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2016/02/17 第190回国会 参議院 参議院会議録情報 第190回国会 国の統治機構に関する調査会 第2号
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2016/02/17 第190回国会 参議院

参議院会議録情報 第190回国会 国の統治機構に関する調査会 第2号

#1
第190回国会 国の統治機構に関する調査会 第2号
平成二十八年二月十七日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月十日
    辞任         補欠選任
     三木  亨君     堀井  巌君
     森本 真治君     石橋 通宏君
 二月十二日
    辞任         補欠選任
     矢倉 克夫君     秋野 公造君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         山崎  力君
    理 事
                猪口 邦子君
                島村  大君
                渡邉 美樹君
                野田 国義君
                新妻 秀規君
                倉林 明子君
    委 員
                井原  巧君
                衛藤 晟一君
                古賀友一郎君
                酒井 庸行君
                高橋 克法君
                武見 敬三君
                柘植 芳文君
                堀井  巌君
                石橋 通宏君
                田城  郁君
                津田弥太郎君
                水野 賢一君
                安井美沙子君
                秋野 公造君
                柴田  巧君
                儀間 光男君
                山本 太郎君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        宮崎 清隆君
   参考人
       筑波大学大学院
       人文社会科学研
       究科教授     岩崎美紀子君
       早稲田大学政治
       経済学術院教授  日野 愛郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国の統治機構等に関する調査
 (「時代の変化に対応した国の統治機構の在り
 方」のうち、二院制議会における今日の参議院
 の役割(二院制議会における両院の在り方))
    ─────────────
#2
○会長(山崎力君) ただいまから国の統治機構に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、三木亨君及び森本真治君が委員を辞任され、その補欠として堀井巌君及び石橋通宏君が選任されました。
 また、去る十二日、矢倉克夫君が委員を辞任され、その補欠として秋野公造君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(山崎力君) 国の統治機構等に関する調査を議題といたします。
 「時代の変化に対応した国の統治機構の在り方」のうち、「二院制議会における今日の参議院の役割」について調査を行うに当たって、本日は「二院制議会における両院の在り方」について参考人から意見を聴取いたします。
 御出席いただいております参考人は、筑波大学大学院人文社会科学研究科教授岩崎美紀子君及び早稲田大学政治経済学術院教授日野愛郎君でございます。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でございますが、まず岩崎参考人、日野参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、岩崎参考人からお願いいたします。岩崎参考人。
#4
○参考人(岩崎美紀子君) 本日はこのような機会をいただき、ありがとうございます。
 二院制議会における両院の在り方について、比較政治学の立場から、二院制議会の起源、諸国の二院制議会の比較、その中で見えてくる我が国の二院制議会の特徴について述べたいと思います。
 議会は社会の代表機関であり、立法機関として民主主義体制の根幹を成す統治機構です。現在、世界のほとんどの国には議会があり、そのメンバーを選ぶための選挙が行われています。しかし、議会は初めから現在のような形であったわけではなく、歴史を振り返れば、議会の成立や変化には国により違いがあることが分かります。議会の在り方や議会の構造は体制の変化と連動して変わることも、時間軸を長く取れば明らかになります。
 例えば、スペインはカディス憲法以降数多くの憲法を制定していますが、自由主義勢力が主導する体制では議会は一院制となり、保守勢力が優位であれば二院制となります。
 フランスは一七八九年に全国三部会が百七十五年ぶりに召集されましたが、第三身分を中心に国民の概念をベースとした議会に転換しました。王により召集され立法権も持たない身分別三院制とも言える三部会が、一院制の国民議会に変貌し、この議会が人権憲章を採択、封建的特権の廃止などアンシャンレジームを否定する議決を次々に行います。一七九一年憲法で正式に発足したフランス初の議会は一院制でしたが、一七九五年憲法で二院制になりました。ナポレオン帝政期は人民投票が重視され議会は骨抜きになりましたが、復古王政では議会が復活、二院制でした。フランスは革命からの百年間、王政、共和制、帝政のサイクルを二回繰り返しました。体制変動ごとに憲法が制定、議会の在り方も変化しました。議会の在り方や議会の構造はこのように体制の変化と連動して変わります。
 では、二院制議会は、歴史的に見ればどこにそのルーツを求めることができるのでしょうか。現在まで存続している議会であるという点から、二つのケースを挙げることができます。
 まず、イングランドです。
 議会の起源としては、十三世紀末、エドワード一世が戦費調達の協力を求めるため王国を構成する主要階層から代表を召集したことに求めることができます。議会のルーツは、社会の代表が参集する場であり王の求める財政負担を認める場でもありました。
 議会が確かな機関として定着していくのはエドワード三世の治世で、百年戦争が絡んでいます。フランスへ外征する兵士や資金の調達のために、貴族だけではなく各地域の代表を招喚、それが頻繁に行われました。彼らは貴族とは別の部屋で会合しており、それが庶民院の形成に結び付き、十四世紀後半には貴族院と庶民院の二院制議会が成立しました。貴族とそれ以外という身分制の二院制というより、庶民院は地域の代表という明確な代表原理でした。
 各地域の有力者が庶民院議員としてイングランド全体の議会に集まるのですから、中央、地方関係の要の役割も果たしていました。行政権は王の専管ですが、立法権は王と議会で共有、法案は、議会の二つの議院における審議と可決の後、王の裁可を得て法として成立、公布されるという現在の立法手続の基礎が十五世紀には成立しました。
 イングランドは、清教徒革命により一六四九年から一六六〇年の十一年間共和国となります。王なき政体で、庶民院が最高機関となりました。しかし、護国卿体制に取って代わられました。一六六〇年の王政復古とともに貴族院も復活、以後、王と二院制議会が英国の統治機構の中枢機関となっています。
 アメリカは、議会の起源としては、印紙法への反対を契機とした植民地代表者会議を挙げることができます。
 植民地共通の課題への対応を話し合うために各植民地の代表が参集する場が大陸会議になり、一七七六年七月独立宣言を採択しました。
 独立戦争を経て、一七八三年に独立が承認されたときのアメリカは、各邦が主権を持つ国家連合でした。共通機関として邦の代表で構成される連合会議がありましたが、独立という共通の目標を達成し終わった後は連合会議は共通機関としての求心力を失いました。十三の邦を一つの国として全体を統括するような政府をつくらなければ外交も通商もままならない。一七八七年にフィラデルフィア会議で開かれた会議では、緩やかな連合で邦の主権を維持するか、より堅固な結合を実現させるため一つの国家政府をつくるかという二つの相反する主張をすり合わせていきました。
 当時の政治体制の選択肢としては、国としては権力が王の下に一元化されている専制的単一制かスイスのような小国家連合しかありませんでした。憲法会議の議論の底流にあったのは、全体機関の権力の強化は独立を懸けて戦った英国のような専制の再現とはならないことを明示することでした。専制ではなく共和制を、連合ではなく連邦を、この二つの組合せをいかに制度として設計するかについて議論が展開し、憲法がつくり上げたのは連邦共和国でした。
 連合から連邦に移行することで、各邦の住民は連邦国家の国民となります。連邦共和国の議会が二院制とされたのは、邦を代表する議員と人民を代表する議員という代表制の異なる議院が必要とされたからです。国民代表の会議は人口比例の代表原則を取るため、人口の多い州では選出される議員の数も多くなります。州を代表する上院も、州の人口の多寡を反映すれば、人口の少ない州は連邦議会への代表度が相乗的に低くなります。
 州を代表する議員として上院議員の数は各州同数とすることで決着しました。上院議員は州議会が選ぶとされ、連合時代の連合会議との類似性があります。新規であったのは連邦国家となることで創出されるアメリカ合衆国民の議院としての下院でした。
 このように、イングランドは漸進的に議会が二院制となり、アメリカは第二段階の建国となった連邦憲法により議会二院制を設計しました。二院制議会が成立した背景にはこのような違いがありますが、両国には共通している点が二つあります。一つは、上院が元々の議会の系譜を引いており、下院に相当する議院がつくられたことで二院制となったこと。いま一つは、二つの議院の代表原則の違いです。
 二院制議会では、下院は必ず国民の直接選挙による選出という共通性がありますが、上院については各国様々です。二院制が意味を持つかどうかは上院の在り方によるところが大きいと言えます。
 議会二院制を取る諸国の上院を比較してみたいと思います。議院の規模、定数、議員任期などについてはお手元の資料にございますので、ここでは上院議員の選出方法に着目します。
 主要国の中で上院議員を直接選挙で選出しているのは、アメリカ、イタリア、日本、オーストラリアです。下院は直接選挙なので、選出方法が上下両院で同じになります。そのような中で、上院は下院とどのような違いがあるのでしょうか。
 アメリカの上院議員は、当初は州議会による選出でしたが、一九一三年に憲法修正第十七条により直接選挙になりました。選出方法は下院と同じ直接選挙ですが、建国当初から上院には下院にはない役割を持たせることを憲法で明記しており、上院と下院の違いは明白です。
 イタリアは、第二次世界大戦敗戦後の国民投票により君主制を廃止して共和制へ移行、一九四八年の共和国憲法で上院議員は直接選挙による選出となりました。それまでは王が任命する議員により構成されていました。
 イタリアの二院制議会は、合わせ鏡のように二つの議院は似ています。二院制の存在理由の一つに、どちらか一つの議院が機能することで議会という機関の継続性が確保できるというのがあり、上院にその機能が託されています。上院の方が下院よりも議員任期が長く、輪番的改選制を取ることが多いのも議会としての安定に寄与しています。
 しかし、イタリアの議会はそのようになっていません。任期は共に五年で、上院も下院も解散があります。下院と同様に上院にも不信任権があり、それがイタリア政治の不安定の一因になっています。最近、上院の改革が本格化されました。直接選挙をやめて、地方議員や大都市の市長などで構成される地域代表の議院とし、議員数も三百十五名から百名に縮減するという案です。上院改革には憲法改正が必要ですが、改正案は上下両院で可決されましたので、あとは国民投票で承認されれば、この新たな上院が実現します。
 直接選挙ではありませんが、上院議員となる者は選挙を経ているという観点からは、フランス上院のように地方政治家を選挙人団とする間接選挙のほか、ドイツのように、州議会選挙で勝利し、州の政権を掌握した州政府関係者がメンバーとなる上院もあります。
 上院議員が選挙とは無縁なのが英国とカナダです。
 英国貴族院は選挙で選出される庶民院に対してその権限が弱められましたが、カナダの上院は下院通過法案に対しての拒否権を持ち続けています。カナダとオーストラリアは、共に英国の政治原理である立憲君主制、議院内閣制を踏襲しながら連邦国家を成立させるという共通点を持ちながら、上院については、カナダは任命制の上院、オーストラリアは直接選挙による上院と対照的な設計をしています。国家建設に当たって、それまでの歴史や政治文化の違いが上院の在り方に映し出されたことが分かります。
 二院制を法が成立するためには二つの議院の可決が必要な議会と定義すると、上院の可決がなくとも下院再可決で法が成立する下院再議決制度があること自体、上院の立法権限の制約、下院の優越が組み込まれていることになります。イタリア、カナダ、オーストラリアにはこの制度はなく、上院の可決を得られなければ法は成立しません。ドイツは、連邦参議院の可決がなければ法が成立しない同意法案と、下院の再議決により法が成立する一般法案の二つのカテゴリーがあります。議院内閣制諸国の上院を比較すると、強い方から順にイタリア、カナダ、オーストラリア、ドイツ、日本、イギリス、スペインと並べることができます。
 議会は一院でも議会なのですから、二院制議会を選択するのは、第一院とは異なる第二院のイメージがあるからです。イメージは役割と言い換えることができます。役割というのは責任であり、責務でもあります。上院がその役割を果たすことができるようなメンバーを選ぶ、このロジックが明確なのがカナダです。
 カナダは、建国時、二院制議会の設計において二つの議院の補完関係を基本としました。下院は選挙によるので、上院も選挙とすれば二つの議院は競合することになります。上院は冷静な第二の考えを持つ議院として下院を補完する。冷静な第二の考えとは熟慮です。政党の影響下にある下院とは距離を置き、中長期的視野で立法化が必要な案件を調査、審議したり、下院通過法案を国家的、国民的、大局的な観点から再検討する熟慮が上院の役割です。この役割を果たすには、メンバーの識見や専門性、中立性、独立性が不可欠です。このような上院メンバーを得るために、任期を定めない任命制としました。議院の役割がメンバーの選出方法を決めたと言えます。
 カナダの上院は、一八六七年に誕生して以来、連邦を構成する州の増加に応じて議員定数が増えたこと、議員終身制が七十五歳定年制となったこと以外変わっていません。このような上院を非民主的として、前保守党政権は、上院議員の任期の設定、州民による選挙の実施などを柱とする上院改革を掲げました。しかし、上院の役割についてはビジョンがありませんでした。二院制議会第二院の存在意義を第一院との補完関係から規定する第二院の役割に求めるのか、議員の選出方法と任期だけで判断するのか。カナダ社会は、任命制、七十五歳定年制の議員で組織される上院は時代遅れとの認識はあります。しかし、だからといって州民による選挙で上院議員を選ぶべきと思っているわけでもありません。上院が政府・与党の過熱法案を冷静に審議するという役割を果たすことが重要なのです。
 カナダの事例が示唆するのは、上院の役割がメンバーの選び方を規定するのであり、選び方の変更は役割に重大な影響を与えるということです。参議院が良識の府としての役割を持つのであれば、中立性、独立性が必要です。政権をめぐる権力闘争の主戦場である衆議院の党派政治からは距離を置ける、そのようなメンバーで構成されなければこの役割を果たすことは難しいと考えます。
 諸国の二院制議会との比較から、我が国の二院制議会の特徴が見えてきます。
 日本は、戦後憲法により参議院が創設、直接選挙により議員が選出される上院となりました。日本の問題は、上院と下院の違いが見えにくいことです。憲法第四十二条は「国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。」としていますが、第四十三条では「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」と規定しています。二院制議会諸国の中で、二つの議院の代表原則も選出方法も同じであることを憲法で明記しているのは日本だけです。同じであるなら一院制でもいいではないかと思われるのは無理はありません。
 二つの議院を憲法条項で探すならば、議員任期です。第四十五条で衆議院の議員の任期、第四十六条で参議院議員の任期とそれぞれ条項を立てていますが、憲法第四章の国会に関する多くの条項は、その主語が「両議院は、」となっています。これは、戦後、連合国最高司令部から示された憲法草案では議会は一院制であり、日本側が二院制に押し戻したという経緯を示唆するものでもあります。
 一九四六年三月六日に公表された日本政府の憲法改正案では、両議院は国民により選挙され全国民を代表する議員をもってこれを組織するとなっておりますので、ほぼそのまま憲法規定になったことが分かります。憲法改正案は六月二十五日に帝国議会に上程され、衆議院での修正、貴族院での修正を経て十月七日に議会審議を終えましたが、この条項については変わっていません。
 憲法でこのように決められた以上、二つの議院の違いをどのように出すのか。憲法は、両議院の議員定数、両議院の議員選挙人の資格、両議院の議員の選挙に関する事項については法律に委任しているので、二院制の議会の設計は立法に託されたことになります。
 衆議院は、戦前戦後継続している議院ですので、廃止される貴族院に代わる上院としての参議院の設計が焦点になります。憲法が公布された後施行されるまでの間に、選挙で選出されることになった上院の具体的内容を決め、実際に選挙を行い、議員を選出しなければなりません。参議院議員選挙法案を審議した帝国議会の議事録から分かるのは、参議院を衆議院とは異なるものとするためにされたのは、被選挙人の年齢と選挙の構成でした。選挙の構成とは、都道府県の区域を選挙区とする選挙と、全国を一つの選挙区とする選挙の二本立てとすることです。衆議院との違いを出すため選挙法で設定した二種類の選挙区で、都道府県選挙区選出議員には地域代表、全国区選出議員には職能代表の性格を持たせました。政党から距離を置く議員で構成されることが衆議院との違いであるとの認識もありました。
 二院制議会諸国では、下院は国民代表原則であることは共通していますが、上院はそれぞれです。普通選挙制度が定着した中では、国民代表原則の下院は代議士が代表する国民の数が同じであることが基本となり、一票の較差が問題となります。現実には地理的理由や歴史的経緯などで全く同じとなるわけではありませんが、この基本は尊重されています。しかし、上院については一票の較差の問題は生じません。
 例えばアメリカは、下院については代表の公正さに対しては厳格に対応しますが、上院は各州二名で人口の多寡に左右されないことが基本です。しかし、日本では両議院とも一票の較差訴訟の対象になっています。しかも、最初の訴訟は参議院議員選挙に対してでした。一票の較差訴訟とは、憲法第十四条の観点から投票価値の較差を問題とする選挙無効訴訟です。憲法は選挙については法律に委任しているので裁判所は立法府の裁量を認めていますが、国会が較差是正に真剣に取り組まなければ違憲判決が出る確率は高くなると思います。
 参議院については、較差が五倍程度であれば合憲と判断されてきました。参議院には地域代表的性格があるということからでした。しかし、二〇一二年以降、最高裁の姿勢は厳しくなり、違憲状態の判決が続いています。地域代表的性格の根拠は、参議院議員選挙法案の政府説明にしかありません。投票価値の平等をめぐる訴訟が憲法にその根拠を持つ以上、立法趣旨に依拠することはもうできなくなりました。
 国会は国権の最高機関で唯一の立法機関です。その国会を構成するのが違憲状態で選出された議員では、法治国家の根幹が揺らぐことになります。
 二院制議会における参議院の在り方を根本から考えるのであれば、一票の較差訴訟に翻弄されない落ち着きがまず必要です。衆議院は一票の較差問題から逃れることはできませんが、参議院は、諸国の上院がそうであるように、国民代表原則とは異なる代表原則であればこの問題の外に位置することができます。
 最初に申し上げましたように、二院制議会の歴史的起源は代表原則の違いにあります。日本の二院制議会の問題は二つの議院の代表原則が同じであることです。参議院は衆議院とは異なる代表原則で組織できなければ、第二院としての存在意義が問われ続けることになります。第二院の代表原則として多くの国が採用しているのが地域代表原則です。国は領土とそこに住む人々によって形成され、領土は幾つかの地域から構成されます。国の議会への国民の参加と地域の参加は、国家と社会の関係を二重に保障します。
 国民代表原則である下院は、一票の較差是正のために人口比例的に議席配分をしなければならず、人口の多い都市圏の議員が多くなります。自然が濃く残り、森林、田園が多い地方圏は、国土の観点からも水や食料といった生存基盤の観点からも重要であるのに、送れる議員の数は少なくなります。単一制は立法権が国の議会に一元化されている政治制度なので、国の議会で都市圏の議員が多くなればなるほど地方の利益は立法に反映されにくくなります。
 第二院が地域代表原則を取れば、人口の多寡に左右されず議員を送れます。国土を形成する数千キロに及ぶ列島の全国津々浦々からの議員が第二院に集まることで、第一院と相互補完的な議院になります。国民代表原則と地域代表原則が国の議会においてセットになり、二院制議会を構成することが単一制においてこそ不可欠だと考えます。地方創生など施策レベルにとどめずに、地域の重要性を立法レベル、憲法レベルに昇華させることが日本の基礎体力の強化になるのではないでしょうか。
 参議院の代表原則を地域代表とすることは、一票の較差問題、都市と地方の代表制の問題など、多くの問題への解となります。このためには、憲法四十三条の改正が必要です。第四十三条は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」と規定しています。この両議院を衆議院に変え、これを組織するの前に、参議院は、地域を代表する議員でを入れます。これで、代表原則と選出方法が同じという二院制議会の否定とも言える根本が変わります。戦後、憲法制定プロセスにおいて第二院を設計し切れなかったことに原因があるのですから、ここに立ち返らなければならないと思います。
 私からは以上です。
#5
○会長(山崎力君) ありがとうございました。
 次に、日野参考人にお願いいたします。日野参考人。
#6
○参考人(日野愛郎君) この度は、国の統治機構に関する調査会という重要な会にお招きいただきまして、大変光栄に存じております。
 私がいただきましたテーマは、二院制議会における両院の在り方、そして衆参両院の在り方を踏まえた選挙制度でございます。望ましい選挙制度を論じることは大変難しいことでございまして、ましてや選挙を熟知されている先生方の前でお話しすると、何か参考になることを申し上げられるかは大変不安ではありますが、せっかくの機会ですので少し考えてきたことをお話しさせていただきます。
 一般に選挙制度を論じる際に、例えば一票の較差でありますとか、得票と議席はどの程度比例しているか、こういう比例性の基準といったような様々な基準があります。ただ、一票の較差等々の問題ですけれども、その国の実情によって、そして両院の位置付けによってそれらの基準をどう評価するかということ自体が変わってくるかと思います。
 したがいまして、本日のお話としまして、まずは両院の位置付けについてお話をした上で、初めてその後に望ましい選挙制度という順で、二段構成でお話を進めてまいります。お配りしておりますレジュメに沿ってお話を進めてまいります。
 まず、衆参両院の在り方でございますが、これは御案内のとおりですけれども、憲法には衆議院の優越の根拠となる条項がございます。レジュメにも挙げていますが、三分の二以上の多数で再可決ができるという憲法第五十九条二項から始まって、予算先議権は衆院にある、六十条ですけれども、さらに二項では、参院において議決がない場合には三十日の自然成立という条項がございます。これは六十一条の条約の承認に関しても同じことが当てはまります。このように法案に関する衆院の優越というものがまず規定されていると。
 さらには、内閣総理大臣の指名、これは六十七条二項ですけれども、十日以内に参議院で指名の議決がないときというのは、これは衆院の議決が当てはまるという条項もありますし、不信任案の決議に関して、これは六十九条ですけれども、衆議院にしかこれは認められていないということで、法案、内閣総理大臣の指名、いずれにおいてもこれは衆議院の優越が前提となっているというふうに考えられるわけです。
 一方、参議院の特徴に参りますが、参議院の特徴は、これは委員会制度が充実しているということであります。具体的には、次の三つの活動、決算、行政監視、調査会に象徴されているものですけれども、決算委員会の活動、これは国会法の第四十一条三項十四号で規定されている内容でございますが、御案内のとおり、参議院は衆議院に先んじて決算の早期提出並びに審査の充実に取り組んできました。これは歴代議長の下での参議院改革協議会を中心に積み重ねられてきた参議院の独自性であると思われます。
 実際に、二〇〇三年以降ですけれども、例外はありますけれども、従来の翌年の一月に提出されていた決算というのが、原則として同年の十一月に提出ということが実現しております。その年度が終わって、その同じ年に決算が提出されるようになったのは、このような参議院独自の取組の下での、今あるものはその成果によってあることだというふうに認識しております。
 順番、先に調査会の存在についてお話をしますけれども、調査会の先生方を前にして言うまでもありませんが、これも参議院の改革協議会の提言によって一九八六年に新設されたものです。これまで三年置きにずっと重ねられてきたことですけれども、調査会を基に、例えば高齢社会対策基本法案、これは九五年に成立しているものですが、等々三本の法律案が実際に提出され成立に至っているという経緯がございます。
 同じように、これも調査会の第四期のものであったと記憶しておりますが、その中間報告によって行政監視委員会というものを設置するということで、国会法が改正されて実際に、一九九八年以来、行政監視委員会というものが設置されていると。これらの参議院の特徴は、いずれも委員会制度が充実しているということを表しているというふうに思われます。
 以上の点を踏まえまして、少し衆参両院の在り方ということを整理しておきたいと思います。
 まず、衆議院というのは、これは内閣総理大臣の指名ですとか、予算審議において参議院に優越している、これは憲法の規定上読み取れるところ、理解できるところであります。したがって、衆議院というのは、内閣を構成し、国を運営していくということを主眼に置いた院であると言えます。与党、野党に分かれて、どちらが国政を担うのかということを争う対決型の院として捉え直すことができると思います。当然のことながら、解散がありますので、国会活動は政局にも大きく左右されるところでございます。
 一方、参議院は、解散がなく、半期三年、任期六年をベースに個別の政策にじっくり取り組むことができる。調査会などの独自の委員会制度もございますし、省庁の縦割りではなく、テーマごとに機動的な法案策定ということに取り組むことができる院でもある。また、参議院においては、法案提出における会派の機関承認が必要ないという点においても、自由に立法活動ができる環境にあるというふうに理解できると思います。
 少しこれは政治学的な言葉になりますけれども、これは先週の調査会において飯尾先生も使っていたので大丈夫だと思って使うところでございますが、衆議院は、いわゆる対決型の、これアリーナ型というふうに言いますけれども、与野党が闘技場で対決し合っているようなイメージですが、アリーナ型の院であるというふうに考えられます。どちらが内閣を担うのか、政権を担うのかということを対決し合う、そういうアリーナ型の院である。
 一方で、参議院は、これは政策立案型といいましょうか合意型といいましょうか、変換型議会という類型の名前で言われていますけれども、社会のニーズをどのように法案に変換していくか、超党派であったり、修正を重ねて最終的に法案を練っていくという、そういう変換型の院であるというふうにも捉えることができると思います。
 よくこれはイギリスがアリーナ型でアメリカが変換型というふうに言われるんですけれども、アメリカが変換型議会であり得る背景としては、行政府を担う大統領の存在があります。立法府とは別に行政府を担う大統領がいると。一方、日本では議院内閣制を採用しておりますので、イギリスと同じようにアリーナ型として立法府と行政府が融合している、こういう政治体制を取っているわけです。
 したがって、参議院の政策立案機能というものを重視することによって、二院制の下で立法府としての機能を補完していくということも一つの道筋であろうというふうに思われます。衆議院の方が政権を担うという意味ではアリーナ型であり、それゆえ多少立法機能活動が制限される、解散もありますし政局にも左右され得るということを考えると、解散がない参議院というのは、その意味において、立法機能を更に今まで以上に重視していくということが一つの道筋として考えられるだろうということであります。
 その点でいうと、予算の先議権、これ衆議院にあるわけですけれども、決算は参議院を中心にという役割分担も、これは両院の二院制の下で捉え直すことができるのではないかと思います。両院というのは言わば抑制と補完の関係にありまして、衆議院がアクセルであれば参議院がブレーキという、そういった補完関係にもあるというふうに捉えられるかと思います。
 三として衆参の在り方の明確化ということで、議決不一致時の対応でありますとか、行政監視機能、政策立案機能の充実若しくは参院先議の可能性、それから内閣総理大臣の指名や問責決議について記しておりますけれども、これはちょっと時間の関係で、後に時間が許せば少し丁寧にお話しさせていただければと思います。
 続きまして、今の両院の、衆参の在り方を踏まえて、では、衆議院、参議院でどのような選挙制度が望ましいのか、これ大変難しい問題ではございますが、今の話を前提に少し更に話を進めていきたいと思います。
 まず、衆議院の選挙制度でございますが、これは内閣を構成するための選挙、いわゆる政権選択選挙であるということが考えられますので、政党本位の選挙制度が望ましいであろうと。これは、言うまでもなく一九九四年の政治改革関連法案によって実現してきた選挙制度でありますが、これは事前にお配りさせていただきました参考資料にも書いてあることでございますけれども、その後二十年たって、様々な実証研究というものが積み重ねられてきています。
 その実証研究の成果を、これは様々な先生が積み重ねてきたものをまとめたものですけれども、その知見として明らかになっていることを少しまとめてみますと、これは、選挙の後に必ず、明るい選挙推進協会によって全国調査、世論調査を行っているものを見ていくと、投票の基準として、政党を重く見て投票したか、候補者を重く見て投票したかということを毎回聞いております。グラフを見ていくと、政党を重く見て投票を決めたという有権者が、やはり一九九六年の改革以降現在に至るまで一〇%から二〇%増加しているということが明らかになっております。
 そして、投票行動の分析を見ますと、候補者の要因というものは、これ依然として一定の影響力を持っているわけではありますが、その影響力は相対的にですけれども低下しつつあると。一方で、政党評価の影響力というものが増加する傾向にあり、そして、政策投票とか争点投票と言いますけれども、そのような影響力は必ずしも増加しているとは言えないと。
 選挙制度改革は、政策本位、政党本位ということで言ってきましたので、政党本位という面では一定程度成果が実際に実証的に見てもあったのではないかということが言えると思いますが、必ずしも政策投票、政策本位に本当の意味でなっているかというところは実証分析の結果から確たることは言えないという状況かと思います。
 一方で、議員の部会の出席ですとか委員会の発言というものを全てこれ統計的に比較をしていきますと、実際に選挙制度改革以前よりも以降の方が立法活動は活性化しているということもデータによって裏付けられています。その意味においては、政策重視ということが以前よりは少し強まっているということは実証研究の中では言われております。一定程度、その意味においては、選挙制度改革がもくろんだものが、実際に現時点においてある程度は達成しているというふうに見る向きもあろうかと思います。
 政権選択を可能とする選挙制度というと、これはまさに、小選挙区制ということはその一つで今なされてきたわけですし、小選挙区比例代表並立制という形でなされてきたわけですけれども、実際に政権交代がこれ二度実現していますので、言うまでもなく、その意味においては政権交代が可能な選挙制度であると言うことはできるかと思います。
 ただ、小選挙区制度というのは、理想としてはやはり二大政党制の下で運用されるのが望ましい、これはかねてから言われてきていることでございますが。日本が二大政党化するかどうかということを、実際にこれは政党数といいますか政党の数と政党の規模を加味した指標がありまして、それを見ていくと、九三年のときは、これは有効政党数と呼んでいるものですけれども、四以上ありました。これが、現在は二から二・五の間に落ちてきています。その意味においては政党の数は減っている。しかしながら、皆さん御存じのとおり二党制にはなっていないわけでありまして、現在の日本は多党制であると。
 そのような状況の下で小選挙区を行うとどういうことが起こるかと。これは心理的な効果ということでよく言われるところでありますけれども、心理的効果というのは、まずは政党、政治家に対しての選挙制度、小選挙区が持っている効果というものがあります。それはまさに候補者調整でありまして、小選挙区においては候補者調整をしないと中小政党は議席を取ることができないということがありますので、候補者調整が必要になると。そうすると有権者の選択肢が狭められる。これは、選挙区によっては、例えば自民党、公明党、若しくは前回の選挙であれば民主党と維新の党といったような形で候補者調整が行われてきたと思いますけれども、自分の支持する政党の候補者が自分の選挙区で立候補していないというような状況、これは有権者の選択肢が狭められていると。
 有権者に対しての心理的な効果でいうと、今お話ししたように一定程度死票が出ますので、一般的には満足感そして投票率が低下するというふうに言われています。私も、世界各国、いろんな国で選挙制度がありますので、多数代表制と比例代表制、投票率比べてみたことがあるんですけれども、多数代表制三百九の選挙、これは二〇一三年の段階ですけれども、投票率の平均が六九・五%、これは義務投票制などは除いたものですけれども、であるのに対して、比例代表制は三百六十二選挙の平均が七三・二%と、三、四%程度比例代表制の方が投票率は高くなっているという状況にあります。
 ヨーロッパの世論調査データで、これは国際比較ができるようなしっかりとした世論調査データで、三万以上のサンプルを基に、民主主義、これは選挙制度ではなくてデモクラシー、民主主義に対する満足度ということで、十点満点で聞いておりますけれども、多数代表制の諸国は四・六七、比例代表制諸国が五・二九と、統計的にも満足度が高いという結果が出ています。
 それでは、比例代表制の下で政権交代可能な選挙制度はないのかという疑問につながるわけですが、これは日本と同様の時期である一九九三年に比例代表並立制に移行したイタリアの例が少し参考になるかと思います。
 ほぼ同じ時期に小選挙区比例代表並立制を導入したイタリアですけれども、二〇〇五年に制度変更していまして、プレミアム付き、まずは小選挙区を廃止して比例代表制にしました。比例代表制というのは、かねてより、投票が終わってみないとどの政党とどの政党が連立を組むか分からないという意味においてアカウンタビリティーがないというようなことが批判としてあったかと思いますが、それをある種、その問題点を解決するという意図であると私は理解しておりますけれども、プレミアム付きの比例代表制というものを導入しました。
 これは、比例代表選挙の結果、第一党が過半数に満たない場合は、六百十七議席ある中で三百四十議席まで議席を与えると。これは五五%強の議席率になるわけですけれども、必ずしも、五五%以上を第一党が取っていればそのままもちろん取りますけれども、満たない場合は一定程度安定した政権運営ができる五五%を自動的に与えるという制度を導入しました。選挙戦の前に事前にこれは左右の陣営に分かれて、将来というか、その選挙後の首相候補を決めた上で選挙戦を戦うと。これも選挙法に定められたところでありますけれども、そのような選挙制度に移行しました。
 そうすると、事前の連立協定ということが必要になってくるわけですが、これも事前にお届けしました私の過去に書いたもので少し述べているところでもありますが、事前に連立協定をやはり、政策協定ですね、しっかりとすり合わせをしておくことが重要になってくるということにもつながってまいります。
 なぜ五五%なのかというところに明確な根拠がないということで、これ違憲判決をイタリアでは受けまして、その後、今また別の選挙制度ということになっているわけですけれども、これは必ずしも、プレミアム付きが変更したというよりも、実際に、これ二〇一三年であったと記憶しておりますが、三つぐらいのある意味コアリション、連立が出てきた場合に完全に五五%を与えられないというような状況が出てきたという政治的な要因もありまして、今、三七%以上を取っていないともう一回、二回投票制をするというようなことで改められているというふうに理解しておりますが、そのような選挙制度が例えばあると。
 ギリシャでも、これは三百議席中の五十議席が多数派のボーナスとして与えられるというようなことでプレミアム付きということがなされています。これは、一つの試みとしては、比例代表制の下で政権交代が可能な選挙制度ということなのであろうというふうに思います。
 一方で、イタリアでは小選挙区制が廃止されていますので、日本の実情に合わせて考えると、ドイツの併用制のような、小選挙区は残しておいて、小選挙区の得票の度合い、小選挙区の結果を、最終的に比例代表の議席配分の後に誰が議席を得るのかというときに小選挙区の結果を生かすというようなことも組み合わせて考えることも可能かと思います。
 総じて、日本が今後二大政党化するのであれば、これは現行の小選挙区がよいと思われますが、多党制の状況が続くようであれば、政権交代可能な比例代表制を模索するということも一案かと思われます。
 続きまして、参議院の選挙制度に話を移してまいりますが、これは、先ほどの両院の在り方を踏まえますと、立法府を構成するための選挙でありますので、いわゆる政権を監視するという役割もありますし、政策立案選挙であるということが言えると思います。
 そうしますと、望ましい選挙制度というのはやはり人物本位の選挙制度。これは、二〇〇〇年に可決した非拘束名簿式の比例代表制、二〇〇一年の参議院選から実際に実施されているものというのはこのような意図、背景があって導入されたものというふうに理解しておりますけれども、政策立案を促す選挙制度というのはどういうものがあるかということで考えていくと、一つは人物本位、比例代表制の下で人物本位というと非拘束名簿式で現行のものをということになるわけでありますが、その中で、一方で、やはり政党の判断で、政策能力がたけている、政策立案能力が高く、そのような活動をされてきている人を、例えば政党の判断で拘束名簿式としてそのような候補者を上位に付けるということもできるような選挙制度、これは私は変動型拘束名簿式というふうに呼んでいるんですけれども、変動型の拘束名簿式の比例代表制。これはベルギーが参考になると思われまして、どういうことをやっているかといいますと、まずは政党のクローズドリスト、拘束名簿式のリストがあります。有権者は、政党に丸をするか、そのリストに掲げられている候補者に丸をするか、日本の今の現在の比例代表制、参議院のものと似たようなものですけれども、その得票が多かった人に関しては順位を上げることができる、こういう意味で変動型の拘束名簿式選挙制度というものがあります。
 これは、選挙区における当該政党の得票を獲得議席プラス一で割ったもの、これは当選基数と呼びますけれども、それに達した候補者は自動的に当選すると。達していない場合は、その政党の得票から順に足していって、その当選基数満たした人が当選するというようなことをやっています。政党の得票がなくなった場合は、単純に票数の多い人から当選するというようなことでやっていまして、基本的には政党のその順位順になるんですけれども、やはり有権者によって、この人は当選させたいということで票が十分集まった人に関してはその順位を変えて当選することは可能であると、ある種の折衷案でありますけれども、そういうことが一九一九年よりずっと行われてきています。
 政党じゃなくても、この場合、個人でも比例代表選挙に立候補することができるような仕組みづくり、これは一定の政策目的を持った候補者であるとか、一定の運動を重ねてきていて一人でもそういう意味では立候補できると、全国規模の得票を基に当選することができるような可能な仕組みも必要になると思われますし、全体としてこれはメディアの取組も含まれると思うんですけれども、法案を議員立法等で通していくという活動をしっかりと認知していくと、そういう取組も必要であろうというふうに思います。
 例えば、法案の提出者の名前、これはアメリカなんかは名前が法案に付いていますけれども、非公式にでもメディア等でそういうものを使うでありますとか、選挙公報等の選挙キャンペーンのときに、どういう立法をしてきたのか、なかなか一人のお名前を挙げるということは難しいかと思いますが、そういう取組をやはり可視化していくということも、参院の特徴といいますか政策立案を重視した選挙、議院、ハウスの院としての意義を出す上では必要かもしれません。
 一方で、選挙区選挙をどうするかと、この問題は難しいところがありまして、定数は今都道府県で異なっていますので、政党間連合の在り方が都道府県によって異なっているという問題があります。これは憲法の問題もあるかもしれませんが、都道府県ごとに一定の地域代表も視野に入れる、アメリカ、ドイツ等、岩崎先生のお話にもありましたが、そのようなことも一つの視野に入ってくる点かというふうに思います。あるいは、国民代表という点で、これは憲法上の問題はあるかもしれませんが、世代代表制というような議論があることも承知はしております。
 総じて、選挙制度の優劣を付けるということは大変難しいことでございますけれども、参議院に関しては政策立案を促すような選挙制度が望ましいと考えているということを申し添えて、私の意見陳述を終えさせていただきます。
 ありがとうございました。
#7
○会長(山崎力君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
 質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようお願いいたします。
 また、質疑者におかれましては、その都度答弁者を明示していただくようお願いいたします。
 なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十五分以内となるよう御協力をお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 堀井巌君。
#8
○堀井巌君 質問の機会をありがとうございます。自由民主党の堀井巌でございます。
 岩崎参考人、日野参考人におかれましては、貴重な御所見を賜りましてありがとうございます。
 まず、岩崎参考人にお伺いをしたいと存じます。
 参議院の第二院の在り方を考える上でこの地域代表原則というものについて触れておられましたが、私も、全く今の日本における参議院の在り方を考える上でこの地域代表原則というのは極めて重要ではないかというふうな思いで聞いておりました。
 また、地域代表原則というのは、実は今、現行憲法の下でも、戦後、参議院ができてから長きにわたって、国民の中でも、特に地方区、選挙区の選挙制度を通じて、一定の幅広い国民合意があったのではないかというふうに感じております。もちろん、昨今の司法判断は、較差是正に関して大変これまでに比べてより一層強い是正を求める内容になっているというふうに思いますけれども、一方で、これまでの判決がやはり衆議院の方の較差訴訟の判決とはまた異なった点もあろうかと思いますし、また、この参議院の中での今般の選挙制度改革においても、これは多分、与野党を超えて、私は、この地域代表制ということに関する一定の考え方はやはり維持されていたのではないかというふうに感じているところでございます。
 そんな中で、今回の選挙制度改革、一部の地域につきましては都道府県を合区するという内容となりました。これは較差是正の観点からはやむを得ないものであったかもしれませんが、一方で私がその地域の方々と話すたびに悩みますのは、苦悩いたしますのは、やはりその方々が、地域代表原則という国民が一つの大きな合意を持っている、その代表を選びたいというその権利を今回行使できない状況になっているということを、このことをやはり我々がどのように受け止めたらいいのかということを本当に強く感じております。
 確かに、都道府県というのは憲法で位置付けられてはいないかもしれませんが、しかし、しっかりとこの国の中で長い歴史を有し、そしてそこで、都道府県単位で民意が集約をされ、そして様々な活動が都道府県単位で政治に関わる活動も含めて行われていることを考えますと、その民意をどのように地域代表原則の下でこの参議院で反映をしていくかということは極めて重要なことだろうというふうに思っております。
 そんな中で、まず最初の質問でございます。
 今回のこの参議院において可決をされました選挙制度改革、今度の夏の参議院選挙から選挙区制度、新しい制度の下での選挙が行われますけれども、どのように評価をしておられるのか、また、地域代表原則を進めていく上で何か課題があるのか、教えていただければと思います。
#9
○参考人(岩崎美紀子君) 御質問ありがとうございました。
 地域代表原則についてですが、まず、昨今の参議院の改革といいましょうか、合区についてですけれども、ちょっと厳しい言い方になるのですが、根本的な解決にはならないと思っています。合区された県が、人口が少ないところを合区しておりますので、これは衆議院の〇増五減で減ったところと同じところがかぶっているという面もありますので、私は、先ほど申し上げましたように、第二院の、参議院の地域代表原則というのは重要なのですが、それを憲法に書き込まない以上、一票の較差問題でずっと司法からの警告を受けることになりますので、それで地方代表原則があるのだと言い続けることはかなり難しいというふうに思っています。
 ですから、今回の合区で明らかになったのは、人口の少ないところの代表が減るということになります。衆議院はもちろんそうなりますので、これが参議院もそうなっていくと、これはもうダブルに人口の少ないところの国への代表が少なくなるということはかなり問題があると思っています。これが、合区が少なくとも次の参議院選挙だけのことで、もう少し先にはもっと根本的なことをお考えになっていらっしゃることを期待しているということでお返事にしたいと思います。
 それから、都道府県ということを書き込むかどうかということなんでしょうか、書き込むと言うとおかしいですけれども、選挙区としてということなんだと思いますけれども、地域代表という地域をどこに取るかということを考えると、合区を検討される場合も、それは幾つかの都道府県を一緒にして地域であるというふうな言い方もできないことはないんですね。
 だけど、連邦国家で見ると一番分かりやすいのですが、地域代表の地域というのは意味ある地域でなくてはいけないということになります。ですから、州、連邦構成政体である州になります。日本では、憲法では、都道府県や市町村といったそういう具体的なことは書かれていなくて、地方公共団体というふうに統一はされています。ですが、都道府県が広域な地方公共団体で意味のある行政区域、地域政体であることは間違いがありません。
 ですから、都道府県が基本になるんですけれども、私は地域代表原則を書き込めというふうに、憲法に書き込んだ方がいいと申しているんですけれども、それを憲法に書くことは私は反対です。地域代表ということを書いたとしても、地域を都道府県というふうに書かない方がいいと思うんですね。それはもう地方自治の章との整合性もあると思いますけれども、将来、憲法の方がずっと長く縛っていきますので、都道府県がどうなるかということも考えていくと、地域代表制ということで地域ということに限定をしておくと、やっぱり必要だと思うんですね。しかし、地域が都道府県であることには実際には変わりないので、繰り返しになりますが、県を一緒にして合区をして地域代表だというのは少し限界があるのかな、無理があるのかなと思っております。
#10
○堀井巌君 大変貴重な御所見、ありがとうございました。
 次に、日野参考人の方にお伺いをしたいと思います。
 お話の中で、参議院のこの政策立案機能の充実ということについて触れておられました。このことは、与野党を超えた参議院の在り方に関する議論の中でも、そしてこれまでの長い参議院の歴史の中でも、諸先輩も含めて皆さんが絶えず考えてこられたことなんだろうというふうに思っております。その中で我々が今ここにいるんだろうと思っております。
 そういう意味では、決算委員会の活動、レジュメにもありますように決算委員会の活動でありましたり、また参議院は六年間という解散のない任期を得る以上、例えば外交分野等でしっかりとした活動はできないかということで、参議院には政府開発援助、ODAに関する委員会が設置されたりということで、様々な工夫がなされてきたかと思います。
 参議院先議の可能性、これ、今の国会運営の中で法案が参議院に全てなかなか先議されるというのは、憲法上の制約等々も含めても、あるいは実際の例を含めても難しいかもしれませんが、それも一つの、できる限り参議院で先議をすることもしっかりやっていくと、これは与野党超えてこの参議院の位置付け、国民の方々により理解してもらう上でも重要だろうと、私もそのように思っております。
 他にも、この政策立案機能の強化というのは、我々はいつもいつも常にそれを自問自答するところが多いものですから、何か具体的な御示唆、こんなふうなことをもっと活動としてやればいいんじゃないかということがございましたら、是非御所見を教えていただければと存じます。
#11
○参考人(日野愛郎君) 御質問ありがとうございました。
 政策立案、これ言うのはやすしで、実際にどのように行っていけばいいのかと、これは私も、私が何か言えることがあるとは思えないんですけれども、先生方の方が実践されてきていると思いますので。
 ただ、もうこれは選挙制度とも関わるところでありますけれども、地域で、今のところは選挙区選挙というようなことでやっていることもありますし、比例代表の方はこれは全国規模でやっているわけですけれども、例えば先ほどの、最終的にその個人のある種のプロファイルとしてその政策、どの分野についてやはり取り組んでいるのかということを、もちろん言っていらっしゃる先生方多くいることも認識しております。
 ただ、それ自体が常に問われるわけではないということもあると思います。それを、参議院というのはそういう何か自分の政策を持っていなければいけないというような、ある種のそういう取組をしていくことは可能なのではないかと。それゆえにやはり全国規模での比例代表になっているわけですし、様々な選挙制度あり得ると思いますけれども、全国規模で、一定のどのような分野でも、このような法案を作りたいといったときに、困っているそれらの法案で関わりのある人たちに支持を受けると。こういうある種の運動との関係をしっかりとそのような常日頃の取組と選挙制度を結び付けるということによって、有権者の側もその政策をしっかり見ると。どういうことを取り組もうとして、どういうことを議員立法でやっていこうとしているのかということが見えるような形にしていくことが一つは参議院の独自性を出していく上で望ましいのではないかというふうに考えている次第です。
#12
○堀井巌君 ありがとうございました。
 私の質問、時間ですので終わります。
#13
○会長(山崎力君) 安井美沙子君。
#14
○安井美沙子君 民主党・新緑風会の安井美沙子でございます。
 本日は、両参考人、ありがとうございました。
 時間が短いですので、別々の質問をさせていただきたいと思います。
 まず、岩崎参考人にお伺いをいたします。
 先ほど、参議院の選挙制度については、一票の較差問題に翻弄されることがない安定性が必要ということで、地域代表という考え方をおっしゃっていたと理解いたしました。その場合ですけれども、現行の全国比例の制度についてはどのようにしたらよいと考えていらっしゃるのかということが質問です。
 また、将来、地域代表となったときに全国比例をどうするのかということと、あわせまして現在の状況についてのお考えも伺いたいんですけれども、先ほど、参議院については、専門性、識見、中立性、独立性といったようなものが求められるというふうにおっしゃっていたと思うんです。実際に専門性の高い方もいらっしゃると思いますけれども、例えば職能代表という観点からしますと、これ、中立性という部分ではどうなのだろうかとか、あるいは、現実には、例えば芸能人の方であるとかスポーツ選手の方とか、そういう方が専門性が低いとは私は申しませんけれども、どうしても集票という意味でそういう方が比例で立候補する場合もございます。そういった現状についてどう思っていられるのかということと、今後について、一般論としてお伺いいたします。
#15
○参考人(岩崎美紀子君) まず、全国比例をどうするかということと地域代表制との関係ですけれども、私は、参議院が最初に発足するときに二つの選挙で構成することが衆議院との違いであるというふうに申し上げました。
 そうなのですが、衆議院の方も一九九四年の政治改革から二本立ての選挙になっておりますので、参議院の二本立ての特徴というのはもうなくなっていることになります。まずここが、参議院だけではなくて二院制ということで考えたときに重要なことかと思われます。有権者から見ると、衆議院も参議院も、いわゆる候補者に投票するのと、それから比例で投票するのと、同じ方式に見えますので、細かいところは違いますけれども、同じに見えますので、参議院の独自性を選挙制度で出すということが現在ではそれほど強く特徴として出ていないというふうに考えています。
 先ほど私は、地域代表制にしたらどうかということを申し上げました。一番の基本は、国民代表原則ではない原則を取るということが第二院の代表原則として必要であるということ、違う代表原則にした方がいいというのが基本です。その中で、じゃ、どんな代表原則があるかと考えたときに地域代表制というのが重要であるというふうに申し上げました。
 先ほど、合区の質問も、合区についてどう思うかということもお尋ねがあって、なかなか、しどろもどろでお答えしたわけでありますけれども、参議院の定数の、全国比例と都道府県の選挙区の定数の配分をそのままにした中で考えるから合区というふうになっていくのかもしれないということが一つあると思うんですね。参議院を地域代表制にすると私が申し上げた背景というか、その旨にあるのは、もう地域代表制一本でいこうということです。比例はやめてしまおうということになります。
 なぜそう考えるかといいますと、全国区を当初設定したのは、それが有為な人材、そういう方を全国から調達できるという意味で設定をしています。
 比例代表制を導入した段階で参議院の政党化が始まったと思うんですね。比例代表制は政党をベースにしていますので、政党化が始まったと思います。ですから、このまま全国比例代表制だけに一本化するということは政党化をますます進めるので、考えられないということです。
 職能代表についてどうかという御質問ですけれども、職能代表というのは、最初、参議院を設計するときに、憲法が制定される前ですが、当初の案が職能代表制というのが日本政府は持っておりましたので、それをどうしても実現したいということで、職能代表的な機能、議員さんを全国区で選ぶというふうな、そういうふうな作りになっています。
 ですから、比例で選ばれた方が職能代表かというと、そういうことではなくて、比例で選ばれた方は政党で選ばれているわけです、もちろん。非拘束名簿なので個人の名前でもありますが、名簿を作ることには変わりないことで、政党ベースだと思います。ですから、職能代表制というのはもう、職域代表という言い方をされていると思いますけれども、どちらかというと職域の利益を反映するというよりは政党に近い利益を反映するというふうになっていると思いますので、余り職域代表ということではないのかなというふうな気がいたします。
 それから、スポーツ選手は何かというお話もございましたけれども、それは議員各々の特性ですので、それについてどうかということについては、有権者がそこに投票しているわけですので、私はどうこう言うような意見は持ち合わせておりません。
 以上です。
#16
○安井美沙子君 ありがとうございました。
 次に、日野参考人にお伺いをいたします。
 お話の中で、衆議院の選挙については政権選択を可能とする政党本位の選挙制度、一方で、参議院については政策立案を可能とする人物本位といった具合に、政党本位、それから文献の中で政策本位、人物本位という言葉を使っていらっしゃるようでした。先ほどの質問の中で政策立案能力というようなこともあったんですけれども、私、以前シンクタンクにいたりコンサルをやっていたりしたときに思いましたのは、議員ならではの政策立案というものは、有識者、学者、あるいは官僚、シンクタンクといった世界の政策立案とは違う、地に足の付いた、地に足が付いている方が偉いというわけではありませんが、少し毛色が違うのかなというふうに思っております。
 また、人物本位、それから政策本位というものがそう簡単に分けられるものなのかなというふうにも思っています。小選挙区の中で非常に有権者と距離が近いわけですけれども、そのときに、人物本位といったときに、あの人はいい人だとか、あの人はいろいろ世話をしてくれるとか、そういった観点だけではなく、例えばこの人は育児支援、子育て支援に非常に熱心である、政策に熱心であるという意味の人物本位ということもございます。そうなりますと、私の印象としては、この何々本位というのが分析の上では必要な分類かもしれないけれども、現実の政治の中ではそう簡単に分けられるものではないのではないかというふうにも思っています。
 そして、小選挙区の中では政党選挙であるという部分をそこまではっきりと言ってしまって大丈夫なのかという気がちょっとしています。私、実際に選挙区で初めて会う人に、初めましてと、自分の政策などを話そうとして、あなたは何党なのと聞かれて民主党だと言うと、ああ、駄目駄目、もう民主党は嫌い、絶望しているからと言って、それ以上話を聞いてもらえないときがあります。逆に、何党ですか、民主党ですと言うと、ああ、私はもう自民党が嫌いだから、民主党なら応援すると、その先何も聞いてもらえないということがあります。どちらの場合もあります。そうなりますと、私は、申し訳ないけれども、有権者の方は思考停止していると思います。
 せっかく小選挙区で人の名前を書ける部分と政党を書ける部分と二つあるわけですから、せっかくだったら、その人物がどんな政策を持っているのか、どんな人物なのか、信頼できる人物なのかということを吟味して、人物本位、政策本位で選ぶべきだと思っています。そして、政党を選ぶのは比例は何々党という方でやる、これが私は小選挙区のあるべき姿ではないかと思っています。
 その人物を見極めることなく、何党、何党ということを政権選択選挙としてやりますと、ここ三回の選挙のように大きく振り子が揺れて、どんな人でも片っ方の党に属していれば入ってしまう、その結果、野党になった方にすばらしい議員もいるかもしれない、また、与党になった方に辞職に追い込まれるような議員がいるかもしれないと、こういうような今のような状況が生まれるわけですから、小選挙区は政党本位というふうに余り決め付けていくと非常に危険なのではないかというふうに思っていますが、御所見はいかがでしょうか。
#17
○参考人(日野愛郎君) 御質問ありがとうございます。
 小選挙区において、その人物、そして政策が全く必要ないかというと、全くそういうことではございませんで、それ自体、しっかりと有権者が見て判断するべきことであるというふうに思いますし、選挙制度の一つの難しいところ、そして重要なところは、政党を選ぶということと人を選ぶということをいかに組み合わせるかということだと考えておりまして、それは小選挙区制でも同じことが起きますし、比例代表制でも、先ほど話したように、拘束名簿式では政党しか選べないけれども、非拘束名簿式的なものを導入することによって人も選べると。
 最終的には、有権者と代議士、代表として送り出す、選ぶ人の間の関係、委任関係ということがありますので、そこには、当然のことながら人物本位、そしてそこの中にどのような政策を志しているのかということが出てくることは、これは否定するべきことでもないですし、まさしくそのとおりであると考えております。
 私が強調したい点としては、その上で、やはり政党政治を根付かせるということが、最終的に選挙というのは一定の次元で委任をするわけですから、その後のサイクルがあるわけです。サイクルがあるからこそ、一定の安定した政権をつくり出すということが正当化されるというふうに考えております。そのサイクルの中で、その次の選挙のときに、委任をした政権が良かったかどうかということで、良ければ継続するし、悪ければほかの政党を選ぶ、こういうサイクルがあるということが民主政治において必要だろうと。
 そのときに、人だけではどうしても、そのときにアカウンタビリティーといいますか、前回の統治、選んだ議員の下での政権運営ということが責任を問う際に、そこはやはり政党でなければいけないということが私の中であります。その政党政治をどのように根付かせるかということが、やはり人を選ぶということだけではなくて、やはり政党を選ぶということを同時進行で行わなければ、そのサイクルの中でその次の選択が、ある人であればその人の属人的な、ある人が信頼を失ったと、それだけで終わってしまっていいのかという問題意識があります。
 したがって、やはり政党政治を、政党もそのときの選択として選挙においてあるんだということを置いておきたかったということ、小選挙区比例代表制が導入されたときの議論もそのようなことがあったというふうに理解しております。したがいまして、全くもって人物本位、そして政策本位ということを否定するつもりではなかったということでございます。
#18
○安井美沙子君 あと一分ありますので。
 おっしゃることは分かりますが、最後に私が申し上げた、衆議院の選挙においても二つ投票できるという部分ですね、名前と政党と。そこをうまく区別してバランスを取ることで有権者はより賢い選択ができ、その人物との関係や人物の見極めとともに安定性、継続性を考える上での政党選択ということが同時にできるわけですから、そこの意味合いについてはどういうふうにお考えですか。
#19
○参考人(日野愛郎君) 政党のみで選択するということになってきますと、当然のことながら、有権者と代議士の間の関係が失われていきますので、実際にヨーロッパで政党だけを選択するという選挙制度で行っているところでは投票率がやっぱり下がるということがありまして、やはりその有権者にとってみたら、体現している人というのは、政党を代表した候補者ということで、通して初めて触れることができるわけですから、そこで人物ということが出てくるんであろうと思います。
 したがって、先ほど少しお話をしましたけれども、比例代表制だけですとどうしても、非拘束名簿式ということはありますけれども、やはり今、安井先生がおっしゃられたように、小選挙区制という日本独自の、これは中選挙区制、その前からもずっとある人の名前を書くという選挙ですので、その土壌に合ったものに合わせていくということで考えると、少しお話をした併用制と。ドイツでは小選挙区制もあって比例代表制をやっている。議席配分は基本的に最終的に比例代表だけれども、やっぱり人との距離という、候補者と有権者の間の委任関係ということが維持されている。そこで担保されていますので、そのような形が日本に合ったある種の選挙制度なんではないかなというふうに個人的には考えているところでございます。
#20
○安井美沙子君 ありがとうございました。
#21
○会長(山崎力君) 続きまして、新妻秀規君。
#22
○新妻秀規君 岩崎先生、日野先生、大変に貴重な御意見、ありがとうございました。
 まず、私は岩崎先生から御質問させていただきたいと思います。
 先生の御主張の趣旨は、私の理解なんですけれども、日本の二院制議会の根本的な問題は第一院と第二院の代表原則が同じところにあると。つまり、両院共に国民代表原則だと。だから、選出方法、選挙制度も似通っていて、一票の較差が問題になるんだと。ほかの国では第二院は国民代表原則じゃない、だから一票の較差は問題にならないと。よって、選挙制度のみをいじっても本質的な問題解決にならないし、第一院と第二院の違いが有権者には見えにくい。だから、第二院の代表原則を変えて地域代表にするんだと。そのために憲法四十三条を改正する、このような理解をいたしました。
 ここで、具体的な第二院の代表選出方法、先ほど比例区をなくすという話もされていましたけれども、具体的にどのような選挙制度になるのか、例えばアメリカみたいに各都道府県が一定の票を持っているような、そういうような選挙制度を考えていらっしゃるのか、そこら辺、具体的に教えていただけますでしょうか。
#23
○参考人(岩崎美紀子君) 第二院の代表原則を例えば地域代表原則とした場合の議員の選出方法ということで理解いたしましたけれども、何も直接選挙による必要はないと考えています。
 私、先ほど憲法第四十三条の改正をというときに、お手元のレジュメに第四十三条を書いてございますので、それを御覧になっていただきながらお聞きいただきたいんですけど、この「両議院は、」というのを衆議院に変えてということを申し上げました。最後の「これを組織する。」という前に、参議院は地域を代表する議員でと入れたらいかがかというふうに申し上げました。このときに、選挙されたというふうには入れなかったんですね。それは、この第四十三条も「選挙された」というふうに書いてございますけれども、衆議院はもちろん選挙ですけれども、参議院については直接選挙ではなくてもいいというのが脈々と憲法学の中でそういうふうな解釈もあるというふうに聞き及んでいます。ですが、やっぱり直接選挙ということになりますよね。ですから、参議院は地域を代表する議員でと、あえて選挙を入れなかったのは、選挙してもいいし、それが直接選挙であってもいいし、それから間接選挙であってもいいし、それから、例えばロシアのように知事と州議会の議長を代表する議員としてもいいしというふうに考えています。
 ですから、地域代表原則となった場合の参議院の設計はいろんな選出方法が考えられるということになります。
 しかし、一番重要なことは、人口の少ないところからの代表制は十分に確保するような設計が必要になるということだと思います。それは、衆議院がどうしても人口比例になっていくので人口の少ない地方からの代表制が少なくなりますので、補完するという意味で、参議院は是非その人口が少ないところからの代表制も確保するということを重点に置いての地域代表制ということを考えています。お答えになりましたでしょうか。
#24
○新妻秀規君 ありがとうございます。
 そうですね、私が参議院の役割だというふうに考えているのは、実はこれは参議院の、これは昭和の六十三年、また平成十二年、十七年と、参議院としてどういうことが参議院の役割なんだという検討がされていまして、大きく合意されているのが二点ありまして、参議院は多様な民意を反映をする、あと、議員個人の意見を重視をする、この二つが大方の合意として、この三回、累次の検討で合意されていることなんですね。
 私が、参議院を先生がおっしゃるような地域代表にした場合に一方で危惧をするのが、衆議院がやはり民意の集約、小選挙区制がベースの選挙制度ですから、六二%が小選挙区から選出をされて、比例代表は三八%、三八パーしかないということで死に票も非常に多いというところからいくと、多分第二院で多様な民意を拾うということもやはり大切な観点なんじゃないかなというふうに思うわけなんですよね。
 先生が今おっしゃったような第二院の設計で、多様な民意の反映というのはどのように実現されるのか、これについて御教示いただけますでしょうか。
#25
○参考人(岩崎美紀子君) 多様なニーズと地域代表制は別に相反するものではないと考えます。
 地域代表制と申し上げた場合に、これは地域に密着をするわけですから、地域をベースとするわけですから、現実の問題や何かにより近いことになります。例えば、政府にはナショナル、リージョナル、ローカルと三段階あるとすると、現場に近い方がそのいろいろなニーズの把握ができるわけですよね。しかし、そのニーズというのは地域によって違ってくるわけなので、現場に近いニーズを把握できて、それを国会に反映できるということはかなり多様なニーズの反映になるというふうに考えています。
#26
○新妻秀規君 ありがとうございます。
 そうですね、私が危惧をしていたのは、もし仮に直接選挙で選ばれるアメリカの上院のような設計だとすると、例えば、各期の半数改選だとして一ずつだとすると、それこそそのときの多様な民意というのは完全に拾えなくなってしまうわけですよね。そうなってしまうと、それこそもうそのときのやはり風によって上院の意思決定すら決まってしまうと。これは本当に恐ろしいことなんじゃないかなというふうに思うわけなんです。
 なので、もし上院を今度地域代表とする場合には、アメリカの上院のような設計は望ましくないんじゃないかなと思うんで、その点について、先生、いかがでしょうか。
#27
○参考人(岩崎美紀子君) アメリカの上院を見ていて思うのは、最初の出発点は州議会が選ぶということで、地域代表原則ということが最もはっきり出て、連邦国家はその後、二院制議会を取って上院は地域代表原則にするというふうになっています。しかし、直接選挙になってからは、地域代表制、地域代表かというと、今回の大統領選挙の予備選挙ですとかそのレースを見ていますと、上院議員の方が結構多いんですけれども、自分の州を代表しているような物言いはしませんよね。
 ですから、地域代表原則というふうなのは原則として申し上げているので、例えば、アメリカの場合は州を選挙区とするということで地域代表というのを維持していることになります。ですから、何も地域の利害を全て国会に持ち込んできて議論するということではないということです。そこに住んでいる人々が議員を送れるということが一番重要なので、人口が少ないところでも議員を送れるという意味で地域代表原則はかなり意味があるというふうに考えています。
#28
○新妻秀規君 ありがとうございました。
 それでは、日野先生、そして岩崎先生も同じ質問を投げかけようと思うんですけれども、私としては、やはり現行憲法の枠内で考えて、やはり投票価値の平等ということが大事なんじゃないかなと。国民はそれを支持していると思います。やはり、先ほど、累次のこの参議院の検討でもあったように、多様な民意の反映が参議院の役割であると。また、議員個人の意見を尊重するということがこれまでの議論の結論でもあります。なので、やはり政党では拾えないような意見、個人がちゃんと選出されるような選挙方法がいいんだろうな、無所属でも当選の可能性があると。
 こういう様々なことを考えまして、比例区を廃止をして、選挙区を広く取って方面ごとの大ブロック制のような、かつての今は亡き西岡議長が提案されたような、そういう単記式のそういう選挙制度がいいんじゃないかというふうに考えています。これであれば、中小の政党でも、また無所属の個人でも当選の可能性が出てくるわけなんです。
 岩崎先生は憲法を変えるというお立場ですけれども、もしも現行の憲法の下で参議院の独自性を、民意の集約という衆議院に対して参議院が民意の反映ということを重んじるとすれば、私が申し上げた今は亡き西岡議長のこの提案というのをどのように評価されるか、まず、日野参考人から御意見を伺いたいと思います。
#29
○参考人(日野愛郎君) 大変重要な問題だと認識しております。ありがとうございます。
 投票価値の平等ということは、これは追求もちろんできたらした方がいいということだと思いますけれども、やはり選挙区制度にすると、いずれにしても、もちろん小選挙区から中選挙区、大選挙区、定数を大きくしていけばそれだけ投票価値の問題ということは薄らいでいきますけれども、それ自体なくなることではやはりないと思います。
 多様な民意を集約するという意味においては、比例代表制をこれ衆議院では十一ブロックでやっておりますけれども、これも定数がやはり違います。四国の六で投票圏内に入るのと近畿圏、最も多数のブロックでの投票圏内に入るのは、全くその中小政党によっての意味合いが異なってきます。
 比例代表制でも結局、ブロックにするかブロックの数を一に近づけていくかによって全く違うということでありますので、多様な民意を集約するという意味においては、それは全国規模でやるのが最も多様な民意を集約できるということになると思いますし、これは憲法の四十三条、まさに岩崎先生がお示しになったところでありますけれども、全国民を代表するというふうに書いてありますので、これはどのようなブロック、例えば地域から選挙区にした場合、それは全国民になるのか、若しくはほかの職能代表であるとか人によっては世代でとか、いろんな議論があると思いますけれども、この全国民を代表するというところに抵触するんだという議論になるわけですけれども、全国の比例代表であればそういう意味ではそれもないわけで、全員がその候補者に対して投票する少なくとも機会があると。その機会を保障するという意味においては全国ということになるんだろうと思います。
 大選挙区制の一つの問題点としては、やはり余りにも、大選挙区制の規模にもよりますけれども、選挙活動が非常に大変になるというふうに思います。中選挙区制の時代でもかなり、ある程度のその地域の、何といいますか戦略等はあったと思いますけれども、それがどの程度有権者との距離感という意味で実現可能なのかというところは一つ問題点として残るというふうに考えているところでございます。
#30
○新妻秀規君 ありがとうございます。
 じゃ、済みません、岩崎先生。
#31
○参考人(岩崎美紀子君) 多様な民意を反映するということで比例代表制はどうかということで……
#32
○新妻秀規君 いや、大ブロック制ですね。全国を九つないし複数のブロックに分けて、方面の方は北海道、東北とかそういう分け方で、単記、一つだけ名前を書くというそういう選挙制度で、比例と選挙区をもうがっちゃんこして、全部選挙区にしてブロックごとに分けるというものです。
#33
○参考人(岩崎美紀子君) 私は選挙制度の専門家ではないのですけれども、最近衆議院の方の選挙制度調査会のメンバーをちょっと務めさせていただいたので、少し選挙制度について勉強いたしましたけれども、全国を幾つかの選挙区にするにしても、単記で一名しか書かない、でもその選挙区の定数は複数である、昔の中選挙区制がそうでありますけれども、選挙区定数が複数で有権者は一名しか選べないのは選挙制度では極めて制限された投票とされていまして、SNTVというんですけれども、シングル・ノントランスファーラブル・ボートというので、かなり特殊な選挙法になっています。有権者は定数分だけ書ける連記であるとするとそれは構わないのですが、定数が多い、自分の選挙区から複数の議員さんが出るはずなのに一人しか選べないというのはかなり問題があると思いますので、それに戻るということは少しどうかなというふうに考えています。
#34
○新妻秀規君 先生、例えば大ブロック制で連記という、こういう選択肢はどうでしょうか、大ブロック制で連記。
#35
○参考人(岩崎美紀子君) それは構わない、構わないというか、選挙制度からいえば、有権者の権利から見れば、その定数分だけ書けるというのは正当だと思います。
#36
○新妻秀規君 以上で終わります。
#37
○会長(山崎力君) 倉林明子君。
#38
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 今日は、両参考人に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 まず最初に、岩崎参考人にお聞きしたいと思うんですけれども、各国の議会の歴史や事情にも通じておられるということで、女性が参政権を獲得して日本で七十年ということになるわけですけれども、いまだに日本の国会議員の女性比率というのは極めて国際的に最下位のクラスになっているという状況がありまして、参考人、女性として今日おいでいただいているということで、女性として参考人の問題意識というのをお聞かせいただきたいなと思います。
#39
○参考人(岩崎美紀子君) 女性として来ているのかどうかはちょっと、女性ですからそうなのかなと今すごく悩みながら、どう答えていいものかと思っておりますけれども、事実の面からお答えしたいと思います。
 諸国に比べて国会議員の中で女性議員の占める割合は日本が低いというのは事実であります。よく引き合いに出されますのが北欧諸国ですとか、それからカナダも多いんですけれども、フランスも多いですよね。この場合に、北欧諸国が多いのは、比例代表制を取るときに、比例代表制の名簿に、フランスはパリテ法も作ったんですけれども、名簿の順位、名簿に女性、男性、女性、男性というふうに同じような人数になるようにするというふうに、それを法律で決めました。
 これはどうするかということなんですが、女性議員をどうしても増やしたいというのが国会の意思であるのなら、それを法律で書く、それは、比例代表制を取る場合の名簿のリストに男女同数の候補者名を書くというふうに、それを法律で規定することによって強制をする。フランスのパリテ法がそうだったんですけれども、それは余りにも行き過ぎではないかというふうなことで、そうならない場合には政党は一種の、罰金じゃないですね、それを払って変えることができるというふうになっています。
 ですから、申し上げたいことは、クオータ制を取ってまで女性議員を増やすことを考えるのか、それとももう少し違う角度から女性議員が増えるようにするのかということがあると思います。私は、無理やり増やすということが果たしていいのか悪いのかということは少し考えるところがあります。
 もちろん、女性議員が増えることは重要だと思っています。なぜかと申しますと、生活実感があるのはやっぱり女性議員の方だと思います。男性議員の方々が生活実感がないというふうに申し上げているのではありませんけれども、例えば台所を預かるとか子育てをするとかそういうことが、女性がやっていくのであればそのいろんな問題を反映できるという意味で、生活実感があるので、そういう生きた生活のヒューマンな政策ができる可能性は高まるかなというふうな気もしています。
#40
○倉林明子君 女性議員を増やすということは重要だということで共感できるものだなと思いました。
 改めて、今日のテーマとの関係で、やっぱり選挙制度の問題含めて、九四年の政治改革関連法がこの間の政治に与えた影響というのはすごく大きかったなというふうに思っているわけですね。
 そこで、両参考人に議会制民主主義の実現という観点からお伺いしたいと思うんですけれども、小選挙区制がまずもたらした影響をどうお考えかということで、二〇一四年の二月に行われた本調査会に野中廣務元自民党の内閣官房長官おいでになりました。そこで、ここ数年の政治の実態は、憲法が規定し、期待するものと相当に異なったことが平然として行われていると懸念を表明されて、与党での議論と国会での野党の議論が形骸化していけば議会制民主主義は機能不全となると、今日相当危険な状態、事態ではないかと繰り返し心配を表明されたわけです。
 その後、集団的自衛権の行使容認の閣議決定がされる、圧倒的な民意の反対があったにもかかわらず安全保障関連法が強行されるということが起こっております。私は、憲法が要請する民意を忠実に執行する内閣、これと懸け離れた要因、今の実態がそうなっているんじゃないかという御指摘もあるとおりで、こういう実態をつくってきた要因の一つに小選挙区制が挙げられるんじゃないかという思いを持っておりますが、両参考人の見解を伺いたいと思います。
#41
○参考人(日野愛郎君) 御質問ありがとうございました。
 議会制民主主義を達成する上で小選挙区制を導入したと、こういう経緯であったわけですし、それから二十数年がたち、総括をする時期であるという認識も私も共感するところであります。
 様々な問題点がこの間出てきたことも認識を共有するところでありますけれども、それが選挙制度に帰するものなのかという点で、そこは完全に切って論じることはできないかもしれないですけれども、私は、様々な問題というのは、これはやはり選挙制度というよりも、政党のガバナンスに起因する問題が多くあるんであろうと考えています。
 すなわち、一九九四年に至るまでの一連の政治改革に関する議論の中で、政党も同じようにその中で、関連法案、一括法案の中の一つは政党助成法だったわけですけれども、政党が法人格として認知されたということで、その中に、政党本位の選挙と先ほども話をしていた中で、政党ということは重要な一つの、デモクラシーを、民主主義を一つ成立させるための核であるという認識はあったわけですけれども、やはりそのガバナンスの問題ということはまだまだできることが多くあるんだろうというふうに思います。
 例えば政治資金の問題もありますし、政党の中でどのように政策を練り上げていくのか、そのプロセス、例えば一つマニフェストを取っても、どのように練り上げていくのか。どのような制度、政党の中のガバナンスとして、これはヨーロッパには様々な試みが長年なされてきていますけれども、党員も含めて、何年か掛けてマニフェストを作っていくということもありますし、一度それを党大会等で承認した後はそれに縛られるという認識の下で党員といいますか代議士も行動すると。そのようなやはりガバナンスがあったと思いますし、ファイナンスの面でもガバナンスはまだまだ行き届いていないところが、私が申し上げるのは僣越ですけれども、外から見ていて思うところはあるところです。
 また、選挙制度であるかどうかということは、正直、小選挙区制というのは、先ほどちょっと私の話にもあった、様々な実証的に見てそれなりの成果があったと、小選挙区比例代表制の後の様々な政策活動に関してもそうですし、投票行動に関してもそうですし、内閣に関してもそうですし、様々な面で見て一定の成果があったという、ある程度の実証研究の下でのことは言えると思っていますので、政党ガバナンスについてもう少し考えてはどうかなということが個人的な意見でございます。
#42
○参考人(岩崎美紀子君) 小選挙区制と議会制民主主義の関係だと思うのですが、小選挙区制が議会制民主主義を形骸化しているということは、それは理論的にはないと思います。もしもそうだとすると、英国やカナダは全くのいわゆる単純小選挙区制という言葉で語られるような選挙区制です。そこでウエストミンスターモデルと言われているような政権交代が起こり、二大政党制が起こり、そして有権者の選択肢がありということなので、議会制民主主義がより反映されている、より強化されている、強化というか、より展開されているというふうに考えます。
 では、日本の問題は何かというふうに考えますと、それは、小選挙区制が機能するためには強い野党の存在が必要で、与党は常に緊張感を持って政権を運営するということが重要になります。その強い野党の存在というのは、与党の中の一体化も進めるし、それからいつ政権が奪われるかも分からないというふうに考えるし、かつ、野党を支持している方々のいろんな考え方にも配慮することになります。
 つまり、自分のところに投票した人たちだけのことを考えて、そしてそれを国民の民意と称して政治を展開するというのはそれは傲慢そのものでありまして、そうではなくて、自分のところに投票されていない人たちのところを考えながら、かつ、緊張感を持って国政を運営するということが重要なのであって、それは、日野先生がおっしゃったように、政党のガバナンスにも随分関わってくることだと思います。
 選挙制度を変えたからといって変わるものか、それとも選挙制度を動かす政党の問題なのかというのは分けて考えるべきだし、そして併せて考えるべきだと思っています。
#43
○倉林明子君 小選挙区制だけではない、今起こっている事案について、一つの要因として挙げられるんじゃないかと思っているわけですね。
 そこで、小選挙区制の導入に野党として合意した当時の河野洋平氏が新聞等に再々登場して発言されているんですけれども、二月十四日にも、この間登場されていまして、小選挙区制は政治劣化を招いたとの指摘もあって責任を感じていると言われた上で、見直した方がいいというふうに述べておられるということは注目すべきだなと思って見ておりました。同時に、日野参考人からも御指摘あったように、ガバナンスの点で政党助成金についても付言されております。同時に、河野洋平氏は、政治献金絡みの疑惑が出て政治不信が高まっているとした上で、政治資金に関わる制度も改革してもらいたい、これはおっしゃるとおりじゃないかと思うわけです。
 そこで、最後にお聞きしたいのは、両参考人にお聞きしますが、この政党交付金が日本の政治、政党に何をもたらしたのかという影響なんですね。政治改革関連法で、与党の党首ということでいうと、小選挙区制では候補者の公認権を得たと、さらに、政党交付金で選挙資金も含めて配分の権限が集中すると、こういうことになったんだと思うんですね。
 政党交付金による日本の政治、政党の変化という点で見てどうかということをお聞かせいただきたい。
#44
○参考人(岩崎美紀子君) 私は、政党交付金と日本の政治について、政治というか、考えることは、政党交付金が政党の再編というか離散集合といいますか、それを促進しているということが大きいのかなと思います。年末になったら何かちょっと永田町が騒がしくなるのはそういうことだということも何か聞き及んでおりますけれども、実態はどうか分かりませんけれども、国民の目から見て何でというのが、その政党助成金を受けるための要件を満たすためにということがあるのかなというふうに思っています。
 政党交付金は、国民がたしか一人二百五十円でしたか、それで交付されているもの、いわゆる公の資金なのですが、国民の理解はまだちょっとそこは足りないのかなというふうに思っています。自分たちのお金がそういうふうに使われていて、パイの取り合いみたいなことに使われていて、かつ、それが政界の劣化につながっているのではないかというふうに考えておりますので、国民は自分のお金がどのように使われているかということをもう少し考える必要があるのかなというふうに思います。
#45
○参考人(日野愛郎君) 政党交付金の問題でありますけれども、政党交付金というのは、これはやはり政党というのが公の存在であり、そして持続的に存在し続けて、それはもちろんいろいろ離合集散ありますけれども、その下で政党政治が行われるということでありまして、これはヨーロッパ等々でも、政党交付金というのは八〇年代、九〇年代と認められていったという流れもあります。正当化、そういう意味ではできるものだというふうに思っております。
 ただ、その条件がやはりありまして、政党交付金というのは、例えば調査立法活動、いろいろな費目がありますけれども、そのような政党の目的といいますか活動には様々なものがありますが、必ずしも当初もくろんでいたような形で全て使われているわけではないと。政党には、当然のことながら、いろんな政党が追求するものとしては、選挙なら得票であったり政策であったり公職であったりと、いろいろあるわけです。必ずしも政策型の民主政治を根付かせるというところに結び付いているかというと、そうではない。どういうふうに支出されているかということは、これはやはり完全には問われていないわけでありまして、三百十九億円ぐらいの年間支出が国庫から出ているわけですけれども、やはりそれがどのように使われるかということをもう少し注目していった方がいいんではないかというふうに個人的に思っております。
#46
○倉林明子君 ありがとうございました。
#47
○会長(山崎力君) 柴田巧君。
#48
○柴田巧君 維新・元気の会の柴田巧です。
 今日は、両参考人の先生方、本当にどうもありがとうございます。
 まず、最初に日野参考人にお聞きをしたいと思いますが、先ほどの中においても、参議院の特徴として決算委員会のことをお触れになりました。また、衆参の在り方の明確化という中で政策立案機能の充実ということにお触れになったわけですが、この特徴なり、あるいは更にこの在り方を明確化していく上で、決算委員会の審議をより充実させていくために、例えば会計検査院等を、会計検査院を参議院の附属機関にするとか、どういう具体的な、例えば決算審議を充実させていく上で手だてがあるとお考えなのか。あわせて、その政策立案機能を充実をさせる上で、例えばですが、今、政策秘書、衆参とも一名ずつですが、参議院については二名にするとか、参議院の調査室の質、量共に充実するとか、法制局も含めてですね、そういったことが政策立案機能の充実に資することになるんではないかなと思ったりするんですが、具体的にどういう手だてがあり得るとお考えか、まずお聞きをしたいと思います。
#49
○参考人(日野愛郎君) 御質問ありがとうございます。
 これは私が述べるまでもなく、参議院の諸先生方が、これまで決算委員会の活動、決算は参議院においてその早期提出並びに審議の充実ということを図ってきたということですので、私が述べることはほぼないと思いますけれども、すなわち、実際、現時点においてかなりのことがなされた結果、今があるんであろうというふうに思いますので、まずはそのことをしっかりと確認しておきたいというふうに思いますが。
 ちょっと私も、その詳しいところといいますか、その前提として、憲法九十条でやはりまず決算というものが、これは会計検査院が検査して、内閣は次の年度に出さなければいけない、検査報告とともに国会に提出しなければいけないということは定められていますし、財政法の四十条で、それが同じように、会計検査院の検査を経た歳入歳出決算を翌年度の常会において提出することを常例とするというふうにしておりますので、それに従ったことをしっかりとするということ。さらに、その常会というのが、一月からであったものが、前倒しして十一月から二〇〇三年からそれができる。二〇〇四年はちょっといろいろな事情があったようですけれども、そういう経緯がありますので、かなりそういう意味ではもう大きく変わったんであろうと。恐らく、そこの点においては衆議院よりも先に、衆議院も決算行政監視委員会ありますけれども、参議院が先んじて改革してきたことだろうというふうに認識しております。
 決算の重要性というのは、やはりその次といいますか、関連して、予算委員会といいますか、予算を組むときにどの程度それが生かされるかというところが本来の眼目であろうと思いますので、そこのところに関して、早く提出をするけれども結局ある程度時間が掛かって、次の年度の決算よりも先に最終的に終わらせなければいけない、それは実際できているということで、そのサイクル自体、スケジュールは早まったと思うんですけれども、予算を最終的に通していく、衆議院の側で通していく、参議院もそうですけれども、衆議院が中心となって、内閣が中心となって通していくというときに、どの程度それがフィードバックされているのかというところが必ずしも、予算がこれだけ膨れ上がる状況というのがこれは続いているわけでございますので、決算委員会のこの活動が最終的にどういう形で、様々な取組があったことも認識はしておりますし、無駄を省くというようなことが委員会でなされてきたということも認識はしておりますけれども、どの程度それがつながっているのかというところが、恐らくそこが一番決算委員会の活動の成果といいますか、実質的な実として最終的に結び付くところなんではないかなというふうに思っております。
#50
○柴田巧君 ではもう一点、政策立案機能の充実をするに当たっての、こういうことを充実したらいいんじゃないかとか環境を整えたらいいんじゃないかというのがあれば教えていただければと思いますが。
#51
○参考人(日野愛郎君) 先ほど少しお話ししたことともこれは重なりますけれども、議員の活動として、選挙活動としての政策立案機能ということは先ほど申し述べたところでございますが、委員会として、やはり参議院においての委員会制度というものが非常に柔軟に対応してきたと。これは改革の一環で、もちろんこの調査会ということもそうですし、それを経て新しい委員会ができたということは実際にあったわけです。委員会として機動的にテーマごとに動けるということを制度的にも、委員会ベースで少しワーキングチームプロジェクト的な、位置付けとしては委員会ではないのかもしれないですけれども、そのような仕組みが、様々な山積する問題が、新たな問題も出てくるというような状況もありますし、機動的に動けるような体制づくりということが、恐らく参議院の方が今までの実績もありますし、今後もそのような要請が更に高まるのではないかという認識をしております。
#52
○柴田巧君 ありがとうございます。
 次に、両参考人にお聞きをしたいと思いますが、今年はどうなるか分かりませんが、これまでに二度、衆参同時選挙をやりました。それぞれ衆議院、参議院、期待されるものが先ほどのお話にあるように違うとすると、基本的には別々に選挙があってしかるべきではないかと思っていますが、そのことについての御見解と、もう一つは、これは衆議院の方になりますが、我が国では総理の判断で自由に言わば解散ができるということになっています。
 実は、でも、こういうことができるのは世界の先進民主国の中では少数派、例外で、日本、カナダ、デンマーク、ギリシャぐらいなんでしょうかね。イギリスは御存じのように二〇一一年に固定任期議会法を成立をさせて総理の解散権を廃止をして、下院が三分の二の要求をすればとか、内閣不信任案が可決されてその十四日以内に下院の信任を受ける内閣が発足しない場合に解散を認められるというふうに、事実上解散権の濫用ができないように縛ったということですが。
 参議院もあり、そして衆議院がしばしば総理の思いで解散ができる、したがって一年半から二年ぐらいの間隔でこの国は国政選挙をやっているわけですが、そういったことの在り方も含めて、この解散権の濫用を縛るというか制限するという考え方、この点について、二つの質問ですが、それぞれ、岩崎参考人、日野参考人にお聞きをしたいと思います。
#53
○参考人(岩崎美紀子君) 参議院に今いるわけで、衆議院の解散についてお尋ねとはちょっと心の準備もなかなかできないんですが。
 解散がないのが参議院であるので、落ち着いてほしいというのはあります。それで、しかしながら、半数改選なので三年ごとに定期的な選挙がやってくる、そのときに衆議院の解散を合わせるかどうかということが第一の御質問だとすると、それは少し違うのかなというふうに思います。しかし、衆議院、下院の選挙と上院の改選選挙を合わせることを目的とした選挙制度を取っているのがオーストラリアですので、二つの議院の選挙を一緒にしてはいけないということではないと思うんですね。でも、任期が違っているのに合わせるということは少し違うのかなというふうに思います。
 その原因となっているのが首相の解散権ということですが、基本的には議院内閣制は内閣不信任案が議決されてから解散をするということになりますが、日本の場合はそうなっていないというのが、戦前も、議院内閣制ではありませんでしたけれども、議会とは関係なく内閣がいろいろ替わっていくということを考えると、その慣行も引いているのかなというふうな気がします。
 選挙の数と内閣の数を見ると、でも実は日本は選挙の数よりも内閣の数の方が多いというようなことになっておりまして、ほかの国は選挙の数と、内閣というかPMですね、首相の数を見るとそうなっていないというふうになっています。ですから、首相が解散権を行使しているけれども、首相の数は選挙の数よりも多いというこの現実がどういうふうに映るかということだと思います。
 首相の解散権を制限するかしないかというのは、これは各国の判断だと思いますけれども、例えばカナダは自由に解散できる方のグループに入っているというふうな、そういうふうに思われておりますけれども、それほど自由に解散はしません。
 カナダは、第一党が、選挙で一番議席を獲得した党を例えば第一党と呼ぶとすると、第一党が過半数の議席を持っていなくても単独政権を形成します。第一党が過半数の議席を持っていなければ普通は連立をするのですが、英国の例がそうですが、連立をするのですが、カナダはそうなっていません。ですから、そういうときに、内閣不信任案に近い予算の否決とかそういうのが行われたときに解散をするという意味で、同じように自由に解散ができるというふうに理解されているのだと思いますけれども、圧倒的に強い政党があって、それが解散をするというのは少し違うと思っています。
#54
○参考人(日野愛郎君) 大変難しい問題だと思います。といいますのも、衆参同日選挙、これ、実際日本というのは衆参任期がそれぞれ違いますし、解散が多い国でございますので、過去に、これは七十年ぐらいで四十八回ぐらいですか、一・五年に一回は選挙をしているような国であります。そうすると、どうしても選挙が近づいてくるとなかなか政策志向に行かない、どうしても選挙シフトになっていくという問題があって政策が進まないということも指摘されていることですし、選挙の前になると予算が大きくなるという、これは実証的に統計上も言われているようなことであります。
 そうすると、衆参同日にすることによってその周期を少しそこで調整するというような試みが出てくるわけですけれども、これはヨーロッパでも結構最近、大統領選挙と議員選挙を同じサイクルにするであるとか、ヨーロッパ議会選挙と同じようにするという、そういう試みが多くの国でなされているので、そのような考えの下でしていくということも選挙の数を減らすという意味においてはあり得るのかなと思いますけれども、その条件として、やはり選挙制度が、今のところ同じような選挙制度をしいていますので、衆参が同じような、そのときの風といいますか勢いによって同じような結果になると。
 そのこと自体、両面から捉える必要はもちろんあると思いますが、違う代表ということがしっかりと衆参でできてくれば、それは同じ日に行っても違う結果が出てくるだろうと。イタリアなんかは、上院、下院同日で、解散すると両方とも解散して同じ日に選挙しますけれども、違う結果になったりということもありますので、必ずしも同日選挙にしたから全く同じになるとは限らない。
 実証的には、同日選挙にすると、第一次的選挙と言われる政権選択の議院の投票行動に第二次的選挙、それが参議院であったり地方選挙であったりというものが影響を受けるということも言われてはいますので、様々な観点から検討する必要があるかなというふうに思っています。
 解散権に関しましては、これは先ほど私が申し上げたとおり、参議院というものがその分解散がないということが前提になっていますので、衆議院は、ある種そこは政権選択、ある種政局ということが織り込み済みであると。参議院がある種担保になっているのでそれは今許されているんだろうというふうに思いますけれども、様々な国で解散権を今ある種放棄するというような試みもなされていますので、ちょっと私は、いろいろ考えるところはあるんですけれども、確たる答えが今ないような状況でございます。
#55
○柴田巧君 ありがとうございました。
 終わります。
#56
○会長(山崎力君) 儀間光男君。
#57
○儀間光男君 ありがとうございます。
 おおさか維新の会の儀間でございます。今日は、両先生においでを賜りいろいろと御教示をいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。
 質問に入る前に、先週の本調査会でも言いましたけど、我が維新の会は、いわゆる道州制導入、地方分権による統治機構の地方への移転、それを政策の柱として今日までやってきて、まだ実現は見ませんけれど、そういうことでありまして、今日のテーマ、いわゆる二院制における参議院の役割ということにはちょっとそぐわないような感じがしないでもないんですが、政策として地方分権、統治機構の移転などを持っていることから、それを前提にして少しお話をさせていただき、また御質問をさせていただきたいと思いますが、それにはやはり我が党は、身を切る改革をしなければならないんだと。そのことについては議員の定数の大幅な削減をやるんだ、それには一院制への移行がいいのではないかと。そのことによって憲法を改正する、つまり選挙制度の在り方も変えていくというようなこと等を言っておりまして、もちろんその中には首相の国民による直接選挙、それも憲法を変えぬといけませんから、そういうことを含めて身を切る改革を進めているところであります。そういうことを前提でお許しいただきたいと思いますが。
 ここで、これも是非とも先生方に共通でお尋ねしておきたいと思うんですが、二院制の中で参議院の果たす役割、これは幾つもあるとは思うんですが、先週も申し上げたんですが、二院制の無駄が衆参に両方同時に起こっているような気がするんですね。
 例えば先議案件です。予算であるとか条約であるとか首班指名選挙であるとか、この三案については衆議院の優越権があるわけです。予算や条約においては三十日、いわゆる自然成立、あるいは首班指名選挙では十日以内なんというのがあって、これは全て衆議院が優越権を持っていて、衆議院で可決か成立がなされたらここで終わるんですね。参議院に送付されてきますけれど、参議院がどんなに熱心に議論しても、その結果が逆に否決と出た場合の事務やあるいはスムーズな行政運営のためにそういう優越権が与えられていると思うんですが。
 それであるならば、衆議院で決定されて、それが最終決定、三十日待てば自然成立というのであれば、参議院に送って参議院にまた同じような議論をさせる必然性は一体どこにあるんだろうと、こういうふうに思うんですね。
 なぜなら、私、ここへ来てまだ三年に足りないんですけれども、長年、地方議会と地方行政をやっていて、一般国民の目線からはそういうことが実に無駄に見えてしようがないんですね。一千百兆も借金を抱えていながらどうしてああいう不毛な論議をするんだろうというのが、一般国民が、国会をよく分からない原因もあるんですけれども、見る素直な気持ちだと思うんです。
 そこで、私は、二院制の中でそういう優位性を取るのであれば、衆議院の優越性のある法案については先議は参議院からして、参議院から衆議院に送付した方がいいんじゃないのかと。その方が国民はよく分かりやすく、また議論の幅も広がってくると思うんです。ということは、参議院で、いろいろ衆議院から優越性のある議案が送られてきますけれども、それに反対する例えば団体とか個人とかいろんな方が国会外で、参議院の前でシュプレヒコールをしたりデモったり、いろんな請願をしたり陳情をしたりといういろんなことがあるんですが、その願意に全く応えることができないんですよ。願意に応えられない二院制というのは私は無意味だと思っているんですね。
 だから、そういう意味では、二院制のままでやっていくのであれば、先議の在り方、逆もあっていいと思うんですね。決算が参議院先議として参議院の優越性が保証されるなら、それは衆議院から先議をやるということだっていいと思うんですが、そういうことを整理していかないというと、どうも国民から見る国会審議の在り方に無駄を感じてしようがないというようなことがしばしば起こっているんですけれども、これについて両先生ちょっと御所見をいただきたいと思いますが、日野先生からお願いをしたいと思います。
#58
○参考人(日野愛郎君) 先に定数削減の身を切る改革の話と参議院先議の二つお尋ねがあったと思います。
 参議院先議の話を少しお話をいたしますと、恐らく政策別に、例えば予算であれば、それは国の運営に関わることですのでこれは衆院が最終的に先議権を持っているわけです。最終的にそれも三十日の自然成立という条項もあるわけですので、例えば決算に関しては、先ほども申しましたとおり、これは参議院が主体的に取り組めるということで、その先議の整理といいますか、政策別に整理をしていくということは、今後の参議院が更に独自性を出していく上では十分検討の余地があるであろうというふうに感じております。
 定数削減について、身を切る改革ということで、ちょっとこれは御質問ではなかったかもしれませんが、定数削減に関しては、必ずしも日本が定数が多いということでは国際比較の中でもないという認識でおりますし、一票の較差の問題、先ほど出ておりましたけれども、やはりその定数を絞っていけばいくほど一票の較差の問題は難しくなるわけです。
 その点においても必ずしも定数削減をすることなくといいますか、一票の較差の問題をクリアしていくということにおいても、この点において定数削減するのかどうかということを引き続き検討する必要はあるんではないかなと個人的に考えている次第でございます。
#59
○参考人(岩崎美紀子君) 定数削減の問題ですけれども、身を切る改革だから議員定数を削減ということを御主張になっていらっしゃるんだと思うのですが、それは衆議院の選挙制度調査会の中でも最終的には十削減という答申に至りましたけれども、これに関してはかなりの議論が行われました。
 つまり、身を切る改革というのであれば、財政状況が厳しいというのであれば、議員の定数を削減するのではなくて議員に係る経費を削減するということで、議員さんを前にこういうことを言うのはなかなかつらいところがありますけれども、その歳費ですとか、いろんなことが言われているので、そこを減らすということがまず重要かと思います。
 なぜならば、議員の定数、議員の数というのは、国民の代表の数なので、そこをむやみやたらに削減してしまっていいということは、財政事情が厳しいから削減というのは少し短絡的かなというふうに考えています。
 それから、だから一院制にすればいいというのはまたこれも違っていて、とりわけ議院内閣制では下院が政権とほぼ一体化をしますので、そこが出してきた法案を、先ほど申し上げましたように、過熱する下院、政府の法案を冷静な目で判断する立法府の議院が必要であるというのから考えると、第二院の役割はとりわけ議院内閣制では重要になると思います。かつ、同じ法案を議論するのは無駄かといえば、そうではなくて、代表制が異なれば異なる角度から議論するのであって、それは必要なことだと思います。
 それから、先議の話ですけれども、私は、一つの議院に議決の優越権があるのであるとすれば、もう一つの議院に先議権を与えるというのは、それは考えてもいいのかなというふうな気がします。
 一つだけ申し上げておきたいことは、統治機構の在り方を変える場合に、統治機構は憲法で決まっているわけでありますけれども、それを変える前に国会法で変えることができることはたくさんあります。国会法は法律ですので、皆様がその気になれば変えることはできます。ですから、まず国会法で二院制なり議会の運営をどのように考えるかという、より良い運営にするということをまずお考えいただいて、その後で統治機構の改革というふうに考えていただくのが筋かなというふうに思っております。ちょっと僣越ですけれども、そのように考えております。
#60
○儀間光男君 ありがとうございました。
 それじゃ、もう一つ、岩崎先生に聞きたいんですが、選挙制度についての先生の御見解を賜りまして、いわゆる地域代表原則のお話がありました。
 道州制を導入することによって一院制を制度化して、一院制って衆参どっちかが解散してどっちかにまとまる話じゃなしに、両院同時に制度をなくして、同時に、これは日本国議会というかどうか分かりませんが、そういう形の一院制を求める中で、道州制を代表する議員と、地域選挙区ですか、それを代表する議員、この人たちをつくっていって、一院の機能は今持っている衆参の機能をまとめることによって先ほど言ったいろんな効率的な論議が進んでいくんじゃないか、あるいはスピードが上がっていくんじゃないか、スピード感が良くなっていくんではないかというようなこと等も考えられるのでありますが、その辺、岩崎先生、御教示をいただきたいと思います。
#61
○参考人(岩崎美紀子君) 道州制という言葉はよく使われるのでありますし、よく御主張にあるんですけれども、その内容がどうかということについてはよく分からない、言葉先行、中がよく分からないというのが私の率直な実感であります。
 私は連邦制の研究者でありまして、道州制を連邦制のように考えるのであれば地方分権のもう究極の形というふうに言えるのでありますけれども、連邦制を取らずに道州制を導入するというのは広域な自治体をつくるということになってしまいます。そうすると、それで一院制となるのかというと、どうしても結び付かないという気がいたします。仮に極めて強い道州の権限を持つような道州制にするというふうに考えた場合に、これは逆に二院制が絶対必要で、なぜかといいますと、地域が強い分だけ国の統合をやっぱり図らなければならないので、それを第二院が請け負うというふうに考えています。
 ですので、おっしゃっていることに全て反論するようで申し訳ないのでありますけれども、道州制で一院制でというのはちょっとどうかなというのが、これは私の率直な意見です。
 失礼いたしました。
#62
○儀間光男君 先生、ありがとうございました。
 今、僕ら、我が党、そういうのを活発に議論しておって、あちこちでいろいろな意見を聞きながらやっているところでしたから、大いに参考になりました。私も少し反論の議論をしてみたいと思います。
 それから、日野先生、ちょっとお尋ねしたいんですが、最近よく衆議院の方々からこういうことを聞くんですよ。特にあの安保法制、集団的自衛権をきっかけに、もし仮に衆議院の解散中に国家が大変な事態になるとき、果たして参議院だけでこの国家を任せてよいのだろうかと。その場合、選挙を一時中止して既成の、既成というか、辞めた、元の議員でもってもう一度みなし議会をつくらせて、そこでやるべきであるという議論が何か盛んに聞こえてくるんですが、その辺に対する御見解いただけませんか。
#63
○参考人(日野愛郎君) ありがとうございます。
 これはお話の中で述べませんでしたが、参議院の一つの役割というのは、衆議院が解散している間に残っているということがまずはあります。イタリアのように上下両院解散、同日にしているというような状況とは違いまして、これは岩崎先生の御論文の中にも明確に述べられているところでありますけれども、立法府が残っているということはこれは非常事態においても重要なことでありまして、そのことは参議院の一つの役割であろうと思います。
 内閣は当然その間も、内閣に関しては、行政府と立法府はそこは分けて考える必要がありますけれども、衆議院に関しては解散をしておりますので、その後また、任は解かれているという状況でありますので、その点は参議院の一つの役割として明確にしておきたいというふうに思います。
#64
○儀間光男君 ありがとうございました。
 衆議院の方が、自分たちがいなければ国家運営は参議院に任せられないと。何のために六年制にしたかということの意義がどうも理解されていなくて、憲法でそれ書き加えろというような乱暴なことを少し言い出しておりますから、その辺に向けての牽制と反論をつくろうと思っており、あえて尋ねさせていただきました。
 ありがとうございました。時間ですから、終わります。
#65
○会長(山崎力君) 山本太郎君。
#66
○山本太郎君 ありがとうございます。生活の党と山本太郎となかまたち共同代表、山本太郎と申します。
 両先生方、大変貴重な御意見ありがとうございました。大変勉強になります。是非、引き続き中学生でも山本太郎でも分かるように説明していただけると助かります。よろしくお願いいたします。
 両先生に同じ質問をさせていただきたいと思います。
 今年の参議院選挙から十八歳から選挙権という話になっていますけれども、私は、立候補をできる権利、被選挙権という部分、これも十八歳からにすべきじゃないかなというふうに思うんですね。
 世界を見ていても、十八歳までに被選挙権を与えているという国は五十か国を超えると。もう本当に、オーストラリア、オランダ、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェーとか、名立たる国々がもう被選挙権引き下げているという状況だと。若い世代が、投票するだけじゃなくて仲間から立候補者が出るということは、すごく政治に対して関心も深まる、そして選挙運動に参加するという機会も増えていくと思うんですよね。若者の投票率も向上するんじゃないかと。
 現在は、参議院議員と都道府県知事の被選挙権三十歳から、衆議院議員や地方自治体の議員、市区町村長の被選挙権二十五歳からとなっていると。基本的権利として被選挙権は選挙権と同じ十八歳からとして、後は有権者がその判断と選択というのを投票で示すというのが最も分かりやすいんじゃないかなと思うんですけれども、先生方、いかがお考えでしょうか。岩崎先生からお聞かせ願えますか。
#67
○参考人(岩崎美紀子君) 私も、被選挙権を選挙権と同様の十八歳に下げるということについては賛成です。ただし、全て十八歳から、選挙権は全て十八歳になりますけれども、全ての選挙、日本は六種類の選挙を行っていますけれども、その選挙全てを十八歳の被選挙権にするかというと、これは少し考えるべきだと思っています。
 とりわけ、国の二つの選挙であります参議院と衆議院の選挙では、先ほど最初に参議院の出発点を御説明したときに、被選挙人の年齢の違いを衆議院と参議院の違いにするということが立法趣旨にありましたので、第二院としての冷静さというのを保つのであれば、やはり衆議院よりも少し上の被選挙権年齢の方が適切かと思います。
 しかし、衆議院については同じ年齢にしても構わないのかなという気はしておりますので、基本的には、政治の参入を、投票だけではなくて実際に立候補できるかどうかというところまで考えるということはよいことだと思っています。
#68
○参考人(日野愛郎君) 御質問ありがとうございます。
 被選挙権を十八歳、少なくとも選挙権と同一にするかどうかということで考えますと、やはり一つのそのときのメリットとしては、政治参加が、十八歳の選挙権引下げに関してもそれは政治参加ということが若いときからということで言われていますので、その点に鑑みてそれは十分検討に値するだろうというふうに認識しております。と同時に、三十歳と二十五歳という、参議院のこれまでの経緯としての被選挙権が高いということは、やはり伝統的に人物本位といいますか、良識の府、有識者というようなことで参議院が構成されているということもありますので、必ずしも年齢でそれを体現するというか、そこだけで何か表すものではないとは思いますけれども、それを継続する何らかの施策といいますか、それは先ほど申し上げたような選挙制度の代表の在り方の考え方というところで恐らく補完できるところだと思いますので、今までのいい伝統はそういう意味では引き継ぐような形で補完しつつ、若者の、若年層の政治参加を促進していくということが必要なのではないかなというふうに考えております。
#69
○山本太郎君 ありがとうございます。
 もう一つ、これ改めなきゃいけないだろうと私が強く思っている部分が供託金の問題なんですよね。
 参議院選挙、衆議院選挙では、選挙区は三百万円、比例代表は六百万円の供託金が必要と。参議院の場合だったら、政党要件のない政治団体、市民が例えば選挙に参加するとかいう形になると、十人以上の候補者を立てなきゃ比例代表選挙に参加することもできないと。単純に十人で計算しても六千万円ですもんね。これエントリー費用ですよね。入場料だけで選挙区で三百万、全国比例という形だともうとてつもない、桁が変わるという。そのほかにも、何ですかね、選挙運動費用というものが掛かってくる。もう何千万円、広い選挙区だったら億ないと厳しいんじゃないかというような状況だと思うんですけれども、これ余りにもあり得ないよなと思うんですよね。ちょっと、ある意味既得権益化させてしまっている原因の一つになるのかなと。一般の方々が選挙に参加しよう、政治に参加しようというふうに一歩踏み込むのにはかなりハードルを上げてしまっている部分なんじゃないかなと思うんですけれども。
 少なくとも供託金、これ現在の十分の一以下ぐらいになったらいいのにな、国民、市民の政治参加、若者の政治参加のチャンスをそうやって増やしていくことが大切なんじゃないかなと思うんですけれども、先生方はいかがお考えでしょうか。次は、日野先生からお聞きしてもよろしいでしょうか。
#70
○参考人(日野愛郎君) 大変重要な点を挙げていただいたと思いますが、日本というのは供託金が国際比較の中でも異常に高い国であるということは、これは御承知のとおりだと思います。
 供託金、これは先ほどの政党助成法の話とも絡んでいまして、結局、一旦議席を得ている、政党要件を満たしている、政党助成金をもらえるというところまで行くと、恐らく供託金もある程度その辺り変わってくるんだと思いますけれども、全く何もないところから参入するというときには物すごく大きな障壁になっています。
 私、新しい政治勢力がどのように政治過程に参入していくのかということをイギリスの大学院で博士論文を書いたときに研究していたものですから、この供託金がいかに高いかということをよく認識しておるところでありますが、健全な意味での新しい社会からのニーズでありますとか新しい政治勢力というものをどのように政党システムの中に取り込んでその中で統合していくかと、こういう問題を、ある種、制度的には非常に難しくしている要件だと思います。したがって、供託金は、これは恐らく私は引き下げた方がいいというふうに考えております。
 ちょっと政党助成法の話と、またそこは切り分けて論じなければいけないところもあると思いますが、取りあえず、私の答えとしては以上とさせていただきます。
#71
○参考人(岩崎美紀子君) 立候補するにはやはりある程度の覚悟が必要だと思われますので、そういう意味では、供託金というお金の形でその覚悟を示すかどうかというふうなことになっているのかなというふうな気がいたします。
 そういう意味で、全く必要でないかというと、そうではなくて必要だと。必要というよりは、あってもいいものだとは思っています。供託金払ったからといって、それ全部没収されるわけではなくて、一定の得票があれば戻ってくるわけですので、これも、政治に参入するというか立候補、議員となる、首長でもそうですけど、そういう政治家としての覚悟を示すという意味では重要かなと思っています。
 しかしながら、やはり日本の供託金はかなり高いというのは、これは私もそう思っています。それが、供託金が必要かどうかというふうな、あるかないかの議論に結び付くのは大変危険だと思っていますので、供託金を下げることについて、これは是非、国会の先生方が自らその供託金をお払いになって、戻ってきて、議員になっていらっしゃるわけですので、これは是非議会で議論してほしいと思っています。
 なぜかと申しますと、外から見て高いだの安いだの言っていても、実際に法律を変えるのは立法府のメンバーの先生方ですので、それを真摯に受け止めてどうなのかということを考えていただきたいと思います。この高いと言われている供託金をそのままにしていいのだというふうになってしまうと、それは新規参入を阻んでいるのかというふうな永田町世界のとりでの一つというふうに思われても仕方がないので、十八歳の選挙権年齢になったことも含めて、少し活性化という意味で、供託金を引き下げるという議論を是非行っていただきたいというのが私の期待であります。
#72
○山本太郎君 ありがとうございます。
 是非活発な議論というのを、これ、与党側にとっても野党側にとっても高いものは高いですものね、これはね。もうちょっと下がっていった方が皆さんのお財布にも優しくなるのかなというふうに思うんですけれども。
 政治にはお金が掛かると。政治と金の問題という部分で、この選挙というところがまずそのハードルを上げてしまっているというのがすごく強くあると思うんですね。
 企業からの献金、ここで癒着が生まれたりとかすることを鑑みて、政党助成金みたいな、先ほど岩崎先生の方からもお話がありましたけれども、コーヒー一杯分、二百五十円というところをお一人お一人からいただくという政党助成金というものにつながっていったという話もあるんですけれども、これも、例えば選挙にもっとお金が掛からないという形になれば政党助成金というものも減らしていける、その先にはひょっとしたらなくしていけるという可能性も出てくるかもしれませんものね。
 次は、ちょっと日本のこととは少し違うんですけれども、両先生とも外国の制度について参考資料ででも非常に詳しく書かれておられるので伺いたいと思うんですけれども、現在、アメリカの大統領選挙が行われていると。民主党のバーニー・サンダース上院議員がアメリカの選挙制度、政治制度について、余りにも巨額の選挙資金、政治資金が必要じゃないか、そんな状況になっていると。候補者がウォールストリート、大企業からの巨額の政治献金なしには活動ができなくなっている状態に対して政治革命を訴えていることがアメリカの九九%の人たち、特に若者の大きな支持を集めているという状況なのかなというふうに思うんですね。
 見てみると、二〇一二年度だけでも、例えばオバマ、ロムニー、両候補が投票日までに費やした金額は合わせて二十六億ドルと。一千億超えですか、それぞれに使っているような状況だと。アメリカの大統領選挙と上下院両院選で選挙運動につぎ込まれた総額が六十億ドルにも達していると。すごい金額ですよね。ちょっと日本の比じゃないのかなとは思うんですけれども。
 逆にですけれど、私、アメリカの若者だったりとか九九%の人たちに対して、日本の政党助成金制度みたいなもの、例えば投票数とか議員数によって交付金が公平に配分されているというこの政党助成金制度が今アメリカに必要なんじゃないかなと勝手に思ったりするんですけれども、両先生方の御意見お伺いしてもよろしいでしょうか。
#73
○参考人(岩崎美紀子君) アメリカの大統領選挙がお金が掛かるというのは確かだと思います。全ての州を回っているわけですから、それは巨額なお金が掛かります。しかしながら、それが草の根のいろんな意見を肌で感じることができるので、お金が掛かるからということと、そのまさに現場で歩いていくということは同じことになるのかなというふうな気がしています。
 政党助成金みたいなものを、交付金ですか、その助成金をアメリカに入れたらどうかということですが、アメリカの政党制は日本の政党制のようになっていません。下院選挙で選挙区に相当するところに政党の支部みたいなものがあるんですけれども、支部というよりは事務所があって、そこがマシンとして動いているわけであります。大統領選挙の年だけまるで政党があるように出てくるわけで、共和党だの民主党だの言っていますけれども、常にその政党が存在しているわけではなくて、議院の方の共和党ですとか民主党はありますけれども、ちょっと別なんですね。
 それはもう大統領制を取る国では、大統領の政党と議会の政党は違ってきているので、そういう意味で、議院内閣制における政党助成金とは少し違ってくるのかなという気がします。ですから、余りアメリカの政党に政党助成金をというのは少し考えにくいかなと思っています。
#74
○参考人(日野愛郎君) ちょっと明確なお答えができるか分からないですけれども、アメリカの場合はやはりヨーロッパで言われるような政党と違う、岩崎先生が今おっしゃったとおりで、政党助成金というのは、その政党というものが実体があって、職員が多くいて、政策立案等にお金が使われるということがやはり大前提になりますので、実体がないものにお金をというようなことはなかなか難しいんであろうと思います。
 ともすると選挙戦にお金が掛かってしまうというところの、政治とお金というか、選挙キャンペーンにお金が掛かるという点はまた別の論点でありまして、それを制限するべきであるとか、全くしないべきであるか。企業献金等々、個人献金もありますけれども、その点はまた別の意味で議論する必要があるんだろうというふうに認識しております。
#75
○山本太郎君 ありがとうございました。終わります。
#76
○会長(山崎力君) 古賀友一郎君。
#77
○古賀友一郎君 自由民主党の古賀友一郎でございます。
 私は、参議院選挙における一票の較差の問題から、その切り口から二院制の在り方について改めて伺ってみたいと思います。
 周知のとおり、日本国憲法は、その制定過程で紆余曲折はあったにせよ、二院制が維持されるということになったわけでありますが、GHQとの交渉という特殊なプロセスがあったということで、結果として、先ほど来御指摘があっているような中途半端な制度になったように思えるわけであります。
 まさに岩崎参考人が御指摘されたような話でありますけれども、憲法は、その四十二条で二院制を定めておきながら、四十三条では両院とも同じ国民代表原則を採用したということで、先ほど岩崎参考人は二院制を否定するというような表現まで使われたので驚いたわけでありますけれども、そういったことで、その存在意義が同じような院が並立してしまっているということで、私もそのことがこの一票の較差の問題に影を落としているなと、このように思うわけであります。
 こうした条文上の矛盾、抵触といいますか、これを以前の最高裁は一票の価値を多少犠牲にしてでもこの衆参の合憲判定基準を違える解釈を行ってきたというわけでありますから、かつて参議院については較差六倍を超えたときだけ違憲状態だったというわけですね。
 そういうことで、最高裁は都道府県単位の選挙区割りの中で参議院を事実上地域代表原則に沿った院のように扱ってきたということで、我が国の二院制に解釈を入れて意味を持たせてきたと、このように私は見ております。これは最高裁のバランス感覚といいますか、条文の不備と言っては言い過ぎかも分かりませんけれども、そういった条文上の問題を解釈で補ってきたということだと思うんですね。
 ところが、近年の最高裁は、この一票の較差について、ちょっとしゃくし定規とも言えるような態度を示してきているというわけであります。直近では四・七七倍でも違憲状態とされておりまして、これ、裁判所、明言こそしておりませんけれども、あたかも衆議院選挙と同じように較差を二倍以内に収めなければいけないようにも聞こえる、そういった判決を出しているわけです。このことによって、先ほど来の合区ですね、合区の導入を余儀なくされたというのは、もうこれは周知のことなわけでございますが。
 そこで、両参考人に伺ってみたいことは二点ございまして、一点目は、こうした最高裁の態度の変化、これがなぜ起こったのだろうかと、なぜ起こったかというふうに見ておられるかと、その辺の両参考人の見方を御教示いただければと思います。
 そして、二点目は、こうした最高裁の態度の変化をどのように評価をしておられるかということであります。つまり、憲法を改正していないのに解釈を変えることによってその運用を変更するということについては、御案内のとおり、さきの国会で非常に大きな問題になったわけであります。こうしたことは非常に記憶に新しいわけですが、この一票の較差の問題に関する最高裁の解釈変更については世論も余り注目をしていないわけでありまして、その辺について、これは非常に重大な解釈の変更だと思うんですね。その割には余りその辺に注目を集めていないというのはちょっとどうかなと思いまして、そういった最高裁の態度の変化ということに対して両参考人がどのようにお考えなのかをお聞かせいただければと思います。
 以上です。
#78
○参考人(岩崎美紀子君) 最高裁はなぜ態度を変化させたかということについて、私はもうまるで答えは持っていません。それは最高裁に聞かなければ分からないことだと思います。
 ただ、一つ言えるのは、それまでは五倍程度でも合憲だという判決が出ていますし、六・何倍というときでも違憲判決が出なかったのは、その前に選挙制度を変えているからなんです。選挙制度というか、何増何減という形でもう定数の配分を変えているからで、その立法府の姿勢を評価したから六・何倍でも違憲は出なかったということがあります。
 そのように、参議院には地域代表的な性格があるからというのは、ずっと最高裁はそのように判断してきたから、衆議院よりも較差が大きくても違憲判決は出してこなかったんだと思います。
 しかし、憲法をベースに提訴されれば、それは立法趣旨をベースに答えるというのはもう限界があると思うんですね。かつ、一票の較差訴訟は、これはもう毎回毎回、そして一つの選挙区だけではなく、全体の選挙区で毎回毎回、衆参両院に提訴されるようになってきました。提訴する側がいる限り裁判所は判断をします。その場合に、提訴する側が憲法をベースに提訴するのであれば、憲法に違反しているから選挙無効であるというふうな訴訟を提起、提訴するのであれば、それに対して司法は答えるので、日本は憲法裁判所がございませんので、提訴されたことに関してのみ司法は答えることになります。
 そうすると、もうその憲法ベースからいくと四倍とか五倍以上というのは少し認め難いので、でも立法府に戻していますよね、ちゃんとその選挙制度を考えるようにというふうに。憲法は立法府に選挙制度をつくることを委任しているので、立法府がちゃんと考えてほしいというふうな警告は出していると思います。
 ですので、最高裁が選挙制度を変えろと言うのは少し踏み込み過ぎたような気もしますけれども、しかし、変えなければやっぱり違憲判決が出るぞということのぎりぎりのところだと思いますので、これは今後より甘くなるようなことはないというふうに考えておかれた方がいいと思います。
#79
○参考人(日野愛郎君) 御質問ありがとうございます。
 一票の較差の問題ですが、これは私の意見陳述の冒頭で述べた様々な指標があるうちの一つでありまして、その指標をどう評価するかということ自体が両院の在り方という視点から見ないことには評価できないということを申し上げました。
 一票の較差というのは、これは最大、最小の一票の較差を取り上げているわけですけれども、ちょっと私はそういう意味では政治学者なので法学者とその点では違うところかもしれませんが、選挙制度全体で見るような指標というものも一票の較差に関してはあります。私が事前にお配りした、お届けした文献の中にその点書いておったところでございますが、選挙制度全体としてどの程度均等に、その最大、最小のところ以外はどうなっているのかと、二百九十五であれば二百九十五どうなっているのかということを考えなければいけないという視点もあるかと思います。
 少しその一票の較差の問題が大きく取り上げられ過ぎているということが言えるかどうか分からないですけれども、いろんな視点で選挙制度見られる中の本当に唯一、一つの、その中の幾つもある中での一つの指標だという視点は恐らくないと思われますので、最高裁、態度の変化に関しては、恐らくその両院の在り方という解釈自体がやはり変わっているからこそ、小選挙区、衆院と近いような形で参院が捉えられているということも背景にはあるのかもしれないです。やはり、両院の在り方、存在意義ということを明確にすることによって、一票の較差問題に関しても違った見方が恐らくできるんではないかなというふうに私は考えております。
#80
○古賀友一郎君 ありがとうございました。
 両院の在り方を明確にすべき、だからこそ憲法をきちんと整備すべきだと、このようになってくるんじゃないかなと思います。
 私は、国民代表原則にしても、あるいは地域代表原則にしても、いずれも二院制における上院の役割というのは、やはり下院が党派的な激突の場であるのに対して、上院は良識の府であるというところに大きなやっぱり存在価値があるのかなと、このように思っていまして、現に帝国憲法改正の第九十回帝国議会ですね、金森憲法担当大臣はそのように何か答弁されておられるようですね。
 そういったこともありますが、なかなかそれは言うはやすく行うは難しということで、例えば岩崎参考人がおっしゃった地域代表原則を取って、かつ、良識の府とするための選挙制度の在り方、選抜制度、選出制度の在り方ですね、これについてはどういう在り方があるんだろうかというのをお伺いしてみたいと思うんですが、ちょっと時間の関係もございますので、これは岩崎参考人にお願いできればと思います。
#81
○参考人(岩崎美紀子君) 地域代表制にするといったら必ず選挙制度となるわけですけど、先ほど私が申し上げましたように、必ずしも直接選挙じゃなくてもいいというふうに考えています。
 それとは別に、第二院が良識の府であってほしいというのはこれは国民の願いだと思います。下院が党派政治の修羅場というか、そこになるわけでありますので、つまり、参議院に期待するとすれば政党なり党派抗争から距離を置いた議論ができるかどうかということだと思います。議員の選び方をどうするかということで、これはもう比例代表制を取ってしまえば政党ベースになることは分かっていますので、それはそれで変えるということもあるかもしれませんけれども、選ばれた議員の先生方それぞれが、政党のロジックではなくて第二院の議員であるというロジックで動いていただけると、良識の府というか、先ほどの独立性、中立性、識見、専門性ということに期待する、これはもう私としては本当は制度で論じたいわけでありますけれども、これはもう属人的なところに期待するということになるのかなというふうに思っております。
 お答えになるかどうか分かりませんけれども、良識の府として是非参議院がサバイバルをしてほしいなというふうに思っております。よろしくお願いします。
#82
○古賀友一郎君 もう制度を超えた話だということのようですね。
 日野参考人は、先ほど、推奨される制度として、人物本位の選挙制度ということで、変動型の拘束式名簿の比例代表制という話がございましたが、これは確かにそうかも分かりませんけれども、やはり党派的な争いになるのはもう前提ですので、これによって、何というんですか、人物本位、政策本位のハウスになるかどうかということについてどうお考えなのかを最後にお伺いして、終わりたいと思います。
#83
○参考人(日野愛郎君) 変動型にしてもそうですし、現在の非拘束名簿式の中でも、その意味においては、政党が獲得した議席の中で誰がその議席を埋めるのかという点においては同じような状況にあると思います。拘束名簿式との違いでいいますと、やはり非拘束名簿式にしないと、どうしても選挙戦自体が活性化しないと。名簿によってある程度決まってしまいますので、そのような意義もあるんだろうと思います。
 したがって、拘束名簿式の、ある程度の政党の考えということが前提としつつ有権者の最終的な判断といいますか、有権者の選考もその中に反映させていくというのが、ある種、正反合といいますか、両方ともやはりいいところがありますので、完全に有権者に委ねるということは、それ自体有権者が判断するのでそれで正しいというところもありますけれども、継続してやはり、適切な言い方が難しいですけれども、まさに政策本位の人物が選ばれ続けるということも重要だと思いますので、そのような仕組みがあるとすれば、やはりある程度政党の考えということも反映されてもいいであろうと。
 とはいえ、やはり有権者も最終的にそこで関わっていくということも重要だろうと思いますので、政党を選ぶということと人を選ぶということを両方とも兼ね備えた選挙制度ということが恐らく、これが唯一ということではないですけれども、今後検討しておく必要があるんではないかなというように考えております。
#84
○古賀友一郎君 終わります。
#85
○会長(山崎力君) 他に御発言はございませんか。──他に御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑を終了いたします。
 岩崎参考人及び日野参考人におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見を賜りまして誠にありがとうございました。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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