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2015/04/22 第189回国会 参議院 参議院会議録情報 第189回国会 国際経済・外交に関する調査会 第4号
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2015/04/22 第189回国会 参議院

参議院会議録情報 第189回国会 国際経済・外交に関する調査会 第4号

#1
第189回国会 国際経済・外交に関する調査会 第4号
平成二十七年四月二十二日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         柳田  稔君
    理 事
                上野 通子君
                滝沢  求君
                中泉 松司君
                小林 正夫君
                河野 義博君
                柴田  巧君
                紙  智子君
    委 員
                赤石 清美君
                石井 浩郎君
                石井みどり君
                長峯  誠君
                二之湯武史君
                羽生田 俊君
                福岡 資麿君
                三宅 伸吾君
                山田 修路君
                大野 元裕君
                加藤 敏幸君
                福山 哲郎君
                牧山ひろえ君
                谷合 正明君
                市田 忠義君
              アントニオ猪木君
                浜田 和幸君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        松井 一彦君
   参考人
       明治大学政治経
       済学部教授    加藤 久和君
       中央大学経済研
       究所客員研究員  佐藤龍三郎君
       資源・食糧問題
       研究所代表    柴田 明夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国際経済・外交に関する調査
 (「国際平和と持続可能な国際経済の実現に向
 けた我が国外交の役割」のうち、持続的繁栄を
 支える資源・エネルギー問題等の現状と課題(
 人口問題、食糧問題)について)
    ─────────────
#2
○会長(柳田稔君) ただいまから国際経済・外交に関する調査会を開会いたします。
 国際経済・外交に関する調査を議題といたします。
 本日は、「国際平和と持続可能な国際経済の実現に向けた我が国外交の役割」のうち、「持続的繁栄を支える資源・エネルギー問題等の現状と課題」に関し、「人口問題、食糧問題」について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 本日は、明治大学政治経済学部教授加藤久和参考人、中央大学経済研究所客員研究員佐藤龍三郎参考人及び資源・食糧問題研究所代表柴田明夫参考人に御出席をいただいております。
 この際、一言御挨拶を申し上げます。
 各参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、各参考人から忌憚のない御意見を賜り、今後の調査の参考にしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず、加藤参考人、佐藤参考人、柴田参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をお願いいたします。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、加藤参考人から御意見をお述べいただきます。加藤参考人。
#3
○参考人(加藤久和君) 明治大学の加藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元に、「人口経済学の立場から見た国際社会及び我が国の持続可能な繁栄に向けた課題と取組の在り方」としまして、資料を御用意させていただきました。二十分という限られた時間ですので、手短に御説明申し上げたいと思います。
 二枚めくっていただきまして、まずそこに、ページで三ページ目でございますが、我が国の総人口というのがもう既に人口の減少を始めております。二〇一〇年の国勢調査で一億二千八百万人であった我が国の人口は、二〇一四年の十月現在で一億二千七百万人余り。およそ四年間で百万人、一つの例えでございますが、和歌山県一県分に相当する人口が四年間で減少しております。
 四ページを御覧いただければと思います。今後の将来の日本の人口の姿でございます。
 先生方御案内のように、今後、人口減少は非常にスピードを増してまいります。ちょっと見にくいのですが、右側に人口の年齢構造もございます。注目していただきたいのは、実は七十五歳以上の方々の割合が現在ではもう既に一二・五%、八人に一人の方が七十五歳以上という状況でございます。これが二〇六〇年になりますと四人に一人、二六・九%まで増えると。ということで、我が国は、今まで人類が経験したことのない高齢化社会を迎えるということでございます。
 次のページを御覧いただければと思います。
 実は、こういった人口の減少というのは、我が国だけではなく東アジア、東南アジアについても同じように今後起こる可能性がございます。例えばタイでございますが、タイはこれからは人口がどんどん減少していきますので、日本と同じように人口減少、高齢化を迎えるということで危機感を持っております。さらには、近いところでいえば韓国や台湾、さらに中国といったところも高齢化の問題といったことを考えておりますので、我が国のことを模範としながら、モデルとしながら、こういった各国もどういうふうな政策を立てようかというふうに考えているところでございます。
 次、六ページを御覧いただければと思います。
 我が国の人口が減少してきた背景には、やはり出生率の低下というのがございます。御案内のように、合計特殊出生率というのは、一生の間に女性が何人の子供を産むかという数の目安でございますが、二〇一三年の実績ですと一・四三人。二・〇七人を下回りますと将来的に人口は減少するということですので、少子化問題と言われている問題が実はもう四十年以上続いているということでございます。
 次の七ページ目を御覧いただければと思います。
 こういった出生率の低下というのは、我が国だけではなく諸外国でも共通して見られているところもございます。ただ一方で、アメリカ、イギリス、フランス、スウェーデンといった先進国では出生率も高く、将来的に人口の維持ができるだろうと言われております。
 そういうような形で、長期的に考えますと、人口というのが一つの国力であるということを考えますと、この人口減少ということを考えていくと、将来的な国際的な国ごとのポジションというものが随分変わっていくのではないかというふうに考えております。
 ちなみに、東アジア、東南アジアの国々は押しなべて出生率が低いという状況でございます。その一方で、ヨーロッパの国々の中ではまだまだ高いところもあるということでございます。
 次、八ページを御覧いただければと思います。
 少子化ということでございますが、なぜそういうような状況に陥ったかと申しますと、大きく分けて二つございます。一つは、若い人たちの結婚行動が変化したこと、晩婚化、晩産化と言われている事象でございます。もう一つは、結婚して子供を持つか持たないかといった選択をするときに、育児とそれから就業との両立支援というのが十分でないという問題、更に言えば、若い人たちが将来のことを考えて、安定した職業に就けるか、安定した所得が得られるかといったような問題がございます。
 少子化対策というのは実は経済政策ということでもございますので、こういったところを考えていかなければいけないんだろうというふうに思っております。
 次、九ページを御覧いただければと思います。
 現在、安倍政権で進められております女性活躍ということですが、実は世界的に見ますと、女性が社会で活躍している国ほど、逆に言えば女性が社会で活躍できる環境を整えていられる国ほど出生率が高いということがございます。こういった意味でいえば、こういった少子化対策を行う上では、女性活躍という視点が欠かせない視点であろうというふうに考えてございます。
 次、十ページを御覧いただければと思います。
 一方、少子化対策という問題も重要でございます。右上の図、少し分かりづらいのですが、実は少子化対策にどれだけお金を使ったかということがございます。できるだけ少子化対策にお金を使っている国ほどやはり出生率は高いという一般的な傾向が見られます。左下の図は、社会保障という観点から、高齢者向け、それから若い人向けにどれだけお金を使っているかということでございますが、日本ではまだまだ若い世代に対する支援というのが十分でない。高齢者に対する支援は十分なんですが、こうしたところのお金の流れというものを、支援の流れというものを考えていく必要があるのではないかということでございます。
 次、十一ページを御覧いただければと思います。
 こういった状況の中で、我が国としてどのような形で人口の政策、人口の目標というのを定めていくかということでございます。非常にナイーブな問題でもございますが、戦前の産めよ増やせよという、そういったことを想起されるということもあったのですが、しかし、この段階に来て日本の国力を維持するということであると、やはり一億人という数字をある程度目指していく必要があるのではないかと。これは、先般、地方創生の問題と絡めて議論されているところでございますが、こういった目標を定めていろんな政策を打っていくということは、政策の効果を検証するためにも必要なのではないだろうかというふうに考えております。
 次、十二ページ目を御覧いただければと思います。
 もし我が国で少子化対策が十分に効果を発揮し、そして出生率が改善するとすればどうなるかということをシミュレーションしたものでございますが、これは私のシミュレーションでございますが、五十年後に一億人、将来的にも一億人弱の人口を維持できるだろうと。そうすると、高齢化比率も、六十五歳以上人口比率ですが、現在二六%、将来的にも二六%から七%ということを、相当先のことでございますが、維持できるということで、国力の維持あるいは高齢化対策ということにもなっていくんだろうというふうに考えております。
 次、十三ページ。
 ここからは少し議題を変えまして、人口が経済にどう影響するかということですが、御案内のように、人口が減少しますと様々な点で経済成長を維持することが難しくなってまいります。左側にありますように、例えば、労働力人口が減少していったり、あるいは貯蓄が減ってそれが投資に結び付かない、さらには生産性が十分に進まないというようなことで、経済成長に対する危惧というものがございます。
 次のページを御覧いただきたいと思います。
 十四ページですが、実は日本の成長というのを供給面から捉えますと、今まで投資というものが非常に重要な要素を成しておりました。工場、機械設備あるいは事務所等々を建てるための資本ストック、そのために投資が使われていたんですが、その源泉となる貯蓄率というものが最近では相当に落ち込んできております。また、この図にありますように、高齢者向けの支出を行うことによって貯蓄率は低下するというようなことも見えてまいります。
 次のページを御覧いただきたいと思うんですが、じゃ、経済成長を維持するためにどうすればいいかということで、技術の進歩ということも必要かと考えてございます。
 例えば、これは、人口の規模が大きければ大きいほど競争がある、あるいは、天才といいますかイノベーターが生まれてくるというような仮説もございます。その意味では、ある程度人口の規模を維持するということが生産性あるいは技術進歩にとって重要な事柄であると考えております。しかしながら、今後人口が減少していく中で、こういった生産性の上昇あるいは技術進歩が維持できるかというのが非常に不安になっております。
 次のページ、十六ページを御覧いただければと思います。
 また、経済の需要面を考えましても、人の数が多ければ多いほどマーケット、市場というのは大きくなります。あるいは、ニッチ産業あるいはニッチ市場とか小さな様々な市場というのがありますが、人口の規模が大きければいろんな需要が生まれ、それが経済に刺激を与えるということがございますので、人口が減少していくことによって経済の活力が失われてしまう、そういうような懸念というのもございます。
 さらに、十七ページを御覧いただければと思いますが、これは私の試算でございますが、高齢化が進んでいきますと、やはり若い人がたくさんいればいるほどクリエーティビティーといいますか、創造性というのがたくさんあるというような点もございます。高齢化が進みますと技術進歩が少しストップしていく、進まなくなっていくといったようなことも見られていって、こういったことも何とか考えていかなければいけないのかというふうに考えております。
 次、十八ページからは少しまた内容が変わっておりますが、もう一つ、人口が減少しますと経済成長にとっての大きな問題というのは、労働力人口が減少するということでございます。労働力人口を補完するために海外からの人たちに来ていただくというような議論、外国人の人口を活用するという議論もございます。ただし、今我が国にどの程度の外国人の方がいらっしゃるかというと、およそ二百万人ということでございますので、これから日本の人口が五十年後には三分の一減っていく中で、外国人の人口をたくさん入れていくということにはある程度の限界があるんではないだろうかというふうにも考えることができます。
 次のページ、十九ページ。
 これは、御参考までに、過去、我が国で外国人の労働者をどのように受け入れてきたかという政策の概要を示したものでございます。
 時間の関係があって申し訳ございません。次、二十ページを御覧いただければと思います。
 現在、海外からの技能実習生の問題であるとか高度人材を入れていくというような問題というのがいろいろと議論をされています。また、グローバル化への対応ということで、海外からの留学生を入れていくというような問題もあります。とはいいながら、これも、海外からの高度な人材を入れていくことによって我が国の経済に対する活性化、活力を促していくということに対しては、非常に重要な問題であろうとは思いますが、右側にございますように、いろいろな課題というのもございます。社会的な問題、あるいは宗教の問題、そういった問題をいかにして考えていくかということで、これは国民を挙げての議論が必要かというふうに考えております。
 そして、これを二十一ページで大体そういったものをまとめております。
 実は、日本が海外からの移民が欲しいと言っても、来てくれと言っても、もう今は来てくれと言って来てもらえるような状況でもなくなってまいっております。海外からの外国人にとってみれば、日本がどれだけ魅力的な国なのかということを考えますと、二番手、三番手、移住しようとする国にとっては二番手、三番手ということになってしまっているような状況もあるのではないかと思います。こういったことを考えながら、慎重に考えていく必要があるかと思います。
 次、済みません、飛ばして。二十二ページでございます。
 最後のテーマでございますが、こういった高齢化の問題が生じてきますと、先生方御案内のように、社会保障に対する様々な負担というのが出てまいります。左側は我が国の社会保障の給付費の増大で、現在百兆円を超える社会保障費が出ております。我が国のGDPが大体四百八十兆円でございますので、GDPに占めて二三%程度の社会保障が出ております。一方で、右側にございますように、我が国は世界に今まで過去に例がないぐらい政府の債務を抱えているということがございます。こういった点をどうやって考えていくのかというのが、この高齢化の問題、人口の問題と併せて重要になってくるというふうに思っております。
 二十三ページを御覧いただきますと、これは財務省からの資料、予算等の資料でございますが、現在の財政赤字の主要な要因というのが、やはり社会保障関係費の増加ということでございます。高齢化が進み高齢者が増えていく中で社会保障給付費が増えていくということはやむを得ない。その一方で、こういった財政赤字をいかにして考えていくのか。二〇二〇年にプライマリーバランス、基礎的財政収支を黒字にするという目標がございます。これを堅持しなければ、やはり国際社会にとって日本というものの信用を失わせてしまう。そういったことの点からも、こういった社会保障の支出というのを考えていく必要があるかというふうに思っております。
 また、二十四ページを御覧いただければと思いますが、こういった社会保障の給付というのは、財政の面だけでなく経済の成長にとっても少しブレーキを掛けるような性格のものではないかというふうにも考えられております。この試算も私個人のものでございますが、過去の状況を見ますと、社会保障を増やすことによって経済成長が少しストップをするというようなことがございます。成長を維持し財政規律をきちっと維持していく、その非常に難しい問題を解いていくということがこれから我が国にとってどうしても必要な問題だろうと思います。
 また、二十五ページでございますが、この社会保障の給付、政府の債務というのをまた少し違った視点で考えていきますと、世代ごとにどういうような形で負担をしていくかという問題も出ております。これは、二十五ページの図は扶養率で、過去、一九五〇年では若い方々十人が高齢者一人を養っていた社会だったものが、現在では二・六人の若い人が一人の高齢者を支え、二〇六〇年では一・二人が一人の高齢者を支えるということになります。これだけ若い人たちの負担が増えていくということは少子化問題にとっても非常に難しいだろうと。自分たちの生活の前に社会全体の中で高齢者を支えていかなければいけないということになりますと、子供を増やすような余力もなくなってくる。その意味では、経済成長等々について、やはりこれは成長戦略等をしっかりやっていただきながら若い人たちの負担を減らしていくということが必要かと思います。
 次、二十六ページ。
 近年よく言われております世代会計で、生まれた年ごと、生まれた世代ごとに、一生の間に税や社会保険料の負担をする一方で、年金、医療、教育等々を受けております。損得勘定することではないのですが、幾ら政府に支払い、幾ら政府からサポートを受けたかということを見ていきますと、六十歳、これ二〇〇八年の段階の数字でございますが、二〇〇八年段階の六十歳ですと現在でもう六十五歳を超えておりますが、生涯で四千万ぐらいのプラスであるのに、これから生まれてくる子供たちは生まれた段階で八千万近い借金を負ってくるということになってきますので、その意味では非常に厳しい状況にあるのではないかと思います。右側には、こういった状況、日本はほかの国に比べても相当に厳しいということを示しております。
 二十七ページを御覧いただこうと思います。
 最後のまとめでございますが、こういった世代間格差、単純に若者と高齢者の間の対立を促すものではなく、やはりお互いに認め合い、高齢の世代には、給付を少し抑えるような形で若い人たちへの心遣いをしていくということも必要なのではないだろうかと考えております。
 最後、二十八ページ。
 早口で誠に申し訳ございませんでしたが、我が国の持続可能な繁栄に向けてということで、申し上げた点を簡単にまとめますと、今日申し上げたのは五つの点でございます。やはり出生率を上昇させ一億人というものを維持するために頑張っていくということと、やはり経済成長、生産性を向上していくということが欠かせない。さらには、先ほど十分に御説明申し上げられませんでしたが、移民の受入れということをある程度考えるにしても、グローバル化への対応というのはどうしても必要であろうというふうに考えております。さらには、財政規律の維持、世代間格差の改善、こういったものは我が国の持続可能な繁栄に向けて必要な問題であろうかというふうに考えております。
 以上、早口でございますが、私からの意見陳述は以上ということでございます。
 ありがとうございました。
#4
○会長(柳田稔君) ありがとうございました。
 次に、佐藤参考人から御意見をお述べいただきます。佐藤参考人。
#5
○参考人(佐藤龍三郎君) 佐藤でございます。
 世界の人口問題の概要と日本の期待される役割について述べたいと思います。
 今、我が国は、先ほど加藤参考人もおっしゃいましたように、国が始まって以来とも非常にいうべき歴史的な転換期にあるということが言えます。明治維新以来、一貫して増え続けてきた日本の人口が、二〇〇八年十二月の一億二千八百九万九千人をピークに一転して減少へ向かっています。日本の人口はピーク時から既に百万人減っており、二〇五〇年には九千七百万人、二一〇〇年には約五千万人にまで減少するという将来推計もなされています。
 一方で、世界に目を転じると、現在七十三億人の世界人口はなお増え続けており、二〇五〇年には九十六億人、二一〇〇年には百九億人に達するという予測もあります。つまり、この対照的な縮減する日本と膨張する世界がどのように向き合い、どのように交流していくのかということが二十一世紀に生きる私たちに課せられた最大の課題の一つと言うことができると思います。
 本日は、世界の人口問題の概要とその意味について人口学の視点からお話しし、我が国に期待される役割について意見を述べたいと思います。
 まず、世界人口の動向ですけれども、表一と図一、これは七ページでございまして、資料の七ページの表一と図一を御覧ください。
 国連の推計によると、一九五〇年に二十五億人ほどであった世界人口は、二〇一五年現在、七十三億人に達しており、二〇五〇年には九十六億人、二一〇〇年には百九億人に達すると予測されています。しかし、欧米諸国や日本など経済先進地域の人口増加は僅かであり、世界人口の増加は専ら開発途上地域の人口増加によっています。
 次に、一ページめくっていただきまして、表二は、今度、国連推計を国別に見てみます。
 現在、世界最多の十四億の人口を抱える中国も、二〇二八年にはインドに抜かれ、インドは十六億の人口を抱える世界一の人口大国になる見通しです。今世紀末にはナイジェリアが人口九億に達し、インドネシア、タンザニア、パキスタン、コンゴ民主共和国が人口三億前後になるなど、アフリカやアジアに人口大国が出現し、国別人口ランキングの上位は途上国で占められるようになります。先進諸国は、人口増加が続くアメリカを別にして、ランキングが下がっていきます。日本は、一九五〇年にはランキングの五位にあり世界人口の三・三%を占めていましたが、二〇一〇年は十位に下がり一・八%になっています。二〇五〇年には十六位に下がり一%、二一〇〇年には二十九位に下がり、世界人口の〇・八%のシェアになります。人口規模で見る限り、世界の中で日本の存在感が低下していくということは否めません。
 次に、一ページめくっていただきまして、図の二を御覧ください。資料の九ページです。
 二十世紀の半ばから二十一世紀にかけて、人口規模だけでなく、人口の年齢構造も大きく変化しています。人口の男女・年齢別割合を人口ピラミッドとして表すと、図に示したように、多産多死の富士山型から少産少死の釣鐘型、また、先進地域では出生率低下が更に進んでつぼ型へと変化しています。先進諸国では人口高齢化が現在のところ深刻な問題となっています。開発途上諸国も将来的には高齢化が問題となりますが、現在のところはむしろ膨大な若者人口を抱えており、若者の教育、保健、雇用などのニーズにどのように取り組むかが大きな課題となっています。
 人口高齢化の面では、日本は世界の先頭を走っており、六十五歳以上の老年人口が占める割合は現在二六%ですけれども、二〇六〇年には三九・九%に達すると予測されています。
 そこで、世界人口の動きでありますけれども、これは、各国の人口は、出生、死亡、国際人口移動の三要素によって変化いたします。
 次の、一ページめくっていただきまして、図の三、これは一人の女性が一生の間に産む子供数の目安となる合計特殊出生率の推移を示したものです。一九五〇年代初めから現在まで、女性一人当たりの子供数は、世界全体では約五人から二・五人へと半減しております。途上地域でも六人から二・六人へと半減しています。先進地域では二・八人から一・七人へと非常に著しく減っております。
 人口が増減なく一定に維持されるためには合計特殊出生率が約二・一である必要がありますが、世界人口の大半を占める途上地域でこの指標が三近くあるということから、世界人口はなおも増え続けることになります。
 次に、死亡率の変化ですけれども、その下の図の四を御覧ください。
 ここでは、国連の推計によって平均寿命の変化を見ます。先進地域の平均寿命は、一九五〇年代初めには六十五年でしたのが現在は七十七年と、十二年延びています。この間、途上地域の平均寿命は四十二年から六十七年へと二十五年も延びています。つまり、元々平均寿命が短かった途上地域の方が延びた年数は大きいけれども、現在でも途上地域の現在の水準は約五十年前の先進地域の寿命の水準にやっと追い付いたと、そのようなことでございます。
 先進諸国の中でも日本の寿命の延びは際立っており、二〇一三年には男性が八十・二年、女性が八十六・六年に達しています。日本は長寿化で世界の先頭を走っており、人類の平均寿命がどこまで延びるのかという問いをすることは、日本人の平均寿命がどこまで延びるのかという問いと同じことでございます。つまり、日本人は世界の人類を代表して、この平均寿命がどこまで延びるかということに、限界に挑戦しているということになります。
 次に、国際人口移動の動向ですが、これは図表はございませんけれども、人口学では生まれた国と異なる国に住んでいる人を移民と呼んでおりますが、そのような人は現在、全世界で二億三千万人を数えています。これは世界人口の三%になります。北米では人口の約一五%、ヨーロッパでは人口の約一割が移民によって占められています。また、ある地域にとって移動の出入りの差を純移動といいますけれども、一年間の平均で途上地域から先進地域へおよそ三百万人の純移動があります。また、ヨーロッパへは約百八十万人、米国に対しては毎年百万人の純移動が見られています。日本は現在のところ総人口に占める外国人の割合は二%足らずで、国際的に見れば移民の少ない国ということが言えます。
 さて、人口増加が続く途上地域と、人口停滞ないし減少に直面している先進地域の人口の動きは一見対照的でありますけれども、これを人口転換という見方に立つと、一体的、連続的に理解することができます。
 そこで、十一ページの上に人口転換の模式図を描いておりますけれども、人口転換というのは多産多死から少産少死への人口動態の大きな転換であり、まず死亡率低下が起こり、遅れて出生率低下が起こります。つまり、この死亡率低下と出生率低下のタイムラグによって人口が増える、そして、この間に人口が高齢化するということです。
 これまで見てきた先進地域と途上地域の人口の有様の違いは、この人口転換のプロセスにおける位置の違いとして理解できます。すなわち、先進地域では人口転換が終わって人口増加が終わったのに対して、途上地域では多くの国がいまだ人口転換の途上にあるために人口増加が続いているわけです。
 そこで、世界の人口問題ということですけれども、かつて世界の人口問題といえば、爆発的な人口増加によって地球規模で食糧や資源が不足するという、そういう危機が叫ばれたわけです。それに対して、二十一世紀の人口問題としては、主に次のようなことが課題として挙げられます。
 まず第一に、人口爆発の危機は去ったのかということですけれども、人口増加率は大幅に低下したものの、サハラ以南アフリカなどでは人口転換が十分進んでいない地域もあり、決して楽観はできないと思います。
 そこで、世界人口の将来の見通しについて、次の十一ページの下の方に、図の六というところを御覧いただきたいと思うんですけれども、国連は三通りの推計を行っています。この違いは、将来の出生率の仮定をどのように置くかということの違いによっています。
 このうち、中位の推計は、将来的に女性一人当たりの子供数がいずれの国でもおよそ二人まで低下するという仮定に基づくものです。この場合、世界人口は二〇五〇年に九十六億、二一〇〇年に百九億まで増加します。また、女性一人当たり子供数が二・五人まで低下するという、これは高位の仮定ですけれども、この仮定では、世界人口は二〇五〇年に百九億、二一〇〇年には百六十六億まで増加します。また、女性一人当たり子供数が一・五人程度まで落ち着くという低位の仮定によりますと、世界人口は二〇五〇年に八十三億、二一〇〇年では六十八億に落ち着くということになります。また、参考値として、現在の出生率が低下せず今後も一定の場合が示されておりますが、その場合、二〇五〇年の世界人口は百十一億に達し、二一〇〇年には二百八十六億を超えて、さらにその後も急速な勢いで増加を続けるということになります。
 世界の人口問題の二番目には、都市化の問題があります。途上地域では都市の基盤が十分整わない間に急速な人口増加が起こっておりまして、環境汚染であるとかスラム化とか、そういった深刻な問題が起こっているわけです。
 それから第三に、人口転換の途上にある国々では、先ほども申し上げましたように、若者人口が非常に増えているということがありまして、この若者の教育や雇用、保健、あるいは性感染症の予防といった、こういった面ではかつてなく大きなニーズが存在しているわけです。
 ここまでは途上地域の多くの国々の抱える問題ですが、世界人口の安定のためにも、こういった国々ではできるだけ早期の人口転換の完了が望まれます。リプロダクティブヘルスや保健医療水準の向上、女性の地位向上といったことが鍵を握っており、今後も国際社会の支援が求められるところです。
 また、他方、人口転換が既に終わっている先進国や新興国では新たな人口問題に直面しています。それは、先ほど加藤参考人も述べられましたように、人口高齢化問題、そして少子化と人口減少問題であります。人口転換が終わった国々は程度の差はあれこうした問題に直面しており、それはポスト人口転換期という新しい時代が到来したことを意味しています。
 少子化に対しては、ワーク・ライフ・バランス、男女共同参画など、家族・労働政策の見地から取組がなされているところですけれども、社会や経済の土台が大きく変化していることや、歴史的、文化的背景ということもあって、政策努力による出生率の上昇というのは容易なことではないと思われます。人口減少と高齢化を前提とした国づくりも真剣に検討されるべきでしょう。また、今日の高齢者は過去の高齢者に比べると健康水準も教育水準も格段に高いという、そういうプラス面もあります。長寿化と人口高齢化の先頭を走る日本は、新しいこのポスト人口転換期の社会モデルを提示することが期待されていると思います。
 次に、人口問題への国際的な取組でありますけれども、現在、国連システムの中では、この世界の人口開発問題に取り組む中心的な存在は、国連の経済社会理事会の下に設置された人口開発委員会であります。その事務局として人口部というのがあり、またその技術支援の機関として国連人口基金が活動しております。
 グローバルな視点からの目標の設定と評価に関しては、一九九四年にカイロで開催された国際人口開発会議の行動計画と二〇〇〇年に定められたミレニアム開発目標が、現在のところ世界の人口と開発の問題に関する国際的に合意された指針を成しております。中でも、カイロの行動計画は、文字どおり国際人口開発問題に対する取組の現在唯一とも言える綱領的な文書となっています。
 そこで、日本に期待される役割ということですが、日本は一九五六年に国連に加盟して以来、ほぼ継続してこの人口開発委員会の委員国を務めております。そして、人口分野でも少なからぬ額の援助を提供してきました。しかし、二十一世紀の日本は、本格的な人口減少と超高齢化により一層の財政難に陥ることでしょう。そのような状況においてなお、日本が世界の人口開発問題において積極的な役割を果たすべき理由は何でありましょうか。
 以下、私の考えですけれども、日本は、現在およそ一億という人口規模を持つ国として様々な点で世界の中で特殊な位置にあると言うことができます。すなわち、人口の面では急速な人口転換を遂げた世界の最長寿国であり、なおかつ、超少子化により、世界で最も高い水準の人口高齢化と、今後約七十年で人口が半減する可能性もあるほどの激しい人口減少に直面しています。欧米諸国に比べて遅れて近代化の幕を開けた日本でしたけれども、二十世紀には欧米諸国をしのぐ急速な経済成長を遂げました。
 このように、遅れて出発しながら、後では人口転換と経済発展の両面で世界の先頭を走ることになった日本は、経済的には南と北の懸け橋であり、文化的には東洋と西洋の懸け橋である、つまり東西南北の十字路に位置するという、歴史的、地政学的に見て非常に特異な立場にあるということを自認すべきではないでしょうか。つまり、途上国の気持ちも分かるし先進国の気持ちも分かる、東洋的な考え方も理解できるし西洋的な考え方も理解できるという、非常に特異な立場にあると思います。
 そして、こういった状況から、不利な状況は逆手に取って、新たに日本型モデルともいうべきものを構築して世界を先導するという役割が期待されているということになると思います。それは、工業社会から知識社会への変化に対応することでもあります。二十一世紀の世界を構想し、平和と繁栄のための戦略を策定するという上で、人口と開発という問題設定と研究枠組みは基本を成すものと言えます。とりわけ、軍事力によらず、民生の安定と向上を通しての国際貢献を国際協力の理念として掲げる日本にとって、この視点は重要であります。
 終わりに、ここまで見てきたように、世界の人口開発問題が人類にとって二十一世紀の様々な地球規模問題の中核を成すことは明らかであります。その取組は容易なことではありませんが、終わりに当たり、人口学という、私が実は専攻しているのは人口学なんですけれども、この人口学という学問の意義を強調したいと思います。
 人口学は日本ではマイナーな存在ですが、経済学、社会学、地理学、人類学、医学、生物学、統計学など、社会科学から自然科学にまたがる総合的な科学として国際的には存在感を発揮している学問であります。人口問題は、経済成長や食糧、資源、環境問題といったマクロのテーマに関わっているだけではなくて、結婚、出産、仕事といった家族や労働に関わる個人の行動も、今日は人口学の視点なくしては理解できないというふうに認識されております。
 第二次世界大戦後、フランスでは、出生率低下への懸念からフランス国立人口研究所が設立され、現在、百五十名ないし二百名のスタッフを擁しています。また、近年、東西冷戦後のヨーロッパの再編という時代背景の下で、ドイツはマックス・プランク人口研究所を設立し、約百三十名の研究者を抱えております。翻って、日本では、国立社会保障・人口問題研究所がありますけれども、人口部門の研究者は二十名ほどしかおりません。また、日本の大学で人口学の講座や科目が置かれている大学はごく僅かしかなく、人口に関する教育や研究体制は決して十分とは言えません。
 二十一世紀の世界で日本がどんな貢献をなし得るのか。物を売ったり金を貸したりすることはもちろん大切ですけれども、二十一世紀の世界を構想するという、非常に壮大なテーマですけれども、このテーマにあえて挑戦するということがあってもいいのではないかと思います。そのとき、世界の人口開発問題というこの学際的な問題設定が甚だ有用であり、人口学というのが大いに活用されるべきものというふうに考えております。
 御清聴ありがとうございました。
#6
○会長(柳田稔君) ありがとうございました。
 次に、柴田参考人から御意見をお述べいただきます。柴田参考人。
#7
○参考人(柴田明夫君) 柴田でございます。よろしくお願いいたします。
 私の方からは、世界の食糧市場の動向と日本の課題、こういった点に注目して報告させていただきます。
 初めでありますけれども、日本の農業・食糧市場の特徴ということであります。
 表は世界の主な経済大国が自国でどのぐらいの食糧を生産しているのかというのを比較したものでありますけれども、日本の場合には、米八百万トン、小麦百万トン弱、合わせますと九百万トンの食糧を生産しております。しかし、イギリスですね、国土面積、人口、半分ですけれども、三千万トンの、小麦を中心に、食糧を生産しております。ざっと見まして、世界の経済大国はいずれも食糧生産大国であるということが言えるかと思います。
 日本でありますけれども、日本は、人口、先ほどの一億二千八百万人、国土面積三十八万平方キロメートルを基準にしますと、なぜ九百万トンで足りるのかということでありますが、実は三千万トン近い穀物を、食糧を恒常的に輸入しているということであります。言わば日本は食糧生産小国でありますけれども、食糧のそういう意味では特徴としては、過剰と不足が併存しているというのが日本の特徴かなと。九百万トンの穀物の生産、米を中心の生産でありますが、四十年にわたって米離れの中で過剰、過剰と、こう言われてきたわけであります。一方で、三千万トンの食糧の輸入は本来は不足でありますけれども、当たり前のように思われて、不足という認識がなかったわけであります。しかし、この三千万トンの輸入は、世界の食糧情勢を見ると、改めてこれから不足という認識が強まるのではないかと思います。
 二番目の点でありますけれども、では世界の食糧市場が今世紀に入ってどういうふうな状態にあるのかということでありますが、まずざっとFAOの統計で見ますと、世界の陸地の面積、百三十億ヘクタールでありますが、このうち農用地というのは五十億ヘクタールであります。さらに、これを内訳を見ますと、耕地面積が十五億ヘクタールであり、大半の、残りの三十五億ヘクタールというのは永年草地であります。このうち、穀物は七億ヘクタール、ほかの野菜、果物等で七億ヘクタールと、こういうふうな内訳になっておりますが、基本的にこの数字というのはほとんど変わっていないということであります。確かに、農業開発が進む一方で砂漠化とか農地の壊廃も進んで、足し算引き算すると、この耕地面積十五億ヘクタール、穀物の作付け七億ヘクタール強というのは変わっておりません。しかしながら、今世界においては世界的な農業開発ブームが行われていて、生産のフロンティアがどんどんどんどん広がってきているという状況にあります。その結果、世界の食糧市場が大きな変動リスクというか、ここにさらされるようになっております。
 傾向としましては、需給は長期的に逼迫に向かうと見ております。中国の影響が非常に今大きいという点、それから供給サイドで見ると、生産は増えておりますけれども、今申し上げましたように、制約が強まってきているということであります。それから、世界の穀物の生産というか食糧の生産で見ますと、特定の作物に依存するような格好になっています。米、小麦、トウモロコシ、大豆であります。一方で、バイオエタノールの急増ということで、世界で見ると三つの争奪戦が強まっていると。国家間の穀物の輸入争奪戦、それから市場間の争奪戦、次のページであります農業分野と工業分野、こちらにおきまして水と土をめぐる争奪戦が始まっていると。食糧というのも今世紀に入ると有限の資源の性格を帯び出したなということであります。
 二ページのグラフで、世界の食糧、穀物生産の推移でありますけれども、九〇年代の後半で十八億トンで頭打ち傾向にあったものが現在は二十四億トンと、この十数年で六億トン以上拡大しております。私はこれは需要ショックと見ているんですけれども、薄い棒グラフの部分で、世界の食糧、穀物の需要が、過去、前年を下回ることなく、基本的に過去最大、最高を更新し続けているという状況が見て取れます。生産も増えておりますけれども、異常気象等で増減産を繰り返しながらの生産であるということで、非常にマーケットが不安定になってきているということであります。需要ショックの中身でありますが、二十四億トンの穀物需要のうちの半分近くが家畜の餌ですね、飼料用需要になっております。肉の消費が増えているということであります。
 短期間に見ると、三番目であります、マーケットの特徴でありますけれども、下の大豆、小麦、トウモロコシのグラフのように、今世紀に入ってから非常に価格が高騰する中で価格変動リスクが高まってきております。
 一方で、価格の水準が上がったことによって、先ほど申し上げました世界的な農業開発ブームが広がっているということであります。その特徴でありますけれども、新大陸型農業の開発を目指した世界的な穀物、食糧の商品化、装置化、機械化、情報化、化学化、これは農薬、肥料を多投する、それから遺伝子組換え等によるバイテク化、これによって供給量が飛躍的に拡大しているという姿が見て取れます。言わば農業の脱自然化というのが進んで、その結果、生産も飛躍的に拡大しているわけでありますが、しかし考えてみると、農業はやっぱり自然の領域に深く関わるものでありまして、ここに地球温暖化、水の制約、植物の多様性喪失、こういう傾向が強まりますと、AとBの両方のせめぎ合いでマーケットが非常に不安定になってきている、そこに投機マネーが入って更に価格が変動するという状況になっております。
 需要サイドで見ると、将来的な食糧問題に備えて、中国などが大豆、トウモロコシの輸入拡大を増やしているということであります。加えて、中国のみならず、近年は中東・北アフリカ地域においても食糧の輸入が急速に拡大しているという状況が見て取れます。
 次のページでありますが、中国につきましては、食糧の需要の拡大ということでありますけれども、真ん中の絵がありますが、これは食糧生産、中国における食糧というのは、米、小麦、トウモロコシ、大豆、それに芋類を重量を五分の一にして加えたものが食糧であります。
 九〇年代までは、この緑色のひたすら量を確保するという方向で食糧の生産が増えていたわけでありますが、今世紀に入ってからは、赤い矢印でありますが、肉の形で食べる、間接的に餌としての需要が増えているという状況の中での食糧の生産が増えているという状況であります。それでも、中国においては、拡大する食糧生産に需要が追い付かないという形で、輸入が増えております。
 近年の輸入の拡大というのは大豆において非常に顕著でありまして、九〇年代半ばまでほとんど自給していたものが、足下は七千万トンを超える輸入量となっております。世界の大豆貿易の六割が中国一国ということであります。アメリカの農務省の長期見通しによりますと、二〇二二年度には一億トンを突破すると、こういうふうな状況になっております。トウモロコシも、国内の生産では足りなくて、既に二億トンを超える生産量でありますが、二百五十万トンの純輸入国。米、小麦も、中国においては自給ができず、米については四百五十万トンの輸入を行っております。
 非常に、この食糧問題、中国においては重要でありまして、下の方ですけれども、今年の二月二日、国務院が、毎年一番最初に報告書を出す中央一号文書の中で農業問題を取り上げているわけです。過去振り返ってみますと、連続十二回、中国の三農問題、農業・農民・農村問題が取り上げられていて、食糧をいかに増産していくのか、食糧の安定供給を図るのかということが示されているということであります。三ページの下の方ですね。一の部分で絶えず増強していくという、それから二、三、四、五、実は三十二項目にわたって農業問題を取り上げていて、将来的な食糧不足に備えて、転ばぬ先のつえを五年先、十年先について対応しているなというのが見て取れます。
 こういう中で、五番目の点でありますけれども、新たな課題として中東・北アフリカ地域の食糧問題というのが取り上げられるかと思います。
 この地域においては、食糧の需要が急増しているということであります。背景には、人口の増加、それぞれの国で見ても年間二%台後半ぐらいの人口の伸びをしております。所得も、石油収入の増加によって増えているところもありますし、足下、ちょっと原油が急落しましたけれども、いずれ反動高が来ると思います。
 二番目のところですね。拡大する食糧の需要に対しては、この域内というのは世界的な乾燥地帯、半乾燥地帯、あるいは水資源の制約の強いところでありますから、域内での生産拡大が非常に難しいということであります。そこで、結局は輸入の拡大という形で世界のマーケットに依存するという構図になっております。
 今や、世界の穀物貿易の三分の一が中東・北アフリカ地域であります。この地域の影響が国際マーケットに影響を与え、国際マーケットにおける非常に価格の乱高下、不安定化というのがこの地域に更にまた逆に影響を及ぼすと。原油の市場の問題と食糧問題というのは、実は非常に重なってきているということであります。
 サウジアラビアなどは、今シリアの近郊で地下水を利用して小麦の生産をしているわけですけれども、二〇一六年までにこの小麦の生産を全部やめる、輸入に置き換えるという、こういうふうなことを考えているようであります。
 この地域の食糧の輸入というのは、中身を見ますと、トウモロコシであり、小麦、大麦、大豆、そして菜種油、日本が輸入しているものと競合する話であります。日本の何らかここの影響を間接的に弱めるような対応が必要かなと思います。
 六番目のところでは、こういう中で水の問題というのも深刻化してきていると。限られた水資源をめぐる争奪戦であり、安全な水へのアクセスということで、上水道の整備により商品化され値段が付くと、またそれはそれで、その地域の昔ながらの地域限定の共有資源であったものが商品化されるというところでまた問題が起こったりということであります。幾つか水の問題も多様化していると。
 こういう中で、五ページでありますが、日本の食糧市場、今までは安い食糧を幾らでも海外から輸入調達できるという、こういう環境にあったわけですが、価格、品質、供給、この三つの安定が脅かされつつあるということであります。
 こういう中で、世界の食糧事情を考えた場合には、日本のいわゆる国内のミニマムの生産力というのはきちっと維持する必要があるなと思うんですけれども、最近の自給率の目標の引下げというところはちょっと気になるところであります。しかも、米の生産量というのは食用米で八百万トンを割り込んできたということは、最も優れた生産基盤であります水田が、これが生産力が非常に脆弱化しつつあるのではないかと思います。
 アベノミクスの攻めの農業、もちろん異存はありませんけれども、ここの、しかし攻めの対象になる部分が、下にちょっとポンチ絵を描かせてもらったんですけれども、平地の産業政策の対象になって、農地を集積し、付加価値を付け、輸出に打って出るというこの部分というのは、実は水田の面積二百五十万ヘクタールのうちの今のところ二十万ヘクタールぐらいかなと思います。残りの二百三十万ヘクタールというのは、この右下の中山間地、なりわい的な農家が行っている生産であります。もちろん左の上の領域の攻めの部分というのは重要でありますけれども、残されたなりわい的な農業というのをどうしたらいいのかというのが、非常に私はここが肝腎かなと思っております。
 次のページですね。鶴見俊輔先生の丸ごとについての発言があるんですけれども、丸ごとと全体と、こう分けております。農業における水田というのは、その地域の経済を丸ごと保全しているんだと、こういうふうなことであります。人間の手、足、指、頭、目などのように有機的に結び付いて、一つ欠けても全体がおかしくなるということでありますが、農業生活において、特に地域の生活で、農地、水、人、水源涵養林、こういった構成要素を全体ではなくて丸ごと維持してきたものが稲作農業であるということでありまして、ここで今、並行的に米八百万トン、水田面積二百五十万ヘクタール、農地全体四百五十万ヘクタール、ここが機能が失われていくようであれば、これはいわゆる攻めの農業の部分も持続が難しくなってくるのかなと思います。
 国内のミニマム生産力というのを維持した上で、そして日本の世界的な貢献という意味では、八番目でありますけれども、特に、海外での食糧の増産、そして栄養不足が懸念されるその現地における生産力を支援していくという、あるいは日本におけるポストハーベストの後の無駄ですね。例えばインドなどは小麦の生産、大増産になっていますけれども、随分腐っているものも出てきているんじゃないか、こういうふうに懸念されております。ポストハーベストの管理とか、日本の行える貢献というのは随分あるのではないかと、こんなふうに見ております。
 以上であります。
#8
○会長(柳田稔君) ありがとうございました。
 これより質疑を行います。
 質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。
 委員の一回の発言時間は答弁を含め十分以内となるよう、また、その都度答弁者を明示していただきますよう御協力をお願い申し上げます。
 質疑及び答弁とも、御発言は着席のままで結構でございます。
 まず、大会派順に各会派一人一巡するよう指名いたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 中泉松司君。
#9
○中泉松司君 自由民主党の中泉松司でございます。
 加藤、佐藤、柴田、お三方の参考人におかれましては、こうして足をお運びいただきまして、貴重なお話を聞かせていただきましてありがとうございます。大変勉強になりましたし、参考にさせていただきます。
 世界の人口はこれから増える、そして、日本の人口は一方で減っていく、日本の人口は構造も変わってくると。世界の農業はこれから、食糧の取り合いとは言いませんけれども、確保が非常に厳しい時代を迎えている。そしてまた、一方で、日本では、先ほど柴田参考人からもお話がありましたが、米の需給のバランスの問題等々、逆にそういったマイナス、内向きな面で非常に厳しい状況を迎えているというところで、これとしっかりと向き合いながら時代の変化に対応して、どのようにして我々が取組を進めていくのかということが重要なんだと思っております。
 その上で、お三方にお聞きできればいいんですが、時間の関係もありまして、限られた時間の中でですけれども、まず加藤参考人にお話を伺いたいと思います。
 加藤参考人に限らず、これ、総じて言えるんですが、今、日本の人口が減ってきている、そして少子化、そして高齢化社会を迎え、さらに今度、高齢者が減るような時代を迎えていく、そういった時代にどういうふうに対応していくかというのは非常に難しいと思っております。
 私は秋田県選出でありまして、秋田県というのは、御存じの方多いと思いますけれども、日本の中で一番少子化、高齢化が進んで、これから人口減少社会といち早く、多分先頭を切って向き合わなければいけない、そういう地域でありまして、百三十五万人いた人口が今は百四万人を切るところまで来て、ここ数年で百万人を切るだろうと。子供の数というのも、今はもう六千人ぐらいしか県内で生まれておりません。団塊の世代が生まれた頃は四万八千人ぐらいの方が秋田県で生をうけて生活をしていましたので、そういったところで、やはり様々な社会、年齢構造のバランスの変化や、そして人口減少そのものといったものに直視していかなければいけない地域でもあります。
 そういった中で、少子化、人口減少社会にどのようにして対応していくのかというのはようやく広く国民に理解をされてきた部分があるのではないかと思っております。特に秋田県は、増田レポートなんかでいいますと、二十五市町村あるんですが、二十四市町村は消滅可能性都市と、二十四市町村はいずれなくなっていくんだよというような指摘をされておりまして、非常に県民としても危機感を持っている方が多くなってまいりました。これ、地方の方がやっぱり深刻に考えている部分が多いと思うんですが、そういったところとどのようにして向かっていくか。
 先ほど、加藤参考人のお話の中では、一億人をどのようにして維持していくのか、そしてまた女性の輝く社会、社会参加や少子化対策に力を入れているところが一定の成果を上げているというようなお話がございました。
 世界を見れば、日本のほか、韓国、台湾、シンガポール、ドイツ、イタリア、スペインなんというのが挙げられておりましたが、いわゆる人口減少に立ち向かっていくその効果というのがなかなか出せていないと。そして、一方で、アメリカ、フランス、スウェーデン、イギリスといったところは回復してきている、又は堅調に推移をしているというようなお話がありました。
 こういったところで見習うべきところや参考にすべき点というのはたくさんあると思うんですが、一方で、例えば婚外子を認めるか認めないかであったり、堕胎をどういうふうに考えるのかであったり、宗教上の問題も多々ありまして、それぞれの地域で行われている政策というものが日本の風土や文化といったものに合致をするかというと、それはストレートに合致をするというふうな単純に考えられるものではないと私は思っております。
 そういった中で、加藤参考人が考える、それぞれの国の政策等を見て、日本が、我が国が参考にすべきそういった考え方というものがありましたら、是非御教示をいただければと思います。
#10
○参考人(加藤久和君) ありがとうございます。それでは、御質問にお答えさせていただきたいと思います。
 まず、地方の問題でございますが、地方消滅、私も関係しておりまして、非常に御迷惑をお掛けしたというふうに考えておりますが、といっても、物理的に地方がなくなるわけじゃありません。二十歳から三十九歳の女性人口が半減するということで、そう定義をさせていただきました。
 やはりこれも、秋田県だけでなく地方において、住まい方あるいは町の在り方ということは今後考えていかなきゃいけない。ただし、とはいいながら、よそから人を呼んできたのではなかなか解決にならない。日本の中でゼロサムになっておりますので解決にならない。そのためには、やはり子供を増やしていくということが必要かと思います。
 今委員御指摘のように、海外と日本との中では若干風土が違うというふうに思っております。例えば婚外子の問題がございますが、フランス、スウェーデンでは婚外子が増えており、そして出生率も高いんですが、一方で、ドイツでも婚外子は増えておりますが、出生率は高くなっておりません。そういったことで、必ずしもそういった日本の風土と合致しないものを入れたからといって良くなるということではないというふうに考えております。
 一方で、フランス、スウェーデンなどでは政策としまして、例えばフランスでは児童手当、日本における児童手当につきましては二人目以降から出す、あるいは、スウェーデンなんかでも二人目、三人目になったときに傾斜的に増やしていく、そういうように完全に政策的な狙いを持った政策を行っているというふうに考えております。
 今後、やはり私どもの国として、そういうふうに本当に人口を増やしていくんだという考え方の中で政策をつくっていくということが必要なのではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
#11
○中泉松司君 ありがとうございます。
 産めよ増やせよの反省というお言葉もありましたが、そういったことを踏まえた上で、きちんと人口減少というのが本当に問題なんだということを認識をしながら対応していくべきだと思っております。貴重な御意見ありがとうございます。
 時間がないんですね。次に、佐藤参考人にお伺いをしたいと思いますが、これで終わってしまうかもしれません。
 人口問題の課題という、今後の諸課題ということでたくさん挙げていただきましたが、第五の課題として少子化と人口減少問題があると、これ、先ほどの加藤さんとのやり取りでもあったんですが。そして、こうした問題に直面しており、それはポスト人口転換期という新しい時代に突入したことを意味していると。そして、その上で、以下お述べになっておられましたけれども、ちょっと時間の関係ではしょりますが、新しいポスト人口転換期の社会モデルを提示することが期待されているというお話がありました。
 特に、やはり少子高齢化、人口減少社会に直面している我が国にとっては、世代間の扶養の問題であったり様々、持続可能な社会をどのようにして構築していくべきかというのが非常に悩ましい問題であると思っておりますが、その対策として、例えば世代間の負担の見直しであったり財源確保のための税制の問題であったりといったことの様々な取組ということを考えていかなければいけないと思うんですが、ちょっとはしょり過ぎて短くなって申し訳ないんですが、そういう中で、参考人の今どのようにお考えになっているかということが伺えればと思います。
#12
○参考人(佐藤龍三郎君) まず、ポスト人口転換期という、まだ余り使われていない言葉を使いましたけど、これは、従来ですと少子高齢化社会にとか人口減少時代に突入したというふうな言い方がされているんですが、そういったことを全部ひっくるめて話をすれば、先ほど申しましたように、人口転換という非常に歴史的な大きな人口システム、あるいは人口レジームの転換が起こったと、その後の時代だと。
 これは、日本では、具体的に言いますと、寿命の延びと、それから出生率の変化と、それから国際人口移動という、その三つの面で非常に大きな、要するに流れが変わったということでございます。
 それは、寿命の面でいうと、従来ですとまず寿命、ちょっと長くなってしまいますけど、最初に乳児死亡率が下がる、それから若い人たちの死亡率が下がる、しかも中高年の死亡率が下がるというふうに来ていたんですけれども、それがそこにとどまらず老化に、これまでは老化という現象はもうどうしようもないんだと思われていたのが、老化に起因するような疾患の死亡率も最近下がる、つまり高齢者の死亡率も下がる傾向になってきております。そこが一つの流れの変化があるというのが一つ。それから、出生率の面でいうと、人口置換水準からもうずっと持続的に下がってしまうという、この流れがなかなか止まらないという、それが二つ目。それから、三つ目の国際人口の面でいうと、かつて日本は移民を送り出す国であったんですけれども、それが受け入れる国に変わってきている。
 つまり、この三つの局面で見てその大きな流れの変化がある、そのことをポスト人口転換期が到来したというふうに表現しているわけでございます。それが一つで──もう時間がなくなってしまいましたか。
#13
○中泉松司君 大変済みません。限られた時間で、御答弁の時間も短くしてしまった上でお答えいただきまして、本当に申し訳ありませんでした。
 また、柴田参考人にも是非お伺いをしたかったんですが、時間が参りましたのでこれで終わらせていただきます。また個人的に個別に機会がいただければと思っておりますので、よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
#14
○会長(柳田稔君) 加藤敏幸君。
#15
○加藤敏幸君 民主党・新緑風会の加藤でございます。
 今日は、大変貴重な、また非常に何回聞いても問題がいろいろあるなという、そういうふうな提起も含めましてありがとうございます。
 まず、加藤参考人にお伺いしたいんですけれども、参考人が人口一億人、二〇五〇年という一つの目標的な数字を掲げられたということが、これは一つの大きな出来事というんでしょうか、ある種、業績でもあるというふうに私は受け止めております。
 ただ、この一億人というのが、規模もありますけれども、その中身が、構成がどういうふうになっているのかということが非常に大きな課題ではないかと、こういうふうに受け止めておるわけですけれども、その辺の議論はどういうふうなことがあったのか、また、どういうお考えがあるのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
#16
○参考人(加藤久和君) まず御質問ですが、一億、二〇五〇年というのは、今後出生率がこのまま二・〇七という水準まで直線的に上昇していったという仮定の中で計算しますと、ちょうど一億、二〇五〇年、語呂がいいんですが、ちょうどそういう数字がたまたま出たということでございます。と同時に、そのことによって高齢化比率も相当改善していくということで、将来的には二六、七%の高齢化比率で維持できるというような状況になっております。
 以上でございます。
#17
○加藤敏幸君 ということは、合計特殊出生率が二・〇七ということがある程度頭にあってということでございますね。
#18
○参考人(加藤久和君) そういうことでございます。
#19
○加藤敏幸君 それで、実は二・〇七という合計特殊出生率というのは、私も前から思っておったんですけれども、ざっと言って、お子さんをお産みになる方について言えば大体三名、お子さんが三名ということがないと、結婚なさらない方とかいろいろありますから。となると、二人が標準という考え方が、むしろ三人を標準として子供の数ということが前提となってくるのではないかと、こういうふうに思うんですけれども。
 じゃ、子供三人ということがどのぐらい今の現状困難なのかということでありますけれども、その点はどうですか。
#20
○参考人(加藤久和君) 実は、今いろいろなアンケート調査の中で、大体二・五人ぐらい子供を持ちたいというような御希望があります。その御希望を大体満たすと一・八ぐらいということです。ですので、更に二・〇七を目指しますと、今委員御指摘のように、三人程度ということになります。相当厳しい目標でもありますが、しかしながら、世界全体を見ていても特に絶対に難しいということではなく、やはり一つの目標として定めていくということが必要になろうかということで数字を出させていただきました。
#21
○加藤敏幸君 そういうことで、私どもも昔、賃金を考えたときに四人世帯を標準に要求を作ってきたということですけれども、これはこれから五人を標準家庭として全ての仕組みを考えていく必要があると、このように思いますので、なかなか従来とは違った意味で政策的には変更していかないかぬと、こういうふうに思います。
 次に、佐藤参考人にお伺いしますけれども、最後にまとめられた、日本の役割というのは懸け橋的な役割があると、こんなふうに言われたんですけれども、なかなか世界の現状はそう簡単にこの人口問題ということを対応できないという私は現実があるというふうに思うわけで、言わば先輩としての経験知を各国に、こうであってこうであったということを、知見を提供するという立場ということはあっても、懸け橋という、先進国と発展途上国との間にどういうふうな懸け橋があり得るのかということについて何か具体的にあれば教えていただきたいと思います。
#22
○参考人(佐藤龍三郎君) 例えばの話でありますけれども、今JICAなどを通して国際協力が行われております。そういう中で、開発途上地域で乳児死亡率でありますとか妊産婦死亡率でありますとか、そういったものを下げるというときに、日本は、これは戦争の少し前からですけれども、例えば母子保健手帳というのもありましたし、そういった形での草の根的な活動をしております。そういったことが参考になり、例えば日本の母子保健手帳が今アジアの各国で使われているということもあります。
 これはもちろん経験の伝授であって、懸け橋というのにはまだちょっと遠いわけでありますけれども、そういったいろんなことを積み重ねていくということになるかというふうに思います。
#23
○加藤敏幸君 ありがとうございました。
 最後に、柴田参考人にお伺いしますけれども、食糧問題として主に穀物、農業生産物を中心にお話をいただいたんですけれども、一つは、やっぱり海産物の、海の資源をどうするかということも大きな課題だと思います。一つ、私は、日本の漁業はやややっぱり乱獲ということがあって、資源を自ら失っているという側面もあるんじゃないかということを思いますから、ここの点を、海の資源をどうキープし拡大していくかという点が一つ。
 もう一つは、やっぱり牛肉一キロを作るのに穀物十一キロが必要だと。豚は七キロ、これは鶏が四キロ、卵は三キロという、ざっとそういう食物連鎖上の構成があって、やっぱり牛を食べることが相当穀物を消費するということにつながるという意味での食の在り方を国際的にどう考えていくかと。やっぱり肉食に変わっていくこと自体が食糧生産に大きな負荷を掛けるという側面があると思いますので、そういう問題。
 それからもう一つは、フードロスを生んでいる私どもが食糧問題について真っ正面から世界に物を申すという場合に、やや私としてはちょっと、もう少し足下をしっかりしてからという気がするんですけれども、その点はいかがでしょうか。
#24
○参考人(柴田明夫君) 三点御質問をいただいたんですけれども、まず海産物については、実は世界の食糧の問題の十年ぐらい先行しているのが海の資源の問題かと思います。日本は水産大国でありますけれども、やはり一人当たりの魚の消費量が六十キロ近辺まで米と同じように減ってくる中で、高齢化が進み、実は沿岸での生産量も減ってきて輸入をしているわけですけれども、やっぱり輸入への依存が高まっているという問題を抱えています。したがって、これ非常に大きな問題、乱獲に限らず、どうするのかという構造問題を抱えているなと思います。
 それから、豊かになって都市化が進めば外食が増え、やっぱり肉の消費が増えてくるというところで、これはなかなか止められない動きのような気がします。既に日本においては、牛の輸入の部分と、羊の肉もそうですが、乳製品においても、非常に今、中国などと競合が始まってきているという状況にあります。
 それから、ロスの問題は、確かに人のことを言う前に我が身を振り返ると、皆、やっぱり食品のロスの問題というのは、非常に今無駄に使っている部分があります。四千万トンの量的な供給があるわけですが、最終的に使われているのが二千万トンで、二千万トン近くは途中でロスになっているという部分もあります。いかにこのロスを減らしていくのかというのは課題であります。これは食糧に限らず、水の問題もそうであります。
#25
○加藤敏幸君 大変ありがとうございました。
 終わります。
#26
○会長(柳田稔君) 谷合正明君。
#27
○谷合正明君 公明党の谷合でございます。
 今日は、三人の参考人の先生方におかれましては、大局的な見地から御示唆を賜りました。ありがとうございます。
 早速質問に入りたいと思います。
 まず、加藤参考人にお伺いします。移民政策について伺いたいと思います。
 私も国内外の難民問題についてずっと取り組んでまいりまして、アメリカなどにも行ったりして、移民政策とも関連していろいろと現地でもヒアリングをしてきたんですけれども、結局、我が国の移民政策の基本的な方向性というものが定まっていないものですから、この難民政策についてもいまいち取るべきスタンスというのがはっきりしないというふうに私も思っているんですね。
 これまで日本の政権というのは、どの政権も移民政策を受け入れるとか受け入れないとかはっきりしてこなくて、はっきりしてこないというか、今の安倍総理については移民政策は採用しないというふうに言っておられるわけであります。これは、政策的な判断というよりはむしろ政治的な判断なのかもしれません。
 加藤参考人におかれましては、移民を受け入れるというようなスタンスだと思うんですね。我が国は、結局、移民政策を取っていないという立場を取っておりますので、例えば外国人の研修生、実習生も、これは移民じゃないと、一時的に三年ほど期限を決めて、しかも家族は呼んじゃいけないとか、そういう制約があるわけです。
 そこで、まず、先生にお伺いするんですけれども、先生が移民という言葉を使うときに、移民のその定義というものはどういうものとして使っていらっしゃるのかということと、その上で、移民受入れの目的は何なのか。人口減少対策を補完する目的なのか、あるいは経済成長の、特にイノベーションという言葉をお使いになったと思うんですけれども、その担い手である高度人材のみを受け入れる目的なのか。また、日経新聞等には、先生、二百万人程度は可能ではないか、可能というか、二百万人程度で十分じゃないかというお話もあったんですけれども、その二百万人という数字の根拠というのはどういうものなのか。
 私、その二百万人、高度人材だけ、つまり我が国にとって必要な人だけが来るという状況というのはなかなか考えづらいなと。結局、付随的にたくさんの、就労目的で、言わば単純労働目的の外国人も来るんじゃないかなと思っておりますし、国際社会の中からは、そうであれば難民の受入れもしっかりしろよというプレッシャーも受けるんじゃないかとは思っております。
 質問の前振りが長くなりましたけれども、移民政策についての先生の改めて御所見を伺いたいと思います。
#28
○参考人(加藤久和君) ありがとうございます。
 今、議員御指摘のとおり、政府としての方向性というのが十分に定まっていないというところが大きな問題かと思っております。その一方で、例えば現在法務省などでやっておりますポイントシステム、高度人材を入れていくというような形のものがございます。ヨーロッパなどでも、やっぱり移民を入れていく場合にはこういったポイント制というのを採用しているところがございます。ただし、我が国ではほとんど入ってきていないということもあります。まずは、どの程度のどういう人たちを我々は迎え入れることができるのかという議論が最初にあってしかるべきかというふうに考えております。
 また、目的につきましては、これ、人口減少の部分を補完するのはとても人数的に無理だろうと思っております。二百万人というのは、実は現在二百万人程度いるので、それと同じくらいの数だったら多分受け入れられるんじゃないかという程度で、特に根拠のある数字ではございません。特に、その二百万人、高度な人材で、経済の活性化ということを目的に入れていくということでいろいろと説明をさせていただいたということでございます。
 以上でございます。
#29
○谷合正明君 そうすると、参考人の移民という定義は、もう少し絞り込んだ高度人材だということでよろしいでしょうか。
#30
○参考人(加藤久和君) おっしゃるとおりです。高度人材あるいは留学生といったような形で日本の経済に貢献をしていただけるような方々というふうに考えております。
#31
○谷合正明君 分かりました。
 それでは、時間の制約もあるので、続きまして柴田参考人にお伺いいたします。
 実は私も農業経済専攻しておりまして、参考人の、農村地域、中山間地域を、我が国の場合、しっかりこれを守りながら農業政策というものを展開しなきゃならないという意見というのはよく分かっているつもりでございます。
 その上でお伺いしたいんですけれども、まず端的にお伺いしますけれども、国内外のそうした食糧問題に鑑みて、適正な食糧自給率の水準というのはどの程度であるというふうに考えていらっしゃるのか、また、それは可能なのかということについてお伺いしたいと思います。
#32
○参考人(柴田明夫君) 目標とする食糧自給率というのは私は五一%ぐらいと、国民が安心するレベルということで過半数をちょっと超えると。しかし、可能なのかというのはなかなか、今四割まで持ってくるのがやっとというような状況ですから非常に難しいとは思うわけですけれども。
 そこで、目標自給率を今回五〇から四五に下げたわけですけれども、より現実的にというふうな意味合いでですね。しかし、それは下げることによって、特に生産農家から見れば、将来的な農業へのウィルというかやる気というか、この部分もそがれて、特に稲作農業においてはしまう可能性が高いんじゃないかという気がします。ここは、何としても目標自給率というのは高いままに一応しておく必要があるんじゃないかという気がするんですけれども。
#33
○谷合正明君 もう一問できそうなので、続けて柴田参考人にお伺いしますけれども、農村地域、特にこういう地域において、農業政策も農水省は地域政策と産業政策分けられるなんという話をするんですけれども、特に、地域政策は多面的機能を維持するという意味ではよく分かるんですけれども、農村地域で稲作農家が現金収入を得てしっかりなりわいを維持できるという意味においての、農村地域において産業政策的に何かアプローチというのを本当にできるものなのかということを参考人の御所見をお伺いしたいんですけれども。
#34
○参考人(柴田明夫君) 農村地域の産業政策って、昔は地域経済においては工業部門の出先の工場とか、それから建設、それから公務員、これが三つの柱で、しっかり経済を支えている部分があったと思いますけれども、今はそういったところがだんだん乏しくなってくると、やはり農業を見ていかざるを得ない。こう見ると、農業部門での産業化というのはなかなか実は難しいのかなという気がします。ただ、そういう意味では、成長を目指すのではなくて、しっかりと安定を目指すというのが当面の課題なんだろうと思うんですよね。
#35
○谷合正明君 時間になりますので、ありがとうございました。
 どうも失礼いたします。
#36
○会長(柳田稔君) 柴田巧君。
#37
○柴田巧君 維新の党の柴田巧です。
 今日は、大変お忙しい中、三人の参考人の皆さんにはそれぞれのお立場から大変示唆に富むお話をお聞かせをいただきまして本当にありがとうございます。私からも感謝を申し上げたいと思います。
 まず最初に、加藤参考人にお聞きをしたいと思いますけれども、先ほどのお話の中で最後の方に、グローバル化への対応、「我が国の持続可能な繁栄に向けて」の中にもありますが、グローバル化への対応ということで留学の重要性について御指摘をされたと思っておりますが、まさに、先ほどの移民政策とも絡むところが正直ありますけれども、世界の高度な人材あるいはそういった優秀な留学生の世界的な獲得競争に今入っていると思っております。
 されども、他国と比較すると、我が国の留学生政策といいますか、非常に心もとないというのが正直なところでありまして、例えば留学を促進する機関、日本学生支援機構なども海外にセンターがありますが、四つですかね、しかありませんが、例えば中国の孔子学院などはもう世界中にあるし、他国もそういう具合に力を入れていますし、こういった面でも非常に見劣りをします。また、生活面の支援であるとか奨学金の問題とか、あるいは、例えば帰国してからのフォローアップがない、ネットワーク化が図られていないなどなど、非常に他国は戦略的にこういう留学生の獲得政策をやっていると思いますが、我が国はそれに比して言うと本当にインパクトがないものだと。
 これでは優秀な留学生を獲得できないし、それはまた翻って我が国の成長とかそういった問題にも響いてくるだろうと思っていますが、加藤参考人は戦略的な留学生政策を取るためにまずどういうところから直していけばいいというふうにお考えか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
#38
○参考人(加藤久和君) ありがとうございます。
 実は、今議員御指摘の話というのは本当に私もそのように考えております。例えばバンコクなどで、この間バンコクに行ったんですが、そのときに、孔子学院、あるいは韓国も様々な語学学校を展開しておりまして、一方で日本はなかなかそこまで、日本語の教育というところまで手が回らない、あるいはJASSOの奨学金も少し先細りになっております。そういう意味でいうと、こういった留学政策をきちっとやっていく、我々、若い人たちが海外に行くことによって人材が教育をされ、また海外から優秀な方が来ることによって活性化される、こういった留学政策がどうしても必要だというふうに、私も同じように考えております。
#39
○柴田巧君 ありがとうございます。
 次に、続いて加藤参考人にお聞きをしたいんですが、最後の最後の方で、国土構造の見直しが重要だということをおっしゃいました。今日は時間の関係もあって特に多くはお話をされませんでしたが、事前にいただいた資料などを読ませていただくと、いわゆる地方の若者が要するに東京に、大都会に出ていかなくていいような、そういう拠点都市づくりをすべきだということをおっしゃっているわけですが、そのためにはどういう具体的に政策誘導が、例えば国の支援策が必要だとお考えになっているかというのが一つ。
 それとも関連をしますが、大変その中で興味深く思いましたのは、高学歴の若い女性が住みたいと思える都市づくりを進めることが肝要だということをおっしゃっているわけですが、そうだと若い男性も残るということなんだろうというふうに理解をしますが、そういう若い女性が魅力を感じる都市づくりをする上では特にどういうことが重要であって、実際にそれで成功を収めているような都市、地域があれば教えていただければと思いますが、併せてお聞きをしたいと思います。
#40
○参考人(加藤久和君) ありがとうございます。
 実は、非常に難しい問題でございます。どういうような政策誘導をするべきか、今政府が進めておられます地方創生とも絡みますが、基本的に拠点都市に集中的に投資を行っていく。今、一億二千万の人口が八千万になっていこうという中で、なかなか全ての地域を満遍なくやっていくことは今後難しいだろう。三十年後、四十年後のことを考えますと、拠点的な都市に集中的に様々な投資をしていくということだと思います。
 また同時に、若い女性というふうに申し上げたのは、若い女性の方が学歴も高くなりつつあって、仕事がないとすぐにやっぱりほかのところに移住してしまうということがあります。そういった方々が、魅力ある町づくり、仕事も必要だと思います、そういった高学歴の方々に合うような仕事をつくり、かつ、やっぱり生活面で様々なアミューズメント等も含めて満足いくような環境というのをつくるための都市型の政策というのが必要になってくるんだろうと。
 ただ、議員御指摘のように、どこが具体的かというと、それでうまくいっているところというのを挙げろと言われても、なかなか現在は難しいということかとは思っております。
 以上でございます。
#41
○柴田巧君 ありがとうございました。
 次に、佐藤参考人にお聞きをしたいと思います。
 いろいろお話を聞かせていただいて、改めてこれからの時代、人口学というのは極めて重要な学問領域だというふうに認識をしたところですが、先ほど御指摘をされたように、とはいえ、その研究教育体制というのは非常にまだまだ弱い不十分なところがあるということでございますが、これだけ大きな政策課題、国にとって大きなテーマになっているにもかかわらず、人口学に係る、人口に係る教育研究体制というのがそういうことでは、やはりいい政策をこれはつくってもいけないというふうに考えるわけですが。
 したがって、これの充実強化にはどういう取組が必要か。特に、どういう学問分野でもそうなんでしょうけれども、若い人に魅力のある学問領域になっていかなければいけないんだろうと思いますが、そのためにはどういうところを改めていく必要がある、あるいはどういうサポートがあったらいいなと思っていらっしゃるか、併せてお聞きをできればと思います。
#42
○参考人(佐藤龍三郎君) 大変ありがとうございます。
 日本で人口学という学問が非常にマイナーなことにはいろいろな理由があるかと思いますが、やはり一つは、日本人の特徴といいますか、非常に縦割りで、純粋科学的なことは大変得意だけれども、学際的といいますか、総合的に何かの課題にアプローチしていくということがちょっと弱いのではないか、欧米に比べてということがあるかと思います。
 そういうことで、そういう中で人口学ということを広めていくためには、一つはやはり研究体制の確立ということで、国立社会保障・人口問題研究所、これは私が前いたところですのでかなり我田引水になってしまうんですけれども、やはりもう少し、マックス・プランク研究所とかそういう、フランス国立研究所並みとは申しませんけれども、もう少し拡充してもいいのではないかと。
 例えば、今、トッドという人が非常に文化的なあれを言われて、あの方は実はフランス国立研究所の方なんですね。余りほかに何かをしなければいけないみたいな義務がなくて、自由に研究ができるという非常に恵まれた環境にあるということでああいう大きな発想が生まれてくるということもございます。
 それから、教育の面では、日本で人口学という専任の教授が置かれているところは非常に少なくて、例えば加藤先生のいらっしゃる明治大学を始めとして幾つかありますけれども、本当に少ないんですね。そういう面で、やはり主要な大学で少なくとも科目としての人口学というのを置いていただくように、これはちょっと私の本当に我田引水になってしまいましたけれども、人口学というのは、まさに今大学教育で求められている自然科学や社会科学の、社会現象や自然現象を計測するというその方法論の立場と、それから教養といいますか二十一世紀の教養、この二つの面で非常に私は大切なことじゃないかと思いますので、そういう点を大学の方でもう少し理解していただいて、せめて科目を増やすというところをやっていただけたら大変有り難いというふうに思っております。
#43
○柴田巧君 終わります。
 どうもありがとうございました。
#44
○会長(柳田稔君) 紙智子君。
#45
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 三人の参考人の先生方、どうも今日はありがとうございます。
 それで、人口問題、食糧問題というのは本当に大きな問題で、それぞれ関連もあるわけですけど、今日はまず三人の方にお聞きしたいんですが、食糧問題で国連食糧農業機関、FAOが昨年の九月に報告を出しているわけです。世界で飢餓で苦しむ人たちが二〇一二年から集計期間で約八億五百万人となったと。過去十年間で見ると一億人以上減っているんですね。九〇年代からでいうと二億人以上減少したという報告になっています。
 報告書によりますと、発展途上国全体での飢餓人口の減少は、適切かつ即時に対応が図られるならば、二〇一五年までの飢餓人口の割合を半減するというミレニアム開発目標ってありましたけれども、そこに向けて可能性が出てきているということなんですけど、同時に、全体的に改善は見られているけれども、なお飢餓人口の削減においては後れを取っているということも指摘しています。
 それで、日本のことを考えると、食糧の多くをやはり海外からの輸入に依存しているということもあり、その一方では結構残渣を捨てたりということもあるんですけれども、日本の現状も踏まえながら、今後解決していくためにはどうしたらいいかというところなんです。
 私自身は、少なくとも日本は国民の食べる食糧はやっぱり自分たちで賄えるぐらいの国内の生産を増やすということ、自給率を上げていくということがやっぱり非常に大事だと思っているんですけれども、三人の先生方、それぞれ一言ずつお願いできればと思います。
#46
○参考人(加藤久和君) 済みません、私ちょっと専門的な知識が余りないので、きちっとしたお答えができないので、御勘弁いただければと思います。済みません。
#47
○参考人(佐藤龍三郎君) 私もちょっと専門的なことはできませんが、ただ、一つは、飢餓人口が増えているということは、やはりアフリカなどで人口増加率が非常に高くて、貧困率が改善しても人口は増えてしまうというふうな、そういうこともあります。人口政策というのは非常にデリケートな問題ではありますけれども、やはりそういう地域というのは女性の地位が低いとか、非常にそういった問題がありますので、主に女性の地位の向上とか、あるいはまた子供の死亡率が高いということもありますので、そういったことの向上ということを通して、そういう人口増加の激しい地域ではそこに何かブレーキを掛けていくような形でのサポートということもあっていいのではないかと思います。
#48
○参考人(柴田明夫君) 飢餓人口が二〇〇八年のときは十億を超えていたと思うんですけれども、これは確かに減ってはいるんです。十億を超えたときは世界的な食糧危機で、穀物価格が高騰したときであります。値段が上がることによって買えない層がまた増えたという問題があります。じゃ、値段がなぜ上がったのかというような部分では、一つはやっぱり投機マネーの影響というのもあると思うんですね。
 マーケットは非常に不安定化してきているということでありますと、一つは正しい情報を提供していく、こういうことが必要かと思いますし、分配の問題というのも重要なんですけれども、ただ強制的に分配してしまうと、値段が下がることによって翌年の生産が抑制されて、結局同じことが起こってしまう。もっとひどいことが起こってしまうという可能性もありますから、やっぱり現地における生産能力というのを付けていくということが基本なのかなと。アマルティア・セン先生ですね、飢餓と食の部分で言っているエンタイトルメントというところの重要性が今問われていると思います。
#49
○紙智子君 ありがとうございます。
 もう一つ、柴田参考人にお聞きしたいんですけれども、日本の食糧自給率の問題に関わって、先ほどもありましたけれども。
 それで、柴田参考人、事前に配られた資料を見ておりまして、自給率について、一九六〇年の七九%だったのが二〇〇〇年四〇%までほぼ一貫して低下をして、ここ数年は三九%で低迷していると。その主な原因の中に、米の生産量の減少の問題、それから稲作農業というのが、地域経済、ひいては国土を丸ごと保全していくために不可欠な生産レベルを下回ってしまったんじゃないかという指摘がありました。農村において、農地、水、水源涵養林、人という構成要因が丸ごととして働いてきたんだと。それを維持保全してきた最大要因が稲作農業だったというふうに考えていると。しかしながら、米生産が八百万トンを割り込むようになったら、もはやこの国土を丸ごと保全していく機能が決定的に失われてしまうんじゃないかというふうに懸念をされているわけです。自給率目標の引下げが、先ほども話があったんですけれども、その現状を容認することになりはしないかと。つまり、五〇%一応目標だったのが四五%になっているということについても指摘されているんですけれども、この現状を打開する在り方ということで、どのようにお考えかということ。
 あわせて、今報道も毎日されていて、経済連携協定という形でTPPなんかも今交渉されている最中ですけれども、妥結するためにはもっと日本には米を輸入せよということなんかも含めていろいろやり取りがされているんですけれども、国内生産、国産米を努力しなければならないときにもっと輸入をということになった場合にやっぱり大きな打撃を受けるでしょうし、水田そのものも本当に大きく変わらざるを得ないということになるんじゃないかというふうに思うんですけれども、ちょっとそんなことも含めてお考えをお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。
#50
○参考人(柴田明夫君) 自給率というのは食生活のレベルを意味するものではないわけであります。ただし、自給率が低いということは、生産力、すなわち自給力が下がっているという、そこに問題があると思うんですね。その自給力を支えてきたものは日本の私は稲作であり、水田というのは最も生産性の高い、農業にとってみれば土地でありますから、ここの維持が非常に難しくなってきているというふうに考えます。だから、そこに危機感を持っているわけであります。
 TPPについては、これ、米の今非常に議論されて報道ではいますけれども、私は、実はそんなには入ってくる可能性は少ないんじゃないかな、数万トンのレベルではあると思いますけれども。日本向けに米を輸出する国はどこか。中国、アメリカ、オーストラリア、それからタイでありますけれども、いずれも、中国はもう国内で足りないんですね。ジャポニカ米を四百五十万トンぐらい輸入している国であります。それから、オーストラリアは二〇〇七年、八年度、大干ばつで、米の生産は非常にもう水が足りない。アメリカも、カリフォルニアは五百年に一度の干ばつがずっと続いているところで、もはや米は非常に作りにくくなっているということです。タイは、九三年の平成米騒動のときに余り日本の好みに合わないという話ですから、どこから持ってくるのかというと、案外、日本向けの輸出力のある国はないかなと。問題は、日本の米離れの方が問題だなという気がしますけれども。
#51
○紙智子君 じゃ、時間ですので、終わります。
 ありがとうございました。
#52
○会長(柳田稔君) アントニオ猪木君。
#53
○アントニオ猪木君 先日、予算委員会でUFO、未確認飛行物体の質問をしたらちょっと大騒ぎになりまして、CNNまで取り上げたという。
 いろんな地方創生ですね、書かれていますが、その中で、いろんな手紙が来ましたが、一つが面白いので、ちょっと読み上げさせてもらいます。
 初めまして。自称日本一小さな観光協会、嶋津観光協会の平野と申します。先日、TBSのNスタで猪木さんが木津呂を紹介していたと東京の友人から聞きました。そのビュースポットを発信し、御案内させていただいているので、とても驚き、うれしく思っています。嶋津は、住民十五人、八軒の限界集落です。このまま何もしなければなくなってしまいますと思い、私設観光協会をつくりました。山の上から見た木津呂は、紹介したとおり、面白い形をして話題になり、UFOのつながりで同市の速玉大社はUFO神社だと言われています。同市の名物がUFOパイ、何個か山を越えた玉置神社付近にはUFOの目撃情報が多いという神秘的なところです。
 写真が、本当にUFOの形した島なんですね。それで、観光協会の会長が犬だったり、猫だったりですね。
 私が今言いたいのは、発信力という、一つのメディアを通じた発信をしていくことによって、なかなか日本に、あるいは世界に知らせたいというのがあっても、それが届かないという。これ、参考までにこんな話がありました。
 私も子供のときに移民をブラジルにしましたので、いろいろ農業の経験、サトウキビあるいはコーヒー、いろいろ経験をしました。その後、戦後は日本が景気が良くなったので逆にブラジルから出稼ぎという形で日本に来て、また一部日本の景気が落ち込んだということもあって帰りまして、当時はトヨタとかいろんなところで働いた方たちが今、逆に言えば自動車産業で活躍しているようですが、今後の移民政策について加藤先生に、なかなか難しい問題ですが、お聞きしたいと思います。
#54
○参考人(加藤久和君) ありがとうございます。
 今議員御指摘のとおり、ブラジルやあるいは日系の方々がたくさんいらっしゃって、ただ、問題なのは、日本の場合、そういった方々が、景気が良くなったときに来て悪くなったら帰っていただく。やっぱり来ていただく人は人間なので、余りそういう形で、景気の動向で来てもらったりというような形のことはどうなのかなと個人的には思っております。
 実際に、来ていただいて、日本できちっと生活をしていただけるような方がどこまでいるのかということをやっぱり考えていかなきゃいけないんですが、ただ、今の日本の中でそういった風土の問題を考えますと、全面的にそういった方々を受け入れていくのはなかなか難しいから、そういうことで、先ほども御質問にありましたような形で、高度人材という方々を中心にまずは日本に来ていただくというところから考えていく必要があるかというふうに考えております。
#55
○アントニオ猪木君 柴田参考人にお聞きしたいと思いますが、いろいろ先ほども申し上げたとおり、牧場もやりましたし、牧草資源という、これはアマゾンの現象の一つに森林破壊ということがある。やっぱり、中国人が肉を食べたらという、昔、何十年も前の話で、今の市場の三倍じゃ間に合わない。あるいは、GFというんですかね、そこがコーヒー園をつくると。中国人がコーヒーを飲み出したら、当時の市場の三倍でも間に合わないという。現実にそうなってきましたね。
 そういう中で、非常に中東も今、メッカ参りの時期に約五十万頭ぐらいの羊が必要であると。間違いなくもうこれが足らなくなっているという現状なんですね。そこにはやっぱり牧草資源の問題がありますし、私もそれをリサイクルさせて牛の餌に変えるとか、トウモロコシあるいはサトウキビとかやって、自分で取り組んだことがあるんですが。
 この辺の、今後、人口の増加等を含めて、可能性という、一つ私が思うのは、持続可能という言葉はもうそろそろ変えた方がいいんじゃないかと。どこかでやっぱり構造の変化をして発想を転換しなきゃいけないと、そう私は思っていますが、いかがでしょう。
#56
○参考人(柴田明夫君) 猪木委員おっしゃるように、私は今までの食糧生産、資源の使い方もそうですけれども、地球がもう無限であるという前提で増やしてきたわけですけれども、しかし、二〇〇〇年以降、価格が水準が上がってきているということは、地球の能力以上に人間の活動が活発になってきたという、こういうことでありますから、有限の地球、地球はもう無限ではないという前提で持続可能な農業なり資源の開発なりは進めていかなければいけないなとは思うんですね。
 ごく日本に例えば焦点を絞った場合、やはりどんどんどんどん食糧を海外に依存している。自給率が三九%というのは、逆に見れば六一%海外に依存しているという、こういう状況でありますから、これ、ほかの国から見るととんでもない数字になるわけであります。だから、日本の場合には、やっぱり生態系の範囲内でいろんなものを作ってフルに活用していくという、こういうふうな農業の在り方というのがこれから問われるんじゃないかと思います。
#57
○アントニオ猪木君 もう一つ、水資源の問題が出ましたけれども、本当に世界の水が汚染されて、私も自分自身が水をくんでいろいろ調べたことがありますけれども、ヨルダン川一つ取っても、あの小さな川が結局紛争の種になっているという。その辺は日本は大変恵まれた水資源の国ですけれども。
 今、水田をいかに利用していくか、もっと水を利用したらどうかというような発電のまたアイデアもありましたけど、この辺の、今日本に、ほかの国にない一つの考え方として、それをもうちょっと違う形で日本にある宝を見詰める必要があるんじゃないかなと思いますが、いかがでしょう。
#58
○参考人(柴田明夫君) 水というのは実は地域限定資源であって、一メーター、一メーター、一メーター、一トンの水というのは、これは農業用水ですと二十円ぐらいなんですね。だから、余っているところから足りないところにさっと運ぶにはえらいコストが掛かり過ぎるわけでありまして、そういう面では、日本は水不足の地域とかなり洪水の地域というのが年間でも見られるわけですけれども、ただ、そうはいっても、水資源として見た場合には、例えば日本の、私なんかも実際にそこへ行っていろいろ話を聞いてみると、四万十川の下流なんかは豊富な水がそのまま海に流れ落ちてしまっている。その水をいわゆる資源として中国なり韓国なりに輸出する、そういうチャンスだってあるんじゃないかなという気がします、そのまま捨てられている部分ですから。
 ただ、そういうのが農水省の管轄なのか経産省なのか環境省なのか、全然管轄が決まっていないということなんですね。
#59
○アントニオ猪木君 佐藤参考人にお聞きしたいんですが、人口問題というのは単純なものじゃないというのはもう本当によく分かっています。ソマリアだとかいろんなところへ行って、本当に難民キャンプのところに行って、そういうところで子供がどんどんできていくという。人間のやっぱり生殖本能というか、ジオグラフィックとかいろんなああいうのを見ていますと、やっぱり強い種を残そうという競争の中で、人間もある意味では生物ですから、その辺は変わらないと思うんですけれどもね。その辺の触れちゃいけないものが山ほどあって、日本にはそういう切り込みができないという、でも、その辺をきちっと切り込んでいかないと本当の解決案というのは出てこないんじゃないかなと思いますが、いかがでしょう。
#60
○参考人(佐藤龍三郎君) そうですね、どういうお答えにしたらいいのかと思うんですが。
 今、少子化対策ということが言われて、このままでいくと日本の人口は、極端に言えば日本から人がいなくなってしまうわけですけれども、どうしたらいいのかということで、少子化に対する政策対応というのは二つの方向がございまして、一つは、少子化を食い止めるといいますか、人口置換水準、女性一人当たり子供数二・一になるべく近づけるという政策、これは少子化是正政策と言っております。これに対してもう一つありまして、少子化で人口が減っていく、それに合わせ適応していく、国の形をそれに合わせて変えていくといいますか、そういう少子化適応政策という、この二通りがございます。今、少子化是正政策の方が割ににぎやかで、適応政策の方、これは、実を言うと少子化適応政策というのは誰にとっても面白い話ではありません、国が縮んでいく話ですから。そっちの方がちょっとみんな話すのを嫌がっているというふうな雰囲気があるかなという気がします。
 私は、政策で少子化を是正することはかなり難しいというふうに思っております。ですから、そこで少子化是正の方に余り過度に期待を掛けてしまいますと少子化適応政策の方がおろそかになってしまう、そうすると将来の世代に更にまたツケを回してしまうという、そういう危険もありますので、そこの辺はバランスよく考えなければいけないのではないかなというふうに思っております。ちょっとお答えにならなかったかもしれませんが。
#61
○アントニオ猪木君 時間なので終わりにします。
 ありがとうございます。
#62
○会長(柳田稔君) 浜田和幸君。
#63
○浜田和幸君 次世代の党の浜田和幸です。
 柴田参考人から質問をさせていただきたいと思います。
 確かに、食糧がどんどん日本は生産力が少なくなっている。しかし一方で、植物工場とか海底、海洋牧場、要するに世界の最先端を行くような食糧の生産技術というものも日本は今盛んに進化させつつあるんですけれども、そういうものがもっともっと進んでいけば、今の食糧自給率あるいは自給力そのものが飛躍的に伸びるんではないかという気がするんですけれども、そういう植物工場や海底牧場の可能性、これについてはどういう具合に御覧になっていますか。
#64
○参考人(柴田明夫君) 将来の技術としては、植物工場、海底工場とか期待はされていいと思うんですけれども、ただ、食糧の問題というのは、やっぱりカロリーベースでどのぐらい生産されるのかというようなところで見ると、やっぱり土地利用型の食糧生産に依存せざるを得ないのかなと。
   〔会長退席、理事小林正夫君着席〕
 植物工場は、やっぱり葉物類とか、そういう付加価値面では上げやすい部分かもしれませんけれども、いわゆるカロリーを増やしていくというところではちょっと違うのかなという気がします。
#65
○浜田和幸君 ただ、今後の可能性としては、例えばいろんな栄養素を水耕栽培等を通じて飛躍的に高めていくということも研究が進んでいるようですし、近大マグロなんか、マグロの養殖、世界に先駆けて成功しているわけですよね。最近は、トマトの木に牛肉の、遺伝子組換えによって、要するに植物に肉を誕生させるというような技術も実験段階では進んでいますよね。これは確かに遺伝子の組換えのちょっと危険な側面かも分かりませんけれども、科学と研究というのはどんどんどんどんほっておけば進化しますよね、これニーズがあるわけですから、食糧不足という。
 そうすると、そういったところにもどんどんこれから新しい研究開発が進んでいくとなると、朗報かも分かりませんけれども、ちょっとリスクが高いような気もするんですが、その辺りのバランスはどういう具合に取ればいいとお考えですか。
#66
○参考人(柴田明夫君) やはり、先ほども申し上げましたけれども、カロリーベースの量を取っていく部分と、そういった先端的な栄養素ですね。大きな食糧の需要から見ると、まず量を取り、質に行き、そして栄養素と、栄養価の高いものと、こういうふうな流れなんですよね。
 まず、植物工場というのは、そういう面では栄養価の部分とか、こういうふうなところから、より付加価値が高いですから、そちらから入っていくんだと思うんですね。これが、じゃ、裾野の部分の量を取るところまで行くかというと、これはまた別な路線のような気がします。人工の細胞の培養によるビフテキとかありますけど、今あれは三千万ぐらいするんですよね。だから、いずれ将来的にはコスト下がるにしても、当初はまだまだ先の話かなと。
 だから、科学にはサイエンスの部分とテクノロジーの部分とインダストリーの部分とあるわけですけれども、そういった部分はまだサイエンスからテクノロジーに入りかけた部分なのかなという気がしますけれども。
#67
○浜田和幸君 それとの関連で佐藤参考人にお聞きしたいんですけど、人口が減ってきている、老齢化も進んでいる。しかし、今の柴田参考人の話で、その量を確保するということは大事だと思うんですけれども、我々人間が取る言ってみれば食べ物、飲物の量を減らすということも、逆転の発想をすれば、たくさん食べて無駄にしているから食糧が不足するわけであって、人口が増えているにしても、我々一人一人が食べる量を減らす、より栄養価の高いものを少数、ちょっとだけ食べる、そういうようなライフスタイル、食生活が変わってくれば、人口問題と食糧問題も克服できる可能性が出てくるんじゃないかという気がするんですけれども、そういうような可能性というものはいかがでしょうか。
   〔理事小林正夫君退席、会長着席〕
#68
○参考人(佐藤龍三郎君) ちょっと私の専門外のことも含まれておりますので簡単に答えられませんけれども、公衆衛生の立場からすると、現在、世界で栄養不足の人が十億人でしたか、ざっとですね。逆に、肥満の人、栄養が過多の人もやっぱり十億人いるというふうに言われておりまして、貧しい途上国の人がかえって非常に高カロリーの余り体に良くないものを食べているとか、あるいは喫煙習慣とか飲酒習慣が広まっているとかいうこともありますので、なかなか話は単純な話ではないというふうに思います。
 ただ、食事というのは、もちろん適正なカロリーを取るということでもありますけれども、それだけではなくて、やっぱり食事を楽しむ、それからその地域の文化といいますかそういったものを維持するということも、いろいろ多様な面を持っておりますので、その御指摘の点はちょっとなかなか難しい問題かなという感じがしております。
#69
○浜田和幸君 引き続き佐藤参考人にお伺いしたいんですけれども、日本の老齢人口、六十五歳以上が老齢人口ということなので、ほぼ四〇%、二〇六〇年には。しかし、今どんどんどんどん寿命が延びていますから、もっともっと平均寿命というのが延びていくことは間違いないと思うんですね。
 オックスフォード大学のオーブレイ先生は、自分自身を実験台にして、千歳、場合によっては二千歳まで生きるというようなことを発表されている。とても実現できるかどうか分かりませんけれども、そういうもし時代になってくれば、百歳、二百歳は当たり前という時代も我々は突入する可能性はあると思うんですよね。そうしたときに、年を取ることがマイナスというか、生老病死の大きな煩悩というか悩みという観点から解脱できるような可能性も生まれてくるんではないかと思うんですね。
 そうすると、人口の問題、人口を捉える発想そのものが、今はそうでないかも分かりませんけれども、これから百年、二百年先を考えれば、年を取ってもちっとも機能が落ちない、逆に記憶だとか経験だとか、そういうものがどんどん積み重なってくることによって社会に貢献できる、そういうライフスタイルというか、人口の意味合いが変わってくる。そういうものを日本から世界に先駆けて、世界最高齢の長寿大国ではあるんですけれども、もっと能動的に世界に貢献できるような人口の在り方というものを日本が世界に発信する可能性というものはどういう具合にお考えでしょうか。
#70
○参考人(佐藤龍三郎君) まさに御指摘のとおりで、そのことはこれから大きな課題であると思うんです。ただ、具体的にはなかなか難しい問題もございます。
 ただ、先生がおっしゃったように、かつての老人に比べると今の老人の方が健康状態というのが十年ぐらい若いというふうな、運動能力に関してはですね、そういうデータもあります。それはポジティブな面だと思います。
 ただ、それは、ある老年医学の先生から聞いた話なんですが、その老年医学の先生はまた別の面もおっしゃっていまして、ただ寿命が延びても、やっぱりいつかは大変体力も知力も衰退してしまうわけで、要するに先に延ばしているだけの話であって、人間が、まず何が起こるかというと、まず歩けなくなります。そうすると介護者が一人必要になる。次に、自分一人では食べられなくなる、そうするともう一人介護者が必要になる。それから、排せつも自分ではできなくなる、そうするとまたもう一人介護者が必要になってくるということで、これは確実に介護というものが必要になってくるわけで。
 確かに、寿命が延びることによって、また身体などの能力が伸びることによって問題を先へ送ることはできるんですが、それでもやっぱりその先の問題というのは起こってきますので、これはなかなか難しい問題だと思います。ただ、ロボット技術の開発とか、いろいろとそういう方面での道は多少はあるのかなという感じはしております。
#71
○浜田和幸君 最後に、じゃ、加藤参考人に。
 先ほど外国人技能実習生について言及されましたけれども、やはり今議論されている厚労省とか法務省中心型のこの制度の改善というアプローチではなくて、外交とか国際関係に占める技能実習生の役割、やはり日本の近隣諸国との友好関係を考えた場合、中国にしても韓国にしても、かつてはとても親日的な国、それは、多くの留学生やあるいは日本で働いた経験がある人たちが日本との関係改善に努力してくれた、そういう意味で技能実習生の役割というのはとても大きいと思うんですけれども。
 外交面、国際関係の観点でこの技能実習生の在り方をもう少し積極的に捉えていく。三年、五年で必ず帰るわけですから、そういった意味で、帰った後、日本との懸け橋になってくれる、そういう人をもっと積極的に大切にしていくということが必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#72
○参考人(加藤久和君) 議員御指摘のとおりだと思います。ただ、技能実習生として日本に来てどういう経験をしてきたのか、例えばそれがいいことだったのか悪いことだったのか、様々な問題点があると思います。我々が受け入れるとするとなると、単純に量的な充足ではなく、きちっとして来ていただきその経験を生かしていただければ、きっといい国際関係を担っていただけるんではないかなと思いますが、必ずしもそういうような事象ばっかりではないのかなということも考えております。非常に難しい問題だとは思っております。
#73
○浜田和幸君 ありがとうございました。
 終わります。
#74
○会長(柳田稔君) 以上で各会派一巡をいたしましたので、これより自由に質疑を行っていただきます。
 質疑のある方は挙手を願います。
 三宅伸吾君。
#75
○三宅伸吾君 自由民主党の三宅伸吾でございます。今日はすばらしいお話をいただきまして、本当にありがとうございました。
 まず、加藤参考人と佐藤参考人にお聞きしたいと思っております。
 私は、これほど急速に進む日本の人口減少を本当に今すぐ歯止めを掛けたいのであれば、なすべき方策は二つしかないと思っております。一つは、大胆な移民政策であります。二つ目は、投票選挙制度改革だと思っております。少子化対策を強力に推進する政治的基盤を確立するための選挙制度改革でございまして、私が言っているわけではありませんで、多分御存じだと思いますけれども、人口統計学者のポール・ドメイン先生がもう三十年近く前におっしゃっているドメイン投票制度と言われているものでございます。子供が例えば二人いると、お父様例えば二票、お母さんも二票と。要するに、投票権を持っていない子供の投票権を親が代理して自分の一票に加えて投票すると、こういう投票制度をかねて提唱されているわけであります。こういう制度を導入すれば、少なくとも少子化対策、子育てを支援する政治的なモメンタムになるというように私は感じているわけです。
 その一方で、日本の現状を見ますと、いいか悪いかは別にしまして現状を冷静に見ると、投票所に実際に足を運ばれる高齢者の方が多く住んでいる地域の一票の格差が、現実に日本は重くなっております、一部例外がありますけれども。ざっくり申しますと、日本の今の選挙制度の現状は、少子化それから子育て支援よりは高齢者に手厚い政策が自然となされるような現実の選挙制度になっているというふうに私は分析をいたしております。
 先ほど、佐藤参考人がちらりと漏らされました、実際は少子化適応政策をきちっと議論しなきゃいけないというふうにもおっしゃったわけでございますので、恐らく大胆な移民政策は現実的に政治的実現性が低いからそういうふうにおっしゃったんではないかと思っております。
 お聞きしたいのは、ドメイン教授の提唱されている投票制度をもし日本が採用できれば、人口減少対策に資するような政策が本当に生まれるんだろうかと。私は少しは生まれるんではないかと思っておるんですけれども、専門家のお二人の御見解をいただきたいということであります。
#76
○参考人(加藤久和君) 今、議員御指摘のようにドメイン方式、ドメイン方式だけでなく、例えば年齢別選挙区であるとか、あるいは、これはある先生がおっしゃっていたのは、平均寿命とその方の年齢との間の差で投票にウエートを掛けていくとかいう形で、若い方の意見をどんどん出していこうと。御案内のように、シルバー民主主義と言われている中で若い人たちの声をきちっと出していかないと、きちっとした資源の配分というのが高齢者に偏ってしまうというような危機感がございます。
 ですので、こういった選挙のやり方というのを採用するのは一つの考え方だろうというふうに思っておりますが、ただ、私個人、いろんなところで議論していきますと、政治学の方々からは、民主主義の在り方の問題と非常に根底にぶつかってくる問題があるから、まずはそこら辺をきちっと整理してからでないとなかなか難しいというようなことも伺っております。
 ただ、御指摘のように、今までの流れを変えていくために何ができるかということを、選挙のことも考えつつ進めていく必要があるというふうに私も考えております。
#77
○参考人(佐藤龍三郎君) 私たちはデメインと発音しているんですけれども、デメイン教授というのはアメリカの非常に著名な人口学者で、今、先進国の少子化問題というのを大変危惧しておられます。そこで、デメイン投票法という、つまり子供の分だけ親にも投票権を与えたらどうかと、夫婦に二人子供がいたら合わせて四票ということになりますが。ただ、これはもうあくまでも少子化問題を懸念することの一つの裏返しの表現というふうに私は思っておりまして、現実の政治の世界では難しい話であると。つまり、それぐらい少子化というのは深刻なんだよということの一つの表現ではないかなというふうに受け止めております。
 それともう一つは、じゃ、少子化是正として一体どんなことができるのだろうか。これは政策的なオプションは大変限られているんですけれども、今、日本の少子化のメカニズムというのを考えたときに、結婚した人の産む子供の数が減っているというよりは、結婚しなくなっている、いわゆる未婚化の問題の方がはるかに大きい問題で、いろんな分析がありますけれども、少子化のメカニズムとしては、夫婦の出生率の低下の影響は三割、それから未婚化の方の影響が七割であろうというふうに言われて、非常に大きいわけです。
 ですから、今までの少子化是正策というのは、どちらかというと既に結婚した人に子供を産んでもらうというふうな方向性であって、ただ、やはり結婚という、これは非常に難しい問題なので、なかなか難しいかと思います。根本的には個人の自由ですから、国が介入できることではありませんけれども、ただ、もし今の日本で多少の何かの少子化是正の方に働く可能性が政策的にあるとしたら、やはり若い人たちの就業がなかなか不安定だというようなことです。もっと言えば、高度経済成長の後の日本は非常に分厚い中間所得層が形成されたわけですが、最近その中間所得層がかなり細ってきてしまっているということがあって、これが一つ今の結婚難の背景にあるのではないかなというふうに私も思っています。
 ただ、これからの経済や社会のことを考えたときに、これから大幅な賃金の引上げとかそういうのは難しいかもしれません。そうなってきた場合には、仮に所得が低くても若いカップルが子供を持てるというふうな、いわゆる住宅とか教育とか、そういう基本的なところを非常に安くしてカップルを誘導していく、そういうふうなカップル形成や家族形成を誘導していくというような形での一つの方向性は、アイデアとしてですけれども、あり得るのではないかなというふうに思っております。
#78
○三宅伸吾君 ありがとうございました。
 あと一問、柴田参考人にお聞きしたいんであります。
 資料の五ページの一番最後の行でありますけれども、攻めの農業、平地の田畑には通用するけれども、中山間地とは分けてという御指摘ではないかと思います。私も香川県の家の中に田んぼがあるような小さいところでありますけれども、お聞きしたかったのは、一番最後の行に、「なぜなら、すべてがつながっているからだ。」という表現があります。
 私の理解では、輸出をするグローバルな大規模農家それから国内マーケットで競争力のある大規模国内農家、それからいわゆるコミュニティー維持のための、本当の、アルバイトと言ってはいけませんけれども、年金プラスアルファのようなコミュニティー、それから治水、保水、そういう三つぐらいに分けて考える方がいいのではないかと思っておったんですけれども、ここに「つながっているから」という表現がございまして、ちょっとここを御説明いただけませんでしょうか。
#79
○参考人(柴田明夫君) これは水のイメージですね。水田は、やっぱり昔から重力に任せて、この力を借りて上からずっと使って使ってきているわけですね。平地の大規模経営というような部分は、やっぱり水源涵養林で培われた水が棚田を通って最終的に平地に下りてくると、こういうふうなイメージですから、周りが全部壊廃してしまった場合にはこの平地の農業すら持続が難しいんじゃないかと、こういう意味です。
#80
○三宅伸吾君 終わります。
#81
○会長(柳田稔君) 牧山ひろえ君。
#82
○牧山ひろえ君 民主党の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。
 加藤参考人の資料を事前に読ませていただいたんですけれども、欧米の方では少子化対策のことを家族対策、家族政策というんですよね。非常に感銘を受けました。少子化という問題を家族という観点から見なくてはいけないということについてすごく感動いたしました。
 私も以前フランスの方に行きまして、フランスは御承知のとおり少子化対策に成功している国の一例なので、そこで学んだことなんですけれども、もう本当に主なものだけ挙げても二十種類以上いろんな政策があって、例えば新学期手当ですとか、あるいはもう御承知のとおり、家族の多いほど、子供の多い御家庭ほど有利な税制、N分のN乗方式ですとか、あるいは保育ママ、あるいは保育園の中の制度。すごくきめ細かいいろんなシステムがあるなと思ったのは、例えば保育ママ同士の交流とか情報交換の場とか、すごく細かいところまで決められていて、あとは、私も子供を日本の保育園に入れたことはありますけれども、保育園の中の内容もプログラムとプロジェクトって分かれていて、最低限の教育は全国一律やらなくてはいけない、それ以外にその保育園の裁量でいろんな、子供にとって、例えば芸術的なもの、美術館に協力してもらって芸術的な教育を与えたり、あるいはいろんな語学を教えたり、本当にあらゆる面で、子供を育てるだけではなくて子供を育てる喜びというか楽しみというか、すごくそれを実感いたしました。また、学校給食に支払う費用についても、各家族の所得に応じて差が設けられていること、あるいは保育園から大学まで無償化が図られていることとか、本当に安心して子供を産み育てることができるんだなと。
 本当、いろんなところに行ったんですね。前市長に会ったり、あるいはいろんなところで、いろんな現場で働くお母さんたち、お父さんたち、また少子化に対して非常に詳しい国会議員にも何人もお会いしましたし、いろんな経験を経て私もレポートを書かせていただいて、当時、日本に帰国したときの少子化担当大臣にレポートを提出させていただいたことがあるんですけど。
 やはり、これだけ手厚く子供が生まれたら社会で面倒を見よう、お母さんたち、お父さんたちが不安がないように子供を面倒を見ようという国策というか国民の理解、少なくともそのための国費の支出をためらわないという傾向があるように感じたんですけれども、そのような家族政策に対する国民の理解はどのような形で築かれたものなんだと思われますでしょうか。
#83
○参考人(加藤久和君) 御指摘のこと、私も全く同じで考えております。ただ、どういった形でやってきたのか、私、フランスに住んだことも経験がございませんのでちゃんとしたことは申し上げられませんが、いろいろお話を伺うと、フランスというのは人口というものを一つの政策、国策として考えているということもあって、やっぱり人口の問題を大切にしていること、それからもう一つは、やっぱり議員御指摘のとおり、社会全体で子供を守っていく、育てていくということが大きいんだろうと。
 私自身、いろいろとデータを使っていろんな政策分析をして政策提言をさせていただいているんですが、最後は、結局はフランスのようにみんなで子供をちゃんと育てようという気持ちがあるのかないのか。例えば、日本で地下鉄の高い階段の上にベビーカーを持ったお母さんがいたら、それを助けられるような、それをみんなで助けるような雰囲気を持っている国かどうか、それで少子化対策がうまくいくかどうか決まってしまうんじゃないかというようなこともよく考えております。
 直接はお答えできないんですが、やっぱり社会全体が子供に対して、あるいは将来の世代をどうやって考えていくのかということが非常に大きなキーポイントであろうというふうに思っております。
#84
○牧山ひろえ君 ありがとうございました。
 以上です。
#85
○会長(柳田稔君) 二之湯武史君。
#86
○二之湯武史君 自由民主党の二之湯と申します。今日はありがとうございました。
 少子化のことに関してお伺いしたいと思います。加藤参考人と佐藤参考人にお伺いをしたいと思います。
 八ページに、少子化の要因ということで、いわゆる通説的な部分を網羅していただいているんですけれども、私事ですが、私、四つ上の妻がおりまして、三十四で第一子、三十八で第二子、四十一で第三子と、三人の子供を妻がその年齢のときに出産をいたしました。ですので、晩婚化とはいえども三人の子供を持つことは可能だというふうに考えておりますけれども、総体的に見ますと、やはり生涯未婚率が男性が二〇・一パー、女性が一〇・六パー、非常に大きな数字だなというふうに感じておりますし、その下にあります、四つの原因を挙げていただいているんですけれども、先ほどお話ありました、夫婦が出産する子供が寄与率が三割と、未婚率が七割の寄与率だというお話ありました。
 よくこういう場合に、子供を持つ、子育てに掛かるコストの問題でありますとか若年層の雇用の問題でありますとか、そういう非常に定量的に測れる視点でこの少子化若しくは人口減少は語られるんですけれども、果たしてそうだろうかと思うこともございます。今、加藤参考人のお話の中にも、例えば社会全体で小さな子供を持つお母さんを応援するような雰囲気でありますとか価値観でありますとか、私は実はそっちの方が随分大きいんじゃないかなというふうに思っております。
 お二人がそういういろんな少子化問題の専門家ということを踏まえてお話をお聞きしたいのは、まず一つは、未婚である、未婚を選ぶ若しくは選ばざるを得ない方々の選択理由といいますか、どういう結果未婚になられるのか。若しくは、要は主体的に、自分は結婚というものを人生の中でよしとしないという価値観をお持ちで積極的な未婚を選択される、若しくは、今この(4)にございますように経済的な事情等々で、言わば環境的にそれを選ばざるを得ないのか、そういうふうな調査の結果でありますとかその割合とか、そういうようなものはお二人は把握されておられるでしょうか。まずそれをお聞きしたいです。端的にお願いします。
#87
○参考人(加藤久和君) 済みません、手元にそういった端的なデータがございませんので何とも言えないんですけれども、やはりそれは、両立支援が難しいというところと、あるいは結婚した後、結婚してかつ仕事を続けていくことが難しいということは結構大きな理由だというふうに伺っております。
#88
○参考人(佐藤龍三郎君) 未婚にとどまる理由ということですよね。
 これは、国立社会保障・人口問題研究所の方で定期的に調査を行っております。ただ、今ちょっと手元に資料がございませんので細かいことは申し上げられませんけれども、まず一つは、未婚でも生きていけるようになったということが一つあります。つまり、人によってそれぞれ考えがありますけれども、昔のように貧しい社会ではやっぱり結婚しなければ生きていけないわけですけれども、ある程度豊かな社会になってくれば未婚でも生きていけると。それからまた、社会がかつては結婚しなければ一人前でないような雰囲気がありましたけれども、それも緩んでいると。そういうことから、別に積極的に未婚を選んでいるわけではないんだけれども、そんなに格別ないい条件がなければ別に未婚でもいいというふうな意味での消極的な未婚が増えているということが一つあります。
 それからもう一つは、その調査で、やはり日本、結婚の意欲は非常に高いんですね、日本はほかの国に比べても。生涯未婚でいたいという人は非常に少なくて、結婚したいという若者は非常に多いです。にもかかわらずこれだけ未婚というのは、やはり経済的な問題といいますか、日本ではやはりいまだに男性が妻子を養うという考え方が非常に根強いですね。ということは、男性も女性も、妻子を養えるような経済力がなければという発想がありますので、今のように非常に経済的に厳しい時代になってくるとなかなか、それが未婚化につながっているという面があるのかなというふうに思います。
#89
○二之湯武史君 ありがとうございます。
 ただ、今お話、お二人の専門家にお聞きしても、そういう定量的なデータというのは出てこないわけですよね。ですので、これ、非常に神学論争みたいな話なんじゃないかなというふうに思っておりまして、非常に問題の根源が複雑で、かつ様々な分野に及んでいる問題だということはこれ間違いないと思うんですね。
 ただ一方で、政府がアクセスできる方法、政策的な方法というのは、やはり非常に定量的な部分ですよね。例えば子ども手当を支給するであるとか、子育てに掛かる費用を現物なり現金なりで支給していくとか、どうしても政策的なアプローチというのはそういう分野にとどまってしまうと。
 一方で、先ほど申し上げたように、価値観に関わる分野でありますとか、社会の雰囲気づくりに関わる、まあ雰囲気づくりに関しては多少はできるかもしれませんが、究極的には個人の価値観という部分にアクセスしていくようなそういう政策というのはなかなか打ちづらいと。つまり、経済的には満たされている、様々な社会環境は整っている、でも、要は結婚はしません、若しくは結婚してもお互いパートナーとしていましょうというような形を取られる夫婦が増えれば、それは政策としてはいかんともし難い部分が出てくると。
 要は、そういう部分にいかにアプローチといいますか、それはむしろ政策的というよりも本当、社会問題的アプローチ、それぞれの人間の個人の価値観に関わるもの、こういった部分に関しては、お二人、その御専門家としてどのようにお考えなのか、若しくはどのようにアクセスできるならしていこうとお考えなのかということを、これも簡潔にお願いしたいと思います。
#90
○参考人(加藤久和君) 一つは、やっぱり政策というのは定量的な実際のデータがなければ何も議論できないと思います。ですので、やっぱり定量的なものというのは大事にしていくべきだと思います。
 ただ、議員がおっしゃるように、やっぱり実際には価値観という問題も大きな部分を占めていますが、価値観に政策的に何か言及していくというのは、これは非常にいろんな人の考え方が違ってきますので、そう簡単な問題ではないだろうというふうに思っております。
#91
○参考人(佐藤龍三郎君) 未婚化問題だけに限った話ですけれども、一つは、政策科学的な定量的な議論が不足しているのではないかということですが、それは私どものちょっと怠慢ということもありますので、それは受け止めて今後の課題にさせていただきたいと思います。
 それから、価値観の問題。これは非常に難しいといいますか、やはりこれはもう個人の自由ですよね。人口政策というのは、非常に難しいのは、極論を言えば、夫婦の寝室に国家権力が踏み込んでいくようなことなんですね。ですから、これは基本的に民主主義国ではあり得ない話なんです。
 ですから、そういう意味で究極的には非常に難しい問題なので、人口政策という形ではなくて様々な形での公共政策を行って、そこの結果として出生率向上を言わばおまけといいますか副効用として期待するという、そういうスタンスしかないと思いますので、そういう方向で、じゃ、何をしたらそういう面で効果があるのかということはこれから更に研究を進めていく必要があるかというふうに思っております。
#92
○二之湯武史君 本当に、私自身も三人の子供を育てる父親として、また夫婦を営む夫として、やはり人間同士のきずなというか信頼関係、こういったものが私は社会全体からやや薄らいでいるのかなというふうに思います。
 かつては、地域コミュニティーというものがあって、家族も非常に強固な結び付きがあり、家族といっても三世代、場合によっては四世代というような家族がございました。それに、横のつながりという意味では、親族でありますとか近所付き合いでありますとか、非常に地域の結び付きが強かったと。その中で人間が育っていく中で、自然とそういった家族を営むことでありますとか人と人との信頼関係でありますとか、そういったものが自然に醸成されてきたような環境があったのかなと。これは私の仮説ですが。
 しかし一方で、現代のような時代になりますと、結婚をされても、離婚率は非常に上昇を続けていると。お互いの信頼関係みたいなものが夫婦でさえも非常に薄らいでいると。そういう社会的な雰囲気、社会的なそういう中で培われる個人の価値観、こういったものが実は問題の本質にはあるんではないかと私は常々考えておりまして、これを、先ほどおっしゃったように政策的に直接アプローチしていくのは難しいにしても、少子化対策というのは実はそういう非常に大きな幅広い分野に関わる、非常に複雑怪奇といいますか、複雑なものなんだという認識を我々政治の側も、若しくは役所の先生方もお互い持つことによって、もう少し裾野の広い、幅広い政策提言若しくはそういう議論をしていくべきなんではないかなというふうにふだん感じておるものですから、今日御質問をさせていただいた次第でございます。
 どうもありがとうございました。
#93
○会長(柳田稔君) 他にございますか。──他に御発言もないようですから、本日の質疑はこの程度といたします。
 一言御挨拶を申し上げます。
 加藤参考人、佐藤参考人及び柴田参考人におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。調査会を代表し、各参考人のますますの御活躍を祈念いたしまして、本日のお礼とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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