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1947/06/12 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 厚生委員会 第8号
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1947/06/12 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 厚生委員会 第8号

#1
第002回国会 厚生委員会 第8号
昭和二十三年六月十二日(土曜日)
    午後一時十二分開議
 出席委員
   委員長 山崎 岩男君
   理事 有田 二郎君 理事 田中 松月君
   理事 武田 キヨ君 理事 徳田 球一君
      井上 知治君    近藤 鶴代君
      村上 清治君    武藤運十郎君
      師岡 榮一君    最上 英子君
      野本 品吉君    松本 眞一君
      齋藤  晃君    寺崎  覺君
      榊原  亨君
 出席國務大臣
        厚 生 大 臣 竹田 儀一君
        國 務 大 臣 野溝  勝君
 出席政府委員
        厚生事務官   久下 勝次君
 委員外の出席者
        專門調査員   川井 章知君
    ―――――――――――――
六月十日
 大麻取締法案(内閣提出)(第一一四号)
 理容師法特例法(内閣送付)(予閣第七号)
 性病予防法案(内閣送付)(予閣第八号)
 予防接種法案(内閣送付)(予閣第九号)
同月十一日
 厚生年金保險法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出)(第一三一号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 藥事法案(内閣提出)(第八八号)
 大麻取締法案(内閣提出)(第一一四号)
 性病予防法案(内閣送付)(予閣第八号)
 予防接種法案(内閣送付)(予閣第九号)
 医療制度に関する件
    ―――――――――――――
#2
○山崎委員長 ただいまより会議を開きます。
 本日の議題であります藥事法案、麻藥取締法案及び民生委員法案をしばらく後回しにいたしまして、日程を追加して、今回新たに本委員会に審査のために付託されました大麻取締法案、及び予備審査のために付託されました性病予防法案及び予防接種法案を議題といたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○山崎委員長 御異議がなければ、大麻取締法案、性病予防法案及び予防接種法案を一括議題に供します。まず審査に先立ちまして政府側より提案理由の説明を求めます。竹田國務大臣。
#4
○竹田國務大臣 ただいま議題となりました大麻取締法案について御説明いたします。
 大麻草に含まれている樹脂等は麻藥と同樣な害毒をもつているので、從來は麻藥として取締つてまいつたのでありますが、大麻草を栽培している者は大体が農業に從事しているのでありまして、今回提出されています麻藥取締法案の取締の対象たる医師、歯科医師、藥剤師等は、職業の分野がはなはだしく異つています関係上、別個な法律を制定いたしまして、これが取締の完璧を期する所存であり、本法案を提出する理由と相なつております。本法案の構成といたしましては、総則、免許、大麻取扱者、監督、雜則、罰則の六章及び附則からなつておるのでありまして、全條分は二十三條であります。
 次にこの法案の骨子といたしまするところを説明いたします。まず、大麻の不正取引及び不正使用を防ぐため、大麻を取扱う者はこれを免許制とし、この免許を受けた者以外の者は、大麻を取扱うことを禁止しておるのであります。
 次に大麻の取引を要式行為とし、また大麻取扱者に記張義務及び報告義務を課して大麻の移動の責任を明らかにしたのであります。勅令第五百四十二号に基く大麻取締規則を廃止したのであります。
 以上大麻取締法案の骨子につき、大要の御説明を申し上げたのでありますが、何とぞ御審議の上速やかに可決せられんことを切望いたします。
 次に性病予法案の提案理由を説明いたしたいと思います。
 わが國における性病の蔓延状態は戰前すでに憂慮すべきものがあつたのでありますが、戰時中より戰後にかけての社会的混乱は、世道徳の紊乱というおもしろからざる風潮を生し、加うるに急激な経済的変動のために、徳義心が忘却されがちとなりつつあることは、性病予防止まことに憂うべき状態と申さねばなりません。
 政府は終戰後ただちに花柳病予防法特例を制定し、業態者に対しては一層嚴格なる規定を加え、かつ一般患者に対しても医師の届出、治療の励行等を規定して性病予防の措置を講じたのであります。しかしながらその後公娼は廃止せられまして、文化國家としてわが國は一進歩を画したのでありますが、これ伴いまして從來の法律が、その主たる対象といたしまして業態者なる概念はこれを一擲する必要を生じ、ここに性病予防についての根本的対策の確立と、徹底的実施とが要望せらるるに至つたわけであります。政府といたしましても、この間の事情に対処して性病の徹底的な予防及び治療を行い、公衆衞生の増進及び向上をはかり、健全なる國家建設の必要を痛感いたしましたので、廣く諸外國の立法例を参考とし、從來の花柳病予防法及び特例を綜合致しまして、この法案を提案するに至つて次第であります。
 次にこの法案の内容の大体を申し上げますと、第一に、性病の徹底的な治療及び予防は、國及び地方公共團体並びに個人の義務とし、これに医師の協力義務を併せ規定しております。
 第二は、性病の取扱につきましては、急性傳染病とほぼ同樣の取扱として、医師の届出制度をとり、治療も都道府縣知事の監督下に、医師及び患者に徹底的治療を義務づけ、必要に應じましては患者に対し強制入院させる措置を講じ得るよう規定したのであります。
 第三に、從いまして感染原の発見追求を行う規定を設け、患者についてたれから病氣をもらつたか、たれにうつしたかといういわゆる接触者調査を行い得ることにしたのであります。
 第四に、性病の対象範囲の拡大に伴いまして、業態者の定期の健康診断を廃止しましたが、賣淫常習の疑の著しい者に対しては、強制健康診断を命じ得ることを規定し、公娼廃止後憂慮せられていましたこの方面の性病傳播を防止することが出來るようにしました。
 第五は、都道府縣知事は性病蔓延の著しい場合においては、その治療及び予防のため特に必要があると認めたときには、強力な予防措置を講ずることができるのでありますが、これはその実施を愼重にするために特に厚生大臣の承認を必要とすることにしております。以上に述べました都道府縣知事の健康診断命令は、もしそれが濫用されることになりますと、基本的人権蹂躙を招くおそれがありますので、特に本法においては、知事の命令が違法であると考えたときは、裁判所に命令の取消の訴えを提起することができるようにしたことであります。
 第六は、性病は子孫にまで害を及ぼすものでありますので、婚姻、姙娠の場合におきまして、健康診断を受けることを規定しまして、その予防をはかつております。
 第七は性病予防施設に関しまして從來診療所、病院がありますが、今後ともその整備拡充を期しようとするものであります。
 以上がこの法案の骨子でありますが、何とぞ御審議の上速やかに可決せられんことを希望いたします。
 なおただいま議題となりました予防接種法案について提案の理由を説明いたします。
 わが國の傳染病発生の趨勢は戰爭末期より逐増の傾向にありましたが、終戰後の社会的混乱は、昭和二十年、二十一年と引続き傳染病の爆発的発生と蔓延を惹起いたしました。加うるに戰爭によります疲弊、特に衞生施設、医藥品の不足等惡條件を伴いまして、まことに憂慮すべき状態にあつたのでありますが、さいわいに連合國諸國の強力なる援助を得、國民の協力と関係当局の努力の結果、昨年に至りましてようやく終熄を見たのであります。かくのごとき傳染病の流行は、他の文明諸國に対しましても一大恥辱と申さねばなりませんし、また個人的にも、國家的にも、その浪費は莫大でありまして、再建途上のわが國としまして、有形無形の支障を生じましたことも明かであります。
 しかしながら昨年におきまする患者の発生の激減、加うるにかの大水害に傳染病発生のなかつたことは、諸國に賞讃の声を生じましたことも事実であります。その原因としていろいろ考えられますが、その一として、從來小規模に行われていました予防接種を昨年度廣く実施いたしましたことも効果があつたことは疑いありません。
 政府としてただいま傳染病対策に関しては、一層考究を続け、萬全を期すべく努力いたしておりますが、このたび長年実施され、その効果をあげてまいりました種痘法に実施方法を参酌いたしまして、痘瘡に限らず傳染のおそれのある疾病に対して学界において、免疫の効果を確認されておりまする免疫原による予防接種を全面的に実施いたすこととし、もつて疾病予防の完璧をはからんとするものであります。これによりまして、國民をこれら採病の災厄から免れしめ、その発生によります浪費を防止し、全國民が安んじて國家再建に邁進でき得ることを期し、もつて國民福祉の向上、文化國家の建設に資せんとするものでありまして、これが今回この法案を提案するに至つた理由であります。
 次にこの法案の内容の大体を申し上げます。
 第一に、定期の予防接種を行うものは、痘瘡、ジフテリア、腸チフス、パラチフス、百日せき、結核であり、臨時に行うものは以外の疾病のほか、発疹チフス、ペスト、コレラ、猩紅熱、インフルエンザ及びワイル病としたことであります。
 第二に、予防接種を行う義務を市町村長とし、市町村長は保健所長の指示を受けて、これを行うこととしたことであります。
 第三に、厚生大臣は必要であると認めるときは都道府縣知事に命じて臨時に予防接種を行わせることができることとしたのであります。
 第四に都道府縣知事も疾病蔓延防止のため必要があると認めるときは、同じく臨時に予防接種を行い、または市町村長に行わせることができるようにしたことであります。
 第五に、予防接種を受けた者に対して証明書を交付し、市町村においても台帳を作成し、これが記録を明瞭ならしめ、実施の確実を期したことであります。
 以上がこの法案の骨子でありますが、何とぞ愼重御審議の上速やかに可決せられんことを希望いたします。
#5
○山崎委員長 それではただいまより藥事法案、麻藥取締法案及び民生委員法案につきまして質疑を継続いたします。質疑はこれを通告順に許します。徳田委員。
#6
○徳田委員 厚生大臣に対しまして藥事法案に関する質疑をいたします。第一、この藥事法案に盛られておりますいろいろの事項を総合いたしますると、現在のような経済状態では、とうてい行われないものだと考える次第であります。第一にこの法案を実施いたしますれば、どうしてもこれは医師と藥剤師との分業をまず大体においてやらなければならない。それで医師といえどもみずからこれを調剤しなければならないが、みずから調剤するということは実際上は行われないことではないか。これまではみずからの責任において行わせるということになつておりましたために、だれでも彼でも雇つて藥局がやるということでありました。ところが実際上自分からやるということになりますれば、これはとうていできないことで、一体事実これを実行し得るかどうか、どうしてこれを取締るかというのであります。私はこれは取締れないものだと思う。そういたしますると、そういう点はどうにもそうでもいない限りやつていかれないごく一部の区域、たとえば農村だとか、都市でも非常に小さい都市だとか、藥局のできないような都市だとかいう一区域に固めるならば、これは大体審査をしなくても大目に見ることができる。これを大都市でもどこでもやるといたしますれば、結局藥局はあれどもなきがごときものでありまして、事実上はないことになるのではないかと思う。それならば藥剤師を実際上雇うということになりますると、大きい病院でない限りは藥剤師は事実上雇えない。現在の情勢におきましては、開業医は大体八〇%までは生活がなり行かないと報告されております。普通の医師会ではどう報告しているかわかりませんが、われわれ党の側に報告してくれる民主的な医師会の報告によりますと、大体八〇%は生活ができない。やつているのはみんな公の規則を犯している。いわば犯罪と言つていい程度のものをやつておるのである。そうでない限り実際上生活はできない。殊に医師の診断料並びに藥價などに至りましては、現在非常に目茶苦茶である。きめたものには從つておりません。ちよつと診察させましても五百円、ちよつといい廣告をしている医者などになりますと、千円ぐらい皆とられるのでありますから、どうにもならない。こういう状態でなければお医者さんが実際上生活ができない。医者でさえ生活できないのに、これに藥剤師をちやんと雇つてやるということは、なおさら困難なことである。だから口では言つたつてこの法案は事実上実行ができないのである。だからこの法案を実行するためには、大々的に言つて社会の状態を改めなければならぬ。改めることが第一の條件であります。しかるに現在の政府のやり方では、現在の経済の情勢及び社会的な諸條件というものを改める意重はほとんどない。改めるような抑勢はない。依然として資本主義的でありまして、依然として独占資本に対する奉仕が非常に強いために、いよいよますます中小商工業者は破滅する。お医者さんも破滅する、藥剤師だつて破滅する。今度は事業税をとりますから、いよいよますます破滅する。この事業税だつて利益の一割とると言いますけれども、それは言葉の上だけで、お前さんたちはこれくらい利益しているのだろう、のだろう税をひつかけるので、実際は利益以上の税をとられることがある。現に農業所得税におきましてもそうである。中小商工業者の所得税でもそうである。ちつとも基準なんというものは設けておりません。大体事業税でどれくらいとらなければならないという予定を組んでおいて、それを天降り的にばんばん課していくのだからたまらないです。一方こういうことをしておきながら、他方ではこういう法案を出しますと、この法案なんというものは、ただ形ばかりのものになりまして、実際上実行には何もならない。
 さらに重大なることは、現在國立及び公立の諸病院が、これは民生委員の問題にもなりますけれども、どうしてもこれは困つている人々に優先して治療をやらなければならない。たとえばさらに今問題になつております國民健康保險の問題でありますが、健康保險をやつても、今のような状態では、健康保險の保險料では少しも役に立たない。行つたつてそんなもので治療してくれません。したつて少いからいい加減なものです。一方ではそういう保險金をかける。他方ではそれではだめなものだから普通の方法でやる。だから二重になつている。何もならない。だからこういう場合でも國立及び公立の病院で優先して必ずこれを行えという法律がない限り、大体國立だとか公立だとかの公のためにするものは、普通の患者ではなしに、そういう特別な――ぜひとも國が現在の生活の程度の低い人々に対して、特別の治療をするというのでなければだめです。いわゆる営業してはならない。そういうのでなけけばだめだ。ところが現在では國立でも、公立でも営業的にだんだんひどくなりつつある。殊に東大とか、あるいは慶應大学だとかいう学校に附属している病院でさえも、これが営業的にならなければ病院がつぶれてしまう。事実そうなりつつある。たとえば國立病院などでも、これらは皆自分のために営業的になりつつある。金を得る方が目的になりつつある。そういう状態におきまして、はたしてこの藥事法が成り立つかどうか。現にこの藥事法は結局するところ、お医者さんと藥剤師さんとの対立を生み出すようになつている。現にこれは両方とも爭つております。お医者さんの方は元通りに医藥分業をしない方向に向けてくれと言つている。藥剤師さんはやはり医藥分業をしなければ、どうしても立つていけないという。これは医藥分業をした方がよい。また合理的に言つてせざるを得ない。ところが今の生活状態はどつちも苦しいものだから、どつちもお互いの利益の方になるべくすべるようにすべるようにとものを考えがちである。そういうふうでは事実これはできない仕事である。ですからなんと言いましても、政府といたしましては根本的に医者を全体で言いまして公共事業にすること、開業医といえども公共的性質をもたせる。すなわち藥の配給にいたしましても、治療のいろいろの方法にいたしましても、もしこれが赤字が出るならば、國家が負担するということをやらなければならない。やらなければ、医師は安心して実際上仕事はできないです。現に政府は、石炭においても何においても、やはり價格が低くて損するような赤字のものをみんな補填しているじやないか。復金などというものは補填するための金庫だ。補填するための大銀行だ。しかもこの補填は何から出てきておるか。これは貧しい人々から莫大な税をぐんぐんむりやりにとつて、その税で埋めているではないか。大資本家に対しては莫大なものを埋めておる。今は四百数十億でありますが、これが來年の末ごろには千三百億くらいになるだろうと言われておる。そういうふうにこの独占資本や大資本に対しては、税金をとつてまで埋めているのに、この保健のための最も重大なる、民族の生活のために、民族の將來の発展のためにぜひともやらねばならない非常に重大なことに対しては、公共的な施設はちつともしておらぬではないか。根本的に言つて、お医者さんでも公共的性質を帶びておらないじやないですか。おまけにこれに所得税をぶつかける。今度は事業税もぶつかけるでは、いよいよますます公共的性質をなくするではないか。医者は仁業だなんて言つたつて、そんなことは今はとても問題にならぬ。すでに資本主義の時代において問題にならなかつたが、今崩壊していくこの日本の経済状態においては、いよいよますますそうはならない。一種のやみ屋的行為をやらなければならないような状態に陷つておる。この根本的施設を政府はやる氣であるかどうか。この藥事法を実施するために、まずこの根本的な施設、医師並びに藥事の公共的性質、これをやるかどうかということに対しまして、厚生大臣の御懇篤な御回答を願いたいのであります。
#7
○竹田國務大臣 徳田委員から御熱心なる御質疑をいただいて、はなはだ心強く存ずるのであります。調剤のことにつきましての御心配でありますが、実際よく考えてみますと、種々いま少しどうにかしなければならぬところもあるかと思いますが、何ぶん調剤ということは人の生命に関することでございますから、藥剤師とか、医師とか、專門の頭脳を有する者でなければこれをできないようにするということは、やむを得ないことであると思うのであります。あなたの御指摘になりました点は、今日医師諸君が非常に困つておる状態で、この規定は少しくむりでないかという御議論のように拜聽いたしましたが、私もごもつともに存じます。しかしながら今日の非常にむずかしいところではあるのでありますけれども、今申し上げましたように、とにかく調剤ということが人命に関することでありますから、やはりこの程度まで嚴重にきめておきませんことには、非常に予測すべからざる弊害が起つてはと思つて、かようにきめたのであります。その辺はひとつ御了承賜わればしあわせに存じます。
 なお医者が非常に困つておるではないか。そういうものに対して事業税を課するということは、はなはだよろしくないという御意見でありました。まことに私も同感でありまして、この問題が閣議上にかかりましたときに、私は最後まで反対したのでありますが、不幸にして私一人の反対でありまして、閣議が相当もめたのでありますが、いろいろ総理も心配いたしまして折衝をいたしました結果、医者には事業税としてはかけないということにきめまして、特別所得税という少しくむつかしい名前になりましたけれども、そういうものでお医者さんに税金をかけることに相なつたのでありまして、事業という観念ではなく、医業というものは事業でないというそのプリンシプルだけは貫き得たのであります。そういたしまして特別所得税で多少お医者さんには賦課の率を軽減することにいたしまして、これではたしてお医者さんにとつて御満足いくかどうか非常に心配をいたすのでありますけれども、敗戰後の財政窮乏しておる今日、どうもこの辺で折合うよりいたし方がなかつたというのが私の氣持であります。徳田君御心配の氣持は私も同樣でありますが、この辺で納つたことで、まことに御不満足であると思うのでありますが、御了承賜われば非常にしあわせに思うのであります。
 なお医業の公共性ということに対して深き御心配がありまして、開業医並びに公的医療機関に対して、何らか特別な援助の手を差伸べて、國民大衆の医療ということについて、もつともつと関心をもつべきではないかという御趣旨のように拜聽いたしました。御趣旨ごもつともでありますが、開業医の諸君に対して私どものお手傳いをいたしますことは、ただいま申し上げました事業税などをぜひ免除いたしまして、そうして医者の方が昔から言い傳えております仁術といたしまして、特別なる分野の仕事をしておるということを徹底いたしたいと思つておりますが、ただいま申し上げたようなところへ落着いたのであります。將來開業医諸君に対する公共的な意味を強くクローズアツプするようなことは、ぜひ考えなければならぬことであると思います。今ただちにこういう名案をということを申し上げることのできないことを殘念に思いますが、來る議会までには、何とか開業医諸君に対するその方面の配慮もいたしたいと思つております。
 なお公的医療機関につきましては、徳田さんの御心配はごもつともでありまして、私の記憶に間違いがないといたしますれば、全國には三千、あるいは嚴重に調査しますと五千くらいの無医村があると思います。こういう五千もの無医村があるという場合において、公的医療機関の普及徹底ということは、最も必要なことであると思います。そういう見地から医療法というものをただいま閣議に提出いたしておりまして、ぜひその公的医療機関に対しては、約半額くらいの國庫補助をするのがあたりまえでという建前で、閣議で私は主張いたしておるのでありますが、不幸にして財政当局と意見の対立を見まして、まだ閣議決定に至つておらぬのをまことに殘念に思います。外國の例を見ますると、公的医療機関などの方が國庫の補助を受けまして出発をいたし、教育機関などの補助が二の次になつておるのであります。主として教育機関などは私学に任しておりまして、公的医療機関の補助の方が先になつておるのでありますが、日本はどういうことでありますか、学校教育の補助が先になりまして、公的医療機関に対する補助が後回しになつておりますことは、あらゆる観点から見まして、私は間違つておると思うのであります。公的医療機関に対する補助の件は、数回にわたつて大藏当局と交渉いたしまして、財政的に余地がなくて予算の上に見積ることができぬのであれば、せめてプリンシプルだけでもこの第二次國会までに決定しておきたいと思つて、ただいま交渉中であります。事務的折衝も進めておりまして、多少歩み寄りができたということを聞いておりますので、せめてプリンシプルだけでもきめまして、補助の時期、補助の額等については、また適当に大藏当局と折衝をあとに殘しましてでも、プリンシプルだれは決定いたしまして、本國会に間に合うように提出して、御審議を煩わしたいと存じております。御質問の御趣旨につきましては全面的に同感でありまして、御趣旨に副うていきたいと存じております。
#8
○徳田委員 大分いい御答弁をくださいまして、安心には至らぬけれども、今後の御努力に待つことにお願いいたしますが、この藥事法につきまして、もつとわれわれはこまかく質問していかなければならないと思いますので、各條項にわたりましてやりたいのですが、しかしこまかいものは全部抜きまして、最も大きいのばかりひとつやつていきたいと思います。
 第一は藥事委員会のことでありますが、藥事委員会というのは、この法令によりますと、全体といたしましてこの法令を執行する大きな役目をもつのではないか、これの決定いかんで藥事法の運用が非常に曲げられる可能性があるのであります。と申しますのはこの藥事法案には厚生大臣の指名によつてこの委員がつくられるということになつている。もつともこれには学識経驗とかいろいろあるようでありますけれども、やはりここに重大な問題があるのは、これまで政府が任命いたしました委員というものは、大体大資本家及びこの大資本家とくつついている連中の方が多いんです。またこれに動かされやすいんです。任命でありますからどうしても動かされやすい。これが選挙母体があつて、たとえば労働組合だとか、農民組合だとか、健康保險組合の推薦とかいうことで、これから選出するというふうなものになりますと、この選出母体が責任をもちますために、惡い事はできぬ。またほかから買收されればすぐばれますので、買收されては困るじやないかと言うことがすぐできますが、これが任命制になつておりますと、どうしてもそれができぬ。実は私も中央労働委員会に一年ばかりおりましたが、この中央労働委員でさえ、相当買收される危險があるんです。労働者側委員の方にも買收される危險がある。共産党はまだ買收にも來ませんけれども、また來たつて問題になりませんから來ませんが、中立委員なんかになると、これは相当に來るものと見なければならぬ。來る可能性が相当ある。この藥事法の委員の選出でもそうです。しかしこの藥事委員会の委員になりますと、任命でありますから、殊に昔から藥は九層倍もうかるのでありますから、この藥事委員会の決定いかんによつて、製藥する人が曲ると、医療の方面も曲るし、非常に大きな関係をもつ。殊に現在重大な問題になつておりますのは、日本における製藥業者が非常に独占的である。大きな会社がある。これは名前を一々上げるとよくないかもしれませんが、厚生大臣はおわかりであるだろうと思うが、大阪を根拠とする製藥の一つの財閥みたいなもの、また東京に本店を置く相当大きな財閥的存在のものが、この委員会を直接、間接に握るということになりますると、非常に弊害が生ずる。從つてどうしてもこの藥事委員会というものは、大衆的なものにしなければならない。どうしても大衆の選挙によらなければならない。たとえばお医者さんの方面ならお医者さんの團体の選挙によらなければならない。それから藥剤師の方面のエキスパートは、やはり藥剤師の團体とか組合の個々の選出でなければいかぬ。そのほかに健康保險に非常に大きな関係がありますので、健康保險組合という大きな團体があるのだから、そういう方面からも選出を必要とする。その他労働組合及び農民組合においてこの選出は非常に必要である。野溝君も御來席くださいましたので、特に申し上げますけれども、農村では現在医者がいないために困つているので、どうしても治療のための組合をこしらえなければならない。医療組合をぜひこしらえて、その医療組合でお医者さんを迎え、藥剤師を迎える必要がある。野溝君もよく知つておると思いますけれども、そういう医療組合が今できつつある。だから農民組合が実際にやつているこの医療組合の團体からの選出はどうしても必要である。それから最近は皆生活協同組合とか、農業協同組合というものができておりまして、この医療問題には非常に関心をもつております。だからその方面からもどうしても代表者を選ばなければならぬと思う。そういう選挙制度に変えてもらわなければならない。こういう任命組織ではどうしてもいかぬ。この委員を各團体からの選挙組織にしてもらいたい。こういうふうに思いますが、厚生大臣及び野溝國務大臣は、こういうことに関してどういう御意見であるか伺いたいのであります。
#9
○竹田國務大臣 ただいま徳田さんから藥事委員会の委員を公選にしたらどうかという御意見があつたようでありますが、公選ということでも、どういう区域域、どう公選するのか、御意見を承らぬとちよつとむずかしいのでありますが、今回の程度は私の任命ということで御賛成を願いたい。私の任命ということに相なりますれば、ただいま徳田さんの仰せの趣旨を十分くみ入れまして、藥事労働組合等からも委員をもちろん出すつもりでありますし、またあなたが御指摘になりました健康保險組合の代表者、農民組合の医療機関もあるようですから、そういう方面の代表者ももちろん取入れることにいたしたいと思います。ただ藥事委員会は、その性格が專門的、技術的な研究、審議の機関でありますから、製藥技術者、特にその方面の專門家でないと、ちよつとぐあいが惡い点があろうと思いますので、一般の消費者代表は少しくぐあいが惡いのではないかと思うのであります。そういう專門機関でありますから、そういう見地に立ちまして、徳田さんの御指摘の藥業労働組合、健康保險組合、農民組合の医療機関、そういう方面からは公平に適当な人を任命いたしまして、あなたが御指摘になりました趣旨に副いたいと思いますから、そういうことで御了承をいただければ非常に仕合せだと思います。
#10
○徳田委員 この委員会のことにつきまして、今厚生大臣は專門的と申されましたけれども、どうも專門的ばかりではないように思われるのであります。むろん專門のこともやらなければいかぬが、たとえば藥剤師の國家試驗を執行し、新医藥品その他藥事に関し厚生大臣に建議することを目的とすると、こうなつております。これは第七條であります。なるほど藥剤師の試驗だとか、あるいは新医藥品その他藥事等に関しては、專門的な部分も相当ありますが、同時にこれはこれらに関して建議するのでありますから、何も私は專門的なものばかりではないと思います。やはり大衆的な藥事によつて保健衛生をよくしていく。こういう方面も考えておらぬと、專門的ばかりになれば実際間違いが生ずる。專門家というものは御承知の通りどつちかに少し傾いている。一方に偏り過ぎる。これに偏曲するためにややともするととんでもない間違いを生ずる。だからこれはやはり大衆的な常識のある者が、これをコントロールする必要があると思う。そこでこれを偏曲せず、資本家的な大きな欠陷を生じないようにしなければならぬと思うのであります。殊に重大なる問題は、あとにも出てきますけれども、ズルフオンアミドとかペニシリンみたいなものはどういうふうに使用するか。どういうものに指定して賣らせるかということは、專門的な者ばかりでやつてはいかぬと思う。やはり生活状態を考えなければならぬということになりますから、これを專門的に限るということは、ぜひよしてもらいたい。もちろん專門家も必要ですが、また專門家でない者もぜひ必要です。
 殊にここで申し上げたいことは、この委員のうちには関係官廳の官吏及び吏員というようなものが出ておりますけれども、関係官廳の官吏及び吏員というのは、大体は事務官でありまして、大して專門家ではない。そういう人は委員におらなくてもよい。幹事として委員会の事務をとればよいのであつて、こういう人は委員になるべき性格のものではないのですから、これはやめてしまつて、やはり一般人がやらなければならぬ。そうして選挙ということはなかなか厄介だとおつしやるならば、やはりこれは團体の推薦で推薦された幾人かの者の中から、厚生大臣が指名していただく。そういうふうにでも直していただきませんとうまくいかぬ。労働組合の労働委員ですと、みな母体から選挙して、その選挙した幾人かのうちから指名することになつておりまして、われわれもそうされてきたのでありますから、こうする可能性はいくらでもあります。今は全國的な健康保險組合の團体があります。それから農村などには、やはり医療をやつておるところでは、大体農民組合とその他の農民團体の協議会みたいなものがあるから、これはできるのです。労働組合は労働組合の大きな協議会がありますから、やはりそれでやつていける。こういうふうに考えればいくらでも簡單にやつていける。ですからぜひ推薦をして、その推薦された者からやつていく。とにかく厚生大臣は公平にまた適当にやられる能力があられるかもしれない。しかしあなたはいつまでもやつておられるわけではないのであつて、あしたでも、あさつてでも、あるいはやめなければならないときが來るかもしれない、だからして方針というものはそういうふうにはいかない。いまに私がなるかもしれないのでありまして(笑声)これはどうしてもやはりそういう永久性をもつものにしていただきたいのであります。殊に私の恐れるのは今も言いました通り、制藥の独專資本家が相当厚生省にまで影響を及ぼしているということは、前からこの委員会で大分問題になつておつた。そのためにやり方も実は改めてきた。前は新しい藥をもつていきましてもこれは受付けない、從來もこの取引――取引と言つてはおかしいのですけれども、官廳と相当知合いの者でないと取扱わぬ。あとの者はみんなだめだつた。これをやはりこの委員会がうんとつつこんだために、今ではこの弊害はややなくなつた。まあほとんどなくなりつつあります。そういう弊害が事実あつたのだからして厚生省任せ――やはり大臣といつたつてこれは大体あまり暇はありませんからね、あなただつて暇はない、大概は下任せなのだ。この下任せというのが恐ろしいものであります。こういうことにならないようにいたされませんと、將來大きな弊害がある。そういう意味合いにおきまして、ぜひともこの條項を改めていただきたいと思います。どうかもう一遍御一考を願うように御答弁を願いたいと思います。
#11
○竹田國務大臣 御指摘の点はよくわかりました。でき得る限り御希望に副うようにいたしまして、どうせ藥業労働組合とか、健康保險組合の代表者とか、農民関係の医療機関というものから委員を出すということになりますれば、これは実際問題として、その組合から推薦された人を任命するということになると思います。私が勝手に任命するというようなことには、実際上の取扱いにはならぬと思いますので、徳田さん御指摘のような方法になると思います。できる限りあなたの御指摘の大衆衛生のわかる人を選びたいと思いますから、今度はひとつこれで御了承を願いたいと思います。殊にあなたは非常にお詳しいようでありまして、教わるところが多かつたのでありますが、小さい窓口のところまで、お前は知らんだろうといつて特別のお教えを承つたのですが、特別にその点は注意したいと思います。
#12
○徳田委員 やはりこれは直す方がいい。あなたの氣持はわかるけれども、あなたばかりじやないものですから、それはあとで討議することにいたしまして、その次にこの前の第六條でありますが、これには手数料を收めて毎年毎年免許証を改めるということになつておりますが、これは何といつたつておかしいですね、お医者さんだつて、一遍開業免許をとればたびたびやるということはないです。あなたも弁護士でおられる。私も弁護士をやつたのだが、今は剥脱されてしませんけれども、あなたが弁護士でも毎年々々更新するとしたらどうなります。毎年々々手数料を出して、また弁護士の審査を受ける、そんなばかな話はあるものじやない。あなたは身にしみてそれは感ぜられるはずだ。なぜ藥剤師ばかりそんな特別扱いをするのです。お医者だつてそうはしないのに……。それでこの手数料が今のような状態だだんだんインフレになりまして、やはり相当政府もやつかいな事業をするということになりますると、手数料なのですから、やはり実費ということになる。役人を置いてやるから、やはりこれらの賃金を上げなければならぬから、手数料も上げなければならぬというふうになりますと、これは大変なことになる。お医者さんもそうでしたが、藥剤師さんにも事業税というものは大体課さぬことになりましよう。いわゆる特別所得税ということになりましようが、これも私は反対です。反対だが、しかし一方ではそういう心遣いをしながら、他方ではなぜこんな手数料なんかする。これはむだな話なのだ。ぜひこの一條をばつさり心持ちよく削つていただきたいと思いますが、どうでしよう。
#13
○竹田國務大臣 これは徳田さんの御意見に全然賛成であります。私もこの毎年ということは、これは藥剤師諸君も大変なお手数をかけていることでありますのみならず、厚生省でも一々これを毎年々々やるということは、事務的能率の上からいつても大変なことであると思います。全然同感でございますから、この委員会で適当に御修正を下さればばつさり同意いたします。
#14
○徳田委員 もう一つ登録、これも今言いましたのと同様ではないかと思います。これも毎年々々手数料を納めて更新する。一体これは何です。あなたは弁護士の事務所を毎年々々登録しますか。病院だつて毎年々々登録しなければなりませんが、そういうことは常識に外れておる。今さつきのことが、御納得がいきますれば、これもばつさり一つ削つていただきたいと思います。
#15
○竹田國務大臣 これをばつさりと申し上げたいのですが、やはり藥局というものは人命に関する藥を取扱つておるのですから、二つのうち一つをばつさりと行つたのですから、これだけは当分やはり残しておきたいと思います。
#16
○徳田委員 なるほど藥剤師さんの藥局は人命を取扱う方だから、いろいろ審査もしてみたいでしよう。みたいでしようが、そんなことをしたならば、お医者さんでもそうではありませんか。お医者さんでもやはり人命を取扱つておる。藥剤師で死んだというためしはあまり聞きませんが、お医者さんは相当人を殺しておるようです。お医者さんなどの古い方々は、おれは相当やつたな、やるたびに腕が上るというようなことを言つておる。そうなるとお医者の方だつてそうしなければならぬが、このところはお互いの信用ですから、藥剤師だつて惡いことをしておれば信用がなくなる。これはやはり仕事の上で藥剤師の人格を尊重する。また実際上社会生活の現実から言つて、設備が惡く、あるいは人命にもかかわることをしますれば、たちまち擯斥されるのであります。なるほど危險があるということはありますけれども、危險があるからと言つて、全國の藥局を全部更新登録するということは大変なものです。これはその事務だけでも私は生やさしいものじやないと思います。行政整備で今度一割五分首を切る――来るのじやない、減らすのだというようなことを言いますが、相当切るらしい。一方でそういうように首を来りながら、他の方ではこういうやつかいなことをして事務をおつつけることになる。これは大変なことです。官廳の労働者諸君は、この事務をおつつけられるために、みな神経衰弱になる。神経衰弱になつたら、仕事はみなだめになる。内閣があつても何にもできない。現在予算がなかなか出なかつたと同じで、仕事はなかなかはかどらない。だからこういうよけいなことは今のような時代にはなるべくせぬ方がよい。われわれがこれから樂になりまして、お役人方も相当樂に仕事がやれる。そうして実際やつてみても効果があるという時なら、また考えなければならないかもしれませんけれども、それはその時になつて実際考えればよいと思う。これは大体アメリカの法律を單に眞似ておるのではないか。アメリカは一箇年に千八百億ドルも生産する。実際上大きな生産力をもつておる富裕な所と、われわれのようなすかんぴんになつておる所と、同じようなことにはいかないのじやないか。まず生産を復興し、経済を復興し、生活を安定にすることが大事である。こういう些細なことに神経を尖らして、一々ここで重箱の隅をほじくるようなことはせぬでよいじやないか。これを私は申し上げる。こういうこともついでに一つばつさりと、もう一遍考えていただきたいと思います。
#17
○竹田國務大臣 お医者さんもずいぶん人命を損ねておるじやないかというお話であります。そういうこともちよいちよい聞きます。徳田さんも弁護士をしておられ、私も昔は弁護士をしておりました。弁護士も相当事件をしくじらぬと、一人前の弁護士になれぬのでありまして、お医者さんもそういうこともあるかもしれぬと思うのであります。しかしながら徳田さん、藥局は府縣ごとで、そう大した手数ではないのであります。のみならず、やはり藥を、ズルフアミン剤だつたかと思いまするけれども、少し飲み過ぎまして、そのために死んだというような婦人もありまするし、事人命に関しまするから、ひとつこの藥局の登録制だけは、まあもう少し置いていただいたらどうかと思います。一つはばつさりあなたのおつしやる通り讓つたのですから、その辺であなたのお顔も相当立つておると思いまするから、これだけはひとつ残しておくことに御賛成を願いたいと思います。
#18
○山崎委員長 徳田委員、ちよつと御相談でございますが、実は榊原委員から、医師の事業税の問題につきまして、緊急質問がありまして、竹田厚生大臣と野溝國務大臣の御両人のおそろいになるのを待つておつたような次第であります。ただいま御両君は、大変緊急な要件がありまして、出かけなければならないというのでありますから、榊原委員にひとつ緊急質問を許したいと思いますが、御相談申し上げます。
#19
○徳田委員 それならよろしうございます。どうぞ。それが終つてから、あとに続けますよ。
#20
○榊原(亨)委員 両大臣にお尋ねいたしたいのでございまするが、先日の総理大臣の本会議における御演説の中に、医業從事者その他に関して事業税を課するということが閣議で決定して、不日これをはかるというようなお話があつたのでありまするが、先ほど竹田厚生大臣のお話を聽きますると、医業從業者には特別所得税という名目に変えたというお話であり、竹田厚生大臣は、初めから絶対反対であるというふうな、未だこれに賛同しておらないということを承つたのでございまするが、それでは竹田厚生大臣がまだこの事業税に御納得がいかないのに、総理が議会において、事業税を課するということを閣議で決定したという御報告があつた点に関しまして、両大臣の御意見をまず承りたいと存ずる次第であります。
#21
○竹田國務大臣 いつ総理大臣がそういうふうにお述べになつたか知りませんがをそれは総理の御記憶違いであつたろうと思います。私といたしましては、決定にはなつておらなかつたのでありまして、私が留保いたしておりましたので、閣議は一人の國務大臣が留保いたしましても、決定にはならぬのであります。ですから、総理大臣のそれは何かの御記憶違いであつたのだろうと思います。
#22
○榊原(亨)委員 それははなはだ不可解なことでありまするが、閣議で決定しておらないものを、あたかも決定したかのごとく総理大臣が本会議において御演説なすつたことにつきましては、すでに速記録があるのでありますが、この点について両大臣はどういうふうなお考えであるか。それはまだ決定しておらないとか何とかいうお話では済まされない問題だと思うのですが、重ねてこの問題をお尋ねいたす次第であります。
#23
○野溝國務大臣 榊原君にお答えいたします。この事業税の問題は、もちろん地方財政一般の問題の一環でございまして、その中に事業税という費目がありまして、その中に一應医者及び弁護士、これらが自由職業として、事業税の中にはいつておつたのでございます。それは一應閣議におきましては、大体決定の段階にあつたのでございます。ただ今厚生大臣が申されました通り、これについては医師に対する事業税については、意見があるから、私だけは留保してくれという厚生大臣からの留保意見がありました。他の閣僚は全部賛成をしたのでございます。でありますから、閣議決定とはなりませんけれども、大体そういう方向にあるという点で、総理が答弁をされたかと私は存じます。
#24
○榊原(亨)委員 それでは速記録によつて、この問題はあとからにして、留保いたしたいと存じます。次に、本日竹田厚生大臣が、事業税をやめて特別所得税とすることにしたというお話でありますが、これまた閣議決定でございまするか、あるいは厚生大臣個人の御意見でございまするか、あるいはこの点に関して何か野溝國務大臣とお話合いができたのであるか、この点をはつきり承りたいと思いますが、いかがでございますか。
#25
○野溝國務大臣 これは私の方の所官事項でありますので、私からお答え申し上げておくことが明確だと思いますので、お答えいたします。先ほど榊原委員にお答えを申し上げました通り、医者に対して事業税を課税するということに対しましては、意見がありましたので、一應竹田厚生大臣と私との間に、その異議のある点を整調することにいたしまして、その整調した結論が、特別所得税という税目によつて課税することに決定了解ができましたので、これを昨日の閣議において、最後決定として承認されたわけでございます。
#26
○榊原(亨)委員 野溝國務大臣は医師、歯科医師並びに助産婦等の医業從業者に対して事業税を課するという点について、いろいろ陳情その他のものに対しまして、医師はぺニシリン一本さしても三千円からとる、いろいろ暴利をむさぼつておるから、今のうちに事業税を課さなければならぬというような御意見があつたと承つておるのでございますが、一体野溝國務大臣は、病氣にかかつて医療費をお拂いになつたことがあるのか、ないのか。あなたは今の藥が何倍の騰貴をしておるか、あるいは一般に認められておるところの医療費が何倍の値上りをしておるかということについて、確たる数学上の御了解がいきまして、かくのごとき放言をおはきになつたのであるかどうか、それをお承りしたいと存ずるのであります。
#27
○野溝國務大臣 私は、医者は暴利をとつておるから当然だということまで露骨に申したことはないのでございますが、その間医師の反対に対しまする論理といたしまして、私は申し上げたことがあるのでございます。医者の方々は、御承知のごとく今日まで所得税は納めておりましたが、営業税というものは納めておりませんでした。そこで今回最初に立案いたしました事業税といたしましては、大体医師、弁護士の自由産業をも、この事業税の中に入れることにいたしまして、いわばこれは営業税の範囲を拡張した内容になつておるのでございます。そこで医者が事業であるかどうかという問題については、いろいろ論議も出ましたが、現下の経済諸情勢から見まして、われわれの考えた、医者を事業に中へ入れようという構想の一端は、物件的設備をもつておるもの、経済的彈力性があるもの、それから比較的自由な経済樣式をもつておるものというようなものを対象にいたしましたときに、たまたま医者がそのわくにあてはまるということで、これを一應事業税の対象にしようということになつたのでございます。そこで医者の方々から多くの反対がございました。ただいま榊原委員の申されておるような意見もあつたのでございますが、要するに医者の方々が今日合うとか合わぬとか、医者は仁術であるとかないとか、いろいろなことを申されておるのでありますが、現下國民階層全般からこれを見るときに、今日の税の負担に対しましては、各方面とも反対なのでございます。しかし日本の偽らざる経済実情から申しますならば、この二分の一に経済力が低下した今日の日本の経済を維持復旧するには、どうしても大衆がこれを何とか補わなければならぬのでございます。その場合にこの負担を大衆が負わなければならぬが、負担の公正を期するという点についてはいろいろ意見もありましよう。しかし医者が仁術であるからといつて、別の世界観をもつた生存というものは許されないのでございます。特に藥が合うとか合わぬとかいうならば、私はその藥に対する公定價格を変えることがいいのではないか、たとえば胃が惡くて胃の藥を盛る場合、主藥といたしまして重曹、あるいはケンチヤナ末、あるいは乳糖、こういうものを入れて、重曹の公定價格はいくら、ケンチヤナ末の公定價格はいくら、乳糖を現在入れる場合ならば乳糖の公定價格がいくら、それによつてきまつておるのではないですか。あるいは水藥ならば稀塩酸がいくら、苦味チンキがいら、クチンがいくら、單舎利別は今使いませんが、こういうことになりますと、公定價格というものはある。だからその公定價格がどうしても合わぬという場合においては、この公定價格の改変を望むことが私は正しいと思います。またその他往診料、あるいは診察料等に対しても、その是正をすることが正しいと思うのでございます。しかし税の負担におきましては、私は今の構想から見るならば、自由職業としてやられておるところのお医者の方々は、今日一般の方々と同樣の率以下にしておるのでございます。從來の営業税は百分の十五でございましたが、今回は百分の十ということに一應したのでございます。でありますから、かような内容をお話申し上げたのでございまして、決して医師が全部暴利をとつておるということを申したのではありません。先ほども藥事法の論議の中にもありました通り、そういう人々もあるのでございまして、私は全部を総称して申した覚えはないのであります。大体径路だけお話申し上げます。
#28
○榊原(亨)委員 藥の値上りは、これは進駐軍の方で調べたのでございますが、公定價格におきまして二百八十倍少し、公定價格以外の價格でやりました場合には五百五十倍、これに反しまして医師の藥代と申しまするか、診療報酬というものは三十倍ないし四十倍のところでありまして、おそらく野溝國務大臣がかくのごとき暴言をなさるということは、よほど特例な不徳医師におかかりになつたから、かかることをお話になつたと思うのでありますが、ここに一つ聞き捨てならぬことは、ただいまいろいろ重曹とか、クチンとか、藥の名前を羅列なさいまして、公定價格を原價計算できめたらよいではないかという暴言であります。野溝國務大臣がかくのごとき唯物論的なばかげた考えをもつておられるから、医者に営業税を加算して事業税を課さなければならぬというような考えが起るのでありまして、医師の診療報酬とか、あるいはその他のものは、決して原價計算をもつて計算し得るものではないのであります。最近安本その他におきまして、医師の治療費を公定價格できめようというようなことを考えておられる。これはおそらく竹田厚生大臣は御反対であることはわかつておるのでありますが、そういう考えそれ自身が間違つておる。医師の治療費を公定價格できめようなんということは、ちようど絵具だけの画と同じである。画を材料だけできめるならば、何も大観が描いたら高いとか、あるいは普通の者が描いたら安いとかいうことは言えるものではない。そのこと自身が間違いであります。ただいまの暴言に対しましては、これは野溝國務大臣だけの御意見でありますか、それとも現内閣全部としての御意見であるかということを竹田國務大臣にはつきり承りたいと存ずるのであります。竹田國務大臣に御答弁願います。
#29
○野溝國務大臣 私の言つたことでありますから、私が御答弁申し上げます。一体暴言ということはどういうあなたの考えで仰せられるのですか、暴言の定義がわからないのですが、医者に対して医藥を分ち與える場合、これはある程度公定價格というものはあると思います。だからそういう公定價格においてもし無理があつたら正すということは正しいのではないですか。
    〔傍聽席より発言する者あり〕
#30
○山崎委員長 傍聽人の方に御注意いたします。傍聽人は発言することができないことになつております。もしも発言するようなことがありましたならば退場を命じますから、さよう御承知願います。
#31
○榊原(亨)委員 ただいま野溝國務大臣のお話は、医療費に公定價格があるとお考えになつておるそのことが間違いであると私は申し上げておる。未だかつて医療費には公定價格はありません。これはお調べになつたらはつきりとわかるのでありまして、医寮費に公定價格はありません。藥品には公定價格はありますけれども、医療費には公定價格がないということをはつきり申し上げておきます。これは竹田國務大臣にお聽きになれば、隣りにおられるからすぐおわかりになります。
#32
○野溝國務大臣 これは榊原さんにあとで速記録をお調べ願いたいと思いますが、私は医療費と言つた覚えはありません。医藥費と申したのであります。
#33
○榊原(亨)委員 次に承りたいことは、農業者の供出農産物に対して事業税を免除せられたきとは、國民の生活上不可欠の農産物であるからと私は考えておるのであります。しからば弁護士は別といたしまして、医療関係者もまた、課税の名目はどんなに変りましても、國民の不可欠のものであると考えますが、医療費にはこのたび名目は変りましても課税され、供出農産物に対して課税されぬ、この点の理由を納得できるように御説明願いたいと存じます。
#34
○野溝國務大臣 ごもつともな御意見でございまして、この際特に御質疑の内容を明らかにしてみたいと思います。農民のうち、主食に対しましては今回事業税を廃したではないか、しかるに医者に対しては事業税という名目はやめたけれども、特別所得税として名をかえただけでとることになつたではないか、一体どういう違いがあるかという御質問でございます。私も医療の國家社会に及ぼす影響の甚大なることは、榊原委員と同樣に痛感しておるものでございます。しかし今日あらゆる重要物資の生産等の基礎をなすべきものは、何と言つても私は主食ではないかと思うのでございます。特に日本の國の再建をいたすにしましても、今日自給自足を解決しなければならぬこの主食の問題について、依然としてこの自給自足が堅持できないことは、榊原委員も御承知の通りでございます。二百万トンからの輸入を受けておる現下の日本の主食経済の事情におきましては、特にこの点が――これは單に援護を受けておる、ただ物を送られておるというならばいいのでございますが、これは日本の一種の負債にもなることになつておるのでございまして、かような点から見ても、私は特にこの主食の自給自足の計画実施を一日も早く期することが必要ではないかということが第一点でございます。
 第二点といたしましては、農村におきましては生活樣式は、外形的に見ますと自由のように見えますが、実際農村の食糧物資というものは、全部が全部と申しましようか、ほとんどが強制供出の対象になつておるのでございます。かような面でその生活におきましては、非常に圧縮されたものであるということの点でございます。
 第三点は、農家の経済におきましては、大体二毛作地帶、あるいは果樹その他園藝をやつておるところは別でございますが、單作地帶におきましては一年に一回の收入、收穫しかないのであります。よつて非常に経済的にも彈力性もなければ、余裕もないという切詰められた生活になつておるのでございます。
 第四点におきましては、日本農村の民主化をはかるために、第二次農地改革が十月末をもつて完了しなければならぬ。このときにあたつて、今日第二次農地改革の進行状況を見ますると、未だ何十万町歩というものが未決になつております。これは先般の農業所得税の高率課税、その他肥料購入資金等等からの重圧によりまして、御承知のごとく農林中央金庫にありました二百何十億の金が、一箇月半に百数十億も雲散霧消してしまつたという実情でございます。この点から見ても、農村はこの農地改革、日本農村民主化のためになさなければならぬ何十万町歩かの解決ができない現状であります。
 以上の点から、他の仕事とは相当の違いがあるという点において、特に私は一割増産を強いる現下の日本政府の立場におきましても、この点は考えなければならぬじやないかという建前から、主食に対しましては廃することを私は主張し、これを決定したのでございます。しかるに医者に対してどうかという御議論でございますが、先ほど私はその片鱗をお答え申しておいたのでありますが、特にお医者の方々に対しましては、弁護士も同樣であります。その他すべての自由産業も同樣であります。水産業においてもしかり、畜産においてもしかり、すべておのおのの角度からいろいろの意見もありますが、その絶対的比重のウエートにおきまして、私はだれしもがこの主食という点においてはまず了承してくださるだろう、かように考えて区別をつけた次第でございます。
#35
○榊原(亨)委員 その点につきましては意見が違いますが、時間がありませんから、いずれ地方制度委員会におきまして、このことは論議されることと思いますから、保留いたしますが、この農業に対しまして主食に事業税をかけるとかりにいたします。いたしましても、その負担というものは一般の國民に轉嫁されることと私は考えるのであります。その場合に一般の國民の中には健康者もございますし、不健康者もある。しかしながら今ここに医業に事業税でございませんでも、かくのごとき課税をかける。もちろんこれは國民の一人としてこの場合でございますから、課税を全然やめてしまえと言うのではないのであります。ある程度の課税をされた場合に、その負担というものは、直接今度は病人にかかつてくる。健康な者ではない、病人にかかる。こういう点につきまして大いに考慮を願わなければならない点があるとわれわれは思つておるのであります。生産物、必要物資であるからしてそれにかければ、それは健康者にかかる。しかしもしも医業あるいは歯科医師にかけたならば、その負担は、口には所得税免税点を上げる、あるいは大衆課税を云々されますけれども、これは結局大衆課税になる。しかもこれは病人そのものにかかつてくるということを、野溝國務大臣はよくお考えくださいまして、これが特別所得税というような形になりましても、その税率に対しましては特別の考慮を拂われることを希望するものであります。その点の御意見、並びに竹田厚生大臣の御意見を承りたいと存ずる次第であります。
    〔委員長退席田中(松)委員長代理着席〕
#36
○野溝國務大臣 その点に関しましては、先ほど竹田厚生大臣からお答えがあつたと思いますが、特に医者の方々、助産婦の方々については、一般的な事業と見ることについては、これは少し檢討しようじやないかということで、檢討した結果が、特他所得税という新たなる税目を設けて、自由職業としてこれをこの名目の中にいれることとしたのでございます。なお榊原委員の御説もありました通り、社会的、國家的に最善の努力を拂うという強き医師の方々の御意見もございましたので、この点につきましては税率を下げまして、從來百分の十という税率を、これを本税百分の四、附加税百分の四ということで、本税、府縣税附加税、市町村税合わせまして百分の八ということに決定いたした次第でございますから、さよう御了承願いたいと思います。
#37
○榊原(亨)委員 その税率に関しましても私は相当意見がありますけれども、これはいずれ地方制度委員会において詳しく意見を延べたいと思います。この程度にして私の質問を打切ります。
#38
○田中(松)委員長代理 徳田委員、ちよつと御相談ですが、関連して有田委員から緊急質問があるそうですから、ちよつとお許し願いたいと思います。
#39
○有田委員 事業税から特別所得税ということに変つたのでありますが、この点について今野溝大臣からお話がありましたが、厚生大臣としてはどういうようなお考えをもつておられるか。特に病者に大きな負担となるという見地からいきまして、これに対して日本自由党の榊原委員は、日本自由党は大体與党的立場をとつておられるように私どもは解釈しておつたのでありますが、野党であるわれわれ民主自由党においては、断固としてこの惡税に対しては反対をいたしているのであります。日本自由党がこれに御賛成願つていることはまことに結構だと思います。私はかかる病院の負担のかかることにつきまして、厚生大臣としてどういう御見解をおとりになるか、伺いたいと思います。
#40
○竹田國務大臣 ただいま有田委員から私への御質疑でありますが、有田君御指摘の通りに、医業に事業税を課します場合、それが大衆に轉嫁されるであろうということにつきましては、私も心配いたしているのであります。その点と、医業が單なる事業でないという建前から、私どもは反対をしてきたのであります。今日まで私と野溝さんと相当この問題について議論を重ねたのでありますが、國家財政、殊に地方財政の非常に窮乏しているということは、野溝さん御就任前に、私は地方財政委員長として暫時その職にありました関係上、よく知つているのであります。地方財政の窮状ということも、これは大衆に直接関係のあることでありまして、そういう点をかれこれ勘案いたしますと、野溝さんと協議いたしました特別所得税ということで、税率を下げまして、そうして医業の方にも御辛抱願う。この程度で折れ合うよりほかに、國家の大所高所より見て、方法がなかつたのであります。ただ事業税として医業に課税することなく、医業が他の業より異なつたものであり、医業が仁術である、こういう点がプリンシプルの上においてはつきりときまつたことと、さらに医業は弁護士その他計理士とかいう職業とさらに違つた特殊の営業であるということを、法文の上にはつきりときめることのできましたことは、これは医業の諸君にとつてもせめてもの御慰安、御滿足になるのではないかと思うのであります。大衆轉嫁になります面については、他の面におきまして公的医療機関の整備拡充、さらに御審査を願わんといたしておりまする医療法の中にきめんといたしておりまする公的医療機関の國庫補助というような面におきまして、でき得る限り大衆の厚生、衞生の面につきまして配慮をいたすということで進んでいきたいと思うのであります。私どもといたしましても決して満足ということではおりませんけれども、國家財政、地方財政の現状からいたしまして、この程度で折合わざるを得なかつたことはお許しを賜りたいと思います。
#41
○有田委員 厚生大臣の御答弁は、今日の情勢にあつては大衆に轉嫁するのでなく、病人に轉嫁するという問題であります。私は厚生大臣の苦衷はよくわかるのでありますが、病人に轉嫁するということにつきましては、もつと厚生大臣としてがんばつていただきたいと思うのであります。
 さらに野溝大臣にお尋ねしたいことは、本特別所得税につきましては社会党、協同党、民主党、この與党三派において御賛成になつておられるのかどうか。與党において賛成になつて、大臣として閣議決定に出られたものかどうかということを伺いたいと思います。
#42
○野溝國務大臣 私は一國の國務大臣であります。社会党の出身でありますが、一たび國務大臣になつた以上は、國務大臣としての職責を果すという以外にお答えの方法はありません。
#43
○有田委員 國務大臣として御決定になつたのであつて、與党三派について何ら連絡がなかつたと解釈していいものでありましようか。
#44
○野溝國務大臣 それは與党間の問題でありまして、與党間の問題は與党間で相談し合うということにいたしますから、與党間の問題についてのお話をここで答弁する必要はありません。
#45
○有田委員 大臣の御答弁はよく了承したのでありますが、私ども民主自由党といたしましては、あくまでも病人に轉嫁するという点におきましては、断固として反対の意思を表明いたします。この点御了承願いたいと思います。
#46
○田中(松)委員長代理 消費生活協同組合法案について、厚生大臣に対する緊急質問を野本委員に許します。
#47
○野本委員 徳田さんの発言の途中であり、また大臣も大変御多忙のようでありますから、きわめて簡潔に質問の要点を申し述べたいのであります。
 それは消費生活協同組合法案の提出に関しましては、大臣つとに御承知の上でありますが、時間を短縮するため審議が円滑に進行するためというので、政府提案にしようということになつております。私どもはその後この法案の準備が着々と進められておるのであろうということを確信しておりましたし、またそれを期待しておつたのでありますが、お伺いするところによりますと、閣議においても正式な問題として取上げておらぬというようなことを聞いておるのであります。会期が非常に切迫した今日、かような状態にありますことは、われわれとしてはきわめて遺憾の至りに堪えません。ここではつきりお伺いいたしておきたいと思いますことは、消費生活協同組合法案の準備が着々進められておるのかどうか。また至急第二國会に提案する御意思があるのかないのか。その点を明確にお答え願いたいと思います。
#48
○竹田國務大臣 消費生活協同組合法は最初與党三派で議員提出に相なるやのお話がありまして、さように心得ておつたのでありますが、その後政府から出してくれた方がいいのではないかというお話がありましたので、その翌日ただちに省議を開いていろいろ檢討いたしたのであります。多少この問題につきましては省内にも異論がありましたし、さらに、大藏、安本、農林、商工等の関係各省に対しまして、合議を続けておるのでありますが、各省間にもいろいろ多少意見の違つたところがありまして、まだ本きまりにまとまつておらぬことを遺憾に思います。殊に大藏省におきましては、厚生省の考えております内容と多少意見の違つたところがありまして、聞くところによれば、大藏省は大藏省の考えておる意見を関係方面へたしかきのうかおととい直接御相談中であると聞いております。大体省内の意見は自然にまとまりつつあると存じます。各省の意見がまとまれば、ただちに要綱だけでも決定いたしまして、閣議に提出いたし、さらに案文の調整をいたしまして、自然関係方面との折衝にもはいることと思います。まとまり次第出したいと思います。
#49
○野本委員 この問題につきましては、三党政策協定のうちにもはつきりと取上げられておる問題であり、また大臣もつとに熱意を示されておるのでありますから、できるだけ早く提案されるよう最善の努力を希望いたしまして、私の質問を終ります。
#50
○徳田委員 医師の事業税に対しては私も反対でありますが、これは後に讓りまして、生活協同組合の方も早く出さなければ、今のような状態ではとうていだめだ。それは現内閣もごたごたしておりますし、会期も迫つておりますから、これは早く出していただきたいと思います。
 しかしそれはそれとして、この藥事法の問題につきまして、この二十二條は非常に重要な点でありまして、要するに藥剤師の生命に関する、藥剤事業ができるかできないかという瀬戸際にある問題であります。だから特に大臣の御答弁を願いたいのであります。これは大体藥剤が販賣また授與の目的で製造調剤しなければならぬということになつておりますが、この二十二條の「但し、医師、歯科医師、獸医師が自己の処方せんにより自ら調剤し、又は藥剤師に調剤させる場合は、この限りでない。」この條文でありますが、先ほども総括的に申しましたけれども、医師自身ではこれは調剤できない、現状と同じことになつておる。だからしてこれはやはり削除したらどうです。削除して一定の地域だけに特別にこういう條文を設ける。そうすれば一定の地域だけはこれはやむを得ないことになります。大都市でもどこでもこれをやるということにいたしますと、実際はこの條文をこしらえても全部だめになると思う。だめにならないように合理的にやらなければならぬと思う。この点をひとつはつきりしていただきたい。
#51
○竹田國務大臣 結局は徳田さんは、医藥分業にしたらいいというお考えではないかと思います。私は將來はそういうふうに向うべきであると思うのであります。附則から本條の中に入れたことにつきまして、藥剤師諸君から相当な御意見を聽いておるのであります。將來はそういう方向にもつていかなければならぬと思いますが、何分にも医藥が相当不足しております今日、暫定的な規定であると思う。はなはだ断定的であるかもしれませんが、そう思うのでありまして、今日の程度ではまずこの辺で御辛抱願うよりしようがないと思いますが、將來は徳田さん御指摘のように、医藥分業の線に沿つて進むべきであると思います。その時期がいつであるかということは、あらゆる客観的情勢とにらみ合わせて考えなければならぬと思いますが、遠からざる時期において私はそうなると思います。
#52
○徳田委員 それなら逆にしたらどうですか。但書以下を削りまして、これだけを附則にかえて、原則として但書を除いたものにする。しかし現在の情勢ではいろいろ困難であるから、相当の時機まではこういうものをやるということにして、これを附則にまわしたらどうですか。そうすれば原則はこれでありますから、でき得る限りこれを遂行するということになります。問題は但書であります。だからこれはほんとうに暫定的なものであるということを附則に入れて、経済が復興し次第嚴格にやる。その点をはつきり聽かしてもらいたいのですが、どうですか。
#53
○竹田國務大臣 どうでしよう、徳田さん、これは附則にあつたのをここに入れたのでありまして、これはちよつと逆もどりのような感じをなさるのはごもつともだと思うのですが、趣旨は一緒だと思うのです。これでひとつ御辛抱願えませんか。
#54
○徳田委員 では、これは論じてみたところでしようがありませんから、いずれこれは総括したときに、反対するなり討論することにいたします。
 最後にもう一点だけお聽きしたいのです。それはほかの問題ではありませんが、今大臣は藥品も足りないとか何とかいうお話でありましたが、今度この藥事法を実行するに対しましても、どうしてもこの医藥品を、國営人民管理にしたいことは私たちの線でありますけれども、國営人民管理はしなくても、少くとも、これは國家管理にして、藥を今のような状態から拔けさして、ほんとうのいい藥を大量的につくることはどうしても必要だ。今の藥は一体藥なのか何なのか、わけのわからぬものがたくさんある。泥のはいつている藥もたくさんあるのであります。これも藥学校などで分析しているものなどを見ますれば、一つだつてほんとうのものがあるかないか疑わしいくらいで、大部分が藥らしい藥はないのです。だから、これはぜひとも國家管理にするか何かしまして、ほんとうの藥を拵える、これができませんと、この藥事法というものは絶対に無意味であります。これはいろいろのことがあつて、化粧品から何まではいつておりますが、大体スルフオアミトの問題でもそうですけれども、これはほんとうのいい藥をこしらえて、ほんとうの國管にしない限り無意味だと思う。この点は大事な点でありますから、特に御答弁願いたいと思うのであります。これで終ります。
#55
○竹田國務大臣 御熱心な御意見であつて、何とか賛成の意を表したいのでありますが、どうもその点に関する限り、少しく私の意見と違うのでありまして、御意見として尊重して承るということでお許し願いたいのであります。
#56
○徳田委員 これで終いますが、これは大臣お忙しいようですから、あとに保留することを條件にいたしまして、これで止めます。
#57
○田中(松)委員長代理 それでは、次の質問者が欠席になつておりますから、私から少しくお尋ねしたいことがございます。
 大体において徳田委員から申されたことは、実が申し上げようと思つたことであります。それに対する政府側の御答弁がありましたから、大要はそれで了承したのでございますが、ただ一つ、ただいまも厚生大臣はあのように言われましたけれども、今この法案を改正する当事者たちは、よくその意味がわかりますけれども、時日が経ちますと、えてして誤解を受けるようなところができてきます。たとえば原則としては医藥分業で進みたいのであるが、今まで附則であつたのを本文の上に入れたから、何かこう逆もどりしたように思われるけれども、実はあくまでも附則に置いたときと同じような氣持であるという御答弁がありましたけれども、ここをもう一つ私はつきりしておきたいと思うのです。いろいろ論もありますけれども、現にわが國でも大学の附属病院等では、事実上はつきりこの医藥分業という建前をとつている。そしてそこには何ら不便もなければ、治療上の弊害も認められておりません。日本の現状から、今厚生大臣言われたように、今すぐ実施するということは、むずかしいことはわかつておりますが、原則としては医藥分業が正しい建前であるということに対する政府の見解を、いま一度、將來誤解を起さないために、明らかにしておきたいと思うのでございます。この点について……。
#58
○久下政府委員 重ねてのお尋ねでございますが、私からお答え申し上げます。私どもといたしましては、第二十二條にかような規定のしかたをいたしました。すなわち本文に、藥剤師でない者は調剤ができないというふうに書いてございます。但しと例外的に書いてありますことは、やはり藥剤師が本來調剤をなすべきものであるという原則を、この形式によりましても十分現わしておるものと考えておりまするし、また実体的にも、私どもとしては、わが國の現段階におきましては、ただいまお話のありました通り、むりではあるが、將來としては、やはりこの條文の形式においても現われておりますような原則に進むべきものであるというふうに信じておるのであります。
#59
○田中(松)委員長代理 そのほか二、三お伺いしたいのでありますが、これは先輩議員から詳しく質問もあり、また当局から丁寧な御答弁もされておつたのでございますが、あまり詳し過ぎてかえつて本旨をそれたようなおそれもございますので、念のためにお伺いするので、当局もその点をお含みの上、ごく簡單な要点だけの御答弁で結構でございます。
 第五條の規定でございますが、現行法から見ると、この罰則は軽くなつているようにも見えますが、また見方によりますると、罰則が拡げられたようにもとられます。たとえば現行法では、第五條の二には、「藥事ニ関し罰金ニ処セラレタル者」と明らかに限定しておりますが、改正法案の方では、第五條の一では、「罰金以上の刑に処せられた者」と、こういうふうになつております。するとたとえば、俗にありがちな選挙違反というようなものを藥剤師が犯したような場合でも、それに触れるとなりますると、見方によると、非常に罰則が拡げられたような氣持がいたします。もちろんそういうことまでは考えていない。そういうものに適用しない方針であると言われるかもしれませんけれども、それならば、そういう意思があるならば、なおさらのこと、第二項のように、この法律の規定に違反し罰金以上の刑に処せられたる者と、こういうぐあいに限定した方がよいのじやないか、そう思うのでございますが、この点に対して……。
#60
○久下政府委員 第五條に「罰金以上の刑に処せられた者」と書きましたのは、実は現行法をごらんいただきますると、刑罰の種類によりまして、重い刑罰に処せられました者は、当然に藥剤師の免許を與えないというような、つまりこの法案で申しますると、第四條の中に、重罪刑に処せられた者とあげておるのであります。これを受けまして、現行法の第五條の方におきましては、藥事に関し罰金に処せられた者の前に、六年未満の懲役、禁錮というような、いわゆる軽罪の刑に処せられたものと特に例示をいたしておるのであります。かような関係を一括いたしまして、罰金以上の刑に処せられた者というふうに書いたのでございます。かようなことにいたしました趣旨はただ單に藥事に関したことでなく、具体的に申せば医事に関して刑罰に処せられたようなものでありますれば、その犯罪の状況によりまして、藥剤師の免許を與えるのに適当でないような場合が考えられると思うのであります。さような場合を考慮いたしまして、「藥事に関し」という言葉はとつてあるのでありますが、御指摘のように、もちろんこれを盾にとりまして免許を與えないというような考え方で運用いたさず、できるだけ支障のない限りは免許を與えるというように運用していきたいと思います。
#61
○田中(松)委員長代理 次いでこの改正案の規定でございます。ただいま御説明願つたけれども、これは医師法に比べますとどういうぐあいになつておりましようか。あるいは平等になつておるというか、重過ぎるというか、あるいは少しぐらい軽くなつておるというか、これは何も嚴格な尺度で計つたような御答弁は要りません。常識的なお考えでよろしゆうございますが、その点お伺いしたいと思います。
#62
○久下政府委員 新しい医師法案も大体案がきまつておりまするが、まだ確定ではございませんから、はつきりと申し上げるのはいかがと存じますけれども、行き方は同じように考えております。特に御指摘の罰金以上の刑に処せられた者というものは、医師法でも総体的な欠格條項に掲げてございます。それから第五條の第二号のような書き方につきましては、医師法では医事に関し犯罪または不正の行為あつた者というふうにいたしてございます。趣旨におきましては大体同樣な取扱いをいたすことに相なつております。
#63
○田中(松)委員長代理 第四十六條の五号でございますが、いわばそういうぐあいに許可を與えられない者、あるいは一度與えられておつたが許可を取上げられた者というような人の復権といいますか、復籍というか、そういうようなことをこれは意味するのでございましようか。
#64
○久下政府委員 さように考えております。
#65
○田中(松)委員長代理 ところがこういう含みはないでしようか。たとえば第五條の一号、二号によつて権利を奪われたとか、あるいは許可を與えられないというような者が、四十六條の五号によりますると、「行政事件訴訟特例法により訴を提起することができる」としてございまして、たとえば五箇年なら五箇年、十箇年なら十箇年過ぎたら、もう自然と前の罪状が消滅して、復権を望めばすぐに登録ができる、こういうような含みはないのでしようか。やはりぜひ特別な行政事件訴訟特例法による訴えをしなければ、そういうことにはならないでしようか。この点のお含みをお聽かせ願いたい。なおまたこの復籍の規定も、医師法にありますならば、あまり差別のつかないように取扱いたいという氣持をもつておりますが、この点についても併せて御意見を聽かせていただきたいと思います。
#66
○久下政府委員 まず第一のお尋ねでございますが、四十六條の第五号の規定によりまして、訴訟を提起して復権することができるようになつておりますのは、取消または業務停止の処分として確定したものを指しておるのであります。その前に四号で御承知と思いますが、藥事委員会の常任委員によつて一旦行われました取消または停止の処分の審査をいたすことに相なつております。その辺のところでまた不当な処置は救済をされると思つておるのであります。またさらに欠格條項に該当いたしまして免許が初めから與えられず、また與えられておりましたものが取消されましても、その事態によりましては、たとえば本人の改悛の情が非常に顯著であつて、世間の評判がよろしいというようなことでありますれば、再申請をまつて新しく免許を與えられるような途も開かれると思います。
#67
○田中(松)委員長代理 それから十二條はすでに御答弁いただいておりますが、もし國家試驗の科目を法律で規定せずに、省令で規定するようにするという修正意見があつても、政府としては異存がないように承つておりますが、さように了承してよろしゆうございますか。
#68
○久下政府委員 さように了承いただいて結構です。
#69
○田中(松)委員長代理 次いで第二十條、第二十六條、第二十九條、これは徳田委員の御質問で当局の御意思のあるところはよくわかりましたが、私はその個々の問題よりも、そういう制度がここに取上げられてきたというその根本の問題について、少しく当局の御意見を伺つてみたいと思います。厚生大臣並びに政府委員の御答弁によりますると、この点については医藥制度調査会が十分審議をして出した結論であるからというお言葉でございました。ところがその医藥制度調査会というところで考えている考え方というものが、將來医師法をもこの線に沿うて改正するような心構えをもつているならば、これは私了解ができるのです。もちろんそこで愼重審議されたことは疑いませんけれども、やがてここへ出されるであろう医師法に中にもそういう点を考えて、この藥事法に対する答申をされたのであつたならば、私ども納得もできますけれども、もし医師法と本法案との間に差別扱いをするようなことがあるとするならば、私どもとしては医藥制度調査会そのものを批判しなければならぬようなことになります。政府当局は医藥制度調査会を信頼されるでしようし、先ほど伺つてみましても、十分いろいろな面を考慮の上で任命されると聞いておりますから、十分信頼のできるような事が任命されるでありましようけれども、第三者の立場からこれを見ますと、その構成分子について納得のいかぬような点があると思うのです。たとえば中立的な立場に立つておる学識経驗者は別といたしましても、医師関係の代表者が十八名あつて、藥剤関係の委員が八名である。これは素人がそういうぐあいに考えるのであつて、嚴格に言うたらそうではないとお思いになるかもしれませんが、肩書などを見まして、素人はそういうぐあいに考えておりますので、これは疑いたくないことではございますけれども、やはり昔から皮より身がかあいいということも言いますように、どんな公平な立場を守つておりましても、医師は医師の身びいきになつてくるし、藥剤師はまた藥剤師の身びいきになることをやりがちになつてくるということはやむを得ないことでございましようが、この点については、私ども先般審議いたしましたあん摩、はり、きゆう、マツサージの法案のときにも、やはり一種の疑惑をもつたのでございますが、当時からこの構成分子について相当批判の声が起つておつたのでございます。私誤解をしてもらわないように念を入れておきますのは、何もそこの関係しておられる医師関係の方々の人格を疑うわけではありません。たとえば同僚の榊原委員があん摩、はり、きゆうの法案を審議するにあたつてとられた態度とか、あるいは本法案を審議するにあたつてとられた態度には、私どもはまつたく敬服しておるのでありまして、こうした人が医師関係の中にたくさんあることは疑いませんけれども、結果から見まして、どうもそういう疑いが起り得るようなことがあるということを申し添えておきたい。でありまするから、將來この構成分子をかえられるようなときには、先ほど厚生大臣もはつきり言つておられましたが、適当な機会にそういう点をも考慮された上でひとつ御考慮を願いたい。
 最後にこの法案の審議にあたつて、今すぐということはもちろんいろいろな事情でむつかしいとお察ししておりますから、今すぐにどうして欲しいというようなことを申し上げるんじやございませんが、將來――將來と申しましても近い將來もあり遠い將來もありますが、そういうことにこだわらないで、いわゆる將來藥味師の身分、職責というものを定義するような藥剤師法案をつくるということについて、どういうぐあいに考えておられるか。これもあまりむつかしいことを考えられずに、絶対反対の立場であるか、そういうものがあつた方がいいということであるか、軽い氣持でひとつ当局の御意見を伺つておきたい。現に医師法、歯科医師法があります。また近く保健婦、看護婦、助産婦法案等も出ると聽いておりますが、同じような國民医療に関係のある身分で、この藥剤師法だけを独立の身分法とせずに、藥事法という中に含めるという行き方については、どうも納得のいかぬものがあります。こんなことを申し上げることは藥剤師関係者に対してどうかと思いますけれども、たとえ同じような身分法を、たとえば医師法と並べて藥剤師法というものをつくつたとしても、医師の資格のある者と藥剤師の資格のある者との、どちらが甲であり、どちらが乙である。どちらが上であり、下であるというぐあいに差等をつけてみることは、みずから世間の人情というか、習慣というか、そういうことがきめることでございまして、こうした形式的なわくというものについては、私どもはできる限り一本の形でまとめていくことが望ましい。こういうことはただ單に藥剤師だけの問題でなくして、ひいてはやがて日本の民主化の一つの要素でありと考えるのでございますが、この最後のことは私の意見が主となつておりますので、私の意見に対する当局の御意見を伺わなくてもよろしゆうございますが、ただ將來藥剤師の身分法というものを絶対につくつてはいかんか、そういうものはやはりあつた方がいいかという、その点だけ軽い氣持でお聽かせ願いたいと思います。
#70
○久下政府委員 お尋ねの点は三点にわかれていると思います。第一は第二十條、第二十六條及び第二十九條にございます登録の更新に関する理由を説明してほしいというお話のように伺つたのであります。私どもは決してただ單に医藥制度調査会の答申があつたからという理由のみで、この政府案を提出してのではないのであります。登録の更新をするようにいたしました理由は、まず第一には今回の藥事法におきましては、藥局の開設、医藥品の製造等、從來許可制度でありましたものを全部登録制度に改めたということが第一の理由でございます。大体の考え方は、なるべく企業の自由なる発展を期待いたそうということが、この許可制度を登録制度に改めた理由でございます。その代りに、その後におきまして自由にやつてもらいまするけれども、公衆衞生上危害を生ずるような事柄につきましては、十分取締り監視をしていくようにしたいというのが、今度の法案のこれらの点についての許可を登録にかえました基礎的な理由なのであります。さような意味合から考えますと、藥局にいたしましても、医藥品の製造所にいたしましても、すべて重要なるものを扱うところでありますので、各種の要件が要求されると思うのであります。登録をいたしますのは、その要件に合致するものを登録をするというような取扱いをする予定でおります。そういたしますとこの更新をいたします理由は、あとの取締をいたします上にも、各登録を受けました方々が、一年ごとにこの登録につてた再び反省をしていただくというようなことによりまして、常に当定の要件が、実質的に満たされるようにするということをねらつたのが、第一の理由であります。
 第二にこれらのものについては、医師の関係と違う点がありはしないかというお話でございます。まだ医師関係の方は案の程度でありまして、確定はいたしておりませんが、大体の筋道は医師関係、歯科医師関係の病院、診療所につきましては、診療所だけ医司及び歯科医師がやりまするものは、届出制度に改めますが、その他はすべて開設は許可制度を現行通り維持する建前でおります。これらの点は、今申し上げました藥局あるいは医藥品の製造について、全面的に許可制度を廃止して、届出制度に改めたところと大分趣旨が変つているのであります。これはおのずからそれぞれの業務の実態を考えまして、特に藥局なり、あるいは医藥品の製造業なりというものは、経済的の行為である面が相当深い点もありますので、一面において自由企業の方針を尊重しますために、届出登録の制度に改めますとともに、先ほど申し上げたような自主的な改善を期待するために、その届出登録を更新するようにいたしたのであります。
 その他は医藥制度調査会の構成についての御意見でございますが、私どもといたしましては十分御指摘のような点は考慮いたしまして、構成をいたしたつもりでございます。從いましてその結果得ました結論につきましては、十分各方面の正しい公正な意見が現われるものと承知をいたしているのでありますが、なお細部にわたりましては御指摘の点を十分考慮いたしまして、將來考えていきたいと思つております。なおお話は、本法の藥事委員会にも触れてのお話のように承知いたしたのでありますが、この点につきましては先ほど厚生大臣からもお答えを申し上げましたように、構成について十分考慮をしていく方針でございます。
 それから次に藥剤師法を独立させたらどうかというお話であります。この点につきましても私どもとしては將來十分考慮をしていきたいと考えております。
#71
○野本委員 大勢の委員諸君からいろいろの事柄について、あらゆる角度からの質問が発せられておりますので、私はできるだけ簡潔にまた重複を避けて、若干の点について質問をいたしたいと思います。
 藥事法の改正の問題は、日本の医療並びに藥事行政の新しいあり方を決定するきわめて重大な問題であります。從つて医師及び藥剤師という國民生活また國民の生命に関しまして、重大な責任の立場にある者が、きわめて熱心に論議檢討をされますことは、当然のことであると思うのであります。同時に一般國民の立場からこれを見ますと、われわれの生命に関係するとこであり、また非常な行詰つているわれわれの経済生活への非常な圧力を感じておりますときなのでありまして、從つてわれわれは國民の立場から、この藥事法とやがて提出されるであろう医師法との問題が、合理的に適正に決定されて、これによつてわれわれが生命の不安、経済の圧迫から解放されるような線に、これが解決されますことを心から待望してやまないのであります。從つて私は医師、藥剤師、あるいは一般國民の間にこの問題をめぐりまして、きわめて熱心な論議が戰わされ、また輿論が高まつてきておることも、むしろ喜んでおるものであります。そこで私は一つお伺いいたしたいと思いますことは、雜則の第五十三條によりますると、厚生大臣が必要と認めた場合は、この法律に基いて発する命令の制定、または改廃について公聽会を開かなければならない、ということが規定されております。命令の制定または改廃について公聽会を開かねばならないのでありますから、基本法でありますこの藥事法の提案に至るまでの過程におきましては、当然あらゆる方面の輿論を聽取して、そうして医師、藥剤師または一般國民の輿論のあるところを的確に把握されておるだろうと思いますが、特に私はここでお伺いいたしだいと思いますことは、一般國民を代表する第三者と申しますか、そういう立場の人の意見が、この案の決定にどの程度に取入れられておるか、またそういう方法がどういう形においてとられたかというひとについてお伺いしたいと思います。
#72
○久下政府委員 本法案を制定いたしますにつきましては、この方面に直接関係のある方々の意見はもちろんでありますが、その他第三者的な立場にあります人々につきましても、先ほど申し上げました医藥制度調査会の構成の中に、そういう方面の人に参加をしていただきまして、各労働組合の方面からも、あるいは社会保險の組合の方面からも、各方面からはいつていただきまして、御審議をしていただいておるのであります。
#73
○野本委員 藥剤師の身分法の制定の問題につきましては、いろいろの方から御意見があり、また政府の所信を答弁されておるのでありますが、私もこの問題につきましては関心をもつておるものの一人であります。將來研究されるという、ただいま政府委員の御答弁でありますが、できるだけ早い機会に藥剤師が、その地位の重大性、職責の重大性を自覚して、そうして國民医療、藥事行政に献身的に努力し得る安住の世界を與えるために、やはりこの法律の制定を希望しておる次第であります。
 次にいわゆる医藥分業の問題でありますが、この問題は私どもの立場からいたしますならば、医師の藥剤師とのいわゆる業権をめぐる問題として、対立的に抗爭論議するというようなことでなしに、医師も藥剤師も、それぞれその本來的な使命を遺憾なく発揮することによりまして、國民の保健衞生の向上、充実のために理想的な協同体制を打立てるところに、両者の論議の値打があると思うのであります。またかような立場において論議せられておつたであろうということを考えたいのであります。そこで問題は政府委員の説明並びに答弁によりますと、原則的には医藥分業の問題を認めておるけれども、現段階においては諸條件がまだ熟しておらないと言われておるようであります。そこで第一にお伺いいたしたいと思いますることは、医藥分業の実施に必要な條件として、どのようなことをお考えになつておるかということであります。
#74
○久下政府委員 医藥分業の現在ただちに行われません條件と申しまするのは、まず医藥分業そのものを分けて考える必要があると思つております。医藥分業は俗に強制分業というような考え方で、法律に基きまして、藥剤師以外の者に絶対に調剤を禁止するという形をとるという建前、そういう意味における医藥分業につきましては、これらの支障となります條件は、まず第一には藥局の普及が十分でないということであります。御承知の通り、また先般の御要求によりまして本日資料を差上げてございますが、ごらんをいただきますように、藥局はほとんど大都市にあるだけでございまして、地方町村方面におきましては、藥局がほとんどないと言つても過言でないような事情であります。さらに今日医藥分業が適当でないと考えられます一つの理由は、医藥品の生産配給の状態であります。御承知の通り医藥品生産の原料資料等の十分なる入手が困難であります現在におきましては、必要とする医藥形が必ず藥局に備えられているというわけにまいらぬことがあるのであります。從いまして医師があるものと思つて書きました処方せんが、藥局にいきますと備わつていないということで、その間に処方せんをもらいました患者が非常に不便を感ずるということが考えられると思うのであります。これが今日の段階におきまして、医藥分業をやるのに適当でないと考えられる第二の点であります。第三には、まず一般の國民の多くの部分に、医者にかかると医者から藥をもらうことを便宜と心得られておりますものが相当多いように考えておるのであります。これにつきましては十分啓蒙によつて打開できることとは思いますけれども、附加的な條件といたしましては、さような事実も現実の事態としてはあることは認めざるを得ないと思うのであります。さような点から今日のような状態におきましてはいかがかと考えておるのであります。
#75
○野本委員 ただいま政府委員から御答弁のありました事柄につきましては、私も大体においてその理由を認めるものであります。たださらにこの点についてお伺いいたしたいと思いますことは、かような條件の未成熟ということで、医藥分業を実施することができないのでありますが、この條件を成熟させるように行政的に今後推進していくお考えがあるかどうか。
#76
○久下政府委員 さように考えておるのであります。まず第一にはこの法案の中にも、藥剤師の國家試驗を実施することによつて、藥剤師の資質を向上するというようなことも一つの條件とするということにもなろうと思いますし、さらにまた直接この法案の関係ではございませんけれども、医師法の医師の処方せん発行に関する規定に、若干從來の規定と違いました修正を加えました意味におきまして、医師から從來行われております以上に多くの処方せんが発行されることを期待したような條文の改正が行われております。それらの点、國民の啓蒙その他いろいろの点もありましようが、各種の方法によりまして、そうした機の熟するのを促進したいと考えておるのであります。
#77
○野本委員 第十三條の藥剤師の國家試驗に問題につきましては、先ほどもいろいろと質問がありましたが、これは一部の人が言われておりますように、試驗課目を法律で固定することは、学生の教養、勉学というものを一方的に傾けて、いわゆる受驗勉強というような弊害を生ずることは、予想し得る事実であると思うのであります。また刻々に進歩していきます時代の要求、あるいは状況の変化というものに即應し得ない一つの欠陷もあろうと思うのであります。先ほどのお話によりますと、これを省令に移してもよろしい、同意するというようなお話があつたのでありますが、私の考えをもつていたしますと、これは厚生省令に移すということよりも、むしろそれらの学校の学科課程において、適当に規定するように指導することが、適当ではないかと思うのでありますが、御意見はどうでございますか。文部省の方がおりましたらひつとお聽かせ願います。
#78
○久下政府委員 私からお答え申し上げます。私どもがこの國家試驗に関する課目の規定を削除いたしましても、反対をいたしませんと申し上げております趣旨は、このまま命令にもつていつて書くという意味ではないのであります。医師國家試驗、歯科医師國家試驗に掲げておると同樣に、抽象的な表現をもつて、それだれで十分であるという趣旨でございます。それから藥学校の学科課程に入れればいいじやないかという考え方につきましては、全然同感でございまして、成規の学校を卒業をいたしますれば、しかも普通に勉強をしておりますれば、國家試驗というものは必ず上格し得るものであるというような建前で実施をいたしまして、試驗のために藥学校の教育がゆがめられるようなことのないように、十分注意をいたしたいと思つております。
#79
○野本委員 第四十條の二、三、四の項目におきまして、不良藥品を指定しておるのであります。第二におきましては「公定書に収められた名称を表示しておる医藥品であつて、その力價が公定書で定められた基準と異るか、又はその品質若しくは純度が公定書で定められた基準に及ばないもの、三、前号に掲げる医藥品以外の医藥品であつて、その強度が当該医藥品の表示書の表示と異るか、又はその品質若しくは純度が、これに及ばないもの、四、医藥品であつて、その品質若しくは強度を減ずるために、不当に他の物を混ぜ、若しくは他の物で包まれているか、又はその全部若しくは一部が他の物で代用されているもの」こういうふうに規定されておるのでありますが、この精神は、不良な医藥品によつて、國民が思わない禍を受けるこののないようにという趣旨でありますが、この精神は当然医師の投藥に対しても、適用さるべきものであると考えますが、この点についてのお考えはどうですか。
#80
○久下政府委員 御質問の趣旨が十分了解をいたし得ない点があるように感じます。私どもといたしましては、医師については、法律の要求する成規の教育を終り、しかも國家試驗に合格しし正しく認定をいたしました者が行います仕事でありますので、認可を與えておりまする以上は、そのやつておりまする仕事はもちろん、ここに掲げてあるような趣旨において行われるものであるということを期待しておるわけでございます。
#81
○野本委員 從つて医師が投藥に当つて処方せんを交付しまして、投藥の内容を明らかにすることは、医師としても、責任のある治療をなす者としては当然のことであり、また治療を受ける者といたしましても、さようなことを強く期待しておると思うのであります。私どもは今後そうして線に向つて進められることを、強く要望したいと思うのであります。
 それから医藥品の問題が出ましたから、私は一昨日要求した資料に基いて、若干お伺いいたしたいと思います。主要な各種の医藥品が前年度に比べて、著しく増産されておりますことは、國民全体の立場から見て、きわめて喜ぶべきことであり、また製造業者並びにこの監督等に当つておる関係者の努力に対して、敬意を表するものであります。ただここで不思議に思いますことは、今年度の生産量において、一月、二月、三月、四月があげられておりますけれども、そのうち麻酔剤、栄養強壯剤、催眼剤、この三つのものを除いては、四月の生産高がことごとく著しく減産しておる。これはどういう理由でありますか。その事情をわかる範囲でお知らせ願いたい。
#82
○久下政府委員 四月分の生産量が、この数字で非常に少くなつておりますことは、実は資料がはなはだ不徹底で申し訳ないのでありますが、中間報告を材料にしてとりあえずとりまとめたのであります。まだ正確な四月分の報告が完全にまとまつておりません。とりあえずまとめたのであります。その点は御了承を願いたいと思います。
#83
○野本委員 なお先ほど徳田委員その他からも指摘されておるのでありますが、医藥品の統制配給等の問題をめぐりまして、好ましくないいろいろな風聞をわれわれは耳にするのであります。あるいは医藥品の横流し等が相当行われておる。そのために末端におきまする医療施藥等が思わしくいかない。かようなことをしきりに聞くのでありますけれども、むろんこれらの点については、いろいろと御注意にはなつておられると思いますが、將來ますますかようなことのないように、十分の注意を喚起しておきたいと思います。なおこの点について今まで注意しておられた点がありましたらば、おもなものをお伺いしたいと思います。
#84
○久下政府委員 医藥品の横流し等については、事実過去においてはさような事実がないとは申せないと思います。まずさような見地から本年の二月以降、新しい配給規則を定めまして、新配給機構に基いて医藥品の配給を行うことにいたしております。この制度は御説明をいたしますと大変めんどうになりますが、大体一口に申せば、切符制度とでも申しますか、需要者にあらかじめ購入手帳を渡しておきまして、その購入手帳に買い得る限度の医藥品をあらかじめ書き入れておいて、自由に自分の欲する販賣者に行つて買い得る、販賣者はその賣つた証明をもつて、さらに御賣業者から配給を受けるというような仕組でやつているのであります。私どもとしてはこれが順調に行われますれば、從來のような弊害はよほどなくなるものと期待いたしておるのであります。なお生産の方面については、御承知の通り需要医藥品の生産資材等を、全部厚生省として安本から割当をもらい、資材の割当をいたしております。資材の割当をしたものについては、それから生産される医藥品は、今申しました配給のルートに必ず乘せるような措置をとつております。まだ新配給規則の滑り出しの程度でございますので、あまり自信をもつたお答えはいたせませんけれども、從來よりも相当うまくいくものと考えておるのであります。
#85
○野本委員 次に無医村、無藥局村その他のことについて、二、三お伺いしたいと思います。提出していただいた資料によりますと、全國において医者のいない町村が一千七百五十三、藥局のない町村が七千二百八十三箇町村ある。これは日本の國民医療という立場から見ますと、きわめて重大な問題であると思うのであります。從つてこうした無医村、無藥局村をして、逐次完全な医療あるいは投藥等の行われるような方向にもつていくことは、厚生行政当局といたしましては絶対の責任であると私は思うのであります。このようなことにつきまして、どういう施策を從來講ぜられておりますか、それとも講じようとしておるか。それについてお伺いいたします。
#86
○久下政府委員 主として問題の焦点は、無医町村の問題の解決にあるかと存じます。ここに無医町村と書いてありますのは、いわゆる医者のない絶対無医村を稱しているのでありまして、中には医者はおりませんでも、隣の町にたくさん医者がおつて間に合うような所も、一應こことは無医町村の中にはいつておりますし、さらに非常に大きな村で、不便な所でも、一人医者がおれば無医村でないという数字になつておることを御了承の上でお読みをいただきたいと思います。さらにまた相当的に無医村と言つておりますが、医者がおりましても今申したように不十分である、あるいは診療所のみあつて、病院の設備のないところが相当あります。これらの点も含めますと、都市を除きました地方の、いわゆる農村方面の医療機関の普及は非常に不十分な現状であります。この問題につきましては、実はかねていろいろと施策が行われておつたのでございまして、数年前には國庫から建設費及び経常費の補助金を出しまして、無医村に診療所を都道府縣をして建設させるという方策がとられまして、数百の無医村に診療所ができたのであります。しかしながらこれは結果において失敗をいたしました。と申しますのは、かんじんの医者がその地方にいつてくれないのであります。これらの点は、そのときにはその建設をいたしますと同時に、獎学金制度を設けまして、貸費制度にして、困窮している学生に学費を貸し與えまして、これらの者に無医村に行つていただくことを期待してやりましたが、卒業してみますと、なかなかこちらの希望する所に行つてくれないこともあつたりして、いろいろな点から、施策としてあまりかんばしい成果をあげなかつたのでございます。今回医療法案というものを準備いたしておりまして、それによつて今申し上げました絶対無医村はもちろんのこと、相対無医地域に対しましても、病院、診療所を公の機関として整備させるようにしたいという考え方を法案の中に織り込んであるのであります。政府からできるだけの助成をいたしましてやりたいと思つております。これが実際的な現れといたしましては、無医村にぽつつと診療所をつくるという考え方でなしに、その根拠となる中央の病院、郡中心なり、縣中心なりの病院と常に実質的な連絡のある方法によりまして、その出張所のようなかつこうで無医村に診療所をつくることは、將來人の交流なり何なりに非常にぐあいがよい。さような方法で、從來やりました單純なる無医村の診療所の開設と異りました有機的な医療制度の考えをやろうとしておるのであります。
 それから藥局につきましては、今申し上げたような面が解消すれば、國民の医療の面においては大体よろしいと思いますが、しかしまた藥局の普及ということも一面において必要であると思います。ただこの表で御覽をいただきますように、藥剤師の数が非常にまだ少い。医師の数に比較いたしますと、半数にも足りない程度の非常に少い数字でございます。それらの点から、今病院、診療所について申し上げましたような施策をかりにとりましても、そういう面から必ずしもその藥局の不足というものは解消しないと思います。むしろ今日のわが國の状態におきましては、藥局の増加のためには、藥剤師の養成をもつとやらなければいかぬというような結論になると考えておるのでありまして、文部省あたりとも十分連絡してやりたいと思つておるのであります。
#87
○野本委員 次に医師の問題でありますが、御提出いただきました資料によりますと、昭和二十二年から昭和二十五年の三月までに医学校を卒業いたします者の数は二万二千五百七十九――二万三千名近くであります。現在登録されております医師の数が六万七千九百八十九人でありますから、両方を合わせまして約十万になるのであります。そこで私が問題として考えますのは、現在におきましても医師の数が相当多くて、いわゆる医者が成り立つていかないというような状況になつておりますときに、さらにこれに数多の医者が加わりまして、十分の医師が日本の國民の医療に当るということになりますと、一人で大体八百人程度しか相手にすることができないことになる。この事柄は將來の日本の医療をどういう方向にもつていくかということにつきまして、基本的な問題として考えなければならぬと思うのであります。当局におきましては、これらの問題についてどのようにお考えになつておられるか、お考えがありましたらお伺いいたしたいと思います。
#88
○久下政府委員 御指摘の点は、私どもといたしましても非常に心配をしておる点でございます。この数字で見ますと、御指摘のように、十万にはならないと思いますが、約八万を突破する数字になると思います。その辺のところで私どもといたしましては一両年前からいろいろ対策を考えておるのでありますが、わが國の医師数は、人口千百ぐらいに対して一人ずつ医師がいるというふうな事態が來るのでございます。この問題は、一口に申しましても、実はこれは非常な数字でございまして、八万数千の医師のうち約一割五分を実際診療に從事しない方面の医者、つまり官吏でございますとか、あるいは研究所とか、学校とかいうような方面に働く診療に從事しない医者と見ての数字が、人口千百について一人くいらの医師数になるのでございます。この点は多少仮定いたしておるのでありますが、私どもの考えといたしましては、そうした多数の医師に対しまして、まず第一に、これを処理いたしますために、診療に從事しない公衆衞生、予防衞生の方面に働いてもらう医者の数を、現状から見ますと約三倍に殖やすという数先になるのであります。一方におきまして、その他のもので診療に從事するものといたしますと、今申しましたように人口千百について一人という数字になるのであります。かつての数字で申し上げますると、東京におきまして、昭和十二、三年のころに人口七、八百に一人ぐらいの医師数になりましたときに、医師過剩で非常に困つて、いろいろな議論が出たこともあるようであります。都市、農村おしなべて人口千百に一人という医者が、はたして消化できかるどうかということを実は非常に心配いたしておるのであります。しかしながらこれはすでに戰爭中におきまして、非常に多数の医学專門学校をつくつて收容し、教育をいたしております以上、必然的に出てくる医師数でありまして、私どもといたしましては、この八万数千という医師数は、いかんともいたしがたい数なのであります。その対策といたしましては、今申しましたようにまず一方におきまして、診療に從事しない予防衞生方面に、あるいは研究方面に働いていただく医者を数多くにしてもらうように十分努力をいたしますとともに、当面におきましては新しい医師の養成を少くするようにということを、一昨年あたりから文部省といろいろ折衝をいたしておるのでありますが、いろいろな事情から急激に実現も困難ではありまするけれども、一年に六、七千から多いのは一万くらいの卒業者が出る予定でありますのを、多数の学校を廃止いたしたりしてもらいまして、おおむね現在、毎年三千名前後の医学校の卒業者が出る程度にまで仰制してもらうことに話が大体ついておるのであります。さようなことで多少不徹底なきらいもございますけれども、私の方ではできるだけの方策を講じておるつもりであります。なお今後ともこの問題は眞劍に考えていきたいと思います。
#89
○野本委員 大体私のお伺いいたしたいことは以上でありますが、最後に附け加えて申し上げておきます。多勢の方から申し述べられました藥剤師免許証の更新の問題、藥局の登録更新の問題等は、私は前の方々の同じ意見をもつておるばかりであります。これで私の質問を終ります。
#90
○田中委員長代理 では本日はこれをもつて散会いたします。次の日程は公報をもつてお知らせすることにいたします。
    午後三時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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