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2016/12/01 第192回国会 参議院 参議院会議録情報 第192回国会 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 第10号
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2016/12/01 第192回国会 参議院

参議院会議録情報 第192回国会 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 第10号

#1
第192回国会 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 第10号
平成二十八年十二月一日(木曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十五日
    辞任         補欠選任
     自見はなこ君     平野 達男君
     森 ゆうこ君     山本 太郎君
 十一月二十八日
    辞任         補欠選任
     石田 昌宏君     高野光二郎君
     宮島 喜文君     藤木 眞也君
     武田 良介君     辰巳孝太郎君
 十一月三十日
    辞任         補欠選任
     舟山 康江君     藤末 健三君
     辰巳孝太郎君     吉良よし子君
     石井 苗子君     片山 大介君
     山本 太郎君     森 ゆうこ君
     松沢 成文君     行田 邦子君
 十二月一日
    辞任         補欠選任
    佐々木さやか君     三浦 信祐君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         林  芳正君
    理 事
                石井 準一君
                二之湯武史君
                福岡 資麿君
                三宅 伸吾君
                山田 修路君
                小川 勝也君
                大野 元裕君
                浜田 昌良君
                紙  智子君
    委 員
                古賀友一郎君
                佐藤  啓君
                佐藤 正久君
                進藤金日子君
                高野光二郎君
                高橋 克法君
                滝波 宏文君
                中西  哲君
                中西 祐介君
                平野 達男君
                藤木 眞也君
                堀井  巌君
                舞立 昇治君
                松川 るい君
                山田 俊男君
                吉川ゆうみ君
                渡邉 美樹君
                相原久美子君
                石上 俊雄君
                江崎  孝君
                田名部匡代君
                徳永 エリ君
                浜口  誠君
                藤末 健三君
                河野 義博君
                熊野 正士君
                平木 大作君
                三浦 信祐君
                吉良よし子君
                大門実紀史君
                片山 大介君
                儀間 光男君
                森 ゆうこ君
                行田 邦子君
                中野 正志君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       法務大臣     金田 勝年君
       外務大臣     岸田 文雄君
       厚生労働大臣   塩崎 恭久君
       農林水産大臣   山本 有二君
       経済産業大臣   世耕 弘成君
       国務大臣     石原 伸晃君
       国務大臣     松本  純君
   大臣政務官
       経済産業大臣政
       務官       井原  巧君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤田 昌三君
       常任委員会専門
       員        宇佐美正行君
       常任委員会専門
       員        大川 昭隆君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       澁谷 和久君
       内閣府規制改革
       推進室次長    刀禰 俊哉君
       外務省経済局長  山野内勘二君
       外務省国際法局
       長        齋木 尚子君
       文化庁文化財部
       長        藤江 陽子君
       厚生労働省医薬
       ・生活衛生局生
       活衛生・食品安
       全部長      北島 智子君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   山口 英彰君
       農林水産省食料
       産業局長     井上 宏司君
       農林水産省政策
       統括官      柄澤  彰君
       経済産業大臣官
       房商務流通保安
       審議官      住田 孝之君
       経済産業大臣官
       房審議官     中石 斉孝君
       経済産業省通商
       政策局通商機構
       部長       渡辺 哲也君
       経済産業省商務
       情報政策局商務
       情報政策統括調
       整官       吉本  豊君
       中小企業庁次長  木村 陽一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○環太平洋パートナーシップ協定の締結について
 承認を求めるの件(第百九十回国会内閣提出、
 第百九十二回国会衆議院送付)
○環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関
 係法律の整備に関する法律案(第百九十回国会
 内閣提出、第百九十二回国会衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(林芳正君) ただいまから環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、自見はなこ君、武田良介君、宮島喜文君、石田昌宏君、石井苗子君、松沢成文君及び舟山康江君が委員を辞任され、その補欠として平野達男君、藤木眞也君、高野光二郎君、片山大介君、行田邦子君、藤末健三君及び吉良よし子君が選任されました。
 また、本日、佐々木さやか君が委員を辞任され、その補欠として三浦信祐君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(林芳正君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の審査のため、明二日午後一時に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(林芳正君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(林芳正君) 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を一括して議題といたします。
 本日は、TPPと貿易ルール、紛争解決、将来における経済連携の在り方等についての集中審議を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○山田俊男君 自由民主党の山田俊男であります。
 短い時間でありますが、どうぞ、総理、よろしくお願いします。閣僚の皆さんもよろしくお願いします。
 まず冒頭で、青森及び新潟におきまして鳥インフルエンザが発生したわけでありますが、関係農家、お見舞いを申し上げる次第であります。また、関係者が大変精力的な取組をちゃんとやって防疫体制に努力していただいていることに、本当に敬意を表する次第であります。
 総理はもう総理指示をお出しになっているわけでありますが、今後の取組につきまして、総理の決意のほどをお聞き申し上げます。
#8
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 鳥インフルエンザについては、十一月二十八日に青森県青森市及び新潟県関川村で、十一月三十日には新潟県上越市で高病原性と疑われる事例が発生をいたしました。被害に遭われた農家の皆様に私からもお見舞いを申し上げたいと思います。
 確定診断の後、直ちに徹底した防疫措置を迅速に進めるよう指示をするとともに、関係閣僚級会議を開催し関係各省で情報共有を密にするなど、しっかりと対応できる体制を整えました。また、今年は、野鳥も含め、例年よりも早期に広範囲で鳥インフルエンザが発生しています。このことを踏まえ、より効果的、機動的な対応が可能となるよう、昨日、家禽業者に対する厳重な警戒の要請や予防措置の助言の実施を含む包括的な総理指示を発出いたしました。
 一方、発生地域の家禽業者に対しては、殺処分の対象となった家禽の評価額相当分の全額を手当金として交付、発生農場の周辺農家が鶏や卵などの出荷を停止せざるを得なくなった場合等の補填金の交付、そして経営再建を支援する低利融資などの対応を行うこととしております。
 引き続き、やれることは全てやるとの考え方の下、鳥インフルエンザの防疫措置や家禽業者への対応等に万全を期していきたいと、このように考えております。
#9
○山田俊男君 総理指示、大変しっかりできておりますので、そのとおり万全の対策をよろしくお願いいたします。
 さて、総理、私は、TPPに関連しまして、多分生涯忘れられないことがあります。(資料提示)それは何かといいますと、三年前、これはパネル、今掲示しましたが、総理がオバマ大統領との日米首脳会談におきまして、日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国とも二国間貿易上のセンシティビティーが存在することを認識する、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することは求められるものではないということを確認されたわけでありまして、これがTPP交渉、この出発点に私はなったと、こんなふうに思っておりますが。
 実は、党でそのことを報告受けた後、会議室を出てエレベーターホールへ参りましたら、新聞記者に、山田さん、どうでしたかというふうに尋ねられまして、いや、よくセンシティビティーを盛り込むことができたねというふうに言いましたら、何と翌日がんがん電話が掛かってきまして、山田、おまえ何ということを言うたんだ、何言ったんだ、全国からありました。そして、要は、新聞記事取り寄せて聞きましたら、JA全中出身の山田議員、共同声明を評価という大見出しで出ておりまして、いや、苦労しましたですね、私はその年の七月に二期目の選挙を控えていたんですから。翌日からその県へ行く予定だったんですが、来るにあたわずと言われました。結局、その県からは、前回の得票数の三分の一に減りましたね。そして、全国的には同様の傾向がありまして、十万票、票を減らした次第であります。かくのごとく、やっぱりTPP交渉というのは物すごく農業者にとりまして、関係者にとりまして重大なことだったわけであります。
 こうした経緯を踏まえながらも、総理とオバマ大統領との間の二国間貿易首脳会談を経まして、党も国会も最終的には重要五品目の聖域を守るということの決議を行って交渉に参画した次第であります。これ以降、大変な苦労、苦労、苦労を重ねてまいりまして、我が国の農産物の関税撤廃率は、ここにありますが、もう御案内のとおりですが、改めて申し上げますけれども、日本以外の参加国の農産品の関税撤廃率は九五%ないしは一〇〇%、一〇〇%全部関税撤廃したところもあるわけです。ところが、我が国は、いろいろ議論はありましたが八二%にとどめて、各国に比べて相当頑張ったという、私はそれなりに結果が出たものというふうに思います。
 総理、ここまで多くの努力がなされてきた合意であります。御案内のとおり、総理も私は物すごい悔しい思いをなされているというふうに思いますが、トランプ次期大統領の米国はTPPから撤退するとのコメントが発表されたわけでありまして、米国への働きかけを私は徹底して強めて、何としてでもTPP協定は成立させた方がよいというふうに私は考えておりまして、その総理の決意と、それと戦略をお聞かせ願いたいと思います。
#10
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま山田議員から大変重たい御発言があったと、このように思います。
 我が党の方針としては、聖域なき関税撤廃を前提とする以上、TPP交渉には反対する、これは明確でございました。ですから、大統領とのこの首脳会談においてはそこがポイントであったわけでありますが、今お示しになられたように、そうではないということが確認されたので我々は交渉に参加し、今また御紹介をいただいたように、他の国々はほぼ農産品一〇〇%関税撤廃の中、我々は八二%を、ここで約一八%を、関税撤廃以外を獲得することができたと、こう思っているわけでございます。
 そこで、TPPにはまさに自由貿易を進化させる意義もあります。これは関税だけではないわけでありまして、自由で公正な経済圏のメリットは中小企業やそこで働く人々にも及ぶわけでありますし、数年間の交渉を経て協定に結実したルールは今後の通商交渉のモデルにもなる。日本はTPP並みのレベルの高いルールをいつでも締結する用意があると。国会承認はその国家としての意思を示すものであり、他の交渉を加速させる力となるわけであります。
 自由貿易はまさに岐路に立っているわけでありまして、米国の政権が移行期にあり、世界に保護主義の懸念と動揺が広がっている中にあって、自由民主主義国家第二位の経済大国である日本までもがここで立ち止まってしまえば自由貿易は後退をしてしまうわけでありまして、今まさに山田委員が御指摘になられたようにぶれてはならないわけでありまして、速やかにTPP協定の国会承認をいただき、立法府も含めた日本の固い決意を世界にしっかりと発信するとともに、TPPの意義を米国に粘り強く訴えていきたいと思うわけでございますし、我々、まさにこの農林分野で獲得したものはしっかりとこれからも堅持をしつつ、さらには農業の振興また農業輸出を図って農家の所得を増やしていきたいと、このように思っております。
#11
○山田俊男君 今、わっと、へえっという声が出されまして私も刺激を受けておりますが、ともかく私が一番心配するのは、トランプ次期大統領が日米二国間交渉を求めてくるんじゃないかということなのであります。御案内のとおり、歴史的に我が国は多くの日米二国間協議を行ってまいりました。その中で、繊維交渉、牛肉・オレンジの交渉、自動車交渉、半導体交渉、まだいっぱいあります。ことごとく、私は、日本はアメリカの力強い、力強いというよりもアメリカの要求に屈してきたという感じがあるというふうに言わざるを得ません。
 米国政府にいたことのある私の米国人の友人が電話を掛けてくれました。山田さん、もう二国間交渉に必ず入ってくるよ、これ、物すごい警戒しなきゃいかぬという声を聞かされたところであります。この二国間交渉になりますと、私は米韓FTA交渉を思い出さざるを得ないんです。
 これは、一旦協定を結んだ後、さらに合意後に米国から追加交渉を求められまして、二年余りの交渉をやった上で自動車について多くの点で韓国は妥協を迫られました。ただ、それだけじゃなくて、実は交渉のテーマになっているというふうには見えていませんでしたが、しかし、間違いなくそれは米国の要求に応じざるを得なかったんだろうという項目、例えば米国籍の病院を韓国内に建設して、そして韓国の国民健康保険、それの対象から外す形の運用がなされてきているという事実等からしまして、私は二国間交渉は絶対に駄目だ、こんな思いでおります。
 こうしたことを考えたときに、アメリカから二国間交渉を求められても断固として拒否するという姿勢をそれこそ総理にここで発言してもらう意味は物すごい大きいと私は思っておりますので、ひとつよろしくお願いします。
#12
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現在、まさに今TPPについて議論をしておりますので、この日米のFTAとの比較考量をするのは今の段階では適切ではないと思いますので、むしろTPPのこの意義について、これは日本だけではなくて米国も含めて大きな意義があるんだよということでちょっと申し上げたいと思うわけでありますが、アジア太平洋地域に高いレベルのルールが広く適用されるということは各国にまたがるサプライチェーンの取引コストを一気に下げるという効果があるわけでございまして、これは大企業も当然もちろんなんですが、中小企業にとってもそうであります。
 そしてまた、各国と個別に二国間協定を結ぶと手続がばらばらになりまして、大企業と同時に、特に中小企業にとっては大変ですね。それぞれこれは交渉しなければいけませんし、それぞれの交渉結果がどうだったかということを十分に知悉しないとなかなか仕事ができないということになってしまうわけでありまして、そういう意味におきましては、まさにこのTPPはそうではなくて、サプライチェーンにおいても一気にコストを下げるという成果を出すわけでありますし、そしてまた、一つのルールで結ばれていますから、一個一個の国々ともう一度どうなっているんだろうということを悩む必要もないわけでございますし、手続も煩雑さが一気にこれ変わっていくということだろうと、こう思います。
 こうしたメリットを十分に共有していくことが重要ではないかと、このように考えております。
#13
○山田俊男君 私が議員になる前は農業団体におりまして、そして、私は、その際、日タイEPA交渉のメンバーにも選ばれまして、当時は団体からも出席を求めて交渉するという局面がありました。それに出たわけであります。また、間接的にWTOのドーハ・ラウンドの交渉にも、これは間接的ですが参加させてもらいました。その思想は、世界各国の多様な農業の共存ということでありました。
 日タイEPA交渉は、締結後、来日された当時のタクシン首相から、山田さん、ありがとうというふうに言われた次第であります。それほど全力を挙げて日タイのEPAに取り組みました。
 残念ながら、WTOのドーハ・ラウンドでは、最終局面で何とアメリカと、それと中国が反対しまして、そして合意できなかったわけであります。世界各国の多様な農業の共存の理念で、アジア、アフリカ、ヨーロッパの国々とは共同戦線を展開できるということに私は確信を持っております。あと一歩だったんですが、WTOドーハ・ラウンドは残念でした。
 どうぞ、総理、我が国はアジア、アフリカ等の国々とは多くの点で共通課題を抱えております。これらの国々との間で、とりわけ、現在多分そうだろうと思いますが、大詰めを迎えようとしているEUとも、これは多面的な経済連携協定、EUとも世界各国の多様な農業の共存という面ではちゃんと理解し合える内容でこれまで経過してきております。どうぞ、多面的な経済連携協定をどう結び上げるかという思想、それは先ほど総理もおっしゃっていただいたところでありますが、もう一度きちっと決意を述べていただきたいと思います。
#14
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が国は、御承知のように、現在、日EU・EPA、そしてまたRCEP、そして日中韓FTAといった広域の経済連携交渉に精力的に取り組んでおりますし、またコロンビアやトルコとの二国間の経済連携、さらにはアフリカを含む新興国等との投資協定も積極的に推進をしてきているわけでございます。
 こうした動きを進めていくことによって、その動きに取り残されまいとする機運を米国に高めていくこともできるのではないかというふうに考えておりますが、その中で、農業分野の交渉に当たっては、我が国は、今、山田委員から御紹介がありましたように、従来から世界各国の多様な農業の共存を基本理念として取り組んでまいりました。今後とも、この理念の下に交渉を行っていきたい。攻めるべきは攻めて、守るべきものは守っていく。そして、基本的な理念としては、多様な農業の共存という理念をしっかりと置きながら、この理念を多くの国々と共有することも大変重要だろうと、このように思っております。
#15
○山田俊男君 まさに総理おっしゃいました多様な農業の共存、このことをベースにして、どうぞ、アジア、アフリカ、EU、そこらの国々との間で経済連携協定をしっかり結んでいこうじゃないですか。よろしくお願いします。
 ところで、今回のTPP交渉に関連して、日米並行交渉関連文書におきまして、「規制改革について、日本国政府が外国投資家等から意見及び提言を求め、関係省庁等からの回答とともに」、何とここに、「規制改革会議に付託し、同会議の提言に従って必要な措置をとる。」とされています。これをどう受け止めていいのでしょうか、岸田大臣にお聞きします。
#16
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の日米並行交渉の文書ですが、これは、内容としまして、我が国が既に行っていること、あるいは自発的に行うことを決定していること、こういった内容をまとめることによって文書としてまとめることができた次第であります。
 そして、御指摘の文書における規制改革会議についての記述ですが、規制改革をタイムリーかつ着実に進めるため、外国人投資家を含め広く意見を募る観点から規制改革に関する提案を常時受け入れる、こういった規制改革会議の従来の役割、これを確認したものにすぎないと考えております。
#17
○山田俊男君 御案内のとおり、規制改革、今は名前を変えて推進が入っていますが、推進会議、これが、全農改革等JA改革、それから生乳の指定団体制度の取組についてかなり乱暴な提言を行ったという経緯があるわけであります。このことが何と日米交渉の文書にも出てきているということを見て愕然としたわけでありますが、最終的には、今回の規制改革推進会議の提言については、党が協議に加わりまして規制改革推進会議の案を大幅に修正したといういきさつがあります。
 ところで、この規制改革推進会議のメンバーは、長期にわたり同じ方が就任されてもおられます。その考えも、市場原理、競争促進、成長戦略を標榜される方々が中心メンバーになっておられるわけであります。ましてや、総理が、ここ力入るんですが、既得権益の岩盤を打ち破ると総理率直におっしゃっていて、率直過ぎるぐらい率直におっしゃっている。それから、規制改革会議の本会議の場でですよ、皆さんの提言を私が責任を持って実現しますというふうにおっしゃるものだから、委員の皆さんは総理の激励を背景にしているわけだから、これは元気が出るわけですよ。そして、農業やJAを徹底して攻撃しているということになっているんですよ。こんなやり方で大切な改革や着実な成長を本当にこのことで目指すことができるんでしょうか。
 総理、もちろん改革やりましょうよ。改革否定しません。しかし、規制改革推進会議のようなやり方は駄目だし、それからメンバーのやっぱり在り方、これは見直していただきたいというふうに思います。総理の御意見をお聞きします。
#18
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私も、規制改革推進会議もこれ決してJAや全農を攻撃をしているのではなくて、励ましているのですね。強く強く励ましながら、さらに、真に農業者の利益となるように頑張ってもらいたいと。
 時を経る中においてやはり改革は必要でありますから、そういう中で是非、改革というのは、物事を破壊するために改革をする、ぶっ壊すために改革をするのではなくて、より良い未来を切り開くために、共に切り開いていくために改革はしなければいけないと、こういうことを申し上げているわけでございまして、規制改革推進会議は内閣府設置法に基づく審議会等として本年九月七日に設置をされました。委員については、規制改革を推進する上でふさわしい優れた識見をお持ちの十四名の民間有識者を内閣総理大臣である私が任命をしたところでございます。
 その中で、十一月二十八日にこの農業の規制改革について決定をしたところでございます。これは、十一月七日の会議において私から、真に農業者のため、そして消費者のためになる農協改革や生乳改革に関する提言の早急な取りまとめをお願いをして、委員及び関係者の方々が農業で未来を切り開くために思いを一つにして御議論をいただき、十一月二十八日に決定をいただいたところでございまして、さらに私からは、規制改革推進会議には改革の進捗をしっかりとフォローアップしていただきたいと、こう申し上げたわけでございますが、これは、まさに農業者のために、そして農業者の皆さんが精魂込めて作り上げたものが消費者にとってまさに喜ばれる、消費者のためにもなるという方向で改革をしてもらいたいと。
 こういうことでございまして、決して今までJAや全農等が果たしてきた役割を評価しないということではなくて、長い時間の経過の中でやはり改革すべきは改革してもらいたい、それはやはり農業者の皆さんのために、利益が出るように、農業所得が上がるように、また同時に消費者のためになるようにと、こういうことでございますので、御理解をいただきたいと。
 山田委員にはいろいろと御心痛はお掛けをしているということは重々承知をしておりますが、是非御理解をよろしくお願いをしたいと、このように思います。
#19
○山田俊男君 ともかく、総理は励ましているぞというふうにおっしゃるんですが、農業者やJA関係者はもう総理から物すごいいじめられているという思いでいるものですから、それをよほどちゃんとやらなきゃ駄目だと思います、説明しなきゃ。
 総理、総理は三年前の第二次安倍政権をおつくりになったときの党大会でかくのごとくおっしゃっているんです。ここに書いてあります。日本は古来より、朝早く起きて、額に汗して田畑を耕し、水を分かち合い、五穀豊穣を祈ってきました、それが日本です、必ず私は日本の農業を、食を守ってまいります、私は強欲を原動力とする市場主義経済の道を取ってはならないと思います、日本は瑞穂の国です、道義を重んじ、真の豊かさを知る市場主義経済を目指してまいりますとおっしゃっている。
 総理、この言葉で全国の農業者がどれだけ励まされたか。感激しました。私もそうです。どうぞお願いです。総理には、共に改革しようじゃないかということをおっしゃっていただきたいわけであります。
 総理、総理の持論であります瑞穂の国の資本主義の世界をつくり上げようじゃないですか。総理、御意見があればいただきます。
#20
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この思いに全く変わりはないわけでありますし、更にその信念を固くしているところであります。
 まさに、日本は古来より、水を分かち合い、あるいは仲間の中で体を壊した人がいれば、お米、しょうゆを持ち寄ってお互い助け合ってきた国であり、そういう麗しい文化をしっかりと守りながら、強欲を原動力とする市場主義は排し、瑞穂の国にふさわしい市場主義を皆様とともに、山田さんとともにつくっていきたいと、このように考えております。
#21
○山田俊男君 以上で終わります。
 ありがとうございました。
#22
○藤末健三君 民進党・新緑風会の藤末健三です。
 私は、まず冒頭に、今緊急な対策が必要な鳥インフルエンザの問題について御質問させていただきます。
 十一月の二十八日に鳥インフルエンザが養鶏場などで発見され、総理は包括的な対処の指示を出していただいたわけでございますけれど、今朝の六時に確認いたしましたところ、青森では殺処分が終わり、そして関川村では五五%の殺処分が終わり、そして上越市では夜の一時から殺処分が始まったということでございます。
 しかしながら、まだまだ完全終息という状況ではないような状況でございまして、是非、養鶏事業者の方々の心配を思いますと、我々も非常に胸が痛むわけでございます。私たち民進党も一昨日から党内に連絡室を設けまして、昨日にはその連絡室を対策本部、鳥インフルエンザ対策本部に格上げし、地元の議員たちと連携しまして対応をいろいろ提言させていただいています。
 そこで、鳥インフルエンザ対策本部長の安倍総理にお聞きしたいんですが、まず一つは、十一月に韓国で鳥インフルエンザ、発見されました。是非とも、その対応を考える上で感染ルートを明確にしていただきたいと思います。この鳥インフルエンザの遺伝子を解析することによって韓国ルートか別のルートかというのもある程度分かるということを聞いておりますので、その感染ルートの特定をまず一つお聞きしたいと思います。
 そして、もう一つございますのは、韓国から来ましたこの鳥インフルエンザ、渡り鳥が運んだだけではなく、人を経由して運ばれたんではないかということも可能性はございます。ですから、韓国から直行便が入っています地方空港などで例えば消毒マットを置くなどの対策を前回もしたわけでございますけれど、その徹底などを是非やっていただきたいと思いますが、総理の御見解をお聞かせください。
#23
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確定診断の後、直ちに徹底した防疫措置を迅速に進めるように指示をいたしました。関係閣僚会議を開催をして、関係省庁、各省で情報共有を密にするなど、しっかりと対応できる体制を整えたと考えております。
 そこで、今委員から御指摘があった原因究明、これも極めて重要だと考えております。大学教授や獣医師などから編成された疫学調査チームを速やかに現地に派遣をいたしまして、野鳥の飛来状況、どういうルートをたどってきたかということでございますが、野鳥の飛来状況等の調査を行い、その結果を今分析しているところでございます。
 さらに、今年は、野鳥を含めて例年よりも早期に広範囲で鳥インフルエンザが発生をしています。このことを踏まえまして、より効果的、機動的な対応が可能となるよう、昨日、家禽業者に対する厳重な警戒の要請や予防措置の助言の実施を含む包括的な総理指示を発出したところでございまして、引き続き、やれることは全てやるとの考え方の下、鳥インフルエンザの防疫措置等に万全を期してまいりたいと思います。
#24
○藤末健三君 鳥インフルエンザへの対応は、やはりいかに早く見付け、そして感染の拡大を止めるかということでございますので、我々も、民進党からもいろいろな提案をさせていただきますので、是非これは与野党関係なく、もう緊急事態でございますので一緒にさせていただきたいと思います。
 また、それとともに、鳥インフルエンザの拡大を防ぐとともに、例えば市場に流通する肉、鳥肉はどうなのかと、卵は食べて大丈夫なのかとかいう心配、そしてまた、いろいろ聞きますと、ペットに感染しないかというような心配もございますので、その点も含めまして対応させていただければと考えております。
 次に、TPPについて御質問させていただきますけれど、私は、今日は二点、安倍総理に質問させていただこうと考えております。
 まず一つが、やはりアメリカ・ファーストを掲げるトランプ次期大統領、もうTPPから撤退すると、二国間に絞るんだということをおっしゃっていて、本当に国民はそのTPP、これからどうなるんだろう、展望が見えない状況じゃないかと思います。その展望を是非聞かせていただきたいというのが一つ。
 そして、二つ目にございますのは、先ほど自民党の山田委員からもございましたけれど、TPPに大きな影響を受ける農林水産業、十一月二十九日に農林水産業の地域活力創造プラン、そしてまた党からは農業競争力強化プログラムなどが出されておりますけれど、本当にこの対応が、対策が農林水産業の方たちの不安を払拭できるのかどうかというのがございます。
 ですから、TPPの展望、そして農業対策について御質問させていただきます。
 まず、パネルを御覧になっていただいてよろしいでしょうか。(資料提示)
 こちらは、TPPを巡る今後のシナリオというふうに書かせていただいています。十一月の八日にアメリカ大統領選挙が終わり、トランプ候補が勝利しました。そして、安倍総理は十一月の十七日、トランプ次期大統領と会談をしていただいた。この会談を迅速にしていただいたことは評価できると思います。そして、十一月十九日にTPP首脳会合を開いたという状況です。しかしながら、トランプ次期大統領は十一月の二十一日に、大統領就任時にTPPを撤退する、そして、これからは二国間協議を進めると各国に通知をするというふうに発表しています。
 じゃ、本当にTPPはどうなるのかということでございまして、この絵にございますように、私は、基本的に今のTPPをこのまま通して成立させることはもう難しいと思っています。なぜならば、当初想定されていたのは、ヒラリー・クリントンが次期大統領になる、そしてオバマ大統領が辞められる一月までに、レームダック期間にTPPをアメリカでも批准してもらおうという計画だったはずです。それは恐らくもう無理です、間違いなく。アメリカ連邦議会の議員が交代するのが一月の三日ですから、それまでに処理しなきゃいけない。そして、その前にはクリスマス休暇があるという中で、私は無理だと思っています。今のTPPをそのまま通すのが難しい。
 では、何があるかと申しますと、一番上にありますように、TPPを否定するトランプ次期大統領が考えを変え、じゃ、TPPをやりましょうということになる、そして再交渉が始まるというのが一つの選択肢であります。私はこれも非常に難しいとは思っていますが、アメリカの話を聞いていますと、アメリカのTPP推進派は、財界の人たちですけれど、連邦議会をまず考え方を変えてもらい、議会から大統領、新しく次期トランプ大統領を説得してもらうような方法があるんではないかということを言っているそうでございます。
 そして、二番目にございますのは、アメリカが離脱をし、残る参加国、十一か国でTPPを進めるということ。私は、このままいきますと、この道になるんではないかと。我が国が批准をします、ほかの国と一緒に行きますよといったときに、アメリカが翻意をしない場合に十一か国だけでTPPはできてしまうことがあるんではないかと。そして、二番目にありますのは、米国は、トランプ次期大統領は二国間協定ですということを言っている、そして、それに対応するのであれば、日米の自由貿易協定、FTAという選択肢になるということで、私はこれは選択肢としてあり得ると思います。なぜならば、韓国とアメリカは米韓の自由貿易協定を結んでいます。そして、今我々が進めていたTPPも韓国とアメリカのFTAと同じレベルに達している。ですから、私はTPPで合意したものが日米のFTAで合意できないとは思っておりません。
 そして、三つ目の選択肢、これはアメリカを除いたFTAAP、アジア太平洋自由貿易圏をつくるということ、これはRCEP、東アジア地域包括的経済連携ということに進むわけでございますけれど、安倍総理に明確にしていただきたいのは、これから我が国がどの方向に進むのか、本当にTPPにずっと一点張りでやっていくのかどうか、その点を明確にしていただきたいと思います。お願いします。
#25
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま藤末議員から、藤末議員の御見識の下に様々な可能性についてシミュレーションをしていただいたと、こう思っております。その中で、現在この時点で私が申し上げられることについて申し上げたいと、こう思うわけでありますが、現状のTPPを推進している意味でございますが、これは、従来から申し上げておりますように、TPPには自由貿易を進化させる意義があるということでございまして、中小企業やそこで働く人々やあるいは農業者等々も含めて多くの人たちに利益が均てんされると。数年間の交渉を経て協定に結実したルールは、今後の通商交渉におけるこれはモデルとなるのは間違いないんだろうと思います。
 日本はTPP並みのレベルの高いルールをいつでも締結する用意があることを国会で承認すれば、国としての意思を示すものであり、他の交渉を加速させる力となるという意味において、この委員会においてTPPの批准をする意味はあると、現在でもそのように考えておりまして、同時に、まさに今自由貿易については岐路に立っているわけでありまして、米国の政権が政権移行期にある、また、世界に保護主義の懸念と動揺が広がっている中において、自由民主主義国家第二位の経済力を持つ日本がしっかりと意思を示していけば、これは、自由貿易を後退させないという意思を示さなければこれはまさに自由貿易は後退をしてしまうと、こう思っております。まさにここではぶれてはならない、速やかにTPP協定の御承認をいただきたいと、こう思いますが。
 そこで、TPPの再交渉については、従来から申し上げておりますように、再交渉はしないということでございまして、仮に米国から再交渉の要望があっても、それには応じる考え方はないわけでございます。
 米国抜きでの、ではTPPはどうかということでございますが、先月のペルーで開催されたTPPの首脳会合ではそのような議論にはならなかったわけでございまして、米国抜きではどうなるかということについてでございますが、これは大変微妙なバランスで成り立っているということも考えなければいけないわけでございまして、そのバランスが崩れてしまう。例えばベトナムは、国有企業についての制約を受けても、米国の市場ということの中で様々なことについて彼らも譲歩した。しかし、米国がなければまた考え方を変えなければいけないということもあって、そういう様々なバランスが崩れてしまうという問題もございます。
 そこで、TPPの今後の見通し、米国における見通しは、確かにこれは、藤末議員が御指摘になったように、非常にこれは厳しいのは事実でございますが、現段階で今後のことを全て予断することは政府としては差し控えさせていただきたいと、このように思うわけでございますが、今後とも粘り強くTPPの意義、価値について米国側に働きかけていきたいと、このように考えております。
#26
○藤末健三君 是非、アメリカにアプローチするのであれば、例えばTPP首脳会合が十一月十九日にあったんですが、このときに共同声明は出ていないんですね。今まではずっと出ている、しかし出せなかった。私は、そこは一つの大きな問題でありますし、あと、失礼ですけど、総理はAPECで現オバマ大統領とは立ち話だけだったじゃないですか。本当にTPPを成立させよう、今のものを成立させようと考えた場合には、私は、やはりTPP首脳会合においてきちんと共同声明を出し、今のオバマ大統領にTPPを進めるべしということをおっしゃっていただくべきだと思います。
 また、残る参加国との連携というのが非常に重要だと思いますが、私はそれぞれ国の立場は違うと思います。先ほどベトナムの話をおっしゃいましたけど、カナダ、メキシコ、ペルー、オーストラリア、ベトナムなどは既にアメリカとはFTA若しくは貿易投資枠組み協定を結んでいる。一方で、マレーシアやベトナムなどは我が国と同様にアメリカとのFTAはありません。立場が違う中でやっぱり議論をしていかなきゃいけませんし、先ほど自民党の山田議員からも指摘がございましたけれども、日米のFTAをTPPと同時に議論すべきだと思っています、私は。これはトランプ大統領がおっしゃっていることですから。
 今までの議論でいきますと、多国間のものと二国間のものを同時に進めていいかどうかという議論がありましたけれど、例えば我々はASEANとFTAを結んでいます、自由貿易協定を。その中で、ASEANと議論しながらも我々は対マレーシア、ベトナムとの議論を進めてFTAを結んでいますので、私は二国間同時にやるということは可能だと思います、正直申し上げて。是非、可能性を否定せずに、もう全力を挙げてやはりきちんとこの経済連携協定のことをやっていかなければ国民の不安は払拭できないという。私は今のお答えでは払拭できないと思います。
 そして同時に、RCEPの話をちょっとさせていただきたいんですが、ちょっと画面替えてください、パネルを。
 私は、もう一つございますのは、RCEPの議論も進めるべきではないかと思います。こちらのように、TPPに参加している国、我が国を入れて七か国と、この東アジア地域包括経済協定、RCEPの対象国は七か国がダブっている状況。RCEPを見てみますと、実はGDPで世界の約三割、そして人口で約五割、そして非常に成長力が高い地域が入っています。
 我が国の経済を伸ばしていこうという考えの場合、このRCEPを進めていくという選択肢あると思うんですが、いかがですか、総理。
#27
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPP協定に結実した新たなルールは、これはTPPにはとどまらず、RCEP、さらにはFTAAP等におけるモデルとなっていると考えています。二十一世紀の世界のスタンダードになっていくことが期待されるわけでありまして、我が国としては、RCEP交渉において、TPP交渉における成果も踏まえながら、質の高い協定の早期妥結に向けて引き続き精力的に交渉を進めていきたいと、こう考えております。
#28
○藤末健三君 是非、韓国がやったように、韓国は同時多発型の交渉というのをしていまして、私、政権与党時代にこの経済連携協定の担当をしていましたので、韓国には何度も行きました。そして、韓国とアメリカの自由貿易協定、FTAの議論も実際に現場で話を聞いてまいりました。
 何があるかと申しますと、今、日本のEPAやFTAのカバー率は二二・七%、一方で韓国は六七・四%となっているという状況でございまして、大きく差は開いている。特にアメリカは非常に大きな市場でございまして、車については二・五%の関税が掛かっている。実はもう韓国は二〇一六年から、韓国からアメリカに輸出する車、もう関税はゼロになっています、段階的な廃止で。二・五%の不利を日本の自動車メーカーは被っているという中で、私はやはりこのTPP、先ほど多国でやった方がいろんな問題が軽くて済みます、原産地の証明も楽ですというのはおっしゃるとおりだと思いますけれども、ほかの国との競争があります、やはりイコールフッティングの。その状況を考えたときに、私はあらゆる手段をつくってやらなきゃいけないと思っています。
 私はやはり、安倍総理、是非ロードマップ作っていただきたいんですよ。韓国がこれだけのEPA、FTAを進めたというのは、二〇〇四年に彼らはそのロードマップを作り、失礼しました、二〇〇三年ですね、韓国はFTAロードマップというのを作って優先順位を付け、どういう手続で、どういう機関で何をやるかということを決めて進めています。その結果がこれです。
 我々も、二〇一〇年、民主党が、当時の民主党の政権時代に包括的経済連携に関する基本方針というのを作り、そしてロードマップを作ろうとしたのですが、これはちょっと行き着かなかった。ただ、是非このロードマップをきちんと示し、やはりいろんな方々に関係します、経済連携協定は。きちんと、こういう手続で日本は進む、TPPも同じくこういうふうに進むということを明示していただきたいというのがまず一つございます。
 そして、もう一つありますのはこの経済連携協定の手続の問題。やはり、共同通信が十一月二十六日、二十七日に行いました世論調査を見ますと、TPP関連法案などを今国会で成立することについては慎重にやるべきということが六九・四%。十一月二十六、二十七日の世論調査です。七割の人たちが慎重にやるべきだと。やはりいろんな調査を見ますと、TPPのことが理解できていないということが大きく出ています。
 私は、韓国の事例を申し上げますと、韓国は二〇〇四年に大統領訓令でこの自由貿易協定をどう進めるかという手続を決めている。その手続は何かと申しますと、交渉する前に公聴会を開きましょうと。そして、交渉前に研究機関できちんと分析をしようと。そして、交渉段階でも国民に広報するということを決め、そしてまた二〇一一年には、通商条約の交渉の過程を国会で報告するための法律、通商条約の締結手続及び履行に関する法律を成立させています、韓国は。
 やはり我々も今、民進党はこの通商交渉の情報を国会に報告させる法案を出しています。ですから、やはり国民の理解を進めるということがこのFTA、経済連携協定を進めることになりますので、是非それを対応していただきたいということを申し上げておきます。これはお願いします、国のためにも。
 次に、農林水産業の話に移らさせていただきたいと思います。
 十一月二十九日に政府は、農林水産業の地域の活力創造本部という、これは安倍総理が本部長をなされていますが、農協改革案を含む農林水産業・地域活力創造プラン、これですね、を策定されました。
 安倍総理におかれましては、この農協改革、二〇一五年には農協法の改正を行い、農協が株式会社になれる、そして二〇一六年十一月二十八日には規制改革推進会議が農協改革に関する意見を出し、そして自民党、公明党は農業競争力強化プログラムを出したという状況でございます。ただ、私はこれを読まさせていただいたんですけれど、いずれも、相互扶助そして共助というこの協同組合、これは国際的な原則です、相互扶助、共助という原則を軽視しているんではないかと見受けます。
 民間企業である協同組合の経営に対する過剰な介入があるんではないかということで、私は、今、地元は熊本でございまして、震災もあります。そして、熊本は牛を、たしか十五万頭ぐらいいる、全国で四番目に牛が多い地域でございまして、地震の災害で、例えば南阿蘇村というところがございますけれど、何と十軒の牛を飼っている農家がもう廃業するということをおっしゃっているというような状況でございます。多くの方々がTPPに対する不満をおっしゃっているんですよ。そして、農協がどうなるんだ、農家はどうなるんだということをおっしゃっています。
 そういう中で、私は、この不安に応えるためにも、私はきちんと農協の改革をやって、きちんとしていただきたい。それは何かと申しますと、我々民進党は、農協というのは協同組合という原則で自主自立であること、そのJAグループが農家のためにきちんと自己改革を後押しする。今、自民党が出されている、政府が出されているのは、例えば全農がどういう人を雇わなきゃいけないか、そして体制をどうしなきゃいけないところまで法律の根拠もなく提言し、それをフォローアップすると言っている。それは余りにも過剰な介入だと思います。
 我々民進党は、農協がきちんと農家の所得向上を図るのみならず、例えば生活であり医療であり福祉であり、そういう地域を支える機能を位置付ける、そういう農協法の改正を目指しています。その点については、安倍総理、どうお考えですか。農協の位置付けを是非お答えください。
#29
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 農協は、まさに今組合として、この組合員のために活動をする組織であろうと、こう思っているわけでございまして、今般の改革等についてでありますが、生産資材価格の引下げや、農産物の流通や加工構造の改革や、生乳の生産流通改革など、様々な改革を盛り込んだ農業競争力強化プログラムを決定をしたわけでありますが、このプログラムによって、生産資材価格を国際水準まで引き下げ、そして農産物の流通加工構造を時代の変化を踏まえて効率的なものにしていく。また、関係業界の再編が重要でありまして、国も再編に向けた取組、例えば肥料業者はもうたくさんありまして、この結果、なかなか肥料の値段が下がらないと生産性が上がらないという点もありますから、そうした再編には国も力を貸していくということであります。
 中でも、役割の大きい全農は、生産資材の買い方や農産物の売り方を改革すれば関係業界の再編も大きく動き出します。肥料や飼料を一円でも安く仕入れて、そして農産物を一円でも高く買ってもらう、そのための努力を全農が先頭に立って行えば、農家の皆さんの期待に応えることになると思います。これは我々が無理やりやるということではなくて、このプログラムは全農とも合意の上に取りまとめられたものであります。
 しかし、ただ、今、藤末委員が御指摘になられたように、今までやっていなかったことをやりますから、不安に思われている農家の皆さんもおられることは承知をしておりますので、我々も丁寧に御説明をしていきたいと、このように思うわけでございまして、いずれにいたしましても、平均年齢が六十六歳を超えているこの農業の世界においては、改革を行わなければ守ることができないという認識の下、しっかりと改革に共に取り組んでいきたいと思います。
#30
○藤末健三君 私も、農協が農協のためにあるというのは改革必要だと思います。ただ、協同組合というこの共助のシステムというのは絶対維持しなきゃいけないということを申し上げさせていただきます。
 そしてまた、総理が農家の方々の不安を払拭するために全てを行うということをおっしゃっていただいたわけでございますが、今回のこの法律の中で、TPP対策法の中で、例えば畜産物の価格安定に関する法律、そして砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律は、TPPが動かなければ出ないという話になっています。
 私は、今、民進党のムダ遣い解消チームの副会長をさせていただいていますけれども、昨日TPP関連予算を聞きました。これは、TPPの大筋合意がありました秋以降、何と一兆二千億円のTPP対策費が積算されているわけでございます。そのうち農業予算は六千五百七十五億円でございますが、やはり見ていると、こんなの使うのかなというのもありますし、同時に、TPPで予算を付けているのに、米や牛肉などの国内価格が落ちたときにその補填をするというための法律、それはTPPが発効しなきゃ動かないという状況になっていまして、非常に違和感を感じております。
 もうちょっと時間がございますので提言だけ申し上げますと、やはり農家の方が絶対安心できるような農業政策を出さなきゃいけないと。我々は出していきますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後でございますが、私は今回のTPPにつきましてはやはり三つの問題があると思っています。一つはやはり、守るべきものを守っていないんではないかというところ、農業の問題、そして支えるだけのことをしていない。そして二つ目に、取るべきものを取っていない。自動車の問題もやはり私は不十分だと思います。そして三つ目が、大きいのは、やはり情報の開示、あの黒塗りの資料やSBS米の調査とか、そういうものがあります。そして、もう一つ最後ありますのは、是非、安倍総理、もうこのTPPだけに縛られるのではなく、広いオプションを持ってやっていただくことをお願いしまして、私の質問を終わらさせていただきます。
 ありがとうございました。
#31
○大野元裕君 民進党・新緑風会の大野元裕でございます。本特別委員会ではお世話役に徹するつもりでしたが、先輩、同僚の議員の御理解をいただきまして、本日初めて質問に立たせていただきます。よろしくお願いいたします。
 質問通告、まず、しておりませんが、外務大臣にお伺いをいたします。
 岸田大臣は、今日の夜からロシアに御出発と伺っております。国会の会期を延長してまでTPPの審議を求めたわけですから、外務大臣が外遊をすることについては異論もあろうとは思いますが、しかし日ロの重要な会談を行うということでありますので、野党民進党といたしましても理解をさせていただいた次第でございます。
 そこでお伺いしたいんですが、ロシアについては最近特に非常に深刻な事態が発生しています。それは、我が国固有の領土である北方領土に違法に軍事占領の形で展開するロシア部隊に新たに地対艦ミサイルが配備されたということです。特に射程三百キロとされるバスチオンミサイルは、北海道の東部全域を射程に収め、超低高度でマッハ二・二という速度ですから、恐らく迎撃が極めて困難になる、そういうやっかいなミサイルです。
 そこで外務大臣にお伺いしますが、今般、先方の要人とお会いになられると思いますが、その際には本ミサイルの配備について強く抗議をするとともに撤回を求めると、こういう理解でよろしいですか。確認させてください。
#32
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の地対艦ミサイルの配備につきましては、我が国の立場と相入れず、これは既にロシアに対しまして遺憾である旨申入れを行った次第であります。
 そして、今回の私のロシア訪問ですが、これは、今年の九月、国連総会の際に日ロ外相会談を行い、十二月に予定されているプーチン大統領の日本訪問の準備の一環として、事情が許すならば訪ロして日ロ外相会談を行うことで一致をした、こうした結果を受けて、事情が許せば今日からロシアを訪問させていただきたいと考えている次第であります。
 そして、このロシア訪問においては、今申し上げたように、十二月のプーチン大統領の訪日の準備の一環として行くわけでありますが、その際に日ロ外相会談を行います。平和条約締結交渉問題あるいは二国間の様々な課題についてもしっかり議論をしていきたいと思っています。ただ、その会議の中で何を取り上げて何を取り上げないか、こういった具体的なことについては、相手のある話でありますので、予断を持って今の時点で申し上げるのは控えたいと思います。
 両国の関心事につきまして、しっかりと議論をしていきたいと考えます。
#33
○大野元裕君 平和会談じゃないんです。我々、喉元にナイフを突き付けられているようなもの、ほぼこれ迎撃できないんではないかとも言われているような、そういうミサイルですから、それを突き付けられて、しかも違法な軍の展開、一九七九年に最初に展開したときには日本は撤収を求めていますから、やはりそこはしっかりと議論をしていただくための前提としてこれが必要だということを御指摘をさせていただいて、本委員会のTPPの議題に戻らさせていただきたいと思います。
 この委員会の議論を聞いていまして、国民には理解されていないのではないかという指摘が、実は与党も野党の議員からもなされてきました。総理は御存じだと思っております。確かに、TPP協定は技術的ですし文章も長い、分かりにくいということはこれはもうそのとおりだと思います。その一方で、政府の言っていることが信じられないのではないかという思いを抱く人も多いのではないかと思います。(資料提示)
 このパネルに示しましたけれども、TPPに関して申し上げると、断固反対を表明してきた政党の総裁が突如として豹変をし、TPPについては我が国の使命でもありますというようにおっしゃり出した。ところが、その一方で、強行採決を含め、政府がTPP協定の批准に力を入れる一方で、今日も議論がありましたけれども、次期米国大統領はTPPから脱退すると宣言をした。もうこの時点で、国民は何のためにTPPの審議をしているのか、政府の意図に対して多くのクエスチョンマークが私は付いていると思います。
 他方、このトランプ氏に直接会った数少ない要人のお一人である総理が、ペルーにおいてTPPを推進すると改めて標榜された。ところが、その四日後にトランプ氏は、大統領就任初日にTPPを脱退するとユーチューブで宣言をしました。もう本当、分かりにくいですね。それでもなお総理は米国抜きのTPPは意味がないとして、豹変の先輩ですから、トランプ氏に豹変されたらどうかとアドバイスされたんでしょうか、お待ちになっておられます。
 このような姿勢の中で、政府の言っていることは本当なんだろうかというふうにお思いになる国民がいても、私は不思議ではない。TPPについて言っていることが信用できない、疑わしいと思わせるものでは、可能性としてはあるのではないかと思っています。これらの疑念に対しては、総理、いつもの繰り返されている答弁をされても恐らく余り効果がないのではないかと私思いまして、是非お伺いしたいんですが、このパネルの部分で、総理、どの部分だったら信用していいというふうに国民におっしゃるのか、それとも、どの部分については目をつぶっておいてほしいと思われるか、是非教えていただきたいと思います。
#34
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大変具体的な質問をされたわけでございますが、このTPPについての姿勢はこれ我々一貫しているわけでございまして、民進、当時民主党と呼ばれていたわけでありますが、民主党政権時代、我々は、言わば原則を持たなければいけないということで、まさに聖域なき関税撤廃が前提条件である以上、TPPについては交渉参加を反対するという立場を堅持していたわけでございます。これは、根っこから反対をしたということはないわけでございますが、我々党として、党として作ったポスターにおいてはこういうものを作ったことはないということははっきりと申し上げておきたいと思いますし、私自身が断固反対ということを言ったことは一度もないわけでありますし、党としての、自民党としての公約等にはこんなことは全く書いていないわけでありまして、これはまさに一選挙区のポスターであろうと。
 これは、はっきりと申し上げて、一選挙区のポスターであって、ほかではこんな状況ではないわけでありまして、まさに党として、私が自民党総裁として申し上げてきたのは今のとおりであって、そこはもう極めて真っすぐに一貫をしているということは申し上げておきたいと、こう思う次第でございます。(発言する者あり)
#35
○委員長(林芳正君) 静粛にお願いいたします。
#36
○大野元裕君 総理はそうおっしゃいますけれども、これ多分、私の知っている限りでは、これ自民党と読むんだと思うんですね。そうすると、有権者から見れば、そんな説明ではなくて、このポスターを見て投票したわけですから、やはりさすがぶれないと書いてあるだけあって、その御答弁真っすぐに全てをスルーしていただいたという、そういう理解でございますけれども。
 いずれにしても、総理、国会においては是非正面から、真っすぐとおっしゃいましたので質問には答えていただいて、真摯に答弁されることが多分多くの国民に、一人でも多くの国民に御理解をいただく私は唯一の手段だということを強調させていただいて、次の質問に移らさせていただきたいと思っています。
 さて、我が国の国益と自由貿易の推進を両立させていく、これが政治に求められているということは多分共通の理解だと思っています。他方で、米国の歴史を見ると時として内向きになることがあり、自由貿易を阻害してきました。
 一九二九年の大恐慌の際には、各国は自国及び植民地の市場の囲い込み、あるいはブロック経済化を行いました。アメリカについては、自由貿易の流れにあらがい、当時の無条件最恵国待遇原則というヨーロッパ等が取っていたもの、これを採用せずに来て、一九三〇年にはスムート・ホーレー法という法律を作り、関税を大幅に引き上げることによって強力な保護主義化をしました。結果として、これらは大恐慌の中で保護主義化、経済のブロック化を進め、結果として第二次世界大戦の原因の一つになったというふうに指摘をされています。
 一九四八年のITO憲章の合意後も、この批准を妨げたのはやはりアメリカでした。今もしそれがあれば、結果としてガットの実効性と貿易ルールまで恐らく突っ込めていたのではないかと思っていますけれども、その責任もアメリカにありました。そういった世界の自由貿易はアメリカに振り回されてきた。
 このような意味でも、我々民進党は、狭量な既得権益保護の立場には立たない自由貿易の推進には賛成であります。しかしながら、交渉の結果としてのTPP協定には異存がある、異議がある、そして改めて問い直さなければならないところがあると思っています。また、TPP協定に賛成しなければ保護主義、反自由主義とするようなレッテル貼りの議論もここでは聞かれましたが、私は、ガット・WTO体制の下、自由貿易を進める道はTPPだけに限らないと思っています。
 このような観点に立ちながら、世界の平和と貿易の自由を進めるためにも、アメリカが一国主義にならないようにしながら、TPP脱退を公言するトランプ大統領の就任を前に、日本の戦略的な立場というものを改めて今日は総理にお伺いしたいと思っています。
 その上で伺います。先ほど藤末委員との議論の中で少しあったのではしょって議論をさせていただきますが、十七日、先月ですね、総理がニューヨークでトランプ次期大統領とお会いになられた僅か四日後の二十一日、総理が信頼ができる人物と確信したと述べられたこの次期大統領は、TPP協定から大統領就任初日に撤退をすると公表をされました。この撤退について、協定を見ると三十・六条というところで脱退について規定していますが、TPP協定はまだ発効していない段階でしょうから、この規定は恐らく当てはまらないんだろうと思います。
 しかし、脱退についてトランプ氏は、実は注意深い言い回しをしているのではないかと考えています。日本でも大きく報道されましたが、アメリカの投票者との契約と題する表明の中の一つ、大統領就任一日目のアメリカ労働者を保護するための七施策では、NAFTAについては第二千二百五条に基づく再交渉若しくは脱退、つまり規定を明示した上でこれで脱退しますと言っているんです。ところが、TPPについては、何ら規定を引かずに脱退のみを裸で出しているんですね。これは、もちろんそれまでにも使った、批准をしないという、あるいは署名をしないという言葉を使ったこともあります。この言葉じゃないんです。脱退、しかしながら規定については引いていない。
 そこで、外務省に伺いますけれども、発効前、協定や条約が発効する前に脱退する場合にはいかなる手続が考えられるのか、特に条約に関するウィーン条約がございますので、それも踏まえて御答弁をいただきたいと思います。
#37
○国務大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、TPP協定上は協定発効前の脱退に係る規定は存在いたしません。
 そして、今条約法条約について触れられました。この条約法条約においては、第十八条に脱退等に関連する内容が含まれていますが、この十八条は、その署名又は交換のときから条約の当事者とならない意図を明らかにするときまでの間、それまでの間に条約の趣旨及び目的を失わせてはならないという義務がある、こういった内容が定められています。要は、そういう義務を定めたものであって、その脱退の手続等についてこの条約の中で何か明らかにしているということはないと承知をしています。
#38
○大野元裕君 おっしゃるとおりです。
 しかしながら、それは、条約を署名してから批准なりの国内手続までの間、この以降には実は義務を負うわけですけれども、それまでの間には実は義務は負わないということも改めて示しているという条文だと私は理解をしておりますけれども、それはまずそれでよろしいですね。
#39
○国務大臣(岸田文雄君) 条約法条約十八条の読み方として、委員が今御指摘になられたような読み方をするべきであると私も考えます。
#40
○大野元裕君 そうしますと、これ脱退はできちゃうんですね。つまり、いわゆる協定に定められた形での脱退ではないけれども、当事者とはならないと、自国の措置をした上で当事者とはならないということは実はできるということになるんです。
 そうすると、大臣、お伺いしたいんですが、この条約法条約第十八条の解釈に基づいてTPP協定の当事者とはならないという表明をする場合ですけれども、その場合、これはアメリカが、仮にですよ、そうしたとしましょう、その場合に、ほかの国々、十一か国ありますけれども、ほかの国々の国内手続が終了した場合、TPP協定は十一か国が当事者となって発効するというふうに理解をしてよろしいんでしょうか。
#41
○国務大臣(岸田文雄君) まず、トランプ次期大統領は就任の初日に脱退をするということを明らかにしているわけですが、まずもって、この脱退をするというのは具体的に何をするのか、書面においても手続においても一体何をするのか、これは明らかにしていません。よって、今の段階で予断を持ってこの脱退について何か申し上げるということは控えなければならないと思っています。
 そして、その上において、今アメリカが締約しなかった場合に残り十一か国で発効するのかという御質問でありましたが、それについて申し上げるならば、米国がTPP協定の締結をしない、こうした場合においては、その協定の取決め上、日米両国が協定を締結しない限り協定は発効しない、こういった協定の中身になっておりますので、この規定が修正されない限りは米国抜きの形で、要は十一か国でTPP協定が発効することはないと考えています。
#42
○大野元裕君 ちょっと確認しますが、日米両国ですか、それとも締約国のGDPの八五%ですか。
#43
○国務大臣(岸田文雄君) 規定の中身はGDPトータルで八五%以上かつ六か国以上、こういった中身であります。そして、現実を見る限り、そのGDPの大きさから考えまして、日本、アメリカ、どっちかが欠けますとこの規定を満たさないことになるということから、今申し上げましたように、日米両国でと申し上げた次第であります。
#44
○大野元裕君 国際法の話しておりますから、是非正確にお答えをいただきたいと思っています。
 そうすると、大臣、当事国にはならないということは国際法上はできる、条約法上できると。しかしながら、それが原署名国の八五%、原署名国にはならないかどうかということの多分議論になるんだと思うんです。そうすると、大臣、先ほどおっしゃったように、まだ大統領に就任されていないし、ウイズドローという言葉を使っていますが、脱退をするということについて今のところまだ聞ける立場のお相手ではないんだと思うんですね、まだ次期大統領ですから。どういう形にするかということをまだ確認していないのはいいとしても、大臣、当事国とならないことと批准をしないことというのは違う、これは分かりますよね。それからもう一つ、ウィーン条約のように、脱退して当事国にならない、しかしそれが原署名国にならないかどうかということについて確認されたんでしょうか。
 というのは、実はTPP協定の一・三条の定義の部分で原署名国についての定義がないんです。ほかの言葉の定義はあるんですけれども、原署名国の定義が実はTPP協定にはないんです。そういった意味では、当事国にはならないけれども原署名国としてその場合なるかどうかということについて、TPP事務局や他の署名国に対して確認されたんでしょうか。
#45
○国務大臣(岸田文雄君) 署名国であるということについては、これ、今年の二月の段階で十二か国が署名をしています。この事実は全く変わらないと思います。アメリカが原署名国であるということについては今後も変わらないと考えます。
#46
○大野元裕君 確認をされたかどうかを聞いているんですが。
#47
○国務大臣(岸田文雄君) 今の点については、確認するまでもなく、関係者の中で一致していることであると考えます。
#48
○大野元裕君 実は、一致しているという話ですけれども、先ほども申し上げたとおり、実は定義のところにないという状況でありますので、まさにオリジナルシグナトリーと書いてありますけれども、原署名国と当事国の法的な地位の関係について私は確認をする必要が出てきている段階になっているのではないかと思っています。
 そこでお伺いしますけれども、これ、シナリオについては先ほど藤末委員がやったので少しだけにしますが、米国が仮に脱退をするという場合に、我が国の今、国会で、参議院でこの協定審議していますけれども、国会が承認した本協定の承認を通告しない、寄託しないということは、大臣、あり得るんでしょうか。
#49
○国務大臣(岸田文雄君) 米国の対応については予断を持って申し上げることは控えると申し上げていますが、我が国につきましては、従来から答弁させていただいておりますように、我が国の自由貿易に対するしっかりとした覚悟を示すためにも、TPPの戦略的、経済的な重要性等を考えても、是非一日も早く国会の承認をいただき、手続を進めていきたいと考えています。そして、手続が終わったならば、我が国としまして寄託国に寄託を行いたいと考えます。
#50
○大野元裕君 総理にお伺いしますけれども、トランプ氏がこの宣言を実施したと、仮に脱退を通告をするということがあったとします。これ、アメリカが脱退すると、この残りの十一か国で世界のGDPの一四%を占めるエコノミーが残る、これが発効するかどうかは別ですけれどね。しかしながら、確認されていない段階ですから、我が国は全体のGDPの四四・七%をその中で占めることになりますけれども、仮にこれ、日本が協定を批准をして発効するという解釈が成立するとすれば、TPPは、総理のお言葉をお借りすれば、意味のない協定の発効になる可能性があるのではないでしょうか。
 意味のないと総理がおっしゃる協定の承認案をここで審議している意味はどこにあるのか、是非まず教えていただきたいと思います。
#51
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、国会承認手続が得られれば、国内手続を完了次第、米国の状況にかかわらず、寄託国であるニュージーランドに国内手続を完了した旨通報する、これは外務大臣が答弁をさせていただいたとおりでございます。
 そこで、セオリーとして、今、大野委員から仮定の話、トランプはこのようにしたらどうなのかという仮定の話でございますので、それにお答えすることは控えさせていただきたいと思うわけでございますが、実質的には、つまり米国が批准をしなければTPPそのものは発効しないわけでありますから、これは言わばTPPに米国は参加しないという意味をこれは果たすであろうと、こう思うわけでございます。
 その段階においては、先ほど申し上げましたように、これは、米国が参加をしなければTPPは発効しないということになると我々は理解をしているわけでございまして、いずれにせよ、TPPについては、これは先ほども藤末委員の質問に対してもお答えをさせていただいたように、各国とも米国が参加をするということの前提上に積み上げたものであり、バランスを崩していくということになるんだろうと考えているところでございます。
#52
○大野元裕君 総理がおっしゃるとおり、TPPが米国を、入ったことを前提としてこれまで議論した、それはもうそのとおりだと思います。そして、発効を仮にするときに米国がいなければ意味がないという総理のお話もありました。
 そして、今、総理がトランプ氏のお考えをそんたくして話すのは適切ではないと、こういうお話も聞いたんですが、実はこの我が国の政治家の中でただ一人だけトランプ氏のお考えをしっかりと承った、聞いた上でこの議論を進めている方がおられるんです。それは総理です。我々はもちろん分かりません、中身を明らかにしていただいていませんから。総理は、そういったお考えを聞いた上で、それでもこの米国が入らなきゃ意味がないというTPPをここで審議をしろ、これは意味があると、こうおっしゃっているんですね。
 というのは、この委員会の中でも、衆議院でもありました。一度立ち止まって考えるべきじゃないんですか、この法案、一回廃案にしてもう一回出し直したらいいんじゃない、失礼、協定案、そういった議論も実はこれまでもありました。ところが、総理は、そうではないんだと、自由貿易の話、TPPの意義の話を繰り返して、これ当然、総理はトランプ氏とお話しになったその後の感触を恐らく踏まえた上で、国のリーダーとしてこういった議論をしろということで我々はさせていただいているんだと思うんです。もちろん、ここでは多くの資源と税金も費やされている中で、この無駄かもしれない、仮にアメリカ抜きなら意味がない、こういうTPPについて議論をさせていただいているわけですけれども。
 総理、当然の話だと思いますけれども、米国が参加することは前提だというのは分かりました。そのトランプ氏との議論を踏まえて、不参加の場合には見通しが甘いと言われますけれども、そこは、総理、きちんと責任をお感じになられていますよね。まず、そこだけ教えてください。
#53
○内閣総理大臣(安倍晋三君) トランプ氏が翻意するように、これは言わばオーストラリアのターンブル首相も電話で話しているわけでありまして、私のみならず多くの指導者が自由貿易の意義等について恐らく話もされているんだろうと推測をしているわけでございます。
 そこで、では、ここで採決をする意味についてでありますが、それは当然、私がトランプ次期大統領と約九十分間にわたって話をした上でなお申し上げているわけでございますが、日本が、果たしてここで日本が日本としての意思を示すことができるかどうかということが今問われているんだろうと私は思うわけでございます。
 米国のまさに移行期にある状況について、日本が意思表明をすることは意味がないと私は決して思わないわけでございます。日本が意思表明するかどうかということは、先般、ペルーにおいて強く感じたのでありますが、他のメンバーも、安倍さんどうするんですか、日本はどうするんですかということを皆さんから聞かれたわけでありまして、日本がこの国会でどういう態度を取るか。日本も簡単にぺしゃっと諦めてしまうのかということではなくて、やはり私たちが進めてきたこの協定、この数年間掛けて行ってきた議論の成果は大きな意味があるんだ、今後自由貿易を進めていく上において、その中でルールを作ったこの意義についてしっかりと世界に発信をしていく、今まさに私たちはその役割を担っているんだろうと、このように考えているところでございます。
#54
○大野元裕君 総理、しっかり質問を聞いていただきたいと思います。私は、そういった意見もあった、しかしながら、総理はトランプ氏とただ一人この中で会った、その感触を、その御感想を、経験を踏まえた上で、それでもなおかつ進めろというふうにおっしゃっていると言ったんです。そこの上で、総理としての当然の責任というものはお感じなんでしょうねというのを聞いているんですけれども。
#55
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 行政、外交に関わる全ての責任は私にあります。
#56
○大野元裕君 特に、今回については、先ほど申し上げたとおり、我々会談の中身存じ上げません。そして、総理と通訳の方しか入っていないわけですから、それ以外の方は恐らく知らないということだと思います。
 総理、もう少しシナリオについて聞きたいんですが、先ほど藤末委員との議論の中では再交渉の話もありました。これはアメリカが参加するということを前提とした例えば再交渉、これ、先ほどベトナムはアメリカがこれこれこういうことを考えているからという具体的な話も推測として挙げておられましたけれども、これらの、アメリカを参加させるために再交渉が必要である、あるいは、もしそうなった場合には再交渉を行う可能性というのはどうお考えでしょうか。
#57
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 再交渉を、先ほどベトナムの例を挙げたのは、例えばということで、ベトナムがどう考えているかということについては、それを確定的に申し上げているわけではなくて、推測で例えばということを申し上げたわけでありますが、米国と、これはもう再三申し上げておりますように、言わばこのTPP自体について再交渉する考え方は、再交渉することはないということでございます。
#58
○大野元裕君 日米の二国間FTAについてはいかがでしょうか。
#59
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 二国間FTAについては、例えばこのTPPの交渉をしている中で、TPPメンバー国である豪州とも我々EPAの交渉をし、そしてTPPよりも先に締結をしたところでございますし、日加のEPA交渉もあるわけでございますが、今、米国との関係におきましては、今まさに我々はTPPについて、何とか米国の考え方、今政権移行期にありますから、影響を与えていきたいというふうに考えておりますので、この二国間のEPAあるいはFTAについてここでTPPとの関係でどうこうするということにつきましては、お答えは控えさせていただきたいと思います。
#60
○大野元裕君 否定されないんですか。今TPPをやっているから、これは総理が先ほど申し上げた、トランプさんとお会いした後にしっかりと進める、アメリカが入らなきゃ意味がないと、ここは分かるんです、議論としては。議論としては分かるんです。だけど、そうすると二国間FTAは必要ないんじゃないんですか。
#61
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、今まさに申し上げましたように、まずはこのTPPを御承認をいただき、そしてその上において、米国にあらゆる我々この関係を生かしながら、米国に対してTPPの意義等を説いていきたいと、こう考えております。
#62
○大野元裕君 また分からなくなっちゃったんですよ。
 先ほど、政府の言っていることは信頼できないんじゃないか、信用できないんじゃないかという国民に対して、やはり明快な形で、特に今日は集中審議のテーマがこれからの経済連携の在り方でもありますので、そこで分かりやすく、どのシナリオでいくんだろうと。立場は違いますよ、与党、野党ですから。しかしながら、そのために実のある議論をしようと思うけれども、いや、トランプ氏には会ったけれども、しかし、なかなかどの選択肢、また二国間FTAも否定をしないというのでは、なおさら国民に対しては分かりにくいんじゃないんですか。
 私、どれを最終的に選択するかというのは別として、自由貿易は進めるべきだ、これはもう言いました。その上で、例えばここで国民に対してやはり方向性についてきちんと議論を、発言をするというのは、九日、自動成立の協定ですから、やはり今必要ではないかと私は思っています。
 総理、もう一度手順について教えていただけますか。
#63
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ちょっと誤解をされてしまったかもしれませんが、この日米FTAについて私が考えるということではなくて、日米FTAと比較考量するのは、発言は控えさせていただきますというふうに先ほども藤末委員とのやり取りでお答えをさせていただいたわけでございますが、今まさにこの委員会においてTPPについて議論をさせていただいているわけでございまして、一日も早くこのTPPについて可決をお願いをしたい、この法案を成立をさせていただきたい、条約を批准していただきたいという思いでございまして、その上において、米国に対して、我々も何とかこのTPPの意義について理解するように全力を挙げていきたいと、こう思っているところでございます。
#64
○大野元裕君 政府の方から依頼をされているので我々はここで審議しているんです。トランプ次期大統領が何と言おうと、ここで毎日僕たち審議してきました。それは御存じのとおりです。しかしながら、行政府の責任としては、私は、一旦ここは止まって廃案にし、そして、信頼が置けるとされたトランプ大統領なんですから、行政府の方で整理をしてからもう一度ここで、立法府で議論をするというのが私は筋だというふうに考えます。
 その上で、このまま話ずっとしていると私、ほかの質問できなくなっちゃうので次に移りますけれども、石原大臣、TPP協定は附属の文書を含めて一体であって、その全てが国会による承認の対象ということでまずはよろしいでしょうか。
#65
○国務大臣(石原伸晃君) 委員の御理解のとおりだと思います。
#66
○大野元裕君 そこで、大臣にお伺いしますが、日本に関する附属書の二―Dに書かれている七年後の再協議規定というのがあります。この再協議規定では、我が国とオーストラリア、カナダ、チリ、ニュージーランド及び米国との間で市場アクセスを強化させるという観点から関税の再協議を義務化をするという、こういう規定になっています。ほかの国に対して同様の規定はなく、これらの国と日本の残された関税を比較すれば、我が方が市場アクセス強化のために関税引下げを求められる方向での協議があるのではないかというふうに考えられる条文であります。この条文について大臣は、仮に農産物の関税等々について再協議の要請が来ても日本が不利な形で合意はしないと、そういうふうにおっしゃっておられます。
 そこで、確認ですが、仮に再協議で農作物の関税撤廃等々について合意がされたと、仮にですよ、その場合にはこれは国会に諮るということはそれでよろしいですか、確認です。
#67
○国務大臣(石原伸晃君) そもそも、委員が御指摘のとおり、五か国について再協議規定が盛り込まれているのは、今日前段で御同僚の我が党の山田議員との討論の中で、関税の例外が農産物で一八%、他国に比べて多いと、そういうことがございますので、この再協議という規定が設けられております。
 そして、委員御指摘のとおり、仮の話と委員がもう本当に前提を付けていただいたので話せるわけでございますけれども、仮にその再協議、これ再協議をすると書いてありますから再協議はいたしますけれども、そこで交渉するわけですけれども、当然、政府としては議会で認められないような再協議の結果をつくるというようなことはございませんし、仮でございますけれども、その結果、委員が御指摘のようなことがございましたら、当然変更に当たるわけでございますから議会の御審議を経なければならない。
 しかし、くどいようですけれども、時の政府が議会で反対されるようなこと、すなわち我が国にとって不利益を被るというようなことを出すということはなかなか考えづらいのではないか、こんなふうに理解をしております。
#68
○大野元裕君 お手元に資料を配付させていただいております。十月の十七日の衆議院における我が党の村岡委員からの質問に対して、大臣はこうおっしゃっているんです。「関税を見直す、そういう約束を仮にしてしまったと。しかしながら、そういう事態になったとしても、それは協定に関する新しい法律を出さなければなりませんから、私どもは、与党、野党一致して、その問題については拒否をする、協定に賛成をしないという形で再協議をはね返していく、そういうふうに理解をさせていただいているところでございます。」。これ、実は、協定についてと聞いたのは、法律を出すんじゃなくて、協定の変更をもちろん我々は審議をするということでありますよね。
 その上で伺いますけれども、大臣、政府の意図としては、これ、仮に合意をしてしまったときは、国会における反対をプログラム的に組み込んだ、そういう再協議の規定、合意という、そういう理解なんでしょうか。
#69
○国務大臣(石原伸晃君) そこは全く違うと思います。協議をすると、協議の結果、何を受け入れなければならないということは、協約上そういうものは指定されておりませんので、先ほどの御答弁をさせていただきましたとおり、我が国の国益をそぐような再協議の結果というものをお諮りすることは考えにくいのではないかということを御答弁させていただいたところでございます。
#70
○大野元裕君 他方で、大臣、国会の意思を真摯に受け止めていただくというのはとても有り難いことだと思っています。しかしながら、この御答弁拝見をしていると、再協議をはね返すために与野党一致して国会で拒否をする。さて、いつから政府は国会における議員の賛否について指示をされる立場におなりになられたんでしょうか、お伺いしたいと思います。
 自民党については私は承知しませんが、少なくとも民進党は全く合意の内容を見もしないで賛成も拒否もするという判断はいたしません。我々は当然それは立法府の自殺だというふうに受け止めると思います。
 総理、この石原大臣の御発言、国会の議決及び議員の投票行動をあらかじめ指示するような、こういう答弁というのは不適切だとお考えになりませんか。
#71
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もちろん、そんな僣越なことを石原大臣は毛頭考えてはいないと思うわけでございますが、誤解をもし与えているのであれば、石原大臣から明確にその趣旨について答弁をさせたいと思います。
#72
○大野元裕君 是非、石原大臣にこの文についての、私はこれ撤回された方がいいと思いますけれども、御説明をまずはいただきたいと思います。
#73
○国務大臣(石原伸晃君) 全て藤末委員が今回御丁寧に、仮にというお話をさせていただいておりますので、仮にそういうことがあったらということで先ほど御答弁をさせていただいておりますが、ましてや私が民進党の皆様方の考え方を縛るというようなことは、私の性格からしてもそういうことを言うことは絶対にございませんし、やはりそれは国会で御判断されることでございますし、あくまでも、この協定を読ませていただきますと、再協議を行う規定はございますけれども、それをこちら側が譲歩をしなければならないということは全くどこにも書かれておりませんし、他のEPA等々の規約を見させていただきましてもこの再協議というものはある。そして、その前段にあるのは、我が国が農作物で多くの例外を勝ち取ったからこそこういうことをこの五か国が求めてきているものだと認識しております。
#74
○大野元裕君 私は、済みません、学校の先輩でもありますし、この規定についてもう一度説明をいただくという、答弁について、国会との関与に関して聞いたわけであって、それを全く違うような話をされるというのはちょっと私はおかしいと思います。せっかく、声を荒げて言うこともできますけれども、そうではなくて、まずは大臣のこの真意を聞きたいと言っているんです、この国会に対する指示に見えるような文章について。それについてもう一度御答弁ください。
#75
○国務大臣(石原伸晃君) 先ほど率直に申させていただきましたとおり、民進党の皆様方がどのような投票行動をするべきであるというような、そんな僣越なことを私はこれまで申しておりませんし、もしそれに、その文章からそういうふうに御理解をいただいたとするならば、それは私の思っていることと違うということを明確に示させていただきたいと思っております。
#76
○大野元裕君 この実は条約や協定については、これまでも政府とそれから国会との間では若干、私、意見違ったところもあると思っているんです。憲法第七十三条に基づいて、条約の中身については国会の立ち入るところではないという政府の一貫したお立場の中で、我々は、国会に対して提出されるものは条約案そのものではなくて条約や協定の承認を求める案という形で、その承認自体について議論をしてきました。
 このように、三権分立を明確に政府が、これ実はいろんなほかの意見もあるんです。しかしながら、そういうふうにおっしゃるのであれば、逆に私は、行政府側でも襟を正してこのような発言は厳に慎むべきだと思いますけれども、それについては総理、もう一度、国会と行政の関係について御認識を、安倍政権としての、賜りたいと思います。
#77
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この協議につきましては、まさにこれは再三答弁をさせていただいておりますように、協議はしなければいけませんが、我々は我々の不利なことについてはこの協議には応じない、これは政府の役割としては申し上げているわけでございます。
 本来であれば、大野委員は政府の答弁はそこまでだろうという御指摘だろうと、このように思います。これは、石原大臣は解説的に、政府の役割はそこだけど、言わば恐らく、万が一政府が下りたとしても議会はそれをのまないであろうという、まあ解説的感想を述べられたんだろうと、このように思いますが、いずれにいたしましても、この委員会あるいは議会に対して政府がこれは指示をするという気は毛頭ございませんし、そんなことがあってはならないと、こう考えている次第でございます。
#78
○大野元裕君 そもそも、解説をしていただく我々必要はありません。我々は、三権分立で全く違うところにいる立法府であります。そこに対してそのような発言というものは全くもって受け入れられません。是非、大臣、改めていただきたい。そして、次回からは是非、私の名前は大野でございます、そこも改めていただきたいと思いますけれども、御答弁を求めます。
#79
○国務大臣(石原伸晃君) 大野委員に大変申し訳ないのでございますが、私の意図するところは、先ほども申しましたけれども、その協議を行うということだけが決まっていて、その結果何をするということは決まっていないということはもうそのとおりでございますし、国益を害するような合意をする考えは政府にはございません。
 そして、仮定という仮定を置いていただいたので少し踏み込んで話させていただきましたけれども、万が一、協議の結果、関税を委員が御懸念されるような撤廃という方向で見直しすることになりますと、先ほど来御答弁させていただいておりますように、協定の見直しが必要になりますので当然国会の承認が必要となる。そのときはこの国会で御議論をいただく。私は、国会で、ましてや民進党の皆様方にそういう仮の事態に対してどうこうするというようなことを申しているということはないということは是非御理解いただきたいと思います。
#80
○大野元裕君 済みません、今日、実は幾つかやらなきゃいけないことがあって、大臣、本当にそこは気を付けていただきたいということを最後申し上げます。
 このTPP協定の規定に基づく留保について、これはほとんど議論になっていなかったので、必ず議事録にはとどめなければいけないと思っているのでお伺いしたいんですが、塩崎大臣にお伺いいたします。
 国民皆保険制度についての心配が寄せられています。そういう中で、このTPPによって国民皆保険制度が崩れるんじゃないか、あるいは将来において崩されるのではないか、こういう懸念もありますけれども、大臣はこのような疑念に対し衆参の審議を通じて、附属書において我が国は留保の宣言を行っています、公的医療保険制度を含む社会保障制度について将来の制度変更も妨げるものでは決してないとおっしゃっておられますけれども、これ、根拠は留保ということでよろしいでしょうか。
#81
○国務大臣(塩崎恭久君) 今お話がございましたが、TPP協定の中の投資章にも複数の規定がございまして、投資受入れ国が公共の福祉に係る正当な目的のために必要かつ合理的な措置を差別的ではない態様で講ずることが妨げられてはいないということが書かれておりますが、元々我が国の社会保障制度は、国民の生命、健康等を守るという正当な理由、目的を持って、審議会などでの専門家の意見を聞いた上で議論を行うなどした上で設けられているものでありますから、正当な目的のために必要かつ合理的な措置を差別的でない態様で行っているものというふうに言えると思います。
 そこで、今、留保の話をいただきました。投資章の一部の規定と異なる措置を将来にわたって採用、維持しても協定違反にならない分野を定めた附属書の二でございますが、ここにおきまして我が国は、公的医療保険制度などの社会保障制度を含む社会事業サービス、この投資に関する措置を留保をしておるところでございます。
 これらの規定を踏まえれば、TPP協定は、我が国の公的医療保険制度を含む社会保障制度、これにつきましては将来の制度変更を妨げるものではないと考えているところでございます。
#82
○大野元裕君 先ほどの再協議のところで石原大臣も、万が一があったときもその後は国会でやればいい、これが一定の歯止めになっているんじゃないかというふうに私は理解をするものですけれども、今大臣からも留保がやはり一つ大事だと言いました。
 そこで、外務省にお伺いをさせていただきたいんですが、これまで条約や協定、留保したこと何度もあります。この留保の撤回について、国会の承認を過去に求めたことがありますか。また、現時点で、一般の条約、協定に関し、留保の撤回と国会の関与に関する政府の立場を端的にお述べいただきたいと思います。
#83
○政府参考人(齋木尚子君) お答え申し上げます。
 一般的な意味で、条約法条約にも規定されております留保とは、既に内容が確定している条約の一部の規定の法的効果を排除するか又は変更する旨の一方的な意思表示でありまして、この条約の署名又は締結の際に行われるものです。
 この留保につきましては、いわゆる留保条項に基づくもの、あるいは留保条項に基づかないもの、双方ございますけれども、そのいずれについても、こうした留保を撤回する際には、国会の御承認を求めることなく行政府として行ってきているところであります。
 一点、この点で補足的に申し上げます。
 今し方、TPP協定におけるいわゆる留保についての質疑がございました。このTPP協定を含む経済連携協定においては、内国民待遇等の協定の関連規定の義務に適合しない各国の措置について、交渉の中で各国が互いに合意の上でそのような措置をリスト化し、協定の一部とするということがございますが、このようなTPP協定における留保と、冒頭申し上げました一般的な意味で条約法条約に規定されている、既にでき上がった条約に一方的な意思表示として行う留保とは法的性質を異にしているものでございます。
#84
○大野元裕君 そうなんです。これまで実は留保の撤回について外務省は国会に承認を求めたこともなければ、一般論としてのそういった留保については撤回を求める際に国会の関与というものは必要ではないというのが外務省の立場だったんです。
 しかし、今分かりにくかったのでテレビを御覧の皆さんに御説明をさせていただくと、要するに、協議をするときの段階で留保というものが入っているときには、条約の一部だから、実はそれについては変更をしたときには留保を撤回しても国会の承認を求めるという趣旨の答弁だったと思うんですが、これ実はいまだにこの国会で一度もやったことがないんです。
 そこで、とても重要なポイントでございます。塩崎大臣がおっしゃったような国民保険制度だけじゃない、金融とか債権とか弁護士法とか、本当にいろんなものがこれ留保をひっくり返されると終わっちゃうんです。そういった意味では、この留保について、このTPP協定に関して、この中の留保表に関して留保を付したものを撤回をするときは必ずこの国会で審議をする、承認を求めるということを、外務大臣、明確に御答弁をいただきたい。
#85
○国務大臣(岸田文雄君) 今外務省から説明させていただきましたように、この条約一般における留保、これは一方的な意思表示でありますので、憲法第七十三条二号に基づいて外交関係の処理の一環として行政府限りで行ってきているわけですが、他方、このTPP協定については、このTPP協定における留保、これは各国が合意をした上でリストを作成して、そして協定の一部としています。よって、これを変えるということになりますと、まず各国の合意が必要でありますし、手続としまして、これ、協定の一部を改定することになりますので、改めてこの国会の承認を求めることが必要になると考えます。
#86
○大野元裕君 時間が余りないので、最後に一言だけ。今言ったようなその三十・二条の協定の改定に該当する場合は改めて、最後、一言で結構ですので、必ずこれを国会に提出し審議をいただくということでよろしいですね。これだけ最後に質問させていただきます。
#87
○国務大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、TPP協定における留保、これを改める場合、変更する場合、これは国会の承認が必要であります。
#88
○大野元裕君 これで終わります。まだまだやらなければいけないこと本当に多いんですけれども、今日もサイドレターとかやりたかったんですが、次回にもし時間をいただければ譲らせていただき、私の質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。
#89
○平木大作君 公明党の平木大作でございます。
 本日は、このTPPに限らず、貿易ルールですとか紛争処理、あるいは将来における経済連携に関してということで、大変大局的なテーマ設定がなされておりますので、今日は私の方からも、このTPPも含めてそもそも自由貿易協定が今世界的な潮流どういうことになっているのか、こういうところから少し論を進めさせていただきたいというふうに思っております。
 まず、資料一を御覧いただきたいと思うんですが、自由貿易協定、そもそもの定義から話させていただきますと、その協定を結んだ国々の間で関税やその他通商の障害となる壁を取り除くような国際的な合意のことと、このように定義をされるわけであります。(資料提示)
 資料一が何を示しているかと申しますと、これは世界で発効をされてまいりました自由貿易協定の数を十年ごとにカウントしたものでありまして、もう御覧いただいて分かりますように、九〇年代以降、大変急速な勢いで増えているということであります。今年の六月時点ということでありますが、もう既に世界中には二百八十二個、この自由貿易協定が発効済みになっている。
 そして、この急増の背景というのは一体何なのか。各国が実は経済面だけではなくて様々な国益、メリットの獲得を目指してまさに競い合うように実は協定を締結してきたと、こういうことが指摘をされているわけであります。
 実際にもう既に様々な研究もなされておりまして、それを簡潔にまとめましたのが、今度は資料の二の方に移っていただきたいんですが、一般的に認識をされておりますのは一番最初の経済面での競争のところでありまして、これは関税の低減ですとかあるいは投資の自由化、こういったことを通じて他国よりも少しでも有利な貿易・投資上の立場を獲得を目指すというものであります。あくまでもこれが表看板であることは間違いない。
 しかし、最近の研究が示しますのは、各国を駆り立てている動機というのは必ずしもこれにとどまらないということでありまして、例えば二点目、安全保障面での競争、つまり、同盟国や友好国との間に緊密な経済関係を築いていくことで政治、外交面での影響力を高める、こういった狙いがある。
 あるいはもう一つ、三つ目、法律面での競争となっておりますけれども、近年、この交易の分野というのは、例えば児童労働を使って安価に作った物を輸出するような動向、あるいは環境破壊をしてまで開発をしよう、こういう動向があるわけでありまして、こういう新たな課題に対してきちっと国際的なルール作りの主導権を握ろうと、こういうことが実際に意図されてこれまで自由貿易協定というのは作られてきたと、こういうわけであります。
 今御覧いただいたとおり、まさに自由貿易協定というのは、単純に関税の税率をどうするとか非関税障壁をどうするとかそんなことではなくて、実はこれだけ多様な内容を包含した、まさに国益そのものを懸けて行ってきた重要な国際合意でありまして、かつ各国がこれまでも、そしてこれからも競い合うように今締結を、取り組んできていると。こういう状況を鑑みますと、これ、私は、他国の議論を見守ってから日本としての意思を判断しようとか、そういう類いのものでは私はないというふうに考えているわけであります。
 改めて、これは安倍総理に是非お伺いしたいんですが、日本が他国に先駆けてTPP協定を批准して、そして発効に向けて動いていく、このことの意義と、そしてあわせて、今後も自由貿易協定を通じて自由で公正な交易環境をつくっていくということ、この整備を主導していくことの意義について、決意について是非お伺いしたいと思います。
#90
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このTPPについては、安倍政権になって交渉に参加して以来、約四年間ずっと時間を掛けて緻密な議論を行ってきたわけでありますが、それはまさに世界のGDPの四割を占める新たな経済圏をつくっていこう、それは志が高い自由貿易圏をつくっていく。そこでは、一部の大企業だけではなくて、しっかりとしたルールの中において、中小企業、またそこで働く人々も利益を享受されるような、フェアで公正なルールを作っていこうということによって大きな成果を得たと思っています。TPPは、まさにそういう意味におきまして、関税だけではなくて自由貿易を更に進化させていくものだと、こう確信をしています。
 つまり、世界はこの方向に進んでいくべきだという意思を今こそ我が国が世界に先駆けて示していくことが求められていると、こう思います。それは、ペルーで十二か国で議論をした際にも多くの国々から、日本はどうするんだと、日本こそしっかりと意思を表明してもらいたい。まさに、我々が意思を表明しなければ、多くの国々は意思がくじかれ、ここでこうした自由で公正な貿易圏をつくっていくという試みは終わってしまうんだろうと、このように思う次第でございます。
#91
○平木大作君 この資料二の矢印の後にも書かせていただきましたけれども、先例をつくっていくということは後に続く交渉のガイドラインになる、だからこそ競い合うような状況がこれまで生まれてきたわけであります。
 自由貿易協定といっても、一言で言っても実は内容は様々でありまして、中見てみると、実は保護主義的な色彩が強いもの、こういったものも実際にあるわけであります。そういう中で、今後も各国が国益とメリットを懸けて競い合う状況というのは変わっていかない。
 この中において、特に今日強調したいのは、この最後の部分、国際的なルール作りのところですね、ここにおいて、これ何で主導権争いが起きているかというと、裏を返して言いますと、世界の自由貿易協定の中には労働ですとか人権、環境、こういったところに実は余り配慮していないようなものも実際に多数存在しているというわけでありまして、まさにこうした分野で日本が国際的なルール作り、枠組みづくりできちっと主導権を発揮していただく。それはある意味日本の国益に資するのみではなくて世界の交易に長期的に見たら必ず資するものでありますので、是非その分野、安倍総理にリーダーシップ発揮していただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
 続いて、質問移らせていただきます。
 今見てまいりましたように、経済面だけではなくて、外交ですとかルール作りですとか、こういったものも内包した自由貿易協定であるわけでありますが、事具体的な品目ですとかあるいは交渉分野、こういったところを見ていくと、日本にはやはり得意分野もあれば不得意分野もあるわけであります。そして、このTPPにおいて、じゃ、どうかというと、事これは特に農業、それから衛生植物検疫、いわゆるSPSなども含んだ食の安全基準という部分、これは常に守りの分野というふうに言われてきたわけでありまして、ここについてどう考えていくのか。
 日本の農林水産業というのはこのTPPによって大きく生産減少するということがずっと言われてきている。そしてまた、海外から、例えば遺伝子組換えの作物ですとか日本で禁止されている農薬を使った作物が入ってくるんじゃないかと、こんな懸念も言われてきているわけであります。
 この点については、前回、この委員会の一般質疑の中で私も取り上げさせていただきまして、ここは、特に重要五品目を中心に、税率ですとか、あるいは国家貿易制度、差額関税制度、こういったものはきちっと守ったんだということ、また日本の食の安全基準、これも変える必要はないんだということを前回の委員会で確認をさせていただきました。
 その上で、今日あえて私議論させていただきたいのは、この守るべきを守るだけでよしとしてしまっては私もったいないんじゃないかと。ある意味これまでは不得意だったかもしれないけれども得意分野として伸ばしていくという議論がもっともっとあってしかるべきなんじゃないかなというふうに思っているわけであります。
 この政府の試算の中でも十三兆円から十四兆円という大きな経済効果があるんだという形で出ているんですが、実はこの数字の中には農林水産品の輸出増の部分というのは入っていないわけであります。私はこの伸び代というのは本当に大きいんじゃないかと考えておりまして、特に、いいものを作ってそれを上手に売りさばいていく、こういう観点だけではなくて、例えばこの衛生植物検疫、こういったものも含んだ食の安全基準、こういうものについて日本がきちっと科学的で適正な基準を世界に示して、そのルール作りをしていく、主導していく。こういうことによって、例えば、いまだに風評被害に苦しんでおります東日本大震災の被災地の農産物をもっともっと世界に輸出していく大きな力に変えていけるんじゃないかというふうに思っておるわけであります。
 この点に関して、是非、山本農林水産大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#92
○国務大臣(山本有二君) 委員おっしゃるとおり、TPP十一か国、日本を除いて、そこにある日本食レストラン、二〇一三年に二万軒でございました。僅か二年後、二〇一五年には三万軒になっております。ですから、日本に対する期待、日本食に対する憧れというものは、安全であり、おいしさであるというように思っております。
 特に、御指摘の動植物検疫協議、これは科学的知見に基づいて実施しておりまして、国別あるいは地域別輸出拡大戦略の中にきちんと位置付けておるわけでございます。特に、また、御指摘の放射性物質に係る諸外国の輸入規制、これにつきましても政府一丸となって撤廃、緩和を求めてきつつございます。今年の八月にも香港を訪れまして、ラム政務長官にお願いをし、科学的根拠で輸入規制を外していただくよう要請をしたところでございます。
 徐々にではございますけれども、五十四か国規制しておりましたのが、徐々に三十五か国に減少しておりますし、今後政府一丸となってこれに対応していきたいと思っております。
#93
○平木大作君 ここからちょっと少し各論に入っていきたいというふうに思うんですが、本年五月に策定をされました農林水産業の輸出力強化戦略、これに即して、TPPを活用しながらどのようにして輸出を伸ばしていくのか、これ具体策について少しお伺いしていきたいと思います。
 委員の皆様、資料三を御覧いただきたいと思うんですが、今、日本の農林水産物・食品の輸出額というのは大変伸びてきておりまして、昨年、七千億円という中間目標も一年前倒しで達成をできたところであります。これに伴いまして、これまで二〇二〇年、平成三十二年をめどとしてきたこの輸出額一兆円目標、これも一年前倒しをすることが閣議決定をされたわけであります。
 しかし、この資料三、グラフを見ていただくと分かるように、この品目別の内訳を見ていくと、まだまだその潜在力というのは発揮し切れていないなということを感じるわけであります。
 例えば、グラフの左側、青色で付けております、全体の中で実は水産物、水産品が占める割合というのは四割もありまして、個々の品目を見ていくとホタテとか、実は品目別に大分偏っているというのが一つの特徴。そして、例えば、今度は右側、赤色で付いているところ、農産物等のところにありますが、加工食品が実は全体の三割も占めてしまっているというわけでありまして、この図も参照していただきながら、これ、現状と今後の課題についてまず政府から御説明いただきたいと思います。
#94
○政府参考人(井上宏司君) お答え申し上げます。
 平成二十七年の農林水産物・食品の輸出額七千四百五十一億円、また、輸出額の内訳につきましても、委員御指摘のとおり、水産物が約四割、加工食品が約三割を占めてございますけれども、農畜産物につきましても、日本食人気あるいは健康志向の高まり等を背景にいたしまして、例えば、米、リンゴ、緑茶、牛肉といった品目につきましては、平成二十四年と二十七年を比較をいたしますと、輸出額がいずれも倍以上になっているといったように堅調な伸びが見られるところでございます。
 また、これ以外の品目も含めてまだまだ輸出が伸ばせるものもございますし、また、今申し上げましたような農畜産物についても輸出拡大の余地はあると考えておりまして、分野横断的な様々な需要の掘り起こしに向けたプロモーションでありますとか、国内の事業者に対する相談の受付でありますとか、あるいは商談会出展への支援等の取組に加えまして、五月に取りまとめました輸出力強化戦略におきましては、重要な品目別の今後の輸出拡大に向けた対応方針というのもきめ細かく定めておりまして、これに従って、共通の取組に加えて品目別の取組も戦略的に進めてまいりたいと考えてございます。
#95
○平木大作君 御答弁の中では倍増したものもあるんだということで御紹介いただいたんですけれども、まだまだ、特にこれ、農産物の生鮮品については力が発揮できていないんじゃないかと思っているわけであります。
 この資料三の中で、例えば今御紹介をいただいた米についてどこに入るかというと、右下の方の穀物等三百六十八億円と書かれたところに該当するわけです。ただ、じゃ米自体は、米だけで取り出すとどうなるのかと調べてみますと、これ昨年の輸出額、平成二十七年でおよそ二十二億円、七千六百四十トンでありまして、国内の今米の生産量が大体年間で七百五十万トンぐらいであるということを考えますと、実に〇・一%と、はっきり言って全く輸出できていないというような数字にとどまってしまっているわけであります。
 TPP協定の中ではこの米について、相手国の関税がほぼ全て撤廃されることになりまして、ある意味輸出拡大に向けて大きなチャンスなわけでありますけれども、ただ一方で、じゃ本当に関税だけ下がれば増えるのかというと、まだ現状を見るとちょっと心もとないなということも感じてしまうわけであります。
 ここの点について、今後、米の輸出拡大を目指すに当たりまして具体的にどのような支援に取り組まれるのか、お答えいただきたいと思います。
#96
○政府参考人(柄澤彰君) お答えいたします。
 米の輸出についてのお尋ねでございます。
 TPP参加国の我が国の米の輸入関税の現状を調べてみますと、例えばベトナムは二二・五%、マレーシアは四〇%、アメリカは一キロ当たり一・四セント、シンガポール、豪州は無税というような状況でございますけれども、今御指摘がございましたように、今般のTPP交渉の結果、ほぼ全ての国の関税が最終的には撤廃されることになりました。
 一方、TPP非参加国も含みます我が国からの米の輸出量の現状を見てみますと、昨年は七千六百四十トンということでございますけれども、その前年から比べますと六九%増、さらに本年に入ってからも高い伸びを引き続き維持しているところでございます。こういった伸びを更に、TPPをきっかけに更なる輸出拡大をしていこうということが政策的に目指しているところでございます。
 具体的な取組の内容としましては、海外マーケットの現地ニーズに応じまして、例えば機能性成分を売りにした商品ですとか、炊飯器がなくても日本で食べるのと同じように食べられるいわゆるパック御飯ですとか、そういった売り方、食べ方の工夫をしていくと。それから、コストの問題に着目しまして、担い手への農地集積あるいは生産資材費の低減というようなことを通じた国内での生産コストの削減、こういったことを政策的に進めて輸出を伸ばしていくということを目指しているところでございます。
 本年五月に策定いたしました農林水産業の輸出力強化戦略におきましても、今申し上げましたような米の輸出力強化に向けた対応方向を盛り込んでいるところでございます。二十八年度の補正予算もございます。こういったものも活用しながら、米あるいは米加工品の輸出六百億円という目標の前倒しの達成に向けて引き続き取り組んでまいりたいと存じます。
#97
○平木大作君 今具体的に、例えば機能性を強調したやり方ですとかパック御飯を使ったりですとか、あるいはこういった売り方とか食べ方の提案も含めて様々やっていくんだというふうに御紹介いただきました。あえて、必要なのはやっぱりそれだけではないんだということも同時に指摘をさせていただきたいというふうに思っております。
 本年三月二十八日付けの日経ビジネスにちょっと面白いリポートがありましたので御紹介させていただきたいんですが、こういう記事でありました。シンガポールや香港においては日本米は長年まずくて高い米と言われてきたと、我々からすると正直信じられないんですけれども、こういう評判が残念ながら定着してきた。それはなぜかというと、シンガポールへ行かれてチキンライス食べられた方だとイメージ付くと思うんですけれども、あそこで使われているお米というのは、我々の感覚からするとぱさぱさして味気がない、いわゆる長粒米というお米でありまして、それで、ちょっとなというふうに思うわけでありますが、一方で、じゃ、こうした長粒米をふだんから食べている方、食べ慣れている方から見ると日本の我々の短粒米ってどうなのかというと、コシヒカリ、甘みと粘りが強過ぎるというふうにやっぱり感じてしまうそうなんですね。
 こうした説明を受けると、同じお米といってもそもそも種類、性質が大分違うということ、そして食習慣、生活も違うということ、こうなると日本のお米を海外で売るのはやっぱり難しいのかなというふうにある意味ちょっと諦めてきた部分というのも私はあると思っております。
 しかし、この記事で指摘されていたのは、実はある日本の会社が、現地での常識を一旦疑ってみて、現地で流通しているこの日本のお米はどうなっているのかということをきちっと科学的に分析してみた結果、何を得られたかというと、結論は、日本米が受け入れられないのは、確かに水分を含み過ぎていて軟らか過ぎることもあるんだけれども、最大の理由は単純に鮮度が悪いからだということを結論付けまして、だったら鮮度のいいお米をもっと紹介していこうということで、例えば現地に精米機を持ち込んでなるべく精米したてのお米を紹介する、こういう取組を始めたら実は需要が急増した、こういうレポートでありました。
 このレポートが示唆するところは様々あると思っていまして、一つは、御答弁にもありましたように、例えば現地のニーズだとか嗜好だとか食習慣、こういったことをきちっと併せて把握して、それに合わせたやっぱり売り方をしていくということが大事なんだ、これはそのとおりだと思うんですが、同時にこれは、お米も含めて農産品というのは生鮮品なんである以上、最適なタイミングで消費者に届けていくということがやっぱり大事なんだということ、改めて分かるわけであります。
 こうした課題の壁となってきた例えば輸出先の検疫体制ですとか食品規制、あるいは品質や鮮度を保ちながら消費者の手元に届けるためのインフラ整備について今後の具体的な取組をお伺いしたいと思います。
#98
○政府参考人(井上宏司君) ただいま委員から御指摘のございました、まずインフラの整備に関しましては、一昨日、十一月二十九日に政府の農林水産業・地域の活力創造本部におきまして、農林水産物輸出インフラ整備プログラムを決定したところでございます。
 この中で、ハード面のインフラ整備につきましては、特に今後重点的に整備をするものといたしまして、輸出先の検疫、食品規制、衛生基準等に適合するような生産、加工、集荷ができるような施設、また、品質や鮮度を保ってタイミングよく産品を送り出せるような保管、積出し施設、また、積替えや再こん包の手間、コストを抑える運搬の集約化、効率化につながる施設、最後に、輸出関連手続のワンストップ化、迅速化を行うような施設、こういったものを今後重点的に整備をすることとしておりまして、具体的には国内のインフラ施設といたしましては当面四十一か所の整備を進めることとしたところでございます。
 また、このインフラ整備プログラムは、ハードの整備だけではなくてソフト面の体制、制度の整備についても定めておりまして、その中で輸出サポート体制の整備ということで、ただいま委員から御指摘もありましたように、現地のニーズをより詳細にしっかりとつかまえることも含めましたオールジャパンでのブランディングプロモーション、サポート体制の新たな体制を整備をするということに加えまして、相手国の科学的根拠に基づかない輸入規制の緩和、撤廃に向けた取組を更に強めるとともに、日本の物の良さを示していくための規格認証でありますとか知的財産制度を一層活用していくといったことも定めているところでございます。
#99
○平木大作君 ここまで政府からソフト、ハード両面にわたって日本の優れた農林水産品・食品の輸出、全力で支援していくという旨御答弁をいただきました。大変心強いなと思う反面、やっぱり、でも、海外で物を売ろうとするときには政府にできること、行政にできることの限界もあるなということは認めざるを得ないというふうに思っております。
   〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕
 私もかつて、食品ではありませんけれども、インドに行って、この日本の優れた製品、工業製品でありましたけれども、売りたいと、現地での販路開拓というのは大変苦労いたしました。実際に、特に地方部に行けば行くほど、スーパーに例えば物を一つ置いてもらう、あるいは特に消費者に取っていただきやすいようなレジ近のこの棚に置いていただきたいみたいなことは本当に苦労するわけでありまして、ある意味こういった地をはうような地道な販路開拓という部分はこれ民間の皆さんにやっぱり託さざるを得ないわけであります。
 当然、これは商社などそういった皆さんにも頑張ってもらわなきゃいけないと思っているんですけれども、私、特にこの農林水産品の輸出、海外展開ということに関して言えば、やっぱりこれ最後力を発揮できるのは全農を始めとするJAグループの皆さんだというふうに私は思っております。
 ところが、今日も少し議論ありました、先日のこの政府の規制改革推進会議から出された提言というのが、全農の特に購買、販売事業について余りにもちょっと急進的な提言案が並んだ。私は、現場の意欲をそぐような誤ったメッセージが伝わってしまったんじゃないかというように本当に懸念をしているところであります。
 全農につきましては、生産資材価格の低減に限らず、例えば先日の与党の農業競争力強化プログラムの中でも位置付けましたけれども、日本の魅力ある農産物を世界に発信する輸出支援体制の確立をする、これが取組の一つだというふうに位置付けられているとおり、この輸出拡大においても、全農そしてJAグループ、本当にこれ果たすべき役割は大きいというふうに考えているんですが、政府としてもこのJAグループの自己改革、支援していくべきだと考えますが、これ、山本農林水産大臣から御答弁をお願いしたいと思います。
#100
○国務大臣(山本有二君) 御存じのとおり、今回、農業競争力強化プログラムに盛り込まれました全農改革の内容、これは全農とも合意の上で定められたものでございます。政府といたしましては、全農がこのプログラムに沿って自己改革に取り組んでいただくことを期待しております。
 特に、農産物輸出につきましては、既に全農は実績がございまして、米の輸出は六億円、米の輸出総額の二七%を全農が占めております。また、青果物の輸出が四十五億円、青果物等の輸出総額の一四%が全農の手になっているわけでございます。国内の取扱額、米は五千九百億円、青果物は一兆二千億円、これに比較しますと余りにも低い水準でございます。ですから、全農の能力をもって輸出を促進していただければ飛躍的に向上するだろうと期待を掛けております。
 その一方で、今後輸出を拡大するために重要なリレー出荷による周年供給あるいは共同配送による物流経費の削減、こういったものを図っていかなきゃなりませんが、取扱いが、シェアが大きい全農がこれに対する強みを発揮していただければ、右へ倣えで全ての民間業者も全農のこのモデルに倣っていただけるように我々は期待をしております。輸出先の国ごとに強みを発揮する商社等とまた連携をいただきたいと思っておりまして、我々も全農の意欲的な取組に期待を掛けているところは間違いありません。
#101
○平木大作君 今御答弁の中で六億円とか四十五億円とか具体的に数字も挙げていただきましたが、今大臣おっしゃったように、これはもう伸び代の大きさを示す数字以外の何物でもないなというふうに感じました。改めて、しっかりと政府として自己改革、支えていただきたいし、また、現場の皆さんに本当に誤解を与えることがないように、肩を落とすことがないように、引き続きこれ政府からきちっと説明とメッセージを発し続けていただきたいということをお願いしたいと思います。
 ここまで、日本から農林水産品を輸出して、そして現地の商流、物流の上に乗っけてどうやって売っていくのか、こういう観点から議論してきたわけですが、ここで少し角度を変えてみたいというふうに思っております。
 TPP協定の中では、サービス分野での外資規制の緩和ということが図られることになっております。この中でも、マレーシアですとかベトナムなどの特に外資規制の強い国、ここが、小売流通業の出店規制どう変わっていくのか。そして、この規制緩和というのは、私、農林水産品・食品の輸出にとっても大きな推進力になると考えておるんですが、この点、世耕経産大臣にお伺いしたいと思います。
#102
○国務大臣(世耕弘成君) お答えいたします。
 確かに、マレーシア、ベトナムは小売業に関して外資規制が非常に厳しくなっています。例えばコンビニで申し上げますと、マレーシアでは、コンビニには外資出資が完全に禁止をされている状況であります。あるいはベトナムでは、これはハノイとかホーチミンの市を区単位に分けてありまして、その区の中で一店目はいいんですが、二店目を出店しようとするとエコノミック・ニーズ・テストというのを行わなければいけなくて、その市の人民委員会によって、ほかの小売店舗の数ですとか市場の安定性ですとか人口密度ですとか、そういうのを全部審査を受けて通らなければいけないということで、非常に厳しい規制になっていました。その結果、例えば韓国でしたらセブンイレブンは八千店以上あります、ミニストップは二千三百店ありますが、ベトナムでは現在、ファミリーマートが百十店でミニストップ四十八店と、やっぱり出店がしにくい状況になっているわけであります。
   〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕
 今回、TPPが発効すれば、マレーシアにおいてはこの外資規制が大幅に緩和をされます。そして、ベトナムでは五年以内にこのエコノミック・ニーズ・テストというのが廃止をされますので、いよいよ日本のコンビニエンスストアが進出しやすくなって、そしてそこで日本の農林水産物あるいは加工食品が販売できるチャンスが広がるということになろうかと思います。
#103
○平木大作君 今具体的に御答弁をいただきました。
 資料四を御覧いただきたいと思います。今御答弁いただいたことも含めて、これは、一般に途上国においてこのサービス分野の外資規制って本当に大変厳しいものがありまして、ただ、今回のTPPというのはこの分野で広範な成果を得ることができたというふうに思っております。
 見ていただくと、本当にこれ一例でしかないんですけれども、例えば一番上に書いてありますベトナムの映画館の話ですね。これ、外資の映画館がもし国内で運用しようとすると、映画館というのは十八時から二十二時までの間は、これまでですとベトナム映画を上映しなければいけないという、こういう規制がありました。ある意味この時間をベトナムでゴールデンタイムというのかどうか分かりませんけれども、書き入れ時に実は例えばハリウッドの映画をやろうとか日本の映画を紹介しようと思ってもできない、こういう大変高い壁があったわけですね。
 これがTPP協定でどういうふうに改められたかといいますと、ここが、映画館内の最低一つのスクリーンで十八時から二十二時までの間、ベトナム映画を上映すればよいというルールに変わったと。まあ、これでも大分高いっちゃ高いんですけれども、スクリーンが複数ある映画館においては、もうこれで大分自由度が高まった。
 まさに、これ一例でありまして、今、世耕大臣から、この表の中でいきますと赤色で印を付けさせていただいた小売、流通の部分というのも大きく進んだわけであります。今の御答弁の中でも、韓国ですとか台湾ですとか、日本のコンビニエンスストアが大分進出できているところとの差を示していただいたわけでありますが、もうこれ、出店できている数、桁が違うわけですね。ここにある意味大きな風穴が空いたのが今回の規制緩和であった、TPPの成果であった、これを本当に生かさない手はないというふうに思っているわけであります。
 そこで、最後の問いに行きたいと思うんですけれども、小売ですとか流通業、この海外展開というのは、結局、最後、現地の消費者に直接これを相手に商売をしていくということでありますから、まさにそういった方たちのニーズを、そしてその変化をきちっと的確に把握をできるという立場なわけでありまして、これこそ、更なる日本の農林水産品・食品の輸出ですとか、あるいは現地にとって魅力的な商品開発、ある意味現地での六次産業化とでも申しますような、そういった展開の端緒になるわけであります。
 この点について、そのためにはやはりこれまで以上に、これ農林水産省と経済産業省を始めとする各省庁、政府一丸となってまさに連携していただいて取り組んでいただく、こういうふうにしていただく以外にないというふうに思うわけですが、この決意を最後にお伺いをいたしたいと思います。
#104
○国務大臣(世耕弘成君) ちょっと先ほどの答弁で補足させていただきます。
 ベトナムは区で一個ずつですが、二店目というのは、もう二店目、ベトナム全土どこへ出してもエコノミック・ニーズ・テストが掛かるということでありますから、補足をさせておいていただきたいというふうに思います。
 その上で、コンビニが海外展開をして、そしてそこに日本の中小企業の商品あるいは農林水産物が並ぶ、これを進めることは非常に重要だと思っていまして、今年一月にコンビニ業界とジェトロとの間で協議会を設立しました。そして、具体的な取組としては、今年の十一月一日からベトナムの二百店舗ほどの日系コンビニ店舗において日本の中堅・中小企業等が生産する農林水産品あるいは加工食品等のテスト販売を実施をしております。これ、非常に好評でありまして、一か月程度で終わる予定だったんですが、更に一か月延長してやる予定になっております。
 そして、テスト販売の品目については、農水省や農協とも協力をして、二十四都道府県から三十二社の七十八品目を採択をしています。七十八のうち七十三品目が食品であって、また、そのうち五十三品目がベトナムにこれまで輸出した実績がなかったような品目です。お地元の千葉県の中小の食品会社が和歌山の梅干しを使って作っている種ぬきほし梅というのも販売をされております。
 今後、ベトナムでのテスト販売の結果を出展企業にフィードバックをして、次回以降の実施も検討していきたいと思いますし、シンガポールでも同様の取組を検討していきたいと思います。このTPPを農林水産品・食品等の輸出拡大につなげていくべく、農水省と協力をしながら全力で取り組んでまいりたいと思います。
#105
○平木大作君 私も、これまで農林水産委員会の場で様々、この日本の魅力的な、そしておいしくて安全な農林水産品・食品、どんどん輸出取り組んでいただきたいということをエールも込めて質問させていただいておりました。
 このときに、常に農水省からの回答というのは、経済産業省とも連携して政府一丸となって取り組みますというお話をいただいていたわけでありますが、改めて今実際にこのTPPを目前にしてこの今の環境を見たときに、これ、海外展開ということを考えたら、やっぱりこれはもう経済産業省に一日の長があるのは間違いありませんで、当然これまでの長きにわたる知見がある、また御紹介も今いただいたようなジェトロのような拠点もしっかり持っているという中において、これは、今あえて世耕経産大臣にお伺いをしましたけれども、経済産業省としても農林水産省との連携しっかりと強めていただいて、全力で取り組んでいただきたいというふうにお願いを申し上げます。
 今日、農林水産品の話を中心に様々お伺いをさせていただきました。お米の話ですとか、先ほどの流通、小売、こういった具体的な話を通じて国民の皆様にきちっと説明し、また議論をしていけば、これ必ずこのTPPのメリットといったものを御理解いただけるというふうに私も思っております。
 今後も真摯な議論、続けていくことをお誓い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#106
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
 まず、総理に伺います。
 総理は先日、十一月二十八日の決算の本会議質問の際、日本はTPP並みのレベルの高いルールをいつでも締結する用意がある、国会承認はその国家としての意思を示すものであり、他の交渉を加速させる力となりますと答弁されました。しかし、トランプ次期大統領がTPP離脱を明言した今、アメリカは今後、日米FTA、またTPP再交渉、さらにアメリカに有利な二国間協議を今後求めてくるのは間違いない状況なのではないでしょうか。
 そんなときに総理がああいう発言をされて、先にこの協定案を国会で承認するとすれば、それは、日本はここまで譲歩する覚悟を固めていますとアメリカに意思表示することになってしまい、この協定が二国間協議のスタートライン、最低ラインとなってしまいます。つまり、必要があればもっとアメリカの要求をのむからTPPに残ってほしいとアメリカに懇願するのと同じことになってしまうのではないでしょうか。いかがでしょう。
#107
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それはむしろ逆でありまして、再三申し上げておりますように、再交渉はしないということをはっきりと申し上げているわけでございます。再交渉しないということにおいては、まさにこの委員会において批准をしていただく、そしてこの法案を本会議において批准していただくことによって、政府の意思としても国会の意思としても再交渉はしない、まさにこれがベストであるということをしっかりと示していくことにつながっていくんだろうと、このように思っております。
#108
○吉良よし子君 再交渉しないとおっしゃいますけど、再交渉しないとアメリカはTPPに入らないということになるわけでして、いろいろ言われますけれども、何にせよ、この間の歴史的な経過を見ても、アメリカがTPPに入るとか、若しくは二国間協議だという場合には、最大のターゲットは日本になるわけです。しかも、今度は日本からアメリカに、TPPつなぎ止めるためには、もう更にアメリカの要求受け入れますと、そう言って国益、経済主権差し出すことになりかねないわけであり、やはりこういう場面において日本の国会として取るべき態度というのはこのTPP協定案を廃案にすること以外にはない、このことを初めにはっきり申し上げたいと思います。
 その上で、TPPにとどまらず、今後出てくるであろうアメリカからの要求や動向を見据えながら、今日、私は、食の安全、特に子供たちの健康に関わる食品添加物の問題を取り上げたいと思っております。
 まず、前提となる認識を共有したいと思います。総理は、アルミニウムフリーという言葉、御存じでしょうか。
#109
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 御指摘のアルミニウムフリーについては、政府として定義を定めているものではありませんが、アルミニウムを含む食品を好まない消費者のニーズに対して、アルミニウムフリーやアルミ不使用など、アルミニウムを含まない旨を表示した食品があるというふうに承知をしております。
#110
○吉良よし子君 おっしゃるとおり、アルミニウムフリーというのは、体に良くない影響を及ぼすアルミニウムを含む食品添加物が入っていない食品のことを指します。今、食の安全に関心のある方々や幼い子供を持つママやパパの間で広く使われつつある言葉です。
 遺伝子組換えや農薬などと同じく、毒性が問題視されているアルミニウム添加物です。メロンパンやホットケーキなど、小さな子供が好きな菓子パンに今含まれています。小さな子供といえば、自分が気に入ったものばかりたくさん食べる傾向にあるわけで、だから菓子パンが好きな小さな子がアルミニウムをより多く摂取してしまう、そういう危険性が今指摘されています。だから、若い女性やママ同士のちょっとしたお礼の品にこのアルミニウムフリーのパンケーキミックスなどを差し上げるととても喜ばれると、そういうような話もあるわけです。逆に言えば、それだけアルミニウムが含まれている食品を嫌がる消費者が増えているということです。私も、一歳になったばかりの子供の親として見過ごせない問題なわけです。
 では、そうしたアルミニウム系の食品添加物のうち、厚労省が国内で使用を認めているものはどのようなものがあるのか、その種類と、それらが使われている食品名、主なものを、厚労省、お答えください。
#111
○政府参考人(北島智子君) お答えいたします。
 現在、我が国におきましては、アルミニウムを含む食品添加物として、硫酸アルミニウムカリウムや硫酸アルミニウムアンモニウムなど九品目の食品添加物の使用が認められております。また、硫酸アルミニウムカリウムや硫酸アルミニウムアンモニウムにつきましては、膨張剤としてメロンパンやスポンジケーキ等に、色止め剤として漬物に使用されているものと承知しております。
#112
○吉良よし子君 今、九品目とおっしゃいましたけど、種類としては五種類ということでよろしいですか。
#113
○政府参考人(北島智子君) 大きく分けますと、五つのカテゴリーに分けられると思います。
#114
○吉良よし子君 では五種類ということですね。(資料提示)
 ということで、今、このパネルを用意いたしました。今現在、日本で使用されているアルミニウム系添加物というのは五種類あるわけで、それがこれら様々な、スポンジケーキ、蒸しパン、まんじゅう、ドーナツなど、身近な食材に使われているということです。
 このアルミニウム系の食品添加物というのは、冒頭申し上げましたとおり、人間の体に影響を及ぼす毒性のある添加物です。アルミニウムは、肝臓、結腸、骨、脳などの部位に蓄積しやすいと言われておりまして、ラットを用いた動物実験の中では、アルミニウムを多量に投与したときに、腎臓や膀胱への影響、また握力の低下などが認められているそうです。
 では、このアルミニウム系の食品添加物について、国際基準では許容量をどう定めていますか。厚労省、いかがでしょう。
#115
○政府参考人(北島智子君) 国際的なリスク評価機関JECFAや欧州のリスク評価機関EFSAにおける科学的根拠に基づく評価におきましては、食品中に含まれるアルミニウムと人への健康影響の因果関係を直接的に証明する情報は認められていないとされていると承知しておりますが、JECFAにおきましては、アルミニウムを多量に投与した動物実験において、御指摘のとおり、神経症状等の影響が認められたことを踏まえ、一生涯にわたって摂取し続けても現在の科学的知見から見て健康への悪影響がないと推定される一週間当たりの摂取許容量を設定しており、平成二十三年に再評価が行われた結果、現在の体重一キログラム当たり二ミリグラムという基準が設定されているものと承知しております。
#116
○吉良よし子君 健康には影響があるというのは、厚労省のホームページにもそのラットの実験の結果については書かれているわけです。
 そして、その国際基準なわけですけれども、体重一キログラム当たり二ミリグラムという答弁でした。大事なのは、その添加物の基準を決めている国際機関において、その基準が二〇〇六年、二〇一一年と見直しが行われたと。前までは体重一キログラム当たり七ミリだったと、それが現在二ミリとなっている、大幅に引き下げられている。つまり、上限を定めたこの基準を三倍以上厳しく引き下げられたと、そういうことなわけです。
 こうした国際基準の厳格化に対して、じゃ、日本政府はどのような対応をしてきたのか、厚労大臣、お答えください。
#117
○国務大臣(塩崎恭久君) アルミニウムを含む食品添加物でございますけれども、従来から、例えばミョウバン、これにつきましては、みそへの使用を禁止をするといった使用基準を設けております。
 平成二十三年に、国際的なリスク評価機関JECFAにおきまして、一週間当たりの摂取許容量、先ほどお話がございました体重一キログラム当たり二ミリグラム、これが設定されたことを踏まえて、厚生労働省におきまして、平成二十三年度から二十四年度にかけましてアルミニウムの摂取量について調査を実施をいたしました。その結果、全ての世代におきましてアルミニウムの平均摂取量の推計値は、このJECFAの定める摂取許容量、これを下回っておりましたけれども、先ほど御指摘がございました小児、子供さんにつきまして見ると、アルミニウム摂取量の上位五%の者の推計値のみこの摂取許容量を上回るということが分かりました。
 つまり、子供たちの中で上位五%の人たちは先ほどのようなことで推計値でも高いということが分かったわけで、このため、平成二十五年の六月に、薬事・食品衛生審議会添加物部会、ここにおきまして審議を行った結果、より高い水準での安全性を確保する観点から、使用実態を調査をし、使用基準の見直しを検討するとともに、基準見直しまでの間の対応として関係業界に低減化を要請をするということをお示しをいただきました。
 これを受けまして、厚生労働省として、平成二十五年七月一日付けで、日本パン工業会など関係する五つの業界団体に対してアルミニウムの使用量の低減を依頼をするということで通知を出しました。それで、使用実態の調査を行って、現在、その調査結果を取りまとめ中という段階でございます。この結果を踏まえて、上限値の設定を含む使用基準の見直しに向けて、本年度中に食品安全委員会に諮問をすべく速やかに作業を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#118
○吉良よし子君 というわけで、厚労省もやっぱりアルミニウム添加物の摂取は極力控えるべきという立場にいるということで、調査も行って、とりわけ一歳から六歳の子供については、摂取量、国際基準を上回る危険性があるということで、その低減を、菓子パンなどの業界団体に下げるようにと依頼を出したということですね。
 先ほど大臣は基準について作るようなことをおっしゃっていましたけれども、現時点では、先ほどお話があったように、食品ごとの使用量の上限とする使用基準というのはまだ定められていないというのが現状なわけです。みそなどの使用制限はあるわけですけど、数値の基準がないわけですね。でも、こうした毒性の指摘されているアルミニウム、できる限り子供たちの口に入れないように、摂取させないようにするためには、依頼出すだけでは不十分であり、ちゃんとした上限規制、一刻も早くするべきなのではないでしょうか。
#119
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、数値目標がない、基準がないというふうに御指摘をいただきましたが、このアルミニウムを含む食品添加物のうちで食品中の不純物などを取り除くために使用されるろ過助剤というのがございますが、これについては食品中の残存量として〇・五%以下でなければならないという上限値が定められております。その他のアルミニウムを含む食品添加物については、御指摘のように、残存量は数値的には定められていないということでございます。
 現在、アルミニウムを含む食品添加物につきましては、その使用実態に関する先ほど申し上げた調査の結果を取りまとめ中であって、その結果を踏まえて上限値の設定を含む使用基準の見直しを行うということで、本年度中に食品安全委員会に諮問するということを、先ほど申し上げたとおりでございますので、速やかに作業を進めてこの基準の見直しを行いたいというふうに考えております。
#120
○吉良よし子君 先ほどろ過助剤というのがありましたけど、このパネルでいうと五番に当たる部分だと思うんですが、これは要するに直接食品に使われている添加物というわけではない部分だというふうに説明受けています。
 問題となっているのは一番や二番、硫酸アルミニウムカリウムとか硫酸アルミニウムアンモニウム、これが先ほど申し上げた菓子パンなどのベーキングパウダー、膨らし粉の中に使われているわけです。これが結局そういう菓子パンなどに含まれているから子供たちがたくさん食べると問題だということですが、そこに対しての基準がないから私は問題だと申し上げているわけで、これは食の安全、子供たちの健康の問題ですから、一刻も早く食品ごとの使用上限、数値基準を作るべきだということを申し上げたいと思います。
 その上で、問題なのは、それにとどまらないと。現在、厚労省が認定している五品目も危険性が指摘されているのに、その上限、使用基準が定められていないと。そういう状態の中で、今度、TPPに先立つ二国間協議の中で、政府がアメリカの要求を受けて新たに四品目のアルミニウム添加物の使用を認めようとしているということを問題にしたいと思うわけです。
 このパネル、御覧いただきたいと思いますが、二〇一三年四月の十二日に日米両政府はこの二国間協議妥結して、今年の二月の四日に、保険等の非関税措置に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の書簡、サイドレターというのを交わして、その中身をTPPが効力を生ずる日までに実施することを確認したわけです。その中に、ここ、掲げたとおり、食品添加物について、日本国政府は、四十六品目の国際汎用添加物から成る二〇〇二年のリストのうち、まだ指定されていない四品目全てについて、原則としておおむね一年以内に食品添加物として認めることを完了することというのが確認されたとしているわけです。ここでいうまだ指定されていない四品目というのが先ほどのパネルのこの未指定の赤色で塗ってある部分で、アルミノケイ酸ナトリウムなど全てアルミニウム系の添加物なわけです。
 アメリカは、企業の生産性というのが優先されていまして、食の安全に対する規制が大変弱い国なわけです。このアルミニウム系の添加物についてもほとんど何の規制もないという状態です。そういう国の要求をなぜ日本がのまなければならないのでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
#121
○国務大臣(塩崎恭久君) テレビで御覧になっている国民の皆様方にも正確なところをお伝えをしたいと思いますが、国際的なリスク評価機関であります、先ほど来申し上げているJECFAというところが、安全性の評価、そこで安全性評価が終了し、一定の範囲で安全性が確認をされ、そして米国及びEU諸国で使用が広く認められておりまして国際的に必要性が高いと考えられた添加物四十五品目について国際汎用添加物として位置付け、そして国際的な整合性を図るために指定に向けて検討を行っているということでございまして、厚生労働省としては平成十四年から、国際汎用添加物、これを順次指定を進めてきたわけでございますけれども、平成二十四年時点で、これは民主党政権時代でありますが、十五品目の指定がなされていなかったわけでございます。このため、平成二十四年に、国際汎用添加物の食品安全委員会の科学的リスク評価を経て早期指定を進めるとする閣議決定が民主党政権時代に行われております。
 今般、日米並行交渉の結果、作成をいたしました今のサイドレター、いわゆる書簡、ここでは、平成二十四年の閣議決定を誠実に実施をすることを確認をしたと、こういうものでございまして、新たな何か取組をTPPによってした、約束をしたということではないということでございます。国民の皆様方にもそのことはまず御理解をいただきたいと思います。
 国際汎用添加物につきましては、現在、四十五品目中、今お話しのように四品目が未指定ということで、この四品目については食品安全委員会にリスク評価を依頼中であるわけでございます。この国際汎用添加物を含めて食品添加物については、従来より、国際基準や食品安全委員会における科学的なリスク評価の結果を踏まえた上で、食品添加物としての指定や規格、基準の設定など扱いを決めてきているところでありまして、今後とも科学的な根拠に基づいて適切に対応をしていくというふうに考えております。
#122
○吉良よし子君 今リスク評価というお話がありましたけれども、要するに、今基準がないアルミニウム添加物がもう五品目、五種類、日本の中にあるわけです。更にアメリカは四品目指定しろということで追加されて、全部で九種類となるわけですけど、要するに、そうやって種類が増えて総量も増えてしまう、口にする機会も増えてしまうというところが問題だと私は言っているわけです。
 その上で、先ほど様々経過を述べられました。しかし、そうやって国際汎用添加物など指定を求めてきたのは誰なのかといえば、やっぱり私はアメリカだと言わざるを得ないと思うんです。例えば、一九八二年、第三回日米通商実務者協議において、アメリカはWHOが認めているのに日本で使用できない百二十八品目について使用を認めるべきと主張して、翌年、一九八三年の八月には食品添加物十一品目が日本で指定されて、うち八品目がアメリカからの規制緩和要求だったと、そういう事実があるわけです。
 さらに、最近でいえば、問題となっている二〇〇二年、国際汎用添加物ということが出てきた背景にあるのがフェロシアン化物という添加物をめぐる事件です。これは塩が固まるのを防ぐ添加物であって、日本で使用は認められていなかったわけなんですね。それが使用されている、違法使用されているという事例が数多く明らかになり、そのときにアメリカなどを始めとした各国の大使館が厚労省にやってきて、その問題となったフェロシアン化物の認可を相次いで求めたと、厚労省に対して。その圧力を受けて厚労省は、日本では認められていないけど国際的に広く使用されている添加物というくくりで、国際汎用添加物、そういう枠をつくって次々に、四十五品目、大臣の職権でその使用を認めてきたと。
 今回問題にしているアルミニウムの四品目というのは、その四十五品目のうちの最後に残った四品目というわけで、こうした歴史的な流れを見ても、サイドレターで確認された四つの添加物というのを使用を認めようとする閣議決定そのものがアメリカからの要望だと言わざるを得ないのではないですか。
#123
○国務大臣(塩崎恭久君) これは、先ほど申し上げたとおり、いわゆる国際汎用添加物について閣議決定を実行するようにということが確認的に書かれているわけであって、このこと自体の決定は、先ほど申し上げた、平成二十四年、民主党政権時代に既に行われていて、この四品目についての扱いは、未指定のものをきちっと食品安全委員会にリスク評価をして、その後どうするかはその結果を見て科学的に判断をするということでありますので、これは誰に何を言われようと、日本は科学に基づいて安全かどうかの判断をした上でそれについての扱いを決める、基準を決めるということが行われるのでありますので、何もこれを何か無条件で認めるかのようなことはあり得ないということでございます。
#124
○吉良よし子君 本当に無条件に認めることはないと言い切れるのかと、その点が私、本当に信頼できないと言わざるを得ないんですね。
 そもそも、閣議決定、閣議決定と何度もおっしゃられますけど、それはやっぱりアメリカからの要求でしたし、また、TPPの二国間協議の基になっているのはアメリカの通商代表部からの日本への要求なわけです。それがこのパネルなわけですけれども、外国貿易障壁報告書、二〇一六年のものですけれども、そこには添加物について何と書いてあるかと。その四品目を完了しろということを書いてあるわけですけど、そこですね、強調した部分、見ていただきたいんですけど、迅速化された認可プロセスに従わなければならないであろう四十六品目の食品添加物をリストを作成して、その審査完了するように求めていると書いてある。
 こういう書き方をされているわけですけど、まず大臣に伺いますけど、こういう認可プロセスに従わなければならないであろうなんというふうに余りにも屈辱的な表現されていると思うんですが、いかがですか。
#125
○国務大臣(塩崎恭久君) 米国からこのような形で、これ通商代表部でありますけれども、外国貿易障壁報告書といったものでいろいろなことを意見を述べるということはこれまで数々あったわけであって、それに対して我が国は我が国の独自の判断をあらゆる問題についてやってきているわけであって、どういうふうに書かれようとも、私どもは私どもの政府としての判断をしてきたということだというふうに思っておりますし、特にこの食品添加物につきましては、食の安全で極めて大事であることは私たちは当然のこととして考えているわけでありますので、国際基準あるいは我が国の食品安全委員会、ここにおける科学的なリスク評価というものをしっかりと踏まえた上でその扱いについて決めるということを申し上げているわけで、あくまでもきちっと科学的な根拠で安全を守っていくというのが私どもの基本でございます。
#126
○吉良よし子君 科学的な根拠に基づいてとおっしゃいますけど、でもこうやってこの経過を見ていると、もう言いなりに認めてきたとしか見えないと思うんですよ。
 この四十六品目の食品添加物のリストを作成したのみにとどまらず、結局、ここですよね、その次の強調部分ですけど、米国は四品目については日本が現在審査中であると理解している、その審査を完了するよう日本に強く求めていると書いてあって、それがその閣議決定なわけですよね。それがサイドレターに書かれていると。
 それだけじゃないんですよ。このパネルの冒頭部分読んでいただきたいんですけど、アメリカは、じゃ、何を求めているのかと。日本の食品添加物の規制は、幾つもの米国食品、特に加工食品の輸入を制限していると。米国及び他の市場で広く使用されている数多くの添加物が日本では認可されていないと。そのことを大変問題にしていて、だから食品添加物の更なる指定を認めることを急げと日本に圧力を掛けているわけですよ。
 さらに、この貿易障壁報告書の中では、食品添加物にとどまらず、例えば収穫前、収穫後に使用される防カビ剤、いわゆるポストハーベストについて日本で食品添加物に分類されてしまっていると。それを問題視して、その審査手続の簡素化とか食品添加物指定をやめさせて表示をさせないことなど、そういうことを迫る要求まで出しているわけです。
 やはり今後更に二国間協議など進められていく過程の中で、アルミニウムにとどまらず、様々な食品添加物の規制の緩和要求、強まってくるのではないですか。
#127
○国務大臣(塩崎恭久君) これは主権国同士の、言ってみれば意見として交わされているわけでありますから、それはお互い何をどう言うかはそれぞれの主権国が決めることであって、同時に、それを受けてどうするかというのを主権国として自らの独自の判断をしていくというのが主権国家としての当然やるべきことであって、私どもにとって大事な食の安全を守るために私どもの独自の基準を守っていくことは何ら変わらないことであって、先ほど来申し上げているとおりのプロセスが日本では用意をされているわけであります。それにのっとって私どもは安全を守るために必要なことはやっていくということに変わりは全くないということであります。
#128
○吉良よし子君 安全を守ることには全く変わりはないと。ただ、もう経過を見れば、アメリカの要求をどんどんのんでいるというのが安倍政権だと言わざるを得ないと私は思うんです。
 もし安全を守るというのならば、今問題にしている四つのアルミニウム添加物というのはもう別のものに代替可能だと、そういう科学者の指摘もあるわけなんです。
 例えば、この赤いところにある三番目ですね、カルミン、着色料なわけですけど、これどういうところに使われているかというと、アメリカの企業のカニかまであるとかフルーツ缶詰のチェリーの色づけとか、若しくはお酒のカンパリの色づけなどに使われているそうなんですが、例えばカニかまでいえば、国内では紅こうじで着色されているわけですし、チェリーやカンパリについては、日本に輸入される時点でカルミンを使っていない、そういう製品を輸入している、そういったもののみをその企業は輸出していると、そういう対応がもう既になされているというわけなんですね。
 つまり、新たにこのアルミの添加物の使用を認めなくても今で十分対応できているわけですから、国民の安全第一に考えるとおっしゃるのであれば、代替可能なのにあえて危険な食品添加物の使用を新たに認める必要、どこにもないんじゃないでしょうか。
#129
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたとおり、私どもには食の安全を守るための食品安全委員会というのがあり、そして私ども厚生労働省で残存基準などを定めているわけであって、そもそもそれを認めるかどうかということについても、この食品安全委員会が出したリスク評価を受けて厚生労働省として審議会で決めていくと、こういうプロセスがあります。
 したがって、四品目どうするかというのは、プロセスとしては今申し上げたような科学的な判断をしていく、それによって食にとって安全かどうかの判断を科学でするということに尽きるわけでありますので、今おっしゃったように、あたかもこれらを無条件で認めるかのようなことをおっしゃっておりますが、これは全く、安全委員会に今お願いをしてリスク評価をしていただいているところでありますから、また、今、向こうから更なる材料の提供も求められているわけでございますので、これをしっかりとやって最終的な判断を科学的にしていくということでございます。
#130
○吉良よし子君 科学的に、科学的に判断するとおっしゃられていますけれども、じゃ、国際的な科学的な判断はどうなってきているのかといいますと、今年、食品の国際規格を定めるコーデックス委員会というところの総会で、今、日本が使用を迫られている先ほどの四品目のうちの一つでありますケイ酸アルミニウムカルシウム、二つ目なんですけれども、その規格が廃止されるということが承認されました。つまり、国際的にはこの使用を認めないということが決められたわけなんです。
 そうやって、国際的にももう危険なアルミニウム添加物使用をやめさせると、そういう動きが出ている中で、日本は使用に向けたプロセスを踏んでいる。まさに逆行ではないでしょうか。もう指定やめるべきなのではないでしょうか。
#131
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、食品安全委員会にかけるということがイコール無条件で認めるということでは全くないということをまず、プロセスとして我が国には食の安全を守る仕組みがあるということをまず国民の皆様方には御理解をいただかなければいけないので、食品安全委員会にかければ全部何かそのまま通るかのように言われておりますけれども、それは全く違うと。
 今、コーデックス委員会も、このケイ酸アルミニウムカルシウムについても科学的な判断をして、本年六月に開催された委員会の総会で、安全を確保するための基準の見直しに必要なデータを得られなかったということから食品添加物としての基準を廃止をすることを決定をいたしました。そのことは私どももよく踏まえた上で今臨んでいるわけでありまして、ケイ酸アルミニウムカルシウムについては、現在、食品安全委員会に、先ほど申し上げたとおり、安全性の評価を依頼をしている最中でありまして、厚生労働省としては、このような、今お話しのようなコーデックス委員会での動きについてもよく踏まえて、食品添加物の指定については慎重に検討をしていくというのが私どものスタンスでございます。
#132
○吉良よし子君 結局、やめるとは一切言えないと。国際的にはもう排除しよう、食品としては認めないと言っているのに、日本では今すぐやめますとはっきり言えないというところがやっぱり問題なわけで、結局、二国間協議ありきで話を進めているということなんじゃないかと。やっぱり国民の安全と言うんだったら、まずは国内にもう指定されてしまっている、認められているアルミの基準を作る、これ、何よりも優先するべきであって、その前に指定をすること、新たに食品添加物増やすということをやるというのが、順番が逆だと言わざるを得ないわけです。
 最後に、私、総理に伺いたいと思うわけです。
 私、冒頭申し上げましたとおり、このTPP協定、今、国会で承認してアメリカにTPPに戻るように懇願し続ける、これは、更にアメリカの要求をのまされる、国益と経済主権を自ら差し出す、子供の健康や安全、それも差し出すことになってしまうんじゃないかと申し上げました。何より今問われているのは、自由貿易か保護主義かなどという単純な話なんかじゃないはずです。この間、各国でTPPやTTIPなどに反対する市民運動、国民世論が高まっているのは、多国籍企業の横暴に対して国民の命と安全、雇用や暮らしを守るという怒りの表れなわけです。こうした世論、世界の世論を見ても、今世界に求められているのは多国籍企業のための貿易ルール作りではないということは明らかです。
 私たち日本共産党は、決して貿易の発展、グローバル化一般を否定しているわけじゃないんです。グローバル化が進む今、今日お話ししてきたような、子供の健康を始めとする各国民の命や健康、人々の雇用や暮らし、それらを多国籍企業の横暴から守るためのルール、それこそきちんと定めるべきではないかと申し上げているわけです。これが今世界の貿易関係発展させるために必要なことなのではないですか。いかがでしょうか。
#133
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは全く見解の相違があるわけでありますが、まさにこのTPPについてはしっかりとしたルールを作っていく、ここに大きなポイントがあるわけでございまして、一部の多国籍企業だけを豊かにするというのは全くの間違いであって、中小企業あるいは中小企業で働く人々も豊かにしていく、中小企業も安心して海外に進出をできるというルールをちゃんと作っていくということでございますから、公正でフェアなルール、この二十一世紀型の進化した形、これをしっかりと示していきたいと、こう考えております。
#134
○吉良よし子君 ルール、ルールとおっしゃいますけど、だったら国民の命と安全を守ることを最優先にすべきですよ。それをないがしろにするようなTPP、二国間協議、絶対にやめるべきだということを申し上げまして、私の質問を終わります。
#135
○片山大介君 日本維新の会の片山大介でございます。
 日本維新の会はTPPに賛成の立場でありましたので、今のTPPの発効に困難な状況になっていることに対しては大変複雑な思いを持っております。今日は、今後の対応と政府がおとといまとめた農業競争力強化プログラムについて、農業対策についてお伺いしたいと思います。
 まず最初、アメリカへの対応についてお伺いします。
 アメリカのTPP承認というのは一層困難な状況になってきています。総理は、アメリカを翻意させるためにも日本の承認というのを進めなければいけないというふうに説明をしていますが、今やそれで事が進むほど簡単ではなくなってきている、これが現実だというふうに思います。アメリカが不参加の場合の対応を想定し始める時期に来ているのではないかと思います。国民も今それを知りたがっていると思います。まず、政府としての対応をお伺いしたいと思います。
#136
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、この委員会においてTPPの議論をしていただき批准をお願いをしたいということの意義、意味については、これはまさに二つあるわけでございまして、まずはTPPそのものについてでございまして、我々がTPPについてここで批准する、国会において批准をしていただくことによって、米国を翻意させるために我々もそれをてこにしていきたいということでございます。
 もう一点は、これは再三申し上げていることでございますが、まさに世界のGDPの四割を占める経済圏において自由でフェアな新たな経済圏をつくっていく、公正なルールの下に各国がお金や物を自由に行き交いさせることによって発展をしていくという、この方向性について日本が世界に示していくという意義でございます。
 もちろん、TPPの発効そのものは大変厳しい状況にあるのは事実でございますが、まずはこの中でその御審議をお願いをしたいと、こう考えているところでございます。
#137
○片山大介君 そうすると、アメリカが参加しなかった場合、総理はかねてからアメリカがなしのTPPというのは意味がないとおっしゃっています。私も全くそのとおりだと思います。これまでの交渉で勝ち得たアメリカの市場開放というものが全くなくなるわけだから、それは意味がないと思っています。さらに、アメリカ抜きの十一か国で発効するとなると、再びこの十一か国で話し合わなければいけない。そしてまた、発効のために条文を変えたりする必要も出てくる。
 総理は再び交渉することはないともおっしゃっているので、そう考えると、アメリカが参加しなかった場合、すなわちそれはTPPを諦めることだというのが総理の考えだと思いますが、総理のお考え、いかがでしょうか。
#138
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ここで、米国が今後どうするか、トランプ次期大統領の発言は御承知のとおりでございますが、まだこの政権が発足していない中においてこの今後の方針について我々が臆測を述べることは控えさせていただきたいと、こう思う次第でございますが、いずれにせよ、このTPPについては我々は再交渉はしないということ、そしてまた、米国が参加をしていないTPPについてはバランスがこれは崩れてしまうと。これは、各国の積み上げてきた交渉の中において、最大の市場である米国の市場ということも念頭に各国が様々なリードをしながら積み上げてきたこの交渉の結果でございますので、その中で米国が抜けるということはバランスをこれは失することになっていくということを申し上げてきたところでございます。
 では、今この代替の対応についてどうするかということについては、申し上げておりますように、それを想定して議論をさせていただくよりも、まずはこのTPPについて是非批准をお願いをしたいということを申し上げているところでございます。
#139
○片山大介君 そうなると、やはりアメリカの翻意を期待するしかないというので、じゃ、翻意させるための具体的にはどのような手段があり得るのかというのを次に聞きたいと思っているんです。
 今の現状では、この国会で承認をしてその思いをアメリカに伝える、分かってもらうということしかないようにも思えてしまうんです。一部では、日本とEUの間のEPA交渉、これ年内にまとめることによって日本とEUの間で自由貿易が進むようになれば、これはアメリカにとっては関税面で不利な状況になるので、そうすればTPPへの参加の方に傾いていくんじゃないかというような希望的な観測もあるけれども、私、そんな簡単じゃないと思っています。
 アメリカを翻意させるための戦略というのをどのように描いていらっしゃるのか、これをお伺いしたいと思います。
#140
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員も御指摘になったように、日EUのEPAについて年内のこれは大枠についての合意を目指していきたいと、こう考えております。日EUのEPA、そしてまたその先にはRCEPがあるわけでございますし、日中韓のEPAもFTAもあるわけでございます。
 更に言えば、カナダからは、日本、カナダにおいてEPAを進めていこうというこれは呼びかけもあるわけでございます。それと、既に例えば日豪においては、日豪においてはEPAがこれは妥結をして発効をしているわけでございます。
 そうしますと、例えば牛肉の市場においても、輸入肉の市場においてはこれは明らかに米国と豪州とを比べれば米国が不利になっていく、あるいは、EUと日本がEPAを結ぶことに成功すれば、乳製品等々においては米国がこれは不利になっていくということにもこれなっていくわけでございます。
 そういう中において、米国にもう一度考えるということに向けてこれは効果もあるだろうと、このように考えているところでございます。
#141
○片山大介君 そうすると、あと、TPPに参加しているほかの国の対応なんですけど、ほかの国でも承認を先に進めているところもあれば、やはり様子見になっているところが増えてきています。ですから、今後この足並みを、日本のようにアメリカの翻意を待ち続けられるかどうかというのも決してこれは限らないと思っているわけですね。
 ですから、今後はそうした十一か国の結束力、どう維持していけるのかというのも大切だと思うんですが、これに対してはどういうふうに総理は連携を取り合っていく、行動していこうと思っているのか、お聞かせください。
#142
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この十二か国の中において、米国を除きますと日本が最大の経済でございまして、当然、その中におきまして日本がどうするかということについては他の国々は大いに注目をしているところでございます。
 御承知のように、ニュージーランドは既に手続を終えております。先般、マレーシアのナジブ首相と話をしているところでございますが、マレーシアもまだ手続は残っているわけでございますが、これは相当進んでいるのも事実でございまして、そこで、事実上これは日本が今ここでもしやめるとすれば、これはもうほとんどの国々はそれならばこれはもうしようがないということになってくるんだろうと思うわけでございまして、いずれにせよ、日本がこの残りの国々において国内手続を進めていくかどうかということについては大きな鍵を握っていると、このように考えております。
#143
○片山大介君 そして、もう一つ気になるのが、あとは国民の理解、置き去りにしてはいけないのが国民の理解だと思います。
 それで、今日はちょっと資料を用意したんですが、まず一枚目の、これは先日の日経新聞の世論調査の結果です。(資料提示)
 それで、TPPの今国会での承認について賛成、反対が拮抗していて、三七%になっているんです。安倍内閣の支持率は六〇%と大変高くなっているんですが、その支持率の割にはこのTPPの参加に対する賛成というのは低くなっています。この背景には、やはりまだまだ分かりづらい、つまり説明も足りないんじゃないかと。最近のこの不透明感が一層深まってきたのでそういう気持ちが強くなっているかなと思うんですが、これ、国民を置き去りにしてはいけないと思います。
 どのような情報発信を行っていくべきなのか、お願いします。
#144
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このTPPにつきましては、国民の皆様に大きな影響があるわけでございますから、よく御理解をいただけるように更に努力をしていきたいと、こう思っているところでございますが、これは、例えば消費者の立場に立てば、いろんなものが今までよりも安く、そして選択肢も増えてくるということと同時に、議論になっておりますように、果たして食の安全は大丈夫なのかということについては、我々は、これは安全なものしか食卓にはのらない、これは輸入品であれ国産品であれ全く同じだということを説明させていただいておりますが、ただ、なかなか御理解いただけないのは、生産者との関係において様々な複雑な仕組みを構築をしているところということは御承知のとおりだろうと思います。
 この複雑な仕組みにつきましては、これは恐らく国民の皆様全員に御理解いただくのはこれ難しいわけでございまして、しかし大切なことは、農産物については農業関係の皆様、特に、例えば豚については豚の生産者の皆様、牛については牛の生産者の皆様、あるいはお米についてはお米ということでよく理解をしていただくことが大切。それぞれの言わば業界の皆さんの御理解をしていただく努力が必要であって、今までも努力を重ねてまいりましたが、更にそれぞれ努力をしていきながら安心をしていただきたいと、こう思っております。
#145
○片山大介君 理解してもらうのは確かに複雑で難しいところもありますけれども、その努力を決して諦めないで続けていってほしいと思います。
 次に、農業対策、ここからはちょっとお伺いしたいと思うんですが、政府はおととい農業競争力強化プログラムというのをまとめました。このプログラムの中には十三の項目を掲げて、様々な取組をやっていこうという内容。
 それで、これTPPが発効しなかった場合、この項目、対策というのはどうなっていくのかをまず聞きたいと思っています。これは、TPPの発効を想定した上で作っているものがかなり多いです。TPP発効との関係性、そして場合によってはこれの事業のスタートラインが変わってくる可能性もあるのかどうか、併せてお伺いしたいと思います。
#146
○国務大臣(山本有二君) 御指摘の今般決定いたしました農業競争力強化プログラム、これは昨年十一月の総合的なTPP関連政策大綱におきまして御案内の検討継続項目とされたものを中心に、本年八月の未来への投資を実現する経済対策におきまして年内を目途に策定するということとされたものでございます。
 その内容といたしましては、農業者の所得向上を図る観点から、農業者が自由に経営展開できる環境を整備する、それとともに、農業者の努力では解決できない構造的な問題を解決していくための様々な改革が盛り込んでおります。その意味で、本プログラムに盛り込まれました内容というのは、TPPのあるなしにかかわらず、将来の我が国農業のために不可欠な政策でございまして、速やかに実行に移して農業の競争力強化を図っていく必要があると考えております。
 したがいまして、TPP協定の発効の有無とかかわらず、国内農業の競争力強化のために行わせていただいている改革というように位置付けております。
#147
○片山大介君 そして、そのプログラムの柱が全農の組織刷新でした。ただ、これ、先日の規制改革会議が示した方針、委託販売の廃止など、やめて、数値目標を盛り込んだ自己改革、これをベースにしているとなっていますね。それで、全農の皆さんもその改革というのは必要だと思っていると思うんですが、この自己改革ということに対して国としてはどのようにアプローチしてこれを後押ししていくというか、実際に実行させていこうというふうに思っているのか、お答えいただけますか。
#148
○国務大臣(山本有二君) この農業改革の主な内容は全農とも合意をさせていただきました。生産資材の買い方につきましては農業者の立場に立って共同購入のメリットを最大化すること、また、農産物の売り方につきましては実需者、消費者への直接販売を中心にシフトすること、これらにつきまして農協改革集中推進期間内に十分な成果が出ますように数値目標を含む年次計画を立てて、政府・与党が定期的なフォローアップを行うということが定められております。
 これらは、農協改革は自己改革であるという、基本であるという原則の中で、全農とも合意の上で事業の具体的な改善内容、フォローアップ、この方法まで踏み込んで合意したと高く評価をさせていただいております。全農が、生産資材の買い方、農産物の売り方、これを改革することによりまして関係業界の再編も大きく動き出すものと考えておりまして、全農がこのプログラムに従って改革に取り組んでいただければ日本の農家の所得が上がるというように期待するところでございます。
#149
○片山大介君 その今所得が上がるという話についてなんですが、農家の現場では、今、米などでコストを下げるよりも、そのスピードよりも速くもう価格が下がっていっているんですね。ですから、農家の間には価格を下げることへの抵抗感というのがやっぱりすごく強いです。
 実際に、農家が農業で得た農業所得、これは年間で、全ての農家平均ですが、百二十万円程度です。そして、今企業の農業への参入も増えてきていますが、そこで働いている人の賃金も驚くほど安いんです。こうした中で、価格を下げる、だけど、その分、収量が増えるから所得は増えるといっても、それはほんの一部の農家のことだけじゃないかというふうに思ってしまうと思うんです。
 価格を下げる一方で、農家一人一人の所得を上げていくことというのは、これは本当に可能なのかどうか、これを説明していただきたいと思うんですが。
#150
○国務大臣(山本有二君) 農家の所得と申しましても、主業経営体でありますと五百万円近いものがございます。準主業経営体としましては三百万、副業的経営体が三百万というようなことの全体像でございます。その意味におきまして、各農家全体として上がっていくことを理想とするわけでございますが、このコスト削減に関連いたしまして、生産資材や農産物流通加工、こういったものに対して、業界の再編に対して全農が事業の在り方の見直しをしていただけることによってかなりの、私は近々の所得が上がっていくだろうと。
 さらに、担い手の農家、特に農地中間管理機構が借りている農地の圃場整備について費用負担をなくして、事業実施への同意を不要とするなどの措置を講じて集約、集積を集中的に加速化するというようなことをすることによって、コスト削減と、さらに効率的な経営、あるいは機械化の導入、さらに若者の雇用というようなものが図られるというように見ております。
 そんな考え方の下に今回の取りまとめた施策の実現を考えますと、まさに未来への挑戦であり投資であり、農業者の所得向上は私は確実に行われるものというように思っております。
#151
○片山大介君 時間がないのでちょっと次の質問に行きます。次は、輸出について聞きたいんです。
 政府は、農林水産物・食品の輸出目標、これを一年前倒しして三年後に一兆円にしようというふうになっています。それで、去年が七千五百億円なのでほぼ達成できるとは思うんですが、それで結局満足してはいけないというふうに思っています。というのは、農業生産額全体ではこれは八兆円ありますから、八兆円のうち一兆円しか輸出ができないというんでは、やっぱりまだ少ないと思います。これを増やしていかなければいけないと思います。我々維新の会はそれを訴えています。
 それで、その一兆円の中身についてちょっと詳しく見たいんですけれども、農業生産物、農産物については六千二百五十億円、これが目標になっているんですが、この大半はこれ加工食品になっているんです。加工食品というのは、実はその原料というのは大体輸入農産物に依存しているんです。だから、そうすると、これで加工食品を増やすことで達成しようとしても農家への寄与というのは限定的であって、それで所得増には余りつながらないわけですね。これについてはまずどのように考えているのか。
#152
○国務大臣(山本有二君) まず少し、先ほどの答弁をさせていただいた点で訂正をさせていただきます。準主業的経営体などの所得を三百万と申し上げましたが、三十万の間違いでございました。
 それから、農林水産物の食品の輸出の、加工食品でございます。一兆円目標のときに、農産物六千二百五十億円、そのうち加工食品を五千億というように考えるところでございますが、しかしながら、この加工食品のうちほとんどが輸出だという御懸念でございますけれども、品目ごとに……(発言する者あり)輸入、輸入の農産物で、それに加工を加えて輸出しているというようなメカニズムというようにおっしゃっておられるわけでございますが、しょうゆ、みそ、これなどの調味料のような、飲料の輸出につきましては、こうした海外への発信に貢献し、これら以外の日本産品の輸出に間接的に貢献するものでございます。しかしながら、和菓子あるいは菓子、輸出額が百七十八億円でございますけれども、こうしたものはほとんどが日本産のものでございます。また、日本産のユズドリンクあるいはドレッシング、そういったものも日本産があってこそ輸出しているというような、品質の信頼感やブランド化が図られております。
 したがいまして、全てが、この加工食品の原材料が輸入品で賄われているというよりも、徐々にこの加工食品の大きな原料が国産品に移行しつつある段階であるという私は信頼感を持っているわけでございまして、加工食品に対しましても輸出を強化していきたいというように思っております。
#153
○片山大介君 だけど、そう考えると、おとといまとめたプログラムではそんなことは書いていないんですよ。そうなんですよ。だから、もし、農家の人たちが輸出をアップさせることが自分たちの所得増につながっていくというふうに実感を持たせるためにはそれをプログラムに書かなきゃいけないと思いますね。それで、それを実感できるようにさせていかなければ、なかなかみんな分からないと思いますね。それについてはどうお考えでしょうか。
#154
○国務大臣(山本有二君) このプログラムと同時に、輸出インフラに関するプログラムも同時に発表させていただきました。これは、生産と加工につきましてのそれぞれのインフラについてのハード、ソフトの両面における施策についてのプログラムでございます。
 したがいまして、この競争力強化プログラム、プラス、インフラ輸出におけるハード、ソフト、特にGAPやHACCPについての施策を集中的に人材を投入して相談窓口をつくる、あるいは日本版SOPEXAをつくりまして、丁寧な今までになかったような輸出のガイドをしていくというようなハード、ソフト両面でこの対応を考えておりまして、特に私が重要だと思っておりますのは、ワンストップで輸出の許可の証明書をもらうというようなことを可能にすることによって随分と輸出の力が強化されるというように思っております。
#155
○片山大介君 時間がなくなってきたので、もう一枚ちょっと資料を用意しているのでそちらの質問をさせていただきます。
 実は、農地の企業の参入についてなんですが、実は、日本維新の会では、今、農地法の改正をして企業が農地を所有しやすくするようにしようというふうにしているんです。今のところ、農地法では企業の農地所有というのは認めていない。
 それで、国家戦略特区の中で、私の地元の兵庫の養父市で、これ試験的に行われるということになっているんですが、企業の参入はもっと進めた方がいいのではないかと思っています。そして、この国家戦略特区でやるべき、検証すべきことというのは、単に企業の参入というだけではなくて、耕作放棄地、今四十万ヘクタールになっています、その耕作放棄地の解消につながっていくのかどうか、そして、中山間地域などの過疎地、これの担い手として企業がなり得るのかどうか、それを検証しなければいけないと思っているんです。
 我々がその改正案を出して、それで企業を参入させることによる、その心というのは、企業にも地域農業の貢献、支援の役割を担ってもらう、そして生産技術を持っている農家の方たちと協力をし合う、農家の方々も企業もお互いに利用し合う、そういうふうにやっていければいいと思っているんですが、これ最後の質問、聞きたいんですが、養父市での特区が成功した場合に全国展開していくのかというのと、維新の農地法の改正案についてどのようにお考えなのか、これをお伺いしたいと思います。
#156
○国務大臣(山本有二君) 耕作放棄地が増える、さらに農業従事者が高齢化する、この厳しい現実の中で、株式会社というパワーをお借りするということは一つの私は賢明な方策でもあろうというように思います。その意味で、この国家戦略特別区の、特区の利用によりまして、養父市で画期的な、株式会社が農地所有して耕作をされるということの試みというのは私は注目をしておるところでございます。
 ただ、このことにおいて株式会社がさらに、農地あるいは農業、この事業を株式会社の営利目的で始めたとして、もしこの営利目的が達成されない場合、すぐに撤退するということになってしまいます。そのときに、農地というのは水を必要としますし、また、耕作しやすい環境を整えなきゃなりません。それが産業廃棄物の置き場所になったり、言わば荒廃地に逆になったりすることによって、我々はこの農業の必要な基礎的な国家の財産を失うということになってはなりません。
 その意味で、慎重にこれを検討しつつ株式会社のお力を借りていくというように今のところ考えているところでございます。
#157
○片山大介君 最後に、維新の農地法改正案について伺いたいと思います。
#158
○委員長(林芳正君) 時間。
#159
○国務大臣(山本有二君) 大変貴重な御意見ですので、また慎重に検討していくつもりでございます。
#160
○片山大介君 ありがとうございました。
#161
○森ゆうこ君 希望の会、自由党の森ゆうこでございます。三年ぶりに質問をさせていただきます。
 TPPについての質問に入る前に、私の、新潟県、地元で発生いたしました鳥インフルエンザについて、先ほどお話ございましたけれども、私の方から対応について伺いたいと思います。
 この間、農水省の皆さん、そして協力いただいている自衛隊の皆さん、そして何よりも米山隆一新知事を本部長といたしまして、県の皆さん、対応に邁進してくださっていることに敬意を表したいと思いますし、また、今般発生いたしました業者の皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 総理にはもう先ほどいろいろお話しいただきましたので、とにかく封じ込める、感染を拡大しないということについて御決意を、一言だけで結構ですので、お願いいたします。
#162
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどるる説明をさせていただきましたが、やれることは全てやるとの考え方の下、鳥インフルエンザの防疫措置や家禽業者への対応等に万全を期していきたいと思っております。
#163
○森ゆうこ君 ありがとうございます。
 先ほど御紹介いたしました新潟県の新しい知事、米山知事は、私、選対本部長をさせていただきましたが、先般の新潟県知事選挙におきまして、原発再稼働イエスかノーか、これを最大の争点として戦いました。大多数の県民の皆さんは再稼働ノー。そして、さらにもう一つの大きな争点がTPPでございました。新潟県は米どころでございます。農業を守るために、そして国民生活を守るために、TPPには断固反対、うそつかないとは米山知事は言いませんでしたけれども、TPPから新潟の農業を守るということで新しい知事になりました。
 まず、これたくさんあるんですけど、これでも本当は全部じゃないはずなんですが、今日、私はこの第五分冊を集中して質問させていただきたいと思います。十五分しかないので、あと十三分しかないのでお願いいたします。
 まず、この協定文書第五分冊の最後のページなんですが、二千八百九十七ページの「(この附属書中他の締約国の表は省略。我が国は、表を作成していない。)」、これで終わっているんですけど、これどういう意味ですか。
#164
○政府参考人(澁谷和久君) 御指摘の附属書四でございますが、TPP協定本文の第十七章、国有企業及び指定独占企業章でございますけれども、この中で、国有企業等が物品又はサービスを購入又は販売するに当たり、商業的考慮に従って行動すること、他の締約国の企業に対して無差別待遇を与えること、国有企業への優遇措置により他の締約国の利益に悪影響を及ぼしてはならない、こういった義務が規定されております。
 附属書四は、各国が自国の国有企業等によるそうした義務に適合しない活動について留保するという、その留保表でございます。例えば、マレーシアにつきましては、ブミプトラと言っておりますが、マレー系企業についての留保、それからベトナムにつきましては、遠隔地、山岳地帯の経済発展に資する場合など、国ごとにその特性を踏まえた例外が定められているところでございます。
 我が国につきましては、国有企業十社ほどを想定しているわけでございますが、いずれに対しても、無差別待遇の義務、商業的考慮の義務及び優遇措置に違反する法令なり政策を採用していないために、附属書四において留保する必要がないと判断したものでございます。
#165
○森ゆうこ君 他の国は作成しているのに、なぜ日本は留保を設けなかったのか。これ、表にしてきちんと後ろに付けないと。こういう国有企業についてのルールというのは今回初めてなんですよ。自由貿易協定だというふうに宣伝していますけれども、これは全然自由貿易協定じゃなくて、もうありとあらゆる様々なルールを決めるという中に、国有企業を民間の企業と全く同じ競争にできるだけさらしていくということでこの国有企業の章があるわけですけれども、ほかの国はみんなここのリストに載せましたよね。なぜ日本だけないんですか。
#166
○政府参考人(澁谷和久君) 先ほどの繰り返しでございますが、我が国国有企業、十七章の国有企業等の定義に該当するもの十社ほど想定しているわけでございますが、それぞれ精査した結果、十七章の義務に違反するような法令、政策は我が国においてございませんので、留保する必要がないということでございます。
 ちなみに、ほかの国は、それぞれ違反するおそれがあるというそういう中で、違反するおそれがあるものとして留保していると、こういうことでございます。例えば、アメリカは我が国の住宅支援機構に相当するファニーメイ及びその関連の企業を留保しているわけでございますが、我が国の場合は住宅支援機構、独立行政法人でございます。定義上、独立行政法人は国有企業に当たりませんので、これはそもそも留保する必要がないわけでございますが、アメリカの場合は、それが民間企業という立て付けでございますので、留保する必要がある。
 それぞれ、それぞれの国の特性を踏まえて判断を行っているところでございます。
#167
○森ゆうこ君 今、独立行政法人が国有企業に当たらない、TPPの協定におけるその定義に当たらないというふうに御説明されましたけれども、それ違うんじゃないですか。
#168
○政府参考人(澁谷和久君) 国有企業章の十七章に国有企業の定義がございまして、皆さんよく、締約国が五〇%を超える株式を直接所有する企業などのところから判断される方が多いんですけれども、柱書きで「主として商業活動に従事する」という定義がございますので、この定義をもって我が国の独立行政法人のようなものは外れるというふうに考えております。
 いろんなTPPに対して批判的な本の中で、ALICが該当するとかありますが、全くそれは違うというふうに考えているところでございます。
#169
○森ゆうこ君 でも、今政府はそういうふうに言ったわけですけれども、これは国有企業に当たるかどうか、他の締約国から疑義が示される場合があるわけでして、別に商業活動というのを勝手に日本の方で定義付けているわけですけれども、他の国からもこれは商業活動をしている国有企業ではないかと言われる可能性があるわけですから、そういう係争のおそれはないんですか。
#170
○政府参考人(澁谷和久君) 国有企業章につきましては、私どもが交渉に参加してから、交渉中も記者ブリーフィング等で概要については御説明を申し上げてきたところでありますけれども、各国鋭く対立をした、俗に難航している三分野とかという中に常に入っていた分野でございます。
 特に途上国においてはこの規定を設けること自身についての大変な抵抗があったというところの中で、条文を相当精査をして、我が国としても各省に照会をした上で条文、我が国が交渉に参加してから実質的な議論がもう始まっておりますので、十分そこは精査の上、各国とも十分協議をした上で条文を構成していると、このように理解しているところでございます。
#171
○森ゆうこ君 アメリカでさえ、これ翻訳されていない附属書ですけれども、この中に、先ほどありました住宅金融公庫系の会社ですとか、そういうところをきちんとこの対象にならないように除外しているわけです。ここに除外されないと、ここの十七章における国有企業及び指定独占企業に対して行われる規制の範囲になってしまうわけですから、大切な国策企業、国有企業に対しては最初にこれは留保しておく必要があるわけですよね。
 でも、これ比べようとしても、どういう企業がそのような対象になっているのか、検討しようと思っても、これ全部英文なんですよ。
 岸田大臣、これ何で翻訳しないんですか。
#172
○国務大臣(岸田文雄君) まず、これは基本的には、過去の様々な協定、WTO協定あるいは我が国の締結した経済連携協定に共通する取扱いでありますが、協定本体はしっかり訳します。それ以外の附属書と言われる部分ですが、これは、先ほど議論にも出ておりますように、留保ですとか約束あるいは物品の関税率表、こういった部分ですが、これについては量が膨大であるということ、特にTPPの場合は七千九百ページ、大部にわたります。
 そういったことから、従来、ほかの協定と同じように、この部分については、我が国が直接関連する、我が国が履行すべき義務を指定する部分、これはしっかり訳しています。しかし、それ以外の部分については分かりやすく説明書を作成するという対応、これ従来からこういった対応を行ってきています。
 そういったことから、今御指摘の部分については、説明書を作成するという形を取り、直接訳することはしていない、こういった対応を取った次第であります。
#173
○森ゆうこ君 先ほど大野議員、民進党の大野議員、大変いい質問をされたと思うんですけれども、その答弁の中で、今回のこのTPP協定留保のリストは協定の一部であるというふうに御答弁をされました。ですから、この協定の一部であるので、留保を外すときにはもう一回国会で議論をしてもらうという御答弁でした。ほかの国のものについても、今回のこのTPPは、リストは協定の一部じゃないんですか、比べられないじゃないですか。先ほどおっしゃったんですよ、大臣が。リストは協定の一部だとおっしゃったんです、そう答弁されました。
#174
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のとおりであります。TPP協定における留保、これを変更する場合においては協定の変更になるということで国会の承認が必要になるという御説明、先ほどさせていただきました。
 そして一方、和訳をするか説明書で対応するか、これは我が国が関わる部分かどうか、これで線を引いております。協定本体、間違いなくしっかり訳しています。
 そして、附属書の部分については、我が国が関わる部分についてはしっかりと訳をしています。それ以外の部分については、説明書を作るという形でより分かりやすく御理解いただけるような工夫をしている、これが従来の、従来からWTO協定あるいは他の経済連携協定において行っている対応であります。同様の対応をした次第であります。
#175
○森ゆうこ君 委員長にお願いをいたします。
 ほかにも訳していない部分、膨大にあるんですけれども、そういうもので比較をしないと、先ほどは、自民党は八二%関税撤廃、八二%だけだったから、これって自慢できないと思いますけど、というふうに他国と比較して自慢していましたけど、本当に頑張って交渉できたのか、国会の審議の中で比較しようがないじゃないですか。
 資料を全部訳していただきたい、資料を全部訳してこの委員会に提出をしていただきたいと委員長にお願いしたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
#176
○委員長(林芳正君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
#177
○森ゆうこ君 それと、もう時間がないんですけれども、もう一つ、公共調達についてお聞きをしたいと思います。
 これも最後、国別のリストがないのでなかなか比較ができなかったんですけれども、これ地方の公共調達についても、国だけじゃなく、公共調達についても、要は規制緩和、外国の企業が参入をする、そういうことになっております。しかも、英語なんですよ、英語を使いなさいと。これ、やれるんですかね、地方の自治体は。
 これ、各国ともそうなんですか、岸田さん。全ての国が、締約国、締約各国、いや、岸田さん、岸田さん、ほかの国もこういうふうにオープンにするんですか。
#178
○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。
 TPPにおける政府調達に係る我が国の義務でございますけれども、これは基本的にWTOで我々が負っている義務の範囲内でございますので、TPPにおいて新しい義務が生じるということではございません。
 それと、今御指摘の英語については、英語について表記する努力をするという義務を負っているところでございます。
#179
○森ゆうこ君 地方政府に関してですけれども、アメリカの地方政府も全部開放するということになったんでしょうか。
#180
○政府参考人(山野内勘二君) 米国においては、地方政府をWTO上の義務から免除しているというところがございます。
#181
○森ゆうこ君 ということで、公正ではないというふうなことがいろいろまだまだあるということで、時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#182
○行田邦子君 無所属クラブ、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
 本日未明にユネスコにおきまして、日本の山・鉾・屋台行事が無形文化遺産登録、これが決定いたしました。私の地元埼玉県では、秩父夜祭、そして川越の氷川祭が対象となっております。大変誇りに思っております。
 TPPなどグローバル化が進む中、だからこそ自分たちの根っこを大事にしたい、また地域の伝統文化をしっかりと守っていきたいという、このような思いが強まっているというふうに感じております。
 この度の無形文化遺産登録決定について、まず総理の感想を伺いたいと思います。
#183
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この度、山・鉾・屋台行事がユネスコ無形文化遺産に登録されたことは大変喜ばしいことであります。各地で山・鉾・屋台行事の保護、継承に取り組んでこられた関係者の皆様にはまずお祝いを申し上げたい、また敬意を表したいと思います。
 今回の登録は和食や和紙に続くもので、国内の登録として二十一件目となります。日本各地域の無形文化遺産のすばらしさを証明するものであります。これによって、担い手が誇りを持ち、各地における保護、継承が一層進むとともに、国内外に向けて積極的に発信されることにより地方創生につながるものと考えています。
 まさにこれは我が国が世界に誇る文化でありまして、政府としては、このような各地域の文化が次世代に着実に継承されるとともに、世界に向けて発信できるようしっかりと支援をしていきたいと思います。
#184
○行田邦子君 日本はほかのどの国よりもこれまで無形文化遺産を大切にし、また維持、継承していくことを熱心に取り組んできた国と思います。これまで以上にグローバル化が進む時代だからこそ、日本の伝統文化を守る、その取組について政府におきましても後押しをしていただきたいこと、まず冒頭、お願いをしたいと思います。
 そして、土地取引の質問に移らさせていただきます。
 TPPでは、外国の投資家による投資、そして国境を越えるサービスの貿易については原則内国民待遇と、外資、外国人であろうとも差別をしないということを規定をしています。そして、その上で、政策上将来にわたって規制を作ったりまた強化をしていく必要があり得る分野については内国民待遇を留保してもよい、いわゆる将来留保してよいということになっています。そこで、日本は、社会保険、政府財産、公営競技等、また放送業などだけではなくて、土地取引についても内国民待遇を留保しているわけであります。
 TPPというのは内外無差別を目指す極めてハイレベルな経済連携協定ということでありますけれども、にもかかわらず、なぜ土地取引について内国民待遇の将来留保をしたのか、大臣に伺いたいと思います。
#185
○国務大臣(石原伸晃君) ただいまのお尋ねは、いわゆる土地取引について、我が国が外国人土地法を用いております関係でこのようなことになったということに尽きるのでございますが、もう少し詳しくちょっと説明をさせていただきますと、TPPの協定というのはいわゆるネガティブリスト方式、リスト化したもの以外は全て自由化を約束するという方式になっております。外国人の方々等を差別しないといったTPP協定のルールに抵触する可能性のある、先ほど冒頭に、今言いました外国人土地法という法律がございますので、その法令については留保しておかないと抵触するじゃないかということになってしまいますので留保させていただいたと、必要があったものと認識をしております。
 我が国の外国人土地法におきましては、外国の法が日本人による土地に関する権利を制限しているときは我が国においても外国人等に対し同等な制限的措置をとることができる旨、規定しております。ここも相互になっております。
 このため、TPP協定附属書二の日本国の表において土地取引に関する事項を留保しているというふうに御理解をいただければと思います。
#186
○行田邦子君 今御答弁にありました外国人土地法なんですけれども、大正十四年に制定された古い法律でありますが、相互主義に基づいて外資、外国人による土地取引を規制できるというものでありますが、一度も政令が出されていないということで、全く機能していないという代物であります。
 そこで、法務大臣に伺いたいんですけれども、TPPにおきましては土地取引の内外無差別を留保する、その理由として外国人土地法があるからということでありましたけれども、それでは今後なんですけれども、外国人土地法の政令を作って、そして外国人土地法を生かしていくというお考えがおありなんでしょうか。
#187
○国務大臣(金田勝年君) 御質問にお答えします。
 外国人土地法に基づく政令を指定することによりまして、我が国における外国人や外国法人による土地の取得又は賃貸借を禁止し、又は制限することは、現時点では法務省としては考えておりません。
#188
○行田邦子君 それでよいと思います。そういうことだと思います。
 TPPで土地取引の内国民待遇を留保したことは、これは技術的にするべきだったと思いますけれども、だからといって、この外国人土地法という極めて保護主義色が強い法律を生かすということは、これは現実的ではないし、現代においてはそぐわないと私は考えております。けれども、私は、外国の投資家にとって我が国の土地が魅力的で、そして投資が活発化して、そしてそのことによって経済が活性化されていく、好ましいことだと思います。そしてまた、さらには、そうした投資家たちが我が国の法令をしっかりと守っている以上は、それは外国の投資家を呼び込むということはこれは歓迎すべきことであると思います。
 ただ一方で、全ての土地が規制なく取引がされてよいのかというと、疑問を感じています。その疑問を感じている土地の一つが国境離島であります。(資料提示)
 パネルを御覧いただきたいと思いますけれども、国境離島、我が国の領海そしてEEZの外縁を根拠付ける離島、非常に重要な離島でありますけれども、今、四百九十一の島があります。そして、政府におきましては、これまでこれらの島の所有者を特定するという調査をずっと行ってきました。大臣に伺いたいと思いますけれども、どのような把握をしてきたんでしょうか。
#189
○国務大臣(松本純君) 先生御提示のパネルにもありますように、領海等の外縁を根拠付ける離島四百九十一島における私有地の所有者については、登記簿等を確認することにより把握をしているところでございます。
#190
○行田邦子君 登記簿に記載されている所有者を見るだけで本当に的確にその土地の所有者を把握できるか、私は少々疑わしいと思っております。
 なぜならば、皆様のお手元にお配りをしている資料なんですけれども、国土交通省が大変興味深い調査を行っています。全国四市町村から百地点を取り出しまして、そして登記簿を調べたところ、最後に所有者の登記を行ったのが今から五十年以上前、半世紀以上前であるという土地が何と二割に及ぶということであります。それがゆえに、国土交通省としては、このような土地というのは、もう登記簿に記載されている方がお亡くなりになっているかもしれないし、また連絡先も変わっているかもしれない、それゆえ所有者の把握は困難な土地であると、このように位置付けております。
 私は、同様のことが国境離島の土地の所有者についても起こっているのではないかと、このように思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。
#191
○国務大臣(松本純君) 領海等の外縁を根拠付ける離島における私有地の登記簿に記載された所有者の所在については、例えば中には四十年ほど前に登記されたものも存在しており、委員が御指摘されているようなケースも想定されるものと考えております。
#192
○行田邦子君 十分想定し得ると思っております。
 そこで、総理に伺いたいんですけれども、我が国の領海、そしてEEZの外縁を根拠付ける離島、これらの離島には低潮線保全区域があるから、そのことによって我が国の領海はここまで及ぶ、そしてEEZここまで及ぶという根拠になる極めて安全保障上重要な島でありますけれども、こうした島々の所有者をしっかりと把握すること、私は大切だと思っておりますが、そのためには、やはり登記簿を見るだけでは足りない。ですから、何らかの届出制などの規制を加えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#193
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国境離島等における土地の取引について、国家安全保障に関わる重要な問題と認識をしております。
 このため、安倍政権発足後、我が国として初めて策定をいたしました国家安全保障戦略において、国家安全保障の観点から国境離島、防衛施設周辺等における土地所有の状況把握に努め、土地利用等の在り方について検討することとしたところでございます。現在、これに従いまして、国境離島を含め、防衛施設周辺等における土地所有の状況について、防衛省を中心として計画的な把握に努めているところでございます。
 これらも踏まえ、今後、土地利用等の在り方について、安全保障上の重要性に鑑み、いかなる施策が必要か、今委員の御指摘になられたことも含めて検討していきたいと思います。
#194
○行田邦子君 大変申し訳ないんですけれども、今総理がおっしゃられたこと、三年前と変わっていないんです。三年前、同じような御答弁を総理も、そしてそのときの担当大臣もされていた。三年間なぜ進んでいないのか、本当に残念でなりません。
 そして、続けて松本大臣に伺いたいと思うんですけれども、これはもう是非とも急いでいただきたいということがあります。ちょっとまず確認の上の質問なんですけれども、先ほど申し上げた、我が国の領海、EEZの外縁を根拠付ける国境離島、重要な離島が四百九十一あります。そのうち、持ち主のいない島、所有者がいない島が二百七十七あるということであります。四百九十一のうち二百七十七というのは結構な数でありますけれども、この状態、今どうなっているのか確認したいんですけれども、無主の島ということは、つまり不動産登記簿に存在しない、そしてまた国有財産台帳も作られていないということでよろしいんでしょうか。
#195
○国務大臣(松本純君) 無主の離島を国有財産として登記し、あるいは国有財産台帳を作成するに当たっては、二百七十七島全ての離島の正確な測量が必要でありますが、本土から遠く離れた島もありまして、測量データの収集や整理に一定の時間が掛かっておりました。
 今般、その測量データの整理につきましては、年内、今月中でございますが、には終了する目途が立ったところでございます。このデータを用いまして、国有財産登録を所管する省庁において財産登録等の手続を行ってもらうこととなります。関係省庁との協力の下、年度内には登録を終えるよう努めてまいりたいと存じます。
#196
○行田邦子君 やっとという感じなんですけれども。実は私、一年半前も同じ質問をして、そのときの担当大臣は可及的速やかにやりますと言っていました。それから一年半ということであります。いろいろと大変な調整があることは理解できますけれども、我が国の安全保障、そしてまた海洋権益を守る上でも極めて重要な島でありますので、なぜこんなに時間が掛かってしまったのか、大変に残念であります。そして、今度こそ本当に年内に終わらせていただきたいというふうに思っております。
 そして、これも付け加えさせていただきますけれども、この作業に携わっている総合海洋政策本部の職員なんですけれども、局長が一人と、そして、あとそれ以外はたった二人の職員で全てやっているということで、それがゆえに時間が掛かってしまったのではないかとも思っております。
 そして、総理に伺いたいと思っております。こうした領海、EEZの外縁を根拠付ける離島なんですけれども、二百七十七の島があります。これを今大臣は、年内にしっかりと国有財産の台帳に登録をするということ、そしてまた、それだけではなくて、この島は国有財産なんだよということを内外に示すためにも不動産登記をしっかりするということを約束していただきました。
 総理にも御所見を伺いたいと思っております。
 今、人、物、そして情報、そしてまた様々なお金が世界中を飛び交っている、そしてまた経済のグローバル化の中で共通のルールを作っていこうということで、それぞれの国が国益と国益をぶつかり合いながらTPPというものができたはずです。そして、このような国益と国益がぶつかり合う中で、だからこそ日本は、我が国の主権、そしてまた主権的権利、また管轄権が及ぶ、その地理的に及ぶ範囲をしっかりと内外に示して、そしてまた守っていくことはより一層重要になっていると思いますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#197
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が国は、まさに今委員が御指摘になられたように、排他的経済水域については世界第六位の面積を持つわけでございまして、この面積を持つこの海洋における権益を守るためにも、この国境の外縁にある離島をしっかりと守っていく必要があると、そのためのやるべきことをしっかりとやっていきたいと、このように思います。
#198
○行田邦子君 TPPにおきましては、国益を守る、国益を守るということをさんざん言ってきましたけれども、我が国の国益に極めて重要な国境離島の問題についても速やかに対処していただきますことをお願いを申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#199
○中野正志君 日本のこころの中野正志でございます。
 安倍総理、もう海外出張から戻られてすぐの先週のこの特別委員会、また今日と、大変御苦労さまでございます。
 先週は野党第一党の蓮舫代表、安倍総理との直接対決でありましたから、高尚な議論も期待をいたしておったんでありますけれども、どうも外野席のやじが強くて大きくて、よく聞き取れなかったんですね。大変残念だな。審議も度々中断をされました。なぜ中断をするのかな、全く分からないで、私は黙って、あえてやじもせず聞かせていただきました。ただ、視聴者からは大変批判の声が強く寄せられております。国会での議員の発言の自由は当然あると、しかし、あの質問のあれこれは何だという強い批判であります。
 私も、間違えると失礼でありますから、議事録で確認をいたしました。蓮舫代表の発言。私は、選挙戦を通じてトランプ氏の物言いには大きな懸念を抱いていました、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の下の平等、日米関係の基本理念がもしかしたら揺らぐのではないか、選挙戦のときにトランプ候補者がお話しになられた、日米関係の基本理念がもしかしたら揺らぐのではないか、選挙戦のときにトランプ候補者がお話しになられた、宗教、民族、性差、明らかな差別の発言、あるいは特定の国を挙げてレッテル貼りをする非難と批判の応酬、私は、この方が大統領になられて、日米関係の共通理念、これが共有できるのかどうなのか非常に心配した。こういうものなのであります。━━━━━━━━━━少なくともアメリカは民主主義の国です、当然。国民の投票で大統領が決定をされる。━━━━━━━━━━かの国は元々狩猟民族と言われて……(発言する者あり)ちゃんと続くから、選挙中は同じ党内での討論であれ、まして選挙中の討論は批判、悪口の連続であることはよく知られているところであります。しかし、戦いが終われば全てノーサイド。そこがいいところなんですよ。だから、クリントン氏も負けを素直に受け入れて、トランプさんにアメリカの将来のためにエールを送った。(発言する者あり)
 質疑に陪席していた岸田外務大臣はこのような質疑に……
#200
○委員長(林芳正君) 中野委員、まとめてください。
#201
○中野正志君 どんな思いを持たれたか、感想を聞かせてください。
#202
○委員長(林芳正君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#203
○委員長(林芳正君) 速記を起こしてください。
 中野正志君。
#204
○中野正志君 簡単に申し上げます。
 もう一つは、会議の内容を公開せよと迫ったことなんであります。これはもう中身一々言いません。少なくとも、かつて政権を担った政党の代表であり、大臣を経験された人の発言すべき発言ではないと。━━━━━━━━━━(発言する者あり)
#205
○委員長(林芳正君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#206
○委員長(林芳正君) 速記を起こしてください。
 中野君、質問をしてください。
#207
○中野正志君 岸田外務大臣、新しい国務長官は未定のようでありますけれども、決定されたら、安倍総理と同じくできるだけ早く非公式であれ会談を設定されて、やっぱりパートナーとして深い信頼関係の第一歩をつくられるように期待をしたい。また、このTPP、トランプさんだって本人の一存で決められるわけではないと思う。ですから、新しい国務長官、私は大変重要なお役目を担うとも思う。
 ですから、岸田大臣が新しい国務長官にもこのTPP問題の本質をしっかり御説得をいただいて、何とか私たち賛成の各会派の、また安倍総理の決断のとおりになるように頑張っていただきたいと思いますが、決意のほどを伺いたいと思います。
#208
○委員長(林芳正君) 小川君から、ただいまの中野君の発言中に不穏当な言辞があるとの御指摘がありました。
 委員長といたしましては、後刻理事会において速記録を調査の上、適当な処置をとることといたします。
#209
○国務大臣(岸田文雄君) まず、日米関係は我が国の外交・安全保障関係の基軸であります。そして、日米両国は戦後七十一年間、自由、民主主義、法の支配、人権といった基本的な価値を共有しながら、揺るぎない関係を築いてきたと思います。そして、将来もこうした関係が基盤になると思います。よって、新政権との間においてもしっかりとした信頼関係を築いて、その新しい関係を積み重ねていかなければならない、このように思います。
 このように外交において信頼関係というのは誠に重要なものであり、十一月十七日のこの安倍総理とトランプ次期大統領の会談、これは信頼関係を構築するという意味において大切な第一歩であったと認識をしています。
 委員御指摘のように、これから新政権におきます国務長官も決定されることとなります。私としましても、そうしたカウンターパートとしっかり信頼関係を築くことによって、この次の新政権との間においてもしっかりとした関係を築き、日米関係を前進させていきたいと考えます。
#210
○中野正志君 是非そのように頑張っていただきたいと思います。
 石原大臣にお伺いをいたしますが、締約国の中にはベトナムやマレーシアなど国有企業が独占的な地位を占める国々があります。こうした国有企業の多くは、政府の優遇策によって民間企業より有利な条件で競争していることは間違いありません。実は、ベトナムに進出したいという人からも相談をいただいております。TPPには、国有企業がほかの締約国の企業を差別してはならないなどの規定、盛り込まれております。外国企業が国有企業と対等な競争条件で事業を行える基盤を確保したと言える。しかしながら、実際には、別途設けられております国別附属書、例外が規定されておりまして、進出した日本企業が公正公平な扱いを受けるのか、若干疑問もあります。
 この点について、政府としての御所見をお伺いをいたしたい。また、もしも日本企業が現地で差別的な対応を迫られた、あるいは扱いを受けた、そういう場合に日本政府としてどういう御対応をされるのか、お伺いをいたします。
#211
○国務大臣(石原伸晃君) 中野委員の御懸念は、例えばベトナムですと、先ほども政府参考人から御答弁させていただきましたように、山岳地帯とか遠隔地の人たち、こういう人たちが経済的に発展するために差を設けていたり、マレーシアが一番有名ですけれども、いわゆるマレー系の企業、ブミプトラですか、こういう人たちについて例外が定められている。その例外が進出しようとする日本企業に対してどういう影響があるのか、また、それに対して政府としてどうするのかという御質問だと承らせていただきました。
 その例外があることというのは、ある意味では、我が国のこれまですごく議論になっております農業、センシティブな項目でございます、各国このセンシティブな事項があるということを設けたからこそ、二十一世紀型の幅広い知財や様々な分野まで、広いルールも含めた合意がなされたということが前提にあるということも忘れてはいけないと思います。その一方で、委員の御指摘のとおり、日本企業が公正、あるいは不公平な扱いを受けることがあってはならない、その国の企業と対等、公平な戦いができなければ、商業活動でありますので、利益を生み出すことができない。
 十七章に定めますいわゆる無差別待遇の義務などに違反する扱いを受けた日本企業が出た場合ですけれども、政府は、TPP協定に基づく紛争解決手続、これは二十八章に規定されておりますけれども、これの違反措置の是正を求めることができますので、限られたところでは例外措置があるということを認識した上で、それでも急にルールを変えるとか急に税制が変わるとか、そういうことに対しては政府としてしっかりと物を言っていく、そういう規定が含まれているというふうに御理解をいただければと思います。
#212
○中野正志君 TPP発効によって、工業製品の約一〇〇%、九九・九%関税が撤廃をされると、中小企業によっては自らの輸出の機会、それが拡大をされると。また、大企業の輸出拡大を通じて、中小企業にもしっかりといい意味での間接的な市場拡大も見込めると。当然ながら、直接的な進出ということもあります。ビジネスチャンスを前に、本当に中小企業の皆さん、大変に関心を持っていただいておりまして、私たちもいろいろ相談もいただいております。
 いろいろ答弁の中で、経産省、中小企業庁は新輸出大国コンソーシアム、これを設立して、政府、自治体、あるいは商工会議所、地方銀行、あるいは政府関係のいろいろな機関、二千社以上の中小企業に対して専門家によるサポート体制もつくり上げて、現にいろいろな情報も提供していると伺っておるわけであります。
 しかし、やっぱり中小企業が具体的に進出をする、販路を拡大するという場合には、例えば現地法人、現地事務所を設立する、そういったこと一つを取ってもなかなか厳しい現実はあります。負担も大きいものがあります。助成金の拡充も含めて、手厚い中小企業対策を取ることを是非お願いをしたいし、重要だと思いますが、経産省の見解を承りたいと思います。
#213
○大臣政務官(井原巧君) 中野委員にお答えを申し上げます。
 先生御指摘のように、多くの中小企業の皆様方が漠然とした不安を払拭して、よし、海外に進出してチャレンジしてみようと、そういう勇気と希望を持てるような環境づくり、体制が必要というふうに私どもも考えております。
 そのためにこそ、まず、海外展開を希望する中堅・中小企業のワンストップの窓口として、先ほど先生から御指摘いただきましたように、新輸出大国コンソーシアムという、海外展開に関係する支援機関が集まって、縦横斜めに連携しサポートする体制をスタートしたところでございます。まずはこの身近な窓口をノックしていただければ、各段階において様々な支援策を紹介できる体制となっております。
 以下、段階について申し上げますと、まず、海外展開に必要な情報、そういう段階においては、海外の最新の市場動向等を無料で提供するとともに、ミラサポ等で施策の情報を提供するという事業がございます。
 次に、計画、準備をする段階ですけれども、海外展開の戦略策定を支援するとともに、新商品とか新しいサービスの開発やブランドづくりを支援するのにも補助制度をつくっております。
 そして、いよいよ海外進出の段階ということになりますが、海外の展示会への出展とか、あるいは海外バイヤーの招聘に通じた具体的な海外販路の開拓への支援を行うとともに、ジェトロの海外事務所を通じた現地での法務、労務、知財問題の解決等を支援するいわゆるプラットフォーム事業ですけれども、これも始めたところでございます。
 是非、経済産業省といたしましては、これらの取組を通じて、このTPPを契機にして、引き続き中小企業の海外展開について全力で取り組んでいく考えでございます。よろしくお願い申し上げます。
#214
○中野正志君 ちょうど時間となりました。
 終わります。
#215
○委員長(林芳正君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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