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2016/02/10 第190回国会 参議院 参議院会議録情報 第190回国会 国際経済・外交に関する調査会 第1号
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2016/02/10 第190回国会 参議院

参議院会議録情報 第190回国会 国際経済・外交に関する調査会 第1号

#1
第190回国会 国際経済・外交に関する調査会 第1号
平成二十八年二月十日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員氏名
    会 長         柳田  稔君
    理 事         上野 通子君
    理 事         滝沢  求君
    理 事         中泉 松司君
    理 事         小林 正夫君
    理 事         河野 義博君
    理 事         紙  智子君
                赤石 清美君
                石井 浩郎君
                石井みどり君
                長峯  誠君
                二之湯武史君
                羽生田 俊君
                福岡 資麿君
                三宅 伸吾君
                山田 修路君
                大野 元裕君
                加藤 敏幸君
                福山 哲郎君
                牧山ひろえ君
                山本 博司君
                市田 忠義君
                室井 邦彦君
              アントニオ猪木君
                浜田 和幸君
    ─────────────
   委員の異動
 一月四日
    辞任         補欠選任
     福岡 資麿君     古川 俊治君
     大野 元裕君     柳澤 光美君
     福山 哲郎君     相原久美子君
     牧山ひろえ君     長浜 博行君
     市田 忠義君     大久保 勉君
     室井 邦彦君     柴田  巧君
 一月二十日
    辞任         補欠選任
     柴田  巧君     市田 忠義君
 二月九日
    辞任         補欠選任
     羽生田 俊君     大沼みずほ君
     加藤 敏幸君     礒崎 哲史君
 二月十日
    辞任         補欠選任
     大沼みずほ君     羽生田 俊君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         柳田  稔君
    理 事
                上野 通子君
                滝沢  求君
                中泉 松司君
                相原久美子君
                河野 義博君
                紙  智子君
    委 員
                赤石 清美君
                石井 浩郎君
                石井みどり君
                大沼みずほ君
                長峯  誠君
                二之湯武史君
                羽生田 俊君
                古川 俊治君
                三宅 伸吾君
                礒崎 哲史君
                大久保 勉君
                小林 正夫君
                長浜 博行君
                柳澤 光美君
                山本 博司君
                市田 忠義君
              アントニオ猪木君
                浜田 和幸君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        松井 一彦君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       澁谷 和久君
       外務省経済局長  金杉 憲治君
       文化庁長官官房
       審議官      磯谷 桂介君
       厚生労働大臣官
       房総括審議官   勝田 智明君
       厚生労働大臣官
       房審議官     飯田 圭哉君
       厚生労働大臣官
       房審議官     森  和彦君
       厚生労働大臣官
       房審議官     吉田  学君
       厚生労働省医薬
       ・生活衛生局生
       活衛生・食品安
       全部長      福田 祐典君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   佐藤 速水君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   大澤  誠君
       農林水産大臣官
       房生産振興審議
       官        鈴木 良典君
       農林水産省生産
       局農産部長    天羽  隆君
       農林水産省生産
       局畜産部長    大野 高志君
       経済産業大臣官
       房審議官     若井 英二君
       経済産業省通商
       政策局通商機構
       部長       渡辺 哲也君
       特許庁長官    伊藤  仁君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国際経済・外交に関する調査
 (「国際平和と持続可能な国際経済の実現に向
 けた我が国外交の役割」のうち、我が国の経済
 連携への取組の現状と課題について)
    ─────────────
#2
○会長(柳田稔君) ただいまから国際経済・外交に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、谷合正明君、福山哲郎君、牧山ひろえ君、大野元裕君、福岡資麿君、柴田巧君、加藤敏幸君及び羽生田俊君が委員を辞任され、その補欠として山本博司君、相原久美子君、長浜博行君、柳澤光美君、古川俊治君、大久保勉君、礒崎哲史君及び大沼みずほ君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(柳田稔君) 理事の辞任についてお諮りいたします。
 小林正夫君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○会長(柳田稔君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に相原久美子君を指名いたします。
    ─────────────
#6
○会長(柳田稔君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国際経済・外交に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○会長(柳田稔君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○会長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#9
○会長(柳田稔君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国際経済・外交に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人の出席を求め、その説明を聴取することとし、その手続につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○会長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────
#11
○会長(柳田稔君) 国際経済・外交に関する調査を議題といたします。
 本日は、「国際平和と持続可能な国際経済の実現に向けた我が国外交の役割」のうち、「我が国の経済連携への取組の現状と課題」に関し、政府から説明を聴取した後、質疑を行います。
 本日の議事の進め方でございますが、内閣官房から二十五分程度、農林水産省から十五分程度、経済産業省から十分程度及び厚生労働省から十分程度それぞれ説明を聴取した後、二時間程度質疑を行いたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、初めに内閣官房から説明を聴取いたします。澁谷内閣審議官。
#12
○政府参考人(澁谷和久君) 内閣官房の澁谷でございます。着席のまま失礼いたします。
 お手元に内閣官房の資料、「TPP協定について」と題した資料がございます。これに基づきまして二十五分間で御説明をさせていただきたいと思います。
 表紙をめくっていただきまして、一ページ目でございます。TPP協定交渉の経緯でございます。
 もう今から三年前になりますが、二〇一三年の三月に安倍総理が正式に交渉参加を表明いたしまして、この年の七月、マレーシアのコタキナバルで我が国が正式に交渉に参加したわけでございます。その後、何回か交渉会合を重ねたわけでございますが、昨年の十月の五日、アメリカのアトランタにおきまして大筋合意を見たところでございます。また、先週、二月四日でございますが、ニュージーランドのオークランドで署名式が行われまして、これで協定の案文が確定したということでございます。
 二ページを御覧いただきたいと思います。
 TPP協定の意義と書いてございますが、経済連携協定なわけですけれども、十二か国ございまして、この十二か国、人口で八億人でございます。世界のGDPの四割、三千百兆円でございます。言うなれば、我が国の人口の八倍のマーケットを我々は目の当たりにするということでございます。
 それから、右下の方に、ちょっと小さくて恐縮でございますが、棒グラフがございます。FTAのカバー率というものでございます。我が国のFTAのカバー率、貿易に占めるそのFTA国との貿易の比率でございますけれども、日豪のEPAを結びましたので、それまでは一八%だったFTA比率が二二%まで上がっておりますが、お隣の韓国を見ていただきますと、既にもう六〇%を超えてございます。中韓がもう発効いたしましたので六〇%を超えているところでございます。アメリカが四〇%でございます。
 このFTAカバー率が低いとどういうことになるかといいますと、FTAを結んでいる国、FTAをたくさん結んでいる国に立地いたしますと、例えば韓国に立地いたしますと、韓国に工場があると、ヨーロッパ、EUにもアメリカにも無税で輸出できるということで、我が国の国内にあった企業が例えば韓国に流出するといったようなことが起きているわけでございます。
 このFTA、二国間のFTAというものは貿易の転換効果という効果を持っておりまして、FTAを結んでいない国から結んでいる国に産業拠点が移転するという傾向にございます。したがいまして、FTAのカバー率が低いままですと、我が国の産業の空洞化が強く懸念されるわけでございます。安倍内閣の成長戦略の基本方針はFTAカバー率を七〇%まで高めるということでございますが、TPPが発効いたしますとこのカバー率が三七・二%まで拡大いたしますので、まだまだ、遅れを取り戻すということではありますけれども、かなりの拡大になるわけでございます。
 次のページでございます。
 三ページでございますが、TPP協定の概要を一枚にまとめると、無理やりまとめるとこういうことになるわけですけれども、三十の章から成り立っております。交渉に参加する前は二十一分野ということを申し上げておった記憶がありますが、その後、交渉を重ねるにつれてチャプターが細分化されまして、最終的な条文は前文に加えまして三十の章で構成されているものでございます。非常に多岐にわたる分野でございます。環境とか労働といったような従来の通商協定にはないような分野もカバーする非常に幅広い分野ということが言えると思います。
 四ページでございます。
 TPP協定の特徴と書いたものでございますが、関税はまた後ほど御説明いたしますが、関税についても含めて高いレベルの自由化を実現したというところでございますが、我が国は農産品を中心にその中でも例外を数多く確保しているということでございます。
 それから、二つ目の丸でございますが、攻めの分野として、我が国は他の十一か国に対して工業製品を中心に関税の撤廃を強く迫りまして、ほぼ一〇〇%に近い関税撤廃を実現したところでございます。
 それから、ルールの分野でございますけれども、特にサービスとか投資の分野で、様々な我が国の特に中小企業などが海外展開をする上で非常に有り難いルールを数多く勝ち取ったところでございます。また、サービスや投資につきましては、ルールの交渉を行うだけではなくて、それぞれの国の投資やサービスを自由化するような、そういう市場アクセスの交渉も併せて行っておりまして、これについても数多くの約束を取り付けたところでございます。
 この箱の中に書いてあるところを若干御紹介をさせていただきますと、例えば投資というところがございます。投資というチャプターは、投資を受け入れる国が海外からの投資に対していろんなことを、注文を付けたりそういうことをしちゃいけないという、そういうルールでございます。投資先の国が投資企業に対して技術移転等を要求することを禁止とありまして、日本がどこかの国に投資をして工場を建てたら、技術移転をしろということを無理やりその政府から要求されるということがあってはならない、このTPPの十二か国はそういうことをしないということを約束する国なので安心して投資ができるということでございます。
 また、この投資のチャプターではいろんなルールが書いてございますが、例えば収用、公共事業などでその土地収用などをするときは適正な補償金を支払わなければならないという、我が国にとっては当たり前でございますけれども、こういうルールを明文化して確認をしないと日本以外の国では非常に危ないということもございまして、こういうルールを明確にしたということが我が国の企業が海外に出ていく後押しにつながるというふうに思っております。
 それから、貿易円滑化というチャプターがございますが、これはやや地味な章ではあるんですけれども、実は中小企業からの要望が数多くありまして、それにかなり応えた内容でございます。
 関税分類等に関する事前教示制度の義務付けというのは、これは、目立たないようですけれども、特に、中堅・中小企業などが自ら海外展開をするときに相手国に対して書類を提出するわけですけれども、関税分類とか原産地の規則が知らない間に変わっていて、さんざん待たされた挙げ句突き返されるということが現にあるわけでございますけれども、この事前教示を義務付けるということでそういう行ったり来たりがなくなるという、これは大筋合意後、中小企業を対象に経産省、ジェトロなどが説明会をしておりますけれども、非常に喜ばれている事項の一つでございます。
 その一つ上に、急送貨物の迅速な税関手続を確保するため、六時間以内の引取りを明記ということでございます。例えばメロンとか生鮮食品などを日本から輸出しても、税関でこれ、手続が単に遅いということもあれば、半ば嫌がらせということもあるのかもしれませんが、さんざんほっておかれてそのうち腐ってしまうということがありますと、農産品なんかの輸出がなかなかできないということになるわけですけれども、TPPの協定上はこれ義務化したわけでございまして、急送貨物として指定をした場合には六時間以内にリリースするということを各国の義務としたわけでございます。
 また、通常の貨物につきましては、これは義務規定ではありませんが、四十八時間以内にリリースすることを努力義務と、これも明記したものでございまして、WTOとかにはない新しい規定でございます。これでTPPの十二か国に関しては安心していろんなものの輸出ができるということでございます。
 ビジネス関係者の一時的入国につきましても、多くの国で滞在可能期間の長期化など、それから経済界から要望が強かった家族の同伴などについても認めていない国がありましたが、これも約束をしていただいたりしているところでございます。
 それから、電子商取引というチャプターがございまして、これもかなりテクニカルな章ではあるんですけれども、ソースコードの移転、アクセス要求の禁止と。これは実際にあった話で、新聞でも報道されていましたが、アジアのある国で日本の企業がソフトウエアを輸出、オンラインで輸出をしようとしたら、その国から、ソースコードというのは設計図のようなものなんですけれども、これを開示しないと輸入認めないという、そういうことを言われたということが報じられておりました。TPPの十二か国はそういうことをしないということを約束をする国だということで、これも義務規定として明記をしたところでございます。
 知的財産についても非常に数多くの規定を設けておりまして、特に模造品などに対する厳格な規律を設けております。また、ここに書いておりませんが、例えば、営業秘密を盗んだりした者に対しては刑事罰を科す、そういう制度をつくるということをこれも各国の義務としたものでございます。我が国は既に法律があるわけでございますが、まだアジアの国の中にはそういう制度がない国がございます。
 こういう制度を義務化したということで、こういう説明を中小企業の方などにいたしますと、これで安心して海外に投資ができるということを言ってくださる経営者の方が多数いらっしゃいます。
 長野県に従業員十五人という非常に小さな中小企業があるんですけれども、そこの社長さんがおっしゃっていましたが、医療機器といいますか、陶磁器の粉末で、これが防菌作用があるということで、これで医療用のマスクなんかを作っている、そういう企業なんですけれども、例えばベトナムのようなところに海外展開をしようとずっと思っていたけれども、果たして、投資に関してルール変更が急にされちゃうんじゃないか、あるいは自分たちの知的財産が守られないんじゃないかという懸念があって海外展開をためらっていたけれども、このTPPのルールができることで安心して展開ができると。このような声も聞こえてきているところでございまして、早速このTPPを活用して海外展開をしたいというふうに準備をされている企業の方が既に多数いらっしゃるという状況でございます。
 それから、一番最後に、ちっちゃい、二行だけ書いてございますが、原産地規則の完全累積制度、非常に分かりにくいんですけれども、原産地規則というのは、メード・イン・どこそこという、メード・イン・マレーシアと言うためには、マレーシアの国内でマレーシアのものを使って何割ぐらいまで積み上げないとマレーシア原産にしない。これは二国間のFTAではそういう原産地規則をずっと品目ごとに決めているわけでございますが、そういたしますと、例えばメキシコに自動車工場を大手のトヨタとかホンダが造るわけですけれども、メキシコの原産地規則が非常に厳しいので、部品メーカー、ねじを供給したりする日本の技術力を持った中小企業が日本からねじとかを輸出しますと、日本産になってしまってメキシコ産に積み上がらないので、結局ホンダとかトヨタがメキシコに工場を造ると部品メーカーも一緒にメキシコに移らなきゃいけないというのが今の現状でございます。
 TPPは、十二か国による多国間の協定であるというこのメリットを最大限に生かしまして、完全累積と言っていますけれども、メード・イン・TPPという概念、TPPの十二か国ならばどこで積み上げてもTPPの優遇関税の適用が受けられるということになりますので、メキシコに自動車工場ができても、日本国内の部品供給メーカーは日本にいながらにしてその出ていった自動車工場に部品を供給できるという。ハイテク、技術力を持った中小企業が、このままですとそういうところまでが空洞化してしまう危険性があるのをこのTPPのルールで何とか食い止めることができるんじゃないかという、そういうふうに思っているところでございます。
 五ページでございますが、TPPは成長戦略の重要な柱というふうに書いてございます。
 A社と書いてございます。これは実際に愛知県の一宮にある繊維の中堅企業でありますけれども、ベトナムに既に投資をしているところでございます。ベトナムはTPPを活用してアメリカに繊維製品を輸出するという期待を込めてこのTPPに参加しているわけでございますけれども、ベトナムには糸を紡いで布を織るような技術がまだ確立しておりませんので、日本のこの愛知県の中小企業は、ベトナムの国有企業があるんですけれども、軍服を作っている企業があるんですけれども、ここに投資をいたしまして、ベトナムの中でちゃんと普通の一般向けの繊維製品が作れるように今技術指導をしているところでございまして、TPPが発効すればここからアメリカなどの市場に向けて輸出する。
 アメリカにそういうものが輸出をされますと、今度は、ここから先はTPPとはまた別な世界かもしれませんが、日本の小売のノウハウを活用して更に付加価値を付けてということが可能になるわけでございます。そうすると、この技術は日本の愛知県の中小企業の技術を活用したものだということがアメリカの市場で知られるようになり、そうすると、今度は直接愛知県の企業に対して、うちにもこういうものを作ってほしい、こういうものを技術提供してほしいというような投資の話が舞い込んでくる。こうやってぐるぐると循環をしていろんなバリューを、新しいバリューを次から次へと生み出していくというのがこのTPPの最大のメリットであるというふうに考えているところでございます。
 六ページが衆参農林水産委員会の決議でございます。
 後ほどまた御質問をいただくと思いますが、七ページでございます。農林水産委員会の決議、その中のサブに関わるところが一から五でございます。
 一がいわゆる農産品の重要五品目でございまして、後ほど農水省の方から御説明があるかと思います。これについても関税撤廃の例外を数多く勝ち取ったということでございます。
 ちょっと順番に結果を御紹介いたしますと、二番が食の安全でございます。SPSとかTBTというチャプターに絡むことだと思いますが、食の安全に関してTPP協定の中に我が国の制度変更を求める規定は一切入っておりませんので、ここは全く大丈夫だということでございます。
 三番が合板と製材の関税でございます。マレーシアとカナダの合板、製材が、業界団体としては懸念を表明していたようでありますけれども、結果としてかなり長い期間のステージングを取っておりますし、非農産系では多分初めてだと思いますが、セーフガードを付けるなどかなりの配慮をした結果になっているところでございます。
 それから、四番目が漁業補助金でございます。環境というチャプターの中で漁業補助金についてどう扱われるかということが懸念されていたんですが、これは我が国が力強く主張をした結果、既に乱獲の状態にあるものを悪化させるような、そういう補助金だけが禁止でございますので、我が国の漁業補助金は全く問題がないという結論でございます。
 五番目が、また後ほど御質問があるかもしれませんが、ISDS条項について濫訴防止策を含まないのは駄目だということでございますが、過去のFTAにあるような濫訴防止策はほぼ全て取り込んでおりますし、TPPで初めてというようなものも含めて濫訴防止策は相当程度盛り込んでいるということでございますので、これも、むしろISDSは日本にとって攻めの分野でございますので、積極的な活用を期待しているところでございます。
 それから、八ページからは関税の話でございまして、もう既に御存じだと思いますが、関税撤廃率、我が国は九五%でございますが、ほかの国は九九ないし一〇〇ということですので、我が国がかなりの例外を確保したということでございます。
 九ページは、また農水省から御説明があるかもしれませんが、農産品について約二割ぐらい関税撤廃の例外を確保したということでございます。
 十ページがその詳細でございます。これはまた後ほど農水省の方からお話があるかと思います。
 十一ページちょっと飛ばしていただきまして、十二ページでございますが、昨年の十一月二十五日に総合的なTPP関連政策大綱というものを決定をしてございます。大きな柱が三つございまして、新輸出大国、グローバルハブ、農政新時代でございます。
 新輸出大国というのは、何が新かといいますと、これまでは大企業が輸出の担い手の中心であったわけですけれども、これからは中堅・中小企業も輸出の担い手に十分なり得るという、そういう認識でございます。
 まあTPPはともすればグローバル企業だけが利益を得るというような、そういう御批判をいただくわけでございますが、グローバル企業は既にグローバル化しているわけでございまして、むしろ、様々な海外展開に伴うリスクを自分でしょえない中堅・中小企業がルールが確立をすることによって安心して海外展開できる、これが彼らにとってのチャンスだというふうに我々思っておりまして、そういう中堅・中小企業の海外展開を様々な形で支援するような施策を盛り込んでいるところでございます。また、この新というのは、それだけではなくて、物だけではなくてサービス、コンテンツなどの輸出も積極的に行っていくという、そういう意味も含んでいるところでございます。
 二つ目の柱のグローバルハブでございますが、これは外に、海外に展開をしていくだけではなくて、それによって日本の中堅・中小企業の高い技術力が世界中に知られることになると、今度は逆に日本国内に対して一緒にやっていこうという投資が返ってくるのではないかと、そういう意味でこのハブという言葉を使わせていただいております。国内への投資を促進するような施策を各省で打っていくということがこの中に盛り込まれてございます。
 農政新時代につきましては、攻めの農業、それから重要五品目中心に発効後を中心とした対策を盛り込んでいるところでございまして、後ほど農水省から御説明があるかと思います。この政策大綱、十一月二十五日に決定をいたしまして、平成二十七年度の補正予算の中にこの関連予算として約三千四百億円の予算を盛り込ませていただいているところでございます。
 十三ページでございますが、TPP協定の経済効果分析を昨年の十二月二十四日に公表したところでございます。参加する前の三年前は関税が全て撤廃されるという、かつ対策は何も打たないという前提で計算をして三・二兆円のGDP増という、そういう試算であったわけですけれども、今回は関税引下げも含めた今回の合意内容をモデルに投入をして、さらに貿易のコストが下がること、また生産性が向上することなども、総合的な観点を盛り込みましてGTAPというモデルを回した結果、これGDPのベースでいいますと二・五九%の増、安定的な成長経路に乗った後ということですのでこれ時期はなかなか明示できないんですけれども、安定的な成長経路に乗った時点でプラス二・五九%、約十四兆円のGDPの底上げという、そういう結果でございます。
 十四ページがその解説でございます。
 それから、ちょっと飛ばしまして十六ページでございますが、この数字はいろいろ国会でも御議論の対象になっているところでございますが、世界銀行が先月公表した世界銀行の試算によりますと、我が国のGDPを二・七%の押し上げという結果でございますので、ほぼ私どもの試算と同じ結果になっているということでございます。
 ただ、この私どもの分析は予測ではないわけでございまして、TPPの効果を最大限に活用するという場合に、GDPをこういうメカニズムでこういうふうに押し上がるんだというメカニズムを表すことが分析の主眼でございます。国内の生産性を向上させること、また投資を増やすこと、そうしたことがGDPに効くんだということが明らかになったわけでございますので、これからそうしたことを重点的に、TPPを契機とした新しい成長に乗せるための政策を打っていくということが私どもの考え方でございます。
 最後に、十七ページでございますけれども、先週、ニュージーランドのオークランドで署名式が行われました。これがその際の閣僚声明の日本語訳でございます。下から二つ目の段落でございますが、「協定の署名は、重要な節目であり、TPPの次の局面の始まりを示す。我々の焦点は、現在、各国の国内手続の完了に向けられている。」ということでございまして、署名が終わりまして協定の案文が確定いたしましたので、関連法案の今準備をしているところでございまして、なるべく早く国会にお出しをして御審議をいただきたいと思っております。
 なお、ニュージーランドは、二月九日にTPPの関連の議案を既に国会に提出したというふうに承知しているところでございます。
 内閣官房からの説明は以上でございます。
#13
○会長(柳田稔君) ありがとうございました。
    ─────────────
#14
○会長(柳田稔君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、大沼みずほ君が委員を辞任され、その補欠として羽生田俊君が選任されました。
    ─────────────
#15
○会長(柳田稔君) 次に、農林水産省から説明を聴取いたします。佐藤大臣官房総括審議官。
#16
○政府参考人(佐藤速水君) お手元の青表紙の農政新時代というタイトルの資料に基づきまして御説明申し上げます。
 表紙をおめくりいただきますと、一ページ目でございますが、大筋合意の概要ということで全体の状況を書いてございます。
 上の表を御覧いただきますとおり、日本以外の全ての国がほぼ一〇〇%の関税を撤廃する中におきまして、我が国の撤廃率は九五%となっております。上の図の二段目には農林水産物の関税率がまとめられております。他の十一か国の撤廃率は、最低のカナダでも九四%でございますが、日本の撤廃率は八一%ということでございます。下の図にありますとおり、関税撤廃の例外とされました四百四十三品目は全て農林水産物でございます。
 二ページ目から五ページ目にかけまして、主要品目の交渉結果をまとめてございます。時間の制約もございますので、かいつまんで御説明申し上げます。
 二ページ目の最初の四つが米と麦でございます。米、麦につきましては、国家貿易制度を維持するとともに、枠外税率を維持いたしました。その上で、米につきましては、米国に七万トン、豪州に八千四百トン、また、小麦につきましては、米国に十五万トン、カナダに五万三千トン、豪州に五万トンという限定的な数量の枠を設定いたしました。なお、麦につきましては、国が徴収するマークアップを九年目までに四五%削減するということでございます。
 その次の五つが甘味資源作物でございます。砂糖、でん粉につきましては、現行の糖価調整制度を維持いたしました。その上で、加糖調製品や一部のでん粉につきまして一定量の関税割当て枠を設定してございます。
 三ページの牛肉でございますが、これにつきましては、米国が近年結んだFTAでは全て関税撤廃とされている品目でございますが、十六年目に最終税率を九%として関税撤廃を回避いたしました。また、輸入急増に対するセーフガードを措置してございます。
 豚肉につきましても米国から強い関税撤廃要求がありましたが、差額関税制度を維持するとともに、分岐点の価格を維持するということでございます。十年目までの長期の削減期間を設けまして、従価税は撤廃しますが、従量税はキロ五十円までの削減ということでございます。また、輸入急増に対するセーフガードを措置いたしております。
 乳製品につきましては、バター、脱脂粉乳につきまして、国家貿易制度を維持いたしております。生乳換算で七万トンの枠を設定もいたしております。この数量は、最近の追加輸入量の範囲内で設定しております。チーズにつきましては、日本人の嗜好に合うモッツァレラ、カマンベール等の関税は維持いたしておりまして、撤廃するものにつきましても長期の撤廃期間を確保してございます。
 四ページでございますが、畑作物、果樹についてまとめてございます。
 一番上のコンニャクイモ、それと下から二番目のパインアップル缶詰につきましては、関税は一五%の削減にとどめてございます。その他の品目は関税撤廃というふうになりますが、品目の事情に応じた撤廃期間を設けております。また、オレンジにつきましてはセーフガードを措置してございます。
 五ページの林産品に関しましては、合板、製材につきまして、輸入額の多い国、近年の輸入額の伸びの大きい国からの輸入につきまして、十六年目までの長期の関税撤廃期間と国別セーフガードを措置いたしております。
 水産品につきましては、魚種に応じて、アジ、サバ等に長期の撤廃期間を設けるとともに、特にセンシティビティーの高い海藻類につきまして一五%の削減にとどめているというところでございます。
 七ページでございます。七ページ以降、品目ごとの農林水産物への影響についてまとめてございます。TPPの交渉の結果につきましては品目ごとに異なるために、品目ごとに影響分析を行ったところでございます。
 具体的には、国内価格ですとか国際価格、輸入量などの客観的なデータを基にいたしまして、現在の輸入相手国の状況や置き換わりの可能性、国家貿易制度の下での輸入の可能性、過去の輸入量の推移、そういったものを踏まえながら影響の精査、分析を行っております。
 一の総括表でございますが、品目ごとの農林水産物の影響ということで、影響分析を行った品目について、特段の影響は見込み難いですとか、影響は限定的と見込まれる、あるいは国家貿易以外の輸入の増大は見込み難いといった影響ごとに区分をした上で、それぞれに該当する品目、それらについての対応方向について整理をいたしております。
 次の八ページでございますが、八ページから個別品目ごとの影響分析を掲載をしております。
 例示的に八ページの上の米について申し上げます。結果分析の欄を御覧いただきますと、米につきましては、これまでの基本的な輸入の枠組みは変更せず、現行の国家貿易制度の維持、枠外税率の維持など、多くの例外措置を獲得したところでございますので、国家貿易以外の輸入の増大は想定し難いということでございます。
 他方、国別枠によりまして輸入米の数量が拡大いたしますと、国内の米の流通量がその分増加することになりますが、そうなれば国産主食用米全体の価格水準が下落することも懸念されますので、備蓄運営による外国産米の主食用米生産に対する影響の食い止めの検討ですとか、更なる競争力の強化が必要と、こういうふうに分析をいたしております。
 以下、個別品目ごとに影響分析を掲載しておりますが、時間の関係で説明は省略させていただきまして、十六ページを御覧いただきたいと思います。
 昨年の十一月二十五日に、政府のTPP総合対策本部におきまして大綱が決定されました。大綱の三本柱のうち、農政新時代について御説明申し上げます。
 なお、十六ページの一番下になりますが、今後の進め方といたしまして、農林水産分野の財源については、TPP協定が発効し、関税削減プロセスが実施されていく中で将来的に麦のマークアップや牛肉の関税が減少することにも鑑み、既存の農林水産予算に支障を来さないよう政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保すると明記をされております。今後も政府としてしっかり予算を確保していくということを記述をしております。
 十七ページでございますが、農政新時代につきまして三つの目的を記述しております。生産者の不安の払拭、成長産業化に取り組む生産者の力の最大限の発揮、夢と希望の持てる農政新時代の創造という三つの目的、その目的を実現するために、経営安定・安定供給のための備え、攻めの農林水産業への転換、検討の継続項目という三つの施策の柱が掲げられております。
 十八ページ目でございますが、具体的な対策の中身でございます。次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成ということで、具体的には、意欲ある農業者の経営発展を促進する機械・施設の導入、無利子化等の金融支援措置の充実、十九ページに移りまして、農地の更なる大区画化、中山間地域等における担い手の収益力の向上、こういったことを推進することとしております。
 二十ページ目に移りまして、国際競争力のある産地イノベーションの促進ということで、具体的には、@にあります産地パワーアップ事業ということで、全ての農作物を対象として総合的に支援する事業を創設いたしますし、また、水田の畑地化、畑地・樹園地の高機能化を支援することとともに、二十一ページにございますとおり、新たな国産ブランド品種や生産性向上などの戦略的な革新的技術の開発などを実施することとしております。
 二十二ページでございます。畜産、酪農関係でございますが、畜産クラスター事業の拡充につきましては、補正予算で基金として六百十億円を計上いたしまして、複数年度にまたがる事業実施など弾力的な運用を可能としております。また、Aとして畜産クラスターの取組を後押しする草地整備、和牛の生産拡大、二十三ページに移りまして、畜産物のブランド化等の高付加価値化等々の施策を実施するということにいたしております。
 二十四ページに移りまして、我が国農林水産物の輸出等需要フロンティアの開拓でございます。高品質な国産農産物の一層の輸出拡大、輸出阻害要因の解消、六次産業化・地産地消による地域の収益力強化等によりまして攻めの農林水産業を推進することといたしております。
 二十六ページでございます。二十六ページの林業につきましては、原木供給の低コスト化を含めて合板、製材の生産コストの低減を進め、合板、製材の国際競争力の強化を図りたいと思っております。
 二十七ページの水産業でございますが、浜の広域的な機能再編等を通じて収益性の高い操業体制への転換を進めるということにしてございます。
 二十八ページ目でございますが、消費者との連携強化でございます。消費者の国産農産物・食品に対する認知度を一層高めるというような施策を打っていきたいというふうに考えてございます。
 以上の対策につきましては、二十九ページにありますとおり、二十七年度補正予算に所要の経費を計上いたしたところでございます。
 三十ページ目でございますが、これは経営安定、安定供給のための備えということで、重要五品目関連につきまして、協定発効に合わせて経営安定対策の充実等の措置を講じるということでございます。
 米につきましては、毎年の政府備蓄米の運営を見直しまして、国別枠の輸入量に相当する国産米を政府が備蓄米として買い入れるということで、国別枠の輸入量の増加が国産の主食用米の需給及び価格に与える影響を遮断するということでございます。
 三十一ページの麦につきましては、経営所得安定対策を着実に実施するということでございます。
 甘味資源作物につきましては、加糖調製品を今回新たに糖価調整法に基づく調整金の対象といたしまして、国内で生産される砂糖の製品価格を引き下げ、輸入加糖調製品に対する競争力を強化するということでございます。
 三十二ページの牛肉でございますが、いわゆる牛マル緊事業の法制化や補填率の引上げ等の見直しを行うことにしております。
 三十三ページの豚肉につきましても、豚マル緊の法制化や補填率の引上げを考えてございます。
 乳製品につきましては、液状乳製品を加工原料乳生産者補給金制度の対象に追加をいたしまして、補給金単価を一本化した上で、将来の経済状況の変化等を踏まえて単価を適切に見直すということにしてございます。
 三十四ページが検討の継続項目ということで、成長産業化を一層進めるために必要な戦略といたしまして十二項目につきまして検討を進めて、本年秋を目途に政策の具体的内容を詰めるということにしてございます。
 三十五ページ目からが生産額への影響でございます。
 農林水産物の生産額への影響につきましては、平成二十五年三月にも行っておりました。そのときは、全ての関税が即時撤廃され、米の国家貿易やその他の国境措置も全て撤廃し、また追加的な国内対策も行わないと仮定をして試算したものでございました。そうした仮定の下で、品目ごとに、輸入品と競合する国産品は原則輸入品と置き換わるという単純化した前提を置いたものでございました。
 今回は、TPP交渉の結果、国家貿易、関税割当て、差額関税制度等の国境措置が維持されましたし、また長期の関税削減期間やセーフガードの設定といった影響緩和のための多様な措置を獲得したところでございます。また、交渉で獲得したこのような措置と併せて、政策大綱に基づく国内対策を着実に進めるということになってございます。
 したがいまして、今回は、三年前の試算時とは異なって再生産が確保されるように、交渉で得られた措置と併せて国内対策を着実に実施することとしているといったことを踏まえて試算を行っております。
 試算の結果につきましては、関税削減等の影響で価格低下による生産額の減少は生じるものの、体質強化対策による生産コストの低減ですとか品質向上、経営安定対策などの国内対策によりまして、引き続き生産や農家所得が確保されて、国内生産量は維持されるものというふうに見込んでございます。その生産額でございますが、約一千三百億円から二千百億円の減少ということになってございます。
 三十六ページから三十八ページまでは各品目ごとの生産減少額や今回の試算の考え方につきまして記載をしておりますが、時間の関係もございますので、説明は割愛させていただきます。
 以上でございます。
#17
○会長(柳田稔君) ありがとうございました。
 次に、経済産業省から説明を聴取いたします。まず、渡辺通商政策局通商機構部長。
#18
○政府参考人(渡辺哲也君) 経済産業省でございます。お手元の「TPP協定交渉の結果及び対策について 平成二十八年二月 経済産業省」という資料に基づいて御説明申し上げます。
 一ページ目は、先ほど内閣官房からの資料と同じでございます。
 二ページ目を御覧いただきます。
 合意の概要でございますが、関税分野につきましては、先ほど御説明ありましたように、工業製品につきましては十一か国全体で九九・九%の品目の関税撤廃を実現したということでございます。これは、輸出額で見ましても九九・九%、即時撤廃の割合は七六・六%ということでございます。それで、下を見ていただきますと、相手国側ということで、今申しましたように、品目ベースで九九・九%、貿易額でも九九・九%ということでございます。それから、下の日本側ということでございますが、これは日本に入ってくるという意味でございますが、工業製品につきましては最終的に全ての関税をゼロにするということが今回の合意でございます。
 三ページを御覧ください。相手国別、主要国について簡単に御説明をしてございます。
 アメリカにつきましては、工業製品の輸出額の一〇〇%を最終的に関税撤廃を実現をしたということでございます。自動車部品につきましては今二・五%の関税が掛かっております。これを八割以上の即時撤廃を合意をしたということでございまして、これは米韓のFTAを上回る水準でございます。それから、乗用車につきましては二・五%の関税が掛かっております。これは十五年目から関税の削減を開始いたしまして、最終的に二十五年目で撤廃ということでございます。それから、我が国の主力輸出品でございます家電、産業用機械、化学につきましても、輸出額の九九%以上の即時撤廃を実現したということでございます。それから、繊維、陶磁器等、地方中小企業に関連する品目についても即時撤廃を実現した、多くの品目について即時撤廃を実現したということでございます。
 カナダを御覧いただきますと、工業製品の輸出額の一〇〇%、これは最終的に関税が撤廃をされるということでございます。カナダは、乗用車、六・一%の関税が掛かっておりまして、これは五年目に撤廃ということでございます。これはカナダとEUのFTAの八年目撤廃というのを上回る水準ということでございます。それから、自動車部品につきましても、現在、主として六%の関税をカナダは掛けておりますけれども、日本からの輸出の九割弱が即時撤廃をされるということでございます。そのほか、化学、家電、産業用機械でも九九%の即時撤廃ということでございます。
 それから、ページをおめくりいただきまして四ページを御覧いただきますと、工業製品の、ニュージーランドでございますが、九八%と、残りも七年目までには完全に無税化ということでございます。豪州も同様でございます。
 それから、ベトナム、これは二国間のEPAが既にございますが、そのときに残されておりました三千t超の自動車につきまして、十年目の撤廃を実現したということでございます。現在、ベトナムはこの三千t超の自動車につきまして七〇%弱の高関税が掛かっておりますが、これが十年掛けてゼロになるということでございます。
 おめくりいただきまして、五ページでございます。
 今回の合意は関税にとどまらず、特に中堅・中小企業に大変関連の深い分野におきましてメリットのある様々なルールが盛り込まれたということでございます。
 一つ目は、先ほど御説明ありました原産地の完全累積ということでございます。域内で付加価値を足し上げて原産性を認めるというルールが導入されました。
 それから、投資、サービスにつきましても、例えば小売ですとか、それから劇場、ライブハウス等クールジャパン関連等、様々な分野での外資規制が緩和されたということでございます。
 それから、中堅・中小企業の方が進出されまして、新興国の現地で技術移転要求ですとかロイヤリティー等を求められることをやってはいけないということがルールとして盛り込まれたところでございます。
 ページをおめくりいただきまして、六ページでございます。
 通関手続の円滑化、これも先ほど御紹介ございましたけれども、貨物の到着から四十八時間以内に引き取りなさいと、それから急送貨物につきましては六時間以内ということを原則とすることがルールとして盛り込まれました。これは、納入先への、通関で止まって納入遅延が起こるとか、そういうことがないということで大変メリットのあるルールだと考えております。
 それから、模倣品、海賊版対策も強化されました。水際での職権差止め、それから商標侵害のラベルやパッケージの使用等についての刑事罰化等が盛り込まれたところでございます。中小企業の約二割が模倣品に被害を受けている現状の中、これは大変意義のあるルールだと考えております。
 それから、ビジネスの関係者の一時的な入国に関する規定の導入、これも御紹介ありましたけれども、短期の商用訪問者、それから契約に基づいていろんなサービスを提供する方、企業の駐在員の方が現地に滞在することについて、これまでより長い期間を保障するという約束がなされたところでございます。
 それから、電子商取引、これは日本にいながら商品を販売することができるということで、これは中小企業に大変大きなメリットがあるルールだと考えております。
 それから、ページをおめくりいただきまして七ページ。国有企業、それから政府調達、それから中小企業に関する規定の導入等、様々なルールが盛り込まれたところでございます。
 八ページを御覧いただきますと、TPPを契機として中堅・中小企業の方がこれから海外へ出ようと、そういう動きが始まっております。一つはこれは、最初にありますのは自動車部品のメーカーの方ですけれども、今回の合意を受けて北米への部品の輸出を拡大しようと考えておられるということでございます。
 ページをおめくりいただきまして九ページでございますが、これは、国内への出荷増、御自身が直接輸出するわけではないけれども、お取引先の輸出が増えるのでそこへの受注が増えるのではないかという期待をされている中小企業の方がおられます。これは大田区の金型を作っておられる中小企業の方でございますけれども、自分たちの受注がこれで増えるのではないかという期待をおっしゃっていたところでございます。それから、陶磁器、タオル等地域の産品、こうしたものについての輸出拡大の期待も寄せられているところでございます。
 十ページを御覧いただきますと、これを、TPPのルールを是非使っていただくということで、情報提供を丁寧にやっていきたいと考えております。そもそもTPPとは何かということから、どうやって活用したらいいか、それから、原産地のルールが今度は自己証明になりましたので、これも丁寧に御説明をしていきたいと考えております。
 十一ページを御覧いただきますと、昨年の十一月に全国に六十五か所の相談窓口を設けました。これから体制を充実して丁寧な御説明をしていきたいと思っております。
 十二ページは、これは先ほど御紹介ありましたTPP対策大綱に盛り込まれた新輸出大国を実現するためのコンソーシアムということでございまして、ジェトロを事務局といたしまして、関連の中小機構、NEDO、それから地銀の方々など幅広く支援機関の方に入っていただいて、中小企業の海外展開を応援するコンソーシアムをつくるということでございます。専門家が一社一社に寄り添って、商品開発から市場開拓に至るまで様々な段階がございます、ここを丁寧に御支援をしていこうということでございます。今、この立ち上げの準備を急いでいるところでございます。
#19
○会長(柳田稔君) ありがとうございました。
 次に、伊藤特許庁長官。
#20
○政府参考人(伊藤仁君) 同じ資料で続けまして、経済産業省の知的財産分野の内容について御説明いたします。
 十四ページをお開きください。
 TPPでは、上の箱に書いてありますが、知財の保護水準の向上と知財権の行使の強化というものについて規定されておりまして、とりわけ途上国において我が国に比べて必ずしも高いとは言えない知的財産の保護、利用の強化が図られると考えております。これによりまして、日本企業が知的財産を海外においても活用しやすい環境が整備されるものと理解をしております。
 主な合意内容として三つございます。
 まず、特許期間の確保ということでございまして、各国特許庁での特許の付与までに不合理な遅延があった場合、特許の場合は通常出願から二十年で権利が消えてしまいますので、手続に時間が掛かりますとその分権利の期間が短くなってしまう、そういったような不合理な遅延があった場合にはある一定のルールの下で延長するという制度の導入が義務付けられます。
 それから二番目は、商標権の円滑な取得ということで、国際的に商標を一括出願するマドリッド協定、あるいは出願の手続を簡略化するシンガポール条約というのがございますけれども、これらについての加盟、締結を求めるということが併せて合意されています。
 三つ目が、先ほどもありましたが、知財の権利の行使の強化でございまして、模倣品、海賊版がある中でこの対策を強化しようということで、一つは政府当局の権限の付与、輸出入の職権での差止めとか、没収、廃棄といったようなものがきちっと権限として持つということ、あるいは商標権を侵害している者について刑事罰を導入する、それから商標の不正使用に関する損害賠償制度を整備する、こういったようなものが今回の合意事項ということになっているわけでございます。
 十五ページをお開きくださいませ。
 日本企業、とりわけ中小企業における知財分野の知財の活用の状況を一言申し上げたいと思います。
 左の円にありますとおり、中小企業は非常に九九%と数が多いわけですけれども、例えば特許で申し上げますと、全体の出願の一三%しか中小企業は出願していないということでございます。あわせて、右側を御覧いただきますと、大企業が海外にも出願している比率が大体三割程度で推移しているのに対して、中小企業の場合ですとその半分、一五、六%ということでございます。
 これから更に大企業並みに高めていくという可能性もありますけれども、様々な出願における負担だとかあるいは訴訟への対応ということが求められておりますので、これについての強化が必要だということで大綱でも位置付けられております。
 十六ページのところでそれらについての施策を設けたということだけを御説明させていただきまして、時間となりましたので、これで終わらせていただきたいと思います。
 以上です。
#21
○会長(柳田稔君) ありがとうございました。
 次に、厚生労働省から説明を聴取いたします。勝田大臣官房総括審議官。
#22
○政府参考人(勝田智明君) 厚生労働省でございます。
 表紙のない資料で恐縮でございます。まず一枚目に、TPP協定の概要、三十章書いてございます。このうち枠で囲っております部分が厚生労働分野の関連する章でございます。私ども、主に関連する分野でございますが、衛生植物検疫など食の安全に関する分野、医薬品の知的財産など医療等に関する分野、そして労働に関する分野を担当しております。
 次のページをお開きください。個別に関連分野の内容を御説明します。
 まず、医薬品の知的財産に関する規定でございます。
 合意の概要、左側に示してございます。三点ございます。まず一点目が、@でございますが、医薬品の承認審査のため特許権により利益を享受できなかった期間について特許期間の延長を認める規定でございます。二番目は、新薬のデータ保護期間を五年以上、生物製剤については八年以上のデータ保護期間又はその他の手段による同等の保護を行うこととする規定でございます。Bは、後発医薬品、ジェネリック医薬品でございますが、承認審査時に先発品の特許が有効な場合には承認を与えない仕組みを持つことの規定でございます。
 これらに関しましては、右側にお示しするとおり、三点とも現在の我が国の医薬品の知的財産に関する制度と整合的なものでございます。このため、新たな制度改正の必要はなく、現行制度、変更は生じません。
 その下でございますが、こちらは、TPPにおいて法令等の公表や行政手続等について規定した章がございます。その附属書として、特に医薬品を保険収載する際の手続の透明性、公正性について個別に明示化しております。こちらも、右に示しておりますとおり、現在の我が国の制度と整合的であり、変更の必要はございません。
 次のページ、三ページ目をお開きください。
 次に、貿易の技術的障害に関する規定でございます。
 左上の一つ目の丸の記載のとおり、TPP協定の規定では、他の締約国の適合性評価機関に自国の機関に与える待遇に比べ不利でない待遇を与えるとされています。このため、右の一つ目のポツにお示ししますとおり、TPP協定締約国にある事業所においても医療機器の認証を行うこととするため、医薬品医療機器法の改正をお願いしたいと考えております。また、二つ目の丸に示しますとおり、この章に附属した附属書におきまして、医薬品、医療機器、化粧品の承認等の手続について公正、透明化を図るための規定があります。右側二つ目のポツに示すとおり、日本にとっては全て現行制度と整合的でございます。
 次に、投資及び越境サービスに関する規定でございます。
 左下の四角の一つ目の丸のとおり、TPPではサービスの自由化に関する規定として内国民待遇や市場アクセスについてのルールが規定されています。ただし、その下の丸のとおり、医療保険を含む社会保障分野はいわゆる将来留保を行っているため、これらの規定の適用除外となっており、TPPの影響はありません。右下の四角の二つ目の丸に示すとおり、公的年金計画や公的医療保険を含む社会保障につきましては金融サービスの規定の対象からも除外されています。
 次のページをお開きください。
 次が、初めてTPPの中で本格的に設けられた労働に関する規定でございます。
 TPPでは、左上のAに示しますとおり、ILO宣言にある労働者の基本的な権利を各締約国が法律等で採用、維持することが規定されています。矢印の先に示しますとおり、我が国ではこれらの労働者の権利は基本的に確保されており、我が国の労働関係制度の変更を求める内容とはなっておりません。TPPの各締約国で労働者の権利保護が進めば、公正公平な競争条件の確保につながり、ひいては我が国企業の相対的な競争力強化につながることが期待されています。
 また、その下、TPPでは、左の四角のように、商用目的の者の一時的な入国の許可、要件や手続についてルールを規定していますが、医師や看護師の資格の相互承認や単純労働者の受入れにつながるような規定はございません。
 次のページ、五ページ目をお開きください。
 次に、食の安全に関する規定でございます。
 TPP協定における衛生植物検疫の規定については、左側に示しておりますとおり、WTO・SPS協定を踏まえた内容となっており、これは、矢印の先にお示ししてありますとおり、科学的根拠に基づいてSPS措置をとる我が国の立場と整合的であり、我が国の規制制度について変更を求められるものではありません。
 バイオテクノロジー産品、いわゆる遺伝子組換え作物の規定についてはその下を御覧ください。
 TPP協定では透明性の確保や情報共有の規定が設けられておりますが、我が国の規制制度の変更を求めるものではなく、下の米印にあるとおり、むしろ、遺伝子組換え作物の輸入国である我が国にとって、未承認の遺伝子組換え作物の混入事案の発生時等、こういった場合の迅速な対応、未然防止につながるものとなっております。
 次のページをお開きください。
 こちらでTPP協定を踏まえた厚生労働省関係施策を御紹介します。
 まず一つ目は、先ほど申し上げました医薬品医療機器法の改正であります。
 一番上の改正の背景については、先ほど御説明したとおり、TPP協定で他の締約国の適合性評価機関に自国の機関に与える待遇に比べて不利でない待遇を与えるとされており、その実施を確保するものです。
 改正の概要につきましては、左側に示しておりますとおり、TPP協定締約国にある事業所においても医療機器の認証を行うこととするもので、登録認証機関となれるのは日本又はTPP協定締約国の者とし、厚生労働大臣が外国の登録認証機関に対する改善請求や登録の取消しを行えるよう整備する改正を行うことを考えてございます。
 これにより、基準に適合するTPP協定締約国の認証機関が登録を受け、右の図で示す赤い線で囲った比較的リスクの低い一部医療機器について認証を行えるようになりますが、TPP協定締約国の登録認証機関に対しても国内の登録認証機関と同じように指導監督が行えるような改正となっており、引き続き日本に流通する医療機器の安全性を確保していくことになります。
 次のページをお開きください。
 次が、TPP協定締約国の労働環境水準の向上でございます。
 問題点のところに書いてございますが、ベトナムなど開発途上国におきましては労働関係法令が未整備のため、日系企業が海外進出する際、様々なトラブルがございます。これらに対して、ILO等を通じて労働法令や施行体制の整備、構築に取り組んでまいります。
 次のページをお開きください。
 最後に、食の安全、安心の確保でございます。
 先ほど申し上げましたとおり、TPP協定により食の安全、安心に関する我が国の規制制度について変更を求められるものではありません。しかし、我が国への海外からの輸入食品の増加も見込まれることから、引き続き、輸入食品の適切な監視指導、残留農薬・食品添加物の規格基準の策定の推進、協定締結後の技術的対応など、国際基準や科学的な根拠を踏まえた対応を行うことで我が国における食品の安全性を確保していくこととしております。
 以上でございます。
#23
○会長(柳田稔君) ありがとうございました。
 これより質疑を行います。
 質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。
 委員の一回の発言時間は答弁を含め十分以内となるよう、また、その都度答弁者を明示していただきますよう御協力をお願い申し上げます。
 質疑及び答弁とも、御発言は着席のままで結構でございます。
 まず、大会派順に各会派一人一巡するよう指名いたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 長峯誠君。
#24
○長峯誠君 それでは、まず、澁谷審議官の方にお伺いしたいと思うんですが、アメリカのタフツ大学がこのTPPの効果の試算を出しているという報道がございます。これが結局、参加十二か国中、十か国ではプラスだと、二か国だけはマイナスになると、その二か国がアメリカと日本だというんですね。政府が出されたもの、あるいは世銀が出されているものとはまるきり逆の結果になっているということで大変驚いたわけでございます。
 先ほどの御説明に対して、タフツ大学の方の分析では、ビジネス環境の競争激化に伴って人件費が切り下げられると、そのことが長期的に内需や生産性の低下に結び付くと。細かい内容は存じ上げないんですが、大体こういうトーンで述べられているようでございます。
 もう中身についてはある程度見られていると思いますので、この政府の試算とタフツ大学の試算、一番根本の何が違ってこういう結果になっているのかを御説明いただきたいと思います。
#25
○政府参考人(澁谷和久君) タフツ大学、たしか先月公表されたと思いますが、外国の研究者の成果ですので、特段私がいいの悪いのと言う立場にはございませんが、私なりに読ませていただいて思うのは、まず、TPPの効果というふうにはうたっておりますけれども、三年前に別な学者が、ですから大筋合意をする前ですけれども、TPPができれば各国の輸出入がこれだけ増えるだろうという別な研究者がした予測をそのまま所与のものとして、各国の輸出入がこれだけ増えれば、輸出入が増えれば労働分配率が下がるという、そういう仮定を置いた研究のようでございまして、輸出入がこれだけ増えるんだからそれだけ労働分配率が下がって賃金が下がる、内需が減る、内需が減るというためには政府支出を減らすという仮定を置いていまして、政府支出を減らせばGDPは恐らく減るんだろうと思います。
 そういう計算結果だということでございますので、今回の大筋合意の内容を踏まえて分析したというよりは一般論として、経済連携協定によって輸出入が増えると労働環境が悪くなるという、そういうことを、主張の根幹にあるんじゃないかというふうに思っておりますので、私どもとしては、今回の大筋合意を正確に踏まえた分析ではないなという、そういう認識でございます。
#26
○長峯誠君 要するに、今回の大筋合意を前提とした計算ではなくて、その三年前に、恐らく多分全ての関税が撤廃されたときの輸出入の増加というのを前提にした計算、それを所与のものとしてやっているということですね。分かりました。
 続いて、農水省にお伺いをいたします。
 農水省の出していただいた資料の影響の方ですけれども、牛肉がやっぱり三百億円から六百億円ほど生産額が減少するということなんですが、この分析の中には、和牛や交雑種は品質面で輸入牛肉と差別化されていると、ジャンルが違うからそれほど影響は受けないんだということが書いてあります。
 これは私も一定理解はするところでございますけれども、逆に、品質差のない分野、特に乳牛の雄ですね。こことはもう多分競合してしまうので、日本では下手すると乳牛の雄がほとんど値段が付かないぐらいの状態になってしまうんじゃないかなということを非常に危惧しております。
 しかも、この牛肉については、即時でまず一一%減りますので、最終的に九%まで下がるというのもそうなんですが、もう最初の時点で一一%減るので、恐らくこの乳雄牛の市場に対する影響というのは相当大きいんではないかなというふうに思っております。そうなりますと、もう乳牛は雌だけ生まれてほしいと思うわけですね、生産者としては。そうなりますと、やはり性判別精液でありますとか性判別受精卵、これをしっかりと技術を高めていく必要があると思っております。
 ただ、今現在ではこの性判別受精卵、性判別精液については受胎率が良くないという課題がずっとございまして、ずっと現場でも努力をされて少しずつ向上しているとは伺っておりますが、その辺が今どのぐらいの状況にあって、そして今後そこをどうやって強化していくのか。さらには、当然それだけの手間が掛かっていますので、コストがどうしても高くなってしまいます。このコストをどう下げていくのか。それから、技術者ですね、これもしっかりと養成していかなければいけないと思うんですが、その辺の取組についてお伺いしたいと存じます。
#27
○政府参考人(大野高志君) お答えさせていただきます。
 ただいまの性判別精液・受精卵の件でございます。
 性判別精液、御指摘のとおり、これまで一般の精液に比べて受胎率が低いという実態がございました。こういった中で、ここ数年開発されました新しいタイプの精液ストロー、この製造技術を用いた場合の受胎率が四五%でございまして、今通常の人工授精用の精液の受胎率が四六%ということですので、同等のところまで近づいてきております。また、受精卵移植による受胎率も大体四五%程度でございますけれども、これも最近開発されました新しい移植用機器、これを使いますと五〇%を超える可能性がございます。
 こういった中で、性判別精液あるいは性判別受精卵、こういうのを製造するときに施設あるいは機器、こういうものが必要となります。ここのところ機器や施設の整備が大分進んでまいりまして、例えば性判別精液ですと、二十一年と比較して、二十一年は一万円だったものが六千円と、四割ぐらいコストは低減されております。
 それから、技術者の方の研修でございますけれども、これも従来、家畜改良センターですとかあるいは都道府県、こういうところで実技研修やっておりましたけれども、先ほどの性判別精液、新しい手法による性判別精液、性判別受精卵による移植をする場合、また、そういったものをつくる機器を整備する場合、そしてこういった実技講習を例えば各県の畜産協会あるいは人工受精師協会、こういうところが技術者の技術レベルアップのために講習会をやられるとき、こういったものを全て二十七年度補正予算で支援させていただくと、こういうふうにさせていただいているところでございます。
#28
○長峯誠君 それでは、もう一問、農林水産省にお伺いをいたします。
 水産物に対する影響がここでも出ていまして、やはり関税が水産物は完全に撤廃、最終的には完全に撤廃される品目が非常に多いものですから、そうなりますとやはり輸入は増えてくるだろうと思います。ただ、その影響だけではなくて、先ほど言いました安い価格帯の牛肉というのが輸入物が増えてくる、で、恐らく価格は下がるでしょう。それから豚肉については、これはいわゆる安い方だけの価格は下がっていますから、コンビネーション輸入の中ではそんなに増えてこないんじゃないかということもあります。
 これは実際始まってみないとちょっと分からないなと思いますが、少なくとも安い価格の牛肉が下がれば、それに引きずられてほかの畜産物もだるま落とし的に下がっていく可能性がある。実はそのときに、安いお肉が食べられるようになると魚を食べなくなるというか、そして動物性たんぱく質として肉と魚には代替性があるということを漁業関係者の方は非常に心配されているんですね。ですから、是非今回の試算にもその辺を反映していただきたいということは私ども言ってきたんですが、そこは十分に取り入れられていないというふうに思っております。
 この動物性たんぱく質の代替性の影響というのをどう捉えているかをお伺いしたいと思います。
#29
○政府参考人(佐藤速水君) この動物性たんぱく質の代替性につきましては、現場からそういう御意見があることは承知をいたしております。ただ、今回の影響試算におきまして、その辺の反映といいますか、ということはなかなか難しいので反映させることはできなかったということもまた事実でございます。
 いずれにいたしましても、先生御心配になるような、そういう肉の方の値段が安くなって魚の消費に影響を及ぼすかどうかにつきましては、やはり水産の側としてもしっかりと水産物の消費拡大の取組をし、また漁村の方の体質強化もしっかりと進めなければならないということで、今回のTPP対策の事業等も活用して、魚を食べていただけるような、そういう対策をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。
#30
○長峯誠君 ありがとうございました。
#31
○会長(柳田稔君) 礒崎哲史君。
#32
○礒崎哲史君 民主党・新緑風会の礒崎哲史でございます。
 私の方からは、工業製品に絡めた質問ということで、主に経産省の方の方にお伺いをさせていただこうかというふうに思っております。
 先ほど御説明もいただきました、工業製品又は部品関係で多くの即時撤廃率あるいは関税の撤廃率が達成できたということで、最終的な関税撤廃率でいけば、額ベースでいっても品目ベースでいっても九九・九%ということでありますので、大変大きな成果なのかなというふうには受け止めております。
 ただ、もう少し細分化して細かく見ていったときに、当然日本の対輸出という観点でいけば、アメリカという国、もう一つ、中国というのもありますけれども、TPPの観点でいけば対アメリカというのが一番大きな比率になりますが、そのアメリカという観点でいくと、即時撤廃率でいくとまだ七〇行っていないというところもあります。最終的には一〇〇に行きますが、直近で、即時でいくと七〇を切っている状態、額ベースでいけばそうなります。
 大きなものとしては、やはり自動車という分野で大きな譲歩をしてしまったのではないかなということも考えられるわけでありますけれども、乗用車においては完全撤廃までは二十五年という期間、大型車においては三十年間という期間で、引き続き、ある意味日本の稼ぎ頭である自動車産業、自動車分野において不利な環境での競争を強いることにこの結果はなるのではないかなというふうに思うんですが、経産省さんの方で実際にこの不利益についてどのように検討され、考えられているかという点について一点確認をさせていただきたい。
 あわせて、ちょっとその御説明の中でもう一つお願いしたいのが、そうはいいましても、自動車産業、海外で実際に生産をするという海外進出をもう三十年来、この三十年間ずっとやってきておりますので、対輸出というよりも現地生産の比率も随分増えてきているであろうというふうにも思っております。したがいまして、実際にその輸出額が、全体的な対アメリカという市場に向けた商売の額に対してどれぐらいの割合に輸出額がなっているのか、ちょっとその点の数字、具体的な数字も含めて御説明をいただきたいと思います。
#33
○政府参考人(渡辺哲也君) お答え申し上げます。
 自動車につきましては、委員御指摘のとおり、アメリカ向けにつきましては、乗用車は二十五年、トラックについては三十年というのが交渉の結果でございます。
 それで、御指摘の数字から申し上げますと、アメリカ向けは、完成車、二〇一四年の数字でございますけれども、三・六兆円の輸出がございます。それから、自動車部品につきましては二・六兆円の輸出が、これ直近の数字でございます。
 それで、委員御指摘になりました、ただ、自動車メーカー、日本だけでなくて各国とも現地生産を進めているという御指摘ございまして、全くそのとおりでございまして、主要国の自動車メーカーの海外生産比率を御紹介しますと、日本メーカー、平均でございますけれども、六四%、海外生産でございます。それから、ドイツのフォルクスワーゲン、七四%、それからフランスのプジョー・シトロエンが六二%、アメリカもGMが八〇%、フォード、六二%、韓国、現代・起亜で五七%、これが自動車産業のグローバルな生産サプライチェーンの実態ということでございます。
 そういう前提で申し上げますと、自動車産業は御承知のように消費地に近いところで完成車を生産する、いわゆる地産地消というのが基本でございます。ですから、海外生産比率大変高うございます。他方で、日本の国内に特定の技術があるか、それから生産能力があるか、それから相手国の市場でこの車、この車種、このモデルが嗜好されるか、それから運ぶコストと、そういうものを総合して、関税もこれは含めてでございますけれども、そのグローバルな展開を考えるというのが実態でございます。
 そういう意味で、日本にとっては大きなマーケットでございますアメリカ市場におきましては、販売している自動車の七割強を現地で生産しております。他方で、日本からは、先ほどの数字がございますように、百五十四万台の輸出をしております。そういう実態を考えますと、アメリカとの関係では、完成車の関税を引き下げる、もちろん重要でございますけれども、完成車、これだけ現地生産が進んでおりますので、そこに部品を輸出する、その部品の関税をいかに下げるか、それからいかに早く下げるかというのが大変交渉上の重点でございました。
 こういう中で、先ほど御紹介しましたように、アメリカにつきましては、部品の関税、八割が即時撤廃ということでございますので、そういう意味では自動車産業の実態を踏まえて十分な成果が取れたのではないかと考えております。
#34
○礒崎哲史君 七割が現地生産ということでありますけれども、やはり三割は輸出ということで、特に大型車というものは三十年という期間、非常に長い期間だというふうに思うんですけれども、これについては正直、産業としての競争力強化に今回の契約というのはつながっているのかなというのは純粋に感じるんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
#35
○政府参考人(渡辺哲也君) お答え申し上げます。
 トラックの関税、今は二五%、アメリカは掛かっておりまして、それが三十年後に撤廃をされるというのが交渉の結果でございます。これはもう結果でございます。
 ただ、申しましたように、産業の実態をもう少し詳しく御覧いただきますと、例えば大型のトラックを今どうやって生産したり輸出しているかといいますと、いわゆる荷台のないトラックですね、キャブシャシーと業界用語で呼んでおりますけれども、前だけ造って、それをそのまま輸出して、現地で荷台を付けると。何でこういうことになっているかといいますと、荷台の方は、現地、いろんな要求とか需要がございますので、それに合わせてこれを載せるということでございます。このキャブシャシーの輸出は実は二五%ではございませんで、関税は四%でございます。ですから、日本のメーカーは、このキャブシャシーで四%で入れて、現地で荷台をくっつけるというのがこれ生産のモデルでございます。
 それから、トラックの関係で申しますと、ピックアップトラックというのがございます。これはアメリカで大変人気がございます。ただ、日本ではほとんど人気はなくて、日本国内にはピックアップトラックの生産施設、現在ございません。これは日本で売れないからというのが主たる理由でございます。むしろ、需要のあるアメリカで現地生産をして、そこで現地で売るというのがこれ基本的なモデルでございます。
 それから、SUV、スポーツ・ユーティリティー・ビークルというのがございます。これは実はトラックではございませんで、乗用車の分類でございますので、これは二・五%ということで入っております。
 長くなりましたけれども、具体的な産業の実態を見ますと、必ずしもこれ、大型トラックについても日本にとって不利な結果ではなかったと思います。むしろ、トラックにつきましても、やはり部品を出すというのが大事だと考えております。
#36
○礒崎哲史君 アセンブリーの輸出実績が低いということで、今確認をさせていただきました。
 部品についてのお話がありましたが、じゃ、その部品についてですけれども、多くの部品が即時撤廃という形になって、これは一つ成果だというふうに思うんですが、その中で、具体的な部品名でいきますと、例えばリチウムイオン電池であったりセンサーですとかECUというエンジンのコンピューター、マイコンに関わるもの。恐らくこの後、電気自動車ですとか燃料電池、あるいは自動運転の車、あるいはロボット技術、こうしたものに恐らくセンサーであったり電池の技術、電池部品というのは多用されていくことになると思うんですが、そういう意味でいくと、今後の成長市場に関わる部品については十年であったり十五年であったり長期の契約になっているというふうにも見て取れるんですけれども、この点についての認識についても確認をさせていただけますでしょうか。
#37
○政府参考人(渡辺哲也君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、幾つかの部品については長期間の関税撤廃になったのは事実でございます。特に、いわゆる電気自動車、それからハイブリッドに使用される部品についてでございますけれども、例えばセンサーですね、ECU・センサーと言っておりますけれども、これは必ずしも自動車用に限らず、農業機械それから家電、産業用機械等で使われるものも含まれますけれども、交渉の結果十年というのが結論でございます。
 他方で、こういう電気自動車、ハイブリッドに使用されますリチウムイオン蓄電池、これも十五年という結果でございますが、これも、先ほど申し上げましたように、似た構造でございますが、リチウムイオン電池につきましては既にやっぱり現地生産が進んでおります。それで、実際には現地で生産して、その関連部品である電極の素材ですとかセパレーターですとか、こういうものを日本から運んでいるというのが産業の実態でございます。これらにつきましては即時撤廃ということを勝ち取りましたので、産業の実態ということを考えれば十分競争力の強化につながったのではないかと思います。
 それから、付け加えて申し上げますと、電気自動車、ハイブリッドに使用される部品、たくさんございます。インバーターですとかトランスミッション、それから今後需要が伸びる可能性がある燃料用電池の一次電池など、多くの部品について最終的に即時撤廃を得たということでございます。
#38
○礒崎哲史君 ありがとうございました。
#39
○会長(柳田稔君) 河野義博君。
#40
○河野義博君 公明党の河野義博です。
 昨年秋のTPP大筋合意を経まして、今月、署名式が行われたわけなんですけれども、まだまだ国民的な理解が、内容の理解が深まっていないために、交渉の過程でたらればで引き起こされた不安というのがまだ根強く残っているのではないかなというのが実情だと思っております。
 そこで、今回、私は、ISDSとあと医療保険制度に関して今回のTPP協定における合意内容を改めて明らかにしておきたいというふうに思っております。
 まず、ISDSに関して内閣官房に伺います。
 TPP交渉における今回のISDS制度そのものの意義、これを改めて明らかにしておきたいと思いますけれども、澁谷審議官、よろしくお願いします。
#41
○政府参考人(澁谷和久君) ISDS、投資家と国との間の紛争解決手続でございますが、投資という章の中に規定されているものでございまして、投資のチャプターの中に書かれているルールの実効を担保するための制度でございます。
 十二か国で交渉しているわけでございますが、投資をする側と投資を受ける側というふうに仮に分類すると、日本は投資をする側の立場でございまして、投資のチャプターに書かれているルールは投資を受ける側、投資のホスト国と呼んでおりますが、投資のホスト国が守るべきルールが主として定められているものでございます。
 海外に投資をする我が国としては、日本の企業が海外に投資をしたときにきちんとルールを守ってほしいと、このルールの実効性を確保するためにISDSという手続は必要なものだというふうに私どもは認識をして交渉してきたところでございます。
 投資をする上で、こういう制度がありませんと予見可能性がなくなるわけでございます。TPPに違反した場合には紛争処理という手続があるわけですけれども、やはりISDSという手続があることで投資家が安心して投資ができる、ここは我が国にとっても産業界が重視している規定でございまして、我が国の主張がかなり通って盛り込まれたものというふうに考えているところでございます。
#42
○河野義博君 ISDSに関しましては、想定しているケースというのは、やはり本邦企業が海外に投資を行う際に投資を受け入れる相手国の制度がころころ変わったり、また恣意的に制度がゆがめられるようなことがあってはならないと、投資家をしっかり保護するんだという観点から手続が定められておりまして、既に締結している二か国間の投資協定では全てISDS条項入っておりまして、言わば私は当たり前の制度としてこれはなくてはならない必要不可欠なものであったというふうに考えているわけですけれども。
 一部の批判的な方々からは、このISDSを盛り込むことによって日本が殊更に裁判を頻繁に起こされて、日本の国のそのものの制度がゆがめられてしまうといった批判もあったわけでございますけれども、今回、TPPにおけるISDS制度の拡充に関しまして様々なこういった不安の声が寄せられた経緯を踏まえて、最終的な合意内容を改めてお聞かせいただきたいと思っております。
#43
○政府参考人(澁谷和久君) 我が国でも様々な懸念の声があったことは承知しておりますが、十二か国で交渉している中で、日本以外の国の方がむしろISDSについて様々なやはり慎重な立場を取ったということも事実でございます。
 濫訴防止条項というものを盛り込むべきだというふうに農水委員会の決議にも書かれておりましたが、まさに様々な濫訴防止のための規定が盛り込まれているところでございます。
 例えば、権限外の訴えがなされた場合には、被申立て国がこれは権限外だということを言えば、まず先決処理をして速やかに却下をできる規定でございますとか、あるいは全ての事案の判断内容を全て公開するということを義務付けるでありますとか、申立て期間を三年半、一定期間に限定する、さらには、根拠のない訴えを起こして、その主張が認められなかった場合は申立人が費用を弁済するなどの様々な濫訴防止のための規定が設けられてきたところでございます。
 それから、ISDSにまつわる、日本だけではなくて各国国内でいろいろ不安の声があったのは事実でございまして、その不安の最たるものが、ISDSによって他国の企業から訴えられるのを恐れるが余り、本来必要な健康だとか安全だとか環境などの規制を国が行うことをためらうということがあってはならないという、そういう意見がございまして、この投資のチャプターの中には、各国が今申し上げましたような公共目的のための正当な規制を行うということは全く正しいんだ、それは問題ないんだということを条文上明記したということが大きな特徴でございます。
#44
○河野義博君 濫訴防止条項を入れていただいた点、また、従来ISDS条項に慎重だったフィリピンやオーストラリアも合意をさせたという点で非常に評価できる内容だったんじゃないかなというふうに私は思っております。
 続きまして、医療保険制度に関して厚労省に伺います。
 同様に、TPPが、これが締結されますと、我が国の医療保険制度自体が脅かされるんじゃないか、こういった議論も、不安の声が上がっていたわけですけれども、最終的な合意内容、どういったものになったのか、教えてください。
#45
○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
 まず、TPP協定には、民間医療保険の拡大、あるいはいわゆる混合診療の解禁といった我が国の公的医療保険制度の在り方そのものについて変更を求める内容は含まれておりません。
 その上で、お尋ねの医療保険制度に関しましては、TPP協定の第二十六章、透明性及び腐敗行為の防止のところで、医薬品及び医療機器に関する透明性及び手続の公正な実施に関する附属書というものが添付をされてございます。この附属書においては、医薬品について、保険適用希望の申請に対する検討を一定の期間内で完了させる、あるいは手続規則、方法、原則及び指針というものを公開することということなど、保険給付における価格決定手続の公正な実施に関する内容が規定されております。
 その上で、我々、これらの内容は我が国が現在医薬品の保険収載プロセスで取っておるものと整合的でございまして、何ら現状を変更するものではないというふうに思っております。
#46
○河野義博君 何ら現状を変更するものではありませんし、逆に透明性を高める取組が進んでいくのではないかと期待をしているわけでございますが、薬価決定の過程でアメリカの医薬品メーカーが介入をしてくるようになるといった、そういった具体的な不安もあるわけですが、その件に関して所見をお聞かせください。
#47
○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
 先ほども御答弁申し上げましたように、今回、このTPP協定の公的医療保険の関係につきましては、第二十六章の附属文書において医薬品の価格決定手続の公正な実施に関する内容は規定されている、ただし、これは我が国の現在の医薬品の保険収載プロセスと整合的だということを先ほど申し上げました。
 我が国、これまでも国内の企業であるとか外国の企業であるかを問わずに、個々、保険収載に当たっての薬価の収載希望者につきましては、薬価算定組織において意見陳述の機会を与えておりますし、また、薬価制度の検討を行うに当たりましては、中央社会保険医療協議会、中医協において国内外の製薬企業からの御意見を伺っているという形でこれまで進めてまいりましたので、私ども、外国企業がこれまでよりもこのTPPによって薬価決定のプロセスに介入するようになるという御指摘は当たらないというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、今後とも、我が国の国民皆保険を堅持して、安全、安心な医療が損なわれることのないように取り組んでまいりたいと思っております。
#48
○河野義博君 国民皆保険制度の変更は一切ないということを確認できました。
 ありがとうございました。
#49
○会長(柳田稔君) 紙智子君。
#50
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 調査会、久しぶりの調査会ということになりまして、前回以降でいいますと、昨年の十月五日に大筋合意が政府から発表されまして、つい先日、二月四日に調印式が行われました。また、TPPの担当大臣であった甘利明議員が政治とお金の疑惑で辞任せざるを得なくなりました。TPP交渉では、これ秘密交渉でしたから、その内容を熟知しているのは関係省庁の皆さんと、そして安倍総理になると思います。
 まず、TPPについて、私ども日本共産党の考え方を一言述べさせていただきますと、TPPは農産物だけではなくて、工業製品やサービス、食の安全、投資や金融、政府調達、著作権、労働など地域経済や国民の生活と営業に密接に関わるものだと。日本の国民の利益あるいは経済主権をアメリカなどを中心とした多国籍企業の都合に合わせて国の形を変えるといいますか、国の在り方を変えていくものだというふうに考えております。
 それで、今日確認をしたいのは、日豪EPAとTPPの違いについてです。
 今日、外務省の方にもおいでいただいていると思いますけれども、日豪EPA協定には米などの特定の農産物を除外する規定があります。ここに日豪EPAの協定とそれからTPPのを持ってきたんですけれども、この中に、日豪EPA協定の第二の四条、ここに附属書一というのがあって、それに従って関税の撤廃や引下げ時期を定めているわけです。附属書一は、その実施区分を事細かに規定しています。例えばAという区分がありますけれども、Aというのは、関税については完全に撤廃し、当該原産品はこの協定の効力発生の日に無税とするとしています。そして、区分にはAというだけじゃなくてAとかB3とかQとかいろいろありますけれども、今日お聞きしたいのはXという区分です。
 附属書では、「「X」を掲げた品目に分類される原産品は、(a)から(u)までに規定する関税に係る約束の対象から除外される。」とあります。この除外されるということがどういう意味なのかということを外務省の方にお聞きしたいと思います。
#51
○政府参考人(金杉憲治君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、日豪EPA附属書一第三編第一節一の(v)、ちょっと細かくて恐縮でございますけれども、そこにおいて、Xを掲げた品目に分類される原産品については、関税に係る約束の対象から除外される旨が規定されております。それは、こうした品目については関税に関する約束に関する他の規定における見直し等の対象にならないということでございます。
#52
○紙智子君 今確認しましたけれども、要するに、約束の対象から除外される規定と、それから見直し等の対象とはならないということで確認をいたしました。
 それで、これについて、日豪EPA協定が審議されたときには、政府は、米については関税撤廃などの対象から除外したと、胸を張ってそういうふうに言われたと思います。除外ということは関税に関する義務を負わないと、関税の撤廃や削減の対象にしないという意味だと思います。そういう意味で捉えてよろしいですか。もう一度お願いします。
#53
○政府参考人(金杉憲治君) お答えします。
 そのように捉えていただいて結構だと思います。
#54
○紙智子君 確認いたしました。関税に係る義務を負わないという意味というふうに思います。
 そこでなんですけれども、次にお聞きしたいのはTPPについてなんですが、TPP協定の第二の四条、ここに附属書二―Dに従ってと、関税を撤廃する時期を定めているわけです。附属書の二―Dは、多くの原産品の関税の実施区分を事細かに規定しています。例えばEIFという区分があるんですけれども、このEIFというのは、原産品の関税については関税を完全撤廃、協定が効力を生ずる日から無税とするというようにしています。
 そこで、お聞きしますけれども、TPP協定にこの日豪EPAのような除外規定というのはあるんでしょうか。外務省、お願いします。
#55
○政府参考人(金杉憲治君) お答えいたします。
 TPP協定におきましては、関税に係る各国の約束について日豪EPAと同じ意味で除外という用語が用いられていることはございません。
#56
○紙智子君 今確認をさせていただきました。つまり、TPP協定においては、関税に係る各国の約束について除外という用語は用いられていないということです。
 それで、なぜそれは用いられていないんでしょうか。
#57
○政府参考人(金杉憲治君) 先生御指摘のとおり、TPP協定の第二・四条におきましては、各締約国は、この協定に別段の定めがある場合を除くほか、原産品については自国の表に従って漸進的に関税を撤廃するというふうに書いております。
 ただ、この別段の定めがある場合を除くほかという部分につきましては、日本の関税表などでも重要五品目を含む多くの産品について関税撤廃の例外となる措置が規定されております。したがって、除外という言葉は使われておりませんけれども、関税撤廃の例外となる措置というのは担保されているというふうに考えております。
#58
○紙智子君 そこのところがよく、言葉は使っていないけれども例外を確保できるというのは、一体何をもってそう言えるのかというのがよく分からないですよね。それであれば、なぜその言葉を使わないのかというふうに思いますけれども、いかがですか。
#59
○政府参考人(金杉憲治君) お答えいたします。
 TPPにつきましては極めて野心的な協定ということで、交渉の前提として関税を撤廃するということがございました。ただ、その上で、繰り返しになって恐縮でございますけれども、この協定に別段の定めがある場合を除くほかということで、我が国としてはこの別段の定めというところで関税撤廃の例外を確保したというふうに考えております。
#60
○紙智子君 いろいろ納得しないところはありますけれども、除外規定は、どっちにしても、日豪EPAのときには使っていたけれども、TPPでは除外規定はないと。除外規定がなければ関税撤廃のこのレール、軌道に結局乗らざるを得なくなるというふうに思うんです。国会決議では重要五品目は除外するとなっているわけです。この決議に明らかにこれは反しているというふうに思います。TPP協定の二の四条というのは、関税を引き上げて、又は新たな関税を採用してはならないというふうにはっきりと関税自主権については制約を掛けているわけです。
 ですから、TPPは後戻りできないと、そういう関税撤廃に突き進む協定であって、こうした危険なTPP協定の批准ということについては、我々としてはやはり中止をすべきだというふうに思います。
 以上で終わります。
#61
○会長(柳田稔君) アントニオ猪木君。
#62
○アントニオ猪木君 元気ですか。自分に言っているんです。大分眠くなってきましたけど。
 今日は、自動車と、それから保険と、それからアメリカの大統領選について、三点お聞きしたいと思います。
 まず、自動車について。自動車産業、二〇一九年ですかね、トヨタがメキシコ工場を操業を開始すると先日の報道にも出ておりました。メキシコのへそ、グアナファトというんですかね、ちょうどメキシコのへその部分になるようなところが年間で二十万台カローラを生産する。また、年間で三百万台、ブラジルの生産七位というのを超えてメキシコが上回るという記事も出ておりました。
 TPP施行後、日本の自動車産業と南米の関係にどのような変化が生じるのかという、私もこの間、ずっとパナマからコスタリカ、ニカラグア等を回ってまいりまして、この辺の生産があれした場合に、当然アメリカとの輸入問題が出てくると思いますが、その辺についてどのような、メリットとデメリットという部分でお聞きしたいと思います。
#63
○政府参考人(若井英二君) お答えを申し上げます。
 TPPによって我が国自動車産業と南米の関係にどのような変化が生じるのかと、このような御質問だと考えておりますが、今回この中南米でTPPに参加をいたしますメキシコ、チリ、ペルー、この三か国につきましては既に我が国と二国間のEPAを締結済みでございます。
 ただ、今回のTPPにおきまして、主たる成果といたしまして、メキシコにつきましては、日墨のEPAにおきまして除外となっておりました中・大型のバス、トラックにつきまして、十年目にかけて関税が七・五%まで削減をされることとなってございます。そして、ペルーにつきましては、日・ペルーEPAで二〇二一年までに段階的に関税撤廃されることとなっておりました千五百t以下の乗用車、これにつきまして関税が即時撤廃をされるということになってございます。なお、チリの自動車関税につきましては、日・チリEPAで既に撤廃済みとなっているということでございます。
 そして、メキシコにつきましては、今委員から御指摘がございましたように、既に六社の日系自動車メーカーが現地工場を構えて生産を行っておるほか、多くの日系の部品メーカーも進出をしておって、大変重要な市場になっておるわけでございます。また、ペルー、チリにつきましても、それぞれ四割、三割と、相当程度日系メーカーの競争力、市場が既に確保されているところでございますので、TPPによって、日本そしてアメリカに日系メーカーが構えております生産拠点から完成車輸出の競争力強化が大変期待をされているところであります。
 また、これらの三か国向けの自動車部品の関税については、二国間EPAで既に関税撤廃となっているわけでございますけれども、今委員から御指摘がありましたように、メキシコは我が国の自動車メーカーにとって大変重要な生産拠点となっている中で、TPPで新たに期待をされます重要なメリットとしましては、原産地規則による累積制度が導入をされるということでございます。これによりまして、TPP域内におきまして、全ての調達の部品、この付加価値が算入をされ、足し上げをされるということになりますので、より広い地域から部品を調達することが可能になります。その結果といたしまして、メキシコで生産をいたしてございます自動車メーカーや部品メーカーの部品調達、これを最適化をし、コストを削減することがつながると、このように期待をしているわけでございます。
#64
○アントニオ猪木君 そんな中で、アメリカの今自動車産業が低迷をしているという中で、こういうメキシコへ進出というのか、その辺の部分で、アメリカとの摩擦というか、その辺の今後起こり得るトラブルというんでしょうか、その辺についてどういうお考えでしょうか。
#65
○政府参考人(若井英二君) アメリカの自動車産業が非常に厳しい中で、何かこのTPPを契機として少し新しい課題が生じるのではないかと、そういう御質問であろうかと考えてございます。
 ただ、このTPPにつきましては、実はアメリカにとっても大変大きなチャンスでございます。日本の自動車産業とそしてアメリカの自動車産業、グローバルな市場で従来から競い合っておるわけでありますけれども、今回、このメキシコでありペルーでありチリであり、こういったところで、また同じ土俵の上で同じ条件の下でしっかりと競争していくと、こういうことでございますので、この点については従来と変わりがないのかなというふうに考えてございます。それぞれ得意分野がある中でございますので、こういった中で、それぞれの世界市場においてライバルとして切磋琢磨をしながら競争していくという環境になるのかなと、このように考えておるわけであります。
 当然、我が国の自動車産業も、今回のTPPを活用いたしまして輸出の拡大や海外展開、しっかり図ってまいりたいと考えておりますし、このことが何か日米間で大きな問題を生じるようなことにはならないのではないかと私どもとしては考えておるところでございます。
#66
○アントニオ猪木君 国民皆保険制度がTPPにより潰されるのではないかという懸念がありましたが、先日いろいろ説明をお聞きしましたが、その点は留保しているから問題ないと。もう少しその点について詳しく、国民皆保険がどのように守られるのか、お聞かせください。
#67
○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
 TPP協定には、先ほども御答弁申し上げましたように、民間医療保険の拡大あるいはいわゆる混合診療の解禁といった我が国の公的医療保険制度の在り方そのものについて変更を求める内容は含まれてございませんので、私ども国民皆保険は今後も堅持されると思っております。
 さらに、協定に則して若干具体的に申し上げれば、第九章の投資の章あるいは第十章の越境サービスの章において、我が国が公的医療保険については内国民待遇、最恵国待遇等に係る規定に適合しない措置として将来にわたって留保している、つまり、現行の措置を維持し、あるいは新たな措置を講じることができるという仕組みになっております。また、第十一章の金融サービスにおいて、公的医療保険を含む社会保障制度については当該章の規定を適用しないということになっております。
 私ども、今後とも皆保険制度を堅持し、安心、安全な医療が損なわれることのないように取り組んでまいりたいと思っております。
#68
○アントニオ猪木君 先ほどもテレビをちょっと見ておりましたが、今、アメリカの大統領選が始まりましたが、本当に昔は、アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪を引くということが言われたことがありますが、アメリカとの関係においては、日本はやはりいろんな部分ではアメリカの言い分も聞かなきゃいけないということだと思いますが。
 一つには、今回の有力候補でありますトランプさん、クリントンさん、あとサンダースさんですかね、この方たちがTPPに対しては反対だという意見を言われております。この大統領選の前にサインはされていますけれども、やはりアメリカの場合、大統領によってまた権限が変わってしまう、方向も変わってしまうということもあり得るのではないかと思いますが。
 GDPの割合がアメリカと日本が圧倒的に多いわけですが、このどちらかが撤退した場合にTPP自体が成立しなくなるのではないかと思います。可能性としてはゼロではないと思いますが、この辺についてどのように分析しているか、お聞かせください。
#69
○政府参考人(澁谷和久君) 御指摘のとおり、日本とアメリカのどちらが欠けてもこのTPPは発効できないということになるわけでございますが、アメリカに関して承知しているところを申し上げますと、まず、二月四日の署名が行われたときにオバマ大統領がステートメントを発しておりまして、TPPは今年中に仕上げるんだということを力強く述べているところでございます。ホワイトハウスの担当官などは記者会見等で、できれば今年の前半にということを何度も話をしているところでございます。USTRに話を聞きますと、今アメリカの国内で関係者に説明をしているところだというふうに承知しているところでございます。
 アメリカの仕組みで申しますと、署名が行われてから百五日以内に、アメリカの国際貿易委員会という機関がありまして、そこが今回のTPPに関する評価書、私どもが年末に出した経済効果分析のようなものでございますが、評価書を公表すると。これは、期限が五月十八日になると思いますが、その前に出すということになっております。
 アメリカの連邦議員の方始め関係者みんなこの評価書を待っている状態でございまして、この評価書の中で例えば雇用に与える影響はどうなのかということが明らかになるものと思われます。それを見てTPPについて判断をしたいという関係者が非常に多いというふうに承知しているところでございます。
 今御指摘のように、大統領選の候補者始め連邦議会の中でも様々な議論があるわけでございますが、最終的に仮にTPPが成立しなかった場合には、例えば、我が国の日豪EPAはもう既に発効しているわけですので、日本の牛肉市場においてオーストラリアにアメリカが負けてしまうんじゃないかとか、あるいは最後までもめていた医薬品のデータ保護期間の規定がございますけれども、TPPの十二か国の中には今保護期間がゼロという国もあるわけでございます。
 いろいろ激しい交渉をした中で、医薬品についてはどの国も最低五年間までは保護をするということを約束をしているわけでございまして、それがまた全てほごになってしまうということになりますので、最終的にいろんなことを考えると、アメリカはこのTPPを駄目にするというそういう判断はないんじゃないかという、そういう見方が多いというふうに私どもは承知しているところでございます。
#70
○アントニオ猪木君 時間が来ました。終わります。ありがとうございます。
#71
○会長(柳田稔君) 浜田和幸君。
#72
○浜田和幸君 日本のこころを大切にする党に党名が変わりました、浜田和幸です。
 ISDSについてまずお伺いしたいと思うんですけれども、先ほど澁谷審議官が、濫訴防止策をいろいろと取り組んでいるんだと、TPPで初めて試みられているそういう防止策もあるというお話をされました。具体的にはどの濫訴防止策がかつてない新しいTPPならではの防止策なのか、その点からまずお聞かせください。
#73
○政府参考人(澁谷和久君) TPPの協定におけるISDS条項の濫訴防止策は、NAFTAでありますとか過去のいろんなFTAに書いてあるもののある意味集大成のような形になっているわけでございますが、今までになかったものとして、例えば、先ほどちょっと御紹介いたしましたが、申立人の訴えが認められなくて終わった場合に、その訴えに根拠がないと決定したときは申立人に合理的な費用を弁済させるという規定は、これまでのFTAにはなかった規定だと承知しております。
#74
○浜田和幸君 ありがとうございます。
 それで、例えば日本の企業がこれまでISDS条項を使って言ってみれば権利を守ったケース、例えば、二〇〇六年の野村証券の子会社がこれはチェコの政府を訴えて賠償金を勝ち取りましたよね。とはいえ、昨年の六月にプラントメーカーの日揮、こちらがスペイン政府を訴えた再生エネルギーの買取り価格の一方的な引下げに対する訴訟が行われているんですけれども、これはまだ結果が出ていません。やっぱり二年とか三年掛かるという話なんですけれども、これだけビジネスがスピード化しているときにおいて、もう少しこの結論が、結果が早く出るということがないと、訴えるという側もちゅうちょするんではないかと思うんですね。
 そういう意味で、この二〇〇六年の野村証券の子会社が勝訴したケース、そしてまた日揮さんが訴えているケースがなかなかまだどういう展開になるかが不明だという点。そういう、制度としては利用のし勝手はあると思うんですけれども、その制度がしっかりと日本の企業にとってメリットがあるような形になるのかどうか、その辺りについての取組。
 私が懸念しているのは、例えば世界銀行の傘下の投資紛争解決国際センター、ICSID、スタッフが五十人ほどしかいない、日本人のスタッフは一人もいない、そういう状況下というのは、やはり日本の企業にとっては時間が掛かる、場合によっては不利な結論になるんではないかという懸念材料にもなると思うんですけれども、そういう点についての議論があったのかどうか。また、これからISDS条項が本当に日本のために役立つためには何が必要なのか、その点についてのお考えをお聞かせください。
#75
○政府参考人(澁谷和久君) 御指摘のとおりでございまして、ISDSだけではなくてTPPを活用してこれから様々な日本の企業が海外に展開をしていく、既にもうそういう準備が始まっているわけでございますが、昨年の十一月に決定をした政策大綱の中でも、そういう日本企業を政府を挙げて支援していくということが盛り込まれております。
 その中で、例えば海外でいろんなトラブルがあったときは日本の在外公館が全面的に支援をする。また、例えば法的な、ISDSを含めて法的な側面で困ったことについては様々な機関が相談をするということを政府を挙げて支援をするということが政策大綱に盛り込まれております。ISDSの活用も含めて私どもも議論をしているところでございまして、発効までにそうしたことをより体系化していきたいというふうに思っております。
#76
○浜田和幸君 日本でこのISDS条項について危惧の念を抱いている方々が裁判等を通じて、やはりこれまでの仲裁方法が極めて公正を欠くものであるというようなことを日本の国内の裁判で主張されている、そういうことがあるんですが、先ほど私が紹介しました野村証券の子会社のような場合、あるいは現在係争中の日揮の場合、この辺りの仲裁の方法が極めて公正を欠くものであるというような批判に対してはどういうような説明ができるのでしょうか。
#77
○政府参考人(澁谷和久君) 済みません、個々の仲裁案件についてはちょっとコメントがなかなかしにくいものがありますけれども、TPPのISDS条項の中ではこの仲裁過程は原則として全て公開するという規定が盛り込まれております。これはかなりそういう意味では先生が御懸念されるようなことに対する抑止効果を持つのではないかというふうに思っております。
#78
○浜田和幸君 次に、著作権について文化庁の方にお聞きしたいんですけれども、国内の保護期間、これまでは著作者が死後五十年だったものがこのTPPでは七十年に延長されますよね。それは、著作者にとってはメリットがある話だとは思うんですけれども、それだけ長く著作権が保護されることによるデメリットとして、いろんな作品が世に出ないままに死蔵されてしまうというようなことも懸念されると思いますし、またコミックマーケットなどの二次創作文化への影響を懸念する声も出ています。
 こういう点についてはTPPはどのような対応を考えているんでしょうか。
#79
○政府参考人(磯谷桂介君) お答え申し上げます。先生御懸念の、御指摘の保護期間の延長に伴うデメリットに対する対応ということというふうに受け止めてお答え申し上げます。
 例えば、二次創作ですとかコミケのような場合に関しましては、著作権法上、著作権者に許諾を得ることは当然必要になってくるわけでございますが、例えばこうした著作物の積極的な活用を図るための取組といたしまして、著作権者があらかじめ一定の条件の下に著作物の利用を許諾する意思を表示する事前許諾マークというようなものがございます。様々な種類がございますけれども、例えば漫画ですとか小説等の作者が自分の作品を基にした二次創作を行うことを認める意思を表示するものとして同人マークといったものもございます。
 こうしたような事前許諾マークが付された著作物については、その許諾された利用方法、条件の範囲内であれば、著作権法上、適法に利用することは可能であると考えておりますが、文化庁としましても、こうした事前許諾マークを活用したいわゆるパブリックライセンスの仕組みについて広報、普及を行っているところでありまして、これも今後とも進めてまいります。
 それから、二次創作に限らず、先生御指摘の著作物の利用円滑化は大変重要な課題だと承知しております。TPPの大綱にも記載しておりますけれども、今後とも権利処理コスト低減のための権利情報の集約化、例えばデータベースを構築するための検討ですとか、あるいは集中管理の促進ということで、例えば将来に拡大集中許諾システムのようなことを導入するための検討を進めるですとか、そういったことも含めて著作物の利用円滑化の方策について引き続き検討を行ってまいりたいと思っております。
#80
○浜田和幸君 万が一侵害行為等が発生した場合の非親告罪化、あるいは不正使用の場合の賠償制度というのはこのTPPの中でどのように扱われているんでしょうか。
#81
○政府参考人(磯谷桂介君) 今幾つかの御指摘がありましたので整理させていただきますと、TPPの方の中で、合意で求められていることといたしましては、損害賠償制度につきましては、法定損害賠償又は追加的な損害賠償に関する規定を入れるということになっています。
 それから、親告罪の話につきましては、非親告罪化ということが求められておりますけれども、非親告罪化導入に当たっては、これは日本側の提案でございますが、先生先ほど御指摘のコミケ文化を萎縮させないということを念頭に置いて、極めて限定的なものが可能になるような形で条件を付して合意内容の中に入っておりますので、それを基に現在どういう規定をするかについては精査をしているところでございます。状況についてはそういったことでございます。
#82
○浜田和幸君 最後に厚労省の方に、医薬品の知的財産保護に関連して、新薬のデータ保護期間の問題ですね、実質八年以上ということでTPPでは合意されたわけですけれども、十二年ではなくて、また五年でもなくて、なぜ八年がベストの保護期間となったのか、その辺りの理由。また、そのことによってジェネリックの利用が途上国においてかなり制限されるというようなこともあるので、これは途上国の人たちの生命に関わる問題だと思うんですけれども、そういうことはどのような議論が行われたのか、御説明いただきたいと思います。
#83
○政府参考人(飯田圭哉君) お答えいたします。
 TPPは交渉でございますので、具体的な交渉のやり取り等については答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、お尋ねになったデータの保護期間、これは先生御指摘のとおり、新薬の承認後、新薬メーカーのデータを後発医薬品の承認のために使用しない期間ということでございまして、我が国でもいろんなことを考慮しながら八年間に設定しております。
 御指摘のありました今回のTPPの協定の内容につきましては、我が国現行制度と整合的ではありますけれども、その背景としましては、データを保護することによる新薬の開発の促進、一方では速やかな後発品へのアクセス、今途上国で、御指摘がありました、この両者の利益をどうやってバランスを考慮して考えるかということの中で議論が行われまして、適切なルールとして合意された内容に至ったということで考えておるところでございます。
 以上でございます。
#84
○浜田和幸君 以上で終わります。
#85
○会長(柳田稔君) 以上で各会派一巡をいたしましたので、これより自由に質疑を行っていただきます。
 質疑のある方は挙手を願います。
 羽生田俊君。
#86
○羽生田俊君 自由民主党の羽生田俊でございます。ありがとうございます。
 医療に関連して質問させていただきたいんですけれども、いろいろな懸念が今まで全国各地から上がってきておりますけれども、今日の説明を聞いて半分ぐらいは少し安心できたのかなという気はいたしますけれども、逆に半分はまだ懸念が残っているということでございます。
 一つは、公的医療保険制度が守られるという説明をいただきまして、これはもうそれがなければ大変困るということですから、これは何としても守っていただかなければいけない。ただ、今現在、日本でもいろんな保険が出てきていますけれども、公的医療保険の周囲に民間の医療保険がかなりいろいろな形で取り巻いてきているというところで、どういった種類の保険が出てくるか、私にも想像が付かないんですけれども、そういった民間保険が入ってきたときに、民間保険の投資している方々が日本のこの制度によって投資の結果損をしたということがISD等で議論されるようになった、訴えられたときにはそれにどう対応するのか、それを日本としては拒否といいますか反発できるのか、その辺がちょっと心配なところがございまして、その辺についてお聞かせいただければというふうに思います。
#87
○政府参考人(澁谷和久君) ISDSに関することですので内閣官房の方からお答えいたしますが、先生が御懸念されるように幾つか誤解がございまして、まず、アメリカのおっしゃるように保険関係の企業などが例えば日本の国民皆保険に関する様々な制度が障害となって日本でビジネスができないので制度を変えろという訴えをISDSで起こすのではないかというような御意見を聞くことがございます。
 ISDSというのは、これはTPPの協定に明確に書いてございますが、投資家がその投資の受入れ国が投資章に書いてあるルール違反などをすることによって損害を被った場合にその損害賠償の訴えを仲裁廷に起こすというのがISDSでございます。したがって、制度を変えろという訴えはそもそも訴えの対象にはならないということでございます。
 それから、TPPのISDSの協定の中にはっきりと明記してございますが、損害を被ったということを申立人が立証しなければいけない、その立証した範囲内で裁定が下されるということになるわけですけれども、単に申立人が自分が期待した経済的利益が得られなかったというだけではそれは駄目だということをはっきり書いているわけでございます。投資国が何らかの約束を明示的にしたとか、その約束に違反したといったようなことがあって損害を被ったということがない限りは駄目だということが、過去のEPAなどに比べるとそこがかなり限定的にはっきりと明記してございますので、そういう御懸念のようなことにはならないというふうに思っております。
#88
○羽生田俊君 ありがとうございました。終わります。
#89
○会長(柳田稔君) 礒崎哲史君。
#90
○礒崎哲史君 追加で確認をさせていただきたいことがありました。
 知的財産の分野におきまして、先ほど経済産業省の説明からは、知的財産権の行使の強化ということで非常にメリットがあるというお話をいただきましたけれども、その一方で、先ほど浜田先生の方からも著作権に絡めて懸念事項ということで御質問がございました。
 著名人あるいは専門家のお話では、デメリットについて、貿易収支に対しても大きなダメージがあるのではないかというような懸念の記事も散見されるわけでありますけれども、まず、知的財産のこの分野において具体的に今どれぐらいの貿易収支といいますか、金額でどれぐらいの収支があるのか。やはりTPPとしてどれぐらいの国益にかなうのかという観点で、貿易収支、知財収支というんでしょうかね、そうした具体的な数値がどのようになっているのかという現状と、あと、今回のこのTPPによって、その数字が当然拡大する方向だというふうに思うんですけれども、どういった数字に発展していくのか、その辺のもし試算がございましたら確認をさせていただきたいと思います。
#91
○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 国際収支統計、一昨日公表されました二〇一五年の我が国の国際収支統計で、サービス収支が約一・六兆円の赤字ということになっておりますけれども、その中で、産業財産権とかあるいは著作権などの使用料を集計した、我々、知的財産収支と通称呼んでおりますけれども、これにつきまして見ますと約二・四兆円の黒字ということでございまして、これは昨年が一・七兆円弱でございましたので、増加しているという傾向にあるかと思っております。
 今回のTPP協定は、先ほど御説明もいたしましたとおり、その知的財産の保護と利用のレベルが日本に比べても必ずしも高くない他国、外国において、とりわけ新興国において、それが保護の水準が上がる、あるいはその執行、救済の措置が強化されるということで、日本企業が海外に、更に知財の面でも保護された形で海外事業展開が進むというふうに考えておりますので、この産業財産権の世界の部分で申し上げますと、基本的にプラスの効果があるだろうというふうに見ております。ただ、個々の今回の合意事項の内容によってそれぞれどの程度かといったような試算は我々は行っておりません。
 全体としての方向性としてはそういうことでございます。
#92
○礒崎哲史君 当然、プラスになるというふうに思いますし、なっていないと国益にかなったということにならないわけですから。
 ただ、今後こうした数値というものを、今、手元の部分にはないというお話でしたけれども、今後こういうシミュレーションというのはやっていくことというのはあるんでしょうか。
#93
○政府参考人(伊藤仁君) 基本的に、制度とそこから得られる収支というところを関数的に分析するのは非常に難しいと思っておりまして、そういったような意味ではちょっと、検討はしてみたいと思いますけれども、方法としては少し難しいかなというふうに思っております、正直。
#94
○礒崎哲史君 分かりました。
 最後に一つだけ確認です。
 今二・四兆円というプラスの数字をお伺いしましたが、これ、中身というのはいわゆる知的財産というものに入っている全ての項目になるんでしょうか、それとも、項目として、商標は入っているけどこれは入っていないと、そういうことになる、少し中身を具体的に確認をさせていただきたいと思います。
#95
○政府参考人(伊藤仁君) お答えをいたします。
 国際収支統計の中で分析されておりますのは産業財産権とか著作権という形で、ここにはノウハウなどの使用料も含みますから、基本的に非常に包括的に含まれているというふうに思っております。
#96
○礒崎哲史君 逆に、この項目が入っていない、今回、TPPでいきますと、商標と地理的表示、特許、意匠、著作権、開示されていない情報ということでTPPの項目で挙げられているんですけれども、この項目は全部含まれているということでよろしいですか。
#97
○政府参考人(伊藤仁君) 基本的に全部含まれていると思います。
#98
○礒崎哲史君 分かりました。ありがとうございます。
#99
○会長(柳田稔君) 他に御発言ございますか。──他に御発言もないようですから、本日の質疑はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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