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2016/02/17 第190回国会 参議院 参議院会議録情報 第190回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第2号
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2016/02/17 第190回国会 参議院

参議院会議録情報 第190回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第2号

#1
第190回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第2号
平成二十八年二月十七日(水曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月十六日
    辞任         補欠選任
     島村  大君     大野 泰正君
     水落 敏栄君     石井 正弘君
     大野 元裕君     西村まさみ君
     前川 清成君     野田 国義君
     石川 博崇君     新妻 秀規君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         赤石 清美君
    理 事
                岩井 茂樹君
                大沼みずほ君
                高橋 克法君
                藤田 幸久君
                柳澤 光美君
    委 員
                石井 準一君
                石井 正弘君
                大家 敏志君
                大野 泰正君
                木村 義雄君
                伊達 忠一君
                中泉 松司君
                藤川 政人君
                松山 政司君
                三宅 伸吾君
                相原久美子君
                礒崎 哲史君
                大久保 勉君
                西村まさみ君
                野田 国義君
                羽田雄一郎君
                杉  久武君
                新妻 秀規君
                辰巳孝太郎君
                小野 次郎君
                山田 太郎君
                藤巻 健史君
                又市 征治君
                谷  亮子君
   副大臣
       外務副大臣    武藤 容治君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        松井 一彦君
   政府参考人
       外務省国際協力
       局長       山田 滝雄君
   参考人
       独立行政法人国
       際協力機構理事
       長        北岡 伸一君
       独立行政法人国
       際協力機構理事  伊藤 直樹君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○政府開発援助等に関する調査
 (参議院政府開発援助調査に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(赤石清美君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、水落敏栄君、島村大君、石川博崇君、大野元裕君及び前川清成君が委員を辞任され、その補欠として石井正弘君、大野泰正君、新妻秀規君、西村まさみ君及び野田国義君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(赤石清美君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会に外務省国際協力局長山田滝雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(赤石清美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(赤石清美君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会に独立行政法人国際協力機構理事長北岡伸一君及び同理事伊藤直樹君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(赤石清美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(赤石清美君) 政府開発援助等に関する調査のうち、参議院政府開発援助調査に関する件を議題といたします。
 本日は、平成二十七年度参議院政府開発援助調査派遣団参加議員の方々から各十分程度御意見を伺った後、六十分程度委員間の意見交換を行いたいと存じます。
 御意見を表明していただくのは、第一班のインド、マレーシア、ベトナム社会主義共和国については高橋克法君、第二班のジブチ共和国、エチオピア連邦民主共和国、マダガスカル共和国については大野泰正君、第三班のアルゼンチン共和国、パラグアイ共和国については西村まさみ君、第四班のパラオ共和国、ミクロネシア連邦については石井正弘君です。
 なお、御意見を表明される際は着席のままで結構です。
 それでは、まず、第一班の高橋克法君からお願いいたします。高橋克法君。
#8
○高橋克法君 ODA調査派遣第一班について御報告いたします。
 当班は、昨年十一月二十九日から十二月八日までの十日間、インド、マレーシア及びベトナム社会主義共和国に派遣されました。派遣議員は、井原巧議員、安井美沙子議員、矢倉克夫議員、そして、団長を務めました私、高橋克法の四名でございます。
 なお、派遣国のうちマレーシアにつきましては、インドの次に訪問する予定でありましたが、十二月初旬のインド南部タミル・ナド州における大雨被害の影響により、同州チェンナイから当初の日程どおり移動することができませんでした。このため、マレーシアでの案件視察等はやむなく中止し、インド及びベトナムの両国において、我が国のODA案件の現状と課題につき現地調査を実施したほか、援助関係者や日本企業関係者と意見交換を行ってまいりました。
 本日は、調査を通じて得られました所見を中心に、その概要を御報告いたします。
 まず、インドについて申し上げます。
 第一の所見として、インフラ及び投資環境の整備を更に推進する必要性を指摘したいと思います。
 インフラ整備については、今回、デリーメトロを視察いたしました。同メトロ建設の効果は、自動車台数の削減によって、デリー首都圏の交通渋滞や大気汚染の緩和への寄与にとどまらず、多様な好影響をもたらし、ODAが効果的に活用されていることを認識できました。現在、デリーメトロの建設に携わった人々が、インド国内の他都市のみならず他国のメトロ建設現場へも指導に赴いており、日本の技術や労働文化の波及効果が大いに期待されております。
 また、女性が安心して公共交通機関を利用できるようにするための環境整備、本邦企業の省エネ技術である電力回生ブレーキの導入によるCO2削減への貢献、鉄道事業では世界初のCDM、クリーン開発メカニズム事業としての国連への登録等に鑑みれば、開発協力大綱に盛り込まれている質の高い成長にも資するものであると考えられます。
 デリーメトロの運賃は極めて低廉で、より多くの人々が利用しやすい料金設定となっております。現在二〇%を占めている車両運行以外の収入が更に増加し、財政基盤が安定するよう、我が国の技術支援をより強化していくことが重要であります。
 投資環境整備につきましては、チェンナイで、タミル・ナド州投資促進プログラム等について同州のシャンムガム財務省次官と意見交換を行いました。
 同プログラムは、州政府の取組につき、各年度に達成すべき政策アクションの進捗を借款の支出に結び付けてモニタリングを行うことにより、投資を促進する政策、制度の改善を促すもので、画期的なスキームと評価できます。次官からも感謝の意が表明され、ODAの効果が確実に現れていることを認識できました。今後、同様の投資促進のためのスキームがより多くの地域で導入されるとともに、各事業の円借款供与額の規模増大が期待されます。
 また、日本企業の円滑かつ着実なインド進出が実現されるよう、ODAの効果的な活用による支援の実施や官民連携の推進が求められます。
 なお、インフラ整備につきまして補足いたしますと、派遣団がチェンナイを訪問した際、記録的な大雨が降り、都市の不良な排水機能によって冠水した道路や空港、非常につながりにくくなった携帯電話など現地の都市インフラの脆弱さを実体験し、インフラ整備の重要性を改めて認識いたしました。我が国は災害対策も含め、多くの知見と高度な技術を有しておりますが、価格競争の面では諸外国に比べ厳しい立場に置かれております。今後のODAの実施に当たっては、一見、値段が高く見えるものの、実際には、使いやすく、長持ちし、そして環境に優しく災害の備えにもなり、長期的に見れば安上がりであるという質の高いインフラの概念について、被援助国の理解を得られるよう、広報活動等のより一層の努力が望まれます。
 第二の所見として、無償資金協力の実効性の最大化及び適正規模の確保の必要性を指摘したいと思います。
 今回、無償資金協力により新たな総合外来棟を建設中のチェンナイ小児病院を視察いたしました。
 病院内は老朽化が激しい上に、清潔とは言い難く、診察に必要な十分なスペースも確保できておらず、期待される機能を十分に果たせておりませんでした。かかる状況を目の当たりにして、新たな総合外来棟の建設には大きな意義があることを確認できました。また、過去に無償資金協力で供与した医療機材によって乳幼児死亡率が激減したとのことで、実施されたODAが現地の医療サービスの向上に貢献したことも確認できました。
 総合外来棟の完成により、外来機能の向上が見込まれますが、支援の効果を最大化するためには、完成後に施設が適正に維持、管理されることが望まれます。
 また、この無償資金協力で医療機材の供与も予定されておりますが、現地の説明からは、シミュレーション機材を始め、医療サービスの質の向上に必要なものが不足していることがうかがえました。医師、看護師の能力向上は最終的に多くの現地住民に対する裨益効果を増大させると考えられます。無償資金協力の援助規模決定に当たっては、援助実施機関が果たすべき役割等を考慮した上で適正規模が確保される必要があるのではないかと考えます。
 第三の所見として、本邦における研修等の重要性及び研修生の受入れ体制の強化の必要性を指摘したいと思います。
 今回、環境教育等の取組を視察するために訪問したアグラ市内のセント・アンドリュース校や、さきに述べたチェンナイ小児病院において、研修等のために日本を訪問した際の経験談や、それに基づく現在の考え、希望を伺いました。
 これを踏まえ、本邦研修のような機会を利用して現地の関係者が実際に日本を訪問し、我が国の高度な設備、技術や行動様式、価値観等に触れて新たな知見を得ることによって、具体的に現状の改善点を考えられるようになることや、周囲への指導を含めた波及効果が大いに期待されると言えるでしょう。我が国の経済協力の実効性の更なる向上のため、研修生の受入れ体制の強化を検討する必要があると考えます。
 次に、ベトナムについて申し上げます。
 第一の所見として、インフラ整備事業の円滑かつ迅速な実施及び国際機関との緊密な協力の必要性を指摘したいと思います。
 国別援助方針における重点分野の一つである成長と競争力強化では、幹線交通及び都市交通網の整備の支援が挙げられていることを踏まえ、同国では、道路建設事業や都市鉄道建設事業を中心に視察をいたしました。
 サイゴン東西ハイウエー建設事業では、ベトナム初の河川横断トンネルの完成により、それまで全く進んでいなかったサイゴン川の対岸地区の開発が少しずつ進んできたとの説明を受け、道路整備の効果の大きさを改めて認識いたしました。さらに、同ハイウエーは、南北高速道路と接続し、利便性の高いものとなっておりました。これらの道路が有効に利活用され、ベトナムの経済成長に資することが期待されるとともに、維持管理も適切に行われていくことが望まれます。
 南北高速道路建設事業については、一部区間の工事は進行しているものの、同区間に接続予定の別区間は未着工で、進捗に差が付いております。工事の遅れにより、ホーチミン市内やベトナム南部地域の経済成長促進や国際競争力強化が阻害されることが危惧されます。
 事業実施の遅れの点では、ホーチミン市都市鉄道一号線の建設工事も遅れが発生しております。日本政府においては、事業の進捗に明らかな遅れがある場合には、その原因を調査し、必要に応じて相手国政府等に対し事業の早期実施を促すなどの働きかけを行う必要があると考えます。
 加えて、さきに述べた二本の南北高速道路とも、アジア開発銀行、ADBとの協調融資によるもので、事業の性質に応じて分担されておりました。今後も、ADBを始めとする国際機関との緊密な連携を図り、対ベトナム経済協力の効果を最大限に高めていくことが期待されます。
 第二の所見として、優れた製品、技術等の普及に向けた中小企業等の支援の推進について申し上げます。
 今回、ホーチミン市農業ハイテクパークにおいて、中小企業海外展開支援事業である内城土壌菌を活用した漁業残渣を通じた環境問題の解決と持続可能な循環型第一次産業モデル形成の普及・実証事業を視察いたしました。同事業は、ベトナムの環境問題の解決に資するのみならず、食の安全性の確保にも役立つなどの好循環を生み出し得るもので、大きな可能性を秘めていると感じました。
 中小企業等の海外展開支援事業の実施に当たっては、中小企業等のニーズや現地で直面している課題等を丁寧に調査するなど、きめ細かな支援を行うことにより、我が国の優れた製品や高い技術の普及が実現されることが期待されます。
 最後になりますが、今回の調査に御協力いただきました訪問先の皆様、内外の関係機関の皆様に心から感謝を申し上げ、報告といたします。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(赤石清美君) ありがとうございました。
 次に、第二班の大野泰正君にお願いいたします。大野泰正君。
#10
○大野泰正君 座ってやらせていただきます。
 第二班の報告書ですが、ちょっと長く書き過ぎましたので途中はしょりますが、お許しいただきたいと思います。
 それでは、始めさせていただきます。
 ODA調査派遣第二班について御報告させていただきます。
 当班は、昨年十二月六日から十二日間、ジブチ共和国、エチオピア連邦民主共和国及びマダガスカル共和国の調査に参りました。ジブチ及びマダガスカルは、ODA調査として初訪問国でありました。
 派遣議員は、石田昌宏議員、小川敏夫議員、そして、団長を務めさせていただきました、私、大野泰正の三名であります。
 派遣の概要につきましては、お手元に配付されております参考資料を御覧ください。また、本日は、現場に伺った肌感覚を含め、その概要を報告させていただきたいと思います。
 まず初めに、開発協力に対する信頼確保とODAに対する日本国民の理解促進の重要性について指摘をしたいと思います。
 今般参りました三か国は、いずれも日本に対し極めて好意的な国民感情を有しておりました。その背景には、我が国の開発協力に対する地道な努力があり、その成果の積み重ねが開発協力に対する今日の信頼を生み、その信頼が我が国への親近感を育む大きな要因になっていることは間違いありません。
 こうして築いてきた信頼という貴重な財産は、今後、日本とアフリカとの関係を発展させていく大切な礎となるものであります。近年、中国などの台頭もあり、日本の存在感の低下も指摘されておりますが、このような土台を生かしていかに関係を発展させていくかが今後の我が国の大きな課題であります。
 そのためには、我が国として、質の高い開発協力に更に注力するとともに、日本の開発協力が各国においてどのように役立ち、感謝、評価されているかについて国民の皆様により一層御理解をいただく努力を行っていくことも重要であると考えます。
 国民の理解促進という観点から、ジブチの沿岸警備隊に対する支援について御説明させていただきたいと思います。
 これは、ジブチ沿岸の安全確保のため、巡視艇の供与及び海上保安能力拡充のための技術協力を行っているものであります。昨年は、沿岸警備隊の充実強化と我が国自衛隊との連携強化などによる懸命な努力により、強力な抑止力が働き、その結果、ソマリア沖・アデン湾における海賊等の発生件数はゼロ件となっております。しかしながら、ソマリア国内の貧困など、海賊事案発生の根本原因は解決していないことに加え、対岸イエメンから多くの避難民が流入するなど、更に深刻な事態も生じております。我が国による支援の意義を考える上で、海賊等事案の発生が数字上はゼロになっても、ジブチにおいて対処すべき様々な課題が解決したわけではないことを今後とも日本国民の皆様に十分に説明し、今後の援助に対する理解を得る必要があると考えます。
 次に、開発協力の効果的な実施のための課題について指摘したいと思います。
 対象国が抱える様々な開発課題に対する協力が最大の効果を上げるためには、当該国の実情を踏まえた計画的、戦略的な対応が重要となることは言うまでもありません。
 インフラ整備や設備、機材等の供与においても、それがオーバースペックになっていないかを含め、対象国の真のニーズに対応したものであることが求められているのは当然であり、また、その後の運用や維持管理が対象国において持続的に行うことができるものでなければ支援の効果は限られたものになってしまいます。
 この意味では、ジブチにおける沿岸警備隊に対する支援のように、無償資金協力による巡視艇の供与とその運用等を含め、技術協力による沿岸警備隊の能力拡充プロジェクトを組み合わせ支援を実施することは、開発協力の効果を高める上で非常に有益な取組であると感じました。
 次に、エチオピア干ばつ被害への対応について指摘をさせていただきます。
 エチオピアでは、エルニーニョ現象の影響等により過去三十年間で最悪の干ばつ被害に見舞われており、二〇一六年には一千万人を超える人々が食料援助を必要とすると見込まれております。今般の調査では、同国ティグライ州を訪問し、深刻な被害の実情とともにWFPによる食料支援の実情を視察させていただきました。
 とりわけ、被害の中で脆弱な立場に置かれる子供や女性に焦点を当てた支援の必要性については、ここで改めて強調しておきたいと思います。
 また、今般視察を行った食料援助の配給現場では、被援助者リストをきちんと整備していたこと、さらに、コミュニティーのために働いた者にはその働きに応じて配給量を多くするなど、少しでも被援助者の自助努力を促進しようとする取組が行われていたことは大変印象に残りました。
 国際機関を通じた支援は、日本として顔の見えにくい支援となる面はあるものの、その経験、ノウハウの活用によってより効果的な支援が行えるという利点があることも改めて確認できました。
 なお、干ばつ被害に対する対応としては、食料援助のほか、被害の発生を事前に予測し早期の対応を可能とする気象予測システムや被害を最小限に抑えるための農業技術指導、さらには国際的な気候変動への対応など、多面的な取組が必要であり、被害予防体制の前進が図られることを期待したいと思います。
 次に、教育に対する支援の重要性について指摘を行いたいと思います。
 今般の調査では、ジブチにおいて貧困層が多数居住する地区に初めて建設されたフクザワ中学校を、またマダガスカルにおいては教室の増設を行ったナニサナ高校を視察いたしました。
 いずれの学校でも、私どもの訪問を生徒さんたち始め職員さんや地域の方々が感謝の気持ちを込めて笑顔いっぱいに歌やダンス等を披露して歓迎してくださいました。それぞれの生徒が目を輝かせて学校生活を送っている姿が今も大変強く印象に残っております。
 教育は、一人一人の能力を育み、その未来を切り開くとともに、その国、社会全体の成長、発展につながるものであります。途上国における我が国の教育支援の意義は極めて大きいと考えます。また、その国の未来を担う子供たちが日本に対する関心を高めてくれることは、我が国との交流の人的基盤をつくっていく上で非常に重要であり、教育者の相互交流も含めた支援を今日まで以上に拡大していただけたらと強く感じた次第であります。
 次に、国際協力を担う人材の確保に関し、指摘を行いたいと思います。
 今般の調査では、青年海外協力隊員のほか、国際機関の邦人職員さんやJICA関係の皆さんと、また現地で活躍する日本企業の関係者の皆様と懇談する機会をいただきました。
 国際協力を担っていける人材をいかに確保していくかは今後の大きな課題であり、今後とも、青年海外協力隊員に関しては、特に厳しい条件のアフリカ地域においては、派遣地での安全とともに生活環境の確保、さらには帰国後の就業支援の充実等に一層取り組んでいただくことを要請したいと思います。
 また、日本は、国際機関への財政貢献の大きさに比べ、その邦人職員数が少ないことが指摘されています。国際機関で働く邦人職員は、国際機関の活動をモニタリングするという意味でも意義があり、また、国際機関において重要なポストを占める邦人職員が増えるほど、その意思決定に対する我が国のプレゼンスが高まります。エチオピアにおける懇談では、国際機関に対する拠出金の支出に関し戦略的拠出方法を推進し、邦人職員の昇進を後押しするなどの対応が重要との指摘もなされていました。外務省でも、そのための取組は徐々に進んできてはおりますが、更に推進していくことが今後の我が国にとって大変重要であると考えます。
 次に、我が国企業の海外展開について御報告させていただきます。
 アフリカ地域は、過去十年でも平均六%の成長と目覚ましい経済発展を遂げていますが、日本企業の進出は余り進んでおりません。
 今後、日本企業のアフリカ展開に向けた取組を更に積極的に進めていくことが求められますが、幸い、今般訪問した三か国は、これまでの開発協力を背景とした我が国に対する信頼関係に加え、エチオピアでは国を挙げて取り組んでいるカイゼン・プロジェクトもあり、日本企業進出に堪え得る土壌は、地理的要因はあるものの、整いつつあると感じました。
 最後に、本年はTICADYがアフリカで初めて開催されることを踏まえ、新たなアフリカとのパートナーシップのために、今回の調査を踏まえ提言させていただきます。
 今般の三か国の調査において常に目にしたものは、とりわけインフラ整備等における中国のプレゼンスの大きさでありました。
 アフリカ地域が貧困削減等の大きな開発課題を抱える中で、国際社会としてその支援が広がることは望ましいことでありますが、我が国は、今日までも、これからも、人間の安全保障、自助努力支援等の考えの下、高度な技術に係る協力や、これまでの経験を踏まえた日本の良さを生かしたきめ細かな支援をより一層推進していくことが必要であります。
 また、アフリカでは人口の六割が農業に従事していますが、質の高い成長の支援とともに、その成長を農村部にも波及させる取組の重要性もより一層高まっていることを強調しておきたいと思います。
 そして、今回初めてアフリカに訪れたことで地勢的にも実感したことは、中国の新シルクロード構想の海路部分の要衝が今回調査したジブチを始めとするいわゆるアフリカの角と呼ばれる地域であり、その戦略的重要性についてであります。今回の調査で、私は、今後、日本として、インド洋沿岸地域の包括的な安全保障戦略の必要性を強く感じました。是非、環インド洋の安全保障戦略の中でのODAの在り方も含め、今後の進め方を考えていただきたいと思います。
 以上が第二班が調査から得られた所見であります。
 終わりに、今回の派遣に当たり御尽力いただいた外務省及び在外公館を始めとし、出会った全ての皆様、そして、どんな状況にも私どもを寝食を忘れてサポートしていただいた院の職員の皆様に改めて心から感謝を申し上げ、報告とさせていただきます。
 ありがとうございました。
#11
○委員長(赤石清美君) ありがとうございました。
 次に、第三班の西村まさみ君にお願いいたします。西村まさみ君。
#12
○西村まさみ君 ODA調査派遣第三班について御報告いたします。
 当班は、昨年十月二十一日から十月三十日までの十日間、ODA調査派遣として初訪問国となるアルゼンチン共和国及びパラグアイ共和国に派遣されました。
 派遣議員は、団長の松山政司議員、鶴保庸介議員、そして私、西村まさみの三名であります。
 訪問国のうちアルゼンチンは、南米地域の主要国で、既に第三国への支援が可能な国であります。他方、パラグアイは、インフラ整備や格差の是正が課題であり、同じ南米地域にありながら支援対象国としての性格が大きく異なる両国を同時に訪問することで、有意義な調査を実施することができました。
 さらに、今回、両国に共通して強く印象に残ったのは、日系社会の存在であります。日本との強いきずなとなっている日系人、日系社会が、相手国との二国間関係にあって重要な役割を果たしていることを再認識いたしました。
 それでは、調査派遣を通じて得られました所見につきまして、その概要を御報告いたします。
 最初に、アルゼンチンについて申し上げます。
 日本の対アルゼンチン経済協力は、現在、技術協力及び草の根・人間の安全保障無償資金協力を中心として実施されています。
 今回の調査で視察した国立農牧技術院の花卉研究所は、そもそもJICAから移管されたものでありますが、JICAにより技術協力が続けられてきています。中南米地域における花卉園芸研究の中核的存在である同研究所は、我が国ODAの効果が顕著に現れた模範的な例であると言えます。この研究所が今後も地域の最先端の技術を維持するために、日本の大学や研究機関との連携継続、強化について側面から支えていくべきであると考えます。
 また、対アルゼンチン経済協力の重点分野として環境保全が掲げられています。我が国ODAで実施した技術協力、イグアス地域自然環境保全計画プロジェクトにおいては、日本の専門家による適切な技術協力により、国立公園や保護区の管理が継続して行われていることが確認されました。
 このような技術協力により、日本の技術、知識がアルゼンチンの発展の担い手に伝わり、その担い手がアルゼンチン社会の核として中心的な役割を果たすならば、やがてはその実績が日・アルゼンチン関係の深化に結び付くことが期待されます。ほかの新興援助国も現れる中で、これまでの成功してきた日本の技術協力を途絶えさせることなく、更にその財産を生かすためにも、今後もアルゼンチンとの協力関係を維持、継続することが重要であります。
 日本とアルゼンチンの両国間においては、二〇〇一年に締結された日本・アルゼンチン・パートナーシップ・プログラムに基づき、第三国への支援、すなわち三角協力が推進されております。アルゼンチンのフェラリス外務副大臣からは、日本が三角協力のパートナーとしてアルゼンチンと連携していることについて光栄であるとのお話もいただきました。
 アルゼンチンを開発パートナーとする第三国への三角協力支援は、日本の持つ技術協力のノウハウが、アルゼンチンの持つ中南米諸国への結び付きを通じ発展的に活用されることにより、日本と中南米諸国との関係強化につながる有益なものであると言えます。充実した三角協力実施のため、アルゼンチンにおける新政権発足を契機に、日本とアルゼンチンの国際協力実施機関同士の関係構築を更に強化し、相補性を高めていくことが期待されます。
 次に、パラグアイについて申し上げます。
 パラグアイにおいて、我が国の無償資金協力により建設された文化施設、パラグアイ・日本・人造りセンターでは、六部門の研修コースのほかに日本文化コースも実施されているなど、一九八八年に開設されて以来、パラグアイにおける人材育成の拠点となっていることが確認できました。ただし、日本文化コースの茶道、着付け等に使用されている和室の畳など、パラグアイ国内では調達できない備品については経年劣化の形跡が見られました。充実した研修を継続するためにも、我が国の援助関係者が適切に助言し、きめ細かい補修の努力を促す必要があると思います。
 パラグアイ環境庁の下部組織である環境情報センターの庁舎は、二〇一五年二月に完成し、真新しい研究室、資料室等において、既に研究員や職員が業務を遂行しており、森林の適切な保全、管理に向け、有効に活用されていることが確認できました。ただし、施設建設に当たっては、内陸国であるパラグアイの国内事情を勘案しつつも、我が国が提供するのにふさわしい施設となるように、設備、備品及び機材について、性能のみならず、メーカーやその製造国が適当なものであるかどうかといった点についても留意すべきであります。
 これら施設建設など、ハード面における支援のほか、パラグアイの若年人口の多さから考えると、今後のパラグアイ社会を担う人材を育成していくことこそが同国の発展に結び付くものであることは、日本から同国に派遣された専門家やボランティアとの意見交換を通じて確信したものであります。
 日本―パラグアイ職業能力促進センターにおいては、工場新設や設備更新において必要な電子技術分野の専門技術者を育成しております。日本の専門家が直接学生を教えるのではなく、短期大学の教師を養成することで、技術協力終了後もその技術の伝達が維持、拡大される狙いがあります。このセンターの成果は、パラグアイ側から大変高い評価を得られていることによって証明されておりますが、こうした職業訓練に併せ、日本への留学の機会が提供されるならば、更に効果的、効率的な人材育成が達成できるのではないかと考えております。
 また、派遣団は首都アスンシオンの郊外、セントラル県ルケ市に所在する学校を訪問し、草の根無償スキームにおいて増築された教室を視察しました。対象校では、教室不足のため、図書室や食堂で授業が行われていましたが、本事業によって教育環境が大きく改善され、このことは地域住民からも大変喜ばれておりました。
 学校を訪問した際には、歌やダンスによる生徒主催の歓迎会が催され、生徒たちから今回の視察先の中でも最も大きな明るい歓迎を受けました。実際に増築された教室を使用している生徒たちの将来の夢を聞いてみると、経営学、経済学、そして、医学を学びたいとの声がありました。はっきりと将来の展望を持っていても、本当にその道に向かって進もうとしたときに、きちんとした教育が受けられる環境が整っているのかといえば、現状では大変難しいと言わざるを得ないかもしれません。
 パラグアイの将来を担う子供たちの教育については、引き続き経済協力の最重要分野であると言えます。教室増築などの環境整備だけでなく、教育機会の拡充など人間開発としての教育への支援も併せて考えていくべきだと思いました。
 次に、アルゼンチンとパラグアイの両国に共通していること、すなわち歴史的に培われてきた日系社会について御報告申し上げます。
 南米では、ブラジル、ペルーに次ぐ三番目の規模となるアルゼンチンの日系社会は、これまでの長年にわたる努力の結果として同国の人々から多大な尊敬を獲得しており、こうした日系社会の存在は、今後とも日本とアルゼンチンとの関係の大きな懸け橋の役割を担うこととなると思います。
 二国間の関係の更なる深化のためにも、我が国はアルゼンチンの日系人、日系社会を支えていく必要があります。今回、視察したブエノスアイレスの日亜学院は、非日系人にも開かれた学校としてブエノスアイレス市や地域からも高く評価されており、また、アルゼンチンにおいて日本語で対応できる唯一の診療所であるニッカイ共済会診療所では、対象を非日系人にまで広げるなどの経営努力を続けています。このようにアルゼンチンで活躍されている日系人やその関連施設について、日本政府が今後も継続して側面から支えることの重要性をここに指摘したいと思います。
 パラグアイにおいては、日本人の入植は一九三六年に始まり、本年二〇一六年は日本人移住八十周年という節目の年を迎えました。同国の日系人は、大豆の不耕起栽培技術を導入し、その生産量が世界第六位になるまで成長させるなど、農業分野の発展に大きく貢献してきました。
 今回の調査派遣で、JICAが設立した四つの移住地のうちイグアス移住地を訪問し、製粉工場や農家を視察して同移住地の現状を確認するとともに、パラグアイにおける日系社会の位置付け等について移住地の日系人との意見交換を行いました。
 イグアス移住地においては、一九八〇年代後半から大豆を主力とする畑作が進められ、現在では移住者、日系人の営農はおおむね安定しております。そして、パラグアイにおける日系人、日系社会は、全体として同国の発展と進歩に貢献していると評価されています。今後も、パラグアイ社会に深く根付いた日系人、日系社会は、距離的に遠く位置する日本とパラグアイの二国間の関係緊密化に重要な役割を果たすであろうことを確信いたしました。
 引き続き、日本政府が、パラグアイの移住者、日系人支援を強化し、充実したものになるように努めるべきものであります。
 アルゼンチンとパラグアイの両国において、これまで努力を重ねられてきた日系人が、現地の国民から尊敬され、信頼されていることを実感し、現在、外務省においては、海外移住や海外における邦人に関する業務は領事局の政策課が所掌しており、また、中南米局は日系人招聘の業務を行っていますが、日系人、日系社会に関する施策それ自体を横断的に所管する組織はありません。今後、時の経過とともに、世代交代が進むにつれて生じるであろう日系社会の新たな課題に対し、日本政府としても適切に対応していく必要があり、こうした日系社会の成熟に合わせ、また、日本との強いきずなとなっている財産を生かすべく、日系人、日系社会に関する施策を総合的に取りまとめる組織の新設を考える時期が来ているのではないでしょうか。
 最後に、今回調査に御協力いただきました視察先の皆様、外務省及び現地の在外公館、JICAやボランティア、専門家の皆様、日本企業及び日系人の皆様に対し、心からの感謝を申し上げ、私からの報告を終わります。
#13
○委員長(赤石清美君) ありがとうございました。
 次に、第四班の石井正弘君にお願いいたします。石井正弘君。
#14
○石井正弘君 ODA調査派遣第四班について御報告いたします。
 当班は、昨年十二月十三日から二十一日までの九日間、パラオ共和国及びミクロネシア連邦に派遣されました。大洋州地域への派遣は、平成二十年度のフィジー諸島共和国、現在のフィジー共和国及びツバル以来二回目であり、両国へのODA調査派遣は初めてであります。
 派遣議員は、団長の赤石清美議員、長浜博行議員、辰巳孝太郎議員、そして私、石井正弘の四名であります。
 以下、今回の調査を通じて得た所見を中心に御報告いたします。
 まず、パラオ共和国について申し上げます。
 第一に、サンゴ礁と海洋生態系の保全対策であります。
 パラオ共和国では、豊かな自然環境を利用した観光開発が経済発展の主軸であり、観光開発の大部分がサンゴ礁を利用した活動に依存しています。しかし、近年、急速な観光開発や気候変動等によってサンゴ礁生態系への悪影響が深刻な問題となっております。
 派遣団は、二〇〇一年一月に、アジア太平洋地域におけるサンゴ礁研究の拠点として我が国の無償資金協力によって建設されたパラオ国際サンゴ礁センターを視察いたしました。同センターのゴルブーCEOとの意見交換においては、近年のCO2ガスの増加による海水の酸性化と海水温の上昇によってサンゴ礁への悪影響が懸念されているが、どのような地域でどのようなサンゴ礁が影響を受けているのかを詳細に調査することにより今後の海洋生態系の保全対策に役立てたいこと、パラオにとって観光業が重要な産業となっていることに鑑み、ダイビングやシュノーケリング等がサンゴ礁生態系に与える影響についても研究を行うこと等について見解が示されました。
 我が国といたしましても、パラオ共和国のサンゴ礁と海洋生態系の保全に向けて、JICAボランティア等を通じた技術協力とサンゴ礁のモニタリングを両国で連携して長期的に実施していくことにより、そこで得た成果をアジア太平洋地域におけるサンゴ礁生態系の保全に生かすことが重要であると実感いたしました。
 第二に、情報通信インフラ整備の必要性についてであります。
 パラオ共和国は観光立国であり、日本からの観光客も毎年多数訪問しておりますが、情報通信インフラの整備が著しく遅れており、パラオ国民はもとより、海外からの観光客にとっても深刻な問題となっております。例えば、携帯電話による日本への国際電話料金が一分間八百八十円と世界的に見ても非常に高額であり、さらに、スマートフォンやタブレットをホテルなどで利用する場合も、インターネット等の通信環境が極めて悪いため、接続に時間が掛かる上、通信速度も非常に遅い状況にあります。この点について、レメンゲサウ大統領からは、情報通信インフラはパラオ共和国が最も遅れている分野の一つであるが、現在、アジア開発銀行から融資を受け、フィリピン―グアム間の海底ケーブルに接続するプロジェクトを検討していること、早ければ二〇一七年に海底ケーブルへの接続が完成する見通しであるとの見解が示されました。
 我が国はアジア開発銀行に対する最大の拠出国となっておりますが、アジア開発銀行の融資を通じてパラオ共和国の情報通信インフラが改善されれば、観光客の利便性が向上するだけではなく、ひいてはパラオ共和国における教育や医療など多方面での貢献が期待できるだけに、我が国といたしましても、その動向を注視しつつ、必要な支援を行っていくべきと考えております。
 次に、ミクロネシア連邦について申し上げます。
 第一に、脆弱な財政構造の改善と経済発展についてであります。
 ミクロネシア連邦は、政府歳入の約五割を米国からの自由連合協定、コンパクトに基づく財政支援が占めるなど、脆弱な財政構造となっております。現在は、二〇〇三年五月に締結された改定自由連合協定により、二十年間、毎年九千二百万ドルの財政支援を米国から受けることとなっております。しかし、二〇二三年を間近に控え、同国の財政問題の解決が大きな課題となっております。この二〇二三年問題について、クリスチャン大統領及びロバート外務大臣からは、現在の世界経済の中でミクロネシア連邦の将来について悲観的な見方もあるが、米国からの支援や日本を含めたドナー国からの支援を引き続きお願いしたいとの要望が寄せられました。
 ミクロネシア連邦が財政的な自立を図るためには、歳出の効率化や税制改革といった財政構造改革が必要ですが、それに加え産業育成による経済発展が不可欠であります。今後は、農業、漁業、観光業を中心とした経済的な自立に向けて、国内産業の育成や外国投資を促進することが必要と考えます。我が国といたしましても、ミクロネシア連邦の財政的な自立と経済発展に向けて、様々な形で支援を継続していくべきであります。
 第二に、同国内の重要な海上輸送手段となっております貨客船問題であります。
 ミクロネシア連邦は、約六百の島と環礁が散在しており、円滑な人の移動や生活物資の入手、保健医療サービスの利用等のため、安定的に運航される船舶の存在が不可欠となっております。我が国は、ミクロネシア連邦政府からの要請を踏まえ、無償資金協力により、一九九八年にキャロライン・ボイジャー号を、二〇一五年にミクロネシア・ナビゲータズ号を提供いたしました。
 派遣団は、ウィルバーガー運輸・通信・インフラ大臣の案内の下、この貨客船二隻を視察いたしました。十七年前に供与したキャロライン・ボイジャー号につきましては、耐用年数の半分以上を経過しており、多くの機材で不具合が生じ、維持管理に多額の費用が掛かっていること、一方、新たに供与したミクロネシア・ナビゲータズ号につきましては、最先端の設備を完備しており、定員数や客室環境も大幅に改善をし、定期運航が可能となったとの説明を受けました。
 両船とも、人の移動を始め、日常の生活物資、建設資材、災害時の緊急物資の運搬など多目的に利用されており、ミクロネシア連邦における安定した海上輸送手段といたしまして大きく貢献している様子を見ることができました。また、大臣からは、キャロライン・ボイジャー号が廃船になるときには新たな三隻目の貨客船を日本に要請したい旨の要望が示されました。
 我が国は現在、大変厳しい財政状況にはありますが、貨客船二隻が同国の安定した海上輸送と国民生活に大きく貢献している実情を踏まえ、政府といたしまして、しかるべき時期に適切に判断されることを期待したいと思います。
 次に、両国の共通の課題となっております教育、医療、廃棄物処理の問題につきまして、順次御報告をいたします。
 まず、教育問題についてであります。
 両国の教育制度は、小学校八年間、高校四年間の計十二年間となっており、大学はなく、唯一短期大学があるのみであります。小学校、高校教育においては、教員の指導力や知識が乏しいことが多く、理数系教科の生徒の学力の低さが課題となっております。
 派遣団は、パラオ共和国において、教育省及び小学校二校、ミューンズ小学校及びペリリュー小学校を視察するとともに、ソアラブライ教育大臣、校長及びJICAボランティアとの意見交換を行いました。教育省に派遣されている上野シニアボランティアとの意見交換では、算数教育の問題点として、授業はパラオ語、教科書やテストは英語で行うため知識の定着が難しいということ、高校卒業後、資格や経験がないまま教員になるため指導力が不足していることなどが取り上げられました。こうした算数教育の現状を是正するため、教員向けの算数研修や算数の計算ドリルなどの作成を行っているとの説明を受けました。この後、派遣団は、小学校二校の教育現場を訪問し、青年海外協力隊員の指導の下、算数の計算ドリルが使用されている授業現場などを視察をいたしました。
 一方、ミクロネシア連邦では、日程の都合上、小学校を訪問することはできませんでしたが、クリスチャン大統領との意見交換において、ミクロネシア連邦は、実質的な支配国等の変遷により三回使用言語が変わったため、教育システムが他国と比べ遅れているとの説明を受けました。
 算数、数学を始めとした基礎教育の充実は、途上国において貧困を削減し、社会経済の発展に不可欠なものであります。我が国としても、引き続き、JICAボランティアの派遣を通じ、教員への指導と生徒の学習方法の改善を行い、両国における教育の質の向上に更に取り組んでいくべきであります。
 次に、医療問題であります。
 両国が抱える医療問題は、国内において高度な保健医療サービスが提供できないため、困難な手術を必要とする患者は国外に治療を受けに行かなければならないということ、近年、糖尿病などの生活習慣病対策が必要となっていること、医療機器の老朽化が進んでいること、国内に大学医学部がないため優秀な医療人材の確保に苦労していることなどであります。
 派遣団は、病院長及びシニアボランティアの案内の下、パラオ国立病院とポンペイ州立病院を視察いたしました。両病院長から、日本の草の根無償資金協力による最新機器の導入に関する要望が寄せられました。また、両病院との意見交換を通じて、糖尿病の合併症など生活習慣病による通院や手術の事例が多くなっていることから、定期的な健康診断システムの導入が不可欠であり、予防医療や食生活の改善の必要性を強く実感いたしました。
 また、両国とも、重篤な患者は国外の病院で治療を受けるため航空機で移動せざるを得ず、患者に掛かる肉体的、経済的負担が過大となっております。そのため、両国においては、国内に大学医学部を設置することや海外の大学で教育を受けた優秀な医師、看護師等の医療人材の確保策を検討することにより、両国民が自国内で適切な保健医療サービスを受けられるよう更なる努力を行うとともに、我が国としても、草の根無償資金協力やJICAボランティア派遣などを通じて、医療機器の整備や医療人材の育成などに向けて必要な支援を継続して行っていくべきであります。
 最後に、廃棄物処理問題であります。
 両国は、主要な産業がないことや生活様式の近代化により、食料を含む生活物資の多くを輸入品に依存するライフスタイルが定着し、ごみの発生量が増加する一方で、その処理に必要な体制の整備が遅れている現状にあり、ごみ問題の解決が深刻な社会問題となっております。
 派遣団は、パラオ共和国においてコロール州廃棄物リサイクルセンター(パラオ共和国)を、ミクロネシア連邦においてポンペイ廃棄物最終処分場を視察いたしました。
 パラオ共和国については、藤コロール州アドバイザーによる熱心な活動により、飲料容器のリサイクルを通じて国民の意識を変革させるとともに、有機廃棄物のコンポスト化をコロール州の事業として定着させたこと、また、ミクロネシア連邦については、JICAの技術協力プロジェクトを通じて廃棄物の埋立てに低コストの福岡方式を導入し、ごみの量の減少とメタンガスの抑制に大きく貢献しております。いずれの取組も両国の廃棄物処理問題について成果を上げており、高く評価できます。
 一方で、ごみの分別回収については、とりわけミクロネシア連邦において進んでいないのが現状であります。我が国としても、両国におけるこれまでの取組について引き続き積極的な支援を行うとともに、今後の課題として、ミクロネシア連邦におけるごみの分別回収に向けてどのような支援が可能かを検討する必要があると考えます。
 最後になりますが、今回の調査に御協力いただいたパラオ共和国及びミクロネシア連邦の政府、議会関係者、視察先、NGO及び日本企業関係者、外務省本省、在外大使館、総領事館、JICA本部、海外支所、JICAボランティアの皆様に対し、心から感謝を申し上げ、派遣報告を終わります。
 ありがとうございました。
#15
○委員長(赤石清美君) ありがとうございました。
 以上で意見の聴取は終わりました。
 これより意見交換に入ります。
 本日は、外務省から武藤外務副大臣及び山田国際協力局長に、独立行政法人国際協力機構から北岡理事長及び伊藤理事に、それぞれ御同席をいただいております。発言に対して回答をお求めになる場合には、派遣に参加された委員に対してだけでなく、御同席をいただいている方々に対してお求めいただいても結構です。
 発言を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を待って御発言ください。
 また、回答をされる方も挙手をお願いいたします。
 なお、発言は全て起立してお願いいたします。
 それでは、発言を希望される方は挙手をお願いします。
 又市征治君。
#16
○又市征治君 社民党の又市です。
 各班とも、貴重な調査、そしてただいまの報告ありがとうございました。
 様々お聞きしたいことはたくさんあるんですが、時間が余りないということでありますから、第一班の高橋さんにベトナムの関係についてお伺いをし、外務省の方にもお伺いをしたいと思います。
 このベトナム政府というのは、大変親日的であり、経済面だけではなくて政治的にも、とりわけ外交政策において日本と同一歩調を取るというケースが多々ある、こういうふうに聞いておるわけでありますけれども、その一方で、ベトナムは名前のとおり社会主義共和国なわけでありますから、価値観を共有しているというわけではない、こんなふうに思うんです。
 そこで、行かれた、そして接した方々を通じて、その人々は本当に日本という国をどのように受け止めているというふうにお感じになったのか、まあ政府要人と直接やったわけではないでしょうからあれでしょうけれども、例えば、ODAなどを通して有力な経済支援の国家だという受け止め方なのか、あるいは、今日言われるように、対中国の関係で側面から支援をしてくれる有り難い国だというふうに受け取る向きが多いのか、それとも違うのか、そこらのところの率直な感想をまずはお伺いしておきたいと思うんです。
 二つ目に、これは外務副大臣にお伺いしたいと思うんですが、先月末にベトナム共産党第十二回大会が行われて、この大会の人事で、大変親日家でありそして改革派と言われてきたズン首相が失脚をしたと、こういうふうにマスコミでは伝えられております。
 今回の人事によって直ちに何か日本とベトナムとの関係がどうこう変わるということは、これは考えられませんけれども、外務省として、このズン首相の退陣、チョン書記長はそのまま続行ということのようでありますけれども、今回の人事というものをどのように受け止めておられるのか、その評価についてもしあればお伺いしたいことと、あわせて、今後の日本とベトナムとの関係におけるODAを含んだ様々な諸課題、こういったものをどういうふうにお考えになっているのか、その幾つかの代表例、挙げていただければと思います。
#17
○高橋克法君 又市委員にお答えを申し上げます。
 派遣団としての率直な感想、感覚ということでよろしいということでありました。
 私どもがやっぱり一番よく感じましたのは、当然ODA等で支援をし、ハード、例えばベトナムでいえば高速鉄道であり高速道路であるわけなんですけれども、ハードを造っているんですが、実際にはその現場における日本人的なというか、日本的な現場管理の仕方であるとか工事に対する考え方であるとか、そういったものに対する評価は非常に高い、工程管理も含めてですね。そういう意味で、非常に日本に対する現地の方々の信頼は高いということを感じましたし、これは実際問題として、日本がODAで支援をして日本の企業が造った高速道路、それから他国の企業が造った高速道路、これ実は比較を、純粋に比較できるんです、現物ありますので。それが、明らかに日本の支援で日本企業が造った高速道路というのが非常に品質も含めてすばらしいのがもう一目瞭然で分かるということも、ベトナムの国民の方々は見ていますので、そういう意味では日本に対する信頼は非常に高いということを肌で感じた次第です。
 もちろん、又市先生おっしゃるように、根本的な国の統治に関する考え方は、ベトナム社会主義、正式名称は何でしたっけね、共和国ですから、そこは違うのかもしれませんけれども、私どもが感じたのはそういうことであるということを御報告させていただきます。
#18
○副大臣(武藤容治君) 又市先生にお答えをする前に、今回、このODA特委に当たりまして、世界にまたがりまして、各四班、それぞれの先生方には、大変な貴重なお時間を賜り、そして日本のある意味では代表として現地の細かいところを御視察いただきましたことに心から感謝と敬意を申し上げたいとまず思います。そして、私どもも、今ODA大綱を見直しして一年、しっかりとこれからもやっていかなきゃいけない中で、先生方のこの貴重な提言につきましても今後とも大変深く参考にさせていただきながら進めさせていただくことをこの場を借りてまずもって申し上げます。
 そして、今、又市先生からベトナムのお話をいただきました。ベトナムの今回のズン首相の失脚ということでございますけれども、一応お辞めになられたという認識でございまして、その後フックさんがなられたというふうに聞いていますけれども、私も、この外務省へ入る前、総務大臣の政務官として、昨年、フック副首相のときにお会いをさせていただいております。かといって、ベトナム直接担当ではないんですけれども、そういう大きな影響はないんだというふうに認識をしております。
 そして、ベトナムとの課題でございますけれども、ある意味、メコン地域の主要国の一つであるということもございまして、地域の発展の牽引役として重要な役割を果たしているということは私どもも承知をしております。私の岐阜県の地元からも多くの企業がベトナムには中小企業を中心にもう今進出をしておりまして、私も去年総務省のときに伺ったときにも、これは国家監察省の仕事で向こうから招待を受けて行きましたけれども、ある意味でベトナムが大きく政治を変えようとしていると、いわゆる資本主義とかそういうことじゃなくて、ある意味で自由社会を目指して、非常に活発化を目指して今頑張っておられるということを肌で感じさせていただきました。そういう意味におきましては、我が国とも大変これからも緊密な関係を維持していきながら、更に関係を密にしながら発展しなきゃいけない、そういう立場であるというふうに思っております。
 幾つかの課題と申し上げましたけれども、地域間の格差、あるいは急速な経済成長に伴う環境破壊とか、こういった課題が存在していると承知をしております。ベトナムが持続的に成長し、そして投資環境の改善に貢献しながら、現地に進出する日本企業にも裨益するということだろうというふうに思っています。メコン地域全体の発展や連結性強化にも資するということで、今後とも引き続き支援をしてまいりたいというふうに思っています。
#19
○又市征治君 ありがとうございました。
#20
○委員長(赤石清美君) ほかに。
 辰巳孝太郎君。
#21
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎です。
 派遣第一班の方にお聞きしたいんですけれども、まず最初にインドなんですが、目覚ましい発展を遂げているんですが、派遣報告には余り触れられていなかったので、インドの抱える現状として格差と貧困のことについて少しお聞きしたいんです。
 インドは、いろんな特殊性といいますか、カーストの名残があるというふうにも聞いておりますので、実際に現地に行かれてそういう格差や貧困を目の当たりにされた上で、もし何かお感じになったことがあれば派遣議員の方にお聞きしたいのと、それと、どのようにその貧困に対して日本のODAが援助をしているのか、また、もし分かれば、インド政府がそれらの貧困に対してどういう取組をしているのかということも分かれば教えていただきたいと思います。
 それと、もう一点はベトナムについてなんですけれども、私もベトナムに行ったことがありますが、公害問題、たくさんのバイクがあるというのはよく写真でも見ますけれども、公害問題があるんじゃないかというふうに思っております。
 そこで、日本がインフラ整備などで協力するというのもあるんですが、公害については日本が対策については先進国であるというふうにも認識しておりますので、ODAまた並びにNGOも含めて、環境問題、公害問題の対策についてどのような援助や協力というのを、これはベトナムに限ったことじゃないかもしれませんが、協力があれば教えていただきたいというふうに思います。
#22
○高橋克法君 辰巳委員にお答えを申し上げます。
 私どもが調査をしたというその範囲内でのお答えにしかならないかもしれませんけれども、辰巳委員おっしゃるように、確かにインドは、様々な社会制度の中で貧困、格差の問題はおっしゃるとおりあるわけです。
 今回、特に私どもが調査をした中で、それに直結する、つながるODAによる支援というのは、一部先ほどの報告でも触れましたけれども、インドにお伺いした初日に見ましたウッタル・プラデシュ州参加型森林資源管理・貧困削減計画というのがあるんです。
 特に辰巳委員がおっしゃったような貧困層の方々というのは、森林資源にその生活の糧を頼っているという地域が多いんですけれども、ただ、当然、森林資源は目の前にあって、それを伐採すれば当然お金になるわけなんですけれども、計画的な伐採をしていかないと、木というのは育つまでに年限掛かりますから、植林をし、それが成長し、伐採し、植林をしという、この地域を分けたサイクルがうまく回り始めれば常に収入が得られるようになるんですが、どうしても貧困地帯においては目の前の現金ということになりますので、過剰伐採ということになります。そうすると、これは将来的な収入にも影響しますし、自然環境にも大きな影響をする。実は、そういうことを解消しよう、つまり四十年、五十年、六十年たつまで待てないわけなんだけれども、その間をきちっとODAによる支援で組み立てることによって良い循環をつくり出そうというのがこの支援の目的の一部なんですね。
 そういう意味で、日本政府はODAによってインドのそういった意味での格差解消のためにこの支援を行っているということ、これは現地の高校生なども教育の一環としてこのプログラムの一部を使っていらっしゃいますけれども、つぶさに見てまいったところでございます。
 それから、ベトナム、確かに成長に伴って公害の問題というのは、これは日本もかつて経験したことですけれども、そういう意味で、当然、社会的なインフラの中における公害を防ぐためのハードというのはあると思うんですが、そちらの方は今回私どもは直接調査に行っておりません。
 一つこれに関係することでいえば、先ほど報告した、内城土壌菌という報告をいたしましたが、実は、ベトナムは水産国であります。しかし、水産国であるのですが、港に陸揚げされた水産物、当然これ流通できない部分もあります。しかし、それを、何というんですか、適正な処理をせずに野積みというか何というか、そのことによって当然腐敗が進みますし異臭も出ますし、そういう意味では、環境に対して非常に負荷を掛けてしまっているという現状があって、この内城土壌菌というのは、それらの魚介類を、水産物を内城土壌菌によって分解をし、一部は飼料、その内城土壌菌は実は抗生物質を含む飼料を作ることができるということで、飼料はそのまま例えば養殖等に使えば、これまで与えていた抗生物質を与えずにその飼料で賄うことができるとか、それから、飼料に向かない素材というのもありますので、それは肥料にして循環をさせていくという、そういう非常にローカルな環境技術ですよね、公害防止のための、そういったことでこのODAのお金が使われている。
 非常にこれから日本の技術としては楽しみで、ベトナムの国民の皆様の生活の中に密着できる、そういうODAであるというふうに調査をした結果感じてまいりました。これが私どもが見た限りのことでございます。以上です。
 済みません、今ちょっと事務局から入りまして、内城土壌菌で作った飼料には抗生物質を、要するに抗生物質というのはカビから作りますよね、内城土壌菌で作られた飼料にはその成分が若干入っているので、これまでの普通の飼料と抗生物質を与えて養殖をしていたのが、この内城土壌菌によって与えられる飼料にはその抗生物質の成分が含まれているので、新たな抗生物質を加えなくても、魚に与えなくてもよいという、そういう意味でございました。ちょっと言い方を間違ったようです。申し訳ありません。
 委員長、済みませんでした。
#23
○副大臣(武藤容治君) インドの貧困問題へのODAの関係ということの御質問と承りました。
 インドは、もう御存じのとおりだと思いますけれども、二〇〇九年から一四年まで、平均で七・二%経済成長をやっている国でございます。アジアで三位にもうなりましたけれども、その結果というわけじゃありませんが、一方で、やっぱり国民の約三割が貧困層に面している、そして世界のこれは貧困人口の約三分の一に当たるわけであります。
 そういう中で、我々としてもODAを通じての対応をどうしているかということでございますが、実は二〇〇三年にインド政府が、もう貧困国として、インドはそういうことに対しては内政干渉だと、認めてほしくないということで、我々としては、そういうインドの考え方もございますので、それを尊重しつつ、持続可能な開発目標達成の観点からも我々としては重要であると思って、貧困対策は重要であるというふうに認識をしておりますし、引き続き国際社会と、これ肝ですけれども、連携をして、そして保健衛生、教育など基礎的社会サービスへの支援を通じて包摂的な成長を促していくということが不可欠であるというふうに認識をしております。
#24
○委員長(赤石清美君) じゃ、藤田幸久君。
#25
○藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。
 報告をいただきました委員の先生方、ありがとうございました。
 まず、石井委員にお伺いしたいと思いますが、ペリリュー島も行っていただいたということ、大変感謝申し上げたいと思っております。ペリリュー島は、昨年、両陛下が訪問していただきましたが、あそこで亡くなられた一万数千人の方のうちの多分七割か八割ぐらいは水戸第二連隊の方々でございまして、今も遺骨収集等行っておりまして、私の地元でございますので、大変、昨年、両陛下行っていただいたということで、感謝申し上げております。私も本当は行きたかったんですが、国会日程で残念ながら行けなかったわけでございます。その昨年、両陛下が行かれたことに関しまして現地の皆さんがどうお感じになっておられていたかということで、何かお聞きになったことがあったかどうかということと、遺骨収集に関して何か情報があったらば教えていただきたいということでございます。
 それから、西村委員にお聞きしたいと思いますが、日系人の方々と交流をされたということでございますが、ドミニカなんかがよく、大変日系人の方苦労されたという話ございますけれども、この行かれた国々で、日系人の方々で実は大変な苦労をされたというようなことに、お聞きになったようなことがあったか。一方で、日系人の方々がそれぞれの国で大変貢献をされているというふうに伺っておりますけれども、そういったことについて聞かれたことの中で何か情報をいただければ有り難いと思っております。
 それから、せっかくでございますのでJICAの北岡理事長にお伺いしたいと思っております。
 今日、報告伺っておりまして、いわゆる開発援助の部分では、日本の貢献というのは本当に、医療からインフラ整備から教育から、様々大変な貢献をしているということを実感をしております。他方、最近を見ておりますと、開発協力というのはある意味では平時の援助でございますが、今世界を見ておりますと有事の援助がますます重要になってきておる。それは自然災害と紛争だろうと思っております。難民もどんどん出ている。その分野におきましては、JICAがかなり、紛争解決、予防外交あるいは様々な仲介活動といった、自然災害対策もそうですけれども、今までのいわゆる平時における援助に加えて、有事あるいはそれに対する予防的な、あるいは対処的な援助もかなりやっておられるというふうに伺っておりますので、その分野における最近のJICAの取組についてお話をいただければ有り難いと思っております。
 以上でございます。
#26
○石井正弘君 お答え申し上げたいと思います。
 ペリリュー島に私どもも訪問させていただきまして、慰霊碑の方に行きまして、天皇陛下が御訪問されたということで、レメンゲサウ大統領あるいはクアルテイ国務大臣それからチン上院議長とも会談をさせていただきました際にも、天皇陛下、皇后陛下、両陛下の御訪問があったことを大変歓迎をされ、大変国民の皆さんが大歓迎をされたということを喜んでおられたということを御報告を受けたわけでございます。より日本とパラオとの友好交流関係、きずながより深まったと、このような強い印象を覚えました。
 具体的には、ペリリュー小学校に我々も訪問させていただきましたけれども、そこで歓迎の横断幕等を子供さんたちが一生懸命手書きで作って、こういうもので皆さん歓迎したんだということを先生とともに説明を受けたわけでございまして、そういう意味におきまして、日本からも多くの支援がここに集中しておったということも、大変私も印象深く感じたところでございます。
 こういったことで、天皇皇后両陛下の御訪問というものは本当に大きな成果を上げておられるということを感じ入ったわけでございますが、一方、もう一つの御質問の遺骨収集状況についてのお話でございますが、私ども承知しておりますのは、戦没者の概数がペリリュー島におきましては一万二百、政府派遣収容遺骨数、これが七千六百四十三ということを、昨年の十月末現在ということで承知をしてはおりますけれども、我々現地に行ったときのやり取りの中では、具体的なこの数字とか、あるいは今後の方向性とか、現地のいろんな思いとか、そういったものは具体的なやり取りはございませんでしたので、そういうことで数字を把握していることのみ御報告させていただきたいと思います。
 以上でございます。
#27
○西村まさみ君 藤田委員にお答えいたします。
 日系の方々とお目にかかりましたが、同じ南米地域でも、アルゼンチンとパラグアイの日系の方々の御苦労というのは少し違っているんじゃないかなというようなことを感じました。
 アルゼンチンの方では、最初にまず伺ったのが、言葉の壁がありましたので、最初日系の方が移住した際にはなるべく言葉を使わないでできる仕事、クリーニング屋さんとかお花屋さんというところ、ほとんどがそういった仕事に就いていたというんですが、今現在はもう二世、三世という方々が活躍されているので、日本語教育を含めた日本のすばらしいところの、いわゆるアルゼンチンにおいては、日本のすばらしい部分の教育を受けることができたり医療技術を学んだりすることができることに対する感謝というようなお話をいただきました。
 しかしながら、パラグアイの方は、逆に八十周年たって、アルゼンチンに当初行ったものの、なかなかアルゼンチンで仕事がないのでパラグアイに行った方々の御苦労がやはり一世の方々は非常にありましたが、逆にパラグアイは日系社会が四つの地域に分かれておりましたので、私たちが一つ視察、調査させていただいたところでは、大規模農家、非常に大きな農場と、また大きな機械を使っての様々な栽培をしており、現在食肉加工工場まで造ろうというぐらいに、全てその地域の中でありとあらゆることができるようにしているということで、一世の方々の御苦労があって今自分たちがあり、また日本政府からの様々な援助があって自分たちが今いるんだと。更にそれを深めるために、もっと先に進めるために、もう少し援助をして、違った方面からの援助もしてほしいというようなことをいただきましたが、いずれにしても、一世の皆様、移住した最初の皆様方の御苦労というのは、まずは言葉の壁であり、働く先がなく転々とされたということはお話をされていましたが、実際に聞いたのが二世、三世の方でしたから、直接の御苦労話ということは余り聞くことは残念ながらできませんでした。
 以上です。
#28
○参考人(北岡伸一君) 藤田委員から御質問をいただきました。
 委員御指摘のとおり、最近は、数においても質においても有事の協力といいますか、そういうものは増えております。
 例えば、ミンダナオ和平がその一つでございまして、長年停滞しておりましたミンダナオの和平プロセスにJICAはローキーで加わって何とか一定の成果を上げておりまして、今はちょっと、フィリピンのもうすぐ大統領選挙という事情で少し停滞しておりますが、今後、選挙後にはまたこれが進むであろうというふうに期待しておりまして、私も今月末、あっ、来月の初めになりますか、現地を視察に行こうと思っております。
 また、典型的なものを一つ、防災あるいは災害復興でございます。これまた私は十二月にネパールの大震災からの復興の様子を見てまいりました。これは、日本自身が災害に何度も見舞われ、それに対する経験が豊富であると同時にいろいろ失敗もしてきたと。それをいろんなところに還元していきたいということもありまして、このネパールの震災復興に協力しております。これは、世界各地で防災に協力し、また防災の枠組みづくり等々でもリーダーシップを取っておるところでございます。
 その他では、記憶に新しいところでは、エボラの感染があったときに、日本のことですけれども、ちょっと遅かったんですけれども、様々なこうした感染症に対する対応では、いろいろ前に出て協力しております。
 最近の問題では、何といっても難民支援でございます。長年の歴史のあるパレスチナの難民に加えて、シリアの紛争において発生している大量の難民、これはもう受入れ国は本当にあっぷあっぷしている状況でございますが、これに対して、ヨルダンそれからトルコ等の難民の支援を行っているところであります。この点につきましては、私は、一月にイラクとそれからヨルダンを視察して、いろいろ両国の政府首脳、国王様からも日本の支援に対していろいろ感謝をいただいたところでございます。
 この私の出張先のリストからお分かりのとおり、これ我々の非常に重要な案件だというふうに思っておりまして、それを御指摘いただいたことに御礼申し上げます。
#29
○委員長(赤石清美君) ほかに御発言ございますか。
 大沼みずほ君。
#30
○大沼みずほ君 自由民主党の大沼でございます。
 御報告、各班の皆様、ありがとうございました。一班と二班にお伺いいたしたいと思います。
 インドは大変、最近ニュースなどで、女性への暴行等のニュースを耳にすることが多くなりました。その際、公共交通機関が女性が安心して利用できるような環境整備がなされていたという御報告でありましたけれども、具体的にどのような取組がなされていたのかをお尋ねいたしたいと思います。
 また、二班にお伺いいたします。
 私も、おととしの夏にヨルダン、イラク等に伺った際に、国連の職員、また海外青年協力隊の皆様で女性の方も大変多く働いておられました。そこで、四ページ目にございますけれども、特に条件の厳しいアフリカ地域において、生活環境の確保、また帰国後の就業支援の充実に一層取り組んでいただくことを要請したいという御報告がありましたけれども、具体的にどのようなことで困っているかなどのお話がありましたならば、是非お聞かせいただきたいと思います。
 また、あわせまして、外務省にお尋ねいたします。
 この二班の報告にもありましたけれども、やはり国際機関における日本人の登用をどんどん促していくという取組が非常に重要であると思います。外務省でも今そのための取組を行っていると思いますけれども、更にこれを加速化させるためにどうしていきたいかというお考えがあれば、是非お聞きしたいと思います。
 最後に、今日御臨席いただいております北岡理事長、また伊藤理事におかれましては、本当にありがとうございます。この二班の報告の話にも続きますけれども、やはりJICAの方々、青年海外協力隊の方々が安心して活動できることが第一義的に重要であると思います。JICAの方がうちの事務所に御挨拶等に見えても、そういったことに、生活環境であるとか、例えば各事務所が古くなっていて設備投資が、もう例えば三十年、四十年事務所がたっていてトイレが故障したりとかいろいろあると思うんですけれども、そういった不満とかですね、ことをおっしゃる方は皆無でございます。
 ただ、私が個人的に心配しておりますのは、日本がODAを始めましてもうかなりの日数がたっておりますので、そういった拠点の設備等にいろいろな不備が出てきているのではないかなということを危惧しておりますけれども、そういった事務所の防犯対策、また、設備投資等に関しまして予算が十分であるか否か、また、現状、そういったところに対する、何とか設備を新しくしたいとか、事務所の防犯設備をもっと強化したい等の声が上がってきているかどうか、その現状についてお聞かせいただければと思います。
#31
○高橋克法君 大沼委員にお答え申し上げます。
 我々が見た公共交通機関は、インドのデリーメトロでありました。デリーメトロの乗客のうち二九%が女性の方々です。その女性の方々の安全というものをどういうふうに確保するかということで、これ日本の地下鉄にもありますけれども、女性専用車両、それから、これは日本ではないと思いますけれども、必ず各車両の座席の端に、日本では何シートというんですか、お年寄りや体の不自由な方や妊産婦の方々やというマークがある。あのような形で各車両の座席の端が必ず女性か体の不自由な方というような区分けがなされておりましたり、それと、これは日本の生活習慣とは違いますので日本ではありませんけれども、インドの女性はサリーという民族衣装を着ていらっしゃる。これが実は普通のエスカレーターですと巻き込まれてしまうので、エスカレーターにサリーガードというのがきちっと付いていまして、そのサリーが巻き込まれないようになっている、そのような工夫がデリーメトロにはなされておりました。
 以上でございます。
#32
○大野泰正君 大沼議員にお答えいたします。
 まずもって、本当に私が伺って、青年海外協力隊の皆さんの本当に御努力というものを目の当たりにして、深く敬意を表するものであり、その中で、いろんなお話を聞いていましても、先ほど大沼議員も言われたとおり、女性が多かったですけど、彼女たちも決して不満を言っているわけではないということはまず御理解をいただきたいと思います。
 そして、例えばジブチにおいては、本当に日中五十度になるようなところでクーラーがない状況の中で頑張って暮らしていたり、我々との食事会のために、本当に何時間も立ったままの、それこそ今のデリーのメトロとは全く正反対の、女性も男性ももうぐちゃぐちゃに混み合っているような乗り合いバス、本当に小さなバスですけど、そういうものに乗って常日頃も活動している。
 そういう中で私は一番心配したのは、もしも私が親で日本にいるとしたらどう思うんだろうなということを考えました。やはり、親御さんたちも安心して出していただける、そしてより一層、頑張ってこいよということで送り出していただけるような環境をつくらなくては、今後、やはり今、留学さえも減ってくる中で、だんだん外へ出ていって、本当に頑張っていただける人材というものの育成というのが難しくなってくるのではないかなというのを危惧しています。
 ですから、やはりもうちょっとしっかりとした安全対策、また連絡等、そういう環境の整備というのは早急にしていただきたいなと思いますし、本当にこの方々の頑張りというのが、日本という中で背負っているわけでございますので、誰々さんではありません、日本を背負ってくれているということに関して我々がもっとしっかりと目を向けて、働きやすい環境づくりをすることが何より大切だと思っています。
 もちろん、帰ってきてからの評価について随分変わってはきていますけれども、まだまだそのキャリアが、日本においてしっかりとした評価がされているとは思いません。その辺もやはり政府としてしっかり取り組んでいただいて、この青年海外協力隊の皆さんのキャリアというものが日本において正確に評価されるようにしていただきたいと思っています。
 以上です。
#33
○副大臣(武藤容治君) 大沼先生から御指摘をいただきまして、今の先生方の現地視察報告にもありましたけど、いわゆる国際機関における日本人職員の数が少ないという御指摘であると思います。
 まず、国連関係の全職員約三万二千人いらっしゃると思いますけれども、日本人の職員はそのうち約二・五%、八百人であります。加盟国の間の均等配分ですとか人口比、分担率などの要素を考慮して算出されています国連事務局の望ましい職員数と比較しましても依然として少ないという認識であります。
 日本の国際貢献の担い手となります国際機関職員の支援、育成、これは重要な課題だということは従前よりも承知をさせていただいておりまして、最近の状況としては、国連機関の幹部職員を含めた日本人職員を増加させるため、一つはジュニア・プロフェッショナル・オフィサー、JPOと言われていますけれども、この派遣制度による若手日本人の送り込み、そして二つ目は広報活動、応募支援を通じた潜在的候補者の発掘や育成に取り組んでいます。そして、要人往来の機会ございますけれども、国際機関幹部への働きかけ、私も、これはもう外務省からも厳しく指導を受けまして、いつもこれについては申入れをさせていただいておりますが、在外公館を通じた関係者への働きかけを通じて、日本人職員の採用、昇進に向けた支援を行っております。
 こうした取組を通じて幹部職員を含めた日本人職員の増強を推進しまして、現在約八百人の日本人職員でありますけれども、二〇二五年、ちょっと長く掛かり過ぎると思いますけど、一千人まで増やすことを目指していく考えであります。
 そして、最後ですけれども、国際機関への拠出を検討する際に、日本人職員の関与の有無を支援決定に当たっての構成要素としております。政府としては、拠出を通じて邦人職員の活躍を後押しして、日本の顔の見えるような形で援助を実施していきたいというふうに思っています。
 以上です。
#34
○参考人(北岡伸一君) 大沼委員より御指摘、ありがとうございます。
 御指摘のとおり、JICAの職員、そして青年海外協力隊等のボランティアの現場の方々は大変士気が高いと、私も現場に行っては感心しております。相手のお国の発展に役立ちたい、それを通じて日本との関係を良くしたい、そして日本がより尊敬される国になりたいと、こういう使命感を共有しているのはJICAの非常に良いところではないかというふうに思っております。
 ただ、実際危ないところにいっぱい行っております。これは二十四時間連絡が入るようになっておりまして、多いときには一日置きぐらいに、ここでこういう案件が発生しましたと、で、こうしますという連絡が私どもに入ってまいります。
 ただ、現場にいると、周辺の危険にかえって気が付かないということもあります。それからまた、士気が高いものですから、頑張ろうという意欲が強過ぎることもちょっと心配で、むしろ本部の者としては、安全最優先で余り無理するなという方の指導をしており、また訓練とか研修を重視するように努めております。近年は特にテロの蔓延ということもありまして、安全をもう最重点課題というふうに考えております。
 それから、現場の状況でありますが、資材の老朽化、設備の老朽化は、まあ一定ございます。ただ、日本の財政状況の厳しい折から余り無理は言わないようにしておりますが、小さなものでも改善するものがあったらどんどん言えというふうに言っております。この間も、バグダッドに行ってエルビルと交信をしておりましたら、ちょっとスカイプが、その施設が老朽化しておりまして途中で連絡が取れなくなるというようなこともありまして、こういうのはやっぱり優先的に変えなくちゃいけないだろうと。
 もう一つは、人の配置でございます。どうしてもこういう難しいところになりますと、ワンセット人間が必要であります。一人、二人で仕事はできません。それからまた、適度にローテーションをしないともちません。一定程度余裕を持ちながら仕事をするという環境が必要なので、ちょっと今はもうぎりぎり、ぱんぱんかなというのが実際のところでございます。
#35
○副大臣(武藤容治君) 済みません、今の北岡理事長の御発言にちょっと補足をさせていただきたいと思います。
 大変現場の声というものを重視していきたいと思っていますので、体制整備、この件につきましては外務省としてもよく留意をしていきたいと思っております。
 付け加えさせていただきます。
#36
○委員長(赤石清美君) ほかに御発言ございますか。
 それでは、ほかに発言もないようですので、これをもちまして意見交換を終了いたします。
 本日は、限られた時間でありましたが、派遣団に参加された方々から貴重な御意見をいただくとともに、本委員会として大変有意義な意見交換を行っていただき、誠にありがとうございました。
 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午前十一時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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