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2016/09/28 第192回国会 参議院 参議院会議録情報 第192回国会 本会議 第2号
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2016/09/28 第192回国会 参議院

参議院会議録情報 第192回国会 本会議 第2号

#1
第192回国会 本会議 第2号
平成二十八年九月二十八日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成二十八年九月二十八日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、永年在職議員表彰の件
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十六日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。蓮舫君。
   〔蓮舫君登壇、拍手〕
#4
○蓮舫君 民進党・新緑風会の蓮舫です。
 私は、民進党・新緑風会を代表して、安倍総理大臣の所信表明演説に対し、質問をさせていただきます。
 質問に先立ち、台風を始め各地で記録的な豪雨が相次ぎました。亡くなられた方々、御遺族に衷心より哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた全ての方々に心からのお見舞いを申し上げます。
 先週日曜、台風、大雨災害に見舞われた北海道に行ってきました。畑は山から流れ込んだ巨大な流木と岩がそこに並び、まるで河川敷のようになっていました。被害の厳しさ、そこから立ち直ろうとする人々に対し、政府には、甚大な被害に遭われた方々の生活再建、農作物への被害への対策等、地元自治体、地域住民に寄り添った十分な対策を迅速に講じることを心からお願いします。私たちも最大限に協力をいたします。
 さて、私は、九月十五日に民進党の代表に選出をされました。ハスは泥の中から凜と茎を伸ばし、花を咲かせます。前途多難な道のりですが、民進党が選択される政策を掲げ、選択される政党になるために先頭に立つ覚悟で国会論戦、政治活動に臨んでまいります。
 今夏の参議院議員選挙では、自民党、公明党が議席を伸ばし、私たちは五十一議席の存在になりました。選挙後初めての本会議のとき、与党議員の多さに正直愕然としましたが、同時に、私たちに期待されている声を数に押されて忘れてはいけない。それは、衆参共に巨大な勢力を有する与党の思うがままの政治を許すことなく、政治が間違った方向に進もうとしているときには堂々と異を唱えること、そして、国民の不安を解消するため、提案を持って民主主義を守るべきだという国民の声にしっかり応えていきたいとの思いを強くしました。私たち民進党は、政府の姿勢に対し真っ正面から提案を持って論戦に臨みます。巨大与党が切り捨てている国民の声を、その思いを大きな声で堂々と訴えていくことをまずは申し述べておきます。
 さて、平成二十四年十二月に発足した安倍内閣はデフレ脱却をスローガンに掲げました。しかし、デフレ脱却ができないまま、内閣改造ごとにスローガンは上書きをされ、くるくる変わっています。地方創生、女性が輝く社会、戦後以来の大改革、一億総活躍、そして、今回は未来への投資。スローガンだけは活発に循環していますが、経済は全く好循環していない現実にそろそろ向き合っていただきたいと思います。
 政権交代で安倍総理がアベノミクスを声高に唱えて、行き過ぎた円高は是正され、これに伴い株価は上がりました。それは、明日にでも経済再生が実現するかのような期待をもたらし、国民のマインドを大きく変えました。率直に申し上げ、この変化はすばらしいと、当時、私も評価をしました。ところが、四年がたちました。安倍総理が目指していたデフレ脱却も経済の好循環もいまだ実現していません。
 総理自身もアベノミクスは道半ばと公言していますが、総理の現状認識をお聞かせください。また、異次元の金融緩和、円安による輸出拡大、賃金上昇、消費拡大、更なる企業業績回復という好循環は、一体、いつ実現するのでしょうか。具体的に国民に、総理、御説明をください。
 総理は、最近、デフレからの脱出速度を最大限に引き上げると繰り返し表明をしています。この具体的な意味がさっぱり分かりません。足下では金融政策が限界に達し、直近五か月連続で物価上昇率はマイナス、そして消費は依然低迷したままです。こうした現実を前に、デフレからの脱出速度を最大限に引き上げるとはどういう意味でしょうか。そのための具体的な政策は何か。金融政策が限界を露呈した今、二%の物価上昇をどうやって早期に達成するのか、総理、是非教えてください。
 安倍政権は、機動的な財政政策、第二の矢として大規模な財政出動を続けてきました。この四年近くで、四回の本予算に加え、今回の補正予算を始め六回の補正予算を組んできました。補正予算というカンフル剤を足下の経済状況に対する不安のために注入するパターンがもはや当たり前となりました。
 さらには、アベノミクスは成功しているとしながら、二回も消費増税を先送りしました。矛盾していませんか。一回目の先送り時には、再び延期することはない、断言します、必ずや経済状況をつくり出すことができると決意していると総理は国民に約束したにもかかわらず、さらりと新しい判断としてまた先送りをしました。それは、新しい判断ではなく、ごまかしと言うのではないでしょうか。
 総理は、二回目の先送りの理由に世界経済のリスクを掲げました。そのリスクの否定はいたしません。ただ、国民との約束をほごにしたのは世界経済のせいで、御自身には全く責任がないとの認識か、聞かせてください。
 アベノミクスの三本の矢とは何だったのでしょうか。日本経済の真の実力を示す潜在成長率は、今や〇・三%との試算があります。これは、第三の矢の成長戦略が失敗したことの現れではないでしょうか。第二の矢の大規模財政出動は、一時的な成長率のかさ上げにしかすぎません。今回の補正でも、約二・八兆円もの建設国債に頼り公共事業を行うとしていますが、こうした上げ底政策では潜在成長力の引上げにはつながりません。
 先日の日本銀行の金融政策決定会合では、二年二%の物価安定目標は放棄をされ、量的拡大の限界を認める形の政策転換が行われました。これは、第一の矢の事実上の敗北宣言にほかなりません。
 安倍総理、三本の矢は的に当たりもしなかった上、我が国の財政、経済、金融市場、全てが傷だらけになりました。先日、日銀は金融政策に対する総括的な検証を行いました。この検証が自らの正当性を主張する甘い検証とのそしりは免れませんが、今や本当に必要なのは、アベノミクスそのものの検証ではないでしょうか。そして、成長につながらない経済政策を大胆に転換すべきだと思いますが、総理の御認識をお聞かせください。
 総理は、所信表明演説で、消費増税延期でも二〇二〇年の財政健全化目標堅持、アベノミクスの果実を生かし、社会保障を充実していくと言われましたが、今回出された補正予算案の財源のうち、アベノミクスの果実と考えられる昨年の剰余金は僅か二千五百億円である一方、約二・八兆円は建設国債、借金です。アベノミクスは順調、でも、消費税は上げられない。アベノミクスの果実を活用する、でも、その果実がほとんどなくなっているので経済対策は借金。これでどうやって財政規律を守るのでしょうか。
 過去の税収の上振れは使い道がもう既に決まっています。今後のアベノミクスの果実は期待できません。その中でどうやって財政健全化目標と社会保障の充実を両立させるのか、具体的手段を教えてください。また、今回の演説に行政改革の文字が一文字もありませんでした。あえて行革を原稿に入れなかった理由も明確にお知らせください。
 補正予算案の中身に大型公共事業が目立ちます。計上された公共事業全てを否定はしませんが、先日の北海道の視察のときも、今、我が国で最も優先順位の高い公共事業は高度成長期に造ったインフラの老朽化対策だと実感をしました。新たに大型の土木施設建設に取り組むよりも、既存施設の維持、修繕、長寿命化に重点を移すことこそ国民生活に役立つと提案をします。
 巨額の借金に頼る大型かつ新規のインフラ整備ではなく、新規建設をなるべく抑えて老朽化対策をメーンに据える発想はなかったのでしょうか。また、こうした新規事業中心の公共事業とともに、既存インフラの老朽化対策は問題なく行っていけるとのお考えなのか、総理に伺います。
 異次元の金融緩和、大胆な財政出動を繰り返しても経済成長しないのはなぜなんでしょうか。トリクルダウンが機能し、高度経済成長を遂げた昭和の時代と今、大きく違うのは、日本は人口減少社会になったことです。
 昭和三十年代、三人に一人が子供だった時代は過去となり、今や子供は八人に一人と減少しました。当時、総人口に占める割合で五%しかおられなかった御高齢者は、今や総人口に占める割合は二七%となりました。加えて、生産年齢人口も八千万人を切り減少、このままだと二〇五〇年には五千万人を切る見通しになっています。子供が減り、シニア世代が増え、人口減少が進む時代に入ったからこそ、過去に通用した経済政策はもはや処方箋とはなり得ません。今の時代に合った経済政策が必要だと強く提案をします。
 GDPの六割を占めるのは個人消費です。安倍政権が政権に就いた二〇一二年、三百九兆円だった個人消費は、二〇一五年に三百六兆円に下がりました。消費増税の影響だけとは思えません。企業業績が過去最高水準に達しているにもかかわらず、消費が低迷しているのはなぜだと総理はお考えでしょうか。なぜアベノミクスで消費が活性されないと分析をされているでしょうか。
 消費が拡大しないのは、全てのライフステージでお金をためておかなければと思える不安があるからです。今や四割が不安定雇用となり、一年後、数年後の自分の人生設計が描けないからお金を使うことができないという不安、結婚できるかという不安、子供を産んでも育てられるかという経済不安、大学を奨学金に頼ったものの非正規社員にしかなれず借金が返せないという不安、現役を引退しても年金、介護、医療制度で生きていけるのかという不安、この不安の連鎖を断ち切る。アベノミクスでは解消されていない教育、雇用、老後の不安を取り除いて初めて個人消費が動き出すと私たちは考えています。
 だからこそ、教育や子育て支援、職業訓練などの若手・現役世代への再分配、社会保障の充実を通じたシニア世代への再分配、人への投資を重点的に強化することこそが経済再生につながる王道だと私たちは考えますが、総理のお考えはいかがでしょうか。
 二〇一六年度経済財政白書では、個人消費について、雇用・所得環境の改善にもかかわらず、力強さに欠け、所得から支出への波及が遅れていると指摘。勤労者世帯のうち世帯主が三十九歳以下の若年子育て期世帯は、可処分所得が緩やかに増加している中でも消費支出がほとんど伸びておらず、所得に占める消費の割合を示す平均消費性向は低下を続け、節約志向が強まっています。
 働き方も大きく変わりました。一九九七年を境に働く夫と専業主婦の世帯より共働き世帯が多くなり、今や一千百万世帯となりました。この三十年間で共働き世帯は約一・五倍になりましたが、全世帯の収入はピーク時に比べて約二割減。なぜ一人より二人働く世帯が多くなった今の方が世帯収入が減っているのでしょうか。
 そして、今や日本人の六割が平均所得以下となりました。所得の安定していた層の定年退職が進み、結果、生活が苦しい人の割合が増えています。その重荷を軽減するためにも、教育、雇用、老後の不安を取り除く再分配を行うべきです。バブル崩壊以降、社会や国民生活をめぐる状況は大きく変化をしましたが、我が国の政府の再分配機能は質的にも量的にもこの変化に対応していないと考えますが、総理の認識をお聞かせください。
 アベノミクスの果実を生かし、優先順位を付けながら社会保障を充実していきますと総理は演説で触れましたが、果実の予算規模は幾らで、社会保障の充実のために何を優先するのかが全く分かりません。私からは、最優先で手を着けるものは年金積立金の運用改善だと提案をします。
 二〇一四年十月、安倍内閣は年金積立金、GPIFの株式運用比率を倍増させました。その影響で、昨年度から本年六月までの十五か月間で十兆円もの運用損が出ています。この事実が国民に与える影響、不安は決して小さくありません。
 更に問題なのが、GPIFと日銀が巨額な公的資金を市場に投じ、市場をゆがめている点です。GPIFは二〇一五年三月時点で国内株の二千銘柄以上を保有、時価総額は三十・五兆に達し、今や日銀のETF購入と合わせ上場企業の四社に一社の筆頭株主が公的マネーと報じられます。株価が下がっても売るに売れず、結果的に損失が拡大する懸念も拭えないのではないでしょうか。
 国民の不安をあおるかのような年金積立金の運用はやめ、リスクが低く、市場をゆがめない運用に戻すべきだと提案をしますが、総理、この提案を取っていただけるお考えはあるでしょうか。
 さきに、所信表明演説に行政改革という言葉が全くないと触れました。総理は、社会問題となっている子供の貧困にも一文字も触れませんでした。子供の貧困の解決なくして次世代の未来は成り立ちません。未来と唱える前に現実と向き合ってください。
 今や日本では六人に一人が貧困状態です。一人親家庭のお子さんは二人に一人が貧困状態。豊かと言われる東京でも子供食堂の開設が後を絶ちません。食べられない子供は親の自己責任と切り捨てていいんでしょうか。労働者の給与が下がり、不安定雇用が増え、一人親がダブル、トリプルワークをして生活保護を受けずに頑張っても子供を満足に食べさせることができない方がおられる。だから私たちは、一人親家庭を支えるための児童扶養手当を改善すべきと何度も提案してきました。
 さきの通常国会で、政府は、第二子の手当を一万円、第三子の手当を六千円へと倍増するとしました。厚労省の試算では、この額を三万円にして初めて貧困率が一〇%の改善となり、この程度の改善では効果が薄いのが明らかになっています。政府は、さらに、財源が足りないと所得制限を入れました。来年度概算要求を見ると、児童扶養手当に所得制限を入れた場合と入れない場合の差額は二十二億円です。
 貧困の子供たちを救い、未来の納税者になる自助を促すための二十二億円が措置できない理由はどこにあるんでしょうか。総理、是非教えてください。
 今年の予算委員会でも指摘をしましたが、安倍内閣は子供の貧困対策予算の一部を民間の寄附に頼っています。第二次補正予算案でも、来年度予算の概算要求でも、子供たちを助けるNPOを直接支援する予算はどこにも計上されていません。この民間からの寄附を財源とする基金から助成金が支給されるだけです。民間基金の尊さは尊重します。ただ、なぜ国は直接子供の貧困対策を支援されないのかを是非聞かせてください。
 日本は今、子供だけではなくシニアも厳しい状態となりました。生活保護を受ける高齢者は受給者全体の半数を超えました。単身の六十五歳以上の男性で三〇%、女性で四五%の方が貧困状態です。
 低所得の高齢者の暮らしを支えるため、年金の最低保障機能を強化することをこれまで提案し続けてきました。社保税一体改革の法改正で、消費税一〇%への引上げに応じた社会保障の充実策として、約七百九十万人の年金受給者に対し最大六万円の追加的給付を行うことを決めました。この政策の必要性に対する総理のお考えをお聞かせください。
 また、最初の消費税増税先送りによって、追加的給付の措置は既に一年半先送りされています。今回の二回目の先送りをそのまま反映させれば、追加的給付は都合四年間も先送りされることになります。政府の財政運営の失敗を年金受給者にこうした負担で強いることは適当ではないと考えます。
 公共事業に何兆円もの予算を充当する余裕があるのであれば、政府が一丸となって財源確保に全力を挙げ、来年四月からの追加的給付を実施することを行うべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。
 安倍総理の掲げる介護離職ゼロには賛成をします。ただし、その中身には不安しかありません。
 介護離職を防ぐには介護サービスの充実が必要です。しかし、総理は昨年、介護サービスの低下を招きかねない介護報酬の大幅引下げを行いました。介護離職ゼロを目指すのに、なぜこのような政策を先行させたのでしょうか。
 事実、その影響で、東京商工リサーチの調査では、今年一月から八月までの老人福祉・介護事業の倒産件数は過去最高のペースで推移しています。結果、介護施設の入所待ち、介護が必要なのにサービスを受けられずに家にしか居場所のない高齢者が増えます。誰がその面倒を見るのでしょうか。介護離職ゼロと逆行しています。
 こうした安倍内閣の既に行っている政策と介護離職ゼロという看板の整合性について、総理の答弁を求めます。
 介護サービス利用料の自己負担二割の対象拡大、福祉用具の原則自己負担化、要介護度の軽い方向けの生活支援縮小が検討されていますが、こうした負担増、サービス切捨ての施策は、真に必要な人にサービスが提供されず、ひいては要介護度の悪化が懸念されます。
 財源に限りがある中、所得に余裕のある高齢者には負担を増やすなど、世代内の再分配が必要と考えますが、総理はどうお考えでしょうか。仮に、この考えに御同意をいただける場合、どの程度の収入のある高齢者に負担増をお願いすることが適当とお考えでしょうか。さらに、来年四月から実施する予定だった約一千百万人の低所得の高齢者の介護保険料の軽減、これも先送りをするのか、総理にお伺いします。
 介護離職ゼロを目指すのであれば、介護サービスを切るのではなく、介護現場の人材不足を解消することが不可欠です。私たち野党は介護職員等の月収を一万円引き上げる法律を提案しましたが、与党は案を一顧だにせず否決。ところが、この夏の選挙前に突然、政府・与党は介護職員の処遇改善を行うと言い始めました。選挙前と選挙のときの身の変わり方が物すごく分かりやすいです。
 しかし、選挙が終わった後に明らかにされた今回の補正予算案に介護職員給与を直接引き上げる予算はありません。総理、選挙前に言われたことが予算で裏付けられていない理由を教えてください。選挙が終わって、またも方針を転換されたのでしょうか。
 介護職員の給与を上げるのか下げるのか、選挙で国民に約束したことをいつまでにどうやって実現するか、お答えください。
 少子化なのに待機児童が減りません。逆に増えています。今年四月一日の待機児童数は前年より増え二万三千五百五十三人、潜在待機児童数も前年より増え六万七千三百五十四人となりました。
 総理も受皿整備に尽力をされていますが、最大の課題は、箱物整備ではなく、保育士不足です。その大きな理由は給与が低いことです。子供を守る大きな責任と重労働でありながら全産業平均より月十一万低い給与では続けられないとの声を何度も聞いてきました。
 私たちはこの声に応え、さきの通常国会に保育士等の賃金を五万円程度引き上げる法案を出しました。五万円引き上げて、国家資格である保育士の給与が高卒で働く方々の平均給与水準になります。しかし、政府・与党は私たちの法案に全く向き合ってくれませんでした。政府が予定している処遇改善は二%、月額六千円にしかすぎません。この加算では人材不足は解消されず、待機児童の問題の解消にはつながらないと考えますが、いかがでしょうか。
 築地市場の移転問題を一つ質問します。
 卸売市場法では、中央卸売市場の位置を変更する際に農林水産大臣の認可を受けなければならないとされています。民主党政権になったとき、石破前大臣が赤松大臣に、安全が確認されない限りはサインしないと皆さんに言ってきたと引継ぎが行われたとのことです。この方針に変更はありますか。安全性が確認されない限り、国は最終的に認可しないということでよろしいでしょうか。東京都政に限らず、食の安全に関わる国民の関心の非常に高いテーマです。総理に国の関与、責任について明快な答弁を求めます。
 食の安全、国への信頼が揺らぐ疑惑も明らかになりました。輸入米の価格偽装です。国が輸入商社から米を買い入れ、その価格に上乗せをし、卸売業者に売り渡す仕組みにより、国産米価格を不安定にしないとしていたものが、商社が卸売業者にリベートを支払っていた、つまり国の公表する価格より実際は安く仕入れていたことで、安い輸入米が流通していた価格偽装はあったのでしょうか。教えてください。
 価格偽装があったならば、輸入米価格は国内の米価と同等で影響は生じないとする今回のTPP合意を正当化してきた政府の説明が有名無実化します。TPP影響試算の前提が崩れることになります。しかも、二〇一四年十月、まさにTPP輸入交渉のさなかに商社からこのリベートの存在を伝える告発メールが農水省の担当者に届いた、それでも対処をしなかったと報じられています。山本大臣は会見で、こういったことが臨時国会のTPPに対する一つの争点の中に加わったという認識が十分ございます、調査結果が出てからゆっくりお答えをさせていただきたいと思いますと極めて常識的な発言をしています。
 輸入米の価格偽装、その真相究明とTPPの影響試算を責任を持ってやり直すべきだと提案をします。総理の御見解を伺います。
 私たち民進党は、納税者の味方でありたいと思っています。皆様が納めた税金がきちんと行政サービスとして返ってくる、負担に見合った受益を感じられる政治を実現すべく、私は行革をライフワークとしてきました。
 その意味で、コンパクト五輪を標榜し、招致に成功した二〇二〇東京オリンピック・パラリンピックですが、施設整備関係費を始め、大会費用が当初予定の三倍、四倍以上と膨張の一途をたどっています。先日も、施設整備予算を小さく見せかけるため、別の局の予算に付け替える言わば会計操作が二百三十二億円にわたって行われていると報じられました。また、東京都の調査チームが競技会場整備見直しの提言を行うと言われています。東京オリンピック・パラリンピックの予算は組織委員会が担いますが、資金が不足した場合には東京都が、それでも足りない場合には国が払うことになっています。
 総理、組織委員会に徹底した情報公開を行わせ、国も東京オリンピック・パラリンピックのその経費に関与すべきと考えますが、御所見はいかがでしょうか。
 女性だからと、初の女性との肩書で報道される時代が早く終わってほしいと思います。男でも女でも能力で等しく評価される社会を実現したいと思っています。ガラスの天井に阻まれることなく、性別や出自で制限されることのない国をつくることは私の願いでもあり、民進党の願いでもあります。
 安倍総理が輝く女性と口にされたとき、正直、すばらしいと思いました。ようやく与野党を超えて女性政策を前に進めることができると喝采を送りましたが、僅か一年でこの言葉は消えてなくなりました。今回の所信表明演説にも一言も触れられていませんでした。
 総理、もう女性活躍は実現したから言及しなかったのか、それともスローガンとしての利用価値がなくなったと判断されたから言及しなかったのか、最後にお考えを伺います。
 一億総活躍。どうか、一億でくくらないでもらいたいと思います。活躍したい人も、活躍したくても環境が許されない方もいます。活躍より今の自分をただ認めてもらいたい方もいます。活躍する人を支えることに喜びを見出す方もいます。多様性を認め、共に生きる社会の中にいると実感ができるような、経済数値だけでは計れない人の豊かさを全ての人々が感じられる国を私は目指します。
 両手を広げても空を飛べないけれども地面を走れる、鈴のようなきれいな音は出ないけどたくさんの歌を知っている、みんな違ってみんないい、金子みすゞさんの歌のような多様性を認める社会を、未来を民進党はつくっていくとお約束をし、私の代表質問と代えさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 蓮舫議員にお答えをいたします。
 まず、この度、民進党の新代表に就任をされましたことに対しまして祝意を表したいと思います。建設的な議論を行い、国民の負託に応えていきたいと思います。
 経済の好循環についてお尋ねがありました。
 まず、思い出していただきたいと思います。日本は、二十年以上続いたデフレの中で、賃金も上がらず、税収も減少し、社会保障制度などの基盤への不安が国民を覆っていました。そこで、三年半前、安倍政権が発足した際、デフレ脱却をして、力強く経済を成長させ、その恩恵を多くの国民が受け取ることができるような経済をつくっていくことをお約束しました。
 そして、政権交代後、三本の矢の政策を進めることにより、経済の好循環は着実に回り始め、現在はデフレではないという状況をつくり出すことができました。
 特に、国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善をしています。具体的には、過去最高水準の企業収益を雇用の拡大、賃金の上昇につなげることにより、就業者数は百万人近く増加、正規雇用も昨年、八年ぶりにプラスに転じ、二十六万人増加しました。有効求人倍率は史上初めて四十七全ての都道府県で……(発言する者あり)
#6
○議長(伊達忠一君) 静粛に願います。
#7
○内閣総理大臣(安倍晋三君)(続) 一倍を超えました。賃上げは、中小企業を含め、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが三年連続で実現しています。実質賃金もプラスに転じ、六か月連続でアップするなど、経済の好循環が生まれています。
 また、政権交代後……(発言する者あり)
#8
○議長(伊達忠一君) 静粛に願います。
#9
○内閣総理大臣(安倍晋三君)(続) また、政権交代後、名目GDPは三十三兆円増加し、実質GDPは十四兆円増加し、実質GDPの伸びが名目GDPの伸びよりも大きいという逆転現象を解消させることができました。この流れをより確かなものにするため、あらゆる政策を総動員していくことで成長と分配の好循環をできるだけ早期につくり上げてまいります。
 デフレ脱却に向けた取組についてお尋ねがありました。
 政権交代後、アベノミクス三本の矢によって、二十年間続いたデフレからの脱却にチャレンジし、もはやデフレではないという状況をつくり出すことができました。特に、先ほど申し上げましたように、国民生活にとって大切な雇用は大きく改善をしています。
 しかし、デフレ脱却にはまだ至っておらず、アベノミクスは道半ばです。G7でも、世界経済が直面するリスクに立ち向かうため、全ての政策対応を行う必要性で一致しました。日本は、G7の議長国として、アベノミクスを一層加速し、しっかりと責任を果たしてまいります。
 先般、事業規模二十八兆円を超える経済対策を決定し、補正予算を編成しました。本臨時国会で早期成立を図り、内需を力強く下支えするとともに、未来への投資を大胆に行ってまいります。
 また、日本銀行は、総括的な検証を行った上で、金融緩和を強化するための新しい枠組みの導入を決定したところであり、これは二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するためのものであると理解しております。
 引き続き、政府、日銀は緊密に連携しながら、あらゆる政策を総動員してデフレから完全に脱却し、そして力強い成長を目指してまいります。
 消費税率引上げの延期についてお尋ねがありました。
 アベノミクスについては、雇用・所得環境が大きく改善するなど、確実に成果を生んでいます。一方、世界経済が様々なリスクに直面し、内需が腰折れしかねない状況の中で、あらゆる政策を総動員し、経済再生、デフレ脱却に向けた取組に万全を期すべきであることから、構造改革の加速など総合的かつ大胆な経済対策を講じることと併せ、消費税率一〇%への引上げを二年半延期することといたしました。
 この判断については公約違反との御批判があることは真摯に受け止めますが、だからこそ私は、国政選挙である参議院選挙を通じて国民に信を問うたところであります。そして、改選議席の過半数を与党で獲得することができなければ私は責任を取ると、こう明確に申し上げた上で、おかげさまで、この改選議席の過半数を大幅に上回る議席を得ることができました。国民の信を問い、そして国民の信を得て、連立与党は安定した政治基盤をいただいたところであります。したがって、矛盾、ごまかしとの御指摘は当たらないと考えます。
 その上で、安倍内閣としての責任は、確実に成果を生んでいるアベノミクスを一層加速させていくことであります。経済財政運営に万全を期してまいります。
 経済政策についてお尋ねがありました。
 アベノミクス三本の矢の政策により、政権交代後、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出しました。また、生産年齢人口が減少していく中でも雇用を拡大し、安倍政権発足時から比べて、名目GDPは六・九%、実質GDPは二・七%増加しています。
 こうした状況を更に推し進めるために、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジである働き方改革を断行します。長時間労働を是正し、労働生産性を向上させるとともに、女性、高齢者が活躍しやすい環境を創出し、労働供給の更なる増加を図ります。さらに、同一労働同一賃金の実現やこれまでの賃金体系の見直しに踏み込んで、中間層の厚みを増し、所得の底上げ、消費の拡大につなげてまいります。
 加えて、第四次産業革命を目指す成長戦略の深化、実現を通じ、ITやAIなど近年の目覚ましいデジタル技術を社会に取り入れ、国民生活を豊かにしながら企業の生産性を向上させます。これによって日本経済の成長の限界を突き破り、日本の未来を切り開いていきます。
 なお、先般閣議決定した経済対策は、構造改革を加速化するとともに、未来への投資の加速を目的としたものです。当面の需要喚起にとどまらず、民需主導の持続的な経済成長と一億総活躍社会の着実な実現につながる施策を中心としており、御指摘は当たりません。
 アベノミクスについて御批判をいただきましたが、何よりも、先般の参議院選挙では、アベノミクスを加速するか否かを最大の争点とし、結果、連立与党で戦後最も安定した政治基盤を獲得することができました。これは、アベノミクスを一層加速せよと国民の皆様から力強い信任をいただくことができたということではないでしょうか。国民の負託に応えるため、全力を尽くしてまいる所存であります。
 財政健全化と社会保障の充実の両立についてお尋ねがありました。
 安倍内閣においては、国、地方合わせて税収は二十一兆円増加し、新規国債の発行額を十兆円減らし、国の一般会計プライマリーバランスを十四兆円改善させました。日本への国際的な信認を確保し、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たすため、財政健全化の旗は下ろすことなく、二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化に向けて取り組んでまいります。今後も経済再生と両立しながら財政健全化への歩みを着実に進めてまいります。
 また、社会保障の充実については、給付と負担のバランスを考えれば、消費税率の引上げを延期する以上、全てを行うことはできませんが、赤字国債を財源に社会保障の充実を行うような無責任なことは私たちは行いません。その中で、可能な限り社会保障を充実させていけるよう、優先順位を付けながら、税収の動向や重点化、効率化の効果を見極めつつ、今後の予算編成過程の中で最大限努力をしてまいります。
 なお、今回の所信表明は、未来を切り開いていく観点から、新たに取り組んでいく課題に重点を置いて申し述べたものであります。安倍内閣においては、行政事業レビューについて、外部有識者によるチェック対象を重点化し、新たに基金シートを毎年公表するなど改善を加えつつ、効果的な取組を実施しています。
 政府に対する国民の信頼を得る観点から、行政の在り方を不断に見直し、税金の無駄遣いをなくしていく行政改革の重要性は論をまちません。今後とも行政改革にしっかりと取り組んでまいります。
 公共事業についてのお尋ねがありました。
 今回の補正予算においては、二十一世紀型のインフラ整備に加え、熊本地震からの復旧復興を着実に進めるとともに、災害対応の強化や老朽化対策を推進することとしています。災害に強い強靱な国づくりを進めるため、防災、減災、老朽化対策は重要な課題であり、これらの予算を活用してしっかりと取り組んでまいります。
 人口減少社会の経済対策についてのお尋ねがありました。
 女性や高齢者など、誰もが自分の選択する多様な形で生き生きと働くことができる社会を実現すること、継続的な所得の底上げを実現することが持続的な経済成長につながると考えております。現に、日本では、この三年間で生産年齢人口が三百万人減少したものの、雇用は大幅に改善しており、名目GDPは成長しております。そのために、働き方改革をしっかりと進めていく必要があります。
 この働き方改革は、アベノミクス第三の矢、構造改革の柱となる改革であります。長時間労働を是正すれば、女性、高齢者も仕事に就きやすくなります。経営者はどのように働いてもらうかに関心を強め、労働生産性が向上します。働き方改革こそが労働生産性を改善するための最良の手段であります。
 また、同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望が持てるようにすることにより、中間層が厚みを増し、より多く消費することにつながっていきます。
 加えて、第四次産業革命を目指す成長戦略の深化、実現を通じ、ITやAIなど近年の目覚ましいデジタル技術を社会に取り入れ、国民生活を豊かにしながら企業の生産性を向上させます。これにより、日本経済の成長の限界を突き破り、日本の未来を切り開いてまいります。
 国民の皆さんの将来展望を明るいものにし、賃金まで来ている経済の好循環の流れをより確かなものにしてまいります。
 再分配と人への投資についてお尋ねがありました。
 安倍内閣が進めている政策は、成長と分配の好循環をつくり上げていくというものであります。政府がどれだけ所得再分配を繰り返しても、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことができなければ経済全体のパイも個人の所得も減っていきます。
 政権交代後、デフレ脱却を目指し、経済再生に取り組む中で、名目GDPは三十三兆円増加し、税収は国、地方合わせて二十一兆円増えました。
 今後、働き方改革をしっかり進め、日本経済の持続的成長を実現していきます。そして、経済成長の果実も生かしながら、子育て支援や介護離職者ゼロに向けた取組などの社会保障の充実を行っていきます。教育費負担の軽減等、若者への投資も拡大していきます。こうした取組により、安心できる社会基盤を築き、その基盤の下に更に経済を成長させてまいります。
 所得と再分配機能についてお尋ねがありました。
 所得の格差を測る指標であるジニ係数を見ると、今月公表された平成二十六年所得再分配調査では、高齢者世帯の増加などにより当初所得のジニ係数は増加しましたが、社会保障や税による再分配後のジニ係数はほぼ横ばいを維持しました。再分配による改善度は過去最高となっています。こうしたことから、社会保障など再分配機能が国民生活の変化に対応していないとの批判は全く当たらないと考えております。
 なお、全世帯の平均所得は一九九〇年以降減少しているとの指摘でありますが、これまでの長引くデフレの中でなかなか賃金が伸びなかったことのほか、先ほど申し上げましたように、高齢者世帯の増加が影響しているのではないかと考えられます。
 一方で、一人当たりの平均賃金については、名目賃金は平成二十六年春以降増加傾向にあり、実質賃金も六か月連続で前年同期比プラスになっています。引き続き、雇用の拡大、賃金の上昇による経済の好循環の流れを確かなものにするとともに、保育の受皿整備や幼児教育無償化の段階的推進など、子育て世代への支援を進めてまいります。
 また、高齢者についても、喫緊の課題である無年金の問題に対応し、年金の受給資格期間の十年への短縮を実行いたします。その他の施策についても、優先順位を付けながら、税収の動向や重点化、効率化の効果を見極めつつ、今後の予算編成過程の中で最大限努力をしてまいります。このように、社会保障の充実に努めてまいります。
 年金積立金の運用についてのお尋ねがありました。
 年金積立金については、将来の安定的な年金の給付に向けて、長期的な観点に立って安定的かつ効率的に運用することを基本としています。
 平成十三年度の自主運用開始以降、年金積立金の累積収益は約四十兆円となり、安倍政権の三年間では二十七・七兆円となっています。このように、年金財政上必要な収益を十分に確保しています。国民の皆様には御安心いただきたいと思います。
 また、短期的な評価損を殊更に取り上げて年金制度に対する国民の不安をあおるような声も一部にはありますが……(発言する者あり)
#10
○議長(伊達忠一君) 静粛に願います。
#11
○内閣総理大臣(安倍晋三君)(続) そのようなことは厳に慎むべきであると考えます。
 一昨年のポートフォリオ変更は、デフレから脱却しつつある経済状況において、国内債券に偏ったポートフォリオでは長期的に必要な利回りを確保できないという考え方の下、GPIFでの専門的検討の結果、株式等への分散投資を更に進めたものです。短期的な評価損によって現在のポートフォリオを見直す必要が生じているとは考えておりません。
 なお、国内株式の運用に当たって、GPIFは二十の信託銀行等に投資判断を一任しており、その運用が市場をゆがめているとの御指摘は当たらないと考えます。
 児童扶養手当及び子供の貧困対策についてお尋ねがありました。
 子供の貧困への取組は極めて重要であります。子供たちの未来が家庭の経済事情によって左右されるようなことがあってはなりません。経済的にも様々な困難を抱えている一人親家庭や子供の多い世帯にはきめ細かな支援が必要です。このため、多子加算については、必要な財源を確保し、子供が二人以上の一人親家庭の加算額を倍額にする改正を行いました。
 第二子の加算額については約三十六年ぶり、第三子以降の加算額については約二十二年ぶりの引上げとなります。その際、特に経済的に厳しい状況にある御家庭に重点を置いて支援するため、所得に応じて支給額を調整する仕組みを設けました。
 民主党政権の三年三か月、二十二億円どころか、児童扶養手当はたったの一円も引き上がりませんでした。重要なことは、言葉を重ねることではありません、結果であります。百の言葉より一の結果であります。
 また、政府としては、NPO等との連携を視野に入れた施策はもちろん、総合的に施策を展開し、支援を必要とする子供たちにしっかりと支援を届けることに全力を尽くしています。政府と地方公共団体、そしてNPO等民間の団体、企業が力を合わせ、全ての子供たちが夢を持って成長していける社会を目指してまいります。今後とも、子供の貧困対策に全力で取り組んでまいります。
 年金生活者支援給付金についてのお尋ねがありました。
 来年四月に予定していた消費税率一〇%への引上げについては、平成三十一年十月まで延期することといたしました。年金生活者支援給付金は、社会保障・税一体改革において行うこととされた低年金受給者の生活を支援するための重要な施策と考えていますが、一方で、これを含めた社会保障の充実については、給付と負担のバランスを考えれば、消費税率の引上げを延期する以上、全てを行うことはできません。また、赤字国債を財源に社会保障の充実を行うような無責任なことは私たちはいたしません。
 しかし、安倍政権の子育て世帯を応援する決意は揺らぎません。消費税財源を活用して行う社会保障の充実のうち、待機児童ゼロや介護離職ゼロを目指した保育、介護の受皿整備は予定どおり着実に進めます。
 また、無年金の問題は喫緊の課題です。年金の受給資格期間の十年への短縮を実行します。
 さらに、保育士、介護職員などの処遇改善など、一億総活躍プランに関する施策については、アベノミクスの成果の活用を含め財源を確保し、優先して実施していきます。
 その他の施策についても、優先順位を付けながら、税収の動向や重点化、効率化の効果を見極めつつ、今後の予算編成過程の中で最大限努力をしてまいります。
 介護報酬改定と介護離職ゼロとの整合性についてお尋ねがありました。
 高齢者が増加する中、介護保険制度の持続可能性を確保しつつ、適切なサービスと人材を確保することは重要な課題です。このため、平成二十七年四月の介護報酬改定では、事業者の安定的な経営に配慮しつつ適正化するとともに、介護職員の確保を図るため、処遇改善加算を拡充し、要介護度の重い方を受け入れる場合の加算を設けるなど、質の高いサービスを提供する事業者には手厚い報酬が支払われる、めり張りのある改定を行いました。
 また、介護事業所の状況については、介護報酬改定後も介護報酬の請求事業所数は増加しています。現在、安定的に介護サービスが提供され、利用されているものと考えており、今回の介護報酬改定が介護離職ゼロと逆行しているとの御指摘は全く当たりません。
 介護保険制度の見直しについてお尋ねがありました。
 高齢化の進展に伴い介護給付費や保険料の上昇が見込まれる中で、持続可能な介護保険制度を構築していく必要があります。このため、介護保険制度においては、所得段階に応じた保険料を御負担いただくとともに、前回の制度改正において一定以上所得のある方の利用者負担の引上げを行ったところです。引き続き、利用者負担など、今後の介護保険の在り方については厚生労働省の審議会においてしっかり検討を行ってまいります。
 また、社会保障の充実については、給付と負担のバランスを考えれば、消費税率の引上げを延期する以上、全てを行うことはできません。私たちは赤字国債を財源に社会保障の充実を行うようなことはしないということは、先ほど申し上げたとおりであります。
 先ほども申し上げましたが、社会保障の充実に関する施策については、優先順位を付けながら、税収の動向や重点化、効率化の効果を見極めつつ、今後の予算編成過程の中で最大限努力をしてまいります。
 介護職員の処遇改善についてお尋ねがありました。
 大きな希望を持って介護の道を進んだ方々の高い使命感に私たちはしっかりと応えていかなければなりません。自公政権では、これまでも、財源を確保しつつ、介護職員の処遇改善を着実に行っており、民主党政権時代に比べてはるかに多くの処遇改善を行っています。平成二十一年度の介護報酬改定でプラス九千円、平成二十一年度補正予算でプラス一万五千円、そして平成二十七年度の介護報酬改定でプラス一万三千円と、合計三万七千円相当の処遇改善を図ってまいりました。一方、民主党政権での処遇改善の効果は、平成二十四年度の介護報酬改定で処遇改善加算をつくった際のプラス六千円相当にすぎません。
 さらに、平成二十九年度には、ニッポン一億総活躍プランに基づき介護報酬を改定し、技能や経験に応じた給料アップの仕組みを構築し、月額平均一万円相当の処遇の改善に取り組みます。そのための予算措置については、本年八月の経済対策に基づき来年度当初予算に計上することとしており、アベノミクスの果実の活用を含め財源を確保し、優先して実施してまいります。
 保育士の処遇改善についてお尋ねがありました。
 高い使命感と希望を持って保育の道を選んだ方々に仕事を続けていただくためには、処遇を改善するだけではなく、保育士資格を持つ方の就職支援や事務負担の軽減による離職の防止などに総合的に取り組む必要があります。
 御指摘の法案については、恒久的な財源の確保策が明らかになっておらず、人材確保のために必要な総合的な対策となっていない点が問題であると考えています。
 安倍政権では、政権交代直後、保育士等の処遇を二・八五%改善し、以降、毎年度改善に取り組み、これまで七%改善してまいりました。安倍政権は全く改善をしていないという御指摘は当たりません。
 一方、民進党は、あの三年三か月、保育士の処遇改善を何一つ行ってこられませんでした。それどころか、給与は何とマイナス一・二%、下がったのであります。
 民主党政権で減少傾向にあった保育士給与は、平成二十五年度を底に上昇に転じ、その後、着実に上昇をしております。来年度は、さらに二%相当の処遇改善を行うとともに、保育士としての技能、経験を積んだ職員について四万円程度の追加的な処遇改善を実施することとしており、継続して実施すべく、予算編成過程でしっかりと検討してまいります。
 築地市場の移転についてお尋ねがありました。
 豊洲市場における食の安全性の確保については、まずもって市場開設者である東京都が責任を持って対応することが必要です。その上で、中央卸売市場の位置を変更する際には、卸売市場法に基づき農林水産大臣の認可が必要となります。具体的には、生鮮食料品の卸売の中核的な拠点として適切な場所か、食の安全を含めた各種法令に適合しているか等の基準に照らし、認可の判断をすることとなります。
 豊洲市場への移転についても、東京都から認可申請が行われた場合、農林水産大臣が認可の是非を判断することとなりますが、その際、法令に基づき厳正な審査を行い、適切に認可の判断を行っていくとの方針に従来より違いはないものと考えております。
 米のSBSについてお尋ねがありました。
 TPP交渉においては、米が我が国最大のセンシティブ品目であることを踏まえ、国会決議を後ろ盾にぎりぎりの交渉を行いました。その結果、国家貿易制度の維持など多くの例外措置を獲得することができたことから、輸入の大幅な増大は見込み難いと考えております。
 また、新たに設立される米国、豪州向けのSBSの国別枠において輸入される米については、輸入量に相当する国産米を備蓄米として買い入れることにより、国内の需給及び価格に与える影響を遮断することとしております。TPPの影響試算はこのことを前提としたものであり、政府の説明が有名無実化するとの指摘は当たらず、やり直しの必要はないと考えております。
 なお、一部で報道されているSBSの入札参加事業者間の金銭のやり取りについては、そのような実態があるとすれば、民間事業者間の問題とはいえ、米農家に不信感を生じさせるとの問題も指摘されています。このため、農林水産省において、事業者のヒアリング調査や価格動向の分析などを鋭意進めており、可能な限り速やかに公表したいと考えております。
 東京大会の経費についてお尋ねがありました。
 政府としては、昨年十一月に閣議決定した基本方針において、政府が実施する関連施策のコストをできるだけ抑制することを掲げており、国民の理解を得るためにもコストの抑制は欠かせないと考えています。
 一方、東京都が負担する経費については、東京都の責任の下、支出されることとなりますが、いずれにせよ、東京大会が国民から祝福される大会となるよう関係者と連携しながら取り組んでまいります。
 所信表明演説における女性活躍への言及についてお尋ねがありました。
 全ての女性が輝く社会の実現は安倍政権の変わらぬ大方針であります。演説をよく読んでいただければお分かりいただけると思いますが、女性が活躍できる社会づくりは、安倍内閣の最大のチャレンジであり、一億総活躍を目指す上で中核となる課題です。そのため、演説でも、女性も男性も生きがいを感じられる社会を目指すと明記しました。
 加えて、今回の演説では、介護福祉士を目指す学生の小金栞さん、パラリンピックの代表選手、佐藤真海さん、新規農業者の工藤ひかりさんなど、現在、社会で活躍している女性たちの具体例にたくさん言及したところであります。政策面でも介護や保育の充実、働き方改革に多くの分量を割きましたが、これらは女性活躍を推進する上で欠かせないものであります。
 ただスローガンを重ねるだけでは社会を変えることはできません。具体的な政策なくしてそのスローガンを現実のものとすることはできません。安倍内閣は、これからも全ての女性が輝く社会の実現を目指し、具体的な政策を提案し、実行し、そして結果を出していく決意であります。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(伊達忠一君) 橋本聖子君。
   〔橋本聖子君登壇、拍手〕
#13
○橋本聖子君 自由民主党の橋本聖子でございます。
 私は、自由民主党を代表して、安倍総理の所信表明演説について質問をいたします。
 質問に先立ちまして、八月、九月の一連の台風で被害を受けられた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 特に、台風十号は北海道と東北地方を中心に甚大な被害をもたらしました。多くの尊い命が失われたほか、農作物への被害や道路や鉄道といったインフラへの被害も想像を絶するものがあります。また、先週の台風十六号も、二十三年ぶりという非常に強い勢力で上陸し、各地に浸水などの被害をもたらしました。台風十号を中心とする被害に対して速やかに激甚災害の指定をいただいたことは大変有り難く、深く感謝を申し上げます。
 北海道では、雪が降ってしまうとできない工事もあります。そのため、十月中には復旧を終えておかなければ、来年まで被害が持ち越すことになってしまいます。早急な対策が必要です。こうした事情も踏まえ、政府におかれましては、引き続き地元自治体とも協力し、早期の復旧に全力を尽くしていただきますようお願いを申し上げます。
 今年の台風は、日本近海の海水温が高いため、勢力が衰えないまま日本に近づいてきたものもありました。特に北海道では、上陸した台風が三つ、接近した台風が二つ、合わせて五つの台風の影響を受けるという観測史上例のない事態となりました。
 今後も、地球温暖化に伴う大雨が増えるとともに、常時強い台風が北海道や東北地方に上陸する事態も考えられます。被害を受けてからの復旧のみならず、台風に備えた事前のインフラ整備などの防災対策も大変重要な課題となると考えます。その点について政府の取組をお伺いいたします。
 八月に行われたリオデジャネイロ・オリンピックでは、日本選手団が史上最多となる四十一個のメダルを獲得いたしました。続いて行われたパラリンピックでも、金メダルこそゼロという結果でしたが、銀、銅を合わせて二十四個のメダルを獲得し、十六個だったロンドン大会の一・五倍という結果を残すことができました。
 パラリンピックにおける選手の皆さんの活躍は、人はどのような状態にあっても自分の目指すゴールに向かって頑張れるのだということを全ての人々に示してくれました。誰もが与えられた条件の中で精いっぱい生きることのすばらしさは、幾ら言葉を尽くすより彼らの姿が雄弁に語ってくれていると思います。
 私は、JOCの選手強化本部長として、人間力なくして競技力の向上なしという考え方を全ての選手に徹底してまいりました。アスリートである前に、まず人としてどうあるべきかが大切だと思います。例えば、日々お世話になっている道具や練習場に対して感謝の気持ちを持つこと、こうした謙虚さや毎日の徳の積み重ねが競技力の向上につながります。これは単なる精神論ではありません。体格で劣る日本人選手が海外の選手に勝つためには、人間力、精神文化力が不可欠であります。
 今回の選手たちの活躍、特に若い世代の活躍は、まさにこうした人間力の現れであり、二〇二〇年の東京大会に向けて大変頼もしく、明るい未来を感じるものでした。これからの四年間で更に成長し、東京で目覚ましい活躍を見せてくれるものと期待をしております。
 また、オリンピック・パラリンピック閉会式での、東京へのフラッグ・ハンドオーバー・セレモニーはそれぞれすばらしいものでした。洗練された演出と高度な技術、そして豊富なコンテンツの数々に世界が驚き、目を見張り、二〇二〇年の東京はすごいことが起こりそうだという強烈な印象を与えてくれました。
 オリンピック閉会式のセレモニーには、安倍総理もマリオの扮装で登場されたわけですが、総理が登場することで、日本が国を挙げて準備に取り組んでいることを世界にアピールすることができたと思います。そこで、総理に、リオ・オリンピック・パラリンピック全体を通じた感想と二〇二〇年に向けた思いをお伺いいたします。
 東京オリンピック・パラリンピックは、七月下旬から九月上旬までの開催予定となっています。この時期の東京は、連日三十度を超える真夏日、あるいは三十五度を超える猛暑日が続きます。さらには、台風やゲリラ豪雨などの影響も心配されます。マラソンや競歩などの競技を中心に、屋外で行われる競技では、選手や観客の健康のためにも暑さ対策が欠かせません。
 二〇〇七年八月に大阪で行われた世界選手権では、男子マラソンの出場選手の三分の一が途中棄権する事態がありました。一九六四年の東京オリンピックは、御存じのとおり十月十日が開会式でした。こうした点の心配はなかったわけですが、今回は当時と違う対策が必要となります。温暖化やヒートアイランドの影響で、最近の夏の暑さはますます厳しくなっています。真夏の開催に対する万全の備えを強く求めたいと思います。
 オリンピック・パラリンピックが終わった今、いよいよ四年後の東京大会に向けた準備を加速していく段階となりました。開催までには多くの課題が残っており、特に競技会場の建設費など、開催費用の問題が大きく取り上げられております。
 東京オリパラを多くの国民が祝福する中で開催するためには、しっかりとした情報公開と丁寧な説明を行い、国民の納得を得ながら進めていくことが重要と考えます。そして、大会成功のためには、政府と開催都市である東京都とが緊密に連携をし、迅速に行動していく必要があります。二〇二〇年の東京オリパラに向けた準備の方針について、東京都との連携協力についての考え方も含めてお聞かせいただきたいと思います。
 次に、外交・安全保障問題についてお伺いをいたします。
 今年に入って、北朝鮮が様々な種類のミサイル発射実験を相次いで行っております。九月五日には三発のミサイルを続けて発射し、北海道奥尻島沖のほぼ同地点に落下させました。さらに、九日には五回目となる核実験を強行いたしました。これまでで最大規模の実験だったと推定されております。
 こうした行為は、国連安保理決議に明確に違反し、国際社会、特に東アジアの平和と安全を大きく脅かすものであり、断じて見過ごすことはできません。総理も国連総会で呼びかけられたとおり、国際社会が結束して強力に対応していく必要があります。
 私たち自民党は、北朝鮮拉致問題対策本部と外交部会の合同会議を十六日に開催し、そして同日、北朝鮮に対する国連決議に拉致問題を盛り込むこと、北朝鮮関係者の資産凍結の範囲を拡大することなど、制裁の強化を求める申入れを安倍総理に行いました。
 政府が検討しておられるという独自の制裁措置も含め、北朝鮮に対して断固たる措置をとる必要があると考えます。どのような対応を取っていくお考えか、総理にお伺いをしたいと思います。
 総理は、先日、ロシアのプーチン大統領と、十二月に総理の御地元山口県での首脳会談を行うことで合意されました。プーチン大統領とは既に十四回も会談を行っているということで、世界の首脳の中でも最も緊密な関係を築いているうちのお一人だと思います。
 この関係を生かして、長年の懸案である北方領土問題の解決と平和条約の締結に向けて、一歩進んだ前向きな成果を期待したいと思います。地元北海道で、一部には経済協力だけが進んでしまい領土問題は置いていかれてしまうのではないかという心配の声もあります。そうしたことはないと思いますが、慎重に交渉を進めていただけますようお願いいたします。今後の北方領土問題と経済協力の進め方について、基本的なお考えをいま一度お聞かせください。
 次に、地方創生についてお伺いをいたします。
 私は、今回の参議院選挙で全国いろいろな地域を回らせていただきましたが、多くの場所でアベノミクスの効果はまだ地方にまで行き届いていないという声を伺ってまいりました。
 総理は、アベノミクスを一層加速し、デフレからの脱出速度を最大限まで引き上げるとおっしゃいました。また、安倍内閣は、地方創生の未来に大胆に投資するとも宣言されました。昨年度に比べて、地方創生という言葉を聞くことが少なくなった感もあります。一部には政府は本気なのだろうかという声も聞こえてまいります。そうした不安がなくなるよう、総理の御決意に大いに期待をしているところであります。
 地方にまでアベノミクスの効果を浸透させる、そのためには、東京のお金を地方に回すという発想だけでなく、地方が自ら稼げるようになることが必要です。それぞれの地域に応じた活性化策を政府と自治体が共に行動して考えていく。それが地方創生の理念だと思いますが、現状としては、国が交付金を出すことが中心になってはいないでしょうか。お金を出すだけではなく、共に考え行動するという姿勢が大事だと思います。総理は、政府の地方創生策の現状と今後の方針についてどうお考えでしょうか。
 地方の声を反映させることに関しては、選挙制度の問題も考えていかなければなりません。周知のとおり、今回の参議院選挙では、徳島県と高知県、鳥取県と島根県がそれぞれ合区となりました。これらのうち、徳島県、高知県、鳥取県の三県では、前回より投票率が下がり、過去最低となってしまいました。全国の投票率は前回より上がったにもかかわらず、合区をした県では下がってしまった。それだけでなく、過去最低を記録した五県のうちの三県が合区の対象県でありました。ここに合区に伴う問題が如実に現れていると考えます。
 これらの状況を踏まえて、今後は各会派間で参議院そのものの在り方についての議論を深めて、その上で選挙制度についてもしっかりと検討していく必要があると考えます。
 議場に参集の皆様、これは参議院の在り方の根本に関わる議論であります。総理に質問はいたしませんが、是非、党派を超えて、幅広く、粘り強く、より深い議論を行っていきたいと思います。この場を借りてお願いを申し上げます。
 農業に関しては、今国会の大きな課題であるTPPについても、率直に申し上げて不安を持っている方々も多くいらっしゃいます。海外から安い農産物が大量に入ってくるようになったら、果たして農業を続けていけるのだろうか、これは農業をなりわいとする方なら誰しも感じることがある、当然の不安であると思います。
 一方で、これからの農業に魅力を感じて、新たに農業に取り組む若い世代も増えてきております。総理が所信表明演説で触れられた山形の農家の方もその一人だと思います。農林水産省の調査では、平成二十七年の新規就農者は六万五千三十人と、六年ぶりに六万人を超えました。そのうち四十九歳以下は二万三千三十人と、平成十九年以降で最多となったそうであります。
 攻めの農業に魅力を感じて農業を志す若者が増えていることは、大変うれしい傾向であります。政府におかれては、こうした方々はもちろん、従来から農業を続けられている方々に対しても、農業の将来に対する不安を払拭し、もっと農業に魅力を感じてもらうための諸施策を引き続き力強く推進していただきたいと思います。
 政府は、農林水産物の輸出を一兆円に増やすことを目標としております。農林水産省が先月発表した今年上半期の農林水産物輸出額は、前年比二・一%増の三千六百二十二億でありました。ここ数年、前年比一〇%から二〇%台の伸びを記録してきましたので、それに比べると二・一%増というのは低い伸び率だとも言えます。円高の影響等もあると思いますが、年間一兆円の輸出に向けて、決して楽観はできない状況であります。
 世界の食の市場規模は、今後、新興国を中心に急速に拡大すると見込まれており、二〇〇九年から二〇二〇年までで二倍になるという予測もあります。一方で、我が国の農林水産物の輸出先を見ると、一位が香港、二位が米国、三位が台湾となっております。これらはどれも人口の少ない地域や先進国であり、成長著しい新興国の市場を十分に取り込めているとは言えません。
 今回の補正予算案では、輸出拠点の整備など輸出力の強化、農地の大区画化や畜産クラスター事業といった農林水産業の競争力強化に合わせて四千億余りが計上されております。これらも含め、政府としては、一兆円目標の早期達成に向けて具体的にどのような方針で取り組んでいくお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
 最後に、スポーツ政策について質問をさせていただきます。
 これは、スポーツの分野だけにとどまらず、様々な分野の政策と関連しております。スポーツの振興を通じて他分野の政策実現に大きな役割を果たす可能性があります。例えば、スポーツを中心として、医療、福祉、介護、観光など新たな関連する産業を生み出していくことは、少子高齢化時代を迎えた我が国にとっては大変大きな意味を持つことであると思います。
 政府は、スポーツ産業の市場を拡大し、二〇二五年までには十年間で三倍にするというスポーツの成長産業化を打ち出しております。現在、国内のスポーツ市場は残念ながら縮小傾向にありますが、ロンドン・オリンピック・パラリンピックを開催した英国は、その経済効果でスポーツ市場を拡大した実績があります。
 我が国も、二〇二〇年の東京オリパラ開催を契機として、スポーツを核とした町づくりやスポーツ産業の活性化による収益の拡大と、その収益をスポーツへ再投資することによるスポーツ環境の充実と自律的好循環モデルの確立等を目指すというのがこのスポーツ成長産業化の考え方であります。私も、その考え方に大いに賛同をいたします。政府を挙げて、スポーツ市場拡大のため積極的な取組をお願いをしたいと思います。
 スポーツ振興が政府の政策の推進に大きな役割を果たせる分野の一つが健康・福祉分野であります。中でも、皆様がイメージしやすいのはスポーツを通じた健康づくりだと思います。一億総活躍社会の実現のため、また、医療費を始めとする社会保障費の抑制のためにも、健康寿命の延伸というのは重要な課題であると思います。スポーツはそのための大きな力となり、スポーツを通じて培った健康や体力、気力は生涯にわたる財産となり、いつまでも元気で活躍するための基盤となります。若い世代はもちろん、高齢者も体力に応じ気楽にスポーツを楽しめる社会をつくることが一億総活躍社会のための基盤になるものと考えます。
 また、一億総活躍のためには働き方の改革も欠かせません。総理の所信表明で、子育て、介護など多様なライフスタイルと仕事とを両立させるためには長時間労働の慣行を断ち切ることが必要だとおっしゃいました。
 仕事をしながら子育てや介護をするのは、誰にとっても簡単なことではありません。しかしながら、仕事だけ、子育てだけ、介護だけといった人生も、人によっては大変つらいものがあります。仕事を続けながら子育てや介護をし、さらにはスポーツなどの趣味の時間を楽しめる、そういった多様な時間の使い方ができる人生が一億総活躍社会の理想と考えます。そのために、柔軟な働き方を認めるとともに、子育てや介護の環境整備を推進していく必要があります。
 そこで、以上の点を踏まえ、一億総活躍社会におけるスポーツの役割、働き方改革や子育て、介護の環境整備の具体策について総理に伺います。
 スポーツは医療にも大きく貢献をします。スポーツの選手団の活躍は、チーム医療の存在なくして語ることはできません。今回のオリンピックも、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、鍼灸師など、様々な分野の専門家がチームとなって選手団を支えてまいりました。
 スポーツ医学は、単に病気を治すだけでなく、つまりマイナスをゼロにするということだけを考える医学ではありません。いかにして最大限のパフォーマンスを発揮できるか、つまり、どれだけプラスを伸ばせるかを追求する医学です。したがって、対症療法を中心とする西洋医学だけでなく、東洋医学なども含めた統合医療の実践が行われてまいりました。
 こうした考え方は、高齢化時代を迎える我が国にとって大いに役立つものと考えます。間もなく日本社会は人生九十年時代を迎えます。誰もが人生というトラックを輝きながら走り切るためには、医療や介護を通じた総合的なサポートが必要です。医療は病気になったときだけお世話になるものではありません。予防から医用、介護までを一体的に行う地域包括ケアは、誰もが最期まで充実した人生を生き切るためにこそ必要なサービスになるべきだと思います。
 アスリートにはドーピング検査があります。むやみに薬を飲ませられません。したがって、予防医療、予防医学、そして選手自身の自然治癒能力を上げることに重きが置かれてきました。このようなやり方で、オリンピック・パラリンピックを始めとする国際大会で日本選手団は実績を上げてきております。
 人が困難を克服し再び立ち上がろうとする、その力には計り知れないものがあります。今回、パラリンピックの選手の皆さんが示してくれたのは、いかなる状況にあっても目標を持ち、それをかなえようとすることのすばらしさです。人は年を重ねるにつれてできなくなることも増えてまいります。しかし、できることの可能性を少しでも多くするために医療や介護があると思います。一生、社会の一員として幸せに生きるために、全ての関係者が力を合わせる、そのような仕組みを構築することが今の日本に必要なのではないでしょうか。
 このように、高齢化社会を迎えた我が国で、スポーツ医学におけるチーム医療や予防医療、予防医学の実践から学ぶことは多いと思いますが、総理の御見解を伺います。
 スポーツは、青少年の健全育成に大いに役に立ちます。私は幼児教育の無償化をライフワークの一つとしておりますが、スポーツを通じて育まれるフェアプレーの精神、集中力、責任感、我慢強さや挑戦する心、礼儀作法や感謝の気持ちといった人間力は、成長途上の幼児教育の段階から青少年の健全育成に大いに資するものであると思います。そして、悩んでいる青少年の心のケアのためにも有効であると思います。少年が集団で仲間を殺害してしまうといった痛ましい事件が相次いでおります。その少年たちにスポーツのように打ち込むものがあったら、そこで人間力を身に付けていてくれたら、結果は違っていたのではないかと思えてなりません。
 そのために、総合型地域スポーツクラブのような、スポーツを通じた地域のコミュニティーづくりの取組を青少年健全育成事業とも連携しながら進めていくことが有効だと考えますが、この点について強く政府に要望いたしたいと思います。
 最後に、スポーツツーリズムの推進について伺います。
 スポーツとの連携が鍵となるもう一つの政策分野は観光政策であると思います。政府は、二〇二〇年に訪日外国人を四千万人、二〇三〇年には六千万人にするという目標を掲げております。そのため、現在のように東京から入って大阪から出るというゴールデンルートだけでなく、地方から入って地方から出るという観光のスタイルを一般化していく必要があると思います。
 総理の所信表明演説でも、地方や空港や港湾の強化、出入国管理体制の改善、ホテルの建設促進などを掲げられております。こうしたハード面の整備に加えて、それぞれの地域が魅力ある観光資源を発掘してPRしていく必要があります。そのための有力なコンテンツがスポーツであり、文化であるわけです。
 北海道のニセコ地域は、冬はスキー、夏はラフティングという、スポーツツーリズムの成功事例として有名になりました。ニセコ在住のオーストラリア人からの口コミで魅力が広がり、今では多くの外国人が押し寄せるようになりました。同じように、全国各地で、ゴルフ、登山、マリンスポーツ、マラソンなど、地域に合ったスポーツ資源を活用したスポーツツーリズムを発掘し、発展させていくことが、ひいては地方創生にもつながっていくものと考えます。
 東京オリパラも契機として、全国各地でスポーツツーリズムを更に推進していくべきだと考えますが、国交大臣の御見解を伺いたいと思います。
 これまで申し上げてまいりましたように、スポーツは幅広い分野で新しい産業を生み出し、人々の健康や幸せを支えていくことができる希有な存在です。スポーツにおける人間力なくして競技力向上なしという考え方は、社会における他の分野にも通じるものであると思います。
 二〇二〇年まで四年間は、世界が日本に注目する貴重な時間であります。そしてそれは、日本が心豊かで文化的な国として世界に尊敬され、信頼される国となるためにスポーツが大きな役割を果たせるまたとない絶好の機会でもあります。
 これまでのオリパラの開催国では、大会の盛り上がりや経済効果だけが一過性のものとなり、その後大きな問題を抱えている国もあります。日本はそうならないように、二〇二〇年以降の取組も重要な課題となります。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック、そしてその先の未来に向けて、スポーツ政策が各分野の政策の一つの結節点となるよう、政府一丸となって推進していただくことをお願いを申し上げたいと思います。
 私の質問をこれで終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#14
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 橋本聖子議員にお答えをいたします。
 台風等に備えた事前の防災対策についてお尋ねがありました。
 まず、改めて、一連の台風災害でお亡くなりになった方々に哀悼の意を表し、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。
 近年、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化している中、台風等に備えた事前の防災対策は災害発生時の被害を大きく軽減できることから、我が国にとってまさに焦眉の急であると認識しております。このため、水害の危険性が高い箇所について、堤防整備等を今後五か年で優先的に実施していくなど、効率的、効果的な防災対策を実施してまいります。
 我が国は、場所を問わず様々な災害が発生しやすい環境にあります。ハードとソフトの対策を適切に組み合わせ、今後とも政府一体となって事前の防災対策に全力で取り組んでまいります。
 リオ大会についての感想と東京大会に向けた抱負、準備方針についてお尋ねがありました。
 世界中の人々が注目するひのき舞台で、大きな期待を背負いながら懸命に立ち向かっていく選手の姿に日本全体が感動しました。夢はかなうことを日本中に見せてくれたと思います。
 リオでの日本選手団の健闘は、東京大会へのスタートとなりました。政府としても、東京都や関係機関との連携を密にし、オープンなプロセスによる意思決定を行うとともに、コストをできるだけ抑制し、限られた予算と時間で最高の大会となるよう着実に準備を進めてまいります。
 二〇二〇年の東京大会では、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮し、全世界に向けて夢と感動、そして平和を発信できるよう、政府一丸となって取り組んでまいります。
 北朝鮮の核・ミサイル問題についてお尋ねがありました。
 北朝鮮の核実験及び弾道ミサイルの発射は許し難い暴挙であり、断じて容認できません。今回の核実験は相次ぐ弾道ミサイル発射と相まって新たな段階の脅威であり、これに対する対応も全く異なるものでなければなりません。北朝鮮に対して、このまま核やミサイルの開発を続けていけばますます国際社会から孤立し、その将来を切り開くことはできないということを理解させなければなりません。我が国は、非常任理事国として、新たな安保理決議の採択に向け、米国、韓国、中国、ロシア等と緊密に連携しながらリーダーシップを発揮してまいります。
 御指摘の対北朝鮮措置の強化に関する要望も踏まえ、北朝鮮への人、物資、資金の流れを厳しく規制する新たな安保理決議、そして我が国独自の措置により断固たる対応を取っていく決意であります。核、ミサイル、そして引き続き最重要課題である拉致問題に関し、北朝鮮が問題の解決に向け具体的行動を取るよう強く求めてまいります。
 北方領土問題と日ロの経済協力の進め方についてお尋ねがありました。
 戦後七十年以上を経てもなお平和条約が締結されていない異常な状態を打開するため、首脳同士の信頼関係の下に解決策を見出していく必要があります。
 プーチン大統領との間では、五月のソチにおける首脳会談で、これまで停滞してきた交渉に突破口を開くため、未来志向の考えに立って、今までの発想にとらわれない新しいアプローチで交渉を精力的に進めていくことで一致しました。そして、今月のウラジオストクにて行った通算十四回目となる首脳会談では、二人で突っ込んだ議論を行い、交渉を具体的に進めていく道筋が見えてくるような手応えを強く感じました。
 経済分野では、先般の首脳会談においては、八項目の協力プランの具体化を含む日ロ協力の現状や今後の見通し等について意見交換を行ったところです。経済分野を含め幅広い分野で日ロ関係を国益に資するような形で進めていく中で、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すべく、引き続きロシア側との間で粘り強く交渉に取り組んでいく考えであります。
 十二月に予定する山口県での日ロ首脳会談では、こうした考えに基づき、静かな雰囲気の中で率直に議論し、平和条約締結交渉を前進させてまいります。先般、元島民代表の方々とお会いし、元島民の皆様が高齢化しているとの切実な声をお伺いしました。このお気持ちをしっかり胸に刻んで交渉してまいります。
 地方創生の現状と今後の方針についてお尋ねがありました。
 日本の地方には、豊かな自然、固有の歴史、文化、特色ある農林水産物などの魅力があふれています。地方創生は、このような魅力を生かし、若者を引き付ける個性豊かな地方をつくり上げていく挑戦です。
 国の支援は御質問のような交付金を出すことにとどまるものではありません。地域経済分析システムによって、観光客などの人の流れ、企業の雇用や付加価値など官民のビッグデータを分析し、自治体のどのような取組が高い効果を生むかを見極める情報面での支援、地方の活性化に情熱と知見を有する国家公務員等の人材を市町村に派遣し、また、地方創生の様々な担い手を育成するなどの人材面の支援など、あらゆる手段によって支援します。国と地方がまさに共に考え、行動し、精力的に取り組んでまいります。
 農林水産物の輸出についてお尋ねがありました。
 昨年の農林水産物・食品の輸出は約七千五百億円、安倍内閣においては三年連続で過去最高額を更新し、本年も昨年を上回るペースで伸びています。このような状況やTPP参加国の関税が撤廃されることを踏まえ、輸出一兆円目標を一年前倒しして、平成三十一年の達成を目指すことといたしました。
 本年五月には農林水産業の輸出力強化戦略を決定しており、目標の達成に向けて、民間の意欲的な取組を支援するための多様な施策を積極的に展開してまいります。また、今回の補正予算では、輸出基地、輸出対応型施設の整備、国際競争力のある産地の形成などを支援することとしております。
 私自身、先般、ニューヨークやケニアにおいて、世界各国の要人に自ら日本食のPRを行いました。輸出額一兆円目標の早期達成に向けて、政府を挙げて全力で取り組んでまいります。おいしくて安全な日本の農林水産物を世界に売り込んでまいります。
 一億総活躍社会におけるスポーツの役割、働き方改革や子育て、介護の環境整備についてのお尋ねがありました。
 スポーツには、人々を夢中にさせ感動させる魅力があるとともに、地域、経済の活性化や国民の健康増進、さらには活力のある長寿社会の実現など、様々な分野の課題を解決し、我が国の未来を切り開いていく可能性を秘めています。スポーツが持つ潜在能力を発揮していくことが一億総活躍社会の礎の一つとなるものと考えています。
 また、一億総活躍社会の実現に向けた最大の鍵は、働き方改革です。働く人の立場に立った改革を進め、意欲ある方々に多様なチャンスを生み出す労働制度の大胆な改革を進めます。
 多様なライフスタイルと仕事を両立させるため、長時間労働の慣行を断ち切るとともに、テレワークなど柔軟な働き方を広げていきます。同一労働同一賃金を実現し、非正規という言葉をこの国から一掃します。各般にわたる労働制度の改革プラン、働き方改革実行計画を今年度内にまとめ、可能なものからスピード感を持って実行していきます。
 また、介護離職ゼロを目指し、五十万人分の介護の受皿を前倒しで整備します。さらに、保育の受皿整備を加速し、子育てと仕事の両立を進めるなど子育て支援を拡充し、希望出生率一・八に向かって歩みを進めてまいります。
 高齢化社会を迎えた我が国におけるスポーツ医学から学ぶ点についてのお尋ねがありました。
 団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年に向け、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援が切れ目なく包括的に確保される地域包括ケアシステムの構築を進めているところです。
 こうした取組を進める上で、スポーツ医学のようなチーム医療や予防医療、予防医学の実践は、適切な医療や介護、高齢者の健康づくりの取組を進め、高齢者がいつまでも生き生きと生活を送る社会をつくる上で大切な視点と考えています。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣石井啓一君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(石井啓一君) スポーツツーリズムの推進についてお尋ねがございました。
 スポーツツーリズムには、観光客が滞在プランの一つとしてスポーツ試合観戦などを行う、見るスポーツ、マラソンやスキー、スケート等を参加者が楽しむ、するスポーツのほか、市民ボランティアの大会支援やキャンプ合宿誘致などの支えるスポーツがありまして、人を引き付ける力強い力がございます。
 我が国では、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会などに向けて、今後、様々なスポーツイベントが開催がされます。これらのイベントを契機に旅行者がより広い地域を訪れ、長期滞在をしていただけるよう支援をしてまいります。
 特に、これから観光地として知名度を高めていこうとする地域におきましては、スポーツにより多くの観光客が訪問する契機をつくることが可能となります。観光客が地域の食や自然、伝統、文化等の魅力に触れることにより地域を活性化させるチャンスが生まれます。このような観点からも関係省庁で連携をし、地域のスポーツツーリズムの振興を推進してまいります。
 以上でございます。(拍手)
#16
○議長(伊達忠一君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
     ─────・─────
#18
○議長(伊達忠一君) この際、永年在職議員表彰の件についてお諮りいたします。
 議員柳田稔君は、国会議員として在職すること二十五年に達せられました。
 つきましては、院議をもって同君の永年の功労を表彰することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 同君に対する表彰文を朗読いたします。
   〔柳田稔君起立〕
 議員柳田稔君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました
 参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもって表彰します
   〔拍手〕
    ─────────────
#20
○議長(伊達忠一君) 橋本聖子君から発言を求められました。発言を許します。橋本聖子君。
   〔橋本聖子君登壇、拍手〕
#21
○橋本聖子君 私は、皆様のお許しをいただき、本院議員一同を代表して、ただいま永年在職のゆえをもって表彰されました柳田稔先生に対しまして、一言お祝いの言葉を申し述べさせていただきます。
 柳田先生は、平成二年の第三十九回衆議院議員総選挙において初当選をされて以来、連続して当選を重ねられ、六年八か月にわたり衆議院議員として御活躍をしてこられました。その後、平成十年の第十八回参議院議員通常選挙において当選され、本院議員に転じ、以来、連続して四回の当選を重ねられ、この度、国会議員として在職二十五年に達せられました。
 この間、柳田先生は、財政金融委員長、厚生労働委員長、東日本大震災復興特別委員長、予算委員長、国際経済・外交に関する調査会長等、枢要な役職を歴任され、現在も国家基本政策委員長の重責を果たされておられます。また、菅内閣の法務大臣として国政の中枢に参画され、その卓越した政治手腕を遺憾なく発揮されてこられました。
 このように、柳田先生は、高い見識と豊かな政治経験に基づき、我が国の議会政治発展のため多大な貢献をしてこられました。
 ここに、我々議員一同は、先生の二十五年間の御功績に対しまして深甚なる敬意を表しますとともに、本日、栄えある表彰を受けられましたことに対し、心から祝意を表する次第であります。
 現在、我が国を取り巻く内外の諸情勢は誠に厳しく、克服すべき諸課題が山積する中にあって、国民の負託を受けた国会の責務は重く、参議院が果たすべき役割に対する関心と期待は高まるばかりであります。
 柳田先生におかれましては、どうか、今後とも御健康に留意され、国民のため、参議院のため、そして我が国議会制民主主義の発展のために、なお一層の御尽力を賜りますように切にお願いを申し上げまして、お祝いの言葉と代えさせていただきます。
 おめでとうございました。(拍手)
#22
○議長(伊達忠一君) 柳田稔君から発言を求められました。発言を許します。柳田稔君。
   〔柳田稔君登壇、拍手〕
#23
○柳田稔君 ただいま、院議をもちまして在職二十五年の永年在職議員として表彰を賜りました。誠に光栄であり、心から御礼を申し上げます。
 また、橋本聖子先生より丁重なる御祝辞をいただき、誠にありがとうございました。
 平成二年二月十八日に衆議院議員として初当選をいたしました。前年には、昭和天皇が崩御され、元号が昭和から平成に変わり、四月には消費税が施行されました。また、十一月には日本労働組合総連合会が発足しました。海外においては、ベルリンの壁が崩壊し、東西の雪解けが始まりました。平成三年にはソ連の実質的な解体という大きな出来事がありました。このように、国内外において時代の大きな変化が訪れていました。
 初当選は、民社党でした。当時、多くの先輩議員に大変なお世話になりました。先生の中には鬼籍に入られた方もいらっしゃいます。そして、多くの支援者に支えられて今日まで参りました。心から御礼を申し上げます。
 振り返りますと、いろいろなことがありました。その一つがPKO協力法、国連平和維持活動協力法です。平成二年八月に発生した湾岸危機を契機に、日本の国際貢献の在り方が議論の的になりました。
 PKO協力法案は、国際連合平和協力法案の提出、廃案を踏まえて提出され、修正など紆余曲折があり、約二年の歳月、第百十九回国会から第百二十三回国会の五国会を経て成立をしました。
 私は、民社党の一員として本法案に積極的に関与し、衆議院の調査団として国連、ドイツ、スウェーデン、カナダを訪問し、いろんな議論をしたことを思い出します。賛否の違いはあれ、各党が信念を持って激論し、そして引くべきときは引き、冷静になって出直し、国民の理解を得ようとした努力を私は心から敬意を表します。
 その努力があったからこそ、自衛隊のPKO活動は現在国民に評価されていると思います。
 次に強く記憶に残っていることは、平成六年に成立した小選挙区比例代表並立制と政党交付金の導入を柱とする政治改革四法案であります。リクルート事件、東京佐川急便事件等を通じて、政治と金の問題が大きくなりました。
 当時の中選挙区制では、大政党にとって、政策上の差異のない同じ政党の候補者同士が最大のライバルとなり、地元への利益誘導により選挙を勝利するものでありました。また、同じ政党でありながら選挙公約が異なる候補者もいました。その打開策として小選挙区制が議論されました。
 しかし、中選挙区制で当選した議員が自分自身にとって不利になるような選挙制度の改革に賛成するのだろうか、小政党にとって不利な小選挙区に賛成するのだろうか等の不安がありました。
 平成三年に政治改革関連法案が初めて提出され、廃案、否決、修正を経て平成六年に成立しました。この間、与野党を超えて、若手当選一回生、二回生が集まり、昼夜を問わず真剣に議論したことを思い出します。若手の熱意が政治を動かしたと私は今でも思っております。また、細川連立政権ができたことも大きな要因だと思います。
 平成五年の十一月に、与野党の造反や退席がありながらも衆議院で可決されましたが、年が明けての一月に与野党の造反、欠席が出て参議院で否決されました。その結果、両院協議会が設置され、私もそのメンバーに選出されました。雪の降る一月二十九日未明に修正合意しました。感慨深いものがあります。
 このように、国の大きな方針を変えるときや民主主義の基本である選挙制度を変えるときなどには、与野党が真剣に徹底的な議論をすることで国民の理解を得て前進できるものと私は信じています。
 十五年前の九・一一も忘れることができません。いろんなことがありました。走馬灯のように頭の中をよぎります。長い二十五年の間だったような気もしますが、あっという間に過ぎたような気もします。
 最後に、今、広島は、二十五年ぶりの広島東洋カープのセ・リーグ優勝で盛り上がっています。選手とファンの長い間の夢が実現しました。
 私は、政権交代が民主主義の大きな要素であると考えています。更に発展した民主主義をつくり上げていくためにも、私も頑張っていく所存であります。
 本日は誠にありがとうございました。(拍手)
     ─────・─────
#24
○議長(伊達忠一君) この際、国会議員として永年にわたり在職されました前議員の表彰についてお諮りいたします。
 国会議員として二十四年の長きにわたり在職されました輿石東君、北澤俊美君及び直嶋正行君に対し、永年の功労を表彰することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 よって、三君を表彰することに決しました。
 表彰式は、追って議長において執り行います。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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