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2016/02/24 第190回国会 参議院 参議院会議録情報 第190回国会 国際経済・外交に関する調査会 第3号
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2016/02/24 第190回国会 参議院

参議院会議録情報 第190回国会 国際経済・外交に関する調査会 第3号

#1
第190回国会 国際経済・外交に関する調査会 第3号
平成二十八年二月二十四日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月十七日
    辞任         補欠選任
     浜野 喜史君     小林 正夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         柳田  稔君
    理 事
                上野 通子君
                滝沢  求君
                中泉 松司君
                相原久美子君
                河野 義博君
                紙  智子君
    委 員
                赤石 清美君
                石井 浩郎君
                石井みどり君
                長峯  誠君
                二之湯武史君
                羽生田 俊君
                古川 俊治君
                三宅 伸吾君
                山田 修路君
                大久保 勉君
                加藤 敏幸君
                小林 正夫君
                長浜 博行君
                柳澤 光美君
                山本 博司君
                市田 忠義君
              アントニオ猪木君
                浜田 和幸君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        松井 一彦君
   参考人
       NPO法人気候
       ネットワーク理
       事        平田 仁子君
       川崎市健康安全
       研究所長     岡部 信彦君
       早稲田大学国際
       学術院副学術院
       長・教授
       同大学院アジア
       太平洋研究科研
       究科長      勝間  靖君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国際経済・外交に関する調査
 (「国際平和と持続可能な国際経済の実現に向
 けた我が国外交の役割」のうち、気候変動、感
 染症など地球規模課題への対応と我が国の役割
 について)
    ─────────────
#2
○会長(柳田稔君) ただいまから国際経済・外交に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十七日、浜野喜史君が委員を辞任され、その補欠として小林正夫君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(柳田稔君) 国際経済・外交に関する調査を議題といたします。
 本日は、「国際平和と持続可能な国際経済の実現に向けた我が国外交の役割」のうち、「気候変動、感染症など地球規模課題への対応と我が国の役割」について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 本日は、NPO法人気候ネットワーク理事平田仁子参考人、川崎市健康安全研究所長岡部信彦参考人及び早稲田大学国際学術院副学術院長・教授・同大学院アジア太平洋研究科研究科長勝間靖参考人に御出席いただいております。
 この際、一言御挨拶を申し上げます。
 各参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、各参考人から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず、平田参考人、岡部参考人、勝間参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、平田参考人から御意見をお述べいただきます。平田参考人。
#4
○参考人(平田仁子君) 本日は、意見陳述の機会を頂戴いたしまして誠にありがとうございます。
 私は、平田仁子と申します。NPO法人気候ネットワークといいます、気候変動の問題に取り組み、その解決を目指す民間団体の理事をしております。私がこの問題に関わり始めたのは一九九六年頃でしたので、以来、NPOとしてこの問題に向き合って今年で二十年目になります。
 気候ネットワークという団体は民間の小さな団体として、一九九七年の京都会議、COP3を機に設立されまして、これまで継続して活動に取り組んでいます。ほかの国のNPOや団体とも連携しながら政策に関する分析を行ったり、また国内では自治体や地域の人たちとともに対策を進めるための活動を進めております。その活動経験の中から、本日は、気候変動への対応と日本の役割ということについて若干意見を申し上げさせていただきます。
 第一に、私の方からお話しさせていただきたいのは、気候変動問題を取り巻く国際政治経済情勢に大きな変化が起こっているという状況認識です。
 毎年開催されるCOPと呼ばれる国連気候変動枠組条約締約国会議には、私もCOP3以来ほとんど全ての会議に参加いたしまして、現場の交渉を見てまいりました。そんな中で、昨年開催されましたCOP21は長く続く交渉の中でも大きな節目になるものだったと受け止めています。
 既に御案内のとおり、COP21ではパリ協定と呼ばれる法的拘束力のある新しい国際協定が採択されました。気候変動問題はエネルギーの使用や経済の発展に直結する問題であるがために、各国が国益をあらわに、お互い指を指し合うような激しい対立が続いてきたわけですけれども、今回、それを乗り越えて合意に至った、多国間環境主義の成功事例になったということは大変意義深いと考えております。
 採択の瞬間の会議場の雰囲気は、笑顔、涙、拍手で非常に沸き上がっておりまして、大変感動的なものでした。フランスのオランド大統領は閉幕の挨拶で、パリ協定に基づいて行動することを平和的な革命だと表現されました。人類の歴史の中で革命の当事者になれる人はまれであると伝えたメディアもありました。
 では、なぜ革命というほどの合意なのかということですが、イギリスのガーディアン紙が合意の日の十二月十二日に飾った見出しがその意味を分かりやすく伝えていると思っています。その見出しは、化石燃料時代の終えんに世界二百か国が合意というものでした。
 言うまでもなく、私たちの現代社会は産業革命以来、化石燃料からのエネルギーによって大きな発展を遂げてまいりました。世界全体でも日本でもなお化石燃料どっぷりの社会です。しかし、パリ協定は、今世紀中にそこから脱却し、新しい社会を構築することを約束したわけです。これは革命的と言ってもいいのではないでしょうか。
 具体的にパリ協定では、もう一つのカラーの参考資料の一ページにお示ししますよう、二つの目標に合意しています。
 一つは、今上昇しつつある地球の平均気温を産業革命前の水準と比べて二度未満に抑え、さらにできることなら一・五度の上昇に抑制しようという目標です。この目標は温室効果ガス排出をほぼゼロにしなくてはならないことが含意されるため、そこでもう一つの目標が定められています。人為的な温室効果ガスの排出量と人為的な吸収量を均衡させること、すなわち排出をゼロにするということです。
 温室効果ガスのうち二酸化炭素に関しては、例えば木を植えたり吸収を増やす植物を増やしたりCO2を地中に埋めたりといった排出をマイナスにする手段もあります。しかし、その多くがまだ実用化していなかったり量に限界があることを考えると、この目標はほとんど排出をゼロにしなくてはならないということを意味します。そして、この目標の達成には、エネルギーからの二酸化炭素は二〇五〇年頃にはゼロにする必要があるということも含意されています。
 日本では、パリ協定が持ち合わせるこうした革命的とも言える側面は必ずしも実感を持って共有されていないのではないかと感じています。しかし、この極めて意欲的な目標はできるべくしてできたと考えています。理由は二つあります。
 一つは、気温上昇を二度未満にするという目標は二〇一〇年からの国際合意に盛り込まれていて、スライドの二ページにお示ししますよう、その達成には、埋蔵されている化石燃料の八割近くは燃やせないのだという認識が広まり、化石燃料依存をやめるという認識が広く広がっていたからです。エネルギー転換の動きは世界の各方面で始まっており、化石燃料使用への視線は日に日に厳しくなっています。
 ダイベストメント運動というのはそのうねりの一つです。インベストメント、投資の反対の意味で、化石燃料の投資から撤退しようと呼びかける国際的な運動です。これまでに五百以上の組織、投資家が化石燃料への投資からの撤退を表明し、その規模は四百兆円を超えます。その中には、日本の企業への投資を行っていた投資家もありますし、ノルウェーの年金基金のように規模も巨額な公的資金の方針転換も含まれます。
 また、再生可能エネルギー一〇〇%を宣言する世界の企業や自治体が増え、それが大きな勢いを増しています。参考資料を見ていただくと、国際的に名立たる企業がそこに名前を連ねていることがお分かりいただけます。多くの国で再生可能エネルギーが安くなり、経済合理的に選択できることになったのもその背景です。再生可能エネルギーが化石燃料や原発より安くなり、競争力を持つようになっている状況は、アメリカでもドイツでもインドでもブラジルでも起こっています。
 COP21の会場では、化石燃料は地球に埋めておけですとか、再生可能エネルギー一〇〇%をといった標語があちらこちらから聞かれ、ビル・ゲイツのような企業人、都市、地方政府や自治体などによる様々なイニシアティブが発表されていました。
 また、余り国内では知られていませんが、昨年十二月には、OECDの輸出信用に関し、途上国向けの支援として石炭火力発電技術に規制が初めて導入されました。低効率の技術は輸出できないということです。現時点では高効率のものは容認され、例外規定もあるのですが、この規制は今後強化されていくことが予定に入っています。
 パリ協定の下では、途上国においても化石燃料の利用をやめていかなくてはなりません。そのために、先進国側からの投資は単に高効率というだけでなく、CO2を出さない、よりクリーンなものへと転換すべきことは必然です。
 世界を歴史的な合意に導いたもう一つの理由には、気候変動のリスクが顕在化しているという事実があるとも考えています。
 これまで環境外交というのは、時に盛り上がったり時に盛り下がったり、国際政治の議題の中では折々脇に追いやられてまいりました。しかし、気候変動によるリスクは国民の安全を脅かし、経済基盤を脅かす問題であるということがいよいよ明確になってきました。
 現在は、三度から四度の気温上昇に向かって世界の温暖化が進んでいる危険な状況にあります。このままでは持続可能に経済活動をすることはおろか、世界の貧困の不均衡、不公正を更に拡大し、水や食料資源をめぐる紛争、気候難民の増加といった国際問題の拡大を招くことになります。これは国家の安全保障にとってのリスクそのものにほかならないのではないでしょうか。
 COP21に向き合おうとする国のリーダーたちが現れ、合意形成を牽引したことがパリ協定採択の合意の秘訣だったと思っています。日本でも昨年、ようやく適応計画が策定され、気温上昇や異常気象による農業、漁業への影響を始め、健康、水、食料、防災上のリスク等の評価が行われたところです。日本は、さらに、気候変動による国際情勢の不安定さにも脆弱です。様々な日本にとってのリスクを統合して理解する必要に迫られているということは、他国と何ら変わらないでしょう。
 このように、今、国際社会そして経済は、気候変動対策を取ることと、経済合理性が向上したという事実や、国家を脅かす気候リスクの認識が向上しているという事実によって、各主体をつき動かし、脱炭素化へと向け大きくダイナミックに動き出しています。
 お金の流れが変わってきています。経済の潮目が、質が変わり始めています。気候リスクをお金に換算し、削減行動を強化した方がコストが安い、脱炭素化ビジネスや再生可能エネルギービジネスには商機がある、逆に化石燃料ビジネスはリスクになるというような判断が広がっています。正義や正当性を重視し、社会的責任を果たさねばビジネスは成り立たないと認識する企業も増えています。パリ協定はこのトレンドを更に後押しするでしょう。また、気候変動問題が顕然とある中では、この潮流は決して逆行することはないと考えます。
 さて、このような状況変化を目の当たりにしながら国内に目を向けますと、化石燃料からの撤退ですとか再生可能エネルギー一〇〇%をという言葉は日本ではなお非現実的な絵空事のように受け止められることが多いです。気候政治、気候外交、気候安全保障といった言葉も、日本ではまだまだなじみがありません。このようなところに世界と日本のギャップが生じてきていることを感じざるを得ません。実際、様々な脱炭素化へのイニシアティブの中に日本の姿、日本の企業やリーダーの姿はほとんど見られません。日本の存在感の薄さには、国際潮流から取り残されているのではないかという危惧を抱かざるを得ません。
 しかし、海外の目はより辛辣です。例えば、日本は再生可能エネルギーへの投資機会を逃し、化石燃料にしがみつき、時代に逆行し、国際的地位の低下を招いているのではないかという厳しい論評さえ見られます。
 この大きな転換期にあって、日本は現在でも、これまでの延長線上での技術対策だけで対応できるという問題解決アプローチにとどまり続けているように見えます。そして、将来目標を見据えた脱炭素化へかじが切れていないように思います。これは日本にとって、そして国民にとってとても残念なことではないかと思っています。
 以上の問題意識を踏まえまして、日本の気候変動問題に対する役割について五点提言をさせていただきたく存じます。
 これまで申し上げたことに照らしますと、気候変動問題は、政治の周辺的議題ではなく、経済成長と関係し、国の安全保障と関係する中心的課題なのではないでしょうか。なぜこれほどに日本では政治の関心は低いままなのでしょうか。この大きなリスクに立ち向かおうとしないのでしょうか。
 そこで、第一の提言は、外交の主軸として気候外交を位置付ける必要があるのではないかという問題提起です。
 クライメートディプロマシー、気候外交とは、気候変動は国家や社会の平和と安定性を脅かす安全保障のリスクであり、外交政策としてそれに対処する必要があるという考えに立つもので、G7の外務大臣会合におけるレポートでリスクを特定する作業などが既に行われています。日本でも異常気象や災害、食料価格の変動、水資源の枯渇、海面上昇などに伴う安全保障リスクに対し、気候外交という観点から適応策や途上国の開発支援、人道支援、平和構築の政策を一貫して講じることが求められていると考えます。
 二つ目の提言は、今年伊勢志摩で開催されるG7サミットにおきまして、昨年のサミット、そしてパリ協定を引き継いで、気候変動問題を重要議題へと位置付ける必要があるということです。G7各国の脱炭素化への行動を加速するイニシアティブを発揮するということです。
 パリ協定は、長期目標に向かって各国それぞれが積極的に行動することが鍵を握ります。G7諸国が、パリ協定後の最初のサミットの首脳宣言で自らの意欲的な行動を約束し、率先した行動を示すことは極めて重要です。これは、日本が気候外交においてリーダーシップを発揮することのできる大きなチャンスでもあります。
 三つ目は、日本が得意としてきた低炭素技術、省エネ技術について、パリ協定は再考を求めているということを認識し、それに対応することです。
 日本はその高い技術力により省エネ世界一とこれまで胸を張ってきましたが、そうした技術の多くはアジア諸国を中心に追い付かれ、ほぼ同等程度あるいはそれ以上の高効率の技術が日本以外からも提供されるようになっています。また、国内の製造部門の省エネ効率は九〇年以降の向上が芳しくなく、その間に他の先進国に追い抜かれているという傾向も見られます。
 環境技術大国という国際的な地位は、更なる努力なく確立し続けることが難しくなっています。エネルギー技術で世界をリードという日本の姿は虚構になりつつあるのです。また、高効率技術でも、石炭火力発電のように一度建設すれば長期間CO2を排出し続けるような技術は、パリ協定の下の行動と適合する技術とは言い難くなっています。日本は石炭火力技術の輸出支援について他をぬきんでて最も多額の支援を行っていますが、世界各地で反対運動も起こり始め、迷惑施設に近い存在になりつつあります。
 今求められているのは、より大胆なエネルギー転換を可能とする投資と技術です。システムコストも下がり燃料費が掛からない再生可能エネルギーは、途上国にとって速やかに導入しやすいクリーンなエネルギーとして選ばれるようになっています。日本の技術は、従来と比べてCO2が排出は少ないがなお排出するという技術から、CO2を出さない省エネや再生可能エネルギーのシステムや技術へと重点を移行し、転換していくことが求められます。適切な省エネ規制、CO2排出規制は、その動きを加速させる政策として極めて重要です。
 四つ目は、パリ協定の採択を受け、国内で国内法を整備する必要があるということです。
 パリ協定は、長期目標を定め、これから数十年にわたって五年ごとに行動を国際的にチェックし合い、それを引き上げていくというシステムを織り込みました。日本がパリ協定を批准、締結し、それに基づいて行動していくための基盤として、当然のことながらそれに準じた国内法が必要です。
 パリ協定と整合的な目標と仕組みを国内法に位置付け、二〇五〇年八〇%削減という日本が定めた長期目標に向けた削減経路を描くことは必要不可欠であると思います。こうした法的対応により、国内の各主体に対し明確なシグナルを発信することになり、企業の投資行動にも以後の政策対応にも安定性をもたらすことになります。
 最後に、エネルギー転換についてです。
 驚くべきことに、日本には新しく建設する石炭火力発電所の計画が四十七基もあります。百万キロワット級の原発の二十三基に相当します。G7諸国の中でこのように石炭火力を進めるのは日本のみであり、このことだけで日本の気候変動対策の信頼性が失われている側面があります。高効率とはいえ新たに建設すれば、四十年間といった期間、天然ガスと比べて二倍もの大量のCO2を排出します。古いものと置き換えても削減量は微々たるもので、むしろ規模が拡大し、排出増加する可能性もあり、パリ協定の合意と整合しないと考えます。
 先般、丸川環境大臣が石炭火力発電の対応について経済産業省の政策をチェックするという方向に方針転換しましたが、それは新設計画容認につながる誤った政策判断ではないかと思っています。
 国際的には、石炭火力はこれからの環境制約によってフル稼働できず、採算の取れない座礁資産となるという見解がよく聞かれるようになりました。日本でも新設される石炭火力が回収のできない座礁資産となる可能性は大きいと考えています。事業者に計画見直しを促すことも必要ではないでしょうか。
 そして、そもそも、二〇三〇年の電源構成において化石燃料依存度を五六%と見込んでいることも見直しが必要であると考えます。化石燃料依存の低下は急には実現できません。投資の段階で早めに行動しなければ達成できないのです。
 高い原発依存も見直しが必要です。原発は気候変動対策の解にはなりません。大規模集中型の発電システムとして、原発には石炭火力のようなバックアップ電源を不可欠とするので、化石燃料利用とセットの技術だからです。再生可能エネルギーと省エネを中心にエネルギーミックスを描き直すべきだと考えます。
 以上、五つの提言は、気候変動リスクを回避していただきたいということを求める立場で申し上げましたが、これは環境面のみならず、持続的に経済を発展させ、雇用を創出し、日本の経済的、社会的、政治的リスクを低減するために必要であると確信するものであります。脱炭素化への転換は実現可能であるということは、数々の研究や調査で明らかにされています。だからこそ先見性のあるビジネスが動き始めているのです。
 日本の課題は、技術でも経済的な負担でもありません。新しい時代への転換の覚悟と決意、政治的な意思であると思います。将来、温室効果ガス排出をゼロにすることに向け明確な方針が示され、政策が講じられれば、日本の企業や市民は目標に向け大いに努力し、新たな知恵と技術を創出し、成果を生み出す底力を必ず発揮することと思います。今後、是非これらのことを御検討いただき、御対応いただきますようお願い申し上げます。
 御清聴ありがとうございました。
#5
○会長(柳田稔君) ありがとうございました。
 次に、岡部参考人から御意見をお述べいただきます。岡部参考人。
#6
○参考人(岡部信彦君) どうぞよろしくお願いいたします。本日は、このような機会をつくっていただきましてありがとうございました。
 私は、元々は、本来は小児科医なんですけれども、途中からWHOの西太平洋地域で感染症対策、あるいは今いる川崎市の健康安全研究所の前には国立感染症研究所の感染症情報センターというところにおりまして、国内の感染症対策、あるいは当時、鳥インフルエンザとかSARSとか、当時既にエボラもありましたし、そういったものの対策に従事をしていたというのがあって今回お招きをいただいたんじゃないかというふうに思っております。
 私の方は、この色刷りの資料の方がありますけれども、そこにある感染症対策というのが中心のテーマであります。
 一ページ目のところの下のスライドですけれども、これは、感染症は今に始まったことではなく、古来から、天然痘は仏教伝来とともにこれは我が国に伝わってきたとか、梅毒は新大陸の発見とともにアメリカ中に広がり、我が国には一五一二年。最近、ここ数年は梅毒が我が国で問題になっております。ペスト、これもアジア地域で発生したものが香港を経由して我が国に来たといったようなことが明治の時代にありました。このペストは最近日本では見ない病気でありますけれども、マダガスカル島では肺ペストが発生しているといったようなこともありますし、米国においてすら見られます。
 最近では、このHIV、エイズ、それから腸管出血性大腸菌O157、そして新型インフルエンザ、二〇〇九年のですね、あるいは最近のはしか、風疹、これらは海外で発生しているものが我が国にやってきたものであります。そのほかにも、狂牛病、SARS、ウエストナイル、鳥インフルエンザH5N1というふうに、数えるに枚挙ないぐらい多数があるんですが。
 次、二ページ目をめくっていただきますと、上の方はここ最近数年間ということでまとめてありますけれども、この赤字で書いてあるパンデミックインフルエンザ、二〇〇九年から中国で見付かった新しいダニの媒介するウイルス、昨年、韓国でということがキーワードで話題になりましたけれども、中東で発生している呼吸器症候群、あるいは中国では、鳥インフルエンザH5N1のほかにH7N9というタイプが肺炎を起こしているというようなこと。そして、昨年のエボラ。これで少し落ち着くかと思ったんですけれども、昨今、ジカウイルス感染症というものが再び脚光を浴びてきております。
 下の方は、地図上で、二〇一五年、昨年一年、こういったような新しい感染症、あるいはなくなっていたかなと思ったけれども実はあちこちで発生をしつつあって、それが問題になっているといったようなものをばらばらばらっとこう書いただけでも、世界中にこのような疾患が散っております。
 幸い我が国は、どちらかというと気候もそういう意味では温暖でありますし、島国であるというような条件、それから人々の真面目さのようなものも影響して、余り感染症というのは海外に比べるとそれほどでもないというのがありますが、各地でこのような状況が起きております。
 めくっていただきますと、特に最近は、この上の方に書いてありますように、人と物が一気に動くわけですから、この真ん中のグラフにあるのは、これは海外に行く人、それから、最近は海外からの旅行者も多いわけですから、こういう人が集まるところでは感染症というものは起きやすく、例えばG7が最近開かれますが、その後、ラグビーのワールドカップであるとかあるいはオリンピック、こういったようなものは、人が当然やってくればそれとともに微生物がやってくる可能性があるということで警戒が必要になります。
 特に、ここに牛の絵が描いてありますけれども、これは狂牛病のつもりなんですけれども、人だけの病気と思われていたのが、動物の病気が人に伝わってくる。昨今、先ほどお見せしたような幾つかの新しい疾患はいずれも動物を起点にして人に広がってきているというのがあります。
 ただ、こういう、下の方ですけれども、日本を視点に置いた場合に、何かやってくるというのは非常に恐怖のように伝えられがちなんですけれども、その場合には、その病気がどのぐらい重いのか、あるいはうつりやすいのか、どういうタイミングでうつるかと、そういうようなことを直ちに情報を入手する必要があります。
 情報を入手するということは現地とのやり取りが常に行われているというようなこと、それで、それは常日頃からやっておかなくちゃいけないことになるわけですけれども、ここに例えば重症で感染が広がりやすい、先ほど申し上げました肺ペストなどというのが入ってきたら、これは一気に広がる可能性があります。エボラ出血熱は非常に大きい話題になりましたけれども、確かにかかれば重症でありますけれども、感染の広がりは我が国の状態のようなところでは、これは血液からうつる病気でありますから、そんなに広がるはずはないはずです。
 あるいは、比較的軽くて感染症が広がりやすい、これはインフルエンザなんかが典型的で、新型インフルエンザも同様にばっと広がるわけですけれども、基本的には軽いというふうに考えられても、感染の広がりが多数になれば、その中に、少数の割合であっても多数の重症者、死亡者が出てくるということで大変警戒をしなくちゃいけない部分があります。
 こういったようなリスクを評価、分析する力、これが常に必要なんですけれども、これは国際的にもあるいは国内においてもこういったようなリスクを評価、分析という力を付けることが必要である、そしてそれは冷静にやらなくちゃいけないということがございます。
 四ページ目の方は、エボラ出血熱、これはようよう収まりつつあったわけですけれども、このグラフで見えますように、このエボラ出血熱、大きい世界の話題になりましたけれども、集中しているのは西アフリカ三国でありまして、九九・九%がこの三地域に集中をしているというのがあります。
 その下のスライドには、どうしてこのアフリカで流行したのかというようなことがWHOとの話合いの中で時々出てくるんですけれども、やはり海外、特に発展途上国における基本的な保健システムの弱さと医師数の比較というようなことで数字を書いてありますけれども、それだけではなくて、社会としてのインフラが全体的に脆弱である。例えば、通信、輸送、道路、電気、水道の問題。それから、この三か国では国境といったものはなきがごとしで、それぞれ人が常に行ったり来たりをしている状況。また、内戦。必ずこの感染症の流行には貧困と内戦というものが大きなキーワードになってまいります。
 次に、五ページ目を見ていただきますと、上が中東呼吸器症候群。昨年、韓国で流行ということで突然に社会をにぎわわせた病気でありますが、このグラフの発生は二〇一二年、二〇一三年から続いております。中東地域での特殊な感染症というふうに言われていたんですけれども、基本的には肺炎になりがちですので、人に広がる可能性があるということで心配をされていたわけですけれども。
 ここに数字がありますのは、上の方が韓国で確認された例、百八十六例、うち死亡三十六というふうに書いてございますが、その下に、その感染をされた方はどんなようなところで感染を受けているのか。上は入院中の感染者、つまり病院の中にいて感染を受けた人が四四・八%、その家族の感染が三五・〇%、医療関係者が二〇・二%、これ足しますと一〇〇・〇%です。
 つまり、社会の中で、どこか電車でうつったとか飛行機でうつったとか買物でうつったということはないんですけれども、人々はもしかすると韓国に行くとうつるのではないかというような間違った考え方に出てくることがあります。しかし、それは社会としては警戒をする意味ではある程度やむを得ないところがあるんですが、そういう海外の病気に対する理解もまた必要であります。
 この赤い線のところが韓国の発生なんですけれども、これは幸いに終えんしております。韓国も終息宣言を出しております。原因になるラクダがいないからであります。しかし、その右側の方、さらに二〇一五年から二〇一六年の方に見ていくと、まだこの青い線が出ていまして、これは中東ではいまだに発生をしていると。ということは、これは我が国に入ってくることも警戒をする必要がありますし、特にヨーロッパの方では中東地域からの行き来ということでは警戒が続いており、日本ではこれは感染者はまだ見付かっていないわけですけれども、検査は今でもやっております。
 下側の、韓国においてMERSの発生状況と書いてございますけれども、左側の赤い人が一番最初の感染者であります。この方が中東から帰ってきて、病院を転々としたときにほかの周りの人にうつしてしまったというのが、この大きい丸及び小さい丸が幾つか書いてありますけれども、いずれもこれは医療機関内での感染であること。それから、初発の方が、自分が中東に行ったということをおっしゃっていただけなかった。さらに、具合が悪いのに、一つの病院ではなくて幾つか転々としたので結果的にいろいろな病院内で広げたということですけれども、この方を介して町の中ではうつしていなかったというのは、これは幸いなことであります。
 次のスライド、六ページ目の方に行きますと、WHOはこれのときに調査に行っているわけですけれども、ほとんどの、韓国において臨床医がよくこの病気を分かっていなかったと、理解不十分であった、突然やってきた。それから、病院での予防対策が不十分であった、救急室が過密状態になっていた。それから、社会の習慣として、いわゆるドクターショッピングといって転々と動くような状態がこの広がりの原因だろうというふうにまとめておりますけれども。
 これは幸いに我が国には起きておりませんけれども、一触即発でありまして、これは同じような状態が幸いに起きなかったことであり、警戒としては続けなくてはいけない。警戒というのは、海外に対する情報の収集、それから向こうでの実際の臨床状況とか患者さんの状況であるとか、そういったようなことを正確に把握していく必要があり、それがまたその国に対する貢献に結び付くと思います。
 下のスライドは、SARSという二〇〇三年に発生した、これも世界中がどきっとした病気でありますけれども、これは幸いに、多分ウイルスの遺伝子の変化から世界中から消え去ったというふうには言えますけれども、こういう新しい病気の発生に対して世界がなすすべがなかった、情報として早く入ってこなかったといったようなことがありました。これは、発生した国が隠した隠さないという話は必ず出るんですけれども、それをきちっと受け止めて、情報として集めて、それを評価した上で世界に発信するという仕組みはそのときなかったわけであります。
 七ページのところに行きますが、これがきっかけになりまして、WHOでは国際保健規則、IHRというものを改正しております。これは、大きくいろいろな国が集まって議論をしたんですけれども、これは当初から、私のいた国立感染症研究所の私のところのスタッフがWHOに派遣をされていたときにそこで議論に参加をしているという意味での、人が行っているということの貢献では、こういったようなところに現れてまいります。
 いずれにせよ、これ、かつてもあったんですけれども、上に書いてありますように、コレラ、ペスト、黄熱、天然痘などの非常に限られた病気だけの届出であったわけですけれども、これを、原因を問わずですけれども、国際的に広がる可能性があった場合には、加盟国、これは日本も当然ながら含まれるわけですけれども、そういうものの情報をWHOに提供する。そこには、重い病気であったり予測不可能であったり、国際的に広がる可能性があって、国際的な交通規制が場合によっては必要である、このうちの二つを、基準を満たせばWHOに報告をするというのがあります。
 下のスライドにありますように、WHOに報告するのは、各国の厚生労働省とかあるいは衛生省とか、そういうところが情報をWHOに提供するんですけれども、ここが情報を提供するということは、地域においてのきちっとした診断ができること、あるいは情報を収集する、情報を提供するという仕組みが必要であります。したがって、これは我が国も決して悪い方ではないんですけれども、国外ではそこの脆弱性があるので、WHOでは、こういう地域との連携、あるいは地域における感染症対策、あるいは感染症の基礎的なことの充実を求めているわけであります。
 しかし、この仕組みがあるので、我が国にはまだ入ってこなかったエボラ出血熱に対してあらかじめ準備をする。あるいは、今回のジカ熱もそうですけれども、MERSの発生、これは我が国には発生がないということが現在でありますけれども、その検査はもう既にできますし、それについてもし患者さんがいれば情報を提供してきちんと啓発もするというようなことが決まっております。
 八ページ目の方になりますと、こういったような仕組みに基づいてWHOの方ではいろいろな情報が入ってきたことを、この左にあるように言わばふるいに掛けて、それから、それを公式、非公式情報にかかわらず集めてリスクを分析して、右側の黄色いところで書いてありますように人々に情報提供する。それがもし異常であれば、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態、PHEICと言っておりますけれども、これを発信する。
 これが、かつて新型インフルエンザが発生したときにそうでありますし、ポリオのアフリカあるいは中東での発生、それから三番目がエボラ出血熱のとき、そして今回のジカ熱というふうに続いております。これには、そういう情報があるので、直接その国にたとえ影響がなくても、これは国際的な支援をもってある国での対応に協力をするということですので、常にこういったような枠組みに合致するような形を国内でつくっていく必要があります。
 下のスライドは、これはまたちょっと違う話なんですけれども、はしかという、恐らくこの中にも子供さんのときにかかった方おられるんじゃないかと思いますが、十年ぐらい前には我が国は二十万人、三十万人のはしかの患者さんがいて、海外に持ち出したというふうに言われた時代がありました。しかし、これは国の方針あるいはいろいろな人の取組で、はしかの対策、世界からは遅れているけれども、これをやるべきであるというような活動、基本的には予防接種、ワクチンをちゃんとやるということなんですけれども、その行動が非常に実を結んで、ここには二〇〇八年、九年、一〇年、一一年、そして右側の方は二〇一二年、一三年と毎年の発生数が書いてありますけれども、二十万人、三十万人いたはしかは昨年は僅か三十五例になっております。
 九ページをめくっていただきますと、その結果として、これはWHOにそういう情報を提供するわけですけれども、WHO西太平洋地域事務局の中でこういう評価委員会があるんですが、この結果を見て、ブルネイ、カンボジアと並んで我が国ははしかの排除を達成した国であるということを確認しております。極めておめでたい話でありますが、右側は、冗談のように、かつては、江戸時代は、はしか全快祝いの酒盛りと書いてありますけれども、今やはしかは排除されたので祝いの酒盛りをやってもいいだろうというようなつもりで書いてございます。
 これは、WHO西太平洋地域事務局では、オーストラリア、マカオ、モンゴル、韓国が同じようにはしかの排除、子供たちがこういう病気で苦しまないというふうになっているんですが、下のスライドを見ていただきますと、横軸に二〇一〇年、一一年、一二年と書いてあるところは減少しているんですが、一三、一四、一五と実は世界でもう一回増えているといったような状態がございます。黄色いのが主にアジア地域、緑は東南アジア地域、下の濃いブルーのところはアフリカ地域でありますけれども、日本は非常にうまくこれはできているんですけれども、今後はこういうことを世界に対して、そのノウハウであるとかあるいは対策に対する貢献の方に回るときになってきた。
 もちろん、日本はきちっとやり続けなくちゃいけないわけですが、十ページの方を見ていただきますと、これは我が国で、もちろん厚生労働省あるいは国というものが音頭は取っておりますけれども、現場の医療機関、あるいは検査・研究機関、保健行政、教育、ワクチン製造、報道、大切なのはお父さん、お母さん方が非常に理解をしてこういうワクチンの接種というものに取り組んでいただいて、オールジャパンで取り組むと世界に誇れることもできるだろう。ただし、それは国内の維持だけではなくて、海外、殊にアジアに向けてこういうものを貢献していかなくてはいけないということがあろうかと思います。
 ここの国際的な感染症というものがよく話題になるのですが、これは少数例が国内に侵入する可能性もありますし、それが国内で拡大する影響、これも考えて、国内だけではなくて、国内の感染症対策イコール国際感染症の対策になるわけですが、ただ、ここの表に書いてありませんけれども、実際は世界の途上国では、こういう新しい感染症、珍しい感染症の発生だけではなくて、風邪をこじらせた、肺炎、下痢による脱水、マラリア、エイズ、あるいは結核、それから今のはしかといったような病気で多くの人々が命を落としております。
 最後の方ですけれども、十一ページの上の方に書いてありますけれども、それが、国際的感染症対策と大上段に振っておりますけれども、実はそれは国内での感染症対策がきちっとできること、それは国内で感染症を診て治療をする臨床あるいは検査をきちっとできるようにしておくこと、それから日常の研究体制の充実が必要であります。そして、国際協力及び海外の情報の収集ができるように、これは世界への貢献にも続くわけですが、感染症先進国からはやはりこれを学び、連携をし、そのノウハウを途上国の支援に向けていく必要があります。
 そして、特に国内、国際感染症に対する医療、公衆衛生的対応ができる人材の育成、環境の整備、必ずしも我が国は十分であるとは言えないと思います。また、これは適切なリスクコミュニケーション、こういったことが発生しているということだけではなくて、それについて、リスクを含め、あるいは安全な部分、その他のことが適切に人々に説明ができる、そういったような人材の育成と環境の整備が更に求められるところであるというふうに思います。
 以上であります。ありがとうございました。
#7
○会長(柳田稔君) ありがとうございました。
 次に、勝間参考人から御意見をお述べいただきます。勝間参考人。
#8
○参考人(勝間靖君) 勝間でございます。
 既に、気候変動の専門家、感染症の専門家から非常に詳しいお話を伺ったので、私は何をお話をしていいのかと迷っているのですが、私としては、余り専門家的な話ではなくて、非常に普通な話を四点していきたいと思っております。
 お手元に三枚の資料がございますので、それを御参照ください。私としては、地球規模課題に対して我が国がどのように取り組んでいくかということについて四点申し上げたいと思っております。
 一点目は、二〇一六年、今年は歴史的転換の年である、今年しっかり頑張る必要があるということが一点目。二つ目が、ミレニアム開発目標から持続可能な開発目標へと移って何が変わったのか、その辺に合わせて私たちはどう変わらないといけないのかということが二点目。三点目は、日本はどういう役割を果たせるか、果たすべきか、それが三点目。四点目、日本外交にとってチャンスが多くある年であるということについて申し上げたいと思っております。
 それでは、この四つの点につきまして順番に見ていきたいと思います。
 一つ目が、ミレニアム開発目標、通称MDGsと呼んでおりますが、そこから持続可能な開発目標、SDGsへと変わった年であるということなんですが、ここに少し歴史的な背景を書いておりますが、一九九〇年代から分野横断的な国際目標を国連の場でつくるということが行われてきたわけです。
 そのちょっと下に表のような形で開発、環境というふうに書いていますが、開発の専門家という人たちは、どちらかというと短期的、中期的な視野に立って、今のジェネレーション、今の世代にとっての福利、何というんでしょうね、機会の拡大ということを常に考えているわけですね。右側にあります環境の専門家というのは、中期的、長期的に生態系のことを考えるという方々なわけなんですね。開発の専門家と環境の専門家というのは必ずしも今まで十分に交流があったわけではなくて、常に、何というんでしょうかね、場合によってはトレードオフの問題もあったりして、合意がなかなか形成されなかったわけです。
 ここにありますように、一九九〇年代、開発の分野では、子どものための世界サミット、それから社会開発のための世界サミット、国連ミレニアム宣言の採択に基づく国連ミレニアム開発目標の策定というふうに来ました。環境の分野では、地球サミットが一九九二年に行われて、そこで気候変動、生物多様性であるとか、そういった具体的な中身についての条約の策定というのが進んできたと。リオ・プラス10、リオ・プラス20という流れがありまして、先ほど平田参考人からの説明があったとおり、COP21によるパリ協定の採択というのがなされたということです。
 ここで申し上げたいのは、この一九九〇年代から二十五年掛けてようやく開発と環境を融合させるような、本来から議論されている持続可能な開発というものへの国際的な合意が国の首長レベルでできたということであります。そういう意味で、非常に二〇一六年というのは画期的な年であり、この持続可能な開発目標の達成への貢献をいかに果たしていくべきか、これが我々に課された課題であるということが第一点目でございます。
 第二点目、それでは、我々、そのSDGs、持続可能な開発目標のこれから十五年間を過ごすわけですが、これまでのミレニアム開発目標の十五年間と何が違うのか、そしてその中で我々は何をしなくてはいけないのかということについて述べたいと思います。
 目標の数ですが、ミレニアム開発目標というのは、人間開発に焦点を当てて、貧困の削減、教育、保健、水衛生、もちろん環境についても入っていたんですが、どちらかというと人間開発を中心とした目標で、八つの目標があったわけです。それに対して、持続可能な開発目標では環境に関わる目標がたくさん入ってきまして、十七目標となっております。実は目標の下にターゲットというのがあるんですが、これは百を超えるターゲットがあるわけですね。そういう意味では、非常にアンビシャスというんでしょうか、非常に網羅的であるけれども、どこから手を着けてよいか分からないというような懸念もあるという目標でございます。
 その十七の目標をある意味テーマでまとめていくと、五つのPというふうに言われております。
 一つはピープル、人間ということで、ここでは貧困削減であるとかジェンダー平等、栄養、水衛生、エネルギー、健康、教育、こういったものに関わる目標を一つ人間に関連する目標としてまとめることができるかと思います。二つ目にはプラネット、地球ということで、持続可能な都市と居住、消費と生産、気候変動、海洋資源、生態系、生物多様性、こういった目標がございますので、これは地球と関わる目標と言えます。次に繁栄、これは特に経済的な面ですけれども、プロスペリティーということで、経済成長、雇用、インフラと産業、国内及び国家間の格差の削減、こういった目標があります。四つ目のPとしてはピース、平和ということで目標があります。そして、全体に分野横断的なパートナーシップを構築していくという目標があります。
 そういう意味では、十七目標がありますけれども、テーマ的に分けると五つのPによってある程度の分類が可能ということであります。
 次に、これが重要なんですけれども、対象国ですが、ミレニアム開発目標の時代は、どちらかというと途上国に対する宿題という考え方があって、その途上国に対して先進国は開発協力いたしましょうというような考え方。そういう意味では、南と北という二項、何というんでしょうか、二項対立的な視点が強かったわけですね。御存じのとおり、今はエマージングエコノミーと言われるように新興国家がたくさん出てきておりますので、単純に南と北というふうに二つに分けることは難しいわけです。
 また、持続可能な開発目標においては全ての国連加盟国に対する宿題であるということでありまして、そういう意味では、日本にとっても国内においてSDGsを達成するためにどのような計画を策定するかということを国際的に発信していく必要があるというふうに思っております。
 例えばスイス。スイス政府は、国際保健に関わるSDGsの達成を国内の保健政策の中に取り入れるということをやっております。こういったことが今後増えていくと思いますので、日本としても、国際と国内は別であるというふうには考えず、国内において国際的に発信していくということが重要かと思います。
 これは、日本国内で既にやっていること、またこれからやることを国際的にアピールしていけばいいということで、ジェンダー平等にどう取り組むか、再生可能エネルギーにどう取り組むか、持続可能な都市、居住、あるいはもったいないの精神がある日本において消費と生産においてどういうふうに取り組むか、気候変動にどうするか、雇用、インフラ、産業、格差の削減、こういったことを日本国内である意味成果を上げて、それを国際的にアピールしていくということが求められるということです。
 そういう意味では、MDGsのときには途上国が宿題が与えられて先進国はそのお手伝いをしますという時代だったのが、SDGsの時代は、全ての国連加盟国がそれぞれの国内の状況に合わせてこの分野は我が国としてやっていくべきであるという優先分野を決めて、そこで成果を出していくということが求められるわけです。
 次に、第三点、日本が果たすべき役割というところに移りたいと思います。
 日本が果たすべき役割の一つの哲学的といいましょうか精神的な支柱というのは、人間の安全保障という考え方だと思います。これは、一つはエンパワーメントの戦略、もう一つが保護の戦略ということになるかと思います。エンパワーメントというのは要するに力を付けるということですが、脆弱な人々を強靱にしていくということです。環境の分野でいうと、人々の適応能力を高めるということになるかもしれません。保護の戦略という意味では、人間への脅威そのものを軽減していく、リスクそのものの軽減ということになります。こういった視点というものを打ち出していく。
 これは国連総会において既に採択されて認められた概念でありますし、これは日本が発信してきた概念でありますので、是非これを進めていただきたいと、こういうふうに思っております。新しい改定された開発協力大綱の中にも盛り込まれておりますので、既にしっかりと国内ではそういった体制がつくられていると思います。
 二つ目が、グローバルガバナンスの再構築ということであります。
 グローバルガバナンスというのは、もちろん世界には政府がありませんので、国際機関は加盟国の総意を受けながら国際公共財の形成に努めると。しかしながら、国家以外にも、財団であるとかNGOであるとか地方自治体、そういった数多くのアクターがグローバルイシュー、地球規模課題に関わってくるということが見受けられるわけです。そういった中、従来の国家を中心とした考え方ではなかなか進むべき道というのが難しい、調整の必要があるということです。
 例えばということで、これは先ほどの感染症の御専門の岡部先生からのお話にもありましたが、例えばなぜ西アフリカにおけるエボラ出血熱に効果的に対応できなかったのかということ、これはいろいろな問題が指摘されていて、報告書がたくさん出ております。一つは、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態、PHEICというものがなぜあそこまで出るのが遅かったのかということもあるかと思います。それに対して、今回のブラジルを中心としたジカウイルス感染症に対してはすぐに出たということで、これは何かおかしいということが言えるわけです。
 そういう意味では、グローバルヘルス、国際保健の世界で国際保健規則というものが条約として締約国の国際法上の履行義務となっているんですが、それがうまく遵守されていない。特に、そのコアキャパシティー、中核的な能力を身に付けていない国が多い。日本はしっかりと力を持っている国ですけれども、西アフリカの三か国はそういったIHRのコアキャパシティーを持っていなかったということがそもそもあるということが言えます。あるいは、そういった問題があるということをNGOが指摘していても、それに対して国際機関、WHOが十分聞く耳を持っていなかったという問題もあるかもしれないということがあります。
 また、こういった問題は医療の問題だけではなくて、例えば埋葬するときに、死んだ親族、親しい人の体を触るというような習慣がある国、こういったところでの公衆衛生教育の重要性。あるいは、ロジスティクスですね、物資を運ぶ必要性。いろいろな国際便がキャンセルされる中、どうやって物資を運ぶのか、専門家をどうやって送り込めばいいのか。そういった問題においては医療を超える非常に分野横断的な調整が必要である、そういった緊急対応における調整をどうしていくのかということをあらかじめ考えていく必要があるということを今回迫られたということにあります。また、こういった緊急事態に対して十分な資金調達を迅速にできるような仕組みが必要であるということもあります。
 そういう意味では、国際保健一つを例に取りましても、そのグローバルガバナンスをどう再構築していくかということについて日本として提言していくといったことが考えられるんではないかというふうに思います。
 次に、日本が果たすべき役割の三つ目としまして、日本の経験に基づいたSDGs達成へ向けた政策提言ということがございます。
 日本は、国民皆保険を中心といたしまして、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジがある国として非常に高く評価されているわけです。これは、人々の健康の増進に貢献してきただけではなくて、貧困、貧富の格差の是正にも大きく貢献してきたということがいろいろな研究で分かっているわけです。そういった意味では、そのユニバーサル・ヘルス・カバレッジを今推進しようとしているタイであるとかインドネシア、こういった国が今一生懸命日本のようなUHCの達成したような国になりたいといって取り組んでいる、そういった国をどう応援できるかということがあるかと思います。
 日本では、平和と健康のための基本方針、国際的に脅威となる感染症対策の強化に関する基本方針などを既に定めていらっしゃいますので、そういった意味では理論的な枠組みは既にできている。じゃ、具体的にそういったUHCを達成しようとしている国々に対してどういった協力ができるかということを日本の経験に基づいてアドバイスしていくということが考えられるというふうに思います。
 また、教育への投資。特に、日本においてはインクルーシブ教育ということで、障害を持つ方を含めて、そういった多文化共生の中で共に教育を行うといったことが進められています。こういったことも教育への投資を積極的に進めることによって経済発展を果たした日本としてはいろいろ発信できる、日本の経験を発信できるというところがあるかと思います。
 次は高齢化社会ということで、これはまだまだちょっと、日本としてこれ今経験しつつあるところなわけですけれども、世界に先駆けて高度な高齢化社会を迎える日本にとって、注目している国はたくさんあるわけですね。ですから、高齢化社会を迎えている日本がどのような対応をしていくのかということがほかの国にとっての教訓となり得るということがあります。そういった意味では、実験的に日本がどういったことを取り組むかということが言えるかと思います。
 次のページに行きまして、持続可能かつ強靱な環境・社会づくりということでございます。
 日本の地方都市においては様々な革新的な都市づくりというものがされています。そういった環境と調和したような都市づくりがあるわけですけれども、こういった経験はこれから経済発展を進めようとする中進国にとっては非常に参考になる、また環境の観点からも重要なインプリケーションがあるというふうに考えております。
 例えばインド。インドは、これから都市化が急速に進む非常に人口を多く抱えた国です、インドネシアもそうですけれども。こういった国が都市化を進めていくに当たって、日本が自然と調和した都市を構築する経験を、ノウハウをトランスファーするということは、インドにおける低炭素社会の実現において非常に役に立つということが言えるかと思います。
 このまま放っておくとインドの都市はどんどんどんどんたくさんできていって、自動車中心のCO2を多く排出する都市がたくさんできてしまうと思うんですけれども、それに対して、公共交通システムを十分に配慮した地方都市の経験というのは非常に役に立つということが言えるかと思います。こういった日本の経験というのも重要かと思います。
 次に、官民協力。パブリック・プライベート・パートナーシップと書いておりますが、を通じたイノベーション、技術革新、技術移転、気候変動の分野におけるスマートテクノロジーであるとか、感染症の分野における医療機材、革新的な医療機材というものがあるわけですけれども、非常に多くの途上国あるいは中進国にとって必要とされている技術というのがあります。
 日本の民間の技術を潜在的なマーケットがある途上国あるいは中進国に向けて、あるいはビジネスとして、環境に優しいビジネスとして展開していく、あるいは感染症対策のためのビジネスとして展開していくということが言えるかと思います。既に感染症の分野においては、マラリアを予防するための蚊帳であるとかあるいはワクチンであるとか、あるいはほかの医療機材において非常に革新的なものを出してきているわけですから、そういったものを国際的な公共財へ貢献する民間企業の役割として位置付けていくということが重要かと思います。
 さて、最後に、四番目、今年、多く日本の外交によってチャンスがあるということでございます。
 五月にはG7サミットが伊勢志摩で行われるわけです。日本は、沖縄・九州G7、G8サミット、北海道洞爺湖サミットにおいて非常に主導的な役割を果たして、国際社会に対して発信してきたという経緯がございます。これが七年、八年のサイクルを回って、今年伊勢志摩においてG7をホストするということです。これは、SDGsが採択された、国連総会採択が去年の九月でございますから、最初のG7ということになります。ここで日本が、やはりSDGsの達成へ向けてこういったことをしようではないかということをG7の中で合意形成をつくっていくということが重要な機会かと思われます。
 そして、その三か月後の八月、日本がアフリカ諸国を集めてアフリカ開発会議、TICADというものを開催してきましたが、今回は初めてアフリカ大陸においてTICADを開催するということでございます。ケニアで八月に開催されるTICADにおいて、アフリカに対してどういったメッセージを届けるのか、SDGsの達成に対してどういった貢献ができるかということを議論する絶好のチャンスであるということが言えます。
 さらに、少し保健の分野に絞られますが、九月にはG7の保健大臣会合が神戸で行われます。ここでもG7として、特に保健の分野、UHCあるいは感染症の分野において足並みをそろえるチャンスがあるわけでございます。
 もちろん、世界経済においては、G7の世界経済における比率というのは下がっておりまして、今やG20に軸足が移ったという議論もございます。しかしながら、G20にはいろいろな考え方の国がたくさんありますので、なかなかコンセンサスをそこでつくるということは難しいわけです。そういう意味では、G7で合意をした上で次のG20に持っていくということも可能性としてあるかと思います。来年のG20はドイツがホストするということで、G7のメンバー国でもありますので、そういった意味では非常に大きなチャンスがあるということが言えるのではないかと思います。
 以上、余り専門的なお話ではなかったのですが、四点、二〇一六年は歴史的な転換の年であるということ、SDGsへ移って我々も変わらなくてはいけない、そして日本は果たすべき役割がある、そして四つ目、日本の外交にとってチャンスがたくさんあるということについて申し上げます。
 どうも御清聴ありがとうございました。
#9
○会長(柳田稔君) ありがとうございました。
 これより質疑を行います。
 質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。
 委員の一回の発言時間は答弁を含め十分以内となるよう、また、その都度答弁者を明示していただきますよう御協力をお願い申し上げます。
 質疑及び答弁とも、御発言は着席のままで結構でございます。
 まず、大会派順に各会派一人一巡するよう指名いたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 二之湯武史君。
#10
○二之湯武史君 自由民主党の二之湯武史と申します。
 本日、お三人の参考人の方々におかれましては、貴重な講演をいただきましてありがとうございました。
 お話をお伺いをしておりまして、いろんな意味で大きな変化が訪れているというような実感を持つことができました。今までの開発、環境、それぞれ異なったコンセプトが融合し始めているということでありますとか、気候変動を取り巻くアプローチも劇的に変化をしつつあるという中で、やはり産業革命以降、化石燃料というものが人類の文明に大きな発展の役割を果たしてきた、そういったものがまさに現実的に岐路に立ちつつあるというようなことも大変よく分かりました。
 そんな中で、まず平田参考人にお伺いをさせていただきたいのですけれども、パリ協定、非常に野心的な取組というものがある中で、やはり日本のイニシアチブがやや弱いのではないかという話がございました。
 やはり、特に日本の政治家というのは視点がかなりドメスティックなところがあるというふうに私も自己反省を踏まえて実感をしているところでございますけれども、そんな中で、具体的なイニシアチブがたくさん表明されていると。例えばダイベストメント運動、言わば化石燃料の投資から撤退をするというような話もありました。化石燃料をもう掘り起こさないでありますとか、再生可能エネルギー一〇〇%、そういったものに実際の企業側がコミットをしていくというような話もございました。また、ビル・ゲイツ等々の富豪がファンドをつくってそういったブレークスルーの分野に投資をしていくと。
 これも、一般論としてなかなか再生可能エネルギーというのは採算性が難しいんだというような話をされると、議論はもうそこで終わってしまうわけですけれども、こういった本当に影響力のある人間たちが世界でそういったイニシアチブを始めているというこの動きが今後、今後というかもう本当に近い将来、どれだけのインパクトを与え得るのか。特に、経済合理性という観点で本当にそういうものがインパクトを与え得るのであれば、これは本当に大きな構造的なパラダイムのシフトを促すような話になってくると思います。
 そこの中に日本の企業なり若しくは政府なりのイニシアチブが大きく見えないというところが残念だという話があったと存じますけれども、その辺のこれからの、現実的な近い将来のインパクトというのはどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
#11
○参考人(平田仁子君) 二之湯議員、大変重要な御質問ありがとうございます。
 お手元にカラーのパワーポイントの参考資料をお配りしまして、その辺の大きな動きをお伝えしたくて幾つか資料を付けております。
 例えば三ページ。ミッション・イノベーションという、こちらの写真には左から四番目に安倍総理大臣も写っておりますけれども、五年間でクリーンエネルギーへの研究開発の投資を倍増させるということを日本も含めて約束しております。並んでいる国を見ますと、先進国、途上国、非常に多岐にわたっております。
 そして、それを下支えするのが次のページのブレークスルー・エネルギー連合という、ビル・ゲイツさんが旗を振り、五年間一兆ドルの投資を実現するということで大富豪家を集めたということで、お金をもっと早く再生可能エネルギー等に流れるように動きを取るのだと彼自身のブログでも強く語っております。
 また、もう一つ、七ページまで飛んでいただきますと、アフリカ諸国に再生可能エネルギーのイニシアティブというものがございます。当面、二〇二〇年までには追加的に十ギガワットと非常にスローなスタートではあるんですが、二〇三〇年には三百ギガワットにするんだということを発表しております。これは現在のアフリカ全土の電力を賄っている設備容量の倍に当たります。つまり、エネルギーアクセスのない人も含めてエネルギーアクセスに手を差し伸べながら、かつ全てを再生可能エネルギーで賄うというもので、これに関して、G7の諸国らがCOP21の会議中にこれを支援するための共同声明というものを発表しています。
 そういう意味では、企業とそして国家、しかも主要な国家が、再生可能エネルギーを中心とした、省エネルギーを中心とした大きな投資へ社会を振り向けていくことを既に約束しているというふうに私は見ております。
 そして、パリ協定は、どんどんどんどんCO2を削減することを国際的に切り詰めていく、長期目標が極めて意欲的なために、そことの差、ギャップということは様々な研究機関からレポートが出されていくことになると思います。そうすると、この動きは停滞すると、どこかから何かが言われ、そして加速をするための様々なプレッシャーが企業からも自治体からも市民からも突き上がっていくだろうと思っておりますので、既に多くの国家が、そして企業が船に乗りかかっているというふうに見ております。
 ですから、私は、パラダイムシフトは起こるのか起こらないのか、再生可能エネルギーは大丈夫なのかといった議論のステージは既に乗り越えて、もうその入口に入ったどころか、かなり助走して飛び上がろうとしている状況に来ているのではないかと、そんなふうに世界の動きを見ております。
#12
○二之湯武史君 ありがとうございます。
 本当に、二〇二〇年とか三〇年とか具体的な年限も切られていますし、一兆ドルという非常に具体的な金額も挙がっておりますし、そういったイニシアチブが本当に動き始める中で、やはり日本企業なり日本政府の存在感というんですか、ともすれば我が国は、先ほどお話ありました、省エネ技術は世界一なんだとか、まあそれは実際もうそうじゃないんだというふうにおっしゃっておりましたが、若しくは文化という観点でも、自然との共生を古来から果たしてきた民族なんだというような非常に表面的な、概念的な、そういったものは我々も含めてよく語るわけですけれども、それが本当に実質を伴っているのかというようなお話でいうと、私たちも本当にしっかりと自己反省をしなきゃいけないし、可能かどうかということではなくて、そうしなければいけないんだというようなものがまさにイニシアチブだと思いますので、今日は本当にすばらしいお話を聞かせていただいたなというふうに思います。
 もう一つ、勝間参考人にお伺いをしたいのですけれども、今申し上げたようなそういった観点でいいますと、今こうした動きの中で日本政府として、勝間参考人が、様々なこの世界の舞台で若しくはこういった研究の中で具体的に日本の政府がイニシアチブを取るべきこと、先ほどちょっとお話をいただいたんですけれども、もう一度ちょっと簡潔に、取る具体的なアクションといいますか、そういうものをお伺いをさせていただければと思います。
#13
○参考人(勝間靖君) どうも御質問ありがとうございます。
 ちょっと先ほどの御質問、気候変動に関する御質問と少しかぶらせていただきたいんですけれども、私の方から気候変動のことと感染症を見ていると、基本的に問題は一つ、同じかなと思うんですね。結局、新しい技術をつくるための調査研究はやっぱりコストが掛かりますので、民間企業が市場ベースで参入をなかなかしないということですよね。だからといって、それじゃHIV、エイズのワクチンの開発をしないかというと、これは重要だからやはり公的な投資がされるわけですよね。これは我々の生命を明らかに脅かしているということでございます。
 それに対して、例えばアフリカにおける顧みられない熱帯病、これはもしかしたらエボラ出血熱もそうだったのかもしれませんけれども、これはやっぱりアフリカの問題だから、マラリアは、だからやはり先進国の企業はこれに対して余りワクチンのRアンドDに投資をしない。これは市場判断としてはそのとおりなんですね。しかしながら、今我々は国際社会において、こういった問題は国際公共財の問題であるからやっぱり公的投資をすべきである、ワクチンあるいは薬を作るべきであるということになっているかと思います。
 気候変動の問題は、実はなかなか、感染症と似ているのは見えないところなんですね。ウイルスが見えないのと同じで、地球生態系のむしばまれるところはなかなか我々が見えないところなんですね。しかしながら、感染症の場合は、人が倒れて場合によっては命を失いますので、最終的には見えるということですね。それに対して、気候変動については、むしばまれている地球がどうなるのかということについて想像がなかなか難しいということです。
 そういった分野においてやはり民間企業としては、クリーンエネルギーに対して、あるいは低炭素技術に対するRアンドDを市場のメカニズムで投資できるかというと、なかなか難しいわけですね。やはり地球生態系を脅かすことは我々の命を脅かすことだということで、これはもう公的に投資をしなくてはいけないと我々が決めれば、恐らく感染症と同じように公的投資をするんだと思います。その辺の可視化が十分に我々ができていないというところが問題なのかなというふうに思います。そういう意味では、感染症の問題と気候変動の問題は考え方としては同じにできるのではないかというふうに思っております。
 日本としては、やはり期待されるのは日本の持っている技術と経験だと思うんですね。やはり、何というか、低炭素技術に関して、あるいは感染症対策に対する技術、イノベーションについては日本の企業は非常にすばらしいものを持っていますので、そういった企業がなかなか参入しない市場に参入できるようなパブリック・プライベート・パートナーシップをつくっていくということかと思います。
 恐らくゲイツさんが考えられているのはそういった観点だと思います。ゲイツさんは、気候変動の問題だけではなくて感染症の分野においても、顧みられない熱帯病に対して製薬会社が投資をするようなシードマネーをまくということをやっていらっしゃいます。そういう意味では、その市場が不完全である、それがゆえに国際公共財がつくられないということであれば、そこにやはりパブリックセクターとしての介入の可能性があると。
 また、日本は、今までの経験の中から、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジであるとか、米百俵の話がありますけど、教育に対してはちょっと、食べるものを減らしてでも投資する、それが成功したという経験があります。そしてまた、途上国であった日本が今は先進国となっている、援助を受けていた日本が今は援助を与える側になっているという、そういった経験ですよね。そういった経験に基づく我々の英知をやはり国際的に発信していくことができるかと思います。
 以上でございます。
#14
○二之湯武史君 ありがとうございました。終わります。
#15
○会長(柳田稔君) 長浜博行君。
#16
○長浜博行君 ありがとうございました。
 平田参考人には、石炭か原子力かという大型集中ではなくて、もはや再生可能エネルギーによる地方分散型への方向性は理解をしました。
 省エネについては、ちょっと御説明もありましたが、今の質疑を受けてじゃありませんが、熱利用の分野ですね、消費量における熱需要、大変大きく、それには、要するに冷暖房ですね、家庭と業務用、これもう電気やあるいは化石燃料を五割ぐらい使っているというふうに思いますけど、これはNEDOの調査、エネルギー白書にも出ているところでありますが、この日本での熱利用が効果的に行われていないという状況についての御意見を伺えればというふうに思っております。
 それから、岡部参考人には、先生がおられたところでも、昨日、ジカ熱のクローンですか、まさにウガンダが発症、四七年のウガンダのクローンをつくって、これでワクチンか何かの対応というような状況になっていますけれども、日本の置かれている役割として、創薬、特に先生の場合は、論文を拝見しますと、輸入感染症は否定できないというか、あることを前提ということでありますから、ブラジルへオリンピックを見に行った方が帰ってきたのみならず、二〇年には日本に集まる観光客の皆様方を含めて、これに対応する感染症対応の創薬の分野をどういうふうに考えていけるのか。今の日本の状況の中で、たしか創薬は世界で三位ぐらいの実力は持っていると思いますけれども、この感染症における創薬の問題について。
 それから、勝間参考人には、人間の安全保障の概念の中で、先生は二〇〇〇年のMDGsに関しては、RBAの、人権アプローチに関してはかなりネガティブな御意見、使われていないんではないかなという御意見をお持ちだったというふうに思いますが、昨年のこのSDGsに関しては、SDGsの理念の中に人権アプローチがもうそのベースとして支えられていると、こういう指摘もありますが、SDGsと人権アプローチの評価について、これをよろしくお願いします。
#17
○参考人(平田仁子君) 長浜議員、御質問ありがとうございます。
 確かに、ちょっと省エネルギーについては余り十分お話しすることができませんでしたけれども、非常に重要なポイントを御指摘いただきました。
 IEA、国際エネルギー機関においても、日本だけではないんですけれども、省エネルギーの可能性、そしてそこにまだ手が着けられていないところに非常に注目が集められています。その中で最も効果的でかつ未着手なのがまさに先生がおっしゃった冷暖房の分野であるということで、日本も世界と同じような状況にございます。ここの削減の可能性は非常に大きくあると思っていまして、ポテンシャルが大きいと思っておりますが、日本でもまだまだ未着手です。そこには政策の不在が著しくあることが原因なのではないかと思っておりますので、幾つか申し上げたいと思います。
 まずは、冷暖房を使うのは建物の中でございますので、住宅そして建築物の気密性そして断熱といったことがどれだけの冷暖房を使うかを決めるところが非常に大きいんですけれども、もはやOECDの中で新築の建物に省エネを規制していないのは日本ぐらいというぐらいここの規制の導入は遅れてまいりました。ようやく国土交通省が動き出したというところでありまして、新しく建てるものは当然省エネでというのは、技術がある中ではもっともっと早くできたことであろうと思います。
 もちろん、新設が対応できても、既存の隙間風が吹くような建物についてはもっと未着手でありまして、実態も分からないということもございます。ここは実態把握を進めれば、無駄に冷暖房をがんがん回してエネルギーを使っているコスト削減にもつながる。特にこれは家庭や中小企業などにとってメリットもあるところですので、ここを地域と連携してどう進めるのかということもまだまだ検討が不十分です。
 また、熱利用に関しては、再生可能エネルギーが多く使えます。太陽熱はお湯を沸かすことだけではなくて床暖房等にも使うことができます。また、地中熱といったことも建物の中の冷暖房に使うことができます。しかし、こうした分野では、特に太陽熱についてはほとんど下火ということで、こんなに安く、そして簡単な技術でできることすら進んでいない、何らかのシグナルがあればお得なのですぐ進むということが何か引っかかって進んでいないと。非常に残念な事態にあります。
 そしてもう一つ、シグナルが足りないと思っているのは、そうしたことに気付かせるきっかけとなる政策がないということです。
 もし二酸化炭素の排出量にキャップがかぶせられれば、どうやって、どこに可能性があるのか必死で探します。東京都の排出量取引制度は、大きな建物に排出規制が課せられています。それによって、汐留にあるような新しいビルでもどうやって削減ができるのか必死に探し、そしてテナントと協力し、そしてスーパーや百貨店はお客さんとのコミュニケーションを考えということで、様々な創意工夫と体制をつくって、その制度の下でCO2削減することを実現しています。しかし、この制度は東京都と埼玉だけであって、国レベルでは着手されていない、大型のところであっても。
 どうしてこんなもったいないことが続いているのか、まだまだ日本はやれることがたくさんあるということを、まだ足下にも及んでいないことのいい例がこの冷暖房の取組だと思います。
 ありがとうございます。
#18
○参考人(岡部信彦君) 御質問ありがとうございました。
 創薬というのは非常に重要な位置を占めていると思うんですけれども、感染症の分野でいえば、例えば抗菌薬、以前抗生物質と言われたもの、それから予防であるワクチン、これかつては我が国も相当なものを世の中に送り出して、海外にも使用されております。ワクチンもワクチン後進国なんと言われる言葉もあるぐらいなんですが、しかし、水ぼうそうのワクチンとか、BCGのいいワクチンとか、百日ぜきの安全なワクチン、これ日本製が海外に出ております。しかし、それ過去の話でありまして、最近は非常にそういうものに対する開発意欲あるいは開発環境が少なくなってきているというのがあります。
 たまたまエボラ出血熱のときに、日本製の、本来は抗インフルエンザウイルス薬であったものがエボラ出血熱にも効果があるのではないかというような、非常に脚光を浴びたものもありますが、しかしそこの最終的な実験は日本でやったのではなくて、海外で行われている。ということは、研究的基盤が十分にできていない、あるいは設備としてそういうウイルスを取り扱える設備が当時なかったというようなことがあります。
 それから、これは私も、公的な研究機関である国立感染症研究所とか、今も、川崎の研究所も市の研究所ですから公的な機関なんですけれども、日本はなかなか公的な機関とそれから企業とがいい関係での、もちろん癒着とかそういうことではなくて、いい関係での共同研究で新しいものを開発していくというところが少ないように思います。研究者はあるアイデアを持って結構なところまでいくんですけど、今度それを製品にできるかできないかというのは、やっぱり企業が絡んでこないと、研究機関だけではできないので、そういったような関係がうまくできるようなシステムを構築していく必要が今後あるだろうと思います。
 さらには、せっかくできたものを、日本にない病気なので、一つは日本で治験ができない、実際のことができない。ということは、海外と常々そういういい関係、良好な関係にあって、モルモットであるというようなことが言われないような形での治験をきちんとできるように、また国内である病気であっても、日本の方もそういうことを理解した上での治験への参加ができるような取組、システム、そういったようなのがまだまだ欠けているように思います。
 これからは、能力としては私は十分我が国も持っているとは思うんですけれども、そういう意味で、先ほどの環境というようなところを整えるようなことが今後更に大切ではないかというふうに考えております。
 以上です。
#19
○参考人(勝間靖君) 御質問ありがとうございます。
 確かに、ミレニアム開発目標においては人権の視点というのが不十分であって、特に反省として出てきたことが、平均値を伸ばすところには一生懸命やったんだけれども、エクイティーというんでしょうか、平等性については十分でなかったと、場合によっては格差を増やしてしまったというケースもあるということがMDGsの反省としてございます。
 SDGsにおきましては、御指摘のとおり、若干人権の視点というものが入ってきております。特に、目標の十六においては平和で包摂的な社会をつくるということで、目標としても一つ挙げられております。また、平均値を上げることに一生懸命だったMDGsに対して、社会的排除をなくすことであるとかインクルーシブな教育を進めるであるとか、そういったある意味ポジティブアクションを促進するようなことがその目標の下のターゲットとかそういったところに入ってきたということでは前進だというふうに思っております。
 どうもありがとうございます。
#20
○会長(柳田稔君) 河野義博君。
#21
○河野義博君 公明党の河野義博でございます。
 三人の先生方、今日は大変ありがとうございました。
 まず、平田参考人にお伺いをいたします。二つ質問いたします。
 脱炭素化社会へということで御提言をいただきました。低炭素化社会ではなく脱炭素化社会というのを興味深く拝見させていただいたわけでございますが、まず一点目、エネルギーミックスに関してでございます。
 私は、発電は地理的に分散をさせること、それと、あとはテクノロジーを分散させること、この両方の分散が大事ではないかなというふうに考えておりまして、バランスよく効率よくやっていくのも一つの重要な視点だと考えております。
 おととしのエネルギー基本計画で、今後三年間の見通しということで、二〇三〇年までには再生可能エネルギー二〇%を大幅に上回る水準ということが示されまして、昨年のエネルギーミックスで再エネ二二%という具体的な数字が出てきたわけですが、エネルギー基本計画は来年見直しますので議論をもうすぐに進めていかなければならないというふうに考えていまして、私は個人的にはもっともっと野心的な数字を出して、そこへ産業を引っ張っていくような取組がなければ、今のまま遅々として進まない。
 逆に、この二二%の中には大型の水力発電も含まれているわけでございますので、太陽光だけが少しばかり増えましたけれども、ほかのテクノロジーは全く推進されていっていないということで、しっかりとした野心的な目標を掲げるべきだと思っているんですけれども、次の基本計画において、化石燃料の発電比率、原子力発電の発電比率、また再エネの発電比率、どういった構成を望まれるというか、期待をされているか、お聞かせいただきたいのが一点でございます。
 もう一つは、気候外交、これも大事な視点だと思っております。
 G7その他の枠組みで今年も様々な国際会議ございますので、日本がリーダーシップを取っていかなければならないというのは論をまちませんけれども、一方で日中韓という枠組みも非常に大事じゃないかなと思っておりまして、昨年、三年半ぶりに日中韓の首脳会談が開催をされまして、本年は日本がホスト国になっております。この中でも、この三か国、世界の温暖化ガスの三割はこの三か国から出ておりますので、しっかりとイニシアチブを取って、削減目標を掲げて、協定のようなところまで行けたらいいなと思っておりますが、この日中韓の取組について参考人の御意見もお聞かせいただきたいと思っております。
#22
○参考人(平田仁子君) 河野議員、御質問ありがとうございます。
 今、興味深いとおっしゃっていただきました脱炭素化という言葉、ディカーボナイゼーションと英語で言いますけれども、昨年のエルマウのG7サミットでは世界経済を脱炭素化するということに既にG7諸国で合意しておりますので、私が先走って言っているというよりは既に政府の方々が先に言っているということで、ディカーボナイゼーションという言葉を私も使わせていただいております。
 そして、エネルギーミックス、三年というのは早いもので、来年また見直しということになるわけですけれども、おっしゃっているとおり、現実に即してまた意欲的に見直しをすることは極めて重要だと思っております。
 まず、原子力発電についてなんですけれども、こちらは、推進、反対、いずれの立場であるかということをよそにしましても、過去のこれまでの原子力政策を見ますと、こうした計画は常に上滑りをしてまいりまして、計画どおりに原子力の計画というのは進んでいきませんでした。そのあおりを化石燃料が補ってきたというようなことで、地球温暖化対策は原子力の推進をもってといって進められてきましたが、結果的に化石燃料として、特に石炭火力発電所をどんどん増やしてきた、三倍にまで過去二十年で増やしてきたというのが日本の実態であります。
 そういう意味では、原子力発電の今のエネルギーミックスのシェアは極めて現実的と言い難い高い水準にあると思っており、これをやはり現実に照らして、そして福島の事故の後、日本がどう選択するのかをもう一度立ち返って見直すことが必要だと思います。
 その上で、再生可能エネルギーなんですけれども、現在二〇%強ということでありますが、おっしゃっていただきましたとおり、大規模水力を除くと極めて他国と比べると小さな目標でしかないと私は見ております。もう既に風力発電の技術もあり、太陽光や自然のエネルギーを使いたいと思っている市民がいる中で、これを速やかに進めていくということは日本の大きな命題でありますし、先ほど来お話ししました世界のトレンドからいうと、これは早く大きく増やしていける技術でありますので、もっと意欲的にこれを進めることができると思います。
 そういう意味では、今、エネルギーミックスに基づきまして非化石電源というものをエネルギー供給高度化法で四四%という数字、ただ、これはエネルギーミックスからひも付いている数字でありますが、それを位置付けるという準備を経済産業省がなさっているということですが、この四四%のほとんどは再生可能エネルギーで賄うぐらいの、やはりこれからの再生可能エネルギーの普及を見込んでいただきたいと思っております。
 また、化石燃料分を減らしていくということについては、先ほど長浜議員からもありましたように、今電力需要が二〇三〇年に向かってまた増えていくというような見込みにありますが、実際にはこの五年間電力の消費は減っているという現状に照らして、人口が減っていく中でもっと省エネは進み、電力の消費量は減らしていくということを織り込み、化石燃料の割合も減らしていくということが必要ではないかと思っております。
 日中韓の役割、これは極めて重要でありまして、アジアの中でもやはりこの三か国の役割というのが重要です。中でも、もちろん、世界の大国となりました中国がどのようにこれから気候変動対策を取っていくのかということは、我々からの、日本からの働きかけ、そして中国の動向を注意する必要があります。
 しかし、中国は、私の目から見ますと、ある意味腹をくくって気候変動対策に動き出したように見えます。一つは、大気汚染の問題が余りに甚大であり、石炭火力発電や車の対応をしなくてはならないからであります。そのために、石炭火力発電所の古いものを追い出すということや、排出量取引で排出規制を掛けるということにも動き出します。そして、再生可能エネルギーの導入のスピードは目覚ましく速く、その規模は世界トップに躍り出るという勢いであります。そういう意味では、政策においても、既に動いている動きについても、ダイナミックに動いているのは中国の方かもしれないと思っております。
 しかし、まだまだ課題の多いところもありまして、石炭をたくさん使っており、古い石炭もたくさんあり、省エネの可能性もたくさんある、ここにおいて日本が連携を取っていくということは極めて重要だと思っています。特に、石炭火力についてはこの三か国は共に、日本が第一位なんですけれども、共に途上国に対して石炭火力技術をまだまだ売りたいと思っているところは変わっていないということでありまして、他国に対しての脱炭素化に対して影響も大きいということで、やはりここにおいて次なる時代を見て連携して取り組んでいくことは極めて重要で、そこに向かった今年の日中韓のサミットにしていただきたいと思っています。
#23
○河野義博君 ほかにもたくさん質問したかったんですけれども、時間が来ましたのでこれで終わります。──じゃ、済みません。
 最後、簡潔に勝間参考人に伺います。
 人間の安全保障の観点から、グローバルガバナンスの再構築が大事だというふうな御提言をいただいております。具体例として国際保健規則、挙げていただいておりますが、国連が機能不全を起こしている中で、ほかのやっぱりガバナンスを模索していくというのは非常に大事なことだと思うんですけれども、ほかにも具体的にこういったことができるんじゃないかといったことがあれば、簡潔に最後教えていただけたらと思います。
#24
○参考人(勝間靖君) どうもありがとうございます。簡潔に述べさせていただきます。
 G7サミットとの関連でお話をしますと、恐らく議題として重要性があるのがテロリズム、そして難民、移民の問題かと思います。これは欧米諸国にとっては非常に危急の課題であるということでございます。
 こういったテロリズム、場合によっては海賊も含めてですけれども、こういったものに関して国連が十分な対応の仕組みを持っているかというと、ないというのが現状だと国連側も認めております。こういったところで、国連以外の場でいろいろな議論をしなくてはならないということなんですが、もう少し国連を活用するような在り方はできないのかということです。難民、移民に関しても、非常に、もちろん国連の中には担当する、国連難民高等弁務官事務所を含めてあるわけですが、これについても十分コンセンサスができない分野だということが言えるかと思います。そして、気候変動は、パリ協定がありますので、当然フランスがこれを重要だとして出してくると思います。それに次いで、日本としてはやはり保健、国際保健の問題を是非しっかりとG7で議論をしていただきたいというふうに思っております。
 こういったものが、G7で議論しなくてはならない、国連でもやってはいるけれど十分にできていないというところで、グローバルガバナンスを議論する上での課題かと思います。
 もう一点だけ、先ほど日中韓というお話があったんですけれど、日中韓の取組として保健分野では三か国の保健大臣会合というのをやっております。ですから、日中韓保健大臣会合というのがございますので、そういう意味では、環境の分野においてもこういったことを模索する、日中韓において非常に機能的な分野において協力を考えるということは十分あっていいのではないかと思います。
 以上でございます。
#25
○河野義博君 ありがとうございました。
#26
○会長(柳田稔君) 市田忠義君。
#27
○市田忠義君 日本共産党の市田忠義です。
 平田参考人に二問お伺いします。
 先ほどもお話がありましたが、COP21のパリ協定では、世界の平均気温の上昇幅について産業革命前の水準に比べて二度を十分下回る、このことが明記され、かつ今世紀後半には温室効果ガスが実質ゼロ、排出量ゼロになるような削減を目指すということが確認をされました。
 ただ、今国連事務局に提出をされている各国の削減目標を足し合わせても平均気温が三度程度上昇する、もうそういう試算があります。日本政府の約束草案、二〇三〇年までに一三年度比二六%減、こういう削減目標です。これは先進国の目標と比較しても私どもは全く不十分な数値だと思います。
 やっぱりCOPの決定が行われた今、二〇二〇年までに日本政府は削減目標を引き上げて更新するか、削減目標を上回る削減対策を盛り込むかが問われることに私はなると思いますが、この点についての平田参考人の御意見を伺いたいのが一点です。
 それから二点目は、先ほども言及がありましたが、石炭火力の問題なんですが、国際的な研究グループがCOP21の開催中に発表した石炭ギャップというレポートがあります。それを見ますと、建設が始まっていない計画段階のプロジェクトを直ちに中止するだけで三十五億トンの排出抑制になると、そして新規計画が多い九か国のうちの一つに日本も入っているということが明らかにされました。日本が新規計画を見直せば二度目標に大きく貢献できますし、石炭依存を転換すれば削減目標の上積みもできるわけです。
 ところが、先ほどお話があったように、環境省と経済産業省が、火力発電のうち石炭火力を四六%以下として、販売電力のうち原子力などの非化石燃料を四四%以上とするという、言わば石炭火力の新設を容認されたわけですけれども、私はこれでは従来の石炭依存、原発依存のエネルギー政策と何ら変わらないと言われても仕方がないと思うんですが、この点についての平田参考人の御意見をお伺いしたい。
 以上、二点です。
#28
○参考人(平田仁子君) 市田議員、ありがとうございます。二点お答えさせていただきます。
 まず、削減目標なんですけれども、今御指摘ありましたように、世界が発表した削減目標案、約束草案ではパリ協定の目標には足らないということで、これを引き上げていくという必要性が既にパリ協定の合意文書の中で認識されています。
 各国には、二〇一八年から一九年、ちょっとまだ会議のタイミングは明確ではありませんが、そのタイミングに、パリ協定に基づいて公式にこの目標や行動を登録することが求められます。そのときに、二〇三〇年の目標を持っている日本のような国は、その目標を提出するか、その目標を更新するか、いずれかをするようにということが書かれています。つまり、目標を引き上げるということを暗に求めているわけです。EUやその他の国々も含めてアップデートするということの要求は当然高まってまいります。世界で五番目の排出国である日本が目標を引き上げることは二度の目標のために極めて重要であるので、その要請は高まります。日本はそのつもりで二〇三〇年の目標を引き上げる国内検討を進めていくことが必要だと思います。
 二六%削減という目標は数字ではほかの国と拮抗しているように見えますけれども、これは他国と比較するというのは正直非常に難しいことです、経済情勢も違えば過去の経緯も違うということで。しかし、様々な指標で評価された海外の分析、そして私たちの分析も含めて見ますと、決して日本の目標は十分ではないという認識が大勢です。カルデロン元メキシコ大統領やジョン・プレスコット・イギリス元副首相はわざわざ日本の新聞に日本の目標が低過ぎると投稿をしていたようなことからもそのことが分かります。もう一段日本が目標を引き上げるという準備は必須のことだと思います。
 二点目、石炭火力についてですけれども、世界の中でこのように国内で推進しているのは先進国で日本だけというのは先ほど申し上げましたとおりで、非常に不思議に日本の動向は世界から見られている独特の立場にございます。そんな中で四十七基の新設計画があることについて、この前、実質的な容認に今回政府の、環境省を含めた、方針転換がなされたということはますます世界からは奇異に見えます。もちろん、経済産業省は、省エネ法で対応します、エネルギー供給高度化法で対応します、石炭は二〇三〇年に二六%を占めるという目標に向かってそれを超えないようにしますというふうに言っておりますが、今計画されているものには配慮するといって遡らないので、実質的に全部建てていいよということであります。
 これを建ててしまうことが二度にどれだけ悪影響かは、先ほど御紹介いただきました欧米のレポートであります石炭ギャップというレポートが明らかにしておりまして、石炭火力発電所は新設のたくさんある計画をまず止めるということが二度への非常に重要な鍵であって、かつそれだけでも二度には足らず、既存の石炭火力もどんどん早めに閉じていかなければならないということを、二度とのギャップということでレポートを出しております。
 そうした文脈から考えますと、日本は全く逆行し、そして新しいものを建てるものの、古いものを閉じるということの規制も踏み込んでいないということでは、他国に対して温暖化対策に熱心だということはとても説明することが難しい状況だと思っておりまして、この方針転換は急務だと思っております。
 ありがとうございます。
#29
○市田忠義君 前回、時間オーバーしたので、終わります。
#30
○会長(柳田稔君) アントニオ猪木君。
#31
○アントニオ猪木君 元気ですか。
 平田参考人にお伺いしたいと思いますが、過去と現在、そして未来に予測される気候変動というんでしょうか、ちょっと私の体験話であれですが、五十年前にブラジルに行ったときに、化石が出てきまして、魚の化石ですが、こんなでかい魚が三十センチぐらいの魚をばくっと食らい付いたまま化石になっている。もっともっとすごいいろんなものがあって結構集めたことがありますが。もう一つは、シベリアのツンドラ地帯にマンモスの子供が牧草を食べたまま、まだ消化されずにあったという、永久凍土から見付けられたという話も聞きました。
 そういう中で、そういう災害というのは一瞬にしてくるのか、変動が徐々に時間を掛けてくるのか、その辺はよく分かりませんが、一つは、今ブラジルのアマゾンで、かつては焼き畑で森林が東京都の十倍消滅していく、最近の池上彰さんの番組にも出ていましたが、東京の二倍ぐらいということを言っていました。そんな中で、本当にアマゾン自体が今気候変動も起きていて、雨が降らないところも出てきた、熱帯雨林。
 そんなような中で、本当にこれから予測というのはなかなか難しいんですが、過去に基づいて、今現在、先ほど他の先生からも話がありまして、今何をすべきか、同時に、未来に向けた百年あるいは千年単位の予測というのも必要ではないかなと思いますが、その辺についてお伺いしたいと思います。
#32
○参考人(平田仁子君) 非常に大きなお話で、アントニオ議員、ありがとうございます。
 確かに、気候変動は人間がもたらした問題であるということは、気候変動に関する政府間パネルという、IPCCという科学者による評価レポートによって明らかになっているわけですけれども、その予測を百年単位そして千年単位でするということは、不確実性も伴い、決して容易なことではありません。
 しかし、現在分かっている科学的な知見において、長い人類の歴史においてこれほどまでに急速に大気中の温室効果ガス濃度が上がったことはなく、そのような経験は人類がしたことなく、そしてそれによって引き起こされる環境そして社会に対する影響は極めてそれぞれの国家の、国際社会の存続を危ぶませる、大きな水準で起こるということも予測されているということでありますので、私たちは、短期的に取らなければならない対応と、それによる長期的な影響を視野に入れなければいけないという非常に難しい問題に直面しているというふうに思っています。
 特に、二度を達成するというのは、五十年後二度に達成するとか、百年後二度に達成するということではなく、ずっと二度以上気温は上がらないということを約束しているという長い時間にわたることです。しかし、そのために必要な対策は、今後三十年ぐらいのインフラの投資の在り方によってはもう二度を超えてしまうというスケールに、時間軸になっているということであります。また、海面上昇は一度引き金を引くと千年単位で進んでしまうということで、日本という国土に対する影響も長い時間を掛けて行われます。
 そういう意味では、将来の先の先の、私たちがもう命を落とした後の利益ということまで考えて今の政治が行動しなければいけないというのは恐らく新しい課題であろうと思いますが、今私たちが行動しなければその先の先の未来を守ることができないということは重々共有していただきたいことだと思っております。私たちのこの数十年の決定が先の未来を決めてしまうということであります。そういう意味なので、非常に想像力の要る問題ですが、そのために今何ができるかを是非これから一緒に考えていけるとうれしいなと思います。
#33
○アントニオ猪木君 ありがとうございます。
 岡部参考人にお伺いしたいと思いますが、私も十四歳のときにブラジルに移民しまして、奥地に入りまして、その後、世界中のゲリラと戦ってきました。ゲリラでもおなかの方なんですけど、本当に大変な思いを重ねてきました。
 ただ、一つには、免疫性というか、体力もよく言われるんですが、本当に死ぬ人もいるわけですけど、そんな中で、今医療、医学進んではきていると思いますが、一方で、進んでいるのか、逆に言えば、人間の基礎体力というものも含めて免疫性が損なわれているというような気もしますが、その点についてちょっとお伺いします。
#34
○参考人(岡部信彦君) 確かに、生活が良くなってきた、きれいになってきたということでは、防御力というものは少し以前に比べれば落ちている可能性はあると思うんですね。しかし、それは、ゲリラと戦っていた、議員が、頃には丈夫な人は育っているんですけれども、その周りには多くの普通の子供たちが命を落としたり、あるいはそれによる後遺症によって苦しんでいるというのがあります。そのための病気対策であるので、一方では免疫力が落ちているようにも見えますけれども、現在の状況を昔には戻せないので、そこは無理である。
 そうであるならば、今度は、私、小児科なんですけれども、やっぱり子供を健全に育てるあるいは健康にできる、あるいは適度な刺激を受けられるとか、そういう子供たちへの環境づくりが大切で、それが実は体力であり免疫力であり、それから、育っていく力をつくっていくことになるんじゃないかというふうに思います。
#35
○アントニオ猪木君 勝間参考人にお伺いしたいんですが、ちょうど去年の一月に、ロンドンにノーベル賞をおととし取ったマララ女史がいまして、なかなか警備もあれで警戒があったんですが、ちょうど彼女のお父さんも私のファンであったということで、連絡も付きまして、一時間半ぐらいいろいろ話して、彼女もお茶を入れたりとか。そんな中で本をいただきましたけど、サインまで入れてくれて。
 彼女が言っている教育の権利というその中で、子供だけではなく大人も教育を受ける権利があるという、ここに書いてありますが、その辺の、子どもの権利条約というんですかね、その辺が非常に幅は広いと思うんですが、最優先するとしたらどのような、教育もそうでしょうし衣食住もそうだと思いますが、先生からひとつ御意見をお聞かせください。
#36
○参考人(勝間靖君) どうもありがとうございます。
 私、今は早稲田大学におりますけれど、以前はユニセフ、国連児童基金の職員でしたのでアフガニスタンで仕事をしておりました。アフガニスタン、パキスタンにおりました。ですから、マララさんが住んでいた地域、今もうロンドンに移られていますけど、私にとっては非常に親しみ深い土地になっております。
 そういう意味では、今教育の権利というお話をいただいたんですけれど、子どもの権利条約における、特に女の子の教育を受ける権利が十分に実現されていない社会がまだまだたくさんあると、また、そういった権利を主張する人に対する攻撃がある、パキスタンの北方、辺境州に近いところなんですけれど、そういった問題をどう解決していくかということかと思います。
 そういう意味では、女の子が教育を受ける権利ということもあるんですけれど、やはり多文化共生を教育していくということも十分必要だと思います。そういった国においては、考え方の違いによって言葉ではなくて暴力によって言論を封じるということが当たり前のように行われているわけですよね。そういった意味では、教育においては、女の子がより教育を受ける機会を制度としても社会としても保障していくということに我々は協力していくということと、やはり、多文化共生の観点から、異なる宗教、異なる考え方を包摂するような教育の質の向上をしていかなくてはいけないということであります。
 実は、これはおっしゃったとおり、大人への教育も重要なんですよね。という意味では、今回のSDGsには生涯学習の機会の促進ということが入っておりますけれど、ライフロングの教育ということをしていくと。そこには、読み書きということの識字以外に、やはりいろいろな人たちが多文化共生で生活していく上でのスキルを身に付けるような教育ということを推進していく必要があると思います。
 ありがとうございます。
#37
○アントニオ猪木君 終わります。ありがとうございます。
#38
○会長(柳田稔君) 浜田和幸君。
#39
○浜田和幸君 日本のこころ、浜田和幸です。
 三人の参考人の方々、ありがとうございました。
 お一人ずつ、一、二点、質問させてください。
 まず、平田参考人なんですけれども、やはりCO2の排出量ということでいけば中国が最大の排出国で、やっぱり一番困っているのは地元中国の一般の人たちですよね。北京だけでも、三年前、百万人を超える奇形児が生まれている、そういう環境の劣悪さ。それをほっておけば政権の転覆にもつながる可能性もありますよね。
 平田参考人、今日本で様々なネットワークの活動をされていて、そういう中国の今の国の政策を変えるためには、やはり中国の一般の大衆、民衆、NGOとの連携ということが欠かせないと思うんですけれども、そういう観点で、平田参考人のネットワークは中国とのNGOレベルでのどのような連係プレーを考えておられるのか。また、これまでの経験からいって、それが今後ほかの国にも拡大する可能性があるのか。
 それと、ビル・ゲイツさんとか大富豪の方々が、いろんな環境問題ですとか細菌の問題について取り組んでおられますよね。すばらしいことだと思うんですが、見方を変えれば、御自分のところのビジネスにもつながる、そういうような可能性も秘めている。表向きは人類のために、しかし実際は一層の富を蓄積する、そういう動き、そういう見方もあるわけでありまして、その辺りの真偽をどういう形で見極めるのか、そういう点についてどうお考えになっているのか。
 それと、岡部参考人には、エボラ出血熱を始め、元々例のオウム真理教も世界に先駆けて西アフリカに入って、麻原彰晃が細菌を持ち帰って日本で培養し、世界に革命を起こすんだというようなことで。細菌の管理ですよね。これは人間の健康や医療にもプラスになる面もあるんでしょうが、マイナスの、悪用されるということをどうやって防ぐのか、そういう管理体制を今どういう形で取り組まれているのか。
 勝間参考人には、エンパワーメントのお話をされたので大変勇気付けられました。脆弱な人間を強靱にする、人間への脅威を軽減する、これはすばらしいことだと思うんですが、脆弱な人間、我々人間は、政治家も含めて、目の前の誘惑にとても弱い面もなきにしもあらずですよね。人間に任せていたのでは地球環境とかそういうものは本当に守ることができるかどうか。それであれば、AI、人工知能、ロボットに善悪の判断を委ねた方がまだ、何というか、地球や人類のためにはプラスになるんではないかというある種極端な意見もあります。
 そういった人間の未来とロボットとの連携、人間がロボット化する、ロボットが感情を持って人間のために地球を守っていく、そういうような研究開発も、アメリカでもロシアでも中国でも進んでいるように見受けられるんですけれども、そういった意味の、これはまさに人間にとってのリスクかも分かりませんよね、人間のリスクを管理するためにロボットに依存し、ロボットのペットに人間がなるというようなこともあり得るわけですから。そういう意味でのAIとかエンパワーメントについて、人間が本当に人間らしい役割を果たすためにはどうすればいいのか、御示唆をいただければと思います。
 以上です。
#40
○参考人(平田仁子君) 浜田議員、ありがとうございます。
 まず、一点目の中国についてなんですけれども、私ども、もう十年近くなると思いますけれども、日本、中国、韓国のNGOの東アジアの環境ネットワークというのをつくりまして、毎年三か国どちらかでNGOが集って意見交換をし情報交換をすると、そしてフィールドワークもするということを小さいところからスタートして始めております。
 最初は手探りで、中国のNGOといってもほとんど政府の方のようなことしか言ってもらえないというようなこともあったり、もっともっとCO2よりも地域の川の問題とか化学物質の問題が重要なんだというような話を情報交換するようになりまして、このネットワークも強化し、今、英語は余り通用しませんので、日本語、韓国語、中国語の、三か国で情報を共有し、そして連携するという体系が取られています。今年は年末に京都でNGO会合を開く予定ですので、是非御参加いただけたらうれしいと思います。
 そんな形で小さいながらに、大きな中国の大衆を巻き込むというところまではいきませんが、私たちも中国のことを理解し、そして中国と連携してどういうふうに市民レベルで行動できるかを常に模索しているところです。
 二点目の、ビル・ゲイツさんら大富豪らがもっと富を得るためにしたたかに動いているということはおっしゃるとおりだと思います。ビル・ゲイツさんは象徴的ではありますが、私は、この環境問題は、そして先ほど来申し上げたダイナミックな転換というものは、善意だけでは、あるいは正義の心だけでは動かないと思いますし、ここはビジネスが変わらないと動かないと思います。そのためには、私は、環境により良いビジネスがもうかることは一向に構わないと思っています。むしろ、貪欲に次なるビジネスチャンスを日本の企業にもつかみ取ってほしいと思います。
 ただ、実は、日本の企業はしたたかに準備していると思います。再生可能エネルギーの技術の特許を見ると、日本企業がずらりと並んでいます。シグナルが変わり社会が変われば、日本企業はだあっといける準備をしているのではないかと思っておりますので、これから三十年後の日本の基幹産業は何なのかということを考えると、環境ビジネスが大手を振るってたくさんの雇用を抱えているという姿は、私は健全な姿なのではないかと思います。
 ありがとうございます。
#41
○参考人(岡部信彦君) 御質問ありがとうございます。
 オウム真理教はエボラ出血熱のウイルスを得るためにアフリカの方に行ったというのは有名な話ですけれども、一方では、炭疽菌を既に実験的に取り扱って、東京の亀戸でそれが外に漏れたといったようなことがありました。幸いに技術が未熟で、強毒性ではないというようなことが幸いはしているんですけれども、そのようなことがあり、実質的に、バイオテロだけではなくて、良心、いい意味でやっている実験室からうっかり漏れてはいけないというようなことで、これは感染症法の中で病原体の取扱いは非常に厳しくなりました。
 ある一定のものは特定の研究室じゃないと保存ができないとか、あるいは輸送するためには警察に、公安に届けなくちゃいけないというような非常に厳しいところもありまして、最近の例では、例えばポリオがもうそろそろ根絶に近くなっているんですけれども、そうすると、ポリオという極めていろんな実験室で持っているウイルスなんですけれども、それを登録、廃棄するといったようなこともこれは世界的なレベルで日本も一緒に動いております。
 また、近々、感染症法が改正されたわけですけれども、その中では、国立感染症研究所という一か所だけができるのでは駄目なので、各地域の、私のいるところもそうですけれども、地方の衛生研究所というところで感染症の診断がより高度にできるように、ただし、そのためには、先ほど申し上げましたような病原体の管理であるとかあるいは保存、それから取扱いに対してかなり厳重な規則ができつつあります。
 それは大変にいいことなんですけど、一方では、研究者にとりましては、例えば書類を作っているとか、肝腎の実験作業に取りかかるよりももっとほかのことをやらなくちゃいけなかったり、それから、例えば医学部の学生の実習で本物の細菌が取り扱えないというような事態にもなりつつあります。
 それは一方では、結局、実験するための設備に対する投資であるとか、それからトレーニングするための費用、それから保存をするためにもいろいろな諸設備も必要なんですけれども、残念ながら、ルールができても自治体の予算の範囲の中でなかなかそれを得ることができなかったり、あるいは教育設備の方ではどうしても次の方に回ってしまうので、なかなか、きちんとしたことは決まりつつあるんですけれども、それを実施に向けていくための実は諸費用というものは極めて悲惨な状況でありまして、悲惨と言うとちょっと怒られるかもしれませんけれども、そういったようなところの周りを固めるというようなことも感染症対策で、それこそおっしゃるようなバイオテロだけではなくて、近隣には普通の住民の方もおられますし、一般生活の中での実験室があるわけですから、それの保持というためには非常に重要な部分であるというふうに思います。
#42
○参考人(勝間靖君) ありがとうございます。
 一つは、平田参考人への御質問とも関係するんですけれども、私も、政府開発援助などの公的資金には限りがありますので、やはり民間の力を活用していかなくてはいけないということが重要です。また、環境技術、医療技術に関しては民間企業が非常に重要なプレーヤーですので、そういった企業がなかなか参入できない市場に参入できるような環境づくりを公的資金としてやっていく、制度としてやっていくということが重要かと思います。そういう意味では、そういったクリーンビジネスがもうかるようなマーケットというのは非常にいいというふうに私も思っております。
 次に、情報通信技術、人工知能の発展によってかなりのことができるということでございます。私の考え方としては、やはり最終的な判断は人間がやらなくてはいけないということでございます。人間が判断しなくてはならないというのは、先ほどちょっと最初のレジュメで、開発を考える人は短期的、中期的な視野から見る、環境を見る人は中期的、長期的な視野から見る、そしてSDGsの時代になって短期的、中期的、長期的全てのスパンから判断していかなくてはいけないということでございますので、そういった判断はやはり人間がやっていかなくてはいけないというふうに思っております。
 人間はなかなか短期的な誘惑に弱いというお話もあったんですけれども、それはいろいろな立場にある方によって違うと思うんですけれども、やはりテーマであるとか置かれた立場によってそういったことがあるかと思います。ただ、ここは参議院の場ですので、やはり中期的、長期的な視点に立って日本がどういった道に進むべきかということを是非お考えいただければと思っております。
 ありがとうございます。
#43
○浜田和幸君 ありがとうございました。
#44
○会長(柳田稔君) 以上で各会派一巡をいたしましたので、これより自由に質疑を行っていただきます。
 質疑のある方は挙手を願います。
 小林正夫君。
#45
○小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。
 感染症関係について岡部参考人に二点質問をいたします。
 今年の五月に伊勢志摩サミットが行われます。そして、安倍首相は、感染症対策などの保健分野を優先課題として取り上げると、このようにおっしゃっております。岡部参考人はこのサミットにどういうことを期待しているか、このことを一つお聞きをいたします。
 そして、もう一問。先ほどのお話の中の後段の部分で、国内における感染症の臨床検査、研究体制の整備、こういうお話がありました。各地を回っていますと、やはり国民の人から感染症を心配する声が非常に多くなっている、このように最近感じております。
 そこで、政府が、国際的に脅威となる感染症対策の強化に関する基本計画、これを今月の九日の日に決定したと聞いております。その中で、国内関係機関の体制強化として、「第一種感染症指定医療機関が未整備の県の解消を図る。」と、このようにされておりまして、今年の一月現在、未整備の県は秋田県、石川県、香川県、愛媛県、そして鹿児島県、このようになっております。この未整備県に共通する課題が何かあるのか、それと、どのような施策を打てばこの課題は解消できると考えているのか。
 あわせて、新感染症の所見がある患者を受け入れる特定感染症指定医療機関は現在、千葉県、東京都、愛知県、大阪府に一か所。したがって、全国で計四病院十病床と、こうなっておりますけれども、これを拡大していく必要があるのかどうかということと、拡大する場合の課題は何なのか、この点についてお聞きをいたします。
 以上です。
#46
○参考人(岡部信彦君) ありがとうございました。
 G7の中でも感染症のことを取り上げていただけるというのは、私ども感染症を専門にする者にとっては大変有り難いことで、ただ、スタートしているのは、沖縄のサミットのときから感染症に対する、特に先ほどお話のあったなかなか目の行き届かない感染症であるとか、例えばマラリアであるとか、そういうようなのもあるんですが、北海道洞爺湖で行われましたサミットでも同様に感染症は取り上げられております。
 ただ、今日の課題でもありましたように、昨今の感染症は必ずしも一か国だけで片付くものではありませんし、何か事があったときだけに協力をしてもできないので、そこはふだんからの連携であったり情報の交換ができるような体制、こういったようなものをつくっていくのが必要なので、それこそリードしていただけるような方々の間でそういう問題がシェアされることについては大いに期待をしたいというふうに思いますし、またそれは日本における、日本がちゃんとやるということのコミットメントになるのではないかというふうに思います。
 それから、第二点の病床とその他の問題ですけれども、感染症に対して、特に国際的な感染症に対して基本計画を作るというのも、これも、いつどこから入ってくるか分からないというのがあれば、特定の疾患だけではなくて、全体をカバーする必要があると思います。
 ただ、例えばアメリカのような場合、あれだけ広い国でも、全州に、必ず州に一個持っているわけではなくて、非常に代表的なところだけに集中してやっているというような方式も取っております。
 日本の場合は、そこが自治体の義務で、こういうふうに縦割りのといいますか、自治体ごとにやっていかなくちゃいけないというのがあるので、先ほどおっしゃったような格差が出てくるところがあります。それは一つには、小さい県にあるいは人口の少ない県に必ずしも患者さんは出てこないだろうとか、あるいは建物はあっても実はそこに専門家がいないというような実情もあるので、充足されにくいところがあります。そこは、今の日本の医療体制その他では、やはり自分のところである程度完結するというようなところをやっておいた方がいいと同時に、将来的にはそういうところが連携してお互いにもう少し融通できるような形をした方が効率的ではないかというふうに私自身は考えております。
 課題としては、やはり今ちょっと申し上げたような連携を取ったりすることと、そこに専門家としている人を育てなくちゃいけないというのが一番大きい課題ではないかというふうに思います。
 以上です。
#47
○小林正夫君 ありがとうございました。
#48
○会長(柳田稔君) 他に御質疑のある方は。──それでは、他に御発言もないようですから、本日の質疑はこの程度といたします。
 一言御挨拶を申し上げます。
 平田参考人、岡部参考人及び勝間参考人におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。調査会を代表し、各参考人のますますの御活躍を祈念いたしまして、本日の御礼とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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