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1947/12/05 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第72号
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1947/12/05 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第72号

#1
第001回国会 本会議 第72号
昭和二十二年十二月五日(金曜日)
    午前六時二十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第七十一号
  昭和二十二年十二月五日(金曜日)
    午後二時開議
 第一 食糧管理特別会計法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 食糧管理特別会計が農業災害補償法により昭和二十二年度において負担する水稻共済に係る共済掛金の負担金の財源に充てるための一般会計からの繰入金に関する法律案(内閣提出)
 第三 財務局及び税務署に在勤する政府職員に対する税務特別手当の支給に関する法律案(内閣提出)
 第四 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 自由討議(前会の続)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(松岡駒吉君) 議員生方大吉君より辞表が提出されております。これにつきお諮りいたしたいと思います。この辞表を朗読いたさせます。
    〔参事朗読〕
   辞職願
       私儀
 一身上の都合により辞職致度此段及御願候
  昭和二十二年十二月四日
    群馬縣第一区選出
    衆議院議員 生方 大吉
   衆議院議長松岡駒吉殿
#4
○議長(松岡駒吉君) 生方大吉君の辞職を許可するに御異議ありませんか。
     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
#5
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。
     ――――◇―――――
#6
○議長(松岡駒吉君) 去る十一月二十日、二十一日の議場内における倉石忠雄君、有田二郎君及び山口六郎次君の行動は、議長において、はなはだしく不穏当なるものと認め、右三君を懲罰委員会に付します。
     ――――◇―――――
 第一 食糧管理特別会計法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 食糧管理特別会計が農業災害補償法により昭和二十二年度において負担する水稻共済に係る共済掛金の負担金の財源に充てるための一般会計からの繰入金に関する法律案(内閣提出)
 第三 財務局及び税務署に在勤する政府職員に対する財務特別手当の支給に関する法律案(内閣提出)

#7
○議長(松岡駒吉君) 日程第一、食糧管理特別会計法等の一部を改正する法律案、日程第二、食糧管理特別会計が農業災害補償法により昭和二十二年度において負担する水稻共済に係る共済掛金の負担金の財源に充てるための一般会計からの繰入金に関する法律案、日程第三、財務局及び税務署に在勤する政府職員に対する税務特別手当の支給に関する法律案、右三案は同一委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員会理事早稻田柳右エ門君。
  ―――――――――
 食糧管理特別会計法等の一部を改正する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
  ―――――――――
 食糧管理特別会計が農業災害補償法により昭和二十二年度において負担する水稻共済に係る共済掛金の負担金の財源に充てるための一般会計からの繰入金に関する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
  ―――――――――
 財務局及び税務署に在勤する政府職員に対する税務特別手当の支給に関する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号に掲載]
  ―――――――――

    [早稻田柳右エ門君登壇]
#8
○早稻田柳右エ門君 ただいま議題となりました食糧管理特別会計法等の一部を改正する法律案外二件につきまして、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、第一案の、食糧管理特別会計法等の一部を改正する法律案でありますが、これはさきに決定いたしました昭和二十二年度産米及び甘藷生産價格の引上げに伴う措置でございまして、すなわち、米及び甘藷等の買入價格の大幅引上げによつて、現行の食糧管理特別会計法第四條の二に定めてある食糧証券の発行限度額二百億円をもつていたしましては、食糧買入れの円滑な操作が不可能であります関係上、今回この限度額を四百億円に引上げる必要がありますので、これに関する所要の改正を行わんとするものであります。なお、この機会に、食糧管理特別会計法の規定内容を、さきに制定いたしました財政法の規定の趣旨に適合するように、所要の改正を加えんとするものであります。
 次に、國有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げますと、國有林野事業特別会計は、本年度新たに設置されました会計でございまして、その收支状況は、價格改定等に基く人件費、物件費の増嵩によつて歳出の増加を必要とする反面、業務收入の増加がこれを賄うに足りない状況であります。從つて、当初予算において計上いたしました一般会計に対する益金の繰入れも不可能となるのみならず、歳入不足を招來する状態となつてまいつたのでございます。從つて、この際さしあたりの措置として、今回この会計の製品の前年度比較増加額を見返りといたしまして借入金をいたし、斫伐に要する経費等を支弁し、この会計の運営を円滑にいたさんとするものであります。
 次に、食糧管理特別会計が農業災害の補償法により昭和二十二年度において負担する水稻共済に係る共済掛金の負担金の財源に充てるための一般会計からの繰入金に関する法律案について説明を申し上げます。
 食糧管理特別会計におきましては、今期國会において成立いたしました農業災害補償法第十二條第一項の規定によりまして、農業共済組合の組合員の支拂うことになります水稻の共済掛金の一部を負担することになるのでありまして、その負担金につきましては、さらに食糧の消費者に負担せしめる旨が規定されてあるのでありますが、本二十二年度における負担金につきましては、これを消費者に負担させることは困難な実情にありますので、同法の附則第百五十條をもつて特段の規定を設けて、消費者に負担せしめないことといたしました関係上、六億百十余万円の負担金は、事実上食糧管理特別会計の負担となる筋合でありますが、同会計收支の現状よりしましては、その負担金の財源は、これを一般会計から繰入れるのやむない実情にあるのであります。しかして、この繰入れをいたしますには、法律をもつてその旨の規定を設ける必要がありますので、この法律が提出された次第であります。
 この両法案は、去る十二月三日提案の理由の説明を聽き、翌四日と二日間にわたつて審議いたしましたが、別に異論もなく、討論を省略、採決いたしましたところ、全会一致をもつて可決いたしたのであります。
 次に財務局及び税務署に在勤する政府職員に対する税務特別手当の支給に関する法律案について簡單に申し上げます。
 税務職員の從事する国税の調査、檢査または滯納処分事務等が、納税者の各般にわたる業務の実態を捕え、これを複雜な税法に從つて処理していくということについては、相当高度の知識と技術を要するのであります。また個人の機密に属する金銭的問題に深く立ち入る関係上、困難の多い仕事なのであります。特に最近インフレの高進に伴い、所得階層に激変を來しておるにもかかわらず、國民経済の相当部分がやみに依存しておるため、課税物件を的確に捕捉して、課税の適正公平をはかることは、きわめて困難となつております。さらに、國民の租税負担が最近の財政事情により著しく加重せらるる一方、國民生活が最近における社会情勢により窮迫を告げておる関係上、税務職員の職務執行上、金銭的誘惑はもとより、身体又は生命に対する危險の発生する場合が少くない現状にあるのであります。かかる現状にあつて、なお本年度下半期に千九十億円程度の租税收入を確保し、百億円を突破する滯納額を整理することは、まことに容易ならざることであるのであります。これがために、政府といたしましては、納税に対する全國民の深い理解と協力を得たいと考え、全國的に活発なる納税運動を推進したい所存でありますが、これと同時に、税務職員の官紀を大いに振粛するとともに、その志氣を鼓舞し、もつて課税の徹底を期したい所存であります。かかる現状鑑み、この際税務職員に対し、その職務に精励し得るように、その職責に應ずる特別の手当を支給し、大いに事務能率の維持向上をはからんとするものであります。
 以下、本案の内容を申し上げますると、税務職員が出張して、國税の調査、檢査事務に從事するときは、その從事日数一日につき、その職員の受ける本俸、暫定加給及び暫定加給臨時増給の日額四割を、また滯納処分事務に從事いたします場合は、その五割を支給することとし、これら事務の執行にあたり、その者の生命または身体に著しい危險を及ぼすおそれがあると認められました場合は、一日につき、さらに五十円を加算して支給することとして、本年十一月一日にさかのぼつて実施することと相なつております。なお、これにより必要な経費は、本年度において八千二百万円、平年度において一億九千八百万円の見込みで、本年度分の経費につきましては、近く提出される予定になつている補正予算に計上いたしてあります。
 本案は、十二月二日本委員会に付託されまして、四日提案理由の説明を聽取し、ただちに審議にはいつたのでありまするが、二、三簡單な質問があつた後、税務職員の待遇改善とともに、一方において、最近惡化しつつある税務職員の徴税態度の粛正を要望する旨の希望意見等が述べられ、続いて討論を省略して採決をいたしましたが、全会一致をもつて原案通り可決いたしました。
 以上、簡單でありますが、委員会の経過並びに結果を御報告申し上げます。(拍手)
#9
○議長(松岡駒吉君) 三案を一括して採決いたします。三案の委員長報告はいずれも可決であります。三案は委員長報告の通り決するの御異議ありませんか。
    [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#10
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて三案は委員長報告の通り可決されました。(拍手)
     ――――◇―――――
 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#11
○議長(松岡駒吉君) 日程第四、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。治安及び地方制度委員長坂東幸太郎君。
  ―――――――――
 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
    [坂東幸太郎君登壇]
#12
○坂東幸太郎君 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、治安及び地方制度委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本改正案は、去る十月十一日本委員会に付託され、十月十六日内務大臣及び政府委員から提案理由の説明を聽取いたしまして、後五回にわたり愼重審議いたしました結果、十月三十日、一應質疑を終了いたしたのでありますが、内務省解体に伴う関係法規が未決定であり、また地方自治法全般に対し修正をする必要が生じましたので、今日までその審査の終了を延ばしておつたような次第であります。
 まず、本改正案の要旨を申し上げますと、第一には選挙に関する規定でありまして、その一は、特別選挙権を附與する基準についての規定及び選挙人名簿の調製に関し有権者をでき得る限り漏れなく名簿に載せるために、從來の定時名簿主義を改めまして、随時名簿主義を採用するとともに、選挙権の要件たる年齢及び住所の期間は、選挙の期日によりこれを算定するようにいたしまして、もつて選挙の民主化をはからんとするのであります。
 その二は、選挙の公正を確保するために、同一の政党その他の関係團体に属する候補者の届出たものが三人以上各種立会人となることを禁止いたしまして、各政派の公正な立会のもとに選挙手続を執行せしめ、少数派の利益をも保護するに支障がないようにしたのであります。
 その三は、都道府縣及び市町村長等地方公共團体の長の選挙またはその決選投票において、立候補の届出期間経過後または決選投票の期日が決定してから選挙の期日の前日までに候補者が死亡し、又は候補者たることを辞したために候補者が一人となつたときは、選挙の期日を原則として延期し、さらに補充立候補の届出をさせ、または最初決選投票の候補者となることのできなかつた第三位以下の次順位の者を候補者に加えて選挙を行うこととし、なるべく偶然の事情により無投票当選となることを避け、できるだけ選挙人の投票によつて当選者を決定させようとしたのであります。
 その四は、町村の選挙につきまして、その選挙の実際から考え、立会人の届出期間及び補充立候補の届出期間を一日延長し、選挙の期日前二日までとしたのであります。
 第二は、議決機関及び執行機関に関する規定でありまして、その一は、地方行政機関の設置の最近の傾向が、地方自治を損うことの少くないという点に鑑みまして、政府が今後新たに國の地方行政機関を設けようとするときは、一定の機関以外のものはすべて國会の承認を経なければならぬこととし、かくのごとき國の行政機関の設置及び運営に要する各費用は國が負担することの原則を明かにしたのであります。
 その二は、都道府縣知事及び市町村長のいわゆる彈劾に関する制度の改正についてでありまして、國の機関たる地位における都道府縣知事が、法令の規定または主務大臣の処分に違反することがあると認める等の場合においては、主務大臣は文書をもつて当該事項を行うべきことを命じ、これに從わないときは、東京高等裁判所に当該事項を行うべき旨の裁判を請求し、その裁判にも從わないときは、東京高等裁判所に対し事実の確認を求めた上、みずから代執行をし、または内閣総理大臣においてこれを罷免することができるものといたしました。また市町村についても、都道府縣知事が右の場合と同樣に地方裁判所の裁判を基礎として、これに対して必要な事項の執行を命じ、代執行をなし、またはこれを罷免することができることにしたのであります。
 その三は、地方公共團体の議会が、当該地方公共團体の事務に関する調査のため選挙人その他の関係人の証言を請求する場合、新たに僞証罪の規定を設けたのであります。
 その四は、地方公共團体の議会の積極的な活動を助長するために、政府は予算の範囲内において、都道府縣の議会に対して官報及び政府の刊行物を、市町村の議会に対して官報及び市町村に関係があると認める刊行物を送付するとともに、都道府縣相互の間においては、公報及び適当と認める刊行物を他の都道府縣の議会に送付することとし、また地方議会には必ず図書室を附置することとしたのであります。
 その五は、地方議会の円滑な運営をはかるために、地方議会は都道府縣知事及び市町村長の予算編成権を侵害しない限度において予算の増額修正の権限を有することを、明文をもつて規定したのであります。
 第三に、財務に関する規定であります。その一は、地方公共團体に対し國の事務をいわゆる團体委任いたす場合におきまして、これに要する経費の財源について必要な措置を講じ、もつて地方財政の過重なる負担を避け、財政自主権の保障を厚からしめんとするとともに、國の行政機関が地方の公共團体の財産または営造物を使用するときは、当該團体の議会の同意がある場合のほかは、必ず國庫においてその使用料を負担すべき旨を明らかにしたのであります。
 その二は、地方債を不要許可とし、自由借入の建前をとることは、地方公共團体の自主自律を重んじ、地方公共團体の活動を活発ならしめるわけであります。現下の地方財政の実情及び金融界の状況等諸般の事情を考慮いたしまして、原則としては許可を必要としないが、当分の間所轄行政官廳の許可を受けなければならないことといたしたのであります。
 第四に、その他の改正事項といたしましては、地方公共團体の廃置分合及び境界変更は、法律または行政処分によつて行われるのであります。この場合において、関係地方公共團体の有する財産処分は、現在関係地方公共團体が協議してこれを定め、もしその協議が整わないときは、内務大臣または都道府縣知事がこれを定めることになつておりますが、これは適当ではないので、この種の規定を廃止することとし、廃置分合または境界変更は、必ず財産処分について協議が整つた上でこれを行うことを明らかにするとともに、また地方公共團体の自主性を尊重する趣旨より、支廳及び地方事務所の設置に関する條例並びに分担金、使用料及び手数料に関する條例は、不要許可といたしたのであります。以上が、本改正案の要旨であります。
 次に、本委員会において行われました質疑應答のおもなる二、三のものを申し上げますと、第一には、地方選挙に関し、從來の定時名簿主義をやめ、補充選挙人名簿の調製を選挙の都度行おうとすることは、選挙に参加し得る選挙人の範囲を拡大することになるから、選挙の民主化の上からいつても結構なことであるが、選挙の都度補充選挙人名簿を調製するために、その手数が多くかかり、そのために脱漏ができたり、二重投票ということが起りはしないかという質疑がございましたが、これに対して政府の答弁は、地方選挙のときの名簿は、定時名簿たる衆議院議員選挙のときの名簿を基礎として補充選挙人名簿をつくるのであるから、その補充する部分はごくわずかであるゆえに、大した手数はかからず、從つて脱漏や二重投票等の事柄も起らないと思うということでありました。
 第二は、地方公共團体の長の決選投票または選挙において、一旦有競爭の状況にあつたにかかわらず、事情により候補者が一人になつたとき、無投票当選とせず、選挙の期日を五日間延期して、第三位の得票者を候補者とし、または新たに補充立候補者を認めると言うが、五日間という短かい期間では、はたして立候補した人の力を十分に発揮させ、選挙人が立候補者について十分知り得るや否やについて疑問があるから、選挙の延長期間をもう少し延ばしたらいかんというところの意見がありましたが、これに対して、政府としては、選挙をあまり長く延ばしておくことはいかがと思う、かつまたあまり長くすると、前から立候補している人の負担を多くさせることになるから、五日間ぐらいの延長が適当と思うとの答弁がありました。
 第三に、都道府縣知事に対する彈劾の制度について、司法裁判所が行政上の行爲について事実の認定を行うことはいかがかと思うとの意見がありましたが、これに対しては、裁判所は行政官廳の命令をその前提として事実の確認を行うのであるから、司法権が行政作用を行うものでない旨の答弁がありました。また事実の確認については、彈劾裁判所によらず、煩雜な手数を避けて司法裁判所の確認によることは、府縣知事及び市町村長の身分に関して不安を抱かせるものではないかとの質疑に対しましては、政府は國の機関としての都道府縣知事及び市町村長の権限に属する事項についてのみ、法令の規定または主務大臣の処分に違反することがある場合に彈劾の事柄が起るのであり、またその手続を愼重にするために、催告を行つた上裁判所の判定をまつのであり、その結果、事実の確認を得た上で代執行なり罷免をするのであるから、その身分について不安はないというのであります。なお東京高等裁判所で裁判を行うことは、遠くの知事にとつて非常に不便であるから、東京高等裁判所と限定しないほうがよいという意見がありましたが、これに対して、政府においては、裁判の実例統一と、主務大臣が東京を離れて地方へ行くことは困難なために、東京高等裁判所としたという答弁があつたのであります。
 その他種々なる観点より質疑應答が交されたのでありますが、その中途におきまして、政府提出の改正案のみならず、地方自治法全條にわたり根本的檢討を加える必要が生じてまいりまして、ここに大修正を行うことになり、十二月四日の委員会におきまして、委員長より修正案が提出されたのであります。
 修正案のおもなる点を申し上げますると、第一に選挙に関する規定でありまして、その一は、特別選挙権についてでありますが、市町村と特別の関係あるものに対して議会の議決により選挙権を與えることは、いろいろな弊害も考えられるので、かかる規定を削除いたし、海外引揚者及び天災事変等により住所を移したものである限り、選挙管理委員会に申請することにより、ただちに選挙権を取得することができることとしたのであります。
 その二は、普通地方公共團体の議会の議員及び長の欠員の状態を長くおくことは好ましくないので、その選挙を行うべき事項が生じたときは、その日から六十日以内において速やかに行われなければならないものとし、また同趣旨からいつて、長の選挙に関する訴願の裁決は六十日以内、訴訟の裁決は百日以内にするように努めるものとしたのであります。
 第二に、議決機関及び執行機関に関する規定でありまして、その一は、市町村の廃置分合及び境界変更、郡の区域及び名称の変更並びに郡の区域の境界にわたつて設置された町村の属すべき区域等は、地方分権の趣旨を徹底いたしますために、関係市町村の申請に基いて、都道府縣知事が当該都道府縣の議会の議決を経てこれを決定し、内閣総理大臣に届け出るものといたしたのであります。また都道府縣の境界にわたる市町村の境界の変更については、関係のある普通地方公共團体の申請に基き、内閣総理大臣がこれを定めることとし、町または字の区域または名称の変更等は、市町村長が当該市町村の議会の議決を経てこれを定め都道府縣知事に届けなければならないものといたしたのであります。
 その二は、その一の修正に伴いまして、市及び町の設置が各府縣においてあまり異なることはいかがかと考えられましたので、市となるべき要件は法律でこれを定め、町となるべき要件は、当該都道府縣の條例でこれを定めることにいたしたのであります。
 その三は、地方公共團体の議会が、当該地方公共團体の事務に関する調査を十分に行うことができるようにするために、証人に対する僞証罪の規定のみではなく、さらに調査のために出頭または記録の提出を受けた選挙人その他の関係人が、正当の理由がないのに議会に出頭せず、もしくは記録の提出をしないとき、または証言を拒んだときは、六箇月以下の禁錮または五千円以下の罰金に処することとしたが、選挙人その他の関係人が公務員たる場合は当該官公署の承認を必要とすることにいたし、また國家祕密の漏洩に対する考慮をいたしたのであります。また議会は、これらの選挙人その他の関係人が不出頭、証言もしくは記録の提出の拒絶または僞証の罪を犯したと認めるときは、告発しなければならないものとし、議会の調査が終了前に自白したときは、告発しないことができることといたしたのであります。
 その四は、地方議会の活発なる行動を助長するために調査を行う必要があり、そのためには経費を要するので、予算の定額の範囲内において、当該調査のため要する経費を定めておかねばならないものといたしたのであります。
 その五は、都道府縣知事の罷免の前提となる裁判は東京高等裁判所となつておりますが、これは被告たる知事がみな東京まで出てこなければならず、妥当でないと思うので、裁判の性質上、被告たる都道府縣知事の住所地を管轄する高等裁判所において行うことといたしたのであります。
 その六は、地方自治の本旨に鑑みまして、第一に、地方公共團体は法令に違反しない限りにおいて、その事務に関し條例を制定することができることとし、この條例の規定に違反した者に対しては、一年以下の懲役、禁錮、十万円以下の罰金、拘留、科料及び沒收の刑を科することとし、第二には、地方公共團体の規則は、法令に違反しない限りにおいてこれを定めることができる旨を明らかにし、規則に違反した者に対しては、規則で二千円以下の過料を科することができることといたしたのであります。
 その七は、道府縣が部を設ける場合、各府縣においてあまり統一性を欠くことはいかがかと思われるので、法律で一定した、必ず置かなくてはならない部と、各道府縣の特別の必要から條例で置くことができる部との二種類に限定したのであります。
 第三に、財政に関する規定でありますが、その一は、いわゆる財政白書に関する規定でありまして、地方財政の状況を明白にすることは、地方自治の建前からいつても必要なので、普通公共團体の長は、條例の定めるところにより、毎年二回以上財政の状況を説明する文書を作成し、これを住民に公表しなければならないものとしたのであります。
 その二は、私人の公金取扱い及び営業免許等に関與する規定でありますが、私人または私的團体が公金の徴收及び支拂いを行うことは、いろいろ忌わしい事柄が起りやすいので、地方公共團体の長は、法律の定める場合を除いてはこれを行わせないこととして、また同趣旨に基いて、私人または私的團体の営業の免許その他これに類する処分等に関與させてはならないことといたしたのであります。
 第四に、その他の規定といたしましては、その一は、特別市に関する規定でありますが、特別市の指定に関する法律に対する投票は、当該都市のみであるか、あるいは関係都道府縣の選挙人によるか、明白でなかつたのでありますが、特別市に関する問題は、関係都道府縣にも関係が深い問題なので、種々の事情を勘案いたした結果、関係都道府縣の選挙人の賛否の投票に付されなければならないものといたしたのであります。
 その二は、地方公共團体の協議会の制度についてでありますが、協議会は各地方公共團体の自治的機関である性質に鑑みまして、これを法律で規定することをやめた次第であります。
 その三は、内務省解体に伴い改正せねばならない規定を、この際すべて整理いたした次第であります。
 以上が、修正案のおもなる点でありますが、本修正では、單に地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正のみでなく、地方自治法全條に対する大修正であり、各方面の意見をも参酌して決定いたしたのであります。
 本修正案は、十二月四日の委員会で満場一致をもつて可決せられ、ここに地方自治法の一部を改正する法律案は、治安及び地方制度委員会におきまして修正議決いたした次第であります。
 右、御報告申し上げる次第であります。(拍手)
#13
○議長(松岡駒吉君) 本案の委員長報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ございませんか。
    [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#14
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
    ―――――――――――――
#15
○安平鹿一君 自由討議はこれを延期し、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#16
○議長(松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。
    [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#17
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後六時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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