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2016/10/05 第192回国会 参議院 参議院会議録情報 第192回国会 予算委員会 第1号
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2016/10/05 第192回国会 参議院

参議院会議録情報 第192回国会 予算委員会 第1号

#1
第192回国会 予算委員会 第1号
平成二十八年十月五日(水曜日)
   午前八時五十分開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         石井 準一君
    理 事         宇都 隆史君
    理 事         岡田  広君
    理 事         高橋 克法君
    理 事         二之湯武史君
    理 事         福山 哲郎君
    理 事         舟山 康江君
    理 事         竹谷とし子君
    理 事         辰巳孝太郎君
                愛知 治郎君
                青山 繁晴君
                赤池 誠章君
                朝日健太郎君
                井上 義行君
                猪口 邦子君
                大野 泰正君
                片山さつき君
                古賀友一郎君
                島村  大君
                高野光二郎君
                長峯  誠君
                羽生田 俊君
                馬場 成志君
                平野 達男君
                堀井  巌君
                三木  亨君
                三宅 伸吾君
                大塚 耕平君
                風間 直樹君
                川合 孝典君
                川田 龍平君
                長浜 博行君
                野田 国義君
                藤田 幸久君
                河野 義博君
                杉  久武君
                三浦 信祐君
                山本 香苗君
                大門実紀史君
                山下 芳生君
                浅田  均君
                片山虎之助君
                山本 太郎君
                松沢 成文君
                中山 恭子君
    ─────────────
   委員長の異動
 九月二十六日石井準一君委員長辞任につき、そ
 の補欠として山本一太君を議院において委員長
 に選任した。
    ─────────────
   委員の異動
 九月二十六日
    辞任         補欠選任
     宇都 隆史君     酒井 庸行君
     岡田  広君     山本 一太君
     大塚 耕平君     藤末 健三君
     川合 孝典君     矢田わか子君
     川田 龍平君     杉尾 秀哉君
     長浜 博行君     白  眞勲君
     野田 国義君     宮沢 由佳君
     藤田 幸久君     小西 洋之君
     河野 義博君     平木 大作君
     杉  久武君     若松 謙維君
     三浦 信祐君     宮崎  勝君
     山本 香苗君     浜田 昌良君
 九月二十七日
    辞任         補欠選任
     愛知 治郎君     中泉 松司君
     青山 繁晴君     中西  哲君
     赤池 誠章君     有村 治子君
     朝日健太郎君     足立 敏之君
     井上 義行君     中西 健治君
     猪口 邦子君     吉川ゆうみ君
     大野 泰正君     上野 通子君
     片山さつき君     こやり隆史君
     島村  大君    三原じゅん子君
     高野光二郎君     長谷川 岳君
     高橋 克法君     柘植 芳文君
     二之湯武史君     太田 房江君
     羽生田 俊君     二之湯 智君
     馬場 成志君     山田  宏君
     平野 達男君     元榮太一郎君
     堀井  巌君     山田 修路君
     三木  亨君     渡邉 美樹君
 九月二十八日
    辞任         補欠選任
     足立 敏之君     朝日健太郎君
     柘植 芳文君     高橋 克法君
     中西  哲君     青山 繁晴君
 十月四日
    辞任         補欠選任
     高橋 克法君     愛知 治郎君
     白  眞勲君     蓮   舫君
     山下 芳生君     武田 良介君
     片山虎之助君     藤巻 健史君
 十月五日
    辞任         補欠選任
     蓮   舫君     白  眞勲君
     武田 良介君     山添  拓君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 一太君
    理 事
                石井 準一君
                中泉 松司君
                二之湯 智君
                長谷川 岳君
               三原じゅん子君
                福山 哲郎君
                舟山 康江君
                竹谷とし子君
                辰巳孝太郎君
    委 員
                愛知 治郎君
                青山 繁晴君
                朝日健太郎君
                有村 治子君
                上野 通子君
                太田 房江君
                こやり隆史君
                古賀友一郎君
                酒井 庸行君
                中西 健治君
                長峯  誠君
                三宅 伸吾君
                元榮太一郎君
                山田 修路君
                山田  宏君
                吉川ゆうみ君
                渡邉 美樹君
                風間 直樹君
                小西 洋之君
                杉尾 秀哉君
                白  眞勲君
                藤末 健三君
                宮沢 由佳君
                矢田わか子君
                蓮   舫君
                浜田 昌良君
                平木 大作君
                宮崎  勝君
                若松 謙維君
                大門実紀史君
                武田 良介君
                山添  拓君
                浅田  均君
                山本 太郎君
                松沢 成文君
                中山 恭子君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       財務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        麻生 太郎君
       総務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(マイナ
       ンバー制度))  高市 早苗君
       法務大臣     金田 勝年君
       外務大臣     岸田 文雄君
       文部科学大臣
       国務大臣     松野 博一君
       厚生労働大臣   塩崎 恭久君
       農林水産大臣   山本 有二君
       経済産業大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       損害賠償・廃炉
       等支援機構))  世耕 弘成君
       国土交通大臣
       国務大臣     石井 啓一君
       環境大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       防災))     山本 公一君
       防衛大臣     稲田 朋美君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 菅  義偉君
       国務大臣
       (復興大臣)   今村 雅弘君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (内閣府特命担
       当大臣(消費者
       及び食品安全、
       防災))     松本  純君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(少子化
       対策、男女共同
       参画))     加藤 勝信君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(経済財
       政政策))    石原 伸晃君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(沖縄及
       び北方対策、ク
       ールジャパン戦
       略、知的財産戦
       略、科学技術政
       策、宇宙政策)
       )        鶴保 庸介君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(規制改
       革、地方創生)
       )        山本 幸三君
       国務大臣     丸川 珠代君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  野上浩太郎君
   副大臣
       財務副大臣    大塚  拓君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  横畠 裕介君
       原子力規制委員
       会委員長     田中 俊一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 亮治君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       澁谷 和久君
       内閣府大臣官房
       審議官      山本 哲也君
       内閣府政策統括
       官        加藤 久喜君
       内閣府国際平和
       協力本部事務局
       長        宮島 昭夫君
       総務省自治行政
       局選挙部長    大泉 淳一君
       法務省民事局長  小川 秀樹君
       厚生労働省職業
       安定局長     生田 正之君
       海上保安庁長官  中島  敏君
       防衛大臣官房長  豊田  硬君
       防衛省防衛政策
       局長       前田  哲君
       防衛省人事教育
       局長       鈴木 良之君
       防衛省統合幕僚
       監部総括官    辰己 昌良君
   参考人
       日本銀行総裁   黒田 東彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国政調査に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○平成二十八年度一般会計補正予算(第2号)(
 内閣提出、衆議院送付)
○平成二十八年度特別会計補正予算(特第2号)
 (内閣提出、衆議院送付)
○平成二十八年度政府関係機関補正予算(機第1
 号)(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(山本一太君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 この際、一言御挨拶を申し上げます。
 去る九月二十六日の本会議におきまして、皆様方の御推挙により予算委員長の重責を担うことになりました山本一太でございます。
 当委員会の運営につきましては、公正中立を旨といたしまして円滑に進めてまいりたいと存じます。
 何とぞ、皆様方の御指導、御協力を賜りますよう、よろしくお願いをいたします。(拍手)
    ─────────────
#3
○委員長(山本一太君) まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が五名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山本一太君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に二之湯智君、石井準一君、三原じゅん子君、長谷川岳君及び中泉松司君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(山本一太君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、予算の執行状況に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(山本一太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(山本一太君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成二十八年度第二次補正予算三案審査のため、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(山本一太君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────
#9
○委員長(山本一太君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成二十八年度第二次補正予算三案審査のため、必要に応じ日本銀行総裁黒田東彦君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(山本一太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#11
○委員長(山本一太君) 平成二十八年度第二次補正予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。
 本日及び明六日の質疑は総括質疑方式で行い、質疑割当て時間の総計は三百三十一分とし、各会派への割当て時間は、自由民主党百七分、民進党・新緑風会八十八分、公明党四十分、日本共産党三十六分、日本維新の会二十四分、希望の会(生活・社民)十二分、無所属クラブ十二分、日本のこころ十二分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。
    ─────────────
#12
○委員長(山本一太君) 平成二十八年度一般会計補正予算(第2号)、平成二十八年度特別会計補正予算(特第2号)、平成二十八年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。財務大臣麻生太郎君。
#13
○国務大臣(麻生太郎君) 平成二十八年度第二次補正予算の大要につきましては、既に、本会議において申し述べたところでありますが、予算委員会での御審議をお願いするに当たり、改めて御説明させていただきます。
 最初に、一般会計予算の補正について申し上げます。
 本補正予算につきましては、総額四兆一千百四十三億円の歳出追加を行うことといたしております。その内容としては、未来への投資を実現する経済対策に基づき、一億総活躍社会の実現の加速に係る経費に七千百十九億円、二十一世紀型インフラ整備に係る経費に一兆四千五十六億円、英国のEU離脱に伴う不安定性などのリスクへの対応並びに中小企業・小規模事業者及び地方の支援に係る経費に四千三百七億円、熊本地震や東日本大震災からの復興や安全・安心、防災対応の強化に係る経費に一兆四千三百八十九億円を計上いたしております。また、東日本大震災復興特別会計への繰入れとして一千二百七十二億円を計上いたしております。
 その財源につきましては、歳出面において、既定経費を八千二百七十五億円減額することといたしております。また、歳入面につきましては、税外収入で二千八百四十四億円の増収を見込むほか、前年度剰余金を二千五百二十五億円計上いたしております。これに加えて、建設公債を二兆七千五百億円発行することといたしております。
 この結果、平成二十八年度一般会計第二次補正後予算の総額は、一般会計第一次補正後予算に対して歳入歳出共に三兆二千八百六十九億円増加し、百兆八十七億円となります。
 また、特別会計予算等につきましても所要の補正を行うことといたしております。このうち東日本大震災復興特別会計につきましては、歳出面において、復興関係経費及び復興債の償還費の追加等を行うことといたしております。一方、歳入面では、一般会計からの繰入れ等を計上いたしており、歳入歳出共に三千二百十六億円の増加となっております。
 財政投融資計画につきましては、本経済対策を踏まえ、現下の低金利状況を生かし、インフラ整備に対する超長期の資金供給等を行うため、三兆六千二十二億円を追加いたしております。
 以上、平成二十八年度第二次補正予算の大要につきまして御説明をいたしました。
 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようよろしくお願いを申し上げます。
#14
○委員長(山本一太君) 以上で平成二十八年度第二次補正予算三案の趣旨説明は終了いたしました。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#15
○委員長(山本一太君) 速記を起こしてください。
 これより質疑に入ります。蓮舫君。
#16
○蓮舫君 おはようございます。民進党の蓮舫です。
 総理、今日はまず北方領土についてお伺いいたします。
 総理は、先月、ロシア政府主催のフォーラムでの講演で、この異常な事態に終止符を打つと発言をされました。戦後七十年間、平和条約が締結されていない異常な事態を打開したいというその強い姿勢は評価をするし、政府として是非頑張っていただきたいと思いますが、一点確認をさせてください。
 四島の帰属問題を解決することは平和条約締結の必須条件であるというこれまでの政府の方針は守られますか。
#17
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 四島の帰属問題を解決をして、そして平和条約を締結をするという政府の方針に変わりはございません。
#18
○蓮舫君 岸田外務大臣が衆議院の予算委員会で珍しく言葉が明確ではありませんでした。前原誠司代議士の質問に対して、日本への帰属を含め、四島の帰属を明らかにすると、これ曖昧な答弁なんですが、今の総理の発言とそごはありませんか。
#19
○国務大臣(岸田文雄君) まず、北方領土は我が国固有の領土であるということ、これは全く変わりはありません。
 その上で、我が国の方針、今総理からお答えさせていただきましたように、四島のこの帰属の問題を解決して平和条約を締結する、こうした方針であります。よって、我が国としましては、北方四島、これは日本の固有の領土であるという立場に立って北方四島の日本への帰属を求めていく、こうした方針であるということであります。
 今の総理の発言と全く一致していると考えています。
#20
○蓮舫君 総理、確認なんですが、二島の返還、二島の帰属問題の解決のみで平和条約の締結は行わないという認識でよろしいでしょうか。
#21
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今外務大臣がお答えをさせていただきましたように、北方四島は我が国固有の領土である、そして、我々は四島の帰属の問題を解決をして平和条約を締結をする、これが基本姿勢でございます。そして、その基本姿勢の下にこれから交渉を進めていくということでございます。
#22
○蓮舫君 是非その基本姿勢を堅持していただきたいと思います。我が国固有の領土でありますから、まずは四島の帰属問題を解決して、そして平和条約を締結する、この方針は堅持していただきたいと思います。
 ところで、最近なんですけれども、自民党の中から解散に関する発言が相次いでいます。中には、区割りの前にという不見識な発言もあるんですが、外交問題で前に進めて解散という臆測も流れているんですが、これは私の考え方です、総理の専権事項ですから口は出しませんけれども、外交問題を争点にする解散・総選挙というのは私は違和感があるんですが、総理はどうお考えでしょうか。
#23
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いずれにいたしましても、現在、解散については全く考えていないということ、そもそも全く考えていないということでございます。
#24
○蓮舫君 外交を争点にするということは違和感があるんですが、総理はいかがですか。
#25
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 解散については現在全く考えていないわけでございますが、解散につきましてはそのときそのときに適切に判断をしたいと、このように考えております。
#26
○蓮舫君 次に、憲法改正について総理のお考えを伺いたいんです。
 自民党の党是として改正をするという答弁、これまでも何度も拝聴してまいりました。その上で、総理の認識としては、今の憲法はどこに問題があって、自民党の憲法草案によってどうやって解決されるというお考えなのか、聞かせていただけますか。
#27
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自民党が立党した際に、憲法については、そもそもこの憲法自体の成立した過程そのものの問題点、そしてまた時を経ているということについて新しい課題もあるだろうと。そして、現在においては、言わば憲法が成立をして随分時を経たわけでありまして、今日的な課題の観点からも憲法を改正する必要があるだろうと、このように考えているわけでございまして、基本的に我が党はもう既に憲法改正草案をお示しをしておりまして、なぜ改正するかということにつきましても解説でお示しをしているとおりでございます。
#28
○蓮舫君 私たちは、二〇〇五年に憲法提言をまとめたときに、新しい憲法は五つの基本目標を達成するものでなければならないとしました。国民主権国家、普遍的な人権の保障、平和創造国家、国の統治機構の確立と分権国家の創出、そして日本の伝統と文化の尊重とその可能性の追求、あわせて、個人、家族、コミュニティー、国家、国際社会、こうした適切な関係を樹立して重層的な共同体的価値意識の形成を推進すること、これが私たちの考えなんですが、我々のこうした考え、目を通されたことがあるか、このことについて総理はどのようにお感じになるか、教えてください。
#29
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、繰り返しになりますが、衆議院でも議論をさせていただいたんですが、今私ここに立っておりますのは、行政府の長として、また内閣総理大臣としてここに立っているわけでございます。
 自民党の総裁の立場としては、既にこの憲法改正草案が、これは谷垣総裁当時に自民党で議論を重ねた末取りまとめられたわけでございますが、自民党に対しましては総裁として、この草案の下にまとまってしっかりと憲法審査会において議論してもらいたいということは話をしておりますが、今ここに立っておりますのは内閣総理大臣として立っておりますので、この憲法の中身について議論する立場にはないんだろうと、こう考えている次第でございます。
 再三申し上げておりますように、これは内閣の言わば閣法として憲法改正草案を提出をする立場ではなくて、まさに参議院そして衆議院において、それぞれの憲法調査会において、院において御議論をし、そして三分の二が形成されれば発議をしていただきたいと、こういう考え方でございます。
 ちなみに、自民党におきましては、国民主権、そして基本的人権の尊重、平和主義、この三つの考え方、現行憲法の持っているこの三つの考え方については変わりがないということでございます。
#30
○蓮舫君 両院の憲法審査会では話せるけれども予算委員会で話せないというのは、何に根拠を持っているんですか。
#31
○内閣総理大臣(安倍晋三君) つまり、憲法審査会はなぜつくられたかということでございますが、まさに憲法を審議する場において、これはつくられたわけでございます。
 私は、ここに立っておりますのは、行政府の長として、今回政府として提出をした補正予算、そして、あるいはまたこの補正予算に関わる法案等々についてここで答弁をする義務を果たしていくわけでございまして、憲法につきましてはまさに国会において議論をしていく、衆議院、参議院で発議をする、責任と誇りを持って発議をされるわけでありますから、憲法審査会において御議論をしていただくことがふさわしいと、こう考えているわけであります。(発言する者あり)
#32
○委員長(山本一太君) 総理、もう一度御答弁をお願いします。
#33
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 行政府としての役割として、行政府として憲法の改正草案を提出をするのではないわけでありますから、まさにそのために憲法審査会ができて、そこでそれぞれ各党の、あるいは各議員がそこで見識を披露し合うということであるということでございます。
#34
○蓮舫君 私が聞いているのは単純です。なぜ予算委員会で憲法の審議をしないとおっしゃるんですか。
#35
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 審議をする場は、審議をする場はまさに憲法調査会であろうと。そこでまずは党同士が、党同士が議論を交わす。
 これは、言わば党の皆様から、議員の皆様から政府の予算あるいは法案についての質問に対して答えていくここは場所であろうと。特に今回は補正予算について議論をするわけでございますから、そこにおいて私はまさに答弁をする義務を負っているわけでありますが、憲法審査会という場があるわけでありますから、そこでしっかりと御議論をいただく。これは、国会のそれぞれの誇りを持って議論をしていただきたいと、こう思う次第でございます。
#36
○蓮舫君 総理、ここは立法府です。立法府にはルールがあり、先人たちが積み重ねてきた先例録があります。参議院の先例録、予算委員会の総括質疑は、国政全般にわたり総括的な問題について政府の統一的見解をただすものであります。先例録。委員は、議題について、自由に質疑し、意見を述べることができる、自由に質疑ができる。
 何で行政府の長が立法府のこのルールを勝手に変えて指示ができるんですか。
#37
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今読まれたように政府の統一的な見解を述べる場所であって、政府の統一的な見解について、自民党の草案について述べることはできないわけでございます。
 ですから、今、政府の統一的な見解を問うというふうにおっしゃられましたから、まさに政府の統一的な見解として、政府案として出しているんであれば述べることはできますが、私は行政府の長として立っている以上、自民党草案についての個々具体的な逐条的な解説ということをするのは適切ではないと、このように述べたところでございました。
#38
○蓮舫君 自由に質疑し、意見を述べることができる。
 総理のお考えを伺います。じゃ、総理の考え方として憲法の中に家族を位置付けるのは適切だとお考えですか。
#39
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自由に議論することはできるわけでありまして、この自由な議論を私は制約をしているのではなくて、私は答える立場にないということを申し上げているわけでございます。
 そこで、家族については、これはまさに社会の基礎を成す基盤と言ってもいいと思います。個人の生活のベースとなる大切なものでありますが、社会の変化に伴い家族の在り方も多様化しているわけであります。この言わば社会の基礎を成す重要なことは一つの固まりと言えるわけでありますが、それについて言わば憲法についてどのような位置付けをするかというのは議論されてしかるべきであろうと、このように考えております。
#40
○蓮舫君 現行憲法と自民党の憲法草案なんですが、(資料提示)これ、自民党では新たに一項を新設、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。」。助け合わなければならない、これを憲法に規定をするというのは具体的にどういう意味合いなんでしょうか。
#41
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさにそれは我が党の憲法改正草案について触れておられるわけでございまして、今私がここに立っておりますのはまさに行政府の長として立っておりますから、言わば現行憲法について、現行憲法と例えば我が党が出そうとしている法案との関係についてはもちろんこれは答弁をしなければいけない義務があるわけでありますし、現行憲法についての遵守義務がありますから、それは議論する、答弁しなければいけない立場にありますが、そこで我が党の草案について逐条的にお答えするこれは行政府の長としては立場にはないということを申し上げているところでございます。
#42
○蓮舫君 いや、逃げないでいただきたいんですが。
 逐条でいえば、何で「のみ」を取ったのか、何で「配偶者の選択」を取った、細かいことを聞きたいですよ。でも、私は、何で家族を憲法にあえて入れたんですかと聞いているんです。
#43
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさにそういう、この逐条的と言ってもいいんだと思いますよ。それは、我が党は家族について憲法の中に、我が党の草案の中には入っているわけでございますが、そういうことについて、なぜ入っているのか、どういう必要性があるのかという解説についてはもう既に我が党はお示しをしているわけでありますが、その議論そのものについては、私は本来議論する場は憲法審査会で、この議論をぶつける場であろうと。私は、ここで自民党の憲法改正草案についてそれを解説する立場にはないということでございます。
#44
○蓮舫君 なぜ私が心配しているかというと、かつて明治民法では家族の基本は家制度でした。妻と夫というのは相当不平等な扱いでした。それが憲法二十四条によって夫婦は同等の権利を有することを基本と規定をされました。一九四七年の民法改正によって家制度が廃止をされました。そこでようやく男女平等が徹底されたんです。妻の無能力規定、父母の共同親権、妻の相続権、離婚時の財産分与権利の新設。現行憲法二十四条にある個人の尊厳と本質的平等に立脚して制定してきたこの男女平等の歴史、そこにあえて家族を新設するということは、むしろ昔の時代に戻るんではないかという懸念を覚えているんです。それについてはいかがでしょうか。
#45
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど答弁させていただきましたが、この改正草案については自民党の草案とともに解説が出されているわけでございまして、その解説の中で我が党の考え方について述べているわけでありますが、家族については、先ほど申し上げましたように、社会の基礎を成す固まりであり、個人の生活のベースとなる大切なものでありますが、これは社会の変化に伴い家族の在り方も多様化しているのは事実であります。
 これからの家族は、子育てや介護など多様なライフスタイルの下で誰もがその能力を存分に発揮できるような関係としてあり続けることが望ましいというふうに考えているわけでございますが、その中において我が党で議論を重ねた上お示しをしているのが現在の草案でございまして、この草案がいいか悪いか、正しいかどうか、実際この草案を国民投票に付すかどうかということについては、これは憲法審査会において御議論していただくのがふさわしいんだろうと、こう思っているわけでございますし、そもそもまだ憲法審査会に何を付すかということもまだ決まっていないということであろうと思います。
#46
○蓮舫君 憲法審査会と何度も言っていますけれども、憲法審査会を止めていたのは与党じゃないですか。衆議院でも参議院でも、その審議を止めていたのは与党ですよ。
 自分たちで自ら審査会を止めておいて、都合が悪いときには予算で答えられなくて、憲法審査会でそれは審議してくれと。ダブルスタンダードじゃないですか。
#47
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは与党が止めていたかどうかということも含めて、それは各委員会がお決めになることでありまして、行政府の長である私が口出しをすることではないだろうと、このように思います。
#48
○蓮舫君 総理、その答弁恥ずかしくないですか。審議しましょうよ。逐条じゃない。家族を入れるのは何でですか。解説を読んでくれ。解説はもう読んだ上で聞いています。
#49
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 解説を読んでおられるのであればそのとおりだろうと、こう思うわけでございます。
#50
○蓮舫君 今、夫婦と未婚の子供の世帯と、一人世帯の割合ってどうなっていますか。
#51
○国務大臣(塩崎恭久君) 国民生活基礎調査によりますと、平成二十七年の単身世帯数、これは一千三百五十一万七千世帯、そして全世帯に占める割合は二六・八%。本調査開始、これは昭和六十一年でありますけれども、以降増加傾向にございます。
 それから、平成二十七年の夫婦と未婚の子のみの世帯数は千四百八十二万世帯、全世帯に占める割合は二九・四%でございまして、本調査開始以降減少傾向でございます。
 一方、婚姻数を見ますと、六十三万五千百五十六組となっておりまして、年次推移を見ますと、昭和四十七年の百九万九千九百八十四組をピークとしてその後減少するものの、昭和六十二年を底に再び増加に転じまして、平成五年から十年程度横ばいの後、平成十六年以降は減少傾向でございます。
 離婚数についても申し上げましょうか。これについて申し上げますと、二十二万六千二百十五組となっております、これは二十七年の離婚数でありますが、年次推移を見ますと、昭和三十九年以降毎年増加していたが、昭和五十九年から減少しておりまして、平成に入って再び増加傾向にありまして、平成十四年をピークに減少傾向にございます。
#52
○蓮舫君 大臣、聞いていないことも先に答えていただいてありがとうございました。
 今おっしゃられたように、増えているのは一人、単身世帯二六・八%。夫婦と未婚の子供世帯二九・四と今もうほぼ並んでいるんですね。結婚が約六十四万組に対して離婚が約二十三万組、三組に一人が離婚。つまり、その多様な生き方が今本当に進んでいます。
 その中で、私、重んじるべきは立憲主義の本質でもありますやはり個人の尊重だと思うんですけれども、総理はそのことはどうお考えでしょうか。
#53
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 個人の尊重についてはそのとおりだろうと思います。一方、我が党としては、家族の価値の重要性についての認識を示しているところだろうと、このように思います。
#54
○蓮舫君 家族の価値とか重要性は大事です。私もそれは否定していません。支え合うし、助け合うし、その基礎的単位だとは思っているんですが、これは道徳的概念です。あえて国民が権力を縛る憲法に、国民に義務を課すものではないと、改めてこれは言わせていただきます。
 なぜ憲法にこの義務規定を載せるのに私は違和感を覚えるかというと、家族が支え合うべきと規定することによって、これまで国家が担ってきた社会福祉であるとかあるいは公的扶助、それを家族でやれと、そういう流れになるんではないかと心配しているんですが、いかがですか。
#55
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば我々が進めてきた介護保険制度というのも、まさにこれ我が党が与党時代に、あるいは与党時代というか、かつての自公政権のときにスタートしたものでございます。当時、私は自民党の社会保障の責任者でありましたが、まさにそうした形でしっかりと社会で支え合う、自助、公助、共助の中において支え合うこの日本をつくっていくということでございます。それについては全く変わりがないということでございます。
#56
○蓮舫君 総理が掲げる介護離職ゼロには賛成します。これはいい方向だと思うんですが、実際に行っているのが真逆だと懸念しているんです。
 なぜ去年、介護報酬過去最大の大幅引下げを行ったんですか。
#57
○国務大臣(塩崎恭久君) 昨年四月の介護報酬改定では、まず事業者の安定的な経営に配慮をしながら適正化もする、そして介護職員の確保を図るために処遇改善加算を拡充をし、そしてまた要介護度の重い方を受け入れる場合の加算というものを設けて、そして全体として質の高いサービスを提供する事業者に手厚い報酬を支払うというめり張りの利いた改定を行ったというふうに理解をしております。
 介護事業所の状況につきましては、介護報酬改定後も介護報酬の請求事業所数は安定的に増加をしておりまして、現在この介護サービスが安定的に提供されて利用されているものと考えておりまして、前回の介護報酬改定が介護離職ゼロに反するという御指摘は当たっていないのではないかというふうに考えております。
 もちろん、この介護人材につきましては、私どもは技能や経験に応じた給料アップの仕組みを構築するなど処遇の改善に取り組むこととしております。そのために、予算措置については、本年八月の経済対策に基づいて来年度当初予算に計上して、かつ継続して実施することとしておりまして、アベノミクスの果実の活用を含めて財源を確保し優先して実施していこうということでございますので、介護離職ゼロを目指すことについて総合的にアプローチをしていくということでございます。
#58
○蓮舫君 いや、大臣、めり張りが利き過ぎて事業所が立ち行かなくなっているんです。介護報酬引き下げたら事業者の収入大幅減につながるじゃないですか。そのことによって、もうこれ以上、これ以上コストを削減できないから人の手当てを削減せざるを得ない、そうしたら働く人がいなくなるんですよ。箱があっても人がいなかったらサービス提供できないじゃないですか。サービス提供できないとどうなるか。受けていた人たちが居場所がなくなるんじゃないですか。
#59
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、この請求事業所数というのは、言わば介護サービスを、提供をきちっとしているということに応じて請求がなされてくるわけでありまして、それが安定的に増えているということを見てみれば、今お話しのように、めり張りを付ける介護報酬の改定を行ってできる限りニーズに合った形でこの介護サービスを提供していくということで、それに応じて請求事業所が増えているということは、こういった面でニーズがある方々にとってきちっとしたサービスが提供されているものだというふうに思っております。
#60
○蓮舫君 いやいや、これは東京商工リサーチの調査なんですが、今年一月から八月までの老人福祉・介護事業の倒産件数、過去最高のペースです。
 あるいは、こうした介護報酬大幅引下げと併せて去年法改正を行いまして、特別養護老人ホームには要介護三以上の方しか新規で入れなくなりました。確かにこれによって入所待ちは緩和をしたんですけれども、新たに入れなくなった要介護一、二の人たち、どこに行くことになったか。家に戻るしかなくなったんじゃないですか。
#61
○国務大臣(塩崎恭久君) 御案内のように、今私どもは地域包括ケアシステムを構築をするという大きな方向性を持って医療も介護も共に考え直しを今しているわけで、地域力を強める中でそういうことをやっているわけでありまして、今お話しの要介護度三以上が基本的に優先的に特別養護老人ホームに入るということについては、やはり重点化を図っていくということが大事であって、今おっしゃったように入れなくなって追い出すとかいう、そんな発想では全くなく、この特別養護老人ホームについてはやはり重点的に要介護度の重い方々をお世話をしていくということで、その他についてそのほかにも様々な選択肢があり得るわけでありますので、そういうところで全体としてきちっとニーズを満たしていくということを図っていくことが大事だというふうに考えております。
#62
○蓮舫君 いや、実際に行き場所がなくなっている御高齢者がいる現実には向き合っていただきたいと思います。
 あるいは、あわせて、今省内で今度は生活援助サービス自己負担一〇〇%、一割を一〇〇%にする、あるいは介護レンタル用品に対してもこれ全額自己負担にするという方向で審議がされているといいますが、総理、こういうのを併せて考えると、とてもじゃないけど介護切捨てであって、介護離職ゼロと逆行していると思うんですが、いかがでしょうか。
#63
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま塩崎大臣から答弁をさせていただいたわけでございますが、まさにめり張りを付けながらやっているということでございまして、例えば先ほどの要介護三でありますが、要介護三以上でなければということに確かにさせていただきましたが、これはしかし、どうしてもやむを得ない事情のある方は一、二でもそれは残れるようにはなっているわけでありまして、何人たりとも駄目だということではもちろんなくて、なるべく重度の方を入りやすくしつつ、しかし一、二でも特別な事情のある方については残っていただけるということにしているわけでございまして、また、介護事業所の、これは先ほど大臣から既に答弁をさせていただいておりますが、確かにこれは閉める、閉めるところもあるんだろうと思います。そういう実態調査はちゃんとしなければいけませんが、一方、請求事業所数は一万件以上増えているのはこれは事実でございますから、そこのところも見ていただきたいと、こう思うところでございます。
 いずれにいたしましても、今、要介護につきましてしっかりと今検討を、専門家の皆さんが集まってどのようなこれは改定を行っていくか検討していただいているところでございますので、この検討結果を待ちたいと、こう思っているところでございます。
#64
○蓮舫君 介護離職ゼロにするということは、家で、家で介護の面倒を見ない、そういう環境を整えなければいけないということは、やっぱり事業所であり施設を、ここを重層的に支援していくことに尽きる。私たちは、そこで、箱よりも人だと、介護職員の関係者の給与が余りにも低いから、ここを手当てすることによってサービスの充実につなげて、安心して預けられる、そういう環境を整える方が先だと思っているんですが、残念ながら、これずっと法案を出して提案し続けていますけれども、与党から一顧だにされていません。改めてここは、これからも法案を出し続けますので、是非ここは議論をさせていただきたいと思います。
 あわせて、介護と同じく、今度は育児なんですが、総理、これ少子化なのにどうして待機児童は減らないんでしょうか。
#65
○国務大臣(塩崎恭久君) 御案内のように、私ども安倍内閣になってこの三年余り、民主党時代に比べても二・五倍ぐらいのペースでこの受皿を整備をしてまいっております。三年間で三十一・四万人分の受皿を用意をしてまいりまして、年間約四万人増であった民主党時代のペースに比べれば十一万人増ですから、年平均で、そういうような形で増やしております。
 しかし一方で、働く方々の女性が増えてきているということもございますし、そしてまた、もちろん待機児童解消ができているところもたくさんございますけれども、一方で、その申込みが増えているということも今お話し申し上げたような理由でも増えているわけでありますので、これについては残念ながらまだ増えているのが待機児童の現状でございます。
 しかし、今申し上げたように、それは都市部に集中をしてきておりまして、その他のところではかなり解消は進んできておりますので、私どもとしては、例えば大規模なマンション開発に伴う若年層の人口が増えるというような中で保育需要が増えて整備量が追い付かなかった二百三十二の市区町村でこれを集中的にやはりやろうということで、この間も、厚生労働省に市区町村長の中でかなり今回待機児童が増えているというところにおいでをいただいて直接御意見を伺って、これは厚生労働省と基礎自治体とが一体となって待機児童の解消を目指して頑張っていこうということで、いろいろな知恵を出し合っているということでございます。
#66
○蓮舫君 いや、関係者から直接話を聞くことをそんな誇らないでくださいよ。当たり前じゃないですか。
 それと、都内で待機児童解消が出てきている、聞いたことありません。どこですか。
#67
○国務大臣(塩崎恭久君) いや、私は都内でとは申し上げておりませんで、都市部で集中的に待機児童が増えているところがまだ残っているということを申し上げているわけで、その他のところでは、それぞれの努力もあり、また国の政策もあって、これは百九十三の市区町村で待機児童が減少して、全体の八割、千三百五十五の市区町村では待機児童がゼロというふうになっているわけですが、さっき申し上げたとおり、大規模なマンション開発などがどんどんできてしまっている市区町村では、二百三十二の市区町村では待機児童が増加しているということでありますので、それぞれどういう事情なのかということをよく見ながらその対処をしていこうということでございます。
#68
○蓮舫君 安倍総理、今の厚労大臣の御説明を聞いて、私たちと違うのは、これ、総理も御努力されていることはよく分かるんですけれども、保育所の受皿整備を急がせている、五十万人受皿を増やすと、これ、総理も何度も言っています。
 箱を増やすことは大切だし否定はしませんけれども、今の最大の問題は、その箱で、保育所で働く人がいないんです。決定的に不足をしているんです。だから、広さがあっても、箱があっても、子供を預かれない。子供を預けられないということは、子供を産んだ女性にとってどうか。仕事を辞めるしかないんですよ、諦めるしかないんです、家で育児をするしかないんです。子供は育っていくからまだ待ってくれということがなかなか難しいんですね。
 是非これは、箱の整備の加速化だけではなくて、人の支援、ここに重点を置いていただきたいと提案しますが、いかがですか。
#69
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは全くおっしゃるとおりだと思います。しかし、これ箱も人も両方とも整備をしなければいけないわけでございまして、箱の方につきましては、先ほど塩崎大臣から答弁をさせていただいた、我々は三年間で三十一万四千人の保育の受皿を整備をしてきたわけでありまして、これは民主党政権時代の二・五倍のペースで進めてきたのは事実でございます。
 その結果、残念ながら、全国で見るとこれ増えているのは事実でありますが、しかし同時に、市区町村が積極的な受皿拡大を国と一緒に進めてきた結果、百九十三の市区町村、これは全体の八割に当たるわけでありますが、市区町村では、その千三百五十五の市区町村では待機児童がゼロになったわけであります、全体の八割で。減少している、そして千三百五十五でゼロになったのは事実でございますが、しかし、東京を中心に大規模なマンションが次々と出ていくという、集中的に増えてきたというところがございます。また、働く女性が増えたのも事実でございます。
 そこで、保育の人材をしっかりと確保していくと、保育人材を確保していくことは重要だと、こう思っておりますし、また、高い使命感と希望を持って保育の道を選んだ方々に、仕事を続けていくためにも、処遇を改善するだけではなくて、保育士資格を持つ方の就職支援や事務負担の軽減による離職の防止などにも総合的に取り組む必要があると、こう思っています。
 安倍政権におきましても、保育士の処遇については二・八五%を政権交代直後に改善をいたしました。以後、毎年度の改善に取り組み、これまで七%改善をしてきたところでございまして、我々、保育士の給与は民主党政権時代にこれ減少傾向にあったんですが、これを上昇に変えたわけでございます。
 さらに、来年度は二%相当の処遇改善を行うとともに、保育士としての技能、経験を積んだ職員について四万円程度の追加的な処遇改善を実施することとしておりまして、継続して実施できるように予算編成過程でしっかりと検討していきたい、こう思っている次第でございます。
#70
○蓮舫君 全産業平均に比べたら、保育士さんの給料ってやっぱり十一万ぐらい安いんですね、月。今総理がおっしゃった二%の加算って六千円ですから、この六千円給与アップする、それも大切なことだと思いますけれども、これだけではやっぱり私は早期な解決にはつながらないと思っていますので、我々も法案を提案しています、財源も含めてしっかり議論をしたいと思います。
 総理、これ原因は、やっぱり財源をどうするか。財源があれば、これは総理は子育て支援も前に進めていきたいという思いは共有していただけますか。
#71
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これはまさに財源が大切であって、財源を確保していかに保育士の待遇を改善をしていくかということだろうと。御党も政権を担当されたわけでございますから、いかにこの待遇を改善すること、財源を確保して待遇を改善することが難しいかということは経験をしておられるんだろうと思います。我々もこの財源をどのように確保するかということについて議論していくことが正しいであろうと、このように思います。
#72
○蓮舫君 今の考え方、稲田大臣も同じですか。
#73
○国務大臣(稲田朋美君) 所管外のことでございますので答弁は差し控えさせていただきますが、財源を確保してそして政策を行っていく、これは当然のことだと思っております。
#74
○蓮舫君 資料に付けさせていただきましたが、平成二十三年三月の「正論」という雑誌で稲田大臣は子育て予算と防衛予算について何と発言されていますか、教えてください。
#75
○国務大臣(稲田朋美君) 資料を提出をいただいているこの「正論」、これは、私が野党時代に、そして民主党が政権を取っている時代に、安全保障、防衛等の危機感を持って、対談の中の一部でございますので、その一部のみを、そして個人的見解をこの場で述べることは差し控えさせていただきます。(発言する者あり)
#76
○委員長(山本一太君) 稲田防衛大臣。
#77
○国務大臣(稲田朋美君) 当時の民主党政権……(発言する者あり)関係あるんです。日本列島は日本人だけのものではないと言う方が総理大臣になられ、辺野古について最低でも県外、国外と言われ、大混乱をし、そしてこの対談をする数か月前には尖閣で中国の公船が衝突をして大混乱になっている中で、私は……(発言する者あり)
#78
○委員長(山本一太君) 静粛に願います。答弁中です。
#79
○国務大臣(稲田朋美君) 私は、その当時の民主党政権の安全保障、防衛に対して大変危機感を持って、その点についてここで指摘をさせていただいているわけでございます。(発言する者あり)
#80
○委員長(山本一太君) 稲田防衛大臣。
#81
○国務大臣(稲田朋美君) そういった野党時代、しかも民主党政権の安全保障、防衛に関する状況について大変危機感を持って、このままでは日本は潰れてしまうのではないかという、そういった中において、私は、財源のない子ども手当を付けるぐらいであれば軍事費を増やすべきではないかということを申し上げたわけであります。(発言する者あり)
#82
○委員長(山本一太君) 稲田防衛大臣。
#83
○国務大臣(稲田朋美君) 先ほど御答弁申し上げましたように、そういった状況の中で、子ども手当を付けるのであれば防衛予算を増額すべきではないかということをこの場で指摘をしているということでございます。
#84
○蓮舫君 私は、今の防衛大臣の答弁のその姿勢に危機感を覚えます。
 あなたが当時、個人の判断として言った発言、今の総理の予算の姿勢と真逆なんですね。何と発言したのか、まず読んでもらえますか。
#85
○国務大臣(稲田朋美君) 要点は今述べたとおりでありまして、私は、この長い対談の中でこの部分だけを読むことは誤解を与え、適当ではないと考えております。(発言する者あり)
#86
○委員長(山本一太君) 稲田防衛大臣。
#87
○国務大臣(稲田朋美君) この資料を全て読みますか。どこを読むんでしょうか。(発言する者あり)
 この資料の中の括弧部分だけを、では読み上げさせていただきます。
 今、防衛費は約四兆六千八百億円、二十二年度予算で、GDPの一%以下です。民主党が平成二十一年衆議院で約束した子ども手当の満額に掛かる約五兆五千億よりも少ない。この子ども手当分を防衛費にそっくり回せば、軍事費の国際水準に近づきます。自分の国を自分で守ることを選ぶのか、子ども手当を選ぶのかという、国民に分かりやすい議論をすべきでしょうね。
#88
○蓮舫君 大臣、私は防衛予算の必要性は否定していないんです。少しでも増やして我が国の防衛を充実させたいという考え方には共鳴をします。
 ただ、子育て予算を全部そちらに加算をしろという、この考えは今もお持ちなんですか。
#89
○国務大臣(稲田朋美君) 先ほど何度も指摘をいたしておりますように、その当時、本当に民主党の防衛、安全保障、大変危機感を持っておりました。そんな中で、マニフェストに掲げられた子ども手当等の財源も結局は見付からなかった。そういった状況の中でこういう発言をしたということでございます。
 私は、社会保障の政策、子育て政策、大変重要だというふうに思っております。財源を見付けて充実をさせていくべきであります。
 そしてまた、防衛についても、安倍政権になってから日米同盟はかつてないほど強固になっております。しかしながら、また、日本を取り巻く環境も厳しい中で、しっかり我が国を守るための防衛、それは質も量も万全を期さなければならないというふうに思っております。
#90
○蓮舫君 政権が替われば野党時代に言ったことは何でも関係ないということでしょうか。
 この同じ雑誌で、稲田大臣、あなたは、日本独自の核保有を、単なる議論や精神論ではなく国家戦略として検討すべきではないかとも発言している。これ、今もそう考えていますか。
#91
○国務大臣(稲田朋美君) 同じときの対談ですので、その当時の日本の安全保障、防衛に関する大変な危機感の下で対談をいたしております。
 今、私は、安倍内閣の、そして今の状況の防衛大臣として非核三原則をしっかりと守り、唯一の被爆国として核のない世界を全力を挙げて実現するために尽くしていく所存でございます。
#92
○蓮舫君 当時は核保有を国家戦略として検討、今は非核三原則を守る。何で変わったんですか。
#93
○国務大臣(稲田朋美君) 安倍政権になってかつてないほど日米同盟も強固になっております。当時は、もう日米同盟がたがたにおいて、憲法九条、憲法九条の許す必要最小限度の防衛力とは何かということは議論をしなければならないということでございます。
 私の、今……(発言する者あり)
#94
○委員長(山本一太君) 静粛に願います。
#95
○国務大臣(稲田朋美君) 核に関する見解については、先ほど述べたとおり、核なき世界を実現するために全力を尽くしてまいります。
#96
○蓮舫君 気持ちいいぐらいまでの変節ですね。
 これだけは確認してください。核保有とか、こういう乱暴な言葉が独り歩きしてはいけないと思いますので、当時の発言は撤回してください。
#97
○国務大臣(稲田朋美君) 現時点の私の考えは、核なき世界を実現するために全力を尽くすということでありますし、現在、核保有、全く考えてもいませんし、考えるべきでもないというふうに思います。
#98
○蓮舫君 撤回しないということですね。そこにあなたの本音があるという、これ、誤解が独り歩きするのは、私はこれ残念なことだと思いますよ。是非撤回した方がいいと思います。
 次に、今介護あるいは育児、その予算について話をしてきたんですが、改めて、もう一つ気になるんですけれども、配偶者控除の廃止、これを今の政権は総理の指示で進めていく。賛成です。同じ女性でも働き方によってその税制に区別があるというのは私は撤廃した方がいいと思いますし、育児支援の財源としても考えられる余地があると思っています。
 ただ、これ、廃止をして夫婦控除にする案というのが出ていると聞いていますが、今現状どうなんでしょうか。
#99
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現在、政府や与党の税制調査会において議論をいただいているところでございます。
#100
○蓮舫君 夫婦控除も検討されているんですね。
#101
○国務大臣(麻生太郎君) 今、配偶者の控除につきましてはいろいろな意見が政府税調、また与党の中でもいろいろなされておりまして、いろいろな意見の中の一つに夫婦控除もあるということに御理解いただければと存じます。
#102
○蓮舫君 配偶者控除の全廃、これは新たな増税になりますから、その痛みをどうやって緩和をしてさしあげるかと、これは私たちも提案をしなければいけないと思うんです。
 ただ、ここで夫婦控除導入の検討と伝わる、ここにも夫婦とか家族が出てくるんですね。これ、なぜ夫婦なんでしょうか。個人ということも考えられますか。
#103
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、麻生大臣から答弁をさせていただきましたように、今の段階ではまだ一つの考え方としてそういう議論がなされているということでございまして、今はまだ議論の過程でございます。
#104
○蓮舫君 税制が結婚に対して中立でなくなることは、私は避けるべきだという考えです。多様な生き方を先ほど来御紹介していますけれども、いろんな生き方があっていいと思うんですが。
 今、安倍政権が進められているいわゆる介護、育児、あるいは夫婦控除という税制も含めて、憲法二十四条の家族の新設、残念ながらそこはどうやら重なってくるんですね。家庭に女性の固定的な役割を担うような方向に政策が進んでいるように思えるので、だから、改めて私は憲法二十四条についての考え方を今日は伺いたかったんです。
 全く答えてくれないんですが、総理、では、こういう考え方が、今後国会内でいろいろな審議が進んでいったときに、自民党の憲法草案の中身を変えていくことはありますか。それとも、憲法草案は絶対で、一文字も変えないというお立場ですか。
#105
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 憲法草案とですね、我が党の憲法草案と実際に国民の皆様に対して国民投票をお願いするものはこれは別でございますから、これは我々の考え方として示しているものであって、私もこれを一字一句変えてはいけないなんて言ったら一歩も進まないと思っていますよ、それはね、政治は現実ですから。そこはまさに御議論をいただければ、これは当然柔軟な姿勢で臨まなければいけないと思っています。
#106
○蓮舫君 そのためにこそ、こうした予算委員会で議論をしようと言っているんですよ。全くそこは答えてくれない。だから、こういうところが、自分がやりたいことは主張するけれども聞かれたら答えない、そのやっぱりダブルスタンダードは改めていただきたいと改めて思うんですが。
 私は、憲法に家族という文言を義務規定で明記をするよりも、今家族が持ちたくても結婚ができない、家族を持ちたくても収入がなくて結婚できないような人たち、その方たちを支援することの方が最優先課題だと思いますが、総理、いかがですか。
#107
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この配偶者控除については、これは何も、新たにですね、新たに、新たに家族の価値を、これを置くためにこれを変えるということではむしろなくて、配偶者控除については、女性が、この配偶者控除をどう見直すかということについてはですね……(発言する者あり)いやいや、今その比較について、いや、比較について根本を言っているわけでありますが、それよりも、それよりも、そうだとおっしゃったから……(発言する者あり)いや、まず私の言うことを聞いてください。
 配偶者控除については、女性が就業調整をすることを意識せずに働くことができる仕組みをつくっていく必要がある一方、家庭における配偶者の貢献を評価すべきとの指摘もあって、働き方や家族の在り方について国民的な議論を行いながら十分に検討を行っていくべき問題であると考えているわけでございまして、まだこれは決まっているわけではなくて、どっちがよくてどっちが駄目だということではもちろんなくて、この改正はしなければいけないと思っています。
 同時にですね、同時に、これは一人親家庭等々についての支援というのは我々もしっかりとこれを行ってきているわけでございます。児童扶養手当等についても、二子、三子については我々は今までよりもこの加算をしっかりと行ってきている、そういう支援も当然行っていかなければならないと思っておりますし、また、あるいは、様々な政策において、一人親家庭のお母さんがキャリアアップを重ねていくための支援等々についても、今までも行ってきたところでございますが、今後もしっかりと行っていきたいと。
 今、蓮舫委員は税制においてそれを支援しろとおっしゃっているのかどうかということは、私ちょっとよく分かりかねたんですが、こっちをやめてこっちをやれということであれば、それはそうではないということを今答弁させていただいているところでございます。
#108
○蓮舫君 済みません、答弁書を見付けたから答えるというようなことはやめてもらえませんか。配偶者控除の話はもう終わって、次の議論をしているんです。
 私は、憲法に家族を明記するよりも、家庭を持ちたくても結婚できない人たちを支える方が最優先の政治課題ではないですかと聞いたんです。
#109
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いや、今、蓮舫議員が議論の立論として、そういう家庭ということを、家族ということをまさに憲法に位置付けるという延長線上で配偶者控除の改定をやろうとしているというそういう位置付けで、それと言わば一人親家庭との比較でどうだということでありましたから、まずその基のところがちょっと違うんだということを御指摘をするのは当然のことだろうと思うわけでございます。
#110
○蓮舫君 いや、その基のところを答えてくれないから政策がそちらに進んでいるんじゃないですかという議論をしているんですよ。憲法二十四条に何で家族を入れるんですかというのを答えなくて、その後の政策についてはその基のところが違うと言われても議論かみ合いませんよ、これ。
#111
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が党の改正案と、我が党の改正案と今度の控除の問題はこれは関わりがないんですから、控除の改正は、配偶者控除の改正というのは現行憲法の中で配偶者控除を改正をしているわけでありますから、これから改正するかしないか分からないその条項について述べなければその控除の改正について議論ができないというのはちょっとおかしいと思いまして、なぜこの配偶者控除の改正をしようとしているかということについては、今、ですから、御説明をしたところでございまして、当然それは、それは家族の在り方が様々に変わっていく中において、これは困っている方々についてはしっかりと支援をしていくということについては、これはこれでやっていくということでございます。
#112
○蓮舫君 今、男女それぞれの生涯未婚率ってどうなっていますか。その理由を教えてもらえますか。
#113
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど離婚の数字を出しましたが、今の数字は事前にお聞きをしていなかったものですから御用意をしていないところでございます。
#114
○蓮舫君 今、生涯未婚率、男性で四人から五人に一人、女性で九人から十人に一人、一・五七ショックという少子化問題が認識された一九九〇年に比べたら、男性で三・六倍、女性で大体二・五倍、物すごい勢いで一生結婚しないという統計が進んできています。
 これは、総理、理由は何だとお考えですか。
#115
○国務大臣(塩崎恭久君) これは、いろいろ解釈のしようがあろうかというふうに思います。ですから、政府として一つの考え方に収れんをさせるというのは大変難しいと思いますけれども、親子関係もいろいろあり、パラサイトシングルなんという言葉が出てきているように、独立がなかなかできない人たちも増えているとかいうこともあろうかと思いますし、そこは一人一人の生き方の選択でもございますので、これは私どもとしていい悪いの問題ではないというふうに思いますが、希望しないでそういう形になっていることは、できれば御支援を申し上げて、できるだけそういう形が避けられるようにしていくということが大事なことだというふうに考えております。
#116
○蓮舫君 厚労大臣、認識共有しています。
 これ、面白いなと、面白いと言っちゃいけないんですけど、男性は低収入と未婚率が比例しているんです、収入が低いのと結婚をしない率と。女性は逆なんです。高収入と未婚率が比例しているんです。こういう部分はやっぱり細かく、どういうふうにマッチングをしていってさしあげればいいのかというのを、これ厚労大臣にお願いをしておきます。
 とりわけ産む性である女性が非婚化、晩婚化、晩産化という問題をどうやってクリアをしていくのか。とりわけ人口減少社会で消滅都市となるリスクの大きな条件は、二十から三十九歳の女性がその都市からいなくなることです。今生まれている赤ちゃんの九割の親はこの年齢のお母さんから生まれている。だから、この年齢人口の女性が、その生まれ育った地域で働き、結婚し、子育てができる環境を整えることがまさに地方創生になる。その部分では、去年、石破前大臣と安倍総理とも予算委員会でやり取りをやらせていただきましたが、地方創生、とにかくこの数年間、男性より女性の都市流出が止まっていませんので、これをどうやって止めることができるか、これが本当に大事だと思います。
 地方創生、総理になって三年目に入りました。期待どおりの進み方になっているという認識をお持ちなのかどうか、まず総理に聞かせてください。
#117
○国務大臣(山本幸三君) お答え申し上げます。
 地方創生については、平成二十六年度の補正予算から事業を始めております。これは、地方の自主性、自助努力をまさに重視して、そして地方自身がどうやったら自分たちの地域の課題を解決できるかということでKPIを設定し、そしてPDCAサイクルを整備するという形でやっているわけでありまして、まさに昨年、ちょうど二十七年度中に地方版の総合戦略というのを策定していただきました。ほぼ全ての自治体で策定が終わりまして、これからいよいよ本格的な事業展開ということであります。したがって、昨年度でようやく一年が過ぎたということでありまして、今年度はその実績を踏まえて検証できるところを今やっておりまして、それを踏まえて次につなげていくということであります。
 私としては、いろいろ見ておりますけれども、各、いろんなところも回りましたが、かなり積極的に取り組んでいるところもありまして、地方が自分たちでいろんなことを考えてやらなきゃいけないんじゃないかという工夫あるいは考え方は浸透してきているんじゃないかと思いますので、成果もそれなりに出ていると思っております。是非これを本物にしていくように推進していきたいと思っております。
#118
○蓮舫君 成果がそれなりに出ている。
 平成二十六年度補正からこの二十八年度の今審議している補正予算と来年度概算も含めて総額幾ら使いましたか。
#119
○国務大臣(山本幸三君) 先生の資料で申し訳ありませんけれども、二十六年度補正から二十八年当初予算で計三千七百億円でございます。
#120
○蓮舫君 二十六年度補正で一千四百億円、これは一都道府県に最低二千万ずつ、一市町村に一千万ずつ、こればらまきました。さらに、先行型として三百億円を上乗せをした。二十七年度補正で千億、二十八年度当初予算で千億、今審議している補正予算で九百億、来年度の概算要求で千百七十億、五千七百七十億円もの予算が投じられて地方創生を進めていこうとする。
 費用対効果は、十分に見合う効果が生まれていますか。
#121
○国務大臣(山本幸三君) 二十六年度補正の当初の千四百億円は、これはまだ地方の方で総合戦略ができていない段階でありましたので、おっしゃったように外形基準に基づいてお配りいたしました。それからだんだん戦略ができてきて三百億円を追加していくという形になってまいりました。そして、二十七年度補正、地方創生加速化交付金、それから今年度の二十八年度当初予算ということであります。
 これは、効果ということについてはまだこれからでありますけれども、しっかりと評価をして、効果のあるところも確かに幾つかございます。それはまあ、もし具体的に必要であれば若干御紹介もしますけれども、これからそういうことをチェックして検証し、しっかりと効果を出すようにしていきたいと思っております。
#122
○蓮舫君 効果を測る目標設定をKPIと設定して、石破前大臣は大変こだわっておられました。ばらまきとの違いは、事後に効果が検証できるか、その目標数値を定めることだとおっしゃっていました。賛成です。
 大臣の認識をお伺いしますが、今この事業全てに掛けられたKPI、目標数値は適切な目標ですか。
#123
○国務大臣(山本幸三君) おっしゃったように、KPIを持ってそしてPDCAで回していくというこのスキームは非常に大切なことだと思っております。前石破大臣も強調しておられまして、私もそのとおりだと思います。
 その際に、KPIについては、これはもう都市部や中山間地といって全く状況が違うところが多いわけであります。したがいまして、地域の課題も異なりますし、目標とすることも異なります。よって、地方公共団体自身が自主性を発揮して地域の実情に応じてふさわしいものを設定していただくわけであります。
 ただ、自分の予算も使いますので、決してそれが適当でないというようなことには絶対にならないように自治体も考えていると思います。そういうもので私どもはそういうKPIを作っていただいて、それに基づいて費用対効果分析を明示的にしてもらうように求めております。これも評価要素の一つでありますので、そういうことで審査を行っているところでございます。
#124
○蓮舫君 事業自体は全て私はいいものがあると思うんですが、ある町村では低温プラズマ技術を、二つの大学と連携をして、農水物の成長促進を図り、チョウザメの養殖技術を高めるとしています。一億円の交付金を国から受けました。目標のチョウザメ販売額、その実績も併せて教えてください。
#125
○国務大臣(山本幸三君) これは、おっしゃったのは愛知県の幸田町と豊根村のケースだと思いますけれども、平成二十七年度先行型交付金を活用して、幸田町が低温プラズマ技術を活用した農水産物の成長促進等の機器開発を行い、豊根村が実証フィールドを提供する形で連携することで、付加価値の高いチョウザメ養殖の生産システムの確立ということであります。
 ところが、チョウザメは肉が取れるまでに四年、キャビアが取れるまでに七年掛かると言われておりまして、その間の販売収入を得るため、この低温プラズマ技術を活用して、二十八年度は加速化交付金を用いて、幸田町は殺菌効果によるハウスイチゴの減農薬化などの高付加価値化を、豊根村は希少性が高く味が良い高級魚のヒメマスの養殖に取り組んでおるところであります。
 これらの取組を踏まえて、更に推進交付金を活用して養殖品種拡大に向けた実証研究、低温プラズマ機器の市場流通に向けた販路開拓、山間地域における養殖モデルの確立など、産業の確立に向けた取組を深化させることとしております。
 このように両町村の事業の発展段階に応じていろんな交付金を活用して異なる内容の事業に取り組んでいるわけであります。そういう意味で、チョウザメがまだできていないと、KPIが達成されていないということは、ちょっとまだタイミングとしては無理だと。(発言する者あり)その数字についてはちょっと存じておりません。
#126
○蓮舫君 KPI、目標数値が大切だという認識を共有して議論をしているのに、今目標数値は把握していないってどういうことですか。
#127
○国務大臣(山本幸三君) 失礼いたしました。
 実績等の数字はちょっと承知していないということでありますが、目標については、チョウザメにつきましては、参画者四人で、チョウザメ販売がこれは五十万円、平成二十六年はゼロでありますが、販売は五十万円ということであります。
#128
○蓮舫君 一億円の交付金をお渡しして、目標のチョウザメ販売額は五十万円、実績は十四万円です。
 大臣がおっしゃったように、チョウザメの養殖って時間が掛かるんですよ、七年、十年。そうすると、この地方創生の事業はそもそも今年度から本格展開をする事業が対象に絞られているのに、七年、十年スパンのそういう事業を入れることが本当にKPIとして適切でしたか。
#129
○国務大臣(山本幸三君) この地方創生交付金は、大体五年ぐらいをめどにやるというのが基本であります。そして、それを目指してやっていくということで基本的にはKPIを作ってPDCAを回します。ただ、おっしゃるように、チョウザメは四年は掛かるということでありますし、キャビアになると七年ということでありますので、その四年後にどこまで行けるかということで、これはその成果を見ながらまた改めて考えていくことになります。
#130
○蓮舫君 ある県では雇用創出をするとして、これを一億円を受け取って会社つくりました。その会社がセミナー等を開いて女性創業を支援をする。これ、目標五件の創業者数が二年後にようやく六件達成しています。ただ、セミナーを受けて創業した目標は半分以下で達成していません。その翌年、また一億円をもらいました。今度は共同のオフィススペースが要るということで場所をつくりました。ところが、これも目標は未達成のうち新たに二十八年度で一億円をまたもらって、目標が女性創業ではなくて学生のUターン就職に変わりました。しかも、女性のみならず、若者、高齢者の雇用促進支援センター設置と、事業内容も大きく変わっているんですね。
 KPIを毎年ころころ変えてはいけないんじゃないですか。
#131
○国務大臣(山本幸三君) これは、KPIと予算から見ますと山口県の創業支援事業だと思いますが、先行型交付金、山口県が就業機会の創出に向けまして、平成二十七年度に先行型交付金を活用して、女性創業者の創業支援として地元金融機関や地元企業が共同設立する女性創業応援やまぐち株式会社の設立や創業セミナーの開催などを実施したところであります。さらに、加速化交付金を活用して、顕在化してきた女性創業者のニーズに応えるために、協働ワーキングスペースや共同オフィスを提供するまちなか創業支援施設を設置することで働く環境を整備しようとしております。先行型交付金及び加速化交付金の両事業は、KPIとして女性創業セミナーの受講による創業数を設定しております。
 さらに、これらの女性の創業支援事業とは別に、二十八年度推進交付金を活用して、下関市と連携し、働き方改革による就業支援を継続的に実施するため、働き方改革推進支援センターの設置による相談窓口のワンストップ化や、建設業、農業、漁業の職場体験研修、就職セミナー、マッチング支援などの事業を行うこととしており、KPIとしてUターン就職学生数を設定しております。
 以上のとおり、先行型交付金と加速化交付金を活用した女性の創業支援と、推進交付金を活用した働き方改革による就業支援は別の事業と言えることから、KPIとしては異なる手法を用いていることで全く差し支えないと考えております。
#132
○蓮舫君 いろいろな事業を見てきました。
 今、KPIを変えたことは適切だと言っていましたけれども、基本的な継続をすることによって効果を更に促していって、最終的にはその地域が国の交付金に頼らなくても自立ができることを目標としているのに、設定が余りにも緩いということを私は問題視しています。
 例えば、六千万円を交付された、これ、町の再生事業なんですけれども、目標は二十九年に新規起業一件、関連する雇用者一人、空き家、空き店舗活用が一件、これが目標です。実績はいまだゼロです。六千八百万円交付で、二十九年に空き家活用移住者受入れ三十人、里山の講座を二回、健康講座は月に十四回が目標。これも実績はまだ達成していません。町おこしでコンペをして観光客を呼ぶ、優勝地区でモデル事業を実施するけれども、この内容が、まだコンペを行われていませんが、何が活用されるか未定なのに、二十九年には外国人観光客が年間に二十人来る、日本人観光客が年間に百人来る、それで三千二百万円。実績はまだゼロです。これは、全て数値目標は適切だと言い切れますか。
 これだけじゃありません。これでもう既に三千七百億使ってしまったんです。一年間で二千件近く、例示する事業が本当にたくさんありますが、これは、数値目標は適切で、地方創生に役立つと確信をされていますか。
#133
○国務大臣(山本幸三君) おっしゃったものは、岩手県の遠野市の中心市街地の例とか、あるいは鳥取県のある町のCCRC事業とかでございます。あるいは、SATOYAMA MOVEMENT事業とかでございます。
 これは、まさにおっしゃったところは、KPIが適切かどうかということでありますけれども、これは先ほど申し上げましたように、KPIは、地域の事情に基づいて、その環境、置かれた状況に基づいて地域が自主的に設定するものであります。
 じゃ、甘いものでいいかどうかといえば、そんなことはありません。それは自分のお金も半分使うわけですから、決してそういう目標ではないと思っておりますが、逆にまた、達成不可能の、ただ目標だけ高く掲げればいいというものでもないと思います。その辺は、審議、評価、審査する際に外部有識者のお話も伺いながらやっているわけであります。
 しかし、これは、おっしゃったように、若干評価し難いようなこともあります。例えば、観光客、外国人が来るといっても、それはその事業によって来たのかどうか分からないとかいうようなこともございます。これは、観光のまさに統計がそういうことができておりません。その意味では、私は、統計をそろえるというのも地方創生の大事なことだということで議論しているんですけれども。
 そういうことはありますが、それは、そうした御意見を承りながら、私どもとしては地域と相談しながら改善していきたいというふうに思っております。
#134
○蓮舫君 済みません、何を言っているかよく分からなかったんですけど、つまり甘くないということですね、数値目標設定は。
#135
○国務大臣(山本幸三君) 私どもとしては、地方が自主的に持ってきたKPIについて、地方が自主的に作り上げたKPIについて、それを審査し、また必要に応じて外部有識者の意見も聞いておりますので、甘過ぎるというようなことでやっていることはありません。
#136
○蓮舫君 今お話しになられました外部有識者の評価を経てこの地方創生交付金は地方の自主的取組と先駆性、先導性を重視して選択をされているんです。
 その外部有識者って何人おられますか。
#137
○国務大臣(山本幸三君) 外部有識者は各事項ごとに二名から三名おられまして、農林水産分野で二名、観光分野で三名、農林水産、観光分野以外で三名、それから地方への人の流れ・働き方改革で三名、まちづくり分野で三名ということでありますので、十四名でございます。
#138
○蓮舫君 少な過ぎるという指摘をさせていただきます。
 分野ごとに二名から三名がこの申請したものが適切か審査をするんですけれども、その審査の流れを聞きましたら、外部有識者、例えば一つの分野に関して三人だったら、その三人全部に資料を渡して二週間で自己完結で調査をしてくれ、その後、初めて三人で顔を合わせて、自分たちの評価をお互い意見を言いながら決めていく。その会議の時間は僅か二時間弱です。これだけで三千七百億のうちの幾つかが決められてきました。
 例えば働き方改革、この事業への申請は二十八年度本予算で二百七十二件ありました。その事業計画、薄くて五ページ、厚くて三十ページ、大体二十ページとしたら、その申請用紙だけでも五千五百枚ぐらいあります。そこに過去の事業の実績の資料、それと数値目標との整合性あるいは実現可能性を、更に資料を取り寄せて二週間でこの三人は全部を審査するんです。その後行われた会議は僅か一時間四十五分でした。一時間四十五分で二百七十二件を審査すると、一件の審査時間は二分三十秒です。一件で交付される平均額は千八百万円です。
 どんなに立派な有識者でも、こんな短時間で詰め込みをして見落としが出てくるんじゃないですか。
#139
○国務大臣(山本幸三君) そこは私どもも考慮させていただいておりまして、外部有識者による審査については、いわゆる五年程度を目標にしている先駆性のあるプロジェクトについて評定委員に評価していただいておるわけであります。
 それは、例えば、今年度の事業の中では七百九十件ございましたこれまでの事業で百四十二件が外部有識者による対象になっております。それ以外のものについては、横展開などのケースでありますけれども、これについては、そうした外部有識者の審査の評価基準に基づきまして内閣府において作業しているわけであります。
 例えば、地方創生推進交付金、一回目におきましては、有識者の審査をいただいた先駆タイプについては、一名当たり、一番処理件数が多い方で最大三十九件程度でございます。したがいまして、審査期間は十分確保できていると考えております。
#140
○蓮舫君 確認します。ある県の観光推進事業、四億円の交付金がこの八月に決定されました。外部有識者がこれを採択しました。今だけ、ここだけ、貴方だけ観光推進事業、これ、どういう内容で何が評価をされて四億円の交付を決定しましたか。
#141
○国務大臣(山本幸三君) これは場所を言わないと話が分からないと思いますので、京都府でありますが、京都府と京都府内の十二市町で広域での連携をすることで国内外の観光客入り込み数を増やし、さらに京都府全域への周遊へつなげることで、観光消費額の増加のみならず地域の正規雇用者創出や産業の創出を目指すものでありまして、平成二十八年度の地方創生推進交付金の採択を受けて事業を実施しております。
 事業の申請に当たりましては、KPIの一つとして観光消費額を設定しており、平成二十一年度から二十六年度、五か年の観光消費額の増分を踏まえて、平成二十六年度の実績である八千百三十八億円から毎年度の増加分を各年の目標として設定し、結果として五か年で観光消費一兆円を目指すこととしております。
#142
○蓮舫君 今五か年で観光消費額一兆円を超えるという説明をしましたが、KPI、目標数値、二十八年三月に観光消費額を八千五百十億円と設定しているんです。ところが、二十七年度にこの県が観光消費額を発表しました。その額は一兆二百六十四億、つまり県の観光消費額が公表した後に審査、裁定をしているんですが、もう既に目標額達成しているんです。
 何でこんなことが起きるんですか。五年から、今度一兆円にしていくけど、でも申請しているときにもう既に一兆円達成しています。このKPI、数値目標、何で見抜けなかったんですか。
#143
○国務大臣(山本幸三君) おっしゃったように、この件については、事業計画提出後に観光消費額の平成二十七年度の実績が、アジアなどからの海外観光客の増加とそれに伴うインバウンド消費、いわゆる爆買いとも言われたような消費によりまして大幅に増加いたしまして、一兆円を超過したことが確認されました。一時的なブームによるものとはいえ、当初五か年としていた目標が既に達成されたことを受けまして、その後、京都府からはKPIの五年後観光消費額の目標を一・二兆円と上方修正して計画が提出されております。
#144
○蓮舫君 これだけじゃないんです。ほかにもあります。二つの県の三つの市町が協力し、観光推進、しまなみDMO形成推進事業、これ、目標値、適切でしたか。
#145
○国務大臣(山本幸三君) 広島県尾道市のしまなみDMO形成推進事業は、尾道市、愛媛県今治市、上島町で広域での連携をすることで、しまなみ海道地域のサイクリングロードなどの観光資源を軸に国内外の観光客を誘客する事業であります。平成二十八年度地方創生推進交付金の採択を受けて事業を実施しております。
 事業の申請に当たりましては、KPIの一つとして観光消費額を設定しており、平成二十七年度の実績である三百十三億円から毎年度の増加額分を各年度の目標として設定し、五か年後に観光消費額三百四十三億円を目指すこととしております。また、そのほかのKPIとして、宿泊客数、外国人観光客数を設定しております。
 KPIは、交付金対象事業ごとに設定し、事業目的に照らして実現すべき成果に係る指標を設定することを原則としております。このため、例えば観光事業であれば、当該事業の効果としてどれだけ増加するかという直接的な指標を設定することが理想的でございます。しかしながら、当該事業による増加を捕捉することは統計上なかなか困難でありますし、多大なコストを要することから、現状にある指標で行っても差し支えないということにしているところでございます。
#146
○蓮舫君 これ、一つの市はもう数字を出しています。観光消費額、申請した時点で二百六十四億あります。残る二つの市と町の観光消費額、これ、県の観光消費額を案分して試算すると推計で二百九十億になります。二つを足す、三つを足すと五百四十億、五年たって三百四十三億にするという観光消費額の目標を百五十億上回っています。なぜそれを採択したんですか。
#147
○国務大臣(山本幸三君) 先ほども申し上げましたように、観光に関しては、KPIを作るときは大変難しゅうございます。つまり、このプロジェクトでどれだけ消費が上回ったのかということをはっきりと確定することはなかなか困難であります。そういう統計も今ありません。したがいまして、結果的に消費額が上回ったということもありますが、それは、ほかの要因で上回ったということも考えられますし、そういう意味では、この点についてはまた我々も検討したいと思いますけれども、そのほかに宿泊客数や外国人観光客数を設定しておりますので、そういうことからチェックしていきたいと思います。
#148
○蓮舫君 私が言っているのはシンプルなんです。書類申請そして採択をするときに既に数値目標を超えている数値が出ているのになぜ採択をしたんですかと。だから、外部有識者三人で詰め込みさせて、たくさんの資料を渡して短い時間で採択をしている手法に問題があったんではないですかと聞いているんです。
#149
○国務大臣(山本幸三君) 先ほども申し上げましたように、観光については難しいんです。この事業で増やす消費額というのはこういう金額だということで推定しているわけでありますけれども、そこははっきり分けるような統計がございます、ございません。
 したがいまして、その点はこれから検討しなきゃいけないと思いますけれども、しかし、それは地方自治体が自分たちとしてはこうだと考えてきている数字でありまして、その点については有識者の御意見も聞き、また私どもも検討してやったものでございます。そういう意味では、実績が上回ってくるということであれば、これはまた変えていくということも当然考慮しなきゃいけないと思います。
#150
○蓮舫君 済みません。だから最初に数値目標は大事ですねと確認したら、自分も大事だとおっしゃられたから、見ていったら、数値目標なんか全く重視されていない書類審査が行われて採択をされて使われちゃった。その問題を指摘をされたら、数値目標は難しいと言われたら、この税金を払った人たちはどう思いますか。限られた財源を大事に使おうという指摘で私は今伺っているんです。改めていただけますか。
#151
○国務大臣(山本幸三君) 消費額についてはそういう面がございますけれども、KPIについてはそのほかに宿泊者数、外国人顧客数等を設定しておりますので、そういう観点からチェックしているということでございます。
#152
○蓮舫君 済みません、KPIについてはそうかと言っているんですけれども、いいですか、これ、観光消費、最終消費額以外に観光客数の方がむしろ切離しが難しいんです。この交付金事業をやったから何人の観光客が来たかってカウントできませんから、むしろそっちの数値目標の方が怪しいですよ。
#153
○国務大臣(山本幸三君) 地方創生推進交付金の申請事業の中で、過去の地方創生加速化交付金事業を受けて実施したものについては、その申請に当たりまして、地方公共団体がそうした事業を実施した結果を検証した上で推進交付金の申請事業を深化、展開させるかということを私どもチェックいたします。したがいまして、今後の事業採択に当たっては、これらの観点に加えて過去の交付金事業のKPIの実績や実績見込みを明確に求めた上で審査していくことになります。
 しかし、おっしゃったように、KPIについては難しいところもございます。特に観光関係はなかなか難しいということはおっしゃるとおりだと思いますが、しかし、それを踏まえて地方の自治体が自分たちのところはこれだけの目標を持ちたいということで上げてきているわけでありますので、その点は、その目標が達成、超過達成されているのであれば、また次の交付金のときにそれを考慮して審査して考えていくということになります。
#154
○蓮舫君 済みません、何を言っているかさっぱり分かりません。
 総理に確認します。
 今年度の今議論している補正予算案で九百億、来年度の概算要求で千百七十億。二千億円、これ海上保安庁の一年分の予算です。相当なボリュームで地方創生、しかももう時間がなくなってきています。地方の人口が都市部に一極集中するのを止めるためにも、地域で仕事をつくるためにもこの事業は私は大切だと思っています。
 だったら、総理は前、私との審議の中で、検証をしっかり行うようにしていくべきだ、今審議をしていて、検証ができない、難しいで逃げる、地方が頑張る、こういう言い訳ではなくて、ちゃんと運用をしっかり見直していただくと約束をしていただけますか。
#155
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、今、山本大臣から答弁をさせていただきましたように、例えば例として挙げられた観光は評価が難しいわけではありますが、しかし、提出、出した段階で、認可した段階でその目標を既に上回っているというのは、ちゃんと調べてみますが、もしそうであれば、それはまあおかしいですから、そうした御指摘も踏まえまして、これは、KPIはやはり大切な指数でありますから、そうした今御指摘も踏まえてしっかりとこれは対応していかなければいけないと、このように考えております。
#156
○蓮舫君 引き続き追いかけたいと思いますが。
 総理、総理の所信表明演説に対して、私は子供の貧困がなかったことに失望しています。その部分で、代表質問において、児童扶養手当、一人親のお子さんの貧困が二人に一人で深刻だから、だからここに対しては所得制限を入れないでしっかりと現金支給で手当てをしてもらいたい、何で二十二億円を削るんですかと伺ったんですが、この私の質問の趣旨は理解していただけているでしょうか。
#157
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 趣旨は理解をしております。
#158
○蓮舫君 我々の政権のときの批判をされるのが大変お好きみたいですけれども、我々の政権のときに私たちが着眼したのは、一人親家庭の子供の貧困よりも、長い長い自民党政権で放置されてきた父子家庭への手当がないというところに着眼したんです。母子家庭のお子さんは児童扶養手当が出るけれども、同じ父子家庭、一人親家庭の御家庭には出ない、だから私たちはここを問題視して、子供は親を選べませんから、母子家庭か父子家庭か、百五十億円年間措置したんです。これを私たちは優先順位として何よりも実行したんですが、このことは理解をされていますか。
#159
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 制度として父子家庭に対して給付をされたということについては、これは評価をしているところでございます。
#160
○蓮舫君 何もしなかったかのように指摘をされることが私は残念だと思います。
 政治は今を見るべきものだと思います。今、私たちが児童扶養手当に所得制限を設けるべきじゃないと答えたのは、食べられない子供たちが出ているとか、貧困の子供たちが本当に問題になっているから、だから二十二億円を削らないで、何とかここの部分は手厚くしていただきたいと言ったんです。
 百の言葉より一の行動とか、そういう切り捨てるんじゃなくて、批判ではなくて提案に真摯に向き合っていただきたいということを最後にお願いしますが、いかがでしょうか。
#161
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は母子家庭について申し上げたわけでございまして、母子家庭について我が党が上げた実績と御党の比較をさせていただいたところでございまして、いずれにいたしましても、いずれにいたしましても、しっかりと財源を得て対応していくということが求められているんだろうなと、このように思います。
#162
○蓮舫君 母子家庭と父子家庭を分けないでください。一人親の子供の貧困が二人に一人だというところで、そこで私たちは提案したんですけれども、そこが届いていないということは、総理は今の政治に残念ながら敏感じゃないということが、指摘をさせていただきます。
 今回出されている補正予算も、大型公共事業は目立ちますけれども、大雨とか台風の災害による、そのためのインフラの整備のお金は入っていません。
 今に機敏に反応する政治をつくりたいと改めて私たちは主張を申し上げ、質問を終わらせていただきます。
#163
○委員長(山本一太君) 以上で蓮舫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#164
○委員長(山本一太君) 次に、福山哲郎君の質疑を行います。福山哲郎君。
#165
○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。
 今年、参議院選挙がございまして、私も何とか、厳しい戦いでございましたが、京都府民の皆さんの信託を得てここに戻ってくることができました。本当に心から感謝したいと思います。
 まず、稲田大臣、先ほど民主党政権は日米関係ぼろぼろだとおっしゃられましたけど、根拠は何ですか。
#166
○国務大臣(稲田朋美君) 先ほど、私の「正論」の対談、平成二十三年三月号でございます。私は、鳩山政権になって、選挙でお約束されていた辺野古の問題、最低でも県外、国外と言われて、かなり混乱をいたしました。そういったことや、また、尖閣でも中国漁船が衝突をして、そしてその船長が帰されて、Vサインをして中国に帰っていった、そういった様々な状況の中で、日米同盟はかなり危機的な、先ほどの背景を申し上げた中で、日米同盟も非常に今のように強いものではなく壊れかけていたという私自身の認識を申し上げたところでございます。
#167
○福山哲郎君 防衛大臣、尖閣を含めた接続水域それから領海侵犯、民主党政権と安倍政権、どっちの方が数が多いですか。
#168
○国務大臣(稲田朋美君) 私は、そういった尖閣での民主党政権でのその対応、それから、尖閣を国有化されてからかなり多くの公船が、そして中国の艦艇が入ってきたということでございます。(発言する者あり)
#169
○委員長(山本一太君) 稲田防衛大臣。
#170
○国務大臣(稲田朋美君) 尖閣を国有化してから大変多くの公船が入ってくるようになり、二〇一六年六月、海軍の戦闘艦艇が初めて尖閣諸島周辺、我が国接続水域に入域するなど、緊張した状況になっているというふうに思います。(発言する者あり)
#171
○委員長(山本一太君) 稲田防衛大臣。
#172
○国務大臣(稲田朋美君) 国有化してから数は増えております。そして、最近では毎日、接続水域に三、四隻が入域をいたしております。
#173
○福山哲郎君 じゃ、安倍政権になってからの比較で答えてください。数で答えてください。
#174
○国務大臣(稲田朋美君) 毎日、接続水域に三、四隻が入域をいたしております。
 何度も申し上げますが、民主党政権下で尖閣国有化してから非常に多くなっているということを指摘をしたいと思います。
#175
○福山哲郎君 安倍政権になってからと民主党政権の三年三か月とで、接続水域と領海侵犯の数をお答えください。
#176
○国務大臣(稲田朋美君) まず、尖閣国有化以前、平成二十年から平成二十四年七月までに五回。そして、尖閣国有化以降、平成二十四年八月から十二月二十回、平成二十五年五十二回、平成二十六年三十二回、平成二十七年三十五回、平成二十八年一月から八月二十六回でございます。
#177
○福山哲郎君 増えていますね。
 尖閣の日米安保五条適用を公に言っていただいたのは当時のクリントン国務長官です。前原外務大臣との会談で言っていただきました。そのとき私は総理と日中韓の首脳会談にも出ていました。根拠のないことを言うのはやめてください、イメージだけで。今、尖閣の本当に接続水域や領海侵犯の数は圧倒的に安倍政権になってからの方が増えていますから、緊張感高まっていますから。
 総理、伊方原発の再稼働に当たって国が万が一のときには責任持つと総理が言われて、東京オリンピックの招致では福島がアンダーコントロールだと言われましたが、現在もその認識は変わりませんか。
#178
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 原発については、いかなる事情よりも安全性を最優先し、高い独立性を有する原子力規制委員会が、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針であります。
 その上で、万が一事故が起きた場合、国民の生命、身体及び財産を守ることは政府の重大な責務であります。関係法令に基づき責任を持って対処していきます。
#179
○福山哲郎君 規制委員会は、技術に対する規制基準に適合しているかどうかを審査をされて、安全かどうかを審査するところではありません。これは、二年前に私と安倍総理の議論の中で田中委員長が明言をされています。
 じゃ、避難計画はどこが作成し、どこが責任を持つことになっているか、総理、お答えください。
#180
○国務大臣(山本公一君) 避難計画は策定する主体は自治体となっておりますが、そういうことでよろしいでしょうか。
#181
○福山哲郎君 IAEAの深層防護の考え方は、やっぱり避難はできれば国が関与するべきだと。我々民進党は、原発事故が起こった際の避難計画を安全で確実なものにするために国がやっぱり責任を持つと、そして自治体と一体となって計画を策定するという議員立法を提出をしています。今日もそのことも含めて提案をさせていただきたいと思います。
 補正予算です。今回の補正予算に百億計上されている原発周辺地域における防災対策の充実強化事業があります。この補正の事業は平成二十四年から始まっています。
 平成二十六年、行政事業レビューにかけられています。これは民主党政権の成果です。これを自民党政権が、安倍政権が継続していただいていることは多とします。二十六年の行政事業レビューでこの補正の原発周辺地域の防災対策の充実強化はどのような結論に至っているか、お答えください。
#182
○政府参考人(山本哲也君) 御指摘の平成二十六年度に実施されました行政事業レビューでございます。これは、内閣府の原子力災害対策に必要な経費、特に放射線防護対策について有識者から幾つかの指摘をいただいております。
 特に、指摘内容につきましては、どういう場合にこういう設備が必要なのだという基準そのものが地方に任されていないというような様々な指摘がありまして、政府としましても、そういう指摘も十分踏まえる必要があるだろうというふうに答弁をさせていただいているところでございます。
 それで、このレビューの結論でございますけれども、平成二十六年のこの行政レビューにおきましては、現在のまま事業を進めることについては、自治体との関係、施設の内容への疑問等から一旦は廃止すべきとの結論をいただいたものでございます。ただし、委員の意見が分かれておりまして、こんな事業はやるべきではないということを考えている委員は一人もおられないということを踏まえまして、緊急性の高い施策と認識しているので早急に再調整をして対処されるよう指摘をいただいているところでございます。
 したがいまして、内閣府としましては、御指摘いただきました耐震性とか耐津波性などの放射線防護対策の施設の選定の考え方、それから放射線防護対策として必要な技術的な考え方、これらを整理をいたしまして、要件を厳しく精査した上で再開したところでございます。
#183
○福山哲郎君 そのことは委員に確認しましたか。
#184
○政府参考人(山本哲也君) 行政レビューの委員の先生方には直接説明は行ってございません。(発言する者あり)
#185
○委員長(山本一太君) 山本大臣官房審議官。
#186
○政府参考人(山本哲也君) 説明は行ってございません。
#187
○福山哲郎君 これ、廃止なんですよ、二十六年。廃止と決まったのが二十七年も二十八年も付いているんです。なぜですか。
#188
○政府参考人(山本哲也君) この行政事務レビューにおきましては、放射線防護対策に関する技術的な要件あるいは施設の選定の考え方、これが明確になっていないということがありましたので、一旦廃止した上で、再度緊急性がある施策について再度調整して対処されるようと、こういう御指摘をいただいた上で、先ほど申し上げましたような耐震性や施設の要件、それから放射線防護対策の技術的要件を定めて再開したものでございます。
#189
○福山哲郎君 じゃ、この行政事業レビューの九ページの石堂先生のコメントを、申し訳ありません、お手数ですが読んでいただけますか。時間がもったいないのでお許しください。(資料提示)
#190
○政府参考人(山本哲也君) 石堂先生の、今お手元の資料にもあるかと思いますけれども……(発言する者あり)はい。
 国自身もその基準を理解してやっているのかというのがあるのかどうかというのが非常に気になりますと、こういう趣旨のことを……(発言する者あり)はい。
 十ページのところは、後になってみるとこんなもの造るのではなかったということになっても困る、前後が逆になっているのではないかというような御指摘。
 十一ページについてでありますが、こういう施設の判断基準というのは一体誰が下したのですかと、建物の構造物の専門家が下した判断と考えてよろしいのですかと。それに対しまして説明者としては、構造物の専門家と相談して決めたということではございません。それは判断にならないではないかと私は思いますというふうに御指摘いただいておるところでございます。
#191
○福山哲郎君 総理、聞いておいてくださいね、後で振りますから。これ、大切なことですから。
 これ、これだけいろんな御意見が出ているにもかかわらず、この専門家にも行政レビューの人にも確認も取らないで、いつの間にかゾンビのように復活したと。じゃ、この専門家の判断基準それから国自身の基準、作られましたか。
#192
○政府参考人(山本哲也君) この行政事務レビューの結果を踏まえまして、平成二十六年の八月に私ども内閣府の方で放射線防護対策に係る基本的な考え方についてというペーパーをまとめまして、施設の整備すべき対象地域でありますとか、それから対象施設として病院あるいは医療、介護施設等の施設を対象とするようなこと、それから技術的な要件としましては、気密性の確保、特に陽圧化をして対応するようなこと、それから放射性物質の影響緩和としましては、HEPAフィルターとか活性炭フィルターなどによりまして放射性物質を一定程度除去する等々の基準を具体的に示しまして、これに則して現在整備を行っているところでございます。
#193
○福山哲郎君 これ、テレビを御覧いただいている皆さんは分かりにくいと思うので、見てください。
 原発の近くに介護施設だとか学校だとか公民館があって、万が一事故が起こったときには、一旦、今屋内退避という方向になっています。私はこれはいささか問題だと思っていますが。しかし、屋内退避になるということは、一旦ここの施設に皆さんが逃げるわけです。逃げるからには、ここの中の気密性、簡単に言うと圧力を高く置いておかないと、隙間とか窓とかいろんなところから実は放射性物質が全部入ってくるんですね。
 ですから、この空間の圧力を高くしなければ、どんどんどんどん実は風通しで入ってきてしまうということがあるんですが、この圧力について、じゃ具体的な指示は出しましたか。
#194
○政府参考人(山本哲也君) 先ほどの平成二十六年八月に定めました基本的な考え方の中で、施設の要件としまして、差圧の設定については、最低限、年間を通じた平均風速に耐え得ることが必要であると考えられるということで、そういう技術的な考え方を示しているところでございます。
#195
○福山哲郎君 これは規制委員会も了解の下ですか、内閣府。
#196
○政府参考人(山本哲也君) そもそもこの放射線防護施設といいますのは、早期の困難な住民の方々が一時的に退避できる施設ということで、病院、学校の施設などを対象にしてございます。こういう早期の避難が困難な方に対してこういう施設の整備をしていくという考え方は、規制委員会の原子力災害対策指針にも示されているところでございます。
 それを踏まえて私ども内閣府の方ではこの予算事業を実施してございますが、この予算事業の具体的要件として今申し上げた基準を定めたところでございます。
 規制委員会にこの具体的な数字について聞いたものではございません。
#197
○福山哲郎君 じゃ、この補正の事業で、二十五年―二十七年度で百三十六か所、施設に防護措置を施していると思いますが、この圧力、どういう分布状況でできていますか。
#198
○政府参考人(山本哲也君) 二十五年、二十六年度で実施しました対象施設は百三十六施設ございます。この陽圧の分布、圧力をパスカルの単位で申し上げますと、二十パスカル未満が十六、二十から四十までが二十八、四十から六十が二十四、六十から八十が十、八十から百が三、百から百二十までが三十六、百二十パスカル以上が十七というふうになっているところでございます。
#199
○福山哲郎君 ばらばらなんです。
 福島第一原発のときに東京電力の社員の方が何とか作業が続けられたのは、免震重要棟があったからです。皆さん御案内のとおりだと思います。免震重要棟の陽圧値は幾つで設定をされていますか。
#200
○政府特別補佐人(田中俊一君) 免震重要棟というのは俗称で、私どもは緊急時対策所と呼んでおります。
 この緊急時対策所の役割ですけれども、重大事故が発生して大気中に大量の放射性物質が放出された場合においてもそこの従業員はそこにとどまって応急対策を講じられるよう、遮蔽設計とか換気設計を行うことを要求しております。判断基準としては、要員が室内に一週間とどまった場合でも百ミリシーベルトを超えないようにするということを規制上求めております。
 現在、先生が御質問の陽圧を幾ら、要するに、建物の中の圧力を幾らにするかということについては規制上は求めておりません。したがって、事業者はこの緊急時対策所の今までの設計においては、百パスカル程度のところもありますし、二十パスカル程度にしているところもあります。
 いずれにしても、一週間百ミリシーベルトを超えないような施設であるということが私どもの求めている条件であります。
#201
○福山哲郎君 私は伊方も見ましたし、設置のあれを見ましたけど、全部百パスカルになっていますよ。
 代替緊急時対策所の目標差圧が二十パスカルのところがありますか、本当に、委員長。
#202
○政府特別補佐人(田中俊一君) 高浜三、四号炉は二十パスカルになっております。
#203
○福山哲郎君 海外の事例を見ていただければと思います。ちょっと御覧ください。
 日本は、免震重要棟内は伊方も含めて百パスカルです。イスラエルは、一般のビル、住宅、これはさっき田中委員長が言われたように、免震重要棟だけではありません、緊急避難区画も最低百パスカルです。スイスも一般住宅、緊急避難区域が五十パスカルです。NATO軍の施設は百パスカル、アメリカの高付加価値施設は七十五パスカル、シンガポールの緊急時避難施設は何と二百四十と三百です。
 これはなぜかというと、この避難所に住民の皆さんが一旦避難します。風が吹いたりして、強い風が吹くと、そこが結局放射性物質が入り込んで被曝をするからです。だから陽圧の差を高くして、それが入ってこないようにしなければいけません。
 さっき、免震重要棟で二十パスカルというのは、専門的な話でいえばエアロックで遮断をされているからという可能性があると私は考えています。
 これ、先ほど申し上げたように、各地域でこれだけばらばらな状況です。このばらばらな状況の中で、住民がここに一旦避難しなさいと自治体に指導されて避難をしたら、強風が吹いたら、安全だと思って避難しているのにみんな大量被曝すると、こういう可能性が出てくると思いますが、内閣府、どうですか。
#204
○政府参考人(山本哲也君) まず、陽圧設定の考え方で、私どもの基準としては年間の風圧を設定しているところでございます。この基準を満たすように各施設が今整備されておりまして、私ども、その基準が作られる前からの施設も併せて調査したところ、現在のこの基準を全て上回っているということが確認ができているところでございます。
 それで、今先生御紹介の諸外国の事例、これは私どももよく検討する必要あろうかと思っておりますが、やはり、その施設の目的、用途、場合によっては、これは核シェルターがもしかしたら含まれているのかもしれません。
 私どものこの防護施設というのは、長期間とどまることを想定しているのではなくて、避難に時間を要する方、病院とか施設に入っておられる方々、あるいは自然災害などで孤立された方々が、避難の開始までの期間、おおむね一週間程度を想定してございますけれども、長期間ではなくて、そういう一定の期間とどまっていくための対策というものでございますので、やはり、その用途とか目的に応じてそれぞれの対策の水準ができているというふうに理解してございます。
 いずれにしましても、海外の事例いろいろ御指摘いただいておりますので、私どもとしてもよく検討してみたいと思ってございます。
#205
○福山哲郎君 これ大問題ですよ。一週間避難しているんでしょう。その間に、先ほど平均風速でやるとおっしゃいましたね。平均風速なんかとんでもないですよ。だって、福島で飯舘や川俣に放射性物質が、三十キロ圏を超えて放射性物質が降り注いだのは、そのときの風向きと、風が強かったからですよ。誰が平均で吹いてくれるんですか。その避難場所が何か万が一があったときに、ある地点については強風が吹いたら、こんな陽圧差だったらみんな室内で、避難所で被曝するじゃないですか。
 規制委員会田中委員長、元々文科省が発電用原子炉施設の安全解析に関する気象指針についてというのを作っておられました。これは規制委員会が引き継いでおられると思いますが、想定事故時における気象要件の部分があると思いますが、これを読み上げていただいていいですか、委員長。
#206
○政府特別補佐人(田中俊一君) 指針作成の考え方でよろしいでしょうか。
 想定事故時における安全解析は、想定事故期間中の線量当量を評価するものであるので、この場合には、想定事故が任意の時刻に起こること及び実効的な放出継続時間が短いことを考慮して、平均的な気象条件よりむしろ出現頻度から見てめったに遭遇しないと思われる厳しい気象条件を用いる必要がある。このため、指針では、気象観測資料を基に出現確率的観点から想定事故期間中の相対濃度を解析し云々でよろしいですか。
#207
○福山哲郎君 安全委員会の、規制委員会の、ごめんなさい、安全委員会じゃない、規制委員会の気象指針には、平均的な気象条件よりむしろ出現頻度から見てめったに遭遇しないと思われる厳しい気象条件を用いる必要があると明確に言われているんです。平均じゃ駄目なんです、風が強く吹くんだから。どこで吹くか分からないんだから。一週間滞在しているときに風がここに吹いてこないとか強い風が吹かない保証がどこにできるんですか。
 じゃ、聞きます。三月十二日、水素爆発があったときの飯舘の平均風速と最大瞬間風速をお答えください。
#208
○政府参考人(山本哲也君) 気象観測所の観測結果で申し上げます。三月十二日の飯舘村でございます。まず、平均風速は秒速二・二メートル、それで最大風速は秒速で五・三メートルとなってございます。(発言する者あり)済みません、今持っておりますのが、ちょっと手元にありますのが最大風速、瞬間ではありませんで、最大風速が秒速五・三メートルというふうに把握しておるところでございます。
#209
○福山哲郎君 最大瞬間風速が十二・一なんです。平均風速が二・二なんです。これ十二・一がどこで吹くか分からないんですよ。吹いたら、こんな小さいパスカルだったら全部中通すじゃないですか。
 これ、内閣府、どうするんですか。安全委員会の確認を取っていないということは、この安全規制委員会が、ごめんなさい、安全委員会じゃない、規制委員会がずっとここに書いてある想定気象要件は考慮に入れていないということですね。
#210
○政府参考人(山本哲也君) ただいま規制委員会の田中委員長から御説明あった気象に関する指針でありますけれども、これの用います目的は、想定事故時の気象条件での放射性物質の大気拡散予測に用いるものであるというものでありまして、室内の正圧化を何か評価するためのものではないというふうに承知してございます。
#211
○福山哲郎君 じゃ、福島の三月十五日、四号機が爆発して大量に放射性物質が放出されたときの平均の風速と最大瞬間風速を答えてください。
#212
○政府参考人(山本哲也君) 三月十五日でございます。手元には飯舘村と福島市のデータがございます。ちょっと申し訳ございません、最大瞬間ではなくて最大風速で申し上げますと、飯舘で秒速二・〇メートル、福島市で秒速三・一メートル、それで平均風速は、飯舘村で秒速〇・八メートル、福島市で二・四メートルというふうに承知してございます。
#213
○福山哲郎君 何で小さい方の数字しか持ってこないんですか、こっちが最大瞬間風速と言っているのに。
 福島は三月十五日は平均が二・四で、最大瞬間風速は八・〇です。四倍です。これ、いつ風が強く吹くか分からないんです。みんなここは安全だと思って逃げるんです。それが、風が吹いたら一気に、安全だと思って逃げている人は大量被曝ですよ。
 これ、何でこうなるか分かりますか。内閣府が、国が何にも責任を持っていなくて、規制委員会にも相談していなくて、こんな指針を勝手に言うからですよ。
 元々、じゃ、二十五年、二十六年、二年間、先ほどの平均風速以外も含めて何か指針ありましたか、具体的な数字の。
#214
○政府参考人(山本哲也君) この当該二十五年度から実施をしています補正予算でございますので、まずは指針を踏まえて緊急に整備すべきものということで予算措置を実施したものでございます。したがいまして、制度創設当初は、最初申し上げましたような具体的な考え方、あるいはそういったものが必ずしも明確になっていなかったという状況でございました。
#215
○福山哲郎君 最初の二年間は明確にはなっていなかった。で、廃止になった。そしたら、いつの間にかゾンビのように生き返ったら平均風速で対応しろということになった。結果は自治体がこうやってばらばらの施設を造っています、陽圧差で。
 これ全然避難になりませんよ。ここに避難したらみんな大量被曝しますよ、百パスカル以下のところは。これ、どうします、環境大臣。
#216
○国務大臣(山本公一君) 私も現地に行きまして施設を見てまいりました。当然、伊方も行ってまいりました。
 今、福山委員の御指摘の点は分からないではございませんけれども、分からないではございませんけれども、極めて気密性を確保した上で、室内を陽圧化して出入口や隙間等に室内から室外に向けて向かう風を人工的につくることで汚染物質の侵入を防ぐことも、そのような手当てにもなっております。
 万一の緊急時において、要配慮者等が放射線防護施設で屋内退避を行いながら安全を確保しつつ、自治体等や国が避難に必要な輸送手段や人員の準備を行いたいと思っております。放射線防護施設内に放射線測定器も設置をいたしております。その線量の値も参考にしながら、準備完了後に順次避難を実施をいたしたいと。
 なお、放射線防護施設の差圧設定は、最低限、年間を通じた平均風速に耐えることと、耐えることということを基準としており、これまで放射線防護対策を講じた施設はいずれもこの基準を上回る能力があるというふうに思います。
 以上を踏まえまして、要配慮者等の避難の準備時間を稼ぐという観点からは、防護施設の差圧設定は十分に機能するものと考えております。
#217
○福山哲郎君 田中委員長、良識を持って答えてください。平均風速で大丈夫ですか。
#218
○政府特別補佐人(田中俊一君) 平均風速のお話に答える前に、まず、私どもは防災指針を作らせていただいていますので、その趣旨ですけれども、国際的にもそうですけれども、被曝による確定的影響を防ぐというのが原則です。で、確率的影響をできるだけ少なくするということです。
 福島第一事故の反省として、確定的影響は、敷地内、敷地外に大勢の方がおられましたけれども、出ておりません。確率的影響はまだ分かりません。
 ここで反省しなきゃいけないのは、非常に緊急の避難をされた方の中で大勢の犠牲者が出たということです。いろんな統計があるんですけれども、四月末ぐらいでもう百五十人という福島県からの発表もありました。それで、今まで関連死ということであると既にもう千人を超えているということもあります。
 そういったことも踏まえまして、私どもが指針を作るときには、まず必要な避難をすることが原則ですけれども、まずそのために、屋内に退避して過剰な要するに確率的影響も含めまして被曝をしないようなこと、それを原則にしております。屋内に退避するということで、特に老人ホームとかそういったところを無理に動かすと、いろいろ今は経験がありますので、そういうところについていわゆる屋内退避をしても放射能が入ってこないようにということでお願いしてあります。
 それで、先ほど外国の例が出ていましたけど、外国の例は、あれ、ほとんど私の知る限りにおいては核シェルターで、要するに原爆とかそういったものに対する防護施設です。
 原発の場合出てくるのは、早期に屋内退避が必要だというところは、希ガスとかヨウ素、大体限られております。希ガスというのは空気が、風があればすっと抜けていくものですし、ヨウ素もそうですけれども、そういったことで、ヨウ素剤の服用とかも含めましてそういった防護手段を取っていただく、そこの中の一つとして屋内退避。屋内退避をする場合の屋内は、できるだけ目張りをするなり、陽圧をできるだけ保つということをする。
 大量に被曝することは私はないと思います。そういった希ガスとかヨウ素、ヨウ素剤を服用すればヨウ素の影響は余りありませんし、希ガスはすっと抜けていきますから、大量に中にいて被曝することはないというふうに考えております。風が強ければどんどん流れていきますので、そういうことはないと思います。
 できるだけいい防災・避難計画、施設を造るということは非常に国民にとっても大事だと思いますので、その努力はしていきたいと、そういうふうに私どもも求めていきたいと思います。
 内閣防災とも随時いろんな連絡を取って進めさせていただいておりますので……(発言する者あり)はい。
 平均風速か最大風速かと。施設の設計とかのときに、今私ども、放出基準としてどれくらいということで求めております。そういったときに利用するものでありまして、今、避難、一時退避施設に対する基準ではないということだけはお話しさせていただきたいと思います。
 要するに、病院とか老人ホームというのは既存の施設ですので、そこに避難をしていても被曝量ができるだけ大きくならないようにするというための手だてでありますので、先ほど申し上げましたように、平均風速であるか、風が強いかというよりも、どちらかというと、私ども心配していますのは、無風状態でいつまでもそこに放射性物質がとどまるということの方が一番気になります。
 そういうことですので、今の状況で福島の事故を踏まえれば、私どもとしては屋内退避というのをうまく活用していくことがとても大事だというふうに考えております。
#219
○福山哲郎君 詳しく御説明いただいて、私は、ごもっともの点、たくさんあるんですが、結局平均風速でいいかどうかのお答えはなかったんですね。
 それで、でも、ちゃんと百パスカル以上にしている施設もちゃんとあるんですよ、それぞれの自治体の御努力で。これ、何にも最初の二年間指針もなかったんです。基準もなかったんです。だから廃止の事業になったんです。後になってからまずいというので、低いパスカルのところに合わすために平均風速でやらざるを得なくなったんです。順番が逆なんです。これ、新たな安全神話なんです。
 そうしたら、いろいろ理由付けを言うんです。理由付けを言うんです。でも、いいじゃないですか、百パスカル以上のところがこれだけあるんだから。ほかの低いところも百パスカル以上になるように努力すると言えばいいじゃないですか。何で下のままでいいと言うんですか。強い風が吹いたらいきなり被曝するじゃないですか。どうですか、内閣府。
#220
○政府参考人(山本哲也君) 御指摘の点もごもっともな点があると思っております。
 私どもの防災対策の基本的な考え方は、一旦整備したら終わりではなくて、常に改善を継続的に進めていくということでございます。御指摘の点も十分検討、研究しながら、どういう対策があり得るかということも検討してまいりたいと思ってございます。
#221
○国務大臣(山本公一君) 原子力災害への備えそのものは私は終わりや完璧はないというふうに承知をいたしております。
 したがいまして、避難施設の放射線防護対策に関しましても、様々な知見を取り入れた上で引き続き充実強化を図るべきだと、かように思っております。
#222
○福山哲郎君 これ、政権のメンツとかそんな話じゃないんです。
 だから、今環境大臣も前向きに答弁いただきました。内閣府もごもっともだと思いますと言われました。そうしたら、早く、もう今造ったところにだって改修しろという指示を出してもらわなきゃいけないんです。今の状況のままだったら、今年の補正予算、みんな平均風速でやりますよ。そうしたら、みんな低いパスカルになりますよ。そうですよね、今の構造なら。それは良くないと言うんだったら、そこは早急に改善すると約束してください。
#223
○政府参考人(山本哲也君) いずれにしましても、技術的な検討を十分加えて、どういうものが適切かどうかということをよく検討して対応していきたいと考えてございます。
#224
○福山哲郎君 いいですか。専門家に言われて廃止と決まった事業はいつの間にか専門家に確認も取らずに生き残っている。最初指針も何も出さないでできたやつは、低いパスカルのままだったらそれを後で正当化するために低い平均風速にする。そして、結果としては大量被曝の可能性が高まる。これ全然安全防護対策じゃないですよ。逆行ですよ、これ。
 総理、だから自治体任せじゃ駄目だと言っているんです。いいですか。国が責任を持たなきゃいけないところを中途半端な指導でやっているからこういう状況になるんです。どうです、国が責任持ちましょうよ、避難計画も。どうですか、総理。
#225
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 避難計画については、住民の状況や具体的な避難経路、避難先など地域の実情を熟知している地元の自治体が中心となって策定するのが適切であると、これは従来から答弁しているとおりであります。
 しかし、それは、地元の自治体任せにするということではもちろんないわけでありまして、我が国では福島第一原発事故の教訓を踏まえて、初期段階から国がきめ細かく関与をし、地域原子力防災協議会において議論しながら関係自治体と一体となって避難計画を策定する仕組みとしています。
 こうして策定した避難計画に沿って、国と自治体が連携をして、川内原発、伊方原発、高浜原発等において住民参加の下、避難訓練を実施をして計画の実効性を検証しているところであります。避難計画の実効性を検証しつつ、今後とも国がしっかりと関与をしながら自治体とともに避難計画の継続的な充実強化を図っていく考えであります。
#226
○福山哲郎君 聞いたことに答えてください。
 もう一回、悪いですけど、内閣府、レビューの十一ページの先生のあれ、読んでください、もう一回、赤字。総理、聞いておいてください。
#227
○政府参考人(山本哲也君) 十一ページのところでございます。ポイントだけ申し上げます。
 まず、有識者の先生、石堂先生の方からは、そういう判断基準というのは一体誰が下したんですかと。説明者はそれに対して、自治体との間で個別に相談をさせていただいているところでございますと回答し、また、有識者、石堂先生の方からは、建物の構造の専門家が下した判断と考えてよろしいのですかと言うと、説明者の方からは、そういう構造物の専門家と相談して決めたということではございませんと。それに対し、石堂先生の方が、それでは判断にならないのではないかというふうに私は思いますという御指摘をいただいたところでございます。
#228
○福山哲郎君 総理、分かりますか。さっきの話もそう、これ、誰も責任取らない体制になっているんですよ。そうしたら、いつの間にか四百億ぐらいの補正予算使ってこんなふうにばらばらの陽圧の施設がいっぱいできて、ここに避難しなさいという指示が全国で出されるんです。これ、まずくないですか、総理。国がやっぱりやろうってなぜ言えないんですか。だって、言っているじゃないですか、いつも、国が責任を持つ、アンダーコントロールだって。どうぞ。
#229
○国務大臣(山本公一君) 一義的には、避難計画その他、地元の御意見を聞きながら、協議会をつくっていただいて、そこで一つの避難計画なんかは作成をされるわけです。その際に、国は責任を持ってそれに関与をしていくという態度で我々はやってきております。
 国が、国がやっぱり主体ではないけれども、一番詳しいのは自治体じゃないかと。どういう経路を取って、どういうふうに避難するのが一番合理的であるかということを知っているのはやっぱり地元なんです。(発言する者あり)いやいや、そういうこと等々を踏まえた上で国が責任を持ってそれをサポートしますという体制で今……(発言する者あり)そうでしょう。だから、要するに、国は責任を持って、主体的に、主体的にやるのは自治体なんですけれども、そういうことを申し上げたいわけです。(発言する者あり)
#230
○委員長(山本一太君) 山本公一原子力防災担当大臣。
#231
○国務大臣(山本公一君) 申し訳ございません。
 施設等々についても、先ほど申し上げましたように、我々の考えている防災政策というのは完璧なものはない、終わりはないという姿勢で臨んでおりますので、新しい知見が様々出てまいりましたら、それに適応してそれぞれ対応していきたいと、かように思っております。新しい知見がどんどん出てくる、そのときに柔軟に対応できる姿勢を国としては持っておきたいなと思っているんです、施設も含めて。
#232
○福山哲郎君 大臣、前向きにお答えいただいているつもりなんでしょうけど、新しい知見じゃないんです、当たり前のことをちゃんとやってくださいと申し上げているんです。それで、今、判断誰もしない体制になっているから、自治体はせっかくお金使って造っているのにこんな状況で、ここに避難した住民はみんな被曝する可能性がありますよと申し上げているんです。これじゃ避難できないじゃないですか。
 とにかく、前向きに、この補正予算、いいですか、執行するときに平均風速なんかやめてくださいね。誰とも相談していなくて、構造物の専門家でもなくて、規制委員会にもお伺いしていない、そして廃止になっているものがいつの間にかゾンビのように生き返っている。こんなの、とにかく、とにかく、いいですか、メンツとか関係ないんですよ。いかに安全を確保するかが重要なので、よろしくお願いしたいと思います。
 総理、パリ協定は、G7の伊勢志摩の首脳宣言で、二〇一六年中の発効という目標に向けて取り組みつつ、同協定の可能な限りの早期の批准、受諾又は承認を得るような必要な措置をすることをコミットすると言われました。
 実は、インドが批准をして、EUが批准をして、もう発効要件が整いつつあります、世界は。日本はまだ実は国会にも提出されていません。なぜですか。
#233
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、自民党も含めて与党の手続を行っているという状況だというふうに承知をしております。
#234
○福山哲郎君 いつ出される予定ですか。
#235
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国としましては、条約の署名が開放した当日に署名するなど、早期発効を重視し、取組を行ってきました。国内における様々な対応の担保に関する政府内の調整等を続けてきましたが、こうした調整、完了次第、国会で御審議をお願いしたいと考えています。
#236
○福山哲郎君 だから、いつですか。
 十一月七日からもう気候変動枠組条約のCOPが始まります。これは発効をしたら、締約した、批准をした国だけでルール作りが始まります。十一月七日ですよ、もう一月しかありませんよ。それに間に合わせるために、インドもEUも、そして中国とアメリカは九月の三日に同時に批准を発表しました。日本だけ置いてきぼりじゃないですか。外務大臣、これでいいんですか。
#237
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、発効いたしますと、締約国による会議が発足するというふうに認識をしています。ただ、現状の議論を見ておりますと、協定の実施指針策定に係る交渉、これは現在、国連気候変動枠組条約の全締約国の参加を得て行われています。この協定の実施指針策定に係る交渉はこうした形で続けられると認識をしています。
 ただ、いずれにしましても、我が国としましても、一日も早く締約国となり、締約国会議においてしっかりとした責任を果たすべく努力をしなければならない、このように認識をしております。
#238
○国務大臣(山本公一君) 福山先生は、私どもと長く環境問題、取り組んでいただいておりまして、ありがとうございます。
 その上で、今回のパリ協定は、我々にとりましてはまさに待望の協定ができたという思いが強うございます。したがいまして、早期に発効できるように我々も今日まで頑張ってまいりました。
 中国や、そしてEUが参加したりインドが参加したりして、日本が遅れているという御指摘に対しては、私もそのようなことは重々承知をいたしておりますが、とにかく早期に、国会が御審議いただく話でございますので、国会の方でやっていただきたい。
 一つだけ申し上げておきたいのは、今回のモロッコのマラケシュで行われるCOP22においてパリ協定締約国会合が、締約国として参加できるのは十月十九日までに締結手続を完了した国ということになっております。十月十九日というのは会期終了日の三十日前ということに相なろうかと思っております。三十日前に締約をした、手続を完了した国のみがパリ協定締約国会合に参加できるということに相なっておりますが、我が国は締約国として参加できないわけでございますけれども、パリ協定の指針の策定に係る主要な交渉は既に我が国を含む形で行われているということは是非御承知おきいただきたいなと思っております。
#239
○福山哲郎君 環境大臣、今、私、聞き間違えたのか、締約国会議に出られないことはもう覚悟されているということですか。
#240
○国務大臣(山本公一君) 日程的にという話なんです。要するに、十一月例えば七日までに国会で審議を了したとしても、発効までにはそれから三十日掛かるわけです、三十日。いわゆる提案をしまして、提出をしまして、それから三十日掛かると。そういうのを逆算していくと今みたいな話になってくるわけでございまして、例えば今日、今日国会が一つの意思を衆参両院でお示しを願えれば、これから三十日後です。
 さっき申し上げた十月十九日です、十月十九日、これがいわゆるモロッコの世界の最終日に相なってくるわけです。だから、今日、今日という世界が可能かどうかということに相なるわけです。
#241
○福山哲郎君 だって、まだ閣議決定も、国会にも出てきていないんですよ。それは国会のせいじゃないじゃないですか。それは政府の、それは政府の責任でしょう、それは、大臣、総理。
 総理、伊勢志摩サミットで宣言しているんですよ。議長だったんでしょう。
#242
○国務大臣(山本公一君) 総理の伊勢志摩サミットでのある意味で御決断は非常に重いものだと、かように思っております。ただ、国会の日程は国会がお決めになることでございますので、私どもがとやかく言える、ではないかというふうに思っております。
#243
○福山哲郎君 まだ国会に出ていないんですよ、総理。どうですか、これ。どうします。やらないんですね、じゃ。どうぞ。
#244
○内閣総理大臣(安倍晋三君) やらないということではもちろんないわけでありますが、これは閣議の日程については、臨時国会開会後の予算審議の見込みやその他の法案等の状況を踏まえて、十月中旬にこれを行うこととした次第であります。
 政府は署名の開放日当日である四月二十二日に即座に署名を行い、政府としては署名を行っています。同時に、パリ協定の国内実施の担保に係る政府部内での検討を迅速に進める等、一日も早い締結を目指して作業、調整を行っているわけであります。引き続き、与野党の協力も得つつ、一日も早い締結に向けて全力を尽くすわけでございます。
 やるかやらないかというのは、このパリ協定について批准をするかということについては、とにかくこれは国会で批准をしたいと政府としては考えているわけでありますし、野党の皆様にも御協力をいただきたいと考えております。
 同時に、同時に、このパリ協定の指針の策定に係ることについて、これは全くそこに、指針に書かれないではないかという趣旨の御発言がありましたから、大臣から、主要な交渉は既に我が国を含む形でこれは行われているわけでありまして、私たちもしっかりとこの指針に私たちの考え方を反映をさせているということは御了解をいただきたいと、こう思っている次第でございます。
#245
○福山哲郎君 だから総理の所信表明演説にはパリ協定について言及なかったんですか。
#246
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これについては、既にこの全ての締約国、全ての国が参加をする公平な仕組みをつくっていくということは第一次安倍政権のハイリゲンダムのサミットにおいて私が主導したものでございまして、この考え方にのっとって今回パリ協定に至ったわけでありますから、我々もしっかりとこの批准を行い発効させていきたいと、こう考えているところでございますし、我が国も貢献していきたい、事実貢献をしているということでございます。
#247
○福山哲郎君 いや、びっくりしました。締約国会議にはもう無理だとおっしゃる。そして、所信表明にはなく、だけど伊勢志摩サミットで、承認を得るような必要な措置をとることにコミットすると、総理、議長として言われたんですよ。TPP特別委員会へ回す前にパリ協定やろうじゃないですか、国会で。我々は協力しますよ。早く国会へ出してください。どうですか。
#248
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 早く提出をすべく、今、自民党、与党において調整を行っているところでございます。
#249
○福山哲郎君 何でそんなに時間が掛かっているんですか。だって、こんなの承認する手続が始まるのは分かっているじゃないですか。
#250
○国務大臣(岸田文雄君) 今、準備、調整作業を全力で進めております。そして、政府内としましては、来週十一日の閣議を目標に努力を続けていると承知をしております。
#251
○福山哲郎君 本当に驚きです。COPに環境大臣が行かれるのか外務大臣が行かれるのか分かりませんが、締約国として行っていただきたかったと私は思います。それが京都議定書を作った日本の責任でもありますし、パリ協定にやはりコミットした日本の責任だと思います。非常に今の消極的な発言に残念に思います。
 日銀総裁来られているので、幾つかだけ確認させていただきます。結論は出なくても結構です。
 まずは、日銀総裁の前に石原大臣にお伺いします。
 月例経済報告というのがいつもあるんですが、何と三十七か月連続、月例経済報告は緩やかな回復基調が続いているという表現になっています、まあ前後ありますがね。三十七か月連続して緩やかな回復基調が続いているんだったら、もっと成長しているであろうし、もっと景気良くなっているんじゃないんですか。
#252
○国務大臣(石原伸晃君) 御承知のとおり、様々な細かい指標については、個人消費がこの夏以降若干盛り返している、その一方で設備投資が落ちてきたものが上がってくる、経済ですから循環しておりますので、総じて緩やかな回復基調が続いているという表現を取らせていただいております。
 三十七か月ということでございますが、安倍内閣になりまして三年九か月たったわけでございますが、その間、これは総理がいつも申しておりますように、経済は間違いなく好転しております。名目GDPでいうならば三十三兆円、パーセントにすれば一・九、税収にしても二十一兆円、国、地方合わせて増えている、そんな中で雇用環境が改善して賃金も三年間増えている。こういうもの全体を眺めて、緩やかな回復基調にある。毎月微妙に判断は、中のものは変わっているということは御理解いただきたいと思います。
#253
○福山哲郎君 これは、毎月毎月どこを基点に緩やかな回復基調というふうに、どこを基点に言われているんですか。
#254
○国務大臣(石原伸晃君) 先ほど設備投資の話、個人消費の話、いろいろさせていただきましたが、様々な指標が、今全部を御紹介するには時間が掛かりますので割愛させていただきますが、そういうものを総合的に判断して緩やかな回復基調にある。GDPがこの三年九か月間で名目三十三兆円拡大したということは、間違いなく経済が緩やかに回復しているということを示している最大の数字ではないかと思っております。(発言する者あり)
#255
○委員長(山本一太君) 石原経済再生担当大臣。
#256
○国務大臣(石原伸晃君) 基点という意味を私はどういう指標を基に判断しているのかということでああいう御答弁をさせていただきましたが、今資料を確認しましたら、緩やかな回復基調になったというのは二〇一三年の九月からでございます。
#257
○福山哲郎君 月例経済報告というのは毎月毎月出ているんです、コメントが。毎月毎月緩やかな回復基調が続いているんです。毎月緩やかな回復基調が続いているということは、複利でいったらすごく経済は良くなっているはずじゃないですか。そうでしょう、毎月緩やかな回復基調なんだから。
 三十七か月緩やかな回復基調が続いているというのに、なぜこういう経済なんですかと聞いているんです。どこを基点、前月を基点に言っているのか、何を基点に緩やかな回復基調だと言っているのかと聞いているんです。
#258
○国務大臣(石原伸晃君) 基点という意味の解釈でそごがあったということであるならば訂正をさせていただきたいと思うんでございますが、これは要するに二〇一三年の九月から、委員が御指摘なされたとおりこの緩やかな回復基調、対前年同月比、あるいは前月比、これに比べて、様々な指標は月によって変化するわけであります、個人消費も変化する、設備投資も変化する、それを総合的に判断してその月々の景気判断というものを示させていただいているのが月例経済報告の性格でございます。
#259
○福山哲郎君 だって、回復というのはどこかと比較して回復なんでしょう、回復しているんだから。そこはどういうふうに御説明されるんですか。
#260
○国務大臣(石原伸晃君) 基点ということで先ほど二〇一三年の九月ということをお示しさせていただきましたけれども、そのときから同じ表現を使わせていただいております。ということは、その前月、二〇一三年の八月の状況は九月のときに比べて悪かった、そういう意味で、福山委員が御指摘されている基点というものはそういうことを指すのではないかと考えております。
#261
○福山哲郎君 前年同月比という意味合いですか、これ。
#262
○国務大臣(石原伸晃君) 様々な指標を前年同月比で見る、また、月例経済でございますので、前の月に比べてどう変わったか、その時々の指標を総合的に判断して、基点というのは、三十数か月という数字を示されましたので、二〇一三年の九月ということを示させていただきましたが、その前の月の八月に比べれば総合的に判断して緩やかな回復基調になったというふうに御理解をいただきたいと思います。
#263
○福山哲郎君 私の基点という聞き方が間違っていました。申し訳ありません。
 まさに今大臣言われたとおりに、前月に比べて緩やかな回復基調が三十七か月続いていたら、景気、むちゃくちゃ良くなっているはずじゃないですか。
#264
○国務大臣(石原伸晃君) 良くなったということを言うと自慢をしちゃいかぬというふうな話をされましたが、この期間の間にどういうことが起こったかと言えば……(発言する者あり)二〇一三年の八月と九月にこの景況判断というものを変更させていただきました。その間に何が起こったかということを総じて今お話をさせていただいているんですけれども、もう一つ指標を取らせていただくのであるならば、就業者数で見れば雇用環境が良くなるということは景況感が上がるということの一つのメルクマールでございます。生産年齢人口が三百万人減っている中で百万人以上就業者が増える、これも一つ景況判断が好転する材料でございます。
 こういうことを総合的に判断をいたしまして、今委員が御指摘のとおり、この月例経済でこういう報告をして、これは積み上げていくものではございません、その月々の景況判断をお示しさせていただいているものでございまして、そうであるならば、GDPが名目でどれだけ増えたのか、あるいは実質でどれだけ増えたのか、賃金がどれだけ上昇したのか、こういうことが経済の実態の姿であると認識をしております。
#265
○福山哲郎君 前月比だと言ったり、トータルだと言ったり、指標がそれぞれだと言ったり、よく分からないんですけど、少なくとも三十七か月緩やかな回復基調が続いていると言われているということは、相当景気がいいはずですよ。
 この月例経済報告、何でかよく分からないんですけれども、これやっていると切りがないので、済みません、黒田総裁来ていただいて、お忙しい中ありがとうございました。
 この間の政策決定会合で、長期金利を日銀がコントロールできると判断されたのはなぜですか。これ、衆議院でも議論ありましたけれども、元々短期金利は一定の調整が利くだろうというのはありましたが、長期金利は日銀のコントロールの及ばないところだというのがこれまでだったと思うんですが、総裁、なぜこれができるように判断されたんでしょうか。
#266
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、伝統的に中央銀行は金利操作について、短期金利は操作できると、ほぼ完全にコントロールできると、しかし長期金利のコントロールというのは難しいというふうに考えられてきました。ただ、御案内のとおり、リーマン・ショック後、日本銀行のみならずFRBにしてもECBにしてもみんなゼロ金利制約に直面して、長期国債その他長期資産を大量に買い込んで長期金利に直接影響を与えるという政策を取ってまいりました。そして、それが実際にも長期金利の引下げに効果があったということでございます。
 したがいまして、特に日本銀行としては、三年半の量的・質的金融緩和、そしてこの半年のマイナス金利の導入と、こういったことを組み合わせて長期金利にかなりの程度影響を与えることができるということが分かりましたので、さらにこの二つの組合せに加えて、日本銀行が指定する利回りによる国債の買入れ、いわゆる指し値オペといったものも加えまして、このような長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入したということでございます。
#267
○福山哲郎君 総裁、ありがとうございます。
 要は、日銀がたくさん国債を買い込んでいるから長期金利もコントロールできるようになったと。それがいいことか悪いことかよく分かりませんが。
 一方で、総裁、インフレ目標二%はまだ堅持されているということは、インフレ目標二%、本当にこのまま総裁や総理が言われるように行ったとしたら、一般的に言うと長期金利はどの程度になるものですか。
#268
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおりの長短金利操作付き量的・質的金融緩和を前回の金融政策決定会合で導入いたしましたが、その際の長短金利操作の目標としては、当面、短期金利についてはマイナス〇・一%、そして十年物国債の金利についてはゼロ%程度ということでこのイールドカーブを特定したわけでございます。
 ただ、御質問にありましたように、二%の物価安定目標がきちっと達成された暁に長期金利がゼロ%程度でとどまるということは考えられないわけでありまして、今後必要に応じて、当然のことながら、更に緩和の必要があれば金利を下げるということもありますし、他方で、物価安定目標が達成されるという状況になれば当然金利は上がっていくということになると思います。
#269
○福山哲郎君 ということは、物価安定目標二%に向かう中で長期金利が上がることについては、無理やりゼロ%には抑えないということでいいんですか。
#270
○参考人(黒田東彦君) そこは、今申し上げましたとおり、今回の決定は基本的には次回の金融政策決定会合までの金融政策調節方針でございますので、毎回の政策決定会合において議論をして、そして適切なイールドカーブというものを定めていくということになりますので、今すぐ二%の物価安定目標が達成されて金利が上がっていくということにはならないと思いますし、当面、金融緩和を続け、あるいは必要によっては強化するという必要があると思いますので、直ちに金利が上がるとか上げるということにはならないと思いますが、二%の物価安定目標が達成された暁には金利は上昇していくということは十分あり得るし、それは認めるということになると思います。
#271
○福山哲郎君 あと、総裁、もうこれで午前中は終わりますが、総裁は、インフレにならなかったことが、二%の目標が行かなかったのは原油安と消費増税と新興国の経済マイナスだと言われていますが、あっ、そうか、もう時間ですか。
 時間だということで、じゃ、午前中はここで終わります。済みません。
#272
○委員長(山本一太君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#273
○委員長(山本一太君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成二十八年度第二次補正予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。福山哲郎君。
#274
○福山哲郎君 午前中に引き続き、よろしくお願いいたします。
 日銀総裁を余りお時間いただくのもと思ったので、もうお引き取りをいただきましたので別の話題にさせていただきたいと思います。
 お手元にお配りの資料は、陸上自衛隊研究本部、南スーダン派遣施設隊第五次要員に係る教訓要報というものです。
 この七月に二百五十人、二百七十人から千人と言われる死者が出て、そして四万人にも及ぶ避難民が出たと言われていて、実は、今年の今現在、非常に南スーダンは混乱をしているというふうに報道ではあります。そして、相手側の反政府勢力のトップのマーシャル前第一副大統領は武力抵抗を表明をされています。
 実は、この第五次教訓要報には、お手元にあるように、このような表記があります。南スーダン北部に位置するベンティウ、マラカル、三つの都市があって、それは州都になっていて、SPLA、これは政府軍ですが、SPLA/io、これは非政府です、まあこれが何と呼ぶかは別ですが、ベンティウ、マラカルをそれぞれ奪取した。ボルについては一時SPLAが奪回したが、数千規模の武装したヌエル族の若者が戦闘に加入した結果、一月一日にSPLA/ioがボルを再奪取したと書かれています。
 総理や外務大臣にはもう当たり前の話だと思いますが、国準の定義の中に、系統立った組織性がないということと、それから支配が確立されるに至った領域がないというのがあるんですが、これ、自衛隊の教訓要報で、奪回をお互いある州都に対してやり合っています。そして、若者が戦闘に加わって実は戦闘行為が行われています。
 これは平成二十五年ですから現状ではありませんが、この時点でもこのSPLA/ioは国準ではないという判断ですか。防衛大臣、お答えいただけますか。
#275
○国務大臣(稲田朋美君) 平成二十五年十二月、キール大統領派と当時のマーシャル前副大統領派との間で衝突が発生し治安が悪化したのは事実ですが、首都ジュバの状況は数日で平穏化し、派遣施設隊からも自衛宿営地の安全確保にも問題はなかったとの報告を受けております。
 当時の現地の状況や現地の日本大使館、国連からの情報等を総合的に勘案いたしますと、当時においても南スーダンPKOの活動地域において我が国のPKO法における武力紛争が発生していたとは考えておらず、五原則も維持されていたと考えられます。
 今委員の質問に関しましては、国準とは言えないということでございます。
#276
○福山哲郎君 国準と言えない根拠は何ですか。
#277
○国務大臣(稲田朋美君) マーシャル前第一副大統領派が系統立った組織性を有し、同派による支配が確立されるに至った領域があるとは認識をしていないということでございます。
#278
○福山哲郎君 これは防衛省が出している報告書で、州都が三つあって、取って、そして数千人規模の武装した者が戦闘に加入し再奪取したといって領域をやり取りしているんです、取り合いをしているんです、戦闘行為の中で。
 だから、なぜこれが国準じゃないのか、根拠をもう一回言ってください、そうしたら。
#279
○国務大臣(稲田朋美君) 最初にお答えをいたしましたように、治安が悪化したのは事実ですが、首都ジュバの状況は数日で平穏化し、派遣施設隊からも自衛隊宿営地の安全確保にも問題はなかった、支配が確立したとは言えないということでございます。(発言する者あり)
#280
○委員長(山本一太君) 稲田防衛大臣。
#281
○国務大臣(稲田朋美君) 散発的、偶発的な衝突が発生をしておりましたが、マーシャル前第一副大統領派が系統立った組織性を有し、同派による支配が確立されるに至った領域があるとは認識していないということでございます。
#282
○福山哲郎君 だけど、先ほどからジュバの話されますが、これ、地方ではそれなりの地方を支配して領域を奪取しているんじゃないんですか、大臣。
#283
○国務大臣(稲田朋美君) 南スーダン各地において散発的、偶発的な衝突が発生していることは把握しておりますけれども、マーシャル前第一、マシャール前第一副大統領派が系統立った組織性を有し、支配が確立をされた領域があるとまでは認識をしていないということでございます。(発言する者あり)
#284
○委員長(山本一太君) もう一度、福山君。
#285
○福山哲郎君 だって、偶発的、散発的なんて書いてないよ、ここには。奪取したって書いてあるんですよ。
#286
○国務大臣(稲田朋美君) 散発的、偶発的に発生することはあっても、支配が安定的に確立するとは言えない、国準と言えるほどの組織性があるとは言えないということでございます。(発言する者あり)
#287
○委員長(山本一太君) よろしいですか。
 稲田防衛大臣。
#288
○国務大臣(稲田朋美君) 一時的に奪取されても、取り返し、安定的な支配が確立した領域があったとは言えないということでございます。
#289
○福山哲郎君 ということは、領域があったけど安定的ではないということが国準か国準でないかの境目だということですね、今の防衛大臣の御説明ですと。
#290
○国務大臣(稲田朋美君) 奪取しても、取り返せばそこは安定的な領域ではないということでございます。
#291
○内閣総理大臣(安倍晋三君) つまり、稲田大臣が答弁しておりますのは、支配が確立されるに至った領域ではないと言っているわけでありまして、では、支配が確立されるに至った領域とは何かということについてでありますが、それは、支配地域のまず規模ですね、そして支配する期間、規模をしっかりと、ある意味マシャール側がその規模を大きく取って、そしてその期間を長く取って支配の実効性が確保されたということの要素があるかないかを総合的に見ているわけでありまして、それがないというのが、今、稲田大臣の答弁であります。
#292
○福山哲郎君 いや、だって、政府側は単独では対処できなかったんですよ。だから、他国にまで要請をしてマーシャル側に、あっ、マシャール側に対抗したんですよ。これは政府が単独では対抗できないぐらい強固だったから他国にも要請したんじゃないんですか、大臣。
#293
○国務大臣(稲田朋美君) 取ったり取られたりということで、それは系統立った組織性を有し、同派による支配が確立されるに至った領域があるというわけではないということでございますので、これは国準ではないということでございます。
#294
○福山哲郎君 取ったり取られたりがそもそも戦争なんじゃないんですか。それは停戦の合意がそもそも崩れているということじゃないんですか。
#295
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは言わば、そもそも七月の段階では一時的にそうした衝突があったのは事実でございますが、そもそも、マシャール氏は南スーダン国外にもう逃亡し、現在はダバン・デン氏が反政府勢力側を代表して第一副大統領を務めているという状況になっているわけでございますから、先ほど申し上げましたように、一定の支配期間ということには至っていないわけでございますから、支配が確立されるには至っていないということで、これは国準ではないというふうに大臣が先ほどから答弁しているとおりでございます。
#296
○福山哲郎君 僕は今のことを聞いているんじゃないんです。この時点のことを聞いているんです。取ったり取られたりが何で停戦なんですか。
 それで、次のページ見ていただくと、この真っ最中に、あれなんですよ、緊急撤収計画をCRFの司令官と幕僚で見直しを決めているんですよ。当然ですよ。これ、ひょっとしたら撤収しなきゃいけない事態かもしれないと思うからこの準備を始めたんじゃないんですか。ごくごく隊員の安全確保のためには至極真っ当な状況だったんじゃないんですか。
 じゃ、この時点で撤収しなかった理由は何ですか。
#297
○国務大臣(稲田朋美君) PKO五原則が維持をされて……(発言する者あり)PKO五原則が維持をされて、隊員の安全を確保しながら有意義な活動ができると判断したからでございます。
#298
○福山哲郎君 じゃ、何でCRFと部隊は撤収計画を見直しをしようとしたんですか。
#299
○国務大臣(稲田朋美君) 南スーダンに派遣された部隊が情勢悪化に備えて部隊の撤収に要する期間、撤収の要領等について検討、作成を行うことは当然だと思っております。
#300
○福山哲郎君 今、事態の悪化に備えてとおっしゃいましたね。
 これ、撤収計画を決裁したのが一月八日、さっき申し上げた大臣の言葉で言う取ったり取られたりが十二月の二十日から一月十四日、この間に取ったり取られたりなんですよ。これが事態の悪化に備える話なんですか、大臣。
#301
○国務大臣(稲田朋美君) 緊急撤収計画自体はあって、それ自体を見直したということでございます。(発言する者あり)
#302
○委員長(山本一太君) 稲田防衛大臣。
#303
○国務大臣(稲田朋美君) 事態が急変した際の部隊の撤収に要する期間や部隊の撤収要領等について定めたものを状況が悪化することに備えて具体化する、見直すということは当然だと思います。(発言する者あり)
#304
○委員長(山本一太君) 福山君、もう一度質問してください。
#305
○福山哲郎君 だから、備えてじゃなくて、この事態の状況を見て撤収計画を作ったんじゃないですかと聞いているんですよ。
#306
○国務大臣(稲田朋美君) 撤収計画自体は以前からあって、そして、十二月に衝突が生じたことは事実であり、事態の悪化に備えて撤収計画見直したということでございます。
#307
○福山哲郎君 大臣は、自分の国を守るためには血を流す覚悟をしなければならないのです、決死の覚悟なくしてこの国は守れませんと。エリートの条件は、いざというときに祖国のために命をささげる覚悟があるということと言っていると。そういう真のエリートを育てる教育をしなければならない。これは今も変わりませんか。
#308
○国務大臣(稲田朋美君) 私自身は、自分の心構えとして命を懸けてこの国の国益を守っていきたいという思いを持っております。(発言する者あり)
#309
○委員長(山本一太君) 福山哲郎君、質問してください。
#310
○福山哲郎君 私たち一人一人や国民の一人一人がと言っておられるんです。それから、エリートの条件はと言っておられるんです。大臣の個人的な今お気持ちを聞いているわけではありません。
#311
○国務大臣(稲田朋美君) 今、私の心構えを申し上げました。また、過去の議員個人としての発言等に対して個人的な見解を述べるべきではないと思います。
#312
○福山哲郎君 私が何を懸念するかというと、これからも南スーダンの状況は悪化する可能性があるわけです。そのときにこういう、大臣が、何を言っても国準じゃありません、何を言っても落ち着いていますというような状況になって、万が一犠牲者が出て、犠牲者が出ました撤収しますみたいなことになることを私は恐れているんです。だって、自衛隊の報告書の中に州都を取ったり取られたりと、まさに大臣が言われた話になっているわけです。
 ここで撤収計画をCRFが指示をしたのは国準と思ったからなんじゃないんですか。そういう判断をしたからこそ撤収計画をこの場合作ったんじゃないんですか。それが先の悪化に備えての撤収計画なんですか。今がまさにそうだからこそ撤収計画の見直しを指示したんじゃないんですか、大臣。
#313
○国務大臣(稲田朋美君) 国、国準は、PKOの五原則が要件が満たしているかどうかの問題でございます。そして、PKO五原則が満たされていたとしても、自衛隊員の安全が確保され、そして意義ある活動ができなければ撤収ということはあり得ます。
 また、撤収計画は常にあって、それは、まさかのときに備えて撤収計画を作っているというのは私は当然のことでありますし、委員が御指摘なのは二十六年一月八日の撤収計画の決裁のことでございますが、その時点において、既にある撤収計画を、状況が悪化することに備えて検証をし、見直したということでございます。
#314
○福山哲郎君 私たちの政権は、ゴラン高原で長年にわたって意義のある活動をしていたPKOを治安情勢の悪化を受けて撤収しました。PKO五原則は維持されたと思います。
 だからこそ、きちっとした、自衛隊の報告にこういう状況があるのを、いつまでも同じような教条的な話ばかりしていいのかと、自衛隊員の安全確保が大事なんじゃないかと申し上げているんです。そして、現実にこの七月には、先ほど申し上げたように一万人規模の避難者が出ています。
 こういう状況で、防衛大臣、行かれるんですね。行って何を御覧いただくんですか。
#315
○国務大臣(稲田朋美君) 南スーダンからは毎日報告を受けております。昨日も報告を受けました。その際には、自衛隊の安全を確保しつつ意義ある活動を行っているとの報告を受けました。私自身も実際に南スーダンに行ってその状況等を視察してまいりたいと思っております。(発言する者あり)
#316
○委員長(山本一太君) 質問してください。もう一回質問してください、短くてもいいから。
#317
○福山哲郎君 何を視察に行かれるんですか。
#318
○国務大臣(稲田朋美君) 現地で、南スーダン派遣施設隊の活動状況の確認や隊員の激励、また現地情勢の確認をしたいと思っております。
#319
○福山哲郎君 六時間ちょっとの滞在です。行って、頑張ってきてください、頑張りなさいと激励をして帰ってくるのは本当の意味の視察ではありません。本当に治安状況がどういう状況なのか、自衛隊員がどういう状況で職務に精励されているのか見てきていただいて、あるときには英断も必要です。そのことについての決意をお伺いしたいと思います。
#320
○委員長(山本一太君) それでは、短くお願いします。
#321
○国務大臣(稲田朋美君) 活動状況、そして先ほど申し上げましたように、自衛隊の皆さんが安全を確保しながら有意義な活動ができる状況かどうか、しっかりと見てまいりたいと思います。
#322
○委員長(山本一太君) 福山君、最後に簡潔にお願いします。
#323
○福山哲郎君 はい、簡潔にします。
 自衛隊員の方々が意味のある活動をしているのは間違いありません。そして、彼らは下令をされればいつでも我々は頑張りますと言います。それをちゃんと配慮して決断を下すのが政治の役割です。いろんな言い訳をし、いろんな教条的な、まあある種の言葉を使って、PKO五原則が守られているとか今は大丈夫だとか言って万が一犠牲が出るようなことのないように、御勇断と御英断をしっかり視察の場で果たしていただくことをお願いして、私の質問を終わります。
#324
○委員長(山本一太君) 以上で福山哲郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#325
○委員長(山本一太君) 次に、舟山康江君の質疑を行います。舟山康江君。
#326
○舟山康江君 舟山康江でございます。
 私からは、まずTPPについて質問をさせていただきたいと思います。
 今国会の最大の焦点の一つ、それはTPPだと思います。早く協定案を承認したいと、そういう思いを持っていると思いますし、衆議院の方からは強行採決という形で実現したいと、こんな不見識な発言もございました。
 やはりこれは国の将来に関わる大変大事な問題であります。法案に例えれば、国内の法案、これは国会で審議されますけれども、法案の中身も分からない中でいいも悪いも判断できるわけがありません。TPPは協定です、国際条約です。法律以上に国民を縛ることになります。ですから、中身をしっかりと明らかにして影響を分析して、それから是非を判断すると、こういった丁寧な手続が必要だということをまず総理にお願いしたいと思っております。
 そういう中で、総理はさきの所信表明演説の中で、TPPが大事だと言いながら、触れられましたのは農政新時代と題した部分たった四行だけでありました。TPPの早期発効を大きなチャンスとして輸出を伸ばすと、こういったことをおっしゃっておりましたけれども、これ補正予算にもTPP対策予算が盛り込まれております。今回の補正予算でTPP関連予算は幾らになるのか、まず財務大臣から全体像をお聞かせいただきたいと思います。
#327
○国務大臣(山本有二君) 補正予算、農林省関係五千七百三十九億円ございまして、その中でTPP関連予算とされるものは三千四百五十三億円ございます。
#328
○舟山康江君 私がまずお聞きしましたのは、TPP全体の予算額をお答えいただけませんで、あっ、じゃ。
#329
○国務大臣(石原伸晃君) ただいま農林大臣の方からは五千四百四十九億円、農林予算についてお話がございました。
 このほかに、TPPを契機に海外展開を行おうとする中堅・中小企業等を支援するための相談窓口の設置、専門家育成研修、鉱工業品のみならずサービスやインフラ輸出を促進するための調査、人材育成等に八百五十三億円、TPPを契機に海外からの投資を呼び込む国内企業のイノベーション、技術革新が進む環境を整備しグローバルハブの実現を目指すための先進技術の研究開発等に一千百四十三億円、そして、三千四百五十三億円につきましては農林水産大臣が御答弁をさせていただいた、この合計でございます。
#330
○舟山康江君 一般的に、まだ発効するかどうかも分からない、承認されるかどうかも分からない案件についてあらかじめ予算に計上するということはあるんでしょうか。
#331
○委員長(山本一太君) どなたですか。財務大臣ですか。どなたですか。誰に。
#332
○舟山康江君 財務大臣、お願いします。
#333
○国務大臣(麻生太郎君) 質問通告は一切来ていないということを前提にしてお答えいたします。(発言する者あり)質問通告は来ていないということを前提に御答弁申し上げます。
 私どもとしては、そういった事態をあらかじめ、予算を、予算というものは、予備費とかいろんな形で、私どもとしては十分にあり得るということを、あらかじめ予想して予算を立てるということは十分にあることだと存じます。
#334
○舟山康江君 全く中身が違うと思います。
 予備費ではなくて、これ、今回だけではなく前回もTPP対策予算ということで、まだ発効されるかどうか分からない段階で予算が相当な額積み上げられているということです。こういった事例はTPP以外であるんでしょうか。
#335
○国務大臣(麻生太郎君) これも通告があっておりませんので、私の記憶だけで申し上げるのは甚だ危ないと思いますので、こういった例が過去にあるかどうかは次の機会までによく調べた上で御返事申し上げます。
#336
○舟山康江君 TPPに関しまして、まさにこれから、これから承認を受けるという段階にもかかわらず、あらかじめ様々な予算を組み、対策を立てているというのは、これはもう結果ありきの対応ではないかと、私は大変遺憾に思っているところであります。
 そういう中で、今回の所信表明演説では、先ほど申しましたとおり、農林水産業関係にしか総理は言及されておりませんでした。そして、その中で強く言及されたのが輸出の拡大ということでありました。
 総理、TPPでメリット、明示的なメリットと考えるのは農林水産物の輸出だけなんでしょうか。
#337
○国務大臣(山本有二君) まず、総理の御答弁の前に、農林水産物の輸出に関することでございますので、私の方からその点に関してだけお話を申し上げさせていただきます。
 我が国の平成二十七年の農林水産物・食品の輸出額七千四百五十一億円のうちTPP参加国向けは千九百八十三億円と、二六・六%を占めております。また、TPPの参加国合計、世界GDPの三六%を占め、人口において八億人でございます。
 こうしたTPPの環境の中で、我が国が世界に誇る牛肉、水産物、米、日本酒、茶など輸出拡大の重点品目の全てで相手国の関税撤廃を獲得したことでございまして、今後の輸出促進においては大きなチャンスと考えております。
#338
○舟山康江君 総理にお聞きしております。
 ほかに何かメリットと考えるものはないんでしょうか。
#339
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、従来から答弁をさせていただいておりますように、TPPによって工業製品やサービスの輸出、投資なども促進されていくわけであります。
 また、これは関税が、これは相手方が下がるだけではなくてルールが確立をされるわけであります。技術やブランドが保護されるようになるわけでありますから、中小企業等々にとっても安心して進出をしていく。自分の技術が盗まれてしまうのではないか、あるいは自分のブランドを、勝手にほかの海賊版がどんどん出てきてくるのではないかということではなくて、このTPPの中のルールの中において、大企業のようにパワーを持ったところだけではなくて中小企業においてもそうしたメリットがあると、付加価値が正しく評価されるという経済圏が、世界の四割経済圏が出現をするということではないかと思います。
#340
○舟山康江君 今回の所信表明でもそうでしたし、最近の総理を始め政府のTPPに関する話しぶりを聞いておりますと、余りほかの部分、ルール云々、工業製品がもっと売れるようになるということは聞こえてまいりません。どうも農林水産物が輸出が増える、輸出を拡大するんだということばかりが強調されておりますけれども、果たしてこのTPP発効によって本当に輸出が、農林水産物ですね、輸出が増えるとお考えなんでしょうか。総理、お願いします。
#341
○国務大臣(山本有二君) 実際、FTAから多国間のFTAに、さらに共通市場を確立した五億人人口のEUでは、オランダが九兆円の輸出、ノルウェーが一兆円の輸出、オーストリアが一兆円の輸出というようなことを獲得しておりまして、TPPはその前提となる共同市場の先駆けであるというように思っております。
 また、牛肉につきましては、アメリカで十五年目に関税撤廃されるまでの間、平成二十七年の輸出実績は二百六トン、そして、この現在の輸出実績からすると三十倍であります六千二百五十トンの十四年目には無税枠を獲得しておるところでございます。さらに、お茶については、ベトナムにおいて四年目に関税撤廃を獲得しておりますし、現在はお茶は二二・五%の関税がございます。また、水産物については、ベトナム向けのブリ、サバ、サンマなど全ての生鮮魚等について即時の関税撤廃を獲得しております。
 ルール分野におきましても、通関手続の円滑化、流通サービスにおける外資の導入規制の緩和というようなものを獲得したわけでございまして、農産物が確実に輸出の軌道に乗るというように確信しております。
#342
○舟山康江君 それではパネルを御覧いただきたいと思いますけれども、(資料提示)あわせて、大臣、農林水産物の品目別貿易実績の中で十位までお答えいただけますでしょうか。
#343
○国務大臣(山本有二君) 国の名前でいいですか。
#344
○舟山康江君 品目をお聞きしています。
#345
○国務大臣(山本有二君) 品目ですか。
 まず、一位ホタテ、二位アルコール飲料、三位真珠、四位ソース混合調味料、五位たばこ、六位清涼飲料水、七位サバ、八位菓子、九位播種用の種、十位ブリでございます。十位まで。
#346
○舟山康江君 今お聞きのとおり、TPPで輸入が増えても輸出で頑張る、特に農業大丈夫だと言っておりましたけれども、十位の中に農産物は入っておりません。辛うじて十二位にリンゴ、十三位に牛肉、十五位に緑茶、このような形でありまして、これが本当に輸入増、相手の関税が下がるから輸出も増えるんだとおっしゃいましたけれども、逆に我が国の関税も下がります。相当重要五品目についても大きな妥協をいたしました。
 そういう中で、輸入の増加を相殺するほど輸出が増えると言えるんでしょうか。今のベストテンに何も入っていない状況の中で農業に対して果たしてどれだけプラスなのか、お答えください。
#347
○国務大臣(山本有二君) 加工品についてで、農家所得が加工品ではいささか心もとないのではないかという御質問だろうと思いますけれど、平成二十七年の農林水産物・食品の輸出は七千四百五十一億円で、三年連続で過去最高となっております。
 輸出額の内訳を見ますと、水産物が二千七百五十七億で三七%、加工食品がおっしゃるとおり二千二百二十一億円で、大きな数字で二九・八%、農産物は二千二百十億円で二九・七%でございます。
 そんな中で、生産物そのものを輸出するのではなく、むしろそれに付加価値を付けるという意味での加工品であるとすると、農家由来の加工食品の産業というようなことになりますと、安定的な出荷や農閑期の就労等の確保もあり、農家の生産する生産品の輸出に伴って農家自体の所得も向上する環境にできるというように思っております。
#348
○舟山康江君 この輸出の実績を見る限り、直ちに農家の所得にプラスになるとはとても思えません。むしろ、TPPで輸入の方が増える、これは確実に増えると思います。その確実に増える一つが米であります。米は新たにSBSの枠を広げました。
 今、輸入米の価格偽装が問題になっておりますけれども、いわゆるこの調整金の問題ですね。まあこれはおいておくにしても、確実に今回、数量を約束をしました、アメリカとオーストラリアに。最大七万約八千トン増えると、これは確実に増えます。そういう中で、米の輸入が増えることによるマイナスの影響についてやはりしっかりと考えていただきたい。
 その上で、今回、輸入米について実は調整金というものが存在をしていて、実際はもっと安く国内で流通していたということが発覚いたしました。
 大臣、この事実をいつお知りになったでしょうか。
#349
○国務大臣(山本有二君) 平成二十六年十月、豪州産のSBS米の品質問題に関する民事訴訟をきっかけに知ったところでございます。
#350
○舟山康江君 調整金というよく分からないものの存在がここで発覚をして、その後直ちにこの調査に乗り出したんでしょうか。
#351
○国務大臣(山本有二君) それにつきましては、直ちにというところではございません。大々的な報道があり、農家不安が増幅したと認識してから私の方で調査を命じました。
#352
○舟山康江君 おかしいじゃないでしょうか。調整金という国が知らないものの名前をそこで把握をした。一体これは何なんだろうか、何のために存在しているんだろうか、調べるのは当然じゃないでしょうか。
#353
○国務大臣(山本有二君) 先ほど申し上げましたように、民事上の個社の紛争の裁判の事実でありまして、個々の紛争にあえて国が関与をする必要はないわけでありまして、その意味で、言わば単に知っているということと行政的判断を加えて何か対処するということとの認識の重さ軽さの違いにおいて、いまだその二十六年十月においては少し知ったというだけの事実でございます。
#354
○舟山康江君 確かに民事上の争いだったかもしれませんけれども、このSBSというのは国が明確に関与をしております。国が輸入業者から買い上げ、そして一般小売商社に、小売業者に売り渡す、卸売業者に売り渡すという意味におきまして国が関与しております。
 そういう中で調整金というものの存在が分かり、どうも価格に上乗せをしているのではないかと、そういった指摘がこの裁判の中でも出てきているようであります。そういう中でなぜ放置したんでしょうか。
#355
○国務大臣(山本有二君) そうした舟山委員さんの御懸念のとおり私も懸念を覚えたものでありますから、直ちに、この調整金の存在の有無、さらには調整金による影響、そして外食産業、業務用のSBS米の販売価格の実態、こういったものをくまなく、全てのSBSの入札結果を踏まえて今現在調査を行っているところでございます。
#356
○舟山康江君 調整金というのは一体何なんだろう、おかしいなと思いながら、結果的には二十六年十月からここまで、調査を始めたのはたしか先月の末だと思います。約二年間放置をしてしまったということはお認めですね。
#357
○国務大臣(山本有二君) この調整金が民事紛争の際に授受されているという事実は知りましたけれども、それが果たして市場価格を下げる誘因になっていると、いまだそれは判断できておりません。
 したがって、万々が一そうしたことであるならば運用改善等の必要がございますので、今調査をしているところでございます。
#358
○舟山康江君 私は、今の段階で市場価格には全く触れておりません。
 こういった調整金というものが国が関与する取引の中でやり取りがあったということ、これは国が関与しているSBSですからね、国が一定価格で買い上げて一定のマークアップを付けて売り渡すと、ここに調整金というものが、どの段階か分かりませんけれども入っていたということは二年前の裁判で明らかになっていて、これを放置していたというのは、これは業務上の怠慢じゃないでしょうか。
#359
○国務大臣(山本有二君) SBS入札におきます契約ひな形がございます。甲は国でありまして乙は輸入業者、そして、甲、乙、丙が買受け業者、卸でございます。その契約の中に、代金の授受についてはありますけれども、調整金という言葉は入っておりません。
 ですから、契約外での金銭の授受があったということでございまして、SBS契約の正式な契約書の中に入っていない以上、これについてはいまだその段階では調査をするべき話ではないと、こう考えております。
#360
○舟山康江君 争いになっていて、しかもその調整金というものが出てくる、その原資が何なんだろうかということは普通疑問に持つんじゃないでしょうか。売った側の商社、輸入商社ですね、輸入商社から卸売業者にお金が流れているということは、つまり、その原資はどこからか捻出をすると、そのときに何か売り買いのところで少し何か操作があったのではないかと、これは容易に想像できると思いますけれども、考えないんでしょうか。
#361
○国務大臣(山本有二君) 継続的に企業が契約をし、取引をし、代金を授受するときに、広告宣伝費の協力金あるいは販売促進費、あるいは営業についての共同的な行為について出資する場合というのは商慣行上あり得べき話でございまして、それとの区別について、いまだその段階では認識していないということでございます。
#362
○舟山康江君 それが、なぜ先月の末の段階には、これは危ないと思って調査を始めたんですか。
#363
○国務大臣(山本有二君) 大々的な報道の下に生産者不安が増幅しているというように察知させていただきまして、その意味において、これは万全を期して、そういう不安を払拭するという考え方の下に調整金を明らかにしていく必要があると、こう判断したからでございます。
#364
○舟山康江君 では、結果的には、やはり二年前は知った段階で調査をすべきだったと、今大臣、お考えですか。
#365
○国務大臣(山本有二君) しかし、仮定の話でございますし、そのときに知り得た事情が事情でございますので、私は今の調査の段階が最も早い調査のスタートであるというように思っております。
#366
○舟山康江君 今回のこの報道を見ますと、結局は、実際よりも高く国に売り付けて、そして国から高く売ったと、そして、その本来あるべき価格の差額について卸売業者の方に流れていたということです。ですから、市場に対しては売渡価格よりももっと安いものが流通していたということで、これは価格形成に大きな影響があるんじゃないでしょうか。
#367
○国務大臣(山本有二君) まず、一般論で申し上げますと、売買代金を受領する以外に何らかの代金名目以外の名目で受け取った当該企業が、かかる取引先に必ず安値で再販をしていくということが通常行われるかどうか、これについては、むしろ当該企業が利益を最大化する方が普通ではないかというように思われます。
 また、代金の授受の後に授受される調整金の存在、また、調整金がある場合とない場合があるということ、また、逆調整金として買受け業者が、売渡し輸入業者に調整金が支払われているということも散見されるというようなことがありますから、全体の悉皆調査をやらざるを得ないし、やっていかないと明確にならないというように今も考えております。
#368
○舟山康江君 今まで、輸入米、このSBSで主食用米とある意味競合するお米については、国産米の言わば低価格帯とは価格水準が同じだから、だから輸入があっても影響がありませんということをずっと言ってまいりました。
 そして、今回のTPPの合意案の中でも、SBSが約八万トン近く、七万八千トン増えるけれども大丈夫なんだと、同価格だから大丈夫なんだと言ってきましたけれども、この根拠が崩れるんじゃないでしょうか。
#369
○国務大臣(山本有二君) この米の市場については、非常にシンプルに価格設定がなされるマーケットでありまして、特に、品質とそれから需給のバランスで決まるわけでございます。
 その意味においては、外国産米であろうが国産米であろうが、市場に出たときに同品質で量が一定であるならば価格には、国内価格には何の影響もしないということがよく分かりまして、その意味においては調整金の存在は影響がないといまだに思っております。
#370
○舟山康江君 大臣、それおかしくないですか。
 九月十六日の記者会見で、市場価格に、特に国産米の価格に変動はありませんと言ってきたことと異なることが最大の問題だというふうに思っています。だから調査すると言ったんじゃないですか。
#371
○国務大臣(山本有二君) いや、そのとおりでございまして、国内の米の価格決定メカニズムの中に、品質の問題と、それから需給という量の問題と、さらにそのほかに価格を決定する何か別な要因があるならばそれを詳しく調べて、それについて対処をするべきか、せざるべきか、どうするべきかということを検討しなきゃならぬというように思っておるものですから、調査を今いたしておるところでございます。
#372
○舟山康江君 これ、需給で価格が決まるといっても、著しく安いものがそこに紛れ込んだときに価格に全く影響ないと言い切れますか。
#373
○国務大臣(山本有二君) 継続的に長年月あるいは大容量で廉価販売されますと市場価格に影響があるということは否めません。
 そこで、その調整金なるものが廉価販売の原資になっておったりするのかどうか、そしてまた現実に買受け業者、外食産業がそうした高品質であるけれども品質に応じない極端な安値で引き取ったりしている事実があるのかどうか、そこが問題であろうと思っております。
#374
○舟山康江君 その今調査をしている結果をまずは早く出していただきたいと思いますけれども、現在の段階でも、少なくとも幾つかの商社からの話では、調整金というものは当たり前のように存在をしていたということはこれ明確になっております。そういう中で今回何が問題かといえば、新たなSBSの拡大に関しては確実にその数量が入ってくるということであります。
 今までは、MA米、一般枠とSBS枠、これは片方が減れば片方が増えると。これ資料三を見ていただきたいんですけれども、全体の七十七万トンのうちSBSが多いときには一般枠が少ない、逆にSBSが少ないときにはその分は一般枠で売っているということであります。こういった逃げ場がありますけれども、これから増える部分は全てSBSで入ってくるということです。この調整金が価格に影響しているとすれば明らかにこれは今まで以上に大きな影響があるということで、今までの試算の前提は大きく崩れるんじゃないでしょうか。
#375
○国務大臣(山本有二君) 舟山委員御指摘の点は、MA米七十七万トンの中で売買されています十万トンのSBS米、すなわちそれが主に主食米の市場に供給されるということ以外に更に増えるじゃないかという話でございます。
 実際、TPPが発効しまして、それから数えて三年後はアメリカから五万トン、それからオーストラリアから〇・六万トン、合計して五・六万トンが入る約束でございますし、さらには、十三年目以降にはアメリカから七万トン、それから豪州からは〇・八四万トン、御指摘のとおり七・八四万トンがこの国にSBS米として入ってくるわけでございます。
 ただし、量の約束ではなくて、この量を目指してSBS入札をするという約束でございまして、非常に何というか曖昧な点は、必ず七・八四万トン入る話ではないという点がMA米とは少し違う性質を持っている点でございまして、この点におきましても、同量の国家備蓄への買上げという形で市場から七・八四万トンを取り除く、国内産米を買うことによって量的に取り除くものですから、需給という意味では量的には全く変化がなく、価格にも変化がないというような措置をとっている次第でございます。
#376
○舟山康江君 これ、確実に、国産米と同じ価格水準であれば全てが入るわけではないということが言えるかもしれませんけれども、今回明らかになったように、実際には名目上の価格よりも一キロ当たり四十円から六十円も安かったと、これパーセンテージでいうと大変大きいですよね。二、三割安いというもの、それが入ってくる可能性があるというときに影響はないと言えるんでしょうか。数量を隔離すればいいんでしょうか。さっき言いましたように、安いものが入ってくれば、極めて安いものが入ってくれば国産米の価格にも大きく影響するんじゃないでしょうか。
#377
○国務大臣(山本有二君) 既に御案内のとおり、二十五年、六年、七年、十万トンに達していないということは、国内産米の価格が低いから入ってこないという現象がございました。つまり、外米、外国産米も、国内産の価格を目指して、利益があるからこれはSBS米で輸出しようというインセンティブが働くということでございます。
 そしてまた、調整金で四十円あるという御指摘は、代金の一部支払であるということが確実であるならば安値廉売ということにもつながるかもしれませんが、現在調査中であるということでございまして、量的に遮断したことにおいて、私どもは、八百万トンの日本市場の桁の大きさとSBS米で入ってくる十万トン、あるいは場合によっては一・六万トンのときもありましたから、一・六から十万トンの間ぐらいの数字の外米がその八百万トンの大きな市場を、尻尾が胴体を振り回すということにはならないんじゃないかという判断をしております。
#378
○舟山康江君 これ、国内だけという閉鎖市場であれば確かに需給で価格は決まるかもしれませんけれども、そこに外国からの価格水準が違うお米が入ってきた、ものが入ってきたというときに、そこが影響しないと何で言えるんでしょう。
#379
○国務大臣(山本有二君) 誤解のないようにお願いしたいのは、たまたま個々の取引で業務用のお米、特に外食産業が安く買ったという例は、それは具体的にはミクロではあるでしょう。
 しかし、私が申し上げているのは、全体としての需給、マクロ的な価格形成の判断の話をしておりますので、個々に一つ二つあるということをもって全てを語るというには早計に失するように思っております。
#380
○舟山康江君 どうも、どうであれ価格には影響ありません、試算には影響ありませんという結論を導きたいがための言い訳にしか聞こえませんけれども、お手元の資料四を御覧いただきますと、外国産米、米国産米の価格の動向とSBSの価格の動向というのは著しくこれ並行して動いております。
 つまり、ここは、外の米が安くなれば入ってくる米も安くなる、それに釣られて国産米の同等の価格ですね、これも同じような動きをしているということで、影響がないとはこれ言えないと思いますけれども、総理、どう思いますか。
#381
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど大臣から答弁をいたしましたように、価格、市場の価格は需給の量とそして品質によると。ですから、今度TPPが発効した際、そしていよいよSBS米が入ってくる際には、最大で七万数千トンのものが入ってきますが、その同量のものは買い取るわけでございます。
 つまり、これは需給に影響を与えないようにしておりますし、そして当該のSBS、今調査をしておりますが、基本的に売手側というのは常に、常に最大の利益を目指します。営業というのは高く売って初めて褒められるわけですから、最初から安く売りたいという人は誰もこれはいないわけでございます。そして同時に、これは輸入商社がいて、間は国が介在しますが、その先に卸がいるわけであります。
 そうすると、そこの力関係等々の中においてもこの調整金がどのように使われているかということもあるわけでありまして、同時に、農林大臣からも少し触れさせていただきましたが、これは、必ずしもこの調整金、調整金って、これ別に政府が介在しているお金ではなくて、民民の中においてお金のやり取りが行われて、それを調整金と称しているわけでありますが、この調整金と言われるものが必ずしも価格を安くするために使われているかどうかということは、これは調査を待たなければ分からないわけでありまして、言わば売手側が商社に対して強い立場に立っているとすると、この調整金はとにかく取れるということになれば、これは必ずしも、市場価格より高く売れるのであれば、それを値段を安くするために使わなくてもいいわけでありまして、別の使い方も当然起こり得るんだろうと。
 そういう意味において、販売促進的な位置付けになっているかもしれないということも含めて今調査をしているところでありますが、いずれにいたしましても、これ、全体はこの八百万トンのうちの一%程度でございまして、そして、かつ、それを隔離をするわけでありますから、遮断をしているということで、このTPPにおいて入ってくる新たなSBS米については価格には影響は与えないだろうと、このように考えているところでございます。
#382
○舟山康江君 今総理のおっしゃったとおり、一般的にはやっぱり高く売りたいと思うんですよ。高く売りたいと思っているのにもかかわらず調整金で安く売っていると、ここが不思議なわけですね。
 ですから、あえて国産米と同じ価格での取引に見せかけて実際の価格は安かったということ、これは大きな問題ではないでしょうか。
#383
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いや、利益を出せるんであれば、例えばこれは、お米離れて、私は、ある製品を売っていて、五百円で売れるんだったら五百円で売りますよ。何も四百円で売るということはないわけでありまして、仕入れてくる先が例えば私に三百円で売ったとして、それを五百円で売れば二百円の利益が出るわけでありますから、なるべくそうしたいと。では、この二百円についてはどうするかと。市場によって、それが売れなければそれを下げていくということはあるかもしれません。
 ただ、先ほど山本大臣が言っていたように、基本的に国内の市場が非常に高く売れているときには、需要が強いときには、十万トン、これは丸々入ってきているわけでありますが、国内の値段が下がっている、つまり需要が弱いときには、一番少ないときには一万トン台のときも、十万トンどころか、もう一万トン台のときもあるわけであります。
 ですから、それはむしろ、この国内の需給状況、品質状況において価格が形成されていて、それに合わせる形で入ってきているお米が合わせているのではないかという見方もあるわけでありますが、いずれにいたしましても、まずしっかりと、実際にそれを、行為をやっていた人たちから話を伺わなければならないと。実際にそれで値段を下げていたのかどうか、どういうふうに使っていたのか、どういうときにそれをやっていたかどうかということをやらなければいけないと、こういうことで今調べているところでございます。
#384
○舟山康江君 是非これは、影響がないんだということを前提にしないでしっかりと調べて、試算のやり直しも念頭に置きながらしっかりと調査をお願いいたしたいと思います。
 また、TPP、この農業だけではありませんで、その他、三十章という大変多岐な分野にわたっております。今日、私は日本語訳をされた協定文書本体を持ってきましたけれども、第五分冊までありまして、これ大体約三千ページですね。六千三百ページと言われておりますけれども、外国の分の附属書等が除いてありますので三千ページ、高さにして大体十三センチぐらいあります。これを全て読み込んだ、総理も読み込まれているのかなと思いますけれども、それに加えて関連法、関連して作成された文書と、いろいろありまして、やはりこれ一つ一つをしっかりと時間を掛けて検証して是非を判断していただきたいなと思います。
 まず、そもそもTPPは自由貿易協定なんでしょうか。なぜこんなに、英文でいえば六千三百ページと言われていますけれども、日本文でも三千ページ以上、自由貿易協定でこれだけのページ数があるのを私は知らないんですけれども、これ自由貿易協定なんでしょうか。
#385
○国務大臣(石原伸晃君) 御指摘のとおりだと思いますし、ページ数が多くなっておりますのは、これはバイの自由貿易協定ではなくて十二か国になっております。ですから、タリフライン、すなわち関税表の部分が各国にそのページ数を占めている。ですから、実質的には千数百ページの内容である。それも、マルチの会合、マルチでの協定であるからこのような膨大な量になっているものと認識をしているところでございます。
#386
○舟山康江君 かなりこれ、自由というよりは様々な縛りが掛かると。国家の主権も縛られるかもしれない、今の日本の制度そのものも見直さなければいけないかもしれない。自由というよりは、かなり制約があったり、いろんな条件が付されていたり、そういったものであるということをまず指摘をしていきたいと思います。
 それで、具体的に少しお聞きしたいんですけれども、多くの方が心配しております医薬品とか保険医療制度についてですけれども、まず、これまでの医薬品の価格決定の方法について、厚労大臣、教えてください。
#387
○国務大臣(塩崎恭久君) お尋ねの医薬用の、医薬品の薬価の決まり方でございますけれども、まず薬事承認をされた後に、専門家から成る薬価算定組織というのがございまして、ここで検討を行われて、薬価の案を中央社会保険医療協議会、中医協ですね、で了承された上で決定をするということになっています。
 この価格決定プロセスについては、薬事承認から原則六十日以内、遅くとも九十日以内に薬価収載を完了させるということとなっておりまして、また、価格決定に当たっては、企業による意見陳述の機会、あるいは薬価の案に対する不服意見、この表明の機会を設けているというのが手続でございます。
#388
○舟山康江君 TPPによってこれが何か変わるところはありますか。
#389
○国務大臣(塩崎恭久君) このTPPの協定の附属書二十六のAというのがございます。ここにおきまして、医薬品について、保険適用希望の申請に対する検討を一定の期間内に完了させること、今、六十日以内、遅くとも九十日以内ということを申し上げましたが、こういう一定の期間を設けると。それから、手続規則、方法、原則及び指針を開示をするということなど、保険給付における薬価決定手続の公正な実施に関する内容というのが定められております。
 この内容は我が国の現在の薬価決定プロセスと整合的になっておりまして、TPP協定によって我が国の現行の薬価決定プロセスが変更を求められることはないというふうに理解をしております。
#390
○舟山康江君 これ、協定文の中に、他国の利害関係者の意見を考慮するという規定がありますけれども、こういった懸念はないんでしょうか。
#391
○国務大臣(塩崎恭久君) これについては、既に委員会、予算委員会などでも、またTPP委員会でも指摘を受けましたが、TPP協定においては、例えば混合診療の解禁とか外国企業の薬価に関する手続への介入とか、そういうような我が国の公的医療保険制度の在り方そのものについて変更を求める内容は含まれていないということでございます。
 また、TPP協定の医薬品等に関する先ほどの附属書でありますが、医薬品につきまして、さっき言ったとおりの手続、つまり一定の期間を置いて完了を保険適用についてしないといけないとか、それから開示をしっかりやらなきゃいけないとか、こういうことが規定をされているわけで、附属書では申請者に意見提出の機会を与えることも規定をされておりますけれども、これは薬価の決定手続の公正な実施を確保するためのものであって、意見の反映を確約をしたりするようなものでは決してないということであります。
 したがって、我が国の薬価の決定手続において、外資系企業か内資系企業かを問わず意見提出の機会は設けておりますけれども、その点については現行制度でも認められているものであって、したがって、外資系の製薬企業がTPP協定によってこれまでよりも我が国の制度に介入をしてくるというようなことは、そういう御懸念は当たらないというふうに御理解をいただければと思います。
#392
○舟山康江君 協定の八章七条のところで、他の締約国の者がそのような手続の作成に参加することを認めるという規定があるんですけれども、これは影響ないんでしょうか。
#393
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げましたように、意見を言うことは当然権利としてあるわけでありますが……(発言する者あり)ですから、そういうことで、この意見を反映を確約するものではもちろんないわけでありますので、この結果として何か主張が予定外に通ってしまうとか、そういうようなことはあり得ないということでありまして、フェアなデュープロセスは定められていて、そこに参加することは当然ということだと思います。
#394
○舟山康江君 これ、協定の中には、作成に参加することを認めるとありますので私は懸念をしているんですけれども、では、作成そのものに関与することはあり得ないと断定をしていただいていいですか。
#395
○国務大臣(石原伸晃君) 今厚労大臣から御答弁させていただきましたとおり、他国の利害関係者の参加を認める規定があることは事実でございます。
 しかし、舟山委員ももう御承知のことだと思いますが、様々な政策決定プロセスで、我が国ではパブリックコメントという形で利害関係者の意見を聞かせていただいておりますし、外国の方の意見も聞かせていただいている、それと同等であるというふうに御理解をいただければ御懸念は払拭できるものと承知しております。
#396
○舟山康江君 意見を言うだけではなくて、作成に参加することを認めるという規定があるから私は心配しているんです。
#397
○政府参考人(澁谷和久君) ただいま石原大臣が御説明いたしましたのは、TPPの第八章、TBT、貿易の技術的障害の条文でございますが、透明性に関する条文、まさに先生御指摘のとおり、作成に参加することを認めると書いてありますが、注が付いてございまして、その注の中で、締約国は、例えば利害関係者に対し、措置について意見を提出するための合理的な機会を与えるということでこの義務を履行すると、そういうことが注で書かれておりますので、これはまさに我が国の現行のパブリックコメントの制度そのものでございますので、この注があることをもって我が国は制度変更の必要はないというふうに理解しているところでございます。
#398
○舟山康江君 では、意見陳述、パブコメ以外には影響がないという理解でよろしいですか。
#399
○政府参考人(澁谷和久君) 現状以上に何か制度を変更するということを求める規定はございません。
#400
○舟山康江君 この協定のほかに、日米並行協議に関する交換文書というものがあります。
 この中に、附属書に関するあらゆる事項、ここに、「(関連する将来の保険医療制度を含む。)について協議する用意があることを確認する。」とありますけれども、本当に将来にわたってこの医薬品関係、保険関係、大丈夫なんでしょうか。
#401
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、意見を言うことについては広く、これは当然のこととしてやっていただくことになりますが、今の御懸念でございますけれども、医薬品等に関する附属書の適用についての並行協議における米国との間の交換文書に関するものということでございますが、これは法的拘束力を持たない文書であるということがまず第一点でございます。
 交換文書におきましては、日米は附属書に関するあらゆる事項について協議をする用意がある旨を確約をしておりますけれども、これは従来から米国と行ってきた協議を相手側の要請に応じて行うことを確認をしたという格好でございまして、したがって、交換文書を根拠に米国やあるいは米国の利害関係者がこれまでよりも我が国の制度に介入をするようになるという御懸念は当たらないというふうに思います。
 今後とも、いずれにしても、これ、国民皆保険制度は我が国が誇る制度でありますので、これはしっかりと堅持するということで、安全で安心な医療が損なわれることのないように取り組んでまいりたいと思っております。
#402
○舟山康江君 では、なぜあえて、法的拘束力は持たないと言いながら、関連する将来の保険医療制度について協議する用意があるという規定がわざわざ盛り込まれているんですか。
#403
○国務大臣(塩崎恭久君) 協議をすることを排除する理由は全くないのであって、いろいろ御注文がある方はほかの国にもいっぱいあるわけでありまして、ヨーロッパだって同じでありますが、そういう意味において、協議は応じますけれども、我々は我々の国益として守るべきものはしっかり守っていくということは何ら変わることもないし、今法的拘束力はないと申し上げたとおりでありますから、協議はもしやりたければ大いにやったらいいと、こういうことだと思います。
#404
○舟山康江君 私は、二〇一三年四月の時点で日米協議で合意をいたしました、これだって法的拘束力がないわけでありますけれども、入るに当たって幾つもの要求をのみ込んで、様々な、こちらからも一方的にこれをやります、あれをやりますということを言ってきた、こういった過去の経緯を見ても非常に不安だということを申し上げたいと思います。本当に大丈夫でしょうか。
#405
○国務大臣(塩崎恭久君) どちらの医療制度がいいのかという比較するような話ではございませんけれども、我が国は我が国の世界に誇るべきものがあるわけで、さきのサミットでも、このユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、特に日本については世界が参考にする皆保険制度に基づいたユニバーサル・ヘルス・カバレッジが行われるようになっていて、これを世界に広めようというのが安倍総理が強く主張したところでもありますから、我々は、協議をする中で我々から学んでもらうものもたくさんあるんだろうなというふうに思っております。
#406
○舟山康江君 続きまして、食の安全についてお聞きしたいと思います。
 安全基準や規格を議論する際に、このように外国の利害関係者の意見が入るとか関与するということはないでしょうか。
#407
○国務大臣(塩崎恭久君) 食の安全ということになりますと、例えば遺伝子組換えの食品とか、それから添加物、それから残留農薬、この基準の問題をよく御心配をいただくわけでありまして、TPP協定の第七章の衛生植物検疫措置、SPSですね、では、締約国が自国の食品の安全を確保するために科学的根拠に基づいて必要な措置をとる権利を認めているわけです。
 我が国では食品安全委員会がございまして、ここが科学的なリスク評価の結果を踏まえて、残留農薬とか食品添加物の基準の設定、それから遺伝子組換え食品の安全性の確認というのを行っています。これに基づいて厚生労働省が監視指導や取締りを行うことになっていますので、TPP協定はこうした我が国の制度の変更を求められるわけではないのであって、引き続いて食の安全は独自に確保をしていくということが確保されているというふうに思います。
#408
○舟山康江君 それでは、遺伝子組換え、添加物、残留農薬等の基準が下げられるという懸念はないですか。
#409
○国務大臣(塩崎恭久君) 下げられると今委員おっしゃいましたけれども、これは、今申し上げたように、科学的根拠に基づいて食品安全委員会による基準、そしてそれに基づいて厚生労働省が監視指導や取締りを行っているわけでありますので、我が国が主体的にこれは決めていくものだというふうに思っております。
#410
○舟山康江君 では、実際に、例えば食品添加物、ここ最近で新たに承認されたものはありますか。
#411
○国務大臣(塩崎恭久君) 通告いただいていないので、直近に何が認められたかということについては今直ちにはお答えができない状態でございます。
#412
○舟山康江君 これ資料要求でお願いしたんですけれども、TPPの議論が始まりまして、日米二国間の協議、先ほど引用しました二〇一三年四月以降、既に二十七品目、これから加えて八品目、食品添加物が新たに認められていると、こんな事実がございます。
 それから、ゼラチン、コラーゲンの輸入規制、これどうなったでしょうか。
#413
○国務大臣(塩崎恭久君) 是非事前に通告をいただければと。そうしたら答えをしっかりと用意してまいります。
#414
○舟山康江君 それでは、日米並行協議に関する交換文書の後ろの方に書いてございますので、読んでいただけますか。
#415
○政府参考人(澁谷和久君) ゼラチン、コラーゲンのところでよろしゅうございましょうか。
 厚生労働省は、牛由来のゼラチン及びコラーゲンの食用としての使用について、食品安全委員会に危険性の評価を実施することを要請し、二〇一四年十月に食品安全委員会から危険性の評価の報告書を受領した。同報告書は、厚生労働省が提案した管理措置がとられることを条件として、ゼラチン及びコラーゲンの輸入規制の改正による人の健康に対する危険性は無視できると結論付けた。厚生労働省は、当該報告書に基づき、ゼラチン及びコラーゲンの輸入規制を緩和した。
 以上でございます。
#416
○舟山康江君 これ、衛生植物検疫のところで、防カビ剤、食品添加物、ゼラチン、コラーゲン、全て緩和をしているという、こういう実態があります。もうこれは、法的拘束力がないと言いながらも、もう実際にやってしまったということです。
 これはどのような根拠でしょうか。厚生労働大臣、お願いします。
#417
○国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたように、事前に通告をいただいていないので、つぶさなお答えをすることは今の段階ではできないということでございます。
#418
○舟山康江君 私は通告いたしました。遺伝子組換え、添加物、残留農薬の基準が下げられることはないのかということを通告しております。
 さらに、EUで禁止されている肥育ホルモン、成長ホルモン、ラクトパミンのようなもの、こういったものを使用した牛、ものが輸入されるおそれはないですか。
#419
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、ホルモン剤、ラクトパミン、それから抗生物質などについてのことがありましたが、輸入を強要されることがないかということですか。
 これは、まず第一に、EUで使用が禁止されているホルモン剤とか抗生物質の一部についてのお話かと思いますが、コーデックス委員会によって残留基準が設定されているものもございます。一方で、我が国では、コーデックス規格も参考にしながら、食品安全委員会による科学的な評価等を踏まえて残留基準を設定しているわけでございます。
 したがって、厚生労働省としては、引き続き科学的根拠に基づいて食品安全の基準を設定するということで食品の安全を確保してまいりたいと思っておりますが、輸入の事実が最近あるのかどうかということについては特に調べておりませんので、私どもには通告がなかったというふうに私ども理解しておりますので、その事実についてちょっとお答えは今差し控えたいというふうに思います。
#420
○舟山康江君 ちゃんと通告していますけれども、どうなっているんですか。(発言する者あり)
#421
○委員長(山本一太君) ちょっと速記止めてください。
   〔速記中止〕
#422
○委員長(山本一太君) 速記を起こしてください。
#423
○国務大臣(塩崎恭久君) 遅くなりまして申し訳ありません。
 さっき申し上げたように、例えば肥育ホルモンにしても成長ホルモンにしてもラクトパミンにしても、日本で使用ができないというものがあります。欧州でももちろん当然できない。ただ、コーデックス委員会で残留基準を設けているものはあります。
 したがって、結論からいうと、どれだけ輸入されているかの、食品としてですね、輸入されているかの量は、申し訳ありませんが、今つぶさに何トンとかなんとかいうことはお答えできませんが、少なくとも、この残留基準のこの範囲内でなければ輸入や国内での流通は認められないという中において輸入があるかどうかについては、改めてお調べをしてお届けしたいというふうに思います。
#424
○舟山康江君 日本で使用していない、EUで禁止されているけれども、入ってきている可能性はあるということでよろしいんですか。
#425
○国務大臣(塩崎恭久君) それは、先ほど申し上げたように、これは以前にも委員会で、TPPの委員会でたしか議論になったと思いますが、今おっしゃったとおり、使用は不可ですけれども、日本は残留基準を設けています。これ、コーデックス委員会も設けているのがあります。そういう中でありますから、理論的には、入ってきても、それは事実があったとしても、それは先ほど申し上げたとおり、範囲内であればそれは禁止はできないということであります。
#426
○舟山康江君 まず、入った事実を教えてください。そして、日本の残留基準はコーデックス基準そのものですか。
#427
○国務大臣(塩崎恭久君) 基本的には、先ほど申し上げたとおり、ホルモン剤とか抗生物質につきましては、コーデックス委員会が設定をした国際規格や食品安全委員会による科学的なリスク評価の結果を踏まえて、薬事・食品衛生審議会で審議をした上で食品中の残留基準を設けているというのが我が国で行われているプラクティスでございます。
 ですから、基本的にはコーデックス委員会の基準に沿ったものになっておりますけれども、先ほど申し上げたように、若干それは少し残留基準について考え方が違う部分もあり得るということで、これは、食品中の残留基準としては我が国は我が国の、今申し上げたように、コーデックス委員会の考え方に基づいてやっておるということでございます。
#428
○舟山康江君 入っている事実があるかどうかだけ、まずお答えください。
#429
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、輸入が本当にあるかどうかということについては今確認をしないと分かりませんので、それは改めてお調べをしてお届けをしますということを申し上げたところでございます。(発言する者あり)
#430
○委員長(山本一太君) ちょっと速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#431
○委員長(山本一太君) 速記を起こしてください。
 塩崎厚労大臣。
#432
○国務大臣(塩崎恭久君) 遅くなりまして申し訳ありません。
 輸入の事実はあるのかということをお尋ねをいただいたということでありまして、そのことがしかと受け止められていなかったので、事実の、トン数等々について調べておりませんので、それは、先ほど申し上げたとおり、改めて繰り返しますが、お調べをしてお届けをしたいというふうに思います。(発言する者あり)
#433
○委員長(山本一太君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#434
○委員長(山本一太君) 速記を起こしてください。
#435
○舟山康江君 では、少し話は変わりますけれども、昨年十二月の影響試算によりまして、TPPによって雇用が八十万人増えるという試算をしております。この内訳を教えてください。
#436
○委員長(山本一太君) どの大臣、担当大臣は。
 石原担当大臣。
#437
○国務大臣(石原伸晃君) 大変失礼いたしました。
 理屈を申し上げさせていただきますと、自由貿易圏でございますので、貿易量、また投資が拡大いたします。それに伴いまして、日本で捉えるならば生産性が高まる、それによって、今委員が御指摘されましたように、賃金が押し上げられることによって労働者の数が増えてくる、そういう計算をさせていただきました。これはあくまでもマクロの経済全体の効果を見込んだ数字であると。
 ですから、就労者数に弾性値を入れて何%増えるというのを掛け算しておりますので、この法律がいつ発効されるか、そのときの就労者数によりまして数字が変わってくる、そういう大変マクロ経済学にのっとった数字であるというふうに御理解をいただければと思います。
#438
○舟山康江君 それでは、GDPが十四兆円増えるというのも同じですか。
#439
○国務大臣(石原伸晃君) これは再三御議論のある点でございますが、GTAPモデルに、経産省ならば経産省に関連する部分、農業であるならば農林水産省に関係する部分、この数字を機械的に入れさせていただいて打ち出した数字がこの十四兆円。そして、この数字をめぐっては大き過ぎるんじゃないかという批判もございますが、マクロ経済の分析結果においては、IMFの数字とほぼ同程度となっております。
#440
○舟山康江君 結局、目に見えるメリットというのは示せないということでよろしいですか。
#441
○国務大臣(石原伸晃君) GDPが十四兆円拡大するというマクロモデルでの計算が目に見える数字でないと言われている御質問なのかと思いますが、先ほど来総理も御答弁をされておりましたが、経済活動が活性化することによっての経済的なメリットのほかに、実は私は、このTPP協定というのは大きな意味があるのではないかと考えております。
 それは、すなわち、この十二か国というものは図らずも環太平洋に面している国々ばかりでございます。その国々が、自由と民主主義と基本的人権と法治主義という共通のルールを、価値観を共有している人たちが一つの貿易ルールで貿易を行っていくことによる戦略的な意義、RCEP等々にもこれから進んでいきますでありましょうし、また日本とEUとのFTA等々にも拡大していく。今、一部に保護貿易を主張する方々がいることも事実でありますが、日本のこれまでのこの国の成長を考えると、やはり自由貿易圏というものを、しかも共通の価値を持つ者たちが持つ意味、この戦略的な意義ということもTPPの持つ大きな意義ではないかと考えております。
#442
○舟山康江君 念のため、もう一度雇用について確認したいと思いますけれども、この試算の中には外国人労働者は入っているんでしょうか。
#443
○政府参考人(澁谷和久君) 先ほど大臣がお話しされたとおり、賃金が上昇することに伴いまして、賃金との弾性率を掛けまして労働供給が一・二五%増えるという、モデルはそれ以上のことは語っておりません。
#444
○舟山康江君 答えになっていません。外国人は入っているんですか。
#445
○国務大臣(石原伸晃君) 今、規制改革等々を行わせていただいております。これまでの私どもの許容している外国人人材、研修制度等々で入ってきている者は当然含まれております。
#446
○舟山康江君 まさに今アメリカで反対運動が起こっているのはここなんですよ。雇用が増えると言いながら雇用が減る懸念が大きいから、今アメリカの中で相当反対運動が起こっているわけです。
 雇用が増えるといっても、それが仮に外国人労働者にほとんど占められるとなれば、これは日本人にとってプラスなんでしょうか。
#447
○国務大臣(石原伸晃君) 今、安倍政権になりまして規制緩和等々を行いまして、また、生産年齢人口が減少する中で一億総活躍、女性の方も御年配の方も、しかしそれでも足らざる労働力というものはこの国には存在するわけでございます。
 そんなところにおいて、どういう方に外国から入ってきていただくのか。技能を持った方は当然でございます、また、日本で研修をして自国に戻って、また日本に戻ってきたいという方はいらっしゃいますけれども、その方にどういう分野で門戸を開くのか。やはり、先ほど申しましたように、移民の問題をめぐってEUが大変揺れ動いておりますけれども、日本も開かれた国としてできることはしっかりとやっていく、そんな中でこの生産年齢人口が減る部分をしっかりと補っていく、そういう観点にとってもこのTPPというものは非常に意味のあるものだと考えております。
#448
○舟山康江君 外国人労働者の受入れについてはいろんな議論があると思います。国会でも国民の間でもきちっと議論をしたんでしょうか。
#449
○国務大臣(石原伸晃君) TPP担当大臣の職域を外れはいたしますけれども、単純な移民というものについて、今、安倍内閣でそれを認めるという方向で議論はしていないものと承知をしております。
#450
○舟山康江君 議論がないままに試算に入れ込むというのはおかしいと思います。
#451
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いわゆる移民については、我々は移民政策は取らないということは明確にしております。とは別に、外国人材を、言わば技能、技術を持った人材としての外国人の人材を生かしていくということにおいて、高度の外国人人材を、入っていくということについては、今まで既に実行しているものについては入れているということを答弁をしているところでございます。
#452
○舟山康江君 本来急ぐべきは、TPPではなくて、先ほど議論がありましたパリ協定ではないでしょうか。国会での審議の前に閣議決定をしなければいけませんけれども、まだだと思います。これは内閣の方の怠慢じゃないですか。
#453
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国としましては、パリ協定の意義を重視し、そして早期締結に向けての取組を重視してまいりました。四月に署名が開放された当日に署名するなど作業を進め、国内の様々な作業を進めてまいりました。そして、今最終的な調整、整備を行い、是非来週十一日の日に閣議決定をするべく政府として今調整を続けています。できるだけ早い時期の閣議決定、そして国会への提出、努力をしたいと考えます。
#454
○舟山康江君 先ほどの御答弁では、締約国会議の参加は無理だというような諦めの声だったと思いますけれども、そこはまだ諦めていないという判断でよろしいですか。
#455
○国務大臣(岸田文雄君) 条約が発効いたしますと締約国会議というものがつくられるということは予想されます。ただ、現状も、統一基準など具体的な、そして重要な項目については、参加国全体での議論が行われています。こうした議論は引き続き今の枠組みで続けられるというふうに思います。ただ、締約国会合がつくられることは予想されますので、我が国としましてもできるだけ早く締約国になり、そうした会議にも参加する体制をつくっていくことは大変重要であると考えます。
 この現実をしっかり見ながら、我が国としましても、この国会での承認に向けて努力を続けていきたいと考えます。
#456
○舟山康江君 やはり、これは国際状況を読み間違ってしまったということでしょうか。
#457
○国務大臣(岸田文雄君) 例えば、今年開催されました伊勢志摩サミットにおいてもこの議論が行われ、パリ協定に向けて、早期発効に向けて努力をする、こういったことを合意文書としてまとめることを行いました。この中身としましては、年内の早期発効に向けて努力するということであります。こうした国際的な約束を果たすべく努力を続けてきました。
 その中で、各国の具体的な動きが今進んでいます。その中にあって、我が国も後れを取らないようにしっかり努力をしていきたいということで努力を続けている、こういったことであります。
#458
○舟山康江君 もう後れを取っていると思いますけれども、大丈夫ですか、間に合いますか。
#459
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほど申しましたように、今現実的に具体的な重要な議論については我が国はしっかり参加をしています。こうした努力はしっかり続けなければなりません。
 そして、その上で、締約国としてしっかりとした責任を果たすために、国内の手続、早急に進めていきたいと考えます。
#460
○舟山康江君 しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 総理にお聞きします。
 経済にプラスだろうが何だろうが、やはりやらなければいけないことってたくさんあると思います。安全を守るということです。国を守る安全というのももちろん大事だと思いますけれども、私はやっぱり農業も、経済的にプラスかどうかはともかく、しっかりと守らなければいけない一つの分野だと思いますけれども、総理はいかがお考えでしょうか。
#461
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私はよく自民党の集会等で、あるいは党大会等で申し上げてきたところでありますが、農業には多面的な機能があるわけであります。例えば棚田は、これは生産性においては当然悪いわけでありますが、しかし、地域の景観を守り、水をたたえ、涵養し、そして環境を守り、そして地域を守ってきたのは農業であろうと、こう思うわけであります。そして、文化や伝統も守ってきたと、こう思っているわけでありますが、こうした多面的な機能をしっかりと私は評価するべきだろうと、こう思っております。
#462
○舟山康江君 総理はGDPに非常にこだわっておられますけれども、棚田の価値というのはGDPで測ると幾らぐらいですか。
#463
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これはプライスレスだと思うわけでございまして、ですから、これはお金で測れないものが世の中にたくさんあるんだろうと、このように思っております。
#464
○舟山康江君 まさにそこを守るのが私は農業の役割であって、また地域の役割だと思います。そういう中で、今はとにかく、今後の農政というのは、競争して外国に打ち勝つようなそんな農業を目指すという方向ばかりが強調されておりますけれども、世界の先進国のうちで、特に土地利用型農業で、何らの所得補償制度もなく単に競争原理に農業をさらしている国はあるでしょうか。
#465
○国務大臣(山本有二君) 世界の国で棚田に農業の支援を政策にしているというのは、考えるだけでは我が国のみではないかというように考えております。(発言する者あり)棚田以外。あっ、棚田以外で。済みません。
 EU諸国あるいはアメリカ、各国、そういう支援をしております。(発言する者あり)
#466
○委員長(山本一太君) もう一回、済みません、もう一度ちょっと質問してもらえますか。
#467
○舟山康江君 世界の先進国の中で、土地利用型農業に対して単に競争だけでその政策を推し進めている国があるか、何らの所得補償制度的なものもなく競争原理だけで行っている国があるかどうかをお聞きしています。
#468
○国務大臣(山本有二君) 具体的には、EUで、農業者の収入を保障する直接支払と条件不利地域支払の農村振興政策を柱とした共通農業政策が実施されております。
 近年、特に直接支払における環境要件の強化が進められておりまして、現在、農家の経営安定を図る観点から、価格の変動に対するセーフティーネット、農業リスク補償や価格損失補償等が北米ではなされているというように理解しております。
#469
○舟山康江君 アメリカの農業政策についてお聞かせください。
#470
○国務大臣(山本有二君) 米国では、おおむね五年ごとに改定される農業法に基づいて各種の農業政策が行われております。
 委員御指摘の、あるいは委員の示されました資料にもありますとおり、具体的には二〇一四年に成立した現行の農業法、これでは、農家の経営安定を図る観点から、収入や価格の変動に対応するため、農業リスク補償、価格損失補償等のセーフティーネットを中心とした農業支援を実施しているところでございます。
 このように、農産物純輸出国であるアメリカにおきましても国の事情に応じた農業支援が実施されていると理解しております。
#471
○舟山康江君 今御説明いただきましたとおり、あのアメリカでさえほぼ生産費を補うほどの不足払いの制度をいまだにやっているということです。それが、日本においては、所得補償をなくして競争原理にさらすということのみで規模拡大と競争力強化だけが強調されておりますけれども、私の知る限り、そんな国はありません。
 どこの国も補助金というのは、直接支払というのはかなりの割合で出されているということであります。EU諸国は、もう国によっては九割ぐらい、相当大きな補助金が出ているということでありまして、日本の方向性は間違っているんじゃないでしょうか。
#472
○国務大臣(山本有二君) 日本の農業、農村の在り方の中で、やはり所得を維持し、営農を継続するという観点から、我が国では農業に対して支援をさせていただいております。
 特に私が感心するのは中山間の直接支払交付金という制度でございまして、これにつきましては、急傾斜あるいは緩傾斜、それぞれ地域地域に分けて、なおかつ、また加算で集落への機能維持や小規模・高齢化集落への維持、あるいは超急傾斜に対する保全というようなことが満遍なく、その条件不利に対して、できるだけ競争原理の中から存続できるように配慮されているというように思っております。
#473
○舟山康江君 日本の中山間地の直接支払では、条件不利の補正は不十分だと思います。そして、先ほど言いましたように、直接支払が切られている、こういった状況の中で、まさに棚田のような地方の持つ景観の美しさ、多様性、文化の価値をどう測って、どう守るべきだと、総理、お考えですか。
#474
○国務大臣(山本幸三君) 日本の地方には、豊かな自然、固有の歴史、文化、特色ある農林水産物などの魅力があふれております。地方創生は、それぞれの多様な魅力を生かして若者を引き付ける個性豊かな地方をつくり上げる挑戦でございます。各地の魅力がどのような価値を持つかということについては、国が一律に基準を定めるのではなくて、各地それぞれが判断して地域の活性化に生かしていくことになると思います。
 ただ、そうした魅力を維持するためには地方がやはり元気になる必要がございますので、そのために、仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込む好循環を確立する、地方の平均所得を上げていくという施策も大事だと思っております。特に、地方では農林水産業に潜在力があると思っておりますので、そのポイントは、その地域資源を活用した永続性のある企業化を進めていくことだと思っておりまして、私どもはこうした取組に対して財政的、情報面、そして人材面で支援をしていきたいと思っております。
#475
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もう既に政府としても棚田等の条件不利地について傾斜地等についての支援を行って、これは不十分だという御指摘でございますが、我々も行っているところでございますが、こうした棚田を守る努力、様々な努力も行われているわけでありまして、私の地元の長門市においてはこれを観光の資源として活用しておりまして、多くの人々にこの棚田を守るため、維持をするための協力をいただいているところでございまして、また、棚田を背景に様々なイベントを開催し、成功も収めているわけでございます。そうしたことを行いながら、こうした美しい景観、息をのむほどの美しい景観を守っていきたいと、このように考えております。
#476
○舟山康江君 地域においてはやはり農林水産業が基盤なんですよ。この農林水産業の支援をもっとしっかりと、規模拡大じゃない、地域農業、中山間農業をしっかりと守れるような、そんな予算を考えていただきたいと思います。
 先ほどの問題に戻りますけれども、答えは出たでしょうか。お願いします。
#477
○委員長(山本一太君) よろしいですか。塩崎厚労大臣に再答弁を求めます。
#478
○国務大臣(塩崎恭久君) 大変失礼をいたしました。
 先ほど申し上げましたように、残留基準の範囲内でなければ輸入それから国内での流通は認められないということで、検疫でこれはチェックをしているわけでございます。
 ちなみに、平成十八年から二十八年のこの十年間、牛肉、あるいは豚肉も若干ありますが、主にアメリカとオーストラリアの牛肉の輸入がございますけれども、過去十年間を見ますと、牛肉におけるいわゆる肥育ホルモンですね、これにつきましては、約五千件弱の検疫の中で二件検出をされましたが、基準の範囲内であったということでございます。ラクトパミンにつきましては、千二百件のうち検出されたものはないということで、いずれにしても、輸入をされる際には検疫でこの調査をきちっと確認をしているということでございますので、この設けられている残留基準の範囲内でなければ輸入も認められない、国内での流通も認められないということになっております。
#479
○舟山康江君 こんな簡単な質問に対する答弁が、回答がこれほどできないぐらい、しっかりと調査していないということの表れではないかと思いますので、国内でも使っていないものですから、やはり入ることがないように私はちゃんとチェックをしていただきたいというふうに思います。
 それでは最後に、憲法と安保の関係についてお聞きしたいと思います。
 安倍内閣は、二年前の二〇一四年七月一日、それまでの全ての内閣が、違憲であり、憲法九条の条文改正以外に手段がないとまで答弁しておりました集団的自衛権の行使を、解釈変更によって可能にいたしました。まず、なぜそれまで違憲と言ったものが可能になったのか、改めて安倍内閣の合憲の主張を確認したいと思います。
 フリップを御覧ください。これは、今から四十四年前の昭和四十七年に当時の田中角栄内閣の内閣法制局が作成し、参議院決算委員会に提出されたものであります。お手元の資料九がその原本写しです。
 安倍内閣では、この四十七年政府見解の文書の中に、限定的な集団的自衛権行使なるものが合憲と書いてあると、つまり、作成されてから四十年間も誰も気付かなかったけれども、実は合憲だとずっとここには書いてあったと主張されているようです。
 では、なぜ合憲だと言えるのかといえば、四十七年見解の中にある外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという文章の外国の武力攻撃という文言に、たまたまこれ誰に対するということが明記されていないために、これが同盟国に対する外国の武力攻撃とも読めると、よし、これで集団的自衛権の局面の文章になると、そういうふうに主張しております。
 まず、総理に伺います。
 この四十七年見解の中の外国の武力攻撃という文言は、誰に対すると明記されておりませんけれども、安倍内閣はこれを我が国に対する外国の武力攻撃、これ一般的な読み方だと思いますけれども、これという個別的自衛権の読み方だけではなく、同盟国に対する外国の武力攻撃という集団的自衛権の読み方もできると、そう解釈しているということでよろしいですか。総理にお聞きしています。
#480
○委員長(山本一太君) まず稲田防衛大臣、その後、総理に答弁を求めたいと思います。
#481
○国務大臣(稲田朋美君) 平和安全法制を担当している防衛大臣なので、お答えをいたします。
 御承知のとおり、憲法九条ができた当時は自衛権の行使すら認められなかった。それが、政府の解釈を変更して、日本も主権国家である以上、必要最小限度の、そして他に取るべき手段がないときに限り、自衛権の行使が認められるというふうに政府の解釈を変更し、そして九条に関して唯一の判決である、憲法解釈の最高権威であるところの最高裁が唯一判決したのが砂川判決であります。そして、砂川判決も、日本も主権国家である以上、必要最小限度の自衛権の行使、他に手段がないときの必要最小限度の自衛権の行使は認められるとして、その基本的理論が四十七年の政府見解でございます。
 今回、必要最小限度の自衛権の行使の中に、ごくごく、ごくごく限定的な、日本を取り巻く環境の中で必要最小限度の自衛権の行使という意味において集団的自衛権の行使を認めたのであって、昭和四十七年の基本的な理論には全く反さない、憲法に違反するものではないと考えております。
#482
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これはまさに新三要件に書いてあるわけでありますが、この新三要件においては、この四十七年見解の結論をこれは新たに当てはめを行ったものであるわけでありますが、これは、我が国に対する武力攻撃が発生したことと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があることとしているわけでございます。
 あと、言わば安全保障環境が大きく変わった中において、我が国に対する武力攻撃だけではなくて、今申し上げましたように、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合も含めたところでございます。
#483
○舟山康江君 改めてお聞きします。一言、この四十七年見解の中で読めるかどうかということを聞いております。
#484
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このもちろん四十七年見解そのものではなくて、四十七年見解では言わば集団的自衛権は行使できないわけでありますから、それを今回は解釈変更をして、解釈変更をして新しい当てはめを行ったわけであります。必要最小限度の言わば武力行使について、言わば我が国の安全、存立を守るために必要な武力の行使について、国際的な安全保障環境が変わった中において新たな当てはめを行ったところでございます。これは、もう既に平和安全法制の議論の中で何回も行われた議論でございますが、言わば新たな当てはめを行ったわけでございます。
#485
○舟山康江君 再度お聞きします。四十七年見解の中に、外国による、同盟国に対する外国の武力攻撃も読めるということで今解釈変更をしたという理解でよろしいですか。
#486
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 繰り返しになりますが、基本論理は変わっていないわけでございまして、憲法の九条の制約がございますから必要最小限度の武力行使しかできない、それはもちろん変わっていないわけでございます。
 そこでしかし、我が国の存立を守るため、そしてまた国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるときにこの武力行使ができるわけでありますが、我が国の存立を守り、そして我が国の存立を守り、国民の生命や自由及び幸福追求の権利を守るために必要最小限度の武力の行使とは何か、まさにこれが砂川判決で求めているところでございますが、その中で、安全保障環境が変わる中において新しい三要件を付け加えたわけでございます。
 これは、もう平和安全法制の議論の中で再々答弁させていただいたとおりでございます。
#487
○舟山康江君 二十六年七月一日の閣議決定にもありますとおり、やはり重要なのは法的安定性と論理的整合性だと、これは閣議決定に書かれております。そういった意味では、やはりこの論理的整合性を取りながら解釈をしていかないとおかしなことになると思います。
 もう一度聞きます。この四十七年見解の中に、同盟国に対する外国の武力攻撃も認められるかどうか書いてあるんでしょうか。
#488
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今までお答えを既に何回もさせていただいているわけでありますが、この合憲性について言えば、合憲性について言えば、平和安全法制の中で、憲法との関係では、昭和四十七年の政府見解で示した憲法解釈の基本的論理は、全くこれは変わっていないわけであります。
 これは、砂川事件に関する最高裁判決の考え方と軌を一にするものでありまして、この四十七政府見解の中にも、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとは到底解されないと既にここに書いてあるわけでありまして、そして、その措置は、右の事態を排除するためにとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると、こう書いていまして、そうだとすればということで、憲法の下で自衛、武力的、武力行使を行うことが許されるのは我が国に対する急迫不正の侵害に対処する場合に限られる、つまり我が国に対する急迫不正の侵害とここに書いてあるわけでありますが、この当てはめを一、二の基本論理の中において、しかし、国際情勢が変わっていく中において、これはこの四十七年見解をここでも申し上げてきたわけでありますが、四十七年見解を出したときには、北朝鮮が言わば核兵器を持つ、あるいは日本に届くミサイルを持つということは考えられなかったわけであります。そして、それに対するミサイル防衛ということができるということも考えられなかったわけであります。そして、そのミサイル防衛を実行する上においても、日米の同盟のきずなによって、あるいはそれは日米の協力によってそれが可能になるということも当時は考えられなかったわけであります。
 つまり、その中において、日米で共同して、まさに先ほど申し上げましたように、国民の生命、自由及び幸福追求の権利を守るということになるわけでございます。そして、それを守るためにどうすればいいかということにおいて、これは考えた末において、最後の当てはめの部分において新しい当てはめを行ったということでございます。(発言する者あり)
#489
○委員長(山本一太君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#490
○委員長(山本一太君) 速記を起こしてください。
#491
○舟山康江君 基本的な論理と先ほどから総理おっしゃっていますけれども、では、基本的な論理として同盟国に対する外国からの武力攻撃も読めると、ここに書いてあると、そういった理解でよろしいですか。
#492
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 同盟国から、同盟国に対する攻撃がその旧解釈、四十七年の解釈の中にあるかということでありますが、先ほど申し上げましたように、もう既に当てはめの中で我が国に対する武力攻撃が発生したと、こう書いてあるわけでありまして、それをそのまま読んでいただければいいんだろうと、このように思います。(発言する者あり)
#493
○委員長(山本一太君) もう一回速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#494
○委員長(山本一太君) 速記を起こしてください。
 安倍内閣総理大臣。
#495
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、今結論においてというふうに、私は当てはめのところにおいてという、私はちょっとそれを取り違えたものでございますから、済みません。
 当てはめにおいては、もちろんそれが変わっているわけでありますから、当然、我が国というところから他国ということも入ったわけでありますが、この基本論理の中にはこれは含まれているということでございます。
#496
○舟山康江君 つまり、基本的な論理で読めなければこれは憲法違反だと、読めないということでよろしいですね。
#497
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本論理の中においては、これは言わば一と二と三と分解して考えているんですが、一と二のところにある基本論理のところにおいては、それは他国に対する武力攻撃もこれは入っているわけでありますが、しかし、その最後の当てはめのところにおいては、我が国だけであったものを、それを変えた、密接な関係にある他国ということにしたところでございます。
#498
○舟山康江君 今のお答えからすれば、つまり基本的な論理のところで同盟国への武力攻撃が読めないということが明確に言えれば、今の理屈は成り立たないということだと思います。
 実は、四十七年見解は二つあります。一つは、先ほど来提示しております集団的自衛権と憲法との関係というこちらの見解、そしてもう一つが、同じ昭和四十七年九月十四日の国会質問で要求され、当時の防衛庁で起案、国会提出に際し防衛庁から内閣法制局に合い議が行われ、先ほどの政府見解と同一の、当時の吉國長官を始めとした法制局幹部三人によって決裁された防衛庁政府見解と二つあります。
 この二つの政府見解が作成された経緯につきまして説明してください。内閣法制局長官、お願いします。
#499
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 御通告がございませんでしたけれども、お答えできる限りにおいて誠実にお答えしたいと思います。
 昭和四十七年見解につきましては、昨年もるる御説明いたしましたけれども、当時の国会において御議論がございまして、政府としての考え方をペーパーにまとめて提出せよという要求がありましたので、それに応えたものであります。
 もう一つの防衛庁提出、作成の資料でございますけれども、これは自衛行動の地理的な範囲の問題につきまして防衛庁がまとめたものでございまして、まさに自衛権の範囲とも密接に関連するということでいわゆる法制局に対して合い議がございまして、法制局としてもそのとおりお答えいただいて結構であるという回答をした結果、国会に提出されたものでございます。
 両者の関係について御説明させていただきたいと思います。
 昭和四十七年政府見解においてのその結論でございます。先ほど基本論理と結論と分けさせていただきましたけれども、その結論の部分といいますのは、当時の事実認識、すなわち他国に対する武力攻撃が発生しただけではいかなる場合でも我が国の安全、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆るということはないのだという当時の事実認識ですね、それを前提といたしまして、我が憲法の下で武力行使を行うことが許されるのは我が国に対する急迫不正の侵害に対処する場合に限られるということ、すなわち従来の自衛権発動の三要件の第一要件と同じことを述べたものでございます。
 一方、自衛行動の範囲、防衛庁作成の資料でございますけれども、全く同じ、従来のいわゆる自衛権発動の三要件、これを前提といたしまして、我が国に対する外部からの武力攻撃がある場合において、我が国が武力の行使として行う自衛行動の地理的な範囲について述べたものでございます。
 という関係でございまして、両者は整合しているということでございます。
#500
○舟山康江君 長官に、資料十、今の自衛行動の範囲の一をお読みいただけませんでしょうか。
#501
○政府特別補佐人(横畠裕介君) この手書きの部分、全部でございますか。(発言する者あり)一番。
 憲法第九条の下において許容される自衛権の発動については、政府は、従来からいわゆる自衛権発動の三要件(我が国に対する急迫不正な侵害があること、この場合に他に適当な手段がないこと及び必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと)に該当する場合に限られると解していると書かれております。
#502
○舟山康江君 同じ質問によって同じ日に提出されたこの政府見解の中で明確に、自衛権発動の要件に、我が国に対する急迫不正な侵害があると書かれている中で、もう一方の、今、政府が、安倍内閣がよりどころにしている四十七年の、誰々に対するがないことをもって、我が国に対するじゃないということ、同盟国に対しても読めるということは言えますか。
#503
○委員長(山本一太君) 簡潔にお願いします。
#504
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これはもう簡潔に申し上げます、もう時間が終わりましたから。簡潔に申し上げますと、地理的な範囲について論じているものであります。
#505
○舟山康江君 今の部分は、基本的な論理ではないんですか。
#506
○委員長(山本一太君) もう、ちょっと時間終わっていますから、舟山君、これで。いいですか。
 じゃ、短くお願いします、総理。簡潔にお願いします。
#507
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 地理的な範囲について述べたものであります。
#508
○委員長(山本一太君) いいですね、もう時間ですから。これで時間です。
#509
○舟山康江君 ちょっと待ってください。答えていないです。
#510
○委員長(山本一太君) もう時間ですから。
#511
○舟山康江君 お答えください。
#512
○委員長(山本一太君) 時間です。
 以上で舟山康江君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#513
○委員長(山本一太君) 次に、愛知治郎君の質疑を行います。愛知治郎君。
#514
○愛知治郎君 自民党の愛知治郎です。
 私、今、参議院自由民主党の政策審議会の会長を務めております。本日は、そのゆえをもって質問に立たせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私の質疑時間がおよそ一時間半ほど遅れて始まりましたので、駆け足で質問させていただきたいというふうに思います。
 まず、冒頭でありますが、質問に先立ちまして、一連の台風で被害を受けられた皆様にまずもって心からお見舞いを申し上げる次第であります。今この瞬間も、台風十八号が九州の北の海上から急速に速度を上げて日本列島を横断しようとしております。風が更に強まるとの予報もあり、備えを万全にしていただきたいと存じます。また、八月から九月にかけても、北海道や東北地方に甚大な被害をもたらした台風十号、九州など西日本に被害をもたらした台風十六号など、今年は大きな台風被害が目立っております。
 この最近の気候でありますが、毎年のように観測史上初といった事態が起き、異常が通常になりつつあります。温暖化の影響だと私は思いますし、恐らく多くの方々がそう思っているのではないかと思います。
 この点、異常気象と温暖化との因果関係、政府としてどのような見解をお持ちか、まず伺いたいと存じます。
#515
○国務大臣(山本公一君) 近年、世界中で極端な気象現象が観測されており、我が国においても、先生御指摘のように、記録的な猛暑や大雨が発生をいたしております。
 中央環境審議会の報告書においても、気温の上昇や大雨の頻度の増加、海面水温の上昇等が現れており、高温による農作物の品質低下、動植物の分布域の変化など、気候変動の影響が既に顕在化していると示されております。また、将来、更なる気温の上昇や大雨の頻度の増加、海面水温の上昇に加え、台風の強さが増すことも示されており、農業や自然災害など様々な面で多様な影響が生じる可能性があることが報告書の中で明らかにされております。
 このような気候変動の影響に対処し、被害を回避、軽減するために、昨年十一月に気候変動の影響への適応計画を閣議決定いたしました。現在、適応計画に基づき、関係府省庁において取組を推進しているところであります。
#516
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 以前から気象庁等に問い合わせてみると、なかなか因果関係がはっきりしないというお答えだったんですけれども、明確にこれは因果関係がある、そして対処していかなければいけないという答弁だと思います。是非頑張っていただきたいと思います。
 もう一点、具体的になんですが、やはり防災対策、国土強靱化ということで我々自民党も提言していますし、政府としてもこの点、政策を進めていると思うんですが、具体的にこの国土強靱化についてお伺いしたいと思います。
#517
○国務大臣(松本純君) 今年も相次ぐ台風被害や熊本地震などの自然災害が発生し、また首都直下地震や南海トラフ地震の発生が懸念される中、強靱な国づくりは喫緊の課題であり、国家百年の大計としてしっかり取り組んでいかなければならない重要な政策課題であると認識しております。
 現在、国土強靱化基本計画や国土強靱化アクションプラン二〇一六の着実な推進を図るとともに、地方公共団体における国土強靱化地域計画の策定、実施の支援や、民間における国土強靱化に資する取組の推進を進めております。
 今後とも、施策の重点化、優先順位付けや、ハード、ソフト対策の適切な組合せを行いながら、オールジャパンで効率的かつ効果的に国土強靱化を進めてまいります。
#518
○愛知治郎君 是非頑張ってやっていただきたいと思います。
 現実的な対処が必要になってくるほど気候が変化している、これはゆゆしき事態だと思います。たかだか数十年のレベルで我々が実感する程度に変わってきている、これを何としても、まずは対処しなくちゃいけないですけれども、やはり大本の温暖化というのを、これを進行を遅らせなければいけない、止めていかなければいけないんですが、この点、環境省、改めてどのような取組でこの温暖化を防止するのか、お伺いしたいと思います。
#519
○国務大臣(山本公一君) 先生御指摘のように、地球温暖化の防止は喫緊の人類としての課題だと認識をいたしております。
 そういう意味において、私はCOP3のときに、京都会議のときに政務次官を務めさせていただきまして、京都議定書の策定に関わってきたわけでございますけれども、昨年十一月のパリ協定は、その京都会議以降の新しい枠組みということで、全世界の国々が公平な立場で全部参加すると。画期的な協定でございます。
 そのように、全世界の様々な国々が、言ってみれば地球温暖化防止のための運動に参加するということは非常に、何というか、画期的なことでございまして、申し上げたように、地球の危機に対して全世界が立ち上がったということにおいて、パリ協定が今回成立をしたということは非常にいいことだと思っております。
#520
○愛知治郎君 是非、日本も環境先進国として世界の議論を牽引していってほしい、積極的に関わっていってほしいと思います。
 続きまして、どうしてもこの質問をさせていただきたい、しなければいけない課題がございます。復興についてであります。
 今、災害の話をしましたけれども、まだまだ忘れてもらっては困ります。東日本大震災からの復興、道半ばであります。東日本大震災から五年半余り、今月の十一日で五年と七か月がたちますけれども、改めて伺います。この震災により避難されている方、仮設住宅にいまだにお住まいの方々、どれくらいいるか、教えてください。
#521
○政府参考人(加藤久喜君) お答えいたします。
 東日本大震災に係る応急仮設住宅の入居者数でございますけれども、本年九月一日現在、全国で建設型仮設住宅及びいわゆるみなし仮設住宅を含め全体で十万八千八百十五名の方が入居をされております。
#522
○愛知治郎君 十万八千人以上の方がいまだに仮設住宅で暮らしている。ちなみに、阪神大震災のとき、五年たった時点で仮設住宅に住まわれていた人というのは何人ぐらいいるんですか。
#523
○政府参考人(加藤久喜君) お答えいたします。
 兵庫県の公表資料によりますと、阪神・淡路大震災に係る建設型仮設住宅は四万八千三百戸建設をされまして、最大で四万六千六百十七戸に入居がありました。その後減少し、発災五年直前の平成十二年一月十四日までに災害公営住宅等への転居が完了し、発災後五年経過時点でみなしを含む仮設住宅の入居者数はゼロとなっております。
#524
○愛知治郎君 これが現実であります。
 実は、私を本当に一生懸命支援してくださった方が今年亡くなってしまいました。その方は御夫婦で仮設に入居をしておったんですが、今年の夏、新盆ということで御挨拶回りをしているときに、その仮設に奧さんがいらっしゃいましたので伺いました。お線香を付けてお参り、お祈りをしようと思ったところ、私がきょろきょろしていると奥様にこう言われました、この仮設では火気厳禁なのでお線香を付けることができないんですと。これが現状です。まさに日常生活とは程遠い状況で皆さん暮らしておられる。このことをしっかり踏まえた上で復興に取り組んでいかなければいけない。是非よろしくお願いいたします。
 この現状認識について、改めて復興大臣にお伺いします。
#525
○国務大臣(今村雅弘君) お答えいたします。
 現状は、先生が今御指摘されたとおりであります。今、阪神・淡路の比較がありましたけれども、今回の東日本大震災は、規模それから性格、やっぱり違うものがあります。非常に規模も大きいし、そして地震以外に津波があった、そしてまた原発被災があった、そういったことの中で非常に難しい問題があるわけであります。例えば、もう元のところに住まないということで高台等移転をする、そういった問題。それから、それに関連してかさ上げをするとか、そして、それについては地権者がなかなかはっきりしないとか、あるいはそういった住まれる方の意向等も、個人の意向もあるわけであります。
 そういったことで、随分この準備には手間取ったわけでありますが、やっとその下準備が整いつつありまして、今大きく建設のつち音が響き出しているということであります。
 これについては、今後はできるだけこのピッチを上げまして、一年半後にはおおむね八割、九割の方がちゃんとした、今のプレハブじゃなくて、そういった住宅に移れるように頑張っていきたいというふうに思っております。
 以上です。
#526
○愛知治郎君 この問題については、私は委員会等で質問をする機会があるごとにずっと質問し続けているんですが、そのたびに、私も関わってきましたけれども、答弁としては、もうすぐ、大分進んでいくぞと、七割、八割の建設予定がもう立っているのでもうすぐですという答弁いただいているんですが、それでも、今現状進んでいないことを考えると、改めて、これは粘り強く、そしてしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。
 特に、安倍内閣としてできること、何があるかと考えて、私も二年ほど前に安倍内閣において財務と復興の副大臣をさせていただきました。やっていてちょっと違和感、おかしいなと思ったんですが、復興庁というのは予算を要求する側ですね、財務省はそれを査定する側、その両方の役職を兼務するという、こんなことやっていいのかなと思っていたんですが、自分の小遣い自分で決めているようなものですからどうかなと思ったんですが、まさに安倍総理が、予算の憂いなくしっかりと復興を進めろと、それを実現しようとして役割を与えていただいたんだなと思いまして、しっかり取り組んできました。
 その予算の面では、十分な担保はあるとしても、やはり現場のいろいろな事情があると思いますので、国からも最大限後押しをしていっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 今日は、メーンテーマとして経済についてお話をしたかったんですが、その前に一点だけ、午前中の質疑を聞いていて気になったことがあったのでお話ししたいと思います。憲法についてであります。
 実は、私は前国会まで憲法審査会の自民党の筆頭幹事を務めておりました。質疑の中で誤解があったと思うんですが、自民党、与党がこの憲法審査会の質疑を拒否しているという発言があったと思うんですけれども、そんなことは絶対にありません。はっきりと明言させていただきたいと思います。
 この点については、当時、民主党の筆頭幹事の方も非常に理解を示していただいて、しっかりと協議をした上で、特に参議院ですから、参議院の在り方が問われているということもありまして、憲法の議論、特に二院制についてしっかりと議論をしようということで合意ができておりました。
 ただ、残念ながら、国会をめぐる情勢等々含めてなかなか開催ができなかったんですが、改めて申し上げますけれども、憲法をこれからどうするかという議論は憲法審査会においてしっかりと議論をしていきたいと思いますし、それは与野党を超えて国のために議論すべきだと思います。
 やはり、この予算委員会で憲法云々という、どうこうするという話は、私はなじまないと思います。といいますのも、これは国会議員が国会で議論する話、立法府の議論ですから、対政府に対する質疑の中で憲法をどうするかというのはなじまないということもはっきり申し上げさせていただきたいと思います。
 そのことを申し上げた上で、今度はメーンテーマであります経済についてお話をしたいと思います。
 この夏にございました参議院選挙で、我々自民党、与党は多くの支持を得たと思っております。その中で特に支持を受けたのは経済政策についてこれは信任を受けたと思うんですが、改めてでありますけれども、総理にお伺いします。
 経済について実績を総理は多く述べられましたが、私もそれなりの長い時間政治経験をしておりますけれども、これだけ多くの実績を堂々と国民の皆さんにお話しできたのは初めての経験でもあります。これは誇っていいと思うんですが、改めて総理に経済の実績、伺いたいと思います。
#527
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我々、政権を奪還した段階ではしっかりとデフレの中に日本は沈み込んでしまっていたわけでございます。行き過ぎた円高の中において、企業は製造現場を海外に移し、その結果、付いていけない下請企業等は工場を閉じるしかないという状況にあったわけでございます。
 そこで、我々は、デフレから脱却をして力強く経済を成長させるために三本の矢、いわゆるアベノミクスを発動したところでございます。そして、四年が経過をいたしました。その中におきまして、企業は過去最高の収益を上げたのは事実でございます。この最高の収益を上げる中において、それは雇用の拡大と賃金の上昇につなげることはできました。
 やはり一番大切なこと、政治において大切なことは、国民の皆さんが働く場をしっかりと確保するということであります。どんなに頑張っても働く場所がない、あるいはどんなに頑張っていいものを作ったって行き過ぎた円高で売れなくなって工場を閉めざるを得ない、あるいは親企業がその中において海外に生産現場を移してしまったらもう付いていけないということになってしまうわけでありまして、まず大切なことは、高校を卒業し、あるいは大学を卒業したらしっかりと働く場所があるという状況をつくることであります。
 その中におきましては、我々、四十七全ての都道府県において有効求人倍率一倍を達成することができたわけでございます。政権交代時はたった八つしか、八つの都道府県しかなかったこの一倍を四十七まで広げることができた。あるいは、高卒、大卒、二十数年ぶりの高い就職率になったところでございます。そしてまた、就業者数は、実はこの三年間、団塊の世代が次々と六十五歳を超えていく中にあって、三百万人も生産年齢人口は減ってしまったんですが、その中にあって百万人、我々は実数で雇用を増やすことはできたわけでございます。
 また、国、地方合わせた税収が二十一兆円増加をしたわけであります。これは、国の税収プラス東京以外の府県でも税収が増えているということにおいてはしっかりと、例えば私の地元の山口県、宮城県においてもこの税収が増えているということは、以前よりは良くなっている。ただ、もちろん十分ではありませんよ。十分ではありませんが、良くなり始めているのは事実であろうと思います。
 そして、賃上げは、中小企業を含めて今世紀に入って最も高い水準の賃上げが三年連続で続くなど、経済の好循環が進んでいるのは事実であります。
 ただ、まだ課題もたくさんあります。最高の収益を上げていますが、多くは内部留保にたまっていく。これがもっと賃上げに向かっていく、あるいはまた設備投資に向かっていくという状況をつくっていきたい。なぜすぐにそうならないかということは、しつこいデフレマインドがあるわけでありまして、払拭しつつはあるんですが、このデフレマインドを完全に払拭することができない。
 その中におきまして、今回、補正予算においてしっかりと下支えをしていく、未来への投資をしていく、日本の明るい未来をしっかりと見せながら、経営者に、投資をしてください、人材に投資をしてくださいと、そういう政策を進めていきたいと、このように思っております。
#528
○愛知治郎君 ありがとうございます。力強い御答弁をいただきました。
 選挙を戦っていてもそうなんですけれども、こういう実績を皆さんに言えるというのは、やはり安倍内閣、本当に頑張ってきたんだな、結果が一つ一つ出てきているんだなと思います。
 ただ、いろいろ批判される方もいらっしゃいますので、一つ一つその実績についても検証というか、その分野についての議論もさせていただきたいと思いますが、まず第一に、おっしゃるとおり、求人ですね、雇用ですね、これを増やさなくちゃいけない。ただ、びっくりするほどの数字が出ている。これは多分史上初めてのことだと思うんですけれども、全県、全国において、全ての都道府県で有効求人倍率が一倍を超える、こんなこと今まで多分なかったと思うんですが、麻生財務大臣はいろんな経験しておりますけれども、こんな国は多分ないと思うんですけれども、まあ答弁は求めませんけれども、すごいことだと思います。見識の高い方ですので、後でもしコメントがあったら教えていただきたいと思います。
 ただ、それでもなかなか地方で実感がない、実感がない言われているんですけれども、どうしてだろうと思ったんですが、もしかすると、一倍以上ということは職を選ばなければ全員に職があるということですよね。だけれども、それが実感として現れないというか、感じないということは、雇用のミスマッチがあるんじゃないかと思うんですが、この点についてお伺いしたいと思います。まず、雇用のミスマッチがあると認識しているのかどうか、実態についてお伺いしたいと思います。
#529
○国務大臣(塩崎恭久君) 愛知委員御指摘のように、雇用改善は、先ほど総理から御答弁申し上げたように大変改善を続けているわけでありますけれども、ミスマッチについては御指摘のとおりで、極めて重要な問題だと思っております。職業別の有効求人倍率を見ればもう一目瞭然であって、例えば建設とか介護関係とか、こういうところでは三倍を超えるような有効求人倍率になっていて、他の職業に比べては本当に求人、求職のミスマッチが起きてしまっているということを率直に認めないといけないというふうに思っております。
 そこで、厚労省としても、資格を持っていながらその仕事に就いていただいていない、介護、保育もそうですが、こういった潜在有資格者の掘り起こし、そしてまた、それをインセンティブを与えることによってお仕事に就いていただくということ、それからハローワークももっとしっかり働いてマッチング機能を果たすということ、それから能力面のミスマッチを解消するために建設、介護分野での職業訓練を実施する。もちろん、そういった仕事の魅力を増すということも大事であるわけでありますが、雇用管理の改善をしっかりと行う。いろいろな手だてをもって今後ともこれらの対策を総合的に推進をして、ミスマッチを解消して、多くの方々がちゃんと仕事ができるようにしていきたいというふうに思っております。
#530
○愛知治郎君 解消方法まで全部答えていただきまして、ありがとうございました。是非頑張っていただきたいと思います。
 一つ一つこういった課題、せっかくの果実があるわけですから、それが皆さんに届くように、実感していただけるように、きめ細やかにそれぞれの分野で政策を打っていかなければいけないと思います。
 ちなみに、有効求人倍率は上がりましたし、その結果として雇用が増えております。明らかな増加があります。先ほど総理から百万人超の雇用が増えたと御答弁ありましたが、ちなみになんでありますけれども、百万人超のこの雇用の増加の部分の女性の割合というのはどれぐらいなんでしょうか、教えてください。
#531
○政府参考人(生田正之君) お答えいたします。
 総務省の労働力調査によりますと、二〇一二年から直近の二〇一五年までに増加した就業者数の男女比でございまして、男性が五・六%、女性は九四・四%でございます。
#532
○愛知治郎君 女性が九四・四、ほとんど女性ですね、増えたのは。女性活躍ということで喜ばしいことなんですけれども、これは何でこんなに女性が増えたんでしょうか。様々な内閣として取り組んでいるその政策が功を奏したのかとは思いますけれども、要因についてお伺いしたいと思います。
#533
○国務大臣(加藤勝信君) 全ての女性が輝く社会の実現、安倍内閣の重要課題、最重要課題として取り組んでまいりました。また、成長戦略の中核でもございます。
 そうした中で、政権発足以来、総理から経済界に様々な要請をさせていただきました。また、女性活躍推進法の成立あるいは先般のニッポン一億総活躍プラン、こういったことを示しながら様々な取組を行ってまいりました中で、先ほど総理からお話がありましたアベノミクスの成果に加えて、そうした取組の結果、今お話のありましたように、三年間で女性の就業者が百万人増えるなど、女性活躍の大きなうねりが出てきたというふうに思っておりますので、更に積極的な女性の採用や登用が行われるように、あるいは仕事と子育て、介護の二者選択が迫られることなく能力を十分に発揮できる社会の実現、これに向けてしっかり取り組んでいきたいと思っております。
#534
○愛知治郎君 ありがとうございます。是非頑張ってください。もう少し男性にも光を当てていただきたいなと思います。その点もよろしくお願いいたします。
 この雇用なんですけれども、雇用の在り方について、働き方について、これからまた大きな議論になると思うんですが、その一つとして配偶者控除があります。この場でまだその配偶者控除云々については議論するつもりはないんですけれども、まずおさらいというか、誤解がある部分もあるので、この配偶者控除、そもそも現行の制度どうなっているのか、お伺いしたいと思います。
 といいますのも、よく百三万円の壁と言われておるんですが、制度的にその壁はないと私は認識しておるんですが、この点について国民の皆さんに分かりやすく改めて説明していただきたいと思います。
#535
○国務大臣(麻生太郎君) いわゆる百三万とよく言われるんですけれども、配偶者の給与収入というものが百三万円を超えましても、百四十一万円まではいわゆる世帯の手取りが逆転するということがないようにという、配偶者控除に代えて配偶者特別控除というものが適用されていると。知らない人の方が多いです。いや、本当、これ、えっと言っていて、みんな真面目に議論されている方が、いや、もうそれ終わっていますよと言って、もう全然御存じない方が多いので、今日こういった機会をいただきましたから改めて申し上げますが、実はこれはもう終わっております。平成十六年ぐらいに終わっているはずです。
 例えば、納税者の本人の所得が仮に五百万なら五百万として、夫婦のみの世帯ですよ、夫婦のみの世帯において、中小企業に勤める配偶者の奥さんの給与収入が約百万円としますか、百万円としますと、納税者の本人に配偶者控除というものが基本的には三十八万円適用されて、世帯の手取り額は四百九十四万円ということになるんですが、他方、配偶者の妻の給与収入が百三万円を超えて百十万円に増えた場合というものは、これは配偶者控除は適用されませんけれども、代わりに配偶者特別控除三十一万円が適用されるということになっておりますので、世帯主の手取りは五百二万円になると。もうこれ既にあるルールですから、そういった意味で世帯の手取り額は逆転をしない、いわゆる百三万円の壁というものは解消をされております。
 他方、心理的な壁というのはありまして、これはもうゴルフ場のキャディーさんやらスーパーのあれやら、大体十一月になるとこれがあると思ってみんな辞めちゃう人がいっぱいおりまして、途端に十一月後半になるとキャディーがいなくなるのは大体これが多い。私は自分のところでやっておりますので、よくこの話がありますので、違うという話を説明してもなかなか、そういうことになっておりますからと言って辞められますので、現実問題としてはそういった状況にはなくなっておるというのが事実です。
#536
○愛知治郎君 ありがとうございます。とても分かりやすく説明をいただきました。
 私もそういう経験がありまして、うちの事務所の手伝いをしてくれている女性が、ある一定の日数働いたら、もうこれは百三万円を超えちゃうから私来ませんと年末来なくなっちゃったことがあるんですけれども、それは誤解だと一生懸命言っているんですが、なかなか心理的な壁は取っ払えない。
 これ実は、税制における制度はその壁はもうなくなっておるはずなんですが、一方で、社会保険、これについてはまだその壁があるのではないかと言われておりますけれども、そういった問題も含めて全体をしっかりとこの制度をつくり上げていかないと、やはり女性がどんどん社会に進出するための壁のようなものが存在してしまう可能性があります。
 改めてでありますけれども、厚労大臣に伺います。
 社会保険についての制度の概要、今の百三万円の壁も含めて今どうなっているのか、お伺いしたいと思います。
#537
○国務大臣(塩崎恭久君) 社会保障の言ってみれば壁というか、がどうなっているんだと、こういうお話でございますけれども、この十月から、五百一人以上の企業で週二十時間以上の月額賃金八・八万円以上、いわゆる年収換算で百六万円と呼ばれている、百六万円の壁と言われたりしますが、ここで働く労働契約を結んでいる短時間労働者に対して被用者保険が適用されるようになりました。
 この施行に先立って、企業ヒアリングや労使団体等にも参画をいただいた協議会を開催をして情報把握や意見交換を行ってきておりまして、この企業ヒアリングを通じて働く御本人の御意向を聞きますと、配偶者手当を失いたくないので労働時間を減らしたいという声ももちろんありますけれども、おおむね三割程度は適用拡大、この年金の適用拡大を機に、御指摘の壁を超えてより長く働きたいという希望を持っておられる方もおられるわけでありまして、また多くの企業がより多くの方にできるだけ長く働いていただいて労働力を確保したいという、今の、先ほどミスマッチの話もありましたが、労働力の不足ということも企業から見るとあるわけであります。
 そういうようなことで、この短時間の労働の方が長い時間働いても問題がないようにということで今回の手だてを打っておりますけれども、それに対して、キャリアアップ助成金の拡充を図るということで、本人の希望を踏まえて働く時間を延ばすことで人材確保を進める事業主を支援するということ、あるいは、働く方に対しては、将来の年金額が増えて医療保険の給付も充実するという被用者保険のメリットをリーフレットなどを活用して周知、広報をするということで、いずれにしても、中小企業で働く短時間の労働者の皆さん方にも被用者保険の加入の道を開く法案を提出してその早期成立をお願いするとともに、今後も更なる適用拡大に向けて検討して、働きたい方が働きやすいようにしていきたいというふうに考えているところでございます。
#538
○愛知治郎君 是非頑張ってその壁を全て取り除いていただきたいと思います。実際、制度が問題なくても、心理的な壁、これを取り払うのはやはり大変ですから、それは政府一丸となってこれからも取り組んでいっていただきたいと思います。
 先ほどの実績、もう一つ、税収についてお伺いしたいと思ったんですが、ちょっと順番を変えます。賃金について改めてお伺いしたいと思います。
 パネルを、ちょっと小さかったんですが、見ていただきたいと思います。(資料提示)
 これは大卒の方の初任給の推移であります。私が生まれたのは昭和四十四年なんですが、その一年前、昭和四十三年頃から現在、数年前ですね、二十六年ぐらいまでのデータなんですが、昭和四十三年ぐらいには、これは三万円ぐらいですかね、大卒の初任給の額は三万円ほどでした。それから四半世紀、二十五年たっておよそ六倍から七倍、十九万数千円というのが大卒の初任給であります。
 一番問題なのは、そこまで上がったのはいいんですけれども、ここ二十年ほとんど変わっていないんですね。変わっていない。これがある意味デフレの実態だと。多分、この右肩上がりにぐんぐん賃金が伸びているとき、社会も活力があったし、皆さん、国民の皆さんも夢と希望にあふれて、とにかく、今日よりもあした、どんどん良くなっていくという実感があった時代だと思うんですよ。それが停滞してから、日本経済、そして活力も失われてしまった。これを打破していかなければいけない。その一環として賃金を上げていく、皆さんの賃金を上げていくという政策をいろいろ取り組んできました、安倍内閣として。
 その一つ、政労使会議なんですけれども、普通は経済が循環していく上で自然に賃金も上がっていくんですけれども、鶏が先か卵が先か、普通のことをやっているのでは、これは日本経済、現状を打破できないということで、政労使会議という、異次元の発想じゃないですけれども、新しいことを取り組んできました。
 こういった取組が少しずつ少しずつ実績を上げて賃金も上昇に転じていると伺っておりますが、またさらに、方向性は正しいですから、是非更なる一手、二手、どんどん手を打っていっていただきたいと思いますけれども、この点についてどのような政策を打っていくか、お伺いしたいと思います。
#539
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 給与が上がっていくことによって、まさにこのデフレマインドを飛ばしていく、あるいはまた消費をこれを増やしていく、非常に大切なことだろうと思っております。
 しかし、デフレマインドはこびりついておりますから、そう簡単にはいかないということで、やや異例ではありましたが、政労使の会議をやって、政府側から経営者に対して賃金を上げてくださいということをお願いをしたわけであります。そういうことをしてもなかなかうまくいかないだろうと当初は言われていたんですが、しかし、結果として二%以上上がり続けているわけでありますし、中小企業においても幸い給与は上がってきているのは事実であろうと思います。
 そして、今度、更に、更に給与を上げていただくべく、今、先般も経済財政諮問会議においても給与が上がっていくことが大切だということにおいては一致しているわけでございます。その中で、経済財政諮問会議のメンバーであるサントリーの新浪社長は、自分のところ、隗より始めよだから自分のところは三%上げるという思い切った、これは二%の物価安定目標ですが、それを超えていくということを表明していただきました。
 そして、そうしたことをしていく、また働き方改革もやるということを、これ表明をしていただいたわけでございますが、そうしたことが広がっていくように努力を重ねていきたい。また、税制面においてもそのインセンティブを与えるべく今までも政策を行ってまいりましたが、これ、税制面においては財務大臣から答弁させたいと思います。
#540
○国務大臣(麻生太郎君) 間違いなく生産性が上がらないと給与は払えない。経営者の立場に立てば当然です。したがって、生産性が上がらないと利益が出ませんので、その意味においては間違いなく、企業はこの三年間を見ましても経常利益は間違いなく増えております。
 その中から、普通ですと給与、配当、そして設備投資、この三つのどれかに大体利益は回るんですが、今どういうことになっているかというと、この三年数か月で見ますと、間違いなく企業の中で税引き後で七十四兆、七十五兆円の内部留保がたまっております。金利はほとんどゼロですよ、こんなもの。設備投資はどれくらい払われたかといったら約九兆です。そして、給与が幾らかと、三兆です。明らかに今までの、先ほどいただいたグラフでいけば、そこのところはもうちょっと伸びなくちゃおかしいはずなんですけど、総理のここで言われたしつこいデフレマインドというのが経営者の中に残っておる。
 したがって、これを何とかしなきゃどうにもなりませんよといって、我々が経営者の方に対して申し上げているんですが、これは大体組合の仕事ですからね。我々の仕事じゃありませんよ、これは。労働組合の仕事ですから、経営者と交渉するのは。で、労働組合は民主党やっておられて、我々はやってもらっていないから、これはどう考えてもおかしいでしょうがと。おかしいですよ、こんなの。
 ということを、私のことですからもうすぱっと申し上げましたよ、何回も。三回も言ったもんですから随分嫌な顔をされましたけれども、事実だろうがと申し上げました。三回目は相手も、時々替わっておられましたが、いろいろ組合、連合の会長も替わられましたので、新しい方にも同じことを申し上げております。
 是非、そういった意味で、政府も挙げて一生懸命やっているんだから、これは経営者のマインドが変わっていかないと、これはなかなか、気持ちにならない。
 しかし、この一九三〇年代に一回、このデフレというのを、非常にしつこいデフレって昭和二十年代後半からやっているんですけど、世界中、日本だけじゃありませんけど、このときも最後まで引っかかったのは、この経営者のマインドが一番最後まで変わらなかったというのが歴史に残っていますので、これはなかなか、貸し剥がしだ、貸し渋りだというのを金融業者にやられた人たちが今ちょうど一番上にいますから、あのやろうたち、今更絶対頭なんか下げねえぞと思って、絶対自己資本だけでやるという経営者というのは、中小企業に行かれたら、仙台辺りに限りません、どこでも物すごく多いですよ。この人たちは、いや、絶対借りない、あいつらなんてと言うわけ。向こうも、貸した方も、貸し剥がした方も、向こうに今、相手側にも今ちょうど理事長とか常務クラスで、みんな向こう側もいるものだから、まあ今はなかなか雰囲気が、私ども金融庁を担当していますけれども、これ行っても、話してもちょっと、担保を取って金貸すなんというのは質屋と変わらぬでしょうがと、もうちょっときちんとして、先行きのある企業に金を融資したらどうだという話を、もっと、地域に一番根差しているのは地銀であって都銀じゃないんだから、あんたらがあちこち回って、この企業とこの企業のこのアイデアとこのアイデアとくっつけるとか、いろんなことをしたらどうですというんで。地方も人口減に伴って、地方銀行も経営は厳しくなっていますよ。おまけに金利も下がっていますから。
 したがって、その人たちの生き残り策としても、いろんな企業に対しての融資というものを真剣に考えられないと地方銀行は成り立っていきませんよという話を私どもは積極的に申し上げているのが最近の金融庁の仕事みたいになりつつあるので、正式にマニュアルも出しましたので、こういうような金融の融資の姿勢に変えるべきだという金融庁からの書類も、書類というか雑誌が、出しましたから、そういったことまでさせていただいておりますけど、しつこくこれ、やり続けないといかぬところだと思っています。
#541
○愛知治郎君 大変力強い答弁いただきまして、ありがとうございます。
 また、投資について言及されましたけれども、その投資の重要性というのも私も認識しておりますし、後ほどその投資についての議論をさせていただきたいと思います。
 改めて申し上げますけれども、基本的な方向性、向かっている方向は間違いありません。しっかりとあらゆる手段を講じて結果を出していかなければいけないと思います。大変期待をしておりますし、我々も全面的にバックアップをしていきたいと思います。
 その投資に移る前にもう一つ、先ほどの実績について積み残していた議論について、税収についてなんですが、改めてお伺いしたいと思います。
 企業がどんどん活動して、企業活動が活発になった結果として税収が増えました。法人税等も大幅に増えました。ただ、全体としては二十一兆円ですけれども、選挙のときにも個人演説会等で話していたときに御婦人がやってきて、二十一兆円上がったと言うけれども消費税分があるんじゃないかって指摘をされました。消費税分、増税分がそこに入っているじゃないか。それもそうなんですけれども、それ以上に間違いなく法人税収等々は増えていますよというお話をしていたんですが、この批判についてどのような考えを持っているか、お伺いしたいと思います。
#542
○国務大臣(麻生太郎君) 間違いありません。
 二十一兆円、地方税、中央というか国税、地方税突っ込みで、二つ足して二十一兆円ですけど、そのうち九兆円が消費税と思っていただければいいと思います。残り十五兆円が、いわゆる法人税、所得税等々の増収分です。
#543
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 私は、この点については是非もっとアピールしてもいいんじゃないかと思いますけれども、増税分はその実績じゃないみたいな言われ方をするんですが、そんなことはありません。増税をしたというのも、これは結果ですから。
 実は、ちょっと違う話なんですけれども、私、この仕事に就いて、いろいろな話を聞きながらなるほどなと思ったんですが、ある例を申しますと、今までにいろんな政策してきたんですけれども、ちょっと失敗した政策もあります。
 その一つはタクシー、タクシーですね。タクシー業務の規制緩和、これはちょっと行き過ぎたんじゃないかという批判がありまして見直しをしているところではあるんですけれども、規制緩和をやり過ぎたおかげで、タクシーが町にあふれちゃって、また運転手さん、運転手の皆さんの条件も非常に悪くなってしまった、ちょっと修正しなくちゃいけないという話があったんですが、これは当時の小泉内閣の構造改革が全て悪いんだという話をされたんですが、実は、以前から振り返りますと、橋本内閣で閣議決定をして、小渕内閣で国会に提出して、森内閣で法案が成立をして、小泉内閣で実行したという政策だったんですね。これを聞いたときに、なるほど、いろいろ関わってくる人はいるけれども、一番責任を負うのは最後に実行した人なんですね。
 消費増税についてもそうなんですけれども、当時、民主党政権で議論して法案通したと言いますけれども、実行したのは安倍内閣なんです。実行した内閣が一番責められるんですね。皆さんの実感として、税金取られた、増税だというのがありますから、それを実行できたというのは、これは大きな大きな成果だと思います。だからこそ、二十一兆円の税収増というのは、景気、経済の上昇というのもありますし、消費増税を実現できた、これも大きな大きな実績だと思います。
 この点について、もっと誇っていいと思いますけれども、改めて伺いたいと思います。
#544
○内閣総理大臣(安倍晋三君) タクシーの規制緩和というのは、これはいかにも小泉さん風ですから、私も小泉さんかなと、こう思っていたわけでありますが、これは小渕政権だったということでございます。
 消費税につきましても、これは三党合意で決めたわけでありますが、実際にそれを実行するというのは、これはやはりインパクトがありますし、一般の消費者、消費者の皆さんからこれはお預かりをするわけでございまして、経済にもインパクトを与える、そういう意味では、最初に三%上げるというのは難しい決断ではありました。しかし、その後、その後の選挙において、国民の皆様の御理解をいただいて、選挙に勝利を収めることができたことは本当に有り難かったなと、こう思っておりますが、今後も、次なる二%を引き上げることができるように、しっかりとこのデフレから脱却して経済を成長させていきたいと思います。
 あと、先ほどちょっと言い残したところなんですが、給与を上げるということと、特に中小企業の皆さんにとっては取引条件ですね、この取引条件がなかなか改善していないところが多かったのは事実でございます。輸出企業がどんとお金を、収益を得ても、取引しているところは国内の取引でありますから、その言わば利益はないにもかかわらず、なかなか取引条件は厳しいことを言われているところが多かったわけでありますから、この取引条件を今度変えていく。自動車業界も取引条件をしっかりと改善をしていくということについて同意をしていただいておりますので、中小・小規模事業者の取引条件を変えていくことによって、そこで働いている皆さんの賃上げ、これも可能になっていくように努力をしていきたいと、こう思っております。
#545
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 消費増税の大変さというのはずっと聞いておりますし、有権者の皆さん、納税者の皆さんと直接対話をしていかなきゃいけない、中途半端なやり方をすると厳しい審判を受けなくてはいけないということでありますから。ただ、国の未来を考えたときには、いずれ消費増税もまたお願いしていかなければいけないと思います。その前に何としてもデフレ脱却を成し遂げなければいけない、是非頑張っていただきたいと思います。
 今まで安倍内閣の経済政策の実績に基づいて議論させていただきましたが、今回の選挙については、それ以外にもいろいろ有権者の皆さんにお約束をさせていただきました。
 例えば年金の受給資格なんですけれども、これ二十五年から十年に短縮するのに、先ほどの消費増税、見送りましたけれども、財源をちゃんと確保してこれは実現しますと約束をしました。これは是非やっていただきたいと思います。
 ただ、こういう各論はもちろんなんですけれども、国民の皆さんはやはり、そもそも年金自体の未来どうなっていくのか、この年金改革、制度改革について大変関心が高いとともに、まだまだ不安をお持ちでもあります。
 改めてでありますが、総理に伺いたいと思います。この年金改革、法案も継続審議があると思うんですけれども、この概要について国民の皆さんに分かりやすく説明していただきたいと思います。
#546
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が国の公的年金制度は、現役世代が負担する保険料や税によって高齢者世代を支えるという助け合いの仕組み、いわゆる賦課方式を基本としておりまして、少子高齢化が進む中にあっても国民の信頼を高めていくことが重要であります。
 まず、年金の受給資格期間の短縮は、現在の法律では消費税率一〇%への引上げ時に行うこととされておりますが、無年金の問題は喫緊の課題であるということから、できるだけ早期に実施すべきであると判断をし、今国会に関連法案を提出をしたところであります。
 次に、現在継続審議中の年金改革法案は、まさに将来世代の給付水準を確保するためのものであります。若い皆さんがよく言うことは、私たち本当に年金もらえるのと、それまで大丈夫なのと、こういうことをおっしゃる方は多いわけであります。
 そこで、まさに将来世代の給付水準の確保のため、中小企業の短時間労働者への被用者保険の適用を拡大をしていく、そしてまた、中小企業で短時間労働で働く皆さんにもちゃんと年金の仕組みに入っていただけますよということ、そしてまた、国民年金の産前産後期間の保険料を免除していく、そして、年金額改定ルールの見直しを行います。そうしたことを内容として、加えて、GPIFのガバナンス強化のための組織改革などの重要な内容を盛り込んでいるわけであります。
 ここで、衆議院の方で随分議論になったんですが、年金額改定ルールの見直しについてでありますが、実は過去に賃金がマイナスとなった際にはマクロ経済スライド調整が行われなかったわけでありまして、つまり、賃金が下がっているときにはマクロ調整、言わばずっとデフレが続いておりましたので賃金も下がる期間がずっとあったんですが、その間、本来であればこれはこれに合わせなければいけないわけでありますが、これをずっと合わせなかったわけでありまして、合わせなかったことによって、この年金財政は当然これ傷んでくるわけであります。
 賃金が下がっていますから、保険料自体の徴収額もこれは下がってくるわけであります。年金が賃金ほど下がらず、年金水準が維持された結果、所得代替率が五九・三%から六二・七%に上昇した。これは、もらっている方にとってはいいわけでありますが、実力以上に所得代替率を良くしているわけであります。これは必ず将来に響いてくるのは、これはもう誰が考えたって分かることであります。
 所得代替率が上昇した分、今マクロ経済調整スライドというのをやっておりまして、物価が上がった場合、そこから、今のあれは〇・九%かな、一%上がっても、物価が一%上がっても一%上がらず、そこから〇・九%引いた段階で〇・一%しか上がらないという仕組みになっているんですが、この調整期間が、二〇二三年にこれは終わる予定だったんですが、二〇四〇年代後半まで遅れてしまったわけであります。
 同時に、今の所得代替率が上がった分、将来の方々、将来受け取る方々の基礎年金の所得代替率は低下することになったわけでございます。そして、今やろうとしている改革を行わなければ、今やろうとしている改革を行わなければ、これはまた同じことが起こってしまうということでありまして、そうしますと、高齢者の皆さんと現役世代の皆さんの不公平、格差は、不公平な感はより一層強まっていくというふうになってしまうわけであります。
 そこで、やっぱり年金の持続性そして公平性を担保するためには、これはいろいろ、それは私たちだってできるだけたくさんの年金を払いたいわけでありますし、たとえ賃金が下がったとしても、賃金が下がったとしても、その下がった分は年金下げたくないですよ。しかし、それをやらないと、将来の世代と高齢者の世代の不公平が更に広がっていくということになってしまうわけでありまして、そこでこの仕組みを入れたわけでございます。
 ただ、賃金が下がったときに合わせるということにならないように、先ほど申し上げましたように、しっかりとデフレから脱却をして、経済を成長させ、賃金が上がっていくという経済をつくっていきたい。必ずそうなるというわけではなくて、そうなったときにも、この年金制度の持続可能性を確保し、かつ世代間の不公平さの拡大を防いでいるというふうに御理解をいただきたいと、このように思うわけであります。
 また、この年金額改定ルールの見直しのうち、賃金に合わせた年金額の改定については年金生活者支援給付金が施行された後の平成三十三年度から実施されるものでありまして、来年からというふうに誤解されている方も、衆議院での議論の中で、もう来年から行われるのかという誤解されている方もおられますが、来年ではなくて、これは平成三十三年から行われるものでありまして、我々はその前に消費税を一〇%に上げますから、低年金の方々には六万円の給付を行うと、これをセットで行うわけであります。衆議院においても、民進党さんの方からは、これはセットで行えという要望がありまして、我々は、それはセットで行いますよということを申し上げたわけでございまして、そういう仕組みになっているということは申し上げておきたいと、このように思います。
 このような改革を含む二つの法案は、いずれも年金制度への信頼を高めるものでありまして、今後、早期の審議をお願いをしたいと思います。そして、将来にわたって所得代替率五〇%を確保して、そして高齢者世代も若い世代も安心できる年金制度を構築をしていきたいと、このように考えております。
#547
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 議論を聞いていると、衆議院なんかは特にそうなんですが、いたずらに不安をあおるような話がちょっとイメージ的にあったので、今の答弁聞いて大変安心しました。同時に、まだまだ課題として責任を持って一つ一つの政策をやっていかなければいけないんだなと思いますが、改めて、今総理も丁寧な答弁をしていただいたので、これからの議論は、その答弁に基づいてしっかりとした、地に足の付いた議論をしなければいけないと思います。私も機会があればしっかりとした議論に参加したいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 さて、お約束したことはいろいろあるんですけれども、今度はそれ以外の、選挙とはちょっと離れておりますけれども、それ以外の課題も、経済についてお話しさせていただきたいと思います。話題を変えてお話しします。
 一昨日、今年のノーベル医学・生理学賞に大隅良典東工大栄誉教授が選ばれたという大変うれしいニュースがありました。このような自然科学や、また後で議論したかったんですけれども、宇宙などの科学技術分野の発展を更に後押しし、我が国の経済活性化につなげていくことは政府の重要な役割であると考えますが、改めてこの点について、我が参議院から入閣をされております、私の前任者であります前参議院自民党政審会長の鶴保大臣の所見を伺いたいと思います。
#548
○国務大臣(鶴保庸介君) お答え申し上げたいと思います。
 御指摘のとおり、一昨日はノーベル生理学・医学賞を東京工業大学の大隅良典栄誉教授が受賞されました。日本人としては三年連続の受賞であり、単独受賞としては二十九年ぶりという快挙でございます。大変喜ばしいことであるというふうに思っております。
 ただ、まだ、大隅教授も繰り返しおっしゃっておられるとおり、若手の育成が研究現場では大変な課題があると、この慶事がずっと続くように温かい目でこの基礎研究に向けられるような社会をつくっていただきたいと繰り返し御指摘があります。
 したがいまして、私どもとしてはこの慶事が持続的に、引き続きこういう受賞が続き得るように、科学技術行政の在り方を模索すべく、大隅先生がノーベル賞を取られるに至ったような一連の過程や背景を検証して、例えば独創的な研究を支えた研究資金や研究環境がどうであったか、あるいは論文成果が認知されていく時間軸、これ大変長い時間軸でありますから、こういったものに対してどれだけ我慢が必要かみたいなものをエビデンスベースで調査をしていきたいというふうに思います。
 また一方、こういう研究は、民生化をして社会に認知され得る、あるいは還元されるものでなければ、なかなか厳しい財政状況で多くの国民の理解というのは得れないということは当然あるわけでありますから、こういう基礎研究の振興をつなげていくためにも、研究成果を社会に還元し、イノベーションにつなげていくため、我が国のイノベーション政策を重要な柱、エンジンだと位置付けて、研究開発投資を対GDP比一%とすることを目標に取り組んでまいりたいと思います。
 これまでも議論をしておりますが、たまたまあした、こうした官民の投資の拡大に向けて具体策を検討しております、またイノベーションの民生化を進めるための橋渡し人材の育成など様々な野心的な中間報告をさせていただく予定にしておりますので、それも併せて御報告を申し上げておきたいというふうに思います。
#549
○愛知治郎君 ありがとうございます。大変力強いお話をいただきました。あらゆる分野において我が国にはまだまだ潜在力があると思います。これらを徹底的に洗い出して支援していくことが大切だと思います。是非頑張って積極的にやっていただきたいと思います。
 科学技術の応用については、先ほどちょっとお話しさせていただいたんですが、もう一点、宇宙の分野ですね、これについてもどんどん積極的にまた政策を推し進めていってほしいと思うんですが、こういう言葉を、こういうものを聞いたことあるでしょうか。宇宙エレベーター、軌道エレベーターというのがあるんですけれども、大変、新たな素材が発見されたおかげで、カーボンナノチューブというんですけれども、それに基づいて、SFの話じゃなくて現実的に技術的には可能だという話を聞いたんですが、こういった先進的な技術、まだまだあると思うんですが、後押ししていってほしいと思いますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。
#550
○国務大臣(鶴保庸介君) 御指摘の宇宙エレベーター、大変夢のある話だというふうに理解をしております。
 まず、そもそも宇宙産業をめぐる地平というのは大きく今変わっております。各国で衛星の産業化が進みつつあり、我が国としてもこの競争にどうやって参画していくかということを、もう各国しのぎを削っておるわけでありますから、それを強力にサポートしていくことからまずは始めなければならないというふうに思います。
 なお、その上で、御関心の宇宙エレベーター構想も大変重要だと思いますので、新型基幹ロケットの開発や、二〇一八年の四月を目指しております準天頂衛星などの衛星プロジェクト、また、それらを支える部品、素材等の産業・科学技術基盤の維持強化など、取り組まねばならない課題も多いと考えております。
 以上であります。
#551
○愛知治郎君 是非積極的によろしくお願いを申し上げます。
 こういった技術、そして産業を伸ばしていくためには、先ほどお話ありましたけれども、やはり投資を伸ばしていかなければなりません。
 そこで、お伺いしたかったんですが、財政投融資の活用、以前、予算委員会でも私提言させていただいたんですが、民間投資、なかなかリスクマネーに流れていかないという現状もありますので、呼び水効果を発揮するためにも財政投融資等々、公的機関の投資を活性化させていかなければいけないと思います。この点、安倍内閣におきまして、リニアに対して財投を活用した投資をするという方針が出されました。私はこの事業について大変高く評価をし、期待をしております。是非頑張って取り組んでいっていただきたいと思います。
 もう一点なんですが、それだけではなく、様々な分野でこの投資を促進しようという動きがあると思うんですが、その一環として、経産大臣にお伺いしたいと思います。
 JOGMEC法、今回改正に向けて取り組んでおると聞きましたが、財政投融資等々、その資金ですね、この点についても前向きな政策を打ち出していくというふうに聞いておるんですが、詳細についてお伺いしたいと思います。
#552
○国務大臣(世耕弘成君) お答えいたします。
 まず、ちょっと世界のエネルギーの状況についてお話ししたいと思うんですが、今原油安が続いておりまして、その影響で、いわゆる油田、ガス田の開発、これ用語で上流資源開発といいますけれども、いわゆるこの上流開発に対する投資が二年連続で減ってきています。いわゆる油田、ガス田の開発のスピードが落ちてきているわけです。しかし、長い目で見ますと、やはり途上国がこれからどんどんエネルギーを使い始めるわけですから、長期的に見ると、これはエネルギー価格が高騰するリスクに我々は直面しているわけです。
 しかし一方で、現時点では、当面、短期的にはやっぱり原油が安い、五年ぐらいは安いのが続くだろうという状況の中で、海外のいわゆる資源会社が経営上の問題から資産売却などを今進め始めています。こういう状況の中で日本企業がこういった海外資源会社の買収を行うということは、これは長期的に見た日本のエネルギー安定供給上、あるいは日本の資源エネルギー産業の国際競争力の強化という観点から非常に重要だというふうに思っています。
 そういう観点から、今国会にJOGMEC法の改正案を提出をさせていただいて、JOGMECによるこういう海外資源会社の買収に取り組む日本企業に対する支援が行えるようにしたいというふうに考えておりますし、また、今御指摘の財投特会から投資勘定で千五百億円、この補正予算で計上をさせていただいているところであります。
#553
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 エネルギーに対する投資、なかなか民間の企業がすぐに投資って難しいと思うので、まさに政府の関与を強めていただいて、民間と協力してどんどんそういったエネルギー開発進めていってほしいと思います。期待をしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 加えて、投資なんですが、財投。財投のイメージというと非常に大型の投資が思い起こされるんですけれども、今現在、日本国内のニーズからすると、大型だけでなく、もっときめ細かに地域に投資を拡大していく必要性があると思うんですが、この点についてどのような施策を講じる予定なのか、お伺いしたいと思います。
#554
○国務大臣(麻生太郎君) まず、財投の資金はこれは税金ではありません。これは、財投は、財投として資金を調達するわけです。調達に掛かりますコスト、簡単に言えば金利ですけれども、その金利が、財投によって得た資金によってしかるべきものに投資をする、今の石油の話もそうでしょう、リニアの話もそうでしょう、ほかにもいろいろあるでしょうが、そういったものに投資をすることによって得るリターン、得る配当、リターンよりコストの方が安ければ、リターンの方が多ければ、納税者に迷惑が掛かることはありません。これが分かっておられない方が世の中にいっぱいいらっしゃいますので、是非ここのところは、ちょっと商売しておられたのでお分かりだと思いますので。
 投資に勝るリターンがあれば間違いなく、それは税金が発生するわけではありませんし納税義務は全く起きませんので、そういった意味では、これ金利が安いって超低金利ですから、〇・〇幾つなんということは考えられませんから、昔では。だから、そういったものを積極的に利用するべきではないかというのがまず基本的な考え方。
 その使い方として大型のものだけではなくてというお話ですので、私どもとしては、例えば政策的に必要なものの中でいろいろありますので、先ほど商工中金というのがありますんですが、これは地域の中核企業とかいろいろありますけれども、そういった中核企業が、いろいろ地方の中小零細・小規模事業者等々は、これは銀行、金が余っているようでも、中小零細企業のところは従来と同じで担保が足りねえとか何とかかんとかでなかなか難しいために、全部うまくいっていないものに対してリスクを取って、中小零細金融機関がそういったものに対してリスクを取って金を貸すということはなかなかこのデフレの二十年間起きておりません。これは事実。
 そういった意味で、それをやられたらどうですかという資金をある程度こっちが、商工中金等々の政府系金融機関ですから、また農林漁業成長産業化支援機構というのがまだ御存じのようにありますので、こういったようなものを使うとか、地域経済活性化支援機構といったようなものを通じて、これみんないずれもそういった団体ですから、六次産業化に向けた、農林、農業の六次産業化に向けたいわゆる事業規模への拡大していくための資金が足りねえという話ですから、足りねえって、小さなところはいっぱいありますので、それ一つ一つは大した額じゃありませんので、是非、そういった中で、これは外れるものもあるでしょうけど、そこから化けて出る大きなものもきっといっぱい出てくるんだと、私どもはそう思って、いろんな技術の進歩とか科学技術とかいろんなものの中からそういった夢のあるものというのはきっとあるはずなんで、そういったものに是非私どもとしては、我々としてはきちんとそういったものに対して、政府機関もそれやるんだから是非民間も、おたくら金が余っているわけだからその金を、俺たちもここにいるんだ、そっちもというと、最初に先頭を切ってやるというのがなかなかできないというのは分かりますので、そこはきちんと政府もこれやりますので是非という話をする、そういった元手になります資金の元にこの財投を使うというような考え方はいかがだろうかというような、基本的には中小というのであればそういう方向を考えております。
#555
○愛知治郎君 是非よろしくお願いいたします。政府系の金融機関がどんどん積極的に民間と協力しながら投資をしていく、大事なことだと思うんですが、以前、一時期、こういった政府系金融機関、何でもかんでも民営化だと、民営化すればいいやという話で進めていたことがあったんですけれども、やはり純粋に民営であるとなかなかリスクを取れないということもありますので、こういった機関、ある程度公的な機関が積極的に役割を果たす、これからもうどんどんやっていかなければいけないと思いますので、よろしくお願いいたします。期待をしております。
 なぜ地域の話をしたかというと、先ほどから何度も申し上げておりますけれども、やはり地域の経済はまだまだなんですね。それは厳しい声を聞きます。もう一点、その厳しい声を聞くという点でいうと、農業についてもやはり厳しい声を聞きます。先ほどの、前の委員の方の議論もありましたけれども、改めて農業について一点だけお伺いしたいと思います。
 農業関係者、特に東北なんですが、やはり米に関わる方々がTPPに対しても非常に不安を抱えている状況であります。まだその不安払拭されていないと思いますが、私自身は、三年前の選挙ですか、このときに農家の方々、農業関係者の方々にお約束をしていたのを今でもしっかりと覚えております。TPPの交渉いろいろあるかもしれないけれども、米は守りますと、米が守れないようだったら私は堂々と反対しますということで選挙を戦いました。
 改めて、関税、TPPを取り巻く環境の中で、米、ちゃんと守られるのか、農水大臣に伺いたいと思います。
#556
○国務大臣(山本有二君) TPP協定の合意原則は関税即時完全撤廃であります。したがって、この観点から米を考えますれば、生産コストが著しく安い外国産米の安い価格の米が日本に大量に輸入されるおそれがあります。瑞穂の国の日本の米農家の営農に支障が生じる危険がございます。
 そこで、国会決議を後ろ盾にいたしまして、ぎりぎりの交渉の結果、米の輸入にはキロ当たり三百四十一円の関税を掛ける措置を維持したものでございます。これは六十キロ当たり約二万円でありますので、事実上の輸入が阻止されたと、こう考えております。
 そしてさらに、輸入圧力がございました。この輸入圧力に対しましては、発効後十三年目以降、合計最大七万八千四百トンという量、内訳はアメリカが七万トン、オーストラリアが八千四百トン、この輸入は認めざるを得ませんでした。けれども、準備期間を十三年置くことができました。また、国別枠で、かつ国内消費量の一%以下に収めることができました。これは交渉結果としては最善のものというように評価しております。
 しかし、それでもなお価格下落の不安というのは残っております。そこで、TPP関連政策大綱に基づきまして、備蓄米制度というものを活用しまして輸入量と同じ量を国内市場から買い取ります。そこで、需給バランスの中で供給量を削減して市場から量的に遮断することといたしました。この措置によりまして米の再生産を確実なものにできたと考えております。すなわち、米農家は守られたと考えております。
#557
○愛知治郎君 ありがとうございます。本当に力強い答弁をいただきました。
 ここなんですね。イメージ的に批判される方、不安に思われる方、いるんですけれども、はっきりと守られていると。一つ一つ詳細に見てみると、全て完璧というわけではないという議論はあるかもしれませんけれども、今のお話のように、例外なき関税撤廃ですから、それでマルチの交渉の中で関税を維持できた、これは大変高い成果だと思います。はっきりと守ったと私は言えると思うんですが。
 ところで、今アメリカ大統領選挙が行われておりますけれども、これについては非常に私も危惧しておるんですけれども、どちらの候補が勝ったとしてもTPPについては後ろ向きだという話はありますが、ただ、せっかくすばらしい合意ができた、日本にとっては大変いい交渉ができたと私は思っておりますので、再交渉でもしようものなら必ず後退すると思います。これは絶対にしてはいけません。しっかりと、もちろんここで議論をして国会の承認を得た上で、発効に向けて更なる取組、努力が必要だと思います。大統領選挙の結果いかんにかかわらず、しっかりと推し進めていくべきだと思いますが、その点について大臣の見解、お伺いいたします。
#558
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、再交渉については、再交渉はしないというのが我が国の方針でございますし、米側にも再交渉はしませんということをはっきりと申し上げているところでございます。
 と同時に、国会においてしっかりと批准をしていただければ、これは政府の意思だけではなくて、院においても、国会においても再交渉はしないという決意にもつながっていくんだろうと、このように思うわけであります。
 いずれにいたしましても、アジア太平洋地域に自由な新しい貿易ルールの下の経済圏が誕生するわけでありまして、これは必ずや日本の成長に大きく寄与するものと考えております。
#559
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 現場の多分最前線にまた立たれると思いますけれども、この点についてはTPPの担当大臣にもお伺いしたいと思います。
#560
○国務大臣(石原伸晃君) 今総理が明確に再交渉を行わないと断言されました。また、私もこの期間にマレーシア、シンガポール、ニュージーランド、オーストラリアと回ってまいりましたけれども、各国の代表、新しくメンバーが入れ替わっておりますけれども、再交渉はしないと、これは他の国も同じだと思います。
 先般、九月でございますけれども、ケネディ米大使にお招きをしていただいて十一か国の、日本は大江首席交渉官が行かれたんですけれども、各国大使の会合がございました。これは、TPPに加盟している十二か国がそろって、日本で行ったということで私がゲストで呼ばれたんですけれども、全員がもう再交渉はしないと、ケネディ大使も含めて、アメリカを代表するケネディ大使も含めて、TPP交渉というものはガラス細工の中で各国譲り合うところは譲り守るべきところは守り作ったものだから行いませんと明確な合意をいただいたわけでございます。
 そんな中で、愛知委員が御懸念をされているアメリカの大統領選挙でございます。大統領選挙で両者がTPPはアメリカの国益を害すると言っているということは、裏を返せば日本の主張が通ったと。これは私が言っているんじゃなくて、衆議院の予算委員会で他党の方からそういう御意見があって、なるほどな、そういう見方もあるのかなと私は思いましたし、また、オバマ大統領も、このレームダックセッションの中でしっかりとやっていく、そういう話もおっしゃられているということを私は承知しているわけでございます。
 今国会での協定の承認と、先ほど農業の話がありましたが、やはり政策大綱で決めていただいたバックアップのところも併せて整備法案の成立を丁寧に求めてまいりたい、こんなふうに考えております。
#561
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 いろんな国際状況は変わってくるとは思うんですけれども、ここまで来たわけですから、是非これを日本経済、日本の未来に役立てて、しっかりとした交渉、交渉じゃない、締結、条約の発効に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 実は、今日冒頭言いましたけれども、なかなか議論が白熱したらしく、私の質疑の始まる時間が一時間半ほど遅れて、なかなか、今日はNHKの中継もありますので限られた時間で議論をしなくてはいけないということでここまで来ましたが、ちょっと早いんですけれども、幾つか質問を飛ばしまして、最後の質問、課題について議論をさせていただきたいと思います。
 オリンピック、パラリンピックについてお伺いしたいと思います。
 まず、いろんな議論がされてここまで来ました。一番最初に言わなければいけないのは、総理も中心メンバーとして東京オリンピックの開催の実現に合意を得ることができました。誘致に成功しました。これはすばらしいことだと思いますが、何としても成功させなければいけません。そして、政府としても責任を持って関わっていかなければいけないということでオリンピック・パラリンピック担当大臣が設置をされました。ただ、原則としては、オリンピックの精神、やはり都市の開催だということだと思います。
 この議論を聞いている中でよく分からないところがあるんですけれども、この場で是非教えていただきたいと思うんですが、国と東京都とそれから組織委員会等々いろんな組織が絡み合って、どこがどういうふうに決めていくのか、誰がリーダーシップを取っていくのか、お互いの連携や責任や、予算面も含めてよく分からないんですね。この点について、すみ分けというか、どのような方向でこのオリンピック、パラリンピックを成功させていくのか、オリパラ大臣に見解を伺いたいと思います。
#562
○国務大臣(丸川珠代君) 御質問、大変ありがとうございます。
 オリンピック憲章にも、オリンピック競技大会を開催する栄誉と責任はオリンピック競技大会の開催都市に選定された一つの都市に対してIOCにより委ねられると書かれておりまして、まさに主催者は都であります。招致をするのは都、開催するのも都でございます。
 この大会開催に当たっては、東京都と日本オリンピック委員会、JOCが国際オリンピック委員会、IOCと民事上の契約を結んで行うものであります。
 役割分担についてでございますが、昨年十一月にオリパラ基本方針というものが閣議決定をされておりまして、その中に整理がされております。
 まず、大会組織委員会は、大会の運営主体として大会の計画、運営及び実行に責任を持つと。この大会組織委員会というところは東京都とJOCが資本を出しておりまして、国は一切国費を投じておりません。この大会組織委員会が責任を持つということがまず書いてあります。そして、東京都は、開催都市として、大会組織委員会の行う大会準備を全面的にバックアップするとともに、外国人受入れ体制の整備や開催機運の醸成等に取り組むと書かれておりまして、大会運営経費については、開催都市である東京都と組織委員会が負担することが基本になると私どもは考えております。
 ただ、詳細な運営費全体を算出するに当たっては、今、全体の業務の洗い出しを組織委員会が取り組んでおられるところであります。また、東京都の方では、都知事が都民の理解を得て成功させるという観点から都政改革本部を設置して見直しを行っておられるという認識を持っておりますので、私としては、また政府としてはその動向を注目しておるところでございます。
 そして、国は、ではどういう責任を負っているのかということですが、これは、大会の円滑な準備及び運営の実現に向けて、各府省でそれぞれやっているオリンピックに関連する施策を一体として確実に実行をしていくということでございます。例えば、オリンピックに伴って入ってこられる方にどういうビザを与えていくのかというようなことであったり、あるいはスムーズな入国手続等です。あるいは、一番大切なのはセキュリティーでございまして、安心、安全については国が大きな責任を負っているものと認識をしております。
 大会組織委員会、東京都及び競技会場が所在する地方公共団体と密接な連携を図って、オールジャパンでの取組を推進するため必要な措置を講ずるということがオリパラ基本方針に書かれているところでございます。
#563
○愛知治郎君 ありがとうございます。丁寧に説明をしていただきました。
 私、国立競技場の議論がなされていたときに、あれは国立競技場ですから国も予算を掛けてしっかりと整備をするということだったと思うんですけれども、それ以外の分野については、基本的には予算を付けて何か施設の整備をするというわけではないということですね。その点について改めて確認したいと思います。
#564
○国務大臣(丸川珠代君) 施設整備については、そもそも国立競技場は国が中心となって、ただ、これは都にも御負担をいただいておりますけれども、その額はおおよそ四分の一でございます。
 そしてまた、仮設施設については当初は組織委員会、また恒久施設、恒設施設といってずっと使い続ける施設については都という形で、当初立候補ファイルの時点では役割分担が決まっておりました。この点について、今、東京都と組織委員会の間で協議を詳細詰め始めているというふうに認識をしております。
#565
○愛知治郎君 分かりました。
 なぜこういう質問をしたのか、改めてこの話題に触れたいと思います。
 実は、ボート・カヌー競技について、私の地元であります宮城県の長沼というところで開催する予定がある、変更する可能性があるという、報道ベースで聞いたんですが、私、全く聞いていなかったのでひっくり返ったんですけれども、地元挙げて、いやあ、これはすばらしい、実現できたら本当にいいことだなと思って大変期待をしております。改めて申し上げますけど、この長沼という競技場、その地域も含めてすばらしいところでありますから、是非開催をしていただきたいなと思います。
 ただ、危惧している点もあるんです。ちょっと場所的に遠いんですね、仙台市からも遠いので。もしそこで開催していただけるんだったら、まずオリンピックにふさわしいような施設整備をしなければいけません。それから、選手の皆さんが泊まったり、また交通インフラも含めていろんな整備費掛かる可能性があるんですね。国が一切お金を負担していただけないとなるとなかなか厳しいので、まさか東京都に宮城県の施設整備負担していただくわけにいかないですから、これは国が関与をして、国として成功させるという意味合いで予算面でもバックアップしていただきたいと、このことを申し上げたかったんですが、こういった方針立てられるんでしょうか、オリパラ大臣に伺いたいと思います。
#566
○国務大臣(丸川珠代君) 長沼の会場については、東京都の都政改革本部の中間報告書に登場いたしました時点で私どもも初めてそれを耳にしたわけでございます。
 東京都が今後この中間まとめを受けて都知事として判断をされるということでございますので、あくまでこの中間報告は都知事の判断材料の一つであるという認識でございますので、会場の変更については、まず都知事がどのように判断されるか、判断された場合は、今度は日本ボート協会、そしてまた国際ボート連盟、大会組織委員会などとの協議が必要になろうかと思います。
 ですので、大変恐縮ですが、まず小池都知事がどのように判断されるかということを私どもは注目をさせていただきまして、現時点で仮定のお話について答弁をするのは差し控えさせていただきたいと存じます。
#567
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 今の時点ではそうだと思うんですけれども、いざ決まったら是非バックアップをしていただきたいと思います。
 また、オリパラ大臣としても、私も機会があれば都知事にちょっと陳情に行こうかなとは思っていたんですが、いずれにせよ、国を挙げて、東京都だけではなくて国を挙げてこのオリンピック・パラリンピック成功に向けて取り組んでいく、これが大事だと思いますので、是非リーダーシップを発揮して取り組んでいっていただきたいと思います。
 様々な課題ありましたけれども、限られた時間、この補正予算の審議でありますので、私も、用意していた質問様々あったんですが、今日の質疑はこの辺で終了させていただきたいと思います。また私は、この補正予算ではなくて、改めての機会で閣僚の皆様とも議論をしていきたいと思いますので、是非よろしくお願いを申し上げます。
 ありがとうございました。
#568
○委員長(山本一太君) 以上で愛知治郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#569
○委員長(山本一太君) 次に、有村治子君の質疑を行います。有村治子君。
#570
○有村治子君 自由民主党の有村治子です。本日最後の質疑者となりました。五時まで限られた時間でございますが、できるだけ質問をさせていただきまして、そして、残りはあしたの朝九時から質疑を続けさせていただきたいと存じます。
 私は、国籍法について質問を重ねさせていただきたいと考えます。
 二重国籍は、国際結婚のお子さんではよくあることです。アメリカなど出生地主義の国で出産した日本人夫妻のお子さんにもよくあることです。その方々に対する価値観を述べるわけではないということを冒頭明確にして、これから質疑に入らせていただきます。
 法務大臣に伺います。
 日本は二重国籍など重国籍を認めていますか。
#571
○国務大臣(金田勝年君) お答えさせていただきます。
 我が国の国籍法は、重国籍の防止又は解消を図るという立場を取っております。重国籍者については国籍の選択を義務付ける、これは国籍法第十四条でございますが、義務付けるなどをしているところであります。そして重国籍者は、重国籍となったときが二十歳に達する以前であるときには二十二歳に達するまで、そのときが二十歳に達した後であるときには二年以内にいずれかの国籍を選択する義務があります。それにもかかわらず期限までに選択手続を行わない場合には、国籍選択義務に違反していることになります。
 以上であります。
#572
○有村治子君 では、続けて伺います。
 重国籍を認めない法律の意図、その背景にある思想は何ですか。
#573
○国務大臣(金田勝年君) お答えをいたします。
 重国籍者は同時に二つ以上の国家に所属をすることになります。したがって、各国のその者に対する外交保護権の衝突といったようなケースによりまして国際的な摩擦が生ずるおそれがある場合、あるいはその者が所属する各国から課せられる義務が衝突するおそれがある場合、例えば兵役義務を一方の国で課すといったような場合であります。そうした場合、また、各国が重国籍者についてはそれぞれ自国民として身分関係を管理をする結果、重婚が生ずるおそれがあるといった、その身分関係に混乱が生じるおそれもあります。
 そのために、我が国の国籍法は、国籍選択義務、国籍の選択の義務、これは国籍法第十四条でございますが、これを始めとする重国籍の解消及び防止のための制度を設けているということであります。
#574
○有村治子君 ありがとうございました。
 この秋以降急激に関心が強まった二重国籍については、国民世論の中でも様々な意見が出ています。例えば、排外主義ではないか、排他主義ではないか、純血主義ではないか、差別ではないか、あるいは、ほかにも多くの二重国籍の人がいるんだからいいじゃないかというような意見も出ています。少し感情論ではないかなというふうに、これらのコメントには私は違和感を感じます。二重国籍、もとより二重国籍の相手国や出身地域への差別や偏見があってはならないのは当然の国際マナーであります。心ない感情的なヘイトスピーチも戒めたいものだと思います。
 その上で、私が思うのですが、やはり国籍の異なる夫妻の子供が両親それぞれの言語や文化的教養を身に付けて、社会で多様性を発揮することはすばらしいことだと私自身は思っています。その存在価値に何ら水を差すそういう発言を一切しないと首尾一貫して、私はこの質問を続ける中で厳しい質問をしますが、そういう価値を明確にしながら質問を続けたいと思います。
 そこで、法務省に伺います。
 法務省に代表される日本政府は、重国籍の方が国籍法に抵触するか否かという法的コンプライアンスの視点で対応していると理解してよろしいですか。
#575
○国務大臣(金田勝年君) お答えをいたします。
 先ほど申し上げましたが、重国籍者である本人にとりましては、幾つかの例で申し上げましたが、具体的に問題が生じるというのは先ほど申し上げたとおりであります。
 そういう中で私どもは、もちろん法務省としては、ただいま重国籍者を差別するものではなくという御指摘がございましたが、もちろんそういう立場に立ちまして、そして、ただいま述べた幾つかの理由によりまして、重国籍の防止又は解消を図る制度を設けております国籍法に従いまして適切に対応をしているというところであります。
#576
○有村治子君 すなわち、重国籍に対してどう思うかというような価値観を問うものではなくて、国籍法に抵触するかどうかということが焦点になっているということを明確にしたいと思います。
 続けて法務大臣に伺います。
 重国籍を持っていた国民が、それゆえに困難な状況に置かれたということはあるのでしょうか。
#577
○国務大臣(金田勝年君) お答えを申し上げますが、先ほど二つ目の質問でお答え申し上げたことの繰り返しにはなりますが、やはり重国籍であることによりまして困難が生じる場合があるというふうに承知をいたしております。
 繰り返しになりますが、具体的に言いますと、重国籍者は同時に二つ以上の国家に所属することになりますから、例えば日本国民である重国籍者が他国の兵役の義務を負う可能性があります。その場合に、それぞれの国に対する義務が衝突するという事態が起こり得るということが考えられます。
 そしてまた、重国籍者の身分関係についてでございますが、本国法として適用される法律の内容が複数あるということになりますので、例えば国際結婚等の有効性を判断する場合に、運用すべき本国法によって有効とされたり無効とされたりすることがあり得るわけであります。このため、身分関係に混乱が生じたり重国籍者本人が不安定な状況に置かれることがあるということも言えると思います。
 したがって、以上のとおり、重国籍であることによって本人にとって様々な困難が生じ得るものと承知をしております。
#578
○有村治子君 例えば、両国間で戦争が起こったとき、どっちの国家に忠誠を誓うのかということも問題になってきます。あるいは、重国籍の方からお話を聞きますと、どちらの国に行っても外国人じゃないかというようなレッテルを貼られるのはつらいという意見も聞いたことがあります。
 次に、国家公務員の資格について伺います。
 人事院規則は、国家公務員について、日本国籍を持つ者でなければ採用試験を受けられないとしています。数ある国家公務員の職務の中でもとりわけ外交官は、外務公務員法によって、日本国籍以外の国籍を同時に持つこと、重国籍であることが禁じられています。なぜこのような規制があるのでしょうか。外務大臣に伺います。
#579
○国務大臣(岸田文雄君) 外務公務員ですが、これは、勤務地が世界各地にわたるため、その際に不都合が生じないような特例が必要です。また、外務公務員の職務と責任は対外的、国際的であり、外国との関係で格段の注意を必要といたします。このような事情から、二重国籍者が外務公務員になれないことを国家公務員から切り分けて外務公務員法で特別に規定をしています。
 不都合の例としましては、例えば外交官が赴任国の国籍を有する場合、赴任国において裁判権からの免除あるいは不可侵、こういったものに制約が生じる、そういった可能性もある、このように考えております。
#580
○有村治子君 せんだっての衆議院予算委員会で岸田外務大臣は、なぜこのような措置がとられているのか、外務公務員法の重国籍禁じる措置があるのかという下地先生の質問に対して、特に国益を懸けて仕事をしなければならない特殊性に鑑み措置をしていると答弁をされています。そのとおりだと思います。
 けれども、そのような特殊性に鑑み仕事をしている方々は外務省職員から大使に至るまでの方々だけだろうか。外交官、指揮命令系統のトップに立つ外務大臣の二重国籍を禁じる法律は現在ありません。国益と国益が正面からぶつかり合い、激しい心理戦、情報・諜報戦、多数派工作が日常的に繰り広げられている外交のトップを成す外務大臣が果たして二重国籍であっても務まるのでしょうか。また、二重国籍であっても外務大臣になれてしまう、なることができてしまうという現在の法制度についてどのようにお考えになりますか。
#581
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のとおり、外務大臣はこの外務公務員法における外務公務員に当たりませんので、二重国籍を認めないという要件、適用されません。
 今の日本の制度においては、外務大臣を含め国務大臣への就任については、まず当然に日本の国籍を必要とする、このように解されています。そして、その上で、外務大臣を始めとする国務大臣については内閣総理大臣が任命するということになっています。
 よって、日本国籍を必要とするこの要件の上に、内閣総理大臣が適材適所の考え方から誰をどういった大臣に任命するのか、これを判断する、こういった制度になっていると認識をしております。
#582
○有村治子君 お答えありがとうございます。
 総理大臣が指名していれば外務大臣が二重国籍にはならないというわけには必ずしも論理的にはなりません。実際に、総理の過去の御答弁では、閣僚を選任されるとき、指名されるときに二重国籍かどうかということを特段チェックしていませんという総理のコメントがあります。
 そんな中で、二重国籍の方が外務大臣にもなれてしまうというところに、国家機密を守るその特殊性に鑑みての法的な脆弱性はないのでしょうか。
#583
○委員長(山本一太君) どなたに御質問ですか。
 安倍総理大臣。
#584
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、有村議員の御指摘は一理あると思います。外務大臣あるいは副大臣、政務官も含めて、これは議員がなるわけであります。総理大臣もそうでございますが、外交交渉はまさに国益と国益がぶつかることになるわけでございます。そうしたことについて果たしてどうだろうかということになるわけでございますが、しかし、これは国会議員の資格でありますから、これはまさに政府で、これは大臣だからどうかということで考えるのか、言わばそれが大臣あるいは総理大臣に就任する国会議員としてどうかということもございます。国会議員ということであれば、これは院において、国会議員の身分に関わることでございますから国会において御議論をいただきたいと、こう思うわけでございます。
#585
○有村治子君 外交は厳しいなと改めて思います。
 二重国籍の日本人でなくても日本の外交官が狙われる厳しい現実がございます。今から十二年前には、上海にあった日本の総領事館で中国と本国外務省との通信を担当する電信員が中国の情報機関の関係者と思われる方のターゲットになりました。恐らくは、その通信上の暗号解読の情報を狙われていたと思われます。この日本人の外交官は、国を売ることはできないと言って自らの口を封じるために自殺を図っています。そのぐらい厳しい外交の現実で、やはり外交のトップに立つ方が二重国籍でないというのは国民に対する忠誠の誓いだと思われますが、外務大臣、いかがでしょうか。
#586
○国務大臣(岸田文雄君) まず、制度につきましては先ほど説明をさせていただいた状況にある、日本の制度は先ほど説明させていただいたとおりであります。
 そして、外交に関わる者の厳しさ、委員の御指摘のとおりだと思います。そのトップに立つこの外務大臣というもの、その厳しい、そして重たい責任をしっかり自覚して職務に取り組まなければならない、それは御指摘のとおりだと考えます。
#587
○有村治子君 時間になりましたので、これから残りはあしたの朝の九時からにしたいと思いますが、自衛隊・防衛省職員の二重国籍を禁じる法律も現在はないということを申し上げて、あしたの九時に残余の質問をさせていただきたいと思います。(拍手)
#588
○委員長(山本一太君) 残余の質疑は次回に譲ることといたします。
 次回は明六日午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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