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2016/12/08 第192回国会 参議院 参議院会議録情報 第192回国会 厚生労働委員会 第10号
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2016/12/08 第192回国会 参議院

参議院会議録情報 第192回国会 厚生労働委員会 第10号

#1
第192回国会 厚生労働委員会 第10号
平成二十八年十二月八日(木曜日)
   午前十時三分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十二月七日
    辞任         補欠選任
     こやり隆史君     木村 義雄君
     宮沢 由佳君     石橋 通宏君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         羽生田 俊君
    理 事
                島村  大君
                そのだ修光君
                高階恵美子君
                足立 信也君
                山本 香苗君
    委 員
                石井みどり君
                小川 克巳君
                太田 房江君
                木村 義雄君
                自見はなこ君
                馬場 成志君
                藤井 基之君
               三原じゅん子君
                宮島 喜文君
                石橋 通宏君
                川合 孝典君
                川田 龍平君
                牧山ひろえ君
                熊野 正士君
                谷合 正明君
                倉林 明子君
                東   徹君
                福島みずほ君
               薬師寺みちよ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   塩崎 恭久君
   副大臣
       厚生労働副大臣  橋本  岳君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       馬場 成志君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 成子君
   政府参考人
       総務大臣官房審
       議官       開出 英之君
       法務大臣官房審
       議官       金子  修君
       財務大臣官房審
       議官       矢野 康治君
       厚生労働大臣官
       房年金管理審議
       官        伊原 和人君
       厚生労働省健康
       局長       福島 靖正君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       吉田  学君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    定塚由美子君
       厚生労働省老健
       局長       蒲原 基道君
       厚生労働省保険
       局長       鈴木 康裕君
       厚生労働省年金
       局長       鈴木 俊彦君
       中小企業庁事業
       環境部長     吉野 恭司君
       国土交通大臣官
       房審議官     伊藤 明子君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第二局長   岡村  肇君
   参考人
       日本年金機構理
       事長       水島藤一郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○公的年金制度の持続可能性の向上を図るための
 国民年金法等の一部を改正する法律案(第百九
 十回国会内閣提出、第百九十二回国会衆議院送
 付)
    ─────────────
#2
○委員長(羽生田俊君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、宮沢由佳君及びこやり隆史君が委員を辞任され、その補欠として石橋通宏君及び木村義雄君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(羽生田俊君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省年金局長鈴木俊彦君外十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(羽生田俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(羽生田俊君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、日本年金機構理事長水島藤一郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(羽生田俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 また、明九日に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(羽生田俊君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(羽生田俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#9
○委員長(羽生田俊君) 公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○川田龍平君 川田龍平です。今日は、会派を代表して質問させていただきます。
 まず、先日、十七日の質疑で取り上げた雇用関係助成金と若者応援宣言企業における離職実態について早速動いていただき、ありがとうございます。
 また、昨年の通常国会で取り上げた若者の過労死事故の事件で、先日、長時間労働についての集中審議でも取り上げさせていただき、質問主意書と答弁書でも取り上げた後、やり取りをさせていただきました。昨日のNHKのニュースでもやっていましたけれども、今回、ハローワークの書類の虚偽記載についても罰則を検討していただけると、来年の通常国会で法案提出の動きにまで進んでいることも感謝申し上げます。
 では、質問に入らせていただきます。
 先週、十二月一日は世界エイズデーでありました。三日から今週九日まで一週間は障害者週間ということで、エイズを取り巻く状況も変わってきており、HIVに感染してもすぐに亡くならなくなって、薬を飲むことさえできれば私のように長期生存が可能になってきました。おかげさまで、今四十歳です、十歳で感染してから三十年間生きてくることができました。本当におかげさまで、薬のおかげだと思っています。そして、日本の国民皆保険制度があってこうした薬を飲むことができるということができれば、ここまで生きることもできるようになりました。
 しかしながら、この薬の値段が非常に高価だということもあって、今、一生涯飲み続けると一億円掛かると言われています。ということは、できるだけ多くの人が飲むことができるようにするためには、一人でも新規感染者を増やさないようにするということが大事になってきます。是非、医療費を増やさないためにも、予防をするということをやっぱり是非力を入れていただきたいと思っています。
 以前は、薬の副作用があったり医療費のこともあって、感染してもすぐに治療せずにCD4の値を見て治療のガイドラインというのが決まっていました。しかし、最新の知見では、治療してウイルスを減らすことでパートナーにも感染させないことができることが分かってきました。そこで、治療を早期に開始して感染者の多くが飲み続けることがこのエイズウイルスの感染予防になるのであって、治療をすることがそのまま予防になるのです。これは結核もそうですけれども、治療することによって一日も早く予防していくということができるようになる。是非これ、日本では自分が感染していることを認識していない人がいまだに多くいまして、エイズを発症して本人が亡くなるというだけではなく、知らずに感染を広げてしまっているということが感染拡大の原因になっています。
 是非これ、一日も早く取り組んでいただきたいんですが、UNAIDSの目標、二〇二〇年までの九〇―九〇―九〇達成と。九〇―九〇―九〇を達成するということについて、日本は最初のこの九〇%、つまり感染者の九〇%が自分が感染していることを認識しているという早期発見について達成できないおそれがあります。
 この感染者の総数の公式推計が存在しないことが課題の一つであり、もう一つの課題は、新規HIV感染者の三〇%が既にエイズを発病しているということで、是非、この検査率をいかに向上させるか、この二つについて、まずどのように取り組むかだけ質問させていただきます。
#11
○政府参考人(福島靖正君) お答えいたします。
 まず、HIV感染者、エイズ患者の総数を正確に把握をするということはなかなか難しゅうございますけれども、できるだけ正確に推計するために、平成二十六年度から研究班を立ち上げておりまして、今年度中に、三か年計画でございますから、今年度中にその報告書が取りまとめられる予定になっております。これにより、より正確な推計ができるようになると考えております。
 また、今先生御指摘のように、エイズ発症前にHIVに感染した段階で分かれば、投薬によって発症が防げる、あるいは他人への感染も防げると、そういうことから、できるだけ多くの方に自発的に検査を受けていただくことが必要であると考えております。
 現在、全国の保健所において、無料匿名の検査、相談体制を整備しておりますし、また、世界エイズデーあるいはHIV検査普及週間等を活用して、周知、広報に努めております。今後、これらの取組の成果の評価や、感染症部会の下に設置しておりますエイズ・性感染症に関する小委員会におきます有識者の御意見を踏まえながら、より多くの国民の皆様に検査を受けていただけるような方策に取り組んでまいりたいと考えております。
#12
○川田龍平君 日本の検査体制はVCT検査が中心でありまして、保健所は遠く、時間帯を拡大しても限界があります。エイズ・性感染症に関する小委員会においては、郵送検査やPITC検査、オプトアウト方式など、これまで日本で十分取り組んでこなかった方策について幅広くしっかり検討していただきたいと思います。
 大臣、一言お願いします。
#13
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、検査について御指摘をいただきましたが、全国の保健所において実施をしております無料匿名のHIV検査については、近年、件数が伸び悩んでおりまして、検査の機会を拡大することは非常に大事だというふうに思っております。
 御指摘をいただいた郵送検査、それからPITC、オプトアウト方式につきましては、制度管理やプライバシーの保護、それから医療機関でのカウンセリング体制、さらにはインフォームド・コンセントの問題など解決すべき問題が様々あるというふうに認識をしております。
 今般、五年に一度の特定感染症予防指針の改定に向けて、厚生科学審議会の感染症部会の下に、先ほども局長から申し上げたように、エイズ・性感染症に関する小委員会というのを設置をいたしました。こうした課題の解決策も含めて有識者に御検討いただいて、HIV検査数の増加に向けた検査方法の見直しについて積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
#14
○川田龍平君 是非一日も早く取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、年金の質問に入らせていただきます。
 この年金制度のまた議論に入る前に、そもそも今後、老後の生活保障を年金だけに頼るのは、少子高齢化が進む中、現行制度の小手先の手直しだけでは無理が出てくるのではないでしょうか。税による所得保障や現物による生活保障を真剣に考えるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#15
○国務大臣(塩崎恭久君) 今後、少子高齢化が更に進んで、例えば二〇五〇年になれば一・二人で一人の高齢者を支えると、こういう高齢社会を迎えるわけでありまして、持続可能な年金制度を次世代に引き継いでいくという問題は大変重要な問題として、これはしっかりやっていかなきゃいけないというふうに思っています。
 一方で、年金制度において、年金の保障機能を強化をして、世代間、世代内の公平性を確保する観点から、社会保障制度改革プログラム法に掲げられた四つの課題に取り組むとともに、財政検証で確認をされた基礎年金水準の低下といった政策課題、そして財政検証の中で行ったオプション試算というのを今回三つ示しましたが、こういった政策の選択肢を踏まえて、年金制度については不断の見直しが必要だと思っています。
 しかし、特に低所得の高齢者を支援をするという観点からは、年金制度の改革だけではなくて、年金生活者支援給付金、これ年最大六万円でございますけれども、この創設、さらには医療・介護保険料の負担の方の軽減、それから生活困窮者自立支援制度による包括的な支援など、社会保障全体で総合的に支援をしていくことが大事だというふうに考えているわけであります。
 今後とも、高齢者が安心をして生き生きと暮らすことができるように、議員御指摘のように、幅広い観点から、社会保障政策、そしてまた一人一人をどう支えていくのかということについて、しっかりと関係のある省庁とともに連携をして全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。
#16
○川田龍平君 この低年金の人たちへの給付金についても、四月一日から是非取り組んでいただきたかったと思いますが、本当に早くやっていただきたいと思います。
 最も私が重要だと思っているのは住まいの問題です。一方で、老親、特に年取った親が亡くなった後、空き家の管理というのが社会問題になっています。このような空き家を低所得者の高齢者の住まいとして提供する何らかの仕組みを検討するべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#17
○政府参考人(伊藤明子君) 御指摘のとおり、高齢者や低所得者などの住宅の確保に配慮を要する方々が安心して住むことができる住宅のセーフティーネットを構築することは重要であるというふうに考えています。また、空き家が急速に増加しており、その有効利用が課題でございます。
 このため、本年三月に閣議決定された住生活基本計画においては、住宅確保要配慮者の増加に対応するため、空き家の活用を促進するとともに、民間賃貸住宅を活用して新たな仕組みの構築も含めた住宅セーフティーネットの機能を強化するというふうにしたところです。これを受けまして、社会資本整備審議会の住宅宅地分科会の中に小委員会を設けまして、新たな制度について御議論いただいて、この七月に中間取りまとめをいただいたところであります。
 これを踏まえて、国土交通省におきましては、平成二十九年度に空き家を活用した住宅の確保に配慮を要する方々に対する住宅の登録制度等を内容とする新たな住宅セーフティーネット制度を創設することを検討しているところでございます。
#18
○政府参考人(蒲原基道君) 厚労省といたしましても、空き家等の既存の社会資源を有効に活用しながら低所得者の高齢者の方々の住まいを確保するということは非常に重要であると考えております。現在、平成二十六年度から、自立した生活を送ることが困難な高齢者を対象に一定のモデル事業をやっておりまして、具体的には、既存の空き家などを活用した住まいの確保を支援するとともに、それに併せて、日常的な生活支援あるいは見守りを併せて行うと、こうしたモデル事業を全国で展開しておるところでございます。
 今後、こうした事業の検証あるいは効果というのをちゃんと測定しながら、引き続き高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるような施策の充実に取り組んでまいりたい、また、そのときには、今話がございましたけれども、国交省と非常に関係するので、関係省庁とよく連携を取りながらやっていきたいと、このように考えております。
#19
○川田龍平君 この空き家の活用ということで、一つのアイデアとして、空き家の信託というアイデアがあります。これは東大の樋口範雄先生が提案しているように、空き家を十年から二十年、自治体に公益信託し、自治体は改修して安い賃料で貸し出す、その間、固定資産税は掛からず、相続税も免除とする、期間経過後は元の所有者又はその指定する子や孫に返還されるという仕組みです。
 アメリカでは広く普及していますが、現行の日本の信託法では、一定期間は公益に、それが終わったら私益に戻すという形の公私ミックスの信託は認められていません。現物を信託することも含め、これを認めるべきではないでしょうか。
#20
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、現行の信託法上は、公益信託、これは信託法上は受益者の定めのない信託に当たりますが、これと私益信託、これも信託法上は受益者の定めのある信託といいますけれども、この相互転換を否定しております。現行の信託法上は、委員御指摘のような公私ミックス型の信託は認められていないということになります。
 どうしてこのようなことになっているかと申しますと、受益者の定めのない信託と受益者の定めのある信託とでは、信託設定の方法、それから存続期間の限定の有無、関係当事者の権利内容等、基本的な点において大きく異なっており、信託の変更によってこの両者の間を言わばまたぐことができるとするのは相当でないというふうに説明されております。
 もっとも法務省においては、平成二十八年六月から法制審議会信託法部会を開催しまして、大正十一年制定時から実質的な改正が行われていない公益信託法に関して全般的な見直しをすべく調査審議を行っているところです。そして、公益信託において、信託法の例外として委員御指摘のような公私ミックス型の信託を認めるか否かもこの部会における論点の一つとして現在検討している状況にございます。
 今後は、委員御指摘のような問題意識も踏まえ、法制審部会において更なる調査審議を行っていく所存でございます。
#21
○川田龍平君 なお、この固定資産税については現行法でも可能だと理解していますが、それでよろしいでしょうか。
#22
○政府参考人(開出英之君) お答えいたします。
 御提案のような場合には、一般に地方公共団体に対し財産を譲渡する形で信託を行うということになると思われますけれども、その場合には地方公共団体が不動産の所有者となるということでございますので、地方税法上、固定資産税は非課税となります。
#23
○川田龍平君 相続税の減免についてはいかがでしょうか。
#24
○政府参考人(矢野康治君) 公益信託制度の見直しにつきましては、先ほど法務省さんから御答弁がありましたように、現在、法制審議会において審議中と承知しておりますけれども、財務省といたしましては、法制審議会の御議論等を踏まえまして、仮に関係省庁によって制度設計が行われて何らかの具体的な税制改正要望がなされた段階におきまして、その場合にはきちんと検討をしてまいりたいと、このように考えております。
#25
○川田龍平君 是非これ、厚労省としても、この空き家信託のアイデアを社会保障の一環として研究すべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#26
○国務大臣(塩崎恭久君) 今法務省からお話がありましたように、法制審で今のこのいわゆる空き家信託について、一定期間公益信託をした後私益に戻すという公私ミックス型の信託というか、それが適当かどうかについての御議論をいただいているというふうに理解をいたしました。その他の関連する事項についても、それが検討がされた上で行われるんだろうと思いますけれども、しかし、私どもとしては、この御提案については、空き家という一つの社会資源を広く低所得高齢者の生活支援に活用していこうという考え方だと思いますので、こういう考え方自体は、私ども今、特に福祉に関して、我が事・丸ごとということで、我が事・丸ごとの地域づくりというのを進めておりますけれども、発想は地域にある資源をフル活用していこうということで、人々の生活を支える、支え合う、そういうことでありますので、大変意味のある提案ではないかというふうに思います。
 空き家の活用については、例えば一部の自治体において空き家を社会福祉法人が借り上げて低所得の方々に見守り付きでお貸しをするというような取組も出てきておりますので、様々な活用方策について私どもとしても研究をしてまいりたいというふうに思います。
#27
○川田龍平君 それでは、GPIFの運用と影響試算について伺います。
 前回の牧山議員の質疑に対する答弁で、大臣はこれは評価損であると答弁していましたが、いつこれは確定がされるんでしょうか。損のときはいつ売るんでしょうか。また、運用利回りが出たとして、どのタイミングで売るのでしょうか。国民からすれば、これは評価損の段階で評価するしかないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#28
○国務大臣(塩崎恭久君) 前回、牧山委員の方から、昨年度あるいは本年度の第一・四半期について、この運用損失について御指摘を頂戴をいたしまして、私から、長期的な視点に立って評価していくことが重要だということをまず申し上げた上で、マイナスが出たと言われるけれども、大半は評価損であって実現損ではないということも御理解を賜れればというふうに申し上げました。
 これは、運用損失の議論の際に、聞いている方によっては、一般の方々ですね、損失は全て実現損と取られて、積立金がその損失分だけ消えてなくなっちゃったんじゃないかというふうに誤解をされることも想定をされるわけでございますので、そのような誤解が生じないように申し上げたという意味でございます。
 もちろん、保有資産を時価で評価するということ自体は、私も曲がりなりにも一応金融の出身でございますので、また会計をずっとやってきた者として、時価で評価することを、これは大事なことで否定するものでは全くないわけでありまして、そういう趣旨ではなくて、また、利益や損失が売買で確定したときでなければ評価の対象とすべきでないという趣旨でもないわけでございます。
 繰り返しになりますけれども、年金積立金の運用結果は長期的な視点に立って評価すべきでありまして、短期的な動向に過度にとらわれるべきではないというふうに考えているわけでございます。
 GPIFの百三十兆円を超す資産は、様々な運用受託機関が株式あるいは債券などの形で分散をして運用しておりまして、個別の運用受託機関の判断で売買がそれぞれ行われておりまして、GPIFが運用受託機関に個別に売買の、GPIFからの指示をするというような仕組みとはなっていないところでございます。
#29
○川田龍平君 本当にこの評価は難しいところがあります。特に、今、国債が金利の上昇によって下がってしまうというようなこともありますし、国債だから安全とも言い切れない。ただ、株式を増やし過ぎたことによって、やはり株式の上下のリスクの幅も大きいわけですので、本当にそういう意味で、やっぱりこれをしっかり運用していく必要があると思います。
 二〇一四年からこの保有株式の銘柄開示が始まっています。調査室の資料によれば、二〇一四年度末時点で保有している外国株式の時価総額の順番を見ると、七番目に世界的製薬大手のノバルティス社が二千二十九億円とありますが、現状どうなっていますでしょうか。
#30
○政府参考人(鈴木俊彦君) GPIFが公表いたしております保有資産の状況によりますと、今御指摘ございましたノバルティス社の株式の保有状況でございますけれども、二〇一五年度末、平成二十七年度末で、株式の総数が二千百三十一万五千九百十九株、時価総額で申しますと、一千七百四十三億八千二百三十万六千三百八十一円という状況であったと承知をいたしております。
#31
○川田龍平君 大変多いと思いますが、このノバルティス社といえば、三年前、ディオバン事件が思い出されるわけですが、さきの通常国会で審議入りした臨床研究法案が、今国会は衆議院で審議されずにこの参議院にまだ送られてこないというのは大変残念です。やはりこれ、一日も早くこっちも審議をして採決をしていただきたいと私は思っておりますので、年金法案の前にできるのであれば、是非これはもう臨床研究法案を通していただきたいと思っております。
 それでは、次、移りますが、今回の制度改正による各世代の年金額への影響試算を行うべきことについて、これ百年安心ということを二〇〇四年の年金制度改正のときにも言っていたんです。これは、私は一昨日の議論を聞いていて、平成十六年、二〇〇四年のときのこの参議院での審議がどんな審議が行われていたのかということで議事録をもう一回読み直してみました。
 そうしましたら、藤井先生が質問に立たれておりまして、藤井先生、覚えていらっしゃいますでしょうか。藤井先生が質問を立っていて、答弁者にはあの山田修路先生が農水省の官僚として答弁をしていました。そして、今の伊達議長が、厚生労働委員、厚生委員会でもないのにこの部屋に来て、何をしたかといえば、強行採決のための緊急動議をすると、国対をずっとやっていたんだなと、本当にその当時のことをまざまざとこの議事録を見ると思い出させられるんですけれども。
 その中で、百年安心と言っていたんですね。百年安心なんですよということを強調して、この法案を当時小泉総理の圧倒的な支持率の下で強行採決をしていく、十二年たってまた同じことをやっているのかと。安倍総理の支持率の高さでもってこの年金を強引に、マクロ経済スライドをもう一度通そうという全く同じことが行われているという、これ十二年前です。
 もう一度見てみると、全く同じ追及が、当時、亡くなった山本孝史議員がしています。これは試算をそのときも一個しか出していないんです。これについてまた試算を出せということを言っていて、全く反省をしていない、厚労省がやっていることは全く変わっていないんですね。十二年前の行動ですけれども、全く変わっていないなということを思いました。
 一九九七年には年金白書というようなものを厚生省は出しておりまして、これは二十一世紀の年金を選択するということで、国民にこういったいろんなケースを試算を出して、ケースごとの試算を出して国民に議論を求める姿勢というのがあったわけですが、そういったものが十二年前にはなくなって、今回もなくなってしまっていると。
 本当に、こういう国民に対してやっぱり理解をしてもらおう、そして国民に選択をしてもらおうという、そういう気概が厚労省にはないんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#32
○国務大臣(塩崎恭久君) マクロ経済スライドについての評価は、旧民主党も政権を取ったときには、これはやっぱり大事だということでございまして、否定をしている政党ではないという理解でまいりまして、今の民進党も同じではないかというふうに我々は理解をしているところでございます。
 まず、そのことをまず申し上げた上で、今回、マクロ経済スライドのキャリーオーバーという制度を御提起しているわけでありますが、これによる基礎年金への影響というのを見ますと、平成二十六年財政検証のケースEというのがありますが、これについて申し上げますと、現行制度に比べてマクロ経済スライドにより給付水準調整終了年度は一年短縮をいたします。そして、現在二十歳の方が六十五歳となる二〇六〇年度の夫婦では月額二千円が、単身世帯では月額千円上昇するというふうになっていることは既に私どもから御説明を申し上げてまいりました。
 また、賃金変動に合わせた年金額の改定ルールの見直し、これにつきましては、世代間の公平を確保して世代間格差がこれ以上広がらないようにするというために必要な措置でございまして、その効果、つまり一時的に不測の事態を想定をした試算で見ますと、既にお示ししている試算で明らかになっているというふうに思っております。
 今回の制度改正によります年金額への影響は世代ごとに異なりますけれども、いずれにしても、足下の給付水準が上昇すれば将来の給付水準は低下をすると、こういう構造には変わりはないということがまず一点であり、また、今回の改定ルールが早期に適用された場合の方が将来の年金額の上昇幅は大きく、早期にこの改定ルールを導入した方が将来世代の年金額の確保にはつながるものというふうに考えております。
 従来から、年金改革につきまして国民的な議論をする際にやはり必要な素材を提供すると、そして公開の審議会等を通じて透明性を持ってお示しをしてきているわけでありますが、改正の影響を国民の皆様方に分かりやすくお示しをすることが重要だというふうに考えておりまして、選択肢なども含めて、これからも前向きに適切な形でお示しをしていきたいというふうに思います。
#33
○川田龍平君 是非、試算については幅広く出していただきたいと思います。特に今回のこのケースについては、私は別に民主党でもありませんでしたし、民進党にまだ入っていませんので、会派では一緒ですけれども、同僚にはちょっと失礼ですけれども、私としては、政府が正しいのか、民主党が、民進党が正しいのかということよりも、国民の立場に立てば、やっぱり国民の一人として何が正しいのかということを判断するための材料が欲しいわけです。そういった意味で、試算をしっかりしてほしいというのは、国民に対してのやっぱり説明のために必要なんです。是非、試算をしっかりやっていただきたいと思っています。
 私は、今回のモデルケース、この夫婦二人、夫婦もちろん二人ですけど、夫婦とその家族が四十年間、要するに二十五歳で結婚して六十五歳までと。今、結婚年齢もどんどん晩婚化している、そういった、夫婦もいろんな形があるという中において、本当に自分がどうなのかということを知りたい国民の一人としては、やっぱりそのモデルケースというのは自分のモデルケースに合うのかどうかということも分からない。自分だったらどうなるのかということをやっぱり知りたいわけです。そして、この想定のケースも、毎年二・〇%物価が上がる、毎年一・〇%賃金が上がる。そういうことというのが現実的なのかということから考えれば、とても非現実的な、それ頑張るということは政府は言いますけれども、じゃ、それを自分が試算するときに、自分が国民だったときに、それをちゃんと試算をできるような何かがあればいいのではないかと思いました。
 そして、ねんきんネットというのがありますけれども、ねんきんネットは、今現時点、私が働いてきたところで、これが今働いてきた分でもって六十五歳になったら幾らもらえるかということですが、じゃ、将来推計ということであれば、自分がこの後どれぐらい働いてあと何か月納めれば六十五歳のときにもらえるのかということが分からなければいけないし、そしてマクロ経済スライドによっていろんな状況があり得るわけですが、その状況に応じて、自分のもらう額が六十五歳のときに、自分であれば六十五歳、二十五年後にそれがどうなっているのかということを知りたいわけです。
 そういった国民一人一人のやっぱりニーズに合わせて推計ができるようなものが、今ネットの時代ですし、そしてコンピューターも今はとても計算も速くなっておりますので、当時だったらできなかったことが今ならできるわけです。それはもうアプリとかつくって、エクセルでもいいんですけれども、とにかくそういう何か計算式を当てはめれば、自分がどれだけ働いて、そして何年のときには物価が上がって、何年のときには物価が下がってということも自分で予測してプログラムしてやれるようになれば、これはファイナンシャルプランナーならやれると思うんですけれども、そういったことを、国民が国民年金について知ることができるようなシステムをやっぱりつくっていただきたいと私は思います。これはつくれないのであれば本当に党がつくってもいいと思うんですけれども、そういったことをやっぱりしっかりやることで国民に対して年金の理解を進めていくことが大事ではないかと思います。
 それは、ねんきんネットやねんきん定期便などのこういったツールを使って、個々の人がやっぱり年金受給額に今回の法改正によってどのように影響するのか、国民が自分で計算や推計できるようにするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#34
○政府参考人(伊原和人君) お答え申し上げます。
 今御質問いただきましたねんきんネットでは、御自身の年金記録や御指摘の将来の年金見込額、これが試算できるようになっております。実際、今のねんきんネットも大きく言うと三つのパターンでできるようになっていまして、かんたん試算というものと、それから質問形式で答えて試算ができるものと、さらに詳細な条件で試算するということもできます。
 今先生から御質問いただきましたように、今後の収入がどうなるか、職業がどうなるか、あるいは年金を何歳から受け取るかと、こういったことにつきましては、自分で選択して自分の年金がどのぐらいもらえるかということを見込めるようになっております。
 ただ、もう一つ、今回の議論の中では、あくまでも今のねんきんネットは現行の制度を前提にしております。それをもし仮に違う制度だった場合どういうものができるかということを見直せという御指摘だとしますと、一つは、やはり未確定な制度を想定してどういうふうに設計するかということにつきましては、そういうことをやってしまって国民に混乱を与えるんじゃないかというようなこともございますし、また技術的にも将来の物価や賃金の見通しをどう置くのか、これは様々な選択肢がありまして、それを一つ一つマクロ経済スライドでどう取り込むのか、これも技術的には非常に難しい問題がありまして、やはり現行の制度を前提としたような仕組みしかそこはなかなか難しいのではないかと、このように考えております。
#35
○川田龍平君 その将来推計が一個しかないというのが僕はおかしいと思っていまして、やっぱりいろんな、何年には物価が上がるかもしれないし、何年には賃金が上がるかもしれない、そういう何年先のシミュレーションを自分でできるようにする。そして、少子化の数字も自分で数値を入れられるとか、それから、どれだけ年齢が延びるのかということも自分でそこに数値を入れて自分で推計できるような仕組みをつくれば、これ、どっちが言っていることが正しいんだということが、要するに、政府が言っているのが正しいのか野党が言っているのが正しいのかとかいうことよりも、自分でそういったことが推計できるようなものを仕組みとしてつくれないかというふうに思いました。
 本当に、そういったものがあれば、やっぱり自分がもっと働いて、もっと年金頑張って働いて納めようとか、それからもっと日本の経済を良くしていこうとか、少子化に貢献しようとか、いろいろ国民が、自分からそういったものにやっぱり意欲を持って取り組めるようにするということが一つ必要なんじゃないかと。
 年金に対しては若い人は本当に諦めてしまっているところがどこかありますので、そうならないようにするためには、こういう不安な材料を与えるのではなくて、やはり本当に将来に対して自分で設計して、自分でそういう社会をどういうふうにするのかということまで設計できるような、そういう仕組みを是非つくっていただきたいというふうに思っています。
 今回の法案についての判断がそういう意味では国民が付かないのは、やっぱり分からないと。特にそういった将来のことについて分からないけれども、こういう場合だったらこうなるんじゃないかということが見えてくれば、これは国民としてはやっぱり将来に対して希望を持って、じゃ、自分は何ができるんだろうかということを取り組めると思います。
 それはファイナンシャルプランナーの仕事かもしれませんけれども、それは、民間のそういった積立金であるとか、そういったことにお金を出すことはあるかもしれないけれども、それよりも、国民のための公的な年金でもって本当に国民が安心して老後も生活できるだけの基盤をつくるためには、本当にそういった仕組みをやっぱりつくっていただきたい、システムとしてこれは是非つくっていただきたいというふうに思います。
 次に、二〇一二年の政府が提出した法案に含まれていた高所得者の年金額の調整、いわゆるクローバックについて、当時野党だった自民党と公明党がこの削除をして検討事項に落ちたと承知していますが、その後、なぜ検討さえ進んでいないのでしょうか。
#36
○国務大臣(塩崎恭久君) いわゆるクローバックという制度についてのお尋ねだと思いますが、社会保障・税の一体改革の際に法案が提出をされて、三党協議におきまして、まず保険料納付のインセンティブに与える影響についてどう考えるか、それから約束をした給付が支払われないのは社会保険の原則に反するのではないかという御意見をどう考えるかというような懸念が示されまして、法案から削除をされたということが事の経緯であったわけであります。
 その後、平成二十五年の社会保障制度改革プログラム法、ここにおいて、クローバックや、それから年金課税の見直しというのを含めて四つの課題というのが示されました。これを受けて、クローバックにつきましては、社会保障審議会年金部会で平成二十六年から二十七年にかけて議論が行われております。高齢者世代内の再分配、これにつきましては、年金制度内部にとどまらずに、年金課税あるいは福祉制度など、より大きな視点から公平公正となるように幅広い議論が必要というふうに整理をされたところでございます。
 このため、今回の年金改革法案におきましても、クローバックを含む高所得者の年金給付の在り方、それから年金課税の在り方、この見直しといった社会保障制度改革プログラム法の課題については、法律の施行後速やかに検討する旨の検討規定を盛り込んでいるわけでございますので、議論が進んでいないということではなく、しっかりと議論をして、それを踏まえた法改正でまた御議論、御審議を賜っているということでございます。
#37
○川田龍平君 これ、是非しっかり検討していただきたいと思いますが、今答弁にもありましたが、年金額の調整だけではなくて、所得再分配の観点から、この高所得者の年金保険料、保険料率の引上げについてはどのように考えているのでしょうか。
#38
○政府参考人(鈴木俊彦君) ただいま御指摘いただきました世代内の所得再分配機能をどう強化していくかということでございますけれども、これは社会保障制度改革国民会議の報告書でやはりこういった必要性があるだろうというふうに御指摘をいただいております。また、平成二十五年の社会保障制度改革プログラム法におきましても、ただいま大臣から御紹介ございましたけれども、高所得者の年金給付の在り方及び公的年金等控除を含めた年金課税の在り方の見直し、これが検討課題になっているわけでございます。
 そこで、私ども、社会保障審議会の年金部会におきまして保険料負担の上限につきましても検討を行っていただいたところでございます。その中で、この年金制度内におきます再分配機能を強化していく必要性があるということについてはおおむね共有されたところだろうというふうに承知しております。しかしながら、一方で、そのために具体的にどういう方策を講じていったらいいだろうか、この点につきましては様々な御意見をいただきまして、現時点で一定の結論が得られたわけではございません。
 したがいまして、こうした状況を受けまして、今回の年金改革法案におきましても、この高所得者の年金給付の在り方など社会保障制度改革プログラム法の検討課題につきまして、ただいま大臣が申し上げましたように検討規定を置いておるところでございます。
 今後、これを踏まえまして、御指摘の点も含めて、例えば諸外国でどういった取組が行われているだろうか、こういったようなことも参考にして検討してまいりたい、こういうふうに考えてございます。
#39
○川田龍平君 税や社会保障による再分配後の所得の格差、このジニ係数の縮小について、ほぼ横ばいとの答弁が国会で繰り返されていますが、再分配前はほぼ同じくらいの数値であるフランスやドイツといったほぼ同規模の国と比較すると、日本の再分配後のジニ係数はさして改善していません。
 つまり、再分配がしっかり行われていないということになりますが、大臣はこの原因をどのように考えるのでしょうか。再分配政策の抜本的見直しが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#40
○国務大臣(塩崎恭久君) 日本における歴史的に見たこれまでの流れというのは、低い失業率に代表されるように、雇用をまず広く確保して、再分配前の所得格差が比較的低い、そして社会保障は高齢期の保障を中心とした経済社会システムが構築されてきたという、経済の、ヨーロッパとの今比較がありましたが、違いというものが、言ってみれば経済モデルの違いというものがあったんだろうというふうに思います。
 再分配によりますジニ係数の改善度については様々な議論を今までもしていただいておりますけれども、他国に比べてこの改善度が小さいというのは今申し上げたような理由からでありますが、近年、高齢化の急速な進展によりまして再分配による改善度合いは拡大をしておりまして、結果として再分配後のジニ係数はほぼ横ばいという形になっているわけでございます。
 その一方で、近年、雇用システムの変化などによりまして、稼働年齢層における格差の拡大傾向、これが指摘をされておりまして、その固定化あるいは世代間の連鎖というものが懸念をされるようになってきております。
 これに対しては、最近、安倍内閣、特に力を入れておりますけれども、最低賃金の引上げ、それから非正規雇用で働く方々の正社員転換、さらに待遇改善の推進などを通じた所得水準の改善を図るとともに、子ども・子育て支援の強化、一人親家庭への総合的な支援、あるいは生活困窮者に対する包括的な相談、就労支援など、社会保障の全世代型への転換を図るなどの施策によって対応をしてまいりたいというふうに考えております。
#41
○川田龍平君 是非その一環として、国民健康保険料における賦課上限額は徐々に引き上げているとはいえ、その引上げ幅は微々たるものです。もっと引上げ幅を広げて、今、年収一千万の人と一億円の人は同じところにありますけれども、率が、例えばこの一億円のところで新たな枠を引いて、そこで一億円まで引き上げて再分配を国民健康保険の保険料においても進めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#42
○政府参考人(鈴木康裕君) 国民健康保険料における賦課上限額の引上げについてお尋ねがございました。
 社会保険方式を採用する医療保険につきましては、負担能力にも応じた公平な保険料負担とする必要があるということはおっしゃるとおりでございます。一方で、受益をはるかに超えた負担を求めた場合には、被保険者の納付意欲低下につながったり、円滑な事業運営に支障を来すおそれもございます。したがって、保険料の負担に一定の限度を設けることとしております。
 このため、その限度額の一層の引上げについては、実際に保険料の賦課を行って徴収をしている自治体の意見をよく伺った上で慎重に検討すべきであるというふうに考えております。
#43
○川田龍平君 国民健康保険から被用者保険に逃げてしまうということがないように、被用者保険の保険料の上限もバランスを取って引き上げるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#44
○政府参考人(鈴木康裕君) それについてもよく勉強させていただきたいと思っております。
#45
○川田龍平君 次に、配付資料を御覧ください。この毎日新聞の調査によれば、HIV感染者、その障害年金給付申請のうち三割が却下されているとのことですが、薬害被害者からの新規申請及び再認定の認定状況はどうなっているでしょうか。
#46
○政府参考人(伊原和人君) お答え申し上げます。
 HIV感染者からの障害年金の新規請求につきましては、平成二十六年度においてHIV感染者からの新規請求は百三十件ございましたが、そのうち血友病疾患を有する方からの請求件数は二件であり、いずれも障害年金を認定し、受給されていると承知しております。
#47
○川田龍平君 この薬害エイズの問題については国の責任というのもあります。本来、薬害援護法のような制度を立てて、そこで救済すべきと考えますが、国の都合で一般制度である障害年金に頼って救済をしているわけです。薬害エイズ患者の高齢化が進み、その多くが障害年金を生活の支えにしている実態があります。国の責任を今後ともきちんと果たせるように、薬害被害者の声を十分聞きながら、被害者の障害年金の新規認定、再認定の実態についてしっかり把握するべきと考えます。是非お願いいたします。
 そして、血友病の類縁疾患であるフォン・ウィレブランド病、これについては、女性特有の症状で苦しむ方が薬害被害者の中にも十数名いらっしゃると聞いています。
 これは、十一月二十八日から始まった血液・造血器疾患による障害に関する認定基準の見直しに当たり、その専門家は男性ばかりということで、このヒアリングの対象者には男性だけではなく女性も含めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#48
○政府参考人(伊原和人君) 障害年金の認定基準につきましては、常に新しい医学的知見を取り入れることで順次見直しを進めているところでございます。今年度は血液・造血器疾患について見直しを行うということにしておりまして、現在、専門家会合を開催し、御指摘のフォン・ウィレブランド病についても御議論いただいております。
 専門家会合では、患者団体からの意見要望についてヒアリングを予定しております。その際、実際にヒアリングする方につきましては患者団体から御推薦いただくことを考えております。患者団体の御判断もあり、推薦者の性別をあらかじめ指定することは難しい点もございますが、少なくとも女性特有の症状で苦しむ方の御意見が含まれるような形でお話しいただくようにお願いしたいと、このように考えております。
#49
○川田龍平君 年金業務のオンラインシステムのうち年金給付システムは、一九六四年、東京オリンピックの年に稼働を開始した大変古いシステムと聞いています。これ、二〇〇六年にその刷新が国会でも課題として取り上げられて以来、いまだに手を着けられていませんが、この刷新の状況はどうなっていますでしょうか。
#50
○政府参考人(伊原和人君) お答え申し上げます。
 御指摘の年金給付システムは、国民お一人お一人の年金額を算出するためのシステムでございまして、これまでの累次の制度改正や様々な経過措置を正確に反映した計算ルールを一人一人の年金記録を基に正確に適用して年金額を出していくと、こういうシステムでなくてはなりません。実際、このシステム刷新を実現するためには、その見直した後のものが正しいかどうかの検証作業を含めて膨大な作業量を要すると考えております。
 そういう中で、年金業務システムの刷新は、今、全体で物を動かしておりまして、二〇一四年の業務・システム最適化計画に基づきまして、まずは年金給付の前提となる記録管理システムの刷新を行うこととしております。
 年金給付システムにつきましては、この記録管理システムの刷新にめどを付けた上で作業を本格化させることとしておりまして、その準備として、来年度からは、刷新の全体像やその規模感、さらに実施に当たって課題とすべく、内容につきまして、それを把握するべく、刷新可能性調査を開始することといたしております。
#51
○川田龍平君 これはもう前回のオリンピックのときから使っているということですので、もちろん刷新はしているんでしょうけれども、是非、少しずつ改定はしているけれども、それをしっかりと、この給付システムについても刷新できるようにこれしっかりやっていただきたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。
#52
○川合孝典君 おはようございます。民進党の川合孝典でございます。本会議での代表質問に引き続きまして、今日は直接、塩崎厚生労働大臣とやり取りをさせていただくのを楽しみにしてまいりました。
 質問を始めさせていただきます前に、先ほどの川田委員からの質問へのやり取りに関して一言大臣に申し上げておきたいことがあります。
 マクロ経済スライドについて、これは社会保障・税一体改革の中で三党合意で民主党が当時認めた内容で、民主党がやろうとした内容であるということを御指摘をされました。そのこと自体は事実なわけでありますが、当時、社会保障・税一体改革で私どもがやろうとしておりましたのは、マクロ経済スライドを発動させることによって現在の受給世代の方々と将来世代の方々できちんと痛みを分かち合うということで、マクロ経済スライド発動やむなしということの議論をしたのは事実です。
 が、しかしながら、我々がそれと同時に申し上げておりましたのは、安定した税財源をもって最低保障年金、七万円という金額を当時言っておりましたが、最低保障年金をきちんと措置することで年金の本来持つべき最低保障機能を担保しようということをセットで申し上げておりました。したがいまして、マクロ経済スライドの部分だけを切り出して大臣がおっしゃることについてはフェアでないと私は思っております。そのことをまず御指摘をさせていただきました上で質問に入らせていただきます。
 まず、もう一度この年金の改正の法律について私自身のスタンスを明確にさせておきたいと思いますが、私自身も、今回法改正でもって、政府が将来世代の年金の金額を守るために今から一定の措置を講じなければいけないという取組をされていること自体については決して否定はいたしません。これまでの年金制度の問題点が今実際に噴き出してきているわけであり、この問題に対して現在から向き合わなければ将来に向かって公的年金制度を守ることができないという、これはもう避けられない事実だからであります。よって、今回マクロ経済スライドを発動するということについても、当時議論に参加していた人間としてやむを得ないことであるということは私も考えているわけであります。
 が、しかしながら、今回の法改正で決定的に欠落をいたしておりますのは、限られた年金財政の中だけで何とかしようということの議論に特化する余り、先ほども申し上げましたとおり、本来公的年金機能が持つべき老後の生活を保障する上での最低保障機能、これをきちんと担保できるだけの年金額が守られていないという、この点なのであります。そのことを私、本会議の代表質問で塩崎厚生労働大臣にも御指摘をさせていただきました。実際、このマクロ経済スライドと同時に、今回政府が新たに導入される賃金・物価スライド、これが実際に動くことによって将来受け取る年金の額は一体どうなるのかと、こう御質問をさせていただきました。
 その質問の背景となっている問題については委員の皆様には既にもう御理解いただいているとおりでありますが、実は昨日、国会から外へ出て一般の皆様と意見交換をさせていただきましたところ、全くまだ一般の方々、国民の皆様、有権者の皆様は、今回の年金制度の改正がどういう意味を持つのか、どうなるのかということについて御理解していらっしゃる方がほとんどいらっしゃいませんでした。
 したがいまして、またかと思われるかもしれませんけれども、あえて申し上げますが、今回政府が将来の年金額として試算してお出しになられている影響試算でありますが、これは、今後この制度が導入されて以降、賃金も物価も将来百年間一度も下がらないということを前提として試算が出されているということであります。したがって、私、本会議の代表質問で、実際のところ、実態に合った形で賃金は上がることもあれば下がることもあります、物価だって上がることもあれば下がることもあるわけでありますから、直近、近年の実態に即した形で試算のデータを出してくださいと、こう申し上げたわけであります。そうしましたところ、塩崎厚生労働大臣、こうおっしゃいました。政府としては、デフレから脱却し、賃金上昇を含む経済の再生に全力で取り組んでいます、したがって賃金が物価よりも低下する状況を前提とした試算を行う考えはありませんと、こうおっしゃったわけであります。
 先ほど川田委員が指摘されましたけれども、大切なことは、今の年金受給世代の皆様もそうでありますが、将来年金を受け取る方々にとっても、一体自分が引退したときに幾ら年金がもらえるのかということが一番大切な問題なんです。それが分からなければ、老後の生活設計ができないわけであります。
 もう一度、しつこいようですが、塩崎厚生労働大臣にお伺いしたいと思いますが、この今政府が出しておられる試算、バラ色の将来推計に基づく試算について、この試算は合理的なものだと大臣お考えでしょうか、お答えをお願いします。
#53
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど、マクロ経済スライドは大事であるという認識は変わらないけれども、最低保障年金を一緒に提案をしているというところを捨象して指摘するのはおかしいということをいただきましたが、この最低保障年金につきましては、何度かこの議論は、テレビの討論会も含めて、大串政調会長は正式な提案ではないということをおっしゃっておりました。
 したがって、これは、我々見る限り、なかなかこれ財源で大変だなという、その財源をどこに求めるのかということが大変大事だと思いましたが、いずれにしても、正式な提案ではないということを繰り返し政調会長はおっしゃっておられたので、あえて申し上げていないというだけで、もちろん、そういう考え方が党内にあるということはよく分かっております。そして、ホームページにまだ正式提案じゃないけれども載っているということもよく理解した上で申し上げているところでございます。
 それで、やはり試算を出さないのはおかしいじゃないかと、こういう御指摘を頂戴をいたしました。今回の額改定ルールの見直しというのは、賃金、物価がいずれも低下をするとか、あるいは賃金の方が物価よりも低下幅が大きいという好ましくない、望ましくない状況が起きた場合の対応について、今までのルールでは将来世代の年金を確保するには十分ではないんじゃないかということが指摘をされ得る状態で来たわけでありますので、そこについて将来世代に反映ができるように今回のルールを、万が一のときのためにやはりルールはきちっとして将来世代への責任を果たそうということで御提案を申し上げているわけでございまして、その効果、つまり一時的に不測の事態を想定した試算というのは、これは井坂代議士から出てきたものに対して、機械的に出してこられましたが、こちらにも機械的に試算をし直せということで、同じ期間を取って当てはめたものをお示しをしたわけでございまして、既にお示しをしている試算で御理解をいただけているものだというふうに思っております。
 ただ、はっきりしていることは、足下の給付水準が上昇をすれば将来の給付水準は低下をする、逆も真なりで、足下の給付水準が低下すれば将来の水準が増加するというこのシーソーのような形は、平成十六年改正によってつくられている制度の下では何も変わらないわけでございます。
 それから、今回の改定ルールが早期に適用する方が将来の年金額の上昇幅は大きくなる、そして早期にこの改定ルールを導入した方が将来世代の年金額の確保につながるという点について申し上げてきたわけでございますので、試算についてこれ以上行う考え方は、先ほど申し上げたようなことも含めて、つまり物価、賃金いずれも上昇するということで、私たちは経済政策もセットでやっていかなきゃいけないということで努力をさせていただいているところでございます。
 今回の改正はあらゆる事態に備えて見直しを行うわけでございますので、何よりも、今申し上げたように、強い経済をつくることによって賃金も物価も健全な形でプラスで上がっていく、上昇していくようなという、そういう経済をつくっていくこと、そしてデフレから脱却をすることであります、それは。そして、賃金の上昇を含む経済が再生をするということが大事でありますので、健全な社会保障のためにも健全な経済成長を実現をしていくということを併せて努力をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
#54
○川合孝典君 丁寧過ぎる御答弁、どうもありがとうございます。
 お手元の資料を見ていただきたいと思います。一枚目の資料でありますが、何度もこれも出したものでありますが、平成十七年度以降の物価と賃金の変動率であります。
 実は、今後百年間一度も賃金も物価も下がらないよと、そのことを目標にして取り組んでいきますという、大臣、御答弁いただいているわけでありますが、残念ながら、平成十七年度以降だけでも七回、黒塗りのところですが、七回、賃金、物価が下落しております。追加して申し上げますと、今年もそうです。今年も実は下落しているという、こういう状況にあるわけであります。
 私は、経済を強くする、年金の持続性を高めると、そのことに対して取り組んでおられることを否定しているわけじゃないんですよ。そうではなくて、この取組を行っていく上で、本当の意味で、国民の皆様、年金を受け取られる方々の将来不安を払拭し、最低保障機能を守り、将来に向かってこの制度を引き継いでいく上で今何をやらなければいけないのかという議論をする上で、正確な資料が必要なんじゃないですかということを申し上げているだけなんです。
 私は、衆議院でいろいろな質疑があって、年金カット法案だというフレーズが飛び交いました。そのことが結果的に国民の皆様の不安感を高めることにつながってしまったのもこれ事実だと思いますが、私は、そういう話になってしまったのは、正確な試算を出さずに、実態に即した試算を出さずにそのまま押し切ってしまおうと政府がされるから、バラ色の将来推計だけでやるのはこれは年金カットだけが目的なんじゃないのかということで、こんな残念な話になってしまったんだと私は思っております。
 そういう意味では、重ねて申し上げますが、今大臣がおっしゃったような、こうなったらいいなだけの試算でこの問題を進めていくのは余りに乱暴過ぎるんだということを御指摘をさせていただきたいと思います。
 これ以上やりますと神学論争のような話になって結論が出ませんので、では、私が何が必要としているのかということについて次の質問をさせていただきたいと思います。
 私がこの問題で最低保障機能が失われるということを懸念いたしておりますのは、最低保障機能を公的年金制度が果たし得なくなったときに、最後に、年金受給者の方々、収入の道を閉ざされた受給世代の方々が行き着く先は生活保護であります。
 既に、現時点での生活保護者数は戦後の動乱期に匹敵するほどの実は水準に高まっております。ここ近年、急速に伸びております。生活保護費総額も三・八兆円超えという、こういう状況になっているわけでありますが、この生活保護にこれ以上流れ込まないようにするために、公的年金制度の最低保障機能をどう担保していくのかということを同時に議論しなければいけないのではないのかということを私は御提案をさせていただいております。
 そこで、大臣に質問であります。
 近年、生活保護者数また生活保護費がこれほどまでに急速に増大している理由を厚生労働省としてはどのように認識しておられるのか、お伺いしたいと思います。
#55
○国務大臣(塩崎恭久君) 御指摘のように、生活保護費負担金、そして生活保護受給者数、いずれも増加傾向が続いているという認識でございます。
 負担金の方の増加につきましては、生活保護受給者数の増加の影響が多いということがまず第一点でございます。次に、受給者数を年齢階級別に見ますと、高齢者以外の受給者数は平成二十四年度をピークに減少に転じた一方で、高齢の受給者数は一貫して増加をしているということでございます。
 高齢の受給者数が増加をしている、では要因は何だろうかということで見てみますと、まず、高齢の場合は働いている方が少ない、そして雇用環境の改善による影響が高齢者の場合には影響を受けることが小さいということがまず第一点でございます。それから、生活に困窮する可能性が高いと考えられます単身高齢者、これが増加をしているということなどが考えられます。さらに、中高年齢期の雇用環境の変化、あるいは貯蓄なし単身高齢者の指摘がよくなされますが、この貯蓄なし単身高齢者の増加、あるいは長寿化そして家族関係の変化などが背景に同時にあるものだというふうに理解をしているわけでございます。
 いずれにいたしましても、この高齢の生活保護受給者の増加要因については、しっかりと立体的、多角的にその実態、なぜそういうことが起きるのかということについて把握をすることが私は必要であると思って言ってきているわけでございまして、平成二十九年度の次期生活扶助基準の検証に合わせて制度全般についても見直しの検討を行っていくこととしていることから、その中で様々なデータを用いた実態の把握や分析に更に取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。
#56
○川合孝典君 大臣、ここからは答弁書なしで、大臣自身がどうお感じになられるかということで御意見聞かせていただきたいんですが、お手元にお配りいたしました資料の三枚目、生活保護費負担金実績額の推移という表を付けさせていただいております。こちらです。
 生活保護費というと、いわゆる現金の部分で支払われている金額というものがつい頭に浮かびがちなわけでありますが、この棒グラフの右側のところに内訳の記載がなされておりますが、実は生活扶助費として支払われている金額というのは生活保護費総額の三分の一しかないです。実は一番大きいのは医療扶助でありまして、これだけで一兆七千億円を超えております。さらに住宅扶助で五千九百億円、およそ六千億円支払われていると。実は三分の二は生活扶助費じゃないんですよ。
 私が御指摘させていただきたいのは、生活保護に陥ってしまう方がこれ以上増えてしまうと、更に医療扶助や住宅扶助といったところで財政支出が増えてしまうということなんです。目先の年金財政の収支の議論をするということだけに特化してしまった結果、生活保護世帯を増やしてしまう、その分、余分にこのお金が出ちゃうんです、更に。先ほど大臣の御答弁にもございましたけれども、若年者の生活保護者数は減っていると。仕事が増えて何がしかの自活ができる体制に戻っていかれる方が少しでも出てこられているのは大変喜ばしいことだと思っております。が、しかしながら、若年者の生活保護受給が減っているにもかかわらず総額が増えているのはなぜなのかというと、実はここなんです。医療それから住宅、こういうところに対して財政支出をしなければいけないという状況があるからなわけであります。大臣、答弁書なくても結構ですよ、大臣の思いということでお答えいただければ結構でありますので。
 ということでありますので、こういう状況に陥らないようにするためにどう最低保障機能を守っていくのかということの議論を私はするべきだと考えておるわけでありますが、大臣はこの点について今の説明を聞かれてどうお感じになられたか、お伺いをしたいと思います。
#57
○国務大臣(塩崎恭久君) 今お配りをいただいたこの生活保護費負担金のことは、私はこの全体のことについて先ほど説明を申し上げたわけで、その中に漏れなく付いてくる形で医療の扶助というのが多く含まれていて、まさに半分以上を占めているということでございます。
 先ほど最低保障年金の話をされたときにおっしゃったのは、まさに生活をどう支えるのか、特に年金を含めた所得の低い方々の生活をどう守っていくのかということが大事なんですというお話でございましたが、そのとおりだと思います。ただ、それをどうやるのかということについて、失礼ながら、最低保障年金については正式な提案としてなっていないので私どもとしても議論にはまだ正式にできないわけでありますけれども。
 しかし、同時に、旧民主党の皆さん方と自民党、公明党と議論ができたのは三党合意のときの議論であって、そのときの結論がやはり社会保障制度で全体で総合的に対策を講じるということで、年金だけではなく、どうやったら低所得の皆さん方の生活を守れるのかということで出てきたのが、一つは今回もう既にお通しをいただいた年金の受給資格期間の短縮で無年金者を減らす、そして年金生活者支援給付金の創設によって年最大六万円の支給をすることで支えていく、そして医療、介護の保険料の負担を軽減をどう図っていくのかということで、支出の側のサポートをしていくということであり、もう一つは、まだスタートして間もないわけでありますけれども、生活困窮者自立支援制度による住まいなどを含めたサポートを、先ほど川田委員からも出てまいりましたが、サポートをしていくのかということについて併せてやっていくということがあのとき三党で合意ができたところであって、しかし更にやらなきゃいけないことがプログラムの方に書いてあるねというのが先ほど来の議論で、クローバックも含めてマクロ経済スライドをじゃフル発動していくのか、あるいは適用拡大の問題、これは雇用、働くこととセットでありますが、この問題、それから支給開始年齢などの問題、年金課税、クローバック、こういったこともやっていくことによって、今御指摘の低年金、そしてそれによる低所得者の生活を支えていくことの対応を絶えず図っていかなければいけないということを我々ももちろん念頭に入れながら、今提案を申し上げているのは、その中で今提案できることは全て提案をしていこうということでやっているわけでございます。
#58
○川合孝典君 大臣がおっしゃったこと、一つ一つは私も十分理解している内容なんです。
 私が心配いたしておりますのは、政府のこの財政支出が今後増えていくだろうという観点。それともう一つ、将来不安は内需の冷え込みにつながるんです。将来に不安があるから、アベノミクスでいろんなことをやって多少なりとも給料が増えた、ボーナスが増えたとなっても、何にも消費増えない。理由は簡単なんですよ。多少手取りのお金が増えたからといって使えないんですよ。だから皆さんため込まれる。せっかく経済政策やっても効果が出ないという悪循環に陥ってしまっていると私は理解しております。
 私が申し上げたいのは、この年金の制度自体の見直しを行うということの本来前に、そのことによって生じるであろう痛みに対してどう措置をするのかということがあった上でこれやらないと、より一層将来不安が大きくなると私は思っているんです。だから、やるんだったら、最低保障機能の議論きちっとやって、その上で年金財政の持続可能性を高めるための措置も講じればいいんじゃないのかと私は申し上げているんですが、この指摘について、大臣、どうお感じになりますか。
#59
○国務大臣(塩崎恭久君) これ、何度も取り上げられてまいっております社会保障制度改革国民会議の報告書の中にも抜本改革について触れているところがございます。ございますが、ここに書いてあることは、どのような制度体系を目指そうとも必要となる課題の解決を進めるということがまず第一ステップとしてあって、すなわち今私どもが提案をさせていただいているような、あるいはまだ積み残しで議論しなければいけないと言われて指摘されているプログラム法に規定をされたような検討課題、これらについてやはりきちっと答えを出すべきだということが書かれており、そして将来の制度体系については引き続き議論するというこの二段階アプローチを取ることが必要だと明確に書いてございます。
 私どもも、基本的にはこのような形で、今の制度で、まさに先生が御指摘になったように、みんなが年金に対する信頼感を、つまり将来不安をしっかりと払拭をして制度に対する信頼を持ってもらうためには、やっぱり今の制度をどうするかということ、強化をどうしていくかということがまずやらなければいけないことだということでやっているわけで、いきなり将来制度のことだけを先に持ってきても、それは今のじゃ制度はどうなるんだという不安をまたあおることにもなりかねないということもございますので、そこは将来の抜本改革と今御指摘になられたような制度設計をどう根本的にやり直すのかということはもちろん考えていっても、それは当然あり得ることではありますが、事の順番は、やはりこの国民会議で提案されているように二段階アプローチでいくということでありますので、こういったことについて早く議論をし、そして更に強化をしなければいけない、つまり低所得の皆さん方に対する生活をどう守っていくかということについては、次の財政検証においても更に分析の仕方等々を考えていくということが大事なんだろうというふうに思います。
#60
○川合孝典君 私が申し上げているのは、御理解いただいていると思いますが、もったいないやり方をされているなということなんです。最低保障機能をどう守っていくのかということと将来不安をどう払拭するのかということ、これ、年金の制度と生活保護の制度を、本来、国の社会保障のセーフティーネットという意味でいけば、パッケージで議論しなければいけない課題だと私は思っておりますが、これを、先行してこの年金の問題だけを議論してまず変えてしまいましょうということをやるということは、結果的に、今政府が景気刺激策を講じて様々なことをやって何とか景気良くしようとしていることに対して、逆に将来不安をあおるという意味では、アクセルとブレーキを同時に踏んでいることになっているということを私は指摘させていただいているわけであります。
 これ以上この問題には踏み込みませんが、お願いしたいのは、将来いわゆる最低保障機能がどうあるべきなのかということ、それと同時に、現在の生活保護の在り方、今後の在り方も含めて、速やかにこのことについての議論を厚生労働省には始めていただきたいということをお願いを申し上げておきたいと思います。
 次の質問に入らせていただきますが、一点だけちょっと確認をこの関係でさせていただきたいと思います。
 これは政府参考人ということになろうかと思いますが、今回この年金額の改定ルールの見直しを行うに当たって賃金・物価スライドのルールが導入されますが、この賃金の改定のベースになるのは標準報酬月額ということでよろしいでしょうか、まずそれを確認させてもらいます。
#61
○政府参考人(鈴木俊彦君) 今先生御指摘ございましたように、この年金額改定に用います賃金変動率でございますけれども、これ、具体的に申しますと、三年度の平均の実質賃金、ある年の二年度前から四年度前までの三年度平均を取りますが、その基になりますのは、今先生御指摘ございましたように、厚生年金保険の被保険者全体の標準報酬の平均額を用いているところでございます。
#62
○川合孝典君 ここからは大臣に是非聞いていただきたいんですけれども、今回の賃金・物価スライドというのの賃金改定率のベースになるのが標準報酬月額なんです。実はこれまで誰も一度も指摘していない問題なんですが、標準報酬月額が賃金改定ルールのベースになるということは、今後、社会保険の適用拡大を行っていくということは、低賃金で働いておられる方々も当然社会保険の枠の中に入ってまいりますので、これ、シンプルに考えますと、社会保険の適用拡大を進めれば賃金改定率は今の試算以上にマイナスになるということになるわけでありますが、これ、間違いないでしょうか。
#63
○政府参考人(鈴木俊彦君) 今先生御指摘ございましたように、適用拡大、これは働き方においてきちんと被用者保険を適用して保障につなげていくということでございますけれども、その結果、短時間労働者の方々が厚生年金の世界に入ってまいります。そうしますと、この方々の賃金の水準がどうかということでございますけれども、おおむね通常の方々、一般の長時間労働者よりは低いであろうという仮定を置きますと、先生が御指摘のように、全体としての標準報酬の平均額というのは下がる方向に働くと、定性的にはそういうことだと思います。
 ただ、今般の十月からの拡大で申しますと、全体二十五万人でございます。具体的にどの程度影響があるかというのは、これは入ってくる方々の標準報酬がどういうふうになるかということを正確に推し測らないといけませんので正確な推計は困難でございますけれども、手掛かりとして規模感で申し上げれば、厚生年金の被保険者全体、四千万人でございます。そこに二十五万人の方々ということでございますので、今般につきましては影響は非常に限定的だというふうに思っております。
#64
○川合孝典君 当面というか、制度を移行した当初はそういうことだということでありますが、今後、社会保険の適用拡大をより拡大していこうということが目標として当然掲げられているわけでありますが、将来的にこの問題が大きな問題になるということを今から想定した上で制度設計をしなければいけないということを後ろの厚生労働省の方に申し上げておきたいと思います。
 その上で、次の質問に入らせていただきます。たくさん質問準備してまいりましたが、まだ二問しかできていないということでございますので、ここからはちょっと急いで確認をさせていただきたいと思います。
 GPIFのガバナンスの問題についてであります。
 既に何人かの委員の方々が御指摘をされておられますが、今回、経営委員会の構成員に労使の代表が一人ずつ、二人入るということで決まったということを伺っておりますが、海外のいわゆる年金の運用機関の、要は決定する経営委員会に当たる組織では、拠出者の代表である労使ですよね、元々の年金の持ち主ということでありますが、持ち主の方々が複数参画をする、先進国では、過半数を労使代表が占めるという枠組みを取っている先進国も多いわけでございます。これ、一人ずつ労使の代表を入れるということだけになっておりますが、これでは不十分じゃないかということなんです。この点について見解をお伺いします。
#65
○国務大臣(塩崎恭久君) まず第一に確認をしておきたいことは、GPIFというのは、専ら被保険者の利益のために年金積立金を運用するということがございます。
 新たにつくります経営委員会の経営委員、これにつきましては、全員が被保険者の利益のために行動することが当然求められるわけでございますので、特定の方々のために動くということではなく、専ら被保険者全体の利益のために、被保険者のために行動するということが当然求められるわけでございます。それを前提といたしまして、今回の改正案では、社会保障審議会年金部会の議論を踏まえて、経営委員に被保険者や事業主の拠出団体の推薦者を入れることを法律上明記をしているところでございます。
 この人数につきましては、審議会で様々な議論がありました。委員長、理事長を含めて委員全員で十名以内ということで経営委員会がつくられているわけでございますが、その中にあって、経営委員には経済や金融、資産運用、経営管理などの専門家を最小限の人数で適切に任命をする必要があるということがございます。現在、運用委員会というのがございますけれども、ここで被保険者あるいは事業主の代表者が各一名任命をされておるわけでございまして、そんなことも踏まえながら最終的に各一人というふうになったところでございます。
 経営委員につきましては、私は、市場や運用の環境が高度化、複雑化をしていますので、そういう中にあっては、重要な方針を適切に決定をし執行をきちっと監督ができる、そういうためには経済、金融、資産運用、経営管理などのGPIFの業務に関連する分野について十分な知識、経験を有する方を選任することが重要だと思っています。
 拠出者である被保険者や事業者の意見の反映に関しては、このように経営委員に労使代表を各一名入れることを法律上明記したことに加えて、経営委員の任命基準を議論いただくことになる社会保障審議会の委員に労使の代表者にも当然加わっていただくことなどによって適切に配慮をしてまいりたいというふうに思います。
#66
○川合孝典君 ルールではそういう形で決められているということは私も存じ上げておりますが、他人のお金なのか自分の金なのかで当然運用の仕方は変わってくるわけであります。自分自身、自分たちで積み立てたお金であればそんなハイリスクなことは当然できないわけでありまして、そのことが結果、慎重な運用にもつながっていくということでありますので、そういうことを踏まえた上で経営委員の人数の在り方というものをどう設定していくのかということが当然議論されているわけでありますから、今長々と大臣御説明いただきましたけれども、結局、恣意的に当事者は減らしたということなんだろうと私理解をしました。
 ちなみに、何回かこれまでの議論の中でも出てまいりましたが、年金部会でも労使二人ずつ入っています。年金部会でも労使が二人ずつ入っているんです。これまで誰もいなかった、一人もいなかった状態なのが、経営委員会つくって一人ずつでも入れてやったからまあいいだろうということでこのまま行ってしまって、私が懸念しておりますのは、この現状のGPIFの大切な年金積立金のハイリスク運用をやっていることについての責任だけ負わされるという、まあいわゆるアリバイづくりみたいなことになっちゃうんじゃないのかということを実は私は懸念いたしております。同様の指摘をされる方も残念ながらおられることも事実でありますので、この点について指摘をさせていただいておきたいと思います。
 なお、もう一点指摘させていただきますが、監査委員というのも、監査を行うための委員を設置するということについても今回お決めいただきました。監査することは非常に重要なことでありますからいいことだなと思ったんですが、その監査委員が経営委員の中から選ばれると聞いたんです。
 これ、執行者が監査をするというのはもう論理的にあり得ない話なんですけど、一体どういう理屈なのか、お教えいただけますでしょうか。
#67
○国務大臣(塩崎恭久君) これは前回、牧山委員に御答弁申し上げたとおりでございまして、会社法で委員会等設置会社の場合にも監査委員会に社外取締役である方がおられるというのが通常でございまして、会社法において執行部の業務執行に対する取締役会の監督機能を高めようとする流れになっていて、具体的には、今申し上げたように、監査等委員会設置会社あるいは指名委員会等設置会社においては、業務監査を行う監査委員会、今申し上げましたが、これを、経営の基本方針などの決定や監督を行う取締役、特にこれは社外取締役が中心となって構成をすることで、監査結果を生かして執行部への監督がより実効性の高いものとなるようにしているわけでありまして、元々社外の方々で基本的には構成される経営委員会に一人執行部から入っているという形になっているわけでございますので、構図としては委員会等設置会社と同じように社外取締役が監査委員会の多数を構成するということは、ごく会社法の中でもガバナンスとしては当然のこととして認められてきている世界的な流れだというふうに思います。
   〔委員長退席、理事島村大君着席〕
#68
○川合孝典君 今大臣が御答弁されたとおりだと思うんですが、私どもが懸念いたしておりますのは、そうしたことも含めてどういう人選の仕方をするのか、どこでするのかということも含めて、今後法律が通った後で決めましょうという立て付けになっておるものですから、そこをきちんと、考えていらっしゃることとしては真っ当なことを考えていらっしゃるわけですから、だったら最初から法律に、もっと丁寧に作って組み込んでしまうという作業をされれば、何度も同じ質問をしなくていいわけであります。
 そういう意味では、残念ながら、やろうとしていることの意図は私も理解できますけれども、法律自体の完成度という意味では非常に乱暴だと言わざるを得ないと思っております。
 次の質問、たくさんありますが、申し訳ありません、通告して質問できない部分が幾つか出てまいりますが、御容赦をいただきたいと思います。
 続きまして御質問させていただきたいのは、短時間労働者への社会保険適用拡大の促進の部分についての質問であります。
 火曜日の議論の中で、適用拡大に当たっての厚生労働省のこれまでの取組については、たしか年金局長の方から細かい数字も含めて御答弁をいただいていたと思いますが、この中で私ちょっと心配いたしておりますのは、この適用拡大の業務を実は遂行している日本年金機構の組織の問題についてであります。
 ちょっと大臣に是非これ聞いていただきたいんですけど、現在、年金の問題、消えた年金、消された年金の問題が起こりまして以降、二〇〇八年七月、当時自民党さんの政権時代だったと思いますが、二〇〇八年七月に閣議決定された日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画において機構の正規職員数の上限が定められているという、これが、実はそのルールに基づいて今様々な組織の見直しが行われていると伺いました。既に数十万件の適用拡大の作業等、非常に速やかに今、年金機構動いてやっていただいているわけでありまして、その作業のパフォーマンスについては私も非常に評価をするべきだと思っておるんですが、他方、職員の上限決められた上、今やむを得ず准職員という形で日本年金機構で仕事をしておられる方が私の手元の資料では七百八十人いらっしゃると。この方々についても、今年度末で六百七十一人がお辞めになる、来年末までに廃止になると、こういうことに実はなっておるわけであります。
   〔理事島村大君退席、委員長着席〕
 適用拡大によって今作業量が物すごく増えているんです。にもかかわらず、その実務に当たる年金機構の職員がこういう状況では、せっかく今のこの適用拡大の作業を正確に迅速に進めようとしている、業務上甚大な悪影響を及ぼすのではないのかということの指摘なんですが、この点聞かれて、大臣、どうお感じになりますでしょうか、是非対応いただきたいんですが。
#69
○政府参考人(伊原和人君) 今御指摘いただきましたように、年金機構の仕事、以前は記録問題を一生懸命やっておりましたが、今は事業所の適用とか、それからあと、来年を見渡しますと、受給資格期間が二十五年から十年に短縮されますので、これに伴った対応ということでいろんな人手を要することもございます。したがって、現在、今ある業務から次の業務へとシフトをしております。そのための必要な人員についても配慮しておりますし、あるいは非正規職、准職員から正規への流れというのも行っております。
 さらに、来年度につきましては、人手の増える分についても職員を確保するべく予算を確保してまいりたいと、このように考えておりまして、基本的には以前決めました基本計画に従って業務が適切に遂行できると考えております。
#70
○川合孝典君 基本計画に基づいて取組を行うのはこれは当然のことでありますが、この社会保険の適用拡大がこのタイミングで実施されるということについては基本計画を立てた当時には想定されていないわけでありますので、当然状況が変わっているということであります。
 ゆえに、今のこの状況の中で、日本年金機構が年金制度の信頼をきちんと担保する上での必要十分な業務を遂行していけるだけの陣容を整えるべきだということを重ねて申し上げたいんですけれど、大臣、この点について、積極的、前向きに御対応いただけないでしょうか、御答弁お願いします。
#71
○国務大臣(塩崎恭久君) 問題意識はよく理解できるところでありますし、一方で、今審議官の方から御説明申し上げたように、更にこれから仕事が増えてくる部分もあるということもあります。
 そうなりますと、しかし、そうはいいながら、やはり予算の範囲内で、あるいは事業計画の、中期計画の範囲内でということになれば、おのずと限界があるわけでありますから、それをどう乗り越えて、間違いのないきちっとした、国民生活の最後のとりでであるこの年金を守っていくかということが大事であって、昨今はAIだIoTだといってICTがもう本当に進んできているわけで、もちろん人間でないとできないところと機械でもできる部分というのもあって、必ずしも機械でできる部分が今きちっと機械でなされているかどうかというと、私はそうでもないんではないかというふうにも思っておりますので、そういうことも踏まえて、先生の問題意識もしっかりと受け止めながら、このICT化を含めた人員の配置の在り方について考えていきたいというふうに思っているところでございます。
#72
○川合孝典君 終わろうと思ったんですが、一点だけ指摘させていただきます。
 ICTの話は、確かに機械化ができるところで効率化するのはいいんですが、実際、この職員の皆さんは、立入調査とか呼出し調査、さらには滞納処分などを具体的に行うという、マンパワーがないとできないことをやっていらっしゃるという意味でありますので、そこを是非御記憶にとどめておいていただいて、是非この問題については前向きに御対応いただきたい、これをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#73
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 毎年のように受け取れる年金、天引きもありますので、年金が減っていくということに対して、国民の不安というのはやっぱり広がるばかりだというふうに思うんですね。必要な改革、この一歩は、減らない年金制度にしていくということ、大変重要だというふうに思っています。ところが、マクロ経済スライド掛けて減らしていくということをしていかざるを得ないというのは、結局、保険料は上限で固定する、積立金は百年以上を前提にすると、こういう枠組みの中で年金が減らされ続けているんだということだと思うんです。
 そこで、確認をしたいと思うんです。
 二〇一五年一月二十一日に社会保障審議会年金部会がまとめました議論の整理の中には、年金制度内における再分配機能の強化としまして標準報酬の上限について記述があります。内容を簡潔に御説明をいただきたい。
#74
○政府参考人(鈴木俊彦君) ただいま御紹介ございました年金部会における議論の整理の中では、年金制度内における再分配機能を強化していく必要性についてはおおむね共有されたと、その一方で、保険料負担の上限の在り方でございますが、これについては様々な意見があるということが御紹介されております。
 具体的には、まず第一点としまして、現行の厚生年金保険は標準報酬の上限が定められており、保険料負担についても再分配機能の強化の観点から将来的には上限を撤廃していくことも考えられるという御意見、逆に、年金分野における給付の効率化、重点化が実行されないまま財源対策としての上限の引上げを行うことは適切でないという御意見、こういった様々な御意見が紹介されておりまして、この点については一定の結論が得られた状況ではございません。
#75
○倉林明子君 保険料負担の上限ということで、上限撤廃というところ紹介あったんだけれども、例えば、今の厚生年金保険料の標準報酬月額というのは上限六十二万円ということになっていますよね。これを医療保険の上限と同じように百三十九万円というふうに引き上げるという仮定を置いて試算してみると、年金保険料の収入っておよそ一・五兆円増えるんじゃないかと思うんですよ。
 さらに、今御紹介なかったけれども、この議論の整理というまとめの中には、海外の仕組みということで、報酬が高くなるに従って給付率が逓減、減っていくという仕組みであるベンドポイント制なども再分配機能の強化に資するものという御意見もあったというふうに整理されております。
 私、こういう提案について、年金の所得再分配機能、これを拡大するというような方向じゃなくて、格差を広げるということじゃなくて、再分配機能を高めるという改革の御意見としてやっぱり直ちに検討するべきではないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
#76
○国務大臣(塩崎恭久君) 今お話ございました再分配機能の強化、特に世代内の再分配機能の強化の必要性につきましては国民会議の報告書において必要性が指摘をされて、平成二十五年の社会保障制度改革プログラム法において高所得者の年金給付の在り方及び公的年金等控除を含めた年金課税の在り方の見直しが検討課題として指摘をされたわけでございます。これを受けて、先ほどお話がございました社会保障審議会年金部会において保険料負担の上限について議論がなされたところでございまして、その際には、今両論の話があったとおり、結論には至っていないということでございます。
 こういうことでありますので、今回の年金改革法案においても、高所得者の年金給付の在り方等の社会保障制度改革プログラム法の検討課題につきましては、法律の施行後速やかに検討する旨の規定を盛り込まさせていただいておりまして、御指摘の点も含めて、そして、外国の今制度のことにお触れをいただきましたが、こういった例もよく参考にしながら今後ともしっかりと検討してまいりたいというふうに思います。
#77
○倉林明子君 基礎年金の減額期間を長期化させるということにもなる今回の年金改定ルールということで、年金部会の委員から、肝腎の基礎年金の減りが大き過ぎて最低保障機能が損なわれる、こういう指摘があったということと、高齢者の所得格差が更に広がる、こういう指摘もあったというふうに見ています。
 所得格差を是正するというのは今回の改定ルールにとっても一緒にやっぱりやらないといけないという課題だったんじゃないかと改めて思っているわけです。所得格差を是正する対策としても、ただ検討していく、今後ということでありましたけれども、やっぱり直ちに検討していくべき提案だと、これは指摘にとどめておきたいと思います。
 さらに、今日は積立金について質問をしたいと思います。
 資料一、これ平成二十六年度の財政検証の結果レポートからうちの事務所で作成したものとなっております。財政検証、三つのケースがレポートには報告ございまして、それをグラフに落とし込んだものになっています。これ、ケースC、E、ほとんど重なっていますけれども、二〇四〇年まで急激に上がっていくというグラフになります。さらに、ケースG、これ緩やかながらもやっぱり二〇四〇年までは上がっていくということになっているんですね。
 これ、どのケース見ても積立金が増え続けるという見通しになっているわけですよね。一体何でこんなに増えるのか、分かりやすく御説明ください。
#78
○政府参考人(鈴木俊彦君) ただいま御紹介いただきましたように、この二十六年財政検証のケースEの場合で御説明申し上げますけれども、厚生年金の積立金の推移、今先生御指摘になったとおりでありまして、足下数年間は減少いたしますが、その後の二〇四〇年頃まで増加を続けて、その後再び減少していく、こういう見通しでございます。
 これ、どうしてこうなっているのかということでございますけれども、二〇四〇年度頃までは積立金が増加してまいります。それは、一つは、厚生年金の支給開始年齢の引上げが二〇三〇年度まで段階的に行われるということがございます。これ自体が支出総額が抑えられていくということになります。それからもう一つは、マクロ経済スライドの調整が行われることでございます。したがって、これによりまして支出の増加スピードが減速をしていく。
 その後、二〇四三年度にはマクロ経済スライドが終了いたしますので、そうしますと、最も少子高齢化が進むと見込まれます二〇五〇年代以降は、これは積立金を給付に活用していくということになりますので、積立金が取り崩されて減少していく、こういうような構造にあるわけでございます。
#79
○倉林明子君 これ、つまり、二〇四〇年まではどんなケースでも積立金が増えるという仕組みになっているということだと思うんですね。
 私、今の積立金をためてきた、これは一体誰かというと、現在の加入者もそうなんだけれど、これまでの加入者が貢献してきたと思うわけですよ。現在の年金受給者が中心にやっぱり積立を増やしてきたというのは事実だと思うんですよね。その年金受給者が受給する分は支給開始年齢が先送りされる、あるいはマクロ経済スライドで減額されると。されながら、将来世代のためにということで、今後ですよ、三十五年間積立ては続くということになるわけですね。私、現在の年金受給者にとって余りにも理不尽だというふうに思うんですけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。
#80
○国務大臣(塩崎恭久君) これ、平成十六年の改正の本質部分に触れるものだと思っておりますが、公的年金制度は、将来の保険料水準を固定をして、その上で保険料収入に加えて積立金とその運用収入、これを充当して給付を行っていくという仕組みになっているわけで、おおむね百年程度の財政均衡期間というのを設けて、通じて、年金財政の均衡が保たれるように年金水準を将来に向けて調整をしていくというのが、まさにこの制度そのものでございます。
 今後、少子高齢化が一層進んで年金の受給世代が増加をして現役世代が減少していくということが見込まれるわけでありますので、特に二〇五〇年代以降は少子高齢化が最も進むと見込まれております。その頃が年金制度にとっては非常に厳しい時期になってくるわけでありまして、将来にわたって十分な給付水準を確保をして持続可能な制度とするためにも、二〇五〇年頃までの間にマクロ経済スライドによる調整を進めて必要な積立金を確保していく必要があるということについて御理解を賜れればと思うところでございます。
#81
○倉林明子君 いや、今でも低年金の方々始めセーフティーネット機能、もう年金だけじゃ無理だというようなことを政府自身もおっしゃっているわけで、私、本当に酷な話だと思うんですよ。
 今、年金世代の親というのは、それは高い年金もろうている人もあるというけれども、年金世代の親が年金減って暮らし見通し立たないと、こういう状況、一方で広がっているわけですね。親が大変なときに、世代間の助け合いやとおっしゃるけれども、親の貯金を当てにして、生活切り詰めてでも貯金は取っておいてくれと言う子供がおったら、一般的にはそれは親不孝と言うんだと思うんですよ。
 積立金を維持する、積み増しをする、これを前提にした考え方というのを撤回して、給付抑制は回避するという運用に私は大きく改めるべきだと思います。どうでしょうか。
#82
○国務大臣(塩崎恭久君) 一言で言えば、財源を何で年金を支払うかということに尽きるんだろうというふうに思います。
 この十六年改正の保険料を固定する制度の下で、これは先ほど川合先生も同じような、基本認識は同じだというふうに理解をしましたが、そういう中で将来世代と今の世代をどうバランスをするのかということで申し上げているわけでございますので、おおむね百年の間でバランスが取れるようにするということでこの年金の支払い方についても決めているわけでございまして、今積立金のお話がございましたけれども、これはやはり将来の年金給付に充てられる貴重な財源であるわけでありまして、この分かち合い、世代間の分かち合いの仕組み、そして現在の若い人たちと現在年金を受給している高齢世代の両方の理解を得ることが重要でありますので、仮に積立金及びその運用収入を取り崩して現在の給付に充当するということになれば、現在の若い人たちが、将来は年金をもらうようになるわけでありますから、その将来受け取る給付水準はその分低下をしてしまうと。
 つまり、将来年金受給世代の財布から今の受給世代にお金を回すということについてどう考えるかということになるわけでございますので、現在の若い人たちに対しても責任ある対応をするためにも、御指摘のように積立金を現在の給付にそのまま充当すべきということではないのではないかというふうに考えます。
#83
○倉林明子君 前提で私たち一致していませんから、マクロ経済スライドでね、合意していないということは忘れないで議論をしていただきたいと思います。年金世代に辛抱と苦労を掛けてまで積立金をこれ積み上げるわけですから、これから二〇四〇年まで、そういう必要は私、全くないと指摘をしておきたいと思います。
 そこで、百年の話をされるわけだけれども、この積立金を確保していく必要があるとおっしゃる。しかし、これだけ膨大な積立金の確保が一体どうして必要になってくるのかということで、見過ごすことができないと思いましたのは安倍総理の発言なんですね。
 二〇一四年十月のGPIFの株式運用拡大前、ここで安倍総理がどうおっしゃっていたか。一月のダボス会議、五月の国際交流会議「アジアの未来」、そのほかでもおっしゃっている。共通しているのは、GPIFの改革についてこんな表現になっています。世界最大の年金基金、運用資産を持つGPIFはフォワードルッキングな改革を進めていくと世界各地でアピールされたんですね。よく調べてみますと、フォワードルッキングって何なんだと、経済学では合理的期待形成、すなわちその時点で利用可能な全ての情報を用いて期待形成を行うことと説明されております。
 私、総理の発言は、巨大な運用資産を活用して日本の株価、これつり上げていくんだというメッセージとして海外に伝わったんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
#84
○国務大臣(塩崎恭久君) 年金の積立金の運用につきましては、そもそも法律上、先ほど来繰り返し申し上げているように、専ら被保険者の利益のみを考慮するということが義務付けられております。そのためにも、将来の安定的な年金給付に向けて、デフレ脱却後の経済・運用環境に対応して、年金財政上必要な利回りを最低限のリスクで確保することが必要だということでございます。
 一昨年の基本ポートフォリオの見直しは、これを踏まえて専門的な議論の結果、デフレ脱却、適度なインフレ環境への移行など、長期的な経済そして運用環境の変化に即して株式等への分散投資を新たなポートフォリオで進めたということでございまして、先ほどダボス会議などでの総理発言を取上げをいただいておりますけれども、基本ポートフォリオの見直しなどGPIF改革の必要性を指摘をした平成二十五年十一月の有識者会議の報告というのがありますけれども、これなどを踏まえ、GPIFの改革が結果的に成長への投資あるいは日本経済に貢献をすると、そして経済の好循環にもつながる旨を総理からは発言をしたということであると思っております。
 特定の運用内容について言及をしたということでは全くないというふうに思っておりますので、それをどういうふうに受け止めるかということについて私が正確に申し上げることは難しいわけでありますけれども、この点については総理は明確に発言をしておりまして、聞かれていた方もそのように受け止めたのではないかと思っております。
#85
○倉林明子君 私は、海外への明確な日本への投資の呼びかけになっていたということだと思うんですね。巨額の年金資産を運用する、使うことを期待させ、そして海外投資家を呼び込む、もう明確な株価対策だと、狙いははっきりしていると思うんですね。
 じゃ、この運用拡大によって本当に年金の積立金、本来の目的である期待どおりに増えるのかどうかという点であります。
 二〇一四年から拡大された年金積立金の株式運用であります。二期連続で巨額の損失が出た、それに対して、大きく議論にもなりましたが、足下ではプラスになったということを総理も説明をされているわけで、確かに短期の損得だけでは判断できないと、これは私も否定しません。
 そこで、改めて、二〇〇六年の九月から二〇一六年の九月末まで、直近の十年間に公表されています昨年三月末のGPIFの保有株式を参考にしまして、それと同じ株式を保有し続けた、これは仮定です、と想定して運用益を計算したものが二枚目に入れております。
 つまり、株式の基本ポートフォリオを変更してまだ間がない、じゃ、実際この基本ポートフォリオを変更が十年前にやられていたらどうだったのかという仮定を置いた試算がこれなんです。短期の損得ではなく、十年間これをしてきたということを前提にして当て込んだものとなっている、仮定したものとなっているんです。見ていただいたとおり、株価変動、これによります損益は六・七兆円、配当を差し引いても二・五兆円のマイナスという数字になりました。私、短期で見たらあかんという指摘を受けてこれ作ってみたんです、事務所で。そうしたら、やっぱり長期で見ても運用利回りは確保できない、赤字になってくる。私、本当に資産を保全して増やしていくということでいってもなかなか厳しい数字だなと思うんですよ。
 これで長期的にも運用利回りが確保できる、この担保、保証というのは一体どこにあるんでしょうか、説明いただきたい。
#86
○政府参考人(鈴木俊彦君) ただいま御紹介いただきましたこの計算、先生が行った計算でございますけれども、これ、どういうような具体的な前提でお出しになったのかということが必ずしも承知をいたしておりませんので、正確な論評というものは差し控えたいと思っておりますけれども、少なくとも、まず前提が、GPIFの保有銘柄、これ十年間全く変更しないでずっと同じものを持っていたというのはちょっと非現実的ではないだろうかと思います。
 それから、収益の計が、これベンチマークになります同時期のTOPIX、これはプラスの〇・〇五ですが、これとも乖離をしているのもちょっとおかしいなと思います。そして、当然、この配当利回りがGPIFの実際の配当利回りとも乖離しておりまして、私どもが計算をいたしますGPIFの平成十八年四月から二十八年三月までの国内株式の収益額でございますけれども、これはプラス一兆八千二百五十三億円でございます。
 もちろん、期間の取り方によってこれは異なりますので、よく総理が御紹介していますように、もうちょっとずらしてリーマン・ショックという未曽有の経済危機を挟みましても、変更前のポートフォリオよりも今回のポートフォリオの方がはるかに運用利回りが大きいということは従来から御紹介申し上げているとおりでございます。
#87
○倉林明子君 確かに、仮定を置いて長期で見たらどうなるかということになっております。ただ、今の説明は、運用利回りを安定的に今後も確保できるのか、その担保や保証の説明じゃなかったと思うんですよ。過去振り返ってみたら実績は確保できていたということを説明しているにすぎないんじゃないですか。私は、そういうリスク、高くなったり低くなったりするというリスクを抱えたものだということを前提にして、利回り確保できるという保証があるんですかということを聞いたんですよ。
 これ、もう一度二枚目の資料を見ていただきたいんですけど、一番変動幅大きいのは時価総額が高いところなんですよ。もちろん、いろんな誤差があるということを踏まえて見てもらったら結構かと思います。この時価総額五十位までの銘柄で赤字が七五%近くということになっているんです。時価総額が高いほどリスクも高いんです。これ、年金積立金の減らすリスクというのを拡大することになるんじゃないかということです。
 今、五百兆円の株式市場のうち三十兆円の規模で投資している、これ、GPIFです、巨額の公的マネー、株式市場に投入されることによって株式市場に対する影響というのも見逃すことできません。これは、上場企業の株式を企業の業績などにかかわらず満遍なく買うと、こういうことになるわけですから、本来なら株価が下がるはずの企業の株価も下がらないという状況も起こり得ると思うんです。こんなことになったら本来の株式市場の機能低下にもつながるんじゃないか、この懸念に対してはどうお考えでしょうか。
#88
○国務大臣(塩崎恭久君) このGPIFが保有をいたしております国内株式は、平成二十七年度の末時点で約三十・六兆ということでございまして、同時点の東証一部株式市場の時価総額全体約五百兆円でありますので、対比をいたしますと約六%になっているわけであります。つまり、ストックベースでは六%のシェアがあると。そして、同時に、フローベースのGPIFが国内株式に新たに配分した額が東証一部の売買総額に占める割合、これを見ますと、平成二十六年度では〇・七%、平成二十七年度では〇・三%ということになっております。
 いずれも日本の国内市場全体の規模に比べて決して過大なものではなく、日本の株式市場の流動性は十分保たれているわけでありまして、GPIFの株式運用が市場をゆがめているという御指摘は当たっていないというふうに思います。
#89
○倉林明子君 私は、国民の貴重な資産を傷つけるリスク、株式市場をゆがめないと言うんだけれども、これだけの大きな規模での株式市場への参加になるわけで、株価対策に積立金使う、こういうやり方については、国民にとってやっぱり百害あって一利なし、こういうことになりかねない、強く指摘をして、終わります。
#90
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
 年金ということで今日も朝からいろいろ議論がされておりますが、やはり私、国民年金の制度そのもの、本当にこのままでいいのかなというふうに思っておりまして、前回に続きまして、納付状況、それからそれに対しての免除制度というか、これについて質問をさせていただきたいと思います。
 前回、本委員会の質疑で、保険料の未納者のうち所得が免除等の対象となる可能性のある、所得三百万円未満に属する方たちになるわけですけれども、それが九四%いるというふうな答弁があったんですね。えっ、そんなにいるのかと本当に大変驚いたわけでありますけれども、これを基にして試算をしてみました。
 今日、お手元にお配りしている資料がそれなわけですけれども、平成二十七年度におきまして、既に申請等で免除となっている方約五百七十六万人、そして加えて、未納者の九四%に当たる潜在的免除者数というのが、これが約百九十四万人おられるわけですね。この既に免除になっている方五百七十六万人と潜在的免除者数約百九十四万人、これを合わせますと約七百七十万人になるわけなんですね。平成二十七年度の国民年金第一号被保険者は一千六百六十八万人でありますから、実質的にはその約四六%が保険料の免除者ということになってくるわけですね。
 一方では、厚労省が言うように、国民年金は未納部分に対する給付は行われない仕組みでありますけれども、免除の場合、少なくとも基礎年金、これ二分の一である国庫負担部分は受給できることになるわけでありますから、被保険者の約半数の方が保険料免除で将来基礎年金の国庫負担部分を受給するというこの現在の年金制度でありますけれども、これで本当に成り立つ制度なのかなというふうに考えるわけですけれども、いかがでしょうか。
#91
○国務大臣(塩崎恭久君) 今御指摘をいただいたこの国民年金保険料は、世帯構成などによって免除の適用がいろいろあります。そういうことで正確な推計というのはなかなか難しいわけでありますけれども、平成二十六年の調査では、国民年金の第一号被保険者の未納者、これ二百六万人ですが、このうち保険料の全部又は一部免除の対象となる可能性がある所得三百万円未満の方が九四%に及ぶというのは事実でございまして、引き続き必要な方がその手続を取ることができるように保険料免除制度の周知や勧奨を行っていくことが重要と考えております。免除といっても一部の方々もたくさんおられて、全員全部免除されているというわけではないということをまず御理解を賜れればと思います。
 そもそも我が国の公的年金制度は、全ての国民の老後の所得保障を確保するということを目的として、日本国内に居住する二十歳から六十歳までの方について国民年金に加入義務を課すということで、国民皆年金の仕組みになっています。この仕組みの下で、国民年金の第一号被保険者には、自営業者あるいは短時間労働者のほかに、学生、無職の方々など、必ずしも保険料負担能力の高くない方も含まれているわけでありますので、低所得者には多段階免除の仕組み、先ほど申し上げたとおりでありますが、保険料の納付猶予などを認めているわけでございまして、保険料免除者が一定程度いることは制度が当初より皆保険として想定をしてきたものでございます。
 また、仮に保険料が全額免除された場合には、保険料は納めていないわけでございますので、今委員からお話があったように国庫負担分のみを受け取ることになっていて、負担に応じた給付という年金の基本原則を崩すものではないわけであって、年金、保険、この保険の仕組みは維持をされていると考えられます。
 いずれにしても、保険料を納付するためには所得を上げていくことが重要でありますので、賃金上昇を含む経済再生に力を入れていくことが大事だというふうに思います。
#92
○東徹君 もちろん、経済を上げていく、賃金上昇を上げていく、それはもうよく分かっているところなんですけれども。
 そもそものこの制度ですけれども、先ほども申し上げましたように、第一号被保険者、一千六百六十八万人いるわけですけれども、保険料免除者が約四六%になってくるんですよね。約半分近くが免除者みたいな形になっておるわけですよ。一方、国民健康保険の場合は、納付率はたしか九〇%ですよね、こっちの方は六三・四%だと思うんですけれども。非常に、こういう制度で本当にいいのかなと、そもそもなんですけれども、そもそもいいのかなと本当に思うんです。もう一度ちょっとそこをお聞きしたいと思うんですけれども。
 余りにも免除者が多過ぎやしませんか、余りにも免除者の対象になる方がそもそもこれは多過ぎるんじゃないですかと。そもそもこういった国民年金制度そのものがこれで成り立つのかなというふうに思うんです。これはもう一度、ちょっとこれ、何か答弁していただければと思います。
#93
○国務大臣(塩崎恭久君) さっき申し上げたように、まず第一に、皆保険で皆年金であるわけでありますので、母数は全員というのが原則であります。先ほど申し上げたように、免除者といっても、全額免除の方がこれだけいるというわけではないわけであって、四分の一免除、半額免除、四分の三免除、そして全額免除、法定免除というのがありますが、こういうような段階があった合計を今免除者とお呼びをいただいているわけでありまして、皆年金である限りは、やはりこういったジャンルに該当される方々がそれぞれ一定程度いるということは当然のことだと思うわけであります。
 ただ、それを、言ってみれば、きちっと対応をしないで、ただ支払わないというようなことでは困るわけでありますが、そこはやっぱりきちっと我々としても対応して、納めていただける方にしっかりと納めていただくということが原則だというふうに思います。
#94
○東徹君 皆保険、皆年金といいながら、一方では、保険の方は納付率が九〇%、こっちは六三・四%、非常に差があるわけですよね。未納者二百六万人もいてるという中で、じゃ、そのうちの免除の対象となる人は約九四%というわけですからね、えっ、そもそもこれ皆年金と本当に言えるのかなというところがまず言えると思います。
 続きまして、第一号被保険者の約半数、七百七十万人が免除者となっていきますと、その人たちが将来低年金者となって生活保護へ流れていく状況がそこは想像できるわけですけれども、先ほど川合委員の方からも生活保護の話が出ておりました。
 昨日ですけれども、十二月七日に、今年の平成二十八年九月の生活保護受給者世帯が高齢単身世帯の増加によって百六十三万六千九百二世帯ということで、五か月連続の増加で過去最多ということが厚労省の方から発表されておりました。このような生活保護の増加に対してどのように備えていくのかというのは、これは本当に政府として非常に重要だというふうに考えます。
 現在、約三・八兆円の生活保護費負担金があるわけですけれども、これは二〇二五年になるとどの程度になると考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
#95
○政府参考人(定塚由美子君) 生活保護の増加への対応策を考えるということが大変重要であるというふうには認識しておりますが、一方で、今後どのぐらいの方が生活保護を受けられることになるかという予測につきましては、その時々の経済情勢や雇用情勢に加えまして、単身世帯がどのぐらい増えるかといった世帯構成の変化、また個々人の就業の状況、資産の状況、扶養できる家族がいらっしゃるかどうかなど、様々な要素の影響を受けるため、将来、生活保護費負担金がどの程度になるかという見通しを立てることは困難であると考えておるところでございます。
#96
○東徹君 いやいやいやいや、おかしいじゃないですか。経済情勢、それは分かりませんよ。でも、そんなこと言ったら年金の将来予測なんて絶対できないじゃないですか。もうこれはやっぱり二〇二五年ぐらいは試算していると思うんですけれども。
 もう一度聞きますよ。二〇二五年、試算しているでしょう。
#97
○政府参考人(定塚由美子君) 今申しましたとおり、経済情勢、雇用情勢以外の要素としても、世帯の状況、就業の状況、それから資産の状況、扶養の状況など、様々な不確定要素がございます。こういったことについて仮に一つ一つ予測を立てたとしても、余りにも不確定要素が多いものですから、全体として生活保護者がどの程度増えるかという予測はなかなか立て難いものだというふうに考えているところでございます。
#98
○東徹君 いや、これ調べたんですけれども、平成二十四年七月二十七日の厚労省からの答弁で、質問されている方は、当時民主党の方がこれを質問されたと思うんですけれども、二〇二五年の生活保護費負担金を五・二兆円と試算していましたと、これも一定のもちろん経済前提を置いた上での試算というふうに思いますけれども、こういうふうに答弁されているんですよね。
 年金の財政検証においては、二〇二三年度、平成三十五年度までは内閣府の試算を基礎として、それ以降八つのケースでそれぞれ経済前提を設定して年金財政の検証をこれ行っているわけですよね。今年十二月二日の本会議の答弁でも、経済の再生に全力で取り組んでいるため、賃金が物価よりも低下する状況を前提とした試算を行う考えはないとか、財政検証の経済前提を実現する旨、述べられております。
 そうであるならば、年金の財政検証における経済前提を基礎として生活保護費の負担金の推計を行うことは簡単にできるじゃないですか。
#99
○政府参考人(定塚由美子君) 今委員から御指摘がありました推計については、恐らく平成二十四年三月に社会保障の費用の全体の将来推計という見通しの中の一環として、単純にGDPの伸びで延ばしていった場合どうかという試算を置いたものではないかと思います。しかしながら、生活保護の予測ということでしっかり立てますには、先ほど申したとおり、様々な要因というのを勘案しなくてはならないという状況でございます。
 ただ一方、これまでの増加がどのように起こってきたかということについては、大臣からも答弁させていただきましたが、立体的、多角的に実態を把握するということで、どの要素がどのように効いていたかということも含めてしっかり検証していきたいというふうには考えております。
#100
○東徹君 これ、繰り返しになりますけれども、一方、年金の方はこれは予測してやっているわけですから、生活保護の将来、もうそれも僕も百年後のことを言っているわけじゃなくて、二〇二五年ぐらいのことはやっぱりある程度試算して予測してやっておかないと、やっぱり財政的に非常にこれは重要な問題になってくると思うんですよね。
 二〇一二年の七月二十七日の答弁では、二〇二五年の生活保護費負担金五・二兆円というふうに試算したというふうにこれは答えられているわけですから、それからもう四年たっているわけですから、きちっとやっぱりそういった試算を基づいてやるべきだというふうに思います。これをしないと、やはりこれからの財政がどうあるのかというところはなかなか検討しづらいというふうに思うんですけれどもね。
 これ以上聞いても繰り返しになるだけですので、もうこれぐらいにしますけれども、是非、生活保護費の二〇二五年ぐらいは是非試算すべきということだけは申し上げさせていただきたいと思います。
 国民年金保険料の未納者のうち九四%が免除者であれば、未納者の二百六万の残りの六%に当たるこれは十二万人が負担能力のある未納者ということになってくるわけですよね。そうすると、これに対して、平成二十七年度の督促状の発行件数、これが四万三千七百五十七件にとどまっているわけで、三六%にしかこれ督促ができていないことになるわけですよね。
 十二万人負担能力のある人がおって四万三千七百五十七件しか督促状を送っていないということで、前回の委員会で、保険料負担能力があると推定される者のうち相当数が実際は督促状の対象になっているというふうな答弁がありましたけれども、三六%しか督促状を送っていないということになれば、相当数送っているとはこれは到底言えないというふうに思うんですが、いかがですか。
#101
○政府参考人(伊原和人君) 今御指摘いただきましたように、平成二十七年度の強制徴収の対象となる督促状の送付対象者は、四百万円以上の所得のある方で、かつ未納期間が七か月以上の方々でございました。それに対して、いわゆる免除等の対象にならずに負担能力のあると思われる方は大体三百万円以上の所得があるという方だと思いますが、そうした方々は、先日の申し上げました実態調査では全体の約六%だろうと思っています。四百万円以上に属する方は二・五%、したがって、さっき先生がおっしゃられましたように、大体四割ぐらいが督促状の対象者でありました、平成二十七年度は。
 そういうことがありますので、取りあえず四割をもって相当数と申し上げましたが、この四百万という基準は今年度は三百五十万円になっております。そして、来年度はついに三百万円ということになりまして、来年度になりますと三百万というところまで全部カバーして督促状を送るというふうに考えております。
#102
○東徹君 だから、言葉の使い方はやっぱりちょっと気を付けないといけないんじゃないのかなと思うんですよね。相当数と言っておきながら実際は三六%しか送っていないわけですから、相当数送っているとここでちょっと言えないというふうに思うんですよね。これはやっぱりしっかりと督促状を送っていって、しっかりと納付してもらうことをやっぱりやっていかないといけないと思います。
 続きまして、先ほどもありましたけど、障害年金についてお伺いしたいと思うんですけれども、直近の国民年金の障害年金の受給者数とそれから受給者年金総額についてお示しをいただきたいと思います。
#103
○政府参考人(伊原和人君) お答え申し上げます。
 平成二十六年度末における国民年金の障害年金の受給者数は百八十三万人でございます。そして、受給者年金総額は一兆五千七百八十六億円となっております。
#104
○東徹君 障害者年金の年金者数、百八十三万人もの方が障害者年金を受けている、受給者年金総額約一兆五千七百八十億円ですか、年金を給付していることになるわけですよね。これ物すごい金額で、やっぱり障害者年金ってすごく大事な制度だなと、こう改めて思うわけなんですけれども、だからこそ、やっぱり年金というのは障害になったときのためにもしっかりと納めていかないといけないということが言えるんだろうと思うんですけれども。
 平成二十六年度の受給者数百八十三万人なんですけれども、その百八十三万人の例えば障害の種類、身体障害、知的障害、精神障害、そういう三つの障害が含まれているんだろうと思うんですけれども、生まれつきもちろん障害のある方、そして交通事故で障害を負われた方、障害が生じた年齢も様々だというふうに思うんですけれども、障害年金の実態というものも、これもやっぱりしっかりと把握していかないといけないと思うんです。障害類型とか年齢構成、受給者の年齢構成、初診日の年齢構成とか、そういうことによってどれだけの方々が障害年金受給しているのか、お伺いしたいと思います。
#105
○政府参考人(伊原和人君) 御質問いただきました障害年金を受けている方がどのような状態にあるかということでございますが、平成二十六年の障害年金受給者実態調査というのがございます。これに基づきますと、障害厚生年金を受給している方を除いたいわゆる国民年金の障害年金の受給者を見ますと、その構成割合を見ますと、精神障害による方が二九・九%、知的障害による方が二九%、脳血管疾患による方が六・六%と、このようになっております。
 それから、同じ調査に基づきまして年齢階級別に見ますと、五歳刻みでお答え申し上げますと、一番若い、少ない方々が二十歳から二十四歳で九万人でございます。最も多いのが六十歳から六十四歳の年齢階級の二十二万人と、こういうことになっております。
#106
○東徹君 若い方々が九万人ということを御答弁いただいたと思うんですけど、やっぱり若い人たちでも九万人の方々が恐らく障害を新たに受けているということなんですが、本会議でも言わせてもらったんですけれども、平成二十七年度における年齢別の実質的な納付率なんですけれども、二十五歳から二十九歳、これが一番低くて三二・二%しか納付していないということになるんですね。三十歳から三十四歳が三九・七%というふうに低いわけなんですけれども、やっぱり若い世代に年金制度、信頼を確保していくためにも、障害年金制度、この意義というか、若い世代へしっかりと伝えていくことが非常に大事だと思います。
 非常にこれ、若い人たちは、健康保険の方は払うけれども、年金のことは、まあ将来のことだからやめておこうかなということでやめる方もおられるんだろうというふうに思うんですけれども、是非ここは、若くてもいつ障害を持つことになるかもしれないということを、そのために年金制度もあるんだということをやっぱりしっかりと言っていく必要があると思うんですけれども、そのことについてどのように検討されるのか、お聞きしたいと思います。
#107
○政府参考人(伊原和人君) 一点、ちょっと修正の御答弁を申し上げたいと思います。
 先ほど年齢階級別のところの調査の根拠を二十六年度障害年金受給者実態調査と申し上げましたが、これはちょっと違う調査でございます。数字はさっきの数字で正しいですが、根拠がちょっと違っておりました。訂正させていただきます。
 それから、今御指摘いただきましたように、若い世代への年金、障害年金の意義とか、そういうことをきちっと伝えていくべきではないかという御質問でございますけれども、御指摘のとおり、公的年金制度において、万が一の障害状態になったときへの障害年金というのは非常に重要な柱でございまして、これを御理解いただくことが大事だと思います。
 特に、若い世代につきましては、老後の実感が湧かず、年金保険料の納付意欲が必ずしも高くないということがございますので、むしろ、この障害年金を始めとした仕組みについて制度を正しく理解いただくことが信頼確保にもつながりますし、若い世代の納付意欲の向上にもつながると考えております。
 こうしたことから、厚生労働省や日本年金機構におきましては、ホームページや年金事務所を通じた周知にとどまらず、学生を対象にした地域の高校、大学等と連携した年金セミナー、これを開催しております。さらに、二十歳になった若者に対しましては年金事務所からいろいろ送付物を直接お送りしておるわけですけれども、そうした中で障害年金を含めた年金の問題についてもいろいろ御紹介を図っております。
 いずれにしましても、こうした若い世代に御理解いただくことは非常に重要でございますので、積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
#108
○東徹君 もう時間になりましたのでこれで終わらせていただきますけれども、もっとそこの部分をやっぱりしっかりと若い人たちに浸透していかせないとなかなか納められないんだろうなというふうに思います。
 また、次回質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
#109
○委員長(羽生田俊君) 午後一時四十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時四十分開会
#110
○委員長(羽生田俊君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#111
○石井みどり君 自由民主党の石井みどりでございます。
 今大臣が御不在でございますので、副大臣、政務官、よろしくお願いいたします。
 年金改革法に質問に入る前に、十月二十五日の本委員会におきまして、一般質疑のところで御質問をさせていただいたときに一問積み残しをしてしまいましたので、それをちょっと初めに御質問をさせていただきたいと思います。
 小規模の多機能型居宅介護施設とか、あるいは看護小規模多機能型居宅介護施設とか、居宅介護と付く小規模施設がございますが、小規模であってもこれは施設であります。それを居宅と称してまるで在宅のような表現をなさるのは、その根拠は何なんでしょうか。小規模の介護施設と、幾ら小規模であっても介護施設と自宅とでは本質が全く違うと思っております。この表現をするのは、私はおかしい、詭弁と言っても言い過ぎではないと思っております。
 居宅と称することによって、まさに地域包括ケアの本質が歪曲されていっているというふうに思います。すなわち、介護を必要とする高齢の方々は、全身疾患があったり、あるいはBPSDが重度化したりして、自宅と施設、医療機関を含めてですけど、行ったり来たりをしながら、その都度適時適切な医療や介護を受けることがこれが大事だと思っています。
 新オレンジプランの中では循環型というふうな表現をされておられます。その循環型を逸脱をして、まさに施設、居宅、小規模といっても施設になるわけです。まさに収容所列島化しようとするとは言い過ぎかも分かりませんが、そういうふうに思えてなりません。
 なぜ、御自宅ではない、小規模であっても施設を居宅と称されるのか、その根拠をお教えください。
#112
○政府参考人(蒲原基道君) 今先生から御指摘のございました小規模施設、今のお話だと、例えばグループホームみたいなこともあろうと思いますけれども、あるいは小規模の多機能の施設のことだというふうにも思います。幅広くそうしたものについては介護保険法上は地域密着型のサービスという一応整理になっておりまして、これ自体は、広い意味では、例えば小規模多機能であれば自分の自宅から通うというようなことがあって、一応そういう整理にされているわけでございますけれども、元々、先生から話がございましたように、何か、認知症の方々あるいは入所する方々が、特定のその人の状態に応じて循環型でいろんなサービスを使うということは、もう当然のことながら非常に大事なことだと思っておりまして、そういう形で、本人の状態に合った形でのサービスというのがきちっと提供されるということは、これきちっとこれからやっていきたいというふうに思っております。
#113
○石井みどり君 通いがあるから自宅からも通う。しかし、これ夜間も、今申し上げた小規模多機能型居宅介護にしても看護小規模多機能型居宅介護にしても、夜間、深夜、泊まれるんですよね。場合によっては、かなり、自宅に帰らないでもこちらにいらっしゃる方も相当数いらっしゃるわけですね。
 今の御説明ではちょっと私は納得できないですね。幾ら通いがあるからといって、自宅と施設とを行ったりするから居宅と称する、それは説明にならないと思いますよ。幾ら老健局長が言を弄されても違うと思います。
 見解が違うといえばもう水掛け論になってしまうんですが、むしろ今、地域包括ケアシステムを一生懸命国は、医療政策といいますか、非常に政策の一丁目一番地として進めておられる、私はそこにも矛盾すると思っております。
 余りこれで時間を取れないんですが、それと、前回のときも、無認可の老人施設、群馬県にありました「たまゆら」、二〇〇九年に十人の高齢者の死亡を出してしまったという、この施設なんかがそうですけど、無届けホームが今どんどん増えています。自治体が把握していない。自治体が把握している施設だけでも千六百五十施設ある。これ、今年の一月の時点での施設数であります。
 要は、有料老人ホームは高過ぎて入れない、そして特養はもう何年という順番待ちだから入れない、こういう方々がこの無届けホームにお入りになっているというふうに承知しておりますが、この無届けホームが全国に今どんどん増えていっているということを承知をされておられますでしょうか。実態を把握されておられるんであれば、それを御報告していただきたいと思います。
#114
○政府参考人(蒲原基道君) 無届けの有料老人ホームの実態把握のことでございます。
 この点につきましては、毎年都道府県に対して定期の調査をお願いしているということでございます。先ほど先生からお話ございましたけれども、平成二十七年六月三十日時点では未届けの有料老人ホームが千十七件、さらに追加的に調査をいたしまして、平成二十八年の一月三十一日時点で新たに六百三十三件ということで、先ほど先生から話がございましたとおり、二つの調査を合わせまして千六百五十件を現在確認しているということでございます。これらにつきましては、各都道府県等におきまして届出をするように個別に指導していると、こういう状況でございます。
#115
○石井みどり君 その指導しているのは、どちら、どこが、誰がしているんでしょうか。そして、特例という報道を見るんですが、この特例というのは何なんでしょうか。併せて御説明いただけますか。
#116
○政府参考人(蒲原基道君) お答えをいたします。
 この有料老人ホームの届出につきましては、都道府県等が届出を受けるということでございます。したがいまして、都道府県の担当部局においてそのような届出をするように今指導をお願いし、そこが担当しているということでございます。
 また、もう一つ、届出の関係でございますけれども、この届出を行いやすくするために、昨年の七月に有料老人ホームのガイドライン、標準指導指針の見直しを行っております。この中で、届出をするときに届出をしやすいような特例措置というのを講じてございます。具体的に申しますと、例えば既存の建物や小規模の建築物、こうしたものにつきましては、一つは、ソフト面で一定の対応が要る、つまり人でもってバリアフリーのところをちゃんと対応できるというようなことについてやっているときには特例的に認めるだとか、あるいは、もう一つは、基準に今は合っておりませんけれども、今後きちっと改善計画を作ってやっていきますよということであれば、それは特例的に基準に満たすという、そういうふうな特例をつくりまして届出が円滑にされるように指導していると、こういうことでございます。
#117
○石井みどり君 例えば東京辺りは非常に地価が高いですから、ハード面で一人一室というようなことはなかなか難しい。となると、結局、有料老人ホームとしては届け出ないという実態も多くあるわけですね。ですから、今、厚生労働省としては指導していると言うしかないんだと思うんですが、私はこういう無届けホームがこれから非常に問題化していくだろうというふうに思っています。
 これらの施設に対して指導監査をどのようにお考えなんでしょうか。
#118
○政府参考人(蒲原基道君) 二つについて申し上げたいと思います。
 一つにつきましては、確かに先生おっしゃるように、高齢者の方々が特養にも待っておって、かつ、おっしゃるように、有料老人ホームなりの一定の賃料が掛かるところになかなか入りにくいということになっていて、おっしゃるようなことが起こっているということは共通の認識でおります。
 一つにつきましては、今話がございましたとおり、有料老人ホームの未届けのところについて、これはきちんと都道府県の職員が今のような特例措置も説明しながら、きちっと把握をして、かつ届出してもらうと。届出されれば、その後、いろんな改善措置、これはガイドラインに基づく措置というのもお願いできるということが一つでございます。
 もう一つは、これは朝方の指摘もございましたけど、やはりそうした有料老人ホームの未届けのところに行かなくても済むような幅広い、とりわけ低所得の高齢者の人たちが生活できる住まいの場というものの確保が大事であります。
 朝方話がございましたとおり、国交省でもそうしたことについては来年度取組を進めるということでございますので、我々も、これまでやっておりますいろんなモデル事業をベースにして、言わば賃貸住宅を貸すときにうまく見守りサービスがつなげていくような、そんな仕組みを今やっているモデル事業をベースにしながらつくっていって、うまく広げていきたいなと、こういうふうに考えてございます。
#119
○石井みどり君 今局長がお話しになったとおりに進めば少しは安心するんですが、実態はそううまくいかない。なぜなら、都道府県にそれだけ見に行く職員がまず足らない。そして、介護保険の保険者は市町村ですから、非常に、その職員もそういう実態をきちんと把握して、問題点をきちんと改善できる、指導できる、そういう人材が圧倒的に不足をしているということは申し上げておきたいと思います。
 それから、本当に残念なんですが、こういう無届けの施設が増えて、行政側もあずかり知らない、そして法の闇の中に多くの高齢者が閉じ込められて、劣悪なサービスの中でその生涯を終えていくというようなことがないような、そういう我が国にしていかなくてはいけないというふうに思っておりますので、またこの問題は引き続き追及していきたいと思っております。
 それでは、公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案、この年金改革法についての質問をさせていただきたいと思います。
 言うまでもなく、年金制度は国民生活に大きく関わることになります。そして、高齢者の方々の生活の中心となって生活を支えております。これは、今の高齢者の方だけでなく、将来の世代も含めて全ての年代が関わっていく、そういう制度であります。そして、御承知のように、我が国の年金制度は、若い現役世代が年金を受給する世代を支えて言わば仕送りする賦課方式となっています。
 一昨日もこの年金法の質問がありましたので重複する部分があろうかと思いますが、そこはちょっと申し訳ありませんが、御答弁を願えればというふうに思います。
 そして、ちょっと、質問をかなり出しましたので、二番目、三番目のところに行かせていただこうと思います。
 年金の給付額の改定ルールの見直しについてでありますが、改めましてその理念と内容をお聞かせいただけますか。
#120
○政府参考人(鈴木俊彦君) 我が国の公的年金制度は、御案内のように、現役世代が負担する保険料、税によりまして高齢者世代を支えるいわゆる賦課方式、助け合いの仕組みが基本でございます。少子高齢化が進む中にありましてもこの制度が機能を適切に果たしていくことができるように、現役世代の負担能力の範囲内の給付としていく、これが必要でございます。
 一方で、デフレの長期化というものが必ずしも見通せない中で、平成十六年の改正では、賃金が物価よりも下がる場合にこうした考え方が徹底できていなかったために、その後賃金が実際に下がってしまいましたときに年金水準が維持をされたということがございます。その結果、高齢者の方々の基礎年金の部分の所得代替率が想定よりも約一割上昇してしまったと、一方、将来の基礎年金の部分の所得代替率が約一割下がってしまったという現象が起きたわけでございます。
 こうした点は今突然分かったわけではございませんで、平成二十一年の財政検証でも明らかにされておりまして、当然、当時の社会保障審議会年金部会でも指摘をされておりました。また、二十四年二月の閣議決定をされました社会保障・税一体改革大綱におきましても、デフレ経済下におけるマクロ経済スライドの在り方について見直しを検討するということが明記をされております。そこでまた、今般の二十六年財政検証でもこうした状況が再確認されたところでございます。このように明らかになった政策課題に対応して今回の法律改正を御提案申し上げているということでございます。
 中身でございますけれども、マクロ経済スライドの調整期間の長期化を防いで将来世代の基礎年金の給付水準を確保する、こういう目的のために、一つは、マクロ経済スライドの未調整分が生じましたらばこれを先送りをせずにできるだけ早期に調整をする、そして、先ほども申し上げました賃金に合わせた年金額の改定を行うことによりまして支え手であります現役世代の負担能力に応じた給付とする、これが今回の年金額の改定ルールの見直しの内容でございます。
 こうした見直しを行うに当たりましては、併せて低年金の方々にも十分配慮をする必要がございますので、一つは、このマクロ経済スライドにつきまして、いわゆる名目下限の措置、賃金、物価がプラスのときに発動をし、また、このマクロ経済スライド自体によっては前年度よりも年金の名目額を下げないという措置、これを維持いたします。その上で、その未調整分が生じましたらば、これを好況期に繰り越して調整をすると、これがいわゆるキャリーオーバーということでございます。
 それからもう一つは、賃金に合わせて改定をする見直し、これに伴いまして、この実施時期でございますけれども、これは何度も申し上げておりますように、年最大六万円の福祉的な給付、これが平成三十一年十月までにスタートいたしまして、その後の三十三年度から賃金に合わせて改定する見直しを実施するということでございます。
 こういった措置によりまして、現役世代が今後受け取る年金の水準が下がることを防止いたしまして、世代間の公平を確保し、若い世代が安心して今の高齢者の年金を支えていただくことができるようにする、これが今回の法案の目的でございます。
#121
○石井みどり君 ただいまの御説明で年金額の改定ルール見直しの目的が、デフレ脱却、賃金上昇を含む経済の再生が実現に至らず給付水準が適切に調整されない場合の備えであることが分かりました。
 年金制度は、先ほど申し上げましたように、現役世代が被保険者となって高齢期となれば給付を受けるという賦課方式でありますが、その制度設計上、しばしば現役世代の負担と高齢者の給付との関係あるいは世代間格差についての議論があるところであります。しかし、もし世代間の助け合いの仕組みである年金制度が破綻すれば、そもそも公的年金というセーフティーネットはなくなることになり、高齢者の生活の不安定化を大きくすることになると思います。したがって、いたずらに世代間の対立をあおるのではなく、むしろ世代の垣根を越えて超長期の保障の仕組みである年金制度そのものの維持に取り組むべきであると思っております。
 国としてはこの年金制度がどのような形で持続していくことが望ましいとお考えか、お聞かせいただけますか。
#122
○副大臣(橋本岳君) お答えをいたします。
 OECDのレポートでも、先進国における公的年金共通の課題は、給付の十分性とそれから制度の持続可能性、この二つの点のバランスを取ることと指摘をされているということでございます。これは前回の委員会でも大臣からも答弁を申し上げているとおりでございます。
 その上で、我が国においてということを考えれば、急速に少子高齢化が進む、二〇五〇年には一・二人の若い世代が一人の高齢者を支えるという社会が来るということが予測をされております。こういう厳しい制約のある中でいかに制度の持続可能性と給付の十分性をできるだけ高いレベルでバランスをさせられるかということが大きな問題でございまして、引き続き財政検証を踏まえて検討し、必要な対応は行っていかなければならない、そうしたことを通じてきちんとそのバランスを、両者のバランスを保っていきながら年金制度を持続させるということは大変大事だ、が大事なんだというふうに思っているわけでございます。
 その上で、我が国の年金は、将来年金を受給する現在の若い人たちが現在年金を受給している高齢世代へ仕送りを行う助け合いの仕組み、いわゆる賦課方式であるとともに、保険料や税などの限られた財源を長期にわたり適切に配分する世代間の分かち合いの仕組みとなっておりますので、世代間の公平性が確保され、若い世代の方々も安心をしていただいて今の高齢者の年金を支えていただく、こういうことにつながる制度を構築していく、あるいは維持をしていくことも、持続可能性を高める上で重要だというふうに考えております。
 そこで、先ほど局長が答弁をしたように、今回の年金改革法案は、まさに世代間の公平を図り、制度の持続可能性を高めるとともに、将来世代の年金水準を確保するものであるというふうに是非御理解を賜れれば有り難いというふうに考えております。
 これも前回の委員会で倉林委員が下げ止め法案やと、こうおっしゃいまして、絶妙な表現をするなと個人的には感心をしながら聞いておりましたけれども、まさにそれは、将来世代にとってそういうような効果は期待できる、今の御高齢の方には、場合によっては、何ですか、御負担をというか、負担、年金減をお願いをするということになることもあるけれども、それは世代間の支え合いとして是非御理解をいただきたいのです、こういうような法案だということでございます。
 また、世代内の公平を図る観点から申し上げれば、高所得者の年金給付の在り方及び公的年金等控除を含めた年金課税の在り方の見直しなど、社会保障制度改革プログラム法に掲げられている課題について検討規定も置いておりまして、引き続き検討を行ってまいるということになっております。
 いずれにいたしましても、成長と分配の好循環を実現する観点からも、今後とも国民の皆様が安心していただける年金再生に向けて不断の見直しに取り組むとともに、経済再生あるいは一億総活躍社会の実現に全力で取り組んでまいる所存でございます。
#123
○石井みどり君 ただいまの御答弁でも出たのでありますが、本法案の目的の一つとして、若年世代の年金制度に対する不安の払拭があると思っておりますが、若年者に年金制度の持続可能性についての正しい知識を持っていただく、その普及啓発のためには、単にリーフレットを配るだけ、あるいは大変読みにくい、見にくいホームページで知らしめるというのでは、なかなか若い方々に十分承知をしていただけないのではないかと思うんですね。若い方がきちんと理解をして、いたずらに不安に陥るのではなく、きちんと今回国がやろうとしている年金制度の改革も含めて我が国の年金制度を正しく知っていただく効果的な啓発方法が必要だと思っておりますが、どのようにこれに取り組まれるんでしょうか。
#124
○政府参考人(伊原和人君) お答え申し上げます。
 今御指摘いただきましたように、若い世代を対象に年金受給権の確保とかあるいは年金制度の信頼確保をしていくためには、やはり年金制度についてそうした方々によく理解していただく、正しく理解していただくことが重要だと考えております。
 このため、厚生労働省と日本年金機構では、こうした若い方を対象に、年金事務所や地域の高校、大学、こうしたところで実際生徒さんたちに直接年金について御説明する機会を昨年度は全国で三千三百回実施しました。あわせて、厚生労働省職員自身も大学に出向きまして出前講座というのも行っております。直接お話しするということが一つ有効なことだと思います。
 それから、先ほどホームページのちょっと厳しい御指摘いただきましたけれども、やはりパソコンとかスマートフォンで年金のことを知っていただく必要があると思いまして、一つは、ねんきんネットの普及に努めております。さらに、やはりねんきんネットは若い世代にもまだまだなじみがないということもございますので、現在新たにスマートフォンでアプリ機能を付加して、いわゆる年金アプリというものを検討中でございます。
 こうしたいろんな仕組みを使いながら、今後とも若い世代を対象とした周知、広報にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
#125
○石井みどり君 今はパソコンよりもスマホで情報を入手される方が多いわけですから、是非多くの方々が利用される年金アプリですか、の開発をお願いしたいと思います。
 安倍政権は現在、アベノミクスや一億総活躍社会の実現によりデフレ脱却を目指しています。本法案におきましては、短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進が盛り込まれています。この政策により、短時間労働者の一定水準の老後所得の確保が図られ、被用者でありながら被用者保険の恩恵を受けられない非正規労働者のセーフティーネットが強化される、言わば社会保険における格差が是正されることになると期待をしているところであります。
 社会保障制度の充実により、国民の生活と老後不安からの解放がなされ、貯蓄、消費、内需の拡大が起き、経済成長をもたらすという積極的社会保障政策の考え方がありますが、短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進により、どのような経済効果が生まれるとお考えになりますでしょうか。
#126
○副大臣(橋本岳君) 短時間労働者の就業調整を防いで、また労働参加を支援をしていくとともに、将来の所得や年金を確保していただくというためには、今御指摘の被用者保険の適用拡大を着実に進めていくことが重要でございます。
 この十月から大企業で働く約二十五万人の短時間労働者を対象に被用者保険が適用されておりまして、さらに、今回提出している法案は、中小企業などで働く約五十万人の短時間労働者の方々についても適用拡大の道を開くものでございます。
 効果ということの御質問でございますが、被用者保険の適用拡大を進めていくことで、例えば就業調整を気にすることなく今よりもより長く働いていただくことにより現在の所得の確保が図られていくということにつながるのではないか、あるいは、基礎年金に加えて賃金や加入期間に応じて厚生年金が受給できることによる将来の年金額の確保が図られる、こういうことにつながってくるわけでございます。
 これは、現在の生活の安定あるいは老後の不安の解消、こういうものをもたらす、そしてその結果として消費の拡大につながるということが期待できるというふうに考えておりますので、まさにこれは積極的社会保障政策というものの考え方にもつながるのではないか、このように考えているところでございます。
 更なる適用拡大につきましては、この十月の施行から三年以内に検討することが法律で定められておりまして、こうした視点も踏まえつつ、適用拡大の施行状況、個人の就労実態や企業に与える影響などを見ながら、引き続き取り組んでまいります。
#127
○石井みどり君 今お答えいただいた政策が普及啓発により、より多くの労働参加の促進が可能になると考えますが、労働参加の促進には、この年金政策だけでなく労働政策や税制など総合的な政策が必要と思っております。例えば、短時間労働者の所得分布では九十万から百万の人の割合が多く、第一号被保険者では約二割、第三号被保険者では約三割を占めております。
 今後の対策について国としてどのようなお取り組みをされるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#128
○副大臣(橋本岳君) まず、やっぱり被用者保険の適用拡大というもののメリットをきちんとお伝えしていくことが大事なんだろうというふうに思っております。
 これは、例えば基礎年金に加えて厚生年金が受給できるということで将来の年金額が増える、あるいは医療保険の給付も充実をするなどといったメリットがあるわけでございますし、給料から天引きされるので手取りが減るように思われますが、保険料の半分は事業主負担になるわけでございますので、そういう面もメリットと言えるのではないかと思います。こうしたことをきちんと周知、広報を行っていくことで、短時間労働者の就業調整を防ぎ、労働参加を支援することとしております。
 また、事業主の方々にもきちんとお伝えをする必要があるということで、キャリアアップ助成金の拡充を図り、労働者本人の希望を踏まえて働く時間を延ばすことを通じ人材確保を支援をするということとしております。
 さらに、そうした取組に加えて、今働き方改革について議論をしております。これは、長時間労働の是正だとか同一労働同一賃金でありますとか、様々なテーマについて今議論をしておりますが、そうしたことを通じて、短時間労働者のみならず今まで働いていなかった方々も含め希望に応じて働くことができるような社会をつくるということで、労働参加の促進を全体として進めていきたいと、このように考えております。
#129
○石井みどり君 労働参加を進める一方で、被用者保険の適用漏れの問題もあると思います。国として、適用漏れに関する更なる対策はどのようにお取りになっていらっしゃるのでしょうか。
#130
○政府参考人(伊原和人君) 今御指摘いただきました被用者保険の適用漏れにつきましてですけれども、どのぐらいいるのかという可能性について、平成二十六年度の国民年金被保険者実態調査で推計を行いまして、二百万人ぐらいいるのではないかというふうに推計を行っております。
 そうした中で、今対策の強化に努めておりまして、例えば厚生年金の未適用事業所の適用促進という点につきましては、平成二十七年度からは、国税庁の法人情報をいただきまして、適用可能性のある事業所を把握して加入指導を徹底しております。この結果、平成二十七年度中に九万三千事業所を適用しておりまして、平成二十二年度と比べまして約十九倍の加入実績を上げております。今年度に入りましても、八月末までの五か月間で既に五万件の事業所を適用しております。
 現在、更にその充実を図るために、適用可能性のある事業所、六十二万事業所に対しまして調査票をお送りし、実態調査を実施しております。この調査結果も踏まえまして、今年度内には更なる具体的な対策を取りまとめて、関係団体、関係省庁とも連携しながら取り組んでまいりたいと、このように思っております。
#131
○石井みどり君 この法案におきまして、国民年金第一号被保険者の産前産後期間の保険料の免除が盛り込まれています。この政策は、一億総活躍社会が奨励する女性活躍社会の実現に資すると考えております。生産年齢人口の減少が予想される中で、高齢者の方々や女性の労働参加が望まれております。この政策は、次世代育成支援の観点からも盛り込まれたというふうに聞いています。女性活躍社会を目指すためには、将来不安の軽減という観点からの政策が必要だと思います。その意味で、この政策も、不妊治療であったりあるいは保育所の整備など、トータルな政策の一環として位置付けられると考えています。
 そこで、この政策が我が国全体の出生率などにもたらす好影響についてどのようにお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。
#132
○副大臣(橋本岳君) 今回の国民年金の第一号被保険者の産前産後期間の保険料免除は、将来の年金制度の支え手ともなる次世代の育成を支援する観点から実施するものでございますが、これは、パート労働者の方を含む第一号被保険者の女性が安心して子供を産める環境整備を図る、そして出産後も無理なく働き続けることを支援するということにつながるんだろうというふうに思っております。産前産後期間の女性の方の経済的不安の軽減ということに着目をすれば、そうした環境整備につながるであろうというふうに考えております。
 ただ、直ちに出生率にどのように影響するか、そうしたことが具体的に今申し上げる状況にあるわけではございませんけれども、ほかにも政府で様々な政策を取っているものと併せて、少子化という今社会が抱えている課題の解決にもつながっていくということを期待をしておるものであります。
#133
○石井みどり君 この法案の国民年金の第一号被保険者の産前産後期間の保険料の免除は、平成二十四年の年金機能強化法においても、厚生年金の産前産後休業期間の保険料の免除が定められたことに対応するものであると承知をしております。厚生年金の場合は、被保険者が産前産後休業を取得すれば、事業主が手続を行い保険料が免除をされるというふうに承知をしております。
 そこで、国民年金の第一号被保険者が産前産後期間に保険料の免除を受ける際、実際にはどのような手続が必要となるのか。そして、そのことが第一号被保険者の方に確実に周知される、そういうことが非常に重要になると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
#134
○政府参考人(伊原和人君) 手続についてのお尋ねがございました。
 まず、国民年金第一号被保険者の産前産後期間の保険料免除の手続につきましては、市町村に対しまして出産予定日が分かるものを添えて届出を行っていただくことを想定しております。施行は平成三十一年四月を予定しておりまして、事務手続の詳細については今後詰めてまいりますけれども、例えば証明書類なんかについては、母子健康手帳などを活用して、その写しなど、何かの形で出していただくというふうなことを考えております。
 あわせまして、その周知についても御質問がございましたが、これは、ホームページそれからパンフレットというようなことを準備するんですが、それ以外にも、やはり直接妊産婦の方に御説明する機会が必要と考えておりまして、例えば市区町村の役場において母子健康手帳を交付する段階がありますが、その段階に制度の周知を行うといったことは考えられるんではないかと思っておりまして、今後、関係機関と協力しながら具体的な方策を考えてまいりたいと思っております。
#135
○石井みどり君 今、母子健康手帳の支給時にというお話がございました。もう世界から非常に評価の高い母子健康手帳でありますので、この支給時に是非こういう制度があるんだということをやはり確実に一号被保険者の方に伝わるようにお願いをしたいと思います。
 そして、先ほど市町村の窓口というふうにお話ございましたから、是非、市区町村との連携というところも一層お取り組みいただきたいというふうに思っております。
 一億総活躍社会においては生涯現役社会も希求をされているところであります。高齢者の就労についても議論がなされているところであります。高齢者の就労については、単に働くということのみならず、生きがいであったりあるいは健康の促進をもたらすものであったりいたします。そのことが我が国経済の活力を引き出すものであるというふうに思っております。そしてまた、これのみならず、高齢者の就労促進により、これまで受給側であった、受取側であったという高齢者の方が保険料を拠出し、そして年金制度を支える担い手となることが期待をされるところであります。
 諸外国の多くの先進諸国においては、高齢化の進展あるいは平均寿命の伸長に伴い、就労期間を延ばし、より長く保険料を拠出してもらうことを通じて年金水準の確保を図る改革が取り組まれているというふうに承知をいたしておりますが、それでは、どういった国でどういった改革が行われているのか、お示しをしていただければと思います。
#136
○政府参考人(鈴木俊彦君) 各国の年金制度におきまして、先ほども御答弁申し上げておりますけれども、制度の持続可能性と給付の十分性のバランスを取るということが言わば先進各国の共通の課題となっております。OECDのレポートでもこういったことが指摘をされておりまして、このレポートの中では、この解決の方策といたしまして、まさに今先生から御指摘のありました就労期間の延長などの施策、これが提案をされております。各国におきましても、それぞれの国の実情に合わせて、この線に沿った様々な工夫が行われております。
 幾つか御紹介をいたしますと、例えばイギリスでは、平均寿命が延びていることでございますとか、高齢化率の上昇が今後もまだ見込まれる、こういったことを理由にいたしまして、段階的な支給開始年齢の引上げが行われております。具体的には、二〇四六年までに六十八歳とするという改革が今進行中でございます。
 また一方で、フランスでは、平均寿命の延びに応じて、満額受給をするために必要となります保険料の拠出期間、これを段階的に延ばすという取組をやっておりまして、具体的には、二〇三五年までにこの拠出期間を四十三年にする、こういった取組が進行中でございます。
#137
○石井みどり君 我が国においても超高齢社会が到来すると言われていますが、そういう想定される中で、是非、将来にわたっても年金制度が持続していくように、そのことを強くお願いをして、二分ほど早いんですが、私の質問を終わらせていただきます。
#138
○藤井基之君 自由民主党の藤井基之でございます。
 今日は午前中に川田先生の御質問がありまして、ああ、もうそんなに時間がたったのかということを思いまして、馬齢をいたずらに重ねていないことを祈る、そういった質問をさせていただけたらと思っております。
 今、同僚の石井先生から超高齢化社会を迎えますよというお話がございまして、まさに社会保障の問題というのは、この高齢化社会との対応というのが非常に大きな課題であるわけでございます。
 私も団塊の世代でございますが、昨年、二〇一五年に団塊世代は全員が実は前期高齢者の年齢に到達をいたしております。昨年十月一日現在では、六十五歳以上の方々が三千三百九十二万人だと、高齢化率は二六・七%、四人に一人からそろそろ三人に一人高齢化、そういったようなときになっております。
 国立社会保障・人口問題研究所の推計というのがよく引かれるわけでございますが、これからの日本の高齢化社会、どういうふうになるだろうかということをシミュレーションを行っておりますが、それによりますと、二〇四二年、高齢者はピークを迎える、そのときの数が約四千万人に近い、そしてその比率は二〇六〇年には何と約四割になると、そういった超高齢社会を現実のものとして迎えることになっております。
 本年の八月五日に公表されました国立社会保障・人口問題研究所の二十六年度社会保障費用統計によりますと、二十六年度の社会支出、いわゆるOECD基準によるものですが、これによりますと、総額が百十六兆八千五百三十二億円、前年度に対しての伸び率は一・二%。たった一%かと言われますけど、それでも額としては巨額の額になります。そして、これを政策分野別に見てみると、実は高齢という、そういった政策対応するものが最も多くて全体の四七%になる、次いで保健というものが三三%強、この二つで社会保障全体の八割を超えるのが現在の状況でございます。
 こうした状況ですから、年金を始め、医療、介護など社会保障給付費は毎年増え続ける状況にございます。平成二十七年度の予算ベースで見ました社会保障給付費総額は約百十七兆円。その内訳は、年金が約四八%の五十六兆円、そして、続いて医療が約三二%の三十八兆円となっております。これらの社会保障制度の持続、安定化のためには、給付の適正化とその財源の確保を図ることが喫緊の課題であるとの認識を共有いたします。
 御案内のとおり、我が国の社会保障は、自ら助けるという自助というものと、共に助ける共助というものと、そして、最後はお上に頼むという、政府に頼むという公助という、その自助、共助、公助の三つの組合せにより形成されております。したがいまして、社会保障に必要な財源の問題を述べる場合にも、やはりこの三つのバランスも踏まえて財源対策も考えなければいけないというふうになります。
 政府は、持続的な経済成長は不可欠であるとしてアベノミクスを推進し、名目GDP六百兆円を目指すことを掲げております。また、本年六月の日本再興戦略二〇一六においては、イノベーションの推進を図るとして、その重要な施策の一つに、画期的なお薬や医療機器の開発など医療分野をそのターゲットに掲げております。
 本年の四月に医療費の改定がございました。その際、お薬の値段についても改定がなされました。通常のお薬の値段の改定に加えまして、今年の四月には、年間の売上高が非常に大きい、一千億円だとか一千五百億円売れたんだということで、結果として非常に市場において高い評価を受けておりました、例えて言うならばC型肝炎の特効薬など四品目が特例市場拡大再算定という分かったような分からないような判断によりまして大幅な値下げがなされました。これは、社会保障費がいわゆる財政的にどうかということに対しては適正化ということで意味があることだと、それについては私も否定するものではありません。
 また、ごく近々になりまして、日本企業が世界に先駆けて開発に成功した新たな作用機序を有する画期的ながん治療薬と言われておりますオプジーボに対しまして、売上げが年間一千五百億円を超えるとみなして、例外的に五割の薬価の引下げを決定いたしております。
 こうしたある意味明確なルールのない突発的な価格の引下げ等、これは、こういったお薬を研究開発してそれを供給しているのは国ではありません。民間企業がそれを担っているわけです。企業経営の予見性を損ないます。企業の新薬開発意欲をそぎかねません。結果として、そのことは日本の患者さんに対して新たなすばらしいお薬が届くのが遅くなることを意味するのではないでしょうか。また、我が国の成長産業として期待されている医薬品産業等の国際競争力の低下につながるのではないかと危惧をいたします。
 二年に一度、診療報酬の改定が行われます。そして、それと同時に、お薬の値段、保険診療で使われるお薬の値段についても改定がなされます。そのために、医薬品の市場における実勢価格の調査がなされております。この調査結果、細かい点は我々は分かりませんが、厚生労働省の発表によりますと、今回の改定に用いられた二〇一五年の市場調査によると、公定価から八・八%安い値段で市場で取引が行われていた、前回の二〇一四年改定の際に用いられた二〇一三年の調査データでは、八・二%値段が下がっていた、だから、これらの結果を踏まえて新しい価格は値下げをして患者さんに使っていただくようにするという、そういうふうな引下げがなされております。
 昨今、物価が上昇するものが多い中で、この医療保険に用いられるお薬の値段というのはずっと下がっているんです。私、この仕事を始めてから、かなりこの分野のデータについても精通しているつもりでありますけれども、過去数十年にわたりまして、このお薬の値段の改定において、少なくともお値段が上がったというのは消費税を導入したとき一回こっきりです。あとは全て、お薬の値段はこれ下がってきているわけです。ある意味で物価の優等生かもしれません。
 この医療保険で用いられるお薬が常に下がるのだというそういう状況について、厚生労働省はこの原因をどういうふうにお考えなのでしょうか。社会保障費の適正化には資するかもしれませんが、産業政策というものを踏まえた場合、これについてどのように判断なさっているか、御意見を伺いたいと存じます。
#139
○大臣政務官(馬場成志君) お答えします。
 先生先ほど御紹介いただきましたように、我が国の社会保障費は伸び続けておりまして、医療費に占める医薬品の費用の割合も上昇しているために、国民皆保険の持続可能性の観点から、薬価制度を考えること自体はもうこれ重要なことだというふうに考えております。
 一方で、薬価を引き下げることは製薬企業の売上げに直結するために、革新的な医薬品の創薬意欲等への影響には配慮する必要があると認識をしております。製薬産業は、国民の保健医療水準の向上に資するとともに、高付加価値、知識集約型の産業として今後の経済成長を担う重要な産業である、その支援のためには革新的な医薬品についてのイノベーションの評価は重要な課題であると考えております。
 具体的には、革新的な医薬品の実用化を推進するために、研究開発から実用化に至るまでの各ステージへの途切れることのない支援として、基礎的研究成果を革新的医薬品として実用化に導くための研究開発への支援、臨床研究、治験環境の整備、研究開発を促進する税制上の措置、また革新的医薬品に係る薬価上のイノベーション評価等を行っておりまして、国民皆保険の維持とイノベーションの推進の両立をしっかりと図りつつ、我が国の製薬産業を支援してまいりたいというふうに存じます。
#140
○藤井基之君 ありがとうございます。
 今政務官から丁寧なお答えを頂戴しまして、両立する、相対するとは言いませんが、かなり難しい答えを導いていかなければいけないわけですが、それをやるのは、はっきり申し上げまして経済財政諮問会議ではありません。経済産業省でもありません。厚生労働省だからこの二つをセットにして解決策を用意しなければいけないんですよ。その辺、是非とも官邸に丸投げすることのないようにお願いをしたいと思います。
 昨日、十二月の七日開催されました経済財政諮問会議で、実は、今御欠席ですけれど、塩崎厚生労働大臣は一つの資料を提出されております。それ、読ませていただきました。今政務官がお答えした内容等を網羅したペーパーでなっているわけです。ただ、その中を見ますと、こういうところもあるんですね。医薬品の実勢価格、量を機動的に少なくとも年一回薬価に反映する、現行の薬価算定方式の更なる改善点として、競争により薬価が引き下がる仕組みの導入、これらの記述があります。
 私は、今言ったこのシステムであると、最後の最後、じゃ、患者さんが使うお薬はただにすればいいと、そういうことなんですか。そうしたら誰が供給するんですか。国が買い上げますか。今の仕組みの中で、先達がいろいろ知恵を出してこのような仕組みをつくってきたわけです。それをいたずらに壊すような、世界に誇る日本の皆保険制度ですよ。世界中が日本の医療制度を参考にしてこのような制度をつくりたいとずっと言っている、アメリカのオバマ大統領もそう言った、でもできない、日本だけにできている仕組みなんですよ。だから、高いお薬だと言われるけど、患者さんがそんな一千万も二千万も負担しますか。高額療養費の制度があるじゃないですか。確かに、全体の財源は社会保障制度の中で用意しなきゃいけない、無駄があってはいけない、そのとおりです。しかし、日本の制度を壊さないように、次の世代のためにも、私はこの制度というのは社会保障で非常に冠たる制度だと思っておりますので、それを守っていただきたいと思います。
 価格の問題についてもう一点だけ申し上げさせてください。
 昨年、ノーベル賞の受賞者に、日本の大村先生が受賞をなされました。今年は大隅先生が、今もうスウェーデンに行かれているわけです、ノーベルシーズンですから。
 昨年の大村博士が受賞されたのは、実は寄生虫に対する特効薬を開発されて、それをアフリカ諸国で使われた。そして、それはWHOのスキームによって、これははっきり言って無償でこのお薬はアフリカの患者さんにお使いいただいた。そして、非常に効果が高かった、失明する心配がなくなったということで、実はこのお薬を開発した大村先生とそしてそれを開発したメルク社の研究者の方々がノーベル賞を受賞されたわけでございます。
 じゃ、このお薬は今、日本でどうなっているか。御案内と思いますけど、日本でもこのお薬は保険制度で利用することができるわけです。じゃ、それはただですか、日本で。そんなことありませんよ。ちゃんと値段付いているんですよ。
 私は、外国の値段が高いとか安いとか、日本の制度がどうこうと、いろんな議論がなされていることはよく知っています。どの議論にもやっぱり耳を傾ける必要があると思っております。ただし、このように、その国その国によって、その国の経済状況とか患者さんが置かれる立場とか仕組みというものがあれば、アフリカではただでそのお薬は供給されてもいいんだと、ただし日本ではそれは有償で保険の制度の中で使ってもらう。それでも誰もこれについて不満を言っているわけではないんだろうと思っております。
 日本におけるあるお薬が高いという、非常に高いという説もある。でも、日本において初めて世界に先駆けて本当に苦労して新しいお薬を開発したとき、そのお薬を開発したことに対するインセンティブを与えるというのが、かつてからずっと厚生労働省は言っていたじゃないですか。そのインセンティブ分がもしもお薬の値段として反映されたとしたなら、その値段がある日突然半分になるということは私には理解できません。是非、賢明な判断をお願いしたいと存じます。
 今日のテーマは年金でございますので、今の話はこの辺りにしまして、また大臣がいらしたら改めてさせていただきたいと思っております。
 冒頭お話ししたように、年金というのは社会保障給付の中で最も大きな割合を占めております。我が国の年金制度は、若い世代が年金を受給する世代を支えまして仕送りをする、いわゆる世代間の分かち合いの仕組みで成り立っておりまして、これを難しい言葉で言うと賦課方式というんだそうでございますね。これ、厚労省の白書にそう書いてありました。国民に制度を正確に理解していただいて、給付の適正化と同時に納付率を高めていただくことが必要だと思っております。
 今日午前中に東議員からも御質問がございましたように、私もこの納付率、問題があると理解をしております。御案内のとおり、年金の納付率というのは、これは日本年金機構の努力もありまして平成二十四年度から徐々に改善されてきております。それは認めます。ただ、二十七年度の現年度分の納付率は、前年度に対しまして〇・三ポイント上昇したといっても六三・四%なんですよ。約四割の方々は未納の状況でこの制度は推移をしております。
 平成二十六年の六月、今から約二年半前でございますが、我が参議院の厚生労働委員会は、政府管掌年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議を決議していただきまして、採択いたしました。そこの一番にどう書いてあるか。
 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。一、国民の年金制度に対する信頼性を高めるため、公的年金に関する広報、教育活動について取組を拡充するとともに、国民年金保険料の納付率の向上と、厚生年金保険の未適用事業所の把握に向けて、引き続き努力を行うこと。これが、二年半前の我が参議院厚生労働委員会の採択した決議でございました。
 厚労省にお伺いしたいと思います。
 この年金の納付率、少しずつ上昇していることは評価いたしますけれども、これから先、更に高める必要があると私は考えますが、いかなる対策を講じるお考えか、お尋ねいたします。
#141
○副大臣(橋本岳君) 今、参議院厚生労働委員会の決議にも触れていただきましたけれども、まさにそこでも言われておりますように、収納対策というものは大変重要な課題であろうと思っております。これは、負担の公平性、年金受給権の確保、公的年金制度に対する信頼の確保、そうした観点から重要だというふうに考えているわけでございます。
 じゃ、何をしているのかということでございますけれども、公的年金制度の周知、教育や広報を一層推進する、あるいは口座振替やコンビニエンスストアでの納付、クレジットカードでの納付など、納めやすい環境を整備をする。また、それに加えまして、強制徴収の前提として督促の対象範囲を順次拡大し、平成三十年度を目途に免除該当者等を除いた全ての国民年金滞納者へ督促をする。一方、経済的に保険料の納付が困難な方には免除や納付猶予の勧奨をする。そうした形できめ細かく収納対策に取り組んでおります。
 そうしたことを通じまして、先ほど委員からも御紹介をいただきましたように、徐々にではございますけれども納付率は上がってきている。平成二十七年度では六三・四%と、こうなっておりまして、また、納められる最後の保険料である平成二十五年度の最終納付率は七年ぶりに七〇%台に回復をしているということではございます。
 ただ、もちろん、今御指摘をいただきましたように、これで十分なのかといえば、それはやはりもっともっときちんと一〇〇%を目指していくというのが当然でございますので、今後とも更に収納対策にしっかり取り組んでまいりたいと、このように考えているところでございます。
#142
○藤井基之君 ありがとうございました。是非努力をお願いしたいと存じます。
 次に、GPIFの年金積立金の運用についてお尋ねいたします。
 これについても同僚議員から幾つかの御指摘がもう既になされておりますので、極力重複は避けたいと存じますが、やはり心配なのは年金積立金の運用、これ巨額でありますので、この運用によって、例えば四半期ごとにプラスだったとかマイナスだったと、運用益が、あるいは一年間見るとその収益がプラスだったとかマイナスだったと、いわゆる短期の運用状況にどうも注目が集まりがちじゃないかというふうに思っております。この短期の運用結果にとらわれ過ぎますと、GPIFの運用の本質を見落とすことになりかねないと考えます。
 GPIFは、将来の年金支給のために、巨額の積立金を長期的視点に立って運用しております。私は、運用の基本とでも申しましょうか、それはもちろんいわゆる基本ポートフォリオによるわけでございますが、頻繁に例えば株券、債券等を売買する、それによって利ざやを稼ぐということではなくて、ある程度長期的な保有を通じてその収益を確保していく、債券の利子であるとか株式の配当等によるいわゆるインカムゲイン、やはりこれに対してもう少し注目すべきではないかという感じがしております。
 本年に入りまして、前年度のインカムゲイン、それから本年度の第一・四半期、第二・四半期のインカムゲインの数字が公表されております。今までこのような数字が出ていませんでしたので、ようやくインカムゲインの状況も周知していただけるのかなと思って、うれしく思っております。
 そこでお尋ねをしたいんですが、年金積立金の全体の運用におけるこのインカムゲイン、利子や配当の収入の位置付けというのはどの程度のものなのか、そしてこれは従前に比較して増えてきているのかどうなのか、将来的にどういうふうに見通すのか、もしもお考えがありましたらお答えをいただきたいと存じます。
#143
○副大臣(橋本岳君) 年金積立金の運用というものは、そもそもを言えば、基本ポートフォリオを定め、これを長期にわたり維持することで運用収益を獲得をしていくものでございます。
 このため、今御指摘をいただきましたようなインカムゲインのように運用資産を保有していることで一定の収益が継続的に得られる収益源は重要なものであるというふうに考えているわけでございます。特に、その資産の価格変動によって生じるキャピタルゲインは短期的には評価損となることもあるわけでございますけれども、インカムゲインは市場変動の影響を受けにくく、かつ常にプラスの収益を得ることができるものでございます。したがいまして、このインカムゲインの長所はGPIFの運用においても大変意義のあるものでございます。
 まず、現状を申し上げますと、平成二十七年度は二・五兆円、そしてGPIFが設立された平成十八年度から平成二十七年度までの十年間の累計額は約二十一・一兆円と、こうなっておりまして、徐々に伸びているというような状況でございます。これはやっぱりGPIFが行っている積立金の運用において安定的かつ重要な収益源となっている、このように考えております。
#144
○藤井基之君 それでは次に、前回の審議でも御議論になっておりましたが、財政検証についてお尋ねをしたいと存じます。
 今日、午前中の委員の発言にもございましたように、私も、衆議院における年金法の審議の中で、年金カット法案とか三割カット法案などといういわゆるレッテル貼りに基づく議論に多くの時間が費やされたこと、一人の国会議員として大変残念に思っております。私は、今回の法案に盛り込まれている年金額改定ルールの議論、これは、これまで数次にわたり行われてきた制度改正や財政検証を通じてその必要性が認識され、議論の俎上に上がってきたものと認識をしております。
 年金制度の在り方を考えていく上で、財政検証という検証スキームは欠かせないものであると考えます。国民の皆様に年金制度をきちんと理解していただくためにも、財政検証は優れた広報手段として活用できるという一面も有しているのではないかとも私は考えております。それは、なかなか内容が複雑ですので簡単にはいかないと思いますが、これについては是非行政のお知恵をと思っております。
 この年金制度における財政検証の位置付けというもの、そして公的年金の制度運用を行う上で財政検証の果たす役割などにつきまして、これ、できましたら分かりやすく御説明をいただきたいと存じます。
#145
○副大臣(橋本岳君) 日本の年金制度は、御案内のとおり、平成十六年の改正におきまして、将来世代の負担が重くなり過ぎないように、将来の保険料の上限を固定しその範囲内で年金の給付水準を調整するマクロ経済スライドを導入をしております。このマクロ経済スライドを着実に実施することなどにより、将来にわたって給付水準を確保する仕組みとし、制度を持続可能としたものでございます。
 その上で、少なくとも五年に一度、新たに判明した実績を反映させ、人口や経済の長期の前提に基づき、おおむね百年間という長期的な給付と負担の均衡を図るための財政検証を行っているものでございまして、言わばこの財政検証というものは、要するに長期的な見通しというのは立ててはいるけれども、当然ながら、物価、賃金等によって年金の水準というのは変わってくる、あるいは長期的な例えば出生率等がどのようになっていくのか、様々なその時々に変わってくるものがあるわけでございますから、言うなれば、定期健診というようなものと捉えていただければよいのではないかと思っておりますが、おおむね百年間の財政の見通しや、マクロ経済スライドがいつ終了するのかという見通しの作成を行いまして、年金財政の健全性を検証するというものでございます。
 財政検証は、年金制度にとって何が重要なファクターなのか、また制度の持続可能性や将来の年金水準を確保するためにどのような対応があり得るのかなど、これはオプション試算なども行っておりまして、こういう制度にした場合はどうなのかというような試算も併せて行っているということでございまして、今後の議論を行うために必要な様々な基礎資料を提供するということになるものでございまして、こうした財政検証によって明らかになった政策課題についてはこれまでも年金制度の見直しという形で対応しておりますし、また、今回の法案も、将来の基礎年金の所得代替率の低下というまさに財政検証を通じて明らかになった課題に対応しているものでございます。
 そして、更に言えば、これは、先日、谷合議員の質疑のときに私からも申し上げさせていただきましたけれども、将来の年金受給世代にとってみても、将来どうなるのかということを幾つかのケースにわたってお示しをしているという側面もあるわけでございますから、これを広報資料として捉えるということも当然、もちろんその基の資料にするための計算として捉えることもできると思っておりますし、また、そうした意味では、様々、もっとパターンについて財政検証で示せというような宿題もこれまでの議論の中でいただいているところでございまして、今後の財政検証の中でそうした御意見もしっかり踏まえて取り組んでいきたいと、このように考えているところでございます。
#146
○藤井基之君 ありがとうございます。
 今お話がありましたように、財政検証というものは、これは、人口とか経済などの前提を置きまして、それによって膨大な、ある意味で数理計算を行うわけでございますね。この計算のプロセスというもの、これは国民の皆様から見てみると、どうもブラックボックスの中で厚労省が計算しているんじゃないかと、こう思われる、そういう誤解を受けるんではないかと。もしもそういう誤解があるならば、一生懸命財政検証を計算しても、これ国民に信頼されるとはとても言えないんじゃないかという感じがしてなりません。国民から見まして、財政検証が信頼に足る結果であるかどうかの評価、これはその検証作業がどのような前提に基づいて行われたかという点、これが非常に大きいと思っております。
 したがいまして、財政検証の前提というものは厚生労働省が恣意的に決めたと誤解されるようなことがあっては絶対ならないんです。客観的に設定されたということが国民に対してきちんと伝わらなければ、せっかくやっている財政検証に対する国民の信頼は湧かないわけです。
 前回の審議でも議論となっておりますが、財政検証における経済前提について、前提が高過ぎるのではないかといった指摘もございました。経済前提が適切に設定されているかどうか、これについても丁寧な説明が必要ではないかと思っております。また、財政検証の入口であります経済前提の設定だけではなくて、財政検証の出口であります検証結果について、バックデータ等の詳細を公表して国民や専門家のチェックを受けるなどの財政検証の信頼性を高める取組も重要であろうと考えます。
 平成二十六年財政検証における経済前提の設定の考え方、そして財政検証の情報公開がどのように行われているのかということにつきまして、これについても御説明をいただきたいと存じます。
#147
○副大臣(橋本岳君) 経済前提の設定の考え方、そして財政検証の情報公開、こういう二点について御質問いただきました。
 まず経済前提につきましてですけれども、検討過程の透明性をしっかり確保していくというのは大変大事なことでございます。経済、金融の専門家で構成される公開の専門委員会において、二年半掛けて延べ十七回にわたり御議論いただいて設定したものでございます。
 また、具体的な経済前提の内容としては、平成二十六年財政検証の場合、平成三十五年度までは内閣府が行った中長期の経済財政に関する試算に準拠し、平成三十六年度以降はおおむね百年後までは、内閣府試算を参考にしつつ、経済、金融の専門家による客観的な議論を経て設定されたものでございます。
 また、平成二十六年財政検証の長期の経済前提については、長期的な経済状況を見通す上で重要となるTFP上昇率について、バブル期を含む十年間、一九八三年から一九九三年までの平均であるところの一・八%から、失われた二十年の平均程度に相当する〇・五%、これは二〇一三年度第三・四半期の実績でございますが、そこまで過去の経済状況を踏まえ、幅広く八ケースを設定するなど、経済前提の設定の手法等についても丁寧に検討した結果としてお示しをしているものでございます。
 更に申し上げますと、財政検証結果の情報公開をより一層推進をしていくために、平成二十一年財政検証からは、財政検証で用いている基礎データや推計プログラムを国民の皆様の誰もが見られるように、厚生労働省のホームページにおいて広く公表しているところでございます。
 今後とも、より透明性の高い財政検証が行われるよう更にどのような工夫ができるか検討してまいりたいと考えておりますし、本当に今回の委員会での質疑においても、やっぱり財政検証でこのような数字になっているけどどうか、こういう御議論をたくさんいただいているところでございまして、しっかりとそうしたものをお示しをしていくことがやっぱり大事なのだということは、まさに委員御指摘のとおりであろうと私どもも考えているところでございます。
#148
○藤井基之君 ありがとうございます。
 少し古い時期の話ですが、平成二十五年の八月に、社会保障制度改革国民会議報告書が取りまとめられました。そして、その中で、平成十六年の年金制度改革による長期的な給付と負担を均衡させる財政フレームが完成しましたが、長期的な持続可能性をより強固なものにする、また社会経済状況の変化に対応したセーフティーネットを強化するという二つの要請に応えていくことが必要であり、様々な課題の検討に資するよう検証作業を行うべきというふうにまとめられておりました。
 そして、国民会議の議論を踏まえて制定されました社会保障制度改革プログラム法によって、年金制度において四つの検討課題が明記され、平成二十六年財政検証では、これらの課題の検討に資するように一定の制度改正を仮定した三つのオプション試算も行われております。
 このように平成二十六年財政検証では多くの計算が行われ、その結果、それは年金制度の現状や課題を示すものであるわけです。しかし、残念だけど、多くの国民の方々はこのような取組は御存じないんですよ。私どもも、今回審議があるからといって資料を見せていただいて、初めて分かったことも幾つもあるわけでございます。先ほど来、副大臣がお答えいただいているように、国民の方に知っていただくためのいろいろな手だてを立てていますと、こうおっしゃられた、まさにそれが大切なんだろうと思います。年金制度を国民の方に理解していただくためには、厚生労働省が一体何をやっているか、日本でどんな年金制度になって、今どう動いているかということを多くの人に知ってもらう努力を厚生労働省にはお願いをしたいと思っております。
 先ほど来申し上げましたように、年金制度というのは世代間の分かち合いです。どの国も経験したことのない急速なペースで進行する少子高齢化に対しまして、各世代が支え合いながら制度を維持して次世代に引き継いでいく必要があります。そのためには何か。繰り返します。この制度をもっともっと多くの方々に正しく理解してもらう、そのための努力を厚生労働省にお願いしたいと思います。
 最後、副大臣、御決意をいただきたいと思います。
#149
○副大臣(橋本岳君) これは本当に大事な御指摘をいただいたのだというふうに私は受け止めております。
 何というんですかね、まさに衆議院、参議院とこれまでこの法案、あるいはこの前も年金の法案でございましたので、ずっと御審議をいただいておったわけでございますが、やはりせっかく財政検証だとかをしている、そのことがきちんと、もちろん先生方には御理解をいただけていると思うのですけれども、やっぱり例えばそうした審議を終えて、私も地元に帰っています。地元の方で、こんな今議論をしていますというようなお話をすると、その大前提からきちんとお伝えをしていかないとなかなかうまく伝わらないというようなことに直面をするということが本当にしばしばあるわけでございまして、いたずらに、年金というのは、例えば私たちの世代とかもっと下の世代はもらえないんじゃないかとか、そういうようなやっぱり不安を持っていらっしゃる方が多いわけであります。
 だから、そこのところをきちんと、もちろん経済前提が一定、ある程度順調にいけばという前提は付きますけれども、その中であればきちんと百年ぐらい先まで見通した上で運営をされているのだ、そしてこのぐらいの水準は確保させていただけるのだということをお示しをしているわけですから、やっぱりそのことをしっかりと多くの、できるだけ多くの、今受給をされている方から若い方まで知っていただく、あるいは年金というのはこういう構造になっているのだということをきちんと御理解をいただいた上でできるだけ保険料も納めていただく、そうしたことというのはまさに不断の努力というものが必要なんだろうというふうに思っております。
 先ほど財政検証の広報としての意味という御指摘をいただきましたけれども、これは本当に大事な御指摘だなと思って改めて受け止めておりまして、いろいろな難しい計算とかもしているのでなかなか簡単に、どうお伝えするかというのは難しいところはございますけれども、これからも研究と工夫を重ねて、そうしたことにもつなげられるように頑張っていきたいと改めて思った次第であります。
#150
○藤井基之君 終わります。ありがとうございました。
#151
○太田房江君 自由民主党の太田房江でございます。
 我が党六人目の今回の年金改革法案についての質問であり、私自身は、前回、前々回か、期間短縮につきましても御質問申し上げました。しかし、まだまだ国民に対する説明は足りないと、こういうことでございますので、引き続いて質問を続けさせていただきます。
 私は、常々、社会保障制度は国民の信頼と安心の上に立脚する制度であるというふうに考えております。こうした信頼や安心こそが国民が納得して保険料を支払っていただくことの土台にもなりますし、また、老後の生活はもとより、けがや病気、そういった人生の様々なリスクに対応する備えができているということが国民の社会経済活動を更に活性化して、これを通じて社会保障制度に戻っていく、信頼と安心が更に醸成されると、こういうことで、これが、成長と分配の好循環という言葉もございますけれども、好循環ということだろうと思っております。
 したがって、いたずらに、今、日本社会を支えている社会保障制度に対して国民の不安をあおるようなことのないように私ども国会議員は厳に慎むべきであり、今回も地に足の付いた実りある法案審議を通じて国民に説明責任を果たしていく、分かりやすく建設的な議論を進めていくこと、これが良識の府である参議院の私どもの役割だと、このように考えております。
 そこで、最初の質問ですけれども、るる出ておりますように、今回の年金法改正に至る年金制度の骨格を決めておりますのは、二〇〇四年改正、平成十六年の改正でございました。このときに、将来にわたって年金制度を持続可能なものとするために、年金制度を支える現役世代の負担が過重とならないように、保険料に上限を設けることとした上で、時間を掛けて徐々に限られた給付の財源を世代間で適切に配分できるよう、いわゆるマクロ経済スライドという仕組みが導入されたわけであります。こうした十六年改正に基づく年金制度の基本的な構造と今回の改正内容との関係を正しく御理解いただいていれば、三割カット法案といったようなレッテル貼りは出てこないはずであると私は考えております。
 今日も午前中に、川田、川合委員からの御指摘、確かに聞きました。聞きましたけれども、平成十六年改正が行われたときに、その後のデフレ下も含めましてマクロ経済スライドは発動できずにここまでやってきた。そして、足下の年金水準が上昇する一方で、将来の基礎年金水準の低下が避けられない事態になったわけであります。このことは、平成二十一年度の財政検証時から明らかになっていたことでありまして、民主党政権時を通じた課題でもあったと思います。当時の衆参両院の議事録を拝見いたしますと、民主党の先生方もマクロ経済スライドの発動は必要であるというふうに述べておられる。
 確かに、川合委員がおっしゃったように、最低賃金保障とのセットでということもあったでしょうが、やはり私は、責任ある政党は財源のあるなしに大きく悩んだと思います。その結果が今日に至っているわけですから、私は、今回しっかりとそのことを国民に伝えて、やるべきことからしっかりやっていくということでこの法案のお認めをいただきたいと、このように思いますね。(発言する者あり)済みません、前職を思い出してしまいました、申し訳ありません。
 財政検証は、先ほど定期的な健康診断であるというふうな御説明がございました。その健康診断ということですけれども、私はまさにそのとおりであろうかと思います。その健康診断で、今るる申し上げてきたように、治療すべき箇所が確認されたわけですから、早期に治療することは、これ当たり前のことであります。先送りは無責任と言わざるを得ません。
 そこで、このことを確認するために、恐縮ですけれども、もう一度副大臣にお尋ねをいたします。
 現在の年金額改定の仕組みについて、財政検証でどのような課題が明らかとなったか、それに対してどのような処方箋を示しているのか。これまでの答弁でも、三%、七%というような数値が登場しておりますけれども、そういった数値を整理して分かりやすく御説明をしていただきたい。特に、将来年金確保法案であるということは、最初の代表質問のときに衆議院で述べられている、法案に対する理解を進める言葉であると思います。将来年金確保法案であるということを確認するためにお答えをいただきたいと思います。
#152
○副大臣(橋本岳君) 今、前政務官からもう御説明いただいたことに尽きているような気もしますが、御質問にお答えをさせていただきたいと思います。
 今回の法案に盛り込んでおります年金額改定ルールの見直しでございますけれども、平成十六年改正で今の骨格というのをつくったわけでありますが、その際に現役世代の賃金の低下に合わせた年金額の改定を行わなかったために、今の高齢者の基礎年金部分の所得代替率が、これが、デフレがその後進みまして賃金が上がらなかった、むしろ下がっていった、そして年金額は変わらなかったということが続いたために、結果として所得代替率が一割ぐらい上昇したということが起きました。その結果、マクロ経済スライドの調整というのをやっていくわけですけれども、その期間が延びることになりまして、結果として将来の基礎年金部分の所得代替率が約一割下がってしまった、こういうようなことが背景としてあるわけでございます。
 こうした点は、先ほど御指摘がありましたように、平成二十一年の財政検証でも明らかにされ、当時の年金部会でも指摘をされており、また平成二十四年二月に閣議決定された一体改革大綱においても、世代間公平の確保及び年金財政の安定化の観点から、デフレ経済下におけるマクロ経済スライドの在り方について見直しを検討すると記載をされ、平成二十六年の財政検証でも再確認をされたところでございまして、問題意識としてはずっと平成二十一年の財政検証時点から持たれていたというわけでございます。
 ただ、特例水準の解消だとかそうしたいろいろなものもございましたので今に至っているわけでございますが、改めて、マクロ経済スライドの調整期間の長期化を防ぎ、将来世代の基礎年金の給付水準を確保するために、マクロ経済スライドの未調整分を先送りせずにできる限り早期に調整をすること、そして賃金に合わせた年金額の改定にすることにより支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とする、そのための見直しを行うこととしたわけでございます。
 衆議院の議論において、やれ七%だとか三%だとかそういう数字も出ておりまして、いろいろ、どういうことなのかなと思われた方もおられるのではないかと思いますが、今回の額改定ルールの見直しについて、仮に過去の期間に今回のルール見直しを適用したとした場合に給付水準に与える影響はどうなのかということについて、特例水準を解消したという前提を置いて、仮に平成十七年度から実施されていたとする仮定の計算を機械的に行ってみました。それをお示ししたわけでございますが、改定ルールの見直しを行わなかった場合と比較をいたしまして、足下の受給額が累積で三%低下をするということになる。一方で、マクロ経済スライドの調整期間が六年間短縮され、将来の給付水準が七%増加をするという結果となったわけでございます。
 本法案による年金額改定ルールの見直しを行わないとすれば、今後賃金が低下するような不測の経済状態となった場合に、将来の基礎年金の水準がより低下をするおそれがございます。今回の見直しは、それを未然に防ぎ、信頼される年金制度をつくるために必要なものであると考えております。
 以上でございます。
#153
○太田房江君 丁寧にありがとうございました。
 次に、所得代替率についてお伺いをしたいと思います。
 財政検証でも、年金水準を示す指標として所得代替率があるわけでございますけれども、言わば年金水準を測る物差しであると思います。年金は長期の制度でありますから、現在の水準だけでなく、過去や将来にわたって水準がどれぐらい確保されるのかという物差しとしての役割を果たさなくてはなりません。
 また、モデル世帯に相当するような夫婦二人の高齢者世帯で、妻が専業主婦という世帯がこれまで大宗を占めてまいりまして、現在でも、平成二十四年の老齢年金受給者実態調査によりますと全体の五四%と、こういうことになっておりますので、現在のモデル世帯を基本とする所得代替率の指標は、現時点で適切であるというふうに私は思います。他方、これもいろいろ指摘がございますように、近年は高齢単身世帯が増加をいたしております。今後も増加をしていくだろうというふうに予想されていることから、こうした世帯構造の変化というものも十分念頭に置かなくてはならないというふうに思います。
 そこで、次の財政検証では、所得代替率について、こうした世帯構造の多様化も念頭に置いて、将来の年金水準が分かりやすく国民の皆様方に認識していただけるように、国民に対して適切な情報提供を行っていくことも重要と考えますが、年金局長、いかがでございましょうか。
#154
○政府参考人(鈴木俊彦君) 所得代替率でございますけれども、ただいま先生に御指摘いただきましたように、これは年金の給付水準を表す物差しという機能が大変に重要であるわけでございます。
 こういった物差しということに着目をいたしますと、現在のいわゆるモデル世帯について着目して所得代替率を示す、これは、いろいろな改正に取り組んでいく上での連続性の観点からは、まさに今先生に御指摘いただきましたように、引き続き使用していくという意義はあるだろうというふうに思っております。
 ただ一方で、同時に、御指摘いただきましたように、今後、共働き世帯の増加でございますとかあるいは単身の増加、こういったものもございます。こういった社会経済情勢の様々な変化を反映いたしまして、当然、高齢世帯の姿もまた多様になってまいります。
 こういうものをどうやって国民の皆さんに分かりやすく正確にお伝えするかということも大事でございまして、これ、まず、平成二十六年の今回の財政検証におきましても、ただいま申し上げましたモデル世帯のみならず、基礎年金部分の所得代替率を区分して示しますことですとか、あるいは共働き世帯、単身世帯の一人当たりの所得代替率を賃金水準ごとに提示するといった工夫をしてございます。
 具体的にちょっと御紹介をさせていただきますと、例えば二〇五〇年度におきまして、生涯の賃金水準が十五・一万円から四十五・四万円までの五つのパターンを作りまして、これで夫婦の共働き、単身といった世帯類型ごとの一人当たりの年金額に加えて、報酬比例部分そして基礎年金部分に分けて所得代替率を示します。こういうことによりまして、これに例えば御自身の賃金水準を当てはめていただくと、性別にかかわらず、どのような年金水準が将来確保されるかということを見ていただけるような工夫も実はしているわけでございます。
 いずれにいたしましても、今御指摘いただきましたように、この所得代替率に関します現状あるいは今後の見通しの示し方については、今後とも大変に大事な問題でございますので、今後の世帯類型の多様化というものをしっかり念頭に置きまして、次の財政検証に向けて更なる工夫をしてまいりたいというふうに考えております。
#155
○太田房江君 ありがとうございます。是非よろしくお願いをいたします。
 所得代替率に関しての国際比較というのは余りないんですけれども、お手元に資料を一枚配らせていただきました。OECDの報告書の中にこのようにG7諸国における所得代替率の比較という表がございます。この表は一人当たりの所得代替率でございますので、日本はモデル世帯、一世帯二人世帯ということですから、その点のことは念頭に置いていただきたいと思いますし、また米印の、前提がしっかり下に書いてございますので、この点についてもお踏まえいただいて御覧いただきたいと思います。非常に各国比較をすることは難しいわけで、尺度を統一せざるを得ませんし、日本の物差しに合わせて各国の所得代替率を出すというのは大変な作業だと思いますけれども、OECDの報告書の中の表でございますから、それほど不確かなものでもないのではないかと、このように私は思います。
 大臣も、年金制度の在り方を考えていく場合に制度の持続可能性と給付の十分性という指摘をしておられますけれども、このバランスを考慮することがまず必要でありますし、また、負担の水準を抜きにして年金の水準のみを単純に比較することもこれできないのは当然でございます。
 このように、各国の比較というのは慎重に行わざるを得ませんけれども、私はこの表を拝見いたしまして、日本は時々中福祉中負担というような言葉も使われますけれども、負担と給付の水準からいいまして、それほど先進諸国と遜色のない水準ではないかなというふうに思いました。プロである年金局長はこれをどのように読解しておられるか、お聞かせいただければと思います。
#156
○政府参考人(鈴木俊彦君) 先生に御作成いただきましたこの所得代替率の各国比較、これはOECDのペンションズ・アット・ア・グランス二〇一五によるものでございますけれども、我が国の年金制度の国際的な比較ということでございますけれども、まず、先生も御指摘いただきましたように、なかなか単純な比較というのは難しいというふうに考えております。したがいまして、どういう前提でこういった比較をしているのかということをしっかり認識することが大事だと思っておりますが。
 まず、お示しいただきましたこの比較でございますけれども、ある意味、OECDが独自に設定をいたしました前提条件に基づいて機械的に算出した、こういった将来の予測値であるというふうに承知をいたしております。したがいまして、ここに並んでおります所得代替率というのは、将来的に今ある制度が一定の完成を見たときにどのような状態になるのかということを機械的に並べてみたものだというふうに考えておりますけれども、そもそもこの各国の年金制度の比較ということになりますと、まさにここにございますように、保険料率も違います。それから、高齢化率等の前提条件も異なってまいります。それから、そもそも制度の設計、内容が各国によって様々でございます。その中で、評価ということで申しますと、一番大事なのは、先ほど来制度の持続可能性と給付の十分性ということを申しておりますけれども、要は必要な給付が長期間にわたって安定的に行えるかどうか、こういうことをしっかり考慮に入れた上で評価することが必要だろうと思っております。
 その上で、このOECDの比較を眺めてみますと、日本は、御案内のように、保険料の上限を固定いたしまして、将来にわたって現役世代の負担が過重にならないようにした上で、その中でマクロ経済スライド等の工夫をしております。そういう意味では非常に持続可能性のある制度だということでございますけれども、ここに並んでおります各国の制度は必ずしもそうなっておりませんで、例えば、国によりましては、現在の給付水準を維持していこうとすると、今後保険料率をここにある二〇一四年よりももっとどんどん上げていかなければならないというような国もあるわけでございますが、この比較の中ではそうしたような事情が一切考慮されていないということは留意点として頭に置いておくべきだろうと思っております。
 その中で、各国様々工夫をしておるわけでございますけれども、そうしたことで見てまいりますと、主要先進国におきます所得代替率の比較ということでいいますと、日本と同様に三〇%台後半の国が多いわけでございまして、逆にこの所得代替率が日本よりも高い国というのはその分保険料率が高くなっている、また更に高くなるかもしれないということも見て取れると思います。
 以上のような、るる申し上げましたけれども、こういった観点を総合的に見まして、日本の制度は今後とも先進諸国と比較して遜色のない給付の十分性と持続可能性を備えたものになっているのではないだろうかというふうに評価をいたしております。
#157
○太田房江君 ありがとうございます。
 私もそのように理解をいたしますけれども、国民の皆様方に分かりやすく伝える中で、そういった国際比較も私は社会保障制度を語る場合に大変重要だと思います。よろしくお願いをいたします。
 次に、年金制度の保障機能の強化についてお伺いをいたします。
 産前産後期間の保険料免除の被用者保険の適用拡大、これについては多くの方が既に指摘をしておられます。公的年金制度の恩恵を受ける方々を増加させて、そして保障機能を高めるということにつながる意味におきまして大変意義のある改正であると思っております。特に、この産前産後期間の保険料免除につきましては、女性の活躍を推進する意味からも意義が大きいということは多くの委員の先生方から指摘がございました。
 そして今、政府は、切れ目のない支援ということで、出産の前後を含めて、この期間を長く見た切れ目のない子育て支援等を女性活躍推進施策の一つとして重要施策として進めているわけですけれども、今回の改正はこれに合致するものであるというふうに思いますし、また、厚生労働省の観点から見れば、年金制度の支え手となる次世代の育成を支援していく観点からも極めて重要と、そして、長い目で見れば、労働力の確保あるいは次世代の育成ということを通じて年金制度の基盤強化にもつながるものというふうに考えます。
 こうした中で、厚生年金では既に産前産後期間は年金保険料が免除されているわけですけれども、今回の改正は国民年金の第一号被保険者の女性に対しても同様の仕組みを導入するものでありまして、年間実に二十万人の方がこの恩恵に浴するというふうに見込まれるという答弁もございました。これについて、私、意義や効果、年金局長にお伺いしようと思いましたけれども、これまでもう随分お答えいただいておりますので、この点についてはその確認にとどめたいと思います。
 もう一方の、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大についてお伺いをさせていただきたいと存じます。
 短時間労働者への被用者保険の適用拡大について少し観点を変えて御質問を申し上げたいと思うんですけれども、まずこの被用者保険の適用拡大の意義を確認しておきますと、例えば基礎年金に加えて報酬比例部分の年金がもらえるようになるということですとか、国民年金では障害基礎年金を受給できない障害等級でも障害厚生年金がもらえるなど、メリットは大変大きいものがございます。
 今回の改正は、従業員五百人以下の企業の短時間労働者に対しても、労使合意に基づいて被用者保険加入の戸を開くものであるわけですけれども、適用拡大を行う、これ五百人以下ですので、中小企業のみならず中堅企業も入ってくると思います。こういう適用拡大をしようと、そうしたら、人手不足に悩む中小・中堅企業も大きな武器になると申しますか、保険加入できますよということで人手を募集することもできるわけでございますから、これは私は大変、中小・中堅企業にも適用拡大できれば大きな武器になる、大きな財産になるというものだと思いますけれども。
 しかし、一方ではいろいろ、同一労働同一賃金ですとか非正規雇用の待遇改善ですとか、一方でしっかりと賃金も上げなくてはならない、そして従業員の方々の社会保険加入も果たしていただかなくてはならないということで、副大臣の方から、労働者の側から見ると、確かに、短時間でなくもう少し働きたいという女性の皆さん、多くの皆さんに応える制度である一方で、事業者の側から見ると、いい制度であり、これを利用できれば本当にすばらしいんですけれども、コスト増ということにはこれはなるわけであります。
 そういう観点から、私は、中小企業対策を始めとした経済運営ともしっかりと連携していくべきであると従前から考えてまいりました。
 年金制度の保障機能の強化の観点から、このような適用の拡大というのはこれからも前に進めてほしいと考えておりますけれども、まずは厚生労働省の中でできること、これについて年金局長にお伺いをいたします。
 実効が上がるような形で適用拡大が図られるためには、一昨日ですか、我が党の委員からも指摘がされておりますこの適用拡大、多くの中小・中堅企業に実現していただくためには、必要な情報提供や相談はもちろんのこと、キャリアアップ助成金の活用など、様々な工夫を凝らして厚生労働省としてもまず努力をしていただきたいと思います。年金局長に御見解をお願いいたします。
#158
○政府参考人(鈴木俊彦君) 厚生年金の適用拡大でございますけれども、この法案に盛り込んでおります、今般の労使合意を前提といたします中小企業への適用拡大でございますけれども、これ、まさに御指摘いただいておりますように、事業主の方々、それから労働者御本人、両方に十分にこの内容をお知りいただいて、それに基づいて行動を取っていただくことが大切だというふうに思っております。
 このために、まず一つは、事業所に対するお知らせ、これを丁寧にしてまいりたいというふうに思っておりますし、ある意味かゆいところに手が届くようにということで、様々なQアンドAの作成というものも取り組みたいと思っております。また、まさに労働者御本人に対しては、この被用者保険のメリットというものを十分お知りいただくことが大事でございますので、こういったものにつきまして、リーフレットの作成などはもちろんでございますけれども、ホームページ等も含めまして、様々な手段を活用して丁寧な周知、広報に取り組んでまいりたいと思っております。
 その中で、まさに今御指摘ございましたキャリアアップ助成金、これにつきましては、やはり賃金の引上げでございますとか、本人の希望を踏まえて働く時間を延ばすということで人材確保を進めたい、こういったような事業主の支援のためのツールでございまして、中小企業の方々にまさにこれを御活用いただきたいというふうに思っております。したがいまして、今回の労使合意を前提としました適用拡大の実施に当たりましても、この助成金について丁寧に周知を図ってまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、中小企業における適用拡大が円滑に進みますように、今後ともできる限り工夫をしてまいりたいと思っております。
#159
○太田房江君 ありがとうございます。
 先ほど少し経済運営との連携ということを申し上げましたが、その面に移らせていただきます。
   〔委員長退席、理事島村大君着席〕
 今回の年金額改定ルールの見直しは、物価よりも賃金が下がるという不測の経済状況にも備えるものでありますけれども、賃金が上がっていく通常の経済状況では今回の新たなルールが発動、適用されることはなく、したがって年金額が下がることもないというふうに申し上げます。
 このことは、まさにアベノミクスが目指す強い経済をつくることこそが、つまり今回の改正も経済運営との連携の中で進められることが社会保障の機能強化につながることを意味しておりまして、マクロ、ミクロの経済運営と社会保障政策とがまさに表裏一体となって進んでいくべきことを示しているんではないだろうかと。そして、まさに今回の改正案の背景にあるのは、このアベノミクスをもっと成功させて、しっかり強い経済をつくらなくてはならないということだと思います。
 アベノミクスの成果としては、幾つも挙げられておりますけれども、賃金総額、今回のこの改正法と一番リンクする、マクロ経済スライドとリンクするのは現金給与総額だと思いますけれども、この現金給与総額を見ましても、二十六年、二十七年と二年連続で上昇を続けておるのは御承知のとおりでございますし、また、実質賃金という意味でも二十七年七月以降増加傾向が続いていて、依然としてデフレ脱却を一歩一歩目指しているということだと考えております。
 そういう安倍政権の中で今回のこの年金法改正が提示をされた。強い経済を目指す一方でこの年金法改正が行われるということは、私は、今回の年金法改正が国民の皆様のためにもなる年金法の改正につながると、こういうふうに確信をいたしております。
 今日は、その中で、経済の好循環を形成する上で、非正規雇用労働者の待遇改善や最低賃金の引上げといったような労働政策についても今大きな一歩が進められておりますけれども、他方、労働生産性を高めるという施策も進められております。これは、私は今回いろいろな省庁の予算要求をめくって見ておりましたら、少なくとも生産性の上昇が必要な業界を抱える多くの省庁において、労働生産性の上昇を図っていこう、その中で賃金を中小企業も上げられるような環境をつくっていこう、そしてまた、ひいては今回の適用拡大のようなときに事業主が社会保険に加入できるような、そういう経済状況、経営基盤をつくっていこうという施策が諸所に見られているということは、これはもちろん安倍政権の中で牽引されたことかもしれませんけれども、私は社会保障政策と経済運営との連携というのがしっかり図られている証左であるというふうに見ております。
 今回の五百人以下の件でございますけれども、中小・中堅企業の短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大、これについても、今申し上げたように、経済運営全体の中で見ていく必要がある。すなわち、社会保障制度からのアプローチだけでは適用拡大に限界があると思われますので、中小企業が社会保険料の事業主負担ができるような、そういう環境整備あるいは経営基盤の強化というものと併せて、並行して進めていく必要があると、こういうふうに考えておるわけです。
 そこで、今日は中小企業庁からも吉野部長においでいただいておりますので、中小企業対策の観点からのお取組をお伺いいたしたいと思います。
 中小企業対策の観点から、一方で、非正規雇用労働者の待遇改善等々、労働政策として賃金引上げの諸施策が進んでおります中で、これは労働生産性を高めるということが必須の課題になってきていると思いますし、そのことがまた直に社会保険料の事業主負担ができるような環境整備につながっていくということだと思います。このために、現在、中小企業庁あるいは経済産業省でどのような取組が進んでいるかということを御教示ください。
#160
○政府参考人(吉野恭司君) お答えいたします。
 中小企業庁といたしましても、委員今御指摘になられましたとおり、中小企業が非正規雇用労働者の待遇改善、賃上げ、それから社会保険の適用拡大など、諸課題に対応できるように生産性向上を後押しし、経営基盤の強化を支援することが重要であると考えておりまして、様々な施策を推進しているところでございます。
   〔理事島村大君退席、委員長着席〕
 まず、中小企業の生産性向上を図るため、中小企業等経営強化法という法律を七月に施行いたしております。この法律では、稼ぐ力の強化、生産性向上のための計画を中小企業が作りまして、主務大臣の認定を受けますれば固定資産税の軽減措置などが受けられると、こういう仕組みでございますけれども、七月から十月末までの四か月間ではや三千三百三十三件の認定をいたしております。また、中小企業が取り組むべき内容につきましては、製造業、サービス業など十四の業種におきまして指針を策定をしております。また、業界団体などをその推進機関として認定をする、そうした方々によっても支援をいただくと、そういう枠組みも提供しているところでございます。
 さらに、来年度の税制改正におきまして、固定資産税の軽減措置、中小企業による投資促進税制の対象設備について、幅広い業種に活用いただけるような拡充要望をしているところでございます。
 加えまして、生産性を後押しするための更なる措置といたしまして、平成二十八年度の二次補正予算におきましても、革新的な物づくり、サービスの開発支援、IT活用による業務効率化のための予算を計上しております。
 一方、中小企業の賃上げ等の環境整備としましては、現在、政府を挙げて下請等中小企業の取引条件の改善に向けた取組を推進してきているところでございます。
 経産省としましても、九月十五日に、未来志向型の取引慣行に向けてというプラン、世耕プランとも称しておりますけれども、これを発表いたしましたけれども、この下におきまして、下請代金法の運用の強化、それから業界ごとの自主行動計画の策定、推進といった取組を強力に推進をしているところでございます。本日の日経新聞で、トヨタが下請代金を全て現金化するといった検討をされていると出ておりましたけれども、こうした取組の成果の一つというふうに考えているところでございます。
 また、賃上げのための直接的な支援としましては、現在、所得拡大促進税制というのがございますけれども、これにつきまして、中小企業に対する税額控除の拡充も要望しているところでございます。
 それから、先ほど厚労省の方からも御答弁ございましたキャリアアップ助成金、これも中小企業にとりまして大変重要な制度でございますので、この内容につきましては、私ども全国に設置しております相談窓口などを通じて周知を行っているところでもございます。
 以上のような各般の対策を講じてきておりますけれども、引き続き、中小企業の方々が従業員の処遇改善に適切に対応できるように引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
 以上でございます。
#161
○太田房江君 ありがとうございました。
 五百人以下の企業と一口に言いますけれども、最近、中小・中堅企業の動きを見ておりますと、製造業から厚生労働省関係のサービス業に大きくウエートを移してきている実態がございます。医療関係、介護関係、保育所、そして生活衛生同業組合関係等々、これから生産性を上げていかなくてはならない、あるいはこういったところ、社会保険の適用拡大のところに入ってきていただかないといけない中小企業、中堅企業はサービス業が多いんです。したがって、今、吉野部長からお答えいただきましたけれども、こういったところの生産性を上げる経済運営と連携して私どもの社会保障制度改革もしっかり進めることができるんだということを今日は申し上げたかったことなので、お聞き取り願えればと思います。
 厚生労働省も、先ほど申し上げましたように、労働政策の観点から、同一労働同一賃金あるいは働き方改革といったように、生産性を上げるための労働行政改革にも着手をいたしたところであります。こういうことも、単なる規制的な側面だけではなく、さっきから申し上げているように、生産性を引き上げる誘導的な側面もしっかりと組み合わせていきませんと、事業主にとっては本当にこの適用拡大に適応していくことができないんだろうと思いますけれども、私が申し上げたいことは、こういった労働生産性を高める様々な施策や、改めてこの労働行政が今踏み入れた同一労働同一賃金あるいは非正規雇用労働者の待遇改善等々が社会保障制度改革と連動しながら今この厚生労働省の中で行われているということについて私は大変大きな意義を感じております。
 日本は、先ほど藤井委員がおっしゃいましたように、世界に類を見ないスピードで超少子高齢化社会が進んでおります。二〇二五年問題、これを目前に控えて、これを乗り切る新たな日本型モデルをつくろうと今我々は必死になっていると、こういうことであろうと思うわけですが、今回の年金改革はその中の大きな一歩であると私は評価をしております。
 そしてまた、社会保障制度改革全体としては、この年金改革に続いて更に不断の改革をやっていかなくてはならないということでもあると認識をしております。このためには、先ほど来申しておりますように、厚生労働省においても、社会保障制度改革、この年金改革を含めた社会保障制度改革と労働行政改革とを連動させて進める必要がありまして、その双方を所管する厚生労働省の役割は大変大きい。先ほど主なサービス業をたくさん所管しているという意味からも大変大きいと、こういうふうに思っておるわけでありまして、ここのところの副大臣の御決意、御所見をお伺いしたいと思うんですけれども、私は、今日、大臣おられませんけれども、橋本副大臣のお父上であった元総理は厚生大臣と通商産業大臣おやりになっておられます。そういう意味からいうと、うってつけの答弁者だと思いまして、是非、最後によろしくお願いをいたします。
#162
○副大臣(橋本岳君) まあ親がどうだからといって答弁者として適切かどうかというのはどうかなと思うところはございますが、私なりに今の太田委員の問題提起に対してお答えをさせていただきたいと思います。
 今、日本社会が直面している大きな課題というのは、もちろんいろいろありますが、やはり急速な少子高齢化、そして労働力人口の減少というものなんだろうというふうに思っています。その中で、我が国の社会経済が持続的に発展をしていくこと、そしてその基盤の上で社会保障が持続的に機能し続けるということが必要なのであって、そのときに必要な考え方というのは全員参加型の社会なんじゃないかなというふうに思っているところであります。
 要は、誰かが誰かを支えるというような、これまでの福祉だとか社会保障というのはそういうモデルでの考え方が多かったわけですけれども、そうじゃなくて、例えば、障害がある方でも、あるいはがんだとか難病だとか、いろんな事情を抱えておられる方がおられます。子育て中だったり介護をしている方とか、いろんな事情ある中で、その中でもできる能力だとか意欲だとかもあるはずなのであって、そうした方々にその事情の許す範囲でしっかりと社会に参加をしていただいて、支える側にも回っていただく。お互いに参加をしながらお互いに支え合うような、そうしたモデルというか考え方の社会になっていくということが、少子高齢化という社会の中で持続していく社会というものを保つためには必要なんだろうというふうに考えているところでございます。
 それが一つの形になったのがニッポン一億総活躍プランなんだろうというふうに思っているわけでありまして、厚生労働省という立場で申し上げれば、そのニッポン一億総活躍プランに書いてあることをしっかりと実現をしていくことが大事なんだなというふうに思っているわけでございます。
 御指摘ございましたけれども、同一労働同一賃金の実現、正規、非正規の労働者の格差を埋めていくということ、長時間労働の是正によってワーク・ライフ・バランスを改善していくこと、あるいは例えば最低賃金を見直して賃金の底上げというのも図っていかなきゃいけない、そういうようなこともございますし、また社会保障の面でも、子育て支援も、そうしたものを一層取り組んでいく、あるいは介護離職者ゼロに向けた取組などをしていく、そうしたこともやっていかなければいけませんし、また、先ほど所管業種に対して生産性を上げていくようなことも考えていかなきゃいけないという御指摘もいただきました。まさにそのとおりだろうというふうに考えているわけでございまして。
 副大臣にならせていただいてから、前、政務官のときは医療、介護の方を担当しておりました、今度労働側の方を担当させていただくことになりまして、両方見た経験がある者として、時々、いやいや、厚生労働省でしょうと、相手の、ほかの、隣の局のことも一緒に考えようよと、一緒に考えようという話を何度もする機会が実はございまして、まだまだそういうところというのは厚生労働省の中にあるんですけれども、せっかくそこ一体になっているんですから、しっかりとその強みを生かしてこれからも進めていくということは大事なんだろうということで、こうした施策を通じまして、成長と分配の好循環の実現に向けてしっかり取り組んでまいりたい、塩崎大臣を支えて頑張っていきたいと思っているところでございます。
#163
○太田房江君 私が申し上げたかったことを的確に答えていただき、ありがとうございました。
 その塩崎大臣も来られましたので、これで質問を終わります。
#164
○熊野正士君 公明党の熊野正士です。
 平成十六年に年金制度の大改革が行われました。当時、急激に進む少子化、高齢化の中で年金制度に対する国民的な不安が非常に高まっておりまして、特に現役世代と言われる若い方々が将来本当に年金がもらえるのか、また、年金の保険料が年々増加しているけれども、今後際限なく負担が増え続けるんじゃないかと、そういった強い不安がありました。そして実施されたのがこの改革でありまして、増え続ける現役世代の年金保険料の上限を一八・三%というふうにしまして、これ以上は負担を増やさないというふうにしました。これによって現役世代の方の年金の負担に対する歯止めが掛かったわけであります。保険料収入が上限が決められたことで、国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げる、つまり税金の投入を増やすということも同時に決めました。さらに、積立金を活用しまして、後の世代の給付に充てるということもしました。
 そして、給付については、マクロ経済スライドを導入しまして、このマクロ経済スライドというのは、急激な少子高齢化の中で平均寿命の延びと人口の減少というこの二つの要素を考慮して、年金の給付水準を調整をして、将来にわたり所得代替率五〇%を維持するというものであります。
 ただ、じゃ、これで全て安心か、全く何もしなくてもいいのかというと決してそうではありません。社会状態や経済状態の変化を評価して、制度が持続可能かどうかチェックする必要があります。このチェックが五年に一度の財政検証でありまして、法律に定められているところであります。この財政検証に基づきながら修正すべきは修正しなければ、たとえ立派な制度であっても綻びが生じてしまいます。
 平成十六年の年金制度改革以降、平成二十一年とそれから平成二十六年、二回この財政検証が行われているわけですけれども、この過去二回の財政検証の内容について、政府からの答弁を求めたいと思います。
#165
○政府参考人(鈴木俊彦君) 今御指摘ございましたように、平成十六年の改正で現在の年金制度の基本的なスキームが形作られまして、その以降の二回の財政検証でどういうことが分かってきたのかという御質問だと存じます。
 まず、直近二十六年の財政検証では、日本経済が再生しまして、高齢者、女性の労働参加が進みますと将来の所得代替率が五〇%を上回る、これは確認をされたところでございます。
 しかしながら、その一方で、所得代替率を報酬比例部分と基礎年金の部分とに分けて分析をいたしてみますと、十六年改正以降、現役世代の賃金が残念ながら低下をいたしたわけでございますけれども、それに合わせて年金額の改定を行ってきませんでしたために、現在の高齢者の基礎年金部分の代替率が予想よりも約一割上昇した、一方で将来の基礎年金の代替率が約一割下がるということが明らかになったわけでございます。これは二回の財政検証を通じて分かってきた非常に大きな点だと思います。
 これを踏まえまして、今般の法案で年金額改定ルールの見直しを提案いたしました。また、同時に、二十六年の財政検証では、何度かお話ししておりますオプション試算というものを実施いたしまして、幾つか今後取るべき政策課題というものを明らかにしたわけでございます。こういったことを踏まえて、今後とも引き続きこの見直しを行っていくということだろうというふうに思っております。
#166
○熊野正士君 過去二回の財政検証で指摘をされている大きな課題が、先ほどありました、平成十六年から二十六年の間で賃金が下がって、それに伴って所得代替率が上昇してしまったと。マクロ経済スライドによる調整期間というのが長期化をするというのをよく耳にするわけですけれども、この調整期間が長期化するというのがちょっと少し分かりにくい側面もございまして、この長期化が一体どういった弊害をもたらすのかについて、もう少し分かりやすく説明をしていただければなと思います。
#167
○政府参考人(鈴木俊彦君) このマクロ経済スライドでございますけれども、これは賃金、物価が順調に上昇いたしますとしっかり機能するわけでございますが、残念ながらデフレの中では機能してこなかったということでございまして、それでこのマクロ経済スライドが予想よりも調整期間が長期化するという先生の今の御指摘でございます。
 この長期化のデメリットでございますけれども、これ、具体的には、ただいま申し上げましたように、基礎年金の所得代替率が予想以上に上昇してしまったと。それによりましてマクロ経済スライドを発動しなければいけない出発点が上昇し、結果、マクロスライドの期間も長期化をするということでございまして、これ、マクロ経済スライドの期間が長期化するということは、それだけ長い期間このマクロ経済スライドが機能いたしますので、その結果、調整終了時の基礎年金の所得代替率というものが平成十六年の財政再計算で想定いたしておりました水準よりも約一割低下する、こういったデメリットが明らかになっておるわけでございます。
#168
○熊野正士君 ありがとうございました。
 このマクロ経済スライドですけれども、平成十六年の改革のときに既に組み込まれていたわけですが、マクロ経済スライドが完全に発動されたのは過去に一度きりだということでありまして、このマクロ経済スライドをデフレ下においても発動できるようにすることで調整期間の長期化に歯止めを掛けるということだと思います。
 でも、地元に戻っていろいろと皆様とお話をしておりますと、結構誤解していらっしゃる方も多くございまして、と申しますのは、皆様、名目下限が完全に外れてしまって、このマクロ経済スライドが毎年毎年フルに発動をして年金給付が減らされるんじゃないかと、こういうふうに心配をされていらっしゃるわけです。実際には物価上昇が小さいときにはマクロ経済スライドというのはフルには発動しないというふうに今回決めているわけですけれども、この辺りの誤解を解く意味も込めまして、国民の皆様に分かりやすく説明をしていただければと思います。
#169
○政府参考人(鈴木俊彦君) マクロ経済スライドの調整でございますけれども、これ、今先生御指摘ございましたように、まず大前提といたしまして、賃金と物価がプラスのときに発動されるものでございます。したがいまして、こうでないときにマクロ経済スライドだけが発動して年金が下がるということはないということでございます。
 一方で、デフレの下でマクロ経済スライドを発動いたしませんとこれが効果を発揮いたしませんので、この積み残しの部分が出たときに、それを持ち越さずにずっとなしにしてしまいますと、これは将来の年金水準にツケが回りますので、これを持ち越しまして好況のときに宿題として言わば片付けるということでございます。
 あくまでも、先生御指摘ございましたように、マクロ経済スライドそのものによりましては前年度よりも年金水準の名目額が下がるということはないということでございます。
#170
○熊野正士君 今回の法改正では、賃金と物価スライドの適用ルールも変更をされるわけですけれども、この変更について唐突だといった批判もあるわけですけれども、そこで質問をさせていただきたいと思います。
 平成十六年以降、五年に一度の財政検証を行いながら、また社会保障制度改革国民会議でも議論をされてまいりました。そして、平成二十七年一月二十一日に社会保障審議会の年金部会から報告書が提出をされておりまして、その報告書の中で、委員の間で意見の相違が見られたものの、おおむね次のような方向性が共有できたということで、五つのことが示されております。その二番目に、「将来の世代の給付水準の確保への配慮」というふうにございまして、具体的には、その中に「年金水準の調整を極力先送りしないように年金の改定(スライド)ルールを見直すことが求められる。」というふうにございました。年金部会におけるこの年金改定ルールの見直しのその当時の議論について、まず内容を教えていただければと思います。
#171
○政府参考人(鈴木俊彦君) 今先生御紹介いただきましたように、まず世代間の分かち合いでありますマクロ経済スライドの調整がデフレ下の下で発動しなかったということでございますけど、それに加えまして、そもそも基になります年金額の改定が賃金の動きに合わせて改定をされなかったことによりまして、まずマクロ経済スライドが発動してもなかなか効果が得られないということが財政検証で分かってきたわけでございます。
 そういったことを前提といたしまして、平成二十七年一月に議論の整理を出しました年金部会の中では、まず前提といたしまして、このマクロ経済スライドの調整を先送りしないでできるだけ早く発動しなければならないということ、これが共有されたところでございますし、その前提といたしまして、マクロ経済スライドがしっかり機能いたしますために、毎年の賃金、物価の状況を踏まえて年金額を改定いたします方式の中で、現役世代の賃金の動きに合わせて年金額を改定することが大前提であって、これも解決しなければならないと、この二点が確認をされたところでございます。
#172
○熊野正士君 ありがとうございます。
 今の答弁を伺いますと、今回の賃金に合わせた年金改定ルールの見直しというのは必要性はよく理解できるわけですけれども、ただ、大きな問題は今年金暮らしをされている高齢者の方々の不安でありまして、高齢者の方のお声を伺いますと、どんどんどんどん年金給付が減らされるんじゃないか、介護保険料も高いし、医療費も掛かるし、本当に生活が大変だと、そういう切実な声があるわけです。こういった高齢者の方々に対して、やはり丁寧に説明をしていただきまして御理解いただく努力をする必要があるかなというふうに思います。
 そこで、是非とも不安をお持ちの国民の皆様に御理解いただけるように大臣から説明を賜れればと存じます。
#173
○国務大臣(塩崎恭久君) 年金というのは、もう言うまでもないことでございますけれども、将来年金を受給する現在の若い方々、働いていらっしゃる方々ですね、この方々が現在年金を既にもう受給をされている高齢世代へ仕送りを行う助け合いの仕組み、いわゆる硬い言葉で言えば賦課方式と呼ばれているものでありますが、これであるとともに、同時に、保険料、税などの限られた財源を長期にわたって配分をしていくという世代間の分かち合いという仕組みにもなっているということだと思います。
 今回の法案は、この世代間の分かち合いの観点に立って、人口構造の変化に合わせて給付水準を調整する仕組み、すなわちマクロ経済スライドとやや難しい言葉でありますが、によって調整をできるだけ先送りをせずに、また仮に現在の若い人たちの賃金が下がるような経済状況が起きた場合は、現在の年金額も若い人たちの賃金の変化に合わせて改定をすることで、若い方々が、今日賃金が下がるわけでありますけれども、それに加えて、将来受給する自分たちの基礎年金の水準も低下するということが防止をできるようにというものでございます。
 また、特に賃金の低下時に賃金に合わせて年金額を改定する見直しというのは、助け合いの仕組みの観点からは、先日、そのだ議員が本会議で言っていただきましたが、子供さんやお孫さんからの仕送りを受けている高齢者を例に考えると、子供や孫の給料が下がったと、そういう場合に給料が減ったことに応じて仕送りの額も見直して、少し我慢していただけないかとお願いをするものだと、こういう例えをそのだ議員が使っておられました。
 ただし、今回の額改定ルールの見直しは、先ほど来局長からも説明しているとおり、マクロ経済スライドは賃金、物価がプラスのときのみに発動する、そして前年度よりも年金の名目額を下げることはないという配慮措置も維持をする、そして賃金が下がったときに賃金に合わせて年金額を改正する見直しについては、これは不測の経済状態に対応するということでありますから、低所得、低年金の方に最大年六万円の福祉的給付というのをこれは平成三十一年の十月までにスタートをさせるわけでありますから、その上で導入をするという配慮も行うということでございます。
 こういうことで、こうした見直しの趣旨あるいは低所得の方への配慮などについて、あらゆる機会を通じて丁寧に説明をして国民の御理解を広くいただけるように努めてまいりたいと思います。
#174
○熊野正士君 ありがとうございました。
 賃金に合わせた年金額の改定というのはこれ平成三十三年からということでございまして、少し先の話ではありますけれども、賃金の低下がもし続けば今の高齢者の年金が目減りをしてしまうということだと思います。
 先ほど大臣の方からもお話がございました、平成三十一年十月までに低年金の方を対象に年最大六万円の福祉的給付を開始するとされております。この福祉的給付につきまして、その対象であるとか給付内容などについて詳しい答弁をお願いしたいと思います。
#175
○政府参考人(鈴木俊彦君) 年金生活者支援給付金でございますけれども、これは、社会保障・税一体改革におきます社会保障の充実の一環として実施するということでございまして、この法律の目的規定にもありますように、基礎年金の受給者で所得の額が一定の基準を下回る方に対しまして、生活を支援するために支給するというものでございます。
 具体的に申しますと、まず支給基準となる所得の額でございますけれども、老齢基礎年金の満額相当額、年にいたしますと七十八万円程度を想定いたしておりますので、例えば基礎年金のみを受給されてそれ以外に所得がないというような高齢者の方の場合、この給付金の対象になるというふうに考えてございます。それから、老齢基礎年金の満額相当を超えまして、しかしながら一定の所得以下の年金受給者の方、この方々にも逆転防止という観点から補足的な給付金が支給されることになっております。またさらに、障害基礎年金や遺族基礎年金の受給者の方々で所得が一定基準以下のような方々、この方々についてもこの給付金が支給をされることになっております。
 そういうことで、この給付金が三十一年十月までに実施されることになりましたらば、年金と相まって今まで以上に高齢者の方々の生活を支えていくことになるだろうというふうに考えてございます。
#176
○熊野正士君 ありがとうございます。
 続いて、今働いている現役世代の方に関しての質問をいたします。
 四十年間国民年金をきちんと納付しても、もらえる給付額は月六万五千円でありまして、これだけでは実際の生活は大変であります。先日の質疑でも、高齢単身無職世帯の基礎的消費支出が七万一千九百十三円なので、満額の六万五千円給付されても約七千円程度不足するといったデータも示されておりました。
 こうした状況を踏まえ、今の現役世代の方に対して厚生年金への加入を促進する取組が行われているわけですけれども、実際には厚生年金への加入資格があるのに国民年金に加入している人が約二百万人いらっしゃるという調査がありまして、これは大きな課題であるというふうに思います。
 本来厚生年金に加入資格があるのに加入できない方が二百万人もいらっしゃると、こういった方々に対する具体的な取組についてお尋ねしたいと思います。
#177
○政府参考人(伊原和人君) 今先生から御指摘いただきましたように、厚生年金に加入可能性があるにもかかわらずまだ入っておられないという方がいらっしゃいます。そうした対策に関しましては、特に事業所自体が適用されていないということをまず押さえていくということが必要でございまして、平成二十六年十二月に国税庁から法人情報をいただきましてどのぐらいあるかということを見込んだところ、平成二十七年九月末の時点では約七十九万事業所ございました。その後、日本年金機構におきまして個別に加入指導に取り組んだ結果、本年八月末時点で四十九万事業所まで減少しております。しかしながら、新たに国税庁から情報提供をいただいておるんですけれども、この間に新たに約七万の事業所が増えておりまして、結果的には今年八月末で約五十六万事業所となっております。
 このように取組を進めておりますが、新しい事業所も出てきておるものですから、現在、適用可能性のある事業所に対しまして調査票をお送りし、実態調査を進めております。この調査結果も踏まえまして、今年度内には具体的な対策を取りまとめ、関係団体、関係省庁とも連携しながら更に対応を進めてまいりたいと、このように思っております。
#178
○熊野正士君 また一方で、政府としては、国民年金加入者に対しては国民年金基金であるとかあるいは確定拠出型年金といったいわゆる二階部分への加入も促進するというふうな答弁もございました。しかし、今日、今お配りをさせていただいている資料にありますように、国民年金加入者、一号被保険者ですけれども、低所得者が非常に多くて、毎月の保険料約一万六千円を払うのがやっとという方も少なくないというふうに考えられます。
 こうした現実を認識した上で、この二階建て部分の加入をどうやって促進していくのか、もう少し具体的な取組をお教え願えればと思います。
#179
○政府参考人(鈴木俊彦君) 先生御指摘のように、今後、公的年金を主たる柱としながら私的年金を通じて全体として年金水準の確保を図っていくということもまた大事だと思っております。その中で、国民年金の第一号被保険者の方々には、今御紹介ございましたように、国民年金基金あるいは今般改正をいたしました個人型の確定拠出年金がございます。これらにつきましては非常に手厚い税制優遇の仕組みがあります。それから、これらにつきまして、加入者御自身の収入に合わせて経済情勢を踏まえて加入していただくことが可能な仕組みになっております。
 具体的には、個人型の確定拠出の場合ですと、月五千円一口から始める、千円単位で増やしていけるというようなことでもございます。こういった税制優遇でございますとか、経済状況を踏まえて加入できるというようなメリット、これはできるだけ分かりやすく加入者の方々にお知らせをするということが大事でございますので、先日来出ておりました個人型拠出のiDeCoという愛称でございますとか、あるいはこういうものを活用いたしました様々な広報、こういうものに引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
#180
○熊野正士君 ありがとうございました。
 じゃ、最後に、低年金者に対する対策について質問をしたいと思います。
 先ほどの資料にもありますように、国民年金加入者の所得が低くて将来低年金になる可能性が高いことが予想されるわけですけれども、低所得の方には年金保険料の納付免除という制度もあって、これ自体は必要な制度だと思いますが、納付が免除された分、将来の給付は減額となります。こうした将来の低年金の方々も見据えた上で、今後低年金対策をどう講じていくのかと、こういうところ大事かなというふうに思います。
 おとついの公明党の谷合議員への答弁の中で、生活困窮者自立支援制度において、年金のみならず社会保障制度全体で総合的に対策を講じていきたいというふうに答弁がございました。この将来の世代も含めた低年金対策について、より具体的な対策について是非説明をいただければというふうに思います。
#181
○大臣政務官(馬場成志君) 御指摘いただきましたように、近年は非正規労働者なども増加ということで、勤労形態の多様化を背景に、国民年金の第一号被保険者のうち被用者の方の割合が増加しております。平成二十六年の調査では約四割が被用者となっておりますので、こうした実態を踏まえ、若い世代が将来しっかりと高齢期の所得の確保ができるようにする施策を進めていくことが重要と認識しております。
 年金は長く納めればその分だけ受給額も増える仕組みでありまして、特に厚生年金の場合は七十歳まで加入が可能であることから、四十歳代や五十歳代、あるいはそれ以上の年代の方々であっても、働く意欲のある方は厚生年金に加入し、将来の年金を増やすことができます。その点で、被用者保険の適用拡大が非常に重要と考えておりまして、この十月から大企業で働く約二十五万人の短時間労働者を対象に適用拡大が始まり、さらに今回の法案は、中小企業等で働く約五十万人の短時間労働者にも適用拡大の道を開くものであります。加えて、更なる適用拡大についてこの十月の施行から三年以内に検討することが法律で定められているところであります。
 また、現役時代の所得を確保するとともに、厚生年金への加入を通じて高齢期の所得を底上げする観点からも、非正規労働者の待遇改善、女性の就労促進、意欲のある高齢者の就労機会の確保など、働き方改革を強力に進めていくことが重要と考えております。
 さらに、公的年金と併せて老後の所得確保を充実させていくためには、先ほどもお話がありましたが、本年の法改正によりまして、基本的に六十歳未満の公的年金の被保険者全ての方が加入できるようになった個人型確定拠出年金、iDeCoへの加入促進も図ってまいります。
 このように各般の施策を最大限活用して、若い世代についても高齢期の所得保障を厚くしていきたいというふうに存じます。
#182
○熊野正士君 ありがとうございました。
 じゃ、これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
#183
○山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。
 ちょっと順番を変えさせていただいて、今、熊野さんが最後に申し上げた低年金の高齢者の生活を支える総合的な対策という点から入らせていただきたいと思いますが、ちょっと今の答弁は求めていたことと違うんですね。総合的な対策をこれからやっていくという話だと思うんですけど、私は、その中で、具体化するに当たって、是非とも生活困窮者自立支援制度というものを更に拡充をしていただきたいと思っています。
 といいますのも、年金だけではやっていけない、ただ生活保護はもらいたくない、仕事をしたくてハローワークに行ってもなかなか仕事が見付からないと、こうしたこれまで就労支援ではなかなか就労に結び付きにくかった高齢者の方々等が、この制度によって、きめ細やかな伴走型の就労支援によって就労だとか増収につながっていっているケースというのが出てきております。ですので、生活困窮者自立支援制度というのを是非とも今後の低年金高齢者等を総合的に支援していく施策の重要な柱としていただきたいんです。
 来年度、今、いろいろ予算、財務省とやり取りしていただいていると思いますけれども、生活困窮者自立支援制度の関連を四百二十九億円計上しております。副大臣にお伺いしたいと思いますが、大臣でも結構なんですが、是非、これだけ言っているわけですから、要求どおりの予算、確実に確保していただきたいと思っておりますが、よろしくお願いしたいと思います。
#184
○国務大臣(塩崎恭久君) この生活困窮者自立支援制度というのは、今おっしゃったように、生活保護に行く手前で自立ができるようにということで様々なサポートを組み合わせて行っていこうと、こういう制度で、去年の四月からスタートしたわけであります。相談支援とか就労支援とか、こういったことを包括的に支援を行うということで、これからまだまだ発展をしなければいけない制度だというふうに思いますし、また、むしろ低所得の高齢者がこれから増えるということになれば、ますますもって大事な制度だというふうに思っております。
 生活に足りない分の収入を得るため短時間でも働きたいというようなニーズに対応した就労支援、それから現役時代と異なる収入水準でやりくりをするための家計支援、希望に応じてより安価な家賃の住宅を探す支援ということで、きめ細かな支援をやっていくことが大事であって、平成二十九年度の概算要求、今予算の話がございましたが、居住支援を強化するために連帯保証人や緊急連絡先の確保、物件探し等の支援を強化するための予算を強く要求をしております。
 こうしたことを含めて、必要な予算が確保できるように我々としてもしっかりと努力をしてこの年末の予算編成に臨みたいと思いますし、この制度自体は三年後の見直しの規定も法律上ございますので、これも既に検討会を始めているところでありますので、来年に向けて、そしてまた今後のこの制度のより良い機能に向けて頑張らなきゃいけないというふうに思います。
#185
○山本香苗君 我が党におきましても一緒に見直しのPTもつくらせていただいておりますのでしっかり頑張りたいと思いますが。
 低所得の高齢者世帯の住居費というのは占める割合が高いわけであります。先日、ちょうど一か月前なんですが、大臣から、厚生労働省と国交省の協議の場を早急に設置して居住支援の在り方について検討を進めたいと答弁いただいたんですが、まだできていないんです。可及的速やかに協議の場を立ち上げていただいて、具体的な方策まとめていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#186
○副大臣(橋本岳君) 御指摘をいただきましたように、低所得の高齢者を含む生活困窮者等の居住の確保というものは、家賃負担の問題、連帯保証人、緊急連絡先の確保等の様々な課題がございまして、公営住宅のみならず民間賃貸住宅にも円滑に入居できるよう支援していくことは大変重要であると考えております。
 先ほど太田委員に答弁をしたときに、社会保障と労働政策を一緒にやるということが大事だという話で、そのときに僕は福祉というのも言わなきゃいけないなとちょっと後で思い直して、まさにそういう観点での御質問だというふうに理解をしたところでございますが。
 御指摘いただきましたように、一か月前に国土交通省との連携を強化をしていくということについて御指摘をいただきまして、国土交通省と関係局長等による協議の場をつくるということになっておりますが、第一回を十二月二十二日に開催をする予定ということで、ただいま予定をし、調整をしているところでございまして、この協議の場において実効性の高い居住支援策について検討を進めてまいりたいと考えております。
#187
○山本香苗君 ありがとうございます。
 次に、日本年金機構の国庫納付規定の整備についてお伺いしたいと思います。
 水島理事長、大変御無沙汰しております。
 平成二十六年度、会計検査院は、日本年金機構が保有している固定資産の状況について検査を実施されました。その検査結果の概要並びに検査結果に対する意見、御紹介ください。
#188
○説明員(岡村肇君) お答え申し上げます。
 日本年金機構は、平成二十二年一月の設立の際、年金特別会計で保有していた土地、建物等の固定資産を国から承継しております。
 検査したところ、承継した資産のうち長期間入居者のいない宿舎等や処分方針等が決まらない事務所等を保有し続けている事態や、土地の一部を売却して得た資金が機構内部に留保されたままとなっている事態が見受けられました。
 このような事態が生じているのは、機構において土地及び建物について廃止や売却等を想定しておらず、財産の維持を目的とした管理をしていることから処分することの検討が十分でないこと、厚生労働省において機構の保有する土地及び建物が不要となる場合に国庫に納付させることができるような制度の整備を検討していないことなどによると認められました。
 したがいまして、会計検査院といたしましては、機構において保有する合理的理由が認められないと判断した土地及び建物については、既に売却して機構内部に留保されている資金と合わせて確実に国庫への納付を行えるよう備えることとしたり、個々の土地及び建物について保有の必要性を見直すよう資産管理責任者に周知徹底を図ったりするとともに、厚生労働省において、機構が土地及び建物の保有の必要性を見直した結果、保有する合理的理由が認められない資産については、これを国庫に納付させるよう適切な制度を整備するよう、日本年金機構理事長及び厚生労働大臣に対して意見を表示したものでございます。
#189
○山本香苗君 今御紹介いただきましたとおり、国庫納付する規定がないから土地や建物を売却して得た資金が機構内部に内部留保されたままになっているということなんですが、その総額は幾らぐらいなんでしょうか。今回の法律が成立した後どの程度国庫納付できると見込んでいらっしゃるんでしょうか。水島理事長、お願いします。
#190
○参考人(水島藤一郎君) お答えをいたします。
 当機構は、平成二十二年設立以降、これまでの間に、公共事業を理由といたしました土地収用法に基づきまして三件の資産を売却をいたしました。合計が一億一千六百万円の資金を得ているところでございます。
 現在、御指摘のとおり、この資金は機構内に留保いたしておりますが、御審議の結果、改正案が成立をいたしますれば、直ちに国庫納付できるものと考えております。
#191
○山本香苗君 もう一問聞きます。
 会計検査院の今の御指摘を受けて、平成二十八年七月に機構では全資産管理責任者に対して指示文書を出しておられます。そこで、機構が保有する個々の土地及び建物について保有の必要性を継続的に見直すよう周知徹底したということなんですが、誰がどのようにこの処分の必要性を判断するんですか。
#192
○参考人(水島藤一郎君) 御指摘の指示文書でございますが、昨年の十月、会計検査院から、個々の土地及び建物につきまして保有の必要性を見直すよう、資産管理責任者でございます年金事務所長等に周知徹底を図るべきという御指摘をいただきました。この御指摘を踏まえまして、本年七月に全国の事務所に発出したものでございます。
 現在、この指示書によります拠点からの土地、建物の保有の必要性につきましての相談等はございませんが、今後はこのような重要財産の見直しにつきましては本部主体で行っていくべきというふうに考えております。とりわけ宿舎あるいは事務所などこうした重要財産につきましては、本部がイニシアチブを取りまして、厚生労働省と協議しつつ検討を判断してまいりたいと考えております。
 まずは、会計検査院から指摘されました八宿舎、四事務所につきましては、先ほど申し上げましたとおり、国庫納付するための必要な事務作業を完了させているところでございます。
 加えまして、それ以外の百九十九の宿舎でございますが、これにつきましても、外部有識者の意見を伺いながら、家賃補助や民間住宅の借り上げ等とのコスト比較を通じまして、経済的に見て合理的な方策は何かという観点を踏まえましてその存続の要否を判断をいたしまして、来年の夏をめどに具体的な方針を取りまとめる予定でございます。
#193
○山本香苗君 日本年金機構の固定資産等管理細則というのがあったわけですよね。ここでは処分の検討をしなければならないこととされていたにもかかわらず、検討すらしていなかった。その上、適切に管理すると規定されていたけれども、どう判断するのかが極めて曖昧だった。今の御答弁聞いても、いろいろおっしゃいましたけど、結局どう判断するか分からなかったわけです。私はここが一番問題なんだと思います。
 今回の機構法の改正案において、五条で日本年金機構に不要財産を処分することを義務付けて、四十四条で不要財産については遅滞なく厚生労働大臣の認可を受けて国庫納付するという規定が整備されております。
 そこでお伺いしますが、ここに言う不要財産とは何か、不要かどうかの判断は誰がどういう基準に基づいて行うのか、お示しいただきたいと思います。
#194
○政府参考人(伊原和人君) 御指摘いただきました不要財産とは、基本的な考え方といたしましては、保有する合理的な理由が認められない土地、建物、これを指すと考えております。具体的には、もう既に先ほど水島理事長から御答弁がありましたように、会計検査院から御指摘いただいた八宿舎、四事務所などがこれに相当すると考えております。
 さらに、もう少し具体的に申し上げて、こうした判断をする場合に、例えば宿舎、事務所、倉庫といった用途によってそれぞれ判断基準が違ってまいりますが、それをやはりそれぞれごとにきちっと判断していく必要があると思います。その際、今、水島理事長が年金機構としても判断するとおっしゃっておられましたけれども、厚生労働省といたしましても、機構の判断だけに委ねるわけではなく、厚生労働省の年金事業管理部会においてしっかりとその辺についてウオッチし審議していきたいと、このように考えております。
#195
○山本香苗君 事業管理部会で基準を定めるということですか。
#196
○政府参考人(伊原和人君) 先ほど申し上げましたように、原則としては保有する合理的な理由が認められない土地、建物が不要財産に当たると思いますが、これを具体化していく段階になりますと、宿舎、事務所、倉庫といった物件ごとにやはり細かく考えていかなければならないと思います。例えば、宿舎に関しますと、先ほど理事長がお話しになられましたように、他の代替策、家賃補助とかそれからあるいは民間住宅の借り上げと比べてどうかとか、そういうことまで判断していいかどうかということになると思いますので、やはりそれぞれの物件の用途ごとに考えていくことではないかと思っております。
 そういう意味で、こういう基準だというものをきちっと決めてから作業するというよりは、やはりあるカテゴリーごとにしっかりと定期的に検証していくという作業の方が合理的ではないかというふうに考えております。
#197
○山本香苗君 いや、判断基準が曖昧だと、要するに、せっかく国庫納付の規定を整備しても同じことを繰り返しかねないんじゃないか、だから明確な厳格な基準を定めてほしいということを申し上げているわけなんです。
 今回の会計検査院の指摘においては、厚生労働省において、機構が保有する土地及び建物の必要性を見直すよう指導することについての認識が欠けているということが指摘されています。大変厳しい指摘ではありますが、厳然とした事実であり、深く反省しなければならないと思います。
 監督官庁である厚生労働省としても、機構任せにしないで、機構のこの見直し状況を定期的に監督する体制が絶対必要だと考えますけれども、大臣、今後どう取り組んでいかれるのか、御決意を伺いたいと思います。
#198
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど来出ているこの財産の処分の問題についてはもう御説明を申し上げたとおりでありまして、この法案が成立をすれば必要ではないと。先ほど来、どういう基準でという判断が不要財産についてなされるのかということをおっしゃいましたが、いずれにしても、法律が成立すればいつでも国庫納付できるように、会計検査院の指摘の受けたものについてはもう既に準備ができているわけでありますが、それ以外の問題については、今お話がございましたとおり、こちらから答弁申し上げたとおり、有識者の意見を聞きながら議論をしていただく、そして家賃補助や民間住宅の借り上げなどのコスト比較をしながら、その存続の要否を判断して、来年夏をめどに具体的な方針をまとめる予定で、この指摘をされた宿舎以外の百九十九ある宿舎、これについて考えるということでございますが、今お話がありましたとおり、判断基準がなければどういうふうに処分をするのか分かりづらいじゃないかと、こういうことでございまして、そのとおりだと思います。
 今、年金機構は大改革中でありまして、それは去年、個人情報の流出問題も受けて、今、大きな改革をしているわけでありまして、その中でどういう形でこの組織改革を進めるのか、大きな方針は出ていますけれども、まだ十分出ていないところもあります。そういうことであれば、この方針を明らかにする中で、その中から今度不要なものが何なのかということはおのずと決まってくるはずでありますから、一定のやっぱり考え方というものを整理をして、その考え方を示していくことが大事ではないかというふうに思っております。
 いずれにしても、我々厚生労働省としては、当然、機構任せということはあり得ないわけでありますので、機構は機構で目いっぱい考えていただいて、私どもも、年金事業管理部会の定期的なチェックを受け、なおかつ厚生労働省もこれは自らの監督者としての責を果たすべく、この処理をどう図っていくのか、処分をどうしていくのかということをしっかり考えなければいけないと思いますが、その処分の方針をどうするかということは私どもと機構と年金管理部会としっかり話し合いながら決めていかなきゃいけないというふうに思います。
#199
○山本香苗君 是非、認識を一致させていただいて対応していただきたいと思います。
 最後に聞きたいんですが、最後にというか、一つ大きい点は、障害年金における差引き認定について伺いたいと思います。
 差引き認定というのは、前発の障害、すなわち既にあった障害と同一部位に後発の障害、すなわち新しい障害が加わったときに、現在の障害の状態から前発障害の程度を差し引いて認定する取扱い、方法でございます。
 例えば、両足に障害があった、障害基礎年金二級だった方が、例えば厚生年金加入後に交通事故に遭った、歩けなくなった、両下肢完全麻痺になったと。この場合は一級相当の障害になるんですね。ですけれども、差引き認定の適用によって、障害厚生年金三級以下になって年金が減るという極めて理不尽な事態が起きているんです。
 なぜこうしたことが起きるのか、仕組みを説明ください。
#200
○政府参考人(伊原和人君) お答え申し上げます。
 今先生の方から差引き認定について御説明がありました。まず、なぜこの差引き認定という制度が必要かと申し上げますと、障害年金というのは、障害の発生ごとに障害等級を認定し、受給権が発生するという仕組みですので、やはり例えば、体の同じ部位に最初の障害、後の障害が出たときに、後の障害部分と前の障害を切り分けて、後の障害がどの程度であったかということを判断する必要がございます。
 それは、ちょっと抽象的に申し上げましたが、具体的に必要になります場合は、例えば、保険料未納で前発障害については受給要件を満たさないケースの方がいて、後の障害で新しい障害が出たときに、この方にどの程度の障害で認定するのかというときに、やはり差引き認定という制度がないと適切に対応できないとか、あるいは前後の障害の程度を単純に重ねて評価してしまうと逆に誤った高い障害等級が認定されてしまうというようなことがあるので差引き認定制度が設けられております。
#201
○山本香苗君 差引き認定というのは、これは昭和六十一年の改正によって国民年金制度に導入されたんです。今まで認定件数は何件でしょうか、年間大体どれぐらいあるんでしょうか。
#202
○政府参考人(伊原和人君) 今お尋ねのありました昭和六十一年度から平成二十七年度までの間に差引き認定によって新規に認定された障害基礎年金それから障害厚生年金の件数は合計で三百十七件でございます。年平均で約十一件となっております。
#203
○山本香苗君 この間、差引き認定の導入についていろいろ調べてみました。年金政策史に関する資料等も調べたんですけど、経緯の分かる資料は見当たりませんでした。役所に聞いても分かりませんでした。
 障害の程度が重くなったにもかかわらず、障害認定は逆に軽くなって年金が減る、どう考えてもおかしいと。社会保険審査会の過去の裁決例においても、妥当性が認められない、常識に反するなど、不合理性、不利益性が繰り返し繰り返し指摘されているんです。
 差引き認定は法令上の根拠がありません。単なる運用上の取扱いにすぎません。差引き認定という制度を是非とも廃止も含めて抜本的に見直していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#204
○副大臣(橋本岳君) 今、差引き認定についての御質問をいただいたわけでございますけれども、年管審から答弁を申し上げましたように、体の同一部位に障害が複数回発生してしまった場合は、一般にそれぞれの障害を医学的に切り分けることは困難な場合が多く、だけれども、そうした場合でも障害ごとにそれぞれの等級を認定をしていくという実務上必要があるわけでありまして、そうした場合に、差引き認定というルール又はそれに類いする、どうそこを調整していくのかというルールそのものは必要なんだろうというふうに私たちは思っております。
 ただ一方で、御指摘をいただきましたように、当初、認定をしたんですけれども、社会保険審査会で変更になるような事例とかもあった、あるいは差引き認定を適用すべきでない事例に誤って適用していた事例等もあったということは、それは事実でございます。
 こうしたことも踏まえまして、差引き認定が適切に運用されるように日本年金機構に周知徹底を図るとともに、御指摘をいただきましたように、長期にわたり見直しが行われていないというのはこれはもう全くの事実でございまして、そうした現在の認定基準について専門家の方の御意見なども伺うなどをして、適切にそこは対応していかなければならないと思っております。
#205
○山本香苗君 差引き認定しないと誤った高い等級になる事例があるからという話だったんですけど、昭和六十一年以前というのは現在の障害の状況で判断されていたんですね。私はそれが一番公平だと思うんです。何でそれができないのか、よく分かりません。
 また、同一部位であっても差引き認定を適用しないケースがあるという話なんですが、本当に適切に差引き認定を適用するしないが判断できるのかと。さっき御答弁の中におっしゃいましたけれども、適用すべきでない事例であるにもかかわらず誤って適用してしまって裁判になった事例もありました。障害者の方にとって、適用間違ったじゃ済まないんですよ。わざわざ裁判しないと正しいところにたどり着かないという制度自体、私は本当に不合理だと思います。
 今、最後に見直しをしていただけると御答弁していただきましたので、小手先の見直しではなくて、しっかりと見直していただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 終わります。
#206
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 憲法二十五条は、健康で文化的な最低限度の生活を保障すると書いてあります。年金は健康で文化的な生活を維持するための最低限の必要な社会保障だと思いますが、いかがですか。
#207
○政府参考人(鈴木俊彦君) 今先生の御指摘の趣旨は、恐らく憲法二十五条第一項をお述べになったものだと思います。これは、国民年金法を御確認いただきますと、第一条の方では憲法第二十五条第二項を引用しておりまして、そういう意味でいきますと、先生の御指摘は必ずしもそのとおりではないというふうに思っております。
#208
○福島みずほ君 ただ、趣旨は、憲法に健康で文化的な生活を営む権利とあるのは、これはやはり年金、例えばそれは十分か十分でないかは別にして、生活保護、それから年金、様々な医療制度、介護も含めて、健康で文化的な生活を営む権利を厚生労働省が、政府が保障するということではないんですか。
#209
○政府参考人(鈴木俊彦君) ちょっと補足させていただきます。
 趣旨においてそういう憲法二十五条第一項を踏まえるということと、制度において憲法二十五条一項をそのまま保障するかどうかというのは、これは別問題でございますので、その辺りを正確に、国民年金法においては二十五条二項、これを体現するための制度であるということを御説明したまででございます。
#210
○福島みずほ君 いや、ちょっと正直びっくりしたんですが、というのは、年金は国民の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するものではないということなんでしょうか。
#211
○国務大臣(塩崎恭久君) 国民年金法の第一条に、これは明確に、「国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」と、こう明確に書いてあるわけでございます。
 福島委員のおっしゃる二十五条の一項、全ての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するというのは、これは生活保護などに通ずる哲学というふうに考えるべきだというふうに思います。
#212
○福島みずほ君 正確に条文が、あるいは年金がそうしているとしても、やはり限りなく健康で文化的な最低限度の生活を国民が営めるように年金も含めて努力することではないか、私は、生活保護だけが健康で文化的な最低限度の生活を保障するものではないと思いますよ。というか、逆に言うと、健康で文化的な生活を保障する権利を生活保護に、まあ変な言い方ですが、矮小化してきたのは問題ではないか、様々な諸政策が国民の健康で文化的な、文化的ですから、最低限度の生活を営む権利を保障するものであるべきだというふうに思っております。
 年金なんですが、四十年間国民年金保険料を払い続けても六万五千円です。そして、今日も出てきておりますが、六万五千円では暮らしていけない。しかも、十年、二十年、三十年の保険料の納付の方ももちろんいらっしゃいます。だとしたら、もっと低いわけですね。
 御存じ、貯蓄がゼロの高齢者も極めて多いです。しかも、もしかしたら、百二十歳、三十歳まで生きるかもしれないから、ぱっとお金を使うわけにはいかないわけですよね。だとすると、年金がある程度の生活をやはり保障していく、そういうものである必要があるんじゃないでしょうか。
#213
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど一緒にお読みをすればよかったと思いますが、憲法の第二十五条の二項は、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と、こういうふうに書いてあって、それを引く形で国民年金制度の目的として第一条に、国民年金法に先ほど読み上げた条文が書いてあるわけでございます。
 もちろん、憲法がこの第二十五条の一項を保障していることは、それは当然、これ憲法でありますから、憲法としてのこれは規定でございますのでそれはそうですけれども、この国民年金制度、今、国民年金が十分ではないというお話をいただきましたが、この法律自体はこのようになっているということを改めて申し添えておきたいと思います。
#214
○福島みずほ君 国民生活の向上のために資するというのですが、年金を賃金に合わせてカットすることが国民の生活の向上に資するでしょうか。
#215
○副大臣(橋本岳君) これは、るるこれまでも議論であったと思いますけれども、確かにおっしゃるとおり、今回の賃金が下がったときにそれに合わせて年金の額を下げさせていただくというのは、生活の向上に資するかといえば、その時点でむしろ資さないものだということは認めなければなりません。
 ただ、年金制度というものを取り出して考えたときに、それは現在受給される方々の給付水準と将来受給される方の給付水準とどうバランスを取っていくかということを考えなければならないということであって、将来受給をされるはずの方の給付水準を確保するという意味では、そこをきちんと確保するものなのだと申し上げることはできるのではないかと思います。
#216
○福島みずほ君 後段の説明と前段の説明とあったわけですが、やはり年金が賃金に合わせて下がることが国民の生活の向上に資するわけではないという、そのことはとても大事なことだと思います。就業規則だって、不利益変更をするには合理性が必要だとか、勝手に労働契約の中身を変えてはいけないとあります。契約は守らなければならない。だとすれば、途中で賃金の変動によって年金が下がるのであれば、それはやっぱりおちおち安心して暮らしてはいけないというふうに思います。いかがでしょうか。
#217
○政府参考人(鈴木俊彦君) 今回の改正の趣旨でございますけれども、年金が賃金に合わせて下がることがあると、そのことだけをもって国民の生活の向上に資するかどうかというふうに判断することは必ずしも当たっていないんだろうと思います。
 すなわち、今回の改正の趣旨は、全体が限られた財源の中で世代間にきちんと適正な分かち合いをして、それによって年金を支えていただく現役世代が安心して、自分の年金水準も確保されるから年金を支えていこう、そういうことになりますと、支えていただくことによって現在の年金受給者もまたしっかり成り立つわけでございますので、これはむしろ現在の年金受給者の福祉の向上に資しているわけでございます。
 そういった総合的な観点で今回の改正をお捉えいただく必要があるだろうというふうに思っております。
#218
○福島みずほ君 現役世代も、将来自分の年金が、賃金が下がればもらう量が減るということであれば、現役世代だって安心することはできないと思います。この間の質問でも申し上げましたが、保険料は上げない、そして二分の一税金入れることを絶対に変えないというこの二つのファクターを変えないために、やっぱりどこかしわ寄せを今やらざるを得ない、だから国民生活の向上に資さないという、そういうことだというふうに思います。
 国民年金の場合、一号被保険者は自営業を前提としております。自営業の場合は賃金ではありません。また、保険料は賃金に合わせて変わるわけではありません。まさに賃金と関係なく保険料を納めているわけですが、何で国民年金の一号被保険者、賃金と関係ない制度設計なのに賃金が下がると年金が減るんですか。
#219
○政府参考人(鈴木俊彦君) これは現在の基礎年金制度というのは、先生も御案内だと思いますけれども、国民年金の第一号被保険者だけの制度ではございませんで、全国民共通の基礎的な給付でございます。その中では、基礎年金拠出金という仕組みを通じまして被用者年金から支えていただいている部分も当然あるわけでございます。
 そういった全国民共通で、全国民が全国民を支えるような形での給付でございますので、それを支える一番の大本であります、大宗を占めます現役世代の賃金の動向に合わせていくというのはある意味自然なことであろうというふうに思っております。
#220
○福島みずほ君 納得がいきません。
 次、GPIFのことについてお聞きをいたします。
 GPIFの年金積立金運用が不安視される中、GPIFの意思決定に保険料拠出者の意思が適切に反映されることが重要と考えられますが、法案中の経営委員会に労使が占める割合は現在の運用委員会に占める割合を下回っております。
 労使から各複数人とすべきではないでしょうか。
#221
○国務大臣(塩崎恭久君) これ、先ほど来御答弁申し上げてまいったことでございますが、重ねての御質問でございますから重ねてお答えを申し上げると、GPIFは、専らこの被保険者の利益のために積立金運用に当たっております。今回新たにつくる経営委員会、この経営委員も、全員が被保険者の利益のために行動することが当然求められているわけでございます。これを前提として、今回の改正案では、社会保障審議会年金部会の議論を踏まえて、経営委員に被保険者や事業主の拠出者団体の推薦者を入れることを法律上明記をしております。
 この人数につきましては、審議会でも様々な議論があって、委員長、理事長を含めて委員全員で十名以内という経営委員会の規模、そして、経済や金融、資産運用、経営管理などの専門家を最小限の人数で適切に任命をする必要があるということ、現在の運用委員会について今お触れをいただいて、運用委員会よりも少ないというお言葉をいただきましたが、運用委員会もたしか二名でございます。今の運用委員会も、被保険者そして事業主のそれぞれ一名と代表で出ていただいているわけでございまして、最終的にそれぞれ一名としたものでございます。
 経営委員については、私は、市場や運用の環境が大変難しく高度化している中で、重要な方針を適切に決定をして執行部をきちっと管理をする、そのためには監督をする能力を持っていなければいけないわけで、経済、金融、資産運用、経営管理など、GPIFの業務に関連する分野について十分な知識、経験を有する方にお願いをするということで選んでいるところでございます。
 拠出者である被保険者や事業主、事業者の意見の反映に関しては、このように経営委員に労使代表を各一名入れることを法律上明記をしたことに加えて、経営委員の任命基準を議論いただく社会保障審議会の委員に労使の代表者にも加わっていただくことなどにより、適切に配慮をしてまいりたいと思っております。
 なお、先ほどお話が出ました社会保障審議会年金部会の委員は四名、二名ずつそれぞれいるという御指摘がございましたが、母数は全員が二十名でありますので、ちょうど同じ割合だということも申し添えておいた方がいいかなというふうに思いました。
#222
○福島みずほ君 是非、当事者に近い立場や拠出する人たちをもっと入れてほしいというふうに思います。
 デリバティブ取引についてはこの委員会でも質問がありましたが、デリバティブ取引は投機的な利用が可能であり、国民に不安を与えるおそれがあると考えられます。国民の理解は進んでいるんでしょうか。GPIFが利用可能な運用方法は、これまで原則としてGPIF法第二十一条に限定列挙されておりました。今後、デリバティブ取引については政令で追加可能となります。
 GPIFの年金積立金運用に政治的な介入が発生するリスクを高めるのではないでしょうか。カジノ法案、カジノ解禁で、ばくちをやるなと、ばくちを解禁するなと言っているわけですが、デリバティブはまさにばくちで、年金積立金でこういうふうにリスクの大きいことをやるなと思いますが、いかがでしょうか。
#223
○政府参考人(鈴木俊彦君) ただいま御指摘いただきましたデリバティブ取引でございますけれども、今回の改正案では、このデリバティブ取引につきまして、積立金の運用をより安全かつ効率的に行うという観点から、現在でも一定のデリバティブ取引が認められているわけでございますけれども、それに加えて、リスク管理のために、ほかの金融機関で一般的に活用されているデリバティブ取引を追加して認める、そういったことで、社会保障審議会年金部会でもしっかり議論していただいた上で今回の改正案に追加しているわけでございます。
 そこで、具体的にどういうようなリスク管理のためのデリバティブ取引かといいますと、現在想定しておりますのは、年金部会でも具体的に御議論をいただきましたけれども、例えば為替先物取引ということで、現在、地政学的なリスクの高まりなどによりまして一部の通貨の変動が極めて大きいという状況にございますので、こうした為替変動のリスクを抑制するためにこの為替先物取引を使えるようにする、リスク管理の一環でございます。あるいは、株式の保有割合をリバランスで下げるような必要が生じる、こういった状況もございますけれども、そのときに、例えば現物の株式を一斉に売却をするということになりますと流動性が低い銘柄を中心に株価が急落してしまう、これはこの委員会でも度々御懸念ありましたけれども、そういったことを防ぐために例えば株価指数先物取引を実施するということで、あくまでリスク管理のための取引でございます。
 こういう観点につきまして、今先生御指摘ございましたGPIF法の中でも、実は法律上、運用による損失の危険の管理を目的として行うものに限るということはしっかりと明記をさせていただいておりますので、その上で、今投機的というようなことをおっしゃいましたけれども、そういった御懸念は当たらないものと思っております。
 また一方で、政令で追加できるではないかという御指摘もいただいたところでございますけれども、基本的には、運用につきまして様々な高度化、多様化がある中でございます。日々様々な運用方法が開発されて普及しているところでございますので、この点についても年金部会で御議論をいただきまして、安全で効率的な運用を行う上で必要な運用方法が適切に利用できるように、審議会の審議を前提に、下位法令への委任を検討すべきだというのが審議会の専門家の方々の御意見でございまして、これも年金積立金、大事な資金を安全かつ効率的に運用していく上での工夫の一環でございますので、そうした恣意的な利用あるいは投機的な利用につながらないように法律上しっかり目的を書いた上で、しかし市場に合わせて機動的にできるようにという工夫で入れた仕組みでございます。
#224
○福島みずほ君 デリバティブ取引はもうかるときもあるけれども極めて損をすることもある。極めて多額の損失を出したという、そういう相談や事例を聞くことがあります。ですから、安定的にとおっしゃるけれども、国民は、じゃ、自分の年金積立金をデリバティブ取引でやっていると聞いて安心というふうに思えるでしょうか。
#225
○政府参考人(鈴木俊彦君) デリバティブ取引は、投機ではなくて、やはりリスク管理の手法でございますが、まさに今先生御指摘のような懸念もあることも事実でございます。
 そこで、今回、法律上、運用に係る損失の危険の管理を目的として行うものに限ると明記したことに加えまして、実際にこのデリバティブ取引を活用するに当たりまして、利用のタイミングですとかあるいは利用額に関する制限をGPIFの業務方法書でしっかりと規定をし、厚生労働大臣が認可をするということに位置付けております。その上で、さらにGPIFの方でリスク量を適切に管理する体制をきちんと整備をさせる。そして、今回経営委員会を新設するわけでございますけれども、経営委員会への報告をきちんと義務付ける、言わば執行部が勝手にやらない。そして、監査委員の仕組みもございます。監査委員がまさに投資決定の場に同席をしたり、あるいはシステムで監視ができますのでシステムを通じてリスク量の変化というものを常時監視する、こういった措置も併せて講じるということにいたしております。
 こういったことを通じまして、決して投機目的のためのデリバティブが行われないようにしっかりしていくということでございまして、こうしたことにつきましても国民の皆さんの懸念を呼ばないように丁寧に御説明してまいりたいというふうに考えております。
#226
○福島みずほ君 今局長はデリバティブ取引が投機的な面があることはお認めになられました。やはりもうかることも大きいが損をする可能性も非常に高いと、やはりそういうばくち的な、得するかもしれないが損幅も大きいという、そういう投機的なことは私は年金積立金に関しては避けるべきであるというふうに思っております。
 GPIFの運用の在り方に関する検討規定がありますが、GPIFが直接株式等を保有することとなれば、株式売買時や議決権行使時に政府の考えや政治的な思惑による介入が行われる懸念はありませんか。
#227
○政府参考人(鈴木俊彦君) 今先生御指摘の点は、例えば株式のインハウス運用ということを念頭にの御質問だと思います。
 この株式のインハウス運用自体でございますけれども、これは御案内のように、社会保障審議会におきますこの法案の検討段階でこれは様々な御意見ございました。当然、株式インハウス運用を解禁すべきだという積極的な立場からの御意見もございましたし、一方で、いや、そうすべきではないというような慎重な立場、双方から御意見ございました。
 そういうことを踏まえまして、最終的には、まさに先ほど御指摘ございました労使を代表する委員の御意見なども含めまして、今回の改正案では株式のインハウス運用までは踏み込まない、こういう意見が大勢でございましたので、今回の改正案にはインハウス運用は盛り込んでいないわけでございます。
 したがいまして、このインハウス運用を前提とされましての御懸念というものは今現実には生じておりませんので、それについてはなかなか直接お答えすることは難しいと思います。
#228
○福島みずほ君 キャリーオーバーについてお聞きをいたします。
 本法案においては、景気後退期における未調整分をキャリーオーバーし、景気回復時に精算する形で減額する内容になっております。景気が良くなったらその分そのときに減額をすると。生活保障のためのセーフティーネット機能をあえて貸しと位置付け、後から払戻しを強要するのは、福祉国家の名にもとる行為ではないでしょうか。
 つまり、後から良くなったから返せじゃないけど減額する、こういうキャリーオーバー制度というのは妥当なんでしょうか。
#229
○政府参考人(鈴木俊彦君) そもそもマクロ経済スライドの発動につきまして、御案内のように、デフレ下でなかなか発動できてこなかった、それがために将来の年金水準の低下につながってしまったということは共有させていただけると思います。
 その中で、今回、そもそもデフレ下でもとにかくフル発動して名目額をマクロ経済スライド自体によって下げるべきではないかというような御議論もあった中で、しかし、マクロ経済スライド自体は人口構造の調整という目的でございまして、経済の変動そのものを年金額に反映させる措置ではございませんので、受給者の方々への配慮ということも含めて、マクロ経済スライドによっては年金の名目額は下げないということを維持したわけでございます。
 ただし、そのままにしておきますと、未調整分が生じたときに、この未調整分というのは必ずどこかにツケが回るわけでございまして、具体的に言いますと、未調整分をそのままにしておきますと将来の年金額の低下、年金水準の低下という形で将来世代がツケを被ることになります。
 したがいまして、これをそのまま放置することはかえって世代間の公平に反するということでございますので、現在の受給者の保護と将来世代の水準の確保と両立させるやり方として、積み残し分については経済が好調になったときに言わば宿題として片付けるという形でキャリーオーバーという仕組みを今回御提案している、こういう趣旨でございます。
#230
○福島みずほ君 このキャリーオーバーの考え方はやはりなかなか納得できないと。私は律儀な性格なのでというのは冗談ですが、普通の人も、自分の年金はこれだけ、つまり、例えば六万五千円、いや、私の年金は五万円、だから、家賃が幾らで、電気、ガス、水道が幾らで、新聞代が幾らで、交際費が幾らで、食費が幾らでと、割と自分の生活を自分のもらう年金の中でどうやって保険料も含めて調整するか、みんなそうやってすごい苦労して生きているというふうに思うんです。
 それが、現役世代の賃金が下がったら下がるとか、キャリーオーバーで今は貸しだけれども、景気良くなったら、じゃ、そのときは年金が下がると。私が言いたいことは予測可能性なんです。賃金が上がるか下がるか、誰も予測ができません。下がったら、何か巻き添えというか、何で自分の年金が下がるのか、やっぱり理解できない。
 普通はみんな、普通の人は、自分の賃金はこれだけ、賃金は置いておいて、自分の年金はこれだけという形で、その中で自分の生活設計をしているわけです。それが下がるということがどれだけ少ない年金で暮らしている人にとってダメージになるかということを理解していただきたい。
 だから、厚生労働省は、こういう形で年金カットするのではなくて、例えばもっと税金入れるように頑張るとか、違う形で頑張ってほしいということを申し上げ、私の質問を終わります。
#231
○薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。
 今日もトリを取らせていただきますけれども、本当に丸一日、長時間にわたりまして、皆様方、大変お疲れのところ申し訳ございませんけれども、もうしばらくだけお付き合いいただきたいと思います。お願いを申し上げます。
 まず、今日は二点、取り上げていきたいことがございます。
 一点目は、先ほど太田委員も取り上げてくださいました一号被保険者の産前産後期間の保険料の免除でございます。
 一号、二号、三号とございまして、一号被保険者だけが残っていたこの大きな課題に今回踏み込んでしっかりと免除になったことというものは、これ女性にとって大変うれしいことだと私は認識しております。実は私も、今までずっと勤務を続けておりまして二号だったのが、バッジを付けた途端一号になったんですね。そうしましたら、いろんなものを負担しなければならないということが初めて分かってまいりました。大変大きな負担だ、その負担を強いながら、ようやくこういったうれしい免除ができたんですが、じゃ、これはどうやって証明していくのかということでございます。
 私も産業医をやっておりまして、いろいろなところで診断書取ってくださいねということをお願いするんですが、診断書ってすごく高いじゃないですか。診断書一つ取るの、すごくこれは大変なことなんです。特に、出産前というものは、いろんな赤ちゃんの準備もしなければならなくて出費が重なるときでございます。ですから、なるべくこれを利用なさる方々が費用の負担なくすんなりと許可をしていただけるように、厚生労働省の方でも工夫をしていただきたいと思っておりますが、大臣、今後どのようなことをお考えなのか、教えていただけますでしょうか。
#232
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、一号被保険者のお話をいただいて、なおかつお産を控えてというお話がございました。この産前産後期間の保険料免除の手続につきましては、市町村に対して出産予定日が分かるものを添えて届出を行っていただくということを想定をしておりまして、これは平成三十一年四月を施行日として予定をしております。
 詳細については今後詰めてまいりますけれども、手続に必要な証明書類としては、やることがたくさんあるという中でございますけれども、これであればということで母子健康手帳の活用などが考えられると思っておりまして、いずれにしても、対象となる妊産婦の方に過度な負担が行かないように配慮をしながら検討してまいりたいというふうに思います。
#233
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 ここ、とても大切なところだと思っております。今、本当に緊急で運ばれていらっしゃる妊婦さん、母子手帳を持っていらっしゃらない方も多いんですね。ですから、そういう方々にもしっかり、こういうものを取るとこれから免除がなされるし、それこそただ券も付いているよということで、もっともっと広報をしていただきまして、なるべく安価な若しくは全く費用負担なくこのような免除が受けられるような制度設計にこれから落とし込んでいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 それから、今日、もう一点取り上げさせていただきたいのが短時間労働者への被用者保険の適用拡大の問題でございます。
 この十月で、五百一人以上の企業を対象としたものが実施がなされてきております。今回は五百人以下という企業にも適用される、それも労使の合意に基づきという条件が付いているかと思いますけれども、そこで私がいろいろ心配していることがございます。以前もございました百三十万円の壁というものがございます。壁が移動してくるんではないかという問題です。
 いわゆる百三十万円の壁というものがこれまであったということで、これが就業調整というものに引っかかってきていたんじゃないかな、百三十万円を超えないようにということで今まで女性は働き方を変えてきたんではないか。厚生労働省としては、これをしっかり認識していただいて、そしてどのような根拠によってこの事実を確認していらっしゃったのか、局長、教えていただけますでしょうか。
#234
○政府参考人(鈴木俊彦君) 今先生御指摘のように、いわゆる百三十万円の壁ということがよく言われているわけでございます。これ、いわゆる被扶養者認定基準であります百三十万円、これをサラリーマンの配偶者の方が超えてしまうと社会保険の適用になりまして負担が発生するということで、これを回避するために就業調整、これは労働者側、企業側、両方あるかと思いますが、これが指摘をされておったわけでございます。
 それで、私ども実態を調べてみますと、実際に週二十時間以上三十時間未満で働いておられる第三号被保険者、この年収分布を見てみますと、実は百三十万のところではなくて百万円前後に山が見られます。したがって、就業調整のポイントは百三十万円ではなくて百万円前後でございます。そうしますと、百三十万円の壁というのは実態的に余りないのかもしれない。
 では、なぜその百万円前後に山があるのかということで、いろいろ聞き取り調査、アンケートその他調べてみますと、非常に多い御回答としましては、企業から支給される配偶者手当の基準が百三万円ぐらいであるということ、それから、これは現在の税制改正の中で変えられようとしておりますけれども、現在の配偶者控除の基準が百三万円であるということで、実は壁、壁というのもなんですけれども、調整の山、ポイントというのはこの辺りにあるのではないかというふうに我々は認識をいたしております。
#235
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 そういう壁というものがちょっとずれて既にいるんだというものを今局長から御答弁いただいたと思うんですけれども、これまでに短時間で働いている方、なぜ短時間勤務をなさっていたのかということを調査したことがあるのか。そして、御回答にもございましたように、やはりこういうものに加入することによって将来に備えることができるじゃないか、だからこそもっと多くの方に今回加入していただきたいというような御答弁もあったかと思いますが、その中の、調査をした結果、短時間勤務で働いていらっしゃる方御自身の老後に備えるというような御回答はどのくらいの割合であったのか、吉田局長、教えてください。
#236
○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
 私どもは、平成二十三年のパートタイム労働者総合実態調査、パートタイムの労働者の方、有効回答で約一万人ぐらいの調査でございますが、これによりますと、パートタイムで働く方、今御指摘ございましたように、パートという働き方を選んだ主な理由というのを伺っておりまして、一番多いのが、自分の都合の良い時間若しくは自分の都合の良い日に働きたいからという方が五五・八%、次いで、勤務時間、日数が短いからということが三五・二%、それから就業調整、これは質問票を見ますと、年収の調整とか労働時間の調整ができるからという回答が一九・三%というふうになってございます。
 その上で、短時間の方々がパートタイムで働く理由として自分の老後に備えるというのはどれぐらいかという点につきましては、今御紹介いたしました二十三年実態調査、これ、パートを選んだ理由について、質問票、回答が選択肢になっておりまして、その選択肢の回答の中に老後に備える趣旨のものはございませんです。そういうこともありまして、私ども、自分の老後に備えるためにパートという働き方を選んだという方の割合については現在把握をしているところではございません。
#237
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 実は、私の周囲にもパートをしている友人がたくさんおります。そういうときに、ちょっと今回のこういう法改正ということを小耳に挟んで、わあ、ちょっとどうしよう、何か自分また負担増になっちゃうんじゃないかなという心配の声も聞こえてきました。
 で、私も調べてみました。皆様方にも資料としてお配りしているんですけれども、まず、働いている理由別のこれを見ていただきますと、何らかの家計の足しにしたい、そして、この三番目は、自分の学費若しくは少し楽しむためのお金を稼ぎたい、四番目が、家計のもちろん主たる稼ぎ手として生活を維持するためという方々でございました。先ほど、この二枚目につきましては、局長から御説明いただいたとおりでございます。やはり、働きやすい時間帯に働きながら、そして家計の足しにするためにパートをしていらっしゃる方々が多いという、こういう実態が浮かび上がってまいります。
 じゃ、実際どのくらい引かれるのかということをこの資料二で私お示しいたしております。これは、健康保険料は東京都の値を取りました。報酬が八万八千円の場合に、天引きされていくものは一万二千円を超えてしまいます。これは、支給総額に占める割合を計算しましたら一四%です。実際に私の周囲の、なぜパートで働いているのかという友人の理由を聞きましても、子供の塾の費用だ、若しくは、子供を私立に入れた、だからその学費をこれで賄っているんだという女性がとても多かったんです。もしこの一万幾らという値段があれば、もう一個塾にも行かせてあげられるんじゃないかというような意見もございました。
 ですから、こういう方々の声というものがいかに今回の労使合意に反映されるのか、私も問い合わせてみましたら、その企業で労使合意が取れて、ここで参加をしなければならないということが決定されたら、私は嫌よといって誰か一人二人そういうふうに手を挙げたとしても、それは自由選択ではなく、みんなが一緒に入らなければならない。ですから、こういう方々の声というのがなかなか反映されづらい状況が今のこの制度の中にはございます。
 実際に、この皆様方、将来に備えるというよりも、目の前の来月のお月謝を払わなければならないために働いていらっしゃる方も多いんです。どうしてこれ自由に選択できなかったのかなというようなこともございますし、今回、五百一人以上の事業所での適用状況というものを十分踏まえた上でも、どういうふうに行動変容を皆様がなさるのかということを、これを結果を見た上でも遅くなかったのではないかなと思うんですが、どうしてこの改定内容というものを急いでこの中に入れられたのか、大臣、お答えいただいてもよろしゅうございますでしょうか。
#238
○国務大臣(塩崎恭久君) この平成二十四年に成立をいたしました年金機能強化法におきまして、大企業だけを被用者保険の適用拡大の対象といたしましたのは、適用拡大による企業経営への影響が事業規模が小さいほど相対的に多いのではないかと、こういうことが主な原因として、そこへの配慮をして雇用への悪影響を招かないと、こんなことを考えたんだと思います。
 しかし、中小企業で働く短時間労働者に被用者保険を加入する道が全くないというのもいかがなものかと、公平ではないんじゃないかということで、放置すべき問題ではないのではないかということで、年金機能強化法の平成三十一年九月末までの検討期間を待たずに、労使合意を前提に企業単位で中小企業にも適用拡大の道を開くこととしたわけでございます。
 いろいろな理由があって、やっぱり中小企業も人材確保したい、あるいはいろんな意味で働き方改革をする中小企業もあって、意欲的であるので、そういうところはしっかり応援できたらというふうに思いますし、それから、企業ヒアリングを厚労省でやってみたところ、この本年十月からの適用拡大に際して、同一の企業グループの中で例えば持ち株会社のように人数が少ないところで働く方々で短時間の方々は被用者保険に加入ができないというのは、その下にぶら下がっている一〇〇%子会社は皆、当然適用されているわけでありますから、問題だということもあって、早期に今回の改正内容を実施してほしいという意見もありました。
 そういうようなことで、今御指摘をいただいたようなことで、施行状況をしっかり把握してそれを踏まえて検討すべきというその考え方もよく分かるわけでありますが、適用拡大の施行状況についてしっかりと実態把握に努めていきながら、さらにどういう適用拡大に向けたやり方があるのか、今後のこととして考えていきたいというふうに思います。
#239
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 大臣、今、中小企業の皆様方とは話をしたんだというお話ございましたけれども、やはりパートで働いていらっしゃる女性の声というものは集めていただけましたのでしょうか。
#240
○政府参考人(鈴木俊彦君) 私ども、この十月から御案内のように五百一人以上の企業の方々にはある意味強制的に適用が始まっておりますので、これに先立ちまして、今先生御指摘の企業ヒアリングに加えまして、労使団体等にも参加をいただき、協議会をやりました。それから、JILPTの方でそういったようなアンケート調査も実施しておりまして、そういった企業ヒアリングの中で、企業の方々がパート労働者の方々にいろいろアンケート、意見照会をしてどうだったかということについての聞き取り、あるいはJILPTの調査研究の中での聞き取りという中で、一定程度このパート労働者の方々の御意見というものも聞き取って、また、これをどうすればいいかというような今後の改善点につなげていきたいということでやっているところでございます。
#241
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 なかなか細かいところまでは意見が酌み取れていないかもしれませんけれども、やっぱりこういった女性の、特に働くお母さんたちの声もあるということは御認識をいただきたいと思っております。
 本当に、この制度改革自体が過渡期なのかもしれません。本当に、自由に自分が働きたい、でも働けない女性もおりますし、子供のために少しでも自分が家計を援助できればと思ってパートに出ていらっしゃるお母様方も多いんです。しかし、やっぱりこういうことを考えて、先ほどから何度も何度も同僚議員も説明があったり若しくは答弁をいただいておりますけれども、しっかりこの壁というものを取り除いたり、そして、こういう就業調整をしなくても女性が自由に職場に出入りできるよというためにも、この働き方改革というものは肝腎要の政策だと私は思っておりますし、もうこれは出てくるのを私も本当に楽しみにしておりますけれども、このためにもしっかり働き方改革に取り組み、そして、そういう小さな女性の声も酌み取れるような、そういう改革にするぞという御決断を大臣からいただけますでしょうか。
#242
○国務大臣(塩崎恭久君) おっしゃるように、今、働き方改革、安倍内閣としてやっておりますが、これは多様な生き方、多様な働き方、これはもうセットの話で、そして、多様な家庭の在り方、これはもう一体でございます。そういう意味で、それぞれのニーズに合った形で暮らしていただける、働いていただける、そういうために何が邪魔になっているのか、何が足りないのか、それを洗いざらい見ていこう。
 かたがた、非正規の立場で働くことを望んでいるけれども、問題は、処遇が非常に恵まれないということが諸外国に比べても言えるということもあって、そういうことも同時に直していかなければならないのではないかと思いますし、そういう中で、この年金の在り方というものも、できる限り多様な方々に、どういう働き方をしても年金が将来少しでも多く得られるようにしていくための制度改正をやっていかなければいけないんじゃないか、そのことによってみんなが暮らしやすい日本であるようにしていかなければいけないというふうに思います。
#243
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 いつもいつも、その非正規の問題、短時間勤務の問題というのは付いて回りますので、下の、もっともっと私どもが考えなければならない、本当に家計を支え、そして子供たちを守るために働いている女性のことも念頭に、これからお願いしたいと思っております。
 それからもう一点、今日は熊野議員も取り上げてくださいましたので、これは少しで終わらせてしまいたいと思っております。
 社会保険料取り漏れの問題でございます。これは、私ももう三年以上取り組んできている問題でございますけれども、やはりここに来まして厚生労働省もようやくやる気を出したというところ、私も先ほどの御答弁いただきましたところ、認識をいたしております。
 伊原審議官、もう短時間で結構でございます。先ほど熊野委員にお答えいただきました以外にも、もし進捗状況としてしっかり取り組んでいるぞということがございましたら、教えていただけますでしょうか。
#244
○政府参考人(伊原和人君) 御質問がございましたので、重複がないようにお話ししたいと思いますが、先生からコメントいただきましたように今一生懸命取り組んでいまして、実績は上がってきております。でも、全体で二百万人いるという推計が出ておりますので、今までの取組で十分だとは思っておりません。それを加速すべく、来年に向けて、来年の年度内には、来年三月までの間には具体的な対策を取りまとめて、よりもっと加速化できるように取り組んでまいりたいと、このように思っております。
#245
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 東委員は取り漏れのことを問題にしていらっしゃいますが、私は、払わなくてもいいお金を払っていらっしゃる国民の皆様方がそれだけいるんだということもしっかり厚生労働省としては認識をしていただきたいと思っております。やはり法人税や法人事業税の納付と同じように、社会保険料も事業主負担というもの、これは社会的責務であって義務ですよね。しかし、それを擦り抜けてしまっている方々がいらっしゃる。そして、じゃ、そのツケはどこに回ってきているんだといったら、従業員の皆様方です。
 ですから、これからしっかりとこのような問題に取り組み、そして、社会保険料を納めるということは、これは当たり前だ、社会的な義務だ、そして、起業する皆様方にとってももうこれは当たり前のように刷り込まれていくように、今後厚生労働省としてもほかの省庁としっかりタッグを組んで取り組んでいただきたいですし、マイナンバーができました。それによって随分見えてくることもあるんじゃないでしょうか。
 大臣、しっかり取り組んでいくぞと、厚生労働省だけではなく、ほかの省庁とも連携していくぞという御覚悟を最後に一言だけいただけますでしょうか。
#246
○国務大臣(塩崎恭久君) 社会保険に加入すべき方が加入できないということは、法令遵守それから負担の公平性の観点からのみならず、御指摘のとおり従業員の生活保障それから働き方改革の観点からもこれは大変大事な問題で、厚生労働行政全体として取り組まなければいけませんし、先ほど来、橋本副大臣からも、厚生と労働と一緒になっているのにばらばらのような印象を受けることが多いという指摘がありました。
 例えば、ハローワークが求人申込みのあった事業所について社会保険の加入義務があるかどうか確認をして、必要に応じてハローワークから年金事務所に直接確認、照会を行ったにもかかわらず明確な判断ができない場合には、年金事務所にその旨を連絡するとともに、年金事務所に出向くよう事業主を指導し、社会保険の加入状況が確認されるまでは職業紹介を保留するということにしているわけでございます。本来、ハローワークで年金事務所の情報も一定程度、公開のものについては特にでありますが、できる限りワンストップで分かるようにするということが大事だというふうに思います。
 それから、年金事務所と都道府県労働局が連携をして、適用事業所に対して、従業員の加入漏れ防止等に関する説明会、これを実施するとともに、加入漏れが疑われる事業所に対して合同で調査を行うという取組も行っております。
 また、社会保険等の未加入事業所対策につきましては、既存事業者への対応だけではなくて、新たに事業をスタートさせる、そういう方々、あるいは入口段階でそういった方々についても対応が重要ではなかろうかというふうに思います。例えば建設業では、国土交通省が建設業の許可を行う際には、社会保険等の加入状況等を確認をして、必要に応じて日本年金機構への通報などの対応が取られていると聞いておりますけれども、他省庁との連携というようなお話がありましたが、それについても更に何ができるのかということをよく考えていきたいというふうに思いますので、関係機関としっかり連携をして、皆さんに社会保険に入っていただいて、老後の生活も保障されるようにしてまいりたいというふうに思います。
#247
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 更に何ができるのかというよりも、もうこれは何年も何年も前からの課題でございますので、もうそろそろしっかりとした回答を私はいただきたいと思っておりますので、それをお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。
#248
○委員長(羽生田俊君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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