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2016/10/19 第192回国会 参議院 参議院会議録情報 第192回国会 本会議 第5号
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2016/10/19 第192回国会 参議院

参議院会議録情報 第192回国会 本会議 第5号

#1
第192回国会 本会議 第5号
平成二十八年十月十九日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第五号
    ─────────────
  平成二十八年十月十九日
   午前十時 本会議
    ─────────────
 第一 パリ協定の締結について承認を求めるの
  件(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴
  追委員及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員等各種委員の選挙
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 西田昌司君及び仁比聡平君から裁判官弾劾裁判所裁判員予備員を、山本一太君から裁判官訴追委員を、塚田一郎君、佐々木さやか君、井上哲士君及び辰巳孝太郎君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ─────・─────
#5
○議長(伊達忠一君) この際、
 裁判官弾劾裁判所裁判員、同予備員、
 裁判官訴追委員、同予備員、
 皇室会議予備議員、
 皇室経済会議予備議員、
 検察官適格審査会委員、同予備委員、
 日本ユネスコ国内委員会委員、
 国土審議会委員及び
 国土開発幹線自動車道建設会議委員の選挙
を行います。
 つきましては、これらの各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴追委員予備員、皇室会議予備議員及び皇室経済会議予備議員の職務を行う順序は、これを議長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員その他の各種委員を議席に配付いたしました氏名表のとおり指名し、職務を行う順序を決定いたします。
    ─────────────

     ─────・─────
#7
○議長(伊達忠一君) 日程第一 パリ協定の締結について承認を求めるの件(趣旨説明)
 本件について提出者の趣旨説明を求めます。外務大臣岸田文雄君。
   〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(岸田文雄君) ただいま議題となりましたパリ協定の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この協定は、平成二十七年十二月にフランスのパリで開催された気候変動に関する国際連合枠組条約の第二十一回締約国会議において採択されたものであります。
 この協定は、気候変動の脅威に対する世界全体での対応を強化することを目的として、温室効果ガスの削減に係る取組、その実効性を確保するための措置等について定めるものであります。
 具体的には、この協定は、工業化前からの世界全体の平均気温の上昇を二度未満に抑えること等を目標として、各締約国が削減目標を策定し国内措置を実施すること、五年ごとにその目標を提出すること、各締約国の取組状況を定期的に報告し、レビューすること、また、世界全体の実施状況の検討を五年ごとに行うこと等を定めています。
 我が国がこの協定を締結することは、気候変動に対処するための我が国の取組を一層推進するとともに、この分野での国際的な取組に積極的に貢献するとの見地から極めて有意義であると認められます。
 以上が、この協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(伊達忠一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。福山哲郎君。
   〔福山哲郎君登壇、拍手〕
#10
○福山哲郎君 私は、ただいま議題となりましたパリ協定について、会派を代表して質問をいたします。
 私がライフワークとして気候変動問題に取り組んできたことに鑑み、質問の機会をいただいた同僚議員の皆様に心から感謝申し上げます。
 質問に先立ち、十六日に投開票された原発の再稼働が争点となった新潟県知事選挙において、再稼働慎重派の米山隆一氏が当選を果たされました。この結果に対して、経済産業大臣並びに原子力規制委員会を所掌する環境大臣、それぞれの受け止め方をお伺いします。
 さて、まさに今日、十月十九日がCOP22で開催される第一回のパリ協定締約国会合、CMA1に批准国として参加できる期限です。日本では、閣議決定、国会提出が先週の火曜日、今日から審議が始まったばかりですから、当然間に合うはずがありません。第一回会合ではオブザーバーでの参加になることが確実です。
 会合には出席できるので問題ないと環境省は言いますが、とんでもありません。オブザーバーには採決権がありません。少なくとも協定上は第一回会合で六項目に及ぶ手続、ルールを定めることになっています。この中には、我が国が長年主張してきた二国間クレジットを含む市場メカニズムに関するものも含まれています。つまり、今後のルールメークの主導権を我が国は得られません。
 先日の予算委員会で、総理は、パリ協定の閣議の日程については十月中旬に行うと答弁されました。元々、日本政府はCOP22の第一回会合に間に合わせるつもりはなかったということでしょうか。それとも、COPまでに発効することなど全く想定していなかったのでしょうか。外務大臣、お答えください。
 また、安倍政権は、四月にパリ協定の署名をしてから、これまで一体何をしていたのでしょうか。これほどまでに国会提出が遅れた理由も併せてお答えください。
 さらに、アメリカや中国の動きを察知していなかったのでしょうか。オバマ政権がパリ協定承認をレガシーと位置付けていたこと、二〇一四年、一五年と続けて米中は首脳会談で気候変動にコミットしたこと、そして、本年九月、G20サミットでそろってパリ協定承認を発表しました。外務大臣、この米中同時承認について、アメリカから事前に我が国に連絡はあったのでしょうか。
 インドやEUも今月初めに批准し、十一月四日にパリ協定が発効することとなり、日本は完全に蚊帳の外、出遅れました。インドやEUの動向を見誤った理由も併せてお答えください。
 安倍総理は、十二か国中いまだに承認ゼロ、アメリカ大統領選挙の二人の候補者はいずれも反対のTPP協定の承認を今国会で強く求めており、所信表明でも言及されています。一方で、昨日の時点で八十一か国、世界の排出量合計の約五九%の批准の上、発効に至るパリ協定は所信表明でも触れず、るる述べたような不誠実かつ消極的な対応に終始しています。まさにあべこべであり、優先順位がおかしくありませんか。外交失政と言わざるを得ません。
 政府の責任を棚に上げ、今頃国会に提出して、審議もそこそこに承認をなどと都合のいいことを言い、野党の抵抗次第などというような報道まで出ていることは誠に遺憾であり、政府に猛省を求めます。国会は政府の尻拭い機関ではありません。いたずらに審議を長引かせるようなことは一切しませんが、連合審査を含め、真っ当な審議を求めるのは当然のことと考えます。
 昨年、世界全体の平均気温は過去最高を記録し、過去百三十年間で〇・八五度上昇しています。そして、NASAによれば、今年も一八八〇年以降で最も暑い年となると見込まれています。また、ロンドン大学の試算では、地球温暖化がこのまま進むと、今世紀末までに株式などの金融資産に最高二十四兆ドル、約二千七百兆円の損失が出るおそれがあるとしています。
 二〇一三年十一月、スーパー台風ハイエンがフィリピンを襲い、死者・行方不明者数は約八千人、被災者数は千六百万人以上、家屋の倒壊は百十四万戸余りという類を見ない被害が発生しました。
 翌十二月、集中豪雨がカリフォルニアを襲いました。それが一転して、翌年には、五十年に一度の干ばつに見舞われ、ダムの貯水容量が約二六%にまで低下しました。
 昨年、インドの首都ニューデリーでは、最高気温が何と四十五度に達し、余りの暑さのためにアスファルト舗装の道路が溶けるという事態になりました。
 我が国でも、広島の土砂災害、鬼怒川の氾濫もありました。私の地元京都府福知山市でも、二〇一三、一四年と二年続けて洪水被害がありました。今年は、夏から秋にかけて相次いで台風が上陸し、各地に被害をもたらしました。これらの台風と温暖化が直接影響しているとは断言できませんが、たとえ一度の気温上昇でも、大雨、洪水、熱波などの異常気象のリスクが高くなることが分かっています。
 日本も他人事ではありません。気候難民という言葉も使われ、多くの国々の重要なインフラや領土保全に及ぼす気候変動の影響は、地域紛争、そして国家安全保障にさえ関わってくると考えられてきています。
 そうした中、昨年の十二月、COP21でパリ協定が採択されました。
 パリ協定の大きな成果の一つが、産業革命前からの平均気温の上昇を二度未満に抑制すること、一・五度までの努力目標を掲げたことです。
 パリ協定の承認に当たり、我が国としても、このいわゆる二度目標、一・五度努力目標を国際社会と共有し、あらゆる政策を駆使して達成するつもりであるという決意を改めて確認したいと考えます。環境大臣、お答えください。
 政府は、長期目標として、二〇五〇年までに八〇%の温室効果ガスの排出削減を目指すとしています。
 その長期目標は、どのようなプロセスで策定されるのでしょうか。現在、環境省と経済産業省の中にそれぞれ委員会が設けられ、同時並行して年度内での取りまとめを目指しています。その後、政府全体としての戦略をどのように取りまとめるのでしょうか。相変わらずの縦割りで進むのでしょうか。また、取りまとめる過程で、国際NGOなどの市民参加のプロセスを取り入れるつもりはありますか。環境大臣及び経済産業大臣に伺います。
 市民参加という観点で一つお伺いします。
 二〇〇九年のCOP15に際して、当時の民主党政権では、初めて国際NGOのメンバーや産業界、労働組合の代表に政府代表団として参加していただきました。気候変動問題において政府交渉団に市民の代表が加わるのは世界では普通のことです。政府代表に参加していただくことで、国際交渉の厳しい現実を知ってもらい、日本政府の交渉スタンスを明らかにし、市民の意見を採用したいとして進めていました。
 ところが、自公政権に戻り、政府代表団からこの市民代表が外されることとなりました。市民参加、情報公開という点から大きく後退するもので、国際的な潮流にも反します。COP22を前に、NGOや労使など市民代表の政府代表団への参加について、外務大臣の認識を改めてお伺いします。
 パリ協定とともに採択されたCOP21決定では、二〇一八年に長期目標へ向けての取組の進捗確認を行うことになっています。残念ながら、国連気候変動枠組条約の事務局自身が、現在各国が提出している目標を達成しても二度目標の達成には不十分との報告書をまとめているように、二〇一八年の見直しでは、更なる目標の深掘りが議論になることは明らかです。
 我が国も、二〇二〇年に再度二〇三〇年目標を国連に提出しなければならず、二〇一三年度比二六%削減という現在の誠に低レベルの中期目標を高めていくことが不可欠です。
 現在の中期目標を引き上げるとともに、継続的に目標を達成して目標の上積みを行っていくことを国内的に担保する法制を整備すべきだと考えますが、環境大臣の見解をお伺いします。
 パリ協定を化石燃料時代の終えんと評したのはイギリスのガーディアン紙でした。しかしながら、日本では石炭火力がまだまだ終えんを迎える状況にありません。石炭火力設備の新設計画が現在四十八基、約二千三百万キロワットあります。これは、エネルギー基本計画の電力構成をも大きく上回るものです。
 高効率の石炭火力でも従来型LNG火力の約二倍のCO2を排出します。家庭や企業がいかに温室効果ガスの排出削減の努力をしても、その基となる電気がCO2を多く排出するものであれば、努力は水泡に帰すことになります。石炭火力の比率を低減させることについて、環境大臣及び経済産業大臣の認識を伺います。
 二〇三〇年度の中期目標において、再生可能エネルギーは電源構成の二二―二四%とされています。その内訳を見ると、風力発電が一・七、太陽光発電は七%にすぎません。
 他方で、日本風力発電協会は約八・五%相当の発電量を二〇三〇年の目標としており、日本太陽光発電協会も一二・二%相当を導入目標としています。各業界団体が導入可能としている量を大幅に下回る水準を目標としているのはなぜなのでしょうか。経済産業大臣にお伺いします。
 国際再生可能エネルギー機関は、世界の再生可能エネルギーの割合を倍増させると、二〇三〇年に一兆三千億ドルの経済効果を生み、経済成長を最大一・一%押し上げる、雇用創出効果は二千四百四十万人との試算をまとめています。日本においても、GDPを最大三・六%押し上げる効果がある上、化石燃料の輸入が減るため、貿易収支の改善にもつながると見込まれています。
 FITの改善による認定の推進、送電網の早急な整備、系統連系の強化を進めることが必要です。再生可能エネルギーの導入目標の見直し、具体的な推進策について、経済産業大臣に伺います。また、CO2削減のために世界的な開発競争になっているCCS、二酸化炭素回収・貯留技術の実用化について、その見通しをお聞かせください。
 脱炭素社会への変革は、新たなビジネスチャンスとなっています。今年の初めに、アメリカ、ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンスが、二度目標達成のために今後二十五年間で十二兆一千億ドルの投資機会が生まれるとの報告書を出しました。
 また、二〇一一年、アメリカの大学でスタートした化石燃料多用企業からの投資撤退というダイベストメントという動きが急速に広がっています。世界中の五百以上の企業、金融・保険機関、政府年金基金、機関投資家が参加しており、それらの保有資産は約四百兆円に上るといいます。有名なところでは、アクサ、バンク・オブ・アメリカ、シティ、ロスチャイルド財団等々です。
 さらには、今年、世界資源研究所が、二〇〇〇年以降、アメリカやドイツ、スイスなど二十一か国が経済成長を果たしています、そして同時にCO2の排出量を削減したと発表しました。いわゆるデカップリングが現実のものとなっています。
 世界は二度目標のパリ協定をめぐって大転換期に入っており、このままでは日本は取り残され、ビジネスチャンスを失うことさえ危惧されます。これらの世界の変化をどう受け止めているのか。環境大臣、経済産業大臣、お答えください。
 以下の演説の内容をお聞きください。これは、民主党の政権発足直後、二〇〇九年国連気候変動サミットで、当時の鳩山総理が世界の首脳からスタンディングオベーションで迎えられたものです。いわく、もちろん、我が国のみが高い削減目標を掲げても、気候変動を止めることはできません。世界の全ての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築が不可欠です。全ての主要国の参加による意欲的な目標の合意が、我が国の国際社会への約束の前提となります。
 当時、アメリカは京都議定書から離脱しておりました。中国もインドも削減目標を持ちませんでした。この全ての主要国への参加へのメッセージは、その年のコペンハーゲンでのCOP15での徹夜の交渉、翌年のカンクン合意につながりました。そして、その枠組みが現在のパリ協定に結実してまいりました。
 この国連演説草稿の作成に関わり、COP15では政府代表として交渉に加わった者の一人として、現在の政府の対応には深い失望を持たざるを得ません。
 気候変動問題への積極的な取組は、クリーンなエネルギー技術など、世界経済の新たなフロンティアと新規の雇用を提供します。高い技術開発のポテンシャルと資金力を持っている我が国が、自ら率先して削減目標を掲げ、革新的技術を生み出しつつ、その削減を実現していくことこそが国際社会の中で求められている役割だと認識しています。
 我が国の国民、企業の能力の高さを私は信頼しています。国民も企業も、そして私たち政治においても、産業革命以来続いてきた社会構造を転換し、持続可能な社会をつくるということが次の未来の世代に対する責務であると考えています。
 民進党は、二〇三〇年に一九九〇年比温室効果ガス三〇%削減、二〇三〇年再生可能エネルギー三〇%以上導入、そして二〇三〇年代原発再稼働ゼロを目指しています。日本を世界一の環境技術立国として地球環境問題の先頭に立つ国にしたいと考えています。
 二〇五〇年の将来に新たなライフスタイルを構築した社会になっているか、気候変動による異常気象にさらされる世界となっているか、今の我々の世代の政治に懸かっています。
 IPCCを始めとする科学は温暖化に対してほぼ結論を出した、あとは政治の決断だけだ、国際会議のたびに言われるこの言葉を紹介し、気候変動問題については、与野党関係ありません、我が国の国益、そして世界の環境問題のために、それぞれの議員の皆さんに御尽力いただくことを期待して、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国によるパリ協定の締結手続についてお尋ねがありました。
 我が国はパリ協定を重視しており、迅速な締結が不可欠であると考えています。このため、政府は、パリ協定の署名が開放された当日である四月二十二日に署名を行いました。
 また、本年五月のG7伊勢志摩サミットにおいては、本年中のパリ協定の発効との目標を掲げるG7首脳宣言を議長国として取りまとめ、パリ協定の早期発効を目指す立場を積極的に示してきました。
 そして、この本年中の発効との目標を念頭に置き、臨時国会での提出を目指してきました。具体的には、パリ協定の国内実施の担保に係る検討を進めるなど、可能な限り迅速に作業、調整を行った上で、臨時国会の審議日程の見込み等を踏まえ、十月十一日に閣議決定を行ったところです。
 政府としては、COP22の開催を念頭に置き、一日も早く国会の承認をいただけるよう全力を尽くしてまいります。
 パリ協定に関する各国の動向と発効の見通しに関する政府の評価についてお尋ねがありました。
 本年九月の米中によるパリ協定締結につき、政府としては、それに先立ち米中による気候変動に対する積極的な姿勢が示されてきたことを含め、不断に情報を収集してきたところですが、外交上の具体的なやり取りについてはお答えは差し控えます。
 インド、そしてEU等各国の動向についても注視をしてきましたが、当初、全加盟国が一括して締結することにより来年以降の締結を目指していたEUが、一部加盟国のみ先行して締結したこと等により、当初の見通しよりも早期の発効に至ったこと、これは事実です。
 我が国はパリ協定を重視してきており、締結に必要な作業を進めてまいりました。具体的には、本年四月のパリ協定の署名開放当日に署名を行い、また、本年五月には本年中の発効との目標を掲げたG7首脳共同声明を取りまとめました。その後も協定の国内実施の担保に係る検討を行うなど、可能な限り締結に向け作業を行ってまいりました。
 政府としては、一日も早い締結に向け、国会での御承認をいただくべく全力を尽くしてまいります。
 そして、国連気候変動枠組条約締約国会議、COP政府代表団への市民代表の参加についてお尋ねがありました。
 気候変動の分野において、NGOを始めとする市民代表が果たす役割は重要です。政府は、これら市民代表との対話を進め、政策的助言を受けながら、COPを始めとする気候変動関連の交渉に臨んでいます。
 具体的には、政府は毎年COPの際に、事前並びに開催期間中にNGOや経済団体等との意見交換を頻繁に行っています。また、COP期間中、日々の交渉に関する動向や今後の見通し等について情報共有を行うために開催をしている政府代表団会議にもオブザーバーとして出席をいただいています。
 政府代表団への参加の可能性を含め、市民代表の関与の在り方について検討をしつつ、今後も気候変動分野で重要な知見を有する市民代表との対話を維持強化し、そして交渉に臨んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣世耕弘成君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(世耕弘成君) 福山議員にお答えをいたします。
 新潟県知事選挙の結果についてお尋ねがありました。
 米山氏の当選は、新潟県の有権者の皆様が選んだ結果と受け止めております。これから機会を見て新知事のお考えもしっかりと伺い、協力をしながら新潟県の発展に力を入れていきたいと思っております。
 なお、原発の再稼働については、いかなる事情よりも安全性を最優先し、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査をし、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針です。
 長期戦略の検討プロセスについてお尋ねがありました。
 経済産業省では、本年七月に産官学から成る長期地球温暖化対策プラットフォームを立ち上げ、国内投資の拡大、我が国の有する優れた技術を生かした世界全体での排出削減への貢献、そして大幅な排出削減を可能とするイノベーションの創出など、経済成長と両立する地球温暖化対策の在り方について、年度内の取りまとめに向け検討を進めているところです。
 政府全体での長期戦略の取りまとめにおいても、関係省庁とよく連携し、産官学、そして国民の皆様から広く知恵を求めていくことが重要と考えており、パブリックコメントなど幅広く御意見をいただくプロセスを取り入れながらしっかりと検討していくものと承知をしております。
 石炭火力の比率の低減についてお尋ねがありました。
 まず、全ての面において完璧なエネルギーはない中で、3EプラスS、すなわち安定供給、経済効率、環境適合、安全のバランスが取れた電源構成が重要です。石炭火力は、他の電源と比較して、CO2を多く排出するという環境面での課題があるものの、安定供給や経済性の観点から優れており、一定の割合での活用を図っていくことが不可欠です。
 政府としては、本年新たに導入した省エネ法、高度化法による仕組みも活用することにより、二〇一四年度の石炭火力の比率三二%を二〇三〇年度時点で二六%に低減させていくことを目指していく方針です。
 風力及び太陽光の導入目標量についてお尋ねがありました。
 電源構成を考えるに当たっては、例えば火力や原子力を含めた各電源をめぐる動向や電力需要の見通しなど様々な要素を踏まえて、全体として検討を行う必要があり、一つの電源ごとに検討すべきものではありません。我が国が、我が国のエネルギーミックスで示した再生可能エネルギー導入比率二二から二四%という水準は、導入拡大の余地が大きくない水力の八%を除けば、足下の四%から四倍も導入拡大するという野心的な目標であり、決して低い水準ではないと考えております。
 再生可能エネルギーとCCSについてお尋ねがありました。
 エネルギーミックスで示した我が国の再生可能エネルギーの導入比率は極めて野心的なものであり、決して低い水準ではないと認識をしております。再生可能エネルギーの最大限導入と国民負担の抑制の両立に向けて本年五月に固定価格買取り制度の見直しを行ったところであり、あわせて、技術開発、規制改革、送電網の増強など様々な施策を総動員して、まずはこの水準の実現に向け、再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでまいります。
 CCSはCO2排出を抜本的に削減できる可能性がある一方で、コスト面や技術面での課題が指摘をされております。経済産業省では、海外での導入事例も参考にしつつ、二〇二〇年頃の技術の実用化を目指して、今年四月からCO2を貯蓄する実証実験を開始するとともに、分離回収コストの低減に向けた研究開発、さらにはCO2を貯蓄可能な地層を特定するための地質調査等に取り組んでいるところであります。
 温暖化対策をめぐるビジネスの世界の変化の受け止めについてお尋ねがありました。
 パリ協定では、気温上昇を二度より十分低く保持すること等が目的とされており、環境・エネルギー制約の克服に資するビジネスの成長への期待は国際社会において中長期的に高まっていくものと考えております。
 経済産業省としても、地球温暖化対策と経済成長の両立を目指し、イノベーションによる解決を最大限に追求するとともに、国内投資を促し、国際競争力を高め、長期的、戦略的に取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣山本公一君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(山本公一君) 福山議員にお答えをいたしたいと思います。
 新潟県知事選の結果についてお尋ねがございました。
 自治体の選挙の結果でありまして、独立性の高い三条委員会として原子力規制委員会を所掌する環境大臣としてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
 次に、パリ協定における長期目標の達成に向けた決意についてお尋ねがございました。
 パリ協定においては、世界共通の長期目標として二度C目標を設定するとともに、一・五度Cに抑える努力を追求するとされております。
 これを踏まえまして、我が国としては、地球温暖化対策計画において、二〇三〇年度二六%削減に向けた対策、施策を示すとともに、二〇五〇年度までに八〇%の温室効果ガスの排出削減を目指すことといたしております。同計画に基づく政策を総動員いたしまして、パリ協定の目標の達成に向けて、我が国として貢献していく決意でございます。
 長期戦略の策定プロセスの市民参加についてお尋ねがございました。
 現在、中央環境審議会において、長期低炭素ビジョンについて御議論をいただいております。市民団体を含む様々な関係者等からのヒアリングをしつつ、年度内めどに一定の取りまとめをし、政府全体での長期戦略策定に関する議論の土台といたしたいと考えております。
 我が国は、伊勢志摩サミットで、二〇二〇年の期限に十分に先立って長期戦略を策定し提出するとコミットしております。関係省庁とも連携しつつ、広く国民の意見を聞きながら、長期戦略の早期提出に努めてまいります。
 中期目標の引上げと法整備についてお尋ねがございました。
 地球温暖化対策推進法において、少なくとも三年ごとに地球温暖化対策計画に定められた目標及び施策について検討を行い、必要に応じて見直すことといたしております。目標の検討や見直し等については、こうした枠組みが措置されており、今後適切に対応してまいります。
 石炭火力発電についてお尋ねがございました。
 CO2排出量の多い石炭火力発電の新増設が進むと、国の削減目標等の達成が危ぶまれます。このため、本年二月の環境、経産両大臣の合意に基づき、政策的対応等を行うとともに、毎年度その進捗状況をレビューすることといたしております。また、両省の合意以降、石炭火力発電の環境アセスメントにおいて、事業者が省エネ法の発電指標を達成できないと判断した場合には事業の見直しを検討すること等を含む環境大臣意見を述べています。これらの取組を通じて、二〇三〇年二六%削減に向け、しっかりと取り組んでまいります。
 脱炭素社会への変化をめぐるビジネス等の世界の潮流についてお尋ねがございました。
 世界では、気温上昇を二度以内に抑える目標を掲げたパリ協定を受けて、様々な動きがビジネスや金融の世界でも拡大していると承知をいたしております。
 環境省としましては、そうした世界の潮流も踏まえて、環境、社会、ガバナンスに配慮した、いわゆるESG投資を我が国に広げていくための情報発信や環境情報の開示システムの整備に取り組んでおり、今後とも企業の環境配慮行動を促進するための取組を進めてまいります。(拍手)
    ─────────────
#14
○議長(伊達忠一君) 倉林明子君。
   〔倉林明子君登壇、拍手〕
#15
○倉林明子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりましたパリ協定の締結について承認を求めるの件について、以下、関係大臣に質問します。
 二〇二〇年以降の地球温暖化対策の新しい枠組みであるパリ協定は、昨年十二月のCOP21で法的拘束力を持つ文書として採択されました。歴史上初めて世界の全ての国が参加した合意の背景には、気候変動の脅威に対し共通した危機感がありました。私は、同時開催されたIPU国際会議に国会代表として派遣していただき、脱炭素に向けた各国代表の思いを強く感じました。
 その後、早期締結に向けた動きは加速し、温室効果ガス最大排出国である中国、アメリカを皮切りに、インド、EUなど、十二日現在で七十六か国が締結、総排出量が約五九・九%となり、発効要件である五十五か国、総排出量の五五%をクリアし、日本抜きの十一月四日発効が確定的となりました。
 こうした世界の流れを理解せず、承認案の提出が大幅に遅れた政府の責任は極めて重大です。そもそも、パリ協定の年内発効という目標は、日本が議長国となった今年五月のG7伊勢志摩サミットの首脳宣言に盛り込まれたものでした。年内発効のためには、ぎりぎりでもこの臨時国会がリミットになるはずでした。ところが、直後の五月三十一日の記者会見で、当時の丸川環境大臣は、私の希望としては少なくとも次の通常国会中にはお願いしたいと答えています。首脳宣言では年内締結に合意しながら、初めから年内の国会承認は考えていなかったということではありませんか。引継ぎを受けた環境大臣に答弁を求めます。
 総理は、今国会冒頭の所信表明演説でパリ協定に一言も触れませんでした。そこで、外務大臣に質問します。EU全体での批准手続は不可能と見込んで、年内発効を想定していなかったのではありませんか。政府にとって、臨時国会ではTPPを優先し、パリ協定の承認は後回しでよいとの判断があったのではありませんか。明確にお答えください。
 結果として、十一月七日からモロッコで開催されるCOP22に日本は締約国として参加できない事態となりました。批准していない日本は、詳細ルールを確定する議論に参加できても決定権を持てない可能性は否定できません。たとえ詳細ルールの議論に参加できたとしても、締約が間に合わなかった日本は気候変動の取組に消極的だということを世界に示すことになることは明らかです。
 パリ協定では、今世紀中に温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという分かりやすい長期目標を示しました。各国に削減目標が義務付けられなかったものの、長期目標の実現に向けて、各国が実施状況を報告し、レビューを受ける仕組みをつくり、それぞれが目標を更新していくという新しい枠組みとなりました。パリ協定を踏まえれば、いかに早く対策に着手し、目標を達成し、より高い目標を立てて実現していけるのかが問われているのです。
 環境大臣、世界第五位の温室効果ガス排出国の日本には、パリ協定の合意を踏まえ、脱炭素化に向けた長期戦略を明確にし、実践していく責任があると考えますが、いかがですか。
 政府は、パリ協定の採択を受けて地球温暖化対策計画を策定していますが、二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標は、二〇一三年度比二六%にとどまっています。一九九〇年の基準年と比較すれば僅か一八%程度の削減にすぎず、目標は低過ぎると言わざるを得ません。
 パリ協定は、各国に、最初の目標の更新、提出を二〇二〇年までに求めています。長期目標として掲げた二〇五〇年までに八〇%の削減目標を確実に達成するためにも、早期に削減のスピードを上げる必要があります。二〇三〇年度の目標を直ちに見直し、大幅に削減目標を引き上げるべきではありませんか。
 日本では、福島第一原発事故後、石炭火力発電所の新増設が進んでいます。環境NGOである気候ネットワークが現在把握している新規の建設予定は計四十八基、合計二千二百八十四・六万キロワットに上っています。これらが全て建設されれば、推計で年間一億三千七百七・六万トンの二酸化炭素が排出されることになり、二〇三〇年の二酸化炭素排出削減目標を大幅に上回ることは明らかです。
 さらに、アセスが不要な十一・二五万キロワット未満の小規模な石炭火力発電所は、全容をつかむ体制もなく、効率の悪い発電所も少なくありません。脱炭素化というパリ協定の合意に逆行する石炭火力発電所の新増設は直ちに中止すべきです。
 日本政府は、石炭火力発電所をインフラシステム輸出戦略に位置付け、公的支援をし続けています。NGOの調査によれば、二〇〇七年から二〇一四年の間に投じられた公的資金は世界最大で、二百四億ドル、二兆三千億円にも上ります。最先端とされる高効率の石炭火力発電所でも、LNGの二倍の二酸化炭素を長期間にわたって排出し続けるのが石炭火力です。石炭火力発電所の高効率化が温室効果ガス削減に貢献するという考え方は撤回すべきです。
 世界の投資家の間には、石炭火力発電所は座礁資産という考え方が広がり、石炭火力発電所への投資から撤退する動きが強まっています。こうした動きに対する経産大臣の見解をお聞かせください。
 さらに、政府は、原発を四十年超えた老朽原発も含めて使い続けるとしています。果たして、原発が地球温暖化対策の役に立ってきたでしょうか。福島原発事故以前、原発の設備容量は増え続けてきたものの、温室効果ガスは減りませんでした。なぜなら、原子力発電は石炭火力と表裏一体で、原発が事故やトラブルで停止すれば、石炭火力が代わりの電源として活用されてきたからです。ところが、稼働している原発がなかった二〇一四年度は温室効果ガスが前年比より減少したのです。環境大臣、原発が稼働ゼロで温室効果ガスは減った、この事実を認めますか。
 福島第一原発事故を起こした日本こそ、原子力発電に頼らない温暖化対策の道を進むべきです。どんなに安全対策を重ねても、原発の事故は起こり得るのです。鹿児島に続き新潟でも原発の再稼働反対の知事が誕生しました。新潟県知事選挙の出口調査によれば、原発の再稼働に反対は六四%、そのうち七割の方が米山隆一氏に投票しています。民意は明らかです。経産大臣はどう受け止めますか。お答えください。
 日本政府は二〇一四年、エネルギー基本計画を策定し、原発と石炭火力をベースロード電源と位置付け、二〇三〇年の電源構成は原発が二〇ないし二二%、石炭火力は二六%としました。このエネルギー基本計画そのものがパリ協定と両立しないことは明らかです。このままでは、日本は脱炭素化を目指す世界の流れに乗り遅れるだけでなく、世界の気候変動を悪化させる国になりかねません。
 政府は、エネルギー基本計画を撤回し、原発は直ちにゼロを決断すること、石炭火力発電所の新増設を中止させること、再生可能エネルギーの飛躍的な導入拡大へかじを切るべきです。強く求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(岸田文雄君) パリ協定の国会承認に関する政府の考え方についてお尋ねがありました。
 我が国は、各国による締結の動向について注視してきましたが、当初、全加盟国が一括して締結することにより来年以降の締結を目指していたEUが、一部加盟国のみ先行して締結したこと等により、当初の見通しよりも早期の発効に至ったこと、これは事実です。
 しかしながら、政府としてはパリ協定の早期締結を重視しており、本年四月のパリ協定の署名開放当日に署名を行い、また、本年五月には本年中の発効との目標を掲げたG7首脳共同宣言を取りまとめました。その後も協定の国内実施の担保に係る検討を進めるなど、可能な限り迅速に締結に向けた作業、調整を行い、十月十一日に国会承認のための閣議決定を行いました。
 審議の日程は、全般的な状況を踏まえ、国会で御判断いただくことでありますが、政府としましては、TPP、パリ協定それぞれについて、一日も早く国会の承認をいただけるよう全力を尽くしてまいります。(拍手)
   〔国務大臣山本公一君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(山本公一君) 倉林議員にお答えをいたしたいと思います。
 パリ協定の国会承認についてお尋ねがございました。
 丸川前大臣から、G7伊勢志摩サミットにおける首脳宣言を踏まえ、本年中のパリ協定の発効という目標を念頭に置き、我が国としても早期締結を目指す必要があると引継ぎを受けております。一日も早く締結できるよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 脱炭素化に向けた長期戦略についてお尋ねがございました。
 環境省としては、パリ協定を踏まえ、脱炭素社会の構築を見据えた今後の長期大幅削減に向けて、本年七月から中央環境審議会において御議論をいただいているところです。年度内を目途に、技術、ライフスタイル、経済社会システムの変革などを含めた目指すべき社会の絵姿を示す長期低炭素ビジョンを取りまとめ、今後政府として策定する長期戦略につなげていきたいと考えております。
 二〇三〇年度目標の見直しについてお尋ねがございました。
 二〇三〇年度目標及びその達成に向けた対策、施策等を盛り込んだ地球温暖化対策計画を本年五月に閣議決定いたしました。我が国としては、まず、この二〇三〇年度目標の着実な達成に向けて全力で取り組んでまいります。本計画における対策、施策の実施状況については、毎年厳格に点検を行うとともに、少なくとも三年ごとに必要に応じて見直すとしており、こうしたプロセスを通じて実効性ある取組を進めてまいります。
 二〇一四年度の温室効果ガス排出量についてのお尋ねがございました。
 二〇一四年度の排出量はCO2換算で十三億六千四百万トン、二〇一三年度の排出量は十四億八百万トンであり、御指摘のとおり、排出量が減少いたしております。これは、省エネの進展や再エネの導入拡大等、各種対策の効果が現れつつあることによるものと考えております。(拍手)
   〔国務大臣世耕弘成君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(世耕弘成君) 倉林議員にお答えいたします。
 石炭火力の高効率化が温室効果ガスの削減に貢献するという考え方の撤回や、石炭火力発電所への投資から撤退する動きに関してお尋ねがありました。
 経済性やエネルギー安全保障の観点から石炭をエネルギー資源として選択せざるを得ない国も多く、こうした国にとっては、可能な限り高効率な石炭火力を導入することこそが実効的な気候変動対策だと考えます。
 高効率石炭火力発電の導入が気候変動対策に貢献するとの考え方は、昨年十一月、OECDの場でも認められ、石炭火力発電技術の輸出に対する公的輸出信用の供与の在り方をめぐり、輸出信用アレンジメントの改定にも合意したところであります。
 今後とも、日本の優れた発電技術を活用し、地球規模での温暖化対策に貢献してまいります。
 原発の再稼働に対する民意についてお尋ねがありました。
 原発の再稼働については、いかなる事情よりも安全性を最優先し、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針であります。その上で、原発の再稼働に当たっては、地元の理解を得られるよう丁寧に取り組んでいくことが必要と考えております。
 原子力に対する理解活動に終わりはありません。引き続き、立地自治体を始め関係者の声にしっかりと耳を傾けるとともに、国民の皆様に丁寧な説明を尽くし、幅広い理解が得られるよう粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#19
○議長(伊達忠一君) 石井苗子君。
   〔石井苗子君登壇、拍手〕
#20
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。
 私は、我が党を代表して、ただいま議題となりましたパリ協定の締結について承認を求めるの件について質問をいたします。
 我が党は、外交・安全保障政策については、憲法の平和主義をしっかり守りながら国益を重視する現実路線を取っております。したがって、TPPのような安全保障上も経済上も我が国に大きなメリットをもたらす協定は積極的に推進すべきと考えます。そして、京都議定書やパリ協定については、地球環境を守るための先進国としての責務を当然果たすべきだと考えております。その一方で、我が国の経済成長と環境保護の両立を図るために、一定の現実的な対応も必要と考えます。
 以上の立場から、何点か質問をさせていただきます。
 気候変動問題、いわゆる地球温暖化問題に対して世界的に懸念が高まっています。一九九七年の京都議定書の採択以降、より実効性のある対策が十年近く議論された結果、昨年十二月のCOP21でパリ協定が採択されました。本協定の長期的な目標は、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比較して二度を下回るよう努力することであり、二十一世紀後半には温室効果ガスの排出を実質ゼロとすることにあります。
 こうした高い理想を目指して、百九十七の国と地域が参加することは確かに歓迎すべきことではありますが、本協定では各国が達成すべき削減目標が決められておりません。
 京都議定書では、条約上の削減目標を実際に達成することを先進国に義務付けておりました。これに対し、パリ協定は、達成を目指す目標を各国が自ら作成、提出して国内措置を実施することを後進国を含めて全ての国に義務付けています。
 そこで、外務大臣にお伺いいたします。
 本協定は、全ての国の合意を優先する余り、各国ごとの目標については結論が先送りされて曖昧となってはいないでしょうか。目標の達成の義務付けには中国やインドなどが消極的だったとも言われております。各国に目標達成を義務付けることができなければ、本協定の実効性に疑問が生じないか、外務大臣の御認識をお伺いいたします。
 次に、本協定では、各国が五年ごとに目標を作成して提出する義務を負い、その目標は当該国の現在の目標を上回らなければならないとされています。この義務を遵守させるメカニズムの詳細は、来月のCOP22と同時に開かれる予定のパリ協定の第一回締約国会合、CMA1で議論され、採択される予定です。
 そこで、本協定の実効性について、外務大臣にもう一点お伺いをいたします。
 各国の法的義務について、どのような遵守メカニズムが望ましいとお考えでしょうか。少なくとも、主要な温暖化ガス排出国については、目標の作成と実施について、相当実効性の高い仕組みとしなければ本協定の意味が薄れてしまうと考えます。
 この点につき、CMA1ではどのような方法が検討される見込みかお伺いします。また、我が国としてはどのような仕組みが望ましいとお考えなのかお伺いをいたします。
 次に、国内手続の遅れについてお伺いします。
 来月のCMA1で、本協定の遵守メカニズムについて、我が国は具体的な提案をすることができるのでしょうか。国内手続の遅れにより、具体的な提案は不可能になったのではないかという懸念があります。我が党が外務省から行ったヒアリングでは、この会議の親会議であるCOP22には参加できるのだから問題ないという趣旨の回答がありましたが、どうなのでしょうか。本協定の遵守メカニズム提案の可否につき、外務大臣の御認識をお伺いいたします。
 次に、本協定の公平性について、環境大臣にお伺いします。
 日本は既に、一九九七年の京都議定書の採択以来、真摯に温室効果ガスの排出削減に取り組んで、削減目標を達成し続けてまいりました。本協定には、これまでこうした条約上の義務を負っていなかった多くの国が参加することになります。ここに、従来から厳しい削減目標を課せられてきた日本のような国とこれからまだまだ削減には伸び代のある国との間で不公平が生じてはいないでしょうか。
 世界各国は経済的な国際競争の下にあります。我が国の厳しい環境基準を更に厳しくすれば、企業はこれを守るコストが高くなります。そうなりますと、企業は環境基準の緩い国での活動を選んで、かえって温室効果ガスの排出が増えるという結果にはならないでしょうか。環境大臣にお伺いいたします。
 さらに、この問題に関連しまして、そのような事態を防ぐために、一、各国の排出削減努力を適切に評価する仕組みが確保できるのかどうか、二、そうした仕組みの策定に我が国が十分に関与できるのか、外務大臣に御認識をお伺いいたします。
 次に、我が国の国内措置についてお伺いします。
 我が国は、パリ協定を踏まえた地球温暖化対策計画において、温室効果ガス排出削減の中期目標として、二〇一三年度比で二〇三〇年度二六%減、長期的な目標として、二〇五〇年までに八〇%減を目指すとしています。また、昨年まとめられたエネルギーミックスの実現を図るためにエネルギー革新戦略が定められています。
 問題は、これらの計画、戦略の現実性と整合性です。エネルギー革新戦略が実現を目指しているエネルギーミックスによれば、二〇三〇年度の電源構成は、再エネが二二から二四%、原子力が二〇から二二%、LNGが二七%、石炭が二六%程度となっています。しかし、ここで示された原子力発電比率の現実性については、四十年廃炉基準との関連などから、当初より疑問を持たれてきました。また、エネルギーミックスの掲げる二〇三〇年度までの家庭部門や業務部門での約四〇%もの省エネも、決して容易に達成できる目標ではありません。
 環境大臣にお伺いします。仮にエネルギーミックスが当初の目標どおりに達成されなかった場合、エネルギー革新戦略と地球温暖化対策計画の調整をどのように行うのか、お伺い申し上げます。
 また、温室効果ガスの二六%削減も家庭と企業での四〇%の省エネも多大のコストや負担を伴いますが、日本再興戦略では、エネルギー関連投資が二〇三〇年度までに十兆円増えること以外には目立った効果を掲げておりません。家計にも企業にも負担を求める以上、環境の改善や中長期的なエネルギーコスト削減など、エネルギー関連投資全体によるリターンを日本全体の成長戦略の中で数値化して示すべきではないかと思いますが、環境大臣の御認識をお伺いします。
 最後に、エネルギーミックスに関連して、原発再稼働について質問いたします。
 鹿児島県と新潟県で再稼働反対を掲げる知事が誕生しました。しかし、そもそも知事には原発の再稼働を止める法的権限がありません。
 我が党は、原発についても現実路線を取り、原発の即時廃止でも積極的推進でもなく、市場競争を通じたフェードアウトを目指しています。我が党は、再稼働については、現在のように、避難計画策定も地元同意も法律に位置付けられず、政治闘争のみによって決着が付くという現状を直ちに是正すべきと考えております。
 国のエネルギー・環境政策の根幹を成す問題は力ではなく法によって決すべきであり、原発再稼働の是非は明確な法的根拠に基づいて決めるべきです。このために、我が党は、今国会に、原子力損害賠償制度の確立、避難計画策定への国の関与、地元同意の法定化及び使用済核燃料の最終処分手続の……
#21
○議長(伊達忠一君) 時間が超過しております。
#22
○石井苗子君(続) 明確化などを内容とする原発再稼働責任法案を提出する予定でおります。こうした法制度の必要性について、経済産業大臣に御認識をお伺いします。
 我が党は、外交・安全保障においては国際協調主義の下に現実路線を取り、環境問題については経済成長と環境保護の両立を図り……(発言する者あり)
#23
○議長(伊達忠一君) 静粛に願います。
#24
○石井苗子君(続) エネルギー問題にも市場メカニズムを最大限生かし……
#25
○議長(伊達忠一君) 石井君、時間が超過しております。簡単に願います。
#26
○石井苗子君(続) そのあらゆる政策課題について、法の支配の実現を目指してまいります。
 以上、国民の皆様にお誓い申し上げ、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(岸田文雄君) パリ協定における削減目標の実効性についてお尋ねがありました。
 パリ協定は、歴史上初めて、全ての国が参加し、温室効果ガス削減のための行動を取ることを約束した公平かつ実効的な国際枠組みであり、我が国の長年にわたる主張に沿う画期的な合意です。
 本協定においては、全ての国が削減目標を作成、提出、維持するとともに、目標を達成するための国内措置を実施する法的義務が規定され、さらにその目標の国際社会への公表が義務付けられています。また、全ての国が削減目標に向けた取組状況を報告し、レビューを受ける義務が規定されています。さらに、世界全体の実施状況を五年ごとに検討する仕組みを通じ、各国の目標も五年ごとに提出、更新され、進展していくこと、こういったことが想定されます。
 このように、各国による削減目標の提出、実施、その報告やレビュー、定期的な更新といった仕組みによって削減目標の達成を含めた本協定の実効性が確保されると考えています。
 パリ協定における遵守の仕組み等についてお尋ねがありました。
 先ほど述べたとおり、パリ協定は、全ての締約国に対し、削減目標の作成、提出、維持等を義務付け、さらに、各国の削減行動の実効性を確保するために、各国による自らの取組状況の報告の義務や関係国間及び専門家によるレビューを受ける義務を課すなど、相当程度実効性の高い枠組みとなっているものと考えます。
 現在、同協定の実施指針に係る交渉が、我が国を含む国連気候変動枠組条約の全締約国の参加を得て行われています。この交渉では、各国による削減行動の実施状況に係る報告の細則やレビューを行うに当たっての詳細等、まさにパリ協定の実効性をより高めるための議論が行われてきています。
 今後とも、我が国としては、各国がより透明性の高い形で自国の排出削減行動を明らかにするような制度を構築すべく、COP22における交渉の機会を含め、積極的に交渉に臨む考えです。
 パリ協定における遵守の仕組みの交渉に係る我が国の今後の姿勢についてお尋ねがありました。
 先ほど述べたとおり、協定の実施指針に係る交渉が、現在、我が国を含む国連気候変動枠組条約の全締約国の参加を得て行われています。本年五月より開始されたこの交渉においては、各国による削減行動の実施状況に係る報告の細則やレビューを行うに当たっての詳細など、まさにパリ協定の実効性をより高めるための議論が行われてきています。我が国も、これまでも積極的に交渉に臨んできております。この交渉は、パリ協定の第一回締約国会合が立ち上がった後も、引き続き、COP22を含む国連気候変動枠組条約の全締約国が参加する場で行われる見込みであります。
 今後とも、我が国としては、各国がより透明性の高い形で自国の排出削減行動を明らかにするような制度を構築すべく、COP22における交渉の機会を含め、積極的に交渉に臨む考えです。
 パリ協定における各国の削減努力を評価する仕組みについてお尋ねがありました。
 パリ協定においては、各国の削減努力を適切に評価するため、各国から提出された自国の取組に関する報告を基に関係国間及び専門家による検討を行う、いわゆる透明性の枠組みの設定が規定されています。
 この透明性の枠組みは、先進国と開発途上国との間で異なるルールが適用されていた国連気候変動枠組条約の下での制度とは異なり、全ての国が排出削減に取り組むとのパリ協定の前提の下、開発途上国については一定の柔軟性を認めつつも、全ての国に適用される共通の制度として位置付けられたものです。透明性の枠組みに関する交渉は、既に我が国を含む全ての締約国が関与する形で行われています。我が国としては、各国の削減努力を適切に評価し、パリ協定の実効性を更に高める制度づくりを目指し、積極的に交渉に関与してまいります。(拍手)
   〔国務大臣山本公一君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(山本公一君) パリ協定の公平性についてお尋ねがございました。
 パリ協定では、全ての締約国が削減目標を策定し、その達成に向けた国内措置を実施することが義務付けられております。加えて、各国は取組状況を報告し、レビューを受けることとされています。さらに、世界全体の実施状況について五年ごとに検討する仕組みが規定されるとともに、各国において五年ごとに削減目標の提出、更新をすることとされております。このように、パリ協定は全ての国が参加する公平かつ実効的な枠組みであると考えております。
 企業が環境基準の緩い国で活動をすることへの懸念についてお尋ねがございました。
 パリ協定は、気温上昇を二度C未満に抑えるという世界共通の長期目標の下、全ての国が参加する公平かつ実効的な枠組みです。このため、我が国においても、世界全体の着実な排出削減に向けて、今後予定されているパリ協定の実施指針の策定交渉に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 地球温暖化対策計画とエネルギー革新戦略の調整についてお尋ねがございました。
 地球温暖化対策計画においては、エネルギー革新戦略等を通じて、エネルギーミックスの実現に努めるとしております。本計画における対策、施策の実施状況については、毎年厳格に点検を行うとともに、少なくとも三年ごとに必要に応じてエネルギー関連の施策を含め本計画を見直すことといたしております。こうした取組により、目標達成を確実なものとしてまいります。
 エネルギー関連投資によるリターンについてのお尋ねがございました。
 エネルギー関連投資によるリターンを、日本全体の成長戦略の中で数値化してお示しするのは必ずしも容易ではございませんが、徹底した省エネと再エネの最大限の導入は、新たな有望成長市場の創出にもつながるものと考えております。地球規模の課題である環境・エネルギー制約を我が国の最先端技術等で解決するとともに、経済成長に向けた投資を拡大してまいります。(拍手)
   〔国務大臣世耕弘成君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(世耕弘成君) 石井議員にお答えいたします。
 原発再稼働に係る日本維新の会からの御提案についてのお尋ねがありました。
 避難計画については、地域住民の安全、安心の観点から、その策定を着実に進めていくことが重要です。政府としても、自治体と一体となって避難計画の具体化、充実化に取り組み、各地域の計画の内容を原子力防災会議において確認し、了承していくこととしています。
 原発の再稼働に当たっての地元との関係は、各地の事情が様々であることから、国が法令等により一方的、一律に決めることはせず、理解活動を丁寧に進めていくことが重要と考えています。
 いずれにせよ、エネルギー基本計画において閣議決定された高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるという政府の一貫した方針に基づいて取組を進めてまいります。(拍手)
#30
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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