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1947/06/28 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 厚生委員会 第18号
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1947/06/28 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 厚生委員会 第18号

#1
第002回国会 厚生委員会 第18号
昭和二十三年六月二十八日(月曜日)
    午前十一時二十八分開議
 出席委員
   委員長 山崎 岩男君
   理事 有田 二郎君 理事 中嶋 勝一君
   理事 田中 松月君 理事 山崎 道子君
   理事 武田 キヨ君    大石 武一君
      近藤 鶴代君    周東 英雄君
      太田 典禮君    福田 昌子君
      松谷天光光君    師岡 榮一君
      最上 英子君    野本 品吉君
      松本 眞一君    榊原  亨君
 出席政府委員
        厚生政務次官  喜多楢治郎君
        厚生事務官   久下 勝次君
        厚 生 技 官 三木 行治君
        厚 生 技 官 濱野規矩雄君
 委員外の出席者
        参議院議員   谷口弥三郎君
        大藏事務官   大平 正芳君
        專門調査員   川井 章知君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 國家公務員共済組合法案(内閣提出)(第一六
 〇号)
 医師法案(内閣提出)(第一六七号)
 保健婦助産婦看護婦法案(内閣提出)(第一六
 八号)
 歯科衞生士法案(内閣提出)(第一六九号)
 歯科医師法案(内閣提出)(第一七〇号)
 医療法案(内閣提出)(第一七三号)
 船員保險法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第一七七号)
 理容師法の一部を改正する法律案(榊原亨君外
 十名提出)(第九号)
 優生保護法案(参議院提出、参議院送付)(参
 法第一号)
 予防接種法案(内閣提出、参議院送付)(第一
 七四号)
    ―――――――――――――
#2
○山崎委員長 ただいまより会議を開きます。
 医師法案を議題といたしまして討論に入るのでありますが、討論に入るに先だちまして緊急質問の通告がありますので、これを許します。有田委員。
#3
○有田委員 医師法案の第二十二條に、「医師は、患者から藥剤の交付に代えて処方せんの求があつた場合には、これを交付しなければならない」という項目が設けられたのであります。しかもこの問題につきましては、これを医師が履行しない場合におきましては、五千円以下の罰金という罰則の項も設けているのでありまして、今度の新医師法の第二十二條は、一つの大きな新しい行き方である、かように私は確信するのであります。民主日本の医療の面におきまして、処方せんは患者の求めによつと交付しなければならぬ、しかもそれを交付しない場合においては、五千円以下の罰金になるということは、國民のために非常にいい法律であると私は確信するものであります。しかしながら今日私どもの聞く範囲内においては、処方せん料が百円あるいは二百円というような多額な料金をとられておる向きもあるやに聞いております。大体國民保險の方面では、三十円が最高ということになつておると思いますが、ぜひとも処方せんの價格を、経済的に非常に困つておられる國民大衆に迷惑がかからないように、大体三十円以下の処方せん料ということに、政府として最善の御努力が願いたいと思うのでありますが、政府の御所見を伺いたいと思います。
#4
○喜多政府委員 ただいま有田委員の御説はごもつともと存じます。処方せん料につきましては、國民保險の場合には、大体三十円以内が厚生省としては妥当であると考えておりますがために、全國的に各都道府縣等に通牒を発しまして、地方の医師会とよく連絡協調せしめまして、十分行政面によつと徹底するような措置をとりたいと存じておる次第でありますから、さよう御了承願いたいと思います。
#5
○有田委員 政府の御所見を承りまして、まことに意を強くしたのでありますが、さらにこの第二十二條の、患者の求めによつて、処方せんを出さなければ罰金五千円になるという趣旨を全國的に、各都道府縣知事を通じて、医者並びに國民大衆に徹底するように、政府の最善の御努力をお願いする次第であります。これにつきましてさらに御答弁を頂戴いたしたいと存じます。
#6
○喜多政府委員 ただいま有田委員の御説の通りに実行いたすつもりでございます。
    ―――――――――――――
#7
○山崎委員長 医師法案を議題といたしまして討論に入ります。討論は通告順によりこれを許します。有田委員。
#8
○有田委員 本体におきまして、この法案についてもつとわれわれは審議をして、國民大衆のためになる医師法に変えるべきだ、かように私どもは考えるのでありまするが、國会がすでにあとわずかに迫つておりまするし、十分な審議ができないために、完全な医師法として確信をもつて送り出すことができないという点については、まことに遺憾に思つておるのでありまして、この法案の足りない点は、第三國会において修正をいたしたいと考えるものであります。さらに第十九條の、診療に從事する医師は、診察、治療の求めがあつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならないという一項があるのでありまするが、これは今までの旧医師法でいきますると、罰金があつたのでありますが、今度の法律では罰金がなくなつた。これまた新しいいき方でありまして、医師の人格を尊重した法律として、まことに当を得たものである、かように考えるのでありまするけれども、たくさんおられます医師のうちには、この運営を間違つて運営される向きがあるかもわからない。從つて先般來政府が再三再四委員会において答弁されました通り、正当な理由がなければ拒んではならないということに対する罰則はありませんが、行政処分をもつて医師の免許証を取上げるというような方法において、よく医師を取締るという面について、十分なる方法をおとり願いたい。かように考えるのであります。
 さらに処方せんの問題につきましても、患者からやかまして言わなくとも、むしろ進んで医師の方から処分せんを渡す。特にお金に困つておられる大衆につきましては、医師の方で十分にそういうような心構えをもつていくべきである。かような指導を政府としていたすべきである、かように考えるのであります。
 以上の考えをもちまして、民主自由党を代表いたしまして本案に賛成の意を表するものであります。
#9
○山崎委員長 榊原委員。
#10
○榊原(亨)委員 討論の前に、先ほど政務次官の御答弁についてはごもつともでございまするが、なお多少の疑問を残す点がございますので、緊急質問をいたしてよろしうございますか。
#11
○山崎委員長 それでは榊原委員の緊急質問を許可いたします。
#12
○榊原(亨)委員 先ほどの有田委員の御質問によつて、処方せん料は大体三十円以下をもつて現行においては至当とするということについて、政務次官のお答えはごもつともと存ずるのでございまするが、物價の変動が著しい時でございまするし、もう一つは私立にやつておりますところの医師の医療費を算定するということについても、疑問がある時でございますので、將來におきまして、さいわいに社会保險の算定協議会というものが、公平な立場によつて医療費をきめることになつておりますので、その算定協議会によつてきめられた処方せん料をもつて基準とするということの了解でよろしうございますか、なお念のためにお聽きしたいと存じます。
#13
○喜多政府委員 榊原委員の御質問にお答え申し上げます。先ほどの有田委員に対しましての私の答弁は、もちろん現在の情勢をもつてお話しを申し上げておる次第でありますから、現下の社会情勢から見まして、物價の高騰等がある場合におきまして、基本となるべき國民保險等の変革も、將來あり得るのではなかろうかと思います。さような場合には、もちろん社会保險診療報酬算定協議会において、十分御協議を願つたものによるべきであろうと私は当然考えます。さよう御了承願います。
#14
○山崎委員長 榊原委員の討論を許します。
#15
○榊原(亨)委員 処方せんの問題につきまして、いろいろ御議論があつたようでございまするが、私どもの立場をこの際はつきり申し述べておきたいと思うのでございます。
 処方せん料と申しますのは、言いかえれば治療の一部分でございまして、この治療の一部分を診察料の中に含めんとするがごさき考えは間違つた考えと私は思うのであります。たとえて申しますると、診察と治療は別でございまして、診察料のほかに治療料をとるということは当然のことであります。從つて治療の一部分であるところの処方せん料を、診察料の中に加味いたすといたしますならば、処方せんを出さなくてもいい患者の場合にも、やはり処方せん料を含めた診察料を患者からとらなければならないという事態が起るのでございましてこの点につきましては診察料の中に処方せん料を入れるという議論に、私どもは賛成することができないのであります。さらに医者が調剤いたしますところの藥の処方を公開するということが、盛んに言われておるのでありますが、私どもはむしろこれに絶対反対でございまして、処方の内容というものは、むしろ公開すべきものでなくて、これは患者に知らせない方が、最も治療上有効だと思うのでございます。但し処方せんを発行するということについては、全面的に賛成でございまして、私どもの立場から申しますると、むしろ嚴封を施しました処方せんを発行いたしまして、その嚴封いたしました処方せんについては、藥剤師がこれを調剤する義務を負うということにいたしまして、藥剤師によつてこれを調剤させるということを理想と考えるのであります。從いまして患者がその処方の内容を知りましても、これは素人でございまして、この素人がその処方の内容を判断するということは、とうていできないことでございます。万一処方の内容を批判することができるといたしますならば、それは何も医者にかかる必要はないのでありまして、患者自身が自分の病氣を治せばいいということになるのであります。その際その患者の家族あるいは附添につきまして、治療の方針あるいは治療の内容を説明するということは、当然これは医者の義務でございまして、この法案にも明記するところでございますから、患者に処方の内容を公開するということについては、私どもは疑義をもつものであります。もしも不正な医者がございまして、いろいろ調剤にあたつて不正なことをするというふうな疑問があるならば、これは医師を信用しないことでありまして、かかる信用しないような医者にかかりましても、病氣は当然治らないのでありまして、この点の議論は成り立たないと私は思うのであります。医師側といたしましては、決して医藥分業に反対するものではないのであります。たとえて申しますと、多数の藥を買いこみますために大なる資本が要る。これは当然のことでございまして、一刻も早く私どもに医藥分業に対して全面的に推進せられんことを望んでおるのでありますが、それにつきましては、藥剤師の方におきましても、藥局の整備、分布ということをやつていただき、藥局においては医者が普通使う藥をことごとく整備されること、並びに藥剤師としては調剤の義務を負うことということが、この際必要なことだと思うのであります。医者が調剤いたしました藥に対しても処方せんを出すことはさほど煩雜ではないというような御意見があつたのでありますが、これも、実際上処方せんを出す場合には、患者の姓名、年齢、用法、発行の年月日、有効期間、医師の姓名、医師の住所というようなものを書くのでありまして、これはなかなか繁雜なことでございますから、私どもは、医者がみずから処方いたします藥に対しては、処方せんを出さないという現在の法律案に賛成いたすものでございます。以上をもちまして原案に賛成するものでございます。
#16
○山崎委員長 野本委員。
#17
○野本委員 医師法の第二十二條に規定されております処方せんの問題につきましては、私どもは、第三者的な立場から、藥剤師の方の主張、医者の主張、これらの主張に対しまして虚心坦懷に耳を傾けてまいつたのであります。私どもは、藥剤師及び医師の方々が、自分の利益のためにその主張をもつておるものだとは考えておりませんし、また考えたくありません。あくまでこれはどちらも日本における医療の向上充実、これによつて國民の幸福、國民の健康を保持しようとする熱意の現われであると了解いたしたいのであります。しかしながら、今までの議論を通しまして私に印象ずけられましたことは、どうも藥剤師が医師を信頼しない、あるいは社師が藥剤師を信頼しない、かような実に不愉快な感じをもつております。もしも医者の処方します藥が、どのようなものをどのように処分されておるのだかわからないというところに、いわゆる秘密治療というような考え方が行われるとしますならば、これは私どもにとりましては実に遺憾であり迷惑であります。しかしながら逆に、医師の発行した処方せんに基きまして藥剤師の調剤がはたしてその通りに行われるかどうかということを、たれが発見するかということになりますと、ここにもまた一つの疑問が起つてくるのであります。結局するところ、私は、かようないろいろな主張が起つてくるということは、日本における医師、藥剤師の機能を遺憾なく発揮することのできる客観的な條件というものが充されておらないからだと思うのであります。政府といたしましては、医師、藥剤師が眞に國民健康確保のために、その聖なる機能を遺憾なく発揮し得るよう医師の養成、藥剤師の分布、医藥品の製造、その配給等の行政措置、あるいは行政町な指導の面において、かような対立が將來再び繰返されないように措置されることを熱望してやみません。私どもは藥剤師を信頼します。医師を信頼します。この信頼感の上に立つてのみわれわれの理想とする医療が行われると思う。その理想の医療が行われるような各種の條件というものをいかにして整備するか、いかにして具現していくか、ここに行政当局に対する大きな根本的な課題があるのだと思う。私は、厚生当局がかような観点に立ちまして、將來全力を盡してこの問題の根本的解決をはかるために御精進くださることを切望いたしまして、本案に國民協同党を代表して賛意を表します。
#18
○山崎委員長 討論は終局いたしました。これより採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の御起立を願います。
    〔総員起立〕
#19
○山崎委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
    ―――――――――――――
#20
○山崎委員長 次に保健婦助産婦看護婦法案、歯科衞生士法案、紙科医師法案、医療法案、國家公務員共済組合法案、予防接種法案を議題といたします。
 ただいま議題といたしました各案につきましては、討論に入るのでありますが、別に討論の通告もございませんので、討論を省略してただちに採決に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○山崎委員長 御異議なしと認めます。各案の採決に入ります。保健婦助産婦看護婦法案、歯科衞生士法案、歯科医師法案、医療法案、國家公務員共済組合法案、予防接種法案を原案通り可決することに賛成の諸君の御起立を望みます。
    〔総員起立〕
#22
○山崎委員長 起立総員。よつて本案はいずれも原案の通り可決いたしました。
    ―――――――――――――
#23
○山崎委員長 次に理容師法の一部を改正する法律案を議題といたしまして討論に入ります。討論は通告順にこれを許します。山崎委員。
#24
○山崎(道)委員 この法案におきまして、第四條の「指定委員会」とあるのを「指定協議会」と修正していただきたいと思います。原案第二十一條以下を削除し、新たに第二十一條といたしまして次の條文を挿入すること、「学校教育法第四十七條に規定する者は、第二條及び第三條の規定にかかわらず、昭和二十八年六月三十日までは、都道府縣知事が行う理髪師又は美容師の試驗に合格したときは免許を受けて理容師となることができる。前項の試驗は從前の例により行うものとする。」ここにこの條文を挿入いたしましたのは、今日完備した理容師の学校というものは、全國にあまりたくさんありませんから、その少い学校を卒業した者でなくては資格が得られないということになりますと、せつかく理容師になろうとしておる人々も、締め出しを食うものが少くないのであります。今日学校にはいつて勉強するためには、莫大な費用を要しますが、そういつた費用を勤労階級の徒弟にはとうてい望むベくもない。從いましてここ当分の間二本建でやつていきたいと思うからであります。なおこの種の教育機関につきましては、また通信教育というようなことも考えねばならないと思うのであります。本法案が完全なものとは思いませんが、いろいろ研究の上にさらに改むベきは改めまして、國民生活の向上に資し、また社会絡衆の保健の上からも、万全を期するような法案につくりかえていきたいと思うのであります。こういう意見を附け加えまして、本法案に賛成するものであります。
#25
○山崎委員長 討論は終局いたしました。採決にはいります。山崎委員より提案せられました各派共同一致の修正案について採決いたしたいと存じます。本修正案を可決いたしますことに賛成の諸君の御起立を願います。
    〔総員起立〕
#26
○山崎委員長 起立総員。よつて本修正案は可決せられました。
 次に本修正部分を除いた他の部分を原案通り可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○山崎委員長 御異議なければさよう決定いたしました。これにも本案は修正議決いたすことになります。
 なお本日採決いたしました各案の報告書の作成は、委員長に御一任せられたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○山崎委員長 御異議なければさよう取計います。
    ―――――――――――――
#29
○山崎委員長 次に参議院提出の優生保護法案を議題といたします。質疑はこれを許します。田中委員。
#30
○田中(松)委員 こういう場合どうなるのでしようか。たとえば両親ともに健康である、健康であるが、まあたいがい子供というものは六人も七人もできた、もうあとはというような場合は、本法案においてはどういう扱いになるのでございましようか。法案を見ますと、病氣があつたり、あるいは母体は危險を及ぼすような條件のものだけと限定されておりますが、事実上そういう病氣とかそのわかのものは例外であつて、ほんとうに両親ともに健在ではあるが、いわゆる子だくさんのたるめに、というような面がたくさんあるようですが、それの扱いはどういうぐあいになつておるのでしようか。
#31
○谷口弥三郎君 お答えいたします。両親ともに健康でございまして、そうして子供がたくさんにあるというのを、これは身体的の適應症として非常に考えたのでありますけれども、そういう場合には人工姙娠中絶というのは、現在では許されぬことになつております。しかし何人も生めばだんだんと母体の健康を害するだろう、いくらす健康が弱つてくるだろうというような場合には、健康についてある医者から診断を受れまして、そうしてその医者の同意を得ましたならば、それを優生保護委員会――地区の優生保護委員会というものを各保健所に置く予定にしておりますが、そこで一應審査をして、そうして人工姙娠中絶を許すことにいたしております。あまりそのままで一人の医者が見て、すぐ許すというような場合を起しましたら、これはやはり人口問題にも関係してまいりますし、また國民の素質の低下ということも考えられますので、少しはそこのところは取締つておるような次第であります。
#32
○田中(松)委員 ただいまの御答弁を含みをもつて聽けばよろしゆうございますが、実際問題といたしまして、そういう場合に子供ができると、いわゆる容色が衰えるからというようなことで、実際今まで金を持つておる階級においてはもうすでにやつておる。ところがそういう場合は、金が何千円かかつても何万円かかつても構わぬからやれるが、現実において必要である人たちは、こういう言葉を使つてはいけませんけれども、昔から貧乏の子だくさんとかいうようなことを言つたり、貧乏種柿というような言葉を使つたりしておりますが、実際こういう方面こそ何とかしなければならぬというような面は、金などの制限を受けてだめだ。ところがそういうものには含みをもつて何すればよろしゆうございますけれども、含みがないとすると、必要なところにはやれずに、必要でないところは稲にまかして、こういう法案があるなしにかかわらず、現実にもこうやられておる。ここでそういう人たちを救うような途を開いておくと、いわゆる表向きやれますから、安い公定の金で手術が受けられるけれども、それが表向きふさがつておりますと、やみでやろうとすると、とうてい金が出せないというようなかつこうになりますので、ただいまの御答弁がそういう点お含みの上なら結構でありますけれども、実際私どもが社会の実情をおおい隠すことなく、赤裸々に眺めまして、その実情に即したような社会問題の上から考えて、こういう問題は善処しなければならぬと思うのでありますが、もう一度それを含みをもつて解釈すれば結構ですけれども、含みというようなぐあいでは――今言うようにこの提案者のような含みをもつておればいいけれども、そういうことはおそらく提案者だけの含みであつて、実際それを扱う関係者に、こういう点は含みをもつてというような通牒を発するわけにもいかず、表向き出た法文だけを眺めると、そういうものは該当しない、該当しないから金のたくさんある者はできるけれども、金のない者はできない。こういうぐあいになるのですが、そういう点十分御考應の上とは思いますけれども、念のためにお伺いしておきたいと思います。
#33
○谷口弥三郎君 ただいまのお言葉は、実に私ども深くその点考えておるのであります。もつとも貧困を土台としての人工姙娠中絶というのは、現在のところ世界各國ともにないのでございます。一昨年ノールウエー、スエーデンの國会に出ましたけれども、それも貧困という條件はとうとう削られて、やはりその人の身体的適應症というようなことになつたのであります。しかし今回におきましては、そういうふうにやりたいと考えておるのであります。実はこの法案が出ますと、各地に優生結婚相談所というものを置きまして、その結婚相談所におきましては受胎調節をなるベく一般に指導させる。しこうして人工姙娠中絶は少し困ることがありますので、受胎調節なら十分指導しても構いませんので、姙娠前に、あるいは姙娠する時期とか、こういう時には姙娠せぬとかいうふうなことを一般の、殊に長屋方面とかいうような所にまで出て行つて指導し、そうして困つた方にはできるだけ姙娠させないように指導したいというふうに思つておるのであります。なおただいまの下部組織えの徹底ということにつきましては、これは私ども今後当局の方にもお願いいたしますし、なお医師会などにおきましても、できるだけ十分に趣旨を徹底させて、現在ほんとうに困つておる方、あるいは日本も今人口が非常に多過ぎて困つておるというような点を、ある点において十分考慮していくようにしたいと思つております。
#34
○山崎委員長 本案に対する質疑はこれをもつて打切りたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○山崎委員長 御異議なければ質疑を打切ります。
    ―――――――――――――
#36
○山崎委員長 次に討論にはいります。有田君。
#37
○有田委員 民主自由党を代表しまして、本案に賛成の意を表するものであります。
 本法案は優生上の見地から、不良な子供の出生を防止する、敗戰後の非常に混乱した日本の現状に最も即した法案である。かように確信するものであります。しかしながらその運営のよろしきを得ない場合におきましては、道義頽廃いたしております今日におきまして、非常な禍をかもすものであります。その運営は愼重にやらなければならない、かように信ずるものであります。敗戰後経済的にも道義的にも非常に混乱いたしておりますけれども、われわれ日本人は日本人としての信念と誇りとをもつていかなければならない。從つてこの法案の運営がわれわれ日本人の誇りを傷つけることのないように、政府においてもまた國民においても、十分に肝に銘じてやるべきである、かように信じます。この意見を具しまして本法案に賛成いたすものであります。
#38
○山崎委員長 討論を終ります。
 次に採決にはいります。本案に賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#39
○山崎委員長 起立総員、よつて本案は可決いたします。
 なお議長に対する報告書の作成につきましては、委員長に御一任していただきたいと存ずるものでありますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○山崎委員長 御異議なければさよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#41
○野本委員 船員保險法の一部を改正する法律案の審議に先だちまして私は次の事柄を要求いたしたいと思います。それは先ほど厚生当局と農林当局の列席の上での各種の質疑應答を通じまして、私はどうしてもはつきりしないものを感じたのであります。それは法案として國会に提案される以上、政府部内におきましては完全なる了解のもとにこの法案が提出されたものと考える。しかるところ閣議の内容については発表はできないけれども、農林当局としては、この法案の大部分に反対である。賛成することはできないということを農林政務次官が答えられた。そうするとこの法案というものは、われわれから見ますと、政府部内において完全なる意見の一致を見ておらないというような印象を受けるのであります。從つてこの法案の審議に先だちまして、私は農林大臣と厚生大臣、なお本日農林省としては賛意を表することができないと言われた大島政務次官の三名の御出席を願いまして、この点を明確にして、しかる後に船員保險法の審議にはいりたいと考えます。
#42
○山崎委員長 委員長から申し上げます。野本委員の申出了承いたしました。さよう取計らいます。
 残余の日程は延期いたします。次会は明二十九日午前九時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後零時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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