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2016/05/23 第190回国会 参議院 参議院会議録情報 第190回国会 厚生労働委員会 第21号
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2016/05/23 第190回国会 参議院

参議院会議録情報 第190回国会 厚生労働委員会 第21号

#1
第190回国会 厚生労働委員会 第21号
平成二十八年五月二十三日(月曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     森本 真治君     羽田雄一郎君
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     太田 房江君     高橋 克法君
     高階恵美子君     大野 泰正君
     武見 敬三君     堀井  巌君
     古川 俊治君     柘植 芳文君
     堀内 恒夫君     藤井 基之君
     足立 信也君     柳澤 光美君
     礒崎 哲史君     石橋 通宏君
     小西 洋之君     長浜 博行君
     西村まさみ君     田城  郁君
     羽田雄一郎君     森本 真治君
     長沢 広明君     荒木 清寛君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長        三原じゅん子君
    理 事
                島村  大君
                羽生田 俊君
                津田弥太郎君
               佐々木さやか君
    委 員
                赤石 清美君
                有村 治子君
                石井みどり君
                大野 泰正君
                木村 義雄君
                高橋 克法君
                柘植 芳文君
                藤井 基之君
                堀井  巌君
                石橋 通宏君
                川田 龍平君
                田城  郁君
                長浜 博行君
                森本 真治君
                柳澤 光美君
                荒木 清寛君
                小池  晃君
                東   徹君
                福島みずほ君
               薬師寺みちよ君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林  仁君
   参考人
       埼玉県立大学名
       誉教授      佐藤  進君
       社会福祉法人全
       国社会福祉協議
       会全国社会就労
       センター協議会
       会長       阿由葉 寛君
       弁護士      藤岡  毅君
       三鷹市長     清原 慶子君
       一般社団法人日
       本ALS協会副
       会長       岡部 宏生君
         岡部参考人陳
         述補佐人   金澤 公明君
         岡部参考人陳
         述補佐人   永山 弥生君
         岡部参考人陳
         述補佐人   仁科恵美子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援
 するための法律及び児童福祉法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(三原じゅん子君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十日までに、礒崎哲史君、長沢広明君、足立信也君、西村まさみ君、小西洋之君、高階恵美子君、太田房江君、武見敬三君、古川俊治君及び堀内恒夫君が委員を辞任され、その補欠として石橋通宏君、荒木清寛君、柳澤光美君、田城郁君、長浜博行君、大野泰正君、高橋克法君、堀井巌君、柘植芳文君及び藤井基之君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(三原じゅん子君) 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、五名の参考人から御意見を伺います。
 御出席をいただいております参考人は、埼玉県立大学名誉教授佐藤進君、社会福祉法人全国社会福祉協議会全国社会就労センター協議会会長阿由葉寛君、弁護士藤岡毅君、三鷹市長清原慶子君及び一般社団法人日本ALS協会副会長岡部宏生君でございます。
 この際、参考人の皆様方に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査に参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人の皆様からお一人十分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人、質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず佐藤参考人にお願いいたします。佐藤参考人。
#4
○参考人(佐藤進君) 佐藤です。よろしくお願いします。
 平成十二年に社会福祉基礎構造改革が行われ、それまでの言わば保護主義的な施設に固め過ぎた福祉施策を大幅に転換し、個の尊厳の尊重やあるいは地域福祉をキーワードに、その人らしい自立した生活を支援することが福祉の目的だと整理をし直しまして、我が国の障害福祉制度にも大きな転換期を迎えたわけであります。
 平成十五年に介護保険の後を追うように障害福祉制度における構造改革を目指して支援費制度が実施されましたけれども、財源担保の脆弱性によって、半年余であっという間に破綻状態に陥りました。そして、その善後策を講じるために厚生労働省が設置した検討会がありまして、以来十年余にわたって障害福祉制度の在り方に関する議論が交わされております。この間、目まぐるしいほどの制度の変更もありました。私はその経過のほとんどの議論に参画してきましたが、来るべき超高齢社会やあるいは厳しい経済情勢を含む社会の状況を鑑みたところ、依然として道半ばであると言わざるを得ません。今回の改正を踏まえ、更に検討を進めることが必要だと思っております。
 さて、今回のいわゆる三年後の見直しでありますが、先ほど述べたような経過の中で、平成二十五年に施行された障害者総合支援法の附則に定められた三年後の見直しに係るものですけれども、見直すべき課題として列挙されたものが必ずしも十分に解決あるいはその方向性を示したものという程では議論が進みませんでした。しかし、今回法案として提出された改正点はいずれも重要な問題を含んでおり、現行の不備を補いながら、基礎構造改革以来に取り組まれてまいりました障害のある人あるいは子供たちの地域での安定した暮らしを担保するために、あるいはその前進に資するものとして評価されてよいものだと考えております。
 ところで、残された課題でありますけれども、かつて支援費制度の破綻が財政の担保を決定的に欠いたことに起因するわけでありますけれども、その上に給付のルール等が必ずしも十分に緻密に設計されたとは言えないものでもありました。これを引き継いだ障害者自立支援法やそれに代わる今日の総合支援法も、こうした基本的課題を必ずしも十分に解決したというものではないと思っています。
 したがって、合理的な制度設計とその財源の調達方法は今後も議論されなければならないと考えています。それが、たとえどういう仕組みでいかなる財源によるものであるにしても、この間の基礎構造改革以来の幾つかの法律、例えば総合支援法もそうでありますし障害者差別解消法もそうでありますけれども、関連する幾つもの法律の中でキーワードとして繰り返し主張されている共生社会の方向性、すなわち国民が互いに支え合うという理念と方法にかなうものでなければならないと考えています。
 他の社会保障制度の多くが社会保険システム方式によって行われておりますけれども、こうした視点も取り入れながら今後の障害福祉の在り方を考えていく必要があるだろうと思っています。それは、取りも直さず、社会保障制度の持続可能性に重大な危惧を持たざるを得ない今日、独り障害福祉だけを他の分野や領域の社会保障制度と切り離して議論することは適当ではないと思うし、決して得策ではないと思っているからです。
 最後に、介護保険との関係について意見を申し上げたいと思います。
 今回の部会、社保審障害者部会でも高齢の障害者の支援が検討されました。そこでは、当然ながら介護保険との関連性が議論されるべきであったと思いますが、障害者自立支援法成立前後の紛糾とその後の見直しの経過以来、この間のどの政権も障害福祉制度を介護保険との統合を前提としないという立場を取ってまいりました。それゆえにか、部会でもこの議論に深く立ち入ることをしなかったように思います。
 しかし、国民の誰もがその尊厳を保持し、その人らしい自立した生活を営むことができるよう支援するというこの間の福祉改革の方向感をもっていえば、障害者や介護を要する高齢者を総合的に支援する制度の整備に向けて検討を開始すべきであろうと思います。
 私は、具体的には社会保険方式による障害福祉の在り方が妥当だと考えておりますけれども、今後、両者の、すなわち障害者福祉制度とそれから高齢者の介護保険による介護制度と、この両者の統合若しくは統一的な運用を目指す新たな制度づくりに取り組んでいくべきではないかと考えています。これを放置すれば、制度間の整合性が保たれずに、やがて来る極めて深刻な高齢社会における福祉の在り方として、制度全体への国民的信頼を失いかねないことを危惧しています。
 今回の改正では十分にそこまで議論が至りませんでしたけれども、今後このようなことが議論されることを期待しまして、私の意見に代えたいと思います。
 どうも御清聴ありがとうございました。
#5
○委員長(三原じゅん子君) ありがとうございました。
 次に、阿由葉参考人にお願いいたします。阿由葉参考人。
#6
○参考人(阿由葉寛君) 私は、全国社会就労センター協議会の会長を務めております阿由葉と申します。
 本日は、このような貴重な機会をいただきましたことを心より感謝申し上げます。
 初めのページには私どもの組織について記載をさせていただきました。時間の関係もありますので、後ほど御覧いただきたく存じます。
 それでは、二の障害者総合支援法の見直し検討におけるセルプ協の基本姿勢について御紹介をさせていただきます。
 まず初めにお話ししたいことは、私どもの事業所を利用される方たちについてです。現在、障害のある方も、できるだけ多くの方が特別支援学校を卒業され、一般就労されるようになってきました。このことはとても良いことだと思いますが、残念ながら、受入れ体制の不備や実際には無理な就職などもあり、離職される障害者も多くおられます。離職された方たちがそのまま在宅で何もせずに埋もれてしまうことのないよう、私どもは様々な機関と連携をして就労継続支援事業を利用していただくように努めております。また、そこから自信を付け、就労移行支援事業を活用して再度就職につなげていくという支援も同様に進めております。
 また、障害が多様化する中で、支援技術を持った職員がいるからこそ、重度の障害があっても安心して働くことができる、それが私どもの事業所であり、障害のある方たちの働く最後のとりでになっていると言っても過言ではないと思っております。
 それらのことを踏まえ、働くことを希望する全ての障害のある方が地域で自立した生活を営むことができるようにしていくためにも、より高い工賃、賃金を支払えるような就労機会の開拓、提供、より長く企業等で働き続けることができるような職場定着の支援、障害の重い方でも働くことができる職場環境の整備、働くことにつなげるための住まいや相談の場における支援、働く障害者への社会の理解を高めるための啓発活動、これらについて全国の社会就労センターがより一層取り組むことができる仕組みとしていただくことが必要であるとのスタンスで、社会保障審議会障害者部会等での場で意見を発信してまいりました。
 以上のことを踏まえ、改正障害者総合支援法案についてですが、障害者総合支援法の改正事項は、障害者の望む地域生活の支援、障害児支援のニーズの多様化へのきめ細かな対応、サービスの質の確保、向上に向けた環境整備の三つの柱で構成されています。障害者の望む地域生活の支援の中では、障害のある方の働く、暮らすを支えることとの関連の強いものとして、以下の二項目が盛り込まれております。
 一つが、就業に伴う生活面の課題に対応できるよう、事業所、家族との連絡調整等の支援を行うサービスを新設する。これは就労定着支援についてであります。もう一つが、施設入所支援や共同生活援助を利用していた者等を対象として、定期的な巡回訪問や随時の対応により、円滑な地域生活に向けた相談、助言等を行うサービスを新設する。こちらが自立生活援助です。
 初めに、就労定着支援についてですが、障害者部会報告書においては、工賃向上と一般就労移行促進の方策検討と就労定着支援の在り方検討を進めるとの検討の基本的な方向性が示され、同事業の新設はこの方向性に沿ったものであると受け止めています。
 この事業の新設は、既存の就労移行支援事業から定着支援の部分を切り離すことで就職支援と定着支援の双方の強化を図ることとしているものと認識しており、就職実績のない就労移行支援事業所が一定数あることから、部会報告書の中でも就労移行支援の一般就労への移行実績を踏まえためり張りを付けた評価の方向性が示されています。
 就労移行支援事業所は就職に向けた支援に、就労定着支援事業所は定着に向けた支援に注力することができるようになることで、それぞれの事業所の評価軸も明確になることは、就職だけではなく定着も、また定着こそが重要であると主張してきたセルプ協としても歓迎できるものであります。
 今後のこととして、法施行後の運用面の課題を挙げるとすれば、二点あります。
 一点目は、定着支援は送り出し機関が行った方が効果は高いことからも、定着支援のノウハウが十分にない事業所が参入したとして適切な支援ができるのかということです。
 二点目は、本人の状態によっては十分な支援が提供できる就労継続支援事業等の福祉的就労の場が望ましいケースも当然あることから、同事業の新設に伴う制度見直しが無理な就職の呼び水にならないかということであり、これらの点は引き続き注視していきたいと思っております。
 次に、自立生活援助の新設についてですが、自立生活援助の創設については、地域でアパート等での独り暮らしを希望している方にその実現のための支援を強化するという基本的な方向性は賛成です。
 今後のこととして、法施行後の運用面での課題を挙げるとすると、この制度の創設に伴い、グループホームの利用要件がどうなるかという点があります。部会報告書では、障害者の状態とニーズを踏まえて必要な者にサービスが行き渡るよう、利用対象者を見直すべきとありますが、グループホームを始めとした地域の障害のある方の住まいについては依然として不足していることからも、まず住まいの場の整備についても同時進行で進めていただきたいと思っております。
 最後に、今後の就労支援について意見を申し上げます。
 衆議院での法案審議では、就労支援について以下の内容の附帯決議がなされました。障害者が自立した生活を実現することができるよう、就労移行支援や就労継続支援について、一般就労への移行促進や工賃、賃金の引上げに向けた取組をより一層促進することであります。障害者部会における総合支援法の見直し検討の中では、就労定着支援の新設以外でも就労支援について様々な提言が盛り込まれています。この附帯決議で制度政策における対応を求めているものということで、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、前提ですが、各就労系事業の目的や利用者像はそれぞれ違うということです。就労継続支援A型は、企業等で働くことは難しくても福祉的な支援によって雇用契約を締結し労働者として認められ、最低賃金を得られるという意義のある事業であり、約四万七千人の方が利用されています。就労継続支援B型は、企業等でも就労継続支援A型でも働くことが難しいが、働くことで自分で収入を得て、自立した生活につなげたいという思いのある方に働く場を提供する事業であり、約二十万人の方が利用されています。就労移行支援事業は、一般就労を希望する方に、就職につなげるよう、技術のみならずその心構えも含め、必要なものを身に付けてもらうよう支援する事業であり、約二万九千人の方が利用されています。
 この三つの就労支援の事業体系と、働くことだけを中心とせずに働きたいという思いを受け止めることのできる生産活動を行う生活介護事業も含め、障害の重い、軽いではなく、本人の働きたいという思いを受け止めることができるという点で日本の就労支援制度は世界に誇れる制度であり、この日本独自の就労支援の制度をより一層充実させていく必要があると思っております。
 本会はこれまで、一般就労の促進と福祉的就労の充実、改善は相反するものではなく、全ての働くことを希望する障害のある方にその希望や状態に応じた支援を行うためにはどちらも必要であると主張してきました。
 特に、二十万人の方が利用されている就労継続支援B型事業では、働くことで自分で収入を得て自立した生活につなげたいという思いに応えることが必要です。少し前の数字ではありますが、二〇一〇年度に本会が会員施設、事業所に実施した調査では、利用者の方にもアンケート調査を実施させていただき、その回答では、七割の方が利用の目的をそこで働くため、六割の方がそこで働く理由を工賃を得るためと回答され、さらに八割の方はそこで働き続けたいと回答されています。
 就労継続支援B型事業全体の工賃額は地域での自立生活につながる水準に達していないという現状があり、今後はより一層、工賃向上に向けた取組を進めていかなくてはなりません。現在の最低賃金で月二十二日働いた場合、地域によって差はありますが、月十二万程度になります。現在、目標工賃達成加算の要件にもなっている最低賃金の三分の一以上を達成した場合、一か月の工賃は三万七千から八千円という金額になります。この金額に障害基礎年金とグループホームの家賃助成を加えれば、先ほどの十二万という金額にかなり近くなります。
 ここでの水準の工賃を支払えている事業所は全国的にも非常に少ないのが現状ですので、多くの事業所がこの水準に到達できるよう底上げを図る必要があります。そのためにも、各事業所が創意工夫を持って工賃向上に取り組めるような環境整備を強くお願いいたします。その一環として、平成二十五年に施行されました国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律があります。当初はハート購入法という名称で制度化の検討が始まり、その過程で障害者優先調達推進法となりました。今後は、より幅広い理解を得るための愛称の検討も必要ではないかと思っております。
 なお、同法の施行から三周年を迎えたことにより、同法の公布日であった六月二十七日を中心とした一か月の期間に、日本セルプセンターとともに優先調達推進法の日・月間法施行三周年記念全国キャンペーンを実施する予定でありますので、この法律に基づき、社会就労センターの製品、サービスに対する官公庁からの一層の発注も併せてお願いいたしまして、私の発言を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
#7
○委員長(三原じゅん子君) ありがとうございました。
 次に、藤岡参考人にお願いいたします。藤岡参考人。
#8
○参考人(藤岡毅君) 障害者自立支援法違憲訴訟全国弁護団事務局長、弁護士藤岡毅です。
 お手元、三十三ページの資料に即しますが、十分以内ということで駆け足でまいります。
 本題に先立ち申し上げます。
 ALS当事者岡部宏生さんが、本日、当委員会にて参考人意見陳述を実施できることは喜ばしいことですが、五月十日衆議院厚生労働委員会の事件について、弁護士の一人として一言申し述べます。
 この事件は、障害のある人が障害を理由として民主的意見表明の場を奪われたものであり、障害のある市民の国政に参加する権利、表現の自由を侵害した人権侵害であり、法の下の平等と民主主義原理に反する、許されざる差別と言わざるを得ません。本年四月一日施行の障害者差別解消法を率先して推進しなくてはならない国会がこのような典型的な差別を犯したことは、この国の障害者施策の水準を露呈したものと言えます。
 この事件に抗議するとともに、どうかこの事件を教訓に、国会が先頭に立ってこの国の障害者差別解消のために全力で取り組んでいただくよう、具体的なアクションを始めてください。
 本題です。
 冒頭に結論を申し上げます。国は障害者改革の心を思い出してください。人権保障法としての障害者支援法の確立を求めます。基本合意、骨格提言、権利条約を実現させましょう。
 基本合意は、政権や政治の変動に左右されず、国政において履行されるべき法的文書です。基本合意では、新たな障害者福祉法制の制定は、障害者の基本的人権を保障し、その行使を支援する法律に転換すること、権利条約を実施するために、障害者を中心とする障がい者制度改革推進会議の意見を基に行う、すなわち骨格提言を法制度化することが予定されています。
 今回の見直し法案は、基本合意を履行したものとは到底言えません。国は改めて、基本合意、骨格提言、権利条約を実現するという基本姿勢に立ち返ってください。
 現在の法案について述べます。
 一言で言えば、障害者改革の心を忘れたがっかり法案です。確かに、入院中での重度訪問介護利用を認める改正は一日も早い実現を望みますし、医療的ケアの必要な障害児者支援の重要性を確認していることなど、望ましい改正点がないわけでないことは率直に評価いたします。しかしながら、全体評価でいえば、このままでは永遠に障害者改革はなし得ないのではないかという危機感を抱かざるを得ません。
 そもそも、自立支援法違憲訴訟で国が確認したことは何でしょう。二〇〇八年から九年、我々は違憲訴訟を全国で起こしました。そこにおいて、サービスメニュー羅列法から権利保障法へと題して主張しました。すなわち、権利の裏付けのない法を実質的な人権保障法に変えようという政策形成訴訟でした。そして、二〇一〇年一月七日、国は基本合意を調印し、その年の四月二十一日まで、十四全ての地裁の裁判官の面前において確認され、違憲訴訟は終結しました。
 基本合意では次のような重要事項が確認されていることを担当大臣、国会の委員の先生方、皆様は御確認いただきたい。総理大臣にも御確認いただきたいことです。国がこの訴訟を理解したこと、国は、憲法十三条、十四条、二十五条、ノーマライゼーションの理念に基づき違憲訴訟を提起した原告らに共感し、真摯に受け止めること、二〇一三年八月までに障害者自立支援法を廃止すること、国は、障害者の尊厳を深く傷つけたことに対し心から反省の意を表明し、この反省を踏まえ、障害当事者の声を基に新法を制定すること、新しい法律は当事者の基本的人権を支援することを基本とすることです。
 三ページ、四ページ、五ページ、基本合意文書を改めて掲載していますので、よくお読みください。五ページに大臣の署名及び大臣の公印が押印されています。
 六ページに訴訟上の和解の和解条項を掲載しております。
 七ページから十一ページにかけては、実際の裁判所における司法上の和解文書を掲載しております。
 九ページを見れば分かりますように、法務大臣権限法に基づき、法務大臣が国家を代表して訴訟上の和解を成立させています。訴訟上の和解の主体は国会を含めた国です。違憲立法審査に関する訴訟ですから、国会には司法上の和解を遵守する義務があります。これを信じた原告らは訴えを取り下げ、請求を放棄いたしました。基本合意文書が十ページ以下に書いてあるのは、これは訴訟上の和解の中身に基本合意文書がなっているということを皆さんに御理解いただくためです。
 十二ページ。二〇一〇年四月二十一日に、官邸において内閣総理大臣が原告一人一人に陳謝をし、基本合意を守るということを約束いたしました。そして、この年の六月二十九日、平成十七年法律百二十三号を廃止と閣議決定され、その方針に一切変わりがないと政府は国会で何度となく答弁しております。
 十三ページです。二〇一一年八月三十日、骨格提言がまとまりました。しかし、翌年、二〇一二年、国会には、骨格提言を無視した現在の障害者総合支援法が制定されました。うそつき、このとき私は原告の一人から批判されました。国の約束を信じれば、自立支援法は廃止され、障害者の声に基づく新しい法制度が制定されると説明されて訴訟を取り下げた、事務局長も同じ説明ではなかったか。当然の批判です。まさか、国務大臣が調印した政府の合意、裁判所における合意が守られないはずがないと考えた私は甘かったのでしょうか。国が国民を欺くのは当然なのでしょうか。今回のこのような法案のままでは、うそつきの汚名は晴れません。
 平成十七年法律百二十三号がいまだに存在していること自体が基本合意違反です。何より、基本合意を軽視することは、あらゆる社会保障制度を危うくします。
 十四ページ、十五ページに、様々な集団訴訟からの、自立支援法違憲訴訟基本合意を破ることに対しての共同抗議声明があります。薬害肝炎、ハンセン、原爆症、生存権、B型肝炎、残留孤児、HIV、ノーモア・ミナマタ、薬害イレッサその他多くの集団訴訟が、自立支援法違憲訴訟基本合意を守らないことに対して強い抗議を上げています。
 十六ページ以下、去る四月二十一日に訴訟団がこの法案に関して意見書を提出したものです。時間がないので全部読めませんので、補足のコメントだけにいたします。
 二十ページですが、障害者の範囲について、依然として医学モデルを採用し、障害者基本法の定義を採用しないという点についての問題です。
 先日の衆議院の審議で、政府は、サービス給付法だから対象を明確にする必要があるので仕方がないと言っていますが、障害者虐待防止法や差別解消法においては社会モデルが採用されていますので、答弁に整合性はありません。
 また、家族の収入に依拠する利用者負担制度を廃止してください。この点は、お隣の韓国が国連から是正勧告を受けております。このままでは恐らく日本も同じような改善勧告を国連から受けます。国連から勧告を受ける前に改善するのが国会の仕事と思われます。
 二十一ページ。基本合意では、どんなに重い障害を持っていても安心できる支給決定システムを求めていますが、この点の改善が一切なされていません。
 二十二ページ。介護保険優先原則が維持されていることも問題です。基本合意は、「介護保険制度との統合を前提とはせず、」としています。この方向性を改めて確認してください。障害福祉法制における自立は、公的支援を利用して、障害者が自ら主体的に社会参加し、生活を営み、他の人と平等に生きることです。目的の違う介護保険との統合や接合には無理があります。
 二十五ページ。小手先の改革の末に、介護保険に似た自立支援法の復活法になってはなりません。行政実務では六十五歳以上の障害者福祉利用を上乗せ支給と呼んでいますが、どうして障害者が障害福祉制度を使うことが付け足しのごとく上乗せなのでしょうか。この辺の考え方は根本的に誤っています。介護保険を利用したくない、今までどおり障害福祉法制を利用して生活したいと望む障害者に介護保険を強要するべきではありません。介護保険も利用したいという方の希望に応えるため、基本合意に基づき、障害特性に応じた選択制を採用するべきです。
 二十六ページ。権利規定が設けられていないということが問題です。骨格提言十二ページでは、総則規定として権利規定を設けろと提言しています。是非これを実現してください。
 二十八ページ。自立支援医療の低所得者無償化が毎年ほごにされています。この点の実現も求めます。
 二十九ページ。病院内での重度訪問介護利用については評価できますが、障害支援区分の程度にかかわらず利用を解禁させるべきです。
 最後、三十ページですが、国連に対する権利条約第一回政府報告案に問題があります。当初の昨年十月に発表された政府案には、骨格提言のコの字も、基本合意のキの字も入っておりませんでした。そのため、三十一ページから三十二ページにある我々は抗議の申入れをいたしました。その結果、三十三ページですけれども、この申入れは、いまだに基本合意と骨格提言が実現されていないことを正直に国連に報告せよというものです。ところが、政府は、基本合意と骨格提言に基づいて総合支援法ができたと報告しており、これは国際的な虚偽報告であり、大問題です。
 今回の法案は小手先をいじっただけです。そして、その小手先修正案が国際的に基本合意、骨格提言、権利条約が履行済みであることのアリバイづくりに使われるのであれば、むしろ、改革の妨げになりかねないと危惧するのです。
 どうか、国は障害者の声を取り入れた制度改革の心を取り戻し、基本合意、骨格提言、権利条約を今後とも真剣に実現、推進することを改めて誓ってください。
 以上です。
#9
○委員長(三原じゅん子君) ありがとうございました。
 次に、清原参考人にお願いいたします。清原参考人。
#10
○参考人(清原慶子君) ありがとうございます。
 東京都三鷹市長の清原慶子です。
 三原委員長を始め委員の皆様におかれましては、本法律案を審議するに当たり、基礎自治体の市長の一人であります私に意見陳述の機会を与えていただきまして、深く感謝を申し上げます。
 改正法案につきましては幅広い内容が含まれていますが、本日は、障害者福祉の現場の自治体の立場から、御配付をしておりますこの六ページの資料に沿いまして、幾つかの論点に絞って意見を述べさせていただきます。
 初めに、三鷹市の概要と障害福祉施策における特色について申し上げます。
 三鷹市は、平成二十八年五月一日現在、人口十八万四千六百七十五人、世帯数九万一千八百八十六世帯です。平成二十七年三月三十一日現在、障害者数につきましては、手帳保有者、身体障害者四千二百八十人、知的障害者九百五十七人、精神障害者一千七百人です。
 障害者権利条約では、障害者を相互に同じ社会において共に生きる一員として、必要な配慮や技術の活用により、平等に暮らし、働き、学び、活動できる社会の実現に向けて様々な取組を推進することとされています。三鷹市では、誰もが障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生できる町の実現を目指して、障害者福祉施策において市民参加と協働による町づくりを進めてきました。
 次に、その理念に基づいた三鷹市における障害当事者や関係団体との協働の取組の事例を御紹介します。
 三鷹市障がい者地域自立支援協議会、三鷹市防災会議、農業公園運営懇談会、青少年問題協議会等の審議会には障害当事者の皆様に委員として参画をしていただいています。また、長年にわたり、手話通訳養成講座、心のバリアフリー啓発推進事業、障害児者対象の水泳教室などを関係団体と市が協働で実施しています。加えて、障害者相談事業、地域活動支援センターU型については、当事者スタッフが多く在籍するNPO法人に運営委託しています。本年四月の障害者差別解消法の施行を踏まえた職員対応要綱に基づく職員向け差別解消研修も当事者にお願いをしました。
 このように、障害者計画策定に関する検討を始め、審議会等における障害当事者の参画は、当事者抜きに障害者のことを決めないという趣旨に基づくものです。
 それでは、改正案について四つの論点に絞って申し上げます。
 一、自立生活援助の創設について。
 これまでは、地域生活移行に向けてグループホームから一般賃貸住宅等へ移行する際には、支援メニューに不安を覚え、単身生活に移行しにくいという事例がありましたので、本制度の創設による状況の改善は地域移行を支援するものとして期待されます。
 ただ、当該支援を実施する事業所は、新設なのか、従来の事業所を活用するのか、現状では曖昧な印象です。実効性があり、効率的な事業所の在り方の具体化が必要です。今後は、グループホームをより障害の重度化に対応するものとする方向性が示されているとすれば、軽度の障害者は一般賃貸住宅で単身生活をすることとなるので、適切なきめ細かい支援策を講じない場合、当事者の不安が懸念されるところです。
 二、就労定着支援の創設について。
 三鷹市の就労支援センターでは、就労に関する相談、ハローワーク三鷹と連携した求職活動支援に加えて、就職後の定着支援についても実施してきています。実は、就労の定着に対する支援と生活支援の境界は曖昧ですので、総合的な支援スキルがスタッフにも事業所にも求められます。これは、これまで就労支援機関が奮闘してきた分野ですので、就労支援と定着支援、生活支援が明確に分離され、支援メニューとして位置付けられた点は評価できると思います。
 ただ、課題としては、就労支援事業所や就業・生活支援センターといった従来の事業所がある中で、当該支援の事業所を新設するのか、従来の事業所に財政的な確かな裏付けが担保されてより良い制度となっていくのかが曖昧です。この辺は、是非、実施主体が増加する中で、機関同士の連絡調整の在り方、情報共有のことも含めて取り組むことが必要です。
 特に、従事者の専門性を明確にし、人材育成が課題です。これは、ハローワーク等との情報交換や人材の交流等についても制度の中で明示されることを要望します。
 三、六十五歳到達による介護保険移行の一部見直しについて。
 六十五歳時の介護保険適用と障害福祉適用との関係については、市町村における支給決定の実態に相違があると認識しています。自治体の障害施策の在り方や財政状況等の実情によって、障害者の高齢化や重度化への対応に差が存在するのではないでしょうか。
 そこで、介護保険適用となった場合において、同一事業者によるサービス提供の継続や所得による自己負担の軽減などが盛り込まれた点は評価できると思います。
 課題としては、低所得者が多い傾向にある障害者にとって、生活を支える仕組みの障害福祉適用から保険制度への移行は大きな変化です。したがって、六十五歳になった時点で介護保険という異なる制度に移ることに伴う精神的不安、一部負担が前提という経済的負担などにきめ細かい対応が必要です。
 特に、介護保険利用時の本人負担について、低所得等の事由で還付するというスキームが想定されているようですが、本人には支払の負担、自治体には償還払いの事務量増加、事業所も支払種別の増加による事務量が発生します。改正案に基づく事業全体を俯瞰して、関係者、機関に増加する労務コストが多くなることによって当事者に不安や御迷惑が掛からないように、この施行までの間の具体的な配慮ある取組が期待されます。
 四、保育所等訪問支援の支援対象の拡大について。
 集団生活に適応できない発達障害等の子供が増えている現状では、このような取組は大変重要です。保育所等訪問事業については、障害児支援の強化の一環として平成二十四年度から創設された事業ですが、実は未実施の団体が多いのです。東京都内でも僅か十二事業所です。もちろん、支援対象施設の拡大により専門的な支援を受けられる対象児が増え、早期支援、早期療育につながることが期待されます。
 三鷹市でも、来年度、子ども発達支援センターの開設に合わせてこのような取組を重視しているんですが、人材確保の面、それから報酬単価の引上げ等による財政面での支援が課題です。乳児院から養護施設まで拡大するのであれば、報酬単価の整理、障害児通所支援事業所を支援した場合の双方の利用料の算定を認めることや、同一日複数障害児支援減算の見直しなど、実は専門職員が高度化することが求められておりますので、報酬を含め財源の裏付けが課題です。
 障害福祉サービスである保育所等訪問支援事業は、保護者の同意が何よりも重要です。自治体や事業者は、保護者に対する早期の寄り添いが必要です。必要な支援をどこまで実現するかということは大きな課題と思っています。
 最後に、法改正に伴い検討すべき論点について簡潔に申し上げます。
 一点目。三鷹市の生活保護制度の経験から、精神障害者の関わりでは福祉サービスと経済的支援が特に必要であると認識しています。障害者が地域で安全に安心して暮らせるために、ケースワーカーのスキルアップも求められます。財源保障の取組を国がしっかりしていただくことで、経済的支援も含めた包括的支援が重要です。
 二点目、障害者福祉の担い手としての人材育成の重要性と報酬の保障です。
 この間、骨太の方針、一億総活躍プランで障害福祉分野の職員の確保も高齢者や保育士とともに明示されています。新任職員の確保のみならず、現職職員の体系的な研修とケースカンファレンスの力量アップとともに、報酬についても御検討をお願いします。
 三点目、相談事業の充実と包括的なサービスの在り方についてです。
 高齢者の分野では多職種連携による地域包括ケアシステムの具体化が、また、子ども・子育て支援新制度においては妊娠期からの切れ目のない包括的な支援が検討されています。どうぞ、障害者福祉分野においても多職種連携による包括的なサービスの検討が不可欠と考えます。
 結びに、障害福祉サービスの現場である地域における検証に基づく自治体の意見の聴取のプロセスを踏まえた法改正の継続についてお願いします。
 施行まで時期もあります。障害者が安全に安心して生活することを目指すために自治体も頑張りますが、法改正のたびに制度が複雑になってはいけません。何よりも、制度の改正と国の財源の保障がセットでなければなりません。自治体の財政力によってサービスに差が出てはいけないのです。私たちは、とりわけ当事者の声、そして自治体の声をお聞きいただく今回の委員会のお取組に感謝しつつ、今後も継続していただき、何よりも制度に伴う国の財源の裏付けの確保に大いなる御活躍をお願いいたします。
 以上です。
 本日は発言の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。
#11
○委員長(三原じゅん子君) ありがとうございました。
 次に、岡部参考人にお願いいたします。岡部参考人。
#12
○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) 日本ALS協会の岡部と申します。このような機会をいただいたことに感謝申し上げます。
 最初に、私のコミュニケーションの方法について御説明をさせていただきます。
 岡部が行っているのは口文字という方法なんですけれども、日本語は母音の口の形が最後に残りますので、例えばこんにちはと言いたければ、「こ」のとき、「こ」の口といいますと、「お」の口の形が残ります。ヘルパーさんはその「お」という口の形を読み取りまして、「お」の行を横に読み上げていくんですね。お、こ、そ、と、の、ほ、も、よというふうに読み上げていく。「こ」のところで岡部が合図をしております。通常まばたきで合図をしてくれて、そこで一文字確定していく方法を取っております。
 この方法で一文字ずつ作ったものですので、どうぞお聞きください。
 代読いたします。
 日本ALS協会の岡部宏生と申します。本日は、こうして参議院の厚労委員会で参考人としてお呼びいただいたことに感謝申し上げます。
 さきの衆議院の厚労委員会で私の参考人意見陳述が実現しなかったことについて、私は率直に驚き、今後、国会で障害を持った人に対する参考人招致の対応などについて改善をお願い申し上げました。それを関係者の皆様が御理解くださり、こうして参議院の厚労委員会に参考人として出席することがかないました。あわせて、今後の対応についても、早速、衆参両院の議長にお会いして、検討を約束していただきました。重ねて心より感謝申し上げます。
 本日は、私のコミュニケーション方法も含めて御覧いただきたいと思います。
 今回の障害者総合支援法の改正法案の中には、私たちALS協会が長い間厚労省に要望してきた入院時のヘルパー付添いについても盛り込まれているので、特にそれについてはこうして私自身から直接お伝えしたいと思っていました。コミュニケーションにどれほど特別な技能が必要かを見ていただければ、その必要性も理解していただきやすいと思ったからです。
 私はALSのことにしか詳しくありませんが、世界的に見て、日本のようにALS患者がこのように生活できる国は世界にもほとんど例がなく、その制度と文化を強く誇りに思っております。私のように重度のコミュニケーション障害を持った者は、こうして意見を伝えるためには通訳者の能力が大きく影響するので、特にうまい人を二人そろえることが必要です。ほかに幾つかの具体的な工夫がありますので、後ほど関係者の皆様にお伝えします。
 障害には様々なものがあるので、障害者全体のことを考えればいろいろな方法もあるかと思います。議員が病院において参考人としての患者の意見陳述を聞くことも是非実現してほしいです。要は、その人なりの方法が選択できることが大事だと考えます。それと併せて、私たち障害を持った者もその能力に応じた努力が必要だと思います。私は、私にできる方法でこのような生き方もあることを発信することで、皆様に様々な障害に思いをはせていただければと思っています。
 さて、厚生労働委員会の参考人意見陳述における障害者、難病患者への合理的配慮の整備に関する要望ですが、本年四月一日より障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が施行され、障害者への合理的配慮が定義付けられています。障害者が国会審議の場等において参考人として意見陳述ができることは、合理的配慮の好例と考えます。今後、私の件を契機として、衆参両院において障害者や難病患者に対する合理的配慮に取り組まれることを要望いたします。
 では、衆議院の厚労委員会でも述べた意見を要約してお伝えいたします。
 私どもALS患者の多くは障害者総合支援法を活用して生活しておりますが、今回の改正を評価する立場から二点考えていることを述べます。一つは、法律改正案(概要)の一、障害者の望む地域生活の支援の(三)項の重度訪問介護について、医療機関への入院時も一定の支援を可能にすることに関して、もう一つは、(四)項の六十五歳に至るまで相当の長期間にわたり障害福祉サービスを利用してきた低所得の高齢障害者が引き続き障害福祉サービスに相当する介護保険サービスを利用する場合に、障害者の所得の状況や障害の程度等の事情を勘案し、当該介護保険サービスの利用者負担を障害者制度により軽減(償還)できる仕組みを設けることに関してです。
 一、重度訪問介護について医療機関への入院時も一定の支援を可能にする(法案第五条第三項関係)ことに関して。
 現在、在宅のALS患者の多くは、介護保険と重度訪問介護を利用し、患者の支援に慣れたヘルパーから、コミュニケーション支援、喀たん吸引、体位交換や胃瘻を使っての栄養注入などの介護のため長時間付き添っていただいて生活していますが、入院時はその患者の介護に慣れたヘルパーの付添いができないことが多く、また、一部の自治体では地域支援事業として一定時間のコミュニケーション支援しか利用できず、個別性に即した適切なケアが受けられないことなどにより体力を消耗し、かえって体調を崩すことがあります。特に、医療スタッフとのコミュニケーションの難しさが時には生命の危険につながるような事態も生じています。
 このため、協会としては、長年にわたって在宅療養患者の介護に慣れたヘルパーが入院中にも付き添えるよう要望し続けてきましたが、今回、重度訪問介護によるヘルパーの付添いが法律として全国で認められる動きになり、患者は一日も早く施行されることを望んでいます。
 施行に当たっては、地域によって重度訪問介護ではなく居宅介護を利用している地方患者が多いことに対する御理解をいただき、現在利用している地域支援事業でのコミュニケーション支援も併存し、どちらを利用するかについては優先関係が発生しないよう、特段の配慮を希望します。
 また、現時点では障害者支援区分六の者を対象とする予定と聞いておりますが、対象範囲の拡大などについては法案成立後も引き続き厚生労働省と議論させていただきたいと考えております。
 二、六十五歳に至るまで相当の長期間にわたり障害福祉サービスを利用してきた低所得の高齢障害者が引き続き障害福祉サービスに相当する介護保険サービスを利用する場合に、障害者の所得の状況や障害の程度等の事情を勘案し、当該介護保険サービスの利用者負担を障害者制度により軽減(償還)できる仕組みを設ける(第七十六条の二の第一項関係)ことに関して。
 今回の改正案の重度訪問介護や居宅介護などの障害福祉サービスを六十五歳前に一定期間利用してきた高齢の障害者に対して介護保険の利用者負担を軽減することについては評価しております。現在のALS患者の年齢構成は六十代後半の高齢者が最も多くなっています。しかしながら、重度障害者で重症難病患者であるALS患者は今回の改正の負担軽減には該当しないようになっております。
 ALS患者は、現行の介護保険と障害者総合支援法の制度を利用しており、介護保険では四十歳から六十四歳までの二号被保険者(十六特定疾病)と六十五歳からの一号被保険者に該当し、介護保険サービスを障害福祉サービスに優先して利用するという規定があるため、病気が進行し、障害がより重度化した場合に障害福祉サービスを上乗せ利用しております。介護保険要介護五で支給限度額まで利用した場合、月当たり一割負担の約三万七千円の自己負担が生じます。
 また、若年発症のALS患者は、四十歳まで障害者福祉サービスを利用して、四十歳からは介護保険サービス優先となり、その自己負担が発生します。介護保険と障害福祉サービスを併用する場合に高額障害福祉サービス等給付費による自己負担軽減措置がありますが、今回の改正による介護保険負担分を障害福祉で全額負担軽減する措置は受けられません。
 ALS患者は医療費等の出費も多く、学齢期の子供がいる世帯などにおいては介護保険の自己負担は家計を圧迫し、子供の進路にもしわ寄せが生じています。中には自己負担を減らすために介護保険サービスの利用を抑制する場合もあり、必要な重度訪問介護等の障害福祉サービスの上乗せ利用ができない患者も少なくありません。
 四十歳以上で介護保険サービスと障害福祉サービスを併用している場合も、今後、改正案と整合性のある対応策を講じられるように附帯決議等を要望します。
 法案の内容には、今後の課題として残った部分はあるものの、入院中のヘルパー派遣や高齢障害者の利用者負担の軽減など評価できる部分が多いことから、この法律改正を是非今国会で成立させていただきたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
#13
○委員長(三原じゅん子君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#14
○石井みどり君 自由民主党の石井みどりと申します。
 本日は、五名の参考人の方々、大変真摯な、そして貴重な御意見を賜り、誠にありがとうございました。限られた時間でございます。私は十五分の持ち時間でありますので、この時間を精いっぱい使って、一般社団法人日本ALS協会副会長の岡部宏生様に御質問をさせていただきます。
 今回の法案には重度訪問介護の訪問先の拡大が盛り込まれ、難病の方など重度の障害者の方に入院中のヘルパー利用が解禁されるなど、重度訪問介護が入院時にも使えるようになる点は評価できると考えています。ただ、現在、医療の現場は非常に効率化が求められて、非常に現場としては医療従事者も厳しいものが求められている時代でありますので、このような公的医療保険あるいは介護保険、そして障害福祉サービスの垣根を越えた、真に皆様にとって有用な制度構築のためには、今伺った御意見の中にもございましたが、まだまだ不十分な点があると認識をしております。
 そこで、御意見をお伺いいたします。
 是非これだけはという、今の御意見の中にも二つポイントがあったと思います。最初の一つ目だと思いますが、是非そこをもう一度お聞かせいただけますか。
#15
○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) 御質問ありがとうございます。
 医療保険制度と福祉制度(介護保険)並びに障害者総合支援法のサービスにはいろいろな垣根があります。中でも、医療の業務と福祉の業務の範囲については患者(利用者)にとって悩ましい問題です。
 具体例を示すと、喀たん吸引や経管栄養の注入などが平成二十四年四月から介護職員にも一定研修を完了すれば認められるように法改正が行われました。これらの医療的ケアは医療と福祉の業務の交わった部分ですが、その連携についてはいまだに医療職と介護職の間で問題になることが珍しくないです。
 例えば、経管栄養の注入は介護職員に認められていますが、その接続については明記されていません。これによって、介護職員は経管栄養の注入をするために訪問看護師さんの訪問があるまで待たなければなりません。また、経管栄養の注入が終了しても接続が外せないために片付けができません。訪問看護師さんの訪問がない日はどうしたらよいでしょう。
 同様のことは枚挙にいとまがありません。せっかく、家族の負担軽減のためにも、看護師さんの絶対的な人数不足も埋められる制度であるはずのものなのに、制度が生かされないだけではなく、かえって両者の関係を難しくしているということが発生してしまっています。
 もちろん、医療職と介護職の連携がうまく取れている場合はこんな問題は生じません。このような問題解決には、現場の声の反映を制度の中にいかに取り入れるような仕組みが必要かということだと考えます。
 以上です。
#16
○石井みどり君 ありがとうございます。
 多分、このもう一問しか伺えないかも分かりませんが、現行制度では、六十五歳以上の方は介護保険が優先され、利用者負担が増加するという問題が生じていたケースが多々報告されています。改正案では、高齢障害者の介護保険サービスの円滑な利用が盛り込まれ、利用者負担が軽減されることになろうかと思います。
 この利用者負担についても、まだまだ改善の余地があると思われます。経済的な負担の改善点について是非御意見をお伺いしたいと思います。特に、ALSの中には、加齢と因果関係にあるため、四十歳から介護保険が優先適用される状態であると聞いております。
 このような現状を鑑みても、今後更なる改善が必要だと思いますが、是非そこをお聞かせいただきたいと思います。
#17
○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) 今回の改正案は、六十五歳が基準となって、ある一定の期間以上障害者サービスを利用していた場合に軽減の対象になるとされているが、それだと発症の年齢やサービスの利用開始の時期によって対象とならずに、不公平感があると感じています。
 また、ALSの場合は四十歳から介護保険の対象になりますが、その年齢は働き盛りであって、子供も成長期である場合が多く、経済的負担の軽減を求めたいことから、今後の軽減の対象にしていただくことを検討してほしいと思っています。
 以上です。
#18
○石井みどり君 ありがとうございます。
 障害福祉サービスの提供については、地域間格差があるということは承知をしております。先ほど清原三鷹市長のお話の中には耳を傾けるべき内容があったと思います。この地域間格差でありますが、是非ALSの立場から御意見をお伺いしたいと思っております。
#19
○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) 地域間格差については、本当にいつも患者会として少しでも改善を望んでいます。地方自治の原則からサービスの対象や支給について各自治体の裁量に任されている部分も多く、自治体の方針や経済状態によって大きく差が生じています。その格差の解消については、国の負担によって格差の改善が見込まれると考えます。ただし、社会保障費の財源についての問題がいつも議論になっています。確かに、社会保障費は幾らでも確保できるというものではないかもしれません。
 そこで、国に求められることは、どのサービスは各自治体の裁量でなくて全国的に統一されるべきものなのかを検討する必要があるのではないでしょうか。その際に考慮していただきたいことに、財源確保の問題による線引きをしてはならないことがあるということも併せて検討してほしいと思います。
 以上です。
#20
○石井みどり君 ありがとうございます。
 ALSに関する再生医療について、iPS細胞を用いた創薬研究が進んでいると聞いております。現在、iPS細胞とゲノム編集技術を用いてALSの病態が解明されつつあります。今後、更に病態の全容解明へと進展し、ALS治療薬開発への応用が期待をされているところであります。
 残された時間僅かでありますが、是非、国や各市町村、自治体に対して、あるいは本国会へ対しても、ALS患者さんの立場から、是非これは言っておきたいということがあればその御意見をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
#21
○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) iPS細胞の活用などによる病態の解明や治療法の確立は、私たち患者や関係者の悲願であります。是非、国や各都道府県には、研究のための環境の確保(経済的な面も含めて)に注力していただきたいと思います。
 また、研究の促進のために、安全の確保は言うまでもありませんが、その活用には大胆な挑戦も必要ではないでしょうか。さらに、治療法の確立までは療養環境の改善と確保について特段の配慮をお願いしたいと思います。
 これからちょっと岡部自身から。
 環境の確保というのは、関係省庁や自治体間の役割にこだわることで発生する垣根を取り払うことなども含みます。
 以上です。
#22
○石井みどり君 ありがとうございました。
 今日、当参議院へおいでいただき、慣れたヘルパーの方の習熟したスキルも拝見することができました。また、御要望がある、入院されている患者さんにも是非お話を伺う機会をというふうな御要望も出ておりますが、できましたら参議院で全ての会派が賛成した上でそういう機会が実現できたらと私も思っております。
 先ほど再生医療のお話をさせていただきました。我が国は再生医学は世界最先端でありますが、これを医療として更に進展させ、ALS患者さんの大きな希望が実現するように、そして、今おっしゃった、その実現までに希望する地域でそして望む暮らし方が十分できるような、そういう制度を私どももつくってまいりたいと思っております。
 本日はありがとうございました。
#23
○川田龍平君 民進党・新緑風会の川田龍平です。会派を代表して質問させていただきます。
 今日は、参考人の皆さん、本当に貴重な時間、貴重な御意見をありがとうございました。本当に、今日の御意見を是非参考にさせていただき、審議に生かしていきたいと思います。
 まず、岡部参考人にお聞きしたいんですけれども、岡部参考人が、これ二〇一四年の難病・慢性疾患全国フォーラムで発表した資料を少し引用させていただきたいと思いますが、この病気を岡部参考人は、二〇〇六年、ちょうど十年前に発症されて、三年半で呼吸器を付けたということで、これから毎日のように何かができなくなっていく、それは大変恐怖ですということを述べられています。
 しかも、将来、人工呼吸器を付けなければ死が待っているということで本当に過酷だということをおっしゃっていて、さらに、人工呼吸器を付けるというだけではなく、全身不随になって生きていくか、それとも呼吸器を付けずに死んでいくかを自分で選ばなければならないと。本当に、呼吸器を付けるか付けないかの選択も自分でするということであります。
 この呼吸器を付けずに死んでいく患者の割合どれくらいかということで、岡部参考人は七割の患者が呼吸器を付けずに亡くなっていくと。その理由は、もちろん病状の過酷さもありますが、それ以外にも、介護負担、経済的な負担を考えて生きていくことを諦める患者も多いということです。
 私は、このALSの患者さん、二十四時間三百六十五日の介護が必要になるということで、社会資源のことについてここで述べられておりますけれども、本当に、この介護、ヘルパーさんの仕事がなければ生きていけないということで、大変過酷な病気であると思います。
 まず、病気に対する治療法や治療薬が開発されることを患者としては望むと思います。私も難病の患者の立場で、本当に、そういった難病患者がやっぱり当たり前に生活ができる環境や、こうした社会の制度や仕組みというものが日本は文化的に進んでいることもあって、また私も岡部参考人も多分生きることができているんだと思いますが、本当にそういう意味で、今回の法改正についての話に移りますが、この入院時のヘルパーの付添いについて大変高く評価をされています。特に、震災、地震などの震災対応について事前に法制化を必要とするのかどうかということについて、まず岡部参考人に伺いたいと思います。
#24
○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) 大きな災害、例えば東日本地震や今回の熊本地震においては入院時の介護者に対して介護保険も障害者サービスも認められましたが、私たちは、そういう災害時には自動的に介護者の派遣が認められるような制度が欲しいと思います。
 以上です。
#25
○川田龍平君 岡部さんにもう一問だけ。岡部さんにしか答えられないことだと思いますが、常日頃そばにいるヘルパーさんと違う人が介護するとなると、どんな感じになるんでしょうか。
#26
○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) それは、コミュニケーションが取れないので、私の介護の九割ぐらいができないことになってしまいます。
#27
○川田龍平君 ありがとうございます。
 本当に介護というものがまさしく命を左右するということで、もちろん介護者の技術のこともそうですが、ここで岡部さんも述べていらっしゃるように、介護の体制がどのように構築できるかということ、介護保険などの社会資源がどのように活用できるか、また、生活全般についても、人工呼吸器を付けるかどうかという生死の選択のときにも大きな選択肢の決定の要因の一つとなってしまうと。
 岡部さんもここでおっしゃられているように、家族に介護を頼れない環境で他人の介護の体制がつくれるかどうかということが、障害者自立支援法の重度訪問介護の給付時間の確保ができなければ呼吸器を付けないつもりだったということで、その二つの課題が曲がりなりにもめどが立ったのは呼吸器を付けるために救急車で運ばれる僅か二週間前で、本当にぎりぎりのタイミングで岡部さんも今の状態になったということで、介護者不足のことも岡部さんは言っておられますが、本当にそういった体制があったからこそ岡部さんもここに生きておられるんだと思います。本当に、そういったことをやっぱりしっかりしていかなければいけないということを思います。
 ほかの方にも質問させていただきますが、清原参考人に伺います。
 先ほど清原参考人からも、介護保険の問題と、特に六十五歳到達による介護保険への移行の一部見直しについてということで御意見いただきましたが、特に自治体の負担というかそういったところについて、これは藤岡参考人からも言われていますけれども、国の財源がしっかりとしていない中で自治体に負担を求めることになってしまうのではないかと。
 特に、自治体については、骨格提言で合意した内容に達していないという障害当事者や支援団体の声もありますが、自治体や介護事業者等の現場職員にあっては、この法改正に基づいてサービスの提供を充実することが求められると同時に、介護保険優先制度についての説明責任を果たすことが求められるが、それはなかなか難しいということも清原参考人の資料にありますが、その辺について、短時間でよろしくお願いします。
#28
○参考人(清原慶子君) 御質問ありがとうございます。
 六十五歳において介護保険に移行することにつきましては、三鷹市においては、毎年六十五歳になられる方が障害者の中で二十人前後ということもあり、お一人お一人、まずは丁寧に六十五歳を迎える前からお話を聞き、実情を受け止めながら、どのような支援が必要かということを対応できる現状にあります。
 その中で、やはりもちろん介護保険のサービスに移行するのが通常ではありますが、その介護保険のメニューでは障害者としてのお立場で不足がある場合には、例えば具体的には同行支援というようなことにつきましては障害者のサービスを併用していただくというふうに判断をしていただいています。
 これにつきまして、三鷹市の場合もいずれの自治体も同様だと思いますが、障害者の福祉サービスに精通していることと介護保険のメニューに精通していることと、そしてもちろん事業者の皆様の実態について精通していることと、何よりも、障害当事者の方の実情を種別の多様性の中把握する力量というのが求められます。その上で、大変僣越ではございますが、三鷹市においては、地方交付税の不交付団体を一生懸命堅持しておりますので、一生懸命財源を調整して、できる限り併用ということも御希望に応じられる実態はございます。
 ただ、自治体においては、先ほど申し上げました、職員の対応がなかなかできないとか、やはり公平さを尊重する中から一律介護保険への移行を判断されているところもあるようでございますので、そういう意味では、これはなかなか現実的には、きめ細かい対応の難しさと自治体による相違があるということは否定できないと思います。
#29
○川田龍平君 藤岡参考人に伺います。
 藤岡参考人の資料に基づいてなんですが、障害というハンディに加えて加齢に伴うハンディが重複すればより困難な事態に至るのが当然であるにもかかわらず、高齢障害者が福祉制度を利用するにはより過酷な条件、負担や利用要件が課せられる、恐らく世界的に見ても特異な制度であろうということなんですが、ほかの国と比べてやっぱり日本はこれ特異な制度なんでしょうか。
#30
○参考人(藤岡毅君) 具体的にどの国でどうという対比をしたということで書いているわけではないので、ちょっと今具体的にどういう国でどうというふうなお答えはできないです。
#31
○川田龍平君 それに関連して何か述べることあれば。
#32
○参考人(藤岡毅君) 藤岡です。
 私の資料二十三ページで、介護保険と障害者福祉の違いというものについて書いております。平等権、生存権、尊厳保障、そういう原理に基づいて本来あるべきですので、経済的にもいまだに劣った地位にある障害者の尊厳、平等、生存権を基本的人権として公的に保障する制度という、障害者の権利保障というものをまずしっかり確立するということがまずは先決だと思いますので、今の状態を何ら改善しないで統合だ併合だというようなことは非常に危険で乱暴な議論だと思います。
 保険原理というのは保険掛金内の相互扶助にとどまりますので、人権に基づく権利性が希薄だと思います。この点、保険の方が保険掛金との対価性があるので権利性が強いという御主張があるそうですけれども、それだと例えば生存権、生活保護というものについては対価性ありませんから、そうすると権利性などないということになって、基本的に憲法二十五条の解釈を誤っていると言わざるを得ませんので、そういう主張というのは間違った理解だと思いますので、まずは障害者に関しての基本的人権をしっかり保障する制度を確立するということを先にしていただきたいということです。
#33
○川田龍平君 最後に一問だけ、清原参考人にお願いします。
 この保育所等訪問支援、支援対象の拡大についてなんですけれども、やっぱり障害かどうか分かっていないお母さんたち、特にそこの段階から相談などを必要としていると。さらには、お母さんたちが特に就学時に相談などをして、そこで支援学級に入れるのかそうでないのかという選択をするときに、非常にお母さんとして責任を感じてしまうと。特に、支援学級に行った後に普通の学級に行けないんじゃないかとか、その責任をお母さんが負ってしまうんじゃないかということで、お母さんが責めを感じてしまって、子供の将来を閉ざしてしまったんではないかという深刻な本当に責任を感じてしまうお母さんもいます。
 そういったお母さんたちや保護者の方たちの相談にどのように乗っていけばいいのか、お願いします。
#34
○参考人(清原慶子君) ありがとうございます。
 御指摘のとおり、相対的に母親の方がお子さんに障害のあるときは深刻に自らを責めるということに私も直面をして心を痛めております。大切なのは、今目の前にいる何らかの障害のあるお子さんの障害の早期発見と早期療育に、きちんと保護者の皆様の御理解もいただいて努めていくことになります。
 三鷹市では、保健の、健康診断のときの早期発見、あるいは保健師が寄り添うこと、また、この四月一日からは妊娠されたお母さんに全員面接というのを始めさせていただき、かなりの人数がもう早期から予約をしていただいておりますように、妊娠したときから母親、父親の悩みは始まりますが、そういう保健の部分と、それから発達相談の部分と、そして教育委員会の小学校に上がるときの就学援助等が総合的に垣根なく取り組んでいくこと、それから、三鷹市で有り難いのは、発達障害等のお子さんをお持ちのお母さんたちがピアサポートをされているということです。当事者そしてその家族がもちろん寄り添う、そしてそれを支援する人が連なっていく、望ましいネットワークをつくっていくことが大いに重要だと考えます。
 以上です。
#35
○川田龍平君 終わります。ありがとうございました。
#36
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかでございます。
 参考人の皆様、今日は大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 私の方からは、まず自立生活援助のことにつきまして、清原参考人と阿由葉参考人に御質問させていただきたいと思います。
 御存じのとおり、今回の法案には、障害を持っている方が地域で一人で暮らす場合に、それを支援をする自立生活援助、この創設が盛り込まれております。例えば、身の回りの家事ですとか、また服薬、また医療の受診、そうしたことについてちょっとした支援をして自分自身でできるように訓練をして練習をしていただく、そうしたことで独り暮らしができるようになると、そういう場合もあるという声もいただいておりますので、今回のこの制度の創設というのは大変意義のあることではないかと思っております。
 先ほど参考人のお二方からこの制度についても御意見をいただきましたけれども、清原参考人からは、今後、ではこの事業を実際に実施していくに当たって事業所の在り方など具体的な検討が必要になってくるということでお話がございました。私もそうだと思います。
 今後、制度の詳細については検討していくという段階ではございますけれども、例えば横浜市では障害者自立生活アシスタント事業というものを今、市独自で行っているそうであります。横浜市の場合は、支援の内容は先ほど申し上げたようなものと同様ですけれども、以前から、障害者が地域で自立した生活を送ることができるように、そうした支援を行う障害者地域活動ホームとか精神障害者生活支援センター、こういったものが各区にあって、そこがこの制度を横浜市で始める際にも担うことになったと、こういう経緯があるというふうに聞いております。
 また、市独自でやってきたということでいろいろと柔軟に対応をしているところもあって、二十四時間対応をしなきゃいけないとか、携帯電話の番号を伝えておいて、何かあったら連絡を下さいと、そういうサービスの特殊性もあって、報酬の面でもどういった形にしていくのがいいのかということも検討していかなければならないなというふうに考えております。
 こういったことに関連いたしまして、清原参考人と阿由葉参考人に御意見がございましたら教えていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
#37
○参考人(清原慶子君) ありがとうございます。
 何よりも、障害のある皆様が御自身の能力を大いに発揮していただきまして自己実現していただくということが極めて重要です。その基本として、できる限り御自身で地域の中で生活していただくということは重要ですから、自立を強制するのではなくて、障害のある方の生きようとする力、貢献しようとする力というのをとにかく保障していくということが自治体の役割、そして事業所の役割になると思います。
 したがいまして、この間の取組では、グループホーム等で障害のある方同士がそれぞれ共に暮らしをしながら、励ましながら、御自身のペースを見付け、他者をモデルとしてまたそこまで生きたいと、こう描いていただくようなことで、グループホームは大変意義ある取組だと思っています。
 あわせて、私たちがグループホームの経験などを踏まえて、この新しい自立生活援助の創設によって当事者の暮らしを総合的にトータルに保障するようになるということに大いに期待しています。
 先ほど申し上げました生活の自立もありますが、就業をする、あるいは何らかの地域の活動に加わる、スポーツをするとか趣味の活動をするとかも含めて総合的に支援するということで、私としては、ケースワーカー的な役割というのが極めて重要で、全部一律にしない、お一人お一人の実情に合わせてこの自立生活援助が創設されていくことを願っていますし、それに自治体の役割も果たしていきたいと考えております。
#38
○参考人(阿由葉寛君) 先ほどもお話ししましたけれども、この要件の中でグループホームの利用がどうなるのかということを少し心配をしております。
 それは、部会報告書の中で、障害者の状態とニーズを踏まえて必要な者にサービスが行き渡るよう利用対象者を見直すべきというふうにあります。そこが今現在も、先ほどもお話ししましたように、まだまだグループホーム等の利用をしなければならない障害を持たれた方はたくさんいらっしゃいます。そして、まだそのグループホームがないという方もたくさんいらっしゃいます。
 特に、入所施設を出て地域で暮らすのにはまずグループホームが適当というふうに思っておりますので、そういった意味でも、グループホームの整備、これがまず不可欠ではないかということで、先ほどお話ししましたように、障害の重い軽いで場合によっては利用できなくなってしまうようなことがないように進めていただきたいというふうに思っております。
 よろしくお願いいたします。
#39
○佐々木さやか君 ありがとうございました。
 次に、障害児支援、この点についても今回の法改正には盛り込まれておりますけれども、障害をお持ちのお子さんに対する支援を拡充していく中では、サービスの質の確保ということも重要であると思います。この点に関して、これも清原参考人と、それから佐藤参考人にも御意見を伺いたいと思います。
 特に、近年増加しております放課後等デイサービス、この質の確保に関連して、放課後等デイサービスの事業者が行政処分を受けたという報道も最近ございました。こうした質の確保、向上に向けて私たちも努力をしていかなければならないと思っておりますけれども、清原参考人におかれましては自治体の立場から、また、佐藤参考人におかれましては専門的な立場からの御意見をいただければと思います。
#40
○参考人(清原慶子君) ありがとうございます。
 障害児のサービスの充実というのは、これは不可欠でございます。国では、子ども・子育て支援新制度を昨年の四月から施行して、きめ細かい幼児教育と保育というのを推進しようとされている中、やはり障害のあるお子さんについてもそれをしっかりと保障していくのは、国の責務でもありますが、自治体の責務だと思っています。
 その中で、障害児の皆様の中で例示されました放課後デイサービスというのは長年ニーズがありまして、三鷹市でも事業者の皆様と実践をしてまいりまして、昨年の春に新しい施設も開所できまして、今までよりも定員を増やすことができました。
 やはり大切なのは、適切な特別支援教育を保障していくとともに、放課後の暮らし方によって、先ほど御質問がありました、学校教育が終わってからの御自身の生活の実現に向けて移行の役割を放課後は大きく果たしています。特に、どのような内容で支援をしていくかについては研究が進んでおりますが、残念な例のことを例示されましたが、やはりそれは指導員、関わる職員のより一層の意識の向上と、また専門性が期待されると思います。
 また、大切なのは、こういう場合にボランティアの皆様の支援、あるいは地域に、外に出て活動をされて出会うということがとても大切だというふうに思っています。障害のある子供も障害のない子供も共に支援を必要としていますし、両者がいろいろな機会に出会うというようなことをきちんと地域で保障していくということが障害のあるお子さんへの子供たちの理解も深めるというふうに思っています。
 何よりも、私たちとしては、特に放課後デイサービスについては質を確保していらっしゃるかどうかを、第三者評価も重要ですし、社会福祉法人については私たちもそれを監督できるような権限が基礎自治体、市町村にも参りましたし、しっかりと質の確保に向けて自治体の評価能力と指導能力というのも進めたいと思いますが、キーワードは協働だと思います。どういう事業者の皆様が市の障害者担当と目標を同じくして子供たちの視点に立って保障していくか、そうした風土が重要だと考えています。
 以上です。
#41
○参考人(佐藤進君) 今御質問いただいたのは、多分、今日の委員会に向けて私が何年か前に書いた資料に基づいて、私も、先ほどの発言とは違うところから、違うフォーカスで御質問いただいてちょっと戸惑っておりますけれども、私、実はこの障害福祉の仕事の入口は、障害を持つ小さな子供の通園施設で長年施設長やあるいは理事長をしておりましたけれども、その施設は、いっときは早期発見、早期療育の要望に応えて、毎年多くの待機児童を出すほど何というか繁盛していたんですけれども、考えてみると、子供たちがここしか行く場がないというのはおかしな話だというところに思い当たりまして、もう今から振り返りますと二十年近く前ですけれども、自ら関わっていた施設を閉鎖できるような地域づくりを進めようと、良い施設ではなくて良い地域をつくりたいということで仕事の方向性をスイッチいたしまして、具体的には我々が関わっているこの通園施設を閉鎖するということを目標にしたいと。
 その目標は十年前に達成できまして、その分、障害を持つ子供たちが我々の地域では保育園や幼稚園で受け入れられ、それなりの支援を受け、そこに知識や技術のあるかつての通園施設の職員、私どもの法人の職員が支援に行くという形でそれが定着してきました。
 しかしながら、特に、具体的に言えば、発達障害者支援法が制定された当時から急速に、かつての障害児の通園施設、大小の通園施設が衣替えをしました児童発達支援センターと言われるところに、箇所数も急速に増えまして、利用児も急速に増えるという現象が生まれてまいりました。そんな中で、我々は一体やってきたことが間違っていたのかどうかということを検証しなければならないんですけれども、障害のある子供たちが適切な発達支援を受けることは極めて重要である、しかし、その場所が障害のある子供たちだけが集まる施設でなければならないという理由はないはずだということを改めて確認して、障害のある子供たちが地域で育てるような地域づくりに取り組んでいこうと。私の次の世代、次のというか、一回りないしは二回り若い世代が現在私がかつて理事長をしていた法人を引き継いでくれていますけれども、彼らも同じようにして引き続き努力をしてくれています。
 そんなことと、もう一つは、先ほどありました放課後等デイサービスに関してですけれども、先ほどおっしゃったように、事業停止の勧告をあるいは命令を受けたところが少なからずあるというふうに、これまた、できてまだほんの数年の制度であるにもかかわらず、今や全国で六千か所という急速な勢いで、というか、ほとんど考えられないような勢いで増えております。確かに、障害のある子供たちが学校を終えた放課後あるいはまた長期の夏休み等の休暇期間中にどこでどういうふうに過ごすのかということは大きな問題でありまして、そこに支援が必要だと。そのことを家庭が全部かぶってしまうのは非常に負担が大きいということは事実としてありますけれども、しかし、その場所が障害のある子供たちだけが集まる場所で必ずしもある必要はないだろうと。
 例えば、現在、二万五千か所のいわゆる一般の子供の放課後児童支援のための学童保育の場所がありますけれども、そこが一か所一人障害のある子供を受け入れてくれたら、あるいは二人受け入れてくれたら、もう現在六千か所もあるような放課後デイサービスの問題は解決に近づくわけです。ですから、放課後デイサービスという形で展開するのではなくて、いわゆる一般の学童保育が障害のある子供たちを積極的に受け入れていくという方向で施策を整備すべきだというふうに考えています。
 ところが、この放課後デイサービスは、今度専門性が必要だということで何とか生き延びようとしていますけれども、正しい意味でこれらが役割を終えて、いわゆる一般的な学童保育の場所で障害のある子供たちが時間を過ごすことができ、さらにまた、その子たちの発達に資するような取組が行われるようになることを切に期待しています。
 以上です。
#42
○佐々木さやか君 時間が参りましたので、大変残念ですが、以上で終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#43
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 参考人の皆さん、本当にありがとうございます。とりわけ岡部参考人、衆議院でああいう経過があり、こういう形で来ていただいて、お話聞けて大変良かったなと、参議院としての役割を果たせたのかなというような思いで聞いておりました。
 そこで、お聞きしたいと思いますが、事前にお伝えしている質問、二問させていただきたいと思います。
 一つは、今回、衆議院での経過も踏まえて、障害者や難病患者の皆さんに対する合理的配慮、これを整備する上で、国会においてそれを整備する上でどのようなことを要望されますでしょうか、まずお聞かせください。
#44
○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) まずは、通訳の技能が大きく影響するので、とてもうまい人を二人そろえることです。二つ目に、事前に陳述の内容の原稿を作成することはもちろんです。三つ目は、事前に、議員さんからも前日までに私への質問を出してもらうことです。それなら、事前に私の答弁を作成しておくので全く時間は問題ないです。四つ目は、委員会での質問に対して、私の質問は最初にしていただいて、答弁は最後にさせていただければ、その間にこれだけの速度で答弁を作成できます。五つ目は、私の質問に対して私の代理で答弁できる者を事前に指定させていただいて、それを認めていただければと思うのです。この代理人の発言は、あくまでも当事者が発言できないやむを得ない事態が発生した場合に限ります。
 以上です。
#45
○小池晃君 ありがとうございました。
 ちなみに、今回この参議院では今言われたとおり実現しているということになりますでしょうか。
#46
○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) 四つの工夫によってこの参考人を務めさせていただいていますので、とてもそれは対応してくださったと思います。
#47
○小池晃君 ありがとうございます。
 それから、入院時のコミュニケーションの難しさが命の危険につながるという指摘、あるいは喀たん吸引や胃瘻などの問題、この医療行為が慣れたヘルパーの付添いが必要だという御指摘をされています。
 そこで、岡部さんが入院された際に実際に困ったこと、悩み苦しんだこと、これを具体的にお聞かせいただけますでしょうか。この点で改善を期待することもあればお願いします。
#48
○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) 私は、この病気に罹患してから、胃瘻の造設や気管切開して人工呼吸器を付けたときなどに入院しています。特に、気管切開をしたときは二か月の入院生活でした。そのときに、在宅で使う呼吸器に慣れるために病院の呼吸器を外して在宅用の呼吸器を使っているときに、回路の緩みがあったことに気付かずに呼吸困難になったことがありました。
 また、私の両肘は拘縮していますが、そのときの入院時にリハビリテーションの時間はあったのですが、コミュニケーションが取れなかったことから希望が伝えられなかった結果として拘縮してしまいました。
 特に悩んだことは、看護師さんにコミュニケーションを求めることが困難なことでした。看護師さんたちはいつも忙しくしていて、私に時間を割いてくれとは言えない状態であることが分かったことです。看護師さんの中には、私のために休みのときに仕事をしている人もいました。そんな状態で、私はコミュニケーションに時間を掛けてほしいとは言えなくなりました。それが最もつらかったことです。
 以上です。
#49
○小池晃君 ありがとうございました。
 先ほど、石井委員の方からは実際病院に見に行こうじゃないかという御提案もあって、これ私も賛成ですから、石井先生と私が賛成すれば大体できるんじゃないかなと思いますので、是非これも実現の方向に向けていければなと思います。
 藤岡参考人に伺います。
 今回の法案は骨格提言を法制度化するということに全くなっていないんじゃないかという、私も本当にそのとおりだなというふうに思っておりますが、やっぱり基本合意、骨格提言、権利条約を実現するという基本姿勢に立ち返ってほしいと。
 そして、その前提として、この間、国会の答弁で厚生労働大臣が、基本合意は、これは障害のある方を始め当事者の皆様の思いが込められたものであると言っているんですね。これちょっと違うんじゃないかなと。これ約束ですよね。何か障害者と当事者の思いが込められたものだから重視するんだというのは、この答弁は私はちょっとおかしいというふうに、率直に言って、これはもう国のやはり責任が生じている、約束なんだというふうに、先ほどのお話だとそういうことになるかと思うんですが、この点いかがでしょうか。
#50
○参考人(藤岡毅君) もう先ほどその点についてはかなりはっきり申し上げたとおり、国約ですということで、国の約束を守っていただきたいということです。
#51
○小池晃君 ありがとうございます。
 さらに参考人は、この資料の二十六ページで、権利規定が非常にされていないと、設けられていないという問題点を指摘をされています。
 やはりサービスメニュー羅列法から権利保障法へと、障害者の基本的人権を保障し、その行使を支援する法律に転換することが大事だというふうにおっしゃっているわけですが、具体的にこの権利規定についてどのようなことが必要かというふうにお考えでしょうか。
#52
○参考人(藤岡毅君) 現在の総合支援法が権利保障法になっていないということを例えば検証する一つとして、移動支援が挙げられると思うんですね。今の法律では、七十七条の地域生活支援事業をやりましょうという中で幾つかの事業が羅列されていて、第一項八号に六文字で移動支援事業と、ただ六文字書いてあるだけなんですよね。一体これは何のために何をすればいいのかということが何にも書いていないんですよね。
 そうではないはずで、障害を持った人は社会生活上の移動の自由が奪われていて、それを保障することによって社会生活に参加するんだという、まず移動の自由、権利というものが保障されなければいけないということを法の総則部分、骨格、基礎部分に書かなければいけないですよね。それに基づいて、実際にどういう施策、事業をやりますかというのは各論として提示する、そういう構造にするべきなんですね。それがなっていないということで、じゃ、どうすればいいのという答えは骨格提言にあると思うんですね。
 私、手元に今、百二十一ページの骨格提言、二〇一一年の骨格提言を持ってきているわけですけれども、これを条文化、法制化すればいいわけですね。私の配付資料でいうと、二十六ページに、地域で自立した生活を営む基本的権利の保障規定を設けなさいということを骨格提言が言っていて、実際に七項目あるいは支給決定に関しての数項目の具体的な規定が提案されていますので、こういうものをしっかりと総則部分に書き込んで、それに基づいて各施策を書くということをすればいいと思うんですね。実際上、もうここにある種の答えはあるわけですから、二〇一一年の骨格提言を法制化するという方向性を確認していただきたいんですね。
 実際は法の条文化に落とし込む作業について官僚の皆さんに丸投げをしてしまっていますので、そこが問題だと思うんですね。だとしたら、権利条約を実現するための骨格提言法制審議会みたいなものを例えば内閣府の下につくるなりして、できればそういうメンバーは障害者の支援を頑張っている弁護士とか法律家、有識者あるいはそういう権利論に詳しい障害当事者の方に入っていただいて、そういうものを骨格提言の具体的法案化という作業をすればいいと思うんですよね。
 もしそれができないというのであれば、障害者権利条約推進議連ってあるじゃないですか、超党派で、そういう母体で、皆さん、権利条約を実現するということにはもう党派性なく一致されているわけですから、そうであれば、先ほどのようなものを議員連盟の部隊としてのチームにして法案化作業をして、議員立法で国会に提出するなりして、あくまでも権利条約を実現するための骨格提言法案化というものを徹底してやっていただきたいということを改めて強く求めたいと思います。
#53
○小池晃君 大事な指摘ありがとうございます。
 それから、先ほどちょっと時間の関係で余り触れていただかなかった部分で、自立支援医療の低所得者無償化がほごにされているという、これも私、今度の法案の非常に重要な問題点ではないかなと思っているんですが、この点について、先ほどお話しいただけなかったことも含めてお願いできますか。
#54
○参考人(藤岡毅君) これは、二〇一一年以降、毎年約束いただいていたんですけど、毎年裏切られてきているという経過があります。
 難病法が成立する過程において、政府が、自立支援医療についての負担というのはもうこれで固定されているんだということで、あれに合わせましょうということで、現行の自立支援医療を無償化することを前提でなくて、今有料化しているんだからということで無償の難病者が有料化に引き上げられたという経過が今回あったんですね。
 これはまさに基本合意の趣旨を損なう話ですので、そういう議論というのは本当に本来やめていただきたいですね。あくまでも基本に立ち返っていただいて、自立支援医療の低所得者無償化の実現というのは合意ですので、約束は果たしていただきたいと思います。
#55
○小池晃君 ありがとうございます。
 さらに、介護保険優先原則の問題なんですが、先ほど原理原則として、社会保険原理と社会保障制度というか、これは異なるんだという、そういうお話がありました。保険原理と相入れないんだと。それに加えて、判例やあるいは学説という点から見て、介護保険優先原則というのがやはり誤っているんだという辺りの御指摘、先生されていると思うんですけれども、そこをお話しいただけますでしょうか。
#56
○参考人(藤岡毅君) いや、ちょっとこの場では、二十三ページ、二十四ページにいろいろ書いていますので、ちょっとそれを今ここで解説するのは時間がないので難しいと思うんですが、現場では重度訪問介護と介護保険の訪問介護というものが一緒じゃないかということで優先原理で困っているという現実があるんですが、私から言わせると、マラソンで例えるんであれば、重度訪問介護というのは六時間以上、八時間以上を見守るという、オーダーメードで一人一人のペースで、マラソン、市民ランナーがゆっくり走るので、それを見守りますよという制度なんですね。
 介護保険の家事援助等の居宅における訪問介護って、もうストップウオッチを持って、二十分、三十分の間に、やれ洗濯をやりましょうというような、非常に慌ただしくて、既製品であって大量生産に合うような、そういう二つの全く違う、異なるものなんですね。
 短距離走と市民ランナー、これを一緒くたにせよというのが今の介護保険優先原則のイメージなんですね。そういう根本的に間違ったことはやめてほしいということを御説明させていただきます。
#57
○小池晃君 ありがとうございました。終わります。
#58
○東徹君 今日は五人の参考人の皆さん、大変お忙しいところお越しいただきまして、ありがとうございました。また、岡部参考人におかれましては、ここまで来るのも大変なことだと思いますけれども、お越しいただきまして本当にありがとうございます。
 まず最初に、佐藤参考人の方にお伺いをさせていただきたいと思います。
 佐藤参考人の方から話がありました介護保険との関連性ということで、たしか十年以上前でしたでしょうか、介護保険と障害者とを統合するようなたしか議論もあったかというふうに私も記憶をいたしておりますけれども、私も介護保険と障害者とを統合していく上でのいろんな問題点もあるのかなとは思いますが、佐藤参考人のその辺の基本的なお考えとかお聞かせいただければと思います。
   〔委員長退席、理事羽生田俊君着席〕
#59
○参考人(佐藤進君) このことに触れる機会をもう一度与えていただいて、ありがとうございます。
 今おっしゃった十年ほど前というのは、恐らく支援費制度が崩壊した後に、今後どういう体制の立て直しをするかということで、私もその当時その議論に参加しておりましたけれども、すぐにはできなくても、長い将来を見れば、総合的な支援制度、介護保険と障害福祉、これ制度でいうと別々ですけれども、高齢の障害がある方とそうでない障害のある方の支援を一つの文脈の中でやるべきではないかということで、これはそもそも介護保険が始まるときからそういう議論があったと聞いているわけですけれども、そのことかと思います。
 私は、その議論以来ずっと一貫して、残念ながら少数派でありましたけれども、これは一体的な運用、統合という言葉を使ってもいいと思いますけれども、そういう方向で将来を展望すべきだということを繰り返してまいりました。
   〔理事羽生田俊君退席、委員長着席〕
 私事になって恐縮ですけれども、私の母、九十六歳になりますけれども、八年前に脳梗塞で倒れて、現在要介護三で、今はやりの介護離職を、私も五年前に大学を少し早めに退職いたしまして、現在、親子二人暮らしなものですから介護に専念しておりますが、その母親が車椅子に乗って生活をするようになってこういうふうに言いました。この年になって、私ども関西の出身ですので、母親の言葉をそのとおり言いますが、この年になって障害者になってしまうなんて考えたこともなかったわと言ったんですね。
 彼女にとってみたら、車椅子に乗るということは障害者という認識なんでしょう、きっと。その認識は私は間違っていないと思います。歩けなくなったことによって、彼女の社会生活も日常生活も非常に大きな制限を受けることになったわけですから、まさしく障害者になったわけです。
 それらの姿も見ながら、なぜ六十五歳という年齢によって、あるいは六十五歳を超えてそのような状態になったか、あるいはその前からそのような状態であったかということで別々の制度で支援を受けなきゃいけないのかということに必ずしも合理的な根拠があるとは考えていませんし、これは釈迦に説法ですけれども、いろんな制度というのは恐らくはいろんな事情、制定当時の事情やいきさつでつくられるものだと思います。
 不幸なことに、私からいえば不幸なことに、たまたま別々の制度になりました。そして、今それぞれが、介護保険の場合はもう二十年近くたつわけですが、障害福祉のその制度も障害者自立支援法以来もう十年以上たちます。そうなると、それぞれの育ち方をしてしまって、なかなか一緒になるのが難しい。これはいろんな理由で、難しいと言うことはごく簡単なんですけれども、どうやったらお互いに利益のあるような統合をしていくかという発想になかなかならないんですね。もうそれぞれに応援団が付いちゃって、なかなかにそういうもう少し先を見た発想ができないということを大変じれています。
 ちょっと長くなりましたが、最後に、現在介護保険の被保険者は三千三百万人を超えています。そのうち六百万人以上の方が、少しの方が介護ないしは要支援の認定を受けています。そして、五百万ちょっとの人がこの介護保険の受給者になっています。一方、それらの急増に対して、介護保険は、当初三・六兆円で出発したものが総費用で十兆円を超えるところまでなってきました。
 統合に反対する障害者団体の方が障害者部会のときに、あんな保険と一緒にされたらたまらぬというふうな趣旨をおっしゃいました。しかし、現実にあんな保険と言われるところに五百万人以上の人がいる。本当にこの人たちがそれぞれの費用を全部使ったら現在の倍ぐらいは掛かる。多くの人たちが、やっぱり多分、経済的な理由が主なんでしょうけれども利用を差し控えているということで、支給限度額を超えて利用している被保険者は全体の一%にすぎません。うちの母親も、私がこのような形でまだ多少社会参加をするために、はるかに上限を超えて介護保険のヘビーユーザーでありますけれども、そのようにできる者は全体の一%にすぎないということを考えますと、やっぱり今の介護保険だって本当に多くの障害のある高齢者を支援するものとしては不十分だと。そして一方、先ほど来批判のあります障害福祉、私もそう思います。今で十分だとは全然思っていません。
 この両方をやっぱり我々は解決しなきゃいけないというふうに、我々というのは福祉関係者という意味ですけれども思っていて、有力な選択肢として、この両方を一体的に運用して社会保険制度として財源を安定させていく、多くの国民が互いに支え合うということを実現していくということを目指していきたいと思っています。
 長くなりましたが、以上です。
#60
○東徹君 ありがとうございました。
 大変大きな問題ではございますけれども、考えていかなきゃならないというふうに私も思います。
 岡部参考人に一点だけお聞きしたいことがございます。
 それは、今日のお話の中にありました経管栄養のお話がありました。たんの吸引は、平成たしか二十四年でしたか、介護職の方でもできるようになりましたけれども、経管栄養の接続は医療職に限るということですけれども、このような事例というのは経管栄養の接続以外にもほかにあるのかないのかだけ教えていただければと思います。
#61
○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) たくさんあります。
#62
○東徹君 ありがとうございます。
 たくさんあるということであれば、今お聞きしてもよろしいでしょうか、それとも。
#63
○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) 金澤さん、どうですか、後ほどにしましょうか。
 今言われたように、金澤です、医療と障害というか、福祉の境界というかボーダーラインにあるものは幾らでもあります。在宅で生活している者はその境がなく、切れ目なく、何というか、対応が必要なんですよね。そこに関してはいろいろとその医行為とは何かというのがありますけど、例えば今の経管栄養なんかにしても、例えば普通の栄養注入はヘルパーさんはいいけれども、薬を食後に入れるのは看護師じゃないと駄目とかであって、そういうものができなくて何とかならないかとか声も上がったりしています。
 そういうことを含めて、やはり言いたいことは、在宅で生活まで療養している者にとっては、医療とか福祉とか、そういう担当のあれは関係ないといいますか、連続しているんです。そこがスムーズにできるようにしてほしいというのが基本的な趣旨です。
#64
○東徹君 ありがとうございました。
 それでは、清原参考人の方にお伺いをさせていただきたいと思います。
 本当に、当事者を入れて障害者福祉に取り組んでおられるということで、大変そういう取組に対して評価をさせていただきたいというふうに思っております。
 清原参考人の方からお話がありました、これからの障害者福祉も地域包括でやっていくべきではないのかというふうなお話もありました。今、地域包括は高齢者の介護になっておりますけれども、そういうふうなことを思われる理由を少し教えていただければと思います。
#65
○参考人(清原慶子君) ありがとうございます。
 三鷹市では、特に高齢者の医療、福祉の連携のために、多職種連携という取組をこの数年してまいりました。その中で、高齢者の介護という、対象者の中には高齢者になられてから障害がある立場になられた方がいるということで、先ほど佐藤参考人がおっしゃったとおりの例はございます。したがって、高齢者の介護あるいは福祉を考えていく中に障害の問題に直面します。また、障害者の皆様に福祉サービスをさせていただく中で障害者の高齢化という問題に現場では直面しています。
 したがって、この高齢者福祉と障害者福祉というのは、まさに現場ではもう、何というんでしょうか、同時に存在する問題ですし、お一人の方を対象にしても生じることです。したがって、私たちは、医療と福祉と介護というサービスの境目をいかに利用される方にはお感じにならずに適切な支援をさせていただくかということが痛切な問題意識です。
 そこで、先行して、高齢者の福祉の場合には三鷹市でも多職種連携をしておりますし、今年度は在宅療養の研究会も、医師会、歯科医師会、薬剤師会、関係団体の皆様、そしてもちろん職員も入りながら本格的にスタートいたします。そうであるならば、高齢者の中に障害のある方もいらっしゃいますし、障害者の高齢化が課題になるならば、先行して研究、実践をしつつある高齢者の地域包括の取組を是非障害者の取組にできないかと思っています。
 一例だけ御紹介しますと、三鷹市では七つのコミュニティー住区に七つの地域ケアネットワークというのを市民の皆様主体につくっていただいていて、その構成メンバーは、医師会、歯科医師会、薬剤師会、あるいは障害者支援センター、高齢者の福祉事業所とか商店会が入ったり学校が入ったりするような、まさに多様なメンバーで地域ケアネットワークをつくっておりますときに、当初は高齢者の寄り添いや支援がテーマでしたが、今後、そのネットワークの中で、実は障害のある方の御支援あるいはまさに出産して子供、子育てでお悩みの方などの支援というものがテーマに表れています。
 したがって、制度として、もう古いテーマですが、福祉と医療と保健との連携をするとともに、高齢者福祉と障害者福祉については、是非私たちも実効性のある制度を包括的に考えていくことが望ましいのではないかと感じているところです。
 以上です。
#66
○東徹君 ありがとうございました。終わります。
#67
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今日は、五人の参考人の皆さん、本当にどうもありがとうございます。わざわざ時間を割いてくださいましたことに感謝を申し上げ、とりわけ岡部参考人、ここまで国会に来られるのもなかなか大変だったかもしれませんが、介助者の皆さんも含め、本当にどうもありがとうございます。
 まず、岡部参考人にお聞きをいたします。
 障害者差別解消法が四月一日から施行になりました。重要なのは合理的配慮だというふうに思います。障害者差別解消法の合理的配慮はどうあるべきだとお考えでしょうか。
#68
○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) 合理的配慮は、様々な障害について対応できることが十分に配慮されることだと思います。例えば、私のようなコミュニケーション障害がある場合の具体的な例えにつきましては、先ほど発言させていただきました、上手な通訳を二人そろえるなど個々の項目のことですので、共通の回答とさせていただきます。
 以上です。
#69
○福島みずほ君 実際、コミュニケーションのやり方も含め、きちっと陳述をしていただいたことに心から感謝をいたします。私たちにとっても非常に理解が深まったというふうに思います。
 では次に、岡部参考人にお聞きをいたします。
 六十五歳から介護保険の適用が優先となることの問題点について、改めてどうお考えでしょうか。
#70
○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) 介護保険の提供できるサービスと障害者総合支援法の重度訪問介護で提供できるサービスには、同じようなサービスから介護保険では実施できないサービスも多くあります。私たちのように長時間介護を必要とする者にとっては、介護保険と重度訪問介護を一人のヘルパーさんがまたいでサービスを提供することは普通にあることです。そのときにサービスを区切って提供することは、極めて効率が悪くなったりサービスの途中でやめられずに困ることが発生したりします。
 また、介護保険優先は法律の中で位置付けられていますが、その中には個別の事情や介護保険で実施できないことについては個別に対応を考慮することが厚労省の通達で示されていますが、各自治体によってはそういう配慮はなされておらず、患者は理由について苦労をしています。
 以上です。
#71
○福島みずほ君 藤岡参考人にお聞きをいたします。
 論文に「六十五歳以上障害者の「介護保険優先原則」が生み出す権利侵害」として書いていらっしゃいます。この問題点についてどうお考えかが一点目です。
 二点目の質問は、基本合意で介護保険との統合を前提とせずとあるのですが、介護保険との統合が将来されるのではないかという危機感も持っております。衆参で今回、岡部参考人の来ていただくことについて態度が分かれたわけですが、衆議院は、六十五歳以降も障害者福祉サービスが使えるようにしてくださいという請願が、この部分は駄目だということで、請願が受け付けられていないというふうにも聞きました。参議院では受け付けられています。ということは、障害者福祉サービスが六十五歳以降使えなくなってしまうんではないか、これはまさしく将来、介護保険との統合ということをとても念頭に置いて実はこの法案も進んでいるんではないか、この二点についての御意見をお聞かせください。
#72
○参考人(藤岡毅君) 福島先生の質問の意図に必ずしもちゃんと的確に答える自信はないんですけれども、まず、六十五歳問題ということで、時間もない中で一言で言うと、やはり基本合意に書いてあることは、介護保険優先原則、七条自身をやっぱり廃止をして、介護保険の方を優先するんだというもう所与の前提自体がおかしいという観点からの法整備を図るべきだというふうに考えます。その上で、障害の特性に配慮した選択制を実施するということによって、私は介護保険使わずに障害福祉法制一本でいくよと、あるいは私は介護保険も使いたいわという両者の方が保障されるような法整備にするべきだというのが基本的な考えです。
 その論文に書きましたように、優先原則自体が非常にいろいろなゆがみ、ひずみを生み出して、全国各地でいろいろな紛争、被害を引き起こしています、裁判になっているのも二件ありますし。こういう事態をなくすために、基本合意にのっとった法制度改正をするべきだということです。
 統合論が今回の法案の中で潜んでいるんではないかという辺りについては、私の方でどこまで言えるのか分かりませんけれども、先ほどこの三十三ページのペーパーで言いましたとおり、一見すると小さなことだけれども、もろ刃があるんですよね。六十五歳以上の方の介護保険利用の場合の一割負担を軽減するという措置、目の前のことだけ見ると、確かにそういう方にとっては費用負担が減っていいよねという指摘もあるわけですけど、他方で、じゃ、六十五歳になったって介護保険使うことに何のデメリットもないんだから、あなたたち介護保険使いなさいよということで、私が六十五歳問題の論文で書いたように、六十五歳になった途端に障害福祉課長から、あなたはもう六十五歳ですから自動的に介護保険に移行しますので、障害福祉サービスのホームヘルプサービスは誕生日の翌日から打ち切りますというような通知があちこちで出ているという現実があるんですね。
 だから、そういうような方向性というのがもっと悪化するんではないかという危惧もあるということは言えると思いますので、メリット、デメリットあるんだけれども、余り目の前のことだけを見ていると大きな視点で見たときに過ちになるんではないかということだけ指摘させていただきます。
#73
○福島みずほ君 長期間、これは五年間と言われていますが、障害者福祉サービスを受けていないと、六十五歳後、低所得者であっても介護保険サービスの軽減を受けられません。例えば、六十二歳で発症した場合、六十五歳になって介護保険サービスを受ける場合に軽減措置を受けられないとうことになります。藤岡参考人、このことについてどうお考えでしょうか。
#74
○参考人(藤岡毅君) その軽減措置自体の妥当性云々というのを、それほど私ここで意見を言いたくないんですね。そもそも、その軽減措置自体、確かに表面的にはいいところがないとは言えないんだけれども、本質的に考えた場合に、そういう方向性ばかり探求する法改正をしていると、本当に小手先の改革の末に変な方向に行ってしまうんじゃないかというのがありますので、じゃ、例えばその対象者をどんどんどんどん増やしていけばいいというような考え方に私は立ちません。
#75
○福島みずほ君 藤岡参考人にお聞きをいたします。
 四十歳で介護保険サービスと障害者福祉サービスの両方を受けている場合にどのような問題があるとお考えでしょうか。
#76
○参考人(藤岡毅君) 特定疾病の方の問題ですかね。ALSの方のように、障害者、介護と両方使った場合の問題という意味では、まさに四十歳直前ぐらいで発症したようなALSの方というのは当然今回の法案でも軽減対象にならないということにはなるかと思います。
#77
○福島みずほ君 岡部参考人にお聞きをします。これはちょっと事前に質問通告として出していないので、お答えになられる限りで結構です。
 今日、参考人として来られて発言をしていただいて、そして、合う介助者の人に巡り合えるというのも、非常にラッキーというか、やっぱり長い間のコミュニケーションの成果だというふうにも思っています。その意味では、他のALSの人たちの悩みも非常に大きいのではないかと思います。
 今日、残りの時間、こういうことを是非厚生労働委員会として取り組んでほしいということがあれば、是非お伝えください。
#78
○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) まさに御指摘のとおりです。
 一つだけ申し上げます。介護者の不足について課題としてほしいです。特に、このような特別な技能を持った介護者の待遇は全く位置付けられていません。
 以上です。
#79
○福島みずほ君 ありがとうございます。
 次に、清原参考人にお聞きをいたします。
 今日、保育所等訪問支援の支援対象の拡大について、実は未実施のところが多いことと報酬単価を上げることの必要性について話をしていただきました。確かにまだまだ少ないということがよく分かりました。
 障害のある子供の保育の問題について委員会で質問しております。なかなか実態調査を今までしていなくて、厚生労働省はこれから実態調査をしますと約束をしてくださいました。
 ですから、訪問支援も必要なんですが、保育士さんの加配やいろんなことも本当に必要で、現場の市長さんとして、まさに障害のある子供の保育問題などについて提言を是非よろしくお願いします。
#80
○参考人(清原慶子君) 御質問ありがとうございます。
 御指摘のように、障害のある子供もない子供も、共に保育園あるいは幼稚園あるいは学校教育で学ぶということはとても重要なことです。ただ、実際、保育園で障害のあるお子さんをお引き受けする場合、これ学童保育でも共通ですが、保育士あるいは指導員には適切な障害に関する知識、理解が求められます。また、障害のあるお子さんでも個性が豊かでございますから、同種の障害でも多様でございます。したがいまして、まず保護者の皆様との信頼関係、そしてお子さんの理解、また保育園での各年齢層で分かれたときの相互の子供たちとの理解など、より専門性が問われてくると思います。
 先ほど加配であるとか報酬の問題を御提案いただきまして、ありがとうございます。教育現場でも教育支援の充実ということでそうしたことが検討されているようでございますので、今後是非、保育園の取組も保育所等訪問支援の中の一環として考えていただければと思います。そして、こうした障害児の保育もできる保育士の人材育成について大学や専門の養成校に支援もしていただきたいですし、自治体も公立保育園だけで成り立っておりません、民間の保育園等の理解やまた支援も必要だと思いますので、子ども・子育て支援新制度の中に改めまして障害児に対する保育について確固たる位置付けをしていただくことは大いに期待し、また感謝したいと思います。よろしくお願いします。
#81
○福島みずほ君 障害のある子供に関して、訪問支援だけではなくて、保育、幼稚園からしっかり応援できるように国会の中でも取り組んでいきたいというふうに思っています。
 本日は、本当にお忙しい中、とりわけ参議院で岡部参考人の陳述をしていただいたことに心から感謝をいたします。どうもありがとうございました。
#82
○薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。
 本当に今日は、様々私どもも勉強させていただきますことを心からお礼申し上げます。
 まず、岡部参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 私もALSの友人がおりまして、いつも私がテレビに映るのをとても楽しみにしてくれております。今使えるツールといったらパソコンだけで、でもそのパソコンから本当に短い言葉で的確な指摘をしてくれる、私も本当に勇気を与えてくれる友人の一人でございます。そんな中で、私、今回、岡部参考人がこのように大変な中、様々行動に出てくださったことということで、大きく社会が変わるんではないかという期待をいたしております。
 今回、このような大きな働きかけをし、そして外界に対して新たな何か窓口を開かれたということに関して、御自身でどのようにお考えになっていらっしゃるのか、済みませんけれども、御意見をいただきたいと思います。
#83
○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) 私はたまたまこういう役割に当たったので、社会の中にいろいろな人がいて様々な障害もあることを知ってもらう機会になって、それが障害を持った人もそうでない人も共に暮らせるようなことの一つのきっかけになってほしいと思います。
 私が忘れてはならないと思っていることに、私のような病気や障害者の中には、頑張って社会活動をしたくても身体的な問題あるいは環境の問題などから活動できない人もいるということです。それを考えたときに、私は自分の役割が理解できるような気がします。
 以上です。
#84
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 私は、その障害、私も医師でございますので、病気を持った皆様方というものが少しのサポートで、いろんなこと、可能性が広がっていると考えております。
 愛知にもコロニーといった障害者の施設がございまして、その中でも、ふだんはコミュニケーション取れないんですけれども、その方がパソコンを打つということを数年にわたって大変努力をして覚えてくださいまして、すばらしい詩を描かれるんですね。それに、周りの介護をしていらっしゃる皆様方も、私どもも、本当にその方々にも励まされていることということはここでも皆様方に披露させていただきたいですし、本当に障害者という概念自体がまず本当に古いんではないかと、障害者というよりも、社会の中で少しサポート、支援が必要な方というふうに私は受け止めるべきだと考えております。
 その中で、いろんなことを、今日は質問も準備してまいりましたけれども、岡部参考人に対しましてもう一問お願いしたいと思います。
 介護保険そして重度訪問介護の垣根というもの、先ほどから様々な委員からも質問が出ていることだと思います。やはり、今回のように国会に来る、その一つだけでも大事業だと思っております。日頃にはないサービスも利用しなければなりません。その中で、社会常識的な通念に反さない範囲で、またヘルパーさんが可能な範囲で、様々なサービスを提供できるということを更に支援をしていかなければならないと思うんですけれども、使い勝手が相当良くなると思われるような、やっぱりこの自由度を更に持たせるといったこの考え方について御意見をいただけますでしょうか。
#85
○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) 全く御指摘のとおりです。介護保険と障害者サービスの利用については、整合性の検討をする仕組みが必要です。
 そのために、自治体に任せる前に国としての検討が必要だと思います。
 以上です。
#86
○薬師寺みちよ君 貴重な御意見ありがとうございました。
 それでは、阿由葉参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 私も産業医として障害者の就労支援をする立場でもございます。その中で、先ほど意見をいただきましたように、どうしても企業と事業所のミスマッチというものが発生をしている、これは肌感として感じております。
 無理をしないような就労でしたり、受け手側の体制を更に整備をしなければならない中で、どのような抑制策というものが考えられますでしょうか。なるべくお互いウイン・ウインの関係を抱きながら、しっかりと就労していただけるような環境整備というものが必要だと思うんですが、御意見くださいませ。
#87
○参考人(阿由葉寛君) 企業ですね、一般就労をしていただくということは大変重要なことで、そのために何が必要なのか。これは、やっぱり能力によって、それが障害のある方の能力だけでもなくて、企業の持っている力によって一般就労できることがたくさんあります。
 ですから、障害の云々だけではなくて、企業にもっといろんな形での整備をしていただくと。いろんな整備、それは単に給付費を払って障害のある方を雇用したらお金をもらうことではなくて、そのための環境整備、そこにきちんとした企業が努力をしていただく、それに対しての補助金等も今あると思いますので、そういったものの整備が第一だというふうに思います。
 そして、私ども、そういったことが難しくなった方、当然、特別支援学校を卒業して十年、一生懸命一般企業で働いた、でもその経過とともになかなか難しくなってこられる、また二十年という方もいらっしゃいます。そういった方をいかにどういうところで受け入れていくか。その方が、先ほどもお話ししましたように、自宅に引きこもってしまうということではなくて、その方が新たにきちんと福祉の場で就労することができると、そういったことをきちんと進めるための制度を、今、国も一生懸命やっていただいていますけれども、私どもも連携して一緒にさせていただいております。それをより使いやすいものにしていく、企業を辞めたときにすぐその方が新たな福祉の場につながるというようなことが一番重要だと、相談支援体制ですとか、そういったことを含め、その整備をより進めていただくことが重要だというふうに思います。
#88
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 また、その一方で、どうしても就労できないということで出入りする方も多いような事業所も見受けられます。私も、もちろん一般就労していただけるのであれば、なるべくその方向性というものは打ち出さなければならないんですけれども、例えばドイツやフランスにおきまして、就業者の皆様方の事業を行う上で、施設への業務発注分の一定割合を障害者の雇用数に算定をして、そこでいわゆる収入を得ることということを応援しようじゃないかという動きもございます。我が国においてはもちろんそのような扱いはしておりませんし、それを認めてしまうと、企業が雇用より発注の方に変えてしまうのではないかというような危険性もあるということも伺っております。
 先ほどもございましたように、国としても障害者の皆様方の施設へ発注を掛けるということももう既に法律として定めているようなところもございますし、民間の皆様方にとってももっと幅広く応援をしていただきたいと思うんですが、この発注企業の実雇用率に算入するという考え方について、何かお考えございましたら教えていただけますでしょうか。阿由葉参考人、よろしくお願い申し上げます。
#89
○参考人(阿由葉寛君) 雇用率、日本の雇用率自体が残念ながら諸外国に比べて低いということがあるというふうに思います。雇用率、雇用すべきことが非常に低いという問題があるというふうには思っております。
 ただ、そういった中で、企業等からそういった施設に発注していただくということも大変重要なことだというふうに思っております。どうすればいいのか。一定の雇用率の下に、ある程度の雇用率が達成できればそれ以上のところはそういう発注によってその部分を補えるような、そういう制度ができると非常にいいのではないかというふうに、これはあくまでも個人的な意見ですけれども、私はそういうふうに思っております。
#90
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 私もそういう考えでございまして、例えば就労支援B型のようなところにおきましても、多くの皆様方に自立してもらうためにもしっかりとした収入を得ていただきたいなという思いで今日は質問させていただきました。ありがとうございます。
 では、清原参考人にお伺いさせていただきたいと思います。
 先ほどもおっしゃいましたように、改正が行われるのはいいんですけれども、次から次へと新しいものが生まれてきて、継ぎはぎ感というものがどうしても私否めないのではないかと。
 私がおります就労の例一つ取りましても、なかなか、同じような業務を行いますので、ジョブコーチングがあるじゃないか、じゃ、ハローワークに相談に行ったらいいじゃないかということで、もう多職種の皆様が同じような役割を果たし、そして専門性をなかなか生かせないでいるということも感じております。そのことにつきまして、そろそろ日本においても、福祉、医療という専門家から労働の市場の専門家、様々な専門家が総合的なリハビリテーション体制というものを取って、それを就労につなげていくというようなことを取り組んでいくべきだと思うんですけれども、現場にいらっしゃって何か御意見ございますでしょうか。
#91
○参考人(清原慶子君) 御質問ありがとうございます。
 働くということは大変重要な営みでございます。私も障害者の就労支援をしている事業所等を度々お訪ねするんですが、働いている方は、工賃には多少の御不満があったとしても本当に生き生きとされています。そして、通勤ということが生じているわけです。
 また、三鷹市の障害者の基幹相談センターにおいても、やはり働くということに関して思いを持って御相談に来られる方には、先ほども意見陳述で申し上げましたが、やはり厚生労働省は、福祉もなさるし医療もなさいますが、労働というのが付いているところが大変心強いところで、おかげさまで三鷹市にはハローワーク三鷹がございまして、いろいろなことで連携をしております。そして、実際に実績も上がっております。やはり、職業に就くための支援というのは、職業、就業の専門家と、そして障害理解のある障害者支援の専門家が一緒に協働してくるのが今までの段階でした。ですから、ジョブコーチであるとか専門家の方で両方お持ちの方がもちろん増えることは望ましいと思っていますし、働くということが障害者支援の柱の一つにしっかりと入っていく、そして、いずれのときにか所得で納税をしっかりしていただくような、そういうまさに保障が進んでいくことを期待しています。是非、労働、働く、雇用というようなことが障害者支援の柱の一つに、これまで以上に確固たるものになっていけば、皆様の意欲や自己実現につながるものと考えています。ただ、全ての皆様が必ずしもそうではありませんので、ここには障害当事者の立場に立った配慮を期待したいと思います。
 以上です。
#92
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 時間になりましたので終わりたいと思いますけれども、特に岡部参考人におかれましては、もう本当に気温が上がってまいりまして、多分、体調管理というものも大変難しい時期に入ってこられたと思います。そんな中、連日国会においでいただきまして、私も本当に心から感謝申し上げます。今後とも、私ども厚生労働委員会に更に厳しい目で御意見をいただけますことをお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。
#93
○委員長(三原じゅん子君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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