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2016/11/09 第192回国会 参議院 参議院会議録情報 第192回国会 本会議 第9号
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2016/11/09 第192回国会 参議院

参議院会議録情報 第192回国会 本会議 第9号

#1
第192回国会 本会議 第9号
平成二十八年十一月九日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第九号
  平成二十八年十一月九日
   午前十時開議
 第一 人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理
  に関する法律案(第百九十回国会内閣提出、
  第百九十二回国会衆議院送付)
 第二 衛星リモートセンシング記録の適正な取
  扱いの確保に関する法律案(第百九十回国会
  内閣提出、第百九十二回国会衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の
  抜本的な改革を行うための消費税法の一部を
  改正する等の法律等の一部を改正する法律案
  (趣旨説明)
 一、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の
  抜本的な改革を行うための地方税法及び地方
  交付税法の一部を改正する法律等の一部を改
  正する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。財務大臣麻生太郎君。
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(麻生太郎君) ただいま議題となりました社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 世界経済の不透明感が増す中、新たな危機に陥ることを回避するため、あらゆる政策を講ずることが必要となってきております。これを踏まえて、本法律案は、国税に関し、消費税率引上げの実施時期の変更及びこれに関連する税制上の措置につきまして、所要の改正を行うものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、消費税率引上げの実施時期を平成三十一年十月一日に変更するとともに、消費税の軽減税率制度及び適格請求書等保存方式等の導入時期を二年半延期することといたしております。
 第二に、住宅ローンの減税制度等の適用期限を二年半延期するとともに、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の適用期限の変更等の改正を行うことといたしております。
 第三に、地方法人税の引上げの実施時期を二年半延期することといたしております。
 以上、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(伊達忠一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。古賀之士君。
   〔古賀之士君登壇、拍手〕
#7
○古賀之士君 民進党・新緑風会の古賀之士でございます。
 まず、私の地元福岡、今、JR博多駅前は道路の大きな陥没によって大変なことになっております。謹んでお見舞いを申し上げますとともに、与野党関係なく一日も早い復旧を願う一人でもございます。
 さて、私は、会派を代表いたしまして、ただいま議題となりました社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。
 私にとって初めての本会議質問が、国民生活に大きく関わる重大な法律案であることに対し、責任を感じております。また、私は、申し上げましたとおり福岡県の選出でございますが、同郷の総理大臣経験者である麻生財務大臣の胸を借りることにも武者震いしております。
 さて、まず、この本会議において議題となったのが政府提出法案であることは残念であると申し上げておきます。本来ならば、民進党が衆議院に提出した消費税率の引上げの期日の延期及び給付付き税額控除の導入等に関する法律案が衆議院で可決され、本院での議論が始まることを期待しておりました。政府提出法案が抱える大きな問題点である軽減税率ではなく、我が会派が提案する給付付き税額控除こそ、消費税の逆進性対策に最もふさわしいと確信しているからであります。
 その最大の理由は、軽減税率が既に実施されている他国の経験から、何が対象で何が対象外なのか、余りにも分かりにくい仕組みだからです。現代社会は多様化、複雑化が進んでおりますが、むしろ、それがゆえに制度や仕組みはできるだけシンプルで分かりやすいものにすべきです。政府法案は、中身が複雑で、その名前も、元アナウンサーの私もかみそうです。ですから、法案の名前も中身も簡潔で理解しやすい我が党の法案こそ、全ての国民に関わる消費税の改革にふさわしいと自負しております。
 ほかの会派の皆様におかれましては、今からでも遅くありませんので、我が党の法案を衆議院で議論していただけるようにお願いをいたします。
 さて、消費税率の一〇%への引上げは、そもそもは二〇一五年十月に予定されていたものでした。それが、二年前に二〇一七年四月に延期されましたが、その際に総理は、再び延期することはない、ここで皆さんにはっきりとそう断言いたしますと述べられました。しかしながら、今年の春に示されたこれまでのお約束と異なる新しい判断という、一般的には全く理解できない意味不明な基準を基に引上げを更に延期したものが、今回の法案の骨子であります。公約違反ではないかという批判を真摯に受け止めるとも総理は記者会見で述べられました。法案担当者である麻生財務大臣におかれましては、参議院での審議を始めるに当たり、再延期に至った新しい判断について、国の内外どちらの要因が大きいかも含め、御説明をお願いいたします。
 また、総理は、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたしますと記者会見でおっしゃいました。しかし、景気判断条項をあえて削除したにもかかわらず、本法案によって再び延期が予定されています。結局は、二〇一九年十月に至ってもまた今回と同じことになり、その結果、税率引上げはいつまでたっても行われないのではないかという疑念を生じさせます。こうした懸念について麻生財務大臣のお考えをお伺いいたします。
 なお、削除された景気判断条項は、消費税法附則第十八条第三項です。その第一項では、平成二十三年度から平成三十二年度までの平均において名目の経済成長率で三%程度かつ実質の経済成長率で二%程度を目指す措置を講ずるとされています。この数字を達成するために、本年度から平成三十二年度までの各年度の平均において、名目及び実質の経済成長率がどれほど必要か、石原経済財政担当大臣よりお答えをいただけますでしょうか。
 また、日本経済が個人消費を中心に力強さを欠いていることから、一部では平成二十八年度三次補正予算が必要ではないかと意見が出ております。この点について麻生財務大臣のお考えをお聞かせ願います。
 さきに述べましたように、民進党は、軽減税率ではなく給付付き税額控除を導入する議員立法を提出しております。この軽減税率と給付付き税額控除は、三党合意によって共に検討事項とされたはずでした。しかし、多くの議論が行われた軽減税率に比べて、給付付き税額控除はほとんど検討されていないのではないでしょうか。これまでの経緯において、給付付き税額控除が議題となった政府主催の会議の日時とおよその討議の時間数を石原社会保障・税一体改革担当大臣よりお答えいただけますでしょうか。
 本法案で消費税率引上げを二年半延期しますが、実際に引き上げるに当たっては、我が国の競争力が向上するなど、引上げに足りるだけの経済環境を整えることが必要ではないでしょうか。
 しかし、果たして国際社会からはどう見られているでしょうか。例えば、世界銀行の発表した二〇一七年版ビジネス環境報告書によれば、我が国は全体評価で先進国中二十三位と、前年より更に順位を落としました。政府の目標である二〇二〇年までに先進国で三位以内は極めて厳しい状況です。民主党政権時の十五位から大幅に下がっていることと併せ、日本のビジネス環境の改善に向けてどのような施策を行っていくのか、石原経済財政担当大臣にお伺いをいたします。
 また、国民一人一人の力が存分に発揮できるような社会環境も重要です。そのためには、現政権が最重要課題の一つとする女性が輝く社会を実現しなければなりません。しかし、残念ながら黄色信号、イエローライトがともっていると言わざるを得ないでしょう。世界経済フォーラムによる二〇一六年男女平等ランキングでは、百四十四か国中百十一位と、前の年の百一位より低下しました。女性政策の現状と国際評価、今後の対応について、加藤女性活躍担当大臣のお考えをお伺いいたします。
 現行の法律であれば、税率の引上げは来年四月に行われる予定でした。これに伴い、秋から来年の春にかけて、いわゆる駆け込み需要が発生した可能性が高いと思われます。予定どおり来年四月に税率が引き上げられた場合と本法案によって二〇一九年十月に延期された場合の駆け込み需要の増減について、特に影響が大きいと思われる自動車及び住宅を対象にどう試算しているのか、大変興味があります。そもそも試算を行ったのか行っていないのか、行ったとすれば、その結果を石原経済財政担当大臣にお伺いをいたします。
 消費税については、単に税率引上げの時期を延期すればよいというものではありません。一〇%引上げ時に実施予定だった社会保障の充実について、どのような対処が必要かを明示する必要があります。この点、麻生財務大臣は、衆議院で、全てを行うことはできませんが、赤字国債を財源に社会保障の充実を行うような無責任なことは行いませんと述べています。しかし、税収の上振れや底上げが財源であるとすれば、本年度上半期の税収等が前の年より四・八%下回ったことを考えると、これも無責任と言えるのではないでしょうか。
 一〇%引上げの際に予定されていた政策のうち、来年春から行う政策にはどのようなものがあり、行うことができないものは何か、石原社会保障・税一体改革担当大臣からお答えをいただけますでしょうか。また、行う予定の政策についてはどのような財源を予定しているのか、麻生財務大臣よりお示しをお願いいたします。
 軽減税率については、財源の確保が十分になされていないにもかかわらず実施を明言されています。これこそまさに無責任と思われます。もし不当と思われるのであれば、軽減税率で減収となる額に見合う財源を満額確保できているはずですが、この点について麻生財務大臣にお伺いをいたします。万が一、本法案の審議を参議院で始めるに当たってなお軽減税率の財源が不足しているのであれば、財源が満額確保できる時期の確実な見通しをお示しいただけますでしょうか。
 なお、財源の予定に総合合算制度の見送りによるものが含まれているのであれば、本来は負担が軽減されたはずの国民の人数及び代替措置の有無を塩崎厚生労働大臣よりお答え願います。
 年末には、ロシアのプーチン大統領の訪日が予定されています。日ロ首脳会談では様々な問題が議論されるでしょうが、国民にとって最大の関心は、言うまでもなく北方領土の返還です。旧島民の方々はもとより、全ての日本国民の悲願であると言っても過言ではないでしょう。
 しかし、戦後七十一年、日ソ共同宣言から六十年、東京宣言からでも二十三年が経過しており、そう簡単ではないということも理解しております。この点、ロシアと交渉するに当たり、何らかの財政支出が発生する可能性があるのか、政府系金融機関による資金協力の可能性の有無も含め、麻生財務大臣からお答えをいただけますでしょうか。
 最後に、税を徴収する機構及び人員の状況についてお尋ねをいたします。
 消費税を含め、あらゆる税の徴収業務は、法律の制定のみでは不十分であり、最終的には優秀かつ責任感のある人材によって確保されているはずです。しかし、現状では大きな不安を抱えております。
 新規発生滞納額のうち消費税の占める割合は六四%で、国税徴収額全体における消費税の割合二八・九%と比べて非常に高くなっています。早期の不公平感是正が求められていますが、国税庁の定員は過去五年間で六百人近くの五百九十七人の減員となっており、業務量に見合った人員配置とはとても言えないのではないでしょうか。加えて、本法案で予定されている軽減税率が導入されれば、対象品目の判定などを始め、税の相談や徴収の現場に大きな負担が掛かることは間違いありません。
 消費税を始めとする適正、公平な課税と徴収の実現及び歳入の確保のためには、国税職員の定員確保と機構の充実が急務と思われますが、麻生財務大臣のお考えをお聞かせ願います。
 また、消費税が五%から八%に引き上げられた際に、金の密輸が件数で二十二倍、脱税額で八倍に激増いたしました。一〇%引上げの際にも同様の事態が発生することが十分予想されますから、これに対応する税関職員の定員確保と機構の充実も大変重要です。この点に関して、麻生財務大臣のお考えをお伺いいたします。
 本件につきましては、地方の財務局に所属する人員も含め、財務省内部の定員調整によって業務に必要な人材が不足することのないよう内閣人事局に断固とした態度で臨むことを、強力なリーダーシップを持つ麻生財務大臣にお願いするものであります。
 結びに、社会保障と税の一体改革は、今後の日本にとって最も必要となる政策課題です。民進党は、人への投資が未来をつくるを大きな政策理念としておりますが、投資には財源が欠かせません。財源の議論を真剣に行うことをお約束いたしまして、私の質問といたします。
 御清聴、誠にありがとうございました。これで質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(麻生太郎君) 七問頂戴しております。
 消費税率引上げの延期の判断についてのお尋ねがまずあっております。
 世界経済は、御存じのように、新興国経済のいわゆる陰りなど需要の低迷、また成長の減速リスクが懸念されておりますのは御存じのとおりです。また、日本経済も個人消費に力強さを欠く状況にあります。
 今般の消費税引上げの延期につきましては、国の内外どちらの要因が大きいかを定量的にお示しするということは困難であります。こうした状況を総合的に勘案して、経済再生、デフレ不況からの脱却に向けた取組に万全を期すため、伊勢志摩サミットにおけます合意に基づきあらゆる政策を総動員する中で、構造改革の加速など総合的かつ大胆な経済対策を講じることと併せて判断したものであります。
 次に、二〇一九年十月の消費税引上げについてのお尋ねがあっております。
 消費税率の一〇%への引上げは、国民の安心を支える社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信頼、信認を確保するというためにも必要なものであり、二〇一九年十月には引上げを実施いたします。
 このため、政府としては、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、民需主導の経済の好循環を確実なものにすることを通じまして、消費税の一〇%への引上げが可能な環境を確実に整えるべく、経済財政運営に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、平成二十八年度第三次補正予算の編成についてのお尋ねがあっております。
 本臨時国会において成立をさせていただきました平成二十八年度第二次補正予算は、長年続きましたデフレ不況からの完全に脱却というのと、しっかりした経済が成長していく道筋を付けるものだと考えております。当面の需要喚起にとどまらず、民需主導の持続的な成長と一億総活躍社会の着実な表現につながる取組を中心としているところでもあります。まずは本補正予算を円滑かつ適切に執行していくことが重要であると考えております。
 社会保障の充実の財源についてのお尋ねがあっております。
 社会保障と税の一体改革におけます社会保障の充実につきましては、消費税増収分と社会保障改革プログラム法に基づきますいわゆる重点化、効率化による財源を充てることとされております。消費税率一〇%の引上げを延期している間の社会保障の充実のための財源につきましては、社会保障の重点化、効率化の動向などを踏まえて、予算編成過程で検討してまいりたいと考えております。
 軽減税率制度の財源確保についてのお尋ねがありました。
 軽減税率制度の財源確保につきましては、平成二十八年度税制改正法において、歳入歳出両面にわたって検討を行い、安定的な恒久財源の確保をしっかりと取り組むこととしており、無責任との御指摘は当たらぬと考えております。財源確保の時期につきましては、今般の法案を踏まえて、軽減税率制度を導入する前年度の平成三十年度末を期限として検討を進めることといたしております。
 ロシアとの北方領土返還交渉に係る財政支出についてのお尋ねもあっております。
 政府としては、経済分野を含め幅広い分野で日ロ関係を国益につながるような形で進めていく中で、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針であります。現在、こうした方針の下、ロシアと様々な協議を行っているところであり、財政支出の可能性につきましては、政府系金融機関による資金協力を含めましてお答えできる段階にはありません。
 国税職員及び税関職員の定員と機構の充実についてのお尋ねもあっております。
 経済活動の国際化によって複雑化する税務調査や訪日される外国人旅行者の増加への対応などの業務は、必要性が急増いたしております。こうした行政需要の増大に対処するため、業務の効率化を続けるとともに、同時に、内閣人事局と調整をして、現場職員の定員と機構の充実に努めてまいらねばならぬと考えております。(拍手)
   〔国務大臣石原伸晃君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(石原伸晃君) 古賀議員にお答え申し上げます。
 まず、経済成長率についてお尋ねがございました。
 御指摘の附則第十八条第一項では、「平成二十三年度から平成三十二年度までの平均において名目の経済成長率で三パーセント程度かつ実質の経済成長率で二パーセント程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。」とされております。
 安倍内閣におきましては、経済再生なくして財政健全化なしとの方針の下、あらゆる政策を総動員することにより、中長期的に実質GDP成長率二%程度、名目GDP成長率三%程度を上回る経済成長を目指しているところでございます。
 なお、議員の御質問のように、仮に平成二十三年度から三十二年度までの平均において、名目三%、実質二%の経済成長率を達成するために本年度から平成三十二年度までに必要な平均成長率を機械的に計算をいたしますと、名目五・二%、実質三・四%となります。
 給付付き税額控除の検討についてお尋ねがございました。
 税制に関しては、政府・与党一体となって議論を行っております。政府といたしましては、従来より海外制度の調査等も行ってまいっております。
 また、昨年九月十日の与党税制協議会消費税軽減税率制度検討委員会においては、軽減税率の議論に際しまして、議員御指摘の給付付き税額控除に関する資料を政府より提出し、その中で御議論をいただいたところでございます。
 その結果、与党において、消費税率引上げに伴う低所得者への配慮の観点から総合的な検討を重ねていく中で、最終的に軽減税率制度の導入が決定されたものと承知をしているところでございます。
 世界銀行が発表したビジネス環境報告書についてのお尋ねがございました。
 先日発表された二〇一七年版を含め近年順位を下げており、二〇二〇年までに先進国で三位以内という目標に向けて更なる努力が必要だと認識をしております。
 安倍政権は、成長戦略の下で世界で一番企業が活躍しやすい国を実現すべく取組を進めております。例えば、国家戦略特区で外資系企業やベンチャー企業の開業手続を一元化する施設の開設等に取り組んでまいりましたほか、電子化を通じた行政手続の軽減等の取組を進めているところでございます。こういう取組を通じまして、今後我が国の評価が見直されていくことを期待しているところでございます。
 今後とも、世界最高水準のビジネス環境整備に向け、成長戦略の深化とその実現に政府一丸となって取り組んでまいります。
 消費税率引上げに伴う駆け込み需要と反動減の計算についてお尋ねがございました。
 二〇一七年四月の消費税率引上げに伴う駆け込み需要と反動減の試算については、本年一月の政府経済見通し及び中長期の経済財政に関する試算において、御指摘の自動車や住宅を含め全体として二〇一六年度の実質GDPを〇・三%程度押し上げ、二〇一七年度の実質GDPを〇・三%押し下げる影響があると想定をしております。これは、前回二〇一四年四月の消費税率引上げのときの影響を参考にしたものでございます。
 また、消費税率引上げが二〇一九年十月に延期された場合の駆け込み需要と反動減については、本年七月の中長期の経済財政に関する試算におきまして、前回引上げ時の影響を参考にした想定を置いておりますが、駆け込みと反動減、それぞれ影響が二〇一九年度でおおむね相殺されることから、年度ベースの成長率に対する影響は軽微になると考えているところでございます。
 最後に、消費税率の引上げに伴う社会保障の充実についてお尋ねがございました。
 社会保障の充実については、給付と負担のバランスを考えれば、消費税率の引上げを延期する以上全てを行うことはできません。また、赤字国債を財源に社会保障の充実を行うような無責任なことも行いません。
 その上で、消費税率を一〇%に引き上げた際に新たに実施することとしていた社会保障の充実については、保育受皿の確保と年金の受給資格期間の短縮は着実に進めてまいります。そのほかの施策についても、優先順位を付けながら、今後の予算編成過程の中で最大限の努力をしてまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(加藤勝信君) 古賀議員より、女性政策の現状と国際評価、今後の対応についてお尋ねがございました。
 御指摘の世界経済フォーラムにおけるジェンダーギャップ指数については、勤労所得の推計方法の変更が順位の変動要因の一つと考えられますが、いずれにいたしましても、経済分野における管理職の割合の低さや政治分野における女性の割合の低さが我が国の順位に反映されているものと承知をしております。
 安倍内閣では、全ての女性が自らの希望に応じ個性と能力を十分に発揮できる社会の実現に向け様々な取組を進めており、この三年間で経済分野においては女性の就業者数が約百万人増え、また、上場企業の女性役員数は二〇一二年から二〇一六年までの四年間で二倍以上に増加をしているところであります。
 具体的な取組としては、経済分野に関しては、本年四月一日に完全施行された女性活躍推進法に基づき、企業等の行動計画の策定、公表と情報公表などを推進するとともに、政治分野に関しては、政党等に対し、自主的なポジティブアクション導入に向けた検討についての要請などを行っているところであります。
 全ての女性が輝く社会の実現に向けて、引き続き女性の活躍の推進に取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(塩崎恭久君) 古賀之士議員にお答えを申し上げます。
 総合合算制度についてのお尋ねがございました。
 総合合算制度は、税制抜本改革法におきまして、軽減税率、給付付き税額控除と並んで消費税率引上げに伴う低所得者対策の選択肢の一つとして位置付けられていましたが、この中から軽減税率の導入が実施されることとなったと承知をしております。
 なお、総合合算制度につきましては、マイナンバー制度の導入、定着が前提となっていたこともあり、軽減税率の導入決定時点までにおいて、お尋ねのような具体的な制度設計には至っていなかったところでございます。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(伊達忠一君) 新妻秀規君。
   〔新妻秀規君登壇、拍手〕
#13
○新妻秀規君 公明党の新妻秀規です。
 ただいま議題となりました法律案につきまして、自由民主党、公明党を代表して質問をいたします。
 自公連立政権に戻って間もなく四年、この間進められてきたアベノミクスにより、雇用の拡大、賃金の上昇による経済の好循環は着実に実現しつつあります。一方で、世界経済の不透明感が増す中で、あらゆる政策を講ずることが必要であり、この度、消費税引上げが二年半延期されたと理解をしております。この二年半で、アベノミクスを更に加速させ、日本経済のデフレ脱却、そして二〇二〇年度にはプライマリーバランス黒字化という財政健全化目標を達成しなければなりません。
 デフレからの脱却、経済成長をどのように図っていくのか、財務大臣の答弁を求めます。
 消費税率が一〇%に引き上げられるときには、逆進性を和らげるために軽減税率が導入をされます。一方、これまで単一であった消費税率が複数となるため、特に事業者にとっては経理や商品管理が複雑になるという課題があります。
 十月十八日、本法案についての衆議院本会議での質疑において、軽減税率の円滑な導入に向けた政府の取組方針につき、財務大臣より、事業者の準備状況を検証しながら必要な対応を行う、QアンドAを既に公表したほか、説明会を開催して周知、広報に努め、また、中小企業者向けのレジ導入支援を行うとの答弁がありました。
 区分経理方式及びインボイス制度の導入については、それぞれ更に二年半の猶予ができたものの、いまだ中小の事業者には不安も大きいようです。実際、中小企業の団体と意見交換をしたところ、インボイス制度の導入後、登録がない免税事業者は取引から排除されるのではなどの懸念が表明をされました。行政サイドには、相談窓口の設置や巡回指導などのきめ細やかな対応が求められます。
 具体的にどのようにして軽減税率導入に向けた事業者への支援を推進していくのか、財務大臣及び経済産業大臣の答弁を求めます。
 転嫁対策特措法の適用期限も、二年半スライドし、平成三十三年三月三十一日となります。経済産業省が毎月発表をしている消費税の転嫁状況に関する月次モニタリング調査によれば、転嫁の状況は、消費税八%への引上げからのこの二年半、若干の改善はあるものの、横ばいという状況が続いています。また、この調査によれば、事業規模が小さいほど転嫁ができておらず、さらに、小売業やサービス業など特定の業種で状況が芳しくないとの傾向が出ております。
 前回の消費税引上げから二年半たっても、転嫁対策はこのように道半ばです。あと四年半弱であらゆる手段を講じて、価格転嫁が適正に行われるよう急がなければいけません。
 価格転嫁対策は下請取引適正化の柱の一つです。事業規模や業種にかかわらず、価格転嫁がきちんと実施をされ下請取引が適正に行われるように、実効性のある取組が必要です。経済産業大臣の答弁を求めます。
 住宅の取得は、消費税引上げによって駆け込み需要とその反動減が大きく生じる特徴があります。二年半前の消費税引上げ時には住宅ローン減税の拡充などの対策が取られましたが、それでも大きな反動減が生じました。前回の消費税引上げ時に講じた住宅ローン減税などの施策と実際に生じた駆け込み需要及び反動減について検証を行い、できるだけ住宅消費が平準化するように施策を講じるべきと考えますが、財務大臣の答弁を求めます。
 消費税引上げが先送りになり、予定していた財源が十分に確保できない状況でも、社会保障分野では優先すべき課題があります。自由民主党、公明党は、これらの課題に赤字国債を発行せずに対応すると決めました。
 具体的な課題としては、まず無年金対策です。法律を改正して来年度中に実施することとなりました。一日も早い成立が望まれます。次に、軽減税率導入まで継続して行うことになっている簡素な給付措置です。これについては、二年半分を一括して支給することとなっております。
 このほかにも社会保障面での課題は山積しております。消費税引上げが再延期になっても安定財源を確保し、充実策を前倒しをして実施をしていくため、最大限努力していくべきだと考えます。
 財務大臣に社会保障の充実に取り組む決意を伺うとともに、ニッポン一億総活躍プランにどう取り組んでいくのか、明快な答弁を求めます。
 社会保障の充実と財政健全化の同時達成という難題に全力で取り組む決意を表明し、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(麻生太郎君) 四問頂戴しておりますが、まず、デフレ脱却、経済再生についてのお尋ねがあっております。
 政府としては、経済再生、デフレ不況からの脱却に向けた取組に万全を期していくために、今般、消費税率引上げを延期するとともに、構造改革の加速など総合的かつ大胆な経済対策を講ずることとしたところであります。
 あわせて、歳出歳入両面からの財政健全化の取組が必要であります。そのため、二〇一九年十月に消費税率を一〇%に確実に引き上げるとともに、引き続き、経済・財政再生計画の枠組みの下、改革工程表に基づきまして、社会保障の改革を進め、徹底的な重点化、効率化など、歳出改革を継続してまいりたいと考えております。
 今後とも、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、民需主導の持続的な経済成長の実現を目指した取組を進めてまいりたいと考えております。
 次に、軽減税率制度の導入に向けた事業者への支援についてのお尋ねがあっております。
 政府としては、軽減税率制度の円滑な導入に向けて取り組むことは極めて重要だと考えております。
 具体的な事業者への支援として、軽減税率制度の一般的な事項につきましては、QアンドAの公表や、また説明会の開催により周知、また広報を行うこと、同時に、個別の照会につきましても、税務署に設置をいたしております専用相談窓口において丁寧に相談に応じさせているところであります。引き続き、事業者の準備状況を把握し、同時に万全の対応を進めてまいりたいと考えております。
 次に、消費税率引上げに伴う住宅の反動減対策についてのお尋ねがあっております。
 住宅取得につきましては、消費税率八%への引上げのときに、税率引上げ後の反動減による影響を平準化するために、住宅ローン減税の拡充などの措置を講じたところでありまして、足下の住宅の新規着工戸数は、消費税率引上げ前の水準を回復しているところであります。
 消費税率一〇%への引上げに際しましては、住宅ローン減税については同様の措置を継続するとともに、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を拡充すること等を考えております。こうした対応によりまして、税率引上げ後の反動減による影響を平準化されることを期待をいたしております。
 社会保障の充実についてのお尋ねもあっております。
 社会保障の充実につきましては、給付と負担のバランスというものを考えれば、消費税率一〇%への引上げを延期する以上、全てを行うことはできません。赤字公債を財源に社会保障の充実を行うというような無責任なこともせず、優先順位を付けて最大限努力をしていかねばならぬところだと思っております。
 その中で、待機児童ゼロに向けた保育の受皿五十万人分の確保につきましては、来年度までの達成に向けて、約束どおり実施をいたします。また、年金の受給資格期間の短縮につきましては、平成二十九年度中に確実に実施できるよう、政府としては所要の法案を今国会に既に提出をさせていただいております。さらに、保育士、介護職員などの処遇改善など一億総活躍プランに関します取組につきましては、アベノミクスの成果の活用等々を含めまして、財源を確保して優先的に実施してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣世耕弘成君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(世耕弘成君) 新妻議員にお答えをいたします。
 消費税軽減税率制度の導入に向けた事業者支援についてお尋ねがありました。
 経済産業省としては、制度の導入、運用に当たり、中小企業・小規模事業者に混乱が生じないよう、中小企業団体等と連携し、中小企業・小規模事業者に対して十分な周知を行うとともに、全国約二千四百か所の相談窓口の設置、各地での講演会の開催等を通じて丁寧なサポートを行います。
 さらに、レジの入替え等が必要な中小企業・小規模事業者に対する支援として、平成二十八年四月から複数税率に対応したレジの導入等を補助するとともに、複数税率への対応ができない電子的な受発注システムの改修を補助しております。
 また、御指摘のインボイス制度については、軽減税率制度の導入から四年間の準備期間が設けられております。経済産業省としては、中小企業・小規模事業者の事務負担の実態や準備の状況、そして事業者間取引への影響などについて更に十分に調査、意見聴取を行いながら、インボイス導入までにその課題や解決策を検討し、中小企業からの相談対応などのサポートをしっかり行うなど、必要な措置を講じてまいります。
 次に、消費税の価格転嫁と下請取引の適正化のための取組についてお尋ねがありました。
 これまでも政府を挙げて消費税の価格転嫁対策に取り組んできたところであり、直近の消費税の転嫁状況に関する月次モニタリング調査では、全く転嫁できていないとする回答の割合は、事業者間取引で三・三%、消費者向け取引では五・〇%となっております。価格転嫁できていない理由については、ほかの事業者との競争や景気動向に加えて、下請取引における取引先との力関係も挙げられております。
 こうした状況を踏まえて、消費税の円滑かつ適正な価格転嫁を確保するために、消費税転嫁対策特別措置法に基づき、大規模な書面調査や転嫁対策調査官による立入検査を行うなど、転嫁拒否行為に対して厳正に対処してまいります。また、商工会、商工会議所等の中小企業団体とも連携をして、転嫁対策に関する相談窓口を設置するとともに、講習会等を実施してまいります。さらに、下請取引の適正化に向けては、下請法など関連法令の運用を強化するとともに、産業界に対して自主行動計画の策定を要請しているところであります。
 これらの対策により消費税の価格転嫁がきちっと実施されるよう、引き続き転嫁対策に万全を期してまいります。(拍手)
    ─────────────
#16
○議長(伊達忠一君) 大門実紀史君。
   〔大門実紀史君登壇、拍手〕
#17
○大門実紀史君 日本共産党を代表し、消費税増税延期法案に関連して質問をいたします。
 日本経済が停滞から抜け出せない最大の理由は、経済の六割を占める個人消費の低迷が続いていることです。九月の家計調査を見ても、うるう年で二月が一日多かったためにプラスになったことを除くと、十三か月連続のマイナスとなっています。個人消費が増えなければ、企業の売上げも設備投資も増えません。
 石原大臣は、個人消費が伸びない要因がどこにあるとお考えでしょうか。
 消費低迷の第一の要因は賃金、所得の低迷です。この間、低賃金の非正規雇用が雇用者数に占める割合は四割近くにまで上昇しましたが、非正規の年収は正規の三割台にとどまっております。年収が二百万円以下のいわゆるワーキングプア層は一千百三十万人と、三年連続で一千百万人を超えました。賃金の低下は、一時的な現象ではなく、非正規雇用の拡大によってつくられた低賃金構造に根本的な原因があります。
 家計調査を見ると、非正規雇用が多い低所得の勤労者世帯ほど消費を減らしています。年齢でいえば、三十九歳以下の若い世帯の消費の落ち込みが深刻です。石原大臣が序文を書かれた今年度の経済財政白書でも、個人消費が伸びないのは、特に三十九歳以下の若年子育て世帯が消費を抑えており、その背景には非正規雇用の増加があると指摘をされております。そうであるならば、非正規雇用を拡大する労働法制の改悪をやめ、正社員化の道を広げることこそ景気回復にもつながるのではありませんか。
 実収入から直接税や社会保険料などを除いた可処分所得も、安倍政権発足前と比べて減少しています。その原因は、賃金の伸び悩みや年金給付額の削減などに加え、年金、介護、医療などの保険料が引き上げられてきたことにあります。消費税増税や異次元金融緩和の円安誘導による物価上昇も実質可処分所得を減少させました。まさに安倍内閣の経済政策、アベノミクスそのものが国民の可処分所得を減少させ、消費を冷え込ませてきたと言わなければなりません。
 今こそ、手厚い中小企業支援とセットにした最低賃金の大幅引上げや年金改悪のストップなど、具体的に国民の賃金、所得を上げる政策に踏み出すべきではありませんか。石原大臣の答弁を求めます。
 消費を低迷させている第二の要因は、国民の将来不安の増大です。内閣府の国民生活に関する世論調査によれば、国民が不安を感じる事柄は、〇三年以降、老後の生活設計についてがトップになっています。将来の年金受給額が減り、医療や介護の負担が増えるのではないか。社会保障制度への不安が消費者意識に重くのしかかり、消費を冷え込ませる要因になっているのです。
 政府の厚生労働白書でも、社会保障の充実は国民の将来不安を取り除き、経済を活性化させると指摘をしております。社会保障の連続改悪をやめ、むしろ充実することで、国民の将来不安を取り除き、景気を回復させ、税収も増やすというプラスの好循環に方向転換する必要があるのではないでしょうか。石原大臣の答弁を求めます。
 消費を冷え込ませた第三の要因は、消費税の増税です。二〇一四年四月の消費税率の八%への引上げ後、個人消費は一四年度、一五年度と二年連続でマイナスとなりました。二年連続のマイナスは戦後初めてのことです。麻生財務大臣は、二〇一四年の消費税増税が現在も続く消費の低迷を招いた最大の要因だという認識をお持ちでしょうか。
 安倍政権は二〇一五年十月に予定していた税率一〇%への引上げを延期することにしましたが、それ以降も消費は伸びていません。なぜなら、消費者は、先送りになっただけで近い将来に増税されると考え、消費を抑えようとします。企業も、増税後の景気悪化を予想し、設備投資を控えるようになります。増税予定そのものが景気を停滞させているんです。この点からも、消費税増税は延期ではなく、きっぱり断念、撤回すべきではありませんか。
 いつから日本の政府は、財源といえば消費税のことしか思い浮かばなくなったのでしょう。八〇年代のレーガン、サッチャーの新自由主義路線を模倣し、日本でも直間比率の見直しが進められ、国際競争力の名の下に法人税率、所得税の最高税率の引下げが行われる一方で、国民には消費税を押し付け、税率を引き上げてきました。
 その結果どうなったか。大企業は空前の内部留保を積み上げ、巨万の富を持つ超富裕層が出現する一方、国民生活は疲弊し、経済も長期停滞から抜け出せなくなってしまいました。今後もこの方向を続ければ、国民の暮らしも経済も落ち込んでいくだけではありませんか。
 大体、消費税は国民にとって一利もない税金であります。
 第一に、こんなに増税するたびに景気を悪くする税金は見たことがありません。
 第二に、所得の低い人に手厚くする社会保障の財源を所得の低い人に重い消費税で賄うこと自体、自己矛盾であり、所得の再分配に反します。
 第三に、社会保障のための消費税という話そのものがでたらめです。
 消費税創設以来二十八年間でその税収は三百二十八兆円にも上りますが、ほぼ同じ時期に、法人三税は二百七十一兆円、所得税、住民税も二百六十兆円も減少してしまいました。不況による税収の落ち込みに加え、大企業、富裕層への減税が繰り返されたからであります。結果的に、消費税はその穴埋めに消えてしまったことになります。
 五%から八%への増税分八兆二千億円も、社会保障の部分的手直しに充てたのは僅か一兆三千五百億円で、残り六兆八千五百億円は赤字削減などの口実を付けて他の用途に消えてしまいました。
 本法案は、こういう消費税を一旦延期しても二〇一九年十月には必ず引き上げるという法案であり、容認できるものではありません。
 麻生大臣、税金は苦しい庶民から取るのではなく、もうかっている大企業や大金持ちから取るべきです。消費税頼みの考え方を改め、応能負担の原則で税制を抜本的に見直すべきではないでしょうか。
 この点では、研究開発減税の見直しは緊急の課題です。トヨタ一社で一千億円以上の減税、トップ企業十社だけで減税額の約四割を占める異常な大企業優遇です。総理も麻生大臣も来年度税制改正での見直しを約束されました。政府税調も抜本的な削減を求めております。政府として、研究開発減税の削減に踏み出すべきときではありませんか。
 このことを含め、応能負担の原則に基づく税制改革を強く求め、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(麻生太郎君) 大門先生から五問頂戴しております。
 まず、二〇一四年の消費増税が個人消費に与えた影響についてのお尋ねがあっております。
 消費税率引上げにより、二〇一四年度の個人消費が、駆け込み需要の反動減等により三兆円程度減少したことに加え、消費税率引上げによる物価上昇によりまして二兆円台半ば程度減少したと試算されているものと承知をいたしております。
 一方で、個人消費は、足下になりますと、二四半期連続のプラス成長となっておりますなど、総じて見れば底堅い動きとなってきているものだと認識をいたしております。
 次に、消費税率引上げを断念すべきとのお尋ねがありました。
 消費税率一〇%への引上げは、国民の安心を支えます社会保障制度の次世代へ引き渡すその責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信頼関係を確保するといったために必要なものであり、これは断念とか撤回するということはありません。
 このため、政府としては、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下で、民需主導の経済の好循環を確実なものにすることを通じて、二〇一九年十月の消費税率一〇%への引上げが可能な環境を確実に整えるべく、経済財政運営に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、税制の在り方についてのお尋ねがありました。
 消費税につきましては、税収が安定をしており、勤労世代など特定の者への負担が集中しないといった特性から社会保障の財源としてふさわしいと考えており、その税率引上げによる増収分は、全額社会保障の充実、安定化に充てることとされております。
 同時に、税制全体を通じて見れば、近年、所得税につきましては、所得再分配機能の回復を図るための最高税率の引上げ、法人税につきましては、企業の前向きな投資や賃金引上げを促し経済の好循環をより確実なものとするため、課税ベースの拡大と税率の引下げといった見直しを行っており、国民の暮らしも経済も落ち込んでいくという御指摘は当たらないものだと考えております。
 最後に、企業や富裕層に対する課税についてのお尋ね、ああ、もう一問お尋ねがありました。
 安倍政権の下で法人税改革として実効税率二〇%台への引下げを行ったところですが、これは単なる税率の引下げだけではありません。御存じのとおりです。課税ベースの拡大により、財源をしっかりと確保して行ったものでもあります。課税ベースの拡大に当たりましては、外形標準課税等につきましては中小企業を引き続き対象外とするなど、中小企業には十分な配慮を行っております。
 また、所得税につきましては、所得再分配機能の回復を図る観点から、所得税の最高税率を四〇%から四五%に引き上げる、また金融所得に係ります分離課税の税率につきましても、一〇%の軽減税率を廃止して二〇%の本則税率にするといった税制改正を行っており、まずはこうした見直しの影響を見ていく必要があろうと考えております。
 最後に、研究開発税制についてのお尋ねがあっております。
 研究開発税制などの租特、いわゆる租税特別措置につきましては、特定の政策目的を実現するためには有効な政策手段となり得る一方で、税負担のゆがみを生じさせる面があるという点から、真に必要なものに限定していくことが重要だと、私もそのように考えます。
 研究開発税制につきましては、今年度の税制改正において、その制度の全般にわたり、めり張りを利かせつつ、研究開発投資に向けた有効なインセンティブとなるようしっかりと検討を行ってまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣石原伸晃君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(石原伸晃君) 大門実紀史議員にお答え申し上げます。
 まず、個人消費についてのお尋ねがございました。
 個人消費の動向については、消費者マインドに持ち直しの動きが見られる中で、総じて見れば底堅い動きとなっております。また、個人消費を取り巻く環境を見ますと、有効求人倍率は一・三八倍と約二十五年ぶりの高水準、失業率は三%と約二十一年ぶりの低水準、雇用者の所得の合計であります総雇用者所得は、名目、実質共に十五か月連続で前年比プラスとなるなど、雇用・所得環境の改善は続いております。
 ただし、所得の伸びと比べますと個人消費に力強さを欠いていることは、議員の御指摘のとおり、事実だと思います。この背景として、子育て世代を中心とした先行き不透明感や一部の高齢者世帯の節約志向等が考えられると経済財政白書の中で分析をしております。
 消費と賃金、所得についてお尋ねがございました。
 賃金については、今春で三巡目となった賃上げや最低賃金引上げに向けた取組もありまして、名目賃金は二〇一四年春以降増加傾向にあり、実質賃金も八か月連続で前年比プラスになるなど改善が続いております。ただし、先ほども申し上げたとおり、所得の伸びに比べると個人消費に力強さを欠いているのは事実であります。
 こうした課題について、経済財政白書において、持続的な賃金上昇や正規、非正規雇用者間の待遇格差の是正等を通じて将来への展望を明るいものとすることが必要だと指摘をしているところでもございます。
 政府としては、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジであります働き方改革を断行してまいります。持続的な賃金上昇とともに、同一労働同一賃金の実現やこれまでの賃金体系の見直しなどにより、非正規の方の処遇を改善し、中間層の厚みを増すことで所得の底上げ、消費の拡大につながっていくものと考えているところでございます。
 賃金と所得の向上についてお尋ねがございました。
 賃金については、今世紀に入って最も高い二%水準の賃上げを三年連続で実現し、パートの平均時給も過去最高水準に上昇するなど、経済の好循環は着実に回り始めております。経済の好循環を確実なものにするためには、賃上げが今春の三巡目にとどまらず、四巡目、五巡目と続いていくことが重要でございます。このため、政府としては、賃上げ促進税制の導入、ものづくり補助金や下請中小企業の取引条件の改善による中小企業の賃上げのための環境整備に取り組んでいるところでございます。
 また、議員御指摘の最低賃金についても、全国加重平均で千円を目指し、今年度の最低賃金の引上げ額は全国加重平均で二十五円となりました。また、先般成立した補正予算においても、最低賃金引上げに向けた環境整備を行うとしたところでございます。
 また、年金については、高齢期の所得の底上げを図りまして、喫緊の課題である無年金の問題に対応すべく、年金の受給資格期間の十年への短縮を盛り込んだ法案を今国会に提出しているところでございます。
 今後とも、こうした経済の好循環の流れを確かなものとし、国民の所得の向上に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 最後に、景気を回復させ税収も増やすというプラスの好循環についてのお尋ねがございました。
 安倍内閣としては、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことによりまして、経済全体のパイや個人の所得を増加させ、その果実を所得の再配分に活用することで更なる成長につなげてまいりたいと考えております。
 政権交代後、デフレ脱却を目指して経済再生に取り組む中で、名目GDPは三十三兆円増加、税収は国、地方合わせて二十一兆円増えました。
 経済成長の果実を生かして、子育て支援や介護離職者ゼロに向けた取組などの、議員の御指摘される社会保障の充実を行うことによりまして、国民の将来不安を取り除くとともに、安心できる社会基盤を築き、その基盤の下に更に経済を成長させていくという成長と分配の好循環をつくり上げてまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#20
○議長(伊達忠一君) 渡辺喜美君。
   〔渡辺喜美君登壇、拍手〕
#21
○渡辺喜美君 日本維新の会、渡辺喜美であります。
 増税の前にやるべきことがある。
 我々は、かねてより、消費税率の引上げ以前に、国会議員の身を切る改革、公務員人件費削減等の行政改革の徹底、そしてデフレ脱却、景気回復が先だと主張してまいりました。残念ながら、こうしたことがいまだに進んでおりません。国内外の経済は予断を許さず、世界経済見通しも不透明、政権運営の通信簿である日本の株価は低迷し、為替相場も年初に比べてはるかに円高になっております。これ以上円高が進行すれば、再びデフレに陥りかねない危うさが続いております。
 安倍総理は、消費税率一〇%への引上げを再延期する理由について、世界経済が大きなリスクに直面しているために政策総動員が必要な中で、消費税率の引上げは内需を腰折れさせかねないと述べておられます。そのとおりですよ。このような先が見通せない状況であれば、消費税増税は延期ではなく凍結をすべきであります。
 日本経済を駄目にした長引くデフレは、少子高齢化や人口減少のせいではなく、マクロ経済政策、すなわち国家経営の失敗そのものに根本的な原因があります。増税をやってはいけないときに増税をやる、金融緩和をやるべきときにやらない。つまり、アクセルを踏むべきときにブレーキを掛ける、暖房を掛けるときに冷房を掛ける。この失敗こそ日本を長期停滞に陥れた真犯人であります。
 我が党は、十一月二日、消費税増税凍結法案を参議院に提出いたしました。景気の現状や身を切る改革等がなされていないことに鑑み、政府は消費税率の引上げを凍結するとともに、国民の間に不公平感が残り、将来の税率引上げにつながりかねない軽減税率制度を廃止すべきであります。
 具体的には、消費税の税率一〇%への引上げは経済状況、歳出削減の成果等を総合的に勘案して検討するものとし、特にデフレ脱却をまず行い、その結果に基づいて定められるものとすること、その際、歳出の無駄削減を図るために必要な措置を講ずること、そして、政府は消費税の軽減税率制度を廃止するために必要な法制上の措置を講ずるものとすることであります。
 財務大臣にお伺いをいたします。
 毎年度においてその時々の経済状況を見ながら定める税法の中で、なぜ消費税だけが例外で、将来の時点の経済状況が予見できないにもかかわらず、税率引上げを予定しているのでありましょうか。
 これまで、村山内閣が決定し、橋本内閣が実施した一九九七年の消費増税は大失敗でした。野田内閣が決め、第二次安倍内閣が実施した二〇一四年の増税も失敗です。個人消費を減速させ、景気の足を引っ張り続けているではありませんか。物価安定目標二%の未達成もこの増税が主因であります。麻生副総理はそう思われないでしょうか。元々、将来の増税決め打ちには無理があります。
 安倍総理は、増税して景気を悪くしたら元も子もないとおっしゃっています。そのとおりですよ。もとより、アベノミクスというのは金融緩和、積極財政、構造改革を旨としています。増税とは全く異質の政策なのであります。麻生大臣はそうお思いになられませんか。
 この際、引上げそのものを凍結して、デフレ脱却に全力を挙げるべきであります。増税を将来予定をすることはデフレマインドを助長させるだけであります。いかがでしょう。
 それに関連して、最近の日銀はかなり変です。金融緩和が雇用の回復に一定の貢献があったのは事実でありますが、先頃の金融政策の変更は、まず金融緩和をすべきであるという意味で本来の仕事になっていません。
 失業率が二%台半ばまで下がれば、更に雇用は二十万から三十万増えてまいります。物価安定目標二%より現在のインフレ率は低いのでありますから、今は金融緩和をすべきであります。そうすれば、賃金はおのずと上がり、デフレ脱却も見えてまいります。財務大臣はそうお考えになられないでしょうか。
 また、民間が未来への投資をちゅうちょするのなら、政府が率先して五十年物、六十年物の超長期国債を発行し、投資したらよろしいのです。財政出動だけでは円高を招きますが、金融政策と一体化をすれば、金融緩和をより強力に推進し、デフレ脱却にもつながってまいります。いかがでしょうか。
 いずれにしても、消費税増税の前にデフレ脱却を徹底すべきと考えますが、財務大臣の御見解をお伺いをいたします。
 そもそも、税制抜本改革法は、民主党、自民党、公明党の三党合意で成立をいたしました。その際、民主党政権下で決められた社会保障・税一体改革大綱には、議員定数削減や公務員総人件費削減など自ら身を切る改革を実施した上で増税をすべきだと明記されました。
 しかし、政府と自公民三党は、国民との約束を破りました。今年ようやく決まった衆議院定数削減は、十減らすのみであります。大綱にある八十削減はどこに消えたのでありましょう。
 議員歳費と公務員人件費については、復興財源のための歳費、給与カットは二年余りで終了する一方、国民の復興所得課税はあと二十年以上も続くのであります。去年、今年は公務員給与を引き上げる給与法案が成立し、さらに、人事院勧告では三年連続の公務員給与引上げとなっております。厳しい財政事情に鑑み抑制に努めていくとの麻生大臣の御答弁と整合性が取れていないのではないでしょうか。
 我が党は、既に衆議院定数削減法案、議員歳費削減法案、国家公務員総人件費二割削減法案を始め、身を切る改革法案を提出してまいりました。政府・与党が本気で取り組んでいただけるのなら、協力は惜しみません。
 大綱に定めた議員定数削減や公務員総人件費削減は、まだまだ不十分であります。麻生副総理には、より具体的、より建設的な御答弁をお願い申し上げます。
 社会保障と税の一体改革の考え方を根本的に見直し、社会保障の恒久財源を消費税以外に求めることを真剣に検討すべきであります。
 増税の前に、まずは社会保険料の取りっぱぐれをなくすところから始めるべきであります。国民年金未納や厚生年金、健康保険の加入要件を満たすにもかかわらず加入していない加入逃れの問題を解消する方が先ではないでしょうか。
 社会保障と税との一体改革というのであれば、社会保険料と税を一体的に管理できる世界的な流れでもある歳入庁を創設すべきであります。安倍総理は歳入庁設置に前向きと存じますが、麻生副総理はいかがでございましょうか。
 我が党は、歳入庁設置による業務効率化等推進法案を提出しています。既存組織防衛のための形式的な反対理由は聞きたくございません。御所見をお伺いをいたします。
 最後に、我が党は、どの党よりも先駆けて消費税増税の凍結を訴えてまいりました。期日を定めた増税ありきの延期法案と我が党の増税凍結法案とでは全く異なります。デフレ脱却、名目成長率四%が達成されれば、増税そのものが必要なくなることさえ考えられるのであります。
 再度、延期ではなく凍結すべきであることを訴えて、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(麻生太郎君) 消費税率の引上げと経済状況について等々十問いただいております。
 まず、消費税率の引上げと経済状況についてのお尋ねがあっております。
 税制を変更するに当たっては、国民や事業者の準備期間を設けるとともに、予見可能性を確保するためには、施行日を将来の一定の日に定めることは、これは一般的なことであります。消費税率引上げにつきましても、この予見可能性や経済への影響などを総合的に勘案し、平成二十四年八月に成立をいたしました税制抜本改革法においては、平成二十六年四月に五%から八%へ、二十七年十月から八%から一〇%へと二段階で引き上げることとし、その上で経済状況等を総合的に勘案し、引上げの判断を行うこととしたところであります。
 次に、消費税率の引上げの経済への影響についてのお尋ねがあっております。
 消費税率の引上げが経済に影響を及ぼすことは否定しません。経済は、税制のみならず、これは世界経済の動向を含め様々な要因によって決まるものだと認識をいたしております。今般の消費税率引上げの延期につきましては、世界経済が新興国経済の陰りなど需要の低迷、また成長の減速リスクが懸念される状況の下で、個人消費にも力強さを欠くということなどを総合的に判断したところでありまして、増税決め打ちとの御批判というのは当たらないと思っております。
 消費税率引上げとアベノミクスについてのお尋ねもあっております。
 日本経済の再生を実現していくためには、少子高齢化が進展をしていく中にあって人々が安心して暮らしていくためには、持続可能な財政と社会保障を構築していくことは必要不可欠の条件であります。三本の矢が持続的に効果を発揮するためにも、国民の安心を支えてまいります社会保障制度を次の世代に引き渡すための消費税率の引上げは、これは極めて重要だと思っております。したがって、消費増税はアベノミクスとは異質の政策との御指摘は当たらないと考えております。
 デフレ脱却と消費税率引上げの凍結についてのお尋ねがありました。
 デフレ不況からの脱却は安倍内閣の最重要課題であります。まさに、そのためにも、伊勢志摩サミットにおける合意に基づきあらゆる政策を総動員する中で、構造改革の加速など総合的かつ大胆な経済対策を講じることと併せて、消費税率引上げの再延期を判断したものであります。同時に、二〇二〇年度の財政健全化目標を堅持し、消費税率の引上げはその実現を損なわないタイミングでしっかり実施していく必要があり、いつまでも先送りをするわけにはいかないと考えております。したがって、消費税率を凍結ということは考えておりません。
 日銀による金融政策についてのお尋ねがありました。
 先般、日銀は、総括的な検証を行った上で、金融緩和をいわゆる強化するための新しい枠組みとして、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の導入を決定をされておられます。これは、二%の物価安定目標を早期に実現するためのものであると理解をしております。また、黒田日銀総裁は、金融緩和の拡大はまだ十分可能であり、必要であれば追加措置もちゅうちょしないと説明をしておられます。デフレ脱却と持続的な経済成長の実現は、政府、日銀の共通の重要な政策課題でありまして、引き続き、政府、日銀一体となって金融政策、財政政策、構造改革など、あらゆる政策を総動員して全力で取り組んでまいらねばならぬと思っております。
 五十年債、六十年債の発行についてのお尋ねもありました。
 五十年債、六十年債の発行につきましては、投資家の幅広いニーズが見込まれるわけではなく、その安定的な消化は困難なおそれもあります。また、あえてこれを発行しなくても既存の国債の安定的な消化が図られていることから、発行を今の段階で検討しているわけではありません。
 消費税率引上げとデフレ脱却についてのお尋ねがありました。
 政府としては、二〇一九年十月の消費税率一〇%への引上げを確実に行える環境を整えていくべく、デフレ不況からの脱却に向けて経済財政運営に万全を期してまいる所存であります。
 次に、議員定数及び議員歳費の削減、公務員総人件費の削減についてのお尋ねがあっております。
 政府として、国家公務員の総人件費については、その抑制に努めていくことが重要であると考えており、一昨年の給与法改定に盛り込みました給与制度の総合的な見直しにおいて、初任給を据え置く一方、高齢者層を四%引き下げることにより、俸給表水準を平均二%引き下げることとしております。また、簡素で効率的な行政組織体制を確立することで、総人件費の抑制に努めていく考えでもあります。なお、国会議員の定数や歳費の在り方につきましては、これは民主主義の根幹に関わる話でありますので、各党各派においてしっかり御議論いただくべきものであろうと考えております。
 国民年金の納付率や被用者保険の適用についてのお尋ねがあっております。
 国民年金納付率の向上や被用者保険の適用対策は、これは極めて重要な課題であります。厚生労働省において適切に取り組んでおられるものと承知をしております。他方、消費税率の一〇%への引上げは、国民の安心を支える社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たす、それとともに、市場や国際社会からの国の信頼、信認というものを確保するためにはこれは是非必要なものであり、二〇一九年十月には引上げを実施させていただきます。これらの課題は共に重要な課題であり、それぞれ速やかに対応していくべきものであろうと考えております。
 最後に、歳入庁についてのお尋ねがありました。
 いわゆる歳入庁につきましては、非公務員とした年金機構職員を再び公務員にするということがある、また、同一の滞納者に対して、時効の異なります年金保険料と国税の徴収業務を同時に行うということになるといった実務上の混乱も生じかねないというなど様々な問題点があり、適当ではないと考えております。なお、社会保険料と国税の徴収に関しては、現在、国税庁から厚生労働省に法人情報を提供するなど、関係省庁間で連携を強化しているところであります。(拍手)
#23
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#24
○議長(伊達忠一君) この際、日程に追加して、
 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。総務大臣高市早苗君。
   〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(高市早苗君) 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 本法律案は、世界経済の不透明感が増す中で新たな危機に陥ることを回避するためにあらゆる政策を講ずることが必要となっていることを踏まえ、地方税に関し、所要の施策を講ずるものであります。
 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 その一は、地方消費税率引上げ時期の変更などの改正であります。地方消費税の税率引上げの施行日の変更及び消費税に係る地方交付税の率の変更などを行うこととしております。
 その二は、地方法人課税の偏在是正措置の実施時期の変更などの改正であります。法人住民税法人税割の税率の引下げ時期及び地方法人特別税等に関する暫定措置法の廃止時期の変更などを行うこととしております。
 その三は、車体課税の見直しの実施時期の変更などの改正であります。自動車取得税の廃止時期並びに自動車税及び軽自動車税における環境性能割の導入時期の変更などを行うこととしております。
 そのほか、個人住民税の住宅借入金等特別税額控除の適用期限の延長を行うこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#27
○議長(伊達忠一君) 少々お待ち願います。
 ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。森屋宏君。
   〔森屋宏君登壇、拍手〕
#28
○森屋宏君 自由民主党、森屋宏です。
 ただいま議題となりました社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党及び公明党を代表いたしまして質問をいたします。
 まず初めに、アメリカ大統領選挙の影響について麻生財務大臣にお伺いをいたします。
 今年六月に安倍総理は、消費税率の一〇%への引上げ延期を表明をされました。その際の説明では、世界経済が危機に陥るリスクがある中で、内需を腰折れさせかねない消費税率の引上げは延期すべきであるというものでありました。
 その後、英国のEU離脱など、実際に世界経済を揺るがす出来事が起こり、そうした懸念は一部現実のものとなりました。同様に、今回のアメリカ大統領選挙も、世界経済に大きな影響を及ぼすイベントであったと思います。
 今回のアメリカ大統領選挙の結果が今後の世界経済及び我が国の経済にどのような影響を及ぼすとお考えになっておられるのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、消費税引上げ延期の地方経済への影響につきまして高市総務大臣にお伺いをいたします。
 我が国の地方経済に目を転じますと、有効求人倍率が全都道府県において一倍を超え、明るい兆しも一部で見え始めています。しかし、地域によっては状況は大きく異なり、アベノミクスの成果が全国津々浦々まで行き渡っているという現状にはいまだ達していません。
 こうした中において来年四月に消費税が引き上げられれば、地方経済に大きなダメージを与えるおそれもあります。私は地方議会の出身でありますので、地方の実情をよく理解しているつもりではあります。今回の増税延期によって、地方経済は大いに助かるのではないかと考えます。
 消費増税延期による地方経済へのメリットについてどのようにお考えになっているのか、お伺いをいたします。
 次に、地方税収への影響について総務大臣にお伺いをいたします。
 今回の増税延期は、自治体から見れば、得られるはずであった収入が得られなくなることを意味します。その額は年間およそ一・七兆円と見積もられています。増税による地方経済の冷え込みが回避される一方において、安定的な税収が失われるわけでありますから、自治体にとっては痛しかゆしという状況でもあります。
 地方団体が真に地域に必要な行政サービスを確実に提供するためにも一般財源総額を確保していかなければならないと考えますが、大臣の御所見をお伺いをいたします。
 次に、社会保障の財源確保について大臣にお伺いをいたします。
 消費税の一〇%への引上げに伴う増収分は、全額が社会保障に充てられます。今回の延期により、その一部は実施できなくなってしまいます。しかし、政府においては、待機児童ゼロや介護離職ゼロを目指した保育、介護の受皿確保は予定どおり進めると伺っています。
 このように増税延期にかかわらず行われる社会保障の充実のうち、地方自治体が負担することになる費用はどの程度になるのでしょうか、また、その財源確保についてはどのように行われる見通しなのでしょうか、高市大臣にお伺いをいたします。
 最後に、国と地方の税源配分について大臣にお伺いをいたします。
 今回、増税延期に合わせて、全額が地方交付税の原資となる地方法人税の税率の引上げも延期となります。国と地方の税源配分、そして地域間の偏在是正という問題は永遠の課題であります。地方のやる気を高めることと偏在の是正をどう両立をさせていくのか、高度なバランスが求められていきます。
 国と地方の税源配分のあるべき姿について大臣の御所見をお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(高市早苗君) 森屋議員から、私には、まず消費税増税の延期による地方経済へのメリットについてお尋ねがありました。
 勤労世帯の実収入が二か月連続して増加し、有効求人倍率が一・三八倍、完全失業率が三・〇%となるなど、我が国の雇用・所得環境は着実に改善を続けています。一方で、世界経済の見通しが不透明で減速リスクが懸念される中、物価の下落や消費の減少が見られ、増加した収入が必ずしも消費に結び付いていない状況にもあると考えられます。
 こうした状況に的確に対応するため、消費税率引上げを延期するとともに、地域住民の皆様に景気回復を実感していただけるよう、あらゆる政策を動員し、地域経済の好循環の拡大を後押ししてまいります。
 次に、引上げ延期による地方税収等への影響と一般財源総額の確保についてお尋ねがありました。
 地方財源への影響は、森屋議員御指摘のとおり、地方消費税と地方交付税法定率分を合わせ、平年度でおよそ一・七兆円の減収と見込んでいます。引上げ延期により、予定していた地方消費税収等の歳入が得られなくなりますが、毎年度の地方財政対策において地方の一般財源総額をしっかりと確保することで、地方団体が、地域に必要な行政サービスを確実に提供しつつ、安定的な財政運営を行うことができるよう今後とも努めてまいります。
 次に、社会保障の充実施策に係る地方負担とその財源確保についてお尋ねがありました。
 社会保障の充実施策につきましては、御指摘の待機児童ゼロ、介護離職ゼロを目指した保育、介護の受皿整備は予定どおり進める、さらに、保育士、介護職員の処遇改善など一億総活躍プラン関係施策は財源を確保しながら優先して実施することが総理から答弁されています。社会保障施策の取扱いや財政負担の在り方も含め、具体的には、今後、予算編成過程で検討されることとなりますが、地方団体の財政運営に支障が生じることのないよう対応してまいります。
 最後に、国と地方の税源配分についてお尋ねがありました。
 かねてより、国と地方の役割分担に応じた税源配分が望ましいとされており、平成十九年度には、三位一体の改革の一環として、所得税から個人住民税への三兆円の税源移譲を行いました。
 また、平成二十四年には、税制抜本改革法において、地方の社会保障の役割に応じて消費税の引上げ分を配分した結果、消費税率八%段階において、一・七%分の地方消費税収を確保しました。同時に、国、地方の税源配分については、国、地方の財政健全化や地方団体間の財政力格差などへの配慮も必要です。
 今後も、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系に留意しつつ、各地方団体の仕事量にできる限り見合った税源配分となるよう、地方税の充実確保に努めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(麻生太郎君) 米国の大統領選挙の結果が経済へ与える影響についてのお尋ねがあっております。
 これは他国の選挙ですから、見解を述べることは少々差し控えるべきだと思っております。
 いずれにしても、この国の大統領選挙のこれまでの例を見てみますと、大統領になって約半年間、大統領府の中の役員が大幅に入れ替わりますので、その対応はいろんな意味で、我々としては、その半年間で何が起きるか、その方向はどちらに行くかということに関しましては十分に注視して見守っていかねばならぬところだと思っております。(拍手)
    ─────────────
#31
○議長(伊達忠一君) 杉尾秀哉君。
   〔杉尾秀哉君登壇、拍手〕
#32
○杉尾秀哉君 民進党・新緑風会の杉尾秀哉です。
 ただいま議題となりました社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案について、民進党・新緑風会を代表して質問します。
 我が党は、さきの参院選において、消費税の一〇%への引上げを二年延期することを公約に掲げました。その理由は、低迷したままの現下の経済情勢では、本来やるべき消費税の引上げを実施できる環境にないからであります。
 そこで、まず伺います。安倍総理は、アベノミクスは成功したと言っていますが、もしそうなら消費増税に踏み切れたはずですし、建設国債と旧来型の公共事業に頼った二十八兆円という安倍政権では最大規模の経済対策を打つ必要もなかったはずです。このように増税延期のやむなきに至った経済失政について、経済財政政策を担当とする石原大臣はどうお考えか、伺います。
 今回の消費増税延期について、私は大きく言って二つの問題があると考えます。まず一つ目は、再延期の決定に至るプロセスと決定そのものの問題、二つ目は、社会保障と税の一体改革の精神を踏みにじり、社会保障政策に甚大な影響を及ぼしかねないという問題であります。
 まず一つ目の、プロセスの問題について。
 安倍総理は最初の延期の際、再び延期することはない、はっきり断言する、必ずや増税可能な経済状況をつくり出すと大見えを切りました。にもかかわらず、総理はG7サミットの場で、わざわざ最近の経済指標とリーマン・ショックの前後を比較したペーパーを側近に作らせ、各国首脳の前で世界経済は危機に陥るリスクに直面していると主張してみせました。あろうことか、安倍総理は、海外の経済状況に再延期の責任を転嫁し、サミットの場を自らの政治責任回避のために利用したのであります。
 そこで、麻生大臣に伺います。その後、イギリスのEU離脱ショックは和らぎ、株式市場も平静さを取り戻し、サミット直前の月例経済報告が言うように世界の景気は緩やかに回復しています。麻生大臣、当時の世界経済の認識は果たして正しかったのですか。あれは、消費増税延期の口実のためにつくり出された危機ではなかったのですか。さらに、それまでの政治公約を新しい判断というたった一言で百八十度変えてしまうような政治手法が果たして許されるのでしょうか。正直で率直であることをモットーとされる麻生大臣の御所見を伺います。
 私は、かつてテレビ局勤務時代、政治記者として自民党を担当していました。当時の自民党は、何か大きなテーマがあれば、かんかんがくがく、けんけんごうごう議論していました。ところが、あの安保法制しかり、そしてこの消費増税再延期しかり、ほとんど議論らしい議論もなく、総理の一存で全ての物事が決まる異様さです。
 麻生大臣は、安倍総理の消費増税再延期の方針に対して衆参ダブル選挙を主張されたとのことですが、本心では今回の再延期に反対だったのではないですか。
 そもそも、消費税の一〇%への引上げは、今の世代に痛みはあっても将来世代へのツケ回しを極力避けるためのものです。多大な政治資源を使い、国民の皆様に多大な負担をお願いしてまで実現しようとした社会保障と税の一体改革の精神は、二度にわたる増税延期によってずたずたに踏みにじられました。
 そこで、麻生大臣に伺います。合意の枠組みは、もはや崩壊寸前、いや、事実上崩壊したと言っても過言ではないと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。二度あることは三度あるとよく言います。現下の経済情勢で引上げ不可能なら、もはや安倍政権下では消費増税不可能と見る向きがありますが、大臣の御所見はいかがですか。そもそも、次は必ず上げると言いながら今回のように再延期するのであれば、景気判断条項は復活させるべきと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。
 次に、軽減税率について。
 軽減税率は、逆進性の緩和につながらず、逆に徴税コストが膨大に掛かるなどの理由から、私たちは給付付き税額控除の導入を主張しております。
 そこで、伺います。さきの古賀議員の質問にありましたように、給付付き税額控除は軽減税率よりはるかに有効な低所得者対策になるとの説が有力です。では、なぜ安倍政権はかたくなにこの給付付き税額控除を拒むのか、また、軽減税率を平成三十一年十月に導入するとして、現時点で見付かっていない六千億円とも言われる財源をどうするのか、その後、全く議論が進んでいる形跡はなく、無責任と考えますが、麻生大臣の御所見をお聞かせください。
 また、消費増税を延期するなら代替財源を探す努力をするのが責任ある政治の姿と言えます。例えば、所得税の累進課税や金融課税の強化、相続税改革など、代替財源確保を真剣に検討すべきと考えますが、麻生大臣の見解はいかがでしょうか。
 さらに、こうした努力なくしては、プライマリーバランスの二〇二〇年黒字化の目標達成は誰が見ても困難です。その前提となる名目GDP三%の高成長はまさに絵に描いた餅としか思えませんが、石原大臣、いかがでしょうか。
 そして、今回の消費増税延期のもう一つの問題が社会保障そして地方に与える影響です。
 消費税の八%から一〇%への引上げ分のうち、社会保障の充実に一・三兆円が使われるはずでした。また、一億総活躍社会プランに掲げられた保育士、介護人材の処遇改善に二千億円が必要と言われています。これについて、当時の稲田政調会長は財源はしっかり確保すると断言されていましたが、その後、財源の手当ては付いたのでしょうか。財源のめどが立たないままこれら充実策を実施するというのなら、無責任と言わざるを得ませんが、麻生大臣、財政全般に責任を有する立場から、しっかり財源確保を約束してください。
 今回の消費増税延期では、地方自治体にも不安の声が広がっています。全国知事会は先月出した平成二十九年度税財政等に関する提案の中で、国、地方を通じた厳しい財政状況や急速に進む少子高齢化という現状を鑑みれば、税率の引上げを行うことは避けられないと述べています。
 そこで、高市総務大臣に伺います。こうした地方自治体の切迫した声をどうお聞きになりますか。
 消費税、地方消費税率の引上げによる増収分は、子ども・子育て支援や医療、介護の充実に向けた施策の実施など、社会保障の充実や安定化に充てることとされており、税率引上げの再延期により、これらの施策は税率引上げまでその財源を失うことになります。また、政府は、消費税、地方消費税率の引上げを再延期しても、保育の受皿五十万人分の確保など、可能な限り社会保障の充実を実施するとされています。
 そのための費用については国の責任において安定財源を確保すべきであり、地方に負担を転嫁するような制度改正等があってはならないと考えますが、高市大臣のお考えをお聞かせください。
 この消費税、地方消費税率の引上げ分は、地方交付税原資分を含めるとおよそ三割が地方の社会保障財源です。ですから、地方が必要な住民サービスを十分かつ安定的に提供し、しかも地方財政の運営に支障を生じることがないよう、地方交付税原資分も含めて必要な財政措置を確実に講ずるべきと考えますが、高市大臣、いかがでしょうか。
 地方消費税は、地方法人課税などと比べ、地域間の税収の偏在性が比較的小さい税です。しかし、一人当たりの税収で最大二倍の格差が存在しており、消費税、地方消費税を更に引き上げる場合は税源の偏在是正措置を講ずることが必要不可欠とされています。この偏在是正措置として、平成二十八年度税制改正において法人住民税の一部の地方交付税原資化を更に進めることとされましたが、消費税、地方消費税引上げの再延期に伴い、この偏在是正措置も平成三十一年十月まで延期されることとなりました。
 そこで、伺います。全国知事会は、引き続き、より税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築に向けて検討すべきであると提案していますが、高市大臣の御所見をお聞かせください。
 さらに、地方の問題に絡んで、現政権が進める地方創生と熊本震災復興の問題点について伺います。
 先月行われた我が党の全国政策担当者の会議で次のような意見が地方から寄せられました。いわく、地方創生の理念はいいが、実際に地方で行われていることは矛盾が多い、人口ビジョンをつくれと言われたが、ほとんどはかつての総合計画でつくったものがあり今更感がある、コンサルタントに投げてコンサルタントがもうかっただけではないのか、地方創生推進交付金の使い勝手の悪さも指摘されていて、事務作業が無駄に増えているなどなどです。
 そこで、高市大臣に伺います。こうした声は、私が選挙で長野県内を回った際も何度も耳にしました。そして、この地方創生が一億総活躍社会になり、さらには働き方改革へと政権のスローガンが次々と変わっていきました。政権の掲げた地方創生は、総合戦略の策定で半ば目的を達成し、まさに金を配ったら終わりの感があります。地方創生に対するこうした地方の声の現状と、総務大臣が考える今後の地方発展のための施策について、お考えをお聞かせください。
 もう一つ、これも私どもの会議で提起された問題、いまだ厳しい熊本地震からの復興。
 我が党は、野党四党の共同提案という形で、被災者生活再建支援法の上限を三百万円から五百万円に引き上げることを柱とする法案を提出しました。今回、熊本の被災地からも、三百万円は有り難いが、住宅再建にはまだ遠いという声が寄せられています。
 そこで、松本防災担当大臣に伺います。支援金の上限引上げとともに、原則全壊の住宅だけではなく、半壊や一部損壊にも対象を広げるなど、制度の拡充を求める声に対してどのように応えますか。
 もう一つ、高市大臣にどうしても聞かなければならないことがあります。政治資金の白紙領収書問題です。
 政治資金規正法を所管する高市大臣は、当参議院の予算委員会で、白紙領収書に自ら金額等を書き込む行為について、法律上の問題は生じないと答弁されました。ところが、その後の記者会見で、自身が主催したパーティーでも出席議員に白紙の領収書を渡していたことを認めています。
 私が去年までいた民間企業では、白紙領収書に自ら記載したり、金額を書き換えたりしたら、それだけで懲戒の対象となりました。これが民間企業では常識であります。しかし、こうした行為は、高市大臣だけでなく、安倍政権の多くの閣僚でも常態化していたことが明らかになりました。まさに、永田町の常識は世間の非常識。そもそも領収書は、法律上の証拠文書であり、発行者以外の誰かが勝手に記入したり、書き換えたりすると、文書偽造というれっきとした犯罪になる可能性があります。
 そこで、高市大臣に伺います。事ここに至っても、従来の見解を変えるおつもりはないのでしょうか、お答えください。
 最後になります。
 伊藤忠商事の前会長で中国大使も務められた丹羽宇一郎さんは、二〇一〇年十月、民主党政権ができて間もなくの頃に、月刊誌「世界」に「「大転換期」を見すえよ」という論文を発表されました。いわく、日本には両立させることが難しい三つの矛盾があり、その解決策が見えないところに社会を覆う閉塞感の原因があるとのことです。
 その三つの矛盾とは何か。一、環境と経済成長の両立、いわゆる地球温暖化防止と温室効果ガス削減問題、二、人口減少と経済成長の両立、超少子高齢化社会の進展、三、大借金と増税先送りの矛盾であります。
 一の環境問題について、安倍政権は、歴史的なパリ協定の批准で、アメリカ、中国、インドなどの動きを見誤り、第一回締結国会合に参加できないという大失態を演じました。この問題に対する安倍政権の認識の程度を世界各国に知らしめたと言えます。
 二の人口減少問題について、先日もニュースになりましたが、二〇一五年国勢調査で初めて人口減少しました。しかし、これからはこんなものでは済まされません。ざっくり言えば、二〇一〇年からの五十年間で四千万人、更に次の五十年間で四千万人人口が減り、今から百年後には日本の人口は三分の一程度にまで減少する可能性があります。しかし、安倍政権はこうした厳しい現実を決して口にしようとはしません。
 さらに、三の大借金について言えば、まさに痛みの先送り、アベノミクスという幻想を振りまき、成長の果実で全てはバラ色がごとく国民に夢を振りまいています。その結果が今回の消費増税の再延期です。
 かつて二十世紀初頭のアメリカの政治家が、ポリティシャン、政治屋は次の選挙を考え、ステーツマン、政治家は次の世代のことを考えるという有名な言葉を残しました。まさに、今回の消費増税再延期は、七月の参院選を考えたポリティシャンの政治の極みだったのではないでしょうか。
 そんなことで果たして次の世代に責任を持てるのか、強くそのことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(高市早苗君) 杉尾議員から私には、まず消費税率の引上げ延期に係る地方団体の不安についてお尋ねがございました。
 消費税率の引上げは、安倍総理大臣が先般答弁されたとおり、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するために必要であると認識をしています。一方で、世界経済が様々なリスクに直面し、内需が腰折れしかねない状況の中、あらゆる政策を総動員し、経済再生、デフレ脱却に向けた取組に万全を期すべきことから、その引上げを二年半延期しようとするものです。
 総務省としましては、ローカル・アベノミクスの推進により、地域に雇用と働く場を生み出し、地域経済の好循環の拡大を進め、平成三十一年十月に予定される消費税率の引上げを確実に実施できる環境を整えることで地方の声にお応えをしてまいります。
 次に、消費税、地方消費税率引上げを延期した際の社会保障の充実施策に係る財源についてお尋ねがございました。
 子育てや介護など社会保障に果たす地方団体の役割は極めて大きいことから、所要の財源を確保することが重要でございます。このため、総務省としては、消費税、地方消費税率の引上げ延期に対応した社会保障の充実施策や保育士、介護職員の処遇改善など、一億総活躍プラン関係施策の実施に関し、地方負担分も含めた安定財源を確保すること及び地方に負担を転嫁するような制度改正を行わないことについて関係府省に要請をいたしております。
 財政負担の在り方も含め、具体的には今後予算編成過程で検討されることとなりますが、地方団体の財政運営に支障が生じることのないよう対応をしてまいります。
 次に、消費税率引上げ延期による社会保障財源への影響と地方団体の財政運営についてお尋ねがありました。
 地方財源への影響は、地方消費税と地方交付税法定率分を合わせ、平年度でおよそ一・七兆円の減収と見込んでいます。また、社会保障の充実施策については、消費税率引上げ時期の延期に伴い、消費税率一〇%段階で実施する予定であったものを見直す必要があり、その際には、地方負担分も含めて所要の財源を確保することが必要であると考えております。
 いずれにしましても、引上げ延期により、予定していた地方消費税収等の歳入が得られなくなりますが、毎年度の地方財政対策において地方の一般財源総額をしっかりと確保することで、地方団体が地域に必要な行政サービスを確実に提供しつつ安定的な財政運営を行うことができるよう今後とも努めてまいります。
 次に、税源の偏在性の是正策等についてお尋ねがありました。
 地方の行政サービスに係る財源はできるだけ地方税により賄うとともに、地方交付税との適切な組合せによりその必要額を安定的に確保することが重要です。このような観点から、これまでも、法人事業税の外形標準課税の拡充による税収の安定化や法人住民税法人税割の交付税原資化などの地方法人課税の偏在是正に取り組んでまいりました。
 総務省としては、消費税率一〇%への引上げに併せ、地方法人課税の偏在是正措置を着実に実行しつつ、地方税財源の充実確保を図り、全国知事会の御提言のとおり、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築を基本的な方向性として、引き続き地方税の充実確保に取り組んでまいります。
 次に、地方創生に対する地方の声と今後の地方発展のための施策についてお尋ねがありました。
 先月の国と地方の協議の場では、地方六団体から地方創生に関して、地域経済に好循環をもたらすため、国は、自らなすべき施策を長期的視点に立って不退転の決意で、かつ大胆に実行していくべきという御意見をいただきました。
 総務省はこれまで、地域資源を活用し地方に事業を興すローカル一万プロジェクトや地方で生活しながら都市部の企業の仕事をこなせるふるさとテレワークなどを通じ地域経済の好循環の実現に向けて取り組んでまいりました。
 これらに加え、今般の第二次補正予算に盛り込んだ、地方への人、情報の大きな流れを創出するチャレンジ・ふるさとワークやマイキープラットフォームを活用した地域経済応援ポイントの導入などの施策に新たに取り組むことで、安全に暮らすことができ、質の高い教育や社会福祉サービスが受けられ、働く場所がある、そういう地域を全国各地で生み出し、次世代に引き継いでいけるよう、引き続き、総務省が有するあらゆる政策資源を最大限活用して、地方創生に取り組んでまいります。
 最後に、政治資金の領収書問題についてお尋ねがありました。
 まず、私の事務所における領収書の取扱いについては、十月六日の参議院予算委員会において、答弁の中で既に自らの例と併せてお答えをしており、杉尾議員からの参議院予算委員会後の記者会見で認めたとの御指摘は当たりません。
 その上で、政治資金規正法には、所得税法及び法人税法と同様、領収書の作成方法についての規定はなく、議員御指摘の私の見解は、特段の事情がある場合における領収書の作成方法であることを前提に、一般論として法律上の解釈を述べたものでございます。
 すなわち、領収書の金額等を記載する権限をその発行元であるパーティー主催団体から了解されている者であれば、法律上発行者側の領収書作成方法が規定されていないことからも、パーティーに出席した国会議員側で必要事項を領収書に記載したとしても法律上の問題は生じないと考えると答弁したもので、変更する必要があるとは考えておりません。政府としても、先日、私の答弁について、一定の前提の下で述べたものであり、誤りであり訂正すべきものとは考えていない旨の答弁書を閣議決定しております。
 ただし、議員が民間企業の例として挙げられた領収書の虚偽記載については、政治資金規正法上、政治資金収支報告及び領収書等の虚偽記載は禁止されており、虚偽の記載をした者には厳しい罰則が設けられていることは申し上げるまでもございません。もとより、法律上の問題は生じないとしても、運用面において国民の皆様の政治不信を招いてはならないことから、それぞれの党内で運用面での改善を御検討いただきたいと申し上げており、それぞれの党内でお取組を進めていただいているものと承知をいたしております。
 なお、政治活動の自由は憲法で保障されたものであり、立法府の議員の身分に係る制度について更なる検討の必要があれば、各政党、各政治団体の政治活動の自由とも密接に関わっていることからも、各党各会派で御議論いただくべき問題と考えております。(拍手)
   〔国務大臣石原伸晃君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(石原伸晃君) 杉尾秀哉議員にお答えいたします。
 まず、経済政策、アベノミクスについてのお尋ねがございました。
 政権交代後、アベノミクス、いわゆる三本の矢の政策によりましてデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは三十三兆円増加、国、地方を合わせた税収は二十一兆円増加するなど、経済の好循環が生まれております。しかし、デフレ脱却にはまだ至っておらず、アベノミクスは道半ばでございます。また、本年五月のG7においても、新興国経済に陰りが見えることなど、世界経済が直面するリスクに立ち向かうため、各国が全ての政策を行うということ、必要性で一致したところでございます。
 こうしたことから、消費税率一〇%への引上げを二年半延期することとし、さらに事業規模二十八兆円を超える経済対策を決定し、それを実行するための補正予算を先般成立させていただいたところでございます。
 財政健全化目標の達成と名目GDP三%成長についてのお尋ねがございました。
 財政健全化につきましては、これまでも社会保障の改革を含め徹底的な重点化、効率化に取り組み、歳出削減に取り組んできたところでもございます。今後とも、経済再生なくして財政健全化なしとの方針の下、中長期に名目GDP三%成長の実現を目指し、成長戦略を始め、潜在成長率を高める政策を推進するとともに、経済・財政再生計画を着実に実行いたしまして、二〇二〇年度におけるプライマリーバランスの黒字化を目指してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(麻生太郎君) 九問頂戴しておりますが、まず、消費税率引上げの延期の理由について、世界経済のリスクに関するお尋ねがあっております。
 新興国経済の陰りなど、世界経済は様々なリスクに直面しておりますのは御存じのとおりです。日本経済も個人消費に力強さを欠いた状況にあると存じます。
 このような中、経済再生、デフレ不況からの脱却を目指した取組に万全を期すために、伊勢志摩サミットにおけます合意に基づいてあらゆる施策を総動員することといたしております。構造改革の加速など総合的かつ大胆な経済対策を講じること、消費税率一〇%への引上げ時期を二年半延期することとしたものであり、消費増税延期の口実のためにつくり出した危機との御指摘は当たらないと、そのように思っております。
 消費税率引上げの延期についての新しい判断に対するお尋ねがありました。
 御指摘の点につきましては、総理は、従来の説明と異なるのではないかという批判を受け止めて、国政選挙である参議院議員選挙を通じて国民の信を問いたいとして、選挙の結果、国民の信任の下、連立与党として安定した政治基盤をいただいたところであります。一言で政治公約を変えてしまうとの御指摘は当たらないと、そのように考えております。
 消費税率引上げの再延期への私の賛否についてのお尋ねがありました。
 消費税率引上げの再延期につきましては、様々な議論があったところです。最終的には、経済再生、デフレ不況からの脱却に向けた取組に万全を期すため、総裁が再延期を判断をされたものであります。私といたしましても、二〇一九年十月の消費税率の一〇%への引上げが可能な環境を確実に整えるべく、私としては経済財政運営に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、社会保障と税の一体改革に関する三党合意についてのお尋ねがありました。
 社会保障と税の一体改革につきましては、三党合意を経て成立した各種法律の枠組みに沿って、消費税増収分を活用した社会保障の充実、安定化と同時に、重点化、効率化を進めるなど着実に実施をされてきておると考えております。
 また、消費税率引上げの実施につきましては、三党合意においても、時の政権が判断するとされておりますので、引上げを延期したことをもって三党合意の枠組みが崩壊寸前にあるとか、事実上崩壊したとの御指摘は当たらないというように考えております。
 消費税率引上げは安倍政権下では不可能ではないかというお尋ねがありました。
 消費税率の一〇%への引上げは、国民の安心を与える社会保障制度を次の世代に引き継いでいくという責任を果たすという目的もあると同時に、市場とか国際社会の中における国の信認を確保するというためにこれは必要なものでありまして、二〇一九年十月には引上げを実施をいたします。
 このため、政府としては、経済再生なくして財政健全化なしという基本方針の下、民需主導の経済の好循環を確実なものとすることを通じまして、消費税の一〇%への引上げが可能な環境を確実に整えるべく、経済財政運営に万全を期してまいりたいと考えております。
 景気判断条項についてのお尋ねがありました。
 今答弁をいたしましたとおり、二〇一九年十月の消費税率の一〇%への引上げが可能な環境を確実に整えるべく、経済財政運営に万全を期していくことといたしております。このため、今般の法案には、御指摘の景気判断条項は盛り込んでおりません。
 給付付き税額控除や軽減税率制度の財源についてのお尋ねもありました。
 御指摘の給付付き税額控除につきましては、対象を低所得者に絞った支援ができるとの利点はあります。しかし、消費税負担が直接軽減されるものではありませんし、また消費者にとって痛税感の緩和も実感しにくい、また所得や資産の把握が難しいといった問題があるものと承知をいたしております。
 また、軽減税率制度の財源確保については、平成二十八年度税制改正法において歳入歳出両面にわたって検討を行い、安定的な恒久財源の確保にしっかり取り組むこととしており、無責任との御指摘は当たらないものと考えております。
 消費増税延期の代替財源についてのお尋ねがありました。
 消費税は、税収が景気や人口構成の変化に左右されず安定をしている、また特定の人に負担が集中しない、税負担が集中しないといった特徴を有しております。国民が広く受益をいたします社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源としてふさわしいと考えております。
 なお、御指摘の所得税や相続税については、近年、再分配機能の回復を図るため、所得税や相続税の最高税率を引き上げたり、また金融所得課税の軽減税率を廃止したりなどして、政府としても見直しを行ってきているところであります。
 最後に、保育士及び介護人材の処遇改善のための財源確保についてのお尋ねがありました。
 保育士や介護人材の処遇改善につきましては、今後の予算編成過程におきまして、技能や経験に応じた給料アップの仕組みの構築など、具体的な制度設計を進めていかねばならぬと考えております。
 したがって、現時点で所要額が決まっているものではありませんが、このための予算措置につきましては、本年八月の未来への投資を実現する経済対策に基づきまして、来年度当初予算に計上し、かつ継続して実施することとしており、アベノミクスの成果の活用も含め、財源を確保して優先して実施してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣松本純君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(松本純君) 被災者生活再建支援金の上限額の引上げと対象範囲の拡大についてのお尋ねがありました。
 被災者生活再建支援制度は、自然災害により、その生活基盤に著しい被害を受けた方に対し、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により最大三百万円の支援金を支給するものです。
 このような制度の趣旨からすれば、上限額の引上げや対象範囲の拡大については、過去の災害の被災者との公平性、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して慎重に検討すべきものと考えます。
 他方、住宅に半壊や一部損壊の被害を受けた方に対しても、災害救助法に基づく応急修理や住宅金融支援機構の災害復興住宅融資等による支援のスキームが適用されるところであり、引き続き被災自治体と一体となって被災者の方々へのきめ細やかな支援策を講じてまいります。(拍手)
    ─────────────
#37
○議長(伊達忠一君) 山下芳生君。
   〔山下芳生君登壇、拍手〕
#38
○山下芳生君 日本共産党を代表して、関係大臣に質問します。
 地方自治体が住民福祉の増進を図るという本来の役割を果たすためには、地方税や地方交付税など必要な財源が保障されなければなりません。ところが、地方の財源不足が二十一年間も続いています。その原因はどこにあるでしょうか。まず、総務大臣に認識を伺います。
 元々、我が国では、国と地方を合わせた行政サービスの六割を地方自治体が担っているにもかかわらず、国、地方を合わせた税収の四割しか地方に配分されないというギャップがあります。その上に、この間の自民党政治が地方財政を悪化させる要因となったことを指摘しなければなりません。
 一つは、バブル経済崩壊後、政府が景気対策として地方自治体に単独で公共事業を増やすよう主導、誘導したことです。これにより、バブルが破綻したにもかかわらず、全国各地で大型公共事業が新たに着手され、結果、その多くが失敗し、多額の借金が地方に積み上がることになりました。
 もう一つは、消費税の増税が景気を冷え込ませ、地方財政にも大きな打撃となったことです。九七年、消費税が五%へと増税されたとき地方消費税が創設されましたが、消費税増税による景気悪化によって他の税収が減少したために、都道府県、市町村の税収総額は逆にマイナスとなりました。一昨年の消費税八%への増税後も、地方消費税の恩恵のない市町村の税収総額はマイナスとなっています。
 さらに、小泉政権の三位一体改革によって、国から地方への税源移譲をはるかに上回る国庫補助負担金と地方交付税の削減が行われ、地方自治体の財政危機を一層深刻にしたことも重大です。
 このように、歴代自民党政権の政策が長年にわたって地方財政を悪化させてきた根本要因だという自覚と反省はありますか。高市総務大臣、そして、三位一体改革当時の総務大臣だった麻生財務大臣の答弁を求めます。
 法案は、消費税一〇%への増税を再延期するものですが、消費税増税が景気悪化と格差拡大を招き、地方財政をも悪化させた事実を直視するなら、増税は延期ではなくきっぱり断念すべきではありませんか。総務大臣、断念しないのなら、三年後、消費税を増税しても地方財政が悪化しない保証はどこにあるのですか、お答えください。
 歴代政権がもたらした自治体財政の悪化、自治体リストラの強要は、結局、住民へのしわ寄せとなって現れました。
 例えば保育の問題です。三位一体改革による地方交付税の削減は、自治体の保育予算縮減に直結し、都道府県が実施していた障害児保育を促進するための補助、あるいは公立保育所と同水準の保育を民間保育所でも維持するための補助などの廃止、見直しをもたらしました。さらに、公立保育所に対する国の運営費補助などが一般財源化されたことにより、全国で公立保育所の削減と保育士の非正規化が加速しました。
 国の政策が保育の量と質の低下をもたらし、今日の保育所不足を招く土台となったことをどう認識していますか。総務大臣と塩崎厚生労働大臣、それぞれに見解を求めます。
 歴代の自民党政権が地方財政を悪化させた上に、安倍政権によって地方自治体に新たな負担が押し付けられていることは看過できません。
 介護保険制度の見直しにより、要支援一、二の訪問介護、通所介護が保険給付から外され、市町村の事業に移管されることとなりました。しかし、多くの自治体が、住民ボランティアに頼ることへの戸惑い、報酬引下げによる事業者の相次ぐ撤退などの困難に直面し、要支援向けのサービスが提供できない心配が生まれています。
 政府は制度の持続可能性を高めるためと言いますが、これまで持続してきたサービスを断ち切っているのが実態ではありませんか。厚生労働大臣、こうした実態をどう把握し、どう対応するつもりですか。社会保障の給付削減、自治体への財源保障なき事業押し付けはやめるべきではありませんか。
 安倍政権が今年度から地方交付税制度に導入したトップランナー方式も大きな問題です。
 地方交付税制度は、本来、自治体が行政サービスを標準的に行う場合の経費を基準に、地方税などの収入で賄い切れない不足分について、どの自治体にも財源保障する制度です。ところが、トップランナー方式は、民間委託や民営化などでコストカットを進めた自治体の低い経費を基準に地方交付税が算定されるもので、地方交付税の削減につながります。
 来年度、図書館や博物館などで指定管理者制度を前提とした算定基準の引下げが検討されていますが、既に指定管理者制度を導入した施設では、子供への読み聞かせに熱心な館長の雇い止めや地域の図書館同士の連携の後退など様々な問題が起きています。
 総務大臣、地域の文化や住民サービスの後退を招き、地方交付税制度本来の趣旨に根本から反するトップランナー方式は抜本的に見直すべきではありませんか。そして、財源不足が続いたときは地方交付税の法定率を引き上げるとしている地方交付税法の原則に従って、今こそ法定率を引き上げるべきではありませんか。
 日本共産党は、大企業や富裕層に対する優遇税制を是正し、能力に応じて負担する公平公正な税制への改革で国、地方の財源を確保すること、そして自治体が住民福祉の増進という本来の役割を果たせるよう、地方交付税を拡充することを強く求めます。
 厳しい財政の下でも独自の努力を行っている自治体は少なくありません。
 例えば、東日本大震災の被災地では、多くの被災自治体が、被災住民の住宅再建支援や医療費の窓口負担免除など独自の支援を行ってきました。熊本地震や鳥取地震でも、一部損壊に対する独自の支援の具体化が始まっています。
 これらの支援は被災者を大きく励ましています。国は、こうした自治体の努力を積極的に支えるべきだと考えますが、総務大臣、いかがですか。
 子育て世代への支援を強める自治体も広がっています。子供医療費の無料化を含む助成制度は、今や全国全ての都道府県、市町村で実施され、子供の健やかな成長に大きな役割を果たしています。
 子育て世代の願いと自治体の努力に応え、子供医療費助成制度を国の制度とすべきではありませんか。少なくとも、全自治体が実施している下では到底通用しない国庫の公平な配分などという理由で、実施自治体に対し国保の国庫負担金を減額するなどペナルティーを科すやり方は直ちにやめるべきではありませんか。厚生労働大臣、お答えください。
 今年は、憲法公布七十年であるとともに、地方自治制度施行七十年でもあります。その年に、度重なる選挙で示された沖縄県民の意思をじゅうりんし、辺野古、高江、伊江島で米軍基地の建設を強行するなど断じて許されません。地域の在り方は地域に住む住民の意思によって決める、真の地方自治の確立を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(高市早苗君) 山下議員から私には、まず地方の財源不足の原因についてお尋ねがございました。
 地方財政においては、近年巨額の財源不足が続いている状況にあり、平成二十八年度においても、なお五・六兆円もの巨額の財源不足が生じています。この要因は、歳出面においては、人件費や投資的経費を始めとする経費全般の節減を行ってきているものの、社会保障関係費が増加していること、歳入面においては、アベノミクスの取組の下、税収が回復基調にあるものの、地方財政全体としては依然として歳入歳出にギャップが生じていることによるものと考えます。
 次に、地方財政の悪化の要因についてお尋ねがありました。
 まず、景気対策については、我が国では公経済における地方の役割が大きく、公共投資の多くは地方団体が実施主体であるため、国と地方が一体となって取り組んできたものです。
 次に、消費税については、五%、八%と税率改定を行ってきましたが、これらは社会保障の維持、充実などの観点から実施したものであり、地域間の偏在が小さく税収の安定性が高い地方税体系の構築や地方財政の安定化に寄与してまいりました。また、三位一体の改革については、地方から御要望がございました三兆円の税源移譲の実現による地方の自主財源の強化、補助金改革による地方の自由度の拡大により、地方分権改革の実現に向けた大きな前進があったと認識をしています。
 そして、現下の地方財政は、アベノミクスの取組の下、地方税収が回復基調にあることなどから、財源不足額が安倍政権発足前に比べて八・一兆円減少し、着実に財政健全化は進んでおります。
 今後とも、歳出歳入両面にわたって地方財政の健全化に取り組むとともに、地方団体が必要な行政サービスを提供しつつ安定的な財政運営ができるよう、一般財源総額の確保に努めてまいります。
 次に、消費税率の引上げと地方財政の悪化についてお尋ねがございました。
 消費税率の引上げは、安倍総理が先般答弁されていたとおり、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するために必要でございます。
 また、各都道府県の平成二十八年度当初予算において、平成二十四年度当初予算と比べ、全ての都道府県で法人関係税が増加するなど、アベノミクスの成果が地方にも徐々に波及してきている状況にございます。消費税率の引上げを確実に実施するためにも、地域に働く場と雇用を生み出すローカル・アベノミクスを一層推進することを通じて、地方経済の活性化と地方の財政構造の改善を図ってまいります。
 次に、公立保育所の運営費補助と施設整備補助の一般財源化についてお尋ねがありました。
 公立保育所に係る運営費及び施設整備費は、三位一体の改革による税源移譲に併せ一般財源化されていますが、一般財源化による影響が生じないよう適切に地方財政措置を講じております。その上で、保育の供給体制や保育士の処遇については、それぞれの地方団体において、地域の実情などを踏まえて適切に判断されているものと認識をしています。
 次に、トップランナー方式の導入についてお尋ねがありました。
 地方財政が依然として厳しい状況の中、行政サービスを引き続き効率的、効果的に提供する観点から、民間委託などの業務改革の推進に努めることは重要でございます。このような中で、地方交付税の算定においても、平成二十八年度からは既に多くの地方団体が業務改革に取り組んでいる十六業務についてトップランナー方式を導入しました。導入を検討することとしている図書館管理や博物館管理などについては、今後、地方団体などからの意見も踏まえて適切に検討をしてまいります。
 次に、地方交付税の法定率についてお尋ねがありました。
 地方財政の健全な運営のためには、本来的には臨時財政対策債のような特例債による対応ではなく、法定率の引上げにより地方交付税を安定的に確保することが望ましい方向と考えています。平成二十九年度の地方交付税の概算要求においては、引き続き巨額の財源不足が生じ、地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当することが見込まれるため、同項に基づく交付税率の引上げを事項要求いたしました。
 一方で、平成二十九年度においては、国、地方とも巨額の債務残高や財源不足を抱えていることなどから、法定率の更なる引上げは容易なものではないと考えておりますが、法定率の見直しなどによる交付税総額の安定的確保について粘り強く主張し、政府部内で十分に議論をしてまいります。
 次に、税制の在り方と地方交付税の拡充についてお尋ねがございました。
 税制については、グローバル化、少子高齢化などの経済社会構造の変化に対応して、国税、地方税を通じて各税目が果たすべき役割を見据えつつ、その在り方を検討するということが重要です。特に、地方税については、行政サービスの対価を広く公平に分かち合うという応益課税の考え方を重視しつつ、その充実確保を図ることが重要です。
 また、地方交付税制度は、地方税収に大きな地域間格差がある中で財源の均衡化を図るとともに、全国の地方団体において標準的な行政サービスを提供するために必要な財源を保障する大変重要なものです。
 今後とも、地方税の充実に努めるとともに、地方交付税の財源調整機能と財源保障機能が適切に発揮されるよう取り組んでまいります。
 最後に、被災自治体への財政支援についてお尋ねがありました。
 災害復旧を始めとする個々の事業の地方負担に対し適切に地方財政措置を講じることに加え、特別交付税により、被害状況を基に包括的な措置を講じております。さらに、災害に伴い国庫補助事業の創設や拡充が行われる場合には、それに対応する地方財政措置の検討を行ってまいります。これからも地方自治体の実情を丁寧にお伺いしながら、地方交付税や地方債による措置を講じ、その財政運営に支障が生じないように適切に対処してまいります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(麻生太郎君) 地方財政の状況についてのお尋ねがあっております。
 歴代自民党政権においては地方に十分配慮してきており、例えば御指摘のありました三位一体改革におきましても、かねて地方から要望がありました税源移譲を達成し、分権改革を大きく前進させたと思っております。また、麻生内閣においてリーマン・ショックという危機がありましたけれども、地方交付税別枠加算一兆円だったかを通じまして地方の財政悪化を防いできたといったようなことも挙げられると存じます。
 また、足下の地方財政につきましては、アベノミクスの取組の下で、企業収益の伸びによります法人関係税の増加、また給与や配当の伸びによります個人住民税の増加などにより、安倍政権発足時の四年前に比べまして地方税収はトータル約五兆円増収するという見込みになっております。
 いずれにいたしましても、今後とも、地方団体が安定的に必要なサービスが実施できるよう、国、地方の財政健全化目標も踏まえつつ、必要な地方財政対策の策定に向けて検討してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(塩崎恭久君) 山下芳生議員にお答えを申し上げます。
 公立保育園の保育の量と質についてお尋ねがございました。
 国においては、待機児童解消加速化プランに基づく保育の受皿拡大を進めており、各自治体において地域の実情に応じて取り組んでおります。その結果、平成二十九年度末までの五年間の保育の受皿拡大は、全体で約五十三万人分を見込んでおります。引き続き、保育士の処遇改善を進めるなど保育の質を確保し、各自治体の保育の受皿拡大の取組を強力に支援してまいります。
 なお、公立保育園の運営費と施設整備費については、一般財源化以降も適切に地方財政措置が講じられております。
 要支援者に対する訪問介護と通所介護の新しい事業への移行についてお尋ねがございました。
 平成二十六年の介護保険法改正では、要支援者に対する訪問介護等について、介護保険の対象外とするのではなく、引き続き介護保険の地域支援事業の対象として、市町村が必要なサービスを地域の実情に応じて効果的かつ効率的に提供できるよう仕組みを見直しました。新しい仕組みでは、既存の介護サービス事業者に加えて、NPO等の多様な主体による柔軟な取組を提供できるよう見直していますが、費用については介護保険財源を用いて行い、国も引き続き、改正前と同様に負担をしております。
 新しい事業は、来年四月の全市町村での実施に向けて準備を進めているところですが、昨年四月に事業を開始した市町村の状況を確認したところ、全体の事業所数は、事業開始後、訪問サービスと通所サービスのいずれも増加をしていることなどを把握をいたしました。事業の実施状況については、今後も引き続き把握をし、適切に対応をしてまいります。
 自治体が実施をしている子供の医療費助成制度と国民健康保険の国庫負担減額についてのお尋ねがございました。
 子供の医療の確保は重要な課題であると認識をしております。子供の医療費助成に係る国民健康保険の減額調整措置については、本年六月二日に閣議決定されたニッポン一億総活躍プランに記載されたとおり、子どもの医療制度の在り方等に関する検討会の取りまとめを踏まえ、見直しを含め検討をし、年末までに結論を得ることとしております。
 また、子供の医療費については、国として、就学前の子供の医療費の自己負担を三割から二割に軽減をしており、これに加えて、自治体独自の助成制度により自己負担の更なる軽減が図られています。このような子供の医療費助成制度を全て国の制度として運用することは、厳しい財政状況等を勘案すると現時点では課題が多く、慎重な検討が必要と考えております。(拍手)
    ─────────────
#42
○議長(伊達忠一君) 片山大介君。
   〔片山大介君登壇、拍手〕
#43
○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。私は、会派を代表して質問させていただきます。
 我が党は、消費税率の引上げを何の条件も付けずに期限だけを決めて実施することには明確に反対であります。このため、衆議院では本法案に反対し、対案として、今月二日に、参議院に消費増税凍結法案を提出いたしました。
 内閣提出の法案は、消費増税の延期法案です。消費税率を平成三十一年の十月一日に必ず一〇%に引き上げるという法案ですから、消費増税予定法案とも言えるでしょう。これに対し、我が党の法案は消費増税の凍結法案です。我が党の凍結法案は、税率の引上げは改めて法律で定める日に行うとして、それがいつになるかは、経済状況や国会議員の定数や歳費の削減、公務員人件費の削減などの成果によって決めることとしています。
 財務大臣にお伺いいたします。
 財政再建の手順として、増税と歳出削減のどちらを先に行うべきなのでしょうか。
 我が党は、先進国の過去の経験に照らしても、歳出削減を先行させるべきと考えております。特に、公務員人件費の削減を始めとする徹底行革が必要です。そして、公務員人件費削減のためには、まず国会議員自らが定数や歳費を削減する身を切る改革を断行すべきです。
 国民に負担を求める増税、特に国民生活と経済全体への影響が極めて大きい消費税の増税は、身を切る改革と徹底行革で歳出削減のためのあらゆる手段を講じた後に行うべきではないでしょうか。財務大臣の御認識をお伺いいたします。
 また、我が党は、国と地方の財政に関する一般論として、地方の安定財源であるべき地方消費税の在り方が内閣の一存で全て決められる現行の仕組みも見直しが必要だと考えております。消費税は内外の経済変動の影響を受けにくいので、地方の安定財源として地方税化して、消費税率の決定についても自治体が関与できる仕組みとすべきと考えております。
 衆議院で財務大臣にこの点について質問したところ、消費税を地方税化するのであれば、社会保障についても地方に大きな責任を担ってもらう必要が必然的に生じることになり、大きな地域間格差を生じさせることにもなりかねないので、極めて慎重な検討が必要であるとの答弁でした。しかし、地方税化された消費税収を始めとする税収の格差については、水平的財政調整制度である地方共有税などで解決を図っていくことも可能だと考えております。消費税を地方税化した上で、税収の偏在については別途、自治体間での財政調整で再分配を行うべきではないかと考えております。
 我が党は、財政再建については増税よりも歳出削減を優先し、あるべき歳出削減の姿を具体的に示すため、公務員人件費の二割削減法案を提出しております。これに対し、政府は、公務員給与の三年連続引上げを内容とする給与法案を今国会に提出しております。この額は三年間で実に一千四百億円にもなります。財政状況が厳しく、国民負担も重い中、公務員給与を上げ続ける政策は見直すべきではないか、財務大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
 公務員給与の引上げを決めた給与法案は、人事院勧告に沿った内容となっています。政府は、人事行政の中立性、専門性を理由に、勧告どおりの法案で問題ないと主張しています。
 しかし、昭和五十七年、鈴木善幸内閣のときに、財政状況が非常に厳しいという理由で人事院勧告の実施を見送った例があります。当時よりもはるかに厳しい財政状況の中で、漫然と人事院勧告に従って三年間も公務員給与を上げ続けている今の政策は、過去の日本政府の財政運営からいってもおかしいのではないか、財務大臣の認識をお伺いいたします。
 次に、経済状況と消費増税延期の関係などについてお伺いいたします。
 消費増税延期の理由について、安倍総理は、G7伊勢志摩サミットの後の六月一日の会見で述べています。
 総理は、まず、新興国経済が落ち込んでおり、世界経済が大きなリスクに直面していること、そして、熊本地震により地域経済が打撃を受けているとの認識を示しました。その上で、これらが日本経済にとって新たな下振れリスクとなっていて、最悪の場合、再びデフレの長いトンネルへと逆戻りするリスクがあり、その対策として、内需を腰折れさせかねない消費税率の引上げは延期すべきであるという判断を示しました。
 我が党は、熊本地震の影響はいまだに大きいと考え、今年度の第二次補正予算に賛成しました。一方、総理が記者会見で世界経済の不透明感の中で最大の懸念として挙げた新興国経済の陰り、特に中国経済の成長率の鈍化は今後も続くとも言われています。これを理由として今回消費増税を延期しても、次の増税を予定している平成三十一年に中国経済と世界経済の現状がほとんど変わらないということも十分に考えられます。その場合、再度の延期をすることも合理的とお考えかどうか、財務大臣の御認識をお伺いいたします。
 総理は、その六月の会見で、デフレの長いトンネルへと逆戻りするリスクがあると言っております。それから五か月がたちました。先日、日本銀行が二%インフレ目標の達成目標を再び先送りし、黒田総裁の任期である平成三十年四月までの達成を事実上断念しました。達成目標の先送りは、平成二十五年四月に大規模緩和を始めてからこれで実に五度目です。現在、経済はデフレの長いトンネルに入りつつあるのか、経済再生担当大臣の御認識をお伺いいたします。
 本法案に関する地方の懸念は、やはり社会保障充実策への実際の影響です。衆議院で総務大臣に、地方への影響と社会保障の充実などの主たる項目ごとに自治体の財政や社会保障の充実策のスケジュールへの影響について質問したところ、地方消費税と地方交付税の法定率分を合わせ、平年度で一・七兆円の減収とのことでした。
 社会保障の充実策については、保育、そして介護について優先して実施するという総理の答弁もありました。これについて、一・七兆円分の減収がどのように補填されるのか、社会保障の充実策への現実的な影響について、今後も更に政府にただしてまいりたい、そう思っています。
 我が党は、今後も、消費増税の前に、身を切る改革、公務員人件費削減などの徹底行革が必要であること、消費増税には景気回復が前提であること、景気を回復させるために、規制改革、そして地方分権を始めとするあらゆる政策手段を取るべきことを訴え続けてまいります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#44
○国務大臣(麻生太郎君) 五問頂戴しております。
 財政再建のまず手順についてのお尋ねがあっております。
 内閣府の中長期試算では、二〇二〇年度においてマイナス五・五兆円のいわゆる基礎的財政収支の赤字を見込んでおりまして、二〇二〇年度にプライマリーバランス黒字化を実現するという目標に向け、歳出歳入の両面から取組を同時に行うということが必要であります。
 その中で、お尋ねのありましたように、身を切るいわゆる改革、また行政改革の観点からは、厳しい財政事情に鑑みて、国家公務員の総人件費などについて抑制を図るとともに、行政事業のレビューの反映などを通じた歳出の効率化など、不断に取り組んでいく必要があろうと存じております。
 次に、消費税率の引上げについてのお尋ねがありました。
 消費税率の引上げにつきましては、平成二十四年の八月に成立した税制抜本改革法において、経済への影響などを総合的に勘案し、平成二十六年四月から五%から八%へ、平成二十七年十月から八%から一〇%へと二段階で引き上げることとし、その上で、経済状況等を総合的に勘案し、引上げの判断を行うということとしたところであります。
 したがって、社会保障と税の一体改革の当初プランが日本経済の体力を考えない無理なものであったとの御指摘は当たらないと考えております。
 次に、公務員給与の引上げと人事院勧告についてのお尋ねがありました。
 平成二十八年度において、政府としては、労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度の趣旨、また賃金の上昇を通じた経済の好循環の拡大、深化を目指すという現在の経済政策の方向性等々を踏まえて、勧告どおり実施することとしたところであります。
 一方で、政府としても国家公務員の総人件費について抑制に努めていくことが重要であると考えておりまして、一昨年の給与法改正に盛り込みました給与制度の総合的見直しにおいて、初任給を据え置く一方、高齢者層を四%引き下げることにより、俸給表水準を平均二%引き下げることといたしております。また、簡素で効率的な行政組織体制を確立することで総人件費の抑制を図っていく考えであります。
 次に、消費税率の引上げの条件についてのお尋ねがありました。
 消費税率一〇%への引上げは、国民の安心を支える社会保障制度を次の世代へ引き渡していく、そういう責任もあろうと存じますし、また、マーケット、市場や国際社会からの国の信認というものを確保するというために必要なものでありまして、二〇一九年十月には引上げを実施いたします。
 政府としては、消費税率の一〇%への引上げが可能な環境を確実に整えるべく、経済財政運営に万全を期していく考えであり、今回の延期判断と経済状況が変わらないときといった仮定の質問にはお答えすることは困難であります。
 保育、介護の受皿の整備、保育士及び介護人材の処遇改善についてのお尋ねもあっております。
 総理が、優先して実施していく旨、いろいろ明らかにされておられますが、保育、介護の受皿整備、保育士及び介護人材の処遇改善につきましては、本年八月二日に閣議決定をいたしました未来への投資を実現する経済対策に既に盛り込んでおりまして、政府としてこれらの取組については着実に実施してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣石原伸晃君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(石原伸晃君) 片山大介議員にお答えいたします。
 デフレの認識についてのお尋ねがございました。
 政権交代後、アベノミクスは、いわゆる三本の矢の取組によりまして、二十年間続きましたデフレからの脱却にチャレンジし、もはやデフレではないという状況をつくり出すことはできました。
 物価の基調を表します生鮮、エネルギー等を除く消費者物価指数を見ますと、二〇一三年の十月以降、三十六か月連続で前年比プラスとなっております。また、国内の付加価値の価格を示すいわゆるGDPデフレーターについても十四半期連続して前年比プラスとなっており、デフレではない状態は続いているんだと認識しております。
 引き続きまして、政府と日本銀行は連携しながら、あらゆる政策を総動員して、デフレ脱却と力強い成長を目指してまいります。(拍手)
#46
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#47
○議長(伊達忠一君) 日程第一 人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案
 日程第二 衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案
  (いずれも第百九十回国会内閣提出、第百九十二回国会衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長難波奨二君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔難波奨二君登壇、拍手〕
#48
○難波奨二君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案は、宇宙基本法の基本理念にのっとり、我が国における人工衛星等の打ち上げ及び人工衛星の管理に係る許可に関する制度並びに人工衛星等の落下等により生ずる損害の賠償に関する制度を設けることにより、宇宙の開発及び利用に関する諸条約を的確かつ円滑に実施するとともに、公共の安全を確保し、あわせて、当該損害の被害者の保護を図り、もって国民生活の向上及び経済社会の発展に寄与することとするものであります。
 次に、衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案は、宇宙基本法の基本理念にのっとり、我が国における衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いを確保するため、国の責務を定めるとともに、衛星リモートセンシング装置の使用に係る許可制度を設け、あわせて、衛星リモートセンシング記録保有者の義務、衛星リモートセンシング記録を取り扱う者の認定、内閣総理大臣による監督その他の衛星リモートセンシング記録の取扱いに関し必要な事項を定めようとするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、我が国の宇宙政策の方向性、人工衛星等の打ち上げに係る政府補償等の在り方、衛星リモートセンシング記録の利活用及び規制の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党の田村委員より両法律案に反対、希望の会(自由・社民)の山本委員より両法律案に反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
 次いで、順次採決の結果、両法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両法律案に対し附帯決議を行いました。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#49
○議長(伊達忠一君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#50
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#51
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十五  
  賛成            二百十三  
  反対             二十二  
 よって、両案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#52
○議長(伊達忠一君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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