2015/08/11 第189回国会 参議院
参議院会議録情報 第189回国会 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 第9号
#1
第189回国会 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 第9号平成二十七年八月十一日(火曜日)
午後一時開会
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委員の異動
八月五日
辞任 補欠選任
又市 征治君 福島みずほ君
主濱 了君 山本 太郎君
八月六日
辞任 補欠選任
藤末 健三君 那谷屋正義君
寺田 典城君 片山虎之助君
アントニオ猪木君 山口 和之君
浜田 和幸君 和田 政宗君
八月十日
辞任 補欠選任
大沼みずほ君 森屋 宏君
片山虎之助君 柴田 巧君
大門実紀史君 小池 晃君
山口 和之君 井上 義行君
水野 賢一君 中西 健治君
八月十一日
辞任 補欠選任
白 眞勲君 大久保 勉君
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出席者は左のとおり。
委員長 鴻池 祥肇君
理 事
石井 準一君
佐藤 正久君
塚田 一郎君
馬場 成志君
堀井 巌君
北澤 俊美君
福山 哲郎君
荒木 清寛君
小野 次郎君
委 員
愛知 治郎君
石田 昌宏君
猪口 邦子君
北村 経夫君
上月 良祐君
高橋 克法君
豊田 俊郎君
三木 亨君
三宅 伸吾君
森 まさこ君
森屋 宏君
山下 雄平君
山本 一太君
山本 順三君
小川 勝也君
小川 敏夫君
大久保 勉君
大塚 耕平君
大野 元裕君
小西 洋之君
那谷屋正義君
広田 一君
蓮 舫君
谷合 正明君
平木 大作君
矢倉 克夫君
柴田 巧君
井上 哲士君
小池 晃君
井上 義行君
和田 政宗君
中西 健治君
福島みずほ君
山本 太郎君
荒井 広幸君
国務大臣
外務大臣 岸田 文雄君
防衛大臣
国務大臣 中谷 元君
国務大臣
(内閣官房長官) 菅 義偉君
政府特別補佐人
内閣法制局長官 横畠 裕介君
事務局側
常任委員会専門
員 藤田 昌三君
常任委員会専門
員 宇佐美正行君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官 前田 哲君
内閣官房内閣審
議官 永井 達也君
内閣官房内閣審
議官 岡田 隆君
内閣官房内閣参
事官 三角 育生君
外務大臣官房長 上月 豊久君
外務大臣官房参
事官 滝崎 成樹君
外務省北米局長 冨田 浩司君
防衛省防衛政策
局長 黒江 哲郎君
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本日の会議に付した案件
○我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資
するための自衛隊法等の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○国際平和共同対処事態に際して我が国が実施す
る諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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#2
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会を開会いたします。委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、主濱了君、又市征治君、アントニオ猪木君、藤末健三君、浜田和幸君、寺田典城君、山口和之君、大沼みずほ君、片山虎之助君、大門実紀史君及び水野賢一君が委員を辞任され、その補欠として山本太郎君、福島みずほ君、山口和之君、那谷屋正義君、和田政宗君、片山虎之助君、井上義行君、森屋宏君、柴田巧君、小池晃君及び中西健治君が選任されました。
また、本日、白眞勲君が委員を辞任され、その補欠として大久保勉君が選任されました。
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#3
○委員長(鴻池祥肇君) 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。今日は、また委員長に御指導いただきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。
今日は、お忙しいところ官房長官にもおいでいただいておりますので、早速お伺いしたいんですけれども、総理が広島、長崎での御発言の中で、広島では非核三原則、お触れにならなかったことについて、御自身で触れないという御判断をされたという趣旨のことをせんだってここで御発言になられました。その理由ですね、なぜお触れにならないという判断をされたのか、それは官房長官は御存じでしたか。
#5
○国務大臣(菅義偉君) 私は承知はしておりませんでした。ただ、平和記念式典における挨拶では、総理自身は、非核三原則の堅持、これについては当然の前提として、我が国は世界で唯一の被爆国として核兵器のない世界の実現に向けて国際社会の取組を主導していく決意を表明をいたしております。その後、様々な御指摘がありましたので、長崎では誤解を招くことがないようにこの言及をしたということであります。
#6
○大塚耕平君 誤解を受けないようにということであられたんですけれども、やはり広島のときにはお触れにならない、長崎ではお触れになったというここのいきさつと、御本人がどういうお考えでそういう御判断と対応をされたのか、これは非常に大きな問題だと思いますので、是非理由を総理から聞いていただいて、やはり書面で委員会に資料として是非御提示いただきたいと思います。非核三原則はこの委員会でも武器の輸送をめぐっていろいろ議論になっておりますので、是非総理に一度聞いていただきたいと思います。ということで、委員長に是非お願いを申し上げたいんですが、さきの広島、長崎での総理の御発言の対応の違いについて、総理御自身がどのような理由でそういう御判断をされたのかについて書面で政府に開示を求めたいと思いますので、よろしくお取り計らいいただきたいと思います。
#7
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまの件につきましては、後の理事会におきまして諮りたいと思います。#8
○大塚耕平君 次に、その非核三原則なんですが、これは外務大臣にお伺いしたいんですが、我が国の非核三原則というのを改めてちょっとここで御紹介いただきたいんですが、非核三原則とは何でしょうか。#9
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の非核三原則ですが、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず、これが非核三原則だと承知をしております。#10
○大塚耕平君 せんだっての当委員会で、今回の法案に絡んで、日本の自衛隊が核兵器を輸送できるのかどうかということが一つ議論の的となりました。今、岸田大臣がおっしゃっていただいたとおりの内容が非核三原則ですから、核兵器を輸送するかしないかということと非核三原則は何ら関係がないという理解でよろしいですか。
#11
○国務大臣(岸田文雄君) 今回御審議いただいている法律の内容につきましては、先般来、防衛大臣から説明させているとおりであります。そして、非核三原則は、今申し上げたとおりであり、これは我が国の基本方針であります。一昨年末に発表しました国家安全保障戦略にも明記されておりますし、それから今年確認されました日米の新ガイドラインの中にも、非核三原則、これは明記をされています。これは我が国の基本方針であり、対外的にも明らかにしている方針であります。
#12
○大塚耕平君 もう一度お伺いします。今おっしゃった内容は私も全く共有しています。持たず、作らず、持ち込ませずですね。それと、この法案が仮に成立した後に、自衛隊が集団的自衛権の発動によって米軍と協力ないしは他の国の軍隊と協力して対応するときに、核兵器を輸送するかしないかということと我が国の非核三原則とは直接何の関係もないという理解でよろしいですね。
#13
○国務大臣(岸田文雄君) 直接関係ないという意味はちょっとしっかり確認しなければいけませんが、法律の内容につきましては防衛大臣から説明したとおりであります。そして、我が国が提供するに当たっても、あるいは輸送するに当たっても、非核三原則、これは大変重たいものであり、核兵器について我が国が提供することあるいは輸送すること、共にあり得ないという説明を政府としてさせていただいております。
#14
○大塚耕平君 今日は六十分いただいておりますが、六十分あるとはいっても時間はどんどん過ぎていきますので、もう一回だけお伺いします。我が国の非核三原則と我が国が海外でこの法案成立後に核兵器を輸送するしないの問題、そして、そんなことはあり得ないと両大臣も総理もおっしゃっておられますので、その御判断と直接は非核三原則は何の関係もないということでよろしいですね。
#15
○国務大臣(中谷元君) 法案に絡んだ御質問でございますのでお答えさせていただきますが、非核三原則、これは我が国の国是として堅持をしております。また、同時に、NPTという核兵器不拡散条約、これも批准をしておりまして、大量破壊兵器の拡散防止にも積極的に取り組んでいる我が国が、核兵器を始めとする大量破壊兵器の輸送、これは行わないということは当然です。もう一点、米国も、核兵器については、その高度の秘匿性、また安全確保の必要から、米国がその輸送を我が国に依頼することは絶対にあり得ないことでありまして、非核三原則を堅持する日本が輸送を行うことも絶対にあり得ないということでございます。
#16
○大塚耕平君 もう一回だけお伺いしますので、委員長におかれては是非よろしくお裁きをいただきたいと思います。私は、皆さんがそんなことは絶対にあり得ないとか我が国が核兵器を輸送することはしないというふうに御答弁しておられること、それは当然のことだと思いますし、御評価を申し上げます。そのことと論理的には関係ないことを聞いているんですよ。
非核三原則を理由にしてそういうふうにせんだってから御発言になっているので、我が国の非核三原則とその輸送するしないの御判断とは直接何の因果関係もありませんよねということを論理的に聞いているだけなので、関係があるのかないのかということだけを、もうこれで四回目ですからね、ちょっとさすがにきちっと御答弁いただかないと困りますよ。
中谷大臣も岸田大臣も、総理に比べたら大事なところで、要所要所できちっと御答弁いただいているので、お二人の御答弁は、ちょっと後ろ……(発言する者あり)大事なところですから、関係があるのかないのかということだけ端的にお答えください。
#17
○国務大臣(中谷元君) 非核三原則というのは、先ほど外務大臣がお答えしたとおりでございますが、特に、我が国は被爆国といたしまして、これは国是といたしまして、国民がそういう意識を十分に持っているということで法律は運用されているわけでございます。過去に、周辺事態法、また米軍行動関連法、PKO法、国際緊急援助隊法、これは、自衛隊が輸送活動を実施できる根拠となっているいずれの法律においても、核兵器を含む個別の武器弾薬について法律上一つ一つの輸送の対象から除外をしてこなかったように、核兵器の運搬を始めとする大量破壊兵器、これを行わないということは当然のことでありまして、そうした現実に考えられないことまでを全て法律に規定しなければならないとは考えておりません。
したがいまして、今般の法改正におきましても、核兵器を輸送するということは絶対にあり得ないことでもありますし、そういうことは行わないということでございます。(発言する者あり)
#18
○委員長(鴻池祥肇君) 速記止めておいてください。〔速記中止〕
#19
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。#20
○大塚耕平君 もう一度だけお伺いします。核兵器を輸送しない、そんなことはあり得ないという皆さんの御判断は当然のことだと思いますし、それを聞いて私も安心しました。
さりながら、それはなぜかということに関して、せんだっての委員会から非核三原則があるからだという趣旨のことを説明しておられますけれども、我が国の非核三原則と政策判断として皆さんが核兵器は輸送しないと言っておられることは直接は関係ないですよね。
#21
○国務大臣(岸田文雄君) この法律に基づいて輸送するかどうかとこの非核三原則、これは関係ないかという御質問ですが、私は関係あると思います。これは、法律全体の中で、法体系の中で、法律一つ一つを考える、これは当然のことであります。我が国の法律の考え方の中でこの法律を考える、そういった意味からこれは関係があると考えます。
#22
○大塚耕平君 それでは、委員長にお願い申し上げます。今、関係があるかないかという質問に対して、関係があると明確に御答弁いただいたので、これで一歩進むんです。そういう御答弁を最初からしていただいたら大変有り難いんです。
関係があるというふうにおっしゃいましたので、非核三原則は持たず、作らず、持ち込ませずというふうになっておりますが、輸送しないということは何も書いてありませんので、関係があるというのはどのように関係があるのか、その因果関係と論理性を書面にして提出をしていただきたいので、委員長にそれを求めたいと思います。
#23
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまの件につきましても、後の理事会においてお諮りをすることといたします。#24
○大塚耕平君 それでは、次に防衛大臣に、今日は防衛省の、これは技術研究本部の防衛省規格目録というのを持ってきていただいていると思うんですが、私も初めて今回これ勉強させていただきました。その中にいろんな防衛省の機材の分類がされているんですが、アルファベットで規格記号Y、これは武器に当たります。この目次を見ると、武器の中に規格番号七〇〇〇から七九九九番に該当するものが弾薬というふうになっているんですけれども、これは具体的に例えばどんなものが含まれていると考えたらよろしいんでしょうか。#25
○国務大臣(中谷元君) お尋ねの防衛省規格目録、ここにお持ちをいたしましたけれども、これは、防衛省・自衛隊の装備品等に求められる機能、性能やその試験方法等について定めた防衛省の規格の番号、名称などを部門別に収録したものでございます。御指摘の規格記号Yの規格番号七〇〇〇から七九九九におきましては、主に小火器弾薬、火砲弾薬といった弾薬についての各種の試験方法、これが定められているということでございます。
#26
○大塚耕平君 ありがとうございます。私も初めて興味深く拝見をさせていただきました。その分類番号Yのところを今打ち出して私も持ってきておるんですが、分類基準、弾薬は共通基準から始まって、火薬、弾薬という分類とか、あるいは信管、火管、雷管とか、幾つか分類がございます。そのうち最初の共通分類のところに、例えば対ミサイル用弾薬とかクラスター弾とか、こう書いてあるんですが、これはせんだって劣化ウラン弾とかクラスター弾のことはここでも議論になりましたが、こういうもの、つまり共通の最初のところで出てくる、分類番号でいうと一〇一〇番というものは、これは提供しないというようなことを現時点で御判断しておられるということですね。
#27
○国務大臣(中谷元君) 御指摘の防衛省の規格目録、これはあくまでも防衛省・自衛隊の装備品等に求められる機能、性能、その他の試験方法について定めた防衛省の番号、名称などを部門別に収録をしたものでありまして、これの目的は装備の技術研究開発のための分類でありまして、この目録としての目的が今言ったことでございます。他方、せんだってお答えをしました弾薬等の分類におきましては、これは現行の米軍行動関連措置法や改正後の重要影響事態法によりまして提供可能な弾薬と対応するものでありまして、これは法制上の区分の目的でありまして、ここでいう防衛省の規格目録とは、この仕様分類についての目的、これは違うわけでございます。
#28
○大塚耕平君 目的が違うのは私も理解しておりますので、例えばここの分類上出てきているクラスター弾とかは、だから、こういうものを運ばないとこの間はおっしゃったという理解でいいですね。提供しないということをおっしゃったと。#29
○国務大臣(中谷元君) せんだって申し上げました弾薬、これは今後の法改正の運用等によりまして目的を定めております。目的が違いますので、提供可能な弾薬と対応するものではないということでございます。#30
○大塚耕平君 この分類の中をずっと見ていきますと、さらにロケット弾、ミサイルのところで、弾道弾、弾道ミサイル、巡航ミサイルというもの、分類上出てくるんですが、こういうのは持っていないということでよろしいですよね。分類上は出てきますけれども、自衛隊は巡航ミサイルを持っていないんですよね。#31
○国務大臣(中谷元君) 巡航ミサイルは保有しておりません。#32
○大塚耕平君 委員長、私もこれ初めて拝見したんですが、大変興味深く、また勉強にもなるんですが、今お聞きいただいたように、本来持っていないものも、これはあくまで規格の分類上の話ですから、全部列挙されているんですね。ただ、素人が見ますと、これ持っているから列挙しているかのようにも見えるものですから、委員長にお取り計らいをいただきたいんですが、この防衛省の規格目録に沿って、どの武器弾薬は輸送することが可能で、そして弾薬についてはどの弾薬は提供し得るのか、できないのかということについての資料をお願いしたいと思いますので、よろしくお取り計らいください。#33
○委員長(鴻池祥肇君) さきの二点共々、この件に関しましても、後の理事会で協議をいたします。#34
○大塚耕平君 その武器に関係してちょっとお伺いしたいんですが、せんだって、劣化ウラン弾とかクラスター弾は提供しないということをここで御発言になられて、それはそれでなるほどなと思って聞いておったんですけれども、ところが、戦闘準備中の戦闘機とかには給油をし得るという御説明を政府からいただいておりますので、しかし、その発艦準備をしている戦闘機が劣化ウラン弾とかクラスター弾を積んでいたとしたら、それに給油をするということは事実上その使用を幇助するということになりますので、今後その給油をするときには、我が国が使用を条約上禁止していたり、あるいは提供しないという政策判断をしている武器や弾薬を積んでいないということを確認した上で給油をするということでいいかどうかということについて、中谷大臣にお伺いしたいと思います。#35
○国務大臣(中谷元君) 劣化ウラン弾は我が国は保有をしておりませんし、クラスター弾も全廃をいたしております。劣化ウラン弾を運ぶとなりますと、相当自衛隊、危険でありますので、これは当然運ばないということで相手先とも協議をしておりますので、事実、そういったものは運ばないという前提の輸送支援になるということでございます。
#36
○大塚耕平君 中谷さん、ちょっと質問の趣旨が違いまして、給油はするわけですから、その給油をしようとしている戦闘機が、別に日本のものじゃないです、その戦闘機の保有者である軍の武器や弾薬として既に戦闘機がクラスター弾や劣化ウラン弾を装備していたら、それに給油をするということは事実上それを使用することを幇助することになるので、給油をする際には、そういうものは装備していないということを確認の上、あるいはそれを条件にやるんですねということをお伺いしたんです。#37
○国務大臣(中谷元君) 法律上は、現に戦闘が行われている現場でない場所で給油等は可能でございます。なお、中に、核兵器を始め劣化ウランとかクラスター弾、これは我が国といたしましては保有もしておりませんし、こういった取扱いにおきましても非常に危険な弾薬でありますので、そういうものを装備した場合におきましては給油をすることは想定はしていないということでございます。(発言する者あり)
#38
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を止めてください。〔速記中止〕
#39
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こして。#40
○国務大臣(中谷元君) 実際の給油の際におきましては、事前に日米間で要請内容等も調整をし、検討もするわけでございます。基本的には、実際に給油するかしないか、これは我が国が主体的に判断するわけでございますので、この間の給油の調整等は、事前にしっかり調整をして判断したいと思います。
#41
○大塚耕平君 是非そうしていただきたいと思うんですが、私どもは、今回の法案はもう憲法違反ですから廃案を目指しております。一方、皆さんはこれを成立を目指しておられますので、これ成立してしまった場合にはやはりその運用というのが大変重要なポイントになってまいりますので、戦闘機に給油する場合、日本が提供をしないと判断していたり提供できないことになっている武器弾薬を積んでいる航空機には給油しないということに関しての政府の統一見解を書面で委員会に提出していただきたいと思いますので、委員長にお願いいたします。#42
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまの件に関しましても、さきの三件プラス一件で、後の理事会においてお諮りいたします。#43
○大塚耕平君 次に、衆議院で維新の党の太田和美議員が御質問された防衛白書の英訳の問題についてお伺いしたいと思います。これは御存じない方もひょっとするといらっしゃるかもしれないので簡単に申し上げますと、防衛白書の平成二十五年度版と二十六年度版は、専守防衛について日本語では全く同じ表現になっております。ところが、英語版になると表現が全然違います。平成二十五年度版では、専守防衛というのは日本が他国から攻撃をされるまでは何もしないことだというふうに書いてあったんですけれども、英語でですよ、二十六年度版になると、武力攻撃が発生した場合に武力行使をするというのが専守防衛であるということで、日本に対してという表現が抜けているんですね。
これは改めてお伺いしたいんですが、実は衆議院側にそれについての政府の統一見解が出ておりますので、それは今、私、手元に持っております。持っておりますが、太田議員が御指摘くださった点だけではなくて、例えば平成二十五年度版までは、日本が攻撃をされない限りは日本は武力を行使しないという否定の文章で書かれているんですが、二十六年度版になると、武力攻撃が、どことは書いてないですよ、あった状況下において日本が武力行使をするという、その行使をするという方に力点を置いて文章が組み立てられております。
それから、憲法との関係でいいますと、ここ結構私は大きいと思うんですが、平成二十五年度版では、「consistent with the spirit of the Constitution.」、憲法と一致することを前提としてと書いてあるんです。ところが、二十六年度になると、「in accordance with the spirtit of the Constitution.」、憲法の精神と調和させることをとなっていて、これは実はよく読むと、太田議員が御指摘いただいたところ以外も基本的に全文変わっております。日本語は全く一緒です。
これはやはりいかがなものかと思いますが、なぜこういうふうに英訳全体を変えたのか、防衛大臣にお伺いしたいと思います。
#44
○国務大臣(中谷元君) 英語版の白書の二〇一三年度版におきましては、憲法第九条の下でも例外的に自衛のため武力の行使が許される場合があるという基本的な論理に当てはまる場合は我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるという当時の認識の下で、専守防衛の説明の英訳にこの認識を反映したところでございます。他方、昨年七月一日の閣議決定で示された新三要件は、このような認識を改めて、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合も基本的な論理に当てはまるとしたものでありまして、二〇一四年版の英語版の白書はこの認識を反映をさせたものでございます。
このように、二〇一四年の英語版白書の記述は、昨年七月の閣議決定の考え方を踏まえて検討を行った上で訳出をしたということでございます。
#45
○大塚耕平君 平成二十六年度版に関しては、その大事な新三要件の第一要件の後半部分、存立危機事態はこういうものであるという説明が英文では一切入っておりませんけれども、それを入れなかったのはなぜなんでしょうか。#46
○国務大臣(中谷元君) それは、その部分の前の文章がありまして、いわゆる新三要件の第一要件に当たるものでございますが、その前に、相手から武力攻撃を受けたときが指す内容は、我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合となりますということで、この新三要件の説明をいたしております。改めてこの文章を記述をいたしますと、これがそのまま訳出をすると非常に冗長になるということ、また専守防衛に関する記述の直前において、この内容を含めて憲法九条の下で許容される自衛の措置について詳細に説明をしていることから、御指摘の記述部分においては繰り返してこの内容を説明することを避けて、簡潔な表明にするように努めたということでございます。
#47
○大塚耕平君 委員長、今聞いていただいて、御理解いただければ幸いでございますけれども、白書については、平成二十五年度版、二十六年度版、そして二十七年度版が今月皆さんの手元に配られていますが、専守防衛のところの説明は日本語では全く一緒です。ところが、英語では二十五年度と二十六年度と大きく変わっております。そして、二十六年度については、中谷大臣の御説明では去年の七月一日の閣議決定以降の考え方を反映したということなんですけれども、一番大事なその第一要件の後半、存立危機事態のような、ああいうときじゃないと日本は武力行使をしない、だから専守防衛なんだという説明は一切含まれておりません。
そういう中で、平成二十七年度版、つまり、今配られている日本語版の英訳はこれから二、三か月後に出ると思います。これをどういうふうに英語で説明するのかというのは大変重要なことだと思っております。それを冗長だからといって大事なところを削ったりするものですから、前回の質問で岸田大臣に御回答いただいた、諸外国での報道がどうなっているかというと、そういう英文を読んで彼らは報道するわけですから、まるでフルスペックの集団的自衛権を日本が認めるかのような報道のタイトルになっているわけですよ。
だから、これは大変重要な問題だと思いますので、委員長にお願いをいたしたい点は二点ございます。
一点は、平成二十五年度と二十六年度の英訳の和訳を正式に防衛省から当委員会に御提出をいただきたいというのが一点であります。
二点目は、しからば、平成二十六年度の英訳をそのまま今度平成二十七年度の英訳に使えばいいかというと、先ほども、繰り返し申し上げているように、第一要件の大事な部分は全く説明していませんので、海外で先般質問させていただいたような間違った報道になっていくわけでありますので、平成二十七年度版の英訳をどうするかということについては、この委員会開催中に訳を是非確定させていただきたいと思いますので、平成二十七年度版の訳の原案をこの委員会に提出をしていただきたいと思いますので、委員長にはよろしくお取り計らいください。
#48
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまの大塚君の申出の件につきましては、一点付け加えて、後の理事会でお諮りしたいと思います。後の今の一点につきましては、もう一度中谷大臣に答弁していただいて、できるかどうかも含めて中谷大臣からの答弁をいただきます。
#49
○国務大臣(中谷元君) 資料の提出につきましては、委員会の決定に従いたいと思っております。また、本年度の防衛白書におきましても、新たな防衛政策としてこの新三要件については詳しく説明をいたしております。
なお、専守防衛等につきましての記述等につきましては、改めて確認をさせていただきたいと思います。
#50
○大塚耕平君 それでは、是非よろしくお願いをいたします。次に、お手元に今日は参考資料を一枚配らせていただいております。
自衛隊法の三条、七十六条、八十八条。せんだっては三条と八十八条をパネルにしてお示しをしましたが、どうももうひとつ、岸田大臣、中谷大臣にも重要な問題意識を御理解いただいていないような気もしますので、もう一回ちょっと議論をさせていただきたいと思います。
ここは是非、官房長官にまず最初にお答えいただきたいと思うんですが、自衛隊法三条で「直接侵略及び間接侵略に対し」というところを削ります、今回の法案で。その赤字で線が引いてあるところです。
つまり、これまでは我が国を防衛することは直接侵略及び間接侵略に対する行為であったわけでありますけれども、この二つを削るということは、侵略以外の行為に今後は対応するという理解でよろしいですね。
#51
○国務大臣(菅義偉君) 現行の自衛隊法第三条第一項は、自衛隊の主たる任務を、「直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛する」ということを規定をいたしています。これに対し、他国に対する武力攻撃の発生を契機とする存立危機事態における自衛隊の行動もあくまでも我が国の防衛を目的とするものであることから、現行の武力攻撃事態における自衛隊の行動と同様に自衛隊の主たる任務として位置付ける、このことが適当だというふうに考えています。このために、自衛隊法第三条第一項を改正をし、我が国に対する武力攻撃を意味する「直接侵略及び間接侵略に対し」という文言を削除して、自衛隊の主たる任務を端的に「我が国を防衛すること」と規定することによって存立危機事態における行動も主たる任務に含まれる、このことを明らかにすることといたしています。
#52
○大塚耕平君 おっしゃっている趣旨は理解できます。さりながら、その法文上の文章からも読み取れることがいっぱいありますので、要するに、三条は「直接侵略及び間接侵略に対し」というものを削るわけですから、つまり、侵略以外のことにも今後は対応するという趣旨でここを削るという理解でよろしいですね。
#53
○国務大臣(中谷元君) これは、存立危機事態を主たる任務に付け加えるということでございまして、先生の資料の七十六条に明記されているように、防衛出動の武力行使、これは二点ございます。一つは、我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態又は我が国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態。第二点といたしまして、この存立危機事態ということで、今回の改正でこの「直接侵略及び間接侵略に対し」という言葉を削除することによって、存立危機事態における自衛隊の行動が自衛隊の主たる任務に含まれるということを明らかにしたということでございます。
#54
○大塚耕平君 つまり、侵略以外に存立危機事態にも対応するということを今おっしゃったわけであります。七十六条は先般お示ししなかったので今日改めてお示しをしておりますが、赤いところを削って青いところを付け足しているわけであります。赤いところは七十六条の一項の一号とほぼ一緒でありますので、つまり、この一号が直接侵略、間接侵略なんですね。二号が、これが存立危機事態なんです。
だから、中谷さん、存立危機事態は侵略ではないという理解でよろしいですね。
#55
○国務大臣(中谷元君) 存立危機事態におきましては新三要件を満たす限りということでございまして、これは、あくまでも我が国又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生をし、そして三要件に示されているように、これは憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢という、専守防衛を維持するということでございます。#56
○大塚耕平君 誠実にお答えいただいていると思うんですが、議事録を読んで後世の人たちはいろいろ判断をされますし、国会外の国民の皆さんも御関心を持ってお考えになりますので、もう一回端的にお伺いします。今回政府が新たに定めようとしている存立危機事態は、侵略ではありませんね。
#57
○国務大臣(中谷元君) 直接・間接侵略ではなくて、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を契機とする事態でございまして、それも我が国の存立に関わる、また国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆されるという明白な危険があるという場合に限ってということで、いわゆる我が国の防衛のための集団的自衛権であるということでございます。#58
○大塚耕平君 一応お答えいただいていると思いますが、立場が違いますので問題意識も違います。侵略ではない行為に対して我が国は武力行使をするかもしれないということを今明確にお認めになったわけで、それは、私の立場としては反対でございます。その上で申し上げますけれども、八十八条は今回は改正されておりません。まだ改正されていませんので、三条も七十六条も改正されていませんので、自衛隊法は今、現行法が生きております。岸田大臣にお伺いするのか中谷大臣がいいのか、お任せいたしますけれども、現時点における八十八条の「わが国を防衛するため、」というのは、これは侵略に対するものでよろしいですね。
#59
○国務大臣(中谷元君) 先ほどの答弁をちょっと補足させていただきますが、直接侵略というのは、外部からの組織的、計画的な武力の行使により我が国に対して直接侵略、これがなされることです。また、間接侵略といいますと、一つ又は二つ以上の外国の教唆、干渉によって引き起こされた大規模な内乱、騒擾であって、外国からの干渉が不正規軍の侵入のような形態を取り、我が国に対する外部からの武力攻撃に該当するもので、これらはいずれも我が国に対する武力攻撃を意味をするものでございます。そこで、八十八条、これにおきましては「わが国を防衛するため、」という言葉が入っておりまして、存立危機事態、新たにこれは主たる任務に入りますけれども、それも我が国を防衛するためということで必要な武力を行使するということでございます。
#60
○大塚耕平君 もう一回お伺いします。まだ今現行法が生きていますので、現行法において八十八条の「わが国を防衛するため、」というのは、侵略に対する行為だというふうに理解してよろしいですね。
#61
○国務大臣(中谷元君) 我が国に対する直接及び間接的な武力攻撃ということでございます。#62
○大塚耕平君 いや、ここがポイントなんですけれども、つまり、今回八十八条を皆さんは改正しなかったんです。八十八条は、これは侵略に対する我が国防衛のための防衛出動、武力行使を定めているわけであります。ところが、三条と七十六条を今回改正することによって、侵略行為ではない武力行使事態にも対応する立て付けになっておりますから、一見すると、八十八条は七十六条一項の規定により出動を命じられた場合というふうに書いてあるので、整合性があるというふうに取る立場の人もいるでしょう。法制局長官は多分その立場だと思います。しかし、これは、八十八条は侵略に対するものであるので、もし三条と七十六条をいじるのであるならば、七十六条第一項の規定により出動を命じられた自衛隊は、今までと趣旨が変わるわけですから、直接侵略及び間接侵略又は存立危機事態に我が国を防衛するためというふうにやっぱりここも修正しなきゃいけないんですよ。それをやっていないということは、条文のこれはそごがあるということを前回申し上げたんです。
だからこれ、出し直さないとおかしいことになりますよ。官房長官、いかがですか。
#63
○国務大臣(中谷元君) これ、直接侵略も間接侵略も、いずれも我が国に対する武力攻撃を意味するものでございます。今回、存立危機事態、これを定義をいたしましたが、これはまさに八十八条に書かれた我が国を防衛するための対応でございまして、これにつきましては、この原文のまま適用がされても全くおかしくないと思っております。
#64
○大塚耕平君 おかしくないというのは皆様方のお立場です。我々の立場、あるいは法律を真摯に読み解いていく立場からすると、八十八条の現行法における行動の目的と、これから改正後の内容が変わるわけですから、ここはやはり八十八条も何がしかの加筆をするのが本来の対応ではないかというふうに思っておりますので、委員長にお願いを申し上げます。これは法理構造上、私は三条と七十六条と八十八条はそごがあるというふうに思いますので、そごがないという論理的説明を書面で求めたいと思いますので、委員会においてよろしくお取り計らいいただきたいと思います。
#65
○委員長(鴻池祥肇君) 全てひっくるめて後の理事会で諮ります。#66
○大塚耕平君 次に、先ほども申し上げましたが、これはお世辞でも皮肉でも何でもなく、総理がいらっしゃらない方が議論がちゃんとかみ合って進むんです。岸田大臣も中谷大臣も要所要所では短い言葉できちっとお答えくださるので、やっぱり、我々立場は違いますけれども、ちゃんとそれぞれが正直に主張し合ってこそ議論がかみ合いますのでね。だから、せんだって衆議院での皆さんの答弁を参考に、我が国を武力行使をしていない国とかその意思を持っていない国に対しても、我が国は存立危機事態だというふうに認定をすれば先に攻撃することがあるということを端的に中谷さんはお認めいただいたんで議論がかみ合っているんです。
これは、それがいいか悪いかということとは別にして、先制攻撃だということも外務大臣もお認めくださいました。(発言する者あり)いやいや、外務大臣、じゃ、先制攻撃の定義は何でしょうか。
#67
○国務大臣(岸田文雄君) 先制攻撃とは、要は武力攻撃が発生していないにもかかわらず自ら武力攻撃を行うことであります。これは、国際法上違反であります、違法であります。そして、今議論をお願いしている存立危機事態、これは限定的な集団的自衛権だと説明をさせていただいています。集団的自衛権は、これは国際法上違法性を阻却する事由として認められている、国際法、合法な行動、対応であります。これは明らかに違います。この間、先制攻撃は違法であります、これは間違いなく答弁させていただきました。これは、その先制攻撃と今御議論いただいている存立危機事態、限定的な集団的自衛権、これは別物だということは、これは明らかにしておかなければなりません。国際法上違法な行為と国際法上合法な行為、これを一緒にすることはできません。国際法を守る立場からは、あくまでも国際法、合法な行為について御議論いただいている、これは是非整理していただければと思います。
#68
○大塚耕平君 岸田大臣、今年か去年のこの予算委員会で、国際法における定義を確定する、オーソライズする組織はどこなんでしょうという質問をしたことが私あるんですけれども、大臣はもういろんな質問者にお答えになっておられるので御記憶にないと思いますが、そのとき多分意味を正しく御理解いただけなかったと思うんです。それは、例の密接な関係にある国の定義を我が国独自の解釈をしておられるので、一体それはどこがオーソライズするんですかという趣旨でお伺いしたんですが、そのときはかみ合わないまま終わりました。今のこの先制攻撃の問題に関して、もう一度その論点からちょっと岸田大臣に是非お考えいただきたいんですが、今、国際法上の違法性阻却事由だというお話をされました。それは私も理解しています。国際法上先制攻撃の定義はありますかということを聞いているんです。
#69
○国務大臣(岸田文雄君) これ、定義がありますか、どこかに明記されているかという意味であるならば、その明記されている箇所は承知しておりませんが、国際法上理解されている、様々な議論が行われる、様々な判決が行われるその積み重ねの上で、国際法の議論として、先制攻撃というのは武力攻撃が発生していないにもかかわらず自ら武力攻撃を行う、こうしたことであり、国際法上違法な行為であると理解されていると承知をしています。#70
○大塚耕平君 中谷大臣のところに今答弁書が差し込まれましたけれども、後方支援しないでくださいね、ここで答弁に立っていただく必要はありませんので。岸田さん、先制攻撃については定義がないんですよ。つまり、皆さんは、それは先制攻撃じゃないと。なぜならば、違法性阻却事由で行動の根拠が与えられたので先制攻撃ではないという言い方をするんですが、先制攻撃というのは国際法上定義がなくて、これは、私は外形上という、この間はそういう言葉を使いました。現実に攻撃を仕掛けていない国に対して先に攻撃を仕掛けることは、これは先制攻撃なんです。だから、先制攻撃じゃないと幾ら否定されても、それは事実上先制攻撃なんです。
だから、そこのところは、その後、与党の議員の先生方も何人か先制攻撃についてお触れになりましたけれども、先制攻撃については国際法上定義がないので、先に手を出した方が、外形上、事実関係として先制攻撃をしたということ以外にないんです。
そのことを申し上げた上で、今日質問通告している集団的自衛権に基づいて武力行使する際の国内外における適法手順をお伺いしたいんですが、そのときは、我が国は、我が国に武力攻撃をまだしていない国に対して宣戦布告するんですか。
#71
○国務大臣(岸田文雄君) まず、済みません、前段の部分について一言だけ申し上げさせていただきます。要するに、集団的自衛権とは、国連憲章第二条四項において禁止されている武力の行使の違法阻却事由として認められている行為であります。そして、集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することを正当化する権利とされています。これは、あくまでも武力攻撃の発生が前提になっています。
これは、今先制攻撃について定義はないという御指摘がありました。これについて、しかし、ただ唯一、必ず言えることは、絶対言えることは、先制攻撃と今申し上げました集団的自衛権の行使、これは違うということだけは、これは国際法上明らかにされていると思います。(発言する者あり)いや、これは国際法上、少なくとも集団的自衛権は先制攻撃だと定められている、定義されている、そういったことはない、これだけは間違いないところだと思います。(発言する者あり)
済みません、質問の趣旨は……
#72
○大塚耕平君 宣戦布告するんですかと聞いているんです。#73
○国務大臣(岸田文雄君) 集団的自衛権を行う際には、国際法上の定義として、攻撃を受けた国からの要請、同意があり、そして必要性、均衡性、こうした要件を満たしている、こうした要件を満たしている場合は、国際法上集団的自衛権は行使することが認められる、このように定められています。これに従って我が国としては集団的自衛権を行使し、なおかつ、これ国連憲章の規定によりまして、これは国連の安保理に対して行使したことをしっかりと報告をする、これが定められている、要件としてはそれだけであると承知をしています。
#74
○大塚耕平君 委員長、質疑のやり取りを聞いていただいて御理解いただいていれば幸いでございますけれども、違法性阻却事由云々というところは私も理解しております。その上で、我が国が集団的自衛権に基づいて武力行使をする場合、武力行使の対象国が我が国に対して武力攻撃を現にしていない状況のことを今私はお伺いしているので、そのときには、我が国はその国に対して宣戦布告という手順を踏むのかということを聞いているんですが、これについては、大事な点ですので書面でこの委員会に政府の統一見解をお示しいただきたいと思いますので、委員長、よろしくお取り計らいください。
#75
○委員長(鴻池祥肇君) この件の私からの発言以前に、先に答弁させてください。岸田大臣。#76
○国務大臣(岸田文雄君) 国際法上、戦争に対する考え方、これは時代の中で随分と変遷をしてきました。かつて戦争が合法であった、こういった時代が存在しました。二十世紀初め頃までであります。そのときの伝統的な国際法の考え方として、宣戦布告というものが考えられた時代がありました。今や時代は変わって、国際法上戦争は違法なものとされています。ですから、伝統的な国際法の考え方に基づく宣戦布告、これは、国際法上要件としては考えられておりません。よって、こうしたものを考える余地はないと私は考えます。
#77
○大塚耕平君 いずれにいたしましても、先ほどの書面での回答は是非求めたいと思いますので、委員長、よろしくお願いいたします。#78
○委員長(鴻池祥肇君) それでは、全てひっくるめて後の理事会で諮ります。#79
○大塚耕平君 岸田さんと中谷さんは、本当繰り返しで恐縮ですが、きちっと御答弁いただいているので議論がかみ合います。かみ合いますが、やはり国際法上他国には例のない、国際法上誰もオーソライズをしていない限定的な集団的自衛権というものを行使するという今回新機軸を打ち出しておられるので、答弁とこれまでの政府統一見解にいろいろ矛盾が生じています。今までの、どういう場合に集団的自衛権を根拠とした武力行使ができるかということについての岸田大臣の御答弁を十分私も反すうしながら、六月十九日に衆議院の委員会での求めに応じて政府が統一見解としてお出しになった「先制攻撃と集団的自衛権について」という書面の先制攻撃に関わる部分を読ませていただきます。このように政府は統一見解を述べております。
「何ら武力攻撃が発生していないにもかかわらず、ある国家が自衛権を援用して武力を行使することは、国際法上合法とは言えず、その要請又は同意があるとしても、その場合に我が国が国際法上集団的自衛権を根拠とする「武力の行使」を行うことはできない。」。
これは今までの答弁と矛盾していますよ。いやいや、もう根本的に矛盾していますよ。
#80
○国務大臣(岸田文雄君) 今お読みいただいたのは、我が国として国際法上違法な行為を支援することはない、当たり前のことを申し上げているとおりであります。そして、今るる答弁させていただいているのも、基本はそのとおりであります。国際法に従って我が国は行動する、対応する、これは当然のことでありまして、今読み上げられたことと基本的に矛盾することはないと考えます。#81
○大塚耕平君 もう一度だけ読み上げて説明をさせていただきますので、私は矛盾があると思いますので、理事の皆様方におかれても、若干で結構ですから、御協議をいただきたいと思います。集団的自衛権を根拠として一定の要件が整えば、要請とか同意も含めてあった場合には、新三要件に基づけば武力行使をできるという答弁をこれまでずうっとしておられるわけです。今さっきもされました。
しかし、六月十九日に衆議院に出された統一見解は、「何ら武力攻撃が発生していないにもかかわらず、ある国家が自衛権を援用して武力を行使することは、国際法上合法とは言えず、その要請又は同意があるとしても、その場合に我が国が国際法上集団的自衛権を根拠とする「武力の行使」を行うことはできない。」と書いてあります。矛盾しています。
#82
○国務大臣(岸田文雄君) 今日まで様々な答弁をさせていただいておりますが、我が国は、集団的自衛権を始め様々な行動によって支援をする際に、相手の国が国際法上合法な行為をしている、これは大前提でありますということは再三申し上げております。違法な行為をする他国から要請があった場合にそれを支援しない、こういった答弁もさせていただいていると思っています。(発言する者あり)いや、今おっしゃったのはまさにそのとおりでありまして、違法な行為をしている国から要請を受けたとしても集団的自衛権を行使しない、これは当然のことであり、今申し上げたことを書面にしたとおりだと思っております。矛盾はないと考えます。
#83
○大塚耕平君 私は、もう一度申し上げますけれども、最後のところに、これがただ自衛権と書いてあるのではなくて、「その場合に我が国が国際法上集団的自衛権を根拠とする「武力の行使」を行うことはできない。」と書いてあるところがみそだと思っておりまして、だから、皆さんが言っておられるその限定的な集団的自衛権、そして新三要件の第一要件の後半の部分はもう我が国が本当に危機に瀕した場合だから、これは事実上個別的自衛権に限りなく近いことをおっしゃっておられるんです。だからみんな議論が微妙にかみ合わなくなってきているんですが、そのぎりぎり、もう限りなく個別的自衛権に近い状況を想定して、その場合は集団的自衛権でやれるという御説明をしておられるんですけれども、集団的自衛権をそういうふうにフルスペックと限定的に分けているということは、国際法上はありません。
だから、ここのさきの政府統一見解で、「国際法上集団的自衛権を根拠とする」というふうにわざわざ「集団的自衛権」となっているところは、これは皆さんの文理上の構成ミスか、あるいはやっぱり概念がまだ皆さんも混乱しておられるということだと思いますよ。
改めて、先ほどの先制攻撃に関する資料と併せて、六月十九日の衆議院に提出された「先制攻撃と集団的自衛権について」のこの内容と、岸田大臣の先制攻撃に対する答弁の整合的な御説明を書面で求めたいと思いますので、委員長に、よろしくお取り計らいください。
#84
○委員長(鴻池祥肇君) 併せて理事会において協議をいたします。#85
○大塚耕平君 委員長に御指名いただきましたので、質問させていただきます。お配りをした紙には、専守防衛の定義が書いてあります。これは、先ほど申し上げました防衛白書にも載っている専守防衛の定義であります。文章は、二十五、二十六、二十七と日本語は全部一緒ですけれども、英語は二十五と二十六が全然違うと。二十七については原案をお示しいただけるということになりましたので、是非議論をさせていただきたいと思います。
しかし、せんだって我が党の広田議員も議論させていただきましたが、今聞いていただいたように、国際法上、先制攻撃の定義はないので、事実行為としてどっちが先に手を出すかということでありますので、そうなりますと、専守防衛の定義として、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使しというこの部分は、やっぱり定義が変わったというふうに理解してよろしいですね。
#86
○国務大臣(岸田文雄君) 相手から武力攻撃を受けたとき、これは我が国が個別的自衛権を行使する場合、あるいは限定された集団的自衛権を行使する場合、いずれにしましても、相手から我が国あるいは密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生する、これは大前提であります。相手から武力攻撃を受けたとき、この点につきましては従来と全く変わりはないと考えます。#87
○大塚耕平君 従来と全く変わりはないという淡泊な書面でも結構でございますので、委員長にお願いをしたいのは、専守防衛の定義について、委員会での議論を論理的にそしゃくをする限りは定義が変わったというふうに理解せざるを得ないので、専守防衛の定義は変わったのかどうかということについて資料を外務省からいただきたいと思います。是非、委員長には大変お手数を掛けて恐縮ですが、よろしくお取り計らいをください。#88
○委員長(鴻池祥肇君) 併せて後の理事会にて協議をいたします。#89
○大塚耕平君 私の持ち時間あと一分ですので、最後に中谷大臣に一問だけお伺いをしたいと思います。今日も通告をさせていただいておりますけれども、中谷大臣は衆議院でもよく、我が国の存立危機事態はどういう状況かという質問に対して、「武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害」という表現を使っておられます。これに対して我が党の後藤議員が衆議院で随分何度もやり取りさせていただいて、武力攻撃を受けた場合と同様な事態というとやはり死傷者が出ることをつい想定しがちなんですが、死者が出るということは必ずしも想定しておりませんという御答弁をされました。
改めて、「武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害」、このときに存立危機事態が認定されるわけですから、これはどういう定義かということをお伺いして、質問を終わりにさせていただきます。
#90
○国務大臣(中谷元君) 我が国が武力攻撃を受けたと同様、深刻な重大な被害というのは、あらかじめこれは断定できるものではございませんが、あくまでも実際に我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃がまず発生をした場合において、事態の個別具体的な状況に即しまして、主に攻撃国の意思、能力、そして事態の発生場所、そして事態の規模、態様、推移などを総合的に考慮をいたしまして、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民が被ることとなる犠牲の深刻性、重大性などから客観的、合理的に判断をするということになるわけでございます。#91
○大塚耕平君 終わります。#92
○小西洋之君 民主党・新緑風会の小西洋之でございます。私の方からは、この安保法制、違憲立法でございますけれども、違憲立法の違憲の核心論点、核心論点であるにもかかわらず、衆議院の審議の中でも一度も議論される機会がなく強行採決をされてしまっておりますけれども、憲法前文の平和主義、憲法前文の平和主義と集団的自衛権の行使、あるいは核兵器すら提供、運搬ができるというような安保法制の仕組み、それが真っ向から違反する、憲法違反の論点であるということを質疑をさせていただきたいと思います。
その質疑に入らせていただく前に、ちょっと前回の、私、委員長のお計らいで、委員会に政府統一見解を出していただきたいというお願いをしまして、昭和四十七年政府見解の、私は読替えというふうに申し上げておりますけれども、昭和四十七年政府見解、集団的自衛権行使を否定した政府見解であるにもかかわらず、その中に「外国の武力攻撃」という言葉が裸で書かれている。誰に対すると書かれていないので、そこに同盟国に対する外国の武力攻撃というふうな意味に読み替えれば、同盟国に対する外国の武力攻撃によって「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される」、まさにホルムズ海峡、集団的自衛権の局面ができ上がって、よって昭和四十七年政府見解、今、私の手元にございますけれども、私のホームページでこれ公開しておりまして、内閣法制局より情報公開請求をして、いただいたものでございますけれども、昭和四十七年政府見解の実物でございます。
前回の八月三日の質疑で確認をさせていただきました。この昭和四十七年政府見解の前にも後ろにも、あらゆる政府の国会答弁、あらゆる政府の憲法九条に関する政府見解で、限定的な集団的自衛権を法理として認めたものは存在しません。
つまり、安倍内閣が今、国会に出している安保法制、そのうちの集団的自衛権の部分は、この昭和四十七年政府見解の中に集団的自衛権が法理として本当に書かれているのか。これを作った、昭和四十七年の十月の七日に当時の吉國法制局長官が決裁して、十月の十四日に国会に提出しているものですけれども、これに集団的自衛権の行使が、作ったときから存在するというふうにもう政府は何度も答弁していますけれども、本当に存在するのかどうか、もうその一点に尽きるわけでございます。
この小冊子の、この政府見解の中に集団的自衛権が法理として書かれていなければ、安倍内閣の行った行為はまさに解釈改憲そのものであり、七月一日の閣議決定は違憲の閣議決定であり、それに基づく法律は違憲の立法として全て違憲無効となる。そして、安倍内閣は、国民の憲法をじゅうりんをした責任を取って総辞職していただかなければならないわけでございます。
そのことについて、先日、八月三日の質疑で政府統一見解を求めさせていただきました。
こうしたことを質問をさせていただいております。実は、この政府見解、作るきっかけになった質疑がございます。昭和四十七年の十月の七日に内閣法制局で決裁されているんですけれども、そのちょうど三週間前の九月の十四日、まさに私たちの参議院の決算委員会でございます。決算委員会において、当時社会党の水口先生という方が憲法九条と集団的自衛権の関係について憲法上可能なのかということを何度も何度も質問なさり、当時の吉國長官が、そんなことはできるわけがありません、他国の防衛、集団的自衛権の行使というのは憲法九条をいかに読んでも読み切れないというような答弁を何度も何度も重ねて、その答弁を基に、先日、横畠長官もお認めになりましたけれども、その九月十四日の答弁内容の論理を基に作られたのがこれだというふうにおっしゃいました。
なので、前回の八月三日の質疑で、私はこういう政府統一見解をお願いをさせていただきました。その九月十四日の議事録、前回配付をさせていただきましたけれども、あの議事録の何ページの何行目の箇所に限定的な集団的自衛権の行使を論理として含んだ、七月一日に書かれている基本的な論理というふうに安倍内閣は言っていますけれども、基本的な論理が書かれているんですか、集団的自衛権行使を含んだ基本的な論理がそこの何ページの何行目に書かれているんですかということについて、政府統一見解を求めたわけでございます。
この質問の趣旨は、一言で申し上げますと、集団的自衛権が否定された政府見解の中にあるわけがないじゃないかという議論をずっと、衆議院から始め、ずっとやっていたわけでございます。その証拠を、議事録の箇所という具体的な物証です、単なる観念論ではなくて、日本語として書かれている議事録の箇所という物証で示すことを政府は責任を負ったわけでございます。そこが決定的に違う。
それで、出てきた統一見解でございますけれども、また委員の先生方にも共有いただきたいと思いますけれども、具体的な議事録の箇所、何点か読み上げさせていただきますけど、こういうことが書いてあります。集団的な自衛権の行使の基本的な論理が書かれているという部分です。「侵略が現実に起こった場合」、先ほど大塚先生の質疑にもございましたけれども、我が国に武力攻撃が発生した場合ですね、侵略ですから。「侵略が現実に起こった場合に、これは平和的手段では防げない、その場合に「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」が根底からくつがえされるおそれがある。その場合に、自衛のため必要な措置をとることを憲法が禁じているものではない、というのが憲法第九条に対する私どものいままでの解釈の論理の根底」、まさに根本規範だというふうに言っております。
もう一つ申し上げます。「わが国の国土が侵されて、その結果国民の生命、自由及び幸福追求に関する権利が侵されるということがないようにする」、あるいは「わが国が侵略をされてわが国民の生命、自由及び幸福追求の権利が侵されるというときに、この自国を防衛するために必要な措置をとるというのは、憲法九条でかろうじて認められる自衛のための行動だ」というような箇所を、内閣法制局として、政府統一見解として、集団的自衛権の論理が具体的に日本語として書かれている部分だというふうにお示しいただいているところでございます。
もう皆さん今お聞きいただいて分かりますように、これはまさに、我が国に武力攻撃が起きたときに、辛うじてぎりぎりの、それを守るための正当防衛的な意味での自衛の措置ができるという個別的自衛権だけを認めている箇所なんですけれども、そこの箇所をもって集団的自衛権が含まれているんだというふうに言っているわけでございます。
なぜその理由かということでございますけれども、こういうふうに書いています。今申し上げた箇所は、皆様おなじみの、昭和四十七年の政府見解を三つに分けているわけですね、基本的な論理(1)、基本的な論理(2)と(3)の帰結、当てはめを区分することなく、一体として当時の吉國長官は述べているんだと、だから今の文章の中に集団的自衛権の行使が含まれているというふうなことを言っておるわけでございます。こんな統一見解を出すのであれば、もう議会は言論の府として成り立たないわけでございます。
中谷大臣に伺います。この度出された政府統一見解ですけれども、昨日の特別委員会の理事懇に出された提出資料ですけれども、正式に、事前にお読みになっていますか。
#93
○国務大臣(中谷元君) はい、拝読をいたしております。#94
○小西洋之君 では、中谷大臣に伺います。前回、横畠長官に伺った質問であり、中谷大臣には外交防衛委員会でも何度か質問をさせていただいている質問でございます。
この昭和四十七年政府見解を作るきっかけになった質疑で、先ほど申しました、我が国が武力攻撃を受けたときに、日本国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される、私がさっき読み上げた言葉ですね、吉國長官の言葉。吉國長官はこの言葉の生みの親なんです。この言葉を作った吉國長官が、三週後に更にこの政府見解を作ったわけですね。言葉の生みの親であり、四十七年政府見解の作り手である、作った人であるその吉國長官が、我が国がまだ侵略をされていない、他国が武力攻撃を受けている状況では日本国民の生命、自由及び幸福追求の権利は根底から覆らない、日本国民の幸福追求というふうな言い方、先に幸福追求と言っていますが、幸福追求、あと生命、自由というのは侵されない、よって我が国は憲法上何ら自衛の措置はできないというふうに明言しているんですね、前回お示しさせていただきましたけれども。にもかかわらず、なぜ四十二年後に、その吉國長官の作った言葉、あと吉國長官が述べているその論理に反して、この昭和四十七年政府見解を読み替えて、同盟国、我が国に対するじゃない、同盟国に対する外国の武力攻撃が発生した局面でも、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されることがあるというふうに読み替えることができるんでしょうか。
もう三度目の質問だと思うので、お答えいただけますでしょうか。
#95
○国務大臣(中谷元君) これは八月十日に提出した資料において述べておりますが、この昭和四十七年九月十四日の吉國法制局長官の答弁は、昭和四十七年の政府見解で示された基本的な論理を含むものであるということを示しております。すなわち、この中で、基本的な論理とはということで述べた後、この九月十四日の委員会において、例えば、「侵略が現実に起こった場合に、これは平和的手段では防げない、その場合に「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」が根底からくつがえされるおそれがある。その場合に、自衛のため必要な措置をとることを憲法が禁じているものではない、」と述べるなど、この基本的な論理を含む答弁をいたしております。
なお、昨年七月の閣議決定、これは我が国を取り巻く安全保障環境を踏まえて、この基本的な論理に当てはまる例外的な場合として、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみがこれに当てはまると考えてきたこれまでの認識を改めて、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合もこれに当てはまるとしたものでございます。
すなわち、他国を防衛するための武力行使それ自体を認めるものではなくて、我が国が武力の行使を許される、あくまでも新三要件を満たす場合の自衛の措置に限られており、これは昭和四十七年の見解及び吉國法制局長官の答弁で示されている基本的な論理の枠内のものであるということでございます。
#96
○小西洋之君 私が聞いた質問には何にもお答えになっていないと思いますけれども、もうこれ政治の責任ですので、内閣法制局の名前で、政府統一見解ですから、もう皆様全ての閣僚の責任ですけれども、こんな論理破綻した文書を国会に平気で出してくる、もうこれは、もちろん統一見解いただいていますから、日本中のあらゆる英知の方々に立ち上がっていただいて、皆さんでこれを検証し批判していただきますので、もう時間の問題ですよ。この昭和四十七年政府見解の中に集団的自衛権の行使なんて影も形もあるわけないんですよ。影も形もないんですよ。作れなかったので言いがかりを付けて、論理的に集団的自衛権を憲法九条から作れなかったのでこの四十七年政府見解に書かれていると言いがかりを付けているだけなんですよ。それだけの問題であるということを、今後厳しく更に日本社会全体で追及をさせていただきたいと思います。
〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕
では、平和主義の問題に移らせていただきます。
配付資料をお配りさせていただいておりますけれども、冒頭、一昨日の長崎の市長の平和宣言、また被爆者代表の方の平和への誓いという言葉、文言を引かせていただいております。非常に大切な言葉ですけれども、先ほども申し上げました平和主義に関するところと思われるところだけを引かせていただいております。ちょっとお目を通していただけますでしょうか。
長崎の市長の言葉です。二段落目の右側です。「日本国憲法における平和の理念は、こうした辛く厳しい経験と戦争の反省の中から生まれ、戦後、我が国は平和国家としての道を歩んできました。長崎にとっても、日本にとっても、戦争をしないという平和の理念は永久に変えてはならない原点です。」。
次の段落、下の段落、下線を引いているところへ行っていただけますでしょうか。「現在、国会では、国の安全保障のあり方を決める法案の審議が行われています。七十年前に心に刻んだ誓いが、日本国憲法の平和の理念が、今揺らいでいるのではないかという不安と懸念が広がっています。政府と国会には、この不安と懸念の声に耳を傾け、英知を結集し、慎重で真摯な審議を行うことを求めます。」というふうに書かれております。
下の被爆者代表の方の言葉に移らせていただきます。「戦後日本は再び戦争はしない、武器は持たないと、世界に公約した「憲法」が制定されました。しかし、今集団的自衛権の行使容認を押しつけ、憲法改正を押し進め、戦時中の時代に逆戻りしようとしています。今政府が進めようとしている戦争につながる安保法案は、被爆者を始め平和を願う多くの人々が積み上げてきた核兵器廃絶の運動、思いを根底から覆そうとするもので、許すことはできません。」。また、最後にこの方は、平和を願う全ての皆さんの前で、今後もこの平和のための取組を行うということを心から誓うというふうにおっしゃっているところでございます。
岸田大臣に伺います。
広島第一区、爆心地を選挙区とする代議士であり大臣でございますけれども、この、長崎ではございますけど、市長の、日本国憲法における平和の理念、あと、この被爆者の代表の方の平和を願う多くの人々の思い、これは憲法前文の平和主義、それを含むという理解でよろしいでしょうか、そのようにお受け止めになるということでよろしいでしょうか。
#97
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国として、七十年前の大戦の反省に立ち、平和、不戦の誓いを立て、そして平和国家としての歩みを続けてきました。憲法の前文も含めて、この平和に対する考え方、平和国家としての考え方、これはこれからも全く変わることはないと考えます。#98
○小西洋之君 岸田大臣に重ねて伺います。次のページをおめくりいただけますでしょうか。これは広島の、八月六日でございますけれども、原爆慰霊碑の言葉です。あの有名な、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」という言葉でございます。これは、広島市のホームページで解説文があるんですけれども、ページの下のところを見ていただきますでしょうか。「碑文は すべての人びとが 原爆犠牲者の冥福を祈り 戦争という過ちを再び繰り返さない」、核兵器だけではないんです、戦争なんです、「戦争という過ちを再び繰り返さないことを誓う言葉である 過去の悲しみに耐え 憎しみを乗り越えて 全人類の共存と繁栄を願い 真の世界平和の実現を祈念するヒロシマの心が ここに刻まれている」というふうに書かれています。
岸田大臣に重ねてお伺いさせていただきます。
この「真の世界平和の実現を祈念するヒロシマの心」、これには憲法前文の平和主義、歴代政府は、岸田大臣も答弁いただいたことがあったと思いますけれども、三つの平和主義の考えが憲法前文に書かれています。その三つの平和主義を全て含むという理解でよろしいでしょうか。
#99
○国務大臣(岸田文雄君) 憲法前文の三つの平和主義というのは、今ちょっと手元にありますが、日本国民……(発言する者あり)今手元にある、日本国民は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意するというのが一つ。また、日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理念を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した、これが二つ。三つ目として、我らは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。三つというのはこの三つとおっしゃるのであるならば、この理念はしっかり堅持されるべきだと考えます。
#100
○小西洋之君 堅持ではなくて、広島のこの碑文ですね、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」という文言の広島市による解説の「真の世界平和の実現を祈念するヒロシマの心」に今のその三つが含まれているとお考えになりますか。当たり前のことを私は聞いています。#101
○国務大臣(岸田文雄君) 当然のことながら、我が国の憲法の理念を含むというのは当たり前のことではないかと考えます。#102
○小西洋之君 ありがとうございました。では、皆様、まずP4というところを御覧いただけますか。
今、岸田大臣が読み上げてくださった箇所が実は配付資料のP5、憲法前文の三つの平和主義というところを岸田大臣が読み上げていただきました。歴代政府は、なぜ戦争を放棄するのか、なぜ平和でなければいけないのか。我が日本国民は、どのような平和を望み、それを誓うのか。憲法九条には、戦争の放棄、戦力の不保持などしか書いていません。なぜ平和を、どのような平和を求めるのかは憲法の前文にしか書いていないんですね。そのことは、三つの平和主義、岸田大臣が読み上げていただいたものも、言葉で表現されているふうに書いてあります。
四ページ、御覧いただけますか。
このことは、我々国会だけではなくて、子供たちが義務教育で、小学校の義務教育で習っております。日本で一番今広がっている、今年の三月の段階ですけれども、教科書、日本で一番採択率が多いものと二番目、それぞれから抜粋をさせていただきました。今申し上げた憲法前文の平和主義が、それぞれきちんと含まれております。また、先日、櫻井委員が行われました文科省の憲法を作ったときの説明文にもちゃんと書かれているところでございます。
じゃ、ちょっと五ページを御覧いただきまして、この憲法の前文ですけれども、単なる美しい言葉ではなくて、物すごく大切な、法的な意味があるということが、歴代政府の国会答弁、また最高裁、砂川判決でも明確に示されています。
一つ目、この五ページの上ですね、下線の部分を御覧いただけますでしょうか。「憲法第九条がその理念を具体化した規定である」と。その上から来るんですけれども、「憲法の基本原則の一つである平和主義については、」、「憲法第九条がその理念を具体化した規定である」というふうに書いております。これはP8の、砂川判決を付けておりますけれども、砂川判決の上から五行目ぐらいのところからもちゃんと同じことが書いてあります。
さらに、さっきの五ページの二つ目の段落ですけれども、憲法の前文は、それぞれの条文を解釈する場合、すなわち憲法九条を解釈する場合の解釈上の指針としての意味を持っているというふうに書かれています。すなわち、憲法九条を解釈するに際して、憲法前文の平和主義の意味から離れてそれに矛盾するような解釈は許されないんです。それをやった瞬間に憲法違反です。違憲無効になるんです。このことは、実は昭和四十七年政府見解の中にもちゃんと書いてあります。これを安倍内閣は物の見事に切り捨てているんですけれども。
七ページを御覧いただけますか、七ページ。七ページの上の箱の左側が昭和四十七年政府見解です。マジックを引いたところを御覧いただけますか。「しかしながら、だからといって、平和主義をその基本原則とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解されない」、つまり、戦争の放棄や戦力の不保持を定めた日本国憲法でも、国民の生存、命に関わるようなときには自衛の措置ができるということを言って、ただ、その自衛の措置ができるからといって、何でもかんでもできるわけではない、平和主義の制限に服するんだということを明確に言っているんですね。ところが、右側に目を移していただくと、七月一日の閣議決定でこれ切り捨てているんですね。平和主義を切っている、何でもできることになっているわけです。
じゃ、今のところを確認させていただきまして、岸田大臣に伺わさせていただきます。よろしいですか。
政府がこの度の安保法制で行うあらゆる自衛隊の活動は、それは九条の自衛の措置を根拠にするものでも、あるいは六十五条の行政権の行使を根拠にするものでも、何でも構いません。全て憲法前文の解釈の指針、更に言うと、憲法の前文、さっき三つの前文を自ら読み上げていただきました。それは広島の誓いとも変わらない言葉だというふうにおっしゃいました。それと矛盾することができないんです。
岸田大臣に伺います。
今回の安保法制で、武器弾薬の輸送として核兵器が輸送できることになっています、法理としてですね。弾薬の提供として核兵器が提供できることに法理としてなっています。なぜ、全世界の国民の平和的生存権、五ページの、さっき自ら読み上げていただいたところですね、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」というふうに書いてあります。次の六ページをおめくりいただきましたら、政府の答弁書などを付けていますけれども、この「ひとしく恐怖と欠乏」というのは、戦争による惨禍です。もう確立した解釈です、憲法を作ったときから。
分かりやすく言うと、私たち日本国民は、日本国民だけではなくて全世界の国民の皆さんがひとしく、誰一人欠けることなく、戦争の惨禍の恐怖と欠乏ですから、一言で言うと戦争によって殺されることなく「平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」というふうに書いてあるわけです。この考えの下でしか憲法九条を始めとする憲法の条文は解釈できないんです。
にもかかわらず、なぜ大量破壊兵器である核兵器を安保法制の下で輸送、提供できることになっているんでしょうか、法理として。それは、まさに憲法違反のことを皆さんは解禁しているのではないんですか、明確に答弁ください。
絶対しないとか、そういう政策論を聞いているわけじゃないです。爆心地の代議士として、私の両親も実は広島出身でございます。父親は、まだ幼いときでございましたけれども、原爆の熱線を肌で体感した人間でございます。その方々にお答えいただけますでしょうか。なぜ、憲法上、これ、どう考えても憲法違反になると思うんですけれども、大量破壊兵器を輸送や提供することはこの憲法前文の趣旨に反しますから、その憲法の前文の下で法理としての拘束を受ける、憲法九条であれ、六十五条の行政権の行使であれ、違反することになると思いますが、明確な答弁をお願いいたします。
#103
○国務大臣(岸田文雄君) まず、最後の部分に端的にお答えするとしたならば、これはもう再三申し上げております。我が国は、非核三原則を始めとする我が国の基本方針の下、核兵器について輸送したり提供することは絶対にあり得ませんということを再三申し上げております。核兵器を輸送、提供することはありません。よって、これは、今御指摘のような点には全く反しないと我々は考えております。#104
○小西洋之君 非核三原則は、誠に尊い国会決議に基づく我が国の国是です。ただ、私が聞いているのは、さらに、その国是の前提にある憲法の論理としての解釈を伺っているんです。政府統一見解を求めたいと思います。全世界の国民に平和的生存権を確認している憲法前文、その解釈上の指針、また、憲法九条というのはこの憲法の前文が具体化した規定であるというのが政府の見解であり、最高裁の判決の考え方です。にもかかわらず、なぜ核兵器の輸送や提供が法理としてできることになっているのか、なぜできることになっているのかについて、論理的な文書をこの委員会に提出いただくことを要求いたします。
#105
○理事(佐藤正久君) 後刻理事会で協議いたします。#106
○小西洋之君 ありがとうございます。じゃ、今度、中谷大臣に伺わせていただきます。
この全世界の国民の平和的生存権、既に委員会でも、外交防衛委員会でも何度か伺っております。ホルムズ海峡の事例です。どこの国かどうかはもう考えませんとか答弁していますので、イランを想定して今までずっと議論していたのに、この七月二十七日の本会議で安倍総理は、もうどこの国かも想定していないということで、もう立法事実そのものを放棄したので、もうホルムズ海峡は何の憲法解釈変更の根拠にもならないということなんだと思うんですけど、まあ伺いましょう。
〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
アメリカとどこかの国、イランにしましょう、あくまで例えは国民の皆さんに分かりやすくするためだけの例えです。イランと特定しているわけではありません。日本の同盟国のアメリカとイランが戦争しています。イランは日本を攻めてきていないにもかかわらず、そのアメリカとイランの戦い、武力紛争あるいは武力抗争によって日本に石油が来なくなってきた、不足してきた、タンカーがなかなか来なくなった。だからといって、石油が足りないからといって、自衛隊を派遣して武力行使、機雷掃海の武力行使をして石油を確保することが、なぜ全世界の国民の平和的生存権を確認しているこの憲法前文の平和主義と、その解釈の拘束を受ける、法理としての拘束を受ける九条の下で可能なんでしょうか。
もう先を申し上げますと……(発言する者あり)じゃ、なぜ可能になるんでしょうか。この小学校の教科書ですね、子供たちが習っている、小学生に説明できるように分かりやすく教えてください。なぜ石油のために、ほかの国の国民を武力行使で、軍人や、あるいは巻き添えでイランの市民を殺傷して石油を確保することができるんでしょうか。
#107
○国務大臣(中谷元君) 平和につきましては、憲法の精神、これは非常に大事なものでございますが、片や、国の生存権、こういうものもるる説明をしておりまして、我が国におきましては自衛のための権利、措置が認められているわけでございます。この生存権に関しまして、海洋国家である我が国にとりまして、やはり国民生活に不可欠な資源、食料等を輸送する船舶の安全確保、これは極めて重要でございまして、特に中東からの原油の八割、天然ガスの三割が通過をするということで、やはり深刻なエネルギー危機が発生する、それによって生活物資の不足、電力不足によるライフラインの途絶、そして経済的影響にとどまらず、国民生活に死活的な影響が発生をするということでございまして、こういった存立危機事態に及びまして新三要件を作りまして、我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として対応するということでございまして、決して石油を求めて戦争するということではなくて、我が国の存立、自衛をするというのが目的でございます。
#108
○小西洋之君 全く質問に答えていただいていませんけれども。全世界の国民が、ひとしく戦争による恐怖と欠乏から免れる、戦争によって殺されることなく、平和のうちに生きる権利を有するというふうに書いているんですね。にもかかわらず、なぜ石油のために、石油が足りなくて日本国民が、皆さんが言っているのは餓死、凍死、それはもう起きないであろうことは分かっていますけれども、だから、石油のために、なぜイランの軍人や、巻き添えでイランの市民を殺傷し、武力行使がこの平和主義の下で許されるんでしょうか。論理としてお答えください。
#109
○国務大臣(中谷元君) これは石油を求めて戦争するというものではなくて、我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置ということでございます。そして、集団的自衛権というのは国連憲章にも認められた各国に対する権利でございまして、我が国の憲法に照らしまして、こういった中におきまして、我が国の自衛のための必要最小限度の措置ということで容認をされることでございます。
#110
○小西洋之君 ありがとうございました。全国の小学生も、学校の先生も、その子供たちの親御さんも、誰も理解できないと思います。分かりますか。確かに、今おっしゃったように、国際法的に集団的自衛権の行使はできるんです。ただ、我が国は平和主義の憲法なんです。平和主義の憲法の下では、全世界の国民の平和的生存権を確認している以上は、まさに日本が攻撃を受けて日本国民が殺されてしまう、何の罪もない日本国民が殺される、それを防ぐためだけの必要最小限の武力行使、歴代政府の解釈で、昨年七月一日以前の、それ以外はできないんですよ。
もう一度聞きます。じゃ、中谷大臣の答弁は、日本が武力攻撃を受けないのに、受けていないんですね、イランから、絶対受けていないんですけれども、受けないのに武力行使をして、イランの軍人や、巻き添えでイランの市民を殺傷することが、この全世界の国民の平和的生存権の関係で法理として許されるというふうにお考えなんですか。
#111
○国務大臣(中谷元君) この原因が、まず機雷をまかれたということ、そして我が国と密接な関係にある国が武力攻撃を受けたということ、それによりまして、我が国の状況が非常に、石油の途絶によりまして、経済的な影響のみならず、国民生活に死活的な影響、つまり国民の生死に関わるような重大そして深刻な影響が生じるか否か、こういうことを総合的に評価をした結果、状況によっては存立危機事態の認定をすると。つまり、我が国の存立に関わる事態をこれは排除をするということが目的でもございますし、国際的に認められた権限の行使の一部であります。(発言する者あり)#112
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を止めてください。〔速記中止〕
#113
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こして。#114
○国務大臣(中谷元君) 憲法の平和主義、これは大事なわけでございますが、しかし、国家として国民の生命、財産、これを守るという、いわゆる生存権、これも大事なわけでございまして、るる政府の基本的な論理において説明されているように、憲法は、九条において戦争を放棄して戦力の保持を禁止していると思われますけれども、前文による、幸福追求権、そしてこの幸福追求権、こういうものから自国の平和と安全を維持して、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとることは禁じているとは到底解されないということでございまして、こういった事態におきまして、国の存立を脅かす危険が明確な場合におきましての自衛の措置ということは、これは国際的にも認められておりますし、憲法上も認めるということでございます。#115
○小西洋之君 今大臣は、日本国民の平和的生存権を根拠に、全ての実力行使が禁止されているような憲法九条の下でも、日本国民の生命を守るためのことはできると申しましたけど、私が聞いているのは、日本国民の平和的生存権は当然です、他国民の平和的生存権はどうなんですかと聞いているんです。日本が武力攻撃を受けていないにもかかわらず、ある国に日本が武力行使をするのが集団的自衛権の行使ですから、その武力行使を受けるイラン国民の軍人、市民の、他国民の平和的生存権を抹殺しても、日本は石油のために集団的自衛権という武力行使ができるという法理としてお考えなんですか。イエスかノーかでお答えください。平和的生存権のいいとこ取りは許されないんです。中谷大臣に聞いています。
#116
○国務大臣(中谷元君) これは、国際法の世界において、国連憲章がありまして、その中で、武力行使が容認をされる権利といたしまして、個別的自衛権、集団的自衛権、国際安全保障、こういう場合におきましては武力の行使は認められるということで、国際法でも認められている世界でございます。#117
○小西洋之君 先ほど確認いただきました長崎市長の言葉です。「日本国憲法の平和の理念が、今揺らいでいるのではないかという不安と懸念が広がっています。政府と国会には、この不安と懸念の声に耳を傾け、英知を結集し、慎重で真摯な審議を行うことを求めます。」というふうに書かれているところでございます。内閣法制局長官に事実関係だけ確認をさせていただきます。
七月一日の閣議決定をする際に、ゆっくり聞いてくださいよ、内閣法制局設置法に基づく意見事務として、この憲法前文の三つの平和主義の法理と集団的自衛権あるいは先ほど申し上げました後方支援の新しい活動等の関係について、設置法に基づく内閣法制局の審査を行いましたか、かつ、行った文書が一枚でもこの閣議決定の最終案文以外にありますか。イエスかノーかだけで答えてください、イエスかノーかだけ。
#118
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 意見を求められて、意見がないという回答をしたところでございます。#119
○小西洋之君 意見がないという回答をしたその設置法に基づく審査は、この閣議決定の最終案文、七ページですけれども、裏表で四枚の紙ですけれども、これだけを設置法に基づく審査をして、で、意見はないという回答をしたと。六月三十日に国家安全保障局からこの紙を受け取って、次の日の七月一日の午前中に電話で意見がないという審査を行った。設置法に基づく審査はそれだけだという理解でよろしいですか。イエスかノーかだけ。
#120
○政府特別補佐人(横畠裕介君) この問題につきましては経緯のあるところでございまして、元々、第一次の安保法制懇の議論がありました。さらに第二次の安保法制懇の議論もありました。それぞれ……(発言する者あり)#121
○委員長(鴻池祥肇君) 答弁中ですから、静かにしてください。#122
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 内閣法制局次長としてもオブザーバーとして参加して、その議論をフォローさせていただきました。さらに、昨年五月でございますけれども、第二次安保法制懇の答申が出た後、総理大臣が記者会見をして考え方を、方針を示されました。それを受けまして与党間でかなり濃密な、極めて濃密な協議が行われまして、その過程につきましてもフォローしていたわけでございます。それらの経緯を踏まえまして、七月一日の閣議決定については最終的に意見がないというお答えをしたところでございます。
#123
○小西洋之君 委員長、もう内閣法制局長官は、前回、六月三十日にこの閣議決定の最終案文をもらって、次の日の七月一日に電話で意見がないと、これしか審査をしていないというのは明確に答弁していますので、日本国民の皆さんの平和主義、被爆地の思いがこもった平和主義、子供たちが教科書で習っている平和主義を全く審査していないんです。だから大臣が答えられないんです。当たり前のことをなぜ答えられないかというと、審査していないから答えられないんです。政府統一見解を委員長にお願いをさせていただきたいと思います。
憲法前文には三つの平和主義がございます。先ほど岸田大臣が答弁いただいた平和主義があります。それぞれの平和主義と集団的自衛権の行使が法理としてなぜ矛盾しないのか、また、後方支援、武力行使の一体化を始めとする安保法制の新しい自衛隊の活動がなぜ矛盾しないのか、論理としての文書をこの委員会に提出していただくようにお願いいたします。
#124
○委員長(鴻池祥肇君) その件に関して、私の発言の前に岸田外務大臣から。#125
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほど来のやり取りの中で、要するに、憲法前文の平和主義、平和的生存権について御質問をいただいています。日本国民の平和的生存権のみならず他国の国民の平和的生存権はどうなのか、こういった質問がありました。
これは、端的にお答えすると、これらは全て国際法が遵守されているという世界の中で完結する議論であります。我が国が限定された集団的自衛権を行使する、これは既に武力攻撃の発生を前提としています。武力攻撃が発生している、違法な武力攻撃が発生している、この前提の下で我が国として限定的な集団的自衛権を行使する、これが議論されています。
これは、国際法が遵守されているという世界の中であったならば単純に物を考えられるのでありましょうが、今申し上げているのは、その中にあって違法な武力攻撃が発生している、それの中でどう対応するのか、こういった議論をしております。これは、憲法前文におきます平和主義とは矛盾しない話であると私は考えます。
#126
○小西洋之君 私が聞いているのは、仮にイランがアメリカに武力行使をしていたんだとしても、いいですか、イランの市民を日本が武力行使して殺していいということには、この全世界の国民の平和的生存権から、どう考えてもならないでしょうと言っているんですよ、何の罪もない人たちを、そういうことを申し上げている。政府統一見解求めていますので、もう結構です。国家安全保障局と内閣法制局、それぞれに伺います。
まず、国家安全保障局。七月一日の閣議決定までに与党協議がありました。与党協議に政府から提出した資料、また、安保法制の法案が与党協議でまとまるまでに、法案をまとめるまでに政府から出した資料の中で、憲法前文のこの三つの平和主義について法理として書いた文書は一枚でもありますか。既にないという国会答弁、質問主意書もいただいていますので、ないという回答だけお願いいたします。どうぞ。
#127
○政府参考人(前田哲君) お答えいたします。閣議決定以前に行われた与党協議会における資料においては、平成二十六年五月二十日の日に政府から与党協議会に提出した資料がございますが、このうち、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会による報告書、これを出しております。この報告書の中に、先ほど前文の三つの平和主義というのがございましたけれども、その中の、「日本国民は、」、途中略しますが、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、」という箇所及び、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」という記載がございます。
なお、本年二月に再開した後の与党協議会における資料においては御指摘のような記載はないものと、このように承知をいたしております。
#128
○小西洋之君 一言だけ申し上げます。与党協議で憲法前文の平和主義を全く議論していないんです、七月一日の解釈変更、また安保法制の制定について。これが安保法制の正体なんです。
一言だけで終わります、対案を出されるという党があられますけれども、なぜ憲法九条から集団的自衛権が可能なのか、その論理、七月一日の閣議決定に相当する論理、また平和主義の法理などとの関係も出していただかなければ国民に対する責任は果たせないことを申し上げさせていただいて、質疑とさせていただきます。
ありがとうございました。
#129
○柴田巧君 維新の党の柴田巧です。どうぞよろしくお願いします。まず冒頭に、委員長にお願いをしたいと思います。
先般も一度、礒崎総理補佐官、この委員会に招致をされました。民主党さんだけ取りあえず質問されましたが、法的安定性についてはこの法案の根幹を成すものだと思っております。先般の委員会の質疑だけでは憲法軽視の疑いは消えない、礒崎補佐官の、また政権全体のその姿勢が、の疑いは消えないと思っていますので、この参考人質疑、再びやっていただけますようお願いをしたいと思います。
#130
○委員長(鴻池祥肇君) その件につきましては、与野党ただいま協議中であります。それを御承知いただきたいと思います。#131
○柴田巧君 よろしくお願いをしたいと思います。では、まず最初に、アメリカの盗聴疑惑についてお尋ねをしたいと思っております。
これは我が国の外交、防衛についても大変大きな重大な問題だと思っていまして、御案内のように、NSA、アメリカの情報機関、国家安全保障局が日本の政府や企業などの電話三十五回線を盗聴していたとして、内部告発サイト、ウィキリークスがアメリカの関連機密資料を公表しました。
言うまでもありませんが、日本とアメリカは同盟関係にあります。先ほどからもいろいろお話が出ておるとおりですが、しかし、疑惑が事実だとすれば、この信頼関係は地に落ちると言わざるを得ないと思いますし、各国が自分の国に有益な情報を様々な手段で集めるのはある意味当たり前ですが、やはり違法な盗聴活動は看過できないと思います。
このウィキリークスによれば、盗聴は第一次安倍政権まで遡って、外交、通商政策等対象になったとされていますが、それさえも許し難いわけですが、その盗聴情報などによって作られた、二〇〇七年から九年ということのようですが、日本関連の機密文書、ファイブアイズと一般に言われておるようですけれども、イギリス、オーストラリアなどとも共有できるようになっていたということであります。
アメリカによるこの盗聴騒ぎは今に始まったわけではありませんが、一昨年はドイツのメルケル首相の携帯電話が長年盗聴されていたという問題が起きましたし、今年はフランスのオランド大統領の携帯電話も盗聴されていた。また、ブラジルの大統領もそうであったということですが。
しかし、日本と対応が根本的に異なるのは、特にドイツ、フランスの大統領は直接オバマ大統領に抗議をして再発防止を約束をさせたわけですが、これまでのところ日本政府は、どういうわけか腰が引けていると、生ぬるい対応だと言わざるを得ないと思っています。数日たってバイデン副大統領から安倍総理に電話があったやに聞いておりますが、それによれば、現在、同盟の信頼関係を損ねる行動は取っていないと弁明されたということですが、ということは過去の事実を認めたと受け止めることができるわけで、まさに看過できないことだと思っています。
安倍政権は日米の同盟強化を掲げてこの安保法制を急いでいるわけですけれども、そのアメリカに盗聴を許しておいて毅然とした態度が取れないということであれば対等な関係など築けるわけもないですし、政府が主体的に判断して、アメリカの言いなりになって海外派兵しないとか、アメリカの戦争に巻き込まれることは絶対ないと総理以下説明されていますが、今回の事件を見る限り、それは国民からも信用できないことだろうと思っています。
とにかくうやむやの幕引きでは済ませることはできないと思っていますが、誰を対象にどんな情報をいかに入手していたのか、過去の経緯も含めて、厳しい態度で事実関係や手口の全容説明、再発防止を強く求めるべきだと思いますが、外務大臣にお聞きをしたいと思います。
#132
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘のNSAによる通信記録の収集問題ですが、こうした報道がなされた直後から、我が国としましては、米国に対しまして事実関係の確認、これを強く求めているところです。そしてその上で、御指摘もありました、先般、安倍総理とバイデン副大統領の電話会談が行われ、安倍総理からバイデン副大統領に対し、仮に日本の関係者が対象となっていたことが事実であれば、同盟国間の信頼関係を揺るがしかねないものであり、深刻な懸念を表明せざるを得ない、このように述べ、それに対してバイデン副大統領からは、御迷惑をお掛けしていることを大変申し訳なく思う旨の発言がありました。そして、二〇一四年にオバマ大統領が発出した大統領令を踏まえ、現在、米国政府は日米同盟間の信頼関係を損なう行動は行っていない旨の説明がありました。
そしてその後、私自身も先般、八月六日の日ですか、日米外相会談を行いました。ケリー国務長官と会談を行ったわけですが、そのケリー長官との間で、総理とバイデン副大統領の電話会談の結果を踏まえ、本件に適切に対応するため日米間で議論を継続していく、こういった点で一致をしています。
よって、我が国は今現在、米国に対して事実関係を明らかにするべく強く求めており、そして外相会談においても、引き続き日米間で議論を継続していく、こういったことで一致をしています。是非、引き続きまして、米国に対して働きかけを続けたいと思っています。
#133
○柴田巧君 これはいつまで回答をよこせと、そういうことはおっしゃっていますか。確認したいと思います。#134
○国務大臣(岸田文雄君) そうした具体的な期日等には触れてはいないと承知をしています。#135
○柴田巧君 聞く限りでは通り一遍のことを要請されたようでありまして、決して厳しく対応したということは言えないと思います。日米安保体制は極めて重要だからこそ、やっぱりこれは重く受け止める必要があるのであって、そういう意味で疑惑解明は急務だと思います。国家の主権に関わる、同盟の安定性に関わることですから、これを十分認識してやってもらわなきゃならぬと思います。総理以下、後で官房長官にお聞きしますが、防衛大臣、外務大臣、いろいろこのことについてコメントを聞かれて、あるいはこの委員会でも質問をされて、一番残念だったのは外務大臣の答弁でございました。八月三日だったかと思いますが、ちょっと読み上げますと、アメリカとの間には、同盟関係にあって、様々なレベルにおいて情報を共有して緊密な連携を行っていると、今この具体的な案件については、今の段階では私から発言すること、コメントを控えたいと。コメントを控えたいとおっしゃったのは外務大臣だけで、かなり危機感が乏しいと言わざるを得ないと思っていまして、外務大臣にこれ任せておいて大丈夫かなと心配をするところですが、いずれにしても、これは厳しく対応してもらわなきゃならぬと思います。
そのためにも徹底したいろんな調査やしっかりした対策に取り組む必要があるんですが、官房長官は官房長官で、八月三日の記者会見だったと思いますが、万全を期しており、機密漏えいは全くないと思っていると述べられたんですが、これは、何をもって、どういうことを根拠にこういう発言をされたのか、お聞きをしたいと思います。
#136
○国務大臣(菅義偉君) まず、信頼する同盟国であるがゆえに、こうしたことが仮にあったとすれば極めて懸念を持つものでありますし、徹底して説明を求める、これは政府全体としての考え方でありますし、総理とバイデン副大統領との電話会談に私同席しましたけれども、総理からもそこは強く求めていたということも是非御理解をいただきたいというふうに思います。私自身、記者会見で申し上げた、万全を期しており、機密漏えいは全くないと思っている、こういうふうに実は申し上げました。それは、政府としては、諸外国における各種様々な情報収集活動、これが行われているという前提の下でやはり対応しなきゃならない、このことは私自身が議長を務めております政府のカウンターインテリジェンス推進会議において何回となく実は注意喚起をしています。そして、現実的に機密情報を扱っている職員については、暗号化の徹底を含め、様々な漏えい措置というものを日頃とっているということであります。
#137
○柴田巧君 いや、だから、私がお聞きしたかったのは、何を根拠に、要するに、具体的に何か調査をされた上での発言ですかということですが、重ねてお聞きをしたいと思います。#138
○国務大臣(菅義偉君) もちろん定期的に調査はしていますし、今申し上げましたように、機密性の高いものを扱っている職員に対しては、そこは徹底して暗号化なども含めて対処しているということであります。#139
○柴田巧君 ちょっと十分理解できないところがありますが、いずれにしても、我が国が通信傍受の危険にさらされている、改めて浮き彫りになったと思っています。これは、アメリカ側にいろんな確認を求めるのは当たり前ですけれども、政府自身による調査というものをしっかりこの機会にやるべきだろうと思っています。過去の外交通商全般を通じて、盗聴の有無とその影響について政府としても徹底的な調査が必要と思いますが、どのようにやられるか、官房長官にお聞きをしたいと思います。
#140
○国務大臣(菅義偉君) 過去の盗聴の有無については、政府の情報保全全般に関わることでありますので明らかにすることは控えさせていただきたいというふうに思います。ただ、政府の情報収集活動に支障を及ぼすおそれがないように、私ども今全力で取り組んでおるわけでありますし、先ほど外務大臣から答弁がありましたけれども、この米国における通信記録の収集問題に関する報道を受けて総理が米国に対して電話で強く求めたときに、まず、現在においてはそうしたことはやっていないということが明快にあったということであります。
いずれにしろ、外交通商全般を通じての調査というのは行ってはおりますけれども、なかなかその実態を掌握することは難しいということも事実でありますけれども、そうしたことをやっているということは事実であります。
#141
○柴田巧君 本当に調査をされようという気が余りないように受け止めましたが、とにもかくにも、同盟国とはいえ、アメリカはTPP交渉などにおいては主張をぶつけ合う相手でもあって、盗聴を許せば国益を損なうということがあるわけで、いずれにしても、この防止体制を改めて点検をするというのは不可欠でしょうし、必要な措置をとっていかなければなりません。また、これとも関連しますが、中国などの関与が疑われるサイバー攻撃が頻発しているのも事実であって、世界規模の情報戦争が激化しているのが現実ですから、そういう意味では我が国のサイバー攻撃への対処能力を向上させることも併せて大事だと思っています。
そこで、今申し上げたように、海外の政府機関等による盗聴や情報漏えいの防止体制を再点検、対策強化をする、また、我が国のサイバー攻撃への対処能力を更に向上させる必要があると思いますが、どのように取り組んでいかれるか、官房長官にお聞きをしたいと思います。
#142
○国務大臣(菅義偉君) 先般も年金機構に対する悪質極まりないサイバー攻撃がありました。こうした攻撃はますます複雑化、巧妙化いたしておりますので、サイバーセキュリティー対策の抜本的なこれ見直しが必要だというふうに考えています。現在、サイバーセキュリティ戦略本部におきまして、その事務局でありますいわゆるNISCにおいて戦略の検討を進めているところであります。新たな戦略においては、政府機関横断的な監視・即応機能及び各機関における事態の把握・対処機能の強化、さらにサイバー攻撃等の発生に備えた訓練、演習の実施による対処要員の能力及び連携の強化、さらに情報システムへの侵入テストを始めとする検査を通じた対策の実施状況の点検、こうしたことを現在盛り込むことを検討しております。
政府としては、新たな戦略を速やかに策定をするとともに、政府全体としてこのNISCの体制充実をしっかり行っていきたいと思いますし、人員育成、こうしたことも極めて大事だということで、しっかり対応していきたいというふうに思います。
#143
○柴田巧君 是非しっかり対応を取ってもらわなきゃいけませんが、このサイバー攻撃ということでいうと、日本のサイバー攻撃への能力向上をしていかなきゃならぬのは大事なことですが、この法案審議の中で大変私は腑に落ちないというか理解に苦しむのは、アメリカがサイバー攻撃を受けた場合に、日本がアメリカとともに反撃することが可能だとする見解を政府が出していることですね。中谷大臣も、先般のこの委員会での答弁でも、新三要件を満たす場合にその武力攻撃の一環として行われたサイバー攻撃に対して武力を行使して対応することも法理としては考えられると述べておられます。ただ、サイバー攻撃の国際法上の位置付けすらまだ確立をされていない中で、このサイバー攻撃までもが集団的自衛権の対象となることは、その対象をどんどんどんどん際限なく拡大しかねないと思っていまして、大臣がおっしゃる、政府がおっしゃる、サイバー攻撃でアメリカがじゃ具体的にどのようにがたがたになったら、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険ということになるのか。ここが私にはちょっと十分理解できないんですが、想像できないんですが、具体的な説明を大臣に求めたいと思います。
#144
○国務大臣(中谷元君) 一般論として申し上げると、いかなる事態が存立危機事態に当たるのかということで、それはその時々の国際情勢とか相手国の意図とか手段、態様など総合的に判断しますが、まず今日、弾道ミサイルとか航空機等によって武力攻撃が行われる場合には、その一環としてサイバー攻撃も同時に行われるということを想定しておくべきものと考えます。仮に米国に対して武力攻撃が行われて新三要件を満たす場合に、その武力攻撃の一環として行われたサイバー攻撃に対して武力を行使して対応することも法理としては考えられますけれども、これまでサイバー攻撃に対して自衛権が行使されたという事例はまだございません。
サイバー攻撃に対する自衛権行使の在り方についても、国際的にも様々な議論が展開をされている段階であると承知をしておりますので、現実問題といたしましては、サイバー攻撃に対する自衛権行使の在り方について、国際的な議論も見据えつつ、更に検討を要するということでございまして、現に国連の政府専門家会合、またNATO等におきましても議論は行われていますけれども、まだ正式見解はまとまっていないということでございます。
#145
○柴田巧君 であるならば、なぜこういう生煮えのものがいかにもできるかのように文章として出てくるのか。ここが理解に苦しむところであって、もう一度お聞きを重ねてしますが、サイバー攻撃などによって、アメリカが受けたことによって、どう先ほどから申し上げた存立危機事態に陥るんでしょうか、我が国が。そこが説明が十分されていないと思いますが、もう一度重ねてお聞きをしたいと思います。#146
○国務大臣(中谷元君) これから、どのような事態かということは政府としては一応検討をしておかなければなりませんが、先ほど申し上げましたように、今日、やはり弾道ミサイルとかまた航空機によって武力攻撃が行われる場合に、その一環としてサイバー攻撃も同時に行われるということは想定をしておくべきでございますが、どのようなサイバー攻撃を受けるとか、どのような対処をしていくかとか、それぞれ各国もまだ検討状況にございますので、我が国としましてもそれを見つつ判断をしていくわけでございますが、やはり各国共にこういったサイバー攻撃に対して対応を検討しておりますので、こういった新しい脅威等に対しても我が国としても対応をしなければならないという状況であるということでございます。#147
○柴田巧君 本当によく分からない。どうしてこういうことによって集団的自衛権を行使できることになっていくのか。そういうまさに生煮えの状態でよくこういうものを出されてくるものだなと思います。今あったように、だとすると、法理上そういうことに可能だということであれば、じゃ、具体的にどのような武力行使を想定しているのか。これは敵基地を攻撃するのか、あるいは通常兵器によって何かしらその大本をたたこうとするのか、ここら辺はどういうふうに考えていらっしゃるんですか。
#148
○国務大臣(中谷元君) サイバー攻撃が発生した場合に対する想定でございますが、自衛隊は関係省庁と連携しつつ防衛省・自衛隊のネットワークの防護を実施することになりますが、まだ具体的な対応につきましては、個別具体的な状況に対して判断をする必要があるというようなことでございます。敵基地攻撃等につきましては従来から考えを申し上げておりますが、法理上、つまり法的な理屈の上では新三要件の下でも変わらないわけでありますが、我が国は敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有しておらず、個別的自衛権の行使としても敵基地を攻撃することは想定をしておりません。集団的自衛権の行使としても敵基地を攻撃することはそもそも想定はしておりませんけれども、やはりサイバーに対する対応等は、どう対処するのかは常に検討しておかなければならないことであると思っております。
#149
○柴田巧君 いろんなことは検討しなきゃならぬのですが、しかし、サイバー攻撃によってアメリカがたたかれてどうして存立危機事態に我が国が陥るのか、それによって集団的自衛権を行使できるかというのが全く理解できないわけで、まさに、結局この法案はこういうことの連続というか、こういうことが重なっているわけですね。法理上はあるが想定できないとか連発なので国民に理解されない、国民の不安が高まっていると、これは言わざるを得ないと思っております。それと、やはり国民が、あるいは我々議員がこの委員会に出て毎日毎日驚くのは、先ほどもありましたが、やはり後方支援の中身の議論が大きな焦点になっておりますが、これもまた余りにも無限定で、政府の裁量の幅広さに我々は驚いているわけです。
審議の中でも、法理上、他国に対して化学兵器や毒ガス兵器や核兵器等が輸送可能だとしているわけですし、弾薬の提供も、手りゅう弾、劣化ウラン弾なども可能ということになっているわけですが、弾薬の提供などが認められていないこれまでの法制に比べると、時の政権の裁量の余地が大変広がってきているのは間違いなくて、少なくとも法文上の歯止めはないに等しいわけですね。
実際には、行うかどうかは総合的に政策判断するとしていますが、一般的に言えば、アメリカから輸送を強く要請されたときに、それは恐らく日本政府は拒むことは考えにくいと思っていますし、この前の衆議院の予算委員会でしたが、民主党の山井さんが、自衛隊が輸送するときに、この中に毒ガスが入っている、普通の兵器だ、大量破壊兵器だ、あるいは核弾頭が含まれている、一々これを確認できるのですかと総理に尋ねたら、総理は、私もびっくりしましたが、一々確認をしながらそれに対応した運び方をしていくと。
一々確認というのを二回か三回お使いになりましたが、これは大変重大な発言だと思っていまして、基本的に、まずは、弾薬は裸になっているわけじゃないですし、宅急便の物を運ぶのと違って、生ものですとか衣類とかと書いてあるわけではないので、パッキング等がしてあって基本的にその中身を確認するというのはそもそも無理な話なんじゃないかと思いますが、大臣、どうなんでしょう、お聞きをしたいと思います。
#150
○国務大臣(中谷元君) やはり、自衛隊が他国からの依頼に基づいて物品を輸送する場合に、輸送段階におきまして物資の内容についても確認をするということを総理も言われたわけでございます。そこで、物資を輸送する際には、輸送中の安全確保、これが大前提でありまして、その内容、性質などによって輸送方法、取扱いが異なるために、要請を受けた時点で輸送対象がいかなるものか、また、その重量、危険性の有無についてはあらかじめ逐一確認をするというのは当然のことでございます。実際にイラクにおいて空輸を行った際には、一つ一つについて多国籍軍等から提示をされている貨物目録、これを確認をするとともに、貨物を航空自衛隊機に搭載をする際に、目視、これで確認、照合しておりました。
一般的に、輸送する物資の内容等によってこん包の仕方は異なりますけれども、仮にこん包の仕方によって内容物が見えにくい状態にあったとしても、あらかじめ提示された貨物目録を踏まえて、重量、容量、荷姿、こん包等の仕方などから確認、照合するということになります。また、必要に応じて要請元に内容物を問い合わせるということも考えられ、それは、例えば計画以上の重さの物資を搭載することは輸送機の運航という点でも不適切であるように、安全な輸送という観点からも当然のことでありまして、自衛隊といたしましては、輸送する物品の内容について必要な情報を把握することは当然であります。
このことは、イラクにおいても、実際に物資を空輸したのかを取りまとめて平成二十一年七月に国会に報告をしたほか、八百二十一回にわたる全ての空輸の内容を記載した週間空輸実績につきましても既に情報公開等において公表をしているとおりで、明らかでございます。
#151
○柴田巧君 今大臣はそう御説明されましたが、これまでの国会答弁を見てみると、平成十五年のこれは衆議院のイラク人道復興支援活動に関する特別委員会で、今の岡田克也代表が、民主党の、弾薬とかそんなことは現実にチェックできないし、それはある意味大変な秘密ですから、そんなことはできないんじゃないですかと当時の石破防衛大臣に聞かれて、石破さんはこう答えているんですね。一つ一つ開けてみて調べろというようなことを言っていたら、それはコアリションなんぞというものは成り立たない、信頼関係というものは成り立たないと答弁をしていますね。また、十六年の衆議院の予算委員会でも、これは照屋寛徳さんへの答弁だったと思いますが、照屋先生が、輸送活動で自衛隊がまず運ぶ物資の中身の点検というものは自衛隊独自で行われるのかと聞いたところ、石破大臣は、これを運んでちょうだいと言われて物資を渡され、それを確認する作業というのは考えておりませんと答弁されているわけですが、随分違うんじゃないですか。
もう一回、大臣に見解をお聞きをしたいと思います。
#152
○国務大臣(中谷元君) 仮に、コンテナ等によって内容物が見えにくい場合に、必ずしも全て開封をするということはないにしても、あらかじめやはり提示された貨物目録というのがございます。それを踏まえて、重量、容量、荷姿、こん包の仕方など、こういったことを確認するわけでございますが、更なる確認が必要な場合には開封して内容物を確認するということもあり得るわけでございまして、これは、そもそも我が国に対して支援を要請する他国軍隊、これが事前の輸送調整において申請をしていない物資を例えば積荷を偽装するなどして紛れ込ませるといったことは我が国との信頼関係を裏切る行為であります。また、安全かつ確実に物資を輸送してもらいたいという要請元のニーズからも到底考えられないということで、やはり信頼関係とまた事前の調整等によって、お互いにこういった事業において信頼関係を持って継続をしていくということでございます。#153
○柴田巧君 今大臣は必ずしもとおっしゃって、総理は一つ一つ全てというニュアンスでおっしゃって、随分違うことをおっしゃっていると思います。事ほどさように、今日はもう時間がないのでこれ以上大臣にお聞きしませんが、本当にこういう積み重ねで、多くの国民の皆さんも、この法案はやはり今の政府案をそのまま通すわけにはいかない、これは我が国にとって現時点において必要とされていないという意見がやっぱり強くなっているのは間違いないと思います。
昨日の毎日新聞の調査でも、内閣支持率は前回の三五%から三二%、更に低くなりましたね。今朝のNHKニュースでも、不支持が支持を上回るという状態、四一から三七、支持が落ちて、不支持が四三から四六に上がりました。
これは、やはり背景に安保法案があるのは間違いありません。憲法学者あるいは内閣法制局長官OBらから違憲と断じられて、まさに答弁は今のようにころころころころ変わるし、曖昧だし。また、自国防衛が大事だとみんな思ってはいますが、ホルムズ海峡、いや、地球の裏側まで派遣される可能性が否定されなかったり、サイバー攻撃を受けても、我が国に攻撃をしていない、またその意思のない国を攻撃をせざるを得ないような状況になる。まさに欠陥商品だと言わざるを得ないと思いますし、総合的に判断するという言葉がしばしば出てきますが、この言葉こそがくせ者で、結局は時の政権にフリーハンドを与えるような恣意的な運用がされるんではないかと国民の皆さんは強い懸念を持っているわけですね。
事このように、今法案が違憲で無限定で歯止めがなくて、一方、最も必要とされている自国防衛を強化するものではないと国民が実はちゃんと理解をしているからこそ、いい法案なんだけど理解ができないんじゃなくて、もう既に見破っているからこそ、この支持が高まらない、法案に対する賛成が大きくならないんではないかと思いますが、官房長官の御所見をお伺いをしたいと思います。
#154
○国務大臣(菅義偉君) まさに、我が国を取り巻く安全保障環境が極めて厳しい状況になってきている中で国民の生命と平和な暮らしを守るのは、これは政府の責任であります。その責任の中で、私たちは新三要件というものの中で、まさに従来の憲法解釈、その論理の範囲内でこの法案を提出をさせていただいておるのであります。そういう中で、戦争法案だとかあるいは徴兵制とかいろんなことが、誤解に基づくことが言われていますので、そうしたものをしっかり解かせていただきながら、これからも国民の安全を守るための責任を政府として果たしていきたいと思います。
#155
○柴田巧君 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。#156
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。七月二十九日の当委員会で示した海上自衛隊の内部文書、「平和安全法制案について」、これ、昨日、防衛省から理事会に提出をされました。これは、海上幕僚監部防衛課と幹部学校作戦法規研究室の両者で作成したというふうにされております。こうした文書があるのは海上自衛隊だけではないんではないか。
陸上自衛隊、航空自衛隊の幹部学校では作っていないというのが昨日の回答だったそうでありますが、そうではなくて、やはりそれぞれの、陸自、空自の内部で隊員に趣旨を徹底するためということでこういう文書を作っているはずだと私思います。
委員長にお願いしたいのは、やはり陸自、空自でのこういった説明資料、引き続き当委員会に提出させるよう求めていただきたいと思います。
#157
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまの申出につきましては、後の理事会において諮るようにいたします。#158
○小池晃君 本日は、新たな資料をお示しをいたします。これは統合幕僚監部の、私どもが入手した内部文書であります。これは、「ガイドライン及び平和安全法制関連法案について」ということで、五月の末に作成されたようです。四月二十七日に日米両政府は、日米防衛協力のための指針、以下、新ガイドラインとしますが、これ、十八年ぶりの再改定を合意しました。新ガイドラインは、集団的自衛権行使、米国などに対する武力攻撃への共同対処を明記するとともに、アジア太平洋地域及びこれを超えたグローバルな協力を打ち出して、地球規模で自衛隊が米軍に協力をし、従来の戦闘地域にまで行って軍事支援をすることをうたっている。
これは日米安保条約の実質的な改定であって、地球規模の軍事同盟への根本的転換だと思います。こういう大転換を国会での法案審議が行われてもいないのにアメリカに誓約してきた。これは日本の独立と主権をないがしろにする異常な対米従属の姿勢だというふうに言わざるを得ません。
資料の二枚目を見ていただきたい。ガイドラインと平和安全法制関連法案の関係に係る概念イメージとして、ガイドラインの記載内容に、現行法制下で実施可能なもの、現行法制に加えてSDC文書と言われる別途文書が必要なもの、そして安保法制成立後に実施可能となるものがあることが明示されております。
図表の下に、これ全部プレゼンテーションの多分原稿が書かれているんだと思うんですが、この説明文書の中にこうあります。ガイドラインの記載内容については、既存の現行法制で実施可能なものと平和安全法制関連法案の成立を待つ必要があるものがあり、ガイドラインの中ではこれらが区別されることなく記載されていると。これ、本当に率直に書かれているんですね。
大臣、法案が成立しなければ実施できない内容を、国会で議論もしないうちに日米合意し、発表したことになる、そういうことですね。
#159
○国務大臣(中谷元君) この資料につきまして、突然の御指摘でございまして、御提示をいただいている資料がいかなるものかは承知をいたしておりません。また、提示の資料につきましては、少なくとも防衛省といたしまして、これまで公表した資料にあるとは承知をしておりません。どういった経緯によって入手されたものか明らかでない限りは、真贋や位置付けについて即答をすることは困難でございます。
#160
○小池晃君 この文書、存在確認してください、じゃ。すぐにそれ確認してください。#161
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を止めてください。〔速記中止〕
#162
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。暫時休憩いたします。
午後三時二十五分休憩
─────・─────
午後三時三十二分開会
#163
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会を再開いたします。休憩前に引き続き、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
中谷大臣。
#164
○国務大臣(中谷元君) 事前の通告なく提出された資料でございまして、確認するのに時間が掛かりましたけれども、同じ表題の資料、これは存在をいたします。ただ、示された資料と同一なものなのか、いろいろ文言も書かれておりまして、細部までこれ確認、特定するには多少時間が掛かるということでございますが、同じ表題の資料、これは存在するということでございます。#165
○小池晃君 こういうガイドラインと法案の関係を示す重大な文書ですよ、これ。根幹問題ですよ。それを大臣が知らないということ自体が私、これ大問題だと思うんですよ。結局、この内部文書が私、大問題だと思っているのは、内容でいうとその次のページですが、この統幕内部文書、「ガイドライン及び平和安全法制関連法案を受けた今後の方向性」となっているわけですよ。まだ国会で審議の真っ最中ですよ。それを受けた今後の方向性を統幕が議論しているというわけですよ。
大臣、統合幕僚監部が既に新ガイドライン、法案を受けた今後の方向性の検討に入っていることを御存じでしたか。
#166
○国務大臣(中谷元君) どういう経緯によって入手されたものか明らかでない限り、この内容について即答するのは困難でございますが、防衛省といたしましては、やはり法案、これの審議、これがまず第一でございまして、今部内で実施していることは、法案の内容を十分に研究、分析しつつ、現場の隊員にもより良く理解をしてもらうということが重要でございまして、国会の審議中に法案の内容を先取りをするようなことは控えなければならないものだと考えております。#167
○小池晃君 これは法案の説明じゃないんですよ、今後の方向性ですよ。こういったことを議論しているかどうかは、これは私は答えられるはずだと思う。答えていただきたい。#168
○国務大臣(中谷元君) この安保法案につきましては国会の審議が第一でございますし、また、法案が成立した後、これは検討を始めるべきものでございます。ガイドラインにつきましては今年四月に日米間で合意をしたものでございますので、この内容について検討をするということは、これは当然のことだと思っております。
#169
○小池晃君 今、大臣は、法案が成立してから検討すべきものだとおっしゃった。だとすれば、統幕でこういう検討をしていたら大問題じゃないですか。これはどう対処されるんですか。#170
○国務大臣(中谷元君) 法案の中身までこれ踏み込んでいるかどうか、恐らく一般的に法案に書かれたことの理解だと思いますが、しかし、ガイドラインにつきましては今年の四月に日米間で合意をし公表をされたものでございますので、これについて中身を検討するということは防衛省の中としては当然のことだと思っております。#171
○小池晃君 そうじゃないんですよ。これは、ガイドライン及び関連法案を受けた今後の方向性ですよ。そのことを実際に検討していたということを知らなかったんですね、じゃ大臣は。
#172
○国務大臣(中谷元君) ガイドラインについては、これはもう合意されたことでございますので検討はしてもいいと思いますが、法案につきましては現在参議院で審議中でございますので、中身の運用とかの検討におきましては、これは当然法案が通った後の作業になるわけでございます。しかしながら、この法案の中身がどのような内容であるのか、これは担当官庁の職員としては十分認識をするのは当然のことでございまして、この法案の中身、内容等については組織としては検討するのは当然のことだと思っております。(発言する者あり)
#173
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を止めて。〔速記中止〕
#174
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。#175
○小池晃君 大臣は先ほど、法案成立後に検討するんだったらいいけれども、中身を前もって検討することはそれはおかしいというふうに認められたんですが、この中身、ちょっと見てくださいよ。例えばその次のページ、これは新ガイドラインで新たに設けられることになった同盟調整メカニズム、ACMが常設になることが明記されているんですね。ACM内には運用面の調整を実施する軍軍間の、軍軍間の調整所が設置される。軍軍間って何ですか。自衛隊と米軍ですか。自衛隊はいつから軍になったんですか。こんな軍軍間の調整所なんということは、ガイドラインにだってこんな文章はないんですよ、法案にだってないんですよ。だから、大臣、先ほどおっしゃったけれども、これはまさに法案がもう成立する前提でその後のことを検討している文書じゃないですか。
一番端的なのは最後の日程表ですよ。これ、見てくださいよ。五月のところに現時点とちゃんと書いてある。八月に法案成立と書いてあるわけですよ。一月にキーンエッジ、これ、KE16というのは多分キーンエッジ16でしょう。それを受けて、二月から法施行と書いてある。ほかにも、例えばPKOのところで見てみますと、これ九次隊が出発をして、年明けの二月からは新法制に基づく運用をするということなので、南スーダンPKOを年明けから今度の法制に基づく運用をすると書いてあるわけですよ。そんなことをどこで議論しましたか。
大臣、こんな検討をしているということが許されるんですか、どうなんですか。
#176
○国務大臣(中谷元君) 今日、突然の御指摘でございますので、御提示いただいている資料がいかなるものか、コメントは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げますが、九七年のガイドラインの下での計画検討作業については、包括的メカニズムを通じて、主として自衛隊と米軍の間の組織である共同計画検討委員会、BPCにおいて行う一方、日米安全保障協議委員会、2プラス2が、下部組織である防衛協力小委員会、SDCの補佐を受けつつ、方向性の提示、作業の進捗の確認などについて責任を有してきたと。新たなガイドラインの下でも、共同作業の策定について共同計画策定メカニズムを通じて行うことになりますが、ガイドラインに明記されているとおり、日米の2プラス2が引き続き同様の責任を有することには変わりなく、この御指摘には当たらないと。あくまでもガイドラインの合意に基づいた検討でございます。それから、スーダンのPKO、UNMISSについては、宿営地の共同防衛に係る武器使用の権限は法律の施行後に伴い行使可能となる権限、よってスーダンPKOにおいては当該の権限は法律の施行に伴い行使することができるということでございまして、教育訓練等も含めて、必要な事項の取扱いは法案成立後に検討すべきことでございます。
それから、この資料、確たることはまだ申し上げられませんが、この中で平和安全法制関連法案の成立を待つ必要があるものについては、法制が成立して以降、施行されて以降実施をするということでございまして、あくまでもこれはガイドラインに対する検討でもありますし、また、防衛省としては、法案の内容を十分に分析、研究しつつ、隊員によく理解してもらうという上での検討だと認識しております。
#177
○小池晃君 これ、全く今の説明になっていないんですよ。例えばPKOだって、延長を決めた閣議決定、先週の金曜日じゃないですか。先週の金曜日に閣議決定したんですよ。だから、八月の末に終わる予定だったわけじゃないですか。それがもう九次隊ということで書かれているわけですよ。それが新法制の下で運用すると書いてあるわけですよ。それから、ガイドラインの具体化だって、SDCの文書を発出して、もうガイドラインの、要するに今の答弁でいうと、防衛協力小委員会の文書作成はもう始まっているということですね。そして、法案成立前に基本計画を修正するということもこの後、下の方には書かれているわけですよ。これ全て、法案の成立を前提とした克明な自衛隊の部隊の編成の計画まで含めて出されているじゃないですか。
こんなことは戦前の軍部の独走ですよ。こんなことは絶対許されない。こんなものが出たままで議論なんかできないじゃないですか、この法案の。もうこの法案、撤回するしかないですよ。
これはもう、ちょっと止めていただきたい。はっきりさせていただかないと、これ以上議論できない。
#178
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を止めてください。〔速記中止〕
#179
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。暫時休憩いたします。
午後三時四十八分休憩
─────・─────
午後四時七分開会
#180
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会を再開いたします。本日はこれにて散会いたします。
午後四時七分散会