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2016/12/07 第192回国会 参議院 参議院会議録情報 第192回国会 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第3号
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2016/12/07 第192回国会 参議院

参議院会議録情報 第192回国会 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第3号

#1
第192回国会 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第3号
平成二十八年十二月七日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十二月五日
    辞任         補欠選任
     佐藤  啓君     山崎 正昭君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山谷えり子君
    理 事
                北村 経夫君
                島村  大君
                白  眞勲君
                山本 博司君
    委 員
                青山 繁晴君
                赤池 誠章君
                井上 義行君
                衛藤 晟一君
                塚田 一郎君
               三原じゅん子君
                山崎 正昭君
                大野 元裕君
                川合 孝典君
                柳田  稔君
                横山 信一君
                武田 良介君
                高木かおり君
                中山 恭子君
                伊波 洋一君
   国務大臣
       外務大臣     岸田 文雄君
       国務大臣     加藤 勝信君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宇佐美正行君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       審議官      白川 靖浩君
       外務大臣官房審
       議官       川崎 方啓君
       外務大臣官房審
       議官       相木 俊宏君
       外務大臣官房参
       事官       飯島 俊郎君
       外務省アジア大
       洋州局長     金杉 憲治君
       外務省北米局長  森  健良君
       防衛大臣官房審
       議官       土本 英樹君
       防衛省防衛政策
       局次長      岡  真臣君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に
 関する調査
 (国連安保理決議による対北朝鮮制裁措置に関
 する件)
 (拉致問題解決に向けた国際的連携に関する件
 )
 (拉致問題への取組に関する件)
 (拉致被害者の認定に関する件)
 (日朝間におけるストックホルム合意に関する
 件)
    ─────────────
#2
○委員長(山谷えり子君) ただいまから北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る五日、佐藤啓君が委員を辞任され、その補欠として山崎正昭君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(山谷えり子君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、警察庁長官官房審議官白川靖浩君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山谷えり子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(山谷えり子君) 北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○塚田一郎君 自由民主党の塚田一郎です。質問の機会をお与えいただきまして、感謝を申し上げます。
 拉致問題について何ら誠意ある対応を取ってこない北朝鮮は、引き続き国際社会に対して挑発的な行為を取り続けていることは明白であります。九月九日には、国際社会の大きな批判にもかかわらず、北朝鮮は核実験を強行いたしました。本年三月には国連安保理が決議二千二百七十号、これを実施したにもかかわらず、北朝鮮が再びこうした核実験の強行に至ったということは、これまでのこうした国際社会の圧力が十分に効果を発揮していないということではないかというふうに考えます。
 こうした状況の中、核実験から二か月経過いたしまして少し時間がたったことは残念ではありますけれども、十一月三十日に国連安保理において、九月九日の核実験を安保理決議違反と認定し、北朝鮮への人、物資、資金の流れ等に更に厳しく規制する内容の安保理決議第二千三百二十一号が全会一致で採択されました。また、十二月二日には、北朝鮮との人的往来の規制強化、北朝鮮に寄港した全ての船舶の入港禁止、資産凍結の対象となる北朝鮮の核・ミサイル計画等に関連する団体、個人の拡大から成る我が国独自の措置も発表されております。
 国連安保理決議二千三百二十一号においては、北朝鮮からの石炭の輸出に上限が設定されました。石炭輸入の規制は年間四億ドル又は七百五十万トンを上限とし、国連加盟国は北朝鮮からの輸入量を制裁委員会に報告する義務があります。また、制裁委員会はその報告を公表し、輸入量が年間上限に近づく場合は全ての国に通知をするという内容であります。これがどのように実効力を発揮するかが極めて今回の措置の中で重要なポイントであります。
 北朝鮮からの主な石炭輸入国は、申し上げるまでもなく中国であります。この中国が確実に、そして正確に制裁委員会に報告をする、そのことが担保されなければこの制裁の効果は発揮をされません。日本には、中国が決議を確実に実行するよう、あらゆるチャンネルで外交を展開する役割があると考えますが、外務大臣の認識をお尋ねいたします。
#7
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、中国は、北朝鮮に対する圧力を強化する上で大変重要な役割を担っています。国連安保理の常任理事国でもあり、六者会合の議長国でもあり、北朝鮮の貿易の九割は中国が占めている、こういったことを考えますときに、中国の役割、大変重たいものがあると考え、我が国としましても今日まで、九月、G20の際には安倍総理から直接中国に働きかけを行い、また、同じく九月に私も日中外相電話会談を行いまして、中国に対しまして働きかけを行った次第であります。
 結果としまして、今回、決議二三二一号、これ全会一致で採択されたこと、このことは評価したいと思いますが、おっしゃるように、今後実効性をいかに確保するかが重要だということで、中国を含めて関係国の実効性について、国連安保理の下に設けられております北朝鮮制裁委員会、そしてその下にあります専門家パネル、こういった組織としっかり連携しながら実効性を確認し、そして高めていく努力を今後とも続けていきたいと考えます。
#8
○塚田一郎君 繰り返しになりますが、中国が対北朝鮮の措置を厳格に実施するかどうかがキーであります。したがって、我が国がそのリーダーシップを国連においても発揮することを強くお願いを申し上げたいと存じます。
 北朝鮮政策においては、日米韓の連携の重要性は言うまでもありません。この間も日米韓が緊密に連携をして、北朝鮮の挑発行為に対して毅然とした対応を取ってきたということになります。今回も、国連の措置に連動する形で、我が国、そして米国、韓国がそれぞれの措置を講じたということがその現れだというふうに考えます。
 しかしながら、一方で、今般の韓国国内の内政の混乱、あるいは米国における新たな大統領が、政権が発足するという状況を踏まえて、今まで以上に我が国がこの日米韓の連携をリードしていく必要があると思いますが、この点についての外務大臣の御認識をお尋ねしたいと思います。
#9
○国務大臣(岸田文雄君) 北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させ、そして朝鮮半島の非核化を実現するために、日米韓三か国の連携、誠に重要であると認識をしております。九月には日米韓の外相会合を開催いたしました。私が議長を務めまして、日米韓の外相会合においてこの三か国の緊密な連携を確認したわけですが、こうした日米韓の連携についても、引き続きしっかり連携を強化していきたいと考えます。
 御指摘の独自の措置についても、しっかりと連携し検討を行ってきた結果、タイミングをしっかり三か国で合わせて、安保理決議採択から間を置かずして発動をするということ、これは三か国の毅然かつ断固たる措置を示すことができたものだと認識をしております。
 米国は政権移行期にあります。韓国は、今御指摘のような様々な国内の動きが存在いたします。しかし、是非、こういったときだからこそ、日本がこの三か国の連携、しっかりリードをしていきたいと考えます。
#10
○塚田一郎君 加藤大臣にお尋ねいたします。
 訪米、お疲れさまでございました。今回の政府主催のパネルディスカッション、ニューヨークで開催をされたと伺っております。こうした報告も含めて、この間、拉致問題解決にどのような取組を進めていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
#11
○国務大臣(加藤勝信君) まず、拉致問題そのものの解決は我が国政府の責任で図っていかなければならないというのが基本でありますけれども、それを進めていく上においても、国連あるいは関係各国と連携を取りながら対応していくことが極めて重要だと思っております。
 もう御承知のように、二〇一四年の三月のCOI報告書において、北朝鮮の人権侵害、これは人道に対する犯罪だと、こういった認識が示された。それからぐっと国際社会における関心が高まってきておりますし、そして現在、その北朝鮮の人権侵害に対する責任追及の取組が、先日、日本にもおいでになられましたキンタナ北朝鮮人権状況特別報告者を中心に行われております。私も訪日をされたときにお会いをさせていただいて、我が国の取組の姿勢、そして拉致被害者の方々あるいは家族の方々の状況等についてもお話をさせていただき、さらに同報告者並びに専門家グループに対する我が国としてもできる限りの協力をしていくということを申し上げさせていただいたところでございます。
 また、ちょうど私が訪米する直前でありましたけれども、今お話がありました、国連安保理において決議がなされたわけでありまして、そういう中でパネルディスカッションをやらせていただいた。大変高い関心をいただけたというふうに思っております。その中でも、私の方からは、拉致被害者及び家族の特に高齢化が進んでいて、もう本当に一刻も猶予ならないんだと、こういう事情、そして、国際社会あるいは国連において特に責任追及のプロセスを含めてしっかり連携をしていきたい、こういうことを申し上げ、また、この会合は日本だけではなくてEU、アメリカ、韓国、豪州の共催ということでございましたので、それに応じた各国の方も出てきていただいて、それぞれそういった形での議論を、また、会場からもたくさんの質問をいただきながら議論を深めることができたなというふうに思っております。
 そしてさらに、これから安全保障理事会で、過去二年、おととし、去年と北朝鮮の状況について御議論いただいておりますので、今年も是非そうしたことをお願いをしたい。それから、先般、国連総会の第三委員会で人権状況決議が通っておりますが、これも国連総会決議をお願いをするということで、安保理議長を務めておられますスペインの代表と、それから関係国ともお話をさせていただいて、そういった面での御協力もお願いをさせていただいたところであります。
 いずれにしましても、こうした国際社会の圧力をしっかりてこにしながら、一方で拉致被害者、特に御家族の方々、最近の動きに対して様々な意味での不安、懸念も持っておられるわけであります。そういった思いを共有して、一日も早い全ての拉致被害者の方々の帰国に向けて、その道筋をしっかりとつくっていけるように更に努力をしていきたいと思っております。
#12
○塚田一郎君 終わります。
#13
○川合孝典君 民進党の川合孝典でございます。
 三年間のブランクがございましたが、今年で七年目の拉致特の委員ということでございます。岸田外務大臣並びに加藤大臣には初めて御質問をさせていただくことになりますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 私、七年間、この委員会で委員をやらせていただいておりましたが、正直申しまして、七年間、これといった進捗、進展がないまま膠着状態でずるずると来てしまっているのが偽らざる感想でございます。こうした膠着した状況の中でどういう対応が今我々にできるのかという観点から、今できることを確実に少しでも前に進めていこうという、そういう観点から少し御説明をさせていただきたいと思います。
 質問通告もさせていただきましたが、北朝鮮向けのラジオ放送について御質問をさせていただきたいと思います。
 両大臣とも御存じかと思いますが、拉致被害者向けの短波のラジオ放送「しおかぜ」という、民間の団体が行っている拉致被害者向けのラジオ放送でございますが、こちら、既に二〇〇五年十月から短波放送を始めまして、現在では政府が業務委託を行う形で組織を一定分支援するということで取組をこれまでしてきていただいております。
 この組織でございますが、実は今年の九月から短波だけではなく中波で放送を開始しておるわけでございますが、残念ながら、このラジオ放送に対して断続的に北朝鮮国内から妨害電波が発信されているという、そういう情報が伝わってきております。十一月一日からはこの中波放送に対しての妨害電波というものもどうやら発信されているようでございまして、この状況の中で今我々が何をするべきなのかという、この点についての御質問ということでございます。
 調べてみましたところ、北朝鮮国内では、短波ラジオ以外に中波を使ったラジオでおよそ三割の家庭がラジオ放送を聞いていらっしゃると。短波と中波でいくと、中波の方が遠くまでなかなか届きにくいということはありますが、周波数帯が使いやすい周波数帯であるということもあって、北朝鮮でも普及しやすかったということでもあるんでしょうが、こうした大勢の方が聞いていらっしゃるということを前提としてこの「しおかぜ」が中波放送を行っている、第三国を経由してということですが、放送を行っているわけですが、これに対しても妨害電波が出されているということであります。
 こうした事実は、北朝鮮国内におられる拉致被害者の皆様、また北朝鮮の人民が日本から発信されている情報を、そうした情報を北朝鮮として聞かせたくないという思いがあるがゆえにこういうことをやっているわけでありまして、裏返せばそれだけ効果のある実は活動だとも言えるわけであります。
 しかしながら、短波放送と違ってこの中波放送というのは運営にかなりコストが掛かるということらしいんです。実は、三十分で短波だと六千数百円、ところが、中波放送を行いますと三十分当たり四、五万円の実はコストが掛かってしまうということでありまして、民間の団体がこうした運用を行うというのは非常に厳しい状況でございます。
 今の拉致問題に関する状況が膠着状態に陥っている状況の中で物事を動かしていこうと思ったときに、数少ないツールであるこのいわゆる北朝鮮向けのラジオ放送を何とか充実させていきたいというふうに私は考えておるわけでございますが、この中波による放送に対して政府から御支援がいただけないかということについての御質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
#14
○国務大臣(加藤勝信君) 今お話がありました特定失踪者問題調査会による北朝鮮向けラジオ放送「しおかぜ」、これは拉致問題の解決に向けて、一つは拉致被害者の方々に対する応援のメッセージを届けたいという思い、それからもう一つは、北朝鮮の方々に対してこの拉致問題の関連情報を発信をしていくことによってまたこの問題を解決に向けて流れをつくっていきたい、そういうことでやっておられる。
 そして、今お話がありましたように、これまでは短波放送でやっておられたわけですけれども、それに加えて、モンゴルをその発信地というんでしょうか、発信局として中波放送で放送されるようになったということでありますから、結果的に、短波のみならず中波でも聞けることができるということは、それだけ聞く機会あるいは聞くことのできる人が増えていくと、こういう可能性が高まっているものというふうに我々も評価はさせていただいているところでございます。
 その上で、今後の対応については、我々もこうした効果のある対応をしっかりやっていくということは当然の観点でございますので、そういった立場に立ちながら、今回のこの状況等も踏まえて、我々としてもできる対応を適切に検討、どういうことができるのか検討させていただきたいと、こういうふうに思っております。
#15
○川合孝典君 ありがとうございます。
 この問題に関してちょっと調べてみましたところ、いわゆる中波放送というのは国内向け放送ということで、国際法上の放送のルールによって海外向けに中波放送を行うということが規制をされているということについて放送法に記載されていることを実は知りました。
 したがって、このルールに従ってこの中波をどうするのかということを考えたときには、国際法に抵触することにもなりますのでなかなか難しいということにはなりますが、ただ、北朝鮮向けに放送しているものをどう応援する云々ということではなく、国内で放送しているものが北朝鮮に届いてしまっているという状況に対してまで法律は規制しているとは言えないとも取れるわけでございますので、ここはこれ以上、私申し上げませんけれども、そうしたことも含めてあらゆる可能性というものを検討していただいて、この数少ない、北朝鮮におられる毎日厳しいつらい思いしておられる被害者の方々に対してメッセージを送り続ける、さらには、北朝鮮だけではなく国内の日本の国民の皆様にもこの問題についての問題喚起、問題提起を行っていくという意味でも、この活動に対してより一層政府には積極的にお取組をいただきたいというのが私からのお願いでございます。
 続きまして、もう一つ、次の質問にさせていただきたいと思います。拉致認定の在り方について少し御質問をさせていただきます。
 松本京子さんが拉致の認定、政府認定拉致被害者として認定をされてから以降、ここに至るまで十年間にわたって新たな政府の拉致認定というものが実は行われておりません。三問目の質問にも書かせていただきましたけれども、何人か拉致被害者の認定基準を満たしている方がおられるわけでありますが、にもかかわらず認定がされていないという今の状況について、これが一体どういうことなのか、政府が拉致認定を行うに当たってどういう基準をクリアしなければいけないのかということを改めて確認をさせていただきたいと思います。
#16
○国務大臣(加藤勝信君) 拉致被害者の認定に関しては、関係府省庁による捜査、調査の結果を基に、北朝鮮当局によって実行された拉致行為の有無、これを判断基準として行っているということであります。
 現在も、拉致の可能性を排除できないという事案については関係府省連携して鋭意捜査、調査を行っているところでありますけれども、これまでのところ、今委員確定しているという、おっしゃいましたけれども、我々の認識においては北朝鮮による拉致行為があったということを確認するに至ってはいないという状況でございます。
 ただ、いずれにしましても、政府においてはこの事案の真相解明に向けて全力で取り組んでまいりますし、また、北朝鮮による拉致行為があったと確認された場合には速やかに拉致認定をしていきたいと、こういうふうに思っております。
#17
○川合孝典君 そういったスタンスでこれまでお取組をしてこられているということについては私も認識しておるわけでありますが。
 個別の事例ということになりますけれども、例えば寺越武志さんという方がいらっしゃいます。この方は、これまで拉致の認定に当たっての基本的な三要件として言われてきた、北朝鮮の国家意思が推認されるということと、それから本人の意思に反して連れていかれたということ、そしてさらには北朝鮮に入った証拠や証言があるという、こうしたことを総合して類推して拉致されたものと認めているということだと従来警察庁の長官が当時言ってこられました。政府としてはそのことを明らかに認めてはおられないということも実は書かれておるわけでありますが、この実は寺越武志さんという方は、そうした従来の認定基準となる三要件を全て満たしておられる方であります。さらには、本人が北におられて御家族にも会っておられるという事実もこれまで確認されているわけでありますが、にもかかわらず、この方も認定されていないということなんです。
 その方以外にも、大澤孝司さんですとか藤田進さんといった、警察が、拉致されて生存されているということを認めておられる方もおられるわけでありますが、そうした方も含めて拉致認定がされていないというのが今の状況ということでございまして、そうした状況について、大臣、どうお考えになられますでしょうか。御説明をいただければと思います。
#18
○国務大臣(加藤勝信君) 済みません、ちょっと個々のことについて今ここで申し上げる資料がないので恐縮でありますが、基本的な姿勢は、先ほど申し上げたように、当局によって実行された拉致行為の有無が判断基準ということでありますので、それに基づいてこれまでも対応させていただいております。これからもそういったスタンスで対応させていただくということになると思います。
#19
○川合孝典君 今申し上げたことは、要は、きちんと拉致認定しないからけしからぬじゃないかということを申し上げているわけではないんです。そうではなくて、要は、拉致被害者の認定をきちんとしないと対策を始めることもそもそもできないということになってしまうわけでありまして、したがって、可能性のある方についてはきちんと認定をした上で政府総掛かりできちんと拉致被害者の救出に向けた取組を始めていただくという、スタートラインに立てるかどうかということの議論なんです。
 従来から拉致担当の大臣は同じ答弁を実は繰り返してこられております。その結果今があるということを考えたときに、従来の考え方を踏襲するということだけでは物事が前に進められないのではないかという私の問題提起として受け止めていただきたいというのが私からのお願いということであります。
 そういたしましたら、もう一点だけ指摘をさせていただきたいと思います。
 拉致被害者のいわゆる支援法という法律がございますですよね、拉致被害者支援法。この法律に基づいて要は拉致被害者の帰国後の支援というものを行うと同時に、拉致被害者の認定を行うに当たっての基準にも実はこの法律がなっております。高敬美さんですとか高剛さんのきょうだいが拉致被害者の認定されない理由にも、この支援法上の国籍の規定があるからということも実は聞かせていただきました。
 この実は支援法という法律は、帰国された方々をどう支援するのかという枠組みの法律であって、元々まだ帰国していない人、いるかいないかも分からない状況で帰国していない方を支援する、若しくはその方々に対してどう向き合っていくのかということを想定した法律立てになっておりません。しかしながら、その支援法を使って認定を行ったりということも現状やっているわけでありまして、そのことの結果、法律の手続上の限界がすぐに来てしまうというのが今の状況なんだろうというふうに実は私認識いたしておりまして、この認定の在り方も含めて今後法整備をきちんとして、ここに至って新たな拉致被害者が見付かったということが仮にオープンになったときに、今まで分からなかったのか、警察や政府は一体何をやっていたんだという批判の声が出るかもしれないということを恐れていたのでは何もできないと思うんです。
 したがって、今申し上げましたように、この支援法の枠組み自体をもう一度きちんと見直して、認定の在り方もきちっと整理できる、この取組に関わっておられる省庁の方々や警察関係者の方々も安心して活動できるような枠組みというものをきちんと整備すべきだと私考えますが、大臣、この点についていかがお考えでしょうか。
#20
○国務大臣(加藤勝信君) 今委員御指摘のように、北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律、これにのっとっているわけでありますし、そこの中において、被害者とは北朝鮮当局によって拉致された日本国民と、こういうことになっておりますので、高さんの場合にはこれが該当しないということであります。ただ、拉致をされているかどうかということに関しては、警察当局による捜査、調査の結果、北朝鮮による拉致によるものというふうにこれは判断はされているという事案だというふうに認識をしております。
 その上で、特定失踪者の皆さん方からも、私もいろんな集会に出てお話を聞くときに、やはり認定されているのとされていないのと全然違うんだというお話はいただいているところでございます。ただ、政府としては、認定している人のみが拉致されているということではなくて、それ以外にも拉致されている方はいるだろうという、こういう蓋然性に立って、我々としては認定の有無にかかわらず全ての拉致被害者ということでこれまでも対応してまいりましたし、これからもそうした全ての拉致被害者の方々の帰国、この実現に向けて努力をしていきたい、こう考えております。
#21
○川合孝典君 高さんのごきょうだいのことに関しては、安倍総理も、日本国籍であろうとなかろうと、日本の法律を破って日本の国内から子供を連れ去るのは許されないとはっきり明確におっしゃっておられるわけでありまして、条件に合う合わないというのが手続上、当然様々な手続を行う上で国籍というのが一つの障害になるのはこれ事実でありますけれども、国内で違法行為をされたという事実がある以上、そのことに対してどう向き合っていくのかということはこれ国の姿勢が問われる問題だと思いますので、今すぐ何かをということをお答えを求めてもこの場で回答できる内容ではございませんけれども、是非そういう姿勢で大臣にはお取組を進めていただきたいということでございます。
 あと一点だけお願いをさせていただきたいと思います。拉致被害者の家族の皆様に情報をどういう形でお伝えしていくのかということについてであります。
 個別の案件ですから、当然オープンにできる情報、公開捜査するのでもない限りは情報をオープンにしにくいと、今後裁判になったときに手続上様々な問題も生じるかもしれないから情報を開示しにくいという、そういう事情があることは重々承知いたしておりますが、政府が拉致被害者として認定をされたということは、そこに至るまでの具体的な様々な情報をお持ちなはずでございます。
 私が申し上げたいのは、我々に知らせろということではなく、何十年間も心配し続けておられる御家族の皆様に、そうした情報のうち開示できる情報を是非お伝えしてあげていただきたいということについてのお願いなんです。どこでどういう状況でどうやって連れ去られたのかということも含めて、全く情報が知らされていないといったようなケースもあるということを実は伺っておりますので、そのことが私から一点、大臣へ御検討いただきたいお願いであります。
 あと、最後に、これで最後にしますが、これまで民主党政権の時代には、月に一回、家族会との意見交換会というか情報交換の場を設けていらっしゃったということを先ほど実は伺いました。話合いをする機会があることで、情報交換をすることで様々な問題を前に進めていけるチャンス、きっかけというものもつくれると思いますので、是非大臣の下でもそうした取組をしていただきたいということをお願いさせていただきまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#22
○白眞勲君 民進党の白眞勲でございます。
 先日、当委員会において、外務大臣から北朝鮮をめぐる最近の情勢について御説明いただきました。また、今回、新たな安保理決議は、初めて主文において拉致問題を始めとする北朝鮮の人権・人道問題に対する安保理の強い懸念を入れ込んだことは、私、本当に素直に評価したいというふうに思っております。
 また、加藤大臣におかれましても、先ほど塚田委員からありましたとおり、先週、ニューヨーク国連本部に行かれて、パネルディスカッションや、さらには安保理理事国各国の政府関係者に会って働きかけをしたことも、国際社会に広く拉致問題を訴えていくことは私もとても重要だと思っておりますので、非常に良かったなというふうに、これも素直に評価、私はしたいなというふうに思っています。議会としても行くことを了承して良かった、そういうふうにも考えているわけでございますが。
 そこでお聞きしたいのが、今回安保理決議でこの人権の内容を入れたということで、それを守らなかった場合、つまり北朝鮮の人権状況、とりわけ、いまだ特別調査委員会の結果も出していない北朝鮮による拉致問題に対して、日本政府としてどのような今後国連に対して働きかけをしていくか、国連に対してです、働きかけをしていくかという点についてちょっと外務大臣にお聞きしたいんですけれども、今後、拉致に対して今までのように何の音沙汰もない場合にどうするおつもりなのか、お答え願いたいというふうに思います。
#23
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、今般の国連安保理決議二三二一号は、人権そして人道問題に関する言及を強めた内容になっています。初めて主文に人権・人道問題が盛り込まれたなど、内容においてこの問題を強く訴えている内容になっております。これは国際社会のこうした人権・人道問題に対する強い懸念を示すものでありますから、これをしっかり踏まえて、我が国としましても、今後、二国間会談ですとかあるいは国際会議において、この拉致問題、しっかり提起をしていかなければならない、このように考えます。
 そして、今後の対応につきましては、様々な切り口があると思います。例えば、本年三月、人権理事会において採択されました北朝鮮人権状況決議に基づいて、本年九月、国連人権高等弁務官事務所は、北朝鮮における人権侵害に係る説明責任の問題に重点的に取り組む独立の専門家を指名しました。六か月間活動し、来年三月の人権理事会に北朝鮮の人権侵害に係る説明責任を追及する方策について勧告を含む報告書を提出する、こうした取組も進められています。
 こうした様々な取組に我が国としまして協力する形で、いろいろな方面から北朝鮮に対して、国際社会がいかにこの問題について強く懸念を持っているか、こうしたメッセージを伝えていく、この取組を重ねていくことが重要であると認識をいたします。
#24
○白眞勲君 外務大臣にお聞きいたします。
 本当に今おっしゃるとおりだと私も思うんですね。今、二国間会談も通じてということをおっしゃいましたが、去年の八月六日に外務大臣は北朝鮮の李洙ヨン外務大臣に直接の働きかけをいたしました。そのときの御答弁では、その反応を見極めて、我が国として効果的な対応をしなければならないと発言されております。もう既に一年四か月たっちゃったんですね、あの人と会ってから。
 何も北朝鮮側から音沙汰がないのであるならば、やはり具体的な対応、今おっしゃいましたように、様々な中に、ICCに付託、これは人権委員会がもう安保理に金正恩氏をICCに付託しろとしていますよね。ですから、こういったものをより働きかけることがもう既にあるんではないんだろうか、つまりICCに対して付託する必要があるんではないか、そういうふうにも思うんですけれども、外務大臣の御見解はいかがでしょうか。
#25
○国務大臣(岸田文雄君) ICCに対する付託について御指摘がありました。これは、先月国連総会の第三委員会において採択されました北朝鮮人権状況決議において、北朝鮮の事態の国際刑事裁判所、ICCへの付託の検討等を通じて安保理が適切に行動を取る、こうしたことを促している内容が盛り込まれています。
 我が国は、この北朝鮮人権状況決議の共同提出国でもありますし、そして現在、安保理理事国でもありますので、この問題についても真剣に検討していかなければならないと思いますが、ただ、現実を見る場合、この安保理によるICC付託、これ五常任理事国を含む九理事国の賛成が必要であるということでありますので、現実を見た場合、そう簡単なことではないというのも現実ではないか、このように感じます。
 ただ、今申し上げましたような問題意識を持って今後対応を検討していきたいと考えます。
#26
○白眞勲君 いや、まさにそうなんですね。
 今、常任理事国という話がありました。それで、今、塚田委員からも、中国についての働きかけを強めていくということも外務大臣、今おっしゃっていただいた。
 そしてまた、先日、ロシアのラブロフ大臣に、大臣、お会いされていますよね。拉致問題、提起したんでしょうね。
#27
○国務大臣(岸田文雄君) 当然のことながら提起をし、北朝鮮問題全体についてもお互い率直な意見交換を行い、そして特に先日採択されました安保理決議の実効性を高めるという点についてはしっかり協力をしていこうということについても一致をして帰ってまいりました。
#28
○白眞勲君 つまり、中国とロシアがいわゆるICC付託に対しての一番の大きなポイントになる部分だと思うんですけれども、その二つの国に対して、もし仮にですよ、もしその二つの国が何らかの形で前向きな対応があったらICCにどんどん付託すると、どんどんというのか、ICCに付託するということをもうどんどん実現性を高めていくということで、もう一回確認ですが、よろしゅうございますね。
#29
○国務大臣(岸田文雄君) そのICCの付託について今現在どの国がどういう態度を取っているのか、ちょっといま一度確認をしてみなければならないと思いますが、ただ、先ほど申し上げましたように、先ほど紹介させていただきました決議の共同提案国でもあり、安保理の非常任理事国である我が国として、この問題について真剣に検討していくことは大事、重要なことではないかと認識をいたします。
#30
○白眞勲君 ありがとうございます。非常に前向きな答弁、ありがとうございます。
 そしてまた、安倍総理がトランプ氏と会っています。外務大臣は、拉致問題を安倍総理が話したということを聞いていますか。
#31
○国務大臣(岸田文雄君) 十一月十七日に行われました安倍総理とトランプ次期大統領との会談については、日米間における様々な課題を中心に、重要な課題について率直な意見交換を行ったということでありますが、ただ、これは度々申し上げているんですが、この会談、まず非公式な会談であり、そしてトランプ次期大統領と安倍総理との間で、今現在まだオバマ政権が任期の中にあります、ここで何か具体的なことを話したというようなことが明らかになると、さも大統領が二人いるような誤解を招くことにもなりかねない、そういった配慮から、是非具体的な中身については控えようということで一致をしたと聞いております。
 ですので、私の立場からも、具体的に何を話したのか話さなかったのか、これについて明らかにする等は控えるべきだと考えております。
#32
○白眞勲君 加藤大臣は聞きましたか、これ、拉致問題を話したかって、安倍総理に。
#33
○国務大臣(加藤勝信君) いずれにしても、今の外務大臣と同じスタンスで我々対応しているところでございます。
#34
○白眞勲君 いや、でも、担当大臣としてはこれは、いいですか、どういうやり取りがあったかじゃないんですよ。拉致問題について取り上げましたかぐらい聞いたっていいんじゃないですか。
#35
○国務大臣(加藤勝信君) いや、いずれにしても、どういうことを話したか含めて申し上げる立場にはないということであります。
#36
○白眞勲君 やっぱりもう少しその辺は、加藤大臣いろいろな大役を、大臣いっぱいいただいていらっしゃいますので、そういう中で忙しいのは分かるんですけれども、やっぱりこれは、安倍総理がどう答えるかはどうあれ、やっぱり言っておくべきことは言っておいた方がいいんじゃないかなと私は思います。
 それで、加藤大臣にお聞きいたします。
 当日の当委員会での御発言の中に、ストックホルム合意や特別調査委員会のことがこの中に入っていないんですね。なぜ言及されなかったんでしょうか、お答えください。
#37
○国務大臣(加藤勝信君) 済みません、当日の委員会ってどういうあれなんでしょうか。
#38
○白眞勲君 北朝鮮をめぐる最近の状況についての説明の聴取についてですね、委員会で。
#39
○国務大臣(加藤勝信君) いや、もちろんそれを前提としてお話をさせていただいておりますので、あえてそれに触れていなかったということでございます。
#40
○白眞勲君 いや、外務大臣はストックホルム合意に基づきと書いてあって、加藤大臣の方にはストックホルム合意も特別調査委員会も何も触れていない。これ初めてなんですよ。今まで触れていたんですよ。何でですか。
#41
○国務大臣(加藤勝信君) いや、ですから、それは当然の前提ということでありますから、あえて触れていないということでございます。
#42
○白眞勲君 当然の前提だったら、前回だって触れなくてもよかったじゃないですか。なぜ今回は触れなかったのか、それを聞いているんですよ。
#43
○国務大臣(加藤勝信君) それぞれ、そうすると常に一字一句一緒でなければならないということになるわけでありますから、やはりこの段階でしっかりと言うべきところ、強調すべきところを盛り込ませていただいたということでございます。
#44
○白眞勲君 つまり、ストックホルム合意というのは強調すべきところではなかったということですね、今の話ですと。
#45
○国務大臣(加藤勝信君) いや、今申し上げたのは、最近の情勢を踏まえて、強調すべきところがどういうことかということでお話をさせていただいたということでございます。
#46
○白眞勲君 つまり、最近の情勢を踏まえると、ストックホルム合意はなかったということになっちゃうんですよ。そういうことでしょう、今。最近の情勢に、頭の中にストックホルム合意がなかったということなんですけれども、これ、行ったり来たりやってもあれなので。
 ここでちょっと、これは外務大臣の方に聞いた方がいいかな、外務大臣にお聞きいたします。ストックホルム合意に基づきとわざわざ書いてありますが、今、特別調査委員会は存在しているでしょうか。
#47
○国務大臣(岸田文雄君) まず、ストックホルム合意については、一昨年の五月合意されたものですが、これは、既に拉致問題は解決済みだとして固く扉を閉ざしていた北朝鮮を交渉の場に引っ張り出し、そして、日本人に関する包括的かつ全面的な調査を約束させるという意味でこれは意味があったと思います。ただ、それから二年以上たった今も拉致被害者の帰国が実現していないこと、これは痛恨の極みであると考えます。
 そして、今、拉致問題も含めて核・ミサイル問題、こうした諸懸案を包括的に解決するために、安保理において強い決議を採択し、そして我が国も独自の措置を新たに行ったわけであります。
 こうした圧力を強めているわけですが、ただ、拉致問題という問題の性質上、これを解決するためには、対話という要素はこれはなくてはならないと認識をしています。そういった観点から、ストックホルム合意は我が国の方から破棄することは全く考えていませんし、これからも考えないと思っております。
 是非これからも、対話と圧力、この両方の方針の下、さらには行動対行動の方針の下、しっかりと諸懸案を包括的に解決するべく努力をしていきたい、このように思っています。
#48
○白眞勲君 いや、外務大臣、長々しゃべってくれるのはいいんですけど、私は簡単に聞いているんですよ。特別調査委員会は今存在しているんでしょうかと、それだけ聞いているんですけど、それについて答えてください。
#49
○国務大臣(岸田文雄君) 今申し上げたように、我が国としてストックホルム合意は破棄しておりませんし、我が国から破棄するつもりはないということであります。
#50
○白眞勲君 いや、だから、ストックホルム合意イコール特別調査委員会じゃないじゃないですか。特別調査委員会は今はあるんですか、ないんですか、どちらなんですか。
#51
○国務大臣(岸田文雄君) ストックホルム合意は、我が国として、存在しなければならないと思っております。そして、特別調査委員会はストックホルム合意に基づいて設けられているものであると考えます。
#52
○白眞勲君 いや、だから、答えていないですよ。だから、今あるのかないのか聞いているんですよ、今。どっちなんですか。あるかないかだけですよ。
#53
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国は、合意に基づいて取組を進めるべきだというふうに思っています。そして、合意の中にこの特別委員会が位置付けられているわけですから、この特別委員会の枠組みの下に対話は続けられるべきであると考えています。(発言する者あり)
#54
○委員長(山谷えり子君) じゃ、速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#55
○委員長(山谷えり子君) 速記を起こしてください。
 岸田外務大臣。
#56
○国務大臣(岸田文雄君) 北朝鮮側が特別委員会を解体するという発言をした、このことは承知をしています。ただ、それは、我が国は全く認めておりませんし、ストックホルム合意を破棄するつもりは全くありません。
 よって、我が国の認識としては、ストックホルム合意に基づいて特別委員会は存在していると認識をしております。
#57
○白眞勲君 それ、何で早く言わないんですか。簡単な話じゃないですか。私だってそう答えようと思っていたところなんですよ。
 つまり、北朝鮮は特別調査委員会の解体を宣言している。しかし、ただ、そこでポイントなのは、まず最初にストックホルム合意があったときに、制裁を解除するとストックホルム合意には書いてあるわけですよ。ところが、今も大臣もおっしゃったように、ミサイルと核実験をしたから、もう一度日本は制裁を加えたわけですよね。今度は北朝鮮が特別調査委員会の解体を宣言した。そうしたら、今回、日本が独自の制裁を加えたというふうになるわけですね。
 今、ストックホルム合意は今あるんだということを言った。そうすると、また特別調査委員会を復活させていると宣言したら、これ制裁を解除する形になっちゃうんですか。北朝鮮が特別調査委員会を復活させると宣言しちゃったら制裁は解除することになるんじゃないですか、このストックホルム合意が、もし基づきということであるならばね。
 私はこんなことはやる必要ないと思っていますよ。でも、そういう形にしかこのストックホルム合意は読めないんですよね、私。ちょっとこれ、どうなっているんでしょうかね。この辺ちょっと教えてください。
#58
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、我が国は新たな安保理決議の採択に努力をし、そして米国、韓国とも連携しながら独自の措置を発表したわけでありますが、こうした取組は北朝鮮の新たな核・ミサイル問題における挑発行動、そして行動のエスカレート、こういったものを受けて取り組んだ結果であると考えています。
#59
○白眞勲君 いや、だから、言っていることがさっぱり分からないんですけど。
 いずれにしましても、やはりこれストックホルム合意を今もこれからもその合意はと言うんですけれども、加藤大臣もこの文章の中にもう入れなくなっちゃったんですね。だから、そういったことを考えると、そろそろストックホルム合意については別のスタイルで私はもうやっていくべきなのではないのだろうかと。対話と圧力、それは結構ですよ。しかし、ストックホルム合意自体については、もうこれは我々は破棄するべきであるというふうに考えているところです。
 以上です。終わります。
#60
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。本日は、両大臣の所信ということでお伺いをしたいと思います。
 本年、北朝鮮は挑発行動を繰り返しておりまして、これは断じて受け入れられることではなく、大変遺憾であることをまず表明をしたいと思います。
 一月の四回目の核実験、これを水爆実験と称して実験を行いました。さらに、九月九日には五回目の核実験として核弾頭の爆発実験を行ったと表明しております。また、核実験とともに大量破壊兵器の運搬手段であります弾道ミサイルの発射実験も繰り返し行っており、本年は新型のムスダン、また潜水艦発射弾道ミサイル、SLBMの実験を行っておりまして、技術的な進展を狙っているものと考えられます。
 こうした北朝鮮の核実験、弾道ミサイル発射実験は、我が国に対しまして安全保障に対する直接的な脅威であるとともに、NPTやIAEAによります国際的な核不拡散体制を脅かすものとして国際社会への、秩序への挑戦であるとも言えると思います。
 その意味で、この北朝鮮の核・ミサイル開発につきまして、我が国の安全保障の観点から、また国際的な核不拡散体制の観点から、その脅威認識に関しまして岸田外務大臣に見解を伺いたいと思います。
#61
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、本年に入って北朝鮮は二回の核実験、そして二十発以上の弾道ミサイルの発射を繰り返すなど、こうした挑発行動、ますますエスカレートしていると感じます。こうした挑発行動を通じまして、北朝鮮が核・ミサイル能力を増強していること、これは間違いないと思いますし、このことは我が国にとりまして新しい段階の脅威であると認識をします。
 そして、今御指摘のように、この北朝鮮による核・ミサイル開発、これ、関連する安保理決議に対する明白な違反であるのみならず、NPT、核兵器不拡散条約を中心とする国際的な軍縮・不拡散体制に対する重大な挑戦でもあると認識をいたします。
 こうした認識の下に、我が国は国際社会とともにしっかり連携をしながら、北朝鮮に対し自制を求め、そして累次の安保理決議ですとか六者会合の共同声明等の遵守を求めていかなければならないと考えます。
#62
○山本博司君 次に、拉致問題の現況打開に向けての認識を伺いたいと思います。
 北朝鮮による核実験、また弾道ミサイル発射事件が続く中で、我が国にとりましては最重要課題でございますこの拉致問題を早急に解決するためにもあらゆる手段を尽くす必要がございます。
 今、国際社会全体がこの北朝鮮の核・ミサイル開発に注目している中で拉致問題が取り残されるのではないかと、拉致被害者家族やそして関係者の方々は非常に危惧をされておられます。日朝間にありましては、先ほどからお話がありますストックホルム合意の後で、対話と圧力の方針の下で北朝鮮と対峙をしてきたわけでございます。国連安全保障理事会の決議による制裁措置や、また我が国独自の制裁措置によって圧力は強化をされ、それをてことして拉致被害者の救出のための対話の道を追求をしていかなければならないという、今大変難しい局面に来ていると思います。
 加藤大臣は、先週もニューヨークで国連の事務総長と会談するほか、シンポジウム等にも出席をされて、拉致問題解決に向けて積極的な取組をされていると思います。また、米国や韓国との連携も重要な課題であると私は思っております。この拉致問題、最重要課題と掲げる安倍政権として、この状況をいかに打開をしていこうとしているのか、加藤大臣の決意をお伺いしたいと思います。
#63
○国務大臣(加藤勝信君) まず、いまだ拉致被害者の方々の帰国が実現をしていない、またそれに向けての道筋も見えていない、誠に痛恨の極みであり、私、担当大臣としても、被害者、家族の方に申し訳ない、こういう気持ちでございます。
 その上で、今御指摘がありましたように、一連の北朝鮮の挑発的な行為、核開発、弾道ミサイルの発射等に対して、国連の新たな決議あるいは我が国含めた独自の制裁措置、こうした中で、御家族の皆さん方もそうした必要性については理解をし歓迎をしている部分がある一方で、この拉致問題が取り残されてしまうのではないか、あるいはこうした救出が遠のいてしまうのではないかと、こういうような不安や懸念も抱いておられますし、そしてまた、拉致問題が発生してから四十年以上たっている方もいらっしゃいます。
 この間には、当然、拉致被害者御本人、また家族の方々も高齢化をしていく中で、一刻の猶予も許すことができない、猶予もないというかなり切迫した思い、こうした思いを我々もしっかり共有をしながら、確かに状況はなかなか厳しい状況の中にはありますけれども、逆にこうした国際的な圧力が高まる中で、それをてこにしながら、また向こう、先方の北朝鮮のやっぱり動向もしっかり見据えながら、どういう方向がこの拉致被害者の帰国につながるのかよく模索をしながら、我々としてはあらゆる政策を駆使してこの問題の解決を図っていきたい、こういう姿勢をこれからもまたこれまで以上にしっかりと堅持して取り組んでいきたいと思っております。
#64
○山本博司君 大臣、ありがとうございます。もう是非ともしっかりとした対応を引き続きお願いをしたいと思います。
 次に、十一月三十日に国連安全保障理事会で採択されました決議でございます第二三二一号につきまして、その内容、そして政府の認識に関しまして確認をしたいと思います。
 今回の安保理決議におきましては、これまで抜け穴となっておりました北朝鮮からの石炭輸入の規制につきまして、二〇一七年一月以降で、年間で約四億ドル又は七百五十万トンを上限とするということになったわけでございます。これは、二〇一五年に比べまして輸出量が六二%の減となる計算であるというふうに聞いております。
 まず、今回の石炭の輸入規制の目的、この規制の狙いに関しまして説明を願いたいと思います。また、この石炭輸入規制はどのような仕組みでその実効性を確保しようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
#65
○政府参考人(飯島俊郎君) お答えいたします。
 安保理決議第二三二一号は、九月九日の北朝鮮による核実験等を受け、本年三月の安保理決議第二二七〇号を強化し、北朝鮮への人、物、金の流れ等を更に厳しく規制するものであり、特に、委員御指摘のとおり、北朝鮮の外貨収入源となっている北朝鮮からの石炭輸入について、生計目的の輸入であっても年間で約四億ドル、七百五十万トンの上限を設定したものでございます。
 安保理決議第二三二一号を始めとする累次の安保理決議の履行につきましては、安保理の下部機関である北朝鮮制裁委員会が、各国が措置を実施するために取った行動及び制裁違反に関する情報の収集、検討等を行っております。特に石炭につきましては、加盟国が北朝鮮からの毎月の輸入量を北朝鮮制裁委員会に報告し、北朝鮮制裁委員会は、報告された輸入量や報告書を基に委員会が算出した輸入額等をウエブサイトで公表し、輸入額又は輸入量が年間の上限に近づく場合には北朝鮮制裁委員会が全ての加盟国に通知をする形で実効性の確保を図ることとしております。
 我が国は、北朝鮮からの石炭の……(発言する者あり)はい。中国を始めとする加盟国が決議を全面的に履行するように積極的に関与してまいりたいと思っております。
#66
○山本博司君 先ほどからも、この議論、中国を含めてしっかり実効性を高めるということが大変大事でございますので、その確保をお願いをしたいと思います。
 続きまして、同じく安保理決議の中で、この特徴の一つとして、先ほども出てまいりましたけれども、北朝鮮の人権状況について深い懸念を表明して、北朝鮮が北朝鮮の人々のことを顧みず核兵器及び弾道ミサイルを追求していることを明確に非難したことが挙げられております。
 我が国は、EUとともに毎年、北朝鮮人権状況決議を国連総会や第三委員会に提起し、その決議の採択に尽力をしてきたわけでございます。また、近年、安全保障理事会におきましても北朝鮮の人権問題が議題として掲げられ、会合も開催されております。
 この拉致問題を含む北朝鮮の人権問題を安保理決議で初めて明確に取り上げた意義を外務大臣にお伺いしたいと思います。
#67
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の決議における人権問題ですが、今回の人権決議では新たに、北朝鮮にいる人々が受けている深刻な苦難に対し深い懸念を改めて表明するとともに、北朝鮮にいる人々の福祉及び固有の尊厳を尊重し確保することの必要性を強調するなどの言及が含まれました。
 この北朝鮮にいる人々には、我が国を含む各国からの拉致被害者も当然含まれることで関係国の認識は一致をしております。加えて、こうした記述が、従来は前文に書かれていたものが主文に書かれるということで、言及が強められています。これについては、国際社会全体のこの人権問題に対する強い懸念が強く示されたものであると認識をしております。
#68
○山本博司君 ありがとうございます。
 時間の関係で質問を飛ばさせていただきます。
 最近の北朝鮮をめぐる各関係国の動向について、政府の認識を伺いたいと思います。
 まず、アメリカですけれども、トランプ氏が次期大統領に決まったことによりましてどのようなこれから対北朝鮮政策が打ち出されるのか、これまでの政策の見直しがあるかどうかということも含めて見通せない状況がございます。いずれにせよ、日本にとりましては、この拉致問題の重要性ということを新政権にも認識させることが日本外交の役割であると考えるわけでございます。また、韓国の政治状況も、地域の安全保障環境の平和と安全のために、日本と韓国、この連携強化の継続ということは大変大事であると思っております。
 こうした日本、アメリカ、韓国、この連携について、今後どのような形で外交を展開をしていくのか、外務大臣に確認をしたいと思います。
#69
○国務大臣(岸田文雄君) 従来から我が国は、日米韓三か国の連携を重視しながら北朝鮮問題にも取り組んできました。九月に日米韓外相会合を開くなど様々な取組を行ってきたわけですが、今回、この北朝鮮に対する独自の措置ということについても、日米韓、タイミングにおいても様々な内容においても、しっかり連携をしながら取り組んだ次第であります。
 御指摘のように、米国、政権移行期にあります。韓国は内政、大変不透明な状況にあります。こういったときだからこそ、是非日本が日米韓の連携もしっかりリードするべく取り組んでいかなければならない、このように考えます。
#70
○山本博司君 やはり、どんな政権になったとしても拉致問題は最重要課題であるということを銘記しながら、この日米韓の連携の強化の継続ということを是非外交の上で図っていただきたいと思います。
 それでは、最後の質問でございますけれども、この北朝鮮に対して影響力という意味では中国の協力は欠かせることはできないと思います。この拉致問題の一日も早い解決のためにも、あらゆるチャンネルを活用して中国に問題解決のための行動を促していかないといけないと思います。
 また、北朝鮮との友好な国家の関係として、キューバについても日本外交の力を発揮するときであると思います。本年九月に公明党の山口代表がキューバを訪問した折にも、北朝鮮問題の重要性を強調し、理解を求めたわけでございます。その後、安倍総理もキューバを訪問されております。
 このような北朝鮮に影響力を持つ国の政府間、また議員間の交流ということは大変大事でございますけれども、こうした点に関しましての大臣の所見を最後に伺いたいと思います。
#71
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、中国、キューバといった北朝鮮に大きな影響力を有する国に対して我が国の立場を伝え、そして北朝鮮への働きかけを求めていく、これは大変重要なことであると思います。
 中国については、北朝鮮の度重なる挑発行動に対して具体的措置を講ずるべきであるとして、総理、外相を始め様々なレベルにおいて責任ある常任理事国としての建設的な対応、これを求めてきています。
 キューバについても、昨年、私が現職の外務大臣としては初めて訪問させていただき、今年九月には安倍総理が現職総理として初めて訪問いたしました。北朝鮮に対する我が国の取組を説明し、拉致問題について理解と協力を求めた次第であります。あわせて、同じく九月に山口公明党代表にもキューバに御訪問いただき、北朝鮮へ働きかけをいただいたこと、このことも高く評価するところであります。
 是非、こうした中国やキューバを含む関係国と緊密に連携を続けていきたいと考えます。
#72
○山本博司君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#73
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 北朝鮮は、今年の九月九日に五度目となる核実験を行いました。北朝鮮の核、ミサイルは、世界の平和と安定にとって重大な脅威であって、北朝鮮の核やミサイル開発の放棄を求めた一連の国連決議や六か国協議の共同声明、それから日朝平壌宣言にも反するもので、断じて許すことはできないものであります。
 国連安全保障理事会は、十一月の三十日に、北朝鮮が九月に行ったこの核実験を国連安保理決議違反と認定をし、国連決議二二七〇を更に強化する制裁決議二三二一を全会一致で採択いたしました。
 まず最初に、この国連決議について安倍政権はどのように評価をされているのか、岸田外務大臣にお伺いしたいと思います。
#74
○国務大臣(岸田文雄君) まず、十一月三十日の国連決議二三二一号ですが、まず、これ全会一致で採択されたこと、これを評価いたします。
 そして、この内容ですが、今年三月の決議二二七〇号を強化したものですが、特筆すべきこととして、先ほど来議論の中にも出ておりますように、北朝鮮の収入源である石炭輸出について上限を設定したこと、そして北朝鮮の人権・人道問題に関する言及を強めたということ、この点は特筆すべきことであると認識をしております。
#75
○武田良介君 北朝鮮の核やミサイルの問題を解決していくために国際社会が一致した対応が求められているということは言うまでもないというふうに思いますし、今回の国連決議が大変意義あるものだというふうに私も考えております。
 今回の国連決議、これで六回目。今も御答弁ありましたが、前回から比べても、石炭や人権の問題、それから禁輸の品目を追加するだとか、もう様々なものもあります。そして、こうしてつくられた制裁を行っていく目的ということも改めて大事になっているというふうに思いますが、やはり北朝鮮に核やミサイルを放棄させるためにこれが必要なんだということだと思います。そして、国際社会の一致した対応が必要だと。
 今回のこの制裁を通じて北朝鮮を六か国協議の対話のテーブルに着かせることがやはり大切だというふうに思いますが、そのためにも今回の国連決議に対する各国の態度、日本や北朝鮮はあれですが、それ以外の四か国、韓国、中国、ロシア、アメリカ、こういった国々の国連決議の実施に向けた態度、これはどういうふうになっているのか、お答えいただければと思います。
#76
○国務大臣(岸田文雄君) まず、今回の安保理決議二三二一号ですが、日米韓を始めとする五十か国が共同提案国となっており、そして中ロを含む安保理において全会一致で採択されたということであります。
 そして、各国の対応ですが、日米韓は、この決議二三二一号を始めとする一連の安保理決議を着実に履行することに加えて、関係国に対して決議の全面的かつ厳格な履行を三か国で働きかけていく、こういった点で一致をしています。また、中国ですが、安保理決議二三二一号を真剣に履行していく姿勢、こうしたものを明らかにしています。ロシアについては、地域及び国際社会のパートナーとして協力していく、こういった旨言及をしています。
 こういったそれぞれの態度、姿勢を表明、明らかにしているわけですが、いずれにしましても、今後とも、決議の実効性を確保するためにはこういった国々との連携を密にしていかなければならないと考えております。
#77
○武田良介君 確かに各国様々な立場はあったにしても、今御答弁ありましたとおり、国連決議の厳格な実施ということがやはり大事だと思いますし、それがあってこそ六か国協議の対話のテーブルに北朝鮮を着かせることができるというふうに思います。国連の潘基文事務総長も、各国の制裁の実施能力を強める国際的な協力が必要だというふうに述べて、国際社会の結束した行動を呼びかけているということも非常に重要だというふうに思っております。
 そこで、中国について一つお聞きしたいと思いますが、そうした国連決議を実効性あるものにするためにやはり中国も含めた対応がどうしても必要だというふうに思っておりますが、改めて岸田外務大臣にお伺いしたいと思いますが、中国を含めた国際社会、複雑さはあるとは思いますけれども、安倍政権としてはこの中国を含めた国際社会にどう働きかけていくのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#78
○国務大臣(岸田文雄君) まず、北朝鮮に対して圧力を強化していく上で、中国、安保理の常任理事国であり、六者会合議長国であり、北朝鮮との貿易額の九割を占めるこうした中国の存在、これは大変重要であると認識をしております。今日までも、総理、外相を始め様々なレベルで中国に働きかけを行ってきたわけですが、決議が採択されました。是非、中国を含めて関係各国がしっかりとこの決議を履行するべく努力をしていかなければなりません。
 その際に、我が国としましては、中国を始めとする関係国に働きかける、これは当然でありますが、あわせて、安保理の北朝鮮制裁委員会あるいは専門家パネル、この制裁委員会は安保理の理事国全員で構成されます。そして、専門家パネルにも、八人のうち日本人を一人送り込んでいます。こうした組織をしっかりと活用しながら、中国にも建設的な対応を促していくよう努力をしていかなければならないと思います。
#79
○武田良介君 中国も当然、北朝鮮の核開発やミサイルの問題に対しては許されないというふうに考えているというふうに思いますので、日本政府としても働きかけを強めることを求めたいというふうに思います。
 アメリカに関わってお聞きしたいと思います。
 先ほどもありましたが、アメリカは次期大統領にトランプ氏が決まりました。政権が替わるタイミングですので、こういう下で国際社会が国連決議を実効性あるものにするために、アメリカ政府の国連決議への対応が今焦点になってくるのではないかと。
 そこで、岸田外務大臣に、アメリカ政府に対して日本政府からも国連決議を実効性あるものにするための積極的な働きかけ、これが必要ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#80
○国務大臣(岸田文雄君) まず、北朝鮮の核・ミサイル問題に関しまして、日米両国、これは共通の懸念を有してきました。そして、九月九日の北朝鮮の核実験実施以降も、両国は新たな安保理決議の採択に向けて緊密に連携しながらこの両国で安保理の議論をリードしてきた、こうした取組も続けてきたと考えています。
 決議を採択した今、この決議の着実な履行に向けて、日米で連携しながら関係国へ働きかけを続けていきたいということについてもこれは一致をしています。是非、こういった形で日米で緊密な連携を続けていきたいと考えます。
#81
○武田良介君 最後に一点お伺いしたいと思うんですが、日本は核兵器禁止の国際交渉開始を求める決議、これには反対をいたしました。これ自身は大変残念なわけでありますが、この核兵器禁止の国際交渉開始、これを求める決議というのは、被爆国日本の市民の皆さんの運動はもちろん、国際的な市民の運動があって採択されたものだと。この決議が求めるように、やはり核兵器禁止、廃絶の方向へ日本も進んでいくということが、北朝鮮の問題の解決を考えた際にも、北朝鮮に核開発の口実を失わせて北朝鮮に核兵器の放棄を迫る上で日本は強い立場に立つことになるのではないかというふうに思います。
 ここで岸田外務大臣にお伺いしたいと思いますが、日本政府が、世界の核兵器禁止の交渉を開始、このために力を尽くす、その先頭に立っていく、そういう必要性があると私は考えますが、大臣、どうでしょうか。
#82
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の核軍縮、そして不拡散に対する立場、これは一貫しております。核兵器の非人道性に対する正確な認識と、そして厳しい安全保障に関する冷静な認識、この二つの認識の下に、核兵器国と非核兵器国の協力を促しながら現実的、実践的な取組を積み重ねていく、こうした方針でありますが、この方針において考えた場合に、御指摘の核兵器禁止条約に関する決議は、この厳しい安全保障に関する冷静な認識について問題があるのではないか、あるいは核兵器国と非核兵器国が協力するという点で問題があるのではないか、こういった点から我が国としまして御指摘のように反対をしたわけであります。
 こうした我が国の態度は、他の国々のこの決議に対する対応、この決議に対して北朝鮮は賛成をいたしました。そして、ドイツやオーストラリアを始めとする我が国とともにこの核軍縮に取り組んできた中道国は全て反対をいたしました。そして、核兵器国は一国たりともこの決議に賛成はいたしませんでした。こうした他の国のこの決議に対する対応を見ましても、我が国の先ほど申し上げました判断の妥当性は御理解いただけるのではないかと思います。
 ただ、決議は委員会において採択されましたし、これから国連総会において決議が採択されますと、来年三月には核兵器禁止条約の交渉がスタートすることになると承知をしています。この議論が始まったならば、我が国としまして、唯一の戦争被爆国として、先ほど申し上げました基本的な立場に立って、核兵器国と非核兵器国の協力をしっかりと促していく立場から堂々と議論に参加するべきであると私は考えます。
#83
○武田良介君 時間なので終わりますが、六か国協議のテーブルに北朝鮮を着かせることがやっぱり大事だというふうに思いますし、その際に決して軍事対軍事の悪循環に陥らないということが重要だというふうに思います。
 核兵器廃絶の交渉をスタートさせることを、そういう立場に立つことを求めて、質問を終わりたいと思います。
#84
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
 今年の参議院選挙の大阪選挙区で初当選をさせていただき、本委員会では初めての質問の機会です。まだまだ拉致問題に関しては勉強中ですが、質問に当たりまして、拉致被害者の皆様そしてその御家族の声をしっかりと政府に届けることができるよう、先日、現場の生の声を聞いてまいりました。本日の質疑の中で重なる部分があるかとは思いますが、大変関心の深い部分ですので、どうか御理解をいただきたいと思います。
 それでは、質疑に入らせていただきます。
 二〇〇二年に五人の拉致被害者が帰国をしてから十五年がたとうとしております。当時、官房副長官として五人の拉致被害者の帰国に御尽力をされました安倍総理ですが、自らの内閣では、拉致問題は内閣の最重要課題と位置付けられておられます。
 しかし、拉致問題は、解決の期待が高まってもすぐにしぼんでしまうという繰り返しで、なかなか進展していないのが現状であります。さらに、北朝鮮は幾度となくミサイルを発射し、国民の関心は拉致問題から核とミサイル問題に向いているのが今の現状ではないでしょうか。
 北朝鮮がミサイルを発射するたびに拉致問題が置き去りにされてしまい、被害者家族は身を引き裂かれるような思いをされておられます。拉致問題とミサイルの問題を分けて対応することの難しさは重々承知をしておりますが、被害者家族は政府に対して、拉致問題とこの国際的課題である核とミサイル問題を切り分けて対応してほしいという声もお聞きをしております。
 この点につきまして、加藤大臣のお考えをお聞かせください。
#85
○国務大臣(加藤勝信君) 拉致問題、今御指摘いただきましたように、安倍内閣の最重要課題であり、政府の責任において最優先で取り組むべきものというふうに位置付けをさせていただいております。
 しかしながら、これまで拉致被害者の方の帰国、そしてそれに向けての道筋全く見えていない、我々も痛恨の極みという思いでございます。そういう中で、拉致被害者そして御家族の方々、高齢化が進んでいるわけでありまして、本当に一刻の猶予もならないというのを私も常に実感として感じているところでございます。
 そういう中で、北朝鮮は核実験、また弾道ミサイルの発射ということでありまして、これに対して断固対応する必要があるということで、委員会で今議論もありましたけれども、国連でこれまでにない強い中身の制裁決議が採択をされ、また、我が国のみならず、米国、韓国もそれぞれ独自措置を講じたわけであります。
 こういう中で、今御指摘ありますように、そうしたものに対する理解はあるものの、他方で、拉致の問題が取り残されてしまうのではないか、あるいは救出がかえって遠のいてしまうのではないかという懸念、これは御家族の方お持ちであるということも私ども十分承知をしているところでございます。また、繰り返しになりますけれども、核、ミサイルというのは国際社会全体で取り組むべき問題、他方で、日本人の拉致問題というのはやはり我が国政府がまず率先して取り組むべき問題だという認識もさせていただいております。
 いずれにしても、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を、これ包括的な解決を目指すという方針、これはしっかり堅持をしていく必要があると思いますけれども、その中において、先ほど申し上げた、この問題は我が国政府がまさに責任を持って取り組むべき問題だと、こういう認識の下で、一日も早い拉致被害者の方々の帰国に向けて、国際社会の今圧力かなり高まっております、これをむしろてこにしながらその実現に向けて努力をしていきたい、こう思っております。
#86
○高木かおり君 御答弁ありがとうございました。
 国際社会が核やミサイル問題一色になってしまって拉致被害者救出が薄れてしまわないようにすることが我々の責務だというふうに思っております。
 それでは二問目に参りますが、被害者の御家族は、歴代の総理大臣の言葉に翻弄され、もう待てない、解決のめどが見えてこない、生きているうちに再会できるのか等、本当に切実な思いを持っていらっしゃるというふうに私も実感いたしました。何の罪もない我が子や母、家族を北朝鮮にさらわれた拉致被害者家族の方々は、余りにも長く深い悲しみと怒りであふれ、忍耐の限界は超えているということでございます。
 安倍総理は、二〇一三年五月の決算委員会におきまして、基本的には、全て拉致問題を解決ということであれば、全ての拉致被害者の日本への帰国ということでありますと答弁をされておられます。北朝鮮関係資料集の方には、政府認定の拉致被害者、また特定失踪者などに分かれていると思いますけれども、ここで確認をさせていただきたいのですが、全ての拉致被害者とはどこまでの方々を含んでいるのでしょうか。明確に教えていただきたいと思います。
#87
○国務大臣(加藤勝信君) これまでに拉致被害者として認定された十七名、それ以外にも拉致をされた可能性のある方が存在しているというふうに我々は認識をしているわけでありまして、したがって、認定があるかないかにかかわらず、全ての拉致被害者の方々の帰国に向けて全力で取り組んでいきたいと思っております。
#88
○高木かおり君 今、全ての拉致被害者の方々、政府認定以外の方々も含むというふうに御答弁をいただきました。
 さて、来年は、先ほどもお話の中にあったかと思いますが、拉致問題を語るに当たりまして大きな来年は節目の年になるかと思います。一九七七年九月、政府認定の拉致事件では一番早かった宇出津事件と言われる久米裕さんに始まりまして、横田めぐみさん等、政府が認定した拉致被害者の方々が続々と連れ去られた年であります。悪夢のような出来事の始まりの年から四十年、また、日本人に成り済ました北朝鮮の工作員によって飛行中に爆破された大韓航空機爆破事件からは三十年、拉致被害者家族会の結成から二十年、そして、冒頭で申し上げましたように、二〇〇二年に五人の拉致被害者が帰国してから十五年がたとうとしております。あれ以来、目に見える成果が残せていないのが現状でございます。拉致問題の解決はそう簡単にはいかないということは国民の誰もが分かっていることとは思いますけれども、やはり日本国民として、拉致被害者の方々には必ず全員帰国してもらいたいという思いを持っていると思います。
 そこで、改めまして最後に、全ての拉致被害者の方、そして先ほど、全ての拉致被害者、また特定失踪者の方々も含むと御答弁いただきました、そういった方々を救出するための今後の方法、また対策に関してどのようにお考えなのか、最後にお聞かせください。
#89
○国務大臣(加藤勝信君) 先ほど申し上げましたように、まずは政府の責任で取り組んでいくということが基本であります。
 しかし同時に、国際社会あるいは関係国との連携ということで様々な、米国、韓国との連携、あるいは先般国連本部を活用させていただいたパネルディスカッションを含めて、またさらには国連そのものとの連携を取りながら、やっぱりしっかりとこの問題に対する圧力を掛けていくということ。またさらには、先ほどの他の委員からの御指摘もございましたけれども、様々な放送等を通じた北朝鮮に対する、あるいはそこに拉致されている方々に対する応援のメッセージ等を展開をしていく。さらには、国民の皆さんのこの問題に対する理解、関心をしっかりいただき、これは許されないんだと、国民総意でこの問題に取り組んでいくんだと、そういった思いを更に強めていただくべく様々な啓発活動、こういったことを一つ一つ行いながら、しかし、基本はやはり、政府がその責任において対話を通じて、対話と圧力、行動対行動の原則の中でしっかりとこの問題に対処していきたいと、こう思っております。
#90
○高木かおり君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#91
○中山恭子君 日本のこころ、中山恭子でございます。
 岸田外務大臣は、北朝鮮による核・ミサイル開発は日朝平壌宣言の明白な違反であると述べられました。まさにそのとおりであります。
 このことは今に始まったことではありません。二〇〇六年、安倍第一次内閣が成立し、安倍総理が中国の訪問の後、韓国に入りました日に北朝鮮は核実験を行いました。この時点で、当時、拉致対策本部では、北朝鮮は既に平壌宣言に違反をしたものであり、事実上平壌宣言は無効になったと判断し、拉致被害者救出に的を絞って活動を続けました。ただ、外務省はその後も平壌宣言にこだわり続け、二〇一四年には平壌宣言にのっとって協議を行い、ストックホルム合意を結びました。
 ここで、皆様よく御承知のこととは思いますが、平壌宣言が何か、ストックホルム合意とは何かについてはっきりと認識しておきたいと考えております。
 そもそも、平壌宣言は拉致被害者を救出するとのことを念頭に置いていません。平壌宣言では、拉致問題について、日本国民の生命と安全に関わる懸案事項、この中に含まれているとされておりますが、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとるということを確認した宣言でありまして、平壌宣言以前の拉致に関わる被害者を帰国させる、ないしは拉致被害者については不問にするということを明確にした宣言でございます。したがって、この宣言にのっとっている場合には、拉致被害者、この二〇〇二年以前の拉致被害者に関しては北朝鮮は何ら対応をする必要がないということを宣言しているものでございます。
 そして、その後、二〇一四年にストックホルム合意が結ばれました。このストックホルム合意におきましても平壌宣言にのっとったものでありまして、この先ほど白委員から配付されておりますストックホルム合意、何が書かれているかといいますと、合意されたかといいますと、北朝鮮側の措置として、第五番目に、調査の過程において日本人の生存者が発見される場合には、その状況を日本側に伝え、帰国させる方向で去就の問題、北朝鮮にとどまるか、日本に帰国したいのか、この問題に関して協議をし、措置を講ずるとされています。拉致問題に関してのストックホルム合意の内容はこれだけでございます。
 これは何を意味しているかといいますと、日本人が見付かった場合、日本からどなたか関係者の方が来て、その人と協議をして、話合いをして、北朝鮮にとどまりますか、日本に帰りますかという協議をしてそこで決める、去就を決めるということでございます。これは、北朝鮮の中では全て被害者は指導員の下に置かれておりますので、この場で日本に帰りたいということは決して発言できないということが実際でございます。政府は当然そのことを知った上でこの合意をしたと思います。
 ということは、ストックホルム合意におきましても、平壌宣言にのっとって拉致被害者を日本に帰国させるということは一切考えられていないということが、平壌宣言、ストックホルム合意に続いて考えられていることでございます。
 二〇〇二年当時であっても、日朝国交正常化をするに当たって、当時は十人でしたが、たった十人のために国交正常化が遅れてはならないということが公の場で発言されておりました。その考え方がずっと引き継がれているということの明らかに分かることがこの平壌宣言、ストックホルム合意でございます。したがって、はっきり申し上げまして、拉致被害者救出の運動、そして、政府の中でもその動きは努力されてきているとは思いますけれども、政府として救出できない一番大きな原因は、拉致被害者を犠牲にしてでも日朝国交正常化を進めることが良いのだという考え方が政府の中に強く存在していることであると言って過言ではないと考えております。
 岸田外務大臣と加藤大臣にお伺いいたします。
 まず、今回、北朝鮮が日朝平壌宣言に違反していると述べられました。そう考えていらっしゃる限りは、日本側としては平壌宣言もストックホルム合意も日本側から破棄するつもりはない、破棄してはならないというお答えが先ほど白委員のお答えの中にありましたけれども、北朝鮮がもう既に違反しているという状況でございますので、こちらから破棄すると言わないまでも、平壌宣言やストックホルム合意に縛られずに拉致被害者の救出のための交渉を真剣に行うべきと考えますが、この点について外務大臣の御見解を伺います。
 ついでと言ってはなんですが、ここで次のお話もさせていただきます。
 加藤大臣、国連で拉致問題について発言してくださいまして誠にありがとうございます。外務省との対話であれば、対話が続く限り拉致被害者を帰さなくても済むと北朝鮮は考えておりますので、外務省との交渉が一番楽だというのが北朝鮮の対応でございます。したがって、これまでの外務省の交渉、日朝国交正常化のための交渉は一旦中断してもらって、その前に拉致グループが拉致被害者救出、もちろん外務省と一緒になってでしょうけれども、対策本部が中心になって拉致被害者救出のための交渉を北朝鮮と行う必要があると考えております。この点について、加藤大臣のお考えをお伺いいたします。
#92
○委員長(山谷えり子君) 中山先生の質疑時間、十四時三十四分までとなっておりますので、答弁は簡潔に、両大臣、お願いします。
#93
○国務大臣(岸田文雄君) 日朝平壌宣言、ストックホルム合意について御指摘をいただきました。
 政府としましては、日朝平壌宣言に基づいて、核、ミサイル、そして最重要課題でありますこの拉致問題、これを包括的に解決していく、日朝平壌宣言に基づいて包括的に解決していく、この方針は変わらないと我々は考えています。
 ストックホルム合意についても、合意から二年たって拉致被害者の皆様方の帰国が実現していないこと、これは大変遺憾なことではありますが、拉致問題というこの問題の性質を考えますときに、対話という要素を抜きに全ての被害者の方々の帰国を実現することはなかなか難しいとも考えます。ストックホルム合意を我が国から破棄することは考えないというのはこういった趣旨でございます。
 いずれにしましても、対話と圧力、行動対行動の方針の下で引き続き努力を続けていきたいと考えます。
#94
○国務大臣(加藤勝信君) まず、再三申し上げておりますけれども、安倍総理、また安倍政権においては拉致問題の解決が最優先課題であるという位置付けをさせていただいておりますので、その総理の方針、政権の方針にのっとって我々はまず対処していきたいと思っております。
 その上で、どこが外交交渉をやるかということでありますけれども、もちろん現在、その担当である外務省がおやりになっておりますけれども、我々常に、拉致対策本部も含めて総理の下で一体となって取組をさせていただいておりますので、そういった意味ではオールジャパンでこの問題には取り組んでいきたいと思っております。
#95
○中山恭子君 ありがとうございました。
#96
○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。
 拉致された沖縄関係者は、認定拉致被害者はいないものの、警察庁リストでは二十六名いらっしゃいます。政府の取組による一日も早い解決を望みます。
 沖縄の風は、九月に決議された北朝鮮による五度目の核実験に対する抗議決議を共同提案いたしました。
 北朝鮮は核開発、ミサイルの増強を進めています。二〇〇二年一月、米国ブッシュ大統領は、イラン、イラクと並んで北朝鮮を悪の枢軸と批判し、場合によっては先制攻撃すると発表し、二〇〇三年にはフセイン政権が倒されました。北朝鮮は、イラクは核を持っていないからやられたと、核開発、ミサイル能力の増強を進めたとする指摘もあります。
 米国オバマ政権は、核兵器の先制不使用宣言を本年九月の国連総会で発表することを検討していたと言われています。日本政府は否定していますが、七月二十六日、安倍総理がハリス米太平洋軍司令官に核先制不使用宣言に反対を伝えたとワシントン・ポストは報道しました。
 仮に米国が核兵器の先制不使用を宣言していれば、北朝鮮の核武装、ミサイル開発が抑制され、中国、ロシアを含むアジア太平洋地域の緊張緩和につながる可能性もあり、北朝鮮、中国、ロシアなど核保有国に取り囲まれた日本の安全保障環境も改善されていたと考えますが、核先制不使用宣言に対する岸田外務大臣の見解を伺います。
#97
○国務大臣(岸田文雄君) この核の先制不使用宣言について米国が検討しているのではないかといった報道が盛んにあったことは承知はしておりますが、結果として米国は何らこの問題について決定は行っていないのが現実であります。七月のハリス米太平洋司令官の訪日の際にこの問題が取り上げられたのではないか、安倍総理との会談において取り上げられたのではないかという御指摘もありますが、核の先制不使用宣言について取り上げたという事実は全くありません。
 こういったことでありますので、このことについて我が国から何かコメントするのは控えなければならないと思っていますが、いずれにしましても、日米両国、これは核兵器のない世界を目指すという大きな目標は共有しているわけでありますので、今後とも緊密な意思疎通は図っていかなければならない、このように認識をいたします。
#98
○伊波洋一君 政府は、北朝鮮のミサイル対応を理由に、高高度防衛ミサイル、THAADミサイルの配備調査費を含む二十八年度第三次補正予算案を編成すると報道されています。THAADミサイルについては、韓国配備に中国、ロシアが反発するなど、北だけに向けたものとは理解されておらず、日本での配備にも強い反発が予想されます。中国は、韓国のTHAADミサイル、THAAD配備に対抗して、HGV、極超音速ミサイルや、MIRV、複数弾頭ミサイルなどの新型ミサイルを開発すると言われています。
 THAADミサイル配備は、結果的に東アジアにおける軍拡競争をあおるものになりかねません。THAADミサイルの配備を進める予定でしょうか。
#99
○政府参考人(土本英樹君) まず、御指摘のような第三次補正予算について、何ら承知しておりません。
 また、昨今の一連の北朝鮮の弾道ミサイル発射等を踏まえまして、我が国全域を常時防護し得る能力を強化するため、新規装備品も含めた将来の弾道ミサイル迎撃体制の調査研究は行っておりますが、現段階におきましてTHAAD等の新たな装備品を導入する具体的な計画はございません。
#100
○伊波洋一君 中国は二〇〇〇年代からアクセス阻止、エリア拒否能力を高め、米国はそれに対抗してエアシーバトル構想を検討してきました。エアシーバトル構想は二〇一〇年の四年ごとの国防見直しで公式に言及され、二〇一五年にJAM―GCと名称変更されています。
 エアシーバトル構想というのはどのような位置付けで、どんな内容でしょうか。THAADミサイルを含む日本のミサイル防衛は米国のエアシーバトル、JAM―GC構想に対応するものでしょうか。防衛省にお伺いします。
#101
○政府参考人(岡真臣君) エアシーバトルにつきましては、ただいま議員からもお話がございましたけれども、これまで様々な議論が行われておりますが、アメリカの国防省が公表している文書に基づきますと、先ほどございましたアクセス阻止、エリア拒否といった能力を有する敵対者の打破ということを念頭に、空軍と海軍の能力統合の課題への取組として打ち出されたものであるというふうに承知をしております。
 この考え方の中では、グローバルコモンズにおける行動の自由の確保を追求するとともに、同盟国の安全を保障し潜在的な敵対者を阻止するため、ネットワーク化、統合化、敵地縦深部の打撃といった作戦様相によって敵対者のアクセス阻止、エリア拒否能力を混乱、破壊、打倒する、そうした作戦においては航空、海上、陸上、宇宙、サイバー空間といった全ての領域をまたいだ能力の統合が必要であるといった考え方が示されていると承知しております。
 なお、この構想におきましては、特定の地域や敵対者を想定した計画あるいは戦略ではないということも記述をされているというふうに認識されているところでございます。
#102
○伊波洋一君 日米同盟を掲げる日本の防衛政策が米国のアジア太平洋地域の作戦構想と無関係であるわけはないでしょう。
 エアシーバトル構想では、台湾有事に際して、沖縄と日本本土が戦場となり、初期段階では中国の弾道ミサイル、巡航ミサイルの攻撃に対して在沖米軍などの前方展開兵力は一時ミサイルの射程圏外に避難し、退避し、残された沖縄と日本の自衛隊がひたすら耐えることが大前提になっています。最初の中国によるミサイル攻撃で航空自衛隊の七〇%、海上自衛隊の八〇%が失われるという被害も予測されています。当然、ミサイルによって国民の生命、財産の被害、特に基地と隣り合わせの沖縄県民や本土住民には多くの死傷者が想定されます。
 日本の国土が戦場になる作戦構想を米軍が採用し、日本はそれによって防衛政策を立てているようにも見えます。自衛隊の沖縄先島配備、離島奪還訓練も、米国のために第一列島線を守り、仮に琉球列島が敵に占領されても奪還する、そういう想定です。
 資料に提示しております十一月三十日にキャンプ・コートニーで行われた日米共同方面指揮所演習ヤマサクラでは、宮古島や石垣島を戦場として戦闘予行演習が行われています。台湾を守るという米国の国益のために日本の国民の生命、財産を危機にさらすのがエアシーバトル構想の本質ではないでしょうか。日本の各地で、基地の施設の建設や強化が平和をつくるものではなくて、むしろ地域の緊張を高めています。
 皆さん、ヤマサクラ演習は、地方方面隊の演習として日本全土を戦場として、作戦、指揮所演習が行われているわけです。対北朝鮮や対中国の軍拡ではなくて、核兵器を含む先制攻撃を自制するよう米国に求めたり、相互に信頼醸成措置を積み重ねる努力が必要なのではないでしょうか。日本をめぐる安全保障環境の改善をもたらして、結果として拉致や核、ミサイルという北朝鮮をめぐる問題の解決につながると思います。
 米国は、中国との間で、一九九七年に首脳間の核ホットライン、九八年に米中軍事海洋協議協定、二〇〇七年に軍事ホットラインを設置しました。さらに、二〇一四年には演習の通報覚書、それから、海空軍の予期せぬ衝突を避ける覚書などを確認しております。このような中で、実は日中間の間には何の具体的な信頼醸成措置の仕組みもまだでき上がっていません。
 外務大臣、日本としても、対中、対北朝鮮の対話、そしてまた軍事的な信頼醸成措置を積み重ねることが、むしろ基地を造ったりそうすることよりもなお一層重要ではないでしょうか。所見を求めたいと思います。
#103
○委員長(山谷えり子君) 伊波先生の質疑時間は十四時四十五分までとなっております。したがいまして、答弁は簡潔にお願いいたします。
#104
○国務大臣(岸田文雄君) 対中、そして対北朝鮮との信頼醸成が大事ではないかという話ですが、中国に関しては、我が国にとって最も重要な二国間関係の一つであると考えています。来年は日中国交正常化四十五周年、再来年は日中平和条約締結四十五周年、大きな節目を迎えます。是非、戦略的互恵関係に基づきながら、この信頼醸成に向けて関係改善には努めていかなければならないと考えます。
 そして、北朝鮮との対話ですが、これは対話のための対話であってはならないと思います。こうした意義ある対話を行うためには、北朝鮮の非核化に向けての建設的な対応などがまず求められるのではないか、このように考えます。引き続き、対話と圧力、そして行動対行動、この方針の下に北朝鮮から前向きな行動を引き出すべく、しっかり取り組んでいきたいと考えます。
#105
○伊波洋一君 ありがとうございます。特に中国との関係は、是非信頼醸成措置をしっかりつくっていただき、平和友好条約を生かすようにしていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#106
○委員長(山谷えり子君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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