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2016/11/22 第192回国会 参議院 参議院会議録情報 第192回国会 法務委員会 第9号
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2016/11/22 第192回国会 参議院

参議院会議録情報 第192回国会 法務委員会 第9号

#1
第192回国会 法務委員会 第9号
平成二十八年十一月二十二日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         秋野 公造君
    理 事
                西田 昌司君
                山下 雄平君
                真山 勇一君
               佐々木さやか君
    委 員
                猪口 邦子君
                中泉 松司君
                古川 俊治君
                牧野たかお君
                丸山 和也君
                元榮太一郎君
                柳本 卓治君
                有田 芳生君
                小川 敏夫君
                仁比 聡平君
                高木かおり君
                糸数 慶子君
                山口 和之君
   国務大臣
       法務大臣     金田 勝年君
   副大臣
       法務副大臣    盛山 正仁君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  井野 俊郎君
       厚生労働大臣政
       務官       堀内 詔子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      大塚 幸寛君
       警察庁長官官房
       総括審議官    斉藤  実君
       警察庁長官官房
       審議官      高木 勇人君
       警察庁長官官房
       審議官      白川 靖浩君
       法務大臣官房審
       議官       高嶋 智光君
       法務省民事局長  小川 秀樹君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
       法務省矯正局長  富山  聡君
       法務省保護局長  畝本 直美君
       法務省人権擁護
       局長       萩本  修君
       法務省訟務局長  定塚  誠君
       外務大臣官房参
       事官       小野 啓一君
       厚生労働大臣官
       房審議官     椎葉 茂樹君
       厚生労働省職業
       安定局次長    大西 康之君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局児童虐待防止
       等総合対策室長  山本 麻里君
       農林水産省農村
       振興局整備部長  奥田  透君
       国土交通大臣官
       房審議官     北本 政行君
       防衛省地方協力
       局長       深山 延暁君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (法制審議会民法(相続関係)部会における議
 論に関する件)
 (ヘイトスピーチ対策の新たな課題に関する件
 )
 (再犯防止対策に関する件)
 (相続登記の推進に関する件)
 (同和問題についての過去の法務省の対応に関
 する件)
 (児童虐待の再発防止に関する件)
 (沖縄県民への差別的発言を踏まえた警察官へ
 の研修・教育に関する件)
 (いじめ問題についての法務省の対応に関する
 件)
○裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府大臣官房審議官大塚幸寛君外十七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(秋野公造君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。
 まず初めに、今日は法務省の組織について触れたいと思いますけれども、昨年の四月に局に格上げするという形で政府の訴訟案件を一元的に扱う訟務局というものが法務省に誕生しました。行政改革への圧力が強い中、新しい局ができるというのは最近少なくなってきたというふうにも思うんですけれども、この訟務局ができた背景とその狙いについて御説明願います。
#6
○政府参考人(定塚誠君) おはようございます。答弁させていただきます。
 近年、国の利害に重大な影響を及ぼす争訟が増加いたしております。また、将来の法的な紛争を回避するための予防司法、これは、予防医療という言葉がございますけれども、病気になる前から健康を維持するために活動をしていくと、こういうことの司法版でございます。この予防司法の機能の充実、さらには国際的な紛争に対する政府全体の対応を強化する必要があることなどから、訟務局は昨年四月に局として設置していただいたわけでございます。
 そして、訟務局では、この予防司法といたしまして、各府省庁から寄せられる行政施策に関する照会事案に対しまして、具体的な法的紛争が生ずる前であっても、これまでの訴訟対応等によって得た知見を提供するなどして、法的問題について政府各機関に助言をさせていただいておるわけでございます。このような予防司法の強化によりまして、ちなみにこの一年半で約四百五十件各府省庁から相談を受けておるという状況で、大変に盛況との状況でございます。
 今後は、このような予防司法機能に加えまして、国際司法裁判所等の国際的な案件への積極的な関与あるいは国内の複雑困難な訴訟に対する訟務機能の充実強化を図りまして、我が国の法の支配をしっかりと実現すべく、多方面からの要請に的確に対応してまいりたいというふうに考えております。
 以上です。
#7
○山下雄平君 訴訟になる前となった後に政府として対応していくというのは非常に重要だと思いますけれども、局になったからといって、それだけで機能強化がされるわけではないと思います。局格上げ前後の人員体制強化の状況について説明していただくとともに、広範な国の訴訟案件に対応するのに現状で十分なのか、また課題はないのかについてお聞かせいただきたいと思いますが、これは弁護士でもあられる井野政務官に考えをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
#8
○委員長(秋野公造君) まず、定塚訟務局長。
#9
○政府参考人(定塚誠君) 数値の部分だけ局長の方から説明させていただきたいと思います。
 法務省訟務局及び全国の法務局におきましては、一年間で約一万一千件の訴訟事件を合計約百十名の訟務検事で担当しております。一人約百件ということでございます。これらの事件の中には、国内における複雑困難な訴訟も含まれておる状況でございます。
 訟務局設置後、本年の四月には、予防司法に従事する訟務検事十名を増員していただきました。そして、本年の七月には、大臣官房審議官一名及び大臣官房参事官二名を増設していただき、さらに複数の訟務検事を国内の複雑困難な訴訟に専従させるなどして、訟務機能の充実強化を図ってきたところでございます。
 以上です。
#10
○大臣政務官(井野俊郎君) おはようございます。
 私も、弁護士として裁判、実務等に携わってきた者として、やはり訟務機能の充実というのは大変重要であるというふうに考えております。これまでも、現行体制において国の利害に関係ある訴訟に訟務局は適切に対応してきたものであるというふうに認識をしておりますが、他方、複雑困難な事件が現在増加傾向にある、事件対応においても質的、量的に大変厳しい状況にあるというふうに認識をしております。
 そこで、訟務局は、国の当事者等とする民事訴訟及び行政訴訟を統一的、一元的に処理し、法の支配を貫徹すべき重要な役割を担っております。これら訴訟において、法務大臣の指揮権限をより適切かつ効果的に行使するなどして、その職責を果たしていかなければならないと考えております。今後、増加傾向にある複雑困難な訴訟にも適切かつ迅速に対応するための訟務機能充実強化をしていき、引き続き適切な訴訟運営遂行体制の強化を図ってまいりたいと考えております。
#11
○山下雄平君 井野政務官が触れられた複雑困難な訴訟案件の一つに、私の地元、九州の諫早湾干拓の潮受け堤防の開門訴訟の問題があろうかと思います。二年前にもこの法務委員会でこの問題を取り上げましたけれども、その当時はまだ訟務局というものができていなかったので、改めてこの問題について触れたいと思います。
 これは、諫早湾干拓の潮受け堤防が一九九七年に締め切られた後、ノリや魚介類の不漁が続いて、堤防の締切りが漁業不振の原因であるとして漁業者の皆さんが開門を求める訴訟を佐賀地裁に起こされました。開門しろという福岡高裁の判決が、時の菅直人総理大臣が上告しなかったことによって確定しました。一方で、その諫早湾干拓の干拓地で農業をされている方、営農者の方が開門の差止め訴訟を長崎地裁に起こされまして、差止めの仮処分の決定が出ました。つまり、訴訟で相反する判断がなされておりまして、現在、漁業者、営農者、国による訴訟合戦の様相を呈しております。
 また、福岡高裁の確定判決に基づいて、今、国は開門するまで一日九十万円のお金を支払っているという現状であります。本当に、なかなか非常に難しい状態でありますけれども、現在、長崎地裁が開門しないことを前提の和解勧告を出されて基金の問題なんかが議論されておりますけれども、この基金というのが開門を前提にしないということでなかなか合意には至らないということもありますし、また、その基金を運営する主体が県や漁業者ということでありますけれども、これは原告とはまた違うわけで、その関係がまた不透明だというような問題もございます。
 次回の和解協議は十二月十二日で、次々回は来年一月十七日ということですけれども、開門を前提としない和解案では合意を得るのは難しいのではとも考えております。基金案と和解勧告は切り離して考えた方が有明海再生の前進になるのではないかとも思いますけれども、まずは農林水産省の考えをお聞かせください。
#12
○政府参考人(奥田透君) お答えいたします。
 有明海の再生につきましては、有明海特措法に基づきまして、関係省庁及び関係県と連携しつつ、漁業者等の御意見も聞きながら、有明海の再生に向けた取組を推進しているところでございます。
 本年一月に、長崎地裁から、開門によることなく有明海全体の漁業環境を改善する方策を検討し、全体の解決を図る和解の協議をすべき旨の勧告が行われたことを踏まえまして、国は、和解協議におきまして、有明海の再生に向けた取組を加速化するための基金案、これを提案しているところでございます。
 この基金案は、通常、基金方式はその必要性を厳格に検討いたしまして極めて限定的に用いられるのに対しまして、あくまで長崎地裁の和解勧告に応えるための例外的な措置として提案しているものでございます。このように認識しております。
 以上です。
#13
○山下雄平君 なかなか直接的なお答えはいただけなかったんですけれども、この相反する決定に、判断によって、営農者にとっても漁業者にとっても本当に不幸な長い時間が経過しているというふうに思います。中には、一刻も早く法的な結論を得るために最高裁の審判を受けるべきではないかと言われる方もいらっしゃいます。訟務局ができたということで、今、毎日国の税金が、大きなお金が使われているということもありますし、これは金田法務大臣に、どのように考えていらっしゃるのか、考えをお聞かせいただきたいと思います。
#14
○国務大臣(金田勝年君) ただいま山下委員からの御指摘がございました。前提といたします認識としては同じ思いであります。
 平成二十二年の十二月六日に、福岡高裁は諫早湾潮受け堤防の開門を命ずる判決をいたしております。他方、平成二十五年の十一月十二日に、長崎地裁は潮受け堤防の開門の差止めを命じる仮処分決定を行っているわけでありまして、相反する判断が存在するわけであります。
 国としては、これらを始めとした一連の訴訟につきまして、最高裁の統一的な判断を求めていく立場に変わりはありません。もっとも、一連の訴訟につきまして早期に統一的な判断が示されるかどうかにつきましては、裁判所の判断によるところもございまして、予断を持ってお答えをすることは差し控えたいと思います。
 また、和解協議におきましては、開門を求める方々、開門の差止めを求める方々双方が納得する解決を目指しているものと承知をしております。和解が成立すれば一連の訴訟を全体的に解決することができる、このように考えておるわけでありまして、まずは長崎地裁の和解協議の場において、裁判所の訴訟指揮に従いつつ、問題の早期解決に向けて真摯に努力をしてまいりたい、このように考えております。
#15
○山下雄平君 本当に、問題の早期解決というのが本当に求められていると思いますので、法務省含め政府の皆さんのたゆまない努力をお願いしたいと思います。
 では次の、別の話題に移ります。
 先月の法務委員会で、私は、認知症の方が起こした事件の損害を介護をされている家族の方も賠償しなければならないのかどうかという問題について取り上げました。今日は、介護と相続の問題について伺いたいと思います。
 現在、複数の相続される方がいらっしゃる場合は、相続人と被相続人の同居の有無や介護、扶養の状況などは、法律上、相続でどのように考慮することになっているのでしょうか、お聞かせください。
#16
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 現行法上は、複数の相続人がいる場合に、その相続人の中で被相続人の介護や扶養をするなどして被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたと認められる者がいるときは、遺産分割の手続の中で寄与分の加算が認められ、その者の具体的な相続分が増えることとされております。
 この寄与分につきましては、まずは相続人間の協議で定め、その協議が調わない場合には、家庭裁判所が寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して寄与分を定めることとされておりまして、相続人が被相続人の介護に従事したり扶養した場合については、その期間や程度などを考慮して寄与分の有無及び額を判断することになるものと承知しております。
#17
○山下雄平君 現在、その相続に関する民法の見直しについて法制審議会で審議されていると伺っております。法務省として、介護など高齢化に伴う相続に関する民法改正について諮問したのは、社会にどのような変化があったと認識されているからなのでしょうか。また、法改正に向けた法制審議会の議論の方向について御説明願いたいと思います。
#18
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 相続法制につきましては、昭和五十五年に配偶者の法定相続分の引上げや先ほど申し上げました寄与分制度の創設などの見直しをして以来、大きな見直しはされておりませんが、この間、我が国においては高齢化社会が更に進展し、平均寿命が伸長したことに伴い相続開始時点における配偶者の年齢も高齢化する傾向にあり、残された配偶者の生活保障の必要性は高まっているとの指摘がされております。また、相続の場面でも、被相続人の介護などに貢献した者により多くの財産の取得を認めるべきであるとの意見が高まるなど、家族の在り方に関する国民意識にも変化が見られるものと認識しております。
 このような社会情勢の変化を踏まえまして、平成二十七年二月、法務大臣は法制審議会に対し、相続に関する規律の見直しについて諮問を行いました。この諮問を受けまして、法制審議会では民法(相続関係)部会というのを設置いたしまして、現在、調査審議を行っているところでございますが、この部会が平成二十八年六月に取りまとめました中間試案におきましては、配偶者の居住権を保護するための方策、遺産分割に関する見直し、遺言制度に関する見直し、遺留分制度に関する見直し、それから相続人以外の者の貢献を考慮するための方策などが掲げられております。
 今後の方向性でございますが、この点につきましては今後の法制審議会における議論によるところが大きく、現時点では未定という状況でございます。
#19
○山下雄平君 現在の日本では、親の面倒は見ないけれども、もらえるものはもらいたいと、そういうような風潮がないわけではないと思います。
 現行の民法の規定では、先ほど小川民事局長の話にもありましたが、介護をしていて例えば財産が増えるのに寄与した分、若しくは介護をすることによって本来であれば失われた財産の分だけを評価するという話でありました。憲法改正の議論をめぐって自民党の改正草案の二十四条の改正条項案、「家族は、互いに助け合わなければならない。」、この部分に関しては、家族の在り方について国が介入するなというような批判もあります。
 ただ、憲法として家族関係をどう規定するかは別にしても、長年同居されていたり、長年介護されていたり、そうした人の相続はもっと評価されるべきではないかというふうにも考えますが、これは民事局を担当されていらっしゃる盛山法務副大臣に考えをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
#20
○副大臣(盛山正仁君) 先ほど来民事局長が御答弁申し上げましたとおり、現行法上、親の介護をするなどした相続人を相続の面で評価する制度として寄与分がございます。そしてまた、先ほど来法制審議会での審議の御説明もしたとおりでございますけれども、現在、法制審議会の民法の部会において、相続人以外の者が親の介護をするなどした場合においてその貢献を考慮する方策などに関する検討もされています。その民法部会におきましては、相続法制に関する中間試案が先日取りまとめられまして、パブリックコメントの手続が踏まれました。介護の問題については、介護をした者をより手厚く保護するべきであるという意見もあれば、逆に、介護をした者を保護する方策を法定すると政策として家庭内介護を促進することにつながり、相当ではないといったような意見も寄せられております。
 このように、介護の問題を含めまして、相続法制の見直しについては広く国民から様々な意見が寄せられているところでございます。
 改正の方向性については、今後の法制審議会における議論によるところが大きく、現時点では未定でございますけれども、相続法制の見直しは国民の生活に与える影響が大きいことから、引き続き活発な議論が行われていくということを我々も期待しているところでございます。
#21
○山下雄平君 介護できる人が一人しかいなかった場合はそういうふうに誘導することにもならないわけですし、また、みんなできないのであれば相続に対しても同じ公平になると思うので、是非ともその家族を支え合う人たちが評価されるような仕組みに改正を考えていただければというふうに思います。
 では次、また別の話題に移ります。
 今年の通常国会の決算委員会で、私は、司法解剖とその専門医が不足している問題を取り上げました。司法解剖というのは、変死体が上がって事件性がありとみなされた場合に、それを解剖してその死因を究明する制度です。これとは別に監察医制度というものがあります。事件性、犯罪性がないというふうに判断された場合に、監察医と言われる医師の方が死因を調べる検案をして、それでも死因が分からないときには監察医が解剖して死因を究明するという制度です。
 これは、戦後直後に、行き倒れだったりとか感染症が多かった時代に、その死因を調べて公衆衛生の向上に役立てるというためにつくられた制度ですけれども、そういった意味では、その創設当初の意義は失われたかもしれませんけれども、その制度自体が現在は、元々は東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡と、大都市六都市にあったんですけれども、次々に財政負担の関係からも廃止されていって、現在は東京二十三区と大阪市と神戸だけあるんですけれども、この大阪市も廃止に向けて検討しているという報道がございます。
 監察医制度の今日的な意義について、厚生労働省の考えをお聞かせください。
#22
○政府参考人(椎葉茂樹君) お答えさせていただきます。
 監察医制度は、死体解剖保存法第八条に基づきまして、都道府県知事がその地域内における伝染病、中毒、また災害により死亡した疑いのある死体等につきまして、その死因を明らかにするために監察医に検案をさせ、検案によっても死因が判明しない場合に解剖させることができる制度でございます。
 この監察医が行う解剖でございますが、捜査機関が行う刑事訴訟法に基づくいわゆる司法解剖や、死因・身元調査法に基づくいわゆる調査法解剖の必要性がないと判断した死体につきまして、公衆衛生上の観点から死因を究明するものでございます。
 こうした監察医制度が設けられた背景でございますが、委員御指摘のように、終戦直後、東京や大阪等の大都市を中心に餓死や死因不明の死体が多発しており、公衆衛生上の観点から死因を究明する必要性があったものと認識しているところでございます。
 この監察医制度が設立されてから七十年余りが経過し、社会情勢は大きく変化しているところでございます。これに伴い、公衆衛生上の観点から死因を究明するこうした意義につきまして、当初の餓死等から多死社会やいわゆる孤立死などといった今日的な問題に変化してきており、重要なものであると考えているところでございます。
#23
○山下雄平君 厚生労働省として、今日的な、また新たな意義があるという指摘でした。
 そういう厚生労働省的な意義で監察医制度が行われているということですけれども、警察として犯罪性がないと思ったところを監察医が見ることによって万々が一の事件の見逃しが拾われているというような可能性もあるんじゃないかなというふうにも思いますけれども、警察庁としてこの監察医制度が存続する意義をどのように考えていらっしゃるか、お聞かせください。
#24
○政府参考人(高木勇人君) 警察が死体を取り扱い、犯罪性の有無等を解明するに当たりまして、医師の専門的知見をいただくことは極めて重要でありますけれども、監察医制度が行われている場合には、法医学について特に高度な専門的知識を有する監察医が検案を行っていただくことになります上、検案によって死因が判明せず解剖が必要と認められた場合には、監察医解剖が実施されることとなります。
 これまでにおいても、例えば監察医による検案結果を踏まえて司法解剖を実施することとしたり、監察医解剖の過程で犯罪に起因する死亡である蓋然性が高まったとして通報いただくなどして司法解剖に移行した事案も把握しているところでございます。
 こうしたことから、お尋ねの監察医制度は犯罪死の見逃し防止という観点からも大きな意義があるものと認識をしております。
#25
○山下雄平君 警察庁としても非常に意義があるという制度なので、もちろん財政の問題もありますけれども、こうした制度についてまた考える光を当てていっていただければというふうにも思います。
 最後の話題に移ります。人事の話題についてちょっとお聞かせいただきたいと思うんですけれども、まずお伺いしたいのは、法務省の職員の方の中で、国家公務員T種試験、つまり現在の総合職試験を受けてこられた法務事務官の方、また検察、検事出身の方、裁判官出身の方、三者の職員数の割合についてお聞かせください。
#26
○政府参考人(高嶋智光君) お答えいたします。
 法務本省勤務の国家公務員総合職、旧T種試験を含みますが、この試験の合格者と検察官出身者、それから裁判官出身者につきまして、その合計数に対するそれぞれの割合は、国家公務員総合職試験合格者が約六一%、それから検察官出身者が約二三%、裁判官出身者が約一六%でございます。
#27
○山下雄平君 法務省のこういうふうにいろんなバックグラウンドがいらっしゃるという、この多様性が法務省の魅力でもあるというふうに思いますけれども、ポストが上に上がれば上がるほどその多様性が若干失われているんじゃないかというふうにも、私、新聞記者で法務省を短い間だけ人事取材もしましたけれども、感じたことがあるんですけれども、課長級に占める法務事務官、検事、裁判官の割合はどうなっていますでしょうか、また、局長級ではどのようになっていますでしょうか、お聞かせください。
#28
○政府参考人(高嶋智光君) まず、課長相当職でございますが、この職員の割合は、国家公務員総合職試験合格者が約二〇%、検察官出身者が約三八%、裁判官出身者が約三四%でございます。
 また、局長相当職に占める各職員の割合ですが、国家公務員総合職試験合格者が約一二・五%、検察官出身者が約五〇%、裁判官出身者が約三七・五%でございます。
#29
○山下雄平君 かなり、上に上がれば上がるほど割合が大分変わってきてしまうというふうに感じます。これは、私、人事を取材しておったときに、新しい人もまた同じ経歴、新しい人も同じ経歴ということが多くて、取材は逆にしやすかったんですけれども、そういう意味でいうとなかなかその多様性を生かし切れていないんじゃないかなというふうにも感じました。
 もちろん、法務省としては適材適所というスタンスではあろうかと思いますけれども、他省庁ではこれまでの人事とは違うようなやり方をすることもございます。盛山副大臣の御出身の旧運輸省でいうと、海上保安庁長官に海保のプロパーの方を上げられたりとか、大臣の出身の大蔵省でいうと、国税庁長官が上がりポストだったのに、そこからまた次官になられる人が出てきたりとか、いろんな多分人事をされたりするようになりました。
 国家公務員を二十年以上務められた金田法務大臣に、そうしたいろいろな前例にとらわれないような人事について、することがあるのか、また、そういうことについてどのように考えていらっしゃるのか、最後お聞かせください。
#30
○国務大臣(金田勝年君) 山下委員の非常に過去の経験に基づいた鋭い御指摘かなとも思う面もありますが、私は、法務省の所掌事務の中には、やはり司法制度に関する法令、あるいは民事、刑事の基本法令の立案とか、あるいは訟務事件の遂行、検察に関する事項、あるいは専門的な基礎知識、経験を要する事務が非常に多いということは言えるだろうと思うんですね。そういう中で、法務省の幹部職員には法曹有資格者を任用する必要性というものも高いのではないかなというふうに思う面もございます。
 そういう中で、いずれにいたしましても、幹部人事というものは、適材適所と今言われましたが、まさにその観点から適正な配置、登用に努めるべきことは当然であろうと、こういうふうに思いますし、引き続き適正な人事配置に努めてまいりたいと、このように考える次第であります。
#31
○山下雄平君 以上、終わります。ありがとうございました。
#32
○有田芳生君 民進党・新緑風会の有田芳生です。
 今から二日前の十一月の二十日に、大阪難波の近くにある公園でミナミダイバーシティフェスティバルというものが開かれました。
 ダイバーシティーというのは、皆さん御承知のように、やはり民族とか人種とか性別とか、それぞれ異なる人たちを職場に登用すると。そのことによって、ある一定のところからしか見えなかった視点を、広く視点を変えることによって様々な側面が見えてくる。そして、問題があれば、それを解決することに結び付いていく。もっと言えば、ダイバーシティーを職場で重視することによって多様な社会をつくっていく、それを実現しようじゃないかということで、大阪でそういう集会が行われました。
 ヘイトスピーチといっても、皆さん御承知のように、二〇一二年で日本のマスコミで報道されたのは私が知る限りたった一回だったんですよね。ところが、二〇一三年にヘイトスピーチ問題が社会問題となって、今では子供からお年寄りまで、少なくともヘイトスピーチというのは悪いことなんだということは広がるようになりました。それと同じように、セクハラという言葉もそうでしたけれども、ダイバーシティーというような言葉も、実は本当に多様な職場、社会をつくっていかなければいけないんだということとして、恐らくこれから日本でも広がっていくと思われます。まあ、ヨーロッパ、アメリカなどから比べれば三十年遅れているわけですけれども、そういう多様な社会を実現しようという動きが日本でも広がっていくというのは非常に大きな意味があるというふうに思います。
 難波の公園から出発して二時間ずっと歩いてパレードをやったときに、特に、歩いていても沿道にいらっしゃる外国人の観光客の皆さんからの反応というのが物すごく大きかったということにも、やはり日本とヨーロッパ諸国、あるいはアジアも含めてですけれども、そういうダイバーシティーについての理解についての違いというものが表れているんだろうというふうに思いました。
 そのパレードの中で、皆様方にお配りをした今日の資料の一番最初に掲げておきましたけれども、「ヘイトスピーチ、許さない。」、これは法務省が作ってくださったポスターあるいはチラシを独自にばかでかくして、実際にヘイトスピーチなどが行われている現場でも全国各地でこういう横断幕が使われているという、そういう現実があります。
 一方で、そういう多様な社会をつくろうという動きに反して、やはり二日前の十一月二十日、同じ大阪の難波で、拉致問題を解決するということを取り上げて右派系市民グループが集会をやっておりました。これは、右派系市民グループ、まあ在特会などに代表されるんですけれども、例えば日韓断交ということを主張する、あるいは拉致問題の解決ということを主張する、そういう政治的な大義名分を掲げながら、実際にはヘイトスピーチというものが行われているというのがこの間の経過なんですよね。
 そこで、まず警察庁にお伺いをしたいんですけれども、この五月にヘイトスピーチ解消法ができました。六月の最初に施行がされました。それ以降、この右派系市民グループの集会、デモなどはどのような変化があるのか、あるいは変化がないのか、件数で月ごとにお示しいただきたいというふうに思います。さらには、それについて特徴的なことがあるならば、その分析はどうなさっているのかということをまずお聞きをいたします。
#33
○政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。
 いわゆるヘイトスピーチ解消法が施行されました平成二十八年六月三日以降、右派系市民グループによるデモの六月から十月までの月別件数につきましては、いずれも五件未満と把握しておるところでございます。また、平成二十八年六月三日から同年十月末までの合計件数は、全国で約二十件を把握しているところでございます。
 また、特徴についてのお尋ねでございますが、いわゆるヘイトスピーチ解消法施行後における右派系市民グループの特徴につきましては、昨年同期と比較してデモ件数は減少しているものの、現時点において顕著な特徴等を申し上げることは困難なところでございます。
#34
○有田芳生君 特徴を申し上げることは困難ということは、分析されているけれども語ることができないということなんですか、それとも、そういう分析するに足る事実がないということなんでしょうか。
#35
○政府参考人(白川靖浩君) 今申し上げましたとおり、月別の件数につきましては減少をしているところでございますけれども、まだ施行後半年等でありますので、なかなかこの時点で詳細な分析等について申し上げることは困難でございます。
#36
○有田芳生君 時間の関係もありますので次に行きますけれども、要するにヘイトスピーチ解消法ができた当初は、これまで大きな声で、あるいはネット上でひどいヘイトスピーチをやっていた人たちも、これはヘイトスピーチに当たるから言ってはいけないんではないかなというような戸惑いの時期があったんですよ。それがだんだんだんだんまた元に戻りつつあるということが現実なんです。
 そして、今もう一つ確認をしたいんですけれども、さっきの集会とデモの件数、おっしゃっていましたけれども、それは各地の警察が確認をしたということなんでしょうか。もっとあえて言えば、先に言ってしまうと、突発的に集会をやる人たちもこの間いろんなところで見られるんですが、例えば京都の西院の駅前とか大阪の難波とか、そういうことについてはつかんでいらっしゃるんですか。
#37
○政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。
 ただいま申し上げましたのは、警察において把握しているということでございまして、かつ把握しているデモということでございますので、委員がお尋ねのような集会等について全て把握しているわけではございません。
#38
○有田芳生君 ヘイトスピーチ解消法ができて、施行と同時に率先して警察庁は通達を出していただきましたので、やはりこれからも、世界的な激動の状況の中でまた再び排外主義、ヘイトスピーチというのは高まる可能性がある時期ですから、やはりそこは慎重に、しかもきちんとした調査を引き続き行っていただきたいというふうにお願いをしておきます。
 そして、一方で、法務省は啓発活動をずっと強めてきてくださったんですが、例えば、今ネットで人権であるとかネット差別であるというのを打ち込むとインターネット上に法務省の広告が表示されますけれども、どういう広告が表示されるんでしょうか。
#39
○政府参考人(萩本修君) 法務省では、インターネットを悪用した人権問題につきまして、平成十四年度から人権週間における啓発強調事項、すなわち特に強調して啓発すべき人権課題の一つとしておりまして、また平成二十一年度からは年間を通じた啓発強調事項に掲げて、啓発冊子、啓発映像の作成、講演会やシンポジウムの開催などの啓発活動を実施してきております。
 特に、近年はインターネットの普及、携帯電話やスマートフォンの利用者の増大に伴い、インターネットを悪用した人権問題が深刻化している状況を踏まえまして、今、有田委員から御指摘がありましたけれども、インターネット上の検索サイト利用者が入力した検索文言に連動してインターネットの節度ある利用を呼びかける啓発文言や人権相談窓口を表示させる手法によって、インターネットを通じてその特性を生かした啓発も併せて実施しているところでございます。
 例えば、具体的に、幾つかヒットする検索ワードが当たりますと、その書き込み、人を傷つけていませんかという文言が表示されたり、あるいは、書き込む前によく考えよう、インターネットの向こう側にいるのはあなたと同じ生身の人間ですといった、そうした啓発文言が表示されるような啓発手法を用いているところでございます。
#40
○有田芳生君 ネット上の人権問題といえば、ヘイトスピーチだけではなくてリベンジポルノであるとか、あるいは、いまだ部落地名総鑑が流れている問題など様々な課題を抱えておりますが、この人権問題ということで事ヘイトスピーチについて言えば、個人に対する攻撃というものはいまだ甚だしくひどい状況が続いている。
 例えば、今年の三月、記憶が正しければ三月二十二日でしたけれども、この参議院の法務委員会で、ヘイトスピーチ解消法を作ろうじゃないかという、全会一致で前に進んでいたときに参考人質疑をやりました。そのときに参考人の一人として来ていただきました川崎市の桜本の崔江以子さん、今日も傍聴に来ていらっしゃいますけれども、崔さんが自分たちの思い、経験、事実というものをこの場で堂々と参考人として発言をすると同時に、ネット上ではひどい誹謗中傷というのが吹き荒れた。今でも続いている。そのことに対して崔さんは、弁護士そして法務省と相談をしながら、そういうひどい書き込み、動画については削除してほしいということをお願いをされました。
 資料に示しましたけれども、今年の十一月十二日付けの朝日新聞の朝刊、「差別的ツイート四件の削除確認」、これは、崔さんの十四歳の息子さんの、ひどいツイッターへの書き込みを削除してほしいということを法務局に申請をしまして、その結果、削除が実現をした。十月六日に法務局がツイッター社に要請をしたんだけれども、削除されたのは一か月以上掛かっている。
 一方で、個別の問題になりますけれども、例えばサイバーエージェント社などは、法務省の要請を受けたその日に二つのブログを削除している。だけど、即日削除するところもあれば、ツイッター社やグーグルのように一月以上たっても削除をしない、あるいはいまだ残っているという、その現実があるわけなんですよね。
 そこで、法務省にお尋ねをしたいんですけれども、そういう個人的な被害を被った人たちが法務省、法務局に相談をするシステムというのはどういう流れになっているんでしょうか。
#41
○政府参考人(萩本修君) インターネット上の情報による人権侵害の被害につきましては、最寄りの法務局、地方法務局で人権相談を受け付けております。メールあるいは電話による相談も受け付けておりますけれども、今御指摘のありましたようなインターネット上の人権侵害につきましては、事実確認等の必要から、一度は法務局の窓口にお越しいただき、直接話を伺うことが多いのが実情でございます。
 その相談の結果、相談者が自らプロバイダー等への削除依頼を希望する場合には、その具体的な方法を助言しております。他方、相談者が自ら削除依頼をすることが困難である、あるいは自ら削除依頼をしたが応じてもらえなかったなどの事情から法務省の人権擁護機関による削除を希望される場合には、法務省の人権擁護機関において、その情報が侮辱、名誉毀損等の人権侵害に当たり違法性があるかどうかを判断し、違法性があると認定した場合にはプロバイダー等への当該情報の削除要請を行っているところでございます。
#42
○有田芳生君 被害者が、これはもう耐えられない、苦痛である、許せないという思いでそういう相談するというのは本当に大きな負担なんですよね。だから、新しい体制というのはこれから考えていかなければいけないというのはこの後に質問をいたしますけれども、そういう申請を受ける法務省の側、法務局の対応というのは、ヘイトスピーチ被害相談対応チームというものが存在するということでしょうけれども、どういう人たちがその問題に取り組んでいらっしゃるんですか。
#43
○政府参考人(萩本修君) 法務省の人権擁護局におきましては、検事である人権擁護局参事官をリーダーとした人権擁護局の職員三名で、今御紹介のありましたヘイトスピーチ被害相談対応チームをつくりまして相談に応じております。
 具体的には、人権相談そのものは通常、法務局、地方法務局の職員や人権擁護委員が対応することになるわけですけれども、インターネットによるプライバシーの侵害、名誉毀損といった被害の相談につきましては、その被害相談の当初から法務局、地方法務局から本省のこの被害相談対応チームに報告を上げさせるようにいたしました。その本省の対応チームの方が報告を受けて主導的に関与しまして、人権侵犯事件として立件するかどうか、立件した場合の事実認定、あるいは違法性の判断につきまして精緻な検討を行うこととしております。すなわち、事案の検討の初期段階から本省と法務局、地方法務局が緊密に連携して対応している状況にございます。
#44
○有田芳生君 法務局が、そういうチームが努力をされて、例えばツイッター社あるいはグーグルなどに削除要請を一般的にした場合、そのことによって削除がされたかどうかということを法務省としても相手会社に確認する必要があると思うんですが、これまで削除されたものがあるならば、そのことは法務省の要請によって削除されたかどうかということは確認されていますでしょうか。
#45
○政府参考人(萩本修君) まず、最も重要なのは違法性があると認定した情報が削除されたかどうかですので、削除されたかどうかを定期的にというか、一定の期間を置いて確認するようにしております。事案によっては直接プロバイダー等の会社と交渉することがございますので、そのような場合には法務省からの要請を受けて削除したかどうかが確認できる場合もございます。
#46
○有田芳生君 前の質問でもお伝えをしたんですけれども、例えばEUなどでは、そういうプロバイダーなどとの話合いを行って、例えば差別表現、ヘイトスピーチでこれはもう明らかであるということがはっきりした場合には二十四時間以内に削除をするという、そういう取決めができたんですが、日本でもそういう動きを進めるべきだと思うんですが、今後の方向としていかがなものでしょうか。
#47
○政府参考人(萩本修君) 先般のこの委員会の質疑の中で、有田委員からも同じようにEUにおける取組の状況の御指摘をいただきました。
 そのような御指摘も受けまして、インターネット上の名誉毀損あるいはプライバシー侵害といったものに対する対処方策については、現在検討を進めているところでございます。総務省など関係機関とも連携しまして、インターネット上のヘイトスピーチの解消に向けまして何ができるかをしっかり検討してまいりたいと考えております。
#48
○有田芳生君 最後に、金田大臣の所見をお伺いしたいことがあるんですけれども、そういう方向性というものをやはり法務省が強力にという、かつて大臣が表現されたような方向で進めていただきたいというふうに強く思っております。
 一方で、やはりそういう法務省の方々の努力によって、あるいは被害者が立ち上がることによって現実は少しずつでも前に向かっているだろうというふうに思っております。
 先ほどお示ししました崔江以子さんが申請をして、要請をして差別的ツイート四件の削除が確認されたという記事をお示ししました。法務局が十月六日にこの要請を行ったんだけれども、先ほども申しましたように、それが削除されるまでは一月以上たった、少なくとも十一月の十一日にはその息子さんへのひどいヘイトスピーチの書き込みというのはなくなった。
 この十一月十一日から四日後、十一月十五日、アメリカ時間ですけれども、資料の右の上を見ていただきたいんですけれども、アメリカのツイッター社が導入した新たな報告様式が発表されました。そこには、見ていただいたら分かりますように、これまで、無礼で侮辱的な内容とか、個人情報を含んでいるとか、個人に対する嫌がらせというのはこれまでもあったんだけれども、その次です、人種、宗教、性別、考え方など、これはちょっと翻訳上問題があるんですけれども、少なくとも、人種、宗教、性別などを誹謗中傷又は差別していることについてもやっぱり通報してくれということは大きな第一歩だというふうに私は考えておりますので、法務省としては、これからもこれまでどおりの方向性を更に強力に進めていっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 一方で、ヘイトスピーチをする方からすれば、ヘイトスピーチ解消法ができたことをきっかけに、様々な抜け道を通じてこれまでどおりの言動というものを全国各地でやろうとしております。そこで、これからお聞きをしたいのは、選挙を利用したヘイトスピーチ対策の問題です。
 東京都知事選挙があったときに、在特会、在日特権を許さない、在日特権なんというのはないんだけれども、在日特権を許さない市民の会の前会長が立候補をいたしました。そして、どういう選挙活動を行ったかというと、民団の前あるいは朝鮮総連の前、あるいは吹き荒れた東京の新大久保、今ではできなくなった新大久保に候補者カーを止めて、様々な発言をやっていた。
 例えば、民団の前で、七月十五日、どんな発言をしたかというと、資料でお示しをいたしました。見ていただきたいと思います。君たちが民団新聞で私に危害を加える、まさにテロリストじゃないか。あるいは、頭のいかれた民団新聞について抗議に来ているんです、この民団、ろくでなしの集団でございます。あるいは、君たちはだからいずれ韓国に帰るだろうよ、さっさと帰れ、だから私は、今ここに来て、民団の人間はさっさと日本から出ていけと言っているんだよ。
 これは、京都朝鮮第一初級学校襲撃事件の判決、京都地裁、大阪高裁、そして最高裁でも確定しましたけれども、そこで認定された人種差別撤廃条約に基づいて差別なんだという文言と同じようなものなんです。
 ヘイトスピーチ、差別の扇動を選挙に名を借りて堂々とやっている、しかもこれからもやっていくと言っている、来年の東京都議選挙にも立候補をしていくという方針を持っている。こういう人たちがいるときに、法務省にお聞きをしたいんですけれども、選挙のときでもこういうことを訴え出るような体制というのは法務局などにあるのでしょうか。
#49
○政府参考人(萩本修君) 今、有田委員から、選挙中の発言についての御指摘がございました。
 私が申し上げるまでもないことですが、選挙は民主主義の根幹を成す制度ですから、特定の候補者の発言内容につきまして何らかの評価をする、あるいは、その発言内容から立候補の動機あるいは目的といったものを推察したことを申し上げるのは、厳に差し控えたいというように思います。
 その上で、一般論としてお答えいたしますと、法務省の人権擁護機関におきましては、選挙運動の期間中であるかを問わず、広く国民一般に向けまして、特定の民族や国籍の人々を排斥する不当な差別的言動は許されない、そういう啓発活動等を実施してきたところでございまして、今後も引き続き、そのような言動が許されないことを広く国民に向けて粘り強く啓発してまいりたいと考えております。
#50
○有田芳生君 ヘイトスピーチを民団の前でのうのうと発言をしたことに対しては、被害申告が法務局に出されましたよね。出されているんですけれども、一方で、ヘイトスピーチ解消法の中で、不特定多数へのヘイトスピーチに対してどうするかという整備がまだされていないんですよね。
 不特定多数のヘイトスピーチに対して訴える方法は、今現在あるのでしょうか。
#51
○政府参考人(萩本修君) 法務省の人権擁護機関におきまして人権侵犯事件の調査、救済処理を所管しておりますけれども、その人権侵犯事件として取り上げるものにつきましては特定の個人に対する違法な行為というものを対象としておりますので、今、有田委員から御指摘がありました不特定多数の者に向けられたものを直接対象として取り上げる手続はございません。
#52
○有田芳生君 だけど、ヘイトスピーチ解消法ができる経過の中で、ここでも何度も何度も議論したんだけれども、二条の定義、十分御承知だと思いますけれども、二条の定義にも不特定多数に向けられたものも入っているんじゃないですか。
#53
○政府参考人(萩本修君) 委員から御指摘のありました不特定多数の者に対するヘイトスピーチ、これにつきましては、法務省としましては、啓発活動を通じまして社会全体の人権意識を高め、そうした言動が許されない、そうした認識を広く涵養することによって対応するということで臨んでおりまして、今後とも引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
#54
○有田芳生君 ヘイトスピーチ解消法の前文にも、特定の集団に属する人たちに多大な苦痛を与えている、だから、不特定多数の人たちに対するヘイトスピーチも、ヘイトスピーチ解消法を作ったときの立法事実に含まれているんじゃないんでしょうか。含まれていないんですか。
#55
○政府参考人(萩本修君) 議員立法に係る立法趣旨のお尋ねですので、私から断定的なことはお答えできませんが、含まれるものというふうに理解をしております。
#56
○有田芳生君 したがって、これからはやはり不特定多数に対するヘイトスピーチについても、法務省、法務局などがやはり受け付けるような新たな体制をつくっていくということが法の趣旨にのっとったものだと考えておりますが、もう一度、いかがでしょうか。
#57
○政府参考人(萩本修君) 私どもとしましては、特定の個人に対する違法な人権侵犯事件の調査、処理、それから人権啓発活動ということが法務省組織法に基づく法務省の所掌事務とされておりますので、その範囲内においてできることをしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
#58
○有田芳生君 法務省、法務局、人権擁護局、本当にこの数年間、前に前へと進んできてくださったので、やはり、それでも解決されない課題があるならば、新しい問題としてそれをどう解消していくのかという、そういう方向性もお互いに検討して前に進んでいかなければならないというふうに思っております。
 もう一つ、ネット上の問題として、デマですよね、デマが吹き荒れている。
 今日も、朝、皆さん飛び起きられたと思いますけれども、大きな地震があった。そのときに、朝七時二分にツイッターにこういう書き込みがありました。朝鮮人のハイエース、盗難車で震源地へ大挙に押し寄せる、津波警報が、避難した地区の空き巣をするためである。こんなことが七時二分に書かれた。これは今日だけではない。熊本の地震のときにも、鳥取の地震のときにも、東日本大震災のときにもこういうものが心なく書かれている。こういうものに対してやはり敏感に対処していく時代なんだろうと、残念ながら思わざるを得ません。
 これは一概には言えないんですけれど、本当にこれは見過ごすことができないということになれば、例えば、人権擁護局長あるいは問題によっては大臣が、これはデマですよというようなことも、ネット上も含めて広く国民に知らせていくような残念な時代に入っているというふうに思うんですが、今後の方向性として、そういった対処についてもいかがなものでしょうか。恐らく、東日本大震災のときは、こういう人権問題ではないけれども対処をされたというふうに記憶をしていますので、人権擁護局長にその点についてちょっとお聞きしたいというふうに思います。
#59
○政府参考人(萩本修君) インターネット上の情報につきまして、今、有田委員からデマという話がありましたけれども、そのある情報がデマかどうか、あるいは誤っているかどうかというのは、なかなかその判断が難しいという問題が元々あろうかとは思いますけれども、法務省が取り組んでおります人権擁護活動あるいは人権啓発活動につきましては、様々な意見があるところでございますので、今、有田委員から御指摘がありました点も含めまして、法務省人権擁護局の所掌事務の範囲においてどのような対応が可能であるかということにつきまして検討するとともに、実施可能なものがあれば、その実施可能なものから着実に実施してまいりたいと考えております。
#60
○有田芳生君 最後に、今日の議論の流れをお聞きになりまして、大臣の方から率直な言葉でお聞きをしたいと思います。
#61
○国務大臣(金田勝年君) 委員御指摘の本日の議論伺いまして、もとより申し上げてまいりましたが、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的な言動はあってはならないという基本であります。
 法務省は、ヘイトスピーチの解消に向けた法律が施行されたことを踏まえまして、ヘイトスピーチが許されないこと、そしてその法律の施行に関する周知広報活動を行ってきておるわけであります。
 関係省庁、関係地方公共団体出席の下、具体的な取組を進めてきておるわけでありまして、今後も、相談体制の整備、啓発活動、そしてただいま御指摘のありましたインターネット等に関する対応につきましても、やはりこうした言動をなくすためには地道で粘り強い啓発活動を通じて社会全体の人権意識を高めていかなければいけない、こういうふうに考えておりまして、先ほど局長が申し上げましたように、どのような対応が可能であるかという検討も含めまして、やはり啓発活動を含む各種の人権擁護活動に引き続き我々のできる範囲においてしっかりと取り組んでいきたいと、このように考えております。
#62
○有田芳生君 終わります。
#63
○真山勇一君 民進党・新緑風会の真山勇一です。
 今朝の地震、本当に私もびっくりしました。やはり東京でもかなり揺れたんではないかと思います。私は最近神奈川の方へ越しましたけれども、かなり揺れました。しかも長時間ということで、被害が出たら心配だなというふうに思っていましたけれども、今のところ津波の方もそんなに大きなものもないし、被害も今のところ深刻な感じではないようなのでほっとしている次第なんですけれども。これから、東日本大震災遭われて、またこういう地震の恐怖に襲われているわけで、やはり地元の方たちの心配というのは本当に、こちらから想像するに、それ以上のやはり心配、懸念などを持っていらっしゃるんじゃないかというふうに思います。
 今の有田委員からの話も出ました、こうした災害とか地震のときにデマが出る、本当にこういうことは許されないと思います。確かに、御答弁のように、すぐにデマかどうか分からないけれども、やっぱりデマだったらいけない。この辺りを許さないということはやはり必要じゃないかと思うんです。
 日本はやっぱり、世界から評価されている面はこういうところがあると思うんですね。災害ですとか地震があっても、国民の皆さん、本当に整然としている。例えば、商店とかコンビニを襲うようなこともありませんし、それから、例えば水ですとか食料の配給のときだって、きちっと列をつくってじっと皆さん我慢して待っているということがあって、世界中からその辺りというのは評価されているし、むしろ驚異の目で見られているぐらい、日本というのは本当にすばらしい国だということを言われていますよね。安全という意味もあると思います。
 是非、そういう意味からも、やはり大きな災害があったときに、デマが流布されるということで社会不安ということもあるでしょうし、そういうことの防止ということも、是非、法務省、今後も取り組んでいっていただきたいというふうに思います。
 今朝の地震と今の話題で私感じたので、ちょっとそのことを先にお話しさせていただきました。
 それで、今日の私の質問に入りたいと思うんですけれども、現在、司法の分野、様々な改革が行われている、進められているというふうに思います。
 時代が今大きく変わっています。その中で、司法もいろいろ対応が求められている。まず多様性、そしてスピード性が求められている。そうした改革が進められているんではないかというふうに思います。その中で、やはり犯罪をどうやって防いでいくか、この問題を今日、私、取り上げたいというふうに思います。
 犯罪という、防止の面から見ますと、大変重要な課題が浮かび上がってきます。それは、犯罪白書などにも書かれておりますけれども、犯罪というものを分析してみると、やはり犯罪を防ぐという面から見ると、繰り返し犯罪を行うということがやっぱり多いんじゃないか。ですから、犯罪白書でも表題で使われているように、再犯をやはり防止するということがこれからの大きな重要な課題の一つになっているんではないか。この再犯についてお伺いをしていきたいというふうに思っております。
 まず、一枚目の資料を見ていただきたいと思います。水色とオレンジ色の棒グラフなんですけれども、これ、刑法犯、いわゆる犯罪を犯した人たちの数の内訳で、初めて犯罪を犯した人と、それから繰り返し犯罪を犯して検挙された人ということで統計を取っているのを見ますと、平成八年から共に出ていますけれども、大体十五年前後にピークになって、その後、検挙の人数、犯罪を犯す人の数は随分少なくなってきていますね。その色分けで、ブルーは初犯者、それからオレンジ色の部分は再犯者ということなんですね。この内訳を見ると、共に最近は減ってはきている。それから、下の方は同じような統計で、これは少年の刑法犯ということで、やっぱり少年の方も同じような、つまり犯罪を犯した人が現在少なくなってきているということは同じ。
 そして、その中で、是非これ見ていただきたいのは、再犯も減っているんですが、折れ線グラフがあります。その折れ線グラフは再犯者率ということですね。一番最近の二十七年を見ていただくと、上の方の再犯者率というのは四八%、それから下の少年の場合は三六・四%。いずれもやっぱり減っている中で、再犯者、つまり、やはり繰り返して犯罪を犯すという人たちが多いということは依然としてあるということなんですね。
 そうなると、犯罪全体としては今減少傾向にあるということなんですが、やはりその再犯を犯す人たちをどうやって防ぐかということが全体の犯罪を減らす大きな一つの課題になってくるんではないかというふうに思っております。
 犯罪全体が少なくなっているけれども再犯を犯す人が増えているという、こういう傾向、この傾向についてどんなふうな評価をしているか、まずお伺いしたいと思います。
#64
○政府参考人(高嶋智光君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、一般刑法犯により検挙された人員は平成十六年から減少しておりまして、また再犯者の人員も、先ほどのグラフで明らかなように、減少はしているんですが、その減少の仕方が鈍い、それほど減少はしていない。このことから、御指摘のとおり、一般刑法犯の検挙人員全体に占める再犯者の割合というのは全体としては上昇傾向にありまして、このグラフにも書いてありますとおり、平成二十七年には四八・〇%となっております。
 これは何を表しているかと申しますと、再犯防止、犯罪の防止という点におきまして、再犯者の占める割合が非常に多くなってきておりますことから、今後、この再犯者が、つまり一度犯罪を犯した者が更にまた犯罪を犯さないようにすることが今後の安心、安全の社会のためには非常に大事なことだと、こういうことがこのグラフから分かるんだと思います。
 以上でございます。
#65
○真山勇一君 減らすことが重要な課題ということなので、更に重ねてお伺いしたいのは、そうすると、その犯罪防止策、これについてどんな対策を取っておられるのか、そして、その効果のほどはどうかということについて伺いたいと思います。
#66
○国務大臣(金田勝年君) 先ほどからのお話のとおり、世界一安全な国日本という非常に重要なポイントを実現していかなければいけないと、こういうふうに考えておりますので、犯罪や非行した者の再犯防止、特に重要であると。
 法務省の審議官からもただいま説明した状況があるわけでありまして、政府全体で取り組んでいくべき課題であるという中で、再犯防止に向けた対策としましては、まず、平成二十四年七月に再犯防止に向けた総合対策、犯罪対策閣僚会議の決定でございますが、これを策定しまして、出所後二年以内に刑務所に再び入所する者の割合を十年間で二〇%以上減少させるという目標を掲げたわけでございます。
 そして、平成二十六年十二月には、この犯罪対策閣僚会議決定としまして、「犯罪に戻らない・戻さない」を打ち出しまして、仕事の確保に向けて、犯罪や非行をした者の事情を理解した上で雇用している企業の数を三倍に引き上げていくと。それから、居場所の確保に向けて、帰るべき場所がないまま刑務所から社会に戻る者の数を三割以上減少をさせるという数値目標を設定をしております。
 そして、さらに、二十八年の七月には、同じ犯罪対策閣僚会議において、薬物依存者・高齢犯罪者等の再犯防止緊急対策を決定をいたしております。
 このように、累次の施策を着実に実施をしていくことによりまして、より一層効果的な再犯防止対策を推進をしてまいりたい、このように考えておる次第であります。
#67
○真山勇一君 再犯防止に向けて総合的な対策を今、政府取られているということだと思うんですけれども、一旦犯罪を犯してそして刑務所から出てきたときに、やはり社会復帰それから安定した生活ということをするためには、衣食住、まさにそういうものが大事じゃないかというふうに思うんですね。その中でも特に、仕事に就いて安定した収入というのがなければやはり非常に不安定な状態が続くということで、また犯罪を繰り返しかねないという、そういう状況というのがあるんではないかというふうに思うんですね。
 それを裏付けるように、二枚目のちょっと資料を見ていただきたいんですけれども、これは刑務所に入ってきた者を見て、これ男性と女性に分けてあるんですが、職業、来る前仕事があったのかなかったのかということを調べたものなんですが、男性、初入者、それから再入者、女性の初入者、再入者。これ、私も初めてこの言葉、実は見たんですけれども、初めて刑務所に入ってくる人のことを初入者というんですね、繰り返し入ってくるのを再入者ということというふうに言葉の解説がありましたけれども。やっぱり男性も女性も、見てみると再入者、下の部分ですね、その棒グラフを見ていただくと、仕事がなかったという人が多いんですね。
 やはり、いろいろな要素があると思います。住むところも大事、安定した生活のためには、やっぱり仕事がある、就労ということが大事だということだと思うんです。まさに、職探し、仕事探しというのが再犯を繰り返さないためにとっては大事なことではないかというふうに思っております。
 そこで、刑務所から出てきて、そして自立をするために仕事を見付ける、仕事をする、続ける。続けるということもとても大事だというふうに思うんですが、受刑者の例えば出てきてからの仕事、やはりどんな仕事をしたいかということも、本人の希望もあるかと思うんですけれども、例えば刑務所の中でどんなふうに仕事ということ、出所後の就労の支援などをやっているのか、それから、実際に出たときにやはり仕事に就くチャンスをうまくつかむ、あるいは仕事とマッチング、自分がやりたい仕事が見付かるかどうかということの、例えば職業訓練などというものも刑務所の中でどんなふうにして行われているんでしょうか。
#68
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、受刑者にとって、社会に戻ってから仕事があるかないかというのは大変大きな問題であるというふうに思っております。
 そのため、刑事施設におきましても、受刑者が出所後に仕事にきちんと就くことができるように保護局あるいは厚生労働省等の関係機関とも協力をいたしまして、就労先の支援を行う取組を行っているところでございます。
 そういった支援を行う上でも、これまた委員御指摘のとおり、職業訓練を行うことによって受刑者に職業に関する免許若しくは資格を取得させ、又は職業に必要な知識及び技能を習得させるということ、これはとても大事なことでございます。この職業訓練を充実させることが受刑者の改善更生、円滑な社会復帰を図る上で極めて重要であると考えております。
 この職業訓練につきましては、まずは種目、数々の種目を実施しているわけでございますが、有効求人倍率、あるいは協力雇用主の方を含めた刑務所を出所した者を雇っていただくことに意欲的な民間企業の方、こういった方を対象に行うアンケート、またそうした企業の方との検討会や見学会、こういったことを行いまして、そこで様々な意見を頂戴しております。そういった意見を基に職業訓練の種目の追加や廃止あるいは訓練人員の拡大といったようなことを検討しているところでございます。近年は、介護関係や建設関係の雇用ニーズの高まりを受けまして、関連する職業訓練種目の実施施設を拡大したり、あるいは初歩的なパソコンの操作を習得するビジネススキル科についても実施する施設数を拡大するなどといったことも行っております。
 また、職業訓練、当然受刑者が希望して行うものでございますので、できる限りその希望をしんしゃくして、本人がやる気のある種目に就けるように努力はしているところでございます。しかしながら、受刑者の刑の長さであったり、あるいは能力、適性といったものがございまして、そういったところから希望する職業訓練に就かせることがなかなか難しいということもございます。そういった場合には本人に指導を行いまして、例えば職業訓練を受ける前にもっと基礎的な教科の勉強をまずは先にやったらどうかということを勧めてみるなど、そういったことも行いながら将来の職業に就きやすい試みをしていくということをやっておるところでございます。
#69
○真山勇一君 今お伺いした感じではかなりきめ細かくやられているなということが分かるんですけれども、ただ、やっぱり働く意欲というのは本人次第だと思うんですね。本人が働きたくなければなかなか難しいですし、いろんなこと、仕事があっても本人がどうしてもこういうものをやりたいという希望があって、そういう求人がなければなかなかそううまくいかないとか、マッチングも大変難しくて、この辺りがとても大変だと思うんですけれども。
 ただ、先ほどありましたように、確かに職業訓練で知識とか技能を付ける、それから免許を取る、これ本当に働く意欲のある者にとっては大事なことだと思って、むしろこういうことは積極的にやることで出所後の仕事に就く、就労の機会が大きく広がる、チャンスが増えるというふうに思うんですね。
 そうすると、ちょっとお伺いしたいんですけど、例えば、刑務所の中ではいろいろないわゆる義務でやらなければならない作業というのがありますね。それ以外に、やはり、じゃ、こういうスキルを身に付けたい、技術を身に付けたい、そういうことになると、そういう時間も取らなくてはならないということになると、例えば刑務所の中の一日の作業の中で、例えばこういう職業的な訓練と、それからやらなければならない、つまりスケジュールの日課がありますね、やっぱり刑務所の中で規則正しく生活するために。この職業訓練に割く時間と、それから普通の実際の一日の過ごし方、この辺りというのは具体的に言うとどんなスケジュールになっているんでしょうか、差し支えないところで教えてください。
#70
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 刑務所における作業、これは懲役受刑者にとってはまさに刑の内容であって義務でございます。
 この作業につきましては、一般的なケースというか一例として申し上げますと、通常午前八時ぐらいから作業が始まりまして午後四時四十分程度に終わるというようなスケジュールで行わせるということが一般的な例でございます。
 もちろん、この時間の中には、昼に食事を取る時間あるいは休憩時間も入っておりますし、法律で受刑者には毎日三十分以上運動をさせるというようなことも決まっておりますので運動時間等も入っております。また、そのほか、家族が面会に来るケースがあったり、あるいは体の調子が悪い受刑者は当然医師に見せなければいけません、診察の時間があったり、あるいは週に何回かは入浴をさせる必要もあります。こういった時間が今申し上げました作業時間の中に入ってくることがございます。
 一方、職業訓練なんでございますが、これは法律で職業訓練を行う場合は作業として行わせるということが決められておりますので、今申し上げた作業の時間中に言わば職業訓練を行うということが可能でございます。多くの職業訓練は、その訓練期間中は今申し上げました八時頃から四時四十分ぐらいまでの終日訓練を行うというようなことが行われております。種目によりましては一日中ではなく、一日のうち何時間か時間を限って職業訓練を行うというようなケースもございます。
 以上でございます。
#71
○真山勇一君 かなり充実した訓練を受けられますね。それだけの時間ですと普通の、何というんですか、一般的な専門学校へ行っていて、あるいは大学で勉強するのと同じぐらいのそうすると職業に対する訓練が刑務所の中でも受けられるということで。
 私もちょっと感じとしては、やっぱり作業をやってそれプラスで、プラスアルファの時間、つまり残業とか、会社でいえば残業ね、私ども社会人の場合はやっぱり自分の仕事をやった後、ほかのスキルを付けたい場合は会社が終わった後というのをやっているので、そうじゃなくて実際作業時間にこれだけ具体的にやるということは、それだけスキルとか技術を身に付けるということができるんではないかと思うんですけれども。
 ただ、いろいろ受刑者側にも希望はあると思うんですね。最近、実は私、保護司という仕事をやっていまして、やはり対象者、いわゆる刑務所から出てきた方の仕事を探すという場面にも、何回か相談に乗ったことがあるんですが、やっぱりかなりいろんな仕事をやりたいと最近変わってきている。建設業界とかそういう関係ではなくて、やっぱり自分は例えばパソコンとかコンピューターとか、そういう関係やりたいとかという仕事が多いんですけれども、そういう場合というのはなかなか訓練の方も大変だと思うんですが、そうした科目というか授業もきちっと刑務所の中で、例えば受刑者が希望すればそれに応えられる、そういう体制を取っておられるということなんですか。
#72
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 確かに、パソコン等の業務に将来就きたいということを希望する受刑者もおります。また、最低限のパソコンのスキル、いわゆるパソコンを立ち上げて表計算ソフトやあるいはワードプロセッサーのソフトを操作する程度のことはできてほしいということは、出所者を雇用したいという企業の方からも要請がございます。
 そういったことを踏まえまして、例えばパソコンのビジネススキル科ということで、初歩的なパソコンの操作技術を学ぶような職業訓練、これをかなりの施設で実施しておりますし、そのほか、より専門的な情報処理ということでの職業訓練も、これは一部の施設でございますが実施をしております。ただ、これはかなり高度な能力を要求されるものですから、それなりの適性のある受刑者でないと、希望するだけではなかなか受講はできないというのが実態でございます。
#73
○真山勇一君 やはり、きめ細かいそうした受刑者のニーズに応えている今のやり方、是非続けていっていただきたいというふうに思います。
 私は、保護司という立場から、協力雇用主の問題というのも興味がありまして、やはり、どうやっていわゆる刑務所から出てきた対象者の方にふさわしい仕事を見付けてあげられるのか、そういう相談というのも乗るわけですね。対象者と保護司というのは一週間に一回ないし二回面接をして、様々な問題、家族の問題とか友達の問題とか仕事の問題とか相談に乗るわけですね。特に仕事の問題というのはなかなか難しくて、探すためには大変だと思うんですが、積極的に刑務所から出てきた人たちを雇おうということで協力雇用主という制度ができておりますけれども、この協力雇用主、現状どんなふうになっているか伺いたいと思います。
#74
○政府参考人(畝本直美君) 協力雇用主の方ですけれども、現在、協力雇用主として登録してくださっている事業主、これが、それぞれ四月一日現在ですが、平成二十六年では一万二千六百三、二十七年では一万四千四百八十八、二十八年では一万六千三百三十となっております。そして、ただ、実際に刑務所出所者等を雇用している協力雇用主の数は、それぞれ四月一日現在ですが、二十六年で四百七十二、二十七年ですと五百五十一、二十八年ですと七百八十八となっておりまして、徐々には増加しているところでございます。
#75
○真山勇一君 ありがとうございます。
 もう少し詳しくお伺いしようかなと思ったんですけど、時間の方がなくなりましたので。
 金田大臣にお伺いしたいんですが、立ち直り、自立するためには仕事を見付けるということが大事だと思うんですね。
 私の印象では、やっぱりなかなか保護司という仕事、これ対象者と非常に密接に関係があるので、そういう中で、例えばどういうところに仕事があるのかとか、どこの会社、企業が仕事を求めているかといったことも、やはり保護司にもそういう情報がしっかりと行くと、対象者との例えば仕事、就職の相談などのときにもスムーズにいくのではないかというふうに考えているんですけれども、その辺りの体制づくりということについてどうお考えになっているか、最後にお伺いしたいと思います。
#76
○国務大臣(金田勝年君) 委員御指摘のとおり、再犯防止というのは非常に重要であります。そしてまた、対策を一層効果的に推進していくということが非常に重要であろうと、このように思います。
 保護司をされているというお話もございました。法務省としては、厚労省といったような関係行政機関、あるいは日弁連とか関係団体とやはり連携を図るということも大事であると思いますし、同時に、ただいまおっしゃられたように、保護司の方々に協力雇用主の情報をやはり緊密に与えていただくような努力というものも含めて、そういう相互の御協力をいただければ、官民一体となって罪を犯した者の円滑な社会復帰というか、立ち直り、自立ができるのではないか、このように私も思う次第でありまして、法務省もそうした面からも努力をしていきたい、こう思っております。
#77
○真山勇一君 ありがとうございました。終わります。
#78
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
 今日は、まず相続登記の問題について取り上げたいと思っております。
 相続が発生をした場合に、その相続財産を相続人の皆さんで法定相続分若しくは遺産の分割協議を行ってそれぞれ相続をされるわけですけれども、預金でしたら引き出して分けるということになるかもしれません。また、様々、財産について名義を変更するという手続を行うと思います。そして、土地、建物といった不動産がある場合には、それも共同で、若しくは話合いをしてどなたが相続するかを決める、その結果を登記をしていただく、相続登記をしていただくということが制度としては予定をされております。
 しかしながら、この相続登記というものは法律上必ずしなければならないというような義務になっているわけではございません。この不動産の登記の制度というのは誰が権利を持っているのかということを公に示す制度でありますけれども、登記をしていないことによって権利が処分できなかったり不利益が生じる可能性はあるんですが、しなければならないというふうに義務付けられているわけではないわけであります。
 そういったことから、当面の間、特にその土地を売却したりとかそういう予定がない、事実上支障がないのでそのままにしておくとか、また、相続人間で誰が相続をするのかということが協議が調わない、そういった事情もあるかもしれません。そういったことで相続登記がなされずにそのままになってしまうと、こういう問題がございます。
 この問題が大きく認識されるようになりましたのが、東日本大震災の被災地においての復興の事業に関してでございます。皆様も御存じのとおりかと思いますけれども、東日本大震災の被災地におきまして高台移転また災害公営住宅などの用地確保、これを行うに当たって、相続手続の未了、また権利者の所在が不明であると、こういった土地が多数ありまして、復興まちづくりの重大な障害となりました。
 この中には、例えば数世代にわたって相続登記をしていないということで、何回も相続が発生をしていて相続人が実に百人を超えてしまうと、こういった土地もあったそうでございますけれども、そこまで関係者が多くなってしまいますと、全員を探し出して全員の同意を取るということも事実上困難でありますし、また大変手間、時間が掛かることになります。
 制度上、公共の工事に土地を使用するというための土地の収用ですとか、また相続人がいないといったような場合に財産管理という制度もありますけれども、やはりこういった制度を用いるに当たっても、関係者がかなり多数に上るということになると非常に煩雑化することになります。
 この被災地の用地取得に関しましては、二〇一三年には住宅再建・復興まちづくりの加速化措置として、財産管理制度の手続の迅速化、円滑化、また土地収用手続の迅速化などの措置も行われてまいりました。また、二〇一四年には土地収用手続の迅速化、簡易化の立法措置も行われているところでございます。しかしながら、やはりこの相続登記の促進といいますか、きちんと権利関係を登記していただくということの促進をしていく必要があるのではないかと思っております。
 被災地以外にも、こういう土地の、また建物の所有者の把握が困難であるということで、町づくりなどの公共事業が進まないといったような問題が顕在化をしているところでございます。また、最近社会的にも注目をされております空き家の問題、これも、適切な管理がなされていない空き家が増加している大きな要因の一つがこの相続登記の未了ということも指摘をされているところであります。
 こういったことから、この相続登記の促進ということをしっかりとやっていく必要があるかと思っておりますけれども、最近、この問題につきまして国交省が取りまとめを行ったというふうに承知をしております。所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策ということと聞いておりますけれども、どういった問題意識の下でどのような取りまとめを行ったのか、お聞きしたいと思います。
#79
○政府参考人(北本政行君) お答え申し上げます。
 所有者の所在の把握が難しい土地は、御指摘のように、被災地の復興に資する用地の取得のみならず一般の土地取引も含めた様々な場面での円滑な土地取引に支障を来すなど、重要な問題であると認識しておるところでございます。このため国土交通省におきましては、昨年四月より法務省始め関係府省の御協力も得まして、所有者の所在の把握が難しい土地の所有者探索と利活用、またその発生を予防するための対応方策につきまして検討する検討会を開催してまいりました。
 検討会では本年の三月に取りまとめを行いまして、所有者の探索に必要な住民票や戸籍などの情報を円滑に活用するための環境整備でありますとか、市区町村が財産管理制度等を活用する際の専門家によるサポート体制の構築、死亡届があったときに併せて相続登記等を促す取組の促進、そういった対策等の提言をいただいたところでございます。
 また、提言に基づきまして、私どもの方では、土地所有者の把握が困難な場合の所有者の探索手順や土地を利活用するために用いることができる制度などをまとめたガイドラインを策定したところでございます。
 今後は、これらの取組につきまして継続的なフォローアップを行うこととしてございます。
#80
○佐々木さやか君 まず、こういう所有者の所在の把握が難しい土地が現実にあると、それをどう活用していくかに当たって、今説明にもありましたとおり、市町村の現場ではなかなか誰が権利者かを探すノウハウ自体も余りないと。また、人手の不足の問題もあるでしょうし、財産管理制度といってもなかなか活用が活発でないと、こういったことがあるかと思います。そうしたところについてガイドラインなどの情報提供をしていく、またサポートをしていく、これによって現場での町づくりが進んでいくという側面があるかと思います。
 また、今日のテーマでありますが、相続登記自体についてもどういうふうに促進をしていくか、これも、登記自体は法務省の制度ですけれども、やはり市町村の現場でも是非協力をしてもらいたいというふうに思います。
 この相続登記について考えるに当たって、そもそも現状どういった状態にあるのか、ここを把握する必要があるかと思います。そこで、この点、法務省に相続登記の現状についてお聞きをいたします。
#81
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 不動産の登記名義人が死亡した場合に申請されます所有権の移転の登記でありますいわゆる相続登記でございますが、この相続登記は、毎年おおむね百件程度の申請がされているところでございます。失礼しました。百万件でございます。失礼いたしました。
#82
○佐々木さやか君 毎年百万件程度の申請がされていると。非常に説明としてはシンプルな答弁でしたけれども、事前にレクを伺っていて思ったのは、この相続登記促進をしていこうということで政府としてもお取り組んではいただいているんですが、このシンプルな、毎年何件あるかという数字ぐらいしか把握をされていないんだと思います。実際に、じゃ、亡くなった方がどれぐらいいて、その亡くなった方のうちでも相続登記が必要になる方がどれぐらいいるかということもあるでしょうし、その割合からいってどれぐらいされているのか、またされていない原因は何なのか、そういったところまでの分析がなかなかされていないんだと思います。ですので、各被相続人の財産の状況を調査するというのはなかなか難しいですけれども、もう少し現状の分析についても取り組んでいただければと思いますので、お願いをいたします。
 この相続登記というのは、冒頭申し上げたように、法律上義務にはなっておりません。しかしながら、しないまま放置をすると、その相続をした方々にも様々デメリットが生じる可能性もあります。例えば、不動産を処分をしたい、売却をしたい、また担保に入れたいと、そうなった場合には、当然この登記というものを、権利関係をきちんとしておかなければいけませんので、その段階になって登記をする必要が出てくるかもしれません。
 しかしながら、後々、相続登記を大分時間がたってからしようと思ったとしても、例えば何世代か相続が発生してしまっていたりとか、手続が複雑になる、関係者が増えるとみんなの判こをもらわなきゃいけない。非常に手間も掛かるし、場合によっては費用も掛かるかもしれません。
 また、そもそも権利関係を第三者に対抗できないわけですので、知らない間に例えばほかの相続人に勝手に処分をされてしまったりとか、第三者に自分が相続したということを主張できないようなトラブルが生じてしまう可能性というものもございます。
 こういったことをしっかりと、実は相続登記というのはどういうものなのか、放置をしておくとどういうことが起こる可能性があるのか、ここまで御存じない方も私は多いのではないかと思います。ですので、こうしたことのしっかり啓発というか情報の提供ということもしていただきたいと思っております。
 この相続登記の促進の取組について、じゃ、具体的にどのようなことを今行っているのかについてお聞きをいたしたいと思います。
#83
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、相続登記が行われませんと、相続した不動産をすぐに売却することができないなどの不利益、相続人自身がデメリットを被るわけでございます。また、最近はいわゆる所有者不明土地問題や空き家問題が取り上げられる中で、これらの問題の要因の一つとして相続登記が未了のまま放置されていることが指摘されており、法務省としても、これらの問題の拡大を防ぐためには相続登記を促進することが重要であると認識しております。
 本年六月二日に閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針二〇一六、日本再興戦略二〇一六及びニッポン一億総活躍プランにおきましても相続登記の促進に取り組むことが明記され、政府の方針として示されているところでございます。
 そこで、このような政府方針なども踏まえまして、法務省といたしましても様々な観点から相続登記の促進に取り組んでおります。
 まず、国民の間に相続登記を行う意識が醸成されることが重要であることから、登記手続を行うことの意味やメリットについて理解が進むよう、昨年の二月から相続登記の促進に関する記事をホームページに掲載して広報を開始いたしました。また、相続登記を行う意識を国民の間により一層広く浸透させるため、登記の専門家団体と連携の上、これは本年五月からですが、相続登記促進のための広報用リーフレットを作成し、配布を行っているところでございます。
 また、こうした広報活動のみならず、本年三月には相続登記の添付書面に関する通達の一部見直しを行いまして手続の緩和を行うなど、申請手続の負担の軽減も行っているところでございます。
#84
○佐々木さやか君 ホームページに掲載をする、またリーフレットですかね、を作っていただく、こういった広報活動を今年始めていただいたということで、この効果がこれから出てくるのを期待したいと思うのですが、やはり様々なことで言えることなんですけれども、ホームページに記載をするだけでは、何か見ていただけるかどうかというのは不安に感じるところもあります。ですので、先ほども申し上げましたけれども、やはり市民の皆さんに一番身近な市町村の窓口であったり、こうした相続に関係して誰もが行くような窓口、そういったところにリーフレットを置いていただくとか、また情報提供していただくというような取組も是非行っていただきたいと思います。
 国交省にお伺いしたいんですが、先ほどの説明いただいた取りまとめとの関係で、京都府の精華町でこの相続登記の促進に関係する取組が行われていて一定の成果を上げているというふうに聞いておりますけれども、どのような内容なんでしょうか。
#85
○政府参考人(北本政行君) お答え申し上げます。
 先ほど御説明いたしました検討会の取りまとめに事例として掲載しております京都府精華町の事例ということでございますけれども、こちらでは、まず死亡届の提出があった場合、総合窓口課というところで受付を行いまして、関係課と連携して、その死亡届に伴う諸手続の案内資料を取りまとめまして相続人等に送付をしておられるというふうに聞いております。
 そして、その後、相続等に必要な戸籍、住民票等の写しの請求手続等のために届出人が来庁された際、総合窓口課で当該手続の対応をするほか、固定資産税係が総合窓口まで出向きまして、法務局で相続登記の際に必要となる書類一覧をお渡ししているというふうに聞いております。さらに、総合窓口課の担当者が農地や森林を所有しているかを聞き取りまして、所有している場合には、産業振興課、農業委員会等への案内をいたしまして、そこで農地や森林の届出関係の対応をしておられるというふうに聞いてございます。
 このように、精華町におきましては、きめ細やかな対応によりまして土地所有の相続に係る手続の確実な案内を行いまして、所有者の所在の把握が難しい土地の発生予防に努めておられるというふうに聞いておるところでございます。
#86
○佐々木さやか君 この京都府の精華町では、要するに、死亡届を役所の窓口に出しに来てくださるその機会を捉えて様々な情報を提供する、相続登記についても必要書類なんかを御案内をして、所有者不明の土地が増えるのを防ぐ活動をしていると、こういう御説明でありました。逆に、私この話を聞いたとき、あっ、そういう相続登記については今までそういったところでも全然情報の提供というのは特になかったんだなと、こういうのが新しい取組なんだなということを逆に認識したんですが、そう考えると、知らない方が恐らく多いんだろうと思います。
 相続登記ということが必要なんだということをこのようにきめ細かに情報提供していただければ、恐らく促進の大きな力になるのではないかと思いますので、こうした好事例の横展開といいますか周知もしていただきたいですし、法務省としても市町村と連携をして取り組んでいっていただきたいと思いますが、この点、いかがでしょうか。
#87
○政府参考人(小川秀樹君) 御指摘いただきましたように、先ほど御紹介あった精華町の取組のようにということだと思いますが、死亡届やこれに伴う手続の窓口を有する市町村は市民に身近な存在でありまして、市町村と連携して相続登記の促進に取り組むことは極めて重要であるというふうに考えております。
 そのため、現場の法務局では、管内の市町村に直接訪問するなどしてその協力を得まして、死亡届などの窓口に相続登記促進のための広報用のリーフレットを備え付けてもらったり、固定資産税に係る相続人代表者指定届を送付する際にリーフレットを同封してもらったりする取組を進めております。また、市町村が作成いたします死亡に伴い必要となる公的な手続の一覧表、これに相続登記手続に関する記述を追加してもらう取組を進めております。
 法務省といたしましても、今後とも国土交通省及び実務に携わる専門家と連携するとともに、このような取組を始めとする法務局と市町村との連携を強化しながら、引き続き相続登記の促進に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#88
○佐々木さやか君 よろしくお願いをいたします。
 相続登記の促進との関係で、今、法務省では法定相続情報証明制度という新しい制度の検討を行っているというふうに聞いております。これは質問とはいたしませんけれども、新しい新制度ということで、是非関係者の意見も様々な角度から聞いていただいて、良い制度にしていただければというふうに思っております。
 この法定相続情報証明制度というのは、聞いたところによると、相続の手続を様々するのに当たって、戸籍謄本を死亡から出生に遡って何通もいろいろと集めて、それを銀行だったり法務局だったり様々なところに持っていって手続をするわけですけれども、そうした相続関係を戸籍謄本に代わって証明をする制度と、このようなことを検討しているというふうに聞いております。
 これが直ちに相続登記に直接つながるかというと、そういうわけではないのかなというふうにも思っているんですが、しかしながら、その相続に関する手続の負担の軽減になるのではないかと期待したいと思いますし、また、制度に関連して相続登記の促進がされることを期待したいと思います。
 ということで、残りの時間で次のテーマで、少年事件の関係を取り上げたいと思います。
 少年の場合は、何か法に触れるようなことをしたという場合でも、成人とは異なって通常の刑事手続にはなりません。少年法による少年事件手続ということになります。この少年法の第一条にありますけれども、この少年法というのは、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。」と、こういったことが書かれてありまして、この少年事件手続の特徴というのは、いわゆる教育的な見地から行われるというのが特徴ではないかというふうに思っております。
 この少年事件のまず現状についてお伺いをしたいんですが、平成二十八年版の犯罪白書によりますと、少年による刑法犯の検挙人数というのは減少しているというふうに認識しておりますが、状況について伺います。
#89
○政府参考人(林眞琴君) 少年による刑法犯の検挙人員でございますが、平成十六年以降、減少を続けております。平成二十七年について見ますと、前年と比べて約一九%減少している状況にございます。
 また、少年の人口十万人当たりの刑法犯検挙人員の割合というものを見ますと、やはり同様に減少傾向にございまして、平成二十七年について見ますと、最も割合の高かった昭和五十六年と比べて三分の一以下となっておる状況でございます。
#90
○佐々木さやか君 先ほど真山委員もこの点、質問の中で触れられていらっしゃいましたけれども、今説明があったように、少年事件というのは数として減っております。その背景として、少子化、少年の人数自体が昔に比べて減っているということも一つありますけれども、しかしながら、少年の人口比を見ましても減っているということで、やはり全体の母数が減っているということ以上に少年の事件というのは減っていると、こういう現状にあります。
 この少年事件に関しては、様々法改正もこれまでもございました。そういった議論の中でも、一つの意見として、数は減っているんだけれども凶悪化しているんじゃないかというような意見もありますけれども、この点を数字の上から見てみたいんですが、この少年事件の検挙、どういった犯罪で検挙をされている状況なのか、推移についても併せて教えてください。
#91
○政府参考人(林眞琴君) 少年事件の凶悪化という観点で、少年による刑法犯の検挙人員の動向を罪名別で見てみますと、まず、殺人につきましては近年顕著な増減の傾向はございません。他方で、強盗について見ますと平成十六年以降、おおむね減少の傾向にあるわけでございます。
 もちろん、近年におきましても、社会の耳目を集めるような少年による凶悪重大事件というものは発生しているわけでございますけれども、全体として傾向を見ますれば、以前と比較して少年犯罪というものが凶悪化しているという認識は持っておりません。
#92
○佐々木さやか君 今御説明があったように、事件数自体も減っており、数字の上からは凶悪化しているということも言えないと。社会の安全、安心の観点からいえば非常に良い傾向ではないかと思いますけれども、しかしながら、非行少年の、減少傾向にあるとはいえ実際にいるわけで、またその背景、様々なことを考えながら、再非行の防止、また、より非行の検挙の数、非行に至る少年の数を減らしていくということに取り組んでいかなければならないと思っております。
 そこで、再犯防止ということは政府も法務省を中心に取り組んでいただいておりますけれども、この少年の再非行防止についてはどのような目標を掲げて、どのような取組をしているんでしょうか。
#93
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 政府におきましては、平成二十四年七月に再犯防止に向けた総合対策を犯罪対策閣僚会議で決定しており、この中で、刑務所、少年院を出た後、二年以内に刑務所又は少年院に再入所あるいは再入院する者の割合を今後十年間で二〇%以上減少させるという目標を掲げております。
 少年院出院者につきましては、この対策決定時に算出しました再入院率が一一%でございましたので、平成三十三年までの十年間でこれを八・八%以下に減少させるというのが数値目標となっております。
 こうした目標を達成するために、少年院におきましては矯正教育を充実して行うこと、また、在院者の社会復帰の支援をするといったようなことに取り組んでいるところでございます。
#94
○佐々木さやか君 今ありましたとおり、例えば少年院における矯正教育、また、修学、就労支援に取り組んでいただいているということですけれども、具体的にどのような取組をしているのか、矯正教育について伺います。
#95
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 少年院におきましては、矯正教育として、在院者の犯罪的傾向を矯正し、健全な心身を培わせ、社会に適応するのに必要な知識や能力を習得させることを目的に教育を行っております。矯正教育には、生活指導、職業指導、教科指導、体育指導及び特別活動指導の五つの内容があり、在院者の特性に応じてこれらの指導を組み合わせ、体系的かつ計画的に教育を行っているところです。
 少年院におきましては、従来から個々の在院者の非行の内容や問題性に応じた指導を実施してきておりましたが、昨年六月一日に施行された新しい少年院法下においては、この生活指導において被害者の視点を取り入れた教育、薬物非行防止指導、性非行防止指導など、特定の非行や個々の在院者の事情に対応したプログラムを新たに導入いたしました。
 また、職業指導ということで、社会人としての基礎マナー、パソコン操作等の職場に定着するのに必要なスキルを身に付けさせるための教材の開発をするなど、矯正教育の充実を図っているところでございます。
#96
○佐々木さやか君 時間が迫ってまいりましたので一問飛ばしまして、最後に大臣に御所見を伺いたいと思うんですが。
 この少年の非行状況というものを見ますと、平成二十七年でいいますと、窃盗が六割、遺失物横領ですとか暴行、傷害と、そういった罪名で九七%を占めております。それぞれ重大な犯罪ではありますけれども、そうした、更に非行を重ねていくと、更に重大な犯罪に至ってしまうということもあるかもしれません。
 少年というのはまだ年齢も若いですし、こういった段階で早めに再非行防止についての十分な教育支援というものが非常に社会復帰のために重要であるというふうに思っておりますけれども、この少年の再非行防止について大臣の御所見を伺いたいと思います。
#97
○国務大臣(金田勝年君) まさに、佐々木委員御指摘のとおりだというふうに思っております。
 少年は我が国の次の時代を担う大切な存在であるということが大切だというふうに思っております。その少年たちの健全育成を図るために、あるいは再非行防止に向けた観点から施策を充実させることは非常に重要であると、このように認識をいたしております。
 少年院におきましては、少年院在院者の特性に応じた矯正教育を実施するというその教育的見地からの実施、そしてまた、出院後に自立した生活を行うことが難しい少年院在院者に対して、就労や修学に結び付けるための支援といったものを積極的に実施していくことが必要であり、また、そのような視点で実施をしているわけであります。
 引き続いて、少年院における矯正教育の充実を図るとともに、少年院在院者が出院後に安定した生活基盤を確保できるような社会復帰支援の充実、これにも努めていきたい、以上のように考えております。
#98
○佐々木さやか君 終わります。
#99
○委員長(秋野公造君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#100
○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#101
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 今日は、部落問題についての法務省の立場について、法務大臣並びに人権擁護局長にお尋ねをいたします。
 お手元に、平成元年八月四日付けで法務省人権擁護局総務課長が発した「確認・糾弾会について」という通知をお配りをしています。これは、「はじめに」というところに記載をされているように、「部落解放同盟(以下「解同」という。)は、結成以来一貫して糾弾を部落解放闘争の基本に置いてきている。この資料は、この基本に基づいて解同の行う確認・糾弾会についての当局の見解をまとめたものである。」としているとおりのものです。
 一九六〇年代後半からこの部落解放同盟による確認・糾弾と称する暴力が吹き荒れる中でこの通知が発されたわけですが、ここに言う確認・糾弾とは何か。この通知の三項、「現在行われている確認・糾弾会についての解同の見解」というものが述べられていますけれども、そこにはこうあります。「確認・糾弾会は、被差別者が、差別者の行った事実及びその差別性の有無を確定し、差別の本質を明らかにした上で(確認)、」というとおりなんですが、そこで局長に伺いたいんですけれども、これは、部落民以外は全て差別者、踏まれた者の痛みは踏まれた者にしか分からないという、解同朝田派の理論と呼ばれる特異な考え方に基づくものです。
 この通知の四ページ目にも、「確認・糾弾会に付随する論点」として「解同は、心の痛みを受けたことのない者が差別事件を的確に理解することはできないと主張することがある」と指摘しているとおりなんですが、つまり、当時の解同の言う確認というのは、差別かどうか、その本質を、被差別者、つまり解同が確定、認定するというものですね。
#102
○政府参考人(萩本修君) この通知の発出当時、部落解放同盟がその活動の基本としているいわゆる確認・糾弾会について、当時の人権擁護局として今委員御指摘のとおりに認識していたということでございます。
#103
○仁比聡平君 当時のというふうにおっしゃるんですが、その点は後に伺いたいと思います。
 そうした確認の上で、「差別者の反省を求め、これに抗議し、教育して人間変革を求める(糾弾)とともに、その追及を通じて、関係者、行政機関などに、差別の本質と当面解決を迫らねばならない課題を深く理解させる場である。」と確認・糾弾会を規定したのが解同の理論です。
 それに対して、地対協意見具申が昭和六十一年十二月に発せられました、一九八六年のことですが。これ、後で詳しく聞きたいと思いますけれども、この地対協意見具申を、四項の一番最後の二行、「法務省は、この提言を真摯に受け止め、その趣旨に沿った取組に鋭意努力してきたところである。」とした上で、五項、「当局の見解」というのがあります。現実の確認・糾弾会について、「(1)基本的な問題点」としてア、イ、ウの三点を指摘しているのですが、局長に一つずつ伺いたいと思うんです。まず、最初のアというのは、これはどういうふうに指摘をしているわけですか。
#104
○政府参考人(萩本修君) 指摘自体読み上げるのが最も的確に伝わるかと思いますので、読み上げる形で御説明したいと思いますが、まず第一点として指摘している内容は、「確認・糾弾会は、いわゆる被害者集団が多数の威力を背景に差別したとされる者に対して抗議等を行うものであるから、被糾弾者がこれに異議を述べ、事実の存否、内容を争うこともままならず、また、その性質上行き過ぎて被糾弾者の人権への配慮に欠けたものとなる可能性を本来持っている。」という点を指摘したものでございます。
#105
○仁比聡平君 述べられたように、人権侵害の可能性を本来持っている、つまり、その性格上持っている、あるいは本来的に持っているということを、意見具申を踏まえてこの法務省の通知でも指摘をしているわけです。
 次のイはどうですか。
#106
○政府参考人(萩本修君) 第二点として指摘しております内容は、「確認・糾弾会においては、被糾弾者の人権擁護に対する手続的保障がない。すなわち、被糾弾者の弁護人的役割を果たす者がいない上、被害者集団が検察官と裁判官の両方の役割を果たしており、差別の判定機関としての公正・中立性が望めず、何が差別かということの判断を始め、主観的な立場から、恣意的な判断がなされる可能性が高い。」ことを指摘したものでございます。
#107
○仁比聡平君 つまり、先ほど述べていただいたとおり、差別かどうか、差別の本質は解同が認定するという解同朝田派の理論によれば、主観的で恣意的な判断がなされる可能性が高いと言っているわけですよね。これ、法務省通知にいう解同の見解に基づけば、こうしたものになるという指摘ですよね、局長。
#108
○政府参考人(萩本修君) 当時のそのような判断を記載したものと理解しております。
#109
○仁比聡平君 ウはどうですか。
#110
○政府参考人(萩本修君) 基本的な問題の第三点として指摘しております内容は、「被糾弾者には、確認・糾弾会の完結時についての目途が与えられない。反省文や決意表明書の提出、研修の実施、同和問題企業連絡会等への加入、賛助金等の支払い等々確認・糾弾行為を終結させるための謝罪行為が恣意的に求められ、これに応じることを余儀なくされる。」という点を指摘したものでございます。
#111
○仁比聡平君 つまり、確認・糾弾の対象とされた者が、自らが差別者であるということを認め、屈服するまでこの確認・糾弾は終わらないということです。そして、その認めたあかしに、今この通知にあるように、反省文や、あるいは行政や学校、企業などにおける研修の実施、同和問題企業連絡会などへの加入、そして賛助金等の支払などなど、そうした謝罪行為なるものが恣意的に求められ、これに応じることを余儀なくされる、強要される、そうした実態があるということをこの通知は述べているんだと思いますが、そのとおりですか。
#112
○政府参考人(萩本修君) もう大分前の事実関係になりますので当時の状況の詳細はつまびらかにしておりませんけれども、このような通知が発せられたということからしますと、記載のような実態が生じていると当時当局において認識していたことを背景にこれらの記載がされたものと理解しております。
#113
○仁比聡平君 皆さん、この通知の最初の「はじめに」のところをもう一度見ていただきたいと思うんですが、当時の人権擁護局がどう認識していたかと。そもそもというのがありますね、「そもそも、国の行政機関は、基本的には、民間運動団体の行動についてその意見を述べるべき立場にないものである。しかし、差別の解消という行政目的を達成する上で障害となっているものがあるとすれば、これを取り除くよう提言すべきことは当然である。」と述べているわけです。
 つまり、解同による暴力的な確認・糾弾というのが断じて許すことができないし、加えて、差別の解消を達成する上で障害となっているという状況だったからこそこの通知が発せられたわけですね。
 この冒頭、「はじめに」の部分にこうした記述があるのは、局長、そういう趣旨じゃありませんか。
#114
○政府参考人(萩本修君) 繰り返しになりますが、当時の状況はつまびらかにしておりませんけれども、このような記載がされたということは、そうした実態が生じていると当時認識していたことを背景にこうした通知が発せられたものと理解しております。
#115
○仁比聡平君 戻っていただいて、四ページ目のその他の問題点のイのところにこうあります。確認・糾弾会に出席する法的義務はなく、その場に出るか否かはあくまでも本人の自由意思によるべきである、しかし、現実には解同は、出席を拒否する被糾弾者に対して、差別者は当然確認・糾弾会に出席すべきであるとし、あるいはこれを開き直りであるとして、直接、間接に強い圧力を掛け、被糾弾者を結局出席せざるを得ない状況に追い込むことが多く、飛ばしますが、真の自由意思によるものかに疑問がある場合が多いというわけですね。
 こうした通知の書きぶりから、当時、解同の見解の下で、現実にこうした重大な人権侵害が行われていたということは明らかです。
 そこで、大臣にお尋ねしたいと思うんですが、この確認・糾弾によってどれだけの人権侵害が発生したか、これは数え切れないんですね。それは、この法務省通知が指摘をしている、あるいは批判している解同の見解に基づいて起こったものではありませんか。
 何で。大臣、大臣。
#116
○大臣政務官(井野俊郎君) お答え申し上げます。(発言する者あり)私の方からお答え申し上げます。
 委員御指摘の平成元年通知は、差別の解消という行政目的を達成する上で障害となっているものがあればこれを取り除くべきとの認識の下に、先ほど人権擁護局長が答弁したとおりの問題点を踏まえ発出されたものであると、そのように考えております。
#117
○仁比聡平君 大臣、大臣がお答えにならない理由をまずお答えいただきたい。
#118
○国務大臣(金田勝年君) 私ども政務三役で最も適切な答弁をしたいと思っている中で、今、ただいま私ども三役に質問がございましたので、私から申し上げてもいいんですが、政務官の方で答えるという趣旨で挙手をしたものであります。その後、私も考えを聞かれれば申し上げるつもりでおります。
#119
○仁比聡平君 いや、大臣、私が指名をしているのに自ら御答弁になさろうとしないという態度は、態度ならですよ、それは重大ですよ。部落問題という日本の歴史と民主主義において極めて重大な、あるいは重要な問題について、私は今日の委員会でこの質問あえて行わざるを得なくなっている。だから大臣に御答弁を、通告しているでしょう、お答えになるのが当然であって、もう一度伺います、先ほどの質問についての大臣の答弁を伺います。
#120
○国務大臣(金田勝年君) 私どもの政務官からもお答え申し上げましたが、委員ただいま御指摘の平成元年の通知は、差別の解消という行政目的を達成する上で障害となっているものがあればこれを取り除くべきとの認識の下に、先ほど私どもの局長から申し上げましたとおりの問題点を踏まえて発出されたものと推察をするところであります。
#121
○仁比聡平君 あと、大臣、推察をしておられるというふうにおっしゃるんですが、その歴史の事実というのは、これは拭いようはないですね。
 お手元の資料に、昭和四十九年十二月十九日の衆議院予算委員会の会議録をお配りをいたしました。これは、一九七四年十一月二十二日、くしくも四十二年前の今日のことですが、兵庫県八鹿高校で、断じて許してはならない集団監禁暴行事件が発生し、我が党の村上弘衆議院議員が当時の三木内閣の責任を追及した際の議事録です。この議事録三十一ページにこの問題の質疑があるわけですけれども、八鹿高校事件というのはそもそも何かと。解同による差別糾弾路線は、一九六九年に大阪市で発生した矢田事件という暴行、監禁事件を始めとして、次々と行政機関あるいは学校、教育現場を巻き込んで路線に同調しない人々の人権を侵害をしてきました。その挙げ句、ついに部落解放同盟員が、解同の教育介入に反対する教員集団、高校の先生方およそ五十名を体育館に監禁し、集団リンチで殴る蹴るといった暴行を加えて重傷を負わせる事件にまで発展したのがこの八鹿高校事件なんですね。
 解同は、八鹿高校に、解同指導下の解放研の設置を迫りました。しかし、職員会議が一致して、高校には既に部落研がある、校外の指導を受ける解放研設置は認め難いとしたことを理由に、口実に、解同は校長に迫って、校長室の隣の部屋に糾弾闘争本部を置いて、校舎に投光器を設置して、長期にわたる糾弾、監禁の構えを取ったわけです。その非常事態に対して、十一月二十二日、教職員一同およそ六十名が緊急避難のために集団で下校しようとしたところ、解同が、白昼の路上で、そして体育館に監禁して行った暴行を、当時、私どもの村上弘衆議院議員が、三十二ページですけれども、一番上の段に、このように述べています。
 負傷者は全員で五十八名、そのうち十三名が重傷というのが政府委員の答弁ですね。その重傷とは何か。肋骨、腰椎、横突起などの骨折。その他全身打撲である。やけど、特に失神した人がたくさんいるというのが特徴である。
 リンチのやり方についてこう述べています。頭に対しては飛び蹴り、ほうきの柄で殴る。電柱や机、壁にぶつける。毛髪を引っ張る。顔に対しては、頬をひねって、ちぎり取るように引っ張る。長靴で殴る。唾を吐きかける。これは流れるほど唾を吐きかける。水の入ったバケツやたらいの中に顔を突っ込む。たばこの火や顔を首に押し付ける。胸や腹、腰を金具の付いた半長靴で蹴る。手足を靴や椅子の脚で踏ん付ける。指の関節の部分にボールペンを挟んで、強く握る。頭から全身に水をぶっかける。そして、女性教師を裸にする。
 こうした蛮行を行うに至ったのが部落解放同盟の確認・糾弾路線なんですね。このとき、十一名がまず逮捕されましたが、四名を逮捕するために警察は五千名の警察官を動員しています。そうした事態が現に四十二年前起こりました。
 私は、この事件は、この八鹿高校のみにおいて偶発的に発生したのではない、部落民以外は全て差別者である、差別された者の痛みは差別された者にしか分からないとする解同の見解がエスカレートし、行き着いた重大な事件であって、戦後の部落解放運動の中に生まれた誤りだと思いますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
#122
○国務大臣(金田勝年君) ただいま委員の御指摘の点につきましては、糾弾権に関する八鹿高校等刑事事件、大阪高裁判決につきまして、一般的、包括的に糾弾行為を自救行為として是認したものではないこと、まして、糾弾する権利を認めたものではないことを指摘いたしておりますとともに、この判決が糾弾権等を認めたとする解同の主張を否定したものである、このように受け止めております。
#123
○仁比聡平君 そのような刑事事件判決がある。そして、法務省はその立場に立っていると。
 加えて、被害者が提訴した民事事件においては、今私が申し上げたような事実関係が詳細に認定をされた上で、当然損害賠償請求が認められております。その判決の中では、そうして暴力にさらされた学校の先生方がそれぞれの意思に反して、解放研生徒と話し合わなかったことを反省する、今までの同和教育は誤っていた、今後は解放同盟と連帯して部落解放のために闘うなどという趣旨を記載した自己批判書又は確認書の作成を余儀なくされたという認定にも至っているわけですね。
 こうした確認・糾弾をてこにした圧力が行政あるいは教育現場を中心に、あるいは企業に対して掛けられていく中で、昭和六十一年の地対協意見具申というのがあるわけです。
 この三部目に皆さんのお手元にも資料をお配りをしていますけれども、この二ページ目にある「地域改善対策の現状に関する基本的認識」というところをよく御覧いただきたいと思うんですね。当時の同和特別対策の推進によって、同対審答申で指摘された同和地区の劣悪で低位な実態は大きく改善を見た、また、心理的差別についても、内外における人権尊重の風潮の高まり、各種の啓発施策及び同和教育の実施、実態面の劣悪さの改善等によりその解消が進んできていると整理をした上で、下のページに三百九十九ページというページがあると思いますが、上の方に反面とあります。反面、これまでの行政機関の姿勢や民間運動団体の行動形態などに起因する新しい諸問題は、同和問題に対する根強い批判を生み、同和問題の解決を困難にし、複雑にしている。下の方に行きまして、しかし、新しい要因による新たな意識は、その新しい要因が克服されなければ解消されることは困難であるとしているわけですね。
 その新しい要因として、第一に、行政の主体性の欠如、民間運動団体の威圧的な態度に押し切られて、不適切な行政運営を行うという傾向を指摘し、第二に、同和関係者の自立、向上の精神の涵養の視点の軽視。第三は、えせ同和行為の横行。読みますが、民間運動団体の行き過ぎた言動に由来する同和問題は怖い問題であり、避けた方がよいとの意識の発生は、この問題に対する新たな差別意識を生む要因となっている。えせ同和行為は、何らかの利権を得るため、同和問題を口実にして企業、行政機関等へ不当な圧力を掛けるものであり、その行為自体が問題とされ、排除されるべき性格のものである。そして第四に、同和問題についての自由な意見の潜在化傾向を挙げ、先ほど確認をいただいた確認・糾弾という問題について、法務省通知と同旨が個々に述べられているわけです。
 以上の四点を指摘した上で、地対協意見具申は、以上のような諸要因を是正していくことが不可欠である、同和問題解決のために成し遂げるべき極めて重要な今日的課題である、そう述べていますが、大臣、同じ認識ですか。
#124
○国務大臣(金田勝年君) 昭和六十一年の意見具申において、民間運動団体の行き過ぎた言動等によりまして、行政の主体性の欠如、あるいはえせ同和行為の横行が見られるとの指摘がされていたことは委員御指摘のとおりであります。
 このような問題が差別意識の解消を阻害し、また新たな差別意識を生む要因となり得るという点については、現在も変わらないものと承知をしております。
#125
○仁比聡平君 そうした下で、時間が迫ってきましたから質問飛ばして伺うんですけれども、公益財団法人人権教育啓発推進センターが今年の一月に発行している、心を開こう、同和問題を考えるためにというパンフレットがあります。
 ここには、局長にお尋ねしますが、日本固有の同和問題とはという定義として、日本固有の人権問題である同和問題は、同和地区、被差別部落などと呼ばれる地域の出身であることや、そこに住んでいることを理由に、結婚を反対されたり、就職や日常生活の上で様々な差別を受けるという問題ですというふうに定義をしているんですが、これは法務省が同和問題とは何かということで述べておられる定義と異なります。違います。法務省はどのように定義をしているか。そして、その立場からしたときに、このパンフレットが言う被差別部落などと呼ばれる地域の出身であること、あるいは住んでいることというのは一体どう考えたらいいのか。いかがですか。
#126
○政府参考人(萩本修君) まず、法務省が同和問題をどのように位置付けているかということですが、法務省では、同和問題につきまして、日本社会の歴史的過程で形作られた身分差別により、日本国民の一部の人々が、長い間、経済的、社会的、文化的に低い状態に置かれることを強いられ、日常生活の上で差別を受けるなどしている我が国固有の人権問題というように位置付けておりまして、この同和問題に関わる差別や偏見をなくすことが重要であるという認識の下、これまで啓発活動など各種の施策を実施してきたものでございます。
 委員御指摘のパンフレット、公益財団法人が作成したものでして、ちょっと、法務省が作成したものではありませんので、このパンフレットの内容についてのコメントは差し控えたいと思います。
#127
○仁比聡平君 述べられた法務省の同和問題の定義というのは、これは、同対審答申以来、一貫したものなわけです。一方で、このパンフレットにある、被差別部落などと呼ばれる地域の出身であることや、そこに住んでいることということをどう解するのか。
 これ、生まれ育ったとか現在住んでいるとか、あるいは過去住んでいたとか、出身という言葉になると、一度も住んだことはないんだけれども親がその地域に過去住んでいたとか、あるいはおじいちゃんやおばあちゃんがその地域に住んでいたことがあるとか、あるいは何代まで遡って血筋をたどるのか、本籍をたどるのかと、この出身という概念はどこまででも広がっていくわけですね。こういう考え方を法務省が定義として述べたことは過去一度もないと、これは改めて次の機会に確認をしたいと思うんですけれども。
 お手元の資料に、不公正、乱脈な同和行政が地方政治の重大な問題となり続けてきた大阪府が、今年一月の二十二日に「旧同和対策事業対象地域の課題について 実態把握の結果及び専門委員の意見を踏まえて」という報告を出しているものをお配りをしています。
 これの七ページ目にあるように、調査から推認できることとして、対象地域で見られる課題の現れ方は多様であり一くくりにすることはできない、対象地域と同様の課題の集中が対象地域以外にも見られる、対象地域で見られる課題は必ずしも全てが部落差別の結果と捉えることはできないとしているものに対して、専門委員のお一人が、部落差別から何らかの影響を受けているものもあると考えられる、そうした実態調査が必要だという趣旨の意見を述べたのに対して、十六ページ目ですが、大阪府は、そうした調査をするとしたら、対象地域の住民を対象として調査対象者を抽出し、それらの対象者に対して調査の趣旨及び居住地が対象地域であるということを明示した上で、対象地域出身者であることの自己認識、被差別体験の有無及び生活実態面の課題と被差別体験の関連を聴く必要がある。しかし、調査対象者に対してそういうことを教示し、出身者であるか否か、差別体験があるか否かなどのセンシティブな情報を収集する調査を実施することは困難である。大阪府が、特別対策としての同和対策事業が終了した現在において、条例により差別防止の観点から規制している行為を規制当局である大阪府が行うことは不適切であるとしているんですね。
 大臣に今日最後伺いたいんですが、私、この大阪府の報告が言うとおりだと思うんですよ。もし、九三年に行われた言わば最後の同和地区実態把握調査、このとき同和地区数、全国で四千四百四十二地区、同和関係者あるいは同和地区居住者として二百十五万八千七百八十九人の人々を対象にした調査が行われました。そうしたときからも人口移動や混住がどんどん進んでいる下で、こうした角度での実態調査を行うなんてとんでもない人権侵害だと思いますが、大臣、いかがですか。
#128
○国務大臣(金田勝年君) 御指摘の見解は大阪府府民文化部の人権局の作成の資料において示されていると、このように受け止めておりますので、私の、法務省としての所見を述べるのは差し控えたいと思います。
 ただ、一般論として、仮に御指摘のような調査がされるに当たっては、その調査によって新たな差別が起きることのないように留意をして、調査の内容、手法等が検討される必要があると、このように考えております。
#129
○仁比聡平君 事柄はっきりさせなきゃいけないと思います。今日は終わります。
#130
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりでございます。
 本日は、以前、一般質疑の折に御質問をさせていただきました再犯防止に関連した質問、それからまた、性犯罪に関連した質問を引き続きさせていただきたいと思います。
 それでは、今回は児童虐待に関連する再犯防止についてお伺いをしてまいります。資料といたしまして、本日、新聞記事を配付しておりますので、御参考にしていただければと思います。
 先日、大阪府下の山中で、三年前から行方不明になっている四歳の男児の遺体が見付かりました。両親が生活保護の不正受給をした容疑で逮捕されたのを機に施設へと預けられておりましたけれども、その間に男児のいとこの死体遺棄容疑でこの四歳男児の両親は書類送検されますけれども、時効ということで不起訴となっておりました。その後、施設から男児を引き取り生活をまた始めるわけですけれども、この頃この四歳男児は行方不明となっていたということが明らかになりました。
 今回、大阪府警は、父親を傷害致死、母親を保護責任者遺棄致死容疑で逮捕をいたしました。再三の健診の未受診や複数回の家庭訪問でもこの男児の姿は確認できていなかったということです。明らかに虐待の兆候であるのに、なぜこれが防げなかったのかと、本当に大変悔やまれる事件でございます。
 虐待には、よく常習性があると。子供を施設に入所させて、その後、親元に帰すときは、やはりリスクを伴うため、親に対して二度と虐待を繰り返さないよう行政からのサポートが大変必要だと思っております。
 そこで、今、虐待が疑われた場合、通告義務もあり早期に発見できる場合もございますけれども、やはり虐待による被害を少しでも防ぐためにも、早期発見、早期対応、それからケアが不可欠であります。そして、発見された後、虐待を繰り返さないためにはどのような対策をされているのか、お聞かせください。
#131
○政府参考人(山本麻里君) お答え申し上げます。
 今議員から大変痛ましい事件について御紹介がございました。児童虐待の再発防止のためには、虐待を行った保護者に対し継続的なフォローを行い、親子関係が安定して再統合されるよう丁寧に指導、支援を続けていくということが重要だと考えてございます。このため、児童相談所においては、保護者に対し、再発を防止し、親子関係が安定して再構築されるよう、親子関係再構築のためのプログラム等を活用しながら支援を行っているところでございます。
 また、児童の家庭復帰に当たっては、児童相談所と市町村、関係機関が連携をし、保護者が地域の関係機関の適切な援助を受けられるようにするとともに、子供が安全に暮らせる見守り体制を整えることとしております。さらに、さきの通常国会で成立した児童福祉法等の改正におきましても、市町村の相談支援と要保護児童対策地域協議会の機能を強化するとともに、児童相談所の体制強化、専門性向上により保護者に対し継続的な指導等を実施することとしております。
 また、親子関係再構築プログラムの更なる開発を含め、国の調査研究を推進することや、施設入所等措置の解除後も関係機関による在宅支援、安全確認により問題再発を防止することなどを改正法に盛り込んでいるところでございます。
 これらを総合的に実施し、改正法の着実な準備を進めながら保護者への指導、支援に強力に推進してまいりたいと考えてございます。
#132
○高木かおり君 今、様々な対策を行っていただいていると御答弁いただきました。プログラムを使ってですとか、また関係機関の連携をしっかり図って子供が安全に安心に暮らせるようにというふうに行っていただいているということでしたけれども、この児童相談所での早期発見ですとか早期対応、これによる再犯防止の指導についていろいろお聞きをしたわけですけど、この対応が遅れてしまった場合、そういった場合に親が結果的には刑事施設に入ってしまう、そういった場合の再犯防止指導の内容をお聞かせください。
#133
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 刑事施設におきましては、受刑者に対してその者の改善更生や円滑な社会復帰を図り、再犯を防止することを目的といたしまして、個々の受刑者の問題性や特性等に応じ、矯正処遇を実施しております。その中でも、特に犯罪の責任を自覚させて健康な心身を培わせ、また社会生活に適応するのに必要な知識や生活態度を習得させるための指導ということで、改善指導というものを行っております。
 児童虐待を行った受刑者、これは一言で申しましても当然個々の受刑者ごとに問題性や事案の内容が違うわけですが、例えばということで申し上げますが、犯した罪の大きさや被害者の心情等を認識させて再び罪を犯させない決意を固めさせるために被害者の視点を取り入れた教育といったものも行っておりますし、また、暴力を振るうことなく生活するための具体的なスキルを身に付けさせる暴力防止プログラム、こういったことも実施することをしております。そのほか、家庭等の小集団で円滑な人間関係を維持するために必要な対人関係のスキルの指導、こういったこともやっているところでございます。
 今後とも、様々な処遇プログラムの充実を図るなどして再犯防止のための処遇の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
#134
○高木かおり君 今、様々親に対するサポートという観点、本当にこれは重要であると考えております。それは、やはりこの虐待傾向にある親、この親の社会的な孤立ですとか、またこの孤立が虐待を招いている、こういった悪循環というものがあるということは否定ができません。そういった中で、この悪循環を断ち切っていくためにもしっかりとサポートをお願いしたいと思います。
 次に、虐待をされてきた子供たちなんですけれども、この子たちは、本当に、多くは家庭ですとか施設等で十分に愛情を掛けて育てられてこなかったために人と人との関わりが難しかったり、不適応な症状というものを残したまま大人になって社会に出ていくという状況になってしまいます。
 虐待を受けた子の治療や心理的なケアというのは本当に難しいと思いますけれども、子供たちが安心できるようにしっかりじっくり時間を掛けてケアすることが重要だと思いますが、十分にこの子供たちの自分は大切にされているんだというような自尊感情を育むためにも、この虐待の負の連鎖を断つということにももちろんつながると思うんですけれども、この子供たちへのケアという観点からどのような対策が行われているか、お聞かせください。
#135
○政府参考人(山本麻里君) お答え申し上げます。
 議員御指摘になりましたように、児童虐待は子供の心身に深刻な影響をもたらすおそれのあるため、早い段階で子供に対する心身のケア等の支援を行っていることが重要だと考えております。
 このため、児童相談所におきましては、虐待を受けた子供に対して、精神科医等による専門的な医療的ケアを受けるための医療機関のあっせんでございますとか、児童心理司によるカウンセリングなどの支援を実施しているところでございます。また、子供が入所をしている児童養護施設等においても、個別対応職員による児童への一対一の対応や心理療法担当職員による専門的なケア等を行っているところでございます。さらに、児童虐待等による子供の心の問題に対応するため、都道府県の拠点病院を中核とした支援体制の構築を図り、地域の医療機関から相談を受けた症例に対する診療支援でございますとか、子供の心の診療に専門的に携わる医師及び関係専門職の育成を行っております。
 こうした取組に加えまして、さきの通常国会で成立した児童福祉法の改正におきまして、心理に関する指導を行う児童心理司や、児童の健康、心身の発達に関する指導を行う医師又は保健師の配置を義務付けまして、虐待を受けた子供への支援体制の強化を図ったところでございます。
#136
○高木かおり君 今御答弁をお聞きしておりますと、本当に手厚くケアをしていただいているかなと思っております。
 児童自立支援施設ですとか少年院、また少年に対する調査、それから日弁連による実態調査によりますと、五割から六割の非行少年に虐待を受けた経験があるというような結果が出ているということが記載されている書物がございました。しかしながら、これは、虐待を受けた子が非行少年になるという意味ではなくて、被虐待児に対していかに治療それから心理的ケアが必要かということを物語っていると私は思っております。
 今回の事件では、この大阪での虐待事例、これは本当に認識が甘かったんだと言わざるを得ないと思います。新聞等の報道によりますと、行政間で情報が共有されなかったことが問題となっておりますけれども、例えば今回の件でいいますと、両容疑者、親になりますけれども、死体遺棄容疑で既に書類送検、過去にされていたこと、それから、出所後、子どもセンターから子供を引き取って一緒に暮らし始めたということ、それから、松原市に元々住んでおりましたけれども、三歳児健診を受けさせようとしたけれども、両親は六回も延期したまま結局は堺市に転居してしまったこと、こういった情報をなかなか行政間で共有ができていなかったということが挙げられておりますが、大阪府警では今回の事件を受けまして、虐待を受けた児童が保護施設から自宅に帰るときには大阪府警と児童相談所が連携する仕組みを強化しようというふうになりました。
 このような動きは大阪だけではなくて、是非とも全国的に取り組んでいただきたいと思います。今後の方向性とともに、これらについて御見解をお聞かせください。
#137
○大臣政務官(堀内詔子君) お答え申し上げます。
 親子分離の後に子供が家庭復帰する場合においては、児童相談所や市町村を中心として、関係機関が緊密に連携しながら、子供の見守りや家庭への支援を行うこととしております。特に警察との連携は、子供の安全確保の観点から重要であります。
 このため、厚生労働省では、児童相談所運営指針等の通知において、個別ケースについて、施設入所や一時保護の開始、解除後等の積極的な情報交換、そして、子供の安全確保のための警察への援助要請等を推進するとともに、関係各機関において、子供の適切な保護又は支援を図るために必要な情報の共有等を行う市町村の要保護児童対策地域協議会を活用して連携を図ることを明確にして周知しております。
 これらに加えて、さきの通常国会で成立した児童福祉法等の改正法において、施設入所や一時保護の解除後において自宅に戻るとき、一定期間、児童相談所や地域の関係機関と連携し、定期的な子供の安全確認、保護者への相談支援等を実施することや、そして、市町村の要保護児童対策地域協議会の機能強化を図るため、その調整機関に専門職を配置することを義務付けたところでございまして、家庭復帰した子供の安全が確保されるよう、児童相談所、市町村、警察などの関係各機関との情報共有を通じた連携の強化に取り組んでまいりたいと思います。
#138
○高木かおり君 是非ともしっかりと関係機関連携をしていただいて、継続的に行っていただきたいというふうに思います。
 厚生労働省によりますと、住民票はあるのに乳児健診を受けていないなど住居実態が不明な十八歳未満の子供たちが七月現在で少なくとも二十五人いるというふうに新聞報道等でもございました。まだまだ水面下では見落としがあるのかもしれませんので、今の体制に不備な点がないのかどうか、いま一度しっかり点検をしていただいて、関係自治体しっかりとやっていただきたいというふうに御要望をさせていただきます。
 それでは、続きまして、次の質問に入らせていただきます。
 性犯罪についてお聞きをしてまいりたいと思いますけれども、前回は性犯罪被害者の法整備をできるだけ早く行ってほしいと要望をさせていただきました。また、大阪にある、全国でもいち早く二十四時間、三百六十五日運営をされている性犯罪のワンストップ支援センターとして知られておりますSACHICOについても前回御紹介をさせていただきました。
 そのNPO法人のSACHICOについてでございますけれども、やはり大阪は性犯罪被害が多発しているということも前回申し上げましたけれども、被害者のための効率的かつ効果的な支援の在り方、これをしっかりと考えていかなければならないなというふうに改めて痛感をしているわけでございますけれども。先日、SACHICOに伺ったときにも、他府県では、例えば福岡県ですとか東京都の方では約三千万ぐらいの行政から支援があるというふうに聞いているけれども、うちではなかなかそれだけの支援がなく、そういうふうにあったら本当にもっと活発に活動できるんだけどなというふうにセンター長もこぼしておられましたけれども。現在、このSACHICOにおきましては、阪南中央病院という民間の病院に間借りをしている状態で、SACHICOで活動しているスタッフさんもボランティアで働いている人が多く、また、この性犯罪の被害者の方々が警察からこちらに送られてくる場合はいいんですけれども、直接相談に来られた場合はこの医療費等は自己負担になるということで、医療行為が必要になった場合はそれらの治療費もこのSACHICOが寄附金等から出して賄っておられるというふうにおっしゃっておられました。そういったことから、このワンストップ支援センターを運営しようとする限り、当然これらの必要経費が掛かってくるわけです。これらの様々な諸経費、積み重ねていくとかなりの額になるんだということでございました。
 このSACHICOでも、今年で三年間の限定のモデル事業が終了するわけでございまして、しっかりと恒久的な制度にするためにも継続的な財政支援が必要であると思いますけれども、それについての御見解を是非ともお聞かせください。
#139
○政府参考人(大塚幸寛君) お答えをいたします。
 性犯罪や性暴力は女性の人権を著しく踏みにじる決して許されない行為でございまして、そして、この実際のこれらの被害者の方々の支援におきまして最も重要なことは、とにかく被害者の方々の負担をできるだけ少なくすることだというふうに考えてございます。
 このため、政府におきましては、第四次の男女共同参画基本計画におきまして、被害直後から医療面そして心理面などの支援をできる限り一か所で提供するいわゆるワンストップ支援センターを、この計画期間は五年間でございますが、平成三十二年度までに各都道府県最低一か所設置をすることをその目標に掲げまして、その取組を進めてきているところでございます。具体的には、この目標の早期達成を図るために、来年度の概算要求におきまして、このワンストップ支援センターの設置を促進と、それからその安定的運営を図るための補助制度を創設するための経費を要求をさせていただいたところでございます。
 現在、まさしくその予算編成過程にございまして、財政当局等々ともまさしく折衝中でございますが、こうした取組を踏まえまして、この性犯罪、性暴力被害者支援につきまして、関係府省庁ともきちんと連携をしながら取り組んでまいりたいと考えております。
#140
○高木かおり君 被害者に寄り添った配慮を行うこのワンストップ支援センター、この関係機関でございますけれども、これをしっかりと充実させていって、各都道府県最低一か所と、この目標も是非とも達成していただきたいとともに、やはり、運用するに当たっての財政面というのはやはりどちらも厳しいと思います。国の方が動かなければなかなか地方自治体の方も動きが鈍いということをお聞きしておりますので、是非ともこちらの方は予算を通してしっかりと支援をしていっていただければと強く要望をさせていただきます。
 それでは、次の質問に移りますけれども、先ほどは被害者支援のお話でございましたけれども、やはりこの性犯罪、野放しにするわけにはまいりません。そこで、この性犯罪の加害者に対する対策でございますけれども、やはりできる限り減らしていくためにも地道に再犯防止指導というものを行っていかなければならないと思いますけれども、これについて、今行われている内容と、それから効果についてお聞かせください。
#141
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 刑事施設におきましては、強制わいせつ、強姦等の性犯罪者を、行った者の中で、性犯罪の原因となる考え方に偏りがある者あるいは自己の感情や行動を管理する力に不足がある者などに対しまして、再犯につながる問題性の大きさなどを判定した上で性犯罪再犯防止指導を行っております。これは、先ほど御答弁申し上げました改善指導の一つでございます。
 この防止指導につきましては、欧米諸国において実施され効果が認められております認知行動療法等の手法を取り入れて作成されたプログラムを行っております。具体的な内容といたしましては、その者が性犯罪につながった要因はどんなものなのかを検討し、またそういった要因に対してどのように対処するのか、そういったことを本人自身を含めて計画をさせる、そういったことによって再犯につながる問題性を受刑者自身に認識させるとともに、再犯しないための問題性に応じた具体的な方法を習得させると、そういったことを目的として行っております。
 この性犯罪者処遇プログラムの効果につきましては、平成二十四年十二月に、実施してから一定期間が経過したということで、再犯状況等に関する分析結果をまとめて公表させていただいております。
 性犯罪受刑者二千百四十七名を対象といたしまして、統計学の専門的手法などを用い、出所後三年間の推定再犯率というものを分析いたしました。その結果、性犯罪再犯防止プログラム、この処遇プログラムを受講しているグループ千百九十八名につきましては推定再犯率が二一・九%、一方、受講していないグループ九百四十九名の推定再犯率は二九・六%であることが示され、このプログラムにつきましては統計学上、一定の再犯抑止効果があるということが認められております。
 もちろん、これで完璧ということは全くございませんで、より適正な処遇が行えるように、今後もプログラムの開発、検討には邁進していきたいと考えております。
#142
○高木かおり君 ただいま性犯罪再犯防止指導に関して一定の、平成二十四年から一定の期間がたったということで分析結果の方も出されている、効果検証をされているということかと思いますけれども、先ほどおっしゃっていただいたように、まだまだこれからだということではありますけれども、一定の効果も見られるというような御答弁だったかと思います。
 今回のこの結果を受けまして、確かに一定の有効性はあるとは思いますけれども、まだまだ効果が格段に上がっているとは言えないのではないかというふうに考えております。
 事例を紹介いたしますと、二〇一五年に起きた豊前市の小学五年生の女児殺害事件では、被告は、わいせつ目的で連れ去り、そして殺害をしてしまった、被告は再犯防止プログラムを受講していたとのことでした。これは結果的には効果が見られなかった一例かと思います。この容疑者に関しても、自分には効果がなかったように思うというようなことを言っているということでございました。
 もう一つここで御紹介をしたいんですけれども、大阪大学大学院人間科学研究科の藤岡淳子教授、再犯防止プログラムの効果自体は否定しないとしながらも、やはり気になるのは、せっかくのプログラムの受講者数が少ないのではないかということでございました。約一割強しか受講者の中で受講ができていないということもあると。この非受講の理由としては、優先されるべき身体疾患ですとか精神疾患の治療があるからとか、刑期が不足しているから、日本語能力の問題があるなど様々理由は挙げられておりますけれども、これに関して、常習性、反復性が認められない、性犯罪につながる問題が大きくはないと判断されてしまいますと、そもそも受講の可否を判断する調査の対象になることもなく、一回の強姦で受刑している者などは受講しないことになる、こういった現状があるというふうに指摘しておられます。せっかくのプログラムをもっと本来であれば活用すべきではないかと考えます。
 現行のこの性犯罪再犯防止プログラム、これらは欧米のプログラムに倣って、リスクの程度によって期間ですとか頻度、こういったものが決められているということでございますけれども、より効果的な対象者を選んで、より適切な内容にするように修正をしていくということも必要だと。同時に、本人への介入だけではなくて、環境にどのように介入をしていくのかも、こういったことも含めまして、性被害を低減するための総合的な対策を進めていくことが求められているというふうにもおっしゃっておられます。
 また、海外の方では、より厳重に徹底した対応をしている国等もございます。アメリカでは、性犯罪者は居住地の登録を義務付け、住民らに公開する制度を導入している。これは人権上の問題等もあり、なかなか議論が国内では進んでいないということもあるかと思いますが、一つの手段ではなく、あらゆる手段でこの再犯防止につなげていくべきだと思っております。
 ほかに対応策、対策はないのかといろいろと調べておりますと、医師であり性犯罪被害者支援に関する検討委員会で委員を務められておられます福井裕輝先生がおっしゃっておられますのは、性犯罪は中毒性があり、再犯防止のための適切な治療や処遇プログラムを含む包括的な社会的システムがない限りこの性犯罪はなくならないとおっしゃっておられます。加害者の九割はやめたいと自分自身が思っているけど、やめられないのが現状だということもおっしゃっておられます。
 これは国としての問題かもしれませんが、刑期を終えて刑務所から出てこられて、再犯したくないから医療的な治療を自ら受けたいと希望されても、一般の精神科の方では、性嗜好障害というカウンセリングに関しては一般の診療の対象ではないといって保険も利かないような状況でございます。
 こういった加害者の薬物の治療というのも必要性が求められておりますけれども、経済的な理由で断念するということもあるかと思います。先ほどの再犯防止プログラムの方の認知行動療法ということもおっしゃっておられました。それに併せて、この薬物療法ということ、これらは一定の、これに関してもある程度の効果があると認められているということで、こういった治療方法等もお考えいただきたいというふうに思います。
 そこで、最後に大臣にお伺いをしたいと思います。今、様々な事例を挙げさせていただきましたけれども、従来の再犯防止指導を軸にしつつ、あらゆる手段でこの性犯罪再犯防止につなげていくべきではないかと思いますけれども、最後にこれらについて御見解をお願いしたいと思います。
#143
○国務大臣(金田勝年君) 私も委員が御指摘されたとおりだというふうに受け止めております。性犯罪者の再犯を防止するためには、様々な対策、あらゆる手段でとおっしゃられましたが、様々な対策を実施することが重要だと、このように認識をいたしております。
 平成二十四年の犯罪対策閣僚会議におきましては、再犯防止に向けた総合対策の中で、性犯罪者一般に対しましては、個々の性犯罪者の再犯リスクを適切に把握した上で、刑務所収容中のみならず出所後も含めた一貫性のある性犯罪者処遇プログラムを実施すること、それから、被害者が子供である場合、その子供を対象とする暴力的性犯罪の出所者に対しましては、その所在確認、面談等によりまして、効果的な指導、支援をしていくことというふうにされております。
 こうした取組を、まさにおっしゃられるように、あらゆる取組となるわけですが、一定の再犯抑止効果というものがあるわけでございますから、今後とも、性犯罪者の再犯防止に向けた効果的かつ総合的な対策というものを関係省庁、具体的には、申し上げるまでもありません、厚労省、警察庁といったような役所が入ろうかと思いますが、関係省庁とも連携をしながら検討を実施をしていきたい、このように考えております。
#144
○高木かおり君 金田大臣、御答弁ありがとうございました。
 性犯罪による被害は、精神的、社会的に大きなダメージを与えるものでございます。是非とも様々な見地から、先ほどもおっしゃっていただきましたように、性犯罪被害の防止対策を行うと同時に、再犯をさせないための加害者に対する対策も併せてお願いをいたしまして、私からの質問を終了させていただきます。
 ありがとうございました。
#145
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子でございます。
 質問に入ります前に、二つのことについて申し上げたいと思います。
 一九九九年の十二月、国連総会におきまして十一月二十五日を女性に対する暴力撤廃国際日に指定いたしました。国連は、この日に各国政府やNGOに対し意識喚起のための活動を行うよう促しています。日本政府も二〇〇一年から、十一月十二日から二十五日までの二週間を女性に対する暴力をなくす運動期間と定め、関係省庁や地方自治体なども全国各地で様々な行事を行っております。
 私も付けておりますが、政府の皆さんがこのパープルリボンを付けていらっしゃるのも意識喚起の一つであろうと思います。金田大臣も付けていらっしゃいますが、人権擁護のその所管の大臣として意識喚起に一役買っておられることを心強く思います。
 これは夫や恋人からの暴力、さらに性犯罪、売買春、セクシュアルハラスメント、ストーカー行為など、女性に対する暴力は女性の人権を著しく侵害するものであり、決して許すべきものではありません。
 このパープルリボンは女性に対する暴力根絶運動のシンボルとして広がってきつつあるわけですが、人権擁護のその所管の大臣として、このリボンをお付けになっていらっしゃる御感想とその思いを一言お伺いしたいと思います。
#146
○国務大臣(金田勝年君) ただいま委員からお話のございました思いそのものを私も感じておる次第であります。そして、この二週間、このパープルバッジを大切に付けて、上着を着替えたときにもちゃんと付け替えしておる次第であります。
 以上です。
#147
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 さて、本日、十一月二十二日はいい夫婦の日とされています。夫婦としてこの日を迎えることなく命を絶たれた島袋里奈さん、今年五月に米軍属の男に暴行され、殺害された島袋里奈さんは、結婚を目前に控え、僅か二十歳という若さで命を奪われました。里奈さんのお父さんが事件から半年たって手記を公開されましたので、一部読み上げて御紹介したいと思います。
 娘の無念を思うと気持ちの整理が付きません。毎朝仏壇に手を合わせると涙が出てきます。いつまでこの気持ちでいるのか、今の私にできることは娘を供養してあげることだけですと悲しみを記した上で、もうこれ以上私たちのような苦しみ、そして悲しみを受ける人がいなくなるよう願います。それは沖縄に米軍基地があるがゆえに起こることです。一日でも早い基地の撤去を県民として願っていますとつづっていらっしゃいます。
 在沖米軍は、事件後、綱紀粛正を図るために全ての軍人と軍属を対象に基地の外での飲酒や外出を制限する命令を出しました。しかし、沖縄ではこの事件以降も米軍関係者の事件は後を絶たず、逮捕者は二十四人にも上っており、綱紀粛正は功を奏しているとは言えません。
 日米両政府は、地位協定の対象となる軍属の範囲を見直す補足協定を年内に締結する、そのような方向で協議を進めていますが、地位協定の抜本的な改定、最終的には基地の撤去が行われなければ悲劇は繰り返されるということを強く申し上げて、質問に入ります。
 まず、普天間基地爆音の違法性についてお伺いいたします。
 那覇地裁沖縄支部は、今月十七日、普天間基地爆音訴訟について、爆音の違法性を認定し、損害賠償を命じました。普天間基地の騒音が受忍限度を超える生活妨害や睡眠妨害などを生じさせているそのことを認定した上で、住民が米軍機墜落の不安感や恐怖感を感じていることや、精神的被害を増大させていることを認定しました。また、騒音被害が生活妨害等にとどまらず、そのストレスにより健康上の悪影響のリスクが増大することも認めました。判決はこれらの事実を踏まえ、普天間基地の騒音被害に対し、過去最大の賠償額を認定しました。国が主張していた危険への接近は全面的に排斥され、普天間基地の被害を過小評価してきた国の弁解が断罪された点で画期的な判決だと評価できます。しかしながら、住民が切実に求めていた爆音の差止めについては認められず、住民は今も静かな夜を迎えることができません。
 判決が認めた騒音被害の事実を踏まえ、米国政府に働きかけを行うべき、そのように思いますが、政府の意向を外務省にお伺いいたします。
#148
○政府参考人(小野啓一君) お答え申し上げます。
 御指摘の判決の今後の取扱いにつきましては、関係省庁におきまして調整の上、適切に対処されるものと承知をしてございます。その上で、日米安全保障条約は、我が国安全並びに極東の平和及び安全の維持に寄与するため米軍の我が国への駐留を認めており、飛行訓練を含めた軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを前提としてございます。
 普天間飛行場につきましては、日米安全保障体制を支える基盤として非常に重要な防衛施設でございますが、同飛行場は市街地の中央に所在しており、米軍機による航空機騒音に関し、周辺住民の方々に対し多大な御負担をお掛けしているものと認識してございます。
 政府としましては、日頃より米側に対し、航空機の運用に当たっては安全な飛行の確保に努めるとともに、航空機騒音規制措置に係る日米合同委員会合意の遵守を徹底するよう機会を捉え要請しており、引き続き米側に対して、地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう配慮を求めていく考えでございます。
#149
○糸数慶子君 日米合同委員会で決められたことすら守らないというのが今の米軍の実態であるわけです。そして、今回、違法性が認められるほどの被害が生じているわけですから、国民の命や暮らしを守るために米国側に強く働きかける、そのことは当然であり、国が違法状態を放置することは認められないということを強く申し上げて、次の質問に入りたいと思います。
 次に、高江ヘリパッド建設に抗議する市民への人権侵害について伺います。
 東村高江でヘリパッド建設に反対する市民に機動隊員が土人と罵倒した問題については、十月二十日、二十五日のこの法務委員会でも指摘をしたところでございます。ヘイトスピーチ問題を所管する法務大臣の受け止めと再発防止策について質問し、金田大臣は、ヘイトスピーチが許されないこと、法施行に関する周知広報活動を行っているほか、関係省庁や関係地方公共団体出席の下、ヘイトスピーチ対策専門部会を開催するなど具体的な取組を進めており、今後も相談体制の整備、啓発活動など、その解消に向けた取組を一層推進していきたいと答弁をされました。
 そこで、本日は、この問題に対する警察庁の取組についてお伺いいたします。
 まず一点目に、警備について、人権保障の観点から、都道府県ごとに警察学校や他の研修の機会を通して指導、教育を行っているということですが、これまで、在日外国人、アイヌ、沖縄、被差別部落の人々など、日本におけるマイノリティーについてどのような研修、教育を行ってこられたのか、研修内容を具体的に示していただきたい。
#150
○政府参考人(斉藤実君) お答えをいたします。
 警察は、犯罪捜査等、人権に関わりの深い職務を行っておりますことから、人権教育を実施しているところでございます。例えば、新たに採用された警察職員や昇任をする警察職員に対して、警察学校における憲法等の法学や職務倫理の授業等において人権尊重に関する教育を実施しているほか、警察署等の職場におきましても研修を行っているところでございます。
 例えば、警察学校における採用時の教養におきましては、人権関係諸条約の概要について説明をし、人権の国際的潮流について理解をさせるとともに、各種人権課題について理解をさせるといったような内容の授業を行っておると承知をいたしております。
#151
○糸数慶子君 沖縄に派遣された全国の警察官に対して、沖縄の人々について、特に基地が沖縄に集中しているその経緯や現状、基地建設に反対している人々、そして中国との関係などについてどのように教えているのか、御説明ください。
#152
○政府参考人(白川靖浩君) お答え申し上げます。
 今般、機動隊員が不適切な発言を行った事案を受けまして、警察庁から全国警察に対し、人権に配意した適切な警備実施を確保するために必要な指導教養の確実な実施等について指示を行ったところでございます。
 沖縄県警察では、かねてから、県外からの機動隊員の受入れに際し、米軍基地をめぐる状況等について教養を行っていたところではございますが、今般の事案や警察庁からの指示を踏まえまして、沖縄県の歴史や米国統治時代の事件等に関してより詳細に教養を行うこととし、沖縄の方々の心情にも配意した警察活動の実施に努めているところでございます。
#153
○糸数慶子君 沖縄に米軍の基地が異常な状態で集中しているわけですけれども、その経緯については教育されているということでしょうか。
#154
○政府参考人(白川靖浩君) お尋ねのとおり、その経緯についても教育、指導を行っているところでございます。
#155
○糸数慶子君 具体的にどのような内容か、お聞かせください。
#156
○政府参考人(白川靖浩君) 例えばでございますけれども、米軍基地の現況といたしまして、国内の米軍専用施設面積の約七四%が集中していること、あるいは県土の約一〇%が米軍基地であることなどについて教育をいたしておるところでございます。
#157
○糸数慶子君 六月三日付けの警察庁警備局長による「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律の施行について」と題する通達以降、ヘイトスピーチを解消する目的で警察学校などで現職警察官に対しどのような研修、教育が行われたのか、具体的にお示しください。
#158
○政府参考人(斉藤実君) 警察庁におきましては、いわゆるヘイトスピーチ解消法が公布及び施行された六月三日に、全国の都道府県警察に対して、法の趣旨を踏まえ、警察職員に対する教育を推進するとともに、いわゆるヘイトスピーチと言われる言動やこれに伴う活動について違法行為を認知した際には厳正に対処するなどにより、不当な差別的言動の解消に向けた取組に寄与するよう指示をしたところでございます。
 これを受けまして、都道府県警察におきましては、例えば執務資料を作成、全職員に配付するなどして法の趣旨を職員に周知を徹底をするほか、例えば警察学校における採用時の教育においてこの法律の趣旨等の講義を実施をしたり、あるいは警察本部員が警察署を巡回をしてこうした教養を実施するなど、警察学校や警察署等での教育を推進をしているものと承知をいたしております。
 今後も、この法律の趣旨を踏まえ、引き続き必要な教育を推進してまいります。
#159
○糸数慶子君 この度のこの問題を受けて、今後どのような教材を用いて研修、教育を行っていくのか、教材作り、そして講師候補などを含めて具体的な計画をお示しください。
#160
○政府参考人(斉藤実君) 警察庁におきましては、今般の機動隊員が不適切な発言を行った事案を受けまして、都道府県警察に対して人権に配慮した適切な警備実施を確保するために必要な指導、教育を確実に実施をするように指示したところでございます。これを受けまして、改めて警察署において職員に対する教育を行った例があるとの報告を受けております。
 具体的な教材あるいは講師等につきましては都道府県警察において適切に対応するものと考えておりますが、今後とも様々な機会を捉えましてこうした教育を進めてまいりたいと考えております。
#161
○糸数慶子君 国連での人権活動を通して、国際社会につながっているNGOや、そして被害者支援にも取り組んで被害実態に実際に通じているNGOもあります。警察官への教育においてこれらのNGOと協力を得ながら取り組んでいく、これは大変意義のあることだと思いますが、この辺りについては御検討いただけますでしょうか。
#162
○政府参考人(斉藤実君) 警察といたしましては、今後も人権教育を実施をしてまいるわけでございますが、関係機関、団体の人権に係る取組等につきましても必要に応じて参考とさせていただきつつ、今後とも様々な機会を捉えて人権に配慮した適正な職務執行を期するための教育を推進してまいりたいと考えてございます。
#163
○糸数慶子君 警察庁の中にヘイトスピーチ対策プロジェクトチームのような組織をつくることなども併せて検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#164
○政府参考人(白川靖浩君) お答え申し上げます。
 警察では、右派系市民グループのデモ等に対しまして、必要な情報収集を推進すること、違法行為の未然防止等の観点から中立性、公平性に配意した警備措置を行うこと、違法行為を認知した場合にはあらゆる法令の適用を視野に入れて厳正に対処することなどについて、それぞれの担当分野が平素から必要に応じて連携して取り組んでいるところでございまして、現時点、警察庁に委員お尋ねのようなヘイトスピーチ対策プロジェクト等の特別な組織をつくる必要性は感じていないところではございます。
 しかしながら、今後とも警察庁では、関係省庁とも連携しながら、いわゆるヘイトスピーチ解消法の趣旨を踏まえ、しっかりと対応してまいる所存でございます。
#165
○糸数慶子君 現実的には警察官によるこういう土人発言など差別的な言動が行われたわけですから、そういう差別的な言動が行われないようにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 警察官に対する人権教育が必要とされるのは、警察官の人権侵害行為が絶えないからであります。人はそれぞれ立場は違っても人としての尊厳が尊重されなければいけません。それが人権だからというふうに思います。日本政府は、自由権規約委員会、これは国連の中にあるわけですが、そこからも警察の人権への配慮、そして人権教育の不十分性などについて勧告を受けております。人権教育の徹底を進めていかなければならないということを申し上げまして、次は防衛省に対して質問したいと思います。
 報道によりますと、沖縄防衛局がヘリパッド建設に抗議する市民の写真を載せ、悪質な違法行為と断定する説明資料を作成し、その資料が外部の個人のフェイスブックに載り、悪質、違法と名指す報道が流布されたとあります。真実であれば二重の人権侵害であり、抗議活動、県民への偏見を助長する意味で機動隊員の土人発言と同根であるというふうに思います。
 まず、この説明資料が事実であるかどうか、防衛省にお尋ねいたします。
#166
○政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の資料は、沖縄防衛局が、同局に説明を求めてこられた方々の求めに応じて北部訓練場の状況を説明したいとの目的で十一月七日に作成した資料のことであると思われます。
#167
○糸数慶子君 この資料は九ページ以上で、私も手元の方に持っておりますけれども、米軍提供区域内で抗議する市民の写真を数多く掲載し、違法侵入者として記載をしています。違法かつ悪質な妨害行為として沖縄平和運動センター山城博治議長の写真を九枚も掲載したというふうに報じられておりますが、防衛局は対外的な説明の際に使用していると説明をしているようですが、説明のために山城議長の写真を九枚も載せる必要があるのでしょうか。
 山城議長は公務執行妨害罪で起訴されていますが、有罪判決が確定しているわけではありません。山城議長ら市民の活動を違法と断定する根拠は何でしょうか、お尋ねいたします。
#168
○政府参考人(深山延暁君) 違法と断定するのはなぜかという御質問でございますけれども、御指摘の資料における記載につきましては、沖縄防衛局の職員がその場で無断で提供施設・区域に立ち入ったり他人に暴力を振るったり他人の所有物を損壊するような行為を確認しているということから、工事に反対する人々による妨害行為について違法な行為が含まれているということを述べた資料でございます。
 いずれにいたしましても、今述べましたような行為は許されるものではないと考えておりまして、その状況についてお示しするために作成した資料でございますので、取り立てて我々は不適切なものとは考えておりません。また、さきのような妨害行為はやはり違法と述べることはできるものと考えております。
#169
○糸数慶子君 資料に写っている市民は訴追さえされていない状況です。市民から名誉毀損罪で訴えられる可能性もあります。肖像権侵害、プライバシーの侵害、憲法が保障する表現の自由、基地建設に反対する活動の自由がじゅうりんされていると主張する、それも当然あり得ると思います。
 防衛局は、外部に提供した資料を回収するだけでなくネット上からも削除すべきだと思いますが、今後どのように対応されるのか、お伺いいたします。
#170
○政府参考人(深山延暁君) まず、先生から、肖像権等の侵害になり得るのではないかという御指摘もあったところでございますけれども、本件資料を掲載するに当たり被写体となっている方々から特段の許可をいただいているわけではありませんが、多数人のいる場所において公然となされた活動を撮影したものであること、その画質からして容姿を鮮明に示すものではなく、顔の一部を塗り潰す措置等をとっているものもございます。
 したがいまして、御指摘の肖像権、プライバシーの侵害には当たらないと考えておるところでございます。
 また、今後の措置についてお尋ねがございました。
 この資料は、北部訓練場のヘリパッド移設工事について理解をしていただくに当たり、沖縄防衛局として必要な内容、資料を示したものでございます。先ほども申し上げましたが、この資料の内容が不適切なものと我々は考えておりませんので、この資料を回収する、あるいはインターネット上で公表した方に対して削除するように要請するといったことは考えておりません。
#171
○糸数慶子君 とんでもない答弁でございます。
 先ほども申し上げましたけれども、許可をもらって撮影したわけでもない、でも画像にはっきりと先ほど申し上げました山城議長の顔が写っておりますし、しかも、その説明の中には、警察及び防衛局で侵入阻止を行っている際、山城議長が防衛局員の頭部をペンチで殴打するなんて書いてありますけれども、そんな事実はありません。
 先ほども申し上げましたけれども、非暴力の抵抗運動をしている者に対してこういうふうな権力を行使して、先ほども申し上げましたが、肖像権の侵害、プライバシーの侵害、憲法が保障する表現の自由、基地建設に反対する活動の自由が全てじゅうりんされている状況です。取り立てて違法ではないなんておっしゃっておりますけれども、そのためにどれだけ、どれだけネット上で間違った抗議がされているか、改めて抗議をしたいと思います。
 沖縄県民が繰り返し、選挙という民主的な手法を経て、今沖縄の基地の反対の意思を明確にしているわけであります。広大な森林を伐採して危険なヘリパッド建設を強引に進めて、それに抗議する市民を違法、そして悪質というふうに決め付け、差別や偏見を助長する資料を作成し外部に提供するという行為は本当に許し難いものであります。国民からの信頼を大きく損ねるものというふうに私たち沖縄県民は強く抗議をいたします。
 再度お尋ねいたしますけれども、このようなネット上への、先ほど紹介いたしました九つのその資料、すぐ削除するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#172
○政府参考人(深山延暁君) 御質問の中で、ある方がペンチで殴打したということは全く事実ではないんじゃないかという御指摘もございましたけれども、十月十七日、北部訓練場施設・区域内に侵入されまして、沖縄防衛局が設置した有刺鉄線を切断した方、この方についての記述ですが、それはここに、資料に書いてありますことは、沖縄防衛局の職員がその場で確認した内容について記載しているものであるということをまず申し上げたいと思います。
 その上で、先ほども御答弁いたしましたけれども、この資料の回収、あるいはインターネット上で公表した方に対して削除を要請するということは現在考えておりません。
#173
○糸数慶子君 本当に残念でございます。
 防衛局は対外的な説明の際に使用しているというふうに言っておりますが、この説明のために山城議長の写真を九枚載せる必要が本当にあるのでしょうか。山城議長は公務執行妨害罪で起訴されてはおりますけれども、有罪判決が確定しているわけでもありません。山城議長ら市民の活動を違法とするその根拠をお尋ねしてもきちんとお答えがされておりませんけれども、改めて申し上げたいと思います。
 外部に提供した資料を回収するだけではなくて、ネット上からも削除するべきだということを改めて申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
#174
○山口和之君 無所属の山口和之でございます。
 今日は、今回は福島からの自主避難者のいじめについて一つと、それから犯罪者の再犯防止について、それから高齢受刑者について質問したいと思います。
 まず初めに、新聞記事、資料で提出させていただいております。「ぼくはいきるときめた」を見ていただきたいと思います。
 この件は、御存じの方、全員御存じと思いますが、横浜に住む原発自主避難者の生徒がいじめに遭って手記を公表した報道でございますが、この中を見ていただくと分かると思うんですが、福島の人はいじめられると思った、黄色いところを見ていただければと思うんですが、学校側に何度訴えても対応してもらえなかったことにも触れて、今までいろんな話をしてきたけど信用してくれなかった、それから、手記の後半では、今まで何回も死のうと思ったと振り返った上で、でも震災でいっぱい死んだから、つらいけど僕は生きると決めたと結んでいます。
 この手記を大臣はお読みになったと思いますが、どう思われたか、所見を伺いたいと思います。
#175
○国務大臣(金田勝年君) ただいま委員の御指摘の事案につきましては、私も報道で拝読をさせていただいております。そして、認識を申し上げますと、やはりいじめは切実な問題であるというふうに思っております。いじめを受けた子供の思いといいますか、そういうものがこの手記には非常によく出ておるわけでありまして、その生徒の気持ちに思いをはせると心が痛む思いをいたします。
 私ども法務省としては、人権擁護を所管しておりますわけで、このような思いをする生徒を出さないためにしっかりと人権啓発活動に取り組んでいきたいと、どうすればこういうことを子供たちが言わなくて済むかということを真剣に取り組んでまいりたいという思いを強くしております。
#176
○山口和之君 ありがとうございます。
 こういった報道は自殺をしてから表に出てきて公表されて、それを読んでいるそのことを知った人たちは非常に悲しい思いをするし、家族はつらい思いをします。本当にこの子は生きていてもらってよかったなと思います。
 今回の横浜市のケースは、法務省が取り組んでいる人権一一〇番やSOSミニレターを通じて引っかかってこなかったのかと、また、先般いじめで亡くなった青森県の女子中学生のケースはどうだったのかということを法務省に伺いたいと思います。
#177
○政府参考人(萩本修君) 今委員から個別のケースについての御指摘がありましたが、個別の人権相談につきましては、関係者のプライバシー保護、相談に対する信頼の確保といった観点から、相談の有無、あったかなかったかも含めまして、お答えを差し控えたいと思います。
#178
○山口和之君 それは承知しましたが、ただ、法務省の内部で人権一一〇番やミニレターがいじめ防止に効果的に役立っているのか検証することが大事。この事例も、亡くならなくて助かりましたけれども、どうしてこういう訴えが通じなかったんだろうと、どうして学校側で取り上げてくれなかったんだろうと、あるいはNGO相談電話とかいろいろこの種のものはたくさんあると思うんですが、そちらの方に行かなかったんだろうと。
 検証されているかどうか、そういったことが、この事例に限らずですが、しっかりと検証されているのかどうかを確認したいと思います。お願いします。
#179
○政府参考人(萩本修君) 法務省の人権擁護機関では、今御指摘のありましたいじめを始め体罰あるいは虐待といった子供をめぐる様々な人権問題につきまして、子供が相談しやすい体制づくりのために様々な取組を行っているところでありまして、御紹介いただきました子どもの人権一一〇番や子どもの人権SOSミニレターなどもそうした取組の一つでございます。御紹介いただきました手記の中では、信用してくれなかったというくだりがありますが、例えば法務省が取り組んでおります子どもの人権SOSミニレターにつきましては、全てのレターについて返事をするようにして取り組んでいるところでございます。
 その効果の検証ですけれども、事柄の性質上、なかなかその効果を目に見える形でお示しするのは難しいところがございますが、分かりやすいところで相談の件数で申し上げますと、平成二十七年における子どもの人権一一〇番の利用件数は二万五千百九十五件でして、そのうち、いじめに関する相談は三千六百五十七件でした。また、平成二十七年度における子どもの人権SOSミニレターによる人権相談の件数は一万九千百七件でして、そのうち、いじめに関する相談は六千七百六十二件ございました。
 法務省の人権擁護機関では、このような人権相談によりいじめ事案を認知した場合には、人権侵犯事件として立件して調査を行い、学校などの関係機関と連携し、事案に応じた措置を講じているところでして、実際、平成二十七年ですと、学校におけるいじめ事案として三千八百八十三件を人権侵犯事件として新規に立件して、救済手続を開始しております。このような数字などから見まして、法務省の人権擁護機関の取組は、いじめ事案の把握、解決に一定の役割を果たしているものと考えております。
 今後も、こうした相談窓口につきまして周知に努めるとともに、関係機関と連携し、被害の救済に取り組んでまいりたいと考えております。
#180
○山口和之君 もし一生懸命そういうふうにやられていたとすれば、彼はこのときにミニレターの存在やあるいは人権一一〇番のことを知っていたわけですよね。おっしゃっている内容からすれば、多分知っていたんでしょう、それぐらいきっちりやっているんであればです。もし知らなかったとすれば、それは大変なことです。
 じゃ、知っていたとすれば、出しづらい雰囲気があったのかどうなのか。どういう雰囲気をつくれば、例えば回収するのが学校の先生じゃないようにするとか、郵送するとかしているとは思うんですけれども、なぜ書けなかったのか、あるいは仕返しを恐れているのか。いろんな状況があると思いますけれども、全員に満遍なく、間違いなく一〇〇%渡しているということであれば、どうしてそれが効果がなかったのか是非検証して、今後このようなことがないように、そしてまた、報道で自殺した子供が出てくるようなことがないようにしていただきたいなと思います。よろしくお願いします。
 東日本大震災に起因する差別や偏見をなくす取組も法務省として取り組んできたと思いますが、一層力を入れてほしいなというふうにも思います。そのことについて一言述べていただきたいと思います。
#181
○政府参考人(萩本修君) 法務省の人権擁護機関におきましては、福島の原発事故に伴う風評に基づく差別的取扱いなど、東日本大震災に伴って生じる様々な人権問題につきまして適切な対処に努めるとともに、新たな人権侵害の発生を防止するため、被災者の心のケアを含めた人権相談に応じてまいりました。また、平成二十四年からは、啓発活動の強調事項の一つとしまして、「東日本大震災に起因する偏見や差別をなくそう」を掲げまして、人権教室の開催、シンポジウムの実施、人権啓発デジタルコンテンツのホームページへの掲載、チラシ、ポスターの配布などの啓発活動を実施してきております。
 そうした中で、委員から御指摘のありました今回のような痛ましい報道に接したことは非常に私どもにとりましても残念なことでして、委員の御指摘しっかり踏まえて今後も取り組んでまいりたいと思っております。
#182
○山口和之君 子供の頃からの教育ってすごく大事だと思います。なかなか直そうとしても、大人になってから直すというのは難しいかもしれませんけど、子供のうちからしっかりとした教育の中にこういったことを盛り込んで、人権を守るということを是非推進していただきたいと思います。
 さて、午前中も真山委員や佐々木委員から再犯防止の話がありましたけれども、犯罪対策閣僚会議で「犯罪に戻らない・戻さない」宣言がなされて約二年たちました。これまでの取組の成果と課題について法務大臣に伺いたいと思います。
#183
○国務大臣(金田勝年君) 平成二十六年の十二月、二年前になります、犯罪対策閣僚会議におきまして宣言を決定をいたしております。「犯罪に戻らない・戻さない」ということですね。
 政府としては、この決定に基づきまして、世界一安全な国日本を実現するために、犯罪者等を社会から孤立させるのではなくて再び受け入れることが自然にできる社会の構築に向けて様々な取組を進めてきております。具体例としては、協力雇用主や保護司等の民間協力者に対する支援の強化、それから社会を明るくする運動、社明運動の政府一丸となった展開といったような取組を進めてきておるわけであります。
 この宣言の決定から二年が経過した現在、協力雇用主の数は大幅に増加をいたしておりますし、また、長い間減少傾向にありました保護司の数が増加に転じておるという状況にございます。犯罪や非行からの立ち直りを支える民間の方々の支援の輪というものは着実に広がりつつあるという成果を得たものと受け止めております。
 他方で、依然として、薬物依存者やあるいは犯罪をした高齢者、障害者等の多くが地域社会と刑事司法のはざまに陥って必要な支援を受けられないまま再犯に及んでいるという課題があります。こうした課題を踏まえて、今年の七月に、犯罪対策閣僚会議におきまして、薬物依存者・高齢犯罪者等の再犯防止緊急対策を決定をいたしております。
 政府としましては、やはり緊急対策における施策を着実に実施することによりまして、より一層効果的に再犯防止対策を推進していきたいと、このように考えております。
#184
○山口和之君 午前中にも真山委員の方から、再犯防止に仕事があることはすごくまず大事だということがお話がありました。また、今大臣からも、再犯率の高い薬物依存者・高齢犯罪者の再犯防止緊急対策が今年の七月に策定され、緊急対策の中で重点的に取り組んでいるというお話がありました。
 この緊急課題の中で重点的に取り組んでいる大きな課題は何かということを法務省に伺いたいと思います。
#185
○政府参考人(高嶋智光君) 七月に策定されました薬物依存者・高齢犯罪者等の再犯防止緊急対策におかれましては、委員御指摘のとおり、薬物犯罪対策、それから高齢犯罪者、障害者等の犯罪対策が盛り込まれているところでございます。
 大きな目標としましては、二〇二〇年をめどに全国各地に薬物依存者や高齢犯罪者等の立ち直りを支えるネットワークを構築することを目指しておりますが、具体的には、まず最初に薬物依存者につきましてでありますが、薬物依存者につきましては、矯正施設等で指導するだけではなく、その後引き続き治療等を続けていくことが大事でありますので、矯正施設、保護観察所における指導とそれから民間の医療機関等における治療等を一貫して実施するということを大きな目標としております。
 それから、高齢犯罪者、それから障害者等につきましてでありますが、これらの者につきましては、医療、福祉につなげていく必要がある者が大変多うございます。そこで、刑事司法の各段階において彼らを医療、福祉につなげていく、こういう取組を実施することとしております。
 さらに、両者に共通するのでありますが、立ち直りに向けた息の長い支援を実施するために、保護司さん、それから更生保護施設等の民間協力者への支援を強化していく、これらを掲げているところでございます。
 法務省としましては、これらを着実に実施することにより、より一層効果的な再犯防止対策を推進してまいりたいと考えております。
#186
○山口和之君 自分は医療機関にいたものですから、優れた医療機関においては、優れたと言うのもちょっとあれなんですが、優れた医療機関においては、入院直後より治療と並行して在宅復帰に向けたリハビリテーションが開始され、プログラムが開始され、地域サービスとの連携が始まるということです。だから、犯罪を犯して入所した、刑罰に服したときに、そこからもう社会復帰が始まるということと、もう一つは、地域の資源をいかにつくって連携をするかということが成功の鍵になるんだと思います。是非そういった取組を全ての面において行っていただきたいと思います。
 立ち直りに福祉サービスや医療等の支援を必要とする高齢者や障害者などが刑事司法にあらゆる手段を通じ適切な時期に必要な支援を受けられるようにすることが重要と言われておりますが、刑事司法関係機関における福祉・医療機関等との調整機能の充実や、高齢化等の環境変化に対応した刑務所等の処遇の展開は、具体的にどのような取組をしてどのような成果が上がっているのか、具体例を示して説明していただきたいと思います。
#187
○政府参考人(高嶋智光君) 大きく二つ御質問ございました。
 一つは、刑事司法関係機関における福祉・医療機関等との調整機能の充実でございます。こちらにつきましては、具体例としましては、そもそも福祉、医療へつなげることの必要な犯罪者がおります。これらの者につきましては、しっかりとそういう福祉・医療機関につなげていくということが大事でありますが、まず刑務所内、刑事施設内におきましては、社会福祉士等をまず配置いたしまして、矯正施設に収容される高齢者、障害者等のうち特に自立が困難な者につきましては、矯正施設や保護観察所が更生保護施設、地域生活定着支援センターそのほかの多くの福祉機関等と連携しまして、釈放後の福祉サービスにつなげる特別調整などの取組を着実に実施していくということを考えております。
 それから、二つ目の大きな御質問ですが、高齢化等の環境変化に対応した刑務所等の環境整備に関する部分でございますが、この具体例でありますが、高齢化に伴いまして、やはり身体能力が低下し、あるいは医療や介助を必要とする受刑者等が非常に多くなってきております。そこで、矯正施設におきましては、高齢受刑者の身体機能や生活能力の維持増進を目的とした指導等をまず実施しておりますし、また、介助を要する者につきましてはその対応をしております。
 さらに、健康上の問題を抱える高齢受刑者等に適切に対応できるよう、矯正施設で勤務する医師の確保を、それから地域の医療機関との連携の強化、こういった点について施策を充実させることを図っております。
 以上でございます。
#188
○山口和之君 矯正施設や刑事施設は介護保険が適用されていないということで、考えてみればプロの関与というのはなかなか難しいのかなというふうに思います。
 高齢受刑者の増大に伴って矯正医療のニーズが増大していると思います。昨年成立した矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する法案に基づき、定員割れの改善はどの程度進んできたのか、また今後の課題は何なのかを教えていただきたいと思います。
#189
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 本年十一月一日現在の医師の充足状況でございますが、定員が三百二十八人のところ現員が二百六十四名、いまだにまだ定員割れが続いてはいる状況ではございます。しかしながら、特例法の施行日である昨年の十二月一日現在と比較いたしますと、医師の現員が十一名の増となっておりまして、減少傾向に歯止めが掛かり増加に転じたほか、長年医師が不在であった施設に常勤医師が採用されるなど改善の兆しは見られております。
 しかしながら、今申し上げたとおり依然として定員割れが続いておりまして、医師を継続的、安定的に確保するということが依然として喫緊の課題でございます。
 特例法の施行後は、日本医師会を始めとする医療関係団体、あるいは文部科学省、厚生労働省等に対して協力の依頼を行うなど、様々な方面から医師の採用確保に向けた取組を進めております。
 また、特例法の施行後に採用された医師からは、平日の昼間の兼業や柔軟な勤務時間について好評を得ていることから、引き続き矯正管区及び矯正施設に対し、特例法の適切な運用について指示をしております。
 当局といたしましても、このメリットを最大限に生かし、医師の確保に努めるとともに、矯正医療の重要性について理解を得るため、今後とも積極的な広報啓発活動に努めてまいりたいと考えております。
#190
○山口和之君 薬物依存症の方は、刑に服するというよりも治療がまず重要ということはもう皆さん御存じのことと思います。それからまた、高齢者が多くなってきて、再犯率も高いということなんですが、居場所と安心の場所づくり、可能な限り仕事に就いていただくことも大事だと思います。
 また、国民である以上、どこにいても医療、介護、リハビリテーションが受けられる体制づくりが、刑務所にいるからそれはいいですよというわけにはいかないんです、後々大変になるわけですからね。極端なことを言えば、訪問リハビリテーションをさせていただければ、その中でリハビリテーションのサービスを提供することだって可能だと思います。そういった体制づくりがこれから検討されていくことを期待してみたいと思います。
 以上になりますが、再犯防止について、是非とも一生懸命、それから、いじめの問題についても、自殺する子供がゼロになるように是非頑張っていっていただきたいと思いますし、自分も頑張りたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#191
○委員長(秋野公造君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#192
○委員長(秋野公造君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案及び裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。金田法務大臣。
#193
○国務大臣(金田勝年君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を便宜一括して御説明をいたします。
 これらの法律案は、政府において、人事院勧告の趣旨に鑑み、一般の政府職員の給与を改定することとし、今国会に一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を提出しておりますことから、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改定する措置を講じようとするものであり、改正の内容は、次のとおりであります。
 一般の政府職員について、平成二十八年度の給与改定のため、俸給月額を若年層に重点を置きながら引き上げることとしておりますので、判事補等の報酬月額及び九号以下の俸給を受ける検事等の俸給月額についても、これに準じて引き上げることとしております。
 これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、平成二十八年四月一日に遡ってこれを適用することとしております。
 以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いをいたします。
 次に、裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 裁判官の育児休業の対象となる子の範囲を拡大する必要があることから、対象となる子の範囲を、特別養子縁組の成立が請求され、現に監護されている者、児童福祉法の規定により養子縁組里親に委託されている児童など、法律上の親子関係に準ずる関係にある者にも拡大するものであります。
 この改正は、平成二十九年一月一日から施行することとしております。
 以上が、裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いをいたします。
#194
○委員長(秋野公造君) 以上で三案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 三案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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