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2016/03/07 第190回国会 参議院 参議院会議録情報 第190回国会 予算委員会 第10号
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2016/03/07 第190回国会 参議院

参議院会議録情報 第190回国会 予算委員会 第10号

#1
第190回国会 予算委員会 第10号
平成二十八年三月七日(月曜日)
   午前八時五十六分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月四日
    辞任         補欠選任
     島村  大君     渡辺 猛之君
     高野光二郎君     山崎  力君
     大塚 耕平君     増子 輝彦君
     荒木 清寛君     浜田 昌良君
     山本 博司君     杉  久武君
     辰巳孝太郎君     紙  智子君
     浜田 和幸君     和田 政宗君
     吉田 忠智君     福島みずほ君
    薬師寺みちよ君    渡辺美知太郎君
     平野 達男君     荒井 広幸君
 三月七日
    辞任         補欠選任
     山崎  力君     高野光二郎君
     渡辺 猛之君     島村  大君
     渡邉 美樹君     山本 一太君
     小西 洋之君     藤末 健三君
     藤本 祐司君     西村まさみ君
     増子 輝彦君     大塚 耕平君
     倉林 明子君     辰巳孝太郎君
     藤巻 健史君     室井 邦彦君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岸  宏一君
    理 事
                石井 準一君
                宇都 隆史君
                岡田  広君
                高橋 克法君
                二之湯武史君
                堀井  巌君
                長浜 博行君
                野田 国義君
                山本 香苗君
    委 員
                愛知 治郎君
                赤池 誠章君
                井上 義行君
                石田 昌宏君
                猪口 邦子君
                大野 泰正君
                片山さつき君
                古賀友一郎君
                島村  大君
                高野光二郎君
                三木  亨君
                三宅 伸吾君
                山崎  力君
                山下 雄平君
                渡辺 猛之君
                石上 俊雄君
                大久保 勉君
                大塚 耕平君
                風間 直樹君
                田中 直紀君
                西村まさみ君
                藤末 健三君
                藤田 幸久君
                増子 輝彦君
                河野 義博君
                杉  久武君
                浜田 昌良君
                紙  智子君
                辰巳孝太郎君
                東   徹君
                藤巻 健史君
                室井 邦彦君
                川田 龍平君
                和田 政宗君
                山田 太郎君
                福島みずほ君
               渡辺美知太郎君
                荒井 広幸君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       財務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        麻生 太郎君
       総務大臣     高市 早苗君
       法務大臣     岩城 光英君
       外務大臣     岸田 文雄君
       文部科学大臣
       国務大臣     馳   浩君
       厚生労働大臣   塩崎 恭久君
       農林水産大臣   森山  裕君
       経済産業大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       損害賠償・廃炉
       等支援機構))  林  幹雄君
       国土交通大臣
       国務大臣     石井 啓一君
       環境大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       防災))     丸川 珠代君
       防衛大臣     中谷  元君
       国務大臣
       (復興大臣)   高木  毅君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(国家戦
       略特別区域))  石破  茂君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(沖縄及
       び北方対策、科
       学技術政策、宇
       宙政策))    島尻安伊子君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(少子化
       対策、男女共同
       参画))     加藤 勝信君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(経済財
       政政策))    石原 伸晃君
   副大臣
       財務副大臣    岡田 直樹君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  横畠 裕介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 亮治君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       澁谷 和久君
       内閣府大臣官房
       審議官      井野 靖久君
       内閣府政策統括
       官        田和  宏君
       内閣府地方創生
       推進室次長    中尾 泰久君
       内閣府政策統括
       官        武川 光夫君
       外務省経済局長  金杉 憲治君
       厚生労働省健康
       局長       福島 靖正君
       厚生労働省医薬
       ・生活衛生局長  中垣 英明君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   佐藤 速水君
       水産庁長官    佐藤 一雄君
       経済産業省商務
       情報政策局長   安藤 久佳君
       特許庁長官    伊藤  仁君
       中小企業庁長官  豊永 厚志君
       国土交通省水管
       理・国土保全局
       長        金尾 健司君
   参考人
       日本銀行総裁   黒田 東彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成二十八年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○平成二十八年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○平成二十八年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(岸宏一君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 平成二十八年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。
 本日は、経済・財政等に関する集中審議を行うこととし、質疑は往復方式で行い、質疑割当て時間は四百十四分とし、各会派への割当て時間は、自由民主党八十分、民主党・新緑風会百九分、公明党三十七分、日本共産党三十六分、おおさか維新の会三十六分、維新の党十八分、日本のこころを大切にする党二十分、日本を元気にする会・無所属会十八分、社会民主党・護憲連合二十分、無所属クラブ二十分、新党改革・無所属の会二十分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#3
○委員長(岸宏一君) 速記を起こしてください。
    ─────────────
#4
○委員長(岸宏一君) 平成二十八年度一般会計予算、平成二十八年度特別会計予算、平成二十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、経済・財政等に関する集中審議を行います。
 これより質疑を行います。山崎力君。
#5
○山崎力君 おはようございます。自由民主党の山崎力でございます。
 それでは、今日は集中審議ということでございますので、経済財政を中心に広い視点から質問させていただきますので、今お考えのところをポイントをついてお答え願えればと存じます。
 まず申し上げたいのは、やはりもうあれから五年近くたちまして、間もなく大震災から五年、いろいろな報道がなされております。そういった中で、この経済財政、いわゆるそういったものの復旧復興の予算を支えたというのも、これは経済財政の基盤がなくてはなりません。そういった意味におきましても、是非関係政府諸公におかれましては、これからの経済財政運営をしっかりやっていくんだということで、国民の皆様方にメッセージを発信していただければという観点で御回答、御答弁願えればと存じます。
   〔委員長退席、理事岡田広君着席〕
 まず最初でございますが、これはもう一丁目一番地で今まで何回も質問され、答弁されていると思いますが、あえて全体的なことから聞かさせていただきたいと思います。
 先月末の月例経済報告、今後の先行きについては、緩やかな回復に向かうことが期待されているけれども、中国を始めとするアジア新興国等、資源の輸出国等の景気の下振れというのも見えてきたもので、我が国景気に悪影響が及ぶリスクがあると、こういう雑駁に言えば報告であったというふうに理解しておりますが、今年に入って、我が国においても原油価格の低迷、株価の大幅な変動、国際金融市場にも不安定要因が見えてくるという中で、なかなか先行きについても難しいというか、見通しが難しい状況にあろうかと思います。
 そういった中で、経済の再生が本当にできるんだろうかとか、あるいは財政健全化目標を達成できるんだろうかというような不安といいますか懸念の声が識者の間にも出始めているというのが現状だと思いますので、現下の、今の世界経済の動向をどのように皆様方はお感じになっていらっしゃり、それを踏まえて我が国の今後の経済をどういうふうにやっていこうと、いかなる政策運営を進めていくかということをまず石原経済再生担当大臣及び安倍内閣総理大臣にお伺いいたします。
#6
○国務大臣(石原伸晃君) 私の方からは、じゃ、月例経済報告をにらんでの現況についてお話をさせていただき、総理の方からはこれからの取組についてお話をさせていただければと思います。
 ただいま山崎委員が御指摘されましたとおり、日本の経済は、消費も底堅いものがありますけれども、地域間のばらつきあるいは消費の部分で御懸念があるということもまた事実だと思っておりますが、基調といたしましては回復基調にあるという景気判断は一切変えておりません。
 そんな中で、これも今委員が御指摘をされましたとおり、中国を始めとする新興国や、あるいは原油あるいは鉱材を産出する資源国の経済がやはり原油価格の低迷あるいは鉱物等々の資源の低落によりまして大きく揺らいでいる、そんな影響を受けているということもまた事実だと思っております。こういう海外の要因については、今、中国の方で全人代も開催され、六・五%の経済成長を目指していくということも確認されております。
 中国での構造改革、こういうものもしっかりとウオッチをしていく中で、日本の経済がアベノミクス三本の矢によりましてデフレではない状況をつくり出すことができておりますので、これからは、どうやって本当にデフレを脱却するのか、そして、ただいま最後に委員が御指摘されましたように、財政の健全化と経済再生の両輪をしっかりと取り組んでいく。安倍内閣の基本は、経済の再生なくして財政の健全化なしという立場にとりまして、これからもしっかりと注視しながら臨ませていただきたいと考えております。
#7
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今の山崎委員の御質問は、世界経済が大変不安になっているのではないか、日本でも市場が大きく変動して大丈夫か、こういう不安を代表して質問していただいたのではないのかなと、このように思います。
 世界経済については、基本的には石原大臣がお答えをさせていただきました。そうしたものを背景に、世界的にリスク回避の動きが金融市場で見られるわけでありまして、その中で我が国の市場も大きく変動しています。
 しかし、先般のG20の声明においても、G20が集まって世界経済がどういう状況なのかということを分析した結果、最近の市場の変動の規模はその根底にある世界経済の現在のファンダメンタルズを反映したものではないという認識が示されたわけでありまして、これはまさに今私が申し上げましたように、リスク変化を求める中において市場が大きく変動しているということを裏付ける声明であったのではないのかなと、こう思います。
   〔理事岡田広君退席、委員長着席〕
 我が国の経済の実態を見れば、これはもう御承知のように、名目GDPでは二十七兆円増えました。そして、各企業は最高の収益を上げています。企業が収益を上げられていないという状況であれば、これは確かに実体経済が弱いということになります。また、雇用が増えていないという状況であれば、これはもう非常に経済が厳しいという状況でありますが、そうではなくて、雇用においても百十万人の新しい雇用をつくり出すことができているわけでございます。
 世界経済については、確かに弱さが見られるわけでありますが、全体としては緩やかに回復をしていると。先行きについても、欧米の景気回復に支えられ、緩やかな回復が続くことが期待されます。こうした中で、我が国経済の先行きについては、新興国経済や市場の動向に注視はもちろん必要でありますが、雇用・所得環境の改善が続く中、民需に支えられた景気回復が見込まれると、このように思います。
 大切なことは、先ほど石原大臣が言ったように、しっかりとデフレから脱却を果たしていくことであります。そのためにも、企業が最高の収益を上げているんですから、その収益を賃金として賃上げを行っていく、あるいは中小企業、零細企業との取引条件を改善をしていく、さらには設備投資をしていく、この経済の好循環をしっかりと回していくことが大切であろうと思います。
 特に賃上げについては、先週の未来投資に向けた官民対話において、私から、過去二年の大幅な賃上げの流れを更に進めていただきたいと経済界に対してお願いをいたしました。経済界には、この私の発言を受け止めていただき、賃金については三度目の流れをしっかり実現できるように呼びかけを継続していきたいと回答をいただいております。その回答どおり、この四月に賃上げが実現されることを期待したいと思います。もちろん、今後、成長戦略をしっかりと進めていくことも求められていると、こう思う次第でございます。
 また、中小・小規模事業者が価格転嫁ができるような取引条件の改善を図るなど、環境の整備にも政府を挙げて取り組んでいく考えでございます。
#8
○山崎力君 次に、今の問題と密接に関連するんですが、先ほども石原大臣おっしゃられたように、一応、二律背反だというふうに言われている経済再生、それから財政健全化、この二兎を追うんだという発言をされたこともございました。これは、極めて言うはやすく行うは難しでございます。
 今のところ順調に財政も健全化されてきている、二〇年度、平成三十二年度の基礎的財政収支の黒字化達成を目指して今のところはうまくいっているけれども、これをそのままやるのはいろいろな今のような状況の中で極めて大変ではないか、どこの政権がやろうとどのような考え方でやろうと、実際にそれを実現する実行力というのが今問われているのではないかと思うわけです。
 もちろん、財政出動を増やすと赤字国債が増えるし、健全化を目指して絞るとかえって景気を押し下げて税収が減って元も子もなくなるようなこともあり得るしと、こういうことでございますが、この難しいかじ取りを安倍政権としてどのように実現していこうとするのか、石原担当大臣並びに安倍総理にお伺いいたします。
#9
○国務大臣(石原伸晃君) これからの取組については総理の方からしっかりとまたお話をいただくことといたしまして、これまでの経緯とそして道筋について、若干私の方から御説明をさせていただければと思います。
 ただいま山崎委員、経済の専門家であられる委員の御指摘のとおりのやはり難しさがあるということは十分に認識をさせていただいております。先ほどもお話をさせていただきましたが、安倍内閣の基本ポリシーは、経済再生なくして財政再建なしと、この一点に尽きるわけであります。この両立を目指して頑張っているということに変わりは何らございません。
 これまで、デフレ脱却の政策として、大胆な金融緩和、そして財政出動、そして構造改革等々をしっかりと進めることによりまして経済成長を図るという形で今日の状況をつくり出してきたんだと思っております。
 そして、委員が御指摘されましたとおり、やはり財政再建を行う上では、財政の構造改革ということも大変重要でございます。我が国の人口構造を見ますとやはり社会保障の支出というものが大変大きいわけでございますので、徹底的な重点化と効率化というものにも取り組み、歳出削減に取り組んできたところでございます。
 こんな中で、昨年の六月に策定をいたしました経済・財政再生計画に基づいて、二〇二〇年度の財政健全化目標達成に向けて取組を委員の御指摘のとおり更に進めていく必要があると認識をしているところでございます。その一方で、取り巻く経済環境というものは、先ほど総理の方から詳しく御説明をいただきましたとおり、ファンダメンタルズ全体で見れば良好であって、世界経済も緩やかな回復に向かっているということは間違いないと思っております。
 この今御審議をいただいております二十八年度予算及び関連法案の一日も早い成立をお願いするということが当座の最大の景気対策になります。そしてまた、委員の御指摘のとおり、今後もあらゆる政策を動員させていただきまして景気回復の実現に努めてまいりたい、こんなふうに考えております。
#10
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我々が政権を奪還したとき、それまで政権奪還以前はこれ三四半期連続のマイナス成長であり、かつ新規公債発行額が税収を上回るという異常な財政状況であったわけでありますが、我々は、その後、三本の矢の政策によって、デフレ脱却そして経済成長をひたすら求めてきたわけであります。
 御承知のように、デフレ下にあっては財政は健全化できない、経済が成長しなければ税収が上がっていきませんから、当然これは成長していかないわけであります。そこで我々は、デフレ脱却をしていく、そして税収を上げていく、そして上がった税収の中からしっかりと財政健全化のためにも振り向けていく、そして無駄な歳出をなくしていく、まずは経済を再建させなければ財政の健全化はない、こう考えたわけでございます。
 その結果、三年間において税収、国、地方を合わせて二十一兆円増えたわけであります。もちろん、消費増税を行いました。消費増税分は八兆円であります。その消費増税八兆円を超えるものは、これは経済成長によってまさに得た果実でございます。そして、その中からも、もちろんしっかりと社会保障の充実のためにも使っていきます。希望出生率一・八あるいは介護離職ゼロのためにも使っていきますし、更なる成長のためにも使ってまいりますが、財政健全化のためにもしっかりと振り向けていく。結果、十兆円国債の新規発行を減額することができたわけでございまして、財政健全化を進めつつ、同時にしっかりと経済を成長させていくという路線を私たちは取っているわけでございます。
 今後も、我々、しっかりと経済を成長させながら財政の健全化も進めていきたいと、このように考えております。
#11
○山崎力君 そういった中で、非常に数字的には、全国的に国、地方、良くなっております。ただ、地方へ行くと、どうしてもアベノミクスの恩恵はまだうちの方に来ていないという声があります。
 私の地元である青森県でも、有効求人倍率であるとか高卒者の、新卒者の就職内定率等はもう今までにないくらい良くなってはいるんですが、良くなったなという明るい感じの会話というのはなかなか聞こえてこない、これも実態であり、そこのところで考えられた上での新しい政策が地方創生だと、こういうことだろうというふうに理解しておりますが、金融面で見ると、やはりいろんなそういった事情はあると思うんです。若い人が少なくなっているからどう見てもやっぱり活気が感じられないこともあるでしょうし、シャッター街がどんどん増えているというのも、まだ実態としてはなかなか回復されていないというところもあるんですが。
 そこで、一番の問題と私が思うのは、地域の金融機関、いわゆる地銀、信金、信組、そういったところが地元の人たちに融資をどれだけしているんだろうかというところがポイントではないかと思うわけでございます。ショッピングセンターができて、大きなあれで活況を呈しているけれども、それはどちらかというと中央資本で、地元の資本の方々はなかなかそういう仕事ができない。もっと端的に言えば、コンビニが増えて便利になったけれども、そういったところで売っていた、小商いをしていた地元の商店はほとんどまた廃業という形、事実上そういったものを含めて追い込まれていると。
 そういった中を見ると、どうしてもまだという気が地元、地方の方に多くなるのではないかという本音が私そこにあるのじゃないかと思っておりますが、そして、その地元の金融機関からすると、いや、融資先がなかなか見付からないんです、あったらむしろ教えてくださいという声も、本音も聞くわけでございますが。
 特に地方の金融機関に対して、これは地方の活性化の私ポイントになると思うんですが、どのようにこれから金融機関に対して指導していこうというのか、麻生金融担当大臣、お伺いします。
#12
○国務大臣(麻生太郎君) この地銀、第二地銀、信用組合、信用金庫等々を含めまして、地方に根を張っております金融機関の融資姿勢というのは、山崎先生御指摘のとおり、極めて重要であります。
 私、三年、四年ほど前にこの金融庁の担当をさせていただいたときの演説というのは、三回連続同じことを言ったと思いますが、ここは金融処分庁というイメージが強過ぎる、それは九七年のいわゆる金融危機、二〇〇八年、九年のリーマン・ブラザーズのいわゆる破綻騒ぎ等々によって金融機関が大量の不良債権というのを抱えたというのは事実ですし、その不良債権の処理というものに非常に長い時間を要したということも事実でありますから、簡単に言えば、企業は、内部留保を見ましても、どう考えてもこれは債務超過になっているところですから、債務超過になっているところに金は貸せませんから。
 したがって、そういう時代が続いたというのは間違いないと思っておりますが、今、現実問題としてその状況は大きく変わってきているんだから、少なくともデフレではなくてインフレの方向に事は動き始めているというので、これまでのサイドではやめてもらわないかぬと。したがって、金融育成庁というイメージに変えてもらうのが条件、これ三年連続同じことしか言っていないと思いますが。
 おかげさまで、金融に対する、ものに対する考え方というのは少し変わってきていると思っております。特に上の方は変わってきていると思っているんですが、現実担当します融資の課長とか現場を回っている人たちが、山崎先生言われるように、地方にありますいわゆる芽が出てくる、いわゆるシーズと称する芽が出てくるその部分にちゃんと育成をしてやるという目利きの部分と、その部分の能力はあっても、いわゆる発明なりイノベーションされたものをどの企業とくっつけて商売をするか等々のことに関しては残念ながら視野が狭い、中小企業の持っておるその地域だけしか見ていないけれども、この部品は遠く離れたこちらのところで求められているものだということを知る機会が一番多いのは金融機関、はっきりしています。しかも、転勤ありませんから、ほとんど。
 だから、そこのところで一番地元に根を張っているんだから、その人たちの目がおかしいし、そういった人たちが融資をしようというのを、度々担保が足りないとか不動産を持ってこいとかいうような従来どおりのあれでは地銀は潰れます、もっときちんとそういったものをしていく方向にやっていくべきだと言ってかれこれ三年少々たちますので、随分変わってきたと思っているんですが、残念ながら、まだ下のところで、現実取引するそのところまでにはなかなか至っていないと思っておりますので、引き続きこの方向で事を進めていきたいと思っておりますので。
 おかげさまで、ぼつぼつ地方では出てきているのは幾つかありますけれども、確実にそういった方向で事を進めてまいりたいと考えております。
#13
○山崎力君 まさにその点が地域産業の発展のあれになってくるのかもしれませんが、是非、中央の方でも、その辺の目配りといいますか、そういったことで御指導のほどをしっかりやっていただきたいと存じます。
 関連しまして、地方において一つの産業、大きな産業というのは、やはりいまだ農林水産業というところが多いんです、私のところも含めて。特に、全体的な経済に占める割合は低くても、心理面で非常に地域経済において大きな影響があります。
 おかげさまで、昨年、青森県では、米、リンゴとも順調、まずそういった面で明るい感じがするというか、むしろ、言い方を変えると、暗い感じがしなくてよかったというそういう印象でございますが、地方の創生ということも考えて、いわゆる地域経済の再生に鑑みた場合、農林水産業の振興というのはこれ不可欠だろうというふうに思っております。
 関連して、TPP協定の締結に向けた今国会における関連法案の審議もされると思っておりますが、この農業振興についてどのように図っていくのか、農林水産大臣にお伺いしたいと存じます。
#14
○国務大臣(森山裕君) 山崎委員にお答えを申し上げます。
 委員の御指摘のとおり、地方経済の活性化のためには、その中核を成します農林水産業の振興が不可欠であると考えております。我が国農林水産業は、現場の現状を考えますと、活性化は待ったなしの課題であるというふうに考えております。また、TPPなどの新たな国際環境にも対応していく必要があります。
 このため、農地中間管理機構による農地の集積、集約化や輸出の促進などにより農林水産業の成長産業化を進めるとともに、日本型直接支払制度などによって地域政策も同時に講じてきているところであります。さらに、これまで進めてきた農政改革に加えまして、昨年取りまとめられましたTPP関連政策大綱に基づきまして、体質強化対策や経営安定対策などの充実を図っていかなければなりませんし、万全な措置を講じてまいりたいと考えております。
 これらを通じて、次世代を担う生産者が明日の農業に夢と希望を持って経営の発展に積極果敢に取り組めるようにすることによって、新たな国際環境の下でも強くて豊かな農林水産業、美しく活力ある農山漁村をつくり上げていくことが大事な課題であると考えておるところでございます。
#15
○山崎力君 よろしくお願いします。
 特に農家の方々は、実際面もそうですけれども、心理面というのが非常に神経質な部分ございますので、適切な対応をしていただかないと逆効果ということもございますので、丁寧な対応をよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、人材面のことでございます。
 御承知のとおり、我が国初めて人口減社会に突入したと。もう前から分かっていたことですが、改めて現実を突き付けられたときに、これ、人口が減ってきたときに今までの生活を維持するためには、新たな人材を育成して生産性の向上を、これも非常にいろんな幅広い表現ですが、図っていかなければならないというのも事実でございます。一人一人アップしていかなければ、今までの人口が減った中で現生産性の維持すら難しいと、こういうことですが。
 ここでいけば、地方も含めてなんですけど、一番厄介なのがほとんど九九%を占める中小企業・小規模事業者ですね、一方で人手不足が深刻化していると。その最大の理由は、やはり中小企業、財力が非常に乏しくて賃上げに応じられないからと、こういう当たり前の話なんですが、さはさりながら、そうは言っていられないわけでございまして、そういった方々の生産性向上、そして賃上げ、このことをやらなければならないというふうに思っておりますが、政府として具体的などのような政策を今考えていらっしゃるのか、林経産大臣にお伺いいたします。
#16
○国務大臣(林幹雄君) 経済産業省としては、今、山崎先生御指摘のように、中小企業・小規模事業者の生産性向上と、それによる賃金引上げの環境整備に取り組んでいるところでございまして、まず、下請の取引条件の改善が重要であるということから、現在、産業界に対して大規模な調査を実施しておりまして、その結果を踏まえて更なる対策を講じてまいりたいと思っております。
 また、前向きな投資をしたくても、あるいは賃上げをしたくても資金がないという声に応えるために、補助金や中小企業向けの税制の手当てをしているところでありまして、例えば、ものづくり補助金は製造業だけでなくてサービス業なども含めて支援していくということでありますし、そういうことであっても、実際には経営に忙しくて時間的にあるいは余裕がなくて、いろんなこういう支援策を調べる暇がないというような中小企業者もたくさんおるようでございます。このため、各都道府県によろず支援拠点を設置しておりまして、支援策やあるいは新たな情報の提供など、様々な相談に応じているところでございます。現在、四百人程度の相談員でありますが、約一・五倍の六百人程度になるよう、更に体制の強化を進めてまいります。
 こうした取組に加えまして、中小企業の経営力あるいは生産性を向上するため、新たな支援を行うための法案、先週金曜日、中小企業等経営強化法案を閣議決定をいたしまして国会に提出いたしました。具体的には、政府が運送業あるいは小売業、製造業といった業種ごとに生産性向上の優良事例を指針の形で分かりやすく示す、これに沿った計画を作る中小企業者に対しまして固定資産税の軽減あるいは金融上の支援策を講じてまいります。なお、商工会、商工会議所や地域金融機関が計画の策定などを支援するというものでございます。
 中小企業あるいは中小企業事業者の生産性向上と賃上げができる環境整備のために、これらの政策を総動員しながら取り組んでまいります。
#17
○山崎力君 今の御答弁聞いていてちょっと気になったのが、どうしても経産省の考え方というのは二次産業、製造業的な方向に考えがあるみたいで、これからはやはり一番、三次産業、サービス業をどうするかというところだろうと思いますので、その辺を、より厚みを増した支援策をお願いしたいと存じます。
 そしてもう一つ、人材なんですが、今までは、日本人というのは世界でも一番勤勉な労働者であるという、真面目な人たちの労働に支えられてこれまでいろいろなことで発展してまいりましたが、今、世界経済グローバル化の中で国際化を考えなければいけないと。そうすると、やはり経営の在り方も変わってきて、何というんでしょう、サボっているかもしれないけど時々いいアイデアを出すと、こういう人間の方がむしろこれからの産業には役に立つんじゃないかと。そういう特殊な能力といいますか、そういった人たちをどう育てるのかということがこれまでの教育システムの中ではなかなか難しいというのが現実で、それを企業がやっていたのが、なかなか企業もそこまで手が回らなくなってきたと。
 その辺のところを、新たな時代に即した人材を多く出せるような教育システムの見直しが必要ではないかというふうに言われておりますが、政府としてどのような方針で臨むのか、馳文科大臣にお伺いいたします。
#18
○国務大臣(馳浩君) 教育再生実行会議の提言をいただきながら、具体的に以下のような政策に取り組んでおります段階であります。
 一つに、徹底した国際化を進める大学を支援するスーパーグローバル大学事業等による国際競争力の向上、優秀な人材を引き付けて研究力などの強化を図る指定国立大学法人制度の創設や卓越大学院の検討、あらゆる教育段階でのアクティブラーニングの充実、それから職業実践力育成プログラムの認定や実践的な職業教育を行う高等教育機関の制度化の検討などを推進しております。
 とりわけ、地方創生の観点におきましても、しっかりとした基礎教養を身に付けた上で専門性を発揮していただく、そういう人材をやっぱり育成し続けることが少子化の時代においても極めて重要であると思っておりますし、同時に、高等教育機関だけではなくて、産官学金、いわゆる地元の経済界、また県庁とか市役所とかにいい人材を送り込みながらもシンクタンク機能も果たしていく、同時に、いい研究開発のシーズを、これを応用そして実践の商品開発に生かしていくためには、やっぱり金融機関との連携も重要であると考えております。そういう総合的な取組を進めてまいりたいと思っています。
#19
○山崎力君 よろしくお願いします。
 角を矯めてという表現もあって、今までの日本の教育のいいところが新しい教育で失われていくということになってはなりませんし、そうかといって、それにこだわっていては新しい世界の人材要望に応えていけない、新たなという、非常に難しいところで、特に、上に立つ人たちが、いわゆる先生や教授の方たちが自分たちが受けた教育でない教育をしなきゃいけないという極めて難しい状況にあろうと思いますので、文科省の適切な指導をよろしくお願いする次第でございます。
 続いて、今度は、新しい人材ではなくて守りの方なんですが、今、サイバー社会という、世界というふうに言われております。昨年、不正競争防止法が改正されまして、企業から不正に流出した技術によって生産されたいわゆる営業機密の侵害品に対する取締り強化策が施されたところでございますが、特許とかライセンスとか、そういったものを守るという点について、まだまだ日本の企業というのは意識が十分でないように感じておりますし、感じていたとしても、それをやろうとする能力をどうやって高めてガードを固めていくかというところで非常に難しいところがあるという話も聞いております。これは、もう我が国企業のみならず我が国全体に対する利益の流出、不正流出につながるわけでございますので、取締りの強化策だけでなくて、そういった人たちをどうやって育成していくかということは、これは極めて企業だけでなく日本国の安全保障にも関わる問題でございます。いろんなところでこれ取り組まなければいけないと思うんですが、林経産大臣あるいは文科大臣の方からももしあればお答え願いたいと存じます。
#20
○国務大臣(林幹雄君) 日本に対するサイバー攻撃は、分かっているだけでも、四年前の年間七千件から現在は年間二万件の水準に急増しているということでございまして、攻撃の手口も、巧妙なものがどんどん増えているという状況でございます。この急増するサイバー攻撃に対応するためには、サイバーセキュリティー対策を担う専門人材、質と量の両方の側面からしっかりと育成し、確保していくことが重要だろうというふうに考えております。
 現在、経産省では、内閣サイバーセキュリティセンター、NISCとともにサイバーセキュリティー対策を強化するための法案を提出したところでございます。法案では、このサイバーセキュリティー対策を担う専門人材として新たな国家資格、情報処理安全確保支援士というのを創設することにしております。二〇二〇年までに登録者を三万人超とすることを目標としておりまして、早ければ二〇一七年四月、来年四月から新資格の試験を実施するという方針で今検討を進めているところでございます。
 国家資格の創設を契機として、関係省庁とも連携しつつ、セキュリティー人材の育成を更に推進してまいりたいと存じます。
#21
○国務大臣(馳浩君) サイバー攻撃はあってはならないところではありますが、残念ながら、その対策としてのセキュリティー、対応する人材育成、極めて重要であるという認識を持っております。
 文科省として四点申し上げたいと思います。
 まず、大学院教育において、産学が連携して課題解決型の学習などの実践的な教育を推進するプログラムを実施する、こういう支援を行っておりまして、平成二十八年度からは、これを大学院教育から学部段階にも拡大することとしております。
 それから高専ですね、高専においては、情報セキュリティーの教育プログラムの開発を進めておりまして、加えて、平成二十八年度からは、実践的なゼミ形式、演習環境の整備に取り組むこととしております。
 次に、研究開発面でありますが、人工知能やビッグデータ、サイバーセキュリティーに関しての平成二十八年度から新たな事業に着手することとしておりまして、この事業の一環として、高度なサイバーセキュリティー知識と管理能力を持つ人材育成を実施することとしております。
 最後に、今、我が省においては、冨岡文部科学副大臣を中心として、サイバーセキュリティー人材育成検討チームを設けております。今年の五月から六月頃には中間報告を出しまして、やっぱり政府として必要な人材育成のために関係省庁と連携を取って総合的な対策を取っていくべきと、このように考えております。
#22
○山崎力君 総理に最後にお伺いします。
 五月、伊勢志摩でサミットがございます。各国首脳と世界経済問題を中心に話し合われるというふうに伺っております。
 そして、そのリーダー役を日本が担うんだという決意を表明されているところでありますが、時間の関係もありますので、手短ではございますけれども、今後の金融財政政策に対する総理のお考えを国民の方にお示しいただきたいと存じます。
#23
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 伊勢志摩サミットにおきましては、現下の経済状況についてが大きな話題になる、議題になるわけでございまして、それに合わせまして、現在の国際状況をどのように分析をしていくか、国内外の専門家あるいは著明な経済学者にお集まりをいただきまして意見交換をしたい、こう考えております。
 伊勢志摩サミットにおきましては、まさに各国のリーダーたちと現下の経済状況に対してどのように協調できるか、そして、明確なメッセージを発出していくことによって世界の持続的な、そして力強い成長に貢献をしていきたいと、こう思っております。
 日本におきましては、まさにデフレから脱却をして経済を成長していく、そして、その中において果実、この三年間では二十一兆円の果実が税収という形で得ることができました。そうした果実をしっかりと、希望出生率一・八、あるいは介護離職ゼロといった社会保障あるいは社会基盤の安定のために投資をし、そしてまた賃上げという形で多くの人たちがその果実を享受できるような状況をつくりつつ、また、成長のためにも投資をしながら成長と分配の好循環をつくっていきたい、そして、豊かな日本、皆さん、各地域においても豊かさを実感できる、そういう経済をつくっていきたいと、こう考えております。
#24
○山崎力君 伊勢志摩サミットの成功を祈念申し上げて、質問を終わります。
#25
○委員長(岸宏一君) 以上で山崎力君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#26
○委員長(岸宏一君) 次に、渡辺猛之君の質疑を行います。渡辺猛之君。
#27
○渡辺猛之君 自由民主党の渡辺猛之でございます。
 今日は、予算委員会のテレビ入り質問という貴重な機会を与えていただきまして、ありがとうございました。
 まず冒頭、総理にお尋ねをしたいと思います。
 今週の金曜日、東日本大震災の発災から丸五年を迎えようとしております。それに先立ち、去る五日、総理は福島県を訪問をされました。常磐線の全線開通を始め、まだまだ被災地の抱える課題が多い中、今回の訪問を受け、総理の復興に懸ける決意、いま一度お聞かせをいただきたいと思います。
#28
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 土曜日に被災地福島を訪問をいたしました。三年前に安倍政権が誕生したときから、福島の復興なくして東北の復興なし、そして東北の復興なくして日本の再生はなし、この思いで復興に取り組んでまいりました。間違いなく復興は着実に進んでおりますが、まだまだ困難な生活を強いられている方々がたくさんいらっしゃるわけでありまして、皆さんに安心して暮らせる、そうした生活を取り戻すために全力をこれからも尽くしていきたいと、こう考えております。
 福島におきましては生活インフラの復旧に全力で取り組んでおりますが、JR常磐線は、常磐自動車道と並んで浜通りの復興にとって重要な交通インフラであります。私も、一昨日、この春の運転再開を待つ小高駅を訪れまして、真新しい駅の仮設ホームに立って鉄路の復旧の状況をつぶさに視察をしてまいりました。運転再開を待ちわびる地元の皆さんの高い期待を肌で感じたところでございます。一日も早くJR常磐線を開通させることで浜通りの復興を加速化させていく考えであります。
 このため、浪江―富岡間の開通時期を明らかにすることで全線開通時期を早急に示すよう、国土交通大臣に指示をいたしました。また、昨年全線開通した常磐道について、渋滞解消のため、課題のある箇所を四車線化する具体策を早急にまとめるよう、同じく国土交通大臣に指示をしており、併せて、今週中に検討結果の報告を受けることとしています。被災地の皆さんのふるさとへの思い、復興への熱意を全力で応援をするため、政府一丸となってJR常磐線の一日も早い全線開通の実現に向けて取り組んでまいります。
 安心して戻れるふるさとを一日も早く取り戻すためには、除染廃棄物を生活の現場から撤去し、中間貯蔵施設へ速やかに搬入しなければなりません。明日、関係大臣を呼んで進捗状況を聞き、一層取組を強化していく考えであります。
 世界にも前例のない福島第一原発の廃炉作業は、四十年にも及ぶ長い道のりであります。過酷な環境で手探りで進められてきた作業を安全に確実にできるだけ早く進めていく、この課題を世界の英知を結集して解決するため、浜通りに廃炉やロボットなどの先端技術を中核とした新たな産業集積を創出するイノベーション・コースト構想を推進します。一昨日、福島新エネ社会構想実現会議を今月中に設置することを表明しました。具体的検討を始めるよう、経済産業大臣に指示をいたしました。
 二〇二〇年には、福島で再生可能エネルギーから燃料電池自動車一万台に相当する水素を作る、これを福島県内のみならず東京オリンピック・パラリンピックで利用していただきたいと考えています。福島を日本中に水素エネルギーを供給する一大生産地、未来の水素社会を開く先駆けの地としたいと考えています。
 福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生はなし、この考え方の下、これからも全力で取り組んでいく考えでございます。
#29
○渡辺猛之君 総理は、常々、震災からの復興は安倍内閣の最重要課題の一つと言っておられます。これからも強力なリーダーシップで一日も早い被災地の復興がかなうように、どうぞよろしくお願いをいたします。
 さて、次に経済問題について質問をさせていただきたいと思います。
 本年に入りまして株価の乱高下が続いております。この大きな要因は、国内要因というよりも海外、特に中国経済や原油価格など海外からの国外要因によるものが多いと認識をいたしております。
 我が国経済に深刻な打撃を与えた国外要因といえばリーマン・ショックが記憶に新しいところでございますけれども、まずは、当時の総理であられました麻生財務大臣に、リーマン・ショックが起こったときどのようなお考えでその対応に当たられたのか、当時の経緯も踏まえてお聞かせをいただければと思います。
#30
○国務大臣(麻生太郎君) サブプライムローンなる怪しげな金融派生商品というのがえらくはやっているのの行き着く先というのは、多くの方が予想されておられたんだとは思いますけれども、結果として非常に大きな影響を世界中に与えたというのが二〇〇八年の九月のリーマン・ブラザーズの破綻だったと記憶しています。
 当然、余りのその大きさに、金融収縮が全国で、いわゆるクレジットクランチというものが世界中で起きるということは予想されましたので、あのときはブッシュ大統領から電話をもらって、G8をされるという話だったので、G8は余り意味がないんじゃないでしょうかということで、今の世界の中を見ていただくと、少なくとも日本と中国と韓国と三つ足したGDPはイギリス、フランス、ドイツのGDPを足したものより大きいという実態を御存じですかという話を申し上げて、間違いなく、そういった国々を入れた上での金融の対応をされないと、G8、G7だけではとても対応できる状況にはないということを申し上げて、結果としてG20みたいなことになっていったんだと思いますが。
 日本が主張していましたのは、九七年のアジアの金融危機を我々は経験しておりましたので、九七年のあの状況というのは極めて深刻で、IMFがタイ、インドネシア、韓国等々に対して融資でつなぐということが物理的に、金の絶対量が不足しているものですからできなくて、あれは、最終的には日本が全部やるということにならざるを得なかったという経緯がありましたので、IMFに対して当時一千億ドル、当時で約十兆円の金を貸し付けるということによって、世界中で起きるクレジットクランチというもの、金融収縮というものを避けたいということをやらせていただき、事実、日本のように財務内容が悪いのではなくて、極めて良かった例えばアイルランドとかアイスランド、あの辺の国でも実際問題銀行が破綻をすることになったために、政府がそれを全部保証する、結果として政府が破綻するということになっていった時代でしたので。
 私どもとしては、それを避けるのにということを優先順位の一番に置かせてやらせていただいて、国内としては、これは当然のこととして影響して不況になるだろうということが予想されましたので、補正予算を三回、たしか二回はあると思いますけれども、三回やったことはないと思いますが、補正予算を三回、本予算を一回、合計四回予算編成をやらせていただいてあの状況を、一時しのぎをやらざるを得ぬということになりましたので、きちんとした対応をしておかないと、いわゆる破綻した後にというよりは破綻しないようにすることを考えた方がということでやらせていただいたと記憶をいたしますので。
 いろんな意味で、世界経済というものにおいては、結果として、そうですね、その代わり、貸すに当たって約束してもらおうと。まず、通貨の切下げ競争はしない、二つ、関税の引上げはやらない、三つ、ブロック経済に走らない、この三つが条件ということで、そこで話がまとまってああいう形でやらせていただいたんですが、結果としてどうしたかといえば、みんな、通貨の切下げ競争はしなかったんですけど、通貨の大量発行という、まあ裏口入学みたいな手口で、結果として通貨は切り下がったんだと思いますよ。日本はその間きちっと守りましたので、日本の通貨はどんどんどんどん上がっていって、一ドル、ドル換算レートで一挙に七十円台だ八十円台だということになっていって、非常な勢いで厳しい状況になっていったというのがあれだったんです。
 いずれにいたしましても、迅速な対応で世界の金融収縮を救えたということに関しては確かだと思っておりますが、我々、残念ながら、その後政権を失っておりますので、他党がその後はやられたんだと思いますので、私どもとしては、そこのところはどのような評価がされるか、これは歴史の評価だと思っております。
#31
○渡辺猛之君 ただいま麻生財務大臣に、当時、総理としての御経験、またその対応の内容をお聞かせをいただきました。
 中国経済にしても、また原油価格の動向にしても、与える影響は今や日本国内経済だけではありません。世界経済全体にその影響を与えるわけであります。ただいま御答弁をいただきましたように、この対応は世界の各国と連携、協調をしていかねばならないと思いますけれども、この点について総理のお考えをお聞かせいただきますと同時に、本年五月に開催されるサミット、このサミットで世界経済への対応をどのように話し合われるか、そしてまたそのリーダーシップをどのように取られるおつもりなのか、総理のお考えをお聞かせください。
#32
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 世界経済の状況につきましては、先ほど来答弁をいたしておりますように、中国経済の景気減速への懸念や原油価格の低下や米国の利上げの動向等を背景に、世界の金融市場の変動が高まっている中で、さきのG20の声明においては、世界経済の強固で持続的な成長の実現のため、まさに三本の矢と同様に、金融、財政、構造政策の全ての政策手段を個別にまた総合的に用いること、我が国はもうこれ既に用いておりますので、ほかの国も今我々がやっているような三本の政策をしっかりと取り入れていくという趣旨だろうと思います。
 また、マクロ経済及び構造問題に関する我々の政策行動を注意深く測定し、明確にコミュニケーションを行うこと、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対し悪影響を与え得ること等が合意されました。
 引き続き、国際社会と連携しながら、内外の情勢を注視しつつ、民需主導の好循環の確立に向け、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
 伊勢志摩サミットにおきましては、現下の世界経済の情勢を踏まえた対応策が最大のテーマになると思います。
 サミットに向けまして国際金融経済分析会合を立ち上げて、世界経済、国際金融、エネルギー等幅広い世界の経済金融情勢について有識者の見解を伺うことといたしました。その上で、サミットにおきましては、議長国として各国首脳と突っ込んだ議論を行い、世界経済の持続的な力強い成長に貢献するよう明確なメッセージを発出していきたいと、こう思っています。
 これ、G20とは違いまして、G7は基本的価値を共有する国々が集まっている、数も少ないわけでありますが、だからこそ世界をリードしていく役割を果たすことができるのではないかと、このように考えております。
#33
○渡辺猛之君 ありがとうございました。サミットにおける日本の、また総理のリーダーシップを期待をさせていただきたいと思います。
 次の質問に入らせていただきます。
 衆議院の予算委員会でも議論をされましたけれども、待機児童問題、保育園に入りたいけど入れないお子さんを抱える保護者の方にとっては、大変切実な問題だと思っています。そのために、園の増設やあるいは保育士の確保など、その取組は必要なことだと思います。
 しかし、私、この待機児童問題、少し違った角度から見てみると、実は、過密と過疎の問題も関係をしているのではないかと思っています。
 東京都への人口流入は、平成九年からずっと転入超過が続いております。東京を始めとする首都圏で待機児童が増加する一方で、一部地方で起こっている現実は、児童数が足りず保育園の定員割れが起こっているというような事態も出てきております。
 大都市に集中をする人口が地方に分散をされることによって、一〇〇%解消とはいかなくても、この待機児童の問題も少しは解消できるのではないかなということを私は考えます。じゃ、そのために何が必要か。地方の雇用、仕事です。
 国土の約七割を森林が占める日本は、先進国の中でも有数の森林大国であります。地方、特に中山間地域の雇用ということを考えれば、木材関係業界に活気が出てくれば地方の雇用は必ず増えます。しかしながら、木材価格、ここでは特にヒノキの価格に注目をしたいと思うのですが、(資料提示)御提示をいただきましたグラフのとおり、ヒノキの価格は昭和五十五年をピークに下落傾向が続いております。
 最近の相場はといいますと、平成二十四年で一立米当たり一万八千五百円、これ、大体昭和四十年と同じ価格なんですね。ちなみに、昭和四十年のサラリーマンの平均年収が四十四万七千六百円、年収が四十四万七千六百円であります。平成二十四年のサラリーマンの平均年収が四百七十三万三千六百円、サラリーマンの平均年収は十倍以上になったのに、ヒノキの価格は昭和四十年と同じ相場です。果たして、これで一体どうやって産業として成り立てることができるのでありましょうか。
 木材価格の低迷は、木材自由化により安価な外材が日本に輸入されるようになったことが大きな原因だと言われておりますが、一方で、最終消費者の住宅購入者のニーズや持っている知識が変わったのも一因ではないかと考えます。
 例えば、昔はいい家といえば、年輪の詰まった節のないいわゆる無地のヒノキの柱が使ってあるとか、建具職人さんや左官職人さんの仕事の丁寧さによって評価をされましたが、日本風建築から洋風建築への切り替わりとともに、素材そのものへの評価や職人さんの高い技術に対する評価は、残念ながら住宅価格に反映されなくなりました。本来ならば、間伐や枝打ちを繰り返して何十年も掛けて育てた立派なヒノキの柱や長年の経験があってこそ成り立つ職人技術は、高い評価を受けてもおかしくない価値あるもののはずです。それができなかったのは業界の構造にあるのではないでしょうか。
 住宅産業は裾野が広いと言われていますが、裏を返せば、それだけ関係者が多く、業界全体としてのまとまった取組がしづらい業界だとも言えます。
 例えば、山主さんは山から木を切り出し販売をします。その売り先は、素材の市場や、あるいは合板工場、製材工場であります。この山主さんと市場や合板、製材工場で売主と買主の関係が成立をいたしますので、売主の山主さんは高く買ってもらいたくても、買主側としては少しでも安く仕入れたい、これは至極当然の話であります。合板、製材工場と建築業者の間にもこの売主と買主の関係は成立し、また、建築業者と住宅購入者の間でももちろん売主、買主の関係が成立をいたします。最終消費者である住宅購入者が納得して高いヒノキの柱を使ってくれない限り、どれだけ立派なヒノキを育てても山主の元には還元されません。しかし、ヒノキを育てた山主と家を建てるお客さんとの直接的接点はほとんどありません。
 林業が産業として成り立つためには、何十年も掛けて育った立派な木材がまずは建築材として正しい価格で取引されることが大前提でありまして、建築材としてのA材が高く取引されない限り、合板やバイオマスに使われるB材やC材の価格も長期的に安定をしていかないのではないかと考えます。
 近年になって、ようやく川上から川下まで一貫した取組により地域材の活用を図る地方の動きが出てきておりますが、これを応援すべき省庁というのが、例えば林野庁が関係をするのが山主さんとせいぜい第二次の合板、製材工場までなんですね。直接お客様と接する建築業者の皆さん方を管轄するのは経済産業省であったりあるいは国土交通省であります。林業が永続的な雇用を生み出すもうかる産業にするためには省庁横断的に取り組む必要があると私は考えておりますけれども、林農水大臣にお考えをお聞かせいただきたいと思います。(発言する者あり)あっ、失礼しました、森山農水大臣に。失礼いたしました、森山大臣にお願いいたします。
#34
○国務大臣(森山裕君) 渡辺委員にお答えをいたします。
 我が国の森林資源が本格的な利用期を迎えておりますので、これを循環利用することが大切だと思っております。このため、木材の安定供給の構築ということは、川上の話でありますがしっかりやらなきゃなりませんし、最も大事なのは、川下であります木材需要の拡大を図っていくということが大変重要なことではないかなというふうに考えております。
 現在、国産材の用途別のシェアを見てみますと、住宅が五四%、またパルプ・チップが二五%でございます。また、在来工法の戸建て住宅の五七%は中小の大工さんあるいは工務店によって供給されているというのが現実でございますので、今申し上げましたとおり、住宅分野は国産材需要の過半を占めておりますから、住宅分野での木材利用の促進は、木材需要を確保する上で極めて重要な課題であるというふうに認識をしております。このため、国土交通省とも連携をさせていただきまして、地域における住宅供給を担う工務店等と地元の林業や製材業等との連携を深めさせていただきまして、地域材を活用した住宅造りを進めているところでございます。
 また、新たな需要の開拓といたしましては、杉、ヒノキのセルロースナノファイバーを製造する技術というものについても実証を始めておりまして、これがうまくいくと非常に新しい分野としていいのではないかと思っておりますし、CLTが新たな部材としてスタートするわけでございますので、このことの工法の技術開発等についても支援をしてまいりたいと思います。
 また、木材団体の方でも、鉄筋の建物であっても最上階の部分を木造にしてみてはどうかという提案があり、現実にそういう建物もあります。
 また、日本の木材加工の技術というのは非常にすばらしいものがありますので、その技術を利用していろんなものに使っていただくということも大事なことだなというふうに考えております。
 また、現在、森林・林業基本計画の見直しを進めているところでございまして、今後とも、関係省庁と積極的に連携をさせていただきまして、地域材利用の推進を通じまして、森林・林業施行の充実に努めさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。
#35
○渡辺猛之君 ありがとうございました。
 失礼をいたしました。林業の話をしておりましたので林農水大臣とお声掛けをしてしまいましたけれども、もう一歩大きな観点の森の方から森山農水大臣にお答えをいただいたところでございます。ありがとうございます。
 それで、計ったわけではありませんが、次に林大臣にお聞きをしようと思うんです。
 森と林で森林についてお聞きをしたいと思うんですけれども、これで、今実は森山大臣からお話もいただいたんですが、日本の森林が宝の山になる可能性がある、その新素材が今大臣からお話を、御紹介をいただきましたセルロースナノファイバーであります。鋼鉄の五倍の強度を持って、鉄よりも軽いという夢の新素材と言われております。
 このセルロースナノファイバー、二〇一四年、日本再興戦略の中で、「世界を惹きつける地域資源で稼ぐ地域社会の実現」というテーマの具体的施策の一つに盛り込まれました。これが実用化されれば、日本は一気に資源大国となることも夢ではありません。また、林業も十分産業として成り立ち、中山間地の雇用も飛躍的に増加をするかもしれません。
 セルロースナノファイバーの現在の研究状況について、林経済産業大臣にお伺いします。
#36
○国務大臣(林幹雄君) 御案内のように、セルロースナノファイバーは、木材を原料としまして、鋼鉄の五倍の強度、そして五分の一の軽さという新素材でございまして、例えば今、渡辺先生が使っているボールペンのインクなどが商品化されているというふうに承知しております。さらに、今後は自動車の部材あるいは透明フィルムといった用途にも活用すべく、官民で実用化に向けた取組を進めているところでございます。
 具体的には、経済産業省では、平成二十七年度から年間四億円を投じまして、五か年計画ということで、より高機能化したセルロースナノファイバーの研究開発を実施中でございます。また、農林水産省や環境省などと共同で関係省庁連絡会議を設置いたしまして、関連施設の情報共有や連携を行っております。
 さらに、一昨年ですけれども、産官学が集まるナノセルロースフォーラムを設立をいたしまして、ここにおいては自治体も参加するということで、地域単位の協議会などを創設しております。そこで、地域の森林資源を活用した新たな産業を創出するために、地域の企業や公設試験場、これらを対象としてセミナーやあるいは見学会、ビジネスマッチングなどの取組を推進しているところでございます。
 引き続き、関係者と密接に連携をいたしまして、研究開発や地域の取組などを支援するということで、セルロースナノファイバーの早期の実用化を進めてまいります。
#37
○渡辺猛之君 ありがとうございました。
 引き続き、農水省あるいは経産省、環境省等、関係する省庁の連携しっかり深めていただいて、是非とも日本の木材関係業界に元気が出てくるようにお力をお願いしたいと思います。
 続きまして、中小・小規模企業についてお伺いをしたいと思います。
 GDP六百兆円の鍵を握るのは、我が国の中小・小規模企業だと私は考えています。代表質問でも取り上げさせていただきましたけれども、特に伸び代の大きい小規模企業の発展というのがこのGDP六百兆円の達成には不可欠だと考えています。仕事柄、いろんな経営者の方のお話を伺う機会が多いんですけれども、様々なお話を聞きますと、商売の基本というのは実は次の三点に集約をされるのではないかと思います。
 商売というのは、どんな商品やサービスを、どんなマーケット、すなわちお客様に、どんな売り方をしていくか。売上げを伸ばそうと思えば、商品そのものか、あるいは狙うマーケット、そして売り方、このどこかを変えていかなければなりません。このことを実践され、経営改善に成功された事例を一つ御紹介をしたいと思います。
 静岡県吉田町の静岡木工さんは、昭和三十六年に創業され、神棚を中心とした木製品を作ってこられた会社です。神棚といえば、皆さん、このようなものを想像されるのではないかと思いますけれども。立派な神棚であります、私たちのなじみの深い神棚でありますけれども。
 ただ、この立派な神棚、先ほど述べましたように、日本風家屋の減少でこういう立派な神棚を飾る家は少なくなり、静岡木工さん、売上げの減少に悩んでおられました。そこで開発をされたのが、次の写真お願いします、このようなモダン神棚というのを開発をされました。静岡木工さんでは、立派な神棚を飾るにはスペース的にもちゅうちょされるマンションやアパート暮らしの方や、あるいはデザイン的にちょっととちゅうちょされる若い方でもお札を納めておくことができるというように、このモダン神棚を開発され、インターネットでの販売も始められたそうです。これが大変好評を博し、楽天市場の神棚販売部門第一位となるなど、経営内容は大幅に改善をされたそうであります。
 もう一度、先ほどのちょっとフリップを出していただけますでしょうか。今御紹介をいたしました静岡木工さん、実はこの商売の三要件、この三つの要素を全て変えることによって経営改善に成功をされました。まず、商品として新しい商品のモダン神棚を開発をする。マーケット、すなわち対象とするお客様をマンションやアパートでお住まいの人や今まで神棚になじみのなかった独り暮らしの若者に変えていった。そして売り方はインターネットを使って広く全国にと。この商売の三要件、三つとも変えて経営改善に成功されたわけであります。
 そして、静岡木工さんにこのアドバイスをされたのが、数々の再生事例に成功している通称エフビズと呼ばれる富士市産業支援センターでありました。日々の経営で手いっぱいの小規模企業の皆さんが経営改善に取り組むためには、エフビズのような専門の支援機関が必要不可欠だと思います。私は、全国津々浦々でそれを可能にするため、全国組織の商工会や商工会議所に期待をしています。
 特に、静岡木工さんの経営改善に成功した理由は、若い人やマンション暮らしの人でも、もらってきたお札を保管をしておく場所は欲しいはずだと、まずマーケットの存在を見極めて、そのマーケットに合う商品を開発されたところにあると思っています。
 TPPで海外進出を目指したり新たな販路開拓をしようとする中小・小規模企業の皆さんには、どのような商品を求めている、どれくらいのマーケットがどこに存在をしているという的確な情報を届けるいわゆるマーケティングの専門家の存在が必要となってくる、この存在が非常に大事ではないかと私考えますけれども、その人材確保、育成と、そしてまた中小・小規模企業への情報の伝達、これについて経済産業大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
#38
○国務大臣(林幹雄君) 渡辺委員御指摘のように、マーケティングの専門家による支援は大変重要であるというふうに思っております。
 地域における小規模事業者にとって身近な支援機関といえば、もう商工会あるいは商工会議所でありまして、これを通じた支援を進めていっているところでございます。具体的には、経営指導員の能力を高めるために、マーケティング支援も含めた研修を全国四十七都道府県で実施しておりまして、これまで二年間で約三千名に受講いただいております。
 また、中小・小規模企業への支援策の情報伝達でございますけれども、これについては、商工会、商工会議所のみならず、ただいま渡辺委員が紹介しましたエフビズをモデルに平成二十六年度からよろず支援拠点を全国各都道府県に設置したところでございます。販路拡大あるいは売上げ拡大に向けまして、中小企業の実情に応じたきめ細かいアドバイスを行ってきておりまして、これまで約二十九万の相談を受けております。全国四十三か所にありますジェトロの国内の事務所とも連携をいたしまして、海外進出を目指す事業者も支援しているところであります。
 いずれにいたしましても、我が国の中小・小規模企業はGDP六百兆円の鍵を握るというふうに考えているところでありまして、経産省としてもきめ細かい支援を行ってまいりたいというふうに考えます。
#39
○渡辺猛之君 ありがとうございました。
 これまで、商工会や商工会議所の一番の仕事、それは夏祭りや産業祭などのイベントという地域も少なくありませんでした。しかし、地域に根付く中小・小規模企業が元気になることは、地方の活力、すなわち地方創生に直結をいたします。これからの商工会や商工会議所の最大の役割は、地域のイベント屋ではなく、地域の中小・小規模企業の経営改善のための知恵袋でなければなりません。
 持続化補助金を始めとする支援メニューが充実する一方で、経営指導員さんや職員の皆さんの負担は、頑張れば頑張るほど今増えていっているのが現状であります。しかしながら、平成十八年度に商工会や商工会議所関係予算が国から都道府県に移管されて以降、商工会や商工会議所に届く予算はほとんどの都道府県で減少をしております。これでは、人を増やそうにも増やすことができません。
 人件費を始めとした関係予算が都道府県に移管をされた今、もちろん地方交付税の使途は地方団体の自主的な判断に任されていることは十分理解をした上で、地方創生のためにも、安倍内閣が目指すGDP六百兆円のためにも、中小・小規模企業の応援団となる商工会や商工会議所予算を都道府県が捻出しやすくできるように、普通交付税算定項目の商工行政費の単位費用の見直しについて高市総務大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
 国として本気で中小・小規模企業を支援しようとするならば、現在の商工会や商工会議所の人員ではまだまだ不足であるという現状を踏まえて、是非前向きな御答弁を高市大臣、よろしくお願いいたします。
#40
○国務大臣(高市早苗君) 今、安倍内閣でも中小企業・小規模事業者支援のために様々な政策を展開していますけれども、せっかくの施策も、中小企業そしてまた小規模事業者の方々に正確に伝わらなきゃどうしようもありませんし、またマーケットの情報も幅広くやっぱり提供されなければなりません。そのためにも今、渡辺委員おっしゃいましたとおり、商工会議所、商工会、経営指導員の方々、あわせてまた地域の金融機関ですとか自治体の役割も大変重要だと思っております。商工会や商工会議所の経営指導員の設置等に係る都道府県の補助金につきましては、毎年度、全国の経営指導員等の人数の動向を踏まえて所要の措置を地方財政計画に計上し、地方交付税措置を講じています。
 平成二十八年度におきましては、リーマン・ショック後の危機対応モードから平時モードへの切替えを進める観点から地方財政計画の歳出特別枠というものを減少させましたことに伴いまして、普通交付税の商工行政費の単位費用も減少してはいるのですが、このうち商工会、商工会議所への補助分につきましては前年度を〇・五%上回る額を確保いたしました。また、平成二十七年度から、新たに地方財政計画の歳出にまち・ひと・しごと創生事業費一兆円を計上しまして、これは商工行政費とは別の横断的な費目において地方創生に係る経費を幅広く算定しておりまして、地域経済活性化等に係る交付税措置を全体としては充実しています。
 このような算定を通じまして、地方創生の取組を息長く支援していくとともに、やはり商工会、商工会議所による小規模企業への支援が円滑に実施されるように、地方団体の御意見もしっかりと伺いながら、これからも適切に地方交付税措置を講じてまいります。
   〔委員長退席、理事岡田広君着席〕
#41
○渡辺猛之君 是非よろしくお願いをいたします。
 最後に、総理にお尋ねをいたします。
 一昨年、私たちが、中小企業基本法という法律が存在をしているのにあえて小規模企業振興基本法というもう一つの基本法を成立させた理由、それは、中小企業と一口で言っても、従業員三百人の企業とお父ちゃんとお母ちゃんと後継ぎの息子三人でやっているそういう小規模事業者では、企業として求めるサポートの方向性は一緒であったとしても、必要な補助金の額や中身など違っていて当然であります。また、申請書類の作成に掛けられる時間や労力も、きちんと総務課を持つ会社とそうでない会社とはおのずと違いがあります。だからこそ、国の中小企業政策が中企業にも小規模企業にも届きやすいようにと二つ目の基本法を作らせていただきました。
 そこで、最後に総理に、是非、中小企業支援、よりきめ細かく、そして特に小規模企業支援についての総理のお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
#42
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 委員がおっしゃるように、確かに中小企業、一口に言っても中程度の企業と小規模事業者と大分事情が違うわけでありまして、そうした状況に合わせた支援策、対応が極めて重要だろうと考えています。
 小規模事業者に対しては、全国約二千二百か所の商工会、商工会議所を始めとした支援機関によるきめ細かいサポートを行うとともに、小規模事業者向けのマル経融資などの金融支援、これは大変大切だと思うんですが、金融支援といった施策を充実をさせてまいりました。加えて、小規模事業者の販路開拓の支援では、平成二十七年度補正予算において小規模事業者持続化補助金を措置しました。新商品の開発などについては、いわゆるものづくり補助金の中に平成二十七年度補正予算から小規模型を創設して支援することといたしました。
 これら以外の施策についても、小規模事業者が使いやすい支援策とするよう、小規模枠を設定することも含めて検討していきたいと思います。
#43
○渡辺猛之君 終わります。ありがとうございました。
#44
○理事(岡田広君) 以上で渡辺猛之君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#45
○理事(岡田広君) 次に、増子輝彦君の質疑を行います。増子輝彦君。
#46
○増子輝彦君 おはようございます。
 民主党・新緑風会の増子輝彦でございます。
 質問の機会を頂戴したことに御礼申し上げたいと思います。
 安倍総理、一昨日は福島に入っていただきまして、ありがとうございました。やっぱり総理が来るとみんな元気が出ますよね。ただ、できれば分刻みでなくて、もう少し一か所にゆっくりおられて皆さんと対話をするということを福島県民が望んでいるということ、是非これから日程を組むときにはそのようにお願いを申し上げたいと思います。
 ところで、総理、復興牧場に行かれてヨーグルトと牛乳を飲まれたということ。いかがでしたか、味の方は、ちょっとお答えを。
#47
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 東北随一の規模を誇る牧場でございまして、五百頭の酪農の牧場でございますが、牛乳も、またヨーグルト、大変豊かな味で、おいしく飲ませていただきました、また、食べさせていただきました。
#48
○増子輝彦君 総理、実は一つお願いがございます。おいしかったと、自然に育まれた牛から取られたということ。風評被害対策に、総理、どうでしょうか、毎日その復興牧場のヨーグルトと牛乳を飲まれるということ、是非実行していただけませんか。
 これ、本当に福島は風評被害で苦しんでいるんです。福島産と言っただけで本当に手が遠のくんです。麻生副総理の下の福岡なんかが顕著らしいですから、総理、是非そのことを実行していただくようにここでお約束いただけませんか。どうぞ。
#49
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 官邸においては福島産のお米をほぼお昼に毎日いただいております。牛乳と、特にヨーグルトについても食べておりますので、そうした意味で、この風評被害を払拭する意味において御協力できるのであれば食べさせていただきたい、これからも食べさせていただきたいと思います。
#50
○増子輝彦君 総理、総理がやると言えばできますから、是非お願いをしたい。これ、絶対に風評被害対策に一番効果があると思います。総理が福島県のこの生産されたヨーグルトあるいは牛乳をお食べになりお飲みになるということは最も日本で今風評被害対策になると思いますので、是非実行していただきたいと思います。
 復興のことはまた後ほど質問させていただきますが、少し、経済財政ということでありますから、アベノミクスの検証をさせていただきたいと思います。
 それぞれ世論調査の結果ももう御案内のとおりだと思います。なかなか、今、アベノミクスに対する評価が低いということが世論調査各種出ているわけであります。これ総理も心外だとお思いになっているかもしれませんが、やっぱり総理がおっしゃるとおり、トリクルダウンがある、好循環がある、そういう中で、全国津々浦々にこの効果がなければこのアベノミクスは成功したとは言えないとずっと言い続けていらっしゃるわけです。その国民が、世論調査の結果が各社ともみんな、アベノミクスは評価するという人がもう三割ぐらいしかいない、評価しないというのが五割ぐらいいるということ。これはやっぱり実感として、国民の皆さんは、株をお持ちになっている方はいいのかもしれません、為替差益で、これで利益が出る企業はいいのかもしれませんが、やっぱり国民全体から見れば、必ずしもこのことは成功していないのではないんだろうかというふうに私は思うわけであります。
   〔理事岡田広君退席、委員長着席〕
 そこで、これはもう時間が余りありません。私も通告たくさんさせていただいておいておりますので、それぞれ手短にお答えを願いたいと思うんですが、今、春闘に入りました。各労働組合、それぞれ春闘されて、賃上げをしっかり勝ち取ろうということ。今まで、安倍政権になってからの、いわゆる官邸主導の官製春闘と言われております。しかし、今年は何かおとなしいというか静かなような気がするんですが、春闘について、企業と労働者の皆さんが、組合の皆さんがそれぞれ長い間のルールの中でやってこられたところに官邸が乗り込んで、入り込んで、それで利益を賃上げにしろ、そうしなければ消費が伸びないと、こんな感じがどうもこの数年見受けられた。
 今年はおやりになるつもりなんでしょうか。現時点では全くそういう雰囲気が出ておりませんが。長々とした説明は結構でございますので、端的にお答えをいただきたいと思います。総理、どうぞ。
#51
○委員長(岸宏一君) では、総理、端的にお願いします。
#52
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我々の三年間の経済政策によって、仕事をつくることについては百十万人以上の雇用をつくりましたし、有効求人倍率は二十三年ぶりの高い水準になっている。この中において、企業も最高の収益を上げているんですから、それをやはり賃上げという形で賃金にしっかりとつぎ込んでもらいたいと、こうお願いをしてまいりました。
 現在でございますが、我々実際、お願いをしております。未来投資に向けた官民対話というのを進めておりまして、私から過去二年の大幅な賃上げの流れを更に進めていただきたい、二年間やっていただいた、これを更にやっていただきたい、こうお願いをいたしました。経済界はこの私の発言を受け止めていただきまして、賃金については三度目の流れをしっかり実現できるよう、呼びかけを継続していきたい旨の回答をいただきました。是非、これを春闘において実行していただきたいと思っております。
#53
○増子輝彦君 総理、やはりこのことについては余り政治が介入されない方がいいような気が私はしているんです。麻生副総理、首を振られておりますが。いずれにしても、やっぱり今まで長い間春闘というルールの中でそれぞれが賃金を決めてきたかと。利益をはじき出せ、設備投資をしろといっても、企業もこのいわゆるアベノミクスの効果というのは必ずしも本物ではないと私は認識しているような気がするんです。だから、思い切った設備投資もできないということなんだろうと思います。
 いずれにしても、今年の春闘は大変重要な春闘ですから、私も各地の連合さんの総決起集会に行って御挨拶をさせていただいております。是非、日本が本当に賃金が、経済が良くなって、成長戦略がばんばんこれが実行されていい経済体制ができれば、これは賃金も上がり、設備投資もできると思います。アベノミクスが本物ではないということの証明が私はそこにあると思うんです。
 そこで、これ、総理は少し否定をされておられるようでありますが、自民党の中にも追加経済対策が今の状況であれば必要ではないかというふうに言われておりますが、あえてお聞きしますが、経済対策のこの必要性を四七%の世論調査の中では出ているわけでありますが、私も、場合によってはこの状況、本当に今、原油安、中国経済の先行きが不安だということ、様々な要素の中で厳しい状況が待ち受けているのかなと思いますので、経済対策、追加が必要ではないかと私は個人的には思っています。
 総理、どのようにお考えですか。
#54
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどのちょっと追加なんですが、なぜ我々が経済界に対して賃上げをお願いするか。これは、市場主義、自由主義経済では異例のことではありますが、二十年間デフレが続いていて、第一次安倍政権のときも企業は最高の収益を上げたんですが、残念ながらこれは賃金には反映されなかった、ずっとこう来ています。
 このデフレマインドを払拭をしなければいけない。デフレマインドは払拭されつつありますが、やっぱり企業側は大変慎重で、大変な、あれは持っているんですが、収益は上げているんですが、これはやはり内部留保という形でたまっている。それでは経済が回っていきませんから我々が働きかけている。働きかけていく上においては、我々は法人税を引き下げているんですから、あなたたちも努力をしてという形でやっているところでございます。
 そこで、補正予算についてでございますが、経済の状況については我々も注意深く見ていかなければならないと思っておりますが、まずは、現在審議をしております来年度の予算の早期成立こそが最大の景気対策であると思っておりまして、この成立に全力を尽くしていきたいと思っておりますし、現段階で補正予算については全く考えておりません。
#55
○増子輝彦君 総理、今総理の御答弁の中にもありました。やっぱり企業が不安なんですね、今の状況では。ですから、なかなか設備投資もしないし、賃上げも思い切ってできないということ。これ、是非、大企業だけではなくて、全国の中小企業や小規模企業もしっかりとこの恩恵を受けるということが極めて私は大事だと思っているんです。一本の矢、二本の矢はまあそれなりの効果は一時的にあったかもしれませんが、三本目の矢の成長戦略がどうしてもうまくいかない、このことが最大のことだと思っています。
 そういう意味で、それに代わる何か総理の方で思い切ったことをやろうということで、マイナス金利を実は今、日銀が導入いたしましたけれども、このマイナス金利の問題についても、評価するが二三%、評価しないが五三%という世論調査の結果も出ておりますが、やはりマイナス金利というのは極めてこれ経験したことのない初めてのことで、国民もある意味では不安なのかもしれません。
 総理、これは、このことについての議論はほかの方もいろいろやっておられますんで、一つだけお聞きしたいのは、マイナス金利の導入については日銀総裁と御相談をされたんですか。そのことをお聞きします。
#56
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 金融政策につきましては日本銀行が行います。そして、我々は、二%の物価安定目標については達成してくださいねということはお願いをしておりますが、その手段は日本銀行に任せておりますので、この手段の一々について私がこうやれ、ああせよと言うことはいたしませんし、してはならないと考えております。
 このマイナス金利につきましては、決定会合で決定した段階で、こういうことになりましたという説明を受けました。
#57
○増子輝彦君 総理も日銀の総裁と先日しばらくぶりにお会いになったということ、多分いろんな話が出たと思います。もちろん、ここで日銀に政治が介入することはできませんので、それはあったとは言えないと思っておりますけれども、しかし何らかの話合いも、当然、経済政策、まさに日銀総裁と一体でこの経済政策を今日まで安倍政権になってお進めになってきたわけでありますから、私はあったと思っているんですが、いずれにしても、そういうことよりも、是非このマイナス金利の様々な今後の動きを注意深く私は見ていただいて、しっかりとした成長戦略も含めて対応していただかなければならないと思っているわけであります。
 そこで、総理、なかなかアベノミクスがうまくいかないということで、一億総活躍社会を打ち出しました。
 これ、一億総活躍社会ですから、全員が頑張れと、働くこともやれ、あるいは、ひょっとしたら、レジャー的なこともやれ、子育てもやれ、何かいろんなことが織り込まれております。三つの問題点、GDPを六百兆に、二〇二〇年までに達成する、あるいは希望出生率が一・八人。これ、しかし一・八人じゃ人口増えませんので、これはちょっと私おかしいんだろうと思っていますし、一億総活躍社会ということになりますと、子育てをしっかりやらないと、今子供たちのこの様々な弊害も出ているわけですが、一方では働け、男女共同でいろんな立場に女性を登用しろ、しかし一方では子供を増やせ、こういう形の中でかなり矛盾もあるんではないかと思っているんですが。こういう一億総活躍社会の中での予算化も、いろいろ指摘をされているとおり、本当に総理が挙げられたこの六百兆、そして一・八人、さらに介護離職ゼロということができるのかどうか、私はこれも大変厳しい環境にあるんだろうと思います。
 アベノミクスをきちっと検証して、どこに原因があって、これをもう一度軌道修正してやっていくということの方がむしろ私は正当なる経済政策のような気がするんですが、ここでなぜ一億総活躍社会という三つの柱を立てて無理やりそこにアベノミクスを覆い隠すようにするのか、その見解をお聞きしたいと思います。
#58
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、アベノミクスは失敗したと、こう決め付けておられますが、失敗はしていません。なぜなら、例えば、この三年間で名目GDPは二十七兆円増えています。政治に求められるのは雇用です。働く場をつくっていく。企業の倒産件数は民主党政権時代よりも三割近く減少しているんです。その結果、失業者も、働き盛りの皆さんの失業者も六十万人これ減っています。有効求人倍率も二十三年ぶりの高い水準、七つの県では過去最高に……(発言する者あり)
#59
○委員長(岸宏一君) 静粛にお願いします。
#60
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 過去最高になっているんです。こうした結果も全く無視して、間違っているといって元の政策に戻ったら、こうした成果も全部吹っ飛んでしまうわけであります。そこをしっかりと見ながら分析をしていく必要があるんだろうなと、こう思っています。
 地方においても税収が上がっているということについては、地方の企業も収益を上げ始めているということですから、そうしたものもしっかりと見ながら、しかしなぜ、では実感がないんだという、そういうものをしっかりと分析をしていく必要はあるんだろうと思います。
 そこで、一億総活躍社会という新たな目標でございます。我々は、このアベノミクスも第二ステージを迎えたと、こう思っています。そこで、お年寄りも若い皆さんも、女性も男性も、あるいは障害がある方も、難病を持っておられる方も、全ての方が、一回失敗した、二回失敗した、そういう方々全てにチャンスがある社会をつくっていく、これが一億総活躍社会であります。そして、日本の人口が減少局面に入っているわけでございますが、それを一億人でこれ何とか止めよう、つまり人口問題に我々は初めて正面から向き合ったわけであります。
 その中におきまして、なぜ希望出生率一・八。これは希望している方々、子供を持ちたいという方々の出生率は一・八であります。しかし、何らかの原因で、経済的な問題等々でそれには至っていない。つまり、皆さんの希望を全て実現すると、いろんな障害を取り除けば一・八に達成できるからということで我々は一・八、根拠のないただの目標を掲げているのではなくて、障害を取り除いていけば一・八が達成できるから一・八を我々は掲げているわけでありまして、様々な、働きながら子供を産み育てるためには、これは保育所も必要ですね。ですから、二十万人、四十万人という目標を更に十万人上乗せし、そして保育士の待遇改善も進めているわけであります。
 また、介護離職ゼロにつきましても、団塊の世代の皆さんが介護が必要になったときに、団塊ジュニアの、これは大きな人口の塊でありますが、この皆さんが介護離職になれば、これは日本経済にも大きな打撃を与えるわけでありますから、そんなことにはなってはならないということで、今から備えていくということであります。
 つまり、この三本の矢は、三つの目標に向かってそれぞれしっかりと我々は矢を放っていく、そして、そうしたことを実現していく中において、名目GDP六百兆円は我々達成できると、こう考えているわけでございます。
 その中で大切なことは、我々はこの政策を進めてきた結果、二十一兆円という国、地方の税収増という果実を得ました。この果実から希望出生率を一・八を実現するためにお金を使っていく、あるいは介護離職ゼロのためにお金を使っていく、更なる成長のためにお金を使っていくことで、また更に私たちは成長していくことができます。そしてまたさらに、それによって増えた税収をそちらに振り向けていくという、成長と分配の好循環をこれはつくり出していきたいと、こう考えている次第でございまして、これが私たちが今進めようとしている新たな提案であり、一億総活躍社会であるということでございます。
#61
○増子輝彦君 そちらで拍手をされている皆さん、今の総理の話、地元に行って話されたらどうですか。これは、全くここはそごがあるんですよ。本当に皆さんの思いと違うんです。
 総理、これはもう答弁は要らないので、ちょっと私だけ申し上げますけれども、小泉改革のときに、実は公共事業を毎年減らして、医療費も毎年削減したんです。そのひずみが今の日本の社会の中にあるんです。
 例えば、建設業関連の業界には八百万近くのここに働く方がおられた。小泉改革でどんどんどんどん減らされて、四百五十万ぐらいに減ってしまったんですよ。この方々がどこに行ったかというと、サービス産業とか介護職だとかそういうところに移動しただけなんです。そこの賃金は、建設関連が年収平均五百万とすれば、この第三次産業的な、いわゆるサービス業とか介護職だとかこういうところには、平均が三百万前後ですから、可処分所得が増えないのは当然なんですよ。失業率は下がるんですよ、それは。それは雇用を増やしたというんじゃなくて移動しただけであって、これは全然、総理、考えが違うんです。
 失敗したり間違った子供さんが何か言い訳を長々とするような話はもう結構でございますから、このことについてはもう御答弁は要りません。
 そこで、総理、もう一つ、これだけはちょっと確認をしていきたいんですが、甘利前大臣、残念ながらああいう形で辞任をされました。私は、やはり安倍総理の経済政策あるいは精神的支柱として甘利さんは非常に大きな私は総理の支柱だったと思うんです。こういう形で残念ながら辞任をされた。しかし、それについて、今体調を崩されているということですから、一日も早い御回復をお祈り申し上げたいと思いますが。
 実は、会津若松市という私の地元に市があります。ここの職員が復興補助金で贈収賄で逮捕されたんです。逮捕された嫌疑は何だと思いますか。もちろんそれは犯罪、悪いことでしょう。ノートパソコン一台、十万円相当なんですよ。それで逮捕された。甘利さんはどうなるか私は分かりません、刑事的にもまだまだ。しかし、事実お金をもらった、あるいは秘書もいろんなことを録音テープに取られている。これは今後、司法がどうするのか分かりませんけれども、一般論として、大体、これだけのお金が動いた、本人も認めている、どう処理はしたとしても。このところの、やっぱり私は、ノートパソコン一台と甘利前大臣の関係者の金額を比較したときに、こういう不条理が通っていいのかどうかという問題は、本当にこれ、社会の通念として問題があるんではないかと思っていますので、このことは是非司法にも私はこれからいろいろな形で捜査を進めて調査をしていただきたいと思いますが、いずれにしても、甘利前大臣を失われたということは総理にとっては痛手だと思いますので、石原大臣、スーパーサブとして頑張っていただきたいと思います。
 アベノミクスの検証についてはもう少し質問したかったんですが、もう御答弁が長いので、これで終わります。
 次に、消費税の問題について少しお聞きをしたいと思います。
 総理、これは、よほどの大震災やリーマン・ショック的なものがなければ引き上げると、来年の四月ということで。それで、今回は引き上げないからといって一昨年の十二月に信を問いましたね、解散・総選挙をされました。
 今回もいろんな方々が、消費税は上げるべきではない、やっぱりこれだけの経済がおかしくなっているからやめろという声がこの国会の質問の中でもたくさん出ております。
 私は逆なんです。私は、総理、政治が覚悟を持って決めたことなんです。一度総理は信を問うて、そのときに必ずやりますと、景気条項まで削除したんでしょう。総理の覚悟が国民のそういう気持ちにつながっていくんですよ。もちろん国民は、消費税の引上げ、三三%しか賛成しないで、五八%は反対ですよ。だけど、総理、あの三党合意で野田さんともいろいろやられましたけれども、あのときの覚悟、決意、総理、今もお持ちなんでしょう。そして、一昨年の総選挙の前のときに、二〇一七年の四月には必ず上げますと、ただ、大震災やリーマン・ショックのようなものがなければというおまけは付けましたけれども。
 総理、私は逆に、総理は、ここは不退転の決意で、日本の経済財政は健全化も図り、そして社会保障にも、しっかりとこういう問題をここにつぎ込んでいくということを含めて、私は、総理、上げるべきだと私は思っているんですよ。そういう……(発言する者あり)民主党の方針関係ないんで、黙っていなさい、君たち。
 総理、これは政治家対政治家の実は今やり取りをさせていただいています。総理のそれだけの覚悟があるならば、それは何か最近また世界経済の収縮の問題がどうだとか、前回やった検討会のような、大きな世界的な云々というものをつくろうとされているけれども、これじゃ国民にまたうそをつくことになるじゃないですか。国民は望んでいないけれども、総理の覚悟というものが必要なんですよ。一事不再議ということもありますよね。これでもう一度、万が一総理が解散・総選挙を狙うなんということがあったら、これは私は政治家としていかがなものかと。
 お父様に私も大変お世話になって、衆議院議員に当選させていただきました。お父様は、信なくば国立たず、信頼が最大だと。総理は、国民の皆さんとの信頼関係をこういう問題も含めてつくり上げていかなければいけない。今長々とおっしゃった経済政策、これを実行するためにも、消費税をなぜ上げるのか、この原点を忘れないで、是非苦しくともつらくとも覚悟を決めて、自分が約束したことを、ましてや三党合意で決めたことを守ることが信義じゃないですか。
 消費税のこの引上げ、上げるとおっしゃっていることを答弁では聞いています。改めて総理の覚悟のほどを端的にお伺いいたします。
#62
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 従来から申し上げておりますように、リーマン・ショックあるいは大震災の事態が発生しない限り、予定どおり消費税を引き上げていく考えであります。
 また、解散については全く考えておりません。
#63
○増子輝彦君 まあ、その程度の答弁だということは分かっておりますが。
 いずれにしても、私の申し上げたとおり、是非覚悟を持って私はこのことには取り組んでいただきたいということをあえて申し上げさせていただきたいと思います。
 次に、TPPについて少しお伺いをしたいと思います。
 総理、アメリカの大統領選挙、今予備選挙が行われていますが、ほとんどの候補者がTPPは反対ですね。特に、今のところ、多分、民主党、共和党のそれぞれの候補になるだろうと言われているトランプさんやあるいはヒラリー・クリントンさんも明確に反対ですね。
 これ、もしアメリカが本当にこのTPPについて新大統領の下でやらないといったときに、これ一体どうなるんでしょうか。総理は、それでも我々はアメリカ抜きでやるんだというお考えなんでしょうか。このことについても、当然、アメリカの大統領選挙に左右されずに、自分としてはやっていく覚悟だというお話が多分あるんだろうと思いますが、このことをどのように今の大統領選挙をにらみながらお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
#64
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 米国大統領選挙の候補者の発言について一々コメントすることは差し控えたいと思いますが、昨年十一月のTPP首脳会合では、米国を含む十二か国の首脳が早期発効を目指すことを確認しています。米国政府も三月二日に米国議会に提出した二〇一六年通商政策課題において、TPP協定の議会承認を得ることが二〇一六年のオバマ大統領の最優先事項であると、その旨表明をしています。
 我が国は間もなくTPP協定及び関連法案を国会に提出し、そして承認を求める考えでありまして、日本が率先して動くことで早期発効に向けた機運を高めていきたいと思います。
#65
○増子輝彦君 この問題は私は日本にとっても国の形が変わるということで大変重要な問題でありますし、これから国会でも特別委員会が設置されるとお伺いしておりますので、徹底的にこのことについては議論をしていただきたいと思っております。
 対策費のことは、もう時間がありませんので、またそのときでもやらせていただきますが、次に、実は日本の今の外交上の問題で私なりに少しだけお話をさせていただくと、やっぱり日本が今日の経済成長を果たしたのはエネルギーだと思うんです。そのとき、サウジアラビアが日本にずうっと産油国として平均三〇%前後のシェアで原油を輸出してくれました。大変有り難い話であります。日本の経済成長、この国の繁栄はサウジの石油によって成り立ったと言っても、私は過言ではないと思うんですね。
 ところが、最近、やっぱりイランにみんな顔が向いている、アメリカもそうなんですが。イランも、それはようやく民主主義の国になろうとしていることで大事ですが、是非、総理、先日、総理も一度サウジ行かれたようですが、ここを、やっぱり、この油の問題が出たり、ISとの関係が出たりしたときに、サウジの首脳と総理ができるだけ早く会うことが私は大事だと思っているんです。と同時に、総理が行けなければ大臣を行かせていただきたい、速やかに。先日、高木さんも行ったようですが、是非このサウジの関係を大事にしていただきたい。中東はやっぱり日本の経済繁栄をつくってきた大きな礎でありますから、このことを是非お願いをしておきます。答弁は要りません。
 それから、北朝鮮の問題ですが、総理、総理がやはり今の総理に実はなられたという大きな力の一つは、北朝鮮との関係、小泉訪朝によっての話だったと思います。今、こういう北朝鮮の核や様々な実験の問題等を含めておかしな状況かもしれませんが、総理、それに併せて、拉致問題がどうしても行き詰まっている。総理にとっては拉致がある意味では命じゃないんでしょうか。このことについて拉致の家族の皆さんも大変心を痛めていると思うんです。
 この拉致に対して速やかに、どういう打開策をといってもなかなかこれは難しいかもしれない、だけど、拉致に対しての、北朝鮮に対して今後どういうふうに具体的に向き合っていくのか、御見解をお伺いしたいと思います。
#66
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 拉致問題の解決は安倍政権の最重要課題であります。御家族の皆さんがお元気なうちにお子さんたちを自らの手で抱き締める、その日がやってくるまで全力を尽くしたいと考えております。今般、我が国の考え方が相当盛り込まれた厳しい国連安保理決議が採択をされましたが、この決議には人道上の懸念にも言及がありますが、これは我が国が主張したものでありまして、国際社会と協力してこの決議を厳格に実施をしていきます。
 安保理決議の採択に先立ちまして、北朝鮮が核実験及び弾道ミサイルの発射を行い、ストックホルム合意に基づく調査が開始されてから一年半以上たっても拉致問題に何ら進展がなかった状況を踏まえ、非常に厳しい独自の措置を日本は決定もしております。
 拉致問題の解決には対話のための対話では意味がないわけでありまして、同時に、対話をしなければ拉致問題は解決をしません。我が国としてストックホルム合意を破棄する考えはないわけでありまして、今後とも、対話と圧力、行動対行動の原則の下、北朝鮮に対して厳しい圧力を掛けながら、同時に、北朝鮮との対話の窓口を我が国が閉ざすことなく、しっかりと国際社会とともに圧力を掛けながら、北朝鮮がこの問題を解決をしなければ北朝鮮の未来を描くことはできないという中において、対話がスタートするように努力をしていきたいと考えています。
#67
○増子輝彦君 総理、全力でお願いいたしたいと思います。
 次に、復興関係に入らさせていただきたいと思います。
 先ほども総理が福島に入っていただいたということ、御礼を申し上げましたけれども、今、福島県の関係自治体が思っていることは、民主党政権時代は本当に政務三役の皆さんがたくさん来られた。自治体としてはもう大変な対応だったと。自民党政権になってから政務三役が来られる回数が極端に減った。事務的には非常にやりやすくなった。しかし、それは、逆に復興が進まないという不信感、危機感を感じている。宗像さん、後ろでちょっと首かしげていますが、現実はそうなんですよ。
 これはやはり、そこのところを是非総理、もうやっぱり現場を見ていただかなきゃ駄目なんです、これは。総理はいいところばかり行かれる。これは、私たち政権時代に、総理官邸の方に、秘書官の皆さんに申し上げたのは、いいところばかり行くなと、厳しくて大変なところに行って、そこで自分の心と目と耳でその現場をきちっと受け止めて対策をしなければいけないということを実はずっと言いながら総理の日程も組まさせていただいた過去があります。是非、そのことはお願いを申し上げたいと思います。
 それで、実は、二月に南相馬で国政報告会やりましたときに、ある方がレジの紙に、これなんですが、裏に書いた紙、私に、レシートに書いてよこした紙があるんです。「虫、かえる、鳥さえ消えたこの里に、住めるというの?総理大臣」と、こういう実はメモを私に書いてよこしたんですね。現状はなかなか大変だと。この方、多分小高の方なんです、南相馬の。間もなく避難解除になりますが、するつもりなんでしょうけれども。こういうことも含めて現実はなかなか大変だということを、総理も、いいところだけじゃなくて、是非これから大変なところにも足を運んでいただきたいと思います。
 そういう中で、今一番大事なものの一つは、やはり汚染水対策と原発の収束という問題と指定廃棄物、このごみの処理という問題があるんですね。これなかなか進まないんです。福島県の皆さんは、なぜ環境大臣、復興大臣、みんなころころ替わってしまうんだろうかと、一年ごとに。そういう不満を非常にお持ちになっています。一からやり直しだと。本当は福島県の担当、復興大臣をずっとやらせればよかったんですよ。なぜやらせなかったのか私は不思議でなりませんけれども。少なくとも福島、岩手、宮城の関係者を復興大臣に据えるぐらいの私は配慮があってもよかったんではないかと、それだけ能力のある皆さんがそろっているわけですから。是非これは、今後の人事の中でお考えを、安倍政権が続く間はお考えをいただきたいと思います。
 そこで、中間貯蔵施設の関係について、これ時間が余りありません、ちょっと順序を変えさせていただきますが、丸川大臣の発言等についてのことはとやかく申し上げません。そうじゃなくて、中間貯蔵施設がなぜ買収が進まないのか。これについては、現在、用地買収をして交渉をして契約になった人数は何人ですか。
#68
○国務大臣(丸川珠代君) 二月末までに契約に至ったのは六十九件でございます。
#69
○増子輝彦君 二千四百人弱の中で今の人数ですよね、一年五か月たって。これ、今後どういう見通しでいくのか非常に不安なんです。復興庁大臣、環境大臣、さらに国交大臣が一体となってこの用地買収を進めていかないと、なかなかうまくいかないと思うんです。マンパワーが足りません。是非、今後、このマンパワーを、現在ここに当たっている人が何人で、今後どういう計画で増員をして交渉に当たるか、お答え願いたいと思います。
#70
○国務大臣(丸川珠代君) 現地で今用地買収に当たっている体制をこの春から二十四名増やしまして、全部で百名体制、およそ百名でございますけど、本省を合わせますと百三名になりますが、この体制で進めてまいります。
 特に、用地買収の経験がある方をということで公募をさせていただいたり、国土交通省に御相談を申し上げたりしまして、福島県庁からもそうした経験をお持ちの方を出していただけるということで大変感謝を申し上げております。
#71
○増子輝彦君 丸川大臣、その人数でやるとすれば用地買収にどのぐらい掛かるのか、工程表というか、それを間もなく発表されるということをおっしゃっていますよね。工程表はいつ正式に発表されて、何年でこの用地買収をするかという具体的な数字が出るんでしょうか。教えてください。
#72
○国務大臣(丸川珠代君) まず、工程表というか、全体の見通しでございますが、これについては年度内に是非お示しをしたいということで、今細部の詰めをさせていただいているところでございます。これは、用地買収がどのように進むかということにもよりますので、その状況を幅を持って見通しを立てさせていただくつもりにしております。
 現在、地権者二千四百名のうち連絡先を把握しております方々が一千三百九十名でございますが、この方々が持っておられる土地、所有面積を合わせますと、公有地と合わせて用地全体のおよそ九割に相当いたしますので、是非この点を重点的に取り組んでまいりたいと存じます。
#73
○増子輝彦君 用地買収の進め方をにらみながら工程表を発表したいと言ったら、いつまでも発表できないじゃないですか。(発言する者あり)違う、違うじゃないでしょう。
 だって、今用地買収の推移を見ながら工程表を発表するっておっしゃったでしょう。だって、今二千三百数十人の方のうち僅か六十九人でしたっけ。それのペースでいって、一年五か月でそれですよ。そんな、年度内っていうことは三月でしょう、三月中でしょう。そんなことで工程表を出せるんですか。出せないでしょう。答えてください。
#74
○国務大臣(丸川珠代君) もう既に千二百四十名の方に個別訪問等による説明をさせていただいて、九月までに物件調査を終了した五百人の方のうち、九割近くの四百四十人の方にはもう御説明をさせていただいているところでございます。
 こうしたものをベースに、年度内に工程表を……(発言する者あり)済みません、全体の見通しと申し上げておりますが、示させていただくことは、これは確実でございます。
#75
○増子輝彦君 説明をしていることと交渉がまとまったということは全く違うんですよ、あなた。説明だけなら全員にすることは、まあ不明の方が千人近くいますけれども、全員には無理ですけれども、説明をしていることと交渉がまとまって用地買収の売買契約を結んだということは全然違うじゃないですか。そのことができなくて、なぜ工程表ができるんですか、具体的な数字、日程を入れて。工程表というのは、希望的な観測を文章に書いただけじゃないでしょう。
 仮置場は何年契約されているか分かりますか、今、市町村が。答えてください。県内各地の仮置場が何年契約で借りているか、分かっていれば答えてください。
#76
○国務大臣(丸川珠代君) 仮置場につきましては三年の契約をさせていただいたところ、それが三年で今……(発言する者あり)あっ、更新が必要な状況になっておりまして、御相談をさせて、進めさせていただいております。
#77
○増子輝彦君 三年の契約でしょう。全部過ぎているんでしょう、三年、仮置場の契約が。どういうふうに交渉しているんですか、それを自治体が。苦しんでいるじゃありませんか。
 なぜ三年かを御存じ、大臣。なぜ三年にしたか。知っている、なぜ三年にしたか、仮置場を。──長くなるからいいです、私が言います。(発言する者あり)いやいや、これはですね、中間貯蔵施設が三年以内にできるという前提で三年の契約にしたんですよ。ところが、全然進んでいない。だから仮置場はそのままなんですよ。これは中間貯蔵施設が何年でできるかによって、仮置場をどういうふうに延長するかということが地域住民にとっては大変なんですよ、不安があって。そのところが理解されないと、そんなのんきなこと言っていられないんです。説明を千三百人ぐらいにしたと、しかし、用地買収、契約したのは僅か六十九人で、どうして工程表が数字がちゃんと出るんですか。そんなことをやっているから不信感が募るんですよ、これは。
 大臣、あなたは今多分答えられないと思うけれども、じゃ見通しとして、あなたの、この役に就かれてから中間貯蔵施設は何年で造りたいという気持ちがありますか。かなりの覚悟でやるということを福島県でも何度かおっしゃっているようですが、何年以内に何とか用地買収をまとめて中間貯蔵施設を造りたいというお考えをお持ちになっていますか。
#78
○国務大臣(丸川珠代君) 工程表については民主党政権時代にもお示しをされているというふうに伺っておりまして、私どもは現在、用地交渉を進めながら、本格的な施設整備を来年度にも始めさせていただく予定にしております。また、運び込みを段階的に、来年から段階的な本格輸送を始めさせていただきまして、数年後にはピークを迎えます。その数年後というのはきちんとこの全体の見通しの中でお示しをさせていただきます。
#79
○増子輝彦君 丸川大臣、今パイロット事業をやって工業団地をお借りしていますよね。あれ、有償ですか、無償ですか。無償ですよ。ただで借りているんですよ。用地買収もしていないんですよ、あそこも。もういっぱいになるんですよ。間もなくこれも多分交渉まとまるかもしれませんけれども、無償で借りている。挙げ句の果てに、共有地は最後だと言った組長さんたちに、何とか貸してほしい、共有地を、そうしないとこれから本格的に輸送が始まる、今年は十五万立方入れたいと言っている。入れられないんですよ、今の用地買収の人数では。工事に着手するって、形は、それは工事のつち音は始まるかもしれませんけれども、それを入れるような建屋はできないんです、今の状況では。できる、できるというお答えをするなら、できなかったときの責任はどう取るんですか。できないんですよ、絶対に、これはそういう用地になっていないんですから、用地買収をした場所が。このことはもう答えなくてもいいですから。大事なことは、用地買収を進めるために、先ほどおっしゃった人数ではとっても足りないんです。分かるでしょう。説明をして、交渉をしていく。
 総理、用地買収のマンパワーをもっと増やさないと、この中間貯蔵施設の実は建設には行き着くのにはもう本当に大変な年数が掛かります。是非、復興庁と環境省と国交省、言葉では言っているんです、一生懸命横連携を取ると言っている。しかし、具体性が何もない。マンパワー、増やしてくださいよ。それはOBを使ってくださいよ、ある意味では建設省、国交省関係の用地買収のプロだった方々を。このマンパワーを増やさなければ、絶対これは用地買収進まないんです。マンパワーを増やしていただけるかどうか、総理、お答え願います。
#80
○委員長(岸宏一君) まず、じゃ、丸川大臣、簡潔に答えて。
#81
○国務大臣(丸川珠代君) はい、分かりました。
 少なくとも今、済みません、保管場の話ですけれども、これは契約までに無償による使用を地権者の方にお願いをして、御理解をいただいた方のみにその地権者の方々の用地を保管場として活用させていただいておりますので、この件は御理解いただきたいと思います。加えて、パイロット輸送後も四万立方メートルは少なくとも保管場の容量を確保できますので、あと十一万立方メートル、来年の輸送については複数箇所を既に候補として想定をしておりまして、来年度の早い時期に保管場を整備できるよう取り組んでまいります。
 そして、百人体制になるよう強化を図っているという点については、特に用地業務の経験のある方をしっかりと確保するということが重要でございます。これまで私ども様々な方においでをいただいておりますけれども、やはり地権者の方々とコミュニケーションを取る、この力というのは経験者の方でなければなりませんので、これからもしっかり関係機関に働きかけをして、こうした経験豊富な方をお集めさせていただきたいと思っております。
#82
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、丸川大臣がお答えをさせていただきましたが、補償内容の地権者説明要員のこれは増強でございます。大変重要であるというふうに考えておりますが、現状は七十七名でございますが、これを四月一日に百三名にすべく、今大臣が答弁をさせていただきましたように、用地業務、これは経験者でないとそう簡単になかなか対応ができないわけでありますが、を中心に国交省等からの出向あるいは公募等により措置をしていく考えでありまして、福島県庁からも十名を派遣していただく予定でございます。
#83
○増子輝彦君 総理、その人数では絶対に進まない。用地買収というのは大変な御苦労があるんですよ。ですから、今のような話で、具体的な人数は丸川さんもおっしゃらない、総理もおっしゃらない。ですから、是非増員を積極的にしていくということを今後とも考えてください。
 それで、時間がもう大分たちましたので、最終処分場の問題が当然出てくるわけであります。これについては、三十年以内に県外にということですから、当然その法律にのっとってやっていかなければなりません。この最終処分場について国民の皆さんも少し誤解があるような気がしますので、少しパネルを使わさせていただいて説明をさせていただきたいと思うんです。(資料提示)
 放射性廃棄物の種類と処分方法ということになると、もうこれ釈迦に説法ですが、高レベル放射性廃棄物とそれから今回の福島の原発で出たこの指定廃棄物、汚染土壌があるわけであります。ここに、最終処分場をそれぞれ造らなければいけない。最終処分場、高レベルはもう本当に大変な高レベルですから、これは地層処分が今いいと言われて世界的に進んでいる。私も公明党の富田茂之議員と世界中の地下実験処分場をポケットマネーで全部見てきましたけれども、そして議連もつくりました、超党派で。これは小泉元総理が言うトイレなきマンションという基本的な高レベル放射性廃棄物なんです。これはパネルの一番右側にあるものです。そして、福島の中間貯蔵施設から最終処分場に運び込むためのものは左側にある。放射能レベルが全く違うんです。これだけの違い。しかし、国民の皆さんは、最終処分場というと、多くの皆さんは混同して全く高レベルと同じような実は危機感を持っている方がたくさんいらっしゃいます。もちろん福島県にもいらっしゃいます。ひょっとしたら国会議員の中にもたくさんいらっしゃるかもしれません。
 それともう一つ、これが最大の廃炉に向けていく、廃炉じゃないんですがあれは、事故を起こしたプラントを廃炉とは言わないと思うんですが、とにかくあそこから出る燃料デブリ、溶解燃料です、これの処分がまた大変なんですよ。福島一Fは実態が全く現時点でも分からない。この最終処分場も、この二つの、今申し上げた左と右の最終処分場とはまた違って、真ん中のこのものも造らなければいけない。これは放射能レベルがまだ実は分からない。右よりももっと高いんです。非常に大変なものなんです。この最終処分場も、三つ、それぞれ造らなければいけない。
 そこで、高レベル放射性廃棄物は今国が前面に出てやっている。私もいろいろと連携取っていますので、このことはこれからまたいろんな議論をしていきたいと思います。この福島第一原発の事故から飛散した放射性物質で汚染した廃棄物、これなぜ中間貯蔵施設になってしまったのか。
 これは言葉の使い方なんでしょうけれども、最終処分場となると皆さん嫌がっているんですよ、レベルはこんなに低いのに。福島はこれを減容化していくんですね、減容施設も造って。それでもうレベルは低いんです。そうしますと、本来であれば県民の皆さんや国民の皆さんにこの理解をしっかりとしてもらうと、ひょっとしたら、ああ、これだけの電力をそれぞれの原発から受け入れてきた、特に福島は東京を中心としてこれだけ長い間原発のエネルギーを受け取ってきたということも含めて、大分私はこの最終処分場という問題の理解は進んでいくような気がするんです。
 しかし、駄目ですね、宮城県、千葉県、栃木県、この周辺の県もみんな最終処分場、その県で出たものを造れといっても受け入れられない。もうそれは報道等も、あるいは報告も受け止めていると思うんですが、ここのところが、極めてこの最終処分場を造るということの関連が中間貯蔵施設に関わっているんです。最終的に、福島県民は、この中間貯蔵施設が最終処分場になるんだろうと思っている地権者の方もたくさんいるんですよ。丸川大臣御存じでしょう。復興大臣も多分御存じだと思う。石原大臣も環境大臣をやられたことがあるからよく分かると思うんです。ここのところをどういうふうにしていくか、ここが極めて大事だと思っているんです。
 私も県内を歩きながらいろんな方と本音で話しますと、福島県になってしまうのだろうなと、みんな内心思っている人が本当に多いんです。しかし、それは福島県にだけ負の遺産を押し付けるわけにはいかないと。これ、最終処分場を三十年以内に県外に造るということが法律化されているわけですから。
 総理、これは私は覚悟、先ほど申し上げましたね、消費税の覚悟と同じように、私も福島県民に、一部は福島県で最終処分場を受け入れることが必要かもしれませんよと今話もしながら説得もしていかなければいけないと思っているんです。しかし、福島県だけにこのことを全部負わせるというのは不条理です。
 ですから、総理、原発が大好きな総理、再稼働も熱心、輸出も一生懸命、是非私は総理の覚悟として、時の最高権力者が、造る造らないは別ですよ、高レベルじゃありません、今説明しているとおり、是非このことについては山口県も、総理、総理の覚悟で福島県と共有しながら調査研究をするという覚悟を示したら、結果は分かりませんよ。この用地買収もひょっとしたら加速度的に進むかもしれませんよ。
 いや、今用地買収をしている最中で大変な状況だから、そう言ったら全部この今までの作業がおかしくなってしまう、交渉がおかしくなってしまうとおっしゃるかもしれませんけれども、逆に、ここなんです、そのとおりじゃないんだ、分かっていない人はそう言うんですよ。ここのところが大変重要なんです。政治の覚悟なんです。この高レベルもまさにそうなんです。これも政治が覚悟を決めて決めなければいけない。これから予定、適地を示しながら絞っていく作業に入っていくんですが、それよりもずっと低い、ここの表に書いてあるとおりの八千ベクレル、ちょっと超えたものですから、比較したら問題にならない。
 是非、総理、これは総理の覚悟で、最も福島原発の、この被災地の福島県、福島の復興なくして再生なしと言うならば、この覚悟を総理が決めて、福島県のこの放射性廃棄物の中間から最終に行く間の中で、私も、それじゃ、山口県にも原発があると、いつ何が起きるか分からない、そのことを踏まえて、是非総理には、私も福島県を説得します、一緒に、ですから、是非総理、覚悟を持って、共同調査研究をするというぐらいの、造るとは私は求めません、今の時点では。そういう覚悟を持って福島県民に、ああ、安倍総理は一生懸命なんだということを是非私は示していただくことが、この大変厳しい、難しい中間貯蔵施設という建設、これが進まなかったら県民みんな駄目になってしまうんです。是非、御見解、お伺いしたいと思います。
#84
○委員長(岸宏一君) 時間がないので簡潔に。
#85
○国務大臣(丸川珠代君) 短く申し上げますが、最終処分三十年というのは国民の皆様にお約束をした私ども政権のお約束でございますので、しっかりこれを果たすべく、それまでの八つのステップに向かって、先生がおっしゃった調査研究、これをしっかりまず進め、減容また再生利用を、研究段階ではなく実際に活用できる段階まで進めてまいりたいと存じます。
 国民の理解が重要でございますので、努力をいたします。
#86
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、丸川大臣からお答えをしたとおりでございまして、しっかりとして国が責任を持って進めていきたいと、こう考えております。
 また、今委員がおっしゃったのはこれ高レベルの……(発言する者あり)福島のですね、それにつきましては……(発言する者あり)いや、二つのことをおっしゃっているから、二つのことを同時におっしゃっているから……(発言する者あり)いやいやいや、それ二つのことをおっしゃっているから今確認をさせていただいたわけでありまして、言わば福島の、言わば低レベルのものにつきましては今、丸川大臣からお答えをさせていただいたとおりでありまして、我々も国として責任を持ってしっかりと進めていきたいと考えております。
#87
○増子輝彦君 総理は話をよくお聞きになっていない。何度も説明している。まあいいや、総理、とにかく、是非ここはしっかりと福島のことを考えて頑張っていただきたいと思います。政治の覚悟ですから、総理の覚悟ですから、よろしくお願いします。
 時間が参りましたので、終わります。
#88
○委員長(岸宏一君) 以上で増子輝彦君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#89
○委員長(岸宏一君) 次に、藤末健三君の質疑を行います。藤末健三君。
#90
○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末健三でございます。
 私は、笑顔あふれる社会の実現を掲げ政治活動をさせていただき、このために党派を超えた多くの国会議員の仲間と連携しながら、笑顔で暮らせる平和な社会、笑顔で働ける職場、笑顔で学べる教育という三つの政策目標を掲げさせていただいております。
 二〇〇九年に政権を取らせていただきまして、七割の雇用を支えます中小企業の支援政策や、また、父親だけで子供を育てている父子家庭への支援、自然エネルギーの買取りの義務化、高校の授業料無償化、そして奨学金制度の二割拡充などを実現してまいりました。しかしながら、現実には、笑顔あふれる社会にはなかなか近づけない状況でございます。
 本日は、こうした中から、平和憲法の理念の実現や雇用拡大を通じた景気浮揚策、そして所得や教育の格差是正を通じた経済発展について、総理大臣や関係大臣に質問させていただきたいと思います。
 まず、憲法の改正について安倍総理に伺いたいと思います。
 安倍総理は、三月二日の予算委員会の大塚耕平参議院議員への答弁において、憲法改正を私の任期中に成し遂げたいとおっしゃいました。私も、憲法を不磨の大典とは考えず、やはり変えるべきところは変えると考えております。しかしながら、平和憲法の根本である憲法前文や憲法九条は変えるべきではないと確信しております。
 昨年、朝日新聞が調査を行いまして、憲法九条については、変えない方がよいが六三%、変える方がよいは二九%となっております。また、昨年の読売新聞の調査でも、憲法九条については、これまでどおり解釈や運用で対応するが四〇%、九条を厳密に守り解釈や運用では対応しないは二〇%と、合わせて六〇%が九条を変える必要がないとしています。このように、憲法九条の変更は国民が望むものではないと見ております。
 安倍総理は、二月四日の大串衆議院議員への答弁において、憲法改正に関し、まだ十分に九条については国民的議論が深まっている、あるいは支持を得ているという状況にはないという現状認識はずっと今まで示していると、こう答弁されました。このお考えは変わっていないかどうかを確認させていただきたいと思います。
 また、安倍総理は、戦後七十一年間、日本の平和に平和憲法が果たした役割や、また憲法の平和主義をどのようにお考えか、教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
#91
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は行政府の長たる内閣総理大臣としてここに立っておりますので、政府としては憲法改正の原案を提出することは考えておりません。したがって、政府として憲法改正の内容についてお答えすることは差し控えたいと、こう思っております。
 そこで、政府としての平和主義と憲法についての見解を示せということでございますから、お示しをさせていただきたいと思います。
 我が国は、第二次世界大戦後、再び戦争の惨禍を繰り返すことのないよう決意し、不戦の誓いをより確かなものとするべく、平和国家の建設を目指して努力を重ねてきた。恒久の平和は日本国民の念願である。この平和主義の理念は、国民主権、基本的人権の尊重と並ぶ日本国憲法の基本原則の一つであり、憲法前文は我が国が平和主義の立場に立つことを宣明し、第九条は平和主義の理念を具体化した規定であると考えております。
 また、既に私がお答えをいたしました憲法九条改正に対する国民的理解につきましては、先般予算委員会でしたか、でお答えをしたとおりでありまして、まだまだ国民的な理解が広がって、あるいは理解そして支持が広がっているという状況にはないというふうに認識をしております。
#92
○藤末健三君 私も、安倍総理がおっしゃるとおり、現状においてこの憲法九条の改正というのが争点になることはないと思っております。憲法改正につきましていろいろな考え方がございます。また、論点を深めなきゃいけないと考えますが、私は日本国憲法の平和主義は絶対守らなきゃいけないというふうに確信しておることをお伝えさせていただきたいと思います。
 次に、平和憲法の理念の実現についてお伺いさせていただきたいと思います。
 私は平和については非常に強い思い入れがございまして、それはなぜかと申しますと、私の父は七十一年前の終戦時、ちょうど中二でございましたけど、台湾におりました。父は私に対しては戦争の思い出は語ることはございません。もう思い出したくないと言うんですね。ただ、私が幼い頃から、朝御飯をいただくときに父がよく兄や私に、おまえたちは飯が食えて幸せだともう本当に頻繁に言っていました。私は本当に子供でしたので、父がおまえたち朝御飯食べて幸せだと言う意味が分からなかったんですが、もう大人になって話を聞きますと、台湾からの引揚げ船の中で途中で食料がなくなり、数日間食事ができなかったと、本当に死ぬんじゃないかと思ったということを初めて聞かせてもらったときに、ああ、だから小さい頃から朝飯食えて幸せだと言ってくれていたんだなと分かりました。また、帰ってきてからも、やはり住む家がございませんので、年老いた祖父と祖母と共にバラック小屋を造り、住み始めましたけれど、そのときのことも父は語ろうとしません。
 そしてまた、私の母は長崎に落とされた原子爆弾の雲を見ております。幼い頃から母が、その雲の下で何万人という人たちが命を失ったと、焼かれて命を失ったということを教えてくれました。
 私は、この三百十万人の同胞の犠牲がある前の大戦、それで広島、長崎に二発の原子爆弾が落とされ、そしてアジアでは二千万人の方々が犠牲になった。私は、この犠牲の下にもう二度と戦争をしないという誓い、そして願いの結晶が平和憲法だと考えております。そして、この平和憲法の下に、日本は戦後七十一年間、戦争で命を奪われず、そして同時に、戦争で他国の人の命を奪っていないという非暴力、不殺生の理念の下に世界平和に貢献してきたと私は考えております。
 私が皆様に訴えたいのは、この世界に唯一、そして同時に、私はもう人類の歴史上初めての、戦争をしない、軍隊を持たないというこの憲法を私は子供たちや孫たちに伝えていくこと、そして将来的には世界の子供たちのためにつなげていくべきだと私は考えております。
 ちょっとパネルを御覧になってください。(資料提示)これは日本国憲法を載せてございますが、日本国憲法の前文には、この赤字にありますように、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」、そして最後に、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」とあります。
 私は、この憲法前文にあるように、武力による平和ではなく、戦争や暴力、核兵器の恐怖から免れる、食事ができない、水が飲めない、薬がない、学校がないという欠乏から免れるように世界を平和にしていくことが我々日本が行うべき平和貢献だと考えております。
 そこで、平和国家日本の根幹を成す平和憲法九条及び前文の趣旨を踏まえ、武力によらない平和貢献、我が国がどのように取り組むか、安倍総理そして岸田外務大臣に伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
#93
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国は今年で戦後七十一年目になりますが、その間、憲法九条及び前文に示されているこの平和主義の理念の下に国際社会の平和や繁栄に貢献してまいりました。この取組は高く評価されております。例えば、PKOへの活動ですとか平和構築分野における現場で活躍する文民専門家の育成、あるいはODAにおきましても平和構築を重点分野の一つと位置付けております。
 そして、我が国がこうした取組を通じて得た知見を是非国際社会と共有しなければならない、こういったことで、昨年六月にはアジア各国の平和構築に関するハイレベルセミナー、こうしたものも開催いたしました。今年はG7の議長国でもあります。国連安保理の非常任理事国でもあります。また、TICADYも主催いたします。
 こうした取組は、先ほど申し上げましたように、高い評価を得ていると受け止めております。こうした努力は引き続きしっかりと続けていきたいと考えております。こうした取組を続けながら、平和国家としての歩みを続けていきたいと考えます。
#94
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 昨年、戦後七十年の談話をお示しをいたしましたが、さきの大戦から我々は何を反省し、そしてどのようなことをしていくべきかということをお話をさせていただいたところでございますが、平和主義の理念の下、国際社会の平和と繁栄に積極的に貢献をしてきております。
 具体的には、今、岸田大臣からも答弁をさせていただきましたが、PKO活動への貢献等を通じ、国際社会の平和と安定に貢献をしてきております。平和構築分野においては、現場で活躍する文民専門家を育成してきておりますし、また、ODAでは平和構築を重点分野の一つと位置付け、アフガニスタンや中東及びアフリカ等において、紛争の予防や緊急人道支援とともに、紛争の終結、平和の定着や国づくりの支援を含めた継ぎ目のない取組を行ってまいりました。
 また、中東地域におけるテロに対しましては、こうした過激主義の温床をこれは根絶をしていくという根本的な解決に向けて、人道支援等々を中心に、教育分野も含めまして支援を行っているところでございます。
#95
○藤末健三君 是非、私は憲法前文にある全世界の国民がひとしく平和に生きれるということ、これを実現するのが日本の大きな外交の柱だと思っておりますので、進めていただきたいと思います。
 続きまして、この憲法前文にある平和の理念を実現するために、全世界の国民にとって恐怖となる核兵器の廃絶について伺わさせていただきたいと思います。これは、岸田外務大臣、広島御出身の岸田外務大臣にお聞きしたいと思います。
 先ほど申しましたように、私の母は長崎の空で原子爆弾の雲を見ております。私がいつも申し上げていますのは、私の母が見たこの長崎の原子爆弾を、人間、人類に使われた最後の原子爆弾にするのが私の役割であるということをいろんな場所で申し上げています。実際に、世界の国会議員で核兵器をなくそうという仲間が集まりまして、核軍縮・不拡散議員連盟、英語で言うとPNNDと申しますが、それに参加して活動しています。
 昨年は被爆七十周年ということもございましたので、このPNNDと世界平和のために様々な世界の宗教者が集まっている世界宗教者平和会議が共に会議を行い、核兵器廃絶の提言を作りました。これは、昨年の核不拡散条約運用検討会議において発表されておりまして、世界の宗教者と国会議員が協力してこれから進めていこうと。そして、具体的には、核兵器がない世界をどのようにつくるかというガイドブックを作りまして、英語のみならず日本語、フランス語、ドイツ語、韓国語、ロシア語、サウジアラビア語、ドイツ語などに翻訳しまして世界中に今配布し、同じ思いを持とうとしております。
 このように、世界の分野の方々が垣根を越えて核兵器をなくそうという取組を進めているわけでございますが、先般、北朝鮮が核実験を行うなど、その逆行しているような動きもございます。
 こうした中、今月末にはワシントンで核セキュリティ・サミットがありますし、また、先ほどおっしゃっていただきましたように、四月には広島でG7の外相会合があると。この中で、唯一の被爆国である日本が核軍縮・不拡散に向け、また北朝鮮が行った核実験に対し国際社会と連携してどのように取り組むか、是非、岸田外務大臣に簡潔にお答えいただきたいと思います。お願いいたします。
#96
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の核軍縮・不拡散に対する取組ですが、昨年、被爆七十年の年に開かれましたNPT運用検討会議において最終文書が採択されなかった、こういったことを振り返りましても、やはり結果を出すためには核兵器国と非核兵器国が協力をしなければならない、こういったことを強く感じています。是非、こうした核兵器国、非核兵器国の協力の下に、実践的そして現実的な取組を進めていかなければならないと考えます。
 その中にあって、今、日本はCTBT発効促進会議の共同議長も務めています。御紹介いただきましたG7の外相会談もあります。また、三月の核セキュリティ・サミットもあります。こうした場を活用しまして国際社会と連携しなければならないと思いますし、また、政府レベルのみならず、NGOを始め民間の組織との連携も重要だと考えます。
 そして、北朝鮮についてどう対応するかという御質問ですが、北朝鮮の核実験あるいは弾道ミサイルの発射、これは、我が国にとって重大な脅威であるのみならず、国際社会にとりましても安保理決議の明白な違反という意味で重大な脅威であると考えます。我が国は独自の措置を発表いたしました。そして、国連安保理の議論をリードして、強い決議の採択にも貢献しました。
 今後は、引き続き、この採択あるいは措置の実効性を確保するために、関係各国と連携していかなければならないと考えています。
#97
○藤末健三君 是非、岸田外務大臣におかれましては核兵器廃絶の取組を加速していただきたいと思いますし、また今おっしゃっていただいたように、政府が非常にうまく動かない状況でございますので、セカンドトラックと言われておりますNGOとか、あと学者の集まりとか、様々な人たちの動きを加速していただきたいということをお願いしたいと思います。
 次に、人間の安全保障の話をさせていただきたいと思います。
 パネル、用意させていただきました。
 この人間の安全保障という概念は国連が一九九四年につくったものでございまして、国家が武力の均衡や抑止によって安全や平和をつくるという国家安全保障と相互依存的、また補完的な関係にあるものでございます。一人一人の人間が戦争などの直接的暴力や貧困、差別などの構造的暴力から自由となり、そして尊厳を持って日常を生きることによってこの平和を維持する。まさに、先ほど見ていただきました憲法前文の、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和に生きるという理念を実現するものでございます。
 この人間の安全保障政策につきましてどのように取り組んでいくか、岸田外務大臣と安倍総理にお答えいただきたいと思います。お願いいたします。
#98
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の人間の安全保障ですが、これ、人間一人一人に焦点を当て、その保護あるいは能力の強化を通じて国の発展あるいは社会の繁栄を実現していく、こういった考え方ですが、憲法の平和主義の理念等と比較いたしましても、この人間の安全保障というもの、人々が尊厳を持って平和に暮らすことに資するものであり、平和主義の理念の実現にも通じると考えます。
 我が国の開発協力大綱におきましても、人間の安全保障を我が国の開発協力の指導理念と位置付けています。また、国連で昨年採択されました持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダ、この中にも、人間中心、あるいは誰も取り残さない、こうした人間の安全保障の理念、盛り込むことができたと考えます。
 是非、引き続きまして、我が国が重視してきた分野、保健、防災、女性、教育、質の高い成長、こうしたものを中心に人間の安全保障の実現に努力をしていきたいと考えます。
#99
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 人間の安全保障は、これ人間一人一人に焦点を当て、その保護と能力の強化を通じて国の発展や社会の繁栄を実現をしていくという考えでありまして、人々が尊厳を持って平和に暮らすことに資するものであると思っております。
 我が国は、委員が御指摘のように、従来から人間の安全保障を積極的に推進をしてきました。昨年も、国連総会において採択された新しい開発目標となる持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダにおいては、人間の安全保障の理念が盛り込まれたことは大変大きな成果であろうと思います。
 これまでも我が国が重視をしてきた保健や防災、女性、教育の分野を中心に、引き続き人間の安全保障の実現に向けて尽力をし、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に貢献していきたいと考えております。
#100
○藤末健三君 本当にどうもありがとうございます。是非、人間の安全保障を強力に進めていただきたいと思います。
 我々国会議員の方でも、今、人間の安全保障を推進するために、百名近い超党派の国会議員が集まりまして、人間の安全保障推進議員連盟というのをつくらさせていただいております。私は、その中において、人間の安全保障推進法という法律を出せないかということを議論させていただいていますので、是非、我々国会と行政府が連携しながら、この人間の安全保障をより一層強力に進めさせていただきたいことを申し上げたいと思います。
 次の話に移らさせていただきたいと思います。経済の問題でございます。
 今の経済の問題につきましては、格差是正が経済の発展に役立つという、そういう話がございます。それは、一昨年の十二月にOECDが調査報告書を出しまして、所得格差の拡大は能力の発揮を阻害し経済成長の足を引っ張るというレポートを出しています。この調査によりますと、日本の過去二十年の累積実質経済成長は本来二三・一%であるべきだったところ、格差が拡大しましたので格差の影響で五・六%マイナスの一七・五%になったと言われております。
 こちらにパネルを用意しましたが、これは昨年十二月に私たちがつくりました、能力の発揮を阻む格差の壁を打ち破ることによって持続的成長をつくるという政策でございます。格差の壁として教育格差、雇用格差、男女格差ということを整理し、それに応じて具体的な政策を下の方に書いてございます。これらの政策の中で、安倍総理は既に国会におきまして、時給千円までの引上げ、同一賃金同一労働、そして会社で働いていれば原則厚生年金に加入できるというようなことについては実現されると答弁をいただいております。是非とも党派関係なく良い政策は取り入れていただきたいと思います。
 またパネルをちょっと御覧になっていただきたいと思います。
 これ私が特に深刻だと考えますのは、貧困の世代間の連鎖でございます。親の収入が低かったり不安定だったりしますと、十分な教育が受けられずに、教育の格差はそのまま進学や就職の大きなハンディとなり、そして収入が低かったり不安定な仕事にしか就けないような状況になります。そして、子供の世帯もまた貧困に陥る。そういう、貧困が親から子に移り、またそれが連鎖するという貧困の連鎖がございます。
 このような貧困の連鎖を打ち破るためにも、私は雇用と教育ということをずっと申し上げておりまして、親の収入に関係なく全ての子供が必ず笑顔で学べるようにする、そういう教育をつくること、そしてまた、全ての人が安定して十分な給料をもらって笑顔で働ける雇用をつくる、これが貧困の連鎖を打破する一番大きな政策だと思っています。
 この点につきまして、安倍総理大臣のお考えを伺わさせていただきたいと思います。
#101
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 貧困の連鎖を断ち切っていく、これは委員と全く同感でございまして、そのための施策についても我々も努力を進めているところでございますが、今後とも、貧困が拡大したり格差が固定化しないように、経済的に厳しい状況にある方への自立支援や低所得者の医療や介護の保険料軽減の拡充や教育費負担の軽減、低所得の一人親家庭、多子世帯に対する支援などに取り組んでまいりましたが、こうしたことにこれからもしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
#102
○藤末健三君 この貧困の連鎖というのは大きな問題だと私は思っております。
 それと同時に、ちょっと次のパネルを御覧になっていただきたいんですが、貧困格差をなくすためには、やっぱり雇用をきちんとしていただくこと、そして教育の問題等ございますが、まずちょっと雇用の方を話をさせていただきたいと思います。これは何かと申しますと、社会保障を充実することが経済成長戦略としていかに重要かということをお話しさせていただきたいと思います。
 こちらのパネルを見ていきますと、縦軸に労働生産性、そして横軸に乗数効果、簡単に言うと、経済全体にどのような影響力があるかということを示しています。そして、この丸は各主要産業を示して、この丸の大きさは雇用の大きさを示しております。
 この図の右上にございますのが労働生産性が高く、そして経済波及効果、乗数効果も高い産業となります。まず、輸送用機械、つまり自動車、電気機械、化学が位置しております。これらの産業は高度な製品を作って海外に輸出し外貨を稼いでくれる産業でございまして、この産業分野については私はアベノミクスは成功していると思います、正直申し上げて。
 一方で、この左下に位置しますのがサービス産業でございまして、こちらの方は生産性、つまり収入が低く、経済波及効果も低いという産業でございますが、まず、この円が大きいように、就業人口は大きい産業となります。つまり、人の労力が頼りで、生産性は低いですけれど就業人口はこれ非常に大きいという産業です。そして、このサービス産業には、介護や医療、保育、教育といった公的サービスが含まれます。
 これらの公的サービスは、高齢化への対応、女性の社会での活躍の推進、貧困の連鎖の解消のために非常に社会ニーズが高いと考えます。この社会的ニーズに応え、公的サービス分野の支出を増やすことは、一人当たりの可処分所得を増やし、そして内需を下支えする経済対策にもなります。つまり、サービスというこのピンクの円を上に持っていくことによる経済効果があると。
 そして、もう一枚パネルをちょっと御覧になっていただきたいと思います。
 こちらのパネルは、これは百万円の支出で雇用される人数を示しています。御覧になっていただきますと分かりますように、介護とか社会福祉では支出の七割から八割が人件費を占めている。したがいまして、社会保障分野の雇用の誘発効果は非常に他の産業と比べて高くなっています。
 したがいまして、社会的ニーズが高まっており、そして高い雇用誘発効果が期待できる社会保障分野に公的な支出を増やし、雇用拡大そして所得の拡大を図ることが私はもう経済成長戦略に非常に重要だと思っておりまして、私は、是非ともアベノミクスにこのような考え方を取り入れていただけないかと考えているわけでございますが、いかがでございましょうか。
#103
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大変参考になる御指摘だと、このように思いました。
 我々もサービス分野を重視をしておりまして、サービス分野における生産性がなかなか上がってこなかった中において、製造業において成功しているものの、言わばサービス分野においてそれを活用できないかということも含めて、今、サービス分野の生産性の向上、それによってサービス分野で働いている方々の所得の向上を図っていきたいと考えております。
 また、介護についても、これは重要な分野でございます。医療、介護を始めとする社会保障分野を戦略的に産業として育成していくことは、国民の安心した生活を支えるとともに、日本経済の持続的な成長を確保し、戦後最大のGDP六百兆円を実現する上でも非常に重要であると考えております。
#104
○藤末健三君 そうですね、是非、安倍総理、私がお願いしたいのは、やっぱり公的支出を増やしていただきたいと思うんですよ。例えば何かといいますと、介護はやはり政府の予算がある程度どれだけ付けるかによってその枠が決まってしまうところもありますし、また医療も同じく、保健も、後で教育の話は申し上げますけど、教育も同じです。ですから、やはり雇用の誘発効果が高いところに政府の資金を回し、そしてそれぞれの方々の収入を増やしていただく、それが内需拡大につながり、どんどんどんどん経済が大きくなる。
 簡単に、このグラフを見ていただきますと分かりますように、雇用が大きい産業をどう動かすかというのが、私は非常に、産業政策として、経済政策として大きいことではないかと思います。
 先ほど介護、社会福祉従事者の処遇改善についておっしゃっていただきましたけれど、その格差の問題に着目しますと、やはり、私、全国を回っていますと介護士の方のいろんなお声をいただくんですね。本当に介護士の方々は、休日出勤あるし夜勤もあるし、そして肉体的にもすごくハード。だけど、やはり十分な給与をもらっておられないという方が数多くおられます。
 実際にやっぱり調べますと、正規の介護職員の方でも月給の手取りは約十五万から二十万円になっているという状況。私がお会いした方は、やっぱり介護だけでは生計が立てていけないので二つアルバイトをしているという方がおられました。また、私がお会いした方は、介護の収入では家族が養えない、それでトラックの運転手に仕事を変えられた方にもお会いしております。
 実際、我々も政権時代にいろんな措置を行いまして、合計しますと月額二万一千円の賃上げを実現しましたけれど、やはり現場感覚から申しますとまだまだ不十分という状況でございます。
 先日、私たちは介護職員等の処遇改善法案というのを国会に提出させていただきました。これは千七百七十七億円の予算で、約百二十二万人の方々が月額一万円、そして約四十四万人の方々が月額六千円の賃金を上げられるという計算をしておりますが、この介護職員の給与引上げにつきまして、安倍総理の見解をお教えいただきたいと思います。お願いいたします。
#105
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 介護職員等の処遇については、平成二十七年度の報酬改革で月額一万二千円相当の処遇改善加算の拡充を行いました。介護については、平成二十七年十一月時点では約七割の事業所がこの加算を取得しています。あわせて、加算の要件としては、勤務年数に応じた給与の設定などを行わせています。加算の効果については、厚生労働省において詳細を把握をし、今月中に公表予定と聞いています。処遇改善の進捗状況等を踏まえ、必要な財源を確保しつつ、介護人材の確保に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 また、介護職員が現場に、職場に定着し、安心して働き続けられるようにするためには、何より将来を見通せるよう賃金体系が明確になっていることが重要であるため、平成二十八年度予算においては、介護事業者が賃金表を導入した場合の助成を新たに創設することとしております。
 加えて、この春取りまとめるニッポン一億総活躍プランにおいても、これも、保育もそうでありますが、保育、介護人材の確保のための介護職及び保育士の待遇改善について、柱として議論していきたいと考えております。
#106
○藤末健三君 是非、介護士の方々の待遇改善、私は経済効果が大きいと思いますので進めていただきたいと思いますし、是非、やっぱり公的資金の投入を増やす、デンマークなんか北欧を調べますと、介護士の方々の平均年収って五百万近いんですよ、実は。
 ですから、日本は三百万円程度でございますので、やっぱり増やすことが私は経済効果、そしてやっぱりこれからニーズが高い仕事をしていただく方々に対して大きな希望となると思いますし、また同時に、投入資金を増やすとともに、今厚労省でも調査していただいていますけど、事業所のマネジメントをきちんとやっていただくということによって、またニーズに応じた介護のサービスが行っていただけるのではないかと思います。是非お願いしたいと思います。
 次に、教育の話にちょっと移らさせていただきたいと思います。
 私、冒頭で、笑顔で学べる教育を実現するというのが大きな目標であるということを申し上げました。それは、私自身が正直申し上げて豊かな家庭ではなかったです、父が引揚げ民でございましたし、塾にも行くこともできませんでしたし、また同時に、大学の受験のときも、国立大学に一発で受かったら行かせてやるよって言われて、何とか大学に行かせていただいたという経験もあります。また、大学に行かせてもらっても、やっぱりお金が余りなかったので、奨学金を三ついただいて大学を卒業させていただきました。
 この経験から、私は、子供が家庭の経済事情に左右されて学べなくなるということは絶対あってはいけないと思います。子供たちが必ず希望する教育が受けられる、そして自分の能力を磨く、そしてその能力を発揮してもらう、それが、私は日本にとって一番大事な社会体制だと思っています。そのためにも、是非奨学金制度を充実していただきたいと思います。
 収入別の大学進学率を見ますと、年収が千二百万円を超える御家庭は大学進学率六二・八%、六割を超えます。一方で、収入が二百万円以下の御家庭は大学進学率が二八・二%、三割を割ると。二倍以上の差がある。そして同時に、平成二十七年の都道府県別の大学進学率を見ますと、東京都は六四・〇%なんですよ。一方、最下位の鹿児島県は三〇・一%。これも二倍以上違うんですね、安倍総理。
 ちょっとパネルを見ていただいてよろしいでしょうか。このパネルは、国による奨学金の事業費と貸与人員の推移を示させていただいております。我々は、政権時代に、有利子、無利子型の奨学金を一兆円から一兆二千億円まで二割増やさせていただきました。しかしながら、返済が不要な給付型の奨学金は、制度設計までやったんですけど、実現できなかったんですね。実際にどういう制度設計だったかと申しますと、家計の年収が三百万円以下の、そして高校時代の成績が平均四・二以上の優秀な子供たちだけなんですが、約二万一千人おられます。その子供たちに給付型の奨学金を提供すると全体で百四十三億円必要だと、そういう計算でございました。
 実際に、OECD加盟国三十か国中で大学の授業料が無料になっているのは十五か国、そして給付型の奨学金がないのは日本とアイスランドだけでございます。ちなみに、アイスランドは、大学授業料、日本の約一割になっています。現在、この奨学金返済に苦しんでいる方が大勢おられまして、労働者福祉中央協議会という組織の調査によりますと、四割の方がこの返済が苦しいということをおっしゃっています。
 是非、この給付型の奨学金があれば、たとえ金額は少なくても頑張って大学に行けば何とかなるんだという私は子供たちの希望になると思いますので、是非この給付型の奨学金をつくっていただきたいと思いますが、馳文部科学大臣、そして安倍総理にお考えをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
#107
○国務大臣(馳浩君) 意欲と能力のある学生等が経済的理由により進学等を断念することがないように、経済的負担の軽減に引き続き取り組んでいくことは重要であります。
 このため、大学の授業料について、国立、私立大学において、家計の状況等に応じた授業料減免を促すため、それぞれ予算上の支援を年々充実しております。また、奨学金貸与事業においては、有利子から無利子への流れを加速するため、無利子奨学金の拡充を進めております。さらに、奨学金の返還月額が卒業後の所得に連動する、より柔軟な所得連動返還型奨学金制度を平成二十九年度進学者から適用することを目指して、制度設計及びシステム開発を行っております。基本的にはこうした制度を着実に運用していくことで学生等の経済的負担の軽減を図ってまいりたいと考えております。
 その上で、給付型奨学金については、いわゆる公的資金の使われ方という原則論でありますので、同年代の方が働いて住民税、所得税等を払っておられる、そういう方々とのやっぱり公平性という観点は議論をせざるを得ません。その上で、検討が進められておるのは、財源の確保、対象者の選定、これは低所得者層を対象とするか、多子世帯を、あるいは一人親世帯等、これは対象者をやっぱり厳密に選定する必要があると。もう一点は給付の在り方についてであります。これはやっぱり検討を十分した上での政策ということを御理解ください。
#108
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もう既に文科大臣からお答えをさせていただきましたが、御党の段階で文部科学省が概算要求した二万人を対象として百四十億円、しかし、これ新規採用分のみでありまして、最終的には、これは藤末委員御承知のとおり、最終的には年々これは増えていきますので、最終的にはこの三倍から四倍、三倍と四倍の間ぐらいですか、にはなっていくんだろうと、この財源の問題というのが確かにあります。その中で、我々も少しずつ学生の皆さんの負担が軽減するように努力を行っております。
 また、このグラフでありますが、何となくちょっとこれ減っている感じではあるんですが、これは対象者がそもそも減っているということと、それで有利子奨学金の規模が減少しているからでありまして、近年は希望者全員に貸与をしております。そして、むしろこの無利子をこれは増やしているということについては御理解をいただきたいと、このように思います。
#109
○藤末健三君 ちょうど時間となりましたので、午後にまた教育の問題をさせていただきますが、教育は国の基盤でございますので集中的に資金を投資することを申し上げまして、午後につなげさせていただきます。
 ありがとうございました。
#110
○委員長(岸宏一君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#111
○委員長(岸宏一君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成二十八年度総予算三案を一括して議題とし、経済・財政等に関する集中審議を行います。
 休憩前に引き続き質疑を行います。藤末健三君。
#112
○藤末健三君 是非、午後は教育の話をさせていただきたいと思います。
 午前中に、無償の返済が必要ない給付型の奨学金の話を議論させていただきましたが、ちょっとデータだけ申し上げますと、先ほど午前中に申し上げましたように、百四十三億円の予算手当てで取りあえず一学年は手当てできるということがございますし、また、当時いろいろ調べたんですけど、奨学金をもらっている学生の方々がほとんどアルバイトされていたんですよ。そしてまた同時に、そのアルバイトをされている学生さんたちも勉学に集中したいという回答をいただいていまして、何かと申しますと、どんどんどんどんその給付、借りるお金が大きくなると返済が大変になるだろうと。ですから、例えば十二万円、十三万円借りていただいたお金の一部を給付型、返済しなくていいものにしようと。全てを返済不要にしようということは考えておりませんでした。
 ですから、是非、馳大臣におかれましては、やっぱりいろんな組合せがございますので、午前中に申し上げましたように、給付型の奨学金がない国は、OECD加盟国三十か国、先進国の中でアイスランドと日本だけ。そして、アイスランドは授業料が日本の一割ぐらい、十分の一でございますので、是非、この給付型の奨学金は検討をきちんとやっていただきたいと思います。それほど予算的な負担はなく、学ぶ子供たちに大きな希望を提供できるものだと私は確信しております。
 そこで、是非、子供たちがきちんと学んで貧困の連鎖を断つということにつきましては、貧困家庭への学習支援が重要じゃないかと考えます。
 先日、私は、八王子市で無料の学習支援を行っていますNPO八王子つばめ塾というところの小宮理事長に現場のお話を聞いてきました。この八王子つばめ塾は、賛同者からの寄附やそしてボランティアの集まりで運営されております。この八王子つばめ塾の場合は、公民館を借りて授業を行ったり運営を行っておりますけれども、市に対して使用料を安くしてほしい、減免してほしいということをお願いしたんですが、結局、予算が下りることはなかったと。この無料塾の運営で、会場というのが非常に負担が大きいらしいんですよ。
 是非、一つ目のお願いは、公共施設の使用料の減免とか、また、放課後に教室の利用をこういうNPOとかボランティアの方々に提供するということを文部科学省としてやっていただきたいというのが一つ。
 そしてもう一つございますのは、今、日本中にNPOの非営利団体の無料塾がどんどん立ち上がり始めています。ネットでも出てきます。この八王子つばめ塾には全国から毎週何件もの問合せがあり、実際に現場に視察に来られる方も非常に多いということでございまして、是非とも、文部科学省だけではなく、貧困対策を所管しています内閣府やそして厚生労働省とも連携しながら、こういった先行事例のいろんなノウハウとか情報の蓄積をして、いろんなところに共有できるようにしていただきたいと思っております。
 このように、低負担で利用できるボランティア中心の学習塾というのに是非支援をお願いしたいと思いますが、馳大臣、いかがでございましょうか。
#113
○国務大臣(馳浩君) 冒頭の高等教育機関、この奨学金の問題については、改めて政府内でも検討をして、また、一億総活躍社会という観点からも、先ほど申し上げた財源と対象者とそして給付の在り方、このことについての研究は進めてまいりたいと思います。
 そして、低負担で利用できる学習支援策、いわゆる地域未来塾についてでありますが、まず、現状をお伝えいたします。平成二十七年度予算では、全国千八百か所、千八百の実績。二十八年度予算案では三千百か所であり、また、高校への支援をも実施予定と、こういうふうになっております。
 そこで、後段の点でありますが、社会教育施設や学校施設などの有効活用、そして良い事例を周知することによって、新たな立ち上げも含めてこの地域未来塾を推進して、当然、厚生労働省等とも連携しながら、家庭の経済状況にかかわらず誰もがいつでも必要な学習支援を受けられる、そういう社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。
#114
○藤末健三君 是非、今年度から始まりましたこの対策を馳大臣におかれましては進めていただきたいと思いますし、また、お願いは、私が聞いていますと、民生の方々がいろいろ貧困の家庭にいろんな情報を提供していただきますけれども、そういう社会福祉的な情報はお持ちなんですけれども、例えば学習の支援ということは余り御存じないらしいんですよ。ですから、そういうところも是非連携していただきますと、子供たちが直接相談できる方々になりますので、是非進めていただきたいと思います。
 また同時に、これに関連するんですけれども、私がこの八王子つばめ塾の小宮理事長からお聞きした話ですと、やはり子供たちが初めから諦めているというんですね。ですから、お金がないから自分はもう進学ができないんではないかという、そういう先入観の下から進学することを諦め、学ぶことを諦めている事例が非常に多いとお聞きしました。
 私も、実際に北九州でお会いしたお母さんがおられまして、その方は、お子さんが四人おられて、上二人はもう大学に行っていて、三人目は大学受験やれるかどうか分からないということをおっしゃっていたんですよ。私は、自分の経験から、いろんな奨学金ありますよということで申し上げまして、私、三つ奨学金いただいて大学出させていただきましたので、それで帰って、いろんな民間とか自治体とかの奨学金や、あと大学授業料免除制度、これ余り知られていないんですよ、そういう資料をお届けしましたら、お子さんを受験させようということになったようでございます。このように、数多くの子供たちが支援策を知らずにやはり諦めているんではないかなと、学ぶことを。
 ですから、是非私は、民間とか自治体にも奨学金制度いろいろありますので、全ての奨学金制度の情報を一括して集め、そして大学授業料免除制度、これ意外と知られていないんですよ、そういう支援情報を一か所で集め、そしてワンストップで提供し、大事なことは直接窓口で相談するようにしてほしいんですね。
 今、インターネットで、我々がいろいろ提案しましたので、二月からインターネットでいろんな奨学金情報が検索できるようにしていただきました。ただ、あれだと分からないですよ。やっぱり直接、私の家はこうだから、こうですから、どういう奨学金が使えますかということが窓口で相談できるようにしてほしいというのが一つ。
 そしてもう一つございますのは、やっぱりいろんな情報を提供するだけでなく、事例を提供していただきたいんですね。
 例えば、貧困家庭から進学したとかの実例、あと経験談を本当に伝えていただきたいと思うんですよ。具体的に、例えば母子家庭のお子さんが実際に公的奨学金だけではなく民間とか自治体の奨学金を使い、そして大学でも授業料免除制度を受けて、ほぼ母子家庭だったら大学授業料免除を受けます、受けて大学を卒業したという、そういう実際のケースをやっぱり子供たちにお伝えすることができればと。やっぱり聞いていると、子供たちは自分の先輩を見ているんですよ。先輩が諦めたから自分も駄目だなというふうになっている。
 ですから、是非やっぱりこういうモデルケースを子供たちに伝えるようなことを是非させていただければ、子供たちは希望を持てると思います。
 私、沖縄で聞いて驚いたんですけれども、やっぱり大学に進学するために高校時代からアルバイトしてお金をため始めている子供が多いらしいんですよ。何かというと、やっぱりアルバイトするから勉強する時間がなくなっちゃっているんですね。
 私は、そのとき思ったのは、やはりきちんとした情報、頑張って勉強して大学に行ければ必ず支えてくれるんだよ、今は勉強に頑張ればいいんだよということがメッセージとして送れれば、私は、家にお金がないからということで勉強を諦める子供たちがなくなり、そして笑顔で学べる教育ができるのではないかと思っていますので、是非、いろんなところに支援制度ございますので、それを一括して情報提供し、かつ直接子供たちに相談になれるようなそういう制度をつくっていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか、大臣。
#115
○国務大臣(馳浩君) まず、日本学生支援機構でどういうことをやっているか報告しますが、大学や民間奨学団体等が実施する奨学金事業について都道府県別や専攻分野別等の検索機能を有したウエブサイトを提供し、また、地方公共団体が実施する説明会への職員派遣などを行っております。
 今、藤末委員御指摘いただいたとおりだと思います。小学校高学年、あるいは中学校に入ったら、自分の家庭環境、経済環境において大学進学できるかどうかをやはり諦めざるを得ない子供たちがたくさんいるのではないかということは想定の範囲内だと思います。
 したがって、そういう子供たちに、あるいは保護者に対して、こういう奨学金の制度があるんだということを、やっぱりワンストップであったりあるいは現場で、もちろん日本学生支援機構の職員が出掛けていくということもあるかもしれませんが、教職員の皆さんがちゃんと伝えることができるような一括したパンフレットがあるのが望ましいと思いますし、また、下村前大臣もそうですが、この制度があったおかげで高校、大学に進学することができたと、こういった好事例も伝えていくことができるように今後とも検討していきたいと思います。
#116
○藤末健三君 是非お願いしたいと思います。
 自分の経験でございますけれど、私は、やはりそれほど豊かじゃない家でございましたけれど、本当に、お小遣いも少なかったので参考書も卒業する先輩からもらって勉強していたんですよ。それでも、やはりちゃんと父が一発で大学に、国立に受かれば行かせてやると言ってくれましたので、やっぱり希望は捨てませんでした。
 ただ、私は、やはり見ていると、やっぱり貧しければもう学べないというような形になっていると思うんですよ。私は、絶対大事なことは何かというと、どんな境遇にあっても必ず学べるという、子供たちが諦めない、絶対に、そういう教育をつくらなければ我が国は絶対発展しないと思いますので、是非、大臣、そういう制度をつくってください。目的は何かというと、絶対子供たちが学ぶことを諦めない、それが目的です。それを是非実現していただきたいと思います。
 そのためには当然予算が必要となります。最後に安倍総理にお聞きしたいと思うんですが、私は、やはりこの教育の予算、是非増やしていただきたいと思っています。我が国の国内総生産に占める大学、専門学校など高等教育機関への公的支出の割合は、OECD加盟国中、下から二番目です。三十か国ある中の下から二番目、〇・八%となります。また、政府系研究機関の調査によりますと、高卒と大卒の生涯賃金の格差は六千万円から七千万円ある。そして、文部科学省の試算でございますけれど、大学教育に投資したお金、何と二・四倍の便益があると。これは、逆に言うと経済効果もあると思います、私は。
 したがいまして、給付型奨学金やボランティアによる教育の予算を増やすとともに、やはり教育予算全体、これは何かと申しますと、先ほど申し上げましたように、貧困の連鎖を打破すること、そして少子化への対策、そして、何よりもやはり我が国唯一の財産は人材でございますので、その人材の育成でございますので、是非とも教育への投資を国家のために増やしていただきたいとお願い申し上げますが、安倍総理、いかがでございましょうか。
#117
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私も、財源を得ながら教育への投資を増やしていきたいと考えています。
 御指摘のこの国際比較についてでありますが、国民全体に占める子供の割合が各国と、これはもう藤末委員御承知のとおり違いますので、それは見ていく必要があると思います。在学者一人当たりの教育費支出については、GDP比で見ればOECD並みとなっているところでありますが、これからも、委員が御指摘のような、経済事情によって子供たちが進学を諦めなければいけないという状況はつくってはならないと考えております。
 これまでも、大学の授業料減免、国立では二千人増員し五万九千人、私立では三千人増員して四万五千人でありますが、なかなかこれがまだ十分に知られていないという御指摘でございますので、しっかりとこうしたメニューを使っていただけるように我々も努力をしていきたいと思います。また、無利子奨学金を一万四千人増員をしております。
 今後とも、このような形で教育費の負担軽減に努力をしていきたいと思います。
#118
○藤末健三君 是非、教育は私どもの国の基盤だと思います。イギリスのトニー・ブレア首相は、就任したときに三つの優先課題があるとおっしゃったんですよ。それは何かというと、教育、教育、教育だったんですね。ですから、私は、是非その教育を、それはもう党派関係なくきちんと国の基盤をつくらさせていただきたいと思います。
 私は、今、日本に一番必要なものは何かと申しますと、それはもう希望ではないかと思っております。先ほども申し上げましたように、きちんと頑張れば必ずみんな学ぶことができる、そして、きちんと頑張れば必ず十分な給与をもらい、そして安定して笑顔で働くことができる、一人一人の能力を発揮し、夢と希望を実現できる社会が必要だと考えます。
 そして、その社会の基盤は何かと申しますと、やはり平和でございまして、国が戦争に巻き込まれてしまえば、一人一人の夢や希望、そして平和はもう到底あり得ないものとなります。私は、全ての人々が平和に、幸せになり、笑顔になり、そして、全ての人たちが他の人たち、そして他国の平和を願うときにこそ初めて私が目指します笑顔あふれる平和な社会が実現できると考えます。
 是非、安倍総理におかれましても、この笑顔あふれる平和な社会、国家をつくるべく邁進していただくことを期待しまして、私の質問に代えさせていただきます。
 本日は貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございました。
#119
○委員長(岸宏一君) 以上で藤末健三君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#120
○委員長(岸宏一君) 次に、浜田昌良君の質疑を行います。浜田昌良君。
#121
○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。
 三・一一東日本大震災、原発事故より間もなく丸五年を迎えます。総理は、先週福島に入られまして、JR常磐線の全線開通、また常磐自動車道の四車線化、具体的指示をされました。
 公明党といたしましても、二月十日に国土交通大臣に対して、東京オリンピック二〇二〇年までにこのJR常磐線の全線開通、また四車線化、申入れしたところでございますし、私自身、二年九か月、現地でこのことを直接担当させていただきましたので、改めて総理のリーダーシップに御礼申し上げたいと思います。
 さて、本日は経済・財政の集中審議でございます。先月末に中国でG20もありました。世界経済が不安定性要素を増していく中にありまして、いつになく、我が国の内需をしっかり拡大していく、一億二千万人の需要を拡大していく、これが重要となっております。その意味におきまして、安倍総理は、今般の施政方針演説で成長と分配の好循環を実現していく、これをつくっていくと、こうおっしゃいました。
 この分配、このことについてまずお聞きしたいと思いますが、三つの分配があると思っています。第一には企業内の分配、企業収益から賃金へという分配、第二には企業間の分配、大企業から下請中小企業へという分配、そして第三には大都市圏から地方へという地域間の分配でございます。
 この三つの分配につきまして、安倍総理が具体的にこういう方針で取り組んでいく、このことをまず明らかにしていただきたいと思いますし、特に第一の分配、企業内の収益を賃金に向かわせていく、春闘の集中回答日が三月十六日と聞いておりますが、これにつきまして、政府としての基本的考え方を改めてお述べいただきたいと思います。
#122
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員が御説明いただいたこの三つの分配、これは極めて重要であろうと思います。この三つの分配が実現できれば間違いなく好循環は回っていきますし、多くの皆さんに景気の回復を実感していただけるんだろうと、このように思います。
 これまでも、政労使の開催により、昨年の賃上げ率は十七年ぶりの高水準となりました。好調な企業収益を雇用・所得環境の改善につなげてまいりましたが、先般も、経済界側に是非今年も去年、昨年以上にお願いをしたいということを申し上げているところでございますが、経済界側からも去年、昨年に引き続き賃上げに向けて努力をしていくという旨の回答があったところであります。
 また、中小・小規模事業者の方々に賃金を引き上げていただけるよう、下請企業の価格転嫁対策にも取り組んでおります。そしてまた、消費税率引上げ時に地方法人税を拡充し、都市に偏りがちな税収の再分配を行うことで、過疎に直面する地方にも財源をしっかりと確保していきたいと考えておりますし、また、今進めております地方創生において、今私どもがつくり出したこの成長への機運をしっかりと地域においても生かしていくことができるように努力をしていきたいと考えております。
#123
○浜田昌良君 今、安倍総理から、政労使会議、正式名称は景気好循環実現のための政労使会議でございますが、この場を使いまして経済界に対しても賃上げを求めているという話もございましたが、公明党といたしましては、この政労使会議のメカニズムを都道府県別に実現していく、この観点が重要でございますので、地方版政労使会議を提案してまいりました。今年度中に四十七都道府県全てで開催されると聞いておりますが、そこで、厚生労働大臣に質問させていただきたいと思います。
 この地方版政労使会議の成果はどうなっているでしょうか。今後、どのように地方において働き方改革だけではなくて賃上げにつなげていくか。八月に答申されます地方最低賃金審議会への追い風となるような、そういう政労使間の共通理解の醸成がこれは重要と思いますが、是非この考え方について厚労大臣の見解をお述べいただきたいと思います。
#124
○国務大臣(塩崎恭久君) いわゆる地方版の政労使会議につきましては、昨年、公明党からの御提案を受けて、各労働局から都道府県や労使団体に精力的に働きかけをいたしました。今お話がございましたように、ほぼ全ての都道府県において開催をされたわけで、今開催日が予定されているのが一県、そして調整中が一県というところまで来て、四十五都道府県全て開催をいただきました。
 この会議では、賃金等の面で魅力ある雇用機会の創出、あるいは非正規雇用労働者の待遇改善などについて、地域の実情を踏まえて議論をしていただくと。そして、知事あるいは労使のトップが出席をしていただいた事例や、それから地方公共団体と労使が働き方改革に関する共同宣言を出していただいたようなケースも見られているわけでありまして、こうした労使を含めた共通認識が醸成をされるということが地域経済の好循環、そしてまた地域創生にとって極めて望ましいことではないかというふうに考えております。
 今後、中小企業に特に影響力を持ち得る金融機関、地域の金融機関にも会議への参加を呼びかけて、金融機関のいわゆる目利き機能というか企業再生の力を活用して、企業の生産性の向上を働く方々の労働時間の短縮とか今お話があった賃上げに結び付けていくという、そういう更なる好循環に資することによって、公明党の御提案を契機に立ち上がった地方版政労使会議、これを一層実が上がるように、このように厚みを増していこうというふうに考えているところでございます。
#125
○浜田昌良君 また、昨年十二月に公表されました就業形態調査によりますと、パート、派遣社員、有期雇用の契約社員といった非正規労働者の割合が初めて四割を超えました。その数は二千万人以上にもなりまして、また、その平均年収は二百万円にも届かない、正社員の半分にも満たないという現状でございます。
 賃金上昇の分配がこれらの方々に行き渡ることが必要でございます。公明党といたしましても、二月九日に同一労働同一賃金の実現に向けた検討小委員会、これを設置いたしまして実現に取り組み始めたところでございますが、総理にまず基本的な考え方について質問させていただきたいと思います。
 安倍総理は、今までの国会審議で、非正規労働者の皆様の待遇が改善されるよう努力していきたいとし、均衡待遇だけではなく均等待遇に踏み込むと答弁されています。また、その均等待遇については、仕事の内容や経験、責任、人材活用の仕組みなどの諸要素が同じであれば同一の待遇を保障することと答弁されていますが、経験や責任に応じた待遇となることによりまして、派遣労働者や契約社員などの年齢別賃金カーブはどのように改善されていくことをイメージされているんでしょうか。(資料提示)
 このグラフなんですけれども、これは雇用形態別の一般労働者と派遣労働者の年齢階級別の時給を示したものでございまして、青線は正社員の基本給の時間給でございまして、二十歳から二十四歳のところでは時間給は千二百三十四円ですけれども、五十歳代前半で二千四百五十七円と、約二倍に上がっていくと。そういうことに対しまして、パートを除く非正規社員、つまり契約社員、派遣社員、嘱託の方は、赤いグラフでございますけれども、特に派遣社員だけ、この派遣社員は概念上は両方にまたがる場合もございますが、抜き出したものが緑のグラフでありますけれども、二十歳から二十四歳では時給千百五十五円、ピークで千四百十一円、四十五歳から四十九歳ですね、ピーク、二割アップしかなっていないわけですよ。
 こういう派遣社員やいわゆる契約社員の方々が家庭を持ち、そして子育てしていこうと、そう決意するためには、将来に、経験を積めば、また責任を担っていけば給料が上がっていくんだという賃金カーブがイメージできて初めてこういうことの決意をするわけでございますので、まず、安倍総理に、今回の見直しによりまして、まあいろいろ難しい言葉はあります、均衡待遇、均等待遇とか同一価値労働だとか職務給、職能給とか、そういう難しいことは別にしまして、テレビやラジオを見ていただいている、聞いていただいている非正規労働者の方々に、総理のまずこの御決意、イメージをお話しいただきたいと思います。
#126
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が国の非正規雇用労働者については、例えば女性では、結婚、子育てなどもあり、三十代半ば以降自ら非正規雇用を選択している方が多いことが労働力調査から確認できるほか、パートタイム労働者の賃金水準は、欧州諸国においては正規労働者に比べて二割低い状況でありますが、日本では四割低くなっているとの指摘もあります。
 このため、女性や若者などの多様な働き方の選択を広げていくためには非正規雇用で働く方の待遇改善を更に徹底していく必要があると考え、同一労働同一賃金の実現に踏み込むことといたしました。
 現在、正規社員は年齢によって賃金が上昇していく、これはグラフにあるとおりでありますが、一方で、派遣労働者、契約社員といった非正規雇用の方々は賃金がほぼ横ばいであります。年齢の上昇に応じて正規社員と非正規雇用の方々の賃金格差は拡大していくわけでございますし、御自身の人生の設計をしていく上においても、だんだん将来頑張って能力や経験を積んでいけば上がっていくということにはならないということになってしまって、将来になかなか希望を見出せないということがあると、このように思います。
 そして、そこで今回、同一労働同一賃金が実現すれば、非正規雇用の方々も経験、能力を積み重ねることによって、それに応じてそうしたものが正規の方と同じように評価をされて賃金が上昇することが期待され、御指摘の問題は解決しやすくなっていくと思います。
 同一労働同一賃金実現の方向性については、一億総活躍国民会議で議論をいただいた上で、この春取りまとめるニッポン一億総活躍プランにおいてお示しをしたいと思います。具体的には、我が国の労働慣行には十分に留意しつつ、同時に、ちゅうちょなく法改正の準備を進めるとともに、あわせて、どのような賃金差が正当でないと認められるかについては、政府としても早期にガイドラインを制定し、事例を示してまいりたいと思います。
#127
○浜田昌良君 今、総理から、非正規労働の方々、派遣や契約社員の方々も、経験やまた責任を担っていけばこの賃金カーブ、上昇していくことに改善しやすくなりますとおっしゃいました。しやすくなるという可能性なんですね。この可能性を現実のものにしていかなきゃいけない。
 あわせて、総理はちゅうちょなく法改正をするともおっしゃっています。法改正をし、今御答弁いただきましたようなガイドラインを作り、そして行政指導が行き渡っていく、しかし、これなかなか行政指導というのも難しい面もあるんです。いろんな裁判の判例、事例なんかも積み重なっていかなければなかなか行政指導に踏み込めないものもあります。よって、判例の積み重ねといっても、なかなか労働者は企業を訴えるのも大変です。
 そこで重要なのが挙証責任の転換なんですね。これについて一億総活躍大臣にお聞きしたいんですが、均等待遇を実社会で行き渡らせるためには、現実に賃金格差が存在する場合において、企業側にその合理性を立証責任を負わせるというEUのような仕組みも研究しまして、我が国においても参考にすべきと考えますが、見解はいかがでしょうか。
#128
○国務大臣(加藤勝信君) 立証責任についての御疑念がございました。
 御承知のように、我が国の場合には、いわゆるパートタイム労働法、労働契約法においては、待遇の相違は不合理と認められるものではあってはならないという規定が存在をしておりまして、また、訴訟においては、待遇差の不合理性に関する立証責任は、労働者側に一方的に負わされるものではなくて経営者側も当然負っていると、こういう形になっております。
 ただし、派遣労働者については、そもそも不合理な待遇差を禁止する法規定が存在しておりません。立法の検討が必要だと思いますし、昨年九月に成立、施行いたしました職務待遇確保法第六条においても、この派遣に関して、三年以内に法制上の措置を含む必要な措置を講ずると、こういうふうにされているところでございます。
 その上に立って、今総理からお話がありましたけれども、同一労働同一賃金に向け、我が国の雇用慣行には十分留意しつつ、同時に、ちゅうちょなく法改正の準備を進めるという指示をいただいております。
 非正規雇用の方々の待遇改善、これを実効性を持って進めていく、そういう仕組みにしていくため法的にどのような対応が必要となるのか、法律家など専門家の方々において検討を進めていきたいと思いますし、その際には、今御指摘いただきましたように、ヨーロッパにおける法律なりその運用等、実態把握についてしっかりと進めていきたいと、こういうふうに思っております。
#129
○浜田昌良君 次に、企業間の分配の問題でございます。
 平成二十六年十二月二十日の政労使合意で、経済界は、取引企業の仕入価格の上昇などを踏まえた価格転嫁や支援、協力について総合的に取り組むということが明記されました。一方、先ほどの地方版政労使会議では、都道府県労働局が事務局を担当していることもありまして、この下請中小企業への波及という点が、取組が弱いように感じるんですね。調べさせていただきますと、この地方版政労使会議への地方経済産業局の出席率も半分程度と聞いております。
 これは、もう要請で質問でございませんけれども、是非これ、厚生労働省と経済産業省、連携していただきまして、中央版の政労使会議ではこの下請問題がしっかり入っておりますので、地方版政労使会議においてもこの下請への波及という問題を連携していただいて取り組んでいただきたいということをお願いさせていただきます。
 あわせて、この下請の問題でありますけれども、各地回らせていただきますと、悪質な取引慣行もまだ散見されます。ある医療機器メーカーの下請なんですが、苦労して開発して部品を納入したと、そうしたら、その治具ごと全部親企業に納入させられて内製化させられてしまったということなんですね。まるでテレビの「下町ロケット」みたいな状況なんですが、こういうものが横行しているという状況もございます。
 そういう中にありまして、今、経済産業省では、大企業一万五千社、また中小企業一万社に対しての、下請の取引条件に関する、改善に関する調査が実施されています。この調査を調査のための調査にとどめるんじゃなくて、是非これを取引慣行の改善に結び付くようにしていただきたいんですね。例えば具体的な、現在でも取引ガイドラインというのはあるんですが、詳し過ぎて分かりにくいと。むしろ、べからず集みたいな、これはしちゃ絶対駄目ですよ、問題になりますよという、分かりやすくするとか、また、ちょっとまあ問題ありそうだなと思う大企業については書面審査だけじゃなくて面接調査をしていただくとか、こういうことの改善を、これについては答弁は結構でございますので、是非、実効ある取組を経産大臣にお願いしておきたいと思います。
 また、中小企業が成長していく上で政府の助成策をいかにうまく使っていくか、これが重要となっております。ただ、各地訪問させていただきますと、いろんな補助金メニューがあり過ぎまして、どれが我が社にとって最適なのかと。これが対象の範囲であったりとか金額であったりとか期間であったりとか、もう千差万別で、しかも、一省庁だけじゃなくて関連省庁にまたがっているものがあったりするということがありまして、ある陶磁器の産地組合の皆様にお聞きすると、そういうきめ細かな相談に乗ってほしい、できれば、申請書を書く担当の人もいないんで、そういうアドバイスもしてほしいという御要望もいただきました。
 そこで、経産大臣に御質問させていただきたいと思いますが、現在、各都道府県に設置されておりますよろず支援拠点ってありまして、ここの人員が大体五名から十名いるらしいんです。来年度、一か所当たりの相談員を一・五倍にするとこれ聞いておりますので、その際には、各種補助金や助成金などのアドバイスをきめ細かく行う、そういう補助金、助成金のコンシェルジュ、これを是非置いておきたいというのが一点でございますし、場合によっては、いろんな関係団体と連携していただいて、申請書類の代筆といいますか代行で書いていただく場合も必要な小規模企業がございますので、こういうことについても御検討いただきたいんですが、経産大臣より答弁をお願いします。
#130
○国務大臣(林幹雄君) 四十七都道府県に設置しておりますよろず支援拠点については、先生御指摘のとおりでありまして、現在、全国に四百人程度の相談員でありますが、これを一・五倍の六百人程度に増員をして支援体制の強化ができるように、二十八年度予算案において必要な手当てを用意しているところでございます。
 このよろず支援拠点は、売上げ拡大、資金繰りといった経営課題の相談に対応する支援機関でありまして、その経営相談の過程におきまして、設備投資、技術開発、販路開拓など、補助金や税制改正などの支援策についても個々の中小企業に応じた形で提案できるよう体制を強化しているところであります。
 具体的には、二十八年度に増員予定の方を含め、相談員を集めた全国レベルでの研修を二回程度開催します。この中で、各種補助金などの支援策の最新情報を提供いたしまして、相談員の能力の充実を図ってまいりたいと思っております。
 また、御指摘の小規模事業者への書類の作成代行でありますけれども、行政書士やら税理士さんとかありますが、この支援業者についても、全国九ブロックでの説明会の開催などによりまして、支援策の最新情報や申請の際のポイントなど、それに関する情報提供を進めていっております。
#131
○浜田昌良君 せっかくの補助金、助成金メニューでございますので、小規模事業者の方々もしっかり活用できるようにきめ細かい対応をお願いしたいと思います。
 続きまして、第三の分配の問題、大都市から地方への各種機能の移転の話に移りたいと思います。
 この各種機能移転の大きな柱の一つが、昨年施行されました地域再生法による地方拠点化、本社機能移転税制でございます。公表されていますデータによりますと、このパネルがありますけれども、現在までに約二十件、二十件ですね、認定されておりまして、北海道から宮崎県まで移転先があるわけでありますけれども、県別に見ると、富山県が六件、石川県が三件ですね、これ北陸新幹線効果かもしれません。旅行者だけじゃなくて事業系の方々があちらにいろんな機能を移転されているというのが見えるわけでございますけれども、この税制によりますと、認定されましたら地方税としては法人事業税、不動産取得税、固定資産税の減免が移転先市町村から受けられるとなっているわけでありますが、課題も表れているようでございます。
 この制度、二十三区内からの移転、移転型というと、この左から三欄目に、ブルーの方が移転ですね、グリーンが拡充型といって、地域に既に持っている生産拠点を拡大して雇用を拡大するものがこの拡充型になっているんですが、この二つのタイプがありますけれども、企業はいきなり本社を移転する前に、まず地域における生産拠点を拡充しまして機能を充実するのが通常でありますことから、二十件のうち拡充型の方が十七件と多くなっています。そして、この場合、いわゆる地方が減税した場合の減収補填を国から受けることになっているんですが、その基準がいわゆる財政力指数というもの、いわゆる基準財政収入を基準財政需要で割ったものの三年間の平均値でありますけれども、これが一を超えれば普通交付税が入ってこないという裕福な団体ですが、市の全国の平均の〇・六三未満の場合のみ減収補填されるという省令が総務省令で制定されているわけです。その結果、この右端の欄にありますけれども、例えば拡充型が、全部で十七件あったんですが、減収補填を受けられるのはこの黄色の三件だけなんですよ。十四件は国のお金が入ってこない。
 実は、先般、富山の黒部市のYKKAPさんも訪問させていただきました。そのときには黒部市の堀内市長にもお会いさせていただいたんですが、これ何とかなりませんかという声もいただきましたし、馳大臣もおられますけれども、石川県、これを見ると、白山市は財政力指数は〇・六四、川北町も〇・六四と、〇・〇一上回るだけで一銭も入ってこないという、こういう現状があるわけです。
 これについては、確かに、減収補填というのは、従来、過疎法とか半島振興法といった条件不利益地域に対して地方税を案分するという発想だったので平均でよかったのかもしれませんけれども、地方創生というのは考え方が少し違うんだと思うんですよ。伸びるところ、努力するところをどんどん伸ばすという発想のはずなんです。
 そういう意味では、この基準ですね、減収補填の基準、特に、政府は地方創生総合戦略でこの本社機能移転、地方拠点化を二〇二〇年まで七千五百社に拡大するという目標があるわけですけれども、移転先自治体からそういう不満の声が上がるようではこの目標達成も危ういと思うわけでございますが、地方創生担当大臣でもあり地域再生法の所管大臣でもある石破大臣に、この基準について、横並びにとどめることなく見直しを幅広く手厚く支援を行っていくべきじゃないか、またその見直しについてもできるだけ早く行うべきじゃないかと思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。
#132
○国務大臣(石破茂君) 結局どこかで線を引かなければならぬということであって、ありていの言葉で言えば決めの問題ということになろうかと思っております。
 そういたしますと、国策でやっておるものですから、基本的に国税で対応すべきものだと思います。減収補填も、結局、地方の固有の財源でありますところの地方交付税で見るものでございますから、そうすると、やはり甲乙丙丁というのかABCというのか、本当に苦しいところに補填をさせていただくような考えなのですが、それで、委員御指摘のように、地方への移転型にしても拡充型にしても、その効果を達成するのかと言われれば、確かにそういう問題点はあろうというふうに認識をしておるところでございます。
 この地域再生法の改正いたしましたものの附則第三条、委員御案内のとおりですが、「政府は、この法律の施行後三年以内に、認定地域再生計画に基づく事業に対する特別の措置の適用の状況」云々ということがあって、要するに、三年以内にということになっておるわけでございます。そこで、今の実施状況というのをよく見まして、御指摘のように、地方のいろんな御不満というものを虚心坦懐に耳を傾けてやってまいりたいというふうに考えております。
 と同時に、この制度自体がどこまで周知していただいているかということでございます。例えば、五億円を投資をして地方へ移転しました、三十人が向こうで雇われ、二十人が移転とか、いろんなケースがございますが、その場合に約九千万ぐらい税金が減免になるということになっておるわけでございまして、今の制度がどこまで周知しているかということも私どもよく検討して、まず使ってみてくださいなということを企業さんの側にも自治体さんの側にもこれから先も周知に努めたいと考えております。
 御指摘、誠にありがとうございました。
#133
○浜田昌良君 是非、弾力的に見直しをしていただきたいと思います。
 今、各地で地方創生の具体的取組が始まりましたが、財政支援とともに必要なのが人的支援なんですね。これについては、シティーマネジャー制度ってございまして、地方創生に取り組む市町村に対しまして意欲と能力のある国家公務員や大学研究者、民間人材を市町村長の補佐役として派遣するという制度でございますが、今年度始まりまして、百四十一市町村に対しまして六十九人が派遣できた。二倍強の倍率で、割と厳しい倍率なんですね。公務員の場合は四十二名が全員常勤になっています。大学とか民間の場合は非常勤の場合があるんですが、聞きますと、やはり常勤の公務員の方に来てほしいという要望が市町村で多いようでございますので、これにつきましては、例えば非常勤でも、例えば国交省の整備局であったり経産省の地方局の担当課長などが非常勤で担当市町村を面倒見るみたいな、しっかりそういう非常勤のこういうマネジャー制度も拡大、拡充していくということも是非石破大臣に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#134
○国務大臣(石破茂君) 今まで、国家公務員の地方への派遣というのは、県の部長さんとか課長さんとか、あるいは政令市の部長さんとか課長さんとか、ある意味指定席みたいに国家公務員が派遣をされておったということが多かったと思っております。
 この地方創生の試みを始めましてから、むしろ人材が必要なのはちっちゃな自治体だということで、人口五万人以下の小さな自治体からまず手を挙げてもらう、こういうことをやりたいのでこういう役所のこういう人が欲しいなというふうに手を挙げていただく。行く側の国家公務員も、どこへ行きたいのということがございます。マッチングをきちんと行った上で、どうしても応募に対しまして実現が少ないのはマッチングがうまくいかなかったということがございまして、それでも何とか何とか努力をして御要望を満たすように努力をしておるところでございます。
 そこで、委員御指摘の非常勤でもいいじゃないかという考え方も確かにあろうと思っております。これも、それができるかどうか検討させていただきたいと思っておりますが、他方、このシティーマネジャー制度をつくりますと同時に、そのときに、コンシェルジュ制度、済みません、うまい日本語がないんでコンシェルジュなんという言葉を使ってしまいますが、そういうものをつくりました。すなわち、中央省庁の職員で、自分は愛知県の生まれである、名古屋の育ちである、あるいは長崎の生まれである、何だかよく分からないが鳥取県が大好きであるとか、山口県に勤めたことがあるとか、何か御縁のある職員が当然ございます。そういう人たちを、基本は都道府県なのですが、コンシェルジュという形でいろんな御相談に応じるという形の制度をスタートしております。
 今、トータルで九百九十一人、委員御指摘の国交省の地方整備局でいえば四十七人、経産省の地方経産局でいえば百十二人、それがコンシェルジュという形でやらせていただいております。これ、基本は都道府県なのですが、市町村でも御希望があればということで、三十三市町村、名古屋もそうですが、そういうコンシェルジュ制度をつくらせていただいております。
 このコンシェルジュ制度を十分に活用いただく、やっぱり霞が関ってどこで誰が何やっているかよく分からないねというのは多いわけで、そのときに親切に相談に乗ってあげる、やっぱり中央省庁というのは親切で正直で丁寧でないと存在意義がないと思っておりますので、そういうコンシェルジュ制度を更に活用していきたいと思っておりますし、非常勤ということができるかどうか、これは、制度の問題もございますので検討させていただきたいと思います。
 ありがとうございます。
#135
○浜田昌良君 最後に、成長戦略の基盤ともなるのが教育でございます。本年度補正予算で公立学校の改修費が計上されましてトイレ改修やエアコンの設置が拡充されたことは、避難所たる公立学校の機能の向上、平常時の子供たちの学習環境の向上という点からも評価できると思っています。
 しかし、気になる点も現場から御指摘いただきました。静岡県三島市の公立学校では、エアコンを設置しても気温が三十度を超えないと運転させないとして、その根拠は文科省の基準だというのです。大人の労働環境でも、労働安全衛生法では二十八度が基準になっているはずでございますので、是非この点については、文科大臣、すぐ見直しをしていただきたいんですが。
#136
○国務大臣(馳浩君) 二つ申し上げます。
 見直しをします。これが一点目です。
 二点目は、現実、各会議等を通じて、三十度というふうな基準はあるんですけれども、各地域の実情によって、それにこだわらずに、やはり子供たちの健康を第一に配慮するようにと、こういうふうに会議等を通じても現場に伝えたいと思います。
#137
○浜田昌良君 また、学校での子供たちの熱中症のデータを見ますと、JSC、日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度の医療費の支給が行われた件数が平成二十六年度で四千百八十六件もあるわけです。死亡件数も、過去二十五年間で八十一件、小中高別では、高校生が最も多く五十六名、形態別では、いわゆるクラブ活動中が最も多い七十名ですね。いわゆる高校生の運動部のクラブ活動は熱中症に対して細心の注意が必要ということでございます。
 熱中症の予防の計測器としては、暑さ指数計というのがあるんですね、WBGTというものですか。これがあるんですが、幼稚園から小中学校での配置状況は約一割しか配置されていない。また、自動計測のものは高価なため、熱射病が危惧されるときにその都度計測が必要ですが、どの程度、どの頻度で計測されているかについては文科省としても把握していないというのが現状のようでございます。
 一方、岐阜県の美濃地域って物すごく暑いんですが、ここでは、岐阜市の小中高等学校、支援学校七十一校で形状記憶合金を活用した熱中症注意表示板というものが設置されておりまして、三十一度プラスマイナス一度で自動的に注意表示がされるという、設置七十一校のうち効果があったものが六十校、八五%に上っているということも聞きました。
 馳大臣はスポーツの第一線で活躍されてきたわけでございますが、このような先進的な取組、また熱中症の計測器、WBGTの普及、活用を含めまして、学校での熱中症による子供たちの事故防止に努めていくために今後どのように取り組むのか、新年度の前にお聞きしたいと思います。
#138
○国務大臣(馳浩君) 資料を見ますと、体育活動中の熱中症死亡事故七十五件とあるわけですよね。これは、保護者にとっても大変につらい状況だと思っております。これは、平成二年から平成二十六年という期間ではありますけれども、七十五件があると。
 そして、今委員御指摘のように、暑さ指数測定装置等による測定、これを小まめに行って、気温、気流、湿度、輻射熱等の環境条件に応じた運動の実施や児童生徒の健康管理を行うことは熱中症対策の有効な一つの方法であると考えられております。
 文科省としても、今後とも、様々な会議等の機会も利用して、各学校の地域特性や児童生徒の実情に応じ、各学校設置者において熱中症予防のための適切な対策や配慮を行い、子供たちの健康と安全の確保に努めてまいりたいと思います。
#139
○浜田昌良君 今日は経済政策についての集中審議でありましたけれども、再度、成長と分配の好循環が全国民に実感できますように、企業内、企業間、そして地域間の分配政策を強力に進めていくことを安倍内閣に求めまして、私の質問を終えさせていただきます。
#140
○委員長(岸宏一君) 以上で浜田昌良君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#141
○委員長(岸宏一君) 次に、紙智子さんの質疑を行います。紙智子さん。
#142
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 TPP協定の署名が二月五日に行われました。政府は、明日にもこの協定と関係法案を提出しようとしております。TPP協定には全面的な関税撤廃に進んでいく仕組みが入っておりますから、これは、私たちは認めることはできません。断固反対です。
 TPPは、農業だけではなく地域経済、雇用、医療・保険、食の安全、知的財産権など、国民の生活、営業に密接に関わる分野で日本の国民の利益と経済主権をアメリカや多国籍企業に売り渡すものです。しかも、秘密交渉ですから、交渉内容も分からず、国民に様々な不安の声が上がっています。
 私たちは、TPP対策本部をつくり、北は北海道から南は九州まで調査をしてきました。全品目で九五%、農林水産物で八一%、重要品目でも三〇%も関税を撤廃するもので、これは国会決議違反である、あるいは国会決議との整合性が図られていないと怒りの声が上がっています。
 そこで、総理にお聞きいたします。
 安倍総理は、施政方針演説で、「TPPによって農業を続けることができなくなるのではないか、多くの農家の皆さんが不安を抱いておられます。」と述べながら、「二年半にわたる粘り強い交渉によって、国益にかなう最善の結果を得ることができました。」と述べました。しかし、農家の不安を払拭して国益にかなう最善の結果になったのでしょうか。
 まず、このパネルを見ていただきたいんですけれども、(資料提示)協定内容についてお聞きします。
 これは国会決議の抜粋ですけれども、この線を引いたところを御覧ください。「米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。」というふうになっているわけです。
 これ、例外ではないんですね、例外ではなく除外と、決議は除外となっているわけですけれども、除外はできたんでしょうか。
#143
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPP交渉においては、厳しい交渉の結果、重要五品目を中心に、農林水産品の約二割について関税撤廃の例外を確保したわけであります。さらに、関税割当てやセーフガード等の有効な措置を獲得しました。国益にかなう最善の交渉結果が得られたと考えています。
 昨年十一月には、総合的なTPP関連政策大綱を取りまとめました。意欲ある農業者の不安を払拭し、希望を持って経営に取り組むことができるようにすることで確実に再生産可能となるよう、引き続き、交渉で獲得した措置と併せて万全の措置を講じてまいります。
 交渉結果が国会決議にかなうかどうかは、最終的には国会で御審議いただくことになると思いますが、政府としては、国会決議の趣旨に沿うものと評価していただけると考えております。
#144
○紙智子君 例外と言いましたけれども、除外できたんですかとお聞きしたんです。もう一度お答えください。
#145
○国務大臣(石原伸晃君) 除外という言葉、区分はTPP協定にはないということは紙委員も御承知のことだと思います。
 平成二十五年二月の日米首脳によります共同声明では、TPP交渉に参加する場合は全ての物品が交渉の対象とされる、すなわち、日本の米もアメリカのピックアップトラック等々も入るわけでございます。その際、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないということが確認されましたので、我が国はTPP交渉に参加したと。その上で、全ての物品を交渉のテーブルの上にのせて、先ほど総理が御答弁されましたように、交渉が行われ、政府としては、今委員が御質問のところにございます国会決議等を踏まえぎりぎりの交渉を行ってまいったと。
 TPP協定においては、関税に係る約束について除外というものはございませんが、その一方で、別段の定めということにより関税撤廃の例外を設ける措置は協定上認められている。ですから、委員が御指摘されましたように、農作物においては二割、全体では五%を例外として関税撤廃から排除することに成功したということで、国益にかなった決断ができたと総理が御答弁をしたのでございます。
#146
○紙智子君 今、明確に除外はないと言いましたよね。重大な問題ですよ。国会決議の重みも何と捉えているのかという話ですよ。
 それで、除外というのはどういう意味かということなんですけれども、次のパネルを御覧ください。
 これは日豪EPAの協定文書です。これ全部じゃない、抜粋ですけれども、これには除外規定があるわけですね。
 それで、附属書のところを見てください。赤線のところです。(v)、表の四欄に「X」を掲げた品目に分類される原産品は、(a)から(u)までに規定する関税に係る約束の対象から除外されると。これ、除外がされるという規定があるわけですよ。そして、その下のところに、Xは除外ですから、Xは何かといったら米ですよね。米は除外と。これ、日豪のEPAのものですよ。
 その下、御覧ください。日本がこれまで結んだEPAの各国との除外規定がどうかということを調べました。そうしたら、これ、シンガポールは書き方は違うんですけれども、シンガポールから含めて、メキシコ、マレーシア、ずっと、これは除外規定がちゃんとあるんですよ。ありと書いてあります。しかも、主な除外品目というのは、いわゆるTPPで言っているところの重要品目五品目、米麦それから牛肉、豚肉、砂糖、でん粉など、これらは含まれているんですね。ですから、除外規定がある。ところが、TPPにはないということですよね。もう一回お答えください。
#147
○国務大臣(石原伸晃君) 先ほど、二十五年二月の日米首脳によります共同声明を説明させていただきました。
 TPPというのはそもそも例外なき関税撤廃ということが大原則である、しかし、例外なき関税撤廃ということであるならば私どもはこの交渉に入ることはできない、そういう中で日米の両首脳が、テーブルにはのせます、ただ両国とも互いにセンシティブなものがあるということを確認して、例外として日本の場合は重要五品目の国家貿易制度あるいはセーフガードの創設等々の成果を勝ち得たわけでございます。
 そんな中で委員の御指摘は、そうならば、EPAの中には除外というものがあるけれども、じゃ、国会決議違反ではないかということをお尋ねになられているんだと思いますけれども、くどいようですけれども、全ての物品を交渉のテーブルにのせて交渉が行われた、政府としては国会決議等を踏まえぎりぎりの交渉を行ってきた、その結果、協定上認められている別段の定めにより関税撤廃の例外を設ける措置を確保し、その結果、重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかりと確保いたしました。したがって、交渉に入る際に全ての物品を交渉のテーブルにのせたことが、そのもの自体が委員が今御指摘されております国会の決議違反になるとは考えておりません。
#148
○紙智子君 総理、例外、しっかり例外と言いましたけど、しっかりしていようがしていまいが、例外と除外は違うんですよ。例外というのは関税の見直しの対象になるけれども、除外というのは見直しの対象からは外れるんですよ。国会決議に例外というふうには書いていないわけです。政府は国会決議を後ろ盾にTPP交渉をやってきたと言っています。そもそも除外をしてほしいということを要求したんですか。
#149
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、言わば除外というこの言葉が、例えば十二か国の中で定義としてこれはあるわけではそもそもございません。
 我々としては、先ほど来、石原大臣が答弁をしているように、TPP協定では、関税に係る約束について除外という区分は持ち合わせておりませんが、協定上認められている別段の定めとして、我が国の関税率表において関税撤廃以外の内容を定めることによって関税撤廃の例外措置をこれは確保しているわけでありますから、関税撤廃の軌道に乗ることはない、つまり軌道に乗っているものからはもうそれは外されているということでありまして、そこに乗ることはないということは申し上げておきたいと思います。
#150
○紙智子君 今聞いたことは、要求したのかと聞いたんですよ。今の話だと、最初からテーブルにのっていると。ということは、最初から除外してほしいということをおっしゃっていないということですか。
#151
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 交渉の中身についてはこれは申し上げることはできませんが、これはそれぞれの国々の交渉においては、中身については申し上げることができないという中においてこれは交渉をしているわけでございますので、この場において申し上げることは差し控えさせていただきたいと、このように思いますが、しかし、今申し上げましたように、この関税撤廃のもうレールにはこれ乗っていかない、そこから外したということについてはこれは間違いないと、こう思う次第でございまして、私どもといたしましては国会決議に沿うものであると、このように考えております。
#152
○紙智子君 ちょっとおかしいですよね。テーブルに今はのっていない、ということは最初から要求しなかった、しかし国会決議は守っているって、おかしいじゃないですか。国会決議は除外と書いてあるわけですよ。これは本当にちぐはぐですよ。しかも、交渉内容については触れられないと言ったけど、もう原則じゃないですか。国会決議に書いてあることを後ろ盾にして交渉したと言う以上は、そこのところは交渉内容は言えませんなんというのは、本当におかしい話ですよ。
 それで、ちょっともう一つパネルを見てほしいんですけれども、これTPPの、下の方ですね、TPPの文書、協定文書が下の方です。
 第二の四条のところ、赤線のところを見てください。ここでは、まず一のところに、線のところだけ言いますけれども、「現行の関税を引き上げ、又は新たな関税を採用してはならない。」。二番目のところには、「漸進的に関税を撤廃する。」と。この一、二のところで、引き上げちゃ駄目、撤廃するという仕組みがここに書いているわけですよ。そして、三のところでは、「関税の撤廃時期の繰上げについて検討するため、協議する。」。つまり、繰り上げるということは加速するということですよね。こういう仕組みが入っているのがTPP協定の中身なわけですよ。
 これ、安倍総理、TPPは最初から野心的だからテーブルの上に全部のせなきゃいけない、野心的な協定だからそもそも除外が盛り込めなかったということなんですよね。確認します。
#153
○国務大臣(石原伸晃君) この議論はかなり衆議院でもさせていただいたんであるわけですけれども、除外という区分はないんです。それがないというんであることがけしからぬというのであるならば、交渉には入らないということになってしまいます。しかし、日米の首脳の間で確固たる確約を取ったわけであります。くどいようでございますけれども、全ての物品が交渉の対象である、そしてTPP交渉参加に際しまして一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない、すなわち例外なき関税撤廃ということを求めるものではない。
 そんな中で、これは総理が既に御答弁をいただいておりますけれども、TPP協定上別段の定めがある場合を除くことが認められており、我が国においては、交渉の結果、関税率表に重要五品目を含む多くの産品に関する関税撤廃の例外措置を確保したわけでございます。したがって、いずれ関税撤廃される、今委員が御指摘された関税撤廃されるじゃないかということという御指摘は当たらないというふうに私どもは解釈をさせていただいているわけでございます。
#154
○紙智子君 例外を繰り返し言われる。別段の定めがあるのを除いてはと言って、だから例外確保できたというふうに説明をされるわけですけれども、やっぱり除外とは違う、国会決議に反していると。
 総理、この除外規定がないということは、全て関税に関して見直しの対象になるということですよ。今まで日本が結んだEPAよりも、WTO農業協定よりも、後戻りのできない関税撤廃に突き進む協定だということがあります。これ明らかに国会決議違反ではありませんか。
#155
○国務大臣(石原伸晃君) 本当にくどいようでございますけれども、原則的に関税を全て撤廃してしまうというような交渉には我々も入らない、そこは一緒だと思っています。委員は、その除外という言葉がTPP協定にないのがけしからぬ、国会決議にあるじゃないかという御指摘だと思うんですけれども、本当にくどいようなんですけれども、この協定の別段の定めがある場合を除くとしっかりとしてあって、例外措置を確保して、我々はこの重要五品目については再協議にも応じないわけであります。除いて、応じないわけでございます。ですから、それをしっかり守ったということにおいては主張は一緒なのではないかと思っております。
#156
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 再協議はこれはありますが、しかし、協議をしても、この合意というのは全体のこれはバランスで成り立っているわけであります。この全体のバランスの中で既に我々は合意をしているわけでありますから、言わば再協議をしても日本の国益を害するものについては合意はしないということは明確に申し上げたいと思います。
#157
○紙智子君 幾らそういうふうに言っても、米国は何て言っているか。米通商代表部、去年の十二月ですけれども、管轄下にある、この米通商代表部ですね、貿易のための農業政策諮問委員会というのがあります。ここの報告の中では、我々はどの物品も除外されなかったことに留意し、TPPの適用範囲を称賛すると喜びの声を上げているわけですね。
 日本は結局、私ども共産党は、最初から原則は、これはもう例外なき関税撤廃だと、だから入るべきでないとずっと言ってきたわけですよ。途中まで自民党は、選挙公約でも例外なき関税撤廃が前提だったら入らない、反対だと言っていたけれども、例外が認められると。ここで例外というふうに言い方を変えて言ったけれども、決議に照らして見るならばこれは除外なんですよ、あくまでも。それにやっぱり違反しているということを言わざるを得ないと思います。
 それで、農産品で八一%が関税撤廃、必ず守ると言ってきた農産品重要五品目も、五百八十六品目ありますが、その中の百七十四品目、三割も関税撤廃ですよ。そのほかにも野菜や果物など、ほとんどが関税撤廃ということが大きな衝撃を与えているわけです。政府が幾ら例外を確保したと言っても、JA、農協組合長のアンケートでも九二%が決議は守られていないと答えているし、今年二月に開かれたJAの全国青年大会の特別決議では、国会決議実現とは程遠く、到底納得いかないと、こういうふうに言っているわけですよ。この声を受け止めるべきだと思います。
 次に移ります。
 影響試算についてお聞きします。
 アメリカは二月五日の署名から百日掛けて影響試算を出すそうですけれども、日本は署名する前に、まだ文書も出ていないうちから、農林水産物についての影響試算を出しました。農林水産省が行った試算は、全国の農林水産業者を唖然とさせています。
 政府は、関税削減等の影響で価格低下による生産額の減少が生じるものの、中略して、農家所得が確保され、国内生産が維持されるものと見込むとしています。政府は、三年前の二〇一三年のときに出したものでいうと、試算は三兆円の農林水産物の生産減少額が出されていたわけですね。ところが今回、千三百億円から二千百億円と大幅に縮小しているわけですよ。
 価格は下がって生産額も減るのに、農家の所得は一応あるんだと、生産量は維持されるんだというふうに説明しているんですね。食料自給率への影響も変化ないと。これ全く分からないですよ。どうしてこんなに違うんですか。
#158
○政府参考人(佐藤速水君) お答え申し上げます。
 前回の平成二十五年三月の統一試算では、全ての関税が即時撤廃され、追加的な国内対策も行わない、輸入品と競合する国産品は原則輸入品に置き換わるという極めて単純化した前提を置いて、その結果といたしまして、農林水産物の生産額が三兆円程度減少するというふうに試算を行ったところでございます。
 今回のTPP交渉の結果では、重要五品目を中心に関税撤廃の例外等を措置したところでございます。また加えて、政策大綱に基づき、体質強化対策等を講じることとしたところでございます。
 このようなことを踏まえまして、今後、国内対策によりまして、生産コストの低減、品質向上による輸入品との差別化、収益性の向上等が図られると、結果として、意欲ある農林漁業者の再生産が確保されて国内生産量が維持されるということで、減少額を千三百億円から二千百億円というふうに試算したところでございます。
#159
○紙智子君 前回は撤廃するということを前提だったけれども、今回は例外が認められたと言うんですよね。そして、対策を取るからだと言うんですよね。
 それで、ちょっと具体的に見てみます。
 これは十九品目の農林水産省の試算から作った表ですけれども、農業産出額は八兆五千七百四十八億円。その黄色い帯のところを見てください。これは、十九品目の産出額の合計が約五兆八百七十三億円。これについてはゼロ%、生産量減少率がゼロ%だと。そして、その下の十九品目以外の産出額の合計が三兆四千八百七十五億円ということですけれども、この十九品目のところはその減少額が八百七十八億円から千五百十六億円というふうになっているわけです。
 それで、ちょっと一番上のところの、表の上を見て、米のところありますね、米のところは農業産出額は一兆七千八百六十四億円と。それで、米はこの後、別枠で七万トン以上の米が入ってくるのに、実際にこの生産減少額はゼロ億円ですよ。それで、生産量の減少率はゼロ%だと。
 もう少し下にあります牛肉見てください。六千五百二十四億円が産出額ということなんですけれども、これについても、関税率を三八・五%から九%まで下げていくということがはっきりしているわけですけれども、それにもかかわらず、生産減少額は三百十一億円から六百二十五億円と。これ、二年前の試算のときには三千六百億円の減少というふうに言っていたわけですよ。しかも、この生産量の減少率ゼロでしょう。
 これは一体何なんだと。現場の皆さんにとっては本当に驚きでいっぱいなわけです。いかがですか。
#160
○政府参考人(佐藤速水君) 牛肉につきましては……(発言する者あり)
#161
○委員長(岸宏一君) 傍聴席の方も静かにしてください。
#162
○政府参考人(佐藤速水君) 牛肉のうち、今回のTPPの結果を受けまして、輸入品と競合する部分と競合しない部分とに分けて検討いたしました。このうち、ホルスタイン由来のものあるいは交雑種については競合するということで、ここの部分の価格下げは大きく見込んでおるところでございますが、それ以外のものについては競合しないということで、価格の影響は一定程度受けるものの、生産量につきましては、今後対策を講じていくことによる生産性向上、輸入品との差別化等により減少しないと、かように見込んだところでございます。
#163
○紙智子君 農水大臣、ありますか。──いいですか。
 そういうことも答えられないのかなと思いますけれども、そんな説明だから納得できないし、みんなが不信感を抱くんですよ。
 試算の方法を見ますと、全ての農林水産物を対象としたものではないわけです。試算対象品目は、関税率一〇%以上かつ国内生産額で十億円以上の品目である十九品目の農産物、それから、これパネルには入れていませんけれども、十四品目の林水産物に限定しているわけです。なぜ限定して試算したんですか。
#164
○政府参考人(佐藤速水君) 今回の試算につきましては、平成二十五年三月時点での試算とも比較ができるようにするために、前回と同様に関税率一〇%以上かつ国内生産額十億円以上の合計三十三品目を試算対象といたしたところでございます。
 関税率が低い農産物につきましては、為替の影響も大きく、また、十月に行いました定性分析におきまして、関税撤廃の影響は限定的又は見込み難いというふうに見通したことから、今回試算の対象とはしていないところでございます。
#165
○紙智子君 総理は、こういう本当にいいかげんな試算をお認めになったんですか。総理は、多くの農家の皆さんが不安を抱いておられるというふうに認識を語られたわけですけれども、それであったら、たった十九品目の農産物、それから十四品目の林水産物だけの試算では少な過ぎると思われませんか。
#166
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど審議官から答弁をさせていただきましたように、平成二十三年ですか、と比較できる、まあ平成二十三年は我が党が与党のときではございませんが、そのときと、そのときに取ったものと比較できるように同じものを取った。他方、それ以外のものについては影響が小さかったという説明をさせていただいたわけでございますが、納得していただけるのではないかと、このように思います。
#167
○紙智子君 全然納得できません。
 農林水産大臣にお聞きしますけれども、これまでさんざん政府が守る守ると言ってきた農産品の重要五品目も三割が関税撤廃になっていますけれども、どういうものが撤廃になりましたか、具体的に言ってください。(発言する者あり)
#168
○国務大臣(森山裕君) 輸入額が非常に小さいもの、あるいは国産農産品との代替性が低いもの、関税撤廃がかえって生産者のメリットになるものということであろうと思いますが、例えば牛タンとか、生きた豚といいますか品種改良等に使う豚は関税の撤廃がかえって生産者のメリットになるというふうに思っております。
 それから、輸入金額が小さいものというのは、カッサバ芋とかあるいは非処理をされたヨーグルトとか、そういうものであろうと思います。
#169
○紙智子君 調製品だとか加工品なんかも入っているんじゃないですか。いかがですか。
#170
○委員長(岸宏一君) まず、総括審議官に答えてもらいます。総括審議官、まず答えて。
#171
○政府参考人(佐藤速水君) 今回の交渉におきまして重要品目五百九十四ラインございますが、撤廃することといたしましたのは百七十四ラインでございます。このうち調製品につきましては……(発言する者あり)入っていると記憶しておりますが、ちょっと確認をいたします。
#172
○国務大臣(森山裕君) 今回の農林水産物の試算につきましては、基本的に一次産品に着目した試算となっておりますが、しかしながら、トマトの加工品とか乳製品、水産物の缶詰等につきましては、国産原料を利用した加工品、調製品が比較的多く流通をしておりますので、輸入加工品との競合関係があることから、その影響についても含めて生産額の試算を行ったところでございます。(発言する者あり)いや、だから、今申し上げたとおり、国産原料を利用した加工品、調製品が比較的多く流通しているということでございますので、試算をしたということでございます。
#173
○紙智子君 重要五品目の中の撤廃、三割撤廃した部分のほとんどは調製品ですよ。本当に輸入実績が少ない、影響が少ないと言えるのでしょうか。
 私は輸入実績を調べてみました。牛肉の調製品等が約五十八万トン、牛肉の輸入量が七十三万トンです。豚肉の調製品等は約八十五万トン、豚肉の輸入量は約百二十万トンですよ。影響すると考えるのが当たり前じゃないでしょうか。なぜこれを影響試算に入れていないのか、入っていないんですか、まず。
#174
○国務大臣(森山裕君) 例えば、ハム、ソーセージにつきましては、国産品の主な原料が輸入の冷凍豚肉であることから今回の試算には含まれておりませんが、先ほど申し上げましたとおり、トマトの加工品とか乳製品とか水産物の缶詰等につきましては、国産原料を利用した加工品、調製品が比較的多く流通をしておることから試算を行っているということでございます。
#175
○紙智子君 試算の中に入れているのかと聞いたんです。
#176
○政府参考人(佐藤速水君) お答え申し上げます。
 ただいま森山大臣が答弁いたしましたトマト加工品、乳製品、水産物の缶詰等につきましては、今回の試算に含めております。
#177
○紙智子君 入れてないんですよ、結局、試算に調製品は。今言ったところだけですよ、入れているのは。
 それで、加熱したり衣を付けたものは調製品になるわけです。例えば豚肉に衣を付けて輸入すれば豚カツですけれども、これ調製品です。合意内容を見ていきますと、豚カツの関税は二〇%から〇%に撤廃されます。安い豚カツが入ってきたら、国産の豚肉が輸入される調製品に置き換わると、国産に打撃を与えることになります。
 私、横浜の検疫所に行ってきましたけれども、輸入食品で衣を付けた調製品が入ってきているのを見ました。これがもっと大量に入ってくることになれば、それこそ、国産の原材料を加工したり商品価値を付けたり、ほかの分野と連携して販売を進めていく六次産業化に取り組もうと頑張っているところにも影響を与えることになるんですよ。
 だから、影響は小さいどころか大きな影響を与えると。調製品も含めてこれ全部試算を出すべきだと思いますけれども、総理、いかがですか。
#178
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この三十三品目を対象として影響評価を行ったのは、TPP協定の経済効果分析において、農林水産物については関税など国境措置が撤廃された場合に国内生産への影響が大きいと考えられるものとして行ったのでございます。
 具体的には、関税率が一〇%以上で、かつ国内生産額が十億円以上である三十三品目について生産額への影響評価を行ったところでありますが、これはTPP交渉前の平成二十五年三月の試算と同じ考え方に基づくものであり、比較可能性の観点から見ても妥当なものと考えておりますし、また三十三品目以外の品目は、関税率が元々低かったり用途が限定的で輸入品との競合が少なかったりするものであります。
 昨年十一月に行われた定性的な分析においても、特段の影響は見込み難い、又は影響が限定的と見込まれると評価されているわけでございまして、このため、三十三品目を対象として試算を行ったことが恣意的で実態に合わないとの御指摘は当たらないと考えております。
#179
○紙智子君 影響は低くないです。それで、やっぱりちゃんとこれを全部試算に入れるべきだと、そうじゃなかったら納得できないということですよ。
 もう一つ、ちょっと表の下の方を見てほしいんですけれども、これはJA長野中央会が試算した十九品目以外の生産減少額の一部です。
 そこに品目あるように、全部これ合計しますと産出額は五百三十七億二千二百万円ということになっていて、中央会が試算したやつは減少の影響は七十四億九千万円と。その黄色いラインのところを見てほしいんですけど、ブドウ、ブドウは季節ごとに関税が違うんですけど、これは即時撤廃ですよ。そうしたら、産出額は今百四十五億九千五百万円だけれども、影響額で減少は三十九億二千六百万円ですよ。非常に大きい、一つの県だけでもこれだけ大きな影響があるのに、これは国の試算には全く反映されていないわけですよ。
 こういうのも含めてやっぱりちゃんと反映させるべきじゃないですか。
#180
○国務大臣(森山裕君) JA長野グループが長野県の農林水産業に及ぼす影響額を公表したことは承知をしております。このような試算は、前提条件、分析手法やデータの取り方等によって結果は変わり得るものであると考えております。
 例えば果樹について、生果、果汁にかかわらず、関税撤廃による価格低下、生産量の減少が生じ、約三割から四割生産が減少しているとしておりますが、これらの点については、国産品と外国産品の品質格差などの流通実態が十分考慮されていない面があるのではないかと考えております。
 いずれにしても、今後とも各地域に対して合意内容を丁寧に説明を申し上げて、政策大綱に基づく万全の措置を講ずることにより、農林水産業者の不安や懸念を解消することに努力をしてまいりたいと思います。
 また、先生御指摘の長野県においてもブドウについて試算をしておりますが、県産品と輸入品は品質格差が大きく、現状でも二倍から十五倍の価格差があっても県産品への需要が強いことから、輸入品とは競合せず、生産減少額は約四億円と試算をしているところであります。
#181
○紙智子君 とにかく、政府のやった試算を信用していないですよ。何よりも、十九品目についても政府の言うことを丸ごと信じることはできないと、自治体で今自分たちで次々と計算していますよ。それで……
#182
○委員長(岸宏一君) 時間ですから、簡潔にまとめてください。
#183
○紙智子君 明日は、そういう意味では、TPPの関連法案などを閣議決定するということ自身がこんなでたらめの計算やったままでやることは許されないと、これはもう是非中止していただきたいということを強く申し上げて、質問を終わらせていただきます。
#184
○委員長(岸宏一君) 以上で紙智子さんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#185
○委員長(岸宏一君) 次に、東徹君の質疑を行います。東徹君。
#186
○東徹君 おおさか維新の会の東徹でございます。
 おおさか維新の会、我々がしっかりと取り組んでいかなければならない事項として、非常に財政状況が厳しく、これから社会保障費がやっぱり年々上がっていく、そんな中でありますから、国民の皆さん方からいただいた貴重な税金、この貴重な税金の使われ方を厳しくチェックしていく。厳しくチェックしていこうと思えば、やはり自分たちも厳しく、企業・団体献金は受け取っていかない、身を切る改革を是非実行していく、そういったことで今年から実行いたしております。
 そしてもう一つは、業界団体の既得権を守るのではなくて、常に公平公正、国民目線で政治と行政が公平公正に行われているのか、この点を厳しくチェックをしていかなきゃならないというふうに思っております。
 そんな中で、今日は幾つか質問をさせていただきたいと思いますが、少し、ちょっと順番を変えさせていただきまして、まず最初に、石油コンビナート事業再編・強靱化等推進事業等について、このことから質問をさせていただきたいと思います。
 石油コンビナート事業再編・強靱化等推進事業についてでありますが、この事業は平成二十八年度予算で百三十億円付いておりまして、石油精製所の耐震化、それから石油業界の再編などに使われております。
 このうち、業界の再編については、千葉県の京葉コンビナートに隣接する二つの製油所をパイプラインでつないで統合させようというものでありますが、東燃ゼネラル石油とコスモ石油という、それぞれ資本金、東燃ゼネラル石油が三百五十一億円、それからコスモ石油一千六百七十二億円という超大企業でありまして、この超大企業の再編に税金を使っていくということになるわけですけれども、本来、こういったことは自分たちの努力で再編していくべきというふうに考えますし、また、超大企業でありますから、こういったことは自分たちで当然実行できるものというふうに考えておるんですが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#187
○国務大臣(林幹雄君) 石油コンビナート事業再編・強靱化等推進事業では、巨大地震の発生時に石油の供給を速やかに回復できる強靱な石油サプライチェーンの構築、また製油所や石油化学工場の連携による設備の共用化など、企業単体の取組を超えた、コンビナート全体での生産性向上という政策目的を実現する投資を支援しておりまして、事業目的に沿った取組であれば企業規模の大小にかかわらず採択することとしているところであります。
 国内の石油需要が減少していく厳しい経営環境の中では、巨大地震を想定した強靱な石油サプライチェーンの構築のような公益性はあるが収益につながらない案件や、製油所や石油化学工場の設備共用化などの企業間調整が困難な案件については、企業規模の大小にかかわらず自発的な投資が十分には進みにくいものでございます。
 そもそも、石油コンビナートに立地する製油所や化学工場の事業主体は主に大企業でございます。このため、大企業であることをもって支援の対象外とすれば、石油サプライチェーンの強靱化などの公益性の高い政策目的も達成できなくなると考えております。
 このため、こうした支援を通じて、企業規模の大小を問わず、政策目的に沿う投資を促していくことが必要だというふうに考えているところでございます。
#188
○東徹君 超大企業であるならば、まずやっぱり自分たちでやっていくべきというふうに仕向けていくのがまず本来なのかなというふうに思うわけでありますが、この石油コンビナート事業の再編・強靱化等推進事業でありますが、補助金事業が平成二十七年度から一つにまとめられたものであります。
 これは、今日、パネルを用意させていただいております。(資料提示)ちょっとこのパネルを見て御説明をさせていただきたいと思うんですけれども、これは行政事業レビューシートを基に作成をさせていただきました。平成二十六年度に執行された又は平成二十七年度に繰り越された各事業について、補助金の執行団体として石油連盟等が間に入って実際に製油所の耐震化などを行う石油精製業者等に補助金が支払われております。その結果、業務管理費等として執行団体である石油連盟に六千四百万円、そして石油コンビナート高度統合運営技術研究組合、略称RINGと言うらしいんですが、これに二億円というものが支払われております。
 しかしながら、この事業を行う上で国と石油精製業者の間に石油連盟等を入れなければならないという必要性というものは全く感じられません。そして、むしろ補助金を受ける側の石油精製業者が補助金を出す側の石油連盟等の構成員であって、補助金を出す側と補助金を受ける側とがこれ完全に一致してしまっているわけですね。これはもう公平公正とは言い難いと思います。
 執行団体の選び方も、公募しているとはいえども、手を挙げたのは当初から石油連盟等のみということで一者入札ということになっております。
 また、この石油連盟には二名、そしてRING、先ほど言いました石油コンビナート高度統合運営技術研究組合でありますけれども、ここには一名の経済産業省のOBの方が天下っているということで、こういう事業の進め方、これはもう外形的に見て公平公正とは言えないというふうに思うんですが、この点についてどう思われますか。
#189
○国務大臣(林幹雄君) ただいま指摘されました本補助事業は、先ほども答弁いたしましたように大企業支援を目的にしているわけではございませんで、巨大地震発生時にも石油を速やかに供給回復し得る強靱な石油サプライチェーンの構築、また、貴重な資源である石油の更なる有効利用という政策目的の実現を目指すものでございます。国内の石油需要が減少していく厳しい経営環境の中、本補助事業により民間企業による政策目的に沿った投資を促しているわけであります。
 本補助事業の執行団体については広く公募しており、例えば民間シンクタンクなども公募は可能でございます。石油連盟やRING組合のみを執行団体として念頭に置いているとの指摘は当たらないところでございます。
 本補助事業の執行団体に経済産業省OBが在籍しているのは事実でございまして、これは団体にとって有為な人材を求めた結果でありまして、本補助事業の執行とは無関係でございます。
 石油連盟は我が国の石油会社により構成されている任意の民間団体でございまして、その組織のありようは団体内部において検討をされるべきものでありまして、政府として指導する性質のものではないと考えます。
 いずれにしても、本補助事業をめぐって不適切な事態が生じているとは考えておりません。
#190
○東徹君 これ、もう一度言いますけれども、経済産業省から石油精製業者等に補助金を出すに当たって、間にこの石油連盟というのが入るんですね。別にこの石油連盟というのを通さなくても、補助事業というのは可能だと思うんです。これ、公募で石油連盟を選んだというんですけれども、これ最初から石油連盟しか手を挙げないということを恐らく分かった上でこれ公募されていると思うんですね。しかも、石油連盟には経済産業省から天下りのOBが二人もいてるということです。
 石油連盟に加盟している石油精製業者さんと、今回補助金を受け取った石油精製業者さんとが全く同じなんですね。だから、身内の人たちにお金を分配することだけを今回行ったということで、本来、もうこういったことをやめて直接経済産業省がやるとかこういったことにしないと、これ本当に不公平感というか公正とは言えないと思うんですが、もう一度お答えいただけますか。
#191
○国務大臣(林幹雄君) まず、石油コンビナート事業再編・強靱化等推進事業の執行事務は、製油所や化学工場の設備や配管の大規模改修などに対する補助金の審査、交付決定、確定検査業務を含むものでございます。このため、技術的知見の必要性、事務負担の大きさから、経済産業省による直接執行は困難であると判断し、執行団体を間に挟んだ補助金執行スキームを採用しているところでございます。行政機関のスリム化が求められていることから、経済産業省が本補助金の執行を直接担うことは困難でございまして、現行の補助金執行スキームを継続することが適当であると考えております。
 また、執行団体を選定する際には、事務の実施に必要な経営基盤を有する団体を広く公募し、先ほど申し上げました、事業遂行に必要な技術的知見や人員を備えていること等の基準の下、審査した上で選定しておりまして、特定の団体を活用することを想定していることではございません。
 また、石油連盟は石油会社で構成されている業界団体でございまして、RING組合は石油団体のほか化学、ガス等、異業種で構成される技術研究組合でございます。
#192
○東徹君 外形的に見たら、やはり今回、石油連盟に補助事業者としてやっているということは、これは経済産業省OBが天下っているところにやらせているというふうに見えるし、石油連盟を選んで、石油連盟が自分のところの精製業者にやっているということは、全く身内だけにこの補助事業をやっているというふうに見えるわけですから、ここは是非改めるべきだというふうに思います。
 もう一点挙げさせていただきますけれども、今回の石油連盟、平成二十六年に八千万円を国民政治協会の方にこれ献金をしているわけであります。国、経済産業省からは、先ほども述べましたように、石油連盟には六千四百万円の業務管理費というものが支払われております。これだけでも、天下りの問題に加えて企業献金を受けているところに、わざわざ石油連盟にお金が落ちるようになっているのではないかというふうな疑問を持ってしまうわけであります。
 政治資金規正法の関係でいえば、こういった補助金をもらっている石油連盟がですよ、本来、こういった政治資金団体、国民政治協会、これは自民党が持っている政治資金団体でありますけれども、こういったところに八千万円も寄附するということは、これは本来政治資金規正法違反になるんじゃないんですか。どなたでも結構でございます。
#193
○委員長(岸宏一君) じゃ、高市総務大臣。
#194
○国務大臣(高市早苗君) 失礼いたします。
 政治資金規正法の第二十二条の三でございますが、「国から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金の交付の決定を受けた会社その他の法人は、当該給付金の交付の決定の通知を受けた日から同日後一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならない。」となっております。
 今委員御指摘の石油連盟はこの法人格を持っていないと存じますので、対象には当たらないと思います。
#195
○東徹君 これ非常におかしなことでありまして、この石油連盟、法人格を持っていないからお金を出してもいいんですよと。それは通常もう理解できないです。
 石油連盟というのはまず法人格じゃないというんですけれども、法人格じゃなかったら、一体何なんですか、ここは。
#196
○国務大臣(高市早苗君) 政治資金規正法第二十二条の三における法人、「会社その他の法人」に当たる団体ではなく、任意団体であると承知しております。
#197
○東徹君 任意団体であって法人格ではないと。そういう法人格でもないようなところに補助事業団体として選ぶということも、これは非常にもう納得のいかないところでありまして、ここが言ってみれば百八十八億四千四百万円の事業を今回これやっているわけですよ。法人格がないところにやらすということ自体がおかしいと思いませんか。
#198
○国務大臣(林幹雄君) 政治献金に関する御質問の通告は受けていませんのでお答えは困難でありますが、補助金の執行団体の選定に当たっては、事務の実施に必要な経営基盤を有する団体を広く公募し、あらかじめ明示した事業遂行に必要な技術的知見や人員を備えていることなどの基準の下、審査された結果、石油連盟が採択されたものでありまして、事業を適切に実施する観点から必要な要件を満たしており、問題はないというふうに考えております。
#199
○東徹君 法人格もないようなところに、任意団体みたいなところにこういった大きな大規模な、百八十八億四千四百万円も掛けてやるような事業を任せるということ自体がやっぱりおかしいと思いますよ。
 もう一点、もう一点言わせていただければ、この石油連盟が法人ではないから企業・団体献金をすることができるんだと。国民政治協会、これは自民党の政治資金団体でありますけれども、ここへ出すということなんですけれども、これは法人じゃないからできるんですよというふうにおっしゃいますけれども、これ本来おかしな話であって、法人、団体と変わらないわけですから、ここは法律を改正してでもやっぱりこういったことはできないようにするべきというふうに考えますが、いかがですか。
#200
○国務大臣(高市早苗君) 私どもの立場では現行法の規定について説明を申し上げるしかないんですけれども、この政治資金規正法第二十二条の三の規定ですけれども、国との特別な関係を維持又は強固にすることを目的とした不明朗な政治活動に関する寄附を防止するという見地から、その目的を達成するに必要な限度において規制するという趣旨で設けられたと承知しています。
 任意団体も規制対象とするべきではないかという御指摘でございますけれども、この政治資金の規制の在り方につきましては、政党、その他の政治団体の政治活動の自由と密接に関連しますので、これまでも累次政治資金規正法の改正は行われてまいりましたけれども、やはり各党各会派においてまずは御議論いただくべき課題であると存じます。
#201
○東徹君 各党各会派とおっしゃるんですけれども、言ってみればこの政治資金団体、たった二つしかないんです。パネルでちょっと見ていただいたら分かると思うんですけれども、自由民主党の国民政治協会、それから民主党さんが持っておられる国民改革協議会、たったこの二つしかないんですよ。
 だから、各党各会派とおっしゃるんですけれども、これはもう言ってみれば自民党と民主党が合意すればいいだけの話になってくるんですけれども、民主党さんは、いろいろと調べてみましたけれども、余り企業・団体献金はここには何か入っているようには見受けません。なので、これは自民党だけが決断すればいい話だと思うんですが、安倍総理、いかがでしょうか。
#202
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自民党は企業・団体献金について、我々は、今まで政治活動に対する献金の在り方について長年の議論を経て、企業・団体献金については政党等に対するものに限定される、そうした種々の改革を行ってきたところでございまして、許してはならないのはお金でもって政策や政治をねじ曲げようという行為でありまして、それは個人であれ団体であれこれは同じことでありまして、その意味で、企業、団体が政党等に献金などを行うことそれ自体が自由民主党としては不適切なものとは考えていないわけでございまして。
 ただ、今御質問の点もございました。そうしたことにつきましては、いずれこれらの問題は、民主主義の費用をどのように国民が負担していくかという観点からこれは各党各会派において御議論をしていただきたいと、このように考えております。
#203
○東徹君 是非、本当に不可解な問題でありますから、恐らく高市総務大臣はよくお分かりだというふうに思うんですけれども、これは石油連盟の方に業務委託管理費が六千四百万円入っていて、一方では国民政治協会の方に寄附として八千万円入っている。国民政治協会の方から大半のお金は自由民主党の方へまたこれ寄附されているわけでありますから、これ、こう考えただけでも、国民から見たらこれはおかしいじゃないですかというふうに思うのは一般的な感覚だと思います。是非この点は改正をしていただきたいと思いますので、お願いをいたします。
 続きまして、次に租税特別措置の試験研究を行った場合の法人税額の特別控除についてお伺いいたします。
 研究開発減税についてでありますが、これ二月十四日の朝日新聞の記事ではありますが、研究開発減税の減収額、平成二十六年度で六千七百四十六億円もあるんですね。非常に大きな研究開発減税になっておるわけですけれども、資本金が百億円以上の企業が八〇%以上を占めておるということで、その上位は、トヨタ自動車一千八十三億円、日産自動車二百十三億円、ホンダ二百十億円と、こういうふうに報道をされております。
 一方で、平成二十六年に、自民党の政治資金団体でありますこれまた国民政治協会でありますけれども、ここに対してどれだけの献金が出ているのかというと、先ほどの三社、トヨタは六千四百四十万円、日産は三千五百万円、ホンダは二千五百万円というふうに献金が行われているわけであります。
 このような、一方では減税をやっていって、その見返りじゃないですけれども、片一方では自民党の政治資金団体にこうやって献金を受けているということは、これも国民から見たときに、これが公平公正かといったらそんなふうには見えないと思いますね。この点についていかがでしょうか。
#204
○国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のありました研究開発税制について、減収額というのは今おっしゃるとおりですけれども、この適用件数を見ますと、全体では一万二千件、その中で中小法人の利用も延べ八千件を超えておりますので、幅広い企業に活用されているという面もあろうと存じます。
 この税制につきましては、平成二十七年度の税制改正において総額型の税額控除の限度を、当時の原則でありました法人税額の二〇%から三〇%へと上乗せをする特例が期限を迎えておりましたので、一般の研究開発の上限枠を二五%に抑制するなどの見直しを行って約一千百四十億円の減収というか財源を確保させていただきつつ、質の高い研究開発に支援の重点をシフトする見直しを行わさせていただいております。
 今後の対応ですけれども、現時点で特別なというか具体的なアイデアがあるわけではありませんが、政策効果などについて、これは各省庁とよく議論をせないかぬところだと思っておりますので、効果につきまして。したがって、二十八年度末に期限が到来する増加型とか高水準型のほか総額型も含めまして、研究開発税制の全般にわたりまして、私どもとしては様々な観点から検討を行ってまいりたいと考えております。
#205
○東徹君 私の質問は、研究開発の減税の効果どうこうを質問しているんではないんです。仮に効果があったとしても、こういった形で自民党のところに献金をしていること自体がおかしくないですかと。一方では減税しておいて、一方では自民党の方へ献金しているのでは、これはちょっと公正性に欠けるでしょうというところを指摘させていただいているんですけれども、この点についてどうなんですかとお聞きしているんです。
#206
○国務大臣(麻生太郎君) 御存じのように、これは政治資金規正法の話で、これは総務省の所管なんで、大臣おられるのにちょっといかがなものかとは思いますが。
 企業・団体献金の在り方については、もう先ほど、これは各党で議論をいたすべき事柄なんだと考えておりますが、これは御存じのように、補助金は、予算の範囲内で、政府の側がいわゆる能動的に主導的にその交付をする先やら交付額というものを決定するというのは御存じのとおりですけれども、これは、租税特別措置の場合というのは、これは補助金ではありませんので、基本的に法令で定める要件を満たす全ての企業というものがその対象と、利用できるということになろうかということです。
 また、適用を受ける企業も政府が決定するものではありませんので、そういった面から、これは両者は同一にちょっと考えるというわけにはいかぬので、これはいわゆる、何というの、補助金と租特というものに関しましては、名前を出すとかいろんな話になってまいりますけど、そこらのところに関しましては、これまでの議論の経緯は御存じのとおりなんで、その点の説明は省かさせていただきます。
#207
○東徹君 私は、麻生大臣にお聞きしているわけではなくて、このことは。このことは政治資金の話をお聞きしているわけです。
 これは、先ほども言いましたように、トヨタ自動車では一千八十三億円、日産自動車では二百十三億円、ホンダでは二百十億円、言ってみればそれだけの減税をしておるわけです、減税をしておるわけです。減税をしてこれが効果が上がる、それはそれでいいかもしれません、いいかもしれません。それはいいとして、一方で、そういったところから減税するイコールお金を出しているのと実際には変わらない、同じだと思うんですね。
 一方では、こういった政治資金団体、国民政治協会の方に献金をしているというのは、これはおかしいでしょうということを聞いているので、これはもう安倍総理か高市総務大臣か、お答えいただきたいと思うんですけれども。
#208
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、補助金というのは先ほど財務大臣から答弁させていただいたとおりでございます。まさに、そういう補助金を出す相手であるかどうかということを政府が決めて税金を支出をしていくわけでございますが、一方、政策減税につきましては、まさに研究開発であれば、言わば物づくりの力、研究開発していく力こそ我が国の国力であると、そういう分野に企業はもっと設備投資してくださいねということで、言わば減税を行うわけでございます。実際にそれは研究を行い、あるいは設備投資を行うことに対する減税でありますから、これはお金をもらうのではなくて、実際に企業はそれ支出をするんですね。支出をして、その一部を払っている法人税の中から減免しようということなんだろうと思います。
 そのことと我々が政治に掛かるコストとして御協力をいただいていることとは、全くこれは関わりがないことでございまして、言わば、企業あるいは団体は、自分たちが目指す国づくりあるいは経済をどのように活性化させていくかという考え方に近い、あるいは自分たちが共有できる政策を進めている政党にそれぞれ判断で政治資金を出しているんだろうと、こう思う次第でございまして、それが見返り関係になっているということでは全くないということは申し上げておきたいと思います。
#209
○東徹君 じゃ、続けてもう一つ質問させていただきたいと思います。
 租税特別措置の中に保険会社等の異常危険準備金というのがありまして、これは、損害保険会社とか損害共済事業を行う特定の協同組合等が異常災害損失の補填に充てるために、正味収入保険料又は正味収入共済掛金の額に一定の積立金を乗じて計算した金額を準備金として積み立てたときは当該積立額の損金算入ができると、こういう制度になっておるわけでありますけれども、これなんですが、平成二十六年度の全体の減収額は三百九十九億円というふうに試算されておりまして、そのうち資本金百億円を超える保険会社十七社に対する減収額は二百五十億円程度ということが推測されるわけでして、言ってみれば資本金百億円超え、そういった大企業の保険会社だけが対象となるというような、だけじゃないんですけれども、大半が対象となるような事業であります。
 この措置はそもそも保険会社という特定の業界を対象としておりまして、かなり前からこれやっておるわけですけれども、これは恐らく業界団体から要望が来ていると思います、要望が来ていると思います。これを更に更に続けてくれということで、業界団体からこういった要望はあるはずです。そういった中で、これ、どうなんですかということをちょっと、まずお聞きしたいんですけれども。
#210
○国務大臣(麻生太郎君) この御指摘のありました制度という、租税特別措置に当たりますのは、保険会社等々、損害保険なんですけれども、これは台風などの主に自然災害の状況によって保険金の支払が特に多くなる年とか、そうじゃない年とかいろいろありますので、その備えとして毎年度保険収入の一部を準備金として積み立てておられると、それを法人税の計算上、損金算入するということを認めるというのがこの制度の主な背景であります。
 この租特は昭和二十八年に創設をされて以降、約六十年経過しているのは事実でありますけれども、これは台風などの損害によって保険金の支払が多くなる年度がよく出てきているのは御存じのとおりで、これは引き続き必要であると考えておりますので、特にこれは長く続いているからいかぬというような種類のものではないのではないかと思っております。
 平均すると、今年、このところずっと一兆円を超えるほどのものが三、四年続いておりますが、そういった意味では、必要性や政策効果というものを見極めつつ見直しを行っていくべきだと思っておりますが、今後とも、この風水害というものはなかなか今の時代特に予測はしにくいものでありますので、こういったものをきちんと持っておきませんと、準備金というものはかなりこのところ減ってきておりますので、そういった意味ではきちんと対応しておく必要があろうかと存じます。
#211
○東徹君 これ、確かに長年やってきている話ではあるんですが、この資本金百億円超える企業、十七社ということで、もうこれは大体特定されてくるわけでありますけれども、この措置の対象となった資本金百億円超える企業の、具体的に言いますと、東京海上日動が一千七百六十四万円、それから三井住友海上が一千二百十万円など、少なくとも平成二十六年に五千四百五十万円が国民政治協会に献金されているわけですね。
 これ、業界団体からの要望があるはずです、要望があるはずです、恐らく。その要望があったからどうこうというわけじゃありませんけれども、国民目線から見たときには、そういったところに対して献金を受けているというのは、これは何らかの利害関係が行われているというふうに取られてもおかしくないわけでありまして、ここは是非、こういったことはもう続けるべきじゃないんじゃないですかということを御質問させていただきたいんですけど。
#212
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この異常危険準備金ですか。異常危険準備金のこの仕組みがなぜ必要かということについては財務大臣からお答えをさせていただきました。つまり、これは必要であるからこそこういう仕組みを続けているわけでございます。
 一方、保険会社と国民政治協会との関係についてでございますが、これは必要があるから行っているということにすぎないわけでございまして、保険会社から、これをやってくれればこういう、この献金をするという話は、これは一切ないわけでございまして、これを、こうした政策をするかしないかということについては、そうした献金に我々左右されることはないということは申し上げておきたいと、こう思う次第でございまして、そうした企業あるいは団体が私どもの政策に共感をしていただいて、我々の政治をまさに資金の面で援助していただく、この政治のコストを分かち合うという観点から支援をしていただいていることは大変有り難いことではございますが、そうした献金において我々が政策を左右するということはないということははっきりさせておきたいと思います。
#213
○東徹君 国民から見たときに、もう本当にこれが公正に行われておるというふうに見えるのかどうかという政治の信頼、こういうものを取り戻さなきゃいけないというふうに思っていまして、だからこういった質問をさせていただいているわけでありますけれども、これ、国民政治協会、こういった政治資金団体、こういったものがあるから余計にこれ迂回献金になっていて、これも非常に何かややこしい仕組みになっておるわけでして、こういった国民政治協会、これ、自民党と民主党さん、実際には自民党さんだけですけれども、これ、もうなくしたらいいんじゃないですか。
#214
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、要は透明性ということにおいては、言わばこの資料を出されたということは、しっかりと透明性が確保されているからこそこれは直ちに明らかになるわけでございます。
 大切なことは、透明性をしっかりと確保しているということと、お金によって政治が左右されてはならないということではないかと。これは団体であれ個人であれ同じなんだろうと、こう思うわけでありまして、例えば会社の社長さんが自分のお金として出して政策を依頼すれば、これはもう悪いわけでございまして、そういうことなしに、団体がこれはただ政治活動を支援しようという趣旨で出しているのであれば、これは問題ないと。言わば、団体であろうと個人であろうと、お金でもって政策を左右、ねじ曲げることがあってはならないと、このように考えております。
#215
○東徹君 だから、さっきも申していますように、これは政党支部が企業・団体献金今受けられるわけですから、だったらこの政治資金団体要らないですよ。要りません。これはもう迂回献金のためにつくっているようにしか思えないわけでありまして、我々おおさか維新の会は、もう時間が来ましたのでこれで質問はやめさせていただきますけれども、国民目線で皆さんからいただいた貴重な税金をしっかりと厳しくチェックしていく、そしてまた業界団体のためではなくて国民目線でしっかり改革をしていく、そういったことを是非申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#216
○委員長(岸宏一君) 以上で東徹君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#217
○委員長(岸宏一君) 次に、川田龍平君の質疑を行います。川田龍平君。
#218
○川田龍平君 維新の党の川田龍平です。
 今日は、経済・財政等についての質問をさせていただきます。
 安倍総理は、所信表明演説において、一億総活躍の最も根源的な課題は、人口減少課題に立ち向かうこと、そして希望出生率一・八の実現を目指しますということを述べられております。麻生大臣も、少子高齢化という構造的課題に真正面から取り組んでまいりますということもおっしゃっております。
 そこで、私は、子供の命を守り育てていく政策について、具体的な提案も含めて、総理並びに関係大臣に質問いたします。時間に限りがありますので、簡潔な答弁をお願いいたします。
 保育園落ちた日本死ねと題したブログが注目を集めています。安心して子供を預ける仕組みが今のところ本当に不十分で不足しています。一方で、資格を持っているにもかかわらず保育士として働けていない、働いていない潜在保育士は全国で六十万人以上と言われています。現場に復帰できていない理由の一つには、保育所での仕事が長時間労働という声、もちろん処遇の問題もあります。一方で、短時間でも自宅にベビーシッターが欲しいとのお母さんたちの声を私は聞いております。
 そこで、私は、この潜在保育士を掘り起こして、高い質が担保されたベビーシッターを国の負担で自治体が派遣する仕組みを提案したいと思いますが、厚労大臣の所見を伺います。
#219
○国務大臣(塩崎恭久君) 保育士確保が厳しい中で必要な保育士を確保していくために、より多くの潜在保育士の方々にベビーシッターを含めた保育の現場で活躍いただくことが重要ではないかというふうに考えておりまして、今ベビーシッターの御提言をいただきましたが、このベビーシッターについては、保育所などにおける保育を補完をし多様なニーズに応えるものであって、安全で質の高いサービスとして提供されることが重要でありまして、このため専門的な知識と技術を有する保育士がより多くその担い手となっていただくことが望ましいというふうに考えておりまして、昨年の四月から施行された子ども・子育て支援新制度において市町村の認可事業として、保育者が乳幼児の自宅において保育を行う居宅訪問型保育事業を新設しておりまして、一定の研修を受けた保育士などに担い手となっていただく仕組みとしておるわけでございます。
 こういうような形でベビーシッターを含めた保育の充実とその質の確保に取り組んでいるわけでございまして、今、国がということでございましたが、まずはこういうような形で、今できることを精いっぱいやっていくという形で人材を確保し、またサービスを確保していくことが重要かなというふうに考えておるところでございます。
#220
○川田龍平君 今のベビーシッターの制度には公的な資格制度というものがありません。ベビーシッターには、利用料が高い上に、また、一昨年もインターネットでベビーシッターを雇った方の子供が亡くなるという事件がありましたけれども、密室での虐待などの不安もあります。今、インフルエンザの治療が終わった後の自宅の待機の間の期間中なども保育園に預けられないときというのもあります。随分これはお母さんたちも、お父さんも助かるのではないかと思いますが、大臣、是非、公的のベビーシッター制度、サービスの創設を是非御検討ください。よろしくお願いいたします。
 次に、子供の貧困対策に関して伺います。
 貧困の連鎖を断ち切るには教育が重要なことは、これまでもこの委員会で何度も取り上げられてまいりましたので、言うまでもありません。とりわけ、年々値上がりをしています大学の授業料について、これが大変大きな家計への負担となっております。公立、私立、文系、理系問わず、大学の授業料を基本的にこれ無償化すべきではないでしょうか。
 私はドイツの大学に留学をしていたときが一時期ありますが、軽減税率ですとか様々な、軽減とは言えず据置きですけれども、こういう税額の問題、間接税のことを言うときにヨーロッパを引き合いに出す割には、ヨーロッパの大学は無償で大学の授業を受けられます。そういった意味では、是非、ヨーロッパを税率において取り上げるのであれば、教育についてもやっぱりヨーロッパを参考にすべきではないかと私は思っています。
 また、高校や大学受験を迎える中三や高三の子供の家庭というのも、一年間大変大きな塾代なども出しているということで、家計を、大変教育に掛ける費用が掛かります。是非こういった塾代なども、大阪市が先行して塾代を出すということをしていますけれども、一部を出すということをしていますが、これについても国が負担すべきではないかと考えますが、文科大臣の見解を伺います。
#221
○国務大臣(馳浩君) 子供たちの未来が家庭の経済状況によって左右されるようなことがあってはならないと考えております。
 学習塾に掛かる経費をクーポン券等で直接個人に助成をすることや大学の授業料無償化については、財源の確保や受益者負担の在り方などから慎重な検討が必要であると考えております。
 文科省としては、来年度予算において、地域未来塾の実施、あるいは無利子奨学金や授業料減免を拡大するとともに、所得連動返還型奨学金制度の導入に向けた制度設計などを盛り込んでおります。これらの取組を通じて、今後とも、家庭の経済状況にかかわらず誰もがいつでも希望する質の高い教育を受けられる社会の実現に向けて取り組んでまいります。
#222
○川田龍平君 是非、こういった大胆な政策の転換を行わなければ、出生率の一・八の実現というのは難しいのではないかと思います。子供一人につき一千万円の現金給付という話も、提言もあるくらいですが、私は現物給付がやはり望ましいと考えますので、是非、教育にお金を是非使っていただきたいと思います。
 特に、老後の不安、医療やそして社会保障、そして教育について不安があるために、税金が上がることについてもやはり抵抗がある。そこに税金が取られても社会保障の面がしっかり整備されているのであれば、それは喜んで払うという人もいると思います。そういった意味では、税制の軽減措置というよりも、やはりこれから掛かるべきお金をしっかり税でもって負担できるようにしていくということが必要ではないかと思っています。
 次に、今なお残る事実婚や未婚の母の子供への差別の解消について伺います。
 長年の課題でありました婚外子の相続差別については二〇一三年の民法改正で解消されたところですが、共同親権や氏の承継など、まだまだ差別は残っています。未婚の母も税制上の寡婦控除の対象として保育料などの減免を行うべきと考えますが、財務大臣、厚労大臣の見解を求めます。
 そして、厚労大臣には、事実婚のカップルにも不妊治療への補助を検討すべきではないでしょうか。
#223
○国務大臣(麻生太郎君) この寡婦控除の話は、もう御存じのように、夫との死別、離婚でしたっけね、それから、等々、家族の生計を支えていなければならない者に対して税制上の配慮を行うということでありまして、いわゆる未婚の母には適用されておりません。
 お尋ねの、今、寡婦控除につきましては、これ、平成二十八年度の税制改正において、この大綱において、家族のいわゆる関わり方とか家族の在り方に関する事柄でもありますので、他の控除、例えば配偶者控除とか扶養控除とかいろいろありますけれども、こういったものとの関係にもよく留意しながら、夫との死別とか離婚とかいうものの事情に基づく配慮という制度の趣旨というものを踏まえていきますと、所得税のいわゆるいろいろな控除の在り方の議論の中でこれは検討を行うということにいたしておりますけれども、今、与党においてこれは検討の内容を、いろいろやっておられますので、その内容を注視しながら必要な検討を今後行ってまいりたいと考えておりまして、今の段階ではもう今申し上げたとおりです。
#224
○国務大臣(塩崎恭久君) 未婚の母の税制上の扱いについては、今財務大臣から御答弁があったとおり、家族の在り方や他の控除との関係、それから所得税の諸控除の在り方の中で議論をしていくんだろうというふうに思います。未婚の母に係る問題というのはやはり家族の根本でありますので、そういうふうなことで考えていくべきだと思います。
 一方で、不妊治療への助成のお話がございました。
 これは、現行制度では、法律上の婚姻をしている夫婦を対象として助成を行っているわけでございますが、事実婚を対象とすることについて当然御議論があるわけでございます。これは産婦人科学会も、平成二十六年の六月に倫理指針の内容を見直しまして、事実婚の者に対する体外受精を認めるということにしたところでございまして、私どもとしては、社会情勢の変化による家族の在り方を踏まえながら検討をしていくべきではないかというふうに考えております。
#225
○川田龍平君 この徹底した未婚のカップルに対する支援をすることで、出生率を二にまでに回復させたフランスをやっぱり是非見習うべきではないかと思いますので、是非支援を御検討ください。
 次に、原発事故に伴う放射線被害に関する丸川大臣の、一か月前になりますけれども、許し難い、まあ撤回はされましたが、発言について伺います。
 二月七日の長野県の松本市での年間一ミリシーベルトに根拠はないとの発言は撤回して、放射線に関し不安を抱えている国民に謝罪をされましたが、現存被曝状況下での参考値としての一ミリシーベルトについても、科学的根拠がないと丸川大臣は今でもお考えでしょうか。
#226
○国務大臣(丸川珠代君) まずもって、先生御指摘いただきましたように、発言については撤回をさせていただきましたし、福島の皆様に御不安を与えたことは大変申し訳ないと思っております。
 その上で、私が申し上げた科学的根拠がないというのは、統計学的な分析を行った疫学調査等の客観的な裏付けがあるかどうかという点について申し上げたのでございまして、もう先生よく御承知だと思いますけど、ICRPは放射線防護の考え方を示して、その中で目安を示しているということは専門家の間での共通の理解ではないかと思っております。
 専門家、科学的に議論をしたという意味においては科学的であろうかと思います。
#227
○川田龍平君 この放射線に対する考え方というのは、本当にこれはいまだに不安を感じている人たちがたくさんいらっしゃいます。これが科学的か非科学的かということももちろん重要ですけれども、二日の小川委員への答弁で大臣は、この反放射能派とは福島で被災をされて放射線に対して不安を抱えていらっしゃる方々のことではないと言いました。
 では、この福島県外において事故の初期にヨウ素に被曝した子供たちの健康を案じるお母さんたちのことを大臣は反放射能派と今でもお考えなのでしょうか。
#228
○国務大臣(丸川珠代君) 放射能に対する予備知識がない中で被災された皆様方が不安を感じるのは、これは当然のことだと思いますので、私の発言は、少なくとも福島を含めてそういう現場で被災をされた皆様方を指して申し上げているわけではございません。
 私の発言の趣旨というのは、当時の社会においてゼロリスクでなければ受け入れられないというような、合理的な議論には耳を傾けないといった考え方に世論が引きずられていたということを申し上げたものでございまして、いずれにしても、これも撤回をさせていただいた発言でございます。
 なお、福島県外で被災された方への健康調査の必要性については、国際機関であるWHOやUNSCEARの報告書においてもその必要性が指摘をされていないことは先生も御承知かと思います。
#229
○川田龍平君 これは、放射能が飛散する状況というのは、県境でこれが状況が違うということではなくて、これは福島県から、隣接している地域、それから関東地方にもこれ及んでいるわけです。そういった意味では、この放射線に対する考え方を、福島だけではないんですね。この福島の方たちだけにこれ謝ったということですけれども、それでよろしいんでしょうか。
#230
○国務大臣(丸川珠代君) 福島県に関する発言を撤回して、その件について御不安を覚えた方には謝罪を申し上げました。
#231
○川田龍平君 この福島県の子供の甲状腺検査は二巡目を迎えております。この甲状腺がんが多発をしていて、これまで百六十人以上が甲状腺がんないしがんの疑いと診断され、そのうち百十五人の子供が手術を受けました。
 この二巡目に五十一人も見付かったことについて、一巡目で見落としがあったかもと環境省はしていますが、そんないいかげんな検査だったんでしょうか、県立医大に任せておいてよろしいんでしょうか、大臣。
#232
○国務大臣(丸川珠代君) 福島県立医大とは、環境省とよくコミュニケーションを取らせていただいて、状況を把握しながらやらせていただいています。
 なお、今、多発という御指摘がございましたけれども、それは福島県の県民健康調査の検討委員会の甲状腺検査評価部会の中間取りまとめで、甲状腺検査の結果、甲状腺がんの悪性ないし悪性疑いと判定された者が甲状腺がんの罹患統計などから推定される有病率に比べて数十倍のオーダーで多いことが指摘され、その解釈については過剰診断の可能性が高いとの意見があった旨の記載を御指摘いただいているんだと理解をいたしますけれども、多発という言葉、多く発生することという理解でございますので、この中間取りまとめの表現とは異なるように誤解を受けるおそれがあることから、環境省としましては、ただいま御紹介をいたしましたように、例えば甲状腺がんの罹患統計などから推定される有病率に比べて数十倍のオーダーで多いと正確に表現することが適切だと考えております。
#233
○川田龍平君 この数十倍というのが多くないんでしょうか。
 環境省は、過剰診断で治療が必要のないがんを手術してしまったとしていますが、大事な福島や福島以外のこの子供たちの喉を必要もないのに切ったのであれば大問題ではないですか。一つ一つの症例について厚労省が調査すべきと考えますが、厚労大臣、いかがですか。
#234
○国務大臣(塩崎恭久君) がんの治療につきましては、医師が患者及び家族に対して十分な説明を行った上でガイドラインに基づき適切な診断及び治療が行われているものと承知をしておりまして、福島県における放射線の健康影響の対策などにつきましては、先ほど来お話がございますように環境省が所管をしておりますので、環境省の答弁が政府としての答弁ということになろうかというふうに思います。
#235
○川田龍平君 これ、しっかり厚労省でも取り組んでいただきたいと思います。これ、環境省がずっとやっていると、いつまでたっても厚労省は関係ないということになってしまって、厚労省がしっかり対策を取るべきだと思います。
 質問時間がなくなりましたので、実はパネルも用意していたんですけれども、(資料提示)これ、サッカーの競技場の人工芝の、ここにまかれているタイヤの、古タイヤのゴムチップですけれども、これが今アメリカでは、がんの確率が高くなるのではないかということでこれが大変大きな健康問題になってきています。
 これについては省庁が、経産大臣、環境大臣、文科大臣、厚労大臣と大変多岐にわたる省庁に関係する事案ですので、これについて是非予算委員会で次回取り上げさせていただきたいと思っております。これはもうアメリカの消費者製品安全委員会、それから環境保護局、疾病対策センターと共同で、こういった人工芝グラウンドの充填剤として使用されているゴムチップの有害性について調査を開始すると発表しました。これについてまた是非、次回質問させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#236
○委員長(岸宏一君) 以上で川田龍平君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#237
○委員長(岸宏一君) 次に、和田政宗君の質疑を行います。和田政宗君。
#238
○和田政宗君 日本の和田政宗です。
 今週十一日で東日本大震災から五年となります。宮城、岩手、福島などで被災された方々は今も懸命に復興に向け努力をしています。一方で、私たちが懸念をしているのは風化です。今日の予算委員会では復興関連の質問が出ておりますけれども、本会議での施政方針演説などに対する代表質問では、復興についての質問は与野党ともほとんどなく、野党第一党は復興について全く質問をしませんでした。私はこうした状況に危機感を持っています。
 今も沿岸に行っていただければ、復興はまだこれからなんだということを実感されるというふうに思います。私たち被災地の人々は懸命に頑張っております。そして、復興に向けて頑張る中で様々な新たな課題も出てきています。復興の課題を一つ一つ解決し、復興を成し遂げていかなくてはなりません。それが政治の責任であると考えます。
 まず、復興におけるこちらの課題を取り上げます。(資料提示)
 宮城県などの被災地沿岸では漁港の岸壁の復旧工事が行われていますが、一旦地盤沈下した場所がその後隆起をし、地盤の高さは戻ってきたのに当初計画どおり復旧工事を行ったため、明らかに岸壁が高くなり過ぎて、船の乗り降りや魚の水揚げの際に危険な場所があります。この写真も漁師さんが岸壁をやっとよじ登っている状況ですが、実際に死亡事故が起きた場所もあります。
 このように明らかに高くなり過ぎた岸壁につきまして、岸壁を削って高さを下げるなどの工事が私は必要だというふうに考えますが、どのような対処を取るのでしょうか。
#239
○国務大臣(森山裕君) 和田委員にお答えをいたします。
 東日本大震災で被災をした岸壁の復旧に当たりましては、県や市町村が地元の漁業者の意見を踏まえて整備を行っているところでありますが、地域によっては、一旦沈下した地盤がその後隆起し、岸壁の高さを見直す必要が生じていることは承知をいたしております。
 また、こうした事態に対応するため、宮城県等は、復旧工事完成前の岸壁につきましては必要に応じ岸壁の高さを引き下げて工事を行っていると承知をしております。一方、既に完成した岸壁につきまして、大幅な隆起によりその後利用に支障が生じている場合については、これまで災害復旧事業の対象となっていなかったところでありますが、昨年十一月、事業の運用見直しをさせていただきまして、本事業の対象としたところであります。これを受け、現在、宮城県等は、隆起の動向を踏まえつつ、かさ下げ工事を検討することとしております。
 農林水産省としても、必要に応じまして災害復旧事業により支援をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#240
○和田政宗君 そうしますと、大臣、確認ですけれども、このようにもう明らかに高くなり過ぎているものについては、これは、自治体などと相談して必要に応じてこれは下げる工事もする可能性があるということでよろしいでしょうか。
#241
○国務大臣(森山裕君) 委員がお示しをいただいているパネルは、たしか鮪立漁港ではないかと思いますが、ここの岸壁は実は中型船用の岸壁でございまして、中型船用の岸壁を造り、次に小型船の岸壁を造るということでございますので、新しくできます小型用の岸壁はかなり低いものになるのだろうと思います。
 また、今まで行ってまいりました工事で見直しをしなければならないものにつきましては、災害復旧事業の中で対応してまいりたいと考えております。
#242
○和田政宗君 災害復旧事業の中で対応してくださるということでありますので是非お願いをしたいわけですけれども、死亡事故がこれ起きておりますので、やはり一か所だけではなく各地でございますので、速やかにそういった対処を取っていただければというふうに思います。
 次に、被災地における巨大防潮堤について聞きます。
 これまでの政府答弁では、防潮堤は道路だけを守るのではなく、背後地の命と暮らしを守るために整備することが重要であると答弁をしています。
 こちらの資料を御覧ください。これ、気仙沼の片浜という地区ですけれども、道路だけを守る巨大防潮堤が整備されている区間があります。高さ七・二メートルの防潮堤、これを潮干狩りができたいそを埋めて海側にせり出して造っておりまして、この防潮堤が守る細い道路のすぐ背後には十メートルを超える崖があって、住居も高台にあります。しかも、この道路が、地域にこの道路しかないのであればまだしもなんですけれども、これ地図見ますと、しっかり迂回路がございます。沿岸の道路はこれ使わなくても済む状態になっています。
 なぜこれまでの政府答弁に反して道路のみを守る巨大防潮堤が造られているのでしょうか。国交大臣、お願いします。
#243
○国務大臣(石井啓一君) 防潮堤の計画につきましては、道路だけを守るのではなく町全体の安全を確保するよう、海岸管理者である県などが適切に定めております。
 今御指摘のございました気仙沼市の片浜地区におきましては、東日本大震災により以前よりあった防潮堤や背後地は大きな被害を被りましたが、既に家屋や水産加工場等が再建をされております。この水産加工を中心とした土地利用がなされている当該地区全体を守るために、今御指摘ありました背後地が道路である区間の堤防構造につきましては比較案を検討いたしました。四つの比較案でございます。
 具体的には、一つは、家屋や水産加工場のみを堤防で囲いまして、その崖の部分については道路がありますから陸閘で、陸の門扉で処理をするという案、二つ目は、家屋、水産加工場のみを堤防で囲み、道路については堤防を乗り越す形で処理をする案、三つ目は、その海岸沿いの道路全体をかさ上げをする案、四つ目が現行の案でございます。この四つの案を比較をして、現行案が経済性が優れているということ、完成後の維持管理が容易であること、道路の走行性等に優れていることから採用したというふうに承知をしております。
 背後地の命と暮らしを守るために、各地区の特性を踏まえつつ必要な防潮堤を整備することが重要であるというふうに考えております。
#244
○和田政宗君 経済性ということを申されましたけれども、これは当然、背後に崖があるわけで、全く造らないで、例えばこの防潮堤を造るにしても崖にはわせるですとか、そういった比較検討があるというわけですけれども、これが一番安かったということなんでしょうか、その辺りいかがでしょうか。
#245
○政府参考人(金尾健司君) ただいま大臣が答弁をいたしましたとおり、本防潮堤は道路だけを守るのではなく町全体の安全を確保するために整備しております。四案を比較をいたしまして、現在の計画が最もコストに優れているということで採用されたというふうに承知しております。
#246
○和田政宗君 先ほどの地図、御覧いただいたとおり、防潮堤の下半分は一部漁港の集落に掛かる部分があるかと思いますので、これは、もし地元が必要であるというような合意ができれば、それはそれで造っても、私はその合意の下であればいいのではないかというふうに思いますけど、上の部分については道路しか守っていませんし、L1対応であればこの崖で防げるわけですよね。
 それで、安価だということで、潮干狩りで地域の人が楽しんでいるところをあっさりこれ潰して、こちら側にやって道路を守るというのは、私は、美しい日本というものを推進していきたいというふうに思いますけれども、これはそういうふうになっていないというふうに思っております。
 次の、これに関連して更に申し述べたいのは、国交省などがこの被災地における防潮堤計画の基にしましたのは中央防災会議の津波の専門調査会の取りまとめや議論であるわけですけれども、その専門調査会の座長であった河田惠昭教授は、被災地で整備されている防潮堤の高さが異様に高くなったことについてこういうふうに述べております。
 明治三陸津波のシミュレーションからその最大値に設定したようだが、そんなことは専門調査会は言っていない、明治三陸津波は特別なケースで、モデルにすること自体が間違いだ、専門調査会は頻度の高い津波は防潮堤で守るという方針を示しただけだ、従来の高さで粘り強くすればいいだけのところもある、巨大堤防だけ残ってどうするんだという思いだと述べています。
 これは、お手元の資料、新聞のインタビューに答えたものですけれども、土木学会などでも河田教授は同様の発言をしております。この発言は非常に重要でして、国交省などが防潮堤計画の基にした中央防災会議の専門調査会の座長が、専門調査会で取りまとめたことと違うものが被災地にできていると述べているわけです。こんな巨大なものを整備しろとは言っていないというふうに明確に述べているわけですね。
 これは、法律に基づいて設置されている中央防災会議の専門調査会の取りまとめと違うものを国や自治体が造ってしまったということで、防潮堤計画の根幹を揺るがすものと考えますけれども、国交大臣、いかがでしょうか。
#247
○国務大臣(石井啓一君) 防潮堤につきましては、中央防災会議の専門調査会の報告を踏まえ、比較的発生頻度の高い一定程度の津波、数十年から百数十年に一回程度の津波、いわゆるL1津波に対して整備を進めていくこととしております。
 このL1津波の設定に当たっては、海岸管理者である岩手県や宮城県などが、国からの通知に基づいて、また中央防災会議の専門調査会の委員を含んで地域の津波に詳しい有識者からの意見を聞いて適切に検討しているものと承知をしてございます。また、その津波を設定して、さらに、防潮堤の高さをどう設定するかということについては、このL1津波を前提として、町の安全、ハード対策、ソフト対策の組合せ、また環境保全や市町村による町づくりの議論などを踏まえ、海岸管理者である県などが適切に定めることとなっております。
 今御指摘の、L1津波として明治三陸地震のシミュレーションを採用することが過大ではないかということかと存じますが、明治三陸津波は、実際の痕跡から見ると地震の規模に比べ津波の規模が大きくなるという、そういう意味では特殊な特性を有するものでありまして、沿岸全体で一つのシミュレーションを行うと海岸の計算値が大きく推定される、痕跡より実は大きくなる可能性がありますし、痕跡のないところは実際より大きくなる可能性があります。
 このため、岩手、宮城両県では、地域の津波に詳しい有識者の意見をお聞きをして、過大とならないように、各海岸ごとに近傍で得られた痕跡を重視してきめ細かいシミュレーションを行っているということでございまして、一律にやっているということではございません。
#248
○和田政宗君 きめ細かいシミュレーションとおっしゃいましたけれども、私はほとんどの地域調べましたけれども、綿密なシミュレーションが行われているところもありますが、行われずにこのような巨大な防潮堤が造られているところというのもございます。
 実際に、防潮堤工事が行われているところで魚の漁獲量が半分になったところもあります。関係性や因果関係は調べなくてはなりませんけれども、過去、奥尻島の防潮堤の例を見ましても、漁業に大きな影響が出ることが懸念されます。綿密なというふうにおっしゃられるのであれば、そういった影響も含めてしっかりと調査をしていただきたいというふうに思います。
 次に、消費税について聞きます。
 私はアベノミクスは全般的に成功しているというふうに考えますが、影を落としているのが消費税の五%から八%への引上げです。引上げ以後、消費は回復をしておりません。そのため、経済にも勢いが付かない状況です。
 我が党はいち早く昨年夏より消費税の一〇%引上げを延期すべきと主張してきましたけれども、世界経済の落ち込み懸念による株安の影響などを鑑みますと、一〇%に引き上げれば、消費は冷え込んでデフレに逆戻りしてしまうのではないかと考えます。絶対にデフレに戻してはなりません。それは、総理が行っているアベノミクスの強い思いでもあるはずです。
 私は、世界経済の状況、日本経済の現状を鑑みますと、この際、一〇%への増税を延期するのではなく、五%への引下げを時限で行うべきではないかと考えます。例えば、三年の時限で五%に引き下げるのであれば、外為特会の含み益などを活用すれば財源の手当てもできるはずです。そして、消費を力強いものとして、経済を強い成長路線に乗せていくべきです。総理はどのように考えますでしょうか。
#249
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 一昨年の消費税率八%への引上げによって、個人消費は二四半期連続で前年に比べ二%を超えて落ち込むなど、予想を超えた影響を及ぼしました。デフレ脱却を確かなものとするために、我々は一〇%への引上げを一年半延期し、しっかりと三本の矢の政策を進めてきたところであります。
 その結果、個人消費は二〇一四年十―十二月期には前期比プラス〇・七%となり、その後も底堅く推移してきたところであります。昨年の十―十二月期には記録的な暖冬の影響もあって落ち込んだところでございますが、八%への引上げ時と比べ、名目雇用報酬は二・八%伸び、失業率は〇・四ポイントまず改善をしているところでございまして、雇用・所得環境の改善が続く中で、個人消費も消費者マインドとともに持ち直していくことが期待されるところでございます。
 今後も、賃上げの流れを続け、雇用や所得の拡大を通じた経済の好循環を回すことによってデフレ脱却を確かなものとしていく考えでございまして、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り実施をしていく考えでございます。
#250
○和田政宗君 国民の間では、アベノミクスによって、以前に比べると景気は上向いて、雇用環境も良くなってきたとの認識があるわけですけれども、現在は、世界経済の不安定要素もありまして、日本経済はこのまま成長していくかという不安があるわけですね。消費増税、五%にむしろ下げるという提案をいたしましたけれども、アベノミクスを更に強固にしていくためには、しっかりとインフレターゲットを設定して、経済をもっと加速させていかなくてはならないというふうに考えております。
 総理は、野党であった自民党総裁時代に、政府、日銀間で政策協定を結び、インフレターゲットを設け、達成できなければ責任を取ってもらう、物価目標、インフレターゲットは三%と述べています。この発言のとおりに今こそ思い切って物価上昇率を三%を目標にして、すると名目GDPは五%ぐらいになるわけですけれども、これくらい思い切った目標を掲げるべきではないかと考えます。GDP六百兆円の達成は二〇二〇年頃と総理はおっしゃいますけれども、総理の自民党総裁任期はひとまず二〇一八年九月までです。これまでに、GDP六百兆円を達成させる、アベノミクスでしっかり手を打っていけば、それくらいのことはできるというふうに思っております。
 GDP六百兆円を総裁任期中に達成、そのためにインフレターゲットを三%、これぐらい思い切った目標を掲げて強い経済をつくっていくべきと考えますが、総理はいかがでしょうか。
#251
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 非常に力強い御質問をいただいたところでございますが、名目GDP六百兆円の達成というのは二〇二〇年頃、二〇二〇年ではなくて二〇二〇年頃というものを目標にしているところでございますが、なかなか現下の状況を見てみますと、それを一八年に前倒しするのは、これはなかなかそう簡単なことではないと、このように思っておりますし、経済でございますから私の総裁の任期にリンクさせるのもいかがなものかと、こう思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、しっかりと三本の矢を放っていきながら達成していきたいと、二〇二〇年頃六百兆円、名目GDPを達成していきたいと考えております。
#252
○和田政宗君 それでは、最後に大学生に対する給付型奨学金について聞きます。
 昨年四月の参議院予算委員会で、私が給付型奨学金を創設すべきだと質問したのに対して、下村文部科学大臣は創設に着手したいと答弁しました。文科大臣が国会において給付型奨学金の創設を明言した初の答弁でありまして、野党議員である私の質問に対して明言されるというのは本当に英断だったというふうに思います。
 下村前文科大臣は奨学金で学校に通われた、御苦労された、そういった経験から前大臣の強い思いが詰まっているものであるというふうに思います。そして、馳文科大臣も高校の先生であった御経験もありまして、この給付型奨学金については熱い思いを持っていらっしゃると聞いております。
 大学生に対する給付型奨学金の創設若しくは授業料の無料化という形も検討されているようですが、いつからやるんでしょうか。
#253
○国務大臣(馳浩君) 平成二十七年十月から、省内に子供の貧困対策推進チームを設けて、財源の確保、また対象者の選定、給付の在り方を含めて、給付型奨学金の導入等の高等教育段階の経済的支援の在り方について検討を行っているところであります。
#254
○和田政宗君 これは前大臣が明言をされて、文科省内、これ様々財源の問題等があるんだというふうに思いますけれども、これは今、与野党でも議題に上がっている問題でありまして、これは是非、安倍政権のうちに実現をしていただければというふうに思います。
 時間ですので、終わります。
#255
○委員長(岸宏一君) 以上で和田政宗君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#256
○委員長(岸宏一君) 次に、山田太郎君の質疑を行います。山田太郎君。
#257
○山田太郎君 日本を元気にする会・無所属会の山田太郎でございます。
 今日は、表現の自由、表現の自由は文化と経済に大きな効果があると思っています。そういった観点で少し質疑していきたいと思います。
 実は、二月の十四日に、表現の自由が大事だというふうに思いまして、日本を元気にする会と別に表現の自由を守る党というのを実は設立しました。政治団体であります。憲法二十一条が非常に国会の中でも議論されるようになりまして、これは重要だというふうに思って立ち上げたものであります。
 党員に当たるサポーターが毎日百五十名ほど登録しておりまして、まだ半月しかたっておらぬのですけれども、四千六百名ぐらい集まっており、非常に国民の皆さんの、特に若い人たちの期待が大きいんだなということを改めて感じております。
 まず、そういった意味でも、最近の話題ですとアップルとFBI、携帯電話のロックの解除を求めるということで少しニュースになっている辺り、日本はどうなのかというところを最初に入っていきたいと思っています。
 まず、通信の秘密。憲法第二十一条にも、「通信の秘密は、これを侵してはならない。」と、こういうふうにあるわけでありますが、法制局長官にお伺いしたいと思います。
 電話や郵便だけではなくて、メールなども憲法二十一条が保障する通信の秘密の対象となり得るということでよいのかどうか。多分、憲法を作られたときにはメールというのはなかったということでありますから、時代的要請としてこれは確認しておく必要があるかと思っておりますので、法制局長官、簡単で結構です、お願いします。
#258
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 憲法第二十一条第二項後段の「通信の秘密」とは、手紙、はがき、電報、電話など全ての方法による通信の秘密をいうと一般に解されておりまして、通信手段としての電子メールもこの通信の秘密の保護の対象になると考えられております。
#259
○山田太郎君 多分、これ法制局ともやり取り以前にしているんですけれども、戦後初めての解釈になったということだと思いますけれども。
 では、例えば手紙などでいえば、郵便法等で開封するまでが一連の通信と考えて、憲法で保障するところの秘密の対象になっているということであります。うかつに手紙を開けると、信書でありますから、これ実は刑法で裁かれるということにもなりかねません。であれば、メールについても、PC上にダウンロードされて未開封であれば、まだこれは相手に届いたとは言いにくいわけでありまして、これは通信中であり通信の秘密の範囲が及ぶと考えてよろしいのかどうか、この辺りは総務大臣、よろしくお願いします。
#260
○国務大臣(高市早苗君) 電気通信事業法第四条第一項は、「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。」と規定しています。
 ですから、利用者の端末に残っているメールにつきましては、もう既に利用者がメールを受信した後でありまして、電気通信事業者の管理支配下にないと考えられますことから、電気通信事業者の取扱中に係るものではないため、同法第四条第一項に規定する「通信の秘密」には該当いたしません。
#261
○山田太郎君 ただ、それは電気通信者が見てはいけないという法律でありまして、公権力としての国、国家がそれを開封していいかどうかというのは憲法の要請という場合もあります。
 電気通信事業法はあくまでも通信中のものだというのは理解はしているんですが、届いた後というものも、信書、手紙に比べ合わせれば、私は開けるまではその範疇内に入るのではないかというふうに思いますが、もう一度、総務大臣、いかがですか。
#262
○国務大臣(高市早苗君) 先ほど答弁申し上げましたとおり、電気通信事業法におきましては、第四条第一項におきましては、やはりこれは、電気通信事業者の管理支配下にない状態になった未開封のメールについては、通信の秘密、つまり電気通信事業者の取扱中に係るものではございませんので、通信の秘密には該当しないと、これは電気通信事業法の解釈でございます。
#263
○山田太郎君 多分、お茶の間の皆さん、分かりにくい議論をしているんだと思うんですけど、電気通信事業法というのはあくまでも通信中の電気事業者の間のものなんですよね。その後、スマホとかに届いたり、もはや、離れたパソコンに届きますから、そこはもう電気事業法範囲外の話でありますので、電気事業法におけるところの通信の秘密とはちょっと違う議論をしています。それはなぜかというと、次のアップルとまさにFBIの今アメリカで論争になっている話を、日本でも起こり得るのかといった辺りをちょっと議論したかったからであります。
 日本の刑訴法、ちょっと先に話を進めたいと思いますが、日本の刑訴法二百二十二条の第一項及び第百十一条によれば、押収物について、鍵を外し、封を開き、その他必要な処分をすることができるというふうにありますけれども、ここからは法務大臣に聞きたいと思いますが、スマートフォン、スマホのロック解除又は解除のサポートをメーカー又はキャリアに要求することはこの刑訴法二百二十二条及び第百十一条に含まれるのかどうか教えていただけますか。
#264
○国務大臣(岩城光英君) お答えを申し上げます。
 押収したスマートフォン等のパスワードロックを解除すること、これは刑事訴訟法第百十一条の「必要な処分」として行い得ます。そして、一般論として重ねて申し上げますと、押収したスマートフォン等のパスワードロックを解除するに当たって、刑事訴訟法第百九十七条の規定に基づきまして外部業者に協力を求めることはできると考えられます。
#265
○山田太郎君 ここがアメリカでも争われた極めて大事な論点なんですが、百九十七条はあくまでも任意なんですね。つまり、今アップルはFBIに対して抵抗しています。開けたくない、これがいわゆる利用者に対する信義だと、こう言っているわけでありますが。
 さて、その場合は、条項からいくと、刑訴法二百二十二条の「処分」という文言にこれが当たるかどうかしか私は法の解釈は今のところないのではないかなと思うんですが、この辺り、法務大臣、これは非常に重要な答弁になると思いますので、お答えいただけますでしょうか。
#266
○国務大臣(岩城光英君) 外部業者に協力を求めることはできると考えられると先ほど申し上げました。その上で、外部業者が協力を拒否した場合には、法律上、外部業者に協力を義務付ける規定はないものと承知をしております。
#267
○山田太郎君 ありがとうございました。
 大変重要な今答弁がありまして、日本はこれで通信の秘密が守られたということで、アメリカに対しても日本は一歩進んだ対処を国は発言されたということだと思っております。
 さて、もう一つ、日本版金盾という辺りも少し議論をしていきたいんですが、中国はネットを監視している社会だということであります。パソコンのIPアドレスに、履歴を解析して各ユーザーの政治的志向を分析して接続の可否を判断し推論機能を持たせるという仕組みがありまして、まさに通信の遮断もできるということなんですが、これは総務大臣にお伺いしたいと思います。
 日本では通信の遮断を行うことができるのかどうか、いかがでしょうか。(発言する者あり)
#268
○委員長(岸宏一君) ちょっと待ってください。
 速記止めて。
   〔速記中止〕
#269
○委員長(岸宏一君) 速記を起こして。
#270
○国務大臣(高市早苗君) 通信の遮断ということでございますので、それは法的にはできません。
#271
○山田太郎君 ただ、いろんな通信の、海賊版の問題であったりだとか、それにフィルターを掛けるといったこと自身は一種の遮断には当たらないのかどうか、この辺りはいかがですか。
#272
○国務大臣(高市早苗君) フィルタリングに関しましては、例えば携帯電話、お子さんがお持ちになるような携帯電話にフィルタリングを掛けるということについては、利用者の同意がございますので、これは問題がございません。
 先ほど委員がおっしゃった御趣旨は、恐らくその通信内容などをチェックしてそして遮断するということですから、それは日本ではできません。
#273
○山田太郎君 ありがとうございました。
 思ったよりも、通信の遮断は検閲に当たるんじゃないかということでここはやり取りしたかったんですけれども、しっかり政府の方は表現の自由を守るという立場だと思います。
 ただ、もう一つ、知財本部の方は、これは島尻大臣の方にお伺いしたいんですが、内閣府の知財本部の方では、検証・評価・企画委員会で特定サイトについて通信を遮断することとの検討があったということなんですね。
 私は、インターネットの利用というのは基本的人権であって、行政が通信の遮断を行うということは私はあってはならないと、こういうふうに思っておりますが、この検討状況はどうなのかということと、島尻大臣自身はどうお考えなのか、お答えいただけますか。
#274
○国務大臣(島尻安伊子君) 国境を越えたインターネット上の権利侵害行為の拡大によりまして我が国のコンテンツ産業は大変大きな影響を受けておりまして、現在、今委員から御指摘がありましたように、知財本部の下に設置された検討委員会において対応策の検討を行っているところでございます。
 この検討委員会では、諸外国の対応例も参考にしつつ、国境を越える悪質な侵害サイトのブロッキングを含めまして、悪質なリーチサイトへの対策やインターネット事業者と連携した方策など様々な観点から検討を行っております。これまでの議論では、サイトブロッキングについて、他に対抗手段が難しい悪質な侵害に対する措置として一定の必要性はあるという意見がある一方で、円滑な情報の流通や表現の自由などの観点から慎重に対応すべきという意見も出されているというふうに認識をしております。
 これらの議論を踏まえて、国境を越えたインターネット上の侵害行為に対してどのような措置が適当であるか検討を進めていきたいと考えております。
#275
○山田太郎君 ありがとうございました。本当に表現の自由ということについては今日は非常に歴史的な答弁が実はあったんじゃないかなというふうに思っております。
 さて、もう一つ。次は障害者と雇用、経済ということで、一連のこの予算委員会で少しやらせていただいている多様性の辺りのお話をさせていただきたいと思います。
 四月一日から障害者差別解消法並びに改正障害者雇用促進法がスタートいたします。ただ、御案内のとおり、障害者のまだまだ雇用というのは非常に少ないと。全雇用者の中でも一%に満たないわけでありますし、特に問題なのが、知的障害と精神障害の方々の雇用は非常に難しいということであります。
 全体の障害者の雇用者数は四十五万人と言われていますが、そのうち知的障害者は二二%の十万人、精神障害者は七%の三万人にとどまっているということであります。こういう知的障害者、それから精神障害者の方々がどうやって一緒に働くことができるのか、この辺りが非常にこれから重要なのではないかなというふうに思っております。
 ただ、日本はこの障害者雇用、法定雇用率というのを定めておりまして、民間企業二%と、こういうのをスタートしているわけでありますが、ただ、一律二%で切ってしまうことが本当にいいのかどうかと。
 厚労省が、実は違反をしている会社で悪質だという会社、八社公表しているということでありますが、私、中身を見させていただいたんですけれども、幾つかは営業主体のベンチャー会社だったりとかCADとか技術会社だったりして、なかなかそういうところはやっぱり雇用したくても雇用できない、あるいは雇用しても辞めてしまう可能性もあるのではないか、こうも思っています。
 一方で、千人以上の企業としても、パーセンテージはその違反に満たしていないんだけれども七十人以上足りないところも幾つかあるわけでありまして、つまり、私自身は、そのマッチングというんですかね、やっぱり知的障害者や精神障害者の方が勤めやすい業種、業態というものがあるというふうに思っておりますので、一律この二%を課すということは企業にとってもその方々にとっても必ずしもいい結果にならないんではないか、こういう問題意識を持っております。
 本当にそういうやり方を今後続けていって、この障害者雇用の問題、特に四月から新しい制度スタートします。これは厚労大臣、この辺り、どうお考えか、お答えいただけますでしょうか。
#276
○国務大臣(塩崎恭久君) 中小企業における障害者雇用についてなかなか厳しいのではないかというお話……(発言する者あり)ええ、ですから、特にベンチャーなどではなかなか厳しいものがあるんではないかという、そういうお尋ねかと思いますが、今私ども、この雇用率の未達成企業に対して納付金を徴収しているという制度があって、雇用率の達成企業などに対して調整金、報奨金を支給するという制度がございます。これは百人以上の常用労働者の場合にしておりまして、おっしゃるように、確かに小さいスタートアップの会社に全てそういうことまで課すというのはなかなか厳しいということでございますので、そういった面での調整金の対象には小さいところはなっていないということでございます。
#277
○山田太郎君 ちょっとあんまり質問の趣旨にお答えいただけた感じがしなかったんですけど、ちょっと先に時間がないので進めたいんですが。
 実は、私、逆に言うと、民間の中でも頑張っていて、知的障害者、精神障害者の方々を積極的に雇っていらっしゃる民間企業たくさんあるんですね。有名なのは、チョーク製造で有名な日本理化学工業さんなんかは実は七割の社員が知的障害の方が勤めています。
 それから、私も見学させていただいたんですが、アイエスエフネットというIT会社があるんですが、非常に収益性の高いIT、それからレストランの経営もやっておりまして、これも多くの知的障害者の方々等を雇っております。通常ITだとできそうにないと思うんですが、簡単な入力を、逆に特別のソフトを作って、途中で間違えちゃったらそこでシャットダウンするとか、やっただけそれが評価されるとか、いろんな仕組みをつくって対処しているということであります。
 それから、議員会館の方でも、コチョウランの方の贈答用のお花のアレンジ等をやっているAlonAlonというNPO法人も、これ、知的障害者の方々をうまく使う指導をしてコチョウランの販売等をやっております。もうこれら全て、健常者の会社に負けない品質でやっております。
 それから、NPOの多摩草むらの会も、レストラン、甘味どころ、輸入生地のバッグ製作、全部これ普通に精神障害者の方々がフロントに出てサービスをしていると。きちっとやっている会社もいっぱいあるんですね。
 そこで、時間がないので結論で、御提案を今日はしたいと思っております。提案は、ずばり、障害者雇用推進ハートフルポイント制というのをつくったらどうかと、こういうふうに考えました。
 これは何かというと、今みたいな知的障害者、精神障害者を雇うのが非常にうまい会社というんですかね、スイートな会社にいっぱい雇っていただいて、そこから雇いにくい会社が積極的に購買、調達をすることによってポイントを得ると、それで足りない分を補っていくというやり方です。そうすると、今までのように障害者の人たちに対して直接国からお金を払って補填をするということではなくて、しっかり売上げを上げて雇用を生むというふうに切り替えることができるんではないかなと、こういうふうに考えているわけであります。
 やはり、そういう会社は、非常にそういう障害者の方々も楽しんで働いていらっしゃると思いますし、そういう会社が増えなければ、先ほど言った二%のような形で、押し込んでいくと言うと言い方は悪いかもしれませんけれども、いろんな会社に雇ってよと言ってもお互い不幸になるだけではないかなと、こう思っております。
 この辺り、この障害者雇用推進ハートフルポイント制について、塩崎厚労大臣、それで最後、総理の方にも一言、一言いただいて終わりにしたいと思います。よろしくお願いします。
#278
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、これは二%の雇用率を守れなかったところについてこの調整金を払ってもらって、逆に超えているところにその調整金を回すという形で、雇用するところにインセンティブを与えるという形でございます。先生のお考えも一つの考え方でありますけれども、しかし大事なことは、あらゆるところでやっぱりその二%なら二%を目指して直接雇用をしていただくということが大事だというふうに考えております。
#279
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この件については、様々なアイデアを出していただいたらいいんだろうなと思います。例えば、ほとんど知的障害あるいは精神障害の方を雇って経営しているパン工房の方もいるわけでありますが、そこから何らか、雇えていない会社の人たちが大量のパンを購入するということで貢献するという、そういう方法等も含めての御提案だと思いますが、今後、いずれにいたしましても、障害者の雇用を進めていく上においてどういうアイデアがあるかということについては常に検討していきたいと思います。
#280
○委員長(岸宏一君) 以上で山田太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#281
○委員長(岸宏一君) 次に、福島みずほさんの質疑を行います。福島みずほさん。
#282
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 総理にまずお聞きをいたします。
 保育園落ちた日本死ね、この声をどう聞かれますか。
#283
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今後も待機児童を減らしていく上において、我々、二十万人、四十万人、それを更に十万人増やして保育の充実を図っているところでございますし、受皿づくりにおきましては政権交代前の倍のスピードで進めているところで、かなり速い、政権交代前よりもかなり速いスピードでこの受皿づくりを進めていると、このように考えております。また、受皿だけではなくて、当然受皿には保育士の存在も欠かせないわけでございまして、今後とも保育士の方々の待遇改善等にも取り組んでいきたいと考えております。
#284
○福島みずほ君 私は、この文章をやはり物すごく胸を締め付けられる思いで読みました。私も保育園を探すのに大変でしたし、子供を学童クラブに入れるためにまさに引っ越しをした。孟母三遷ではありませんが、引っ越しまでやりました。学童クラブに入所が決まったときは本当にうれしかったです。万が一落ちたら、もしも落ちたら仕事を中断、休止、随分しなければならないと本当に思っていました。
 今、もうじき四月ですが、帰ってくるべき、保育園に子供を預けて四月から再開して仕事をするという人たち、女性たちが戻ってこれないという現状もあります。これは本当に悲痛な叫びです。税金払って自分も働いて頑張りたい、女性の活躍、一億総活躍と言うけれども、活躍できない現状がある。将来の設計ができない、これは政策のやっぱり失敗だというふうに思います。
 総理は幼児教育の無償化などをおっしゃっていて、それももちろん大事です。でも、今、保育士さんの四六%が非正規雇用、待遇がやはり悪いです。そこに対してしっかり最優先課題で取り組む、これが必要だと思いますが、総理、一言お願いします。
#285
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 政策の失敗だというふうにおっしゃっているんですが、失敗ではなくて、福島委員が政権におられるときよりも、我々、今二十万人、四十万人とこれ増やしているわけでありますから、これ減っているんだったら別ですが、これ増やしているわけでありますし、更にそれを十万人増やしていくということを進めているわけでございます。
 そして、保育士の方々は確かに不足をしているわけでございますので、一時中断した方が戻って復職する際に準備金として二十万円を出す、あるいはまた、卒業して就職される方に対しても二十万円出していく、また、短大や専門学校で勉強しておられる方については五万円、これは返還しなくてもいい型の奨学金を出していくということで支援をしているわけでございます。
 これはまさに我々の政権においてスタートしたことでございまして、失敗しているということは当たらないんだろうと。これは別にどの政権においても、こうした状況をなくしていこうということは同じなんだろうと。そして、その方向に向かって我々も一生懸命頑張っているところでございます。
#286
○福島みずほ君 初め、このブログに関して、総理が匿名だからということで明確におっしゃらなかったので、こういう声を聞けと、切実な声を聞いてほしいということで質問をさせていただきました。
 人間らしく働き、生きるための提言。(資料提示)一つ目、長時間労働の規制。二つ目、賃金をやっぱり上げていくべきだ。賃金上げてほしい、これ、働く人たちの切実な思いです。それから、暮らせる年金。この三つあります。これについて、順次お聞きをしていきます。
 まず、長時間労働の規制です。
 二〇一四年のデータで、週六十時間以上働いている労働者は五百六十六万人です。週休二日だと一日十二時間以上働いております。八十時間以上が七十四万人。五日で割ると、一日十六時間働いています。EUは、労働時間は残業を含めて週四十八時間が上限です。残業も含めた労働時間規制をすべきではないですか。総理、いかがですか。
#287
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 残業を含めた労働時間の規制をするべきではないかという質問でございますが、現在、我々提出をしている労働基準法改正案は、長時間労働を是正するとともに多様で柔軟な働き方を推進するものであります。
 まず、全ての働く方の働き過ぎを防止するため、企業に対して働く人の意見を聞いて休暇を指定せよとの義務付け。そして、中小企業における時間外労働への割増し賃金率の引上げを行うこととしております。また、時間ではなく、これは成果で評価する制度の創設や裁量労働制の見直しに当たっては、対象となる方の健康を確保するための厳しい措置を義務付けるとともに、こうした措置の実施を企業に対して徹底していく考えであります。
 例えば、これは健康確保のための措置の充実をしなければならないわけでございますが、現行では労使で健康確保措置を決定し、法定の指針で講じる措置を例示するだけでありますが、今回の見直しにおいては、労使で省令に規定される健康確保措置のいずれかを決定するということになっております。省令の内容は現行指針を参考に項目を充実させる予定であります。
 また、高度プロフェッショナル制度につきましては、企業は対象者の健康を確保するため次のいずれかの措置を講じなければならないと、こうしておりまして、終業時刻から始業時刻までの間に一定時間以上の休息時間を与える、あるいは在社時間等の時間に制限を設ける、そして年間百四日の休日を与えるということでございまして、月百時間を超える残業を行った場合には医師による面接指導を企業に義務付けると、これは罰則付きでございます。
 このように、今回の法案は長時間労働を是正し、働く人の健康を確保しつつ、その意欲や能力を発揮できる新しい労働制度の選択を可能とするものであると考えております。
#288
○福島みずほ君 いや、残業代ゼロ法案、今、国会に継続審議中の法案は長時間労働をますますひどくするものです。今の答弁には全く納得できません。安倍総理は本当に女性の活躍あるいは一億総活躍というきれいな言葉を言いながら、今継続している法案はそんな中身ではありません。一定の年収があれば労働時間規制が一切なくなるんですよ。労働時間規制が一切なくなったら、まさに長時間労働に突き進むじゃないですか。
 おっしゃった健康管理時間は三択です。どれか一つを三つの中から選ぶ。三百五十日、十六時間働き続けても違法ではありません。裁量労働制の拡大は、まさに長時間労働に道を開くじゃないですか。長時間労働の規制こそ必要なのに、残業代ゼロ法案、労働時間規制がなくなるんですよ。残業代不払という概念もなくなるんですよ。違法という概念もなくなるんですよ。これは長時間労働そのもので、過労死促進法案です。こんな法案は許せない。まさに長時間労働規制を日本はやるべきなのに、長時間労働をまさにやらせる。これ、法案は雇用を壊すものですよ。どんなことがあってもこれらの法案は成立させるわけにはいきません。
 次に、最低賃金、賃金についてお聞きをいたします。
 日本は、民間で働く人の年収二百万円以下の人は四分の一です。非正規の職員、従業員は、百九十九万円以下の人が何と七四%、四分の三が低賃金、百九十九万円以下です。母子家庭のお母さんの年間平均就労所得は、前にも言いましたが百八十一万円です。当たり前に真面目に働いて、当たり前に子供を食べさせることがなぜこんなに困難なのか。みんなサボっているわけではありません。ダブルワーク、トリプルワークをしながら必死で働いている。
 この低賃金を根本的に変えるためには様々なやり方がありますが、一つは、最低賃金をしっかり根本的に、抜本的に上げることです。総理、いかがですか。
#289
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどの残業代ゼロについてちょっとこちらからも言わさせていただきますが、これ、時間ではなくて成果で評価される制度の対象は、高い年収、一千七十五万円以上ということを見込んでいるわけでございまして、管理職でなくて一千七十五万円以上ですから、相当のこれはまさにプロフェッションを持っておられる方であろうと、このように思いますし、また、これは本人の同意を要件とするとともに、労使同数から成る委員会で対象者を決める仕組みとしており、こうしたプロセスを通じて適切な労働時間が設定されるものと、このように承知をしているわけでございまして、残業代ゼロということは当たらないだろうと。そういう方々は、まさに時間ではなくて成果でこれは評価してもらいたいと、こう考えているわけでございます。
 そしてまた、今の最低賃金につきましては、これはまさに、最低賃金というのは、例えば、これは安倍政権になってから三年間、毎年大幅に上げています。毎年大幅に上げて、五十円上げたわけで、三年間で五十円上げることに何とかこれ到達をしたところでございますが、今後千円を目指していきたいと、全国加重平均で千円を目指していきたいと、こう考えております。
 最低賃金の引上げについては経済の好循環を実現する観点からも大変重要であると考えておりまして、今後とも最低賃金が上がっているという状況をつくっていきたいと思います。
 最低賃金は、働く方の生計費や賃金、企業の賃金支払能力の地域差など実情を考慮し、都道府県ごとにこれは定められているわけでありますが、政府としては、地域の事情を踏まえ、最低賃金を年率三%程度を目途に引き上げ、全国加重平均で千円を目指すこととしておりまして、中小企業・小規模事業者の生産性向上や価格転嫁等の取引条件の改善を図るなど、環境整備に政府を挙げて取り組んでいく考えであります。
 それは、政府がこれだという、例えば最低賃金千五百円ということを決めればそうなっていくものではなくて、しっかりと経済をそういう状況にしていく、あるいは中小・小規模事業者も生産性が上がっていく中において、そういう中小・小規模事業者もその中でちゃんとした賃金を払いながら企業を経営していくことができるような、こういう状況をつくっていくことも大変大切だろうと、このように考えている次第でございます。
 今後とも、全国加重平均の目標の更なる引上げを行うことについて、中小企業を中心として労働コストの増加により経営が圧迫され、かえって雇用が失われる面があり、そういうことは現在、この現時点では考えていないわけでございますが、言わば全国一律ということについては我々考えていないわけでございますが、先ほど申し上げましたような形でしっかりと最低賃金が上がっていく経済状況をつくっていきたいと考えております。
#290
○福島みずほ君 残業代不払法案についても私も申し上げます。
 これは、平均年収三倍以上の人がまさに労働時間規制がなくなるわけですから、残業代は払われない、まさにホワイトカラー層の没落が起きます。去年の派遣法の改悪と今回出ている残業代不払法案は、人件費の削減、企業のためというためでは共通していると思います。
 そして、ホワイトカラー層が没落すれば、どんどん下方に落ちていく。安倍政権の下で非正規雇用、今四割突破しているんですよ、実質賃金は下がっているんですよ。このことをどう見るのかですよ。
 そして、最低賃金なんですが、一つ、例えばアメリカの州で時給十五ドルを実現している州があります。今、アメリカ大統領選のたけなわというか、活発に行われておりますが、民主党の候補者、バーニー・サンダースさんの主張に大変勇気付けられています。民主社会主義者、社会民主主義者を自任し、そして公立大学の無料化、そして時給十五ドルを掲げています。アメリカは各地で生活賃金条例などをつくっていったり、時給十五ドル、日本でいえば千八百円から二千円ですか、それを実現してまさに成果を出している州もあります。
 最低賃金が十円引き上げられると雇用労働者全体の収入が三百億円から四百億円、二十円引き上げられると七百億から九百億円増え、これが消費を拡大し、経済の好循環を確実にするという効果が期待できるという試算もあります。
 地域はまさに疲弊をしています。公契約条例などありますが、公共事業を受注する企業の賃金をダンピングではなくてしっかり確保する、そんな公契約条例が全国でできています。同じように、最低賃金も、地域における賃金を本当に底上げをしていく、そのことによって食べられる賃金、生きられる賃金、子供を育てることができる賃金、それを確保すべきだと思っています。
 現在、最低賃金千五百円以上ということを主張して、エキタスやいろんな人たちも活動して、私も最低賃金がもっと抜本的に上がるようにしていきたいと思います。企業はこの一年間で内部留保を三十五兆円増やしました。賃上げに回すべきではないか。中小企業で賃上げができるように支援を強化、欧州並みに中小企業予算で賃上げを支え、社会保険料の免除等をすべきではないか、いかがですか。
#291
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、既に我々、十七年ぶりの高い賃上げ率を実現をしているところでございます。確かに、大企業を中心にこれは最高の収益を上げておりまして、内部留保もたまっているわけでございますが、あくまでもこれは企業がどのように投資をしていくか判断する中において、我々は政労使の対話あるいは官民対話等を通じて賃金の引上げを要請しているところでありまして、その結果として、先ほど申し上げましたように、十七年ぶりの高い賃上げ、これが二年連続で実現することになったわけでございまして、今年の四月もこの二年の流れを止めずにしっかりと賃上げを行ってもらいたいと、こう考えている次第でございます。
 と同時に、言わば最低賃金というのは、これは大企業ではなくて、まさに中小零細企業がちゃんとその最低賃金に対応できるかどうかということが一番のポイントでございまして、ただ紙に書いてそれが実現するのであれば我々だって千五百円とこう書くわけでありますが、そうではなくて、先ほども答弁で申し上げましたように、千円という現実的な目標を掲げました。でも、それは、やっとそういう千円という目標が掲げられるようになったんですよ。これは、三年前はそんな状況にはなっていなかったわけでありますが、まさに今はそういう状況をつくり出すことができたと、こう考えています。それは、まさに中小零細企業もだんだんそれに対応できるような状況を今つくり出しつつあるわけであります。
 もちろん、今、福島委員が御指摘になったような取引条件等の改善も行っていただく必要があるんだろうと、こう思います。その中において、さらに中小零細企業の、サービス業も含めて生産性が上がっていくことによって、その最低賃金千円の目標に向かって進めていきたいと、こう考えておりますが、先ほど答弁をさせていただきましたように、それをさらに千五百円ということについては余り今の段階では現実的ではないのではないのかと、こう思っております。
 いずれにいたしましても、結果としてそれに多くの小規模事業者が付いてこられなくなれば、かえってこれは雇用を失うことにつながりかねないわけでございまして、その点はしっかりと中小・小規模事業者等の状況を見ながら決めていく必要があるんだろうなと、このように考えます。
#292
○福島みずほ君 内部留保は企業が基本的に決めるべきだとおっしゃいました。しかし、最低賃金は憲法二十五条の健康で文化的な最低限度の生活を営むためのものです。そして、さっきも言いました、年収二百万円以下の人が四分の一、非正規雇用の人たちはまさに七四%が百九十九万円以下なんです。平均ではなくて、実際日本で貧困や低収入をどう改善するか、そのことを抜本的にやるべきだということを申し上げますし、残業代不払法案なんて論外だということを申し上げたいと思います。
 安倍総理は、自民党の憲法改正草案に基づき九条を改憲すれば集団的自衛権の行使を全面的に認めることになるとの考えを示しました。つまり、憲法、自民党日本国憲法改正草案、既に発表されておりますが、まさに何の留保も条件もありません。この自民党の九条の二を前提とすれば集団的自衛権の行使は全面的にできます。
 総理にお聞きします。
 ベトナム戦争、イラク戦争、この自民党九条の二にのっとれば日本は集団的自衛権の行使ができるということでよろしいですね。
#293
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、行政府の長としてここに立っておるわけでありまして、内閣総理大臣として立っております。
 憲法改正草案においては、閣議決定して政府の提出として出す考え方はないわけでございまして、それはまさに各院において発議をしていただくことになるわけでございます。
 その点について自由民主党が草案を提出をしておりますが、草案の逐一につきましては、私は行政府の長でございますので、ここでコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
#294
○福島みずほ君 私はひきょうだと思いますよ。なぜならば、自民党は既に日本国憲法改正案を出しているじゃないですか。このように変えるって言っているじゃないですか。
 総理は、在任中に憲法を改正すると言っているんですよ。そうしたら、その一つ一つの条文についてどう考えるのか、国会で国民の皆さんに説明する義務があるじゃないですか。それを、自分たちが公約に掲げていることをなぜ説明しないんですか。総理が憲法を改正すると言っている。そして、このことについて説明を、公約については少なくとも国民に対して説明する義務がありますし、国会において説明する義務があります。
 そして、集団的自衛権の行使について全面的に認めると、何の留保も何の条件もありません。新三要件なんていう解釈改憲のときのあのような議論も全くありません。だとすれば、ベトナム戦争、イラク戦争、政府はベトナム戦争を集団的自衛権の行使と認めています。その意味で、こういうベトナム戦争、イラク戦争にも参戦できる中身である自民党改憲草案、極めて危険であるということを申し上げ、私の質問を終わります。総理、論争すべきですよ。
#295
○委員長(岸宏一君) 以上で福島みずほさんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#296
○委員長(岸宏一君) 次に、渡辺美知太郎君の質疑を行います。渡辺美知太郎君。
#297
○渡辺美知太郎君 無所属の渡辺美知太郎です。
 今日は、マイナス金利付き量的・質的金融緩和、飼料米への転作、そして障害者の多様なニーズへの対応、この三点について、限られた時間ではありますが質問をさせていただきます。
 まず、マイナス金利付き量的・質的金融緩和について伺います。
 投資の神様と呼ばれているアメリカの投資家ウォーレン・バフェット氏が、欧州中央銀行や日銀が採用したマイナス金利について、世界がこれまで経験したことのないことをやっていると、この映画、ムービーがどう展開していくのか分からないと述べたとの報道がありました。
 確かに、一般的に考えますと、お金を預けると金利が取られるというのは余りないことであるので驚かれた方も多いかと思いますが、しかし、中身はといいますと、こちらのパネルを御覧ください。(資料提示)
 日銀が採用したマイナス金利は、欧州が採用しているのと同じ全ての金利をマイナス金利にするのではない、階層構造方式と言われるものです。パネルの一番下の緑色の部分、これは基礎残高といいますが、基礎残高は今までどおりのプラス金利、真ん中の部分、マクロ加算残高はゼロ金利、残った一部のピンク色の政策金利残高がマイナス金利となっているわけです。
 識者の中には、民間企業が銀行の当座預金にお金を預けても金利はゼロであるのでそれほど突拍子もない話でもないと、さらには、一番下の基礎残高の部分に金利を付けているのでまだ優しいのではないかと言う方もいらっしゃいます。
 今回のマイナス金利付き量的・質的金融緩和は、安倍総理が度々質問をされていますデフレマインドからの脱却、まあ簡単に言うと、国民が景気回復を実感するためには私は有効な金融政策ではないかと思っております。
 安倍総理は、今回のマイナス金利付き量的・質的緩和をどう評価されているのか、そして今後、この映画、ムービーがどう展開していくか、お考えなのか、伺いたいと思います。
#298
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この意味について詳しくは、もし必要であれば、当然、黒田総裁から答弁すべきだろうと思いますが、今グラフで示していただいているように、この当座預金においては、銀行が日銀に預金している当座預金については、このプラス〇・一、これが二百十兆円ですから、これはどんと大きな額がもう積んであるわけであります。そこにはプラス〇・一という、割と今の金利の状況から見ればいい金利が付いているわけであります。ただ置いているだけでこれは〇・一%。
 そして、このマイナス〇・一、今度導入したものは十兆円でありますから、その十兆円がマイナス金利になったからといって、一般の人たちが預金するこれがマイナスになるということは考えられませんし、そう簡単にこれは手数料等が上がっていくともこれなかなか考えにくいという方もおられるわけでございます。
 我々は長い間デフレに苦しんできた。やっとデフレではないという状況をつくり出しましたが、まだデフレから脱却をしていない。デフレとはどういうことかといえば、お金を置いておけばどんどんお金の価値が上がっていくという状況になります。というのは、物はどんどんこれは下がっていくわけでありますから、そうなれば、当然、投資もしないし、賃金も引き上げない、経済はどんどん収縮をしていくと、こういう状況になっていくわけであります。これではまさに市場は、経済は健康な状況とは言えないので、これから脱却をしなければいけない。ということは、この中で、言わばこれはただ置いておかなくて、これは銀行にとってもしっかりと貸付けをしていくことが求められるわけでございます。
 例えば住宅ローンにつきましても、先般、新聞に、十年間据置きで〇・五%というローンが売り出されました。ということは、一千万円借りて五万円の金利ということになれば、じゃ、家を造ろうという方が出てくれば、これは消費が当然喚起されるわけでございます。家が造られれば、中に入れる家電製品も家具もじゅうたんも、そういう消費が出てくるわけでございまして、そういう、言わばこの意義、意味がだんだん浸透していくことによってデフレからの脱却に寄与することを私は期待しているところでございます。
#299
○渡辺美知太郎君 総理から御答弁をいただきまして、是非このマイナス金利付き量的・質的金融緩和、デフレマインドからの脱却になるといいなと思っております。
 今日は日銀の黒田総裁にもお越しをいただいております。
 黒田総裁に伺います。今後の金融緩和について、政策金利残高のマイナス金利の幅を拡大したり、基礎残高の金利を下げたりするなど、更なる金融緩和の可能性はあるのでしょうか。総裁に伺いたいと思います。
#300
○参考人(黒田東彦君) 御案内のとおり、マイナス金利付き量的・質的金融緩和というものは、これまで所期の効果を発揮してきた量的・質的金融緩和を一段と強化するということによって、企業や家計の経済活動をサポートし、二%の物価安定の目標を早期に実現することを目的としたものでございます。
 この政策を一月末に発表して以降、短期、長期の国債利回りは大幅に低下しております。また、こうした市場金利の低下を踏まえ、貸出しの基準となる金利、あるいは、先ほど総理が答弁されたように、住宅ローンの金利ははっきりと低下をしております。
 このように、今回決定したマイナス〇・一%を一部に掛けるというマイナス金利に伴う全般的な金利低下の効果は極めて大きいと思います。今後、その効果が実体経済にどのように進展していくか、あるいは浸透していくかということをしっかりと見極めてまいりたいと思っております。
 日本銀行としては、このマイナス金利付き量的・質的金融緩和を着実に推進していくことで、消費者物価の前年比は物価安定の目標である二%に向けて上昇率を高めていくと考えております。したがって、今すぐに何か更にやるというようなことは考えておりませんが、もとより、経済、物価のリスク要因を点検して、物価安定の目標の実現のために必要な場合には、量、質、金利の三つの次元でちゅうちょなく追加的な対応措置を講ずる方針でございます。
#301
○渡辺美知太郎君 総裁、ありがとうございます。
 本当はもうちょっといろいろと聞きたかったんですけれども、ちょっと時間がないので、総裁への質問はこれで終えたいと思います。総裁は退席なさっていただいて結構です。
 では、続いて、デフレ脱却には今申し上げた金融政策や経済政策、ちょっと経済政策については時間がないので割愛いたしますが、財政政策も非常に重要であります。
 最近になりまして、消費増税、今日の予算委員会でも度々消費増税の話が、議論がなされていますが、最近になりまして、一〇%への引上げ凍結について、例えば菅官房長官の先月の二十六日の記者会見を始め、一〇%への引上げ凍結について言及されることが増えてまいったように思っております。総理も、消費増税についてはリーマン・ショック級の事態が起こらない限り基本的に現段階では引き上げていくと発言をなさっていますが、裏を返せば、リーマン・ショック級の事態が起こった場合は消費増税の引上げを凍結をするという可能性もあるわけですが、この消費増税の凍結についてはタイムリミットというのがあるのかどうかちょっと伺いたいなと思っておりまして、リーマン・ショック級の事態が例えば年内に起きるのであれば年内はやると、ただ、年明けになった場合は基本的には凍結をしないか、そういったもしビジョンがありましたら御答弁いただきたいなと思っております。
#302
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員の御質問は、例えばリーマン・ショック級の出来事が来年の一月とか二月とか三月に起こったら間に合うかどうかという趣旨の御質問だろうと、このように思います。
 我々としては、経済は生き物でございますし、そして、日本経済の根底が崩れ去っては意味がないわけでございますから、そういう事態には適切に対応していきたいと、このように考えております。
#303
○渡辺美知太郎君 もし仮に再び消費増税を凍結する場合、国民の意思を確認する必要はあるとお考えですか、安倍総理に伺います。
#304
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国民の意思ということは、総選挙ということでおっしゃっておられるのであれば、それは全く考えておりません。
#305
○渡辺美知太郎君 分かりました。
 続きまして、農業について、今回は飼料用米の転作について伺いたいと思います。
 ちょっとマイナス金利などの話をしましたけれども、飼料用米とは、家畜などの飼育される動物に餌として与えられるお米の話であります。農家の方とお話をしていますと、農業政策、今一番心配なことは、やはり農業政策自体が短期間で見直されてしまって猫の目のようにくるくる変わってしまう、いわゆる猫の目農政という部分です。現在、政府が進めている飼料用米を拡大する方針、これは、比較的農家の方々におおむね受け入れられてきているようではあるのですが、やはり農家の方々、猫の目農政によって短期間で飼料用米の助成の削減が行われたりとか、飼料用米、方針転換するのではないかという不安があるという意見を度々伺います。
 そこで、まず総理にお尋ねします。
 農水省は飼料用米生産を二〇二五年度には二〇一三年度の十倍の百十万トンにするという目標を立てていますが、この間に飼料用米の生産拡大についての政策転換は行わない、立てた目標を達成するために必要な補助や支援を継続的に行っていくという御見解というか御意思を確認したいと思いますが。
#306
○国務大臣(森山裕君) 渡辺委員にお答えをいたします。
 委員おっしゃいますとおり、私も、現場を歩いてみまして、米政策と中山間地の政策に多くの現場の皆さんが御心配をしておられることは共通した認識として持っております。
 ただ、主食米の需要というのが毎年八万トンずつ減少しておりますので、食料の自給率や食料自給力の向上を図るためには、主食米から飼料米などへの転換による水田のフル活用というのはどうしても進めていかなければならない政策だと思います。
 昨年三月にこれ閣議決定をされておるわけでありますが、食料・農業・農村基本計画において、平成三十七年度に百十万トンとする目標を掲げたところでございます。この目標の達成に向けて、政府としては、水田活用の直接支払交付金による助成、多収品種の開発、導入や新たな栽培体系の実証、また畜産農家への供給に至る流通の効率化など取組を行っているところであります。その結果、平成二十五年十一万トンであったものが、平成二十六年十八万トン、六四%伸びました。また、平成二十七年度は四十二万トンでございますから、前年比一三三%と着実に拡大をしてきております。
 もとより、飼料用米の生産を更に拡大するには生産性の向上が不可欠であります。目標の達成に向けて不断の点検を行いながら、引き続き必要な施策は推進をしてまいりたいと考えております。
 さらに、今後は、生産性の向上に加えまして、飼料用米を活用した畜産物のブランド化、高付加価値化による安定的な需要の確保も重要であると考えておりまして、そういう芽が出てきていることも事実だなと思います。
 ですから、転作から飼料米を本作化へどう進めていくかという課題が今我々に与えられている大事な課題だと認識をしております。
#307
○渡辺美知太郎君 大臣から御答弁いただきました。
 飼料用米で米の需給と農家の所得を改善していくという方針、これは、正直その賛否はあるんですが、方針を決めた以上は、農家の方が飼料用米への転作から本作、これをしっかり今後継続できるような体制を是非整えていただきたいなと思っております。
 では、今大臣も取り上げておられましたが、この多収米についてちょっと伺いたいなと思っています。
 飼料用米の生産は、普通の食用の品種が、これは人も普通に炊いて食べられるお米が六割で、多収米、これは加工品あるいはコンビニで牛丼とかに使うようなお米があるんですが、これは多収米といいまして、一つの穂に多くの実がなるお米なんですけど、これが四割ぐらい現在進んでおります。
 今後、飼料用米の生産をより定着させるためには、食用の品種ではなくて飼料用米としてもっと効率の良い飼料専用米や、もう先ほど来取り上げておられます多収米、これをもっともっと切り替えていただかなければ効率的な生産はできないんじゃないかと思っていまして、今現在も多収米で飼料用米を作れば追加で交付はいただけるんですが、コスト削減や飼料用米への転作に努力をしている、特に努力をしている農家への助成を相対的にこれ厚くしていくべきではないのかなと思っておりますが、農水大臣にこの助成の方向について手短にちょっとお聞きしたいと思います。
#308
○国務大臣(森山裕君) 渡辺委員にお答えをいたします。
 飼料米は確かに多収穫米にシフトしなければなりませんし、最近、畜産の現場に参りますと、いい豚肉を作るためにどういう品種の米がいいのかという選択も行われています。どういう品種かというのは、米によってたんぱくの含有量が違うらしいものですから、できるだけたんぱくの多い米を与えることによって銘柄豚を作ることに成功された畜産農家もあります。
 ですから、今からは、多収穫米であり、その米の持っている特性をどう畜産に生かしていくかということが大事なことだと思っておりますし、今取っております政策を続けさせていただきたいと思いますし、できるだけ効率よくやれるという仕組みを更に研究をしてまいりたいと考えております。
#309
○渡辺美知太郎君 このことについては、また引き続き取り上げていきたいと思っております。
 ちょっと時間がないので、麻生大臣にも通告を出してはいたんですけれども、飛ばさせていただいて、申し訳ございません、障害者の質問をちょっとさせてください、最後に。障害者の多様なニーズへの対応について質問させていただきます。
 先日、地元栃木県内の障害児、障害者のための施設を視察をいたしまして、施設や人員の不足も改善していかなければならない重要な課題ではあるんですが、ソフト面の課題についてももっと取り組む必要があるのではないのかなと私は思いました。
 一くくりに障害者といいましても、障害の種類や程度は様々で、生活介護や居宅介護、重症心身障害者、障害児であれば療養介護といったように、それぞれのバックグラウンドに応じて様々なサービスを使っていらっしゃいます。
 しかし、障害児支援から障害者のサービスへ移行するときの配慮など、個々のニーズを満たしているかというと、まだまだ課題があるのではないかと考えております。重症心身障害児、障害者など重度の障害がある方であっても、施設での入所支援だけではなくて、地域において安心して生活できるよう、地域移行の推進やグループホーム等の住まいの場の確保など、多様なニーズに対応していくことも必要であると考えております。
 そこで、今回、一億総活躍社会の実現に向けた新三本の矢の第三の矢は安心につながる社会保障とされておりまして、障害のある方が望む地域生活の実現やニーズの多様化へのきめ細やかな対応を進め、個々のニーズにしっかりと応えていくための施策を講じるべきだと考えておりますが、厚労大臣はどのようにお考えでしょうか。
#310
○国務大臣(塩崎恭久君) おっしゃるように、障害を持っていらっしゃる方々が日常生活、社会生活を営むために、年齢で、十八歳で、これは言ってみれば不連続線を描かれるとかいうことなく、やっぱり切れ目なく、きめ細かく対応していくということが大事だということは先生今おっしゃったとおりだと思っております。
 そのニーズに合った対応をするために、障害児、それから十八歳を迎えて障害者となって日常生活やあるいは社会生活を営む上で、私どもとしては、グループホームなどの障害福祉サービスの体制整備をしっかり取り組まなければいけないということが一つあると思います。
 もう一つは、ソフトも大事だというふうに今先生おっしゃったとおりでありまして、これは、入所系あるいは居宅系だけではなくてデイサービスのようなものでも、やはり十八歳でがらっと変わってしまって不便があるというようなことは許されないと思いますので、今回の第三の矢における安心につながる社会保障においては、障害福祉サービスの体制整備を進め、実はこれ、二十七年度予算で施設整備費を、それから二十八年度の当初予算では、最初補正予算が二十六億でありましたけれども、七十億ということで大幅に上回る額で施設整備を整えるとともに、今回、障害者総合支援法の改正を提案を、提出をさせていただいておりますので、より一層の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。
#311
○渡辺美知太郎君 終わります。
#312
○委員長(岸宏一君) 以上で渡辺美知太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#313
○委員長(岸宏一君) 次に、荒井広幸君の質疑を行います。荒井広幸君。
#314
○荒井広幸君 順番がちょっと逆になりますけれども、消費者庁の徳島県に移転する件について冒頭お尋ねをしたいと思っております。
 三月下旬に、まち・ひと・しごと創生本部による政府機能移転基本方針の中に、消費者庁を徳島に移転する前提で、三月の試行、七月の大規模実験に取り組むべきではないかと思います。いかがでしょうか。
#315
○国務大臣(石破茂君) これは、消費者庁に限りませず、今月中に総理大臣を長といたします地方創生本部で方針を決定するということになっております。
 やはり民間の方々に地方に本社機能を移転してくださいと言っております以上、政府が何もしないということでは全く説得力もない話だと思っております。地方からの御提案を受ける形で政府部内で検討しておるところでありまして、消費者庁につきましては、所管大臣である河野大臣の下で、河野大臣の見識によりまして、実際にそこへ移転をしたとして消費者行政というものに支障が生じないであろうかと。
 特に、毒ギョーザ事件というのが昔ありましたが、あれが消費者庁ができる大きな契機になりました。危機管理の面において、消費者庁を全面的に移転するということにおいて問題が生じるかどうか、やはりそこは慎重に考えていかねばならないことだと思いますが、実際に、できません、できません、できませんみたいな話をしていても仕方がないので、実際にそこへ試行的にやってみてどうなのだと、本当に日本全体の消費者行政に少なくとも今以上の効果を発現するということ、そしてなぜ徳島なのかということについて御得心をいただくということ等々、いろんな観点から考えてまいりたいと思っております。
#316
○荒井広幸君 私も、先日、徳島に行ってまいりました。消費者行政の先駆的なことをたくさんやっているんですよ。ですから、そういう意味でも、蓄積があります、経験がありますね。県民的にもそういうバックボーンがあるんです。
 二つ目は、いわゆるテレビ会議システム、総理、やっているんですよ、既に。例えば、私たち、これ予算委員会でも、テレビ会議やあるいはパソコンを使うということはできませんね。しかし、もし急を要するならば、この場に例えば東電の社長、テレビ会議で出てきてもらったってできるんですよ。つまり、今回の徳島県への消費者庁の移転という問題は、我々永田町と霞が関の政治、行政文化を変える一端になるのは間違いないんです。私は十分できると思います。テレワーク、働き方も変わりますよ。
 ですから、移転する前提でというつもりで、どうぞ、総理、本部長です、三月にはこの政府の関係機関の移転というものを書き込む、そういうことを強く要請したいと思います。
 石破大臣、どうですか。
#317
○国務大臣(石破茂君) 委員御指摘のように、テレワーク等々、こういうものを民間の方にもお願いしているわけです。
 私どもとしても、テレワークでできることはたくさんあります。もちろん、秘密保全ということに配意をしていかねばなりませんが、我々の側から霞が関の文化を変えていくということは極めて重要なことだと、そのような認識を持っておるところでございます。
#318
○荒井広幸君 経済財政でこの一年をフォローさせていただきたいと思いますが、昨年の十一月十一日に、国営農地開発事業地域、地域のいわゆる国営開パの優良農地を集積、集約していく、これはTPPのもう前段階として、安倍総理が私はこれは有意義な対策していると思います。まず、TPPの承認の前にやれることはやっていくという手を打っていく、これは有効ですね。
 その中で、この国営開パ、これらの集約、集積についての一工夫をお願いしたいと農林大臣にお願いしています。どんな状況でしょう。
#319
○国務大臣(森山裕君) 荒井委員にお答えをいたします。
 先生から昨年の十一月の十一日の予算委員会で御指摘をいただいたと思っておりますが、国営農地開発事業等の農家負担金の軽減につきましては、負担金の支払期間の延長、利子助成、無利子融資等の対策を組み合わせて実施をしております。二十八年度予算におきましても、引き続きこれら農家負担の軽減対策に必要な予算を計上しているところでございます。
 加えて、高収益作物への転換に対する支援を充実させるなど、所得の向上を通じ、農家が負担金を支払いやすくする環境づくりも図ってまいりたいと考えております。このため、平成二十八年度予算におきましても、農地耕作条件改善事業を拡充し、高収益作物の導入に必要なハードとソフトの一括支援を追加したところであります。
 また、農業水利施設の計画的な補修、更新につきまして、施設の老朽化に応じて適時適切に実施されることが重要であると認識をしております。このため、平成二十八年度予算案においても、農地耕作条件改善事業を拡充させていただきまして、末端水利施設の更新整備に対する定額助成を追加をさせていただいたところでございます。
 このような対応をさせていただきました。
#320
○荒井広幸君 対応策について一つ一ついただきました。加速化するもう一段の工夫を、農林大臣、求めます。
 そして、総理にお尋ねします。
 福島に毎回入っていただきまして、ありがとうございます。ハードになり過ぎている嫌いがありますから、ソフトも是非忘れないでいただきたいと思います。しかし、そのハードで、常磐道の四車線、それからJR常磐線のこれを全部、今不通のところありますから通すと、これ本当にありがとうございます。元気が出ると思います。
 そこで、今の農地もそうなんです、福島県は特段に被害を受けているわけです。福島県の、開パ、開パといいますけど、この国営農地開発事業、地域の農地の集積ですね、これを進めるためには償還金の負担が非常に重いんです。これを軽減するということをもう一歩、二歩進めていただきたいんですが、総理、いかがでしょうか。
#321
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 無利子融資については、昨年十一月十一日の参議院予算委員会における荒井委員の指摘も踏まえまして、平成二十八年度予算において、今年度までだった認定期間を平成三十二年度まで延長したところでございます。さらに、原発事故も含め、東日本大震災により被災した農地等に係る土地改良事業の償還金については、営農再開までの間、農家負担が発生しないよう、元金相当額の繰延べや利子相当額の助成を行っています。
 今後、福島県を始め土地改良事業の実施地区に対し、負担軽減策の積極的な活用を促してまいりたいと思います。また、対策の活用状況も踏まえ、引き続き、知恵を絞りながら、意欲ある担い手への農地の集積、集約化を更に促進していく考えであります。
#322
○荒井広幸君 これをもう随分やっていただいているのは、総理、間違いないんです、農林大臣。しかし、猶予期間を設けても、その間、次からまたその後負担が発生してくる、それは状況変わっているんですよ。とても重いんです、後継者にとっても。ですから、農地集積を図った場合にはもう負担金を免除するという、こういう大胆な対策を講じるように引き続き求めたいと思います。
 続きまして、これは、みんなの健康に関わりますし、同時に経済に関わってくる問題であります。
 いわゆる薬用大麻、これを薬用に限って研究開発、きっちり管理をしまして、悪いことに使われないようにしながら、ある限られた方々が薬用として、あるいは産業用として大麻をどのように活用できるのかできないのか、これらをきちんとエビデンスを取りながらやっていくということが重要だと思います。
 そこで、大変反対をし続けます厚生省に聞いてまいります。
 高齢化社会が進む日本社会において今後大きな問題になる一つは、これは認知症ですね。しかし、この認知症に対して、大麻の持つカンナビノイドという成分がアミロイドベータといういわゆる認知症のもとになるだろうと言われているものを防いでいく効果があるという研究報告が出ています。どのようにこれを受け止められますか。ほとんど厚生省には、その出典全部登録していますから、細かいこと要りません、うそですとか分かりませんとか、はっきり言ってください。
#323
○政府参考人(中垣英明君) 今委員御指摘ございました、アルツハイマー病の原因の一つと目されますアミロイドベータの蓄積をカンナビノイドが防ぐという研究論文が存在すること自体は承知いたしております。
 現時点におきまして、この論文の評価が十分なされているかどうかということは承知いたしておりませんけれども、化学合成いたしましたカンナビノイドにつきましては、麻薬研究者として免許を受ければ、麻薬及び向精神薬取締法によりまして国内での医療用途の研究が可能となっておるところでございます。
#324
○荒井広幸君 化学成分で作ったらそれは可能になっている、自然体の生物だからこそ体との融和性というのがあるんですけれども、むしろ、化学成分で悪用されている、それの方が今問題になっているんですよ。麻薬じゃなくてまやかしなんですよ、厚生省が言っていることは。
 アメリカ連邦政府が抗酸化物質及び神経保護剤としてカンナビノイドの特許権を所有している、連邦政府がカンナビノイドについて特許を持っているというのは御存じですね。
#325
○政府参考人(中垣英明君) アメリカ政府が抗酸化物質及び神経保護剤としてのカンナビノイドの特許権を所有している事実につきましては承知いたしておりますけれども、その経緯、目的などの詳細については把握しておらぬところでございます。
#326
○荒井広幸君 やる気がないのは調べようともしない、やる気がないのは調べようともしない厚生省。そして、医系事務官という人たちがいますね、歯とか医科。私は度々にこの委員会でも申し上げていますが、極めてこの方々が、立派な方々、頑張っていらっしゃいますけれども、自分の頭に凝り固まっている、国民の目線を持っていないということを私は強く指摘しておきたいと思います。
 では、厚生省、これは知っていますか。アメリカ合衆国の国立衛生研究所、いわゆるNIHですね、この中に、国立がん研究所、NCIというのが存在します。ここは、ウエブサイトで明確に発表しておりますが、二〇一五年八月、ついこの間です、がん医療における、今度はがんですよ、がん医療におけるカンナビノイド利用の可能性を認める内容に変更しているんです。これについての事実関係はどうですか。
#327
○政府参考人(中垣英明君) 委員今御指摘のアメリカ国立がん研究所、NCIでございますが、そのがん情報、PDQと申しておりますけれども、それが、がん患者及びその家族等への情報提供のために、がんの治療等の専門知識を有する専門家が医学論文等の関連情報を集約したものでございます。
 御指摘のがん情報というのは最新の関係論文の研究成果等を紹介しているといったものでございまして、アメリカ国立がん研究所あるいは今先生御指摘になったNIH、アメリカ国立衛生研究所の公式見解を示すものではないということが明記されておるところでございます。
#328
○荒井広幸君 公式見解を示すものではないといっても、特許まで持っているんですよ。
 つまり、どういうことを言いたいか。だからこそ、日本は日本独自で、悪用されないように大麻を管理しながら、医薬用に使えるのか使えないのかの知見を集めるべきだと言っているんではないですか。これに何で反対するんですか。何で反対するか分からない。厚労大臣、反対ですか、研究することが反対なんですか。
#329
○国務大臣(塩崎恭久君) ヨーロッパの一部やアメリカの一部の州において医療用途での大麻の使用が認められているということは私も存じ上げているわけでありますが、アメリカの連邦法では大麻は禁止薬物として規制をされていまして、FDA、食品医薬品局も、いわゆる医療用の大麻や大麻抽出物を医薬品として認可をしているわけではないということでございますし、また、WHOは、現時点において医療における大麻の有効性について科学的根拠があるとは認めておらず、精神毒性、依存性がある有害なものと評価をしておりまして、国際的にも、大麻は国際条約によって規制をされているわけでございます。
 このような国際的な状況や、我が国では大麻と同様の成分の危険ドラッグの乱用が大きな問題となっていることから、医療用の大麻を認める状況にはないと判断をしてきているところでございます。
 なお、大麻そのものではございませんけれども、先ほど来お話が少し出ていますが、それに含まれる成分であるテトラヒドロカンナビノールを化学合成したものについては、国内では、麻薬研究者として免許を受ければ麻薬及び向精神薬取締法によって国内での医療用途の研究は可能となっているというのが現状でございます。
#330
○荒井広幸君 聞いていると何だか分からないんですね。化学で作ったら大丈夫で、化学で作ったのが今乱用されていて、何が何か分からないんですが、これについてまたやっていきますが、要すれば、悪用されないように大麻草全体を研究したらどうかと言っているんです。その様々な成分が産業用にも使われているんですね。そういった開発競争に負けるのではないかと。
 例えば、先ほど厚生大臣、重要な指摘していただいたんです。ヨーロッパの一部では認められていると言ったでしょう。同じくWHOに入っているヨーロッパの国々が認めているんですよ。もう既に時間の問題じゃないですか、限定された医療あるいは産業用というのは。なぜ、その管理を厳格にして研究させないかと言っているだけの話なんです。
 その場合に、イギリスのGWファーマシューティカルズ社というのがあります。何と、日本で十二件の特許を取っているんですよ。十二件の特許を日本で取っている。
 経産大臣、日本では認めていないといって特許を取っている、どういうことですか。
#331
○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 特許の審査におきましては、発明が新規性、すなわち新しいものであるかどうか、それから進歩性、容易に思い付くものであるかどうかなどを有しているかどうかについて技術的観点から判断をすることを基本としてございます。あわせまして、公序良俗違反に該当するかについても判断をすることとなりますけれども、我が国が加盟しておりますWTOのTRIPS協定において、単に加盟国の国内法令によって実施が禁止されていること、これを理由として特許の対象から除外してはならないとされていることから、我が国の特許審査においても同様の運用をしているところでございます。したがいまして、特許の審査においては、我が国の国内法で大麻草から抽出しました医療用製剤の使用が認められているか否かにかかわらず、必要な技術的要件を満たす発明に対して特許権を与えることとしております。
 一方、こうした特許権を有する大麻草から抽出した医療用製剤について、実際に医療用の使用を認めるか否かについては厚生労働省において適切に判断されるものと理解しております。
#332
○荒井広幸君 さて、テレビを御覧の国民の皆さんは、どうこうしたやり取りが映るでしょうか。
 次回にまたこの点は進めたいと思いますが、悪用していくといういわゆる大麻、マリファナ、これはもうとっ捕まえてそれはやらなきゃいけないですよ、それはそれで。しかし、医療用や産業用に限定して大麻草を研究するということを妨げる理由は何なのかと言っているわけです。
 ちなみに、総理、総理も大変病気で苦しまれました。大勢の人に福音を与える可能性があるんですから、研究ぐらいはさせていただきたいと思うんですね。そのときに、もう既に国家戦略特区の申請をしているんです。申請をしている。申請をすれば、今度は、厚生省はその下にマリファナで悪いことをやった、逮捕されたみたいなことを貼り付けるんですよ。常にそういうイメージ戦略をする。こういったことでいいんでしょうか。私は、冷静な対応をしてもらいたいということで、次回にします。
 時間がございません。(発言する者あり)はい。と言ったら時間がなくなっちゃったんですね。ということでございましたので、どうぞ、閣僚の皆さんもびっくりされたと思います、委員の皆さんも。この薬用大麻について、限定して、悪用しないで研究を進めないと本当に日本は、そして病気の人たちは救われないということもある、これを申しまして、終わります。
#333
○委員長(岸宏一君) 以上で荒井広幸君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて経済・財政等に関する集中審議は終了いたしました。
 次回は明八日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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