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2016/05/17 第190回国会 参議院 参議院会議録情報 第190回国会 環境委員会 第10号
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2016/05/17 第190回国会 参議院

参議院会議録情報 第190回国会 環境委員会 第10号

#1
第190回国会 環境委員会 第10号
平成二十八年五月十七日(火曜日)
   午前十時三分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     礒崎 哲史君     櫻井  充君
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     小坂 憲次君     中泉 松司君
     林  芳正君     舞立 昇治君
     松山 政司君     渡邉 美樹君
     櫻井  充君     斎藤 嘉隆君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         磯崎 仁彦君
    理 事
                高野光二郎君
                滝沢  求君
                水野 賢一君
                市田 忠義君
    委 員
                尾辻 秀久君
                鴻池 祥肇君
                佐藤 信秋君
                中泉 松司君
                舞立 昇治君
                森 まさこ君
                渡邉 美樹君
                斎藤 嘉隆君
                芝  博一君
                直嶋 正行君
                浜野 喜史君
                杉  久武君
                山口 和之君
               渡辺美知太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻井 敏雄君
   参考人
       国立研究開発法
       人国立環境研究
       所理事      原澤 英夫君
       WWFジャパン
       気候変動・エネ
       ルギーグループ
       リーダー     山岸 尚之君
       島根大学法文学
       部教授・
       特定非営利活動
       法人地球環境市
       民会議(CAS
       A)理事     上園 昌武君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(磯崎仁彦君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、礒崎哲史君、小坂憲次君、林芳正君及び松山政司君が委員を辞任され、その補欠として斎藤嘉隆君、中泉松司君、舞立昇治君及び渡邉美樹君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(磯崎仁彦君) 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、参考人として国立研究開発法人国立環境研究所理事原澤英夫君、WWFジャパン気候変動・エネルギーグループリーダー山岸尚之君及び島根大学法文学部教授・特定非営利活動法人地球環境市民会議(CASA)理事上園昌武君の三名に御出席いただいております。
 この際、参考人の皆様方に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜り、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず、原澤参考人、山岸参考人、上園参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人の皆様及び質疑者の発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず原澤参考人にお願いいたします。原澤参考人。
#4
○参考人(原澤英夫君) 国立環境研究所の原澤でございます。よろしくお願いいたします。
 お手元に資料を用意しましたので、資料に沿って御説明いたしたいと思います。
 表紙に、下の方ですけど、二ページ目、内容ということで、温暖化の影響、対策の国際あるいは対策の国内、最後に改正案について意見を述べたいと思います。
 一枚めくっていただきまして、スライドの三枚目でございます。私、研究としては温暖化の影響を中心にやってまいりましたということもございますので、若干その辺の資料を用意いたしました。三ページ目は、大気中のいわゆる温室効果ガスの濃度の推移でございます。私どもの研究所も二か所で測っておりますし、世界的にもいろいろなところで測っておりますけれども、四〇〇ppmを超えるような状況になっておるということでございます。それが図に描いてございます。
 下の四ページ目につきましては、温暖化が進行しているということでございますので、世界の年平均気温がどんどん上がってきているということであります。一旦九八年から二〇一二年の間には気温上昇が止まったようなハイエイタスというような現象も見られたわけでありますけれども、ここ数年また気温が上昇しているということで、継続的に温暖化が進んでいるということでございます。
 温暖化が進んでおりますと、スライドでいいますと五枚目ですけれども、いろんなところに影響が出てきております。これは北極海の海氷についての記録でございますが、夏ですと北極海は九月に氷が最小になるということで、二〇一二年には最小を記録したということでありますけれども、かなり海氷が影響を受けているということでございます。
 六ページの、下の方でございますけれども、温暖化が進みますと極端現象ということでハリケーンあるいは台風が強大化するということで、御存じの方も多いと思いますけど、ハリケーン・カトリーナ、ちょっと前ですけれども、あとは台風三十号、ハイエンというのがフィリピン・レイテ島に上陸したということで、いずれも九百ヘクトパスカルを下がるような非常に大きな台風が発生しております。研究では、こういった台風は温暖化とともに強大化するというようなことも分かってきております。
 一枚めくっていただきまして、スライドの七枚目でございます。日本においてはどんな影響が出ているかということで、これは環境省の資料をお借りしてきましたけれども、農業への影響、あるいは、日々の降水量が増加しているということで、一時間五十ミリを超えるような降雨が増加している傾向にあります。また、ヒトスジシマカといったデング熱を媒介するような蚊も北上をしておりまして、現段階では青森辺りまで来ているというようなことが研究の成果という形で分かってきております。
 八枚目、COP21、パリ協定についての意見でございますけれども、今回、パリ協定という形で二〇二〇年以降の新しい枠組みができたということで、事前にはなかなかやはり調整が付かずに決定されないのではないかという若干不安もありましたけれども、結果、パリ協定という形で今後の温暖化のいわゆる指針ができたということで、非常に私としては評価しております。かつまた、歴史上初めて全ての国が温暖化対策に関わるということで、公平な合意ではなかったかと思います。
 二度目標が共通の認識になったということでございまして、これはIPCC始め優良な科学的な知見を十分酌んでいただいて二度目標が共通の認識になった。さらに、途上国の状況を考えますと、一・五度まで努力目標という形で言及されたと。一・五度目標は、研究面では余り想定していなかったわけですけれども、今後IPCCが特別報告書という形で一・五度目標の位置付け、さらにそういった経路はあるかどうかについて検討されると聞いてございます。
 Bでございますけれども、枠組みを決めた、決まっただけではあれでして、削減目標を五年ごとに提出、更新する、いわゆるPDCAサイクルを国際的に回すという意味でも画期的な合意になったのではないかと思います。
 四番目でございますけれども、二〇三〇年の中期目標だけではなくて、長期的に温暖化ガスの低排出発展戦略を作成、提出を各国に要請したということでありますので、長期を見据えて短期、中期で対策を進めるというのが国際的な枠組みとなったということであります。
 さらに、影響をやっておりますと、適応策が非常に重要になってきたわけでありますけれども、適応についても言及があったということがあります。
 六番目は、グローバルストックテークということで、対策の進捗状況を国際的にも見ていくという仕組みができ上がった。
 さらに、七番目につきましては、JCMと。これは日本発の市場メカニズムが認められたということで、私はこのJCMにつきましては非常に有望な市場メカニズムではないかと思っていますので、今後とも国際的に展開できるのではないかと思っております。
 それで、九ページ目に参ります。こちらはIPCCの第五次報告書、二〇一四年に出た報告書でございますけれども、二つ図がございます。右側の図が工業化前から世界の平均気温が何度上がったかという、そういう温度計になっております。今の二度目標といいますのは、赤い点線で引っ張ったところまで上がってしまうとどういう影響が総体的に世界に起きるかということで、五つに分けて示しております。
 一つは独特で脅威にさらされているシステムということで、これは温暖化に対して非常に脆弱な生態系などを念頭に置いた評価であります。色が黄色からダイダイ、赤になるにつれてリスクが高くなってくるということで、温度計を見ていただきますと、二〇〇三年から二〇一二年のところに印が打ってございますけど、現在はまだここだということでございますけれども、もう生態系等あるいは極端な気象現象等には影響が現れてリスクは増えていると。さらに、それが二度になりますと、影響の分布、これは弱いところ、強いところがございますので、そういった分布が変化してくるのと、世界総合的な影響につきましても黄色になってくるということでリスクは高まるということであります。まだ黄色の状況でありますけれども、大規模な特異現象ということで、例えばグリーンランドの氷床が解けるとかいうような、ちょっと今の段階では想定できないようなことも起きてくるということであります。ということで、二度目標というのはこういったいろいろな知見を基に共通の認識になったと理解をしております。
 その下の十ページ目に参ります。地球温暖化対策計画ということで、パリ協定を受けまして我が国も対策計画を作ったということでありまして、この辺につきましては中環審の地球環境部会の委員としても議論に加わらせていただいたということを踏まえまして意見を述べさせていただきたいと思います。
 対策計画そのものは温暖化に関する総合的な計画となっているということでありまして、A番の中期目標、二〇三〇年に二六%は当然設定されることになったわけですけれども、加えまして、長期的な目標として二〇五〇年八〇%を目指すということが、文言を盛り込みました。ということで、長期を見据えて中期で対策を打っていくという基本的な方向性が示されたと考えてございます。
 Bですけれども、この計画につきましても、三年ごとに計画を見直し、実は毎年進捗点検はしておりますけれども、三年ごとに計画を見直して目標の検討等ができるということで、PDCAサイクルがしっかり盛り込まれた計画になっていると考えております。
 Cでございますけれども、対策、施策のいろんな検討もされておりまして、特に、私は、省エネ技術等々の積み上げについては従来に比べて非常に詳細な議論がされて、いい成果になってきているのではないかと思います。
 Dでございますけれども、業務部門と家庭部門を四〇%削減という大変厳しい目標でありますけれども、これまでのいろいろな検討を踏まえますと達成は可能でございますし、後で法改正の方でも、国民運動という形でこの四〇%を目指して行動を後押しできるということでございますので、達成可能ではないかと考えております。
 Eでございますけれども、パリ協定で要請されている低排出発展戦略、いわゆる長期的なビジョン、長期的な検討をやはりしっかり我が国としてもやっていくべきでありますし、それをやはり国際的にもアピールしていくべきではないかということで、低排出発展戦略を早急に構築していくべきと考えてございます。
 一枚めくっていただきまして、十一ページになります。適応計画が昨年の十一月に閣議決定を受けました。その前の二年間ぐらいにつきましては、影響研究者が六十人以上集まって、温暖化の日本への影響という冊子を取りまとめております。それをベースにして適応計画ができているということで、影響に関する日本の科学的な知見が集約化されて適応計画に至ったと考えております。
 こちらについても、まだ分野によっては非常に知見が少ない部分がございます。農業ですとか自然災害については比較的研究成果はございますけれども、産業への影響とか国民生活への影響についてはまだまだ科学的な知見が必要であるということで、更に研究を進展させる必要がございますし、また適応計画の場合は五年ごとに見直しがされるということでございますので、こちらについてもPDCAサイクルはしっかり回ると考えております。
 影響も出ているということでございますのはCでございますけれども、影響モニタリングといったことも観測の一環として非常に重要になってきておりますし、一部では既に実施されてきております。
 また、適応計画の場合は、温暖化の影響は地域ごとによって変わってまいります。日本ですと北海道と九州では影響の出方が違ったりしますので、今後は地域あるいは自治体レベルでの適応策というのが重要になってきますが、若干そのまだ研究成果が乏しい場合もありますので、そういったところの研究は進めていくつもりでございます。
 また、研究の成果を、特に影響とか適応についてはまだ認知度が低いということがございますので、積極的に見える化をして、国民へ情報提供するとともに、一緒に考えていくというようなことが重要ではないかと考えております。
 十二枚目でございますが、今回の地球温暖化対策推進法の改正案について、意見ということで三点挙げております。
 一つは、普及啓発の強化ということで、これまでもいわゆる国民運動として進めてきたわけなんですけれども、パリ協定あるいは温暖化対策計画を踏まえまして、更に一歩進めていく必要があるだろうということであります。特に、業務部門と家庭部門の四〇%削減という非常に厳しい目標ではございますけれども、省エネが大分導入されているということもありまして、この辺を危機意識を高め、あるいは当事者意識を高めることによって、普及啓発の強化を踏まえて、対策がうまく進んでいくのではないかと思います。
 二番目のポツでありますけれども、ただ、一人一人の意識を変えると同時に、やはりその理解と支持がなければいけないということで、そういう意味でも、先ほど御紹介したようないろんな影響ですとか研究の成果も見える化をして積極的に提供することによって、対策を進める一つの強力な支えになるのではないかと考えております。
 三つ目のポツにつきましては、多様なステークホルダーが連携しないといけないということで、関係省庁、関係業界、NGOも含めて、そういった横のつながりも普及啓発という意味で重要になってきているのではないかと思います。特に、企業の認識なんかも、やはり温暖化が進んでいるということ、影響が出た場合の適応策なんというのも非常に重要な指針になっていくのではないかと思います。
 四つ目のポツでございますけれども、国民運動をやれやれと言っただけではなかなか動かないところがありますので、やったことによってどんなメリットがあるのかというようなところも、具体的には、光熱費を削減できたりとか、あるいは高断熱住宅によって快適さも得られると。これになりますと、いわゆる温暖化対策の緩和策と適応策両方がうまく導入できるような余地もあるのではないかと考えております。
 最後のページ、十三ページでございますけれども、国際協力の強化ということで、こちらについてはパリ協定でいろいろな要請が来ております。それに対してしっかり応えると同時に、特に、やはり長期的なビジョンづくりを早急にやっていくべきではないかと考えておりますし、また、日本発のJCMをしっかり育てていく、これはクレジットの問題もさることながら、発展途上国に日本の省エネ技術をしっかり伝えることができて、いわゆる途上国の持続的な開発にも資する、そういった施策になっているのではないかと思います。こういったものを、二国間の協力ですとか日中韓、ASEANプラス3、G7などでも議論があるようでございますけれども、やっぱり世界をリードすることが日本の役割として重要になってきているのではないかと思います。
 Bでございますけれども、地域における対策の強化。温暖化の対策は地域、さらに適応策も地域というキーワードが出てきますが、やっぱり地域がいかに温暖化対策あるいは推進法の趣旨を得て行動を進めていくかというのが重要になってまいります。今回の場合は、実行計画の共同策定ができるということで、例えばですけれども、自治体をまたぐようなバイオマス発電ですとかあるいは公共交通の拡張ですとか、そういったことが可能になってきたということで、これは今後非常に対策を進める上で大きな力になっていくのではないかと思います。
 また、コンパクトシティーにつきましては、前からいろんな計画等に反映されているわけなんですけれども、今回は法の中でコンパクトシティーといったような比較的長期な時間が必要な対策なども位置付けられたということで、これは単に温暖化対策だけではなくて少子高齢化対策といったようなことにも併せて同時に進めることができるのではないかと思いますので、大変時宜を得たものではないかと私自身は考えております。
 以上で私の意見を述べさせていただきました。どうもありがとうございました。
#5
○委員長(磯崎仁彦君) 原澤参考人、ありがとうございました。
 次に、山岸参考人にお願いをいたします。山岸参考人。
#6
○参考人(山岸尚之君) この度は意見陳述の機会をいただきまして誠にありがとうございます。
 私が所属するWWFジャパンという組織は、国際的な環境保護団体であるWWFの日本のオフィスとして一九七一年に設立されました。元々は野生生物の保護などの分野が活動領域でしたけれども、一九八〇年代後半からいわゆる地球温暖化問題、気候変動問題についても活動領域を広げて取り組んでおります。
 本日、地球温暖化対策推進法の改正案の審議について意見を述べさせていただくに当たりまして、まず最初に、私が近頃感じている危機感についてお話をさせていただきたいと思います。
 私の危機感と申しますのは、昨年十二月に採択されたパリ協定によって生み出された国際的な勢いと国内における雰囲気のギャップについてです。
 パリ協定を採択したCOP21そのものが、初日に百五十か国もの首脳を集めた大規模な極めて大きな会議であったことは言うに及びません。そして、その結果として採択されたパリ協定が極めて歴史的な合意であった、全ての国々が実質的に参加する極めて歴史的な合意であったということも皆様御承知のとおりです。そして、先日ニューヨークで行われたパリ協定の署名式では、初日に百七十五か国が署名するという、史上最多の国々がこの協定をもう実行に移していくという意思を示しました。それだけではございません。パリ協定が採択されたCOP21では、世界中のビジネス関係者、それから自治体関係者が参加をしていました。十三年間、私、このCOP、毎年参加をして見てきた者ではあるんですけれども、その私から見ても今回の合意は極めて大きかったですし、そして、そこで感じられた勢いというのも大変なものでした。
 その後も勢いは続いております。今年初頭に開催されたダボス会議では、気候変動が大量破壊兵器を抑えて世界最大のリスクとして認識される報告書が出されました。これは、気候変動が持つ長期的な性格や、貧困などのほかの問題を悪化させるという、そういう側面を捉えての評価だったというふうに私は感じております。
 また、ビジネス界においては、サイエンス・ベースド・ターゲッツという、気候変動に向けて野心的かつ科学に基づいた目標を持っていきましょうというイニシアチブに既に世界から百六十近い企業が参加をしておりまして、我が国のグローバル企業も含める幾つかの企業が、将来的には排出ゼロを目指しますよということを既に言い始めていて、そういったことももはや珍しくはなくなってきています。
 そして、ちょっとお話、筋が変わりますけれども、ハリウッド俳優がアカデミー賞の授賞式でわざわざ気候変動に言及するなど、この雰囲気の広がりというのはもう既に政治経済を超えて発展しています。英語ではこうした勢いのことをモメンタムとよく言います。今週月曜日から折しも国連の気候変動会議がドイツのボンで開催されております。こちらの会議では、パリ協定の細則を作るという本来の目的以上に、それと同等ぐらい、このモメンタムをどうやって維持していくのかということが大きな話題となっています。
 この勢い、日本の中では感じておられるでしょうか。この環境委員会の議員の皆様はこの分野の専門家であられますので、恐らく感じていらっしゃると思います。ですが、国会議員の皆様全員、そして日本政府全般、産業界、自治体、そして日本の一般市民がこの国際的な勢いというものを感じているかどうかというと、若干私としては不安を覚えるところではあります。世界は着実に、いわゆる低炭素ではなくて、低炭素のその先、脱炭素を目指して着実に大きな流れが起き始めています。この流れの中で、果たして日本は先頭を切るような姿勢を取れているんでしょうか。
 この危機感を持って今回の改正案を拝見しますと、主な改正事項というのが普及啓発と、そして地方公共団体の対策計画の共同実施というところがあります。これら自体はすごく大事なことではあるんですが、決して野心的ではないと正直申し上げて言えると思います。私自身としては、パリ協定を受けて日本がやっていくべきこととしては、以下の五つの宿題が課されているというふうに思っています。
 まず第一は、パリ協定で書かれた目的の共有です。
 パリ協定では、第二条の目的に、世界の平均気温上昇を二度より十分に低く抑えるということと同時に、一・五度に抑えることに向けて努力を追求していくということが書かれています。また、第四条の一項には、世界の温室効果ガスの排出量を今世紀後半に向けては実質的にゼロにしていくという趣旨のことが書かれています。
 現在、このことが日本の法律に書かれたものはありません。国際法にはこれがもう書かれています。日本の法規の中でもこれを反映していくべきではないでしょうか。これがまず第一のポイントです。
 第二は、パリ協定に向けて各国が掲げた目標を着実に達成していくということです。
 パリ協定の第四条二項には、国別目標を作りなさいということと同時に、その達成に向けた対策を取ることが明確な義務として書かれています。よくパリ協定は自主的なボトムアップの目標で構成されているというふうに表現されますが、これは正確に言うと誤りです。目標を作ること、そして目標達成のための対策を取ることは明確な国際法上の義務です、パリ協定の中では。
 この点については、日本は、今まさにこの改正案の審議をしていただいていること、そして先週金曜日に対策計画が閣議決定されたということがありますので、体制自体は徐々にですが整ってきています。しかし、ここにも不安があります。例えば、現在、石炭火力発電所の過剰な増設が懸念されています。今現在建設が計画されている石炭火発からの排出量を考慮すると、二〇三〇年に向けて昨年日本が約束草案の中で掲げた石炭からの排出量というものを超えてしまうという懸念が既に出されています。
 しかるに、今回の温対法改正、そして先週の対策計画の中では、引き続き電力事業者の自主的な取組にそれを任せるという内容となっています。最大の排出源である電力部門での努力が怠られれば、たとえ国民が努力したとしても相殺されてしまいます。電力部門を含む大規模な排出源に対する対策としては、アメリカで導入された発電所の排出基準の設定や、同じくアメリカの州レベル若しくはEUで導入された排出量取引制度などが非常に有用です。それらの導入に向けた検討も早急に行うべきだと私は考えます。
 第三は、二〇一八年に向けた準備です。
 パリ協定の一つの特徴として五年ごとの目標改善の仕組みが導入されたことがあるというのは、先ほど原澤先生からも言及がありました。パリ協定で各国が掲げた目標は、残念ながら二度や一・五度という目標には不十分であるということが既に分かっています。これらを改善していくために、パリ協定では、五年ごとに目標を改善していく仕組みが導入されました。この五年ごとの見直し、改善の仕組みが入ったということは、パリ協定を知る人たちからしてみると最大の特徴と言っても過言ではありません。
 実は、この五年ごとの仕組みには二つのレベルがあります。五年ごとに世界規模で進捗確認を行うグローバルストックテーク、そして、各国がそれに基づいて目標を提出していく各国レベルでの目標提出という、世界と各国の二つのレベルがあります。それを図示したのが私の資料の裏面の図表一になります。
 そして、実はこの最初の機会、最初の世界全体での進捗確認の機会というのは二〇一八年にやってきます。それを受けて、各国は二〇一九年から二〇二〇年の間に目標を再提出するという作業が必要になってきています。このタイミングを生かして、今既に不十分と分かっている世界各国の目標、これは日本も含めてです、これが見直されて再度提出される、この機会に向けて我々は準備をしていかなければいけない、これが第三の宿題だというふうに考えております。
 第四は、国際協力の在り方です。
 本改正案でも国際協力についての言及が加筆されております。先ほど言及させていただいた国内での石炭偏重の背景には、国際的に日本の石炭技術を売り出していこうという意図もあると考えられます。しかし、先日私どものヨーロッパのオフィスが研究機関に委託して出した報告書によりますと、たとえ世界全体で今建設計画にある千四百ギガワットの石炭火力発電所全てを、日本が推進するようないわゆる高効率の石炭火発になったとしても、二度未満に抑えるような排出量削減とはならないという結果が出ました。私の資料の裏面の図表二では、その具体的な数字を報告書から抜粋してあります。
 二度のシナリオの下で電力部門全体に許される排出というのは、二〇三〇年時点で六十三億トン、二〇四〇年時点で十九億トンです。そして、千四百ギガワットが全て高効率なものであったとした場合、その排出量は五十億トンです。つまるところ、今のまま世界にある石炭火発の増設計画をそのままにしてしまうと、二〇三〇年時点で電力部門全体に対して許される排出量の八割を石炭が食い潰し、二〇四〇年には明らかに過剰の排出となるということが既に分かっているんです。
 高効率化そのものがいつでも駄目だというわけではありません。しかし、私たちが真に重視するべきは、石炭火発をいかに減らして再エネに切り替えていくのかということだと考えております。
 第五は、長期的な戦略の策定です。
 パリ協定では、各国に二〇三〇年といった中期での目標に加えて、例えば二〇五〇年までといった長期での戦略を策定することも要請があります。そして、その策定、提出の期限として二〇二〇年が示されております。
 先日、先日といいますか昨日ですね、開催されましたG7環境大臣会合では、そのコミュニケにおいて、この二〇二〇年という期限内にできる限り早く戦略を策定、提出することが合意されました。もし日本がこの分野において先頭を切る覚悟があるのであれば、この長期戦略、計画もしっかりとした内容にならなければなりません。日本は現在、二〇五〇年に向けて八〇%削減という長期目標を持っています。問題は、ここに至る道筋をきっちり描くということだというふうに考えています。
 最後に、今回の審議の対象ではありませんが、パリ協定の批准についても意見を述べさせていただきます。
 アメリカと中国という二大大国、二大排出大国が批准の意図を既に明確にしています。日本がパリ協定の以前の交渉のときから、これらの国々の参加が必須であるということをずっと言っていました。これらの国々の参加はもうほぼ確定的です。では、何を待つんでしょうか。もしこの分野において日本が先頭を切って世界のモメンタム形成に貢献するというのであれば、いや、来年まで待ちましょうというのではなくて、是非今からでも批准について検討をお願いしたいというふうに思います。
 パリ協定の宿題、そして脱炭素化への道のりというのは決して容易ではありません。しかし、できない理由ばかりをあげつらってこの国の歩みを止めるより、できる理由を探して実施していく、そしてそれを応援するような地球温暖化対策推進法の改正を是非お願いいたしたいと思います。
 これをもって私の意見とさせていただきます。どうもありがとうございました。
#7
○委員長(磯崎仁彦君) 山岸参考人、ありがとうございました。
 続きまして、上園参考人にお願いをいたします。上園参考人。
#8
○参考人(上園昌武君) 上園です。本日は、このような意見陳述の機会を与えていただき、ありがとうございます。
 私たち地球環境市民会議、通称CASAは、地球温暖化防止の取組を進めるための環境NGOとして一九八八年に設立されました。これまでに、温暖化防止社会に関する書籍の刊行や提言、意見書などを数多く公表してきました。本日は、これらの知見を踏まえながら意見を述べさせていただきます。
 まず、スライドの二枚目になりますけれども、先週、地球温暖化対策計画が閣議決定され、今月のG7伊勢志摩サミットの議長国として、日本の温暖化対策の内容が国際的にも注目を集めています。しかしながら、地球温暖化対策や長期エネルギー需給見通しなどの政策を見ますと、パリ協定の長期目標である気温上昇を二度未満に十分低く抑制するという道筋が示されていません。
 パリ協定では、今世紀後半に温室効果ガスの排出実質ゼロを目指すことが合意されました。日本の温室効果ガスの排出量は世界第五位でありまして、環境責任が重いと言えます。二〇五〇年の温室効果ガス排出量八〇%削減の目標を確実に達成するためには、二〇三〇年の目標を現行の一九九〇年比で一八%削減から少なくとも四〇%削減以上に引き上げるべきです。
 次のスライド、三枚目になります。なぜ日本の排出目標が低く設定されるのかというと、昨年改定されました長期エネルギー需給見通しの問題点にも関わります。
 第一に、二〇三〇年のCO2排出削減量は一九九〇年比で一三%と低く想定されています。その要因は、省エネ対策と再エネ普及が少ないからであります。
 第二に、二〇三〇年の電源構成を見ますと、原発の原則四十年稼働を六十年に延長することを前提としており、原発依存度を可能な限り低減させるとした二〇一四年のエネルギー基本計画と矛盾しています。
 第三に、二〇三〇年の化石燃料供給量は全体の七六%と高い割合を占め、再エネ、水力による国内自給率は一三%にとどまります。特に、CO2排出量の多い石炭火力発電所の大幅な増設が進めば、国内の排出削減が一層困難になります。さらには、石炭火力発電技術を海外へ輸出すれば、世界の脱化石燃料社会を遅らせることにもつながります。これらの化石燃料依存のエネルギー事業はパリ協定の二度未満目標に反しており、容認できない問題だと考えております。
 第四に、これまでのエネルギー政策で示されてきた経済影響評価というのは、原発が安い、再エネは高いということを前提としたものであり、原発、化石燃料依存と再エネ軽視のお墨付きを与えてきました。しかし、福島原発事故を受けて、原発安価神話も疑問視され、莫大な補助金尽くしで経済効果も乏しく、原発の経済性は相当悪いと指摘している研究もあります。また、これまでの経済分析では、省エネや再エネによる経済効果などのプラス評価といったものが十分に考慮されていないために、再エネは高いという誤ったメッセージを出してきたと言えます。
 このような問題点を抱えており、原発、石炭火力依存のエネルギー政策を見直していくべきだと考えております。
 スライドの四枚目になりますけれども、そうしたときに、脱原発とCO2排出削減は可能なのかということについて、私どものシミュレーションモデルの試算結果について説明させていただきたいと思います。
 CASAは、COP3の前に日本における排出削減可能性のシミュレーションモデルの開発に取り組んできました。そして、二〇一〇年に、ボトムアップモデルと経済モデルを統合したCASA二〇三〇モデルというものを独自に開発しました。この場では、BAUケースと呼ばれます基準となるケースと、省エネ対策と再エネ普及などを想定したCASA対策原発ゼロケースの試算結果についてかいつまんで説明させていただきたいと思います。試算結果の詳細については、別紙の報告書を御参照いただきたいと思います。
 まず、二〇三〇年までのCO2排出量を見ますと、BAUケースでは排出量が増加しますけれども、二〇三〇年、CASAの対策原発ゼロケースでは大幅に排出量が減少していきます。
 スライドの六枚目になりますが、CASA対策のその減少の内訳を見ていきますと、二〇三〇年のBAU比でエネルギーシフト効果が二一%削減、省エネ効果が二九%削減ということで、合わせて五〇%削減になります。
 スライドの七枚目になりますが、昨年改定されました長期エネルギー需給見通しのシナリオ、このケースを政府対策ケースというふうに呼ばせていただきますけれども、この政府対策ケースと比較すると、エネルギーシフトと省エネ効果の違いというのがこのグラフからも分かると思います。
 それでは、その省エネの対策量というものがどうしてこれだけの差が出てくるかということについては、スライドの八枚目を御覧いただきたいと思います。産業部門から家庭部門まで、二つのケースの間に二倍から三倍程度の差があるということが分かるかと思います。CASA対策では、商業化された既存技術で対策を構成しており、未開発の新技術というものは盛り込んでいません。例えば、工場の配管保温材の劣化による熱の漏れというものが相当な量があるという報告がありますけれども、そういう老朽設備の改修であったり、あるいは住宅やビルなどの建築物の断熱化などでも相当な省エネ効果というのが見込まれます。
 また、スライドの九枚目になりますけれども、二〇三〇年の発電量を見ますと、政府対策ケースが原発、化石燃料依存なのに対して、CASA対策原発ゼロケースでは、原発はゼロ、化石燃料を三五%に抑制し、再エネ、水力で六五%を自給するという結果になっています。
 このように、CASA対策ケースでは相当な省エネ対策と再エネ普及への投資が必要となりますが、スライドの十枚目を御覧いただきたいと思います、このことはマクロ経済へほとんど悪影響を与えないという推計がなされています。例えば、二〇三〇年の実質GDPは、CASAのBAUケースとCASA対策原発ゼロケースがほぼ同じになります。また、この経済モデルとは別に、産業連関表を用いてこのCASAの対策ケースの経済効果について試算したところ、直接の投資額が十三兆円に対して、一次、二次合計の生産誘発額が三十三兆円、それと雇用創出数が二百万人ということで、相当大きな経済効果が得られると推計されています。
 このように、大幅なCO2排出削減対策というのは技術的に十分可能であり、しかもマクロ経済への効果が大きいということを示しています。
 次に、スライドの十一枚目を御覧いただきたいと思います。そこで、温暖化対策の取組をどのように行うべきなのかということを考えていく必要があります。ドイツやスイス、オーストリアなどでは、地域の温暖化対策としてエネルギー自立という地域づくりが盛んに行われています。このエネルギー自立の意義は大きく二つあります。
 一つは、再生可能エネルギーによるエネルギー一〇〇%自給というものです。重要なのは、エネルギー消費を大きく減らし、再生可能エネルギーへ転換するということであります。スライドの十二枚目の図を見ていただきますと、この省エネ対策というものが進展するほど再生可能エネルギー一〇〇%自給というエネルギー自立の実現というものが近づいていくということになります。
 もう一つ、エネルギー自立の意義としては、この取組によって地域経済を自立させるということであります。つまり、断熱改修であったり太陽光パネルの設置、さらにはその保守点検という省エネ対策や再生可能エネルギーの普及というのは地域に新たな事業を生み出すということです。地方や田舎に電気や機械関係の技術職、あるいはこういった事業計画などを策定する高度な専門職といったものが生まれて、そういう職を求めて若者などの労働者がそこに定住することで過疎化、高齢化対策にもつながると期待できます。
 このエネルギー自立地域というのは、現行のエネルギーシステムの諸問題を克服できる可能性はあるというふうに考えております。スライドの十三枚目にその対比をしておりますけれども、このエネルギー自立システムというものに、自給に変わるということで、例えばドイツでは再エネによる雇用創出というのが確実に増えております。
 スライドの十四枚目に、この間のドイツの再エネによる雇用創出というデータが出ております。これは、日本においても、再エネ産業というのは二十二万人という数が現時点でも雇用されておりますので、この数を増やすということは経済政策としても非常に意義のあるものだと考えております。
 次のスライド、十五枚目になりますけれども、再生可能エネルギー事業というのは、これを増やしていくという方向性は今後非常に進んでいくだろうと思いますけれども、これをいかに増やしていくのかということが重要であります。特に、地域経済循環といったことにつなげるという点が重要だと考えております。
 現状では、日本は年間に二十七兆円もの、燃料代として海外に日本の国の富、国富を流出させていますけれども、エネルギー自立に近づくにつれて当然そのエネルギーの輸入というものがゼロに近づいていきます。この燃料代の減少分というものを原資にして、再エネであったり省エネ事業の投資を進めることができ、しかも地域内での資金循環が高くなって、雇用が創出されれば地域経済というのが発展することにもつながると考えられます。これは、今、政府が進めております地方創生にもつながる話であります。
 このエネルギー事業のポイントというのは、スライドの十六枚目になりますけれども、メガソーラーであったり大規模風力発電所などを誘致する外来型開発というものではなく、小規模であっても地域の共同発電所あるいは市民共同発電所のようなもの、さらには農家などの小規模な事業をあちらこちらで行った方が、これを合計すると地域の経済効果が大きくなると、そういうふうに考えられています。したがいまして、いかに地域経済循環を重視したエネルギー事業というものを増やしていくのか、これが重要なポイントです。
 そこで、自治体というのは、地域益の大きな環境・エネルギー計画というものを策定して、事業主体やあるいは事業を支援する中間支援組織と呼ばれているもの、これをコーディネートするという役割が重要だと言えます。今回の温対法の改正ではそのような視点というのが弱く、地方自治を重視したエネルギー自立地域づくりを大きく展開していくべきだと考えております。
 最後に、まとめのスライドになりますけれども、私どものCASAの試算によりますと、脱原発、脱化石燃料というものを進めながらも、省エネ対策、さらには再エネ事業に転換するエネルギーシフトによって二〇三〇年のエネルギー起源CO2排出量を四〇%削減というのは十分に実現可能だというふうに考えております。また、温暖化対策による経済への悪影響というのは軽微であると。むしろ、温暖化対策による経済波及効果というものが大きな効果が見込まれるということです。
 さらに、再エネの普及というもの、省エネ推進というものは国民運動のような意識啓発だけでは効果が乏しいんではないかと。それよりは、そうではなく、設備投資を伴う事業というものをより重視して促進していくべきだというふうに考えております。この点は是非この温対法の改正の中でもっと盛り込んでいくべきではないかと考えております。
 また、石炭火力発電所の新増設あるいは輸出というのは温暖化対策と逆行するものでありまして、この点は私どもは即座に中止すべきではないかというふうに考えております。
 次に、エネルギー自立地域づくりというのは、先ほど言いましたけれども、安全で豊かな暮らしというものを実現し、環境リスクというものを軽減するだけではなく、新たな経済発展につながります。再エネ・省エネ事業というのは、中長期で経済利益を十分に享受できる可能性があります。
 地域、市民共同発電所のように、風力発電あるいは太陽光発電など、さらにはバイオマスの熱利用などを進めることによって、地域社会や住民が利益を得る仕組みというものが不可欠であります。
 以上の点を踏まえまして、今回の温対法の改正で是非御検討をお願いしたいと思います。この温暖化対策というのは意識啓発だけでは進みません。温暖化対策は、地域経済の発展につながるような経済政策、さらには地方創生の一環として位置付けていただきたいと思います。
 どうも御清聴ありがとうございました。
#9
○委員長(磯崎仁彦君) 上園参考人、ありがとうございました。
 以上で参考人の皆様の意見陳述は終了いたしました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○高野光二郎君 自由民主党の高知県選出の参議院議員の高野光二郎でございます。
 今日は、十五分という短い時間にも限りませず、本当に詳しく取りまとめていただきまして、非常に分かりやすかったです。これからの審議にしっかりと生かしていただきますので、今後とも御指導をよろしくお願いを申し上げます。
 まず、山岸先生、上園先生にちょっとお伺いをさせていただきたいんですが、実は私は、去年まで二年間、経済産業委員会でございました。その中では、どちらかというとエネルギーミックスだとかエネルギー基本計画について審議をしておりました。しかし、私は再生可能エネルギーの最大限の普及というのがすごく大事だというふうに思っております。そういった状況の中で、エネルギーミックスのときには、再生可能エネルギーの計画の中で、二二%から二四%、二〇三〇年までに目指す、これではまだまだ足りない、三〇%は最低でも増やすべきであると言って党の中でもいろいろ議論をさせていただいておりました。
 まず、その中で、このエネルギー基本計画、エネルギーミックス、これについての評価、お伺いしたいと思います。十年から二十年の先の計画でございますので、PDCAサイクルで回していくわけでございますが、その中でも三年に一回改定をするようになっておりますので、その辺も含めて御意見をいただきたいと思います。
#11
○委員長(磯崎仁彦君) まずは、山岸参考人からお願いいたします。
#12
○参考人(山岸尚之君) ありがとうございます。
 エネルギーミックスの内容について簡単に評価を申し上げたいと思います。三点ございます。
 まず第一点は、議員がおっしゃられたように、再生可能エネルギーの目標は低過ぎるというふうに考えております。三五%というのが恐らく目指すべき最低ラインかなというふうに思っておりますので、二二%から二四%というのは低過ぎると考えております。何となれば、風力業界であるとか太陽光業界自らが掲げている導入目標よりも低い目標を再エネ目標の中では掲げさせているという実態もありますので、これはもったいないと正直思っております。
 二点目は、原子力に対する過度な依存です。原子力、二〇から二二%という数字が想定されておりますが、御存じのとおり、この数字は、今ある原発を、寿命を延長するか、それか新増設するかしないと達成できない数字です。私どもは、必ずしも即時に全部の原発を廃止しなさいというふうには考えておりませんが、将来的には段階的に廃止すべきだと考えております。その観点からも、この新増設若しくは寿命延長を前提としている数字というのは非現実的だというふうに思いますし、改めるべきだというふうに考えております。
 三点目は石炭、先ほど私ちょっと意見の中でも申し上げたポイントです。石炭の割合が二六%という数字は、ほぼ震災前の状況と変わらないという数字です。これから脱炭素化を目指すべき国が二〇三〇年の時点において石炭の割合は減らしていきませんよという数字というのは、正直言って残念な数字です。しかも、先ほど申し上げたように、それすらも超過しそうな勢いというのが昨今の流れなので、非常に危惧を抱いております。
 ちょっと簡潔ではありますが、私の評価です。
#13
○参考人(上園昌武君) 同じように三点について発言したいと思います。
 一つ目は再エネについてなんですけれども、エネルギーミックスの中身を見ていきますと、再エネの電力を普及するというところにかなり重点が置かれているというふうに見受けられます。特に、再エネの場合は、熱の供給、熱の利用というものをもっと進めるべきだろうというのが世界的な流れとしてもあると思うんですけれども、どうしても再生可能エネルギー、特にバイオマスのようなものだと熱量が低いですので、これは電気にしていこうとするとかなりの熱が必要になってきますので、再エネの場合は、特にバイオマスの場合は熱供給というものを進めていく。バイオマス発電というのがもちろんございますけれども、その場合には熱供給と併用するコジェネレーション、これをもっと進めていくということが必要だと思うんですが、その点が非常に弱いというふうに考えております。
 それと、二つ目の原発についてなんですけれども、先ほどの山岸さんと少し重なりますが、一つは、なぜ原発を使わなければいけないのかという必要性を十分に検討できていただろうかということ、この点が非常に私は疑問に思うところです。原発がなくても十分そのエネルギー、電力も含めて賄えるのではないかということが私どもCASAのシミュレーションの結果にも出てくるんですけれども、必要性ということから見れば、このエネルギーミックス、原発依存というところにどうしても厳しく評価せざるを得ないかなと思います。
 特に、原発というのは、御存じのように様々な課題がございますので、その課題を一つ一つ解決してなきゃいけないことになるわけですが、経済についても、原発の経済効果というもの、特に原発の立地地域に対しての経済効果というものが十分に実は検証がされていないかと思います。もし原発が必要であるということであれば、この経済効果、経済評価というものをやる必要があると思うんですけど、そういう議論もなかったのかなと思います。
 それと、三点目なんですが、石炭火力に関してなんですけれども、私どものCASAのシミュレーションでは、石炭火力を減らしていくということを、シミュレーションの結果として出てきています。ただ、化石燃料を全く使わないということは、二〇三〇年という時期に関して言うとこれはどうしても限界がありますので、例えばLNG、よりCO2の少ないような化石燃料、こういったものを残していくという形で、石炭火力は減らしても日本のエネルギーを賄うことはできるんではないかというふうに考えております。
 以上です。
#14
○高野光二郎君 再び上園参考人と山岸参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 上園参考人には、今CASAのお話もございましたが、政府もいわゆるエネルギーミックスの中で再生可能エネルギーのそれぞれの、例えば風力だとか小水力だとかバイオマスだとか地熱だとかいった構成の割合を定めております。こういったことも踏まえて、二〇三〇年までに再生可能エネルギー普及を促進をしていくために、どの構成、構成というか、エネルギーが一番有力であるのかということについて上園参考人からお話をしていただきたいです。
 そして、山岸参考人には、先ほどお話がございましたとおり、ロードマップの話がございましたね。これから本当に、エネルギー基本計画、エネルギーミックス、そして電力自由化三法、そして今回の温対法、こういったものが作られているわけであって、それからそれぞれの計画を立てているわけでございますが、やはりPDCAがすごく必要になってくると思います。それらについて御意見をお伺いしたいと思います。
#15
○委員長(磯崎仁彦君) まず、上園参考人、お願いします。
#16
○参考人(上園昌武君) この再エネについてなんですが、今後どういったものを重視していくべきかということなんですが、この間、固定価格買取り制度などのFITという制度ができましたけれども、このFITによって非常に大きな再エネの発電所というのは増えてきたと思います。
 特にメガソーラーであったり、風力も大きなものが増えてきたと思うんですが、こういう大規模なものを優先するということは、どうしても再エネを増やすというところでは重要な役割を担うんですけれども、これからは、小規模であったり非常に小さなもの、例えば家庭の、家の太陽光パネルであったり、それとともに、先ほどちょっと申し上げましたけれども、熱の利用ですね、温水器であったり太陽熱の利用ができるようなもの、こういったものを増やしていくということが重要かと思っています。
 特に再エネの熱に関しては、バイオマスだけでなく、太陽熱も利用できますし、さらには地中熱など、いろんな熱エネルギーというのが有望視されているんですけれども、この辺りの普及がまだ非常に弱いのではないかというふうに考えております。
 以上です。
#17
○参考人(山岸尚之君) 二点申し上げたいと思います。
 一点目は、PDCAのサイクルについてです。
 先ほど意見陳述の中で申し上げましたとおり、国際的には五年ごとに目標の提出、見直しが求められていきますので、最低限、日本としても五年のサイクルにきっちりと国際的な義務を果たしていけるようなPDCAを回していくべきだということが考えられます。
 現状、エネルギー基本計画の下では三年ごとの見直しが想定されておりますので、ほかの計画も三年ごとというのが多いですので、三年ごとと五年ごとを無理やり合わせる必要があるかというのはちょっと一考に値するところではありますが、最低限五年ごとの国際的な目標提出にきちんと対応していけるような体制を整えていくということが大事だと思っております。
 二点目は、それに当たってレビューをする際に必要な統計の整備という点です。
 実は、今回、温対法の改正の中でも取り上げられている民生部門については、統計が整備が不完全なところが多いということがよく知られています。きちんとした客観的なデータに基づいて進捗を管理していくということが極めて大事な分野ですので、その分野については、特に建築物、そして家庭等でのエネルギー消費の実態を把握していくというような統計データの整備というのも同時にやっていく必要が、細かい話ですが、必要だと思います。
#18
○高野光二郎君 ありがとうございます。
 上園参考人、教えてください。
 ちょっと誤ったいわゆる情報が提供されていると私思っているんです。つまり、再生可能エネルギーを普及促進することによって国民の負担が増える、つまり賦課金のことを言っているわけでございますね。しかし、賦課金は、実はこれから二〇三〇年度までしばらくは上がっていくんだけど、それからは下降されるような推定なんかも出ております。この辺についてコメントをいただければと思います。
#19
○参考人(上園昌武君) FITの賦課金なんですが、これ、今御指摘いただいたように、まだしばらく総額としては増えていくということになります。
 ただ、このFITの制度というのはいつまでも続くというものではなく、再エネの事業というのが、ほかの例えば火力発電所と比べると経済性がまだないようなところを育成する後押しとしてこの制度というのは動かしてきているわけなんですが、当然、大量生産、大量導入が進んでいくと、設備の費用だけでなく様々な費用、これも含めてほかの電源と比べても十分経済性が出てくれば当然このFITという制度は終えんしていくということですから、いつまでも続くものではなく、きちんと市場の競争力が付くまでの支援策であるということが、なかなか一般の方が知らないというか分かっていない点かなと思います。
 それともう一つは、誤った情報という先ほどのお話の点では、このFITのお金というのは、当然国内で事業が、進めていくということになれば、先ほど私の陳述の中でもありましたけれども、地域経済だったり国内での事業を活性化させるということにもつながるかと思うんですね。
 FITで電気代の中の一部でこのお金が、賦課金というのが負担されている、そのことがどんどんどんどん無駄金のように流出するものではなく、きちんと国内経済に循環していくという、そういう制度設計が十分できていけば、いずれは私たち国民の方にも経済的なメリットがつながっていくという、その点をきちんとした情報として伝えていく必要があるかと思っています。
 以上です。
#20
○高野光二郎君 最後に、原澤参考人、お伺いさせてください。
 非常に丁寧な説明をしていただきまして、実は私、原澤参考人にはたくさん質問を用意していたんですが、もう既に答えていただいたので、その関連についてお伺いしたいと思います。
 やはり国民運動が必要ですね。普及啓発の強化が必要でございます。そこで、多様なステークホルダーとの連携ということを言われております。私考えると、直接的なステークホルダーの一丁目一番地は誰かといえば、電力会社であったり売電会社であったり卸業者であったり、そういった方々がステークホルダーというふうになると思うんです。しかし、電力自由化をすることによって、開放することによってその市場規模が二十兆円というふうに言われております。様々な推計が出ておりますが、省エネを進めることによって市場が小さくなっていくというようなことも当然考えられるわけであって、そうしたら、さっきのステークホルダーの投資が落ちてくるということも考えられます。
 一番実はこれを推進していく上で理解をいただかなければいけないのがさっき言った方々だと思うんですが、これらに対してどういったメッセージを政府若しくは国会として出していくべきだと思われますか。
#21
○参考人(原澤英夫君) 今のお話、非常に重要な点で、単に国民運動といったら、国民がやるべき運動ということじゃなくて、企業なりNGOなり、やはり国全体として動かしていく。
 そのためにはまず何が重要かといいますと、いわゆる情報提供がありますし、やっぱり一緒にやっていくというスタンスがないとなかなかいけない。特に企業の方々、やはり企業は企業なりに頑張っているかと思うんですけど、ただ、中にはやはりまだ、温暖化そのもの、あるいは先ほど御紹介した適応策みたいな話は余り意識がない方がいらっしゃるので、そういう方たちも含めてやはり意識啓発等々をやっていく必要があるだろう。国民運動は国民だけということではなくて、国民はある意味、企業にも働いているわけですし、中には経営者、トップもいらっしゃるでしょう。そういう意味でかなり広めに捉えていただいた方がいいと。
 さらに、電力系の方については、まさに自由化というのが始まっていて、まさに国民と一対一で向き合うような状況になってきたということで、まだまだ自由化を反映したような、移行される方はまだ少ないようですけど、まだ今後だんだん増えていくんではないかと思います。先ほどの再エネに少し関わるんですけれども、例えば昨年の夏、今年の夏もそうだと思うんですけど、やっぱり夏場の電力消費がかなり減っているという傾向があります。これはやっぱり国民の意識が高まってきた表れではないかと思ったりするんですけど、そういった国民運動の成果も、いろんなステークホルダーが関わってどう動いているかという分析も含めて、やはり定期的に見直ししながらやっていく必要があるかと思っております。
#22
○高野光二郎君 丁寧にありがとうございました。
 終わりです。ありがとうございました。
#23
○直嶋正行君 民進党の直嶋です。
 今日は、三人の先生方、本当にありがとうございます。非常に勉強になるお話を聞かせていただきました。
 それで、まず最初に、山岸参考人にお伺いしたいんですが、先ほどのお話の中で、パリ協定が生み出した国際的なモメンタムと日本国内の状況とは相当大きな乖離があるということで、それでお話の中に二度C目標を国内法で規定すべきだという、これは一つの御提案だと思うんですが、こういうふうになる原因というんですか、なぜ国際的な雰囲気と日本の中が変わってしまうのかということについてお気付きの点があればお伺いしたいというのと、どうすればいいかというところも併せてお話をいただければと思います。
#24
○参考人(山岸尚之君) まず原因についてですけれども、私が考え付く限りで二点か三点申し上げたいと思います。
 一点目は、やはり国際的な合意を取りまとめてこられた日本政府の方々のコミュニケーション不足と言ってはちょっと失礼かもしれませんけれども、その意義を国内に伝える努力というのがまだ十分ではないんではないかという点が一つあります。
 やはりそれは、単に行かれた交渉団の方々が問題であったということではなくて、この交渉がどれぐらい息が合ったものなのかということを実はそのトップに語っていただきたい、国内に向けて。特に、ちょっと比較で申し上げますと、アメリカのオバマ政権とかは、賛否はいろいろあるにしても、オバマさん自身が今回のパリ協定の成果についてフェイスブックで語るとか、そういったことも結構やられていますし、ホワイトハウスのウエブサイトなんかに行きますと、気候変動が明確に大事なイシューとして取り扱われたりとかしております。
 こういうふうに、政界のトップ、そして産業界のトップの方々が、そして自治体のトップの方々が、トップの方々がこれが大事であったということを明確にコミュニケートしていただくということが本来は必要であったかなというふうに思います。やっぱり、そういった方々が重要な問題なんですと言っていただけると、みんなも、ああ、やっぱりこれ大事だったんだというふうに感じられるんではないかというところがあります。そこがまず一つ、トップからのコミュニケーションというのがまず第一、必要だったんではないかなというふうな点です。
 もう一つ、二つ目は、やはりこの問題に関するメディアの中での位置付けをどうやって改善していくのかという点かと思います。
 パリ協定採択のニュースそのものはそれなりに取り上げられてはおりますけれども、一過性になっているという気が正直します。一時的には、その数日間とかはそれなりに大きく取り上げていただけますが、喉元を過ぎれば何とやらというような形で、余り継続的に掘り下げるというような報道を余りされていないんではないかという感じがしています。それをどうやって改善していくべきかという点については、私も正直申し上げて今すぐ妙案があるわけではないんですが、その点は是非、我々も努力をして、メディアの方々にきちんとした情報を定期的に届けるということで改善をしていきたいなというふうに思っております。
 ちょっと長くなりそうなので、取りあえずこの辺で私の回答とします。
#25
○直嶋正行君 どうもありがとうございました。
 次に、上園参考人と、できれば原澤先生、山岸先生もお答えいただきたいんですが、私は今、上園参考人の方から御提案のあったいわゆる地域の自立、それから熱を使ったいわゆる地域の分散型電源といいますか熱源も併せた話なんですが、これから省エネとか、あるいはそれと併せてCO2を減らしていくという意味でいうと、私はこの部分をしっかりと地域に普及させていくことが非常に重要だというふうに思っています。
 ちょっとPRめきますが、民進党としては今、衆議院にこの地域の分散型電源に関わる法案を四つ提出をさせていただいておりますが、我々としては推進をしていきたいというふうに思っています。
 それで、これちょっと原澤先生のお話にも関わるんですが、こういう地域で自立していくエネルギーをどんどん普及させていくということが、私、原澤先生の書き物を拝見させていただいて、いわゆる適応について地域でしっかりやることが非常に大きなポイントになるというお話ございました。やはり、自前のエネルギーシステムをきちっと持っていくということが地域の皆さんのエネルギーや温暖化に対する関心を喚起することにもなりますし、ひいては、そのことがいわゆる適応計画をそれぞれ地域に合ったものをしっかり作って対応していくということにもつながるんではないかというふうに思っているんですが、この点について、三人の参考人の皆さんから御所見いただければというふうに思います。
#26
○委員長(磯崎仁彦君) まず、じゃ、上園参考人からお願いしてよろしいですか。
#27
○参考人(上園昌武君) 地域の自立、あるいは再生可能エネルギー、省エネを地域でどんどん普及させるこの地域分散のエネルギー、これ是非法制度で作っていただきたいなというふうに考えております。
 それについて、なぜこれがなかなか進んでこないのかということについてなんですが、一番大きな理由というのは、省エネであったり再エネ、特に再エネの熱利用について事例を、実例というものを余り知らないというかその情報が余りないという、その辺りが大きいのかなというふうに考えております。
 省エネとか再エネの技術自体はかなり汎用的なもので、そんなに大掛かりですごい最先端の技術というものは要らないものがかなりあると思うんですけれども、この再エネの、特に熱の事業というもの、これがなかなか進んでこないというのは、事例がないというのが大きいのかと思います。
 ですから、モデル事業のようなものを、非常に小さな規模でいいと思うんですけれども、それを各自治体、都道府県ぐらいのところでもいいと思うんですが、これをどんどんつくっていくと、やがて、ああ、できるんだなと、さらに、その効果が非常に大きいんだなということが分かってくると徐々に普及というのが進んでいくのではないかというふうに考えております。大きな補助金とか技術開発を伴うというものではなく、非常に小さな単位でいいので、それを見せるという、実績を示していくということが非常に重要かと考えております。
 以上です。
#28
○参考人(原澤英夫君) 先生のおっしゃったとおり、非常に地域創生とかやっぱり地域単位で、昔から地産地消というような言葉があるんですが、エネルギーについてもそういった方向性があるのかなと。特に、太陽光発電、メガソーラーとなるとちょっと別ですけれども、言わば家庭用の太陽光発電を張ったような家が増えてきて、その分エネルギー利用が減ってきているとか、やっぱり新しい方向性が出てきて、国全体としては、地域によって太陽の日射時間が長かったり風が強かったりするので、やっぱり地域という単位で考えていくことが必要かと思います。
 先ほど、適応策という話をさせていただいて、温暖化対策そのものは、緩和策については全国規模で一律にできますけれども、地域によって例えば暑い寒いとか、風が強いとか弱いとかという地域性があると。そこでやはり影響を考えていくということで自治体が非常に重要な、あるいは地域の住民が非常に重要になってきますけれども、それが今回の法案では複数の自治体が一緒に計画作りをできるということがありますので、まさにその地域をいかに創生していくかという中でエネルギーを考えていく必要がありますし、また、地域住民の方も、温暖化をやはり危機感を持っていただくことによって、エネルギーの問題ですとか温暖化の影響の問題、適応策の問題を一緒に考えていただけるいい機会になるのではないかと思っています。
 熱の利用については、やはり電気をおこすと同時に熱も使わなきゃいけないということなんですが、やっぱり施設がどこにあるかによって熱の利用というのがかなり限定されてきたというようなこともありますので、まさにコンパクトシティーで、中心街に集めて、そこで熱と電気を発生させて両方をうまく使うというような、そういう工夫なんかも今後できていくのではないかと思います。
 まさに、地域がやはりエネルギーあるいは温暖化対策、適応策の中核になっていくということになれば、一層その削減目標の達成に近づくのではないかと思います。
#29
○参考人(山岸尚之君) 二点申し上げます。
 地域と中央のバランスあるいは協調といったポイントが一つあります。
 一つは、先ほど申し上げたような再生可能エネルギーの大量普及のためには、中央若しくは大規模資本による展開というのも必要ではあります。他方で、昨今、特に太陽光の分野で話題となって懸念が上がってきてしまっているのは、中央から大きな資本がやってきて太陽光パネルたくさん造ったけれども地域にちっとも利益が落ちていないじゃないかということで地域の反感を買ってしまうというようなケースが出てきております。
 こうしたケースは、決して再生可能エネルギー全般の将来にとっても、そして地域経済にとっても良いことではないので、一方ではそうしたものもうまく活用しつつ、他方では地域にもきちんと利益が落ちるような仕組みにしていかなければいけないというふうに思います。このバランスをどうやって取っていくのかというのが今後結構大きな課題かなというふうに思います。
 二点目は、地域の懸念についてどうやって応えていくのかという点です。
 先ほど申し上げた太陽光等々に対する懸念の中には、建ててはいけないような場所に太陽光パネルを設置してしまったというようなケースもたくさんあります。この点につきましては、手前みそにはなりますけれども、私どもWWFジャパンとして、徳島県の鳴門市でゾーニングマップというものを作る試みを始めております。地域の自治体さんとそして地域の団体さんと協力して、どういう場所であれば例えば風車を建てていいんでしょうかということを、いろんな地域の専門家に聞いて回って、例えば防災上の懸念はここにあります、生態系上の懸念はここにありますといったことをマップ上に落としていくというような試みを実は始めております。
 まだまだ小さな取組ですけれども、こうした下準備のようなものを各地域でやって、それが全国的にあれば、いざ開発をしたいと思ったときによりスムーズに地域との合意ができるのではないかというふうに考えております。
#30
○直嶋正行君 あと一点、簡潔に原澤先生にお伺いしたいんですが、特に適応については、政府の適応計画というのは一応できているんですが、先生もどこか書き物の中でお話しされていますように、非常に緩和に比べると認知度が低くて、まだ余り関心持たれていないんですね。
 それで、私どもは、この適応についてはきちっとやはり法律を作って、これから具体的にその法律に基づいて国民的にやっていく必要があるというふうに思っているんですが、先生は審議会のたしかメンバーだというふうにお聞きしていますが、こういった、立法してきちっとやるべきじゃないかという議論は審議会等ではなかったんでしょうか。何か議論があったんでしたら、御紹介いただければと思うんですが。
#31
○参考人(原澤英夫君) 審議会等では、やはり立法化とか、いわゆる法定計画としてやはり位置付けなければいけないということではあるんですけれども、いろんな議論がございまして、いわゆる緩和策を中心にやってきた温対法の、推進法の中で適応策をどうやって入れ込むかとか、IPCCの議論なんかも見ていますと、適応と緩和を同時並行的にやることが大事だねということはあるんですけど、ちょっとやっぱり水と油の部分もありまして、といいますのは、さっき御紹介したように、温暖化対策そのものは、CO2という形で大気中に出ますのでグローバルなイシューではあるんですが、適応策になると地域になります。
 そうすると、グローバルと地域をどうコーディネートしていくかとか、さっき御紹介したように、分野によってはまだ影響の予測等々もできていない分野がある、それが産業界ですとか国民運動、一方では、農業とか自然災害あるいは熱中症等については適応策ということでもう実際やっているというようなこともあります。まだそういった科学的な知見が乏しい分野があるという中で法律化ということをやりますと、ちょっとなかなか科学的な知見が付いていっていないということがございますので、今回適応計画ができたということで、私どもは、PDCAサイクルが回るということは、非常にやはり影響評価を何年かに一回できると、それをまた踏まえて適応計画を作り直すと、そういう中で法制化といったことがやはりイシューとして上がってくるかと思います。
 地方の場合は、やっぱりその計画ができたからといってなかなか動かないところがあったりするので、それをある程度法制化することによって、強制的にというとおかしいですけれども、やはりより活動が進むような形になるかと思いますけど、ちょっと今の段階ではまだ適応法を作るだけの知見が少しないかなという感じがちょっと個人的にはしております。
#32
○直嶋正行君 どうもありがとうございました。
 終わります。
#33
○杉久武君 公明党の杉久武でございます。
 本日は、原澤先生、山岸先生、上園先生、お忙しい中、当委員会に御出席いただきまして、大変にありがとうございます。
 私自身も、今御説明をいただきまして大変に勉強になりました。その中で何点か、先ほど来の質問にも一部重複する部分もあろうかと思いますが、御質問をさせていただきたいと思います。
 今回の温対法の改正の中で一つやはり大きな軸になっているのは、国民運動として今回の温暖化対策を進めていくということにあろうかと思います。その中で、やはり業務部門、家庭部門で四〇%削減をしていくという、これはやはりハードルが高い目標ではないかなと思っております。その中でどのように国民運動として、これが単なる声掛けや精神論に終わることなく実効性あるものにしていくためには、やはり様々留意すべき点があろうかと思いますが、この点について、三人の参考人それぞれにお伺いしたいと思います。
#34
○委員長(磯崎仁彦君) それでは、まず原澤参考人。
#35
○参考人(原澤英夫君) まさに国民運動、もうかなり長くやってきていて、その都度、チーム・マイナス六%とか、今回クールチョイスですね、ということでスローガンを掲げてやっているんですけど、どうもやっぱり一部に限定されていて、なかなかやはり一人一人のところまでそういった情報が届いていない。
 例えば、IPCCの報告書なんかも二年前に出て、我々も頑張っていろんなところで講演をしたりとか書き物を書いて周知していると思ってはいるんですけど、なかなかやはり国全体となりますとできないということで、まず情報提供をしっかりやっていくことが必要かと思います。その際に、やはりいろんなことが分かりやすく伝わっていくというのが大事だと思いますし、そういう意味では、危機感を醸成したりとか意識を高めるためには、まず情報提供が必要だと思います。
 それと、まさにクールチョイスというのは低炭素の製品等々を積極的に買うということで、そういったマインドというのは、長期にそういう省エネ製品を買った方が得になると、かつまた環境にも優しい、そういうマインドがだんだん国民一人一人に一部根付いてきているようなところがありますので、そこをやっぱり末永くといいますか、忍耐強くやっていく必要があるかと思います。
 その際に、いろんなレベルで情報提供が必要ですし、やはり一緒に行動していくということも大事だと思いますし、研究面では、国際的にはフューチャーアースという非常に大きな研究運動が始まりそうでありまして、それは、例えば研究の中身あるいは研究そのものも一般の人たちと一緒になってやろうとか、そういう方向になっているかと思いますので、まさに温暖化対策ですとかさっきありました適応対策みたいなものは、単に上から情報を与えればいいというだけじゃなくて、やってみせるとか一緒にやるとか、そういうのが重要だと思います。それが、やはりいろんな分野で、運輸の分野、産業の分野、民生、業務の分野、かつまた、政府あるいは自治体が率先してやるというような、多分総合的な力としてやっぱり国民運動を進めていく、そういう仕掛けも必要であるかと思います。
 そういう意味では、温暖化防止推進員という制度があって、非常に僕は活動してきたと思うんですけど、予算が減らされたりとかいろんな状況に陥っていたものですから、やはり緩和策、適応策をそういった既存の仕組みを使ってしっかり情報提供をしていって、場合によっては一緒にやっていく、一緒に考えていくということが必要かと思います。
#36
○参考人(山岸尚之君) 二点申し上げたいと思います。
 一点目は、国民運動、普及啓発のやり方についてです。
 今年の予算案でしたか、拝見すると、既に環境省さん、少しずつこういった方向を目指されているのかなというところが見られるので釈迦に説法かもしれないんですけれども、一億二千万人に環境省さんなりそれから政府全体が直接働きかけるというのははっきり言って無謀だと思っています。そんな予算は恐らくないですし、恐らく、企業さんが掛けていらっしゃる広告宣伝費に比べると微々たるものになってしまうと。
 大事なのは、拡散する能力を持っている人たちをいかにつかまえるかかと思います。拡散する、各分野でオピニオンリーダーと呼ばれる人がいたりとか、あるいは各分野で有名なブロガーと呼ばれる人がいたりとか、キュレーターと呼ばれる人たちがいるとか、なぜか知らないけれども情報を拡散する能力を持っている人たちがいらっしゃいます。こういう方たちで、特に気候変動とやや親和性がありそうな人たちをうまくつかまえて情報を拡散してもらうようにしていく、それが恐らく効率のいい情報の拡散の仕方ではないかと。これについては、既に芽生えといいますか幾つか取組が見られるので、それをうまく推進していただくことが必要かと思っています。
 二点目は、逆説的ではありますが、民生部門からの排出は民生部門の努力だけではどうにもならないという事実です。
 電源である電力が係数が悪くなっていけばその努力は相殺されてしまいます。また、今年から始まりました電力自由化なんかを見てみますと、たくさん電力を使った人がたくさん割引を受けられるというような傾向が如実に出ています。これですと、一般の人たちに対しては明確なシグナルは送られない、インセンティブがないと。
 アメリカの州レベルの取組なんかですと、こういった事態を見越して、電力供給事業者に、あなたたちは省エネを各家庭に勧めなさいよという義務を課しています。それが達成されると、電力供給事業者に対して何らかのベネフィットがあるというような政策があります。こういった努力をほかの分野でやることによって、結果として民生部門の努力が進められるという面もあるので、こちらも是非導入をしていただきたいなというふうに思っております。
#37
○参考人(上園昌武君) 今の山岸さんの話にちょっと引き付けてお話ししたい点があります。
 一つは、今、家庭部門あるいは業務部門での排出に関してなんですけれども、私のプレゼンのところで直接排出というものと間接排出という二つ指標を出しているんですが、御存じのとおり、間接排出というのは、日本で非常に特有のデータだと思うんですけれども、電力、発電所のCO2を組み込んだ形の排出量ということで、直接排出でいうと家庭部門というのは日本では五%程度にすぎないんですけれども、間接排出になると電源の排出量が増えてくるということで一二、三%ということになります。
 つまり、先ほど山岸さんが言われたように、家庭で幾らCO2を減らそうとしても、間接排出という指標で見ていると、電源のところを変えないと結局CO2が減らないということなので、結局エネルギーのシフトをどう進めていくかということの視点、これが非常に重要になるかと思います。
 それと、もう一つ申し上げたいのは、この家庭・業務部門のところで、特にCO2を減らしていかなければいけない、減らす余地が大きいというのは建物のエネルギーを減らしていくという観点だと思います。もちろん電気機器類の省エネ化ということも進めなければいけないんですが、建物の熱エネルギーですね、暖房や冷房を含めたもの、これを減らしていくということが日本では非常に遅れていると思うんですね。
 私自身、北海道で育ちましたので、冬でも家の中というのは暖かいものだという感覚があるんですが、本州の方に移ってくると、非常に寒いなというのが実感としてあります。いかにこの断熱を進めていくかということが、結局建物の中で消費するエネルギーが大きく減ると。それを例えば家の屋根であったり建物の上に太陽光パネルを載っければ、トータルの収支でいうとエネルギーをゼロにしていくことができるということなんですね。
 ですから、国民運動というふうにすると、私たち自身がいろんな節電等をしなければいけないという観点がどうしても出てくるんですが、実は、ハードのところを大きく省エネ化を進めるということは、ゼロエネルギーの住宅であったりビルというのがありますけれども、そこで過ごす人たちの快適性であるとか生活の質を向上させるという点がなかなかこれが伝わっていないのではないかと思うんですね。どうしても国民運動、省エネ運動というふうになると非常に面倒だなという、そういう感覚が多くの人持っているかもしれませんが、決してそうではなくて、生活の質を向上させるんだという点をもっと盛り込んでいく、そういう工夫は必要なんじゃないかというふうに思います。
 以上です。
#38
○杉久武君 貴重な御意見ありがとうございました。
 続いて、原澤参考人にお伺いをしたいと思います。
 御説明の中で、JCM、二国間クレジットについての指摘もありました。非常に有効な手法であるということで評価をされているということなんですけれども、今JCM、国としても積極的に進めていただいております。私自身もやっぱりこのJCMは事業としては非常に大切なのではないかというふうに考えておりますが、このJCMを今後進めていく中での、なぜこれが有効であるかという点と、それに加えて課題や留意すべき点があると思われる点があればお話しいただければと、御説明いただければと思います。
#39
○参考人(原澤英夫君) JCMにつきましては、経済的な対策の中で従来CDMというのがあったんですけれども、どうもやっぱりCDMはちょっとシステムとして非常に、思ったとおりにできていないということがあったかと思います。日本は第二約束期間は入っていませんのでCDMを使えなくなってきているということはあるんですけれども、その代わり、今回のパリ協定もそうですけれども、いろいろなレベルでの経済的なインセンティブを使えるということで、JCMにつきましては、二国間で決めて省エネ技術を相手に導入していただくことによって、それで上がってきたクレジットを分配するという、そういう仕組みかと思います。その際に、やはり日本の非常に優れた省エネ技術を相手国に導入できるという技術移転、これまでもやってきたわけですけれども、それの後押しになるという意味で非常にいいのではないかと思います。
 ただ、幾つか問題があるとすると、パリ協定では直接JCMという言葉は使っておりませんけれども、やはり国際的に認知していただいて、やはりそのためには実績をつくって、それを国際的に発信していく、多分国際協力の一環になるかとは思います。
 かつまた、だんだん相手国が増えて今十六か国、つい最近のニュースですとクレジットが発生したという案件が二件出てきたということで、個別には非常に、数十トンですから、政府が期待している五千万から一億トンというような話は大分先かもしれませんけれども、これは我が国だけではなくてほかの国々、特に先進国がもし導入したとすれば、このJCMそのものが、途上国の温暖化対策とともに持続可能な発展というようなところにも貢献できると。そうなってくると、やはり我が国の国際的な指導力というんですかね、そういったものが高まっていくんではないかと思います。
 ただ、まだ政府レベルで進めているということがありますので、これが企業にとってもある意味メリットのあるような仕組みにしていくという工夫は必要ですし、さらにMRVといったような、いろいろ計測するような方法論もやっぱりしっかりつくっていかなきゃいけないということで、課題はありますけれども、やはり今後伸ばしていくべき仕組みだと思っております。
#40
○杉久武君 最後に、山岸参考人にお伺いをしたいと思います。
 山岸参考人に御説明いただいた資料の中で、排出量取引制度についてのお話がありました。これについて、冒頭の説明では余り詳しい御説明がありませんでしたので、この点について、私もこれは導入を目指していくべきではないかと思っておりますけれども、これについての検討課題、主な課題等があればお話をいただければと思います。
#41
○参考人(山岸尚之君) 排出量取引制度は、いわゆる炭素に価格を付ける制度として世界各国で導入がされたり、あるいは導入が検討されたりしている制度であることは恐らく議員も御存じだと思います。
 その中で一つ、やはりこれまでの経験上、課題となってきた点がございます。一番分かりやすいのはEUの事例でして、EUの排出量取引制度における価格がすごく低くなっているということをもって、実はいろんな人たちがEUの制度は失敗したのではないかというような評価をよくされておりますが、私からすると、EUの制度はすごくもう設計されたとおりの機能をしていると。唯一そこに間違いがあったとすれば、排出量削減目標が低過ぎたということです。
 どういうことかといいますと、排出量取引制度の中では排出量削減目標が高くないと価格が高くならないという、そういう仕組みがございます。排出量削減目標が低過ぎると、結局、各企業さんは取引をする必要がないので、取引をする必要がないということは排出枠の需要がないということですので、需要がない市場においては価格は低迷すると。
 結局、じゃ、その価格が低くなった理由は何であったかといいますと、いろいろな圧力が掛かって、排出削減目標を低くしなさいというような圧力が掛かったというところがございます。ですから、排出量取引制度をうまく機能させていく上での最大の課題は、排出量削減目標を高く設定できるかどうかという点です。
 このほか、国際競争力に対する懸念についてどうやって対応していくのかなどもありますけれども、その辺はどちらかといえばテクニカルな問題で、最大の課題は、排出量取引制度において目標をきちんと設定して、有効な制度とできるかどうかというところだと思っています。
#42
○杉久武君 ありがとうございました。
 以上で質問を終わります。
#43
○市田忠義君 日本共産党の市田忠義です。
 今日は三人の参考人の皆さん、大変貴重な御意見ありがとうございました。
 まず、上園参考人に二点お伺いしたいと思います。
 事前にいただいた資料を読ませていただきましたが、その中で上園参考人は、温暖化対策を進めるに当たって、個人の努力を促すことも大事だけれども、国全体のエネルギー消費量の八割が企業活動由来であるために、個人行動の変革による省エネ効果は限定的だと指摘されています。
 政府の削減目標では、家庭・業務部門に四割の削減目標を求めているわけですが、いずれもエネルギー転換部門からの電力由来の排出量が大きな負担となっています。電力業界は石炭火力の新増設を計画していて、一層この排出原単位が悪くなる。やはり、化石燃料由来の電力から再生可能エネルギー由来の電力に大きく転換する取組がどうしても不可欠だと思うんですが、その点についてのお考えが一点です。
 もう一点は、今日の陳述の中で、再エネ・省エネ事業を進めることが地方や地域にとってどういう経済効果を生むのかと、この点を明らかにしていくことが非常に大事だという問題について触れられました。我々、どうしても省エネというとけちけち運動という捉え方になるので、そうではないという辺りのもう少し解明。
 それから、エネルギー事業というとメガソーラーや大規模風力発電を誘致する外来型開発という、そういう考え方に捉えがちですが、小規模でもあちこちで行う方が合計すると地域の経済効果が大きいと先ほどおっしゃいました。その辺りのもう少しイメージといいますか、国際的ないい例だとか、日本でも現にこういうことをやっているというふうな姿がありましたら御紹介いただいたら有り難いと思います。
#44
○参考人(上園昌武君) まず、一つ目の点なんですけれども、企業活動、事業者の活動というのは日本のCO2排出量の八割以上を占めると、直接排出という点で見れば九割近くなるという点があると思うんですが、そういうことを鑑みると、やはり家庭部門であったりマイカーのCO2排出という点では、どうしても日本全体という点で見ればCO2削減という効果としては限定的であるということを幾つかの論文等でも書いてきたことなんですけれども。
 やはり、個人の努力ということ自体は当然重要であるというふうに考えるんですが、そこに重点を置き過ぎると、先ほど市田さんがおっしゃられたように、けちけち運動というような形になれば、個人の人の意識というのはなかなか訴え切れないんではないかということもあります。やはり、個人の努力だけでなく、先ほどから私が申し上げていますように、設備投資という形できちんとエネルギーの消費が大きく減るような、そういう仕組みをどんどんつくっていかないといけないんだろうというふうに考えています。
 特に、省エネと再エネとの関係でいうと、原発の議論をするとどうしても電源ということがありますので、原発の代わりに例えば太陽光パネルとか風力発電というような大きな電源を、再生可能エネルギーの電源を普及していくという、そういう捉え方が多いかと思うんですが、原発の議論のときに、やはりエネルギー全体をどうするのかという観点も重要になってくると思うんですね。再エネが化石燃料を減らしていく、原発依存を減らしていったときに、再エネの熱と電力、この両方を普及するということと、それとエネルギーの消費ですね、今言った電力と熱の利用、これをどういうふうに減らしていくのかという、双方を組み合わせていくということがまさに不可欠ではないかというふうに考えます。
 個人の努力という点でいうと、どうしても日本全体では非常に効果として限界があるんだけれども、地域社会という観点で見れば、これは、地域社会というとそこには当然個人、国民であったり市民、住民がいるわけですが、それとともに企業、事業者がいるわけですが、こういう様々な主体がどういうふうにCO2を減らしていくのかという、そういう計画を作っていくということだと思うんですね。その点は、今回の温対法の中で出てくるようなCO2の少ないような地域社会、公共交通を増やす、こんなことが重要になってくると思います。
 この省エネと再エネ、これが分断、分けて議論するんじゃなく、まさにこれをどういうふうに組み合わせていくのかということが今後の方向性としては非常に重要だと思います。
 それと、二点目についてなんですが、外来型開発というふうにちょっと私の資料では書かせていただいておりますけれども、結局、大企業がいろんな地方に行って、進出をして、そこで事業活動をしていくと、このこと自体は全て駄目であるという話にはならないんですけれども、余りにもこれが大きく進み過ぎると、ちょっと言葉としてはあれですけれども、地方からの、地域資源というものを収奪してくるという、そういう形がこの間ちょっと目立ってきているんではないかと思うんですね。そうではなく、やはり地域の利益、地域社会や住民の利益をどこまで高めていくかという、そこがこの省エネであったり再エネの事業のポイントとして重要になってくると思います。
 小規模であるとトータルでは経済的なメリット、効果というのは大きいというふうにちょっと私の方で簡単に申し上げたんですが、この辺りの計算ですね、研究というのが、例えばドイツのエコロジー研究所であったり幾つかの研究機関なんかで海外でも研究が進められてきています。日本でもこの観点で研究が取り組まれている例が幾つかあるんですけれども、大規模な仕組みというのは、結局、人を減らしていかにコストを安くしていくかという、そういう観点で事業が進められてきた感があると思います。
 そうではなく、この内発的発展というのは人をたくさん使っていくということなので、コスト自体は増えるかもしれないんですけれども、トータルの経済効果、その事業による経済効果というのは、そのコストを上回るような効果があるということがあります。
 ですから、外来型開発ではなく内発的発展を目指すべきというのは、人を雇用していくという、そういう経済効果も見られますので、この観点で取組をしていくということが重要になるのではないかというふうに考えています。
 以上です。
#45
○市田忠義君 山岸参考人にお伺いします。
 いただいた資料を読ませていただきました。その中で、山岸参考人は、現状の石炭火力増設を考慮すると、排出量は目標値よりも更に五千万トン以上増えるということをお書きになっています。また、国際的な排出量削減への貢献は国内削減目標とは別建てで考えるというのも一案だと、クエスチョンマークが付いておりますが。
 閣議決定された地球温暖化対策計画では、いわゆる二国間クレジットについて、削減目標積み上げの基礎とはしないが、日本として獲得した排出削減・吸収量を我が国の削減として適切にカウントすると明記されています。我が国の削減目標の達成に活用すると、こう書かれているわけですが、国内で電力業界などが石炭火力の新増設で大量に排出量を増加させながら、国際的な貢献だとして石炭火力などを輸出して、そこで大量に獲得した二国間クレジットで相殺すると、こういう姿勢は、今世紀後半には排出実質ゼロを目指すというパリ協定の削減合意にも私は相反するというふうに考えるんですが、この二国間クレジットの在り方、国際貢献だからいいんじゃないかという説がありますが、これ一般は私も否定はしませんが、それを、国内削減を余りやらずに、それで相殺するために使うという、こういう考え方はパリ協定の合意には全く反するんじゃないかと思う。その辺はいかがでしょうか、お考え。
#46
○参考人(山岸尚之君) 一般的な考え方としては、まさしく今議員おっしゃったように、まず国内の削減がありき、どうしてもできない部分をクレジット等で補うというところは可能性としては否定はしないというのがあります。これが基本的な姿勢であるべきであって、これからも変わるべきではないというふうに思います。
 私が、そちらのスライドの方で、はてなマーク付きで国際貢献は別建てでと申し上げたのは、国内の議論を拝聴していますと、日本の優れた環境技術、省エネ技術を海外に普及させることこそが温暖化対策ではないかというようなお話がよくされます。それ自体、私も否定はしたくないんですが、一つ懸念がございます。
 といいますのは、例えば、日本の企業さんが技術を海外に売った、あるいは製品を海外で売ったときの削減量を日本の貢献としてカウントしてしまうということになりますと、それは、逆を考えれば、例えば日本にシーメンスが、具体的な企業名を挙げてしまうとちょっと問題かもしれませんが、某海外の大手企業が進出してきて優れた技術を使った場合、その削減量はその海外の国に取られてしまうんですかと。もし日本がそれを主張するんであれば、その逆もまたしかりなんではないんですかと、そこまで全て考えた上で日本の優れた環境技術による削減というものを我が国の削減とカウントするんですかという、そこにちょっと私としては疑問があると。
 ただ、一般的な考え方自体は否定はしたくないので、もしそれを考えたいというのであれば、国内の削減とは別に、海外における削減について私たちはこういう形で貢献していきますという目標を別建てで立てて、それに対する貢献を別建てでカウントしていきますよということが案としてはあってもいいんではないかという形です。
 ちょっとJCMの御質問の趣旨とは少し離れてしまいましたが、私がそこで申し上げたかったことはそういうことでございます。
#47
○市田忠義君 最後に、原澤参考人に。
 先ほどもちょっとお述べになりましたので若干ダブりますが、削減目標、削減量を引き上げれば対策費用などを減らすことができると。既にそういうことを法制化しているイギリスの事例などをいただいた資料の中では紹介されています。
 日本においても排出削減の地球温暖化対策計画が法定計画なんですから、適応計画も法定計画として連動させて気候変動対策を推進していく必要があるんじゃないかと。先ほどはちょっと法定計画としてまではということもおっしゃいましたが、その辺、更にありましたら一言。
#48
○参考人(原澤英夫君) どうもありがとうございます。
 法定計画で、先ほどその認知度が低いという意味なんですけれども、基本的に地域の温暖化の影響を捉えた上で計画を作るという意味では、まだその地域の影響評価、いわゆるアセスメント的な実績というか蓄積がない部分がちょっとあります。そういう段階で法定計画で地域に計画を作れと、実行せよというようなことがありますと、なかなかやはりそのベースとなるデータがないという懸念があるということで、現段階で法定計画にしてしまうと実態的に動かなくなる部分があるのではないかなという、ちょっとそういう懸念があったのでそういう発言をさせていただきました。
 そこはやはり、その地域における温暖化の影響と地域の適応策が作れるような、そういうような知識をしっかり集めて提供するようなことも考えてはおるわけですけれども、分野によってはまだまだちょっとということで、例えば一部の分野を先行的にということはあり得るかと思いますけれども、そういう意味では段階的な法定計画的なことになるのではないか。そうであれば、昨年閣議決定された適応計画見直しの仕組み、PDCAサイクルが回るような仕組みにしていただいていますので、そういう中でしっかり議論していただいて環境委員会の場で決めていただくというようなことがよろしいのではないかなというのが私の発言の趣旨であります。
#49
○市田忠義君 終わります。
#50
○山口和之君 日本を元気にする会・無所属会の山口と申します。よろしくお願いいたします。
 まず初めにお伺いしたいのが、日本の約束草案である二〇三〇年に二〇一三年度比マイナス二六%で作成された考え方があると思うんですけれども、ほかの先進国に比較して削減に貢献する内容になっているのか、つまりジャパン・ブランドとしてトップランナーにふさわしい値なのか、国際的にかなり評価されているものなのかということをちょっと三人の参考人の方にお伺いしたいと。
#51
○委員長(磯崎仁彦君) まず、じゃ、原澤参考人。
#52
○参考人(原澤英夫君) 約束草案の数値は、日本政府の場合は過去何回か中期目標あるいは削減目標という形で設定してきて、前回に比べたら踏み込んだ値にはなっていると思いますし、また国際的には、大震災を経験した後の数値ということでありますので、そういった点も含めて考えると、トップランナーとは言えないですけれども、日本としてはできる限りのことをした結果としての目標値ではないかなとは思ってはいますが、先ほども御質問いただいたんですが、審議会の中での議論としてはいろんなまだ、例えば再生可能エネルギー、もう少し深掘りができないかとか、省エネルギー技術、積み上げで、私はかなり詳細に検討されたと思いますけれども、もう一つ積み上げられなかったかとか、多分、今後見直しの段階でそういった議論がさせていただければ、よりいいエネルギーミックスになって、それがまた目標値の、反映されて国際的にも恥ずかしくない値に更になっていく可能性はあると思います。
#53
○参考人(山岸尚之君) 二点申し上げたいと思います。
 まず一点目は、国際的な評価についてです。
 クライメート・アクション・トラッカーという、欧州の研究機関が集まってやっているある種のイニシアチブがございます。このクライメート・アクション・トラッカーは各国の約束草案の評価というものを行っておりまして、それも、単に自分たちの研究から見て評価ということではなくて、既存の様々な指標を全て並べてみて、その中でどういうふうに評価されるのか、その範囲を見てどういうふうに評価されるのかという形での評価を行っております。その評価の中で見ますと、日本の目標というのは、四段階あるんですけれども、四段階のうちの不十分と呼ばれる評価に、インサフィシエントと呼ばれる評価に残念ながらなってしまっています。
 ですので、国際的には、少なくともそうした研究機関の評価を見る限りにおいては最低ランクの評価をいただいてしまっていると。これは、必ずしもほかの国々が全てすばらしいかというとそうではないので、日本だけではないというのはあるんですけれども、それが一点目。
 二つ目は、もうちょっと単純に評価をした場合ですけれども、昨年の国連環境計画が出した報告書でギャップレポートと呼ばれる報告書がございます。ギャップレポートは、名前のとおり、排出削減量がどれだけ足りていないかを検証している報告書なんですが、その付録の中にある表がありまして、その中では、目標を達成したときの一人当たりの温室効果ガスの排出量と、それから目標を達成したときのGDP当たりの温室効果ガス排出量というのの比較がG20各国に対して掲載されています。これを拝見しますと、日本が、どこと比べるということもあるんですけれども、環境リーダーシップのライバルであるEUと比較しますと、両方とも負けております。
 なので、そういう観点から考えますと、日本の努力はもう一声というところだというふうに思っております。
#54
○参考人(上園昌武君) 日本の評価については今お二人の先生が言われたことだと思うんですが、私の方はちょっと一つ違う点を申し上げますと、日本の数値目標で、二〇一三年比であったり二〇〇五年比という数字が出てくるんですが、もう一つ国際的な評価としては一九九〇年比という指標が出てきます。そのときには、日本の温室効果ガスの削減目標というのは一八%削減ということなんですが、EUだと四〇%削減ということになるわけですが、その数字で見ると、かなり日本とEUとの差が大きいということがあると思います。
 この点については、日本の政府であったり産業界等からは、一九九〇年という基準がフェアでないという話があるんですけれども、一つ大きな点は、なぜ一九九〇年比という指標が重要かといいますと、これまでの二十数年間のやっぱり実績が出てくると思うんですね。
 経済学で出てくるのは、経済成長をするためにはエネルギーをたくさん消費しないといけない、必要であるということが言われてきたわけです。しかし、ドイツのこの間のCO2の量の推移を見ると、二〇一〇年ぐらいのところの指標、二十年間ですね、一九九〇年から比べると七%ぐらい減っています。しかしGDPは三〇%以上成長していると。しかし一方、日本の方は、一九九〇年から二〇一〇年頃まで見ると、CO2は大体一二%ぐらい増えているんだと思います。GDPも成長しているんですけれども、二〇%強成長していると。日本についてはまさに経済成長とともにCO2が増えるという関係なんですが、ドイツは経済成長もしながらCO2を減らしているという、経済成長と環境保全という関係の切離しということでデカップリングと言われるんですけれども、そういう実績があるわけですね。
 これから二〇三〇年という将来の目標になるんですが、これまでの取組の実績というものはどういうふうに評価されるのか、この点も非常に重要なポイントかと思います。
 以上です。
#55
○山口和之君 ありがとうございました。
 この約束草案では、昨年の長期エネルギー供給見通しとしてセットになっている二〇三〇年の電源構成で原発が二〇%から二二%ということになっておるんですけれども、このことについて御意見を伺いたいと思います。上園先生からはお伺いしているとは思うんですけど、もう一度、簡単に三人の先生にお伺いしたいと思います。
#56
○委員長(磯崎仁彦君) 三人皆さんですか。
 じゃ、上園参考人。
#57
○参考人(上園昌武君) 先ほども大体申し上げたんですが、結局原発を必要とするという理由がどこにあるのかという点だと思うんですね。
 やはり電気の供給量が足りないから原発が必要であるということであれば、ある程度の納得が得られるかもしれないんですが、先ほど、この間ずっと皆さんの発言の中でもありますけれども、省エネと再エネという形でエネルギーの消費を減らして別のエネルギーを増やしていくということで十分原発の分を代替できるんではないかということが言われているわけなんですね。この点を考えると、なぜそこまで原発を固執するのかというところの理由がなかなか説得性が持てないんではないかというふうに考えております。
 以上です。
#58
○参考人(山岸尚之君) 先ほど、寿命と新増設のお話については言及させていただいたので、追加で二点、別の観点から申し上げたいと思います。
 一点目は、再生可能エネルギーの普及の阻害要因になり得るというところが懸念点としてあります。
 どういうことかといいますと、今、全国各地区の電力会社の管轄の中では、接続可能量と呼ばれるものが再生可能エネルギーについては設定されております。そのときに前提となっているのが、原子力発電が再稼働して使われるということが大前提となっており、結果として、それがかなりの部分スペースを取ってしまうので再生可能エネルギーが入る余地がないというような結論が出てきてしまうところがあります。
 これは現実の問題でして、例えば九州電力管内で先日ある方から御相談をいただいたのは、バイオマス発電をやりたいんだけれども、今バイオマス発電を接続させてくださいというふうに行くと、一年か二年ぐらいもうちょっと待ってくださいというようなことを言われますと。上位系統の整備の問題があるので、何月何日までに申し込んだ人が優先で、それ以降の方々については一、二年ぐらい待っていただく形になるというような話があります。
 バイオマスというのは、風力、太陽光とは違い、変動電源ではありませんので、本来であれば真っ先に接続していただきたいような再生可能エネルギーであるべきなんですが、それすら妨げられると。その背景には、原子力がスペースを取ってしまっているというところがあります。
 二点目は、原子力が仮に動かなくなったときに何が起きるかということです。現実今も起きている問題ですが、火力発電所を大量にたきます。将来においては、恐らくこれを代替するものは石炭になってきます。この石炭と原子力の相互依存関係ともいうべき関係がある限りにおいて、原子力に対する依存を過度に高めていきますと、同じ問題が発生すると考えられます。
#59
○参考人(原澤英夫君) 二点。
 一点目は、エネルギーミックスを反映した形での約束草案になって、今御指摘のあったように、再生可能エネルギーは二二から二四、原子力が二〇から二二、幅で示さざるを得なかったというところにまだ議論が収束していなかった点もちょっとあって、まだ再生可能エネルギーは深掘りできたのではないかなと個人的には思っておりますので、まさに見直し、点検の際にそれをやっぱりしっかり見た上でやっていくべきだと思っております。
 あと、太陽光は、家庭用の太陽光パネルは非常に急速に伸びているんですけれども、メガソーラーが、さっきの系統電力の関係で伸びていないということがありますので、まだ再生可能エネルギーのポテンシャルを十分使っていないようなところもあったりしますので、それをやはり見込みながらエネルギーミックスを更に検討していくということが必要ですし、さらに二点目は、二〇三〇年で終わるわけじゃなくて、やっぱり二〇五〇年の長期目標を見据えた上で二〇三〇年を考えていくというような、まさにパリ協定で要請があります長期目標あるいは長期ビジョンというものをやはりしっかり作っていく必要があるかと思います。そういう中でエネルギーミックスの話を常に検討していくということで、我々研究所としては、ここに今日三人いらっしゃるそれぞれの方は、大体二〇三〇年、二〇五〇年のいろいろな計算をしています。そういったものもできたら議論をした上で、将来的なエネルギーミックスあるいは目標の再構築みたいなのをしていけたらと思っております。
#60
○山口和之君 世界のトップランナー、トップブランドとするとすると、原発を利用することが世界のトップランナーであるならば、比率は原発がどんと増える国があったっていいということになるわけで、やっぱりゼロを目指すというところが、トイレのないマンション、それから安全性が疑問があるものをいつまでも追いかけていくのか、それとも、それに勝算があるんだったらまた話は別なんですけれども、勝算がないところで目標に乗っけていること自体が世界のイノベーションの中で大きな要因になるのかと思うんですけれども。
 ここは、日本は、小泉元総理が大きな声を出してそれに向かえば日本だってできるんだという話がありました。それは、今までの話をいろいろ聞きますと、できるのではないか、可能性は全くゼロではないんだろうというふうに思っています。自分は福島県に住んでいる人間として、やっぱり皆さんと少し違うのかもしれませんけれども、小泉元総理、細川元総理、それから鳩山元総理、あるいは菅元総理がおっしゃっている、何か日本を、将来を考えたときに、これが大きなブランドになるんじゃないかなと、三人の先生のお伺いして、自分は何か少し確信したような気がいたします。ありがとうございます。
 世界のイノベーションに日本が率先してやるべきことはこの分野だと思っているところでもあります。
 そこで、この中で、ちょっと意見違うかもしれませんけれども、大型炭素税であったり温暖化対策税、今まで二国間クレジットの話は出ましたので、大型炭素税、温暖化対策税で、どなたか手を挙げていただいて、お話ししたい先生いらっしゃったら。
#61
○委員長(磯崎仁彦君) お答えになられる参考人。じゃ、山岸参考人。
#62
○参考人(山岸尚之君) 地球温暖化対策税、国内の地球温暖化対策税ということでよろしかったでしょうか。
 まず、それが導入されたことというのは非常に大きな前進であったと思います。ただ、その率がトン当たり実質三百円弱ということで決して高くはないですので、本来、炭素税というのは、掛けたことによって、消費者がそれを見て、ああ、高い税金嫌だなと思ってその消費を控えるというような効果を狙うのが炭素税の本来の筋ですので、本来であればその税率が高くなっていくということが望ましいと考えております。
 今の仕組みは、どちらかといえば、そこから得られる予算を使う、いかに有効活用するかというところに重点がありますが、どちらかといえば、その税率を高めて削減を促していくというところが重視されるべきではないかというのが今後の改善点としてはあります。
#63
○山口和之君 ありがとうございます。
 熱利用、太陽熱も含めて下火になっていますけれども、可能性は太陽熱は無限にあるわけですから、ここは追いかけるべきだと思うんです。日本はちょっと手放してしまいましたけど、もう一度、熱エネルギーとハイブリッドで石炭とやっていくことだって考えられることですし、地産地消の中でも大きな影響力を及ぼすところだと思います。是非これも研究も進めていただきたいなと思います。
 最後にフロンガスのことを代わりに聞こうかなと思ったんですけど、水野先生の、聞こうと思ったんですけど、時間となりましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。
#64
○渡辺美知太郎君 無所属の渡辺美知太郎です。
 原澤先生、山岸先生、上園先生、今日は本当にありがとうございました。
 質問が六人目なので、ほとんど聞かれてしまって、何を聞こうかなと迷ってはいるところではございますが。
 私は実は地元が栃木県でして、温暖化の影響、例えば、農業県ですので、昨年からの暖冬。暖冬は温暖化が直接の原因かどうかというのは議論の余地はあるとは思うんですが、暖冬で例えば野菜の味がどうしても水っぽくなってしまった。やはり野菜というのは寒暖の差が激しいから身が締まるわけで、あるいはお米の品質がちょっと変わってきているのではないかと。それから、ニホンジカなどの獣害、獣害は温暖化の影響だけではないのですが、そういった獣害もありますし、また、何といっても、北関東は元々災害の少ない地域ではあったんですが、例年のように最近竜巻や突風といった、これまで想定し得なかったような災害が多発するようになりまして、温暖化については私も危機感を抱いております。
 そこで、今日は質問させていただきたいと思っておりますが、まずは三人の先生方に、クールチョイス、国民運動についての御質問、今までもありましたが、ちょっとクールチョイスについて的を絞って質問したいなと思っております。
 私はクールチョイスを是非クールビズのように大々的に普及してほしいなと考えてはおるところなんですけど、もちろんクールビズと比べると非常に規模の大きい話であったりとか身近に感じにくいようなところもあるので、なかなかクールビズのように一般的に周知するというのは、やはり発想、発想というか、対象がやはりちょっと大きいものですからなかなかうまくいかないところもあるとは思うんですが、クールチョイスをクールビズのように普及させるためにどういった努力が必要か、また、現時点で不足をしているところ、それから他国などでの成功事例、消費活動と結び付けるこういった省エネの国民運動というのが他国にもし成功事例などがありましたら、先生方のお声、御意見を賜りたいと思います。
#65
○参考人(原澤英夫君) ちょっと質問の前に温暖化の影響が栃木県でもというお話があって、これが本当に温暖化の影響かどうかみたいな話はまさに今研究をしていて、そういった本当に温暖化が関わっているかどうかの研究も今進めているということで、またその辺についても成果を待って情報提供という形にしたいと思います。
 クールチョイスの話ですけれども、クールビズはどれぐらい時間が掛かったかというと、かなりやはり時間が掛かっている。逆に言うと、生活に入り込んでなじむまでにはちょっと時間が掛かるのかなと。クールチョイスも、二、三年でやめるということでなくて、やはり五年、十年といったような、そういう長期的な取組でやっぱりやっていかないといけないと思います。
 クールビズの場合はもう実質的にメリットがあるわけですよね。若干暑いところでもネクタイを、今日はネクタイしてきましたけれども、ネクタイしなくて執務をできるとか、やはりメリットがあったのでこれだけ根付いたということ。クールチョイスもやはりメリットがあるというところを強調するべきだと思います。
 例えばLED、大分安くなってきましたけれども、LEDになれば省エネもできるし電気代も下がるというようなことで、一挙両得なわけですね。そういった側面をやはり一般の方々にも分かってもらう。そのためには、やっぱり情報提供から一緒に行動するみたいなところが重要になってくるかと思います。
 他国の事例はちょっと私存じ得ないんですけれども、まさにクールチョイスを本当の国民運動にしていくためには、法改正をして位置付けるだけではなくて、それを具体化するいろいろな手を打っていただいて、やはり国民がメリットを実感できるというところまでを早めに達成することによって根付いていくのではないかと思います。
 以上です。
#66
○参考人(山岸尚之君) クールチョイスについての御質問についてお答えしたいと思います。三点ほど申し上げたいと思います。
 まず一点目は、直近で是非やっていきたいというか、やっていただきたいなと思っている取組としては、電力自由化に対する対応でございます。
 先ほどもちょっと発言の中で触れさせていただきましたけれども、現状では、例えばもう既に比較ウエブサイトみたいなものがあります。大きなところで二社ほどが電力会社を比較できるウエブサイトを提供しておりますが、その中で例えば再生可能エネルギーをどれぐらい入れていますかという情報を盛り込んでいただくとか、そういうふうに、消費者がそもそも選ぶとき、普通に選ぶとき、環境マインドがなくても普通に選ぶときに情報が見れるところにその情報をねじ込んでいただくというのがまず第一点としては大事なクールチョイスになるのではないかというふうに思っております。
 二点目は、そのときに、これは逆に言うと私たちに返ってきてしまう意見なんですけれども、信頼のできる第三者機関がそういったことに協力をするということです。
 ちょっと他分野になってしまいますが、以前、電子機器の化学物質とかある特定の金属の利用が問題になったときに、あるNGOは各社から出ている電子機器を全部自らが分解して調べるということをやって、それを情報として出しました。そうしたら、何々フリーと書いてあったけれども実はフリーじゃなかったとか、そういう情報が提供されるような結果となり、消費者はそれを見て、何だこれはという形で改善が図られたという過去のケースがあります。
 こういった事例がありますように、昨今も燃費問題が大きな話題になったところがありますけれども、そういうふうに信頼のある情報を持って消費者が選択できるかというのはかなり大事なポイントですので、NGOも含めた第三者の人たちがそれができるというところがもう一つ大事かなというふうに思います。
 三点目は、他国の事例ですけれども、先ほど、省エネについて、エネルギー供給事業者に対して省エネを課す事例が特にアメリカの州レベルではあるという話がありました。そういうふうに、普通にやりますと、電力の供給事業者あるいはガスの供給事業者などのエネルギーの供給事業者はたくさん売りたいわけです。ですから、省エネをしてくださいという経済的なインセンティブはないわけですが、これに対して、政府が、省エネをしてくれたら、これぐらいの量をしてくれたら例えば補助金出しますよ、あるいはこれぐらいしてくれたら税制優遇しますよというような形でインセンティブを与えると。
 そうすると、今度は何が起きているかといいますと、そういったエネルギー供給事業者に、例えばITを駆使した形で家庭に省エネサービスを提供する別の事業者が売り込みに行くわけです。そういうサービスが、省エネルギー支援サービスがビジネスとして生まれるぐらいの市場になっているのがアメリカなどの特徴なので、是非日本でもそういったところを育てていくのが必要ではないかというふうに感じております。
#67
○参考人(上園昌武君) 今、山岸さんが大体後半のところで言われたことを私も言おうと思っていたところなんですが、事例としてちょっと違う点、ヨーロッパの例を少し交えながらお話ししたいと思います。
 クールチョイスにとどまらず、もう一つの大きな地方自治体の地域レベルの温暖化対策の推進というところにも関わってくると思うんですが、ヨーロッパは、オーストリア、ドイツ、スイスなどでエネルギー・エージェンシーという機関が今いろんな自治体というか地域にできてきています。これは何かというと、省エネを進める、あるいは再エネを入れようとしたときに、実際にそれを進めようとしたときに個別に相談をしたいというニーズが出てくるわけですね。そのときに、このエネルギー・エージェンシーというのは公的な機関なんですね。ですから、公的な機関なので、例えば特定の事業者とか企業が利益を得るようなそういう情報の出し方はできないと。それは、中立性であったり客観性を持った情報を提供して個別のニーズに応じていくという、そういう窓口のようなものが今できてきているんですね。
 今日の参考人関係資料というところの冊子の中で私の論文載せていただいておりますけれども、七十三ページに今後の研究課題の形でこのエネルギー・エージェンシーの話を一言、二言書いているんですが、どこに省エネ型の製品だったりあるいは省エネ型の住宅を情報を取ったらいいかという、そこが多分一般の方は、国民の方が悩ましいところだと思うんですね。そこを手助けをするような中間支援組織というものがまさに必要じゃないかと思います。
 先ほど山岸さんが言われたアメリカの例というのはヨーロッパの例でも同じような形で出てきていますので、それが自治体レベルでたくさん設置できると、活動ができると更にこのクールチョイスということでも広がりが見られるのではないかというふうに考えております。
 以上です。
#68
○渡辺美知太郎君 ありがとうございました。
 一般の方に対してはやはりクールチョイスをすることによってメリットになるんだよということと、あとは、企業に対してはやはりインセンティブを与えるというのは非常に重要な話だと思っていますし、また、エネルギー・エージェンシーのお話は私もっともなことだなと思いました。エネルギー、省エネだけではなくて、いろんな各種、補助金の問題などもありますが、そういった情報がどこにあるのかと。我々もよく住民の方々から御要望をいただいたりとか、結局、こういうサービスないかとかこういう情報ないかというのは私もいろんな分野でいただく話でありますので、是非省エネ関係についても提言をしていきたいなと思っております。
 では、原澤先生にまず伺いたいと思っておりますが、地域における対策の強化の点について、私も、今回、複数の地方公共団体が実行計画を共同で策定するといった旨を法律に規定をすることで、バイオマス発電や広域的に連携した取組ができるので評価をしているところではあります。
 今後は、多分、そういった自治体、やる気のある自治体に対してどういった支援をしていくとかそういった議論になってくるとは思うのですが、今後のそういった地域における対策の強化という観点、コンパクトシティーなども非常に関心のある分野ではあるんですが、もし先生の方で、ちょっとざっくりとした質問になってしまうんですが、こうした方がいいとか、ビジョン、将来的なビジョンがおありになれば是非ちょっとお聞きしたいんですけれども。
#69
○参考人(原澤英夫君) 例えば、私も地方自治体のいわゆる温暖化対策の関係の委員をやらせていただいて感じるのは、地域あるいは自治体はやっぱり国の方針がしっかり出ないとなかなか動けないという状況があるようです。かつまた、そういったいろいろな地域の実情もあったりしますので、そういう意味では、私が委員をやったのは富山県なんですけれども、富山県はいち早くLRTのようなものを入れてコンパクトシティー化しているとか、そういった事例がほかの県はよく知らないということがあったりするので、そういう意味で、広域化ということは、対策の一つとして広域化するという話が一つと、やはり情報を複数の近隣の自治体で共有する、やっぱり使われているものはしっかり使っていくという話があると思います。
 富山の例、たまたま最近は小水力があって、あそこは水が非常に豊かなところです。小水力をやはり使って対策を取っていくというような話もあったりとか、そういうのはほかの県ではなかなか導入のノウハウもなかったりするということで、自治体間のそういう情報交換、意外とあるようなんですけど、やっぱり県という枠を超えることがなかなかできない面もあったりするということで、対策を進めるためには、国の方も、例えば環境省はいろいろなマニュアルを作って、そのマニュアルの中にはグッドプラクティスもあって、いろんな事例がありますよ、そういうのを学んでくださいみたいな話があるかと思うんですけれども、そういう意味では、横の連携みたいな話という意味で広域化というのは一つ大きな話。あとは、地域創生といったようなさっきの地産地消みたいな話は、やはりどこかでいい事例ができて、それがみんながまねをしていくというのも対策に大きな影響を与えていくのではないかと思います。
 今回、温暖化対策計画ができて、今後、地域あるいは自治体の計画ができるという段階に入っていくと思いますので、私は一挙に地域レベルでの温暖化対策が進むと思います。そのときにやはり適応もちょっと考えていただくというようなことでアピールしていきたいと思っていますので、是非そこはよろしくお願いしたいと思います。
#70
○渡辺美知太郎君 ありがとうございます。
 小水力はうちの地元でもちょっとやっていまして、水路、まあ元々水がない地域だったので、疎水を造って、そこに歯車を通して発電をしているという取組で、すごい効率のいい発電方法であるので、我々も普及にちょっと尽力していきたいなと考えてはおります。
 では、ちょっと時間がないので最後の質問になりますけど、上園先生、経済成長とエネルギー政策のバランスについてどのようにお考えか、上園先生のお考えをちょっとお聞きしたいと思います。
#71
○参考人(上園昌武君) 非常に長い大講演になりそうなので、どこをお話ししたらいいかちょっとあれですけれども、結局、私のプレゼンでもありましたけれども、やっぱり地域経済にとっての利益、これが非常に重要じゃないかと思います。
 経済政策といった場合に、この国会の場ですので当然国全体という視点になると思うんですが、それが実際の地域であったりすると、先ほどの原澤先生のお話でありましたように、地産地消とかそういう事業ですね、これが地域経済でどれだけの利益が得られるのかという、その観点がまさに重要じゃないかなと私は思っております。
 詳細はもう先ほど述べましたので、これで終わらせていただきます。
#72
○渡辺美知太郎君 時間を過ぎてしまったので、申し訳ありませんでした。
 終えたいと思います。ありがとうございます。
#73
○委員長(磯崎仁彦君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、長時間にわたり貴重な御意見を賜り、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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