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2016/09/29 第192回国会 参議院 参議院会議録情報 第192回国会 本会議 第3号
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2016/09/29 第192回国会 参議院

参議院会議録情報 第192回国会 本会議 第3号

#1
第192回国会 本会議 第3号
平成二十八年九月二十九日(木曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成二十八年九月二十九日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男君。
   〔山口那津男君登壇、拍手〕
#4
○山口那津男君 公明党の山口那津男です。
 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました所信表明演説及び財政演説に対し、安倍総理並びに関係大臣に質問します。
 「希望が、ゆきわたる国へ。」、公明党はさきの参院選でこのスローガンを掲げ、国民に政策を訴え抜きました。
 国内を見れば、少子高齢、人口減少という構造的変化の中、仕事や生活への不安、社会保障や地域コミュニティーの持続可能性の揺らぎ、頻発する自然災害の猛威へのおそれなど、容易に晴れない様々な課題が山積しています。一方、世界では、紛争や難民問題、無差別テロなど、人道上許し難い事態が続いています。
 しかし、未来は変えられます。これらの不安を取り除く希望を示し、実行し、そして結果を出していく、これこそが政治の使命です。公明党は、多様化する社会にあって、一人一人が輝き活躍できる社会を目指してまいります。
 この夏、台風十号を始め記録的な豪雨が相次ぎ、北海道、東北、九州などを中心に大きな被害をもたらしました。お亡くなりになった方々に哀悼の意を表し、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
 特に岩手県は、さきの東日本大震災と今般の台風による二重の被害に見舞われました。復興への意欲が損なわれないよう十分な支援を求めます。
 私は、甚大な被害に見舞われた北海道南富良野町に伺いました。苦心惨たんの末、丹念に作り上げた大切な大切な畑が一瞬で無残な姿になり果て、悔しさをにじませる農家の方の姿が忘れられません。水産業でも主要な輸出産品であるホタテ養殖で多大な被害が出るなど、廃業や後継者離れの不安も広がっています。
 政府は、被災地の強い要望を踏まえ、迅速な対応で被害の大きかった地域を激甚災害に指定したことは高く評価します。引き続き、被災者に寄り添い、一日も早い復旧と生活再建へ、被災された方々が将来に夢と希望が持てるよう最大限の支援を強く求めたい。総理の決意をお聞かせください。
 近年、日本での自然災害の多くに、これまでに経験したことのないという形容詞が付きます。北海道では、さきの台風により多くの川が決壊し、氾濫が起こりました。自治体が管理する二級河川は今般のような豪雨を想定した設計管理体制になっておらず、結果、被害の拡大につながったとの指摘もあります。
 日本全国、異常気象が頻発し、また、自然災害は局地化、集中化、激甚化しています。現在進めている自治体の国土強靱化地域計画の策定は継続して整備しつつも、さらに、今起こっている、あるいは起こりつつある気象環境の変化に対応した防災・減災対策を国と自治体が一体となって再構築していく必要があるのではないでしょうか。新たな防災・減災対策の必要性について、総理の答弁を求めます。
 東日本大震災から五年、復興は復興・創生期間へとステージが移りました。公明党は、これからも人間の復興に焦点を定め、新しい東北の未来を開くべく全力で取り組みます。
 福島については、浜通りの夢と希望の象徴である福島イノベーション・コースト構想を力強く進めていくことが福島再生の大きな原動力になります。廃炉技術の開発とロボット関連産業とともに、再生可能エネルギーや水素等の最先端エネルギー産業の集積も進め、そこから新たな産業振興や雇用創出につなげていくことも重要です。
 オリンピック・パラリンピックの舞台は、リオから二〇二〇年東京へと移ります。東京とはいっても、日本全国が舞台です。福島での野球、ソフトボールの試合開催を検討中とも伺っています。復興五輪に向け、東北再生を強く後押しすべきです。
 熊本地震からの復旧復興に向けても、引き続き、被災者に寄り添い、多様な状況に応じたきめ細かい支援に全力を挙げるよう求めます。
 以上、東日本大震災、熊本地震からの復興について、総理の決意を伺います。
 さて、安倍政権の最重要課題は経済の再生です。政権発足後、雇用と所得環境を中心に大きく改善されるなど、着実に回復へと向かっています。しかし、なお道半ばです。世界経済も、イギリスのEU離脱による不確実性の高まりなど、下振れリスクもあります。こうした状況を捉まえ、アベノミクスは失敗だったとの批判が聞かれますが、これは全く当たりません。
 経済再生の重要なキーワード、それは成長と分配の好循環です。成長だけ、分配だけでは循環しません。成長と分配が互いにかみ合って循環してこそ、経済と生活の結束が生まれます。アベノミクスによる成長の果実を分配に回す。その分配された果実を使い投資や消費などで経済を回す。それが更に成長を促す。この好ましいサイクルを今まさにつくり上げつつあるのです。
 一億総活躍社会の実現、働き方改革、第四次産業革命の活用などによる成長戦略、地方創生の本格化等々、消費税率引上げ再延期と併せ、経済再生へ総合的かつ一体的な取組が同時並行で進行中です。あわせて、デフレ脱却に向け、日銀の金融政策も政府と連携を密にしつつ適切に取り組んでいくことが重要です。まさにアベノミクスの加速化に向けた正念場です。与党として政府とともにこれらの改革を強力に推し進め、必ずや成果を出してまいります。
 安倍総理、これまでの経済政策による成果、そして、今後、成長と分配の好循環をつくり出すための取組について、金融政策も含め、答弁を求めます。
 経済再生を後押しする重要な柱が、さきに決定した事業規模二十八兆円を超える未来への投資を加速する経済対策です。そして、その実行のための第二次補正予算案です。速やかな成立と執行を強く期待します。
 三点、申し上げたい。
 第一には、消費税率引上げ時に実施予定であった社会保障の充実策の一つである無年金対策、すなわち年金受給資格の取得期間を二十五年から十年へと短縮する制度を来年度から導入することを決めました。まさに成長の果実を財源として活用し実現したものであり、安倍政権が赤字国債に頼るなどの無責任な財源論を取らない好事例とも言えましょう。
 第二には、日本経済を支える中小・小規模企業者に対する施策です。金融支援だけでなく、生産性の向上や革新的な商品開発、海外展開など新たな挑戦を後押しするものです。また、公明党の強い要望により、いわゆるものづくり補助金が追加計上されたことは高く評価します。
 第三には、リニア中央新幹線など大型公共事業のみならず、生活密着型インフラの整備が重要な柱として位置付けられました。ホームドア、エレベーターなど鉄道駅のバリアフリー、上下水道、浄化槽の整備、開かずの踏切対策など、地域のニーズに応じた施策が展開されるとともに、地域の経済活性化にも資するものと考えます。
 このように、今般の経済対策、補正予算案は、成長の果実を活用し、家計、中小企業、地方への分配によって、未来に向かって大きな経済効果をもたらす重要なものと考えます。総理の答弁を求めます。
 アベノミクスによる大きな成果は、賃金の大幅な上昇と雇用環境の改善です。この流れを維持、加速化する一方、人手不足という新たな課題の解決への取組も大切です。
 まず第一に指摘したいのは、成長戦略の加速です。
 今年まとめた日本再興戦略二〇一六を実効あるものとするため、明確に焦点を定め、工程に沿って、絶えずPDCAサイクルを回しつつ、官民一体での取組を加速し、着実に成果を出していくことが重要です。
 ロボット、人工知能、ビッグデータ、IoTといった技術は、私たちの想像を超えるスピードで進展しています。いわゆる第四次産業革命という世界の流れに我が国が乗り遅れることは許されません。こうした技術は、人口減少に伴う供給制約や人手不足を克服するための生産性革命にも通じます。例えば、人手不足に悩む介護の現場。介護離職の要因の一つが要介護者のケアなどの重労働です。こうした負担もロボットの導入で大幅な軽減が期待できます。国、自治体、企業、大学、そして現場が一体となり、実用性のある機器の開発を加速していくべきです。第四次産業革命に向けた総理の決意を伺います。
 第二は、働き方改革です。
 次代を担う若者が安定した就労によって将来設計を描くことができる。子育てや介護に奮闘する現役世代が安心と希望を持つことができる。年齢や障害にかかわらず、意欲と能力に応じて多様な選択肢が提供される。こうした働き方の実現こそ、一人一人が持つ力を最大限に発揮し、希望に応じて活躍できる社会を構築するために必要不可欠です。また、それは、これからの日本社会の活力と持続的な成長を生み出す源泉であると考えます。
 そこで強調したいのは、女性や若者の活躍を後押しする施策の充実です。安倍総理は、非正規という言葉をこの国から一掃しようと呼びかけられました。そのとおりです。政府・与党、力を合わせて実現を目指します。
 非正規から正規への流れをつくり出すためには、働く人の実情に沿ったきめ細かな支援策が不可欠です。例えば、非正規で働く人のキャリアアップにつなげる能力開発の機会を拡大し、希望する仕事や職種に就けるように支援を強化すべきです。また、子育てや介護などで人生の途上で仕事上のキャリアが断絶してしまわないよう、テレワークなど柔軟な働き方の導入促進や再雇用、復職ができるような支援に配慮すべきです。
 高齢者の雇用促進も欠かせません。現在、法的には六十五歳までの雇用確保措置があります。さらに、来年一月からは六十五歳以上の高齢者も雇用保険が適用されるようになります。今後、さらに元気な高齢者が活躍できるよう環境整備を進めていくべきです。
 他方、高齢者雇用の現実は、求職希望に対し実際就職できたのは四分の一程度にとどまっています。高齢者の特性を踏まえたきめ細かな再就職支援が大きな課題です。高齢者の再就職を支援する生涯現役支援窓口の設置促進、シルバー人材センターの機能強化など、相談、マッチング、雇用の場の拡大への取組を一層強化すべきです。
 女性、若者、高齢者、障害者、全ての人が活躍できる働き方改革の実現に向けた総理の答弁を求めます。
 第三には、本格的な実行段階に入る地方創生についてです。
 各自治体が策定した地方版総合戦略には、地域資源や地域の特色に着目したユニークな施策が数多く盛り込まれています。地方の取組を更に定着、発展させるため、国による財政面、ソフト面など幅広い継続的支援が不可欠です。中でも、地域を支える人材、人手不足は地方の方が深刻です。若者が大都市に流出するという経済社会構造を転換する抜本的な対策が必要です。
 政府機関を一部地方に移転する取組に加え、企業の本社機能を地方に移転することは、新たな雇用を生み出します。その促進のため、税制を含めた措置の拡充を検討すべきです。あわせて、地方にいても十分に働けて生活ができるよう、働き方改革などの制度改革も急ぐべきと考えます。
 第四には、中小・小規模企業への支援についてです。
 アベノミクスの大きな成果である賃上げは、中小・小規模事業者にも広がってきました。しかし、売上げや収益が伸びず、賃上げができない、あるいは賃上げするにしても無理を通して取り組んでいる経営者の方々も多くおられます。生産性向上、経営力強化への支援はもちろん、賃上げができる環境を整えるための様々な施策を講じていくべきです。
 例えば、補正予算では、小規模事業者を対象とした持続化補助金について、賃上げを実施した場合は上限百万円まで補助する措置が盛り込まれました。こうしたきめ細かな対策が求められます。
 中小・小規模事業者の生産性向上、経営力強化について、総理の答弁を求めます。
 下請対策も重要です。親企業による不適正な取引行為は正されるべきです。
 下請取引適正化については、公明党も提言を取りまとめるなど政府・与党一体で取り組み、様々な改善を進めてきました。先般公表されたパッケージ策でも下請代金法の運用強化や下請ガイドラインの充実などの我が党の主張が示されており、今後、取引慣行の改善の加速化が期待されます。下請対策の取組について、世耕経済産業大臣の答弁を求めます。
 私が総理とともに成長と分配の好循環をなぜ強調するのか。それは、成長の好循環だけでは貧困や格差を解消できないからです。
 特に、未来の宝である子供たちへの支援は国の重要な責務です。しかし、現実には家庭の経済事情による教育格差が大きな課題となっています。経済状況が厳しい家庭で育った子供が満足な教育を受けられず進学や就職のチャンスを失う、そして自らも貧困に陥ってしまう。こうした貧困の連鎖を断ち切らなければなりません。そのため、教育の機会均等の確保、特に教育費負担の軽減は極めて重要です。
 これまで公明党は、奨学金の拡充に力を注いできました。安倍総理は、来年度の給付型奨学金の創設、そして、無利子奨学金も成績にかかわらず必要とする全ての学生が奨学金を受けられるようにする旨、明言されました。確実な実現を求めます。
 さらに、大学授業料の免除枠の拡大に取り組むとともに、幼児教育の段階的無償化、高校生等奨学給付金の拡充等により、全ての子供が希望すれば大学まで進学できる仕組みを構築していくべきです。また、学校をプラットフォームとした子供の貧困対策、学習支援などにも力を入れていただきたい。
 子供が抱える問題は多様です。きめ細かな学習指導とともに、学校を窓口とした福祉関連機関等との連携を強化するためにスクールソーシャルワーカーの配置を拡充するなど、支援策を強化すべきです。
 以上、教育格差の是正、子供の貧困対策について、総理の答弁を求めます。
 子育て支援に関しては、保育所等の整備や保育士の処遇改善など強力に推進してきました。しかしながら、まだ待機児童問題は解消されていません。待機児童ゼロへの取組を更に加速化すべきです。
 二〇一四年度中に無理心中以外の虐待で亡くなった子供は四十四人。そのうちゼロ歳児が六割以上を占めています。望まない妊娠をした母親が孤立したまま出産し虐待につながった、残念ながらこうしたケースは少なくありません。増え続ける児童虐待対策の強化も待ったなしです。
 私は、これまで妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援策を担う日本版ネウボラの全国展開の必要を訴えてきました。子育てに不安を抱える母親の心を和らげ、それが出生率の増加や児童虐待の防止、減少に確実につながるという確かな効果があります。NPO等、民間団体との連携の強化を含め、子育てを地域ぐるみで支える体制を整備すべきです。
 児童虐待対策、地域で育む子育て支援策の整備について、総理の答弁を求めます。
 地域のコミュニティーを基軸にした安全、安心の優しい町づくりを進めていかなければなりません。
 先日、地下鉄駅で視覚障害者の方が駅のホームから転落し死亡する痛ましい事故が起きました。駅にホームドアが設置されていれば防げた事案です。ホームドア設置にはコストや扉の位置の兼ね合いなどの課題がありますが、これらを解決する新たなホームドアの実用化も進んでいます。駅などの公共施設に関しては、高齢者や障害者だけでなく多くの人にとって使いやすいユニバーサルデザインに改めることは、これからの公共事業の重要な視点の一つと言えます。
 住宅対策の見直しも検討すべきです。
 空き家対策は、法整備も含め進んでいますが、依然、人口減少、高齢化の中で空き家は増加し、結果、地域のコミュニティーも停滞しています。地域の活性化の視点から、空き家問題も含めた住宅政策の見直しが急がれます。あわせて、若者が家を持てるよう、住宅セーフティーネットの構築なども進めるべきと考えます。
 以上、公共事業の在り方、住宅政策について、石井国土交通大臣の答弁を求めます。
 安倍総理は、自ら積極的に世界各地に赴き、地球儀を俯瞰する外交を展開しています。
 参議院選挙後の二か月で地球を三周。ASEM首脳会合に始まって、先週の国連総会、キューバ訪問に至るまで、国際会議、二国間での首脳会談など精力的に外交活動を展開されてきました。また、今年は、G7議長国として一連の閣僚会合も含め成功裏に終了し、その責務を果たしたものと評価します。
 安倍政権になり、世界の中での日本の存在感は格段に高まりました。更に外交力を高めていくべきです。
 さて、核・弾道ミサイル技術の進展を伴う北朝鮮の挑発行為は、地域の安全保障環境の不安定化を招くだけでなく、国際社会の平和と安全に対する重大な挑戦です。国際社会が一致して累次の安保理決議に基づく制裁措置の完全履行や、新たな非難と実効性を伴う安保理決議の早期採決は非常に重要です。
 安倍総理は国連総会で、既往に一線を画す対応をもってこれに応じなくてはならない、力を結集し、北朝鮮の計画をくじかなくてはならない、安保理が新次元の脅威に対し明確な態度を示すべきときと強く訴えられました。また、キューバ訪問の際にも、核、ミサイル、拉致といった諸問題の解決への協力を要請されました。国際社会が一致して対処することが重要です。
 北朝鮮の暴挙に対し、政府としてどう対峙していくのか、総理の答弁を求めます。
 本年五月、オバマ大統領が現職のアメリカ大統領として初めて広島を訪問されました。我が党も微力ながら大統領の被爆地訪問実現への取組を進めてきたところであり、大変に感慨深いものがあります。核兵器のない世界を日本とともに目指していく、この力強いオバマ大統領の演説は歴史的意義を持つものです。
 また、安保理は、今月二十三日、核実験を全面的に禁じる包括的核実験禁止条約、すなわちCTBTの早期発効を求める決議を採択しました。
 今こそ、核兵器のない世界、核廃絶への流れを強めるチャンスです。唯一の戦争被爆国として、核不拡散体制の強化はもちろん、核保有国と非保有国の橋渡し役を積極的に務め、核廃絶に向けて具体的な措置を積み重ねる、こうした地道な取組が核兵器禁止条約を含む様々な法的枠組みの実現につながるものと考えます。
 第六回アフリカ開発会議が、初めてアフリカで開催されました。採択されたナイロビ宣言には、人間の安全保障の考え方の下、質の高いインフラ投資や気候変動・防災対策などが盛り込まれ、公明党も重視している持続可能な開発目標、すなわちSDGsの達成に向けて大きな弾みとなりました。今後の取組として、政府のSDGs推進本部の下、NGOや民間部門とも連携し、国外のみならず国内対策も含めた指針を策定し、国際社会をリードしていくことが重要です。
 以上、核兵器のない世界の実現、SDGs達成に向けた取組について、総理の見解を求めます。
 先般、私は、党訪問団として、パナマ、コロンビア、キューバの中南米三か国を訪問しました。政府間外交ではない政党・議員間交流は、人と人との信頼をつなぎ、平和の礎を築く力を持っています。公明党は、これからも政党交流を積極的に進める決意です。
 特に、キューバについては、安倍総理の親書を携えて訪問し、要人との有益な対話を重ねてきました。この度、総理は、日本の総理として初めてキューバを訪問され、医療機材に係る新たな無償資金協力で合意するなど両国間の重要な礎を築かれました。今後、更に民間を含めた経済協力の拡大など両国関係の強化に力を注ぎ、この地域の安定化に貢献していただきたいと思います。
 また、安倍総理は、コロンビアのサントス大統領とも会談されました。同国は、半世紀以上続いた内戦に終止符が打たれ、今後、平和の定着と経済の発展が大きな課題です。私と会談した折も、平和の定着に向けた対人地雷の除去支援など我が国の貢献に謝意を表し、今後の支援に期待を示しました。我が国の技術と実績を生かして、更に積極的な支援、協力を強化すべきと考えます。
 キューバ、コロンビア両国との関係強化と中南米地域の安定化について、総理の見解を求めます。
 人道にもとる卑劣なテロは到底容認できず、国際社会はこれに屈してはなりません。
 二〇二〇年の東京五輪。世界一安全な国、日本をつくるためのテロ対策は待ったなしの課題です。国際組織犯罪防止条約は、二〇〇三年、国会で、自民党、当時の民主党、公明党、そして共産党が賛成し、承認されました。しかし、先進国の中では、我が国だけが締結には至っていません。日本として、テロとの闘いを進める国際的な連携に不安はないのでしょうか。テロは世界各地で頻発し、残念ながら日本人の犠牲者も出ています。
 二〇二〇年東京五輪を含め大きな国際行事を控える我が国において、テロ対策はどうあるべきか、総理の見解を求めます。
 昨年末、COP21において、全ての国が温室効果ガスの削減に取り組む国際的な枠組みであるパリ協定が採択されました。今月三日には、排出量世界第一位の中国、第二位のアメリカがそれぞれ批准しました。また、パリ協定の発効の要件の一つである五十五か国以上の締結手続は達成され、年内発効に向け、排出量第六位の日本の動向に強い関心が集まっています。
 日本は、先進国として、地球温暖化という深刻な課題に断固たる決意で立ち向かうという明確な意思表示をすべきです。そのため、今国会での承認と批准手続を進めるべきです。また、環境先進国として、途上国に対する支援も併せて強化していくべきです。
 地球温暖化問題への取組に対する総理の答弁を求めます。
 最後に一言申し上げます。
 安倍政権発足から三年九か月。政治の安定の上に立って、政策を着実に前へと進める。さきの参議院選挙も含め、国民の皆様から自民、公明の連立政権に大きな支持をいただきました。
 これからも、多様な民意、ニーズを受け止める一翼を担う与党として、公明党は、更にその力を発揮し、山積する政治政策課題に真正面から取り組み、政府と一体となって国民の政策を着実に実現してまいることをお誓い申し上げ、私の代表質問とさせていただきます。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山口那津男議員にお答えをいたします。
 一連の台風被害からの復旧復興についてのお尋ねがありました。
 私自身、九月十四日に被災地を視察し、甚大な被害を目の当たりにするとともに、被災者の皆様の大変な御苦労を直接伺い、復旧復興に向けた決意を新たにいたしました。特に、今般の豪雨、台風は、東日本大震災からの復旧復興に懸命に取り組んでいる岩手県に大きな被害をもたらしました。
 北海道や東北地方を襲った一連の災害を激甚災害に指定し、広範な分野で財政支援等の特例措置を講じたところですが、今後も、被災された方々が将来に夢と希望が持てるよう、道路、河川などのインフラ復旧、被災者の住宅再建、農林水産業、観光産業などの再建について、地元自治体と緊密に連携しつつ、被災地の方々の気持ちに寄り添い、ソフト、ハードの両面からできることは全て行うとの方針で、スピード感を持って全力で取り組んでまいります。
 新たな防災・減災対策の必要性についてお尋ねがありました。
 これまで何十年に一度とされてきた大規模な災害が近年は全国各地で毎年のように発生しており、今後も気候変動の影響により、台風の強大化、豪雨頻度の増加等、自然災害の更なる大規模化が懸念されています。
 このような事態を踏まえ、社会全体で自然災害に備えるべく、河川の氾濫を防ぐ対策だけでなく、氾濫した場合にも被害を軽減する対策の導入や、地域住民への水害リスクや取るべき避難行動の周知等の総合的な取組を地方自治体と一体となって推進してまいります。今後とも、国民の生命と財産を守るため、過去の災害で得られた貴重な教訓を決して無にすることなく、防災・減災対策に万全を期してまいります。
 東日本大震災、熊本地震からの復興についてのお尋ねがありました。
 東日本大震災からの復興に向け、必要なことは全てやり遂げるという強い決意の下、切れ目のない被災者支援や住まいと町の復興、なりわいの再生を進めてまいります。
 福島では、廃炉やロボット産業等の重点分野を中心に浜通り地域に新たな産業集積を生み出していく福島イノベーション・コースト構想や、福島を再生可能エネルギーや水素社会実現の先駆けの地とする福島新エネ社会構想を着実に推進することにより、被災地域の復興を加速してまいります。
 東京オリンピック・パラリンピックは、被災地が復興を成し遂げつつある姿を世界に発信する絶好の機会です。復興五輪に向け、被災地の自治体の声も十分に伺いながら、東北の復興を加速してまいります。
 東北の復興なくして日本の再生なし。あの大震災、困難の日々を胸に刻みながら、被災地の皆さんと力を合わせ、新しい東北の未来を切り開いてまいります。
 熊本地震からの復興については、インフラの復旧や住まいの確保、なりわい、産業の復興をきめ細やかに推進するため、第二次補正予算案に約四千百三十九億円を計上しているところです。
 できることは全て行うという決意の下、被災者に寄り添いながら、政府一丸となって一日も早い被災者の生活再建、被災地の復旧復興に全力を挙げてまいります。
 これまでの経済政策による成果と成長と分配の好循環についてお尋ねがありました。
 政権交代後、アベノミクス三本の矢によって、二十年間続いたデフレからの脱却にチャレンジし、もはやデフレではないという状況をつくり出すことができました。名目GDPは三十三兆円増加し、税収は国、地方合わせて二十一兆円増えています。
 この流れをより確かなものにするため、御党にも御協力をいただき、事業規模二十八兆円を超える経済対策を決定し、補正予算を編成しました。本臨時国会で早期成立を図り、内需を力強く下支えするとともに、未来への投資を大胆に行っていきます。
 引き続き、政府、日銀は緊密に連携しながら、あらゆる政策を総動員して、デフレ脱却、そして力強い成長を目指していきます。そして、経済成長の果実も生かして、子育て支援や介護離職ゼロに向けた取組など社会保障の充実を行うことにより、安心できる社会基盤を築き、その基盤の下に更に経済を成長させていくという成長と分配の好循環をつくり上げていきます。
 経済対策、補正予算についてお尋ねがありました。
 今般の経済対策は未来への投資をキーワードにしており、当面の需要喚起にとどまらず、民需主導の持続的な経済成長と一億総活躍社会の着実な実現につながる施策を中心としています。
 年金受給資格期間の二十五年から十年への短縮については、御党から強い御要望をいただいておりました。無年金の問題は喫緊の課題であることから、受給資格期間の十年への短縮の早期実現を行うことといたしました。来年八月の施行を考えており、これにより、十月から確実に受け取れる予定であります。
 また、物づくり、サービス産業等における革新的な開発の支援を行うことなどにより、中小企業・小規模事業者の経営力強化、生産性向上を図ります。
 さらに、地方創生の観点から、鉄道立体交差化やホームドアの設置、無電柱化の促進等、地域のニーズに応じた生活密着型インフラの整備により、地域生活の質の向上を図ります。
 本臨時国会で補正予算の早期成立を図り、内需を力強く下支えするとともに、未来への投資を大胆に行っていきます。
 第四次産業革命に向けた決意についてお尋ねがありました。
 ロボットからビッグデータ、AIまで、近年目覚ましく進展しているデジタル技術を活用する第四次産業革命を実現していきます。工場、介護、農業など多様な現場において、これまで自動化できていなかった作業を代替できる新たなロボットの開発、導入を支援してまいります。例えば、軟らかい食材でも扱えるロボットが既に開発されており、今後、そのロボットの導入が進めば食品産業を人手不足から解放できるようになります。
 第四次産業革命を実現し、国民生活を豊かにしながら企業の生産性を向上させます。未来投資会議を中心に、私が先頭に立ち、必要な改革を断行していきます。
 全ての人が活躍できる働き方改革の実現についてお尋ねがありました。
 御指摘のように、女性も男性も、若者も高齢者も、障害や難病のある方も、あらゆる場で誰もが活躍できる、言わば全員参加型の社会を構築することが必要です。
 一億総活躍社会の実現に向けた最大の鍵は働き方改革であります。働く人の立場に立った改革を進め、意欲ある方々に多様なチャンスを生み出す労働制度の大胆な改革を進めます。
 長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性なども仕事に就きやすくなります。同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望が持てるようにしなければなりません。また、一人一人のニーズに合った多様なライフスタイルと仕事を両立させるため、テレワークなど柔軟な働き方を広げていきます。
 高齢者の雇用促進も重要です。六十五歳以降の継続雇用延長や六十五歳までの定年延長を行う企業などに対する支援やハローワークにおける再就職支援の強化に努めてまいります。
 働き方改革実現会議で、各般にわたる労働制度の改革プラン、働き方改革実行計画を今年度内に取りまとめ、スピード感を持って実行していきます。
 中小・小規模事業者の生産性向上、経営力強化についてお尋ねがありました。
 景気回復の実感が全国津々浦々に届くためには、中小企業・小規模事業者が持続的に賃上げをできるようにならなければなりません。このため、取引条件の改善に加え、生産性向上、経営力強化の支援に取り組んでまいります。
 今般の経済対策では、革新的な物づくり、サービスの開発のための事業において、IT化による業務効率化や設備投資による生産性向上などを支援することとしました。
 販路開拓を支援する小規模事業者持続化補助金においては、賃上げを行う事業者について補助上限を倍増し、百万円とすることにしました。キャリアアップ助成金では、中小企業において、有期契約労働者等の賃金規定を改定し、三%以上増額した場合、処遇改善に係る助成額の加算を行います。
 従業員を大切にし、生産性向上、経営力強化に意欲的に取り組む中小企業・小規模事業者を引き続き全力で応援してまいります。
 教育格差の是正等についてお尋ねがありました。
 子供の未来が家庭の経済事情によって左右されるようなことがあってはなりません。政府としては、これまでも幼児教育の無償化の段階的推進、奨学金制度の充実、授業料免除の拡大などに取り組んできたところであります。
 また、給付型奨学金については、平成二十九年度予算編成過程を通じて、制度内容について結論を得、実現いたします。教育費負担軽減に向けて、スピード感を持って取り組んでまいります。
 また、子供たちが抱える多様な課題を克服し、社会で自立できるよう、学校の指導体制の充実確保や、教員の資質、能力の向上、スクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフの参画も得たチーム学校の構築を図り、学校をプラットフォームにした子供の貧困対策、学習支援の充実を進めてまいります。
 児童虐待防止対策や地域の子育て支援策についてのお尋ねがありました。
 児童虐待によって幼い子供の尊い命が失われる事件が依然として発生しており、事件の報道に接するたびに心が痛みます。
 児童虐待の発生を効果的に予防するため、妊娠期から子育て期の不安を解消してまいります。地域において子育て家庭を切れ目なく支援する子育て世代包括支援センターを法律に位置付け、全国展開を進めているところです。あわせて、NPOを始めとする多様な主体が参画して、子育てを地域で支える体制づくりを進めてまいります。具体的には、子育て中の親やその子供たちが相互に交流し、相談を受けられる場として地域子育て支援拠点を整備していきます。
 子供が助けを得られず、虐待されている事態を全力で防ぎ、全ての子供が健やかに育つことができるよう全力で取り組んでまいります。
 北朝鮮の核・ミサイル問題についてお尋ねがありました。
 北朝鮮の核実験及び弾道ミサイルの発射は許し難い暴挙であり、断じて容認できません。今回の核実験は相次ぐ弾道ミサイル発射と相まって新たな段階の脅威であり、これに対する対応も全く異なるものでなければなりません。北朝鮮に対して、このまま核やミサイルの開発を続けていけば、ますます国際社会から孤立し、その将来を切り開くことができないということを理解させなければなりません。
 我が国は、非常任理事国として、各国による安保理決議の厳格な履行の確保及び新たな安保理決議の採択に向け、米国、韓国、中国、ロシア等と緊密に連携しながらリーダーシップを発揮してまいります。北朝鮮への人、物、資金の流れを厳しく規制する新たな安保理決議、そして我が国独自の措置により断固たる対応を取っていく決意であります。
 核、ミサイル、そして引き続き最重要課題である拉致問題に関し、北朝鮮が問題の解決に向け具体的行動を取るよう強く求めてまいります。
 核兵器のない世界の実現に向けた取組についてお尋ねがありました。
 我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向け、国際社会の取組をリードしていく使命を有しています。五月にオバマ大統領が広島を訪れ、核兵器のない世界に向けて発信したことは、その実現に向けた大きな力になったと思います。今月には、御指摘のとおり、我が国が共同提案国となり、包括的核実験禁止条約の早期発効を求める安保理決議が採択され、核兵器のない世界の実現に向けた機運を高めるものとなりました。
 今後も、核保有国と非保有国の橋渡し役として双方に協力を求めることなどを通じ、核兵器のない世界の実現に向けた取組を積極的に進めてまいります。
 持続可能な開発目標の達成に向けた取組についてお尋ねがありました。
 持続可能な開発目標には、我が国が国際社会に示してきた人間の安全保障の理念が反映されており、政府としては、目標の達成に向け率先して取り組んでまいります。この観点から、五月に私自身を本部長とする持続可能な開発目標推進本部を立ち上げ、NGOや民間企業を始めとする広範な関係者との意見交換を行いながら、国内実施と国際協力の両面における実施指針の策定を進めているところです。
 公明党は、人間の安全保障や持続可能な開発目標に関して積極的に貢献されてきており、敬意を表します。今後とも、我が国が持続可能な開発目標の達成に向けて国際社会をリードすべく、政府一丸となって取り組んでまいります。
 キューバ、コロンビア両国との関係強化と中南米地域の安定化についてお尋ねがありました。
 山口代表には、今月、キューバ、パナマ、コロンビアを訪問いただくなど、政党・議員間交流を促進する観点から諸外国との関係強化に尽力いただいており、感謝いたします。
 キューバには、日本の総理大臣として初めての訪問となりました。経済協力を本格化させ、同国の旺盛な成長需要に対し官民一体となって応えてまいります。また、非同盟諸国の中で影響力を有するキューバと国際社会の諸課題に協力して取り組んでいく所存です。
 コロンビアに対しては、我が国はこれまで和平プロセスの進展を一貫して支持してきました。さきの首脳会談では、最終和平合意達成への祝意をサントス大統領に直接伝えました。地雷除去分野での協力を始め、新たな国づくりに引き続き積極的に貢献し、二国間関係の増進に努めてまいります。
 中南米地域は、基本的価値を共有し、国際社会の平和と繁栄のために共に貢献する重要なパートナーであります。経済の結び付きを一層深め、グローバルな課題解決に向けて話し合い、人と人との交流の拡充を通じて中南米地域の安定と発展に引き続き貢献していく所存であります。
 テロ対策についてお尋ねがありました。
 テロが世界各地で発生し、日本人も犠牲となる中、我が国は東京オリンピック・パラリンピックの開催を四年後に控えており、テロ対策は最重要課題の一つであると認識しております。
 テロの未然防止対策の要諦は情報にあります。そのため、政府においては、官邸直轄の国際テロ情報収集ユニットを新設し、国際社会と緊密に連携して、情報収集、分析を強化するとともに、水際対策の徹底、重要施設やソフトターゲット等に対する警戒警備の強化等、総合的なテロ対策を強力に推し進めております。
 御指摘のとおり、日本がグローバルに活動する時代にあって、機微な情報の共有など、具体的な連携の重要性はますます増大しています。既に百八十七か国・地域が締結し、G7では、我が国のみが締結していない国際組織犯罪防止条約を締結し、国際社会と協力してテロ組織による犯罪と闘うことは極めて重要な課題であると認識しておりますが、同条約を締結するための法整備については、これまでの国会審議における議論を踏まえ、国民の理解を得る努力を行いながら取り組んでまいります。
 いずれにせよ、テロの未然防止対策については、官邸が司令塔となり、政府の総力を挙げて強力に取り組んでまいります。
 パリ協定及び気候変動に関する途上国支援についてお尋ねがありました。
 パリ協定は、史上初めて全ての国が参加する公平かつ実効的な枠組みであり、政府としては、気候変動という国際社会の深刻な課題への対応に最大限貢献していくとの立場から、パリ協定の早期発効を重視しています。必要な準備、調整が整い次第、パリ協定を今国会に提出し、迅速な締結に向け、全力を尽くしてまいります。
 途上国に対する支援については、防災インフラ、水の確保等を始めとする日本の得意分野を念頭に、昨年のCOP21サミットにおいて表明した二〇二〇年における官民合わせて約一兆三千億円の途上国支援を着実に実施してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣世耕弘成君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(世耕弘成君) 下請対策の取組についてお尋ねがありました。
 下請等の中小企業が賃上げできる環境を整備するための対策として、公明党の御提言も踏まえて「未来志向型の取引慣行に向けて」を取りまとめました。
 まず、本来は親事業者が負担すべき費用等を下請事業者に押し付けることがないように年内をめどに関係法令の運用を強化し、徹底していきます。
 具体的には、公正取引委員会に協力をして、下請代金法の運用基準における違反行為事例を追加し、未然防止を図ります。また、下請振興法の振興基準や下請ガイドラインを見直し、親事業者に対して適正取引や取引先の生産性向上への協力を求めてまいります。
 加えて、サプライチェーン全体での取引適正化と付加価値向上に向けて、産業界に対して自主的な行動計画の策定を要請しており、既に自動車工業会からは応諾をいただいているところです。今後、ほかの業界にも広げてまいります。
 アベノミクスの恩恵が全国津々浦々に浸透するよう粘り強く取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣石井啓一君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(石井啓一君) 駅などの公共施設のユニバーサルデザイン化についてお尋ねがございました。
 まず、先般の地下鉄における事故に関しましては、駅ホームにおける安全性向上のための検討会を設置をいたしまして、年内をめどに、ホームドア整備の加速化や視覚障害者への誘導案内の強化など、ハード、ソフト両面からの転落防止対策の強化を検討しております。
 世界でも類を見ない超高齢化社会を迎える我が国にとりまして、高齢者、障害者等の方々が自立して生活を送れるよう、公共施設を始めとするユニバーサルデザインの町づくりを進めていくことは重要な課題の一つとして認識をしております。このため、国土交通省といたしましては、バリアフリー法等に基づきまして、鉄道、道路等の分野ごとに数値目標を設定し、各種事業を通じてその達成に向けて取組を進めております。
 今後とも、公共施設などのユニバーサルデザイン化に向けて精力的に取り組んでまいります。
 住宅政策についてお尋ねがありました。
 本年三月、これまでの住宅政策を見直し、今後十年間の住宅政策の基本的な指針となる新たな住生活基本計画を閣議決定いたしました。これを受けまして、空き家対策につきましては、利用できるものは利用し、除却すべきものは除却するとの考えの下、地域の活性化の観点から総合的に取り組んでまいります。昨年五月に全面施行されました空家等対策の推進に関する特別措置法を最大限活用しつつ、市町村による空き家の計画的な活用、解体を促進をしてまいります。
 また、住宅セーフティーネットの構築につきましては、御指摘の若者世帯など住宅確保に特に配慮を要する方々の居住の安定の確保に向けまして、民間賃貸住宅や空き家等を活用した新たな住宅セーフティーネットの創設に向けた検討を行ってまいります。さらに、子育て世帯等が安心して住むことができるよう良質な既存住宅の流通についても促進をしてまいります。
 こうした取組を含めまして、新たな住生活基本計画に基づく施策を着実に推進してまいります。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(伊達忠一君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
#9
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問をいたします。
 まず、熊本地震の被災者の皆さん、一連の台風、大雨、洪水被害に遭われた各地の皆さんに心からお見舞い申し上げるとともに、被害からの復旧と生活、なりわいの再建のために政治が全力を尽くすことを強く政府に求めます。とりわけ、全ての復旧復興の基礎である住宅の再建については、被災者生活再建支援法を抜本的に改正し、対象を広げ、支援額を五百万円に引き上げることを求めます。
 今国会は、参議院選挙後最初の論戦の場となります。
 今回の参議院選挙では、戦後初めて野党と市民が全国的規模で選挙協力を行うという歴史的な選挙となりました。この議場には、全国三十二の一人区のうち、三分の一を超える十一の選挙区で勝利された市民と野党の共同の議員がおられます。
 この歴史的状況をつくり出したのは、安保法制、戦争法に反対する闘いを通じて多くの人々が主権者としての強い自覚を持って立ち上がり、自分たちの政治だから自分たちで担う、野党は共闘と主張した昨年来、全国で沸き起こった、日本の歴史でも初めての市民革命的な動きでした。そして、総理、そのうねりを生み出す原因をつくったのが、安倍政権が進める立憲主義と憲法破壊の強権政治だったのです。
 安保関連法に反対するママの会の方は、安保関連法を廃止にから始まったママの運動でしたが、与党、野党の議員と懇談を重ねる中で、安保法制が沖縄の基地問題やTPPなど本当にいろんな問題とつながっていることに気付きました、選挙で勝って政治を変えることが全ての解決に向かう一歩だと気が付いたのですと語っておられます。安倍政権の暴走が続く限り、このうねりは更に大きくならざるを得ないであろうことを指摘しておきます。
 四野党は、党首合意の上に、第一、安保法制の廃止、立憲主義の回復、第二、アベノミクスによる国民生活の破壊、格差と貧困の拡大の是正、第三、TPPや沖縄問題など国民の声に耳を傾けない強権政治を許さない、第四、安倍政権の下での憲法改悪反対という共通政策の柱を確認しました。
 総理は、この道を前へが国民の声だと述べられました。しかし、野党と市民が国民的大義のある共通政策を掲げたのに対して、選挙戦を通じて、この道が何か具体的には何も語られませんでした。語られたのは、アベノミクスのエンジンを吹かすということと野党に対する野合批判ばかりでした。
 あなたが語らなかった、そして所信表明でも触れられなかったのが戦争法の具体化であります。
 今、自衛隊が派遣されている南スーダンPKOは、首都ジュバでの大統領派と副大統領派による大規模な戦闘の発生など情勢の悪化の中で、その性格を更に大きく変えてきています。国連安保理は八月、地域防護部隊四千人の増員を決め、この部隊の権限について、事実上の先制攻撃を認めました。いよいよ日本の自衛隊が参加する条件はなくなったと言うべきではありませんか。南スーダンが内戦状態でないなどと言っているのは、世界の中で安倍政権ぐらいであります。
 ところが政府は、南スーダンPKOへ派遣する自衛隊に駆け付け警護や宿営地共同防衛の新たな任務を加え、その任務遂行のための武器使用も認めようとしています。そんなことになれば、自衛隊員が殺し殺される危険が現実のものになりかねません。既に、十一月に派遣予定の青森市に駐屯する東北方面隊傘下の第九師団第五普通科連隊では派遣準備訓練が開始されています。家族や関係者からは、息子がいつ戦地に行くかと思うだけでも気が狂いそうになる、人様のわらしさ犠牲にする安倍首相は絶対に許せねえなどの悲痛な声が上がっています。総理はこの声にどう応えるのですか。こんなおどろおどろしいことを実行しようとしているのが安倍政権ではありませんか。
 南スーダン派遣部隊への新任務の付与と武器使用の拡大は、海外での武力行使を禁じた憲法九条に明らかに違反します。自衛隊を南スーダンから撤退させ、非軍事の人道支援、民生支援を抜本的に強化すること、これこそ憲法九条を持つ日本が世界に誇れる国際貢献ではありませんか。答弁を求めます。
 総理は、所信表明で、世界経済は今、大きなリスクに直面していますと述べられました。しかし、総理、今、危機とリスクに直面しているのは日本経済と国民の暮らしではありませんか。そのことは、政府が総額二十八・一兆円もの大規模な経済対策を打ち出さざるを得なかったことによっても自ら証明しています。しかも、その中心を占めるのは、リニア新幹線建設への公的資金投入など大型開発事業へのばらまきであります。こういうやり方は、経済効果が乏しく、財政を借金漬けにするとして、歴史的にその失敗が証明済みのものではありませんか。
 日本経済の実態はどうなっているか。民間消費支出が名目で〇・一%低下、家計消費支出はほぼ一年にわたって前年比マイナスが続いています。日本経済新聞の日本の主要大企業へのアンケート調査によると、日本経済は横ばいが七八・九%、その理由として個人消費の伸び悩みを挙げた人は実に八二・八%に上りました。
 問題ははっきりしているんです。大企業や大資産家が利益やもうけを増やしさえすれば、いずれ国民経済に回ってくるというアベノミクスの破綻を認め、国民の暮らしを土台から温める経済政策にチェンジすることこそ唯一最大の経済政策ではありませんか。
 日本共産党は、そのために、第一、所得や資産など負担能力に応じた負担の原則に立って大資産家や大企業にその能力に応じた負担を求める改革を進める、第二、集まった税金は大型開発へのばらまきをやめ、社会保障、若者、子育てに優先して使う、第三、人間らしく働けるルールへとチェンジするという三つのチェンジを提案しています。
 ところが、安倍政権は、見当違いの経済対策を打ち出すだけではなくて、社会保障の全面的な削減に踏み出そうとしています。これは、国民への負担増と生活不安、将来不安を一層募らせ、民間消費、個人消費を活性化させるという、求められる経済政策とは完全に逆行する最悪の政策と言わなければなりません。
 中でも、介護保険の改悪は許し難いものであります。
 総理が議長を務める経済財政諮問会議は、介護保険の生活援助サービスについて、軽度者に対する給付の見直しや地域支援事業への移行を含め検討を行うことを打ち出しました。既に要支援一、二は介護保険の対象から外されています。加えて、要介護一、二まで保険給付の対象外としたり、給付を薄くすれば、要介護、要支援と認定された人の実に六五%がまともな給付を受けられなくなります。まさに保険あって給付なし、国家的詐欺と言われても仕方がないではありませんか。
 切り捨てようとしている生活援助サービス、掃除、洗濯、調理などはもちろん大切なサービスです。あわせて、このサービスは生活援助を通じて高齢者の状態把握を行うという極めて重要な役割も果たしているのです。生活援助と状態把握、適切な介護の提供は一体不可分のものであり、介護保険制度の枠内でのサービスであってこその生活援助であります。日本ホームヘルパー協会などが、専門性の高いサービスこそ生活の再生、状態の維持、改善と悪化の防止につながると指摘しているのは極めて当然であります。
 生活援助サービスなどの給付外し、保険給付の切下げは決してやるべきではないと考えますが、いかがですか。
 総理は、働き方改革といって、長時間労働をなくす、同一労働同一賃金を実現すると言われました。本気でそう思われるのなら、異常な長時間労働の規制こそ急務であります。中でも、事実上青天井になっている残業時間の上限の法的規制は待ったなしと言わなければなりません。
 昨年、衆議院予算委員会で我が党の志位委員長が明らかにしましたが、当時、日本経団連、経済同友会の役員企業三十五社のうち三十三社が月四十五時間の大臣告示を超える残業協定を結んでいました。さらに、二十八社、八〇%は政府が過労死ラインとしている八十時間を超える協定を、十三社は驚くべきことに月百時間以上の残業協定を結んでいました。
 こうした状況を放置することは断じて許されません。残業は月四十五時間、年間三百六十時間という大臣告示を法定化するなど、厳格な法的規制を行うべきだと考えますが、総理にその意思はありますか。
 日本経団連は、時間でなく成果で評価する労働時間制度の導入、裁量労働制の対象拡大などを求めています。これは、残業代ゼロ法案を成立させよというものであります。政府がこんな要求に応じれば、より一層の長時間労働を強いることは明らかではありませんか。総理、長時間労働をなくすというのなら、財界の理不尽な要求をはねのけ、残業代ゼロ法案を撤回すべきであります。
 電機産業で働く労働者らでつくる電機労働者懇談会によると、電機大企業ではこの五年間に二十七万人以上の正社員、非正規社員を含めると四十万人を超す大リストラが行われ、ある生産ラインでは、正社員二人を除いて全て派遣社員に切り替えられたそうであります。
 総理は、非正規という言葉をなくそうと言われました。しかし、なくすべきは言葉ではなく、現実に進む職場全体の非正規社員化の実態ではありませんか。それとも総理は、派遣社員が派遣元に常用雇用さえされていれば、それは全て正社員とでも言うんですか。それこそ、非正規で働かせる実態は放置したままで、事実を覆い隠そうということにほかならないではありませんか。
 政府は、今国会でTPP協定案と関連法案をしゃにむに押し通そうとしています。しかし、さきの通常国会では両案とも成立を断念せざるを得ませんでした。なぜか。農林水産品の八二%、聖域とした農産物重要五項目でも約三割で関税撤廃を約束しておきながら、聖域を守るとした国会決議は守られたという政府の強弁が通用しなくなったからであります。
 政府がTPP協定案について国会に審議を求めるのなら、交渉経過及びその全貌を示す資料を国会に提出することが不可欠の前提であります。ところが、政府は表題以外は全て黒塗りという完全な隠蔽を行い、担当大臣であった甘利氏は睡眠障害を理由に説明責任を放棄してしまいました。これでは審議の前提すら欠いていたと言うべきです。そのことを総理は認めますか。政府が今国会で審議したいというのなら、交渉経過を国民の前に明らかにすること、交渉担当者であった甘利氏から十分な説明がなされることが不可欠だと思いますが、そういう措置をとられますか。
 TPP協定は、重要五項目を聖域とした国会決議に真っ向から反しています。それだけでなく、日米の多国籍企業のために、食の安全をないがしろにし、医療、雇用、保険・共済、国、自治体の調達など、あらゆる分野の非関税障壁を撤廃するものであります。さらに、ISD条項によって多国籍企業が政府や自治体の施策に介入、干渉する権利を保障するなど、我が国の経済主権、食料主権を投げ捨てるものにほかなりません。だからこそ、さきの参議院選挙で、TPPの影響をとりわけ強く受ける東北各県で自民党は敗北したのではありませんか。
 TPPは、日本だけでなく、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど、協定を結んだ各国でも国内産業と雇用を奪うものだとして大きな反対の世論が巻き起こっています。国際的にも国内的にも大きな矛盾が広がっている中で、なぜあなたはTPP協定の批准を急ぐのですか。食料主権と国内産業を犠牲にして、あくまでも日米の多国籍企業に奉仕する安倍政権は、それこそ亡国の政権と断ぜざるを得ません。
 総理は、参議院選挙で一度も沖縄には行かれませんでした。そして、辺野古新基地建設を進める担当大臣は沖縄県民からノーの審判を受けて落選し、オール沖縄の伊波洋一氏が十万票以上の大差を付けて圧勝しました。県民の意思はこの上なく明確になりました。
 それに安倍政権はどう応えたか。参議院選挙から一夜明けた七月十一日早朝、オスプレイが離発着する着陸帯建設を強行したのであります。反対する住民を力ずくで排除する安倍政権の強権的な振る舞いは絶対に許されません。
 総理は、〇・九六ヘクタールのヘリパッドを既存の訓練場内に移設することで北部訓練場、四千ヘクタールの返還が可能となると述べましたが、これほど国民を愚弄する言葉を私は知りません。この〇・九六ヘクタールには、六つの着陸帯に囲まれ昼夜を分かたぬ騒音と恐怖にさらされている高江の住民が住んでいるんです。その苦しみを総理はどのように受け止めているんですか。
 アメリカ海兵隊の報告書、戦略展望二〇二五には、四千ヘクタールの返還区域は使用不可能と書かれています。元々、米軍にとっては無用の長物とでも言うべき地域だったんです。在日米軍の様々な特権を認めている日米地位協定でさえ、「必要でなくなつたときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。」と定めているではありませんか。
 総理が今やるべきことは、建設工事を直ちに中止し、アメリカに対して北部訓練場の無条件返還を求めることであります。
 安倍政権が暴走する原発再稼働の強行は、様々な分野で深刻な矛盾に突き当たっています。
 一つは、福島第一原発の状況です。
 政府は、再稼働のために福島原発事故を終わったものにしようと避難指示を相次いで解除し、賠償支援を打ち切ろうとしています。しかし、生活圏である地域の立て直しのめども立たないまま、避難指示を解除したから戻れと言われても、住民が安心して暮らしを成り立たせることはできません。地域で生活が成り立つようになるまで賠償の延長と必要な支援を行うべきだと思いますが、いかがですか。
 福島事故は終わっていません。その原因さえいまだに究明されてはいません。政府の中期ロードマップによれば、汚染源に地下水を近づけないこと、今年度中に建屋内への地下水の流入を一日当たり百立方メートル未満に抑制するというものでした。その切り札とされていたのが凍土壁でした。ところが、凍土壁は凍らず、政府の検討会でも、遮水能力が高いというのはほとんど破綻していると指摘されました。
 総理はかつて、完全にコントロールされていると言いましたが、その言い分は完全に破綻しているではありませんか。今こそ汚染水対策の根本的見直しが必要と考えますが、総理にその意思はありますか。
 二つには、九州電力川内原発への不安が広がっていることであります。
 前知事は再稼働に同意しました。しかし、熊本地震が発生し、改めて原発事故への不安と避難計画の不備が明らかになりました。それが争点となった七月の鹿児島県知事選挙で、県民は川内原発の一時休止を公約に掲げた三反園知事を選びました。三反園知事は、深刻な事故が起きた場合、現行の避難計画では住民の安全は守れないとの判断をしています。政府は、住民の避難計画は地元の自治体が作ると繰り返し言ってきましたが、前知事の作った避難計画は不十分であると現知事が判断した以上、避難計画を抜本的に見直すべきであります。県知事の同意もなく、避難計画も存在しない川内原発は、稼働を中止させるべきではありませんか。
 三つは、高速増殖炉「もんじゅ」の破綻です。
 まともに運転されたことがない「もんじゅ」の廃止は当然です。同時に、核燃サイクルの中核である「もんじゅ」の破綻は、核燃サイクルと使用済核燃料処理方針の破綻をも示すものであります。である以上、六ケ所村の核燃料再処理工場もきっぱりと廃止すべきではありませんか。
 処理しようのない使用済核燃料をこれ以上増やしてはなりません。どの世論調査でも原発再稼働反対は五割を超えています。今こそ、この国民の声に応えて原発ゼロを決断し、原発再稼働を中止することを強く求めるものであります。
 最後に、総理の憲法観についてお尋ねします。
 総理は、参議院選挙で憲法改定については一切語りませんでした。ところが、投票日翌日の記者会見で、いかに我が党案をベースにしながら三分の二を構築していくか、これがまさに政治の技術と言っていいと述べられました。だまし討ちではありませんか。政治の技術、すなわち手練手管で国の在り方の根本を規定した憲法を変えるつもりなのか。立憲主義、民主主義否定の最たるものと言わなければなりません。
 総理は、あたかも憲法は変えるのが当然で、どこをどう変えるのかがこれからの課題だと言わんばかりです。しかし、九条という世界でも最も進んだ恒久平和の条項を持ち、三十条にわたる極めて豊かな先駆的な人権規定が盛り込まれているなど、日本国憲法は世界でも先駆的な内容を持っています。変えるべきは憲法ではなく、憲法をないがしろにする政治こそ変えるべきであります。
 自民党改憲草案は、九条二項を変えて国防軍の設置を明記し、海外での無条件の武力行使を可能にしようというものであります。さらに、憲法九十七条、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利」と明記した条項を丸ごと削除しています。ここにこそ、基本的人権を制約しようとする自民党と総理の本音がくっきりと示されているではありませんか。これらをベースにした議論など論外と言わなければなりません。
 日本共産党は、綱領で、「現行憲法の前文をふくむ全条項をまもり、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざす。」と明記しています。施行後七十年余にわたって憲法を守り、その内容を豊かに発展させてきた日本国民とともに、かけがえのない現憲法を守り抜くことを表明して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#10
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 市田忠義議員にお答えをいたします。
 被災者生活再建支援金の対象の拡充と支援額の引上げについてのお尋ねがありました。
 被災者生活再建支援制度は、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた方に対し、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により最大三百万円の支援金を支給するものであります。このような制度の趣旨からすれば、支給対象の拡大や支給額の引上げについては、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して慎重に検討すべきものと考えます。
 他方、住宅に半壊や一部損壊の被害を受けた方に対しても、ケースによって災害救助法や社会資本整備総合交付金等による支援のスキームが適用されるところであり、引き続き、被災自治体と一体となって被災者の方々へのきめ細やかな支援策を講じてまいります。
 南スーダンPKOについてのお尋ねがありました。
 南スーダンPKOに新たに派遣されることとなった地域保護部隊の詳細については、今後、南スーダンの政府の同意を前提に決定されていくものと承知していますが、いずれにせよ、自衛隊が南スーダンにおいて行っている施設活動とは別のものであります。
 政府としては、PKO参加五原則は一貫して維持されていると考えています。自衛隊が参加する条件がなくなったという御指摘は当たりません。今後、南スーダンPKOに派遣する部隊にいかなる任務を付与するかについては、現地の情勢や訓練の進捗状況等を慎重に見極めながら総合的に検討してまいります。
 その上で申し上げれば、新たな任務を含め、自衛隊のいかなる活動もPKO参加五原則が満たされることなどを大前提として行うものであります。また、武器の使用は厳格な警察比例の原則に基づき、相手に危害を与える射撃が許されるのは正当防衛又は緊急避難の場合に限られます。
 このようなことから、自衛隊が憲法第九条の禁ずる武力の行使を行うことはありません。殺し殺されるなどというおどろおどろしいレッテル貼りは全くの的外れであります。
 自衛隊の活動に当たっては、安全を確保しつつ適切に任務を遂行し得るよう万全の態勢を整えるとともに、御家族に対する様々な支援体制の充実やメンタルヘルスの取組など、隊員及びその御家族のケアには引き続き万全を期してまいります。
 これまでも、我が国は、自衛隊派遣のみならず、人道支援や民生支援など大きな貢献を行い、南スーダンや国連を始め、国際社会から高い評価を受けているわけであります。今後とも、現地情勢について緊張感を持って注視しながら、国際社会の平和と安定に貢献していく考えであります。
 我が国の経済についてのお尋ねがありました。
 政権交代後、三本の矢の政策を進めることにより、経済の好循環は着実に回り始め、現在はデフレではないという状況をつくり出すことができました。特に、国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善しています。また、個人消費は、二〇一六年一―三月期、四―六月期と二四半期連続で前期比プラスとなるなど、総じて見れば底堅い動きとなっています。
 しかし、デフレ脱却にはまだ至っておらず、アベノミクスは道半ばです。G7でも、世界経済が直面するリスクに立ち向かうため、全ての政策対応を行う必要性で一致いたしました。
 こうしたことを踏まえ、先般、事業規模二十八兆円を超える経済対策を決定し、補正予算を編成しました。本経済対策は、構造改革を加速化するとともに未来への投資の加速を目的としたもので、当面の需要喚起にとどまらず、民需主導の持続的な経済成長と一億総活躍社会の着実な実現につながる施策を中心としており、ばらまきとの批判は当たりません。
 なお、これまでのアベノミクスの取組は、企業が高収益を上げ、それが賃金という形になって国民の所得が増えていくことによって、消費が増え、また企業の収益が増えていくという経済の好循環の実現を目指し取り組んできたものであり、いわゆるトリクルダウンとは全く異なるものであります。全国の皆さんに景気回復を実感していただけるよう、引き続き、経済最優先で取り組み、経済の好循環をしっかりと回してまいります。
 介護保険の見直しについてお尋ねがありました。
 介護保険は、高齢者の自立を支援し、介護の重度化を防ぐことを理念に掲げています。これまでも累次の改正を行い、効果的なサービスの提供を進めてまいりました。
 前回の介護保険法改正では、要支援の方を介護保険の対象外とするものではなく、引き続き、介護保険の地域支援事業の対象として、市町村が必要なサービスを地域の実情に応じて効果的かつ効率的に提供できるよう仕組みを見直しました。
 軽度の要介護者に対する生活援助サービスの支援の在り方については、現在、専門家などで構成される厚生労働省の審議会において、高齢者の自立を支援し、介護の重度化を防ぐ観点から、しっかり検討を行っているところです。
 この検討は、介護保険制度の持続可能性を確保しつつ、高齢者の自立を支援し、真に必要なサービスが提供されるようにするためのものであります。国家的詐欺との御批判は全く当たりません。
 長時間労働是正についてのお尋ねがありました。
 誰もがその能力を存分に発揮できる社会をつくる、一億総活躍社会の未来を切り開いていく、その最大の鍵は働き方改革です。子育て、介護など多様なライフスタイルと仕事とを両立させるためには、長時間労働の慣行を断ち切ることが必要です。
 私としては、働き方改革実現会議において、労使のトップや有識者に集まっていただき、時間外労働の上限規制の労働基準法の在り方を含め、長時間労働の是正について、働く人の立場、視点に立って議論を進め、年度内に具体的な働き方改革実行計画を取りまとめ、関連の法案を提出します。
 なお、現在提出している労働基準法改正案は、長時間労働を是正し、働く人の健康を確保しつつ、その意欲や能力を発揮できる新しい労働制度の選択を可能とするものであり、残業代ゼロ法案との批判は当たりません。
 非正規雇用についてお尋ねがありました。
 非正規雇用を取り巻く雇用環境については、不本意ながら非正規の職に就いている方の割合は前年に比べて低下、働き盛りの五十五歳未満では、二〇一三年から十四四半期連続で非正規から正規に移動する方が正規から非正規になる方を上回っているなど、着実に改善をしております。
 非正規という言葉を日本国内から一掃すると私が言っているのは、どの働き方を選択してもしっかりした処遇を受けられるようにし、人々が自分のライフスタイルに合わせて多様な働き方を自由に選択できるようにするということです。多様な働き方の選択肢を処遇の差を気にすることなく選べる社会を実現したいと考えています。
 なお、御指摘の派遣元で常用雇用される派遣労働者は、いわゆる正社員とは捉えておりません。
 TPPについてお尋ねがありました。
 戦後、自由貿易の下で経済成長を遂げてきた我が国こそが、世界の自由で公正な貿易・投資ルールを牽引していかなければなりません。TPPはその中核であり、自由で公正な世界の四割経済圏を新たに生み出します。新たなルールにより、作り手が丹精込めた付加価値が正当に評価されるようになり、農業者や中小企業も安心して海外市場を目指せるようになります。国民皆保険制度や食の安全などを脅かすようなルールは一切なく、我が国の経済主権や食料主権を投げ捨てるといった批判は全く当たりません。
 我が国は、TPP交渉を主導することで、農林水産品について関税撤廃の例外を数多く確保するとともに、国家貿易制度の堅持やセーフガード等の有効な措置をしっかりと獲得しつつ、我が国から輸出する工業製品についてほぼ一〇〇%の関税撤廃を確保しました。厳しい交渉の中で国益にかなう最善の結果を得ることができました。
 交渉結果が国会決議にかなったものかどうかは最終的に国会で御審議いただくことになりますが、政府としては、国会決議の趣旨に沿うものと評価していただけると考えております。
 米国も発効に向けて努力を続けていると承知しています。米国にその努力を続けてもらうためにも、交渉を共に牽引してきた日本がこのタイミングで国内手続を前進させていくことが不可欠だと考えています。他の署名国の多くも日本の動きに注目し、日本に期待しています。この国会でやらなければならない、こう考えています。
 TPP交渉は合意された結果が全てです。合意された結果は全て公開しております。今後の国会審議において、引き続き丁寧に説明してまいります。
 北部訓練場の返還についてのお尋ねがありました。
 沖縄県の米軍北部訓練場については、抑止力を維持しながら負担軽減を進めるとの観点から、〇・九六ヘクタールのヘリパッドを既存の訓練場内に移設することにより、四千ヘクタールの返還に日米で合意したものです。もとより、返還を進めるに当たっては、ヘリパッドの移設により影響を受ける方々に十分な配慮を行うことは当然のことです。
 北部訓練場の周辺における騒音については、政府として継続的な把握に努めており、環境基準を満足しているところですが、今後とも継続的に調査を行うとともに、更なる影響の軽減に努めてまいります。また、住宅密集地や学校上空の飛行を回避するため、米軍と協力し、必要な施策を講じてまいります。
 地元の国頭村や東村からは、国立公園の指定、世界自然遺産への登録を目指すとして早期返還の要望を受けていますが、日米合意から二十年間、返還は実現しておらず、もはや先送りは許されません。今後とも、日米合意の下、関係法令に従って所要の移設工事を進め、速やかな返還の実現に全力を尽くしてまいります。
 福島における賠償の延長と必要な支援についてのお尋ねがありました。
 避難指示の解除によってふるさとに戻りたいと考える住民の方々の帰還が可能となり、そこから本格的な復興が始まると考えております。安心して戻れるふるさとを取り戻せるよう、政府一丸となってしっかりと取り組んでまいります。
 東京電力に対しては、被害者の方々の個別の状況を丁寧に把握して、公平かつ適切な賠償を行うようしっかりと指導してまいります。あわせて、事業再開に向けた取組への支援や、医療、福祉、交通などの生活環境の整備を始め、今後とも被災者の方々の実情に応じたきめ細かな支援を行ってまいります。
 汚染水対策についてのお尋ねがありました。
 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策については、中長期ロードマップに基づき、国が前面に立って安全最優先かつ着実に進めております。港湾外の放射性物質濃度は法令で定める告示濃度限度に比べて十分低いままです。したがって、汚染水の影響は福島第一原発の港湾内に完全にブロックされており、状況はコントロールされているという認識に変わりはありません。
 汚染水問題の解決に向けては、凍土壁の活用に加え、サブドレーンからの地下水くみ上げ能力の強化など、予防的かつ重層的な対策を実施しており、現時点で汚染水対策の根本的な見直しが必要であるとは考えておりません。
 川内原発についてのお尋ねがありました。
 原子力発電所の再稼働については、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると判断した原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針であり、川内原発もこうしたプロセスを経て再稼働したものであります。
 また、地元自治体が関係省庁と一体となって策定した川内原発に係る現行の避難計画については、国としてその内容を詳細に確認し、了承しております。
 ただし、原子力災害への備えに終わりや完璧はありません。一旦策定した避難計画であっても、原子力発電所が稼働しているか否かにかかわらず、継続的に充実強化を図っていくことが重要です。国としても、鹿児島県等と密にコミュニケーションを図りながら、川内原発に係る避難計画の更なる充実強化に取り組んでまいります。
 核燃料サイクル、原発についてのお尋ねがありました。
 「もんじゅ」については、廃炉を含め、抜本的な見直しを行うこととしております。核燃料サイクルは、高レベル放射性廃棄物の量及び放射線レベルを格段に減少させ長期的な管理をより安全にする観点、資源を有効に利用しエネルギー安全保障を向上させる観点から、原子力を重要なエネルギーとして使用してきた我が国にとっては必要なプロセスであると考えます。
 かかる観点から、六ケ所再処理工場を含む核燃料サイクルについては、国として責任を持って、安全性の確保を大前提とし、自治体や国際社会の理解を得ながら取り組んでまいります。
 資源に乏しい我が国がエネルギーの安定的かつ低廉な供給と気候変動問題への対応を同時に実現していくためには、原子力はどうしても欠かすことができません。高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発について、地元の理解を得ながら再稼働を進めてまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 憲法改正は、国会が発議し、最終的に国民投票において国民が決めるものであり、どの条文をどのように変えるかは国民的な議論の末に収れんしていくものです。まずは憲法審査会という静かな環境において、自民党が草案としてお示ししているように、各党がそれぞれの考え方を示した上で真剣に議論し、国民的な議論につなげていくことが必要と考えております。
 考えや立場の異なる者同士が正々堂々と議論し、合意を形成していくプロセスこそが政治であり、国民の負託を受けた我々政治家はそのために知恵を絞り、合意に至る努力を真摯に積み重ねなければならない。各党による建設的な議論を期待しております。(拍手)
#11
○議長(伊達忠一君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#12
○副議長(郡司彰君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。片山虎之助君。
   〔片山虎之助君登壇、拍手〕
#13
○片山虎之助君 日本維新の会の片山虎之助です。
 私は、日本維新の会を代表し、安倍内閣総理大臣の所信表明演説及び麻生財務大臣の財政演説に対し、質問をいたします。
 質問に先立ちまして、一連の台風や記録的な豪雨により亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。政府においては、被災者の方々の一日も早い生活再建と復興のため、万全の措置を講ずるようお願いいたします。
 我が党は、さきの参議院選挙で改選二議席を含む七議席を得ました。これにより十二名の会派となりましたので、我が党は当院の交渉会派となり、法案提出権を得ることができました。党名も日本維新の会と改め、直近の民意による負託に応えるべく、身の引き締まる思いで国政に臨んでまいります。
 この機会に、我が党の立場を申し上げます。
 我が党は、第三極として独自路線に立ち、政権や与党に対しては是々非々の立場で臨みます。良いことには賛成、悪いことには反対、反対のときには建設的な対案を提案します。そして、国民の幅広い支持を得て第二極となり、やがては政権を目指す考えであります。
 自民党一強、安倍総理一強の中、政府主導、とりわけ官邸主導で政高党低と言われる状況が続いています。安倍政権の個々の政策への賛否はおくとして、官僚主導でなく政治主導の下に決める政治を推進されている点は率直に評価します。我が党は、問題があれば厳しく批判しても、反対のための反対はいたしません。
 我が党は提案型責任政党として、この国会に数多くの議員立法を提出したいと考えております。まず、九月二十七日、参議院に十一本の法案を提出いたしました。それは、政治資金使途制限法案など身を切る改革、徹底行革の関連法案九本に、教育無償化法案、二重国籍対応法案の計十一本です。各会派におかれては、いずれも適切に御対応いただけると考えますけれども、格段の御理解、御協力を賜れれば大変有り難いと思います。
 我が党は、これまでも身を切る改革について何本かの法案の提出を検討してまいりました。例えば、国会議員に非課税で月百万円支給される文書通信交通滞在費の使い道を公開する法案、国会議員が政治団体に寄附をした場合の税法上の控除を認めない法案、企業・団体献金を禁止する法案等であります。しかし、いずれも抵抗が強く、提出に至りませんでした。
 そこで我が党は、自主的な取組として、運用で文通費の使い道をネットで公開し、控除を受けるための政治団体への寄附は党の内規で禁止し、企業・団体献金も受け取らないことを実行してまいりました。我が党は有言実行の党であることを誇りとしています。
 そこで、まず安倍総理に、これら三法案についての御所見をお伺いします。その上で、法制化の前であっても、我が党と同じく運用で、総理が総裁の自民党だけでも実行するお考えはありませんか。また、安倍内閣で、総理御自身、さらに閣僚の皆さんで実行してはいかがですか。御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、経済対策についてお伺いします。
 現在、世界経済と我が国経済を見て景気対策が必要なことはよく理解できますが、問題は中身であります。
 日銀は、二十一日、金融緩和の枠組みを変更し、軸足をお金の量から長期と短期の金利に移すことを決定しました。黒田総裁が平成二十五年春、二年で物価を二%上昇させるという目標を掲げて異次元の金融緩和に踏み切りましたが、三年半が経過した今もこの目標は達成されておりません。当初、円安、株高を加速して日本中を明るくしたものの、消費税増税三%で消費が低迷、物価は上昇せず、日銀が行った国債大量購入の限界やマイナス金利政策の副作用が今広く指摘されています。
 今回の新方針は、日銀が当初狙った物価上昇の短期決戦を諦め、長期戦に金融政策のかじを切ったとの評価です。なぜ日銀が三年半努力しても二%の物価上昇が実現しないのか、総理の御見解を伺います。
 アベノミクス政策については、かねてから、総理の名前をもじって、金融政策はA、財政政策はB、構造政策、成長戦略はEと評されてきました。申し訳ないんですが、Eというのは一番下と、こういうことであります。
 そこで、Aの金融政策だけでは物価は上昇できません。一番下のEの成長戦略が頑張って、これが断行されて潜在成長率を高め、企業も内部留保を投資や賃上げに振り向ける努力をして初めて可能になるというのが定説です。それがそういっていないのはなぜか、総理の御答弁を求めます。
 八月二日に閣議決定された経済対策の事業規模は二十八・一兆円、一方、第二次補正予算は四兆五千億円の追加支出です。今回の補正は第一弾という位置付けでしょうが、国費、真水が少なく、未来への投資と言いながら、中身には従来型の公共事業やばらまき施策が多くて新味に乏しいという批判があります。
 また、二十八・一兆円のうち、財政投融資が六兆円、政府系金融機関の融資枠等が十四・六兆円です。既に述べましたが、異次元の金融緩和をしても、民間の設備投資が盛り上がらず、金融機関の貸付先がない状況で、例えば必要なリニア等は別にして、これがどれだけの効果があるのか。
 また、個別の施策でも、簡素な給付措置三千六百億円は、元々、一〇%引上げまでの間、一年当たり六千円としたものを二年半分一度に給付しようというものです。このような現金のばらまきが持続的な景気回復につながるとは思えませんし、一〇%引上げはまだ三年も先の話で、先々また給付の必要が出る、財政悪化に歯止めが掛からなくなるおそれがあります。
 安倍総理、今回の補正予算が未来への投資として従来と違うのはどこでしょうか。今後、経済対策ないしは補正予算の第二弾、第三弾はあるのでしょうか。今回の経済対策とこの補正予算だけで二年半の消費税の延長期間に景気回復ができるとお考えでしょうか。総理に伺います。
 我が党は七月の参院選において、幼児教育から大学までの私立学校を含めた教育の完全無償化を訴えました。そして、それを不変の変わらない政策とするため、憲法に根拠を置くべきことを主張しました。教育の格差が経済の格差となり、それがまた教育の格差につながる負の連鎖を打ち破り、経済的理由によって教育を受ける機会を奪われないようにしたいと考えたからであります。こういう骨太の政策は政権基盤の安定した現在のような政権でしか私はできないと思いますが、総理の御認識はいかがですか。
 経済対策に記載されている保育士や介護人材等の処遇改善は急がれる課題です。しかし、それは臨時の経済対策でなく、恒久的な措置であるべきです。継続して実施するとありますけれども、恒久財源を確保し、恒久的な措置として実施すると受け取ってよろしいのでしょうか。総理の答弁を求めます。
 先ほど述べた私どもが言う教育の無償化は、我が党の試算では毎年度三兆七千億円、四兆円弱です。今、毎年度、年中行事となった補正予算に充当されている財源の一部ないし全部を教育無償化の予算に回せないかと私は痛切に思います。総理の御認識を伺います。
 元々、消費税を社会保障の充実と安定のための特定財源として、平成二十七年十月には一〇%にすると、こういう構想でした、予定でした。これを二度延期して平成三十一年十月にし、結果的には四年間の延期となりました。
 安倍総理、世の中には、二度あることは三度あると言います。国権の最高機関である国会が大議論の末、法律で定めた増税を二回も延期したことは、国会の権威を失わせ、国民の税制に対する信頼も失わせたのではないでしょうか。しかも、次回の消費税増税も私は簡単にいかないと思います。
 我が党は、次の増税についても、引上げ時の景気の状況が良いこと、身を切る改革、徹底行革が実行されること、軽減税率の代替財源を確保すること、東日本大震災や熊本地震の復興にめどが立つことを条件としています。これが満たされないならば、次回の増税にも簡単には賛成できません。総理の答弁を求めます。
 四年間の延期で社会保障費と消費税とのつながりは薄くなるばかりで、自公民三党で合意した税と社会保障の一体改革プランは事実上破綻したと思いますが、いかがですか。そして、その責任は自公民三党にありますけれども、その多くは三党合意後長く政権を担当してきた安倍政権にあるという意見をいかに受け止められますか。一体改革の破綻によって社会保障のための財源に穴が空く、それをどう手当てされるのか。なお、アベノミクスによる税収の上振れを充てればという意見がありますが、それは安定した恒久財源と言えるのでしょうか。総理、いかがでしょうか。
 恒久的な社会保障制度には恒久財源を充てるべきですが、一方で総理は、財政再建の旗は下ろしていません。二〇二〇年度の財政健全化目標はしっかりと堅持しますとも述べています。
 内閣府の試算によると、中長期的な経済成長率を実質二%以上、名目三%以上としても二〇二〇年のプライマリーバランスは五・五兆円の赤字で、目標とする黒字化には程遠いとのことです。社会保障財源に合わせて、財政健全化目標を達成するためどうやって恒久財源を確保されるのか、総理の答弁をお願いします。
 次に、働き方改革について伺います。
 増加する高齢者が生き生きと働ける仕組みを用意することは、少子高齢化が進み、人手不足が慢性化した現状では特に重要です。また、高齢者の就業率の高い地域は反比例して高齢者医療費が低くなっていることもよく知られた事実です。
 安倍総理は、所信表明演説において、意欲ある高齢者に多様な就労機会を提供していくと言われました。高齢者に現状よりも長期で手取りの多い職場を高齢者の皆さんの心身の状況に応じつつ提供するには、現役時代よりも一層多様な働き方を可能にすることが必要です。このため、言わばシルバー労働法制の整備を我々は考えておりますけれども、いかがでしょうか。総理の御認識をお伺いします。
 安倍政権は、最低賃金の一千円への引上げや同一労働同一賃金の待遇改善を掲げています。しかし、これからの労働市場の流動化とセットとしなければ、地方の中小企業の負担が大きく、労働者の適材適所も進まないと思います。時間給から成果給への転換を促進するいわゆる脱時間給制度や解雇紛争の金銭解決についていかなる御認識をお持ちか、総理にお尋ねします。
 また、女性が働きやすい環境整備のため、政府税調では、安倍総理の諮問を受けて、配偶者控除の見直しなど、所得税、個人住民税の大幅な見直しに向けて議論が開始されています。これには多様な意見がある中で総理はどのような御認識をお持ちか、併せて伺います。
 次に、外交・安全保障についてお尋ねいたします。
 TPP参加は旧民主党政権が道筋を付け、野党時代の自民党は聖域なきTPP参加には反対と主張していました。現在は野党となった旧民主党、現民進党は反対に変わり、一方、与党の自民党は早急に推進と、かつてと逆になりました。これに対し、我が党は野党であっても一貫してTPPに賛成してきました。この協定は、世界経済と我が国経済の成長のために、また安全保障の観点からも当然賛成すべきものだからであります。逆に、TPPが実施されなければ、現状と将来の我が国にとっては損失をもたらすと考えます。
 アメリカでは、大統領選挙での有力な二候補が共にTPPに反対で、かつ議会も反対派が優勢です。オバマ政権は、大統領選後、新大統領が生まれるまでの二か月間にTPP承認を目指しているようです。安倍政権は、この臨時国会で承認を得て早期発効への弾みとする方針でしょうが、その際、今後のアメリカの動きとどのように連動するかが重要です。
 安倍総理、TPPをめぐる今のアメリカの政治状況は、大統領選挙中だけの一時的な現象とお考えですか。元々TPPに賛成だったクリントン候補が勝利した後のいわゆるレームダック期の承認が現実的なシナリオという説がありますが、今後のアメリカのTPP承認の見通しと、我が国がそれに向けてどうすべきか、総理の御見解を伺います。
 総理は、アメリカとは再交渉しないと明言されました。仮に、この二か月の間に承認が得られず、アメリカの新大統領が今のままではTPP協定の承認を求めないと決断したらどうするおつもりですか。当然のことながら、アメリカが参加しなければTPPは不成立となります。我が国の国益は害されますが、その場合、代替のどういう選択があるのか、御所見をお伺いいたします。
 次は、中国の海洋進出についてです。
 南シナ海での中国、フィリピンの紛争で国際仲裁裁判所が中国の主張を退けました。また、東シナ海の尖閣諸島周辺では、中国は日本の領海への侵入を繰り返しています。九月の東アジア首脳会議でも、紛争当事国のフィリピンはこの問題に言及せず、ASEANを通じた中国の影響力がかえって浮き彫りにされた形になりました。現状を力で変えようとする中国の姿勢にはいささかの変化も見られず、かえって東シナ海及び南シナ海での行動は主権の既成事実化を狙う新たな段階に入ったとも言えます。
 中国の一連の海洋進出に対し、我が国は外交上、そして安全保障上、米国とともにそれなりの対応を取ってきましたけれども、効果はあったとお考えでしょうか。今後の取組とともに総理の決意を求めます。
 尖閣周辺でこのような状況を受けて、グレーゾーン事態に対処するための立法を改めて検討する必要が出てきました。我が党が国境警備法案を提出した場合、政府・与党は真剣な協議を行っていただく用意はあるのか、総理にお伺いします。
 次に、テロ対策についてお伺いします。
 今年七月、バングラデシュで七名の日本人が殺害されるテロが起きました。二〇一九年にラグビーワールドカップ、二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックが開催される我が国において、今やテロ対策は急務です。海外ではテロは準戦争と捉えられています。ただし、この戦争は平時、有事、軍民の区別なく攻撃が仕掛けられ、いついかなる場所で国民が犠牲になるか予想できない上、攻撃手段も核・生物・化学、NBC兵器やサイバーなど多種多様です。
 昨年二月、イスラム過激派による日本人人質事件の際、総理は、日本人にはこれから先、指一本触れさせない決意と覚悟でしっかりと事に当たると発言されました。その決意は現在どのような形でテロ対策に生かされていますか。情報の収集、国内の法整備を含めた体制の在り方、国際間の連携など今すぐ動き出すべきだと考えますが、現状と今後の対応につき、総理の答弁を求めます。
 憲法改正について国民の理解が次第に深まっていることは御同慶の至りです。国の最高法規であり基本法である憲法をより良いものにしていく努力は国民全ての責務です。我が党は、現憲法の良いところ、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義などはしっかりと守りながら、現在、国民が切実に感じている重大なテーマにつき、憲法改正をてこに解決を図るべきだと考えております。
 そこで、我が党は、さきの通常国会の会期中に、教育の完全無償化、国と地方の統治機構改革、憲法裁判所の設置の三つのテーマについて憲法改正原案をまとめました。現在、党内に新たな憲法改正推進委員会を立ち上げて、この原案の実現に向けて詳細に検討し、憲法審査会での議論に臨みたいと考えております。
 なお、国論を二分するおそれのある第九条の改正や緊急事態条項の新設などは、議論をしても急ぐべきではありません。
 憲法改正の発議権は内閣でなく衆参両院にあります。したがって、今国会中に衆参の憲法審査会で、各党が具体的な提案を持ち寄って、憲法改正の発議につき論議を開始すべきだと考えます。そこで衆参第一党の自民党がリーダーシップを取るお考えはありますか。あわせて、どういうスケジュール感をお持ちか、自民党総裁としての総理の御認識を伺います。
 その際、現在ある自民党の憲法改正草案はどうなりますか。撤回はしないとのことですが、こだわらないということでしょうか。これも総裁としての総理に御所見を伺います。
 最後に、天皇陛下の生前退位問題についてお伺いします。
 八月八日の天皇陛下のお言葉は、日本国民の心を大きく動かしました。陛下の生前退位に賛成する国民の声は九割前後となっております。私も陛下の御意向にできるだけ沿うべきだと考えます。もとより制度的に難しい問題は多々あり、せんだって設置された有識者会議において国民的な理解を深めていくとの総理のお考えには異論がありませんが、総理御自身はこの国民の声をどのように受け止めておられるのか、お伺いします。また、その場合、国会の立ち位置はどうなりますか。有識者会議の提言を受けての結論は期限にはこだわらないとしても、私はやはり急ぐべきだと考えますが、いかがですか。
 実質四か月ぶりに臨時国会が開会されました。この国会、与野党を超えて審議すべき重要課題が山積しています。その解決に我が党も十分な責任を果たすとともに、身を切る改革、徹底行革の党として、また統治機構改革、地方分権改革の党として、これからも最大限の努力をすることを国民の皆様にお約束し、私の代表質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#14
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 片山虎之助議員にお答えをいたします。
 身を切る改革についてお尋ねがありました。
 我々政治家は、政策を実現するため真摯に努力を続け、国民の負託に応えていかなければなりません。国民の皆さんに様々な御負担を求める以上、我々政治家も常に自らを省みる必要があることは当然です。
 御党が、そうした観点から、文書通信交通滞在費の使途公開や政治団体への寄附、企業・団体献金などに関し、自主的な取組を行いながら、国会の場に具体的な提案をしておられることについては敬意を表したいと思います。
 その上で申し上げるとすれば、政治に要する費用の問題は、議会政治や議員活動の在り方、すなわち民主主義の根幹に関わる重要な課題であることから、国会において国民の代表たる国会議員が真摯な議論を通じて合意を得る努力を行い、共通のルールを形成していくべき問題であると考えております。
 二%の物価安定の目標についてお尋ねがありました。
 政権交代後、アベノミクス三本の矢によって、二十年間続いたデフレからの脱却にチャレンジし、もはやデフレではないという状況をつくり出すことができ、デフレ脱却まであと一息のところまで来ています。
 二%の物価安定の目標の実現を阻害した要因について、日本銀行は総括的な検証の中において、原油価格の下落、消費税率引上げ後の需要の弱さ、新興国経済の減速等であると説明していると承知をしております。そうした検証を踏まえて、今回、日本銀行は、金融緩和を強化するための新しい枠組みの導入を決定したところであり、これは二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するためのものであると理解しております。
 いずれにせよ、金融政策の具体的な手法は日本銀行に委ねられるべきであると考えており、黒田総裁を信頼しております。引き続き、政府、日本銀行は緊密に連携しながら、あらゆる政策を総動員して、デフレ脱却、そして力強い成長を目指していきます。
 成長戦略についてお尋ねがありました。
 第三の矢である成長戦略の成果が見えないという批判もありますが、様々な分野で、できるはずがないと言われた岩盤規制改革を断行してきました。
 農協は、六十年ぶりに抜本的に改革しました。企業や金融機関も農業に参入しやすくしました。TPPの創設メンバーになり、農業を産業として発展させようという意識が高まっています。輸出は過去最高を更新し続けています。何より、若者が農業を目指すようになってきました。これらの変化を力として農業の流通構造の抜本的改革に着手します。
 観光では、アジアを中心に十四か国のビザ発給要件を緩和しました。昨年、外国人観光客は、過去最高の二千万人近くも来日しました。
 再生医療では、病院が心筋や網膜のシート製造を企業に委託できるようにして、大幅なコスト削減を実現しました。日本に本社を移す米国企業が現れるまでになりました。
 電力の小売市場を全面自由化し、法人実効税率を二〇%台に引き下げました。
 今後の改革の焦点は、働き方改革と第四次産業革命の実現です。国民生活を豊かにしながら企業の生産性を向上させるため、必要な改革をちゅうちょなく断行してまいります。
 補正予算と経済対策についてお尋ねがありました。
 本補正予算は、先般閣議決定した経済対策に基づき、当面の需要喚起にとどまらず、民間主導の持続的な経済成長と一億総活躍社会の着実な実現につながる施策を中心としています。
 具体的には、保育所等の整備の前倒しや保育士の人材確保策の拡充等、子育ての環境整備を行います。外国人観光客四千万人時代に向けて、大型クルーズ船の受入れ環境改善や羽田空港の機能強化等により、外国人観光客の受入れ能力を高めます。現下の低金利状況を生かし、財政投融資を活用することで、リニア中央新幹線の全線開業を前倒しするといったように、未来への投資を実現する施策を行ってまいります。
 本経済対策と本補正予算により、内需を力強く下支えするとともに、アベノミクスを一層加速し、デフレからの脱出速度を最大限まで引き上げてまいります。
 今後、経済対策ないし補正予算の第二弾、第三弾はあるのかとのお尋ねでありますが、まずは本補正予算の早期成立を図ることが重要であると考えています。
 教育の無償化についてのお尋ねがありました。
 子供、若者こそ我が国の未来です。子供たちの未来が家庭の経済事情によって左右されることがあってはなりません。このような思いについては御党とも共有しているのではないかと考えます。
 政府としては、これまでも幼児教育無償化の段階的推進、奨学金制度の充実、授業料免除の拡大などに取り組んできたところであり、今後とも必要な財源を確保しつつ、教育費負担の軽減に努めてまいります。
 保育士及び介護人材の処遇改善についてお尋ねがありました。
 大きな希望を持って保育や介護の道を進んだ方々の高い使命感に私たちはしっかりと応えていかなければなりません。このため、保育士や介護人材について技能や経験に応じた給料アップの仕組みを構築するなど、処遇の改善に取り組みます。
 そのための予算措置については、本年八月の経済対策に基づき来年度当初予算に計上し、かつ継続して実施することとしており、アベノミクスの果実の活用を含め財源を確保し、優先して実施していきます。
 消費税率の引上げについてお尋ねがありました。
 消費税率の一〇%への引上げについては、世界経済が様々なリスクに直面し、内需が腰折れしかねない状況の中で、あらゆる政策を総動員し、経済再生、デフレ脱却に向けた取組に万全を期すべきであることから、構造改革の加速など総合的かつ大胆な経済対策を講じることと併せ、引上げ時期を二年半延期することとしました。
 この判断について公約違反との御批判があることは真摯に受け止めますが、だからこそ私は、国政選挙である参議院選挙を通じて国民の信を問うたところであります。そして、連立与党で改選議席の過半数という高い目標を大きく上回る議席を得て、国民の信任の下、連立与党として安定した政治基盤をいただきました。したがって、国民の税制に対する信頼を失わせたとの御指摘は当たらないものと考えています。
 その上で、安倍内閣としての責任は、確実に成果を生んでいるアベノミクスを一層加速させていくことであります。経済財政運営に万全を期してまいります。
 なお、御指摘の行政改革、軽減税率の財源確保、東日本大震災、熊本地震からの復旧復興についてもそれぞれ重要な課題であり、しっかりと取り組んでまいります。
 身を切る改革については、先ほど答弁したとおりであります。
 社会保障と税の一体改革についてお尋ねがありました。
 社会保障と税の一体改革については、三党合意を経て成立した各般の法律の枠組みに沿って、社会保障の充実、安定化と同時に、重点化、効率化を進めるなど着実に実施されてきています。三党合意においても、消費税率引上げの実施は時の政権が判断するとされており、引上げを延期したということをもって三党合意が破綻したとの御指摘は当たらないものと考えています。
 また、お尋ねの社会保障のための安定した恒久財源の確保については、給付と負担のバランスを考えれば、消費税率の引上げを延期する以上、全てを行うことはできませんが、赤字国債を財源に社会保障の充実を行うような無責任なことは私たちは行いません。
 その中で、可能な限り社会保障を充実させていけるよう、優先順位を付けながら、税収の動向や重点化、効率化の効果を見極めつつ、今後の予算編成過程の中で最大限努力し、引き続き社会保障と税の一体改革を進めてまいります。
 財政健全化目標の達成についてお尋ねがありました。
 安倍内閣は、二〇二〇年度プライマリーバランス黒字化を実現するという財政健全化目標を堅持します。そのためにも、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、未来への投資を実現する経済対策を始めとする強い経済の実現を目指した取組を進めていきます。
 また、これまでも、社会保障の改革を含め徹底的な重点化、効率化など歳出削減にも取り組んできたところです。引き続き、経済・財政再生計画の枠組みの下、安倍内閣のこれまでの歳出改革の取組を強化してまいります。今後とも、経済再生を進めながら、二〇二〇年度の財政健全化目標に向けてしっかりと取り組んでまいります。
 高齢者の就労機会についてお尋ねがありました。
 誰もがその能力を存分に発揮できる社会をつくる、一億総活躍の未来を切り開いていく、その最大の鍵は働き方改革であります。
 シルバー労働法制についてのお尋ねでありますが、高齢者の皆さんの七割近くは六十五歳を超えても働きたいと願っています。労働人口が減少している中で我が国の成長力を確保していくためにも、意欲ある高齢者の皆さんに多様な就業機会を提供していきます。このため、六十五歳以降の継続雇用延長や六十五歳までの定年延長を行う企業等に対する支援の充実など、将来的に継続雇用年齢等の引上げを進めていくための環境整備について検討してまいります。
 また、どの働き方を選択してもしっかりした処遇を受けられるようにし、人々が自分のライフスタイルに合わせて多様な働き方を自由に選択できるようにするため、同一労働同一賃金を実現します。新たなガイドラインを年内に策定し、必要な法改正に向けてちゅうちょなく準備を進めます。これにより、高齢者の皆さんがより柔軟で多様な働き方が可能になると考えています。
 時間ではなく成果で評価する制度などについてお尋ねがありました。
 現在提出している労働基準法改正案においては、多様で柔軟な働き方を進めるため、時間ではなく成果で評価する高度プロフェッショナル制度を創設することとしています。
 解雇規制の緩和についてのお尋ねですが、私が推進している働き方改革は、働く人の立場に立った労働市場改革を行おうとするものであります。このため、金銭で自由に解雇できる解雇規制の緩和を行うつもりはありません。
 他方、例えば裁判等において働く人が勝訴して解雇が無効になった際に職場に戻りたくないというときには、働く人の利益になるということで金銭解決をすることは、その是非について厚生労働省において検討しています。
 なお、正社員と非正規の処遇格差は中小企業よりも大企業で顕著であることを踏まえると、同一労働同一賃金は大企業においてより重大な問題と考えています。
 配偶者控除についてのお尋ねがありました。
 配偶者控除については、女性が就業調整をすることを意識せずに働くことができる仕組みをつくっていく必要がある一方、家庭における配偶者の貢献を評価すべきとの指摘もあり、働き方や家族の在り方について国民的議論を行いながら十分に検討していくべき問題であると考えています。こうした観点から、引き続き政府や与党の税制調査会において丁寧に議論を進めていきたいと考えています。
 TPP発効の見通し及び米国の承認が得られなかった場合の対応についてお尋ねがありました。
 戦後、自由貿易の下で経済成長を遂げてきた我が国こそが、世界の自由で公正な貿易・投資ルールを牽引していかなければなりません。
 TPPはその中核であり、自由で公正な世界の四割経済圏を生み出します。作り手が丹精込めた付加価値が正当に評価されるようになります。TPPによって新たに作られたルールは、単にTPPにとどまらず、日EU経済連携協定、RCEPなどにおけるモデルとなるものです。TPPは、参加希望を表明する国々が相次いでおり、潜在的な参加国が数多くあります。TPPが拡大していく機運を積極的につくっていくことこそ、我が国の役割です。
 米国も発効に向けて努力を続けていると承知しています。大統領選挙においてTPP協定に関して様々な声がある中、現職のオバマ大統領は、今月も、自身の任期中にTPP協定の承認が得られるよう米国議会への働きかけを続けていくとの決意を表明しています。米国にその努力を続けてもらうためにも、交渉を共に牽引してきた日本がこのタイミングで国内手続を前進させていくことが不可欠だと考えています。
 他の署名国の多くも日本の動きに注目し、日本に期待しています。この国会でやらなければならない、こう考えています。国会でTPP協定が承認され、整備法案が成立すれば、再交渉はしないとの立法府も含めた我が国の意思が明確に示されます。これにより、TPP協定の早期発効に弾みを与えることができると考えています。このために全力を尽くす、そのことに集中します。
 中国の海洋進出についてお尋ねがありました。
 東シナ海、南シナ海における一方的な現状変更の試みは、決して認めることはできません。いかなる問題も、力ではなく国際法に基づいて、平和的、外交的に解決すべきであります。
 東アジア・サミットでは、多くの首脳から航行及び上空飛行の自由、国際法の原則に従って平和的手段で解決すること、非軍事化の重要性等について言及があり、議長声明にも明記されました。
 G20サミットの際の日中首脳会談においては、私から習近平主席に対し、状況を改善するよう直接強く求めました。今後も、米国、豪州、ASEAN諸国等と連携するとともに、中国に対し様々な機会に働きかけを行ってまいります。
 また、政府においては、昨年五月、武力攻撃に至らない侵害に対し、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するため、海上警備行動等の発令手続の迅速化のための閣議決定を行ったところであります。さらに、警察や海上保安庁など関係機関において、対応能力の向上、情報共有、連携の強化、各種訓練の充実など、必要な取組を一層推進しているところです。
 切れ目のない対応を確保する上で大切なことは、意思決定、判断が迅速かつ的確に行われ、それに従って関係機関がその役割を果たすことができる態勢をしっかり整えていくことであります。
 その意味において、現下の安全保障環境において、武力攻撃に至らない侵害に際し、切れ目のない十分な対応に必要な態勢を整備しているところであり、現時点では新たな法整備が必要であるとは考えていません。
 テロ対策についてお尋ねがありました。
 テロが世界各地で発生し、日本人も犠牲となる中、我が国は東京オリンピック・パラリンピックの開催を四年後に控えており、テロ対策は最重要課題の一つであると認識しております。
 テロの未然防止対策の要諦は情報にあります。そのため、政府においては、官邸直轄の国際テロ情報収集ユニットを新設し、国際社会と緊密に連携し、情報収集、分析を強化するとともに、水際対策の徹底、重要施設やソフトターゲット等に対する警戒警備の強化等、総合的なテロ対策を強力に進めております。
 また、我が国は、先般の伊勢志摩サミットの議長国として、テロ及び暴力的過激主義対策に関するG7行動計画を採択し、国連やARFといった枠組みにおける議論をリードするとともに、多国間や二国間における情報共有やテロ対策協力を積極的に進めているところです。
 今後も、官邸が司令塔となり、政府の総力を挙げてテロの未然防止のための諸対策を強力に推し進めてまいります。
 憲法改正についてのお尋ねがありました。
 憲法改正は最終的には国民投票によって国民が決めるものですが、まずは国会の憲法審査会という静かな環境において各党が真剣に議論し、国民的な議論につなげていくことが必要と考えており、期限ありきの事柄ではないものと考えております。その際、大切なことは、自民党や御党のように各党がそれぞれの考え方を具体的に示すことであります。その上で、憲法改正について真摯に取り組んでおられる御党を始め、各党による建設的な議論が進められることを期待しておりますが、もとより合意形成の過程で特定の党の主張がそのまま通ることはないことは当然のことと考えております。
 天皇陛下の公務の負担軽減等についてお尋ねがありました。
 今回の問題は対応を先延ばしすべきものではないものの、事柄の性格上、初めに期限ありきではなく、有識者会議において、国民の中にある様々な意見を幅広く聴取の上、提言を取りまとめていただくことを予定しております。議論を経て一定の方向性が示されれば、それを踏まえ、政府としてしっかり対応していきます。まずは有識者会議で静かに議論を進め、一定の段階で与野党も交えた議論を行うことも考えてまいります。(拍手)
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#15
○副議長(郡司彰君) 小川敏夫君。
   〔小川敏夫君登壇、拍手〕
#16
○小川敏夫君 私は、民進党・新緑風会を代表して、安倍総理大臣に質問します。
 本年七月に実施された参議院選挙に当たり、安倍総理は、気を付けよう甘い言葉と民進党という発言を繰り返しました。私は、国民の判断を求めるに当たって、政治家は真摯な議論を行わなければならないと考えています。国民も同様に考え、政治家に真摯な議論を期待していると思いますが、安倍総理大臣のその発言は、国民の期待を踏みにじる大変に不真面目な発言であり、また具体性が何もない誹謗の類いの話であって、我が国を代表する一国の総理大臣の発言として誠に恥ずかしい限りの低俗なものであります。これでは、安倍総理大臣の資質を問わなくてはなりません。総理の御見解をお聞かせください。
 ところで、安倍総理、あなた自身が甘い言葉で国民をだましてはいませんか。以下についてお答えください。
 安倍総理、あなたは勤労者の賃金を上げると約束しました。
 しかし、安倍総理就任後、厚生労働省の毎月勤労統計によりますと、民主党政権時代の平成二十二年を一〇〇とすると、実質賃金は、平成二十五年は九八・三、平成二十六年は九五・五、平成二十七年は九四・六でしかありません。賃金は上がるどころか大幅に下がっているのです。総理はここ六か月連続で賃金がアップしたと言いますが、五月はマイナスでしたが、物価が下落したので実質賃金が上がったというものでしかありません。
 また、総務省家計調査を見ますと、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の世帯主の収入は、平成二十七年八月以降本年七月までの十二か月間、本年四月を除いて前年より減少しています。また、勤労者世帯全体でも、平成二十七年十―十二月期以降同二十八年四―六月期まで三四半期続けて収入は減少し、直近の本年四―六月期は前年比で二・五%も減少しています。
 安倍総理、あなたは年二%の率の安定的な物価上昇を約束しました。
 しかし、これも実現していません。その見通しさえ立っていません。このところ、本年四月から七月の間は、消費者物価は対前年比で下落しています。
 安倍総理、あなたは貿易収支を年八兆円の黒字にして国を豊かにし、国民の生活を豊かにすると約束しました。
 しかし、平成二十五年は約十一兆五千億円の赤字、平成二十六年は約十二兆八千億円の赤字です。平成二十七年は約二兆七千億円の赤字、本年一月ないし八月までは約二兆三千億円の黒字になっていますが、これは原油価格の下落という幸運によるところが大であります。いずれにしろ、年八兆円の黒字には程遠い実情であります。
 一方で、安倍総理、あなたは国の借金を増やしました。平成二十四年十二月時に約八百四兆円であった国債発行残高は、本年六月には約九百九兆円に増加しています。その他借入金等を加えた国の借金は約千五十三兆円にも上っています。
 総理、あなたはプライマリーバランスの二〇二〇年の黒字化を掲げましたが、実現できるでしょうか。実現見込みのない単なる掛け声ではありませんか。
 総理、これでは、国民に注意を呼びかけなくてはならない対象は、民進党ではなく、総理、あなた自身なのではないですか。私は、気を付けよう甘い言葉と安倍総理と言葉を返させていただきます。
 以下、具体的に質問します。
 まず、勤労者の賃金低下について質問します。
 厚生労働省の毎月勤労統計調査によりますと、安倍政権になって以来、勤労者の実質賃金は下がる一方で、現状は民主党政権時代と比較して五%程度下がっています。安倍総理、勤労者の一部にベースアップがあったことだけを取り上げて、あたかも勤労者全体の賃金が上がっているように言うごまかしはやめてください。
 そこで、質問します。アベノミクス以降、なぜ勤労者の賃金が下がっているのか、その原因がどこにあるのか、総理の理解をお示しください。
 また、勤労者の実質賃金は、平成十二年頃から低下傾向となりました。平成十二年から平成二十七年の間、民主党政権の時期などの一時期を除いて賃金は低下し続け、一〇七・二ポイントから九四・六まで下落しています。この長期的賃金下落の原因についても総理の理解をお示しください。
 私は、勤労者の賃金が下落している主因は、派遣労働の制限緩和などによる雇用の非正規化にあると思っています。ですから、私は、勤労者の賃金を回復するために、派遣労働の制限を以前のように強化して雇用の正規化を推進することが必要だと考えていますが、総理、そのようには思いませんか、お答えください。
 また、総理は、非正規雇用という言葉を一掃しようと豪語しました。非正規雇用を増やしてきた安倍総理の言葉として私は驚きを隠せませんでしたが、そこでお尋ねします。具体的にどのような方策によって非正規雇用を一掃するのでしょうか、お答えください。
 総理は、勤労者の賃金下落について問われますと、総雇用者所得というアベノミクス以前には聞かないような言葉を持ち出して、それが増加しているから社会全体では賃金は増加していると言って、賃金下落を否定するような説明をしています。アベノミクスにより雇用者が増加したところ、新規雇用者は給与が低い傾向にあるので、全体を平均すると下がってしまっているだけだという説明です。その例え話として、夫が月給五十万円のところ、景気が良くなったので妻がパートに出て月二十五万円の給料をもらうことになった。その結果、世帯としては給与は増えているけれども、平均給与は下がったと説明しました。
 この説明について述べますと、妻がパートに出るのは生活が苦しくなったからでしょうし、パートが二十五万円もの月給をもらえるような現状ではありません。総理がいかにパートの実情を理解していないかということを如実に表しています。
 話を戻します。総理、実質総雇用者所得を算出してみますと、増えていませんでした。低下しています。平成二十四年を一〇〇として比較すると、平成二十六年は九九、平成二十七年は九九・五でしかありません。安倍総理、あなたは総雇用者所得が名目、実質とも増えていると説明していましたが、これは間違った説明ではないでしょうか、お答えください。
 このように、働く人が増えた一方で全体の総賃金が実質下がっているのですから、アベノミクスによって勤労者の賃金は下落してしまっているのです。
 安倍総理、今我が国経済が停滞している一番の原因は消費が伸びないことではないでしょうか。物が売れなければ企業の設備投資は増えません。
 総務省の家計調査によりますと、平成十二年から平成二十七年までの十五年間で勤労者世帯の消費支出は、三十四万千八百九十六円から三十一万五千三百七十九円に減少しています。また、その間の勤労者世帯の実収入は、五十六万二千七百五十四円から五十二万五千六百六十九円に減少しています。その一方で、賃金負担が減少した企業は利益を拡大して、内部留保が同期間におよそ二百兆円も増加しています。
 総理、消費を伸ばし、景気の活力を取り戻す本筋は、このような悪循環、すなわち勤労者の収入が減少し、その結果消費が減少する、そして消費が伸びないから企業は設備投資を控えるという悪循環を断ち切ることではありませんか。勤労者の賃金が低下する政策をやめて、雇用と賃金が安定するために雇用の正規化を進める必要があり、これが景気回復を実現する真の景気対策だと提案しますが、いかがでしょうか。
 総理は二%の率の安定的な物価上昇を二年程度で実現すると約束しました。しかし、消費税引上げの影響を除き、全く実現できていません。実現するめども立っていません。それどころか、本年に入ってからは物価は下落しています。これでは、総理が約束した二%の率の安定的物価上昇政策は失敗し、破綻したと言うしかありません。
 この破綻の原因を原油の下落にかこつけてはなりません。原油価格が物価を押し下げた比率は最大時に〇・九%と試算されています。この原油由来の物価引下げ効果最大時〇・九%を控除しても、二%の物価上昇率には全く達成していません。そして、原油価格の下落は平成二十七年二月には底を打ち、以降は低位で上下しています。原油下落の一時的要因があって一時的には一定の影響を与えたことはあるでしょうが、原油価格の下落が二%の率の安定的な物価上昇の実現を妨げているものとは言えません。
 総理、原油価格の下落以外に二%の率の安定的物価上昇が実現できなかった本質的な要因は何であると理解しているでしょうか。あわせて、足下の消費者物価が下落していることについても、その要因についてどう理解しているでしょうか、お答えください。
 この点を具体的に明確に説明できないとすると、そもそも日銀による資産買入れという金融緩和によって二%の率の安定的物価上昇を達成するというアベノミクスが、実は全く効果を生まない空虚なもので、間違いであったということにほかなりません。
 かつて日本軍は、敗北の結果撤退したことを、国民に対し、敗北の事実を隠蔽し、転進と説明しました。今、日銀は二%の率の安定的物価上昇政策を維持すると言いながら、時期を明示すらしないで長期目標と説明をすり替えています。しかし、異次元緩和などと言って大掛かりな金融緩和政策で実現できなかった明確な失敗を、理由を説明しないし、できないまま長期目標にすり替えてごまかすのは、敗北を転進と言って国民をごまかした旧日本軍大本営と同じやり方でしょう。
 総理、二%の率の安定的物価上昇が、なぜ約束した二年程度の間に実現できなかったのですか、その理由について御説明ください。また、原油の下落は理由になりませんので、原油の下落以外にどのような要因が実現を妨げたのか、説明してください。そして、この政策が誤りでなかったのか、御見解をお示しください。失敗を認めずに今後もこの政策を続けるのですか。そうであるなら、具体的にどういう方策でいつまでに実現するのか、御説明ください。
 安倍総理、あなたは昨年九月に新安保法案が採決された際、これからも同法律について国民に丁寧に説明していくと約束しました。しかし、私が知る限り、丁寧な説明がなされているようには思えません。
 総理、どうでしょう、これから国民に丁寧に説明する気はありませんか、お答えください。また、総理が考える丁寧な説明とは具体的にどのような説明を考えているのでしょうか、お答えください。
 安倍総理、あなたは私の知るところ、この夏の参議院議員選挙では、憲法改正に関しては党の政策集のごく一部に抽象的に記載しただけで、総理自身の言葉では国民に対して何も語りませんでした。国会においても、自民党の憲法草案について答える立場にはないとして答弁を拒否してきました。
 ところが、選挙後の記者会見では、憲法改正について、いかに我が党の案をベースに三分の二を構築していくか、これがまさに政治の技術だと発言しました。国民に総理自身の言葉で憲法の改正について問いかけることなく、選挙で数を得たから手続を進めてしまおうということになるのでしょうか。
 総理、この夏の参議院議員選挙において、憲法改正について自らの口で語らなかったことについて、その考えを御説明ください。また、国民に語らないままで選挙さえ済ませればよいというのが政治の技術なのでしょうか。総理が言うところの政治の技術とはどういうことを言うのか、説明ください。そして、憲法改正について、自民党の憲法改正案をベースにという総理自身の憲法改正に対するお考えを御説明ください。
 安倍総理、あなたは、米国大統領選がクリントン氏とトランプ氏との間で熱を帯びた戦いを繰り広げている中、本年九月十九日、一方当事者であるクリントン氏と会談しました。これは、我が国の首相がクリントン氏を支持していると捉えられかねない行動であり、トランプ氏を支持する米国民からは批判を呼ぶことでありましょうし、選挙の結果、トランプ氏が勝利して大統領に就任した場合のリスクがあります。また、他国の選挙には干渉しないという外交上の礼儀に反するものではないでしょうか。安倍総理のお考えをお聞かせください。
 本年の参議院議員選挙の直前から選挙期間中に、大分県警警察官が、労組等が使用する建物に秘密裏にビデオカメラを設置し撮影し、出入りする人物を無断撮影した事件が発覚しました。
 警察は、必要性、相当性に欠けた行為であったと述べていますが、このような国民を監視する、あるいは選挙への不当干渉と見られる行為が繰り返されてはなりません。再発防止の徹底について、総理の御見解を伺います。
 沖縄県に所在の北部訓練場内のヘリパッド建設に関し、地域住民らによる強い抗議が続いています。また、警察等による対応が強行過ぎるとの批判が強くあります。北部訓練場の一部返還は好ましいものでありますが、返還の条件とされたヘリパッドの建設と運用によって地域住民が生活上の不利益を被るのですから、事前の説明や意見聴取、協議を十分に行うことが必要だと考えます。
 返還予定地域については具体的かつ急を要する使用予定もないのですから、強硬手段によらないで、地域住民との信頼関係の醸成に配慮した対応が必要だと思いますが、どうでしょうか。また、地域住民の不利益回避のために、米軍との協議を含め、あらゆる努力をするのが政治の責務だと思いますが、総理、いかがでしょうか、お答えください。
 安倍総理、あなたは、国境警備の海上保安官、警察官、自衛官に敬意を表そうと訴えました。私も同じように、職務に精励している自衛官らの方々に敬意を表する気持ちであります。加えて、私は、消防官、医療、介護、バスやタクシーの運転手、勤労者、その他社会の様々な分野で働き、社会に貢献している方たち全員に敬意を表する気持ちであります。
 総理、あなたが自衛官らだけを特別に取り上げて尊敬の対象とするのは、総理、あなたの心の中に国民よりも軍隊優先という考えが潜んでいるからではないでしょうか。
 ところで、本年八月二十三日、稲田防衛大臣はハイヒールを履いて護衛艦に乗船し、視察しました。厳しい任務の実情をわきまえない不見識な行動であり、防衛大臣の適格性を欠いていると思いますが、総理の御見解をお尋ねします。
 以上が私の質問です。総理の答弁によっては再質問を行います。
 御清聴ありがとうございます。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#17
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小川敏夫議員にお答えをいたします。
 私の参議院選挙期間中の発言についてお尋ねがありました。
 選挙において、各政党のリーダーは、街頭に出て、自らの政策と他の政党との違いを分かりやすい言葉で語り、国民に支持を訴えます。そして、その発言はメディアを通じて日本中に発信されます。したがって、一つ一つの発言は選挙結果にも大きく影響を与え得るものであり、責任の伴うものであります。御指摘の発言も含め、私の選挙期間中の発言はそうした認識の下に行ったものであり、その上で今回の参議院選挙で国民の審判をいただいたものと考えております。
 そして、今回の選挙の結果、私たちは改選過半数という目標を大きく上回る信任を国民の皆様からいただくことができました。自民党と公明党の連立与党は、その国民の負託に応え、今後とも言ったことは必ず実現する、言葉を語るだけではなくしっかりと結果を出す政治に邁進する決意であります。
 実質賃金についてお尋ねがありました。
 安倍政権では、これまでデフレからの脱却を目指し、雇用の拡大、賃金の上昇による経済の好循環を生み出すべく全力を傾けてまいりました。その結果、中小企業を含め今世紀に入って最も高い水準の賃上げが三年連続実現し、名目賃金は平成二十六年春以降増加傾向、実質賃金もプラスに転じ、六か月連続で前年同月比プラスとなりました。
 安倍政権では実質賃金が減少したとおっしゃりますが、これは消費税率引上げに加え、デフレ脱却に向かう過程で物価が上昇したこと、景気が回復し雇用が増加する過程においてパートで働く方が増えたことによるものであり、つまり雇用が拡大し、物価が上昇基調に転じている状況でのものと考えます。名目賃金での推移を見ますと、民主党政権、二〇〇九年―二〇一二年はマイナス、安倍政権はプラスであります。
 また、繰り返しになりますが、足下では、一人当たり平均賃金で名目賃金も実質賃金も増加傾向となっており、特に、実質賃金は今年二月以降、六か月連続のプラスであります。特に、今年六月はプラス二・〇%、七月はプラス一・八%と高い伸びを示しています。これは物価の下落だけを原因として達成されるものではありません。特定の月だけを見て、物価がマイナスだったから実質賃金が上がったという指摘は、現在の経済状況を正面から見ない誤ったものと言わざるを得ません。
 家計収入が減少しているとの指摘についても、この調査における収入は勤労者世帯の一世帯当たりの状況を明らかにするものであり、全ての雇用者一人当たりの賃金の状況を表すものではありません。
 今後も、アベノミクスの加速化を強力に進め、雇用の拡大と賃金の上昇による経済の好循環の流れを確かなものにし、社会全体の所得の向上に全力を尽くしてまいります。
 消費者物価についてのお尋ねがありました。
 政権交代後、アベノミクス三本の矢によって、二十年間続いたデフレからの脱却にチャレンジし、もはやデフレではないという状況をつくり出すことができ、デフレ脱却まで……(発言する者あり)済みません、今説明をしておりますから、少し静かに聞いていただきたいと思います。デフレ脱却まであと一息のところまで来ています。
 二%の物価安定の目標の実現を阻害した要因について、日本銀行は、総括的な検証の中において、原油価格の下落、消費税率引上げ後の需要の弱さ、新興国経済の減速等であると説明していると承知をしております。
 こうした中で、消費者物価の総合では、原油価格の下落もあり、御指摘のとおり、本年四月から七月の間、前年比マイナスとなっていますが、生鮮食品やエネルギーなどを除いた物価の基調を表す消費者物価指数のコアコアを見ると、依然として、二〇一三年十月以降、前年比三十四か月連続のプラスとなっているほか、GDPデフレーターの前年同期比は十四半期連続でプラスとなっています。このように、デフレ脱却に向けた歩みは着実に前進していると考えています。
 貿易収支についてお尋ねがありました。
 私が三年前に海江田代表との党首討論で申し上げたのは、行き過ぎた円高が解消されるなどの仮定を置けば、貿易収支が黒字に転じ、経常収支も二年後には八兆円のプラスになるとの試算でした。その後、新興国や資源国の需要が減速するなど、国際経済環境は大きく変化しました。このため、現実には必ずしも試算どおりではありませんでしたが、貿易収支はいまだ弱さが見られるものの、昨年十―十二月期から三四半期連続で黒字となり、その幅も拡大しており、民主党政権以来続いてきた赤字傾向を反転することができました。さらに、経常収支の黒字は、昨年、八兆円を上回り、十六兆円に達したところであり、大幅に改善したと認識しております。
 プライマリーバランスの黒字化についてお尋ねがありました。
 安倍内閣においては、国、地方を合わせた税収は二十一兆円増加し、新規国債の発行額を十兆円減らし、国の一般会計プライマリーバランスを十四兆円改善させました。二〇二〇年度にプライマリーバランス黒字化を実現するという財政健全化目標を堅持し、その実現に向け、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、未来への投資を実現する経済対策を始めとする強い経済の実現を目指した取組を進めていきます。
 これまでも、社会保障の改革を含め、徹底的な重点化、効率化など歳出削減にも取り組んできたところであります。この結果、社会保障関係費についてはその実質的な伸びを年平均五千億円に抑えることができるなど、歳出改革の取組は着実に成果を上げております。引き続き、経済・財政再生計画の枠組みの下、安倍内閣のこれまでの歳出改革の取組を強化してまいります。
 また、二〇一八年度時点で、目標達成に向けた歳出改革等の進捗状況を評価し、必要な場合には、デフレ脱却、経済再生を堅持する中で、歳出歳入の追加措置等を検討することとしています。今後とも、経済・財政一体改革を不退転の決意で断行し、経済再生を図りながら、二〇二〇年度におけるプライマリーバランスの黒字化を実現してまいります。
 勤労者の賃金下落の原因についてのお尋ねがありました。
 勤労者の実質賃金については、平成十二年から平成二十七年の間、減少していますが、これはパートで働く人が増えたことなどによるものと考えています。安倍政権では実質賃金が減少したとおっしゃいますが、繰り返しになりますが、これは消費税率引上げ、三%の引上げに加え、デフレ脱却に向かう過程で物価が上昇したこと、景気が回復し、雇用が増加する過程においてパートで働く方が増えたことによるものである、つまり雇用が拡大し、物価が上昇基調に転じた状況でのものであると考えております。
 民主党時代は、デフレの下、名目賃金が減少しても、物価が下がっていたことにより、実質賃金が増加しているだけの状況でありました。それに対し、安倍政権では、もはやデフレではないという状況をつくり出し、足下では、名目賃金は平成二十六年春以降増加傾向にあり、実質賃金も六か月連続で前年同月比プラスとなっているということをはっきりと強調しておきたいと思います。
 非正規雇用の一掃に関するお尋ねがありました。
 非正規という言葉を日本国内から一掃すると私が言っているのは、どの働き方を選択しても、しっかりした処遇を受けられるようにし、人々が自分のライフスタイルに合わせて多様な働き方を自由に選択できるようにするということであります。
 これを実現する具体的な方策としては、どのような賃金差が正当でないと認められるかを、年内を目途にガイドラインを作って具体的に明らかにし、さらに、賃金差について裁判で争われた場合に、裁判所の判断の根拠となる規定を整備することなどを含め、法改正についてちゅうちょなく行ってまいります。
 なお、昨年成立した労働者派遣法改正法は、正社員を希望する方にその道が開けるようにするとともに、派遣を積極的に選択している方については、待遇の改善を図るものであり、施行状況についてはしっかりと注視し、その目的が達成されるよう努めてまいります。
 総雇用者所得についてお尋ねがありました。
 国民みんなの稼ぎである総雇用者所得は、名目で見ても、実質で見ても、十三か月連続で前年比プラスになっています。
 また、御指摘の実質総雇用者所得について、民主党政権下の二〇一〇年から二〇一二年までの平均値と安倍政権下の二〇一三年から一五年までの平均値を比較すると、ほぼ同水準であります。我々の数字は、民主党政権時代には三%消費税は上がっておりませんが、安倍政権においては三%消費税を上げたにもかかわらず、平均値は同じだということであります。それは、その分所得が上がっているということを意味することは明らかであります。
 小川議員からは、これまでも、何度も実質賃金や実質総雇用者所得について国会で御議論をいただいております。そういう中で、本日も、ごまかしている、間違った説明をしている、甘い言葉で国民をだましているとの指摘をいただきましたが、データの事実に基づき、アベノミクスの成果について誠実かつ丁寧に説明を行ってきているところであります。
 その結果、二〇一二年の政権奪還後、一三年の参議院選挙、そして一四年の衆議院選挙、さきの参議院選挙で、それぞれ国民から力強い支持をいただいたと、このように理解をしております。今後とも、客観的なデータ等に基づき建設的な政策論議を行ってまいりたいと考えております。
 雇用の正規化についてお尋ねがありました。
 アベノミクス三本の矢の政策により、政権交代後、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出しました。また、生産年齢人口が減少していく中でも雇用を拡大し、安倍政権発足時から比べて、名目GDPは六・九%、実質GDPは二・七%増加しています。
 また、過去最高水準の企業収益を雇用の拡大、賃金の上昇につなげることにより、正規雇用が昨年、八年ぶりにプラスに転じ、二十六万人増加しました。賃上げは、中小企業を含め、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが三年連続で実現しています。実質賃金もプラスに転じ、先ほど申し上げましたように六か月連続でアップするなど、経済の好循環が生まれています。個人消費は、二〇一六年一月―三月期、四月―六月期と二四半期連続で前期比プラスとなるなど、総じて見れば底堅い動きとなっています。
 こうした状況を更に推し進めるために、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジである働き方改革を断行してまいります。同一労働同一賃金の実現やこれまでの賃金体系の見直しに踏み込んで、非正規の方の処遇を改善し、中間層の厚みを増すことで、所得の底上げ、消費の拡大につなげてまいります。
 二%の物価安定の目標についてのお尋ねがありました。
 政権交代後、二十年間続いたデフレからの脱却にチャレンジしてきました。三本の矢の政策を進めることにより経済の好循環は着実に回り始め、現在はデフレではないという状況をつくり出すことができたのは事実であります。足下の消費者物価について、物価の基調を表す消費者物価指数のコアコアでは、前年比三十四か月連続のプラスとなっており、デフレ脱却に向けた歩みは着実に前進をしています。
 二%の物価安定の目標の実現を阻害した要因について、日本銀行は、総括的な検証の中において、原油価格の下落、そして消費税率引上げ後の需要の弱さ、新興国経済の減速等であると説明していると承知しております。そうした検証を踏まえて、今回、日本銀行は、金融緩和を強化するための新しい枠組みの導入を決定したところであり、これは二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するためのものであると理解しております。
 いずれにせよ、金融政策の具体的な手法は日本銀行に委ねられるべきであると考えており、黒田総裁を信頼しております。引き続き、政府、日本銀行は緊密に連携しながら、あらゆる政策を総動員して、デフレ脱却、そして力強い成長を目指してまいります。
 平和安全法制に関する国民の皆様への説明についてのお尋ねがありました。
 平和安全法制の成立後も、私自身、そして関係閣僚も様々な機会を捉えて説明に努めています。また、首相官邸のホームページを通じて法制の必要性や趣旨、目的、具体的内容について御説明を行っています。もちろん、与党としても、議員一人一人が全国各地で街頭に立ち、あるいは後援会等の場を通じてしっかりと説明を行うなど、地道な取組を行っております。
 そして、何よりも、参議院選挙において街頭演説等で、私は必ず平和安全法制についてお話をさせていただきました。その結果、先ほど申し上げましたように、改選議席の過半数を与党で大幅に上回る議席を得ることができたわけでございます。
 このように、国民の皆様に対し、様々な機会を通じて自らの言葉で分かりやすく説明する努力を継続していくことこそが丁寧な説明であると考えております。そして、こうした努力により、さきの参議院選挙において国民の皆様の信任を得ることができたと、このように考えております。今後とも、国民の皆様に一層の御理解をいただけるよう努力を続けてまいります。
 憲法改正についてのお尋ねがありました。
 まず、明確にしておきますが、憲法改正は自民党の党是であり、その考え方は草案という形で国民の前にお示しを既にしております。国政選挙に際しては正々堂々と公約に掲げてきており、御指摘は当たりません。
 憲法改正は、最終的には国民投票によって国民が決めるものですが、まずは国会の憲法審査会という静かな環境において各党がそれぞれの考え方を示した上で真剣に議論し、国民的な議論につなげていくことが必要です。考え方や立場の異なる者同士が正々堂々と議論し、合意を形成していくプロセスこそが政治であり、国民の負託を受けた我々政治家は、そのために知恵を絞り、合意に至る努力を真摯に積み重ねていかなければならないわけであります。
 私が申し上げた政治の技術とは、しっかりと例えば党内においても合意を形成する努力をしていく、あるいは他党との合意を形成していく努力をしていくことであります。政治の技術がない政党が政権を取るといかに混乱に陥るか、これは既に私たちが十分に経験したことであるということは申し上げておきたいと、このように思うところでございます。
 クリントン元国務長官による表敬についてお尋ねがありました。
 国連総会でニューヨークを訪問した際に、私は、クリントン元国務長官の表敬を受け、日米同盟強化の方途、北朝鮮、中国や海洋を含む地域情勢等について幅広く意見交換を行いました。今回の表敬は、クリントン元国務長官の発意を受けて調整し、実現したものです。
 日本政府が米国の大統領選挙に中立であることには変わりはありません。次の大統領が誰になるにせよ、日米同盟は日本外交の基軸であり、アジア太平洋や世界の平和と繁栄のため、米国と緊密に協力していく考えであります。
 大分県警における不適正捜査についてのお尋ねがありました。
 お尋ねの事案は、警察の捜査に対する国民の信頼を著しく損なうものであり、誠に遺憾であります。警察には、国家公安委員会の管理の下、再発防止を徹底し、適正捜査の一層の推進に努めてもらいたいと考えております。
 北部訓練場の返還についてお尋ねがありました。
 北部訓練場、四千ヘクタールの返還のため、〇・九六ヘクタールのヘリパッドを既存の訓練場内に移設する必要がありますが、その際、移設により影響を受ける方々に十分な配慮を行うことは当然のことであります。このため、これまでも地元の皆様と密接な意思疎通を図ってきております。
 地元の国頭村や東村からは、国立公園の指定、世界自然遺産への登録を目指すとして早期返還の要望を受けていますが、日米合意から二十年間、返還は実現しておらず、もはや先送りは許されません。引き続き、地元の皆様との信頼関係の下、関係法令に従って所要の移設工事を進め、速やかな返還の実現に全力を尽くしてまいります。
 また、米軍による航空機の運用に当たっては、公共の安全に妥当な配慮を行うのは当然のことであります。今後とも、安全面に最大限の配慮を行い、地元の皆様に与える影響を最小限にとどめるよう、米軍と密接な連携を図りながら万全を期してまいります。
 海上保安官等に敬意を表することと防衛大臣の部隊視察についてのお尋ねがありました。
 最初に申し上げます。海上保安庁と警察は軍隊ではありません。また、自衛隊は通常の観念で考えられる軍隊とは異なるとの政府見解は当然御存じのことと思います。
 その上で申し上げれば、海上保安庁、警察、自衛隊の諸君は、ただひたすら国民を守るため、厳しい任務に就いています。そして、私は、所信表明演説の中において、まさに東アジアの安全保障環境が厳しくなる中において緊張感に耐えながら任務に当たっている方々について言及したわけでございます。その文脈を十分に御理解をいただきたいと、このように思います。国民の命を守るためにこそ自らの命を懸けているわけでありまして、そして、それが彼らの誇りでもあります。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることは小川議員にも十二分に共有していただけるものと思いますが、所信表明においては、このような困難な状況の中で、国民のため、それぞれの現場において厳しい任務を全うする海上保安庁、警察、自衛隊の諸君に対し、心からの敬意を表そうと申し上げたものであります。国民よりも海上保安庁、警察、自衛隊が優先するなどという考えは根本的に間違っているだけではなく、彼らの誇りを傷つけるものでもあります。小川議員の御指摘は、かつて政権を担い、閣僚を務められていた方の御発言であるだけに大変残念であります。
 なお、そうした厳しい任務に当たっている自衛隊の部隊を稲田防衛大臣が視察した際に不見識な行動があったとは全く考えておらず、御指摘は全く当たりません。
 以上であります。(拍手)
#18
○副議長(郡司彰君) しばらくお待ちください。
 小川君から再質疑の申出があります。これを許します。小川敏夫君。
   〔小川敏夫君登壇、拍手〕
#19
○小川敏夫君 再質問を行います。
 私、足下の消費者物価の下落について、特にそれを取り出して質問いたしました。すなわち、二%の物価上昇が少し足らないということではなくて、今年に入って消費者物価が下落しているということは、この二%の上昇目標が破綻しているのではないかという観点から非常に重要な事項なので、なぜ今年に入ってから足下の物価下落がしているんですか、その要因についてお尋ねしたんですが、少し不明確でよく分かりませんでしたので、重ねてその点の答弁をお願いいたします。
 以上でございます。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#20
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 足下の消費者物価については、先ほど既に明確にお答えをしているとおりでございますが、もう一度答弁をさせていただきたいと思います。
 これは同じことになるわけでありますが、足下の消費者物価について、物価の基調を表す消費者物価指数のコアコア、つまり、これは原油価格、そして生鮮食料品を抜いたものでありますが、コアコアでは前年比三十四か月連続のプラスとなっているわけでありまして、デフレ脱却に向けた歩みは着実に前進しております。(拍手)
    ─────────────
#21
○副議長(郡司彰君) 関口昌一君。
   〔関口昌一君登壇、拍手〕
#22
○関口昌一君 自由民主党の関口昌一でございます。
 私は、自民党を代表して、安倍総理大臣の所信表明演説及び麻生財務大臣の財政演説について、総理と財務大臣に質問いたします。
 冒頭、本年八月、九月の台風は全国的に甚大な被害をもたらしました。犠牲となられた方々に深い哀悼の意を表するとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
 また、政府におかれましては、引き続き被災者支援に全力で取り組んでいただきたいと思います。
 さきの参議院選挙の結果、我々自民党は二十七年ぶりに参議院で単独過半数を確保することになり、我が国の議会制民主主義の中でより大きな責任を持つ立場となったわけであります。国民の皆様の負託に応えるよう、より丁寧に、より着実に、より謙虚に、しかし決めるときにはしっかり決める、与党として責任を持って政治を進めていかなければなりません。
 私は、選挙中に各地を回りながら、地方や中小企業にはまだまだ景気回復の実感がなく、厳しい状況であることを改めて認識いたしました。東京を始めとする主要観光地には世界から多くの観光客が訪れ、活気付いております。日本全体が暗く沈んでいた数年前と比べれば明らかな変化であります。今後は、この活気を全国の隅々まで、そして中小零細企業まで届けていくことを我々は全力を注ぐ必要があるわけであります。これは与野党を問わず、共に知恵を絞っていく大変重要な課題であると考えます。
 八月に閣議決定された未来への投資を実現する経済対策は、二十八兆一千億円と過去三番目の事業規模となりました。その経済対策を受けた今回の補正予算案には、中小企業の資金繰り支援、経営力強化、生産性向上などの支援策が掲げられております。我が国が着実に一歩一歩デフレからの脱却を進めていくために、今回の経済対策は欠かせないものだと考えます。
 今回の補正予算を含む未来への投資を実現する経済対策の意義と期待される効果について、総理はどのようにお考えか伺います。
 今月十五日、世耕経産大臣が経団連の榊原会長と会談して、利益を上げている企業はしっかりと賃上げを行うよう、また、中小企業の取引条件を改善して賃上げにつなげるよう要請したと伺いました。総理もこれまで、毎年の春闘の時期に、経済団体に対して賃上げの要請をしてこられました。企業側もそれに応えて賃上げを実施してきております。また、最低賃金も過去最大の引上げ幅となっており、所信表明演説では千円を目指すと宣言されました。こうした努力によって、正社員、非正規社員共に賃金アップが図られているのは事実であります。
 しかしながら、現在までの賃上げの状況についての認識は様々であり、今後更なる賃上げに向けての取組が必要だと思われます。この点、政府に強く要望したいと思います。
 今年六月に総理は、消費税引上げを平成三十一年十月まで二年半延期することを表明されました。延期を表明した記者会見では、現在、リーマン・ショック級の事態は起きていないけれども、内需を腰折れさせないために、そしてリスクに備え、危機に陥ることを回避するために消費税引上げを延期すると説明されました。
 中国を始めとする新興国の経済はいまだ不安定な状態が続いております。先進国も、ヨーロッパを中心に政治的な混迷が深まっており、経済も精彩を欠いております。このような状況の中で、私も再延期の判断はやむを得なかったと思います。
 六月時点でも十分に再延期の理由はあったと思いますが、その後、イギリスのEU離脱の問題を受け、世界経済は更に不安定な状況となりました。まさにリスクが現実化したという面であります。
 そこで、現在の状況に照らして、消費税引上げの延期にはどのような効果があるとお考えか、麻生財務大臣に伺います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、総理は、消費税引上げを延期しても、二〇二〇年度の財政健全化目標は堅持すること、社会保障の充実にも取り組んでいくことを表明されております。消費税を上げない場合には、どのように安定的な財源を確保していくのか、この点には不安を持つ方もいらっしゃると思います。社会保障の充実は十分に行われるのか、不安に思われる方々が納得し、安心できる政策を総理を先頭に進めていただきたいと思います。
 次に、社会保障に関して伺います。
 まずは、子育て環境の整備についてであります。
 一億総活躍社会のための子育て支援の充実は、安倍内閣の最重要課題の一つであります。政府は、深刻な待機児童問題の解消を進めるため、来年度末までに五十万人の保育の受皿整備を進めております。その成果もあって、保育の受皿は平成二十五年から二十七年の三年間で約三十一・四万人増えております。このままのペースでいけば、目標どおり、来年度末に五十万人が達成できることになります。
 しかし、それでも全国の待機児童数は、今年四月の時点で二万三千五百五十三人と、昨年より僅かに増えてしまっている状況であります。これは、保育所の増設によって、これまで表に現れていなかった潜在的な保育ニーズが現れてきたためであると考えられます。
 また、最近では、保育所の建設が周辺住民の反対で難航するケースも相次いでおり、計画どおりに保育所の定員が増やせない状況も出てきております。場所の確保のための空き家の有効活用なども含め方策を工夫すべきだと考えます。
 これまで、政府の待機児童対策は、来年度が待機児童数のピークであるということを想定して行われてまいりました。しかし、こうした状況を勘案すると、来年度が終わっても、その後も引き続き待機児童対策を継続していく必要があるのではないでしょうか。政府として今後の待機児童対策にどのように取り組んでいくお考えか、総理に伺います。
 保育の受皿、そして介護の受皿の拡大にとって、場所の問題と並んで大きな問題が人材の確保であります。政府はこれまで、保育人材、介護人材の処遇の改善に継続的に取り組まれており、その努力には敬意を表するものであります。
 今回の経済対策においても、保育人材については、来年度当初予算で二%相当の処遇改善を行うとともに、保育士としての技能、経験を積んだ職員については追加的に四万円程度の追加的な処遇改善を実施するとされております。介護人材については、来年度から月額平均一万円相当の改善を継続して実施するとしております。
 総理は、所信表明演説で、消費増税が延期された中にあっても、優先順位を付けながら社会保障を充実するとおっしゃいました。喫緊の課題である保育や介護の人材確保のためには、引き続き処遇改善を優先的に進めることを強く要望いたします。
 また、今回の補正予算には、簡素な給付措置として三千六百七十三億円が計上されております。消費税引上げが二年半延期されることを踏まえて、平成三十一年九月までの二年半分の給付を一括して計上するとのことであります。
 この簡素な給付措置は、消費税五%から八%への引上げに伴う影響を緩和するために実施されているものでありますが、これまでの給付でどの程度の消費の下支え効果があったのか、また今回の給付ではどのような効果が期待できるのか、国民に示しながら政策を実行していただきたいと強く望みます。
 未来への投資にふさわしい政策として、総理も所信表明演説で奨学金制度の拡充について述べられました。無利子の奨学金を必要とする全ての学生が受けられるようにすること、また、給付型の奨学金を実現することの二点であります。
 幼児教育の段階的な無償化と高校生への就学支援が行われている現在、大学生、大学院生への奨学金の充実が急務となっております。無利子奨学金の拡充については、現在の制度の枠を更に広げるというイメージかと思います。給付型の奨学金については、我々自民党も参議院選の公約として掲げたところであり、必ず実現していただきたいと強く要望いたします。
 次に、未来への投資を実現する経済対策にも盛り込まれた生産性向上のための方策について伺います。
 現在、世界中で人工知能の開発競争が行われております。有名なのはIBMの人工知能ワトソンで、五年前にアメリカのクイズ番組で人間のチャンピオンを破ったことで注目されました。ワトソンは日本でも導入されており、例えば、二千万件以上の医学文献を学習させて、患者さんの情報を入力すると、僅かな時間で適切な治療法を教えてくれるという使い方がされております。実際に、症状が悪化した白血病患者がワトソンが教えた治療法で助かったという例もあるそうであります。
 今回の補正予算でも、人工知能に関するグローバル研究拠点の整備として百九十五億円が計上されております。一つの研究事業としては相当な額の予算が使われますので、是非我が国の競争力向上に資するよう使っていただきたいと思います。
 人工知能をめぐる国際競争の現状と我が国の取組方針について総理に伺います。
 人工知能と並んで注目される次世代の技術が自動運転であります。こちらも世界中で、自動車メーカーのみならずIT企業なども加わって開発が急ピッチに進んでおります。部分的な自動運転機能を持った車は、既に国内外のメーカーから発売されております。今年六月の日本再興戦略二〇一六では、特区等で自動運転車の実証実験が可能となるよう速やかに所要の措置を講ずるとされております。
 もし自動運転車が本格的に導入されれば、高齢者、障害者の外出が容易になるとともに、過疎地域の移動手段として活用できます。すなわち、一億総活躍社会の実現と地域活性化にも大いに役立つものと考えられます。逆にこの分野で対応が遅れると、日本経済の屋台骨である自動車産業の競争力に大変重大な影響が出てまいります。特区における実証実験と併せて、全国的な導入を視野に入れて、そもそも自動車とは何か、運転免許の意味とは何かといった本質的な点から交通法規全体を見直す必要があるのではないでしょうか。
 本格的な自動運転社会の到来を見据えた法整備について速やかに検討を進めるべきであると考えますが、総理の御見解を伺います。
 次に、外交政策について伺います。
 総理が国連総会に出発される直前の九月十八日、ニューヨークのマンハッタン中心部で大きな爆発があり、ほかにも複数の爆発物が発見されるという事件がありました。事件の背景などはまだ詳しく分かっておりませんが、国連総会を目前に控えた時期の犯行であり、何らかの意図を持った事件であると思われます。
 昨年から今年にかけて、ヨーロッパを始め世界各地でテロが頻発している状況であります。我が国は、東京オリンピック・パラリンピックの開催も控えており、今後、国内でのテロのリスクも更に高まっていくと考えられます。国民の安心、安全のために、各国の情報機関との情報共有などを含め、テロ対策を一層強化していただくよう強く政府に望みます。
 ニューヨークでの国連総会では、総理が一般討論演説を行い、核実験や弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮に対し、国連安保理による制裁強化を求めるとともに、拉致問題に関しても解決への協力を強く求めました。また、ニューヨークにおける各国首脳との会談では、我が国が常任理事国入りを目指している国連安保理の改革について意見を交わしたとされております。さらに、国連総会への出席後は、日本の総理大臣として初めてキューバを訪問し、ラウル・カストロ国家評議会議長と首脳会談を行いました。これらの一連の外交日程について、その成果はどのようなものであったのか、総理に伺います。
 次に、今回の補正予算案の柱の一つである災害対策、震災復興について伺います。
 補正予算案には、四月に発生した熊本地震からの復旧復興予算が盛り込まれております。熊本地震は、一時期十八万人以上の避難者を出すなど、大きな被害をもたらしました。最近では、避難所から仮設住宅等への移転が進み、操業を停止していた工場も次々と再開するなど、かなりの部分で復旧が進んできております。しかし一方で、一般の家屋はなかなか修理が進まず、度重なる台風におびえながら、ブルーシートの屋根の下で過ごしている人も大変多い状況であります。
 熊本地震の被害について、全体としてどの程度復旧復興が進んでいるのか、また、今後重点的に取り組む必要がある項目はどのようなものか、総理に伺います。
 今回の補正予算案には、東日本大震災からの復興事業の追加も盛り込まれております。震災からの復興は着実に進展しているものの、場所によってはまだまだ道半ばという声もあります。先日の台風十号では岩手県内の漁港などが大きな被害を受け、震災と台風災害の二重被災のために大変な苦労をされている方々もおられます。震災以来、ずっと復興に取り組み続けている被災地の方々に対し、これからも丁寧に耳を傾けながら支援をしていかなければならないと思います。
 被災地の中でも、復興がある程度進んでいるところとまだこれからというところがあります。政府におかれましては、こうした復興の進み具合の差に留意しながら、全ての被災者の方に笑顔が戻る日までしっかりと取組を進めていただきたいと思います。
 以上の点を踏まえ、政府における復興をより加速化するための取組を総理に伺います。
 昨年、東北地方を訪れた外国人観光客が震災前の実績を初めて上回りました。ただ、全国では、震災前、平成二十二年の二倍以上となったことに比べると、まだまだ十分な回復であるとは言えません。とりわけ秋田県、福島県では、震災前より外国人観光客が減ったままとなっております。その中でも、福島県は震災前の五五%しか回復しておりません。
 こうした状況を踏まえ、政府としても、外国人観光客の増加が十分でない東北地方、特に秋田県、福島県に対して更なる観光客誘致の努力を行うよう強く要望いたします。
 次に、憲法改正について伺います。
 総理は、憲法はどうあるべきか、日本がこれからどういう国を目指すのか、それを決めるのは政府ではありません、国民ですと述べられました。最終的に憲法改正をするかしないかを決めるのは国民であり、国民の過半数から支持を得られる案を示す責任は我々国会議員にあります。
 憲法のどの部分をどのように改正するのかについては、各会派、各議員の考えは様々でありますが、議論から逃げずに更に議論を深めていく必要があると思います。憲法審査会で十分な議論を行い、国民の皆様に堂々と発議できる案を得られるよう、我々は努力してまいりたいと思います。改めて、憲法改正について総理のお考えを伺います。
 最後に、昨年、我々は苦渋の選択の中で公職選挙法を改正し、本年、憲政史上初めて四県合区による参議院選挙が執り行われました。
 合区の対象となった四県のうち三県が最低投票率を更新し、四県からは、合区が拡大すれば政治への関心は低下し、地方の声が国に反映されにくくなる、地方創生は絵に描いた餅になるなど、合区による弊害が多く指摘されました。選挙後の世論調査でも、実に約七割の人が都道府県で最低一人は参議院議員が選出されるべきとの結果が出ており、合区に対する思いは、四県だけではなく、多くの国民にも共有されております。
 私の地元埼玉県は、全国的に見ると人口は増加しておりますが、さいたま市を中心とした県南地域では人口増加しておりますが、私の生まれ育った秩父地方や多くの地域では人口が減少している状況であります。秩父地方は、御存じのとおり山紫水明、毎年多くの観光客が訪れる大変美しい地域であります。その美しい秩父の風景を維持するために多くの人々が頑張っております。たとえ人口が減っても、美しい風景、美しい国土を守っているのは言うまでもなく地方の人々なのであります。
 全国的に見て、人口が増加しているのは大都市圏を始めとする僅かな地域であり、それ以外の大半の地域では人口減少が続いております。しかし、国土保全という観点で見れば、国土の大半を占める人口減少地域が非常に重要な役割を果たしているのであります。
 国土保全に重要な役割を担う人々の声が政治の場に届かなくなるということは、地方創生にも逆行することになります。地方の声を聞き、その思いをしっかりと受け止めることで初めて地方を創生することができるのであります。
 このように多くの弊害がある合区制度をしっかりと検証して、もう一度考え直す必要があるということを強く申し添えまして、私の代表質問を終わります。
 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#23
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 関口昌一議員にお答えをいたします。
 経済対策についてお尋ねがありました。
 政権交代後、アベノミクス三本の矢によって、二十年間続いたデフレからの脱却にチャレンジし、もはやデフレではないという状況をつくり出すことができました。特に、国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善をしています。
 しかし、デフレ脱却にはまだ至っておらず、アベノミクスは道半ばです。G7でも、世界経済が直面するリスクに立ち向かうため、全ての政策対応を行う必要性で一致しました。日本は、G7の議長国として、アベノミクスを一層加速し、しっかりと責任を果たしていきます。
 そのため、先般、事業規模二十八兆円を超える経済対策を決定し、補正予算を編成しました。本経済対策は、当面の需要喚起にとどまらず、民需主導の持続的な経済成長と一億総活躍社会の着実な実現につながる施策を中心としています。地方創生の切り札である観光振興のためのインフラ整備や中小企業・小規模事業者の資金繰り支援、経営力強化、生産性向上を図る施策等についても盛り込んでいます。
 なお、対策に基づく予算措置により、短期的に現れると考えられる実質GDP押し上げ効果を現時点で概算すれば、おおむね一・三%程度と見込まれます。本臨時国会で補正予算の早期成立を図り、内需を力強く下支えするとともに、未来への投資を大胆に行っていきます。
 今後の待機児童対策についてお尋ねがありました。
 安倍政権では、これまでの三年間で三十一・四万人分もの保育の受皿を整備してまいりました。これは、年平均で十一万人増と、年平均四万人増だった民主党政権時の二・五倍超えのペースです。また、安倍政権になってからは、毎年度、全国の総計で見れば申込者数の増加を上回る保育の受皿整備が実現しています。
 本年四月の待機児童数は、全国で見ると一年前より増えましたが、市区町村が積極的な受皿拡大を行った結果、百九十三の市区町村では待機児童が減少し、全体の約八割、千三百五十五の市区町村では待機児童がゼロとなっています。一方で、大規模なマンション開発に伴う若年層の人口増などのため、保育需要の増加に整備量が追い付かなかった二百三十二の市区町村では待機児童が増加しています。
 待機児童の解消のため、保育施設の整備や保育人材の確保のための処遇や職場環境の改善、保護者のニーズをかなえる保育コンシェルジュの配置の拡大、小学校の余裕教室、公有地、公民館、公園、郵便局等の活用などの方策を講じてまいります。
 御指摘の平成三十年度以降についても、女性の就業の更なる増加、働き方改革の進展、育児休業の取得促進等の取組を踏まえつつ、保育の受皿を着実に整備してまいります。
 人工知能をめぐる国際競争の現状と我が国の取組方針についてお尋ねがありました。
 議員御指摘のとおり、米国企業が開発した人工知能がクイズ番組で人間のチャンピオンを破るなど、世界的な技術開発競争が起きています。また、世界では、検索サービス分野などで巨大なプラットフォームを構築する企業が次々と現れています。他方、我が国は、人工知能の技術開発やこれらの高度な技術を利用するITサービス分野で他国に水を空けられているのが現状です。
 しかしながら、人工知能をめぐる今後の国際競争は、自動走行、物づくり、医療、介護などの実世界のデータの活用をめぐる競争に軸足が移っていくと認識をしております。例えば、ウエアラブル端末で集めた個人の日々の健康データや医療のレセプトデータなどを人工知能で解析し、生活習慣病の予防サービスなどを提供する取組が進んでいます。このようなリアルデータの活用をめぐる競争が進む中では、我が国が有する膨大な医療のレセプトデータの蓄積やロボットなどの製造業の技術力が大きな強みとなり得ます。
 今後の経済対策では、医療分野などのリアルデータを活用して、人工知能とロボット技術を融合させるなどの研究開発を行う拠点を整備します。例えば、手術中の名医のあらゆる動作や患者の生体情報等のデータを蓄積し、人工知能による名医の技を再現できる手術支援ロボットの開発などに取り組みます。これにより、国民生活と経済の双方に貢献する技術の実用化を進めます。
 自動運転社会の到来を見据えた法整備についてのお尋ねがありました。
 自動走行は、高齢者を含めた地域の新たな移動サービスの実現に寄与するとともに、我が国自動車産業が世界をリードする競争力を維持する上で不可欠な技術です。このような技術を社会で実用化していく上では、御指摘のとおり、交通法規の整備が極めて重要です。
 そのため、二〇二〇年に高速道路での自動走行を、二〇二五年頃までに完全自動走行をそれぞれ実現するため、交通法規を含めて官民が協力して取り組むべき課題と対応を取りまとめました。これに基づき、運転者の義務を規定する道路交通法や車両の安全基準を規定する道路運送車両法などについて、自動走行を実現するために必要な制度整備を検討してまいります。完全自動走行を実現するために、運転者の存在を前提とする道路交通に関する条約との整合性を図るべく、他の締約国との議論を進めてまいります。
 本格的な自動走行社会の実現に向けて、交通法規全体の見直しにしっかりと取り組んでまいります。
 国連総会及びキューバ訪問の成果についてお尋ねがありました。
 国連総会では、北朝鮮の核、ミサイルは新たな段階の脅威であり、従来とは全く異なる対応を取らなければならないことを強く訴え、オバマ大統領、メイ首相、李克強首相と新しい安保理決議の採択に向け緊密に連携していくことを確認しました。拉致問題については、全ての拉致被害者の一日も早い帰国に向け、各国に対して理解と協力を求めました。
 安保理改革については、七十年以上前の世界を反映した現在の構成を見直し、その機能強化を図っていくことが必要である旨を訴え、改革が急務であることを強調しました。
 非同盟諸国に大きな影響力を持つキューバには、日本の総理大臣として初めて訪問しました。ラウル・カストロ議長との首脳会談においては、経済協力を本格化させ、官民一体でキューバの旺盛な成長需要に応えていくことに合意し、国際社会が直面する諸問題に連携して取り組んでいくことを確認しました。
 熊本地震の災害復旧復興対策についてのお尋ねがありました。
 私自身、三度にわたり熊本の被災地を視察し、甚大な被害の状況を目の当たりにするとともに、被災者の皆様の大変な御苦労を直接伺うたびに、復旧復興への決意を新たにし、熊本地震復旧等予備費等を通じた財政支援等、できることは全て行うとの姿勢で復旧復興に取り組んでまいりました。
 被災地では、民間賃貸住宅等を活用したみなし仮設住宅の提供に加え、応急仮設住宅の建設など、被災者の住まいの確保などの応急対策に一定のめどが付いたものと考えています。
 他方で、大規模な斜面崩壊のあった阿蘇大橋地区における道路等のインフラの復旧、恒久的な住まいの確保、農林漁業者の事業再開や中小企業等の地域産業の再生、復興など、更に取り組むべき課題はまだまだ多く、政府としてはこれらをしっかりと後押ししてまいります。そのため、第二次補正予算案に熊本地震からの復旧復興として四千百三十九億円を計上したところであり、早期の成立への御理解と御協力をお願いいたします。
 今後とも、政府一丸となって、被災地の方々の気持ちに寄り添いながら、被災地の復旧復興に全力で取り組んでまいります。
 東日本大震災からの復興の加速についてのお尋ねがありました。
 東日本大震災からの復旧復興に懸命に取り組む中で、今般の豪雨、台風によって大きな被害を受けられた被災地の方々がおられます。政府としては、できることは全て行うという大方針の下、この復旧復興に万全を期してまいります。
 復興の加速化については、これまでも、住宅再建支援、用地問題の解決など累次にわたる取組を進めてきたところであります。また、被害が大きな自治体については復興庁職員が直接市町村を訪れて相談、助言に努めるなどきめ細かく支援しているところであります。私自身、これまで三十回近く被災地を訪問してきており、これからも、被災地の皆様の気持ちに寄り添いながら、被災地の状況に応じたきめ細かい対応を行い、復興を加速化させてまいります。
 同時に、外国人宿泊者数を二〇二〇年に今の三倍にするという目標の達成に向け、東北の観光復興を加速してまいります。観光先進地・東北を目指し、新たなチャレンジを支援してまいります。
 東北の復興なくして日本の再生なし、あの大震災、困難の日々を胸に刻みながら、被災地の皆さんと力を合わせ、新しい東北の未来を切り開いてまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 憲法改正は最終的には国民投票によって国民が決めるものですが、まずは国会の憲法審査会という静かな環境において各党が真剣に議論し、国民的な議論につなげていくことが必要と考えております。
 その際、大切なことは、自民党が草案として明確にお示しをしているように、各党がそれぞれの考え方を具体的に示すことであります。その上で、各党による建設的な議論が進められることを期待しています。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(麻生太郎君) 消費税率引上げ延期の効果についてのお尋ねがあっております。
 現下の日本経済は、雇用・所得環境が大きく改善するなど、確実に経済再生に向けた成果が現れつつあると存じます。他方、個人消費は力強さを欠く状況にあります。世界経済は、新興国経済の陰りなど需要の低迷、成長の減速リスクが懸念されております。
 こうした状況の中で、日本としては、経済再生、資産デフレ不況からの完全な脱却に向けた取組に万全を期する必要があろうと存じます。構造改革の加速など、総合的かつ大胆な経済政策を講じることと併せて、消費税率の一〇%への引上げを二年半延期することとした次第であります。
 こうした取組により、民需主導の経済の好循環を確実なものとするとともに、経済財政運営に万全を期してまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#25
○議長(伊達忠一君) 矢田わか子君。
   〔矢田わか子君登壇、拍手〕
#26
○矢田わか子君 民進党・新緑風会の矢田わか子です。
 会派を代表しまして、安倍総理大臣の所信表明演説に対し、質問をさせていただきます。
 私はこれまで、仕事と育児、介護との両立を図りながら、電機産業の一企業で働き、同時に労働組合で活動してまいりました。この間、仕事や組合活動を通じて、全国各地で懸命に働き、また地域で様々な活動されている皆さんの声を広く聞いてまいりました。こうした皆さんの生の声を政治に反映させ、働く意欲を持つ人が尊厳を持って働き、安心して生活できる社会づくりに貢献したいと思っています。
 まず初めに、一億総活躍社会について伺います。
 安倍総理大臣は、一億総活躍プランを掲げ、その重点課題として働き方改革を打ち出されています。
 私たち民進党は、居場所と出番のある共生社会の実現を掲げ、老若男女、そして健常者、障害者を問わず、全ての人に活躍の場が与えられる社会をつくろうと提案してきました。
 一方で、多くの国民が、幾ら数字を並べても、いまだ様々な不安や不満を抱えながら日々の生活を送っているという現状もあり、安倍総理にもこのことをまず直視していただきたいと思います。
 そこで、私は、働き方改革は、単に労働政策を進めるだけではなく、将来への安心を得られるよう、社会保障政策や産業政策を含めたトータルな政策として打ち出すべきと考えます。
 総理が考えておられる働き方改革は、同一労働同一賃金の実現や最低賃金の引上げ、長時間労働の是正などにより、女性、若者、高齢者が働きやすい環境をつくるというものですが、単に働き手を増やし、世帯収入を増やし、税金を納める人を増やすという量的な拡大を追うだけでよいのでしょうか。
 また、非正規社員が増えていくことも問題です。一億総活躍を言うのであれば、雇用の量のみではなく、全ての人が生きがい、働きがいを持って仕事に就くという労働の質についても追求すべきと考えます。
 私はこれまで、仕事の報酬は仕事であると教わってきました。当然、相応の金銭的報酬があってのことですが、難しい仕事に挑戦することで、その過程で得た経験や達成感を持って、より上位の仕事に向き合うことができる、まさにそのような尊厳のある働き方こそが真の活躍につながります。
 また、職業選択や職業能力の向上に適切な対応をしていくことも重要であり、次のことを提案します。
 例えば、小さい頃から働くことの大切さや勤労観を学ぶ教育の実施、社会人への学びの場の更なる提供、中小企業に対する人材育成、能力開発への支援強化などが必要です。
 さらに、育児、介護をしながら働く人には、ICTやロボット技術の活用などにより利便性や安全性の向上を図り、柔軟な働き方や働きやすい環境を提供する取組も労働の質の向上につながる施策になると考えます。
 加えて、高齢者の雇用に関しては、仕事の割り振りや処遇面でのきめ細かい配慮などにより、高齢者の方々の働く意欲を高める方策を講じていく必要があります。
 安倍総理は、一億総活躍社会の実現プロセスにおいて、これらの労働の質に関わる政策の必要性、どのようにお考えなのか、見解を伺いたいと思います。
 続きまして、働き方改革に関し、労働法制の規制緩和の問題について伺います。
 政府は、今国会において、労働基準法の改正により、ホワイトカラーエグゼンプションを導入されようとしています。この制度は、労働者が一定の条件にあれば、時間外・休日労働の割増し賃金を不払にしてもよいというものです。現在のところ、対象となる労働者は、業務や年収による条件、あるいは健康確保措置の条件が課せられていますが、対象労働者が長時間労働を強いられることが想定されます。また、年収一千万円以上という条件もいずれ引き下げられ、対象となる労働者が膨れ上がっていくという懸念もあります。
 同様に、裁量労働制についても規制緩和が行われます。これも成果を重視する労働時間法制の一つですが、私たちの経験からも、この制度の運用においては、前提条件として、公平な評価制度に基づく運用、裁量による成果が反映される業務内容の明確化、そして個々人の自律性の尊重などが必須です。こうした条件づくりが不十分なために、裁量労働制の運用が困難に陥ったケースもあります。
 元々、相互の信頼関係の下、チームワークで仕事を進めて成果を上げるのが日本企業の強みでもありました。しかし、個別の労働時間管理が行き過ぎると、成果を上げるために、限界を超えて無理をして働きをする人が出てきます。これまでも日本人は働き過ぎという指摘をされてきました。この制度によって労働への負荷が一段と高まり、メンタルヘルス疾患、そして過労死までもが更に増えるおそれもあります。
 一昨日より働き方改革に関する具体的な検討がスタートしておりますが、労働者側の意見や実態、十分に踏まえた上で検討を進めるべきと考えます。
 これらの懸念に対し、政府はどのように対応されるのか、厚生労働大臣の御見解を伺います。
 続いて、保育の問題について質問します。
 保育政策の推進は、私たち民進党が掲げるチルドレンファーストの中心的な政策課題です。保育士の確保の問題については昨日も触れられておりますので、私は、保育所の運営の柔軟化について質問いたします。
 今日、多くの女性が子育てしながら多様な勤務形態、いわゆるシフト勤務や深夜勤務、日曜・祝日勤務に就き、宿泊出張をされる方々も多くいます。また、女性活躍の流れの中で、役付者や管理職など責任ある仕事に就く女性も増えています。加えて、サラリーマンの単身赴任が増加し、父親若しくは母親が単身で子育てしている家庭も多く、このような方々が保育所に対し柔軟な運用を求めています。
 一方で、保育所ではいまだこうしたニーズに応え切れておらず、特に早朝・深夜保育や休日保育、病児保育といった対応が全般的に遅れています。中でも、病児保育に至っては、全国で千七百か所程度で、全保育所の六%足らずしかありません。私自身も、病気の子供を預けてまで働きたいのかと言われたこともあります。でも、与えられた責任の下、後ろ髪引かれても職場に行かなければならない日はあるんです。
 こうした中で、どれだけの母親がキャリア、仕事と子育ての両立、悩んでいるのか御存じでしょうか。結局、両立は難しいとして、キャリアはもとより仕事まで諦めてしまう方々、大勢いらっしゃいます。今や、保育の問題は従来型の施設整備を中心とした対応ではカバーし切れない段階へと入っています。
 私は、保育ママ制度やファミリー・サポートなど、現在、地域で行われている様々な預かりシステムに注目していく必要があると思います。地域の中でお互い助け合い、支え合うといういわゆる共助に基づき、弾力的で子供の安全が確保される保育の在り方を検討し、そこで積極的な支援策を講じていくべきであることを提案します。この点について、厚生労働大臣の御見解を伺います。
 次に、チルドレンファーストに関連し、子供の貧困問題について伺います。
 非正規労働者がこれほどまでに増え、社会の格差が一段と広がり、貧困家庭が増える中で、きちんと食事すら取れず給食で命をつなぐ子供、高校、大学へ進学を諦める子供たちが増え続けています。私も地域でそのような子供たちのつらい実態を痛いほど見てまいりました。各地でフードバンクや子供食堂、学習支援などの取組が行われていますが、今や、子供の貧困問題に対する国として抜本的な対策、不可欠です。
 昨日の本会議で、総理の答弁では、この問題を抜本的に解決するには程遠いと思います。対策の一層の強化が必要と思いますが、改めて総理の見解を伺いたいと思います。
 最後に、現在、政府や与党で検討されている配偶者控除の見直し問題について触れます。
 配偶者控除のいわゆる百三万円の壁を取り払い、女性の社会進出を促進させようとするお考えのようですが、それには年金、医療などの社会保険制度、雇用制度を含めたトータルの政策として提起する必要があると考えます。また、配偶者控除の廃止による約六千三百億円分もの財源をどのように使うのかという問題、税、社会保険を現在の世帯単位で考えるのか、あるいは個人単位に再編するのかという課題もあります。今後の検討の方向について、総理より見解を伺いたいと思います。
 以上の質問について大臣の皆様の明快な御答弁をお願い申し上げ、代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#27
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 矢田わか子議員にお答えをいたします。
 一億総活躍社会に向けた働き方改革に関するお尋ねがありました。
 一億総活躍社会とは、誰もが生きがいを感じられる社会であり、家庭で、職場で、地域で、あらゆる場で誰もが活躍できる、言わば全員参加型の社会です。
 一億総活躍の未来を切り開いていく、その最大の鍵は働き方改革であります。ポイントは、働く方により良い将来の展望を持っていただくことです。同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望を持てるようにしなければなりません。長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性、高齢者も仕事に就きやすくなります。また、ロボットからビッグデータ、AIまで、デジタル技術の活用が進む中で、働き方も間違いなく変わっていきます。
 働き方改革実現会議では、非正規雇用の処遇改善、賃金引上げと労働生産性の向上、長時間労働の是正に加え、転職・再就職支援、企業の能力開発や社会人の学び直しなどの人材育成、格差を固定化させない教育、そしてICTを活用したテレワークなどの柔軟な働き方、女性、若者が活躍しやすい環境整備、意欲ある高齢者の皆さんに対する多様な就労機会の提供、病気の治療や子育て、介護と仕事の両立、外国人材の受入れの問題など、幅広い議論を行い、今年度内に具体的な実行計画を取りまとめていきたいと考えています。
 議員御指摘の労働の質については、私も極めて重要であると考えております。労働の質の問題については、これらの中で十分に検討していきたいと考えております。
 子供の貧困対策についてお尋ねがありました。
 社会の担い手となるはずの子供たちの未来が貧困の連鎖等により閉ざされることは大きな社会的損失です。安倍政権は、二〇一四年八月に子供の貧困対策に関する大綱を初めて定め、対策を総合的に推進することとしました。
 今年度予算等においては、第二子以降への児童扶養手当の加算額の倍増、奨学金の充実、幼児教育無償化の段階的推進など必要な措置を盛り込んでいます。今後、年間延べ五十万人分の居場所創設など、各種施策を実施していきます。給付型の奨学金については既に検討を進めており、来年度予算編成過程を通じて制度内容について結論を得て実現いたします。
 子供の貧困対策は未来への投資であり、地方公共団体や民間の企業、団体等との連携、協働の下、全ての子供たちが未来を持って成長していける社会の実現に全力を尽くしてまいります。
 配偶者控除の見直しについてのお尋ねがありました。
 働きたい女性が不便さを感じ、働く意欲が阻害されることのないよう、各種制度等を整備していくことが重要です。社会保障に関しては、個人の働き方は多様であることから、世帯単位か個人単位かといった議論よりも、働き方に中立とし、女性も含め短時間労働者の労働参加を促進するため、被用者保険の適用拡大を進めていくことが重要であります。
 また、配偶者控除については、女性が就業調整をすることを意識せずに働くことができる仕組みをつくっていく必要がある一方、家庭における配偶者の貢献を評価すべきとの指摘もあり、働き方や家族の在り方について国民的議論を行いながら十分に検討していくべき問題であると考えています。
 こうした観点から、引き続き、政府や与党の税制調査会において丁寧に議論を進めていただきたいと考えています。
 安倍内閣は、これからも、全ての女性が輝く社会の実現を目指し、具体的な政策を提案し、実行し、そして結果を出していく決意であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(塩崎恭久君) 矢田わか子議員にお答え申し上げます。
 まず、労働基準法改正案につきましてのお尋ねを頂戴いたしました。
 現在継続審議となっております労働基準法改正案には、長時間労働を是正するために、企業に対し、年五日の年次有給休暇を指定することの義務付けや中小企業における時間外労働の割増し賃金率の引上げなどの内容が盛り込まれております。
 また、自律的で創造的に働く方を対象とする高度プロフェッショナル制度の創設や裁量労働制の見直しは、これまでより厳格な労働時間の把握をまず行うとともに、医師による面接指導の義務付けなど、働き方に見合った健康確保のための厳しい措置を講じます。
 このため、本法案により長時間労働が強いられ、メンタルヘルス疾患や過労死が増えるとの御指摘は当たらないと思います。
 多様なニーズに対応した保育についてのお尋ねをいただきました。
 各自治体において保育園等を整備する際には、地域ニーズの実情を踏まえ、多様な保育サービスの提供体制を整えることが重要であると考えております。
 このため、保育園等において延長保育や休日保育などの多様な保育を提供できるように支援するとともに、本年度、平成二十八年度予算において、新たに病児保育事業を実施するために必要な施設整備等に係る費用の補助を開始をいたします。
 また、御指摘のような地域の支え合いの仕組みを活用していくことも重要でありまして、子ども・子育て支援新制度において、保育ママと言われる家庭的保育事業やファミリー・サポート・センター事業を明確に位置付け、その普及を図っています。
 様々な保育ニーズに応えるため、多様な保育サービスの提供に引き続き取り組んでまいりたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
#29
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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