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2016/12/09 第192回国会 参議院 参議院会議録情報 第192回国会 厚生労働委員会 第11号
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2016/12/09 第192回国会 参議院

参議院会議録情報 第192回国会 厚生労働委員会 第11号

#1
第192回国会 厚生労働委員会 第11号
平成二十八年十二月九日(金曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十二月八日
    辞任         補欠選任
     谷合 正明君     伊藤 孝江君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         羽生田 俊君
    理 事
                島村  大君
                そのだ修光君
                高階恵美子君
                足立 信也君
                山本 香苗君
    委 員
                石井みどり君
                小川 克巳君
                太田 房江君
                木村 義雄君
                自見はなこ君
                馬場 成志君
                藤井 基之君
               三原じゅん子君
                宮島 喜文君
                石橋 通宏君
                川合 孝典君
                川田 龍平君
                牧山ひろえ君
                伊藤 孝江君
                熊野 正士君
                倉林 明子君
                東   徹君
                福島みずほ君
               薬師寺みちよ君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 成子君
   参考人
       神奈川県立保健
       福祉大学名誉教
       授        山崎 泰彦君
       株式会社日本総
       合研究所調査部
       主席研究員    西沢 和彦君
       大妻女子大学短
       期大学部教授   玉木 伸介君
       全日本年金者組
       合副中央執行委
       員長       茶谷 寛信君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○公的年金制度の持続可能性の向上を図るための
 国民年金法等の一部を改正する法律案(第百九
 十回国会内閣提出、第百九十二回国会衆議院送
 付)
    ─────────────
#2
○委員長(羽生田俊君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、谷合正明君が委員を辞任され、その補欠として伊藤孝江君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(羽生田俊君) 公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、神奈川県立保健福祉大学名誉教授山崎泰彦君、株式会社日本総合研究所調査部主席研究員西沢和彦君、大妻女子大学短期大学部教授玉木伸介君及び全日本年金者組合副中央執行委員長茶谷寛信君でございます。
 この際、参考人の皆様方に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人の皆様からお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人、質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず山崎参考人にお願いいたします。山崎参考人。
#4
○参考人(山崎泰彦君) この度は、国民年金法等の改正につきまして意見陳述をする機会を与えていただき、ありがとうございます。
#5
○委員長(羽生田俊君) 済みません、マイクを少しお口に近づけていただけますか。
#6
○参考人(山崎泰彦君) 最初に経緯について申し上げますと、平成二十四年八月に三党合意による年金機能強化法が制定されました。そして、翌年八月に三党合意によって設立されました社会保障制度改革国民会議が報告書を取りまとめます。そして、その国民会議の報告書を受けて、そこで掲げられました課題をそのまま社会保障制度改革プログラム法に位置付けております。そして、翌年に五年に一度の財政検証結果が取りまとめられまして、そして、併せてオプション試算というものが発表されたわけでございます。こういった流れの中で、社会保障審議会の年金部会の議論の整理が平成二十七年一月に取りまとめられております。
 ここで重要な役割を果たしているのは財政検証でございます。これをどう見るかということでございます。財政検証は経済前提八つ置いておりまして、五つが何とか所得代替率五〇%を確保できる、あと三つが非常に厳しい、確保できないという結果でございますが、いずれにしましても、あえて言いますと、所得代替率五〇%を辛うじて確保できるケースと非常に厳しいケースの二つに集約されると思います。たとえ前者であっても、基礎年金については、その機能が将来的に著しく損なわれるということが明らかになりました。そして、そうしたことからしますと、我々は、将来に向けた非常に厳しい見通しでございますが、そういった危機感を共有し、改革を急がなければならないという一点の結論に集約されるのではないかというふうに見ております。
 今回の改正法案は、五点ありますが、このうち保障機能に係る制度改正三点について申し述べたいと思います。
 この三点は、オプション試算で示唆された方向性に照らすと、物足りない、踏み込み不足というのが実感でございます。ただし、様々な制約がある中で、当面の実現可能性を追求すれば、現状ではこうならざるを得ないということも承知しております。そうすると、持続可能性を高め、かつ給付の十分性を確保するには、スピード感を持った更なる改革が必要だということになると思います。
 さて、まず第一点でございますが、五百人以下の企業も、労使の合意に基づき、企業単位で短時間労働者への適用拡大を可能とするものでございます。
 平成二十四年の年金機能強化法附則では、平成二十八年十月からの五百人以上の企業での適用拡大の施行後三年以内に検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずるという検討規定を置いております。
 今回の法案は、この検討規定を一部前倒しして実施するものとして、一定の評価をいたします。特に、国、地方公共団体、実際には市町村ということになりますが、について職員数に関係なく全面的に適用することについては、適用拡大が進まない中で公務が先導的役割を果たすものとして高く評価いたします。今後、附則の検討規定に従って、五百人以下の企業への本格的な適用拡大に向けて検討を急ぐべきだというふうに考えております。
 第二点は、国民年金第一号被保険者の産前産後期間の保険料免除と、これに伴う保険料の引上げでございます。
 社会保険制度の枠内での次世代育成支援は、雇用労働者に対する支援が先行し、自営業者等については長い間全く手付かずでありました。育児休業、産前産後休業が雇用労働者を対象にした制度であって、自営業者等にあっては、法制的な位置付けがないことや保険料引上げの負担感が非常に強いということもありまして、非常に困難な事情がありました。
 平成二十四年の年金機能強化法附則では、国民年金第一号被保険者に対する産前六週間、産後八週間の保険料免除措置について検討するよう検討規定を置きました。改正法案はこれを受けたものでありまして、次世代育成支援という観点からこの懸案事項にけりを付けるものであります。また、平成十六年改正により設定された保険料上限を更に百円引き上げるという財政規律を維持するものであることも評価いたしたいと思います。
 第三点は、年金額の改定、スライドルールの見直しでございます。
 平成十六年改正は、保険料上限設定とマクロ経済スライドにより年金財政の持続可能性の確保を目指すものでありましたが、年金額の特例加算の解消が遅れたことや、デフレ基調が続いたこともあって、マクロ経済スライドが発動したのはやっと平成二十七年度のことでありました。
 その影響をもろに受けたのが基礎年金であります。現在の高齢世代の所得代替率が一割程度上昇する一方、将来の所得代替率は当初の想定以上に低下いたします。基礎年金の調整期間は、平成十六年当時の想定では約二十年であったものが、平成二十六年の財政検証では、今後約三十年掛かり、所得代替率も約一割下がり、基礎年金としての機能が著しく低下することになります。
 現行制度は、保険料の上限が設定された限られた財源を現在と将来の高齢世代の間で分かち合う仕組みであります。現在の高齢世代の水準調整が遅れた場合、マクロ経済スライドの調整期間を延長し、調整の遅れにより財政が悪化した分は将来の高齢世代の水準をより引き下げることによって取り戻さざるを得ません。
 具体的には、今回の法案では、マクロ経済スライドにつきまして、年金の名目額が前年度を下回らない措置を維持しつつ、賃金、物価上昇の範囲内で前年度までの未調整分を含めて調整するというのが一点でございます。もう一点は、賃金変動が物価変動を下回る場合に、賃金変動に合わせて年金額を改定する考え方を徹底するものでございます。前者は、現在の高齢世代に配慮しつつできるだけ早期に調整する観点から、また、後者は、賃金・物価スライドについて、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とする観点から提案されているものであります。
 専門家の間では、景気後退期で賃金、物価の伸びが小さい場合や賃金、物価の伸びがマイナスの場合にもマクロ経済スライドによる調整を徹底すべきだという声が少なくない中では、国民合意を得る上でのぎりぎりの選択をされたものと思います。
 さて、国民会議報告書は、年金制度の長期的な持続可能性を強固にし、セーフティーネット機能を強化する改革に向けて、四つの課題を掲げていました。マクロ経済スライドの見直し、短時間労働者に対する適用拡大、高齢期の就労と年金受給の在り方の検討、高所得者の年金給付の見直しでございます。
 平成二十六年財政検証に関しては、単に法律で規定しております財政の現況と見通しを示すだけでなく、報告書に提示された年金制度の課題の検討に資するような検証作業、俗にオプション試算を行うべきとしたわけでございます。そして、平成二十五年十二月の社会保障制度改革プログラム法においても、国民会議報告書が掲げた課題を検討事項として列挙いたしました。
 オプション試算三つありますけれども、いずれも所得代替率の改善に効果があることが確認されております。八つの経済前提のうち、労働参加率が高まる高成長ケースのうち、最終的な所得代替率が五〇・六%で最も低くなるケースについて見ましても、被用者年金適用拡大千二百万人のケースでは五七・五%、基礎年金四十五年拠出六十五歳受給のケースでは五七・一%、退職年齢と受給開始年齢六十七歳のケースでは六八・二%、それぞれ単独の改善効果であります。これらを合わせて並行して推進するとすれば、現在の所得代替率程度の水準を維持することは言うまでもなく、上回ることも決して不可能ではありません。
 今回の法案では、こうした将来に向けて引き続き検討するように求めております。その検討に当たって特に考えていただきたい点を幾つか申し上げたいというふうに思います。
 第一点は、厚生年金の適用拡大は急務だということであります。
 本来は厚生年金の適用対象でありながら、適用漏れにより第一号被保険者となっている者が二百万人と推計されます。この二百万人の被扶養者になっている第一号被保険者を含めると、二百万人を相当上回る人が本来は二号グループあるいはその被扶養者として三号グループに移動するはずでございます。また、適用対象外である事業所への適用拡大も課題でございます。これらの事業所で働く被用者は、フルタイムに限定しても約六百万人にもなります。
 次に、短時間労働者の本格的な適用拡大は急務でございますが、実は極めて難易度の高い課題でございます。何度も挑戦してなかなか進んでこなかったわけでございますが、やはり経済界の理解を得ることが決定的な条件になります。もはや政府レベルの取組では限界があると思います。政治のリーダーシップが求められている分野だと思います。
 基礎年金拠出期間の延長による給付増の二分の一は国庫負担増になります。現在六十歳までの四十年間、これを六十五歳までの四十五年間を基礎年金の期間にいたしますと、それがそのまま二分の一が国庫負担増になります。約一兆円と言われております。社会保障の公費負担は消費税で賄うという原則からすれば、消費税率の更なる一〇%を超える引上げとセットで議論する必要がございます。基礎年金の水準低下に対しては、福祉的措置である年金生活者支援給付金による支援の強化も検討課題になるかと思います。
 総じて、低所得者対策に当たっては、年金だけでなく、医療や介護における保険料や利用者負担、年金税制の見直し等も併せて検討する総合的な検討が必要かと思います。
 以上で意見陳述を終えます。
#7
○委員長(羽生田俊君) 山崎参考人、ありがとうございました。
 次に、西沢参考人にお願いいたします。西沢参考人。
#8
○参考人(西沢和彦君) 日本総合研究所の西沢です。本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私は手元資料はありませんので、口頭でお話ししたいと思います。
 大きく三つ申し上げまして、一つはマクロ経済スライドについてです。
 私、こういう研究者の生活を二十年近くやっていますけれども、非常にがっかりしたことが去年の二月にありまして、それは、与党の社会保障特命委員会の年金PTに厚労省から名目下限措置を維持するというペーパーが出たんですよね、マクロ経済スライドに関して。それまでは、厚労省も我々研究者も、名目下限措置を廃止した方がマクロ経済スライドがより早期に終わって将来世代の負担が軽くなる、将来世代のことを思えば、足下の年金受給者の方には苦しいけれども、名目下限措置を外しておいて早くマクロ経済スライドを終わらせようというのが、厚労省の方も恐らく、私たち研究者の多くもかな、と思っていたんですね。ところが、二〇一五年二月の年金PTのペーパーには名目下限措置を維持するというふうに明記してありまして、非常にがっかりした記憶があります。これで年金もつのかなと。
 で、今回の法案のキャリーオーバーという形に至ったわけですけれども、考えてみますと、確かに何にもしないよりいい。ですから、私は十分ではないけれども必要だと思っています。
 次の改革も必要だと思っています。十分ではない。例えば、キャリーオーバーを考えますと、賃金や物価が上がったときにそれまでたまってきたスライド調整率をどんと引こうといったときに、例えば三%、四%物価が上がって、しかもその原因が輸入価格の上昇であったり消費税引上げだったりしたときに、物価が上がって年金据置きですよと、なぜならこれキャリーオーバーですからといったときに、例えば地元の高齢者の方が、キャリーオーバーって何、となりますよね。生活も大きなダメージを受けるわけです。
 とすると、本当は将来世代のためには年金を抑制しなくちゃいけないけれども、じゃ、ちょっとこれ上げておかないとな、選挙も近いし、となって上げてしまうと、今度は年金財政が傷んで将来世代が痛みを伴ってしまうわけであって、それよりも、毎年こつこつと少しずつ嫌でも給付水準を抑制して、名目下限措置を外しておいて給付水準を抑制して早く終わらせた方がいいに決まっているんですよね。でも、それがなぜかキャリーオーバーになってしまっているわけであって、ここは本当はよくよくそれでいいのかといったことを見ておきませんと、本当に将来世代にとって禍根を私、残すと思っています。
 ですから、今回、キャリーオーバーの法案、私は必要だと思います、十分ではないけれども。ですから、十分にするためには、もう財政検証、次、すぐ迫ってきていますので、そこで、キャリーオーバーでよかったのかじゃなくて、名目下限措置を外した方が本当はよかったよねという、名目下限措置を外すという選択肢を次に残すことが必要だと思います。
 今回の法案のルールの変更の二つ目で、賃金と物価を丈比べして、今、既裁定年金は物価でスライドしますけど、賃金はもっと下がっているときがありますので、丈比べして賃金が下がっていればそれに合わせるというのは、私、年金数理上やむを得ないと思うんですね。ですから、これは年金カット法案と呼ぶべきでは、まあ実際カットなんですけれども、年金カット法案と呼んでそこから表面的な理解、誤解を得るべきではないですよね。
 数理上必要、数理上。でも、今申し上げたマクロ経済スライドやこの丈比べの案って、政府からしてみると、あるいは年金財政からしてみますと、年金財政健全化のためにはやむを得ない。確かに支払を減らせば年金財政は楽になりますけれども、支払を減らすということは、その支払額を年金受給者の数で割りますと一人一人の年金は減っていくことになりますよね。これは生活者の立場からしてみると非常に困ることになるわけです。
 ですから、山崎先生がもう理論的に全部理路整然と御説明されていましたけど、十分性とこの財政の持続可能性のせめぎ合いの中で我々悩まないといけないわけであって、年金生活者の生活、これで大丈夫なのかなという検討が、今回この結論は非常に重要だと、受け入れるべきだと思いますけれども、プロセスについては、この賃金と物価の丈比べについて財政検証で検証も行われていませんし、非常にテクニカルでありながら十分な説明をなされていないという、ここに至るプロセスはやはりちょっと問題があったかなと私思います。
 以上申し上げたことと今度相反するようですけれども、やっぱり今回年金を削減すべきだと、スピード感を持って削減すべきだと私申し上げましたが、他方で、年金を一階と二階に分けたときに、一階の方が財政検証では削られ過ぎるんですね、一階の基礎年金が。今、満額で六万四、五千円だと思いますけれども、財政検証では厚生年金のマクロ経済スライド適用はもう二〇二〇年前には終わってしまうと。ところが、基礎年金の方は二〇四〇年、五〇年まで掛かって延々と続いていくわけです。ですから、新規裁定年金の給付水準も下がっていきますし、既裁定の方も、この間、物価スライドが全く保障されないわけですから、購買力がどんどんどんどん低下していくわけです。
 基礎年金には、山崎先生からお話ありましたように、本来被用者でありながら国民年金にしか加入していない、できていなかった人たちも入っているわけですから、ここは非常に深刻な問題であって、マクロ経済スライドが良くないのは、特に基礎年金を傷めてしまうというところだと思います、生活者から見てみますと。ですから、基礎年金の底上げが本来必要であり、今回の財政検証に至る過程の中においても、厚労省の年金部会の中では加入期間を延長してより多くの基礎年金をもらえるようにしようではないかといった案が出ていましたり、いろいろしたんですけれども、それも結局結実せずにここに至ってしまいました。
 ですので、この基礎年金の劣化、低下をどうするかというところを本当はもっと議論しないといけないわけでありますし、また、丈比べの案についていいますと、結局、元々は、丈比べというよりも、二〇〇四年の年金改正でマクロ経済スライドを入れたことによって既裁定の年金の物価スライドが保障されなくなりましたから、年金の金科玉条であった購買力維持がもうそれで残念ながら捨て去られてしまったんですよね。年金って、購買力を維持しますよというのが公的年金のすばらしさだったわけですけれども、やはり少子高齢化が進む中でマクロ経済スライドを適用しなければいけないということで、物価スライドをそこで捨ててしまったわけです。
 やっぱり、当時の二〇〇四年の中の議論では、既裁定については物価スライドを維持してもいいんじゃないのかなと、ここはマクロ経済スライドしては駄目かなというせめぎ合いもあったように聞いています。そういったせめぎ合いが本来ずっと議論されるべきですし、今回丈比べの案が出ましたけれども、丈比べはそれを更にもっと強化するものですから、そういった議論があってしかるべきかなと。
 基礎年金って、御案内のとおり、基礎年金法という法律がありませんで、国民年金法の改正で基礎年金があるかのようになっていますけれども、本当は、基礎年金ってどうあるべき、新規裁定の水準はどうあるべき、既裁定は、購買力は維持されなくていいのかというところを今後課題として残しているのかなと思います。
 これが非常に私、一番申し上げたかったことで、二番目は今回の法案の中の一つのGPIFですね。
 GPIFのガバナンスを強化するということは私は重要だと思います。基本ポートフォリオに関しての私の見解は、多分お手元に私の見方を配っていただいていると思いますけれども、究極のガバナンスというのは、私が一つ思いますのは、運用している人間が、保険料を払っている人がどんな思いで保険料を払っているか、そして、保険料を集める年金機構の人がどんな苦労をして保険料を集めているかというのを肌身で知っていることだと思うんですよね。そういうふうに肌身で知っていますと、いや、ちょっと五兆円損しちゃったなみたいな、長期で見ましょうよという言葉が口から出てこないんじゃないかと思うんですよね。
 翻ってみますと、GPIFって虎ノ門ヒルズのきれいなビルに居を構えているわけです。年金機構は高井戸にあって、もうぺこぺこぺこぺこ頭をみんな下げて、年金受給者の方や被保険者の人から文句言われるわけですよね。ですから、受給者の方や被保険者から文句を言われることが非常に重要で、そういった声が背中にあれば、また運用スタンスも変わってくると思うんですよね。
 ですから、年金を運用している人たちに重要なのは、確かに投資理論も必要なんですけれども、そういう座学でなくて、保険料を払っている人たちがどんな思いで年金機構の職員と免除の手続しているかということや、年金局の方がどんな思いで保険料を集めて納付率を向上しようとしているかという意識であって、私は、だから、独立した組織としてGPIFを虎ノ門ヒルズに置くのではなくて、年金機構の中に例えば置いて、運用担当理事を一人置いて、そこと、徴収担当理事がいて、あるいは、お客様相談センターみたいな窓口がありますから、コールセンターがあって、そこに日々受給者の方、年金被保険者の方からいろんな声が届きますから、その人たちと一体になって、年金受給者、被保険者の声を背中に感じながら運用する、その声を感じながらステートメントを出すということが非常に重要であって、今の体制は、あたかも百四十兆円というお金が天から降ってきたかのように、私は高度な投資理論を備えていますという形で運用していますけど、そうではないと思いますので、そういった形で今後議論を進めていただければいいと思います。
 今回の法案にはその思想の一部が入っていると思います。労使の代表を一名ずつ入れるというふうになっていますが、私、ちょっと足りないと思うんですね。やはり、もっと被保険者、受給者の声を、皆さんも多分地元でも年金受給者の方や被保険者の方から大丈夫なのという声を聞かれると思うんですけれども、それがダイレクトに届くような組織体制で運用する、そこに先端の投資理論があればなお好ましいということかなと私は思います。
 最後に、適用拡大についてですが、これも先生がおっしゃっていたように、私、進めるべきだと思うんですね。ただ、それももっと根本的に、今の年金法といいますのは、今回の法案も例えば五百人未満でも労使の合意があればというふうになっていますけれども、例えば五百人未満の企業、あるいは大企業でも、労働者側にそういう強い交渉力が経営者に対してあるのかなという疑念が私、あります。経営者に駄目だよと言われてしまうと入れないわけですよね。いや、そうではなくて、使用者の義務として、給与を払う以上、あなたを使う、労働力をもらう以上、その給与に応じて、有無を言わさずそれは厚生年金適用すべきであると私は思います。
 そうしますと、今の厚生年金の仕組みですと、例えば私を厚生年金の被保険者とするためには、私の勤務先が私に関して被用者届、被保険者届を出してくれないと私は被保険者になれないわけです。それは、事業主が私を常用的な雇用とみなして初めて被保険者届を出してくれるわけですけれども、そうすると、事業者のさじ加減に非常に懸かってしまっていますし、でも、働き方改革と言われている中で、いろんなところで働いてみたり給与をもらったりしてくる中で、必ずしも常用的な雇用関係を一社と結んでいなくても、複数社と結んでいたり期間限定で働いてみたりというふうに働き方が多様化する中で、今の仕組みではそういった働き方に対応できないと思うんですね。
 ですから、企業があなたを常用雇用関係にありますよとみなして初めて被保険者になれるのではなくて、私が企業に労働力を提供していれば必ず被保険者になれるような仕組みにこれはやっぱり改めていくべきかなと思います。
 そのほか、今回の法案の中での国民年金の保険料免除は私も非常に賛成していますし、日本年金機構が今規律正しく回復期に向かっている中で、遊休不動産があればそれを国庫返納するというのも非常にいいことだと思いますので、そのほか詳しく申し上げませんでしたけれども、法案も私は非常に賛成しております。
 以上です。
#9
○委員長(羽生田俊君) 西沢参考人、ありがとうございました。
 次に、玉木参考人にお願いいたします。玉木参考人。
#10
○参考人(玉木伸介君) 大妻女子大学短期大学部の玉木でございます。本日は、意見を述べる機会をいただき、誠にありがとうございます。
 御審議中の法案につきましては、私としては賛成でございます。本日は大変貴重な時間をいただいておりますので、法案の多岐にわたる内容のうち、短時間労働者への適用拡大と年金額の改定ルールの見直しについて簡単に申し上げた上で、GPIFの組織及び業務運営の在り方に関する私の考えるところを御説明いたしたく存じます。
 まず、適用拡大ですが、公的年金は国民年金、厚生年金のいずれも保険であり、セーフティーネットであるというところから出発をいたしましょう。
 保険というからには、火災保険における火災、自動車保険における交通事故のような保険事故、保険金支払の原因になる出来事があるはずでございます。公的年金保険は何が保険事故かといえば、障害年金における障害や遺族年金における家族の死亡ももちろん重要ですが、最も多くの国民に関わってくるのは長生きです。公的年金保険は、主に長生きリスク、長生きによって貧困に陥ってしまうリスクに対する保険です。
 長生きした人は生活費が多く要ります。自助努力で平均寿命までは生活は大丈夫と言えるだけの貯蓄をしたとしても、二分の一の確率でそれ以上に長生きしますから、二人に一人は貯蓄が不足します。五人に一人、十人に一人の長生きの可能性を考えたら、どんなに自助努力をしても安心は得られません。だからこそ、保険の出番となります。
 こういう保険を誰が最も必要とするでしょうか。二百歳まで生きても生活には絶対に困らない億万長者には必要ありません。このようなごく一握りの人を除き、誰もがリスクに備える必要があるのではないでしょうか。老後、貯蓄を十分に行うだけの余裕の乏しい人、具体的には賃金、収入の少ない人は非正規の短時間労働者において特に多いでしょう。この方々こそ、なるべく幅広く二階部分の給付を受けられる二号被保険者になって、より多くの安心を手にしていただきたいと思います。
 また、企業においては、非正規だから保険料負担をしなくていいというのはおかしな話です。五百人以下の企業において、なるべく多くのところで労使の合意が成立して、より多くの労働者が先ほど申し上げたようなより多くの安心を手にすることが望ましいと考えます。
 続いて、年金額の改定ルールの見直しの件でございます。
 今回の法案には、例えば物価が下がって、それ以上に賃金が下がるときに、賃金を基準に年金額を改定する、つまり下げるという高齢者にも現役世代と同様に我慢していただくという考え方が盛り込まれています。
 今、我が国は少子高齢化もあって、経済成長の基調的な力が落ちています。これを高めるべく様々な取組がなされています。こうした取組が功を奏するならば、近年のような湿っぽい経済から脱却できます。そうすれば、年金財政にも、年金で支えられる高齢者の生活にも良い影響が及びます。これこそ我々が目指すべきものです。
 しかし、非常に長期にわたって運営される年金制度では、自然災害も含め、日本経済に及ぶ様々なショックのリスクに備えておく必要があります。つまり、全天候型のルールを用意しておく必要があるということです。
 私は短大の教員ですから、これから二十歳になって被保険者になる学生と日常的に接しています。彼女らは間もなく勤労し、保険料を払うようになり、かなり遠い将来に高齢者になる将来世代です。今日の午後か来週の授業では、一年生、すなわち十八歳か十九歳の学生に対して、社会保険の仕組みを説明しようと思っているのですが、特に年金につきましては、彼女らが給付を受けるのは半世紀先のことでございますので、説明を丁寧にしなければと思っております。
 先ほど将来世代という言葉を私は使いましたけれども、学生たちに説明するに当たっては、私のような間もなく支給開始年齢に到達する者の視点ばかりでなく、これから勤労して私たちの世代の引退後の生活を支えてくれる学生たち、将来世代に属する若者たちの視点も意識しなければと思います。
 彼女らは二十歳で働き始め、額面十七万円、十八万円の月給から奨学金を返済しつつ、一万円以上の厚生年金保険料を払うことになります。大変な金額です。このお金の持つ意味、公的年金保険制度の意味について、私から、これは世代間の助け合いなんだよ、日本経済がどんどん成長すれば君たちの給料も上がるし高齢者の給付も増える、他方、万が一日本経済が堅調でない場合には、高齢者を含めて全ての世代でひとしく受け止める、そういう仕組みなんだよと言えるのであれば、学生も納得しやすいでしょう。社会全体で、いいことも悪いこともフェアに受け止める仕組みであって初めて、若者たちの公的年金保険制度への信認、それも素朴な信認を確保できるのではないでしょうか。
 全ての世代が豊かに暮らすには、労働生産性の向上や引退年齢の引上げなど、基調的な成長率、すなわち潜在成長率の上昇につながる変革が不可欠です。そのための努力を従来にも増して推し進めねばなりません。この点はあえて繰り返します。
 この努力と並行して、万一に備えて世代間で分かち合う、そういう仕組みがあらかじめ整っている方が若者の公的年金保険制度への信頼が高まり、ひいては高齢者の命綱である公的年金の持続可能性も高まるのではないでしょうか。
 マクロ経済スライドは、賦課方式の制度の持続可能性を高める機能を有しています。この法案の成立によって、キャリーオーバー分の調整を実施し、マクロ経済スライドの機能発揮の場をなるべく広くしていただくとともに、名目賃金が下がって、実質賃金も下がっている局面では賃金変動に合わせて年金額を改定することとして、将来世代の年金水準を確保していただきたいと思います。
 学生たちに接していて私が思いますことは、世の中の仕組みには参加する意思がある人たちが多いということでございます。こういう若者たちに世代間の連帯の輪の中にきちんと納得して入ってもらえるような仕組みを構築することが間もなく支給開始年齢に達する私のような世代の者の責務ではないかと思います。
 次いで、GPIFの組織等の見直しについて意見を述べます。
 第二次安倍内閣になって以降、GPIFについては株式運用のウエートを高めたことに注目が集まりがちですが、組織的な面でも改革が進んでいます。さらに、今回の経営委員会を導入する等の改革が進めば器の整備が一段と進むと思います。
 今の理事長による独任制は、年金福祉事業団からGPIFが生まれた後、特殊法人改革の流れの中で独立行政法人という組織形態を選択したからそうなっているのであって、GPIFの業務の特徴に最も適合しているのが独任制であるからそうなっているということでは必ずしもないだろうと思います。今の運用委員会は諮問機関ですが、経営委員会が合議による決定機関として機能するというのはごく自然な道と言えましょう。
 その上での話ですが、GPIFによる積立金運用が国民の信認を得るには幾つかの留意点がございます。その最たるものは、国民にGPIFの運用が長期的な運用であることをよく御理解いただくこと、そのために、あらゆる機会を捉えて国民に繰り返ししつこいくらいに訴えていくこと、そういうことではないかと思います。
 GPIFが四半期ごとに運用状況を公表すると、メディアは大きく取り上げます。損失が出たときは特にそうです。しかし、数十年後の年金給付原資の確保の観点からは、四半期ベースのリターンの変動はほぼ無意味です。より大事なことは、十年単位あるいはそれ以上の長期の平均的なリターンの確保です。今年度は、第一・四半期がマイナス五・二兆円、第二・四半期がプラス二・四兆円です。第三・四半期は株価上昇と円安で第二・四半期以上のプラスになってもおかしくありません。
 このように大きく振れてはいますが、第一・四半期のGPIFが怠け者であったりスキルが低かったりしたからマイナスになったのではなく、第二・四半期のGPIFが立派であったからプラスになったのでもありません。
 GPIFは、最近、四半期の運用状況の公表資料において、当該四半期の数字のほかに長期の数字、例えば二〇〇一年の市場運用開始以降の累積の収益額、こういったものでございますが、これらを並べて出しております。そうやって国民の理解を求めているわけでございますが、こうしたものは小さなアクションではありますけれども、積み重ねとして大変大事ではないかと思います。
 もう一つ、株式のインハウス運用が一時話題になりました。今GPIFは、株式運用は全て外部の運用機関に委託しています。自分では銘柄選択をしませんし、株式の議決権も行使しません。議決権を行使するのは、投資顧問会社等の運用機関です。こういう現在の仕組みに対し、自分で銘柄を選び、株主にもなるインハウス運用をやるべきではないかという意見もあると思います。そのような意見の源は、GPIF自らが株式の取引をすることによって、市場の情報が格段に多く入ってくる、株式運用に関する自らの力量も向上するという認識です。この認識には共感できます。
 実は、私、かつて日本銀行に勤務しておりまして、その仕事の一環として為替の介入実務をやったことがございます。ふだんの日は介入はしませんので、市場の動向は金融機関から間接的に聞くだけでございます。でも、介入した日には自らのアクションに対する市場のリアクションに直接接することとなりますので、市場の動きをよりビビッドにつかむことができました。そういう経験をGPIFが日常的に積んでいくことで運用者としての力量が上がっていくことは容易に想像できることでございます。
 また、株価の変動でリターンが上下することについては、インハウス運用であろうと今までの外部委託運用であろうと同じです。インハウス運用だからといって問題が広がるわけではありません。
 では、株式のインハウス運用をやったらいいのでしょうか。結論から申し上げると、私は相当慎重に対処すべきと思います。インハウス運用をすると、必ず株式の議決権が付いてきてしまいます。株主として企業統治に直接向き合わねばならないのです。例えば、各企業の取締役の人選に直接関与することになります。こういう大変生々しいことに公的年金積立金が関わることについて国民がどう思うのか、経済に関してこの国の形としてどうなのか、こういう点に関して年金制度あるいは社会保障制度の枠を超えた幅広い議論があってしかるべきであります。
 そこで、浮かび上がってくる非常に大きな問題は、株式の議決権は資本主義社会における最も強力なパワーの源でありますので、そのようなパワーを公的機関に持たせるとすれば、パワーが変な使い方をされないよう厳重に管理しなければならないということです。GPIFは運用益の獲得を目的とする巨大な機関投資家でございます。これが政府機関、公的機関として存在しているということ自体、立ち止まってよく考えるべき事柄なのです。
 政府は、様々な規制等に関する権限を持ち、市場経済においてレフェリーあるいはルールメーカーとして機能する、そういう存在です。しかし、機関投資家であるということは、政府機関であるGPIFがプレーヤーであるということでもあります。政府と企業社会との間に何か根本的な不整合は生じないのでしょうか。
 今の日本の制度は、外部の運用機関に議決権行使の判断を含め委託することで、今申し上げました何やら哲学的な問題を回避しています。これはこれでなかなかうまい方法でございます。
 外国ではどうでしょうか。カナダは、GPIFに相当する組織を徹底的に中央政府から独立させて、あたかも民間主体であるかのようにしてしまうという選択をしています。これは一つのソリューションとして国際的な評価も高いところです。
 我が国の独立行政法人という組織形態は、主務大臣が強い権限を持つものであり、政府から独立させるという思想がそもそもありません。では、独立行政法人ではない、政府から遠く離れたカナダのような仕組みは可能でしょうか。カナダでは、独立性を、実は権限を中央の連邦政府と各州の政府に分散することで確保しています。国のつくりが高度に分権的なカナダならではのやり方でございます。このやり方は日本では難しいと思います。
 この辺りの議論は、日本ではまだまだ生煮えです。今回の法案提出に先立つ社会保障審議会年金部会の議論でも、議論し切っていないポイントがあるという認識が共有されていたのではないでしょうか。この法案の附則には三年後の見直し規定がございます。この見直しに向けた議論は、結論はどうあれ、是非幅広い観点から精力的に行っていただきたいと思います。
 最後に、今後のGPIFに関する私の希望を一つ申し上げます。それは、GPIFには、是非、高度な調査研究を踏まえて公的年金積立金にふさわしい運用を実現してほしいということです。
 GPIFが取り組んでいる長期的な観点からの運用の手法は、常時変化、進化しつつあります。ということは、出来合いの正解はない、常に国際的にも最先端の調査研究を突き詰め、実務に落とし込む試行錯誤を繰り返さねばならないということです。
 GPIFに求められる調査研究とは、決して今年度末の株価や為替相場を当てるためのものではありません。金融をめぐる様々な技術、例えばフィンテックは、細かく見ていけば日々進化しています。リーマン・ショックの直後で、金融機関に対する規制、監督の実際の在り方、あるいはその基本思想は様変わりです。GPIFが追い求めるべき長期的な観点からの安全かつ確実な運用の具体像は変化していきます。各国の年金相当の機関投資家、特に長期的な運用を責務とする機関投資家は同じような課題に直面しています。この問題の克服に向けて膨大な知的エネルギーが注がれています。この流れにGPIFが取り残される姿は見たくありません。
 GPIFが国民の期待に応えるためには十分な人材がGPIFの中に確保されることが必要でありますが、それだけでは不十分です。組織の文化として実務を見据えつつ高度な調査研究を蓄積していく、そういう努力を大事にしてほしいと思います。
 以上、私の意見と希望を申し上げました。
 御清聴、誠にありがとうございました。
#11
○委員長(羽生田俊君) 玉木参考人、ありがとうございました。
 次に、茶谷参考人にお願いいたします。茶谷参考人。
#12
○参考人(茶谷寛信君) 今日はお招きいただきましてありがとうございます。
 私は、全日本年金者組合中央執行委員会副委員長の茶谷寛信と申します。昭和十一年二月生まれですので、小学生時代には予科練に憧れました。中学校時代は、今度はがらりと変わりまして野球の選手に憧れたものであります。そういう世代であります。もう八十歳ですから平均寿命にほぼ達しておりまして、これからどれだけと思っておりますけれども。
 現在、年金者組合が中心になって行っております年金引下げ違憲訴訟の原告の一人としても参加しております。原告になったおかげで政府のかなり詳しい回答もいただけましたし、基礎年金の在り方についても、具体的に六万五千円の内容は何を指しているかということも分かりました。一例を申し上げますと、この中には医療費とか教養娯楽費、交通費は入っておりません。ですから、私は、基礎年金は本当に基礎的な部分を保障するだけで、不十分だというふうに考えております。
 続きまして、全日本年金者組合については、既に前回、加納参考人が申し上げましたけれども、独りぼっちの高齢者をなくす、支え合って生きがいを求めるということと、憲法二十五条に保障された文化的で最低限度の生活ができる社会保障、わけても最低保障年金制度の確立を求めて自主的に活動している団体でございます。
 私たちは、現在出されている公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法の一部改正する法律案に強い懸念を持っています。厚生労働省の説明文書である、三、年金改定ルールの見直し、(1)がキャリーオーバー制度の導入ということですが、(2)、物価変動より賃金動向を優先する制度について特に申し上げたいと思いますし、この点については反対の立場でございます。
 理由を申し上げます。
 まず第一は、将来の年金水準が全く不明確で、制度を維持するということは強調されておりますけれども、私は、制度を維持することも大事であるけれども、生活の維持が可能であるかどうかの方がより重要なことだと思います。制度が維持されても、本当に少ない年金になってしまって生活の維持ができないのであれば、制度の持つ意味が非常に薄くなるわけであります。そういう意味で、生活の維持を中心に御審議をお願いしたいと思います。
 内容を検討しますと、マクロ経済スライドを早く実施したいという制度だけが明らかになっているだけで、この制度が実施されて、若い人も高齢者も安心の年金制度とは到底考えられません。持続可能性が高められると説明されていますが、むしろ憲法第二十五条に言う文化的な最低限度の生活から懸け離れた制度になっていくことが目に見えていると思います。
 今でさえ、若い人が懸念しています。僕たちの世代には年金がもらえるの、もらえないのではないかという不信を私は増幅することになり、年金不信は高まるばかりではないでしょうか。
 次が、実質的価値の維持。先ほども言及ありましたけれども、最低の憲法上の私は要請だと思います。
 平成十六年の年金改定でマクロ経済スライドが導入された後、年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議が設置されております。その第一回、平成十七年四月十四日の会議で、一番初めに自由民主党の丹羽雄哉議員は、現に年金を受給している高齢者の方についても、今後とも現在の年金給付額が下がることはありませんが、若年者の負担増を抑えるために今後は緩やかな伸び率に抑えていくことになりますと述べられております。
 高齢者の生活は苦しい、景気が悪くなるとして国会で全会一致で議決された一・七%の特例水準は、このときには既にありました。丹羽議員の発言は、これらを含めて、年金を下げるときには引上げが行われるときに抑制するという最低の保障を述べたものと理解できます。
 しかし、現実は、平成十六年改定により現職労働者の保険料は予定どおり値上げされていますけれども、受給者の年金受給額は国民年金だけでも月額六万六千八円から六万五千八円に引き下げられております。理由は、平成二十四年法、閣法二十六号でありますが、実質的価値の維持、名目下限措置と言ってもいいと思いますが、破って引き下げられたことによります。
 今回の法案もこの措置を維持すると説明されていましたけれども、過日の審議でこれが不可能なことが明らかにされています。最低のルールを守るべく、もっと実質的で合理的な具体的な議論をして、国民の誰もが納得するまで議論を希望したいと思います。
 次に、公的年金制度のスライド制の問題でありますが、私は公的年金制度にはスライド制が命だと考えております。
 公的年金制度の信頼性について意見を述べますと、それは物価スライド制があることであると思います。なぜ物価スライド制が維持できるのか。それは、賦課方式を基本としていることとともに、財源確保に被保険者の保険料、私は拠出金と呼ぶといいと思いますが、及び企業が負担する保険料、これは出資金と言った方がいいと思います、と賃金、勤労所得、利潤に課せられた租税、これは所得の再配分のためにあるわけですが、この三つが組み合わさっているからだと思います。この方式を過去、現在、将来にわたって審議していただきたいと思います。
 貧困と格差が異常に進んでいる実態は、若い人も高齢者も同様です。十年ほど前には日本は低負担と低福祉と言われて、それはヨーロッパ諸国に比べて消費税が低いからだと言われました。しかし、今ではそういう声はだんだん聞かれなくなっております。それは、社会保障財源に占める消費税の率が今や世界一になっているからではないでしょうか。年間税収も、現在では消費税が所得税や法人税を超えてトップになっております。
 そこで、現在では、現職や若い人の負担が重くなるということが強調されています。年金は仕送りであるという議論、これは裁判でも、政府の回答に載っております。世代を三つに分けて、世代ごとに人口を比較して、働いている世代数とその上に乗っている高齢者数を映し出して、こんなに働いている人たちは大変なんだというのは余りにも一方的で単純な議論だと思います。公的年金制度が持っている社会的、経済的な重要な意味をもっと重層的に議論していただきたいと思います。
 私は、年金は所得の再配分であるべきと思います。労使が拠出する保険料を通じての再配分と租税を通じての再配分が応能負担で行われるべきであると思います。社会の状況が変われば、この三つの組合せも再検討されてしかるべきと思います。
 その一つとして、保険料についての再配分の強化については、二〇一四年、ちょっと西暦が来てしまいましたけれども、十月十五日の第二十六回社会保障審議会年金部会で厚生労働省年金課長が、保険料賦課に関しては上限は必ずしも必要ない、イギリスやフランス、スウェーデンに関しては青天井である、給付をある程度調整する手法が国際的にはございますと発言されております。これは要約でありますけれども、保険料を通じての再配分が国際的に見て不十分との指摘であると思います。
 次に、基礎年金の国庫負担分を全受給者に支給してほしいという対案をお話ししたいと思います。
 十一月二十九日の衆議院で採決された年金法案に対して、マスコミ各紙は、世論は法案の成立に反対が賛成を大きく上回っているとしながらも、対案が不十分との指摘をしています。同時に、税による最低保障を考える時期に来ているのではないかという指摘もあります。私ども年金者組合は、現在、八万円の一般財源による最低保障年金制度を創設し、拠出制年金制度との二つの制度を組み合わせて、老後の安心の年金制度を提案しております。今回の最低保障年金の議論も必要ではないかとする一部マスコミの指摘には賛成であり、今後、最低保障年金制度の提案が各界、各政党から出されることを期待したいと思います。
 年金者組合の提案は、最低保障年金制度を創設するときに、初めから八万円が、月額ですね、望ましいものとするものの、当初は現在の国民年金、以下基礎年金と申し上げますが、の二分の一である三万三千円、実はこの問題を提起したときは六万六千円でありましたので、国庫負担が三万三千円というわけでありますが、高齢者に保障する案です。
 今国会で、受給資格者、保険料納付期間が二十五年から十年に短縮されました。これに伴い、十年の受給資格者は来年九月分から約一万六千円が支給されます。これに満額の一般財源を加えると、先ほど提案したのを加えると約四万一千円になります。受給資格のない人は三万三千円になりますから、受給資格のある人は四万一千円ということが最低保障ということになります。無償労働者が担う割合が多い女性は、低年金も多くいます。したがって、女性により多くの年金額の底上げが行われることになります。また、実施されていませんが、年金生活者支援給付金の支給に関する法律の内容より金額も多く、高齢者個人が平等に利益を得ることになります。財源も約三兆円もあれば可能と思われます。
 現在、年金の支給を隔月から毎月とすることが検討されていると聞いておりますが、この早期実施と、三万三千円を全ての高齢者に支給することを検討していただきたいと思います。
 本院で審議中の国民年金法等一部改正案を撤回し、私どもの提案する最低保障年金制度を実現する案に切り替えていただきたいことを重ねてお願いして、発言を終わりたいと思います。
 どうも御清聴ありがとうございました。
#13
○委員長(羽生田俊君) 茶谷参考人、ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#14
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。質問の順番を変えていただいたことに心から感謝をいたします。ありがとうございます。
 今日は、四人の参考人の皆さん、お忙しい中、貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございます。
 まず、茶谷参考人にお聞きをいたします。
 やはり、年金は高齢者の皆さんにとっての命綱ですので、関心も高く、極めて切実だと思います。六万五千円では暮らしていけない、これが更に減ってしまうと暮らしていけないという声も聞きます。これ、もう四十年間保険料を払った場合ですから、もっと少ない方たちもたくさんいらっしゃいます。
 周りや、実際、高齢者や年金もらっていらっしゃる人たちの声を聞かせてください。
#15
○参考人(茶谷寛信君) 私、実は愛知県の知多半島の出身でございまして、ここは紡績業が非常に盛んでございました。朝鮮戦争のときに特需というのがありまして、紡績が猛烈に稼働しまして日本経済の基盤を確立した、輸出とかによってされている中で、非常に多くの女性労働者が、中学を出たばかりの女性労働者がお見えになって働いていた。この方たちとお付き合いありますけれども、七〇年代に紡績はなくなりましたので、一旦脱退手当金をもらってしまったので、再出発だからこの方の中に非常に低年金の方が多い。
 もう本当に、今、怒りをぶつけるところがないというくらい低年金になりまして、私のお知り合いの方は八十歳になりますけれども、まだ働きに行っております。これが現実でございますので、そういう人たちの声を是非とも現場でお聞きになって、この法案の審議をしていっていただきたいと思います。
#16
○福島みずほ君 茶谷参考人にお聞きをいたします。
 今回基礎年金の部分も下がってしまうということは問題ではないかと思っておりますが、いかがお考えでしょうか。
#17
○参考人(茶谷寛信君) そのとおりであります。
 基礎年金……
#18
○委員長(羽生田俊君) 指名をしてから御意見を。茶谷参考人。
#19
○参考人(茶谷寛信君) はい。済みません。茶谷でございます。
 基礎年金の部分に今回の法案を適用すること、あるいはマクロ経済スライドを適用することについては、本当にひどいと思います。
 私は基礎年金も二階部分ももらっているんですけれども、基礎年金が大きく減らされますよね。三〇%減らされますと、四万円台になってしまうんじゃないでしょうか、将来。そうしますと、私の家は、私は妻が国民年金第三号被保険者でありますけれども、年を取っておりますので、現在五万円に達しない年金しかもらっておりません。この二人が四万円の基礎年金部分になってしまうと、私でもかなりの打撃でございますので、もうこの基礎年金に適用することは絶対に承知できません。
#20
○福島みずほ君 次に、玉木参考人にお聞きをいたします。
 お書きになったものの中で、あるいは今日の発言でも、政府機関であるGPIFが株主になったときに問題点があるということを非常に説得力を持って語っていただきました。書いていらっしゃるものの中で、もし将来の厚生労働大臣が主務大臣としての権限をちらつかせてGPIFに圧力を掛け、その保有株式の議決権を活用して賃上げの促進や雇用慣行の変更を実現しようという意思を持った場合、この大臣は国会の議決も予算措置も要らない大変便利で強力な政策手段を持ってしまう、要するに物すごい武器を持ってしまうということを書かれていらっしゃいますが、確かにこれ極めて問題ではないか。いかがでしょうか。
#21
○参考人(玉木伸介君) これは潜在的な問題として多くの方々に御理解をいただきたいというところでございます。
 実は私、先ほど日本銀行に勤務していたと申し上げましたが、私の最後の日本銀行の仕事はGPIFへの出向でございました。二〇〇九年から一一年の三月まで勤務いたしましたが、少なくともその間におきまして、私は、株式投資をしているGPIFが全て民間の運用機関に運用の判断もそれから議決権も全部委託しているわけでございますが、この仕組みについて全く問題はございませんでした。これはこれで大変うまく機能してございます。したがって、今の状態が何かイミネントな問題を持っているということでは決してございません。
 ただ、今御指摘のとおり、潜在的にはパワーがあるわけでございますので、それを相当うまくコントロールしていくという注意深さが必要ではないかということでございます。
 この点につきましては、ほかの国でも、公的年金積立金、つまり中央政府の一部が民間企業の株式を持っている事例はたくさんございます。あるいは、アメリカの州政府の公務員年金ですね。これは、州政府というのは非常に強い、様々な業法の制定主体でもあるわけでございまして、大変強い経済界へのいろんなレフェリー役、ルールメーキング役をしているわけでございますが、そういうところでもたくさん株は持ってございます。
 したがって、そういった今御指摘のような問題意識はみんな持っております。それなりの対応をしておりますので、我が国におきましてもちゃんとした日本らしい対応をしていくべきだという御意識は是非お持ちいただきたいと思います。
#22
○福島みずほ君 政治は、非正規雇用を減らすことや厚生年金になる人を増やすこと、あるいは年金の保険料を払えるようにすることなどたくさんあるわけですが、私は、持続可能な年金制度というのはもちろん必要だけれども、保険料を上げない、そして税金を半分しか投入しないというがちがちの中で、じゃ、もう年金抑制するしかない、しかも年金カット、賃金が下がれば年金をカットし得るということに踏み切っていることは正しいのか、これはやっぱり生活を非常に困窮させるというふうに思っております。
 それで、茶谷参考人にお聞きをいたします。
 ちょっと大きな話なんですが、私は、財務省が来年、タックスヘイブンに少しメスを入れて、そこからの税収を考えているというのを聞きまして、そういう富裕層や海外に逃れている資産やそういうところをきちっと税金を払うようにすべきであって、国民の一番大事な年金制度はしっかり、例えば二分の一を変えるかどうかも含めて議論をすべき、税収の在り方も考えるべきと思いますが、この点についていかがでしょうか。
#23
○参考人(茶谷寛信君) 全くそのとおりであります。私は、海外で税を逃れるということももちろんいけないことだと思いますけれども、現在の税制は不公平過ぎると思います。不公平税制をまず正していただきたいと思います。
 年収一億円を超える方には急激に所得税率の課税率が下がるということはもう試算で明らかになっておりますので、もっと所得税の累進性を高めて、七〇年代くらいまで戻していただきたいと思っております。
 それから税制については、富裕層に対する、実は富裕層の方で年金制度に加入していない方もかなりいるということが、雇用者報酬と標準比例報酬の総額を比べると相当な人が入っていない、だから保険料を払っていない人がかなりいるということですね。それから、六十二万円の壁がありまして、ここも保険料を払っていないということは、税制も保険料も非常に富裕層の方に有利にできていますので、税制の改正は絶対に必要だと思っております。
#24
○福島みずほ君 貴重な御意見、本当にありがとうございました。更に審議の中で生かしていきたいと思います。
 ありがとうございました。
#25
○高階恵美子君 自民党の高階恵美子です。
 本日は、参考人の皆様、貴重な御意見を賜りまして誠にありがとうございます。
 初めに玉木参考人、西沢参考人にお答えいただければ有り難いと思いますが、平成十六年の制度改正、このときは年金保険の持続可能性を高める上で非常に大きな改革が行われました。今回は、その後のデフレ下での経験を踏まえまして、これまでの基本的な枠組みを維持した上で更に賃金スライドの考え方を貫徹させる、こういった見直しとなっております。
 現役世代の負担の上に成り立つ制度でありますし、デフレ下での現役世代の賃金の動きに合わせて年金額を改定していく、この考え方の導入は制度論として必然であったのではないかと考えられますが、この先は、先ほど基礎年金の傷みの部分についても触れていただいてはおりますけれども、社会保障、経済の御専門のお立場から、制度設計上、この賃金スライド徹底の重要性、必要性について、重ねて御見解をお伺いできればと思います。
#26
○参考人(玉木伸介君) 今の問題提起に対して私の思うところを申し上げます。
 今御指摘のように、平成十六年改正において大変大きな変革があったと思います。これにつきましては、今の制度は賦課方式でございますけれども、賦課方式が一つバージョンアップしたといいますか、賦課方式二・〇というものになったと言ってもいいぐらいかと思います。
 その中で、結局私ども考えねばならないことは何であるかというと、毎年毎年実は平均寿命は延びております。それから、出生率が二・〇をずっと下回っているということもこれ事実でございます。そういった中にあって、日本国民全体が日本人らしいちゃんとした暮らしをすることができる、そういう年金制度をつくっていくにはどうしたらいいかということになります。
 その場合に、どうしても物価の変動とか賃金の変動というのはあるわけでございまして、その場合に勤労している現役世代の賃金によって可能となる生活の水準と、それから高齢者の生活の水準、もはや勤労していない高齢者の生活の水準、これが相当程度何らかのバランスを取って推移していく、そういった仕組みをビルトインするものとしていろんなスライドの仕組みというのは大変うまく考えられたものだと思います。そこは、十六年改正の時点ではデフレが長く続くといったことは余り意識されていなかった、あるいは日本国民がデフレということも余り実感できなかったというのは事実だと思いますけれども、それが事実として起きてきている。
 あるいは、これは私の学生たちに時々聞くんですけれども、彼女らは物の値段が上がったという経験をほとんどしておりません。生まれたときからずっと、例えば電車は何円、おにぎりは何円、全く変わらないです。それから、最近ちょっと人手不足とは言っていますけれども、アルバイト代が上がったという経験もほとんどしておりません。ちょっと我々とは違う感覚を持っていることは事実でございます。
 そういった人々の感覚の変化、これは毎年毎年必ず起きているものでございますので、それとなるべく整合的な形でスライド制の間口を広げていく、こういったことは自然なことではないかと思います。
 もう一つ私の思うところは、結局我々が、全世代がちゃんとした暮らしをしようと思うと、この国の経済力を高めていくということ以外に方法はありません。その上で、じゃ、年金制度は何ができるかというと、なるべく労働供給を促進的にするということです。これは、高齢者が若者になることはできませんが、高齢者が勤労者になることはできるわけでございます。なるべく働ける方が気持ちよく自然に働けるようなそういう仕組み、なるべくいろんな制度、年金制度を含めて、是非お考えいただきたいと思うところでございます。
#27
○参考人(西沢和彦君) 今回の年金額の改定ルールの見直しのうち、賃金変動が物価変動を下回る場合に賃金変動に合わせて年金額を改定する考え方は、私は年金数理上必要であると思います。それでも、ただ数理上であって、制度上の議論については、一階、二階どう分ける、既裁定、新規裁定どうするといった議論が今後引き続き必要であるということです。
 マクロ経済スライドについては、私は必要であると思っていますが、不十分であり不確実であるというふうに思っております。
 以上です。
#28
○高階恵美子君 ありがとうございます。
 山崎参考人にお尋ねしたいと思います。
 今回の年金額改定ルールの見直し、それから被用者保険の適用拡大、このことは平成二十一年度の財政検証において既に明らかとなっていた課題に対応するものであります。
 率直に言って、政治の場に先生はどんなことを求められるかお答えをいただければと思うんですが、私たちは今やるべきことを真摯に考えて、そして先送りすることなく改革を進める、この矜持が求められていると考えています。
 これまでのこの委員会の議論の中でも、この改革部分以外に、例えば多様なライフスタイルの選択、働き方の多様化、こういったものを選ぶ個々の将来にわたる給付イメージをきちっと持てるような情報提供をすべきではないかとか、あるいは家計、経済、社会保障、そして社会経済と自らとの関係を小さな頃から学べるような教育環境を整えるべきではないか、あるいは経営基盤強化、事業主の側の経営基盤をしっかりしていくことによって給料の引上げにつながるような施策をしっかり進めて、もって保険料の事業主負担がしっかりできるような環境を整えるべきではないかといった、これから更にやらなければいけないことにまで踏み込んだ議論が今展開されております。
 恐らく、今回のルール改正というのは、もうぎりぎりの今やらなければいけないことに手を着ける、そして次に早く進めるべきだというところで専門家のお立場から思っておられることがあると思います。お話伺えればと思います。
#29
○参考人(山崎泰彦君) おっしゃるとおりだと思います。
 最後にお話しになりましたけれども、現時点で当面やらなければいけないことに急いで手を着けると同時に、将来に向けて急いで本格的な改革に乗り出さなければいけないということだったと思います。
 今回いろいろ多岐にわたっておりますが、よく言います、これは玉木参考人などはいつもおっしゃっていることだと思うんですが、昔の家族扶養を社会的扶養に置き換えたのが年金であり、社会保障であるというわけでございます。そうすると、家族内の扶養であれば、息子の給与が今年大分下がったなということになると、お互いにその範囲内で分かち合う以外にないわけでございますから、賃金の下がりに応じて扶養を受けている高齢者も生活を切り詰める以外にない、もう厳正な事実だろうと思うんですね。その調整、家族内であれば自然に進んだものが今なかなか難しいんですね。その家族内の調整を政治が今はしなければいけないんです。ですけれども、なかなか政治も動いてくれないというのが非常に残念だなというふうに思います。
 解決策はもうはっきりしているんです。もっともっと息子が長く働けるようにということ、またそういう雇用環境を準備できるような経済政策を展開していくという当たり前のことをやる以外にないというふうに思っております。
 これでよろしいでしょうか。
#30
○高階恵美子君 ありがとうございます。
 これからもいろんな議論と、そして現場を見ながらの改革への取組、進めていかなければいけないというふうに思います。次世代にふさわしい安心と、そして信頼の社会保障制度の構築に向けて私たちも頑張ってまいりたいと思いますので、引き続きお知恵をいただければと思います。
 ありがとうございます。
#31
○足立信也君 民進党の足立信也です。
 四名の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 まず、山崎参考人に質問をしたいと思います。オプション試算についてです。
 受給開始年齢を引き上げる、この件を除けば、最も効果的、所得代替率を上げる手段としては適用拡大だと、そのようになっていると思います。
 これは、山崎さんは三党合意による年金機能強化法からずっとおっしゃられましたが、私たちはそのときから最低賃金以上に拡大すべきだと。二十時間で百万人。その最低賃金も、時間制限を取り外せば更に百七十万、あるいは二百万人と、そういうことを申し上げていたんですけど、これは今までの発言とちょっと違うんですが、かなり当時の野党側から抵抗がありました、業界側からも。これは、企業としての理解が一番大事だということは論をまちませんけれども、じゃ、その保険料拠出に対する企業側の負担軽減、これをどう考えるか、私たちは社会保険料への負担を半分国が見るべきではないかと、そういう法案も用意しているんです、今。
 この負担軽減策、理解が一番であることは論をまちませんけれども、負担軽減についてはどのように考えておられますか、企業の保険料。
#32
○参考人(山崎泰彦君) ただいまの御提案、詳細分からないんでございますが、要するに事業主負担の増加に対してどう合意を得るかということでしょうか。
#33
○足立信也君 はい。
#34
○参考人(山崎泰彦君) 先ほど西沢参考人もおっしゃっておりましたが、私は、現在の枠組みをつくった平成十六年改正の準備をしていた年金部会の審議で、西沢参考人もおっしゃっていましたように、雇主には人を雇っていることの責任として、パートであれ、どのような雇い方であれ、報酬の一定割合を、言わば雇用税になるのかも分かりませんけれども、社会保障に係る負担金として負担していただけないだろうかというふうに思っております。これは、企業規模、雇われ方にかかわらず、払った報酬の一定率を拠出していただいてはどうかというふうに考えております。
#35
○足立信也君 負担軽減策というよりも、やっぱり原則に返って理解していただくという御意見だったと思います。果たしてそれで広がるかという疑問は相当あります。
 次は、西沢参考人にお聞きしたいんです。二点です。
 一つは、まず西沢さんがおっしゃられたことは、私は、個人的かもしれませんけれども、ほとんど同意見です。それをまず申し上げておきたいと思っています。
 そこで、財政検証のときに八つのパターンがある中で、物価変動率よりも賃金変動率の方が低い場合という、この試算が一つもないということが、西沢さんもおっしゃいましたし、財政検証の方で試算もしていない、検証もしていないことが出てきた。これを我が党は、年金カット法案、衆議院で言っていたわけですが、御案内のように参議院は、私含めて五人おりますが、年金カット法案と一言も言っていません。しかし、別の党から年金カット法と言われていて、何だろうなと思っています。
 そこで、その検証がない、試算がない、これは財政検証から出た今回の賃金スライドというものが本当に財政検証から生じたものかという不安があるんですね。その試算の必要性について西沢さんはどう考えられますか、先ほどおっしゃっていましたが。
#36
○参考人(西沢和彦君) 今、財政検証は二〇一四年三月に経済前提を出しまして、それを受けて六月に財政検証の結果が出たんですけれども、その財政検証は経済前提についてケースAからHまで八パターンあるんですが、いずれも実質賃金がプラスのケースなんですね。
 ただ、今回の法案の中では、その実質賃金もマイナスになるようなときに備えての法案が出ているわけですから、本来であれば財政検証でそうしたケースが想定されてこの法案が出るべきであって、財政検証でそれが出れば、国会での議論をかいま見ていましても、試算出せないような言い方ありますが、そうじゃなくて、オプション試算の中で物価変動のケースも出していますので、例えば実質賃金についても、長期的には〇・五だけれども、例えばマイナス〇・五になったりプラス一になったりという変動のケース出せたはずなんですね。ですから、当初よりこういう法案が、制度改正で問題意識あるのであれば、財政検証の中でしっかり計算しておくべきだったと思います。
#37
○足立信也君 そのとおりです。財政検証に基づいて今回の法案という根拠が、そこがないわけです。この点が、衆議院ではそこに集中し過ぎた感が極めて強いですけれども、あの不信につながっていると、私はそう思います。
 最後の質問ですが、基礎年金部分、つまり公的年金制度の条件ですね、十分性の確保のところで、やはり基礎年金部分が下がり過ぎると、これはおっしゃるとおり。
 そこで必要なことは、じゃ、生活保障として、底上げをするために生活保障として、考え方は現金と現物というのがあります。現金でやろうとしたら、これは国で一体的な取組になってくる、中央からのということになると思いますが、現物で生活保障をするとなると、これは地方自治体がメーンになってくる、現物ですからね、医療や介護を含めて、福祉も含めてですね。
 西沢さんは、現物給付で生活の最低の保障をしていくという、これは地方分権の考え方の流れにぴったり一致すると私は思っているんですが、その現金と現物ということについて、最低限の生活保障ということに関係してどのように思われていますか。
#38
○参考人(西沢和彦君) 非常に重要だと思います。
 思い起こしますと、二〇〇八年四月の高齢者医療制度改革が施行された年に、全国の高齢者の医療保険料がどうなるかというのが国で一元的に把握されていなかったんですね。ですから、上がる人もいれば下がる人もいる。上がる方から文句が出た、クレーム、まあ意見が出たわけですけれども、そこで緊急的に政府は調査をして、三千億の補正予算を組んで手当てしたわけです。
 ですから、国民健康保険料、介護保険料、高齢者医療の保険料というのは全国ばらばらなわけです、まあ、それは地方自治だから仕方ないんですけれども。情報は一元的に把握して、それら保険料が引かれた後の年金が可処分所得として、先ほど茶谷参考人からも、基礎年金に医療が入っている、入っていないというお話ありましたけれども、そこを参酌しながら基礎年金を設計していくということが必要。
 基礎年金とか年金は全国一律、でも保険料は自治もあるのでばらばらなわけで、まあ、それが自治ですけれども、少なくとも情報は国レベルで集約していくべきですし、これは、子供の医療費もそうですしインフルエンザとかの予防接種のお金もそうですし、自治体が自治事務でやっているものは費用が全国ばらばらなんですね。ですから、それは少なくとも調査して、それに合わせて全国均一の現金給付も行っていくというのがあるべき方向だと思います。
#39
○足立信也君 あと一分ありますので、山崎さん、申し訳ない、もう一問お願いします。
 先ほどと同じなんですが、財政検証でなぜ物価変動よりも賃金変動の方が低いという前提の検証をオプションでもしなかったんでしょう。どうお考えですか。
#40
○参考人(山崎泰彦君) この経済前提の置き方は、まさに西沢参考人が直接関わられたと思うんでございますが、金融経済の専門家の間で随分長期にわたって御議論いただいて出されたものでございまして、私はそれに従うのが政府として当然かなというふうに思います。
#41
○足立信也君 どうもありがとうございました。
 終わります。
#42
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。
 今日は、四人の参考人の皆様、本当にお忙しい中、貴重な御意見をいただき、また示唆に富んだ御発言をいただき、本当にありがとうございます。
 私の方からは、今、西沢先生の方でお答えになられた年金とほかの社会保障の制度も含めたそのバランスなどの点について、西沢先生、また山崎先生にお聞きしたいと思います。
 今、基礎年金だけではやはり生活がなかなか厳しいというような現状、茶谷参考人の方からもいただきましたけれども、そのような声が実際にたくさんある中で、その補完する制度として医療や介護、そのようなサービスを社会保障の中でまた補うということも可能ではあるけれども、それではなかなか全国一律の基準にならないと。
 そこで、地方財政とか地方での実際の取組などを見ながら全国一律に金額を考えていくというのが今、西沢参考人の御意見だったかと思いますけれども、その場合の現物支給と言われるものと現金支給と言われる年金額との例えばそのバランスとかその考え方について少しお聞きできればというのと、また、山崎参考人の今日いただいておりますレジュメの中にも、基礎年金の水準低下に対して年金生活者支援給付金による支援の強化であるとか、また、低所得者対策として、医療や介護、年金税制など、要はほかの制度も補完して全体として年金生活者の方の生活を守っていこうという御意見をいただいているところですが、この点についての、バランスも含めて、お聞きできればと思います。よろしくお願いいたします。
#43
○参考人(西沢和彦君) ありがとうございます。
 今、例えば高齢者の方でも、医療保険料って、例えば市町村で一万円ぐらい月払って、介護保険料も五千円ぐらい払っているとします。医療や介護は、物価というよりも、物価や賃金の水準で上がっていくわけです。一方で、年金は丈比べして低い方、更にマクロ経済スライドも掛かっていますので、これは明らかにちぐはぐが生じるに決まっています。
 ですから、現金五万現物五万とか、私、クリアな解を持っていませんけれども、医療、介護が今後どう保険料が上がっていくかという計画、市町村で出せるはずですから、それも出して、国で例えば吸い上げて、それに合わせて基礎年金の制度設計もしていくということが本来必要で、これは繰り返しになりますけど、子供の医療費とか予防接種とか妊産婦健診とかも全部そうで、保育料とかも市町村で全部やっていますけど、国が余り把握していないので、まずはそこを起点として現金給付を設計していくということだと思います。
#44
○参考人(山崎泰彦君) 私は医療や介護にも関心を持っておりますが、例えば介護保険をつくった、あるいは後期高齢者医療制度をつくり、高齢者一人一人から応分の保険料負担をしていただく、そしてサービスを利用する場合も窓口として一定の負担をお願いするという仕組みをつくったわけでございますが、その前提にあったのは、年金制度が成熟していく過程で多くの高齢者が一定の年金を手にする時代になったと、そういう年金を前提にして介護保険や後期高齢者という保険が成り立っているわけでございますが、基礎年金の水準がどんどん落ちていくということは、介護保険や高齢者医療の本来目指したもの、姿からすると、非常に窮屈な運営を強いられる。つまり、低所得者の方は保険料がなかなか上げにくい、あるいは窓口負担を軽減しなければいけないということでございますから、まさにトレードオフになっているんですね。
 ですから、年金としては持続可能性が確保されるけれども、それは、今のままでいきますと給付水準を下げることによって持続可能性が確保できる。しかし一方で、まさに低所得者対策として医療や介護で公費を入れざるを得なくなるという矛盾でございまして、私は、本来の姿として、やはり基礎年金は基礎年金らしく一定の水準を確保するのが医療、介護を本来の機能を発揮していただくためには最低限の必要な条件だというふうに思っております。
#45
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 ちょっと話は変わりますが、GPIFの組織の見直しのことについて玉木参考人にお伺いできればと思っております。
 今回、組織の見直しとしてガバナンス体制を強化するということで、合議制で運用を検討しながら、また経営委員会で執行部門の方も監督をしていくというような形に変わりました。
 以前、玉木参考人はGPIFの内部でお仕事もされていたということで、今後の運用において、これまでの独任制での運用のときと、これからの合議制にというふうになったときに、具体的に実際どのように運用の仕方が変わり、またどのような効果が見込まれるというふうにお考えでしょうか。
#46
○参考人(玉木伸介君) 先ほど申し上げた、私がかつて勤務していた当時、運用委員会がございました。私ども実務的なことに携わる者の意識からすると、運用委員の先生方にもう何でも相談するというスタンスでございました。かなり細かいことまで御相談していました。また、当時の運用委員の皆様、大変高い御見識をお持ちの方々でございますので、非常に実質的な議論も大変たくさんできたと思います。その意味では、運用委員会とそれから事務方、あるいは理事長以下事務方の関係はなかなか建設的だったなというふうに思います。
 ただ、例えば外国の方に説明するときに、やっぱり困るんですね。例えば、理事長が決める、で、ボードはというと、ないんですね。ボードがないというふうに説明すると、多くの方がもうそれ以上質問したら悪いかなというふうな顔をするわけです。これはやはりちょっと、百何十兆円という世界最大級の機関投資家のガバナンス構造として、英語になったときに本当に困った記憶が何度もございます。
 それが今度、器が変わります。経営委員会ができて、これはディシジョン・メーキング・ボードであるということになります。で、その中に理事長がそのボードのメンバーとして入る、理事以下の執行のみを行う人たちを指導したり監督したりすると。これは大変説明のしやすい、また、いろんなところでテストされたものであるので、これはどっちがいいですかと問われれば、もちろん法案の方がいいと思います。
 運用実務がどう変わるかということになりますと、これについては、例えば前回の変更で運用執行理事という新しいものが法的にもできましたけれども、このような形で高度な専門性がちゃんと注入されているんだということが国民の目に分かりやすくなったということは事実ではないかと思います。
 私、当時おりまして、実は運用実務に関する専門性という点は、そこそこいっていたと思います。というのは、こういうことの変化がございました。
 かつてはGPIFで働いている人の中にかなりたくさん官庁からの出向者がいたんですね。この出向者が、私が行く少し前に、順次任期が来ますと官庁へ戻るわけです。その後に、金融業界、証券業界、運用業界での実務経験がおありで、結構実務経験を積んだから後は公的なところで国民のための仕事をしたいとお思いの方は結構たくさんおられまして、たくさん中途採用で入ってお越しになりました。
 そうすると、GPIFが実際に対峙する市場というのは具体的には運用機関であることが多いんですね。そうすると、運用機関のやっていることがこっちも全部分かっているということになってきますと、そういった意味では情報力といいますかスキルというのは上がりました。
 今回、今おられるような運用執行理事の方が入ってくるといったことになってくると、それはもう一段上がりますし、それから、今度できる経営委員会も高度な識見を持つ人ということが法律にも要件として書いてございますけれども、こういったもの、運用委員会の委員の人選においてもあったわけでございますが、こういったものが引き続き行われていけば、これは少なくとも国民に説明することは可能というふうな運用ができると思います。あとは一生懸命説明していくということではないかと思います。
#47
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 最後に、簡潔にお伺いいたします。あわせて、玉木参考人にお伺いいたします。
 今現在、若い学生さんたちにしっかりと年金の仕組みを教えていくという大切さを先ほどお話しいただいたかと思うんですが、高齢者の方に対しては長生きリスクという考え方の中で、玉木参考人の書かれていたものを見ると、若い方に理解をしていただくためには自分の親を扶養しなければならないリスクだというふうに言った方が、で、そこの中で年金制度があれば自分も安心して親の面倒を見れて、また自分の老後も安心できるというようなお話もありました。
 若い方々、高齢者の方の生活を支える現役世代の方々への教育の重要性と、どの点を分かっていただきたいか、御簡潔に、済みません、お教えいただければと思います。
#48
○参考人(玉木伸介君) 大変心強いお言葉をいただいたと思います。ありがとうございます。
 私としても、自立した女性になるという点において、社会保険制度に関する基礎知識は絶対に必要です。こういうことを訴えてまいりたいと思います。
#49
○伊藤孝江君 ありがとうございました。
#50
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子でございます。
 今日は、四人の参考人の皆さんに貴重な御意見聞かせていただきまして、ありがとうございます。
 最初に、茶谷参考人にお聞きしたいと思うんです。
 年金が減らされ続けているということに抗議して、全日本年金者組合の皆さんが年金引下げの取消しを求めて提訴されている、たくさんの方が提訴されているというふうに伺っているわけですが、暮らしも本当に大変だという中で提訴に至るというのは大変な思いがあった、実態があったと思うわけですね。その実態を是非伝えていただきたい、御紹介いただきたいとまず思います。
#51
○参考人(茶谷寛信君) 私どものこの裁判に至った経過は、一・七%の特例水準、これが二・五になっていたわけですけれども、十年以上たってからこれを突然、年金が上がるときに少なくともこれを解消していくということになっていたにもかかわらず、強引にこれを引き下げると、こういうことが分かってきましたので、これはもう我慢がならないということで不服審査請求を始めたんですね。
 なかなか年金者組合、十一万人いますけれども、いろいろな方がいますから、不服審査請求にそろって参加することはできませんけれども、やってみたら年金者組合以外の方もどんどん参加されて、十二万人を超える人が不服審査に応じていただきました。
 だから、その結果、結局、審査会は何の回答もなく、不服審査に不適当だということで簡単に却下されたものですから、これはいけないということで、やはり裁判にこの際訴えようと。裁判には大変お金掛かります、正直言って、日本の裁判は。それで、大変だと思いましたけれども、やっぱり代表でやると、今四千五百人がこれに応じていただきまして、この中にはもちろん組合員でない方も入ってみえますけれども、そういう順序があるわけでございます。ですから、私どもは、その十二万人を超える不服審査の方とともに現在裁判を闘っております。
 この苦労は並大抵ではありませんで、不服審査のときには、訴えに回った滋賀県の年金者組合の書記長は、雪の中で行き倒れになって命を失うという事件も起きました。
 そういう苦労を重ねた上の裁判でございまして、どうか皆様方には、この裁判の始まった理由も、この結果にも注視をしていただきたいし、現在答弁書が政府から出ていますので、これは誰でも見ることできますから、是非この内容も御理解いただきたいと思います。
 以上でございます。
#52
○倉林明子君 ありがとうございます。
 生活者が本当に立ち上がらざるを得なかったという年金引下げの実態があったかというふうに思います。
 もう一点は、GPIFに関わって、玉木参考人の方から、インハウス運用についていかに慎重であるべきかというところで分かりやすく御所見をお聞かせいただいたなということで、是非参考にさせていただきたいと思うんですが、質問は西沢参考人にお願いしたいと思いまして、株式運用について、ポートフォリオの見直しで拡大したということに対していろんな国民的な不安が広がっているということはあると思うんです。ただ、西沢参考人にお聞きしたいなと思うのは、積立金の運用で損失が出た場合について、制度設計必要じゃないかという指摘がされているところを読ませていただいたんですね。今日、御意見の中では御紹介がなかったので、そこを補足的に是非教えていただきたいと思います。
#53
○参考人(西沢和彦君) 積立金の運用で損失が発生した場合に、今の年金の仕組みですとマクロ経済スライドの長期化を通じて解消するしかないんですね。それは結局、三十年後、四十年後の将来世代に今の損失のツケが回ることになります。
 ですから、今の年金財政の財政検証ですと、例えば四・数%の名目運用利回りを想定していますので、そこに到達しなかった年度についてはその分を早期に解消していく。例えば、カナダのように保険料率を少し上げる、給付を下げるといった形で、今の投資の意思決定をしている世代で下げるという仕組みを入れた下で長期運用するべきであると思うんですけど、今の仕組みはそうなっていなくて、長期運用に対応性がないということだというふうに思っています。
#54
○倉林明子君 長期運用で損失が出るリスクもあるんだけれども、それにどう対応していくかという仕組みが現状ではないということの指摘は大変重要な点だなというふうに改めて思いました。
 そこで、最後、山崎参考人にお伺いしたいと思うんですね。マクロ経済スライドというこのルールを運用していくと、やっぱり基礎年金が傷んでいくんだ、このルールの見直しでもそこが大きな論点として議論になったということはよく分かりました。この基礎年金をどうやって底上げしていくかというのは、一つ年金だけで解決していく、今の制度の枠内で解決していくということにはもう相当限界になっているんだろうという認識は共有していると思うんです。
 お聞きしたいと思うのは、今回、その基礎年金部分の傷みが大きいということで、福祉的な考え方で、福祉的給付金ということで年額六万円を入れるという措置をとることとなっているわけで、後になりますけれども入れるということになっています。この福祉的な給付金、底上げの部分なんだけれども、実はもう年金の保険料納付期間に応じた、ここにも差が出てくるということに対して、やっぱり底上げという場合には定額での底上げ必要だったんじゃないかという思いも持っているんですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
#55
○参考人(山崎泰彦君) 二点あったかと思うんです。
 要するに、今の枠組みでは解決できないということについて、私は解決できると思っております。昔、昭和二十五年の社会保障制度審議会の勧告がバイブルのように学者の間ではなっているんですが、大内兵衛先生が冒頭で、時代はそれぞれ問題を持つけれども、同時に解決策があるんだということを言っておられるんです。ですから、今の制度の枠組みの中で解決策を探るとすれば、まさにオプション試算で示したような方向でございます。
 つまり、例えば千二百万人、厚生年金の適用拡大をするだとか、あるいは拠出期間を六十五歳まで延ばすだとかということを同時にすれば、マクロ経済スライドは要らなくなるんです。ですから、それが建設的な議論だというふうに思います。いかがでしょうか。まさにそれは、でも政治がやってくれなければいけないんです。政治ということであれば、かつて三党合意で進めたような、一定の痛みは求めつつも、将来に向かって財源も確保できる手だてを講じたわけですから、同じような政治体制を実現してほしいというふうに私は思っております。
 それから、今の年金生活者支援給付金の問題について指摘されたわけですが、私は、社会保険という仕組みを基本にする以上、やはり拠出した人と、国民年金の場合は免除の機会もあるわけですから、そうでない人、滞納した人との間はやはり厳然と差を設けないと拠出意欲を確保できないというふうに思います。厳しい意見ですが、そのように思っております。
#56
○倉林明子君 いろいろ御意見をいただきまして、ありがとうございました。積極的に対案も示しながら論戦に臨んでいきたいと思います。
 ありがとうございます。
#57
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
 本日は、お忙しいところお越しいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、順次質問させていただきます。
 まず、山崎参考人の方にお伺いをしたいと思います。
 今回の改正の中で、五百人以下の企業も労使の合意に基づいて企業単位で短時間労働者に適用拡大が可能というふうになっておりますけれども、このことによって、じゃ、どこまで実際に納付状況が上がっていくのかというのはなかなかちょっと分からないところがあるんですけれども、ただ、是非納付率が上がっていくことを、これを期待しているところなんですけれども、山崎参考人の方から、どうすれば、もっと更に具体的にどういうことをしていけば適用拡大が進んでいくのかどうか、是非お示しいただければというふうに思います。
#58
○参考人(山崎泰彦君) それははっきりしているんじゃないでしょうか、強制適用することです。任意ではなくて強制することだと思います。それに尽きると思いますが。
#59
○東徹君 ありがとうございます。
 では、続きまして西沢参考人の方にお伺いをさせていただきたいと思います。
 財政検証についてお伺いしたいと思うんですけれども、平成二十六年に行いました財政検証ですけれども、例えば全要素生産性、TFPの数字なんかも高いのではないのかなとか、この数字が一体どうなのか、非常に前提要素、前提と言われているこういった数字の置き方とか、それから運用利回りであったりとか、果たして本当にこういう数字でいいんだろうかというふうに思ったりもするんですけれども、そのことについて西沢参考人の方からお聞かせいただければと思うんですけれども。
#60
○参考人(西沢和彦君) 高いと思います。TFPが今回一・八という内閣府の当時の中長期財政シナリオの数字を基本にしていますし、それと、どうしても政府の中だと横目でにらまざるを得なかったと思うんです。でも、実際には〇・五から一・〇というのが我が国の今の実態であって、一・八というのはバブル期の頃ですから。あと、運用利回りについても非常に高いです。それも、今回の財政検証の中では、やはり政府の経済政策といいますか、政府の経済目標との整合性が財政検証にも色濃く影を落としていた気がします。
 そうではなくて、もっと財政検証を行う人たちは独立して、例えば政治家の方から、自由にやってくれよと、虚心坦懐に現実に合わせて。虚心坦懐に現実に合わせてやると、厳しい結果が待っています。そうすると、その厳しい結果に対して、保険料を上げる、税を上げる、給付を下げるという厳しい対応を取らなければいけないわけで、結果については責任を負うから、有識者会議では経済前提を虚心坦懐に理論的に求めろという一言があればまた違った結果になっていたと私は思います。
#61
○東徹君 ありがとうございます。
 西沢参考人の方からも、もうそろそろ次の財政検証に向けてというふうなお話が先ほどもありました。是非、次の財政検証についてどうあるべきなのか、もう一度、西沢参考人、そしてまた山崎参考人、玉木参考人からもちょっとお聞かせいただければ有り難いと思います。
#62
○参考人(玉木伸介君) 経済前提を置き、それを基に財政検証するというプロセスでございますけれども、これについては、その根本的な考え方として、これは予測ではなくて将来への投影であるということがよく言われてございます。
 この高過ぎる、低過ぎるという議論でございますけれども、これは、例えばこの間の財政検証ではAからHですか、八つのパターンができました。それにもう一つ、出生率が三つありますので、実は、三、八、二十四通りの試算が提示されました。私は、その前の財政検証がたしか三掛ける三の九通りだったと思うんですけれども、それに比べて大きな変化であり進歩であったと思います。
 今委員御指摘のような、こんなケースももっとあってしかるべきじゃないかといった話とか、あるいはもっと全要素生産性が伸びが低い場合とか、いろんな間口の広い姿を国民の前に示して、こんなことにはなりたくないなというふうに国民が思うならば、言わば殖産興業政策的なことに向けて国民がもっと一致団結するといいますか、頑張っていくというふうな道筋で議論を進めていく、そういったことが建設的ではないかなというふうに思います。
#63
○参考人(山崎泰彦君) 私はむしろ逆でしてね、幾ら精緻な仮定を置いたとしても、所詮将来の仮定的な計算にすぎないわけでございます。はっきりしているのは人口構造の変化なんです。ですから、このままではどうしようもないということだけははっきりしているんですから、しかも我々は解決策を持っているわけですから、特にもう政治がしっかりサポートしていただく以外にないと思っております。
#64
○参考人(西沢和彦君) 幾つか技術的には、今の世の中は名目賃金が物価を上回るという前提で全てが作られているんですけれども、それがもう足下で崩れているわけですよね、残念ながら。ですから、それを受け止めて、名目賃金が物価を下回ることがあり得るという前提。今回の財政検証では、物価変動、賃金変動も取り入れたというふうにかなりバージョンアップしているんですね。
 ですから、そういったものを入れる必要がありますし、あと、ポリティカルなプレッシャーが、私は別に全く受けていないですけれども、多分、有形無形に官僚の方にはあると思うんですよね、やっぱり政府の一員なので。ですから、ケースAは物価は一番上は二%、これは日銀の物価目標ですし、TFPの一・八は内閣府の中長期財政シナリオの一・八を使っていますし、運用利回りについても、二〇〇九年財政検証から名目運用利回り、あとアルファと言われている実質的な運用利回りも〇・一ポイントずつ高い絶妙な数字になっているんです。これは私、全くの偶然だとは思いません。ですので、そこは引き離して作るというコミットが私は重要だと思います。
#65
○東徹君 ありがとうございます。
 玉木参考人にお伺いしたいと思いますけれども、短大生の方と日頃から接しておられるということで、二十歳になったら年金を納めないといけない、その中で、将来世代のことだけではなくてというお話がありましたけれども、私、障害者年金も非常に大事な観点で、そこをやっぱり学生たちに示していかないといけないんではないのかなというふうに思っていまして、やっぱりいつ人間、事故を起こすか分からないですし、病気になって障害者になることだってやっぱりあるわけです。見ますと、約一兆円以上、障害者年金って今払っておりまして、そういった若い人たちにもやっぱり障害者年金のことについてしっかりと示していくべきかなと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
#66
○参考人(玉木伸介君) 私どもの学生、二年生になりますと順次二十歳になってまいりまして、時々学生から、先生、年金の紙が来たんですよ、どうしたらいいんですかと、こう質問を受けることがございます。
 これに対しては、しっかり読みなさいとまず言います。それからあと、もし今、君、払えなかったら、それは学生の間は払わなくていい制度があるんだから、あそこに年金機構の事務所があるからそこへ行って聞いてきなさい。それで、あともう一つね、これは今おっしゃったように、君だって、いつ、あした障害者になるかもしれないんだから、そのためのセーフティーネットって実はあるんだよ、君の住んでいるこの日本という国にはたくさんのセーフティーネットがあるんだから順番に勉強していきなさいと、こういうふうに指導しておるところでございます。
#67
○東徹君 ありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#68
○薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 今日は本当に何か授業を聞いているようで、私、大変勉強になっております。
 四人の皆様方にまずお尋ねをさせていただきたいと思います。
 国家財政が、このように成長を止めている段階におきまして、社会保障費が伸び続けております。その中で、年金、医療、そして介護、どのようなバランスで今後私どもは考えていったらいいのか。このままでいいのか、若しくは、今回年金カットというような様々な言葉も出てきておりますけれども、年金よりも更に医療、介護の方を充実した方が安定した国家財政を運営できるのか、その辺りのところを皆様方に御意見をいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
#69
○委員長(羽生田俊君) 全員でよろしゅうございますか。
#70
○薬師寺みちよ君 はい。
#71
○委員長(羽生田俊君) じゃ、山崎参考人から。
#72
○参考人(山崎泰彦君) 年金よりも医療、介護、現金給付よりもむしろ現物給付、サービスを充実させるべきだという御意見は専門家の間でも非常に多いんです。
 ただ、年金はやはり基本だと私は思っておりますので、ある一定程度の年金水準を維持しないと医療、介護そのものも機能しないというふうに思っております。ですから、無条件にもう年金は後退させていいとは私は決して思っておりません。
 以上です。
#73
○参考人(西沢和彦君) 私は、年金の中では、障害年金のお話ありましたが、あとは遺族年金なんですね。遺族年金は、例えば私、皆さん、私たちの世代で子供がいて、例えば死ぬと、かなりいい保障を受けられると思います、生命保険に比べて。ですから、遺族年金ってもっと本当は年金の中でアピールされるべきで、遺族年金、障害年金って、基礎年金、遺族年金非常に弱いですから、そういったところが重視されて、医療は、とかく国民医療費が頭に浮かびがちですけど、国民医療費の範疇に入っていない予防ですとか、ここにもっと注力した方がいいと思っていまして、妊産婦健診、予防接種、子供の健診などが国民医療費の中に入っていなくて地方自治体でやっていますけれども、これ多分交付税措置されていますけど、交付税を今度絞ればそちらの方が手薄になってしまいますので、そこも含めて見ていく必要があるかなと思います。
 あと、介護もそうです。介護もやはり予防を重視していくべきであって、給付範囲を絞る議論がありますけれども、一、二を絞っていくと今度は地方自治体に支援事業として移っていくわけですけれども、それもどういう結末になるか、まだ自治体の財政力、自治体のマンパワーもあって分からないですよね。ですから、そこは逐一、国で進捗をウオッチして見ていかなければ、とかく地方に持っていくという流れになっていますけれども、それも一理あると思いますが、帰結をちょっとウオッチしていく必要があるかなと思います。
#74
○参考人(玉木伸介君) 今の御質問に対するお答えなんですけれども、私、年金と医療、介護で一つ質が違う面があると思います。
 というのは、年金というのはお金を高齢者にお渡しして、それで生活するんですけれども、お金を使って実際に生活するというのは個々の高齢者御自身でおやりになるわけですね。ところが、医療、介護というのは必ず専門家がおりまして、病院とか介護施設という、そういう施設みたいなところがどうしてもあるわけです。とすると、お金を渡して、それでいい生活、一番有効に使うという点は個々人がもうぎりぎりのところまでおやりになっているわけですけれども、他方で、医療と介護については、たくさんの人が集まって何かやっている現場というのがあるわけでございます。私は、日本人の特性として現場の改善力は大変強いといいますか、そういう余地というものをもっともっと何かできないのかと。
 これだけテクノロジーが進んでいるのに、例えば銀行で行われている仕事の最近のテクノロジー上の変化、過去二十年取ってみて、それで介護施設とか、あるいはそういったところで起きている過去二十年の変化、同じぐらいのテンポなんでしょうか。これは、本当に何が使えるのか分かりませんけれども、もっともっと現場の改善とかいったものについてまだまだ余地が本当はあるんじゃないかなという気が非常にしますので、そこを通じた高齢者の生活水準、生活の質のトータルな底上げといったものについて英知を集めていけばいいんじゃないかなというふうには思うところでございます。
#75
○参考人(茶谷寛信君) 年金に関しては、やはり最低保障年金をつくることが第一だと思います。年金、この国は、六十歳ないし六十五歳になればこれだけ保障しますということができれば、皆さん安心して年金制度に参加してくると思います。
 医療、介護ですけれども、私は社会サービス基本法を作るべきだと思います。一万人の自治体と百万人の自治体で別々に保険制度を維持しようと思えば、リスクの分散がどんなに不公平かということは明らかだと思います。これは子供が考えても分かることです。大きければ大きいほどリスクは分散できるわけで、イギリスのNHS制度のように全国が一律の医療制度を持っておれば、全国民がリスクを分散するわけですよね。だから、国鉄が全国一律であったときは東京の電車も北海道の電車も同じ値段で乗れるということだし、郵政だってそうだったと思いますから、そういうものをつくって、払う保険と受益とが国民全て公平になるように国が調整すべきであるのが一番肝腎だと思います。
 以上でございます。
#76
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。
 さらに、もう一問、山崎参考人、西沢参考人、玉木参考人にお願いしたいと思います。
 私、今回、GPIFのガバナンス改革、これ大変重要だと思っておりますし、それを行うに当たりましても、まずGPIFの皆様方の人材育成といったものも強化していかなければならないと思います。そこにつきまして御意見いただけましたら、お願い申し上げます。
#77
○参考人(山崎泰彦君) この問題は私ほとんど関わっておりませんので、申し訳ございませんが、遠慮させていただきます。
#78
○薬師寺みちよ君 分かりました。
#79
○参考人(西沢和彦君) 私は、人材というときに、これまでのGPIFをめぐる議論を見ますと、投資理論とか投資の現場での経験を重視し過ぎだと思っているんですよね。そうでなくて、先ほど申し上げたとおり、年金財政、年金実務、あるいは年金被保険者、年金保険料を集める人たちの現場感覚というか声を知る必要があって、それを教えられるのはやっぱり高井戸の年金機構だと思うんですよね、ビジネススクールじゃなくて。ですから、ビジネススクールに通わせるんじゃなくて、まず年金機構に行って保険料集めてみろというのが非常に私、重要かなと思って、そういう視点を忘れてほしくないなと思います。
#80
○参考人(玉木伸介君) まず、私の知る範囲におきまして、現在の、あるいは私のいた頃のGPIFにおいて、何かど素人がやっているということでは全くございません。
 その上で申し上げますけれども、今、西沢さんがおっしゃったようなこととちょっと似てくるんですが、これからGPIFで求められる高度な人材のその高度の中には、公のために尽くすという意識、センス・オブ・パブリック・デューティーと言いますが、そういったものは絶対に必要でございます。したがって、マーケットで勝てる人を持ってくるという話では余りないと思います。そういう人たちは割と既にいる。
 それで、GPIFが国民の間で素朴な信認を集めることができる、百何十兆円という物すごいお金を市場で何かやるということについて国民が安心していただける、これはもう年金というのはブレーンというよりもハートの部分がございますので、このハートに働きかけられる人でないとやっぱり困るわけですね。
 そうすると、やはりその組織の文化の中に、先ほど私が申し上げたのは、もっともっと突き詰めて調査研究しようという気持ちとか、あるいはともかく国民に分かってもらうまでともかく説明しようとか、そういった気持ちを持った人、こういった人を集めるということがどうしても大事になると思います。そのためには、一番手っ取り早いのは、理事長あるいは経営委員といった役員がそういう気持ちを持つことではないかと思います。
#81
○参考人(茶谷寛信君) 私は、積立金の運用は、被保険者が過半数を占めるべきだと思います。昔、私、国家公務員だったんですけれども、国共済組合運営審議会ということがありまして、そこでよく審議に、傍聴したこともありますけれども、今は余りにも積立金の運用から被保険者が離れ過ぎています。
 現在の運用については、やはり株式投資は避けるべきだと思います、少なくとも。いきなり全部引き揚げることはできないでしょうけれども、前の水準に戻す、徐々に戻していって、やがては避けるべきだと。そして、被保険者がきちっとこの積立金に参加できるような組織に切り替えていくべきだと思います。
 以上でございます。
#82
○委員長(羽生田俊君) 薬師寺みちよ君、お時間ですので。
#83
○薬師寺みちよ君 以上で終わります。ありがとうございました。
#84
○委員長(羽生田俊君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。大変ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   正午散会
ソース: 国立国会図書館
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