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2016/12/02 第192回国会 参議院 参議院会議録情報 第192回国会 本会議 第15号
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2016/12/02 第192回国会 参議院

参議院会議録情報 第192回国会 本会議 第15号

#1
第192回国会 本会議 第15号
平成二十八年十二月二日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十五号
  平成二十八年十二月二日
   午前十時開議
 第一 公的年金制度の持続可能性の向上を図る
  ための国民年金法等の一部を改正する法律案
  (趣旨説明)
 第二 民間公益活動を促進するための休眠預金
  等に係る資金の活用に関する法律案(衆議院
  提出)
 第三 割賦販売法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
 第四 道路運送法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 日程第一 公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。厚生労働大臣塩崎恭久君。
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(塩崎恭久君) ただいま議題となりました公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 公的年金制度については、社会保障と税の一体改革を踏まえ、社会保障制度改革国民会議で、長期的な持続可能性を強固にし、セーフティーネット機能を強化するための課題が示され、その課題の検討にも資するよう、平成二十六年に財政検証を行いました。さらに、社会保障審議会年金部会で制度の見直しを検討してきましたが、今般、これらを踏まえ、公的年金制度の持続可能性を高め、将来の世代の給付水準の確保等を図るため、この法律案を提出いたしました。
 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
 第一に、短時間労働者について適切に年金の保障を行う観点から、平成二十八年十月一日から施行された被用者保険の適用拡大において対象外となっている一定の規模以下の企業の短時間労働者について、労使の合意に基づき、対象とすることができることとしています。
 第二に、次世代育成支援の観点から、国民年金の第一号被保険者について、産前産後期間の保険料を免除するとともに、その免除期間について基礎年金給付を保障することとしています。
 第三に、公的年金制度の持続可能性を高め、将来の世代の給付水準を確保する観点から、年金額の改定ルールを見直すこととします。具体的には、いわゆるマクロ経済スライドについて、年金額が前年度を下回らない措置を維持しつつ、賃金変動や物価変動の範囲内で、前年度までの未調整分を含めて調整するとともに、賃金が低下をし、物価変動を下回る場合には、賃金変動に合わせて年金額を改定することとしています。
 第四に、年金積立金管理運用独立行政法人について、国民から一層信頼される組織体制の確立を図り、年金積立金をより安全かつ効率的に運用する観点から、合議制の経営委員会を設け、中期計画の作成等について議決するとともに、役員の業務の執行の監督を行うこととしています。また、リスク管理のための年金積立金の運用方法を追加することとしています。
 第五に、日本年金機構に不要財産が生じた場合における国庫納付に関する規定を設けることとしています。
 最後に、この法律案の施行期日は、公布の日など、改正事項ごとに所要の施行期日を定めることとしています。
 以上がこの法律案の趣旨でございますが、衆議院において、短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進に関する規定の施行期日を公布の日から平成二十九年四月一日に改めることとする修正が行われたところです。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(伊達忠一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。そのだ修光君。
   〔そのだ修光君登壇、拍手〕
#6
○そのだ修光君 自由民主党のそのだ修光です。
 ただいま議題となりました公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案について、自由民主党を代表して質問いたします。
 公的年金制度は、自分や家族の加齢、障害、死亡など、様々な要因で自立した生活が困難になる、予測することができない将来のリスクに対して社会全体であらかじめ備え、生涯を通じた保障を実現するために必要な制度です。こうした生活上のリスクは予測することができないため、個人だけで備えるには限界があります。
 少子高齢化が進む中で、老後を心配することなく安心して生活が送れる仕組みとして、世代間の格差をなるべく少なくし、メリットをより多くの方が享受し、将来的にも安心な公的年金制度を構築するための改革が盛り込まれているのが今回の公的年金制度持続性向上法案であります。
 まず、年金額の改定ルールの見直しについてお伺いをいたします。
 本法案では、賃金変動が物価変動を下回る場合には、賃金変動に合わせて年金額を改定することとしています。
 年金が現役世代から高齢世代への仕送りという性格を持っている以上、現役世代の賃金が下がれば、それに応じて仕送りの額も見直すというのは自然なことであります。議場の皆さんも、自分の子や孫に向かって、給料が減っても仕送りは減らすなと言えるでしょうか。現役世代が困っているときには、世代を超えて痛みを分かち合おうとする考え方は、大多数の良識ある国民の皆様には必ずや理解ができるものと確信をしております。
 今回の法案は、公的年金制度の持続可能性を高め、将来世代の給付水準を確保するために不可欠なものであります。こうしたことも含めて、年金制度全体の仕組みや現状、将来の姿について、若い世代から年金受給世代まで全ての皆さんに丁寧に説明をし、理解を得る必要があると思います。重要であります。
 安倍総理から、改めて今回の年金額改定ルール見直しの趣旨と効果を御説明をいただくとともに、今後幅広い御理解をいただくためにどのように取り組んでいかれるのか、お考えをお聞かせください。
 公的年金制度を持続可能とするためには、特に若い世代の年金への信頼を確保することが大変重要になります。どうせ将来年金をもらえないんだから保険料を払いたくないと考える若者もいると聞きます。年金制度が持続可能であることやそのための仕組みがどうなっているのかということは、少子高齢化時代を迎えた日本国民にとって必須の知識であると言えます。
 したがって、若い世代の公的年金制度への理解を深める方策を充実すべきであると思いますが、いかがでしょうか。塩崎厚生労働大臣の御見解をお伺いをいたします。
 次に、年金積立金管理運用独立行政法人、いわゆるGPIFの組織等の見直しについて厚生労働大臣にお伺いします。
 これまで、GPIFは、制度の上では独任制の理事長が大きな権限を持っていましたが、本法案では合議制の経営委員会を設けて重要な意思決定を行う体制に転換をします。国民の大切な資産である年金積立金を預かるGPIFですから、国民からの信頼を更に高めるよう慎重な意思決定の体制にすることは正しい方向性であると考えます。
 経営委員会は、理事長を含めて十名以内の委員で構成することとなっていますので、運用の段階ではどのような人を委員に任命するかが大変重要になってきます。委員は、経済、金融、資産運用、経営管理その他の分野の学識経験者や実務経験者の中から厚生労働大臣が任命することとなっていますが、大臣はどのような基準で適任者を選ぶお考えなのか、お伺いをいたします。
 次に、短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進について厚生労働大臣にお伺いします。
 今回の法案は、今年の十月から既に適用されている五百一人以上の大企業に加えて、五百人以下の企業においても被用者保険の適用対象を拡大をするものです。その上で、一億総活躍社会を推進していくためにも、短時間労働者もやりがいを持って就労ができるようにすることが重要と考えます。
 適用拡大に関する正しい知識の普及やキャリアアップの仕組み等、整えていく必要があると考えますが、この点についてどう取り組んでいかれるのか、御見解をお伺いをいたします。
 最後になりますが、将来の年金給付水準を確保するための根本的な対策は、デフレ脱却と少子化対策です。安倍政権は、その実現に向けて着実に歩みを進めてまいりました。今世紀に入って最も高い水準の賃上げを三年連続で実現をし、昨年の合計特殊出生率は一・四六、二十一年ぶりの高水準にまで回復をしています。
 本法案では、国民年金に入っている女性について、産前産後の四か月間の保険料免除を盛り込まれています。これは、出産を控える世代を応援するメッセージとして受け止められるのではないでしょうか。
 引き続き、デフレからの脱却と少子化対策を更に加速し、全ての世代が将来に希望の持てる社会の実現を目指す必要があります。そのための決意について最後に安倍総理にお伺いをして、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#7
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そのだ修光議員にお答えをいたします。
 今回の年金額改定ルール見直しの趣旨と効果等についてお尋ねがありました。
 今回の年金改革法案は、言わば将来の年金水準確保法案であり、中小企業の短時間労働者への被用者保険の適用拡大、国民年金の産前産後期間の保険料免除、年金額改定ルールの見直しなどを内容としています。
 平成二十六年までは本来よりも高い水準の年金が支給されていた中で、少子高齢化による人口の構造の変化を踏まえて年金水準を調整するマクロ経済スライドが発動されなかったことにより、今の年金の所得代替率が上昇し、その分、マクロ経済スライドによる調整が長くなり、結果としてマクロ経済スライドが完了した時点での基礎年金の給付水準が約一割低下をいたしました。
 このため、年金額改定ルールの見直しについては、マクロ経済スライドの調整期間の長期化を防ぎ、将来世代の基礎年金の給付水準を確保するため、マクロ経済スライドの未調整分を先送りせずに、できる限り早期に調整し、賃金に合わせた年金額の改定により、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とする見直しを行うこととしたものであります。これは世代間の公平性を確保するための見直しでもあります。このような改定ルールの見直しを行うことが責任ある対応であると考えます。
 ただし、年金額改定ルールの見直しに当たっては、低年金の方にも十分に配慮いたします。まず、少子高齢化による人口の構造変化を踏まえて年金水準を調整するマクロ経済スライドについては、賃金、物価がプラスのときに発動し、またマクロ経済スライドによって、前年度よりも年金の名目額を下げないという配慮の措置は維持します。その上で、未調整分を繰り越して好況のときに調整する仕組みを導入します。
 そして、賃金が下がった際に賃金に合わせて改定する見直しについては、低年金、低所得の方に対する年最大六万円の福祉的な給付を平成三十一年十月までにスタートした後の平成三十三年度から適用します。これによって、年金と相まって、今まで以上に高齢者の生活を支えます。もとより、安倍政権では、デフレ脱却、賃金上昇を含む経済の再生に全力で取り組んでおりますので、賃金が下がるということを前提としているわけではありません。
 今回の法案を始め、不断の改革に取り組むことで、将来にわたって所得代替率五〇%を確保し、高齢世代も若い世代も安心できる年金制度をしっかり構築していきます。今後とも、こうした見直しの趣旨や低所得者の方々への配慮等について、あらゆる機会を通じて丁寧に説明し、広く国民に御理解いただけるよう努めてまいります。
 デフレ脱却と少子化対策の決意についてお尋ねがありました。
 議員御指摘のとおり、将来の年金給付水準を確保するためには、日本経済の再生と出生率の改善が有効です。政権交代後、アベノミクス三本の矢によって、二十年間続いたデフレからの脱却にチャレンジし、デフレではないという状況をつくり出すことができました。名目GDPは三十三兆円増加し、賃上げは、中小企業を含め、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが三年連続で実現するなど、経済の好循環が生まれています。引き続き、このアベノミクスの取組をしっかりと進めてまいります。
 少子化対策についても、長時間労働の是正等の働き方改革、子育ての環境整備、奨学金制度の拡充など、全ての子供が希望する教育を受けられる環境整備に取り組んでいきます。
 なお、今回の法案には、国民年金の第一号被保険者の産前産後期間の保険料を免除するとともに、免除期間については納付済みと扱うことを内容とする改正が盛り込まれております。これは、少子化対策の観点から有効な施策であると考えています。今後も、全ての世代が将来に希望を持てる社会の実現を目指してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(塩崎恭久君) そのだ修光議員にお答えを申し上げます。
 若い世代に対する公的年金制度の周知についてのお尋ねがございました。
 将来の社会を担う若者に、年金への信頼確保のため、公的年金制度の意義などを理解していただくことは極めて重要でございます。
 このため、厚生労働省や日本年金機構では、特に若い世代を対象に、年金事務所と地域の高校、大学等と連携をした年金セミナーを昨年度は全国三千三百回以上実施をするとともに、厚労省職員による大学等への出前講座や年金も含む社会保障教育推進のための教材作成などを実施しています。さらに、年金制度に対する理解が高まるよう、年金記録や将来の年金見込額などをパソコンやスマートフォンから手軽にアクセスできるねんきんネットを普及させるなど、若い世代を対象とした周知、広報に積極的に取り組んでまいります。
 GPIF改革についてお尋ねがございました。
 今回の改正案では、積立金運用への国民の信頼を更に高めることなどを目的として、合議制を導入し重要方針は合議制の経営委員会が決定すること、また、意思決定や監督と執行を分離をし、執行部の責任と権限を明確化することなどの改革を盛り込んでいます。
 経営委員の任命基準は、法案成立後に社会保障審議会の意見を聴いた上で定めることとしていますが、経済、金融、資産運用、経営管理その他のGPIFの業務に関連する分野に関するしっかりとした学識経験又は実務経験を有する方を選任することが重要ではないかと考えております。
 短時間労働者に対する適用拡大等の取組についてのお尋ねがございました。
 短時間労働者の就業調整を防ぎ、労働参加を支援するとともに、所得や年金を確保していくためには、被用者保険の適用拡大を着実に進めていくことが重要です。
 適用拡大を進めるに当たっては、短時間労働者の方に対しては、将来の年金額が増え、医療保険の給付も充実するというメリットや対象者の範囲についてリーフレット等を活用して着実に周知、広報を行っていくほか、事業主に対しては、キャリアアップ助成金の拡充を図り、労働者本人の希望を踏まえて働く時間を延ばすことを通じ、人材確保を支援することとしています。また、短時間労働者を含む非正規雇用労働者の正社員転換や待遇改善に全力で取り組むとともに、働く方が自発的に取り組む能力開発に対し、教育訓練給付による支援を推進してまいります。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(伊達忠一君) 川合孝典君。
   〔川合孝典君登壇、拍手〕
#10
○川合孝典君 おはようございます。民進党・新緑風会の川合孝典です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました法律案につきまして、安倍総理及び塩崎厚生労働大臣に御質問をさせていただきます。
 老後の生活を保障する安定した公的年金制度の構築は全ての国民の願いであります。年金制度に対する不安が高まる中、納めた保険料に見合う給付を将来受け取れるかどうか、これは国民にとって最大の関心事であります。したがって、将来世代のために公的年金制度の持続可能性を高めようとする措置を今回講じようとすること自体に全く異論はありません。
 消えた年金、消された年金問題が発生して以降、公的年金制度への国民の信頼は地に落ちております。保険料を納めても将来年金を受け取れないかもしれないという不信感から、国民年金保険料の納付率も第一号被保険者では僅か六〇%前後となっております。
 これまで政府は、様々な財政金融政策を実施し、さらには年金積立金を大量に株式市場に投入してまで景気対策を講じてこられましたが、一部の富裕層や企業を除き、残念ながら多くの国民に景気回復の実感はございません。実は、私は経済政策面では政府は頑張っておられると思っております。しかし、様々な景気対策を行ってきたにもかかわらず、本格的な景気回復に至っていないのは一体なぜなのか。その理由は国民の将来不安にあると私は考えております。
 現在の日本は、将来への不安を抱え働く非正規労働者が増大、そうした中、年金、医療、介護など国民生活を守る社会保障制度も急速な高齢化の影響で大きく揺らいでおります。一般的に景気対策というと輸出産業に目が行きがちでありますが、日本経済のおよそ六割は内需に支えられています。その内需の最大の担い手である国民が将来不安を抱えた今の状態では、消費が活発化するわけがございません。将来不安を感じるがゆえに、多少給料やボーナスが増えても将来に備えて貯蓄に回してしまっているのが今の状況なのではないでしょうか。
 景気回復のためには、経済財政政策と同時に、安定した社会保障制度を構築して国民の将来不安を取り除く、このことこそが必要であり、むしろ景気回復の早道であると私は提案させていただきます。したがって、この法案に国民の将来不安を少しでも和らげる政策効果があるのかどうかという観点から質問をさせていただきます。
 まず、この法案で気付いたことは、年金財源の持続可能性を高めることのみに目を奪われていて、公的年金制度の最大の役割である最低保障機能の検証が全く抜け落ちていることであります。
 私は、厳しい年金財政の下、現在の年金額をカットすることで将来世代の年金額の減少を少しでも少なくしようとする政府の考え方自体を云々するつもりはありません。しかしながら、年金生活者が最低限の生活を営む上で必要とする年金額の検証を行わないまま、目先の財源論だけで年金のカットを行えば、将来更なる財政支出を迫られる危険性があることを忘れてはなりません。
 今回の年金額のカットで、元々ぎりぎりの生活をしておられる年金生活者の生活がたちまち行き詰まってしまうことは容易に想定できます。こうした方々は生活保護に頼らざるを得なくなるわけですが、その結果、医療扶助や住宅扶助などにより国の財政負担はより大きくなってしまいます。私は、この法案が、このままでは将来年金確保法ではなく生活保護増加促進法になるのではないか、このことを懸念しております。
 ちなみに、本年四月時点の高齢単身無職世帯の基礎的消費支出は月額七万一千九百十三円、一方、基礎年金月額は六万五千八円となっていて、既にこれだけで月額七千円の不足が生じております。一般的に、高齢者は現役世代よりも貯蓄が多く豊かだと思われがちでありますが、日本の高齢者貧困率は先進国中でもトップクラスの格差構造となっております。そして、最大の問題は、現在こうした貧困高齢者が急速に生活保護に流れているという点であります。
 一九九〇年代初頭に一・三兆円であった生活保護費総額は、二〇一四年には三・八兆円と約三倍に増加しており、今も急速に増加し続けております。最後のセーフティーネットである生活保護を受給する高齢者が増えているということは、公的年金制度が本来持つべき最低保障機能を既に果たせなくなっているのだということを政府は認識しなければなりません。
 今回の法改正である程度年金財源の持続可能性を高めることができても、生活保護受給者を増加させたのではかえって国家財政を悪化させることとなり、何の意味もありません。年金生活者がこれ以上生活保護に陥らないように、公的年金制度を充実整備することこそが財政健全化の議論を進める上でも極めて重要だと考えますが、この点について安倍総理の御認識をお伺いします。
 次に、法改正後の年金額について安倍総理にお伺いします。
 安倍総理は、これまでの審議の中で、法改正後の年金額について、現在の年金受給者の年金額をカットすることで将来受け取る年金額が増えるといった趣旨の説明を行ってこられましたが、この発言を聞いて私は耳を疑いました。
 今回の法改正によって年金額のカットが始まれば、その分、将来受け取る年金支給額も減るのは当然のことであります。マクロ経済スライドが発動することによって将来世代の年金額が約三〇%減少することも、既に衆議院の審議で明らかとなっております。つまり、今回の措置は、将来世代の年金額の減少幅を僅かに抑える効果しかないわけであります。
 今回の法改正によって将来世代の受け取る年金が増えるといったような誤解を与える説明をなさるのは、誠実な態度とは言えないと私は思います。堂々と高齢世代と現役世代で痛みを分かち合おうと国民に訴えるべきだと考えますが、この点について安倍総理の御認識をお伺いします。
 さて、今回の年金額改定ルールの見直しでは、将来世代の年金水準を確保するためとして、従来のマクロ経済スライドとは別に、賃金、物価の上昇の範囲内で年金額の調整を行う新ルールが導入されることとなります。これに併せて、賃金変動が物価変動を下回る場合でも、賃金変動に合わせて年金額を改定することとされております。したがって、今回の新ルール導入によって、今後、物価より賃金が下落する状況になった年は賃金下落率のところまでマイナス改定されるということであります。賃金と物価が同時に上昇するのが一番望ましい形ではありますが、実際には賃金が下落していても物価は上昇する、又は物価が賃金ほど下落しない、こういった局面は必ず生じるわけであります。
 そこで、衆議院において我が党の同僚議員が塩崎厚生労働大臣に対し、仮に賃金が下落した場合、一体将来の年金額はどうなるのかと質問したところ、大臣は、物価、賃金が共にプラスになる経済をつくっていくことを想定しているとして、度重なる野党からの資料要求に対して、一切具体的な将来の年金額の試算を出しておられないのです。
 私は、この議事録を読んだだけでは一体何のことなのか分からず、政府提出資料を調べてみて驚きの事実が判明いたしました。実は、法案提出に当たって厚生労働省が出した数パターンの将来の年金額の影響試算、何と今後百年間、賃金が上がり続け、一度も下がらないということを前提としていたんです。つまり、大臣の答弁は、百年間一度も賃金は下がらないのだから、賃金が下がった場合の影響試算は出す必要がないという意味の答弁だったわけであります。私は唖然といたしました。直近の十年間だけでも六年も賃金は下落しております。一体どういう根拠で百年間賃金が上昇し続けることを前提とできるのでしょうか。
 塩崎厚生労働大臣には、なぜこのような不思議な影響試算を行っているのか、我々にも理解できるよう御説明をお願いします。
 この際、はっきり申し上げますが、国民、被保険者にとって最大の関心事は、今回の法改正によって自分が一体幾ら年金をもらえるのかということなんです。あり得ない、夢のような将来予測に基づく政府試算だけで国会の審議を押し切った結果、将来、予想外の低い年金を受け取ることになる受給者はたまったものではないんです。
 今後百年間一切賃金は下がらないなどという荒唐無稽な将来試算だけでは、とてもこれからの参議院厚生労働委員会での審議をすることもできません。塩崎厚生労働大臣には、これから審議を進める上で必要となる日本経済の賃金・物価動向の実態に即した試算データの開示を要求いたします。まともな資料を出していただけるのか出していただけないのか、明確に御答弁をお願いします。
 次に、年金生活者支援給付金について安倍総理に御質問をします。
 元々この年金生活者支援給付金は、二〇一二年、社会保障と税の一体改革関連法案として成立した年金生活者支援給付金法という法律に基づく措置であり、消費税引上げ時の実施を予定いたしておりました。月額五千円という給付額は、当時の単身高齢者の基礎的消費支出と老齢基礎年金の満額支給額との差額であったと理解をいたしております。
 しかし、安倍総理は衆議院で、あたかもこの年金生活者支援給付金が、今回新たに導入される賃金・物価スライドによって引き下げられる年金額の代償措置であるかのような答弁を行っておられます。いつの間に立法の趣旨がすり替わって賃金・物価スライドの代償措置となったのか、安倍総理にお尋ねをします。
 なお、年金生活者支援給付金法は、消費税率の引上げに伴う低年金生活者に配慮し、二〇一五年十月一日、つまり消費税引上げと同時に施行されることになっていましたが、消費税率引上げが見送られたことにより、現時点で施行のめどは立っておりません。
 今回の法改正で、年金生活者の給付水準は確実に低下することになります。安倍総理が年金生活者支援給付金を年金生活者の支援策と本当に位置付けておられるのであれば、これからまた先延ばしにされるかもしれない消費税の引上げを待たず、今回の法改正に合わせて支給を始めるべきと考えますが、この点についても安倍総理の御認識をお伺いします。
 次に、年金積立金管理運用独立行政法人、GPIFの運用状況について御質問します。
 二〇一四年十月にGPIFの運用方針が見直されました。株式への投資比率はそれまでの倍の五〇%に一気に引き上げられ、以降、多額の年金資金が株式市場に流入したことで日経平均株価は一気に上昇しました。この結果、二〇一四年は大幅な運用収益を上げたということは皆様も御承知のとおりであります。
 しかし、その後、株価は下落。翌一五年度は五兆三千九十八億円のマイナス、二〇一六年に至っては四―六月期だけで五兆二千三百四十二億円のマイナスと、僅か一年三か月で十兆五千四百四十億円のマイナスとなっています。なお、GPIFの運用比率見直しを行って以降の本年六月までの七四半期分の運用収益は一兆九百六十二億円のマイナスであります。
 そもそも、GPIFの運用実績は、二〇〇八年度以降順調に伸びて、運用比率の見直しを行う前年、二〇一三年度の時点で運用収益は既に三十五兆四千億円に達しておりました。その伸びが止まってしまっているんです。
 私が申し上げたいのは、ヨーロッパの先進国はもちろん、あの投資大国であるアメリカでさえ、年金積立金をこのようなハイリスク運用していないという点であります。年金積立金の拠出者である国民に十分な説明責任を果たさないまま、大切な老後資金をマネーゲームに投入している今の状況に多くの国民は不安と不信を募らせています。
 この他国に例のない年金積立金のハイリスク運用を行っていることについて、安倍総理の御認識を伺います。あわせて、二〇一四年の投資比率見直し後の運用実績についての評価も是非お聞かせいただきたいと思います。
 最後に申し上げます。
 安定した公的年金制度の確立は全ての国民の願いであり、国民の将来に資する法改正であるならば私は協力したいと思っておりました。しかし、ここまでの審議を見る限り、国民の将来のための法律ではなく、財政健全化だけを目指した法案であることが明らかとなってまいりました。
 超高齢化社会に突入した日本の公的年金制度に今求められているのは、逆進性の高い定額保険料の在り方や第一号被保険者の保険料納付方法の見直し、さらには年金財源の在り方など抜本的な改革の議論だと私は考えます。目先の財源のみにとらわれて、公的年金制度のセーフティーネット機能を低下させ、生活保護世帯を更に増加させかねない内容では、とても国民の将来不安を払拭できません。
 本法案は一旦取り下げて、現実に即した将来推計に基づき再検討すべきであることを指摘し、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#11
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 川合孝典議員にお答えをいたします。
 今回の年金改革法案による低年金者への影響や生活保護との関係についてお尋ねがありました。
 高齢者の生活状況については、国民生活基礎調査や全国消費実態調査などの様々な統計データの活用により多角的な実態把握に努めており、長期的に見れば高齢者の相対的貧困率は若干改善が見られます。また、生活保護については、高齢者の世帯構成の変化、経済情勢や資産の状況など、様々な要素の影響を受けるものであることから、年金額の動向によって生活保護の受給者がどの程度変化するかといったことをお示しすることは難しいと考えます。
 その上で、今回の賃金に合わせた年金額の改定ルールの見直しについては、低年金、低所得の方に対する年最大六万円の福祉的な給付金が平成三十一年十月までにスタートした後の平成三十三年度から適用することとしており、現在の受給者にも十分配慮しています。これにより、年金と相まって、今まで以上に高齢者の生活を支えてまいります。
 また、低所得や低年金の高齢者への対策については、社会保障・税一体改革において、年金生活者支援給付金のほか、先般法律が成立した年金の受給資格期間の二十五年から十年への短縮、医療、介護の保険料の負担の軽減など、社会保障制度全体で総合的に講じることとしており、これらにしっかりと取り組んでまいります。加えて、将来に向けて年金の保障機能を一層強化し、老後の所得保障を厚くするため、高齢者の就労機会の確保、厚生年金の更なる適用拡大、個人型確定拠出年金への加入促進等にも取り組んでまいります。
 こうした様々な施策により、できる限り高齢者が生活保護を受給せずに生活できるよう支援していくことが重要と考えています。
 今回の年金額改定ルールの説明についてお尋ねがありました。
 今回の年金改革法案は、将来の基礎年金がこれ以上下がるということがないよう、改定ルールを見直し、世代間の公平を図り、制度を持続可能とするためのものです。こうした点について以前から繰り返し説明しており、将来世代の受け取る年金が増えているということは申し上げておらず、誤解を与える説明という指摘は当たりません。
 なお、現に低年金、低所得の方々には年最大六万円の年金生活者支援給付金により配慮することとしています。また、将来世代への対応としては、今回の年金改革法案にも盛り込んだ被用者年金の一層の適用拡大や個人型確定拠出年金など、私的年金等の拡充などにより保障機能の強化に取り組みます。
 今後とも、こうした見直しの趣旨や低所得者の方への配慮等について、あらゆる機会を通じて丁寧に説明し、広く国民に御理解いただけるように努めてまいります。
 低年金者給付金についてお尋ねがありました。
 年金生活者支援給付金は、年金を受給しながら生活をしている高齢者や障害者の方で、年金を含めても所得が低く経済的な援助を必要としている方について、その生活の支援を図ることを目的としております。低所得、低年金の方に対しては、年金と相まって、生活をお支えしていくことは何ら変わりはなく、立法の趣旨がすり替わったとの御指摘は当たらないと考えます。
 また、今回の法案における賃金が下がった際に賃金に合わせて改定する見直しは、平成三十三年度から適用することとしております。年金生活者支援給付金は、それより前の平成三十一年十月までにスタートさせることとしております。これによって、年金と相まって、今まで以上に高齢者の生活を支えてまいります。
 さらに、現に生活が苦しい方については、先日成立をした年金の受給資格期間の短縮措置を始め、医療、介護の保険料軽減、生活困窮者自立支援制度によるきめ細かな支援など、年金のみならず社会保障全体で対応することとしております。
 年金積立金の運用についてお尋ねがありました。
 年金積立金の運用は安全かつ効率的に行うことが重要であります。このため、経済動向や運用環境などを踏まえて、国内債券や株式等を適切に組み合わせた分散投資を行うことにより、リスクを抑えつつ、年金財政上必要な利回りをしっかり確保していくことが必要であると考えています。
 二年前のポートフォリオの変更は、専門家による検討の結果、デフレから脱却をし、物価が上昇していく局面では、国内債券だけでは実質的な年金給付を確保することが困難となるとの想定の下、国内債券に偏っていた従来の基本ポートフォリオから株式等への分散投資を進めたものであります。変更前の基本ポートフォリオと比較して、長期的に見れば、変更前の基本ポートフォリオを維持した場合と比べ、年金財政上必要な積立金を下回るリスクは少なくなったと理解しています。なお、このような分散投資は、我が国と同様に大規模な積立金を有するカナダなどの諸外国でも行われているものと承知をしております。
 平成十三年度の自主運用開始以降、年金積立金の累積収益は四十二・六兆円のプラスとなりました。政権交代後の安倍政権においては三十・一兆円のプラスとなっております。四十二・六兆円のうち、安倍政権ができてから三十・一兆円のプラスとなったということであります。
 お尋ねの基本ポートフォリオ見直し後の運用状況は一兆九百六十二億円のマイナスとの指摘がございましたが、本年九月までの間で一・三兆円のプラスとなっております。つまり、このように、短期間で見るのではなくて長期に見るべきだということを今申し上げているわけでございます。年金積立金の運用に関しては、年金財政上必要な収益を十分に確保しており、国民の皆様に御安心をいただきたいと思います。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(塩崎恭久君) 川合孝典議員にお答え申し上げます。
 財政検証の経済前提についてのお尋ねがございました。
 平成二十六年財政検証における経済前提は、平成三十五年度までは内閣府が行った中長期の経済財政に関する試算に準拠をしており、平成三十六年度以降おおむね百年後までは内閣府試算を参考にしつつ、経済、金融の専門家による客観的な議論を経て適切に設定したものであり、合理的なものと考えております。
 何よりも重要なことは強い経済をつくっていくことであり、そのため、安倍政権では、デフレから脱却し、賃金上昇を含む経済の再生に全力で取り組んでまいります。
 年金額改定ルール見直しの将来試算についてのお尋ねがございました。
 今回の改定ルールの見直しは、将来世代の給付水準を確保するため、あらゆる事態に備えて見直しを行うものでございます。
 現在、政府としては、デフレから脱却をし、賃金上昇を含む経済の再生に全力で取り組んでいます。したがって、賃金が物価よりも低下する状況を前提とした試算を行う考えはありません。
 なお、仮に今回の見直しを行わず、賃金が物価よりも低下をし今の高齢者の給付水準が上昇した場合には、見直しを行った場合と比べて更に将来の年金水準は低下することになる構造は、既にお示しした政府試算と同じでございます。(拍手)
    ─────────────
#13
○議長(伊達忠一君) 里見隆治君。
   〔里見隆治君登壇、拍手〕
#14
○里見隆治君 公明党の里見隆治です。
 ただいま議題となりました公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案について、公明党を代表して質問いたします。
 くしくも、本法律案が衆議院で可決、参議院に送付された翌十一月三十日は年金の日。厚生労働省がいい未来にとの思いを託して設定したと承知をしております。私も、いい未来にとの思いで、まずは、本法案の名称ともなっている公的年金制度の持続可能性の向上についてお伺いをいたします。
 我が国の公的年金制度は、現役世代が高齢世代を支える世代間の仕送り、支え合いの制度です。したがって、制度を持続させるには、世代間の公平性を図り、世代間の信頼関係を維持することが何よりも重要であります。しかし、これまでの本法案に関する議論においては、一部に世代間の不信感をあおるような発言があり、大変残念でなりません。
 平成十六年の年金制度改革により、長期的な視点に立って、保険料水準の上限を固定する一方、給付水準は少なくとも現役サラリーマン世帯の平均所得の五〇%を保障することとし、マクロ経済スライドにより給付水準を自動的に調整することで財政均衡を図るという枠組みを開始いたしました。以来、五年ごとの財政検証をしておりますが、直近の平成二十六年の検証においても、将来の所得代替率は五〇%を上回ることが確認されております。
 この年金制度改革から十二年経過いたしましたが、この間、二度の政権交代があり、平成二十四年の三党合意に基づく社会保障と税の一体改革を通して、我が国の急速な高齢化、少子化、そして数年前まではデフレ経済という制約下にありながらも、年金制度を維持していくための課題認識を与野党が共有し、その解決に取り組んでまいりました。参議院における今回の法案審議においては、これまでの経験を踏まえ、年金を決して政争の具にすることなく、将来世代への責任を強く持って、充実した議論が重ねられることを期待いたします。
 まず、安倍総理に、世代間の公平性を図り、高齢世代も現役世代も安心できる持続可能な年金制度の構築に向けた御決意をお伺いいたします。
 衆議院での審議において、仮に賃金変動が物価変動を下回る場合には、賃金変動に合わせて年金額を改定するという改正事項が論点となりました。この改正は、今後の不測の経済状況が起きた場合でも、将来の年金水準が低下しないよう万全の備えを講じるものであります。重要なことは、こうした状況が起こることのないよう、安倍政権が推進してきたデフレからの脱却、経済の好循環による賃金の引上げを更に強固なものとすべく、経済再生を強力に推し進めていくことと考えますが、総理の御決意を伺います。
 次に、短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進についてお伺いをいたします。
 既に本年十月から、五百一人以上の大企業の短時間労働者約二十五万人が被用者保険の適用となっております。本法案による五百人以下の企業への適用拡大により、更に最大で約五十万人が対象に加わり、企業規模間の格差が是正されるものと評価をしております。しかし、地元で年金の話題になりますと、個別には年金加入のメリットについて必ずしも理解が得られていないと感じることがございます。
 例えば、パートとして就労されている女性からは、年金に加入することになると手取り収入が減ってしまうのではないかとか、中小企業の経営者の方からは、パートの適用が進むと社会保険料の負担が増えて大変だといった御意見をいただきます。政府は、このような声に真摯に耳を傾けた上で、丁寧に説明や手続を進めていくべきと考えます。
 こうした方々に御理解いただけるように、塩崎厚生労働大臣に、短時間労働者への適用拡大の意義、メリットを御答弁願います。
 また、せっかくの適用拡大により、かえって就労調整により労働時間や賃金を抑制するような動きがあってはなりません。このため、事業主に対するきめ細かな支援が重要と考えますが、厚生労働大臣の御所見を伺います。
 次に、国民年金第一号被保険者の産前産後期間の保険料免除について伺います。
 既に平成二十六年四月から厚生年金で実施されており、公明党もかねてより国民年金に加入する女性についても同様にとの主張をしてまいりました。この対象者は年間約二十万人と見込まれ、その実施が待望されております。
 そこで、厚生労働大臣に、産前産後期間の保険料免除の意義についてお伺いをいたします。
 最後に、年金積立金の運用についてお伺いをいたします。
 年金積立金の運用については、先週、平成二十八年度第二・四半期運用状況が公表されました。公的年金の自主運用が始まった平成十三年度以来、収益率が年率二・四七%、運用益が累積四十二兆円を超え、収益率は引き続き財政計算上求められる運用利回りを上回っております。その上で、国家として重要なのは、運用益について短期的に一喜一憂するのではなく、適切に運用できる体制を確立し、長期的な視点で運用収益を確保していくことであります。
 本法案では、百三十兆円を超える世界最大規模の公的年金運用機関であるGPIFにおいて新たに設置する経営委員会が合議制で重要方針を決定し、分離した執行体制を監督することとしております。ガバナンス強化を法律上明確にするものとして評価できるものであります。
 こうした組織の見直しと併せて、リスク管理の方法の多様化や短期資金の運用方法の追加など、運用方法を一部追加すると承知しておりますが、今回の改革の意義と運用方法について更なる見直しの可能性、方向性について、厚生労働大臣の御所見をお伺いいたします。
 最後に、安倍総理、塩崎厚生労働大臣を始め政府におかれては、あらゆる機会を通じて、複雑な年金制度について国民の皆様に分かりやすく丁寧に御説明いただくようお願いをいたしまして、質問といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#15
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 里見隆治議員にお答えをいたします。
 持続可能な年金制度の構築に向けた決意についてお尋ねがありました。
 今回の年金改革法案は、言わば将来の年金水準確保法案であり、中小企業の短時間労働者への被用者保険の適用拡大、国民年金の産前産後期間の保険料免除、年金額改定ルールの見直しなどを内容としています。
 平成二十六年までは、本来より高い水準の年金が支給されていた中で、少子高齢化による人口の構造の変化を踏まえて年金水準を調整するマクロ経済スライドが発動されなかったことにより、今の年金の所得代替率が上昇し、その分、マクロ経済スライドによる調整が長くなり、結果として、マクロ経済スライドが完了した時点での基礎年金の給付水準が約一割低下しました。
 このため、年金額改定ルールの見直しについては、マクロ経済スライドの調整期間の長期化を防ぎ、将来世代の基礎年金の給付水準を確保するため、マクロ経済スライドの未調整分を先送りせずに、できる限り早期に調整し、賃金に合わせた年金額の改定により、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とする見直しを行うこととしたものであります。これは世代間の公平性を確保するための見直しでもあります。このような改定ルールの見直しを行うことが責任ある対応と考えております。
 ただし、年金額改定ルールの見直しに当たっては、低年金の方にも十分配慮しています。まず、少子高齢化による人口の構造変化を踏まえて年金水準を調整するマクロ経済スライドについては、賃金、物価がプラスのときに発動し、また、マクロ経済スライドによって、前年度よりも年金の名目額を下げないという配慮の措置を維持します。その上で、未調整分を繰り越して好況のときに調整する仕組みを導入します。
 そして、賃金が下がった際に賃金に合わせて改定する見直しについては、低年金、低所得の方に対する年最大六万円の福祉的な給付金を平成三十一年十月までにスタートした後の平成三十三年度から適用します。これによって、年金と相まって、今まで以上に高齢者の生活を支えます。もとより、安倍政権では、デフレ脱却、賃金上昇を含む経済の再生に全力で取り組んでおりますので、賃金が下がるということを前提としているわけではありません。
 里見議員が御指摘されるように、年金を決して政争の具とすることがあってはなりません。将来世代への責任を果たし、持続可能な制度としていくため、今回の法案を始め、不断の改革に取り組んでまいります。そして、将来にわたって所得代替率五〇%を確保し、高齢世代も若い世代も安心できる年金制度をしっかりと構築してまいります。
 経済再生の推進についてお尋ねがありました。
 議員御指摘のとおり、年金制度についてあらゆる事態に対応できるよう万全の備えを講じるとともに、年金を始めとする社会保障制度を支える力強い経済を実現すべく、経済再生に全力で取り組むことが重要です。
 政権交代後、アベノミクス三本の矢によって、二十年間続いたデフレからの脱却にチャレンジし、デフレではないという状況をつくり出すことができました。これまでも、過去最高水準の企業収益を雇用の拡大、賃金の上昇につなげることにより、正規雇用が昨年八年ぶりにプラスに転じ二十六万人増加し、賃上げは、中小企業を含め今世紀に入って最も高い水準の賃上げが三年連続で実現するなど、経済の好循環を生み出すことができました。
 この好循環を力強く継続していくことが大切であり、その鍵は来年の賃上げであります。そのため、十一月十六日の働き方改革実現会議において、来年の賃上げに向けて、少なくとも今年並みの水準の賃上げ、特に四年連続のベアの実施などを産業界に対しお願いをしたところであります。
 この流れをより確かなものとするために、働き方改革を始めとする構造改革に取り組むとともに、あらゆる政策を総動員し、デフレ脱却、そして力強い成長を目指してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(塩崎恭久君) 里見隆治議員にお答え申し上げます。
 短時間労働者に対する適用拡大の意義等についてのお尋ねを頂戴いたしました。
 短時間労働者の就業調整を防ぎ、労働参加を支援するとともに、所得や年金を確保していくためには、被用者保険の適用拡大を着実に進めていくことが重要であります。
 この十月から、大企業で働く約二十五万人の短時間労働者を対象に適用拡大が始まり、さらに、今回の法案は、中小企業等で働く約五十万人の短時間労働者にも適用拡大の道を開くものでございます。
 被用者保険に加入すると、基礎年金に加えて厚生年金が受給できるなど将来の年金額が増え、医療保険の給付も充実をいたします。また、単身の方など国民年金に加入している方については、保険料が安くなることもあり、よりメリットが大きいことから、こうしたメリットについて十分周知を図ってまいります。
 さらに、短時間労働者の賃金引上げや本人の希望を踏まえて働く時間を延ばすことで人材確保を図る意欲的な企業に対しては、キャリアアップ助成金を拡充し、積極的に支援を行ってまいります。
 産前産後期間の保険料免除についてのお尋ねがございました。
 産前産後期間の保険料免除については、厚生年金では平成二十四年に成立をした年金機能強化法で既に実施されていますが、国民年金では同法の附則で検討課題とされていました。このため、社会保障審議会年金部会における議論を踏まえ、国民年金第一号被保険者の産前産後期間の保険料を免除するとともに、免除期間は満額の基礎年金を保障することといたしました。あわせて、これに係る費用を国民年金制度全体で支えるという観点から、国民年金保険料を月額百円程度引き上げることといたしました。
 今回の措置は、年金の保障機能を強化するものであると同時に、次世代育成支援にも資する重要な施策であると考えております。
 GPIF改革についてお尋ねをいただきました。
 今回の法案では、GPIFに合議制を導入するとともに、意思決定や監督と業務執行を分離するなどのガバナンスを強化する内容を盛り込んでおります。この改革を通じて、積立金運用への国民の信頼を高めるとともに、運用の多様化や高度化が進む中、リスクを適切に管理しつつ機動的な対応を行う体制を整備をしてまいります。
 また、運用の在り方については、本法案の附則に基づいて、施行状況等を勘案しつつ検討を行い、必要があると認めるときは、施行後三年を目途に必要な措置を講じてまいります。(拍手)
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#17
○議長(伊達忠一君) 田村智子君。
   〔田村智子君登壇、拍手〕
#18
○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法案に関し、安倍総理に質問いたします。
 まず、将来にわたって年金受給額に影響を与える重要な法案を、衆議院で強行採決の上、会期末前日に参議院に送付し、会期延長によって押し通そうという横暴極まりない安倍内閣と与党に強く抗議いたします。
 安倍総理は将来の年金水準を確保する法案だと説明を繰り返してきましたが、直近の世論調査を見ても、本法案への反対は五割から六割にも上っています。世代を超えて国民の不安が広がっていることを直視すべきです。
 今、基礎年金、国民年金のみ受給する方の平均受給額は月五万円にすぎません。中でも女性は、厚生年金でも平均月額十万二千円にとどまり、年金収入が年百万円未満の女性は六割を超えます。この間、医療や介護の保険料、消費税、所得税、住民税、公共料金などの負担増が繰り返され、高齢者の生活は厳しさを増しています。下流老人、老後破産という言葉が、高齢者だけでなく、現役世代にも明日は我が身と深刻に受け止められるほど、高齢世代の貧困は社会問題となっているのです。
 総理は、高齢世代の貧困が深刻化しているということをお認めになりますか。また、この解決こそ直面する課題だという認識はありますか。
 本法案は、年金改定に新たなルールを導入し、月一万円台の低年金も含め公的年金支給額の更なる引下げを行うものです。今でも、低年金、無年金によって高齢者世帯の生活保護受給率は六%に達しています。更なる年金支給水準の引下げは高齢者の生活に重大な影響を与えると考えますが、総理の認識を伺います。
 今、介護離職への対策が求められるほど、親の生活を支える現役世代の負担も重くなっています。年金では医療費や介護の利用料を賄えないという実態の下で年金削減が強行されれば、高齢者の家族の生活にも悪影響を与えるのではありませんか。
 更に指摘したいのは、地域経済への影響です。年金給付は、多くの道府県で県民所得の一割以上を占め、七つの県では県民所得の一五%を超えています。年金削減は、当然、高齢者の買い控えに拍車を掛け、地元の商店街などに直接の影響を与えるでしょう。
 高齢者の個人消費が落ち込めば、内需不振による景気低迷をもたらし、賃金の低落を招き、年金保険料収入にも影響を与える。こうした悪循環の引き金にもなりかねないと考えますが、総理の認識をお聞きします。
 本法案は、賃金マイナススライドというべき新たな年金削減の仕組みを導入するものです。物価と賃金が共にマイナスで賃金の下げ幅の方が大きい場合は、賃金に合わせて年金を下げる。物価が上がっても賃金がマイナスの場合、年金はマイナス改定となる。まさに、ひたすら低い方に合わせるというもので、直近十年間に当てはめると、現在の年金より三%以上給付水準が引き下がることになります。
 衆議院の審議で、政府は年金カット法案ではないと強弁していますが、この法案によって、賃金が下がる局面では現在のルールより年金支給額を引き下げることになる、このことを認めますか。
 政府・与党は、賃金マイナススライドの導入によって将来の年金水準を確保すると、あたかも現役世代にとってプラスであるかのような宣伝を繰り返しています。ところが、衆議院の委員会質疑で、総理は、将来の年金支給額について、二〇一四年の財政検証での見通し以上に上昇させるものではありませんと答弁されました。将来世代の年金水準を引き上げるわけではなく、むしろ、新しい改定ルールによって引き下げられた年金が次世代に引き渡され、現役世代にとってもマイナスにしかならないのではありませんか。
 実際、厚労省の検証で、最も可能性のある経済ケースで推移した場合、基礎年金のマクロ調整が終わるのは二〇四〇年代、現在の四十代が年金受給するときまでマクロ経済スライドによって年金額が減らされることになります。現役世代に幅広く恩恵があるかのような宣伝は、事実を偽るものではありませんか。
 本法案では、賃金マイナススライドに加え、各年度のマクロ経済スライドで削り残しが出た場合に、それを翌年度以降に繰り越し、物価が上がったときにまとめて年金を抑制する、いわゆるキャリーオーバーの仕組みも導入しようとしています。消費税増税などで物価が上昇したときに、キャリーオーバー分をまとめて発動させることで、どんなに物価が上がっても年金は実質減額することになります。
 厚労省は、経済状況が好転しない場合、マクロ経済スライドが最長二〇七二年度まで続くことがあり得るという試算まで示しています。現在の小学生が年金を受け取るときまで、年金の支給抑制が続くことがあり得るということです。本法案にマクロ経済スライドの歯止めはあるのか、お答えください。
 年金積立金管理運用独立行政法人、GPIFについてお聞きします。
 今、GPIFをめぐる国民の懸念は、年金積立金が株価つり上げに利用され、アベノミクスの好調を演出する道具にされているのではないかということです。
 GPIFのポートフォリオ変更、株式運用の拡大に先立ち、安倍首相は、海外でも年金積立金のフォワードルッキングな改革を表明して、日本株買いを呼びかけ、さらには、GPIFの運営委員を次々に交代させるなど、政権の意向で年金積立金の運用方針が決まることを国内外に示してきました。
 本法案では、GPIFに経営委員会を新設するとしていますが、委員及び委員長の任命権は厚労大臣にあり、結局、経営委員会の任命を通じて年金運用の方針を時の政権が左右する仕組みが温存されるのではありませんか。
 また、巨額の積立金を株式運用に投入したことで、みずほフィナンシャルグループなど三大メガバンクの筆頭株主になるなど、GPIFが実態として大銀行、大企業の株価を支えていることをどう認識されますか。
 マクロ経済スライドによる年金支給額の抑制、削減、またGPIFの株式運用比率の拡大、これらは年金保険料の負担が増えることを嫌った財界、大企業の要求に応えたものであり、高齢者の個人の尊厳、健康で文化的な生活の保障を脇に置いた政策だと言わなければなりません。
 貯金が底をついたら、もう家賃も払えない、長生きするなということでしょうか、高齢者の切実な声は年々強まっています。にもかかわらず、年金水準の切下げで年金財源を確保するというのは、高齢者の尊厳を踏みにじる政治の貧困の表れです。
 応能負担原則による大企業、大資産家への課税強化で財源を確保し国庫負担を引き上げる、高額所得者の保険料負担を引き上げる、こうした格差の是正によって、安心できる年金制度への転換を図るべきではありませんか。
 日本共産党は、世代間の対立をあおって、年金を始め高齢者の社会保障切下げを当然とする政治を許さず、格差と貧困の是正を求める世代を超えた連帯で安倍政権に立ち向かうことを表明し、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#19
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 田村議員にお答えをいたします。
 高齢世代の貧困についてお尋ねがありました。
 高齢者の生活状況については、国民生活基礎調査や全国消費実態調査などの様々な統計データの活用により多角的な実態把握に努めており、長期的に見れば、高齢者の相対的貧困率は若干改善が見られます。しかしながら、低所得、低年金、無年金などにより、厳しい生活を送られている方がいることも事実であります。
 このため、先般御可決をいただいた二十五年から十年への年金の受給資格期間の短縮に加え、さらに、社会保障・税一体改革で行うこととしている年金生活者支援給付金の創設、医療、介護の保険料負担の軽減など、社会保障全体を通じた低所得者対策をしっかりと講じてまいります。
 年金額改定ルールの見直しによる高齢者への影響についてお尋ねがありました。
 今回の年金額改定ルールの見直しは、将来のあらゆる事態に対応できる仕組みにするためのものであります。もとより、安倍政権ではデフレ脱却、賃金上昇を含む経済の再生に全力で取り組んでおり、賃金が下がるということを前提としているわけではありません。
 その上で、賃金に合わせ年金額を改定する見直しに当たっては、低年金、低所得の方に対する年最大六万円の福祉的な給付が平成三十一年十月までにスタートした後の平成三十三年度から適用することとしており、現在の受給者にも十分配慮しています。これによって、年金と相まって、今まで以上に高齢者の生活を支えます。したがって、高齢者や御家族の生活に悪影響を与えるや、あるいは経済の悪循環の引き金になりかねないといった御指摘は当たらないと考えます。
 年金額の改定ルールの見直しの影響についてのお尋ねがありました。
 安倍政権では、デフレ脱却、賃金上昇を含む経済再生に全力で取り組んでいるところです。その上で、非常に長期にわたって運営される公的年金制度を持続可能なものとしていくためには、あらゆる事態に対応できる仕組みにする必要があります。
 今回の賃金に合わせて年金額を改定するルールでは、将来、仮に賃金が下がった際に、賃金に合わせて名目の年金額は下がることとなりますが、所得代替率には影響は生じません。むしろ、過去、賃金が下がったときに、それに応じて年金額を下げてこなかったことにより所得代替率が上昇し、マクロ経済スライドの調整期間が長期間になったことにより将来の基礎年金の水準の低下につながったことから、今回の改正を行うものであります。
 今回の年金額改定ルールの見直しは、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付を行う仕組みにしておくことにより、マクロ経済スライドの調整期間の長期化を防ぐものであります。若い世代が受け取る年金の水準が下がることを防止し、世代間の公平性が確保され、若い世代が安心して今の高齢者の年金を支えることができるものと考えます。
 GPIFによる運用についてお尋ねがありました。
 年金積立金の運用は厚生労働大臣が責任を持って行う公的年金事業である以上、経営委員の任命に関しても厚生労働大臣がその最終的な責任を負う仕組みとすることが適当と考えています。しかしながら、年金積立金の運用は、法律の規定に基づき、専ら被保険者の利益のために行われており、この点は本法案による改正後も変更はなく、時の政権が運用の方針を左右するとの指摘は当たりません。
 GPIFは、国内株式の運用に当たって、法律の規定に基づき二十の信託銀行などに投資判断の全てを一任しており、個別の投資判断にGPIFが関与する余地はないこと、二千社以上の幅広い企業の株式に投資を行っており、決して一部の企業に集中して株式投資を行っているわけではないことから、GPIFが大銀行、大企業の株価を支えているとの批判は全く当たりません。
 安心できる年金制度への転換についてお尋ねがありました。
 年金制度については、現役世代が負担する保険料、さらには税によって高齢者世代を支えるという仕組みで運営されています。その仕組みにおいて、今回提案している賃金に合わせた年金額の改定の見直しは、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とすることで、将来にわたって給付水準を確保し、世代間の公平の確保等に資するものであります。
 また、この見直しについては、低年金、低所得の方に対する年最大六万円の福祉的な給付が平成三十一年十月までにスタートした後の平成三十三年度から適用することとしており、現在の受給者にも十分配慮しています。これにより、年金と相まって、今まで以上に高齢者の生活を支えてまいります。したがって、今回の改正が高齢者の尊厳を踏みにじるものとの御指摘は当たりません。
 今回の法案を始め、世代間の公平や世代内の所得再配分の観点を含めた不断の改革に取り組むことで、将来にわたって所得代替率五〇%を確保し、高齢世代も若い世代も安心できる年金制度をしっかりと構築をしてまいります。(拍手)
    ─────────────
#20
○議長(伊達忠一君) 東徹君。
   〔東徹君登壇、拍手〕
#21
○東徹君 日本維新の会の東徹です。
 会派を代表して、本日の議題である公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
 まず初めに、年金制度への信頼確保について伺います。
 政府は、平成十六年の制度改正により、現在の年金制度が百年安心であると主張してきました。しかしながら、国民の間に、保険料を納めても将来年金がもらえるかどうか分からない、もらえるとしても給付額が少なく老後の生活の頼りにならないという不安がまだまだ残っております。特に若い世代では、免除等を含む実質的納付率につき、平成二十七年度で、二十五歳から二十九歳が三二・二%、三十歳から三十四歳が三九・七%と他の世代に比べて低くなっており、若い世代ほど年金制度への信頼が低い状況が続いています。まずは、国民年金制度に対する信頼をいかに確保していくかということが重要と考えます。
 特に若い世代から年金制度への信頼を確保するために何をなすべきなのか、安倍総理に御見解をお伺いいたします。
 短時間労働者への被用者保険の適用拡大について伺います。
 従業員が五百一人以上の企業について、今年十月より、短時間労働者への被用者保険の適用拡大が行われました。本法案では、五百人以下の企業についても労使の合意があれば同様の適用拡大が可能となっている内容となっています。これらによって、保険料負担のなかった国民年金の第三号被保険者の一部が第二号被保険者となって保険料を負担し、年金制度の支え手となること、また、就労が促進され、我が国の労働力不足を補うことが期待されます。
 本法案による適用拡大の対象者数は五十万人程度と想定されていますが、我が国には九百万人を超える短時間労働者がおり、今後適用拡大をどこまで進めていくのか、安倍総理の御見解を伺います。
 あわせて、既に共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回っている中、特に自営業者の配偶者よりサラリーマンの配偶者を優遇するものと言われている第三号被保険者制度について、国民の間の不公平感を解消するため、今後どのように改めていくのか、安倍総理の御見解をお伺いいたします。
 キャリーオーバー制度について伺います。
 この制度は、マクロ経済スライドで、景気後退期の未調整分を景気回復期の調整に上乗せするものですが、ここ十年の我が国のように経済が十分に成長しない場合、未調整分が累積し、景気が良くても年金額が上がらない状況が続いています。この点、国民に十分な説明を行う必要がありますが、塩崎大臣の御見解をお伺いします。
 年金支給開始年齢の引上げについて伺います。
 日本維新の会は、今年七月に行われた参議院選挙のマニフェストにおいて、高齢者雇用の創出を図った上で年金の支給開始年齢を段階的に引き上げることを主張しました。平成二十六年の財政検証におけるケースHのように、経済成長が十分でない場合には、マクロ経済スライドが十分に機能せず、将来の所得代替率が五〇%を下回ってしまう上、積立金が枯渇してしまう可能性があります。このような状況において、年金の給付水準を確保するためには、現在の上限が固定されている保険料を値上げするか、給付対象者を減らすために支給開始年齢を引き上げるなどの措置をとるほかありません。
 アメリカやドイツなど他国を見れば、公的年金制度を持続させるため、平均寿命の延びに合わせた支給開始年齢の引上げが行われています。我が国においても、高齢者雇用の創出を図りつつ、支給開始年齢の引上げを検討するべきと考えますが、安倍総理の御見解を伺います。
 また、政府は、支給開始年齢について、年金財政の観点というより、就労期間と引退期間のバランスなどの観点から検討すべきものと主張しています。そこで、例えばフランスのように、満額の年金を受給するために必要な保険料拠出期間と年金の平均受給期間を一定の割合に保つため、受給開始年齢を変更する仕組みを我が国に導入する考えがあるのかどうか、塩崎大臣の御見解を伺います。
 また、支給開始年齢の引上げは高齢者雇用や低年金者への対応などとセットで考える必要があり、働くことに対するインセンティブを確保することが重要です。勤労税額控除は、勤労所得のある世帯に対して勤労を条件に税額控除を与え、所得が低く控除し切れない場合には給付するもので、従来の社会保障給付とは異なり、働けば働くほど手取り額が増える、そういう仕組みです。
 アメリカやイギリスなど十か国以上で導入されており、勤労意欲を促進する効果があると言われています。我が国でも勤労税額控除制度を導入するべきと考えますが、安倍総理の見解をお伺いします。
 歳入庁の設置についてお伺いします。
 公的年金制度を始め、我が国では社会保障が保険制度によるものとされています。国民は、税と同様、保険料を納めることが求められており、国民の間の不公平感を解消するためにも、徴収コストを抑えつつ、保険料の徴収強化を進めることが必要です。
 歳入庁の設置については、平成二十五年八月に政府の検討チームによって論点整理が行われたことは承知しておりますが、その議事要旨を見てみますと、歳入庁を検討したというよりは徴収方法の検討にとどまり、歳入庁については全く検討されておりません。検討したというのは大うそであります。
 また、現在、国税庁と厚生労働省、日本年金機構が連携を進めているとのことですが、日本年金機構から国税庁への強制徴収の委任は平成二十七年度まで三十四件にとどまっており、組織の壁を越えた連携は十分とは言えず、縦割り行政の体質はそう簡単に変わるわけではありません。
 日本年金機構は、正規、非正規合わせて職員数二万一千七百八十七人の巨大組織であり、その身分は非公務員ながら人件費は国費で賄われていることから、組織の統合によって人件費の削減や事務所の統廃合などの効率化を進め、コストを削減することが可能です。また、利用者にとっても、統合により税務署と年金事務所に別々の場所で手続を行う必要がなくなるというメリットが生じます。
 歳入庁の設置を今度は真剣にしっかりと検討するべきと考えますが、安倍総理の御見解をお伺いいたします。
 国民年金保険料の徴収業務は、平成十四年度に市町村から旧社会保険庁へ移管されました。それにより徴収体制が弱体化して、納付率もそれまで七〇%を超えていたものが六二・八%に急落し、その後低迷を続けております。現在の年金事務所は三百十二か所しかなく、日本年金機構が納付率を大幅に改善するには限界があります。
 平成二十七年度における国民年金保険料の不納欠損及び時効消滅額は六千四百三十二億円と極めて大きく、これは、ただ本人の将来もらえる年金が減るということだけではなくて、将来の生活保護者の増加につながるほか、積立金の減少に伴い年金財政にも悪影響が生じてしまいます。
 納付率を大幅に向上させ、年金財政を維持し、また低年金者や生活保護者の増加を防ぐためにも、歳入庁の設置に併せて、国民年金保険料と国民健康保険料の納付をセットとするなど、抜本的な改革を行うべきではないかと考えますが、安倍総理の見解をお伺いします。
 現在、我が国の財政状況が厳しい中、少子高齢社会、人口減少社会による社会保障制度そのものが大変厳しい状況にあります。年金財政も大変厳しい状況にあることは言うまでもありません。現在の高齢者のことを考えることは当然大事ではありますが、今の現役世代の人たちやさらにこれからの若い世代の人たちのことも考える上で本法案は大変重要なものであります。
 批判も反論も多々あることと思いますが、将来世代のことを考えて是非とも真剣に議論すべきことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#22
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 東徹議員にお答えをいたします。
 年金制度への信頼の確保についてお尋ねがありました。
 御指摘のように、特に若い世代の年金制度への信頼を確保することは大変重要と考えています。今回の年金改革法案は、世代間の公平を図り、制度の持続可能性を高めるとともに、将来世代の給付水準を確保するものであります。こうした不断の見直しとともに、年金制度の広報などを進めることにより、若い世代の年金制度への信頼を高め、安心して制度に参加し、今の高齢者をしっかり支えていただくことにつなげたいと考えています。
 具体的には、二十歳になった若者に対して個別に国民年金の加入をお勧めし、その際、年金が支え合いの仕組みであること、将来受け取る基礎年金の半分は税金で賄われること、若いときにも障害の状態になれば障害年金が受給できることなどを周知しています。さらに、年金記録や将来の年金見込額などをパソコンやスマートフォンから手軽にアクセスできるねんきんネットの普及に努め、若い世代を中心に年金制度に対する理解と信頼が高まるよう積極的に取り組んでまいります。
 被用者保険の適用拡大と第三号被保険者制度の見直しについてお尋ねがありました。
 被用者保険の適用拡大を推進することにより、短時間労働者の労働参加を促進するとともに、将来受け取る年金を充実させていくことが重要と考えています。
 そのため、今回の法案では、本年十月から実施している大企業を対象とした適用拡大に加え、中小企業についても労使合意に基づく適用拡大の道を開くこととしています。あわせて、適用拡大が円滑に進むよう、賃金引上げなどにより人材確保を図る意欲的な企業に対し、キャリアアップ助成金を拡充し、積極的に支援を行ってまいります。これらの実施状況を踏まえ、更なる適用拡大に向けて検討を進めてまいります。
 また、国民年金の第三号被保険者制度については、関係審議会において議論が行われ、まずは被用者保険の適用拡大を進めます。第三号被保険者制度の縮小、見直しに向けたステップを踏んでいくことが必要とされたところであります。このため、政府としては、適用拡大の状況を踏まえつつ、第三号被保険者制度の在り方についても引き続き検討してまいります。
 支給開始年齢についてお尋ねがありました。
 年金の支給開始年齢については、社会保障制度改革国民会議の報告書において、支給開始年齢の問題は、年金財政の観点というよりは、平均寿命が延び個々の人生が長期化する中で就労期間と引退期間のバランスをどう考えるか、就労人口と非就労人口のバランスをどう考えるかという問題として検討されるべきものと整理されています。
 また、高齢者の雇用の促進については、六十五歳以降の継続雇用の延長や六十五歳までの定年延長を行う企業などに対する支援、ハローワークにおける再就職支援の強化などに努めてまいります。
 勤労税額控除についてお尋ねがありました。
 御指摘のアメリカ等で導入されている勤労税額控除は、就労インセンティブを高めながら低所得者対策を行うといった政策目的の下、勤労所得等を有する者に対し、所得等に応じて税額控除や給付を行う制度であると承知していますが、これを検討するに当たっては、低所得者対策全体の議論の中で、生活保護制度など同様の政策目的を持つ制度との関係を十分に整理することがまず必要と考えます。さらに、所得や資産の把握が難しいといった問題や過誤、不正受給といった支給の適正性の確保など、多岐にわたる課題があり、慎重な検討が必要と考えます。
 いわゆる歳入庁の設置に関する検討についてのお尋ねがありました。
 税制改革抜本法においては、三党合意に基づき、年金保険料の徴収体制強化等の課題について、歳入庁その他の方策の有効性、課題等を幅広い観点から検討し実施するとされました。
 これを踏まえて、政府の検討チームで平成二十五年八月に取りまとめた論点整理においては、国民年金保険料と国税の徴収対象は重なりが小さく、国民年金保険料の納付率向上への効果は限定的であること、現在非公務員が行っている年金業務を公務員に行わせることになり、行政改革の取組に逆行することなど、歳入庁に関する様々な問題点が指摘されております。
 その上で、年金保険料の納付率向上のためには、保険料徴収の基本的な考え方を整理し、必要な対策を行うことが重要であります。組織を統合し歳入庁を設置すれば年金保険料の納付率等の課題が解決するものではないと整理されたと承知しています。
 いずれにしても、組織の垣根を越えて、厚生労働省、日本年金機構と国税庁との間で、保険料徴収や厚生年金の適用対策における連携は実務面で着実に進んでおります。具体的には、例えば厚生年金の未加入事業所の加入指導について、平成二十七年度からは、国税庁の法人情報を加入指導に活用しております。その結果、平成二十七年度は、約二百五十万件の法人情報の提供により、新たに約九万三千事業所を適用できております。今後とも、更にこのような取組を促進していくことが重要であると考えております。
 国民年金保険料と国民健康保険料の納付についてのお尋ねがありました。
 国民年金保険料の収納対策については、コンビニエンスストアでの納付など納めやすい環境を整備するとともに、一定以上の所得のある未納者に対する強制徴収の強化などの取組を講じています。こうした取組の結果、平成二十七年度の納付率は六三・四%、四年連続で上昇し、納められる最後の保険料である平成二十五年度の最終納付率は七年ぶりに七〇%台に回復をしております。
 また、不納欠損額及び時効消滅額は、御指摘のとおり、六千四百三十二億円でありますが、平成十七年度と比較して約四割減少し、着実に成果を上げています。今後とも、国民年金事業の効果的、効率的な運営のため、口座振替の勧奨など納付率の向上に努めてまいります。
 なお、国民年金保険料と国民健康保険料の納付をセットで行うとの御提案については、国民年金保険料の徴収事務が平成十四年に国と地方の役割分担を明確にする観点から市町村から国に移管されたという経緯や、市町村の徴収事務の現状を踏まえる必要があると考えます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(塩崎恭久君) 東徹議員にお答えを申し上げます。
 マクロ経済スライドのキャリーオーバーについてのお尋ねがございました。
 今回の法案に盛り込んでいるキャリーオーバーの仕組みは、マクロ経済スライドによる調整をできるだけ先送りせずに、若い人たちが将来受給する年金の給付水準が低下しないようにするものでございます。
 マクロ経済スライドによる調整は、賃金や物価がプラスの場合に限り、その伸びの抑制を図る形で年金額に反映させるものであり、政府としては、デフレから脱却をし、賃金上昇を含む経済の再生に全力で取り組むことにより、この調整をできるだけ早く終了させて、将来世代の給付水準の確保を図ってまいります。
 このキャリーオーバーの仕組みを始め、本法案の意義については、あらゆる機会を捉えて丁寧に説明をし、国民の理解が深まるよう努めてまいります。
 年金の支給開始年齢についてのお尋ねがございました。
 少子高齢化の進行する先進国各国では、年金制度の持続可能性を高めるため、保険料水準、給付水準や支給開始年齢について様々な工夫がなされており、御指摘のフランスの例もそうした工夫の一つと承知をしております。
 我が国では、マクロ経済スライドによって持続可能性を高めており、さらに、平成二十六年の財政検証のオプション試算で保険料拠出期間を四十年から四十五年以上に延長をし、支給開始年齢の繰下げを行った場合の給付水準についての試算を行うなど政策の選択肢を提示をし、社会保障審議会年金部会で議論を行ってまいりました。
 年金の支給開始年齢を含む高齢期の年金支給の在り方は、社会保障プログラム法においても検討課題とされており、引き続き検討してまいります。(拍手)
#24
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#25
○議長(伊達忠一君) 日程第二 民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長藤川政人君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔藤川政人君登壇、拍手〕
#26
○藤川政人君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、国民生活の安定向上及び社会福祉の増進に資するため、休眠預金等に係る預金者等の利益を保護しつつ、休眠預金等に係る資金を民間公益活動を促進するために活用しようとするものであります。
 委員会におきましては、発議者を代表して、衆議院議員山本ともひろ君より趣旨説明を聴取した後、休眠預金等を活用する制度の意義、制度の有効性や資金の活用について検証を続ける必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#27
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#28
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#29
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十九  
  賛成            二百十七  
  反対             二十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#30
○議長(伊達忠一君) 日程第三 割賦販売法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長小林正夫君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔小林正夫君登壇、拍手〕
#31
○小林正夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、クレジットカード番号等の漏えい等及び不正な利用による被害が増加している状況に鑑み、販売業者等に対してカード番号等の適切な管理及び不正な利用の防止を行わせるため、カード番号等を取り扱うことを販売業者等に認める契約を締結することを業とする者について登録制度を設け、当該販売業者等の調査を義務付ける等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、加盟店におけるIC対応を早急に実現するための取組、悪質加盟店排除に向けた加盟店調査の在り方、翌月一括払い取引に対する追加的な措置の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#32
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#33
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#34
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十八  
  賛成           二百三十八  
  反対               〇  
 本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#35
○議長(伊達忠一君) 日程第四 道路運送法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長増子輝彦君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔増子輝彦君登壇、拍手〕
#36
○増子輝彦君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、旅客自動車運送事業に係る輸送の安全及び利用者の利便の確保を図るため、事業の許可の欠格事由を拡充するとともに、事業の休止及び廃止に係る届出制度の見直し等の措置を講ずるほか、最近の貸切りバス事業をめぐる事故等の発生状況に鑑み、一般貸切旅客自動車運送事業の許可に係る更新制の導入等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、軽井沢スキーバス事故の再発防止に向けた取組、貸切りバス事業の規制の在り方、監査・審査体制の充実による不適格な事業者の排除、運転者の賃金・労働条件の改善等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#37
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#38
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#39
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十九  
  賛成           二百三十九  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#40
○議長(伊達忠一君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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