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2016/03/10 第190回国会 参議院 参議院会議録情報 第190回国会 文教科学委員会 第2号
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2016/03/10 第190回国会 参議院

参議院会議録情報 第190回国会 文教科学委員会 第2号

#1
第190回国会 文教科学委員会 第2号
平成二十八年三月十日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月九日
    辞任         補欠選任
     田村 智子君     吉良よし子君
 三月十日
    辞任         補欠選任
     吉良よし子君     田村 智子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         石井 浩郎君
    理 事
                赤池 誠章君
                上野 通子君
                大島九州男君
                那谷屋正義君
    委 員
                衛藤 晟一君
                堂故  茂君
                野上浩太郎君
                橋本 聖子君
                吉田 博美君
                斎藤 嘉隆君
                水岡 俊一君
                蓮   舫君
                新妻 秀規君
                若松 謙維君
                吉良よし子君
                田村 智子君
                柴田  巧君
                松沢 成文君
   国務大臣
       文部科学大臣   馳   浩君
   副大臣
       文部科学副大臣  義家 弘介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        戸田 浩史君
   政府参考人
       文部科学大臣官
       房長       藤原  誠君
       文部科学大臣官
       房政策評価審議
       官        関  靖直君
       文部科学省生涯
       学習政策局長   有松 育子君
       文部科学省初等
       中等教育局長   小松親次郎君
       文部科学省高等
       教育局長     常盤  豊君
       文部科学省研究
       開発局長     田中 正朗君
       スポーツ庁次長  高橋 道和君
       経済産業省商務
       情報政策局商務
       情報政策統括調
       整官       吉本  豊君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関
 する調査
 (文教科学行政の基本施策に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(石井浩郎君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、田村智子君が委員を辞任され、その補欠として吉良よし子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(石井浩郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学大臣官房長藤原誠君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(石井浩郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(石井浩郎君) 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査のうち、文教科学行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○赤池誠章君 自由民主党の赤池誠章です。
 我が国は、現在、様々な課題、難題に直面をしているわけであります。その中で喫緊の課題の一つがテロからの脅威への対処ということだと思っております。御承知のとおり、パリの同時多発テロ事件に見られますように、ソフトターゲットと呼ばれる警備や監視が手薄で攻撃されやすい標的、いわゆる民間人や民間車両、民間の建物などが狙われたわけであります。
 馳大臣の所信にもございましたとおり、今年は五月にG7、伊勢志摩サミットが開催されます。それに関連して、全国十都市で来月から七月の参議院選挙を挟んで九月まで関係閣僚会合が開催されます。馳大臣が出席する教育大臣会合も、伊勢志摩サミットの前に倉敷市で開催されるということになっております。また、本年十月にはスポーツ・文化・ワールド・フォーラムも開催されますし、三年後のラグビーワールドカップ、四年後の五輪東京大会という大きな国際大会も控えているわけであります。
 そこで、懸案となっております国内外のテロからの脅威に対して、現在、警察庁のみならず全ての省庁が参加をして、政府そして与党一体となって治安・テロ対策に取り組んでいるわけでありますが、教育、文化、スポーツ、科学技術、いわゆるソフトターゲットを所管する文部科学省としてのテロ対策をお聞かせをいただきたいと思います。
#7
○政府参考人(関靖直君) お答え申し上げます。
 伊勢志摩サミット及び関係閣僚会合は、我が国が議長国としてグローバルな課題の解決にリーダーシップを発揮し、国際社会でプレゼンスを高めるチャンスでございます。その成功に向けて政府を挙げて取り組んでいるところでございます。
 一方、ただいま委員から御指摘ございましたように、世界各地でテロが続発し、サイバー攻撃への対応なども重大な課題となっている中、参加者の安全と行事の円滑な遂行を確保し、テロ等の未然防止を図ることが必要であります。
 文部科学省といたしましても、このような観点から、政府全体の警備対策の基本方針や警察庁からの警備協力要請を踏まえ、都道府県教育委員会を始めとする関係機関に対しまして、学校、スポーツ施設、博物館、美術館などの警戒強化を含む安全管理体制の充実、連絡体制の確立などにつきまして適切な措置を講じるよう文書で協力依頼を行ったところです。
 今後とも、関係機関と協力しながら、このサミット及び関係閣僚会合等が円滑に開催されますよう万全を期してまいりたいと考えております。
#8
○赤池誠章君 あってはならないわけでありますが、最近も、各地方公共団体の役所、役場ですね、それから学校などにおいても、爆弾を仕掛けたみたいな、非常に、メールなどで届くという事件も起こっているわけでありまして、それらの対応というのは、やはり何かあってからでは当然遅いわけでありますから、教育、文化、スポーツ等関係機関が準備をしっかり、文科省の通知を踏まえて万全な体制を整えていただく。
 また、訓練というのが大変大事になってくるというふうに思っておりますので、是非文部科学省といたしましても、通知を出すのはもちろんですが、通知を出したからそれで文科省の仕事が終わりでは当然ないわけでありますから、是非あらゆる機会を通じて、きちっとそういった体制が整っているかどうか、是非フォローアップの方もお願いをしたいと思います。
 それから、各学校には学校保健法に基づいてそれぞれ危機管理マニュアルが備えられているということを聞いてはいるわけでありますが、今までは、ともすると、当然、子供たちの一番危険が多いのは交通事故、交通安全という視点、それから防犯、近年では防災という、そういった一つの三本柱みたいな柱が中心になっているわけでありますが、これも、万が一のことを考えて、既に十年以上前に国民保護法という法律を制定をしているわけでありますから、近年も北朝鮮のミサイル攻撃もありましたので、武力攻撃事態や、また今回のテロ事案についても、しっかり危機管理マニュアル上まずはどうするかということを備えるべく、文科省としての指導強化を改めてお願いをしたいと存じます。
 続きまして、馳大臣の所信を聞かせていただきました。総合的に御発言をいただいておりますが、その中で、馳大臣として最も優先的に、全ては当然大事な課題ばかりなんですが、その中でも特に大臣として優先的に取り組みたい施策は何か、是非お聞かせをいただきたいと思います。
#9
○国務大臣(馳浩君) おはようございます。今日も一日よろしくお願いします。
 もちろん所信で申し上げたことは全て優先的に取組をしなければいけない課題でありますし、また、今国会に法案を提出しておりますので御審議もお願いしたいところでありますが、あえてと問われれば、昨年の十二月末に中教審から答申を三ついただきました。教職員の資質向上の問題、それから学校と地域の連携、協働の問題、そしてチーム学校という課題、これに対応して、やっぱり頑張っている教職員をしっかり支えていく、同時に、やはり学校を地域の拠点として整備をしていく、さらには教職員の体制整備、こういったことを通じて我が国の教育をより強固なものにしていく必要があると、こういう認識を持っております。
 たまたま私も副大臣の義家さんも高校の教員出身者でもありますので、こういった教育現場の課題についてはより一層力を入れて取り組んでいきたいと思います。
#10
○赤池誠章君 ありがとうございます。
 まさに馳大臣が指摘をなさったように、当然、教育というと様々な分野なり様々なポイント、重点があるわけでありますが、その中で、やはり教職員、先生方の資質というものが大変教育にとって大きいというのは論をまたない重要なポイントだというふうに私自身も感じている次第でございます。
 ちょうど、昨日、義家副大臣が広島市の府中町に急遽出張なされたということも聞いております。まだ事実関係はこれから明らかにされるとは存じますが、報道によりますと、教員の間違った情報に基づく進路指導上のミスから生徒が自殺をしたのではないかという、そのような事案が報道されております。まさに教員の指導の在り方一つで子供たちの取り返しの付かない命に関わることがあるという一つの事例ではないかということも感じております。
 御承知のとおり、教育基本法九条には、教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責遂行に努めるということが十年前の教育基本法改正のときに、旧基本法にも自己の使命というのはあったんですが、更に崇高という文言を、十年前、教育基本法改正のときに更に明記をさせていただいたわけでもあります。
 改めて、崇高な使命感を持った教員、どう養成しようとしているのか、そして、教員養成大学の改革をどう推進して、また、教員を採用し研修主体となる教育委員会改革、さらにどう進んでいるのか、改めて文部科学省の取組をお聞かせをいただきたいと存じます。
#11
○政府参考人(小松親次郎君) お答え申し上げます。
 委員ただいま御指摘のとおり、教育基本法第九条の趣旨や、あるいは、具体的には次期学習指導要領改訂の検討なども進んでおります。こうしたことを踏まえまして、教員が的確な指導力を身に付けるというための取組を養成、採用、研修にわたって進めていくということが第一と考えておりまして、そういう方針で取組を進めております。
 中教審の答申や「次世代の学校・地域」創生プラン、通称として馳プランというふうにいたしておりますけれども、こうしたものを踏まえまして、大きくは三つ。一つは、内容、方法面として、教員養成段階においては、教育実習の前の段階から学校現場を早期に体験し、教員としての適性を見極め、教育的愛情や使命感を根付かせること、それからまた、新たに特別の教科化を図る道徳や英語、ICTの利活用といった現代的な課題に対応できる力量を身に付けること、そして実践、演習を重視した双方向対話型などの指導力を養うことといった方向に教員養成研修をシフトさせ、教育力の向上を図る。
 それから二つ目に、制度的枠組みといたしまして、国において教員養成に係る大綱的な指針を策定し、指針に基づいて、教員のキャリアステージに応じた資質、能力の指標、教員育成指標や研修計画が全国的に整備されるように図り、教育委員会と大学等から成る教員育成に関する協議の場、教員育成協議会を設定していく。これらを牽引する全国的な中核的拠点として独立行政法人教員研修センターの機能強化を図る。
 こういった形を通じまして、採用における体制や共同の採用といった機能の強化、それから職業生涯にわたる研修等の機能も含めまして施策を講じていくということが必要になっております。こうした施策につきましては一体的改革が必要でございまして、制度面、予算面でスピード感を持って進めてまいりたいと考えております。
#12
○赤池誠章君 ありがとうございます。
 中教審の中でも様々な議論がなされたということでありまして、やはり教育実習公害という、いわゆる本当に先生になりたくて免許を取るために教育実習に行くのではなく、まあ何となく免許があった方がいいなみたいな形の中で行こうみたいな形にすることによって、学校現場の負担というのも大変大きいという話も聞かせていただいているわけでありまして、そういう面では、先ほど局長おっしゃったように、教育実習の前段階から学校に行ってきちっと、そのときはまだ教育指導はできなくても、ボランティアでも結構ですし、免許の中での今後の改革の中で位置付けを明確にして、日頃から学校現場で子供たちに接する、また先生方の支援をする、そういったところから使命感の醸成をしていこうということは大変重要なポイントではないかなというふうに思っております。
 現在も文科省でも、土曜日、放課後の学習活動支援とか、また地域未来塾、補習として、地元の方々のみならず、小中学生だったら高校生もできると思いますし、高校段階でいうと大学生ということになると思うんですが、あらゆる機会を通じてそういった形で支援をしていただくことが、また支援をした高校生であったり大学生であったり、もしかしたら社会人の中でも改めて教員に志望しようみたいな方が出てくるのではないかなというふうにも感じている次第でありますので、是非、養成段階、それから採用段階、研修段階、この研修も、先生方それぞれ聞くと、本当に重要な研修は当然したいけれども、教員研修が、なかなか現場が多忙感から出ていけないという問題もありますし、初任研修から節目研修から免許研修から、体系的になっていないために、やりたくてもやれない。
 様々な課題が指摘されているところでございますので、先ほど局長が指摘したように、養成段階、採用段階、研修段階、一体改革を是非、予算面、待遇も当然ありますし、制度面からきちっとした形で是非、文科省として大至急国会の方に法律改正を伴うものであれば提案をいただきたいというふうに考えている次第でございます。是非そのような視点で進めていただければなというふうに思います。
 続きまして、大臣所信には明記をされていなかったんですが、先ほどの局長の中にも、教員改革の中で新たなる課題として、道徳、英語、それからICTのことが御発言がありましたが、その中で、教員養成にとっても、また子供たちの教育にとっても、その要として道徳というものが今回、教科化に昨年されたわけでございますので、この道徳というものが、子供たちの教育のみならず学校の先生方にとっても大変重要な視点ではないかなということを感じております。
 改めて、道徳の教科化の意義、その充実強化の取組、そして、先ほど御発言いただきました教員の養成、採用、研修段階でのどういう形で道徳教育、先生方に取り組んでいただくのか。また、これは単に学校の問題、子供たちの問題だけではなくて、家庭との関係、また地域との関係というのも大変大事だなと思っておりますので、その道徳教育の充実強化策について文部科学省のお考えをお聞かせください。
#13
○政府参考人(小松親次郎君) お答え申し上げます。
 幾つかお尋ねがございましたが、まず最初のお尋ね、道徳の特別の教科化の趣旨、意義でございます。
 道徳教育は、人が人として生きるために必要な規範意識や社会性や思いやりといった豊かな人間性を育み、一人一人が自分に自信を持って、かつまた社会の責任ある構成者として幸福に生きる基盤をつくる上で不可欠なものと位置付けられると思います。しかしながら、我が国の道徳教育を全体として捉えますと、歴史的な経緯に影響されていまだに道徳教育そのものを忌避しがちな風潮が見られること、あるいは読み物の登場人物の心情理解のみに偏った指導も見られること、それから各教科等に比べて軽視されがちであるといった多くの課題が指摘されてきております。
 このような状況の下に、一つには中教審の答申を踏まえ、それからまた道徳教育の特質を踏まえ、昨年三月に学習指導要領等の一部改正を行って道徳の時間を従来の教科とは異なる特別の教科として新たに位置付け、内容をより発達の段階を踏まえた体系的なものにしたり、多様で効果的な指導方法へ改善したりするといった改善を行ったところでございます。
 この改正によりまして、これまでの道徳の時間が、見方や立場によって答えが一つではない課題を自分自身の問題として捉え、考えたり真剣に議論したりする道徳へ質的に転換が図られると考えております。これが特別の教科化の意義として捉えているところでございます。
 それから、お尋ねの教員の指導力の向上ということとの関連でございますが、道徳教育をもとより含めまして、全ての教員の資質、能力の向上を図っていくことが必要でございます。
 こうした観点から、まず養成段階、養成課程においては、特別の教科としての道徳の趣旨を踏まえた教職課程における理論面、実践面からの改善充実、それから、先ほど御言及ございました教員の採用については、教師塾といった方式の普及などのように、採用前の円滑な入職や最低限の実践力獲得のための取組を進めていく、その支援をすること、それから教員の研修の段階につきましては、道徳教育の中核的な役割となる指導主事や道徳教育推進教師等を対象とした研修を国としては推進するといったように、中教審の答申等も踏まえまして今後その充実、施策の検討や展開を図ってまいりたいと考えております。
 家庭、地域との連携につきましても大変重要という御指摘ございましたけれども、文部科学省としてはそのとおりと考えておりまして、言わば地域教材、郷土の学習ができるようなものの作成、あるいは、都道府県によりましては例えば親子道徳の日といった取組なども行っております。こうしたものの情報の提供や支援といったようなことも進めてまいりたいと思います。
 このような形で道徳教育の充実のための施策を進めてまいりたいと考えております。
#14
○赤池誠章君 これは、社会教育分野、PTAとの連携の中で文部科学省として親子三行詩という取組がなされているということで、毎年全国から大変多くの応募があって、文部科学大臣賞を出しているということも聞いておりますし、また民間の取組でも親守詩という、子守歌ではなくて、子供が親に対する思いをうたった詩であったり短歌であったり俳句を詠むという、そんな様々な試みがなされておりますので、是非そういったところともきちっと連携を取っていただくことがより道徳の意義、趣旨に沿うことにつながるのではないかというふうに感じておりますし、また、大臣、是非、倉敷でのG7の教育大臣会合の中でも、いろんな議題があると思うんですが、やはり日本が誇るこの道徳という、一つの宗教に基づくものではなく、普遍的な概念として、どの宗教、宗派でも取り組める、こういった道徳的な視点を是非世界にアピールもしていただきたいなということをお願いをさせていただきたいと思います。
 今回、道徳というのは、今回の教科型のみならず、以前から四分野というものを設定しております。御承知のとおり、自分自身のことをどう考えるか、それから人との関わりをどう考えるか、それから集団や社会との関わりをどう考えるか、そして生命や自然、崇高なものとどう関わるかと、これをそれぞれ発達段階に応じて、小学校一、二年生だったら十九項目、三、四年生だったら二十項目、小学校五、六年生、中学校だったら二十二項目ということで、それぞれ四分野ごと、きちっとした教育目標、中身を含めて勉強すると。ただ、残念ながら、それを教科書、教材という、まあ教科書がなかったので教材はそれぞれ任されていたんですが、現在、教科書も作られているということなんですが、この四分野に共通したものは何といっても言語活動、国語の重要性ではないかなというふうに感じております。
 改めて、国語の教育課程の改善も文科省としてどのように進めようとしているのか。全国学力テストを毎年やっているんですが、国語が小学校、中学校必ず、算数も含めて、応用力、活用力に課題があるというふうに指摘をされているわけですから、その改善策についてもお聞かせください。
#15
○国務大臣(馳浩君) 新しい時代を生きる子供たちには、国語の能力として、古典や故事成語など我が国の伝統的な言語文化に親しみ、生活や社会の中で活用する力や、論理や信頼性、妥当性を吟味するなど情報を多角的に精査して構造化する力、問いや仮説を立てるなどして自分の考えを形成する力などが求められております。
 このような力を育成するため、これまでの全国学力・学習状況調査等において明らかとなった、小学校において、根拠を明確にした発言をすることや、目的に応じて文章を要約すること、中学校において、自分の考えや気持ちを根拠を明確にして書くことや、取り出した情報を基にして自分の考えを具体的にまとめることなどの課題等に対応し、現在、中教審において次期学習指導要領の在り方について御議論をいただいているところであります。
 高校の国語科については、思考力、判断力、表現力等の育成を重視した科目構成の見直しを図っており、現在のところ、共通必修履修科目である現代の国語、仮称、において、収集した情報を解釈し、根拠に基づいて論述したり議論したりする学習を重視することが検討されております。また、同じく共通必修履修科目として、上代から近現代につながる我が国の言語文化への理解、関心を深める言語文化、仮称、が検討されております。なお、その他選択科目として種々のものが検討されているところであります。
 こうした高等学校の改訂の方向性を踏まえ、義務教育段階においても、情報と情報の関係性を捉える力、適切な言葉で表現する力、新たな発想や主張を形成する力などの資質、能力を育成することや、古典などの我が国の伝統的な言語文化に親しむ観点の重視などについて検討を進めております。こういう検討状況を踏まえて、今後とも国語教育の改善、充実に努めてまいりたいと思います。
#16
○赤池誠章君 その中で、ちょっと最近気になるニュースがございました。二月二十九日に文化庁が、常用漢字表の字体・字形に関する指針報告書を出して、手書きの際は、木の例えば縦画は止めてもはねてもどっちでもいいとか、天という字、二本の横画は上下どちらが長くても誤りではないとか、例えば命令の令の字というのは活字体といわゆる手書きが違う、やっぱり当然、教科書は手書きに沿って、わざわざ教科書会社が手書きに沿って令の字を作っているにもかかわらず、そのことを無視したような形で、相当教育に踏み込んだ形で、いや、それは関係ないと言いながら、あれだけ公表すると、テレビ、新聞に載ると、教育現場が混乱をして、保護者の方々からも懸念の声が上がっているんですが、これ一体どういうことなのかと。
 やっぱりきちっと、同じ文科省ですから、文化庁と初等中等の教育局がきちっと連携取れていたのか、ちょっとその辺の見解を改めてお聞かせください。
#17
○国務大臣(馳浩君) もちろん連携を取って対応しております。
 今回報告された常用漢字表の字体・字形に関する指針案は、従前からの常用漢字表の考え方に沿って字形の例示の充実を図ったものであります。また、学校教育における漢字指導については、常用漢字表及びこの指針案において、別途の教育上の適切な措置に委ねるとされているところであります。
 そのため、今回の指針案によって、これまでの学校教育における漢字指導の考え方が変更されるものではありません。すなわち、学校教育における漢字指導の際には、児童の学習に混乱が生じないよう、従来どおり、いわゆる教科書体を標準として指導を行うことを求めていくこととしております。
 特に、小学校段階では、学習指導要領において、書写の指導の際に、点画の長短や方向、接し方や交わり方などに注意して、筆順に従って文字を正しく書くこと等とされており、漢字の読み書きの指導と書写の指導とが一体となって行われている実態があることも十分に踏まえる必要があります。
 一方、児童生徒の書く文字を評価する際には、従来から常用漢字表の考え方を踏まえた柔軟な評価をするように促してきたところでありますが、文字を一点、一画丁寧に書く指導が行われる場合など、指導の場面や状況に応じて指導した字形に沿った評価が行われる場合もあることはもちろんであります。
 文科省としては、引き続き、児童生徒が標準的な字体による漢字習得を通じて生涯にわたる漢字学習の基礎を培うとともに、将来の社会生活における円滑な漢字運用の能力を身に付けていくことができるように取り組んでまいりたいと思います。
#18
○赤池誠章君 連携がなされているということなんですが、やはり社会に出てそれが混乱を招くということはあってはならないわけでありますから、当然、文化庁の国語課、国語審議会と初中関係が事前にきっちりやっていたらここまでこういう報道はなかったんではないかということを感じておりますので、是非、十分、今まで以上に連携強化をお願いをしたいと思いますし、大臣おっしゃったように基本があって応用ですから、やっぱり基本が大事ということで、その辺は変わらないということを明確に言っていただきましたので、引き続きしっかり指導のほど、よろしくお願いいたします。
 また、道徳の四分野の中には集団社会との関わりという分野があって、これはまさに地理、歴史、公民の社会科と密接に関わっているわけでありますから、この辺の充実強化というのも喫緊の課題であります。
 改めて、社会科の教育課程の改善をお聞かせ願いたいと思いますし、現在、経済再生、地方創生、一億総活躍社会づくりですから、働くという意義ですね、この辺も含まれておりますので、キャリア教育、職業教育の視点からも文科省の見解をお聞かせください。
#19
○政府参考人(小松親次郎君) お答え申し上げます。
 お尋ねの件、現在、中央教育審議会で検討されているところでございますけれども、昨年八月に、関係の特別部会から論点整理というものが示されております。この中では、これからの時代に求められる資質、能力として、国家及び社会の形成者として必要な知識や思考力等を基盤として選択、判断等を行い、課題を解決していくために必要な力等を全ての高校生に共通に育んでいくということや、社会科、地理歴史科、公民科において、各学校段階を通じて、社会との関わりを意識した課題解決的な学習活動の充実を図ることが示されております。
 そこで、これを踏まえまして、現在、中央教育審議会におきましては、高等学校における新たな必履修科目として、公民科に、主体的な社会参画に必要な力を、人間としての在り方、生き方の考察と関わらせながら実践的に育む公共、これは仮称でございますけれども、といったものを設置し、それからまた地理歴史科に、自国のこととグローバルなことが影響し合ったりつながったりする歴史の諸相を近現代史を中心に学ぶ歴史総合、これも仮称でございますが、それから、持続可能な社会づくりに必要な地理的な見方や考え方を育む地理総合、仮称でございますけれども、こういったものを設けることについて検討が進められているという状況にございます。
 それから、今高校について申し上げましたが、小中学校の社会科につきましては、こうした高等学校における新科目に関する議論も踏まえながら、小中学校における世界に関する学習の扱いや政治的教養を育む教育の扱いも含めまして、社会科等において育成する資質、能力について検討が進められております。
 そして、これらと密接に関連するものとして、御指摘ございましたキャリア教育、職業教育の充実に関しましては、小中高等学校の発達の段階に応じた勤労観、職業観を養うためのキャリア教育の推進や、高等学校における職業に関する教科について、職業の多様化や職業人として求められる知識、技術、技能の高度化に対応した実践的な教育の充実ということについて現在検討が進められている状況にございます。
#20
○赤池誠章君 やはり教育の目的はというと、教育基本法に書いてありますとおり、人格の完成と国民の育成であります。やはり人間は一人では生きられないわけですから、きちっと社会との関わり、それは全ての教科に言えると思いますが、それを意識して、引き続き強化、お願いをしたいと思います。
 以上のような施策を展開するに当たりまして、崇高な使命感を持った教員とともに、やはりその教育行政をつかさどる文部科学省自身の職員の意識と言動、仕事に取り組む姿勢というのも当然重要と考えております。残念ながら、昨今、文部科学省や関連機関に対して国民の大変厳しい評価が下されている側面もございます。今までどおり現状維持というわけにはいかないと思っております。そのための意識改革をどうするか。
 文部科学省には、森有礼初代文部大臣の自警の書が掛かっております。初代文部大臣は、文部行政の重要性とともに、最後に、「その職に死するの精神覚悟せるを要す」と結んでいるわけであります。
 改めて、現代的な意味として文科省にその覚悟があるのか、意識をどう変えようとしているのか、文科省の御見解をお聞かせください。
#21
○政府参考人(藤原誠君) お答え申し上げます。
 文部科学省の職員は、幹部であるか否かを問わず、各々が国民生活に大きな影響を与える重要な職務を担っていることをきちんと自覚して職務に臨むことが大切であると考えております。また、それと同時に、我が国全体を大局的な観点からきちんと考えて判断していく能力と責任感を養うことが極めて重要であるというふうに考えております。
 文部科学省におきましては、職員の能力向上などを図るために、年間を通じまして様々な研修を行っているところでございます。例えば、昨年から、当時の赤池大臣政務官の御指示等も踏まえまして、新しく文部科学省職員意識改革プロジェクト特別研修をスタートしたところでございます。これは、教育の現場で活躍されている民間の方々などを講師として実施しているところでございます。
 文科省といたしましては、今後とも国民目線の観点を忘れず、また、大局的に国益の観点から考えて行動する職員を育成していくために、研修などを通じて個人の意識改革を図りたいと考えております。また、官民人事交流制度による民間企業との人事交流や女性職員の採用、登用等による人員配置の工夫、それから勤務時間の見直しなどによる勤務環境の整備などを行うことによりまして組織をより一層活性化し、更なる大きな成果が得られるように文科省一丸となって今後とも取り組んでいく所存でございます。
#22
○赤池誠章君 是非、覚悟を持って、それから我々政治家と皆様方職員の関係であったり、国民の間にはマスコミというものも入るわけでありますから、そういった多様な視点の中で、特に結果を是非出していただきたい。間接的な形で、現場がないということによって、通知だけ出せばそれで終わるようなことに是非ならないように、引き続き不断の努力、それから研修を積んでいただきたいと思います。
 最後に、文部科学大臣から、以上を踏まえて、改めて決意の表明をお聞かせいただいて、私の質問を終わらせたいと思います。
#23
○国務大臣(馳浩君) 官房長も答えておりましたが、二つ簡単に申し上げます。
 一つは、教育、科学技術、文化、スポーツ、それぞれの専門的な職員がおりますので、みんなのやっぱり力を発揮できるような前向きな省の空気をつくり出して、みんなで協力し合うということが大事だと思っています。
 もう一つは、私自身、毎日朝一時間散歩し、また、仕事の始まる一時間前には大臣室に入って資料整理等しておりますが、私自身がやっぱり身を律して、言動に気を付けて取り組みたいと思います。
#24
○赤池誠章君 ありがとうございました。
#25
○那谷屋正義君 おはようございます。民主党・新緑風会の那谷屋正義でございます。
 まず、ちょっと時期外れになるかもしれませんが、一昨日初めて馳大臣の所信を聞くということになりましたが、それをお聞きしている間にこの辺りで、何で今所信なんだ、いつ大臣替わられたんだっけというような話がありました。やっぱり、もう半年ぐらいたつのにやっと所信を聞くというこの状況、そしてそれに対する質疑が今行われるということに対しては、私は大変な違和感を覚えるわけですけれども、その辺について、馳大臣、何かコメントありましたら、よろしくお願いします。
#26
○国務大臣(馳浩君) 私、大臣を拝命したのは昨年の十月七日でありました。下村前大臣と引き継ぎましたのはその翌日であったと思います。私も一日も早くこうして委員会において皆さんとやり取りをさせていただきたいと思っておりました。
 国会のことは国会の方で判断されますので、私からコメントを申し上げるまでもありませんが、この今日質疑をさせていただくまでにおよそ五か月間のこともありますし、多々文科行政についての課題もありました。そういったことについて、所信を含めて今後とも丁寧にお答えをしていきたいと思っておりますので、委員各位のまた御指導をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
#27
○那谷屋正義君 これは大変なおせっかいというか、余計なことかもしれませんが、一大臣として、総理官邸の中に、総理に、やはりこれは早く所信をやるべきだから臨時国会を開くべきではないかというような意見が幾つか出ても本当はおかしくないんじゃないかなと。そして、その上で最後に総理が決められたというのであれば、それはそれで一つのルールなんだと思うんですけれども、もう総理の一声でもって、はい、分かりましたみたいな感じで今日になってしまったということであれば、これは民主主義としていかがなものかなというのをどうしても思わざるを得ないということを改めて申し上げておきたいというふうに思います。
 それから、今度は時期は全くタイムリーというか、今まさにということなんですが、これも通告してないんで申し訳ないんですが、今、赤池理事からの質問の中にちょっと触れられましたけれども、例の広島の一件でありますが、今、文科省としてどのように認識をされ、詳しいことはまだだとしても、今後どのような対応をされていこうとするのかということについて、今日本当に、昨日ですね、義家副大臣が急遽午後出かけられて、また夜とんぼ返りで戻ってこられてこの委員会に備えられたという、そういう御努力もあると思うんですけれども、その辺についてお聞かせいただけたらと思います。
#28
○国務大臣(馳浩君) 私から方針を申し上げた後、義家副大臣、昨日派遣して、現場で声を聞いてきておりますので、義家副大臣からもコメントを求めていただきたいと思います。
 私は、生徒が自殺をした、その背景にはいろんな要因があると思っています。報道に接し、また報告をいただいたところによると、高校受験に関わる問題、また教職員の指導に関わる問題、そして発表がちょっと遅れてしまったということについては保護者からの依頼と言われている時期的な発表の問題、多々あるので、ここは、報道が独り歩きしてエスカレートしないうちに事実関係についてやはり把握しておくべきだと。その上で、学校現場、教職員、教育委員会、これは町の教育委員会と広島県の教育委員会と、そして文部科学省と情報を共有して足並みをそろえて対処し、その上での再発防止であったり今後の取組を共にやっぱり肌感覚といったものも合わせながら進めていかないと、あちこちで勝手にしゃべっていてはいけないのではないかと。そういう認識から、昨日、義家副大臣を急遽派遣したところであります。
#29
○副大臣(義家弘介君) 昨日るる聞き取りの方を行ってまいりましたし、問題の共有も行ってまいりました。
 まず、喫緊のテーマとして、今週末に卒業式が控えておりますので、文部科学省職員そのまま取りあえず卒業式まで常駐させながら、保護者、そして巣立っていく生徒児童、そして県教委との連携による翌年度の体制についての援助、指導、助言を継続して行ってまいりたいと思いますし、私も時を見付けて丁寧にこの事案については対応していこうというふうに思っております。
 那谷屋委員におかれましては、とりわけ義務教育学校の教員の経験者でございますし、様々な助言やアドバイスも私からいただきたいというふうに思っております。
#30
○那谷屋正義君 今の段階ではまだはっきりしないところが多々あると思いますし、とにかく、大臣言われたように、これ命の問題でもあるし、そして再発を防止するというその観点で文科省としてはやはり対応していただいて、細かないろいろな問題というのはやっぱり現場が一番よく分かっていると思いますので、現場の関係するいろんな方の意見をやっぱりまず重視して、そしてその上で、再発防止をどうするんだというその大きな観点で文科省が関わっていただけたらというふうに思っております。細かなことについてこうあるべきじゃないかとかという話ではなくて、是非そういうふうにしていただけたらというふうに思います。
 それでは、通告をさせていただいた質問に入りたいと思います。
 今日は三月の十日ということで、いわゆる三・一一、ちょうど丸五年が経過をするわけであります。五年たった中で、今の復興の様子、これをどのように捉えるかということ。まあまあ順調に進んできているんじゃないか、いや、まだまだ遅いぞ、いろんな考え方があるかと思いますけれども、馳大臣として、被災地の特に教育事情についてどのように今御認識をされているのか、お伺いをしたいと思います。
#31
○国務大臣(馳浩君) 東日本大震災の復興に向けては、全ての大臣が我が事として継続して取組を続けることと、こういうふうに総理からも指示をいただいておりますので、私もその思いで今後取り組んでまいります。
 その上で、被災地においては、依然として休校していたり、子供たちが仮設校舎や間借り校舎等での学習を余儀なくされている学校があったりします。また、まだ多くの子供たちが震災前の居住地とは別の学校で受け入れられております。
 このため、子供たちが以前と同様、落ち着いた環境の中で安心して学べるように継続的な支援が必要だと認識しております。
#32
○那谷屋正義君 今、最後に大臣が言われた継続的な支援が大事だというふうなことというのは、まさにそのとおりだろうと思うわけであります。
 国の集中復興期間が一一年度から一五年度ということで、もう来年度からは一応その集中復興期間には入らないということの中で、被災地では大変心配をされております。もう集中復興期間が終わって、もう全くこっちを忘れちゃうのかという、本当に心配をされております。
 今大臣が言われたように、例えば被災地三県、岩手、宮城、福島の方で、小中高、特別支援学校を見ると、仮設校舎で学習をしているのが三十八校、そして他校、民間施設での間借りをしているところが二十九校、合計六十七校がまだそういう状況であります。そして、被災当初校庭にもういろいろあった車の残骸といいますか、そういったものは撤去されたものの、そこに仮設住宅が建っていて校庭として子供たちが使えないという状況が五十四校になっている。この五年間で、岩手県で三校だけが仮設住宅が撤去されたということになっておりまして、ペースとして決して速いというものではない、やはりもっともっと急がなければならない。
 これに対して、なぜこのようになっているのかということで、県教委の方はどういうふうに捉えているかというと、いろいろな捉え方ありますけれども、そのうちの一つとして、復興事業が集中をしていて、資材の価格あるいは人件費が上がっていて入札がなかなか調わないというふうなのが大きな原因だというふうに捉えられております。
 そして、仮設校舎の中学校の子供たち、あるいは学校の教職員もそうですが、間借りしている小学校の児童の邪魔になってはならないんで校庭で遊ぶのを控えているんだというような、そんな声もあります。また、校庭の仮設住宅では、子供たちの教育の邪魔になってはいけないということで子供たちに遠慮されながら住んでいるというような状況。当たり前の教育環境、あるいは当たり前の住環境がまだまだ取り戻せていないというのがまず見た目でしてあるわけであります。
 ですから、集中復興は五年で終わったものの、実態としてそういう状況なんで、やはり実態に即したこれからも施策をしっかりとしていかなければいけないのではないかというふうに思いますけれども、それ、いかがでしょうか。
#33
○国務大臣(馳浩君) 那谷屋委員御指摘のとおりだと認識をしております。
 予算関係のこと、ちょっとだけ申し上げます。
 平成二十八年度予算案における文部科学省関係の復興特別会計は対前年度約一千五百七十六億円減の約六百二十億円となっており、その大宗を占める約一千五百五十五億円の減については、昨年六月の復興推進会議の決定により、被災地の復興のために真に必要な事業に重点化するとの観点から、全国防災事業として計上していた学校施設の耐震化事業の終了によるものであります。
 平成二十八年度復興特別会計予算においては、被災地からの要望が特に強い、震災により就学等が困難となった世帯の幼児児童生徒に対する被災児童生徒就学支援等事業、幼児児童生徒の心のケアや教育支援のための緊急スクールカウンセラー等活用事業や教職員定数の加配措置など、必要な予算を確保しているところであります。
 文科省としては、被災地の方々からの声にしっかりと耳を傾けて、被災者の心に寄り添った復興になるよう、今後とも全力を尽くしてまいりたいと思います。
#34
○那谷屋正義君 予算の中でそちら側への配慮があるということで、それは評価をさせていただきたいというふうに思います。
 もう一つ、現場の方で懸念されていることが、教職員の復興加配ということなんですね。これも、集中復興期間が過ぎたらば、もうないのではないかと。先ほど大臣が言われた、子供たちが安心して学べる環境づくりというふうなことを言われましたけれども、まだまだ子供たちの心の問題というのは簡単には解決したものではないというふうに思っています。
 ちなみに、ちょっとお伺いしますけれども、阪神・淡路大震災のときに、このやはり復興加配というのがずっと行われていたわけですけれども、国としてどのぐらい行っていたのか、教えていただけたらと思います。
#35
○政府参考人(小松親次郎君) お答え申し上げます。
 阪神・淡路大震災の場合につきましては、震災後十五年間これを行ったと承知しております。
#36
○那谷屋正義君 十五年たった後も、現地からはもっと要請があったというふうに思っておりますけれども、十五年間。東日本大震災の場合にはまだ五年ということで、これはもう到底、その規模なりなんなり全然違いますけれども、やはり大変な目に遭ったということは同じでありまして、子供たちにとってやはり心のケアが大変重要だというふうに思います。
 この子供たちの心のケアについて、所信でも触れられておりましたけれども、大臣、どのようにこれから取り組まれていくか、お聞かせいただけたらと思います。
#37
○国務大臣(馳浩君) まず、教職員の加配については、昨年度同様、平成二十八年度予算においても一千人を配置しております。これはやはり地元の要望にしっかりと継続して応えていく必要があると思っておりますので、やはり子供たちにとっての相談体制の充実、これも教育面と、それから恐らく生活面の不安や、進路、進学等への不安とか様々考えられますので、現場の教育委員会からの要望をしっかりと踏まえて丁寧に対応していきたいと思います。
#38
○那谷屋正義君 今日の質問の中には入れておりませんし、また次の機会にと思っておりますが、この被災地の中で、いわゆる子供の貧困とかあるいは就学援助の比率というのは相当その地域によっても違っています。特に沿岸地域においてはその比率が非常に高まっているということで、そうしたことも踏まえてやはり対応をお願いしたいというふうに思います。
 ちょっとだけ、もう少し施設について触れさせていただきたいと思うんですが、岩手県内の小中高校のグラウンドにある仮設住宅の撤去が非常に進んでいないという問題がございます。
 今まで三十二か所あったうち、ようやくこの五年間で三か所が完全に撤去になったと。計画が出されているんですけれども、二〇一六年度は十か所、そして一七年度が七か所、一八年度が五か所と、今二十二か所の計画はございますが、いまだまだ七か所が計画になり切っていないということで、このままでいきますと、自校で運動会あるいは卒業式、そういったものを経験できずに小学校を卒業してしまう、そういう児童も出てくるということになるわけでありますけれども、この辺の実態について、今私の方からお話しさせていただいたことについて、感想なり、あるいは、もし手だて等がございましたらお願いしたいと思います。
#39
○国務大臣(馳浩君) 津波で被災した学校の復旧事業は、用地取得、造成から校舎の建設まで時間を要するため、今も仮設校舎等で教育活動が行われております。
 現在、自治体が作成する事業計画に基づいて復旧工事に着手しているところであります。福島県における原子力災害のため避難した学校についても今なお仮設校舎等での活動となっておりますが、避難指示の解除に合わせて順次復旧事業の支援を行っているところであります。
 また、校庭の仮設校舎や仮設住宅などにより運動場の利用が制限されていることから、被災地において子供たちの運動の機会を確保するため、国立青少年教育施設を活用し、被災地の子供たちに外遊びやキャンプなどの体験活動を提供するリフレッシュ・キャンプの実施、被災三県において、子供から高齢者までを対象としたスポーツ・レクリエーション教室等の実施、福島県の実施している小学校の体育の授業への専門アドバイザー派遣、身体測定の結果や体力調査の結果などを小学校四年生から高校三年生まで継続して記録する自分手帳の作成に対する支援などを行ってきたところであります。
 今後とも、学校施設の復旧や子供の運動機会の確保のため、地方公共団体の要望を踏まえながら、子供たちの成長をしっかり支えつつ被災地の復興に全力を尽くしてまいりたいと思います。
#40
○那谷屋正義君 物心共に、物心共にというか人も含めて、これからもしっかりとした対応をお願いをしておきたいというふうに改めてお願いをしておきたいと思います。
 あわせて、公立学校の施設の耐震化というもの、これはたしかこの平成二十七年度で一〇〇%にするという決意、強い決意を何度もこの委員会の中でも聞かせていただきましたけれども、実は、去年の暮れに福島県のある中学校を訪問しましたら、ちょうど耐震化をやっている最中だというふうなことで、これって三月までに間に合いますかと言ったら、いや、間に合いませんと、こんなふうに言っていました。そういった多少のでっこみへっこみはあるのかもしれませんけれども、いずれにしてもこの辺の進捗状況と、まだそれが進んでいないところについて今後どのように対応するのか、決意を聞かせていただけたらと思います。
#41
○国務大臣(馳浩君) 公立小中学校の耐震化については今年度中の完了を目指して取り組んできたところであります。今年度予算による事業実施後の耐震化率は約九八%と、学校の統合など各地方公共団体の個別の事情により耐震化が遅れるものを除き、おおむね完了する見込みであります。
 文科省としては、今後も個別事情により耐震化の進捗が遅れている地方公共団体に対し様々な機会を捉え早期の取組を要請するとともに、耐震化事業を行う地方公共団体の支援に取り組んでまいりたいと思います。
 一層頑張ります。
#42
○那谷屋正義君 ここではもう何度も私も質問をさせていただいて、九八%、相当この耐震化が叫ばれるようになってからは進んだと思います。特に東日本大震災を契機にやっぱり大事だということで加速して、今、九八パーという数字になってきたということに対しては、よく頑張っていただいているなと思いますが、しかし、残り二%、二%であってもあってはいけない話でありますので、是非、これについても加速をしていただきたいと、このことをお願いを申し上げておきたいと思います。
 それから、二つ目の柱の質問に入りたいと思いますが、一昨日、馳大臣の所信をお聞きしておりまして、どうしても物足りない言葉が、言葉がというか、どうしてそういうふうな観点が出てこないのかなというのが非常に疑問に思ったところなんであります。
 学校現場におけるいわゆる教職員の多忙化という問題であります。このことが全く所信に触れられていません。これについてどのような御認識をお持ちなのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
#43
○国務大臣(馳浩君) 平成二十六年度に公表されたOECD国際教員指導環境調査の結果によれば、我が国の中学校教員の平均勤務時間は、調査に参加した国、地域の中で最長となっております。中学校教員の一週間辺りの平均勤務時間で日本が五十三・九時間、参加国平均は三十八・三時間であります。また、平成二十六年度に文部科学省が実施した教職員の業務実態調査では、平日の平均在校時間が小学校教諭では十一時間半、中学校教諭では十二時間となっているなど、改めて教員の多忙化の実態が示されたものと認識しております。
 そこで、所信の件についてでありますが、こういった課題をいかに解決をしていくかという認識の下で中教審においても議論がなされ、昨年末に三つの答申をいただいたところであります。教員の子供と向き合う時間を確保していくため、指導体制の質、量、両面での充実を図るとともに、学校が一つのチームとして力を発揮できる体制を構築し、学校と地域の連携、協働を推進していくというこの方針であります。これを具現化させる取組が先日の所信でも述べさせていただいた「次世代の学校・地域」創生プランであり、本プランの内容を着実に実行に移していくことで教職員の業務負担の軽減を図っていく決意であります。
#44
○那谷屋正義君 OECDの結果、日本の教員が世界で一番勤務時間が長いというその調査はそのとおりでありますが、一方で、これは皆さんと一緒に闘っていかなきゃいけない話ですが、教育費の占める対GDP比、これの割合がまたこれがワーストワンになっている、特に高等教育におけるものについてはワーストワンになっているという状況、これについてどのようにお考えでしょうか。
#45
○国務大臣(馳浩君) 私自身は大変不名誉なことだとまず思っております。と同時に、そんなことを言い続けていてもらち明きませんので、やはり財源を見付けて、そして高等教育も、もちろん初等中等教育においても教育に対する公財政支出をやはり諸外国並みに引き上げていく努力をすべきだと思っておりますし、その責任がやはり政府としてあると、こういうふうな認識でおります。
#46
○那谷屋正義君 ここは文科省と、それから今日ここにお集まりの委員の皆さんとやはり一致団結してそこは頑張っていかなきゃいけない話だと思いますし、財源を見出すというお話がございました。これについても、今日はお話ししませんけれども、またこれもいろいろと議論をしていく必要があるんだろうと思いますので、是非またお願いをしたいというふうに思います。
 世界で最長の勤務時間、しかしながら、なかなかお金は掛けられない状況になっているその現状の中で、今多くの教職員が精神的な病を負われて、病に伏されて休職をするわけですけれども、この辺の状態について、最近、そして変遷等についてお聞かせいただけたらと思います。
#47
○政府参考人(小松親次郎君) お答えを申し上げます。
 文部科学省の調査によりますと、平成二十六年度におきましては精神疾患による病気休職者の数が五千四十五人となっております。これは、例えば十年前の平成十六年度を見ますと三千五百五十九人であったということと比較をいたしますと、その後増加をいたしまして、近年は五千人前後で推移をしている、言わば高止まりをしてしまっているというところでございまして、教員のメンタルヘルス対策の充実、推進を図ることは大変急がれる課題であるというふうに私どもも考えております。
#48
○那谷屋正義君 大変急がれる課題であると言いながら、なかなかそれが、具体的な施策がちょっと見えてこないというのが非常に残念なんですが、これについてはちょっとまた後ほど触れさせていただきたいと思います。
 先日、若い先生の研修会に参加をしてまいりまして、そこでいろいろな先生方の意見を聞いておりましたらば、大変切実だなと思う意見が幾つか出されました。一つは、最近、何で自分が学校の先生になったのか分からなくなることがあると。教員を目指したときには、自分は子供たちとこんなことをやってみたい、そして喜びを分かち合いたい、学校全体でこんなことに取り組んでみたい、そんな思いを持って学校現場に来た。ところが、そうしたことを検討する時間も話し合う時間も全くない。そして、今やらなければいけないことは何か。上から降ってきたもの、施策についてただただ対応することのみで、自分で何かを工夫したり想像力を働かせて教育をしたりという、そういうことができないでいる。まるでマシンのようだと、何でこんな先生になったのかよく分からないという意見が一つありました。
 そしてまた、ある方は、そんな先生の実態、後ろ姿を見て、今の子供たちが将来学校の先生になりたいという人間がどれだけいるんだろうかということについて大変疑問であると。
 これはちょっと別な話なんですが、去年、七夕で、よく将来の夢を短冊に書いて飾ったりなんかしますよね。そしてお願いしたりしますよね。そこで、その中身としてどういうものが一番多かったのか。何だと思います。馳大臣は、日本一のプロレスラー、世界一のプロレスラーとかと思ったかもしれません。私も、プロ野球の選手になりたいとか、いろんなことを思いました。しかし、そこで多かったのは、正社員になりたい。これが夢、将来なりたい夢の一番多かったものだったんです。
 このことを今言わせていただいて、この将来の夢についてだけで結構です、大臣、どのように感想をお持ちですか。
#49
○国務大臣(馳浩君) 子供たちが七夕のときに夢を書いて飾れば将来かなうかもしれないという、希望を抱く、私、大事な行事だと思っていますし、各学校でも取り組まれていると思います。
 この正社員になりたいという夢については、よく考えればやはり安全志向、安心を持って人生を過ごしていきたいという夢として、私はまずいいと思います。反面、正社員になれない環境があるのではないかという不安から、したがって、正社員になりたいという希望を、周囲の大人の状況から鑑みて素直にそういうふうに書いたのだと思います。
 したがって、私は、将来の夢、お嫁さんになりたいとかお母さんになりたいとかプロレスラーになりたいとかオリンピックに出たいとかと思い付くままに申し上げましたが、子供たちがそれぞれの発想で書けるようになることがいいと思いますが、できれば、正社員になりたいと書くよりも、ええっ、そんなことになりたいのと、むしろ大人がほほ笑ましく温かく見守ることができるぐらいのでっかい夢を書けるようになってくれたらうれしいなと。ノーベル賞を取りたいとか、まさしく社長になりたいとか、そういうふうなやっぱり希望を、前向きな希望を持てるようにしてほしいと思いますし、もちろん正社員が悪いと言っているのではありません。そういう夢も一つあろうかとは思いますが、私は、うんっと、今、那谷屋委員の話をお伺いしていて、ちょっと夢が小さいんじゃないかなと心の中で思いました。
 ちなみに、私の小さいときの夢、小学校のときには立派なリンゴ屋さんになることが夢で、これは親の跡継ぎと言われておりましたのでそういう夢を持っておりましたが、中学生のときにやっぱり尊敬する恩師に出会いまして、将来の夢は必ず国語の教員になることが夢となりました。それから時を経て、いつしか立派なプロレスラーになるという夢も出てまいりまして、なぜか今、参議院議員、そして衆議院議員を務めて、政治家をしていると、こういったところであります。
#50
○那谷屋正義君 大臣の夢の経歴まで教えていただきまして、ありがとうございます。
 夢というと、夜寝ている間に見る夢、そして将来の夢、いろんな夢がありますけれども、やっぱり何か夢を見ることに対する環境というのは影響を大なり小なりしているんだろうと思うんです。ですから、その夢がいいとか悪いとかということは決して言えるものではないけれども、私も大臣と同じように、正社員になりたいというものが多かったということに対して大変ちょっとがっかりというか、ええっ、そういう状況なのというふうな感想を、正直な感想を持ったところです。
 教職員の多忙化からこっちの方の話に脱線しちゃったのでまた戻りますけれども、私は先ほどの、おっしゃっていただいたTALISの調査結果も含めて、この多忙化の解消、特に学校教育において、中教審も述べられているように、先生と子供たちが向き合う時間を確保するということがやはり大事だというふうに思うんですね。
 そのためには、そのためには二つしかないと思うんです、方法は。それは、一つは業務を改善するということ。本当にこれは必要なのかどうなのか。学校の現場の先生方は皆さん真面目ですから、あれも大事だね、これも大事だねといろいろ言われると、先ほど言われましたけれども、道徳教育も大事だね、英語教育も大事だね、ITも大事だね、更に環境も大事だね、平和も大事だね、様々大事だねと、もうぼんぼこぼんぼこ降ってくる。どれも大事なんです。だからみんなやろうとするんです。しかし、人間には限界がある。そして、それぞれの研究をするために、どうしても時間が必要なんです。そうすると、その時間の中で子供たちと向き合う時間がいつの間にかなおざりにされてしまう。
 先生、あるとき放課後、子供が相談したくて寄ってきても、ちょっとごめん、会議があってできないからねと言って、つい後回しにしてしまう。そういう状況が、もうどうしてもつくらなきゃいけないような状況になっちゃう。
 こういうふうなことを考えたときに、やはり業務の精選、そしてそれをこなすだけの人の配置、この二つをしっかりとしなければいけないのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#51
○国務大臣(馳浩君) 全く同感であります。やはり、業務の改善ということは、無駄という意味ではありませんが、今抱えている業務の中で何を最優先事項にして今日しなければいけないのかという確認と、今日一日行った業務の中で何か取捨選択して効率よくできなかったという反省は、私は毎日繰り返す必要があると思っています。それを繰り返していけば、自然と一日の時間の使い方といったものにおいて何を優先すべきかということを軸にして時間を有効に使えるようになると思っています。
 様々な企業が時間短縮イコール効率化、イコール生産性を高めてそして売上げを伸ばすと、こういうふうな方針で取り組んでおられますけれども、学校教育において何を最優先事項にすべきかということは、これは文部科学省としてももちろんそうですし、各都道府県の教育委員会、市区町村の教育委員会また教職員の団体などにおいても、やはり常にブラッシュアップしていかれる必要があると思っています。
 と同時に、それをすればするほど、やはり人の配置、定数改善について、どこが多忙だからこういったところに人を配置する必要があるのか。様々な課題を抱えている中で、その課題にきめ細かく対応するべきなのが、これは加配定数の問題であります。
 義務標準法における基礎定数と加配定数の在り方をやはり常に見直していくことが、那谷屋委員おっしゃる業務改善と、それによる定数改善等に向けたやはり一体的な在り方なのではないかと。それを、我々政府の立場としても、当然財政健全化の中において、いかにやっぱり有効に税金を活用して人件費を確保していくかということにもつながる課題だと思っています。
#52
○那谷屋正義君 先ほど局長の方からメンタルヘルスで休職されている方の数について伺いましたけれども、毎年五千人前後の方が休職を取られているということであります。
 それで、私も教育現場にいたときに、決して家に帰るのが早い方ではなかった。しかし、一つ一つの行動を振り返ったときに、何でこれをやっているのかなと思っているときというのは非常に胃が痛くなるんですよ。何なんだこれはと。自分で、子供たちのために、あるいはこれは子供たちの目があした輝くな、笑顔が見れるなと思ったときには、それは何時まで取り組んでも全然負担にならないんです。
 そういうふうなことを考えたときに、精神的な病で休まれなければならないような状況というのは、いかに今、本当に先生方がこれをやらなきゃいけないのということ、その意義がなかなか理解しないまま、ただただやらされているというふうな、そんな感覚になっちゃっているんじゃないかなと。これは大変憂うべくことではないかというふうに思っております。
 そういうことの一助として、学校現場における労働安全衛生体制の確立と、そしてメンタルヘルスケアの強化というものが大事なわけでありますけれども、その辺の取組について、馳大臣としてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
#53
○国務大臣(馳浩君) 学校現場における労働安全衛生体制の確立及び教職員のメンタルヘルスケアの強化は、教職員が意欲と使命感を持って教育活動に専念できる適切な労働環境の確保に資するものであり、ひいては学校教育全体の質の向上に寄与する観点から極めて重要なものであると認識しております。
 文科省としては、昨年十二月に施行されたストレスチェック制度の実施を含む労働安全衛生体制の整備の普及啓発のためのリーフレットの作成、配付、公立学校における労働安全衛生体制の整備状況に係る実態調査とその調査結果に基づく各教育委員会に対する指導、助言、教職員本人によるセルフケアの促進や、校長等のラインによるケアの充実等の教職員のメンタルヘルス対策の充実、推進に係る各教育委員会に対する指導、助言などを行っているところであります。
 文科省では、ストレスチェック制度の実施を含む労働安全衛生体制の整備や適切な教職員のメンタルヘルス対策の充実、推進が行われるよう、引き続き、各教育委員会に呼びかけてまいりたいと思います。
#54
○那谷屋正義君 労働安全衛生法では一つの職場に五十人以上という規定がある中で、なかなかそれに学校というところは該当しないところが多くある。その中で、ストレスチェックについても積極的に文科省として進めていただいたということについては、感謝を申し上げたいと思います。
 しかし、ストレスチェック、私も項目を見させていただきましたが、これだけやっていればいいのかということではないんですが、ただ、これ、気は心じゃないんですけれども、例えば学校現場で職員会議が勤務時間を超えて三十分延長されたと。そのときに校長先生が、勤務時間三十分延長されましたので向こう一週間ぐらいの中で先生方回復を取ってくださいというふうな話があるかないかで、先生方一人一人の気持ちの持ち方って全く違います。多分取れません。一週間の中でそれを回復しようとしたってそれは取れないんです。取れないんだけれども、校長先生がそういうことを言ってくれるかどうか、教職員一人一人の健康について、いろんなことを考えてくれているかどうかということが分かるだけで精神的にすっと助かるものがあります。
 それと同じように、文科省も、このストレスチェック、本当にどれだけの効果があるのかということについてはこれからですけれども、まだ始めたばかりですから、だけど、文科省がそういうふうにして、なかなか難しい状況の中でしっかりとやってくれということを今進めていただいているということを現場の先生方がもしそれを感じることができるならば、先生方は少しは救われて、胸がすっと救われるということは絶対にあると私は思っています。
 問題は、あとは、さっき申し上げた業務改善、見直し、そして人の配置だというふうに思います。人の配置については、加配も確かに大事です。が、それ以前にやることが私はあるというふうに思っていますが、それについては、ちょっと時間が余りありませんので、次回にまた質問をさせていただきたいと思います。今回の予算が、また今大臣の思われていることが、ちゃんと伴ったというか、それに沿っているのかどうかということも含めて、次回また質問をさせていただきたいと思います。
 ちょっと早いんですが、大島委員にバトンタッチさせていただきたいと思います。私の質問を終わります。
#55
○大島九州男君 文教科学委員会で久しぶりに質問をさせていただく機会をいただいて、心から感謝を申し上げます。
 それでは、まず最初に、大臣所信に対して、「もんじゅ」のところから質問をさせていただきたいと思いますが、東日本大震災、あしたで五年を迎える今日、文教科学委員会で質問をさせていただく機会をいただきました。この御縁で、まず、震災でお亡くなりになられた方や、その後、関連死をされた方に心からお悔やみを申し上げるとともに、避難をされてまだ自分の郷土にお帰りになれない十万人近くの方にもお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
 まず、最初に質問させていただく核燃料サイクル及び高レベル放射能廃棄物処理処分の研究開発予算についてでありますが、「もんじゅ」の現在の状況はどのようになっているかを教えていただきたいと思います。
#56
○政府参考人(田中正朗君) お答え申し上げます。
 「もんじゅ」につきましては、これまで様々なトラブルなどがございまして、その開発が順調に進んでいないことは事実でございます。
 平成二十四年十一月には約一万点の機器の保守管理不備が明らかになりまして、翌年五月に原子力規制委員会より、一、保守管理体制及び品質保証体制を再構築すること、二、点検時期が超過している未点検機器について早急に点検すること、三、これらが完了するまで運転再開準備を停止することといった内容の保安措置命令が発出されました。
 このことを踏まえまして、原子力機構では、平成二十五年十月から平成二十七年三月まで「もんじゅ」集中改革に取り組みまして、保守管理や品質保証体制の再構築を行ったところでございます。
 しかしながら、その後も原子力規制委員会より繰り返し保守管理体制の再構築が不十分等との指摘を受けまして、平成二十七年十一月には、原子力機構に代わって「もんじゅ」の出力運転を安全に行う能力を有する者を特定するよう求める勧告を受けるに至りました。
 文部科学省といたしましては、勧告に対して責任を持って対応するため、昨年十二月に文部科学大臣の下に「もんじゅ」の在り方に関する検討会を設置し、議論を開始したところでございます。検討会での議論を踏まえ、可能な限り速やかに課題を解決できるように、引き続き前面に立って対応を進めてまいりたいと考えてございます。
#57
○大島九州男君 今の御答弁にあるように、順調に進んでいないその「もんじゅ」をずっと引っ張って、何でやっているのと国民の皆さんも非常に疑問に思われている、多くの声がそうだというふうに思うんですが、それを続けているというのは何か特別な意義があるのか。その意義があるなら、それをしっかりと教えていただきたいと思います。
#58
○政府参考人(田中正朗君) エネルギー基本計画におきましては核燃料サイクルの推進は我が国の基本的な方針とされまして、「もんじゅ」につきましては廃棄物の減容や有害度低減等のための国際的な研究拠点と位置付けられております。
 「もんじゅ」を含めた高速炉は、一、百年程度で枯渇すると言われているウランが三千年以上にわたって活用可能になること、二、使用済燃料を直接処分した場合と比べて高レベル放射性廃棄物の大幅な減容化、体積で申しますと約七分の一、有害度の低減、期間でいいますと十万年から約三百年程度ということが可能になることといった特徴を有しておりまして、「もんじゅ」は高速炉の技術実証を行う役割を担うなど、その研究開発は我が国のみならず世界のためにも重要であると認識しております。
#59
○大島九州男君 今教えていただくと、ああ、そういうことがあるといいよねと、当然そういうことを目指して研究開発を進めてきたわけですけれども、結果、全然進んでいかないと。
 じゃ、どこに問題があるのかと。私自身がどういうふうに捉えるかというと、一生懸命一生懸命やっているんだけど、道が付かないと。結局、そういうふうに進んでいかないというのは、人生で例えると、川上に向かって一生懸命泳いでいるんですよ。だから全然進まない。そうしたら、どうすれば進むかというと、ぽっと考えを逆転すると、川下に向かえば泳がなくても下りていくわけですよ。だから、そういう転換というのは非常に必要なんだというふうに私は思うんですけれども。
 結局、世界でもいろんなことを皆さん同じように考えて行動していると思うんですけれども、その意義深い研究なら世界もいろいろ取り組んでいると思うんですが、世界の状況は御存じですか。
#60
○政府参考人(田中正朗君) お答え申し上げます。
 国際的にはフランスやロシア、インド、中国といった国々が高速炉の研究開発に積極的に取り組んでいると承知しております。
 特にフランスでございますけれども、実証炉でありますスーパーフェニックスを一九八五年から一九九八年まで運転をいたしました。その後、二〇一〇年には、スーパーフェニックスを運転した経験を生かしまして、放射性廃棄物の有害度低減に特化した実証炉であるASTRIDの開発計画を開始し、二〇二〇年代中の運転開始を目指していると聞いております。
 また、ロシアや中国、インドといった国々は、今後のエネルギー需要の増大を見込みまして、高速炉の研究開発に積極的に取り組んでおります。
 例えばロシアでは、一九八〇年から原型炉BN600の運転を行っておりまして、二〇一四年には実証炉BN800の初臨界を達成し、二〇一五年には発電を開始しております。
 中国では、二〇一〇年に実験炉CEFRの初臨界を達成いたしまして、二〇二五年頃の実証炉の運転を目指しております。
 また、インドでは、一九八五年より実験炉FBTRの運転を行っておりまして、二〇一六年中に原型炉であるPFBRの運転の開始を予定していると承知しております。
#61
○大島九州男君 何か世界は、今の話を聞くと、非常に何か進んでいるようなイメージでありますが、日本は結局、進もうとするとまたこけ、起き上がるとまたつまずきということをずっと繰り返していると。そのことを素直に受け取ったときに、じゃ、日本の研究開発の役割というか、世界をグローバルに考えたときに、日本だけでやらなきゃ、俺がやらなきゃ誰がやるみたいな、そういうことよりも、今、それこそ日本の教育はグローバル人材だとかいって文科省が進めている、その文科省が余りにもそのことに執着をし過ぎて、何かどつぼにはまっていくような形で、何かもがけばもがくほど下に潜っていくような、そういう状況になっている。
 そういうときに、もうちょっと心を切り替えて、さっきも言いましたように、高速炉の研究開発をフランスと共同でというような声もある、そういうふうに手を差し伸べてくださっているような国もあるというふうに、私はそういうふうに聞いているんですけれども、成果が上がらないそんな「もんじゅ」に執着するよりも、そういうふうにうまくやっている、進みそうなところに、今までの失敗した経験が役に立つんですよ、間違いなく。そういう心を持ってフランスと共同開発するとか、世界と手を組んでいくとか、そういう発想はないのか、教えていただければと思います。
#62
○国務大臣(馳浩君) フランスは積極的に高速炉の研究開発に取り組んでおり、ASTRID開発については日仏両国で高速炉協力に関する取決めを締結し、研究開発を進めているところであります。この両国の研究協力においては、「もんじゅ」や高速実験炉「常陽」における燃料の照射試験が計画されており、フランス首相からも「もんじゅ」や「常陽」の活用に大きな期待が寄せられております。
 エネルギー基本計画において、「もんじゅ」は廃棄物減容や有害度低減等のための国際的な研究拠点とされております。文科省としては、「もんじゅ」が果たすべき研究開発を着実に進めていけるよう、課題を速やかに解決してまいりたいと思います。
#63
○大島九州男君 課題を速やかに解決をしようとして、今言うように、いろんなところから指摘を受けて進まないと。だから、今言うように、執着を持って進めていたら何も解決しませんよと。
 私はこの間、一泊四日でチェルノブイリに行ってきました。三十年たった今でも、原発事故を起こしたその処理をどういうふうにしていくかということをみんなが一生懸命取り組まれているわけですよね。あそこは共産圏でしたから、みんな避難しなさい、どこか行きなさいと言えば、違うところに家を用意して、それで皆さんは住まわれているけれども、日本は、やはり先祖代々いただいてきたその土地を大事にするという民族ですから、原発で危ないですからあなたどこか行ってくださいって、何言っているのと、お墓もあるし、自分が住んできた郷土に帰りたいという、そういう根本的に違う文化を持っているこの狭い国土の中で原発をずうっと稼働し続けるということについては非常な問題もあると。
 それは経産省の話でしょうから、文部科学省は、研究開発をしていくというその大義名分の中で、これ何で「もんじゅ」という名前が付いたのかということですよ。その因縁をどう捉えるかと。私はこういうふうに捉えたの。
 これ、ちょっと調べましたよ。文殊菩薩が登場するのは初期の大乗経典、特に般若経典であると。ここでは釈迦仏に代わって般若の空を説いている。また、文殊菩薩を三世の仏母、仏の母と唱える経典も多く、華厳経では善財童子を仏法求道の旅へ誘う重要な役で描かれていると。このことからも分かるように、文殊菩薩の徳性は悟りへ至る重要な要素、般若、知恵であると。なお、本来悟りへ至るための知恵という側面の延長線上として、一般的な知識ですね、その知恵の象徴ともなり、これが後に三人寄れば文殊の知恵ということわざを生むようになったと。
 このように、お釈迦様はその文殊菩薩という人をこの世に授けてくださったというか、その名前をいただいてこの研究をしているということを受け取ったときに、まさに、今までいろいろやってきた過去の失敗やいろんな経験をもって、そしてフランスや諸外国と協力をし、そして三人寄れば文殊の知恵というような形で進めていけば道が付いていきますよということを、最初に名前を付けたときからそういう道が決まっているんだというふうに、私はそういうふうに受け取るわけですよ。
 だから、そういう目に見えない、まさにその流れの中で変化をもって生きていくというのが、これが人生なんですよ。求道するというのは、自分が生かされている使命、命いただいたその使命が何なのかというのをずうっと求めながら生きていく、求める道で求道というんですよ。大臣が、小学校のときはリンゴ屋さん、次は高校の教師、プロレスラーからこうやって大臣になられるというのは、これはもう決まった道なんですよ。だから、そういういろんなことの経験から、今あなたが文部科学大臣としてふさわしいですよ、だからあなたが今生きている中でやれることを一生懸命やりなさいよというお手配で大臣になっているんですよ。
 大臣、そういう観点からいうと、この「もんじゅ」、今後の方針はそういう変化していく中でどのようにしたらいいのかと、率直な意見を大臣、聞かせていただければと思います。
#64
○国務大臣(馳浩君) 我が国のエネルギー基本計画において、「もんじゅ」の位置付けというのはされております。先ほどから答弁したとおりであります。この使命をやはり果たしていくことがまさしく私の責任だと思っております。
 そういう観点からも、昨年十一月に原子力規制委員会から指摘を受けたことでありますから、そのやっぱり指摘を真摯に受け止めて、今検討委員会を開いております。その中では、なぜこうなってきたのかという総括、それを踏まえてどうあるべきかというあるべき論、その上で最終的に新たな運営主体を探すと、この三段階をもって原子力規制委員会からの勧告にお応えをしようと思っております。
 私は、国家としてのエネルギー基本計画の中に位置付けられた核燃料サイクル事業、そしてその枢要な研究施設である「もんじゅ」、このことをやっぱりきちんと丁寧に位置付けてそれを進めていくことが私にとっての使命であると、こういうふうに思っております。
#65
○大島九州男君 十二月の八日が成道会といいまして、仏様がお悟りになった日というんですよ。その仏様が何をもってお悟りになったかというと、妄想、執着を捨ててお悟りになりましたと。妄想というのは未来のことだそうですよ。執着というのは過去のことね。その未来と過去を捨てたら残るのは今なんですよ。だから、あの「今でしょ」という言葉がブレークしたのは真理を突いているから。
 だから、まさに今まで「もんじゅ」でいろんな経験をしたこと、そういうことを糧として、そして世界と連携をしながらやっていく。決してこれは「もんじゅ」が駄目だったんじゃないですよ。「もんじゅ」はそういういろんな失敗の経験を積ませていただく、その有り難かった「もんじゅ」を日本はしっかり持って、外国と、特にフランスとかそういうところと協力をしていきながらと、新たな運営主体というのを日本の中で探す必要はないわけですから、まさにそういうグローバルな社会の中でやっていくという、そういう部分をしっかりと頭に入れて今後進めていく。そしてまた、そういう、まあ私からすれば当たり前のことですけれども、今いる皆さんからすると何かめちゃめちゃ英断みたいな話のように聞こえるので、大臣が御在任中にそういう方針を示されるということは僕は極めて当たり前で普通のことだというふうに捉えておりますので、是非そういう観点で今後は進めていただきたいというふうに要望しておきます。
 それでは次に、科学技術を進化させていくというのは当然人材なんです。その人材の確保というのは、子供の頃からやっぱり行われる教育に懸かっている。その観点から、研究開発人材の育成に欠かせないのは、やっぱり理科とか科学に興味を持つようなそういう教育、そういう予算について、我々はよく理振、理振と言っていますけれども、その理振の二十七年度の予算が幾らで執行額が幾らだったかというのと、それを受けて、今年度、二十八年度はお幾らだったか教えてください。
#66
○政府参考人(小松親次郎君) お答えを申し上げます。
 理科教育の振興法に基づきまして、理科教育設備整備費等補助金を設けております。この予算と執行状況ということでございます。平成二十七年度予算につきましては、予算として二十・八億円を措置をいたしまして、十七・二億円の交付決定という状況でございました。また、平成二十八年度予算案においては十七・八億円を計上しているところでございます。
#67
○大島九州男君 二十・八億予算をいただいたけれども十七・二億しか使えなかったと。だから、まあ財務省からすれば、使わないんだから減らしていいだろうという、そういうことでしょうが、こうやって、前年度執行できなかった、そこにはどういうような原因があると思われるかということをちょっと教えてください。
#68
○政府参考人(小松親次郎君) お答え申し上げます。
 この点につきましては、自治体からの申請額が予算を下回ったということで、本年度当初申請のなかった都道府県から状況を聞き取ってみました。その内容などを踏まえてみますと、幾つかの点が浮かび上がってまいります。
 一つは、各自治体等の財政が厳しくて財源を措置することができなかった。すなわち補助金でございますので、その自前の分ということが措置ができなかった。それから、別のものとしては、過去の補正予算を利用して重点的に整備したので、今年はその申請をしなかった。それから、学校において古かったり使用できなかったりする理科教育設備の点検、調査が十分にできていない。それから、教育委員会の中で指導担当と施設あるいは財務担当との意見あるいは連携といったところでそうした申請に至ることができなかった。大体こんな感じが浮かび上がってまいります。
#69
○大島九州男君 今の問題点、簡潔に言うと、例えば単費で百万ないし五十万ないし、市町村でも。県だったらこれが三百万とか五百万とか単費は必ず付けていると思うんですよ。それに補助金付ければ倍もらえるわけですから。だから、元々ゼロのところはしようがないですよ。でも、元々五十万でも百万でも付けているところがあれば、それは倍もらえるんですから、これは申請しない方が私はちょっとおかしいと思う。
 だから、そういう意味で、まずはちゃんとその周知をするということね。それから、学校現場がそういう、何というんですか、連携取れていなくて何が欲しいのか分からないと。現場で聞いてみると、予算付いてから調べて、そしてそれを申請したら間に合わなかったとか、そんな間の抜けた話をしているから、違うでしょうと。学校はもう全ていろんなもの、たくさん必要なものがあるに決まっているんですよ。だから、もう既に、予算取る取らない関係なく、自分のところの市町村やそういうところにある学校のリストを全部作っておきなさいと。それで、一から例えば五十まで作りました、そうしたら、一から十までは二十万の予算ですと。じゃ、それを申請しました、そうしたら十万付きましたと。じゃ、十万付きましたら一から五番まで今年はそれを買いましたと。だから、リストがずっとあるわけですから、次は、じゃ、付いたら順繰り順繰りですよ。補正予算で十分にやりましたから今年は出しませんでしたなんていうのは、結局取れる分しかリストを挙げていないからそれで終わっているんです。違うんです、必ずそこにあるはずなんだから。
 だから、まあこれは要望ですけれども、文部科学省としてこの理振の予算を要求する市町村にそういうマニュアルみたいなのを作って、しっかりそのマニュアルでこういうふうに申請するといいですよ、こういうふうにやると例年ずっとやれますよと。前回、四次募集ぐらいまでやっているんですからね。だから、それで何とか底上げしたんですけれども、そんなことしなくても、当初予算からそういうことでちゃんと周知しておけばきっちりできると私は思っていますから、是非そういうふうにしていただきたいということを要望しておきます。
 次に行きますが、学校と地域の連携、協働の推進は、地域と学校が連携して子供たちの多様なニーズに応えて実行していかなければなりません。高木文部科学大臣時代に、文部科学省が連携する外部団体に学習塾が含まれるという大臣答弁から、地域の教育委員会、自治体、政府における教育再生実行会議においても塾関係者との連携が進んでまいりましたが、全国で具体的に進められている事例を幾つか教えていただきたいと思います。
#70
○政府参考人(有松育子君) お答え申し上げます。
 子供たちを取り巻く社会や環境が大きく変化する中で、地域と学校が連携、協働して社会総掛かりで子供たちの学習を支えていくということが重要でございます。
 その今申し上げました関係機関や団体の中には学習塾も含まれていると考えておりまして、地域においても学習塾の協力を得て学習支援を行っている例がございます。例えばでございますが、熊本県の御船町では、学習塾の講師が地域人材として参加をする中学生を対象とした学習支援、これは国庫補助事業でございます地域未来塾を活用したものでございます。また、市の単独事業でございますが、大阪府の大東市では、全国学習塾協会の協力を得て行います小中学生を対象とした学習支援を行っているといったような事例がございます。
#71
○大島九州男君 今御紹介いただいた事例、国の補助金を使っているというところと使っていないというところ、いろいろ聞いてみたら、いやいや、手続が大変であれなんですよと、だからもう市の単独でやっていますみたいな声があるんですけれども、私はその煩雑と思われる手続の簡素化というのは絶対必要だと思うんですが、そこはどういうふうにお考えでしょうか。
#72
○政府参考人(有松育子君) ただいま御紹介いたしました学校・家庭・地域の連携協力推進事業で、文部科学省では、地域住民やNPOや学習塾等の民間団体の協力を得た地域未来塾を推進しているものでございます。これで学習が遅れがちな中学生などに対する学習支援を実施しているわけでございますが、先ほど御紹介いたしました大東市などでは、この地域未来塾が始まる前から市で独自でやられていた例ではございますけれども、文部科学省では、このような取組が更に進みますように、各実施される自治体の意見なども聞きながら、補助金の申請書類の中身について、あるいは作業上簡素化できるようなことがあるかというようなことも考えまして、そうしたことを進めながら、かつ必要な予算額の確保にも努めてまいりたいというふうに思っております。
#73
○大島九州男君 ありがとうございます。
 是非簡素化していただきたいというふうに思います。それこそ、本当、さっき言ったマニュアル化して、そこに書き込めばもうぱっと申請できると、もう今はネット社会ですから、そういうことをしっかりやってもらいたいと。
 こういった支援事業の活用や地域の教育の方針を決定していく重要な役割を果たすのが総合教育会議であると認識しておりますが、この新しい総合教育会議は今どのような形の状況になっているか、教えてください。
#74
○国務大臣(馳浩君) 昨年四月一日に施行された改正地教行法では、総合教育会議を設置することにより、教育に関する予算の編成、執行など、重要な権限を有している地方公共団体の長と教育委員会が十分な意思疎通を図り、地域の教育の課題やあるべき姿を共有して、より一層民意を反映した教育行政の推進を図ることとされました。
 文科省が実施した新教育委員会制度への移行に関する調査の結果によると、総合教育会議については、昨年十二月一日までに、都道府県及び指定都市では全て開催し、市町村では約九割が開催しております。また、総合教育会議においては、学校支援地域本部事業やコミュニティ・スクールについても議論が行われている例もあると承知をしております。
#75
○大島九州男君 ちょうど文教科学委員会で議論をしたときに、総合教育会議のメンバーは、総理大臣答弁にも文部科学大臣答弁にも、地域で活躍する教育者を参加させていくことが非常に望ましいというふうな答弁だったんですけれども、現状どのようになっているか、教えてください。
#76
○国務大臣(馳浩君) 改正地教行法では、総合教育会議において、協議を行うに当たって必要があると認めるときは、関係者又は学識経験を有する者から意見を聞くことができることとしており、具体的にはPTA関係者や地元の企業人等からの意見聴取を行うことが想定されております。
 文科省が実施した新教育委員会制度への移行に関する調査の結果によると、総合教育会議において意見聴取を行った地方公共団体は、昨年十二月一日現在で、都道府県及び指定都市では十六、市町村では八十七となっており、PTA関係者や地元の企業関係者、現場の学校教員等から意見を聞いているところであります。
#77
○大島九州男君 ありがとうございます。
 今、都道府県、指定都市で十六、市町村で八十七というと、ああ、何か聞いているのかなという気になるんですが、実は元々、六十七分の十六で都道府県が二三・九%、市町村は千五百五十九のうちの八十七で五・六%なんですね。
 だから、結局、この国会で議論をして、大臣も、それから下村当時大臣と安倍総理大臣までもがそういう地域の人の声を聞きなさいねと言っているにもかかわらず、これだけのことしかできていないと。特に今回は首長が自分で教育長を選ぶということで、極めて恣意的というか、ちょっと閉鎖的になりがちな総合教育会議だからこそ地域の人を入れる方が望ましいと安倍さんもわざわざここへ来て言ったわけですから、そのことをちゃんと周知してやっていかなきゃならないというふうに私は考えているわけであります。まさにそのことをしっかりと文部科学省としては発信をし、やっていただかなければならないんだなということ。
 それから、聞いたメンバーは大学の教授とか地域の経営者とかそういうメンバーだというのはここに書いてありましたが、やはり、これだけ学校とその地域の教育者という、民間の教育者とが連携しながらやっているわけですから、当然民間教育に携わる人もしっかりそういうところで声を聞いていただくようにしていくということは非常に大事なことだというふうに思います。
 じゃ、大臣、どうぞ。
#78
○国務大臣(馳浩君) 私もこの法改正のときにはまだ自由民主党の一員として法改正に関わった立場として、当時のことも踏まえて今大臣として今から申し上げたいと思いますが、まずやっぱり学校自体を閉鎖的な社会にしない。当時はよく教育村という言われ方をしましたが、そういったときには、教育に関係のない者は余り口を出すなという、そういうふうな言い方をされたものでありました。私も教員をしていた経験から申し上げれば、なかなか、業務が忙しいのにいろんなところからあれこれ言われるとちょっと面倒だなというふうな思いになったのも、これも事実であります。
 しかし、この総合教育会議はまさしく、企業経営者であったり、お医者さんや法律家や、あるいは地域にずっとお住まいの方々、そういった方々の目が入る、意見が反映される。そして、自分たちの子供は自分たちの責任を持って支えていこうと。そのために首長が入り、その下で教育長が議会の承認を得て選ばれるという体制になったものでありますから、私もこの数字を見て正直ちょっとびっくりいたしまして、改めて、より多くの方々の意見を参考とすることができるように、それを法律にも書いてあるわけでありますから、それを実践するように促してまいりたいと思います。
#79
○大島九州男君 ありがとうございます。
 さっき那谷屋先生の話にもありましたけど、学校の先生たちの負担軽減を図るような施策もこの総合教育会議で議論すればいいと私は言っているわけですよ。だから、例えばクラブの顧問が負担になっていると思う人がいらっしゃれば、外部のそういう講師を呼んでクラブの顧問をやってもらうとか、そしてまた、土日のやっぱり休みはしっかり取らないと先生たちもストレスたまるわけですから、いや、もう市町村によっては土曜日授業やるぞなんという元気な人は、じゃ、土曜日は学校の先生たちは休んでもらってほかに任せるというようなことを決めればそうやってできるわけですから、是非そういうこともしっかりと周知をして、教員の先生たちの負担軽減が図られるような、そういう会議もやってほしいということを要望しておきます。
 次に、高大接続、大学入試改革というんで、我々民間教育者の間でも、この高大接続とか大学入試改革が何を目指しているんだと、大変分かりにくいという声があるので、ちょっとそこら辺の説明をお願いいたします。
#80
○政府参考人(常盤豊君) 高大接続改革でございますが、現在、これは先生方御案内のとおり、我が国は、グローバル化の進展であるとか、あるいは生産年齢人口の急減という大変変化の激しい時代を迎えているわけでございます。これを乗り越えるという観点から、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜を通じて改革が必要だということでございます。
 その際に、いわゆる学力の三要素と言われておりますが、十分な知識、技能、あるいはそれらを基盤にして答えが一つに定まらない問題に自ら解を見出していく思考力、判断力、表現力、そしてこれらの基になる主体性を持って多様な人々と共同して学ぶ態度、こうした学力の三要素をしっかりと身に付け評価をすることによって新たな価値を創造していける人材を育成するということが重要であるというふうに考えてございます。
 このために、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の三者の一体的な改革を推進することが必要ということを考えてございまして、この高大接続改革について、文部科学省におきましては、高大接続改革実行プランを策定いたしますとともに、具体的な推進方策について有識者会議において現在検討を進めているところでございます。
 この改革は、社会的影響も大きいことでございますので、関係者含めまして広く国民の皆様方に理念や意義を含めて広報しながら、新たな時代を切り開く人材を育成するための改革を推進してまいりたいというふうに考えております。
#81
○大島九州男君 その理念によって大学入試選抜がどのように変わるか、具体的に、文系もあれば理系もあればとか、いろいろあるわけですから、その具体的に説明できるものがあればお願いします。
#82
○政府参考人(常盤豊君) 具体的にどのような入学者選抜を行うかということは各大学においていろいろ御工夫をされるところでございますが、今申しましたように、学力の三つの要素をより具体的に、どう実際評価をしていくのかということが課題でございます。
 例えば理系でございますと、私どもの把握している事例でございますが、例えば科学者の育成を目指すということを目指す学部におきましては、国際科学オリンピックでの入賞というようなことを出願の要件の一つとする、また、機械システムの設計などの分野で技術者の育成を目指す学部、こういう学部でロボットコンテストでの入賞を出願要件に、一つでございますけれども、するということ。文系でございますと、言語や外国語に関する深い理解を持つ人材の育成を目指すという学部におきましては、そういう分野での、例えば学会などでの、あるいは研究会などでの発表経験、もっと具体的に、通訳等の育成を目指すという学部では、外国語検定の資格を出願要件の一つとすると。
 こういう入学者選抜で評価をする例もありまして、今後こうした取組が進んでいくことが期待をされているところでございます。
#83
○大島九州男君 具体的に、そういった入試に自分が今までロボコンを頑張ってきたことが役に立つとか、そういうことがあると、すごいそれに取り組んで特化している人材を育てていくということで、非常にいいことだと思いますね。
 だから、そこでもう一つ捉えてもらいたいのは、アカデミックなことで、設計図を描く人がいましたと。設計図は描いたけど、じゃ、それを形にしてちゃんときっちり動くようにするとか、緻密な配線とかそういう加工をするとかいう、やっぱりそういった専門職というのも必要になってくるんですね。だから、そういうことも踏まえてやっていかなきゃならないんだと。そうすると、手先の器用な人は、ああ、これで自分は大学に行けるという希望があるわけですよね。だから、そういうことも発信をしっかりしてもらいたいし。
 語学においても、私がびっくりしたのは、東大が、今もう中国からいろんな人が来る、中国政府認定のHSKという中国語検定があるんですけど、それを取っている人というか、そうすると何かある程度特典があるみたいなことも聞かせてもらいましたので、だから、東大がそういうことをやっているというと、それは右に倣えでいろんなところもどんどんやっていくんでしょうから、そういうことは是非発信をしていただきたいというふうに思うわけであります。
 今言いました、当然、大学入試改革は小中高の教育も大きく変えていくんですよ。これも私、昔言いましたけど、英語をとにかくしゃべれるようにしたいとか、ただ読み書きではなくて会話とかコミュニケーション力を高めたい、どういう教育をしたらいいいでしょうかねと言ったら、東進衛星予備校のナガセの社長が、いやいやいや、大学入試変えれば幼稚園の頃からTOEIC学ぶような子供が出てくるんだというふうにおっしゃったのがすごく私は印象的だったんですが、そういう方向に今行っているんだなと、私はそういうふうに思っているわけです。
 そして、今回、新年度予算の中に、職業教育の充実についてということで、専門学校や専修学校等についての施策、それに加えて実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度が議論をされておりますけれども、この施策を通じて文部科学省は何を目指しているのかというのをちょっと教えていただければと思います。
#84
○政府参考人(有松育子君) グローバル化や少子高齢化が進展する中で我が国の成長を持続するためには、職業に必要な知識や技能等を育てる職業教育の果たす役割が非常に大きいと認識しております。一方で、社会全体を通じまして、こうした職業教育に対する認識の点で、ともすれば普通教育より職業教育が、あるいは学問の教育より職業技能の教育が一段低く見られるといったような風潮も指摘をされているところでございます。
 このような中で、中等教育から高等教育までにわたって学校教育における職業教育の機能を明確に位置付けて、各教育機関における職業人材養成の充実を図っていくということが重要だと考えております。
 このため、平成二十八年度の予算案におきましては、まず、専門高校におきまして、大学や地元の企業等と連携いたしました社会人講師による実践的な指導や産業現場における実習等によりまして高度な知識、技能を身に付けて、社会の第一線で活躍できる専門的職業人を育成するスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール事業を実施をします。
 次に、専修学校におきましては、学習と実践を組み合わせて行う効果的な教育手法を開発をいたしまして、学校と産業界の双方のガイドラインとして作成をいたしまして共有することによって、実効的で組織的な産学協同による教育体制の構築を目指します専修学校版のデュアル教育推進事業、こうしたところに取り組んでいるところでございます。
 また、今先生からもお話のございました実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化につきましては、現在、中央教育審議会で具体的な検討を進めていただいているところでございます。
 文部科学省といたしましては、こうした取組を通じまして職業教育を体系的に整備をし、人々が学校教育を通じて職業に必要な知識、技能を確実に身に付けて、社会や職業生活の中で力を存分に発揮できるということを目指しているところでございまして、今後とも職業教育の一層の充実に努めてまいりたいと存じます。
#85
○大島九州男君 大変私はすばらしい取組だと思いますし、そのことをずっと私なんかも国会で議論をさせていただいたつもりであります。
 この新たな高等教育機関という、これ、実は現場の声を聞きましたらこう言われましたよ。先生、今大学がもらっている補助金に、そこに何か専門学校から新たな高等機関が入ってきて、その補助金削られちゃって、何かパイを食い荒らされるように補助金減らされると困るんだよなとかと。これ本音だと思いますよね。それから、学校設置基準があるじゃないですかと、私たちはそういう学校設置基準、厳しい中でやっているのに、何か駅前のところがそういうふうになるなんて、それはおかしいでしょうとか、やはりカリキュラムについてもちゃんとそういうのをやっていかなくちゃいけないでしょうと。ああ、もっともですねと。
 私、そこでふと思った。それは何かというと、今、専門学校でも出口がきっちりしている専門学校は入学者が多いんですよ。どういうことかというと、私がよく知っている日本航空専門学校というのがあるんですね、千歳に。航空に従事する人たちを育てる学校なんですけど、就職率一〇〇%なんです。だから、そういう出口が広がっているところにはたくさんの人が集まる。
 鍼灸、あんま、マッサージという専門学校、結構、何か、なり手がちょっと少なくなったような感じで、ちょっと少なくて閉校するところも若干あったりする。それと伴って、柔道整復師といって、国家資格を取って施術をする、そういう療養費を支給できる、そういった人たちのところも飽和状態になって、今後はちょっとどういうふうになっていくか。
 リラクゼーションってありますよね。言うなれば無資格でありますけれど、私も初めて今回知ったんですけど、リラクゼーション業界というのがあるんだそうですね。そこは無資格だから、結局、資格も要らないので企業努力でやっているという感じなんですが、私は、せっかくそういう出口がいっぱいあるところに、そういった体を扱うところですから、もうちょっとしっかりと勉強してもらってとか、何か新しい制度ができて、そういう人たちが、言うなればサービス業でしょうから、そういうサービスの向上を図るために学校と連携していくというのも一つあっていいんじゃないかなと思っているんですが、これはまずちょっと経済産業省にコメントを求めて、それから後、進めたいと思います。
#86
○政府参考人(吉本豊君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のリラクゼーション業でございます。これは、手技、手の技を通して心身の緊張を弛緩させるための施術等を行う業というふうに定義されておりまして、具体的には手や肘を使って行われるボディーケア、ヘッドセラピー等々をやるということでございます。これは、今御指摘のございましたあんまマッサージ指圧師あるいははり師、きゅう師あるいは柔道整復師など、国家資格に基づきまして医療保険の対象となるようなサービスとはこれまた別なものというふうなことになっております。
 今まさに出口というお話ございました、このリラクゼーション業の市場規模でございますけれども、民間の経済研究機関あるいは業界団体の調査によりますと、年間売上げベースで大体一千億円程度ということでございまして、年率で大体一%から三%ぐらいの成長をしていると。そういう意味では、出口があるという御指摘のとおりかと思います。
 こういったリラクゼーション業、一つの代表といたしましてサービス産業、既に我が国のGDPあるいは雇用の約七割を占めるというふうになっておりまして、今後の日本経済の成長の鍵となると、重要な産業の一つであるというふうに認識をしております。
 今後、人口減少下の地域経済再生という観点からも、生産性向上ということを図りまして雇用と所得の拡大を図るということが大変重要だと思っておりまして、そのためにも、委員御指摘のとおり、専修学校等とも連携しながら効率的に人材育成に取り組んでいくことで生産性の向上を図っていくということが大変重要だと思っております。
 例えば、たった今お話にございましたリラクゼーション業におきましては、現在、業界団体の方で独自の資格制度、これは国の資格制度ではございませんけれども、そういった資格制度の創設をしたり、あるいはそれを踏まえた研修プログラムの実施と、こういったようなこともやらせていただいております。専修学校の中には、こういった民間の資格ではございますけれども、こういった資格制度の取得を目標とするような学科も出始めているということでございまして、そういう意味では入口の方もでき始めておるというふうに認識をしております。
 いずれにしましても、経済産業省としまして、文部科学省ともしっかり連携をしながら民間における取組を引き続き推進しまして、産業の健全な発展、これに努めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
#87
○大島九州男君 いや、私も、リラクゼーション業協会が独自に調べた、その場所が九千六百七十三か所あるんだと、そこに三万二千八百七十九名が働いているというけど、現実はもっと多いんだと思うんですよ。
 これ、ぴんときませんけど、ファミリーマートあるでしょう。コンビニ第三位のファミリーマートが九千七百六十四店。だから、ファミリーマートと同じぐらいそういうリラクゼーションがあるんだと。でも、多分そういうところに加盟していない、もっと数はあるはずなんです。要は、無資格と言われる、我々でいうと、塾の先生も資格、別にあるわけじゃないけど、業界団体でいろんなことをやっていますよね。だから、そう考えたら、それだけ、特にこれは体に関わることなので、専門学校といろいろ連携してちゃんとした入口をつくることが業界の信用にもなりますし、そして利用する人たちの消費者サービスの向上にもつながると思うので、そこは是非進めてもらいたいと思いますね。
 ここで文科省にもう一回戻ると、短大も出口が結構ちょっと厳しいところがあるわけですよ。私が言いたいのは、その出口が厳しい短大は入口も厳しいんですよ。要は、少子化で人が少ない中に人気がなかったら厳しいと。今、専門学校はそういう形で伸びていくところがあると。それをうまくマッチングして、そうするとどうなるかというと、短大とその専門学校が一つの形で進みましたといったら、大学、短大に出していた補助金が新たに出るわけじゃないので、さっき言っていた懸念が、補助金を同じパイで減らされる、新しいところから参入されるとそこにお金が取られちゃうという部分の懸念もなくなるし、施設整備としては、短大が持っている設備と専門学校が持っているノウハウをうまくマッチングすれば、駅前の専門学校も使え、短大のいろんな設備も使っていける、そしてまた、カリキュラムにおいても、そういったカリキュラムがしっかりできている部分をマッチングさせれば、専門学校もその大学基準に合ったカリキュラムを作ることができる、非常にこれはウイン・ウインじゃないのと。だから、そういう発信を是非していただきたいんですね。
 最後にまとめて大臣に聞きますから。
 まず、そういう学校に行こうとしても金がなかったら行けないわけですよ。だから、まずは奨学金の問題。民主党政権時代に始まった所得連動返還型無利子奨学金制度の進捗状況、まずちょっとそこのところを簡潔にお願いします。
#88
○政府参考人(常盤豊君) 平成二十四年度から、家計の厳しい世帯、これは家計支持者の年収三百万円以下相当でございますが、その世帯の学生等に対しまして、無利子奨学金の貸与を受けた本人が卒業後に一定の年収、これ年収三百万円でございますが、この一定の収入を得るまでの間は申請に基づき返還を無期限に猶予する所得連動返還型無利子奨学金制度を導入しております。
 この制度は平成二十四年度進学者から適用されたものでございまして、四年制大学に進学した者でございますと、二十四年度進学者からでございますので本年の十月から返還が開始をするということになりますので、その時点で返還期限猶予制度の申請がどの程度あるか等の状況を把握したいと考えてございます。
 一方、奨学金の返還月額が卒業後の所得に連動するより柔軟な制度につきまして、昨年九月に有識者会議を設置し、制度設計を進めるとともに、システムの設計、開発に着手をしているという現状でございます。
#89
○大島九州男君 じゃ、二点続けて聞きますね。
 日本学生支援機構の奨学金において、奨学生に直接振り込まれる制度となっておりますけれども、高校生の奨学金については保護者に振り込まれる場合が多く、そのため教育費以外の支出に流用されて、結果、授業料の未払によって退学の事態が起こることがあります。
 これを防止するためには、就学支援金のように学校に一旦支給して残額を本人に支給する方法、こういうことをしっかりやってもらいたいという思いがあるので、その見解と、企業が実施している奨学金については、企業と学校が協定を締結すれば、今言うように直接学校とかそういったところに支給するということも可能だと思うんですが、その二点についてお願いします。
#90
○政府参考人(小松親次郎君) 二つ併せてお答えをさせていただきます。
 高校生に対する奨学金、これは実施主体は地方公共団体や民間企業など様々なものでございます。地域の実情や、高校生の本人に直接お渡しをするか、あるいは保護者の方にお渡しするかなど、様々な点につきましてニーズに応じて実施主体が判断をするという仕組みでございます。したがって、奨学金が教育に必要な経費に確実に活用されるように支給方法についても工夫されることが望ましいわけですけれども、具体的に個別にどうするかにつきましては各実施主体において適切に対応がなされるべきものということになります。
 御参考に、国が支援をする返済不要の高校生等奨学給付金の制度がございますけれども、これは、実施主体は地方公共団体で国庫補助がございますが、給付金が教育に必要な経費に確実に活用されるようにということで、都道府県の判断によりまして学校徴収金等との相殺が可能な事業というふうになっております。
 お尋ねのございました民間企業の奨学金につきましても、その奨学金の創設の理念や趣旨に基づいて実施者において主体的に交付の要件等を定めて実施されるということになりますけれども、生徒や保護者の方々、学校といった関係者の合意が得られれば御指摘のような支給方法も可能であるというふうに考えます。
#91
○大島九州男君 ありがとうございました。
 国が支援する返済不要の高校生等奨学給付金についても都道府県の判断で相殺することができるという御答弁ですから、これもっと国の方から発信して都道府県にそういうふうに促していただきたいというふうに思います。
 最後、時間あれですから、大臣、教育関係者が何か新しいことを始めると、ああ、そこからへずられて、それでこっちに持っていかれちゃうんじゃないかと思われるというのは、総額の予算を増やさないで、いつもその中の継ぎはぎをやっている文科行政だからそういうふうに思われるんですよ。だから、新たな制度をやるときにはどんとほかの予算を引っ張ってきて、だから、給付型の奨学金についても違うところから引っ張ってきてやるという気構えを持って実行すれば、世間の人はそんなふうに思わないです。
 大臣、そこら辺をしっかりと決意を持って述べていただきたいと思います。よろしくどうぞ。
#92
○国務大臣(馳浩君) 私もそういうふうに思っていたときがありました。同時に、今は政府の一員でありますので、財源については政府内でも説得力を持って確保する、この姿勢はやっぱり持ち続けたいと思います。
 いずれにせよ、気合で頑張ります。ありがとうございました。
#93
○大島九州男君 あと一分ありますから。
 大臣の今の一言が、そう思っているときがありましたというのでちょっと笑いが起きましたけれどもね。
 いや、当然なんですよ、それは財布は決まっているんですから。だから、その財布、ただ、どこにどれだけ予算を付けていくかということがやはりその政権の気構え、心構えを示していることですから。やはり教育がこの日本を、未来をつくっていくんですよ。財務省がこのトップじゃないんですよ。文部科学省がこの国をリードする省庁なんですから、その大臣ですからね。
 大臣、しっかりそのことを頑張っていただくことを期待して、終わります。
#94
○委員長(石井浩郎君) 午後一時十五分に再開することとし、休憩といたします。
   午後零時十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時十五分開会
#95
○委員長(石井浩郎君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査のうち、文教科学行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#96
○新妻秀規君 早速質疑に入りたいと思います。
 配付資料の一番、資料一を御覧ください。
 この資料は、二月二十九日に示されました労働者福祉中央協議会の調査でございます。この図の左上の方に赤い枠で囲ったとおり、三十四歳以下で働く男女、奨学金を返している方に行った調査なんですけれども、奨学金の返還が結婚に影響していると回答しているのは三一・六%、出産に影響があると答えていらっしゃるのは二一%だと。この協議会は、収入が低ければ返還が生活の重荷となって少子化にもつながりかねないと制度の改善を訴えています。
 では、まず、返還期限猶予制度などの救済措置の周知徹底についてお伺いをします。
 文部科学省の報告書、平成二十六年の八月に出されました学生への経済的支援の在り方について、この報告書は、「返還期限猶予制度等の救済措置について、十分に周知が行き渡っているとは言い難い状況にある」と指摘をしています。例えば年収が三百万円以下であれば申請によって通算十年の返済の猶予が可能なのに、この制度を知らずに延滞課徴金を払っている人も多いと聞いています。
 ここで、返還期限猶予制度などの救済措置の周知徹底についてどのように文科省として取り組んでいくのか、答弁をお願いします。
#97
○政府参考人(常盤豊君) お答え申し上げます。
 様々な事情によりまして卒業後厳しい経済状況に置かれ、奨学金の返還が困難な者に対しましては、従来から、毎月の返還額を減額し長期間掛けて返還する減額返還制度や、あるいは経済的困窮による返還期限猶予制度により対応をしてきたところでございます。
 御質問のございました返還期限猶予制度等の内容、手続の周知ということでございますが、具体的には、奨学金を借りた方が貸与終了時に、奨学金の貸与を受けた者全員に配付する「返還のてびき」というものをお配りをしているところでございます。また、実際に返還が開始される直前の段階におきまして貸与終了者全員に郵送する文書でも、返還期限猶予制度の内容、手続等に示してございます。また、毎年、実際にもう返還を進めている返還中の者全員、そういう方々全員に郵送する奨学金返還の振替案内、ここにもその内容、手続等に記載をしているというような状況でございます。
 ただ、一方で、今御質問ございましたように、その内容等について十分御理解をいただけていない方もいらっしゃるということでございますので、そういう点を踏まえまして、文科省といたしましては、今後更に周知が図られるようにいろいろ工夫をして、必要な取組をしてまいりたいというふうに思ってございます。
#98
○新妻秀規君 是非とも効果が出る方法の知恵出しをお願いをしたいと思います。
 次に、所得連動返還型奨学金制度の既卒者、今返している方への適用についてお伺いをしたいと思います。
 本年二月五日の衆議院の予算委員会におきまして、我が党の浮島委員は、所得連動返還型奨学金制度について、今返している人に対しての支援が重要だと問題提起をいたしました。この制度の対象は奨学金貸与開始年度が平成二十四年度に限定されると聞いていますけれども、浮島委員は、奨学金をいつ借り始めたかにかかわらず、新しい制度の対象とすべきだと主張をしました。
 この質問に対し、馳大臣からの答弁として、この制度を平成二十九年度進学者からの適用を目指すに当たり、既に返還を開始した方にこの制度を適用することについては、財源、最低返還月額、所得に対する返還月額の割合、返還期間の設定などの検討が必要だとの認識が示されました。安倍総理からは、財源確保についての問題意識が示された上で、家庭の経済事情に左右されないよう、そういう社会をつくっていくために努力をしたい、こういう答弁がありました。
 ここで、既に奨学金の返還を開始している人に対してこの制度を適用するに当たっては、検討の必要性、これは大臣の答弁に既に示されてはいるんですけれども、検討するとまでの答弁とはなっていません。是非とも検討を始めていただきたいんですけれども、大臣の御所見をお願いします。
#99
○国務大臣(馳浩君) 新たな制度は平成二十九年度進学者から適用することを目指し、具体的な論点について現在検討を行っております。適用対象の範囲についても、有識者会議の検討結果を踏まえ、今後検討してまいります。
 そこで、既卒者への適用を検討するに当たっての論点例を申し上げます。適用する範囲、対象者、返還金が減少することに伴う財源の確保、返還方法の変更に伴う契約変更手続等の事務コストの増加、現在返還中の返還者からのマイナンバーの取得方法などであります。
 文科省としては、奨学金の返還に係る不安及び負担を軽減し、安心して進学できる制度となるように検討を行ってまいります。
#100
○新妻秀規君 今大臣が答弁されたこのマイナンバー云々のところ、これは今返している人に対して適用する、これが検討項目に入っているということでしょうか。
#101
○政府参考人(常盤豊君) 現在は二十九年度進学者からの適用ということを基本といたしまして検討をしているわけでございますが、その際に、この所得連動返還型のより柔軟な形ということを検討するに当たっての枠組みとして、マイナンバーの利用ということをその段階で既に検討項目として入れているということでございますので、今の大臣からの御説明は、それを更にそれ以前の方々に拡大することを検討することについてのところでも、やはりその点についての具体的な取扱いについてどういうふうにするのかという点での課題が加えてあるということについての御説明をさせていただいたということでございます。
#102
○新妻秀規君 ちょっと分からないです。
 つまり、今返している方についてこの制度を適用するかどうかというのは、検討項目にのっているかのっていないかというと、どちらなんでしょうか。
#103
○政府参考人(常盤豊君) 今申しましたように、現在、有識者会議で検討しておりますのは、平成二十九年度からの進学者についての検討を行っているところでございます。
 そして、今現在、貸与、既に借りている方についてどう扱うかという御質問でございますけれども、その点については、現在、有識者会議でいろいろ議論している中で一応の一定のまとめがあるのですけれども、今後更に検討すべき事項ということでその点についても位置付けて、今後検討する事項ということで今後検討してまいりますということでの答えを申し上げたところでございます。
#104
○新妻秀規君 じゃ、つまり検討項目には入っているということですね。
#105
○政府参考人(常盤豊君) そうです。
#106
○新妻秀規君 分かりました。
 次に、イスラム教留学生に対する大学の環境整備について伺いたいと思います。
 例えばマレーシアとかインドネシアとか、イスラム教を主な宗教とする国からの留学生は平成二十五年五月の段階で約七千人滞在されているというデータがあります。これらの留学生全てが全員イスラム教徒とは限りませんけれども、一方で、ほかの国籍の学生にもイスラム教の留学生がいると推測ができると思います。実際、今年の初めに東京大学の中国人留学生の春節の集いに行ってきたんですけれども、そのときお会いした方は中国内陸部の新疆ウイグル自治区というところの方なんです。で、イスラム教徒だったんです。その学生さんからは、学内の食堂でハラル食が提供されているものの、提供時間がお昼だけなので、夜は自分でお弁当を作らなくちゃいけないと、だから大変なんだという声もありました。
 文科省として、大学のグローバル化を目指されていることは承知をしております。日本への留学生どうやって増やしていくのか、これ大切な課題だと承知をしております。大学ランキングでも評価の対象です。イスラム教の留学生には、例えば一日五回礼拝しなくちゃいけない、そしてハラル食、こういう生活の特有のニーズがあります。各大学の現場において環境整備が必要だと思います。
 本件については、実は二年前、平成二十六年四月三日の参議院の外交防衛委員会で、我が党の石川博崇が問題提起をしております。そのときの答弁はこういうものでした。文科省として、大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業というものがあって、これらを通じ、ハラルフードの提供や礼拝の場の提供など環境整備を積極的に図ってきた、今後とも、国内大学の先進的な情報発信を含め、大学の国際化のための取組を支援する、こういうものでした。
 今、この事業の後にスーパーグローバル大学創成支援事業が始まって、大学の国際化が推進されていると理解をしております。ただ、この事業、対象の大学は数が限られています。この事業の対象ではないほかの大学におきましてもイスラム教の留学生は多く在籍しておりまして、対応が必要と考えます。どのように取り組まれていかれるのでしょうか。
 また、資料の二を御覧ください。これは名古屋大学が教職員のために配付している「ムスリムの学生生活」という小冊子です。これは、学生、教職員さんに、イスラム教徒の文化とか生活についての理解を促している、そういうものです。
 こういう好事例が各大学で出てきておりますが、こうしたものを文科省としても是非とも積極的に把握をして、必要に応じて大学間での共有を促すなどの取組はできないでしょうか、御答弁をお願いします。
#107
○政府参考人(常盤豊君) お答え申し上げます。
 外国人の留学生の方々、多様な文化的、宗教的な背景を持っておられるわけでございます。こうした外国人留学生の方々を日本の大学で受け入れるためには、委員御指摘のとおり、大学食堂におけるハラルフードの提供など、宗教上の食事制限や、あるいは生活習慣にも配慮した環境の整備が必要であるというふうに考えてございます。
 現在、ムスリムの多い地域からの留学生の半数以上がスーパーグローバル大学に採択された大学に在籍をしているところでございます。スーパーグローバル大学、三十七の大学が採択をされているわけでございますが、そのうちの三十大学では学内食堂等でハラルフードやベジタリアンフードを提供しております。このほかの、採択されている大学以外の大学の中でも、私どもの承知している範囲では、十の大学生協の食堂で同様の対応をしているというふうに伺っております。さらに、スーパーグローバル大学のうち二十七の大学では、イスラム教の礼拝のための場所の提供に配慮をしているということでございます。
 また、今委員から御紹介をいただきました名古屋大学の小冊子でございますけれども、これは名古屋大学の国際交流センターが作成をいたしまして、学内での教職員研修や留学生を支援する学生の勉強会等で使用しているほか、留学生関係の研究協議会等の場で紹介をされたり、あるいはホームページ上でも掲載されたりしているということでございますが、こうした好事例につきまして、国際担当の副学長あるいは留学生センターの長が出席する会議であるとか、あるいは国立大学協会や私立大学協会の大学団体が主催する各種会議などでも御紹介をしていきたいというふうに考えております。
 スーパーグローバル大学以外の大学に対してもこういう形で情報発信を行いまして、外国人留学生への配慮を更に促してまいりたいというふうに考えております。
#108
○新妻秀規君 実際に、イスラム圏からの方が伸び伸びと学べるように、そうした取組を推進をしていただきたいと思います。
 次に、性的少数者への教育上の配慮についてお伺いをしたいと思います。
 こうした性的少数者への教育上の配慮については、文科省としても、性同一性障害に係る対応については、平成二十五年に状況調査を行って、一昨年、平成二十六年の六月に報告書を出し、そして昨年は四月に通知を発出した、このように承知をしております。
 まず、教職員に対する研修、啓発についてお伺いをしたいと思います。
 同性愛者や性同一性障害者などの性的少数者に対して、偏見、差別、理解不足による誤解を持っている教職員も少なくなく、そして心ない発言や対応もあると聞いておりますけれども、これはやっぱり理解不足によるものだなと考えております。また、性的少数者はいじめとかからかいの対象になる場合もございます。教職員が異変に気付いて早期に対応することが重要だと思います。教職員やスクールカウンセラーが正しい理解を身に付けていれば、いじめとかからかいについてもより良い対応が可能になると考えます。
 文部科学省は、教員養成段階から性的少数者について学ぶ機会を増やすように教員養成課程の各大学に働きかけるべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。
#109
○政府参考人(小松親次郎君) お答え申し上げます。
 教職課程、まず全体でございますけれども、教員としての最低限必要な知識、技能をまず学ぶということ、それから各教科の専門的知識や指導法のほかに生徒指導、進路指導など、学ぶべき内容はかなり広範的多岐にわたるということ、それから大学における教員養成の原則、開放制の教員養成の原則というものは各大学の自主性、自立性を生かした教育が求められること、こういったことから発しております。
 このため、制度上、どの問題に限らず、一定の学習内容のまとまりを科目として全体で示した上で、各大学の判断により具体的な学習内容が構成されるという仕組みになっておりますので、特定の個別課題について一律に必ず学ぶという構成は取っていないということは御理解をいただきたいと思います。
 その上で、一方、御指摘のような課題への対応が学校現場において重要性を増しているという中で、教職課程において今申し上げました大学の自主的な判断に基づいていろいろな例が出てきております。例えば、生徒指導について学ぶ授業科目の中でマイノリティーの子供について扱った授業科目であるとか、あるいは教育課程そのものについて学ぶ授業科目の中で多様なセクシュアリティーと教育課程の編成の意義といったことを扱った科目などが開設されているというようなことを私ども承知しております。
 文部科学省といたしましては、教職員が正しい知識を持つことによりまして多様な価値観を持つ子供たちが苦しむことなく学校生活が送れますように、各大学に対して先行事例や指導上の留意点など必要な情報提供は行ってまいりたいというふうに考えております。
#110
○新妻秀規君 今の最後におっしゃった好事例の展開とか、そういうことを是非とも推進をしていただきたいと思います。
 次に、スクールカウンセラーの配置促進について伺いたいと思います。
 性同一性障害であるとの医師の診断がなくても、自分の性に違和感を感じる児童生徒も存在をします。こうした児童生徒が悩みを打ち明けられるように、性的少数者に関する正しい知識を身に付けたスクールカウンセラー等が学校に配置されるように促すべきだと考えますが、どうでしょうか。
#111
○政府参考人(小松親次郎君) スクールカウンセラーの学校への配置を進めるということにつきましては、まず全体として文部科学省としては積極的に進めているところであり、引き続き進めたいと存じます。
 これを前提といたしまして、教職員が悩みや不安を抱えるお子さんたちの良き理解者となるように努めるということ、もとより大変重要でございまして、その中で、スクールカウンセラーの位置付けとしても大変重要な役割を果たすものでございます。
 そこで、先ほど御指摘ありました通知、平成二十七年四月三十日に私どもこの関係の通知出しておりますけれども、その中においては、教職員の資質向上の取組として、人権教育担当者、生徒指導担当者、養護教諭を対象とした研修等の活用が考えられることに加え、学校の管理職について、研修等を通じ適切な理解を進める、それから学校医やスクールカウンセラーの研修等で性同一性障害等を取り上げることも重要であるというふうに示しております。
 こうした趣旨を、今後ともスクールカウンセラーを始め教職員の方々に対し必要な普及啓発として進めてまいりたいというふうに考えます。
#112
○新妻秀規君 是非推進をお願いをしたいと思います。
 次に、学習指導要領上の記述について取り上げたいと思います。
 お手元の資料三を御覧ください。これは、現行の学習指導要領における中学校の保健体育のものなんですけれども、ここには、線を引っ張ってあるところの二行目に「異性への関心などが高まったりする」というふうにあります。次のページ、資料の四を御覧ください。これは学習指導要領の小学校のものなんですけれども、この上の箱の中の下線部にあるように、「異性への関心が芽生える」とありまして、この本文の中にも「異性への関心」、また、下の図にも「異性への関心」というふうにあります。この小中の学習指導要領は共に、思春期では異性に関心を持つこと、好きになることが当然のような記述になっています。
 一方、同性を好きになる人、自らの性別に違和感を持つ人もいます。こうした多様な性的指向が存在することを学習指導要領上に明記をすべきだと考えます。この学習指導要領、今十年に一度の改訂のタイミングを迎えていると承知をしていますが、まずは教職員の理解促進のために、多様な性的指向の存在を認める記述に改めるべきだと思いますけれども、この検討を進めていただきたいのですが、どうでしょうか。
#113
○政府参考人(高橋道和君) お答え申し上げます。
 現行の学習指導要領の小学校体育科や中学校保健体育科においては、委員御指摘のような記述があるのと併せて、発育、発達の時期やその程度には個人差があることについても理解できるようにすることとしており、実際の教科書においても、これは一例でございますが、異性への関心の高まりは思春期の自然な心の一つであるが、その感じ方や強さは個人によって違いがあり、この違いを踏まえ、それぞれの性について正しく理解することが大切である、こういった旨、記述もされております。
 このような現在の指導内容に加えて、委員御指摘のように、小学校体育科や中学校保健体育科の学習指導要領に多様な性的指向に関する記述を盛り込むことについては、児童生徒の発達段階を踏まえたものとなるか、保護者や国民の理解を得られるかなどの観点から、今後慎重に検討していく必要があると考えております。
#114
○新妻秀規君 今、慎重に検討を進めるという御答弁がありました。是非とも、検討をもうじっくりやっていただきたいと思います。
 次に、児童生徒に対する教育についてお伺いをしたいと思います。
 自分の性に違和感を持った子供が思春期に入ると、自分は周りの子と違うんだといった自己否定が強くなって、不登校だとか問題行動、また自傷行為、最悪の場合は自殺、こうしたことにつながるおそれもございます。子供たちがこのような自己否定に陥らないために、多様な性的指向が存在することをできるだけ早く小学校段階からきちんと教えていく必要があると思いますが、どうでしょうか。
#115
○政府参考人(小松親次郎君) 悩みや不安を抱える児童生徒が自己否定に陥らないように、学校における適切な教育相談体制の整備や教育は重要であると考えます。
 このため文部科学省では、先ほど来の通知、平成二十七年四月三十日の通知の発出や、それから、生徒指導や人権教育の都道府県の担当者会議等における通知の趣旨の周知や研修会の実施といったようなことを通じまして、学校における適切な対応を促してきているところでございます。
 そのうち、御指摘の多様な性的指向が存在することを小学校段階から学校教育で教えていくということにつきましては、一つには、性に関する教育を適切に実施するためには、児童生徒の発達の段階を踏まえること、それから学校としての共通理解や保護者の理解を得ること、そして事前に集団指導として行う内容と、それから個別指導との内容を区別しておくといった計画性を持って実施すること、こういった点が必要であること、そして、人権教育においても中立性の確保等に十分留意する必要があることということが言われております。こうしたことを踏まえた適切な対応が必要だということを申し述べたいと存じます。
 なお、人権教育等の基盤ということと関係の深いお尋ねかと思いますけれども、この他者の痛みや感情を共感的に受容できる想像力等を育むという人権教育等の一環として、こうした問題が題材として用いられる場合も考えられるかと思いますけれども、こうした場合に、今申し上げました性に関する教育の基本的な考え方に十分な注意を払わなければならないということを踏まえた上での適切な指導ということをもって対応する必要があると考えます。
#116
○新妻秀規君 そうですね、既に取組がある程度進んでいるということで、これからこういうふうに考えているということは理解ができたんですけれども、できるだけ私としてはやはり早めの教育、こうした性的指向は多様なんだよということを教えていただけるよう検討をしたいなということを改めて取り上げたいと思います。
 次に、保護者についての情報提供についてお伺いをしたいと思います。
 今局長の御答弁にあったように、やはり保護者が正しい理解を持つということが非常に大事だと思います。それが、当事者である子供の性同一性に関する悩みとか不安、これの軽減につながるんじゃないかなというふうに思います。こうした性的マイノリティー、性的少数者のお子さんだけじゃなくて、お子さんの親への個別の連携とは別に、PTAなどの場を通して多様な性的指向について保護者に対してきちんとした情報提供をすべきだと思いますが、これについてはいかがでしょうか。
#117
○政府参考人(有松育子君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、性同一性障害などに係る児童生徒の悩みや不安を軽減したり、それからきめ細かな対応をしていくためには、学校の教職員だけではなくて保護者も性同一性障害やその他の性に関する理解を深めていくということが大変重要だと考えております。
 このため、文部科学省といたしましても、PTAの全国団体に対しまして、先ほどから紹介されております昨年四月の通知の趣旨を踏まえまして、保護者の理解が深まるように、関連する情報の提供を進めてまいりたいというふうに考えております。
#118
○新妻秀規君 最後に、学校現場における性的少数者への環境整備促進に向けた大臣の御決意をお伺いをしたいと思います。
 これまで具体的な例に即しまして学校現場における性的少数者への配慮について質疑をさせていただきました。馳大臣はこれまでLGBT議連の会長として、長く、性自認、性的指向に関わる議論をリードして、そしてこの課題に積極的に取り組んでこられました。そのことに心から感謝、敬意を表したいと思います。
 是非、馳大臣にはこれまでの取組を生かして、学校現場において性的少数者が不安や悩みを感じることなく伸び伸びと存分に学んでいけるように環境整備に取り組んでいただきたいと思うんですけれども、最後に御決意をお願いをいたします。
#119
○国務大臣(馳浩君) 日常の学校生活の中で児童生徒が不安や悩みを感じることなく学んでいけるようにするためには、教職員による性的指向や性自認に関する理解を進めることが重要であります。このため、文科省では、平成二十七年四月三十日付けの通知の発出や研修会の実施などを行ってまいりました。また、スクールカウンセラーの研修促進等を通じ、教育相談体制の整備も進めております。
 今後とも、より分かりやすい周知資料の作成などによって、教職員の理解促進や学校における教育相談体制の充実に努めてまいります。
#120
○新妻秀規君 力強い御決意、ありがとうございました。私も、先ほどの議連とかでもまた議論をしっかり深めて、またこの課題を取り上げていきたいと思います。大変にありがとうございました。
#121
○柴田巧君 維新の党の柴田巧です。
 まずは、改めてになりますが、馳大臣、御就任おめでとうございます。
 大臣とは大変大変長いお付き合いということになるわけでございまして、同じ小学校の先輩、後輩ということになります。こう見えても私の方が一つ上級生でございまして、鼻を垂らし合っていた頃からの知り合いということになるわけですが、その後、小学校三年生のときでしたか、金沢に転校をされましたので長らくお会いする機会が正直ありませんでしたが、平成七年に参議院に大臣が当選をされ、私もその後、地元で県会議員をすることになって、選挙区ではありませんが、生まれ故郷に後援会をつくろうということで馳浩小矢部市後援会というものができまして、その会長を仰せ付かっておりました。
 後援会長をしているときに、まさか私が大臣に質問する立場になるとはそのとき夢にも思いませんでしたが、したがって、やりやすいというか、やりにくいというか、大変複雑な心境で今ここに立っておりますが、それはそれとして、御活躍を御期待を申し上げ、と同時に、言うべきことは申し上げさせていただき、また、注文を付けるところは付けさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 まず最初に、大学に関わることについて幾つかお聞きをしていきたいと思いますが、大臣もさきの所信の中で、大学は国の知的基盤です、イノベーション創出のための研究力強化を進めますと述べておられます。まさにこの国の未来に向けてイノベーションを果たしていく上で大学が果たさなければならない役割は大きいですし、国民の期待が大きいのは間違いありません。
 そういう中で、大学の研究成果の実用化に向けた産学共同研究の推進を目的として、官民イノベーションプログラムというのが今文科省の下で進められております。このプログラムは国と民間が資金を出し合って融資をするいわゆる官民ファンドでございますが、この官民ファンドは、御案内のように、第二次安倍政権ができて、アベノミクスの実現を名目にもう十四ぐらいできたんでしょうか、その一つということになるわけであります。
 官の資金が民間の資金を呼び込んで産業育成を図るという狙いなんですが、この官民ファンドについてはこれまでもいろんな問題が指摘をされてきたところです。一つは、このことによって民間の金融機関との競合が起きるんではないか、民業を圧迫するんではないか、また、官僚の新たな天下り先になるんではないかと。そして、何よりも心配をされますのは、これはリターンが前提ですから、その投資の損失、公金の毀損が生じるんではないかということなんですね。
 まだ記憶に新しいところですが、旧郵政省と旧通産省がお金を出し合って、基盤技術研究促進センターというのが一九八五年にできました。長いのでキバセン、キバセンと略しておりますが、両省が二千七百九十億、民間の投資を入れて四千億ぐらいのものをつくって先端技術分野の融資をするという触れ込みでしたが、結果としては三十億ぐらいの特許収入しかなくて、二〇〇〇年には解散をさせられた。そして、結局誰も責任を取らずに終わってしまっているというのが正直なところでありまして、こういうことになりはしないかということを心配をするわけです。
 文部科学省の役人の皆さんは大変優秀な方であろうかとは思いますが、残念ながら行政の専門家であっても革新的なビジネスの成長産業の経営には適しているとはなかなか思えないわけで、いずれにしても、この第二のキバセンが出ないようなことをしっかり考えなければなりません。
 この官民イノベーションプログラムは平成二十四年度の補正で措置をされて、一千億、東大、京大、阪大、東北大に既に配分をされて出資をされているわけですが、遅れていました東大のベンチャーキャピタルもできて、一応これから事業が本格化するというところですので、このプログラムについてはしばしばこの委員会でも取り上げてきましたが、改めて、この監視・検証体制どうなっているのか、また、それに付随する問題について順次お聞きをしていきたいと思います。
 大臣、まだ、まだでございます。
 まず、先ほど申し上げましたように、この民業圧迫をどう防ぐかというのが一つの論点だと思っています。この官民ファンド全体にわたるガイドラインというのがあって、そこにも、官民ファンドの運営の中に、官民ファンドが民業圧迫になっておらず、効率的に運用されていることが重要であると言われています。
 かねがね政府の答弁は、国会の中での答弁は、民業を圧迫するものではない、民業を補完するものだとおっしゃってきたわけですが、だとすると、その遵守状況をフォローアップするKPIを、重要業績評価を具体的に設定しなきゃなりません。そして、そのKPIが適正にモニタリング、評価、検証される体制というのは当然求められると思いますが、このプログラムの場合はどのようになっているのか、まずお聞きをしたいと思います。
#122
○政府参考人(常盤豊君) まず、事実関係を御紹介をさせていただきたいというふうに思っております。
 文部科学省におきましては、この官民イノベーションプログラムにつきまして、今委員からも御指摘ございましたけれども、国立大学法人評価委員会の中に専門の有識者の方でこの官民イノベーションプログラムについての御審議をいただくための専門の部会を設けて、いろいろと御助言をいただきながらこのプログラムを進めているという状況にございます。その際に、民業補完の観点から、民間のリスクマネーが投入されているかということも、KPIの中に含めて設定をさせていただいているという状況でございます。
 また、これまでの実績といたしましても、各大学が組成をいたしました投資事業有限責任組合に対しまして金融機関を中心として民間資金が投入をされておりますとともに、出資先である各ベンチャー企業に対しましても大学との共同研究先の企業から民間資金が投入されているという状況がございます。
 KPIがこのような形で設定されておりますので、その進捗について文部科学省としてもしっかりとフォローしていきたいと思いますし、また、政府全体の中でも、関係閣僚会議の幹事会におきまして毎年度、上期と下期の実績に関する評価、検証ということでモニタリングを行っていくという体制がございますので、そういうところとも連携をしながら進めていきたいというふうに考えてございます。
#123
○柴田巧君 今そういうスキームになっているというお話がございましたが、その上で重要なことをお聞きを幾つかしたいと思いますが、先ほど申し上げたように、公金が毀損しないようにしていかなきゃなりません。そもそも民間ではリスクが取りにくい案件への投資が期待をされるということになるわけですが、それがゆえに、成長が見込めない案件への出資が目的となるのではないか、あるいはまた、この資金を予算として使い切ろうと、回収が難しい案件にも投資する可能性があるのではないかということが危惧をされるところです。このため、やっぱり税金を無駄にしないというシビアな経営感覚が求められると思いますし、有望な投資先を見極める目というものが、養うということが大事だろうと思います。
 あわせて、事業化までの技術支援体制をやっぱり整備をして、問題は、最終的に事業化までいかないことには意味を成さないわけで、この体制が整備されることが大事だと思いますが、これらに対してどのように取り組んでいくのか、併せてこれは大臣にお聞きをしたいと思います。
#124
○国務大臣(馳浩君) 平成二十六年四月一日に産業競争力強化法が施行されたことを受けて、東北大学、東京大学、京都大学、大阪大学においてベンチャー等支援会社が既に設立されているところであります。
 各会社においては適切に大学発ベンチャーに対する経営上の支援や資金供給等の業務を実施できるよう、企業等において新事業の立ち上げに携わった経験を有する人材や金融系の人材など専門性が高い人材をバランスよく確保することにより、投資先を見極める体制を整えているところであります。また、各大学においてもその高度な研究能力を生かし、それぞれ設立したベンチャー等支援会社に対して投資案件の発掘並びに人的及び技術的援助を通じた支援を実施しているところであります。
 こうした点も含め、各大学から申請された事業計画について文科省及び経産省において審査を行った上で、事業計画の認定がなされております。
#125
○柴田巧君 それから、もう一つ大事なことは出口戦略だと思っておるんですね。多くの官民ファンドはその根拠法によって設置期限が定められています。このプログラムの場合だと十五年、延長して二十年までということになっているわけですが、一つは、言うまでもなく、この設置期限が来れば当然終わっていかなければならないと思いますし、民間事業者にどう引き継いでいくかということを考えなきゃなりません。
 一方で、民間ではリスクが取れない分野に投資をするとしているわけですが、その状況がいい意味で変わっていって、出資対象分野が民間でも十分にリスクテークできるということが、要するに思ったよりも早まるということもあると思いますね、環境変化があると思います。そのときはもう役割を終えたと判断をして、廃止すべきものは廃止をしていくべきだと思います。だらだらとやる必要はないと思いますし、役割が終えたらしっかり出口を見付けるということが大事だと思いますが。
 そこで、今申し上げたように、出口戦略、どのように考えているのか、これ大臣でしょうか、お聞きをしたいと思います。
#126
○国務大臣(馳浩君) 官民イノベーションプログラムは、民業補完を原則としつつ、大学の研究成果を活用したベンチャー企業にリスクマネーの供給を行うものであります。民間で取ることの難しいリスクを取ることで民間投資の呼び水となることを目的としているものであり、こうした役割を終えたと判断されれば廃止されるべきものであります。こうした観点から、官民イノベーションプログラムの事業計画の実施期間を最長二十年と規定しているところであります。
 今後とも、本プログラムを通じて大学発ベンチャーの創設を支援することにより、各大学による研究成果の事業化及び教育研究活動の活性化を進め、我が国におけるイノベーションの創出及び産業競争力の強化を促してまいりたいと存じます。
#127
○柴田巧君 ありがとうございました。
 先ほど冒頭に申し上げましたように、官の投資は手痛い大失敗を犯してまだ日が浅いわけです。記憶に新しいところですね。したがって、そうならないように、二度とああいうことが起きないように、きちっとした監視運営体制がやっぱりつくられるべきだと思います。
 これから事業が本格化をしますので、また折に触れて進捗状況を見ながら質問させていただきたいと思いますし、このプログラムによって新たな大学の技術を用いた事業化が進んでイノベーションが起きることは期待はしたいと思いますが、いずれにしても、まだまだ注意すべき点は多々あると思っていますので、また引き続いて関心を持っていきたいと思います。
 ところで、この前、会計検査院が独法や国立大学法人などの、平成二十一年から二十五年、この五年間にわたる特許収支状況を調べたところ、独法の場合はこの平均収支は毎年度十億から十五億の赤字だと、国立大学は六億から十三億の赤字で、研究開発等で得た特許権の収入を出願料や維持経費が上回る法人が八割を超えていたということでございます。
 平成二十五年度末で独法、国立大法人合わせて保有する特許というのは四万八千余りあるんだそうですが、このうち十年以上利用されていない特許が約一万二千八百件あり、全体の二六%を占めるということで、会計検査院としては、このいわゆる死蔵状態にある特許を放棄することも含めて管理を見直す必要があるんじゃないかと指摘をしたところですが、これはどのように受け止めてどのようにこれから取り組んでいくのか、見解をお聞きをしたいと思います。
#128
○国務大臣(馳浩君) 特許を保有する国立大学法人等の特許に係る収支状況については、国立大学法人等八十三法人のうち十法人、文科省所管の独立行政法人十三法人のうち二法人が黒字となっているものの、全体としては赤字の法人が大部分を占めていると認識しております。
 特許収支が赤字となっている理由として、大学等は基礎研究に関する特許が多く、一般的に実施許諾収入を得るまでには長期間を要すること、研究の継続的な実施や将来の共同研究を容易にするために戦略として特許を保有していることが考えられます。一方、直ちに収入が見込めないことを理由に特許を放棄することは、産学官で将来にわたり活用されるべき貴重な研究成果の流出につながるおそれもあることから、その判断は慎重かつ戦略的にすべきと考えております。
 文科省としては、保有している特許の見直しを含め、各大学等における戦略的な特許の取得、維持、活用等に向けた取組を促してまいりたいと存じます。
#129
○柴田巧君 やはり、せっかく日本の大学は、ある意味宝の山というか、たくさんすばらしい特許があるにもかかわらず、今大臣もおっしゃいましたような理由等々で残念ながら死蔵化するようなものも出ているというのは非常にもったいない話です。
 日本の大学は、ノーベル賞受賞者を相次いで今輩出していますが、基礎研究分野では成果を上げてきましたが、今おっしゃったようにビジネスにしていく機能というのは非常に弱いと言わざるを得ません。そういう意味でも、先ほど大臣もおっしゃったように、大学発ベンチャーをこれから活発化させる必要があると思っていますが、実際は、平成十七年には二百六十件ほどありました、当時は。ところが、今、ちょっと増えましたが、減って若干増えたというものの、二十六年度には六十五件ぐらいにまだとどまっているというところで、これをどう増やしていくか。そのためにも、大学が有する特許あるいは知的財産、上手に活用していく必要があると思っています。
 大学が保有する未利用率の特許というのは八五・八%もあると言われています。民間企業の三七・六と比べると二倍以上で、これも、今大臣がおっしゃった理由に加えてもう一つ挙げるとすると、事業化を想定した特許網が構築されていないというところもあると考えられますね。
 したがって、もっと企業が使いやすいように特許などを集約化、パッケージ化していく、群をつくる、特許群をつくるということがせっかくの特許を事業化にしていける一つの方法ではないかと思いますが、こういう魅力ある、企業にとっても魅力あるものにしていく必要があると思いますが、この点はどう考えていらっしゃるか、お聞きをしたいと思います。
#130
○国務大臣(馳浩君) 大学等の知的財産を実用化に結び付け、イノベーションを創出していくために、企業等のニーズを意識した特許権の取得や積極的な技術移転活動が重要であると認識しております。
 このため、文科省としては、国立研究開発法人科学技術振興機構を通じ、大学等の特許権の集約、パッケージ化による特許権の活用促進、企業ニーズを踏まえた知的財産マネジメント活動の実現に向けた大学等への助言などの、大学などの知的財産の活用に向けた取組を総合的に支援しており、知的財産の実用化等の成果も上がりつつあります。
 引き続き、このような取組を通じて大学等の知的財産がより一層活用されるよう、大学等の技術移転活動を支援してまいりたいと存じます。
#131
○柴田巧君 今の答弁は大体一般論で今まで聞いてきたような答弁だったので、先ほど具体的に提案申し上げましたが、ちょっとした工夫で休眠特許を防げるというか、上手に実用化、製品化、事業化できると思いますので、そこら辺をパッケージ化、集約化するということなどを含めて、より効果的なものをしっかりまた考えていただきたいと思います。
 大学に関係する質問の最後になると思いますが、先般、二月でしたか、これは毎年やっている調査でもありますが、申請された大学、学部等の運営状況を確認する平成二十七年度の設置計画履行状況調査が発表されました。
 これは、今申し上げたように毎年度あるわけですが、その結果、内容に応じて、改善意見、是正意見、そして警告というものが付くわけですけれども、今般初めて東京福祉大学が警告を受けました。つまり、是正意見が出されて、それが改善されていないということで、これは初めてのケースになります。また、札幌保健医療大学など九校では、英語の授業の内容が水準に達していないとか必要な専任教員を配置していないなどで是正意見があり、これらを含めて二百七十校にも改善が要求をされました。
 これ、学生の教育環境の悪化を招くものでもあり、何よりも大学には多額の税金が投入をされている中で、やはり文科省と大学には高等教育の場にふさわしい教育を行う責務があると思います。先ほどというか、所信で大臣は大学は知的基盤だとおっしゃいましたが、そういうことになっていない大学がたくさんあるというのは極めて遺憾なことであって、今回のこの調査の結果をどのように大臣は受け止めて、やはり改善状況を厳しくチェックをしていく必要があると思いますが、どう取り組まれるかお聞きをしたいと思います。
#132
○国務大臣(馳浩君) 去る二月十九日に公表した平成二十七年度の設置計画履行状況等調査の結果は、昨年度の調査と比較して、意見が付された大学が二百五十三校から二百七十校に増加するとともに、初めて警告が付された大学がある一方で、是正意見が付されていた三十一大学中二十六大学については是正意見が解消されるなど、全体的には各大学で当初の設置計画が着実に履行されているとの面が見られました。
 しかしながら、本年度の調査結果には新たに是正意見や改善意見を付された大学もあります。その内容は様々でありますが、教授数が必要な基準を下回っている例、教員の変更により主要授業科目を非常勤教員が担当している例など、不適切なものがあったことは誠に遺憾であります。
 文科省としては、是正意見等が付された大学に対しては、指摘事項に対する改善状況や改善方策を本年五月中旬までに報告するよう求めて、その状況を踏まえ、必要に応じ実地や面接調査等も行うこととしております。今後とも、設置計画履行状況等調査の実施などを通じ、設置計画の適切な履行や問題点の改善に真剣に取り組むよう促し、大学の教育水準の維持向上に努めてまいりたいと存じます。
#133
○柴田巧君 しっかり対応していただきたいと思います。
 時間の関係で最後の質問になりますが、教員研修センターの一部機能を地方移転する話を最後にしたいと思います。
 教員の資質を向上するためには、特色ある教育を展開している地方での実践的研修が私は必要なんだと、効果があると思っています。つくばで座学をするのも結構なことですが、特色ある教育を展開している現場でそういう研修を行うというのは大変意味があると思っていまして、この前、大臣も富山に入られましたが、富山県では、例えば十四歳の挑戦という中学校二年生が職場体験を行う、こういったことなどなど、高校生もインターンシップをやって、高校の卒業者の就職率は九九・九%、全国一位ですね。それから、県内への高校卒業者の就職率は九四%、全国二位という成果を上げています。また、英語教育も学校の先生の英検準一級以上の資格取得者が全国二位等々、先駆けたことをやっています。
 今ちょっと富山の例を挙げましたが、こういった現場で教員研修をやっていく意味は大変大きいと思っています。福井県、委員長の地元の秋田県、三重県等々もそういう提案をされているようですが、大臣も地方創生の観点から取り組ませてほしいという、この前来られたときに発言をされていますが、積極的にこういうものは地方でやれるように機能を移転するということをもう本気で考えればどうかと思いますが、御見解を聞いて、最後にしたいと思います。
#134
○国務大臣(馳浩君) 教員研修センターと地域にある優れた教育センター等との共同による取組を進めることは重要と考えております。この点については、富山県を始め四県から御提案をいただき、まち・ひと・しごと創生本部を中心に文科省と各県で検討を重ねてきたところであります。教員研修センターと各県教育委員会とが連携して、各県が得意とする分野の研修を共同実施することなどにより、相互の機能が融合した質の高い研修が可能となる方向で調整が図られております。
 文科省としては、このような国と地方の連携協力による研修機能の強化を始めとして、全都道府県で研修機能の充実が図られるような政策について、制度面、予算面でスピード感を持って進めてまいりたいと思います。
#135
○柴田巧君 時間が来たので終わります。
 ありがとうございました。
    ─────────────
#136
○委員長(石井浩郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、吉良よし子君が委員を辞任され、その補欠として田村智子君が選任されました。
    ─────────────
#137
○松沢成文君 松沢成文でございます。
 大臣、お元気ですか。
#138
○国務大臣(馳浩君) 元気です。
#139
○松沢成文君 ええ、本当、いつもお元気なお姿を拝見しておりまして、私も元気付けられます。
 今日は、大臣の所信から何点か気付いたこと、また、私が問題意識を持っていることを質問させていただきたいと思います。
 大臣は、所信においてこう述べていました。文化資源を活用した地域の活性化、観光振興を図る、いいこと言うなあと。実は、私はこの委員会で前下村大臣のときも何度か取り上げたんですけれども、今、江戸城天守閣の復元運動に取り組んでおりまして、今そのNPOがありまして、江戸城天守を再建する会、そのメンバーの一人としてずうっとここ数年活動をしております。
 実は、十二月十四日、私は江戸城天守を復元する会の幹部の皆さんと一緒に大臣室をお訪ねして、私たちの思いをお伝えして、そのときに復元された江戸城天守閣の縮小模型を大臣にプレゼントさせていただいた。あれ、ちゃんと飾っていただいていますかね。──ああ、ありがとうございます。あれ、毎日見ながら仕事をすると大分心に入ってきますので。
 この江戸城天守をなぜ復元すべきなのか。これは、また話すと長くなるんですけれども、一つは、東京は経済の都だけれども、歴史、伝統、文化がない、やはりそのモニュメントを造ろうじゃないかということで、歴史、伝統、文化の復興という意味でも、あるいは都市のモニュメントという意味でも江戸城天守は造っていくべきだと。
 二つ目に、日本の伝統建築技術の継承を図らなきゃいけないと。特に宮大工や、あるいは、しっくいもお城は使いますから、左官職人ですとか瓦職人、石積み職人、こうした人たちが今どんどん減っているわけですね。こういう大きなプロジェクトによって、そういう皆さんが全国から集まって参加をしてもらって江戸城の天守を復元できないかと。大きな価値があるということです。
 三つ目は経済的な価値でありまして、今でも東京を訪ねる外国人の方が一番たくさん行く場所が皇居なんですね、実は。私は浅草かなと思ったんですけれども。この外国人たちはみんなそこに行くと、天守閣はどこですかと聞くらしいんです。日本の絵はがきには、姫路城とか大阪城とかみんな天守が付いていますから。ここは江戸のキャッスルがあった、幕府があったのに天守はないのかと、こういうことでありまして、もし江戸城の天守閣があの東御苑に復元されれば、もう東京の一大観光スポットになると思います。私は、スカイツリーに負けず劣らずの観光客を集めるんじゃないかと。これは必ず観光活性化で経済の活性化につながります。
 こういう大プロジェクトを東京オリンピックを契機に、ひとつ東京も新しい町づくりでやっていく、そういう目標を持って、みんなでこれやっていくということが私は大変重要じゃないかというふうに思っています。
 また、復元となるといろいろ難しい点もあるんですが、ただ、江戸城の場合は、江戸城の天守閣を造った宮大工の方の子孫が、何とこの設計図に近い江府御天守図というのをずうっと保存してきておりまして、この簡単な設計図もあるということで、あと江戸城天守閣を描いた絵画も大分残っていまして、かなり本格的な復元ができる資料もそろっているんですね。
 さあ、大臣、東京の活性化、あるいは日本の成長戦略のためにも、江戸城の天守閣を復元していく、こういう大きなプロジェクトについてどうお考えでしょうか、まずお聞きいたします。
#140
○国務大臣(馳浩君) まず最初に、私は、我が国の文化行政、文化財行政にやっぱり新たな視点を持ち込んで、加えて、それを文化庁の組織とともに機能強化していく必要性がある、その時代にあるという認識を強く持っているということをお伝えしたいと思います。その一つが、いわゆる文化GDPという考え方であったり、文化財、文化を活用した地域の活性化、地方創生であるということをまず最初に申し上げておきたいと思います。
 その上で、近世の江戸城には、徳川幕府初代将軍家康から四代家綱の時代まで天守閣が存在したが、一六五七年のいわゆる明暦の大火で焼失し、以降、再建されていないと承知しております。一般に、史跡等の往時の姿を忍ばせる歴史的建造物を十分な歴史的根拠に基づいて復元することは、地域の活性化や文化振興に資するものであると考えております。
 一方で、御指摘の江戸城の天守閣復元を実現するためには課題があります。歴史的建造物の復元は、所有、管理する自治体が行うのが通例ですが、この場合、誰が実施主体となるのか、建築資金をどう確保するのか、十分な民間資金が本当に集められるのか、当時の建築様式で建造する際の耐震等の問題や遺構保存への影響、皇室用財産の使用に係る問題といった課題について、一つ一つ丁寧かつ慎重に、粘り強く検討していくことが必要であると考えております。
#141
○松沢成文君 確かに、これ、実現に向けて動き出すと、様々なハードルが待っているわけですね。
 実は、私たちNPOの組織も今度財団法人に移行して、ここがその事業の実施主体になっていこうと。つまり、都や国がやるのではなくて、公共機関がやるのではなくて、あくまでもPPP、公の様々な規制に対して優遇を得ながら、民間主体でやっていこうという事業主体も考えています。
 それから、お金でありますけれども、実は名古屋城の本丸御殿とか、あるいはかつて、これは一九〇〇年代の最初ですけれども、小田原城の天守閣を造ったときも、小田原の財界や市民の寄附で全ての金額を賄っているんですね。こういう事例もありますので、私は、今の東京に集まっている企業や団体、あるいは都民の意識から考えると、十分に民間の寄附でも集められると思っているんです。
 私たちの試算では、大体四百億ぐらいで木造で完全復元ができますので、四百億といったら、新国立競技場が千五百億ですからね、それにも勝るとも劣らない価値があると思いますが、それが四百億でできるとなったら、私は一つの東京のレガシーになっていくんじゃないかと思いまして。
 あと、法的なものでも建築基準法、文化財保護法、あるいは地主さんの宮内庁がどう考えるか、様々ありますが、ただ、これは難しい、これがあるからできない、できない、できないと言っていたら、一生できないんですね。難しいハードルはあるけれども、それをどう乗り越えるかを考えようと。それは、やっぱり政治のリーダーシップしかないと思うんです。それは、宮内庁の役人にここにお城を造らせてくださいと言ったら、絶対に駄目ですと言うに決まっていますから。
 ですから、是非とも馳大臣にはそのリーダーシップを期待したいということと、ここからが質問ですが、実は、文化審議会の中にも様々な分科会があって、史跡についても検討する会があります。あるいは、文化財部長の下に史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会というのがあるわけですね。ここで専門家の方々が史跡を復元するためには少なくともどういうことをやらなきゃいけないかという条件を考えてくれているわけです。こういうところに大臣から是非とも、この城郭の復元については様々な効果が見込まれるわけで、これは江戸城だけじゃないんです、全国でもう十五の城郭で、本物の木造天守を造りたい、あるいは建て直したいという運動が市民運動でどんどん起きているんですね。
 もし、こういうところで諮問をして、もう少し、木造の天守を建てやすい、復元しやすいように少し緩和していただければ、私は、全国の地域が立ち上がって、東京だけじゃありません、みんなで我が町のお城をみんなの力で復元しよう、そして観光客を呼ぼう、町のシンボルをつくろうと。郷土愛も育まれるじゃないですか。
 是非とも、大臣、こうした大臣が持っている審議会に、城郭の、あるいは史跡の復元に対して柔軟に判断できるように検討してみてほしい、こういうふうにちょっと諮問していただけないでしょうか。
#142
○国務大臣(馳浩君) 先般、大臣室に来られたときに、実は私からもお願いしたのでありまして、一回委員会で質問してくださいと、論点を明らかにしてやはりこの機運を盛り上げる必要があるのではないかと申し上げたら、早速こうして具体的な論点整理の質問をいただいたことにまず感謝申し上げます。
 その上で、御指摘のような文化財に寄せられている期待に応えていくためには、復元する歴史的建造物に係る記録、史料等を基に構造、形式等の蓋然性を高める上で十分な調査研究が行われることが重要であると考えております。その上で、文化庁においては、復元整備の可否を判断するに当たって、当該復元整備が史跡等の理解、活用にとって適切かつ積極的意味を持つものと考えられるかどうか等も含め総合的に判断することとしております。
 文科省としても、文化財の積極的な活用を図る観点から、歴史的建造物の復元を目指す取組について専門的知見を生かした技術的指導、助言を行ってまいりたいと思います。
#143
○松沢成文君 文化財の保護の審議会の方でも、厳しい復元のための条件を付けるのではなくて、復元的整備ということで、ある程度復元に向けての史料がそろっていれば、それはケース・バイ・ケースで議論していこうじゃないかという姿勢もあると聞いていまして、大変有り難いことですが、是非とも文化に造詣の深い大臣、こうした歴史的建造物の復元に向けて、少しでも地域の要望に応えられるような体制をつくっていただきたいというふうにお願いをしておきます。
 二つ目であります。
 所信の中で、大臣はスポーツ振興についても幾つか述べておられました。オリンピックについては、確かにオリンピックの担当大臣、遠藤大臣が担当しているわけですが、スポーツ振興という観点で馳大臣の見解も伺っておきたいと思います。
 私も、この委員会で何度となくたばこの問題を取り上げました。実は、東京オリンピックに向けてWHOとIOCは、たばこの煙のないスモークオリンピック、あっ、スモークフリーオリンピックを目指す覚書を締結しております。スモークオリンピックじゃ大変だね。
 それで、東京もこれをしっかりやっていかなきゃいけないということで、実は私、下村前大臣に何度も要請をしまして、昨年の四月か五月ですかね、下村大臣、当時はオリンピック担当大臣も兼ねていましたから、の方から塩崎厚生労働大臣にオリンピックまでに受動喫煙防止法、きちっと作ってほしいということを大臣から大臣に対して要請を一回言ったんですね。それを受けて今内閣府の下に検討チームができて、関係の省庁がみんな集まってこの法案の検討に入っているわけです。
 これは大変な前進だと思っていまして、私も評価をしておるところでありますけれども、大臣、ただ、問題は、この国際的な基準の受動喫煙防止法ですから、努力義務じゃ駄目なんですね、きちっとした法的義務、つまり罰則も付いている。守らない飲食店や守らない個人は罰則もありますよというこの強制力、抑止力がない限り守らないんですね。健康増進法でも受動喫煙防止の努力義務はあります。労働安全衛生法でも、職場の受動喫煙防止の努力義務あるんです。努力義務は幾つもの法律であるんですが、みんな努力義務だから守らないんですね。
 ですから、強制力を持っているということと、もう一つは、禁煙が原則なんです。日本だと、分かった分かった、分煙にすればいいんでしょうと。それはやっぱりたばこ会社も、分煙推進、分煙推進、分煙はいいことだと言いますから、みんなそれで思考が止まっちゃうんですね。もう国際基準は、WHOでもIOCでも、もう公共的な施設は全部禁煙原則ですよ、分煙は例外ですよということなんです。
 大臣、これをきちっと踏まえておかないと、これ、財務省を始めJTの皆さん、あるいはたばこ議連の皆さんはたばこ産業を守れという方が目的になっちゃっていますので、必ず反対してきます。ここで負けちゃったら元も子もないんですね。
 ですから、大臣、是非ともこの国際基準の受動喫煙防止法、つまり禁煙原則、強制力を持った法律を作る、こういう見解を大臣は持っていると期待しているんですが、それでよろしいですね。
#144
○国務大臣(馳浩君) IOCとWHOとの間において二〇一〇年七月にたばこのないオリンピックについて合意されており、二〇二〇年東京大会においても受動喫煙防止対策の推進が求められることになると承知しております。また、WHOは、二〇一〇年にたばこのないメガイベントのためのガイドを作成し、イベントの主催者や開催地政府に受動喫煙防止対策を求めているとも聞いております。
 このため、昨年十一月に閣議決定したオリパラ基本方針において、受動喫煙防止については、健康増進の観点に加え、近年のオリンピック・パラリンピック競技大会開催地における受動喫煙法規制の整備状況を踏まえつつ、競技会場及び公共の場における受動喫煙防止対策を強化するとされたところであります。
 これらを踏まえ、本年一月に、内閣官房副長官を座長とし、関係省庁の局長級が構成員となる受動喫煙防止対策強化検討チームが設置されたところであり、私としても、二〇二〇年東京大会だけでなく、その前年に開催されるラグビーワールドカップ二〇一九も念頭に置きながら、効果的な受動喫煙防止対策を講じられるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
#145
○松沢成文君 そのとおりですね。ラグビーのワールドカップも三大スポーツメガイベントで、これ対象になりますから、それまでにお願いしたいと思います。
 ちょっとしつこいですけれども、オリパラ競技の大会推進本部、各大臣入っていますよね。ここでも、是非ともたばこ問題推進を議論してほしいんです。ポイントは、馳大臣や遠藤オリパラ担当大臣、それから塩崎厚生労働大臣がスクラムを組んで、麻生財務大臣と戦って勝たなきゃ駄目なんです。これ、財務省は絶対に、もうJTを子会社で抱えちゃっていますから、たばこ事業法でたばこ産業を全部抱えていますから、たばこ規制強化に絶対反対なんですね。ですから、あの手この手で邪魔をしてきて、いや、受動喫煙防止法じゃなくて分煙法でいいだろうとかね、こうやってなし崩しにしたいんです。でも、そんなことやったら世界の笑い物になっちゃいますから、東京だけですから、オリンピックやるとして、これできていないのは。
 是非とも、大臣、厚労大臣等とスクラムを組んで、こういう会議でしっかりと方針を示していただく、そのリーダーシップを期待したいと思います。
 さて、最後の質問ですけれども、スポーツに関連して今度はゴルフの問題です。
 この前は、オリンピックのゴルフ会場をどこにするかって大臣とちょっと質疑をしましたが、今日は、これまたちょっと日本の恥ずかしい問題、ゴルフ場利用税について、大臣にもうちょっと頑張ってもらいたいんですよ。
 ゴルフ場利用税、皆さんゴルフやる方は御存じだと思いますが、もうこれスポーツの中で唯一ゴルフだけですから、プレーするときに税金を取られるというのは。これ、ちょっとおかしいですよね。これ、ゴルファーももうみんな不満持っています。今、テニスコート利用税とかフットサル利用税なんか取ったら革命が起きますよ、この国は。
 ゴルフだけは取り続けているんですね。なぜかというと、娯楽施設利用税があって、消費税が導入になったとき、それが廃止になりました。ですから、雀荘もボウリング場もパチンコ屋も、全部娯楽施設利用税、消費税が入るから廃止になったんです。ところが、ゴルフ場だけは、ゴルフをやる人は金持ちの道楽が多いだろう、担税力があるだろう、ここだけは税金取り続けようやということで残っているのがゴルフ場利用税なんですね。ですから、極めて消費税との二重課税という意味でも不公平な私は税制だというふうに思っています。
 さあ、まず、大臣、文科省としては、スポーツ振興の立場からこのゴルフ場利用税はもうおかしい、時代遅れだ、廃止をすべきだという見解だと思うんですが、大臣も同じ見解でよろしいですね、文科大臣ですから。
#146
○国務大臣(馳浩君) 当然です。
#147
○松沢成文君 さあ、これまで、文科省でもこの税制の議論になると、要望で必ず、スポーツ振興のためにはゴルフ場利用税はおかしいから、もう時代遅れだから、スポーツ振興をやらなきゃいけないのに、スポーツやるときに税金取り続けるなんておかしいということで要望を出しているんですけれども、これが何年たっても全然改革が進んでいかない。
 大臣、率直にそれはなぜだと思います。なぜゴルフ場利用税廃止、文科省がこれだけ言い続けているのに全然毎年変わらないのか。どうぞ。
#148
○国務大臣(馳浩君) やっぱりゴルフ場利用税が入ってくる自治体の首長の反対によるものだと思います。
#149
○松沢成文君 おっしゃるとおりなんですね。この問題は総務省がいつも大反対するんです。つまり、今ゴルフ場利用税は地方税ですから、監督は総務省ですね。
 全国のゴルファーがゴルフ場でプレーするときに、大体千円前後取られるわけですよ。それが一度都道府県に入ります。都道府県からまた市町村にバックされるんですね。今、大体年間五百億ぐらいですよ。そのうちの七割は市町村に比例配分されます。要するに、やったゴルファーが多い市町村にたくさん配分されるんですね。ですから、地方の小さな市町村、自治体で、財政が非常に厳しい、でも、ゴルフ場が三つ、四つあって、そこから上がってくるゴルフ場利用税が貴重な財源になっているところが多いと。だから、地方自治体が今財政が厳しい中で、この財源を奪っちゃったら、もう地方自治体は怒りますし、それはかわいそうだということで、総務省が必死になって守るわけですね。
 ここは、大臣、やっぱりゴルフ場利用税がなくなっちゃって激変緩和のためにも、そういう市町村に対して何かこういうところで手当てをしますよという代案がないとなかなか動かないんですよね。やはり、これは一つは地方交付税です。今、交付税、結構上がっていますからね。ですから、そういう分を使って、ゴルフ場利用税でへこむ分を地方交付税で埋めていきますよというのが一つのやり方だと思うんですね。やはり、こういう代案を持ってしっかり交渉していかないと、これ、地方自治体は大反対です。
 私も県知事やっていました。全国の知事会、ここでも何度か言いましたけれども、みんなもう貴重な財源だ、貴重な財源だと。財源がなくなることを言うなんて、おまえばかじゃないかという発想です。市町村会なんというのはもう大反対の嵐ですね。要するに、自分たちが今までずっともらい続けてきた既得権になっちゃっているんです。だから、それを減らすなんということは、どんな社会の変化があろうと、どんな理由があろうと、俺たちは絶対嫌だと。そういう皆さんが、年末になると自民党税調の周りで、絶対反対、ゴルフ場利用税なんか削るのは絶対反対だというふうにデモンストレーションをしますので、やはりみんな政治家の皆さんは気になりますよね。地元の市町村長さんたち、あるいは市町村議会の議員さんたちが、そんなことをやったらみんな怒り出すと。で、全く改革が進まないんですね。
 大臣、これはもう本当に恥ずかしいんですが、今ゴルフやるときに税金を取っているなんてもう途上国の発想で、今、日本と韓国ぐらいですよ。そうすると、この前、高市大臣は、いや、アメリカの州でも幾つかありますと。まあ、それは州の自治権でやっているところなんだ。今、国際常識としては、スポーツをやるときに税金を取るなんていうのは、これはもう本当におかしいんじゃないかという感じです。今度オリンピックをやるわけで、リオのオリンピックからゴルフは復活しますよね。ですから、是非ともこの時期に、そしてまた、消費税がもしかしたら八から一〇に上がる可能性がある、このときにやらないとできないんですよ。
 今、大臣、平均すると一回ゴルフプレーするのに幾ら掛かると思います。これ、なかなか当てられる人いないんですけど。ゴルフというと二万、三万掛かるスポーツだと思っているんですが、今もう過当競争でどんどん潰れていますから、ゴルフ場。六千円ですよ。六千円で、消費税一〇%になったら六百円、そして、ゴルフ場利用税を取られていたら千五百円、千円ですから、合わせると。そうしたら、プレーフィーの四分の一が税金なんていうスポーツがあるかなと。
 こういうことをずっとやっているんで、今ゴルフ場はどんどん潰れているんです。最盛期、ゴルファーの人口は一千二百万あった。今、八百万割っちゃっているんですよ。それで、失礼ですが、田舎の方のゴルフ場はばったばった潰れている。これじゃ、地方創生に逆行するじゃないですか。ゴルフ場が潰れたら固定資産税も入らなくなるんです。約百人の雇用もなくなっちゃうんです。それなのに、ゴルフ場利用税は昔からの既得権だ、絶対触らせないと言っているんですよね。
 大臣、是非とも、この件について高市大臣と談判してくださいよ。そんな古いことを言っていたんじゃ駄目だと、スポーツ振興しっかりやらなきゃいけない、オリンピックも契機だと、消費税上がるなら、本当に二重課税じゃないかと、これはやっぱり大臣同士で本気になって議論をしていただかないと全く動かないと思うんですが、その覚悟はおありでしょうか。
#150
○国務大臣(馳浩君) 松沢委員御指摘のことは至極ごもっともでありまして、したがって解決するのは一つ、つまり代わりの財源をいかにして国民の理解の下に確保するかということだと思います。地方自治体の首長の財源に対する考え方も、これも私たちも理解してあげる必要があります。
 したがって、やはり二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの大会が開催されるまでに、これはやっぱり国家的な課題ではないかという論点から、では代わりの財源をどうやって捻出をして、地方自治体の首長も安心してさしあげるという観点で、私は総体的な議論が必要だと思っています。
 今年もまた税の季節がやってまいりますので、早め早めに根回しをして議論を進めたいと思いますし、何とかやっぱりオリンピック・パラリンピックの前にこのゴルフ場利用税の撤廃に向けて取り組みたいと思います。
#151
○松沢成文君 どうもありがとうございました。
#152
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 昨年十二月に広島県府中町の中学三年生が自殺をしたと。その原因が、一年生のときに万引きをしたという誤った情報によって希望する高校への推薦が受けられなかったということだと。この事件について詳しい報道が今日ありますので、冒頭、一問だけお聞きしたいと思います。
 これ、学校は当初、自殺があったことを伏せていたと。その後の対応でも、遺族が不信を募らせるようなものだった。説明会では、保護者から子供を預けるのが怖いという声まで上がったとお聞きをしています。町の教育委員会に第三者委員会が既に設置をされたという報道もありますが、これ是非、遺族の方の意見や気持ちを酌みながらきちんと検証していただきたいというふうに思いますし、文科省もそこから是非教訓を酌み取ってほしいと思います。
 この報道の中で、私がえっというふうに思ったのは、これ誤った情報だったというのはもう言語道断なんですね。しかし、中学一年生のときの万引きで三年の進路指導がもう絶対的な評価になってしまうんだろうかと、このことにとても大きな疑問を私は覚えます。中学生というのは思春期です。様々なつまずきがその三年間の中学生活の中であるかもしれない。まして、一年のときにあったつまずきは、やはりその後の先生方の教育によっていかにその子が成長していくのか、これが中学の教育の目的だというふうにも思うんですね。ところが、この学校では、今年から突然、それまで三年生の状態で推薦の基準を決めていたのをいきなり一年からというふうに変えたということも報道がされています。
 私は、これやっぱり、こんな一年から誤りを許さないよとまるで脅し付けるような、こんな進路指導の在り方はやっぱりどこか違うんじゃないかなというふうに思うんですけれども、大臣の見解をお聞きいたします。
#153
○国務大臣(馳浩君) 今、田村委員お示しのお話は私も同感であります。同時に、これはやはり、私も報道に接し、文科省内で報告を上がってくるのをいただく中で、瞬間的に私はもう激怒いたしました。
 と同時に、ただ、確実な事実関係を全て一応把握した上で、そして保護者、今遺族と言わなければいけないことは本当に申し訳ない思いでありますけど、そして担任の教員、そして学校の校長始め管理職、そして町の教育委員会、そして県の教育委員会、やはり情報を同じように共有しながら、どこにどういう間違いがあったのかということの確認作業をしながら、その上で最終的に再発防止に取り組まなければいけないし、まして今、三月十二日に卒業式を控えているとも聞いております。ともすると、マスコミが大挙して押しかけて大混乱となり、やっぱり不安を更に助長するという可能性もなきにしもあらず。
 私も、こういうことを踏まえて、昨日、急遽、日帰りではありましたが、義家副大臣に現地に行っていただいて、まずは直接話を聞き、どうだったのかということの事実関係を時系列で踏まえた上で、その上さらに、いつ、どこで、どのような段階で誰が何を話をしたのか、その影響はどうだったのか、こういう分析をした上で対処すべきではないかということで、行ってもらいました。
 本日も、この後に緊急のタスクフォースを文科省内に設置をして会議をすることにしております。丁寧に、丁寧にやっぱり今回の事案の課題を分析をしながら対処していくべきだと思っております。
 今、現状では、詳しい全貌というか全容を十分に把握し切れていない状況なので、ここまでの答弁とさせていただきます。
#154
○田村智子君 これ、この事件としてしっかりとした検証と同時に、この事件に対して尾木直樹さんがコメントも寄せているんですけど、その中で、昨年十二月から一月にかけて、進路を悩んで中学三年生が四、五人が自殺をしているという指摘もされているんですよ。
 これ、進路指導が中学生を追い詰めている、本来、進路指導というのはその子の希望を開くものでなければならないのに、追い詰めちゃっている。これ、非常に重大な問題だというふうに思うんですね。過ちを許さないような、そういう、もし一年生のときからの評価が絶対だとなれば、入学時のときからそういう説明がされるでしょう、推薦が欲しかったら過ちを犯しちゃいけないんだよと。そうすると、中学三年間というのは物すごい重圧の中で子供たちは暮らすことになってしまうと思うんですよ。
 やはり日本の教育というのは、国連子どもの権利委員会からも、高度に競争的だと、その結果、子供の発達のゆがみが生じている、自殺や不登校の原因にもなっていると、こういう指摘が何度もされているわけです。
 やはり文科省として教訓を酌み取るというならば、やはりこの事件の検証にとどまらず、その進路指導、中学というのはどういうことになっているのか、このことについて深い検討を是非求めたいと思います。
 では、通告している質問に移ります。
 教員の多忙化についてです。
 今年も二月二十九日、東京地裁が、西東京市の小学校の新任女性教員の自殺、これは公務災害であるとして、公務外認定を取り消しました。クラスのトラブルへの対応、週七時間の初任者研修、毎日二、三時間もの残業、それでも間に合わずに持ち帰り残業と。これらを、全体として業務によって強い精神的、肉体的負荷があったと、こういう判断をしたものです。
 教員の多忙化の解消、これ政府も掲げています。これ、喫緊の課題であり、具体的な改善策を進めるべきだと思いますが、いかがですか。
#155
○国務大臣(馳浩君) 平成二十六年度に公表されたOECD国際教員指導環境調査の結果等によって、田村委員御指摘のとおり教員の長時間労働の実態が示されていると認識しております。
 このような状況の中で、学校における教員の業務負担の軽減のため、業務の精選や効率化に取り組むことは重要であると考えており、昨年七月に策定して教育委員会に周知した学校現場における業務改善のためのガイドラインにおいても、教育委員会が学校において精選すべき業務を明確化することなどを通じ、校務の効率化を推進するよう求めております。
 また、平成二十八年度予算案において、学校現場における業務改善のための取組やマネジメント力の向上のための取組に対する支援を行う経費を計上しているところであります。
 文科省としては、これらの取組を通じ学校現場における教員の業務負担の軽減を図ることで、学校教育全体の質の向上に取り組んでまいりたいと思います。
 もう一点ちょっと御指摘ありましたので教えたいと思いますが、私、二年前に超党派の議員連盟で過労死等防止対策推進法の取りまとめの座長をさせていただきました。その中におきましても、全ての職種、公務員、また経営者にかかわらず、また自営業者にかかわらず、いわゆる過労死など、これはいかに本人にとりましても、家族にとりましても、そして職場にとりましても、そして社会全体の損失であるかということの前提にして取組を促した法案を立法した者としても、改めて、教職員の長時間労働の問題や、保護者からのプレッシャーもありましょうし、あるいは提出すべき書類の多さや様々な教育的な課題に対応しなければいけないプレッシャーもあろうと、こういうことを存じておりますので、改めて、この過労死等防止対策推進法の趣旨にのっとっても、教職員の長時間労働については私は喫緊の課題として取り組む必要があると、こういう認識を持っております。
#156
○田村智子君 この長時間過密労働の解消の前提、それは労働時間の正確な把握です。
 文科省も二〇〇六年四月通知で、管理職が勤務時間を現認する、又はICカード等の客観的な記録を基礎とする、このいずれかによって勤務時間を把握するよう求めています。私は、やはり客観的な記録による勤務時間の把握、民間事業では当たり前の、このことをやっぱり学校でも行うべきだというふうに思います。
 具体的な事例挙げます。
 愛知県教委は、教員の在校時間から超勤の調査を行っています。これは、市町村教育委員会からの報告によるものですけれども、この中で、実は岡崎市だけが超勤八十時間以上という教員の割合が異様に少ない報告結果になっているんです。これはまだ資料ではお配りしていないんですけれども。
 これ、中学校で見ると、岡崎市の周辺の市は四割から多いところでは八割の教員が八十時間以上の超勤なんですよ。ところが、岡崎市だけが二・七%。これ、不審に思った労働組合が情報開示請求して調べてみたら、七十時間台とか七十九時間台の教員が異常に多いということが分かったんです。
 岡崎市というのは、教員は自己申告で在校時間を記録し、報告をしています。こうなると、八十時間を超えないようにコントロールされたんじゃないだろうかという疑念が湧いてくるわけです。
 事実、月刊誌「教育」というところに岡崎市の教員が次のような投稿をしています。
 八十時間を超えないようにと校長からの指導が入り、皆適当に時間を調整して出していた。それを受けて市教委は、各学校の取組のおかげで時間外労働が八十時間を超える先生がほとんどいない、これは大きな成果であると喧伝している。それを聞くたびに、そんなばかなと思うと。試しに八十時間を超える記録を提出したことがある。すると、校長からすぐに呼出しが掛かった。これを出すと市教委から私のところに間違いなく指導が入ると思う、これから年度末の忙しいときに差しかかるのに、帰れと言われたらもっと大変になるでしょう、まあ、自分たちの首を絞めないためにもここは八十時間以内に収めて出し直してくれぬかと。全然納得できなかったが、仕方なく七十九時間五十五分に書き直して提出したと。今日も家庭訪問が終わって授業参観の準備などをしていたら、退勤時間が二十一時を回ってしまった。しかし、そのまま記録したら時間外労働が百時間を超えかねないので、十九時に退勤したことにしておいたと。
 これ、自己申告など裁量の幅のあるやり方では、職場の実態把握どころか長時間残業が逆に隠されてしまう、こういう可能性も否定ができないと思います。やはり、当たり前のタイムカードなど、これ民間で当たり前です、客観的な勤務時間の把握に公立学校も踏み出すべきだと思いますが、局長、いかがですか。
#157
○政府参考人(小松親次郎君) お答え申し上げます。
 教員、学校の先生方の労働時間についてまず管理職がきちっと把握をして、その実態に基づいて業務の在り方等を改善していくということは大変重要なことだと思います。これを大前提といたしまして、先ほど御指摘の私どもの通知指導というのは労働安全衛生法等の一部改正の施行通知のことと理解いたしますが、職場の労働時間につきましては、それぞれの規模、組織運営等の実情に応じて各学校で適切な方法で把握するということが必要でございます。きちんと把握をして、あるべきように持っていくというのは管理職の責任だと思いますけれども。
 労働時間の把握につきましては、現認、報告、点呼、目視というふうにいろいろございます。この中で、各教育委員会に対しましては、私ども通知を出しまして、管理職が自ら現認をするか、あるいはICカード等のような記録を基礎として確認するか、こうした方法によって労働時間の適正な把握に努めるよう指導しているところでございます。
 こういう形で適切に把握をしていただく、各職場によってきちんとした把握をしていただくということが大事だと、私どもとしては考えております。
#158
○田村智子君 これ、大臣にもお聞きしたいんですね。過労死防止のまさにその法案作ったわけですからね。
 これ、現認というのは、目視なんていうのがあるわけですよ、何人残っているか。どうしてこれで労働時間がつかめるのか。過労死の裁判でも、いかに労働時間を把握するか、長時間労働だという証拠を出すか、これが一番の問題だということをもう大臣いっぱいお聞きになったと思うんですよ。学校も客観的な把握、必要だと思いませんか。
#159
○国務大臣(馳浩君) なかなか、こうして答弁をすると、その答弁がちょっと独り歩きする可能性があるのかなと思いながらも、実は、私も、日報を通じてやっぱり労働時間をきちんと把握しておくことと同時に、管理職とそこで働いている方々のコミュニケーションにおいて適切な労働環境をつくり上げることは極めて重要な原点であると、こういうふうな認識はまず持っております。
 私、教員であった経験を言うと、私は非常に学校が好きだったので、逆に朝六時半から夕方というか夜大体十時ぐらいまで、部活動もし、その後採点もし、授業の準備もしておりました。ただ、私はそれを当たり前と思っておりましたが、当たり前と思ってはいけないというのが私は現実的な取組ではなかろうかと、こういうふうに一つの所感として思っておりますので、改めて、私自身がもう、全部皆さんタイムカードと、こういうふうに一斉に指令をすることはもちろんできませんけれども、各都道府県、また設置をしている市町村の教育委員会においてやはり適切に判断をして把握されるようにしておくことがまず原点中の原点だと私は思います。
#160
○田村智子君 是非、学校がどんなふうに勤務時間つかんでいるのかというのを文科省調査してほしいと思いますし、愛知県の取組って非常に重要だと思っていて、八十時間超え、百時間超えの教員の割合どれだけいるか、こういうのは是非全国的な調査やっていただきたい、要望しておきたいと思います。
 時間把握は最初の一歩なんですね。具体的にそれによって過重負担が解消されなければなりません。労働安全衛生法に基づいて、やっぱり集団的な職場の環境改善の、進めていくような体制をつくることが求められていると思うんですね。
 今日は具体的な事例で、先進事例として紹介をしたいと思っているんですけど、これ川口市なんですね。川口市は、自治体レベルで労働安全衛生の委員会が設置をされていて、ここで労使の協議も行いながら全市的な対策、これ取られ始めているんです。その一つが、教員のメンタルヘルスだけを担当する心理職、これを市に置いたんですね。通常はスクールカウンセラーが児童生徒も教職員も両方見るよ、相談受けるよとされているんですけど、これでは教員のメンタルヘルスには足りないという対応なんです。
 そうすると、配置された心理職の方は、学校訪問したり、二十四時間対応で電話相談やったり、あるいは治療が必要と思われる方に病院紹介したりと非常に積極的な取組をして、結果として、学校に勤務しながら病院に通って心身の健康を回復していく、こういう教員が何人も出始めた、休職に至らずにとどめた、二十名から三十名、年間、休職を防いだと報告されているんです。財政的な効果は数億円だと、これで二人目置くことになったというんですね。
 大臣、やっぱりこういう管理職も含むような、あるいは市も取り組むような、こういう取組非常に重要だと思いますが、いかがですか。
#161
○国務大臣(馳浩君) 好ましい取組だと思います。
#162
○田村智子君 これ、担当者決めたけどたった一人とかという、衛生担当の人たった一人とか、こういう学校少なくありませんので、是非、管理職も入る、あるいは市教委もそこに関心持って協議の中に入っていく、そういう集団的な体制、是非つくっていただきたいと思います。
 もう一つ、過重負担の要因とされている部活動の問題についてもお聞きをしたいんです。
 資料でお配りした三枚目、これは、名古屋市のある中学校の教員の一人一人の超勤時間についてなんです。休日の部活動指導に対する特殊業務手当の受取の記録、あるいは超勤時間の記録。労働組合が名古屋市に開示請求して入手した資料をまとめたものなんですね。これ、名古屋市はパソコンへのログイン、ログアウトで出退勤の記録を行っているので、非常に客観的な記録だと言えます。これ見ると、まあすごいんですよ。百時間超え、運動部活の顧問、百時間超えの超勤、ざあっといるわけですね。九月の出校日というのを見ても、勤務日数三十日間、つまり一日も休んでいないという、こういう記録が出てくるわけですよ。
 文科省は二〇一三年に運動部活動での指導のガイドラインというのを調査研究協力者会議の報告としてまとめていて、この中で、一週間の中に適切な間隔で休みを取ることと、これは生徒にとっても重要ということがまとめられていると思います。
 この資料、超勤が百六十七時間とか百八十五時間とか、それで出校日数二十八日とか、運動部活動の顧問の皆さん、この記録を見て、大臣、いかが思われますか。
#163
○国務大臣(馳浩君) 余りにもというのが率直な一言であります。
#164
○田村智子君 これは先生方が署名にも取り組んで提出されたというニュースもありましたけれども、部活動の在り方、ここ近年また活動時間伸びているんじゃないかという指摘もあるんですね。
 資料の一枚目と二枚目は、これは名古屋大学の内田良先生が、ベネッセが行った子供の生活実態基本調査を基に二〇〇四年と二〇〇九年を比較して、一週間当たり中学校や高校でどれだけ部活動の活動日数があるか、あるいは一日当たりの活動時間がどれだけかというのを比べているんですけれども、文科省は一九九六年にも調査研究協力者会議の報告で、中学校では一週間に二日、高校では一日以上休養日が必要だとか、練習時間も平日は長くても二、三時間だと、こういうまとめをしているんですけれども、これと照らしてどうかという資料なんです。
 そうすると、そのガイドラインに照らしても、一週間当たりの活動日数が六日以上という中学校、高校、どちらも年度がたった方が増えているんですね、二〇〇四年よりも二〇〇九年の方が増えている、一日当たりの時間も増えている、こういう傾向があります。
 ここは、子供たちの成長、発達にとっても、それから先生方の超過勤務という問題にとってもやはり何らかの見直しが、部活動の在り方、この在り方の見直しといいましょうか、これが必要だというふうに思いますが、局長、いかがでしょうか。
#165
○政府参考人(高橋道和君) ただいま委員御指摘の平成九年の調査研究報告においては、中学校では週当たり二日以上の休養日を設定すること、あるいは平日は長くても二、三時間程度以内、こういった例を示しております。こういった考え方は、現在でも引き継がれておる望ましい考え方であると思っております。
#166
○田村智子君 是非、科学的に言っても、休み取らずにどんどん練習した方が勝ち抜けるなんというのは科学的に言っても私は根拠がないと思うんですね。是非積極的な取組で部活動の在り方の見直しに、子供たちの立場だとスポーツ庁で、先生方の立場だと初中局になると思うんですけれども、お互い力合わせて取り組んでいただきたいというふうに思います。
 初中局長にもちょっと確認をしたいんですけど、実は、先生方の部活動指導が自主活動だとみなされてしまうような傾向というのが相変わらずあるんですよ。確認します。少なくとも、土日の特殊業務手当が支払われている時間、これは学校管理下で業務に従事している時間だと思いますが、いかがですか。
#167
○政府参考人(小松親次郎君) 御指摘のとおりでございます。
#168
○田村智子君 短い答弁でありがとうございます。
 これ、先ほどの資料をもう一回見てほしいんですけれども、土日出勤だけでも一日八時間の勤務、休日だけで月五十時間超えるという労働実態になっているんですよ。厚生労働省は、月四十五時間を超える残業は健康に影響が出る可能性があるとして事業所に対して指導を行っているわけですね。そうすると、土日、部活動だけで四十五時間超えていたら、これ速やかな是正が必要だということは明らかだというふうに思います。
 これ、大臣にも見解をお聞きしたいと思います。部活動を真に子供たちの成長に資するものにする、それから、超勤の大きな原因になっているこの部活動、この在り方、やはり見直しが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
#169
○国務大臣(馳浩君) 恐らく、この田村委員の御指摘を石井委員長や橋本委員もうなずきながら聞いておられたと思います。
 どうしても、今までこういうふうにやってきたから私たちもこうしなければいけないんだというふうな強迫観念といったものが指導者やまた部の伝統として引き継がれているということが多々見られます。私は見直しの必要性はあると思っています。
#170
○田村智子君 是非、具体的に対策を取っていただきたいというふうに思います。
 最後にですけど、根本的には教職員の過重負担の解決というのはやっぱり教員の定数増にこそあるし、やはりクラスサイズを小さくしていくという、こういう政策によって行われなければ、根本的な問題の解決にはもちろんなりません。しかし、同時に、今指摘したようなことは、法改正必要なく、直ちに具体的な対策が取れることばかりです。
 文部科学省が積極的な取り組みを行うことを強く求めて、質問を終わります。
#171
○委員長(石井浩郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時散会
ソース: 国立国会図書館
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