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2016/02/10 第190回国会 参議院 参議院会議録情報 第190回国会 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会 第2号
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2016/02/10 第190回国会 参議院

参議院会議録情報 第190回国会 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会 第2号

#1
第190回国会 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会 第2号
平成二十八年二月十日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 一月四日
    辞任         補欠選任
     阿達 雅志君     鶴保 庸介君
     山下 雄平君     金子原二郎君
 二月九日
    辞任         補欠選任
     山田 俊男君     山下 雄平君
     礒崎 哲史君     加藤 敏幸君
     蓮   舫君     牧山ひろえ君
 二月十日
    辞任         補欠選任
     竹谷とし子君     杉  久武君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         鴻池 祥肇君
    理 事
                大野 泰正君
                舞立 昇治君
                森 まさこ君
                藤本 祐司君
                平木 大作君
                辰巳孝太郎君
    委 員
                金子原二郎君
                関口 昌一君
                鶴保 庸介君
                西田 昌司君
                藤井 基之君
                宮本 周司君
                山下 雄平君
                吉川ゆうみ君
                石上 俊雄君
                尾立 源幸君
                加藤 敏幸君
                広田  一君
                牧山ひろえ君
                杉  久武君
                川田 龍平君
                藤巻 健史君
                中西 健治君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        山内 一宏君
   参考人
       東京大学社会科
       学研究所教授   大沢 真理君
       東京大学名誉教
       授        神野 直彦君
       株式会社大和総
       研主席研究員   鈴木  準君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関
 する調査
 (「デフレからの脱却と財政再建の在り方など
 経済状況について」のうち、信頼できる社会の
 構築による経済成長及び健全な財政の実現(国
 民の信頼を構築するための社会保障の在り方)
 について)
    ─────────────
#2
○会長(鴻池祥肇君) ただいまから国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、阿達雅志君、礒崎哲史君、蓮舫君及び山田俊男君が委員を辞任され、その補欠として鶴保庸介君、加藤敏幸君、牧山ひろえ君及び金子原二郎君が選任されました。
 また、本日、竹谷とし子君が委員を辞任され、その補欠として杉久武君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(鴻池祥肇君) この際、本調査会の三年目の調査について御報告をいたします。
 本調査会は、平成二十五年十一月に今期の調査テーマを「デフレからの脱却と財政再建の在り方など経済状況について」とすることに決定し、調査を進めております。
 三年目の調査につきましては、理事会等で協議いたしました結果、引き続き、本調査のテーマの下、「信頼できる社会の構築による経済成長及び健全な財政の実現」について調査を進めていくこととなりました。
 何とぞ委員各位の御協力をお願いいたします。
    ─────────────
#4
○会長(鴻池祥肇君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○会長(鴻池祥肇君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○会長(鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○会長(鴻池祥肇君) 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査を議題といたします。
 本日は、「デフレからの脱却と財政再建の在り方など経済状況について」のうち、「信頼できる社会の構築による経済成長及び健全な財政の実現」に関し、国民の信頼を構築するための社会保障の在り方について、参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 御出席をいただいております参考人は、東京大学社会科学研究所教授大沢真理参考人、東京大学名誉教授神野直彦参考人及び株式会社大和総研主席研究員鈴木準参考人でございます。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 先生方には、御多用のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、先生方からの忌憚のない御意見を頂戴いたしまして、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず、大沢参考人、神野参考人、鈴木参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 なお、御発言は御着席のままで結構でございます。
 それでは、大沢参考人からお願いを申し上げます。大沢参考人。
#8
○参考人(大沢真理君) それでは、意見を述べさせていただきます。
 今日は、このような機会を頂戴いたしましたことに厚く御礼申し上げます。
 目次が最初のページに簡単に書いてございますが、大きく分けて二つの部分でございます。(資料映写)
 一番目、最初が、そもそも経済成長しているのかどうか、していないということになるわけですけれども、なぜ成長しないのかということを若干データに基づいて述べてまいります。それから、後半部分では、日本は相対的貧困率がOECD諸国の中で有数の高さ、貧困率の高い国でございますが、その原因としては、政府による所得再分配機能が低いことにも原因があるということを申し述べてまいります。
 まず、国内総生産の推移でございます。これは季節調整をした名目と実質の額でございます。青が実質、赤が名目でございまして、この期間の全てにわたって実質の方が上に出ていると。デフレーターは二〇〇五年ということでございますけれども、デフレの影響としてこのようなことになっております。
 御承知のように、安倍政権成立いたしまして、二〇一三年の当初からでございますけれども、なかなか期待されるような経済成長の実績を上げておりません。そこがまず第一点でございます。今後の目標としてはGDP総額六百兆円を目指すということも言われておりますけれども、なかなか名目で五百兆円の辺りでとどまっておりまして、あと百兆円どうやって増やすのかという大問題を抱えております。
 それから、GDPの中では、今日ではサービス経済の比重が高いわけですけれども、元は物づくり、鉱工業生産というところにあるとすれば、その鉱工業生産指数はどうなっているかと見ますと、二〇一〇年の水準を超えることが難しい状況でございます。岩手県や宮城県では復興特需があるはずでございますけれども、一時期を除いて全国よりも低いという実態にございます。
 それから、いかなる要因によって経済成長しているのかしていないのかというのを需要項目別に見たグラフがこれでございます。年率換算で実質季節調整系列で寄与度を見たものでございます。
 御覧いただきますと、ここ数年、二〇一〇年くらいから直近にかけて、やはり成長を引っ張っているのは民間最終消費支出でございます。赤いグラフが上に出ていれば、黒の折れ線グラフ、GDP成長率も上に出る、民間最終消費支出が振るわなければマイナス成長となると。これをもう少し遡りますと、例えば小泉政権の時期などでは、純輸出が経済成長への寄与度が高いという時期がございました。もっと遡って、いわゆる高度経済成長期、これはもう民間最終消費支出が成長を引っ張っておりましたので、近年の状況はやはり民間最終消費が頼りだというものになっております。
 では、民間最終消費はなぜ振るわないのかと。これは月別の実質消費支出、二人以上世帯について見ております。前の年の同じ月に比べた増減率でございます。
 見られるように、安倍政権になりましてから、なかなか上の方にはグラフが伸びていない、マイナスが続いているわけでございます。直近の三月もマイナスの幅が大きくなっております。このように、家計消費が低下をしていては経済成長しないのが道理というものでございます。
 では、なぜ消費は湿ったままなのかということですが、一番明らかな原因は実質賃金の低下にございます。これは月別実質賃金指数で、二〇一〇年の平均を一〇〇とした推移を見てございます。決まって支給する給与、これには非正規、パートを含んでいます。超過勤務手当、いわゆる残業手当を含みますが、ボーナスは含んでおりません。五人以上事業所の産業計で見たものでございます。
 見ていただけるように、二〇一三年の七月からほぼつるべ落としと言ってよい状況に実質賃金低下いたしまして、二〇一五年になってからはもみ合いの状態でございます。もみ合いになっているというのは、二〇一三年、二〇一四年は物価が上がっておりましたので、実質賃金は、名目が上がらなければ実質で下がると。ここのところは物価がまた上がらなくなりました。貴調査会のテーマでございますデフレ脱却ということに関して言えば、再びデフレ状態に戻ったかの感がございます。このように実質賃金が低下をしては、消費の不調というのはこれもまた道理と考えます。
 次に、雇用はどうなっているのかでございます。正規の雇用者数を棒グラフ、それから非正規の比率を赤い折れ線グラフで示しております。
 二〇一三年以来、雇用の増加は非正規が中心で、正規は低下基調にございます。四半期ごとに見ておりますので、上下動があることがお分かりいただけるかと思います。一―三月に正社員というものは減ります、これは定年退職等の影響。そして、四月は新卒、正社員採用があるので、四月―六月期というのは増えるという変動がありつつも、非正規の比率が高まってきているということが見て取れるかと思います。
 では、非正規でも働く人の総数が増えて、国民全体、働く人全体としての収入が増えているならばよいではないかという議論も時々聞くわけでございます。そこで、雇用者報酬総額というものを実質と名目の両方で取ってみました。
 御覧いただけるように、実質というのは、二〇一〇年から一二年ぐらいにかけては実質雇用者報酬総額は伸びておりましたが、その後、二〇一三年から低下しております。直近の一年半くらいでやや上昇はしておりますけれども、まだ二〇一三年、二〇一二年当時のレベルを満たしておりません。赤いグラフの名目だけ見て雇用者報酬総額が増えているという議論は、デフレ脱却を目指し安定した物価上昇を目指すという政策目的に照らせば、実質と名目の両方を見る必要があり、実質でも雇用者報酬の総額は増えていない。
 更に問題なのが緑のグラフでございます。雇用者報酬総額という数値には、雇主が負担している社会保障負担が入っております。社会保険料率は次第に上がっておりますから、雇用者報酬総額の中での働く人の取り分、名目現金給与を見ると傾向的に下がっており、近年でもなかなか上昇基調にはございません。これの実質も取れればいいんですけれども、今日はここまでということでございます。
 国際比較するとどうなのかと。これは労働時間当たり雇用者報酬の伸びを九五年を一〇〇として見ております。労働時間当たりというところが一つのポイントでございます。
 例えばドイツのような国は、リーマン・ショックの経済危機というのを雇用を減らさず労働時間を減らすことで乗り切ってまいりました。なので一人当たり雇用者報酬で取ってしまうと減るわけですが、労働時間当たりで取れば、要するに実質時給というんでしょうか、ドイツも伸びているということが分かります。独り日本だけが低下をしておりまして、残念ながらデータが二〇一三年の初めで切れておりますけれども、先ほど申し上げたように、安倍政権では更に実質賃金が低下しているということに注意する必要があります。
 さて、貧困率の問題です。
 このグラフは、年齢階級別にG5とスウェーデンを取りまして、相対的貧困率を取っております。今、国際比較をできる直近の時点というのが二〇〇九年になります。
 そこで比較をしますと、日本のグラフ、赤で示しておりますけれども、アメリカと並んでOECDワーストクラスにございます。分配も劣化したわけですけれども、つまり雇用が非正規化し実質賃金が低下するという意味で分配は劣化してきているわけですけれども、さらに再分配が逆回転をしていることが痛いというお話をこれから申し上げます。日本は、中高年のところではアメリカよりも貧困率が高くなっているということに御注意いただきたいと思います。
 日本の経年変化でございます。かつて、一九八〇年代の貧困というのは高齢者の問題だったということが分かります。最近にかけては、前期高齢者の貧困率はかなり低下いたしました。年金制度の成熟を物語っております。しかし、子供から中年層で貧困率が上昇してまいりまして、子供の貧困というのが大きな政策課題になっているところでございます。
 しかしながら、同時に注意していただきたいのが、十八歳から二十五歳のところの貧困率は更に深刻であると。日本の十八歳から二十五歳というのは親と住んでいる比率が高うございます。先ほど、前のグラフ御覧いただきますと、アメリカもそうなんですけど、スウェーデンのような高齢者のところでは貧困率を抑えている国でも、若者のところは貧困率は高いです。これは親の世帯から自立をしているということを反映していますが、日本の場合は、親の家からなかなか出られないのに、なおかつ若者の貧困率が高いという問題がございます。
 次に、ちょっとデータは古いんですけれども、現役人口にとって政府による所得再分配がどのくらい貧困率を削減するのかと。政府が所得再分配をしないと、例えば十人のうちの四人が貧困だったとする。所得というか、税金を取り、社会保険料を取り、そして社会保障給付をした結果、つまり所得再分配をした結果として貧困者が四人から二人に減れば、五〇%削減をしたというふうな取り方になります。これを現役人口に取って、世帯類型を分けて比べております。
 そうしますと、日本のグラフは、唯一ここでマイナスにグラフが出ているわけでございます。この青いグラフは成人全員が就業する世帯、つまり夫婦共稼ぎ、あるいは親子共稼ぎ、一人親で働いている、単身者で働いているという世帯にとっては、政府の所得再分配による貧困削減率がマイナス八%近くなっております。政府が所得再分配しなければ貧困にならなかったはずの人たちが貧困になっているということを意味しております。OECD諸国の中で最も貧困削減効果の低い税・社会保障制度を日本は持っているということと同時に、マイナスになっているというのはとにかくこの時点のこのデータでは日本だけでございます。
 その後、日本国内でより精密なデータを使った分析も行われておりますが、やはり政府による所得再分配後、貧困率がかえって高まるということが慶応大学の研究プロジェクトなどで確認されておりまして、その主な原因は社会保険料負担にあるということも判明しております。
 さて、グラフが細かくなってまいりまして恐縮ですけれども、子供二人いる世帯、それを一人親、それから夫婦のうち一方が働いている片稼ぎ、それから共稼ぎA、共稼ぎBと、そして参考までに単身者ということで純負担率を見ています。
 純負担は、所得課税と社会保障拠出に対して現金給付を控除したもの、これが税込み収入に占める比率になっております。世帯の税込み収入は平均賃金に対する比率ですから、一人親の六七%というのは平均賃金の六七%を稼いでいるということになります。ちなみに、フルタイムに近く働いていて、労働者の社会保険を適用されているということがこの国際比較データの前提でございますので、日本でいえば国民健康保険であるとか基礎年金の第一号被保険者であるとかといったケースはここには含まれておりません。一人親ということでいえば比較的恵まれたケースになります。日本の国民生活基礎調査や母子世帯等実態調査によれば、日本の一人親世帯の八割は平均賃金の六七%に満たない収入になっておりますので、比較的恵まれた一人親世帯であるということを見ていただきたいと思います。
 日本、スウェーデン、オーストラリア、ドイツというふうに比べております。特徴は、日本は低所得の世帯、これは一人親世帯というふうに設定されていますけれども、の負担は高く、高所得のところの負担は相対的に低いと。つまり、制度の全体として累進性が低いというところが一つのポイントでございます。
 もう一つが、この時点で純負担率が大きく下がっております。単身者のグラフが下がっていないことと、それからバックデータを見ますと、これは明らかに子ども手当が導入された効果になっております。低所得の子供がいる世帯ほど純負担率が大きく下がり、グラフの間もばらけていると。つまり、子ども手当という制度は非常にめり張りの利いた低所得者に対するてこ入れの制度であったということが分かります。
 もう一つ見ていただきたいのがオーストラリアのグラフでございます。グラフ、一人親にとってはマイナスになっております。つまり、税も社会保険料も全く払わなくていいだけでなく、現金給付を受けているということでマイナスの純負担になっております。
 このグラフには出ておりませんが、アメリカやイギリスでもそういった一人親世帯にとってはマイナスの純負担が見られます。そうしたマイナスの純負担をもたらしている政策手段というのは、オーストラリアに関しては直接の現金給付、児童手当でございます。イギリスやアメリカの場合には、現金給付とそれから給付付き税額控除の合わせ技になっております。
 これは、直近の二〇一四年の純負担率を子供二人の世帯で、その中から一人親で子供二人、それから夫婦のうち片方が働いている世帯、やはり子供二人、比較のために単身者の世帯を取り出して、横軸には税込み賃金収入の平均賃金対比で五〇%から二五〇%を見たものです。
 このグラフが示しているのは、まずグラフの勾配ですね、こういう、傾きが制度の累進性を表します。つまり、低所得の人の負担が軽く、そして、給付が比較的低所得の人に厚いということをこのグラフの傾きが示すわけでございます。そして、イギリスとオーストラリアは、低所得のところで大きくマイナスの方にグラフが伸びているということが見ていただけるかと思います。日本のグラフの特徴は、傾きがほとんどない、ほとんど累進性を持たない制度になっているというところにございます。
 それから、この範囲の所得のレベルを通じて、一貫して一人親よりも片稼ぎ世帯の負担が低くなっております。ドイツもそうです。一方、イギリスとオーストラリアは、一人親と夫婦のうち一人が働いている片稼ぎ世帯、子供が二人いるという前提の中では負担は全く同一でございます。オーストラリアが低い方で現金給付が増えるので、青いグラフが下に更に出ます。
 日本とドイツのこのような、要は、片稼ぎ世帯で子供が二人いますと一人の稼ぎで三人扶養している、一人親世帯で子供が二人いると一人の稼ぎで二人を扶養している、この扶養の負担を考えれば赤いグラフが下でもいいのではないかという考え方もあろうと思いますが、そういう考え方を取らないイギリス、オーストラリアのような国もございます。
 日本のこの一人親の方が負担が重くなるというのは、配偶者控除制度の効果でございます。ドイツの場合には、夫婦の所得を合算した上で二で割ることができるという二分二乗制度のために、夫婦で片稼ぎの世帯が負担が一貫して軽くなっているというものでございます。
 最後に、国民の生活と信頼のために必要なことを大ざっぱに申し上げさせていただきます。
 まずは、正社員と非正規労働者の待遇の格差を解消する必要がございます。その効果は、結婚したい人が結婚できるようになり、子供を産み育てたい人の希望も実現しやすくなると。政府の輝くパッケージは、非正規の処遇改善をうたっていらっしゃいますが、格差解消まで踏み込む必要がございます。今、官邸ではその検討をなさっているようですので、大いにその結果に期待したいと思います。それから、所得再分配機能を強化する必要があります。その手段としては、直接の現金給付、それから給付付き税額控除、そして高所得者に応分の負担を求める上で、配偶者控除の廃止はその手段となり得ます。それから、学校教育への財政支出を増やすこと。
 結論として、貧困を解消すれば社会全体の質が良くなり、災害や経済危機に対しても強靱になりますし、経済成長のボトムアップも期待できるということを申し上げて、私の意見陳述を終わります。
 ありがとうございました。
#9
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
 次に、神野参考人にお願いをいたします。神野参考人。
#10
○参考人(神野直彦君) 神野でございます。よろしくお願いいたします。
 お呼びいただいたことに感謝申し上げるとともに、おわびを申し上げておかなければいけません。それは、私、四十代から網膜剥離を患っていて、目に光を入れることはできません。したがって、パソコンもやったことがなければメールもやったことがないし、ましてやパワーポイントで発表をするというようなことはできませんので、昔ながらの伝統的なレジュメでお話をさせていただくということをお許しいただければと思います。
 私の網膜剥離は、二十歳ぐらいで普通の人は近視が止まるのですが、そのまま近視が進み続けていって、結局、網膜を剥離させ失明してしまうと。手術を繰り返してどうにか失明をもたせているわけでございますが、私の人生から皆さんにお伝えできる教訓は、近視眼的な物事の見方をしていて目先だけの利益を追っていると、待っているのは暗黒だけだということでございます。
 それで、この考え方からいえば、道に迷った人に道案内をするのに重要なことは、まずあなたの目的地こっちの方向にありますと方向性をちゃんと教えて、その上で道順、右へ曲がって左へ曲がって行きなさいというふうにしないと分かりにくい。最初から道順を教えてしまうと、分かりにくいだけではなく、途中で想定外のいろんな事態が起きたときに混乱して迷ってしまうということが起こりますので、まず方向性を明確にする。
 社会保障改革も同じことで、個別の問題が生じていることに対応するような改革をする場合であっても、この社会保障改革の全体の目指すべき目的地はこういうものだというビジョンを示して、現実には部分的な改革しかできませんので、部分的な改革を進めていくということをしないと、国民は改革の痛みに耐えられないというふうに思います。
 私は、私がやっております財政学を手掛かりにしながら社会保障のビジョンを描いていきたいと思いますが、お手元のレジュメの一ページ目をお開きいただきたいと思います。
 社会保障を財政学で考える。政治経済学、ホモエコノミクスを前提にした経済学の登場に対して、社会科学として批判が起こってくるのが十九世紀の後半です。フランスで社会学、ドイツで財政学が誕生いたしますが、これは人間観が違うんですね。人間というのは家族やコミュニティーを成して、ネットワーク、つまり社会に抱かれて存在していて、個別に砂のようにアトム状に存在していないという人間観に立っています。
 (1)に書きました温かい手と手をつないで生きる人間というのは、サンゴールというセネガルの大統領の言葉です。そういう考え方に立っていて、財政学が十九世紀後半にドイツで産声を上げると、この財政学を背後理念にしてドイツで社会保障が成立する。つまり、社会保険三法というのは、ビスマルクがドイツの財政学、とりわけワーグナーの財政学を根拠にして作り上げたものです。
 次をおめくりいただきますと、財政学では私たちの市場社会をどういうふうに考えるのかというと、この市場社会の特色というのは、生産の場と生活の場というのが完全に分離しているということです。江戸時代の農家を考えてもらえば分かりますが、生産と生活が一括しているわけですね。なぜ分離するのかというと、そこに書きましたように、それは、生産が行われる経済システムの場と共同体に抱かれて生活を営んでいる社会システムの場が分離しているということです。
 それは、市場社会というのは生産物市場が存在する社会ではなく、要素市場、つまり土地、労働、資本という生産要素が生み出す要素サービスを取引する要素市場が存在することであり、要素市場の取引が行われるということはそれで生産が行われるということを意味しますので、生産、分配が経済システムで市場によって市場原理に基づいて行われ、しかし、社会システム、人間の生活の方は共同体的に、つまり温かい手とつなぎ合いながら生きているんだと。そう分離している社会を、政府が政治の責任において社会全体を統合していく、そのときに財政というルートを使って統合していくんだというふうに考えます。
 お手元の(4)の方を見ていただきますと、したがって、生産が営まれる経済システムの方には、財政は経済活動ないしは要素市場が動いていくための前提条件を整備します。この前提条件を私たちはインフラストラクチャーというふうに言っておりますので、この経済システムの構造によって違ってきます。重化学工業の時代だったら、全国的な道路網とかエネルギー網とかというようなインフラストラクチャーを造っていくということですね。もう一つは、社会システムの方で、家族やコミュニティーを成して生活をしている人々の生活の前提条件あるいはサポートするような社会的安全のネット、セーフティーネットを提供しながら社会全体を統合していくというふうに考えます。
 そう考えると、生活の方の場でどういうふうに生活が行われているのか、市場社会では行われているのかというのを見ていただきますと、次のページ、四ページ見ていただきますと、家計とここでは書いてありますが、家計は要素市場に労働サービスを正確には販売して、レンタルするというのが正確だと思いますが、そして賃金をもらってくる。この賃金で生産物市場から生産物を買うのですが、それだけで家族の生活は成り立っているのではなく、家族の中では様々な無償労働、お料理を作ったり子供の面倒を見たりする無償労働をやることによって財、サービスを生産し、家族の構成員に必要に応じて配っているんです、市場を通さずに。市場を通せば購買力に応じて配りますので、必要に応じて家族に配っている。
 そうだとすると、二つのことを保障してあげれば市場社会での生活は成り立つわけですね。一つは賃金、つまり現金ですが、もう一つは無償労働。これ重要なわけですね。無償労働を保障する、無償労働が機能不全に陥っていればサポートするか代替をするサービスを出していく。賃金の方もそうですね。賃金を得ることが困難になったり十分な賃金が得られなくなった場合に提供していく。
 そう考えていくと、社会保障というのは大きく現物給付と現金給付に分かれ、これをセットで充実させていけばいいということになります。
 現金給付の方は二つありますね。一つは賃金代替の給付。これは、正当な理由で賃金を失ったときに現金をもらう、現金を給付されるということですね。社会保険と言われているのは全てそうです。失業したら失業保険、年を取って働けなくなれば年金、病気になって働けなくなったらば疾病保険というふうに、社会保険はそこを提供する。それに対して、最低生活費というふうに定義した方がいいのですが、賃金をそもそも稼得できないような人等々については生活保障の現金を給付する。これは公的扶助とか児童手当がこれに入ります。
 それに対してサービス給付の方は何かというと、これは元々、家計の中で無償労働で、つまり相互扶助でやっていたり、あるいはコミュニティーを通じて、家族ができなければコミュニティーによって無償労働で提供していたサービスですので、一番上の相互扶助代替サービスというのは、これはコミュニティーが教会などをシンボルとしながら提供していたサービス給付ですね、教育、医療、福祉、それから家族内での相互扶助でやっていたサービスとして養老とか養育とかというサービスがあり、最後に付け加えれば共同体維持サービスとしての祭事がありますので、こうしたサービスを提供していくということがセットで行われるということが重要だということですね。
 お手元、次のページを見ていただければと思います。
 例えば、高齢者の生活であれば、年金だけで保障するというふうに考えずに、養老サービス、つまり高齢者サービスと高齢者福祉サービスとセットで生活を保障していく。ともすると年金で全て買ってよというふうなことになりますが、現金給付は私は少なくした方がいいと思っておりますので。それから、児童、子供たちの生活であれば児童手当。児童手当も年金も、口にするものと身にまとうもののお金だけがあればいいです、生計費ですね。あとは、育児サービスはサービスとして提供する。失業者も同じことです。失業保険によって身にまとうものと口にまとうものは保障するんだけれども、再訓練、再教育のサービスによって失業者の生活を保障していくということになる。
 お手元、六ページ目、ちょっと時間がないので省かせていただきますが、いずれにしても、市場原理は競争原理で動くのに対して、共同体というのは元々協力原理で動いていましたから、そういう協力原理に基づいて社会保障が提供される。協力原理というのは人間が利他的だということを意味しません。利他的であろうと利己的であろうと、簡単に言ってしまえば利他的行為を相互遂行するという前提ですので、これはそうしたことを超越しているということだけ御認識いただければと思います。
 こういう考え方で社会保障を張り替えていくとどういうことになるのかと申しますと、理念型としては、つまり目指すべきビジョンとしては、社会保障をどういう方向で張り替えていくのかというと、次の七ページ、四を見ていただければと思いますが、人間は必然的に協力し合いますから、地域では、ヨーロッパでいえば教会などを中心にしながらお互いに相互扶助サービスをやっているわけですけれども、そういう地域社会の協力、自発的な生活点における、生活の場における協力を基盤にしながら地方自治体というのは成り立っているはずです。
 それからもう一つは、これちょっとあれかもしれませんが、生産点における協力、これは賃金を失ったときに病気になったらお互いに救済し合おうね、賃金を失ったらやりましょうねという共済活動をやっていたのをビスマルクは強制加入にして社会保険をつくっていきますので、そういう生産の場の自発的な協力を強制的な協力にして、ここでも自治が必要ですので、そうすると社会保障基金政府という政府を想定しておいていいのではないか。これは、ドイツやフランスでは実際に存在して、選挙で選ばれております。
 そういう二つの政府に対するミニマム、あるいは生活保護とか児童手当とかというミニマムを保障する政府が中央政府であると、こういうふうに考えて社会保障を再編して、一つ一つやっていかざるを得ないんですよ、個別にやっていかざるを得ないんだけれども、こういう目的に基づいてやっていくんだという、ビジョンに基づいてやっていくんだという方向性をまず示しておくということが重要かなと。
 これはスウェーデンの中学校、八ページを御覧いただければと。
 イメージを具体的に持ってもらうために作り上げたものでございますが、スウェーデンでは三つの政府体系ということを次のように説明しています。
 左側の写真のところを見てください。コーリンさんという人が言っているところですね。私は今、仕事の休暇を取っておばあさんのお世話をする権利を使っているところです、私の収入は社会保険事務所からこれまでの給料に見合った保障金、これをおばあさんのお金と言っていますと、こういうふうに言っていますね。これが社会保険ですね。つまり、正当な理由で賃金を失ったわけですから、自分の親や自分の祖父母の介護のために休暇を取って賃金を失ったわけですので、その賃金を保障する、これが社会保険。これが本来の介護保険だと私は思っていますが。
 それに対してアクセルさんという右上の方。私は自分の家でいろんなものに囲まれて、思い出に囲まれて快適に暮らしています、自分でできることはもう多くありません、けれども、私の介護をしてくれる職員さんたちは親切で有能ですし、安全ベルもあるので、自宅に住み続けることができますと。これは、いいですね。この職員さんは地方自治体ですからサービス給付。サービス給付のうち、これは配達サービスですね。配達してくれるサービスについては、安全ベル、これはウオッチ型とペンダント型がありますが、ぴっと押すとすぐステーションとつながります。おばあさん、どうしました、胸が苦しくてちょっと動けないんだけど、じゃ待っていなさい、お医者さん連れていきますからというふうにちゃんとできるようになっているということですね。
 そういう配達支援サービスと、それからもう一つ、これは立地点サービス、下の方ですね。ここで気持ちよく暮らしています、部屋は一つだけでも、キッチンも付いていますしと、こう書いてありますね。職員の皆さんはまるで最高のホテルのようにきちんとしてくださるのですよと書いてありますが、これは立地点サービスですね。
 配達サービスと立地点サービスという二つのサービス給付、現物給付と、それから左側で見ていった現金給付とセットで生活を守っていくという発想の下に社会保障改革をしていくということが重要かなと思っています。
 特に、ここに書きましたけれども、工業社会から脱工業化社会に行くようなときには、これまでの工業社会では現金給付による所得再分配しかやっていなかったわけですが、そうすることによる生活保障からサービス給付による参加保障の方にシフトさせる。七ページ目の(1)のところ。
 つまり、これまでの社会的セーフティーネットを社会的トランポリンにして、ぱんと元に戻してやるぐらいのことをしないと、私たちはこの歴史の、工業化から脱工業化に向かう社会に対応できない。そうすると、いつも経済は停滞してしまって、産業構造を変えなければいけないときにストックに投資をすると、バブルを繰り返すだけなんですね。産業構造を変えないときにチューリップの球根を買いまくれば、チューリップ球根恐慌になるのは決まっているわけです。
 さて、お手元の九ページ目を見ていただきますと、そういうふうなセーフティーネットの張り替えのときには、少なくとも租税負担というのはこれまでの福祉国家と言われているような時代から落とすわけにはいきません。見ていただきますと、右側、OECD諸国のこれは平均を取っていますが、平均を取ると、租税負担率は、高度成長期、一九七五年から一九八五年ぐらいまでずっと福祉国家で伸び続けているわけですが、この伸びはずっと維持されています。
 ところが、日本は一九九〇年から急速に落としているんです、租税負担率を。なぜ落としたのかというと、ほかの先進国は、所得税、法人税を中心とする福祉国家を支えた税制を維持しながら、それだけじゃ不十分だし欠陥があるので、消費税を入れていって補強しようとするんですね。そうするから、当然、消費税が増えた分だけずっと増えていくという関係になるわけですが、日本はそれを落としてしまった。
 落とせばとてもできませんので、お手元、十ページ目を見ていただければと思います。
 十ページ、見ていただくと、先ほど言いましたように、インフラも変えなくちゃいけませんよと。つまり、工業社会から脱工業化社会になりますから、インフラが変わります。物的なインフラじゃなくて、今度は人的なインフラストラクチャーに変わるわけですね。それから、安全のネットも張り替えなくちゃいけない。
 (2)のところで、世界的な公的な資本形成、見ていただくと、日本は公共事業をやり過ぎだと言われますが、一九八〇年代、七〇年代の中頃で石油ショックが起きちゃって、これで重化学工業の時代は終わりだというメッセージが来るわけですが、それまでは、日本も高いんですけど、ほかの先進国も高いんですね。日本の特色は、もう、ああ、これで重化学工業の時代は終わったとほかの国は認識すると、じゃ新しい経済構造をつくり出そうというふうに、これやめるんですけど、日本はやめない。
 それから、十一ページを見ていただきますと、安全のネット、つまり社会的支出については、日本は、ヨーロッパ大陸モデルと言われているヨーロッパ大陸諸国に比べてアングロサクソン諸国並みに低い水準になっている。
 十二ページ、見ていただければ、先ほどお話がありましたように、人的なインフラで重要な教育への支出は、日本は他の先進国に比べても圧倒的に低くなったまま推移しているということです。
 それで、これで私の話は時間ですので終わらせていただきますが、最後に申し上げたいのは、ノーベル経済学賞に輝いたサローが「資本主義の未来」という本を書いています。これ一冊が日本の国民に対する警告書です。
 何て警告しているかというと、ルールが変わったという事実に最後に気が付くのは前のルールでの勝利者だ、日本は確かに第二次世界大戦後の重化学工業化の過程で優等生だった、高度成長も成し遂げた、しかし、もう脱工業化の方にかじを切っていかなければならないとルールが変わったのにまだ依然として前のルールでやっているんだ、つまりルールが変わったという事実に最後に気が付くのは前のルールでの勝利者である日本だ、日本は例外でもないんだと、こういうふうに警告をしております。
 この言葉をもって私の発表を終わらせていただきます。どうも済みません、ちょっとオーバーいたしました。おわびいたします。
#11
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
 次に、鈴木参考人にお願いをいたします。鈴木参考人。
#12
○参考人(鈴木準君) 大和総研の鈴木でございます。
 本日はこのような機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
 私は、民間シンクタンクで調査をしておりますその立場から、信頼社会の構築という基本に立ちましたときに成長と財政健全化の実現をどうすればいいのかということ、なかんずく社会保険としての社会保障の在り方について意見を申し上げたいと思います。(資料映写)
 スライド一枚目が私申し上げたいこと、あるいは今後の改革において必要な視点だと考えております。
 第一に、現在と今後見込まれる高齢化率を踏まえますと、賦課方式だからこそ年齢だけで区別する制度の見直しが必要ではないかということ。
 第二に、社会保障というのは、これは政府の財政制度を通じてやっておりますので、デフレ脱却あるいは経済成長に成功すればするほど金利が上がるかもしれない、あるいは団塊世代の人口動態を考えますと余り時間がない、もはや議論の段階ではないのではないかということであります。
 第三に、社会保障の問題はずっと言われ続けていて、解決に向かっているという実感が余りない。具体的な数字でやはり選択肢を示していただいて、民主主義を通じてどういうふうにするか決めていくべきだろうというふうに思います。
 それから第四に、社会保障で、その給付の効率化あるいは負担の引上げが避けられないとすれば、それで経済とか社会が立ち行かなくなったら元も子もないわけでありますので、それ自体やっぱり成長戦略としてダイナミックに構想する必要があるのではないか。
 第五としまして、社会保障改革というのは、その時々の政権ですとかリーダーの問題意識に期待したいところでありますけれども、もう少し国民全体の社会運動といいますか、あらゆる主体が参加するような形でないとうまくいかないのではないかということを考えております。
 二ページ目でございます。超高齢社会に対応した制度とする必要があるということと、それから改革を急ぐ必要があるという趣旨の資料でございます。
 ざっと御覧いただければと思いますけれども、私は、世の中では人口減少のことを少し心配し過ぎているといいますか、何かうまくいかないことを全て人口減少のせいにし過ぎているようなところがあるのではないかと。人口減少というのは、やっぱり原因ではなくて結果ではないかと思います。反対に、高齢化に関しては、余りこれがもたらすであろう困難について軽く見過ぎているのではないかというふうに思っております。
 三ページ目にお進みください。なぜ今人々が現在のシステムを持続性がないのではないか、先行きが暗いと考えているのかという点であります。
 社会保障の財源としましては、今保険料三分の二ぐらい、それから税、言わば公費ですが、これを三分の一ぐらいというミックスになっているわけですが、まず、公費の部分を見てみますと、右の図にお示しいたしましたように、九〇年代以降、社会保障への公費負担、この棒グラフの赤茶色のところでございますが、財政収支の悪化要因であり続けておりまして、また、そのインパクトもかなり大きくなっております。
 二〇一二年の国会におきまして、立法府の御判断として消費税を社会保障目的税化し、あるいは税率を引上げを決めていただいたというのは歴史に残ることだというふうに私は思いますけれども、支出する側、お金を使う側の方の改革が不十分のままですと、消費税率をどこまで上げても状況は良くならないのではないかというふうに多くの方が考えているように思います。
 スライドの四枚目にお進みください。
 今度は保険料の方の財源でございますけれども、所得税とか消費税の増税というのはもう百家争鳴になるわけでございますが、どういうわけか社会保険料というのは静かに、しかし大きく増えてまいりました。左の図でございます。
 私は、税と保険料というのは大きな違いがあるというふうに考えておりますけれども、強制的に徴収されて可処分所得を減らすという点では保険料と税は同じでございますし、それから、雇主負担の保険料というのも、これ労働需要を減退させますので、そういう意味では広く家計部分が負担しているというふうにも考えられます。
 右の上の図でございますが、これは家計調査から税と保険料の負担を見たものであります。これ、二〇一四年ですので消費税率引上げの期間を、当然四月以降を含んでいるわけですが、消費税対比なんかで御覧いただきましても、この緑色の本人負担分だけでも、社会保険料、これだけの大きさでございます。
 右下の図を御覧いただきますと、ここでは家計調査ベースの勤労者世帯で、定額保険料である自営業者の方が入っておりませんし、それから家計調査のカバレッジがどうかという問題ありますので、図で緑色のラインがこう逆進的なところまでは出ておりませんけれども、先ほど大沢先生のところでもございましたように、社会保険料というのは非常に逆進性を持つような、そういうところがございます。いずれにしても、低所得層で負担感が強いのは、消費税というよりは社会保険料の状況にもはやなっているのではないかと。
 社会保険というのは財政といえども保険でありますので、所得にかかわらず保険料の負担率がそんなに変わらないというのはある意味合理性があるわけですが、そのレベルが全体としてどんどん上がってきているというのは大問題だと思います。
 さらに、最近はその低所得者の保険料負担について、今度は消費税増税財源で保険料を減免するということを一部やり始めているわけですが、こうすると、保険の原理といいますか、保険数理的な公正さという点ではだんだん税との境界がよく分からなくなってくる。さらに、消費税増税は消費税増税で、これ低所得者対策が必要で、給付と税制で配慮が必要だということになってきますと、一体どういう思想で改革をやっているのか、その理解が非常に難しくなっている、こういう状況ではないかと思います。
 五ページ目にお進みいただくと、これも増え続ける社会保障に関する費用負担の問題意識でありますけれども、世代間で見ましたときに、やはりそれは社会に大きな問題を投げかけていると思います。
 経済学者の先生方が世代会計という手法で世代間不公平の議論をいろいろされておられますけれども、この左図のように、より直接的に、保険料の負担率を見るだけでも世代によってこれほどの違いがございます。後の世代になるほど負担率が高いということは、これはもちろん高齢者が増えているので高くなってきているということでありますが、高齢化要因だけでは到底説明が付かない、つまり高齢者向けの給付の実質的な一人当たりのレベルを上げてきた、これでこう上げてきているということがございます。
 右図は貯蓄率ですけれども、最近の世代ほど貯蓄率が高い傾向があります。これは、雇用が非正規化しているとか、あるいは将来社会保障で守られる度合いがこのままでは低下するんじゃないか、そうしますと同じ所得であっても貯蓄率は高くなります。こういう当然のことが起きていると。私は、個別には工夫すべき面がたくさんありますけれども、高齢者向け社会保障給付を平均的に見ればかなり国際的にもトップクラスではないかというふうに見ております。
 六ページでは、現在の高齢者向け給付を増やしていったらどうかということをちょっと詳しく数字で議論させていただくことをお許しいただきたいと思います。
 これ、左の図と右の表は同じものでございます。現在、六十五歳以上人口一人当たりの平均的な年金、医療、介護の受給額、これは実質二百五十三万円です。これが五十年後、二〇六〇年、約五十年後ですね、二〇六〇年度にどうなるかを一定のマクロシナリオと整合的に試算した結果をお示ししております。
 まず、成長戦略に失敗して経済が低迷し続けるケース@、これで制度現状維持、改革なしの場合には三百二十九万円になりまして、社会保障全体のGDP比は、現在一九%が三一%、これ左の図の横軸になりますけれども、膨れ上がります。これに対しまして、成長戦略に一定の成功を収めるケースのA、これでこの現状維持、改革なしですと、四百二十三万円になりますが、GDP比は二五%にとどまると。
 ただ、いずれにしましても、この改革をしませんと、政府のプライマリーバランスはずっと半永久的に赤字でございまして、右の表の一番右側の列にございますように、現在一九〇%の公債等残高GDP比、これがケース@でもケースAでも発散していくと。これは、現在の社会保障制度はどこかで財政的な破綻をもたらすのではないかということであります。
 ところで、ここで高齢者一人当たりの金額というのは物価でデフレートした実質額を御覧いただいておりますけれども、もっと重要であるのは賃金でデフレートしたものであります。どうしてかといいますと、社会保障制度というのは賦課方式でやっておりますので、成長率の高い低いということではなくて、賃金との対比で給付をどうしていくかということがポイントだからであります。
 ケース@にしろAにしろ、賃金対比の高齢者向け給付は、現在を一〇〇としますと、二〇六〇年には、マクロ経済スライドなんかをやりますので九二を、マクロ経済スライドをやったとしても九二を維持していると。
 左図ですと、それが括弧の中に書いてある数字でございまして、この円の大きさが賃金でデフレートした給付水準を示しております。これ、イメージとしては、お隣に働き盛りのお宅がある高齢者の世帯の生活水準が現在と比べて五十年後にどうなるかというイメージでこの丸の大きさをイメージいただければいいと思います。
 さて、ここで、財政健全化のめどとして、公債等残高GDP比を五十年後に一〇〇%、今の半分ぐらいに下げるということを今から十年間で取り組もうとしたらどんな改革が必要かということを考えてみました。ここでは、両極のケースとして、消費税なんかを引き上げずに給付抑制だけでやるというのが改革A、それから、今後十年掛けてヨーロッパ並みには、消費税を二〇%ぐらいまで上げて、同時に、足りない分は給付抑制を行う改革Bというのを考えてみました。
 すると、低成長のケース@の場合、社会保障制度を全面廃止にでもしない限り、これは改革Aでは社会保障制度の持続性を回復できないということになります。もちろん、だらだらとやっていけば二一〇〇年以降ぐらいに公債等残高が落ち着くということはあるわけですが、今から十年間ぐらいで改革をやろうとするとできないと。
 それから、改革Bの場合には、消費税は二〇%にしつつ、実質給付を現在から四割減らして百六十一万円ぐらいにすれば一応その改革はできる、一〇〇%になると。ただ、これほど厳しい高齢者向け給付の抑制というのは政治的にも経済的にもできませんので、このケース@のケースというのは、やっぱり経済成長あるいは人口の安定化の努力が必要だということを示していると思います。
 では、Aはどうかと。成長戦略がある程度うまくいった場合ですが、改革Aですと、物価で測った実質給付を現在から二割ぐらい減らして二百六万円に抑制できれば、消費税は一応一〇%に上げるというのが前提ですが、一〇%のままでも破綻はしないと。ただ、この場合でも賃金対比では四五ですから、ちょっと余りにも開き過ぎだと。
 そして、ケースAの改革Bですね。これは消費税を二〇%に上げて給付を四百十二万円に維持できています。賃金対比では九二であります。これがそのもう一つの極だということなんですが、仮に二〇二〇年代半ばまでに消費税を二〇%までに上げるというのは大議論になると思いますし、一方で、超高齢社会の中で、賃金対比の平均給付を今と余り変わらないことで許されるのかということもあります。
 私はかねてより、これ賃金対比で七〇ぐらいにすべきじゃないかということを申し上げているんですが、それ、金額で申し上げると大体三百十万円とか三百二十万円。ここで是非御認識いただきたいのは、それは、今の二百五十三万円より減らすという話ではないということであります。実際にはいろんな成長とかあるいは改革の期間によって数字は変わってきますけれども、この円の大きさ、これをどれぐらいにするのかという選択がまさにどういう国家像を目指すのかということではないかと思います。
 さて、高齢者向け給付をコントロールすることに合理性とか納得性があるのかということをスライド七から十一でお示ししております。
 七ページの左図は御覧いただきましたとおりであります。高齢者向けばかりが増やされてきたと。右図は、求職者給付の実人数を失業者で割った割合をカバー率ということで示しているんですが、かつて一〇〇%でしたが、今は何と二〇%であります。これは違う制度でいろいろカバーされているのかもしれませんが、それにしても、長期失業とか、あるいは一旦非労働力化して労働市場に戻ってきたときの対応とかが全くできていないという、そういうことではないかなというふうに思います。
 スライドの八は、これ右図を御覧いただくと、世帯主年齢六十歳以上ないし六十五歳以上の皆様の消費は非常に伸びてきたし、ここ十年、二十年も堅調であると、一方で、現役層は消費を切り詰めているということであります。
 スライド九、これは、左図が世帯の分布、当然高齢化しているので高齢者世帯が増えて、壮年、若者世代が減っているということですけれども、その右側の図でジニ係数を見ております。これも、ジニ係数、御存じのとおり、ゼロと一の間で数字が大きいほど不平等だということですが、もちろん高齢者が若い人よりも過ごしてきた時間が長いですから、不平等になっている、格差が大きいということは昔も今も変わりませんが、時系列で見れば、これは高齢者では平等化が進んでいて、今、働き盛りあるいは若者のところで非常に不平等が進んでいるということを見ていただけると思います。
 スライド十、これはとても今の高年齢者の皆様はお元気だということでありまして、今、運動習慣があって健康維持を図っているのは高齢者でありまして、現役はますます運動不足。右は体力テストの結果ですけれども、若い人の運動能力は落ちていますが、高齢者はますます身体的にも強くなっていると。
 高齢者が元気だというのはとてもすばらしいことですし、これからの高齢者はITリテラシーも皆さんお持ちで、私は相当工夫すれば活力ある高齢社会というのはできるというふうに思っております。
 スライド十一は、主として高齢者向けの低所得者対策がかなり制度縦割り型あるいは重層的になされつつある状況というのは少し整理すべきではないかということであります。
 平均的な措置として数百万人、数千万人という単位でいろんな配慮を広げていきますと、ますます制度の持続性が疑われることになりはしないかと。引退層というのは当然、これは定義関係からして所得がないわけでありますから、フローの所得ないわけでありますから、それだけ見ると自動的に低所得者になっちゃうと。
 しかし、本当の弱者というのは、低所得者ではなくて低消費者だと思うんですね。ですので、先ほど御覧いただいたように、高齢者は必ずしも平均としては低消費者ではないわけでありますので、マイナンバーも入りましたので、可能な限り本当の弱者にきめ細かく重点的に、しかし重複は避けながら目配りをしていく方向が望まれるのではないかと。
 ですので、スライド七から十一をまとめますと、もちろん高齢者のフレイル対策とかそういうことは大前提で重要ですけれども、少し高齢者向けに寄り過ぎている状況を、もう少し働き盛り世代、子育て世代、若者世代、あるいは子供たちに政策資源の配分の軸足を移していくべきではないかと思います。
 十二ページから十五ページは、申し上げましたような視点の改革について、もう一つ重要な点として経済との関係であります。
 こういう改革を行えば、全体としては配分を変えつつも給付抑制と負担増ということになりますので、当然経済に悪影響が出てくると。これに対する回答が必要なわけですが、十二ページの左図に御覧いただけるように、政府の資金不足の幅を縮小させたいわけですが、民間部門の資金余剰幅を同時に縮小させないとこれは実現しない、つまり二兎を追うしかないし、追うことが正しい政策であると。
 これはもちろん民間部門の責任も相当大きいわけでありますが、政府ができることとしてはこの社会保障改革を成長戦略に結び付ける。これまで政府が直接現金や現物を必要なだけ、あるいは必要以上に全面的に配るという役割を担おうとしてきましたけれども、これだと幾ら負担を増やしても足りないと。もう少し民間とその補完関係を強化して、最低限必要なところは、これは皆保険、皆年金でやりつつ、社会保障ちょっと減っていく分というのは、これはやっぱり民間のところで補完していくようなそういう設計、あるいはそういうことをやっていく新しい産業や雇用をつくっていく、こういう大きな構想が求められるのではないかと思います。
 医療、介護、保育といったいわゆる官製市場というのは、これは需要の行列が御存じのとおりできております。これは、ですから余りうまくいっていないということだと思うんですね。ですから、そこにもう少し民間の知恵を入れていけないかと。何か全部民営化するとかそういう話ではもちろんなくて、そのミックスの仕方の工夫だということであります。そうでないと、少子化がますます進んで、経済もこの社会保障も立ち行かなくなると。
 そういう観点から、スライド十四と十五が最後でございますけれども、政府が骨太の方針二〇一五に基づいて、今、経済・財政一体改革ということを行っておられて、非常に期待は大きいものだと思います。
 これ、全府省庁が一体となって取り組むとされているわけですが、社会保障につきましても四十四項目について改革を含んでおります。私もその議論に現在関与させていただいておりまして、だから宣伝しているというわけでは決してないんですけれども、この改革というのは、先ほど申し上げた経済と一体的に物を考えているということで今までとは違います。
 それから、既に二〇二〇年度までを照準に置いて個別具体的に改革工程を詳細に決めまして、改革の進捗を検証するルーチンとしてのシステムを確立しようとしております。これ、トップダウンで歳出にキャップを掛けるということではなくて、ボトムアップで社会の効率性を上げようとしているという改革です。
 スライド十五には、社会保障に関する改革工程のエッセンスを掲載いたしました。
 私が申し上げるのも僣越ですけれども、関係府省の皆様、極めて熱心にこの改革に取り組まれていらっしゃいます。是非先生方にも、御指導、御協力をお願い申し上げる次第でございます。
 健康社会を目指すためには国民挙げての取組が必要ですので、現在をもっとデータで見える化して、専門家でなくても課題の存在ですとか現状を変える必要性が分かるようになって、それで広く国民、住民の納得感を醸成しながら変えていく、こういうプロセスを進めようというのはチャレンジする価値のある取組だというふうに考えております。
 以上、私の意見陳述とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
#13
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
 まず、各会派一名ずつ指名をさせていただき、その後は、会派にかかわらず発言いただけるよう整理をしてまいりたいと思っております。
 質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って御発言くださいますようにお願いをいたします。
 質疑及び答弁は着席のまま行い、質疑の際はその都度答弁者を明示していただきますようお願いを申し上げます。
 なお、できるだけ多くの委員が御発言をいただきますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるよう御協力のほどお願いをいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 舞立君。
#14
○舞立昇治君 自由民主党の舞立でございます。
 本日は、三人の参考人の先生方、本当にお忙しいところ、ありがとうございました。それぞれ非常に価値あるお話をいただきまして、ありがとうございます。
 まず、大沢先生は基本的に現金給付を強化すべきじゃないかなというようなイメージがありますし、神野先生は現金給付からできる限り現物給付へといったようなちょっと違いがあるのかなと思いまして、大沢先生の現政権へのちょっと政策が余りうまくいっていないという問題につきましては今日議論する場ではないので避けたいと思うんですけれども。
 現金給付を強化していくといったような、まず大沢先生にお伺いしたいんですけれども、今日の最後の資料でいろいろと、児童手当、児童扶養手当の拡充、給付付き税額控除の導入、高所得者には更に負担の強化とそして配偶者控除の廃止、そして学校教育への財政支出を増やすという問題の以前に、私も子ども手当はお金が潤沢であればやってもいいのかなと思いつつも、やっぱりちょっと所得制限あるなしという問題は重要だと思っておりまして、先生は結構貧困率の問題にピックアップして議論されていることからも、恐らく、子ども手当丸ごとというよりかは、やっぱりきちんと所得制限をある程度勘案した上で現金給付をやるべきというふうな御理解でまずいいんでしょうかということと、あと、学校教育への財政支出を増やすと書かれておるんですが、具体的にはどのようなことをちょっと想定されているのか、教えていただければと思います。
#15
○参考人(大沢真理君) 御質問ありがとうございます。
 子ども手当についての所得制限でございますが、現在の児童手当では旧来よりも所得制限の水準がかなり高くなっておりまして、所得制限のあるなしという意味では、制限なしの子ども手当との差は小さくなっているかと認識しております。
 諸外国を見渡しますと、子ども手当、児童手当に所得制限を付けている国の方が少数派であって、オーストラリアはそうです。低所得の一人親世帯などには税込み収入の二五%程度に当たる非常に実質的な額の児童手当が払われていることが純負担を大きくマイナスにし、その貧困を緩和しているということは間違いなく言えるわけです。ただし、所得制限を付けますと、劣後をしているという烙印を押すことになるというふうに社会保障研究者の方では申しますけれども、そのことによって申請をためらうというような副次的効果は必ず伴いますので、そこはどうなのかというのはございます。
 オーストラリアの場合には、基本、社会保険制度ではなくて、所得制限付きの現金給付というのを年金でも失業手当でもやっておりまして、子ども手当もそういうのと同列ですから、所得のチェックを受けることへの抵抗感というのはかなり低いシステムになっているという辺りは留意すべきかというふうに思います。
 結論ですけれども、所得制限を付けるとどうしても給付漏れが生ずる、あるいは申請漏れが生ずるということと、所得制限をすることの事務費というのもなかなかばかにならないことを考えれば、諸外国で制限なしの児童手当が多数派であることに鑑みて、所得制限なしの児童手当というのが合理的な政策ではないかというふうに考えております。
 それから二番目、教育への公財政支出を増やすべきということでございますけれども、学校段階別に比べまして個人の負担が非常に重たくなっているのは、日本では就学前教育、保育サービスのところ、それから高等教育でございます。逆に、今義務教育のところにはそこそこ財政支出を行っているということでございますので、私は大学人ですから高等教育への支出を増やしてと言いたいのはやまやまですが、世の中全体を考えれば就学前教育のところをもっと手厚くするべきと。その意味で、前の政権、現政権を通じて、幼児教育、就学前教育の無償化の方向に進んでいることを大きく歓迎したいというふうに考えております。
 同時に、高等教育に関しましては、奨学金のために進学ができないというか、奨学金が大変な負債になると。私の周辺の若手研究者でも、自分はベンツをしょって歩いています、自分はアルファロメオをしょって歩いていますというギャグがはやっていまして、要するにそれだけの負債を、大学院まで行くと千四百万とか二千万の負債を負って社会に出るというふうになると。
 これは、是非とも給付型の奨学金や、あるいは、奨学金、今有利子というのは三%なんですよね、マイナス金利の時代になって三%の金利を取って奨学金というのはほとんど闇金じゃないかというようなギャグも飛び交っておりまして、この辺り、無利子奨学金の拡充、給付型奨学金の拡充というのを是非お考えいただければと思います。
 以上でございます。
#16
○舞立昇治君 ありがとうございました。
 ということは、教育の関係でいうと、幼児教育無償化なり奨学金の返還免除だとか、そういったような今の方向性としてはいいんじゃないかというようなお話でしたですね。ありがとうございます。
 次、ちょっと神野先生、私、本当に地財審等々大変いろんな場でお聞きしていて、とても先生のお考えに共鳴するところでございまして、できる限り現物給付を広げていけば生活保護等も減っていくんじゃないのか、四兆円も要らなくなるんじゃないかとか、そういったような社会が、分かち合いの社会ができるという意味では、今日のこの国民の信頼を構築するための社会保障の在り方の本当に基本構想を語っていただいたなと思っておりまして、本当にありがとうございます。
 そこの中で、先生には、今日の資料の税の部分、要は、日本は消費課税を入れるときに個人、法人を落としてしまった、その他のOECDは個人、法人を維持しつつ消費課税を入れたので今何とかなっているというようなお話で、日本の場合はちょっと法人課税が結構先進国の中で高いという部分もあったんじゃないかなとは思うんですけれども。
 神野先生のこれから現物給付を拡充していくといった中で、当然ながらやはり財源確保をしていくことが非常に課題になってくると思うんですが、先生の税制改正案みたいな、要は税制改正案ですね、例えば大沢先生ですと配偶者控除廃止だというようなお考えもあると思いますし、やはり個人課税、そして法人課税、そして消費税の関係につきまして、先生の目指す、理想とするようなちょっと税制を教えていただければと思うんですが。
#17
○参考人(神野直彦君) 税体系についてお話しするのはなかなか難しいんですが、もう明らかなことは、国際的に見ても、日本でいう消費税、付加価値税とそれから所得税というのは、いかなる先進国、車の両輪になっているわけですね。日本は消費税は低いと言われますが、所得税も低くしてしまったので、これは見直す必要があるだろうと。
 これは、大沢参考人は控除の問題をおっしゃっていますが、税率よりも課税ベースを広げるということを重視するということは税の鉄則ですから、その原則を考えるにしても、実質的な累進性を高めていく、これもセットじゃないと駄目なんですね。つまり、所得税の方で実質的な累進性を高めておいて、底上げするように消費税を上げていくというふうにしないと、普通は国民の同意がなかなか得にくいというふうに考えております。
 法人税も同じことで、ベースをかなり広げて、現在のところで税率をめどにして資本が動くというところがありますので、税率よりもまずベースを広げるということを重心にしながら応分の負担はしていただかないと、これは所得税の方で、所得税というか、法人の利益配当を支払ったところで課税するのが法人税なのに対して、受け取ったところで課税するのが所得税なんですが、受け取ったところ、若干日本弱いわけですね。したがって、法人の利益に対してもやはり公平感を壊さないような形でしておくということが重要かなと思います。
 それから、補完税と我々言いますが、中心税と補完税といって、今言ったのは基軸的なキータックスなんですけれど、それを補完する税金として、もうこれどこの国もそうでしょうが、税金というのは余り変わらないように見えますが、ある時点で取ってみるとえらく変わっているんですね。恐らく三十年後の税制で世界的に存在感のある税制になっているのは環境税だと思いますので、環境関係の税金を強化して補完していくという税体系が重要かなと思っています。
#18
○舞立昇治君 ありがとうございました。
 終わります。
#19
○会長(鴻池祥肇君) 石上君。
#20
○石上俊雄君 今日は、三名の先生、本当に貴重な御意見、お話をいただきまして、本当にありがとうございました。
 ちょっと別な視点からになるかというふうに思いますが、皆様方の御主張を更に理解を深める意味で質問させていただきたいと、そういうふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、大沢先生に質問させていただきたいと思いますが、先ほど、現政権の経済成長が余り芳しくないなとか、デフレから脱却して、そしてインフレというか物価上昇も余り芳しくないなというお話がありましたが、アベノミクスと格差という話がそもそもあって、格差に与える経済成長の影響、さらには、インフレになったことによるその格差との影響、相対貧困率が拡大しているという現状にあって、この辺との関わりを先生はどういうふうにお考えになるのか、御意見をお伺いしたいと思います。
#21
○参考人(大沢真理君) 格差を測るための調査というのが三年に一度しか行われておりません。直近の調査は、二〇一五年、昨年行われまして、その前は二〇一二年でございます。直近の調査の結果が出るのに一年半ほど掛かりますので、残念ながら、アベノミクスの下で格差が拡大したのかどうかに関して、同じベースのデータで回答することは現時点ではできません。ですので、事例でもって見ていくというようなことしかなかなかできないわけです。
 しかしながら、先ほどのデータの中でもお示ししましたように、収入が低い子供のいる世帯ほど純負担率大きく上がってきておりますので、貧困率の結果が出れば、二〇一二年から一五年にかけて貧困率は上昇しているというふうに予測はできるわけでございます。
 そのことと経済成長の関係なんですけれども、経済学の主流の学者の間では、従来、所得の格差というのはある程度あった方がやる気は出るし経済は活気付くという見方があったのでございますけれども、この二年くらいの間に、主としてOECD、それからIMFなどの実証研究に基づくまとめでも、格差が拡大している国では、経済成長率が本当であれば可能だった成長よりも下振れしていると。日本もその中に入ります。格差を縮小して潜在成長率を実現した国というのは、OECD諸国の中でもフランスとスペインぐらいしかございません。ですので、経済成長を目指すというのであれば、格差を縮小するというのが正しい政策手段ではないかと。成長してから分配すればいいという考え方はなかなか成り立たなくなってきているというふうに思います。
 もう一つ、インフレとの関係ですが、残念ながらインフレは起こっておりません。物価指数をずっと経年で見てまいりますと、上がったというのは消費税の税率アップの分、プラス円安による輸入品物価の上昇、これが原油価格の低迷と相殺し合っていますので、ほぼ消費税増税分しか消費者物価指数は上がってございません。
 それがここに来ていろいろ実質賃金率とか何かがもみ合いになっている状況ですけれども、しかし人によっては、やっぱり購買するもの、バターであるとか小麦粉であるとか砂糖であるとか、そういったものの価格が上がっていますので、子供がいて比較的低所得の世帯にとっては、この物価上昇というのは打撃を与えているかというふうに考えております。
#22
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 大沢先生、もう一つちょっとお聞きしたいんですが、一月の二十二日の施政方針演説で安倍総理が、非正規社員の皆さんの均衡待遇を確保した上で、さらに、一億総活躍プランの中で同一労働同一賃金に踏み込むという発言をしました。我々の党は同一価値労働同一賃金と言っているわけですけれども、このことについて御意見、お考えがあればお聞きしたいと思います。
#23
○参考人(大沢真理君) 今官邸サイドでもいろいろと政策手段を検討されているところだというふうに漏れ聞いております。
 同一労働同一賃金という規定は、例えば労働基準法第四条の中に男女同一賃金という項目があるわけでございますが、しかし日本は先進国の中で男女間の賃金格差の大きい国でございます。これは、同一の労働ではないというみなしがいろいろと細かく入っていることによりまして、それを考えれば、同一価値労働同一賃金、その人の働きの価値というのを多面的に評価した上での賃金の均等化ということを図る必要があり、そのような方向に踏み込んでいただくことを期待するもの切な点がございます。
 以上です。
#24
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 続きまして、神野先生に一つお聞きしたいと思いますが、財政再建という観点ですね、ちょっとお聞きしたいというふうに思いますが、財政再建をする一丁目一番地といったら行政の無駄をなくすというところにくるというふうに思うんですが、国庫補助金を中央から地方へもっと大胆に一括移管することが中央と地方政府の業務コストを削減する、要は補助金、さらには補助金事業の効率化を併せて進めることによって年何兆円かのコスト削減が図れるんだ、そのことによってプライマリーバランスが回復するんだというようなことを書いているものを読んだことがあるんですが、このことについて御意見、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
#25
○参考人(神野直彦君) 私が三つの政府というふうに申し上げた基本的な考え方は、国民が手の届くところで、これは無駄だからというか、共同事業としてはやるのをやめて共同事業としてはしないことにしようというようなことをなるべく決められるように、地方とかですね、それから現金給付や保険でどこまでもらえるか、どこまで負担するのかというようなことを自ら決められるようなことを考えておりますので、今おっしゃった背後理念、つまり、身近なところで必要なものを、必要な給付を決定し、負担も決定できるという方向に持っていくべきだと思っておりますので、各省庁が出している特定補助金、とりわけ特定補助金に補助要綱がくっついていて様々な規制が掛かっておりますので、そうしたことを廃止していけば、無駄か無駄じゃないかということについて言えば、先ほど民主主義というお話がありましたが、民主主義を活性化させて無駄を排除するということが効くだろうというふうに思います。
 ただ、ジェフリー・サックスも言っているんですが、言われているほど無駄を排除しても額は出てこないんですね。額は出てこないんですが、いずれにしても、どんなサービスが必要かというところをできるだけ身近なところで決定させるということが重要かなと思っております。
#26
○石上俊雄君 ありがとうございます。
 最後、鈴木先生に一つお伺いしたいというふうに思いますが、団塊の世代の方が卒業されて、年金を受け取る方が増えてきました。さらには、医療費もどんどん増えていっているし、そうなると消費税の負担というのはどこまで行くのかなというふうなことも余り現実的じゃないということばかり言っていられないなというふうに思うんですが、その中で、今の年金というのは基本的には賦課方式であるわけですけれども、そのことを積立方式へ移行するということもその一つの選択肢ではないかなと思うわけでありますけれども、そのことについて先生のお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
#27
○参考人(鈴木準君) 御質問ありがとうございます。
 今、年金のお話かと思いますが、これ、政府がやる以上、やっぱり賦課方式が当然だと思います。つまり、積立方式にするというのは、積立方式でできるのであればこれは民間がそういうサービスを提供できますので、政府がやる以上は賦課方式。もちろん、個人の勘定を擬制的につくっていって工夫をするという余地はあると思いますが、基本的に賦課方式でやるということだと思います。
 団塊の世代とおっしゃいましたけれども、意外に、社会保障というのは人口の要因でよく語られるんですが、特に医療なんかは、むしろ診療報酬改定なんかを見ますと人口要因で説明できない要因で増えている部分が多いんです。つまり、一人当たりで増えているということですね。年金も、これ賃金が上がっていけば報酬比例部分の年金が増えていきますので、実はその人口動態のところを強調し過ぎますとちょっと議論を間違えてしまうかなというふうにも思っております。
 以上でございます。
#28
○石上俊雄君 ありがとうございます。
 終わります。
#29
○会長(鴻池祥肇君) 次、平木君。
#30
○平木大作君 公明党の平木大作でございます。
 本日は、大変に貴重な御講演ありがとうございました。
 私の方から様々お伺いしたいことあるんですが、まずはこの社会保障という問題を語るときにやはりこれセットとして必ず出てくるのが財源あるいは財政再建という話でありまして、大きなテーマですので、この議論の枠組みについてちょっとお伺いをしたいというふうに思っております。
 やはり社会保障あるいは財政再建ということを語る上で、明年四月に控えました消費増税、これはやっぱり避けることができないんだろうなというように思っております。やはりこれは将来的な社会保障のことを、在り方を考える上においても、何といっても納税者の皆様の納得感がないとなかなか前に進むことができない、改革することもできないというところがあります。
 そこで、例えば社会保障の在り方あるいは財政再建の在り方一つ取っても、結構いろんなお立場があります。例えば社会保障、現行の社会保障制度を維持拡充するために消費増税というのはやむを得ない、だから御納得いただきたいという例えば主張がある。もう一方で、財政破綻というものがもたらす影響というのは大変大きい影響があるので、まずその支出の最大の項目である社会保障にはしっかりめり張りを付ける、切り込む。増税もお願いしなければいけない。例えばこういう軸足の置き方が社会保障の方にあったり財政再建の方にあったり、いろいろある。
 この中において改めて、これ明年四月のことは当然なわけですけれども、その先も含めて、じゃ、あと十年後、二十年後どうするんだということも含めて、これは我々政治家がしっかりと有権者の皆様に真摯に語っていかなきゃいけないポイントだというように思っておりまして、この点について、そもそも財政再建と社会保障の在り方、このちょっと長い時間軸で見たときに、国民の皆様にどう説明していくべきだとお考えなのか、これ、是非三名の皆様から順々に、大沢参考人からいただけたらというように思っております。
#31
○会長(鴻池祥肇君) では、まず、鈴木参考人から。
#32
○参考人(鈴木準君) 御質問ありがとうございます。
 私は、二〇一二年の消費税法の改正というのは、言わば負担と受益の比較考量できる、国民的議論ができるプラットホームができたというふうに思います。もちろん消費税だけでは足りないので、そこはお金に色が付いていないという議論はもちろんございますが、しかし、給付をどれぐらい効率化させて、それに見合う消費税の引上げはどれぐらい必要か、消費税そこまで引き上げられないとしたら、じゃ給付をもう少し抑える、こういう比較考量するプラットホームができたというのは非常に大きな成果であったというふうに思います。
 そういう意味では、そこを崩さないような形で是非今後の政策運営もしていただきたいというふうに思いますし、それから、先ほど消費税を上げたときに所得税の減税と組み合わせてきたという話がございましたが、前回は違ったわけですね。これはもう純粋に消費税の増税のところをやったわけでありますので、それは私ども、二〇三〇年代半ばぐらいには消費税率というのは二五%ぐらい実は必要ではないかということをいろんな御提言なんかで申し上げておりますけれども、それをうまくやっていけるような議論の醸成が必要ですし、給付を充実させるところとうまく効率化させるところ、それは、ですから、今不合理に例えば地域差があれば、その不合理な地域差を抑制するということについては先ほどちょっと申し上げた見える化をして、問題の所在が分かって、それで国民、住民が納得できればやっていけるということですので、そういうちょっと地道な取組が必要かなというふうに考えております。
 以上でございます。
#33
○参考人(神野直彦君) 財政再建と経済成長等との関係については、私、二十年ぐらい前に二兎を追う経済学というのを書いて、これは両立しなくちゃいけなくて、両立のポイントは産業構造を変えることだということを書いたことがありますが、今でもこの考え方は変わっておりません。
 それで、少し具体的に言いますと、今回の社会保障・税一体改革に少し絡んだものとして申し上げたいことは、財政を再建するといっても、当面、財政は資金調達が可能であれば破綻するという現象は私ども財政学者からはあり得ないんですね。もちろん、債務残高が多くなったりするとマクロ経済で様々な障害を起こしたりしますから、そういったことを巧みにやりくりする、つまり国債管理政策は適切にやらなくちゃいけないんですけれども、そこはポイントだろうというふうに思っております。
 したがって、私はむしろ、赤字幅を縮小するというよりも租税負担水準を引き上げること、例えば今赤字がGDPで一〇%持っているとすると、租税負担率二〇%で一〇%の赤字を抱えている国と三〇%で一〇%を抱えている国とでは、もうマクロの経済をコントロールする力は全然違います。
 したがって、税負担水準を上げていくということ、つまり、国民が必要とするサービスが出なくなったりすることが、財政破綻というか、財政がうまく機能しなかったら問題なので、国民の必要とするサービスはちゃんと出しますよ、そのために税負担は引き上げていくんですということをしていかないと国民の了解を取り得ないのではないかと。
 これは税制改革に関連している方々に頭を下げて私は申し上げているんですが、もう今回の三位一体の改革で税負担水準は上がったんだけれども、ああ、よかったと、実感として自分たちの生活は高まったじゃないかという実感を国民に持ってもらうようなことができないと、もう次の増税できませんよと申し上げているんですね。
 したがって、ともすると、財政再建だと、税負担上げました、でも財政再建のためだったのであなたの公共サービスは増えませんよというやり方をやられてしまうと、ちょっと増税が不可能になって、むしろ逆のスパイラルが働くんじゃないかというふうに危惧しております。
 以上でございます。
#34
○参考人(大沢真理君) 今、神野さんがおっしゃったことを若干の社会調査から補足をしますと、二〇〇〇年代の初めや半ばに行われた東大の社会学研究室の調査、あるいはもうその前後に京都大学の経済研究所等が行った国民意識調査によりますれば、国民の多くは社会保障が充実をするならば負担はもっと増えてもよいというふうに答えております。これは、学歴や年齢階層、性別、収入、所得階層等でばらつきは見られますけれども、大勢としてはそう思っているということですね。
 もう一つが、さはさりながら、日本は大変痛税感、租税抵抗というのが強い国で、このことも財政学の国際比較等から分かっております。その根底にあるのは、これも意識調査から出てくるのは、恵まれた人が応分の負担をしていないという意識がやはりあります。そのことは、今日御紹介をしたOECDの「タクシング・ウエージズ」のこの累進性のなさですね、日本の制度の、によっても裏付けられているので、国民は見るべきところをちゃんと見ているというふうに思います。
 したがいまして、恵まれた人に応分の負担をするということを求める、それから社会保障の充実をきちんと掲げて負担をお願いするならば、決して日本国民はそれを受け入れないものではないというふうに思っております。
 以上です。
#35
○平木大作君 ありがとうございます。
 残された時間で、もう一問だけお伺いします。
 先ほどのお話の中で、神野参考人と鈴木参考人のお話の中で、一つちょっと対極というか、違う角度のお話があったかなというふうに思っておりまして、それが社会保障サービスにおける民間のサービスの位置付けというところだったのかなと。
 ちょっと私なりの理解なわけですけれども、神野参考人は、市場原理で、いわゆる競争の原理で突き詰めてしまうのではなくて、協力原理というものにちょっと軸足を置かれているのかなと。一方で、鈴木参考人のお話の中では、社会保障をスリム化していく中においてどうしても出てくる隙間についてはやっぱり民間サービスを活用するというようなお話があったように思っているんですけれども、この点についてちょっと最後に一言ずつだけいただけたらうれしいんですが、いただけますでしょうか。
#36
○参考人(神野直彦君) まず、サービスを生産するところは民間でやろうと公共でやろうと、つまり、私が見ているスウェーデンでいけば、日本でいう保育園というのは民間もあるしいろいろあるんですが、出ていくところ、つまり配るところは財政の原理で配っていますので、基本的にはただ、一割負担があるんですが、これ所得比例で負担しているところがあるので、配るところと生産するところはちょっと分けて考えた方がいいというのが一つです。
 なので、その民間という意味が、市場原理というか購買力に応じて、市場原理というのは購買力に応じて配ることですから、必要に応じて配るという、国民に対して財政でやる限りは必要に応じて配るわけですね。ここが担保されているかどうかということをやらなければならないだろうと思っております。
#37
○参考人(鈴木準君) 実務的な観点でちょっと私は申し上げております。例えば年金がマクロ経済スライドで減っていくんであれば、その減少分を、民間の年金商品が普及していくというふうな必要があると思いますし、今、健診データとレセプトデータという宝の山が日本にはこれだけあるわけですが、それをもう少し民間の分析サービスを使えばもっと人々は健康になれると。健康になれば、世の中、生産性も上がりますし、医療費の抑制にもつながるという、こういう発想が必要ではないか。つまり、政府が直接に現金や現物を給付するというところから少し軸足を、税制でインセンティブを与えるとか、マイナンバーを公正に活用するとか、そういうふうに物を考えたらうまく改革がいくのではないかということを申し上げました。
#38
○平木大作君 ありがとうございます。
 終わります。
#39
○会長(鴻池祥肇君) 辰巳君。
#40
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
 三人の参考人の方、お忙しい中本当にありがとうございました。多くの示唆に富んだ御提言も聞かせていただきました。
 今国会におきましては、とりわけ格差と貧困の問題を各党が取り上げて質問しているのが特徴ではないかというふうに私も思っております。
 十八歳選挙権ということで、先月、NHKが世論調査、十八歳、十九歳の青年たちに調査をしたところ、所得格差が大き過ぎると思うかという問いに対して大き過ぎると答えた青年が七三%で、そうではないと答えた二五%を大きく上回ったという報道もありました。
 いろいろ取り上げられてはいるんですが、なかなか政府の答弁というのは、本当に、この日本の格差と貧困の実態そのものを認めてはいるんでしょうけれども、答弁の中からはなかなかそれを認めたくないというのがありまして、例えば安倍総理などは、分配、再分配するにもまず成長が必要だということを言ったりとか、あと相対的貧困率というのは所得のみで見ているので、現物、現金給付などが加味されていないと、何か認めたくないというのがいろんな答弁の節々で出てきているんですけれども、とはいえ、一億総活躍社会というのを掲げながら、一人親家庭、母子世帯がほとんどですけれども、二人目の給付については五千円から一万円にする、三人目については三千円から六千円にすると、そういう部分では改善した面はあるというふうに思うんですが。
 まず大沢参考人にちょっとお聞きしたいんですが、この政府の格差と貧困に対する認識とか、また姿勢、これを社会保障、格差と貧困を専門にされている大沢参考人から見てどのように受け止められますでしょうか。
#41
○参考人(大沢真理君) 二〇〇五、六年ぐらいからこれは国会でも論戦がございまして、現在、相対的貧困率を算出している元データである国民生活基礎調査というのが正確な調査であるかどうかということは、二〇〇六年辺りの国会の質疑でも話題になっております。
 当時、安倍総理は、統計の根拠が明確でないものがあるというふうな答弁もなさっておりますけれども、その前後、いろいろな研究者が各種の統計を精査した結果として、国民生活基礎調査は決して貧困や格差を過大評価はしていない、逆に、政府が時々引用されます家計調査の方はむしろ低所得者を過小評価しているという結論が出ておりまして、この点は学術的には決着が付いたというふうに考えております。また、国際比較では国民生活基礎調査はずっと使われておりますので、一貫して使い続けることに意味はある。
 しかしながら、どちらの調査も完璧ではございません。私が期待したいのは、三年に一度と言わず毎年でも、より精度の高い調査を設計してやっていただきたいということです。現実を知る、直視することなしに改善というものは図れないというふうに思っておりますので、そこを期待しております。
#42
○辰巳孝太郎君 ありがとうございました。
 続けて大沢参考人にお聞きしたいんですけれども、いろんなデータで日本の場合は所得の再分配機能が脆弱といいますか、これを強化する必要があると。給付付き税額控除の導入などを提案されているわけなんですが、先ほど国民健康保険料の話も少しされたと思うんですけれども、低所得者に対してそういう保険料や税金の負担がちょっと重過ぎるんじゃないかという問題意識を私持っております。
 例えば、一人で働きますと、今百万円の収入があれば住民税が掛かってきますので、それに伴って住民税、数千円ですけれども、その場合は保険料が上がったりとか、いろんなサービスの利用料というのが増えてくるということもありますし、私は大阪出身なんですけれども、大阪市の国民健康保険料をちょっと計算してみたんですけれども、夫婦二人で四人家族、子供二人、所得が二百万円、収入でいうと三百万円ちょっとですけれども、この世帯の年間の国民健康保険料が三十四万六千円ほどになるという、これが実態なんですね。
 私がちょっとお聞きしたいのは非課税ラインですね。保険料にしろ税金にしろ、百万円で掛かってしまう。所得二百万円で三十四万円の保険料が四人家族で掛かってしまう。ここは余りにもこういう世帯に対しては厳し過ぎるんじゃないかというふうにちょっと思っているんです。これは、生活保護の基準と比較しても、いわゆる生活保護の給付というのは可処分所得ですから、そことの比較で見ても余りにも負担が大きいんじゃないかというふうに思うんですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
#43
○参考人(大沢真理君) 御指摘のとおりです。
 そもそも、勤労者に対する社会保険料負担というのも、日本はOECD諸国でドイツに次いで高い国でございます。他方で、事業主、雇主の方の社会保険料負担というのは中程度です。先ほど法人税が高いというお話ありましたけれども、社会保険料負担と合わせれば、日本の事業主の公租公課負担というのは決して高くございません。
 その上で、今お話のあった例えば国保あるいは基礎年金の第一号被保険者というところに関して言いますと、確かに負担は重過ぎます。所得再分配調査でいきますと、当初所得の年収が再分配前の五十万未満の世帯にとっては社会保険料負担というのは一五〇%になっています。これは、誰かからお金借りたり貯金を取り崩さないと社会保険料が払えないという状況を示しておりまして、非常に重くなっています。
 この対策として各種の減免措置もあるところですけれども、私は、減免措置を拡充して徴収ベースを狭めるよりは社会保険料税額控除みたいなものを導入する、こういう制度を持っている国は少なくないわけですので、それについても、つまり、消費税の逆進性対策だけではなく給付付き税額控除というのはかなり賢い政策手段というふうに、特にマイナンバー制度が導入されれば不正な受給というのもかなり抑え込むことができますので、そこに期待をしております。
#44
○辰巳孝太郎君 ありがとうございました。
 最後に神野先生にお聞きをしたいんですけれども、先ほど、欧州の場合は、所得課税と法人課税を軽くせずに消費税を上げていったと。ところが、日本の場合はその逆で、所得税それと法人税、この負担を弱めて消費税を上げていったと。その違いのことを強調されていたと思うんですけれども、また同時に、累進性を高めることが国民に増税の理解を求めるには必要じゃないかという話がありました。
 ずばりといいますか、来年四月に予定はされている消費税なんですけれども、この間、我々、法人減税というのが余りにもやり過ぎだということで、大企業には三百兆円ほどの内部留保もたまっている、それで何でまた消費税なんだという話もしてきたんですが、いわゆる日本の経済成長、またデフレの脱却のためにも、今の日本の現状の経済の中で、来年四月の消費税の増税というのがどのような国民生活やまた日本の経済成長、経済そのものに影響を与えるのかというふうに思われているかということを少しお聞きしたいと思うんですが。
#45
○参考人(神野直彦君) まず、これから行われようとしている増税について言うと、これは低所得者向けの社会保障とリンクしていますから、使い道が、これどうなるかということに関わっていますので、やめること自身は貧しい人や貧困者にとって必ずしも、日本の場合には税と使い道というのをリンクして考えないわけですけれども、スウェーデンの意識調査では、日本と同じように、税負担は嫌だとみんなアンケート出てくるんですよ。でも、例えば、子供の教育を充実するのに増税に応じる用意がありますか、みんなイエスです。スウェーデンでノーと答えているのは生活保護と住宅手当です。この二つはノーなんですけれども、子供たちの育児施設を充実する、お年寄りもということになりますので、どういうサービスを提供してどういう負担をしていくのかということでないと駄目だと。
 私は、消費税という税金の使い道は財政再建には使うべきではなくてサービスを強めるために使うべきだというふうに位置付けていますので、消費税を増税するのであれば、それだけの国民の生活を支える。したがって、先ほどお願いしたように、有り難みがちゃんと出るようにやっていただかないと成り立ち得ないというふうに考えております。
 したがって、これは経済的に悪い影響を与えるとはちょっと信じられないんですね。消費税増税すると、アナウンスメント効果というのが働いて消費需要が増加するんですよ。御存じですよね。これはもう日本でもどこの国もアナウンスメント効果があって、消費需要、とりわけ高いものの消費需要は、何というのかな、増税しますよと言った瞬間に駆け込み需要でずっと上がるわけですよね。実際にやられた瞬間でどんと落ちるのはもう見込み済みですよね。だから、二段階で上げてほしいというふうに私はお願いしてきましたし、つまり一回でやるんじゃなくてもう一回やると、その間、また落ちが少なくなるんですね。今回も、私の場合には、予定どおり上げても消費需要は増えたんじゃないかと思っています。
 ただ、税の増減によって基礎的な消費は上がったり下がったりしませんから、基礎的な消費は賃金が伸びているかどうかというふうに決まりますので、その間に賃金を上げておくということが重要で、読み込み済みのことですから、アナウンスメント効果といいますか、それは適切な対策をやれば経済を失速させるようなことはあり得ないというふうに思っています。
#46
○辰巳孝太郎君 賃金が上がることが大事だということだと思います。
 ありがとうございました。実質賃金ね。
#47
○会長(鴻池祥肇君) 川田君。
#48
○川田龍平君 維新の党の川田龍平です。
 参考人の皆さん、今日は貴重な御意見、お時間、ありがとうございました。
 まず、鈴木参考人にお伺いしたいんですけれども、鈴木参考人の参考資料の二十ページにあります健康投資の重要性という問題について、私も今医療に大変関心が高いんですけれども、特に、健康を増進させるためにしっかり投資をしておくことで、実はそれが後になってやっぱり経済として返ってくるんだと。これは企業のことについても書かれていますけれども、国についてもそうだと思っていまして、やっぱり国民が健康であって初めて経済活動がしっかりできて、それによって経済が成長するのではないかと思いますので、医療費を抑制するのではなくて、医療や健康にしっかりお金を使っていくことが大事ではないかと思うんですが、それについて、鈴木参考人、いかがでしょうか。
#49
○参考人(鈴木準君) 御質問ありがとうございます。
 私の資料二十ページ目のこの左の下の図をちょっと御覧いただくと、これ自己申告での健康度ですので本当に健康なのかどうかというのは議論ございますけれども、ちょっと日本というのはやっぱりアウトライヤーといいますか、外れ値でございます。
 つまり、日本というのは皆さん何となく健康度が低いというふうに思っていらっしゃる。しかし、例えば健診に行って結果が悪くても放置される方は意外に多くて、病気になって初めて高い薬や高い医療費を掛けて、それで健康の価値をそこで知るというお話はいろんなところでお聞きするわけであります。
 先生おっしゃるとおり、もう少し健康に対する価値の高い社会、これ、二〇二〇年には東京五輪もございますけれども、そういうことを契機に健康を、価値高いんだという社会的な運動をしていく。今、企業の部門ではこういう健康経営という考え方がかなり普及をしてまいりまして、これはもう企業のイメージとしてやるということではなくて、まさに従業員の健康を維持増進することが、これは競争力にもなるし、生産性も高めるということでやっております。
 今課題になっているのは、従業員の個々人にもう少し問題意識を持ってもらって取組の意欲を高めてもらうという、そういう段階に今来ておりますが、先生おっしゃるとおり、日本全体でもう少しそういう動きをムーブメントとして起こしていくことができればかなり明るい話がいろいろできるんじゃないかなというふうに思っております。
#50
○川田龍平君 神野先生に。以前から神野先生の二兎を追う経済学とかいろいろ勉強させていただいております。
 本当にこの医療については、やっぱりこれから私が心配に思っているのは、市場原理に医療を任せてしまうような医療制度に、今日本がアメリカの医療制度をまねしていくところがありまして、非常に日本は日本として世界に冠たる国民皆保険制度というのがありますけれども、これをやっぱりしっかり維持していくという上で、これからどういうふうに日本の国民皆保険制度を守っていくべきであるとお考えなのか、是非、神野先生のお話をお聞かせください。
#51
○参考人(神野直彦君) おっしゃるとおりだと思いますが、先ほども申し上げましたけれども、医療サービスを配分するところを財政原理、つまりそれぞれの国民の必要に応じて、つまり豊かであるか豊かでないかではなく必要に応じて配るということが重要で、市場原理を導入していいサービスというのは、お金持ちは多く消費できるけれども、貧しい人には配分しないということでいいようなサービスは市場原理に任せればいいと。医療はどっちなんですかということですね。
 普通、国民にそれをやれば、ニーズといって欠けては人間の生存ができないというようなものは埋まれば打ち止まりますから、医療費が膨大に膨れ上がるということはありません。金に任せて、例えばインフルエンザが治っているのに、今ちょっと何飲ませているか分かりませんが、お金に任せて特効薬を飲みまくるという事態はないので。それに対して欲望、生存水準を超えた欲望についてはこれは市場原理に任せておいて、スウェーデンの教科書で説明しているのだと、映画などはこれ欲望ですよねと。これはお金持ちは見まくるけれども貧しい人は見れない、それでいいですねと聞いているんですね。医療はどうでしょうかって子供たちに聞いているんですけれども、子供たちに聞くように、国民が判断、あるいは地域で判断すればいいのですが、私は、医療については先ほど言いました打ち止まるということが重要なんですよね。変なのを入れると、欲望を入れてしまうと、例えばバイアグラとかって入れるとそれは膨れ上がるかもしれませんが、そうでない限り治れば打ち止まります。
 したがって、ニーズである医療については配分の仕方を市場、つまり購買力に応じてではなく必要に応じて配れる仕組みを考えていくということが重要で、日本の医療保険制度もそういう観点からむしろ見直すべきだと思ってます。
#52
○川田龍平君 医療については知れば知るほどちょっと僕も分からなくなってくるところがありまして、夕張とか医療の資源がないところは、病院がなくなってしまったので逆に健康を高めようとしたりですとか、それから、先日三重県に予算委員会で視察に行ってきたんですけれども、三重県はやっぱり医療資源がないために医療費を掛けられないので、医療費が総額として掛かっていないと、それで将来に備えて貯蓄は高いんですよね。
 何か非常に医療についていろいろ地域によって違いがあると思うんですが、本当に地域のことをやっぱりしっかりと知った上で、医療にしっかり掛けるべきところには掛けていくことが必要だと思っていまして、特に世界を見たときに、医療費を抑制している国というのはどうしてもやっぱり経済も良くなくなっているというふうに印象としてあるんですけれども、それについて、どなたか分かる方いたら教えていただきたいんですが。
#53
○参考人(神野直彦君) 後で大沢先生に補足してもらうといいかと思いますが、御質問は、医療費の抑制、つまり、医療費の低いところは市場に基づいた配り方をしていないところです。きちっとした保険、保険というか、デンマークなんか全部税ですけれども、スウェーデンも税です、申し訳ありません、保険じゃありません。そういうところの方が少なく出てきます。それは統計的に多分言えると思いますが、あと、大沢先生、補足してください。
#54
○参考人(大沢真理君) GDPに対する国民医療費の比率ということでいうと、皆保険制度を持っている国、それから税方式の無料国営医療というんでしょうか、これがイギリスを始めとしてスウェーデン、イタリア等でもそうですけれども、そういうところは医療費を低く抑えていまして、日本も対GDP比の医療費が低いという意味では優等生的な部分があります。
 国民の健康度、いろいろと問題はありますけれども保たれてきたということでいえば、日本の皆保険制度というのは世界に誇るべきものと思います。ただし問題は、これが医師や看護師のもう超長時間過密労働によって支えられているということを忘れてはならないと思います。週八十時間勤務、三十六時間連続勤務などという、もう過酷を通り越した中でこの制度が支えられていると。
 というのは、日本の医療費の使い方というのは、人に使っていなくてベッドに使い、それから高額医療機器に使っている。つまり、人口対比の医師の数、看護師の数というのは非常にお寒い。でも、病院のベッド数というのはそれなりにある。それから、入院日数は長い、これは閉鎖精神病棟入れるか入れないかで違ってきますけれども、とにかく入院日数長い。そして、人口当たりの持っている高額医療機器の多さ、それに使っているお金の多さといったらとんでもないことになっていまして、限りある医療費の使い方というのをもっと物や薬から人へということを期待したいと思っております。
#55
○川田龍平君 私も、今高額医療機器の問題で、特に健診を、機械があるからといって健診をしなければいけないというようなことでどんどん健診を進めているんですけれども、もっとがんとか、いろいろな病気もそうですけれども、健診よりも、そもそも病気にならないための予防の方にこそやっぱり力を入れるべきではないかと思っています。
 特にがんの予防というと、またそれもワクチンとかになってしまって、結局医療費の占めている割合で、そういった薬とワクチンとか医療費、薬剤費が非常に高くなってしまっていて、本当にそれが医療費を高騰させている原因の多くだと思います。
 そういう意味で、今医療とTPPの問題で非常に関心が私はあって、特に日本が医療費がこれからどんどん高くなっていくときに、自己負担でもって医療を混合診療でもってどんどん増やしていくということが、ある意味で、今まではお金の、所得のあるなしにかかわらず十分な医療を受けられるように制度としてあったものが、だんだんとそうではなくなってきてしまうんではないかという危機感を感じています。
 確かにTPPについては、どうしても日本だとマスコミが農業分野についての関税についてばかりが出てくるんですが、特にこれから知財の部分が非常に重要なところではないかと思っています。神野先生も書いていますように、これから産業構造として重化学工業から知的サービスや知財の分野が伸びていくことがすごく重要だという中で、アメリカに今非常に日本は負けていまして、そういう意味では、やっぱりここのコンテンツですとかそういう知財の部分で日本がこれから産業としてしっかり成り立たせていくためにも、どういった意味でこれからの日本の産業構造の転換をしていくべきなのか。また、先ほどのサローの言葉にもありましたように、やっぱり日本が世界に対して非常に遅れているというふうなところがあるのかと思います。
 そういう意味で、やっぱり是非そこをしっかりやっていかなきゃいけないということで御示唆いただきたいということと、最後に、もう時間ですので、先ほど環境税の話もありましたが、本当に税を取るべき人から取れていないと。例えば配当、法人の配当税なんかもやっぱり取れる面が取れていないとか、それから国際連帯税みたいなものをやっぱりしっかりと、航空税みたいなものですね、ほかの国ではやっているものが日本だけはやっていないと。本当に取るべきところから取るべきだというふうに思っていますし、それから産業構造を変えるべきという視点から、神野先生に短く一言でお願いします。
#56
○参考人(神野直彦君) なかなか難しいんですが、まず、これからの脱産業社会では機械よりも人間が重要になりますから、どういっても人間的な能力を持った人間をいかにつくり出すかということになりますので、スウェーデン政府が言った言葉で言えば、平等と経済成長と雇用の確保、この三つを両立するには教育しかないと。全てに人々に教育をすれば、みんなが有能なんだから雇用されるし、当然のことながら人間的な能力が高まっているので労働生産性が上がって成長する。さらに、教育による格差は少なくなって、国民的な所得格差は少なくなるのが一つですね。
 それからもう一つは、そうやるためには、人間的なそういう知的な能力だけじゃなくて、健康じゃないと駄目なので、当然のことですけれども、健康を損なうような環境問題とかそれから医療問題、つまり、この二つが力を入れなくちゃいけないんだけれども、それこそがこれからの市場の宝庫であり技術革新の宝庫だというふうに言っているわけですね。
 最後に重要なのは、社会的な信頼感、これ、日本、失われつつあるんですが、これから惜しみなくお互いに与え合うためには、ソーシャルキャピタルと言われている、社会的関係資本と訳されていますか、社会的な関係資本こそが産業構造を変え、経済成長を可能にするというふうに思っていますので、三つぐらい基本があるかなというふうに思います。
#57
○川田龍平君 ありがとうございます。
#58
○会長(鴻池祥肇君) 次に、藤巻君。
#59
○藤巻健史君 おおさか維新の会、藤巻です。よろしくお願いいたします。今日はどうもありがとうございました。
 鈴木参考人の意見、非常に同意することが多かったんですけれども、今日ちょっと時間がないので、質問はちょっとスキップさせていただきます。ありがとうございました。
 まず大沢先生にお聞きしたいんですが、セーフティーネットを確立して絶対的貧困をなくすというのは、これは国の仕事として絶対に必要なことだと思います。それを前提の上での質問なんですが、大沢先生は先ほどからずっと相対的格差のお話をされていらっしゃいますけれども、相対的格差の是正というのはそんなに重要な問題かということを、基本的なお話をお聞きしたいんですね。
 先生のお話を聞いていると、相対的格差を是正していくと経済成長にいいというようなお話だったんですが、相対的格差をなくしていくと、究極の結論としては社会主義国家になると思うんですが、じゃ、社会主義国家というのは経済成長していたのかと。歴史の示すところはやっぱり資本主義国家が成長していたわけで、そのロジックからすると、相対的格差是正というのを余り前面に出すというのはいかがかなと。特に、イギリスの労働党のブレア首相、あのときは格差是正は国の仕事ではないというふうに明言して政策を打ってきたと思うんですが、私はそれもありかなと思っているんですが、いかがでしょうか。これが一点目。
 もう一つは、この最初のレジュメに、貧困率が高いのは所得再分配機能が低いことにも原因があると書いていらっしゃいますけれども、所得再分配機能が政府は低いかという問題ですが、財政学でいえば、社会福祉費用というのはこれは所得再分配だと思いますが、一般会計で大体三割が社会福祉費。しかしながら、国債というのは過去の支出のあれですから国債費の一部、そして地方交付税、これは多くは民生費、これもやっぱり社会保障ですから、そういうことを考えると、大体社会保障費というのは一般会計においては四割だと思うんですね。九十七兆の歳出に対して約四割、四十兆円使っていると。税収が五十五兆なわけですから、五十五兆、六兆なわけですから税収の八割ぐらいですか、これを社会分配費用に使っているんですが、と思うんですが、それでも所得再分配機能が日本の政府は低いと言えるのかどうか、これをまずお聞きしたいと思います。
#60
○参考人(大沢真理君) 御指摘の相対的貧困基準でございますが、これを日本の制度に当てはめますと、ほぼ生活保護基準に合致いたします。ですので、相対的貧困の状態にある人というのは日本では所得の面からいえば生活保護基準以下の生活になっているということで、生活保護基準というのは政府公認のある意味貧困線でございますから、国際比較に用いられているこの基準が国内的に見ても妥当なものであるというふうに考えます。そういった格差を是正した国の方が成長できているというのがここ二年くらいのOECD等国際機関の調査結果でございますので、お時間のあるときに是非見ていただけたらというふうに思います。
 格差を是正すると絶対平等に行くのかということでございますけれども、相対的貧困というのは世の中の人々のちょうど真ん中の所得の半分に満たない低所得のことをいいます。真ん中から上のことは問題にしていないのが相対的貧困率の考え方でございまして、頑張って能力を発揮してたくさん稼ぐ人の足を引っ張ろうという考え方ではございませんので、是非その点御理解をいただきたいと思います。
 そして、生活保護基準以下の生活はどういうものなのかといいますと、これはやっぱりやりたいこと、持ちたいものが持てないと。子供でいえば自転車を買ってもらえないであるとか、それから誕生日のお祝いもしてもらえないとか、よその子供を、友達をうちに招いて交流するとかという、そういういろいろな機会、人生で子供が味わって当然と思えるような機会が奪われているという状況を意味します。これは、人口減少社会にとって、将来世代の子供にいろんな意味で投資をし、様々なチャンスを与えて大人になって能力を発揮できるようにするということは、決して無駄なものでもない、社会的投資であるというふうに考えております。
 それから、再分配機能でございますが、これはサービス給付のことを入れてございません。所得の再分配のところだけでございます。社会保障のサービス給付は所得分配のどこに影響を及ぼすかといいますと、健康になって稼ぐことを支援する、あるいは小さい子供や介護の必要なお年寄りがいても労働市場に出られるようにするという意味で、当初所得の分配に影響を与えると。そこから後なんですね、税金を取り、社会保険料を取り、社会保障を給付した結果として可処分所得が幾らになっているか。そのレベルで貧困がどの程度解消されているかということを検証する指標でございます。これもOECDの指標で非常に明らかに、日本はOECD加盟国の中で所得再分配機能というのは、あるいは制度の累進度というのはもう下から数えて五、六番目でございます。
 このことは、もはやOECD平均ぐらいの公的社会支出を行っていますけれども、にもかかわらず貧困率は高いという意味で、せっかくのなけなしの公的社会支出の効果が減殺をされている、つまり非効率であると。やはり非効率なものというのは改めなければいけないという意味で申し上げたことでございます。
#61
○藤巻健史君 再度申し上げますけど、絶対的貧困はなくさなくちゃいけない、セーフティーネットを構築して。これは間違いなく必要だということを、これを申し上げておかないと誤解されますので、これはもう一度申し上げておきますが。
 その点で、今の御回答の中で、相対的貧困とは生活保護基準だとおっしゃいましたけれども、戦後の生活保護世帯、たしか二百万人、今もほぼ同じ二百万人と思うんですが、たしかそういう記憶がありますが、ということは可能性が二つあって、一つは、日本の現状の生活レベルが終戦直後と同じように生活レベルが低いのか、貧困なのか、それから二番目の可能性としては、生活基準が高過ぎるのか。特に、三鷹の例だと、子供二人の家だとたしか平均的サラリーマンの給料よりも高いわけですよね。そういうレベルをもって貧困と言っていいのかなという疑問があるんですが、いかがでしょうか。
#62
○参考人(大沢真理君) 働いて稼げる賃金が低過ぎるという考え、見方もあろうかと思います。今、最低賃金で働いて生活保護基準並みの収入を得るためには、週に六十時間以上、年に換算すれば大変な時間を働かないと生活保護基準に到達しないという逆転問題がこの間、問題になっている。これは働いても報われない、働きがいがないということで、人口減少社会、少子化社会にとってはもっと働いたら報われるというシステムにしないといけないのではないかというふうに考えております。
#63
○藤巻健史君 働いたら報われる社会というのはまさにそのとおりでございまして、だからこそ、逆に言うと、先ほど累進税率が高くなるという神野先生の言葉にちょっと疑問を持ったんですが。
 次に、ちょっと時間が余りないので神野先生の方にお聞きしたいんですが、日本の租税負担率が低い、そして所得税が低い、累進性をもっと高めるべきだというお話があったと思うんですが、財政金融委員会で国税に聞いたときに、たしか、余り数字をうろ覚えなのですが、今所得税三〇%以上払っている方を例えば一〇〇%税金取ってもほとんど税収って増えないわけです、ほんの数兆円単位でしか増えない。
 ですから、今、日本人の租税負担率が低いのは中低所得者層の税金がほとんど払われていないからだというふうに私は理解しているんですが、ということは、所得税を高めろ、税収を高めろということは、今、控除の額を下げるとか課税最低限を下げるとか、それから一〇%とかその辺の人たちのところの税率をかなり上げるということしか所得税収を増やす方法ってないと思うんです、実際的に。そういうことをもってすると、所得税を上げて社会福祉に回すということは、それは回さないかもしれないけど、所得税を増やすということは、日本においては現実問題として、低所得者層から税金を取ってより低い超低所得者層にお金を回すしか方法がないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#64
○参考人(神野直彦君) まず、基本的な考え方ですが、十九世紀にいろんな社会問題が起きてきたときに財政学が登場するというお話をいたしました。
 市場社会の所得は要素市場が分配します。この要素市場が分配する分配を正しいとみなすのか、いや、正しくないんだとみなすのかは、これは市場が完全に機能していても避けて通れない議論です。このときにマルクス主義者たちは、これはそもそも正しくないんだから要素市場で認められている資産及び資本の私的所有を廃止しなさいと、こういう考え方ですね。それに対して、いや、もうこれは正しいんだからこれを前提にしなさいという議論に対して、私ども財政学はこの所得分配を財政が修正することによって正しくなり得るんだという考え方に立っておりますので、それまでは、それまでの財政学というか、アダム・スミスなどは比例的な所得税しか認めていなかったのを累進性所得税を導入いたしますので、累進性をやるということは、そもそも税収が上がるかどうかということもさることながら、税の負担の公平性として出てきている議論であると。
 つまり、市場で分配された所得は修正されなければならない、それで、どこまで修正するかというのはそのときの歴史、社会の判断によりますから、どこまで、全部やるんですかとかなんとかというのは、それは均衡犠牲説とかいろいろあって考え方によりますから、それは決定するんだけれども、基本的には私は修正すべきだというふうに思っております。
 そういうことがないと社会は統合できないのではないかと。ほかの税金はちゃんと、おっしゃるように全部、つまり消費税とかなんとかは貧しい人々も全部、そこは税収を上げているんですよね。私は、そういう誰もが負担するような、広く負担するような税制、租税と組み合わせる、組み合わせるときの税金はやはりこっちできちっと累進的な負担をやっておくべきである。
 ただ、所得だけで経済力というのはつかまえられませんので、私は、累進性を上げるのにも、ベースを広げながら累進税率を確保していくということと同時に、所得税だけではつかまえ切れないと。所得ゼロの人、あるいはマイナスの所得の人でも、さっきのお話じゃありませんが、ベンツに乗っている人たくさんいるわけですね。これはつかまえ切れません。したがって、ほかの税金と組み合わせてやらないと無理ですから。ただ、所得税の任務、役割はそこにあるんだということを申し上げたいと。
#65
○藤巻健史君 時間がないのでもう議論はしませんけれども、一言だけ。今の日本の累進課税はかなりきついと思うので、それを更に累進課税をきつくするかどうかの問題かと思います。そして、高いところから取るというのは、先ほど大沢先生のおっしゃった、高い人を引きずり下ろすということにつながってしまうのじゃないかなと、低い人を上げるというのが重要かなと私は思っております。
#66
○参考人(神野直彦君) 会長、ちょっと説明だけ。
#67
○会長(鴻池祥肇君) どうぞ。
#68
○参考人(神野直彦君) 私が申し上げたのは実質的累進性と申し上げているので、累進税率そのものを上げても引っかからない場合がありますから、そのことを言っておりません。実質的なベースを考えてやっておくということが重要だという、その意味で実質的累進性というふうに使わさせていただいております。
#69
○藤巻健史君 どうもありがとうございました。
#70
○会長(鴻池祥肇君) では、中西君。
#71
○中西健治君 今日は、三人の先生方、本当にありがとうございます。無所属の中西健治です。
 三人の先生方に少しずつお伺いしていきたいというふうに思いますけれども、まず大沢教授にお伺いしたいと思います。
 所得再分配機能を強化するということで、念頭に置いていらっしゃるのは高額所得者にも応分の負担を求めるということですから、所得税の累進性、今もありましたけれども、累進性を高めるということを念頭に置いていらっしゃるということだろうというふうに思いますが、それによって得られる増収分で先生が想定している若年層への再配分が十分に行われ得るかということです。さらに、高齢者に対する分配も減らさなければ、若者に対する、子供のいる世帯への再配分というのは十分にならないかどうかという点についてお伺いをしたいと思います。
#72
○参考人(大沢真理君) 先生方がよく御覧になるのは税率表だと思うんですけれども、税率表で各国の累進度を比較するということには非常に問題があります。
 ですので、近年のOECDの税負担についての統計というのは平均税率でもって比較をしています。その平均税率というのをずっと所得レベル別に見ていったときに、日本のカーブというのは明らかにほかの国に比べて寝ている。上の方はどの国でも割と寝ているんですけれども、日本の特徴は下の方がカーブがほとんどないというような意味で、所得が低い人にとっては負担は重く、高い人にとっては比較的軽くなっているという意味でのこの累進度の低さというのは、非常にデータ的に明白に裏付けられています。
 ですので、先ほど神野さんがおっしゃったことと重なります。実質的な累進度をいかにして図るかというときに避けて通れないのが社会保険料負担なんですね。特に定額負担をしているところのてこ入れをしませんと、これは累進度を上げたり、あるいは再分配の効果を上げることはできないというふうに考えていますから、表面税率の例えば最高税率や何かをいじってどのくらいの税収があるかという議論にはさほど意味があるとは思っておりません。
#73
○中西健治君 続きまして、神野先生にお伺いしたいと思います。
 神野先生がおっしゃっていた分かち合いの原理、これを復活させて、お互い誰もが幸福になることを願う社会、これは本当にすばらしいというふうに思います。ただ、もうこの分かち合いの仲間意識というのがなくなってきつつある、若しくはなくなってしまった大きな原因として、近代の交通網の発達などによって人がどんどん移動していくという中で共同体が物理的に崩壊している、破壊されているということがあるんじゃないかというふうに思います。
 先生はスウェーデンの例を随分お出しになられていましたけれども、スウェーデンは人口が一千万未満、九百六十万とかそれぐらいじゃないかと思います。日本は一億二千七百万という人口がいる中で、スウェーデンであれば達成し得るようなこうした意識改革というか、ということができたとしても、この一億人の意識改革をどうすればできるとお考えになるか、そこら辺についてお伺いしたいと思います。
#74
○参考人(神野直彦君) まず、スウェーデンの方でいくと、人口が少ないからできるというのはやや慎重に考えていただかないと困るのは、人口が少ないからできるのであれば、これから人口減少していくと日本はハッピーな社会になっちゃうということになりますよね。それで終わるということではないわけで、スウェーデンの場合でもそれはそれなりの社会の仕組みが機能しているということですね。
 先生がおっしゃるとおりでありまして、今、日本は格差や貧困が多く出ているという理解をしている国民は、アンケート調査をすると大体半分以上出てきます。ところが、この格差や貧困は是正すべきかというと、もう半分以下になります。日本の社会で一番重要な点は、この分かち合うということの基礎になっている社会、経済じゃなくて、社会の方がぐずぐずになっているからだというふうに思います。
 お手元の、ちょっと私のレジュメに戻っていただいて、十四ページを見ていただければと思いますが、ファミレス社会から無縁社会へと書きました。このファミレス社会というのは樋口恵子先生の言葉なんですが、ファミリーのない社会、ファミリーの意識が希薄になっている社会ですね。
 これ、スウェーデンの中学校の教科書をそのまま(2)のところで引用してあります。見ていただければ分かりますが、私たちには、社会にはいろんな組織があるけれども、一番重要な組織は家族ですよ、なぜなら、家族の中ではありのままでいながら好かれているということが感じることができる、そのほかはありませんよと言っているわけですね。だからこそ重要なんだということを言っているわけですが、日本では、今調査をすると、家族と一緒にいることはストレスだとか、そういう割合がもう半分以上を超えているんですね。
 スウェーデン・モデルというのは、社会は、国家は家族のように組織化されなくちゃいけないと、それ説得できるわけですね。ところが、日本の場合には、ええっ、家族のようになるのという、あんなストレスがたまるようになったら、これは説得できなくなる。つまり、お互いに分かち合っていく社会をつくっていこうといったときの説得材料がおっしゃるとおり希薄になっているからだと思うんです。
 ただ、これはお説教して始まるのではなく、私たちが、意識的にですが、お互いに共同作業を、祭りでも何でもいいですけれど、共同作業をやることによって私たち人間は仲間じゃないかという意識を培養していくしかない。意識の培養は、同じことになりますが、共同作業をやっていくしかないんじゃないかというふうに思っています。
#75
○中西健治君 鈴木参考人にお伺いしたいと思います。
 社会保障についてのコスト意識を醸成して、価格を通じた資源配分の効率性、向上を考えると、こうおっしゃられたかと思います。これの意味するところなんですけれども、見える化という話もありましたけれども、現在の社会保障の給付の中で、金銭給付ではなくてサービスの給付というのが非効率であるということをおっしゃっていらっしゃるのか、そこら辺についてちょっと真意をお伺いしたいのと、効率化に関してどのようにやるかということについてもひとつお伺いできればと思います。
#76
○参考人(鈴木準君) 御質問ありがとうございます。
 先ほど大沢先生おっしゃったように、日本の医療、高額医療機器の人口当たりの台数というのは半端なく大きいもので、その稼働率が低くて非常にコストが高くなっていると思いますし、それから、やっぱりベッドと入院医療費というのは明確な相関があって、ベッドがあるところには医療費が掛かっているということは、これはかなり言われています。
 ただ、よく分からないわけですね。特に、それぞれの住民というのは自分の住んでいる自治体以外の状況というのはよく分からない。全国平均と比べてどうなのか、隣と比べてどうなのか。ですので、そこは、もう今データが相当出そろってきておりますので、やっぱりデータで見える化して分析して、しかもそれが専門家でないと分からないというのはまずいわけですね。もう普通の人が普通に見て分かる、そういう示し方をしていきながら、じゃ、どういうふうに変えていくべきかということをボトムアップ型でやっていく、それが信頼をつくっていくということだと思いますが、非効率はまさにあって、それをしかし見える化して示していけば、破綻は避けなければいけないということは共通した認識で持てると思いますので、そういう改革が必要ではないかということを申し上げました。
#77
○中西健治君 どうもありがとうございました。
 終わります。
#78
○会長(鴻池祥肇君) 以上で各派代表としての一巡目は終了いたしました。
 他に質疑の希望のある方は挙手願います。
 西田君。
#79
○西田昌司君 自民党の西田昌司です。どうも、先生方、ありがとうございました。
 それで、大沢先生と神野先生にお伺いします。
 お二人とも、要は負担率、日本の国民負担率がかなり低い、もう少し累進的負担をすべきだということだと思うんですが、私も全く賛成でして、この間、要するに無駄をなくすという話がさっき出まして、無駄の定義がないままに、ある種、減税路線ですよね、どちらかといいますと。その裏にありますのは、公的部門から民間部門にお金を移していった方がより効率的な社会ができて、結局それが経済成長をもたらして良くなるだろうと、そういう前提があったと思うんですね。
 ところが、現実には違ったということで、まずその点から、負担率を上げるにしても、消費税もあれば所得税もあれば法人税もあろうかと思う。それから、バランスとして社会保障費はもう少し減らすとか、全体の構成の仕方があろうかと思うんですけれども、その辺の辺りをお二人の先生方にお聞かせいただきたいと。
 それと、もう一つ大事なことは、この間、そのことの負担率の低さが財政赤字をもたらしましたね。これは結局何を意味しているかというと、その負担率が低かったから上げればよかったんだけれども、しかし、この間、このこと自体問題なんですが、結局、財政破綻はしていないわけですね。要するに、ハイパーインフレになってどうなるとかいうことにはならなくて、逆にマイナス金利になっちゃっていると。これは何かというと、要するに民間部門にお金を渡しても需要がないわけですね。海外へ行っちゃうか、若しくは使わないか。これが一番問題でして、だから、金融拡大によっても信用創造によって投資が増えないと。まさに、ある種、民間経済の行き詰まり、そのことを示していますよね。
 だから、むしろ逆に、公的部門にどれだけのお金を、税もそうだし、国債の発行だってそうなんですけれども、そのことによってもう少し格差をなくして、そして地域でしっかり住める仕組みをつくるべきだと思うんです。私は、それがやれなかったために、結局財政が赤字になっただけじゃなくて、もう片一方で東京一極集中がもたらした一番の原因だと思っているんですね。そして、その東京一極集中が、神野先生のお話にあったファミレス社会ですよね。
 つまり、地域に住んでいると定住期間が長いですから、そこで家族とか地域のつながりがあるんだけれども、家族を捨てて、家族というかふるさとを出て、東京で転勤ばかり繰り返す、そして子供も独立していく、このことの繰り返しでは、要するに無縁社会というか、もう個だけになって家族がなくなって、そして、そのために次の世代に対する投資に対して意識が希薄になって、ますます民間に任せていこうという発想になってくると。
 だから、かなりその辺の考え方から変えるべきだと思うんですが、先生方お二人の御意見をお聞かせください。
#80
○参考人(大沢真理君) 御指摘は一々ごもっともでうなずけることばかりですので、何をお答えしていいかというふうに思うんですけれども、財政赤字の原因は、歳出が多過ぎたのではなくて歳入が少な過ぎる。これは、しかも高度成長期あるいはバブル経済の後、破綻をして低成長、景気低迷したから減収したというよりも、意図的に高所得者、資産家及び法人企業に対して減税を繰り返してきた結果として今の財政赤字があるということから考えれば、スウェーデンになれと言っているわけではないんです、せめて一九九〇年の日本に戻ることはできませんかというのが一つですね。
 つまり、歳入というような意味、それから歳入の中の直間比率等、あるいは税率構造、それから課税ベースという意味でいっても、そういうものを累次の税制改正によって台なしにしてきた経緯というのがあるのではないかというふうに私は思っておりますので、その辺りを御考慮いただければというふうに思っております。
 東京一極集中なんですけれども、これは歴史的に見て幾つかのフェーズはあると思います。以前は、例えば東京都よりも神奈川県や埼玉県南部、千葉県西部といったいわゆるベッドタウンに人が流入してくるということがあったんですけど、九〇年代の半ば頃から全く東京都独り勝ちの状況です。もう名古屋も大阪も人が減るという時代に入ってきておりまして、こういう人の流れというのを何かの指標と相関すると、神野さんはどうおっしゃるかあれなんですけれども、やっぱり公共投資の対GDP比が落ちているときには東京一極集中的なことが広がるということは言えます。でも、私は、公共投資、公共事業をやれと言っているのではありません。
 というのは、九〇年ぐらいまでは比較的地域の雇用とそれから所得を支える効果が公共事業にはございました。その後どんどん乗数効果が低下をしていますので、今は公共事業で地域振興というのは非常に間違った政策手段であり、逆に乗数効果が上がっている投資というのは社会保障の現物給付、医療や介護です。それから公務員の賃金、地方公務員の賃金というのが大きいわけですね。ですので、広域合併をして地方の公務員を大きく減らしてしまった、それから学校なども子供がいないからといって閉鎖していくというようなことをすると地域がますます衰退するので、そういった面でのてこ入れを是非お願いしたいところです。
#81
○参考人(神野直彦君) 私も先生のおっしゃることは全く同じ意見ですのでコメントするところはありませんが、先生がポイントだとおっしゃっている需要のうち、やはり私の考え方では、次の産業構造をつくっていく新規投資、これが盛り上がってこないと未来はやっぱり切り開けないのではないかというふうに思っております。
 そういう新規投資、言わばアクロバットの演技をしてもらいたいわけですが、アクロバットの演技をやるときには安全のネットは当然強めておいて、冒険的なことをやって失敗しても大丈夫よ、ネットはちゃんと敷いてありますから、また元に戻してあげるぐらいにしておかないと、新しい投資は起こらないというふうに考えております。
 私の考え方は先生と多分同じことだと思いますが、市場というのはエンジンの役割は果たすんだけれども、ハンドルの役割は国民の共同意思決定に基づいて政府がある程度つくってあげないと、それはさっきも言いましたように、新しい産業構造を誘導するようなインフラストラクチャーとか安全のネットの張り替えとかというようなことで基盤をつくっておかないと駄目かなというふうに思います。
 産業構造はもう好むと好まざるとに変わっておりますので、先ほど大沢先生がおっしゃったことが全く的を射ているんですけれども、高度成長期の日本の移動というのは、これは大量に三大都市圏に移動しますよね。これは、一旦、工業化が鳴りを潜めたところで止まります。ただ、最近また増えているんですね。最近また増えている一極集中の原因は何かというと、もう工業の時代ではないので、工業の時代のときと規模が全く違うということと、それから、工業のときには労働市場を求めて移動していきますので、地域間の所得間格差は平等化したんですね。
 ところが、今は全く違います。地方から東京の方に動いている人というのは豊かな人です。端的に言ってしまえば、地方にある支店とか支社とかというのをみんな、もう経済はグローバル化しますから、東京に集めてそこに移動、移転する。さらに、外資はもう一〇〇パー東京に行っていますから移転してしまう。それから、研究機関とかなんとかも、新しい産業を支えるものがどんどんどんどん東京の方に集まってきてしまっているので。
 あともう一つ重要なのは、地方に本社のある企業でも、東京の支社機能を強めて本社機能を弱めちゃうんですよね。大阪見てください、もう流出する方ですから。というか、大阪の人いませんよね。人口はどんどん流出していきます。
 つまり、今一極集中になっているのは産業構造の大きな変化で、一時期のように貧しい人が労働市場を求めてくるというような移動の仕方ではないということですね。規模は小さいし、豊かな人が動いていて、所得間格差も逆に広がっちゃうという認識をしていただくということが重要かなと思います。
#82
○西田昌司君 時間がないので、うなずいていただいたらいいと思うんですけれども。
 ですから、それ止めようと思うと、東京の要するに容積率、容積率制限を国の方が管理して、これ以上建てられませんと。これ自由にやったから、その分でインフラのそろっている東京でどんどん建っちゃって、吸収しちゃうんですね。だから、それ制限すべきだと思うんですが、お二人とも、イエスですよね。──ありがとうございました。
#83
○会長(鴻池祥肇君) いいですか。
#84
○西田昌司君 時間がないので。
#85
○会長(鴻池祥肇君) 藤本君。
#86
○藤本祐司君 民主党の藤本でございます。
 今日は先生方、本当にお忙しいところありがとうございました。西田先生の話を聞いていて、意外と私も意見が近いものだなというのを驚きまして、ありがとうございました。
 それで、幾つかお聞きしたいんですが、もう本当にたくさんあるんですが、時間がありませんので絞りますが、税の負担というところで幾つかヒントをいただいていたかというふうに思います。
 政治家の大きな役割の一つは、いかに国民の皆さんに納得してもらって税金を調整するか、上げたり下げたりするのかということなんだろうというふうに思ってはおるんですが、先ほどからお話がありましたとおり、消費税に関して言うと、将来的には二五%ぐらいやらないともたなくなるというようなお話が鈴木参考人からもございました。
 じゃ、その二五%にする手だてはどうするのかというところが非常に大きな問題でございまして、神野参考人が先ほどスウェーデンの話もされましたが、スウェーデンも今二五%といっても、いきなり五%が二五%になったわけではなくて、段階的に、多分私の記憶が正しければ九回ぐらい税率変更をして二五%になって、やっぱり二十年ぐらい掛けてやったんでしょうかね。一%上げたり二%上げたり、一回下げたときもあったように記憶をしているんですが、そういう形で上げていって今の姿になっているんだろうというふうに認識をしています。
 そのときに、税金を負担、負担するという言い方はおかしいな、政府側からすれば、多分、税金を預かって、それをサービスに変えていくという、いわゆる、先ほど先生、レンタルというお話もありましたが、税金もこれは我々が預かってサービスに変えていくということなんだろうと思いますが、その効果がどのぐらいかが見えることが大変重要であると。それがまさに納得性というところにつながってくるんだろうというふうに思うんですね。
 八回から九回上げていく、そのときに、その都度その都度、二%上がったからこれだけのことができた、やってもらえたんだという納得性を要するに見せるというんですかね、そのためには具体的にどういうことで見せていったのか、分かっていったのか、国民が理解していったのかなという、ちょっとその辺の具体的な話が分かれば教えていただきたいということが神野参考人に一点です。
 もう一点は、大沢参考人の方から、いわゆる恵まれた人がきちっと税金を負担をしていることが大切であるというようなお話がありましたが、逆を言えば、今は負担をすべき人というか恵まれている人がそれほどの負担をしていないという意味での累進税率といいますか、傾斜をもっと急にしようという、そういうことなんだろうと思うんですが、これはどうやったら見せることができるのか、分かってもらうことができるのかなというところが非常に日本においては難しいかなというところがあるんですね。
 ただ、傾斜、いわゆる税負担率が三〇が六〇になって、六〇が七〇になったからといって、みんなすぐに国民が理解するかというと、なかなか分からないところがあります。今、我々も消費税増税という話をしたときに必ず身を切る改革ということを言い始めますが、じゃ、身を切る改革をして、大した金額じゃないわけですよ、これ。それが本当に皆さんに納得性をもたらすかというと、議員年金がなくなってもまだ年金があると思っている人が大半だということを考えると、それほど納得性に結び付くようなところでもなさそうな気もするわけですね。
 これを、累進税率を傾斜を急にすることが国民の皆さんにどうやったら納得してもらえるのか。多分教育の問題で、日本人はお金のことを言っちゃいけませんと子供に教えてきてずっと育ってきた国なので、なかなか税金の話をするということも、教育の、学校の中では難しかったと。そういうところもあったりするので、そこのところ、何かヒントになることがあれば教えていただきたいということと、もう一点。
 三問目。これも大沢参考人に関係することだと思いますが、実質賃金が下がっているということの中で、これ、一つにはやっぱり産業構造が大きく変わっていって、サービス業に就く人たちが非常に増えていったけれども、例えば介護サービス従事者なんかの給与が少ないとか、あるいはサービス業で最近観光政策、観光振興と言われていますが、宿泊とかレストランというのは波があったりするので、どうしても非正規の割合が高くなるという、そういう傾向があって、どうしてもそこのところで全体で実質賃金がぐっと下がってしまうという、そういう状況があるわけで、産業構造の変化に付いていっていないというところもあるのではないかなというふうに思いますので、ちょっとその辺りについての御意見をいただければと思います。
 以上です。
#87
○参考人(神野直彦君) 租税負担率が高いといって、租税抵抗というお言葉を使いますが、ドイツ財政学では租税抵抗といいますが、租税抵抗の高い国は税負担率の低い国です。アメリカでも日本でも同じことですが、世界的に見ると、税負担率の低い国が税金が高過ぎると国民が言っているんですね。
 それに対して、今、税負担だけでいうと、いわゆる保険料のないデンマーク一番高いんですが、デンマークとかスウェーデン、フィンランドでもいいですけれども、スカンジナビア諸国でそれほど大きな租税抵抗はありません。ないわけじゃないんですが、若干ですね。ありません。
 これは何を意味しているかというと、租税負担の低い国というのは、社会保障で国民を分断させちゃうんですよ。つまり、税負担を払っている国民と公共サービスの利益を受けている国民が違っちゃう、つまり分断してしまっている。このことが一番決定的でして、簡単に言ってしまえば、ちょっとこれは語弊があるので言いづらいんですが、中間所得層の生活を公共サービスが支えている国、これが税負担率高いんですね。教育はただですよ、育児もただですよ、お年寄りの養老も全部ただでやりましょうというような国の税負担率は高くなります。
 それに対して、これはもう市場でやってくださいと言ってしまって公共サービスの低い国、これは分断されるんですね。しかも、所得制限付けますから。払っている国民には何も戻ってこなくて、誰かがいい目をしているんじゃないかと疑心暗鬼になりというようなことをやりますので、プロポジションサーティーンというか、カリフォルニア州の納税者の反乱といっても、中間所得層が反乱するんですね。税金は負担させているのにサービスが何も戻ってこないじゃないか。
 なので、スウェーデンや何かで税率の引上げ成功してくるのは、さっきも申し上げましたけど、具体的に保育のサービス出しますよという、サービスをどんどん充実させていくのとセットで出しているということです。
 特に、日本とヨーロッパと税負担率の違いを決定付けているのは、住宅と教育に対する考え方が違うので、イギリスを除けば、教育についてはどこの国でも無償でやっていると言っても言い過ぎではありません。住宅も、これは公共財だという考え方が基本にあるヨーロッパ諸国では、家計簿を見ると僅かなんですね、出てきても。住宅はごく僅か、教育は出てこないという家計簿の国と、日本の家計簿を見ると二大支出項目になっているんですね、教育と住宅が。それで、税負担上げますよというと、これは抵抗はやっぱり出てくるということではないかというふうに思いますので、そもそも貧しい人々だけを限定、これは再分配のパラドックスといいますが、貧しい人々だけに限定をして現金給付をやればやるほどその国の格差と貧困は拡大するんですね。
 そうじゃなくて、ユニバーサルに、全ての所得制限なしでやりますよというサービスの提供の仕方をやっていくと、事実上、中間所得層の生活を公共サービスが支えるんですよ。したがって、どういう出し方をするかによって税負担率は決まってくる。
 だから、先ほど来お願いしているのは、国民に有り難みを今回実感させてくださいと。そうしないと、一部の人だけがいい目をしているんじゃないかというのでは税負担上がりませんということを申し上げているということでございます。
#88
○参考人(大沢真理君) 今の神野さんのお答えでかなりカバーをされていると思います。
 恵まれた人が相応の負担をするという改革をしたとしても、それがどういうふうに国民に見えるのか、見せていくのかということですけれども、マイナンバー制度というのはやっぱり個々人の政府との間の受け払いというのを見える化する強力な手段になるわけですので、そういった当初の意図というのを十分生かしてやっていただきたいというふうに思います。
 二番目に、実質賃金の低下、これはサービス経済化ということ及びサービス部門の生産性の低さということと関連しているのではないかという御指摘で、そのことを十分に展開した本なども昨年、一昨年出ておりますので、全くそのとおりだと思います。
 しかしながら、労働時間当たりの雇用者報酬というのをデータの中で見ていただきました。下がっている国は日本だけです。どの国もサービス経済化しておりますし、サービス部門は製造業部門に比べればやはり生産性は低いですけれども、九五年から下がった国は日本だけ。しかも、ほかの国に比べれば、日本はまだまだ物づくりの比重が高く、サービス経済化に立ち遅れていると言われているほどの国ですので、これはサービス経済化等だけでは説明できないことかなというふうに思います。
 他方で、日本でサービスしますというと、ただにするか、要するに価格をまけるかということを意味するように、国民の意識としてサービスというのはただであるというような意識がかなりあるのかなというふうに思います。そのことが介護報酬の低さ等と連動していると思うので、そういった意識改革も同時に必要かと思います。
 以上でございます。
#89
○会長(鴻池祥肇君) 他に御発言ありますか。
 川田君。
#90
○川田龍平君 ありがとうございます。
 私は二回目の質問になるんですけれども、是非、先ほどちょっと聞けなかった税金のどこから取るべきなのかというところで、日本でやっぱりまだ国際連帯税というものが入っていなくて、航空税ですとか、それからずっと議論にはなっているのは金融、金融取引税ですとか、なかなかそれは大変反対が強くてできないところもあるんですけれども、本当に、あと法人の配当とか、税金を取るべきところから取っていないんじゃないかと。あと、実際に税率としては設定されても実質取られていないところ、最高益を得ていながらも税金を払っていないとか、戻し税でもって利益を得ていると、得ているわけではないですけれども、結局払わなくてもよくなっているというようなこの今の税を、神野参考人、大変税制ずっとやってきた立場からどのように考えているか。
#91
○参考人(神野直彦君) おっしゃるとおりで、先ほど来、私は実質的な累進性だと申し上げておきましたが、日本の所得税というのは累進的に事実上なっておりません。事実上、お金持ちになると減っちゃうんですね。それは、所得構成が全く勤労所得だけではなくなりますので、負担率は減っていくということになってしまっておりますから、所得税は本来の累進性を確保するようにする。これは、税率を上げるというよりも、むしろベースを広げるということだろうと思っております。
 それで、先ほども言いましたけど、どこまで負担させるのかとかという量的な問題は、国民というよりも国会が、国民の共同意思決定機関である国会が決めることなんですけれども、そのときも国会は、我々、ちょっと私、税制調査会に入って、税制調査会というのは歳出と比べて議論できないんですよ、こういう発言は不穏当かもしれませんが。なので、どういう国民の生活を支えるサービスと、税負担をどこまでするのかということについては、事実上国会で議論していただいて、国民にオープンな形で議論してもらって決めていく、国民も納得をすると。つまり、こういうサービスが出てくるんだったら応じますということを納得してもらわないと、これはなかなか税を引き上げるといっても難しいかなというふうに思っています。
 それから、国際連帯税とか、これはいろんな課税目的で、ボラティリティー抑制で進めるとか、いろんな目的で提唱されているのですが、かなり今のところ目的税的で、日本の税収入を支える基幹的な税金としては無理ではないかというふうに思っています。
 ただ、世界の国々がなぜこういう問題に関心を集中させているかというと、貨幣というか金融が国境を越えて動き回ってしまっているので、そのために逆に法人税とか何かを低くせざるを得なくなっているので、どうにかこれを解消というか乗り越える、克服することができないかということで、おっしゃる議論は高まっているということは間違いありませんけれども、税収とか公共サービスを提供する財源としてはどこまで活用できるかというのは疑問かなというふうに思います。
#92
○川田龍平君 スイスで国民投票になっていますベーシックインカム、やっぱり国民にしっかり給付するというところのそういった議論について、日本もベーシックインカムを導入すべきではないかという話もありますが、それについて御意見のある参考人おられましたら、是非お願いします。
#93
○参考人(神野直彦君) 私は、繰り返すようですけれども、現金給付というのには限界があるということですね。
 何が問題かというと、まずベーシックインカムとか給付付き税額控除というのは、ほかの様々な社会保障を縮小していってまとめようというのとセットになっている場合が多いんです。私は、貧困とか生活の困窮というのは所得だけでは生じていない、つまり様々な複雑な事情で落ち込んでいっているんですよ。心の病を負ってしまったとか障害を負ってしまったとか様々なことで落ちていっているので、単純にベーシックインカムのように社会配当金で配れば問題は解決するということではなく、なるべくどこかで引っかかるように、障害者には障害者用のサービス様々なところで張っておいて、最後にどうしてもおっこちた人を生活保護で支えていくということが重要で、ベーシックインカムにするからこちらのいろんな公共サービスは整理していきましょうということであるとすれば、お金だけでは貧困は解決できませんよ。
 それから、もう一つ重要なのは、現金給付というのはミミッキングという不正が働くんです。所得のないふりをする。これが、生活保護や何かも、実際に日本では権利があるにもかかわらず執行されていない重要な原因になっているわけですね。
 お金のないふりをするというのは、お金で配るからです。もしも、先ほど言いましたように、高齢者福祉サービスを大きくして、サービス給付には不正、ミミッキングは働きません。いいですね。幼児のふりをして保育園に入ったりしたり、お年寄りのふりして老人ホームへ、何が楽しいのかということですよね。年寄りが生きているんですけれどもと、じゃ、連れていらっしゃい、私のところでちゃんとサービス給付してあげますからといえば大丈夫なんですけど、日本のように戸籍と住民票が発達しているところでは生きているふりもできるわけですよね。お金で生きているふりをしましたといって、現金給付をもらっていたということがありますので。
 不正が働くと、もっと不正を厳しく監視しろというバッシングが働くんですね。これは悪循環になってきます。先ほど言いました再分配のパラドックスの一つの要因ですので、私は、できるだけ現金給付、例えば生活保護の中に入っているものは現物給付に変えていく、住宅だったらユニバーサルに変えていくというようなことをしながら現金給付でやる額を少なくしていくということの方が進むべき道じゃないかというふうに考えています。
#94
○川田龍平君 ありがとうございます。
 最後に、先ほどちょっとトイレに立ったときに、身を切る改革のことを何か言っている方がいたんですけれども、僕も身を切る改革が結局は党を分裂させることにしかなっていないと思っていますが、本当にそういう意味では、是非やっぱりしっかりと情報公開をして、民主主義を活性化させていくということはすごく重要なことで、その中で無駄をしっかり省いていくということが大変重要だと思っています。
 情報公開とか、今本当にこの日本という国がやっぱり非常にだんだんとそうではない社会になってきているのではないかというおそれとか、それから先ほども、本当に今現実をしっかり見て政策をつくっていかなきゃいけないところにあって、予算委員会の議論などを私も見ていても、本当に貧困についての認識を、貧困だと思っているのか思っていないのかということについての答弁が変わってきたりとか、なかなか現実、やっぱり日本は貧困大国なのかどうかということを聞かれてちゃんと答えが出てこなかったりするんですけれども、日本は貧困大国なのかどうかということについて、参考人三人にちょっとそれぞれお答えいただければと思います。
#95
○参考人(大沢真理君) 国際比較が可能な統計で見る限り、貧困大国であることは間違いないというふうに思います。
 生活保護基準が高過ぎるのかということに関しては、確かに、生活保護基準を平均賃金との比較で指標化してみますと日本の生活保護基準は低い方ではなく、OECD諸国の中でも上から数えて高い方になります。しかし、その主たる原因は、ありとあらゆる現金給付が生活保護の中に全部入っている、だから医療扶助だとか住宅扶助だとかというのが入っていることが大きな原因です。
 これを医療は医療でもう少しユニバーサル化するというか無保険者をなくすような措置をとる、あるいは住宅については現物の保障やあるいは現金での住宅給付のようなもので切り離していけば、本体の生活保護基準、生活扶助基準ですね、そこのところはさほど高いわけではないので、そのことも考えて、この基準に照らして一六・一%の貧困率というのは非常に高いと言えますし、にもかかわらず生活保護の受給率というのは二%を超えたらニュースになるという社会ですから、そこには大きなギャップがあるというふうに思います。
#96
○参考人(神野直彦君) 形式上からいえば、相対的貧困率は、OECD加盟国で見ても日本とかアメリカは相対的貧困率は高い状態になっていますので、それはそうですね。
 相対的貧困率よりも絶対的な貧困率を重視すべきだという御議論もあるかと思いますが、社会政策、社会、何て言ったらいいのかな、疫学的見地などからいうと、社会のやっぱりいろんな様々な不幸は相対的貧困率の方が意味があるというのが普通ですので、日本も、そういう意味で相対的貧困率というものを、相対的貧困を下げる政策なんというものはなかなか難しいので、結果としてそういうふうになるように私は様々なネットを張った社会保障を充実させていくということが重要かなと思います。
#97
○参考人(鈴木準君) 貧困大国かどうかということですが、一点、バックグラウンドとしてとても重要なのは、日本って長期デフレで経済がまともでなかった状況で、今あるデータというのはその長期デフレプラスアルファぐらいしかないわけですね。これが今後も続くんだということであればこれまでのデータが示しているとおりだと思いますが、私は、バランスシート不況が終わったとか内外価格差これだけ縮んだとか、あるいは労働力人口減っていくということを考えると、大分世界は変わっていくのではないかと思っています。ですから、税制の設計を含めて、今までのデータで語れないという注意がまず必要だということが一つ。
 それからもう一点、貧困というのは、やっぱり経済的な面だけというよりは、母子家庭でいえば女性の働き方ですとか、あるいは広く一般に男性中心型の労働慣行だとか、それから女性に対する暴力だとか、そういう非常に根深い問題だと思いますので、そういうことを考えてやっぱり貧困の問題を議論する必要があって、今日私申し上げたのは、高齢者、特に男性なんかはかなり平等化が進んでいて、しかし若者あるいは働き盛りの層では貧困が拡大しているということは事実だというふうに思いますので、そこに手当てをしていく必要があるというふうに思います。
#98
○川田龍平君 ありがとうございました。
#99
○会長(鴻池祥肇君) それでは、予定をいたしておりました時刻が間もなく参りますので、参考人に対する質疑はこの程度とさせていただきたいと思います。
 一言御礼を申し上げます。
 お三方の先生方には、御多用でございますのに長時間貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。我々の調査の参考とさせていただきたいと思います。ますますの御活躍を祈念申し上げまして、御礼の御挨拶といたします。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後三時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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