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2016/11/10 第192回国会 参議院 参議院会議録情報 第192回国会 法務委員会 第6号
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2016/11/10 第192回国会 参議院

参議院会議録情報 第192回国会 法務委員会 第6号

#1
第192回国会 法務委員会 第6号
平成二十八年十一月十日(木曜日)
   午後一時十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月八日
    辞任         補欠選任
     藤木 眞也君     丸山 和也君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         秋野 公造君
    理 事
                西田 昌司君
                山下 雄平君
                真山 勇一君
               佐々木さやか君
    委 員
                猪口 邦子君
                中泉 松司君
                古川 俊治君
                牧野たかお君
                丸山 和也君
                元榮太一郎君
                柳本 卓治君
                有田 芳生君
                小川 敏夫君
                仁比 聡平君
                高木かおり君
                糸数 慶子君
                山口 和之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   参考人
       ESUHAI 
       Co., Lt
       d代表取締役   レロンソン君
       公益社団法人自
       由人権協会理事
       移住者と連帯す
       る全国ネットワ
       ーク運営委員   旗手  明君
       神戸大学大学院
       国際協力研究科
       准教授      斉藤 善久君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生
 の保護に関する法律案(第百八十九回国会内閣
 提出、第百九十二回国会衆議院送付)
○出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法
 律案(第百八十九回国会内閣提出、第百九十二
 回国会衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る八日、藤木眞也君が委員を辞任され、その補欠として丸山和也君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(秋野公造君) 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案及び出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
 本日御出席をいただいております参考人は、ESUHAI Co., Ltd代表取締役レロンソン君、公益社団法人自由人権協会理事及び移住者と連帯する全国ネットワーク運営委員旗手明君及び神戸大学大学院国際協力研究科准教授斉藤善久君でございます。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様方から忌憚のない御意見を賜り、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 議事の進め方について申し上げます。
 まず、レロンソン参考人、旗手参考人、斉藤参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いをいたします。
 それでは、レロンソン参考人からお願いいたします。レロンソン参考人。
#4
○参考人(レロンソン君) 初めまして。ベトナムでエスハイという会社を経営しておりますベトナム人のレロンソンと申します。
 この度は、参議院法務委員会での参考人としてお招きいただきまして、外国人である私にこのように貴重な機会を与えていただきましたことを心より感謝申し上げます。
 当社では、現在、KAIZEN吉田スクールという日本語学校運営を始め、人材育成事業を軸に、技能実習生の送り出し、高度人材の紹介、帰国した実習生を含む国内人材紹介事業を行っております。
 私は、一九九五年、日本の進んだ金型技術を学びたくて、留学生として来日し、東京農工大学に進学して、二〇〇〇年、修士課程の機械工学研究科を修了しました。
 そのときの計画では、日本の金型の会社で数年間経験を積み、ベトナムに帰国して親戚と一緒に金型の会社をつくろうと考えていました。ところが、日本滞在中に、日本の産業を発展させているのは、実際は大企業だけではなく四百万社もある中小企業の力であることを知りました。そして、これらの多くの中小企業で直接技術を学び、国際貢献と技術移転を目的とした、当時研修生、現在技能実習制度というすばらしい制度があることを知りました。
 ベトナムの工業が発展し、日本と同様のレベルに達するためには、日本の中小企業の現場を通じてベトナムの若手人材を育てる必要がある、だから、私は金型の一企業を経営するのではなく、ベトナムの若手人材を一人でも多く育てる人材育成事業に人生を懸けよう、そのように決意をして、十年前にエスハイを設立いたしました。
 ここで、少し技能実習制度のベトナムにとっての意義についてお話をいたします。
 ベトナムの人口は現在約九千四百万人、平均年齢二十八歳。三十五歳までの人口が五千万人以上もおり、若い人材は大変豊富な一方、全体的に仕事の経験値が少ない状態です。ベトナムの産業は、現在、日本、韓国、台湾などを中心とした外資系の企業に支えられている状態ですが、発展した現場での実地経験と的確な指導を受けた中間管理職、リーダーといったミドル層の確保が課題になっています。
 ベトナムの企業を見ても、若い会社が多いため、教えられる人材も少なく、大卒というだけで優遇され、実務経験の少ないまま管理職になってしまうことも多いです。このように、経験豊富なミドル層候補の育成が急務という現実を踏まえ、政府の方針も若者の意欲も海外に出たいという流れになっています。
 一方、日本では、中小企業でも経験者が多く、製品は高品質として世界に認められています。高い技術や技能はもちろんのこと、品質、納期、コストなどの物づくりの精神や、信頼や人間関係のつくり方など、今ベトナムが学ぶべきことが多くあり、実際多くのベトナム人が一番勉強したいと思っている国も日本です。
 そうなると、技能実習を通じて一人の日本のファンになる人材が増えます。その人は、帰国後、日本で学んだことを更に自分の後輩や部下に伝えることになり、個人の成長、ひいてはベトナムの発展へとつながります。
 当社の帰国した実習生の進路について、一部御紹介させていただきます。
 東京の西多摩郡の精密機械加工の会社の社長は、後継ぎがいなくて悩んでいたとき、この制度を知り、ベトナム人の実習生を受け入れました。この実習生も、社長の期待に応え、機械加工の技術をしっかり修得し、社長との信頼を築きました。そして、帰国時に社長から機械を一台とホーチミン郊外の小さな敷地を確保してもらい、社長と二人で合弁会社を立ち上げ、彼がメーンとなって工場の操業をスタートしました。現在、スタッフ四十名、工場も二千平米に拡張し、現地の日系企業を顧客として二十四時間稼働しております。この形は、まさに国際事業承継という形になっております。
 また、はかりの製造で百年を超える歴史を持つある新潟の会社では、将来この会社のベトナム工場で働きたいと希望する当社の技能実習生が採用され、彼は三年間しっかりと貢献して仕事を覚えました。その結果、彼は、ベトナム帰国後、同社がベトナムに新設した現地工場の製造リーダーになりました。五年たった今も、同じ元実習生の後輩とともに現場を支えています。
 また、ある実習生は、東京の機械製造の会社で実習後、ベトナムに帰国して二年間金型工場で経験を積みました。ベトナム国内では、これまで中国製のプラスチックのおもちゃが多かった中、ベトナムの子供にメード・イン・ベトナムのおもちゃを作りたいという強い思いから、二〇一五年に独立して小さなおもちゃメーカーを起業しました。
 以上のように、この制度は、本来の人材育成の趣旨の下で行う場合、このような成果になるということを確信しております。
 一方、制度の課題も指摘されており、その中でも大きな課題の一つとして挙げられている失踪の問題について少し触れさせていただきます。
 失踪は大きく分けると三つのケースに分けられると考えています。
 一つ目は、計画的な失踪で、入国してすぐ失踪するケースです。これは明らかに人選の問題です。不真面目な人、学習意欲がない人に多いです。実際、当社では、実習生になるための事前準備コースと内定後の学習コースを合わせて約一年間の教育を受けなければならないため、短期的思考や学習意欲がない者は当社には自然と応募しなくなる仕組みになっています。
 二つ目は、実習期間内の失踪です。三年間の間に、実習先での人間関係や労働環境、不法就労あっせんブローカーによる誘惑によって失踪しているケースが多いと思われます。
 当社の対策としては、まずはこのような企業には実習生を送らないようにします。また、実習期間中は当社スタッフと携帯電話やメールやフェイスブックを通じていつも連絡を取っており、その中で気になる悩み相談が来たら、直ちに事実を把握して、監理団体、企業と話合いを設けて解決するようにしています。
 失礼しました。話す順番がちょっと飛んでしまって。
 三つ目は、帰国直前失踪で、実習生が本国に戻る気がなくなって、日本に残りたくなるケースです。
 当社では、帰国半年前から帰国後の進路希望についてアンケートを取り、帰国後のキャリアアドバイスをしています。実習生の中には、日本にいる時点で、ベトナムにある会社とウエブで面接をするなどして、帰国後の就職先を決めてから帰国する実習生も増えてきました。
 また、実習生が帰国したときには、当社では毎月、お帰り会を開催しております。お帰り会では、教師や同じ時期に出国した仲間と再会を喜び合い、感謝の気持ちと、後輩へのアドバイスを教師と後輩の前で発表します。日本語能力検定のN1、N2合格者には表彰も行います。そして、帰国した実習生向けのパソコン教室、5Sの実務講座、生産管理入門講座、品質管理知識講座などを開き、ベトナムでのキャリア相談と新しい就職先の紹介も行っております。
 ここまで失踪のケースと対策を述べましたが、当社が失踪が極めて少ないという成果を実現できているのは、上記の対策と同時に、当社が保証金を取らないことを最初から徹底し、またさらに教育に力を入れたからです。
 次に、技能実習事業は人材育成事業であると認識すべきだということについて申し上げたいと思います。
 技能実習事業は人材育成事業であるということを関係者全員が共有することが必要です。技能実習制度の事業としてのゴールは、帰国ではなく、むしろ帰国してからいかに活躍できるかというところに設定しなければならないと思います。それは大変手間が掛かることではありますが、この事業に関わる者の共通の責任だと思っております。
 当社では、目先の利益ではなく将来の成功のために目的意識を持てるように、人生と仕事の原理原則の授業も行っております。例えば、日本へ行く目的は、大きな魚を捕りに行くのではなく、釣りの仕方を学びに行くということです。魚は捕っても食べたらなくなってしまいますが、釣りのことができたら一生食べていくことができます。そのためには、謙虚に学ぶ姿勢を忘れないこと、そして信頼関係をつくること、時間を守ることなどを様々なエピソードや日本での実例を基に教えます。
 また、学生が将来、管理職になったり起業したりできるように、三十歳、三十五歳、四十歳までに到達したい目標も考えさせています。当校の学生は、日本へ行く前に、この授業を必修科目として、約一年間、カリキュラムの中で合計百二十八時間学びます。
 このような教育を受けて来日した実習生を人材育成、国際貢献の趣旨の下で受け入れてくれる監理団体や企業はとても多いと感じています。技能の教育はもちろんのこと、社内での日本語教室を開いて、日本語作文コンクールへの参加や日本語能力試験の合格に向けサポートしてくれたり、地元のお祭りなどの文化交流を体験させてくれたりしています。本人たちにとっては、単なる労働者ではなく、あくまでも実習中の身としてケアもしていただいているという意識が企業や監理団体、送り出し機関に対する感謝の気持ちとなります。
 そうなると、技能実習を通じて一人の日本のファンになる人材が増えます。先ほど申し上げましたけれども、そのおかげで、帰国後、本人はしっかり進路を考えて、いろんな活躍、ベトナム製造業やサービス産業に貢献していくことを、先ほど事例も御紹介させていただきましたが。
 ここで、参考になるか分かりませんが、労働許可制を取っている韓国では、ベトナム人の失踪者が約三万人近く上ったため、二〇一二年、受入れが一旦ストップされました。これは、人選、企業のマッチングや事前教育、韓国でのフォローアップ体制、また帰国後の進路サポートといった仕組みが十分ではないためではないかと考えられます。
 以上、この日本の技能実習制度のいい部分は伸ばし、人材育成の趣旨を尊重しない送り出し機関、監理団体、受入れ企業、実習生本人がいれば、それは是正する必要があると思います。今後、新しい制度によって、それぞれ満たすべき条件が明確になって、より良い制度になっていくことを期待しています。
 御清聴ありがとうございました。
#5
○委員長(秋野公造君) ありがとうございました。
 次に、旗手参考人にお願いいたします。旗手参考人。
#6
○参考人(旗手明君) 御紹介いただきました旗手です。
 今日は本委員会にお招きいただきまして、大変ありがとうございます。後は着席させていただきます。
 私は、まず自己紹介兼ねましてですが、今日お配りさせていただきました資料に二つ肩書がございまして、一つは移住者と連帯する全国ネットワークの運営委員ということ、それからもう一つは自由人権協会の理事という立場でお話をさせていただきます。
 簡単に御説明しますと、上の方は移住連というふうに略称しますが、移住連の方は言わば運動団体です。それから、自由人権協会の方はいろいろ提言をしたりしますが、基本的にいろいろ研究をする団体ということです。私の外国人労働者問題との関わりはその両面で行ってきたので、二つの肩書で今日はお話をさせていただければというふうに思っています。
 外国人労働者問題に取り組み始めて、私は四半世紀以上、一九八〇年代の後半辺りから取り組んできております。また、技能実習生、前は研修生という言い方をしておりましたが、一九九九年から取り組んできております。
 かなり昔からいろいろ問題点は指摘させていただいているんですが、現状、例えば外国人技能実習生が全国の自治体の七七%に存在をするというような状況になっております。これは共同通信が今年の五月から七月にかけて行った言わば悉皆調査ということで、全都道府県それから市区町村では九三%の回収率という中での実態です。技能実習生は、今や日本社会に深く浸透している非常に大きな課題だというふうに考えざるを得ません。
 実は、先日、十月の末に、私は東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の持続可能な調達ワーキンググループというところのヒアリングに呼ばれまして、実情を話をしてきました。この組織委員会の取組は、環境、人権、労働等で問題のある企業からの製品やサービス、これを排除をしてオリンピックをつくり上げるというものです。このためのコードを今検討中ということで、参考のために呼ばれたということです。
 私は実態をお伝えをしてきたわけですけれども、例えば、私と一緒にヒアリングを受けられましたジェトロの方なんかは、企業側の立場ということだったと思いますが、海外から技能実習の制度については非常にリスクとして見られていますよという話をされていました。この人権リスクを企業リスクにしないようにという観点からお話をされておられました。こうした調達コード、持続可能な調達コードの取組というのは、今レガシーということが言われておりますが、建物だけではなくて、労働や人権に関わるこうした制度のこともレガシーになればと、オリンピックを通じた日本のレガシーになればという立場で御報告をさせていただいたところです。
 今言いましたような国際的ななかなか厳しい目があるということについては、今日、私のレジュメの五ページのところに概略、五ページの上の方ですね、国際的な批判が集中ということで御紹介をしておりますので、参考に見ておいていただければと思います。
 長年この問題に携わってきた者としては、非常にいまだに残念な思いをしておる次第です。実は、こうしたかなりひどい人権侵害が行われる制度がいまだにこの日本に今も存在するということについては、私の辞書には余りないんですが、国辱的な制度ではないかというふうに考えておるところです。
 実態については今から時間のある範囲でお伝えをしていきたいと思いますけれども、例えば、今回の制度の見直しに当たっては、実は私が知る範囲では送り出し国からのヒアリングというものはされておりませんし、後ほど問題点としても申し述べますが、強制帰国という非常に重大な論点があるにもかかわらず、その点について一切議論がなされていない政府報告といいますか、懇談会報告ということになっていますが、そこにも触れられていないというようなことで、幾つか欠陥を指摘せざるを得ないかなというふうに考えておるところです。
 私のレジュメの四ページを御覧いただければというふうに思います。
 今日の委員会のために簡単な絵柄を用意をしてまいりました。上の方は、いろいろな契約関係、この制度に関わって技能実習生を取り巻く契約関係、登場人物というのは様々あって、非常に複雑な構造になっているという問題が一つあります。もう一つは、いろいろ様々病理現象を指摘をされるんですが、それが一つ一つ、ある技能実習生についてはこの問題、ほかの技能実習生についてはこの問題ということではなくて、一人の技能実習生の方に、この下の図のように全部が全部これがのしかかるというわけではないけれども、多くのケースで重畳的にこういう問題がのしかかっていると。その実態を踏まえながら制度の改善も考えていかなければいけないし、今後の具体的な運用段階での対応も、その辺を踏まえた緻密な実践的な対応が望まれるというふうに考えているところです。
 幾つか具体例を御紹介をさせていただきます。
 今日の資料の中に、レジュメの次ぐらいに入っているかと思いますが、技能実習生強制帰国未遂事件というのが、二というのと、一枚めくると五というのとあると思います。これは、日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書というものに掲載をされた、担当された茂呂弁護士の報告です。
 この二の方は紀さんという方のケースで、最終的には裁判で勝訴をしてそれなりの救済を受けたということなんですが、この紀さんのケースが、その次の資料辺りに入っているかと思いますが、研修生(実習生)保証書というものがございます。紀さんは、実は妊娠をしたからということで強制的に帰されそうになったというケースです。この保証書の第十二条というところに、「女性の実習生は採用後には妊娠しない事を保証する。」というふうに明記をされているわけです。この条項に従って送り帰されそうになったというケースでございます。
 それから、次の五と書いてある石川技能実習生強制帰国未遂事件、これも未遂で終わっているんですけれども、このケースは宋さんという方のケースだったと思います。
 それで、その次の資料で渡日研修生、実習生違反賠償の合意というものがございます。ここ何か所か私の方で下線を引かせていただいておりますが、研修中に他人と不法に同居した場合、外泊して帰宅しない者は直ちに強制帰国、併せて違約金。以下、御覧いただければ結構ですが、恋愛については警告処分、言うことを聞かないと違約金を定める、即刻強制帰国になる場合もあるというようなことが約束をさせられているというケースです。このケースについては、今日お配りさせていただいている移住連のこのニュースレターの十二ページ以降に同じ茂呂弁護士が現場の写真も含めて御報告をしていただいていますので、後ほど参考にしていただければ幸いです。こうしたのが現状の問題点ということになろうかと思います。
 それで、もう一つ触れておきたいのは、現在の改正の対象にはなっていない元の技能実習制度の枠組みなんですが、これは、制度の健全化を維持するのは監理団体が主軸になっている制度設計とされているわけですけれども、私どもから見ると監理団体が一番問題の対象であるというふうに考えております。なかなか表に監理団体の実態は出てこないんですけれども、ある技能実習生をサポートをしていた監理団体の職員が解雇をされて今裁判になっているというケースがございます。
 これも先ほどのニュースレターに一部状況が載っておりますけれども、このケースで、監理団体がどういうことをやっているか、今日はつまびらかに御報告する時間はありませんけれども、これを御覧いただいて、こういう相手に対して有効な手だてを講じられているのかということを一つの判断基準にして今回の法案について御検討いただければというふうに考えております。
 それで、今回の法案について、余り時間がございませんが簡単に私の考えを述べさせていただきますと、規制策と拡大策を同時進行で進めるという提案かというふうに思います。規制策については、かなり今回の法案に書き込まれていると。拡大策については、法案では一応方向性は書かれているんですが、具体的な内容についてはほぼ省令に任されている状況というふうに理解をしております。
 制度の健全化のためにどういうことが必要かということになるわけですけれども、今回の法案では、一言で言えば、上からの規制といいますか、要するに監理する政府なり政府に準ずる組織による規制ということがいろいろ定められております。
 しかしながら、私のレジュメで八ページの一番上の表ということになりますけれども、残念ながら送り出し機関側に対する規制は十分ではありません。これは縦にバツが連なっているところを指します。それから、横にバツが連なっているところは強制帰国です。これに対する対応も必ずしも十分ではありません。この二つは研修生にとって非常に大きな課題なんですけれども、かなりやはりその辺の弱点が今回の法案にはあるかなというふうに思います。ただ、今までよりは一歩前進ということでもあろうかと思います。
 今後の具体的な対応のところで重視していただきたいのは、上からの規制だけではなくて、下からの規制といいますか、問題があったら技能実習生がそのことを訴え出ることができるという体制づくりということが重要ではないかというふうに考えておるところです。
 これは様々な要素があります。簡単に強制帰国されないような環境、あるいは問題があれば実習先の変更が可能であるような環境、それから権利行使の場合に、多くの技能実習生は実習実施機関の有する寮のようなところにいることが多いわけですので、非常に声を上げるのは大変です。ですから、シェルターのような、身を守りながら訴え出るということが可能なような措置を具体的に講ずる必要があるだろうというふうに考えております。
 あと、できましたら、ちょっと時間がないので、後ほど質問があれば簡単に説明したいと思いますが、この制度を乗り越える一つの参考として、韓国では雇用許可制度というものに切り替えるということを二〇〇四年にスタートをさせて、随分と当時半数以上の研修生が逃亡するというような状況から大きく改善をされたということがございますので、こうした韓国の、お隣の国の制度も参考にしながら、現在の制度を乗り越える方向も是非御検討いただけると幸いです。
 若干時間が過ぎましたが、以上で旗手の報告に代えたいと思います。どうもありがとうございました。
#7
○委員長(秋野公造君) ありがとうございました。
 次に、斉藤参考人にお願いいたします。斉藤参考人。
#8
○参考人(斉藤善久君) 神戸大学大学院国際協力研究科の斉藤です。本日は、お呼びいただき、光栄に存じます。
 私は、外国人技能実習制度の適正化と拡大のためには、技能実習生の送り出し側諸国における実情を正確に理解する必要があって、また、それら諸国と連携して目的整合的で一体的な制度としてこの制度を再構築する必要があるんだけれども、本来的にはもう正面から移住労働とか移民労働を検討するべきじゃないかという立場から、以下、ベトナムにおける調査を通じて知り得たところを簡単に御紹介し、また本法案について思うところを数点申し述べたいと思います。
 私は、我が国及びベトナムの労働法を専門としております関係で、その双方に関わる事柄として、特にベトナムからの技能実習生の受入れに係る問題を制度と実態の双方から研究している者です。直近では、二〇一四年度に一年間、ベトナムでの在外研究の機会を与えられましたので、その後半の約半年間、ベトナム側における技能実習生の送り出しビジネスの実態を探るために現地の複数のいわゆる送り出し機関に、何と申しますか、潜入して、ボランティアの日本語教師などとして勤務しながら、送り出し機関の代表者やスタッフ、そしてもちろん技能実習生というか、正確にはその候補生ですが、これを対象とする調査を行いました。
 技能実習生が来日する以前において置かれているこういった背景や状況については、我が国では例えば来日後失踪してしまう者が多いその原因の一つとして指摘されるなど、漠然とした理解は進んでいる感がありますが、特に監理団体や技能実習生が就労している現場の社長さんたちにおいては、いろいろあるけれどもそれは送り出し国側の内部の問題であって私たちは関知するところではないとか、あるいは私たちはちゃんと日本の法律を守っているんだから関係ないよと、そういった態度が取られる場合が多くて、そのこともあって送り出し側も含めた技能実習制度全体の総体としての問題状況の解明や改善が進まず、国際的にいつまでもこの制度は人身売買だとか強制労働だというふうな不名誉な評価を返上することができないという状況に置かれています。
 この点については、我が国において、いわゆる日本的な、言わば家族的な経営が失われて、労働者を単なる労働力であるとかコストというふうにしか把握できなくなってきていることの弊害がこんなところにも現れているのかなというふうに考えています。
 大体そういった問題関心から私はベトナムでの調査を行ったわけですが、この調査は実際のところ非常に難航しました。すなわち、送り出し機関の方が特にお金にまつわる事柄は余り言いたがらないのはよく分かるんですが、困ったことには、実習生の側も幾ら個人的に仲よくなってもなかなか実態をつまびらかにしてくれませんでした。
 結局、何でそうなるかということには大きく分けると二つの原因がありました。
 一つには、彼ら自身が来日直前まで一体その送り出し機関から幾ら請求されるかということを正確に知らされていない場合があるからです。この場合は、もう日本側の受入れ企業も決まって、ビザも取得して、場合によっては航空券も自腹で買わされて、あとはもう日本に飛ぶだけという段階に至って初めて、例えば当初の提示額プラス三千ドル出さないと日本に行かせないとか言われて、慌てて走り回ってそのお金をかき集めることになるわけです。
 なぜそんなだまし討ちみたいなことになるかというと、これも大きく分けると二つの理由があります。
 第一には、送り出し機関が候補者をたくさん集めるためです。送り出し機関にとって候補者はお客さんであると同時に商品です。たくさん抱え込むことによって授業料その他の収入が得られますし、日本側との関係では在庫が豊富で多彩な方がいい。そこで、入所段階では候補者の負担額を安めに伝えておいて、最後の最後に高額の追加請求を行うわけです。第二に、高額の授業料や手数料を徴収したり失踪防止のための保証金を納めさせたりしていることが、その実習生、その家族を通じて日本の、我が国の入管当局にばれた場合は、当該送り出し機関からの実習生はビザを出してもらえないとか入国できなくなるからです。そこで、ビザが発給されて確実に送り出せることになった段階に至ってから更に追加の手数料や保証金を請求するという方法を取っているわけです。
 私の教え子の中にも、その送り出し機関での教え子ですね、の中にも、日本へ飛ぶ当日になって、送り出し機関にもう空港行きのバスが迎えに来て、仲間が続々とみんなそのバスに乗り込んでいるという、その段階になってまだ送り出し機関から請求された金額が準備できなくて、もう家族がお金を工面して駆け付けてくれるのをずっと泣きながら座り込んで待っていたと、そういう若者もいました。
 また、実習生本人が問題状況を話せないもう一つの理由は、たとえ幾ら幾ら支払えということを事前に知らされている場合でも、これを秘密にするように送り出し機関から言い含められていたり、あるいは脅されているからです。
 すなわち、先ほど述べましたように、入管にばれると来日できなくなるし、来日後においても実習の継続とか自分の後輩たちの来日に影響するおそれがある。そうなると、送り出し機関としても保証金を返すこともできなくなるよとか言われているわけです。あるいは、どこかにチクったらおまえのその渡航は後回しにさせるぞとか、そういう脅しが掛かっているわけです。非常にずるいやり方だと思います。
 ちなみに、ベトナム政府は、日本向けの技能実習生について、送り出し機関が徴収する手数料や保証金に関する上限を定めています。すなわち、手数料については、日本で見込まれる収入の月額掛ける就労年数ということで、具体的には千二百ドル掛ける年数、したがって三年なら三千六百ドル、もし五年だとどうなるのか、本当に六千ドルになるのかどうかは未確認ですが、というふうになっています。
 しかし、例えば、じゃ、そこで設定されている千二百ドルが実際にもらえるかというと、例えば岐阜のアパレルなんかでは実質的に最賃以下で働かされているところが少なくないことは、既に今国会においてもほかの方々から御紹介があったところだと思います。また、例えば、私が直接知っている事例でいうと、青森のある電子部品工場ですが、ここでは完全時給制が取られています。もちろん、技能実習生ですからアルバイトは禁止されているわけで、そうなるとゴールデンウイークがある月なんかは地獄だというふうな悲鳴が本人たちから届いています。
 そういった違法ないし特殊かもしれないケースは別としても、授業料以外の手数料が三千六百ドルというのは高過ぎると思います。しかし、実際にはその二倍程度の金額を様々な名目で徴収をしている送り出し機関が少なくありません。
 また、保証金については、ベトナム政府は日本に渡航する技能実習生については三千ドルを上限としてこれを要求することを送り出し機関に認めています。そういう事情もあって、ベトナム国内において送り出し機関は、特に北部の送り出し機関に多いんですが、割合大手を振って実習生に保証金を要求するわけですが、我が国の制度上は保証金を納めていると入国できなくなるわけで、我が国としては、このような制度上の矛盾を送り出し側の各国とも連携して解決していく必要があると思います。
 なお、我が国においては、従前は、不当に高額の保証金を納めさせられている場合のみ入国審査の考慮事項とされていたわけですが、後に、二〇〇九年の上陸許可基準令の改正で、金額によらず一切認めないという取扱いに変更されているわけですが、それが先方に、例えばベトナム政府なりにちゃんと伝わっていないんじゃないかというふうな気もいたします。
 結局、我が国にやってくるベトナム人技能実習生の多くは、送り出し機関で日本語などを学ぶ間の家族の生活費、先ほどのソンさんのところだったら一年間ですよね、私が携わった中では、長い人で二年間も送り出し機関に飼い殺しにされていた人もいましたが、そういった費用も含めて、来日した段階で既に八十万円から百五十万円、場合によってはそれ以上の借金を抱えてしまうことになります。多くの場合、家族や親戚の土地を担保に銀行から借りたお金でありまして、したがって、もし返済できなかったらもう帰る場所を失うことになりかねません。
 なお、土地の問題に関連していうと、政府が農民の土地を収用する場合に、保証に代えて、あるいは保証に加えて、技能実習生などとしての海外での就労をサポートするという制度も設けられています。この場合も、途中で帰国してしまった場合などはお金も土地も残らないという結果に追い込まれてしまう点では同様かと思います。
 ベトナム人技能実習生の受入れ企業の社長さんたちはよく、実習生はいろんな経費を考えると必ずしも安くないんだけど、でも休まないし、辞めないし、だから使っている、でもよく失踪するんだよねというふうにおっしゃいますが、こういった背景から、実際上休めないし、辞められないし、場合によってはやむにやまれず失踪して不法就労してしまうわけです、肯定するわけではありませんが。
 なお、借金に関連して言いますと、技能実習生のこういった問題を議論する場合に忘れられがちな問題として利息の問題があります。
 さきに御紹介したような、渡航直前になって多額の追加的な支払を請求された場合なんかは特に、我が国でいうところの闇金に頼らざるを得ない人も少なくありません。これがなかなかえげつなくて、私もベトナムで試しに借りてみたことがあるんですが、現地でそれなりに私は信用があると思っているんですけど、それでも利息が〇・三%、これは一日ですよ、そうしますと一か月で九%、一年だともう元本超えますね、ということになります。
 さらに、こういった闇金の話は別としても、借金との関係で特に苦しい思いをしている人々の例として、現在審議されている介護の分野での来日を目指している人々が挙げられます。
 ベトナムでは、多くの送り出し機関が我が国における受入れの開始を見込んで、既に二〇一五年の夏ぐらいからはもう見切り発車的に介護職での技能実習生の養成を始めています。もっとも、ベトナムにはそもそも介護士であるとか介護施設といったものはほとんど存在しませんから、だから介護職はそもそも外国人技能実習制度の対象とはなり得ないはずの分野、職種というべきですが、実際にはそれまで看護師として活躍していた人々がその仕事を辞めるなどして送り出し機関で日本語の勉強などをしており、しかし、一向に来日できないまま借金ばかりが膨らんでいくという状況に置かれています。
 まさに、我が国と送り出し国との間の連携不足、我が国の送り出し国側の事情や送り出される技能実習生たち個々人の置かれている状況に対する無関心、無責任によって生み出された被害者というべきです。
 以上、送り出し国側の事情としてベトナムを例として簡単に御紹介申し上げましたが、本法案の内容について、一点、思うところを申し上げさせていただきますと、新しい管理監督体制、管理監督機関、サポート機関を設置してみたり、あるいはより細やかな、細かな手続を設けてみたりするのも確かに一つの改善策と言えるかもしれませんが、一体そのことによって生じる様々な直接、間接の経済的な負担が最終的に負わされるのは誰なんだということを慎重に考えてみる必要があると思います。
 間違っても、人材育成による国際貢献という、もはや誰も信じていない建前を維持するために、途上国から我が国に来てくれる若者たちを現在以上の苦境に追い込むような結果にならないように注意が必要です。
 なお、本日は時間の関係でお金に関する問題ばかり中心に申し上げましたが、もちろん問題はそれだけではありません。
 例えば、造船技術者などのいわゆる職人さんは別にして、さしたる技術もなくて、場合によっては高校を出たばっかりで何らの就労経験も有しないような技能実習生の中には、来日するまで一体自分が日本のどこのどのような会社でどんな労働条件で働くのか、その所在地や基本的な勤務条件すら具体的に知らされていない者も少なくありません。
 労働契約書面は、本人たちが理解できない漢字で記載され、しかも本人たちには交付されず、送り出し機関の事務室に保管されていたりします。送り出し機関側に言わせると、技能実習生たちに事前に失踪の準備をさせないための措置だということですが、許されない権利侵害というべきです。
 また、来日後の彼ら、彼女らの多くが置かれている様々な権利侵害の実情については、既に多くの方々や媒体によって指摘されているとおりです。
 私としましては、我が国が本当に海外からの単純労働力を必要としているのであれば、実際上移動の自由とか職業選択の自由が制限され、その他様々な権利侵害にさいなまれている現在の技能実習生としてではなくて、正面から移住労働や移民労働者として受け入れた上で、ちょうど今般、労働基準監督官を増員するということになったように聞いておりますが、外国人労働者に対応できる労基官も多数養成して配置する、そういった対策を講じることを検討するべきなんだろうと考えております。
 私からは以上です。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(秋野公造君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○元榮太一郎君 自由民主党の元榮太一郎です。
 参考人の皆様におかれましては、お忙しい中、当委員会に御出席いただき、また貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございます。
 私は、今回の技能実習法案が、技能実習制度の適正化と技能実習生の保護に効果を発揮して、技能実習生の皆さんが技能修得に励んで、そして本国に帰国して母国の発展に寄与することを期待しております。
 そこで、このような技能実習法案につきまして幾つか御質問させていただきたいと思います。
 まずは、レロンソン参考人から伺います。
 我が国においては、技能実習制度を廃止して外国人単純労働者を期間を限定して受け入れる、お隣韓国の雇用許可制のような制度を導入したらどうか、このような意見も出てきておりますが、参考人の御意見を伺いたく思います。
#11
○参考人(レロンソン君) 先ほど発表した中でも少し触れましたけれども、今現在、日本の技能実習制度において、国際貢献、人材育成の下でやっておりますけれども、韓国の方ではもっと前、二〇〇四年前までは同じ技能実習制度も使われましたけれども、二〇〇四年以降、雇用労働許可制導入しまして、そのときから、ベトナムから韓国に労働者として派遣できるようになったのは二〇〇四年からですけれども、日本の技能実習制度と違って、政府間、政府の監理の下で、派遣機関でもなく監理団体でもなく、直接政府から政府に対して労働者を許可をしていくことになっております。
 実際行く人は労働者として行くわけですので、教育機関とか、また人選、その企業さん、どこの企業さんに行くか、どこの企業さん採用されるか、前もってこれもマッチングできていない状態で、あくまでも本人は政府に登録して、登録した、抽せんのような、当たりになったら韓国に行ける、韓国に行ったらそうして初めて分かるようになりますので、このような仕組み、労働者を受け入れるにとりましてはいいかもしれないんですけれども、結果的に、二〇一二年、韓国で起きている問題は、合計七万五千人受け入れたんですけれども、その半分、一時的に半分以上の失踪率が出ていまして、合計三万人以上の失踪者が出たわけですね。そこで、韓国政府は、二〇一二年、ストップされたわけです。
 一方、日本の方で、そういった状況ではなくて、あくまでも帰国の前提で、帰国してから本人はどういうふうに活用していくかという制度は定義されていまして、そのとおりにやれば、韓国に行くか日本に行くかという、ベトナムの中で、人の考え方ですね、タイプが二つ分けられています。韓国に行く場合はもう労働者として、日本に行く場合は勉強するための、そういった意欲を持っている人たちが入ってくるんですね。ですから、日本に来る目的は勉強のためですから、勉強、事前期間は必要だということで、各派遣機関の責任で教育をしてもらった上で日本に入ります。
 また、さらに、日本に来てから、もし実習生、人材がですね、現場で問題が起きたときに、政府の監理だけだと日頃のこと分からないんですね。監理団体通じてそういった日頃の実習生からの悩み相談とか、そういった直ちに問題が予防できるし措置もできるわけですので、弊社みたいに、先ほど述べましたように、もし問題起きたらすぐに本人からヒアリングして、実際、事実を確認した上で、団体様と協力して、企業さんと話合いを設けて問題解決できる。この問題、こういうことができるおかげで問題はほとんど起きていないわけですので、本人は安心できるんですね。
 一外国に行って、一人は、何もその国の文化も言葉もできなければ心細く、そういった手伝ってくれる体制が必要だと思っておりまして、ですから、韓国の労働許可制の形、もし今後日本でも導入をすれば、いろんなまた良くない部分もあると思いますので、それは検討していただいて、今の制度のままで伸ばしていただいて、国際貢献通じて、ベトナムのこれから発展するためには、日本の技能や技術、それだけじゃなくて文化のことも勉強させていただいて、若者が本国に帰って活躍してもらえると国としても助かるということは考えております。
#12
○元榮太一郎君 ありがとうございます。
 レロンソンさんの記事も含め、そして今日のお話も含めまして、技能移転等による国際貢献、国際協力、そのようなまさに体現者だと思うんですが、実際に技能実習生として送り出して戻ってきます。その際に、エスハイで働いたり、自ら送り出し機関、会社を立ち上げるような人というのはどのくらいの割合いるんでしょうか。
#13
○参考人(レロンソン君) 割合というのはもう全くゼロに近いんですね。ただ、今弊社のスタッフは二百人の体制でやっておりまして、その中で日本語の先生ですね。帰国生、非常にこの制度が良くて、もっと後輩に伝えたいことがいっぱいありますので、自ら弊社に就職したいと。その先生は三人、日本語ですね、N2以上を持っている人。また、お客様、企業様が来られるときにその対応をフォローするための言葉も堪能な元帰国生二人も今現在活躍しております。
#14
○元榮太一郎君 ありがとうございます。
 次に、斉藤参考人にお伺いします。
 今、レロンソン参考人のように、技能実習の制度理念である国際貢献、実現していると思われる例があるわけですが、その点について参考人はどのようにお考えでしょうか。
#15
○参考人(斉藤善久君) 先ほどレロンソンさんがおっしゃったとおり、このようなすばらしい送り出し機関であっても、実習後帰ってきて、その技術を本来の分野で発揮する人はほとんどいない。結局、送り出し機関で働くわけですね。それがいいビジネスだからだと思います。そうなってしまっているのが現状だと思います。
#16
○元榮太一郎君 ありがとうございます。
 今のレロンソン参考人の意見陳述によりますと、送り出した実習生で戻ってきた方の中で、実際にその送り出し事業に関連している元実習生はさほどいないというようなお話があったかと思いますが、その点についてはいかがですか。
#17
○委員長(秋野公造君) どなたに。
#18
○元榮太一郎君 斉藤参考人に伺います。
#19
○参考人(斉藤善久君) 先ほどのお話、私の理解では、日本で学んだ知識、技術を本来の分野でベトナムなり母国で生かして働いている方はほとんどいないというふうに聞きましたが、そうではなくて、むしろ自ら送り出し機関を立ち上げたり、そこのスタッフになったり、あるいは日本語の先生になったりする人が多い。それは、私が実際に関わった実習生たちでも本当に多いです。実際に希望としてもそうです。
#20
○元榮太一郎君 ありがとうございます。
 そこで、レロンソン参考人に伺いますが、エスハイから送り出して戻ってきた実習生、一番多く就いている職業は何でしょうか。
#21
○参考人(レロンソン君) 弊社が送り出した割合の中では、製造業中心で機械加工とか溶接とか、そういった技能の修得する割合が四割、五割ぐらいですか、ありまして、こういった職種、主に本人は行く前にもうそういった専門や知識を持っている、経験を持っている人たちがほとんどですので、日本へ行って更に磨いたり、その腕、日本の技術ですね、例えば機械操作だとプログラミングできたり図面を理解できたり、そういった知識を身に付けた人たちは、今現在、ベトナム国内で日系企業や韓国企業、台湾企業、たくさん進出しておりまして、そういったできる経験者、人材ですね、特に日本語もできるので非常に欲しがっています。不足しております。
 ですから、彼らは、帰ったら、そういった仕事で就職したら、多分給料は行く前の三倍、下手するに四倍になることもできるので、ですからほとんど自分たちはそういったところに就職しているんじゃないかと考えております。
#22
○元榮太一郎君 斉藤参考人に伺います。
 今レロンソン参考人からありましたように、エスハイさんに関しては多くの方が日本で学んだ技術をしっかりと本国又はその関連する業界において生かしているということですけれども、この話を聞いて、参考人、どのようにお考えですか。
#23
○参考人(斉藤善久君) エスハイさんはすばらしいと思うのが一つと、あと、先月だったと思いますが、ベトナムで幾つか日系企業の調査を行いました。そこで、技能実習生を終えて帰ってきた人を優先的に採用しますかという質問をしましたが、二つありましたね。特に関係ないというところと、まあ採用、少しは優先するかなというところもありました。では、優先する理由は何かというと、日本語能力は大して期待していません。技術も期待していません。ただ、日本での働き方、その文化ですね、時間をちゃんと守るとか片付けをちゃんとするとか、5Sというやつですよね、そういうところは若干評価されているようです。
#24
○元榮太一郎君 斉藤参考人、ありがとうございます。
 そこで、改めて斉藤参考人に伺いますが、レロンソン参考人のエスハイの会社のように、技術移転等を通じた国際貢献を実際にしている会社があるわけですね。そうしますと、この技能実習制度の本来の趣旨を生かしながら継続するということもまた有益だと思うんですけれども、何か良い方策というのはあると思いますか。もしあれば教えていただきたいと思います。
#25
○参考人(斉藤善久君) 方策はあると思います。それは、我が国が必要としている分野の労働者を呼ぶんじゃなくて、現地で養成が必要とされている職種の労働者で受け入れられるものを受け入れる、それがいいと思います。
#26
○元榮太一郎君 ありがとうございます。貴重な御示唆をいただきまして、大変感謝をしております。
 以上で質問を終わります。
 参考人の皆様、ありがとうございました。
#27
○真山勇一君 民進党・新緑風会の真山勇一と申します。
 今日は、参考人の皆様、割と短いお知らせの期間でこういうふうなことをお願いして、快く引き受けていただきまして本当にありがとうございます。
 皆さんにいろいろお伺いしていきたいというふうに思うんですが、まず最初に、私、非常に今日は興味を持って伺ったのは、レロンソンさんも、それから斉藤先生も、ベトナムの事情ということをお話しいただきました。お話を伺っていると、レロンソンさんのお話も理解できるし、それから斉藤さんのおっしゃることもよく分かる。つまり、ベトナムという国の技能実習生、抱える問題、まさにレロンソンさんは光の部分で、斉藤さんは影の部分かなと、言わばそういう感じを受けたんですね。
 やっぱり、物というのはいろんな多面性があるので、うまくいっている面もあるし、なかなかそうはいかない面もあるという、それをそれぞれの立場から御主張いただいたということで、大変ちょっと申し訳ないんですけど、まずレロンソンさんにお伺いしたいのは、斉藤さんのお話を伺って、御自分の実際にベトナムでやっている送り出し機関の仕事と比べてどんなふうに今感じられたかということと、それと同時に、その後、斉藤参考人の方には、逆に、やはりこういううまくいっているケースもあるということを踏まえてどんな感じを持たれたかということを伺いたいと思います。
#28
○参考人(レロンソン君) 先生、ありがとうございます。
 そうですね、先ほど斉藤先生から申し上げられたことは、いろんな調査を行った上で分かったことではございますが、ただ、今、ベトナム派遣機関、登録社数は二百数十社もありまして、全体的にどれぐらいの調査を行っているかについても、どういう問題が大きくあるかということは分かりますけれども、ただ、一派遣機関としましては、客観的に見ると、派遣機関の能力次第、その派遣機関の社長や経営陣の考え方次第、また、日本サイドの受入れ団体の方々もこの仕事においてどういうふうに考えているか、それによってやり方が変わってくるんですよね。ですから、真面目にこの制度を取り組むことできたら非常に最高な、日本も幸せになるしベトナムもハッピーになりますので、オールハッピーになると思います。
 次に、ベトナム、現在、今、初任給で平均月給は大体一万五千円前後なんですけれども、日本に来て、実習制度を通じて来ているわけですので、勉強もできるし、いろんなこと、いろんな面も勉強できるし、それも報酬として最低賃金以上もらえると、まず賃金の面でおいても非常に意味ありますし、ただ、弊社はそれだけでは考えていなくて、違う目的も、一石二鳥、三鳥にも考えてもらうように、将来のために考える。こういった趣旨できちんと真面目にやっていけば、実習生、若い者ですね、実習生の応募者はほとんど若者が、ほとんど二十代前半ですから、先のことを考えていない人もいっぱいいるし、そういった教育事業を通じて彼らへ知らせて、今行って、若いうちに海外へ出て三年間稼ぐんだではなくて、将来帰ってきて社長になったり管理者になったり、そういった教育はどこまで徹底的にやっているかという、派遣機関によってあると思います。
 やっているところ、最近、おかげさまでベトナム政府、労働省もいろいろ指導が厳しくなっていまして、きちんと真面目にやっていこうということですね。日本に派遣する、中心で考えている教育事業だということで、政府も最近いろんな規定も出ていまして、そういった尊重していない派遣機関をどんどん廃止していく方向にもなっているので、日本政府の方も新しい制度できるようになったら、両国間のやり取りが増えましたら、いろんな制約の中で派遣機関は尊重しなければ多分廃止される。そうすると、一派遣機関は一生懸命投資して発展して、途中でもし免許とか業務停止になったらもう倒産することになりますので、真面目にやらなければいけない時代になってきているので、これから期待できると思います。
#29
○参考人(斉藤善久君) 私も技能実習制度の理念に関しては特に異議はありませんし、うまくいっているところが少数ながらあるんだなということはお話を伺っていて分かります。ただ、うまくいっているというのが、失踪しないとか、ちゃんと給料をもらえているとか、そういうレベルで終わってはいけないわけで、制度趣旨はやっぱり人材育成を通じた国際貢献ですから、この制度でやっていこうというのであれば、ちゃんと送り出し側で、そういう仕事に就いていて、その技能を日本で伸ばした後でまた更にそれを続けると、本国に帰ってですね、そういうことがはっきりしている人だけ呼ぶのなら分かります。
 例えば、造船業で溶接なんか頑張っている技能実習の皆さんは、本国でもうその技術を持っていますね。もう十年とかやっていて、日本に来て非常に活躍している、溶接コンクールでも優勝するような人が多くいますね。そういう人たちだったらいいかなとも思うんですが、でも、そういう人たちでも、本国に帰ると、もうその後、溶接を続けるつもりはほとんどないですね。何がやりたいと聞くと、やっぱり技能実習の送り出し機関がいいかなというふうに言うわけですね。だから、その点で若干の絶望とか失望もしております。
#30
○真山勇一君 ありがとうございます。
 あともう一つ、レロンソンさんにお伺いしたいんですが、今回の技能実習生の中に新しく介護が入りました。先ほど、斉藤参考人のお話でしたよね、ベトナムには介護という職業の分野のあれがないという話を伺ったんですけれども、今回新たに加わった介護という問題についてはレロンソンさんはどんなふうな評価をしていらっしゃいますか。
#31
○参考人(レロンソン君) 介護の分野に関しては、これから技能実習制度を導入されるということ、今法案がありますけれども、今現在、どうなっていくか、弊社にとりましては少し慎重に検討しているところですね、どういう方向に進まれるか。日本の方はニーズがあると思います。ベトナムの方でもニーズがあると思います。ただ、どういう取決め、どういう水準でやっていくか不明の段階で、ちょっと何も検討できていないんですけれども。
 ただ、一つ課題としましては、元々製造業中心で実習生制度、行かせているんですけれども、今度、対人関係になりまして、特に言葉やその人の性格とかその人のメンタル、そういった精神なことをやりますので、そういった、もっとはるかに、今の制度より以上に教育の力を入れておかないといけないと思います。つまり、日本語能力、今技能実習制度は規定がないんですけれども、これあくまでも企業さんベースで要求されることであって、我々対応しようとしますけれども、もし今後介護をやることになれば、日本語を最低例えばN3とかN4とか、そういったレベルまで達しないと仕事できない。そうなると、派遣機関の方できちんと教育機能をしっかりもっと力を入れないといけない。
 言葉だけではなくて文化も、日本の文化、非常に特色な文化で、そこで理解しないとカルチャーショックになったり働く環境もいろんなトラブル発生するので、そういった面においては、是非御検討していただいて、もっと条件定めていただけるとやりやすくなると思います。
#32
○真山勇一君 同じ、この介護の分野の今回加えられたことについて、斉藤参考人からも、問題点があったら、感じていることをちょっともう一回お伺いしたいと思います。
#33
○参考人(斉藤善久君) 介護の現場では、特に日本の文化とか言葉が余り分からない外国人を介護従事者として使用することに不安の声はたくさん出ているのは存じております。ただ、外国人を使うこと、働いていただくこと一般については私はそれほど問題であるとは考えていなくて、それはできる人を採用して使えばいいだけで、家族ビザで入国していらっしゃるほとんど日本語のできないようなベトナム等の方々も実際にもう施設で働いていますからね。
 ただ、技能実習制度としてこの介護の方をお呼びするというのはおかしいと、制度趣旨からして。特にベトナムに関してはおかしいと考えています。ベトナムにも若干はそういう施設もあって、若干はそういう仕事をしている人もいて、これから増えていくかもよということも大使館の方なんかおっしゃっていますけれども、現状必要ないと思います。
#34
○真山勇一君 ありがとうございます。
 旗手参考人にお伺いしたいというふうに思います。
 ちょっと確認したいんですが、旗手先生のこの資料の中で、二つありまして、研修生保証書、それからもう一つ、渡日研修生、実習生違反賠償の合意、これは送り出し機関、送り出し側の資料ということなんでしょうか。
#35
○参考人(旗手明君) 一番最後のところを見ていただくと、これ原本あるわけですが、翻訳をしたものですけれども、中国側送り出し機関責任者の名前、具体的にどういう有限公司かというのも書かれております。
 それから、もう一つの渡日研修生というやつですね。こちらも、派遣機関という表現になっておりますが、これも送り出し機関と考えていただいてよろしいかと思います。
#36
○真山勇一君 この技能実習生の、いろいろな問題はあるんですが、やっぱり大きなところを見ると、送り出し機関が向こう側では一番最大のガンというか、そういうものになっている。それから、こちらの日本国内でいうと監理団体、それから実際に実習生の受入れですね、受入れ機関のところでもやはり問題はあると思うんですが、これ見るとかなり、先生おっしゃるように、参考人おっしゃるように、人権の、本当にこんなことが決められているということにちょっと私もびっくりしたんですが、やっぱりこの辺りを、これをなくすためにはこちら側から、やっぱりこういうものが手に入るんならば、何か是正ということをしていかなければならないと思うんですが、その辺りというのはどういうふうにお感じになりますか。
#37
○参考人(旗手明君) まず、こういう資料が、先ほどベトナムのケースでも斉藤先生言われましたが、簡単に技能実習生から出てくるわけじゃないんですよ。私も直接中国の実習生から相談を受けたことありますが、それなりの信頼関係ができて初めてというところが一つあります。それからもう一つは、この二つのケースは、裁判にまでなって、必要な書類として裁判所に提出するという要請があって出てきているという側面もあるわけですよね。
 要するに、この制度の実態というのは、建前と実態の乖離もあるけれども、実態も、研修生がこういうことで来ていますよと例えばアンケートに答えているようなレベルの実態と、より深い真相とはまた違いがあるというふうに考えていただいた方がいいんだろうと思います。
 ですから、今回の改正についても、その真相にちゃんと迫れるようなものなのか、上辺だけの、書類さえ整えればすっと通ってしまうようなレベルのチェックになるのか、その辺がキーポイントなんだろうと思うんですね。
#38
○真山勇一君 そのチェックの問題なんですけれども、やっぱり一つは、チェックする機構というのは、本来ならばJITCOというのがやらなければならない機構なのかなということも思うんですね、やはり受入れの監督をしているという立場上ですね。この辺りがやはり問題だということで、今回新たに、このJITCOを廃止して、外国人技能実習機構という新しいものをつくりますが、これに対する旗手参考人の期待、感想、いかがですか。できますかね。
#39
○参考人(旗手明君) 実効性を上げられるというふうに期待はしたいと思いますが、なかなか相手が生易しくないということを頭に置いて考えると、なかなか厳しいというのが率直な感想です。
 私、現場まで調べに行ったことがあるケースでも、山梨の、これはもう世界的にも中国メディアでは紹介をされたケースなんですけれども、縫製で入って、中国人の女性の、当時は研修生でしたけれども、その人たちがふだん何の仕事をしているかというと、クリーニング工場で働いているんです。今日、ニュースレターでお配りしましたが、これクリーニング工場なわけなんですけれども、クリーニング工場で働いているんです。
 これ、どういうことかというと、クリーニングは二号移行対象職種ではないんです。ですから、一年間は入れられます。一号では入れられます。でも、二号にはなれないんです。ですから、一年間でお帰りいただかないといけない。それを縫製で入れて、二号まで行ける職種で入れて、クリーニング工場で働かせれば三年間働けるわけです。今後は下手すると五年間になっちゃうかもしれない。そういうからくりがあってやられていることなんです。
 JITCOに対してどういう対応をしたかというと、JITCOが指導をするために巡回指導ということで見回りに来ます。事前に通知があります。その日だけクリーニング工場の二階にミシンを並べて本人たちを座らせる、こういうことをやっていたわけです。これを見抜けるのかということです。一つは、やっぱり検査は抜き打ちでやらなければ駄目だということですよね、一つは。
 それから、先ほど下からの規制というふうに申し上げましたが、実態を一番よく知っているのは技能実習生自身なわけです。技能実習生がちゃんと声を上げられる環境をどれだけつくれるか、問題があったらちゃんとそれが技能実習機構に伝わると、これを担保しなければ、本当の意味で、三年に一回現場行ったからといってチェックにならないと思っています。
 ですから、先ほどなかなか意を尽くせませんでしたけれども、技能実習生が声を上げられる条件というのは幾つかあります。保証金や違約金に縛られた状態では、途中で帰されては人生が立ち行かなくなるというようなこともあり得るわけです。ですから、そういう保証金や違約金のないクリアな形を用意をしないといけない。
 それから、いろいろと労働環境について権利主張をしたり、居住環境について不満を言ったり、そうした場合に翌日に空港に連れていかれるというようなことも現実に起こっているわけです。支援団体はもう空港のロビーで待ち構えてぎりぎり救出をしたり、下手をすると事前の連絡ができないケースでは、もう出国ゲートを通った辺りのところで周りの日本人に携帯電話を借りてトイレから電話して救出を求めるというようなケースもあるわけですね。
 ですから、強制帰国をさせられない環境をどうつくるか。先ほども言いましたように、寮に住まわされて、寮というのは、下手すると工場の一角にベニヤ板で囲っただけの場合だってあるんですね。そういうことも含めて、要するに二十四時間言わば会社に動向を見られる、監視をされるような環境の中で、しかも周りの様子がよく分からない技能実習生が問題を指摘するというのは容易なことではないわけです。
 そういう意味では、やはりシェルターを技能実習機構がきちっと準備をする。衆議院の議論を見ますと、どこかホテルと賃貸契約というような話をしていましたが、そんなレベルでは救出はとてもできません。宿があればいいという問題ではないわけです。要するに、実習生たちは、そういう保証金や違約金の問題もありますけれども、日々のところではやはり賃金がちゃんと払われているのか、労働時間がきちんと守られているのか、そういったような問題を抱えているわけです。
 それで、権利を主張するというのは、多くのケースは賃金がちゃんと払われない。これは厚生労働省の実習実施機関に対する指導監督、送検の状況というもので毎年報告が出されていますが、昨年のものは、これは法案を出した意欲が厚労省にも反映しているのか、非常に率直に状況を書いていました。私のレジュメにもその辺は一部引用をしてございますが、時給が三百円とか四百円とか、そういうようなケースもありました。こういう状況を、権利主張ができる環境をつくっていくためにどうするかということなんです。
 それで、ちょっと……
#40
○委員長(秋野公造君) 旗手参考人に申し上げます。時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いをします。
#41
○参考人(旗手明君) はい。済みません、つい熱が入りました。
#42
○真山勇一君 時間になりました。参考人お三方、本当にありがとうございました。
#43
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかでございます。
 参考人の皆様には、本日は大変貴重な機会をいただきましてありがとうございます。私の方からは、まずレロンソン参考人にお伺いをしたいと思います。
 先ほどからお話にございましたけれども、エスハイ社では技能実習生の皆さんは日本で学んできた技術を帰ってからも生かしていらっしゃる方が多いと、このように伺いました。しかしながら、ほかの送り出し機関も含めて、ベトナム全体の技能実習生の方々を見れば、必ずしも日本で身に付けた技術をそのまま母国に帰って仕事に生かしていることができていない方ももちろんいると思います。
 先日、この法務委員会で視察に行ってまいりました。大田区にあります中小企業で、ビルとか建物の排気の、金属でできた部品を作る、製造販売するという会社だったんですけれども、そこに技能実習生の方が実習をしていらっしゃって、その代表の方と懇談をする機会があったんですね。三名の男性の方で、母国に帰られてからどんなお仕事をしたいですか、どんな夢を持っているんですかと各委員の先生方からも質問があったんですね。そのうちの一人の方は、母国でお父さんと一緒に同じような分野の企業をやっていらっしゃるので、そこで生かしたいと、こうおっしゃっていました。ほかの方は、必ずしもその分野ではなくて違う分野での会社を起こしたいと、こういう夢を語っていただいたんですね。
 私が聞いたんですけれども、じゃ、この日本で実習生として学んできたことはあなたの夢にどういうふうに役に立ちますか、日本でどんなことを学びましたかと、こう聞きましたら、すごくたくさんのことを学びましたというふうにおっしゃっていて、そのときの、三人いらっしゃったんですけど、皆さんの、何というか、表情というか、生き生きとした感じがもう本当に勉強になったというふうにおっしゃっているなと感じたので、ああ、そうなんだなと、こういうふうに思ったんですね。
 ですから、エスハイ社においてはその技術をそのまま生かすということにも力を入れていらっしゃると思うんですけれども、私としては、この日本の企業の文化であったり働き方であったり、また経営の仕方であったり、様々なことというものを実習生の皆さんに学んでいただくということも意味があるんだなと、こういうふうに感じたんですね。それ自体がこれから発展を目指しているベトナムにとっても恐らく意義があるんじゃないかと、こういうふうにも感じたんです。
 そこで、そういった日本の技術そのままではなかったとしても、働いた経験、そこで学んだこと、これがどういうふうに実習生にとって、またベトナムにとって生かされていくというふうにお考えか、お聞きしたいと思います。
#44
○参考人(レロンソン君) ありがとうございます。
 すばらしい御意見ですね、私も非常に同感しておりまして、先ほど自分の発表した中でもそういったことについても少し触れましたけれども、いわゆる人材育成というのが、この技能実習制度というのはあくまでも一年から三年間ですね、一つの技能を修得するだけであって、例えば自分は、ホーチミン工科大学勉強して機械工学、またさらに日本に行って機械工学勉強して、金型の会社をつくろうとしたんですけれども、今現在金型やっているわけではない。
 ただ、そうしたら、自分は余り成長していないのではないかという御意見も一緒で、ベトナムは今現在、裾野産業も足りないし、サービス産業もこれから成長していくわけですから、つまり、二十代、二十歳から二十五までの、よくうちの学校で教えていることは、二十歳までは学校で勉強する、二十歳から三十までは十年間は社会人として勉強する、その中で技能が一つ、外国語が一つ、様々な角度から自分はこの十年間を勉強して、最終的に三十になってから生業、一生までやることを決めなさいと。
 その中で、溶接をやった人はずっと溶接でやっていく人もいれば、そうじゃなくて、例えば溶接、技能で修得したんですけれども、でも帰ったら溶接じゃなくて、組立て、サッシの組立てとかアルミの組立てとか、そういった物づくりのそういう希望を持って経営者としてやっていこうということはこの制度に反するかという、そうではないと思っております。
 ですから、日本に来て、労働者としてというつもりではなくて、日本の社会の中でたくさん勉強できることはこの制度のすばらしいことで、帰って、まだ二十五、二十六、二十八の段階で、さらに国内で就職して、三十までに自分の職業を決めなさいというふうに教えているので、ですから、その後は皆さんはどういうふうにやっていくか、それは御自由に選んでいただければ。ただ、日本語ができて、日本の文化ができて、しっかりした職業を持っていけば、ベトナム社会に発展していくことにつながっていくので、それだけ国際貢献できるんじゃないかというふうに考えております。
#45
○佐々木さやか君 ありがとうございます。
 レロンソン参考人は、この日本の技能実習制度について評価をしていただいていると思っておりますけれども、とはいえ、例えばこういったところを改善をしてくれたらよりいいとか、それからまた、さらに今後の日本の技能実習制度にこういうことを期待する、もしそういったことがありましたら教えていただけますでしょうか。
#46
○参考人(レロンソン君) 改善点に関しましては、例えば一つ、同じことですけれども、日本で今技能実習制度というのは、例えば溶接は溶接だけというのを皆さんは注目しているんですけれども、自分はそう思っていないんです。溶接はあくまでも技能で、その溶接を生かしてどんな物を作るかというのですね。例えば、自動車部品作るのか、建設、建築の物件の部品を作るのか、そういった過程ですね、もうちょっと幅広く技能の定義をしていただければ。
 本当に、よく皆さんは建前、本音というのがありますけれども、そうじゃなくて、日本の中小企業、自分から見るともうかなりレベルが高くて、こういった十人、二十人、三十人といった小さい規模の中小企業でも、ベトナムにそのまま持っていけば工業発展につながっていくので、ですから、溶接ばかりじゃなくて、その周辺の職種も広げていただければ。日本の四百万社の企業さんあるわけですので、ベトナムの中で今五十万社しかないんですよね。政府としては二〇二五年までは倍ぐらい、百万社、百五十万社、伸ばそうとして、そのために、やはりこの実習制度を通じて、将来経営者、管理者になったことを期待しているので、いろんな分野、いろんな職種を学んでいただければというふうに思っております。
 ですから、職種は今、決められている職種の中でしかできない。例えば、一つの例にしますと、プラスチック成形は職種として認定されていますけれども、同じく、同じ加工工程でゴム成形というのは、材料が変わっているだけで受入れできないことになっています。自動車部品は、三万パーツもある中でプラスチックもあればゴムもあればアルミもあれば、いろんな材料があるので、そうすると限られていることしかできないことになっています。
 ですから、できればいろんな技能を修得してもらって、本国に帰って、将来十年、二十年、その国に発展していくことは日本政府の国際貢献の趣旨では非常にもうちょっと考えていただければと思っております。
#47
○佐々木さやか君 ありがとうございます。
 最後に一点だけ、レロンソン参考人にもう一問お願いしたいんですが、そうした技能実習制度の良いところの反面、先ほどから議論にありますように、課題、問題点もあると思います。レロンソン参考人のエスハイ社の方では、適正な監理団体や実習実施機関に実習生を送り出すようにしていると冒頭教えていただきましたけれども、どうやって送り出す前にそういった現地の状況だったり、適正かどうかというのを把握していらっしゃるのか教えていただけますでしょうか。
#48
○参考人(レロンソン君) ありがとうございます。
 弊社は、今現在、団体さんと五十社ほど提携しております。弊社でやっている内容、非常に共感していただいている団体さんは多いんです。ただ、たくさん来ていただく中で、やはりこの団体さんはちょっと不安だなと、ちょっと監理体制、不安だなと。あと、職種的にはちょっと問題あるんだなとか、そういったところ、正直、喜びますけれども、ちょっと控えめに遠慮をさせていただいて、そういったところへ送らないように考えています。
 もう一つ、連絡事務所という形で日本、東京に置いておりますけれども、十二人のスタッフも今現在持っておりまして、面接の前とか、企業さんの御要望は、その詳細の内容、パンフレットとかホームページとかそういった条件などを必ずスタッフがチェックした上で、事前にベトナムサイドに伝えて、そういった希望者ですね、そういう職種、その仕事をやりたい人たちは見てもらった上で、マッチング作業というのが非常に大事だということで、ですから事前、調べることも大事だということで、そういった趣旨でやっていくと問題が非常に最小限に抑えられると思います。
#49
○佐々木さやか君 終わります。ありがとうございました。
#50
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。三人の参考人の皆さん、今日は本当にありがとうございます。
 まず、斉藤参考人に、先ほど御意見をいただいた中に触れられていたんですけれども、もう一度確認なんですが、論文で、我が国においてベトナム人実習生が大量に失踪する原因の一つは、送り出しから就労、実習に至る各過程での様々な主体による苛烈な搾取にあるという認識を述べていらっしゃいまして、先ほど今回の法案について、建前にこだわって適正化を図ろうとする余計な経済的リスクが結局技能実習生に転嫁されるという認識を示されたと思うんですけれども、もう少し端的に敷衍していただければと。
#51
○参考人(斉藤善久君) この度の法案の中に、JITCOに代わってより権限を強化してサポートも充実させるような組織を新設するということがあったかと思いますが、その部分に関する法案を読んでみますと、いろんな届出なんかをまたつくって、それについて費用が発生してその費用を徴収する、それは監理団体とか受入れ企業からだと思いますが、するということがあったわけですが、一体そういった費用は最終的に誰が負担するのかというと、結局何らかの形で直接、間接に技能実習生の労働条件に反映してくるんじゃないかというふうに危惧しているわけです。
 例えば、ベトナムでは家賃に関しては二万円を超えるところに派遣してはならない、送り出してはならないという規定がありますが、二万五千円とか、私の教え子の中にも四万円払っている人がいますが、そういうふうに、実際貧困ビジネスみたいになっているわけですけれども、直接、間接に労働条件に反映されてしまうんじゃないかということは危惧しています。
#52
○仁比聡平君 その中の一つだと思うんですけれども、実習機関が監理団体に払う監理費というものの実態について先生がどのように認識しておられるか、お聞かせいただけますか。
#53
○参考人(斉藤善久君) 監理団体は基本的には営利団体ではないはずだというふうに認識しておりますが、もうかっていますね。それは監理費から取っているわけで、監理費から取っているプラス、場合によっては送り出しの方から何らかの形で、いろんな形でお金を取っているということも実態としてあるところにはあるというふうに認識しています。
#54
○仁比聡平君 そうした下で、先ほどお触れにならなかった部分なんですけれども、ベトナム人実習生が失踪をすると、これ大変な事態だということで、その原因とか背景とか、それから先生の論文には日本におけるベトナム人失踪者がどんな生活をしているのかという分析もあるんですけれども、その辺り、少しお聞かせいただければと思うんですが。
#55
○参考人(斉藤善久君) 失踪の背景に関しては、レロンソンさんからもありましたっけ、いろいろあります。いろいろありますが、私が一番大変だと思っているのは受入れ企業に問題がある場合ですね。もちろん、その背景にはベトナム側でいろんな形でお金を取られていて、もうきゅうきゅうの状態で日本に来てみたら、政府主導の円安が進められたりとかして全然思っていた額が手に入らないとか、向こうから送り出されたときに聞いていたような残業が実は全然付かないとか、そういうこともありましたし、日本に来てから、私が最近あった事例、私の教え子ですけれども、一週間にローカルバスが二本、三本しか来ないような山奥で酪農の仕事に就いていて、農業ですから労基法上は時間外割増しも休日も何もないんですよね。農水省の通知で一応技能実習生にはそれが付くようになっていますけれども、実際にはやられていないということで、電話もさせてもらえない、友達にも会わせてもらえない、休みも全くないというところで、非常に疲弊した技能実習生がついに失踪しました。失踪して茨城の非常に有名な高級な果物を作っている農家に逃げ込んで、そこから私に連絡してきて、先生、ここは天国ですと、友達にも会えるし、御飯もちゃんと食べれて、休みももらえて、給料もいいしと言っていましたが、最近捕まって帰国強制されましたけれども。
 そうやって、私は今まで、その失踪した人たちをブローカーが間に入ってそういう農家なんかにあっせんする、行った先の工場とか農家はよほどひどいんだろうと思っていましたが、確かにそういうところもありますけれども、中には先ほど旗手さんがおっしゃったようなシェルターとしてそういう失踪者を使っている企業や農家が機能してしまうほどに実際の正規の受入れがひどい場合があるということです。
#56
○仁比聡平君 もっと伺いたいんですけど、ちょっと時間の限りがあるので、もう一問だけちょっと斉藤先生に伺いたいのが、今お話にも出た失踪者の失踪先をあっせんするブローカーの実態についてなんですけれども、というのは、実習生は日本国内でそうしたより賃金が高い、いいとか、条件がいいとかいうところを探すすべは基本持っていないんだろうと思うんですね。誰かが指南されないとそういうことはできないのではないのかなとも思うんですけれども、そういうブローカーの存在というのは現にどんな実態なのかというので、御存じの限りで。
#57
○参考人(斉藤善久君) これは、実習生たちに言わせますと、ネット上にそういうサイトがあるので情報は幾らでも手に入りますよと。でも、こういうことをこういう場で申し上げると、また受入れ企業が、じゃ、WiFiを止めようとか言うかも分からなくて困るんですけれども。そういう、比較的簡単だそうです。
#58
○仁比聡平君 いろいろ興味深いんですが、また深めていきたいと思うんですけれども、ちょっとベトナムの側の事情を先に伺いたいと思いますので、レロンソンさんに。
 先ほど保証金の問題で、御社は取っていないというお話がありました。この保証金は取っていないという送り出し機関、派遣機関というのはほかにどれぐらい御存じでしょうか。
#59
○参考人(レロンソン君) この保証金を取っていない、どれぐらいあるかって、正直、自分把握できておりません。
 これは、最近ベトナム政府の指導、保証金を取ってはいけないことはもう指導は受けています。それ、やっているところがもし発覚されたら、もう業務停止になってしまう。ですから、この保証金の問題は多くの派遣機関はもう尊重してやっていくことしかないと思います。
#60
○仁比聡平君 今のお話であれば、斉藤先生が指摘をされたベトナムのルールですよね、ここが実情は違うんだというお話のようなので、この委員会としてはしっかり現地がどうなっているのか調べないといけないと思います。
 もう一つレロンソンさんに伺いたいんですが、日本でベトナムからおいでいただいている実習生が失踪するとか、それから、その受入れに関する送り出し機関やあるいは監理団体や実習実施機関が不正行為認定を受けるということは、これは我々の認識ではしばしばあるといいますか、決して少数ではないわけですが、日本でそうした失踪やあるいは不正行為認定がされたときに、ベトナムの政府がその関係機関を厳しく調査して何らかの規制をしているということなんでしょうか。
#61
○参考人(レロンソン君) これは、まず不正行為が発覚されたら、日本の法律の下でまず何らかの形でその実施、実習機関が受け入れできなくなったり、あるいは今受け入れている実習生を違う場所に移換しなければならないとか、団体さんもそうですね、受け入れできなくなる、ビザの申請は短くなる。こういった措置されると、ビジネス上、事業上は非常にうまくいかないわけですので、もっと厳しくしていただいた方がいいと思っております。
 同じく、ベトナム派遣機関側も、今まで政府間の関係がちょっと、少し薄れているんですけれども、これから新制度で両国間の関係が強くなって連携が取り合うことできるようになったら、情報をもっと直ちに十分に提供していただければ、ベトナム労働省側も積極的に日本の法律に基づいて実施していくと思いますので、問題がこれから削減できるのではないかと思っております。
#62
○仁比聡平君 私、不正などが行われたときに、これがビジネスとして不利になる、淘汰されるということはもちろん起こるんでしょうけれども、技能実習生の深刻な今の現状を考えたら、そうやってビジネスとしてどうなのかとか、あるいは派遣機関の能力だとか考え方次第でどうなのかというようなことでは駄目なのじゃないか、きちんとしたルールが、つまり権利保護のルールが定められる必要があるんではないのかということを強く感じているところなのですが。
 そうした下で、旗手参考人に、残り五分なんですよ、それを前提に、斉藤参考人やレロンソンさんにお伺いをしてきた送り出し側の実態ということを踏まえたときに、日本政府の各省、これ法務省、厚労省だけじゃない、外務省があり、あるいは関係業界の指導官庁だってあるわけですけれども、日本政府各省が送り出し側に対して実態把握や働きかけを含めてこれまで何をしてきたのか、この新制度によって果たしてこれから何をできるというのか、私は甚だ疑問なんですけれども、参考人の御意見を伺います。
#63
○参考人(旗手明君) ありがとうございます。
 海外との関係を、これは私どもは前から、技能実習制度以前の研修制度も政府が制度設計をしてつくっているものなので、政府が責任を持ってやるべきだという議論をしてきたんですが、どういうお答えをいただいていたかというと、これは民民の問題ですというお答えをいただいていたんですね。要するに、制度はつくっているけど、実際の運営は民がやっているんだと、これが政府の今までの姿勢だろうと思います。
 その結果どういうことが起こっているかというと、ベトナムとの関係でもJITCOが要するに定期協議という格好で言わば外務省の代わりをすると。これは、中国との関係でも基本的にはそういうことですよね。要するに、JITCOに、本来は僕らから見れば外務省業務のようなことを委託をしているという、そういうのが実態だったというふうに思います。
 今回、どういう具合に変わるかということですけれども、私ども、法務省の方の出入国管理政策懇談会の検討会の報告では二国間協定というふうに言われて報告が出ていましたので、これはもう政府間できちっと義務的な関係で、法的な拘束力ある形で結ばれるのかと思っていましたら、その後の両省の有識者懇談会報告では、今回議論されているように政府(当局)間取決めということになっています。で、衆議院での議論を伺っても、法的拘束力がないということです。かつ、その取決めがなされなくても受入れは継続しますということですから、送り出し側に対する日本政府のグリップが余り利かないというふうに考えざるを得ないところがあります。ですので、今後については、今回の法改正だけではなくて、更に足りないところは今後見直していくという積み重ねが必要だろうというふうに思っています。
 先ほどちょっと、雇用許可制度の話をちらっと出しましたが、先ほどレロンソンさんから報告があったように、問題は問題としてあります、韓国の制度も。ですが、日本と大きく異なるのは、先ほど言われましたが、要するに、政府間ダイレクトで協定を結んで受け入れると。要するに、中間の民間業者、あっせん業者を排除するシステムをつくっている。このことによって送り出し費用、掛かる費用ですね、ががくんと何分の一かに減ったという報告も伺ったことがあります。それから、転職の自由も限定的ながら認めるとかね。
 ですので、一つの次善策としては、そういう雇用許可制度の制度設計といいますか、それを技能実習の中にもきちっと組み入れて、もう少し実習生の権利保護に結び付く制度設計、根本的にやる必要がある。今回は制度設計そのものには手着いていないんです。要するに、外側から外部的に規制をするという法案に基本的にはなっていますので、元々の技能実習制度の制度設計を変える必要があるだろうというふうに思っています。
#64
○仁比聡平君 ありがとうございました。
#65
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりでございます。
 本日は、お忙しい中、参考人の皆様におかれましては御出席を賜りまして、また御意見賜りまして誠にありがとうございます。時間もございませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
 私は、技能実習生の失踪者の数が年々増えているということに大変懸念をしているわけでございますけれども、この五年間のうちに約三・七倍ほど失踪者の数が増えている。そういった中で、先ほどレロンソン参考人の方からも、失踪の理由、また対策ということで三点、三つに分けられるというようなお話もしていただきました。エスハイ社のような本当にすばらしい送り出し機関ばかりであればいいんですけれども、やはり今日様々、るるお話に出ましたように、様々な、また悪徳な送り出し機関も現地ではあるということでございますけれども、率直にどうすれば不正な送り出し機関が取り締まれるとお思いでしょうか、レロンソン参考人にお伺いいたします。
#66
○参考人(レロンソン君) ありがとうございます。
 まず、失踪の問題、先ほど述べましたように三つのパターンがありまして、それは両方ですね、派遣先、送り出し側と受入れ側の両方それぞれ問題あります。
 一つのベトナム側の問題に関しましては、対策として、やはり真面目なところは真面目です、正直。そうじゃないところはあります。これはどうやって把握できるかと。今回、日本の政府の法律を改正する中で、実習機構ができまして監査ができるわけですので、どこの派遣機関が失踪者が多いとか問題点が多いとか、そういった調査のレベルで分かるわけですので、両国間の協定結んで、ベトナム政府に要請して、そういった派遣機関を評価した上で改善なり是正なり廃止することになれば問題がどんどん改善していけると思います。真面目なところはこれは伸ばしていってあげた方がいいと思いまして、そうするといい方向に向かっていきます。この問題は一気に、解決できない問題ではないと思いますので、徐々に改善していければと思います。
 もう一つ、日本側の受入れ体制、企業さんも実習環境、そういったところのもし問題になれば、もうこれ以上は受入れできないとか、厳しくそういった監理体制でその取締りをしていただければ、企業さんなりもやはり実習生を受け入れることで単なる負担だけじゃなくて企業側のメリットもありますので、やはり積極的にしていただくわけですから、そういったこれからの制度が非常に期待できると思います。
#67
○高木かおり君 ありがとうございます。
 先ほどレロンソン参考人もおっしゃっておられましたように、今回の技能実習制度というのはやはり人づくりということで、送り出し機関と受入れ側とのそういったところがマッチするということが大変重要かとは思います。
 それで、送り出し機関の方で、エスハイ社の方では、例えばどういうふうに技能実習生たちに日本で働くこと、また日本へ行くことへの意義というものを、先ほどおっしゃっておられましたように、一年間に百二十八、カリキュラムを受講していただいているということをおっしゃっておられましたけれども、どのように日本について伝えておられるんでしょうか、お聞かせください。
#68
○参考人(レロンソン君) 先ほど発表した中でも、弊社の教育事業として、日本語教育以外は考え方とか意識とか、そういったマインド教育もしっかりやっておりまして、その百二十八時間というのが、ほぼ毎週必ず一人四こまを勉強してもらうことになっております、日本語を勉強する以外は。
 徐々に、やはり二十代の青年たちですので、分からないことはいっぱいあります。ベトナム国内でも分からないことはいっぱいあるわけですし、日本はまた全く分からないわけですので、教育の中で、できれば多くの映像を見せたり、また成功事例ですね、日本に行った成功事例、どういうことがあるか。例えば、技能検定は、弊社から送り出した人たちは、先輩たちは、よく一年間に二回も受けるとか、その中でN1取れたりN2取れたり、頑張ってできる人、そういったいい例をたくさん出して、一方、悪い例も、こういった先輩は良くないという例は、たくさん事実を、実例を出して教育しております。そうすると、だんだんイメージが湧いてきて、その上で、じゃ自分は今後どうするかということで、ステップアップして、三十、三十五、四十になった時点で自分はどんなことをしたいかということで、人生計画書ですね、本人も書かせて。
 あと、一つの弊社の特徴は、毎回の授業は必ず感想文、作文を書かせます、書くことによって自分のことを分かるようになりますので。そこで先生方は見て反映されまして、また更にこういうふうに教育していこうということで、徐々に、もう十年間ぐらいやっていまして、授業どんどん増えていきます。内容も凝って、いろんな実例もできるようになっておりますので、そういった形の教育を行っております。
#69
○高木かおり君 ありがとうございます。
 それでは、冒頭申し上げたように、失踪というのが大変危惧されるところであるということを申し上げましたけれども、斉藤善久参考人にお伺いをしたいと思います。
 先ほどお話の中に、送り出し国の実情を正確に把握することが重要だというふうにおっしゃっておられましたけれども、これはどうすれば把握がきちんとこれからできていくかということをお伺いしたいと思います。
#70
○参考人(斉藤善久君) それは難しいですね。私も今の段階まで内情を理解するまでにもう二十数年掛かっているわけで、大変ですよね。特に、実習生の皆さんは、今まで私たちが申しましたように、なかなか本当のところを話してくれませんから、私たち学者も頑張りますし、現場の方たちも頑張りますし。
 ちなみに、ちょっとお時間をお借りして、さっきの保証金がもう取らなくなったよというお話は、多分あれですね、直接送り出し機関が金庫に入れるんじゃなくて、銀行に預けるシステムになったよという話かなと理解しておりますけれども。済みません、ついでに。
#71
○高木かおり君 本当に実情というのはなかなか難しいというふうに、今、斉藤参考人の方からの御指摘でございました。
 そんな中で、旗手明参考人から、本当に今、実情、人権侵害もひどいと。上からの規制が定められてはいるけれども、残念ながら送り出し機関の方では規制が届かないような状態で、今よりは一歩前進はしたけれども、なかなか難しいと。先ほども、これからは下からの規制が重要で、実習生たちが訴えられるような、そういった仕組みをつくっていかなければならないと、そういうふうにおっしゃっておられたかと思います。
 建前と実態がある、もっと踏み込んでいかなければならないと、そういったこともおっしゃっておられる中で、先ほど少し触れられておられましたけれども、韓国の雇用許可制についてもう少し詳しく御説明をいただけますでしょうか。
#72
○参考人(旗手明君) ありがとうございます。
 私は韓国について研究者ではありませんので、いろいろ詳しい方のお話とか論文とか見させていただいているというレベルでの御回答になります。日本の今の制度と比べたときに、どういう点が参考になるかということです。
 先ほどとちょっと繰り返しになる部分があろうかとは思いますが、まず、国家間で覚書なり協定なり結ぶと。今、韓国ではたしか十五か国だったかと思いますけれども、そういう国家が、先ほど民民と言われたという話をしましたが、そういうことではなくて、国がつくっている制度として責任を持つと。民間のあっせん業者なりブローカーなり、そういうところがこれに食い込んで搾取構造をつくっていくというのを排除をすると。これは一つ参考になるんではないかと。
 それからもう一つ、先ほどちらっとだけ言いましたが、限定的ながら転職の自由が認められているわけです。大ざっぱに言うと、年に一回ぐらいの転職は認められているというシステムになっているということですね。要するに、問題があれば動ける、これは市場原理なんです。労働市場の原理が健全に働けば、労働者の権利も守れるということがあるわけです。ですから、そういう、技能実習ということは技能移転を目的にしますので全くフリーにというわけには確かにいかないかもしれないけれども、もう少し、問題があれば移動しやすい形をつくっていくと、そういう点も大いに参考になるかなというふうに思っております。
#73
○高木かおり君 ありがとうございます。
 その韓国の雇用許可制ということで、国と国の二国間できちっと監理をしていって、そういった過程なんかも透明化をしていけるというようなことかと認識をいたしました。
 本当に、本来であればこういったことは国家間できちんと監理をしていくことが必要になってくるのかと思いますけれども、なかなか二国間協定を結んでお互いに不正を禁止するという取決め、まだまだこれは監理体制にも課題はあるのかなというふうに感じました。
 今回、新しくこの外国人技能実習機構が設立をされるわけですけれども、機構の体制の充実というのが大変重要になってくるかと思います。これに関しまして、これで十分に監理ができていくかどうかについても少し御見解をお聞かせください。
#74
○参考人(旗手明君) 衆議院の議論を伺っていまして、監理団体については年に一回チェックに入ります、実習実施機関については三年に一回ですということだと、実習生がいる間に一回しか基本的にはチェックに行かないということですよね。ですので、非常に心もとないというふうに思います。ですので、それは私の先ほどの表現で言えば上からの規制の一形態なので、そのやり方では限度があると。
 先ほど斉藤先生も言われたように、実態とそういう調査が来たときの実施機関の説明というのは乖離があることが多いわけです。ですので、やっぱり現場にいる技能実習生が常に問題があれば表に出しやすい体制づくり、これがないと、技能実習機構だけが一生懸命、例えばそこに五千人投入してやればまあできるかもしれないけど、それは費用対効果で全く釣り合わないですよ。やっぱり制度設計自体を変えないといけないという問題になるだろうと思います。ですので、やはり技能実習生自身が訴えやすい環境づくり、これをどう担保するか。それから、その技能実習生から受皿としてそういう窓口を技能実習機構がどれだけ持てるか。
 今年は、技能実習一号の新規入国者数チェックしてみましたら、上半期、六月まででベトナムがトップになりました。ですので、今日このお二人がやられている議論は非常にタイミングのいい、これからは今までの中国問題ではなくてベトナム問題になろうとしています。残念ながら、まだ労基署や労働局の言語対応はベトナム語はできていませんというのが実情です。全くお寒い状態なわけですね。ですので、ベトナム仕様に向けてこれからやっていく意味では非常に今日の議論は良かったかなという感じをしております。
#75
○高木かおり君 ありがとうございました。
 最後に少しいいお話を聞かせていただけて少しほっとしましたけれども、これからもまた議論を重ねていきたいと思います。
 本日は誠にありがとうございました。
#76
○糸数慶子君 沖縄の風の糸数慶子です。
 本日は、参考人の先生方には本当に貴重なお話をいただきましてありがとうございました。
 先ほども佐々木委員からもありましたけれども、実は先日、この委員会で視察をさせていただきました。東京の二か所の研修生を受け入れている施設でありましたが、二か所ともとてもうまくいっているケースで、大変整っている場所でありましたので、こういう状況でうまくいっているといいなと実は率直な感想を持ちました。
 例えば大田区の方では、中小企業ですが、食事にも配慮をして、例えばハラルフードを用意をしたり、それから研修生本人たちの意思を尊重して、そして確認をし、雇用主と研修生が互いに助け合って必要としているというような状況がよく見える大変理想的な施設でありましたけれども、今日の議論をいろいろ聞きましても、これまでのこの委員会でのやり取りを見ましても、全てがそういう状況にあるとはもちろん思えないわけですね。でも、この回った二か所の方では、やはり現地での聞き取りにおいて、特に雇用主の側は、今、日本では、高校を卒業してその卒業した人を採用しても、一人集めるのにも大変苦労すると、苦労した人がそのままずっと勤めるという状況にもないので、やはりこうやってきちんと国と国同士が提携をして人を派遣してもらえる、こういう制度があるというのは大変助かるという感想を述べていらっしゃいました。
 そして、その中で一人一人の研修生のお話を聞くチャンスがありましたけれども、三年、五年と言わずに、もう少しその期間を延ばしてほしいという、そういう実は企業の方からも研修生からも意見があったわけですけれども、そういう御意見について、今日の参考人三人の方々はどのように思われるか、レロンソン先生からまず最初にお伺いしたいと思います。期間の問題です。
#77
○参考人(レロンソン君) ありがとうございます。
 御質問の中では、三年から五年に希望されているかということですね。実際、ベトナムの実習生の中で、三年から五年にもし延長されたら喜んでいる人が非常に多いと実感しております。これ、やはりニーズあると思いまして、まず制度が認められたら、今度、企業さんですね、企業さんレベルで、仕事によって三年だけでいい、五年に延ばしてほしい、こういった実態があると思います。
 例えば、特に弊社出している機械系、製造系の企業さんですね、機械加工を三年間でちょうどいいところに、仕事できるようになっている段階でもう帰らなければいけない。もっと本人は高いレベルの仕事を、段取りとかプログラミングとか設計とか、そういったもっと付随の作業、流れの、工程の勉強もしたく、その場合は希望者が多いと思います。その場合、企業さんも是非残ってほしい、こういったマッチングするケースは是非五年に延ばしていっていただきたいと思います。
 中で、本人は元々三年だけで計画して、帰ったら仕事の、ベトナム国内で進路をもう既に考えている人は、もう五年は必要ないと考えている人もいるかもしれない。ですから、もし、三年から五年になるのが全員なるとは思えないと思います。そういったマッチング、日本に行く前の段階から、行ってから企業さんと本人の、お互いの、もっと仕事をしたい、もっとトレーニングしたい、そういったケース、マッチングがあれば五年に延長していっていただければと思います。
#78
○参考人(旗手明君) この制度の本音のところで言うと、まあ三年間、比較的安い人件費で人を確保できるというのが、実態としてこの制度の本質だというふうに僕は考えていますが、そういうことだと思います。
 それで、どういうことが起こっているかというと、まあ三年間で十分な業種もあるでしょうけれども、むしろこの三年という、要するに限られているということが技能移転の妨げになっている場合がある。どういうことかといいますと、受入れ企業からすれば、その人に投資をたくさんして、どんどん技術、技能を身に付けてもらう。場合によっては資格を取ってもらう。だけど、三年で帰られちゃう。せっかく資本を投下をしても回収ができない。だから、余り技能移転に熱心になれないということがあるわけです。ですので、五年に延ばせば、もしかしたらもう少し本腰を入れてやるかもしれないということはあるかもしれません。これは経済原理として当然あり得ることです。
 それから、先ほどの本音からいえば、実習生自身は三年稼働よりも五年稼働で行った方が結局所得が増えるわけですので、それは本音のベースでいえば、五年に延ばすことは労使双方歓迎する可能性は高いと思いますね。
 以上です。
#79
○参考人(斉藤善久君) 期間を五年程度に延ばすことについては、ベトナム側、実習生さんたちにとっても日本側にとっても需要のあるところであって、特に問題ないと思いますが、ただ一点気を付けたいのは、最初の意見陳述でも申しましたけれども、今、例えばベトナムでいえば、送り出し機関が取るサービス料ですよね、手数料、これが一年だったら千二百ドル、三年三千六百。これがそのまま五年だったら、じゃ六千とか、そんなことになってしまうとすると大変だなと。やっぱり五年間働けるとなったら、どうしても日本に来たいという人も増えるから、増えた分、市場原理でそういう手数料が上がっていく、紹介料、口利き料が上がっていくということは容易に考えられるので、そういうことにならないように送り出し側のベトナムの政府の方とかとよく調整して、ベトナム側と一体的な制度を構築する必要があると思います。
#80
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 続いて、介護の現場の方にも行きました。そこで、言語習得についてなんですが、例えば日本語には擬音語あるいは擬態語があったり、とても表現が難しい部分があるわけですね。ですから、例えば介護現場で、ずきずきするとか、それからもぐもぐしてねとかというような表現などを使うという状況のときには、こうした表現などはやっぱり一般的な日本語能力試験では測るのは大変難しいわけですね。
 ですから、現行の言語、日本語の能力試験というのは、やっぱり書く、話すより読む、聞くが優先されているとも言われるわけですけど、それだけではコミュニケーション能力が担保できずに、この法案で規定する日本語能力試験のみでは不備があるように思うわけですけど、それについて先生方はどのような御意見をお持ちですか。斉藤先生の方からお願いします。
#81
○参考人(斉藤善久君) それは現場で判断するしかないと思いますね。採用する段階で採用する施設がその人をちゃんと見極めて、できるかどうかですね、するのがよろしいかと思います。
#82
○参考人(旗手明君) 日本語能力のことは非常に重要といいますか、最近私どもの関係の団体に入ってくる相談では、ベトナムのケースで建設分野、ここで暴力事件がかなり多いんですよ。頻発してきている。要するに、中国の方が多かったときは、漢字文化圏ですのである程度いろいろと通じるところがあった。だけれども、それがなかなかうまくいかない。
 だから、現場労働者、元々建設というのは荒っぽいところなんですが、そこで現場労働者と技能実習生との間のちょっとした摩擦がそういうことに発展するということが起こっていますので、言語の問題は非常に重要というふうに考えていますし、できれば、技能実習制度全体に、こうした介護で言語の問題が問われていますが、全体の制度としては全く日本語能力、意に介されていないわけです。ですので、逆にこれを、介護で議論されていることを全般化する必要があるんじゃないかと、制度全体にというふうに考えています。
#83
○参考人(レロンソン君) 日本語能力に関しては、弊社の対策としまして、まず、今現在一般的に使われている教材をもちろん同じく教えていますけれども、内定後ですね、内定後の教育コースというのがありまして、それ、企業様からのいただいた専門用語ですね、その流れ、加工工程などの、そういったものをいただきまして、クラス別というクラスを設けまして、一般の日本語以外のその専門用語を習得してもらう。例えば、ある企業さんは、社内で黒、ブラックですね、の色は墨と言うんですけれども、それ墨といったら、一般の日本語は教えていないので、そういったそれぞれの企業さんの個別に対応していることもあります。
 それと同じく、今後介護の事業展開することになれば同じく、介護の現場で使われている言葉とか、もちろん地方の方言も含めてですね、そういった研究をする必要があると思います。
#84
○糸数慶子君 続いて、旗手参考人に伺いますが、送り出し機関に対する罰則規定がないことについて、政府の答弁では、外国にあり対応が難しいので、政府、つまり当局間取決めで不正行為をする送り出し機関を排除するというふうなことを言っておりますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
#85
○参考人(旗手明君) ありがとうございます。
 送り出し機関は、日本に送り出し機関の人間を駐在員として常駐させているケースもあります。常駐じゃなくても定期的に日本に来てチェックをするというようなこともやっています。ですから、送り出し機関だから海外にあるから基本的に手が着かないということはないわけです。国内で対処できる部分があります。
 もう一つは、形としては、日本人、日本側の人間が送り出し機関の中で何らかの役割をしている、ケースによっては送り出し機関のトップを務めるというようなこともあるわけですので、私ども結構付き合いのあるフィリピンの送り出し機関の方なんかもおられますが、日本人です。私どもにそういう送り出し機関の情報を提供してくれたりする方もおられます。
 要するに、日本人であったり日本に駐在をしていたりということですから、罰則規定がなかなか機能しないというふうに簡単に言うべきではないと思います。十分機能する側面があるだろうと。また、それを踏まえて政府当局間取決めに反映をさせていく、こちら側で罰則規定を持つことによって、相手に同様の対応、相手国、送り出し国に同様の対応を求めていくというようなことが必要ではないかなというふうに思います。
#86
○糸数慶子君 時間が参りましたので終わりますけれども、冒頭にありましたように、やはり今回の法案に対しては、規制策と拡大策、一緒に、同時にこの法案に入っているということでかなり問題もあるわけで、これからまた今日の参考人の皆さんのお話を参考にして改めて質疑をしてまいりたいと思います。
 今日はありがとうございました。
#87
○山口和之君 無所属の山口和之と申します。
 ありがとうございます。
 旗手参考人と斉藤参考人のお話をずっと聞いておりましたら、もう治療不能の重症患者というふうな、この制度はですね、そういうふうに聞こえます。ただ、レロンソンさんのお話も聞くと、何とか治療できればウイン・ウインの関係も築けるのではないかというふうなところも少し感じました。
 先ほど来視察の話が出てきて、実際視察をしてきたときに、帰国されたときはどういう仕事になるんですかと言ったらレストランを開きますという話があって、結局これはどっちかといえば、まあ視察だからいいところに行くんだろうなと思って聞いていて、確かにいいところだったんですが、まあ出稼ぎに近いかなというところがあって、先ほどおっしゃったように、三年よりも五年の方が稼げるじゃないか、そうしたらもっと立派なレストランができるじゃないかというふうに感じました。
 ただ、大学に行って医学部に行った先生も違う仕事をされたり、例えば議員の先生やったり弁護士さんになられて違うことをやったりとかということもあることはあるので、全部が全部、溶接を覚えたから自分の国で溶接やらなきゃいけないというわけではなくて、幅広く学ぶことによって日本のシステムを覚えたり、いろんな意味で活用できるぞというところなので、単なる労働力として使うんじゃなくて、ちゃんとやればウイン・ウインの関係というのは出るのかなというふうには思いますが、よっぽど大なた振るわないと治療できないんじゃないかなと、お二人のお話を聞いているとやっぱりそう思います。
 ちなみに、エスハイで学ぶ人たち、方々、送り出し機関ということになられるんだと思うんですけれども、一体授業料は一年間で幾らぐらい取られて、保証金とかいろんなお金というのをどれぐらい取られているんですかね。
#88
○参考人(レロンソン君) ありがとうございます。
 弊社の、送り出し機関としてやっておりますけど、もう一つ、教育機関も並行でやっておりまして、その教育機関は一年間の教育しているプログラムの中で授業費としては合計十万円ぐらい、年間であります。月々七、八千円というレベルですね、やっておりまして、保証金は全く取っていないので人気度が非常に高いところもありまして。
 弊社の特徴は、非常に貧困者で受け入れるわけではなくて、ある程度、高卒以上ですね、短大とか大学。短大は六割です。大卒は二割です。高卒、二割だけです。この構成で、勉強のための目的で来てもらうことになっております。
 親方も応援しておりまして、うちの勉強システムは、住み込みで一日勉強するのではなくて、半日だけですね。半日はアルバイトをさせています。アルバイトの協力しているところもやっておりまして、できれば本人の自立をしながら勉強してもらって、しっかりした上で日本に来てもらうことにお願いしていますので。
 弊社の今教育教員は八十名、日本人の教員は十五名、中にいます。プログラムもしっかりしていますので、日本語教育だけではなくて、先ほど、意識の教育とか人生観の教育、いろいろやっておりまして、日本の文化も教育しているので、そういった学校を経営するとその勉強するための人が入ってくるので、ですので、目的は出稼ぎに行くことが、まずはその段階でフィルター掛けることできます。
#89
○山口和之君 魚の釣り方をしっかり学べば応用が利いて更に進化したものに発展させることができると、確かにそのとおりなんですが、現場でやっていることは同じ作業を繰り返すということになってくるとなかなか難しいので、日本側としても、受入れ側としてもそこまで支援できたら確かにいいなとは思います。
 ちなみに、悪い送り出し機関というのは一体どれぐらいいるのだと、あと、悪い受入れ機関というのは一体どれぐらいあるのだと。これは一%の話なのか一〇%の話なのか、五〇%の話だとするとこれは治療だって変わってきますし、そう考えると、各々の参考人の方に聞きたいんですが、悪い送り先はどれぐらいあって、悪い受入先というのはどれぐらい把握されているのか、ちょっと教えていただきたいんですが。
#90
○参考人(旗手明君) まず、受入れ側について言えば、例えば厚労省の、先ほど言いました指導監督、送検状況を見ますと、七割から八割が労働法規の違反をしているわけです。まず、そういう前提でお話をしないといけないということですね。
 それから、私どもの関係団体が技能実習生から相談を受けて対応するケースでは、もう大部分、先ほど言ったような問題が重なってあるケースがほとんどというのが実情ですね。ですので、相当高い比率で問題のある受入れ側の機関があるというふうに私どもはイメージをしております。
 送り出し機関ですが、これも私ども直接海外行ってチェックするというふうなことは日常的にはできません。たまに訴訟との関係で弁護士や関係者が中国に行ったりベトナムに行ったりというようなことはありますけれども、恒常的に何かチェックするというようなことはできません。ですので、現実に起こったケースで考えると、やはり送り出し側にも、先ほど資料としてお示しさせていただいたような契約、妊娠してはいけない、携帯を持ってはいけない、そうした私生活にまで食い込むような契約が出てくることが多いわけなので、これもそう低い比率ではないんではないかというふうに感じております。
#91
○参考人(斉藤善久君) この問題は、そんな簡単にええもん悪いもんみたいな、ブラックだとかホワイトとかそういう話じゃなくて、やっぱりグラデーションの中にある話であって、何をもっていい悪いと言うかですわね。だから、非常に人権を侵害しているような、何とかハラスメントとか、そういう感じで、強制労働とかですね、そんな感じでやっている受入ればかりではないと思います、日本でも。仲よくやって、よく面倒も見てというところはあると思いますけれども、何を基準にいい悪いを見るかですよね。
 だから、本来の国際貢献、技能をちゃんと伝授すると、そういうところから見たら、そんな意識でやっている受入れはほぼないんじゃないですか。全部悪いと言うことができるかと思います。
 ベトナム側、ベトナムに限らず、送り出し側から見ますと、送り出し、やっぱり労働力のやり取りをするところに民間が入ってくると大体良くないことになるのは日本でもそうですよね、同じですよね。ですから、民間がやっている以上、エスハイさんは別かも分からないけれども、おおむね本当は政府なりがやった方がいいと思います。
#92
○山口和之君 同じく、レロンソンさんにも伺いたいんです。
 実習生のアンケートを見ると、いい答えが結構返ってきて、そんなに暗くない話が結構あるんですね。その辺も含めて、その事業所、ベトナムでの送り先、もう本当にいっぱいいるぞなのか、ちょっとそれも含めて教えていただきたい。
#93
○参考人(レロンソン君) 先ほど述べましたように、韓国の方の労働許可制、二〇〇四年から適用してやってきて、結果的に七万五千人の人数を受け入れている中に三万以上も失踪者が出ています。それに対して、ベトナムから年間今、三万人ですね、今合計六万人以上日本に入っておりますけれども、データを見ると年間で失踪者が六百、七百人ぐらい程度でなっておりまして、これは非常に自分は多いと思っておりますけれども、それ比較すると、この制度はある意味本人は満足してやっているんじゃないかと思っております。つまり、そうしないとたくさんみんな日本で逃げてしまう、逃亡してしまう、もっと数が出るんじゃないかというふうに思っておりますけれども、そういうことで、今、悪い送り出し機関、悪い実施、実習企業とか、それはもう入管レベルでデータありますので、これから両国協定結んで強化していただいて、悪いところを排除していく方向になっていくことは期待しております。自分のどこがいい、どこが悪い、正直自分のデータもない、把握しておりませんけれども。
#94
○山口和之君 そうはいっても、先ほどのお話を聞くと、言えない環境だ、実習生が言える立場じゃないと。確かに、お話を聞いたら、それじゃ自分も言えないなという気はします。これじゃ話にならぬですよね。まあひどいものだというふうに思います。それが一握りであっても、それはやっちゃいけないし、人権を考えれば、みんなが、皆さんがウイン・ウインの関係になるようなシステムを本当につくっていかなきゃいけないと思います。
 ここでキーワードとして出てきたのは、送り出し機関の問題、あるいは保証金の問題、違約金の問題、それから強制帰国の問題、労働時間の問題、賃金未払の問題、シェルターの問題、そういういろんなものが出てきていますが、これ、全て本当に解決していかなきゃいけない。失踪者にも失踪理由というのが恐らくありますけれども、それは勇気があって失踪しているので、恐らく、とにかく借金の問題もあるし、ここは何とか我慢していこうと思っている人たちも多いのかもしれませんね。そう考えると、声をちゃんと聞くようなところをしっかりつくっていかないと、本当にお二人の参考人の方が言っていることを、これを聞き逃したのではこの制度自体がいい制度とはとても思えなくなります。ただ、レロンソンさんがおっしゃるように、自分の国に帰って国の発展に貢献できる人材も育成していくんだというところもいい話でありますので、これ何とか持っていきたいなと思います。
 そういった意味で、あと時間がちょっとしかないので、今までいろんな、お三方の処方箋を少しずついただきました。二国間の間でしっかり監督する体制をつくれとか、いろんなことをお聞きしました。まだ言い足りない部分がありましたら、国に対する要望とか、こういうことをしっかりやっていくことによって本当にウイン・ウインの関係がつくれるんだということがありましたら、お三人の参考人の方にもう一度お伺いしたいと思います。最後だからまとめのような感じになっていますけれども。
#95
○参考人(レロンソン君) そうですね、この制度はもっと改善していくべきだというふうに、同感です。どこの点が改善されるべきかといいますと、一つ、せっかく実習機構ができましたら、今度、調査の方とか、事実、現場での把握することを是非進めていただきたいと思います。そこで必ずいいか悪いかというのが出てきますので、そこで一つ、もし問題点だという発覚したときに、いきなりこれは駄目だ、排除するんだということになったら、一つの何か問題残っている課題としては、派遣した人たちが、実習生、日本に来ている実習生たちがもう既にいるわけですので、不安になって、元派遣されたところでもう問題になって業務停止になって排除されるということになると、その身元のところ、不安になって精神的にも弱ってしまう、それは良くない。
 そうすると、もし今後の問題が発覚したら、改善措置を段階的に踏んで、これ改善してもらわないと駄目ということで徐々に改善していく、で、最終的に駄目でしたらもうこれは永遠に排除する、そういった流れ踏んでやっていただくと、派遣機関の方、せっかく自分の事業として投資して変なことをやろうというのは思えないと思います。ただ、やはりその中に不正な変なことを考えている人もいると思います。それを排除すべきだと思っております。
#96
○参考人(旗手明君) ありがとうございます。
 私は、基本的には技能実習制度はフェードアウトしてもらうという位置付けで、形を変えて、現実に日本は人口減少社会の中で人手が足りなくなってきています。今有効求人倍率なんかも見ても、やっぱりバブル期に近いような数値が出ております。
 ですので、やはり制度を組み替えていく。韓国でも二〇〇四年から雇用許可入れましたが、その前の制度は二〇〇七年まで生きていたというふうに聞いています。ですので、そういう組替え作業、これをどう制度設計するかをきちっと議論する必要があるというふうに思います。
 それから、最後ですのでちょっと勝手をさせていただきますが、今日、傍聴席に技能実習生が十人近く参加をされています。私どもの議論を真剣に聞いていただいていると思います。彼らは、基本的に皆、岐阜の方のシェルターにおられる方たちです。労働組合の事務所がありシェルターがある、そういう場所が岐阜にあるんですね。そこに皆さん頼ってくる。要するに、職場から出て権利主張するしかなかなかないような状況というのがあるわけですね。中には、年に二、三日しか休みがないという働かされ方をした方も入っておられます。
 ですので、技能実習機構、仮にできることになるとすれば、シェルターをやはりきちっと用意をしてほしいのと、民間シェルターに対して、かなり赤字状態でやっておられます。組合としての経費が多少は出ますが、基本的にはかなり赤字状態でやっておられます。だから、そういうところとも、民間とも連携をしていくというような姿勢を持ってほしいし、先ほどちょっと長くなっちゃってしゃべれなかったのは、例えば強制帰国を出国の段階で止めるという手続をできるだけ事前にやってほしいというふうには思いますが、止めれば済む話ではなくて、要するに、彼らが持っている権利をちゃんと実現をするためには、かなり包括的なサポート体制、要するにシェルターだけではなくてちゃんと経営側と交渉をするとか、きちっとそういうサポート、全体としてのサポート体制というものが必要なんですね。
 そういうものを技能実習機構が用意をできるのかどうか。今のところ見えているのでは余りそういうことは考えられていないという感じを受けています。もう少し丁寧なサポート体制を技能実習生に対して考えるということをやっていただきたいし、法案のレベルじゃなくて運用のレベルでやれることもたくさんあるというふうに思いますので、その辺、是非御議論を進めていただけると有り難いというふうに思います。
#97
○参考人(斉藤善久君) 今技能実習生さんたちがたくさん入っている業界であるとか地域であるとか、これから入れようとしている介護であるとか、いずれも、どうしても外国人の皆さんに自分たちのすばらしい技術を移転したいというふうに、そういう熱意に燃えた業界とか地域じゃなくて、誰も日本人の労働者が来てくれないから、やむを得ず受け入れているというところばかりだというふうに認識しています。
 だから、まずは、そういう業界であるとか地域の労働条件を底上げして、日本人でも働きたいような職場になって、それでもなお受け入れたいところに受け入れるということが大事だと思います、一つには。
 それから、もっと短期的な話をしますと、やはり技能実習生に、入国後ある程度自由に転職できるように、職場を選べるように、ひどいところに当たったときは、運が悪かったで諦めるんじゃなくて、ほかのところに移れるような制度にしていただきたいです。
#98
○山口和之君 ありがとうございました。
#99
○委員長(秋野公造君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、長時間にわたり御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)
 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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