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2016/05/31 第190回国会 参議院 参議院会議録情報 第190回国会 法務委員会 第17号
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2016/05/31 第190回国会 参議院

参議院会議録情報 第190回国会 法務委員会 第17号

#1
第190回国会 法務委員会 第17号
平成二十八年五月三十一日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     中泉 松司君     柳本 卓治君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                西田 昌司君
                三宅 伸吾君
                有田 芳生君
                矢倉 克夫君
    委 員
                猪口 邦子君
                田中  茂君
                鶴保 庸介君
                牧野たかお君
                丸山 和也君
                溝手 顕正君
                柳本 卓治君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                加藤 敏幸君
                真山 勇一君
                仁比 聡平君
                谷  亮子君
   国務大臣
       法務大臣     岩城 光英君
   副大臣
       法務副大臣    盛山 正仁君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  田所 嘉徳君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       政府広報室長   別府 充彦君
       法務省民事局長  小川 秀樹君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十六日、中泉松司君が委員を辞任され、その補欠として柳本卓治君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長小川秀樹君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(魚住裕一郎君) 民法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○三宅伸吾君 おはようございます。自由民主党の三宅伸吾です。
 多くの方が待ち望んでおりました再婚禁止期間に関する民法の改正法案が成立の見込みとなった気がいたしております。改正法案の附則に、公布の日から施行するとあります。仮に、あした六月一日の参議院本会議で本法案が可決、成立した場合、公布の日の予定日は通常であればいつ頃になるのか、いつ頃を目指して準備をされているのか、お聞きしたいと思います。
 もし施行日が六月八日の場合であれば、いつまでに離婚した方が改正法の適用を受けるようになるのか、お知らせいただけますでしょうか。
#7
○大臣政務官(田所嘉徳君) お答えいたします。
 まず、公布日の見通しでありますけれども、法律の公布日は、国会法第六十五条により、国会の議決を要する議案については、最終的な議決がされ、法律が成立した後、内閣を経由して奏上し、奏上の日から三十日以内に公布しなければならないとされていますが、通常は成立の日から一週間程度で公布される場合が多いというふうに理解をしております。
 次に、改正法の適用についてでありますけれども、仮に改正法が本年六月八日に公布され同日施行された場合には、その時点で離婚後百日を経過していれば無条件で再婚が認められることとなります。その施行日までに離婚後百日を経過することとなるのは、平成二十八年二月二十九日までに離婚した人ということになります。
 なお、昨年十二月十六日の最高裁判所違憲判決を踏まえ、判決の当日から、前婚の解消又は取消しの日から百日を経過した女性の婚姻届を受理する運用を既に行っており、現実的には法が施行されるに至らなくても離婚後百日を経過している女性については再婚が可能となっております。
#8
○三宅伸吾君 改正法案の施行により婚姻届の実務が実際に変わるのはどのような場合があるのか、お聞きしたいと思います。
 改正法案では、百日規定のほかに、離婚等のときに懐胎していなかった場合には百日を待たず結婚できるなどとございます。具体的にはどのような証明書類を出せば即結婚できるのか。聞くところによりますと、離婚後四週間ほどあれば不妊証明書等を出して再婚できるケースが出てくると聞いておりますけれども、どのような手続になりましょうか。
#9
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 改正後の民法第七百三十三条第二項に該当するか否かにつきましては、一定の定まった様式による医師の証明書に基づいて判断することを予定しておりまして、民事局長通達において証明書の様式及び戸籍窓口での取扱いを定めることを予定しております。
 具体的な証明書の内容でございますが、三つ項目が分かれておりまして、本人が前婚の解消又は取消しの日であると申し出た日より後に懐胎していること、それから、離婚したとする日以後の一定の時期において懐胎していないこと、三番目に、離婚したとする日以後に出産したことの、このいずれかを判断するという内容でございまして、これにより、離婚したとする日の時点で懐胎していなかったこと又は出産したことを証明するというものでございます。
 なお、離婚したとする日以後の一定の時期において懐胎していないことについて、通常はこれは尿妊娠反応検査によるということになりますが、医師がこの証明書を無理なく作成するという観点から、日本医師会などの関係機関と相談いたしまして、本人が前婚の解消又は取消しの日であると述べる日から四週間を経過した後に尿妊娠反応検査を行い、陰性反応であれば、少なくとも本人が前婚の解消又は取消しの日であるとして述べる日より後の一定の時期において懐胎していないと判断できるため、結果として四週間の間隔を空けるということとしております。
 もっとも、医師の診断により、より早い一定の時点で懐胎していないとの証明が出せる場合には、それを否定する趣旨ではございません。
#10
○三宅伸吾君 現行の民法七百三十三条につきまして、昨年十二月の最高裁が違憲判決を出す以前においても、同条の通常の言葉の用法から読み取れる内容とは異なる取扱いを法務局でしていたケースがあると聞いております。どのようなケースがありましょうか。
#11
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 従前、御指摘ありましたように、婚姻の解消又は取消しの日から六か月以内の女性でも再婚が認められました例といたしまして、前婚の夫と再婚する場合、あるいは夫の生死が三年以上明らかでないことを原因として離婚を認める裁判が確定した場合、また六十七歳の女性の場合などがございます。
#12
○三宅伸吾君 嫡出子の推定が重複する可能性がないと、そういうことでかねてから例外的な取扱いがあったと理解をしております。
 そこで、素朴な疑問なんでございますけれども、前婚の男性に生殖機能がない場合も嫡出子の推定が、期間が重なるようなことはないと思うんですけれども、このような場合、これまでどのような扱いをされていたのか、そして今後どうなるのか、教えていただけませんでしょうか。
#13
○政府参考人(小川秀樹君) 前婚の男性に生殖機能がない場合というお尋ねでございまして、そのお尋ねのような事例で再婚禁止期間内に女性が婚姻届出をした具体的な事案は私ども承知しておりませんので、明確に御質問にお答えすることは難しい問題ではございます。
 ただ、この点については、いわゆる性同一性障害特例法により性別の変更の審判を受けて女性から男性に性別の変更をした者を夫とする、そういう夫婦におきまして、婚姻中に妻が子を出産した場合には、その子は夫と血縁上のつながりがないことは明らかでありますが、婚姻における主要な効果である嫡出推定の適用を受けることにより当該夫婦の嫡出子となるとの最高裁決定、これは平成二十五年十二月十日のものでございますが、こういった判断が最高裁において示されているところでございます。
 この最高裁決定の趣旨を踏まえますと、夫に生殖機能がない場合であっても、その女性が婚姻中に懐胎して出産した場合、その子は民法第七百七十二条の嫡出推定を受けるものとも考えられます。そういたしますと、その女性について再婚禁止期間が適用されないとして婚姻届を受理するといたしますと、子について嫡出推定が重複することになる可能性があると考えられます。
 いずれにしろ、具体的な事例に即して慎重な判断が必要になるものというふうに考えております。
#14
○三宅伸吾君 時間の関係で一つ質問を飛ばしまして、先般開かれましたG7サミットでございますけれども、参加国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、アメリカ、そして日本でございます。この中で、英米法諸国、イギリス、カナダ、そして一部の州を除く米国は、そもそも再婚禁止規定がないということでございます。残る国のドイツは一九九八年に、フランスは二〇〇五年に禁止規定を廃止したと聞いております。イタリアは、規定そのものはありますけれども、妊娠していないことに疑いがなければ裁判所が再婚を許可すると聞いております。北欧諸国は一九六八年から六九年にかけて廃止をしたと聞いております。
 先進国の中で日本が再婚禁止規定を殊更維持する理由を分かりやすく御説明いただけないでしょうか。
#15
○副大臣(盛山正仁君) 三宅委員がおっしゃったとおりでありまして、再婚禁止期間を廃止した国があり、そして再婚禁止期間がある国であっても、イタリアのように、その運用というんですか、例外というんですか、そういったことを規定している国があるというのは我々も承知しているところであります。
 我が国において再婚禁止期間が設けられた趣旨は、嫡出推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあります。嫡出推定の重複を避けるために百日間の再婚禁止期間を設けることは合理的なものであると我々は認識しております。再婚禁止期間を廃止したこれらの国々と我が国では、離婚制度や父子関係の確定等に係る制度が異なっております。その一部である再婚禁止期間に関する制度のみを単純に比較することは相当でないと我々は思料しております。
 例えば、ドイツやフランスは、離婚の要件として、一定期間の別居が要件とされていたり、離婚をする際に裁判所の関与を要することとされていたりするために、離婚をするまでに一定の期間を要する場合が多く、父子関係をめぐる紛争が生ずるおそれが少ないという事情があるのではないかと推測しております。これに対し我が国は、協議離婚制度を採用し、裁判所の関与なく離婚を認める法制を取っております。夫婦間の協議が調えば即時に離婚することが可能であるため、再婚禁止期間を廃止した場合の影響についてはより慎重な検討が必要であると思料しております。
#16
○三宅伸吾君 私は本法案に賛成でございますけれども、念のために、さきの最高裁判決の読み方をお聞きしたいと、勉強したいと思っております。
 最高裁判決は、百日の再婚禁止期間を設けることについて、百日以内のやつですけれども、合理的な立法裁量の範囲を超えるものではなく、子の身分関係の法的安定を図るという立法目的との関係において合理性を有するとしたわけでございます。
 そこでお聞きしたいのは、この最高裁判断は、将来、再婚禁止期間の廃止が立法裁量を逸脱するとは述べていないと私は理解しているのですけれども、いかがでしょうか。分かりやすく申し上げれば、再婚禁止期間の規定を廃止するという政策判断をさきの最高裁判決は許容していると私は読んだのでございますけれども、いかがでしょうか。
#17
○国務大臣(岩城光英君) 民法第七百三十三条が女性のみに再婚禁止期間を設け、再婚の要件に関して男女で異なる取扱いをしていることについて、最高裁判所は、そのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠があり、かつ、その区別の具体的内容がその立法目的との関連において合理性を有するものであるかどうかという観点から憲法適合性の審査を行うのが相当であるといたしました。
 そして、再婚禁止期間の立法目的は、女性の再婚後に生まれた子につきまして嫡出推定の重複を回避し、もって父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあると解するのが相当であり、父子関係を早期に確定して子の身分関係の法的安定を図ることの重要性に鑑みますと、このような立法目的には合理性を認めることができると判示いたしました。
 その上で、嫡出推定の重複を避けるために百日間女性の再婚を制約することは、国会に認められる合理的な立法裁量の範囲を超えるものではなく、立法目的との関連において合理性を有するものと言うことができるとして、民法第七百三十三条のうち百日の再婚禁止期間を設ける部分は合憲であるとの判断を示しました。
 他方で、現行の再婚禁止期間のうち百日を超える部分については、嫡出推定の重複を回避するために必要であるとは言えないとして、憲法第十四条第一項及び第二十四条第二項に違反するとの判断を示しました。
 このように、この判決は現行の再婚禁止期間が憲法に違反するかどうかの判断を示したものであり、最高裁判所として再婚禁止期間を廃止した場合の憲法適合性については何ら判断を示していないものと、そのように考えられます。
#18
○三宅伸吾君 終わります。
#19
○小川敏夫君 民進党・新緑風会の小川敏夫です。
 まず、再婚禁止ですけれども、これまでの扱いについてお尋ねしますけれども、趣旨が、離婚する前の夫の嫡出推定が及ぶということが理由でありますけれども、そうすると、子供が生まれなければ嫡出推定という問題は起きないわけですから、そうすると再婚を禁止する理由がないことになります。
 それで、これまでの扱いですと、再婚禁止期間があったと、しかし、例えば子供が生まれる可能性が考えられない女性、例えば八十歳とか七十歳の女性が再婚する場合にはどういう扱いだったんでしょう。
#20
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 婚姻の解消又は取消しの日から六か月以内の女性でも再婚が認められました例といたしまして六十七歳の女性の場合がございまして、この取扱いを行っているところでございます。
#21
○小川敏夫君 それは六十七歳の場合には無条件で再婚禁止期間を適用しないで認めたという趣旨だと思いますけれども、それは誰が認めたんですか。
#22
○政府参考人(小川秀樹君) これ昭和三十九年に、当時六十七歳の女性について再婚禁止期間内の婚姻届出が市区町村にありまして、それを受理してよいかどうか、個別の事例ということで届出のあった市区町村から照会があり、法務省として受理して差し支えないと回答したものでございます。形式的には民事局長回答ということでございます。
#23
○小川敏夫君 そうすると、六十五歳だったらどうなんですか。
#24
○政府参考人(小川秀樹君) ただいま申し上げました事例を戸籍の先例として全国の市区町村が参照し、同様の事例について受理、不受理の判断を行っているということでございまして、現在も六十七歳以上の女性について再婚禁止期間内の婚姻届出であっても受理をしているものと承知しております。
#25
○小川敏夫君 今の答弁の裏返しだと、六十五歳の女性の場合には再婚禁止期間内は受理しないと、こういう趣旨だと聞こえるんですが、そういうことですか。
#26
○政府参考人(小川秀樹君) 六十七歳以上の女性に限っておりますので、今御指摘ありました六十五歳の女性については、再婚禁止期間内の婚姻届出に関しましては、その年齢を理由に、受理するという取扱いはしていないものと承知しております。
#27
○小川敏夫君 私が言いたいのは、法務省、すごく不親切だと思うんですよ。常識的に考えて六十五歳の女性が出産するということは考えられないと思うんですけどね。だから、六十七歳なら受理してもいいということなら、果たして何歳までならということ、それは普通は余り五十歳代で出産するって聞かないけど、でも出産する人もあるようですから、だから一律に何歳までとそれは線を引くのは難しいかもしれないけれども、ただ、やっぱり六十歳を超えてから出産というのは余り聞かないと思うんですがね。だから、六十七歳の例で、そこで受理すると決めたから六十七歳以上は受理するよと、それより年齢が低い人に対しては受理しないという一律の扱いが、それでずっと来たということが、私は法務省は大変不親切、もう少し具体的な検討をして、年齢だけでも判断できるものがあったんじゃないかというふうに思います。
 それから、出産する可能性がないということですと、例えば病気で子宮を摘出してしまったような女性、年齢的には十分出産可能年齢ではあるけれども、しかし子宮が摘出してしまったとすれば出産の可能性はないわけです。こういうような人たちに対してはどういう扱いをしてきたんでしょうか。
#28
○政府参考人(小川秀樹君) これも昭和二十九年に示された例ということでございますが、女性が当時の優生保護法に基づく優生手術を行った旨の医師の証明書を添付したときは、再婚禁止期間内であっても届出の受理を認めたという例がございます。
#29
○小川敏夫君 優生保護法の場合以外の場合はどうなんですか。私が聞いたのは、優生保護法のことを聞いているのではなくて、要するに何らかの病気によって子宮を摘出したというような場合、一般的に聞いておるんですけれども。
#30
○政府参考人(小川秀樹君) 子宮摘出のような場合の取扱いは必ずしも明確ではございませんが、そういう場合であったら認めることもあったというふうには考えております。
#31
○小川敏夫君 私は、言いたいことは、だから、あったかなかったか分からない、あったと思うぐらいの答弁でしょうけれども、実はこの問題については、それは憲法問題もあったでしょうけれども、実際の運用でかなり解消できる部分もあったと思うんだけど、そういうことについて法務省の対応が全く怠慢、もう少しきめ細やかな対応をしていればかなり、その嫡出推定の前提である出産という可能性がない人に対して、再婚禁止を適用することがない状態で婚姻を認めることができたんじゃないかと。ですから、私はその点で随分法務省は国民に対して不親切をずっと続けてきたんだというふうに思っております。
 それで、今の答弁聞きますと、例えば優生保護法とかあるいは子宮摘出の場合に出産の可能性がないということで、あったかもしれないというような答弁でありました。すなわち、出産の可能性がないという場合にはそれは再婚届を受理していいという趣旨のように思えるんですけれども、もしそういう論理であれば、私が挙げた子宮摘出とかそうしたところまで行かなくても、今回の法律でできましたけど、離婚したときに懐胎していない、あるいは、そうした子供ができる行為から懐胎しているかどうか判定するまでに多少時間のずれがあるでしょうけれども、そういう合理的な範囲内で懐胎していないということの証明があれば、これまでの運用においても受理してもよかったのではないかと。
 その受理してもよかったのではないかということについて、これまで法務省は検討することを避けてきたんじゃないかというふうに思うんですけれども、論理的には、子宮摘出あるいは優生保護法による措置によって出産の可能性がない人に対して再婚禁止期間内の婚姻届を受理していたということは、客観的に出産の可能性がないということが証明されればどのような事情であっても本来それは受理すべきだったと思うんですが、そういう対応をしてこなかったと、法務省は対応してこなかったと思うんですけれども、そうしたことについてはどうお考えなんでしょうか。
#32
○政府参考人(小川秀樹君) 戸籍の届出は各市区町村のいわゆる戸籍窓口に届出をするというものでございまして、そこで受理するかどうかの判断を求められるものでございます。したがいまして、いわゆる形式的審査というふうに申し上げておりますが、書面の審査が必要でございまして、実質的な判断ではなく言わば定型的な証明が必要ということでございます。先ほどの六十七歳のような場合は戸籍簿を見ればこれは明らかでございますし、優生手術のような場合も、一定の手術の証明書等を示すことによって形式的審査の要請を満たしていたということでございます。
 したがいまして、実質的な判断を必要としない類型について、言わば証明手段も同時に定めることによって対応してきたというのが実情でございます。
#33
○小川敏夫君 でも、そういうことであれば、これ戸籍の事務といったって、これは窓口は市町村の役所かもしれませんけれども、基本的には法務省の方で所掌しているわけでありますから、それで、客観的なものがあればと言うのであれば、それは例えば懐胎していないという医師の診断書、これを、まさに今回のこの法律の改正によって扱うような仕組みをもっともっと早くから、それこそ何十年も前からそれを採用して対応することができたんじゃないか。
 私は、そういう対応をしてこなかった、役所の方で、形式的な判断だから、懐胎していないということを証明する資料が必要だと言うんだったらどういう資料が必要か、具体的には懐胎していないという医師の証明書があればいいとか、そうした技術的に対応可能だったにもかかわらずそうした対応をしてこなかった、私は法務省が大変国民に対して不親切だという認識を持っておるわけです。その点について、また改めてもう一度お願いします。
#34
○政府参考人(小川秀樹君) 今回、いろいろな御指摘踏まえまして、あるいは最高裁の大法廷判決が共同補足意見などで示したことも踏まえて、先ほどお話し申し上げましたように、新たな取扱いとして定型的な証明書を用いることとしております。
 その前提といたしまして、やはりある一定の時期あるいは幅を持った時期に懐胎をしていないということの証明が必要でございまして、今回、尿検査によってそのような手法を取るわけでございますが、そういった技術の進歩も今回の見直しの一つの背景ということが言えようかと考えております。
#35
○小川敏夫君 技術の進歩があって早い時期に判定できるということはあるかもしれませんけれども、しかし、これまでだって三百日待たなければ判定できないと、こういうことはなかったわけでありますので、やはり私はこれまでの対応が不親切だったんじゃないかというふうに思っております。
 嫡出推定のことでちょっとお尋ねしたいんですけれども、これは、親の方から、夫の方から嫡出推定期間内に生まれた子供に対して、いや、これは嫡出子ではないという否認の訴えができますけれども、生まれた子供の方には、自分はこの親の嫡出子ではないんだということが申し出ることが認められていないんですけれども、これはどういう事情なんでしょうか。
#36
○政府参考人(小川秀樹君) ただいま御指摘ありましたように、現行制度におきまして、嫡出否認の訴えの提起はその提訴権者を夫としておりまして、夫にのみ訴えの提起を認めております。これは、父子関係の当事者は夫と子ということになるわけですが、嫡出否認の訴えが係属している時点では子には十分な判断能力がないのが通常であるということを考慮したものであるというふうに言われているところでございます。
#37
○小川敏夫君 それは生まれた子供には判断力ないでしょうけれども、しかし、生まれた子供の母親は、その子の親、母親は、自然的に分娩という事実があるわけですから母親であることは間違いないでしょう。その母親が子供のために起こす、これは、子供に意思能力、行為能力がなければ親が代理人として行うというのは当たり前のことなので、ですから、赤ん坊が小さいから判断できないというのはそれはそうだけど、だから赤ん坊の立場に立って母親が起こすということだってこれはあり得ると思うし、あるいは、もう一つの方法として、じゃ、子供が判断能力が付いたときに、二十歳なら二十歳、それから一年間の提訴期間を与えるとか、そんな技術的な解決方法も可能だと思うんですけれども、この点はいかがでしょう。
#38
○政府参考人(小川秀樹君) もちろん、いろいろな立法論はこれまでもされております。
 それから、出訴期間につきましても、現行法は夫が子の出生を知ったときから一年に限定しておりまして、これはいわゆる父子関係の早期安定を図るためだというふうに説明されているところでございまして、一定の合理性は、相応の合理性はあるというふうに考えているところでございます。
 もっとも、嫡出推定制度については今御指摘もいただきましたような問題点も指摘されているところでございまして、こういった問題につきましてももちろん様々な意見があり得るところでございます。したがいまして、今後の国民的な議論を踏まえて、そういった点については慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
#39
○小川敏夫君 では、話題を変えまして、夫婦別氏制度についてお尋ねいたします。
 これ、この委員会で私、前にも簡単にお尋ねしたんですけれども、いわゆる政府が平成二十四年の十二月にアンケート調査を行っております。前にも指摘させていただいたんですけれども、このアンケート調査の結果、高齢者が夫婦同氏制を維持すべきだという意見が圧倒的に多い、しかし、これから結婚する、仕事に就く、あるいは現に仕事に就いているという若い世代の女性、まあ男性もそうですけれども、若い世代では逆に圧倒的に夫婦別姓を選択的に認めてもいいというように、かなり極端な結論が出ております。
 それで、私としては、もう結婚する可能性がないとは言わないけど非常に少ない方、あるいはもう仕事を一応終えて余生に入っている方の御意見ももちろん大切だけれども、これから結婚しよう、あるいは仕事に就く、現に仕事に就いている人の意見の方がより重視して政策を取るべきではないかと思うのでありますけれども、どうもそこのところの、現実に別姓制度を必要としている、あるいは要望している層の意見が反映されない、全体的に今五分五分だみたいな世論調査が出ているので、それについての指摘をさせていただきたいんですけれども。
 今日、内閣府にお越しいただきました。この世論調査のサンプルはどのようにピックアップしているんでしょうか。
#40
○政府参考人(別府充彦君) お答えいたします。
 世論調査のサンプルにつきましては、いわゆるランダム抽出ということで、全国から今おっしゃいました年齢の人口構成に比例いたしまして抽出していると、そういう形でございます。
#41
○小川敏夫君 これ、調査方法は、どういうふうに意見を聴取しているんでしょうか。
#42
○政府参考人(別府充彦君) 調査方法につきましては、いわゆる面接調査ということでございまして、調査員が伺いまして質問を読み上げまして回答をいただくと、そういうやり方をしております。
#43
○小川敏夫君 この世論調査を見ますと、先ほど申し上げたように、高齢者の方が夫婦別姓に反対という意見が非常に多い、若い人には逆に別姓制度を認めるという意見が非常に多いという特徴があるんですけれども、この調査の概要を見ますと、標本の数は当然人口分布に従っているんでしょうけれども、その回収率というところにおいても、実は御年配の方と、例えば七十歳あるいは六十歳以上の方と二十代の方を比べてみると、倍近く、ぴったり倍じゃありませんけど倍近く、あるいは倍に近いぐらいの開きがあるんです。高齢者の方が回答の回収率が高いわけです。それからもう一つ、そもそも人口分布で若い人は少子化で数が少なくて、高齢者の方が数が多いんです。
 その結果、標本数が多い高齢者、高齢者の方の方が若い人よりも倍とか倍に近いぐらい回収率が多いという結果、高齢者の意見がかなり反映されてしまって、その結果として賛否半々ぐらいになっているというような数字になっているんですけれども。
 ですから、私は、回収率が若い人が少ない、これですと、やっぱり実態を必ずしもその部分が反映し切れていないんじゃないかと思うんですが、例えば男性ですと、七十歳以上の回答率六九・二%、二十代の人の回答率は三六%、女性ですと、七十歳以上の回答率が六七・二%、二十代の人の回答率が四四・八%ですけれども、一つの御意見として、こんなに回収率が差が出ているのはどんな事情だというふうに考えていらっしゃいますか。
#44
○政府参考人(別府充彦君) まず、世論調査の回収率全体について申し上げますと、やっぱり一つは、ライフスタイルの変化と申しますか、基本的に、夜遅くまでかなり外で活動しておられる方がおられてなかなか自宅でつかまらないというようなことがございます。
 また、個人情報保護の観点から平成十七年に法律できましたけれども、その後、平成十八年度からかなり実は回収率は下がったということがございまして、その中でいろんな試みをして上げてきておりますけれども、その中でも特に今若い方の方が、やはり共働きの方とかそういった方もいらっしゃいまして、なかなかつかまえにくい面があるのかなと思っております。
#45
○小川敏夫君 これは、お年寄りの方は在宅している可能性が高いでしょうし、若い人は当然在宅の可能性が低いということで出てくる差だと思いますけれどもね。
 だから、そういう事情を考えると、全く、結果として夫婦別姓制度の導入に賛成と反対が大体拮抗しているという一言で済まされてしまうと、どうも私、釈然としないわけでありまして、賛否拮抗しているからまだ時期尚早だということでしょうけれども、二十代、三十代に限定すればもう圧倒的に別姓制度を賛成だという人が多いわけでして、やはりこういう声をきちんと取り入れて政策判断していくべきじゃないかと思っておるわけでありますけれども。
 例えば、法務大臣、今のような私の考えはどうでしょう。実際に、これから結婚して、あるいは職に就こう、あるいは現に職に就いている、そうした若い世代に限れば、夫婦別姓制度を導入してほしい、導入することに賛成という方が反対の人よりも相当に多いんですけれども、そうした声をむしろ重要視して政策判断していくべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#46
○国務大臣(岩城光英君) 確かに小川委員御指摘のとおり、若い年代の方がこの選択的夫婦別氏制度の導入に賛成する割合が高い傾向にございます。全体で見ればそれは拮抗しているということでありますけれども、そういう中で、もっと若い世代の声を尊重した判断を示したらどうかということの御質問だと思います。
 この選択的夫婦別氏制度の導入は、これは前にもお答えしたと思うんですが、我が国の家族の在り方、これに深く関わる問題でありますので、国民の大方の理解を得て行うべきものと考えております。若年層の意見のみならず国民各界各層の意見を広く考慮しながら、慎重にその対応を検討していくべき課題であると考えております。
#47
○小川敏夫君 もちろんお年寄りの、御高齢の方の意見を聞くなと言っているわけじゃないんで、それは国民各層の考えを聞いて判断というのはよく分かりますけれども、現実に必要としている世代でも非常に多いということを是非重要視して捉えていただきたいと思います。
 また、特にこうした世論調査を発表するとき、ただ単にほぼ賛成、反対が同数であったということだけを発表するんじゃなくて、二十代、三十代に限れば、夫婦別氏制度、選択的ですけれども、採用するという賛成の方の方が相当程度多かったと、こんな事実も是非併せて発表していただいて、国民の議論をしっかりと、議論起こるような、あるいはそこら辺を分かった上での議論ができるような、そうした資料、情報も是非提供していただきたいというふうに思います。
 ということで、私の質問を終わります。
#48
○矢倉克夫君 おはようございます。
 今回の民法改正、我が党も、昨年の最高裁判決受けて、年末の十二月十七日に大臣宛てに提言を、早期に改正ということで求めさせていただいた経緯もございます。まずは、このような形で法改正提出をいただき、そして今日参議院でも審議をできる、評価をさせていただきたいというふうに思います。
 百日の再婚禁止期間、百日の期間短縮というところでありますが、昨年の最高裁判決から、実際法務省の方でも、事実上通達等で、婚姻届はもう受理するというようなことも通達されていた、それもあって、前婚の解消又は取消しの日から百日を超えて六か月を経過していない女性を当事者とする婚姻届出数、昨年の十二月から本年の四月まで七百三件の方が実質的に認められている。これ、裏を返せば、今回の法改正までにこれだけ多くの方が婚姻届を出したいけれども出せなかったというような実質的なニーズがあったんだと思います。
 こういうようなお方の声を受ける意味での改正も非常に評価もしていきたいと思いますし、むしろ推定の七百七十二条の二項の規定からしたら、計算上百日を超えるところは合理的関連性がないのはもうこれも明らかであったところでありますので、ここの部分が短縮できたことは、むしろもっと早くにもやれるべきだったところかもしれないとは思います。
 もう一点、今回、法改正でやはり評価をさせていただきたいと思うのが七百三十三条の二項、これは先ほども三宅理事からも質問もありました。「女が」というふうにこれ条文上書いておりますが、前婚の解消又は取消しのときに懐胎していなかった場合、再婚禁止期間の規定を適用しないというふうに規定された部分でもあります。
 まず、この部分について、御趣旨を法務省から説明をいただきたいと思います。
#49
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 再婚禁止期間を設けました立法の目的は嫡出推定の重複を回避するためであることから、嫡出推定の重複が生じ得ない場合であれば再婚禁止期間の規定を適用する必要はないというふうに考えられるわけでございます。
 民法第七百七十二条第一項により、妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定されるわけですが、女性が前婚の解消又は取消しのときに懐胎していなかった場合には、以後、その女性が懐胎したといたしましても、懐胎した子は前の夫との婚姻中に懐胎した子ではないということになりますので、懐胎した子が前の夫の子と推定されることはございません。
 したがいまして、このような場合には嫡出推定の重複が生じ得ないということから、再婚禁止期間の規定を適用しないこととしたものでございます。
#50
○矢倉克夫君 この部分の改正に対しましては、このような内容であるということが公表された以降、例えば去年の再婚禁止期間をめぐる訴訟で原告だった方、代理人を務めた作花弁護士という方も、報道ではありますけれども、離婚時に妊娠していない人がほとんどで、多くの女性を救うことになる、画期的な内容だというふうに評価もされているところであります。
 ちなみに、また局長にお伺いしたいんですけれども、こちらの法文では「懐胎していなかった」という文言になっておりますが、これは事実上懐胎できないという場合もこれ含む御趣旨であるというふうに理解もしておりますが、結論だけで結構ですので、答弁をいただければと思います。
#51
○政府参考人(小川秀樹君) 御指摘の懐胎できない場合というのは、女性に子供が生まれないことが生物学上確実な場合を意味するというふうに理解しておりますが、そういうことでございますと、改正後の民法第七百三十三条第二項第一号の「懐胎していなかった場合」には、今申し上げました懐胎できない場合も含まれ、再婚禁止期間の規定は適用されないものというふうに考えております。
#52
○矢倉克夫君 ありがとうございます。今回の改正で、多くの方がまた新たに婚姻届を出すことができるということが認められた方向でもあると思います。
 一点、また、今のアの部分との関連での確認でありますけど、従来、この民法七百三十三条については、法務省の方でも、運用上、この明文で書かれているところ以外のところでも再婚禁止期間の適用をこれしないで婚姻届を受理するという運用がなされていたという理解、先ほど来からも質問もあったとおりであります。例えば、長期にわたる音信不通の事実が認定されて夫の悪意の遺棄を理由とする離婚判決があった場合であったり、夫の三年以上の生死不明を理由とする離婚判決があった場合、また、先ほども話もありました六十七歳の場合、高齢の方の場合である等、この場合については証明書等も必要なく今まで届出が認められていたというところ、これは理解もしております。
 仮にこれをカテゴリー一という形にしましたら、今回、先ほど申し上げた七百三十三条の二項のア、これを設けられた。こちらは証明書が必要でありますけど、一部重複する部分もあるかもしれませんが、新たな概念としてこのような規定も設けて、こちらについては証明書というのが必要だと。カテゴリー、先ほどのが一であれば、カテゴリー二というものもこれは設けて、それぞれの違いとしては証明書が要るか要らないかというところ、違いとしての概念も設けた上で再婚禁止期間が適用ないという規定を設けたという趣旨と理解もしておりますが、これについて確認をさせていただきたいと思います。法務省、よろしくお願いします。
#53
○政府参考人(小川秀樹君) 御指摘のとおり、現在でも婚姻の解消又は取消しの日から六か月以内の女性でも再婚が認められる例がございます。御指摘ありました、例えば六十七歳の女性の場合などは医師の証明書を求めておりません。
 他方、改正後の民法第七百三十三条第二項に該当するか否かにつきましては、一定の定まった様式による医師の証明書に基づいて判断することを予定しております。先ほど申し上げました類型、要するに、従前、医師の証明書がなくとも再婚禁止期間内にされた婚姻届出について受理していて、これらの類型についてどうするかということでございますが、これらの類型について常に証明書を求めることといたしますと、結論として従来よりも不利益な取扱いとなり妥当ではございませんので、今回の法改正以後も、先ほどのでいいますとカテゴリー一の取扱いについては従前と同様の取扱いを行うこととしております。
#54
○矢倉克夫君 今局長からも答弁ありました。今回の改正は、七百三十三条の二項のアが入ることで従来の取扱いに変更があるということではないということであると思います。従来の取扱いは証明書もなく認められた、それはそのままの運用としてしっかりと確認もした上で、新たな分野として、再婚禁止期間が適用されない場面を適用するカテゴリーとして別のものを設けて、その際は証明書が必要だというふうな理解として改めて整理もさせていただいたところであります。
 その上で、この証明書でありますが、先ほど三宅理事からも具体的に今予定もされている書面なども提示をされながら御説明をいただいたところであります。非常に、ある意味アンケートに答えるような形、一定の様式がしっかりと定まって、判断にばらつきがないような形になっている様式であるかと思います。こちらについては、今、関連の団体と協議も既に済みであり、今後公表もされてしっかりと運用もされていく部分であると思います。
 内容については先ほど御質問あったところでお答えもいただいたので、私としては、じゃ、今後、これについてどのように公表をされていき周知を図っていくのか、その辺りの対応について御予定されているところあれば答弁をいただきたいというふうに思います。
#55
○政府参考人(小川秀樹君) 今回の法改正に合わせまして、日本医師会など関係機関と協議をして、民事局長通達におきまして、証明書について一定の様式及び戸籍窓口での取扱いを定めることを予定しております。その様式、内容については既に整っているところでございます。
 今回の改正後の民法第七百三十三条第二項に関する戸籍事務の取扱いにつきましては、改正法の施行時には法務省ホームページにより、広く国民一般への周知を行うことを予定しております。また、事前に法務局を通じまして市区町村にも情報提供を行っておりますほか、日本医師会などの関係機関に対しましても情報提供及び各医師への周知の依頼も行っておりまして、改正法施行後直ちに混乱なく改正法に基づく取扱いが行われるように配慮しているところでございます。
#56
○矢倉克夫君 しっかりと今回の法改正、趣旨とともに、このような様式でできるんだという具体的な手続も含めて、是非引き続き周知の在り方を検討していただきたいというふうに思います。
 じゃ、その上で、次にちょっと質問を移らせていただきたいと思うんですが、今回の再婚禁止期間の法改正は嫡出推定のこれ重複を避けるというところが趣旨でございます。嫡出推定についての、これに関連するところとしてちょっとお尋ねをしたいところが無戸籍の問題でございます。
 大臣も所信で無戸籍のことを捉えられていたわけですが、これが関連といいますのも、今回の無戸籍というものが今までデータとしてどれくらい把握されているかというところでありますと、六百八十六名、まあ六百九十人弱というようなデータがある。あるデータによると、そのうちの七六%の方が無戸籍となっている理由というのは何かといえば、やはりこの嫡出推定、DV等様々な暴力で父親と母親の婚姻関係が破綻している、しかし離婚もしていない、そういうような状態で元夫の嫡出推定が及ばないようにするためにどうすればいいかという判断から出生届を出さなかったというような事情があったという理由もございます。
 まず、この無戸籍も、今六百九十名弱といったところでありますけど、自治体の方々から大体二割ぐらいから回答をいただいてこれぐらいの数が把握できているというところでありますので、本来であればもっと多くの方が無戸籍という状態になっているかもしれないというところであります。
 今、嫡出推定との関係でお話もしたわけですが、この無戸籍の理由が、経緯としてはそういう部分もあるかもしれませんが、その上でさらにDVの問題等様々複合的な問題もあるかと思います。今日は、嫡出推定そのものというよりは、まず、現に今申し上げたとおり、表れている数としても六百九十名弱、これも氷山の一角と言われている、そういった方々に対して今後いかに戸籍を取っていただけるような手続を取っていくのか、ここについて少し質問をさせていただきたいと思います。
 まず、現状、法務省の方としても戸籍を取っていただくために様々なサポートをされているかと思います。まずは、どういう方が戸籍を持っていないのか、この情報収集、その後の具体的な手続の連携とかアドバイスの在り方などもそうでありまして、非常に重要な部分もあるかと思います。これについては、どのような手続があるのか等も含めて、周知その他どのようになされているのか、法務省の方から答弁をいただきたいと思います。
#57
○政府参考人(小川秀樹君) いわゆる無戸籍者の方の問題につきましては、これまでもその実態についてきめ細やかに把握するよう努めますとともに、全国各地の法務局においてこれは相談を受け付けまして、一日でも早く戸籍を作るために一人一人の無戸籍の方の実情に応じまして懇切丁寧に手続案内を行うなど、無戸籍状態の解消に取り組んでまいりました。特に無戸籍の方との間での連絡を取るということは非常に重要でございますので、法務局で把握しております無戸籍の方とは少なくとも三か月に一回は連絡を取るようにしておりまして、無戸籍の方に寄り添った取組を行っているところでございます。
 さらに、法務省といたしましては、無戸籍者ゼロタスクフォースというものを設置いたしまして、関係府省と連携し情報を共有するなどして無戸籍であることによる不利益状態の解消に努めているところでございます。
#58
○矢倉克夫君 三か月に一回というところです。やはり、戸籍がなかった事情で行政との接点も今までなかった方も多いかと思います。そういう方々と本当に今までの経緯に寄り添って対応していくというところは、今後も是非お願いもしたいと思います。
 やはり、その後具体的な手続に入るとしまして、例えば元夫の戸籍には入りたくないというような方もあるかもしれない、その場合には親子関係不存在の手続などもこれしなければいけない。また、戸籍に、手続をするときにも、母親との関係も、当然ですけど証明をしなきゃいけない場合も出てくる、経緯が長年たつといろいろ証明もできない部分も出てくると思いますから。ただ、出生の証明などができないときには、その部分では親子関係の存在の手続などもしなきゃいけない、あらゆる面で裁判の手続なども関わってくるかもしれないと思います。
 ただでさえ行政というものに対しての接点がなかった部分も多い方が、今度はまた戸籍を得るために裁判をしなければいけないというとき、経済負担なども含めてやはり心の壁というのが存在する。そういう場合には、例えば法テラスなどで弁護士費用の立替えなども制度もあるかと思います。また、裁判所で印紙代などは訴訟救助などもいろいろ手続があるかと思いますが、そういった所要の既にある手続なども、複雑なところもしっかりと教示もしながら全面的にサポートしていく、戸籍を得るための必要なものについては国がしっかりとサポートしていくというような姿勢もこれは必要である。そういった裁判の部分での援助について、法務省として今どのように取り組まれているのか、答弁をいただきたいと思います。
#59
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 各地の法務局の窓口におきましては、無戸籍の方からの相談があった場合には、無戸籍解消の方法といたしまして、御指摘がありました親子関係不存在の確認ですとか、あるいは強制認知といった裁判の手続の案内などを丁寧に行っておりますほか、これは裁判手続に係る費用の問題がございますので、そういった点についての相談があった場合には、御指摘ありましたいわゆる法テラスでの民事法律扶助制度ですとか訴訟救助といった制度についても御案内をしておりまして、無戸籍者の方に寄り添った形での取組を行っているところでございます。
#60
○矢倉克夫君 もろもろ今進めている制度をしっかりと、まずはどういう方が無戸籍の状態で悩まれているのかということ、これ、情報収集もしっかり重要であると思います。是非他省とも連携もしていただきたいというように思います。
 大臣に改めて、所信でも述べていただいている問題でもありますが、御決意を是非いただきたいと思うんですけど、この無戸籍の問題というのは非常に各省とも連携をしなければいけない。DV等が原因になってそうなっているという事情もあります。
 また、この無戸籍の方が、文科省が調査したところによると、文科省のサンプルデータ百四十二人のうち七人が未就学だったと。戸籍がないことで、様々事情があるかと思いますが、中学の途中まで通学していなかった、最長七年半ですね、そういうような方もいらっしゃる。無戸籍であることによって社会的な基盤というものが失われ、そしていろんな社会生活の中でも支障が生じているということもある。もう住民票も取れない、そうすると携帯電話も買えなかったりする。そういった生きていく上で本当に必要なものもされることもなく、自分の存在すらこれは否定されるというような孤独な気持ちにどんどんどんどんなっていく、そういうような方が分かっているだけで今六百九十人ぐらいいらっしゃる。これはもう本当に氷山の一角。そもそも戸籍がなかったわけですから、行政との接点がなかなかないような方々である。ただ、二割だけのサンプルで六百九十だからそれで単純に五を掛ければいいという話では恐らくない、もっといらっしゃるというようなところであるかと思います。
 我が党も、大口国対委員長を始め超党派で、この問題について法務省しっかりと対応いただきたいということを昨年、当時の、上川前大臣にも申入れもいたしました。全省で挙げていかなければいけない、その中心にやはり法務省がしっかりと立っていただきたいというところでもございますが、改めてこの問題の解決についての大臣の御決意をいただきたいと思います。
#61
○国務大臣(岩城光英君) 無戸籍の方につきましては、委員より御指摘のありましたとおり、国民としての社会的基盤が与えられておらず社会生活上の不利益を受けている、そういった状況で、人間の尊厳にも関わる重大な問題であると認識をしております。
 この問題につきましては、これまでもその解消に向けまして情報を集約し、一人一人の実情に応じて戸籍に記載されるための丁寧な手続の案内をしたり、関係府省を構成員とする無戸籍者ゼロタスクフォース、これを設置して関係府省との間で連携強化を図るなどの取組を行ってまいりました。
 これからも引き続きその実態についてきめ細やかに把握するよう努めますとともに、全国各地の法務局において相談を受け付け、一日でも早く戸籍を作ることができるよう、一人一人の無戸籍の方に寄り添い、懇切丁寧に手続案内を行うなど、無戸籍状態の解消に取り組んでまいりたいと考えております。
#62
○矢倉克夫君 今大臣から、無戸籍の方に寄り添いというようなお言葉がありました。もうまさに寄り添う思いで、是非解決に向けて引き続き御尽力をいただきたいというふうに思います。ありがとうございます。
 次の質問、残りの時間を使ってもう一つだけちょっと御質問をさせていただきたいと思います。
 この再婚禁止期間の判決があった後、時を同じくして夫婦別氏についても判決がございました。こちらについて、まず大臣から最高裁判決の評価をもしございましたらいただければと思います。
#63
○国務大臣(岩城光英君) 御指摘の最高裁判決におきましては、夫婦同氏を定める民法第七百五十条の規定は憲法に反しないと、そういった判断がされたものであります。もっとも、判決におきましては、五名の裁判官から、夫婦同氏制を定めた民法の規定は婚姻の際に夫婦が別の氏を称することを認めないものである点におきまして、国会の立法裁量の範囲を超え、憲法第二十四条に違反する旨の意見が示されております。このように五名の裁判官が現行の夫婦同氏制を違憲とする意見を述べたことにつきましては真摯に受け止める必要があろうと考えております。
 他方、この判決におきましては、選択的夫婦別氏制度の導入の是非につきましては、嫡出子の仕組みなどの婚姻制度や氏の在り方に対する社会の受け止め方に依拠するところが少なくないとの指摘がなされております。この問題は、我が国の家族の在り方に深く関わるものでありまして、最高裁判決におきましても各裁判官から様々な指摘がなされ、国民の間でも意見が分かれていますことから、最高裁判決における指摘や国民的な議論の動向を踏まえながら慎重に対応してまいる必要があるものと、そのように考えております。
#64
○矢倉克夫君 ありがとうございます。まさに今大臣おっしゃった国民的な議論というところ、これはやはり我々も立法府の人間としてしっかりとやっていかなければいけない問題であると思います。
 この夫婦別氏というものに対しては様々な意見もあり、例えば家族間の一体感がなくなる、親と子の間の氏が違う等で、それについては、国民世論としてはそういうようなことを御認識されているのは大体四割ぐらいの方、他方で、子供の保護というところから考えるともうちょっと数が増えまして、六、七割ぐらいは子供という観点からは影響があるのではないかというような世論もあるのもやはりこれは事実。そういった世論がある以上、しっかりまたこれは議論もしていかなければいけないと。
 他方で、私の友達なども例えば、弁護士とかの友達もやはり多いんですが、この氏を選択する、姓を選択するという自由、それが認められないというところから、法律婚そのものをやはりしないで事実婚状態という方も結構いらっしゃいます。実際として、法律婚を回避した上で、お子さんが生まれた場合は姓がやはり別々になるというようなこともある。
 これは本当に難しい問題で、最後は私、一言だけ述べさせていただきたいんですけど、女性の方、事実上はもう九割、ほぼ一〇〇%が女性の方が姓を変えなければいけない、選択しなきゃいけないという、自由がこれ侵害されている、他方で子供の保護という部分、両方ある。ただ、これはなかなか比べようもない難しい価値を両方比べざるを得ない、こういった非常に難しい問題であると思います。他方で、現に姓を変えなければいけないということに苦痛を持っていらっしゃる方がいらっしゃる、その方々に対してどう寄り添っていくかというやはり政治の姿勢がこれは必要であるなと。非常にデリケートな問題である以上しっかりとした、皆さん方に寄り添っていく議論という姿勢というのもやはりこれは必要であるなというふうに思います。
 我が党も、代表以下、この選択的夫婦別姓というところはこれまでもしっかりとお訴えをさせていただいた。党としてもそういった世論の中の動きもしっかり踏まえ、全ての方に寄り添うような気持ちでこの問題は議論をしていきたいということだけを最後お伝え申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#65
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 今回の再婚禁止期間を百日に短縮するというこの法改正は、女性を始めとした運動の中で強く求められてくる中で、最高裁判所の違憲判決に基づくものであって、我が党は賛成をいたします。
 今日お尋ねしたいのは、この七百三十三条、そして七百三十三条の再婚禁止期間を置いていることの理由として密接不可分な嫡出推定規定、父性を推定する七百七十二条の立法の趣旨を今回改めてどのように考えるかということについてなんですね。
 まず大臣に、端的に、この改正案が提案をされているわけですが、この七百三十三条の一項の趣旨、立法目的というのは、これはどのようなものだとお考えでしょうか。
#66
○国務大臣(岩城光英君) 民法が女性について再婚禁止期間を設けている趣旨は、嫡出推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあるものと理解をしております。
 仮に再婚禁止期間そのものを廃止した場合には、嫡出推定が重複した場合に子の父をどのように定めるかが問題となりますが、例えばDNA鑑定により法律上の父子関係を確定するという制度を採用いたしますと、法律上の父子関係が子の出生時に確定せず、子の福祉に反する事態が生じ得ます。DNA鑑定の信用性が高まっている現在におきましても、鑑定をしない限り父子関係が確定しない事態が生じ得るのは問題でありまして、再婚禁止期間により嫡出推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことによって子の利益を図る必要性、これは大きいものと、そのように考えております。
#67
○仁比聡平君 まず前段として父子関係の推定の重複を回避するためであるというお話があって、後段のDNA鑑定などによって確定するだけに時間が掛かるではないかという議論については、そうした場合がどれほどの場合なのかということを後ほど少し議論させてもらいたいと思うんですけれども、この七百三十三条の立法趣旨については、これは明治民法以来様々な議論がされてまいりました。
 そこで、ちょっと細かいですから民事局長にお尋ねをしますが、昨年十二月の最高裁判決でも山浦裁判官が反対意見で詳しく紹介をされているとおり、明治民法の成立時期には血縁の有無を判断する科学的な手段が存在しなかったということを前提に、一つは血統の混乱の防止、つまり、前の夫の残した胎児に気付かずに離婚直後の女性と結婚すると、生まれてきた子が自分と血縁がないのにこれを知らずに自分の法律上の子としてしまう場合が生じ得るため、これを避けるんだということや、あるいは、旧憲法下においては家制度を中心とした男性優位の社会が国体の基本とされていたという歴史的な社会背景、歴史的、社会的な背景があった下で、例えば姦通罪、近親婚の禁止、重婚の禁止などと再婚禁止は同じレベルで規制されていたと。姦通罪というのは、家の血統や父権の維持のために認められた封建的色彩の強い規制であったのであり、再婚禁止ともその趣旨を共通にする部分があると明治民法の時期の立法の趣旨を述べておられるわけですが、その後、憲法の制定によって、民法の改正によってこうした趣旨が当てはまるものではないということは、これは当然なんだと思うんですけれども。
 改めてお尋ねします。この今回改正される民法七百三十三条は、今申し上げたようなものは立法目的ではない、当たらないということでしょうか。
#68
○政府参考人(小川秀樹君) ただいま御指摘ありましたように、七百三十三条の立法趣旨については様々な議論ございます。
 例えば、今の六か月の期間を合理的に説明しようとすれば、やはり一定の、単なる重複の防止を超えた部分が一つの説明の理由になろうかというふうに考えておりますが、御案内のとおり、今回の最高裁判決はそういったものを否定した上で百日が合理的なものだというふうに考えているわけでございますので、したがいまして、七百三十三条の趣旨自体は嫡出推定の重複の回避ということになると考えております。
#69
○仁比聡平君 おっしゃるとおり、最高裁判決の多数意見は、本件規定の立法目的は、女性の再婚後に生まれた子につき父性の推定の重複を回避し、もって父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあると述べておるわけです、局長もうなずいておられるとおりなんですが。
 この再婚禁止期間を置く意味についてのこれまでの議論の中でもう一つ、こんな議論もあるんですね。私にはよく論理的につながらないんですけれども、女性の貞操保持義務との関係で議論すると。女性には貞操保持義務があるのであって、これが離婚をした後にも再婚禁止の関係で何だかというみたいな議論をされる向きがあると。そういう女性の貞操義務というのは、これは全く当たらないということでしょうか。
#70
○政府参考人(小川秀樹君) 女性の貞操義務ということは、今回の改正に関することで根拠となるものではないというふうに考えております。
#71
○仁比聡平君 という下で、つまり、この再婚禁止をどう考えるか、あるいは再婚禁止と密接な父性の推定、七百七十二条をどう考えるかは、子の福祉のためなんですよね。最高裁の言うとおり、父性の推定の重複を回避する、もって父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐというこの趣旨からしてどうなのかということを考えなきゃいけないんだろうと思うんです。
 そこで、大臣、今回新たに七百三十三条の二項の一号、二号というふうに整理されることになりますけれども、現行法と同じ趣旨の二号の方、離婚の後に出産した場合というものは再婚禁止を適用しないというこの規定と七百七十二条による父性の推定との関係も含めて、趣旨を端的にお答えいただきたいと思います。
#72
○国務大臣(岩城光英君) 再婚禁止期間を設けた立法目的でありますが、これは嫡出推定の重複を回避するためでありますことから、嫡出推定の重複が生じ得ない場合には再婚禁止期間の規定を適用する必要はございません。
 民法第七百七十二条第一項により、妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定されますが、女性が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合には、その後にその女性が再婚し懐胎したとしても、その懐胎は前の夫との婚姻期間中の懐胎でないことは明らかでありまして、懐胎した子が前の夫の子と推定されることはございません。
 したがいまして、この場合には、嫡出推定の重複が生じ得ないことから再婚禁止期間の規定を適用しないこととしております。
#73
○仁比聡平君 今の大臣の御答弁を七百七十二条との関係で、局長、ちょっと確認しますと、最高裁の判決の補足意見は、今の場合について、七百七十二条の規定による父性の推定を及ぼす必要がないという場合であるというふうに述べているんですが、そのとおりでいいでしょうか。
#74
○政府参考人(小川秀樹君) そのとおりでございます。
#75
○仁比聡平君 つまり、離婚など前婚が解消された後に出産をしたという場合であれば、その後、後婚の中で出産する子が前夫の子ではないというか前婚で妊娠したことではないということが明らかなわけで、そのときには七百七十二条の父性の推定規定は及ばない、働かないということなわけです。
 そうすると、先ほど来、三宅理事や矢倉理事も確認をしておられるこの今後の運用、新設二項一号によるこの運用の理解がどうなるのかと。
 つまり、これからは運用としては、例えばDVなどで長く離婚の調停あるいは裁判も決着をしなかった、やっと成立した、これで離婚の届けをする、それと間近、まあ極端には同時にでもあるのかもしれないですけれども、婚姻届、後婚の婚姻届を出し、その際に尿妊娠検査によって妊娠していないということを医師が証明するということになるならば、それは後婚の婚姻届は受理される、再婚禁止期間は働かないと、そういうことになりますね。
#76
○政府参考人(小川秀樹君) 証明書の取得の関係で一定の期間が掛かることは、先ほども申し上げましたように四週間程度掛かるわけでございますが、今の例でありますと、後婚の届出は受理されるということでございます。
#77
○仁比聡平君 つまり、この尿検査という、今日においては、信頼できるし、かつ簡便にもなった、比較的安価にもなったというこの技術の発展によってそうした扱いができるようになった、そうした法になったということなんですよね。
 このときの立法の理由というのを嫡出推定規定との関係でいいますと、つまり、そうした場合は、七百七十二条の二項、特に後段の三百日規定の推定がこれは働かない場合、及ぼす必要がないからそういうふうになっているという理解でよろしいですか。
#78
○政府参考人(小川秀樹君) そのとおりでございます。
#79
○仁比聡平君 ということになってきたときに、そもそも我々がこの再婚禁止規定で回避すべき父性推定が重複する場合というのは一体どれぐらいの場合、どんな場合でどれほどになるのかということが、この最高裁の十五人の裁判官の中でも大議論になっているわけですね。
 その下で、反対意見を述べられた鬼丸裁判官は、再婚の禁止によって父性の推定の重複を回避する必要があるとされる場合とは、結局、前婚の解消のときから百日が経過していない女性が前婚中に懐胎したけれどもまだ出産していない場合というごく例外的な場合に限定されることとなるという認識を示され、山浦裁判官も同様の認識を示しておられるわけですけれども、その認識、是非はちょっとおいておいて、どんな場合がこの推定が重複するかもしれないという場合になるのか。その場面としてはこういう場合なんだという認識で、局長、よろしいでしょうか。
#80
○政府参考人(小川秀樹君) 今回の改正では、先ほど申しましたように二項の一号、二号で適用除外の規定を設けておりますので、それを前提として申し上げますと、女性が前婚中に懐胎しているか又はその可能性が否定できない場合であって、いまだ出産には至っていない、その場合に限られるということだと思います。
#81
○仁比聡平君 そのとおりですよね。
 ですから、これまでも皆さんが紹介されているように、多くのカップルは、後婚の届出時、妊娠はしていないわけです。あるいは離婚時に妊娠していないんですね。何だか女性がずっといつもいつも妊娠しているかのような、そんな錯覚なりあるいは偏見なりを前提に法を考えるというのはこれはおかしな話なのであって、ですから、離婚時に妊娠をしていないということが信頼する医師の証明によって明かされるならば、これはその再婚禁止、適用する必要がないというのはこれはもっともな話なんだと思うんですよ。
 そこで、更に考えるべきではないかなと私が思いますのは、この七百七十二条の三百日推定規定そのものの合理性なんですね。七百七十二条で三百日規定を置いているというこの趣旨についても様々なこれは議論があっております。この理解について、大臣、平成二十四年の最高裁判決がこの七百七十二条に関してあるんですけれども、この中で補足意見あるいは反対意見を述べられた裁判官が、七百七十二条というのは父子関係を速やかに確定することにより子の利益を図るという趣旨であるということを述べておられる。つまり、お父さんが誰かということを早くに確定するのは子の利益のためであるということを述べている。
 この七百七十二条の二項後段の三百日推定規定というのはそういうものだという理解でよろしいですか。
#82
○国務大臣(岩城光英君) 御指摘のとおりだと思います。
#83
○仁比聡平君 ということになると、この七百七十二条の推定というのをどんなふうに考えるのかというのはよく議論しなきゃいけないんですね。といいますのは、法律の初学者はこの推定規定というのは極めて厳格なものだというふうに最初学びます。先ほど来出ている前夫からの嫡出否認の訴えか親子関係不存在確認の訴え、これによってしか覆せない推定なんだということを学んでしまうがためにいろんな混乱が起こるんですけれども。
 ちょっと局長に確認しますが、実際には、二百日後に生まれた者を夫婦間のというか父性の推定をするという前段の規定は、そもそももう戦前から、子供を夫婦がうちの子だ、嫡出子だというふうに届け出れば、二百日たっていなくても嫡出子として父性を推定する、推定するというよりも届出を受理するというふうになっていますよね。
#84
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 いわゆる推定されない嫡出子ということで、昭和十五年、これは大審院の判例を踏まえまして、戸籍の実務としては、大審院の判例は内縁の関係が先行しているということを認定しておりますが、戸籍実務ではそこが形式的審査でできませんので、取扱いといたしましては今御指摘いただいたとおりの取扱いをしているところでございます。
#85
○仁比聡平君 そして、三百日規定の方というのは、これは先ほど来議論のあるように、平成十九年に通達が出されて、離婚後に懐胎したというときにはこれはその推定働かないというふうになっているわけでしょう。
#86
○政府参考人(小川秀樹君) 平成十九年に民事局長通達が出ておりまして、離婚後に懐胎したことが医学的な証明ができる場合には前夫の子と推定されないという取扱いをするということとしております。
#87
○仁比聡平君 という下で、先ほど申し上げたような極めて限定した場合に直面するのがこの三百日問題なんですよ。その典型が無戸籍児問題なんですね。
 なぜ無戸籍児が生まれるのか。先ほど七六%の方々がこの嫡出推定の規定ゆえにというふうにおっしゃっているというアンケートが紹介されましたけれども、局長、七百七十二条の二項がどうして無戸籍の原因になってしまうんですか。
#88
○委員長(魚住裕一郎君) 小川局長、時間ですので簡潔に。
#89
○政府参考人(小川秀樹君) 前夫の子として届出をされるということを嫌われる、好まないという趣旨だというふうに理解しております。
#90
○仁比聡平君 時間がなくなってしまいましたけれども、つまり、もう縁のない、顔も見たこともない前夫の子供として戸籍を届けなきゃいけなくなるとか、あるいはそれを争うのに前夫に訴えを起こしてもらわなきゃいけないとか、あるいは後婚の夫に、実のお父さんに裁判を起こしてもらうにしてみたって、そのときに前夫を裁判所から呼ばれてしまうかもしれないとか、そういった前夫との関わりというのを恐れ、実際に危険なことがあるということから、この三百日規定がそういう場合にしか働かないのにそういうことがあることから無戸籍児が生まれるんですよ。
 私は、ここの実態を、実際の審判あるいは家裁の調査などの実情をしっかりと調査をした上で、この七百七十二条の規定そのものを見直していくという議論を大いにすべきだというふうに思います。そうなってきたときに再婚禁止期間の置く意味というのはもうありませんから、男女平等だという立場からこの規定は撤廃に進んでいく、そうした議論を強く求めて、今日は質問を終わります。
#91
○谷亮子君 谷亮子です。
 本日の議題となっております民法の一部を改正する法律案につきまして、我が党も賛成の立場で質疑をさせていただきます。
 本改正案は、女性に係る再婚禁止期間を前婚の解消又は取消しの日から六か月と定める民法の規定、いわゆる再婚禁止規定のうち百日を超える部分は憲法違反であるとの最高裁判決が昨年十二月十六日にあったことを受けまして、当該期間を百日に改める等の措置を講じようとするものでございます。
 最高裁判決は、判決理由の中で、我が国においては社会状況及び経済状況の変化に伴い婚姻及び家族の実態が変化し、特に平成期に入った後においては、晩婚化が進む一方で離婚件数及び再婚件数が増加するなど、再婚をすることについての制約をできる限り少なくするという要請が高まっているという実情を認めることができると指摘をされております。
 そこで、厚生労働省の統計を見てみますと、婚姻件数は昭和四十年代をピークに減少傾向にありまして、平成二十六年度は戦後最少の年間六十四万三千七百四十九組でございましたが、再婚件数は昭和四十年代からおおむね増加傾向にありまして、全婚姻件数に占める夫婦とも再婚又はどちらか一方が再婚の場合は、昭和四十年に一一・二%だったのが平成二十六年には二六・四%まで増えておりました。
 そこで、今回の改正法案が提出されました背景について伺いたいと思います。
 冒頭触れさせていただきましたように、昨年の最高裁判所大法廷におきまして、女性に係る再婚禁止期間から六か月と定める民法の規定のうち百日を超える部分を違憲とする旨の判決が出されたことから、これを受けて可及的速やかに違憲状態を解消するために今回の改正法案が提出されたことになったわけでございますが、こうした状況に至った背景については法務省としてはどのように捉えていらっしゃいますでしょうか、お尋ねいたします。
#92
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、最高裁判所は、昨年十二月十六日、女性について六か月の再婚禁止期間を定める民法第七百三十三条につきまして、百日を超える部分については嫡出推定の重複を回避するために必要であるとは言えず、憲法第十四条第一項及び第二十四条第二項に違反するとの判断を示しております。本改正法案は、この最高裁判所大法廷の違憲判決を受け、可及的速やかに違憲状態を解消するために女性の再婚禁止期間に関する民法の規定を改正し、その期間を百日に短縮することなどを内容とするものでございます。
 これまでの経緯ということになりますが、再婚禁止期間の短縮に関しましては、法制審議会が平成八年二月に、本改正法案と同様に女性の再婚禁止期間を百日に短縮することのほか、選択的夫婦別氏制度を導入することなどを内容といたしました民法の一部を改正する法律案要綱というものを答申しております。法務省は、平成八年と平成二十二年に法案の提出に向けて先ほど申し上げました法制審議会の答申を踏まえた改正法案を準備いたしました。しかしながら、この答申の内容については国民の間に様々な意見があったことから、改正法案の提出までには至らなかったというものでございます。
 このような経緯を経た上で、今回、最高裁判所の違憲判決が出されたことを受けて本法案の提出に至ったものというのが経緯でございます。
#93
○谷亮子君 御丁寧にこれまでの経緯について御説明をいただきまして、ありがとうございました。
 今回の改正法案提出につきましては、女性の再婚禁止規定は明治民法制定の際から盛り込まれていたこと、そして、その後の状況変化によりまして法制審議会においてその見直し等の議論が行われまして、その答申を踏まえた改正法案が準備されたものの、国民の皆さんの間に様々な意見があったことから国会提出までは至らなかったところでありましたけれども、その決め手となったのが昨年十二月の最高裁判所から出された違憲判決であるという一連の流れをただいま理解をいたしました。
 続けて伺います。再婚禁止規定に該当する女性が限られるにもかかわらず本規定を置く趣旨について伺いたいと思います。
 再婚禁止規定が適用される場面は例外が多く、かつ、国連の女子差別撤廃委員会や自由権規約委員会から、再婚女性に対する差別規定があるとしてこれは再三、再婚禁止規定の廃止を求める勧告が出されております。本法案によりまして、実際に規定が適用される女性が限られるにもかかわらず国連の各人権委員会からも撤廃が求められている再婚禁止規定を残しておく必要性についてどのようにお考えなのか、岩城法務大臣に伺いたいと思います。
#94
○国務大臣(岩城光英君) 本法案に基づく改正が行われました場合には再婚を禁止される場面が現行法よりも限定されることになること、また、我が国が国際人権諸条約に基づき国連に設置された女子差別撤廃委員会等から再婚禁止期間そのものを廃止するよう勧告を受けていることは、いずれも御指摘のとおりであります。
 しかしながら、民法が女性について再婚禁止期間を設けている趣旨は、嫡出推定の重複を回避することによりまして法律上の父子関係、父と子の関係を早期に確定し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあります。再婚禁止期間の規定を削除した場合には嫡出推定の重複が生じ、DNA鑑定等の手段を取らない限り法律上の父親が定まらず、父子関係を早期に確定することができない事態が生じ得ることとなり、子の利益を害するおそれがあります。再婚禁止期間の規定の適用場面が現行法よりも少なくなるとしましても、子の利益を第一に考える観点から、このような事態を避ける必要性はなお存するものと考えられます。
 また、本法案では、民法第七百三十三条第二項を改正し、同条第一項が適用されない場合を文理上も明確にすることとしておりまして、女性の再婚の自由をできる限り尊重しております。
 以上から、嫡出推定の重複を回避するために百日間の再婚禁止期間を設けることは合理的なものであると認識をしております。国連の各委員会に対しましては、今後もこのような我が国の立場や状況について十分な説明をし、理解が得られるよう適切に対応してまいりたいと考えております。
#95
○谷亮子君 岩城大臣、御丁寧にありがとうございました。再婚禁止規定を残すに至りました経緯について、ただいま御丁寧に御説明をいただきました。
 最高裁判決において百日間の再婚禁止規定については合理性が認められると判示されていますが、一方で、裁判官の個別意見の中では、実際に再婚禁止規定が適用される場面が極めて例外的であるのに、民法七百三十三条一項は前婚の解消等をした全ての女性に対して一律に再婚禁止期間を設けているようにも読めるということでありました。実際には適用除外が認められる場合が多く存在するというこの規定の解釈等をめぐる状況を一般国民の皆さんが的確に知ることは困難であるとして、この再婚禁止規定が違憲であると主張するとの御意見もございました。
 本改正案は、衆議院におきまして、法施行後三年を目途といたしまして再婚禁止に係る制度の在り方について検討を加えるものとする規定を追加される修正がなされております。本修正を受けまして、法務省におかれては、男女平等の観点からも制度の在り方に関する検討が今後行われますようお願いを申し上げたいというふうに思います。
 次に、再婚禁止規定の適用除外拡大に伴う戸籍窓口事務への影響と国民の皆さんへの周知についても伺っておきたいと思います。
 先ほど述べました最高裁判決における裁判官の個別意見では、実際に再婚禁止規定が適用される場合が極めて限定されることとなっても、一般国民の皆さんがそれを的確に理解したり、そして知ったりすることができずに、再婚を考えている方に混乱を生じさせるのではないか、また、婚姻届の提出の場面では戸籍事務管掌者が形式的権限しか有していないため、適用除外事由の証明が不十分などの理由で婚姻届が受理されない場合も起こり得るのではないかとの指摘がなされているところであります。
 そこで、本改正案の第七百三十三条二項の再婚禁止規定の適用除外に係る規定につきまして国民に対しその趣旨を周知徹底する必要があると思われますが、国民に対する周知はどのように行われるのか、また、戸籍窓口事務における対応の準備状況については現在どのようになっているのか、御説明いただきたいと思います。
#96
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 今回の法改正で七百三十三条二項について新しい条項も含まれることになりますので、この点につきましては日本医師会などの関係機関と協議をし、民事局長通達において、これは医師の証明書を必要といたしますので、証明書について一定の様式及び戸籍窓口での取扱いを定めるということを予定しております。その様式、内容についての協議は、日本医師会などとの間で既に調っております。
 まず、広報の点でございますが、今回の改正後の七百三十三条二項に関する戸籍事務の取扱いにつきましては、改正法の施行時に法務省ホームページにより、広く国民一般への周知を行うことを予定しております。
 また、事前に法務局を通じまして戸籍の窓口であります市区町村にも情報提供を行っておりますほか、医師の証明書が必要になりますので、日本医師会などの関係機関に対しましても情報提供及び各医師への周知の依頼を行っておりまして、改正法施行後直ちに混乱なく改正法に基づく取扱いが行われるように配意をしているところでございます。
#97
○谷亮子君 ありがとうございました。
 本改正案は、やはり国民の皆さん、特に再婚を考えている女性にとって大きな影響を及ぼすものでありますので、その点をしっかりと踏まえながら、ただいま御答弁にもございましたとおり、是非とも、広く国民の皆さんへの周知徹底を図るとともに、戸籍窓口で誤った対応がなされることがないように、今後は事務を担当される方への周知等も含めまして適正に行っていただきたいというふうに思います。
 次に、本改正案七百四十六条の規定の趣旨について伺います。
 民法第七百四十六条は、第七百三十三条の規定に違反した婚姻は、前婚の解消若しくは取消しの日から起算して百日を経過し、又は女性が再婚後に出産したときは、その取消しを請求することができないことを規定しております。
 そこで、第七百四十六条の前段は、再婚禁止期間を百日間に短縮する改正点に合わせまして、再婚禁止規定に違反した婚姻の取消し権の消滅期間を百日間に短縮するものであると承知しております。
 また、例えば、懐胎している又は懐胎している可能性がある女性が再婚禁止期間内に再婚し、百日が経過して婚姻の取消し権が消滅した後に出産し、その出産時期が嫡出推定の重複期間内であった場合、生まれた子の父性推定はどのようになるのかについて法務省に伺います。
#98
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 女性が再婚禁止期間内に婚姻の届出をし、これが誤って受理されてしまった場合には、女性が前婚の解消から三百日以内で、かつ再婚後二百日を経過した後に子を出産するということが生じ得るわけでございます。この場合、出産した子については嫡出推定が重複し、前の夫の子とも再婚後の夫の子とも推定がされて、子の父が当然には定まらないことになります。
 なお、委員の方からは再婚禁止期間の規定に反した婚姻の取消しについてのお話がございましたが、再婚が取り消されたという場合でありましても取消し自体には遡及効がございませんので、嫡出推定の重複の問題は解消しないというところでございます。
 そこで、このように嫡出推定が重複する場合には、民法第七百七十三条が規定しております父を定めることを目的とする訴えの手続、最終的には裁判の手続によって裁判所が子の父を確定するということになります。
#99
○谷亮子君 ありがとうございました。
 ただいまの御答弁によりますと、第七百七十二条の規定により、離婚後三百日以内に生まれた子の父は前夫、婚姻後二百日後に生まれた子の父は現在の夫とすることで嫡出推定が重なっているので、もし争いが起きた場合には、第七百七十三条における、第七百三十三条第一項の規定に違反して再婚した女性が出産した場合には、第七百七十二条の規定により、その子の父を定めることができないときには裁判所がこれを定める旨の規定に基づく父を定める訴えによって子の父を定めることとなるということで、裁判所がそれを定めることになるということで理解をいたしました。
 次に、子供の貧困を防ぐための離婚後の養育費問題と面会交流についても最後伺っておきたいというふうに思います。
 本改正案が成立した場合、平成八年に法制審議会が答申した民法の一部を改正する法律案要綱にも掲げられていた再婚禁止期間の百日間の短縮がようやく実現することとなります。そのような中で、離婚の増加等により母子家庭が増えると言われている中で、離婚した父親から養育費が払われていないことが多く、最近、子供の貧困の大きな原因の一つとなっているという指摘がなされておりまして、また、離婚後の面会交流に関する調停申立て件数なども増加していると言われております。
 平成二十三年には、協議上の離婚の際に面会交流や子の監護に要する費用の分担等の明記につきまして民法第七百六十六条関係の改正がなされておりますが、報道等によりますと、まだこの問題の解決には至っていないというふうに思われているところでございます。
 そこで、離婚後の養育費の支払や面会交流の取決めに実効性を持たせるような在り方につきましてはどのような現状認識をお持ちでいらっしゃるのか、また、今後の法改正の必要性の有無を含めまして、岩城法務大臣に伺います。
#100
○国務大臣(岩城光英君) 夫婦が離婚をする場合に、子を監護していない親が子の監護、教育に必要な養育費を継続的に支払うことや子との面会交流を行うことは、その子の利益を図る観点から大変重要なことであると認識をしております。
 離婚後における養育費の支払と面会交流を実現するためには、まずは夫婦間でその内容が適切に取り決められることが重要であるものと認識をしております。また、子の利益を図る観点からは養育費の支払や面会交流に関する取決めが任意に履行されることが望ましいものですけれども、当事者がこれを任意に履行しない場合には強制執行によらざるを得ないため、強制執行制度が利用しやすいものであることも重要であるものと認識をしております。
 これまで法務省では、平成二十三年に民法の一部を改正し、離婚の際に父母が協議で定めるべき事項として養育費の分担等を明示し、これにより協議離婚の際に当事者間で養育費の分担の取決めがされるよう促すとともに、これらの事項を取り決める際には子の利益を最も優先して考慮しなければならない旨を規定上明確にいたしました。また、この改正の趣旨を周知する方法として、離婚届出書の様式改正を行い、届出書に養育費の分担等の取決めの有無をチェックする欄を加え、改正法が施行された平成二十四年四月からその使用を開始いたしました。
 さらに、今後の取組でありますが、法務省といたしましては、養育費の支払や面会交流の重要性を分かりやすく解説したパンフレット等を作成し、これらの書類を離婚届出書と一緒に当事者に交付すること等によって養育費の支払や面会交流を任意に実施することを促すとともに、中期的な課題としまして、養育費に関するものも含め、債務名義を有する債権者等が強制執行の申立てをする準備として、債務者の財産に関する情報をより得やすくするために財産開示制度等に係る所要の民事執行法の改正を検討することを予定しております。
#101
○谷亮子君 ありがとうございました。現状も含めまして、今後の取組についてもお話しいただきました。
 離婚後の面会交流や養育費の支払をめぐる問題につきましては、現在、超党派による議員連盟において新法作りに向けての検討が行われていると伺っております。我が国における離婚の件数が増加していく中で、大人の都合で子供の利益が置き去りになり、また貧困に追い込まれていくような状況は決してあってはならないと考えますので、法務省におかれましても、我が国における家族をめぐる状況の変化に合わせた家族法の改正、また、特に子の最善の利益に資するという観点からの法の見直し等につきましても是非とも御検討いただきたいというふうに思います。
 質疑を終わります。ありがとうございました。
#102
○委員長(魚住裕一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 民法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#103
○委員長(魚住裕一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#104
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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