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2016/03/04 第190回国会 参議院 参議院会議録情報 第190回国会 予算委員会 第9号
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2016/03/04 第190回国会 参議院

参議院会議録情報 第190回国会 予算委員会 第9号

#1
第190回国会 予算委員会 第9号
平成二十八年三月四日(金曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月三日
    辞任         補欠選任
     広田  一君     藤本 祐司君
     森本 真治君     西村まさみ君
     秋野 公造君     山本 博司君
     松田 公太君     川田 龍平君
     片山虎之助君     藤巻 健史君
     清水 貴之君     東   徹君
     中山 恭子君     浜田 和幸君
     荒井 広幸君     平野 達男君
 三月四日
    辞任         補欠選任
     山本 一太君     渡邉 美樹君
     神本美恵子君     小西 洋之君
     西村まさみ君     石上 俊雄君
     田村 智子君     倉林 明子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岸  宏一君
    理 事
                石井 準一君
                宇都 隆史君
                岡田  広君
                高橋 克法君
                二之湯武史君
                堀井  巌君
                長浜 博行君
                野田 国義君
                山本 香苗君
    委 員
                愛知 治郎君
                赤池 誠章君
                井上 義行君
                石田 昌宏君
                猪口 邦子君
                大野 泰正君
                片山さつき君
                古賀友一郎君
                島村  大君
                高野光二郎君
                三木  亨君
                三宅 伸吾君
                山下 雄平君
                山本 一太君
                渡邉 美樹君
                石上 俊雄君
                大久保 勉君
                大塚 耕平君
                風間 直樹君
                神本美恵子君
                小西 洋之君
                田中 直紀君
                藤田 幸久君
                藤本 祐司君
                荒木 清寛君
                河野 義博君
                山本 博司君
                倉林 明子君
                辰巳孝太郎君
                川田 龍平君
                山田 太郎君
                東   徹君
                藤巻 健史君
                浜田 和幸君
                吉田 忠智君
               薬師寺みちよ君
                平野 達男君
   国務大臣
       財務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        麻生 太郎君
       総務大臣     高市 早苗君
       法務大臣     岩城 光英君
       外務大臣     岸田 文雄君
       文部科学大臣
       国務大臣     馳   浩君
       厚生労働大臣   塩崎 恭久君
       農林水産大臣   森山  裕君
       経済産業大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       損害賠償・廃炉
       等支援機構))  林  幹雄君
       国土交通大臣
       国務大臣     石井 啓一君
       環境大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       防災))     丸川 珠代君
       防衛大臣     中谷  元君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 菅  義偉君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (内閣府特命担
       当大臣(消費者
       及び食品安全、
       規制改革、防災
       ))       河野 太郎君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(国家戦
       略特別区域))  石破  茂君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(沖縄及
       び北方対策、科
       学技術政策、宇
       宙政策))    島尻安伊子君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(少子化
       対策、男女共同
       参画))     加藤 勝信君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(経済財
       政政策))    石原 伸晃君
       国務大臣     遠藤 利明君
   副大臣
       財務副大臣    岡田 直樹君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  横畠 裕介君
       原子力規制委員
       会委員長     田中 俊一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 亮治君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      山本 哲也君
       内閣府地方創生
       推進室長     佐々木 基君
       内閣府政策統括
       官        加藤 久喜君
       警察庁生活安全
       局長       種谷 良二君
       警察庁交通局長  井上 剛志君
       金融庁監督局長  遠藤 俊英君
       外務大臣官房審
       議官       垂  秀夫君
       外務大臣官房審
       議官       豊田 欣吾君
       外務省領事局長  能化 正樹君
       財務省主税局長  佐藤 慎一君
       文部科学省高等
       教育局長     常盤  豊君
       厚生労働省医政
       局長       神田 裕二君
       経済産業大臣官
       房審議官     中尾 泰久君
       経済産業省経済
       産業政策局長   柳瀬 唯夫君
       経済産業省貿易
       経済協力局長   寺澤 達也君
       経済産業省産業
       技術環境局長   井上 宏司君
       経済産業省製造
       産業局長     糟谷 敏秀君
       経済産業省商務
       情報政策局長   安藤 久佳君
       資源エネルギー
       庁資源エネルギ
       ー政策統括調整
       官        吉野 恭司君
       資源エネルギー
       庁資源・燃料部
       長        藤井 敏彦君
       資源エネルギー
       庁電力・ガス事
       業部長      多田 明弘君
       中小企業庁次長  宮本  聡君
       国土交通省水管
       理・国土保全局
       長        金尾 健司君
       環境省総合環境
       政策局長     三好 信俊君
       環境省地球環境
       局長       梶原 成元君
       防衛省防衛政策
       局長       前田  哲君
       防衛省整備計画
       局長       真部  朗君
       防衛省地方協力
       局長       中島 明彦君
   参考人
       日本銀行総裁   黒田 東彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○公聴会開会承認要求に関する件
○平成二十八年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○平成二十八年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○平成二十八年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(岸宏一君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 公聴会の開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成二十八年度総予算三案審査のため、来る三月十日午前九時に公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(岸宏一君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(岸宏一君) 平成二十八年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。
 本日は、一般質疑を百二十三分行うこととし、各会派への割当て時間は、自由民主党十六分、民主党・新緑風会四十八分、公明党十二分、日本共産党九分、維新・元気の会九分、おおさか維新の会九分、日本のこころを大切にする党五分、社会民主党・護憲連合五分、無所属クラブ五分、新党改革・無所属の会五分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。
    ─────────────
#6
○委員長(岸宏一君) 平成二十八年度一般会計予算、平成二十八年度特別会計予算、平成二十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 これより一般質疑に入ります。二之湯武史君。
#7
○二之湯武史君 おはようございます。自由民主党の二之湯武史でございます。大臣の皆様方、今日はよろしくお願いいたします。
 我が国は、これから本格的に人口減少社会に突入していくわけです。活力ある経済社会を維持するには、一人一人の生産性の向上が不可欠でございます。また、激変する安全保障環境の中でしっかりとした自衛力を確保すること、また、高齢化、少子化に向けた社会保障を行う上でもアベノミクスを是非とも成功させ、強い経済を実現しなければなりません。アベノミクスの成功、失敗は、まさに日本という国家の盛衰に関わる非常に大切な政策だと思っております。
 そのアベノミクスですが、第三の矢、成長戦略がなかなか表に出てこない。私は、成長戦略で一番大切なことはコンセプトの転換だと思っております。つまり、キャッチアップ型モデルから価値創造型モデルに転換することだと思っております。
 我が国は、明治維新、戦後復興というキャッチアップ型の成功は収めることができました。しかし、戦後七十年、例えば、一九五六年に日本はもはや戦後ではないと、一九六四年には東京オリンピック、OECDに加盟、そして六八年には当時世界第二位であった西ドイツを抜き、世界第二の経済大国となっております。既に五十年弱がたつわけです。しかし、その間、なかなか我が国は価値創造型の成熟国家にはなっていないと言えるのではないでしょうか。
 一人当たりのGDPはこの二十年下がり続けておりますし、なかなか豊かさの実感できない社会になっております。教育はまだまだ画一的でございますし、産業政策も既存の勢力を温存するようなところもあります。何よりも、やる気、能力のある民間の創造力を規制で縛っていると、そういう姿がまだまだ見られるのではないでしょうか。結果、民間はなかなかリスクを取らない、若者は将来に対して不安を感じると、こういった姿が見受けられると思います。
 本来はもっと成長力があるにもかかわらず、官や若しくは生産性の低い民間事業が担っているためになかなか高い生産性を上げることができない、そういったポテンシャルを顕在化させていくことこそが私は成長戦略の肝だと思っております。キーワードは、官に頼らない自立した国民、民間、そして、そのクリエーティビティーを最大限に生かし、イノベーションにつなげられるような仕組み、こういった問題意識を踏まえて、是非、石原大臣に一言、成長戦略に向けての御決意をお願いを申し上げたいと思います。
#8
○国務大臣(石原伸晃君) 二之湯委員御指摘のとおり、アベノミクスをしっかりと回して経済の好循環をつくり、経済を再生成していく。その上で必要なことは、今委員が御指摘になられたように、官に頼るのではない、規制に縛られるのではない、自由に民間が経済を動かしていく、そういう社会をつくっていかなければならないと思います。
 そんな中で肝要なのは、GDPのうちおよそ七割を占めるサービス業、ここの生産性をどうやって向上させるか。今委員の御指摘の中にありましたように、その鍵はまさにイノベーションであると考えております。そして、そのイノベーションを支えるのは人であります。若い人がやる気を持って仕事に臨める、その人材を創出していくということが肝要なのではないでしょうか。
#9
○二之湯武史君 是非、異次元の取組を進めていただきたいというふうに思っております。
 今おっしゃったように、我が国はそうした価値創造型の経済に体質改善をしていかなければなりません。そして、そのためのインフラを整備するのが私は政治の役割だと思っておりますし、今現在、自民党の政調で七つの事務局長、主査を務めておりますし、四つの小委員会、プロジェクトチームを立ち上げておりますが、その重要な一つが高等教育の改革でございます。私は、自民党内に成長戦略としての高等教育を考えるプロジェクトチームを立ち上げ、事務局長をしております。
 まず、資料一ページを御覧ください。
 今、石原大臣がおっしゃったとおり、これは我が国の産業別労働生産性水準の対米比較でございますが、サービス業が他産業と比べても非常に低くなってしまっているという構造的な問題がございます。
 次に、二ページを御覧ください。
 我が国と欧米の教育を比較いたしますと、初等中等教育には我が国、大変強みを持っているわけですけれども、高等教育段階になると状況が全く変わります。左の青のアカデミズムの大学、大学院体系もそうなんですけれども、真ん中の専門職大学院という、欧米では非常に定着しているんですが、我が国では、これ残念ながら、量、質共に大きく劣ってしまっております。そして、実はこの専門職大学院という実学体系から、先ほどおっしゃったサービス産業を担うミドルマネジメントや中小・小規模事業の経営者が輩出をされると。
 私は、こういった実学体系の弱さが日本のサービス産業の生産性の低さの問題になっているんじゃないかというふうに思っておるわけでございますが、こうした点についての馳大臣の問題意識をお聞かせください。
#10
○国務大臣(馳浩君) 昨年六月に閣議決定された日本再興戦略においては、日本産業再興プランとして人材力の強化に取り組むこととしており、このため、学部から大学院を通じた高等教育全体として専門職業人養成機能の抜本的な強化が必要と考えております。
 大学院の段階においては、高度専門職業人養成に特化した機関であるMBAを始めとする専門職大学院の果たすべき役割が大きいと考えており、現在、中教審において制度の検証と見直しを進めております。また、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関を制度化することについて、現在、中教審に特別部会を設置し、具体的な検討を進めております。なお、今年度より、大学等における社会人や企業等のニーズに応じた実践的、専門的なプログラムを文部科学大臣が認定する制度として開始したところであります。
 文科省としては、中教審での審議も踏まえつつ、引き続き質の高い専門職業人養成にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
#11
○二之湯武史君 今まで伝統的に文教族、文科族という方々は初等中等教育に主に主要な関心があったように思います。是非、この高等教育改革というものを馳大臣にはリーダーシップを持って進めていただきたいというふうに思っております。
 サービス産業は、地方経済を支える中小・小規模事業者が大変多いわけです。こういった経営者の方々が自らのスキルを高める、そういった場、学び直しの場こそが私はこの専門職大学院だというふうに思っております。
 次の三ページを御覧ください。
 これは、日米のビジネススクールの比較ですが、アメリカではMBAの定員が十九万人、一方で日本は五千七百人でございます。
 次の四ページも、これは上場企業でございますけれども、アメリカの上場企業ではMBAの取得は約四割であるにもかかわらず、日本は約五%ということでございます。
 こういった私は経営者のインフラとしてのビジネススクールというのは、まだまだ日本は足りていないのではないかというふうに考えておる次第でございます。それを、そしてこれから政策としてしっかり整備していくに当たりまして、私はMBAの類型というものを導入するのを提案したいと思っております。
 つまり、グローバル企業で働くような方々、これは世界のトップハンドレッドに入るような日本のビジネススクールをつくっていかなければいけない。一方で、各地域で中小企業や小規模事業を経営されている方々、地域密着型のMBA、ビジネススクールも必要であろうと。また、観光やファッション、農業やスポーツといった、これまで余り大学が重点を置いてこなかった、しかし産業規模としても大きくこれから成長が見込める、そういった産業に特化したようなMBA、こういった類型化を導入していくことによってより大学の強みをはっきりとしていく、そういうことが必要だと思いますが、これも、馳大臣、いかがでしょうか。
#12
○国務大臣(馳浩君) 経済成長を担うクリエーティブな人材養成のため、MBAを始めとする専門職大学院の機能強化は喫緊の課題であると認識しております。
 その際、二之湯委員の御指摘にありましたとおり、社会のニーズを的確に踏まえ、グローバル化や地域貢献、特定分野といった専門職大学院の特徴を伸ばしていくことは大変重要であり、文科省としても、そういった観点から、各専門職大学院が自らの強みや特徴を伸ばしていけるような取組を推進することも専門職大学院の強化面で大きな課題であると考えております。
 現在、中教審のワーキンググループにおいて専門職大学院に関する諸課題について検討を行っているところであり、御指摘の観点を十分に踏まえながら、専門職大学院の機能強化を推進してまいりたいと思います。
#13
○二之湯武史君 ありがとうございます。
 何度も申し上げますが、この体系の充実こそが、先ほど石原大臣がおっしゃったサービス産業の生産性向上というものにも私は直結するというふうに思っております。これは、是非党の方でしっかり議論して、今議論の場を教育再生実行本部の方に移していただいておりますので、より具体的な提言を申し上げたいというふうに思っております。
 今、馳大臣から、社会のニーズに応じた大学教育というお話がありました。あるアンケート調査、文科省のアンケート調査によりますと、大学が目指している大学像と企業が大学に求める大学像にある種の乖離があることに気付きます。大学は、よりアカデミックで専門的な知識を学生に教えたいと思っているのに対し、企業の側は、より実学的な実践的な能力とともに、専門にとらわれない幅広い知識を学生に持ってもらいたい、このように考えているわけでございます。
 その際に大事になるのが、私は大学の評価だと思っております。今も五年ごと、七年ごとに様々な評価が行われているんですけれども、主な項目は設置基準でありますとか法令の遵守でございます。教育の質向上につながるような、学生を始めとしたステークホルダーからの評価というものは余り重要視されていないように思います。ここに、世間のイメージと、そして大学自らの持つイメージの乖離があるのではないかというふうに思っております。
 現代のイノベーションの源泉である大学の在り方について、学生や企業といったステークホルダーからの評価を中心に据え、教育の質向上につながる大学評価の在り方によって抜本的に大学の在り方を改革していくべきだというふうに考えますが、馳大臣、いかがお考えでしょうか。
#14
○国務大臣(馳浩君) 全ての大学は、質の保証、向上のため、設置認可の後においても認証機関による評価を定期的に受けることが義務付けられております。このことにより、大学等が評価結果を踏まえて自ら教育研究の改善を図るとともに、評価結果が社会に公表されることにより大学等が社会による評価を受けることが期待されております。
 現在、この認証評価制度の在り方については、中教審において審議が進められております。二之湯委員御指摘のように、学生や企業関係者等のステークホルダーの視点も取り入れた評価の重要性が指摘されておりまして、三月中に取りまとめを予定しております。
 文科省としては、こうした中教審における検討結果も踏まえ、関係省令の改正に速やかに着手するなど、認証評価制度の改善、充実を図り、大学等の教育、研究水準が一層向上するように取り組んでまいります。
#15
○二之湯武史君 是非、今申し上げたような高等教育改革、一層進めていただきたいというふうに思います。
 続きまして、スポーツについてお尋ねをいたします。
 私は、今、自民党スポーツビジネス小委員会の立ち上げをし、事務局長をしております。スポーツビジネスは、政権が掲げるGDP六百兆円に大きく貢献できる成長産業になり得ると思っております。
 資料の六ページを御覧ください。
 過去二十年の日米スポーツ産業の比較でございます。残念ながら、大きな差が開いてしまっております。アメリカでは自動車産業を超える六十兆円産業に成長しているのに対し、日本ではほぼ横ばいの四兆円にとどまっております。
 なぜこんなことになったのでしょうか。その根本的原因は、私はそのガバナンスにビジネスの要素がなかなか取り入れられなかったことなんだろうなというふうに思っております。つまり、主に学校体育の延長でやってきた、その中にビジネスという要素をもう少し入れられることができなかったんだろうかという私は課題、問題意識を持っております。
 例えば、その具体策としてアメリカの大学スポーツ大会であるNCAAを取り上げたいと思います。
 九ページを御覧ください。
 これはNCAAと甲子園の比較でございます。実は、観客動員はほぼ同じであるにもかかわらず、NCAAの収益が一千億に上るのに対し、高野連は八億円の収入にとどまっております。三桁違うわけです。そして、NCAAはこの収益を積極的に学校現場に還元をしております。
 七ページを御覧ください。
 この左側はアメリカの大学のスポーツ施設です。スタジアムは収容人数十三万人、アリーナでも収容人数二万人を誇る。一方で、右側は日本の典型的な体育館とグラウンドでございます。こういった違いが私は一目瞭然であろうと思うんですね。これはまさに経営のクリエーティビティーの差であり、こうしたことをガバナンス改革とそれによるスポーツの産業化で是非補っていただきたい、そして、その収益をスポーツ現場や青少年の育成に還元をしていただきたい、そんなスキームを是非つくっていただきたいと思います。
 例えば、国体のようなスポーツコンテンツも含めて思い切って民間のノウハウを入れ、こういったスポーツ大会を革新するようなモデルをつくってみてはどうかと思いますが、これも、スポーツの担当である馳大臣、いかがでしょうか。
#16
○国務大臣(馳浩君) 御指摘のとおり、スポーツの発展のためにはスポーツ産業の拡大が重要と考えております。一方で、我が国のスポーツ関連産業は縮小傾向であるとの指摘もあります。スポーツ産業については、見るスポーツやするスポーツに関するサービス業などスポーツ関連産業が活性化すれば、その収益をスポーツ団体や環境の充実に再投資する好循環を生み出し、国民の健康増進や地域の活性化を図ることができると考えております。
 このため文科省では、経済産業省と合同でスポーツ未来開拓会議を開催し、スポーツ施設の収益化やスポーツに関連する新事業の開拓、IT、食、観光といった他分野との連携など、二〇二〇年以降も展望した戦略的な取組の展開に向けて、有識者を交えた議論を開始したところであります。
 文科省としては、スポーツを通じたGDPの拡大を目指して関係省庁やスポーツ関係者等と連携を図り、スポーツ環境の充実に取り組んでまいりたいと思います。
#17
○二之湯武史君 ありがとうございます。
 そのソフトの改革と同時に進めなければならないのが、私はハードの改革だと思っております。
 さきの新国立競技場の問題に端を発して、私は小委員会を立ち上げました。都心の一等地で、かつプロスポーツクラブのフランチャイズなど大会後の運営も非常に見通しやすい中で、残念ながらPFIなど民間資金を活用するスキームを取ることができなかった、そういうことに危機感を感じたからでございます。
 八ページを御覧ください。
 これが日米のプロスポーツ施設の比較でございますけれども、欧米のスタジアムが、非常にデザインが洗練され、また中心市街地に立地をし、複合商業施設等併設されているのに対し、我が国のスポーツ施設は、郊外に、しかもスポーツの単独施設として存在をしている。
 十ページを御覧いただければ分かりますが、二〇〇二年ワールドカップの施設の運営状況ですが、札幌ドームを含めて大きな赤字になっております。しかも、これは減価償却費を含んでおりません。スポーツ庁によりますと、日本の体育施設整備には約年間一千七百億円、日本政策投資銀行によりますと、向こう二十年で新築、改築が想定されるスポーツ施設は二兆一千三百億円にも上るとされています。
 遠藤大臣におかれましては、御就任以後、こうした問題意識を踏まえて様々な施策に取り組んでいただいておりますが、改めて新国立競技場のオリンピック以後の運営計画についてお聞きするとともに、このオリンピックを契機としてプラスのレガシーを残すための成長戦略としてのこうしたスポーツ施設整備の在り方等々において、お考えがあれば是非お聞かせをいただきたいと思います。
#18
○国務大臣(遠藤利明君) お答えいたします。
 今委員御指摘のように、新国立競技場については、設計業務の契約が終わり、今年十二月ぐらいには建築の契約をしたいということで進めております。何よりも二〇二〇年の大会開催に間に合うということが最重要でありましたから、委員御指摘の課題あったんですが、そうした整備計画の中でまずは建設を確定させるということで進めてまいりました。
 しかし、同時に、その後の利用をどうするという議論、大変多くありましたので、昨年八月に決定した新国立競技場の整備計画においては、大会後の運営管理について、スタジアムを核として周辺地域の整備と調和の取れた民間事業への移行を図ることとする、今後、政府において本計画を踏まえてビジネスプランの公募に向けた検討を早急に開始するとしております。これを受けて、現在、文部科学大臣の下に大会後の運営管理に関する検討ワーキングチームを設置をし、大会後の運営管理や利活用の在り方について今実務的に検討を進めております。今後、そのワーキングチームでの議論を進めた上で、必要に応じて関係閣僚会議で進捗状況を点検してまいります。
 今委員からレガシーとしてという話がありました。元々、日本のスポーツは、さっき御指摘がありましたように、学校体育からスタートしたこともあって収益事業というのは論外という考え方がありました。ですから、先ほどの甲子園にしてもできるだけ安価な値段でという意識があって、スポーツをビジネスにするということがなかったと。これは、文部科学省の中にスポーツビジネスに関するものを議論するセクションがありませんでした。これは、スポーツ議員連盟の中でスポーツ庁を設置する議論を始めたときに、一つは、各省にまたがっている役割を一つにしてやっていこうと、経済産業省で担っているスポーツビジネスもやっぱりスポーツ庁の中で扱った方がいいだろうということで、新スポーツ庁ができるときにスポーツビジネスを担当するセクションをつくっていただきました。
 その上で、一つは、地域活性化あるいは町づくりの中でスポーツの持つ力というのは大変大きいと、まさに委員御指摘のように地域の経済活性化に資する、そういう今まで観点なかったわけですから、そういう観点が一つ。それからもう一つは、先ほど二兆一千億円という話がありましたが、これから二〇二〇年以降、なかなかスポーツ予算を国としてあるいは行政として増やすのは難しい中で、どうしてもスポーツ予算を自発的につくっていかないと難しいと、そんな観点からスポーツビジネスが大事だということで取り組んだところであります。
 先ほどありましたように、今、日本のスポーツ、このままではますます縮小してしまうだろうと、そういうふうな思いもあってこうした組織をつくりましたし、また二之湯委員が中心になって自民党で議論をしていただいておりますから、まずは地域活性化にも資する、同時に、これからのいろんな、補修だけでなくて、施設整備だけでなくて、強化の予算も含めて、そうしたスポーツビジネスにおいてお金をつくっていただいて、それをそうしたこれからのスポーツ活動につなげていきたいと、まさに二〇二〇年以降のレガシーとして考えていきたいと思っております。
#19
○二之湯武史君 是非、遠藤大臣そして馳大臣の強力なリーダーシップの下に、アメリカの六十兆円ということを考えますと、日本の経済規模は約三分の一ですから二十兆円のポテンシャルがあるということであれば、GDP六百兆に大きく貢献する産業になり得るというふうに思っております。党の方でもしっかり議論をしてまた提言につなげていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、食料産業についてお聞きしたいと思います。
 こちらの方でも、食料産業調査会、そして農林部会の骨太PT輸出チーム、日本産酒類振興プロジェクトチーム、それぞれ事務局長をさせていただいております。
 昨年度が七千四百五十二億円で過去最高を記録したわけでございますが、この勉強を進めていくと、生産者もまた流通業者も余りもうかっていないと、こんな現状も見えてきた次第でございます。
 よく安心、安全でおいしい日本の農産物というふうに言われますが、私はこの言葉にこそ課題が集約されていると思うんですね。安心、安全というのは、輸出する上で例えばHACCPのような各国の様々な基準をクリアして初めて安心、安全でありますし、おいしいというものは、相手国のマーケットの人たちがおいしいと思って初めておいしいわけです。我々日本人は、ともすれば供給者サイドの目線でこれが安心、安全でおいしいんだと、こうではなくて、やはり生産現場の意識改革も含めて、やはりその国で求められる農産物を作っていく、こういった意識改革が必要なのではないかなというふうに思っております。
 また、協会や組合、また都道府県、それぞれが各々にPR活動を行う中で、日本食品としての全体のマーケティング戦略が不在であります。かつ、そのノウハウの蓄積もなされておりません。一方で、世界に約九万軒の日本食レストランがあると言われておりますが、なかなかそれを需要先として顕在化するようなこともまだできていないところでございます。
 こうした現状を考えますと、私は、まず継続的に、そして戦略的に、そして組織的に海外の市場でマーケットを開拓して、日本の農産物の需要を開拓していくような機能をある種集積して、組織論も含めて大胆な政策が私は必要なのではないかなというふうに考えておりますが、森山大臣のお考えを是非お聞かせをいただきたいと思います。
#20
○国務大臣(森山裕君) 二之湯委員の議連での御活躍に敬意を表します。
 農林水産物・食品の輸出に当たりましては、平成二十五年に初めて国別、品目別の戦略を定めまして、その実行につき毎年検証しながら、各産地や官民の主体が連携したオールジャパンの体制で取り組んできております。
 例えば、牛肉の品目別輸出団体である日本畜産物輸出促進協議会は、ロンドンやニューヨーク等で現地の食肉事業者向けに和牛セミナーを開催をしております。そこでは、牛肉はブロックで、塊で販売をされているわけですけれども、すき焼きやしゃぶしゃぶ向けの和牛のスライスの方法を教えたり、現地のニーズを掘り起こすという努力もしております。また、検疫協議等の輸出環境課題への取組も進めてきておりまして、幾らか実績が上がってきているところでございます。
 このような中、現在、昨年の秋に取りまとめられました政策大綱に基づきまして、自民党の骨太方針プロジェクトチームや政府の輸出力強化ワーキンググループにおいて、戦略的な輸出体制の整備を含め、更なる輸出促進に向けた議論が行われているところでございます。
 今後とも、委員御指摘の点も踏まえまして、戦略的な輸出体制の整備も含め、我が国農林水産物・食品の輸出強化について検討を深めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#21
○二之湯武史君 ありがとうございます。
 重ねてもう一度お聞きしたいんですけれども、特にその中のマーケティングということに関して言いますと、例えばフランスにはSOPEXA、食品振興会という、もう食品のマーケティングに特化したそういう組織があるのはよく御存じだと思いますが、今、日本の農産物というものは、その需要そのものをいかに開拓していくか、日本食の文化そのものをいかに普及していくかと、こういう戦略的な取組が私は一層求められるのではないかなと思うんですが、そのマーケティングに特化して、大臣のお考えをもう一度お聞かせいただけますでしょうか。
#22
○国務大臣(森山裕君) 先ほど委員もお述べになりましたように、日本でいいものはどこでも評価をされるという先入観が強過ぎたのかもしれません。ただ、日本の食品あるいは農畜産物というのは、海外でも高い評価をいただいていることは間違いがありません。それと日本食とどう結び付けていくのかという課題が大事な課題ではないかなというふうに思っておりまして、しっかりしたマーケティングをやらせていただいて、国別に戦略的に輸出を頑張っていくということが大事なことだと思いますし、ひいてはそのことが農家の皆さんの所得の向上にもつながるというふうに考えておりますので、しっかりした取組をやらせていただきたいと思います。
#23
○二之湯武史君 ありがとうございます。
 一方で、なぜ日本ほどの技術先進国、ICT先進国にもかかわらず、それが農業の生産現場に十分に生かされていないのではないかと私、問題意識を持っています。全国の大学や都道府県にもそれぞれ試験場や研究所、そういったものがありますが、その知見をもっとオープンイノベーションのスキームで生かしていくことはできないのか。こういうことを考えますと、オランダにあるフードバレーというのが非常に参考になると思うんです。
 五ページを御覧ください。
 オランダのワーヘニンゲンには、ワーヘニンゲン大学リサーチセンターとフードバレー財団というものを核としたフードバレーと呼ばれる食品産業クラスターが形成されており、研究者数三千名、学生数八千名、集積企業数千五百社という一大クラスターであり、世界第二位、約十一兆円の農業輸出大国オランダを支えているわけでございます。企業にビジネス需要が生まれたときが研究の始まりというコンセプトに象徴されるように、学の研究成果を迅速に現場に反映させる。例えば、一例ですけれども、トマトの収量は反当たり約百トンを超えると言われておりまして、日本の平均的な農家の約十倍ということだそうでございます。
 こうしたクラスターを私は国内に整備して、飛躍的な生産技術の進歩であったり、品種改良、また経営人材の育成、こういったものを通じて、攻めの農業の象徴的な拠点とするような、そういう拠点整備を進めるべきではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。
#24
○国務大臣(森山裕君) お答え申し上げます。
 オランダのワーヘニンゲン大学を中心としたフードバレーにつきましてはよく承知をしておりますし、産業力の強化に大きく貢献をしていると承知をしております。
 また、農林水産業の成長産業化を実現をしていくためには、我が国でも農林水産・食品分野以外のアイデアや技術を取り入れて革新的な研究成果を創出する新たな仕組みづくりを進めることが必要であるというふうに考えておりまして、このため、産官学の様々な知を結集させていただいて、連携して研究開発に取り組む場づくりに向けて、食品産業、生産者、大学等、多様な主体による協議会を立ち上げるとともに、平成二十八年度予算で今御審議をいただいているところでございますが、幾つかのテーマごとの研究開発プラットホームの形成支援のための予算も盛り込んでおりますので、こうした新たな仕組みの具体化を早急に図りまして、革新的な研究成果を早期に創出できるように頑張ってまいりたいと考えております。
#25
○二之湯武史君 是非突き抜けた取組をお願いを申し上げます。
 終わります。ありがとうございました。
#26
○委員長(岸宏一君) 以上で二之湯武史君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#27
○委員長(岸宏一君) 次に、藤田幸久君の質疑を行います。藤田幸久君。
#28
○藤田幸久君 おはようございます。民主党・新緑風会の藤田幸久でございます。今日はたくさんの大臣お越しいただきましたが、よろしくお願い申し上げます。
 今日は、安倍総理が初めは御出席という予定でございましたが、状況が変わりましたので、初めは特に黒田総裁を中心にお伺いをさせていただきたいと思っております。
 まず、黒田総裁、マイナス金利導入を断行されましたが、この目的についてお伺いをしたいと思います。お願いします。
#29
○参考人(黒田東彦君) 今回のマイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入ということは、従来から行ってまいりました量的・質的金融緩和を一段と強化することによって企業や家計の経済活動をサポートし、二%の物価安定の目標の早期実現を目的としたものでございます。
 実際にも、マイナス金利付き量的・質的金融緩和導入以降、短期、長期の国債利回りは大幅に低下しております。これを受けて、貸出しの基準となる金利や住宅ローンの金利ははっきりと低下しておりまして、金利面では政策効果が既に現れております。
 今後、その効果が実体経済や物価面にも波及していくものと考えておりまして、その状況を注視してまいりたいと思っております。
#30
○藤田幸久君 そういう面もございますけれども、いろいろ懸念されておりますマイナス面についていろいろの面が出ておりますけれども、このマイナス金利導入によるマイナス面の影響についてどういうふうにお考えか、お答えいただきたいと思います。
#31
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げましたとおり、貸出しの基準となる金利や住宅ローンの金利ははっきりと低下しているわけでございます。
 一方、預金金利も低下しておりますけれども、既にかなり低い水準にあったために、その低下幅は貸出金利に比べますと小幅なものにとどまっております。また、中央銀行が既にマイナス金利を採用しております欧州諸国の例を見ても、金融機関の個人向けの預金がマイナスとなるとは考えておりません。
 なお、金融機関の収益に対する影響につきましては、マイナス金利に限らず、一般的に、金融緩和を進めて企業や家計にとっての金融環境を緩和させようといたしますと、仲介者である金融機関の収益に影響することは避けられないわけでございます。その上で、金融機関の収益を過度に圧迫することによってかえって金融仲介の機能を弱めることがないように、金融機関が日本銀行に保有する当座預金につきまして、いわゆる三段階の階層構造に分割し、その一部にのみマイナス金利を適用する制度設計といたしております。
 金融機関の経営環境を好転させるためにも、一日も早くデフレから脱却し、二十年間も続いている低金利環境から脱却できるようにすることが重要ではないかというふうに考えております。
#32
○藤田幸久君 資料をお配りしておりますが、一枚目に、これ昨日の新聞でございますけれども、元日本銀行副総裁、それからその前は元財務事務次官でございました武藤さん、今オリンピックの事務総長で有名でございますけれども、この方が、ヨーロッパにおける四つの中央銀行の事例を紹介し、株価にはほとんど影響していない、物価はデンマークくらいしか上がっていないとおっしゃっておられます。
 ヨーロッパにおいては、つまりマイナス金利導入の効果が上がっていない、リスク資産へのお金の誘導も劇的には起きていないとおっしゃっておられますけれども、そうしますと、この武藤さんの見方は間違っているということでしょうか。
#33
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げましたとおり、このマイナス金利付き量的・質的金融緩和の影響の主たるチャネルといいますか経路というものは、先ほど申し上げたように、イールドカーブ全体を下げ、実質金利を下げ、貸出金利を低下させることによって経済活動にプラスの影響を与えようということでございます。
 御指摘のような、いわゆるポートフォリオ・リバランスによって、例えば株に資産選好がシフトしていくことによって株が上がるといった効果もあり得るとは思いますけれども、それはポートフォリオ・リバランスの効果でありまして、実は、欧州におきましてマイナス金利を採用している国は、中央銀行は四つありまして、デンマーク、スイス、スウェーデン、そしてユーロ圏でございますけれども、ポートフォリオ・リバランスの状況はそれぞれの国の投資家の判断等によっていろいろな、区々になっておりまして、武藤元副総裁が言っておられるようなケースもあろうかと思いますけれども、先ほど申し上げたように、最も典型的にはユーロ圏のECBでございますけれども、私どもと同じように、イールドカーブを下げ、実質金利を下げることによって経済にポジティブな影響を与えようということが、マイナス金利付き、彼らも量的緩和をしておりますけれども、私どものマイナス金利付き量的・質的金融緩和の主要な実体経済に与える影響のチャネルでございます。
#34
○藤田幸久君 何か歯切れの悪いあれでしたが、そもそも、ヨーロッパのデンマーク等お話が出ましたが、例えばスイスなんかはマイナス金利導入の目的がそもそも違うんではないかと。例えば、マネーロンダリング対策等もございますし、元々、ある意味ではかなり違った目的で導入をしておりますヨーロッパのマイナス金利、それを引用しながら別の目的でマイナス金利の正当化を図っている。ただし、効果はヨーロッパではほとんど上がっていない。
 ということは、前例としてヨーロッパを挙げること自体が無理があり、そして無理筋の延長として今回マイナス金利を導入されているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#35
○参考人(黒田東彦君) そういうことではないと思います。
 確かに、ヨーロッパの四つの中央銀行のうち、スイスやデンマークは明確に、いわゆるスモール・オープン・エコノミーということで為替の安定と物価の安定がほぼイコールなものですから、彼らの通貨がユーロに対して過度に上昇しないようにということを明確に示してマイナス金利を導入いたしております。
 それに対して、大きな経済であるユーロ圏のECBはそういうことを全く申しておりません。我々と全く同様に、マイナス金利というのは、彼らもマイナス金利付きの量的緩和でございますが、これはイールドカーブを下げて、実質金利を下げ、経済にプラスの影響を与えて、インフレ期待を引き上げ、物価上昇率を引き上げていくという私どもと全く同じ考えを持っておりまして、その下でECBにおいても物価の基調は改善しております。もちろん、原油価格がこれだけ下落した下で、いわゆるヘッドラインインフレーションの率はゼロに近いわけでございますけれども、エネルギー等を除いたところでやはり一%程度になっております。
#36
○藤田幸久君 黒田総裁は、原油価格、最近は政府は原油価格の下落と中国経済のことをいろいろ理由に挙げられますけれども、マイナス金利導入をされる段階は既に原油価格の流れはずっとあったわけで、それから更に継続するということは、これは日本銀行の皆さん方分かっているはずで、それから総裁自身もアジア開発銀行等にいらっしゃったので当然何か、分かっているわけで、その上で決断したんじゃないんですか。だから、原油価格が下がっているということは理由にならない。
 何かさっきから、ヨーロッパの話にしても原油価格の下落にしても、理由にならないことを言いながら何か強弁されているように思いますけれども、原油価格が下がっている傾向というのはもう前から、去年から分かっていたんじゃないですか。
#37
○参考人(黒田東彦君) 日米欧、先進国全てにおいてヘッドラインインフレーション、いわゆる消費者物価の総合の指数がゼロ%近傍にいるということの主要な原因が、原油価格が一昨年の夏以来一年半以上にわたって七〇%以上下落してきたということが主たる原因であるということは多くのエコノミストも認めているところであります。
 その上で、その時々の金融政策を決めるに当たりましては、石油価格について一定の前提を置いて経済見通しを作り、そして金融政策を決めております。その際には、他の中央銀行と同様に、足下の原油価格を前提にして、それが、石油の先物市場の価格の動きで延ばして、今後そういう動きになるということを前提にして経済見通しを作り、その前提の下で金融政策を運営してきているわけです。
 ただ、結果的に見て、御指摘のように、一年半前から石油価格が先物市場の示したところと違って更に下落してきたということは事実でございます。ただ、これは、各国中央銀行とも、実はIMFも同じでございますけれども、石油価格について独自の見通しを立てて、それに基づいて政策を決定するとか政策のアドバイスするということはしておりません。
#38
○藤田幸久君 この武藤元副総裁は、今、黒田総裁がいろいろおっしゃっていましたけれども、苦しい答弁をされておられますけれども、これをどこまでも下げ続けることはできない、長期の継続性がどの程度あるか疑問だと。
 先ほどの理由でいきますと、これ〇・一を更に下げていかなければいけないと。ずっと下げ続けるか。ただ、下げ続けることはできないのではないかと武藤さんはおっしゃっていますが、どうされるんですか。
#39
○参考人(黒田東彦君) 欧州の中央銀行はマイナス金利をかなり深掘りをしておりまして、ある中央銀行に至ってはマイナス一・一%ぐらいにしていると思いますけれども、それはともかくとして、私どもはあくまでも現在の経済及びその見通しを前提として適切な経済政策を取っておりまして、現在の石油価格の前提、そして様々な経済指標から見て、今回決定したマイナス金利付き量的・質的金融緩和を実施していくことによって二%の物価安定目標が早期に実現されるというふうに考えております。具体的な見通しとしては、展望レポートにも示しておりますとおり、先ほど申し上げたような石油価格を前提に置けば二〇一七年度前半頃に二%程度に達するのではないかというのが私どもの見通しでございます。
 したがいまして、現時点で更にマイナス金利を下げるということは考えておりませんが、いずれにせよ、物価安定をできるだけ早期に実現するために必要があれば、量、質、金利という三つの次元の手段を活用して適切に対処していきたいと思っております。
#40
○藤田幸久君 二%を二年以内にとおっしゃったのがずれてきて、いろいろ金融緩和されてきて効果がなくて、今度マイナス金利導入。だけれども、事例となるヨーロッパの事例も非常に根拠が薄い。ということは、その更に深掘りをするしかないんだろうと思うんですけれども、それでも本当に今度は先延ばしせずに二%実現をする。今まで聞いておりますと、かなり明示的な理由はない、かなり希望的な、あるいは我田引水的な理由しか聞いておりませんけれども、いかがですか。
#41
○参考人(黒田東彦君) 私どもとして、先ほど申し上げたような様々な経済の現状と先行きを十分点検し、そして、石油価格について他の中央銀行同様、一定の前提を置いて経済見通しを作り、その下で最も適切な金融政策を運営しております。したがいまして、現状で先ほど申し上げたような見通しを持っているわけでございます。
 ただ、経済は生き物でございまして、いろんな動きがあり得ますので、そこは常にリスクを点検して、物価安定目標の実現のために必要であればちゅうちょなく調整をするということ、これ量的・質的金融緩和導入以来、一貫して申し上げております。これは、実際はどこの国の中央銀行も同様な対応をしていると思います。
#42
○藤田幸久君 先ほど、金融の仲介機能についてお話ありましたが、既に都市銀行はかなり今までこの数年間における蓄積がありますけれども、地方銀行それから生保等は、ほぼ金融機関としての仲介機能が我々から奪われてしまった、あるいは、その裁量権限が金融機関から日銀の方に奪われてしまったという声も聞いております。もう既にそういう実態があるんじゃないでしょうか。
#43
○参考人(黒田東彦君) 最新時点のデータはまだ明らかになっておりませんけれども、二〇一四年度の金融機関の収益を見ますと、大手行それから地域銀行共に高い収益を上げておりまして、史上最高とは言いませんけれども、それに近いような収益を上げております。
 我が国の金融機関は十分な資本を持っておりますし、それから、欧米の金融機関のように、リーマン・ショックとか、あるいは欧州の債務危機によって直接的な影響を受けておりません。したがいまして、我が国の金融機関は、先ほど申し上げたように十分な資本を持っているということ、それから、少なくともこれまでは極めて良好な収益を上げております。
 ただ、御指摘のように、地域金融機関、特に一部については、地域経済の動向とも関連して、貸出しはもちろん伸びてはいるんですけれども、その下で業務純益が必ずしもはかばかしくないという金融機関があるということは存じておりまして、そこの点につきましては、むしろ私どもがどうこう言いますよりも、銀行自身や、あるいは金融庁のマターかもしれませんけれども、当然、そういうものに対応してどのように地域の金融機関としての役割を果たしていくかということについては十分考えておられると思いますし、私どもとしても、様々な手段を使ってそれを側面から支援してまいりたいというふうに思っております。
#44
○藤田幸久君 まあ、メガバンクの収益はこれからそれを出せという話になるかもしれませんけれども、地方銀行等に関しては、これ後は金融庁にお任せでは済まないわけで、大変なこれ深刻な状況になっていると思いますけれども。ということは、ますますこれ地域間格差が広がっていく、ますます、需要がないわけですから、それで地方銀行の方もいわゆる自律的な仲介機能ができない、手を縛っているわけですね。いろいろ、そもそも貸出しが難しい中で今度は吐き出せと言われても非常に難しいというのが実態で、これ、地方銀行と特に生保等は今までの収益とか言っていられない状況に実際にあるんじゃないですか。そんな先ほどのような答弁で済むんですか。
#45
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、金融機関についても、景気回復を背景にして貸倒れ等に基づく信用コストが大幅に低下しておる等々の理由によりまして、低金利環境にもかかわらず高い収益水準を確保しておりまして、これは地域銀行の当期純利益というものも、先ほど申し上げたように過去最高に迫る水準になっております。なお、貸出しにつきましても、地域銀行の貸出しは比較的順調に伸びておりまして、特に最近は金融機関全体として中小企業に対する貸出しがかなり伸びているということでございます。ただ、御指摘の点につきましては、当然私どもも十分金融機関の収益状況等については注視してまいりたいと思っております。
#46
○藤田幸久君 先ほど来、こういうマイナス金利、質、量、金利というのを続けることによって目標を達成というふうにおっしゃっていますけれども、これもまた先ほどの武藤元副総裁のコメントに戻りますけれども、日本経済についてはデフレ脱却から程遠い状況にある、物価上昇に頭打ち傾向が出ていると。つまり、今まで質、量、で、今度金利をやっても、これ二%、元々宣言をしたより遅れている、それが早まるという可能性が非常に見えないということを武藤さん自身がおっしゃっているわけですけれども。
 つまり、先ほど来聞いておりましても、御自身でこういうふうになるはずだとおっしゃっているけれども非常に根拠が薄いと思うわけですけれども、今までの理由でなくて、本当にそれが達成できるかという、武藤さんですらこういうふうに見ていらっしゃるんですけれども、実際に物価の上昇の頭打ち傾向ははっきりしていますね。それをどういうふうに説明するんですか。
#47
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げておりますとおり、原油価格が従来見ておりました前提よりもその後ずっと下がってきているということは、これは事実でありまして、その点につきましては、それが主たる原因になって最近の生鮮食品を除く消費者物価指数がゼロ近傍で推移しているということであります。
 ただ、先ほど来申し上げているように、経済見通しというのは一定の前提を置かないとできないわけです。その場合に、石油価格について独自の見通しを立てるということはどこの中央銀行もしておりません。やはり、現状と先物市場の動向を踏まえて、一定の石油価格について前提を立てて、その下で見通しを作り、先行きの経済にとって最も適切な金融政策をすると。
 もちろん、石油価格がそれ以上に上がったり、それ以上に下がったり、その他様々な経済の変動があった場合には、それに応じてまた必要な調整を行うというのは、これはどこの国の金融政策においてもそのとおりでありまして、先ほど来申し上げているように、現在の石油価格、先物の状況を前提にして私どもとして最善と考える見通しを作って、その下で適切と考えられる金融政策をやっていると、それに変動があった場合には、当然必要に応じて金融政策を調整していくということでありまして、現状、先ほど来申し上げているように、二〇一七年度の前半頃に二%に達する可能性が非常に高いという見通しを私どもは持っているということでございます。
#48
○藤田幸久君 原油価格については、去年から傾向が続いてきて、そして、一月二十八日、二十九日に決定されたんですよ。それから先のことではなくて、既に下がってきている中で、その状況の中で決めたんですよ、一月の二十八、二十九日に。ですから、今の理由は理由になりませんよね。その先、つまり、一月二十八日、二十九日以降どうなったかというのであれば別ですけれども。ということは、可能性が今高いと、来年の二〇一七年とおっしゃったけれども、可能性が高いということは、原油価格が今後下がっていくということも含めて、それでも二%、可能性が高いとおっしゃっているわけですね。
#49
○参考人(黒田東彦君) そうしたことは申し上げておりません。
 今回の見通し自体が、石油価格について見通しを立てる前の一か月程度の平均値から先物市場で見られる石油価格の今後の動向を踏まえて、経済見通しのところの注に詳しく書いてございますけれども、石油価格が足下の水準から二〇一七年度という見通し期間の終盤にかけて四十ドル台の後半まで緩やかに上昇していく。これは、石油の先物市場の状況をそのまま反映して見通しを立てているわけです。
 そういう見通しの下で今回のマイナス金利を導入し、量的・質的金融緩和を更に強化することによって、二〇一七年度前半頃には二%程度に達する可能性が高いという委員の間の経済見通し、物価見通しを示しているわけでございます。
#50
○藤田幸久君 黒田総裁はジョゼフ・スティグリッツ教授は御存じでしょうか。私も二月の初めニューヨークでお会いをして、一緒にお食事をしてまいりましたけれども、スティグリッツ教授と黒田総裁の今までのお付き合いについておっしゃっていただきたいと思います。
#51
○参考人(黒田東彦君) いつからかは正確には記憶しておりませんが、アジア開発銀行総裁になる以前、恐らく一橋大学教授だったときからだと思いますけれども、スティグリッツ教授とは面識がございまして、ここ十数年知己であるということは事実でございます。
#52
○藤田幸久君 スティグリッツ教授が、ちょっと資料として二枚目、三枚目、お配りさせていただきましたけれども、FRBのゼロ金利政策は格差を助長するとおっしゃっておられます。この長期に及ぶゼロ金利政策と債券購入策について、既に大きかった国内の格差を更に拡大したと。次の段落に行きまして、後半の方ですけれども、低金利は実際には不均衡を助長する可能性があるとおっしゃっています。
 まさにこの数年間、量的緩和によって日本において格差は拡大していますですね。さらに、このゼロ金利でも格差を助長する、マイナス金利になると更に格差をより助長するという理論だろうと思っていますが、この見解についてどう思われますか。
#53
○参考人(黒田東彦君) 御指摘の点についてスティグリッツ教授と議論したことはございませんけれども、恐らくスティグリッツ教授は、米国の金融市場の動向あるいは経済の動向、特に金融資産の保有状況等々を前提にしてお話しされているのではないかと思います。
 この点についてもいろいろな議論が米国であると思いますけれども、いずれにいたしましても、この点についてスティグリッツ教授と具体的な議論をしたことはございませんし、まして日本の状況についてこういった議論はしたことはまだございません。
#54
○藤田幸久君 逃げないでいただきたいんですが、私の質問は、スティグリッツ教授と議論したことはありますかという質問じゃなくて、ゼロ金利は格差を助長するという考え方についてどうお考えですか、更に加えれば、マイナス金利はもっと格差を助長するという考え方についてどうお考えですかという質問であります。
#55
○参考人(黒田東彦君) それは、あくまでもスティグリッツ教授は米国の状況を前提にしてスティグリッツ教授の分析をされているんだと思います。
 我が国につきましては、様々な状況を十分踏まえて、そういった傾向があるかどうかということは十分注視してまいりたいと思いますが、従来から我が国において言われていた点は、むしろ緩和されるときには債務者にとってプラスであり、他方で引き締めされるときには債権者にとってプラスであるといった点から、むしろスティグリッツ教授が言われているようなことと逆の議論が行われていたと思いますけれども、今の時点で量的・質的金融緩和、あるいは、特にマイナス金利については二月中旬から適用されたばかりでございまして、実体経済への波及について今後経済にプラスの影響が出てくると思っておりますけれども、そういった点も含めて、委員指摘の点も含めて十分注視してまいりたいと思っておりますが、今から日本においてゼロ金利は所得格差を拡大したとかマイナス金利は拡大するであろうというように決め付けることはできないと思っております。
#56
○藤田幸久君 私も、総裁が、最近委員会で答弁を聞いておりますと、やっぱり個人に対する負担というものは増えるだろうと、金融機関とか企業は別にして、国民の財布といいますか、実質的な生活はむしろやはり苦しくなるだろうと、国民の皆さんに対する影響は相当あるだろうという答弁されていますけれども、結局、企業はまだしも、国民の皆さんにとってこのマイナス金利というものが物価高、輸入品等も含めてそういうことが更に拡大していくというならば、今から予想ができませんでは済まない話だろうと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
#57
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げていますとおり、マイナス金利付き量的・質的金融緩和導入以来、貸出金利、住宅ローンの金利などもはっきりと低下をしておりまして、これは必ずや家計にとっても、また企業にとってもプラスの影響があるだろうと。預金金利は若干低下しておりますけれども、既にかなり低い水準にありますし、マイナスにはなりませんので、そちらのマイナスの影響は貸出金利、住宅ローン金利の低下のプラスの影響よりも小さいと思いますので、私は、家計にとってマイナスになると申し上げたことはございません。
#58
○藤田幸久君 もう一つの今回の流れの中で、先ほども総裁がおっしゃっておられますけれども、国債の金利が下がっていくと。この国債の金利を下げること自体が今回の実はマイナス金利の大きな目的ではないかというふうにも感じられますが、そのことについてはどうお考えですか。
#59
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げておりますとおり、量的・質的金融緩和自体、長期国債を大量に買い入れることによってイールドカーブ、国債のイールドカーブ全体を引き下げるということが狙いであります。それを通じて貸出金利の低下、あるいは貸出しの増加、その他経済にとってプラスの影響が出るということを狙ってきておりまして、所期の効果を上げていると思います。
 今回のマイナス金利付き量的・質的金融緩和というのは、国債のイールドカーブの起点を下げると、一方で量的・質的金融緩和を継続するということで、両者相まって国債のイールドカーブ全体を引き下げ、それが先ほど申し上げたように貸出金利の低下その他を通じて経済にプラスの影響を与えるということを意図したものでありまして、それは所期の効果を上げているというふうに思っております。
#60
○藤田幸久君 資料の六枚目をちょっとめくっていただきたいと思います。こういう青い棒グラフでございます。
 これは、一月の投資家別の国債売買差額でございます。これは一月だけでございます。御覧になって分かりますように、外国人が圧倒的に多いわけであります。これは、この中には投機筋、ヘッジファンド等々も相当入っているというふうに聞いております。
 そうすると、まず、マイナス金利であっても本当に物価が上昇するかということもおぼつかない、一方で国債の金利を下げる、これは財政的な目的も含まれていると思いますけれども、ということは、ところが、それにこれだけ投資家が実はこうやって入ってきているという中でございますので、これはデリバティブ取引でドルを円に替えると上乗せ金利が得られるので、マイナスの利回りの国債を買ってでも運用益が出ると。
 こういう状況で国債を下げた、結果的に、という中で今こういう状況にあるということは、実体経済が悪い中でこういうある意味では環境をつくっていること自体が中央銀行総裁としては非常にこれは危ない話じゃないかと思いますが、いかがですか。
#61
○参考人(黒田東彦君) 私は、株につきましても国債につきましても、非居住者、外国人が売ったり買ったりすること自体が何か問題であると思っておりません。
 もちろん、我が国の国債につきましては、たしか九割強が、九〇%強が居住者が買っており、一割弱しか外国人が持っていないというふうには思いますけれども、非居住者、外国人が我が国の国債を買うのが好ましくないというふうには私は必ずしも考えておりません。国債市場は自由であって、国内の投資家、国外の投資家が自由に売買の取引をすると、そういう市場であるというふうに思っております。
#62
○藤田幸久君 自由にできるから国の一番重要な金融あるいは経済そのものが結果的に大変な状況になってしまうということを避けるための危機管理的な意味からも、私は中央銀行総裁の仕事というのは大きいと思っております。
 そんな中で、金融政策決定会合について、ここで一旦質問させていただきたいと思います。
 私も、財務副大臣させていただいておりましたときに、一年一か月ぐらい金融政策決定会合に参加をさせていただきました。当時、それだけ短い期間でございましたけれども、その日銀の審議委員の中で反対の提案をするといいますか、一人がそういう反対をすること自体が大変なこれは胆力とそれから能力とそれから責任を感じてやっていらっしゃるということを感じました。一週間後にはその概要が出ますし、それから十年後には全部議事録が出ますし、一週間後の概要は英語になって全世界へ飛んでいきます。それから、審議委員になる方というのは審議委員になる前の方が収入が多い方が多くて、ある意味では、家族も犠牲にし、自分の収入も犠牲にして審議委員になる方が多いわけであります。ですから、相当の責任を持っていらっしゃる。
 そんな中で、資料を配らせていただきましたが、黒田総裁になられてからの、これは四枚目、五枚目ですけれども、複数の方が反対をした議決が四回ございます。とりわけ一番最近の、これ五枚目でございますけれども、一月二十八日、二十九日、マイナス金利の導入のときには四名の方が反対をされました。黒田総裁になってから、つまり、反対の方が二人以上出るということは私は大変なことだろうと思う。ある意味では、総裁に対する不信任に近いような重い反対の方がいらっしゃる。この四回にわたってこれだけの方が反対をされた理由はどうお考えですか。
#63
○参考人(黒田東彦君) 本来、日本銀行法に基づきまして、金融政策の決定というものは、金融政策決定会合において九人の委員の方々が、その時々の経済、物価の情勢判断あるいはリスク要因について丹念に議論した上で多数決で決定するというものでございます。今般のマイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入の決定に限らず、金融政策運営の方針について委員の間で意見が異なる、あるいは採決の結果、賛否が分かれるということはあり得るわけでございまして、それ自体、何か異常なことであると考えておりません。
#64
○藤田幸久君 五名が賛成しているということは、総裁プラス二人の副総裁で三名で、これ、副総裁は総裁と同じいわゆる執行部であります。ということは、五人が賛成で四人が反対ということは、実質は三人が賛成で四人が反対で、反対が多かったと、実質的には。そういうことになりませんか。
#65
○参考人(黒田東彦君) そういうことに全くなっておりません。
 日本銀行法において、総裁、副総裁もそれぞれ独立して金融政策決定会合においては議論をし決定に参加するということになっておりまして、かつて副総裁が総裁と違う意見、反対をされたということもあったと思いますけれども、いずれにしても、こういう合議体で決定するという場合には、当然十分な議論が必要でありますけれども、それとともに、決定は法律に従って多数決で決定するということでありまして、これは私が申し上げるのは失礼ですけれども、各種の国際機関の理事会もそうですし、各国の議会もそういうことであろうと思っております。
#66
○藤田幸久君 私が調べた範囲では、一万田総裁以来十四人の日本銀行の総裁いらっしゃいますが、副総裁がこの政策決定会合で反対したのは一回しかありません。
 つまり、苦しい答弁されましたけれども、実質的には副総裁というのは総裁と一緒に執行部で提案をされるわけですから、その中でこれだけの反対が出たということは、しかも、この四年間、総裁が総裁に就任されてから四回もこういう反対が出ていると。これは相当の覚悟で皆さん反対されているわけですね。
 これだけ反対がなされたというのは、今リスク要因をとおっしゃいましたけれども、リスク要因をこれだけ反対の方が感じたわけですね。先ほど来、総裁は原油価格等についてもそれは事前に動向が分からないというような言い方されていますけれども、これまさにリスク要因を判断をして反対したわけですね、皆さんは。ですから、そのリスク要因ということになりますと、先ほど来、例えば外国の、非居住者がどのくらい国債を買っているか分かりませんけれども、そういうこともリスク要因として考えながら対応するべきではないでしょうか。
#67
○参考人(黒田東彦君) 従来から、リスク要因という場合には、当然、内外の経済あるいは金融資本市場の動向、それが物価の安定に対してどのようなリスクになっているかという判断でありまして、いろいろな意見が出る際に、追加的な金融緩和について反対される場合には、そういった内外の経済のリスクというのは小さいので、ここで追加的な緩和をする必要はないという御議論が中心だったと思いますけれども、その他様々な議論が行われておりますので、委員御指摘のとおり、次回の金融政策決定会合によって承認されて議事要旨が出ますので、どういった議論の流れだったということはよく分かりますし、さらに、今年から、その前に、金融政策決定会合後にできるだけ早く決定会合で出た様々な意見の中から主要なものを取り上げて主な意見として公表しておりまして、マイナス金利付き量的・質的金融緩和の決定をされた会合における主な意見も既に公表されております。
#68
○藤田幸久君 では、今回の一月二十八、二十九日の政策決定会合で総裁が議決された報告をする前にその情報がマスコミに漏れた、その原因は追及、調査はできましたでしょうか。
#69
○参考人(黒田東彦君) この点につきましては、日本銀行内部、そして政府にも協力をいただきまして、その当時情報を知り得た全ての人に、政府の代表が必ず御承知のとおり金融政策決定会合に出ておりますので、その方を通じて政府の関係者が当然御存じなわけでございますので、そういうところも含めて政府の協力も得て、そういった報道をした報道関係者と接触したかどうかを確認いたしましたけれども、誰一人そういう接触をしたという人はおりませんでした。
 ただ、こういったことを踏まえて、更に情報についてより厳しく対応することにいたしまして、その対応ぶり等も既に公表いたしております。
#70
○藤田幸久君 財務副大臣と内閣府の副大臣、政府という場合にはその方だけでございます。その方々は少なくとも控室で携帯電話を置いていっている。
 今までこの政策決定会合の情報が公表前に漏れた事例はありますでしょうか。
#71
○参考人(黒田東彦君) かつて何度か例がございまして、機密の取扱いについて、より厳しくしてまいったわけでございます。
 なお、金融政策決定会合には内閣府と財務省の代表が出ておりますけれども、金融政策について変更があるような場合には、そういった政府からの出席者の方がそれぞれの大臣、関係者に御相談をされて、その後にそれを踏まえて政府としての考え方を述べられるというのが例でございます。
 そういう政策の変更がない場合にはそういうことはされませんけれども、政策の変更がある場合には通常そういう形にされておりまして、したがいまして、内閣府や財務省から出席されている方以外にも内閣府や財務省でその点を知っておられた方がおられるわけですので、そういう方も含めて内閣府、財務省において調査をしていただいたということでございます。
#72
○藤田幸久君 つまり人任せ。ある意味ではそれぞれにお願いしたんだろうと思いますが、内閣府あるいは財務省の中から漏れたと、つまり日銀ではないと。したがって、可能性があるとすれば副大臣あるいはその事務方、二つの省庁の関係者から漏れたという理解でよろしいんですか。
#73
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、政府の、内閣府、財務省でどの方が御存じだったかというのは私どもは分かりません。それは、それぞれ内閣府あるいは財務省で御存じであって、そういう情報を知っておられた方全ての方に確認して、当該報道関係者と接触したことはないという回答をいただいております。
#74
○藤田幸久君 日本銀行総裁、一万田総裁から十四名でございます。日本銀行の総裁というのは、本当に日本を代表する大変な政策決定をされる方であります。歴史に残るような方がたくさんいらっしゃいます。一万田元総裁はサンフランシスコ講和条約の政府委員でいらっしゃった。あるいは、前川レポートの前川さんとか森永総裁とかいらっしゃいます。
 黒田総裁がやがて歴史に残るわけですけれども、どういうふうに黒田総裁が日本銀行総裁として仕事をされ、どういった結果になったか。私は、その政策決定会合でこの四名の方が反対をされたというのは、リスク要因を考えたというのは、恐らく日本銀行の方々の中で多くは、先ほど何か国会のようにいろいろ皆さんの話を聞く、民主的なという話がありましたけれども、無記名で、日本銀行の行員に今の総裁がやっていらっしゃったこの政策、賛成か反対か無記名で投票をされてみたらどうですか。
#75
○参考人(黒田東彦君) そうしたことは全く考えておりません。
 なお、政策委員会のメンバー九名はそれぞれが独立して議論をし決定をするということになっておりまして、むしろ、例えば私が申し上げたこととか提案した案に対して当然賛成してもらわなければならないということはないわけでございまして、むしろこういったことで活発かつ丹念な議論が行われているということを御理解いただきたいと思います。
#76
○藤田幸久君 総裁、総裁が総裁になられてから取ってこられた政策というものが結果も出ない。そして、これは今までの日本銀行の政策をかなり変えてきたことがあります。そして、この金融政策、そして結果的にこの日本の実体経済が良くならない。そうすると、相当無理筋でやってきたこのやり方は後で相当修復をしなければいけない。そして、修復には随分時間が掛かる。そして、歴史的に黒田総裁というのは今までの総裁と違った評価を私は得るということは非常に残念でございます。
 先ほど来お話聞いておりましても、非常に正当性のある理由といいますか、非常に乏しい、非常に苦しい話でございます。どこかでそういったやり方を変えないと、この劇薬といいますか無理筋の手段、手段が先行して実体経済は良くならない。格差が拡大をする。そして、そのツケが余りにも大き過ぎる。そのことについて、本当に総裁は責任を取られるおつもりであるのか。そして、今後も総裁としてそういったことを続けるつもりであるのか。どこかで総裁自身が御自身の責任を判断して、そして決断をされる時期かと思いますが、いかがでしょうか。
#77
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げておりますとおり、二〇一三年の四月から執行してまいりました量的・質的金融緩和というものは、所期の効果を上げていると考えております。
 企業は、中小企業も含め過去最高水準の収益を上げておりまして、失業率は三・二%とほぼ完全雇用の状態にございます。そうした下で、一昨年の労使間の賃金交渉において約二十年ぶりにベースアップが実現し、昨年も多くの企業で一昨年を上回る賃上げが上昇しております。こうした中で、雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費は、天候要因などの影響を受けておりますけれども、底堅く推移しているということでございます。
 そして、消費者物価の前年比は、確かに生鮮食品を除く指数では、これは原油価格の下落でほとんどゼロで世界的に推移しておりますけれども、物価の基調が改善していることは事実でありまして、生鮮食品とエネルギーを除くベースで見た消費者物価の前年比は、量的・質的金融緩和導入以前はマイナスで推移していたわけですけれども、一三年十月にプラスに転じた後、二十八か月連続でプラスを継続しておりまして、最近では一%を上回る水準で推移しております。
 このように、物価水準、物価上昇が持続するのは九〇年代後半に日本経済がデフレに陥って以来初めてのことでありまして、先ほど申し上げたように、量的・質的金融緩和は成果を上げているというふうに考えております。
 私自身の評価については、これは自分で何か申し上げるのは僣越だと思います。
#78
○藤田幸久君 時間が大分たってしまったんで、塩崎厚生労働大臣、GPIFについて伺いますけれども、非常にハイイールド債の購入が多いと。これは、政府の説明でもかなりこのハイイールド債というものはデフォルトの可能性もあるとまで出ておりますけれども、これだけそのハイイールド債を購入しているということに対する危険性についてお答えをいただきたいと思います。
#79
○国務大臣(塩崎恭久君) ハイイールド債につきましてのお尋ねがございましたが、まず、一般の方々にはハイイールド債というのはどういうものかということが御存じじゃないかも分からないので一言だけ申し上げますと、格付の機関によって一定水準以下の格付とされる債券であるわけではございますけれども、流通をしているという意味においては八割方、九割方が大体BB格とB格というところでございます。流通していないものはなかなか購入することができませんので投資することもできないということでありまして、これに関して、どことは申し上げませんけれども、BB格、B格というのは、よく見れば大体皆さん方が御存じの国内の大手の会社の中にもございますし、それから世界の中でもどなたでも御存じのような会社がBB格、B格ということになっているところがあるという、そういうものがハイイールド債の対象になっているということを皆様方にまず御理解を賜れればというふうに思います。
 このリスクを抑えつつリターンの向上を図るために分散投資を行うというのが基本的な考え方でありまして、その様々な運用手法の運用機関をバランスよく採用しておりまして、昨年、GPIFが外国債券投資において低格付債も運用対象の一部に組み込むことを可能としたのが今申し上げたような分散投資の考え方からでございます。
 GPIFにおいて、運用受託機関ごとの運用状況については、市場への影響に鑑みて、事業年度ごとに作成する業務概況書で公表をしております。現段階において低格付債への投資額や割合などの運用状況は、これは事業年度ごとでございますので直ちにお答えすることは難しいわけでありますけれども、年金積立金の具体的な運用に当たっては、GPIFにおいて、外部の専門的な運用機関も活用しながら、デフォルトリスクも含めたリスク管理を適切に行いながら運用しておりまして、いずれにしても、リスクをきちっと管理し、そのリスクを抑えながらリターンの向上を図るために分散投資をしているということの中で、このハイイールド債と呼ばれているものにも投資の道を開いたということでございます。
#80
○藤田幸久君 厚労大臣、もう一つ。以前も厚生労働委員会で質問いたしましたが、片目失明者の障害基準について、資料をお配りしておりますけれども、これ六十数年間基準が変わっておりません。片目が失明であっても〇・六以上片方の目が見えると障害者基準に満たさないと。そのことについては今対応を始めていらっしゃるわけですけれども、進行状況についてお聞かせをいただきたいと思います。
#81
○国務大臣(塩崎恭久君) 平成二十六年の十月に参議院の厚生労働委員会で藤田先生から片目失明者の障害認定基準の見直しについて御指摘をいただきました。その際、私の方から、何分にも古い基準で半世紀以上たっているということで、専門家の方々の御意見をしっかりと伺って検証を重ねることがまず先で、できるだけ早くそのための調査検討に着手をすべきという答弁をしたところでございまして、視覚障害の認定基準については日本眼科学会と日本眼科医会の合同委員会において専門的な見地から検討が進められておりまして、現在その取りまとめの作業が行われているというふうに承知をしているわけでございます。
 厚労省としては、この検討結果を待って、御専門の先生方の御意見でございますので、その検討結果を待って、視覚障害の認定基準の在り方全般について関係団体や当事者の御意見もしっかりと伺って、検討を更に進めて結論を出してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#82
○藤田幸久君 時間も少なくなってまいりましたので、官房長官お越しいただいているんですが、二月二十七日の記者会見で菅官房長官は、消費税に関して、税率を上げて税収が上がらないようなところで消費税を引き上げることはあり得ないとおっしゃっておられますが、この真意、そして現在の状況との比較についてお話をいただきたいと思います。
#83
○国務大臣(菅義偉君) まず、私がそのように申し上げました。それは記者会見で聞かれたんです。記者会見の際に記者の方から、総理は、かねてからリーマン・ショックや震災というような言わば突発的な事情の変更のときは凍結する、しかし、今年になって、税率を上げて税収が上がらなければ意味がないと言っている、さらに、世界経済の収縮という文脈もありましたと。いずれにしろ、その中で、総理の答弁にありましたけれども、税収が上がらないような状況であった場合は凍結法案を出すという余地はあるんですかと聞かれましたので、税率を上げて税収が上がらなければそれは当然のことじゃないですかというふうに私は記者の質問に答えたということであります。
#84
○藤田幸久君 最後の質問ですが、国土交通大臣お越しいただいております。
 昨年の常総市を中心とした堤防の決壊等につきまして明らかになったことは、いわゆる無堤地域が非常に多い、茨城県だけでも四つの河川で無堤防地域が非常に多いと。そして、今回決壊したところも、県の管理の八間堀川も含めて非常に無堤防地域が多いと聞いておりますけれども、その割合とそれに対する対応についてお答えをいただきたいと思います。
#85
○政府参考人(金尾健司君) お答え申し上げます。
 茨城県に関わる国管理河川においての堤防がない区間及び必要な幅があるいは高さが足りない区間の堤防必要延長に対する割合でございますけれども、例えば鬼怒川では五七%、小貝川では三二%、那珂川では六三%、久慈川では七三%ということでございます。
#86
○国務大臣(石井啓一君) 昨年九月の関東・東北豪雨による災害を踏まえまして、施設では守り切れない洪水は必ず発生するとの考えに立ちまして、社会全体で洪水に備えるため、水防災意識社会再構築ビジョンを策定いたしました。今後、このビジョンに沿いまして、茨城県内の直轄河川である鬼怒川、那珂川等におきましても、無堤部の堤防整備を含むハード対策をソフト対策と一体となって取り組んでまいります。
 中でも大きな被害を受けました鬼怒川下流域では、国、茨城県、沿川七つの市町による取組を鬼怒川緊急対策プロジェクトとして今年度から実施をスタートしております。このプロジェクトの一環として実施する鬼怒川の河川改修は、今回の出水と同規模の洪水を安全に流すため、堤防整備や河道掘削等を平成三十二年度の完成を目指して進めることとしております。
 また、那珂川におきましても、平成三十二年度までに水戸市内の無堤部で約二・五キロメートル区間の堤防整備を実施するなど、今後も引き続き茨城県内の直轄河川における河川整備を進め、地域の安全、安心の確保に努めてまいりたいと存じます。
#87
○藤田幸久君 まだもうちょっと時間があると分かりましたので、防衛大臣にお伺いしたいと思います。
 資料も付けておりますけれども、最後から四枚目ぐらいから、これは小川和久さんという軍事アナリストのメルマガに出ておりますけれども、いわゆる海兵隊のヘリコプター部隊基地と地上部隊訓練場との関係でございますが、実は、いわゆる部隊基地と訓練場との間が、日本では六十五海里以内という話がずっと出ておりますけれども、実はアメリカ国内にもっと離れている場所があるという情報でございます。
 アメリカ・カリフォルニア州の海兵隊の地上部隊の訓練場、駐屯地というのは、ヘリ部隊基地のキャンプ・ペンドルトンから八十四海里、ミラマー基地から九十九海里も離れているということをこの西さんという研究家が言っているわけですが、これは事実関係、間違いありませんか。
#88
○国務大臣(中谷元君) 御指摘の米海兵隊の空地戦闘センターが所在するトゥエンティナイン・パームズ米海兵隊基地とキャンプ・ペンデルトン米海兵隊基地との間の距離は九十・四海里であります。また、トゥエンティナイン・パームズ米海兵隊基地とミラマー米海兵隊航空基地との距離は九十八・五海里と承知しております。
#89
○藤田幸久君 それから、日本では無給油で二時間以内ということが議論になっておりまして、したがって六十五海里以上には離せないという話だったわけですが、実際には普天間基地の海兵隊には二〇〇八年から無給油で三・三時間の飛行が可能なヘリコプターが配備されているということがこの情報にもありますが、これも間違いございませんか。
#90
○国務大臣(中谷元君) 普天間飛行場にUH1Yも配備されたと承知しておりまして、防衛省として最初にそれを配備を把握したのは二〇一二年でございます。
#91
○藤田幸久君 ということは、二〇一二年まで防衛省は気が付かなかったということでありますけれども、今の段階で考えてみると、アメリカにおいても六十五海里以上のそもそもそういうことが行われていて、今現在、普天間におきましても三・三時間飛行可能なヘリコプターがあるということは、今考えれば、いわゆる訓練の基地というのは六十五海里以上であっても可能ということでよろしいですか。
#92
○国務大臣(中谷元君) 政府といたしまして、私もそうですが、六十五海里標準というものが基準であったというふうには認識いたしておりません。
#93
○藤田幸久君 基準であったとは認識していないということは、アメリカ政府が言っている言っていないにかかわらず、当時いろいろ政府内では六十五海里以上は無理だというふうな議論があったことは確かでございますけれども、それを遡って否定をされるということですか。
#94
○国務大臣(中谷元君) これは前の政権での話でございまして、私といたしましては、この六十五海里が基準であるというふうには認識いたしておりません。
#95
○藤田幸久君 ということは、今後、日本政府の政策決定において、六十五海里以上、普天間からですね、のところに代替基地を建設をする、あるいはその一部をということも可能であるということですね。
#96
○国務大臣(中谷元君) 委員も御指摘のように、ヘリコプターの航続距離というのは年々長くなってきておりまして、オスプレイにいたしましても、このUH1Yにいたしましても、当時から比べますと能力は高くなってきておりまして、一概にいずれの距離が基準であるのか、私は、これ米国の決めることでございますので承知いたしておりませんが、そういう六十五海里が基準であるというふうなことも認識いたしておりません。
#97
○藤田幸久君 したがって、今後は六十五海里以上でも可能だということですね。
#98
○国務大臣(中谷元君) そのことは米国が決定することでありまして、日本政府としては承知していないということでございます。
#99
○藤田幸久君 最後に、その関係で、外務大臣、資料の後ろから二枚目ですけれども、これは、原口一博議員がこの間、予算委員会で質問したことに対する外務省からの理事会に出された文書であります。
 この六十五海里というものが当時議論になっていたということに対して原口議員が質問したところ、それに対して外務省から出てきた回答でございまして、これは当然大臣も承認をした文書だろうと思いますけれども、要求事項の下の三行の右の方、勝手に怪文書を出して当時の総理を惑わさせたと理解しており、指定期間過ぎたものは開示してほしいとありますが、原口議員は、委員会でそういった質問をしたことはないと言っております。
 これ、後に訂正したようでありますけれども、つまり、二月二十四日の段階で大臣はなぜこの文書を許可したんでしょうか。それから、怪文書という意味をお答えいただきたいと思います。
#100
○国務大臣(岸田文雄君) この要求事項の中身については、今までの様々なやり取りを踏まえて外務省で整理をして文書を作ったわけでありますが、それに対しまして、その御指摘の部分につきましては原口委員の方から指摘がありました。それを受けまして、二月二十六日付けで修正版を提出したと報告を受けております。
#101
○藤田幸久君 なぜそうなったのか。修正の前、なぜこの文書を出したんですか。
#102
○国務大臣(岸田文雄君) 今までの様々なやり取りを踏まえて外務省として整理をした文書が当初の文書でありました。その整理した文書について原口委員の方から指摘がありました。この指摘を踏まえて修正版を提出したというのが経緯だと承知をしております。
#103
○藤田幸久君 終わります。ありがとうございました。
#104
○委員長(岸宏一君) 関連質疑を許します。大久保勉君。
#105
○大久保勉君 民主党の大久保勉です。
 本日は、成長戦略、ICT社会への政府の対応に関して質問したいと思います。
 成長戦略というのは、アベノミクスの三本目の矢です。どうしてこの矢が飛ばないのか、どうしたら飛ぶようになるか、その観点で質問したいと思います。
 最初に、林経産大臣に質問します。
 鴻海がシャープに出資をし、子会社化する交渉が進んでおります。一方、日本政府が出資しております産業革新機構のジャパンディスプレイとシャープの液晶を統合して日の丸連合をつくるという構想は失敗に終わったことになりますが、御所見をいただきたいと思います。
#106
○国務大臣(林幹雄君) 産業革新機構の提案は、シャープとジャパンディスプレイの統合を意図したものであったとは承知しておりますが、シャープが様々な観点から検討を重ねた結果、鴻海提案の受入れを自ら判断したというふうに認識しているところでございまして、我が国経済の活性化という観点からは、資金の出し手が外資かどうかということではなくて、我が国において最先端の研究開発が行われて、それをベースに新たなイノベーションが生まれることが重要だというふうに考えておりまして、鴻海による投資が液晶事業を含むシャープの成長、ひいては我が国経済の活性化につながるよう期待しております。
#107
○大久保勉君 大臣の答弁と私も同じ考え方なんですが、あえて質問したいと思います。
 まず一点目は、最先端の液晶技術が海外に流れてしまう、この懸念はありませんか。
#108
○国務大臣(林幹雄君) 一般論としては、産業革新機構はオープンイノベーションの観点から支援の提案を行うものであり、技術流出の防止のためではないというふうに思っています。
 シャープの交渉によりますれば、鴻海との間では、シャープの日本における研究開発、製造機能を維持をして、コアの流出を防止するために相互に協力するという旨の確認ができているということでありまして、経産省としては見守っていきたいと思っています。
#109
○大久保勉君 是非技術流出がないように、若しくはしっかりと更に最先端技術を研ぎ澄ますように、経産省としてもしっかり見てもらいたいと思います。
 関連しまして、液晶分野で鴻海・シャープ連合というのが強力になります。その観点で、ジャパンディスプレイ、これは政府が出資しております。そちらの再建が黄色信号になるということはないですか。
#110
○政府参考人(安藤久佳君) お答え申し上げます。
 今御指摘のジャパンディスプレイにつきましては、今後どのような発展を遂げていくかにつきましては、当然のことでございますが、ジャパンディスプレイの経営陣が判断するお話でございます。
 他方、これまで産業革新機構等々で支援をしてきた経緯がございますので、経済産業省としてもしっかりその行く末を、あるいは今後の発展を見守って、必要があれば様々な政策手段を導入させていただきたいと、このように考えております。
#111
○大久保勉君 林大臣、産業革新機構には政府の金が出資されています。大臣の見解を、もし焦げ付いたらどうなりますか。
#112
○国務大臣(林幹雄君) 先ほどお答えをいたしましたけれども、産業革新機構はシャープとジャパンディスプレイの統合を意図したものでありましたけれども、シャープが様々な観点から検討を重ねた結果、鴻海の提案を受け入れて自ら判断したものと認識しておりまして、最先端の研究技術が行われ、それをベースに新たなイノベーションが生まれることが重要だと思っておりまして、液晶を含むシャープの成長、あるいは我が国経済の活性化につながるよう期待しているところでございまして……(発言する者あり)
#113
○委員長(岸宏一君) 経済産業省、じゃ、名前を言って答えてください。(発言する者あり)まず答えてから。どうぞ答えて。
#114
○政府参考人(柳瀬唯夫君) お答え申し上げます。
 産業革新機構、官民ファンドでございます。したがって、投資先が成功する場合、失敗する場合ございますけれども、経営支援などを行いまして、最大限投資が成功するように必要な支援をやってまいりたいということでございます。
#115
○委員長(岸宏一君) いいですか。
#116
○大久保勉君 はい。
 じゃ、林大臣に言いますが、あなたが当事者ですから、どうしますか。(発言する者あり)
#117
○委員長(岸宏一君) ちょっと、じゃ、大久保さん、もう一回言ってください。大久保勉君、どうぞ。(発言する者あり)ちょっと聞いてください。
#118
○大久保勉君 政府資金が焦げ付いた場合は多大な国の損失です。あなたの責任ですが、どうされますか、そうならぬように。
#119
○国務大臣(林幹雄君) そういうふうにならないように、最大の努力をしていきたいと思っています。
#120
○大久保勉君 心もとないんですが、次に進みます。
 シャープの鴻海への身売りに象徴されますように、実は日本の半導体、携帯産業は、米国、韓国、中国、台湾企業に対して競争力をなくしています。その敗因に関してどのような分析をされているのか。特に自動車産業、ここは比較的好調です。その比較において御所見をいただきたいと思います。
#121
○国務大臣(林幹雄君) エレクトロニクス産業は国際的な分業が進んでおりまして、言ってみれば、企画、設計から販売、サービスといったように付加価値の高いところが集中する構造になっております。そういう中で、一つの例でいうとアップル社は、やはりこういう企画、設計、販売、サービスといった部門に特化しておりまして、業績を上げております。
 鴻海のように組立て事業者は一商品当たりの付加価値が必ずしも高くないんですけれども、その規模を拡大をいたしまして急成長しているということでございまして、このような産業構造が進んでいる中で、やはり我が国は全て自社で行うという一貫した体制から集中と選択をしていくというのが非常に大事な要素だろうと考えておりまして、いずれ自動車産業もそういうふうな方向でいろいろ行く道も探っているのではないかというふうに思っております。
#122
○大久保勉君 私の質問は、どうして自動車産業はまだ競争力があるのか、電子産業はどうして競争力がないのか、そこに対して質問します。
#123
○国務大臣(林幹雄君) 今申し上げましたように、エレクトロニクス産業に関してはいろいろな分業が進んでおります。自動車産業は、分業というよりも、むしろ海外進出というか需要者が多いところでその製品、完成化を目指して進めているというような違いがあるのではないかと思っています。
#124
○大久保勉君 いや、是非大臣には、すり合わせがあるのが自動車産業で、極めて電子産業とはまた違う部分がありますが、これから深い質問をしていきますが、もしかしたらそのすり合わせ技術が要らないような産業が出てきます。モジュール化と言ったり、若しくは電気自動車、若しくは自動運転、その辺りをしっかりと分かった上で議論したいということで質問しました。
 時間はもうちょっとよろしいですか、それとも……
#125
○委員長(岸宏一君) 午後にしますか。
#126
○大久保勉君 終わりにします。
#127
○委員長(岸宏一君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#128
○委員長(岸宏一君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成二十八年度総予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。
 藤田幸久君の関連質疑を許します。大久保勉君。
#129
○大久保勉君 午前中、林大臣と質疑をしましたが、実は、経産省の方としっかりと質問レクをしておりまして、資料一を御覧ください。これを見ながら、どういったことになっているかということをもう一度復習したいと思います。
 参考人の方、このアイフォンのトータル・ビジネスコストの構造に関して説明をお願いします。
#130
○政府参考人(安藤久佳君) 御説明申し上げます。
 今御提示の資料でございますけれども、東京大学の小川教授の資料を基に作成をさせていただいたものでございます。二〇一二年段階におきますアップルのアイフォンの最終販売価格五百六十ドルを各行程のプレーヤーごとに分析をいたしまして、その内訳を示させていただいたものでございます。
 まず、一番上を御覧いただければと思います。
 店頭販売価格の五百六十ドルのうち三百七十ドルがアップルからのアイフォンの出荷価格でございます。残りの百九十ドル、内訳といたしまして百三十四ドルと五十六ドルに分かれておりますが、店舗及び流通にわたっていることを示しております。これが一番下の表の右でございますけれども、販売・サービスの部分に相当をしているものでございます。
 次に、二番目の行でございますけれども、アップルからの出荷価格であります三百七十ドルのうち百九十二ドルがアップルがアイフォンを調達する価格でございます。残りの百七十八ドルがアップルの粗利益、マージンであることを示しております。これが一番下の表の左にございますアップルが担っております設計・企画の部分に相当するものでございます。
 残りの下二行でございますけれども、部品メーカーと組立て事業者が残りの百九十二ドルを分け合っておりまして、うち百七十八ドルが多数の部品メーカー、残りの十四ドルが組立て事業者であることを示しております。これが、一番下の表の真ん中にございますが、部品及び組立てに相当するものでございます。
 以上でございます。
#131
○大久保勉君 経済産業の事務方、本当にいい資料を作ってもらっているんですが、これを見たら水平分業が分かります。これまで日本の家電メーカーは全部自分たちで行っておりましたが、これを、設計・企画、部品、組立て、販売等に分けて、一番もうかるところを自分たちが押さえると。ですから、設計・企画、アップルが全体の三一・八%を押さえて、販売ももうかるということで三三・九%の一部を押さえている、アップルストアと。残りの分は全てアウトソーシングしていると。
 先ほど大臣の方から、組立てをしておりますのが実は鴻海、フォックスコンというブランドですが、実は二・五%の付加価値しかありませんが独占的に行っていまして、中国には百二十万人の従業員を抱えています。全世界でかなりの従業員がいます。そこで相当の収益を上げていると。
 実は、中間部品に関しましては三一・八%、そこそこの利益ですが、実はアイフォンには千個の部品、バッテリー、カメラ、若しくはコンデンサー、ディスプレーメモリー、大体五〇%が日本製と言われておりますが、ここが多数の企業で、それも相当、競争入札ということでなかなかもうからないと、こういう構造になっています。こういった状況において日本企業はどういう形で生き残っていくのかと、こういったことを質問したわけであります。
 ですから、先ほどの繰り返しも兼ねて林大臣に質問しますが、日本の半導体、携帯等の産業が水平分業へのパラダイムシフトに乗り切れていないという指摘がありますが、この点に対する御所見を伺います。
#132
○国務大臣(林幹雄君) 先ほども一部答弁をさせてもらいましたけれども、日本はどちらかというと一貫して自社で行う体制で取り組んできまして、このような国際的な分業で進めているというのに乗り遅れたというか、それで競争力が低下してしまったというふうな状況であると思います。ただ、足下では、同じ産業でも選択と集中を進めまして、こうした取組進めて業績が回復している企業もあるわけでございます。我が省としても、この選択と集中や事業連携、再編、研究開発等への前向きな投資に果敢に取り組めるよう、今後とも支援してまいりたいと思っています。
#133
○大久保勉君 質問通告していないんですが、もしコメントがあったら、麻生大臣と石原大臣にお願いしたい、なくても結構です。といいますのは、アベノミクスにも関連しているんですが、円安にしました、ところが日本の輸出は伸びていないというのは、こういった構造があるからです。つまり、組立てに関してはもう全部外注しておりますから、少々円安にしましても、日本で生産が戻ることはなかなかないんです。
 麻生副総理は、実はBEPSに関して日本は相当頑張っています。実は、アップルはアメリカの会社ですが、実際のこういった生産に関しては海外の子会社等でやっております。非常に専門的な話なんですが、ダブルアイリッシュ・ウイズ・ダッチサンドイッチといいまして、アイルランドと、あとダッチ、オランダの税制を使って、事実上は税金を払わないような形になっています。こういったことを理解しておかないと、日本の税を下げたとしても、なかなか税収が出てこないと。こういったことをまず理解しておかないと、成長戦略というのはなかなかできないということで、ちょっと説明したわけなんです。
 ちょっとここは質問通告はしておりませんから、もしコメントがあったらお願いします。なかったら結構です。
#134
○委員長(岸宏一君) ありませんね、ありますか。麻生財務大臣。
#135
○国務大臣(麻生太郎君) 今更始まったことじゃないんであって、前からこういう形になっておるのはもう業界におられる方々はほとんど知っておられると思っております。
 日本の場合は、物を作るという、この部品を押さえているというのは、ある意味、逆にいろんなアイデアが出てもそれを実際作ってみせてのけているのは日本。圧倒的にこの力が強いのだけははっきりしておると思っておりますが、これをさらにもうかるようにしていくためにはどうしていくかというところが一番問題で、下手するとカルテルになりますから、ここが難しいところだと思いますけれども、基本的にこの物づくりというのを押さえているというところはすごく大事なところだと思っています。
#136
○国務大臣(石原伸晃君) やっぱりこの説明の中で考えていかなければならないのは、デファクトスタンダードをしっかり押さえて基幹部品を押さえていけば日本にはまだまだ発展の余地があると、今、麻生大臣の方から御答弁させていただきましたように、このことは日本のメーカーも承知しておりますので、更なる期待を持って見ていきたいと思っております。
#137
○大久保勉君 もうおっしゃるとおりで、そこをどうやって霞が関が、若しくは私ども国会が理解して応援していくかということで、今日の議論となります。
 部品を作っていてももうからなかったら意味がありませんから、どうやってスタンダードを作っていくか、その観点に関して次の質問なんですが、将来、自動車産業におきましても自動運転、電気自動車が主流になった場合に、グーグルなどのIT企業がOSを押さえたり、テスラなどの新興企業が自動車産業を席巻する可能性もあります。ですから、そのときに日本はどのように防衛するのか、この点に関して林経産大臣に質問したいと思います。
#138
○国務大臣(林幹雄君) 先生おっしゃるとおりだと思います。つまり、自動車産業においても、デジタル化の進展に伴いましてエレクトロ産業と同様の事態が生じる可能性があるのではないかという問題意識を持っておるわけでございまして、そうした状況においては、やはり競争力の源泉といいますか、他のメーカーにまねのできない技術を保持すること、部品もその一つだと思いますけれども、それから、やはり迅速な経営判断を行う、いろんな強みのある分野に集中的に経営資源を投入するということになろうかと思います。
 政府としても、そういうためにも、産総研において、AIセンターにおける研究開発税制等の各種支援策を通じて各企業の取組を支援していきたいと思っていますし、経営者の判断を支援、後押しするために、産業競争力強化法の支援策を用意して企業のガバナンス強化に取り組んでいっているところでございます。
#139
○大久保勉君 次に、自動車産業においていかに競争力を確保するかという観点から、自動運転に関して質問したいと思います。
 これは一月十九日に石破大臣に質問したんですが、そのおさらいを兼ねまして、私の理解でしたら、完全自動走行に向けた国家戦略プロジェクトは実は絵に描いた餅じゃないかと思っています。といいますのは、完全自動運転、技術的にはレベル4と言っていますが、これは全国今はどこでもできない、しかし、その一歩手前のレベル3に関してはどこでもできると、こういう理解でよろしいでしょうか。
#140
○委員長(岸宏一君) 石破経済再生、地方財政担当大臣。
#141
○国務大臣(石破茂君) いろんな大臣がおりますので、失礼をいたしました。
 現在、レベル4を目指した実証実験というものを行っておるところでございます。レベル4を見据えた安全性に関するデータ収集等に必要な公道実証実験及び東日本大震災の被災地の災害危険区域における公道以外の実証実験というのを行っておりまして、どこでもできるといえばどこでもできるんですが、しかし、レベル3になりましても、レベル3は、委員よく御案内のとおり、システムが要請したときだけ運転者が関与をするというものでございます。走る、止まる、曲がるという三つの全部システムが行うものですが、システムが要請したときだけ人が関与するというものでございます。ですので、どこでもできるということは理論的にはそうなのですが、現在限られたところで行っているという状況でございます。
#142
○委員長(岸宏一君) 失礼しました。国家戦略特別区担当大臣でした。
#143
○大久保勉君 確認したかったのは、もう一つ、レベル4はどこでもできないんですか。
#144
○国務大臣(石破茂君) レベル4を目指してやっております。ただ、現在のところレベル4を目指してやっておる、つまりレベル4に移行すべく、レベル3の確実性といいますか、実効性といいますか、それを実証実験を行っているところでございます。今の時点で運転者が全く関与しないという形でのレベル4というのを行うことはいたしておりません。
#145
○大久保勉君 実は、一年前の近未来技術実証特区検討会第三回の議事録があります。これは通告しておりますから、平副大臣の挨拶を読み上げてください。
#146
○政府参考人(佐々木基君) 御指摘の発言につきましては、平成二十七年二月二十七日に第三回近未来技術実証特区検討会でのものでございます。
 議事録を読み上げさせていただきます。
 私の考えを申し上げると、最初からレベル4なのです。今の枠組みの中で何をやろうかとなると、つまらない話になるということです。
 それと、目の前でできる規制と、将来的にやるべき規制というのは両方あると思うので、これは腰を据えてやらなければいけない。標準化の問題がありましたけれども、これは先行してイノベーションが起きて圧倒的に有利になれば、それは逆に技術が後から追ってくる。だから、世界が後から日本の技術を導入するために標準化を変えなければいけないということにもなるので、大事なのは、やり始めることと、見える化するということと、その上でどういう規制が各省庁に何があるのかというのを顕在化させるということだと思うのです。ですから、そういった意味では、この自動運転は地域、ある場所を決めて、そこでどんどんやってみる、実証実験をやってみる。
 以上でございます。
#147
○大久保勉君 ありがとうございます。
 平副大臣はレベル4でやると言っているのに、その上司たる石破大臣はできないと。どういうことなんですか。
#148
○国務大臣(石破茂君) 平さんは、私が最も信頼する非常に見識の高いシャープな方であります。私が最も信頼する同僚の一人であります。
 平さんが言っているのは、何でもかんでもやればいいというものではないと、しかし、レベル4というものを実現するということは絶対にやるのだという強い意思を持ってこの発言をしたのでありまして、私も昔、規制緩和委員長というのをやったことがありますが、社会的規制と経済的規制とございます。社会的規制は人の命とか身体、生命の安全とかそういうものに関わるものでございますので、レベル3をすっ飛ばしてレベル4という話には相なりません。私どもとして、これからまた御質問があろうかと思いますが、道路交通法の改正あるいはジュネーブ条約にどのようにして私どもの意見を入れるか等々、そういうことはそういうこととしてやりながら、レベル4に到達するのが一日も早かるべく、レベル3の実証実験をきちんとやっていくということでございます。
 ですから、平さんも、レベル2、レベル3をぶっ飛ばしてレベル4をやるのだという意味で申し上げたのではございません。
#149
○大久保勉君 若干違うニュアンスに聞こえますが、百歩譲りまして、じゃ、石破大臣、あなたがレベル4を実施する法律を出すことはできますか。
#150
○国務大臣(石破茂君) これは、法律は、委員御案内のとおり、閣議決定をして内閣として出すものでございます。ですから、これは所管大臣、道路交通法であれば国家公安委員長ということになるのでしょうか、あるいはジュネーブ条約の整合ということであれば外務大臣の所掌ということに相なります。
 ですから、これを可能にする法律というものを内閣として出すということは極めて重要なことであり、そのために閣内で協力をしながらやっていくということであります。
#151
○大久保勉君 実は今日、関係の河野大臣若しくは岸田大臣に来てもらいました。元々は総理大臣がいらっしゃるということで質問を考えたんですが、実は、今回の難しさというのは、各役所がいろんな権限がありまして、なかなか調整が難しいと。更に条約があると。ですから、レベル4というのはなかなか厳しいと。でも、ここをしっかりとクリアしないと、先ほどのアップルの携帯電話と同じように、いわゆる標準化が取れないとか、若しくは競争に負ける、自動車産業も厳しくなると。こういった意味で、是非成長戦略を行うんだったらしっかりとやってほしいと、こういう応援の意味も含めて質問しております。
 じゃ、技術的な難しい点に関して質問しますが、岸田大臣ですか、実は米国は、無人運転に関する米国道路交通局は、グーグル無人運転自動車、人工知能、AIを運転者と解釈したという報道があります。つまり、自動車を運転するのには運転者が必要だと、その運転者というのは、日本の解釈は自然人なんですが、一歩超えて、グーグルの人工知能が運転者と認定したという報道があります。このことに関して、真偽のほど、教えてください。
#152
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のこの米国当局によりますグーグル社への回答ですが、これ、同社が現在開発、実験中の自動車に米国連邦自動車安全基準を適用する際の解釈について述べたにとどまるものであるという説明を受けています。ジュネーブ条約の解釈に係る米国政府の正式な立場を代表するものではないという説明を我が国は米国から受けております。
#153
○大久保勉君 じゃ、念のためですが、米国もジュネーブ条約の解釈としては、運転者というのは自然人であるという解釈ですか。
#154
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほどの回答については、米国政府の立場を説明したものではないという説明を我が国は受けております。
 そして、この議論につきましては、条約改正の議論が国連欧州経済委員会の道路交通安全作業部会で行われています。そして、その参加国の大宗の意見においては、これ改正が必要であるという意見であると認識をしております。
 我が国としては、道路交通に関するジュネーブ条約第四条に規定する運転者とは自然人を想定している、こういった立場に立っていますが、いずれにしましても、今議論が行われておりますので、ちょうど今月から我が国も正式なメンバーとして認められました。是非この条約改正の議論に貢献していきたいと考えます。
#155
○大久保勉君 この場といいますのが、国連欧州経済委員会、つまり欧州の委員会で議論をされています。やっとこれから日本が参加すると。ということは、日本は一回も参加したことはないですね、これまで。
#156
○国務大臣(岸田文雄君) 従来から我が国も、この議論の重要性に鑑みて正式メンバーになることを目指してきました。二月にようやく決定がなされて、三月のこの会議から正式メンバーとして参加することが認められたというのが今日までの経緯でございます。是非、三月以降、正式なメンバーとしてしっかり議論に貢献したいと考えます。
#157
○大久保勉君 外務省からいただいた資料なんですが、念のために確認しますが、この委員会には、アメリカ、カナダ、あとは自動車が強いドイツ、さらにはフランス等が入っていますか。これは参考人でも構いません。
#158
○政府参考人(豊田欣吾君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のありましたアメリカ、カナダ、そして欧州の諸国がメンバーとして入ってございます。
#159
○大久保勉君 実は、ここが国力の差とも言えます。伝統の差かもしれませんが。つまり、標準化が重要だということで、こういったことをヨーロッパは欧州の会議でもって議論しようという場をつくっています。アメリカはちゃんと入っていると。そこに、実は日本はこれから参加できたということで非常に、私は、いいことでありますが、これまではそういった標準化に関しては後れを取っていたと。ここは現状認識が必要です。
 ここは、河野大臣がいらしていますが、恐らく警察から人を派遣すると思いますが、どういった人が派遣されるか。
#160
○国務大臣(河野太郎君) 日本も正式なメンバーになりましたので、警察から専門的な人間を、外務省とこれは兼任に、兼務という形になるのだと思いますが、そういう人間をこれから派遣をしてこの議論に当たらせたいと思います。
#161
○大久保勉君 極めて重要な役割になりますから、是非ともえりすぐった人を派遣してください。お願いします。
 次に、報道によりますと、二〇二〇年までにレベル4の完全自動運転を一般公道で解禁するのが政府の公約と聞いております。そのためには、先ほどのジュネーブ条約の改正、道路交通法の改正が必要と思いますが、大丈夫ですか。これは石破大臣と河野大臣、それぞれに聞きます。
#162
○委員長(岸宏一君) まず、じゃ、石破国務大臣から。
#163
○国務大臣(石破茂君) そこを目指して政府として頑張っていかねばならぬということですので、どうぞこれからも御教示賜りたいと存じます。
#164
○国務大臣(河野太郎君) 警察庁といたしましては、交通安全に資するという観点からも、この自動運転をなるべく早く実現をさせてまいりたいと思っております。
 現在は、実証実験をやるためのガイドラインの制定をすべく、しっかり検討をしております。また、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックにおいて条約の範囲内で無人自動走行による移動サービス、ロボットタクシーと言われているものでございますが、これは遠隔操縦を通じてレベル4に当たらないというものを実証実験として、あるいは具体的な事業としてやるというようなことを検討しております。
#165
○大久保勉君 ここは成長戦略上極めて重要ですから、是非頑張ってもらいたいと思います。
 続きまして、同じようなITを使った新しい技術ということで、資料の二というのを御覧ください。
 こちらは、大規模オンライン大学講座というもので、MOOC、マッシブ・オープン・オンライン・コースというものです。教育分野における黒船と言われるものであります。文科省の協力で、各大学の方から、スーパーグローバル大学創成支援事業の中の予算でMOOC関連の実例をいただきました。
 簡単に説明してもらってもよろしいですか。
#166
○政府参考人(常盤豊君) お答え申し上げます。
 スーパーグローバル大学創成支援は、我が国の高等教育の国際競争力の向上を目的といたしまして、徹底した国際化を進める大学を支援する事業でございます。平成二十六年九月に三十七大学を採択をいたしまして開始をいたしました。配付いただきました資料のとおり、この事業を通じまして十八の大学がMOOCに関連する取組を実施する計画でございまして、既に十二の大学が自らの大学の講義を配信する取組を開始していると承知をしております。
 具体的には、資料の二の二の方になろうかと思いますが、その中で、例えば東京大学の一番上の行のところでございますけれども、東京大学がこのコーセラというプラットホームを用いまして英語で配信をいたしておりますフロム・ザ・ビッグバン・ツー・ダークエナジーという、この宇宙物理学に関する講座でございますが、東京大学の村山斉教授による無料オンライン講座でございまして、四週間にわたって英語で授業が行われます。インターネット接続環境さえあれば世界中どこからでも受講できまして、いつでも受講可能であるということで、二〇一三年の講座開始以来、受講者数は全世界で八万人を超えているという状況でございます。このほかに、海外の大学のオンライン上の講義を反転授業で活用することを計画している大学もございます。
 このように、米国のプラットホームに日本の先駆的な大学が参加をしてきております。また、日本独自の組織が設立をされて、多くの大学が参加してきているというのが現状でございます。
#167
○大久保勉君 ありがとうございます。
 特にコーセラとかエデックスというのがありますが、アメリカの主要大学、ヨーロッパの主要大学も開放しておりまして、世界中の人が見ることができると。そういう意味では、海外に留学しなくても簡単に海外の授業が聞けて、かつ単位までもらえるといった状況ができています。大学によっては、こういったビデオを見て、それを使って実際の議論をすると。反転授業と言っています。
 こういったことに関して、馳文科大臣に質問しますが、日本の大学ではこの分野で欧米の大学に劣っていると思われています。また、大学の授業形式も反転授業という、あらかじめMOOCの講座を自宅で見て、その内容を実際の大学の先生と生徒で討論する、こういった形式ができています。そこで、日本の高等教育に関してMOOCをどのように位置付けるか、大臣にお尋ねしたいと思います。
#168
○国務大臣(馳浩君) インターネットで誰もが無償で視聴が可能なオンライン講座であるMOOCは、大学が持つ最先端の知を広く発信することを可能にするものであります。我が国の大学教育については、これまでのところ教室での講義中心の授業が主流であり、学生が主体的に学習するアクティブラーニングへの展開が求められております。
 こうした観点から、MOOCの活用を通じていわゆる反転授業のような授業方法の改善を目指すことは、教育上の効果を上げるという点で大変意義のあることと考えております。MOOCの活用により大学の知を世界に開放するとともに大学教育の質の向上を図ることは、第二期教育振興基本計画にも位置付けられております。
 現在、我が国の幾つかの有力大学においてMOOCを活用した授業を行うことも検討されているところでありまして、文科省としても、大学改革を支援する各種の事業等を通じてこうした取組を促してまいりたいと思います。
#169
○大久保勉君 是非頑張ってもらいたいと思います。
 続きまして、石井国交大臣に質問したいと思いますが、実は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催を前にして、外国人旅客の受入れ体制の強化が必要であると考えております。特に、航空旅客の安全や航空保安への対応について、テロ対策や国家レベルの課題であると考えております。
 このことに関して、国土交通省の所見を聞きたいと思います。特にこういった航空保安が、国の責務として航空保安を行い、そして財源は、利用者、事業者の責任に基づく体制を改め、航空事業者の経営状況による影響を受けない状況でしっかりと国がコミットすると、こういったことに関してどう思われるか、質問します。
#170
○国務大臣(石井啓一君) 従来の航空の保安検査は、ハイジャック対策として航空会社が検査機器を設置し、その費用は空港管理者と航空会社が二分の一ずつを負担をしてまいりました。
 今回、今委員御指摘のとおり、国際テロの脅威が高まる中で航空保安対策の強化を速やかに進めることが喫緊の課題となっておりまして、先進的なボディースキャナーを二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックまでに国内の主要空港に導入することとしております。このボディースキャナーの導入につきましては、これの導入を着実に推進するための措置として、また従来のハイジャック対策のみならず国際テロ対策として活用するということから、国の費用負担を導入をいたしまして、国と空港管理者が導入に係る経費を二分の一ずつ負担をするということにしているところでございます。
 今後とも、航空会社を始め関係者と連携を深めつつ、国として責任を持って航空保安対策に万全を期してまいりたいと存じます。
#171
○大久保勉君 是非、国の関与、そしてしっかりとした支えをお願いしたいと思います。
 次に、大きく変わりまして、いわゆるアベノミクスの一本目の矢であります金融緩和、国内外の金融、株式、そして原油も下がっておりますから、こういったことに対して政府の認識をお尋ねしたいと思います。
 最初に、石原大臣に質問したいと思いますが、実は今回、中央銀行の間ではホテル・カリフォルニア化というのが言われています。そこで、ちょっと質問したいと思いますのは、一九七〇年代後半に世界中でヒットしたイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」という曲を聴いたことございますか、若しくは歌詞を知っていたら。
#172
○国務大臣(石原伸晃君) 世代が一緒でございますので存じております。歌は下手なもので政治家になりました。
#173
○大久保勉君 じゃ、済みません、ホテル・カリフォルニアに泊まったことあります。
#174
○国務大臣(石原伸晃君) たしか、実在しないホテルではなかったかと存じます。
#175
○大久保勉君 さすが詳しいですね。いや、実は、今日、ホテル・カリフォルニアにもしかしたらお泊まりの方をお呼びしておりますから、そのことに関して議論していきたいと思います。
 実は、ホテル・カリフォルニアといいますのは、好きなときにチェックアウトできるが決して立ち去ることはできない、こういったホテルです。この表現を使った人は、最初に使ったのはダラス連銀のフィッシャー総裁です。非常に真面目な議論の中で、中央銀行の金融緩和というのは、いつでもチェックアウトはできるんだけど、決して立ち去ることはできないんじゃないかと。つまり、日銀の金融緩和も一旦入ったらもう出ることができないんじゃないかと、こういったことで議論したいと思います。
 やはり、アベノミクス担当の石破大臣、このことに関して何か御所見、あっ、済みません、石原大臣、何かございますか。つまり、アベノミクス一本目の矢というのは量的・質的緩和、さらにはマイナス金利付きの緩和ということですから、異次元ですよね。本当に出ることできますか。
#176
○国務大臣(石原伸晃君) アベノミクスが、金融緩和、今委員が御指摘になられました質的・量的、そして今度マイナス金利というものが入った異次元のと形容される政策によってデフレからの脱却を目指しているというのは、もう御承知のとおりだと思います。
 そんな中で、この金融政策をどうすべきかということを再生担当大臣として申すことは日銀の所管事項に足を踏み入れるということですので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
#177
○大久保勉君 それでは、黒田総裁に質問したいと思いますが、前回も、八十兆円の国債を買い続けると、ずっと買い続けていますが、二〇一五年と二〇二〇年の国債保有残高、日銀の残高、そしてGDP比、若しくは国債発行比率に関して、どのくらいになるかというのを質問しました。これに関して分かったでしょうか。
#178
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、量的・質的金融緩和の下で、長期国債について保有残高が年間約八十兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行っておりまして、この結果、日本銀行の長期国債の保有残高は、二〇一五年十二月末で二百八十二兆円となっております。これを長期国債の発行残高に占める割合で見ますと三三%、また名目GDP比率で見ますと五六%となっております。
 なお、御指摘の二〇二〇年末におけるこれらの値について、現時点で申し上げることはできません。これは、日本銀行では先行きの金融政策運営について、二%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点までマイナス金利付き量的・質的金融緩和を継続するという方針を明らかにしております。したがって、御質問の二〇二〇年末における日本銀行の国債保有残高というのは、今後の経済・物価情勢の展開、あるいはその下での日本銀行の金融政策によって変わり得るものであると考えております。
#179
○大久保勉君 ですから、私が言っているのは、仮に八十兆円毎年買い続けたらということです。それでもできないんですか。
#180
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げておりますとおり、現在の八十兆円に相当するペースで年間国債を買い入れておりますのは、あくまでも二%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続するということであります。したがいまして、二〇二〇年度末の数字というのは申し上げられません。
 なお、御案内のとおり、日本銀行は現在の見通しとして二〇一七年度前半頃に二%に達する可能性が高いというふうに申し上げております。
#181
○大久保勉君 実は資料を出せないのは別なところに理由があるんじゃないでしょうか。例えば岩田一政元日銀副総裁の発言があります。二〇一七年夏には国債購入の限界が来るとおっしゃっています。どう思いますか、この件。
#182
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げておりますとおりの量的・質的金融緩和を導入しておりまして、これを実行し、そして二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するということでありまして、その面で量的・質的金融緩和に限界が来ているということはないと思っております。
#183
○大久保勉君 いや、非常に限界が来ているんじゃないかと思います。
 例えば一例、資料三を御覧ください。これは事前に通告しておりますから、どうして一月二十九日に突然マイナスの金利を決めたか、日銀の参考人若しくは総裁、説明お願いします。資料三の説明です。
#184
○参考人(黒田東彦君) 前回の金融政策決定会合におきまして、マイナス金利付き量的・質的金融緩和を導入いたしましたのは、従来から説明しておりますとおりの状況で決定したわけでございます。
 なお、この資料にございますとおり、一月二十一日の午後一時からの国会におきまして、御質問にお答えして、「いろんな意見はあると思いますけれども、現時点ではマイナス金利ということを具体的に考えているということはございません。」というふうに申し上げました。
 その後、これもこの資料にございますとおり、当日の深夜というか翌日の午前一時五分に羽田を立って、ダボス会議に出席するために海外に出張したわけでございますけれども、その会議に出張する前に、帰国した後、仮に追加緩和を行うとした場合の具体的オプションを検討するように事務方に指示したことは事実でございます。
#185
○大久保勉君 出張前ということですが、それは江崎委員の、マイナス金利は具体的に考えていないと言った前ですか。
#186
○参考人(黒田東彦君) その後でございます。
#187
○大久保勉君 実は、この後に経済財政諮問会議に五時十五分から六時まで出席されております。その前に指示されましたか。
#188
○参考人(黒田東彦君) 当日の夕方、経済財政諮問会議に出席したことは事実でございます。その前にもその後にも、日銀のスタッフとは連絡を取っております。
#189
○大久保勉君 私の質問に答えていないです。経済財政諮問会議の前ですか。
#190
○参考人(黒田東彦君) 部内でいろいろな議論を事務方といたしておりまして、先ほど申し上げたとおり、国会の答弁の後、当日の深夜というか翌日の早朝にダボス会議の出張に行くまでの間に事務方に指示したということでございます。
#191
○大久保勉君 今日は時間がありませんから後で財金でもう少し詳しくしたいと思いますが、資料の一番下を見てください。
 実は、事務方の方は、二〇一四年六月のECBマイナス金利政策決定を受けて様々な研究をしているんです。今回の政策決定、かなり精緻なんです。だから、すぐに、恐らく一月二十一日、江崎さんの答弁で、ないよと言ってすぐに検討させて実現できるようなものじゃないか、若しくは日銀のスタッフが相当優秀か、どちらかだと思います。やはり日銀の政策に関しては非常に重要だと思いますから、是非ちゃんとした説明をお願いしたいと思います。
 これは通告しておりますが、例えば日銀法の第三条二項に関して、どういうことが書かれていますか。
#192
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行法第三条第二項には、「日本銀行は、通貨及び金融の調節に関する意思決定の内容及び過程を国民に明らかにするよう努めなければならない。」というふうに定められております。
 なお、この日本銀行法の改正に関する答申の理由書におきまして、その際の日本銀行法の改正につきまして、金融政策決定の透明性の確保をその基本的な考え方として明確にした上で、具体的には、日本銀行の通貨及び金融の調節を審議する政策委員会の議事要旨、議事録公開等を通じ、日本銀行の政策決定の透明性を確保していくことが重要であるというふうにされておりまして、御案内のとおり、金融政策決定会合後、公表文、さらには、私自身、記者会見で詳しく御説明いたしますし、従来年二回であった展望レポートを年四回、今年から四半期ごとに公表いたします。さらには、金融政策決定会合における議論のうち、主なものを主な意見として金融政策決定会合後十日程度を目途に早期に公表するということにいたしております。
#193
○大久保勉君 一月二十一日の決算委員会で、ないと言って、即一日以内に別の指示をするというのは、仮定の説明に関して、若しくは国会に対する説明に関してどうかということを私は聞いているわけであります。例えば、日銀の総裁は金利の上げ下げに関してうそをついてもいいといったことが報道されることがありますが、実は質問主意書で確認しました。
 そこで、政府に対して質問します。
 事実と異なる虚偽の答弁を容認することはできますか。質問主意書の回答はどうなっていますか、政府参考人。
#194
○委員長(岸宏一君) じゃ、どなたかお答えになってください。外務省、財務省。
 麻生財務大臣。
#195
○国務大臣(麻生太郎君) 御記憶いただきましてありがとうございました。
 質問を前に文書で出しておりますので、日本銀行金融政策決定会合に関わる現在及び将来の金融政策について、事実と異なる虚偽の答弁を許容するという法令上又は慣行上その他の根拠を政府が承知していれば明らかにされたいというのに対する答弁書として、お尋ねの事実と異なる虚偽の答弁を許容するという法令上又は慣行上その他の根拠については承知いたしていないと答弁をしておると。そのとおりであります。
#196
○大久保勉君 こういったことで、実は突然にマイナス金利が導入されました。実は、金融機関の方は、コンピューターのプログラムが間に合わないとか、若しくはマネー・マネジメント・ファンドが販売中止になる、相当の混乱、大混乱と言ってもいいと思います。
 こういった状況に関して黒田総裁は御承知ですか。
#197
○参考人(黒田東彦君) このマイナス金利というものは我が国では初めての経験であるだけに、様々な声が聞かれるということはよく認識しております。
 もっとも、今回の政策は、これまで所期の効果を発揮してきた量的・質的金融緩和を一段と強化することによって、経済活動をサポートし、二%の物価安定の目標を早期に実現することを目的にしたものでございます。現に、この政策の導入以降、短期、長期の国債利回りは大幅に低下しておりますし、貸出しの基準となる金利あるいは住宅ローンの金利ははっきりと低下してきております。
 御指摘のコンピューターでの対応その他につきましては、当然のことながら、私ども、金融機関と十分に現在も対話を続けておりますし、短期金融市場においても当初混乱が見られたわけですけれども、現在はかなりスムースにマイナス金利が成立するという状況になっております。
#198
○大久保勉君 ECBがマイナス金利を導入する場合は、半年以上前からそういった可能性に関して言及されていました。ところが、黒田総裁は、マイナス金利一切ないというのを一月十九日に言われています。で、十日後に決定会合と。
 それは金融機関にとっては突然マイナス金利で、対応できないんじゃないですか。そういった混乱に関してどう思われますか、もう一度質問します。
#199
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げておりますとおり、一月末に金融政策決定会合におきましてマイナス金利付き量的・質的金融緩和を導入いたしました。そして、具体的に金融機関の準備預金の一部にマイナス〇・一%の金利が付くというふうになりましたのは、二月のたしか中旬からでございます。それまでの間に様々な準備をもちろん進めたわけでございますが、御指摘のような一部にそういった問題もあり、最初は短期金融市場においてやや変動が見られたわけですけれども、最近ではマイナス金利がスムースに成立をいたしております。
 その上で、あくまでもこれは国債のイールドカーブ全体を引き下げるということによって、企業への貸出しの金利であるとか家計への住宅ローンの金利であるとか、そういうものを引き下げて経済に好影響を及ぼそうということでありまして、そういった金利面では既にはっきりと効果は現れております。
 今後、実体経済へ波及していくところを十分注視してまいりたいと思っております。
#200
○大久保勉君 実際、バズーカ2というのが量的・質的金融緩和で、今回はバズーカ3と言われておりますが、前回に比べて、為替若しくは金融市場においてはほとんど効果がないんです。ということは、もう更に追加緩和が必要じゃないかと言われております。
 そこで、仮定の質問です。つまり、するしないは別として、方向性に関して質問しますが、もし緩和する場合は二つの方法があります。マイナス〇・一%、マイナス一%、マイナス二%というふうに下げていくのか、それとも、現在、政策金利残高、つまりマイナス〇・一%が適用されている政策金利残高が約十兆と言われておりますが、これを三十兆とか百兆まで持っていくのか、どっちの方向性ですか。
#201
○参考人(黒田東彦君) マイナス金利付き量的・質的金融緩和を導入いたしまして、金融緩和の手法といたしましては、量、質、金利という三次元で行うことが可能になっております。具体的に、必要になったときどのような緩和を行うかというのは、その時々の金融政策決定会合で十分に議論して決められることであろうと思っております。
 なお、委員御指摘の最後の点につきましては、マイナス金利付き量的・質的金融緩和を導入いたしました際に御説明しておりますとおり、三層構造で、昨年の平残の二百十兆円には引き続き〇・一%の金利を付けますと。で、その上の四十兆円程度、これは所要準備であるとか日銀の貸出増加支援資金に対応する部分であるとか、それはマクロ的に今後変動させていきますと。
 つまり、年間八十兆円のペースで国債を買い入れています。八十兆円のペースで準備預金が増えていきます。その分そっくりマイナス〇・一%を適用する必要は全くありませんので、その部分、増加していくのに相当する部分は適当な期間ごとにゼロ金利を適用するものを拡大していくということで、あくまでもマイナス〇・一%の金利が適用されるのは限界的なものであって、十兆円とか数十兆円の範囲にとどまるということでございます。
#202
○大久保勉君 先日、事務方と確認しましたら、方向としてはマイナス〇・一がマイナス〇・五、マイナス一%になる可能性が高いということでしたが、それは間違いですか。
#203
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げているとおり、量、質、金利という三つの次元を活用して必要な緩和をしていくと。それは二%の物価安定目標の実現のために必要であればちゅうちょなく行うということでありますけれども、マイナス金利につきましては、今回のマイナス〇・一%の影響が金融市場にはっきり出ておりまして、これが実体経済に波及するのを十分注視していきたいと思っております。
 なお、欧州の場合は確かにマイナス金利は一%程度を付けている国もございますけれども、それぞれの国の状況にもよりますし、何よりも二%の物価安定目標の実現のために必要であれば、量、質、金利という三次元を援用して必要な対応を取るということであります。
#204
○大久保勉君 麻生大臣に質問しますが、実は、マイナス金利を導入してイールドカーブを下げたとしても、長期金利が下がったとしても、企業は全く反応していないというのが大方の見方です。内部留保が相当たまってきています。
 つまり、内部留保を使わせるためには、企業の預金、ここにマイナスにしない限りは、投資をしようとか若しくは配当しようというインセンティブはないんじゃないですか。このことに関して麻生大臣に質問します。
#205
○国務大臣(麻生太郎君) マイナス金利になって、内部留保三百五十兆が出ていくようになるかと。
 いろんなことであって、我々として、これ経営者の方の考え方でありますから、基本的には、内部留保を含めまして銀行が持っております預金、日銀の当座預金というものの金利が仮にマイナスになったとしても、その金を借りに来る需要というものが民間に起きない限りは、金を貸すという行為がしたくても、需要がなければそれができないということは銀行におられたのでよくお分かりだと思いますので。
 そういった意味で、マネーサプライが増えるか増えないかというのは、かかって今後の民間の需要というものに直接影響してくるんだと思いますが、マイナス金利というものがなければ、そのままずうっと置いておいても〇・一%の金利が付くというのであれば、デフレ状況であれば金の価値が上がっていくわけですから、物の価値が下がって金の価値が上がっていくということになりますので、そういう状況においては、それをじいっと置いておいても別に利益は減るわけではないという意識が働いてもおかしくはないと思いますが、マイナスで動いてくるということになると、それは当然のこととしていろいろな反応が出てくるんだと思いますので、そういったものが今後どれぐらい出てくるかというのは、今の段階でまだ判断するには早過ぎると思っております。
#206
○大久保勉君 まあ分かったような分かっていないような。
 企業が仮に三百五十兆円の預金を銀行に置いていると、この金利がゼロからマイナス一%に仮になった場合に企業の活動に変化が生じるんじゃないかと、このことはどう思われますか。
#207
○国務大臣(麻生太郎君) 先ほど日本銀行の答弁を聞いておられたと思いますが、いわゆる各企業が銀行に預金している預金金利を引き下げるつもりはないということを言っておられますので、そのことに関して心配しておられる企業を聞いたことはありません。
#208
○大久保勉君 金融大臣としての麻生さんも含めて、銀行預金がマイナスになることは一切ないということですね。
#209
○国務大臣(麻生太郎君) 一切ない、日本銀行が言っておられるんだから、ないんだと思いますね。
#210
○大久保勉君 それは間違いでしょう。金融庁がどう考えているかです。
#211
○国務大臣(麻生太郎君) 基本的に日本銀行がないと言っておられるので、私どももそうであろうと思っているという、先ほどからそうお答えをいたしております。
#212
○大久保勉君 仮にメガバンクがマイナスの金利を企業に付けたいと言ってもいいということですね。
#213
○委員長(岸宏一君) 大久保勉君、もう一回質問してください。
#214
○大久保勉君 企業が三百五十兆円の預金をしています。それで、銀行に預金していますが、銀行が、やはり預金が多過ぎると、マイナスの金利を大口預金者に付けようといった場合に、金融大臣として了解するということですね。
#215
○国務大臣(麻生太郎君) それは各銀行の経営判断によると言わざるを得ないと思いますが。
#216
○大久保勉君 分かりました。
 恐らく、預金金利が大口に関してもゼロ%でしたら、結局、マイナスの金利を導入されましたら銀行の収益が悪化し、そして銀行はなかなか企業の融資が積極的に出せないと、こういう状況があります。それを打破するためには、預金の金利をマイナスにすることも含めて考える必要があると思いますから、了解しました。
 続きまして、かなり日銀の政策自身は追い込まれていると思います。たしか黒田総裁の任期はあと二年なんですが、最初にホテル・カリフォルニアの話がありましたが、二年後に黒田総裁はチェックアウトできますが、日本銀行としては、金融緩和、これから出ることができなくなる可能性があります。そのことに関してどう思われますか。
#217
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げておりますとおり、量的・質的金融緩和、今回のマイナス金利付き量的・質的金融緩和も、二%の物価安定の目標を実現し、これを安定的に持続できるようになるまで継続するということは二〇一三年の四月以来申し上げております。
 現時点の見通しを申し上げますと、物価安定目標に関しては、二〇一七年度の前半頃に二%程度に達する可能性が高いというのが政策委員会の見通しでございます。
#218
○大久保勉君 質問しておりますのは、二〇一八年四月以降、黒田総裁が再任されるか、若しくは新しい総裁は、マイナスの金利をプラスに戻す、日銀が大量に買った国債を市場に売却する、株式を売却する、こういったことをしないと出口がありません。
 出口はどうします。つまり、後任に任せますか。
#219
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げているとおり、まだ二%の物価安定目標に向けて道半ばでございまして、出口というのを議論するのは時期尚早であるということでございます。なぜならば、出口というのは、そのときの経済金融情勢を見て最適な判断をするということでございます。
#220
○大久保勉君 これこそがダラス連銀のフィッシャー総裁が言ったことです。黒田総裁はチェックアウトしたけれども、日本銀行は立ち去ることができないと。このことが私は非常に危惧しているんです。つまり、金融政策、緩和するのは簡単ですが、それを元に戻すのは大変な苦労です。そのときに、国債の評価損、あるいは金融システムに対して多大な影響があります。このことに関して、黒田総裁、いかがお考えですか。
#221
○参考人(黒田東彦君) この点につきましても、従来から申し上げているとおり、日本銀行の財務の面では国債の評価方法について償却原価法を採用しておりますので、仮に長期金利が上昇したとしても、決算上の期間損益について評価損失が計上されることはございません。
 また、その上で、日本銀行としては、現在の金融緩和に伴う収益の振れ、これを平準化する観点から、収益が上振れる局面でその一部を積み立て、将来、収益が下振れる局面で取り崩すことができるよう、昨年、引当金制度を拡充するなど財務の健全性の確保に努めております。
 また、金融機関の運営の面では、金利上昇は金融機関の保有する債券の価値を下落させる一方で、利ざやの改善や貸出しの増加などを通じて金融機関の収益にはプラスの影響も出るわけでございます。このように、金利の上昇が金融機関の経営全体に与える影響というものを考える場合には様々な側面を総合的に見ていく必要があると思っております。
 現状に見ますと、金融機関はマクロ的なリスクと財務基盤の適切なバランスが確保されておりまして、金利が相応に上昇するといったストレスに対しても金融システムは相応の耐性を備えているというふうに見ております。
#222
○大久保勉君 具体的な数字で説明してください。質問通告しておりますが、もし二%金利が平行的に上がった場合に、日銀と金融システム、どの程度の損失が出ますか。四%の場合はその倍ということで、四%の数字も教えてください。
#223
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行の長期国債の保有残高は二〇一五年九月末時点で二百六十二兆円となっておりまして、仮に十年物国債金利が二%ポイント上昇するのと同じ割合で各期間の金利が上昇したというふうに仮定して、いわゆるスティープ化のケースで時価の減少額を試算すると二十七兆円になります。ただ、これは先ほど申し上げたように、日本銀行の経理上の問題はございません。
 金融機関については、昨年十月に公表した直近の金融システムレポートでの試算によりますと、各年限の金利が二%上昇した場合の金融機関の保有債券の時価損失というのは、二〇一五年六月末時点でマイナスの十三・八兆円となっております。なお、先ほど申し上げたように、金融機関の収益については、金利が上がった場合には当然貸出金利、利ざやも増える等々ありますので、この部分だけで議論することはできません。
 なお、四%ポイントという余り考えにくい仮定ですけれども、その場合には普通の線形であれば二%の倍程度になるかもしれませんが、具体的な試算はしておりません。
#224
○大久保勉君 二%で二十七兆でしたら、恐らく四%だったら、日本銀行にとって五十兆円以上の損失です。ちなみに、日銀の自己資本はどのくらいありますか。(発言する者あり)
#225
○委員長(岸宏一君) じゃ、最後に黒田参考人。
#226
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げておるとおり、国債の評価損云々というのは、計算上もちろんできるわけでございますし、現時点では実は評価益が出ているわけですが、そういったものは日本銀行の経理に直接的な影響を与えるものではございません。
#227
○大久保勉君 終わります。
#228
○委員長(岸宏一君) 以上で藤田幸久君及び大久保勉君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#229
○委員長(岸宏一君) 次に、山本香苗さんの質疑を行います。山本香苗さん。
#230
○山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。
 まず最初に、児童虐待防止対策についてお伺いをさせていただきます。
 今年の一月に、埼玉県狭山市で三歳の女の子がやけどを負った状態で放置をされて死亡するという大変痛ましい事件が起きました。この事件が起きる前に、昨年の六月二十九日、七月十九日と二回、この近隣の住民の方から児童虐待を疑う一一〇番通報があって、狭山署員が現地に実際赴いて直接安全確認をしておりました。しかし、二回とも虐待なしと判断されて、児相には通告をされていませんでした。連携があったら事件が防げたかもしれないと思いますと、もう本当に残念でなりません。
 実際、この児童虐待の通報があった場合にどう警察と児相が連携をしているのかということを私の地元の大阪府の方で聞いてまいりました。そうしましたら、大阪府では、警察というのは児童虐待を判断できないという前提に立って、児童の安全を直接確認をした後に児童虐待のあるなしにかかわらず警察は全て児相に通告していると、そのように伺いました。都道府県によってなぜこう対応に差が出るのかと。大阪府のような取組がなぜ他府県でできないのかと。もう仮に、この受皿となる児相が忙しいからとか大変だからとか、私はそういう理由であっては本末転倒だと思います。ちなみに、大阪府の児童虐待相談対応件数というのは全国で最多です。最多ですけれども、しっかり頑張って受け入れているわけです。
 そこで、河野国家公安委員長にお伺いしたい、お願いしたいんですが、今回のような事件がもう二度と起こらないように是非とも警察と児相の連携、情報共有の在り方をもう一度よく見直しをしていただきたい、強化をしていただきたいんですが、いかがでしょうか。
#231
○国務大臣(河野太郎君) 誠におっしゃるとおりだと思いますので、今後警察がこうした通報を受けた場合は、安全が確認されるされないにかかわらず、児相に情報共有をすることとしてまいりたいと思います。
 具体的にどういうやり方がいいのかは、恐らく地域によっていろんな差があると思いますので、そこについては条例が必要であるか等を含め検討していくことになりますが、今後きちんと全ての県で情報共有をする方向でやってまいりたいと思います。
#232
○山本香苗君 ありがとうございます。
 ということは、平成十八年、平成二十四年通達に基づいて今警察と児相というのは連携しているわけですが、その見直しをしていただけるということでよろしいでしょうか。
#233
○国務大臣(河野太郎君) その方向でやってまいりたいと思います。
#234
○山本香苗君 ありがとうございます。
 今回の事件では、健診未受診という虐待につながる重大なサインが見逃されて、要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協ですね、ここに登録をされていませんでした。これ、要対協に登録されて協議会で協議されていれば救えていたかもしれないわけでございます。
 確かに、虐待につながるサインを見抜くというのは、現場の皆さん方にいろいろ聞いても大変難しいと伺いました。多くの市町村においては専門職の配置も進んでおりません。また、そのために迅速かつ的確なリスクアセスメントができる体制にはないというのが現状でございますが、こうした現状を踏まえまして、今後市町村における体制をどうつくるのか、大変重要な点だと思うんですが、塩崎厚生労働大臣の御所見を伺います。
#235
○国務大臣(塩崎恭久君) この問題は、山本香苗厚労副大臣とともにいろいろ御一緒にやってきた、取り組んできた問題でございます。もちろん、子供たちは最も愛されるべき親から虐待を受けるようなことがあってはならないわけでありまして、これをどうやって未然に防ぐかという意味において、やっぱりここは子供あるいは家庭をどう支援するのかということを抜本的に見直す時期に来ているんじゃないか、そんなふうに思っております。
 昨年末、政府として、発生予防から自立支援まで一連の対策を強化するために、児童虐待防止対策強化プロジェクトというのをまとめました。これは山本副大臣も深く関わってきたことの結果でございますけれども、子育て世代包括支援センターの全国展開を進めて、妊娠期から子育て期まで切れ目ない支援を提供する仕組みの構築、これは当然、通報ということも含めて、情報共有を含めて取り組まなきゃいけない問題だと思っております。養育支援が特に必要な家庭への訪問による相談支援、そしてまた、支援を要すると思われる妊婦あるいは子供を把握した医療機関や児童福祉施設などからの情報収集などを市町村が適切に対応できるよう取組を進めていくこととしているわけでございます。
 先ほど、要保護児童対策地域協議会、要対協のお話が出ました。関連機関が連携して漏れなく対応するために、今、児童福祉法による努力義務で市町村における要保護児童対策地域協議会の設置を定められているわけでありますけれども、これをまず徹底をする。それから、その協議会の調整機関というのがありますが、ここにおいて児童福祉司たる資格を有する方々の専門職としての専門的な仕事が、役割が果たせるように配置を拡大をするということになっているわけでございます。
 さらには、この児童虐待に対応する職員の専門性の向上を図るために、自治体等における研修に対して国としても財政支援を行っているところでございますが、いずれにしても、今国会への提出に向けて今児童福祉法の改正を準備をしているわけでありまして、私は、これは最初から申し上げているんですけれども、ここは国、都道府県、市町村、それぞれの役割と責任の分担と中身を再定義をして、これをしっかり明らかにしていかないと、今お話がありましたが、警察でも各県ばらばらということがあり得るという話が先ほどちょっとございましたけれども、実は、児相の専門的な人員の配置においてもそうですし、あらゆる面でそうなので、そこのところはやはりちゃんと市町村が果たすべき役割を含めて、国、都道府県、市町村、それぞれの役割、責任を明確化することを含んだ児童福祉法の改正法案を出してまいりたいというふうに考えておりますので、引き続き御指導のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。
#236
○山本香苗君 平成十六年の児童虐待防止法等の改正によりまして、市町村も通告先になったわけです。それによって児相と市町村というのは二重構造で児童虐待に対応するという形になったのに、今まさしく塩崎大臣おっしゃっていただいたように、児相と要するに市町村との役割分担が明確じゃないと、そういう形になってまいりまして、市町村が本来対応することが適当だと思われるケースについてももう児相が対応しているようなことも多々見受けられます。
 また、児童虐待相談対応件数自体がもう今増加の一途をたどっているわけでありまして、もう本当に業務量に児相の職員体制が全く追い付いていないというのが現状であります。
 来年度、地方交付税を増額して、この十年間で最も手厚い水準まで児童福祉司の配置基準を引き上げていただけると伺っておりますけれども、児童福祉司のみならず、現場では児童心理司や保健師等、職員体制の抜本的な充実というものも待ったなしになっております。児童心理司、保健師等、職員体制の充実についても、是非とも地方交付税で手厚い手厚い措置をしていただきたいと思いまして、高市総務大臣に是非ともよろしくお願い申し上げます。
#237
○国務大臣(高市早苗君) 先ほど来塩崎大臣が答弁しておられますが、昨年末総理を会長とする子どもの貧困対策会議で取りまとめられました児童虐待防止対策プロジェクトの中で、児童相談所の体制整備が掲げられて、山本委員御指摘の児童福祉司、児童心理司、保健師等についても配置の充実を行うとされました。
 そして、厚生労働省におかれましては、先ほどの大臣答弁のとおり、やはり体制を制度面で強化するということで法律案を今国会に提出予定と伺っておりますし、実態面でも、やはり自治体の配置の充実を促していくということを考えますと、今後、児童相談所体制強化プラン、これも厚生労働省の方で策定していただけると伺っています。
 このため、二十八年度の地方財政措置でございますが、まず、児童相談所において中核的な役割を担う児童福祉司の配置については、その充実を図るという観点から拡充を行います。今委員が過去十年で最も手厚い増員だとおっしゃってくださいましたが、標準団体当たりの児童福祉司数を三十六名から三名拡充して三十九名にするということでございます。また、児童心理司、保健師等の専門職につきましても、その位置付けなどについて、厚生労働省での検討を踏まえまして、是非とも拡充を行ってまいりたいと考えております。
#238
○山本香苗君 どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
 この児童福祉法に基づく家裁への申立てとか送致等、法的な対応というのも児相の職員にとって極めてストレスが大きい、エネルギーが掛かる業務であります。そのため、弁護士を児相に配置するなど、弁護士の活用というものも増えてまいりました。
 児相が日常的に法的支援を受けられるような体制づくりといったものも極めて重要だと思うんですが、塩崎大臣、いかがでしょうか。
#239
○国務大臣(塩崎恭久君) 児童相談所において児童虐待の対応件数というのが増える一方であって、保護者の意に反してでも子供の安全確保を図らなきゃいけない、今回の狭山市の事件はまさにそういうケースだったと思うわけでありますが、大変複雑な事案が増えていて、親は虐待じゃないと言っても実は虐待が進んでいるということが幾らでもあると。
 そういう中で、実は、まさにこの児童相談所で法律家、つまり弁護士を常勤で雇っておられる児童相談所が全国で三つあります。これは、福岡、それから和歌山、名古屋、この三つが常勤の弁護士さんを雇っておられますけれども、その中で私は福岡に行ってまいりましたけれども、話を聞いてみれば、やはり所長さんからしてみると、家に行って子供さんを虐待が疑われる場合に連れ帰るというときには、まさに親権との闘い、親の権利との闘い、これに打ち勝つためにはやっぱり法律的に、やはりこれはそれを乗り越えてでも保護してこなければいけないということをちゃんと法的に後で説明が付けられるかどうかということが非常に難しい、したがって弁護士さんがいると現場でもその判断がしやすいということで、弁護士さんがいるといないとではえらい違いだという話を私はつぶさに聞いてまいっております。
 今たった三か所ですけれども、二百以上ある児相の中でこれだけで、私は、本来は全ての児童相談所には弁護士さんが少なくとも一人は常勤でいるべきというふうに思っているわけでございますが、それがすぐに実現可能かどうかはいろいろありますから、そこはあれですけれども、しかし、まさに親権との闘いの中で法律的にちゃんとした保護ができるようにすることがとても大事だというふうに思っております。
 そのために大前提は、実は子供の権利というのがどこにも児童福祉法に書いていないというところが問題で、親の権利は民法に書いてありますから、それにのっとって主張されると、そのときに子供の権利をしっかりと定義付けておかないといけないので、それを含めて今回、児童福祉法の改正を今考えているところであります。
 今後、より積極的な弁護士の活用を促進するために、まずは二十八年度予算で児童相談所に対する補助を大幅に拡充いたしまして、一か所当たりの、弁護士活用促進のために補助金を出しておりますけれども、これを年に五十六万円から三百八万円に大幅に引き上げると。相談回数も週一回としていましたのを週三回、それから謝金の単価も一回当たり一万三百円から一万九千六百円に上げるというようなことで、今国会への提出に向けた準備を進めております児童福祉法の改正法案では、児童相談所の法的対応能力を格段に向上させようという考え方の下で、弁護士の配置の促進に関する規定を盛り込むことができないかということを含めて今検討しているところでございます。
#240
○山本香苗君 ありがとうございます。
 昨年七月一日から、児童相談所全国共通ダイヤル「いちはやく」というのがスタートしました。これによって通報しやすくなったという評価もいただいているんですが、他方で、電話がつながるまでに郵便番号を入れたり、県名、地域の選択しなきゃいけないと、音声ガイダンスが実は最長二分間続くんですね。いち早くじゃないんです。
 そのために苦情も来ているわけですけれども、本日の毎日新聞にも、「「つながる前切った」七五%」というふうに一面に出ておりまして、厚労省においてこうした実態を改善すべく検討していただいていることはもう重々承知をしているんですけど、大臣、できるだけ早くつながりやすく使いやすいものにしていただけるようお願いします。
#241
○国務大臣(塩崎恭久君) この問題に関しては、児童相談所や深く関わっていらっしゃるお医者さんとかそういう人たちから、塩崎さん、なかなか掛からないわよと言われておったところでありまして、そのとおりであります。
 ただ、この共通ダイヤル一八九は、虐待を受けたと思われる子供を見付けたときに、まず児童相談所にどこからでも掛けられるように、十桁から三桁にしたということにおいては前進だった。
 そしてもう一つは、二十四時間三百六十五日つながるようにしようじゃないか。私は、その七月にスタートする前に、本当にそうなっているか各県全部調べろ、都道府県全部調べろということで、つまり、今までは留守電になっていたり、それから守衛さんのところにつながるだけでそこから先つながらないとか、そういうことがありましたけれども、それはないということが分かったわけであります。
 電話を掛けやすくなったということから、虐待が起きている現場の近くの方から電話をいただくということが起きるようになったけれども、問題は、固定電話ならばすっといくけれども、携帯電話だと最長二分ということでありますけれども、大体平均で一分十秒ぐらい掛かるというふうに聞いておりますけれども、そういうことになってしまっているということであります。
 そこで、抜本的に、これ、いわゆる警察の一一〇番みたいに一番近い県警などに掛かるようにするためには相当費用が掛かるということを私も初めて学びました。
 そのために、まずやらなきゃいけないのは、このガイダンスの時間を少なくとも半分以下にしようということと、それから携帯電話から掛けられた際にその場所を特定する番号入力などの操作の手間を減らすということぐらいまでは少なくともやろうじゃないかということをこの春から実施をしようというふうに考えております。
 さらに、利便性を向上するための方策については、他の三桁番号の対応などを参考にしてどのようなことが考えられるのかを検討して、電話一本で命を救えるということならば、今、高いな、高額に掛かるなという、多額に掛かるなという予算も、それは命より重いものはないわけでありますから、決断をしなきゃいけないということになるのではないかというふうに思います。
#242
○山本香苗君 期待しております。
 昨年の十月に児童虐待による死亡事例等の第十一次の検証結果が公表されました。これ、第一次から第十一次まで、この報告全てで虐待死が一番多いのがゼロ歳ゼロか月ゼロ日、生まれてすぐということです。この背景には、望まない妊娠が七割占めています。虐待死を防ぐためには、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援、昨日、西田議員が質問させていただきましたけれども、支援が極めて重要なんですが、その支援の中の一つに私は特別養子縁組があると考えております。
 しかし、この特別養子縁組というのは民法上の制度で、社会的養護の中に明確に位置付けられておりません。児童福祉法の中にも一切規定はありません。児童相談所の業務にも明確に位置付けられておりません。そのために、特別養子縁組に取り組む児相というのは全体の約もう三割弱しかありません。
 特別養子縁組を社会的養護の中に明確に位置付けて、全国の児童相談所で取り組めるように人的にもまた法的にも基盤を整えていただきたいんですが、塩崎大臣、お願いいたします。
#243
○国務大臣(塩崎恭久君) これまで、児童養護の際に家庭養護と家庭的養護というのがありました。その概念が今ありますが、この家庭養護と家庭的養護というのはどう違うのかという中で、実は、この家庭的養護という中にいわゆる特別養子縁組というのが、なかなか厚生労働省の今までの資料には出てきません。里親というのは出てきます。
 家庭的養護の中に、本来、特別養子縁組、まず一番大事なのは本当の産んでくださった御両親と一緒の家庭、これが一番。やっぱり二番目は今先生がおっしゃった特別養子縁組ないしは里親、あるいは里親が複数、里親で複数の子供たちを面倒を見るファミリーホーム。ここまでが、言ってみれば、子供は、自分のところにいて親が通勤するという、自分のところから出ていくという、それ以外を本当は家庭的養護と呼ぶべきであって、言ってみれば、家庭、家庭に準ずる家庭養護、そして家庭的養護と、この三つに本当は分けなきゃいけないのかなというふうに思っていまして、中でも、今お話があった特別養子縁組は、御一緒に愛知方式を学びに名古屋に一緒に副大臣には行っていただきましたが、この特別養子縁組が位置付けられなければならないんだろうというふうに思います。法的安定性を与えるにはやはり大変重要な、特別養子縁組は重要な仕組みであるわけでありますので、特別養子縁組が子供の最善の利益になると認められる場合には積極的な支援を行うことが重要だと思っております。
 現在も児童相談所において、児童相談所運営指針などに基づいて特別養子縁組に関する相談支援というのが含まれているわけでありますけれども、厚労省としても、児童相談所における更なる取組を推進するための法整備がやっぱり必要だろうというふうに考えています。このため、昨年十二月に、すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト、副大臣クラスでやっていただいていた、そこで特別養子縁組を含めた養子縁組の相談支援を児童相談所の業務に位置付けると、このことを明確にしていこうじゃないか、それから、養子縁組里親の法定化などをこの十二月にまとめた中に盛り込んだわけでございまして、これらを含む児童福祉法の改正法案を今国会に出すということになっています。
 この児童相談所の体制や専門性を計画的に強化することも盛り込んでおりまして、児童福祉司、今のプロジェクトの中にですね、児童福祉司の配置基準について人口だけでなくて業務量も考慮するなどの見直しを検討することとしまして、二十八年度の予算の中では児童福祉司の増員に対しても、この十年間で最も手厚い水準となる地方交付税措置を高市大臣の御理解をいただいて予定をさせていただいているわけでございます。
 いずれにしても、特別養子縁組につきましては、今、自公で議員立法の動きも加速をしていただいているわけでございますので、子供の最善の利益になると認められる場合には是非これを積極的に進めてまいりたいというふうに思いますし、これ全国でどれだけの件数あるのかということもなかなか今統計としてなかった。この間、家裁でまとめていただいたら、昨年は五百件余りあるということが分かりましたが、増えてきてはいますけれども、なおこれは子供のためを考えればしっかり増やしていかなきゃいけませんし、また同時に制度としても見直さなきゃいけないところがたくさんあるのではないかという問題提起も我々の側からしていきたいというふうに思っています。それは法務省が受けていただかないと、これは民法の問題でありますので、よく話し合っていきたいというふうに思います。
#244
○山本香苗君 ということで、法務大臣にお伺いしたいと思いますが、特別養子縁組は年齢に制限があるんです。六歳までとなっています。この六歳までの根拠は何でしょうか。
#245
○国務大臣(岩城光英君) 六歳までの根拠ということでありますので、お答えをさせていただきます。
 まず、特別養子縁組のこの制度でありますが、これは子の利益のために養親と養子の間に実の親子と同様の実質的な親子関係を形成することを目的とするものでありまして、養子縁組の成立によって養子とその実父母との間の親族関係、これを終了させるという、そういった効果を生じさせるものであります。
 一般に、実の親子と同様の実質的親子関係の形成を期待することができますのは、養子となる者が幼少のときからその監護養育を始めた場合であると考えられております。また、養子となる者が六歳に達している場合には、実親との関係が実質的なものである可能性があり、既に就学しているなどある程度の分別も生じているため、養親子間にそのような関係を形成することが困難であるばかりでなく、実の親子関係の断絶が子の利益の観点から相当でない場合も少なくないと考えられております。
 現行の特別養子縁組においては、これらの理由から、養子となる者は原則として六歳未満であることが要件とされております。
#246
○山本香苗君 ありがとうございます。
 私は、社会的養護の下にある子供たちのための養子縁組を考えたときに、果たして年齢によって区別されることは本当に必要なんだろうか、妥当なんだろうかと思います。もちろん年齢が一歳一歳大きくなるにつれて新しい親子関係をつくるのは難しくなりますけれども、それは親子になるために乗り越えなければならない試練であって、それを年齢で区切るというのはどうかなと思いますので、先ほど厚労大臣からもありましたが、法務省においてもう一回、この特別養子縁組の在り方自体について再検討していただきたいんですが、いかがでしょうか。
#247
○国務大臣(岩城光英君) 特別養子縁組につきましては、社会的養護の観点からその利用を促進すべきであるとの指摘がされているほか、養子となる者の、今おただしのありました年齢要件を緩和するなど、制度そのものの見直しを検討すべきであるとの指摘がされていることは承知をしております。
 御指摘のとおり、社会的養護の観点から、特別養子縁組が適切に利用されることは望ましいものと考えております。法務省といたしましても、そうした観点から、特別養子縁組の利用を促進する上で見直すべき制度上の問題があるのかどうか。問題があるとして、どのような解決策が考えられるのかといった点につきまして、厚生労働省等の関係省庁とも連携しつつ検討してまいりたいと考えております。
#248
○山本香苗君 ということですので、厚生労働大臣と法務大臣で是非よろしくお願い申し上げます。
 馳大臣、お待たせをいたしました。
 DAISY教科書についてお伺いします。
 教科書は子供の学習にとって必要不可欠なものであります、言うまでもなく。しかし、学習障害とか発達障害など、読みに困難を抱えている子供たちというのは通常の紙の教科書を読むことができないんです。教科書が読めないと授業に付いていけません。そこから学習の遅れにつながって、自信を失って自尊感情が下がっていくと、そのために不登校の状態に至ったという事例もございます。
 こうした子供たちが今自力で教科書を読むためのツールといたしましてDAISY教科書というものがございます。このDAISY教科書というものは、教科書の内容をパソコン等を活用して音声、文字を同時再生できるようにしたものでありまして、現在約三千人の子供たちが全国で利用しているわけであります。
 そこで、馳大臣にお伺いします。まず、基本的なことを伺いますけれども、DAISY教科書の有効性を文部科学省はどう評価されておられますか。
#249
○国務大臣(馳浩君) DAISY教科書の特徴を申し上げます。
 音声を聞きながら、同時に絵、写真を見ることができる、読んでいる箇所がハイライトされるのでどこを読んでいるか分かるようになっている、読みたいページへ移動することができる、文字の大きさや音声のスピードを変更することができる、行間、文字間隔を変更できる、背景の色やテキストの色を変えることができると、こうなっておりまして、子供たちにとりまして学習内容の理解が深まり、学習意欲の向上につながる、また、自尊感情の向上が図られ、友達関係を構築する上でも効果があるという観点で非常に高く評価をしております。
#250
○山本香苗君 DAISY教科書を高く評価をしていただいているわけですが、それを推進していく上でどういう課題があると考えておられますか。
#251
○国務大臣(馳浩君) DAISY教材等の音声教材については、障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律に基づき教科用特定図書等として年々活用が進んでおりますが、一、まだ教育委員会や学校における理解が十分とは言えず、その普及促進が必要であること、二、現在、音声教材は民間団体等においてボランティアの方々の協力を得るなどして製作されておりますが、ニーズの高まりとともに製作する教科書の種類が増える中で民間団体等の負担が増加していること、こういう課題があると考えております。
#252
○山本香苗君 今、馳大臣に課題を挙げていただきましたけれども、私は、何といっても一番大きい課題は、このDAISY教科書作成には支援体制として国の制度が整っていない、これが一番私は大きい課題だと思っています。国の制度が整っていないから、先ほどおっしゃっていただいたように作成がボランティア頼みになっているわけです。ボランティアの皆さんは今、DAISY教科書を必要とする子供たちにもう寝る間も惜しんでもう必死に製作に取り組んでいただいております。それでも、今お話があったように、子供たちの要望に十分応え切れていないんです。要望のある教科書の半分程度しか対応できていないと伺いました。
 今おっしゃっていただいた教科書バリアフリー法、この教科書バリアフリー法では、教科書発行者、すなわち教科書会社がボランティア団体等製作団体に対して教科書データを提供することが義務付けられておりますけれども、ここはデータ提供にとどまらずに、教科書会社がDAISY教科書を作成をして提供していくという仕組みもつくるべきだと思うんです。ボランティアだけでやっていくのはもう限界なんです。
 DAISY教科書を必要とする全ての子供たちに着実にこのDAISY教科書を届ける国の仕組みを是非とも馳大臣におつくりいただきたいんですが、いかがでしょうか。
#253
○国務大臣(馳浩君) 今後のことであります。
 音声教材を必要とする児童生徒の利用が更に進むように、一、民間団体のみならず教科書発行者においても教材の開発が行われるような環境づくり、二、音声教材を製作する民間団体等の経済的な負担軽減を図るための支援の充実、三、教育委員会や学校にDAISY教材等の音声教材の有効性や活用方法等の周知徹底、こういった観点で積極的に検討してまいりたいと思います。
#254
○山本香苗君 今、一と言われた教科書会社がDAISY教科書を提供しやすい環境づくりをする、これは極めて重要なことですが、これ調査研究じゃなくて、しっかり文部科学省が音頭を取って進めていただけますね。
#255
○国務大臣(馳浩君) 進めるようにいたします。
   〔山本香苗君「ようやくここまで来ました。あともう一つ大きな課題がございます」と述ぶ〕
#256
○委員長(岸宏一君) 山本さん、委員長の許可を得て。
#257
○山本香苗君 済みません、失礼いたしました。
 あともう一つ、実は大きい課題がございまして、それはDAISY教科書を必要とする子供の把握です。
 学習障害の疑いのある子供は文科省の推計によりますと全体の四・五%、つまり一クラスには一人いるという計算になりますけれども、しかし学習障害者等の発達障害は一見すると障害と分からないことが多くて、単に勉強ができない、そうみなされてしまうケースが多いんです。それに、いまだにDAISY教科書を知らない行政や教育関係者の方も少なくありません。そのため、必要としていてもDAISY教科書を使うことができない子供がたくさんいるんです。
 DAISY教科書を必要とする子供を把握する仕組み、ちゃんとニーズを把握する仕組みを同時に整えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#258
○国務大臣(馳浩君) 文部科学省としては、来年度以降、教育委員会を通じてDAISY教材等の音声教材を必要とする児童生徒数を把握する仕組みを前向きに検討してまいります。
#259
○山本香苗君 ありがとうございます。
 目の悪い人が、私も目が悪いんですけど、コンタクトや眼鏡を使ったらよく見えるようになるように、こういう子供たちはDAISY教科書があれば読めるようになるんです。能力が発揮できるようになるんです。これは一億総活躍になると思います。是非、春にプランを作りますが、その中に文科省としても盛り込むよう働きかけていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#260
○委員長(岸宏一君) 以上で山本香苗さんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#261
○委員長(岸宏一君) 次に、倉林明子さんの質疑を行います。倉林明子さん。
#262
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 まず、関西電力高浜原発四号機について質問いたします。
 再稼働が決まってから相次いでトラブルが起こっております。規制委員長の認識、そして事故概要について説明を求めたいと思います。
#263
○政府特別補佐人(田中俊一君) 高浜発電所四号機におけるトラブルについて、まず、二月二十日に発生した放射性物質を含む水の漏えいについては、法令報告に該当しないレベルであるということで、事業者が当該弁の分解点検後、当該弁を含む系統を適切に復旧したことを既に原子力規制庁の検査官が確認して、それを了承しております。
 また、二月二十九日に発生した原子炉の自動停止については、現在事業者において原因究明や対策について検討しており、規制委員会としても事業者からの報告を踏まえて厳正に対処してまいりたいと考えております。
 こうしたトラブルが相次いで発生したことについて、社会的信頼の回復の観点からは大変残念に思っております。ただし、原子力規制委員会としては、こういった絶対にトラブルが起こらないと考えて対応するのではなくて、むしろ起こることを想定して、その都度安全性への影響を見極め、事業者が適切に対応することを確認していくことが重要と考えています。
 なお、高浜発電所四号機については、現在まだ原子炉等規制法に基づき使用前検査等を実施している段階であります。新規制基準への適合については引き続き厳格に確認してまいる所存でおります。
#264
○倉林明子君 粛々と見ているというような印象ですけれども、私、これ非常に現地に与えた影響というのはすごく大きいんですよね。全容の解明はもちろん、情報を徹底して公開していただきたいと、これは求めておきたいと思います。
 そこで、規制委員長、新規制基準に適合したわけですね、使用前検査とはいえ。それなのに何でこんなことが起こるんだろうかと。率直な疑問です、お答えください。
#265
○政府特別補佐人(田中俊一君) 先ほど申し上げましたとおり、こういったトラブルが相次いで発生していることについては、社会的な信用を回復するという意味でも非常に残念だというふうに思っています。
 先生御指摘の、審査に合格したにもかかわらずということでございますが、私どもの審査あるいは検査は安全上重要な設備を重点的に確認しています。つまり、大きな安全上の、関わるような事故が起こらないようにということを中心に見ております。そういった点から、こういった、今回のトラブルについてはどの程度の安全上の問題かということについてはまだ未解明なところがございますが、一般論としてある程度こういったものが起こるということは、一応そういう覚悟で臨んでおります。
 そういった意味で、繰り返しになりますけど、トラブルが全く発生しない、審査や検査が終了したから発生しないということではなくて、こういったことを想定して、その都度安全性への影響を見極めて、事業者が適切に対応していただくように確認していくことが重要だというふうに考えております。
 実際の施設の運転が始まっておりますので、こういった保全や運転については、自ら遵守すべき保安規定、それから保安のために講ずべき措置を適切に遂行することや施設を適切に維持することはもちろんのこと、より一層の安全を追求すべく努力を事業者のサイドでも継続をしていただくことが重要だと考えております。
#266
○倉林明子君 安倍総理は、繰り返し世界最高水準の規制基準だと言っているわけです。それなのにトラブルが続いた事実というのは、私は極めて重大だというふうに思います。
 経産大臣に確認したいと思いますが、これで安全と言えるんでしょうか。
#267
○国務大臣(林幹雄君) 高浜原発四号機において相次いでトラブルが発生したことは大変残念だと思っております。
 関西電力におきまして、安全第一で原因究明に全力を挙げると同時に、機器の徹底的な点検を行い、安全をしっかり確認して取り組んでもらいたいと思います。また一方で、絶対的な安全あるいはゼロリスクということはありませんで、万一トラブルが起こった場合でも適切に対応できることが重要でありまして、不断に安全性の向上を図っていくことが大事だと思っております。関西電力において継続的に安全性の向上に取り組むべきだと考えております。
#268
○倉林明子君 問題は信用を大きくやっぱり失墜したということなんですよ。関西電力に対しても、そして規制委員会に対しても、私は大きく信用を失墜していると指摘したいと思います。
 住民の不信、不安、これ考えますと、このまま再稼働など到底認められないと。再稼働は中止する、その決断を大臣、すべきだと思います。
#269
○国務大臣(林幹雄君) 今ほど申し上げましたとおり、高浜原発四号機において大変トラブルが発生したことは残念だと思います。
 トラブルの原因については現在、関西電力が調査中でありまして、今後、原子力規制委員会に報告され、同委員会において確認がなされるものと承知しております。
 いずれにしても、原発については、原子力規制委員会によって再稼働に求められる安全性が確認された原発についてのみ地元の理解を得ながら再稼働を進めるということにしているところでございます。
#270
○倉林明子君 その地元の周辺住民の理解を大きく損なうことになっていると。こういうことを踏まえれば、四号機はもとより三号機も直ちに中止することを私は強く求めておきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 昨年十二月にCOP21で、全ての加盟国に温室効果ガスの削減目標、対策実行を義務付けたパリ協定が採択されました。フランスのオランド大統領は閉幕の挨拶で平和的な革命とおっしゃったと聞きました。私も並行して開催されましたIPUに国会の代表として参加をさせていただきまして、脱炭素化、この熱い思いを共有してまいりました。パリ協定を踏まえて温室効果ガスの長期大幅削減、これをどう具体化していくのか、日本に問われていると思います。
 環境大臣、合意した内容は何だったのか、御説明ください。
#271
○国務大臣(丸川珠代君) 倉林委員におかれては、パリにも足をお運びになって熱心にお取り組みのこと、敬意を表したいと存じます。
 このパリ協定の内容につきましては、世界共通の長期目標として二度目標を設定すること、そして加えて一・五度に抑える努力を追求すること、またこの達成のため今世紀後半に温室効果ガスの排出と吸収のバランスを実現することを目指すこと、そして主要排出国を含む全ての国が削減目標を五年ごとに提出、更新すること、各国が実施状況を報告しレビューを受けること、そして五年ごとに世界全体の状況を確認する仕組みをつくること、先進国が引き続き資金を提供するとともに途上国も自主的に資金を提供することなどとなっております。
#272
○倉林明子君 私、化石燃料の時代に終わりを告げる、極めて画期的だというふうに思います。しかし、現状では、各国の目標を足し合わせましても二度未満というところに到達しません。更なる目標の見直しが求められるわけで、パリ協定を受けて、今後の課題、そして大臣の決意はいかがか、お聞かせください。
#273
○国務大臣(丸川珠代君) 委員御指摘のとおり、これまで世界各国が示している温室効果ガス削減目標を全て足し合わせても二度目標の達成の必要な削減量には達しておらず、世界全体として追加的な努力が必要になることが様々な機関の分析で指摘をされております。パリ協定の目的達成のためには、今後、各国が目標を提出、更新していく中で、中長期的に世界全体でこの取組を強化していくことが必要だと考えております。
 我が国としては、まず、二〇三〇年度の二六%削減目標の実現に向けて計画的に取り組んでまいります。そして、その先に目指す目標として掲げている二〇五〇年八〇%削減という目標に、目指していくためには従来の取組の延長では難しいと考えておりますので、経済社会システムの変革、またライフスタイルの変革を含めて、長期的、戦略的に取り組んでまいりたいと存じます。
#274
○倉林明子君 パリ協定を踏まえれば、いかに早く対策に着手し、目標を達成し、より高い目標を設定して実行していくと、ここが問われていると思うんですね。日本にもその覚悟と実効ある取組が必要だというふうに思います。
 そこで、日本の温室効果ガス排出の現状はどうかという点です。
 資料一を用意いたしました。電力部門二酸化炭素排出量の推移です。説明を求めたいと思います。
#275
○政府参考人(梶原成元君) お答え申し上げます。
 我が国の電力部門のCO2の排出量につきましては、二〇一三年度に五・四八億トンでございます。これは我が国のエネルギー起源のCO2排出量の約四割を占めているところでございます。
 そして、過去からの推移、トレンドということでございますけれども、一九九〇年からの推移を申し上げますと、電力部門全体で約二億トン増加をし、そのうち石炭火力部門では一・七億トン、LNG火力由来では〇・九億トン、それぞれ増加をしていると。逆に、石油火力の部門は減少しておるということでございます。
#276
○倉林明子君 次に二枚目、石炭火力の設備容量、二酸化炭素排出量、これについての説明をお願いします。
#277
○政府参考人(梶原成元君) いろんな会社の公表資料等を基に、新増設が計画されております石炭火力発電所の設備容量は総計で約一千八百万キロワット程度と考えております。これらの計画が全て実施され、かつ既存の老朽石炭火力発電所が稼働から四十五年で一律に廃止されるというふうに仮定をしました場合には、二〇三〇年の石炭火力の設備容量は約五千九百万キロワットということになるという計算でございます。
 これらの発電所から出てくるCO2につきまして、エネルギーミックスと、規定と同様の稼働率で稼働すると単純に仮定をするならば、想定排出量は約二・八から二・九億トンCO2になるという計算になるところでございます。
#278
○倉林明子君 表にも書いてあるとおり、対策がされないと大幅な排出超過になるということは明らかだと思います。さらに、NGOの調査によりますと、石炭火発の計画というのは既に四十七基になっていると。二酸化炭素の排出量は環境省のこの見込みよりも大幅に増えることになるということです。
 そこで、経産大臣に聞きます。石炭火発の新増設を認めて、二酸化炭素排出量が減らせるということになるんでしょうか。どうでしょうか。
#279
○国務大臣(林幹雄君) まず、石炭火力の排出量がありましたけれども、LNG火力の計画も二万九千キロワットがありまして、客観的に見て石炭火力ばかりでないことをまず申し上げておきたいと思います。
 電力業界は国の温暖化目標とも整合的な自主的枠組みを公表したところであります。国としても、省エネ法、高度化法の措置によりまして自主的枠組みの実効性を確保していくわけでございます。各事業者による今後の石炭火力の新増設については、この自主的枠組みなどを踏まえて進められていくものと考えております。
 石炭は、安定供給、また経済性の観点から優れているんですが、CO2を排出するため、経済と環境の両立が課題でございます。エネルギーミックスでは、最新鋭の石炭火力が二六%導入されることを想定しております。我が国のCO2削減目標の達成のためにも、高効率な石炭火力の新増設を促して、古くて効率の悪い火力発電設備の休廃止あるいは稼働率の低減によりまして経済成長とCO2の削減の両立をしていくということが必要だと思っております。
#280
○倉林明子君 新しい石炭火発で、高効率で置き換えるということなんだけれども、結局、LNGも高効率も二酸化炭素を排出するんですよ。
 そこで、問題となるのは、古い石炭火発はじゃどうするのかと。じゃ、やめさせることができるのかということなんですけれども、やめるのは事業者になるわけです。行政から廃止を促したということでも事業者がやめないという場合あると思うんですね。その場合、経産省はこの古い石炭火発というのをやめさせることできるんでしょうか。
#281
○国務大臣(林幹雄君) 答弁の前に、今ほどLNG火力の計画を、二千九百万キロワットを二万九千と読み違えたものですから、訂正させてください。
 最新鋭の石炭火力の新増設が進みまして、古くて効率の悪い石炭火力との競争の結果、一定の淘汰が進んでいくということは想定されます。ただし、市場原理だけに委ねるだけでなく、今般、省エネ法におきまして、既設の火力発電についても一定の効率化を求める基準を設けることとしております。
 その上で、合理的な理由なく効率の悪い既存の設備を稼働し続ける場合や、あるいは改善や、改善に向けた具体的な計画が明らかでない場合には、省エネ法に基づく指導、助言の対象とすることを、先日、私の談話の中で明らかにしているところでございます。なお、国の指導、助言にもかかわらず、取組が著しく不十分な事業者には公表や命令といった措置もあり得るわけであります。
 これらを踏まえて、効率の悪い石炭火力の休廃止、稼働率の低減に向けて事業者は適切に対応するものというふうに期待しているところでございます。
#282
○倉林明子君 やっぱり期待なので、やめさせることはできないんですよ。結局、新増設が今後四十年、五十年ということで二酸化炭素を排出し続けるということになるわけです、これ。結局、総量、二酸化炭素総量というのは増えるリスクが極めて高いと思うんですね。
 ところが、環境大臣、条件付で新規建設を認めるということの方針出されました。二〇三〇年、二〇五〇年、ここで温室効果ガス排出削減目標、この整合性って取れるんでしょうか。
#283
○国務大臣(丸川珠代君) 今御指摘をいただいております石炭火力を含む電力分野における実効性のある地球温暖化対策について、私、林経済産業大臣にも様々お願い、御相談をさせていただきまして、その結果を二月九日に公表させていただきました。
 かねてから電力業界において自主的な取組の枠組みをおつくりくださいということで、これについては引き続き実効性、透明性の向上を促してまいりますが、加えて、政策的な対応として、経済産業省において、今ほど大臣が御答弁いただいたように、省エネ法の基準、またエネルギー供給高度化法の基準等において新たにこれを強化していただくとともに、それに指導、助言、そして勧告、命令まで含めて適切に運用していただくということで話をさせていただきました。責任持って経済産業省がまずお取組をいただけるというふうに認識をしております。
 さらに、この取組が実効性を上げているかということについて毎年進捗状況を確認をさせていただきまして、仮に目標の達成ができないという判断がされる場合には、施策の見直し等についても検討をさせていただきます。
 こうして目標達成に向けて努力してまいりたいと存じます。
#284
○倉林明子君 私、いろいろおっしゃったんだけれども、新増設を造っていくということになって、古いものも残っていくと、結局、二酸化炭素が増えないという保証は、今の掛けた規制の中では見えてこないと思うんですね。
 さらに、新たな自主的な取組もしていくということで協議会もつくられたということを聞いています。しかし、ここには全ての発電事業者が網羅されているものでもないし、属さない事業者には縛り掛かりません。さらに、環境省もつかめない小型の石炭火発というのも次々と建設が行われております。
 環境大臣の下に設置された気候変動長期戦略懇談会、これが先日、二月の二十六日に提言をまとめられました。この提言の意義、そして今後の長期的な温暖化対策にこの提言どう生かしていこうとお考えですか。
#285
○国務大臣(丸川珠代君) 気候変動長期戦略懇談会での御議論というのは、今世紀後半までを見通した大変意義の深い画期的な御提言だったと思っております。
 それは、地球温暖化、温室効果ガスの長期大幅削減と、そして経済社会的課題、我が国が抱えている課題の同時解決を目指し、両者を一体的に捉えて御議論をいただいたということが画期的だったと思います。
 このような観点から、温室効果ガス長期大幅削減のための社会構造のイノベーションが我が国の経済社会的課題の解決のきっかけになるのではないかという大変示唆に富む御提言をいただきました。
 環境省としては、今後必要となる長期大幅削減に向けた議論を進めていく中で、この今回の御提言の趣旨を積極的に生かしていきたいと思っております。
#286
○倉林明子君 この提言では、石炭火発の投資についても述べています。その部分について事務方から御紹介ください。
#287
○政府参考人(梶原成元君) 今御指摘の気候変動長期戦略懇談会の提言の中で、「二.二〇五〇年八〇%削減の絵姿の実現に向けた道筋(時間軸)」という章立ての中に「過渡的な対策と長期的な対策」という節がございます。その中では以下のように書いてございます。
 現時点においても、八〇%削減の長期目標を見据えて、対策を選択しなければならない。つまり、その選択が過渡的なものか長期的に有効なものかを常に見極めた上で、長期的に有効な対策の導入が進むスピードと過渡的な対策の終期とを常に念頭に置く必要がある。例えば、火力発電所の高効率化は、火力発電の発電量が総発電量の半分以上を占めると想定される二〇三〇年時点には有効な対策であるものの、他方、二〇五〇年時点では、火力発電所は、電力供給に占める割合を相当程度減少させていることが必要で、かつ、追加コストを要するCCSを活用しなければ八〇%削減に対応した電力部門の低炭素化のレベルを満たすことは難しい。火力発電所は通常四十年以上稼働するとされているが、二〇五〇年までの残りの年数を踏まえると、新規の火力発電への投資、特に初期投資額が大きく排出係数の高い石炭火力発電への投資には大きなリスクが伴うことをあらかじめ理解しておく必要があるとあります。
#288
○倉林明子君 現時点で、新規石炭火発を進める、これについてのやっぱり警告がされていると受け止めるべきだと思います。
 私、改めて経産大臣に伺います。
 石炭火発、新規建設を認めるべきではないと考えます。どうですか。
#289
○国務大臣(林幹雄君) 我が国のエネルギー事情を踏まえれば、石炭火力は安定供給性あるいは経済性に優れた重要なベースロード電源でありまして、環境負荷を低減しつつ活用していくということが不可欠だろうというふうに考えております。CO2を削減しつつ、電力自由化、GDP六百兆円の実現と両立していくためにも、省エネ法による厳しい規制を導入して、古くて効率の悪い石炭火力の淘汰を促しつつ進めていく考えでございます。
#290
○倉林明子君 やめると言わないんですよね。
 そこで、新規建設は増やすということなんだけれども、海外での石炭火発への公的支援、これ拡大しているという点でも日本は突出しております。資料の三枚目を御覧いただきたいと思います。石炭火発に対する各国で既に始まっている投資抑制の動きがあります。これ御紹介いただきたいと思います。
#291
○政府参考人(梶原成元君) 諸外国の投資でございますが、様々な投資が、規制とか取組が行われているところでございます。排出量取引という形で規制されている部分もございますし、さらには、規制もございます。そして、国別の投資という意味におきましても、それぞれ、支援という意味におきましても様々な動きがあります。国連、世界銀行での動きとか、そういったものもございます。
 ただ、特に石炭火力に対する海外支援ということに関しまして言えば、幾つかいろんな、それぞれ需要国で事情が異なります。例えば、経済性とかあるいは供給安定性という観点から石炭火力を選択せざるを得ないといったような国もあろうかと思います。そういった場合はより高効率な石炭火力の発電の導入を支援することも実効的な地球温暖化対策の一つにはなり得るというふうに考えておるところでございます。
#292
○倉林明子君 イギリスや米国では石炭火発からの投資の撤退と、こういう動きが国レベルで起こっております。さらに、民間レベルでもダイベストメント運動というのが注目されております。既に五百以上の組織、投資家、参加しまして、その規模四百兆円と、大きな規模になっています。世界では、政府、民間、再エネに思い切ってかじを切るダイナミックな変化が起こっているということだと思うんです。日本はこの海外投資でも、COP21、パリ協定の流れに私は逆行していると思います。
 前経産大臣は私に対して、原発も石炭も駄目というならどうするんだと質問されました。再エネにこそ未来があると私は言いたいと思います。
 先ほどの懇談会の提言では、再エネが経済と地方の抱える課題解決につながる可能性があるということで、資料四に注目していただきたいんですけれども、これは今でも域内エネルギー代金の収支の比率で赤字になっているというものを示しております。
 続いて資料五、これは一体どういう意味があるのかということを御説明、事務方からお願いします。
#293
○委員長(岸宏一君) 環境省総合政策局長。簡単にね。
#294
○政府参考人(三好信俊君) 分かりました。
 御指摘の図につきましては、約束草案レベルの再エネ導入、省エネ努力を行ったと仮定した場合の各自治体のエネルギー関連の付加価値の推計の結果でございまして、この試算におきまして、大都市、地方を問わず、ほぼ全ての自治体で付加価値が増加し、地方部においてその増加幅が比較的大きくなった、ただし、このような効果を発揮するためには地域の資本が参画して事業が行われることが重要な要素となるという点を指摘するための、説明のための資料でございます。
#295
○倉林明子君 ありがとうございました。
#296
○委員長(岸宏一君) 以上で倉林明子さんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#297
○委員長(岸宏一君) 次に、山田太郎君の質疑を行います。山田太郎君。
#298
○山田太郎君 維新・元気の山田太郎でございます。
 昨日に引き続き、今日も少し児童養護について質疑させていただければと思っています。
 先ほど山本香苗議員の方も相当突っ込んで児童養護をやっていただきましたけれども、私もいろいろ問題意識を持っておりまして、一つは、一時保護所と子供シェルターの問題について少し質疑したいと思っています。
 まず、一時保護所の方ですが、私も去年から幾つかの都内の保護所の方を見させていただきました、児相と一緒にくっついている保護所でありますが。ただ、中に入りますと、非行少年と、非行関係で行動観察にある子供たちと、それからいわゆる緊急保護で虐待にある子供たちが一緒に入っているケースもあって、特に虐待の形で傷ついている子たちがやっぱりおっかないというような感じ、それから、どこも、御案内だと思いますけれども、定員以上の子たちが入っている。
 昨日も資料を使わせていただきましたけれども、虐待を含めてたくさんの子たちが今増えているということもありまして、まず、この辺りの厚労大臣の認識、特に私は、一時というか、行動観察と緊急保護を分けて何とか対応すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#299
○国務大臣(塩崎恭久君) おっしゃるように、児童相談所における一時保護というのは、虐待を受けた子供について迅速に安全を確保するということで、大変大事な支援につながるためのアセスメントを行うという機能を果たしている施設でございます。
 一時保護を必要とする子供の数は増加傾向にあって、直近五年間で二割増加をしています。入所率が常に一〇〇%前後になっている一時保護所もあることから、適切な処遇を確保するための整備を推進する必要があるというふうに考えているところでございます。
 また、一時保護される子供は、その背景が、今先生御指摘のように、虐待、それから非行、養育困難、様々でございまして、それが一時保護所の中で一緒になっているということがあったりするわけでございまして、これは決して好ましいことではないというふうに思います。
 そういうことで、一時保護所のほかに、里親等への委託を含め、個々の状況に応じた支援を行うことが重要だというふうに考えておりまして、先ほども申し上げましたけれども、昨年末に政府として取りまとめた児童虐待防止対策強化プロジェクトにおいては、一時保護所の環境改善、量的拡大を盛り込んでおります。二十七年度の補正予算で、一時保護所における居室の小規模化、年齢、入所事由に応じた処遇の確保を図るため、特例的に国の補助率を二分の一相当から三分の二相当に引上げをいたしまして、整備の促進を図るということにいたしました。
 二十八年度以降も適切な整備の推進に努めてまいりたいというふうに思っております。
#300
○山田太郎君 もう一つ突っ込んで答弁いただきたいんですが、是非、一時保護所、非行、虐待、いろいろありますが、これを今後分けてやっていくということ、これを考えて実行していくということをもう一度御答弁いただけないでしょうか。
#301
○国務大臣(塩崎恭久君) 整備を進めないと別にするという余裕がなかったりするわけでございますので、そういう意味で整備を進めるということを申し上げました。
 先ほどもちょっと申し上げました福岡市の児童相談所に行ったところ、ワンフロアは言ってみれば何種類かの理由で入ってこられた子供たちが一緒に入っているというところがありましたが、もうワンフロア追加で造られたそうでありまして、そこは全部個室にしておりました。
 したがって、当然、児童虐待の子と非行の子を、虐待を受けた子と非行の子を一緒の部屋にするようなことはあってはならないことで、ケアが特別に必要な虐待を受けた子供たちにはやはりそっと個室で丁寧なケアをするということをやっていかなきゃいけないというふうに思いますので、方向性としてはやっぱり今先生がおっしゃったとおりで、ただ、その整備には当然予算も掛かるということでありますので、そういう意味で整備は進めて、そちらの方向に持っていきたいというふうに考えております。
#302
○山田太郎君 子供たちの緊急避難所は何も一時保護所だけではありません。子供シェルターというものもあります。
 報道では、全国十二か所あったものが三か所休止しているというような実態もあります。なかなかこの子供シェルターというのは世の中余り理解されていないようでありますが、実は、児童養護施設では、かなり難しい子というんですかね、そういう子が例えば預けられていたりとか、そういったところもありまして、運営も非常に専門性が高くて厳しいという辺りで、経営そのものも困難だということであります。
 あわせて、もう一つ、このシェルターをどういうふうに今後捉えていくのか。今休止に追い込まれている状況を、是非、厚労大臣、何とかしていただきたい、こういうふうに思っております。是非その辺り、お考えいただけないでしょうか。
#303
○国務大臣(塩崎恭久君) この子供シェルター、今お話がありましたように、我々が速報値で押さえているのは十か所ということが現状でございますが、これ二十七年十月現在でございますのでそういうことでありますが。子供シェルターは、虐待を受けた児童などの緊急の避難先となる住居において子供に対する相談その他の援助を行う民間団体の取組ということでございまして、こうした取組は、当然、虐待を受けた児童等の自立支援の観点からは極めて重要な手だてだと思っております。このため、子供シェルターについては、平成二十三年度より、指導員の配置等の自立援助ホームの要件を満たす場合には公的支援の対象としておるわけでございます。
 さっきお話がちょっとありましたが、難しい問題を抱えた子供たちが入所したことによって他の子供が受け入れられなかったために、入所実績に応じて支払われる国からの運営費補助が減額されたり休止に追い込まれた自立援助ホームがあるというような報道は承知をしているところでありまして、自立援助ホームに対する運営費補助は前年度の入所実績に応じた額が支払われるわけでありますけれども、そのような事情がある場合は入所実績によらず補助金、補助額を算定をすることも可能とする特例を設けているところでございます。
 難しい問題を抱える子供を受け入れる自立援助ホームにできる限りの配慮をしてまいりたいというふうに思っております。
#304
○山田太郎君 もう一つ、措置延長の問題についても質疑したいんですが、児童養護施設、それから里親も十八歳で措置延長が終わるということで、これを報道では二十歳又は二十二歳まで延長するというような議論をされているということも聞いております。ただ、もちろん、そうなると一時預かり所等を含めてかなりの人数が増えると。そこの施設も増やさなきゃいけないし、対応もしっかり、人員を増やさなきゃいけない。そういうことがなければ現場はなかなか回ってこないということもありますが、そのことも含めてこの検討状況。
 私も実はプロ里親の方とお会いして、知的障害のある、里親のところに行った子が、結局、措置解除で十八歳で出るのは非常に厳しいと。魔の二年間と言われるものでありまして、二十歳でないと大人ではないということで、プロ里親さんはポリシーとしては絶対に養子を取らないということでプロ里親をやっていたんですが、その場合だけは特別に養子を取ったという、本当に現場の気持ちだけで何とかこの魔の二年間を今乗り越えているというのが現状であります。
 そういう意味で、二十又は二十二までの措置延長は重要だと思いますが、あわせて、そうなった場合の施設それから人員に対する措置、この辺りどういうふうになっているのか、これ是非力強く、全国の現場は期待していますので、厚労大臣、お願いします。
#305
○国務大臣(塩崎恭久君) 施設の趣旨は少し違うかも分かりませんけれども、イギリスのコネクションズという仕組みがございますが、ここは二十五歳まで受け入れているところでございます。
 児童養護施設などでは原則として十八歳までが措置ということでございますけれども、都道府県などが必要と判断をした場合は現在でも二十歳まで入所期間の延長が可能とされているわけであります。このため、十八歳に到達しても、生活が不安定で継続的な養育を必要とする児童については入所期間の延長を積極的に活用するよう自治体に通知をしているわけでございますが、今私ども厚労省で、新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会というところで様々な議論をしていただいておりまして、この問題も当然対象になっております。
 一部報道にもございましたけれども、二十二歳まで延ばすべきじゃないかという御意見もあって、ただ、措置というのはやはり二十歳までじゃないか、そこからは利用ということにすべきではないのかといった議論もあって、しかし、我々にとって大事だと思っているのは、やはり十八歳でぽんと社会に投げ出されるということではなくて、やはり必要な場合にはそういった施設にも、あるいは、子供が面倒を見ていただけるような形で、里親に面倒を見てもらうという仕組みもやっぱり少し延ばすべきではないのか、そのことによって社会に溶け込むスムーズなソフトランディングができるようにすべきじゃないかという議論を今しているところでございまして、これらを含めて今回の児童福祉法に入れ込んでいければなというふうに考えているところでございます。
#306
○山田太郎君 里親の措置延長はいかがですか。里親の方です。
#307
○国務大臣(塩崎恭久君) それに関しても方向性は同じでありますが、今、それも含めて議論を深めているところでございます。
#308
○山田太郎君 もう一つは、里親の委託率という問題も少し触れていきたいと思います。
 日本は御存じのとおり里親の委託率が非常に少ない、一二%ぐらいであると。施設に養護されるというのが多いわけでありますが、世界を見ると、例えばイギリスでは七〇%強、アメリカでは七七%、ドイツも五〇%、お隣韓国も四三%。これらは家庭養護、家庭の愛情を感じるという意味で、里親というのを基本の中心として児童養護を考えているという、こういう組立てがあるかと思っております。
 いろんな議論はあると思いますが、ここで厚労大臣の里親の日本の委託率が低いということに関する問題意識、考え、この辺りをお聞かせいただけないでしょうか。
#309
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほども公明党の山本先生の御質問にもお答え申し上げましたけれども、今まで児童養護のあるべき姿について、一つは家庭養護、そして家庭的養護、その次に施設と、こう来るわけでありますが、私どもがやっぱり大事にしたいのは、子供にとって、特にゼロ歳から二歳ぐらい、あるいは就学前の愛着形成というものを大事にしていきたいと。
 そうなると、やはり実際に生みの親から愛を注がれるというのが一番でありますが、それがかなわないならばやはり特別養子縁組のような形での愛着形成がなされることが大事であって、それと同等に今先生御指摘の里親も大変大事なことだと思いますし、それが複数形になった場合のグループホームまでが家庭ないしは家庭に準ずるような養護ではないかというふうに思います。
 もちろん、大舎ではない小規模の施設での家庭的養護というのも、それはその次に来るものとして大事でありますので、私どもとしては、今のところ、平成二十七年度から平成四十一年度までの間に里親などへの委託を社会的養護全体のおおむね三分の一とすることを目標として、各都道府県において里親委託等を推進するための都道府県推進計画を策定をしていただいておりまして、今年度よりこの計画に基づいて里親の新規開拓などの取組が始まっているところでございますけれども、何分にも児相が目いっぱいで、忙し過ぎて里親に対する支援も含めてなかなか難しいということで、先ほど申し上げた、国、都道府県、市町村の役割、責任をもう一回見直して、この里親についても、誰がどこでどういうふうに支援をし、また探してマッチングをしていくのかということもしっかり考えていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っているところでございます。
#310
○山田太郎君 おとといも呉市で痛ましい虐待死のことが起こりました。八か月の赤ちゃんがやはり殺されると。やっぱり警察との関係、児相、特別養子縁組があればということもあると思うので、法務省と、いわゆる虐待死の問題がゼロ歳児が四四%であるということを考えると、やっぱり連携を取っていかなければいけないと。
 毎回しつこいようで申し訳ないんですが、この辺りは今後の政府の組織の在り方、対応の仕方、昨日は子供庁なるものを提案させていただきましたが、もう一度、官房長官、しつこいようではありますけれども、是非コメントをいただけないでしょうか。
#311
○国務大臣(菅義偉君) まず、現実的にそうした虐待からまさに国を挙げて子供たちを守らなきゃならないと。そういう中で、今、政府には子ども・若者育成支援推進本部、子どもの貧困対策会議、こうしたものを設けて一体となって体制を整えているわけですけれども、しかし、委員から子供庁の設置、こうしたこともありました。現に対策本部とかそういう対策会議があっても、どこが中心になって対応するかということがなかなか定まっていないということの問題意識だというふうに、ここ数日間の委員の御指摘をいただいて、受けております。
 先般申し上げましたけれども、この四月からその総合調整を行うことができる機能が法改正によってできるようになりましたので、例えば虐待については警察庁を中心にしてやるとか、あるいは貧困対策については厚労省に中心になってもらって、それぞれ関係省庁との調整を含めて責任を持ってもらうとか、まずそういうことをしっかり行って、連携を取りながら、もちろん地方自治体も関係するわけでありますけれども、縦割りでなくて力を集約してできるような、そういう体制というのはやはり責任を持ってつくっていきたいというふうに思います。
#312
○山田太郎君 ありがとうございます。
 児相と児童養護、基礎自治体の問題もあります。総務省等もあるので、私は、ただそれぞれが担当ということよりも、一つに、ワンストップになる必要があると思いますので、子供庁のような一つの足下、現場まで持っている省庁がもう必要な時代に入ってきたんじゃないかと、こう思っております。
 さて、表現の自由について少し今日はやりたいと思いますが、フィギュアの問題でありまして、二月十六日に警視庁が児童ポルノ規制法違反で検挙した事件がありました。
 まず、一般論等でお伺いしたいんですが、実在しない児童をモデルとしたフィギュアというのは、これは児童ポルノに当たるのかどうか、これは法務大臣、お願いします。
#313
○国務大臣(岩城光英君) お答えいたします。
 あくまでも一般論として申し上げますと、児童ポルノ禁止法に言う児童ポルノとは実在する児童を描写したものと解されていますことから、お尋ねのフィギュアがおよそ実在しない児童を描写したものを指すのであれば、児童ポルノには該当しないと解されるものと存じます。
#314
○山田太郎君 これも一般論として法務大臣にお伺いしたいんですが、事件と関係ないものというのは押収できるのかどうか、これもお答えいただけますでしょうか。
#315
○国務大臣(岩城光英君) 捜査機関が行う令状による差押えについては、刑事訴訟法上、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、証拠物又は没収すべき物と思料するものを差し押さえることができるものとされております。したがいまして、必要のない差押えはできません。
#316
○山田太郎君 二月十六日のこの事件に関して、警察庁にお伺いしたいと思います。
 当該事件に関して、フィギュア自身は押収したんでしょうか。
#317
○政府参考人(種谷良二君) お答えいたします。
 お尋ねのいわゆるフィギュアと呼ばれる人形は、警視庁が二月十六日に児童買春・児童ポルノ禁止法違反事件で被疑者を送致した事件に関して、裁判官の発付した令状に基づき、本件に関係ある証拠品として押収したものと承知しております。
#318
○山田太郎君 フィギュアそのものは児童ポルノに当たらないということですが、それでは、なぜ押収したのか、どう関係あるのか、警察庁、教えてください。
#319
○政府参考人(種谷良二君) お答えいたします。
 お尋ねの証拠品は現在捜査中の事件に係るものでありまして、詳細についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論として申し上げれば、裁判官の発付した令状に基づきまして、事件に関係あるものとして犯行の動機、犯行の背景等を立証するために必要なものとして押収することがあるというふうに承知しております。
#320
○山田太郎君 そうすると、今回のフィギュアは事件に関係あるものという認識で警察庁は押収されたということでいいですね。
#321
○政府参考人(種谷良二君) お答えいたします。
 ただいま申し上げましたように、この事件については現在捜査中ということで、詳細についてお答えを差し控えさせていただきますが、犯行の動機、犯行の背景等を立証するために必要なものというものを押収することがあるというふうに承知しております。
#322
○山田太郎君 これは国家公安委員長の河野委員長にお伺いしたいんですけれども、どういう事件だったかというと、実在のポルノの画像を持っているといったところで事件があったわけですが、たまたま家にフィギュアがあったということなんですね。報道によると、DVDだとかサーバーとか並んでいる横にフィギュアが並べてあったと。言い方はあれですけれども、もしかしたら絵的に、何となくフィギュアを並べておくとそれっぽいのかなと、こう使われてしまったんではないかという節があるように私は感じたわけであります。
 やっぱり国民にとって信頼できる警察を目指すという意味では、余りこういう形でもってもしかしたら関係ないものをあえてテレビにさらして、押収物としてさらすというのはいかがかなというふうに思っておりますが、是非その辺り、国家公安委員長、コメントいただけますか。
#323
○国務大臣(河野太郎君) 個別の案件についてはなかなか答弁をできませんけれども、そうしたフィギュアがこうした事件の犯行の動機や犯罪の背景を立証するために必要があると認めて押収されることもあり得ると思っております。
 絵的に面白いから押収をして並べてマスコミに見せようなんということは許されることではございませんので、そうしたことは厳に慎まなければならないと思いますが、それが犯行の動機や背景の解明の立証に役立つ、つながっているというものならば押収されることもあり得ると思います。
#324
○山田太郎君 次は国連勧告という辺りで、女子差別撤廃委員会の件についてお尋ねをしたいと思います。
 三月には国連人権委員会の方、それから女子差別撤廃委員会等々いろんな報告がされて、日本もそれに基づいて国連からいろいろ勧告をされる可能性があるかと思っています。それに先立ち、二月には女子差別撤廃委員会の日本審査が行われました。その中でのやり取りなんですが、児童ポルノを含む日本の漫画、コミックの取締りについてフォローアップ質問の中では尋ねたとありますが、警察庁としてはそこで立ち会って御回答されたようですけれども、どのような質問があり、どう回答されたのか、お答えいただけますでしょうか。
#325
○政府参考人(種谷良二君) お答えいたします。
 国連女子差別撤廃委員会の対日審査においては、委員から成人ポルノが規制されていないのではないかなどの質問を受けたことから、風営法においては成人ポルノ等の性的好奇心をそそる物品の販売、貸付けを行う営業を規制の対象としていること、刑罰法令に抵触する場合には必要な捜査を行い被疑者を検挙するなど厳正に対処していること、二〇一四年中においてはわいせつ物DVD等の販売事犯について百八十五件検挙していること等の回答を行ったとの報告を受けているところでございます。
#326
○山田太郎君 これは外務省に関係ありますので外務大臣にお伺いしたいんですが、かなりいいかげんな資料、議事録が提出されていて、これは訂正するべきじゃないかなというふうに実は思っています。私自身、もちろん人権については、これはグローバルということがあっていいと思いますが、文化の良しあしについてはローカルであるべきだ、こういう考え方も持っておりまして、まず、その訂正を外務大臣として求めていく、正すものはちゃんと正す。それから、国連からの文化に対する勧告を受けた場合、日本はどういうふうにされるおつもりなのか、この辺り、外務大臣にお伺いしたいと思います。
#327
○国務大臣(岸田文雄君) まず、国際社会において我が国の立場、考え方を適切に説明していく、これは大変重要なことであります。そして、御指摘のこの議事につきまして議事概要が既に公表されています。我が国としまして、それを関係省庁で今検討しているところであります。その中で不正確な記述などがありました場合には、日本政府の立場につき理解が得られるよう修正を申し入れることとしたいと思います。
 それから、勧告が出された場合にどのように対応するかということでありますが、まず、国連の女子差別撤廃委員会あるいは人権理事会、こうした人権諸条約に基づく委員会の最終見解ですとか国連の最終報告者の報告、これは法的拘束力は有しておりません。しかしながら、日本政府としまして、何らかの勧告が出された場合には、児童を性的搾取や虐待から保護することが重要であること、これはもちろんでありますが、一方で、漫画ですとかアニメですとか日本の大切な文化、これを守っていく、この点もしっかり念頭に置きながら、関係省庁と十分検討した上で適切に対応していかなければならないと考えます。
#328
○山田太郎君 法務大臣にお伺いしたいと思います。
 漫画、アニメ、ゲームなどで実在しない人物をモデルに描いた創作物が人権侵害に当たる可能性はあるのか、これお願いします。
#329
○国務大臣(岩城光英君) 人権侵害に当たるか否か、これは具体的事案に即して判断されるべき事柄でありますので一概にお答えすることは差し控えたいと存じますが、一般的に申し上げますと、人権侵害とは特定の人の人権を具体的に侵害する行為を意味するものであり、実在の人物がモデルとなっていない以上、描かれること自体によって人権を侵害される特定の人物は想定できません。
 したがいまして、その意味において、単に実在しない人物を描く制作行為自体が直ちに人権侵害に当たるとは考え難いものと存じております。
#330
○山田太郎君 是非、日本の漫画、アニメ、ゲームを守っていくために、もちろん違法なものは取り締まらなきゃいけない可能性はあるかもしれませんが、基本的には実在しない、あくまでも創作物、内心の自由、この国会でもいろいろ議論があったかと思いますけれども、そういうものを守るため頑張ってやっていきたいと思っていますし、是非、外務省、国際的にいわれがないことについては毅然とした態度で日本国の主張をしていただきたい、こういうふうに思っております。
 もう時間が残っておりません。加藤大臣、それから島尻大臣にも質問があったんですけれども、時間がなかったので、これで私の質問を終わりにしたいと思います。今日はありがとうございました。
#331
○委員長(岸宏一君) 以上で山田太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#332
○委員長(岸宏一君) 次に、藤巻健史君の質疑を行います。藤巻健史君。
#333
○藤巻健史君 おおさか維新の会、藤巻です。
 まず、財務大臣にお伺いしたいんですけれども、先週末のG20、中国上海で行われたやつですけれども、この結果に対して、欧州メディア、FTの電子版を含めて、通貨安戦争に関して日本円にも懸念が示されたという記事が出ました。その一方、昨日、時事通信が、財務省の浅川財務官がG20では円に関しての議論は全くなかったという記事が出たわけですけれども、どちらが正しいのか、財務大臣にお聞きいたします。
#334
○国務大臣(麻生太郎君) 浅川の方が正しいとはっきりしておりますので、デイセルブルムの話だと思いますけれども、ユーロのデイセルブルムの話のそれ見られたんだと思いますが、この件に関しましては、そういう発言が、その発言をしたと思われる場には私も浅川も両方おりましたので、基本的にはおかしいじゃないかという話を申し上げておくべきと、申し上げるというふうに言っておくべきということに思いましたので、私どもの方から欧州委員会の方に電話をしておりますが、先方の発言、返答は、当該報道は議長の発言内容を誤って引用したものとの説明があっておりますので、日本もオランダも似たようなものかなと思いながら聞いていたんですけれども、そういう発言があっておりますので、その発言はなかったと思って構わないと、浅川の発言が正しかったと思います。
#335
○藤巻健史君 それを聞いて安心いたしましたけれども。
 次に、黒田日銀総裁にお聞きいたしますけれども、マイナス金利政策、今日の午前中の質問等、藤田委員それから大久保委員の質問等に対してイールドカーブを全体的に下げるために行ったというお話をされていましたけれども、たった〇・一%なんですよね。
 私は、やっぱりイールドカーブを下げたから実体経済にどうこうという話ではないと思うんですね。要するに、下げた先がたまたまマイナスだったということだけで、これが実際に経済に影響するかというのは極めて疑問に思っています。
 特に、この前の財政金融委員会でもちょっと質問をいたしましたけれども、長期金利を下げたところで、今ほとんどの貸付金というのは変動金利なわけです。銀行からの貸出しというのは大体変動金利ですね。住宅ローンが長いじゃないかとおっしゃるかもしれないけれども、あれは例えば六か月LIBORの集合体であって、短期の金利の集合体であって、長期金利が下がったところで別にメリットは余りないんですよね。一番メリットがあるのは国の金利支払が減るということだろうと思うんですけれども、要は、イールドカーブ全体が下がっただけではマイナス金利の効果って余りないと思うんですね。
 元々私は二十年来マイナス金利をしろと言ったから、だからマイナス金利は違うというふうに言うわけではなくて、何が言いたいかというと、実は三月二日の日経新聞に、ファイナンシャル・タイムズの「マイナス金利の限界」という記事が紹介されていたんです。そこには、マイナス金利政策は預金金利を下げないと余り効かない、でも、その代わりに為替レートには大きく影響するんだと、こう書いてあったんです。当事者にとっては、要するに日銀にとっては非常に為替レートが円安になるならば非常に魅力的だ、だが、そうなれば急速に世界中でゼロサムゲームが発生する、要するに自分の国は通貨高になってしまうから、自分の国も通貨下げをしようということで通貨安戦争が起こってしまうのではないかと、こういう記事が載っていたわけですね。
 黒田日銀総裁にお聞きしたいんですが、マイナス金利政策を導入した本当の意味というのは、円安にしたかったからじゃないんでしょうか。
#336
○参考人(黒田東彦君) このマイナス金利付き量的・質的金融緩和というものは、量的・質的金融緩和を一段と強化することによって二%の物価安定の目標を早期に実現するために行っているものでありまして、為替相場を目的としたものではありません。
 従来から申し上げているとおり、量的・質的金融緩和自体もイールドカーブ全体を下げて、金融緩和を実体経済に浸透させて、そうした中で企業や家計の経済活動が刺激されて、所得から支出への好循環が始まっているわけでございます。そうした下で、物価の基調も徐々に改善してきているということであります。
 今回のマイナス金利付き量的・質的金融緩和というものも、日本銀行の当座預金の一部に適用される金利をマイナス化すると同時に、従来から大規模な長期国債の買入れを継続しておりますので、これと併せて金利全般により強い下押し圧力を加えていくということを主たる波及経路として想定しておりまして、御案内のとおり、実際にも短期、長期の利回りは大幅に低下しておりまして、これを受けて、貸出しの基準となる金利あるいは住宅ローンの金利ははっきりと低下しております。
 こうした金利面での政策効果は既に現れているわけですけれども、これが今後、実体経済に及んでいくということを注視をしているわけでございます。
#337
○藤巻健史君 どうも黒田総裁の話を聞いていますと、為替政策は経済対策として余り気にしていなくて、金利が下がったのが大変に影響があるというふうに聞こえるんですが、先ほど来大幅に下がったとおっしゃいますけど、何をもって大幅と言うか。パーセンテージでいえば大幅かもしれませんけれども、私、三十年間金融の世界にいましたけれども、決してこんなの大幅じゃないと思いますけれどもね。それで本当に影響があるのかどうか。私は、やっぱり為替を通じて経済に影響するというのが本来ではないかと思います。これはちょっと後でお聞きしたいと思うんですが。
 その前に、ちょっとまた黒田日銀総裁にお聞きしたいんですが、マイナス金利政策を導入した後、円高がちょっと進んでしまったんですが、これはどういうふうに分析されていますでしょうか。
#338
○参考人(黒田東彦君) 国際金融市場、これはマイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入決定後も、御案内のように、不安定な動きが続いております。その背景としては、年明け以降の原油価格の一段の下落、あるいは中国経済の先行き不透明感の高まりに加えまして、欧州銀行セクターに対する懸念などもありまして、世界的に投資家のリスク回避姿勢が過度に広まって、円買い需要が根強かったというふうに考えております。
#339
○藤巻健史君 避難通貨として円が買われたというような御発言がありましたけれども、株を見る限り、世界中で一番、中国と並んで株が落ちたわけで、日本売りの様相を示していたわけで、それをもって避難通貨だから円が買われたというのは非常に腑に落ちない理屈だったと私は思います。
 基本的には、私は日本がマイナス金利政策を導入したおかげで欧米の長期金利、それから金利が下がっちゃった、より彼らの方が金利が下がっちゃったがゆえに私は円高が進んでいると思っていますけれども、いかがでしょうか。
#340
○参考人(黒田東彦君) 日本と欧米の金利格差について具体的なコメントをするのは差し控えたいと思いますけれども、金融政策の基本的な方向性として、日本銀行は二%の物価安定目標の早期実現に向けてマイナス金利付き量的・質的金融緩和を推進する一方で、米国のFRBは米国景気の改善が続く下で金利の正常化を進めていくものというふうに承知しておりますし、ECBの方は、御承知のように、物価上昇期待が下落するという下で、昨年の十二月にマイナス金利を更に引き下げ、また量的緩和の期間を延長したということであろうと認識しております。
#341
○藤巻健史君 今のお話を聞いていますと、円の方は金利が低下方向にあり、アメリカの方は金利が上昇方向にあるということで、日米金利差は今後開く。したがって、そうなればドル・円は上がる、それが消費者物価指数二%、来年度の初めに達成できると信じている理由ではないかと私は邪推しますけれども、いかがでしょうか。
#342
○参考人(黒田東彦君) 御案内のように、足下で生鮮食品を除く消費者物価指数がゼロ%近傍で動いているのの大半の理由は、原油価格の下落ということが言われております。これは私どもの展望レポート等でも具体的に分析しているところでございます。
 そうした上で、前回の金融政策決定会合においては、石油価格について一定の前提を置いて経済見通しなり金融政策を決定しているわけでございますけれども、その原油価格の前提につきましては、その前の一か月間の平均価格の水準から見通し期間の終盤にかけて、つまり二〇一七年度の終わりにかけて四十ドル台の後半まで緩やかに上昇していくと、これ原油の先物価格のカーブをそのまま使っているわけでございます。
 そうした前提の下で二〇一七年度前半頃に二%程度に達する可能性が高いという見通しを持っております。為替について特定の見通しを前提にしているということはございません。
#343
○藤巻健史君 消費者物価指数が二%行かない大半の理由は原油価格だとおっしゃいましたけれども、円高のせいじゃないんでしょうかね。いかがでしょうか。
#344
○参考人(黒田東彦君) これはいろいろな分析があるわけでございますが、生鮮食品とエネルギー品目を除いたところで見ますと、この二十八か月ずっとプラスで続いておりまして、足下で一%を超えているというところに来ておりますので、物価の実勢、基調というものは改善してきていると思いますけれども、足下で生鮮食品を除く指数で見るとゼロ%台というのが今の状況であるということの相当部分が原油価格が七〇%以上低下したということが非常に効いているということは、いろいろな分析で明らかだと思います。
 為替レートにつきましては、当然、原油価格のように直接的にすぐ効くというよりも、少し時間を掛けて幅広い品目で一定の影響を与えるわけですが、為替レートが物価に影響するということは事実なんですけれども、今の時点の生鮮食品を除くところでゼロ%台であるとか、あるいは生鮮食品とエネルギーを除くところで一%台というものについて、円高が非常に効いたとか、そういうことではないと思っております。
#345
○藤巻健史君 次に、財務大臣にお聞きしたいんですけれども、G20、先週末のG20で日本円に対しての議論はなかったとおっしゃいましたけれども、マスコミ報道によりますと、今後通貨の競争的な切下げを避けるというふうに確認したという報道がありました。通貨の競争的下げを禁止ということは、皆どの国も通貨を切り下げたい、景気にいいから、通貨を切り下げたいからこういう協定ができるんだと思いますけれども、日本にとって円安はいいのでしょうか、悪いのでしょうか。財務大臣、お答えください。
#346
○国務大臣(麻生太郎君) その時々のいわゆる為替というものは、その場その場でいい場合もあれば悪い場合もありますので、一概には申し上げるわけにはいかぬと思っております。
 また、今の介入の話がありましたけれども、この為替の介入は急激にはやらないというのは昔からのみんな約束事ですから、それを改めてこれを文書にしてコミュニケに出したということだと存じます。
#347
○藤巻健史君 今のお話聞いていますと、介入以外で円を切り下げてもいいということに聞こえますけれども、それはいいんでしょうか。
#348
○国務大臣(麻生太郎君) そういうことはやらないということを前々からG7でもG20でもずっと言い続けてきたわけですから、それを改めてコミュニケにもう一回書いてあるというだけだと申し上げております。
#349
○藤巻健史君 じゃ、ちょっと先ほどの質問に戻りますけれども、その時々によって円安がいいか円高がいいかが決まるとおっしゃっていましたけれども、今の現状では、円安が日本にとっていいのでしょうか、悪いのでしょうか。
#350
○国務大臣(麻生太郎君) 為替のことに関してはコメントしないというのは、政界人の共通の常識だと存じますが。
#351
○藤巻健史君 アメリカの財務長官はしばしばドル高がいいと、こういうふうによくおっしゃいますけれども、なぜ財務大臣はコメントしないんでしょうか。
#352
○国務大臣(麻生太郎君) 私の方が世界的に見て常識があるんだと言いたいところですけど、そう言うと話は込み入りますから、お互いさま、気持ちは分からぬでもないけれども、私どもとしてはきちっとルールは守っていきたいものだと思っております。
#353
○藤巻健史君 もし為替のことについてしゃべって日本に悪い影響があるならばともかく、もし財務大臣がしゃべって、若しくは総理がしゃべって、若しくは日銀総裁がしゃべって自国にとっていい方向に動くんだったらば、言っても何ら問題はないと思いますが、いかがでしょうか。
#354
○国務大臣(麻生太郎君) 今これだけ世界中がインターナショナルにいろいろな形で相関関係がある中で、一国だけ都合のいいということになかなかなりかねると思っております。
#355
○藤巻健史君 じゃ、ちょっと話を変えますけれども、今年一月以降、円高が進むと株価が暴落する、要するに為替の動きに合わせて株がかなり動いて、コリレーションが物すごく強かったと思うんですね。円高になれば日本は駄目だということでどんどん株が落ちる、こういう状況をそのまま何もしないで見ていていいんでしょうか。それでもやっぱり国際的なあれが、信義が必要でしょうか。
#356
○国務大臣(麻生太郎君) 為替というものの動きとか株式の動きというのは、これはもう要因は様々ですので、株価と為替の動きが、いわゆる相関関係とかコリレーションズとかいろんな表現がありますけれども、こういったことに関して具体的にコメントすることはいたしません。
 ただ、今年に入ってから中国の景気減速、今年入って、去年の十月、上海の暴落以降からだと思いますが、それとか、原油価格が更に一斉に低下していった昨年から今年にかけて、約百ドル台から三十ドルを切るほどの、ドバイの方も三十ドル、WTIも同じくそれくらい下がってきましたので、そういったものの低下とか、アメリカの利上げをすると言われて、実際はなかなかと思っておりましたけれども、そういったような海外要因というものが非常に大きく作用したんだと思っておりますけれども。
 そういったような影響で日本の市場でも同じような変動が見られていると思っておりますので、まあこういったようないろんな要因が関係するものだと思っておりますので、いずれにしても、今、日本の経済のファンダメンタルズ自体は悪くないと、世界経済に関しても同様に基本はそんなに悪くないんだと、市場で言われているほど悪くないというのが今度のG20の結論だったと思っております。
#357
○藤巻健史君 話ちょっと戻りますけれども、G20で通貨の競争的な切下げ競争はしないということは、ほとんどの国が通貨が安くなった方がいいという前提の下で話しているわけですけれども、財務大臣は、じゃ日本だけは切上げの方がいいと思っていらっしゃるんでしょうか。
#358
○国務大臣(麻生太郎君) 先ほどお答えをした質問を別の言い方でされておられるだけで、聞きたいことは同じことしか聞いておられませんので、為替のことについてはコメントすることはありません。
#359
○藤巻健史君 私は、ここで財務大臣が円安がいいとおっしゃったら日本円が五円ぐらいぽおんと上がって、十回しゃべれば五十円ぐらいぽおんと円安になって、日本経済は何にもしなくて、財政出動しないで回復すると思うんですけれども、まあそれはそれとして今度のお話にいたします。
 次に、黒田日銀総裁にお聞きしたいんですが、実は、今日、こういう本を持ってまいりました。これ、「元切り上げ」という本で、黒田日銀総裁が一橋大学の大学院のときに書いた本なんですね。そのとき、この中に、いずれにせよ、かなり人民元安になっていることは確かであり、これが輸出の急増と高度成長の原動力になっているのは明らかだ、人民元安によって中国の経済成長が加速されたと書いてあるわけですね。
 私もまさにそのとおりだと思っておりまして、一九八〇年代、百六十円もしないと一人民元買えなかった。今は十七円ぐらいで買えちゃうわけですよ。ドル・円でいえば、例えば百円が九百円ぐらいになったようなもので、これは中国強いのは当たり前だと私は思っておりますが。
 実は、二月二十九日、中国の中央銀行が預金準備率を下げたんですね。伝統的金融緩和をやったわけですけれども、これは、中国は人民元安によって中国経済の底入れを図っているというふうに理解してよろしいんでしょうか、教えてください。
#360
○参考人(黒田東彦君) まず、私が書きました本は、かなり前のことを述べております。
 現在の中国経済につきましては、御承知のように、輸出、製造業主導の経済から、内需、非製造業中心の経済へ構造転換の過程にあるわけでございますが、政策対応余地は十分にあると思いますので、先行きも中国経済はおおむね安定した成長経路をたどると見ております。
 そこで、中国の為替政策についてですが、これは中国人民銀行の周小川行長がかなりはっきりと、人民元レートは通貨バスケット対比で基本的に安定しており、人民元が継続的に減価する条件は存在しないとして、為替レート安定に向けた強い姿勢を示しておりますほか、ルールに反する資金フローとか過度な投機的な動きに対しては当然適切に対応するという方針を明らかにしておられます。
 なお、御指摘の二月二十九日の預金準備率の引下げにつきましても、中国の人民銀行は、金融システムの流動性を合理的かつ十分な水準に保ち、貸出しの安定的かつ適度な増加を導き、サプライサイドの構造的改革に向けて適切な金融環境をつくり出すというふうに説明しておるものというふうに承知しております。
#361
○藤巻健史君 私は、日本も中国と同じように通貨安政策で経済を回復させればいいんじゃないかなというふうに思ったんですが、今日なぜこんなに円安がいいんじゃないかというふうにお聞きしたかというと、日本って二十年間GDPが全く上昇していないんですよ、名目GDP。経済政策、財政政策は最大限やっているし、金融政策は最大限やっているわけです。それにもかかわらず、GDPは全く伸びていない。ほかの国はどんどん伸びていますよ。これ、何かが間違いだと思うんですけれども、それは為替政策ではないか。
 為替、円高をきちんと修正していれば、こんな九十七兆円もの財政出動をすることもなく、日本経済はよっぽどよかったと思っているんですが、そういう理解はないでしょうか。最後にお聞きします。
#362
○国務大臣(麻生太郎君) 少なくとも、失われた二十年というのは、デフレ経済、資産のデフレーションによる不況というものに対する経済対策が間違っていたのははっきりしていますよね。
 したがって、その間、各国は通貨の切下げ競争はしないという約束だったんですが、通貨を切り下げはしなかったけれども、通貨を大量に発行することによって結果として自国通貨を安くやった、我々はそういうことはしなかったと、そういうことだと思います。
#363
○藤巻健史君 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
#364
○委員長(岸宏一君) 以上で藤巻健史君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#365
○委員長(岸宏一君) 次に、浜田和幸君の質疑を行います。浜田和幸君。
#366
○浜田和幸君 日本のこころを大切にする党、浜田和幸です。
 今日は、主として岸田外務大臣に、日本の外交あるいは経済、通商政策にとって大事な隣国である中国との関係について、二点に絞って質問をさせていただきたいと思います。
 第一点は、中国だけではないんですけれども、途上国から技能実習生、もう年間二十万人を超える方々が、今までは三年だったのが五年の任期で日本に来られて、日本の進んだ技術を学んで、本国に帰って自国の経済発展のために役立てる、これは日本外交にとってとても大きな力だと思うんです。
   〔委員長退席、理事岡田広君着席〕
 ところが、中国からの実習生を含めて、彼らが研修、実習が終わって感想文を書いているんですけれども、そういうものを読みますと、大変過酷な労働条件の下で、もうパスポートも取り上げられて、休みもないような、そういう状況下で、日本に期待して来たのに日本を信用できない、反日になってしまうというようなケースも多々報告されています。
 また、そういうことがあるからだと思うんですけれども、アメリカの国務省は、このところ毎年、この技能実習生制度が奴隷労働だと、人権を侵害していると、こういう厳しい批判のやいばを突き付けています。原因はどこにあるとお考えでしょうか。
#367
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、我が国のこの技能実習制度につきましては、様々な国々から様々な指摘を受けています、議論にこれまでもなってまいりました。我が国の制度につきまして具体的に様々な指摘があるわけです。
 そういったことを踏まえて、国会におきましても、さきの国会から継続審議になっていますが、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律、この法律案が議論されています。
 我が国の技能実習制度には様々な指摘があるわけですが、是非、この法律の成立あるいは審議の結果等をしっかりと踏まえながら、その新制度の内容等を送り出し国等にしっかりと丁寧に説明をし、政府間での取組の構築について調整を行う、こういった取組を行うことが重要であると認識をしています。
#368
○浜田和幸君 おっしゃるように、派遣する国と受け入れる国との間の政府間の取決めはないんですよね。派遣する国のいわゆるブローカーが、日本に行けば、今労働力不足、人手不足だからこれだけもうかりますよと、そういう甘い誘い水。実際、日本の受け入れる農家でも建設現場でも、人手不足だから、とにかく最低賃金守るか守らないかというところで極めて過酷な労働を強いてしまう。ミスマッチングですよね。
 これ、担当するところが外務省と法務省と厚労省。やはりこれは外交的な観点で外務省がしっかりイニシアチブを取って、外交の観点から相手国とのちゃんとした政府の協定を結んで、しかも日本にたくさん来ているわけですから、受け入れている地域のコミュニティーや学校でもこういう世界の人たちを受け入れて地域創生にも役立てる、そういう発想ができるのは法務省や厚労省ではなくて外務省だと思うんですが、いかがでしょう。
#369
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘のように、技能実習制度につきましては外務省も大きな責任を担わなければならない、これは御指摘のとおりだと思っています。
 この制度は、開発途上国に対する技能移転による人材育成、こうした国際協力という面があります。さらには、中長期的に二国間関係の増進にも資する、こうした制度でもあると認識をしています。こういった点を考えますと、外務省としてしっかりとこの適正化あるいは効果的な活用に向けて積極的に貢献をしていかなければならない、このように考えます。
 是非、この制度の趣旨等について、制度の適正化に向けた政府部内の検討状況と併せて、これまでも領事当局間協議等の機会を捉えて送り出し国に伝達し、協力を求めていますが、外務省としてしっかり責任を果たしていきたいと思います。
 ただ、具体的にこの制度を利用する方々に直接説明するとか、いろいろな作業が必要になってきます。この制度全体を支えるということを考えますと、やはり、厚生労働省ですとか法務省ですとか、こういった関係省庁にも御協力をいただかなければ、この制度、しっかり維持することはできないと考えています。
 是非、外務省として、今申し上げました責任をしっかり果たしながら、法務省、厚生労働省との連携を図っていきたいと考えます。
#370
○浜田和幸君 是非、青年海外協力隊あるいはシニアボランティアのOB、OGも途上国に何年も行って、いろんな経験を持って日本に帰ってきて全国に散らばっているわけですから、技能実習生とそういったJOCVのOG、OB、シニアボランティアの連携によって、日本の地域のコミュニティーや学校でそういう相互理解の場を持つべきだと思いますので、外務省のイニシアチブを是非お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#371
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の技能実習生のみならず、外国人の受入れと共生という観点から考えましても、地域コミュニティーと外国人住民との相互理解、これは大変重要な視点であると考えます。
 そして、これまでも、これは委員にも先日御参加いただいたと聞いておりますが、国際ワークショップ、外国人の受入れと社会統合に関する国際ワークショップ、こういったワークショップを毎年開催し、啓発活動に努めているところです。
 そして、青年海外協力隊等については、帰国後、外国人と地域コミュニティーとの相互理解の深化に取り組むことが期待されており、そういった取組を促すために、外務大臣感謝状授与式あるいはオリエンテーションにおいて協力を促す、あるいはボランティア経験の社会還元の重要性、こういった説明を行う。こういった取組をしながら、御指摘のようなコミュニティーとの相互理解に貢献をしていただく、こうした取組に積極的に参加していただくよう促しているところであります。
#372
○浜田和幸君 もう一点、中国における遺棄化学兵器の処理、これも日中関係にとっては大変大きな地雷原になる可能性があると思っています。
 OPCW、オランダの化学兵器禁止機関、日本はこの二〇一六年末までに廃棄を完了する、これを目標として掲げているんですよね。現状はどうなんでしょうか。
#373
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の中国における遺棄化学兵器の問題ですが、我が国としましては化学兵器禁止条約に基づいて義務を誠実に履行する、こうした方針で取り組んできています。具体的には、これまで外務省において九十回に及ぶ現地調査及び回収作業を実施し、内閣府において、本年一月までに約三万九千発の遺棄化学兵器を廃棄処理をしており、この遺棄化学兵器処理事業は着実に進展をしていると認識をしています。
 これは期限との関係で問題ではないかという指摘がありますが、これは、日中間の覚書においては、この廃棄計画というものを定めて、二〇一二年四月二十九日時点において中国の保管庫に保管され、既にOPCWに申告されていた遺棄化学兵器については、二〇一六年の破棄完了の目標を達成することを目指して最善の努力を払う、このように定められています。
 一方、この最大の遺棄化学兵器が埋没されていますハルバ嶺につきましては、日中両国政府が新たな廃棄の計画を作成するまでの間、日本政府は、二〇二二年の廃棄完了を目指して最善の努力を払う、こういった旨述べられています。
 要は、幾つか目標が定められております。そして、この覚書が取り交わされた後も五千発以上の遺棄化学兵器が発見されている、こういった事情もありますので、こういった事情を踏まえながら中国側と緊密に協議をしています。
 日本と中国の間においては様々な課題が存在いたしますが、そういった中にありましても、この課題については、日本と中国、両国関係者は緊密な連携を続けております。是非、引き続き両国で努力を続け、廃棄事業を着実に進めていきたいと考えます。
#374
○浜田和幸君 大臣そうおっしゃっていますけれども、実際、現地で廃棄処分をしている、これは日本がお金も技術も全部丸抱えで出しているわけですよね。
 そこで、問題は、日本の企業がこれを請け負って廃棄処分をやっているんですが、なかなか思ったような廃棄が進んでいない。二種類ありまして、無害化の処理のための制御爆破チャンバーと加熱爆破チャンバー、日本の企業がやっています。しかし、なかなか思ったようにいかない。ここには、やはり長年、もう七十年も八十年も土中に埋まっていた爆薬、これを処理するのは、加熱しても爆発しないんですよね。一つ一つにまた爆薬を付けて爆破させると、すごい時間も掛かるし、コストも掛かる。一兆円から六十兆円掛かるという見積りもあるぐらいなんですね。それだけのコストを掛ける必要があるのかどうか。
 また、日中の合作、協力ということをうたわれているんですが、中国側のこの協力姿勢というものは一体どうなっているのか。この辺りについて、両方が責任を果たすというアプローチをしなければ、日本だけでは解決できない。目標が達成できなければ条約違反になって、日本は不名誉なことをまた言われかねない。その辺りについてのお考え、お聞かせください。
#375
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のこの遺棄化学兵器処理事業につきましては、私自身もかつて内閣府の特命担当大臣をやらせていただいた際に、まさにこの事業を担当したことがございます。
 御指摘のように、長い年月を経た上でのこの事業ですので、技術的に大変難しい面があるということ、これは御指摘のとおりだと思います。そして、かなり厳しい自然環境の中でこの事業を進めなければならないということですので、単にこの技術とか人員のみならず、地元の協力、こういったものも大変重要であるということを認識をしています。よって、これは日本と中国、これは共にしっかり協力していかなければ、この事業は進んでいかなければなりません。
 こういった点をしっかり念頭に置きながら、あるべき事業の進め方、しっかり検討し、政府全体としてこの事業進展に取り組まなければならないと考えます。
#376
○浜田和幸君 やはり中国の側からすると、──時間が参りましたので、引き続き、この国際的な条約を守るという観点で、日中の合作でこの問題を乗り越えていくために是非とも御尽力、継続をお願いしたいと思います。
 これで質問を終わります。
#377
○理事(岡田広君) 以上で浜田和幸君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#378
○理事(岡田広君) 次に、吉田忠智君の質疑を行います。吉田忠智君。
#379
○吉田忠智君 社会民主党の吉田忠智でございます。
 今日は、新サービス貿易協定、TiSAについて外務大臣に質問をいたします。
 安倍政権は、農林水産業や地域社会、食の安全、また国民生活全般に影響があるTPPの承認案を今国会中に強行しようとしております。社民党は、TPP承認には断固反対をいたします。
   〔理事岡田広君退席、委員長着席〕
 その裏で、TPP協定以上に問題があると批判される新サービス貿易協定、トレード・イン・サービシーズ・アグリーメント、TiSAが二〇一三年六月から一部の官僚によって極めて非民主的な秘密交渉という形で進められています。
 自治労なども加盟する国際公務労連は、TiSAは、教育や医療、水及び運輸などの公共サービスの民営化と規制緩和をより拡大するものだとして強く抗議し、反対をしています。
 まず、TPPとは一体何か、交渉参加国、そしてこれまでの経緯について御説明してください。
#380
○国務大臣(岸田文雄君) 御質問は、TPP、TiSAとは何かですね。
#381
○吉田忠智君 TiSAでございます。
#382
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のサービス貿易に関する新しい協定、このTiSA交渉ですが、我が国を含む二十三の有志国・地域が、WTOのサービス貿易に関する一般協定、GATSを超えるサービス貿易の自由化を目指してジュネーブにおいて定期的に開催している交渉です。GATS発効から二十年以上経過した現在、より先進的な多国間の協定が必要との認識の下、米国、EU、豪州、カナダ及び我が国が中心となって、二〇一三年春以降、交渉を本格化させてきています。
 我が国が力強い経済成長を達成するためには、自由貿易体制を強化し、諸外国の活力を取り込むことが必要です。あわせて、このサービス貿易分野、これは我が国にとりまして攻めの分野です。電気通信ですとか、あるいは電子商取引ですとか、あるいは金融、こうした分野は我が国にとりまして攻めの分野でもありますので、是非国際的なルール作りに積極的に参加することは重要であるという認識の下にこの協定の議論に参加をしている、こうした次第であります。
#383
○吉田忠智君 サービス貿易の対象となるのはどのような取引行為ですか、伺います。
#384
○国務大臣(岸田文雄君) TiSAの主な交渉分野としましては、今申し上げた電気通信ですとか電子商取引、あるいは金融等もありますが、あと海上運送ですとか国内規制あるいは自由職業、こうした分野が交渉事項として挙げられていると認識をしています。
#385
○吉田忠智君 TiSAとは、非関税障壁としてTPPなどで規制緩和の対象とされてきた社会的規制を取り払うもの、TPPから関税分野を取り除いたものとイメージすればよいですか。
#386
○国務大臣(岸田文雄君) このTiSAの交渉分野、このサービス分野については、今幾つか実例を挙げさせていただきましたが、TiSAはWTOのサービス貿易に関する一般協定、要はGATSのルールをベースとして交渉されているものですので、このGATSにおいては、政府の権限の行使として提供されるサービスについては適用除外とされています。よって、例えば消防ですとか救急といったサービスはこの適用除外に含まれるものと解釈をされています。
 また、TiSAのこの交渉結果は、今交渉中ですから予断できるものではありませんが、このようなGATSの基本的な考え方が変更されることは想定しておりませんので、こうした公共サービスの実施に変更が求められる実態は想定はしておりません。
 また、GATSにおいては、各国の社会事情に合わせて特定のサービスにつきその義務を適用しない権利が認められています。TiSAにおいてもそのような権利は維持されると想定をしております。
 我が国はこれまでもTPPを含むEPA交渉において、社会事業サービス、保健ですとか教育ですとか保育ですとか、こういったものは包括的に留保を行っているということでありますので、この対応はTiSAにおいても変わらないと認識をしています。
#387
○吉田忠智君 外務大臣、GATSにおいて適用除外をされているという、今、消防と救急が具体的に挙げられましたけど、あと具体的にどういうものがありますか。
#388
○国務大臣(岸田文雄君) GATSにおいては、具体的な事項としていわゆる公共サービスということで、先ほど消防ですとか救急とか、そういったものを挙げさせていただきました。ちょっと手元の資料でそれ以上細かい項目についてありませんので、ちょっと改めてこれは確認をして御報告をさせていただきます。
#389
○吉田忠智君 国や自治体が提供する教育や医療、公共水道、ごみ処理や交通などの公共サービスに内外の多国籍企業が参入することにつながるのではないかという懸念がありますけれども、それはいかがですか。
#390
○国務大臣(岸田文雄君) それにつきましては、先ほど説明させていただいた後半部分ですが、GATSにおいては、各国の社会事情に合わせて特定のサービスにつき義務を適用しない権利が認められています。TiSAにおいてもそのような権利は維持されていると想定しておりまして、我が国は今までもこの社会事業サービスを包括的に留保してきました。
 今回も、この議論においても、そうした対応、姿勢は維持していくことになると考えております。
#391
○吉田忠智君 今日はそれ以上のことは言えないでしょうから、適用除外となる可能性のあるものについてどういうものか、後で資料いただけますか。
#392
○国務大臣(岸田文雄君) いずれにせよ、今交渉中ですので、結果は今の段階で予断はできませんが、そうした一般論としてどのような議論が行われるのか、これは、こうした交渉においては署名が行われるまで、その条文が確定するまで詳細については明らかにするのは難しいというのが一般的な取扱いではありますが、一般論として可能な限り御説明する努力はさせていただきたいと考えます。
#393
○吉田忠智君 後で、じゃ、うちだけということになりませんので、理事会の方に資料提出をお願いしていただくということはいいんですかね、出していただく。それはまだ。(発言する者あり)
 じゃ、委員長、資料要求いたします。
#394
○委員長(岸宏一君) 後刻理事会において協議いたします。
#395
○吉田忠智君 それで、TiSAには最恵国待遇義務、それから市場アクセス義務、内国民待遇義務、スタンドスティル条項、そしてラチェット条項などが入っていると言われておりますが、それは事実ですか。そして、それぞれどのようなものですか。
#396
○国務大臣(岸田文雄君) まず、基本的に、今現在交渉が行われておりますので、TiSAがどのような議論が行われるのか、そして最終的な形について予断を持って申し上げることはできませんが、本年一月にスイスのダボスで開催されたTiSA非公式閣僚会合においては、多くの参加閣僚から本年末までの交渉妥結を目標とすることが言及をされています。こういった目標も念頭に置きつつ、しっかりと交渉に臨んでいきたいと考えます。
 そして、御指摘のそれぞれの項目はどのようなものかという御質問につきましては、改めてその用語の定義等についてちょっと整理をして報告をさせていただきます。
#397
○吉田忠智君 その私が申し上げた五つ、それは入っているのかどうかだけ御確認をお願いします。
#398
○国務大臣(岸田文雄君) 今交渉の最中ですので、入るか入らないか最終的な形を予断することはできませんが、先ほど申し上げましたように、GATSを基本にして議論が行われておりますので、最恵国待遇ですとか内国民待遇、こういったものについては原則的に盛り込まれることになるのではないかと考えます。
#399
○吉田忠智君 現時点で最恵国待遇と内国民待遇が入るということでありますが、ラチェット条項が非常に問題視されているんですよね。これは、一旦規制緩和や民営化等が行われた場合には公共サービスの再公有化が禁止されるということになるわけですが、ラチェット条項はいかがですか。そういう事態が生じるのが一番懸念されるわけですけど。
#400
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほど、議論自体がGATSを基本としながら議論されることから、先ほど申し上げたような最恵国待遇等については盛り込まれるものであると考えているということを御説明させていただきましたが、それ以外の部分についてどんな議論が行われているか、あるいは最終的にどうなるか、今の時点でちょっと申し上げさせていただくのは控えなければならないと思います。
 引き続き、先ほど申し上げましたように、この議論が進んでいます。是非、引き続き、守るべきことは守り、攻めるべきことは攻め、しっかりと交渉を進めていきたいと考えます。
#401
○吉田忠智君 このラチェット条項は極めて問題だということは、まず今日の段階で申し上げたいと思います。
 そして、いわゆるISDSなど、多国籍企業が社会的規制を加える国を訴えるような、投資家対国の紛争処理手続も導入されることになりますか。
#402
○国務大臣(岸田文雄君) 具体的な交渉の中身は今の時点で説明することは難しいですが、ただ、一般論として申し上げれば、ISDS条項、これ、投資協定ですとかEPAの投資章で規律をされています。我が国が締結したEPAのサービス貿易を扱う章においては、こうした規律は存在しないというのが今までの経緯であります。GATSにおいても、一般的な紛争解決事項の適用に関する規定を除いてISDS条項はございません。一般論としては、そうした状況にあります。
#403
○吉田忠智君 これまでの多国間、二国間協議の具体的な交渉の詳細、経過、日時、場所、参加国、参加者、議題等を明らかにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#404
○国務大臣(岸田文雄君) 一般に、条約交渉における条文案を含む外交上のやり取り、これは対外秘として扱われます。我が国がこれまで締結したEPAを含む通商関係の条約についても、交渉参加国間で別段の合意がない限りは、署名によって条文が確定するまでこうした条文案等は公表しないというのが通例であります。よって、こうした内容につきまして、他の参加国との関係もありますので、公表してはおりません。
 ただ、可能な範囲の情報提供として、外務省のホームページ等において、交渉の意義ですとか概要等については公表をさせていただいているということでございます。
#405
○吉田忠智君 それで、交渉責任者なんですが、TPPであれば鶴岡公二TPP政府対策本部首席交渉官が責任者だと明らかにされていましたけれども、このTiSAはジュネーブで交渉していると言われて、そういう概要が公表されているわけですが、どの部署のどなたが交渉責任者なのか、説明してください。
#406
○国務大臣(岸田文雄君) 具体的にこの交渉は行われているわけですが、責任者は誰かという御質問に対しましては、責任者は外務大臣でございます。
#407
○吉田忠智君 いや、鶴岡公二さんみたいな立場の事務方の責任者はどなたですか。
#408
○国務大臣(岸田文雄君) あえて言えば、外務省経済局長が責任者になると考えます。
#409
○吉田忠智君 鶴岡さんのように、交渉、毎回出ているんですか、その経済局長は。
#410
○国務大臣(岸田文雄君) 責任者については今申し上げたとおりですが、実際交渉に出ているのはサービス貿易室長が出席しております。
#411
○吉田忠智君 室長が責任者ということでよろしいんですね、そうすると。
#412
○国務大臣(岸田文雄君) 交渉に毎回出ているのは誰かという質問に対してお答えいたしました。責任者はあくまでも外務大臣でございます。
#413
○吉田忠智君 日本政府はどのような方針に基づいて交渉に参加をしておられるのか。TiSA交渉で具体的に何を主張しておられるのか。そして、TiSAに加盟するメリット、デメリットは何か、誰が得をするのか。説明してください。
#414
○国務大臣(岸田文雄君) TiSAの交渉に参加する意義についてですが、我が国にとりまして、自由貿易体制を強化して力強い経済成長をしっかりと実現する、他国の活力をしっかり取り込む、こうした考え方は大変重要であると思います。
 その中にありまして、先ほど申し上げたように、このサービス貿易の分野、これは電気通信ですとか電子商取引あるいは金融を始めとして我が国として攻めの分野であり、この分野においてルールづくり、しっかりと参加し貢献するということ、これは大変重要な取組である、こういった認識に基づいてこの交渉に臨んでいるところです。
 メリット、デメリットという御質問もありましたが、デメリットにつきましては、国益を考えてそうしたデメリットが生じないように、しっかりとメリットを大きくするように、そうした考え方に基づいて全力で取り組んでいるところであります。
#415
○吉田忠智君 公共サービスの多国籍企業への売渡し、先ほど外務大臣がGATSを踏まえて公共サービスはしっかり守っていくということでありますけれども、そのことが一番懸念をされております。考えれば考えるほど、聞けば聞くほど問題がありますので、残された課題についてはこれからまた質問させていただきます。
 ありがとうございました。
#416
○委員長(岸宏一君) 以上で吉田忠智君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#417
○委員長(岸宏一君) 次に、薬師寺みちよさんの質疑を行います。薬師寺みちよさん。
#418
○薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。
 今日は、馳大臣、そして塩崎大臣、両大臣にいらしていただきました。と申しますのも、省庁の縦割りの弊害と言われている医学教育について議論をさせていただきたいからでございます。
 地域の医師確保対策二〇一〇というところを共同で出していただきまして、それで、しっかりとこれからの医師のキャリアの形成、そして社会変化に応じた医師の養成の確保推進というものを既に始められていることは私も存じ上げております。
 しかし、最近、若いドクターから相談が多いんです。自分のキャリアに物すごく不安があるんだ、将来自分たちはどうなってしまうんだ。なぜそのような声が最近急に増えたのか、塩崎大臣、もしお考えがございましたら教えていただけますでしょうか。
#419
○国務大臣(塩崎恭久君) なかなか奥深い問題を今日はお取上げをいただいておりますけれども、私もお医者さんでもないのでよく分からないところもたくさんありますが、先生方の心のうちはですね、やはり変わり目にあらゆる面で来ているということが大きいんだろうというふうに私は思っております、役所の方の紙には何も書いていませんが。
 一つは、やはり高齢化が進んで医療の中身が変わり、世界的にもそうですけれども、かつては感染症中心で対応することが多かった中にあって、高齢化も進むという中でいわゆる非感染症の疾病に対してどうするのか、慢性病を含めですね、そういうようなこともあって、この高齢化というのが疾病構造の大きな変革をもたらしてきた。
 そしてまた、それに対して、じゃ日本の医療制度はどう変わったらいいのかというときに、私が聞くところによりますと、医学教育の中で地域医療を教えるというのは余りかつてはなかったと聞いておりまして、むしろ先進医療を教えることが大事だということで先進医療の先生方が教えて、地域医療をやっている先生がいなかった。
 しかし一方で、やはりこれからGP、ゼネラルプラクティショナーみたいな方がなければ、ゲートキーパー、ゲートオープナーと我々は言っていますが、そういう方々がいて、また専門医の方々もいるという多重構造にならないとやはりあらゆるニーズに応えられないといったこともあって、もう一つは、診療報酬というのは評価に関係なく付くということがあって、これが言ってみれば単一価格で全ての、卒業してすぐの資格取った人とベテランの神の手と呼ばれるような人も同じ価格で評価をされるというようなこともあって、そういうものをやっぱり変えなきゃいけないよねということで、我々、今回の診療報酬改定で初めてアウトカムベースの診療報酬、費用対効果、こういうことを試みようということで、これは去年、保健医療二〇三五というので提案をいただいたことをまた実行に移そうということでやっていますが、そういうような技術の進歩、それから国内外の時代の要請、そういうようなことでどういうふうな道がいいのか。研修制度も変わりました、医局の強さ、弱さも変わりました。
 そういう変わり目でどういうふうにこのニーズに見合ったものにするかということをよく考えなきゃいけないということをこの保健医療二〇三五でも言われまして、保健医療システムの時代に合ったものにしていくということを考えていかなければいけないというときに来ているので、先生方はいろいろな思いを持っていらっしゃるんだろうなというふうに思います。
#420
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 本当に社会情勢の流れの中で医師の役割というものも変化をしてきております。私も大変残念なんですけれども、医療の現場というものが以前のように魅力的ではないんですね。昔であれば、医師免許を持っていれば高額の報酬が得られた。しかし、それよりもっと高い報酬を同じような能力の方々が世界で得られている。じゃ、我々も出ていこうじゃないかということで、最近大変できる医学生というものはマッキンゼーのようなコンサルタント会社にも就職をする、もうこんなことが当たり前になってきているんですね。これではいけない。我々は、もっともっと医療現場というものを魅力的にして、しっかりと優秀な人材というものを定着させていかなければならない。
 では、そのための教育は一体どうなっているんだ。今日は皆様方に資料を準備をさせていただきました。医師のキャリアパスと教育の壁でございます。
 医師というものは、六年間文科省の管轄の医学部教育を受け、厚労省が行う国家試験を受け、臨床研修を受け、そしてそこから、これから始まります専門医制度という中に乗ってまいります。かつ、それと並行いたしまして医師会が提供する生涯教育、しかし、ここを私、つなげることはできませんでした。深くて大きなここに溝が生まれてしまっております。こういった教育制度の壁というもの、キャリアパスがつながらないといったようなことも、学生たちの不安そして医療現場の魅力の低減というものにつながっているかと思います。
 馳大臣、これから医学教育という文科省の役割、大変重要になってくるかと思います。社会情勢の変化の中の教育プログラム、変更しながらしっかり提供されているのか。このようなキャリアパスがつながらない現状というものをこれからしっかり制度面でサポートしてくださいと私お願いしたいんですけど、いかがでいらっしゃいますでしょうか。
#421
○国務大臣(馳浩君) 社会の期待に応える医師を養成するためには、関連する教育の内容が整合していることが重要であると考えております。
 大学における医学教育については、医学教育モデル・コア・カリキュラムが策定されており、その中では、生涯にわたり自己研さんを続ける意欲と態度など医師として求められる基本的な資質が示されるなど、卒業後のキャリアパスも見据えた内容となっております。なお、平成二十二年度に行われた同モデル・コア・カリキュラムの改訂の際には、厚生労働省や日本医師会にも参画をいただき、卒後教育との整合性についても配慮をした上で取りまとめをしていただいたところであります。
#422
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 では、塩崎大臣はいかがでいらっしゃいましょうか。しっかりサポートしていただけますでしょうか。
#423
○国務大臣(塩崎恭久君) 今お話がございましたように、今少し途切れているとも思えるような研修の道筋というのがあるわけでありまして、厚生労働省、文科省、そしてまた日本医師会が中心になっている生涯教育、さらには新たに始まります日本専門医機構、ここでの専門医の養成については、しっかりと私ども連携をしていかなければいけないというふうに考えております。
#424
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 現場の混乱というのは、そういう連携しているという言葉で安心するものではございません。しっかりそれを見える化していかなければならないんです。
 実は私、この図、もっといいものがないかと思って、政府の中で出していらっしゃるポンチ絵探しましたが、調査室に頼んでも出てきません。これなんですよ。しっかり見える化をして、現場に納得するような方策というものが望まれますが、馳大臣、いかがでしょうか。
#425
○国務大臣(馳浩君) 現行の医学教育モデル・コア・カリキュラムは平成二十二年度の改訂から五年が経過しようとしていることから、文科省では新たな改訂に向けた検討をしております。検討に当たっては、薬師寺委員御指摘の点にも対応できるように、大学関係者だけでなく厚生労働省や日本医師会等とも連携して検討を進めるとともに、新たなモデル・コア・カリキュラムについて広く現場に周知を図ることにより、卒前から生涯教育までの関係性が見えるように取り組んでまいりたいと思います。
#426
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 では、塩崎大臣はいかがでしょうか。しっかり見える化していただけますでしょうか。
#427
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、例えば専門医については、これから研修をして、そしてまたそれをきっちり評価を伴ってやっていくというようなこともあって、これらを明確に、どういうような道行きでどのような評価を受けるのか、あるいはどういう基準で評価するのかといったようなこともやっぱりしっかりと見せることが大事であって、その際に、やっぱり我々としては、医療全体の中でのこの養成の位置付けというものをしっかり踏まえた上で、今おっしゃるように、見える化ということでありますから、私どもも私どもの立場で医療全体の中でのこういった人材養成の在り方というものを見える化してまいりたいというふうに思います。
#428
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 今までのように両省庁がオブザーバーとしてそれぞれの会議に出席している、それだけでは駄目ですよね。しっかり現場が納得するようなプログラム、どのようにつながっているのかということを見せていただきたいと思っております。
 それから、文科大臣にお伺いしたいんですけれども、文科省ではどのような医師というものを育てようというビジョンをお持ちでいらっしゃいましょうか。そこがしっかりと厚労省と合っていないと、全くこれつながってまいりません。まず入口、教えていただけますか。
#429
○国務大臣(馳浩君) おっしゃるとおりだと思います。
 医療人の養成の場である大学や大学病院は、学部教育、卒後教育の各段階において医師が生涯にわたって個々人の専門性を高められるよう、医師としてのキャリア形成に中核的な役割を果たすことが求められております。このことを踏まえて、医学教育モデル・コア・カリキュラムに医師として求められる基本的な資質を盛り込んだところでありまして、具体的には、一、医師としての職責、二、患者中心の視点、三、コミュニケーション能力、四、チーム医療、五、総合的診療能力、六、地域医療、七、医学研究への志向、八、自己研さん、この八項目を定めております。その中で、男女を問わずキャリアを継続させて、生涯にわたり自己研さんを続ける意欲と態度を有することを盛り込んでおります。
 さらに、生涯学習への準備として、医学、医療、科学技術の進歩と社会の変化やワーク・ライフ・バランスに留意して、医師としてのキャリアを継続させる生涯学習者としての能力を身に付けることを、これを目標に位置付けております。
#430
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 では、塩崎大臣、お願いします。
 私のような社会医学を学んでいる医者というものは、本当に人材、枯渇いたしております。そして、基礎医学も今本当に枯渇しながら窮地に陥っております。どうぞ、その救いの一歩を先生の手で支えていただきたいんですけれども、どのようなビジョンでこれから医師を養成なさるつもりなのか、厚生労働省として御意見いただけますでしょうか。
#431
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、厚労省において医療従事者の需給に関する検討会というのがあって事務方とよく議論をしていまして、それはまさに今先生御指摘のように、ビジョンがない中で、言わばかつての町医者、町でのプラクティスをされる先生方と病院で頑張るお医者さんと、それから医学教育に当たっていらっしゃる大学の先生方、そういう方々のことだけでこの医師養成を考え需給を考えるという嫌いがあるのではないかということを私は指摘をしておりまして、今先生おっしゃったように、社会医学的に考えてみると医師が求められる場というのは決してそういう直接の医療の現場だけではないわけであって、この保健医療二〇三五でも、先ほど申し上げた新しいタイプとしては、今でいうかかりつけ医、ゼネラルプラクティショナー、こういった形で尊敬される本当の意味で頼られる町の先生に加えて、やはり公衆衛生学的に非感染症の問題を含めてトータルに地域での医療というものを、地域包括ケアシステムを今つくろうとしていますけれども、考えていくという、政策もつくれる医師というものも必要だろうと思います。
 これから医療のビジョンを各都道府県で作ってもらいますけれども、私の愛媛県でもお医者さんは十人ぐらいしかいません。そうすると、保健所に出る先生を除くと二人ぐらいしか本庁にはいなくて、この方々がこれからの医療供給体制をやるかといったら、もう別なところに張り付いているのでできませんみたいな、そんなことでパブリックポリシーとしてのパブリックヘルスをやれることはないんじゃないかというふうに思います。
 一方で、これから健康長寿国の日本としての世界への貢献というものを考えてみれば、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジも含めグローバルヘルスへの貢献というものを考えていかなきゃいけない。そうすると、国内の直接の医療の供給の場だけの需給などを考えるだけでは足りない。もちろん、医薬品メーカーにも日本の場合には医師がすごく少ない、だから競争力が弱いというふうにも言われています、海外のメガファーマに比べると。
 そんなことを考えてみると、やっぱり多様なビジョンはあり得るし、しかし全体の在り方についての大きな考え方というものを少し整理をし直して、医師養成と需給の問題を考えるべきではないかというふうに考えております。
#432
○薬師寺みちよ君 ややもすれば、この教育システムというものは地域の医療崩壊にもつながるような改革になってしまいました。
 大臣、今回、専門医制度によってかなり現場は混乱いたしております。感想でも結構でございます、先日、通知も出していただきまして、しっかりと医療提供体制を守っていくということを一言お願いできますでしょうか。
#433
○国務大臣(塩崎恭久君) 新たな専門医の養成について、この専門医の在り方に関する検討会報告書というのが平成二十五年の四月にあって、中立的な第三者機関が各病院から専門医養成プログラムの認定等を一元的に行うということになって日本専門医機構ができたわけでございますが、現在、この日本専門医機構に対して各病院から養成プログラムが申請されている状況でありますけれども、この機構の研修場所の認定の基準とか方針等に対して、このままでは医師の地域偏在を拡大されるのではないかとの懸念も示されているわけであります。
 厚労省としては、このような状況を踏まえて、今年一月に地域医療の供給体制に重要な役割を果たす都道府県に対して通知を発出いたしました。一つは、都道府県主導で研修施設、大学、医師会、病院団体、都道府県等の関係者による協議の場を設置する、それから管内の研修施設におけるプログラムの偏在を是正をして、必要な医療機関が研修施設から外れることのないようにするということなどの調整を図ることなどを依頼をしたところでございまして、また今後、社会保障審議会の医療部会の下に専門委員会を設けて議論を開始することとしておりまして、新たな専門医の仕組みが更なる医師偏在を助長を逆にしないように丁寧に検討を行ってまいりたいと考えております。
#434
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 十年前、両大臣のリーダーシップによりまして、文科省の職員と厚労省の医系技官の交流が始まりましたですよね。しっかりとお互いに、ここで言葉だけの連携ではなく中身も見えるように連携し、そして評価もつながり、そして同じビジョンを持って魅力的な医療現場というものをつくっていただかなければならない、私は強くお願いをしたいと思います。
 後進でやる気がある女性もそのキャリアをつなげていける、そしてどのような多様化した道でも選ぶことができる、自信を持って自分の人生が送れる医師の養成、よろしくお願い申し上げます。
 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
#435
○委員長(岸宏一君) 以上で薬師寺みちよさんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#436
○委員長(岸宏一君) 次に、平野達男君の質疑を行います。平野達男君。
#437
○平野達男君 本委員会クローザーの平野達男でございます。
 今日は、五年前の福島原発事故、それから東日本大震災のときに避難という、原発周辺の地域が避難をしたわけですけれども、その避難に関連して質問をさせていただきたいと思います。
 まず冒頭、河野大臣、原発周辺、もう見られていると思いますけれども、あそこを見られてどのような感想を持たれたでしょうか。
#438
○国務大臣(河野太郎君) 二〇一三年、一四年、それぞれ九月に参りました。Jヴィレッジから福島第一原発へ入ったわけでございますが、その道々、もう突然住んでいた方がいなくなった、もうそのまま生活はそこに残っているのに人はいなくなったというような状況でありました。
 それともう一つは、黒いフレコンバッグがたくさん積んである場所というのがたくさんあったというのが印象に残っております。
#439
○平野達男君 ちょっと質問通告していませんが、津波でも避難者が出ました。原発事故でも避難者が出ています。両者のその避難の違いというのはどういうところにあるというふうに感じられたでしょうか。ちょっと通告していなくて申し訳ないんですけれども、簡単で結構です。
#440
○国務大臣(河野太郎君) 津波は、現に津波がそこまで迫ってきて、物理的な破壊力から逃れるために恐らく必死に避難されたんだろうと思います。原発の方は、放射能という見えないものを怖がって逃げなきゃいけなかったというところで、どう逃げたら安全なのかというのが分からない中で動くというのも、これもまた大変なことだなというふうに思います。
#441
○平野達男君 そのとおりだと思います。
 それにあえて付け加えれば、津波の避難というのは、ある意味では地区内での避難、移動、それから町村内の最大でも移動でよかったと思います。原発避難は、町村を越える、場合によっては県を越える、しかも一町村丸ごとです。こんな避難は日本は全く経験したことがない。恐らく世界でも、まあチェルノブイリでどのような避難したかは分かりませんけれども、経験したことのない避難だったと思います。しかも、その避難は国が逃げてくださいという避難指示で逃げていますね。
 あのときにどういう避難が行われたのか、何が起こったのか、その検証と総括というのは政府の責任においてやるべきだと思いますが、河野大臣としての、一閣僚としての見解をちょっとお伺いしたいと思います。
#442
○国務大臣(河野太郎君) 避難の実態を調べて今後の政策に生かしていくというのは、これはもう政府の責任だと思います。
#443
○平野達男君 その実態とそれから総括というのは、これまでどのような取組されてきたでしょうか。
#444
○国務大臣(河野太郎君) これまで調査といたしましては、内閣府及び内閣官房において、避難された住民の皆さんを対象にしたアンケート調査をこれは政府統計調査として実施をすると同時に、自治体等を対象としたヒアリング調査を実施しました。その結果を、昨年十二月、東日本大震災における原子力発電所事故等に伴う避難実態調査として公表したところでございます。
#445
○平野達男君 原発につきましては、政府事故調、国会事故調、民間事故調、様々な角度で検証して、こういうことがこれからの原発にとって必要ではないかという提言もされています。避難につきましては、国会事故調が、僅かなページですけれども、簡単な調査をやって、簡単な総括もやっています。
 今、原発事故が起こってもう間もなく六年目に入ります。五年掛かって調査結果がやっと出てきた。実はこの調査というのは、私が民主党の大臣のときに調査をやらなくちゃならないということで立ち上げました。調査だけで五年、四年半掛かったんです。何でこんなに掛かったんでしょうかね。
#446
○国務大臣(河野太郎君) 平成二十四年の十一月ですか、有識者による準備会合が開催されております。その後、調査票の作成及び政府統計の審査を受けまして、平成二十五年十二月から二十六年七月にかけてアンケート調査及びヒアリング調査を実施しております。
 この集計に当たって、二万票の回答を五十五問にも及ぶ設問に単集計及びクロス集計をする必要があったということ、矛盾する回答の分析や処理方法について有識者の見解を確認する必要があったなどの理由から、集計のやり直しを何度か実施をしたためにこれだけの時間を要することになったというふうに報告を受けております。
#447
○平野達男君 実は、津波の避難のアンケート調査も相当やったんです。これは比較的短時日の中でやっています。しかも、ロットも非常に大きいです。なぜ原発だけこんなに遅くなったのかというのは、これはちょっと不思議なところといえば不思議なんです。しかも、総括、じゃ、これからどうされますか、この調査結果踏まえて。
#448
○国務大臣(河野太郎君) この調査の概要及びデータにつきましては、原子力発電所周辺地域の避難計画の作成の支援を行っている原子力防災担当部局の関係機関に提供をいたしました。また、有識者などが評価や課題の分析を進められるよう、一般に公表もしてまいりました。
 今後、必要に応じて原子力政策を所掌する関係機関が対策を検討されるものと考えておりますが、過去の災害の教訓を踏まえ、様々な最新の知見も生かしつつ防災対策を進める必要もあり、関係機関と連携しながらその辺はしっかりやってまいりたいと思っております。
#449
○平野達男君 対策の前に総括ですよね。総括がすっぽり抜けているんですよ。
 それから、調査自体も、実はこれは一次調査のつもりだったんです。まだまだ実質、本当の調査、調査項目たくさんありますよ。例えば、福島原発の事故というのは天災と一緒に起こったんです。津波の避難者がいました。津波の捜査の中で突然要するに避難指示を受けるわけです。消防団は二日目、三日目と、一日目からもう避難捜索やっていますけれども、二日目もやるつもりで準備しているところに避難指示出されるんです。何が起こったのか、そういうことの調査もまだやっていないんですよ。
 繰り返しになりますけれども、何が教訓として出るかという総括についてもどこがやるか。今のお話の中では、情報を提供して後は次の対策に役立てるというのは分かりますけど、もう既にそれをやっております。その前にやることがあるんじゃないですかという話なんです。
#450
○国務大臣(河野太郎君) いろいろとやることがあるという御指摘でございますが、関係機関がそれぞれ担当するところを責任を持ってやることがこれは総括なのではないかというふうに思っております。
#451
○平野達男君 原発のサイトで何が起こって何が問題だったのか、その報告書を出しています。十六万人いました、最大で、福島の避難者というのは。そこで何が起こって、どういうことが起こったのか、何が問題だったのか、これは国としてやっぱり報告書としてまとめるべきじゃないですか。もう一度御見解をお伺いします。見解をちょっとお伺いします。
#452
○国務大臣(河野太郎君) かなり大掛かりな調査をやりましたので、関係各局と今後の対応はしっかり考えてまいりたいと思います。
#453
○平野達男君 これ本当に、これ民主党政権でもそうなんですけど、誰がやるかというのが物すごい曖昧なんです。それで、役人にやりますと、私のところじゃないとみんな言いますから。ただ、これは、ですから、閣僚が自分のところでやるから、チームをつくって、検討会をつくって報告書を作れと指示を出すしかないんです。これは丸川大臣かもしれませんし、河野大臣かもしれませんし、私は、できれば河野大臣がやるべきじゃないかと思います。ごまめの方向でやってもらいたいと思います、つぶやきじゃなくて、やれということで。
 是非、そのお気持ちというか、ちょっとお聞かせ願いたいんですが、今日は時間になりましたから、続きはまた来週ちょっとやらせていただきたいと思いますし、丸川大臣もまた来週もちょっとお付き合いを願いたいと思います。
 以上で終わります。
#454
○委員長(岸宏一君) 以上で平野達男君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 次回は来る七日午前八時五十五分から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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