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2016/10/20 第192回国会 参議院 参議院会議録情報 第192回国会 法務委員会 第2号
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2016/10/20 第192回国会 参議院

参議院会議録情報 第192回国会 法務委員会 第2号

#1
第192回国会 法務委員会 第2号
平成二十八年十月二十日(木曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         秋野 公造君
    理 事
                西田 昌司君
                山下 雄平君
                真山 勇一君
               佐々木さやか君
    委 員
                猪口 邦子君
                中泉 松司君
                古川 俊治君
                牧野たかお君
                丸山 和也君
                元榮太一郎君
                柳本 卓治君
                有田 芳生君
                小川 敏夫君
                仁比 聡平君
                高木かおり君
                糸数 慶子君
                山口 和之君
   国務大臣
       法務大臣     金田 勝年君
   副大臣
       法務副大臣    盛山 正仁君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  井野 俊郎君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   平木 正洋君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      小野田 壮君
       警察庁長官官房
       審議官      高木 勇人君
       警察庁長官官房
       審議官      白川 靖浩君
       金融庁総務企画
       局参事官     栗田 照久君
       法務大臣官房司
       法法制部長    小山 太士君
       法務省民事局長  小川 秀樹君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
       法務省矯正局長  富山  聡君
       法務省保護局長  畝本 直美君
       法務省人権擁護
       局長       萩本  修君
       法務省入国管理
       局長       井上  宏君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局児童虐待防止
       等総合対策室長  山本 麻里君
       厚生労働大臣官
       房審議官     椎葉 茂樹君
       厚生労働大臣官
       房審議官     中井川 誠君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (再犯防止対策に関する件)
 (大分県警察による監視カメラ設置事件に関す
 る件)
 (テロ対策のための法整備に関する件)
 (児童虐待の防止等に関する件)
 (性犯罪に対処するための刑法の改正に関する
 件)
 (選択的夫婦別氏制度と通称使用に関する件)
 (最近の人権侵犯事件の状況及び法務省の取組
 に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府大臣官房審議官小野田壮君外十三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(秋野公造君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。
 二年ぶりに法務委員会に帰ってまいりました。早々に質問の機会を与えていただいて、委員長、理事、委員の皆様、大変ありがとうございます。また、金田大臣、盛山副大臣、井野政務官始め法務省の皆様、最高裁の皆様、よろしくお願い申し上げます。
 また、とりわけ金田大臣には日頃大変お世話になっておりまして、金田大臣がいつも公的なものへの献身ということを常にモットーとされているということを日々お伺いして、この社会正義を具現化する法務大臣を拝命されたということで、本当にやりがいを感じていらっしゃるのかなというふうに推察しております。
 その社会正義ということに関しましては、大臣も所信的な挨拶で申された犯罪の防止、とりわけ再犯の防止ということが非常に重要になってくるんだろうと思っております。私が前にこの委員会の理事をしておったときにも再犯の防止についても質問をさせていただいたんですけれども、その時点でも受刑者に占める再犯者の割合というのは五割を超えておりました。調べてみると、その後も全体の受刑者の数が減っているということもありまして、再犯者の割合というのは現在も増えていっております。この再犯を食い止めるというのが非常に重要だと思いますけれども、そのためにはやはり仕事がなければなりません。今も協力雇用主の皆さんが非常に努力してくださっておりますけれども、まだまだその数というのは少ないのが現状でございます。
 自治体などが工夫をしてくださって、例えば建設業者の人が入札の点数を上げるなど工夫もなっておられるみたいですけれども、やはりもっともっとその雇用してくださる企業の数を増やしていかなければなりませんし、またその裾野も増やしていかなければならない、そういうふうな更なる支援が必要だというふうに思いますけれども、大臣の所見をお聞かせください。
#6
○国務大臣(金田勝年君) 私のこの仕事を二十一年前に参議院でいろいろ教えていただいて、そして今日に至っております。そういう私の思いを初めに議員からお話しいただいて、心から感謝を申し上げております。公的なるものへの献身、その中で今の仕事が社会正義の実現だと言われましたことには本当にそのとおりだなと思って、何か熱くなる思いで聞かせていただきました。ありがとうございます。
 ところで、刑務所の出所者の社会復帰のためには、やはり就労の確保というのが極めて大事であるというのは私も同じ思いであります。そのために、雇用してくださる協力雇用主が大きな役割を果たしている、そして、その拡充を図るためには雇用に関するその不安とか負担を軽減していく必要があるということで、私どもは民間の事業者に委託をしまして、そのノウハウを活用する更生保護就労支援事業というものを実施をいたしております。幅広い業種からの協力雇用主の開拓ときめ細かな就職活動支援を行っているわけであります。また、実際に雇用をし指導に当たる協力雇用主に対しましては、年間最大七十二万円を支給する刑務所出所者等就労奨励金支給制度というものをつくりまして、協力雇用主に対する経済負担の軽減を図っていると、この二つの柱で頑張っているという状況でございます。
 こうした取組によりまして、現時点では実際に雇用している協力雇用主は七百八十八事業主でございまして、前年よりも二百三十七事業主が増えて四三%増というふうになっている現状を御理解いただければ有り難い、このように思っております。
#7
○山下雄平君 法務省が努力してくださって増えているという現状を私も大変認識しております。
 一方で、私の地元なんかで民間でそうやった社会復帰を支援してくださっている人にお話を聞くと、刑務所での職業訓練をもうちょっと何か工夫できないだろうかと。今の雇用環境に合わせて、今、介護分野について刑務所の中でトレーニングされているという話も聞きますけれども、もう少し工夫をしたら出所した後に就職がしやすいんじゃないかというような話も聞いておりますけれども、時代に合わせて職業訓練のメニューを変えていくべきじゃないかという意見についてどのようにお考えになっていますでしょうか、お聞かせください。
#8
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 刑事施設におきます職業訓練は、受刑者に職業に関する免許若しくは資格を取得させ、又は職業に必要な知識及び技能を習得させることを目的に実施しております。就労につながる職業訓練を充実させることは、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を図る上で極めて重要なものであると認識しております。
 職業訓練につきましては、有効求人倍率に加えまして、刑務所を出所した者を雇用していただいている意欲的な民間の企業を対象に行ったアンケート調査、あるいはそうした企業等との検討会や見学会などにおけます意見を踏まえまして、訓練科目の追加、廃止、あるいは訓練人員の拡大等の見直しを毎年実施させていただいております。近年では、介護関係や建設関係の雇用ニーズの高まりを受けまして、関連する訓練科目の実施施設数を拡大したほか、初歩的なパソコン操作を習得するビジネススキル科についても実施施設数を拡大しております。平成二十九年度予算要求におきましても、建設躯体工事科、介護福祉科など、雇用ニーズに即した職業訓練の拡充に必要な経費を要求させていただいております。
 今後も、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を図るため、協力雇用主の方々を始め、社会の雇用ニーズに即した職業訓練の充実に努めてまいりたいと考えております。
#9
○山下雄平君 雇用状況は改善しているので、是非ともまた、それに合わせた施策というのを考えていただければと思います。
 さらに、そもそも働くところを見付けるためには住むところがなければ難しいという現状もあると思います。私の地元なんかも、本当に民間の方がそういう出所者の方をグループで住まわせるような取組をされていますけれども、やはりまだまだ数は限られております。やはり社会の理解が進んでいかなければこういう分野にも広がっていかないというふうに考えております。法務省も社会を明るくする運動などでこの更生保護の重要性について努力してくださっているのは重々承知しておりますけれども、地元の保護司の方なんかと話をすると、保護司ってどういう仕事をしているのかと言われてしまうことがあって、本当に絶望的な気持ちになると言われる方もいらっしゃいました。
 本当に、努力してくださっている方だけが努力するというのではやはり厳しいんじゃないかなというふうに思っております。更生保護を進めることによって日本の安心、安全がつくられるという意味では、本当に全ての皆さんに関係することでございますので、是非とも、罪を犯した人の社会復帰を皆が支援していくということを是非理解を広げていかなければならないと思うんですけれども、そういうことについて大臣としてどのようにお考えになっているのか、お聞かせください。
#10
○国務大臣(金田勝年君) 非常に重要な視点を御質問されるので。働くところがあり、住むところがあるとおっしゃられました。その働くところは先ほどお答えしたわけでありますが、この点でもう一つだけ補足をさせていただいた後、保護司さんのことも含めてお話をさせていただきます。
 委員の先生方は御承知かとは思うんですが、やはり働くところが必要だ、そして先ほど私からも申し上げた二つの柱、事業名を申し上げました。就労奨励金の話と就労支援事業、委託費の関わる部分でございます。
 これ、二十九年度の概算要求で要求をして今予算編成中だと我々は受け止めておりますので、これが協力雇用主に対する支援の一層の充実強化につながる予算になりますように、委員の先生方のお力を、これからも予算編成終盤に向けてお力を賜りたいというふうに思っている次第であります。
 加えて、ただいまの御質問でございます。
 やはりまさに委員御指摘のとおり、罪を犯した人の社会復帰には、地域の皆様の御理解や御協力が不可欠だと思うんです。今後とも、地方公共団体と連携しながら、社会を明るくする運動をより一層強力に推進していく。また、時代に即応したソーシャルメディアを活用した広報の啓発活動を行うというようなことで、あらゆる機会を捉えて更生保護に対する理解をより一層促進していきたい。そのときにまさに保護司活動というのはその中心となる非常に重要なお仕事だ、このように受け止めているわけでございますので、是非、保護司の方の活動を始めとして更生保護に対する国民の皆様の理解、協力を求めて、是非犯罪や非行のない安全、安心な地域社会を築くために頑張っていきたいと、このように思っているわけでありまして、こうした理解が深まるように私たちも一層の努力を重ねていきたい、このように思っております。
#11
○山下雄平君 息の長い取組が必要だと思いますので、是非、大臣の指導の下、取組をよろしくお願い申し上げます。
 続いて、今度は、我々一般の市民が犯罪に巻き込まれないようにするためにはどうすべきかという点について御質問をさせていただきたいと思うんですけれども、私、国会議員になる前は新聞記者をしておりました。なので、いろんな新聞のニュースに非常に目が留まりますけれども、最近で一番気になったニュースは八月に和歌山市で起きた事件でございまして、保釈中の男性が元の同僚を殺して、その後立てこもり事件を起こしたということがありました。そもそも何で保釈中の人が事件を起こしてしまうのかというのが多分一般的な人の感情だと思います。もちろん、このことについてニュースが報じられるたびに国民の人は非常に不安になっていらっしゃると思います。
 保釈が認められるかどうかは、どのぐらいの犯罪なのか、過去どういう犯罪を犯しているのか、また身元引受人がいるかどうかとか、諸般の事情を勘案して判断されると思いますけれども、そもそも保釈されているのかどうかとか、何で保釈されているのかというのを国民に説明してくださることはないと思いますけれども、最高裁にお聞きしたいんですけれども、保釈するたびにその都度、その保釈の理由を説明する方が国民の安心につながるのではなかろうかと思いますけれども、考えをお聞かせください。
#12
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 法律及び規則では、訴訟の当事者には決定を告知することとされておりますが、それ以外の一般の方に保釈の理由を説明するとの規定はございません。
 また、刑事訴訟法では、事件が確定するまでの間、当該事件の訴訟関係人を除き、訴訟記録の閲覧は一般には認められていないことや、保釈の許可決定は公判廷で告知しなければならない裁判から除かれていることなどからいたしますと、非公開で行われた保釈の許可決定につきまして、保釈の理由を一般の国民に説明し、公にするということは困難ではないかと考えておるところでございます。
#13
○山下雄平君 そもそも保釈の状況を説明するのは困難だと、法的に考えても困難だという話がありました。
 では、大体保釈された人が事件を起こすというのはどのぐらいの割合なのかというのを私は非常に疑問に思っておりまして、法務省にお伺いしたいんですけれども、保釈中の方又は仮釈放中の方又は執行猶予中の方が別の事件で起訴されるという件数というのは、ここ十年どのような推移にあるんでしょうか、お聞かせください。
#14
○政府参考人(林眞琴君) 保釈中、仮釈放中、また執行猶予中、この順番で御説明いたしますが、まず保釈中に別の犯罪を行って起訴された被疑者の人数でございますが、平成十八年には八十人でございましたけれども、その後、前年よりも減少した年もあるものの、基本的には増加傾向にございまして、平成二十七年には百八十八人となっております。
 次に、仮釈放中に別の犯罪を行って起訴された被疑者の人数は、平成十八年には八百六十二人であり、その後、顕著な増加傾向や減少傾向は認められておりませんで、平成二十七年には七百六十九人となっております。もっとも、平成十三年から平成十七年まではいずれも千人以上で推移しておりまして、過去十五年間の推移を見ますと減少傾向にはあると言えると思います。
 最後に、刑の執行猶予中に別の犯罪を行って起訴された被疑者の人数でございますが、平成十八年には一万二千三百九十四人でありまして、その後、前年より増加した年もあるものの、基本的には減少傾向にありまして、平成二十七年には七千五百五十三人となっております。
#15
○山下雄平君 保釈中の場合の起訴だけが増えているという状況でした。
 では、今度は警察庁にお聞かせいただきたいんですけれども、保釈中の検挙数というのは推移はどのようになっていますでしょうか、お聞かせください。
#16
○政府参考人(高木勇人君) 警察庁の犯罪統計で確認できる範囲でお答えいたしますと、保釈中に別件の刑法犯で検挙された人員は、平成二十七年が百八十二人、十年前の平成十八年は百七十三人であり、この十年間の平均は百七十四人であります。
#17
○山下雄平君 検挙数はほぼ横ばい、ただ起訴数は増えていると。多分、起訴の基準が変わったということはないので、どのように考えればいいのかというのはまた法務省の皆さんに分析していただきたいと思いますけれども、もしかしたら、事件数は変わらないけれども凶悪なものが増えているのかもしれませんし、ただ言えるのは、かなりの数が保釈中に事件を起こして起訴されているということだと思います。
 国民の皆さんにとっては非常に不安なことだと思いますけれども、保釈に当たっては身元引受人とかが必要だと思いますけれども、また身元引受人が二十四時間三百六十五日その方の行動を把握することもできませんし、また弁護士もしかりだと思います。
 そういうことを考えると、国民の不安を解消するためには、この保釈制度の運用についてそろそろ見直す時期に来ているのではないかと思いますけれども、そのお考えについてお聞かせください。
#18
○政府参考人(林眞琴君) まず、その前提になります保釈制度でございますけれども、刑事訴訟法におきましては、その勾留されている被告人について保釈の請求があった場合、裁判所は、この被告人が一定の重大な罪を犯したものであるとき、被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときなど、刑事訴訟法八十九条各号に定める保釈の制限事由が認められる場合を除いて保釈を許さなければならないとされております。また、これらの保釈の制限事由が認められる場合でありましても、適当と認めるときは職権で保釈を許すことができると、こういう形で保釈制度ができておるわけでございます。
 一般論として申し上げますと、こういった保釈を許可するかどうかについて、裁判所においては、こうしたこの規定の趣旨を踏まえて、この事案の内容、そして当該事件における証拠関係等の具体的な事情をやはり総合的に考慮して、これまで適切に判断されているものと承知しているところでございます。
#19
○山下雄平君 そもそも、保釈することが原則だというような法の立て付けになっているということで、そのような適正な運用になっているというような答弁だと思いますけれども。
 では、この保釈制度についての法制度の改正について、法制審ではどのような議論が行われているのでしょうか、お聞かせください。
#20
○政府参考人(林眞琴君) 法制審議会では、新時代の刑事司法制度特別部会におきまして、この保釈に関わる部分についても議論、審議がなされました。
 そこで、この保釈を含む被疑者、被告人の身体拘束の在り方、そういった、またあるいはその制度の運用に関しまして、一方で、刑事訴訟法が定める勾留又は保釈の要件、現行の要件には問題はなく、運用も適切になされているのであると、こういう意見がありました一方で、これに対して、現状では、一たび身体拘束がなされると、特に否認している場合には、公訴提起後もなかなか身体拘束が解かれない実態があるために、それが被疑者の自白に向けられた不当な圧力として機能する結果となっていると、こういった側からの意見もございました。
 これについて、例えば身柄拘束に関する適正な運用を担保するための指針となる規定を設けることはどうであろうかとか、そのような議論が審議会においてはなされたわけでございますけれども、結局、現在の身体拘束の運用についての実態につきまして委員、幹事の間に大きな認識の相違がございまして、いかなる現状認識を前提としてどのような新たな規定を設けるのかということについての意見の集約は困難だという状態にございまして、結局成案を得るには至らなかったものと承知しております。
 その上で、この審議会の結論といたしましては、現在の身体拘束の運用についての特定の事実認識を前提としない形で確認的な規定を求めることについて議論が行われまして、最終的には裁量保釈の判断に当たっての考慮事情を法律で明記するということの部分については意見が収れんしまして、その部分についての答申がなされたと、このように承知しております。
#21
○山下雄平君 法制審ではもっと保釈をしろというような意見もあったということですけれども、先ほど法務省が提示なさったような統計の数字も見ながら、是非議論を考えていただきたいというふうに思います。
 続きまして、出入国管理の体制についての質問に移らせていただきたいと思っております。
 私が前、法務委員会に属していたときも、その点で、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けた出入国体制の在り方という点で質問をさせていただきました。当時は谷垣法務大臣でしたけれども、谷垣法務大臣は、入国審査に資する各種情報の収集とともに、そうした情報を活用するノウハウも更に蓄積していかなければならないというふうに答弁されました。
 では、この三年間で入国審査の情報をどのように蓄積して適正な出入国管理体制の整備に生かしているのでしょうか、お聞かせください。
#22
○政府参考人(井上宏君) 谷垣大臣が答弁されたとおり、入国管理局ではこれまでも厳格な入国管理のために、国内外の関係機関から情報を収集し、蓄積し、活用してきたところでございます。この三年間におきましても、国際テロ情勢が厳しくなる中、観光立国の推進、そして二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催をも見据え、新たな取組も開始して、更なる情報の収集及び活用を推進してきたところでございます。
 まず、情報収集の面について申し上げますと、平成二十七年一月から航空会社に対しまして乗客予約記録という情報の報告を求めることができる制度を導入いたしまして、本年一月からはその情報を電子的に受け取ることができるようにいたしまして、航空券の予約者の身分事項等に係る様々な情報の収集をしておるところでございます。
 次に、その収集した情報の活用の面でございますが、昨年十月に出入国管理インテリジェンス・センターを設置いたしまして、同センターに情報分析等に関する専門的知識を有する職員を配置し、乗客予約記録等を分析し、その結果を活用してテロリスト、犯罪者等の要注意人物の発見や入国阻止に努めておるところでございます。
 このように、入国管理局におきましては、情報の収集、分析、活用を積極的に行い、テロリスト等の入国阻止等を図るため適正な入国管理体制の整備を推進しているところでございます。
#23
○山下雄平君 加えまして、自国での情報の活用だけではなくて、やはり外国との情報の共有、連携も非常に必要になってくるんではなかろうかと思いますけれども、個人的な話になりますけれども、私は井野政務官とともに海外に渡航したことがございました。そのときに、その国の出入国体制について強く強く関心を示されたときがございました。
 是非とも井野政務官にお聞かせいただきたいのは、水際でのテロ対策について、出入国体制について、外国との連携協力についてどのように取り組んでいらっしゃるのか、お考えをお聞かせください。
#24
○大臣政務官(井野俊郎君) 山下先生、ありがとうございます。
 山下先生とは同級生でございますし、初当選も半年ぐらいしか違わないということでありまして、共にいろんな政治談義をしながら、この国を、日本をもっと良くしたいというふうに私も熱い思いを持っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 御質問のテロ対策の水際でございますけれども、先生御指摘のとおり、テロリストや犯罪者等の要注意人物の入国を水際で阻止するということは、本当に様々な取組を現時点で行っているところでございます。
 法務省としても、要注意人物の情報はできる限り、可能な限り正確に入手するということは極めて重要でございます。そのため、法務省としては、国際関係機関はもとより、外国の入国管理当局、国際刑事警察機構、ICPOなど外国の関係機関の保有する様々な情報の収集を行っているところでございます。また、更なる情報収集推進のため、入国管理局において外国入国管理当局と情報を共有するための枠組みの構築に取り組んでございまして、これが構築されれば、これまで以上に緊密な情報共有が可能となり、テロ対策等水際防止が可能となるというふうに考えております。
 引き続き、外国関係機関との情報共有を推進し、水際でのテロ対策を強化していく、そういう決意でございます。
#25
○山下雄平君 ありがとうございます。是非頑張ってください。
 最後のテーマに移らせていただきます。
 これもまたニュースで大きく報じられたんですけれども、今年の三月に最高裁が判決を出しましたJR東海での事故についての賠償問題についてです。
 高齢の認知症の男性の方が徘回してJR東海に入っていって事故が起きたと。その賠償について、家族に負えということで裁判が起きまして、一審、二審では家族に賠償責任命令が出ました。最高裁ではそれが取り消されましたけれども、この問題について、民法の規定で、認知症などの責任能力のない方の賠償責任というのは監督義務のある方若しくはそれに準ずる方が責任を負わなければならないという規定になっております。
 それについての今回の最高裁の判決では六つの基準を示されましたけれども、実際その基準を読んでも、自分が、例えば家族に認知症の方がいて監督義務のある人間と当たるのか、またそれに準ずる人間になるのかどうかというのは、非常に漠として分かりません。そうしたことについて多くの人が不安に思っていらっしゃるんだろうと思っております。
 今の民法の規定や最高裁の判決だけでは、自分が準監督義務者や監督義務者に当たるかどうかというのは非常に分かりづらい、また、免責されるのかどうかというのも、個別具体に判断するわけなので予見するのは非常に難しいと思いますけれども、この民法の規定の改正ということについてどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。また、誰も賠償責任を負わないということになってしまうというのは民法の想定を超えているんではなかろうかというふうにも思うんですけれども、お考えをお聞かせください。
#26
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 今御指摘ございましたように、損害賠償責任を負う者を明確にしようとする場合には、例えば加害者の配偶者や子であれば原則として責任を負うこととするなどの対応が考えられるところでございます。
 しかしながら、介護を要する方を取り巻く事情は様々であることを考慮いたしますと、最高裁判決が指摘しているように、認知症高齢者の介護をしている者の監督義務の有無あるいはその範囲は、それぞれ様々な事情を総合的に考慮して個別に判断すべき事柄であると考えられるわけでございます。そのため、やはり一義的に明文の規定によって対応するということは合理的とは言えない面もあり、御指摘のような立法措置を講ずるということについては慎重な検討を要するものと考えているところでございます。
 次に、責任を負う者がいないことをどう考えるかということでございますが、責任無能力者であります認知症高齢者が事件などを起こした場合、現行の民法七百十四条一項によりますと、法定監督義務者がいないとき、あるいは法定監督義務者が監督義務を尽くしたときですとか、監督義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときという場合には損害賠償責任を負う者は存在しないということになります。
 また、最高裁判決が示す基準によった場合、いわゆる準監督者という考え方によった場合でも、法定監督義務者に準ずべき者がいないとき、あるいは法定監督義務者に準ずべき者が監督義務を尽くしたとき、さらには監督義務を怠らなくても損害が生ずべきであったような場合を考えてみますと、やはり損害賠償責任を負う者は存在しないということになると考えられます。
 したがいまして、現行民法あるいは最高裁判決が示す基準を前提にした場合には、認知症高齢者が起こしました事件等に関しまして誰も民事上の損害賠償責任を負わないという事態が今後も生ずるということ、これ自体は否定できないものというふうに考えております。
#27
○山下雄平君 今のお話だと、ここにいる全ての皆さんがそういったリスクを抱えているということでありますし、それも予見ができないということであります。自分の家族が加害者になることもあるかもしれないですし、被害者になるかもしれないし、その被害者になったときに誰も損害を負ってくれないということにもなりかねないわけです。実際そうした事態が、まあ判決もいろいろ変わりましたけれども、そうしたリスクが厳然としてあるということが分かった上で、自らその将来のリスクに対応しようとする人も出てきていると思いますけれども、民間の保険会社などはどういった動きをしているのでしょうか、お聞かせください。
#28
○政府参考人(栗田照久君) ただいまお話がございましたJR東海の事故に係る第一審判決におきましては、別居の親族に賠償が命じられたわけでございます。これを踏まえまして、損害保険会社数社におきましては、個人賠償責任保険を改定いたしまして、監督義務者などを補償の対象に追加するなどの対応を行っております。これによりまして、例えば認知症患者の別居の親族の方が監督義務者等に該当すると判断された場合であっても、個人賠償責任保険によって補償を受けられるということになります。
 それから、他方、鉄道事業者向けの保険につきまして、今回の事故のような場合も含めまして、人身事故が発生した場合の振替輸送費用等を補償するという商品を開発、販売している損害保険会社もあると承知しております。
#29
○山下雄平君 そのように、民間で全部対応してもらうという考え方もあろうかと思いますけれども、先ほど申したように、全ての皆さんが当事者になるということを考えれば、その社会のリスクをみんなで分担するという考えもあるんではなかろうかと思いますけれども、介護保険の中でその補償をしていく仕組みも考えられるんではなかろうかというふうに私は思いますけれども、こうした考えについて所見をお聞かせください。
#30
○政府参考人(椎葉茂樹君) 認知症高齢者による事故の被害に対する補償の問題につきましては、介護保険制度だけでなく、公的な補償制度や民間保険の活用など、様々な対応の選択肢が指摘されているところでございます。現在、関係省庁連絡会議の下、関係省庁と連携しながら、実態把握や情報共有を進めているところでございます。
 今後、こうした実態把握等も踏まえつつ、認知症の方による事件、事故につきまして社会として備えるために、どのような課題があり、また、どのような対応が必要かにつきまして、広く様々な立場から議論していくものと考えているところでございます。
 厚労省といたしましては、認知症施策推進総合戦略、いわゆる新オレンジプランでございますが、これに沿いまして、地域住民によるネットワークの構築や認知症サポーターなどによる見守り体制の整備など、自治体が認知症の方を地域で見守り、支える枠組みづくりを推進できるよう、しっかりと支援してまいりたいと考えているところでございます。
#31
○山下雄平君 おっしゃったような事件、事故が起こらないような体制をつくることも非常に重要ですが、ゼロになることは多分不可能だと思うので、是非とも早急な検討をよろしくお願いします。
 以上、質問を終わります。
#32
○有田芳生君 民進党・新緑風会の有田芳生です。
 沖縄の那覇から車に乗って約三時間、沖縄本島北部の方に向かいますと、東村高江という土地があります。そこには、オスプレイの離発着場であるヘリパッドの建設を今進めておりますけれども、それに対して、自然を守れ、平和を守れという反対運動がずっと続いております。中には、沖縄戦を直接経験された八十をもうずっと超えた女性なども沖縄戦のことを振り返って、あのとき、もう飲む水もなかったけれども、夜中に本当に水が飲みたくなって御家族に水を飲ませて、朝、目が覚めてそこを見ると血の海だったと、私は血の海で血を吸って今まで生きてきたんだと、これからもう戦わないために今闘っているんだという方を含めて、辺野古、高江での住民のそういう運動が今も続いております。
 そういう状況の下で、昨日も確認をしましたけれども、地元の弁護士によると、無法状態が続いております。高江に向かう道すがら、いろんな車と擦れ違いますけれども、機動隊のナンバーを見ますと、東京ナンバー、大阪、なにわナンバーなど全国の車を目にします。恐らく五百人近い機動隊員が、沖縄県警だけではなく全国から高江に今も集中をしておりますけれども、その土地において、この十八日の午前九時四十七分頃、県道七十号線の近くで座っていた沖縄出身の作家の目取真俊さんがフェンスに手をやっていて機動隊員と言い合いになったときに、大阪から派遣された二十代の機動隊員がこう語りました。触るな、くそ、どこをつかんどるんじゃ、ぼけ、この土人が。こういう発言をした。
 その少し前には、その現場のすぐ近くで、別の機動隊員、大阪から来ている二十代の機動隊員が住民に対して、黙れ、このシナ人。そのようなことを語っている。
 あるいは、今不当逮捕が続いていますから名護署の前で抗議の声が上がりますと、そこにいた警察官なんかが、あんたたちは普通の人間じゃないんだからどけという、公務の中で現職の警察官がそういう発言を、あえて言えば繰り返している。
 こういうことを警察庁、どう判断されているんですか。こういうことは許されるんですか。お答えください。
#33
○政府参考人(白川靖浩君) お答え申し上げます。
 今般の大阪府警から沖縄県警察に派遣された機動隊員の発言は不適切でございまして、極めて遺憾でございます。今後、このような事案の絶無を期すとともに、適切な警備活動を行っていくよう指導を徹底してまいりたいと存じております。
#34
○有田芳生君 こういうことが頻発するようになり、それが続いている。
 人権擁護局長にお聞きをしますけれども、土人という表現、もう亡くなりましたけれども、国語学者の大野晋さんが編さんをした角川必携国語辞典によると、土人というのは原始時代の生活をしている人である。
 あるいは、そんな辞書を引くまでもなく、第一次の琉球処分、明治五年ですけれども、それ以前から日本の本土は、琉球、沖縄の人たちに対して、琉球国王を酋長、そこに住む人たちを土人、このように言ってきた。そういう長い日本と、本土と沖縄との関係の中で、土人という差別の侮蔑した言葉というのが連綿と歴史的に構造的に続いてきたわけですよね。
 あるいは、沖縄出身の詩人の山之口貘さんが自分の青年時代を振り返る文章の中で、大正十二年のことですけれども、大阪で仕事を探しているときにこんな経験をした。関西のある工場の見習工募集の門前広告に、ただし朝鮮人と琉球人お断りとあったと。ずっとこういう沖縄差別が続いている。山之口貘さんは、喫茶店で話していた沖縄から帰ってきた当時の男性の発言として、酋長の家で泡盛を飲んで、周りには土人がいたと。沖縄の人たちを土人呼ばわりをしている。大正十二年ですから、今から七十九年前。
 日本本土は沖縄をこういう植民地的な目でずっと見てきたと私は思っているんだけれども、人権擁護局長、人権擁護の観点から、この土人発言、シナ人発言、どう捉えられますか、お答えください。
#35
○政府参考人(萩本修君) 不当な差別的な言動はいかなる者に対してであってもあってはならないものでして、一般に、沖縄の人々に対する不当な差別的言動も他の者に対するものと同様、人権擁護上非常に問題があるというように認識しております。
 御指摘のその発言そのものについては詳細は把握しておりませんのでコメントを差し控えますが、警備中の警察官が御指摘のような発言を行ってその相手方というか周辺にいる方々を誹謗中傷することは、同様に人権擁護上も非常に問題があるというように理解しております。
#36
○有田芳生君 詳細を把握していないとおっしゃいますけど、昨日もNHKを始めとしたテレビ各局、今朝の新聞各紙、この問題取り上げています。人権擁護を担当されるんだったら、その詳細を把握すべきじゃないですか。
#37
○政府参考人(萩本修君) 今どのような事情聴取の段階にあるかまでは承知していないという趣旨でして、マスコミ等で報道されている内容については承知をしております。
#38
○有田芳生君 じゃ、これからちゃんと把握をしてください。
 そして、もう一つ警察庁にお伺いしたいんですけれども、この法務委員会を中心として、今年にヘイトスピーチ解消法が成立をいたしました。即座に施行とともに警察庁も通達を出していただきましたけれども、全国各地の警察官に対する差別についての啓蒙、啓発、教育ということをやるということを書かれたと思うんですが、やはりこういうことが現場で行われているということに対してはやはりもっとしっかりした対応を取るべきだと思いますが、警察庁、どうお考えですか。
#39
○政府参考人(白川靖浩君) ただいま委員御指摘のありましたとおり、警察庁におきましては、いわゆるヘイトスピーチ解消法が公布された日に、全国都道府県警察に対し、法の目的等を踏まえた警察活動を推進し、不当な差別的言動の解消に向けた取組に寄与するよう指示したところでございます。
 警察におきましては、法を踏まえた警察職員に対する教養を一層推進していきたいと考えております。
#40
○有田芳生君 これは、沖縄の高江に派遣された二十代のたまたま大阪からの機動隊員の土人、シナ人発言というよりも、先ほど申しましたように、やはり日本本土と沖縄との関係で連綿と続く差別の潜在的な意識というものがたまたまその機動隊員によって現れたんだろうというふうに私は捉えておりますけれども。
 大臣にお伺いしたいんですけれども、先ほども言いましたけれども、ヘイトスピーチ解消法というものがこの参議院法務委員会を中心として成立をいたしました。今日は時間の関係でこれ以上は質問しませんけれども、この琉球、沖縄の差別の問題というのは国連の人種差別撤廃委員会で何度も何度も問題になっていることなんです。
 今度機会があれば伺いたいと思いますけれども、今度の土人発言というのは人種差別撤廃条約第四条(c)項に違反するものですけれども、その詳細についてはまた機会があればお伺いをいたしますが、せっかくヘイトスピーチ解消法ができたにもかかわらず現場でこういうことがまかり通っていることについて、法の責任者としてどのように率直にお考えでしょうか。
#41
○国務大臣(金田勝年君) 昨日、官房長官が本件に対しまして大変残念であるとのコメントがございました。私も、法務大臣としても非常に残念なことであると、このように考えております。
#42
○有田芳生君 今日はこの問題を急遽取り上げることになったので、また機会があれば改めて御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 次に、今度は沖縄から大分県の別府に移るんですが、別府の駅から車に乗って十分ほど走りますと、その途中に大分県警別府署があります。更に進んでいくと、連合大分あるいは別府地区平和運動センターなどが入った建物があります。別府地区労働福祉会館といいますけれども、そこには労働組合関係だけではなく、選挙になれば民進党の候補者あるいは社民党の候補者を応援する、そういう事務所にもなっているんですけれども、そこで今年の参議院選挙の公示の四日前、六月十八日に異様な行動が警察官によって行われました。
 警察庁の方にお伺いします。今年の六月十八日夜の二人の警察官の行動について、簡潔にお答えください。
#43
○政府参考人(高木勇人君) お尋ねの事案に関しまして、六月十八日の別府警察署の警察官の行動についてお尋ねでございました。
 六月十八日、別府地区労働福祉会館の西側のり面から計二回、雑草地に立ち入り、ビデオカメラ一台を雑草地に設置した後、その後、同会館駐車場を通って雑草地に至って二台目のカメラを設置した、このような行動が六月十八日の行動でございます。
#44
○有田芳生君 皆さんのお手元に資料を配付しております。
 カメラ一、カメラ二とありますけれども、六月十八日、繰り返しますけれども、参議院選挙公示の四日前、この夜の七時台、夜の七時台、まだ事務所には人がいるときに別府署員二人がこの会館の敷地に侵入をして斜面にカメラを設置しようとしたけれども、できなかった。これで間違いありませんね、警察庁。
#45
○政府参考人(高木勇人君) 御指摘のとおりでございます。
#46
○有田芳生君 まだ人がいる時間帯にこの敷地内に侵入をしてカメラを設置しようとしたけれども、できなかった。その後、夜十時を過ぎてもう一度敷地内に侵入して一台のカメラを設置、さらには、今度は駐車場の外、チェーンがあるんですけれども、チェーンを乗り越えて警察官が侵入をして二台目のカメラを設置した。これで間違いありませんね。
#47
○政府参考人(高木勇人君) 委員御指摘のとおりでございます。
#48
○有田芳生君 皆さん、写真見ていただければ分かるんですけど、これ、すぐにカメラが見えるようになっておりますけど、この当時は草がかなり生い茂っていたんです。生い茂っていたものですから本当に分からない状況だった。たまたま草刈りをやる仕事があって、そして何か変なものがあるぞということでこれが発見されるんですけれども、カメラ一の方でも遠くから見ればなかなか見にくいんですが、カメラ二になると、もう木の根っこの横の方ですからこの赤丸付けなければなかなかお分かりにならないというふうに思いますが、このカメラ一と二によって、この労働福祉会館の敷地、駐車場、それから会館に入っていく人たち、これは顔も識別できるし、車のナンバーも判断できる、それで間違いありませんね。警察庁、お願いします。
#49
○政府参考人(高木勇人君) お尋ねの事案のカメラの設置につきましては、参議院議員通常選挙の違反取締りに当たっていた別府警察署において、公示日より前に、公選法で選挙運動が禁止されている特定の人物がこれに反して選挙運動をしていると疑われる複数の情報を入手して、この特定の人物の違反行為に関する証拠を採取しようとする目的で、同敷地内にカメラを設置して同敷地内の駐車場及び会館への入口を撮影したものでありまして、車並びに人物が撮影をすることは可能なものでありました。
#50
○有田芳生君 選挙違反云々と言うけれども、この盗撮が必要性も相当性もなかったと後で県警が認めているじゃないですか。だから、違法な捜査をやっているんですよ。
 その前にもう一点確認します。十八日に二台のカメラを設置した。十九日、翌日にカメラの設置場所をこの設置した二人が刑事官と刑事二課長に報告しているけど、間違いありませんね。
#51
○政府参考人(高木勇人君) カメラを設置した者から刑事官等に報告をされております。
#52
○有田芳生君 さらに、その六月十九日、十八日に二台のカメラを設置して、刑事官など上司に報告をして、その十九日、御丁寧にもというのか、夜二十二時台、夜十時を過ぎて、カメラ内蔵の記憶媒体のSDカードや映像確認のため駐車場側から二回また侵入している。これ、間違いありませんね。
#53
○政府参考人(高木勇人君) 六月十九日には、同会館駐車場を通って二回雑草地に立入りをしております。
#54
○有田芳生君 さらに、六月二十日から二十一日にかけて、SDカードをまた交換するために駐車場側から二回にわたって侵入していましたね。
#55
○政府参考人(高木勇人君) 六月二十日及び二十一日共に会館駐車場を通って雑草地に立入りをしております。
#56
○有田芳生君 結局、発見されるまでに警察官は七回不法にこの場所に侵入しているんですよ。最初にビデオカメラが回ったのが六月十九日の朝の九時十分。最後、発見されますから六月二十四日の十三時三十七分に終わっているんですが。
 警察庁にお伺いしますけれども、この二台のビデオカメラによる盗撮が警察官のものであるということ、なぜ分かったんですか。
#57
○政府参考人(高木勇人君) 別府地区労働福祉会館の関係者から別府警察署に対しましてビデオカメラが設置されているとの通報がありまして、同会館に赴いた別府警察署員が同会館関係者とともにビデオカメラ内の記録媒体に保存されている映像を確認したところ、別府警察署刑事官や同署刑事課内の状況が映っていたことから、当該ビデオカメラは別府警察署員によって設置されたものであると判明したものでございます。
#58
○有田芳生君 写真の右側の上を御覧になっていただきたいんですが、これがSDカードの中に記録をされていた大分県警別府署の刑事官のAさんという人物のカメラ目線の映像から取ったものですが、ここでいろいろ打合せをやっている。どんな打合せがなされていたか、審議官、御存じですか。
#59
○政府参考人(高木勇人君) 詳細は承知をしておりません。
#60
○有田芳生君 ニュースで報道もされましたけれども、大分県警そして別府署は、このSDカードを四つ持っていたからそれを後に検察に出しているわけでしょう。そこを確認されているはずですよ。
 私もこの内容を見ました。この刑事官たちが語っていること、なかなか聞き取りにくいので、音声を分かるような仕方で再現をしましたら、結論だけ言いますけれども、まず、カメラ目線でこのA刑事官が語っているのは、赤いランプが付いているのでこれでもう録音は始まっていますのでというようなことを周りの警察官が語っていて、さらには、木があって、こういうふうに現場がなっているんだけれども、ここら辺に付けますかねと尋ねられると、このA刑事官は、うん、そうやなというふうに言っている。実際に、この機械、電池を入れている姿も記録をされているんですけれども、そういうことを確認されていないんですか。
#61
○政府参考人(高木勇人君) そのような内容で報道されていることは承知しております。
#62
○有田芳生君 報道じゃなくて、別府署も持っているし大分県警も持っているSDカードですよ。そんなばかなことはないということを指摘をして、もう時間の都合がありますので前に進みますけれども。
 この二台の監視カメラ、トロフィーカムという、六万二千円するんですけれども、それを二台使ってこの会館には設置をしたんだけれども、実はその二台プラスこのA刑事官を撮影をしている。だから、三台少なくともあったんですよ。だけど、問題になっているのは二台だけ。あとの一台、使っていないんですか。
#63
○政府参考人(高木勇人君) 別府警察署員が設置をし使用したのは二台と承知をしております。
#64
○有田芳生君 それまでにこういった不法な盗撮行為というのは、この別府署は行っていませんか。
#65
○政府参考人(高木勇人君) 本件以外にそのような不適切な撮影等を行っていることはないというふうに報告を受けております。
#66
○有田芳生君 思っていますということと事実はまた違うんですが、実は、このSDカードで、ここに付けたらいいんじゃないか、よく見えるためには発泡スチロールをかませるんだというような会話の警察官だけのやり取りの中で、こういう発言があります。あるところですけれども、実際に何々で撮ったときは立ち木にテープを縛り付けてと、この場で語っているんですよ。ほかにもやっているんですよ、本人たちが語っているわけだから。確認されていますか、それ。いつ、どこで、どの施設に対して盗撮をやっていたんですか、明らかにしてください。
#67
○政府参考人(高木勇人君) 本件の事案を受けまして、大分県警察におきましては捜査用ビデオカメラの使用について調査をいたしましたけれども、本件以外に不適切な使用の事例はなかったものと調査結果を警察庁としては報告を受けております。
#68
○有田芳生君 今言いましたように、別の機会に立ち木にテープで縛り付けて撮っていると本人たちが語っているわけですから、じゃ、それはいつ、どこで、何の目的で、法的に問題はなかったのかというのは確認されたんですか。
#69
○政府参考人(高木勇人君) それぞれの事案の使用状況について捜査活動の内容を確認した結果、不適切なところはなかったという確認をしたという報告を受けているところでございます。
#70
○有田芳生君 不適切かどうか、私たちは何にも分からないじゃないですか、県民含めて。この別府地区労働福祉会館に二台のカメラが設置されたならば、当然ほかにも設置されているんじゃないかという危惧を持つ人は多いわけですよ。
 じゃ、果たして別府だけかという問題なんですよ、これは。全国各地でそんなことをやられていないのか。警察庁は、恐らく後でお聞きをしても、そういう統計調査はやっていないと衆議院ではお答えになっているでしょうから、もう時間の関係でそのことは省きますが。
 じゃ、この一台六万二千円の機械、監視カメラ、トロフィーカムは、これは大分県警あるいは別府署が購入したものですか。
#71
○政府参考人(高木勇人君) 大分県警察が購入等したものではなく、別府警察署刑事官が事業者から借りた、個人的に借りたものでございます。
#72
○有田芳生君 個人的に借りることができる関係なんですか。
 普通、こういうものは、現場の警察官が例えばこのカメラを使いたいということになれば、伺いをして、例えば別府署の署長がオーケーを出して、そして見積りを出してもらい、その見積りが購入可能な金額ならばお願いをして借りて、そして使い終わったときに請求書が来て支払うという、そういう関係じゃないんですか。
#73
○政府参考人(高木勇人君) 御指摘のとおりでございまして、会計上の手続をきちんと取った上で捜査活動を行うべきものでございますけれども、本件につきましては別府警察署刑事官が個人的に業者から借り受けて使用したものであって、警察本部に報告がなかったものと承知をしております。
#74
○有田芳生君 じゃ、この刑事官は、この六万二千円掛ける二、まあ三台ですから掛ける三ですね、これはA刑事官、今はもう異動して大分県警本部にいらっしゃいますけれども、もう支払したんですか、どうなんですか。
#75
○政府参考人(高木勇人君) 刑事官と事業者との支払の関係については承知をしておりません。
#76
○有田芳生君 こんなことが一警察官の個人的な判断で行われるのかという疑問が非常に大きくあるんですよ。さっきだって、この二か所だけではなくほかにもやったということを警察官が自分たちの内輪の話で語っていて記録をされている。だけど、それが何だか分からないまま。
 警察庁にお伺いしたいんですけれども、全国各地でこのような、警察官が勝手にやったということを含めて、問題点なんかをこれまで数字として確認されていますか、こういうカメラを使っての盗撮行為。
#77
○政府参考人(高木勇人君) 捜査活動のためのビデオカメラの使用につきましては、各種会議等におきまして適正確保を指示するなど機会を捉えて都道府県警察を指導しているところでございますけれども、個別の事件の捜査は都道府県警察において行われており、具体的な事件におけるビデオカメラの使用の状況については警察庁においては把握をしていないところでございます。
#78
○有田芳生君 だから、本当に現場だけでやったのかなという疑問は残りますけれども、全国各地でこのような捜査が行われていないと誰も言えないわけですよね。分からなけりゃいいのか。今回だって、SDカードにこの警察官たちの姿、会話がなければ、誰がこの盗撮やったか分からないままだった。
 この再発防止について警察庁は八月二十六日に通達を出されていますけれども、どういう内容なんでしょうか。
#79
○政府参考人(高木勇人君) 捜査の目的でその対象者をカメラで撮影することは、最高裁判所の判例により、捜査目的を達成するため必要な範囲において、かつ相当な方法によって行われるものに限って捜査活動として適法とされているものと承知をしておりますが、お尋ねの通達は、こうした判例の考え方に従って捜査用カメラの適正な使用を徹底するため本年八月二十六日付けで発出したものでございまして、任意捜査としての許容性の確認の徹底などを指示したところであります。
 そして、こうした許容性については、具体的な考慮事項といたしまして、当該場所の性質、現行犯の立証や既に行われた犯罪の犯人の特定等、撮影等の具体的目的、事件の重大性、嫌疑の程度等の撮影等の必要性、第三者が撮影対象に含まれるか否か等撮影方法の相当性を掲げ、これらを事件の具体的状況に即して子細に検討すべき旨を指示したものでございます。
#80
○有田芳生君 時間が来たのでやめますけれども、この警察庁通達、必要な範囲で相当な方法、非常に曖昧なんですよね。だから、日弁連はこの警察庁通達を撤回すべきだというように言っておりますけれども、私もそう思います。
 法整備の問題、大臣にお聞きしたかったんですが、もう時間が来ましたので、また機会を改めたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#81
○真山勇一君 民進党・新緑風会の真山勇一です。どうぞよろしくお願いします。
 金田大臣に対しては初めての質問と、機会ということになります。どうぞ今後ともよろしくお願いします。
 先日、金田大臣の意欲あふれる所信の挨拶、伺いました。所信のその冒頭で、基本法制の維持及び整備の任務を負っているというふうに力強く宣言されております。法律を守ること、それから司法改革をすること、これは本当に大事なことで、熱意を持って進めて是非いただきたいというふうに思います。
 そこで、今日はまず最初にお伺いしたいのは、焦点になっております憲法の問題です。
 私たちの生活全ての中の基本であります憲法、この憲法について大臣御自身はどんなふうな思いを持っているかということを伺いたいというふうに思います。尊重し守るのかどうか、その辺りを是非伺いたいと思います。よろしくお願いします。
#82
○国務大臣(金田勝年君) 法務大臣として当然に公務員として憲法を尊重し擁護する義務を負っているものと自覚をしているところであります。
#83
○真山勇一君 当然、尊重し守る自覚を負っている、そのとおりだと思います。
 そこで、私が伺いたいのは、その今のお答えを踏まえまして、安保法制の問題でちょっとお伺いしたいんです。
 去年の九月十九日、成立しました。私は、あれは強行採決だと思っております。議場騒然、聴取不能。正確なことが何にも書いていない議事録。それで成立したわけがない、これは強行採決以外何物でもないというふうに思いますけれども、その安保法制、しかもその中身、違憲というふうに言われています。集団的自衛権、都合よく認めている。賛成のはずで呼んだ憲法学者が、いや、やっぱり憲法に違反していると言うくらい中身が違憲の疑いが濃いものであったというふうなわけです。三月の二十九日にこの成立した安保法制は施行されています。
 成立からもう一年余りが過ぎました。でも、違憲、憲法違反の状態、ずっと続いているわけですね。やっぱりこれ異常なことだと思うんですよ、一年以上も。本当に大事な私たちの国の基本になる憲法、これは、与野党たがわず憲法というのは大事なものだという思い、どなたも持っていると思います。その憲法違反が、安保法制によって破られてもう一年以上続いている。異常としか私は思わないんですけれども、これについては大臣はどういうふうに思われますか。
#84
○国務大臣(金田勝年君) 平和安全法制についての委員の御指摘でございます。
 平和安全法制については、内閣提出法案として成立をしたものであります。そして、内閣の一員でございます法務大臣といたしまして、当然に合憲の法律であるという立場にあることは申し上げるまでもないところであります。
 もっとも、平和安全法制につきましては、法務省が所管をするものではございません。その内容に立ち入りまして、憲法との適合性についてこれ以上の答弁する立場にはないことを御理解を願いたいと、このように思います。
#85
○真山勇一君 内閣の一員として苦渋の答弁だなというような感じを受けますけれども。
 実際、世論調査なんかもそうなんですよ、見ると。朝日新聞のこれは五月の調査なんですが、一般の人に聞いたその答えでも、安保法制は違反しているかどうか、違反している、五〇%、違反していない、三八%。それから、今日、この法務委員会、委員会の性格上、法の、法律の専門家の方いらっしゃいますね。恐らくそういう方も、やっぱりこの安保法制違憲じゃないかと思われている方、内心思われている方、いるかもしれない。でも、思っていなかったとしたらそれは三八%の方であって、世論は五〇%は違憲だというふうに思っているわけですね。
 私が心配しているのは、こういう状態。まず、私、やっぱり大臣にはっきりおっしゃっていただきたいと思うのは、法の、司法の、法をつかさどる責任者、番人であるということをおっしゃっているわけですよ。そういう方が、やっぱりこういう違憲状態が疑われているものについて、内閣の一員だからやむを得ない面も、私その辺は理解してしまうんですけれども、でも、やっぱりそれは人間として、やっぱり憲法というものをどう守っていくか。
 やはり、日本の立憲主義、そういうことから考え、法の支配ということを考えたら、この一年余りも違憲状態が続いている、そういう状態というのは、これ本当に憲法を無視したという、もう本当に粗末に扱っている、こうしたことがやっぱり私たちの生活やら日常の中に影響ありますよ。何でもありになっちゃいますよ。法律守らなくたっていいんだと、そういう雰囲気さえ最近出てきていると思いませんか、いろんなことが。やっぱり、私たちの本当に基本となる法、法律をきちっと守れるかどうかというのは大事なことだというふうに思っています。やっぱり、それがないと、法を守るという意識とかモラルとか、それこそモラルの方にも私は影響してくるんじゃないかと思っています。そういうしっぺ返しというのはもしかしたらあるんじゃないか、私はそんな心配もしています。
 憲法、私個人としては、今の憲法、国際情勢の中で、そして日本の置かれている立場の中で、今の時代に合わないところがあって変えるべきところもあるかもしれない、そういう議論はすべきであるというふうに考えていますけれども、この安保法制の違憲状態が一年以上も続いている、これを考えると、改正の論議よりも、まずこちらを正すことの方が私は大事じゃないかということを申し上げて、この問題については終わりにしたいというふうに思います。
 それからもう一つ、今後大きな課題となる法整備について今度は伺いたいというふうに思うんです。
 二〇〇一年のいわゆる九・一一、世界同時多発テロありました。本当に大勢の方が犠牲になりました。そして、それをきっかけに世界各地でテロが頻発、そして現在もまだそういう危機に私たちの社会は瀕している、そういう状態が続いているわけですけれども、この九・一一テロの後、国連は国際組織犯罪防止条約というのを採択しました。私たちの国、我が国も二〇〇三年の五月に国会でこれを承認しています。
 やはり、テロ犯罪を防止するための法整備ということが言われておりまして、そのために、二〇〇四年、二〇〇五年、そして二〇〇六年、法案が検討されていました。このときは成立はしませんでしたけれども、今もまだテロの脅威というのは世界中各地で続いております。
 こうした状況を受けて、やはりテロ防止のための法、法律、法整備、そういうものは今まだ必要というふうに大臣は考えていらっしゃいますか。
#86
○国務大臣(金田勝年君) 既に百八十七の国と地域が締結している国際組織犯罪防止条約、いわゆるTOC条約と言っておりますが、これを締結をいたしまして、国際社会と協調してテロを含む組織犯罪と闘うことは重要な課題であると考えております。この条約の締結に伴います法整備を進めていく必要もあると、このように考えております。
#87
○真山勇一君 私も法整備を進める必要はあると思います。テロというのは、いつ、どこで、何を対象にして起こるか分からないという、そうした大変卑劣な犯行であり、大変社会を不安に陥れる、そういう行為であるということなので、やはりこれを防止するということは、これはもう必須なことではないかというふうに思っておりますけれども。
 ただ、これまで三回にわたって出された法案、これに非常に懸念があったことも大臣はもちろん御存じだというふうに思うんですね。どういう懸念があったかというと、テロの犯罪防止、主な目的ですけれども、非常にその犯罪の定義というのが曖昧だったり、あるいは拡大解釈されて犯罪が非常に多いとかいろいろありました。
 こういう懸念がある、いわゆる、前回の法律、ちょっと私読んだら、この法案、条文の中にやっぱり共謀という言葉が出ております。いわゆる共謀罪ということになります。共謀罪ということは、何人かの、複数の人間がある企てをすることを相談して、そしてそれを実行するというような、そういう内容の罪になるというふうに思うんですが、その共謀罪という疑いを持たれるようなそういうこの法案、三回出されたものが、懸念、心配がある。つまり、余りにも曖昧な定義で、団体とか、あるいは話し合うだけで犯罪になるんではないかと、いろいろあったわけですね。そういう懸念がありました。
 今、必要というふうに大臣おっしゃったんですけれども、当然、必要ならば新しい法案あるいはこの過去に出された法案をそのまま出されるのか、いろいろあると思うんですが、そういうことが考えられると思うんですけれども、今の段階で、必要だとすれば法案は出すのか、それ出すとすると内容というのはどんなふうなものになるのか、前のものを踏襲したものになるのか、あるいはもう少しこの辺りの不安というか懸念を解消するような法案になるのか、その辺りはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#88
○国務大臣(金田勝年君) 先ほどの私の答弁で、国際組織犯罪防止条約の締結に伴います法整備を進めていく必要があるとは申し上げました。もっとも、この条約を締結するための法案については、ただいま御指摘ございましたかつての議論というものがございます。例えば、組織的な犯罪の共謀罪に関して国会審議等で示されました、内心が処罰されることになる、あるいは通常の活動を行う団体も対象となるといったような不安や懸念、そういうものが指摘された国会の審議もございました。そうした不安や懸念を踏まえながら犯罪の成立要件を厳格なものとすることができないかといったようなことを含めて、その在り方を慎重に検討をしている状況であるということを申し上げさせていただきます。
 その在り方については慎重に検討していかなければいけないと、このように思っておりますし、政府として、私どもとして、現在はそういう状況であり、具体的な法案というものを前提としながらお答えをするというような状況ではないことを申し上げておきたいと思います。
#89
○真山勇一君 具体的な状況を前提で話すという状況ではないということなので、前に出された法案とまた違う、前の法案では懸念されたり心配された問題点、こうしたものを整理して、形としては新しい別な法案が出てくるものというふうに私は期待しておりますので、是非そうしていただきたいんですけれども。
 ただ、どうなんですかね。新しい法整備をしなくても、これまである法律の中でテロ活動とかテロ犯罪を防止するということはできないんでしょうか。例えば、国際的に見ると、ほかの国では、特に新しい立法をしなくても、これまである既成の法律の中で十分テロ対策、テロ犯罪防止ができるというふうなことでやっている国もあるんですけれども、その辺りはいかがですか。
#90
○政府参考人(林眞琴君) 国際組織犯罪防止条約の締結のための法整備が何が必要かという観点で申し上げますと、これは基本的にはその条約の解釈に関わることでございまして、外務省においても把握すべきところでございますけれども、私どもの理解におきましては、やはりこの条約は、ある重大な犯罪についてのいわゆるその実行の合意、これそのものを処罰、犯罪化するか、あるいは犯罪組織集団に対して参加する行為、この参加する行為を犯罪化するか、このいずれか一方あるいは双方をこの条約は義務付けておりまして、我が国においてはその二つともこの条件を満たしていないものですから、この条約を締結することができない状況にございます。
 そういった意味で、この条約を締結するためには、やはりこれを締結する要件を満たすための法整備が必要であるというふうに考えております。
#91
○真山勇一君 前に出された法案をひっくり返してひもといてみますと、その中に書かれていることは、やっぱりテロ活動防止、まあ組織犯罪という言葉は使われておりますけれども、テロ活動を防止するというような言葉はありませんし、その一方で、共謀した者はという、共謀という言葉が出ております。その共謀の範囲も非常に曖昧だし広いし、そういうことから、やはりこれまでの法案のままですと、本当に犯罪集団だけでなくて一般の人の例えば自由な表現とか自由な行動とか、そうしたことも、二人以上が例えば集まって何か言ったとする、例えば自分の上司が気に入らないからあいつをそのうちちょっと一回懲らしめてやろうとか、そういう相談をした、それが共謀になりかねないということもあるわけです。
 今、先ほど有田委員が取り上げたように、盗撮の問題もありますね。犯罪を立証するためにこうした計画段階から例えば隠しカメラを備えるとか、あるいは前回の国会で成立した刑事訴訟法の中で見ると、いわゆる盗聴というのがあります。前に比べると、いつでも誰でも監視なしに電話を聞くことができるという、そういうようなことが出てきている。やはりそういう不安というのはどうしても拭えないところがあるわけですね。是非、これから法案を考えるという時点でこうした問題もしっかりと踏まえてやっていただきたいというふうに思います。
 本当に繰り返しになりますけれども、テロの防止ということは、二〇一九年にはラグビーワールドカップの日本大会というのがありますし、二〇二〇年にはオリンピック・パラリンピックもあります。こうしたことで、本当に日本でテロなどが起こっては私はならないというふうに思っています。ですから、テロ活動、これを防ぐための法整備、これは私も否定はいたしません。しかし、法律というのは、できてしまうと、もうお分かりのように独り歩きをするところがあります。ですから、やはりその目的に合わせたしっかりとした法整備が何よりも望まれるのではないかというふうに思っています。
 一般の人たちの中に、自分たちの自由を束縛されるんではないか、表現の自由を侵されるんではないか、そうしたことの疑念とか心配を生むような、そうした法整備ではないものを是非大臣考えていただきたいというふうに思っております。
 それでは、次の質問に移りたいと思います。
 次は、子供の貧困の問題をちょっと伺いたいと思います。時間が短いので少し大まかな聞き方になるかもしれませんが、お許しをいただきたいというふうに思います。
 私、この委員会の中で子供の貧困というのを何回か取り上げてまいりました。子供の置かれている状況というのは、いろんな数字もう出ていますのでそれは詳しく申し上げませんけれども、一人親家庭の半数が貧困であるということは、これ大変なことだと思うんですね。二組に一組が貧困、子供の貧困状態、しかも、法務省にお伺いしたら、離婚も子供の貧困の理由の一つになっているということを認めていただいた。
 つまり、その離婚ということなんですけれども、離婚届を出す、これは個人にとっては大変な大きな決断だと思うんですが、当人だけならまだ、まだ救われるところもあるかもしれませんけれども、子供、特に未成年がいた場合、お子さんたち、やはりとても影響は大きいと思うんです。そして、この離婚ということでこうした未成年の方が、子供たちが貧困状態になるという可能性が多いと思うんですね。
 そのために、私がやはり前の委員会で御紹介した明石市が、離婚届、この離婚届というのを私出したことないのでちょっと分からないんですが、要するに、地方自治体の窓口へ行って離婚届の用紙をもらって、それに書いて、そしてその離婚届を出すと離婚が成立するということだと私は理解しております。やった方はそれで分かると思うんです。
 そういうことで、ただ、離婚届を受け取るだけなんですね、自治体。受け取るだけですよね。何にも多分言いません。それは、離婚するかしないかというのは個人のプライバシーの問題だから。それに、あなた、離婚しない方がいいんじゃないのとか、財産の分与はどうなったとかと聞く必要はないわけで。
 ただ、明石市はちょっと余計なおせっかいをしているわけですね。これは、離婚届の中に前の民法改正で必ず子供の養育についてチェックする欄がある。ただチェックする欄があるだけだったんですけれども、明石市は更に一歩進めて、子供を養育するとか面会交流のことまで言及するような書類を離婚届を受理するときに渡す、これがあったんですね。
 私、今回ちょっと、あっ、法務省もなかなかやるなと思ったのは、法務省が、皆さんのお手元に行っておりますこの「子どもの健やかな成長のために」、非常にマイルドな題名になっていますけれども、離婚したら、お父さん、お母さん、子供のこともちゃんと考えてよというのがこれの私は内容だと思うんですね。離婚届を出した後、子供の養育、それから面会交流したいというのはあると思うんですね。これ見てください、八ページと九ページがこれ一番大事な書類ですね、これ合意書という。あとは、この合意書の各、子供、教育、一緒に養育するためのいろいろな手引が書いてあるということなんです。
 これ、明石市のやり方を法務省取り入れた。やっぱりいいことは取り入れた方がいいと思うんですね。これのいきさつをお伺いしようと思ったんですが、時間がちょっとないのでそれは省きまして、これを配ったときの、全国全自治体にお配りしたというふうに伺っているんですが、そうですか。そして、そのときの自治体の今のところの反応、いかがでしょうか。
#92
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 御指摘のパンフレットにつきましては、今月の一日から全国の市区町村の窓口において、先ほどお話ありましたように、離婚届用紙を取りにこられた方に配付するということにしております。
 各自治体の反応につきましては、まだ今月一日に始めたものですので現時点では把握しておりませんが、その配付方法及び内容について特段問題があるとの指摘は寄せられていないものと承知しております。
#93
○真山勇一君 もう一つ確認をさせてください。割と配付した状況というのは好意的なんでしょうか、それとも何だこれという感じなんでしょうか、どうでしょう。
#94
○政府参考人(小川秀樹君) 先ほど申しましたように、まだ反応として私ども直接受けるところはないわけでございますが、少なくとも何だこれはというような反応は伺っておりません。
#95
○真山勇一君 離婚という個人のプライベートな問題ですけれども、やはり離婚した後、ほったらかしになっていれば、もしかすればよりが戻るかもしれない、子供の貧困も防げるかもしれないということを多少行政がお手伝いするということは必要だというふうに思うんですね。
 明石市は、こういう合意書を配ることと同時に、離婚届を出しに来たら、その離婚届の紙一枚を受け取るだけじゃなくて、こんなにいろんな紙をどさっとどうぞと渡すそうです。つまり、子供の教育のことをちゃんと、養育のことをちゃんと考えてくださいね、そして面会交流もちゃんとやってくださいねということで、「こどもと親の交流ノート」とか、それから「親の離婚とこどもの気持ち」、子供がどんな気持ちで離婚を受け止めているのかというようなことをつづるような、こういうことをやっています。
 こういうことは積極的にこれからやっていっていただきたいというように思うんですが、せっかくこれ、法務省、こういうのを作ったわけです。今後のフォローアップというのをどういうふうに考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
#96
○政府参考人(小川秀樹君) パンフレットとそれから合意書のひな形でございますが、これらについては、法務省のホームページにおきましても今月一日から公開しております。今後もそういった政府広報を通じた周知活動を行うことを予定したいというふうに考えております。
 また、政府としましては、この取組によりまして、離婚届書の養育費の取決めをしているとチェックしたものの割合につきまして、約七〇%まで引き上げるということを当面の目標としておりまして、引き続き関係府省及び自治体と協力して啓発活動に努めてまいりたいというふうに考えております。
#97
○真山勇一君 離婚のときのお子さんをどうするかという問題、大変難しいと思うんですね。やはり簡単にこういう合意書だけでいかないと思うんですね。
 いろんなケースがあると思います。まず、DVというのがありますね。それからもう一つは、連れ去りというのがあります。そういう親にとっては、そんなに簡単に、子供と残された親との面会交流、いわゆる面会をしてお子さんと会うということはなかなか難しいとか、それから養育費も出したいけれども受け取る側が拒否するとか、いろんな問題があると思います。
 ただ、でも私は、子供の貧困というものをお金でどんどんどんどん解決するということもあるかもしれませんけど、やはり親、親子の関係を大事にするということもこれは大事だというふうに思いますので、是非こうした取組、行政も、プライベートに入るところがあると思うんです、難しい問題だと思うんです。是非、でも省庁の壁を越えて、この問題というのは、割とDVとか子供の虐待の問題というのは各省庁にまたがりますので、そういう壁を越えて是非協力してやっていただきたいと思います。
 時間になりました。ありがとうございました。
#98
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
 法務委員会では久しぶりの質問に立たせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、今日は、七月に相模原市で起きました殺傷事件について取り上げたいと思います。
 皆様も御存じのことと思いますが、七月に相模原市の障害者施設で多数の入所者が殺傷されるという大変痛ましい事件が発生をいたしました。死者十九名、負傷者二十七名という多くの命が失われた事件でありまして、その施設の元職員が障害者を殺害するという犯行予告の行動を取った上で殺害に及んだというものでありまして、大変社会に大きな衝撃を与えた事件でございます。
 この事件については、厚労省を中心に検証及び再発防止策の検討チームが設けられまして、先日、中間取りまとめも行われたところでありますけれども、こうした事件の再発を防ぐためには他省庁も連携をした取組が重要であると思います。その中で、法務省も例外ではないと思っております。
 この事件について、神奈川県の黒岩知事はこういうことを言っております。相模原殺傷事件はテロであると。私も同じ思いがいたします。何の罪もない多くの人々を無差別に、また計画的に殺害をすると。法務省は日本の治安、市民の安全、そして人権を守っているわけでございまして、こうした新しい形のテロともいうべき事件について、個別の事件の捜査また訴追、判決の執行ももちろんでございますけれども、二度とこうしたことを起こさないという観点においても是非取り組んでいただきたいと思っております。
 我が党も再発防止の検討プロジェクトチームを立ち上げまして、先日は障害者の支援などに取り組んでいらっしゃる関係団体の皆さんからヒアリングを行いました。そこでお話に出ましたのは、この事件があって、障害を持つ方々の中に、自分は社会にとって要らない存在なんじゃないだろうかと、こんなような大変悲しい思い、また不安な思いが一部広がってしまっていると、こういう指摘がございました。
 そうしたことは絶対にあってはならないわけでございまして、障害があっても、またなくても、それぞれが自分らしく生きていける、また活躍していけると、こういう社会を目指していこうというものは党派を超えて皆さん共通の思いでありますし、また、政府もまさにそうした社会を目指していることと思います。このような事件があったときだからこそ、こうした障害を持つ方々の人権という問題にも更に力を入れていかなければならないと思っております。
 先ほども申し上げたとおり、法務省は人権擁護、これを管轄としている省庁でございまして、障害者の人権を守る、また共生社会の構築というところについてより一層の力を入れていただきたいと思います。
 大臣も、先日の所信の中で、様々な人権問題等への対応、また二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けた共生社会の実現ということについて述べていらっしゃいました。改めて、どのように感じておられるか、この問題について大臣の御所見を伺いたいと思います。
#99
○国務大臣(金田勝年君) ただいま佐々木委員から御指摘ございました。まさに障害のある人に対する差別や偏見を解消するための活動、いわゆる人権啓発活動というものを大切に行っていく、そして差別、偏見の防止を図る、そういう観点と、それから、事件の再発防止という観点から私どもの思いをお答えしたいと、こういうふうに思っております。
 まず初めの人権啓発活動が重要であるということにつきましては、本年四月にいわゆる障害者差別解消法が施行されたこと、そしてまた、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控えているということからも、障害の有無といったものにかかわらず、誰もがお互いの人権を大切にして支え合う共生社会を実現していかなければいけない、だからこそ差別や偏見を解消するための人権啓発活動が重要であって、私どもとしては各種のその活動を実施してきている現状にあります。委員がただいま御指摘されました事件の発生も踏まえまして、障害のある方に対する理解を深めるための啓発活動を改めて強力に実施していきたいというのが一つであります。
 その内容としては、講演会等の開催、それから啓発冊子の配布、各種の活動を行って強力に実施していきたいと、このように思っておりますし、事件の、二番目の再発防止に関しましては、個別事件における検察当局の捜査方針に関わる事柄はコメントを差し控えさせていただきますけれども、一般に、犯罪を防止して国民が安心して暮らせる、そういう安全な社会を維持するためには、刑事司法手続において、犯罪を摘発して事案の真相を明らかにした上で、刑罰法令を適正かつ迅速に適用をして適正な科刑を実現するということが重要であるというふうに思っております。
 したがって、こういう観点から、検察当局におきましても、警察等の関係機関と緊密に連携をしながら適切な対応を努めていく、努力していくものと考えておりまして、私どもはこういう二つの道について努めていきたいと、このように思っている次第であります。
#100
○佐々木さやか君 大臣から御答弁いただきました、特に人権についての啓発活動については強力に推進をしていくと力強いお言葉をいただきました。是非よろしくお願いをいたします。
 次に、テーマを変えまして、児童虐待について今日は質問をさせていただきたいと思います。
 この児童虐待、昨年の一年間の児童相談所の相談対応件数、これは厚労省によりますと十万三千二百六十件ということで、これまでの最多を更新をしております。この児童虐待は、中には大変重篤な案件もありまして、虐待を受けた上殺害されたと、こういう事件も時々報道される状況でございます。
 また、児童の性的虐待というものは、これは命を落とすまでには至りませんけれども、それに匹敵するほど、被害を受けた子供の精神また人生を破壊するものでありまして、これ自体極めて重大な犯罪であると思っております。女児、男児を問わず、そのような被害を受けた児童をどういうふうに保護をして、また、その後の自立のための支援をしていくかと、このことにもっと更に日本の社会は関心を持っていくべきだと思っております。
 この性的虐待について申し上げますと、政府の統計によりますと、平成二十六年度でありますけれども、児童相談所の児童虐待対応件数、この年は八万八千九百三十一件のうち性的虐待については千五百二十件ということでありました。成人の性犯罪被害につきましても、警察などが認知する件数というのは実際の被害のごく一部だというふうに指摘をされております。ですから、この千五百二十件といいましても、子供の場合の性的虐待についてはなおさら、自ら言うことも難しいですし、発見が困難という側面もあります。
 ですから、この数字以上に恐らく大変つらい思いをしている子供たちというのは多いというふうに思っていただきたいと思いますけれども、こうした被害をどのように早期に発見をしていくか、また、更に重篤な被害になる前にどうやって早期に支援をしていくかと、これが非常に重要な問題であります。
 また、法務省におきましては、こういう児童に対する性的虐待というものは極めて重大な犯罪であるということの認識に立って、社会においてもそれがきちんと認識されるように努めていただきたい、適切な訴追、処罰に努力をしていただきたいと思っております。
 この性的虐待を含めた児童が犯罪の被害者になる、また目撃をする、そうした犯罪に巻き込まれる児童に対する事情聴取についてお聞きをしたいんですけれども、こうした子供たちからの事情聴取というものには本来高度な専門性が必要になります。どうしてかといいますと、一つは、子供というのは自分の自ら経験したことと、また他者から言われたこと、聞いたことの情報の区別が付きにくく、誘導、暗示に陥りやすいため、事実を正確に聴取するためには誘導的、暗示的な聴き取り方法を排除した専門的な面接手法が必要であります。二つ目には、体験したことについて聴かれることで更に再体験をする、トラウマをひどくしてしまう、そうした二次被害を防止すると、この必要性がございます。
 こうした観点から、アメリカを始めとして諸外国で多く採用されているのが司法面接という制度でございます。司法面接というのは、面接技法であると同時に、そうした被害を受けた子供たちに関係をする医療機関、福祉機関、捜査機関、訴追機関、そうした関係機関がチームとなって連携して取り組むと、こういうシステムでございます。そうした関係機関から何度も被害事実の聴取を受けて、そのたびに更なるトラウマを負うというような子供の負担をできるだけ軽減させると。また、そのために、そういう関係機関が一堂に会して別室、子供が事情聴取を受けている部屋とはまた別の別室から見守る形で、しかも原則として一回に限って専門的な面接者を介して子供からの聴き取りを行うと。もう子供から事情を聴くことは一回だけですよと、その事件に関してですね、こういうシステムでございます。私は、この司法面接を是非日本でも導入をして普及をしていくべきであるというふうに思っております。
 もう少し説明をちょっとさせていただきますと、この司法面接、要するに誘導的、暗示的でない事情聴取というものは冤罪防止という観点からも重要でございまして、アメリカでこの司法面接が発達してきた契機といたしまして、一九八三年に起こったマクマーティン・プレスクール事件、性的虐待事件という事件があります。この事件というのは、ある幼稚園で多くの幼児が性被害の訴えをしました。その職員や関係者が複数逮捕されたんですけれども、裁判の過程で、その被害を訴えた子供たちの証言というのはカウンセラーの誘導的な質問によって導き出されたものだと、このように判断をされて、要するに供述の信用性がないということで全員が無罪となったと、こういう事件であります。
 ここからも分かるように、冤罪を防ぐためにも必要でありますし、また立件すべきものは適切に立件をしてその公判を維持していくと、こういうためにも、そうした被害を受けた子供たちの事情聴取に当たって供述の信用性をどう担保するかと、こういう観点からも司法面接の技法というものは非常に重要であると、こういうふうに思っております。
 この司法面接については、日弁連などからも導入を求める意見が出されております。それで、実は神奈川で全国で初めて二〇一五年に子どもの権利擁護センターかながわというところができまして、ここでは全国で初めて司法面接とその被害を受けた児童の全身の診察が受けられる、そうしたワンストップセンターであります。ここでは専用の部屋があって、聴き取りのためのですね、別室からは検察官ですとか警察ですとか児童相談所の職員の皆さんが見守りながら、電話でこういうことをお子さんに聴いてくださいとか、そういうやり取りもできるように設備も整っていると、こうした施設というかセンターができました。
 これから徐々に普及をしていってほしいと期待するところでありますけれども、こうした被害児童からの事情聴取について、日本でも現在、警察、検察、児相など関係者の多機関連携を実現していくために取組を進めていただいているというふうに聞いております。昨年は通知を出していただいたとお聞きしましたけれども、この現状の取組についてまず伺いたいと思います。法務省からですね。
#101
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘の多機関の連携によるこの児童虐待の被害児童等についての事情聴取の在り方の連携の枠組みでございますけれども、最高検察庁におきましては、平成二十七年の十月二十八日に、児童の負担軽減及び児童の供述の信用性の確保、こういった観点から警察と児童相談所との連携強化に関する通知を発出しております。この通知の中身におきましては、この児童の負担軽減を図るために、各地方検察庁にまず相談窓口を設置してこれら関係機関との緊密な情報交換を行いまして、その上で警察や児童相談所から情報提供を受け次第、速やかに警察、児童相談所の担当者と協議を行うように周知されたものと承知しております。
 そしてまた、この通知を踏まえまして検察当局におきましてこの相談窓口を設置した上で、具体的な事件におきまして児童相談所と警察との間におきまして、被害児童の事情聴取に先立ってその負担の軽減を図るなどの観点から、まずどのような者がどのような形でこの事情聴取を行うのか、こういったことを協議しまして、場合によってその代表者による事情聴取という、いわゆる司法面接的な手法を取り入れるなどの取組を行っていると承知しております。
#102
○佐々木さやか君 具体的な実施状況、件数などについて、厚労省と警察庁が御存じだというふうにお聞きしましたので、それぞれ説明をお願いします。
#103
○政府参考人(山本麻里君) お答え申し上げます。
 協同面接等の実施状況につきましては、昨年十月に発出した通知において四半期ごとに都道府県等から報告を求めております。平成二十八年四月から六月の実施状況については、児童相談所を設置する六十九自治体のうち三十一自治体において協同面接の実施等に関する協議を実施しておりまして、協議を実施した件数は全国で八十六件でございました。
 この協議の結果行った対応としては、三機関による面接件数が五十五件、それから二機関による面接件数が二十一件、それから各機関における面接内容の情報共有が十四件となっております。
#104
○政府参考人(高木勇人君) 関連通達が発出されました平成二十七年十月以降、全国の都道府県警察におきましては、平成二十七年十月から十二月までの間六名、二十八年一月から三月までの間三十七名、二十八年四月から六月までの間四十名、合計八十三名の児童につきまして、関係機関による協議を行った上での代表者による聴取を実施をいたしまして当該事件を送致した旨、都道府県警察から報告を受けているところでございます。
#105
○佐々木さやか君 今御説明いただきましたとおり、昨年の通知から現在に至るまで徐々にこの協同面接が実施されている件数が増えてきていると思いますので、それは評価をしたいと思います。
 協同面接ということで、私が先ほど説明した司法面接そのものではないわけですけれども、多機関で連携をしていただいて協議をする、その上で面接をするという意味で協同面接ということでございます。ただ、質的にも、また量的にもまだ十分とは言えないと思っております。ですので、今後も更に積極的に行っていただきたいと思っております。
 一つは、やはり例えば性的虐待について言うと、児童相談所が認知している件数だけでも、先ほど申し上げたとおり、一年間で千五百二十件もあると。その中で、先ほど説明していただいたとおり、協同面接が行われている件数はごく僅か、一部なわけでございます。例えば、児童相談所が、これは刑事事件として立件されそうだな、重篤な事案だなと判断して警察とかに連絡をしていただいているんだと思うんですけれども、立件するかどうかというのは警察とか検察側が判断、本来はすることだと思いますし、本当にその後刑事事件にならないかどうかというのはその段階では本来は分からないことでありますし、また、警察の側でも、これは警察、検察、いずれもかもしれませんが、これは児童相談所に関わってもらった方がよさそうだなというふうに判断していただいたものについて連携をするということになると、本来、子供の福祉の観点からどうすべきかということはなかなか、検察官とか警察官は専門家ではありませんので、やはりそういう判断の中で、本来必要に行われるべきものがこぼれてしまっているのではないかと、そこがちょっと私は懸念をしております。
 ですので、いろいろな人員の問題ですとか、様々連携には大変なこともあるかと思いますけれども、できる限り原則連携をするというような方向で是非積極的に行っていただきたいと思いますので、これについて、じゃ、代表して法務省に御答弁をいただきたいと思います。
#106
○政府参考人(林眞琴君) 御指摘のあった連携による対応につきましては、もとよりこれはなかなか、平成二十七年の十月に初めて三者が共同で通知を出したというところで始まったばかりでございまして、新しい試みでございますので、これについては今後とも各機関との連携、強化すべく取り組んでいきたいと思います。
 また、その際には、やはりこの新しい分野の取組については、この部分についてのかなり専門性を高める必要もございますので、そういった部分での内部での研修等についてもしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
#107
○佐々木さやか君 先ほど御紹介した昨年の十月に発出された通知に、厚労省のものですけれども、こうした多機関連携の面接について、三機関で協議、実施する取組を試行的に実施するというふうに通知されておりまして、試行的なものというふうに書かれておりますけれども、この多機関で連携するということは非常に重要で絶対に必要なものだと思いますので、試行で終わらないで、件数が少ないとかなかなかうまくいかないというようなことを理由になくなるようなことがないように、是非更に連携をして進めていっていただきたいと思います。
 今、研修のお話が少し出ましたけれども、ただ連携すればいいというだけではなくて、その中から代表して聴取をしていただくわけですので、その実際に聴取に当たる担当の方が十分な面接の技法を備えていないといけないわけであります。
 そういったところで、検察官や警察官についてはどのような研修を現在実施をしているのか、伺いたいと思います。
#108
○政府参考人(林眞琴君) 検察について申し述べますけれども、この分野は非常に専門性が必要な分野でございますので、法務・検察におきましては、中央レベルの研修の一環といたしまして、まず、例えば多機関連携による司法面接の手法を含めた内容について、その旨の非常に専門性を有しております民間団体主催の研修に直接検事を参加させております。また、司法面接そのものを研究しております大学院教授、あるいは供述心理等を研究している大学教授、こういった方々によります児童の事情聴取方法等に関する講義、演習を中央レベルで実施しているなど、このような形でこの専門性についての研修を今取り組んでいるところでございます。
#109
○政府参考人(高木勇人君) 警察におきましては、被害児童からの聴取に当たる警察官等に対しまして、児童の負担軽減に配意しつつ、信用性の高い供述を確保するための聴取方法についての指導教養を実施しているところでございます。
 具体的には、警察大学校で行われている性犯罪捜査専科等において、被害児童からの聴取技法や指揮官としての留意事項等について講義を行っているほか、管区警察学校や都道府県警察学校においても、実際に児童の聴取に当たる警察官等を対象に講義や具体的な聴取場面を想定したロールプレーイングを実施するなど、児童からの聴取技法の向上に努めているところでございます。
 加えて、警察庁においても、児童からの聴取に当たり留意すべき事項を取りまとめたDVD教材を作成し都道府県警察に配付するなど、児童の心情や特性に配意した聴取方法の浸透を図っているところでございます。
#110
○佐々木さやか君 それぞれ研修を行っていただいているようでありますけれども、やはりこの司法面接の技法というのは非常に専門性が高いものでございまして、なかなか、一日、二日研修を受けたというだけで習得できるというのはちょっと難しいのではないかと思います。
 先ほど紹介した子どもの権利センターかながわを、事業を行っているNPO法人のチャイルドファーストジャパンはこの司法面接についても研修を行っているんですけれども、アメリカで開発されたプログラムを受けていただくと。それについては、五日間の研修日程で、実際に検察官も受けに来ていただいている方もいるようなんですが、やはり五日間ぐらいみっちりやって、また、その五日間だけで全てというわけにもいかないかと思います。そうした意味では、例えば各検察庁に何人かはそうした研修をしっかり受けた方がいて、そういう非常に専門的な技術を持ったその分野のプロフェッショナルの検察官を備えていただくとか、また警察庁もそうでございますけれども、そのように是非進めていただきたいというふうに思いますので、お願いしたいと思います。
 ちょっと時間が限られてまいりましたので、ちょっと質問を飛ばさせていただいて、大臣に、これまでの話を聞いていただいて、こうした犯罪に巻き込まれた、また虐待を受けた子供に対して事情聴取をするために多機関で連携をしていく、また非常に配慮した聴取をしていただくと、こういうことについて、検察官というのもその捜査を指揮する立場にあるわけですから、より技術を深めていっていただきたいと思っております。
 この司法面接ということについて、大臣の御所見を伺えればと思います。
#111
○国務大臣(金田勝年君) どうもありがとうございます。佐々木委員から、児童に対する事情聴取に関連をして非常に重要な視点を幾つか教えていただいたと思います。
 児童の負担軽減、あるいは児童の供述の信用性確保の観点からは、やはり御指摘のとおり、検察、警察、児童相談所といった各お立場が緊密に連携する必要があると、こういうふうに思うわけであります。児童の特性を踏まえた聴取の手法というか、そういうものも用いていかなければならない、そうした点について十分な配慮が必要であると、このように考えます。
 そして、検察当局、私は法務大臣ですから、においても、警察や児童相談所とも連携をしながら児童の負担軽減に向けた取組を行っていくと、そして、今後とも、御指摘の司法面接の手法も含めまして、子どもの権利擁護センターかながわのお話もありました、その司法面接の手法も含めて、児童の特性を踏まえた聴取の在り方についてより一層工夫と改善を図っていき、そして児童への配慮を行っていくことが重要だと、このように受け止めた次第であります。
#112
○佐々木さやか君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 残りの時間で厚労省に二問ほどお聞きしたいと思いますけれども、今児童から聴取を行う捜査機関とか児童相談所のお話をしましたけれども、虐待の第一発見者になる人というのは必ずしもそうした専門機関ではなくて、例えば学校の先生だったりとか、またかかりつけのお医者さんだったりとか、近所の方ということもあるかもしれません。そういった方が最初のSOSをキャッチするということも多いわけでございます。子どもの権利センターかながわではリフカー研修というものもやっておりまして、これは、虐待の第一発見者がその子供にどう対応するかということも非常に重要だということで、そうした第一発見者が虐待通告に必要な情報を適切に子供から聴き取るための研修ということだそうです。
 こうした研修も多くの方に関心を持っていただければなとは思いますけれども、この研修にかかわらず、そうした第一発見者になり得る方たちに対して、被害を受けていると思われる児童にどう接していったらいいのか、どういうふうにその被害を把握していったらいいのかということを啓発、また必要な情報を提供していく、こういったことも非常に重要だと思いますけれども、どのように取り組んでいかれるのか、お聞きしたいと思います。
#113
○政府参考人(山本麻里君) 議員御指摘になりましたように、児童虐待が深刻な事態に陥らないよう、関係機関が緊密に連携し、虐待の早期発見、迅速、的確な対応に取り組んでいくことが重要であると考えております。
 厚労省では、保育所、幼稚園、学校、医療機関等児童虐待を発見しやすい機関で従事する者の児童虐待の早期発見や関係機関との連携の必要性について研修を行う都道府県等に対しまして財政支援を行っているところでございます。
 また、実際に関係機関で児童虐待と思われる児童を発見した場合に、迅速かつ円滑に連携が図られるために、要保護児童対策地域協議会の適切な運営支援や専門性強化を進めているところでございます。
 さらに、内閣府とともに、毎年十一月を児童虐待防止推進月間と位置付け、関係府省庁の協力を得ながら児童虐待防止のための広報啓発に集中的に取り組んでおります。その中で、児童虐待を受けたと思われる児童や家庭の特徴や通告先等について、学校、医療機関等の関係者も含め広く国民に意識啓発を行っていきたいと考えております。
 今後とも、これらの取組を通じて、関係府省とも緊密に連携をいたしまして、虐待の早期発見、迅速、的確な対応に全力を挙げていきたいと考えております。
#114
○佐々木さやか君 最後に一問、厚労省にですが、子どもの権利擁護センターかながわというのは、先ほども申し上げたように、全国で今唯一、司法面接と、また被害を受けた児童の全身の診察、その診察台なんかも子供に負担が掛からないように配慮をした、そういう設備を備えています。
 成人の性犯罪被害者の方たちのワンストップセンターも全都道府県に一つ是非つくってほしいと思うんですが、こういう子供たちのワンストップセンターも必要だと思いますが、いかがでしょうか。端的にお願いいたします。
#115
○政府参考人(山本麻里君) 今御紹介いただきました子どもの権利擁護センターかながわについては、子供が性的虐待などを受け、子供から事情を聴かなければならない場合に、調査、捜査のための面接と全身の診察を受けることができる機能を有しており、子供の心理的負担に配慮した面接と診察をワンストップで実施する取組の一つと認識しております。
 協同面接は、地域の実情や体制に応じ適切に実施されることが望ましいと考えておりまして、今後、各自治体における取組の実態を把握し、好事例を全国に周知することにより、子供の心理的負担に配慮し、面接と診察をワンストップで実施する方策の普及について努めていきたいと思っております。
#116
○佐々木さやか君 終わります。
#117
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほどの有田議員に続きまして、大分県警別府署による別府地区労働福祉会館の隠し撮り捜査についてお尋ねしたいと思います。
 資料をお手元にお配りをしておりますが、一枚目は、この問題についての警察庁の認識と取組について提供を受けたものです。一言で言いまして、これで幕引きを図ろうなどとんでもないと厳しく指摘をしなければなりません。
 先ほど有田議員の質問にもありましたけれども、侵入行為は七回なんですね。三枚目の大分合同新聞、八月二十七日付けの記事を御覧いただきますと、別府署の隠しカメラ事件をめぐる主な経過として、先ほど有田議員が確認をされたその七回の侵入行為が簡潔にまとめられております。
 ところが、この警察庁のまとめ資料にもあるように、九月の二十一日に警察官四名が略式起訴をされた。九月二十七日付けで罰金、阿南刑事官十万円、以下五万円などの略式命令が下されましたが、この略式命令の中身というのは一体どうなっているかと。
 そこで、最高裁刑事局長おいでいただきましたけれども、確定した有罪判決の罪となるべき事実を御紹介ください。
#118
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 罪となるべき事実は起訴状記載の公訴事実を引用するとなっておりまして、公訴事実について個人名を仮名とさせていただいた上で読み上げますと、被告人A、同B、同C及び同Dは、共謀の上、正当な理由がないのに、別表記載のとおり、平成二十八年六月十八日午後十一時十四分頃から同月二十一日午後九時四分頃までの間、五回にわたり、別府・杵築・速見・国東地区労働者福祉協議会会長Eが看守する大分県別府市大字別府三千八十八番地の七十二所在の別府地区労働福祉会館敷地内に侵入したものであると記載されております。
 そして、別表には、番号一、犯行年月日、平成二十八年六月十八日午後十一時十四分頃、番号二、犯行年月日、平成二十八年六月十九日午後十時四分頃、番号三、犯行年月日、平成二十八年六月十九日午後十時三十二分頃、番号四、犯行年月日、平成二十八年六月二十日午後十時三十八分頃、番号五、犯行年月日、平成二十八年六月二十一日午後九時四分頃と記載されております。
#119
○仁比聡平君 その新聞記事の経過にまとめられている行為というのは、侵入行為としてはそういうことで特定されていると。ところが、その目的は、正当な理由がないのにというふうにくくられているだけなんですね。
 警察庁に伺いますけれども、この確定有罪判決を受けている五つの侵入行為の目的はそれぞれ何ですか。簡潔にお答えください。
#120
○政府参考人(高木勇人君) お尋ねの行為は、本年七月施行の参議院議員通常選挙の違反取締りに当たっていた大分県別府警察署において、公示日より前に、公職選挙法で選挙運動が禁止されている特定の人物がこれに反して選挙運動をしていると疑われる複数の情報を入手したことから、この特定の人物の違反行為に関する証拠を採取するため、ビデオカメラを設置して同敷地内の駐車場及び会館への出入口を撮影し、その映像を確認するために立ち入ったものでございます。
#121
○仁比聡平君 私が問うているのは、具体的に一回一回何を目的にして入ったんですかと聞いているんです。
 私の方で端的に聞きますが、この起訴された一個目の行為は、二台目のカメラを設置した行為。二個目の行為は、チェーンを乗り越えて二回にわたって侵入した行為。それは、記録媒体や画像の確認のためが目的ですね、二回目、三回目は。そして、その次の行為は、記録媒体を持ち帰った行為、持ち帰るための侵入。そして、最後、記録媒体をカメラに入れるための侵入。そうでしょう。
#122
○政府参考人(高木勇人君) 合計七回の侵入行為について御説明をいたしますと、一回目は、六月十八日、会館の西側のり面から雑草地に入ったものでありますが、このときはビデオカメラを設置をしておらないものでございます。二回目は、同日、再び西側のり面から立ち入って、一台目のビデオカメラを雑草地に設置をしたもの。三回目は、同日、会館駐車場を通って雑草地に至り、二台目のカメラを設置したもの。四回目及び五回目は、六月十九日、会館駐車場を通って雑草地に立ち入ったもの。六回目は六月二十日、七回目は六月二十一日に、それぞれ会館駐車場を通って雑草地に立ち入ったものでございます。
#123
○仁比聡平君 私は、何のために立ち入ったのかを聞いているんです。
 記録媒体や画像確認、あるいはその記録媒体の持ち帰り、そして記録媒体をカメラに入れる、つまり、一遍持ち帰っちゃっているわけだからSDカードが入っていない、そこに入れに行かなきゃいけないということで入ったんでしょうということです。
#124
○政府参考人(高木勇人君) ビデオカメラを設置した後の立入りにつきましては、SDカードを交換するため及び設置したビデオカメラの撮影内容を確認するために立ち入ったものでございます。
#125
○仁比聡平君 この一回目の行為、つまり起訴されていない十八日午後七時台の立入りですけれども、これ、設置できなかったというのはなぜですか。
#126
○政府参考人(高木勇人君) 設置場所として適切に設置をすることができなかったというふうに現場の警察官がその当時判断したものと承知をしております。
#127
○仁比聡平君 そう言い訳をしているということでしょう。先ほど有田議員の質問にもあったように、その時間帯にはこの労働福祉会館に人がいたんですよ。だから、こうこうと電気も付いているわけですよ。ここで設置をしてごそごそやっていたら見付かるから、だからこの一回目は設置できなかった。で、十時過ぎにもう一回やり直してカメラを設置したというのが二回目の行為じゃないですか。ところが、これを起訴もしないと。
 大臣にちょっとここでお尋ねしておきたいと思うんですけれども、別府の夜というのは本当に静かでございまして、夏に掛かってきているとはいえ、七時台というのももう随分静かなんですよ。まして、夜十時過ぎということになるとひっそりしているという、そういう様子なんですけれども、大臣は、そういう中で警察官が十時過ぎとか十一時過ぎとかこういう時間帯に何で入ったのか、何でこんな時間帯なのか、どう思われますか。
#128
○国務大臣(金田勝年君) 委員の御質問に対しましては、お尋ねは、既に確定しました個別具体的な事件における証拠の内容や裁判所の判断に関わる事柄でございまして、お答えは差し控えたいと思います。
#129
○仁比聡平君 やはり政治家として、本当にそれでいいのかと思われませんか。大臣だって選挙を戦ってこられている。
 カメラを設置して、夜陰に乗じてですよね。これは、これまで警察が弁解をしてきたような、公有地と勘違いをしただとかいうお話もありましたけれども、そういうことではなくて、つまり、管理者の承諾を求めようとするどころか、逆に絶対に知られずに人目がなくなるときを狙って隠し撮りカメラを付ける、そのことによって隠し撮り行為を行うという断じて許されない権力犯罪、卑劣な権力犯罪だと私は言うべきだと思うんですね。
 これ、法務省刑事局長、何で最初の二回の行為、起訴していないんですか。
#130
○政府参考人(林眞琴君) 御指摘の最初の二回の侵入行為につきましては、検察当局において、最終的にその関係各証拠を総合して検討した結果、この犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分であると判断したものと承知しております。
#131
○仁比聡平君 つまり、この一回目、二回目の行為、とりわけ二回目なんて、その後の隠し撮りのカメラを設置しているわけでしょう。その行為が適法だとでも言うのかと。
 ここには、侵入は建造物侵入罪に該当する違法行為だが、隠し撮り捜査は不適正というふうに切り分けて、その違法性、違憲性を認めようとしない捜査当局とそして政府の立場が、私、顕著に現れていると思うんですよね。そうした言い訳をずっとしてきましたが、そんなことで幕引きなど絶対に通用しないと。
 その下で、昨日、高木審議官が刑訴法百九十七条一項に抵触するということを初めてお認めになりました。これ、法務省刑事局も同じ認識ですか。
#132
○政府参考人(林眞琴君) 御指摘の捜査について、警察当局において、撮影する必要性、相当性が認められない不適正な捜査であって、刑事訴訟法百九十七条に抵触する旨答弁したものと承知しております。
 刑事訴訟法百九十七条一項本文は任意捜査の原則を定めたものでありますが、法務当局といたしましても、この本件捜査が任意捜査として許容される範囲を逸脱したものであるという警察当局の考え方について異論はないものでございます。
#133
○仁比聡平君 そのようなことを昨日になってやっとこさ認めるというようなていたらくなわけですよ。
 私は、そもそも、こうした重大な権利侵害を伴う捜査手法を任意捜査だと言い、だから警察の判断でやっていいんだと言っている、そうした捜査当局と政府の大前提が間違っていると思います。
 こうした重大な権利侵害をもたらす捜査手段というのは、これは強制処分というべきであって、強制処分の法定主義、そして事前に裁判所の令状審査を受けなければならないという令状主義、この憲法に基づく大原則の縛りが掛からないとおかしいわけですよ。しかも、侵害される人権は、プライバシーであり、思想、信条の自由であり、政治活動の自由、あるいは選挙運動の自由であるとともに、憲法二十八条に基づく労働組合の団結権を侵害しているわけですね。
 警察庁は、高木審議官、昨日の御答弁の中で、公道上における違法行為を現認するなどの代替手段が考えられるから必要性、相当性はないみたいな御答弁をされましたけれども、今回の件もカメラの設置場所が公道上であればやっていいとおっしゃるんですか。
#134
○政府参考人(高木勇人君) 捜査の目的でその対象者をカメラで撮影することは、最高裁判所の判例においても、捜査目的を達成するため、必要な範囲において、かつ、相当な方法によって行われる限り捜査活動として適法とされているものと承知をしております。
 ビデオカメラでの撮影が捜査活動として適法となるかどうかは、個別具体の事案に基づいて判断すべきものではございますけれども、選挙違反取締りに当たっては、正当な選挙運動や政治活動への配意等の観点から、カメラの運用について特に慎重を期すべきものと認識しているところでございまして、人権侵害や選挙運動等に対する不当干渉との批判を受けることのないよう都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
#135
○仁比聡平君 いや、つまり、今皆さんお聞きになられたでしょうか。慎重を期すべきだと言うけれども、慎重を期せば、捜査機関の内部の判断だけで、選挙違反事件の取締りだと称して監視カメラを固定し、継続的に不特定多数のそうした人々を録画するということがあるということを今おっしゃっているわけです、この答弁は。
 資料の二枚目に、八月二十六日付けの捜査用カメラの適正な使用の徹底についてという通達をお配りしていますけれども、これ、私、使用の徹底についてと読むべきなんではないですかと言いたいですね。
 これ、一般的に、重大犯罪などについてこうして使うことがあるんだということを書いたものだと言っているんですけれども、これは、例えば殺人などの重大刑事犯罪に対して使うというだけじゃなくて、もう一回確認しますね、同じように、つまり、重大刑事犯罪と同じように、選挙違反取締りでも、労働組合や政党あるいは皆さん政治家の事務所でも、公道や承諾を得た他人の管理地に固定するのであれば、カメラをもって継続的に不特定多数の出入りを録画、できれば録音もする、その必要性、相当性は警察内部だけで判断するということに、これを読むとなるんでしょうか。事務所への出入りが犯罪だとでも警察庁はおっしゃるんですか。
#136
○政府参考人(高木勇人君) お尋ねの通達は、捜査活動のために用いるビデオカメラの適正使用を徹底するためのものでありまして、捜査一般について当てはまるものでございますが、選挙違反取締りに当たっては、正当な選挙運動や政治活動への自由への配意等の観点から、カメラの運用について特に慎重を期すべきものと認識をしているところでございます。
#137
○仁比聡平君 否定しないでしょう。つまり、慎重にやれば、私が申し上げているような、継続的な不特定多数の監視をやるんだということなんですよ。
 そうした捜査が、本当に権利侵害の程度が高くない、捜査上の必要性があるなら比較考量してやっていいというような任意捜査のその範疇で許されるはずがないということがこの発覚した別府署の事件によって明らかになっている、私はそう思います。大体、先ほど判例がというお話ありましたけれども、警察庁の言い分のようなことを正面から認めた判例なんてありませんよ。
 別府署は、隠し撮りを周到に準備をしてきました。今回使われたカメラについてですが、報道映像なんかを拝見すると、ブッシュネルというメーカーのトロフィーカムXLT HD MAXという機種だと思いますが、これ、警察庁、それでいいですか。
#138
○政府参考人(高木勇人君) 大分県警察からは、本件のビデオカメラの機種についてはトロフィーカムXL HD MAXと聞いております。
#139
○仁比聡平君 資料の五枚目、六枚目に、そのホームページのメーカーの資料をお配りをいたしました。御覧いただきますように、人感センサーが反応し、潜む出来事を自動で撮影、警戒心の強い対象にも威力を発揮すると記載されておりまして、音声記録機能だとかセンサーの有効距離だとか、あるいはSDメモリーカードの量だとか、電源なんかを、単三アルカリ電池を十二本で約百八十日から三百六十日間もつという、こうした能力を持っているわけですね。ですから、ニュース映像を見ても極めて解像度は高いわけです。有田先生聞かれた、顔とか車ナンバーとか、これはもう鮮明に映るわけですよね。つまり、根こそぎの人権侵害、この度合いが極めて高いということが既にはっきりしているわけですね。
 これを、一台は駐車場を広く捉える、もう一台は会館出入口をしっかり録音、録画することができるようになっていた、これで間違いないですね。
#140
○政府参考人(高木勇人君) 設置されたカメラの一台は駐車場、もう一台は労働福祉会館出入口を撮影していたと大分県警察から報告を受けております。
#141
○仁比聡平君 つまり、このカメラによって、今回の隠し撮り行為によって撮られていたSDカード四枚、ここにどんなものが映っているのか。これは、警察が任意捜査だと言い張っている隠し撮りがですよ、カメラ捜査がですよ、本当に任意捜査だといって与党の皆さんだって許していいのかということを明らかにする極めて重要な証拠なんですよ。
 私は、この委員会にこのSDカード四枚を提出し、みんなで共有すると、共有するって、ちゃんと中身にどんなものが映っているのかちゃんと見るということがこの法務委員会として極めて重要だと思いますが、警察庁、提出いただけますか。
#142
○政府参考人(高木勇人君) 今回の事案で使用されましたビデオカメラに挿入されていたSDカードにつきましては、別府警察署員四名による建造物侵入事件の証拠品として大分地方検察庁に送致し、現在、検察当局が保管しているものと承知をしておりまして、警察としてはお答えを差し控えさせていただきます。
#143
○仁比聡平君 検察、出してもらえますか。
#144
○政府参考人(林眞琴君) 検察においては、個別事件の証拠として今保管しているわけでございますので、御要望に対しましては、やはりこれは、既にこの確定した個別事件における証拠の提出を求めるものでございまして、これに応ずることは刑事裁判以外の場で証拠の内容を明らかにすることとなりまして、当該事件の関係者の名誉、プライバシーの保護の観点から、あるいは今後の捜査機関の活動において関係者の協力を得ることが困難になるなどの重大な支障が生ずるおそれがございますので、そういった御要望には応じかねるということを御理解いただきたいと思います。
#145
○仁比聡平君 関係者の協力が困難になるって、一体隠し撮りしておいて何言っているんですか。
 当の最大の被害者は、これ一体どうするのかということを懸念をしておられる中で、委員長、私は、是非委員会に提出させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
#146
○委員長(秋野公造君) ただいまの件は、後刻理事会において協議いたします。
#147
○仁比聡平君 もう一つ求めたいと思うんですが、大分県警は、大分県議会の議論の中で、選挙の捜査においてカメラを使用したことがあるのではないかという我が党県議の質問に対して、事実、適正な方法によって使用したことはございますと答弁をしております。つまり、この八月二十六日の通達のずっと前から、警察庁と都道府県警が、選挙違反事件の取締りに当たってカメラ使用という方針を持って実際に使用をしてきたことは既に明らかなんですね。これ、全国的にやってきたわけですね。これ、どのような使用をしてきたのか、そのことを答弁いただくとともに、この全容を明らかにすべきです。
 私は、この全容を、つまり、いつからどんな場合に必要性、相当性があるといって何件やってきたのか明らかにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#148
○政府参考人(高木勇人君) 繰り返しになりますけれども、捜査の目的でその対象者をカメラで撮影することについては、最高裁判所の判例によって、捜査目的を達成するため必要な範囲において、かつ相当な方法によって行われる限り捜査活動として適法と認められるものと承知をしておりますが、選挙違反取締りにおけるビデオカメラ撮影については、これまでもこうした過去の判例等に照らしてその必要性等を組織的に検討するよう指示してきたところでございます。
#149
○仁比聡平君 答弁にさえなっていない。こうやって事の真相を隠し立てをして幕引きを図ろうといったって、絶対に通用しないですよ。
 時間が来ましたからこれ以上の議論はもうできませんけれども、私は、全国で一体どんなカメラ使用の捜査が少なくとも選挙違反取締り事件について行われてきたのか、これを明らかにする責任があると思います。少なくとも、百歩譲っても、大分県警管轄において何が行われてきたのか、これは明らかにしなきゃいけないでしょう。
 私は強く、この委員会にそうした資料の提供をいただくように強く求めたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。
#150
○委員長(秋野公造君) 後刻理事会において協議いたします。
#151
○仁比聡平君 終わります。
#152
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりでございます。
 私は、七月の参議院選挙で議席をいただきまして、今回が初当選後初めての質問ということになります。日頃より、女性の視点、また母親の視点で物事を捉えて、特に教育関連に関心を持っておりますけれども、今回、法務行政については初心者でございますので、これから金田大臣、そして盛山副大臣、そして井野大臣政務官始め法務省の皆様、それから委員の皆様には御指導いただきながらしっかりと勉強してまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 それでは、まず初めに法教育についてお伺いをしてまいります。
 大臣の所信の中に、法的な物の考え方を身に付けるための法教育は自由で公正な社会の担い手を育成する上で不可欠なものである、我が国の未来を担う若者への期待が高まる中で、子供の頃から多種多様な意見を様々な角度から検討し、自ら考える力を身に付けることがこれまで以上に求められ、法教育の重要性はますます高まっている、国民一人一人にとって法や司法制度が更に身近なものになるよう法教育の充実に努めてまいりますというお言葉がございました。
 私も改めて今回勉強をさせていただきましたけれども、法教育は、平成十四年に閣議決定されました司法制度改革推進計画の一環として、学校教育等における司法に関する学習機会を充実させるための方策ということでございます。学校の教育現場で子供たちに法律的な考え方を教え、それから身近な例である契約などの法律関係に関する授業が行われており、学習指導要領にも明記をされ義務化された教育であるということは言うまでもございません。
 これまでも、学校教育の中では社会科ですとか道徳、そういった中で、三権分立の仕組み、社会の決まりやルール、そういったことを守ることの大切さを教えてまいりました。それに加えまして、司法と消費者保護、さらに最近では、注目を浴びている憲法の意義などの学習機会を充実させることは非常に重要であると私も思っております。
 そこで、まずは大臣の法教育の重要性、また必要性についての御認識を改めてお伺いしたいと思います。
#153
○国務大臣(金田勝年君) 委員ただいまお話のございました法教育の重要性について、私も所信で申し上げておりました。
 法教育というのは、そもそも、法律専門家ではない一般の人々が、法や司法制度、これらの基礎になっております価値を理解をして、法的な物の考え方を身に付けるための教育をいうものと考えております。法教育は、社会の中で互いを尊重しながら生きていく上で法やルールが不可欠なものであることを理解してもらう、そして多面的、多角的な課題について自らの意見を主体的に述べるとともに、法にのっとった適正な解決を図ることのできる能力、資質等を養うということを目的にするものだと考えております。
 したがって、このような法教育を普及推進していくことは、自由で公正な社会を実現していくために必要かつ重要なものであると、このように認識をしておる次第であります。
#154
○高木かおり君 ただいま大臣からも御答弁いただきました。大変法教育は重要であって、必要であるというふうにいただきましたけれども、それでは、その法教育の教育現場での現状はどうなっているんでしょうかと。
 法務省の職員等による法教育授業の実施件数というのは、年々増加はしているんですけれども、平成二十七年度には二千九百四十七回実施されていると。全国の小学校、中学校、高等学校の総数が約三万六千校だということを考えますと、実施されている学校は一〇%以下にすぎません。教育現場の先生方は、日常業務も大変お忙しい中、非常によくやってくださっていると思っておりますけれども、法教育の重要性が認識される中で、全国的に見ますとまだまだ少ないように感じております。
 そこで、これを更に広げていくためにはどのような方策をお考えでしょうか、お聞かせください。
#155
○政府参考人(小山太士君) お答え申し上げます。
 委員御指摘ございました、まず、これまでの方策からちょっと御説明をさせていただきます。
 法務省におきましては、平成十七年に外部有識者をもメンバーに加えました法教育推進協議会を立ち上げまして、同協議会を中心として法教育の普及推進のために必要な方策を進めてきたところでございます。
 具体的には、小学生及び中学生向けの法教育教材を順次作成の上、全国の小中学校等に配付いたしましたほか、今議員からも御指摘ございました、全国の小中高等学校に法務省職員等を講師として派遣して法教育授業を実施するなど、法教育の普及推進に向けた各種方策を進めてきたところでございます。
 他方、これまで実施してきました小中高等学校の法教育の実践状況調査というのも行っておりまして、これによりますと、学校現場で法教育を担う教職員の多くが、具体的にどのような内容、方法で授業を進めてよいか分からないと感じている、これが更なる法教育の普及推進の障害となっている、あるいは関係機関から実施を求められる○○教育というものが山積している状況にあるようでございまして、学校現場からは、時間的、心理的負担がなく法教育授業を実施できるよう、法教育に関する実践的な取組方法等を示すことが求められているといったような指摘がなされているところでございます。
 今後のことでございますが、このような指摘も踏まえまして、法務省といたしましては、学校現場における法教育授業の実践拡大のためには、授業を担う教職員の負担を軽減する必要があると考えております。そこで、小中学生向けの視聴覚教材、それから高校生向けの新たに作ります法教育教材、この作成に向けまして、先ほど申しました法教育推進協議会の下に、実際に学校現場で教鞭を執っておられる教職員や法律関係者を構成員といたします教材作成部会を設置いたしまして、この教材等の内容等について鋭意検討を行っているところでございます。
 法務省といたしましては、法教育の普及促進に向けまして、これまでの方策を引き続き進めていくとともに、関係機関、団体との連携をしながら、こうした教材の作成等に向けた検討を積極的に進めていく所存でございます。
#156
○高木かおり君 御答弁ありがとうございました。
 法務省では様々な取組もしていただいているようでございます。法教育の実践状況調査を行い、平成二十五年度には小学生向けの法教育教材、それから平成二十六年度には中学生向けの法教育教材を既に作成し、全国の小中学校に配付済みだというふうにも先ほどいただきました。
 本日、ここにその教材をお持ちさせていただきましたけれども、これは中学生向けのものでございます。例えば、この中に「契約とは何だろう」という単元がございます。日常生活の中から契約だと思うものを挙げさせて、契約の原則を理解させるものでございます。中学生になれば、それなりに高価なものを買ったりコンサートのチケットを入手したりするようなこともありますけれども、そういう日常の中から契約の概念を教えていくということは大変有意義なことだと思っております。
 この中の五十九ページでは、例えば意思の合致、契約の要素、それから合意解約、こういった言葉が説明をされております。とても重要な言葉であるとは思いますけれども、例えば要素という言葉が重要部分である、こういったことをどれくらいの中学生が理解できるのでしょうか。さらに、この六十一ページには動機の錯誤を説明しておりますけれども、民法九十五条の錯誤を理由に無効を主張できる、こういった解説が果たして、これ中学校の教師の先生方の教材であるということですけれども、これを先生方がしっかり理解して生徒たちに伝えるということ、また生徒が理解するということが可能なのでしょうか。
 法教育というのは、先ほど御答弁の中にもございましたけれども、法律の専門家ではない一般の人々が、法や司法制度、これらの基礎になっている価値を理解し、法的な物の考え方を身に付けるための教育というふうにお伺いをいたしました。生徒への指導のための教材ということではありますが、私には大変難しいもののように感じております。
 これが、各学校、配付した後どのような反応だったということはお聞きはしておりませんけれども、これでは、せっかく税金を掛けて作った教材も有効活用ができているのかなというふうに懸念をいたします。そういう部分を補完できるような対策も是非とも御検討いただければ、また子供たちにとっても理解が深まる法教育ができるのではないでしょうか。
 法教育は、先ほども大臣からのお言葉にもあったように、非常に重要で必要なものでございます。それゆえ、是非これまで以上に各省庁、文科省と法務省と、そういったように、各省庁が一体となってこの法教育を推進していくことが必要ではないかと思いますが、最後に大臣の御見解をお聞かせください。
#157
○国務大臣(金田勝年君) やはり御指摘のとおりだと思います。子供の頃から法教育を受けることの重要性、必要性は申し上げたとおりであります。やっぱり、学校の現場におきます法教育がより一層重要になっているということも考えているわけであります。この点、充実した法教育を推進するためには、教育の現場において有益な教材、そしてまた法律実務家の支援の下でその教材が作成されることが不可欠であると、このように考えております。
 法務省におきましては、そのような認識の下に、法務省が主催をいたします法教育推進協議会の委員として文部科学省の職員あるいは弁護士さん方に参画をしていただいて、その法教育推進協議会において文部科学省の学習指導要領に対応しました小中学生向けの法教育教材を作成するといったような努力をしまして、法務省と法律実務家、そして教育現場との連携を図ってきたところであります。
 そして、今後のことを考えますと、私どもといたしましては、文部科学省を始めとする関係機関と更に連携をしながら法教育の普及推進に積極的に取り組んでいきたい、このように考えている次第であります。
#158
○高木かおり君 大臣、本当に前向きな御答弁ありがとうございます。
 私も、これまで教育には本当に関心を持ってまいりました。発言もしてまいりました。それに併せて、生きる力を育み、ルールや決まり、モラルを守っていくようなことを教えるライフスキル教育という活動もしてまいりました。それはまた別の機会にお話をさせていただければと思いますけれども、教育現場での法教育の重要性は大臣とも見解が一致するところでありますので、微力ながらお手伝いをさせていただければと思っております。今後ともどうぞよろしくお願いをいたします。
 続きまして、次の質問に移らせていただきます。
 私の地元の大阪では性犯罪の認知件数が大変多く、平成二十七年度では、強姦は東京に次いで全国二位、強制わいせつは全国最多と深刻な状況でございます。大臣も所信の中で性犯罪に対処するための刑法の改正について言及をされておられます。
 性犯罪改正を定めた刑法改正案は今国会への提出が検討中となっていると聞き及んでおりますが、被害者、特に女性保護の観点からも早期の改正が望まれるところでございますが、いつ頃提出予定なのでしょうか、お聞かせください。
#159
○国務大臣(金田勝年君) お尋ねの件につきましては、法制審議会の答申を踏まえて、そして適切な時期に法案が提出できますように準備を進めていきたいと、このように考えておりますが、現時点でその提出時期は未定であります。
#160
○高木かおり君 この今回の刑法改正に向けての方向性、女性保護という観点からは大きな意味のあるものでございますが、課題は幾つかあるというふうに思っております。
 全ての女性が輝く社会をつくるために、例えば政府としても閣議決定されておられます、すべての女性が輝く社会づくり本部が決定をいたしました女性活躍加速のための重点方針二〇一六によりますと、女性の活躍を支える安全、安心な暮らしの実現といたしまして、性犯罪等被害者のためのワンストップ支援センターの各都道府県最低一か所設置に向けた未設置自治体への働きかけを行う、配偶者等からの暴力の被害者への支援の充実などの施策を打ち出しておられます。
 先週十二日の衆議院予算委員会におきまして我が党の浦野議員からも指摘があったように、ワンストップ支援センターは各都道府県に設置するようになっておりますけれども、いまだ三十三か所しか設置されていない。大臣の御地元の秋田県でもまだ設置されてないというふうにお聞きしております。
 そこで、私の地元の大阪では、全国に先駆けまして平成二十二年にSACHICOというNPO法人が設置されておられます。私も以前にこのSACHICOの代表の方の講演を聞いたことがございますが、先週、大阪の松原市の阪南中央病院内にありますSACHICOをもう一度訪ねてまいりました。
 こちらのSACHICOには、開設以来六年弱の間に、電話相談が二万六千三百八十五件、来所相談件数も四百十四件、これは一か月で約五十七件になります。数人のスタッフで被害に遭った女性の対応をしておりますけれども、来所の人数も年々増えてきている状況で、私が視察をいたしました週末の夜の十時頃でございましたけれども、十六歳の女の子が被害に遭ったという通報が入ってまいりました。お話によりますと、このSACHICOの存在を知って相談に来られて、勇気を持って警察に親告しても、合意だったのではないかと言われて、なかなか加害者を逮捕してくれない、捕まえてくれないんだという切実なお話もお聞きをいたしました。
 性犯罪の被害に遭うということは、女性にとって身体的にも精神的にも本当に大きなダメージでございます。まず、この性犯罪を減らすこと、そのために刑法改正を進めていくということは私は賛成をしております。大臣は所信で、近年における性犯罪の実情等に鑑み、事案の実態に即した対処をするため、法制審議会の答申を踏まえて必要な法整備を進めてまいりますとおっしゃっておられましたが、大臣のお考えになる必要な法整備とはどういったものなんでしょうか、お聞かせください。
#161
○国務大臣(金田勝年君) お尋ねの法制審議会の答申というものは、一つ、強姦罪等の構成要件の見直し及び法定刑の引上げ、一つには監護者であることによる影響力に乗じて性交等をした場合の罰則の新設、一つには性犯罪の非親告罪化といった点に関します刑法の改正を内容とするものであります。
 この答申を踏まえて必要な法整備を進めてまいりたいと、このように考えておるわけであります。
#162
○高木かおり君 今御答弁いただいたように、幾つか改正点はあるかと思います。刑法改正の中で、特に私は非親告罪化となることが大きな改正点の一つだと感じております。
 新聞報道等にもございましたが、法制審議会の議論の中では、先ほど大臣からもおっしゃっていただきましたその監護者であることによる影響力があることに乗じたわいせつ行為等に関する罰則と、こういった新たな犯罪類型が設けられることとなって、家庭内における児童の性的な虐待についても適正な処罰が図られることになるのではないかと思っております。ただ、家庭内であるからこその問題点について、本当にこれは大変深刻なことでございますけれども、それだけに非親告罪化されることに伴って生じる被害者の精神的負担は言うまでもなく、被害者の方々が司法過程に関係することについてのケア、それから配慮がますます必要になってくるのでないかというふうに感じております。
 この法制審議会では、非親告罪化がされても、被害者のプライバシー保護に関する制度、こういうことを丁寧に説明して被害者の意思に反する起訴にならないように努力していくですとか、捜査等の過程の中で二次被害を起こさないように、しっかりと検察官は常に念頭に置いていただいて十分にその心情に配慮をしていただく必要があるというような通達などが説明があったというふうにも承知はしております。
 政府といたしましては、これまで以上に被害者の方々のケアや配慮等をしていく必要があると思いますし、被害者の意思の尊重に関する手続ですとか被害者のプライバシー保護のための配慮について大変重要だと考えておりますけれども、是非とも大臣の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。お願いいたします。
#163
○国務大臣(金田勝年君) 今回の法整備によって性犯罪を非親告罪化した場合には、引き続きやっぱりその被害者の心情に適切に配慮するということが重要になってくると思います。性犯罪におきましては、公判で事件の内容等が公になることを望まない被害者もおられることなんですね。ですから、被害者のプライバシー等の保護が特に重要であって、事件の処分等に当たりましても被害者の心情に配慮することが非常に重要であると、こういうふうに認識しております。
 今回の法整備により性犯罪を非親告罪化した場合にも、検察当局におきましては、引き続き被害者の心情に適切に配慮をするというふうに私は考えております。
#164
○高木かおり君 大臣、御答弁ありがとうございました。
 ただいまの答弁を受けまして改めて申し上げたいと思いますが、刑法を改正するとともに、被害者に寄り添った配慮を行う関係機関が充実するということが求められていると思っております。
 先ほども少し御紹介をさせていただきましたこのSACHICOは病院拠点型と言われる形態で、もう一つ、ほかに相談型という形もございますけれども、私も視察する中で、本当に今被害が年々増えていく現状の中、こういったSACHICOの実情を見ると、レイプや強制わいせつなど婦人科の診療が必要な被害者というのが大変多く、この病院拠点型でないとなかなかその支援、配慮というのは難しいというふうに思われます。
 こういった二十四時間切れ目のない相談体制を取ること、それから専門性の高いスタッフを養成するということ、それから同行支援など、ここには法務省にも関わることではあるかと思いますけれども、同行支援など極めて細かい直接的な支援を行うということ、協力医療機関との連携を図っていただくということ、このワンストップ支援センター、先ほども申し上げましたが、これが設置すればそれで終わりということではございません。これは民間のNPOに頼り切っているというのが現状でございます。
 そういう、大阪のように設置したからいいんだということではなく、これは本当に設置は第一歩にすぎません。このワンストップ支援センターを恒久的な制度とするためにも財政的な支援が何よりも必要なんですけど、これに関しては法務省は管轄外かとは思いますけれども、全ては被害女性を、また被害児童を一人でもなくすために早期の刑法改正を進めるということと、関連して被害者への配慮を行っていただきたいと。そのための関係機関の充実を、是非とも縦割りではなく連携をしっかりとしていただきながら、スピード感を持って前へと推し進めていただけるようにお願いをさせていただいて、この質問を終了させていただきます。
 時間がもう残り少ないので、これにて終了させていただきます。
 本日は誠にありがとうございました。
#165
○糸数慶子君 沖縄の風の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。
 まず、認定NPO法人難民支援協会が今年の沖縄平和賞を受賞いたしました。これは、広く世界に目を向けた幅広い視点に立って国際平和の創造に貢献するために沖縄県が創設した賞であります。難民問題に取り組んでまいりました私にとっても励みとなるもので、引き続き積極的に取り組む決意を表明させていただきまして、大臣の所信表明の中から御質問させていただきたいと思います。
 さて、先日の金田法務大臣の所信表明の中で、適正かつ迅速な難民の保護に関する言及がございました。難民申請者が急増する一方で、就労を企図した者も多く、真の難民の迅速な庇護に支障が生じかねない、一方で、世界の難民問題も深刻化しており、これらを踏まえて我が国の難民認定手続の適正かつ迅速な実施に努めてまいりますと述べていらっしゃいますが、適正かつ迅速な実施とはどういうことか、大臣の御見解を伺います。
#166
○国務大臣(金田勝年君) 我が国の難民認定制度をめぐる状況というのは、委員御承知のように、ここ数年における申請数は非常に急増している。そして、申請内容の多様化、さらには就労、定住や、送還忌避、送還されるのを免れることを意図したと思われる濫用・誤用的申請の存在がございまして、急激に変化をしてきております。
 そうした状況の中で、法務省におきましては昨年九月、難民認定制度の運用の見直しを行いまして、難民の蓋然性が高い案件なのか、逆におよそ難民の可能性がない案件なのかといった案件の内容を早期に見極めて、それに応じた審査を実施するというふうにしたところであります。これによりまして、まずは真に庇護を求める者を適正かつ迅速に難民認定をしていく。そして、その保護に努める一方で、濫用・誤用的申請を抑制することができるように目指しているところであります。
 法務省としましては、今後ともこうした取組を通じまして真に庇護を求める者を適正かつ迅速に難民認定をしてその保護に努めてまいりたい、このように考えている次第であります。
#167
○糸数慶子君 平成二十三年にエチオピア人が裁判を経て難民認定された際、法務省入国管理局が総務課長名で地方入国管理局長向けに出された難民認定手続における客観的情報の取扱いについてという通知文を出したわけですが、大臣は御存じでしょうか。
#168
○国務大臣(金田勝年君) 委員ただいま御指摘なさいました通知の内容につきましては、難民認定審査に携わる者が基本として心得るべき内容であると、このように認識をいたしております。
#169
○糸数慶子君 この資料の一ページには、申請者の難民該当性を適切に判断するためにとあります。読み上げて御紹介したいと思いますが、申請者の難民該当性を適切に判断するためには、一、申請者の出身国における危険性についての客観的情報を取得しておくこと、二、難民調査官が前記情報の内容を正確に把握しておくこと、三、申請者の個別的事情について適切に事実認定すること、四、申請者の個別的事情を出身国における危険性に照らし合わせて、申請者の迫害のおそれの有無及びその程度を適切に評価することが必要不可欠なこととされておりまして、そのいずれかを欠いた場合には難民該当性を適切に判断することは困難となりますというふうにあります。
 この部分は、まさに適正かつ迅速な難民の保護の適正に当たると思いますが、大臣の御認識を伺います。
#170
○国務大臣(金田勝年君) ただいま委員の御指摘のとおり、法務省では、適正な難民の認定のために、政府機関の報告、そして出身国に関する報道、それから国連難民高等弁務官事務所、UNHCRが保有します情報といった、申請者の出身国情報や国際情勢に関します情報を幅広く収集をして難民認定審査の際に参照をしているところでありますし、また難民調査官、これ百四十人いますけれども、この難民調査官が申請者の出身国情報等を適切に活用できるように、UNHCRの協力も得ながら研修を実施しているといったような、この通知にあるとおり、申請者の出身国に関する客観的情報を的確に取得をし、その内容に基づいて正確な事実認定を行う、そして迫害のおそれの有無等を適切に評価をするように努めているところでありまして、こうした運用を今後も徹底していきたい、このように考えております。
#171
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 次に、無戸籍問題について伺います。
 無戸籍の実態調査の必要性については、私も二〇一四年五月二十七日に当委員会で質問させていただきました。その後、法務省は実態調査をされ、無戸籍解消に向けた取組がなされたものと承知をしております。これは一歩前進ではありますが、法務省の調査で判明した無戸籍の方は一部あるいは氷山の一角とも言われております。やはり無戸籍とならないよう、無戸籍となる要因を取り除くことが最も重要であります。
 無戸籍の要因とされる民法七百七十二条の嫡出推定については、二〇〇七年にメディアで大きく取り上げられました。規定のどこに問題があるのか検討する時期に来ていると思います。法制審議会などで議論する必要があると思いますが、大臣の御見解を伺います。
#172
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 無戸籍の問題の根本的解消のために、今御指摘ございました現行の嫡出推定制度を見直すべきであるという意見があることは承知しておりますが、そもそも嫡出推定制度自体は、法律上の父と子供の関係を早期に確定し、家庭の平和が脅かされる事態を防ぐことによって子供の利益を図るというものでございまして、この制度が存在することによってもたらされている子の利益は、全体として見ますと非常に大きいものと思料いたします。また、平成二十六年の七月十七日の最高裁判所判決におきましても合理性を有するものという評価を受けているところでございます。
 この問題は、法律上の父と子供の関係をどのように定めるかという家族法の根幹を成すものでございまして、改正の要否や改正する場合の制度設計の在り方などについては様々な考え方があり得るところでございますので、慎重な検討が必要であるというふうに考えているところでございます。
#173
○糸数慶子君 これ、明治時代の医学水準を背景に作られた嫡出推定規定により無戸籍とならないよう見直しの議論が行われること、それを強く要望したいというふうに思います。
 次に、通称使用と選択的夫婦別姓についてお伺いをいたします。
 三十代の女性が職場での旧姓の通称使用を求めた訴訟で、東京地裁は今月十一日、女性の請求を棄却する判決を言い渡しました。判決は、婚姻後の戸籍姓は旧姓に比べ、より高い個人識別特定機能を有していると指摘されました。また、旧姓の通称使用が認められる範囲が広がっていると認めながら、旧姓が戸籍姓と同じように使用されることが社会において根付いているとまでは認められないと判断しました。さらに、職場で教職員を識別するために戸籍名の使用を求めることには合理性、必要性があるとし、通称使用を認めず、女性の訴えを退けました。
 これは、一方、最高裁におきまして、昨年の十二月、夫婦別姓訴訟の判決で、旧姓を通称として使うことまで許さないものではないとし、改姓による不都合は旧姓の通称使用が広がることで一定程度緩和されるとして、規定を合憲と判断しました。
 今回の東京地裁の判断は最高裁の判断から大きく後退するものであり、通称使用の限界と民法改正の必要性を示した判決だと言えます。最高裁判決では、この種の制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄として、国会に議論を委ねております。法制審議会から法律案要綱の答申を受け、それを引き継ぐ立場の法務大臣ですので、是非この国会の場で議論をしていただくことを期待しております。そこで、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#174
○国務大臣(金田勝年君) 夫婦の氏の問題というのは、単に婚姻時の氏の選択にとどまらずに、やはり夫婦の間に生まれてきます子の氏の問題を含めて、我が国の家族の在り方に深く関わる問題であると考えております。したがって、国民の間にも様々な御意見がございます。したがって、この問題については、国民的な議論の動向を踏まえながら慎重に対応していく必要があると考えております。
 しかしながら、一方で、旧姓の使用が認められないために、女性が強いられております社会生活上の不便を解消していく上で、旧姓の通称使用が認められる場面というものが広がっていくということは望ましいと考えておるわけでありまして、法務省としても旧姓の通称使用の拡大に向けた政府全体の取組に必要な協力をしてまいりたいと、このように考えております。
#175
○糸数慶子君 これは法制審議会から答申され最高裁から国会で議論するよう委ねられているわけであります。法律に基づかない通称使用を推進する、あるいは二つの名前を持つことを推進するということではなく、通称使用には様々な課題があるわけでございますから、今後改めてこの国会の場で審議をするよう、そして法務大臣は国会で議論する責任があるということを強く申し上げたいというふうに思います。
 次に、国連女性差別撤廃委員会は、民法改正を行うよう日本政府に対し再三勧告をしていますが、この勧告が守られていないとして、二〇〇九年の審査では、民法改正を新たに設けたフォローアップの対象としてより厳しく勧告をしています。そして、今年二月の十六日、ジュネーブで行われました政府報告審査は、私も傍聴いたしましたが、委員からはこれまで以上に厳しい意見が相次ぎました。再度民法改正がフォローアップの対象になったわけですが、このまま勧告が実施されなければ、フォローアップ制度そのものを日本が形骸化させてしまうおそれがあります。
 国の行政機関での旧姓の通称使用は二〇〇一年から認められるようになり、法務省も昨年二月二十七日から商業登記簿の役員欄に旧姓を使用するということを付記することを可能といたしました。政府は、女性活躍加速のための重点方針二〇一六に基づく施策の取組に通称使用の拡大を盛り込んでいるわけでありますが、そこで、大臣にお尋ねいたします。選択的夫婦別姓を可能とする民法改正を行うのでしょうか、旧姓の通称使用でダブルネームを持つことを進めていくのでしょうか。御見解をお伺いいたします。
#176
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 先ほど大臣の答弁にもございましたように、夫婦別姓の問題につきましては慎重な対応が求められているところでございますが、他方で、旧姓の使用が認められないために女性が強いられております社会生活上の不便を解消していく上で、旧姓の通称使用が認められる場合が広がることは望ましいというふうに考えておりまして、法務省としましても、省内での旧姓の通称使用の拡大ですとか、あるいは御指摘いただきましたように商業登記規則の改正によって通称を商業登記に併記するという方策も取るところでございます。
 法務省といたしましても、旧姓の通称使用の拡大に向けて、これは政府全体として、女性活躍加速のための重点方針二〇一六にもあるところでございまして、政府全体の取組に必要な協力をしていくということを考えているところでございます。
#177
○糸数慶子君 先ほど申し上げましたけれども、改めまして、やはり法律に基づかないこの通称使用を推進する、あるいは二つ名前を持つことを推進するということでありますが、通称使用については様々な課題がありますので、今後また議論をさせていただきたいというふうに思います。
 次に、先ほども質問がございましたけれども、人権についてお伺いをしたいと思います。
 まず、在日朝鮮人と沖縄県民に対するヘイトスピーチについてであります。
 一点目に、北朝鮮による拉致は我が国への重大な主権侵害であり、核実験は被爆国として到底容認できない暴挙であると憤りを覚えます。しかし、だからといって在日朝鮮人に対するヘイトスピーチや人権侵害が許されていいはずはありません。近年、在日朝鮮人への嫌がらせがエスカレートしているのではないかと危惧しております。核実験があった後に二つの朝鮮学校に対して朝鮮人をぶっ殺すという電話があり、警察に被害届が出たというふうに聞き及んでおります。
 人権を所管とする法務大臣として、こうした在日朝鮮人への人権侵害をなくすためにどのような取組を行うのか、法務大臣にお伺いいたします。
#178
○国務大臣(金田勝年君) 委員御指摘の在日の韓国・朝鮮人に対します言動について、一般に特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動はあってはならないと、このように考えておりまして、ヘイトスピーチの解消に向けた法律が施行されたことを踏まえて、法務省の人権擁護機関では、ヘイトスピーチが許されないことと、この法律が施行されたことを併せて国民一般に向けて周知、広報をしておりますほか、相談体制の整備、啓発活動など、その解消に向けた取組をより一層推進していくことが重要だと、このように考えております。
#179
○糸数慶子君 次に、先ほども有田委員からもございましたけれども、沖縄県民への土人発言についてお伺いをしたいと思います。
 沖縄、東村高江で、ヘリパッド建設に反対する市民に機動隊員が土人と罵倒したことは沖縄県民の一人として許し難い差別発言であり、厳重に抗議をしたいと思います。また、別の機動隊員からはシナ人という発言があったというふうに承知をしております。
 公務中の公務員による市民への差別発言でございますが、これはヘイトスピーチ問題を所管する法務大臣として、どのように受け止め、そしてどのように再発防止策を立てていかれるのか、お伺いします。
#180
○国務大臣(金田勝年君) ただいま委員が御指摘されました警察官の発言につきましては、発言が差別的意識に基づくものかどうかは、その発言の詳細を承知しておりませんので、お答えをしかねると申し上げておきます。
#181
○糸数慶子君 もう言葉が出ないほど、私、今大変ショックを受けております。
 先ほども申し上げましたけれども、この沖縄県の米軍の北部訓練場の工事をめぐりまして、大阪府警の二十代の男性機動隊員がこの運動に反対をしております市民に対して土人と差別的な暴言を吐いた問題でありまして、警察庁の坂口正芳長官は本日二十日記者会見で、不適切であり、極めて遺憾と述べています。この隊員は数週間前に大阪府警から派遣され、工事への抗議活動への対応に当たったわけですが、問題発覚後はその任務から外されているというふうに言われております。
 坂口長官は、このような発言は絶無を期すとともに、適切な警備を行うよう指導を徹底するというふうに述べておりますけれども、それだけには終わらずに、土人と言ったりシナ人と言ったりするようなこの若い機動隊員の発言は、沖縄県知事を始め県民は今大変な怒りを持っております。本当にどのような教育をしているのか。私ども、昨日も実は抗議をいたしました。沖縄県選出の野党議員うりずんの会できちんと抗議をしたところでありますけれども。
 これはちょっと時間がありますので皆様にも聞いていただきたいのですが、明治三十六年、遡っていきますと、一九〇三年に大阪の天王寺周辺で政府主催の第五回内国勧業博覧会が開催されましたときに、この会場の正面に建てられた見せ物小屋に学術人類館というのがありまして、沖縄やアイヌ、朝鮮、台湾の人たちが展示されたという事実がございます。
 沖縄は、選挙でどれだけ県民の民意が表されても国は全く県民の民意を無視して、辺野古に新しい基地は要らない、高江にヘリパッドは要らないと言っても、今、本土の都道府県から機動隊員を、東村高江は僅か百五十名しか住民が住んでおりませんけれども、六百人近い機動隊を入れて、そして反対する市民に対して、先ほど申し上げました暴言を吐いています。県民は、抵抗はするけれども、でも非暴力の抵抗ということで、県民の思いを、豊かな自然を守るために頑張っています。
 私は、今もなおこの〇・六%しかない県土面積の中に七四%の米軍の基地が存在する沖縄の状態で、沖縄の県民がその文化や豊かな自然を守っていきたいというその思いを無視してこのような発言がされたということは、本当に許し難いです。
 それに、法務大臣、やはりこのことについてしっかりと答弁をしていただきたいと思います。
#182
○国務大臣(金田勝年君) ただいまの糸数議員のお話は、本当に私もよく理解しているつもりであります。警察官が不適切な発言を行ったこと、先ほどの答弁でも申し上げたのですが、官房長官が昨日コメントをしております。大変残念であるという思いをおっしゃっていますが、私、法務大臣としても同じ、大変に残念なことだというふうに受け止めております。
 以上であります。
#183
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 また続けて次回質問させていただきたいと思います。
#184
○山口和之君 無所属の山口和之と申します。本日は、法務委員会で初めて質問させていただきます。
 私は、理学療法士として病院に、あるいは病院以外のところでも約三十年間活動させていただいておりました。理学療法士といいますと、病院の中では治療、そしてまたリハビリテーションの専門職として活動させていただいておりましたけれども、リハビリテーションという言葉を普通のことで解釈すると、例えば復職とか、あるいは仕事に戻る、あるいは家庭に戻るといったような感覚がありますけれども、リハビリテーションというのは、障害のために人間らしく生きることが困難な人に対して、人間らしく生きる権利を回復させていこうということがリハビリテーションの根本的なものでございます。誰もが障害を持つことになる、ここにいる皆さんもいつかは障害を持つことになること、可能性もあるというふうな中で大切なことだと思われますので、少し人権の問題に質問させていただきたいと思います。
 自分が三十年間生きていく中で、治療技術やあるいは予防、そんなことで大分世の中が変わってきましたけれども、一方で、社会の受入れ体制もバリアフリーなどが進んで、少しずついい環境にはなってきております。ですが、まだまだ障害のある方々に対してその人らしい人生を送れるかというと、なかなか難しいところもあるのかと思っております。
 自分としては、このオリンピック・パラリンピックというのは社会的な環境が加速的に変わる大きなチャンスではないかなと思っております。そんな中、大臣の所信的挨拶の中で、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて、誰もがお互いの人権を大切にし支え合う共生社会を実現するための人権啓発活動を推進してまいりますと述べていらっしゃいました。
 そこで、まず人権の問題ですけれども、先ほども出ました神奈川県の障害者入所施設で障害のある方々が多数殺害されるという事件がありました。大臣は事件をどう受け止めたのか。また、事件は、全国の障害のある方々、その家族の皆さんに大きなショック、大きな不安を与えたかと思います。その方々に対して、あるいはまた国民に対し、人権擁護を所管する法務大臣としてメッセージをいただけたらと思います。よろしくお願いします。
#185
○国務大臣(金田勝年君) まずは、ただいまの委員の御指摘ございました事件によりまして亡くなられた被害者の方々、そしてまた、その御家族の方々に対しまして心よりお悔やみを申し上げたいと思います。そして、障害のある方の人権に関する人権擁護活動を所管しております法務省といたしましても、極めて残念な事件であると思っております。
 我々法務省では、従来から障害のある方の人権問題を啓発活動の強調事項の一つに掲げまして、講演会の開催、啓発冊子の配付、各種の活動を実施してきております。
 委員がただいま御指摘ありました事件の発生を踏まえて、障害のある方に対します理解を深めるための啓発活動の必要性を改めて認識をいたしておりますし、障害の有無にかかわらず、誰もが互いの人権を尊重し支え合う共生社会を実現するために、より効果的な啓発活動を実施していきたいと、このように考えている次第であります。
#186
○山口和之君 ありがとうございます。
 今回の事件で最も問題なのは、その容疑者が優生思想を持っているということ、弱い者は社会の邪魔になるという考え方で、第二次世界大戦のときにドイツのヒットラー政権下で行われた障害者の大量虐殺、T4作戦を、それを想起させる、想起せざるを得ないとの見解を出した障害者の団体もございます。事件の背景を深く分析して、それを今後の啓発活動に生かしてほしいと思います。
 歴史の中で徐々にいろんなことが変わってきています。一つ一つのことかもしれませんけれども、この人権擁護の、人権擁護局、法務省から発行されている小冊子、あるいは人権教育啓発センターで、障害のある人の人権ということで、パラリンピックに向けてという、こういう小冊子の中にも、障害者という言葉ではなくて障害のある方という言葉に変わってきています。古い体質の中で残っているものが法律用語の中であるのかと思いますけれども、こういったことについても少しずつ変えていって、歴史を大きく変えていただきたいなと思います。
 自分の中で、リハビリテーションの中でいいますと訓練という言葉がございます。例えば、自立訓練あるいは機能訓練という言葉がございますが、訓練というとイメージとしては余りいい内容ではないですが、いまだに残っております。現場ではもうほぼ使わないように努力しておりますが、法律用語として残っております。もし大臣に一言、その訓練という言葉を聞いてどういうふうに感じられるか、少しお伺いしたいなと思います。よろしいでしょうか。質問通告しておりませんが、お願いします。
#187
○国務大臣(金田勝年君) ただいま委員のお話がございました。私はかつて理学療法の先生にお世話になったことがあります。そういう意味において、その持つ意味の、訓練ということの持つ意味を、本当にいろんな意味で申し上げたいことはたくさんあるんですけれども、でも、そういうことを乗り越えていく、その努力というものを、皆さんがしっかりやっているところを私はやっぱり目の当たりにする機会も多かったので、非常にその部分については委員の山口先生とこれからも機会たくさん持ってお話をしていきたいと、こう思っております。
#188
○山口和之君 ありがとうございます。
 法律用語からまず変えていって、そういった社会をつくり上げて、いつの間にか、いつかは、何というんですかね、共に支える社会が本当に実現できる、一人を支える社会ができていくということを期待したいと思います。
 次に、最近の人権侵犯事件の現状、状況について概要を伺うとともに、法務省の取組について伺いたいと思います。
#189
○政府参考人(萩本修君) 法務省の人権擁護機関におきましては、人権相談等により人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、その被害の救済及び予防を図ることを目的としまして、人権侵犯事件として調査を開始し、事案に応じた適切な措置を講じているところでございます。
 この人権侵犯事件の件数ですが、例年二万件を超える数値で推移しておりまして、昨年、平成二十七年に新規に調査救済手続を開始した件数は二万九百九十九件でございました。その中で件数の多い事件類型を五つ挙げますと、学校におけるいじめ事案が最も多く、次いで、DVあるいは児童虐待といった暴行・虐待事案、近隣の住人間のトラブルなど住居、生活の安全関係事案、それから職場のパワハラといった労働権関係事案、あるいはインターネットなどによるプライバシー関係事案になっております。
 最近の特徴的な動向を申し上げますと、もう御案内のとおりですが、インターネット上に掲載された情報が名誉毀損、プライバシー侵害等の人権侵害に当たるのではないかという人権侵犯事件が急増していることが挙げられます。昨年ですけれども、そうした事件の件数は千七百三十六件でした。これは、十年前、平成十七年の二百七十二件から比べますと六・四倍に急増しているところでございます。
 こうしたインターネット上の人権侵害情報につきましては、被害者にその情報の削除依頼の方法を助言し、あるいは法務局が自らその情報の削除をプロバイダー等に要請するなどの対応をしているところでございます。
 以上、最近の動向を簡単に御紹介しましたけれども、今後とも人権侵犯による被害の救済及び予防にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
#190
○山口和之君 是非、日本が最もこういったことが少ない国であるというふうになっていっていただきたいと思います。
 大臣に伺いたいんですが、東日本大震災に起因する偏見や差別をなくすことが啓発活動の年間強調事項となっておりますが、近年の状況と取組について伺いたいと思います。特に福島県、私、福島出身で、また今も住んでおりますので、福島県についてどうかということについてもお伺いしたいと思います。
#191
○国務大臣(金田勝年君) 東日本大震災に起因いたします御指摘の問題につきましては、福島第一原子力発電所の事故の影響で被災されました方々が差別されるなどの問題が生じたということをお話しされているのではないかなというふうに思います。
 法務省では、東日本大震災に起因いたします人権問題を啓発活動の強調事項にいたしております。法務省のホームページへの人権啓発デジタルコンテンツ掲載、あるいはチラシ、ポスターといったものの配布のほか、震災と人権に関する人権シンポジウムを被災地及び全国の主要都市で開催するなどの啓発活動に取り組んできた次第であります。
 最近においては、子供や女性、いわゆる災害弱者に配慮をいたしました復興支援の趣旨も含めたテーマで人権シンポジウムを開催しておりまして、今年度は九月に仙台で開催しましたほか、来年一月には名古屋で開催をする予定であります。震災をテーマといたしました中学生の作文コンテストの入賞作品を題材とした啓発ビデオを作成しまして、DVDの配布やインターネットによる配信を行っております。
 いずれにしましても、震災の記憶を風化させないようにしながら、しっかりと啓発活動に取り組んでいきたい、このように考えています。
#192
○山口和之君 ありがとうございます。
 だんだん差別や偏見というのは少なくなってきているということかと思いますが、原発事故は福島の人たちの心の健康に大きな影響を与えているということを忘れないでいただきたいと思います。
 先日、朝日新聞の全国版に福島県立医科大学の前田先生のインタビューが載っておりましたが、その方のメッセージですが、県外の方に十分考えてほしいのは、悪意のない一言にも福島の人はとても敏感になっているということを述べております。そのとおりだと自分もそう思いますし、根拠のない偏見に基づく一言に傷つけられると、これは人権擁護機関にまで届かないケースが多いのではないかと思いますが、引き続き、置かれた立場に配慮して取組を進めていただきたいと思います。
 次に、受動喫煙の問題を質問したいと思います。
 厚労省が受動喫煙防止を強化する法整備を進めておるところですが、そのような動きに対しては、喫煙者や飲食店経営者等の一部から喫煙の自由や営業の自由の侵害であるという主張がなされているところもあるそうです。しかし、受動喫煙こそが他者危害となるのであり、それを罰則をもって禁止しても喫煙者や経営者等の人権侵害にはならないと、そのことを法務省からもアピールすべきではないかと思っております。法案の成立に向けて国民の理解を促進する必要があるのではないかと思っております。特に、オリンピック・パラリンピックが開かれ、スモークフリーのオリンピックにしていくためにも、大きく変えていくためにもメッセージが必要なのではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。
#193
○国務大臣(金田勝年君) ただいま委員から御指摘ありました受動喫煙防止対策というものは、現在、厚生労働省において検討が進められているものと受け止めております。所管外の私ども法務省において見解を述べることは差し控えさせていただきたいなと、このように思っております。
#194
○山口和之君 少し残念ですが、喫煙の自由ですね、営業の自由も重要な権利なんですが、人権といえども絶対無制限に認められるものではないと、公共の福祉による必要最小限の制約を受けるのであり、他者加害の場合には一定程度不自由でも甘受せざるを得ない、国民の皆様には是非ともそのことを理解したいと思います。法務省には、こういった人権の調整原理についても広報活動を是非行っていただきたいと思います。
 個人的なことなんですが、十数年前までは自分もたばこを吸っておりまして、少しずつ税金が上がっていって、なかなかやめられないということが、何回も禁煙したんですけれども、なかなかできなかった。一気に千円にしてくれれば引導を渡されたように禁煙になれると思っておるんですが、ここで話す内容ではないかもしれませんが、千円にしてもいいのではないかというふうに思っております。
 次に、外国人の技能実習関連についてお伺いしたいと思います。
 技能実習の新法案が提出されているところですが、そもそもなぜ技能実習制度を拡充することになったのか、対象職種の拡大、実習期間の延長は労働力人口が減る中で人材確保対策に見えてしまうところがあります。そのことについてお伺いしたいと思います。大臣、お願いいたします。
#195
○国務大臣(金田勝年君) ただいま御指摘の技能実習制度、これを御検討いただく機会がまたあろうかと思います。よろしくお願いしたいと思いますが、この制度については、開発途上国に技能等を移転するということによる国際貢献を目的とする制度でございます。重要な役割を果たすものであるというふうに考えておりますが、一部に不適切な運用があったということもあって、適正化を図るとともに拡充をするという制度見直しを図ることとしたものであります。
#196
○山口和之君 今回の技能実習の制度改正の背景となった日本再興戦略改訂の二〇一四年、二〇一四では、経済成長のために担い手を生み出すと、その担い手を生み出すというタイトルのくくりの中に外国人材の活用という項目があり、その中に管理監督体制の強化を前提に技能実習制度を拡充と位置付けられております。これは、どう見ても国際貢献というより人材確保策というふうにも見えてしまうんですが、これは法案審議の中で更に詳しく質問させていただきたいと思っております。
 次に、技能実習の職種拡大で介護が追加となりますが、基本的考え方として、介護サービスの質を担保するとともに、利用者の不安を招かないようにすることが重要とされております。
 今後の詳細な制度設計が重要になってくると思いますが、技能実習で国際貢献と言う以上、世界に誇れる質の介護を日本から提供しなければならないと、その質をどう担保していくのかを厚労省に伺いたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
#197
○政府参考人(中井川誠君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、技能実習制度の介護職種の追加に当たりましては、介護サービスの質の担保など、介護サービスの特性に基づく要請に対応できるよう、具体的な制度設計を進めていく必要があると考えておるところでございます。
 そこで、厚生労働省におきまして、介護分野の有識者等に参加、御検討いただきました外国人の介護人材受入れの在り方に関する検討会で提言を取りまとめていただいておりまして、その中では、介護サービスの質を担保するとともに利用者の不安を招かないようにするため、一つは、利用者が安心してサービスを受けるのに必要な程度の言語能力が担保されること、二番目といたしまして、技能実習生であってもほかの日本人と比較しサービスの水準が著しく劣ることがなく安全性や確実性が担保されていること、三つ目といたしまして、利用者との間でトラブル等が起きたり技能実習生の労働者としての権利が侵されたりする状況が生じないようにすることが必要であると。
 こういうことを具体的に制度設計に反映させるための考え方といたしまして、必要なコミュニケーション能力を確保するため、実習生に一定程度の日本語能力を要件として課すこと、適切な実習体制確保のため、技能実習指導員の要件を原則として介護福祉士とすること、三番目といたしまして、利用者と介護者が一対一で業務を行うことが基本となります訪問系のサービスにつきましては、適切な指導体制を取ることが困難であることから、実習実施機関の対象範囲から除外すること、それから、指導する立場の職員の目の届く範囲での実習体制が確保されるため、小規模施設につきましては常勤職員総数に対する介護固有の人数枠を設定すべきことなどが示されておるところでございます。
 厚生労働省といたしましては、こういう考え方に基づいて具体的な制度設計を進め、介護サービスの質を担保してまいりたいと考えておるところでございます。
#198
○山口和之君 実習ということで社会貢献、世界に対する貢献というふうになるのであれば、介護保険が小泉政権下で始まって、サービス自体は広がって大きくあるんですけれども、質の展開というのがやっぱりいま一つ大きなところが欠けていたというふうに思っております。これが日本が誇るケアなんだということを世界に発信するためにも、加速的にここは質を担保していく、あるいはそういう機運を高めていくということが大事だと思いますので、是非、その技能実習に向けて、その機会に質の高い介護を送り出し、国に持ち帰ってもらうためにも、私たちが本気で対応していかなきゃいけないと思いますので、その辺も厚労省についてはよろしくお願いしたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
#199
○委員長(秋野公造君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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