではオーガニックスーパーが非常に伸びています。日本でも同じです。日本のあるこだわり商品を置いているスーパーマーケットは、ここ十年間に店舗数が三倍になりました。生産から販売までの独自の安全基準を設定しています。それだけ国民が安心、安全なものを求めているということです。
 しかし、オーガニック商品は決して安くはありません。誰もが購入できる価格ではありませんので、富裕層だけがオーガニック食品を手に入れることができて、生活に余裕がない人が購入できないのは、そこに格差が生じてしまうと思います。食の格差ができる、また安心、安全の格差ができるということはとても不安になります。
 TPP発効は、今だけ、金だけということでは困るんですね。子供たちの未来への約束がなければならないと思うんです。十年後、二十年後、今の赤ちゃんたちが大人になるときに日本の食の安全と安心を残す、そのことが私たち大人の義務だと思います。何を残して何を残さないのか、子供たちへの未来のビジョンを示す必要があります。
 TPPにはISDS条項があり、食品の表示に関しても、その表示が障壁だということになれば表示そのものができなくなる可能性があります。アメリカでは、牛肉の国産表示が貿易障壁に当たるとして原産国表示が禁止されてしまいました。TPPは生きている協定とも言われているように、その発効当時よりも企業に有利に働くように変化していく仕掛けがあります。それならば、せめて発効前に、日本の消費者の利益が尊重される最大限の努力を今すぐにやるべきではないでしょうか。
 消費者担当大臣、TPP担当大臣、御所見をお願いいたします。
#85
○国務大臣(松本純君) 消費者の食に対する不安というものを取り去っていくというのは大変大きな仕事でありまして、懸命にそれには取り組んでまいりたいと思います。
 何よりも、この国内で今流通している食品については間違いなく安全であると、また安全なものでなければ流通していないという今実態にあります。また、WTOなどでその基準が決められておりますが、これがTPPによって変化させられるというものではないと承知をしております。
#86
○国務大臣(石原伸晃君) いずれにいたしましても、委員からの御指摘のとおり、海外からのお客様に対しても日本における食の安全と安心というものを確保すべきという点においては委員と全く同じ考えでございます。消費者庁の松本大臣の総合調整の下で関係府省が連携して国民の食の安全に万全を期していかなくてはならないというふうに考えております。
#87
○宮沢由佳君 世界の多くの国が禁止している肥育ホルモン使用の肉をやすやすと受け入れている今の現状を皆さんはどう思うでしょうか。
 ホルモンフリーの肉や、さらに高品質のものを輸入するんだという強い姿勢を取ることはできないのでしょうか。農水大臣にお伺いします。
#88
○国務大臣(山本有二君) 食の安全を確保することは、まずは食品の安全担当である厚労大臣のお考えでございます。また、禁止農薬を使っておる場合は、我が国で植物防疫、動物防疫でこれを阻止する水際作戦がございます。そのような意味におきまして、我が国の食あるいは農産物の安全、多方面から、いろんな角度から考えていく必要があります。
 その意味において、先生御指摘のホルモンフリー、やがては日本の食の選択、国民の食を選択するその考え方の下に、そういう輸出、輸入というような考え方の下に規制をするということも私はあり得る話ではないかなというように考えております。
#89
○宮沢由佳君 ありがとうございます。規制をしていただけるという可能性を感じました。大変うれしいことでございます。
 資料の三をもう一度御覧ください。
 この資料の三、オーストラリアやアメリカが肥育ホルモンを使っていないホルモンフリーの牛肉をEUにも中国にも輸出しているという現実、ここに日本を入れていただきたい、これを強く要求します。
 そして、そのオーストラリアから中国へ輸出しているホルモンフリー牛肉の下にブランド牛肉というふうに書いてございますが、キロ二万円のブランド牛肉を今中国の方々が競って購入されているというふうに資料にありました。こういったものを日本でもどんどん力を入れて生産し、そしてその肉を輸出していく、こういったことは先ほど大臣の御説明にも、しっかりと力を入れてやっていくというふうに言っていただきました。私自身、消費者の一人でありますから、やはりきちんと目で見て、そして選ぶ選択の自由をいただきたいというふうに思います。
 最後に、もう一つ質問をさせていただきたいと思います。
 私は、このEUの友達、この人だけではなくて、たくさんの禁止国に友達がいます。その禁止国の友達が日本へやってきたときに、できれば肥育ホルモンを使用した肉を食べたくないといったときに、大臣はどんなふうにお友達に説明なさいますか。農水大臣と消費者担当大臣、お願いいたします。
#90
○国務大臣(山本有二君) 我が国の食の安全は、まず厚労省でしっかりと精査をしております。その意味において安全ということでございますが、やはり食物というのは個人個人の嗜好や食味や、そのほかいろんな価値観がございます。
 そういうような考え方の下に、我が国におけるそういう選択がEUと違っているというように説明をし、かつまた、これが世界的基準になるのか、あるいは肥育ホルモンが全く身体に無害で何の科学的な根拠もなかったのかというようなことを解明しつつ、そして、それが今この現状ではまだ判明していないというような説明以上は私の方ではできかねるわけでございますが、何らか、日本に滞在していただいて安心していただきたいという願いは同じでございます。
#91
○国務大臣(松本純君) 今お話にありましたように、友人が訪ねてきて肉を食べたいという話になったときに、我が国はいずれも安全である、いずれを選択しても大丈夫だという考え方でごちそうさせたいと思います。
#92
○宮沢由佳君 今私が聞いた質問は、肥育ホルモン禁止国から友達が来た場合を聞いています。私の友人も現に、知らない間に食べているのは嫌だというふうに言っています。ですから、そういった友達に対してアドバイスをお願いいたします。
#93
○国務大臣(松本純君) 基本的な、いずれも安全という前提ではありますが、消費者の求めに応じて肥育ホルモンを使用した牛肉を避けて、そして肥育ホルモンを使用していないものを食したいということであれば、現行の仕組みの中でも、企業の任意でございますが、肥育ホルモンの使用の有無について企業が情報を得ていれば積極的にホルモンフリーの表示というものができるという状況にありますので、そういったものを選んであげるということができるということになると思います。
#94
○宮沢由佳君 高級な国産牛を食べられる人ばかりではないということ、それから、海外から日本に来る方は、多くのバックパッカーと呼ばれる方々がいます。旅費をなるべく節約して、そして安価な宿泊所に泊まって、そして日本人の一般が食べているものを一緒に食べたいという方がいっぱいいます。そういう方々にしっかりと私は安全を保障できるように肥育ホルモンの使われていない肉を輸入していただきたいと思います。
 私は、海外から来てくださる方々に、日本で食べるものは世界で禁止されているものは一つも入っていないという国にしたいと思います。日本は治安もいいし食も安全だと世界から言われるような基準、表示をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
    ─────────────
#95
○委員長(林芳正君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、古賀之士君が委員を辞任され、その補欠として相原久美子君が選任されました。
    ─────────────
#96
○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。
 最初に、今朝、福島沖で地震がございました。被害に遭われました方々に改めてお見舞いを申し上げたいと思います。
 先週、この委員会で、金曜日、参考人質疑がございました。その際、今ほども議論になりました食の安全の関係で、WTOのSPS、いわゆる衛生検疫協定とTPPのSPS章の理解の仕方で異なる見解が示されました。まず、この点についてお聞きしたいと思います。
 あるA参考人、この方はこうおっしゃったんですね。WTOのSPS協定では、一定の場合の予防原則が規定されている。お手元に資料を配らせていただきましたが、これは多分SPS協定の五条七項を言っておられるんだと思うんです。「加盟国は、関連する科学的証拠が不十分な場合には、関連国際機関から得られる情報及び他の加盟国が適用している衛生植物検疫措置から得られる情報を含む入手可能な適切な情報に基づき、暫定的に衛生植物検疫措置を採用することができる。」と。これがWTO・SPS協定にあるんだけれどTPP協定にはこの表現がないと、だから大きく後退しているんだとA参考人はおっしゃいました。
 一方、B参考人の方、まあA参考人は全体的にいうとTPPは反対だという方だったんですが、B参考人は反対でも賛成でもないんだけれどもという方なんですけれども、この方は、TPP協定のルールに関する規定、物品、貿易以外についてはWTOの関連協定、SPS協定を含むものでありますけど、に加えて手続上の上乗せを規定しているんであって、TPPに予防原則の規定がなくても、TPP相手国、例えばアメリカにWTOの関連協定の範囲内で予防原則を求めることができると、こういう見解でした。この方の見解によりますと、この資料によりますと、TPP協定のSPS章関連部分、七・四条の一般規定の一、二、締約国は、衛生植物検疫措置の適用に関する協定に基づく権利義務を確認する、つまりSPSの権利義務を確認すると、この協定、TPPのいかなる規定も、衛生植物検疫措置の適用に関する協定、SPSにより各締約国が有する権利及び義務を制限するものではないと、こう書いてあるわけです。
 この二つの見解が示されたわけですけれども、ここで政府参考人にお聞きしたいと思います。このTPPの条文の理解の仕方、また各国の共通の理解はどちらなんでしょうか。
#97
○政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。
 先生お配りいただきました資料にございますように、WTO・SPS協定第五条の七、よく予防原則という、いわゆる予防原則に関連して引用されるのがこの条文でございます。科学的証拠が不十分な場合には、入手可能な適切な情報に基づき、暫定的に衛生植物検疫措置を採用することができるという規定でございます。TPPにはこのような規定がなくて、したがって暫定的な措置をとることができないという誤解が往々にして語られることがございます。先生御指摘のとおりでございます。
 お配りいただきました資料にもございますが、TPP協定のSPS章の第四条の二項、「この協定のいかなる規定も、衛生植物検疫措置の適用に関する協定により各締約国が有する権利及び義務を制限するものではない。」と規定をしておりまして、WTOのSPS協定に基づく権利及び義務を確認しているところでございます。
 TPPの参加国十二か国は、いずれの国におきましても、やはり国内において食の安全について非常に重視する、そういう声が多いのは事実でございますので、このTPP協定SPS章の条文作りの過程におきましてWTOとの整合性というものには十分留意してきたところでございます。
 さらに、このいわゆる暫定措置につきましては、このWTOの協定をそのまま引き継ぐということを更に明確にするために、TPPのSPS章第九条第三項(c)でございますが、WTO・SPS協定上の締約国の権利及び義務を認めつつ、この章のいかなる規定も、締約国が衛生植物検疫措置を暫定的に採用し、又は維持することを妨げるものと解してはならないと明記してあるところでございます。
 したがいまして、TPP協定のSPS章におきましても、WTOのSPS協定と同様、暫定的措置をとることができるというのは共通の理解でございます。
#98
○浜田昌良君 そうしますと、先週金曜日、参考人質疑ございましたA参考人、B参考人というのは、B参考人の見解が、理解が正しいということなんですが、ただ、今回のTPP協定にはいろいろな手続規定が書いておりまして、その手続規定、上乗せ規定的なものを適用するとWTOで守られている権利が行使しづらくなるんじゃないかと、そういう懸念を持つ方もおられるんですが、そういうことはないんでしょうか。
#99
○政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。
 TPP協定はいずれもWTOプラスということを念頭に置いて作成されておりますので、SPSのチャプターにおきましてもWTO・SPS協定の内容を上回る規定というものが用意されておりますが、これは、各締約国のSPS措置に係る手続の透明性の向上に関する規定、それからSPS章の規定の下で懸案事項が生じた場合に専門家が関与して行う、CTCと呼んでおりますが、協力的な技術的協議を求めることができるという規定が主なものでございます。
 透明性につきましては、これは我が国が既に行っている対応の範囲内でございまして、特段の問題がないと考えておりますし、それからCTC、協力的な技術的協議につきましても、いわゆる紛争処理に移行する前に、紛争処理という国と国のそういう争いではなくて、専門家同士で懸案事項について迅速に専門家的な見地から対応する、そういう観点から設けられた規定でございまして、我が国はむしろこれを活用することが大いに期待できるところでございます。
 いずれにいたしましても、TPP協定のSPS章は、WTOのSPS協定上の権利をそのまま確認をしているところでございますので、我が国の食品安全に関する制度に何ら変更を強いられるものではございません。
#100
○浜田昌良君 今答弁がありましたように、TPP協定としてはWTO・SPSの権利義務はしっかり確保されていると。その上で、透明性なり、CTCという言葉がありました、コーポラティブ・テクニカル・コンサルテーションということで、早期に問題を解決していこうということが書いているだけでございますので、決して御心配されるような、暫定的な措置ということを日本がとることは妨げられないということを確認させていただきました。
 ただ、このA参考人は、ある有名国立大学の大学院の准教授の方でございまして、農業が専門の方なんですね。そういう方が、いや、TPPは後退しているんですよという話をされると、多分一般の方は混乱するかもしれないですね。ここが私は大きな問題点だと思っております。
 つまり、一般の方々の理解とともに、専門の方々にも正しい理解の仕方をよく普及、広報しなければ、単に賛成か反対かという議論だけでは議論は収れんしていかないんですね。共に正しい理解に合わせていくことによって、このTPP、日本にとってプラスなのかマイナスなのか、議論が収れんしていくと思うんですが、この努力について石原大臣に御答弁いただきたいと思います。
#101
○国務大臣(石原伸晃君) 今の浜田委員と政府参考人の話を聞かせていただきまして、やはり専門家といえども、なぜこのTPP協定の解釈をめぐって誤解が出るかというと、WTOという基本原則があって、その上に上書きをしているというようなところが、どうしてもなかなかそこを読み取ることができない。ですから、併せて読まなきゃいけない部分と、さらに、それが違う項目、同じ章なんですけれども、違うところに暫定措置一つ取ってみてもしっかりと書いてある。こういう専門的なことをやはり専門家の皆様には丁寧に説明していく必要があるということが、大変委員と政府参考人との議論を聞かせていただいてよく分かったところでございます。
 さらに、諸問題に基づく誤解や不安の声を解消するために、QアンドAをお作りしたという話をさせていただきますが、これもいろんな御意見、あるいは地方公聴会で出て、誤解があったというようなこともその中にしっかり入れて、今のは各章の何項という非常に難しい専門的な議論であったと思うんですが、それをもう少し分かりやすく、TPPに関するQアンドAを更新していかなきゃいけない、もう少し易しく書かせていただきたいと強く思ったところでございます。
 また、今日はテレビ中継はないのでございますけれども、委員の方から御指摘いただいたような形で、国会審議を通じまして国民の皆様にも専門家の皆様にも本当のところが伝わるのではないか、引き続き丁寧に御答弁をさせていただきたいと思っております。
#102
○浜田昌良君 TPPに関しては、賛成の方もおられますし、反対の方もおられます。ただし、それが誤解に基づく反対というのは一番悲しいと思いますので、正しい理解を一般の方にも、また専門の方にも広く広げていただきたいと思います。
 次に、協定また関連法案について直接質問させていただきたいと思いますが、私は十四日のこの委員会の冒頭の総括質疑で、日本が率先してこのTPP協定また関連法案を成立させ、承認する必要があると主張させていただきました。その理由としては、確かにアメリカでの次期政権のいろんなことについては不透明さがあります。しかし、保護主義の蔓延を未然に防止をしていく、特に自由貿易立国である我が国としてその責務が大きいと思っています。
 先ほども、いや、マルチの協定、多国間協定じゃなくて二国間協定だという声もありましたが、二国間協定と多国間協定は大きく性格を異にするものでございます。これも参考人から先週話があったんですが、マルチというのはやはり一定のルールを作るものなんですね。そういう意味では、ルールメーキングというものにアメリカという国がもう手を引いていくのがどうなのか、これは同盟国として大きな関心事です。やはり今までは民主主義、基本的人権、またさらに法の支配という、そういう多様なものを尊重していくというものを共有していた国がルールメーキングから手を引いていかれると、世界的ないろんな問題についても我が国としても難しい局面に直面するかもしれません。
 そういう意味では、是非そのためにも我が国が率先してこの協定また関連法案を成立させるというのが必要だと思いますが、そういう理念的な利益だけではなくて、実利的にも今回の法案は早く通した方がいいと私は思っています。
 と申しますのも、今回の束ね法案、十一本になっているんですが、ほとんどは、確かにTPP協定発足しなければこれが法施行されないというのがほとんどなんだけど、一本だけ違うものがあるんですね。TPP協定が発効しなくても法施行するものがあるんです。これはどういう意義なのか。これについては、協定が発効するしないにかかわらず、どういう効果があるものなのかについて、まず、束ね法案をまとめられた石原大臣にちょっとお聞きしたいと思うんですが。
#103
○国務大臣(石原伸晃君) 委員の御指摘は、多分地理的表示のGIがなぜ離れているかということだと思いますけれども、これはやはり原産地を明確化することによってより良く、例えば日本酒という形の中でも、アメリカのカリフォルニア米を使っても今は日本酒として売れたり、あるいは、これはヨーロッパの方が大変御熱心で、やっぱりシャンパンといいますと、我々は感覚からすると発泡性の白ワインはみんなシャンパンかなと思うんですが、シャンパンはシャンパーニュ地方でできたものしかシャンパンと認めない。こういうことをより明確化にするということで、この問題については切り離されているんだと認識しております。
#104
○浜田昌良君 今、石原大臣から御答弁いただきましたように、地理的表示の国内法につきましてはTPPの発効とは関係なしに法施行されるという、そういう陣立てになっております。
 この地理的表示って何かといいますと、元々はTRIPS協定、平成六年だと思いますけれども、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定、これの二十二条、二十三条を根拠にしている権利でございまして、当時、今、石原大臣も御答弁いただきましたように、いわゆる原産地を誤認させるような表示、これをしてはならないというのは二十二条なんですね。あわせて、ブドウ酒及び蒸留酒については、更に追加的保護、特に日本風シャンパンとか、これも駄目よと、そういう、誤認じゃないけれども、それも駄目よという二段に掛かった義務があったわけです。これのTRIPS協定を結んだときに、国内担保法としては、まず全体誤認については不正競争防止法で国内担保法を作りました。後段のブドウ酒及び蒸留酒の追加保護についてはいわゆる酒税法関連法案でこれを保護をして、我が国としてはこの協定の承認をしたわけでございますけれども。
 そこで、今回、酒関係でいいますとどういうものが対象になっているかというと、山梨ワインとか石川県の白山の日本酒、球磨焼酎とか薩摩焼酎とか六品目が今まで対象になっていたんですが、これは、これから日本酒も、日本のお酒も海外に出していこうという話もございまして、平成二十七年十二月には日本酒という、これ全般で指定されたことになっております。
 これの相互承認がどれぐらい進んでいるかということなんですけれども、これはいわゆる二国間の、日本といろんな国とのEPAのたびごとに相互承認進めてまいりまして、チリとかペルーとかメキシコとの間で相互承認進んでまいりましたが、今次、TPPの交渉に際しましてアメリカと相互承認が進んだんですね。この交換公文というのが交わされていまして、平成二十八年二月四日付けで交換公文で、日本とアメリカの間で酒類に関する地理的表示の交換公文が発効しているわけですが、これは、たとえアメリカがこのTPPを承認しなくてもこれは効力を失わないものなのかどうなのか、御答弁いただきたいと思います。
#105
○大臣政務官(杉久武君) お答え申し上げます。
 今委員御指摘のとおり、日本産酒類の地理的表示につきましては、国際交渉を通じて外国においても保護がなされているよう求めていくこととしており、これまでもメキシコ、チリ及びペルーとのEPAにおいて相互保護の実現を図ってきたところでございます。
 今回の米国との関係でございますが、今回のTPPでは、米国との間において酒類の地理的表示の相互保護を検討する手続を開始することについて交換公文により合意をしており、交換公文は本年二月の四日から効力が生じているところでございます。これを踏まえ、財務省といたしましては、米国における日本産酒類の地理的表示の保護が適切に実現するよう、引き続きしっかりと働きかけてまいりたいと考えております。
#106
○浜田昌良君 今答弁ございましたように、今年の二月四日付けで交換公文がされておりまして、これについてはアメリカがTPPを承認するかしないにかかわらず手続を進めていくと。これ、大きなことなんですね。と申しますのも、この地理的表示というのが、地理的表示用の独自の制度を持っている国と、それは持たずに商標でやっている国と、大きく二つに分かれるわけです。アメリカは、証明商標制度というので、どちらかというと相互承認しにくいくくりだったんですよ。それを今回努力をして相互承認までこぎ着けたというのは大きな前進だと思っております。
 そこで、少し質問の順番を変えてお聞きしたいと思うんですが、この地理的表示、今回法律は、酒類、お酒じゃなくて農産物などの地理的表示の関係なんですが、農産物、食品関係だと、地理的表示よりも地域団体商標というのが従来あったわけです。例えば、委員長の御地元の下関のふくだとか、あと神戸ビーフだとか、そういうものはこれ、農産物関係で三百三十五件、酒で十三件もあるわけです。一方、今の地理的表示というのはまだ二十件ぐらいしかないわけですね。
 まず、農水省の政府委員にお聞きしたいと思いますが、この地域団体商標に比べまして地理的表示のメリットというのはどういうところにあるんでしょうか。答弁いただきたいと思います。
#107
○政府参考人(井上宏司君) お答え申し上げます。
 地域団体商標と地理的表示の違いでございますけれども、商標制度につきましては、その名称の独占的権利を設定をいたしまして、他者に自分の商品名を使わせない、そういうことに主眼を置いておりますのに対しまして、地理的表示の制度につきましては、産品の名称と併せて、産品の特性あるいは生産方法等を知的財産として保護するものでございまして、品質に着目をしたブランド化にはより地理的表示は適しているものと考えております。
 また、地理的表示制度におきましては、不正な地理的表示の使用は行政が取締りを行うことになっております。また、更新の必要がないために登録を維持するコストが掛からないといったことが特徴としてございます。
#108
○浜田昌良君 今御答弁ございました、いわゆる地域団体商標と比べまして品質に着目したブランド化ができる、またその取締り、例えば商標の場合は自分自身が、商標権者がチェックをしないと権利を守れないのに対しまして、行政機関がちゃんとこれを守ってくれると、こういうメリットがあるわけです。これをうまく使っているのは実はヨーロッパなんですね。
 これで農水大臣にお聞きしたいと思うんですが、質問の順番がちょっと変わっていますので、済みません、ヨーロッパでの地理的表示がマーケットにどのように評価されているのか、これから我が国が攻めの農業として国内だけじゃなくて輸出もしていこうという中でどのように効果を持つものなのか、御答弁いただきたいと思います。
#109
○国務大臣(山本有二君) 御指摘のEUでは、これまでに千二百を超える農産物等が登録されております。欧州委員会が二〇一二年に行いました調査によりますと、二〇〇五年から二〇一〇年にかけての加盟二十七か国における地理的表示、GI農産物・食品の売上額は百三十三億ユーロから百五十八億ユーロ、一九%上昇しているということになっております。また、この調査によりますと、個別産品の効果といたしましては、登録産品は通常品に比べまして平均して約五割価格が高く取引されていると調査結果が示しております。また、登録産品を求めて観光客が増加したといった効果も指摘をしております。
 我が国では、昨年十二月に初めてGI商品の登録が行われたところでございますが、これまでに登録された産品は、価格の上昇あるいは担い手の増加といった効果が着実に表れております。例えば、八女伝統本玉露、鳥取砂丘らっきょう、あおもりカシスなどでございます。
#110
○浜田昌良君 今、農水大臣から御答弁いただきましたように、通常品に比べて五割も価格アップのものがあると。さらに、それを目玉にして観光開発もされているというのがヨーロッパの状況でございまして、実は今回のTPP協定十二か国の中で地理的表示を持っている国は、日本以外にはベトナム、マレーシア、シンガポール、メキシコ、チリ、あとペルーですか、の六か国、合計七か国がこの地理的表示があります。
 じゃ、地理的表示ない国にはこれ広がっていかないのかと、そういうわけでもないようでございまして、実はカナダには独自の地理的表示制度はございませんでした。しかし、新たな動きがございます。というのは、カナダとヨーロッパの自由貿易協定、いわゆるCETAでありますけれども、これにおいては、地理的表示をしていこうではないかと、そういう準備をされていると聞いています。その準備状況はどうなっているんでしょうか。
 そうしますと、もしカナダも今後組み込まれていく、あわせて、別途、日EUでの連携協定も今議論されていると思っていますが、是非ヨーロッパともこの地理的表示についての相互承認進めていく必要があると思いますが、外務大臣から御答弁いただきたいと思います。
#111
○国務大臣(岸田文雄君) まず、一点目のCETAについての御質問ですが、CETAは、これ第三国間の協定の内容でありますので我が国として有権的に説明する立場にはありませんが、十月三十日に署名に至ったCETAは、GIの保護に関する規律と保護対象となるそれぞれのGIリストを掲げており、EU側リストではカナダで保護される約百七十の名称が掲げられていると承知をしております。
 そして、日EU・EPAの方ですが、こちらは現在交渉中でありますので詳細については控えたいと思いますが、双方の関心を踏まえ、GI保護の内容や手続について緊密に議論を行っております。日EU・EPAについては、引き続き、我が国産品の輸出促進の観点も踏まえつつ、すなわち攻めの観点もしっかりと踏まえながら、交渉を通じて双方の関心事項を手当てしていく考えで取り組んでおります。
#112
○浜田昌良君 そういう意味では、カナダも独自の制度はなりませんでしたけれども、地理的表示の相互承認に乗り出してくると。また、ヨーロッパは関心がありますので、今後、日EUの中で取り組んでいただいて、そのためにも国内法をしっかり作っておかなければ相互承認もできないわけでございますので、今回の関係法制は準備する必要があると思っておりますし、あわせて、この相互承認、これを大幅に拡大していく必要があるわけですね。
 ただ、相互承認するためには、相手国の理解が十分整わないと進まない面もあるんです。これが難しいところでございまして、そこで相互承認を待っているだけではなくて、いわゆる日本の地理的表示の発行標章、いわゆるGIマーク、これ自身を世界の商標登録していくということによって日本のGIを守っていくということも政府がやっていくことが、相互承認待つだけじゃなくて、重要と思うんですが、現在、この日本のGIマークの商標登録の状況はどうなっているでしょうか。今後の拡大を更にしていくべきと思いますが、農水省の政府委員からの答弁を求めます。
#113
○政府参考人(井上宏司君) 日本のGIマークにつきましては、これまでに六か国、韓国、台湾、ラオス、ミャンマー、オーストラリア、ニュージーランド、六か国・地域でございますけれども、におきまして既に商標の登録等を行ったところでございます。
 また、これら六か国を含めまして、我が国にとっての主要な農林水産物・食品の輸出先国、二十か国に商標出願をしております。この中には、米国、EU、中国等、現在審査が進められている国がございまして、これらの国におきましても商標登録が行われるように引き続き各国の商標当局に対しまして対応を進めてまいりたいと考えております。
#114
○浜田昌良君 二国間また多国間での相互承認とともに、国自身が商標登録をすることによってGIマーク自身を守っていくということが重要と思います。
 次に、酒類につきましては、冒頭申し上げましたように、日米間で地理的表示、これの相互承認が進んだわけでございますが、じゃ、今後、農産物等の分野、非常に難しいんですね、やっぱり。アメリカ自身は独自の地理的表示制度は持っていません。いわゆる証明商標制度という、産品的にはアイダホ・ポテトのような地名を冠したものはあることはあるんです。それをそういう証明商標制度で保護はしているんですが、制度が違うと。とはいっても、今後更にいろんな工夫をしながらお互いの相互承認をしていく努力は重要と思っています。
 例えば、ヨーロッパと中国は10プラス10という試みをしたんですね。相互承認ができていない段階でそれぞれの国の関心品目十品目を挙げて、お互いに保護し合おうじゃないかと。こういうことによってそういういわゆる相互承認の雰囲気をつくっていく、さような取組があるんだと思うんです。
 そういう意味では、今後、今回TPP交渉を契機として酒類の相互保護が進んだわけでございますので、是非、農産物についても、アメリカとの間で、今回法律もしっかりできます、これを機に相互保護ができるように、農水大臣の決意を問いたいと思います。
#115
○国務大臣(山本有二君) 御指摘の米国は、我が国にとりまして重要な輸出相手国の一つでございます。アメリカにおきまして我が国の農林水産物のブランドを保護していくことは重要なことでございます。
 しかしながら、アメリカにおきましては、我が国と異なって、商標制度により農林水産物・食品のGIを保護しております。GIを独自に保護する我が国とは、制度内容を始め、置かれている環境にも相違がございます。このため、農林水産省では、GI法に基づきまして、真正な我が国GI産品であることを示すGIマークについてアメリカでも商標出願を進めております。アメリカでGIマークが商標登録されれば、GIマークが不正使用された場合に差止め請求を行うことができるということになるため、アメリカにおいてもGIマークが付されている産品が真正な我が国のGI産品であると判別できるようになります。
 また、委員御案内のとおり、欧州と中国は双方の十産品のGIを互いに相手国で保護するための試行的な取組を行っております。このような取組も参考にしつつ、今後、我が国からの農林水産物の輸出促進につながりますよう、アメリカにおける我が国GIの保護の方策につきまして検討を重ねてまいりたいというように思っております。
#116
○浜田昌良君 いろんな工夫をしながら、制度の違いがありますけれども、特に日本食、これは今後アメリカにいろんなものを輸出していくときにそれを守る、品質とブランドを守っていくと、重要と思いますので取り組んでいただきたいと思いますし、それは農産物だけではなくて酒類も同じでございます、日本酒というのがもうGIになっておりますので。
 では、今回、アメリカとは交換公文でできました。また、チリやメキシコ、ペルーとやっておりますが、まだカナダやオーストラリア、ニュージーランドという、一部、日本とのEPAとかある国でもまだ酒類はできていない分野もあるわけです。そういう意味では、酒類の相互承認も更に取り組んでいただきたいと思いますが、答弁よろしくお願いします。
#117
○大臣政務官(杉久武君) お答えいたします。
 先ほど申し上げましたとおり、今回のTPPにおいては、米国との間で酒類の地理的表示の相互保護を検討する手続を開始することについて合意したところでございます。米国以外のTPP参加国との間においても、日本産酒類のブランド価値向上の観点から、今後とも引き続き様々な交渉の機会を通じて酒類の地理的表示の保護を求めてまいりたいと考えております。
 また、現在、日EU・EPA交渉を進めているところ、その内容については、交渉中であり、お答えを差し控えますが、EU側は地理的表示について高い関心を示していると承知をしております。この点について日本としては、EUにおける日本産酒類の地理的表示の保護も含め、日本の酒類業者にとって有益なものとなるよう、引き続き的確に対応してまいりたいと考えております。
#118
○浜田昌良君 そういう意味では、海外との相互保護が広がっていくとなると、どれぐらい今度は国内の地理的表示の対象品目を増やしていくかという話なんですね。まだ二十品目ちょっとということでは保護する対象が少ないわけでありますし、一方では、いわゆる地域団体商標という、これは先ほど言いましたように、農産物で三百三十五品目もあるわけですね。そういう意味では、商標を担当する特許庁ともしっかり連携していただいて、国内体制をワンストップにして、いろんな権利の保護の仕方があるわけですから、これをしっかり取り組んでいただいて、是非、攻めの農業の一つのツールとしてこの地理的表示、国内体制の確立に向けて農水大臣から答弁を求めて、質問を終わりたいと思います。
#119
○国務大臣(山本有二君) 昨年から運用が開始されましたGI制度には、現在、御指摘のように二十一産品が登録されております。我が国には、長年地域で生産され、高い品質と評価を得た農林水産物が数多くございます。地理的表示に登録され得る産品はまだまだあると考えておることは委員御指摘のとおりでございます。このため、現場でのGI制度の活用が進むようにGIサポートデスクを設けさせていただきました。登録申請に向けた助言、相談受付の支援をワンストップで行いたいと考えております。
 また、農林水産物の国内外におけるブランド展開を進めていくには、特許庁が担当する商標あるいは意匠等を含めまして、各地域産品の実情に応じた知的財産保護が必要と考えております。このため、これまで地方農政局で行ってまいりました相談窓口に加えまして、新たに特許庁と連携いたしまして、各都道府県に設置されております知的財産総合支援窓口、ここにおいて農林水産物の知的財産に関する相談対応が行えることといたしました。農林水産省が適切な知的財産保護が行えるように支援体制の整備を図っているところでございます。
 特許庁と中央レベル及び地方レベルの連携を強化しながら、農林水産物のブランド化の支援を促進していきたいと考えているところでございます。
#120
○浜田昌良君 この地理的表示、本丸はやはりヨーロッパだと思っています。そういう意味では、この法律が公布から二か月で施行されますので、早期成立をお願いして、私の質問を終わります。
#121
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 私、十五日の質問のときに遺伝子組換え作物について質問いたしましたけれども、途中になりましたので今日はその続きをさせていただきます。
 バイオテクノロジーが、食の安全を扱う衛生植物検疫、SPS措置の章ではなくて、なぜ物品の貿易の章、第二の二十七条に入っているかということをお聞きしました。それで、政府の答弁は、未承認の遺伝子組換え食品が微量に混入するのを防ぐため、情報交換や協力を促進する話合いの場として設けられたというふうに、条文に書いてあることを繰り返し言われたわけであります。人や動物や植物の生命や健康を保護する衛生植物検疫の分野から、貿易を推進する分野に移したと。つまり、そこのところを聞いたわけですね。何でそれを移したのかと聞いたわけなんだけれども、TPPで、遺伝子組換え作物は、安全よりもやっぱり貿易を優先させたということなんじゃないのかと。
 しかし、国民はどうかというと、遺伝子組換え作物の貿易を更に推進することを望んでいるのかといいますと、そうではなくて、不安があるわけで、やはり安全を優先させてほしいと願っていると思うんです。TPP協定は、その不安を解消、解決する協定になっているのでしょうか。まず、厚生労働省にお聞きします。
#122
○国務大臣(塩崎恭久君) このTPP協定第二章でございますけれども、第二・二十七条の二というところにおいて、食の安全に関する措置を定めた第七章の第七・四条と同様に、WTOの食の安全に関する協定、いわゆるSPS協定に基づく自国の権利と義務に基づいて措置を採用することを妨げるものではない旨規定をしていることに加えて、この第二・二十七条三におきまして、締約国に対して、遺伝子組換え食品等を規制するための自国の法令や政策を採用し、又は修正をすることを求めるものではない旨、これを明記しております。TPP協定によって、リスク評価を経ていない遺伝子組換え食品の輸入等を禁止する我が国の制度の変更を求められるものではないということがまず第一点でございます。
 さらに、TPP協定第二・二十七条では、各締約国に対して、承認された遺伝子組換え食品等の一覧表とかあるいは承認された遺伝子組換え食品等のリスク評価の概要などを公にすることを求めていまして、これによって他国における遺伝子組換え食品等に関する情報をいち早く入手をすることが可能になるわけでありますので、検出法の開発などに迅速に対応することが可能となっているというところもあるということでございます。
#123
○紙智子君 なぜ遺伝子組換え作物に対して農家や消費者が不安に思うのかと。現状でも、これ、遺伝子組換え作物が管理できていないということがあるわけです。
 二〇一三年の五月には、アメリカ西部オレゴン州の農場で認可していない遺伝子組換え小麦が発見されたと。この小麦は、アメリカのバイオ企業の大手モンサント社が試験栽培を認められて、一九九八年から二〇〇五年までオレゴン州など十六州で試験栽培を行っていたわけです。商品取引されていないのに自生していたと。小麦は飼料用の銘柄と菓子向けの銘柄がありますけれども、このとき、日本政府はオレゴン州産小麦の輸入を停止したというふうに聞いています。今年七月も、今度はアメリカ西部のワシントン州の農地に遺伝子組換え小麦が自生しているということが確認をされたと。
 有機農業を行っている農家にとってみると、これ遺伝子組換えが含まれているということになったときは農作物は有機栽培と認定されなくなるということで、非常にこの事態というのは深刻だと思うんですけれども、農水大臣、いかがでしょうか。
#124
○国務大臣(山本有二君) 現在、我が国におきまして、食用として使用することを目的とした遺伝子組換え農産物のうち、カルタヘナ法に基づき、生物多様性に対して影響がないものとして栽培の承認を受けたものは六作物でございます。実際に商業栽培されているものはございません。
 今後、遺伝子組換え農産物の商業栽培を行う際には、有機農家の方など不安に感じる方々も大勢いらっしゃると思われますので、栽培圃場の周辺の有機農家等の生産者の方々と話合いをしていただくなどして、理解を得た上で進めていく必要がございます。
 農林水産省としましては、さらに、遺伝子組換え作物の承認に際しまして、科学的評価に基づきまして適切に対応していくとともに、有機農家を含む国内の生産者の方々に安心して農業を続けていただけるように丁寧に説明してまいりたいというように思っております。
#125
○紙智子君 TPP協定は、未承認の遺伝子組換え作物・生産品を貿易するときに、混入があった場合にどうするかということを定めているわけですよね。輸出国、例えばアメリカは、輸入国である日本から要請があり、可能なときには日本に情報を提供すると。可能なときと書いてあるんですけれども、必ずしもだから情報を提供しなくてもいいということですよね、可能な限りと。輸入国日本は情報などを伝えるということになっているわけです。
 そこで、第二・二十七条の七の(c)についてお聞きをするんですけれども、輸入国は、混入の発生に対処するためにとられる措置には罰則を含まないというふうにありますけれども、これはどういう意味でしょうか、石原大臣。
#126
○国務大臣(石原伸晃君) 紙委員御指摘のTPP協定第二章二十七条の七項におきましてどういうことが書かれているかと申しますと、いわゆるLLP、すなわち未承認の遺伝子組換え作物の微量混入が発生した場合に輸入国がとるべき措置を規定しているものでございます。
 御指摘の同項の(c)は、LLPが発生した場合、輸入国が行う対応措置について、自国の法令及び政策に合致する適当なものであることを確保することを求める規定でございます。また、その対応措置に罰則を含まないことが注釈で規定されております。これは条文の解釈でございますが、我が国では、この問題に対処するため、もう御承知のとおり、食品衛生法に罰則を科しているわけでございます。
 一方、それ以外の他の法令に基づいて罰則を科しても構わないということを明確化するためにこの注釈規定が置かれております。例えば、関税法の中で罰則を規定しても構わないといったことでございます。
 したがいまして、LLPに対処するためにとられる措置に罰則を含むか否かは、TPP協定第二章、委員御指摘の二十七条では規律されておらず、各国の判断で行えるようになっております。すなわち、我が国に照らして言うならば、食品の安全を確保するために食品衛生法で罰則を規定しておりますが、それは何ら変更することはない、そのままでいいということでございます。
#127
○紙智子君 何ら変更がないと言うんだけれども、わざわざ注のところにこの罰則を含まないと、この措置に対して罰則を含まないとわざわざ書き込んでいるということは、なぜそういうふうにわざわざ書き込んでいるんですか。
#128
○国務大臣(石原伸晃君) 先ほど条文の解釈の問題であるというふうに御説明をさせていただいたのでございますが、もう委員御承知のとおり、我が国は、食の安全を確保していくために、食品衛生法の中で問題処理するために罰則を科しております。
 一方、それ以外の他の法令に基づいて罰則を科しても構わないということを明記するために、この注意書きの中で、この罰則を含まないことが注釈で規定されている。すなわち、国によりましては、我が国と同じような食品衛生法ではない法律によって罰則を科している。それでも問題がないということを明確化していくために、LLPに対処するためにとられる措置に罰則を含むか否かはTPP協定第二章二十七条では規律されていない、各国の判断で行えるというふうに条文を解釈させていただいているところでございます。
#129
○紙智子君 そうしますと、その罰則を持っているところと持っていないところとかってあると思うんですけど、それはそれぞれの各国に任されるということになるんじゃないんですかというふうに私は読めるんですけれども。
#130
○国務大臣(石原伸晃君) これは多分各国とも同じだと思うんですけれども、国民の皆様方の食に対する安全性、安心、こういうものに対する関心が非常に高いわけですから、そういう自国の規制に反するようなことがあったら、様々な法律でこの罰則を含む規定を設けている。それは、委員御指摘のとおり、各国の判断で罰則を設けているというふうに御理解いただきたいと思います。
#131
○紙智子君 つまり、各国の判断ということで、未承認の遺伝子組換え作物が混入しても罰則は科さない、混入が見付かっても罪に問われないというところも出てくると。
 これは、やっぱり輸入国、輸出国で違うと思うんですけれども、輸出国に有利にする中身じゃないかと。なぜ輸出国に有利にするような必要があるのかということなんですけれども、いかがですか。
#132
○国務大臣(石原伸晃君) 一点、誤解があっては問題ですのでお話をさせていただきますと、各国とも食の安全に対する関心というのは高くて、我が国の場合は食品衛生法で委員が御指摘のような事案が検出した場合に罰則を科すという法律体系になって、これを抑止しているわけでございます。国によっては、この我が国の食品衛生法と同じような法律があるないがございますので、各国の法律の中において各国の独自の判断において罰則等々を設けましてそういうものを抑制する、規制するという形が取られていると御理解をいただきたいと思います。
#133
○紙智子君 そこのところがなかなか読み取れないですよね。要するに、これ、罰則があるかないかということではそれぞれのところに任せられるということになると、非常に罰則がないということになると輸出国の責任を曖昧にしていくんじゃないのかというふうに思うんです。
 農家も消費者も遺伝子組換え作物の安全性に不安を持っています。政府は、TPP協定でもWTOのSPS協定と同じように各国に科学的根拠に基づく適切な措置をとることを認めているんだと、だから国内の制度に影響しないというふうに言うわけですけれども、しかし先日の参考人質疑で、WTOのSPS協定では予防原則を条件付であっても認めていたけれども、TPPではこれを排除しているということでは深刻な問題を有するという指摘があったわけです。ちょっとさっきやり取りありましたけれどもね。
 この点について、指摘されていることについては、ちょっと簡潔に述べていただきたいんですけれども。
#134
○国務大臣(石原伸晃君) 先ほど御同僚の浜田委員と政府委員との間で御議論がありましたので、簡潔に結論だけ申しますと、WTO・SPS協定で認められている権利がTPP協定で排除されていることではない、上乗りさせられているということでございます。
#135
○紙智子君 そうであれば、しっかりと同じように書くべきだと思うんですね。
 それで、なかなかやっぱり不安が消えないと。なぜかというと、根本的にはやっぱりこのTPP協定については秘密交渉でやられてきて、どういうやり取りがあったかということが隠されてきたということがあって、なかなか深く理解を進めることができないという問題があったと思いますよ。
 それで、輸出国の責任が非常に曖昧になるんじゃないかということでは、モンサント社やバイオメジャーの企業が集まってバイオテクノロジー産業機構をつくっているんですけれども、アメリカの通商代表部、USTRに書簡を出しているわけです、これ二〇〇九年ですけれども。そこでは、各国が独自に行う規制をやめさせる、あるいはバイオ企業が認める最低限の基準を国際基準にするべき、それからTPP締結国で共通のルールを確立すること、貿易を中断するときにはその前にアメリカ政府に相談するなどの要求を出しているわけですね。TPP協定にはこれらをほぼ丸のみしたんじゃないかという指摘もあるわけです。
 遺伝子組換えの種子が食料や農業生産に与える問題もあると。TPPは、農家や消費者の不安よりも、言わばこういうバイオテクノロジーの企業の利益を優先するものになっているんじゃないかというふうに非常に不安を持つわけです。
 それで、次に、遺伝子組換え食品の表示について伺いたいと思います。
 日本に輸入されている遺伝子組換え作物は大豆、トウモロコシ、菜種、綿などで、そのほとんどがアメリカ、カナダ、オーストラリアの遺伝子組換え作物の生産大国からの輸入と。先ほどまた話がありましたけれども、日本は遺伝子組換え作物を世界で最も輸入し、最も食べている国民というふうに言われているわけです。
 そこで、表示制度についてお聞きするんですけれども、日本の表示制度というのは消費者の知る権利、選ぶ権利というところから見てどうなのかということで、資料を配らせていただきました。
 それで、ここに、輸入大豆製品の遺伝子組換え分析結果ということで、豆腐AとかBとかCとかということで書かれておりますけれども、日常私たちが食べているものなわけです。それで、遺伝子組換えでないという表示がされているものなんですね、これ。遺伝子組換えでない表示がされているものを農民連の分析センターが分析をしたと。そうしたら、これは農水省の検査マニュアルに沿って検査をしているわけですけれども、遺伝子組換えの原料が混入されているという結果が、ここに出ているように、混入率ずっと出てくるわけですね。誤解のないように言わなければならないんですが、これは輸入大豆が使われている商品で、国産ということではありません。
 これについて、消費者庁の松本大臣に、どのように思われるか、お聞きしたいと思います。
#136
○国務大臣(松本純君) 我が国の遺伝子組換え食品の表示制度は、実効性を担保するため、当該食品を分析し、遺伝子組換え農作物を含んでいるかどうか、科学的に検証できるものを表示義務の対象としております。また、我が国の食品表示基準においては、適正に分別生産流通管理を行ったとしても、産地や輸出港等の各段階において遺伝子組換え農作物の意図せざる混入が生じる可能性があることから、流通実態を考慮し、意図せざる混入率が五%以上のものを表示義務の対象としているところでございます。
 なお、先生御指摘の調査の結果につきましては、遺伝子が検出されたという事実でございまして、即全てが食品表示基準違反であるとは言えないと考えております。
#137
○紙智子君 遺伝子組換えでないというふうに表示されても、私たち見て買って食べるわけだけど、実は微量だけど入っているという事態ですよね。こういう事態に対して、やっぱり知って、皆さん驚くと思うんですよ。私びっくりしました、この結果を見て。それで、日本は遺伝子組換え農作物は作っていませんから、これ、輸入大豆に含まれていたというふうに思われるわけです。
 この資料の下の図を見ていただきたいんですけれども、日本の表示義務は、今大臣がおっしゃったように、混入率が五%以上というふうになっていますから、遺伝子組換え作物が少量混じってしまった場合でも遺伝子組換えでないというふうに表示できるということなわけですね。表示義務は、ここにあるように、日本、オーストラリア、ニュージーランドにはありますけれども、アメリカにはありません。
 表示の基準となる混入率では、TPP参加国の中ではオーストラリアやニュージーランド一%以下、それからEUは〇・九%ということですね。日本は五%というふうに言われたんですけれども、なぜ五%にしているのか、その根拠について教えてください。
#138
○政府参考人(川口康裕君) お答え申し上げます。
 現在の遺伝子組換え表示制度、一般でございますが、平成九年に農林水産省に設置された食品表示問題懇談会遺伝子組換え食品部会における検討に基づき制定されております。
 検討におきましては、表示の信頼性、実行可能性の観点から科学的検証及び社会的検証を行う小委員会での検討結果、これは平成十一年に出ております、これを踏まえて議論が行われたところでございます。この小委員会における検討におきましては、生産、収穫が行われる産地、あるいは乾燥、調製が行われるカントリーエレベーター、船積みが行われる輸出港あるいは輸入港、それぞれにつきまして各段階で混入が生ずる可能性があるという実態があるということでございまして、これらの段階での混入率を積み上げると流通全体では最大で五%程度の混入の可能性があるということを判断されたところでございまして、この検討結果に基づきまして、現在の制度である、意図せざる混入率を五%とすることが取りまとめられたということでございます。
#139
○紙智子君 ちょっと何回も事前にレクチャーでも聞いていたんですけど、なかなかその根拠というか、科学的な根拠というふうには、なかなかよく分からないなということなんですよね。だから、輸入港だとか港だとか乾燥のところだとか産地だとか、それぞれで積み上げていくというわけだから、具体的には何でそのパーセントになるのかというのがよく分からない回答だったんですけれども。
 それで、オーストラリアやニュージーランドは一%、EUは〇・九%なのに、日本が五%というとちょっと高いんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
#140
○政府参考人(川口康裕君) 私からは事実のみ申し上げますが、オーストラリアとニュージーランドは一つの制度で、共通の制度でございまして、遺伝子技術を用いて製造された食品基準という共通の制度に基づきまして、意図せざる混入率を一%と規定されております。また、EUにおいては遺伝子組換え食品及び飼料規則というところで決まっておりまして、意図せざる混入率は〇・九%と規定されております。
 このように各国それぞれ数字があるわけでございますが、各国の流通の事情に基づいてそれぞれ設定されているというふうに承知しておりますが、具体的な数値の根拠については承知していないというところでございます。
#141
○紙智子君 日本が、だから、ほかの国の低くしているところに合わせていくということは、やっぱり国民の多くの皆さんはもっと低くしてほしいと言っているわけですよ。これにやっぱり合わせていくということは検討されないんですかね。
#142
○国務大臣(松本純君) ただいま御説明がありましたように、流通過程において遺伝子組換えのものとの分別管理が適切に行われた場合であっても意図せざる混入が生じる可能性があるという御説明でございますが、先生の御指摘のとおり、オーストラリア、ニュージーランド及びEUに比べると我が国の意図せざる混入率が高いことは事実でございまして、この意図せざる混入率については、現在、遺伝子組換え農作物の主な輸出国である米国及びカナダの分別管理の状況について調査を実施しているところでございます。調査終了後、有識者等による検討の場において検討を是非させていただきたいと存じます。
#143
○紙智子君 先ほど全国農民連の分析センターの結果を紹介したんですけれども、検査を厳格にする技術というのが日本にはあるわけですよね。それなのに基準が緩いと。消費者の選択権を保障する仕組みにすべきだというふうに思います。
 TPPについてそこでお聞きするんですけれども、TPPは、WTO・TBT協定の権利義務を再確認し、更に強化、発展したというふうに言われます。それで、何を強化、発展させたのかということが一つと、それから、TPP協定の第八章に透明性の確保、貿易の円滑化という言葉が使われているんですけれども、WTO・TBT協定にはこういう規定があるのかどうかということを、二つお聞きします。
#144
○国務大臣(石原伸晃君) いわゆるWTOに乗っかっているもの、そして透明性のところについて何かという御質問だと思ったのでございますが、新規措置の導入や規制強化に当たりまして透明性を強化することがWTOの、委員も御承知のことだと思いますが、貿易の技術的障害に関する協定、いわゆるTBTのところに規定されております。
 TPP協定では、ではどうなっているかということでございますけれども、TPP協定の技術的障害、いわゆるTBT章においては、その透明性強化がより明確に規定をされております。
 具体的に申しますと、国際規格に適合的な措置であっても貿易に著しい影響を与える場合はWTOに通報すること、WTO通報と同時に各締約国に当該通報及び提案を電子メールで送信すること、他の締約国の利害関係者が意見を提出する期間を通常六十日間とすること、これは日付を明示したということでございます。最終的な措置の公表と実施の間に設ける適当な期間を通常六か月以上とすることなどなどを規定しております。これらは、国際規格に適合する措置であっても通報し、各締約国に電子的に送付する以外は、実は過去にWTOのTBT委員会が決定したものを確認している、上書きしている、あるいは既に我が国として実施済みであると御理解をいただきたいと思います。
 したがいまして、これらの義務の履行のために現在よりもTBT措置の新規導入や規制強化が、よく御議論になるんですけれども、できなくなるんじゃないかという御指摘があるんですけれども、難しくなるということは考えられておりません。
 以上でございます。
#145
○紙智子君 WTOのTBT協定には、この透明性の確保とか貿易の円滑化というのはなかったんですよね。
#146
○国務大臣(石原伸晃君) 前段でお話をさせていただきましたけれども、透明性を強化することがWTOの貿易の技術的障害に関する協定と言われるWTO・TBT協定にも規定をされているんです。ただ、委員の御指摘はTPP協定の貿易の技術的障害章においてはどうかという御質問であると思いましたので、その透明性強化がより明確に期待されている。そして、先ほど具体例をもってお示しさせていただいたことでございます。
 ですから、新しい、更に更にきつく書いてあるというふうに御理解をいただきたいと思います。
#147
○紙智子君 規定はなかったというふうに聞いておりました。ちょっと今答弁が違うんですけれども。元は規定はなかったんだと。だけど、今回TPPではある。
#148
○国務大臣(石原伸晃君) 今、そのWTOとTPPのTBT章の作りについて御説明をさせていただいたんですけれども……(発言する者あり)よろしいでしょうか。規定が、先ほど御説明させていただきましたように規定が実は強化されております。
 もう一つの貿易円滑化についてのWTO・TBT協定では前文において掲げております。国際貿易を容易なものとすると規定されております。TPPでは、第八章の第九条、その場所は全然違うわけですけれども、独立した条文が設けられ、適合性評価手続の結果を相互に受け入れることを促進するための仕組みなどが具体的に規定される。そういう意味では、前文にはありましたけれども、今回のは独立章で書かれている。すなわち、委員の御指摘の解釈によってはそういう解釈もなり得るのではないかと思っております。
#149
○紙智子君 ちょっと、単純に聞いているのに、ぴしっと答えてほしいんですよね。全然ちゃんと、あらかじめ聞いていたわけですから、なかったんだという答えだったわけですよ。
 透明性について、そのTPPの八・七条ですか、そこで、各締約国が他の締約国に対して自国の者に与える条件よりも不利でない条件で規格や評価手続の作成に参加することを認めるという、不利な扱いはしないという書き方をしていて、利害関係者に意見を提出するための合理的な機会を与え、当該意見を考慮すると、そのことによって義務を履行するというふうに、今度TPPのところでは書いてあるわけですけれども、これについての意味を聞きたいと思った。ちょっと短くお願いします。いろいろなことを言わないで端的に答えてください。
#150
○国務大臣(石原伸晃君) 先ほどの浜田委員との御議論の中でも、そのパーツだけを見ますと、そこに書いていないからなかったという話になるんですが、書いてある場所がWTOと違いますので、丁寧に御説明をさせていただいたというふうに御理解をいただきたいと思います。
 次は、TPPの八章の七条一項の注意書きについての趣旨でございますか、御質問の内容はと伺わせていただいたので、それでよろしいですか。(発言する者あり)はい。それを説明すればいいんですよね。よろしいですか、それを説明で。ちょっと長くなるけど、よろしいでしょうか。分かりました。
 じゃ、もうはしょって、条項とか項目をはしょって言いますと、透明性強化の観点から、強制規格等の新規導入や強制強化に際して、他の締約国の者に対して、自国の者に与える条件よりも不利でない条件で措置の作成に参加することを認めるということがその内容でございまして、いわゆる注意書きでは、締約国は、例えば、利害関係者に対して自国が作成することを提案する措置について意見を提出するための合理的な機会を与えて、当該措置の作成において当該意見を考慮することにより、この義務を履行するというふうに書いております。それが、それでいいのかということですけれども、これはそのまま我が国で行っているいわゆる既存のパブリックコメント手続を踏むことでなるというふうに理解をさせていただいているところでございます。
#151
○紙智子君 全然答えていないです。意味聞いたんですよ。合理的な機会を与えとはどういうことか、考慮するとはどういうことかと、意味について聞いているのに全然答えになっていないですよ。時間だけ過ぎちゃうわけですから、ちょっとひどいですよね、これは。
 合理的な機会、それから考慮するということの意味について聞いたんです。
#152
○国務大臣(石原伸晃君) 合理的な機会というのは合理的な機会でございまして、それを誰が判断するかといえば、各国が判断すると。その前段があるわけでございますから、説明をさせていただいているわけでございます。もし何か、イエス・オア・ノーでございましたら、何項の何は何なんだというような形でお聞きいただければ、お答えさせていただきたいと思っております。
#153
○紙智子君 要するに、これ利害関係者に意見を提出するための機会を与えなきゃならないということですよね。そして、その意見を考慮するということが書かれているわけですよ。これは単にパブコメをやればいいという話じゃなくて、実際には利害関係者の方が直接参加して意見も述べたいということだってあるんじゃないかと。
 それで、ちょっと資料をもう一回見てほしいんですけれども、現在、アメリカには遺伝子組換え食品表示制度はありません。アメリカの食品医薬局は、従来、食品と実質的に同等とみなせる場合には、遺伝子組換えに対して新たな規制もその旨の表示も必要ないと言っている。
 なぜこうなったかについて、アメリカのNPO法人の食品安全センターのペイジ・トマセリ弁護士は、遺伝子組換え食品の表示義務を見送ったことについて、多くの科学者はそこまで安全性を断定できる根拠がないと言ったわけですが、政治的判断で決まっちゃったと。その背景には想像を絶する遺伝子組換え開発企業のロビー活動があったということが二〇一三年の六月に言われているわけです。ですから、オーストラリアとニュージーランドは意図しない混入許容率は一%ですけれども、アメリカはその廃止を求めたということなんですね。
 ところが、その後、二〇一三年の六月の半ばに、アメリカはTPP交渉の進展を重視して遺伝子組換え食品の表示制度を策定することを決めたと言われています。ただし、表示の仕方はQRコードとかバーコードなんですね、ぱっと見て分かるのかなというふうに思うんですけれども。
 TPPの協定八章というのは、不必要な貿易の技術的障害の撤廃、そして透明性を高めて貿易を円滑にする、円滑化というふうに書いていると。これが目的なわけですよ。貿易を円滑化するというのが目的だと。日本の表示制度を変えるような、アメリカ政府からもバイオ企業などの利害関係者からもこれ圧力が掛かってくるのは明らかじゃないかというふうに思います。
 ちょっと時間なくなってしまいましたけれども、極めてそういう意味では危険性をはらんだ中身があるということを申し上げて、質問を終わります。
#154
○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之と申します。初めてこのTPP特別委員会で質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 我々日本維新の会としては、様々規制をなくしていって自由な貿易とか交流などを進めていくということに関しては賛成ですので、このTPPにも基本的には賛成の立場でいますが、しかしこれまでの議論を聞いていまして、知的財産分野ですね、著作権についてはどうも日本にとってはちょっと良くないんじゃないかなと、不利なんじゃないかなと思われるところがあります。もちろん、交渉事で十二か国が参加しているわけですから、全てが日本にとって百点満点が取れることはないというのは分かっているんですが、しかしTPPのこの発効自体が今どうなんだという話も出てきていますので、もしまだ再交渉が行われるとか、今後様々二国間での交渉なども進んでいくと思います、このTPP以外の国ともですね。そういったところでもこういった知的財産などについて、今から質問させていただきますけれども、このような視点というのも加味していただけたらなと、そういった思いで質問をさせていただきたいと思います。
 まず、著作権法関係、著作権の使用料についてなんですが、これは、現時点では国際収支、日本はかなりの赤字が出ているというふうに聞いていますが、現状はどれぐらいの赤字になっているんでしょうか。
#155
○政府参考人(中岡司君) お答えいたします。
 日本銀行の国際収支統計によりますと、我が国の著作権等使用料の国際収支は、二〇一五年では収入が二千四百十二億円、支出が九千九百六十五億円でございますので、収支といたしましては七千五百五十一億円の赤字であると承知をしております。
#156
○清水貴之君 国際収支、現状では相当な赤字が出ているわけです。
   〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕
 そんな中、この著作権の保護期間が今回の交渉で五十年から七十年に延びるということです。これによって日本にももちろんメリット、デメリット様々ありますが、これまでの、これは衆議院の参考人ですかね、期間が延びると使用料が単純に増え、民間の負担になるんじゃないかと、こういった意見も出ています。一方、政府は保護期間の延長によって長期間にわたり収益が得られるというような答弁もされていますけれども、そのメリット、デメリットについては政府としてどのような考えでしょうか。
#157
○国務大臣(松野博一君) 保護期間の延長によるメリットについては、まず、現在、OECD加盟国三十四か国中、著作物の保護期間が著作者の死後七十年未満であるのは我が国とカナダとニュージーランドのみであるところ、TPP協定の締結により、これらの国も含め全てのOECD加盟国において保護期間が著作者の死後七十年以上となり、国際的な制度調和が図られることになります。また、保護期間の延長により長期間にわたり得られる収益によって、新たな創作活動、新たなアーティストの発掘、育成が可能となり、文化の発展に寄与するという意義もあるものと考えております。さらに、我が国の著作物が海外においてより長期間にわたって保護されることとなるため、特に我が国のコンテンツの国際的な競争力が高い漫画やアニメといった分野を中心に、長期にわたり人気コンテンツが利用されることで中長期的な著作権料収入の増加が期待されます。
 他方、保護期間の延長に伴い、権利者不明の著作物が増加をするのではないかとの課題が指摘をされており、権利者不明著作物を含めた著作物等の利用円滑化を図ることは重要な課題であると認識をしております。
 このため、文部科学省としては、権利者不明著作物の利用のための裁定制度の改善、権利処理コストの低減のための権利情報の集約化、社会のニーズに対応した権利制限の見直しなどの必要な措置を講じてまいります。
#158
○清水貴之君 今いろいろメリット、そしてこれから取り組まなければいけない課題を挙げていただきました。メリットの中に、中長期的に著作権収入が増加するというような話がありました。
 これ、やっぱりあくまで中長期的なんですね。日本は、漫画、アニメ、今非常に海外でも日本のものが受けていますけれども、比較的やっぱり新しいものが多いです。今、海外から、特にアメリカなどからはもう昔の映画などが入ってきて著作権料というのが発生しているわけですから、日本が払うところの方が現時点では多いわけですね。
 中長期的に見たらというのも、これも、何を根拠にというところも私は非常に疑問に思うところでして、実際、この保護期間が延長されます、著作権使用料が、じゃ、どうなっていくのか、日本の収入というのはどう増えていくのか、若しくは支出がどう増えていくのか、どれぐらいプラスになるのか、こういったものはしっかり、観測ではなくて、やっぱりデータでしっかり作っていって示していくべき、そういう説得力のある資料を示すべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょう。
#159
○政府参考人(中岡司君) 著作権は登録を要することなく発生するものでございまして、日々、大量かつ様々な著作物が生み出されておるという状況でございます。それがまた流通をしているということでございます。したがいまして、市場における著作物の利用と収支の状況を個別具体的に把握をするということはなかなか困難であるというふうに考えております。
 このため、著作権使用料の国際収支につきまして、保護期間の延長によりどのような影響を受けるのかを定量的に試算することは困難でございまして、そのような試算を行うことは考えておりません。
#160
○清水貴之君 ということは、中長期的な著作権料収入が増加するというのは、これはあくまでそう思うという推測でしかないということですか。
#161
○政府参考人(中岡司君) これからの状況でございますけれども、中長期的な著作権料収入が増加することを期待しているということを先ほど大臣からも答弁させていただきましたけれども、例えば、TPP協定の署名国でございます米国やアジア太平洋諸国におきましてはコンテンツ市場規模が拡大傾向にあるだとか、あるいは、特にアジア地域において我が国のコンテンツは強い人気があるというような状況を踏まえまして、そのような期待をしているということでございます。
#162
○清水貴之君 期待ということで、あくまでそうなればということにこれなってしまいますよね。
 アメリカとの文化的なコンテンツ、この輸出入額というのは、これはアメリカの国務省は内訳を発表しています。文化的コンテンツ、日本はアメリカに払っているお金が大体八億八千ドルということですから、九百億ぐらいですかね、九百億から一千億ぐらいと。逆に、日本がもらっている額というのは一億ドル台前半ということですから、百数十億ということになります。かなりの、アメリカに対してですけれども、赤字なわけですね。
 中長期的という話が出ています。今、このアメリカ、現時点で見ていてこれだけ、もう日本は四倍、五倍というお金をアメリカに払っているわけです。これしっかりデータを取って、アメリカのもし著作権がもう五十年間近なものにたくさん払っていて、これを七十年に延ばすことによってまた赤字が継続してしまう、二十年間更に払い続けなきゃいけないものが多いと。逆に、日本というのは若いものが多いですから、まだ五年とか十年のもので、まだ四十年間このまま、五十年だったら、著作権が守られているものの方が多かったら、決して今すぐにこれを五十年から七十年にする必要はなくて、タイミングを見て日本がいい時期に、不利にならない時期に著作権の延長というのを交渉する、こういうことも考えられるわけです。
 そのためのやっぱりデータというのをしっかり取って、それを見ていく必要があると思うんですけれども、これについてはいかがですか。
#163
○国務大臣(松野博一君) この著作権の延長に関しましては、先ほど答弁をさせていただきましたとおり、国際的な調和ということがまず挙げられるかと思います。
 中期的に見てのことでございますが、まず、我が国の著作権分野に関する赤字の九七%はコンピューターソフトによるものでございまして、コンピューターソフトは、通常、委員も御案内のとおり、その流通期間が非常に短い商品でございますから、これが五十年から七十年に延期をされても、ほぼ九七%の部分の赤字に対しては影響を与えないだろうということでございます。
 あわせて、これも御答弁をさせていただいたとおり、今、アジアにおいて我が国の漫画、アニメ等を中心としてコンテンツが人気があるということもあって、そこは長期的な、五十年から七十年に延長することによって収益の増加が期待できるということで、総合的に勘案したときに、今回の著作者の死後五十年から七十年の延期ということは日本の中長期的な収益に寄与するんではないかと考えている次第でございます。
#164
○清水貴之君 今、コンピューター関係が多くて、おっしゃるとおり、コンピューターというのはもう日進月歩ですから、どんどんどんどん新しくなっていって著作権がすぐに使われなくなったりということが起きると思います。
 一方、アニメとかキャラクターとかいうのは比較的長いこと、ヒットすればですけれども、使われることが多いわけなんですけれども。といいながらも、あっ、今質問しようとした内容を忘れてしまいました。何に持っていこうとしたんでしたっけね。(発言する者あり)済みません、ありがとうございます。といいながら、このアニメや何かも今はもう、しかもITの世界なんかもどんどんどんどんスピードが速くなっていっているわけですから、長くなればなるほど様々な要因が不安定化していくわけですね。五十年から七十年ということで、あっ、また忘れてしまったな、どんどんどんどん不安定要素が増えていくわけですね。(発言する者あり)済みません、ありがとうございます。ちょっと、ここまとめて次行きます。
 ということで、やっぱりしっかりとデータに基づいたことならば私も納得ができるんですけれども、七十年にルールを統一しなきゃいけないというのは、それの方が日本が、特にこの五十年、七十年の問題でいいますと、比較的世界で七十年が多い中で合わせ切れていなかったと。このタイミングで合わせるというのは、それはそれで一つ分かる気がするんですが。
 一方で、今、中長期的と言われても、本当に不安定なところが多い中で、しっかりとこれを調べてもらってデータで示してもらう。難しいのは分かりますけれども、そういった説得力のある説明ならば理解ができるんですが、何となく、日本は今アニメ強いから、頑張っているからというのでは、ここは甘いと。現時点では日本は支払超過なわけですから、この辺りを不利な部分が多いんじゃないかなというふうに思ってしまうわけです。
 次の質問で、戦時加算についてもお聞きしたいと思うんですが、これも私データでしっかり見ていくべきではないかなというふうに思っていまして、この戦時加算、片務的な戦時加算義務を負っているのは日本だけで日本にとって不利な制度だ、見送りは残念だと、これがなくなることですね、の見送りは残念だという意見がある一方で、アメリカやオーストラリアと今回書簡が交わされていますので、この書簡によって一歩前進をしたんだと、こういった意見もあるわけです。
 そもそもなんですけれども、戦時加算で今、日本側はどれぐらい負担をしているのか、どういった著作物に対してその費用をどれぐらい払っているのか、これを政府として把握しているのかどうか、まずお聞きしたいと思います。
#165
○政府参考人(中岡司君) 現在、我が国の著作権等管理事業者が戦時加算対象国の団体に支払っております戦時加算分の使用料の金額でございますが、音楽につきまして約一億五千万円、そして美術につきましては約一千万円と承知をしてございます。これは平成二十六年度の実績でございます。
 実際に過去三年間に支払実績のある戦時加算対象作品としては、例えば音楽では、米国のアルバート・フォン・ティルザーの「私を野球に連れてって」や、オットー・ハーバックの「煙が目にしみる」、フランスのエディット・ピアフの「愛の讃歌」。美術では、フランスのアンリ・マティスの描いた「夢」などが含まれているものと承知しております。
#166
○清水貴之君 今回書簡が交わされまして、これの法的拘束力についてなんですが、ただ、その法的拘束力は持っていないというふうに理解をしています。ただ、オーストラリアから、TPP協定が両国において効力を生ずる日以降、権利は行使しない旨の書簡が来ているわけなんですけれども、とはいいながら、このオーストラリア国内でも、オーストラリア政府としてはもういいですよ、これは放棄しますよということを言っているわけですが、ただ、オーストラリアの国内の業者さんとかそういう団体が、いやいや、それは国が勝手に言っているだけだから我々は下さいよといった場合は、これは対応としてはどうなるんですか。
#167
○国務大臣(松野博一君) 委員御指摘のとおり、この書簡に関しては法的拘束力は発生をいたしませんが、戦時加算は重要な課題であるということで、協定署名国の関係国政府間で文書を交わして、戦時加算問題への対処のため、権利管理団体と権利者との間の対話を奨励をするということ、必要に応じ、これらの対話の進捗状況を把握したり、他の適切な措置を検討するために政府間で協議を行うということを確認をしております。
   〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕
 これらの文書は法的拘束力を有しませんけれども、官民連携による戦時加算義務の現実的な打開に向けて意味ある一歩であったと考えております。
#168
○清水貴之君 先ほど、メリット、デメリットのところで、大臣からありましたこの保護期間の延長による権利処理コスト、これの増加というのも見込まれると。これは恐らく発生するだろうというふうに思います。孤児作品、孤児著作物と言われるものがその分増えるわけですね、死後が、相続のこの期間が長くなればなるほど、相続関係などで誰が実際その権利を持っているのかということが分からなくなるわけですから、これをしっかりと調べていくのには非常な大きな労力、コストが掛かるわけですね。
 こういった死蔵作品の増加を抑えるための対策、様々していきますと言いましたが、具体的にはどういったことが考えられているんでしょうか。
#169
○国務大臣(松野博一君) TPP協定による権利保護の強化に加えて、権利者不明著作物を含めた著作物の利用の円滑化を図ることは我が国の文化の発展のためにも重要な課題であると認識をしております。
 委員御指摘の権利者不明の著作物については、著作権法による裁定制度がありまして、権利者を捜索しても連絡が取れない場合には、文化庁長官の裁定を受けて補償金を供託することにより適法に著作物を利用することができます。
 これまで、この裁定制度については、より簡便に裁定を受けられるよう権利者捜索に係る要件を緩和するなどの改善を行ってまいりました。さらに、今年度は、権利者団体の協力を得て、権利者の捜索に係る負担を軽減する方策や補償金の供託義務の見直しについて検討を行っております。
 今後とも、裁定制度の改善を通じて、権利者不明著作物の円滑な利用の確保に努めてまいります。
#170
○清水貴之君 そのように様々対策を取るにしても、そもそもなんですけれども、孤児作品というのは全作品の大体五〇%ぐらいになるんじゃないかというふうに言われているわけですね。そうしますと、もうそういったものよりも、残りの五〇%、権利がしっかり分かっている人たちが、これは権利として登録をします、登録をするからその場合著作権料が発生しますよと、こういった仕組みにした方がいいんじゃないかと、このような議論も行われてきたと聞いていますが、これに対してのお考えというのはいかがでしょうか。
#171
○国務大臣(松野博一君) 御指摘のような登録の有無により著作物の保護期間を異なることとする制度は、政府としては、著作権の享有、行使に当たっていかなる方式も必要とされないとするベルヌ条約の原則、いわゆる無方式主義ですが、に抵触する可能性が高いと理解をしております。そのことから、そのような制度を取ることは困難であると考えております。
#172
○清水貴之君 続いて、今回著作権等侵害罪の非親告罪化というのも導入をされることになるということなんですが、この非親告罪化、権利者が直接訴えを起こさなくてもいいということなんですが、これを先に導入した韓国では、著作権侵害を警察が独自に立件した例が二〇一三年におよそ二万五千件も起きたということなんです。
 こうやって警察の摘発が多数起きるわけですから、それをいいことに、例えばインターネット上とかホームページ上とかで、ちょっと著作権があるのかどうか分からないけれども、他人の写真を使った、絵を使ったみたいな人に対して、いやいや、そんなことをしていたら警察から訴えられますよ、どうするんですかというようなことで悪質にお金を取ったりするような、そういったビジネスというのも起きて社会問題化しているというふうに聞いています。
 こういったことが起こらないための対策も必要だと思うんですが、日本ではこういうことは起きる可能性というのは大丈夫なんでしょうか。
#173
○政府参考人(中岡司君) 非親告罪化を契機として、そういった韓国で急増したようなビジネスが起こるんじゃないかという御懸念ということでございますけれども、韓国の非親告罪の要件自体は日本の要件とかなり異なっているということを前提にしていなきゃいけないわけでございますけれども、我が国、今回の改正案におきましては、この非親告罪化にいたします場合には三つの要件を課しておりまして、対価を得る目的又は権利者の利益を害する目的という一つの要件、二つ目には、有償著作物等について原作のまま譲渡、公衆送信又は複製を行うものであるということ、三つ目には、有償著作物等の提供、提示により得ることが見込まれる権利者の利益が不当に害されることとなる場合であることの要件の全てに該当する場合に限って非親告罪とすることとしております。
 これは悪質な海賊版等、こういったものを取り締まっていくということに資するわけでございますけれども、委員御指摘の二次創作というようなことになりますと、一般的には原作のまま著作物等を用いるものではないこと、また、市場において著作物等の正規品の販売等と競合するものではない、また、有償著作物等の提供、提示により得ることが見込まれる権利者の利益が不当に害されることとなる場合との要件に該当しないと考えられますことから、非親告罪とはならないというふうに整理されると思います。
 すなわち、二次創作活動による著作権等侵害行為につきましては、仮に権利者ではない第三者が騒いで告発をしたといたしましても、権利者の告訴がなければ公訴を提起できないいわゆる親告罪でございますので、今回の改正により何ら変わるものではないというふうに考えております。したがいまして、今回の改正は、御懸念のように、第三者が二次創作を行う者を告発によって萎縮させたり金銭の支払を求めることを許すものではございません。
 文部科学省といたしましては、改正法の施行に当たりましては、この二次創作活動の萎縮といいますものを招くことのないよう、非親告罪化の趣旨や要件の具体的内容につきましても十分に周知を図ってまいりたいと考えております。
#174
○清水貴之君 萎縮をしないようにというのは是非進めなければいけない問題だと思います。
 ただ、ネットなどで今はわあっと広がって炎上現象などが起きる可能性もあると思うんです。新しいところではオリンピックのエンブレム問題というのが起きました。知的財産権の専門家の間では、あれは著作権侵害ではないんじゃないかというのがもう意見の大勢だったそうなんですが、国家を挙げたあれはプロジェクトでしたけれども、四週間で撤回を余儀なくされました。もうネットや、若しくはマスコミ報道などで一気に広がっていくわけですね。
 ですから、今おっしゃったとおり、厳しい要件があるのは分かるんですが、これ、なかなかこの要件というのをちゃんと理解している人とか分かっている人というのは世の中に本当にもうそんなに多くないんじゃないかなというふうに思うわけですね。そういったところでしっかりと、萎縮活動が起きないように、若しくは炎上が起きないような告知とか周知というのをしっかりするべきじゃないかと思いますけど、するという話は今ありましたけれども、どう進めていくおつもりですか。
#175
○政府参考人(中岡司君) 先ほど申し上げましたように、特に二次創作活動についての萎縮効果といいますものが生ずることがないように、この趣旨とか要件の具体的内容につきまして十分に周知をするわけでございます。例えば、文化庁のホームページにおける解説とかQアンドAの掲載だとか、関係団体への通知発出、説明等々、様々な手段を活用いたしまして周知に努めてまいりたいというふうに考えております。
#176
○清水貴之君 今後のことで話をしますと、AI著作物、人工知能ですね、こういったものによる著作物をどうしていくかというのも問題ではないかなと。今もうそういう様々人工知能進んでいますので、もう人工知能で、AIを使って文章を書いたりとか何か創作物を作ると。それができ上がったものが、じゃ、本当はコンピューターが作ったんだけれども人間が作ったかのように発表する場合だってこれはできていくでしょうし、こういったものに対応していかなければいけないと思うんですね。
 AI著作物を現在の著作権法では保護をしていないというふうに聞いていますが、ただ、対策考えていかなければいけないと思います。どのように現状では考えているのでしょうか。
#177
○政府参考人(井内摂男君) お答えを申し上げます。
 委員御指摘のとおり、人工知能によりまして自律的に生成される創作物、いわゆるAI創作物が現実のものとなっていくにつれまして、情報量の爆発的な増大という形で、人間による創作活動を前提としている現在の知財制度やあるいは関連する事業活動に影響を及ぼしていくことが考えられるところでございます。
 本年五月に政府の知的財産戦略本部で決定されました知的財産推進計画二〇一六におきましては、AI創作物につきまして、現在の知財制度上、権利の対象にならないというのが一般的な解釈であることを確認いたしました上で、例えば市場に提供されることで生じた価値などに着目いたしまして、一定の価値の高いAI創作物については、投資の保護と利用の促進の観点から、知財保護の在り方について更に検討が必要としたところでございます。
 この知財計画二〇一六を受けまして、この十月には知的財産戦略本部の下に新たな情報財検討委員会という検討体を設置いたしまして、AI創作物だけではございませんで、AI創作物を生み出すいわゆる学習済みモデルというのもございますが、そういったものの取扱いも含みますAI全般に関する知財制度上の課題につきまして検討を行っているところでございます。
 今後、人工知能の関連技術の進展でございますとか国際的な議論の動向も注視しながら、関係省庁と連携して更に検討を深めていく予定でございます。
#178
○清水貴之君 最後にお聞きしたいんですけれども、今質問させていただいたように、まだまだ詰められるんじゃないか、若しくはしっかりとデータなどに基づいて、日本の損得でいいますと得の部分をしっかり示してもらいたい、若しくは得が多くなるような交渉を進めてもらいたいというようなことも思います。今後もし、TPPがどうなるか分かりませんけれども、再交渉していくとか、この部分についてもっと深く交渉していくとか、そういった部分があるのかどうなのか、その辺りについて大臣に最後お聞きしたいと思います。
#179
○政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。
 協定の再交渉の御質問でございますが、協定は知的財産分野も含めまして全体をパッケージとして合意したものでございまして、一つの分野だけを取り出して再交渉するということはなかなか難しい。これは総理も大臣も常日頃申し上げておりますが、再交渉はしないというのが我が国の基本的な考え方で、これは各国とも共有されているところでございます。
 その上で、先生の問題意識に照らして申し上げますと、著作権を含めた知的財産は、保護とそれから利用の促進、この両面、バランスが重要でございます。どの国も基本的な考え方として、国際協定に基づく国際標準的な形で、これ、国際協定は保護にやや力点を置く嫌いがございますので、国内の政策対応で利用促進ということでバランスを図るということでございます。TPPの政策大綱におきましてもその部分うたっておりますので、引き続き、先生の問題意識も踏まえまして、関係省庁と連携して政策対応を行っていきたいと考えております。
#180
○清水貴之君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#181
○山本太郎君 ありがとうございます。
 今朝起こった地震によって被害に遭われました皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
 自由党の山本太郎です。世間では、分かりづらい、話に付いていけない、大評判でございます、このTPP。会派を代表して質問いたします。
 恐らく、国会議員であっても理解されていない方々、勉強を諦めた方、たくさんいらっしゃると思います。この審議、ネット中継で御覧になっている方々も多数いらっしゃいます。どうか多くの人々が理解できるよう、簡潔に分かりやすくお答えください。
 SPS、検疫について、TBT、表示について話を進めてまいりたいと思います。
 資料の一でございます。(資料提示)
 先日の質疑の中で、石原大臣の答弁なんですね。実際には資料にあるとおりの少し長めの答弁なんですけれども、これ、要点だけピックアップすると、TPP協定では、いわゆる予防原則について明示的には触れられていないと答弁する一方で、加盟国が食品の安全を確保するために必要な措置をとる権利が認められている、こうおっしゃった。
 ちょっと何か難しいなと思うんですよ。このフルバージョンで見たとしても、これを聞いて何人の国民が正しく理解できるのかな。いや、国会答弁というのはそういうものなんだよと言われれば、まあそれまでなんですけれども。国民の理解を得られるようにと毎度呪文のように皆さんおっしゃっているわけですから、そこの部分、努力する必要があるだろうと思います。
 シンプルに是非一言でお答えいただきたい。これ、石原大臣の御発言なので、是非大臣にお答えいただきたいんです。ありがとうございます。TPPでは予防原則に基づいた食品の安全確保のための措置をとることができますか。できる又はできないでお答えください。
#182
○国務大臣(石原伸晃君) 食の安全、これまでもこの委員会で今御議論が一番熱心にされてきている一つのテーマだと思いますが、我が国が、科学的根拠に基づいてこれまでもやっておりますし、これからもしっかりと規制せねばならぬということについては規制をすることができます。このTPP協定によってそれを動かされるものではない、このように御理解をいただきたいと思います。
#183
○山本太郎君 こんな簡単な質問に対して一言で答えられないというのが非常に怪しい、そう思っちゃうんですよね。一言で答えられるんですよ。しかも、答えてほしいことを答えていない、質問に答えていない。
 その答えていなかった部分についてお話しします。そもそも予防原則って何ですかということをお話しする。
 環境や食品による人体などへの被害の重大性が科学的に完全には分かっていなかったとしても、予防対策としてそれを実施する、原因物質などを排除するという考え方。危険か安全か、はっきり分からないものに関しては危険という認識を持って措置をする、これ真っ当な考え方ですよね。この予防原則に基づいた措置が人々の健康や生命を守るためにいかに重要か、私たちの国は身をもって経験している。つまり、予防原則の重要性は日本の公害経験からも明らか。
 例えば水俣病、一九五三年頃、熊本県水俣市周辺で発生、たくさんの住人が水銀中毒による中枢神経障害を引き起こした。原因は、新日本窒素肥料が海に廃棄した廃液中のメチル水銀。魚介類で生体濃縮され、これを食べたことにより起こった。被害の拡大を防ぐ機会は何度もありました。
 ざっくり振り返ります。一九五三年頃から猫が死に至る奇病が相次ぐようになった。三年後、五六年五月、原因不明の奇病が人間に対して多発しているという報告が病院から水俣の保健所に入った。これが水俣病の公式発見とも言われていますよね。その年の十一月、水俣病の原因は重金属中毒であり、魚介類の摂取によって人体に侵入、汚染源はチッソの水俣工場の廃液が疑われると熊本大学医学部研究会が報告。翌年八月、熊本県は被害の拡大を防ぐために、食品衛生法による水俣湾産魚介類の捕獲、販売禁止措置を厚生労働省に打診、しかし厚労省は、この地域の魚介類が全て有毒化しているという明らかな根拠が認められないので、当該地域で捕獲された魚介類全てに対して食品衛生法の規定を適用することはできない、そう言った。結果、どうなったか。被害はより拡大した。
 一九五九年三月、水質保全法、工場排水規制法のいわゆる水質二法が施行。しかし、水俣湾周辺は推定水域に指定されず、アセトアルデヒド製造施設も特定施設指定されず、排水規制も行われなかった。魚介類の捕獲、販売が禁止されたのは一九七三年六月。最初の兆候として注目された猫が死に至る奇病から二十年もたった後。二十年ですよ。何度も予防原則に基づいた規制を行うチャンスはあったけれども、放置したことにより多くの被害者が発生した。
 予防原則の非適用による典型的な失敗例として、アスベスト被害も有名ですよね。環境省自身も、アスベスト問題に関する環境省の過去の対応についてというレポートで、予防的アプローチができなかったことがアスベスト被害を拡大させた原因と認めている。
 ほかにも予防原則に基づいた施策が行われず被害が拡大した事例は、イタイイタイ病、四日市公害、六価クロム鉱滓事件、土呂久ヒ素公害、カネミ油症事件、杉並病などなど、被害が確認されてから対症療法的に取り組んだのでは手遅れであり、取り返しが付かない。だからこそ予防原則が重要なんだということですよね。
 ここで、通告した質問で聞くつもりだったんですけれども、時間がもうないので、そのまま進みます。
 何を聞いていたか。遺伝子組換え作物による健康被害はあったんですかということを聞いた。そして、そればかりでなく、日米並行協議で一年以内に承認を完了させる約束をした四つのアルミニウム添加物に対して健康被害はありますかという質問をした。それに対する答えはもう分かっているんです。ない。ないなんです。どうしてか。人体に影響があると科学的根拠に立脚したものでなければ人体に影響があるとは言い切れないので、ないという答えになる。遺伝子組換え作物は御存じのとおり諸説あり、虫も食わないものを子供に食べさせるのか、そういう人々もいる。そして、早速アメリカ様に差し上げた。一年以内に日本の承認を完了しなさいよという四つのアルミニウム添加物のうちの一つはEUでは禁止されています。
 予防原則に立ち、もっと慎重になるというスタンス必要なのに、何か違う方向行っていません。国民の健康と生命を守ることにつながること、予防原則に立つ以外ないんだって話なんですよ。
 続いて、先ほどの発言から、大臣にもう一度お聞きしたいんですね。資料一にある以前の発言。TPPのSPS規定は、WTOのSPSと同様の措置をとる権利が認められる。ここからです、聞きたいことは。つまりは、予防原則に基づいた措置もとれるという理解でいいですか。イエスかノーかでお答えください。先ほど長い答弁を返された紙さんのときにも、イエスかノーかで言ってくれたら答えるのにということをおっしゃっていました。予防原則に基づいた措置もとれるんですか、WTOと同じようにということですよね。そういうことでよろしいでしょうか。
#184
○国務大臣(石原伸晃君) 私も水俣には何度か御訪問させていただいておりますけれども、いまだに多くの方々が苦しんでいる、そしてその病を科学的に実証することができずに、当時と今のテクノロジーの差というものはありますけれども、昭和四十数年まで放置していたということには、今行政府の中にいる一人として深く反省をしているところでございます。
 その上で、先ほども御答弁をさせていただきましたとおり、我が国の規制に対して、このTPPは排除しているわけじゃないんですね。そして、委員の御指摘は予防原則についてでございますけれども、もちろん科学的に実証できたものについては誰からも文句言われない。しかし、情報を集めるわけです、入手可能な適切な情報を。それに基づいて暫定的な措置をとるということを排除しているものではないということも再三御答弁させていただいているところでございます。
#185
○山本太郎君 ごめんなさい、また答えてくれていない、はっきりと。予防原則に立てるのか立てないのか、どちらなんでしょう。立てるか立てないかでお答えください。
#186
○国務大臣(石原伸晃君) 何度もお話をさせておりますけれども、TPPの問題で、このSPS章においても、あるいは委員御指摘のWTOのSPS協定と同様に暫定措置をできるというふうに考えております。ですから、委員のお答えに対する答えはもう既にしっかりと申し述べさせていただいております。
#187
○山本太郎君 はっきり言ってくださいよ、じゃ、予防原則に立てますって。お願いします、大臣。
#188
○国務大臣(石原伸晃君) 法案の文言がどうなっているかということに立って、私は法案を担当している、十一本の法案を担当している大臣でございますので、このTPA協定の方については、その協定の解釈についてお話をさせていただいている、御答弁させていただいたとおりでございます。
#189
○山本太郎君 大臣はうそを言われていないんですよ。遠回しに予防原則に立てないということしか言っていないんです。予防原則に立てないということをごまかすための答弁をずっとなさっているんですよ。
 どういうことか説明します。
 TPPのSPSの規定がWTOのSPSと同様であるならば、予防原則は適用できませんよ。なぜなら、WTOでは予防原則が否定されたから。リスク分析、つまりは科学的根拠に立脚したデータなどを示すことができなければ規制することができないということですよ。これは予防原則とは全く違う考え方ですよね。政府は、上手にその二つ混ぜ合わせながら、いかにも予防原則に立つことが排除されていないような雰囲気をつくっているけれども、でたらめじゃないですか。
 余りにも有名、先ほどほかの委員からも話があった、アメリカがEUを訴えたホルモン牛の輸入制限事件において、WTOで明確に予防原則否定されているじゃないですか。
 ざっくり説明します。この事件では、EUは成長ホルモンを投与した牛の肉を発がんのリスクがあるということで健康リスクを理由に輸入制限。このEUの措置がWTOのSPS協定に違反するとして、アメリカとカナダがEUを訴えた。このときEUは、予防原則というものが国際慣習法として定着しており、予防原則に基づく措置はSPS協定違反にならないと主張。結果、どうなりました。完全に敗北じゃないですか。
 石原大臣言うところの、TPPのSPS協定の規定はWTOのSPS協定と同様であるならば、TPPにおいて、ホルモン牛輸入制限事件で明らかになったとおり、予防原則に基づいた措置はSPS協定違反となる。リスク分析でのみ、つまりは科学的根拠に立脚した証明責任を果たすことができた場合のみ新たな規制が掛けられる。食の安全や健康に対する脅威を止めることができる話になる。
 検疫に関するTPP協定文の第七章九条二項、客観的で科学的な根拠に基づいていることが該当する部分じゃないですか。報復関税掛けられてもいいんだと、国民の生命と命を守るというなら別ですけれども、その気概、安倍政権にあるとは思えませんよ。その場しのぎで言ったとしても通用しません。
 例えば子宮頸がん、このワクチンで副反応で苦しむ少女たちに対して大胆な救済行われていますか。ワクチンの勧奨再開を狙っている状況を見ただけでも、それははっきり言えること。
 日本独自の食品や環境の基準、表示を採用するためには、客観的で科学的な根拠に基づいていること、つまり、人体に影響があるという蓋然性がはっきりしなければならない、その立証責任を果たさなければならない。それらが果たされないまま基準や表示を行った場合は当然ISDSで訴えられる可能性が出てくる。
 でも、政府はこう言っている、ISDSについて。第九章、投資の章にのみ適用する、投資の章以外は関係ないと言っている。でも、そうですかって。SPS、TBT関係ない、ISDS関係ないって言っている。お花畑かよって。ほかの章の違反であっても、投資財産を持っている外国投資家が損害をかぶれば、第九章の投資の章に規定された内国民待遇、公正衡平待遇義務や収用の禁止に違反するという主張によってISDSで訴えられる可能性、十分じゃないですか。
 フィリップ・モリスとオーストラリア政府の話。たばこのパッケージに関して訴えたでしょう。たばこのパッケージは本来たばこ会社が自由に使えるけれども、けれども、政府がパッケージの一定の面積を使って喫煙は健康リスクがあるといった表示をしろと要求した。それ、パッケージの表面、奪い取ったことと同じだよ、間接収用ですよということで訴えられたじゃないですか。政府が言うISDSは第九章、投資の章でしか使われないというのは詭弁なんですよ。
 言いたいことは山ほどあるんですけど、その先に進みたいんですね、もう時間がないんで。
 お聞きします。このISDS、非常に危険。それだけじゃなくて、SPS、要は歯止めがない、予防原則が使えないSPS協定、そして幅広く投資先の政府を訴えられるISDS条項とが組み合わさるというのは、これ危険極まりないのは明らかですよ。じゃ、どうすればいいですかって。せめてISDSを使えないようにしたらどうですかって。そういうこと、できないんかな。
 お聞きしたいんですけど、TPP加盟国同士でISDSをお互いに使わないというふうに約束しているような国って存在しないんですか。大臣、御存じですよね、教えてください。
#190
○国務大臣(石原伸晃君) ISDSについては、互いに投資家が相手国を訴えるという制度でございます。
 そして、委員はすごく曲解されておりますので、是非条文を読んでいただきたいと思います。第七条、第九条、科学及び危険性の分析。衛生植物検疫措置の適用に関する協定の関連する規定に基づく締約国の権利及び義務を認めつつ、この章のいかなる規定も、締約国が次のことを行うことを妨げるものを解していない。ここに(a)、(b)、(c)とありますので、(c)だけ読ませていただきます。「衛生植物検疫措置を暫定的に採用し、又は維持すること。」。先ほど御答弁させていただいていますとおり、暫定的な措置を導入することが可能であるということで、委員の解釈が間違っていると御理解いただきたいと思います。
#191
○山本太郎君 WTOと解釈が一緒なんだから、予防原則守られないのは当然じゃないですか。そんなこと言ったって無駄ですよ。このままか緩めるか、どちらかじゃないですか。当然です。
 先ほどのお答えいただいていませんよ。質問にも答えずに一体どういうつもりなんですか。分からないから答えなかったんでしょう。
 どの国がTPP、このTPP合意後に、このISDSに……
#192
○委員長(林芳正君) 時間が参っておりますので、おまとめください。
#193
○山本太郎君 済みません。
 ISDSに対して、TPP合意後、ISDSを使わないでおこうという二国間の合意をした国がオーストラリアとニュージーランドですよ。それも答えられないんですか。
 委員長、済みません、理事会でお諮りいただきたいんです。もっと詳しい甘利さんを呼んでください。お願いします。
#194
○委員長(林芳正君) 後刻理事会で協議します。
#195
○山本太郎君 終わります。
#196
○薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。
 先日も参考人質疑させていただきましたので、せっかくですから農業についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 私、参考人質疑の際にも申し上げましたけれども、TPP批准する批准しないにかかわらず、しっかりと農業の基盤強化というものをこれから日本は行っていかなければならない。そのために、いわゆるピンチをチャンスに変えるというこの発想こそ今の日本には必要なんではないかということでございます。私も構造改革特区の評価委員としていわゆる規制改革に取り組んでまいりました。その中で、やはりこの農業分野というものが大変なかなか風穴が空かない分野の一つでもございました。
 TPPの協定というものを批准するからには、更に農業を活性化していく、その活性化したい農業、資料一に、お配りさせていただきましたけれども、実は高齢化というものが大変深刻な問題でございます。ここにも書かれておりますように、平成二十七年二月、これ平均年齢が六十七歳。普通でしたらもう退職という、その年が平均年齢だという、こういう現状でございます。
 私は、これではTPP協定を批准したいということ自体がまさに危機的な状況なんではないか。それをしっかりとつないでいくためには、若者がもっと農業に参画して、生活に十分な収入を得られるための新たな改革策というものを次から次へと打ち出していかなければならないと思うんですが、まだまだそれが不足している。大臣、いかがでしょうか。教えてください。
#197
○国務大臣(山本有二君) おっしゃるとおり、現状の日本農業はかなり厳しいものがございます。耕作放棄地の面積もなかなか低減できていないし、また、集約もまだまだでございます。さらに、御指摘の主業農家の平均年齢も上がりつつございますし、就労の人たちの平均年齢もさることながら、六十五歳以上の方々が六三%いらっしゃるというような現実もございます。
 こうしたことを乗り越えながらTPPを迎えるということのこの現状からして、かなり過酷な条件をクリアしなけりゃなりません。その意味で、御指摘の、若者が農業に参入するということはもう何より急務でございます。
 したがって、平成二十四年度から就農準備段階あるいは営農開始直後の青年就農者を対象とした青年就農給付金の交付、これを行っております。さらに、農の雇用事業による農業法人等における雇用就農者の研修の支援、これも行っております。さらに、無利子融資等を活用した機械、施設等の取得の支援等も実施しているところでございます。また、全国及び都道府県段階における新規就農希望者に対する相談窓口の設置、あるいは就農希望者や地方公共団体、農業法人等を一堂に会した就農相談会、新・農業人フェアの開催を実施しているところでございます。就農希望者からの相談件数は年間一万八千件、フェアの入場者は八千人になっております。
 それで、最近、新しい四十九歳以下の方々が九年ぶりに二万人を超えました。そういう朗報もあるわけでございますけれども、まだまだ新規就農者が少ない点、そして若者が少ない点、これから注力してしっかり対策を講じていきたいというように思っております。
#198
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 まだまだ農業というものが魅力的な産業として若者に映っていないということ、私も大変これは危機的状況だと思っております。農業の皆様方、農業法人に就職するという方法だったら入れるんだけれども、農業委員会のようなところにかかってしまうとそれが拒否されてしまって、自分が農業をやりたくてもなかなか農地を持てないという等々がございます。
 例えば、大規模農家というよりも小規模農家の方がしっかりとした財政基盤を有していて、安直な競争政策というものが農業に適さないという、普通の商工業とは逆行するような、そういう基盤も農業にはあるということでございます。そうすれば、若者もどんどん農業として大きくしていこうじゃないかという夢もここで絶たれてしまうわけです。
 今後TPPを批准するに当たって、日本も低コストで生産性の高い農業というものをつくり出していかなきゃいけない、クリエーティブしていかなきゃいけない、そのためには農業の大規模化などのいわゆる構造改革というものも必要ではないかと思いますが、大臣の御意見いただけますでしょうか。
#199
○国務大臣(山本有二君) 重要な御指摘でございます。
 農業従事者の高齢化、先ほど申しました耕作放棄地の増大、こうした課題を乗り越えて農業の成長産業化を図っていくというためには、どうしても規模拡大、コスト削減、必要でございます。農業の生産性の向上を図り、その競争力を強化していくことが不可欠であるという認識でございます。
 このため、まず、農地中間管理機構によりまして担い手への農地集積、集約化の推進を行っております。日本政策金融公庫による成長に必要な事業資金の供給を通じまして、農業経営の規模拡大や事業の発展を支援するということにも努力しております。多収化、高品質化、省力化等が可能となる新たな品種、作付け体系の導入、ICTの活用などによりまして、農業現場における課題の解決等、生産性の向上を図り、意欲ある農業者の経営改善努力を後押ししていくこととしております。
 加えまして、御指摘の農業者の所得向上を図るためには、農業者が生産資材を一円でも安く調達できる生産供給構造を実現することも他方大事でございます。このため、生産資材の業界構造、法規制の在り方等見直しなどを含めまして、生産資材価格引下げに向けた具体的な方策を検討しているところでございます。
 引き続き、こうした施策を進めることによりまして、農業や関連産業が世界に飛躍できますように全力を挙げて取り組みたいというように思っております。
#200
○薬師寺みちよ君 大臣、ありがとうございます。
 愛知の農業は大変元気が良く、養父市においてもその運用に関わっているような農家さんもたくさんございます。ですから、是非こういった若者が参入したくなるような農業というものを、これからのこのTPPというものを批准するに当たりまして、新しく、大臣のところでしっかり手元で温めて、それを発信していただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 ところで、私も医師でございますから、医療のことについて取り上げざるを得ません。最近、塩崎大臣が食の安全については立っていただいているんですけれども、なかなか医療のことについて御答弁いただく機会が少のうございますので、しっかりと医療のことにつきまして今日は御答弁いただきたいと思います。
 以前からこれは指摘されている問題なんですけれども、TPPのこの協定を批准すると皆保険制度が崩れてしまうぞ、何回か衆議院でも御答弁いただいておりますけど、やはりそれを御答弁いただいたとしても、説明責任が果たせない、若しくは、山本議員ではないですけれども、言葉が難しくて理解できなく、皆様方が本当に大丈夫なんだろうかとまだまだ疑いを持っていらっしゃいます。
 まず、このISDS条項などがかかりまして、明確に表明されているこの日本の医療の分野、公的な医療保険制度、参入障壁だとして海外から提訴されるという懸念はないんですね。そして、この皆保険制度というものがしっかり守っていただけるという保証をいただけますでしょうか。大臣、お願い申し上げます。
#201
○国務大臣(塩崎恭久君) 結論的に申し上げれば、このTPP協定には、民間医療保険の参入や、いわゆる混合診療、この解禁などについて、我が国の公的医療保険制度について変更を生じさせるような内容は含まれていないと、国民皆保険はしたがって今後も堅持されるということだと思います。
 ISDS条項による訴えが提起されるという懸念が示されているわけでございますけれども、TPP協定におきまして、投資受入れ国が、公共の福祉に係る正当な目的のための必要かつ合理的な措置、これを差別的でない態様で講ずることが妨げられないということが投資章の複数の規定で確認をされています。
 また、社会保障、それと社会保険等のいわゆる社会事業サービスについては、附属書の二というのがあって、そこで我が国は内国民待遇等の投資章の一部の規定に適合しない措置などを将来にわたって包括的に留保をしているということでございます。
 公的医療保険に関して我が国は、公共の福祉に係る正当な目的のための必要かつ合理的な措置を差別的でない態様で行ってきておりまして、我が国の措置がTPP協定、あるいはその中の特に投資章上の義務違反になることは考えられないことから、ISDS条項により外国投資家から損害賠償等の訴えが提起されることは想定し難い、なおかつ、万一訴えられたとしても敗訴することは想定されないというふうに思います。
 今後とも、日本が誇れる国民皆保険制度を堅持をして、安全、安心な医療が損なわれることのないように取り組んでまいりたいと思います。
#202
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 これで皆保険制度が守れたとしても、次の心配というものが実際に今起こってきております。
 実は、アメリカの事例を挙げましてそういうことを訴える方々がいらっしゃるんですけど、アメリカは自己破綻なさった方の六割が実は医療費が原因だったということ、このぐらい高騰している。TPP批准することによって保険が適用される範囲を縮小していくんじゃないかという、そういう懸念があるという声があります。大臣、そこのことにつきましてしっかりと御答弁いただけますでしょうか。
#203
○国務大臣(塩崎恭久君) 米国のような民間保険の場合のことを想定されての御質問だと思いますが、我が国では、国民皆保険の理念の下で、必要かつ適切な医療は基本的に保険診療とするということとなっています。
 TPP協定にはそもそも、民間医療保険の参入とかあるいは御指摘の公的医療保険制度の範囲を縮小することなど、我が国の公的医療保険制度について変更を生じさせるような内容は先ほど申し上げたとおり含まれていないわけでありまして、今後とも、この皆保険制度はしっかり堅持をして、医療の安全、安心を守っていくということを私たちは基本としていかなければならないというふうに思います。
#204
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 これで保険というものがもし守れても、次にまた新たな問題が今発生をしております。
 このISD条項によりまして、アメリカ等の製薬会社が、日本政府が薬価を安価に維持しているのではないのかというようなことで公平な競争を邪魔していると訴えることも可能になるんじゃないか、そうすることによって、私どもが今しっかりとお薬も安価で得られることができるようなこういうシステムというもの自体が破壊されるのではないか、そういう声も出てきておりますが、大臣、御答弁いただけますか。
#205
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、TPP協定において、投資受入れ国が公共の福祉に係る正当な目的のために必要かつ合理的な措置を講ずることは妨げられないということが投資章に書かれているわけでありまして、例えば第九・十六条においては、各国が健康などの目的のために適当と認める措置を行うことを妨げるものではないことが確認されております。
 それから、先ほど申し上げた附属書の二というところで留保されている社会事業サービスの中に当然薬価制度も入るということであり、薬価制度に関する措置は我が国の国民皆保険を守るという公共の福祉に係る正当な目的のためにとる必要かつ合理的な措置を差別的でない態様で講ずるものそのものであり、それから中央社会保険医療協議会、中医協で、内資、外資を問わず関係者の意見を聞いて検討するものということでございますので、協定には違反をせず、仮にISDS条項によって外国投資家に訴えられたとしても、我が国が敗訴することは想定されないというふうに思います。
#206
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます、大臣。
 私はここで聞いていればそれで納得できるんですけど、やはりこれをもっと分かりやすく国民に説明をしていくことが大切なんじゃないでしょうか。そうやって不安が不安を生んでしまうことによって、TPPというものがどういうものか、恐れに変わってしまうんですね。やはりそこがまだまだ私は政府の皆様方に足りない点だと考えております。
 特に医療というのは、生命というものに関係をいたします。ですから、しっかりとこれから大臣に行っていただきたいことは、分かりやすい言葉で、分かりやすい発信の中で、TPPというものが皆保険制度を破壊するものでもなく、しっかりとその保険適用の範囲も守り、そして薬価も高騰することはない、この三点を発信をしていただく、お約束いただけますでしょうか。
#207
○国務大臣(塩崎恭久君) できる限り機会を捉えて、分かりやすく説明をしてまいりたいというふうに思います。
#208
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。以上で終わらせていただきます。
#209
○中野正志君 日本のこころの中野正志でございます。
 トランプさんの発言あるいは農業問題はあさってに譲ることにいたしまして、早速ですが、優しく今日は質問させていただきたいと思います。
 これまで、自由貿易は日本の成長を支えてきたものの、日本の製造業、特に中小企業は安い外国製品の流入に悩まされてきたことも事実であります。これらの製品の一部には、低賃金や劣悪な労働環境、さらには、日本に比べて圧倒的に低い社会保障コストなどの下に製造されたものも含まれています。これらは社会的ダンピングとも言われています。
 このような現状を踏まえて、TPPでは、労働者の最低賃金や労働時間など、労働条件を定めた法律や労働者の基本的権利を定めた法律を整備することを各締約国に求めています。この考え方自体は非常にすばらしいものであり、今後とも推し進めていくべきであると考えます。
 しかしながら、特に発展途上にある締約国において労働条件を向上させるための実施体制が十分に整わなかったならば、必ずしも公正公平とは言えない条件の下で製造された安い外国製品が、しかも今度は関税が取り払われた状態で日本になだれ込んでくるおそれがあるのではないでしょうかという懸念があります。杞憂であればいいのでありますが、このことを心配をしております。大臣の御所見を賜りたいと思いますし、また逆に、関係国から我が国の労働関係制度に対して貿易の自由化に支障を及ぼすなどの理由で異議が出され、我が国の労働環境が悪化するおそれはないのか、この点についてもお伺いさせていただきます。
#210
○国務大臣(塩崎恭久君) TPP協定の第十九章が労働章という章でございまして、働く方の保護の観点から、ILO宣言に述べられている働く方の権利を自国の法律等において採用、維持すること、それから貿易又は投資に影響を及ぼす態様によってILO宣言に関係する法令の免除等を行ってはならないということなどを規定をしております。
 TPP協定は貿易や投資の促進を図るものでございますが、その際に、労働条件の切下げ等が行われた場合には働く方の保護の観点から当然これは問題があるということでありまして、この労働章の規定はそうしたことにならないように設けられているわけであります。
 こういう趣旨で設けられた労働章の規定を各締約国が遵守をして労働条件の向上を図っていくことが重要でありまして、特に発展途上国においては高い経済成長が見られるにもかかわらず、働く方の適切な保護が図られていないといった課題があることから、我が国では、例えばベトナムとかマレーシアにおいて安全衛生水準の向上に向けた自主的な取組を強化するためのセミナーの実施等の支援を進めております。
 引き続き、こうした取組を通じて、途上国における働く方の保護を図り、公正公平な競争条件の確保に努めてまいりたいというふうに思います。
 それから、貿易自由化、労働関係制度に対して貿易の自由化に支障を及ぼすなどの理由で異議が出されて、我が国の労働環境が悪化するんじゃないかと、こういうおそれについてでございますけれども、TPP協定の労働章が求める働く方の権利保護については我が国は既に国内法令によって担保されております。このため、先ほど述べた労働章の趣旨を踏まえると、我が国の労働関係制度に対して他の締約国から貿易の自由化に支障を及ぼすとの理由で異議が出され、我が国の労働環境が悪化するということは想定されないというふうに考えております。
#211
○中野正志君 TPPでは、域内において人の流れをスムーズにするため、ビジネス関係者の一時的な入国の許可や、そのための要件、申請手続の迅速化などについて規定しております。域内の商取引を活発にするためには必要な規定であろうと思いますが、その一方で、外国人単純労働者の流入を心配する声もあります。この規定により我が国に単純労働者が流入するおそれはないのでしょうか。
 また、昨年十月の大筋合意を受けて政府がまとめた総合的なTPP関連政策大綱では、海外からのビジネス関係者の受入れ等促進のため、出入国管理体制を整備することが示されております。これを受けてどのような施策を実施されるおつもりなのか、又は実施されているのか、お伺いをいたします。
#212
○国務大臣(金田勝年君) まず、委員お尋ねの一番目の点でございます。我が国に単純労働者が流入するおそれはないのかと。
 TPP協定は第十二章におきまして、ビジネス関係者の一時的な入国として、出入国管理に関する申請手続の迅速化と透明性の向上について規定をしております。この第十二章の規定やこの章についての附属書が規定する内容は、全て現行の入管法令の範囲内であります。したがって、外国人単純労働者が流入するような事態は生じないものと考えております。
 それから、第二点目でございますが、総合的なTPP関連政策大綱で、海外からのビジネス関係者の受入れ等促進のために出入国管理体制を整備することが示されているがというお尋ねでございます。
 これにつきましては、TPPを通じまして対内投資を活性化させるという趣旨を踏まえまして、我が国で安心してビジネスを行える環境を確保するために、海外からのビジネス関係者への円滑な出入国審査を行うという点とともに、併せてテロリストの入国を阻止するための水際対策に取り組んでいるところであります。
 具体的には、まず、円滑な出入国審査のためには、本年十月から、審査の待ち時間を活用して事前に指紋等の個人識別情報を取得するための機器、バイオカートを導入いたしました。そして本年十一月からは、一定の要件を満たす、信頼できる渡航者と認められた外国人ビジネス関係者について自動化ゲートの利用を可能としますトラスティド・トラベラー・プログラムを導入するなどをしておるわけであります。
 一方で、テロリスト等の入国を阻止するための水際対策としては、厳格な水際対策を図るために、本年十月から、テロリスト等の入国を水際で阻止するべく、上陸審査時に外国人から提供を受けた顔写真と入国管理局が保有をしておりますテロリスト等の顔画像との照合を開始するといったことを開始をいたしております。
#213
○中野正志君 我が国の厳格な環境規制と比較して、TPPの規定ぶりでは、締約国に対してどの程度の強制力を持つのかについて疑問が残ります。環境規制が緩い国で製造された安い製品が、しかも今度は関税が取り払われた状態で日本になだれ込んでくるおそれはないのか、政府の御所見をお伺いをしたい。
 その一方で、我が国は、厳しい環境基準の下で培われた高い環境関連技術や製品、サービスを有しております。TPPに環境規定が盛り込まれたことを機会に、各締約国で高い環境技術や製品、サービスに対するニーズが高まることが予想され、我が国の企業がTPP域内で環境関連ビジネスを展開するチャンスが訪れるのではないかと期待もしております。このチャンスを捉えるため、政府はどのような取組をされようとしているのか、お伺いをしておきたいと思います。
#214
○国務大臣(山本公一君) まず、第一点目でございますけれども、本協定においては、締約国が自国の法令等を通じて高い水準の環境保護を確保するよう努めなければならない旨が定められております。また、本協定においては、協定の実施、環境の保護、締約国の能力強化等のため、締約国が相互に協力する旨定められております。
 こうした各締約国による措置の実施等により、本協定に参加する国々の環境保護の水準が全体として底上げされると考えており、御指摘のような状況となることがないように適切に対応してまいりたいと思います。以上のような取組により、貿易・投資の促進と環境保護の推進が図られるものと考えております。
 二点目の御質問でございますけれども、議員御指摘のとおり、TPP協定に基づき、日本の優れた環境技術等が適切に評価される条件が整うとともに、各国において環境対策分野の投資が拡大することが期待されております。
 そこで、廃棄物処理や水処理、低炭素技術など我が国が世界をリードする優れた環境技術等の海外展開の支援に取り組むとともに、二国間クレジット制度の活用により温室効果ガスの排出削減に貢献してまいりたいと思います。
#215
○中野正志君 山本大臣、地熱発電、二〇五〇年に総出力二億キロワット、今の二十倍に膨らむという予測もあります。今話にありましたごみ焼却発電とかエネルギー消費ゼロ住宅、同時にまたエネルギー消費ゼロビル、日本企業は独自技術を持ってまっことに商機到来だと思いますので、官民一体となって頑張っていただきたいと思います。
 時間の関係で最後になるかもしれません。TPPの原産地規則や原産地手続はどのような特徴があるのかについて御説明をいただきたいと思いますし、加えて、これまで我が国が締結してきたEPAで採用してきた制度とどのような相違があるかについてもお伺いします。
 また、TPPでは完全累積制度と呼ばれる規則を採用したと聞いております。この完全累積制度とはどのような仕組みであるのか、この制度は我が国にとってどのようなメリットがあるのか、お伺いをしておきます。
#216
○大臣政務官(井原巧君) お答えを申し上げます。
 TPPにおける原産地規則及び原産地手続については、幾つかの特徴とメリットがあると考えております。まず、二国間のEPAでは、協定によって原産地規則がそれぞれ異なるということでありますから、利用する協定ごとに確認する必要がありました。TPPでは、十二か国で共通の原産地規則が策定されました。これによりまして、アジア太平洋において広く事業展開を行う企業にとりましては、特恵関税を利用する事務コストの軽減が期待されるということです。
 次に、完全累積制度でありますが、いわゆるTPPでは完全累積ルールが採用されたということでありますが、これは、ある製品がTPPの特恵税率を利用して輸出できるかを判定するに当たって、完全累積、つまり域内の付加価値や加工工程を足して上げていくことを認めるということになります。これによると、TPP締結国十二か国であれば、どこで製造や組立てをしても、言わばメード・イン・TPPということで関税引下げのメリットを受けることができ、中堅・中小企業を含めた我が国の企業がTPP域内で柔軟にサプライチェーンを構築することが可能となるということです。
 原産地証明についてでありますが、日本商工会議所などの第三者機関が証明書を発給する第三者証明制度というものと個々の事業者が証明書を自ら作成する自己証明制度というのがありますが、TPPでは後者の自己証明制度というのが採用されました。自己証明制度には、各事業が自社のビジネス動向に合わせて機動的に証明書を作成できるという利点があります。
 一方、これまで我が国が締結した、主にアジアでありますが、EPAでは主として第三者証明制度が採用されてきましたので、自己証明制度に慣れていない事業者も制度を円滑に利用できるよう、分かりやすい解説書の作成や相談体制の整備など、きめ細かな支援を行ってまいりたいと考えております。
#217
○中野正志君 残余の時間、あえて議場の皆様にお話しさせていただきますが、五年八か月前の東日本大震災、三・一一の二日前に震度五の地震がありました。ここ一週間、被災地もとよりでありますけれども、我々も十分に気を付けて臨ませていただきたいと思います。
 終わります。
#218
○委員長(林芳正君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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