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2016/12/09 第192回国会 参議院 参議院会議録情報 第192回国会 本会議 第17号
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2016/12/09 第192回国会 参議院

参議院会議録情報 第192回国会 本会議 第17号

#1
第192回国会 本会議 第17号
平成二十八年十二月九日(金曜日)
   午後一時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十七号
  平成二十八年十二月九日
   午後一時開議
 第一 無電柱化の推進に関する法律案(衆議院
  提出)
 第二 自転車活用推進法案(衆議院提出)
 第三 道路運送法及び貨物自動車運送事業法の
  一部を改正する法律案(衆議院提出)
 第四 部落差別の解消の推進に関する法律案(
  衆議院提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一より第四まで
 一、環太平洋パートナーシップ協定の締結につ
  いて承認を求めるの件(第百九十回国会内閣
  提出、第百九十二回国会衆議院送付)
 一、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴
  う関係法律の整備に関する法律案(第百九十
  回国会内閣提出、第百九十二回国会衆議院送
  付)
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 日程第一 無電柱化の推進に関する法律案
 日程第二 自転車活用推進法案
 日程第三 道路運送法及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案
  (いずれも衆議院提出)
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長増子輝彦君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔増子輝彦君登壇、拍手〕
#4
○増子輝彦君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、無電柱化の推進に関する法律案は、災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を図るため、無電柱化の推進に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、無電柱化推進計画を策定することなどにより、無電柱化の推進に関する施策を総合的、計画的かつ迅速に推進しようとするものであります。
 委員会におきましては、提出者衆議院国土交通委員長より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 次に、自転車活用推進法案は、極めて身近な交通手段である自転車の活用の推進に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、施策の基本となる事項を定めることなどにより、自転車の活用を総合的かつ計画的に推進しようとするものであります。
 委員会におきましては、提出者衆議院国土交通委員長より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 次に、道路運送法及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案は、自動車運送事業に係る輸送の安全を確保するため、事業用自動車の運転者が疾病により安全な運転ができないおそれがある状態で運転することの防止等について定めようとするものであります。
 委員会におきましては、提出者衆議院国土交通委員長より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(伊達忠一君) これより三案を一括して採決いたします。
 三案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#6
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#7
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十七  
  賛成           二百三十七  
  反対               〇  
 よって、三案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#8
○議長(伊達忠一君) 日程第四 部落差別の解消の推進に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長秋野公造君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔秋野公造君登壇、拍手〕
#9
○秋野公造君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、現在もなお部落差別が存在するとともに、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ、全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、部落差別は許されないものであるとの認識の下にこれを解消することが重要な課題であることに鑑み、部落差別の解消を推進し、もって部落差別のない社会を実現するため、部落差別の解消に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、相談体制の充実等について定めようとするものであります。
 委員会におきましては、本法律案の立法事実、同和問題に対する政府のこれまでの取組、インターネット上で生じる同和問題への対策の在り方、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律と本法律案の関連性、部落差別の実態調査に対する懸念についての発議者の見解等について質疑が行われ、また、参考人から意見を聴取いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑終局を採決で決した後、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して仁比委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(伊達忠一君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。仁比聡平君。
   〔仁比聡平君登壇、拍手〕
#11
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、部落差別の解消の推進に関する法律案に対し、断固反対の討論を行います。
 その理由は、本法案が、部落差別の解消推進のための理念法といいながら、部落問題解決の歴史に逆行して、新たな障壁をつくり出し、部落差別を固定化、永久化する恒久法であり、その危険は極めて重大だからであります。
 部落問題は、封建的身分そのものではなく、その残滓です。その解決は、民主主義の前進を図る国民の不断の努力を背景に大きく前進しました。国の同和対策特別事業は二〇〇二年三月に終結し、十四年たつ今日、社会問題としての部落問題は基本的に解決された到達点にあります。
 時として起こる、不心得な非科学的な認識や偏見に基づく言動がその地域社会で受け入れられない民主主義の力を強めていくことこそ重要です。行政の施策は全ての国民に対し公平に運用するのが原則であり、人権問題の相談、教育、啓発活動は、憲法に基づき、一般施策として行うべきであります。
 本院で実現した関係団体が出席する参考人質疑は、極めて重要なものとなりました。部落解放同盟からは、部落差別はいまだに根深く厳しい旨の認識が示されましたが、自由同和会推薦の参考人は、その現状認識は差別の過大評価であり、日本は差別をうまくなくしてきている旨の評価が語られました。全国地域人権運動総連合は、従来の部落の枠組みが崩壊し、部落が部落でなくなっている状況であり、国民の多くが日常生活で部落問題に直面することはほとんどなくなったと明確に述べました。部落問題の特別扱いを復活させようとする本法案に、立法事実はないのであります。
 にもかかわらず、法案が「現在もなお部落差別が存在する」と言う部落差別とは何か。その定義規定はありません。法案提案者は、依然として存在する、肌で分かっているなどと述べるだけで、何をもって部落差別とし、それがどのように存在するというのか具体的に示すことはできませんでした。提案者は、定義を置かずとも一義的に明確、その者が部落の出身であることを理由とした差別と言いますが、それは部落解放同盟が示す考え方を法に持ち込むものです。極めて曖昧であり、濫用によって表現や内心の自由が侵害される重大な危険があります。
 かつて解同は、部落民以外は差別者、差別かどうかは解同が認定するとして、八鹿高校事件を始めとする数々の暴力的確認糾弾事件を引き起こしました。今日も綱領の解説文書で、糾弾の取組を堅持するとしています。
 昭和六十一年、地対協部会報告は、何が差別かというのは一義的、明確に判断することは難しいことである、民間運動団体が特定の主観的立場から恣意的にその判断を行うことは、異なった理論や思想を持つ人々の存在さえも許さないという独善的で閉鎖的な状況を招来しかねないと述べています。
 民間運動団体の行き過ぎた言動、その圧力に屈した行政の主体性の欠如が新しい要因となって新たな差別意識を生むことこそ歴史の教訓であることを我々は銘記すべきであります。
 更に懸念されるのは、不公正な同和行政による特権と利権の復活であります。法案の言う部落差別の解消に関する施策、相談、教育及び啓発、実態調査の条文は極めて無限定であり、同和対策事業の復活を排除するものとはなっていません。これが、民間運動団体のあれも差別、これも差別といった圧力の根拠となり、補助金や委託事業による施策を押し付けられ、学校や自治体、企業や地域で、あるいは人権擁護委員にまで、特定団体による教育、啓発が実質強制されかねないのです。各地になお残る個人給付を含む同和対策の特別扱いを固定し、助長することにもなります。
 行政に義務付けられる実態調査は、旧同和地区と地区住民の洗い出し、精密調査や行き過ぎた意識調査によって、それ自体が国民の内心を侵害し、分け隔てなく生活する旧地区住民とそうでない者との間に新たな壁をつくり出す強い危険があります。これらが部落問題についての自由な意見交換を困難にするものとなり、部落問題の解決に逆行することは明白です。
 提案者はインターネットにおける差別事象を言いますが、削除要請などの具体的課題は、ヘイトスピーチを始め他の人権問題も同様である上、本法案によって具体的解決が進むものとはなっていません。
 法案は断固廃案とすべきことを重ねて強く申し上げ、反対討論を終わります。(拍手)
#12
○議長(伊達忠一君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#13
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#14
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#15
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十四  
  賛成            二百二十  
  反対              十四  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#16
○議長(伊達忠一君) この際、日程に追加して、
 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件
 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案
  (いずれも第百九十回国会内閣提出、第百九十二回国会衆議院送付)
 以上両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員長林芳正君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
  (注:本号(その二)は第百九十二回国会追録として収載されています。閲覧の際は、「追録・附録・目次・索引検索」機能を御利用ください)
    ─────────────
   〔林芳正君登壇、拍手〕
#18
○林芳正君 ただいま議題となりました協定及び法律案につきまして、環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、環太平洋パートナーシップ協定は、アジア太平洋地域において、物品及びサービスの貿易並びに投資の自由化及び円滑化を進めるとともに、知的財産、電子商取引、国有企業、環境等、幅広い分野で新たなルールを構築するための法的枠組みについて定めるものであります。
 次に、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案は、TPP協定の締結に伴い、関係法律の規定の整備を行うものであります。
 委員会におきましては、両案件を一括して議題とし、安倍内閣総理大臣の出席を求めるとともに、石原国務大臣、岸田外務大臣、山本農林水産大臣等に対して質疑を行ったほか、北海道及び茨城県に委員を派遣しての地方公聴会並びに中央公聴会を行うとともに、三度にわたり参考人からの意見を聴取するなど、慎重かつ熱心な審査を行いました。
 委員会における主な質疑の内容は、TPP協定の意義と我が国の今後の通商政策の在り方、米国を始めとする各国の国内手続の動向と我が国の方針、関税の撤廃等が農林水産業に及ぼす影響と国内対策、農林水産品の輸出拡大及び中小企業の海外展開への支援策、食の安全を確保するための体制等の在り方、医療保険制度、薬価等に及ぼす影響、著作物の利用や創作活動等に及ぼす影響、ISDS手続が本協定に盛り込まれたことの是非と我が国が提訴される懸念等でありますが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、両案件を一括して討論に入りましたところ、民進党・新緑風会を代表して野田委員より両案件に反対、自由民主党及び公明党を代表して三浦委員より両案件に賛成、日本共産党を代表して紙理事より両案件に反対、日本維新の会を代表して高木委員より両案件に賛成、希望の会(自由・社民)を代表して福島委員より両案件に反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
 次いで、順次採決の結果、環太平洋パートナーシップ協定は多数をもって承認すべきものと決定し、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#19
○議長(伊達忠一君) 両件に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。徳永エリ君。
   〔徳永エリ君登壇、拍手〕
#20
○徳永エリ君 民進党・新緑風会、北海道の徳永エリです。
 私は、会派を代表して、ぶれない、断固反対、うそつかないと自民党も反対していたTPP、環太平洋パートナーシップ協定及び同協定の締結に伴う関係法律の整備法案の採決、必要な法案も問題のある法案も、十一本もの法案を束ね、十分な審議もしないまま一回の採決で成立させてしまおうという横暴な手法に対して、断固反対の立場で討論させていただきます。
 まさかのトランプ氏が、第四十五代の米国大統領に決まりました。米国民は、なぜ過激な発言を繰り返していたトランプ氏を次期大統領に選んだのでしょうか。NAFTA、北米自由貿易協定で多くの痛みを負った米国民は、企業勢力の拡大、強大化、労働者から雇用を奪い、賃金の引下げをもたらし、格差を拡大させたグローバリズムや自由を失った貿易協定、管理貿易であるTPPを拒否したからであります。そして、米国がこれまでと違う道を進むことを望んだからにほかなりません。
 米国だけではありません。英国も、国民はEUからの離脱を決めました。世界の流れは大きく変わろうとしている。それなのに、我が国の首相は、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった価値を共有する国々とともに、このアジア太平洋に自由と繁栄の海を築き上げる、その中心に日本が参加する、TPPはまさに国家百年の計だと言っている。トランプ次期米国大統領のTPP離脱宣言で、発効する可能性がほとんどゼロ、TPPは死んだとも言われている今となっては、全くの独り善がりにすぎません。
 三月八日にTPP協定と関連法案が国会に提出されて以降、我々は、国会の場で、その詳しい内容や問題点など、国内産業や国民の暮らしにどのような影響があるのか真摯に議論を続けてまいりました。
 しかし、さきの通常国会において、衆議院のTPP特別委員会では、西川公也委員長が秘密交渉であるはずのTPPの交渉内容を書いた暴露本問題、我が党が求めて提出された平成二十五年九月の政府の交渉資料、ブルネイ交渉会合は全て真っ黒黒の黒塗り。そして、今国会では、衆議院のTPP特別委員会の理事であった自民党福井照衆議院議員が、この国会ではTPPの委員会で西川先生の思いを強行採決という形で実現するよう頑張らせていただくと問題発言をし、そして自ら辞任。
 さらには、就任したばかりの山本農林水産大臣が、佐藤衆議院議運委員長のパーティーで、強行採決するかどうかは佐藤さんが決めると思っていると強行採決を示唆するかのような発言、そして謝罪。しかも、その舌の根も乾かないうちに、一度ならず二度までも問題発言を繰り返しました。それは、冗談を言ったら首になりそうになったという内容でありました。強行採決発言を全く反省しておらず、まだ農林水産大臣を続けておられます。
 そして、TPPの農業への影響試算を根底から覆しかねない輸入主食用米、SBSの価格偽装問題が発覚し、業者間で調整金、リベートが支払われていたことが明らかになりました。国会は紛糾し、衆議院では、TPP協定の各章について十分な審議ができないまま、十一月四日のTPP特別委員会での強行採決となりました。
 安倍政権と自民党の慢心、数のおごり、うそと隠蔽、国会軽視、国民に対する不誠実な姿勢に対して、大いなる怒りを持ってTPP協定及び関係法案に反対する理由を申し上げます。
 我が国は、二〇一三年七月二十三日、第十八回のマレーシア・コタキナバルで行われた交渉会合から正式に参加をいたしました。TPP交渉は保秘義務を課せられ、交渉中の情報はもちろんのこと、TPP発効後も四年間、どのような資料に基づいて締約国がどのような交渉をしたのか、その過程は一切秘密であります。
 TPP協定には、協定発効後七年後には米国やオーストラリアなどとの再協議の見直し規定が設けられているほか、TPP協定の運用状況の検討や締約国の経済関係や連携の見直しに当たるTPP委員会、さらには、各種小委員会、補助機関があり、将来において協定の規定を見直していくことになっています。
 石原大臣は、国内の制度変更を求めるような規定はない、国益に反する再交渉はしないと御答弁されていますが、見直し、改定を前提としている生きた協定であるTPP協定の内容についての評価を現時点で確定することは不可能であります。
 TPPの関税撤廃率は九五%です。日本が締結した貿易協定でこれまで最高だった日豪EPAの撤廃率八九%を上回ります。さらに、農産物の関税撤廃率は八二%に上ります。農林水産物九百一品目のうち、関税撤廃品目はほぼ半分の四百四十六品目です。しかも、聖域とされていた米、麦、畜産物、乳製品、砂糖、農産物の重要五品目についても約三割の関税が撤廃され、残り七割でも関税率の引下げなどにより無傷な品目は一つもありません。しかも、乳製品や水産物などの中に十年を超える段階的な関税撤廃品目があることも分かりました。
 衆参の農林水産委員会の国会決議は、重要五品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること、十年を超える期間を掛けた段階的な関税撤廃も認めないとしています。したがって、交渉の結果は、明らかに衆参農林水産委員会の国会決議違反であります。
 また、発効から七年後の見直し規定では、米国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、チリの要請があれば協定の見直しに応じなければならないことになっています。どの国も農業輸出国であり、食料自給率三九%、輸入国の日本が関税撤廃の標的にされることは明らかであります。しかも、見直しの対象には、関税、関税割当て、セーフガードなど、政府が交渉で勝ち取ったと言っている例外の全てが含まれています。もし農産物の関税が撤廃されたら、我が国の農業への影響は甚大です。
 私の地元、北海道では、関税が撤廃されたら、例えば米の三割が外国産に置き換わります。バターや脱脂粉乳、チーズは、外国産と品質格差がないことから、全量が外国産に置き換わってしまうんです。関税が撤廃された場合の北海道への影響試算は、農業産出額が四千九百三十一億円減少、関連産業が三千五百三十二億円減少、地域経済への影響は七千三百八十三億円の減少です。農家戸数は二・三万戸、雇用は十一・二万人に影響があるとされているんです。離農が進んでは農村から人がいなくなってしまいます。病院や学校などのインフラが維持できなくなります。地方の町は壊滅してしまうんです。
 十一月十四日から連日のように開かれた参議院のTPP特別委員会での審議について、発効もしないTPP協定の審議を時間もお金も掛けて続けるのはむなしい、何の意味があるのだと言う方もおられました。しかし、特別委員会の審議で二十一分野三十章、TPPの協定の各章の規定に関する議論を重ね、問題点が次々と明らかになっていきました。
 遺伝子組換え食品や米国産牛肉に使用されている肥育ホルモン、食品添加物や農薬、ポストハーベストなど、食の安全、安心が脅かされます。輸入食品の九割がモニタリング検査なしで流通しているという、我が国の輸入食品に対する検疫・検査体制を強化する必要があることも分かりました。そして、医療や薬価、国民皆保険制度は守れるのか、不安はいまだ払拭されておりません。
 また、多国籍企業や投資家が損害を受けたとして投資先の国を訴えるISDS条項は、米国政府が訴えられても敗訴した事例はなく、米国と多国籍企業に有利な仕組みとなっていることが疑われることは否めません。我が国が訴えられ、敗訴すれば、国民の税金で莫大な賠償金を支払わなければならなくなってしまうんです。
 そして、何よりも、中心的役割を担ってTPP交渉を進めてきた甘利前TPP担当大臣に質問する機会が得られていません。大筋合意されたアトランタ交渉会合まで三十三回の交渉と会議が行われました。甘利前TPP担当大臣と米国USTRのフロマン氏は、バイで二十四回、三十五時間の会談を行っているんです。唯一、交渉の全てを知っている甘利前TPP担当大臣を参考人として特別委員会に招致する必要があったのではないでしょうか。
 次期米国大統領トランプ氏は、大統領に就任したら公平な二国間貿易協定を進めると言っています。日本が他の国に先駆けてTPP協定を批准すれば、我が国はTPPまでは自由化しますよとその姿勢を示すことになり、より厳しい要求を突き付けられることは明らかであります。
 まだまだ議論が尽くされていない中で、拙速に数の力でTPPを成立させること、関連法案の採決を行うことは未来に禍根を残すことになりかねません。TPPと国民の安全、安心は両立できません。
 政府には、今後、経済政策や自由貿易交渉を行う際には、グローバル企業や金融資本の立場に立つのではなく、国民の生活を、安全、安心を守る立場に立っていただきたい。IR、カジノ解禁法案も同じであります。
#21
○議長(伊達忠一君) 時間が超過しております。
#22
○徳永エリ君(続) 以上、五年間、TPP断固反対の立場を貫いた私の反対討論とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
#23
○議長(伊達忠一君) 三宅伸吾君。
   〔三宅伸吾君登壇、拍手〕
#24
○三宅伸吾君 自由民主党の三宅伸吾です。
 私は、自由民主党と公明党を代表し、議題となっております環太平洋パートナーシップ協定及び関連法案に対し、賛成の立場から討論をします。
 初めに、参議院のTPP特別委員会では、六十時間以上にわたり審査を行いました。うち、集中審議を五回、参考人質疑を三回、地方公聴会を開催しました。さらに、衆議院では実施しなかった中央公聴会を行うなど、TPP協定、関連法案の中身につき、熟慮の府である参議院にふさわしい充実した審議を行いました。
 特に、集中審議では、衆議院とは異なり、審議対象のテーマをそれぞれ決め、議論を深掘りいたしました。参考人質疑では、国民の関心が特に高い農林水産業や医療保険制度、食の安全などの分野について十分に議論しました。これらにより、国民の皆様のTPP協定についての理解を深めることができたと考えます。林委員長を始め、与野党理事、委員各位の御協力のおかげでございます。TPP特別委員会理事として、心より御礼を申し上げたいと思います。
 さて、TPP協定は、アジア太平洋地域で、自由、民主主義、基本的人権、そして法の支配といった共通の価値観を持つ国々が、新たなルールに基づく巨大な経済圏をつくり出すものです。安倍総理は、国家百年の計と評価されておられます。
 私のふるさと香川県出身の大平正芳元総理は、三十数年前、環太平洋連帯の構想を提唱しました。この構想は、太平洋地域において自由で開かれた国際経済システムの構築を目指すものでした。TPP協定の源流の一つであります。
 TPP協定が承認され、発効すれば、関税の削減、撤廃だけではなく、サービス、投資の自由化を進めます。さらには、知的財産、電子商取引など、幅広い分野で新しい公正なルールを構築、そして、アジア太平洋地域に人口八億人、世界のGDPの四割を占める経済圏を誕生させます。
 我が国は人口減少時代に入りました。同時に、高齢化が進む中で、協定の発効により、日本の八倍の人口、六倍のGDP規模を有する世界最大の市場を相手にすることとなります。協定は、国内のサービス、製造業だけでなく農林水産業を活性化させることができ、我が国の経済成長に大きく資するものであります。
 さらに、重要なことがあります。それは、TPP協定は単なる自由貿易の枠組みではないということであります。この協定は、経済社会の基本的、普遍の価値を共有する国・地域が経済のきずなを深め合い、その輪を広げます。地域に平和と安定をもたらすという極めて戦略的な意義を持っております。
 北朝鮮による度重なる核実験や弾道ミサイルの発射実験……(発言する者あり)
#25
○議長(伊達忠一君) 静粛に願います。
#26
○三宅伸吾君(続) 中国の南シナ海における一方的な海洋進出、これらはアジア太平洋諸国にとって重大な脅威であり、大きな摩擦を引き起こしております。
 一方、TPP協定が目指す透明、公正なルールによる自由貿易は、言論の自由を基盤とする民主主義や基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的な価値観と極めて親和性が高いのです。この協定は、これらの普遍的価値観をアジア太平洋地域へと押し広げてまいります。軍事的な膨張主義、人権侵害の脅威に対抗し、地域に平和と安定をもたらします。
 自由貿易を促進し、法の支配などの普遍的価値観を拡大する、これは我が国の揺るぎない基本方針であり、背骨であります。米国の政治情勢によりTPP協定の早期発効が厳しい状況にありますが、我が国の基本方針は微動だにしません。させるべきでもありません。私たちは、今、戦いの中にいます。自由で公正な経済と、これに対峙する国家資本主義、保護主義との戦いであります。この戦い、何が何でも勝たねばなりません。
 TPP協定を、TPP協定を日本が早期承認する、それは、自由で公正な貿易・投資ルールを今後も我が国が力強く牽引する覚悟と決意を世界に向けて発信することにほかなりません。国家資本主義が今なお色濃い中国。米国においても保護主義の風が大統領選挙戦の公約を引きずる形で吹き続けております。こうした現状であるからこそ、我が国は、自由貿易、市場経済の旗手として、保護主義、国家資本主義の嵐の中で毅然と立ち、前へ進まなければならないと思うわけでございます。
 歴史は、歴史はめぐります。一方に向かった振り子は必ず揺り戻しが起きます。自由貿易、グローバリズムが再評価されるときが必ず来ます。そのとき、二〇一六年秋の日本の姿は高い国際的評価を受けることになるのは間違いありません。
 TPP協定の発効には各国の国内手続が必要です。しかし、この協定はこの手続の締切りを定めておりません。自由貿易の促進、普遍的な価値観の拡大、我が国が掲げてきた正義の旗を一ミリたりとも下ろしてはなりません。逆風であるからこそ、正義の旗は高く高く掲げなければなりません。
 我が国の、我が国の基本方針を具体化するTPP協定と関連法案、多くの議員に御賛同いただくようお願い申し上げ、賛成の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
#27
○議長(伊達忠一君) 辰巳孝太郎君。
   〔辰巳孝太郎君登壇、拍手〕
#28
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎です。
 TPP協定承認案及び関連十一法案に満身の怒りを込めて反対討論を行います。
 TPPに反対する最大の理由は、多国籍企業の利益を最大化する一方で、国民の暮らしや農業、医療などを破壊する最悪の貿易協定だからであります。
 政府は、トランプ米国次期大統領による明確なTPP離脱表明にもかかわらず、自由貿易か保護主義かと繰り返しながら、批准を強行しようとしています。しかし、今問われているのは、国内産業を衰退させ、とりわけ中間層の所得を奪い、格差と貧困を広げてきた自由貿易、新自由主義一辺倒の政策であります。TPPが国民生活を更に危険にさらすものだからこそ、米国でも日本でも、国民大多数に反対の声が広がったのです。
 そのような世界の潮流も分からずに、総理はTPPにしがみつき、批准することが、TPP並みのレベルの高いルールを締結する用意があり再交渉はしない意思を示すことになると強弁しています。
 しかし、そもそもTPP協定は、発効後も協議の継続が大前提です。しかも、関税と非関税障壁の撤廃の方向での協議だけが許され、後戻りはできません。結局、日本は米国をつなぎ止めるためにも更なる譲歩を重ねざるを得ません。また、米国が二国間協議を求めてきた際には、日本はここまで譲歩する覚悟があるということを示すことになります。TPP批准は、日本の経済主権を売り渡し、不平等条約への道を突き進むものと言わなければなりません。到底容認できません。
 委員会質疑を通じて、TPP協定の重大な問題点が明らかになりました。
 第一は、TPPが日本の農業に壊滅的な影響を与えるということです。
 国会決議では、米、麦、牛・豚肉、乳製品、甘味資源作物など重要五品目は除外、再協議の対象とするとし、さもなければ脱退としています。ところが、政府は、除外はできないと知りながらTPP交渉に臨んだのです。TPP参画協議にも従事した元農水省の作山巧氏は、国会決議が求めた除外はTPP合意にはない、国会決議が一〇〇%守られなかったと断言しています。そして、その結果どうなったか。重要五品目約六百品目のうち、約三割で関税が撤廃、残りも無傷のものは何一つないことが明らかになりました。国会を欺き、国民をだましてTPP協定の採決を強行することは絶対に許されません。
 TPPは被災地の復興にも逆行します。岩手県議会では、先月、批准に反対する意見書が採択されました。福島県須賀川市議会でも、九月、全農産物の関税撤廃が迫られるおそれがあるとし、これでは地域農業は立ち行かないとの意見書が採択されました。十二月六日の参考人質疑でも、天笠日本消費者連盟共同代表は、被災者は放射能で汚染されていない野菜や果物を作り出すことに大変苦労をされており、TPPは生産者の努力を無に帰す可能性があると強い懸念を示しました。被災者の声に耳を傾け、被災地の復興を第一に考えるのなら、彼らのなりわいを根こそぎ奪うTPPは許されるはずがないではありませんか。
 第二に、TPPは米国や多国籍企業の要求を際限なく受け入れることになるということです。
 総理は国益を守ると繰り返しました。しかし、その言葉を到底信用できないことが、日本がこれまで米国の数々の身勝手な要求を受け入れ、命や暮らしに直結する制度がゆがめられてきたことからも明らかです。
 米国からの年次改革要望書では、日本の薬価に対し米政府と米製薬業界が異議申立てできる制度の創設が求められ、完全実施されました。医薬品が見込みを大きく超えて使われたときに価格を引き下げる市場拡大再算定制度も、米国側から繰り返し廃止すべきと求められてきました。TPP発効で医薬品の価格決定の手続について各国協議が約束され、さらに、サイドレターにおいて、将来の医療保険制度についても日米の協議事項を受け入れると表明をしております。これまで米国の言いなりに次々と要求を受け入れてきた日本が、条約という更に強力な枠組みの中で世界に誇る皆保険制度を守れる保証は全くありません。
 食の安全も既に脅かされています。現在、日本では使用上限を定める基準がないにもかかわらず、毒性が指摘をされているアルミニウム食品添加物を更に四品目解禁することをサイドレターで約束していることも明らかになりました。また、食品添加物にとどまらずに、外国貿易障壁報告書の中では、防カビ剤などのポストハーベストに関しても食品添加物指定をやめさせて表示をさせないように迫る米国の身勝手な要求がなされています。
 協定発効後に設置されるTPP委員会は、多国籍企業や経済団体の意見を聞く仕組みがあり、その下に置かれる二十二の小委員会や作業部会、とりわけ規制整合性小委員会は、関税と非関税障壁の撤廃を前提とした協定全体の見直しに関わります。これまでも屈辱的な譲歩を重ねている日本政府が、TPPでさらに米国と多国籍企業の利益のために、国民の命に関わる医療や食の安全を更に危険にさらすことになるのは明らかではありませんか。
 第三に、ISDS条項が司法権をもじゅうりんするこの問題です。
 投資家が国家を訴えることができる当規定に対し、政府は、日本は訴えられることはないと繰り返し答弁してきました。しかし、訴えられないというのは根拠のない楽観論にすぎません。そもそも、請求の妥当性は国際仲裁廷の判断に委ねられるものであり、現にNAFTAでは六十九件の提訴がなされ、先進国であるカナダ政府も米国企業に訴えられています。米国企業の提訴が圧倒的であり、勝訴したのは米国企業のみ。政府が言う濫訴防止は絵空事にすぎません。
 そして、政府は、日本の司法判断において勝訴し仲裁廷で敗訴した場合、条約を遵守する立場から、仲裁廷に従うとも答弁いたしました。ISDS条項が我が国の司法権さえ侵害するということを政府が認めたもので重大であります。司法権の独立さえ脅かすTPPを承認することは絶対に許されません。
 第四に、TPPによって必要な国内の規制も課税もできなくなることが明らかになりました。
 TPP協定の影響は、既に現時点においても我が国の政策決定に大きな影響を与えています。政府が検討している民泊新法において、当初は、安全衛生規制のために外国法人である民泊仲介業者にも国内の事務所設置を求めることが検討されていました。ところが、TPP協定に規定されている現地拠点設置要求の禁止規定に抵触するとして、検討項目から削除されました。TPPによって安全衛生規制ができなくなったのです。
 このことは、恒久的施設なくして課税なしという租税原則の下で、外国法人に対する課税の機会を縮小させることにつながります。これでは、世界で大問題となっている多国籍企業の租税回避を助長、野放しにしてしまうことになりかねません。
 最後に、与党の皆さん、このようなあらゆる分野で主権を損なう亡国のTPPに固執をするならば、TPPが最大の争点となった東北で与党の皆さんが大敗をした参議院選挙のような結果が今度は全国で起こるでしょう。
#29
○議長(伊達忠一君) 時間が超過しております。
#30
○辰巳孝太郎君(続) 今必要なのは、国民の暮らしや農業、医療制度を破壊して多国籍企業の利益を最大化する貿易ルールではありません。各国の経済主権と食料主権を尊重し、国民の暮らしを守る平等互恵の貿易、投資のルールこそ今求められているということを申し上げ、反対討論といたします。(拍手)
#31
○議長(伊達忠一君) 高木かおり君。
   〔高木かおり君登壇、拍手〕
#32
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
 私は、我が党を代表して、ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案について、賛成の立場から討論をいたします。
 TPPに関する議案が衆議院本会議を通過してから、ちょうど一か月となります。この間、本院のTPP特別委員会では十分な時間を掛けた審議が行われてまいりました。各党とも審議拒否を行わずに真摯に議論に臨まれた結果、本院では充実した慎重な質疑が行われたものと認識しております。
 TPPの原協定がシンガポール等の四か国の経済連携協定として始まってから十年、また、二〇一〇年三月にアメリカ等を加えた拡大交渉が開始され、我が国も十月に交渉参加検討を表明してから六年以上が経過しました。戦後の世界経済を支えた自由貿易の枠組みを守り、発展させるために、関係各国政府や各国議会が積み重ねてきた努力を無にしてはならないと考えます。
 一九四八年発足のガット、関税と貿易に関する一般協定は、第二次世界大戦の要因にもなった各国の保護主義を是正するためにつくられた仕組みです。この仕組みは、日本経済を含む世界経済の成長に貢献してきました。自由貿易体制は、世界の平和を望む諸国民に平和の恩恵を広くもたらすものであります。
 一九九五年に、ガットを発展的に解消する形でWTO、世界貿易機関が設立されましたが、二〇〇一年からのドーハ・ラウンドは、先進国と新興国の利害対立の結果、交渉が妥結に至っておりません。新興国を含むあらゆる国の国民が共に世界経済の成長の恩恵を受けられるよう、新たな枠組みが必要とされていたところであります。
 TPPは、WTOの下での多角的貿易交渉が停滞する中、世界中で進んだ地域経済連携協定の一つであります。先進国も新興国も含みながら、比較的合意の得やすい同じ地域ごとに自由で公平な経済ルールを締結する仕組みであります。現在では、世界全体を一気に自由化させるのではなく、地域ごとの経済連携で貿易の自由化を競おうという形が定着しています。
 こうした歴史的経緯を踏まえれば、たとえアメリカが大統領が替わったとしても、我が国を始めとする他のTPP加盟国がそう簡単にこの協定を諦めるべきではないことが分かります。TPPは、二十一世紀にふさわしい形で、アジア太平洋地域での自由貿易を発展させる協定であります。
 昨年十月のアトランタでの大筋合意から一年がたった今、トランプ次期アメリカ大統領はTPP反対を掲げております。ヨーロッパではイギリスの国民投票でEUからの離脱が多数を占めるなど、世界中が内向きとなり、自由貿易体制に懐疑的な声も強まっています。そうしたときだからこそ、我が国がTPPに賛成の姿勢を明確にし、今後の世界経済の成長に向けて責任ある態度を示すべきであります。国際的な競争を嫌う国内の既得権の声だけによって、国際社会全体の基本原則を揺るがせるべきではありません。我が国を含め、どの国も、関税と補助金と参入規制によって存続している既得権を守り続けるだけの政治を続けるべきではないのです。
 TPP協定に対して、韓国、タイ、フィリピン、台湾等、TPP参加国以外の国や地域も関心を示しています。昨年の大筋合意をきっかけに、EUも日本とのEPAに一層前向きな姿勢となりました。その頃は中国でさえ、TPPについて開放的な態度を示しました。TPPは、将来において中韓も含めたアジア太平洋自由貿易圏をつくるための起爆剤となり得る内容の協定です。
 我が国経済への影響という点でいっても、TPPはもちろん大きなメリットがあります。日本国内で少子高齢化と人口減少が進む中、我が国が今後も中長期的に経済成長を実現するためには、成長著しいアジア太平洋地域の活力を取り込んでいくことが不可欠だからです。
 関税撤廃は、国内消費者へのメリットが特に大きいものです。農産物価格の下落等、国民の目に見える効果への期待があります。食料品ごとに消費税で不公平な軽減税率を設けるより、関税が撤廃される方が国民にとって納得感のある生活支援策になるはずです。
 もちろん、輸入食品の安全性は最優先で確保されるべきであります。また、正確で詳しい食品表示が行われることによって、消費者の選択の自由が保障されるべきであります。この点は、既に衆議院の附帯決議におきまして、遺伝子組換え食品の表示義務を含めた記述が盛り込まれております。今後、こうした表示義務を一層具体化していくべきであります。
 TPPは、これまで国内市場を中心に活動していた中小企業や農家にとっても極めてメリットの大きいものです。TPP協定の第二十四章は、特に中小企業について言及しております。そこには、各締約国が小委員会を設置して、中小企業が本協定による商業上の機会を利用することを支援する方法を特定することと規定されており、中小企業への配慮も十分に行われた協定となっております。
 例えば、加盟国には貨物について迅速な引取り許可が義務付けられます。これによって、通関手続が非常に迅速化、透明化されることになるのです。こうした制度によって海外取引上のリスクが大幅に下がるので、中小企業でも輸出が容易になります。迅速通関は、特に生鮮食品の輸出を大きく促進するものと期待されます。
 現在のTPP協定とその対策については、改善すべき点もあります。我が党は、農業分野でのいわゆる重要五品目を聖域とする国会決議には反対いたしました。トランプ次期大統領の下、アメリカの次期政権は、日本の農産物市場に一層の改革と開放を求めてくる可能性もあります。現在のTPP協定で我が国の農業の関税撤廃率が低いことを国益とみなすべきかどうか、今こそ真剣に考え直すべきです。
 今後、農業の国際競争力を付けるために、企業の農地所有や農協への独占禁止法の適用等、一層の競争促進を図るべきであります。経営安定化対策も担い手農家に限定し、生活に困らない二種兼業農家については大胆に見直していくべきであります。こうした改革は常に続ける必要があります。
 我が党は、TPP協定に一貫して賛成してきた唯一の政党であります。今後も、我が国の中長期的な経済成長と世界平和のために、自由貿易原則を守り、国内の既得権を打破する改革を続けてまいります。
 以上をお約束して、賛成討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
#33
○議長(伊達忠一君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#34
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 まず、環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件の採決をいたします。
 足立信也君外六十一名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本件を承認することに賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#35
○議長(伊達忠一君) 速やかに投票してください。──速やかに投票してください。──速やかに投票しないのであれば、このままでは投票時間を制限せざるを得ません。──速やかに投票願います。──ただいま行われております投票につきましては、自後二分間に制限いたします。時間が参りましたら投票箱を閉鎖いたします。速やかに投票してください。──制限時間があと一分になりました。
 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#36
○議長(伊達忠一君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#37
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十五票
  白色票          百六十五票
  青色票            七十票
 よって、本件は承認することに決しました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#38
○議長(伊達忠一君) 次に、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の採決をいたします。
 足立信也君外六十一名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#39
○議長(伊達忠一君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#40
○議長(伊達忠一君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#41
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十五票  
  白色票          百六十五票  
  青色票            七十票  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#42
○議長(伊達忠一君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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