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2016/11/24 第192回国会 参議院 参議院会議録情報 第192回国会 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 第9号
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2016/11/24 第192回国会 参議院

参議院会議録情報 第192回国会 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 第9号

#1
第192回国会 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 第9号
平成二十八年十一月二十四日(木曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十二日
    辞任         補欠選任
     滝波 宏文君     上月 良祐君
     江崎  孝君     蓮   舫君
     宮沢 由佳君     田名部匡代君
     高瀬 弘美君    佐々木さやか君
     山本 太郎君     福島みずほ君
    薬師寺みちよ君     松沢 成文君
 十一月二十四日
    辞任         補欠選任
     上月 良祐君     滝波 宏文君
     川合 孝典君     藤末 健三君
     蓮   舫君     江崎  孝君
    佐々木さやか君     石川 博崇君
     辰巳孝太郎君     田村 智子君
     清水 貴之君     高木かおり君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         林  芳正君
    理 事
                石井 準一君
                二之湯武史君
                福岡 資麿君
                三宅 伸吾君
                山田 修路君
                小川 勝也君
                大野 元裕君
                浜田 昌良君
                紙  智子君
    委 員
                古賀友一郎君
                上月 良祐君
                佐藤  啓君
                佐藤 正久君
                進藤金日子君
                高野光二郎君
                高橋 克法君
                滝波 宏文君
                中西  哲君
                中西 祐介君
                平野 達男君
                藤木 眞也君
                堀井  巌君
                舞立 昇治君
                松川 るい君
                山田 俊男君
                吉川ゆうみ君
                渡邉 美樹君
                相原久美子君
                石上 俊雄君
                江崎  孝君
                田名部匡代君
                徳永 エリ君
                浜口  誠君
                藤末 健三君
                蓮   舫君
                石川 博崇君
                河野 義博君
                熊野 正士君
               佐々木さやか君
                平木 大作君
                田村 智子君
                大門実紀史君
                儀間 光男君
                高木かおり君
                福島みずほ君
                松沢 成文君
                中野 正志君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       外務大臣     岸田 文雄君
       厚生労働大臣   塩崎 恭久君
       農林水産大臣   山本 有二君
       経済産業大臣   世耕 弘成君
       国務大臣     石原 伸晃君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  萩生田光一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤田 昌三君
       常任委員会専門
       員        宇佐美正行君
       常任委員会専門
       員        大川 昭隆君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       澁谷 和久君
       厚生労働省保険
       局長       鈴木 康裕君
       農林水産大臣官
       房長       荒川  隆君
       農林水産省生産
       局農産部長    天羽  隆君
       経済産業省通商
       政策局通商機構
       部長       渡辺 哲也君
       経済産業省製造
       産業局長     糟谷 敏秀君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○環太平洋パートナーシップ協定の締結について
 承認を求めるの件(第百九十回国会内閣提出、
 第百九十二回国会衆議院送付)
○環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関
 係法律の整備に関する法律案(第百九十回国会
 内閣提出、第百九十二回国会衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(林芳正君) ただいまから環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、薬師寺みちよ君、高瀬弘美君、滝波宏文君、山本太郎君、宮沢由佳君及び江崎孝君が委員を辞任され、その補欠として松沢成文君、佐々木さやか君、上月良祐君、福島みずほ君、田名部匡代君及び蓮舫君が選任されました。
 また、本日、清水貴之君、川合孝典君及び辰巳孝太郎君が委員を辞任され、その補欠として高木かおり君、藤末健三君及び田村智子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(林芳正君) 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を一括して議題といたします。
 本日は、日米関係をはじめとするグローバル世界とTPP・貿易ルール等についての集中審議を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○山田修路君 自由民主党の山田修路です。
 総理、海外出張お疲れさまでした。早速質問に入りたいと思います。
 アメリカのトランプ次期大統領、二十一日に動画メッセージを出されて、TPP協定からの離脱、そして二国間協定を目指していくというようなお話を述べておられます。このような中で、日本として今後どのように国際的に対応していくのか、また、今この委員会で議論している協定の国内手続について進めていくのかどうか、この二つの点が大きな論点になっていると思います。
 まず、あのトランプさんの発言に関連した質問から始めたいと思います。
 安倍総理は十七日に各国の首脳に先駆けてトランプ氏と会談を行いました。このような素早い対応については評価をする声も聞かれております。会談直後、安倍総理は、様々な課題について基本的な考え方を話した、そしてまだ大統領に就任されていないその段階、しかも非公式会談なので、内容は差し控えたいというお話をされております。その後トランプ氏は先ほどお話ししたような動画メッセージを公表しておられるわけです。
 そこで、総理とトランプさんの会談についてでございますが、先ほど言いましたように、内容は述べにくいということだと思いますけれども、トランプ氏との間で自由貿易という価値観が共有できたのかどうか、あるいは、TPP協定について今トランプさんの方針が示されておりますけれども、これを説得するような余地があると考えるのか。内容については難しいと思いますけれども、印象について是非総理のお考え、お話をお聞きしたいと思います。
#5
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日米同盟は日本の外交・安全保障政策の基軸でございます。なぜならば、もし日本が外敵の侵略を受けた際に日本と共同対処する唯一の同盟国であるからであります。同時に、米軍は日本に基地を置くことによって前方展開戦略を可能とし、そしてアジア太平洋地域の平和と安全に寄与しているわけであります。この同盟関係は今や世界の様々な課題に共に手を、取り組んでいく希望の同盟となっているわけであります。
 この同盟がどのように新大統領の下で、次期大統領の下で変化していくのか、あるいは変わらないのか、より強化されていくのか。日本にとって当然最大の関心事項であり、世界もそれに注目をしている中においては、それは、たとえ就任前であろうと、ちょうどペルーに参りまして給油のために米国に寄る予定でございましたので、都合が合えば会談を行いたいという考え方から会談を申し込み、結果として会談を行うこととなったわけでございます。
 ただ、正式にまだ大統領に就任をしておりませんので、出発前にもそのお話をさせていただいたわけでございますが、現政権、オバマ政権の、まだ、が続いていく中にあって、言わば日米の首脳会談という姿とはこれは異なるものにしなければならないという考え方があったわけでございまして、その観点からも、現在まだ中身について、今の段階でというよりも、この中身については申し上げるわけにはいかないわけでございますが、当然私の考え方については申し上げたわけでございます。また、トランプ次期大統領も御自身の考え方を開陳をしておられたわけでございます。TPPに、個別の中身についてお話をさせていただくことは差し控えさせていただきたいと、このように思いますが、当然通商政策等々も含めて全般的なお話をさせていただいたところでございます。
 そこで、TPPについてはTPP自体のこれは、の課題もあるわけでありますが、当然TPPについては、これから自由貿易、そして自由で開かれた自由貿易圏をつくっていくことの意義あるいは共通の公正なルールを作っていくことの意義という側面もあるわけでございまして、そういう観点からも私は今後とも、TPP自体につきましては大変厳しい状況にはありますが、今ここで日本の自由貿易に対する自由で公正な貿易圏をつくっていくことの意義についてもしっかりと発信をしていくという意味においても、日本は世界に先駆けてしっかりと審議を行い、批准を行っていくべきだと、この考え方にもいささかも変化はないわけでございます。
#6
○山田修路君 ありがとうございます。
 トランプさんと信頼関係を築いていく、このことがやはりこれから長い付き合いですので大事なことかと思います。
 そして、トランプ氏がTPP協定に反対をしているのは、国内の雇用の喪失などのことを心配してであります。これは、TPP協定のみならず、EPA、FTA協定が結ばれていけば外国に自国の企業が進出しやすくなると。そのことの反面として、自国内では国内の工場が閉鎖されたり、あるいは失業が生ずるということもあり得ることではないかと思います。NAFTA、北米自由貿易協定においてそのようなことがあったということで、トランプ氏のみならずヒラリー・クリントン氏もこのTPPに賛成できないということでありました。
 しかしながら、こういうことがあったからといって自由貿易に背を向ける、あるいはTPPのような多国間の経済連携協定に消極的になるというような姿勢は、世界あるいは各国の経済発展にとってプラスにはならないと思います。日本でいえば、例えば地方創生とかあるいは一億総活躍といったような国内政策をしっかりやっていく、このことがむしろ大事なことではないかと思います。
 日本においてこのような経済政策を今後どういうふうに進めていくのか、石原大臣にお伺いしたいと思います。
#7
○国務大臣(石原伸晃君) 山田委員御指摘のとおり、自由貿易、通商条約あるいはマルチのこのTPPに代表されるような経済圏を共通なものをつくっていくことによって、輸出入の貿易量あるいは投資も増えることによって経済が活性化していく、これは過去の歴史を見れば明らかなわけでございます。
 そんな中で、委員の御指摘は、こういうものを使って、トランプ氏がアメリカ産業に危惧を持っているような状態をなくしていくために日本はどうするのかというふうに聞かせていただいたわけでございますが、やはり例えばこのTPPについても、メード・イン・TPP、再三議論のあったところでございますけれども、その域内においては、この域内の自国の工場であっても他国に物を持っていくことが自由になる、そのことによって、地域にある、地方にある企業が外国に出ていく必要はなくなる、こういう海外展開というような、いながらにしての海外展開みたいなメリットはやはりあるんだと思います。
 そんな中で、それを日本全国に広げていく。現在議論が進行中でありますこのTPPをめぐっても、再三出ております新輸出大国コンソーシアム、現在では二千二百五十二社の事業者の方々に支援を開始させていただいております。特にこの一か月間は、非常に多くの企業、もちろん農林水産業、加工業の方も含まれておりますけれども、三百社の方々に支援をさせていただく。それだけ関心は高まっているんだと思います。委員のお地元の北陸地方でも、金沢中心でございますが、百七十三社御支援をさせていただいております。
 やはり今後とも、委員の御指摘とおり、地方創生、一億総活躍といった経済政策とともに、このTPPあるいは自由貿易圏構想を活用して経済再生あるいは地方の創生につなげていくという委員のお考えに私も賛同する一人でございます。
#8
○山田修路君 ありがとうございました。
 総理からは先ほど、今までの方針でTPPについては対応していくというようなお話がありました。今回の一連の国際会議では、このTPPの発効に向けて日本としても大変な努力をされてきたと思います。そのことについてまず伺いたいと思います。
 APEC、アジア太平洋経済協力会議の会合に際して、十九日にはTPP参加十二か国の首脳会合が開催されました。この会合では、オバマ大統領からどういう話があったのか、そしてまた日本として何を訴えたのか、そしてどういう結果になったのか、出席をされていた安倍総理からお伺いしたいと思います。
#9
○内閣総理大臣(安倍晋三君) リマにおいてTPP首脳会合を開催をいたしました。
 オバマ大統領からは、TPPの重要性について今後も国内での理解を求めるべく尽力をしていくという発言がございました。
 私からは、我々が現状にひるんで国内手続をやめてしまえば、TPPは発効せず、保護主義を抑えられなくなる、そういう思いで、日本は既に衆議院の議論を終え、現在参議院で審議をしているというお話をいたしました。と同時に、TPPについて、これは世界において、大企業、一部の大企業のみ利することになって中小企業やそこで働いている労働者の利益にはならないのではないかという批判の中で、保護主義的な動きが高まってきているけれども、決してそんなことはないわけであって、中小企業にもそこに働いている労働者の方々にもしっかりと利益が均てんしていくはずであると、そしてまた、そういう仕組みをそれぞれの国々が国内で構築をしていく必要があるという趣旨の発言をしたところでございます。
 また、各国の首脳からも、TPPの意義、そしてしっかりと私たちはそれを進めていこうという話がございました。また、国内手続について進めていくという意思の表明がなされたわけでございますが、ああいう国際会議の場には、会議が始まる前に何人かでそれぞれ個別の話をする、立ち話等をするわけでございますが、各国からやはり日本へ、日本がどうするんだという関心は非常に高いわけでございまして、米国の状況がああいう状況でありますから、日本はどうするんだというお話がございました。その中で、日本はしっかりと淡々と粛々と国内手続を進めていく、ここで私たちは意思をくじかれてはならないというお話をさせていただいた。今こそしっかりと、自由貿易の意義を発信する上においても、各国が国内手続を進めていくべきだということを申し上げてきたところでございます。
#10
○山田修路君 ありがとうございました。
 ペルーでのTPPの首脳会合で今のようなお話があったと。そして、それに先立って、TPP交渉関係国の首席交渉官会議やあるいは各国の閣僚会議が行われていて、各国の国内の状況等についてお話がありました。これ質問しようかと思ったんですが、ちょっと時間があれなんで、お聞きしているところでは、各国もそれぞれ国内手続を進めていくというようなことでお話があったというふうに聞いております。
 そのような中で、APECの会合の中では、FTAAPという大きな経済圏をつくっていこうという話、それについての準備を進めていこうという話が議論されております。
 このFTAAPという経済圏、二十一の国・地域が参加する大変大きな経済圏であります。この構想に至る道として、TPP、そしてもう一つRCEPという二つの道があるんですけれども、やはりより高いレベルの経済連携という意味では、TPPの大事さ、将来FTAAPに行く道の一歩として非常にやはりTPPというのは大事な協定ではないかと思います。その点が今回のペルーのAPECの会合では確認をされたのではないかと私は思っております。
 その点について、岸田外務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#11
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、一連の今回の会議においてFTAAPの重要性、再三確認されております。
 APECの首脳宣言の中にあっても、あらゆる形態の保護主義に対抗すること、そしてアジア太平洋地域自由貿易圏、すなわちFTAAPを最終的に実現すること、こうしたコミットメント、再確認されておりますし、また首脳宣言とは別にFTAAPに関するリマ宣言というのも採択されていますが、その中でTPP署名国による国内手続の完了に向けた努力、言及をされています。
 また、私自身、APECの閣僚会議の方に出席をさせていただきましたが、私の方からもFTAAP実現に向けた道筋であるTPP及びRCEPを着実に進展させることは不可欠である、こうしたことを強調し、賛同する意見も多く出された次第であります。
 このようにFTAAPへの道筋としてのTPPの重要性、今回のAPECにおける一連の会議において様々な形で確認をされていると認識をしております。
#12
○山田修路君 ありがとうございました。
 まさにそのFTAAPというところに行く道としてTPP、RCEPあるわけですけれども、やはりレベルが高い経済連携としてTPPの意義は非常に大事であるというふうに思っております。
 そして、このTPP十二か国のうちで国内手続の状況というのを見ますと、ニュージーランドは国内手続を終了している、しかし、ほかの国はこれからだということでございます。先ほどお話をしましたように、今回のペルーでの様々な会合では全ての国が国内手続を進めていこうということを表明されたというふうに思います。また、報道によれば、菅官房長官は、トランプ政権スタート後も日本が先頭に立って引き続きTPPについて米国を説得していくというふうに述べられたという報道もありました。自由貿易を守っていくためにも、我が国としては米国を引き続き説得し、TPP協定の国内手続は日本として進めるという方針を変更すべきではないと思っております。
 先ほど総理からも御答弁ありましたが、もう一度お願いしたいと思います。
#13
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、TPPをめぐる状況は、トランプ次期大統領の発言も受けまして大変厳しい状況になっているのは事実であります。しかし、TPPにはTPPそれ自体の意義とともに、まさに世界に自由で公正な経済圏をつくっていくという意義があります。台頭するこの保護主義に対して、それに歯止めを掛けていくという役割も担っているわけでございまして、TPPには、例えばこれは関税を下げていくということだけではなくて、知的財産の保護、そしてまた環境や労働に関する規制もございます。そして、国有企業の競争条件の規律という側面もあるわけでございます。今後、先ほどRCEP、FTAAPの例を挙げられましたが、今後できてくる様々なそうした自由貿易協定の中におけるモデルとなるものとしなければならないと、こう考えているわけであります。
 トランプ次期大統領の発言はございましたが、自由で公正な経済圏という旗を、自由民主主義国家第二位の経済大国である日本がしっかりと、下ろしてはならない、掲げ続けなければならない、言わばその役割を担っていると、このように思うわけでございます。そういう観点からもしっかりと御審議をいただき、我々は世界に対してこの意義を示すべきだと、このように考えている次第でございます。
#14
○山田修路君 ありがとうございました。
 最後になりますけれども、安倍総理の外交政策の基本方針、基本姿勢についてお伺いをしたいと思います。
 総理は、かねてより地球儀を俯瞰する外交ということをおっしゃっておりました。今回、APECの大変いい機会であったわけですけれども、オバマ大統領やプーチン大統領、そして習近平国家主席など多くの各国首脳と意見交換をされてこられたわけであります。
 APECは地球儀の半分ぐらいを占めるような、ちょうど太平洋を取り巻くわけですから、そういった意味でいえば、それから、今回総理は地球一周されたそうですけれども、そういう意味で、地球儀を俯瞰する外交という意味で今回大変有意義な会合が持てたんではないかと思いますが、改めて総理の外交政策に対する基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
#15
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日本の国益を守り、そして発展させていく上においては地球儀を俯瞰する外交が不可欠であろうと、こう考えております。その観点からも、世界の国々の指導者と胸襟を開いて話をする中において協力関係を進めていく、この観点から延べ百か国以上訪問し、今回のペルーAPECでは、太平洋を取り巻く二十一の国・地域のリーダーと一堂に会し、自由貿易の推進が重要であるとの確固たる意思を世界に示すことができたと思います。オバマ大統領、プーチン大統領、習近平主席を始め多くの首脳と個別に会談を行うことができたと、こう思う次第でございます。
 今後とも、国際協調主義に基づく積極的平和主義の考え方に立って、地球儀を俯瞰する観点から活発な外交を展開し、国益に資する外交としていきたいと、このように考えております。
#16
○山田修路君 質問を終わります。ありがとうございました。
#17
○蓮舫君 民進党の蓮舫です。
 まず、おととい福島県で震度五弱を観測した地震は東日本大震災の余震だったと気象庁が発表しました。被災された方々に心からお見舞いを申し上げると同時に、今朝も地震がありました。気象庁は、今後一週間余震の可能性があると注意を喚起しています。政府におかれましても万全の対策を整えていただきたいと同時に、私たちも全力で協力をさせていただきたいと思います。
 さて、総理、アメリカ、ペルー、アルゼンチンの出張、大変お疲れさまでございました。今日はTPPに関して総理の率直なお考え方を伺わせてください。
 まず、十一月八日、アメリカの大統領選でドナルド・トランプ氏が当選をされました。この選挙戦を通じた様々な言動も含めて、トランプ氏に対する十一月八日の総理の印象はどういうものでしたか。
#18
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 米国が民主的な手続によって次期大統領を選出をしたところでございます。その意味におきましても祝意を表したところでございます。
 と同時に、米国のリーダーというのは、一米国のリーダーということだけではなくて、まさに世界において大きな責任を持っているわけであります。と同時に、自由世界のリーダーでもある、こう思う次第でございます。その責任もしっかりと果たしていただきたいと、こう期待をしているところでございます。
#19
○蓮舫君 どういう印象を持っていましたか。
#20
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 他国の言わば選挙の結果についての印象を私が総理大臣として述べるのが適切かどうか、私は適切ではないと、こう考えている次第でございまして、我々としては、まさに先ほど申し上げましたが、日米同盟というのは我が国の外交・安全保障の基軸でございます。そういう認識の下に米国の大統領として対応をしていただくように期待をしたいと、このように考えていたところでございます。
#21
○蓮舫君 私は、選挙戦を通じてトランプ氏の物言いには大きな懸念を抱いていました。自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の下の平等、日米関係の基本理念がもしかしたら揺らぐのではないか。選挙戦のときにトランプ候補者がお話しになられた、宗教、民族、性差、明らかな差別の発言、あるいは特定の国を挙げてレッテル貼りをする非難と批判の応酬。
 私は、この方が大統領になられて、日米関係の共通理念、これが共有できるのかどうなのか非常に心配したんですが、それは総理はお感じになりませんでしたか。
#22
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今ここで私が次期大統領の選挙中の発言について批判的にコメントを述べるのは生産的ではないと、こう思っている次第でございまして、その意味からも、なるべく早くお目にかかって、まさに自由や民主主義や基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国同士の同盟である日米同盟は揺るがないということを確認をする必要があると、こう考えたわけでございます。
#23
○蓮舫君 共に信頼を築いていけることができる、そう確信の持てる会談だと、トランプさんとお会いになった後、総理は発言をされました。何をもって信頼関係が持てると確信したんですか。
#24
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 何をもって信頼ができるかといえば、例えば私を信頼してくれと言えば、これ信頼できるということではもちろんないわけでございますが、言わば、先ほど申し上げましたように、日本と米国というのは自由や民主主義、そして基本的人権、法の支配、普遍的な価値を持つ同盟であり、そして我が国が他国から侵略された際には共同対処する唯一の国であります。
 と同時に、米国は安保条約上、日本に基地を持っておりますが、これはまさに日本とアジア、日本と極東の地域の平和と安全を守るためでありますが、この同盟関係についてまさにしっかりと堅持をしていくことができるかどうかということが大きな観点であります。
 と同時に、これ人間としてですね、人間として、例えば今回……(発言する者あり)済みません、もうベンチからやじを飛ばすのはやめていただけますか。大切な時間を使ってこの審議を行っているんですから、少しは皆さんも静かに聞くという態度を持っていただきたい。大変やじられると答弁しにくいので、少し静かにしていただきたいと思いますが。
 そこで、そこで大切なことは、そこで大切なことはやはり人間として信頼できるかどうかということであります。今回、この会談を設定するに当たって、トランプ氏は次期大統領であって現在の大統領ではないわけであります。現在の大統領はオバマ大統領であるわけでありまして、この現職の大統領に対してしっかりと敬意をお互いに示していくことが重要と考えたわけでございます。その中から、首脳会談という形式を取らずにですね、首脳会談という形式を取らずに言わば出会いという形にしたわけでございます。まあ、私が便宜上会談という言葉を使っておりますが。
 ですから、そこでも例えばトランプ氏は、安倍さんが私の家に立ち寄ってくれたことをうれしく思うという表現を使っている。つまり、現職の大統領に対する敬意をこの人はしっかりと持っているな、そしてそれを維持をしていく、米国に二人の大統領が存在するということを世界に示してはならないというしっかりとした考え方を示していただいた、こういう姿勢を私は高く評価をし、信頼に足ると、こう考えたところでございます。
#25
○蓮舫君 済みません、何を言っているかさっぱり分かりませんでした。つまり、トランプさんの自宅に寄ってくれて、感謝をされて、人間として信頼できた。友達じゃないじゃないですか。
 いいですか、選挙戦のトランプ氏の発言です。イスラム教徒は完全に入国禁止にする、メキシコからの移民は犯罪者、その他、口にすることもはばかられる女性蔑視の発言が長期戦にわたって何度も繰り返されました。ドイツのメルケル首相もこの件に関しては相当な懸念を示しています。
 その中で、なぜ安倍総理はこんなに急いで会いに行って、今長々と答えましたけれども、全く分かりませんでした、なぜ信頼できたんですか。つまり、トランプさんのこの長い間の選挙戦の暴言は演出であって、あれは僕の本意ではないんだ、僕はそう思っていないんだという説明があったんですか。
#26
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現在、今、蓮舫委員は米国の次期大統領に対して様々な批判を述べられたわけでございますが、しかし先ほど……(発言する者あり)
#27
○委員長(林芳正君) 静粛にお願いいたします。
#28
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いいですか、しっかりと答弁をさせていただきたいと思いますが。
 今、私が日本の総理大臣として、先ほども最初に申し上げたとおり、日本にとって日米の同盟関係というのは外交・安全保障の政策の基軸なんですよ。そして、この同盟関係が、世界がどうなっていくかということを注目をしているわけであります。アジア太平洋地域の安全保障環境は厳しくなっていますよ。厳しくなっている。この厳しくなっている中で、日米同盟が揺らいでいる、あるいは次期大統領と日本の総理大臣とは信頼関係が構築できないとなれば、構築できないとなれば、これは日本の安全が言わば危うくなっていくということであります。その現実をですね、その現実をしっかりと、その現実を見ていただきたいと思うわけでございます。今大切なことであります。
 そこで、今、蓮舫委員は、私がトランプ氏の家に行ったから、寄って、彼がそれに対して感謝を述べたから信頼できると私が述べたと言っていますが、そんなことを私は全然述べていないじゃないですか。ちゃんと私の文脈を、ちゃんと私の文脈を聞いて……(発言する者あり)済みません、少し答弁中ですから静かに聞いてくださいよ。日米の、次期大統領とですね、次期大統領と日本が信頼関係を構築できるかという大切な質問に対して、大切な質問に対して私が丁寧に答えるのは当然じゃありませんか。
 そこで、私が先ほど申し上げましたように……(発言する者あり)いや、済みません、ちょっと止めてくださいとかいう問題じゃないと思いますよ。今あそこで盛んに止めてくださいとかいうことを言っておりますが、気に食わないことを私が答弁すれば止めろというのは、それは大体おかしいんですよ。大体、テレビを御覧の皆さんもおかしいと思いませんか、この状況を。今私が、テーブルをたたいて私の答弁を聞こえなくするのはやめてください。
 そこでですね、そこで私が申し上げているのは……
#29
○委員長(林芳正君) 総理、簡潔におまとめいただければと思います。
#30
○内閣総理大臣(安倍晋三君) はい。いや、こういう騒然とした状況では私も答弁しにくいですよ。(発言する者あり)そこでですね……
#31
○委員長(林芳正君) 簡潔におまとめください。
#32
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 簡潔に、簡潔にまとめますので、ちょっと皆さん席に着いていただけないと、この騒然とした状況では答弁しにくいですよ。それでは、それでは答弁をいたしますから、答弁をいたしますから、少し静かに、静かにしていただけなければ答弁ができないんだということであります。
 そこで、そこで先ほど申し上げましたように、この人はどういう人かということについて、今現職の大統領がいる中において、いる中においてですね、新たな次期大統領が、次期大統領が大統領のように振る舞うことはむしろ米国の国益にとってマイナスであるというしっかりとした認識とともに、前任者に対する敬意をしっかりと私に対しても示したということであります。これがポイントであって、前任者に対して、選挙戦と同じようにオバマ大統領に対するただ批判に明け暮れる、あるいは、その際に前任者を辱めるような行動は取らないということをするというその点について、私はですね、私は信頼に足ると、このように申し上げたところでございます。(発言する者あり)
#33
○委員長(林芳正君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#34
○委員長(林芳正君) 速記を起こしてください。
 御答弁は簡潔にお願いをいたします。
#35
○蓮舫君 議場が騒然となるのは、総理の不誠実な答弁だからです。行政府のトップが立法府に来て委員長の指示にさえ従わないというのは異例なことです。余りにも国会を軽視し過ぎているんじゃないですか。
 日米関係の上で信頼構築するのは大事だというのは、私もそれは共有します。トランプさんが誠意をお示しになられて、それで信頼できた。その誠意はどういう形で示されたんですかと聞いたら、同盟関係について長々と答弁をされて、聞きたいことには何もお答えにならない。
 なぜこれだけ急いだのかと思えば、TPPというのは安倍総理の成長戦略の要として推進してきたから、国会でも強行採決を繰り返して急いで進めているから、選挙期間中にTPP脱退を公約に掲げたトランプさんに何とかこれを、本意を翻そうと、それで急いで行ったと私は認識しているんですが、TPPについてはきっちりとトランプさんの本音を聞くことはできたんですか。
#36
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど同盟の意義についてお話をしたのは、まさに日米関係の、日米関係のこれはまさに原則であるからでありまして、同じ質問をされたから同じ答弁になったわけでありまして、それは、それは私が答弁したことについて、蓮舫委員が正しく私の答弁を十分に酌み取っておられなかったから同じ答弁になるのはこれ当然のことじゃありませんか。
 そこで、TPPについても当然私の考え方を述べたわけで、TPPにかかわらず、様々な事柄について私の考えを述べたわけでございます。しかし、個別の事柄についてはお互いに、先ほど申し上げましたように、現職の大統領がいる中において国と国との関係においてのやり取りということは避けようということで一致をしたところでございまして、信頼関係というのはそういう約束をしっかりと守っていくところから始まるのではないかと、こう思う次第でございます。
#37
○蓮舫君 トランプさんは、先ほど、考え方を開陳されたと総理は自民党の質問者に答えをしました。この考え方の開陳ではTPPを脱退すると明言されたんですか。
#38
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど信頼できる人物だというふうにお答えをさせていただきましたが、その際、中身のやり取りについては外に、個別的なやり取りについては外に出すのは控えようということを述べたわけでございます。
 御承知のように、トランプ次期大統領は私が述べたことは一言も、一言も外には発信をしていないわけであります。言わば、そういう意味においてはしっかりと約束を守っておられるんだろうなと思います。よくあることは、信頼を裏切るということは、これは二人の間だけにしておこうということを相手がぺらぺらしゃべる、これは信頼を損ねるわけでございます。そういう意味においては、トランプ氏はまだ、私が様々なことは申し上げたわけでありますが、それについては一言も発信をされていないという意味においては信頼できるということだと思います。
 そこで、私が今、トランプ次期大統領が何をしゃべったかということをここで申し上げれば、これはまさに信頼を裏切ることになってしまうということと同時に、まだ大統領に就任していない中にあって、大統領にはまだ全部スタッフが付いていない中における発言でありますから、今ここで私は紹介をするのは適切ではないと、このように考えております。
#39
○蓮舫君 TPPにアメリカが批准をして発効するかしないかというのは、我が国の国益です。まさに今これをここの参議院で審議をしているところです。総理がトランプさんと会いに行ってそのことを確認したかどうかによって、この審議そのものもどうなるのか、大きく左右をされます。
 トランプさんは外に向かって大事なことは何も言っていないと言いましたが、二十二日にビデオメッセージでTPPを脱退すると明言しました。つまり、外に言っていないということは、そのことは議論していなかったんですね、二人で会ったときに。
#40
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、トランプ次期大統領が自分の政策的な見地を発表するのと、私とトランプ大統領とのやり取りを発表するのは全く別の話でありまして、まだやり取りについては全く述べていないわけでありまして、このやり取りについては、今申し上げましたように、どういうやり取りがあったかということについては申し上げることができないということでございます。
 そして、繰り返しに、もう同じような質問でございますから繰り返しになりますが、トランプ次期大統領はまだ大統領に就任をしておりません。よって、まだ外交チームも編成をされていない中にあってのトランプ次期大統領のこれは発言であるということもあり、外には出さないということでもあるわけでございますが、その意味におきまして、私の考え方についてどのような反応をされたかということについて今ここで申し上げるのは控えさせていただきたいと、このように思います。
#41
○蓮舫君 日本時間二十二日の朝、総理はブエノスアイレスで記者会見をして、TPPについて、米国抜きでは意味がない、再交渉が不可能であるのと同様、根本的な利益のバランスが崩れると述べました。この考え方、賛同します。ところが、その直後、トランプさんがメッセージでTPP脱退を明言しました。恥をかきました。
 トランプさんがTPPを脱退するこのメッセージが出るということを総理は御存じだったんですか。
#42
○内閣総理大臣(安倍晋三君) トランプ次期大統領とは様々な課題について議論をしたわけでございまして、当然自由貿易についても話をさせていただいたわけでございます。
 そして、まさにこのTPPについて米国抜きでは意味がないということには同意するというふうに蓮舫委員がおっしゃったわけでございまして、それは、今も変わらない、でありますから私は当然その認識を記者会見で示したところでございます。それはTPP首脳会議においても様々な議論を行ったわけでございますが、米国抜きでどうするかということについては私は私の考え方を述べさせていただいたわけでございまして、他の国々も同じような考え方の国が多かったと、このように認識をしておりますが。
 そこで、私が知っていたか知らなかったかということについても、これは先ほども申し上げましたように、私とトランプ大統領とのやり取りについては申し上げることができないわけでございますから、ここで申し上げることは控えさせていただきたいと、このように思います。
#43
○蓮舫君 総理が誰よりも先んじてトランプさんに会って、そのことを知っていたか知らなかったかというのは、その直後のAPECを大きく左右する中身であります。APECが始まるときにペルーのクチンスキー大統領は、米国抜きの似たような協定で代用できる、ニュージーランドのキー首相も同じようなことを言っている。つまり、APECに参加をしている二十一国と地域の中では、もうアメリカ抜きで違う形でもTPPを動かす、あるいはRCEP、FTAAP、違うものに行こうという議論になったときに、総理が、現状にひるんで国内手続をやめてしまえばTPPが完全に死んでしまう、各国が国内手続を断固として進めることを期待と呼びかけた。つまり、唯一トランプさんと会った総理がこれを呼びかけることによってAPECの場所は、むしろTPPをどういうふうにしようかという議論になってしまった。
 ここを、もしトランプさんが脱退するということをちゃんと確認しているのであれば、アメリカ抜きのほかの経済連携の在り方をAPECで話し合う重大な会議に日本主導で持っていくことができたのに、なぜそれをやらなかったんですか。
#44
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 若干細かい話でありますが、まだTPPは発効しておりませんから脱退ということは法的にはないわけでございまして、そのことはまず押さえておく必要があるわけでございます。
 そこで、言わば確かにトランプ次期大統領があのような発言をされたということによって状況は厳しく、更に厳しくはなっているわけでございます。しかし、そこで、私が申し上げましたように、TPPについて、ある種これはバランスのある、これは言わば自由経済圏をつくっていくという協定で、バランスの取れた協定でございますが、米国が抜けることによってこれまで各国で積み上げてきたバランスが崩れてしまうという意味においては、これは米国抜きでは意味がないということを申し上げたわけでございます。
 ですから、例えばキー首相あるいはペルーの大統領が言われているのは、では残りの十一か国で直ちにやろうという考え方でございますが、しかしそれでは今申し上げましたようにバランスが崩れていく、そして米国とそれぞれ、ではバイでやるのかという話にもなってくるわけでございます。
 そこで、我々は腰を据えて考える必要が私はあるんだろうと、こう思うわけでございまして、今直ちに、直ちにトランプ大統領の発言があったからということで右顧左眄するべきではないだろうと、このように思うわけでございます。まさに日本は自由貿易の旗手として、先ほども申し上げましたように、自由主義圏の第二位の経済大国としてしっかりとその意思を示す必要がある。
 TPPには二つの意味があるということを申し上げたとおりでございます。TPPそれ自体と、保護主義が蔓延する中においてそれを食い止める。日本の意思を示していくという意味においては、私はこの国会においてしっかりと批准をしていただきたいと、そして、それは世界に対して、日本は今でもしっかりとこの自由貿易の大義を信じると同時に、TPPの意義についても米国に粘り強くこれからも訴え続けていきたいと、こういう意思の表明になっていくんだろうと思います。(発言する者あり)
#45
○委員長(林芳正君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#46
○委員長(林芳正君) 速記を起こしてください。
#47
○内閣総理大臣(安倍晋三君) リマにおいては、APECとそしてTPP首脳会議での議論でございまして、APECというのは、これはTPPに入っている国だけではなくてそれ以外の国もあるわけでありますから、まさにAPECにおいては、これは自由貿易の持つ意義について今こそしっかりと発信していくべきだと、その中でTPPも大きな意義があるということを申し上げたわけでございます。
 そして、TPP首脳会議におきましては、これ、TPP首脳会議におきましてはトランプ次期大統領と話したのは私だけではありません。オバマ大統領も相当の時間を掛けてトランプ大統領と話もしているわけでありますし、そしてオーストラリアの……(発言する者あり)今、最後まで聞けば私がどういう意味で言っているか分かると思います。オーストラリアのですね、オーストラリアの首相もトランプ次期首相とはTPPについて議論したということは、これは既に、オーストラリアの首相もですね、オーストラリアの首相もこれは述べておられることでございます。しかし、その中でトランプ次期大統領と話した上においても、話した上においても、このTPPについてしっかりと国内手続を進めていくべきだということで一致をしたところであります。
 これは何も私だけではないということを今申し上げようとしたわけでありまして、今御理解をいただけたと、このように思うわけでありますが、これは私だけではなくて、他の多くの国々の指導者も電話等で話をしている中においてですね、中において、しっかりとTPPを進めていこうということで一致をしたところであります。そして、TPP首脳会議については、まさにその点で一致をした中において我々も国内手続を進めていくべきだろうと、こう考えたところでございます。
#48
○蓮舫君 TPPは、署名をした十二か国、そのGDPが八五%を超える国が批准をしなければ発効しません。アメリカのGDPはこの十二か国のうちの六二%を占めています。
 外務大臣に確認します。アメリカがトランプさんの言うようにTPPから脱退をした場合、このTPPというのは発効しますか。
#49
○国務大臣(岸田文雄君) 発効要件としましては、署名から二年後たった時点で全参加国のGDPの八五%以上あるいは六か国以上が締結する、こうした要件を満たすということであったと承知をしております。
 米国が参加しなければ、この要件を満たすことは難しいと考えます。(発言する者あり)はい、その要件を満たすことは難しいと申し上げております。
#50
○蓮舫君 つまり、アメリカが脱退をしたらTPPは発効しません。どんなに、総理がTPPの意義を強調しました。確かに、保護主義に対する歯止めになることも理解をします。自由貿易は推し進めなければいけないことも理解します。でも、トランプさんは脱退すると公約を受けて、そして当選をして、ビデオメッセージでも脱退をすると言って、一月二十日の就任式に脱退を明言すると言われている。
 なぜまだここで、国会でこの貴重な時間を使って、税金を使ってこの審議を進めるのか、教えてください。
#51
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPPについては、米国か、あるいは日本が言わば参加しなければ発効はしないわけでございます。
 先ほどちょっと細かい点だということで申し上げたんですが、まだTPPは発効しておりませんから、脱退ということには今の時点ではこれはならないし、できない、できないわけでございます。つまり、また、かつてNAFTA等についても米国の大統領が選挙中に言っていたことと結果が違ったということもあるわけでございます。確かに、トランプ次期大統領はそのように明言されたわけでございまして、状況は厳しいわけでございます。だからこそ、今後更に我々は腰を据えていきたいと、こう思ったわけでありまして、つまり、今完全に脱退してしまうということは、申し上げたように、これはTPPの性格上できない、できないということは申し上げておきたいと、こう思うわけでございます。
 それと、もう何回も繰り返し申し上げておりますが、この今TPPをここで議論している、あるいは日本は批准をしようとしていることについては二つ意味があるというふうに申し上げたわけでありまして、一つはTPPそれ自体、一つは保護主義が蔓延する中において自由で公正な経済圏をつくっていくということの意義は変わらないであろうということを申し上げているわけでございます。
 そして、今回のまさにこのTPPにおいては、ただ関税を下げていく、あるいはなくしていくということだけではなくて、様々なルールを決めていく、これは知財の保護もそうですし、労働や環境に対する規制や、あるいは国有企業の競争条件に規律を付けると、こういうことはですね、こういうことは今後の、これをしっかりと批准することによって今後のRCEPやFTAAPにこれはつながっていくということにもなるわけでございまして、この重要性をしっかりと発信していくということがやはり私たちの責任ではないか、まさに自由世界における貿易第二位の国である日本の責任ではないかと、このように考えている次第でございます。
#52
○蓮舫君 この長い答弁のどこに拍手をしているのかが全く分かりません。
 私が伺っているのは、アメリカが脱退をしたらTPPは発効しません、どんなに我が国が手続を進めても動かないものに対して国会の貴重な人材と税金を使うのはやめた方がいい。つまり、すなわちセカンドオピニオンも含めて、次の自由貿易、経済連携はどういうものがあるのか、議論に進めるべきじゃないですかと私はお伺いをしているんです。
 では、お伺いします。まだトランプさんは脱退はしていません。でも、一月二十日、来年の就任式には脱退すると明言をしている。TPPを、日本が国内の批准手続を終えたらトランプさんが翻意をする、やっぱりTPPには参加をすると、そういう確信を総理はお持ちなんですか。
#53
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そういう確信はございません。
 しかしですね、しかし今申し上げましたように、先ほども申し上げておりますように、脱退はできないんだということをまず御理解をいただきたいと思います。それを分かっていただけないと議論にならないんですが、その上においてですね、その上において、その上において日本が一抜けたでいいのかどうかということを申し上げているわけでございます。
 先般も、十二か国で会った首脳たちとはしっかりとこの国内手続を……(発言する者あり)
#54
○委員長(林芳正君) 御静粛にお願いいたします。
#55
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この国内手続を進めていこうということを申し上げたわけであります。あの発言を受けた後も、ではやめるという国はまだ出てきていないわけでありまして、まさにここで日本が、では、一抜けたと、自由貿易を進めていく、自由世界において第二位の経済力を持つ日本は、もし民進党であれば一抜けたということになるということだと思いますが、私たちはそういう考えは取りません。まさに世界に対して、この保護主義の台頭に対してしっかりと歯止めを掛ける役割を担うべきではないかと、このように確信をしております。
#56
○蓮舫君 民進党なら一抜けたというような無責任なことは、私は一言も言っていません。勝手にそんたくして発言しないでください。
 トランプさんは、一月二十日に大統領になったとき、TPPには参加しない、もう批准をしないということを言っている。それに対して、批准をするであろうという希望的観測をお持ちだということが分かりました。つまり確信がない。じゃ、この国会は何だということになるじゃないですか。
 我々は、トランプさんが大統領に当選したときに、もう少し慎重に、新しい大統領の政策、人事、それと、衆議院で大きく課題になった食の安全、肥育ホルモンについて、口に入るものの安全について、あるいは、農家の皆さん相当不安でいっぱいですよ。日本中を回っています。農業従事者の皆さん、本当に不安だ、国民の皆さん、多くの方がまだよく分からない。これ、去年の安保と全く一緒です。総理は国民が分からないうちに強行採決をする手段がよくおありなんですけれども、TPPに関してはやっぱりもっと丁寧に国民に届く説明をするべきだと思うし、トランプさんが一月二十日にどういう方針をお示しになるのかを受けて、TPPでいくのか、セカンドオピニオンでいくのか、それを来年の通常国会へ出してもまだ時間はあるんじゃないんですかということを私は申し上げているんです。
 もし、一月二十日にトランプさんは、二国間交渉、FTAをこれから交渉していくからTPPは批准しません、RCEPに行くんだ、あるいはFTAAPに行くんだ、こっちにはいろんな選択肢があるかもしれませんけれども、二国間交渉と言っている中で、でも総理は今TPPをずっと議論すると言う。そうなったときに、総理はこの国会を、自分の確信はないけれどもTPPを最優先だという政治的責任は何か取るおつもりなんですか。
#57
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば、今ここで、政治家でありますからいろんな決断をしなければなりません。今ここで、じゃ、もう審議をやめたということになれば、まさにこれは他の十一か国に先駆けてやめることになるわけでありまして、その瞬間に完全にTPPはこれは終わるわけでありますし、同時に、同時にしっかりと作ってきた我々のルールについても全くこれ確定もされない、言わば国会の承認も受けられずに終わるということであります。
 TPPの意義は、TPPの意義について、言わば国会決議を終えたのはニュージーランドだけになるわけであります。ではなくて、日本の国会においても、TPPで決めたこのルールについて、先ほどその意義について申し上げました。関税だけではないというルールについて、この国会で御審議をいただいた上において批准をしたということは、日本が、このルールが正しいルール、自由貿易を発展させる上で正しいルールはこれだということを示すことになるわけでございます。それを示していない限りですね、示していない限り、アメリカが貿易に対する考え、アメリカというか次期政権がアメリカのこの貿易政策について、ではもう少し考えてみようということは起こり得ないわけであります。それについて日本が意思を示すことによって初めてそれが可能となるという可能性が出てくるわけでございます。
 と同時に、RCEP、FTAAPに行く中においてこのルールを私たちは基準とするんですよということを示すことにつながっていくじゃありませんか。それが私は大切ではないかと、このように思います。
#58
○蓮舫君 正しいルールと日本がそれを国会の批准を通じて示すのは大事かもしれませんが、もっと大事なのは、ルールが動かなかったらこの国会審議何なんですかということじゃないですか。同時に、ほかの選択肢も含めて、確かにアメリカが参加しないものに進むのも大変でしょう。でも、一旦立ち止まってセカンドオピニオンに動くというのも私は一つのリーダーシップだと思っています。
 今、国民の中で不安があると言いました。そうじゃなくても、実現可能性の低くなったTPPに走るのと同時に、政府の規制改革では、協同組合という自主自立の、そういう組織である全農に命令するかのような規制を押し付けようとしている。つまり、猫の目農政をダブル、トリプルでやるのはそろそろいいかげんにして、今の農民の人たちの本当の不安の声に寄り添う。私たちは、今の政権がやめようとしている農家戸別所得補償制度も含めてきっちりと不安を取り除いて、そして自由貿易を国民にまず理解をしてもらって、そして発効実現可能性のあるRCEPやFTAAPも含めて新しい審議をしっかり政府が提案すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#59
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、このRCEPに移っていくというのは、我々の考え方としては、ではRCEPについて、TPPで議論した様々なルールの問題があります、先ほど申し上げました労働や環境についての規制もございます、そういうものが、ではRCEPでは全く下地から始めて緩くなるものでいいのかどうか。国有企業の競争条件の規律についても、これも結構大きなポイントでありますが、ここでまさにTPPについて、TPPにおいてしっかりと規律、今言ったことが議論され、それが書き込まれたわけであります。
 ですから、それをスタンダードとする意味においてもTPPを我々は批准をしていく。これ、批准をしなければまさにこれは全く我々は下地から行くことになってしまうわけでございまして、たとえ発効しなくてもですね、たとえ発効しなくても、すぐには発効しなくても、私たちがその意思をしっかりと示すということは当然RCEPの議論にも、そしてFTAAPの議論にも影響を与えることは十分に私は可能だろうと、こう思うわけでございます。
 それと、今おっしゃった農業との関係においてもしっかりと我々も丁寧に説明をしていきたいと、このように考えております。
#60
○蓮舫君 発効しないものにいつまでも引きずられるのではなくて、日本がリーダーシップを持って新たな経済連携の在り方、自由貿易の在り方をしっかり各国に確認するAPECという場所をうまく使えなかったのは非常に残念です。
 総理はトランプさんとお会いになった。何を確認したか。皆まで言わなくても、こういうものまでは話ができたという姿勢を全くお示しにならないから。我が国内の放送を見ていて非常に残念だったのは、総理とトランプさんの会談では、総理がお土産に持っていった五十万もする高級ゴルフのドライバーが、これだけが放送されて非常に何か悲しくなるんですけれども、このドライバーのお土産って総理の発案ですか。
#61
○内閣総理大臣(安倍晋三君) よく首脳間ではお土産の交換がございます。値段については今ここで申し上げることは控えたいと思いますが、これは、まだトランプ氏は大統領に就任をしていない、公職ではないわけでございまして、先方からもお土産をいただいたわけでありますが、公職ではございませんから当然私費で払うわけでありますので、私も私のポケットマネーでお支払をしたわけであります。
 それと同時に、プレゼント交換について、そのプレゼント自体をここでやり取りするのはどうなのかなという気がするわけでございます。
#62
○蓮舫君 プレゼントの是非を言っているんじゃないんです。
 今、トランプさんと安倍さんが議論をしなければいけなかったのは、私はゴルフ談義ではなかったと思っています。つまり、トランプさんに、自由貿易、経済連携の拡大が結果としてアメリカの雇用に、経済に影響があるということをどれだけ説得するか。そのときに、そのときに武器となるものをお土産で持っていくんだったら意味が分かるんです。
 例えば、私たちは政府が交渉してきたTPPの内容全部に反対しているわけではありません。評価できるものもある。それは自動車の部品、関税撤廃、これは武器になります。これは評価をしています。例えば、これ、お借りしてきたんですけれども、自動車の点火プラグです。これがないとエンジン掛けられません。日本のたった二社のメーカーだけで世界のシェアは六割になります。ここの絶縁体、これが日本の技術のまさに最も大事な核となるものであります。
 つまり、トランプさんは粗悪な格安な輸入品がアメリカの雇用を失っているという間違った自由貿易の認識を持っているのであれば、こういう日本の世界に誇れる技術の部品をお土産に持っていって、むしろ雇用を増やすことになるんだという、そういう議論をするべきだったんじゃないでしょうか。
#63
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、今私は議論をしたことは申し上げられないと言っているじゃないですか。ですから、蓮舫さんも私とトランプ氏が何を話したかは全く御存じないと思いますよ。ですから、それを、それを話すべきだったではないかという議論の前提は、これは先ほど申し上げましたように、信頼関係というのは、これはここだけの話だと言っていたことをべらべらしゃべることではないんですよ。
 そういう中から、私は今まで多くの首脳会談を行ってきましたが、これは外に出せないというものも随分それはあります、お互いに。そうでなければ外交関係は成り立たないわけでございます。そして、今回は、まさに先方が大統領に就任をしていない、現職のオバマ大統領がいる中において日米交渉のような姿を示すべきではない、であるがゆえに内容は一切外に出すべきではないということを申し上げたわけでございます。
 でありますから、プレゼント交換というのは、これは通常、人と人とが行うことでありますから外に出しておりますが、中身についてはこれは出していない、これは当然のことであり、御理解をいただけるのではないかと、このように思う次第でございます。
#64
○蓮舫君 一方で、総理の内閣の官房副長官は随分いろんなことをべらべらしゃべっていますね。どうしてもこれは確認させていただきたいと思います。
 副長官、昨日のシンポジウムであなたは、強行採決なんて世の中にない、審議が終わって採決を強行的に邪魔をする人たちがいる、田舎のプロレスだ、茶番だ。あなたは、国会審議は茶番で、野党は邪魔をする存在だと思っているんですね。
#65
○内閣官房副長官(萩生田光一君) 御指摘の報道については、昨日、私が出席したシンポジウムのパネルディスカッション終了後の会員向け質疑応答の中でのやり取りで、聴衆の方から、審議拒否や採決の際にプラカードを持って騒いでいる国会議員が目に付くが、そもそも国会議員が多過ぎるのではないかなどという厳しい趣旨の叱正に対して、私が述べた発言の一部が報道されているものと認識をしております。
#66
○蓮舫君 いや、田舎のプロレス、茶番、国会審議はこのレベルで、野党は邪魔な存在なのですかと聞いているんです。
#67
○内閣官房副長官(萩生田光一君) 野党の皆さんがそのレベルだというふうに私が思っているという事実はございません。
#68
○蓮舫君 もっと大切なことも言っています。
 戦後七十年の首相談話、それについてあなたは、日本人は物すごく素直な国民、例えば、悪くないと思っていてもその場を謝ることで収める、結果として納得してもらおうというのが日本の価値観だと。
 首相談話は、さきの大戦、痛切な反省、心からのおわびを表明し、植民地支配、侵略について我が国の姿勢を内外に示すものです。それがその場を謝ることで収める程度の話だという認識ですか。
#69
○内閣官房副長官(萩生田光一君) 蓮舫先生、どの部分を確認をされて御質問しているのか分かりませんけれど、私、七十年談話の中でのおわびがその場しのぎのおわびだなどということを発言した事実はございません。
#70
○蓮舫君 発言を全てもう一回自分で御確認された方がいいと思います。
 この同じ流れであなたは、山本大臣のために私が何回頭を下げたか分かりません、政府の一員として申し訳ありませんでしたと。これもその場を謝ることで収めるという文脈で直接話しているんです。そういうことですか。
#71
○内閣官房副長官(萩生田光一君) 私が申し上げたのは、一般的に、国際社会ではおわびをするということの重みと、日本の日常生活の中で、国会とは言いません、日常生活の中で日本人が頭を下げるという文化には解釈の違いがあるということを説明をしました。
#72
○蓮舫君 副長官には、これ、謝罪と発言撤回を求めたいと思いますが、安倍内閣の閣僚たちは発言が軽過ぎるのと国会を軽視し過ぎるのと、それと、何度お伺いしても答弁は答えなく、委員長の指示に対しても刃向かうかのようなこともお話しになられる。もう少し立法府に対して敬意を持って接してもらいたいということを強く申し上げ、質問を終わります。
    ─────────────
#73
○委員長(林芳正君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、佐々木さやか君及び上月良祐君が委員を辞任され、その補欠として石川博崇君及び滝波宏文君が選任されました。
    ─────────────
#74
○藤末健三君 民進党・新緑風会の藤末健三でございます。
 冒頭に、安倍総理におかれましては、外国の首脳で初めてとなるトランプ次期大統領との会談、そしてAPECの参加、TPP首脳会談、そして数多くの二国間の首脳会談、本当に御苦労さまでございました。敬意を表させていただきたいと思います。
 ただ、私は、このTPPに関しましては、安倍総理は二つの大きな過ちを犯していると思います。一つは、やはりこの大統領選挙でヒラリー・クリントン候補が勝つであろうということで一点張りをしたこと。そして、もう一つありますのは、今までの議論で分かりますように、TPPという多国間の経済連携協定に懸けていた。二国間の協定よりも多国間の協定に懸け、今も総理はTPPを続けていくんだ、交渉を続けるんだとおっしゃっています。ただ、私はこのTPPが一つうまくいかなければ、先ほどおっしゃっていただきましたように、RCEP、中国も入った枠組み、そして恐らく日中韓という枠組み、韓国、そのようにアメリカのみならず中国、韓国といった大きな貿易相手国の経済連携協定が止まるんではないかと非常に危惧をしています。この観点から、是非、このTPPの今後そして経済連携協定の今後をどうするかということを御質問させていただきます。
 是非、端的にお答えいただきたいんですが、私はこのTPPの今後の展開につきましては四つのシナリオがあると考えています。
 一つは、安倍総理が先ほどまでおっしゃっていましたように、今のTPPをこのまま進めていくこと。ただ、これは、TPPはアメリカが参加しなければ動き出しません。トランプ次期大統領、そしてアメリカの議会さえもTPPは進めないということを言っているという状況。私は可能性は低いと思っています、正直申し上げて。
 そして、もう一つございますのは、アメリカを含めてTPPの再交渉、もう一回交渉をやり直すという議論があると思いますが、これもやはり、大きく内容を変え、十二か国の賛同がなければ進められないんではないかということで可能性は低いと思っています。
 そして、三つ目にございますのは、TPPからアメリカを抜いて進めるんだという議論がございます。これはペルーのクチンスキー大統領や、そしてニュージーランドのキー首相がおっしゃっている内容。一般的には、TPPに六十数%のGDPを占めるアメリカが入らなければ余り意味がないんではないかという議論がございますが、先行してアメリカを除いてTPPを発効させ、後にアメリカを呼んではどうかということを言う研究者や国の首脳、おられるわけでございます。
 そして、四つ目にございますのは、TPPではなく、先ほども議論ございましたけれど、東アジア地域包括的経済連携、RCEPなど別の枠組みを進めるシナリオです。ただ、安倍総理は先ほど、RCEPは非常にレベルが低いんだと、TPPのようなレベルが高いものが必要であるようなことをおっしゃっておりますが、是非、安倍総理には本当にこのTPPはどうなるかという今後の展開を是非明確にお答えいただきたい。
 特に私が申し上げたいのは、三つ目のシナリオにあるアメリカ抜きのTPPの可能性、そしてもう一つありますのは、TPP以外の例えばRCEPであり、私は二国間協議を強力に進めるべきだと思いますけれど、そのTPP以外のものを強力に進めるというシナリオについて御意見をいただきたいと思います。お願いします。
#75
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大変いい御質問をいただいたと思っております。
 TPPをここで批准するということは、これ決してRCEPそしてFTAAPに進んでいく道を閉ざすものではありませんし、あるいはそれを遅くさせるものでもございませんし、また、今御指摘になったように、二国間のFTAをこれは進めていかないということでもないわけでありまして、TPPを進めていきながら例えば日豪のFTAを、EPAを締結をしておりますし、カナダともやって、今まさに交渉中でございます。こういうことはしっかりとやっていきます。
 と同時に、RCEPが言わばレベルの低いものになってはいけないということを申し上げたわけでありまして、レベルが低くならないように、まずはTPPのルールをしっかりと日本も批准しながら、これが一番ベストですよ。というのは、先ほども申し上げましたように、環境や労働に対する規制もございますし、国有企業の競争条件の規律というものも入っています。知的財産の保護もあります。こういうものをまずスタンダードとしてしっかり国際社会に見せた上でRCEPを進めていくべきだろうと思いますし、RCEPは重要ですし、日本も積極的にこれは交渉を進めながらやっていきたいと思うわけでございまして、まさに藤末委員がおっしゃったように、日本もTPPだけを見ているということではいけないと思いますし、それだけではなくて、世界を大きく俯瞰しながら、と同時に、同時にTPPに対してしっかりと日本も日本の信念を見せることも重要であろうと、このように考えているところでございます。
#76
○藤末健三君 パネル出していただいていいですか。(資料提示)
 是非、私、先ほどの議論をお聞きしていますと、総理はTPPをこのまま頑張り続けるんだというふうにしか聞こえないんですよ、正直申し上げて。それ、やはり先ほどおっしゃったように幅広く議論をしていただきたいと思っています。
 私、この日韓のEPA、経済連携協定、そしてFTA、自由貿易協定のカバー率の比較をちょっと見ていただきたいと思います。これを御覧いただきますと分かりますように、日本は今、発効したEPA、FTAのカバー率は二二・七%、一方、隣の国の韓国は六七・四%となっています。我々は非常に産業構造が似ている、例えば自動車であり電気製品であり鉄であり化学製品、非常に産業構造が似ている。まず、産業上は非常にライバルと言われる国でございますが、韓国は日本と同じ大体二〇〇二年ぐらいからこのFTA、EPAを進めてきたわけでございます。しかしながら、現在このような差が付いている。
 これはなぜかと申しますと、二〇一〇年、二〇一一年、私は当時の政権時代の民主党で経済連携協定の推進を担当していました。私は、韓国のは当時からもう進んでいましたので、韓国に伺い、いろんな話を聞いてきましたんですが、一番印象に残っているのは、韓国は同時多発型のFTA推進政策を取ったということでございます。一方で、我が国を見ますと、先ほど総理がおっしゃったTPP、そして日中韓経済連携協定、そして東アジア地域包括経済連携、RCEPといったマルチの、多国間の経済連携協定に非常に傾注している。一方で、例えば日本とアメリカの経済連携協定、日本と中国の経済連携協定、日本と韓国の経済連携協定の議論は全くなされていないんですよ、総理。貿易が大きい国から韓国はこのように中国、アメリカ、そしてEUと二国間のFTAを結んできたわけでございます。
 そして一方で、中国を申し上げますと、中国も非常にこのFTAは後進国でありますけれど、二〇一五年末のカバー率を見ますと三八%に達しています。日本の二倍近い。中国を見ますと、中国は全て二国間の自由貿易協定、FTAでやっているという状況でございまして、私は、ここの場において、やっぱり先ほどおっしゃっていただいたように、TPP、RCEP、日米韓FTAといった多国間の協議に懸けるのではなく、やはり同時に二国間の、日米であり日中であり日韓の経済連携協定を進めるということをおっしゃっていただきたいと思っています。そうしなければ我々のこの経済連携協定の大きな枠組みは進まないと思いますが、いかがですか。特に私は、日米の経済連携協定、TPPと同時にですよ、やっていただくことを提言しますが、いかがでしょうか。
#77
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、先ほど申し上げましたように、TPPだけではなくて、まさに藤末委員がおっしゃったとおりでございまして、我々は、このTPPだけではなくて、例えば今、日EUのEPAの交渉も精力的に進めておりまして、年内に何とか大きな枠組みで合意をしたいと、こう考えておりますし、また、本年は日中韓の首脳会談を行うことが予定されているわけでございます。韓国がああいう状況ではございますが、何とか日中韓の首脳会合を実施したいと、こう思うわけでございますが、その際、日中韓のFTA交渉においてもしっかりと進めていくということで一致をしていきたいと、こう思っているわけでございます。
 また、コロンビアとかトルコとの二国間の経済連携協定も積極的に今取り組んでおります。先般もコロンビアのサントス大統領とも首脳会談を行ったところでございます。
 そこで、では米国と、TPPではなくて米国と二国間のFTAを結べばよいではないかということを、考え方をお示しになられたわけでございます。ここは、我々はまずはTPP、次期大統領があのような声明を出しましたが、この日米の、日米のFTAというよりも、まずはこのTPPについてしっかりと更に粘り強く腰を据えて協議をしていきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、今、表を示されましたが、EU、そして日中韓においては早期に妥結するように努力を重ねていきたいと、このように思っております。
#78
○藤末健三君 さっきのパネルももう一回出していただいていいですか。
 総理、私が申し上げているのは、コロンビア、トルコの交渉をしていただいているのは存じ上げています。しかしながら、やはり大事なことは、貿易で大きな国、アメリカであり中国であり韓国であり、EUは本当によくやっていただいたと思っています。ただ、大きな国をしなければ韓国と日本の競争という環境が整わないと思うんですよ。実際に、EUは本当に総理に頑張っていただき、恐らく来月には大筋合意ということでございますけれど、韓国とEUのFTAはもう五年前に動いているという状況、そしてアメリカとのFTAについてはもう四年前から動いているという状況。その間、ずっと日本の企業は関税の壁に阻まれ、特にEUとの関係においては、自動車は一〇%近い関税、そしてテレビは一五%の関税で非常に苦戦をしているという状況はまだ続いている。
 私は、是非この二国間の協定も進めていただかなきゃいけないと思っています。なぜかと申しますと、冒頭でTPPに一点懸けをしたがゆえに中国や韓国との経済連携協定が動かなくなったのではないかということを申し上げましたが、私がいろんなこの経済連携協定の担当の人たちと話していますと、こうおっしゃるんですよ。TPPでまずアメリカとの間の経済連携協定はできます、TPPが動けば中国はそれによってRCEPを動かし、多分レベルが高くなるでしょう、そして韓国はTPPができればそれに入っていきます、だから、TPPでアメリカが入り、そしてRCEPに圧を掛け、中国が動き、そして韓国がTPPに入ってくる、だから大丈夫なんですよという話を私は説明を受けていました、政府から、実は。多分そうだと思います、今多くの方々のお考えは。
 しかし、それがヒラリー・クリントン一点張りで懸けたがゆえにTPPも止まりそうな状況になり、私は大きく戦略の転換をしなきゃいけないときが今だと思います。それについて総理はいかがお考えですか。
#79
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、このTPPと同様のRCEPやFTAAPについては、これは同時に我々も進めているわけでありますし、日EUのEPAも、これはTPPとは別にしっかりと進めております。そこで、また日中韓もこれは進めておりますし、日本がこれを、日中韓を止めているということは決してないということは、これははっきりと申し上げておきたいと思います。
 そこで、二国間と、ではこのようなメガFTAとどう違うかといえば、これはもう藤末委員はよく御承知のように、サプライチェーンを今構築をしていく上において、多くの国々が作る部品を集めていろんな製品を作っておりますから、このサプライチェーンを考えたときにTPPのようなものがよりこれはふさわしいわけであります。
 また、それぞれの国々と個別にFTAを結んでおきますと、これ、中小企業にとっては大変なんですね、一つの国ごとにこれなかなかいろんな手続が違いますから。それはもう御承知のとおりであると思いますが、その意味において、TPPやあるいはRCEPやFTAAP型、あるいはまた日EUといった形の方がこれはむしろサプライチェーンから考えればいいのだろう。しかし、だからといってバイのFTAを軽んじているわけではないわけでありまして、この組合せをしっかりと、藤末委員の御指摘も頭に入れながら対応していきたいと、このように思っております。
#80
○藤末健三君 確かに、おっしゃるとおり、多国にわたるサプライチェーンがあるのでマルチの方がいいというような議論は分かります。ただ、冒頭で申し上げましたように、アメリカであり中国であり韓国という我々にとっては大きな貿易のカウンターパートに対して経済連携協定を結ばなきゃいけない、これが私は最大の課題だと思うんですよ、まずは、サプライチェーンの云々の問題よりも。
 これ、韓国と日本の一人当たりGDPの推移の比較でございますが、青が韓国、赤が日本になっています。ドルベースで書いてございますけれど、これを見ていただきますと分かりますように、韓国は一九九〇年末に通貨危機が起こり、それから国の立て直しを図った。それからも圧倒的な勢いでアメリカやEUや、そして中国とのFTAを結んで、EUとも結んで、もうすぐカバー率が八〇%になろうという勢いでございます。そして、彼らの今GDPと輸出の比率は五〇%あるんですよ。私が二〇一一年に韓国に行きましたときに覚えていますのは、一兆ドル突破記念となっていました、当時。翻して我が国は、GDPと輸出の比率を見ると一六%であります。三倍違う。
 私は、いろんな経済政策があると思いますけど、やはり輸出による経済成長はまだまだ余力があると思うんですよ。そのためにも是非経済連携協定をもっと幅広くやっていただかなきゃいけないということでございます。
 ちょっと最後のパネルをお願いします。
 もう時間もないので、私からちょっと御提案を申し上げます。民進党、批判の政党ではなく、提案の政党でございますので、提案させていただきますと、三つございます。
 一つございますのは、ロードマップの作成。これは、韓国は二〇〇三年にロードマップを作っています。それは何かというと、どういう国と優先順位を決め、いつまでに結ぶかということを明確にした。当然のことながら大きな国とやりましょうということです。
 そして、FTA対策本部を作りました。今、我が国はTPP対策本部、TPPだけを見ているんですよ。ほかの二国間協定どうなっているかということがございます。
 そして、もう一つございますのは、FTAの締結手続の定型化ということでございまして、韓国においては、二〇〇四年に大統領訓令、そして二〇一一年には通商手続の公開をするための法律を作っています。そして、国会にきちんと通商交渉内容を伝える、そして国民に公開する。
 我々はもう既に通商交渉の情報を開示するための法案を国会に出しています。是非ともこのようなロードマップを作り、明確な道筋を示し、そして先ほど申し上げたようにTPPだけではなく広く交渉を進め、そしてもう一つ最後、国民に分かりやすい交渉を進めていただくことをお願いしまして、私の質問を終わらさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#81
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。
 本日は、質問の機会をいただきまして、委員長始め同僚議員の皆様に感謝を申し上げたいと思います。
 まずは、先日、福島沖で発生いたしました地震、津波の被害に見舞われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 本日も地震がございました。また、各地朝から雪に見舞われております。政府には、状況に応じてあらゆる災害に迅速に、また機敏に対応していただくよう、冒頭お願いを申し上げたいというふうに思います。
 総理におかれましては、米国におけるトランプ次期大統領との会談、またペルーにおけるAPEC首脳会議、アルゼンチン訪問を終えて御帰国直後の集中審議となりました。大変に御苦労さまでございます。
 国家百年の計とも言われるTPP、環太平洋パートナーシップ協定、成長著しいアジア太平洋地域において自由で公平な取引を促進し、そしてその成長と需要を取り込むことが、資源に乏しい我が国であり、また人口減少社会に突入した我が国にとって極めて重要であることはもちろんのこと、自由、民主主義の価値を標榜し、世界最大の経済大国として世界経済をリードしてきている米国にとっても、さらには東アジア環太平洋地域全体にとっても大きな利益に資するものとなると確信をしているところでございます。
 そして、人、物、金の流れが加速度的に促進をされることによって、我が国そして環太平洋地域の平和と安定といった安全保障の観点からも極めて重要な協定でございます。それだけに、先日、まだ就任前の公式的な立場ではない時点での発言ではありますが、トランプ次期米国大統領が来年就任当日に離脱を通告するとの表明をされたこと、個人的には極めて残念と申し上げたいというふうに思いますし、多くの国民の皆様もそう感じられたのではないかというふうに思っているところでございます。
 しかし、総理また閣僚の皆様、冷静に考えてみると、アメリカがこうした保護主義的な動きをするのは何も決して新しい動きではございません。アメリカ国内にはそうした世論が常に大きな声としてあるという事実も我々は認識をしなければならないんだというふうに思っております。
 ある意味歴史上アメリカは、例えば十九世紀初頭、ジェームズ・モンロー第五代大統領が、ヨーロッパ大陸には干渉しないというモンロー宣言、いわゆるモンロー主義を行われたわけですが、その後も、ウッドロー・ウィルソン大統領の提唱により設立された国際連盟であるにもかかわらず、最終的に加盟をしなかったという事実もございます。こうした歴史を教訓としなければならないと思います。
 第二次大戦後におきましても世界の自由主義経済をリードしてきたアメリカではありますが、一方で、例えばロナルド・レーガン第四十代大統領の下で、対日貿易赤字の解消を求めて円安ドル高是正を求めたプラザ合意が合意されました。また、一九八九年からはジョージ・ブッシュ第四十一代大統領の下で、日米貿易摩擦を解消する目的で、当時ガットというマルチの枠組みはありましたが、それを活用するのではなく、日米の二国間でいわゆる構造協議を行うことになり、日本の商慣行やあるいは国内の土地税制まで様々な要求が突き付けられてきた日米構造協議、これは記憶に新しいところでございます。
 こうした保護主義的と言える、またアメリカ・ファーストとも言える外交政策をこれまでもアメリカは度々打ち出してきたわけでございますが、そうした米国と我が国は、時には水面下で激しい外交交渉を行い、また時にはしたたかな取引もしながら日米同盟を堅持し、そして我が国の国益を確保してきた歴史を有しております。現在、世界各地で外交現場の最前線にいる外交官の諸官には、そうした諸先輩の血と汗と涙で乗り越えてきた歴史を是非いま一度思い起こしていただいて、今こそ奮起していただきたいと切に念願する次第でございます。
 客観的には確かに厳しい状況になってきているTPPでありますが、この協定の早期成立が我が国の国益にかなうことには全く変わりはございません。したがって、その断固たる主体的な我が国の姿勢を責任ある国家として国際社会に示していくことが何よりも求められていると思いますし、私ども立法府といたしましても、その早期批准に向けて全力を尽くすべきと考えております。また、そうした姿勢を示すことが、その他のRCEPやFTAAP、日EU・EPA、日中韓FTAなど他の経済連携協定をこのTPPを土台にして推進をしていくことにつながると考えております。
 政府におかれましては、来年の一月のトランプ大統領就任までまだ時間がございますので、国際社会としっかり連携しながら、このTPPはアメリカの国益に必ずやかなうんだということを、米国各層への働きかけも強めていただきたいと思う次第でございます。
 まずは総理から、今私が申し上げたことに対する御所見、あるいはトランプ次期大統領の離脱表明と言っていいかと思いますが、それに対する率直な御感想、また今後政府としてどのような取組をしていくのか、御所見をいただきたいと思います。
#82
○内閣総理大臣(安倍晋三君) アメリカが言わばアメリカ・ファーストで政策を決定するというのは、確かに石川委員がおっしゃったとおりの歴史があります。例えば、これは貿易ではございませんが、京都議定書を言わば日本の京都で取りまとめたときは、当時の米国の副大統領は、是非これは志の高いものを決めるべきだと大演説をされたわけであります。その中で、日本は責任感を持ってかなり厳しい目標を決めました。しかし、残念ながら米国の議会は批准をしなかったんですね。しかし、批准はしませんでしたけれども、この理念の正しさを私たちは守り続けて、今日、今や米国自体がオバマ政権においてはリーダーシップを取るに至ったわけでございます。
 その意味におきましても、我々は、このTPPが持っている、特にルール面における優れた点をアピールし続ける、たとえ今、米国の次期大統領があのようなコメントを出しても、諦めずにそれを、しっかりと私たちの意思を表明するということは、世界をその方向に向けて進めていく価値があるんだろう。つまり、TPP自体には、TPPそのものと、プラス自由貿易全体に関する意味合い、意義があるんだということを認識しながら議論を進めていき、そしてこの国会において批准をしていただきたいと、こう思っている次第でございます。
 そこで、トランプ次期大統領とは、これは温かい雰囲気の中で一時間半にわたって議論を行いました。様々な課題についてお話をさせていただいたところであります。やはり両国のリーダーがお互いに信頼できるかどうかというのは、相手がどのような人物であるか、短時間ではありますが、それをお互いに示し合わすことが大切ではないかと、こう思った次第でございます。そこで、先ほども申し上げましたように、トランプ次期大統領は、現職の大統領に対する敬意をしっかりと示す形で会談を行いたいという姿勢を一貫をしておりまして、その点は私は信頼に足ると、こう思った次第でございます。
 今後とも、日米同盟というのは日本の外交・安全保障政策の基軸でございますから、信頼関係をしっかりと確固たるものにしながら両国の国益に資するものにしていきたい。と同時に、TPPは、今委員がおっしゃったように、米国こそ自由貿易によって大きな利益を受けた国でございまして、そして、TPPにおいても必ずや米国の労働者の利益にもなるということについてじゅんじゅんと説き続けていきたいと、このように考えております。
#83
○石川博崇君 なぜ我が国はこうしたTPPや、また諸外国との経済連携協定を推進していくのか、マクロ経済的な議論が多いこと、あるいは殊更不安をあおるような論調が一部あることから、なかなか国民の皆様にその重要性を実感として御理解いただけていない部分もあるかと思います。本日は、テレビを通じて国民の皆様に、このTPP協定あるいは自由貿易を推進することが私たち国民一人一人にとってどのようなメリットをもたらすのか、また地域の中小企業にとってもいかなるメリットがあるのか、分かりやすく議論をさせていただきたいというふうに思っております。
 パネルの一をお願いします。(資料提示)
 まず、TPP協定が締結に至れば私たち国民の暮らしに直結する日本の経済がどのように成長していくのか、政府はTPPが発効した場合の経済効果分析を行っております。結果、よく言われます実質GDPの二・六%、十四兆円の押し上げ効果、あるいは労働供給が約八十万人増加するといったマクロ的な数字が示されるわけでございますが、そのメカニズムの中身についてまずは政府から説明を求めたいと思います。
#84
○政府参考人(澁谷和久君) 御説明申し上げます。
 経済学の世界で、生産に影響するのは、コブ・ダグラス関数というのがありますけれども、資本と労働というのが一般的でございます。これに加えまして最近は、資本、労働以外の要素で生産に影響する、これを全要素生産性、イノベーション、技術革新などでございます。この三つの要素についてTPPがどういう影響を及ぼすかというのを、私どもは昨年の経済効果分析で分析を行ったところでございます。
 まず、先生パネルにお示しをいただいておりますけれども、TPPによる関税などの引下げ、撤廃、それから非関税措置によるコスト縮減などにより貿易・投資が促進をいたします。貿易・投資が拡大することで全要素生産性、イノベーションなどが刺激されて全要素生産性が上昇いたします。それによって供給能力が増加し、経済が拡大いたします。生産性の上昇とコスト低下により、賃金、さらには実質所得が増加いたします。賃金が上昇することで、労働供給が増加いたします。また、実質所得が増加すれば、投資、すなわち資本ストックの増加に寄与する。
 こうした労働、資本の増加というものが生産を拡大するわけでございまして、それが更なる経済の拡大に寄与する、また、所得が増大して貿易・投資が更に拡大すると。こういう好循環が実現するというメカニズムを描いてその効果を数値化したものでございます。
 結果といたしまして、先生御紹介していただいたとおり、我が国経済がTPPにより新たな成長軌道に移行した時点で、我が国の実質GDP水準はTPPがない場合と比較して二・六%、労働供給は一・三%増えると見込んでいるところでございます。
#85
○石川博崇君 今御説明をいただきましたとおり、想定される成長メカニズムとして、関税率の引下げあるいは非関税障壁の削減、こうした貿易が進むことによって輸出入取引が拡大をいたします。そうしますと、競争原理が働くこともあって生産性が上昇する、物価の引下げも見込まれることから実質賃金が上昇いたします。賃金が上昇することによって労働供給が増える、実質所得が増加して投資や貯蓄も増えてくる。こうした国民の生活、暮らしに様々な影響を与える、まさにアベノミクスの好循環を加速化させていくことにつながると確信をしております。
 総理より、今の説明を踏まえまして、自由貿易また経済連携を推進することによって私たち国民一人一人の暮らしがどのように変化することになるのか、国民の皆様が御実感いただけるような説明をお願いしたいと思います。
#86
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPPに対する誤解あるいは自由貿易に対する誤解というのは、一部の豊かな人がもっと豊かになって低所得者には全然恩恵が行き渡らないのではないかという、そういう反対論が強いわけでございますが、今TPPの効用についてはまさに委員が説明をされたとおりでございまして、例えば、これは新しいルールができるわけでございまして、模倣品や海賊版対策は強化されるわけでありますし、また、技術移転や国産化を強いられることがなくなるわけでありまして、よく中小企業が外へ出ていくと、何年か掛けてやっと作った技術あるいはアイデアがすぐ模倣品が出て無に化してしまう、あるいはその技術移転をしろという要求、あるいは株を半分よこせ、五一%よこせということに途中からなっていくという、そういうルールの変更等もありますし、税制の変更もありますが、そういうリスクの中では中小企業や小規模事業者は海外に出ていくということはほとんど困難で、あるいはひどい目に遭って帰ってくるということが多々あったわけでありますが、TPPにおいてはそれがなくなるということになりまして、中小企業にとっても大きなチャンスが出てくるわけでございまして、また同時に、これ、直接輸出する人だけではなくて、その輸出メーカーから仕事をもらっている下請企業にも当然仕事が来るわけでございます。
 しかし、そこでしっかりとそういう輸出メーカーに納めている中小企業にも利益が均てんするように働きかけていく必要がございますから、取引慣行を適正化をしていく必要があります。大きな企業に対して下請企業は弱いですから、そういう立場に立って我々も取引慣行を是正をしていく、適正化を努めていきたいと思いますし、各企業が、今おっしゃった、ポイントは賃上げがちゃんと行われるかどうか。企業がそれぞれ収益を上げるな、中小企業も上げるなというところまではそうだなと思う人がいるんですが、その先が行くかどうかということも大切でございますから、しっかりと賃上げを促していきたいと思いますし、先般も経済界の皆さんに賃上げの要請をし、大体御了解をいただいたものと考えているわけでございます。
 また同時に、消費者の皆さんは、関税がなくなりますから、より物を安く買うことができます。選択肢は増える。そして、言わば可処分所得においては、より安く買うことができますから、購買力は他のものにも向いていくことになるわけでありまして、消費を喚起していくというこの大きな利点もあるのではないかと、このように思います。
 と同時に、安全基準や検疫体制、食品表示の制度やその運用を最新技術を活用しながら不断に見直し、そして食の安全にも万全を期していくことは当然のことであろうと、このように考えております。
#87
○石川博崇君 今総理から御説明をいただきましたとおり、TPPは私たち国民の暮らしにとっても、大きな所得やあるいは賃金上昇を生んでいく、そして消費を喚起していく、そうした効果もあるわけでございます。
 さらには、TPP協定は全国津々浦々で一生懸命汗を流しておられる中小企業の皆様にとってもメリットが大きいものでございます。今総理からも御説明いただきました。全国中小企業団体中央会からも、TPPの速やかな発効を図ること、こうした要望ができているところでございます。TPPの発効による中小企業のメリットをしっかりと説明を今後とも続けていただきたいと思います。
 ところで、今、日本の海外との貿易を推進していく上で大きな役割を果たしているジェトロという機関がございます。日本貿易振興機構でございますが、このジェトロ、発祥地がどこか御存じでございましょうか。別にクイズをやるつもりはございませんが、実はこのジェトロ、大阪発祥でございます。(発言する者あり)ありがとうございます。
 一九五一年、大阪市北区にジェトロの前身でございます海外市場調査会が設立をされました。その後、大阪経済界の肝煎りでジェトロが創設されることになり、初代理事長には杉道助第十六代大阪商工会議所会頭が就任をいたしました。この杉道助は総理の御地元山口県の出身でございまして、吉田松陰のお兄さんのお孫さんに当たる方でございます。戦後、壊滅的な打撃を受けた我が国経済を立ち直らせる上で、大阪の経済界は杉道助を先頭に、いち早く海外との取引と自由貿易の促進に、重要性に着目をしてジェトロの前身を立ち上げたわけでございます。
 私は先日、この発祥の地であります大阪でジェトロ大阪本部をお伺いしまして、新輸出大国コンソーシアムの実務に当たっておられる方々から様々現場の御意見をお伺いをいたしました。連日多くの中小企業の皆様から、海外でいかに事業展開をしていくのか、パートナーをどう探していったらいいか、諸外国のそれぞれの国の法制度はどうなっているのか、そういった御相談を受けて、懇切丁寧に相談に応じている姿を確認をさせていただきました。
 現在、全国三百九名強の専門家で二千二百五十二社の支援を行っている状況でございますが、今後、中小企業の海外展開を更に推し進めていく上でこの専門家の体制を更に強化していくことが必要だというふうに思います。六百人体制にしていくと先日も世耕経産大臣から経産委員会で御答弁いただきましたが、共に、クオリティー、質も向上させていくことが重要と考えております。
 是非力強く推進していただきたいと思いますが、総理の御所見をいただきたいと思います。
#88
○国務大臣(世耕弘成君) お答えいたします。
 ジェトロは私の所管なんですが、大阪発祥とは知りませんでした。何か関西の組織が手厚いなとは思っていたんですけれども、やっぱり大阪発祥だったんだなということを改めて思った次第でございます。
 まず、新輸出大国コンソーシアムでは今御指摘のように三百九名の専門家を確保しています。これは、やはりTPPを特に意識して強化していかなければいけないということで、TPP参加国でのビジネス経験がある専門家とか、あるいは自動車、自動車部品、産業機械などの工業製品の海外展開の経験のある専門家ですとか、食料品、小売、サービス、ヘルスケア、コンテンツの専門家など幅広い分野の知見を有する人材を配置をさせていただいています。
 これを御指摘のように今後六百人程度まで拡充をしたいと思っていまして、その際には少し分野の幅も広げていきたいと思っています。例えば、陶磁器ですとか繊維製品といった地場産品、こういったものの専門家も入れていきたいと思いますし、あるいは農産品、あるいは加工食品、こういったものの経験のある人を入れていきたいと思います。
 また、国別にも、今度六百名まで増やすときには少しめり張りを付けて、特に中小企業が海外展開で、この国でやりたいなというような希望が多いところ、アメリカとかベトナムということになりますが、そういったところでのビジネス経験を持つ専門家についても拡充を図るなど、実質的に中小企業をしっかりとサポートできる体制にしてまいりたいというふうに思います。
#89
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ジェトロにおいて、まさにこの杉、松陰先生のお兄様というお話を聞いて、私も林委員長も急にジェトロに親近感を持ったところでございますが、いずれにせよ、ジェトロにおいては、また輸出コンソーシアムにおいても、まさに中小企業のみならず、これ、農産品あるいは農産加工品もしっかりと視野に入れながら輸出に力を入れていきたい、その援助をしっかりと行ってもらいたいと、このように思っております。
#90
○石川博崇君 現場にお伺いさせていただきまして専門家の方のお話をいただく中で、現場の専門家の方からの声として是非一点改善をお願いしたい点がございます。
 それは、伴走型で中小企業の海外展開支援を行っている専門家の方々、今契約は半年ごとあるいは年度ごとということになっております。企業の海外展開には息の長い支援が時には必要となりますが、こうした年度をまたいで継続して同じ専門家が支援できるようにしていかなければ、中小企業の方からすると、特に安心して中長期的に海外事業を進めることができないというふうに思っております。
 この点、年度をまたいで支援を可能にすべく、専門家の契約を複数年度にまたがっても行うことを可能にすべきではないかとお願いしたいと思いますが、経産大臣、お願いいたします。
#91
○国務大臣(世耕弘成君) 過去、こういう専門家と契約するような事業を経産省はやっていまして、それが一度二年契約にしたところ、ちょっと余り質のよろしくない方もずっと二年ということになりましたので、今回はその反省に立って半年ごとにチェックをさせていただいて、基本的にはいい人はそのまま継続という形にさせていただいております。
 ただ、もう既に一回半年を迎えた専門家のグループがありまして、その方々は全員例外なく更新をさせていただきました。そういう意味では、新輸出大国コンソーシアムに入っていただいている専門家の方々は非常に真面目で中小企業に寄り添っていただいている方々なんだというふうに感じております。
 委員からも御指摘をいただきましたので、できる限りやっぱり息長い支援というのが重要であります。ある程度、この人は質がいいな、中小企業からみんな頼りにされているな、そういう評価をいただいた方については複数年度の契約も検討してまいりたいというふうに思います。
#92
○石川博崇君 よろしくお願いいたします。
 また、ジェトロ大阪本部では、繊維、アパレル業界の方々の海外展開についてもお話を伺いました。今回のTPPが発効することを大変に期待している業界の一つがこの繊維、アパレル業界でございます。
 まず、TPPが我が国の繊維、アパレル業界にどのような影響を与えることになるのか、経産大臣に伺いたいと思います。
#93
○国務大臣(世耕弘成君) まず、輸入という面でいきますと、今、我が国は世界全体から約四兆円の繊維製品を輸入しています。そのうちTPPに参加する国からの輸入は約一割、一二%にとどまっております。
 その大部分、一二%で八%はベトナムなど既存の二国間EPAによってもう既に関税が撤廃されている国からの輸入ということになります。逆に、二国間EPAがない国からの輸入、これ特に米国ということになりますけれども、こういった国からの繊維製品の輸入額は輸入額全体の一・四%であります。それでも、アメリカから輸入する繊維製品って何かと聞いたら、ビンテージジーンズとか、かなり特別なものであるようでありますが、一・四%程度ということになるわけであります。ですから、TPPに入って、繊維製品の輸入に関してはそんな大きな影響はない、限定的な影響にとどまるのかなというふうに思っています。
 逆に、今度は輸出という観点で見ますと、米国では繊維製品の約七割の品目について、化合織物やアパレル製品などで最大二五から二八%もの高関税が掛かっているわけですが、これが全部即時撤廃ということになるわけであります。
 今、我が国の繊維産業は厳しい時代もあったわけですが、それを乗り越えてきた企業は逆に高品質で高機能の製品というのを作って市場へ投入をしてきているわけでありまして、こういうのはまさに米国なんかは格好のターゲットとなる市場だというふうに思っているわけであります。
 そういう意味で、TPPが成立をしましたら、我が国繊維産業にとっては特に輸入ではほとんど影響なく、輸出では大きなメリットがあるというふうに考えております。
#94
○石川博崇君 歴史を振り返りますと、明治維新以降、繊維産業は我が国の近代化、経済成長の中核的位置を占めてまいりました。
 一昨年、富岡製糸場が世界遺産に登録されたことは記憶に新しいところでございますが、私の地元大阪も、この時期、綿糸の九割を生産をしたということで東洋のマンチェスターともうたわれ、紡績卸を含め繊維産業の上流から下流までを担って、大大阪と言われる時代を築き上げたその中核に繊維産業があったわけでございます。
 また、第二次大戦後、壊滅的な打撃を受けた我が国経済の立て直しにおきましても繊維産業が果たした役割は大変大きいものがございました。朝鮮動乱の特需で我が国は高度経済成長への足掛かりを得たわけでございますが、その中でも繊維、紡績、いずれも漢字で書くといとへんを持ちますので、特に好調であったこの繊維産業においていとへん景気というふうに言われたわけでございます。
 このように我が国において経済を牽引してきた繊維産業でありますし、また各国においてもやはり繊維産業というのは極めて重要な分野を占めておりますので、関税交渉においては歴史的に常に熾烈な交渉を占めてきたのがこの繊維分野でもあります。我が国もアメリカとの間で繊維交渉、日米貿易摩擦における最初の厳しい交渉であったと言われておりますが、こうした交渉もございました。
 今、世耕大臣からお話のありましたとおり、戦後、その後、プラザ合意を経て衣料品の輸入超過が続き、我が国の繊維関係事業者数はかつての四分の一に減少するなど減退の一途をたどっているわけでございますが、そうした中で、この厳しい国際競争にさらされている中で、世界に誇る高機能繊維の生産する高い技術力を有するようになってまいりました。例えば、乾きやすいですとか湿度を保てるですとか、そういった快適性、臭いを消す、カビ、抗菌性、こういった衛生面、伸縮、耐熱、こういった強度面、日進月歩で進化している高機能繊維の競争力を是非とも生かしていただきたいというふうに思っているところでございます。
 今お話がありましたとおり、この繊維業界の商機が大幅に拡大すると見込まれるわけでございますが、一方で、実はこのTPPにおきましては、全体の原産地規則、いわゆるメード・イン・TPPということがよく言われますけれども、そういうのがある一方で品目別の規制がございまして、繊維分野ではヤーン・フォワード・ルールというものが採用されております。
 まず、このヤーン・フォワード・ルールとは何か、政府より簡単に御説明いただきたいと思います。
#95
○政府参考人(糟谷敏秀君) TPP協定の原産地規則におきましては、関税撤廃の対象となる繊維製品につきまして、毛糸、綿糸など使用される糸の紡績から始まってその後の生産まで、全ての工程をTPP域内で行うことを要件としているものがございます。ヤーン、すなわち糸の紡績から、フォワード、その先の織るとか縫製するといった工程についてTPP域内で行われることを要件とすることから、ヤーン・フォワード・ルールというふうに呼ばれております。
#96
○石川博崇君 我が国は、これまで様々な経済連携協定で二工程を原産地ルールとして取ってまいりました。
 今回、アメリカが、交渉中のことですので正確なことは分かりませんが、主張したと言われるヤーン・フォワード・ルール、今御説明のありましたとおり、ヤーンという糸、そしてその先まで、糸から始まり、それを紡いで、縫う、織る、この三工程をTPP域内で全て満たさなければ関税撤廃適用の対象とならないという条件と結果的になったわけでございます。
 我が国の繊維業界を見ますと、なかなかこの三工程全てをつなぐチェーンを持っているかというと、弱い部分があるというのが現実だと思います。高機能の糸や繊維の紡績を行って海外に輸出する業界、あるいは、糸を第三国、中国などから輸入して織り上げて、そして日本でアパレル産業としていく、こうした三工程全てそろっていないという状況がある中で、我が国はヤーン・フォワード・ルールの採用には否定的な立場であったというふうに言われておりますが、今後、これが採用されたわけですから、国際社会の様々な経済連携における基準となっていく可能性もございます。
 これに対応するために、国内繊維産業界においてこの上流から下流までをしっかりつないでいくサプライチェーンを再構築していくことが極めて重要でございますが、政府としていかに支援していくのか、世耕経産大臣にお伺いをしたいと思います。
#97
○国務大臣(世耕弘成君) 今御指摘のように、ヤーン・フォワード・ルールというものが入ったことによって、TPPによる関税撤廃のメリットを享受するためには、紡ぐ、織る、そして縫製と、この三工程を全て域内でやらなければいけないということになるわけであります。
 今まで、織るとか縫製、これは割と国内とか域内でやっていたケースが多いんですが、この紡ぐというところは、中国ですとかインド、パキスタン、こういったところが多かったわけでありますが、これを今度国内へ持ってくる、あるいはベトナム等の域内へ持ってくる必要が出てくるわけであります。
 当然、そのためにビジネスモデル、サプライチェーンの再構築をやっている企業が出てきております。こういう企業に対しては、例えば、今男性の間で人気ですけど鎌倉シャツというシャツ、これは元々糸は別のところで紡績で作っていたんですが、これを日本国内へ持ってくる、あるいはニットメーカー、高級ニットメーカーで、イタリアから糸を輸入していたんだけど、これを国産に切り替えるというような、こういう取組をやっているところに対してはサプライチェーンの再構築を図る企業への支援として実施をさせていただいております。
 また、先週には、工程間の分業を推進することを目的にベトナム政府と繊維分野の政策対話の開催と、ベトナム企業への訪問を目的とする官民ミッションを派遣をしたところであります。
 こういった支援をこれからも手厚く行っていきたいというふうに思っております。
#98
○石川博崇君 時間も限られておりますので論点を変えまして、TPP協定には投資、サービスの自由化に関する協定が盛り込まれておりまして、今回のTPPの協定の締結によって、コンビニエンスストアあるいは金融業、これらの外資規制が大幅に緩和されるというふうに認識をされております。
 特に注目をされますのはコンビニ、このコンビニエンスストアの販売網が今後更に拡大していくことが期待されます。ベトナムやマレーシア等ではこのTPPによって小売業の外資規制が緩和されることになりまして、海外出店数が大幅に増加することが期待されます。これによって、コンビニのネットワーク網を活用した日本の食品であったり、あるいは日用品、日本の産品、文房具品、こうした海外のコンビニエンスストアのネットワークを活用した販売によって我が国の中小企業の輸出にも大いに資すると考えております。
 こうしたTPP協定を追い風にした支援をどのようにやっていくのか、経産大臣からお伺いをしたいと思います。
#99
○国務大臣(世耕弘成君) ベトナムとかマレーシアにはやっぱりコンビニの出店に関するかなり厳しい規制がありました。それが撤廃されることによってコンビニエンスストアが展開をする、そしてそこに並べる日本の産品にチャンスが出てくるというふうに考えておりまして、コンビニ業界とジェトロとの間でそういった協議会を今年の一月に立ち上げました。
 また、ベトナムのファミリーマート、ミニストップ、イオン契約の約二百店舗において、地方の産品のテスト販売なんかも行いました。大阪のバナナカステラとか、たい焼きまんじゅうなんというのも出店されています。和歌山のレンジパートナーなんというのも出ております。こういう地方の産品が売られる可能性はこれからも広がっていくだろうというふうに思います。
#100
○石川博崇君 以上、この質問を通じて申し上げたかったことは、国民の皆様にしっかり分かりやすい説明をしていくことが大事だということでございます。
 また、冒頭申し上げましたとおり、我が国の外交はまさに正念場にございます。各主要国の政治が不安定になってきている中で、我が国においては主要国の中で今唯一とも言ってよい安定した政権運営を行われている、このことに対する国民の皆様への感謝を申し上げ、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
    ─────────────
#101
○委員長(林芳正君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、蓮舫君が委員を辞任され、その補欠として江崎孝君が選任されました。
    ─────────────
#102
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 アメリカの次期大統領トランプ氏がTPPからの離脱を明言をいたしました。となれば、アメリカの今後の対応は二つしかないと思います。一つは、言われているように、二国間のFTAを日本にも求めてくること、そして二つには、仮にTPPの枠からすぐに離脱しないとしても更にアメリカに有利になるような再交渉を求めてくると、この二つしかないというふうに思うんですね。
 総理にお聞きしたいんです。それでも総理はアメリカをTPPにつなぎ止めようとする、更にアメリカの要求のまされるということに私はなっていくんじゃないかというふうに思います。それは日本の国益や経済主権を自らアメリカに対して差し出すことになるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#103
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 再三この委員会でも申し上げておりますとおり、日本の国益を削る、あるいは国益を差し出すということはしないということは申し上げておきたいと思います。
#104
○田村智子君 これまでの議論のときの時点と違うんですよ。今や離脱を表明したときにつなぎ止めようとしているんですよ。どうしたって日米協議求められることになるでしょう、再協議求められることになるでしょう。そう思わないんですか。
#105
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ここは、まさにTPPの持っている利点、意義について、我々は粘り強く腰を据えて説き続けるということだろうと思っております。
#106
○田村智子君 そうやってアメリカと協議を続けていくということになる。そうすると、これまでも日米協議によってアメリカがいかに日本の主権を侵してきたか、これ、今日、私は医薬品の問題に焦点当てて質問したいと思うんですが、安倍総理、先ほどから、たとえ発効しなくても国会で承認することに意味があるとおっしゃる。TPPがそんなにすばらしいものなのかということについても一言言っておきたいです。
 TPPによって医療が受ける影響、これを厳しく批判しているのは、紛争地域や最貧国での医療活動を行っている国境なき医師団です。TPPによって新しい薬、新薬を開発する製薬企業の利益が守られ、途上国で救える命が救えなくなるのではないか、こういう懸念が繰り返し示されてきました。例えばエイズの治療薬。アメリカの製薬企業が開発した新薬は価格が余りに高くて、薬があっても使えない。新薬を基にして別の国で安い薬が作られたことでやっと各国での治療が大きく進むようになったわけです。
 アメリカは、これでは新薬メーカーの利益が損なわれると、こう主張して、新薬の特許権、研究データ、この保護を強めることをTPPに盛り込ませました。これでは安い治療薬が使えなくなる、患者の命よりも製薬メーカーの利益を守るのか、これがTPPへの懸念であり、怒りなんですよ。
 しかも、アメリカは何でTPPから離脱って話になっているか。それは、アメリカの製薬業界がこのTPPの中身ではまだ新薬の保護が足りないという要求。アメリカというのは、製薬企業、圧倒的な開発力持っています。しかも、その薬の価格は世界の中で群を抜いて高いです。それは日本に与える影響も決して小さくはありません。
 そこでお聞きします。TPPあるいは今後の日米協議でアメリカの製薬企業の要求が日本に更に持ち込まれてくることになれば日本でも医薬品の価格が高くなっていく、そのことによって国民の医療費負担や保険料負担が一層重くなる、そういうことが起こるんじゃないんでしょうか、総理。
#107
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPP協定には、薬価決定に対する外国企業の介入のような我が国の公的医療保険制度に影響を与える内容はこれ一切含まれていないわけでございまして、今、田村委員の御質問は、更に今後TPPに米国にしっかりと参加するよう促していく中においてそういう譲歩をするのではないかという趣旨の答弁かもしれませんが、そうであるとすると、我々が今、薬価を決定する仕組みに米国を介入させるということは決してないということははっきりと申し上げておきたいと思います。
#108
○田村智子君 それでは、具体的に見ていきたいんです。
 現に今も、特にアメリカの高過ぎる薬価、これは日本の医療保険に影響を与えています。今年九月二十日、国保新聞は、昨年度の医療費について、高額薬剤の影響で一・五兆円増という記事を掲載しています。これは厚労省の発表に基づく記事なんですね。
 塩崎厚労大臣にお聞きします。二〇一五年度の医療費総額の伸び、薬剤費の伸び、高額薬剤が与えた影響について簡潔に御答弁ください。
#109
○国務大臣(塩崎恭久君) 今年の九月に公表いたしました二十七年度の医療費の動向、このお尋ねだと思いますが、概算医療費は四十一・五兆円となりまして、前年度の四十兆と比べて一・五兆円おおよそ増加をした。そして、伸び率で見ますと対前年度比で三・八%というふうになっておりまして、平成二十四年度以降二%程度で推移していたのと比較をいたしますと高い伸びになっているというふうに思います。
 中でも調剤医療費というのがプラス九・四%と高い伸び率でございまして、これは、C型肝炎治療に用いる抗ウイルス剤など高額薬剤による影響があったものと見られます。また、新しいC型肝炎治療薬による医療費の伸びの影響は、正確には算出はできないわけでございますけれども、調剤医療費における実績等から推測をいたしますと、大まかに言って医療費の伸び一%程度に相当する規模ではないかというふうに考えているところでございます。
#110
○田村智子君 今御答弁のありましたC型肝炎治療薬、これ、ソバルディとハーボニーというものですけれども、副作用が少なくてよく効く薬が使えるようになったわけで、これは患者さんが本当に待ち望んでいたこと、私自身もこれは本当によかったというふうに歓迎をしております。
 同時に、こうした医療の進歩と医療保険の維持をどうしていくのかということが問われてくるわけです。ソバルディは、患者さん一人当たり一日、日本の価格で六万一千八百円という薬です。治療に必要なのは十二週間分、約五百二十万円。ハーボニーは、一日八万円、十二週間で約六百七十三万円。この二つの薬剤が広く使われたことで医療費の総額が一%増えたというのが昨年度の状況なんですね。
 日本は医療費の自己負担の上限がありますから、この薬剤を全部患者さんが負担したわけではありません。それでも、毎月一万とか二万円とか、こういう負担に苦しんでいる患者さんは決して少なくありませんし、医療費の総額が増えれば、それは保険料に跳ね上がることになります。特に、国民健康保険料、今本当に負担が重くて、国保税や国保料は所得の二割を超えて負担をしている世帯もあるわけで、家計を本当に押し潰すほどになっています。
 厚労大臣、こういう高額な薬価は、患者負担また保険料負担を考えても、何らかの対応、対策、これ取っていくことが今後必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
#111
○国務大臣(塩崎恭久君) これまで、米国から我が国の薬価制度について薬価引下げの反対も含めて要望はあったわけでございますけれども、今お尋ねの革新的でなおかつそれが非常に高い値段の医薬品の登場というものが最近特に多くなって、それは特にバイオ医薬品が多いわけでありますが、この医療保険財政に与える影響が懸念をされているわけでございます。今回、例えばオプジーボにつきましては、効能、効果の追加等によって当初の想定を超えて大幅に市場規模が拡大したことを踏まえて、国民負担軽減の観点とか医療保険財政の持続性に与える影響などを考慮して、今回、二年に一度の改定の年ではないけれども、緊急的に薬価を引き下げるということにいたしました。
 我々としては、やはりイノベーションは大事にして、新しい薬が出てきて健康を守ることができるようにする、このことは大変大事であり、一方で、国民皆保険、そしてその持続性、これも大事にしていくということも大事だということでありまして、もちろん国際的な議論も、これ実はOECDの方が高額で、しかし有効な薬の今後の扱いについての議論を深めていますが、そういったところでの議論あるいは外国での価格などをよく見ながら、高額薬剤への対応を含めて、薬価算定ルールはしっかりと絶えず見直していきたいというふうに思っております。
#112
○田村智子君 今オプジーボで御答弁いただいたんですが、今日五〇%引き下がるんですよね。ソバルディやハーボニーもこれ四月に三二%の引下げを行っています。
 このソバルディ、ハーボニー、開発したのは米国の製薬メーカー、ギリアドです。このギリアド、報告書を見ますと、二〇一五年の営業利益率は七〇%を超えています。これは他の製薬メーカーを見ても異常な利益率なんですね。アメリカというのは、製薬企業が薬の価格を自由に決めています。よく効く薬、たくさん売れている薬、これは商品価値が高いのだから価格が高くて当然、開発した企業が大きな利益を得るのも当然だという考え方、これがアメリカの考え方なんです。
 一方、日本は国民皆保険の国です。必要な医療が誰に対しても保障されるということが原則で、薬の価格も、政府の機関である中央社会保険医療協議会、いわゆる中医協が製薬企業からの意見も聞きながら公定価格を決めて、公平に、また有効に治療が受けられるようにしています。一度決めた薬価も、御答弁のとおり、二年ごとの見直しで価格を引き下げるという方向での審議が行われています。だから、ソバルディやハーボニーもこの仕組みの中で見直されました。問題は、この国民皆保険の立場で高額薬価を引き下げるという日本のルールに対して、アメリカの製薬業界が反発を強めていることです。
 今回の薬価引下げについて、米国研究製薬工業協会、いわゆるPhRMA、これはどのような意見を示していますか。
#113
○政府参考人(鈴木康裕君) 米国の製薬業界の反対意見についてお尋ねでございます。
 薬価の見直しに当たりましては、中医協において関係団体から意見聴取の機会を設けて議論を行っておりますけれども、御指摘の米国研究製薬工業協会、PhRMAでございますけれども、二点意見がございました。一点は、市場拡大再算定の特例については、そもそも市場拡大再算定自体を撤廃すべきという御意見、それからもう一つは、オプジーボの緊急的な薬価改定については、日本における新薬開発や効能追加への意欲をそぐことにつながるおそれがある旨の意見が表明をされております。
#114
○田村智子君 今御答弁のあった廃止しろという市場拡大再算定、これは、高額な医薬品が見込みを大きく超えて使われたときに価格の引下げを行うという日本の薬価ルールです。PhRMAはこれをやり玉に上げて、薬価を引き下げるルールは撤廃されるべきだ、もっと言うと、売れている薬は市場価格に任せるべきだというふうに求めているわけです。これはPhRMAの要求だけではありません。
 資料一を御覧ください。パネルを御覧ください。(資料提示)
 これは、アメリカ政府が日本政府に規制改革を迫って毎年出してきた年次改革要望書、悪名高き年次改革要望書ですね、この中から医薬品に関する事項というのを抜粋したものです。二〇〇三年以降、市場拡大再算定の廃止という言葉、赤くしているので分かると思います、その言葉が繰り返し出てくるんです。
 厚生労働大臣、日本の薬価引下げのルールに対してアメリカは繰り返しその廃止を求め、これが日米協議の争点になってきたのではありませんか。
#115
○国務大臣(塩崎恭久君) 今資料でお配りをいただいた要求がございますけれども、ちなみに、私どもこれ見てみますと、言ってみれば受け入れたものと受け入れていないものがございまして、受け入れているのがこの中で九項目だけでありまして、あとは全部お断りを申し上げているということでございます。
 今のオプジーボなどについてのこの特例の扱い、これについて廃止をせいという要求は来ているということでございますが、私どもは、これをやることが、今申し上げた皆保険の持続性を守っていくことが、そのために必要だということで私ども新たに特例を今回導入をしたわけでありまして、しっかり治療には使うけれども、この言ってみれば価格については、今申し上げたように、再算定を特例的に行って、予定よりも売行きが上がったようなところはしっかりと見直していくというルールは、我々はこの保険財政を守るためにもやらなきゃいけないというふうに考えております。
#116
○田村智子君 要求されたものを丸のみしていたら大問題なわけですよ。確かに、市場拡大再算定は、廃止と求められても確かに今継続している。それはそうです。
 しかし、日本政府は、じゃ、こうやって何度も要求されている、これきっぱりと拒否をしているのか。していないですよ。こういう求められた要求に対しては、日米経済調和対話協議記録というのが出されているんです。どんなふうな話合いしたかというまとめですね。その中でこの市場拡大再算定についてどう書いてあるか。日本国政府としては、必要不可欠な構成要素であると考えているとしながら、市場拡大再算定制度が与える不合理な影響を取り除くための方法について引き続き検討していくというふうに記されているわけです。これが協議の結果なんですよ。
 結局、アメリカの製薬業界の不利益にならない方法を検討していくというふうに約束するから、いつまでたっても繰り返しこれを廃止しろ廃止しろと求められてきているんじゃないんでしょうか。
 今後です。仮にTPP協定、これ発効すると、そうすると、医薬品の価格決定の手続について各国協議、これ約束されています。さらに、日米交換文書、いわゆるサイドレターでは、価格決定の手続にとどまらず、将来の医療保険制度についても日米の協議事項とするということ、これをアメリカから求められて、日本政府はこれ受け入れるというふうに表明したんですね。そうすると、TPPが仮に発効すれば、市場拡大再算定の廃止ということが今度は条約に基づいた協議事項になっていくんじゃないですか、厚労大臣。
#117
○政府参考人(鈴木康裕君) サイドレターについてのお尋ねでございますが、これは薬価算定ルールが含まれるかということでございますけれども、御指摘の交換文書においては、日米は附属文書に関してあらゆる事項について協議はする旨、用意をする旨を確認はしてはおります。
 御指摘の交換文書は、しかしながら法的拘束力はないものでございまして、我が国ではこれまでも米国を始めとして各国との協議に誠実に対応してきております。交換文書によって新たな義務を負うものではございません。
#118
○田村智子君 もう一度確認しますが、今後、仮にTPP発効がしたとして、この市場拡大再算定の廃止ということは協議事項から、じゃ、聞き方変えましょう、協議事項から排除されるということはあるんですか。
#119
○政府参考人(鈴木康裕君) 附属文書に関する事項については協議する用意がある旨を確認はしておりますけれども、それを受け入れるということではございません。
#120
○田村智子君 だから、協議するということですよ。そうすると、今度は作業部会がつくられて、更に強くアメリカからの要求がされていくと、これ目に見えているわけです。
 先ほど塩崎大臣は、市場拡大再算定の廃止、これを求められても、あるいは協議をしても、これ意見を聞くだけだ、今後も制度改正しないと、この間、TPPに関するいろんな議論では必ずそう言うわけですよ。アメリカからの意見は聞くけれども制度変更はしないと。だったら協議事項にする必要ないんですよね。わざわざ協議事項にすると。私、到底そういう答弁は納得できません。
 これまで、アメリカの要求でどれだけ日本の薬価制度が変えられてきたのか。先ほど九項目受け入れたと既に御答弁いただいたんですけれども、もう一度この資料の一を見ていただきたいんです。例えば一九九九年に薬価算定手続に上訴手続を設けるというふうに書かれています。これは、日本が決めた薬価に対してアメリカの政府とアメリカの製薬業界が異議申立てをできる制度というのが要求されたわけです。これは確かに次の年に実現しているんですよ。異議申立てはアメリカからできることになったんですよ。
 じゃ、二〇〇三年、ここには、赤字の下の方ですね、薬価算定組織の初会合で意見の申出、議論の機会の確保というふうに書いてあります。これ、まさに新薬の価格を決めるというこの協議の中に開発した製薬企業が直接意見を言って議論に加わると、こういう制度を要求しているわけですけれども、これは結論としてどうなったんでしょうか。
#121
○政府参考人(鈴木康裕君) 申請者の意見の表明についてお尋ねでございますが、二〇〇六年度の薬価制度改革におきまして、国内外を問わず、関係団体の意見も踏まえ、新たに二〇〇六年四月以降に薬価収載される医薬品について原価計算方式での薬価算定を希望する企業など、一部の企業は薬価算定組織に出席して意見表明を行うことができるといたしました。その後、二〇〇八年度薬価制度改革において全ての企業が薬価算定組織に出席して意見表明を行うことができるというふうにしたものでございます。
#122
○田村智子君 だから、これも二〇〇八年に完全実施なんですよ、アメリカから求められたとおりに。二〇〇一年からは今度は補正加算という言葉が何度も出てくるんですね。これは、新薬は、同じ病気に対して既に使われている薬の価格、これを基準にして有効性などを評価して、その元々使われている薬を基準額としたところに上乗せ、加算というのをしていって価格を決めます。この中で最も大きな加算が画期性加算というもので、これは新しさとか、これまでと比べてよく効く、それから治療方法が改善される、こういう要件を全て満たしたときに評価されます。
 アメリカは加算を増やすように、割合を上げるように、下限を引き上げるようにと、こういうことを繰り返し求めてきましたが、それでは、二〇〇〇年以降、画期性加算についてその加算率の推移をお示しください。
#123
○政府参考人(鈴木康裕君) 新薬の有用性評価についてお尋ねでございます。
 新薬の有用性を評価する画期性加算、御指摘のものでございますが、この加算率については、平成十二年、二〇〇〇年から平成二十年、二〇〇八年までの累次にわたる薬価制度改革を経まして、最大四〇%から最大一二〇%まで引き上げております。なお、この加算の引上げについては米国のみならず、イノベーションの支援といった観点から内資企業からも御要望があったものでございます。
#124
○田村智子君 これ、表にしました。二〇〇〇年にこの画期性加算は一律四〇%でした。ところが、二〇〇八年は最大一二〇%にまで引き上げられました。つまりは、類似薬の二・二倍の価格にできるということです。その下にある有用性加算というのは画期性加算よりも評価の基準が緩いものなんですけれども、これも大幅な引上げが行われていることが分かります。
 もちろん、新薬というのは研究開発の時間も掛かるし費用も掛かります。そのことを評価して価格を決めるというのは当然のことですし、必要だと私も思います。しかし、研究開発の経費が一体どれだけ掛かったのか、あるいは、どの薬と比較してどれくらい効くようになったのかというようなデータ、企業がどんな説明をしたのか、それに対してどういう審議が行われたのか、全て非公開なんですよ。製薬企業は意見も言えるし審議内容も分かる、しかし国民にとっては完全なるブラックボックス。実はこういう審議のやり方、製薬業界、意見も言うし、データも出す、だけどそれは全部非公開よと。これもアメリカが要求して、日米協議の中で実現したものなんですよ。
 厚労大臣、新薬決定の手続、加算率の引上げ、これらはアメリカからの要求が何度もあって、そしてその要求に添う方向で制度改定が行われてきた。これ事実だと思いますが、お認めになりますか。
#125
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど保険局長から御答弁申し上げたとおり、これは国内外問わず様々な要望が来て、私どもにとってプラスになることはやりますし、プラスでないことはやらないというのが基本であって、先ほどお配りをいただいたこの対日要求の中で九つ受け入れたということを申し上げましたが、十六拒否をしていますから、いいものは取るし駄目なものは取らないということで、これは内外ともであり、先ほどの画期性加算でも、これはよくピカ新なんか言っていましたが、そういうことが国内にとっても大事なことだったというふうに思います。結果として、さっきも申し上げたとおり、イノベーションの促進や薬価決定の透明性を確保する観点から、薬価の画期性加算の加算率の引上げや、あるいは意見陳述機会の拡大を実施をしたものであって、これらは当然内資企業からも要望があったものであるわけであります。
 一方で、米国から廃止や拡大の回避を再三要請されてきた、先ほど来出ております市場拡大再算定、これにつきましては、国民皆保険を堅持する観点から、これを維持するということを守ってきましたし、また、平成二十八年度の診療報酬改定においては、企業の予想販売見込額を大きく超えて極めて市場規模が大きくなった医薬品に対応するため、市場拡大再算定の特例を創設をしたと。このことから、薬価を高くしてほしいという米国の要求を一方的に実現をしたものでは決してないということでございます。
#126
○田村智子君 要求されたものがそのとおりに、先ほど言った九項目については受け入れてきている。強く要求してきているのは、これ見ても分かるとおり、米国なんですよ。こんなふうに毎年次毎年次、対日要求なんというのをまとめて、それによって協議求める。条約に基づくものでもないですよ。こうやって求められて、それを受け入れてきたということがもう事実として分かることだと思います。アメリカの要求はとどまるところを知らないわけですよ。
 これ、二〇〇六年以降を見てください。赤字になっていないところなんですけど、米国製薬業界代表を中医協部会委員にしてほしいと。中医協というのは、さっき言ったとおり、日本の薬価制度、薬の価格を決める、そこの場所ですよ。そこに米国の製薬業界の代表を入れろと、ここまで要求をしてくるわけですよ。これは日米協議やればやるほどアメリカの製薬業界の利益のために制度変更を求められるだけだと、これ目に見えていると思います。
 総理にお聞きいたします。総理は、もう冒頭から、日本の国益守るんだと、また、アメリカの言うままにならないと、これどんなにお聞きしてもそういう答弁を繰り返されます。しかし、歴史的に見て、アメリカの要求を本当に受け入れてきた。そのことが新薬の価格、実際引き上げてきたわけですよ。医療保険財源が、冒頭でも言ったとおり、圧迫されるような事態が今、日本の中で現実に起きてきているわけですね。
 トランプ氏が、来年一月にはもうTPPから離脱すると明確に意思表示をした、それでもTPPに残ってくれと日本政府が懇願をする。これでは、薬価の問題も含めてアメリカの要求を更にのみますよと、最大限の譲歩をする条件をこれ示していく、こういう道しかなくなっていくんじゃないのか。それはまさに、日本の経済主権を売り渡して不平等条約への道を突き進むことになると思いますが、総理の見解はいかがですか。
#127
○内閣総理大臣(安倍晋三君) こういう協議の場においては、それぞれの国が自分の国の国益を何とかこれ増していこうと主張するというのは、これ当然のことであろうと。日本もそうであります。それぞれの国が貪欲にこれを追求していくわけですね。しかし、こちらは理にかなわないものについてはしっかりとお断りをする。例えば、中医協に米国の製薬メーカーの代表が入るということは全くこれは考えられないわけでございます。
 そこで、言わば画期的な新薬ができた、それは委員もお認めになられたように、これは患者にとっては待ち望んだものが出てくる。問題は価格でありますが、画期的な新薬は大体これコストが相当掛かっているのも事実であります。言わばそこである程度の画期的新薬に対しては評価をしないと、難しい薬を作っていこうというこれインセンティブがそがれてしまうという難しさはあります。
 ただ、同時に、厚労大臣から答弁をさせていただきましたように、我が国は皆保険制度を取っていて、保険に収載したお薬については、まさに医療保険の中でお金を出していくということになっていくわけであります。そこで完全な市場経済の原理がこれ働いているということではないわけでございますので、我々は、その交渉の中から、また算定のルールの中から、薬価に収載する際に、保険に収載する際にこれは価格を決定をしていくわけでございますが、そこで私たちは、そのときに、使う患者さんがぐっと増えた場合はそれは当然減額をさせていただきたいということをずっと申し上げてきて、このルールは我々は大変真っ当なルールであろうと、こう思っております。
 一方、画期的な新薬を作るというインセンティブがなくならないようにするという必要もあるわけでありますし、よく話題になっているこのオプジーボについても、あれは一部のメラノーマにしか効かない、しかし一部の対象にしか効かないものは、いわゆる希少薬ですね、オーファンドラッグについて、そういうオーファンドラッグであったとしても開発をしようというインセンティブは必要でありますから、ある程度の薬価、画期的新薬であれば薬価を付けていく必要があるんだろうと思いますが、同時に医療保険制度の持続性も考えながら、我々は守るべき制度はしっかりと守っていきたいと、このように考えております。
#128
○田村智子君 これは、今後も薬価ちゃんと引き下げていくんだというお話でした。
 しかし、例えばアメリカのイーライリリーという製薬メーカーがあります。ここは、カナダが自分たちの薬の特許権を認めなかったということで、これを訴えたんですよ、ISDSで。こういうことを実際やっているんです。勝てるかどうか分からない、だけど訴えることによって、また米国の製薬業界がアメリカ政府や米国議会に圧力掛けてカナダにどんどん働きかけることによって、この特許法の見直しを今イーライリリーは迫っているわけですよ。
 これがTPPじゃないですか。こんな製薬業界の要求がどんどん政府の交渉の中に入ってくる、これがTPPの仕組みですよ。ISDSの仕組みでもありますよ。日本の中でオプジーボを大幅に減額した、これ厚労省の中だって、こんな減額やったら企業から訴えられるんじゃないか、そういう危惧の声が起こっているということもお聞きをしています。
 私は、安倍総理の言う自由貿易協定、これをどんどん進めていくんだと。これをアメリカと協議をしてどんどん進めていったらどういうことになるのか。アメリカが求める自由貿易協定の自由というのは、患者の命の上に企業の利益を置くようなものですよ。
 そんな協議はもう絶対やるべきじゃない、だからこそTPP断念する、会期延長なんか絶対やらない、そのことを強く申し上げて、質問を終わります。
#129
○儀間光男君 日本維新の会の儀間でございます。
 総理、北・中南米外交の旅、御苦労さまでした。御労苦を多といたしたいと思います。
   〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕
 さて、TPP、先ほどの共産党は絶対やっちゃ駄目だという議論でしたが、私はしなければならないという議論になります。そのためには少し、我が国が今日繁栄した、その基になったことを歴史をのぞきながら議論してみたいと思います。
 言うまでもなく、我が国は離島です。離島国です。離島は四面が海に囲まれていて、海の向こうに、空のかなたに多くの国々があり、また多くの人々が住んでおるわけでございます。したがって、その多くの国々と自由に往来、貿易をすることが我が国の繁栄をもたらし、そして今日、我が国が世界の中で第三位の経済大国、第四位の貿易大国になっているわけでございますが、これ一体、我が国がここまで成長する要因は何だったか、基は何だったか、そこを少し触ってみたいと思います。
 我が国は江戸時代は鎖国をしておりました。この鎖国した我が国に外国政府が正式に通商を求めてきたのが、一七九二年が最初だそうです。その六十一年後の一八五三年七月に米国大統領に命じられて東インド艦隊司令長官のペリー提督が浦賀沖に来航します。つまり黒船であります。開国を求めるアメリカ大統領の親書を提出して、ペリー提督は日本を離れます。翌一八五四年二月にペリー提督は再び浦賀へ来るわけでありますが、そのときは前年の国書の返答を求めて来ております。つまり、日米和親条約が締結されて、開国に至る弾みとなった歴史でございます。
 年号は明治となり、一八六九年、政府として改めて開国を決定し、明治の人々を一斉に欧米に人材派遣、人、物、情報を得て帰国。官民挙げて欧米から人材を招聘し、その人数は政府だけでも千名から千五百名に及んだと言われておるところであります。以後、不平等条約の撤廃が外交の重要な課題となって今日あり、日本の繁栄につながった、こういうことであるわけであります。
 さて、ここで、TPPを是非必要とするわけでありますが、APECで採択された首脳宣言は、二十一日でしたが、あらゆる保護主義的な動きに対抗し、自由貿易推進の決意を表明。また、総理は、自由貿易こそ世界経済の成長の源泉であり、日本は自由貿易を推進し続けると言明し、その意思からしますというと、TPPの必要性を改めて認識したばかりであります。
 しかし、その後、二十二日には、次期アメリカ大統領のトランプ氏はこれをずっと言い続けられて、今日の質問にありましたが、TPPの枠組みから離脱を宣言する意向を示しました。その枠組みや経済規模の存在意義もその宣言によって一気に変化をしてまいるのであって、日本にとってはますます厳しい状況にあると思うんであります。
 さて、日米は、日米間でFTAともなれば、厳しい要求を付けられることは火を見るより明らかな市場開放でありますが、政府はそれについて払拭できるのかどうか、伺いたいと思います。
#130
○内閣総理大臣(安倍晋三君) かつての、委員が今歴史を遡られたわけでありますが、かつて大恐慌の中においてこれは極端な保護主義が蔓延しまして、それが紛争の種となり、ひいては戦争につながっていったわけでございますが、現在も世界経済の下方リスクが高まっている中において保護主義が台頭してきているのも事実であります。その中で、APECにおいてはしっかりと自由貿易を守っていこうということを各国と確認できたことは大きな意義があったと、こう思っておりますし、まさに日本のみならず世界経済の成長の源泉は自由貿易であろうと、このように思います。
 そこで、先ほども議論をしたところでございますが、言わばマルチの形の自由貿易圏をつくっていくことは、これはまさにサプライチェーンを構築をしている中において大変有意義であろうと、こう思っておりますし、中小企業におきましても、それぞれの国とのFTAであればもう国ごとに大変煩雑な手続をしなければならないわけでございますが、メガFTAであれば一つのルールの中で対応できるということであります。と同時に、交渉の中において、多くの国々との交渉の中で様々なルールを決めていく、関税を決めていくということになれば、大変バランスが取れていくという側面もあるんだろうなと、このように思います。
 同時に、バイのこのFTA、二国間のFTAについても、当然今、今までも進めてまいりましたし、これからも進めていく考えでございます。
#131
○儀間光男君 今、総理、今日ずっと同じ質問で同じ答弁でよく分かったんでありますが、このトランプ氏のあの発言、つまり、オバマ大統領がAPECで同席していて保護主義に対抗するというような宣言を一緒にやったわけですが、それにあらがうように間髪入れず離脱を宣言する、そういうことの厳しさを見ていて、これ、米国がTPPに参加しないでFTAで二国間の交渉となると大変厳しいものがあるというような感がしてならないのであります。
   〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕
 さて、二十二日、アルゼンチンの会見において、TPPは米国の参加なしでは意味がないと発言をされております。このTPP、意味がないと言われるTPPにアメリカは、二十三日でしたか、間髪入れずにさっき言ったように離脱をするという宣言があったわけで、これはCNNのニュース等を見ているというと、就任百日以内で二十八の項目の政策を展開すると、そのトップにTPP離脱なんですよ。
 この宣言、今まで総理が発言したこととの整合性、信頼関係を築けそうだという希望的観測と併せて、どうお見通しするかをお聞かせください。
#132
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もちろん、我々としてはトランプ次期大統領があのような見解を述べたことは残念なことではありますが、しかしTPPについては、先ほど来議論をしておりますように、自由貿易を進めていく、自由で公正な貿易圏をつくっていくということにおいて大変な意義があるわけでございますし、そして、今我々がしっかりと批准をしていくということは、TPPのみならずTPPが持つ意義について世界に発信をしていくことにもつながっていくんだろうと、こう思う次第でございます。
 そしてまた、私とこのトランプ次期大統領との信頼感につきましては、言わば個別の政策については、国が違うわけでありますから、ちょうちょうはっしのやり取りをやるということがよくあります。でも、この人は果たして信頼できるかどうかということはまた別の観点であろうと思います。むしろ、自国の国益をしっかりと主張していくというのは、これは首脳同士として当たり前のことであり、ある意味敬意を表するところでございますが、その意味において、なぜ信頼できると語ったかといえば、オバマ大統領という現職の大統領がいる状況に対してしっかりと敬意を払う、気を配るという姿勢に対して信頼できる人物だというふうに私は思ったのでございます。
 今後とも、さらにこの日米同盟の重要性等について、あるいは自由貿易体制、TPPの意義について粘り強く腰を据えて話をしていきたいと、このように考えております。
#133
○儀間光男君 先刻の質問でも出ていましたけれど、こうなると、総理、選択肢が二つ、三つぐらいしかないと思うんですね。さっきも同じような質問がありました。アメリカ抜きに十一か国でやるのか、あるいは全部撤廃して別のことをやるのか、二国間に変わっていくのかというようなことがありましたが、これはしっかりとやっぱりやっていかなければならないと思うんですね。
 そこで、トランプ氏が掲げる五項目がインターネットで掲載されておりますが、この一つに、NAFTAからの撤退又は再交渉、TPPの阻止、不公平な輸入の停止、不公平な貿易慣行の停止、そして二国間を協定するんだというようなことが言われておりますが、これについて政府として、あるいは、このトランプ氏の政策の基本となすものだと思うんですが、これらに対して政府は何らかのシミュレーションを持って臨んでおるのか、全くこれから新たな検討ということになるのかをお聞かせいただきたいと思います。
#134
○内閣総理大臣(安倍晋三君) CNN等において今委員が紹介されたような報道があったことは承知をしておりますが、これは一報道機関の報道でございますのでコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにせよ、現在、政権移行チームが今後の政策的な柱あるいは外交政策における対応について議論をしている最中であろうと、こう思う次第でございます。であるからこそ、私もトランプ次期大統領とお目にかかって日本の考え方をお伝えをしたところでございますが、今後とも、政権移行チームと接触を図りながら、連携しながら日本の考え方を伝えていきたいと、このように思っております。
#135
○儀間光男君 トランプ氏の過去の経歴などを見ると、世界に誇る、世界のトップを争う商業人、商人ですね。政治やあるいは外交と商売上のネゴがどんな違いがあるか分かりませんが、まずはアメリカ・ファーストでアメリカの利益を代表とする、トランプ不動産の利益を代表してきたと同じようなタフな場となると思うんですね。そういう意味では、多くのシミュレーションを持って臨んでいかなければ、さっきも言ったように、なかなかFTAという二国間交渉になると厳しくなると思うんです。
 そこで、今までの御発言で総理のTPPに関する取組は、我が国は協定の批准、発効に向けて積極的に推進する姿勢を貫くということで理解をいたしましたが、一方で、他方で、東アジア地域包括的経済連携、RCEPに対してはどのようなスタンスで臨むか、考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#136
○内閣総理大臣(安倍晋三君) RCEPに対する方針でございますが、RCEPについては、中国やASEANの全加盟国を含む十六か国の間で、物品、サービス、投資、知的財産、電子商取引等の幅広い分野について、包括的でバランスの取れた質の高い協定の早期妥結に向けて現在精力的に交渉を進めています。
 TPP協定に結実した新たなルールは、TPPにとどまらずRCEP、さらにはFTAAP等におけるモデルとなり、二十一世紀の世界のスタンダードになっていくことが期待されると思います。我が国としては、RCEP交渉において、TPP交渉における成果も踏まえながら、質の高い協定の早期妥結に向け、引き続き精力的に交渉を進めていく考えでございます。
#137
○儀間光男君 それで、ちょっと気になるのは、TPPが駄目になってRCEPでいくとなると、中国がGDPからして、人口からして中心になると思うんですね。なかなか中国主体で動くと思うんです。そうなると、TPPがなくなってアメリカがこれに入らないとなると、我々日本の安全保障、これにも関わっていくと思うんですね。
 例えば、東シナ海、南シナ海で今中国がやっている海洋進出、これを見ますと大変な心配があるわけですよ。中国を出て台湾をかすめてフィリピンの西側、ベトナムからインドネシアに至るあの南シナ海、これはまさに我が国のシーレーンでありまして、ここで中国の進出を許してしまうとなかなか貿易でも厳しい。第二ルートとしてインドネシアから太平洋へ回るとか、あるいはオーストラリアをかすめて太平洋へ出ていくというようなことになったりするわけですから、どうしてもやはりアメリカの参加というのはアジア地域一帯の安全のためにも必要となってくるわけですね。
 そういうことを思うと、この辺の中国との向き合いが非常に大事なことになってきます。いわゆる九段ライン、九段線といいます、九段ライン、それから、何といいましたか、中国の赤い舌ということで表現されておりますが、あの辺の安全保障をするための政府の手だてというか、そういう展開をどのように思っていらっしゃるか、伺いたいと思います。
#138
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさにこのTPPには、自由や民主主義や基本的人権、法の支配を尊ぶこと、この普遍的価値を共有する日本とアメリカがリードして経済圏をつくっていく、ルールを作っていくということに大きな意義があったと、このように思います。
 確かに、このRCEPの中において最大の経済規模は中国であります。しかし、中国が国際社会のルールやあるいは法を尊重する中において発展していくことは日本にとっても望ましいことであろうと思います。このRCEPのルール作りを、しっかりとこのTPPを基礎としながら、TPPで作ったルールを基礎としながらRCEPにおいてもそうしたルールを作っていく、このルールの中で中国が経済において言わばその役割を果たしていくことが望ましいと思います。
 ですから、その一定のルールの中にしっかりと中国を取り込んでいくということにおいては、RCEPの意義もあろうと、このように思います。
#139
○儀間光男君 今おっしゃったこと、本当にそう思って中国がそうしてくれるんだったらいいんですが。つまり、何というんですか、外交の建前上、信頼関係が仮にできるとずっといいんですが、国際裁判所の裁定も紙切れに等しいといって蹴飛ばすぐらいの良識ですから、今総理がおっしゃっているようなことでは、私は並大抵なことじゃないと思うんですよ。
 したがって、その辺きちっとやらぬと、例えば、我が国が第二次大戦に追い込まれた要因の一つに、アメリカを中心とする世界の国々が日本への資源の引渡し、鉄鋼の引渡し、一切封鎖したわけですね。それで日本は戦争に進んだという要因も一つあるわけですから、兵糧を攻められ、そこに封鎖されるということほどつらいことはありませんから、そういうことのないように、総理の真摯なというか、説得力のあるというか、真面目なというか、危機感を抱いた中国との向き合いでやっていかないというと、あの国は既成事実をつくって実効支配していくような歴史を持つ国ですから、今、南シナ海で既成事実を少しずつつくっていって、世界が、我々が気付いたときには大きな基地になっていたり、今現実そうですから、あそこを封鎖されると我が国は戦前に戻るという危険性さえないとはしませんので。
 TPPの大事さ、あるいはRCEPの大事さ、FTAの大事さ、そういうものも含めまして、いま一度海域の体制づくりのための決意を披露していただきたいと思います。
#140
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 東シナ海あるいは南シナ海における中国の一方的な現状変更の試みについては大きな懸念を持っているわけでございますが、我々の懸念を多くの国々とこれは共有しているわけでございます。
 日本がしっかりと発言権を強めていくことこそが、中国は、力のみでは国の価値は上がらないわけでありまして、力によって世界のルールに反していくことは彼らのソフトパワーは減少していくことになるわけでありまして、世界の国々が中国に投資をしていく上においてもそれはマイナスになっていくんだろうと、このように思います。であるからこそ、中国が世界のルールにのっとって責任ある大国としてその役割を果たしていくように日本も促していきたいと、このように考えております。
#141
○儀間光男君 大いに期待しておりますから、頑張ってください。
 時間ですので、終わります。ありがとうございました。
#142
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 TPP協定に社民党が反対する理由の一つは、食べ物の安全や検疫がより壊れてしまうからです。今日はそのことについてお聞きをいたします。
 アエラが今年七月二十五日号で報じた情報によると、厚生労働省の輸入時における輸入食品違反事例、これは二〇一五年六月から一年間の結果ですが、百十七件もの有害物質検出事例があったとされています。そして、同じ条件下で複数回見付かったものは記載していないため、最も多かったアメリカの件数だけでも七十五件に上ります。
 ところで、このTPP協定は、まさに第五・十条によって、「自国の関税法令の遵守を確保するために必要な期間内(可能な限り物品の到着後四十八時間以内)に物品の引取りを許可することについて定めること。」、四十八時間というのがあります。
 ところが、今どれだけ時間が通関に関して掛かっているでしょうか。財務省の第十一回輸入通関手続の所要時間調査集計結果によると、二〇一五年、これは三月のある時期の平均ですが、輸入通関手続所要時間は、海上貨物で五十九・五時間、コンテナで五十一・二時間、コンテナ貨物以外で七十五・四時間です。だとすると、到着してから引き渡すまで四十八時間目指せということであれば、検疫、これがおざなりになると思いますが、いかがでしょうか。
#143
○国務大臣(塩崎恭久君) まず、先ほど資料をお配りをいただいて、違反事例についてお話をいただきました。
 輸入食品の検査は、科学的根拠に基づいて、違反リスクに応じて実施をしております。これは、WTOの食品の安全に関する協定、いわゆるSPS協定、これによる国際的な共通ルールに基づく対応としてやらせていただいているわけでございまして、まず、全量をとどめ置いて行う命令検査などによって、輸入時点で今御指摘をいただいたものの多くは発覚をしておりまして、国内へ流通はしていないということでございます。
 また、一部国内流通を認めつつ、統計学的手法に基づくサンプル調査、これによって安全性を確認するモニタリング調査で違反が発覚したものについても、違反食品の回収を図るとともに、全量をとどめ置いて検査をする命令検査、これに切り替えるというようなことなどの措置をとっておりまして、食品の安全確保に努めているところでございます。
 健康被害事例は、今お配りをいただいたものに関して一件もございません。確認をされておりません。
 そこで、今、四十八時間のお話をいただきました。TPP協定におきましては、自国の関税法令の遵守を確保するために可能な限り物品の到着後四十八時間以内に物品の引取りを許可することについての規定がありますけれども、「引取りのための要件が満たされていない場合において物品の引取りを許可することを要求するものではない。」ということも明記を同時にされております。このため、食品衛生法に基づく審査や検査などを実施をした結果、到着後四十八時間を超えて輸入許可が行われたとしても、TPP協定違反になるものではございません。
 また、近年、輸入食品の違反件数は減少傾向にありますけれども、輸入の届出件数は年々増加をしております。全国の港や空港の検疫所において、全ての輸入届出について原材料や製造方法などを審査するとともに、今のモニタリング検査あるいは命令検査など違反リスクに応じた検査を実施をしているところでございます。
 厚生労働省としては、今後の輸入食品の増加の可能性を踏まえて、検疫所職員の資質の向上、必要な職員や検査機器の確保等、適切な監視、指導を徹底するための体制の整備を図って、引き続き輸入食品の安全性確保に万全を期してまいりたいと思います。
#144
○福島みずほ君 四十八時間、原則として受け取って、到着して引き渡すまで四十八時間であれば、明らかに今よりもかなり短くなるわけです。検疫がおざなりになる可能性は極めてあると思います。
 そして、米国産サクランボ購入をめぐるウィキリークスの暴露について見てください。スノーデンが明らかにしたもので、これは日本の中で様々な役所、例えば内閣府、経済産業省、財務省、日銀、同職員の自宅、三菱商事の天然ガス部門、三井物産の石油部門など計三十五回線の電話が盗聴されてきたことが公表になっております。もっとされているとも言われています。
 このウィキリークスなんですが、ここで驚くべきこと、役所の中でどんな議論をしていたのか。
 農水省の職員は近頃、米国産サクランボの輸入を遅らせるという農水省の決定に関して、米国との関係悪化を防ぐ方策を模索している。困った、アメリカが怒っているからどうしようと。輸入は開始できないという決定に対して米国農務省が強く抵抗したことに農水省はショックを受けたと。
 農水省が検討しているアプローチの二つ目、牛肉紛争のときと違って、現地調査の結果が確認され次第、すぐに輸入が開始される可能性があることを米国に通知する。どこの国の役人なんだと言いたいわけです。アメリカを怒らせたら大変だからスルーしちゃおうということじゃないですか。
 これは、コドリンガというアメリカにいる害虫、ガです。日本にはいません。ですから、スモモや桃やリンゴや、そしてサクランボや、それが絶対日本に入ってこないように日本は検疫頑張ってきました。そして、これは臭化メチルという、まさに薫蒸、それをきちっとやって、絶対に害虫が入ってこないように頑張ってきたものです。しかし、それだと遅れて、これを緩和するというものです。
 農水省の役人がどっち向いて仕事しているか、実に残念ですよ、こういうのが暴露されて。それで、この結果、結局二〇〇九年六月にこの基準を緩和をいたしました。アメリカからの圧力です。あっという間にですよ。これは問題です。
 それで、お聞きをいたします。このウィキリークスの暴露は、これは本当ですか。そして、質問通告しております、これは事実ですか。
#145
○国務大臣(山本有二君) 御指摘の米国産サクランボについて、我が国が国内への侵入を警戒しているコドリンガの寄主植物であるため、従来、昭和五十三年当時、臭化メチルで薫蒸処理を行ったのみ……(発言する者あり)これは米国と正式にこのような事実があったことの確認はありません。
#146
○福島みずほ君 でも、これはウィキリークスが内部告発で暴露していて、雑誌にも載っていて、報道されていて、そして質問通告をしています。おかしいですよ。もし、これがそうでなければ、農水省、おかしい、名誉毀損だ、問題にしたらいいじゃないですか。これで浮き上がってくるのは、日本の農水省がアメリカの顔をうかがって右往左往しているということなんですよ。
 今、この状態で検疫を四十八時間、原則で、その期間がですね、したら、一体、日本の食べ物の安全や検疫がどうなるでしょうか。今の答えで調査していませんときっぱりおっしゃったわけですが、調査していないのであれば、ということも問題ですし、それから、どっち向いて仕事しているんだということですよ。日本のこれで検疫がTPPで四十八時間、その通関時間がですね、というふうになることによって、より食べ物の安全が害されるというふうに思います。
 TPPによって検疫体制はますます有名無実化されるんじゃないでしょうか。総理、いかがですか。
#147
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これを読みますと、近頃の日本の政治家はサクランボの輸入を遅らせるという働きかけを行っていたということなんです。それに対して、農水省の職員は近頃という書き方をしているわけでございますが、これが本物かどうかということについては確認していないということでございますが、いずれにせよ、農業の交渉分野においてもお互いにお互いの国益を主張するのは当然のことであり、自分の国益を実現するために相手の国に対してあらゆるレベルで影響力を行使しようというのは当然のことであろうと、こう思います。
 それに対して、その国との関係悪化を防ぎつつ、かつ国益を守っていくという努力もするのも当然のことであろうと、このように思うわけでありまして、いずれにせよ、我々の姿勢としては、各省がアメリカのために働いているということは一切もちろんないわけでありまして、日本の国益をいかにしっかりと守っていくかということで日夜努力を重ねていると、このように確信をしております。
#148
○福島みずほ君 ウィキリークスが明らかにしたのは、アメリカに対して右往左往してどうしようかといって、結局、基準緩和をしたということです。
 TPPは、たとえ発効しなくても批准するというのは邪道です。まさに今国会批准しないように心から私は強く申し上げ、質問を終わります。
#149
○松沢成文君 無所属クラブの松沢成文でございます。
 総理、一連の外遊、お疲れさまでした。総理の御活躍にもかかわらず、結果としてはトランプ次期大統領がTPPから離脱をするという、ビデオメッセージで発して、それも就任当日にと、日本にはかなりショックでございました。
 さあ、そこで、私、まずTPPの対策予算についてお聞きしたいと思います。
 これまで日本政府は、TPPが結ばれるということによっていろんな経済が激変するだろうということで対策予算、考えてきたんですね。これまで一兆一千九百六億円。内訳は、平成二十七年度補正予算で四千八百七十五億円、二十八年度の本予算で千五百八十二億円、平成二十八年度、この前の補正予算で五千四百四十九億円です。
 さて、TPPは、もうほぼ九九・九%絶望的になっていると思います。もちろん、総理がこれからもアメリカの翻意を促す、頑張ってみるということは自由でありますけれども、こうしてTPPが締結できない、そうするとTPPの関連予算もこれ全面見直しが必要というか、もうTPPがない以上、これは予算もなくなるわけですよね。
 さて、そこで、十一月二十九日、もう来週でありますけれども、来年度の予算の大綱が閣議決定をされるということであります。その予算の中には、もうTPPはほぼ絶望的なわけですから、TPPに関連する補助金とか、こういう予算は当然あってはおかしいわけですね。そういう形できちっと予算も、TPPがなくなった、予算もこれはなくしますよという形になる大綱になるんでしょうか。総理、いかがでしょうか。
#150
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 昨年十一月に、TPPの効果を真に我が国の経済再生そして地方創生に直結させるとともに、TPPの影響に関する国民の不安を払拭するため、総合的なTPP関連政策大綱を決定しました。これまで、政策大綱を踏まえて、海外展開を行おうとする中小企業への支援や、我が国の農林水産業の体質強化が待ったなしの状況の中で、農林水産分野において緊急に実施していくべき体質強化策などの各種施策を実施してきたところであります。
 これらの予算は、TPP協定の発効を見据えたものではありますが、TPP協定の発効を前提としたものではないわけでありまして、農業あるいは中小企業の生産性を高めていく、競争力を高めて海外にもしっかりと輸出できるような体質に変えていくことは、これはTPPが発効されようがされまいが必要なことであろうと、このように思います。
 中小企業等の海外展開支援や農林水産業の体質強化対策については、今後とも必要に応じて施策を展開をしていく考えでございます。
#151
○松沢成文君 言わんとしていることは分かるんですが、例えば農業を例に取ると、例えば農地を大規模化して構造改革をしていく、これはTPPがあろうとなかろうと、日本の農業を強化するために必要な予算ですよね。これ、関連予算にも入っています。あるいは農協の組織改編をやっていく、これも日本の農業強化には必要だと思って総理もやられていると思うんですよ。こういう予算は分かるんです。
 ただ、TPPによって関税が低くなる、あるいはなくなりますよ、それによって今の農家の激変する状況を少しでも守ってあげなきゃいけないというような補助金もたくさんあるわけです。ですから、こういう補助金は、TPPがなくなるわけですから、そのまま予算で付けておくというのは全くおかしな話じゃないですか。だから、そこは仕分をして、その補助金の類いは来年度の予算から全部抜くと。それをやらない限り、これは農家が一方的に得しちゃうわけですよ。規制が来る、貿易の制度が変わる、だから、大変だから予算を付けてあげるという補助金が、制度が変わらないのに補助金だけもらい続けることになってしまう。さあ、どうでしょうか。
#152
○国務大臣(山本有二君) 先ほど総理がお述べになりましたとおり、攻めの農林水産業への転換のために体質強化策を打っていることは今までどおりでございまして、TPP協定の発効をこれは見据えたもので、発効を前提にしたものではありません。経営安定対策というものがございまして、この予算につきましては、発効後、しっかり予算に繰り入れていくというようにきちっと仕分をさせていただいているところでございます。
#153
○松沢成文君 今後、TPPにアメリカが入らない、そして発効ができないという場合に、そういう補助金の類いの予算は執行しないということをきちっとやっていただきたいと思います。
 さて、二点目に、安倍総理が、この大統領選挙に絡んで対米外交を展開してきました。私は、その積極性については評価をしているところでございますが、幾つかボタンの掛け違いというか失敗があって今回の結果を招いているんじゃないかというふうに考えています。
 まず、安倍総理、九月十九日、何をなさったか覚えていると思います。国連総会に出席のためだと思いますが、ニューヨークに行かれて、当時、民主党の大統領候補であった、もう、でも本選が始まっているときですね、クリントン候補に多分お誘いを受けたんだと思います、報道では、安倍総理、会いませんかと。そこで総理は会ったんですね。でも、これは極めて異例な外交的な行動なんです。
 これまで日本の総理大臣で、外国の選挙が始まっている以降の候補者一方だけに会うということはありませんでした。今回、クリントンさんの方から誘われたんだと思いますが、それは両者に思惑があったからですよね。クリントンさんにしてみれば、もう最大の同盟国日本の総理が来てくれて、クリントンさん、頑張れ、あなたしかいないよと言ってくれる。これは最高の大統領選挙に対するアピールじゃないですか。そして、安倍総理も、もう恐らく外務省からは、勝つのはクリントンだと、こう入っていたわけですよ。だから総理は、よし、これはクリントンと会って少し貸しをつくってやろうと。TPPの件も、あるいは基地の件もしっかりと言質を取って、お互いパートナーとして仕事をやるんだから、これは頼みますよということを言えるじゃないかと。
 まず、このクリントンさんに会った決断をしたのは、クリントンさんから誘われた後ですよ。外務省北米局が、これは絶対勝てるから会った方がいいというアドバイスがあったのか、それとも安倍総理自らが絶対に俺は会うと言ってつくった会談なのか、どちらでしょうか。
#154
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いずれにせよ、最後に判断するのは私でありますし、判断した以上責任も伴うわけでありますが、クリントン氏は、以前から顔見知り、周知の関係でございました。先方から是非会いたいと、国連の際にですね、という意向が伝えられましたので、それならお目にかかりましょうという判断をいたしました。
 同時に、トランプ陣営に対しまして、クリントン候補とお目にかかりますよと、もしそちらも時間が合えばということをお伝えをしたわけでございますが、その結果、トランプ氏の方は私が空いている時間にはちょうどほかの遊説中でありまして会えないとなって、ロス氏が代わって、ジャパン・ソサエティーのロス氏が会いたいということでございましたので彼と面会をしたわけでございますが、その際、トランプ候補から今回会えなくて残念だという意向が伝えられたわけでございまして、ちなみに、このロス氏は今報道によれば商務長官になるのではないかと。
 しかし、これでトランプ氏が気を悪くしたのであれば、世界の中でも早く電話会談に応じ、かつ大変忙しい中、私との会談に応じることはなかったのではないかと、このように思います。
#155
○松沢成文君 まず、大統領選挙、もう始まっているんです、本選に入って。それで、十九日ですね、会ったのが。二十六日は第一回大統領ディベートが予想されている。もう両者競っているわけですよ。この一番大事なときに結果として一方の候補者だけと会うということは、これは極めて拙速な外交だったと思います。これをやってしまったので、恐らく私は、それはトランプさんはそう言わないかもしれないけれども、それは安倍さんに反感を持ちますよ。クリントンを持ち上げて、二人で大統領と首相になると、俺を何だと思っているんだと。絶対トランプ陣営にはそういう気持ちがあったんだと思うんですね。
 それで、結果は逆だった。クリントンさんは勝つと思っていたのが負けちゃったわけですよ。それは日本の政府もびっくりしたでしょう。それで、日本の政府は焦って、これはトランプに謝らなきゃいけない、もう一回つてをつくってどうにか修復しなきゃいけないと思って、安倍さんも必死になってやってトランプさんにようやく会えたんですよ。でも、トランプさんは安倍さんにおいてそこまで信頼していませんから。ですから、結局、ブエノスアイレスで安倍さんが、APECも、皆さんも一緒になってTPP頑張ろうと言った演説の直後に平気でTPPから離脱だよとぽんと返されちゃったわけですよ。
 ですから、結果的には、安倍外交は今回の対米外交の中で結果的には成功していないと思うんですが、どういう見解でしょうか。
#156
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まるで見てきたような解説を、推測をされたわけでございますが、もし、それは不快に思って、もう安倍晋三を信用しないし相手にしないと思っているのであれば、あの一番忙しいときに世界の首脳に先駆けて、事実上、恐らく会ったのは私だけだと思いますよ、私だけと会うということはないんだろうと思います。つまり、なぜ世界の首脳に先駆けて私だけと会ったかといえば、これはやはり日米同盟関係大切だし、安倍晋三としっかりと信頼関係を築いていこうというつもりがなければ会わないんだろうと、このように思うわけであります。
 もちろん、これは国と国が違いますから、個別の政策課題についてこれは当然議論がかみ合わない場合もありますし、あるいは意見が違うということは当然あるんだろうなと思います。この信頼関係を構築したということは、だんだんこれはしっかりと明らかになっていくのではないかと、このように思います。
#157
○松沢成文君 時間ですので、終わります。
#158
○中野正志君 日本のこころの中野正志でございます。
 安倍総理、大変お疲れさまでございました。あの方は変わる、変える、その覚悟で最後の最後まで頑張り合ってまいりましょう。最終的には、トランプさんがノーということであれば、TPPを中核とする成長戦略、これは練り直しを余儀なくされるわけでありますけれども、同時並行で進めていけばいいのであります。
 そこで、安倍総理にちょっと御提案でありますけれども、十一月の十六日に、アメリカの米中経済安全保障調査委員会、分析レポートを公表しました。この委員会は連邦議会の諮問委員会でありまして、米中二国間の経済関係がアメリカの安全保障に与える影響をレビューする報告を毎年提出をいたしております。今回の分析結果によると、TPPが発効せず、RCEP、東アジア地域包括的経済連携が発効した場合は、中国に八百八十億ドル、約九・六兆円の経済効果がもたらされる、逆に、TPPが発効しRCEPが発効しないと、中国は約二百二十億、二・四兆円の損失を被ると試算をされています。ですから、中国がRCEPに躍起になる理由はよく分かるんであります。
 アメリカ政府の国際貿易委員会によれば、TPPは二〇三二年段階でアメリカ実質GDPを〇・一五%、すなわち約四百二十七億ドル、約四・七兆円押し上げる効果があると予想されているにすぎないのであります。にもかかわらず、TPP発効に向けて多くの努力を積み重ねてきたのは、ひとえに対中経済安全保障という狙いが込められているからにほかなりません。このことを理解されないこのかいわいの方もいっぱいいらっしゃいますけれども、やっぱりTPPが動揺する中、RCEPを推進する中国が漁夫の利を得るようなことがあってはならないと、私は率直にそう思います。
 アメリカ連邦議会諮問委員会のこの報告書にどんな、安倍総理、認識を持たれておりますか。同時に、この報告書を、中国に対して強硬方針を決断したと言われるトランプさんに逆説明に活用されるべきだと思いますが、いかがでありましょうか。
#159
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 米国連邦議会の諮問委員会の年次報告において、議員御指摘のTPPやRCEPの有無による中国経済への影響分析がなされていることは承知をしております。
 しかし、これは他国機関の報告書でございますので一々コメントする立場にはありませんが、TPPは、自由や民主主義や人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々とともに自由で公正な世界の四割経済圏を創出し、経済面で法の支配を抜本的に強化するものであります。まさに、こうしたルールをスタンダード化していくことは、日本にとってももちろんでありますが、自由世界のリーダーである米国にとって、また国際社会にとっても有意義であろうと、こう思うところでございます。
 その中において、これは米国の連邦議会の諮問委員会の年次報告でありますから、これをあなた、読んでいただきたいというのも、これも若干失礼ではないかと思うわけでありまして、むしろ今申し上げましたように、TPPの持つ戦略的意義についても、今後とも粘り強くお話をしていくことが正しい道ではないかと、このように考えております。
#160
○中野正志君 国民の皆様にあえて申し上げますけれども、TPPが発効しなければ、軍事面での横暴を繰り返す、また、中国が通商、貿易面でも覇権を狙ってくる、このことをしっかりと御理解をいただきたいと思います。
 はてさて、山本大臣、やっと質問する機会を得ました。輸入米、SBSの中身について、また新しい農政についてまとめて質問しますので、まとめてお答えをいただきたいと思います。
 ちょっと表を御覧をいただきたいのでありますけれども、そもそもSBS方式による主食用米の輸入枠では、上限は十万トン、最近の実績は図のとおりであります。(資料提示)
 前にもお話ししましたが、平成二十七年で二・九万トン、平成二十六年で一・二万トン、十万トンの満量落札というのは平成二十三年、二十四年であります。国産米の取引価格は、そのときに、平成二十七年、一キログラム当たり二百二十二円、二十六年は二百一円、また、二十三年、二十四年はそれぞれ二百六十四円、二百八十六円ということであります。言うまでもなく、国産米を安く買えるということであればわざわざ輸入米を買う必要がないわけでありますから、こういう数字になる、当たり前の話なのであります。
 つまり、言いたいのは、SBS米の輸入が国産米の価格を押し下げているのではなくて、国産米の価格に応じてSBS米の需要が決まっているにすぎないと、こう思うのでありますが、この理解でよろしいかどうか、第一点。
 そして、今回のTPP合意によってSBS枠が増加されますけれども、アメリカ、オーストラリアからでありますが、十三年掛けて約八万トン弱。我が国の国産米の収穫量は七百五十万トンでありますから、そもそも桁が違う、一%ちょっとであります。SBS米が国内の米市場価格を安値に誘導するという話を意図的にされる人もおりますけれども、私は根拠のない話だと、そう理解してよろしいか、第二問。
 なお、SBS米以外は、一キログラム当たり三百四十一円、いわゆる一俵六十キログラム、これ約二万円という高い関税が掛けられておりまして、これで守られる。つまりは、SBSの枠以外は、アメリカから一キログラム当たりゼロ円で輸入しても関税三百四十一円掛かりますから、国産米は一キログラム当たり二百二、三十円でありますから、十分に国産米は守られる、こう理解してよろしいかどうか。
 以上、お話を申し上げながら、最後に一つだけ。是非、農水大臣、要は、中山間地対策を始めとして農業所得の増加に向けた六次産業化、あるいは地産地消への取組支援など、成長する農業をつくり上げる、そのことの改めての決意をお願いします。
#161
○国務大臣(山本有二君) 委員御指摘の一番の表でございます。この表でいきますと、国内産お米の価格が高いときにSBS米が満額十万トン流入、我が国に輸入されるということでございます。
 これは、SBS米が業務用に主に使われます。その意味においては、業者の皆さんはできるだけ安いお米を調達したい、しかし消費者の皆さんは外米というよりも国内産米を使っているということに安心感があるというようなことから、こういうように国内産が高いとなかなか利益も生まない、それから需給に逼迫感があるというようなことでSBS米が入ってくる。そして、このように二十六年産であれば二百一円ですから、二十四年産と比べれば八十円以上違いますから、そうすると国内産を手に入れることができるわけですから、その意味では、これ、SBS米は入ってこないと、こういうようなメカニズムでございます。
 そして、次の表でございます。
 今年の秋の収穫量が七百五十万トンになったと。それで、じゃ、需給はどうなるのかということに対しては、今年の在庫量が二百五万トンあります。それで、七百五十万トン収穫しました、合計して九百五十五万トンになりました。それで、需要は七百六十一万トンでございます。来年の六月頃の在庫量、民間在庫が百九十四万トンになります。そうすると、二百五万トンと百九十四万トンを比較しますと、在庫量が来年は少なくなります。そうすると、需給バランスからして国内産米はやや高くなるというのが常識的になるわけでございます。その意味においては……
#162
○委員長(林芳正君) 大臣、時間が参っておりますので、簡潔におまとめください。
#163
○国務大臣(山本有二君) 我々は、国内産の品質、需給で決まると思っております。そのほか、万全を期してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
#164
○中野正志君 地元で農家の皆さんやら一般の消費者やらからよく質問されるものでありますから、あえてお伺いをいたしました。
 終わります。
#165
○委員長(林芳正君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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