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1947/06/15 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 厚生委員会 第9号
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1947/06/15 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 厚生委員会 第9号

#1
第002回国会 厚生委員会 第9号
昭和二十三年六月十五日(火曜日)
    午後一時四十分開議
 出席委員
   委員長 山崎 岩男君
   理事 有田 二郎君 理事 中嶋 勝一君
   理事 田中 松月君 理事 山崎 道子君
   理事 武田 キヨ君 理事 徳田 球一君
      井上 知治君    村上 清治君
      師岡 榮一君    小野  孝君
      最上 英子君    野本 品吉君
      松本 眞一君    齋藤  晃君
      榊原  亨君
 出席政府委員
        厚生事務官   久下 勝次君
 委員外の出席者
        專門調査員   川井 章知君
六月十四日委員降旗徳弥君辞任につき、その補欠
として周東英雄君が議長の指名で委員に選任され
た。
    ―――――――――――――
六月十一日
 厚生年金保險法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出)(第一三一号)
同月十二日
 國民健康保險法の一部を改正する法律案(内閣
 送付)(予閣第一〇号)
同月同日
 恩給増額に関する請願(河合義一君紹介)(第
 一三二二号)
 大都市における庶民住宅に関する請願(門司亮
 君紹介)(第一三二七号)
 社会福祉事業費國庫補助増額の請願(池谷信一
 君外十一名紹介)(第一三二八号)
 藥事法の一部を改正する請願(田中松月君紹
 介)(第一三四五号)
 療術師法制定の請願(榊原亨君紹介)(第一三
 七三号)
 同(野本品吉君紹介)(第一三七四号)
 社会事業法改正に関する請願(田中松月君紹
 介)(第三八一号)
 社会事業共同募金法制定に関する請願(田中松
 月君紹介)(第一三八二号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 藥事法案(内閣提出)(第八八号)
    ―――――――――――――
#2
○山崎委員長 ただいまより会議を開きます。
 藥事法案、麻藥取締法案及び大麻取締法案を一括議題に供し質疑を継続いたします。質疑は通告順に許します。師岡委員。
#3
○師岡委員 同僚の委員によりまして、かなら廣汎にわたつた御質問が行われておりますので、私はなるべく重複を避けて主要な点だけをお尋ねしたいと思います。
 第一は医藥分業の問題でございますが、この問題は医師及び藥剤師の業権問題として考えておるのではなくして、私どもはあくまでも両者の機能をそれぞれの分野において活用いたしまして、医療内容の向上をはかることに重点が置かるべきものであつて、医療制度の改善の基本的課題であると考えますが、これに対しまして政府はどういうふうなお考えをおもちになつておるか、伺いたいのであります。さらに政府は今ただちに医藥分業制度を実施することのできない理由の一つといたしまして、藥局の普及せざることをあげておられます。現在のごとき医藥兼業制度のもとにおきましては、藥局が農山漁村にまで普及することは、百年河清をまつにひとしいと思います。藥局は現在の情勢のもとにおきましては、ますます都市に集中いたしまして、逐には藥局の経営難に陷り、あたら修得いたしました藥学が、用うるに途なきに至らんことあるをおそれるのであります。そのことはただに藥剤師のためのみならず、國家全体といたしましてもまた大いなる欠損であることを免れることはできないと思います。分業制度の実施の日をますます延長する結果ともなります一面、藥剤師をして國民の保健衞生に寄與貢献せしめ得ざることとなるのであります。よつて政府は藥局の偏在を防ぎ、これが普及をはかるべく格段の配慮が必要と存じますが、はたして政府はその用意ありや否やを伺いたいのであります。
 さらにかりに本委員会におきまして、可及的速やかに医藥分業制度として法制化することを要請するというような意味の附帶決議を付したといたしますれば、政府はこれに対して御同意なさる意思がありや否やをまず第一点としてお伺いいたしたいのであります。
#4
○久下政府委員 御質議の第一につきましては、師岡委員の御意見と全然同樣に考えておるのであります。あくまでもこの問題は医藥分業を徹底すべきかどうかということは、そのときどきの社会の実情に照しまして、そのすることが最も國民の福祉になるかどうかという観点から問題を解決したいと思つておるのであります。
 第二点の藥局普及についての用意があるかというお話でございます。この問題は非常にむつかしい問題であると考えるのであります。実は現行法におきましては、藥局開設を許可制度にいたしております一つの理由といたしまして、藥局の適正なる普及をはかるというようなことが考えられておつたのであります。開設の許可制度というようことによりましては、他の例でも同樣でありますが、それのみをもつてさような目的を達することは不可能に近いことであるということで、今回の法案では開設の許可を取止めているのであります。お話の通りに藥局の普及が行われますことが、医療制度の根本を解決する途であることは、私どももそう感じているのであります。ただ問題は藥局の普及が十分でない一番根本の理由は、藥剤師の数の不足ということでございます。現在三万七千人ほどの藥剤師があるのみでありまして、この程度の数をもちましては、すべての病院に必要な藥剤師が配置され、さらにまた独立の藥局が全國的に整備されるというようなことは、きわめて困難な事情であると思うのであります。さような意味合いにおきまして、まずこの問題の根本は、一つは藥剤師がもう少し多数できることを期待いたさなければならないと考えている次第であります。それ以外におきましては、別段具体的な施策を購ずることも、ただいまのところは考えておらないのでありますけれども、十分藥剤師会その他の方面とも御連絡を申し上げまして、藥局が國内に普及いたしますように、少くとも現在の範囲内においても適正な普及が行わるるような手段も十分研究もし、努力もしてみたいと存じている次第であります。
 それから第三に附帶決議についてのお尋ねでございました。決議の御趣旨にもよると思うのでございますが、私どもの考えといたしましては、医藥分業を徹底し、いわゆる強制分業を実施するというような時期は、ごく近い將來では今申しました事由も加わりまして、わが國の実情からはむつかしいであろうと考えているのであります。しかしながら再三申し上げておりますように、根本的には、藥剤師制度というものが存在をしております以上、またこれを國家が制度として公認をいたしております以上は、医藥の強制分業の方針に副つてすべての施策を講じてみようと考えております。
#5
○師岡委員 それでは無医村、無藥局村の医療制度を政府はどういうようにして、拡充しようとしているか、またこれらの現実に対しまして、いかに対処しているかということをお伺いしたいと思います。殊にこの現実は山村僻地という地形的な不利益の條件のために、医師とか、藥剤師とかいう人々の要望する社会的経済的要件に合致しないということが、そのおもな原因であると思うのでありますが、政府はこれに対しまして、速やかに有効適切な施基を講ずる意思ありや否やをお伺いいたしたいと思います。
#6
○久下政府委員 お尋ねの点は無医村と無薬局村と、二つにわけてお答えを申し上げた方がよろしいかと思います。無医村につきましては政府におきましても、数年前にすでに具体的な施策をとつたことがあつたのでありますが、その施策のみでは十分に目的を達し得ない。しかもいろいろな予算の関係等から、龍頭蛇尾に終つておりますことは、私としてはなはだ遺憾に思つているのであります。今回近く本國会におきまして御審議をいただきたいと思つて、準備を進めております医療法という法律案におきましては、さような点の解決のために、若干の考慮を拂つておるつもりでございます。すなわち医療機関におきましても、藥局と同樣に、一般的にはいわゆる自由な係業医制度を基本といたしております関係上、かような制度のみをもちましては、わが國の実情として、いわゆる無医村がまだ千六、七百存在しておりますし、医療機関がありましても、はなはだ不十分な医療機関、いわゆるりつぱな設備をもちました病院の制度は、ほとんど農村方面には普及しておらぬ状態であります。今日の進歩した医学をあまねく國民一般に及ぼすところまでまいつておらないと考えるのであります。これらの問題を解決いたしますために、若干の國庫補助をいたしまして、絶対無医村、相対無医村両方を含めました廣い意味の無医村に対しまして、医療機関を普及いたしますような考え方を今度の医療法案に盛つておるのであります。無藥局村につきましては、ただいまのところさような具体策を講ずるまでに考え方が熟しておらないのでありますけれども、これは一面におきまして、今申し上げたような病院制度が普及いたしますれば、当然病院の調剤所ができ、藥剤師がそこへ勤務いたしまして、本來の技能を活かしていける部面もあると思いまして根本的な解決とは思つておりませんけれども、さような面において相当の解決を期待しておる次第であります。
#7
○師岡委員 次に処方せん発行の義務を医師に制わせる問題につきましては、医師と藥剤師との間に相当意見の相違があるようであります。私は公正な第三者の立場から、また治療を受ける者の立場から意見を申し述べてみたいと思います。医療は國民生活における各人の職域の一分野でありまして、決して医師及び藥剤師の私有物ではないと私は考えております。治療対象が患者であり、國民大衆でありますから、從つて治療内容の公開はきわめて当然でありまして、今日処方せん発行の義務を云々するというような問題が発生しておることは、きわめて不可解至極のことと存じます。これに対して医師側の主張を要約いたしますれば、素人に調剤内容を知らしてもむだであるということが第一点。また第二点といたしまして、藥の内容を教えると、かえつて精神的に治療を妨げるおそれがあるというようなことを言つておるのでありますが、これは明らかに現代科学を無視した言い分でありまして、私といえども病人の精神的な面が重要であることは承知しておりますが、患者が自分自身どんな病氣にかかつていて、どんな治療を受け、公衆衞生上どうしなければならないかというようなことを知つておくことは、絶対に必要な事柄であろうと思います。從つて私は調剤内容をだれにもわかるように、日本文字で表示することにいたしますれば、結局治療の内容が明確になりまして、医師の責任が明らかになると思うのであります。これに対しまして政府はどういうようなお考えをもつておられまするか、御答弁を承りたいと思います。
#8
○久下政府委員 ただいまのお尋ねの問題は、これも近く御審議をいただく予定になつております医師法、歯科医師法に直接関係する事柄でございますので、またその際にいろいろ御質疑があることと存じますが、ただいまの案の程度におきまして進行しております考え方を、御質問がございましたから、お答えをしたいと思います。処方せんの発行の問題につきましては、いわゆる医藥の任意分業の問題として、この藥事法案及び医師法案、歯科医師法案を審議していただきました医藥制度調査会におきましても、非常な論議の焦点となりました問題であります。結論として到達しておりますることは、大綱においては御趣旨のような結論に相なつておるものと承知しておるのであります。すなわち処方せんの発行が從來あまり実際問題として行われておらなかつたというような点が指摘をされまして、処方せんの発行をもつと大いにやる必要があるというような意味合で、從來の処方せん発行に関する規定を形式の上において大分変えた規定をいたしているのであります。結論は処方せんが多数発行され得るようなことを期待した規定がなされているのであります。私どもといたしましては、この処方せん発行の問題は、やはり医藥制度の根本にふれることでありますので、十分愼重に考えているつもりであります。しかし非常にまれな場合ではありまするが、患者に処方せんの内容を知らせることによつて、その疾病の内容を知らしめることが治療上適当でないということがあることは、ただいま申しました医藥制度調査会の審議でも言われまして、さような趣旨の規定がはいつているのであります。具体的に申しますと、從來は診療所のないときは、処方せんを発行しなければならないというような、ごく軽い書き方になつておりましたのを、これを但書にもつてまいりまして、「但し診療上特に支障のある場合はこの限りにあらず」というようなことで、ただいま医師法案は進んでおります。すなわち「特に」ということが加わりました点、それから但書にもつていつたというようなことによつて、診療上支障のあることはきわめて例がな少いものであるというようなことが、大体において認定せられたように存ずるのであります。政府といたしましてもこの医藥制度調査会の御審議の結果を尊重し、これに同意をいたしまして、ただいま案を進めている次第であります。
#9
○師岡委員 次に治療対策についてお伺いいたしたいと思います。治療対策につきましては、積極的に面と、消極的に面との二通りあると考えますが、第一に大衆の健康保持のため、政府はでんな施策を講じておいでになるか。第二に、発生することあるべき疾病等に対して、政府はいかに対処せんとしているか。第三は、現に疾病に苦しむ人たちに対して、徹底的な治療の途が開けているかどうか。私は今日の状態は、この重大なる問題が医師と患者という局限せられた人たちにだけ押しつけられて、社会全体として解決すべき國家的方途が講じられていないと考えるのであります。從つて現代医学の恩惠に浴しているものは、一部少数の金持ちか、あるいはやみ成金に限られまして、一般まじめな勤労大衆は、実質的にはこの恩惠から隔離されていると考えるのであります。政府は新賃金ベースの設定にあたりまして、医療費がどのくらいの内容として計上せられているかということにつきまして、お答えを願いたいと思うのであります。
#10
○久下政府委員 非常に根本的なお尋ねでございまするが、ごく簡單に概略をお答え申し上げたいと思います。
 医療対策、治療の対策といたしまして積極面のお話がございましたが、これにつきましては御承知通り、全國的に保健所の整備をいたすことに相なつておりますので、かような線に沿いまして、いわゆる積極的な健康増進というようなことが、今後は從來と違つて一段と促進をせられるものと考えているのであります。第二段の発生せんとする疾病の予防についても、やはりこれらの機関が十分に活躍するものと考えておりまするけれども、特に結核その他のいわゆる國民病と言われるようなものにつきましては、專門の部局を設けまして、その方面において努力をいたしておりまして、殊に急性傳染病のごときに至りましては、すでに御承知のごとくに、非常に患者の発生が激減をしておるというような結果も最近現われているのであります。これらの面におきましては、さような一連の施策が、相当に近き將來に実を結ぶものと期待をいたしておる次第であります。次に疾病になりました者の治療対策でございますが、先ほど申し上げました病院、診療所の整備復旧というようなことによりまして、あまねく國民に医療の恩惠に俗せしめるようにしたいというのが私どもの考えでございまするし、またこれが実現を急速に期したいと思つている次第であります。かようなことは主として施設面と申しまするか、そういう方面からの施策でございますけれども、特に治療問題として大事なことは、医療費負担の軽減をはかるという経済的な面であると思うのであります。これにつきましては、現在御承知のように、一面において生活保護法の制度があり、さらに社会保險制度等が行われておりまして、ある程度の成積をあげておると思うのでありますが、必ずしもこれが十分に徹底していない向きもあると考えるのであります。さような意味合におきまして、すでに御承知だと思いますが、社会補償制度というような根本的な対策も現に研究調査をされておりますような次第でありまして、まとまりますれば、またいずれ國会の方でも十分御審議をいただくことと存じます。さような各方面からお尋ねの点につきましては、十分な努力をいたしておるつもりであります。
#11
○師岡委員 次に本案第二十二條の担書のうち、「自己の処分せんにより自ら調剤し、」とありまするけれども、これは大きな病院であるとかいうものは別といたしまして、中小の病院におきましては、実際上行われていないと考えます。たとえば看護婦であるとす、あるいは女中であるとかいうような人たちが、処方せんによつて調剤しているということが実情であろうと思うのであります。また考えを変えまして、医師みずからが調剤するということは、その医家自体の経済的自立の面から言つて、かなり不可能に近いのではなかろうかと思われるのであります。從いまして実情に即するように條文に修正を加える。たとえば「みずから調剤し」とありますのを、みずからの責任において調剤し、と改めるようなことにつきまして、もしわれわれがこういうような修正をしようとする場合におきまして、政府は御同意なさるかどうかという点について伺いたいと思います。
#12
○久下政府委員 お尋ねの点につきましては、私どもは、みずからの責任において、というような表現のし方をとることについてはいかがであるかという考えをもつているのであります。申すまでもなく、疾病に対する投藥をするために調剤をするということは、專門の知議技能をもつております者が、直接手をかけることが必要でございまして、もしも間違いが起りましたならば、單に責任を請うだけでは事柄が解決しないと思うのであります。さような意味合におきまして、あくまでも私は調剤の本質的なことは医師みずからやるというふうになすべきであると考えるおるのであります。
#13
○師岡委員 次に藥事委員会の構成及び運営に関しましてお尋ねいたしたいと思います。前に徳田委員から御意見がありましたが、私は大体においてそれとまつたく同感であります。ただ当委員会がきわめて重要であるという性質に鑑みまして、左の諸点をお尋ねいたしたいと思います。
 第一点は委員会は常置機関であると考えまするが、事務局設置にどんな構想をおもちになつているかということをお伺いしたいと思うのであります。
 第二点は委員の任命は厚生大臣が行うことになつておりますが、推薦母体があつて、その推薦を基礎として任命するかどうかという点についてお伺いしたいと思います。
 第三点は、第八條の「藥事、医事若しくは獸医事に從事する」云々と規定されておりますが、藥剤師及び医師もしくは獸医師でない者で、たとえば藥事労働者、あるいは労働組合の代表者、藥事労働者というような人も藥事從事者として委員の職につくことができると解釈して差支えないかどうかという点につきまして政府の御意見を拜聽したいと思います。
#14
○久下政府委員 藥事委員会に関するお尋ねの第一点であります事務局の問題でございますが、これは委員会に事務局をつけますことによりまして、独立した行政官廳になるというような一般の行政組織法との関係もございまして、この委員会はお話の通り、常任委員も設けまして常置的なものと考えて運用したいと思うのでありますが、その事務局としての仕事は、現在の藥務関係の事務をつかさどつております厚生省の職員がこれに当るというようなことで運営をしていきたいと思つております。
 それから第二の推薦母体についてのお尋ねでございますが、昨日厚生大臣からお答え申し上げました通り、私どもとしては法令にその規定はございませんでも、たとえば藥剤師、医師会、歯科医師会、國民健康保險組合、かような各種の團体の代表として選ばれた場合には、実際問題としてかような團体から推薦のあるものについて考慮するというふうにいたきいと思つております。
 それから第三に、藥業労働者を加えるかというお話でございますが、私どもとしては加える意向でございます。
#15
○師岡委員 次に第十三條の藥剤師國家試驗についてお伺いしたいと思います。試驗の執行にあたりまして、結局受驗者の良識を信頼いたしまして、いわゆる試驗地獄の弊を矯正する意味において、科目試驗制度を採用することが妥当と考えますが、政府の御意見を拜聽したいと思います。
#16
○久下政府委員 これは議論のわかれる点であるかと存ずるのでありますが、科目試驗制度にするということがいいかどうか、むしろ私どもとしては先般他の委員の方からお話がございまして、法律から各科目を書いてあることを除いたらどうかというような御意見がございまして、それに異存がないということを申し上げておるくらいでございまして、藥学教育のために、つまり國家試驗のために藥学教育が影響され、曲げられるというようなことを防ぎますためには、むしろさような科目制度にいたしませんで、総括的に藥剤師として、ほんとうに世の中に立つていくために必要な知識技能について試驗を行うというような考え方で運用をいたしまして、言いかえますれば、藥学校を出ておれば、十分まじめにその勉強さへしておれば、十分に合格し得るような意味において試驗を行うというふうにした方が、むしろ適当ではないかと考えておるのであります。
#17
○師岡委員 次に第二十條第二項に、藥局開設者に対しまして、毎年登録の更新を命ずる規定があるのでございますが、一体店舗の開設者に毎年更新の手続をふませることは、他に類例がないと考えるのであります。從つてその煩雜を避けますために、たとえば第一項を削除して、代りに都道府縣知事は必要と認むるときは随時藥局の点檢を行うというような意味で、いわゆる行政的な一つの処理方法として、これを残していただくような点で、これを御修正なさるような方法をお考えになつておるかどうかについてお伺いいたします。
#18
○久下政府委員 お尋ねの点につきましては、私どもはかように考えておるのであります。今回の藥事法におきましては、現行法の法律と違いまして、藥局の開設を届出、登録するというような制度に改めたのであります。一定の規格に合つておりさえすれば、登録はどんどん受入れるようにいたしたいと思つておるのであります。これをそのまま放置して、ただ積極的にこちらから見まわるというだけの制度にいたしますことは、詮ずれば藥局開設者が登録のときに要求されておりました要件を、常に満たしているかどうかということがはなはだ心もとない結果になると思うのであります。それを十分に遺憾なくやりますためには、都道府縣は非常に厖大な人員を擁して、ひとり藥局、医藥品の製造業その他が各方面にわたつて遵守いたさなければならないことになりますので、それのみをもつて目的を達することは、はなはだ困難な結果になりはしないかと思うのであります。その意味におきまして、もちろんさような点も今回の法律の中にも規定をしておりますように、藥事監視員というような制度を設けられることにもなつておりますけれども、一方におきまして藥局の開設者が、常に藥局として要求されております要件を満たしておるかどうか。この反省をして自主的に藥局を常に所要の要件を満たしていただきますようにしていただくために、やはり毎年々々の登録をしていただくということが必要がありまして、自主的にやつていただくとともに、そのひまひまに藥事監視員が見せていただくというような両面から目的を達したいと思つて、かような制度を設けたのであります。
#19
○松本(眞)委員 藥事法改正の御趣旨といたしまして、戰時中の官治統制的な立法を廃して、斯界の自治的な日本経済の再建に役立つように取計らつたというようになつておりますが、その趣旨に矛盾しているように思われる点があるのであります。なおまた竿頭一歩前進をしていただきたいと思うような点があるのであります。すなわち改正法案の第四十一條、第四十四條によりまして、問題の各種特効藥の流行に便乘する不良藥品の取締りを嚴重にした理由はよく了解できるのでありますが、大衆の医藥知識の向上と相まつて大衆化され、購入する大衆みずから識別力をもつようになつてきておりますところのスルフアミン剤等々の販賣取締りについて、かように注文列記制をとらないで、不良藥を濫賣せしめないという取締り趣旨と、幾多の不便を大衆に轉帰せしめないようにすることの矛盾を調和するために、すでに藥品中で大衆化されつつあるものは、その販賣方法を藥事委員会に一任されてはどうかと思います。
 それから次に藥剤師の身分確立についてでありますが、大衆、殊にインフレにあえぎ、栄養失調に泣く勤労大衆家族の保健を担当する藥剤師の責任は、この時局に際していよいよ重大さを加えてきたのでありますが、この法案を全体的に見ますと、その責任の重大さを取締りの嚴重さに帰着せしめただけのように思われて、その責任の重大さとそれに伴う地位に対して、医師、歯科医師と同じように、大衆をして尊敬と信頼感を得せしめるような、すなわち藥剤師をして一つの矜持をもたしめ、その職責の遂行に至誠と熱情を傾け盡さすべきところの精神的な立法趣旨がにじみ出ていないように思われるのであります。政府委員の御説明によりますと、当分の間は別な藥剤師法を制定する意思がない、このままで通すつもりであるというように伺えたのでありますが、そうすると本法案の制定によつて將來藥剤師法制定の前提をなす明文一項を挿入すべきではないかと思われるのでありますが、政府はこの法案で足れりとしておられるかどうか。それから現行法第二條では、藥剤師の重責を了解しておるのに、改正法案では單に医藥品の取扱いを規整するだけであるのみか、かえつて空氣試驗とか、飲食物試驗とかの藥事衛生を省いているのはどういうわけでありますか。それを伺いたいと思います。
#20
○久下政府委員 御質問の第一点につきましては、具体的な御趣旨が十分了解できなかつたかと思いますが、四十一條あたりのスルフアミン剤に対してのお尋ねがあつたようでありますから、その点について申し上げてみたいと思います。私どもといたしましてはこの法案の制定の根本の趣旨は、ただいま松本委員のお述べの通りに考えておるのでありまして、ただそれはあくまでも國民の保健衛生の向上という大きな命題に副うように考えておるつもりでございます。さような意味合から申しますと、ある程度この法案によつて從來より不便であるというようなことがないとも申されないのであります。今御指摘のスルフアミン剤についても、さような結果になると思うのでありますが、この規定を設けました趣旨は、これをただ單に個人の一般の人たちの自由なる使用に任せますると、いわゆる菌に対する抵抗力を増したり、その他の副作用も考えられる場合もありますので、さような特殊なものにつきましては、御趣旨の通りに藥事委員会の意見を聽きまして、厚生大臣が指定をし、直接一般の人に医師の処方せんまたは指示なしに賣らせないようにしたいというような考え方でございます。
 次に藥剤師の責任についての重要さとその地位についての認識がこの法案に出ていないように思われるというお話がございましたが、私どもといたしましては、藥剤師法として身分法を独立せしめませんで、この法案の中に取入れましたのは、ただ單に法律の形式の問題だけであると考えておるのであります。藥剤師が公衆衛生の方面におきまして、重要なる地位と責任とをもち、また現にその責任を果しつつありますことについては、十分これを認識しておるつもりでありますし、將來ともますますその方面に対しまする御協力をお願いするつもりでおるのであります。御指摘のこの法案の中にその趣旨が現われていないというのは、どういう点をお指しなにつたお話でありますか、氣持におきましては御質疑の点と何ら変つた氣持をもつておりませんことを申し上げたいと思うのであります。
 それから藥剤師の任務につきまして、衛生試驗その他のことが出ていないがどうかという御趣旨でございましたが、この点はこの藥事法という法律を掲げる意味において必要な点だけを掲げたいという趣旨でございまして、もちろん御指摘のような業務を藥剤師が担当し、大いに社会、國家のために貢献をしておられるということは、私どもとしても認識をいたしておるのであります。その氣持を現わしますため、第二條の点にも「主として」というような言葉を入れておりますのはそのためであります。御趣旨のような線にそい、ますますそういう方面への御援助を期待しておる次第であります。
#21
○松本(眞)委員 第二條第七号でありますが、そのうち「魅力を増し」という点はどういう魅力を増すのであるか、お伺いいたします。
#22
○久下政府委員 この「魅力を増し」という言葉を入れましたのは、たとえば皮膚、いわゆる下着等に香水などをかけることを申しておるわけであります。決してこれはほかの言葉の美化するとか、清潔にするとか、容貌をかえるとかいう言葉には該当いたしませんが、そういうことが使われますので、加えたのであります。
#23
○松本(眞)委員 第八條の藥事委員会の構成のことにつきましてお尋ねしたいのでありますが、構成の按分比例が藥剤師界から二分の一とるとか、その他どういうふうな按分比例でやるのか、今腹案があるばお伺いしたいのであります。
#24
○久下政府委員 ただいまのところ、まだそこまで具体的な方針をきめておらないのであります。ただ第十條あたりで御覧をいただきますとおわかりのように、藥剤師國家試驗小委員会は最少十七名の委員をもつて構成したいと思つておりますが、この小委員会のごときに至つては、ほとんど藥学の人がこれにはいると思うのであります。その他はもちろん性格が少し違いますので、さような点を具体的に考慮いたしまして、各方面の御意向が十分公平にお聽きできますようにいたしたいと考えております。
#25
○松本(眞)委員 次に法文の解釈でございますが、第六十五條の規定によりまして、本年三月卒業した藥学生の成年者は、既得権によつてそのまま無試驗で免許証がいただけると思いますが、未成年者はどうなるのでございますか。
#26
○久下政府委員 現行法によりまして、実質的には免許を受ける資格がありますけれども、ひとり未成年などのゆえをもつて免許を受けられない人の取扱いにつきましては、実は当初はそれほど多数の該当者はないものと考え、何とか事前に処理ができると思つて、特別な規定を設けなかつたのでありますけれども、この点につきましては、先日有田委員からの御質疑もございまして、國会の法規におきまして、その問題につきまシて御修正をされるということでありますれば、私どもといたしましては、賛成をするというような氣持でおります。さような取計らいにしていただけば好都合かと思つております。
#27
○山崎委員長 松本君にちよつと御相談申し上げます。速記の関係で一應これで散会して、あとは懇談会にしたいと思いますが、いかがですか。
#28
○松本(眞)委員 それで結構です。
#29
○山崎委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。
    午後二時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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