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2015/04/06 第189回国会 参議院 参議院会議録情報 第189回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第3号
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2015/04/06 第189回国会 参議院

参議院会議録情報 第189回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第3号

#1
第189回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第3号
平成二十七年四月六日(月曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月三日
    辞任         補欠選任
     石川 博崇君     長沢 広明君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 順三君
    理 事
                高橋 克法君
                中西 祐介君
                松山 政司君
                西村まさみ君
                安井美沙子君
                杉  久武君
    委 員
                赤石 清美君
                石井 準一君
                大家 敏志君
                大沼みずほ君
                木村 義雄君
                島村  大君
                伊達 忠一君
                藤川 政人君
                丸川 珠代君
                水落 敏栄君
                石橋 通宏君
                小川 敏夫君
                津田弥太郎君
                長浜 博行君
                藤末 健三君
                長沢 広明君
                小野 次郎君
                辰巳孝太郎君
                山田 太郎君
                中野 正志君
                又市 征治君
                谷  亮子君
                荒井 広幸君
   国務大臣
       外務大臣     岸田 文雄君
   副大臣
       防衛副大臣    左藤  章君
   大臣政務官
       経済産業大臣政
       務官       関  芳弘君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        松井 一彦君
   政府参考人
       外務大臣官房長  上月 豊久君
       外務大臣官房地
       球規模課題審議
       官        尾池 厚之君
       外務大臣官房審
       議官       岩井 文男君
       外務大臣官房参
       事官       滝崎 成樹君
       外務省国際協力
       局長       石兼 公博君
       厚生労働大臣官
       房総括審議官   宮野 甚一君
       厚生労働大臣官
       房審議官     福本 浩樹君
       資源エネルギー
       庁電力・ガス事
       業部長      多田 明弘君
       防衛大臣官房審
       議官       吉田 正一君
   参考人
       独立行政法人国
       際協力機構理事  植澤 利次君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成二十七年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)、平成二十七年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)、平成二十七年度政府関係
 機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (政府開発援助関係経費)
○参考人の出席要求に関する件
○政府開発援助等に関する調査
 (開発協力大綱の下での我が国ODA等の在り
 方に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(山本順三君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四月三日、石川博崇君が委員を辞任され、その補欠として長沢広明君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(山本順三君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、外務大臣官房長上月豊久君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山本順三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(山本順三君) 去る三月三十日、予算委員会から、本日一日間、平成二十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、政府開発援助関係経費について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 政府から説明を聴取いたします。岸田外務大臣。
#6
○国務大臣(岸田文雄君) 平成二十七年度政府開発援助に係る予算案について概要を説明いたします。
 平成二十七年度一般会計予算案のうち政府開発援助に係る予算は、政府全体で対前年度比一・五%減の五千四百二十一億五千六百万円となっております。
 このうち、外務省予算分につきましては、対前年度比〇・二%増の四千二百三十八億一千万円となっております。開発協力は我が国外交の最も重要な手段の一つであり、一般会計予算案における外務省所管政府開発援助(ODA)予算は五年連続の増額となる予算を計上しております。
 今回の予算案計上に当たっては、第一に、普遍的価値の共有、国際社会の平和と安定に向けた協力のためのODA、第二に、開発途上国と日本の経済成長のための戦略的なODA、第三に、人間の安全保障を推進するためのODA、第四に、戦略的なパートナーシップの構築のためのODAの四分野を重点分野としております。
 次に、協力の形態ごとに概略を御説明申し上げます。
 まず、無償資金協力については、さきに述べた重点分野を中心に、対前年度比三・七%減の千六百四億九千七百万円を計上しております。
 技術協力については、政府全体で対前年度比三・二%減の二千四百六十二億二千六百万円となっております。このうち、独立行政法人国際協力機構(JICA)の運営費交付金は、対前年度比二・六%減の千四百六十四億一千三百万円を計上しております。
 国際機関への分担金、拠出金については、為替変動等も反映し、政府全体で対前年度比八・一%の増額としています。このうち、外務省政府開発援助(ODA)分については対前年度比九・四%の増額となっております。
 最後に、有償資金協力(円借款)については、独立行政法人国際協力機構(JICA)の有償資金協力部門への出資金は、対前年度比〇・五%減の四百八十二億六千万円となっております。なお、インフラ・システム輸出などに円借款等を積極的に活用していくべく、出融資の計画額は対前年度比同九千八百八十五億円となっております。
 以上が平成二十七年度政府開発援助(ODA)に係る予算案の概要であります。
 なお、平成二十六年度補正予算については、政府開発援助(ODA)予算は、政府全体で外務省予算分のみとなっており、千五百十七億五百万円となっております。地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策に基づいた中小企業、地方自治体等の国際展開支援につながる即効性の高い事業や、平成二十六年度予算要求時に想定されなかった緊急性、義務性のある追加的経費に限定した予算を計上しております。
 平成二十六年度補正予算と平成二十七年度当初予算を合わせると五千七百五十五億円となり、前年度と比べると七十五億円、一・三%の増額となっております。有償資金協力の枠組み等、多様なツールも活用して、我が国外交にとって最も重要な手段の一つである政府開発援助(ODA)を効果的、戦略的に展開していきます。
 外務省としては、本年二月に策定された開発協力大綱に基づき、中小企業を含む民間企業、地方自治体、NGOなどと連携しつつ、開発協力に対する幅広い理解と支持を得ながら、国際協調主義に基づく積極的平和主義の観点から、我が国として国際社会の平和と安定及び繁栄により一層積極的に貢献するため、戦略的、積極的な開発協力を実施していく考えです。引き続き、山本委員長を始め、本委員会委員の先生方からの御指導、御鞭撻のほど、心からお願い申し上げます。
#7
○委員長(山本順三君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末健三でございます。
 本日は、ODA政策につきまして、私は三つの観点から御質問申し上げたいと思います。
 一つは、国連が一九九四年につくりました人間の安全保障という概念でございます。この人間の安全保障という概念は、国家が武力をもって均衡をつくり、そして安全保障、平和をつくるという概念と相互依存といいますか、補完的な関係にございまして、一人一人の人間が生活や、そして経済、そして尊厳を持って平和に暮らすことによってこの平和を維持しようという発想でございまして、私はこの人間の安全保障、私たち日本のODAの基本的に一番重要な概念ではないかと思っております。
 そして、二番目の観点としまして、私はやはり憲法の前文を挙げたいと考えております。憲法の前文におきましては、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」と。全世界の国民がひとしく恐怖、暴力や戦争といった恐怖や、欠乏、学校に行けない、病院に行けない、そして食事ができない、水が飲めないといった欠乏から免れて、平和のうちに生存する権利を有すると。そして、日本国憲法の前文の最後には、「国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」とございますので、ODAにおいてもこの憲法の前文の理念、平和の理念をきちんと実現すべきではないかと思っております。
 そして、三つ目の観点は何かと申しますと、やはりポストMDGsでございます。二〇一五年にこのMDGsのゴールが終わります。そして、来年からまたポストMDGsの議論が行われるという中にあり、我々がこのMDGsに対してどのような考え方を入れ、そして主導していくべきかということにつきまして、話を、議論をさせていただきたいと思っております。
 まず一つ目にございますのは、この人間の安全保障及び憲法前文にあります恐怖から免れるということについてお話をさせていただきたいと思います。
 人間の安全保障におきましても、人間の尊厳をどう守るかということ、そして生活を守るかということ、それは恐らく憲法の前文にあります恐怖から免れる、フリー・フロム・フィアと書いてございますが、恐怖から免れるということは非常に重要じゃないかと考えております。
 ただ、今現在、ISILの議論などがございまして、シリアでの難民、今はもう二百万人を超すという議論がございますが、私はちょうど先日、パレスチナのいろんな状況を、話を聞かせていただきました。ISILの議論は、恐らく同僚の委員の方々が議論をされると思いますので、私は、このパレスチナ難民、そしてガザに対する支援の話をさせていただきたいと思います。
 今、このガザにおきますパレスチナの難民、今ISILの問題で大体二百万人から三百万人の難民の方々が今シリアで発生しているということでございますが、実はそのパレスチナ難民は五百万人おられると。そのうち五十万人が子供たちでございまして、教育も非常に十分に受けられず、また食事や病院に行けないという状況にございます。
 我が国は、岸田大臣始め外務省の方々、そしてJICAの方々を始め、また様々なNPOの方々が努力をいただき、このガザの支援、パレスチナ難民の支援をずっと続けていただいているという状況でございまして、特に国連の機関でありますUNRWAにおきましては、日本人職員が三名おられ、特に保健局、医療部隊においては清田先生という方がトップでいろいろ活動されているというふうに聞いております。私が聞いて非常に驚きましたのは、日本にあります母子手帳を今パレスチナ難民の中で普及して、何と普及率が今一〇〇%になったという報告を先々週教えていただきました。
 また、我が国は、先ほど申し上げましたように、子供たちが五十万人ほどいるという話でございますけれど、今このUNRWAが雇用している教師の数は二万人ということなんですね。実はUNRWAが全体で三万人いる中、二万人が教師をしている、子供たちのために活動をしているということでございまして、我が国は教育に対しても大きな支援を行っているという状況でございます。
 また、政府のみならず、ボランティア、あとNGOの活動などを聞いていますと、日本のたこを、現地でたこ揚げをやって、日の丸が付いたたこを揚げていただいたり、またゆめポッケといいまして、子供たちが自分たちでポシェットを編んで、その中にいろんな日本のおもちゃや文具を入れて難民の子供たちに送るというそういう活動とか、あとは文化交流などいろんな活動がございます。
 今非常にシリアの難民がいろんな脚光を浴びている中で、私はやはり引き続きこのパレスチナ難民の問題を我が国として取り組むべきだと考えておりますが、外務大臣のお考え等につきましてお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
#9
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘のこのパレスチナ支援に対する我が国の基本的な姿勢ですが、我が国としましては、ガザ地区を含むパレスチナが将来の独立国家としてイスラエルと共存共栄する二国家解決という考え方を支持する立場から支援に取り組んでおります。
 ガザ地区は、昨年夏、紛争が発生し、その後の混乱があり、依然として厳しい人道状況下にあると認識をしております。ガザ地区の復興は、この和平交渉再開に向けて必要な環境を醸成する、こういった観点からも大変重要であると認識をいたします。
 こうした考え方に基づいて、我が国としましては、昨年十月のガザ復興支援会合において表明いたしましたガザ地区向け支援を含む約二千万ドルの支援を実施いたしました。また、一月の総理の中東訪問において表明した対パレスチナ支援一億ドルにつきましても既に拠出済みです。そして、そのうちの半分以上が食料・医療・保健分野等を含むガザ地区への支援ということになっております。
 引き続き、我が国としましては、ガザ地区を含むパレスチナ経済及び社会の自立化促進に向けて支援を続けていきたいと考えております。
 そして、パレスチナにつきましても、我が国は、この国連パレスチナ難民救済事業機関等を通じまして、医療・保健・教育分野において積極的にパレスチナ難民に対し人道支援を実施してきております。日本のNGO等におきましても支援を実施してきておりますが、こうした支援を通じましてパレスチナ難民の人道状況が改善されることも期待していきたいと考えております。
#10
○藤末健三君 是非、また引き続き力強い御支援をお願いしたいと思います。
 私、実はパレスチナ難民支援の議員連盟に入っておりまして、ガザ地区の方々と実際にお会いして、お話をさせていただいておりました。その中で印象的だったのは、やはりすごく日本に好意を寄せていただいているなという感じが強うございまして、それはなぜかということをお聞きしますと、やはり、日本がもう戦後の焼け野原だった状況で力強く復興していったと。今、自分たちも非常に苦しい状況だけれど、日本みたいな、何と申しますか、先人がいて、我々の、何というか、模範になるような国があるということは非常にうれしいということを、私はあれはお世辞じゃないと思うんですよ。本当に心からそういうふうにおっしゃっていただいておりますので、是非とも私たちがガザの方々に対する希望となるようにまたやっていただきたいと思います。
 また同時に、先ほど申し上げましたように、政府だけではなく、子供たちはいろんな自分たちの文具をガザ地区の難民の子供たちに送ってあげたり、あとは文化交流ということで、剣道とかローラースケートとかいうことを教えていただいたんですけど、日本のいろんなスポーツや武道を伝えたり、また現地ではたこ揚げ大会をずっとやっているという、震災復興支援のたこ揚げ大会を始めてもう四年になるということも聞かせていただいていますので、そのようなことも是非、政府とNGO、連携をやっていただければということをお願いさせていただきたいと思います。
 次に私がお聞きしたいのは、特に、先ほど申し上げました、憲法前文の中にあります欠乏から免れるということについて幾つか御質問申し上げたいと思います。
 一つは、私は今、超党派のポリオ根絶議員連盟と申しまして、小児麻痺、ポリオ、これをなくそうと、日本は今まで三十年近く取組を続けさせていただいています。実際にインドネシアには我が国が無償でポリオワクチンの製造工場を造っています。私、行ってきました、実は。そこでは、私たちの古い技術ですけれど、日本が無償で造った工場が動いていて、そこでは一回当たり大体十セントぐらいの価格でポリオワクチンを海外に出すということができています。
 また、二〇一三年にはインドがポリオ撲滅を宣言しまして、一九八八年には大体百か国近くポリオがあったものが、今ではインドがなくなり、そしてナイジェリアも昨年、岸田大臣の御助力で有償で八十六億円お金を貸してポリオを打ち始めているんですけど、ナイジェリアでももう半年間ポリオが発症していないという状況、恐らくこれがあと一年半ぐらい続けば根絶宣言ができるという状況になっていると思うんですよ。
 そうすると、残すところはどこかといいますと、アフガニスタンとパキスタンだけ、二か国になります。我々の先輩たちがずっとこのポリオを世界からなくすために努力をして、あと二か国という状況が来ているわけでございまして、私は何としても、天然痘は日本の蟻田博士が撲滅宣言したんですね、WHOで。実は私の高校の先輩なんです、その蟻田先生は。ですから、是非とも私は、ポリオも日本人がやはり撲滅宣言をするように進めていただきたいと思っているわけでございますが、そのパキスタン、アフガニスタンに対するこのポリオ撲滅の取組について、大臣のお考えをお聞かせください。お願いいたします。
#11
○国務大臣(岸田文雄君) ポリオ根絶に向けた取組ですが、我が国は現在、常在国でありますパキスタン、ナイジェリアそしてアフガニスタン、この三か国を中心に支援を行ってきております。パキスタンは一九九六年度、ナイジェリアは二〇〇〇年度、アフガニスタンは二〇〇一年度より、ポリオ等の小児感染症予防に必要なワクチンの供与を始めとする支援をユニセフ等の国際機関と連携し実施をしております。二〇一一年にはパキスタンに対して、二〇一四年度にはナイジェリアに対してポリオワクチン調達等を支援する円借款を実施いたしました。
 そして、これらは、先方政府により事業成果が達成されれば、米国のビル・メリンダ・ゲイツ財団が先方政府に代わって円借款の返済を肩代わりするローンコンバージョンという手法を採用しています。パキスタンについては二〇一四年に目標達成が確認され、ゲイツ財団による返済が行われている、こうした状況にあります。
 先ほど委員の方から御指摘いただきましたように、ナイジェリアにおきましては、二〇一五年、ポリオ発症件数はゼロであるということで、最終局面に入っていると認識をしておりますが、パキスタンあるいはアフガニスタンは、引き続きポリオ発症件数増加に転じているということを承知しております。
 引き続き、こうした国を中心にポリオ撲滅のための支援を進めていきたいと考えております。
#12
○藤末健三君 是非お願いします。
 もうゴールが見えているということがございますし、このプロジェクトは実は日米プロジェクトなんですね。ビル・ゲイツ財団と我が国政府が一緒にやっているということでございまして、そういう意味では、私、この十月二十四日にポリオデーというのがございますけど、メリンダ・ゲイツに来ていただけないかということを今計画中でございますので、もしうまくいったら大臣に是非会っていただきたいと思っております。
 何を申し上げたいかといいますと、やはりゴールが近いということと日米の協力であること、そして大事なことは、残り、パキスタンとアフガニスタンでございますけれど、ここはやっぱりアメリカの方々は入れないんですね。日本はある程度入ることができるということを聞いていまして、すごく日米間の協力関係が最も求められる地域だというふうに私は聞いております。
 ですから、是非、このパキスタン、アフガニスタンにおいて我々が日米で協力し、そして一つの病気を根絶させるということができれば、大きな日米関係の強化にもつながると思っておりますので、是非ともお願いしたいと思います。
 そしてまた、是非お願いしたいなと思っておりますのは、先ほど、インドネシアに伺って、実際にポリオワクチンを作るところとか、あとまた、私自身、実際にインドネシアで予防接種を日本のお金とかユニセフのお金でやっている現場を見てまいりました。そこで感じましたのは何かと申しますと、やっぱりお医者さんがおっしゃっているのは、日本みたいな母子手帳がないんですね、ですから、どれだけ予防接種をしたかという記録が取れないので何とかならぬかということをおっしゃっていました。
 それで、実はゴールデンウイークもインドネシアに伺って、母子手帳をインドネシアできないかという話もさせていただきたいなとは思っているんですが、実際にこの間、ガザと申しますかパレスチナ難民の方々の話を聞いても、ガザ地区については子供たちには母子健康手帳がもう一〇〇%普及しているという状況でございました。私たち思いますのは、日本の母子手帳というのは非常にすばらしい仕組みだと思っておりまして、特に途上国に対してこの制度を普及することが重要じゃないかと思っております。
 ただ、今聞いていますと、日本においても母子手帳がスマートフォン、携帯に入るようになっているという仕組みがございます。ですから、スマートフォンにどんどんどんどん記録していって、子供たちのデータがそのスマートフォンに記録され、お医者さんも見ることができると、そのデータを。ですから、電子母子手帳みたいなものをインドネシアとかそういう途上国、今は多くの方々がスマホを持っておられるらしいので、そういう途上国でやってはどうかなと思っておりまして、その点につきまして、ちょっともしよろしければ御回答いただきたいと思います。よろしくお願いします。
#13
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の母子健康手帳ですが、健康一般についての母親の知識を高めるとともに、予防接種を含む母子の健康履歴の把握を容易にし、妊産婦死亡率及び乳幼児死亡率の改善に役立つ優れた制度であると認識をしております。我が国としましては、これまで、御指摘のインドネシア以外にも、ベトナム等のアジア諸国あるいはパレスチナで母子健康手帳の普及に取り組んでおります。
 そして、今御質問の中でも御指摘がありましたスマートフォンを活用した電子母子健康手帳ですが、これにつきましては、今現在、日本国内の幾つかの自治体におきまして今研究、取組が行われていると承知をしております。まずは日本国内での取組をしっかり注視した上で、また海外への普及等についての可能性についても考えていきたいと考えます。
#14
○藤末健三君 大臣、是非これ覚えておいていただきたいのは、実は私、自治体なんかでやっている取組はもう調べているんですよ、電子母子手帳。ただ、様々な法律の壁がありまして、当たり前にやっていくことができなくなっているんですね、実は。カルテが共有できませんとか、医師法の問題とかであるんですよ。
 話していますと、自治体の方とか担当の方に聞いていると、逆に途上国でもやった方が早いんじゃないかと。途上国で実験して実証して日本に戻した方が早いんじゃないかというような話もあるような状況でございますので、その点ちょっともしよろしければ御認識いただければ幸いでございます。そういういろんな制度的な問題があるということでございます。
 また、次にちょっと教育の問題についてお話をさせていただきたいと思います。
 今、世界中で小学校に通えない子供たちが大体六千七百万人ということでございます。私、前にタンザニアにODAの視察で伺わさせていただいたわけでございますけれど、そのときに、今でも忘れられませんのは、もうほとんどの子供たちが就学できていなかったという状況でございまして、大体二割近く、三割近くの子供たちが就学できていないという状況でございました。そういう中で、私たちの税金で無償で学校を造り、子供たちが非常に喜んでもらっていたという現場を見させていただきまして、私たちの税金もこんなにすばらしく使われているんだなということを現場で見させていただきました。
 また、同時に、子供たちの教育だけではなく、私が非常に注目していますのは、ASEANとの大学の間でASEAN工科系高等教育ネットワークというものが、SEED―Netと言われてございますが、できてございます。これをやっぱり見てみますと、日本の持っている技術力をアジアの、特にASEANを中心とする大学や高専なんかに伝え、そして産業人材を育成するということをされておられるわけでございますが、一方で、私の知人の大学の先生方が、都立の産業技術大学というのがございますが、そこが中心にAPENと言います工科系大学のネットワークをまた独自につくっています。
 私自身、やっぱり政府が主導でするものと、そして大学が自主的にするものが補完関係で進めていただければと思うんですが、先ほど申し上げましたように初等教育をどうするかということと、また、アジアにおいてこの技術力を、大学などをネットワーク化することによって産業人材を育成していくということにつきまして大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。お願いいたします。
#15
○国務大臣(岸田文雄君) まず、初等教育、基礎教育の部分ですが、全ての人に基礎教育の機会を提供すること、これは人間の安全保障を推進する上でも最も重要な支援、取組であると認識をしています。
 これまで我が国としまして、基礎教育分野において、教育機会の確保、教育の質の向上、学校運営の改善を重点項目として、学校建設ですとか教師の教育ですとか学校運営改善を行ってきています。二〇一一年から五年間の包括的な教育協力政策を策定し、同期間に三十五億ドルの支援を行うことを表明しております。これは今実施をしている最中ですが、二〇一一年から二〇一三年の三年間で既に二十八・一五億ドル実施しておりますので、目標の三十五億ドルの支援、十分可能であると認識をしています。
 そして、我が国としましては、この基礎教育分野につきまして、是非日本らしい支援を行わなければならないと認識をしています。学校とコミュニティーと行政、こういったものが一体となって全ての子供の質の高い教育を実現する、こういった日本らしい支援、この分野で進めていきたいと考えております。
 そして、高等教育の方ですが、御指摘のSEED―Netですが、ASEAN各国の工科系大学と日本の大学間のネットワーク強化を通じ、ASEANの教育研究能力を強化し、社会経済開発に必要な工科系人材を輩出することを目的に二〇〇一年に立ち上げられました。JICAの技術協力を通じて、教員、研究の質向上、大学間ネットワークの形成等に成果を上げていると認識をしています。今後は、産学連携による産業人材育成あるいは地球規模課題の共同研究、こういったものに取り組んでいきたいと存じます。
 そして、APENについても触れていきましたが、このAPENと今のSEED―Net、これは目的において一定程度共有していると認識をしています。今後、連携につきましても検討していきたいと考えます。
#16
○藤末健三君 岸田大臣の力強い、この教育を進めると、日本らしい教育を進めるというお言葉は本当に有り難いと思います。
 やっぱり私自身、あと、プラス、アイデアを申し上げますと、アフリカにちょうど伊達先生なんかとも一緒に伺ったわけでございますけれど、そのときに現地にちょうど学生が行っていたんですよ、青年派遣隊ではなくて独自に。そういう学生と話していますと、やっぱり若い日本の学生なんかをそういう学校なんかに送り込んで授業とかをやってもらったら、日本の学生にもプラスになるんじゃないかなということをちょっと思っておりましたので、そういうことも是非御検討いただければと思っております。
 また、同時に、日本らしい貢献という意味では水というのがあると思います。今世界の人口は大体七十億人いる中で、きれいな水が飲めない人たちが大体七億人、一割いるというふうに言われています。そして、毎年大体百八十万人の子供たちがきれいな水を飲めなくて命を失っていると。
 実際に私もカンボジアに伺いましたら、カンボジアは水道もなく、また井戸を掘る技術もありませんので、雨水をためて飲んでおられる。実際に雨水を飲んでおなかを下した子供たちは、もう幾ら雨水を飲んでも水を吸収しないで、そのまま命を失うという現状でございました。ただ、ある村に伺いますと、日本人の方々が井戸を四本掘っておられる。その四本の井戸からきれいな水が出て、実際に統計データを見たんですけど、赤ちゃんの死亡率が何と半分以下になっていると、その村は。やっぱり村の方々は、日本人の名前をちゃんと碑に名前書いて残しているんですよ。
 また、エジプトの水道プロジェクトも拝見しましたし、またインドネシアに一年半前に伺ったときも、実際にきれいな水が飲めなくて、お母さんが出産の後に体を拭けずにやっぱり亡くなる例が非常に多いという話を実際に聞かせていただく中で、日本が水をきれいにして循環させるという技術はやはり世界で一番だというふうにあらゆる国から聞いております。
 是非、今どちらかというとインフラ輸出ということで、水道そして下水などの輸出ということで動いておられますけれど、やはり、例えば水道がないところでも、ポリタンクにきれいな水を入れて運ぶだけでも子供たちの命が救われたりお母さんの命が救われたりするような状況がございますので、もっと広い意味で、上下水道のみならず新しい水の循環、例えばペットボトルでもいいと思いますし、あとポリバケツにきれいな水を入れて配るだけでもいいと思いますので、そういう新しい取組をしていただいてはどうかと思いますが、いかがでございましょうか。お願いいたします。
#17
○国務大臣(岸田文雄君) まず、水分野につきましては、我が国は世界のトップドナーであると自負をしています。従来から国際社会においてこの水の分野における協力を重視してきました。
 多くの人々に対する安全な飲料水の供給につながる浄水場あるいは上下水道の送配水整備とともに、途上地域の技術レベルに応じた井戸などの供水施設の整備、支援してきております。日本の技術で浄化した水を供給する支援は、無償資金協力による日本製車載型浄水装置の供与、あるいは水質浄化剤、こうした日本の企業の技術、あるいは日本のNGOのノウハウを活用した形で行ってきております。
 そして、ただいま委員の方から、より幅広い分野においてこの水支援を行うべきだという御指摘がありました。そうした様々な技術あるいは工夫を駆使しながら、引き続き水の分野における世界のトップドナーとして日本は引き続き努力をしていきたいと考えます。
#18
○藤末健三君 是非、大臣のイニシアティブで進めていただきたいと思います。
 最後に、私、ポストMDGsの関係について質問をさせていただきたいと思います。
 私は、是非ポストMDGsには人間の安全保障という概念を入れていただきたいと思いますし、できれば憲法の前文にある、私が冒頭で申し上げました「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」ということを、大臣、もしよろしければ国際会議で訴えていただきたいと思います。憲法の理念を我々が実現していくんだということを訴えていただければ、また世界の方々にも響くんではないかと思います。
 その中で、私、二つのことを提案させていただきたいと思っておりまして、先月、三月十五日に仙台の方でUNDPが主催する形で防災をテーマに国際会議が行われました。実際に出されたレポート等も拝見させていただいているわけでございますが、やはりこの防災というものをポストMDGsに入れるようにやっていただけないかなという、これは御提案でございます。
 やはりこの防災につきましては、我が国がすごく先進的な技術を持っていますし、また同時に、地域のコミュニティーをきちんと防災の後も守る、そして復元していくということをできるいろんなノウハウがございます。そのような地域コミュニティーをきちんと維持し、そしてまた再生していくようなノウハウも含めて提供していただきたいと思っていますが、いかがでございましょうか。
#19
○国務大臣(岸田文雄君) 防災につきましては、まず、現行のミレニアム開発目標、MDGsにはこの防災は含まれておりません。ただ、災害、脆弱な個人を直撃し、開発の成果を水泡に帰させかねないものであると認識をしており、我が国もこの防災の主流化というのを訴え続けております。そして、この防災の重要性については、ポスト二〇一五年開発アジェンダの基盤となる文書、SDGs報告書というものが既に発出されておりますが、この文書には防災の重要性、含まれております。
 是非、ポスト二〇一五年開発アジェンダに防災が明確に位置付けられるよう、引き続き努力をしていきたいと考えます。
#20
○藤末健三君 是非お願いしたいと思います。
 そしてまた、このMDGsの関係にも含まれるとは思うんですけど、特に宗教間の今紛争というのが大きな課題になっていると思います。ISILの議論もそうでございますが、ほかの様々な地域で宗教を発端とした様々な紛争やそして衝突が起きている中で、是非とも、この宗教間の紛争を解決するためのODAの有効利用みたいな問題とか、あとポストMDGsにおける宗教間の和解みたいなものを是非提案いただければと思うんですが、いかがでございましょうか。
#21
○国務大臣(岸田文雄君) 宗教間の紛争について御質問いただきましたが、本年一月、中東を安倍総理が訪問しました。その際に行ったスピーチの中においても、中庸が最善ということで、中東地域の安心や安定のために日本は努力していく、こういったことを表明したわけですが、先般のシリアにおける法人テロ事件を受けて、我が国としましては、テロ対処能力の支援ですとか、中東の安定、繁栄に向けた外交の強化ですとか、あるいは過激主義を生み出さない社会の構築支援といった三本の柱を打ち出しておるわけですが、この三本目の柱、過激主義を生み出さない社会の構築、この部分の支援において、是非、宗教間の紛争も含めて地域の安定に向けてしっかり努力をしていきたいと考えております。
#22
○藤末健三君 私は、日本らしさというのはやっぱり一神教の国でないというのが私は大きいと思っておりまして、先ほどポリオの話でパキスタン、アフガニスタンの話を申し上げましたけど、そこでアメリカの方々がなかなか入れないところにはやはり日本人は入っていけるという話を聞かせていただいたことがあります。やはり、日本は平和国家であり、海外にそういう軍みたいなものを派遣するような国家ではないということを認識していて、それで、アメリカ人が入っていけないところでも日本人が入っていき、そういう活動ができるという話を聞かせていただいておりますし、また、様々なところで今まで我が国が実際に仲裁のような役割を果たしたという事例もございますので、日本の強みといいますと、先ほど技術力とか様々なものがあるとは思いますが、この宗教的な対立を、何というか、中道的に、中庸的に対応できるということもあると思いますので、是非その強みも生かしていただきたいということをお願いしまして、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#23
○杉久武君 公明党の杉久武でございます。
 本日は委嘱審査でございますが、私は現在、環境委員会の方にも所属をしておりまして、地球環境問題、とりわけ温室効果ガスの問題などは国境を越えて全地球的な規模が及ぶ言わば人類の生存に関わる大きな問題でございます。この地球環境という国際社会が一丸となって取り組まなければ解決できないような問題に対しまして、我が国は諸外国とどのように協調し、どのようなイニシアチブを発揮して、どのように貢献をしていくのかという点に大きな関心を持っております。本日の特別委員会では、まずこのような観点から質問に入りたいと思います。
 初めに、我が国は一貫して、例えば開発途上国の公害問題に対する支援を始め、地球環境問題全般に対して様々な支援を行っておりまして、例えばODAによります無償資金協力や技術協力、また円借款、さらには国際機関への拠出はもとよりでありますが、その他にも、例えばOOFということで、その他政府資金ではJBIC、国際協力銀行による民間部門との協調融資や民間資金による支援など、我が国が官民を挙げて地球環境問題に積極的に取り組んでおられますことを私も高く評価をしたいと思います。
 近年、この地球環境問題の取組は一層加速しておりまして、例えば昨年十月に公表されました会計検査院の随時報告でも、環境省で行われている地球環境保全や地球温暖化対策に関連する技術協力事業予算が拡大をしている、そういった報告もなされております。
 そこで、まず外務省に確認をいたします。これら環境問題に対応したODAの実績というものはどういうものがあるのか、これまでの取組事例について伺いたいと思います。
#24
○政府参考人(尾池厚之君) お答え申し上げます。
 環境分野のODAの実績でございますが、年によってばらつきはございますけれども、二〇〇三年度は約三千四百二十三億円だったものが二〇一三年には七千百六十五億円となっておりまして、全体としては増加傾向にあると考えてございます。
#25
○杉久武君 取組事例についても何かあれば、お話しいただければと思います。
#26
○政府参考人(尾池厚之君) 環境問題は国境を越えて個々の人間の生存に関わる脅威でございます。環境と開発の両立を図り、持続可能な開発を進めるとの観点から、これまで環境問題への取組に関する各国の能力の向上、開発計画への環境要素の取り込み、各種フォーラムを通じた対話、我が国が持つ経験と科学技術の活用などを行ってまいりました。
 具体的な取組といたしましては、例えばでございますが、攻めの地球温暖化外交戦略に基づく途上国の気候変動関連の緩和の対策あるいは適応の対策を支援してまいりました。また、ガボンにおける生物多様性の保全ですとか、モンゴルにおける大気汚染プロジェクトなどが挙げられるかと思います。
#27
○杉久武君 今お話しいただきました環境に対する取組というものは、環境問題そのものの改善は当然でございますが、今後世界的に見ても最も経済成長が見込める分野という側面も持っておりますので、我が国の厳しい財政状況を踏まえながらも、国益に資する効率の良い開発協力、しっかり行っていただきたいということを要望したいと思います。
 それでは次に、さきのODA大綱、二〇〇三年のODA大綱におきましては、我が国は環境問題の地球的規模の問題に対する取組を援助の重点課題の一つとして挙げてまいりました。さらに、二〇〇五年の政府開発援助に関する中期政策においては、環境問題への取組として、一つは温室効果ガスの抑制や削減といった地球温暖化対策、そして二つ目には大気汚染対策や水質汚濁対策、廃棄物処理といった環境汚染対策、そして三つ目には自然保護区の保全管理、森林の保全管理、砂漠化対策、自然資源管理などの自然環境保全といった三つの対策を重点分野として具体的な取組や協力を推進をすると、このように定めておりました。
 そこで伺いたいと思いますが、これらこの中期政策に掲げられました環境問題に対する三つの重点分野につきまして、これまでどのようなアプローチ、また具体的な取組をしてきたのか、伺いたいと思います。
#28
○政府参考人(尾池厚之君) その三つの分野におきます具体的な取組ということでございますけれども、まずは、先ほども言及いたしましたが、攻めの地球温暖化外交戦略、これはCOP19におきまして我が国から表明したものでございますけれども、これに基づきまして、途上国が温室効果ガスを削減する際の様々な支援、あるいは途上国が気候変動に伴う災害、これに対応するための様々な支援、こうしたものを行っているところでございます。
 また、環境汚染の対策といたしましては、先ほどモンゴルのことに言及をいたしましたけれども、大気汚染をできるだけ抑えていくための事業を様々な国で行っているところでございます。
 さらに、最後の自然環境保全ということでございますけれども、これに関しましても、先ほどのガボンにおける生物多様性のプロジェクトなどが現在行われているということでございます。
#29
○杉久武君 今後も、新しい開発大綱の下で引き続き環境問題に対する貢献も是非していただきたいと思いますので、この点につきましては引き続き私自身も注視をしていきたいというふうに考えております。
 さて、冒頭申し上げましたとおり、我が国は環境分野や環境関連分野におけるODAに加えましてOOFや民間資金による環境関連の支援を行っておりまして、その実績につきましては、気候変動関連の途上国支援の実績として外務省のパンフレットなどでも公表されております。
 その実績を見てみますと、我が国は、二〇〇九年のCOP15におきまして官民合わせて約百五十億ドル、円に換算しますと一兆七千五百億円相当の支援を表明しました。当時の先進国に求められておりました支援の約四割にも上る拠出額を提示いたしました。そして、最終的には支援表明額を大きく上回る約百七十六億ドルの支援を実施したと、こういう実績がございます。そして、二〇一三年から二〇一五年までの三年間で官民合わせて約百六十億ドル、円に換算しますと一兆六千億円相当の途上国支援が表明されておりまして、現在順次実施が進んでいるというふうに聞いております。
 しかしながら、我が国の財政は大変厳しい状況にございます。我が国の開発協力につきましては、政府全体として一貫性を確保した支援を実施していただき、戦略的に、また効果的に、また効率的に支援を行われているのかどうか、しっかり監視をしていただきたいと思います。
 これら途上国への環境関連支援に対しまして、大臣の御見解、御決意をいただければと思います。
#30
○国務大臣(岸田文雄君) まず、我が国の厳しい財政状況を考えますときに、政府全体として一貫性を確保し、戦略的、効果的、効率的な途上国支援を行うべきであるという委員の今の御指摘、これはもうそのとおりだと認識をいたします。
 そして、環境分野による途上国支援に取り組む際に重視しなければならない考え方として、まずは先般決定いたしました開発協力大綱ですとか国際的な議論、これをしっかり踏まえなければならないということ、そして、気候変動対策や生物多様性の保全など重点的に支援すべき分野、これをしっかり特定しなければならないということ、そして、我が国が持つ経験や技術を活用しながら持続可能な開発に貢献するような取組を進めなければならないということ、特にその今の三点を念頭にしっかり取り組んでいかなければならないのではないか、このように考えております。
#31
○杉久武君 では、続きまして、先ほど少し触れました昨年十月の会計検査院の随時報告の中身で確認をしたいと思います。
 OECDの傘下にあります委員会として、開発援助委員会、DACというものがございます。このDACに加盟する各国が開発途上国に対する援助実績を取りまとめたものが、DAC報告というものがございまして、これはDAC加盟国の国際貢献の度合いを測る一つの指標になっているものがあります。このDAC報告は外務省が作成していると思いますが、先ほど触れました昨年十月の会計検査院の随時報告によりますと、外務省は各省庁で技術協力事業予算として計上されたものを基礎資料としてDAC報告を作成するのでありますが、技術協力事業として計上している十一省庁のうち九省で技術協力事業予算によって実施した事業の決算額の一部を計上していなかったという指摘がございます。
 その他にも何点か指摘がございますが、問題は、外務省からのDAC基礎資料の集計依頼の要請をする文書や事業展開計画の確認、追加のコメントの依頼の内容について、この十一省庁の担当者が十分に理解できていなかったのではないかという指摘が会計検査院から上がっております。
 そこで外務省に伺いますが、この随時報告の指摘に対して外務省はどのように認識し、対策を講じようとされているのか、答弁をお願いいたします。
#32
○政府参考人(石兼公博君) 我が国の国際貢献につきまして国際社会から適切な評価を得る上で、外務省のみならず他省庁の技術協力の実績を含めて適切にDACに報告されることが重要であると、このように認識しております。
 まさに委員御指摘の、会計検査院から受けました指摘を私ども真摯に受け止めまして、当省から他省庁への技術協力実績、報告の依頼に当たりましては、ODAとして計上できる要件についてより詳しい説明を行ってきております。既に、昨年十月末に関係省庁の連絡協議会におきまして会計検査院の指摘事項をきちんと説明しまして、また、今年に入りましても、各省の担当者を対象といたしました説明会を開催いたしまして、どういうものがDACに報告できるかを詳しく御説明申し上げたところでございます。
 このような努力を通じまして、適切な報告がDACに対して行われるようにしていきたい、このように考えております。
#33
○杉久武君 やはり正確に日本の貢献度合いを国際社会から測定していただくためにも、外務省には引き続き尽力をしていただきたいと思います。
 では最後に、ODAの見える化の取組について伺いたいと思います。
 さきのODA大綱では、ODAの政策や実施、評価に関する情報を幅広く迅速に公開し、十分な透明性を確保するとともに積極的に広報するということが重要であるとして、様々な手段を活用して分かりやすい形で情報提供を行うとともに、国民の皆様が我が国のODAの案件に接する機会をつくることとされております。
 そして、外務省では、このODA大綱を始め平成二十二年六月に発表されましたODAのあり方に関する検討の報告を受けまして、いわゆるODAの見える化への取組として、ODA案件の現状や成果を公表するために、JICAのホームページでODA見える化サイトを開設いたしまして、JICAが実施しております技術協力等について、国別、課題別、協力形態別に案件の概要や評価などが掲載をされております。
 一方で、外務省以外の他省庁はどうかといいますと、先ほど引用しました会計検査院の随時報告では、各省庁で実施されている技術協力事業の現状や成果などが公開されていないと指摘をされておりまして、外務省が実施しているようなODAの見える化、これは他省庁が立ち遅れているのではないかということが会計検査院から指摘をされております。
 今般の新しい開発協力大綱におきましても、国民の理解と支持を得ることが不可欠と記載をされておりますとおり、国民の皆様の御理解、御協力を得るためにも、関係省庁に対しても情報開示を積極的に、また分かりやすく行うよう、外務省からも是非これは後押しすべきだと思いますが、この点について外務省の見解を求めます。
#34
○政府参考人(石兼公博君) 国民の税金を原資といたします開発協力、この実施に当たりまして、国民の理解と支持を得て進めていくことは不可欠でございます。そのため、外務省におきましては、今委員から御指摘のございましたように、ODAの見える化、この取組を通じて事業の透明性を確保するとともに、国民の方々に対する説明責任を果たすように努めているところでございます。他方、他省庁が実施される開発協力についてもやはり同様に、こうした理解を得るための取組が重要であるというのはまさに委員御指摘のとおりでございます。
 私どもといたしましても、政府開発援助の関係省庁連絡協議会というのがございますが、こうした機会を通じまして各省庁と緊密に連絡調整を図っております。そうした場を活用して積極的な事業の広報あるいは一層の情報開示、これを働きかけていきたいと、このように考えております。
#35
○杉久武君 是非積極的な開示を進めていただきまして、我が国の開発協力に対する国民の皆様の幅広い理解を得られますように、引き続き尽力していただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#36
○小野次郎君 維新の党の小野次郎です。
 私は、今回のODA大綱の見直しについてお伺いいたします。
 今回のODA大綱の改定は十二年ぶりということですけれども、どういう背景でこの大綱が見直されたかということについて外務省から資料をいただきました。一番最初に出てくるのが国家安全保障戦略としてODAの見直しをしたという趣旨のことが挙がってくるんですが。
 まず、石兼国際協力局長の方にお伺いします。今回の見直された大綱の中で、この国家安全保障戦略の趣旨というのはどういうところに変更されたというか表れているんでしょうか、御説明いただきたいと思います。
#37
○政府参考人(石兼公博君) 国家安全保障戦略におきましては、ODAなども活用して日本にとって良好な国際環境を醸成することを進めるべきである、ODAはそういう部面でも活躍すべきであると、こういう御指示をいただきました。
 それを踏まえまして、今回の新大綱の中では、例えば開発援助、貧困の削減、そうしたものを通じた良好な環境の醸成、あるいは普遍的価値、あるいは法執行機関の能力強化等々を通じた安全な社会の醸成、こうしたものにODAを活用するということを新大綱の中に書かせていただいた、こういう所存でございます。
#38
○小野次郎君 幾つか挙げられているこの見直しの背景の要素として安全保障というのが挙がってくること自体はあり得ることかなと思いますけど、一番トップにこれが出てきていると、そういう趣旨で今回の大綱の改定が行われたのかなと受け取られるわけですけれども。
 大臣にお伺いしますけれども、この途上国に対する開発援助において自国の安全保障の目的というのを優先させれば、これまでの対象国あるいはこれまでの協力内容が安全保障目的の方に偏ってくるおそれはないんでしょうか。
#39
○国務大臣(岸田文雄君) まず、今回の新大綱ですが、この新大綱における最も大切な目的は、国際社会の平和と安定及び繁栄を確保することにより一層積極的に貢献すること、これを掲げています。そして、それは決して国際社会への一方的な貢献ではなくして、望ましいまず国際環境を形成する、このことを通じて、そして我が国の安定、繁栄にも貢献する、国益を確保することにもつながる、こういった趣旨をこの新大綱の中で明記をしております。
 これは、新大綱で言わんとしているのは、開発協力を通じて国際社会の平和と安定、繁栄に貢献することが我が国の安全保障環境改善にも資する、こういった趣旨を記述しているものであると認識をしております。
#40
○小野次郎君 こうやって大臣から直接お話を伺えば理解できないわけではありませんけれども、私、今日、新聞記事持ってきませんでしたけど、二月にこの大綱見直しが各紙に報道されたときにも、やっぱり今回の見直しの中には国家の安全保障に資するODAにするんだという趣旨のことを書いていたのが多かったと思うんです。
 なぜかといえば、外務省の作った書類自体が見直しの背景の第一の要素が国家安全保障戦略であると、こう明記しているわけですから、それは説明すればいいというよりも、元々外務省さんが外に向けて今回のODA大綱を変えた動機の一番は国家安全保障に資するODAにするんだということをむしろ広報したというかアピールしたからそういう報道が出ているんだと思うんで、この点については、私が質問すると、いや、そういうものではないんだとおっしゃられるのは逆なんであって、むしろ、私は、ODAは当然外交の一環ですから、広い意味で国家の安全保障に資するようにこのODAが生かされるというのは誰もが当たり前だと思いますけれども、私が聞いているのはそうじゃなくて、ペーパー自身が外向けに対してむしろそういうものにするんだということをアピールするのはちょっとやり過ぎ、いかがなものかということをお伺いしているんですけど、もう一度お願いいたします。
#41
○国務大臣(岸田文雄君) 十二年ぶりの新大綱です。この趣旨につきまして国民に対して丁寧に説明し、そして正しく理解を得なければならない、これは大変重要な点であると認識をいたします。
 外務省の作った資料が何か誤解を招くようなことであるという御指摘であれば、これは謙虚に受け止めて、より説明資料としましても工夫をしていきたいと考えております。
 新大綱のやっぱり大きな目的は、国際社会の平和と安定と繁栄の確保に対してより一層貢献することであるという点、しっかり御理解いただけるよう、引き続き努力をしていきたいと考えます。
#42
○小野次郎君 私が申し上げているのはそういうことではなくて、つまり、結果として日本の外交の一環にODAが位置付けられるんだから、日本の安全保障に資するような形になるというのは当然考えるべきだと私は思いますけれども、そのために改定しましたみたいにアピールするのはよくないでしょうということをさっきから申し上げているんです。
 特に、それは大臣、私の言葉を受けて丁寧にお答えいただいて、国民に今必要ならよく説明しましょうとおっしゃいましたけど、国民に対する説明だけじゃないんですよ。同じことは、特にこの近隣の国々の中で見ているわけですよね、日本は何をしようとしているのかと。それに対して、日本の安全保障の充実のためにODAの大綱見直しましたみたいなことをアピールしていたら、第三国から見て、こっちはそんな意図がなくて、本当に今までと同じような気持ちで協力していても、第三国から見れば、それが安全保障戦略の一環としてこういう協力しているんだなと、場合によっては、その国に対して何か向こうを張って協力やっているんじゃないのかというふうにあらぬ疑いを掛けられるんじゃないかということも心配しておりまして、私は、そういうことを第三国から評価されるのは日本の外交全般から見て、まさに大臣のおっしゃったのと逆に、外交全般から見て得策じゃないんじゃないかと私は申し上げているんですが、いかがでしょう。
#43
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘はもっともなことだと思います。
 そして、外務省の資料、恐らく今、私、手元に持っている資料を御指摘いただいているんだと思います。確かに、国家安全保障戦略というのが見直しの背景の一番に挙がっております。ただ、この点につきましても少し説明しておかなければならないのは、我が国の国家安全保障戦略は、やはり第一の手段としては外交手段というものを掲げています。外交手段を通じて普遍的な価値を共有するとか、あるいは人間の安全保障の実現ですとか、あるいは様々なグローバルな課題に取り組んでいく、これがまず第一に重要であると、国家安全保障戦略そのものにそれを明記してあります。
 ですから、国家安全保障戦略そのものに対する理解もしっかり進めなければならないと思いますし、加えて、この外務省の資料の書きぶりについてもより広く御理解いただけるよう、引き続き努力をしていきたいと考えます。
#44
○小野次郎君 私の質問はこれで終わります。ありがとうございました。
#45
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
 二月十日に閣議決定された新しい開発協力大綱の下での最初の予算案であります。
 新しい大綱では、国益の確保やODAの積極的、戦略的活用を強調し、予算案でも、インフラシステム輸出支援の予算を六百六十六億円も計上しております。これ、前年度の三百十八億円から二・一倍に増やすなど、我が国の大企業の利益を優先させる姿勢が表れていると言わなければなりません。
 私は、この安倍内閣が推進する原発輸出について今日は質問をいたします。
 これまで原発の新規導入予定国を対象とするJICAの原子力発電基盤整備計画研修が行われてまいりました。一九八五年以降、これまでの受入れ実績と予算総額を述べてください。
#46
○政府参考人(石兼公博君) お答え申し上げます。
 JICAの課題別研修、原子力発電基盤整備計画コースは、原子力発電を新たに導入しようとする国に対し安全面、運用面、環境社会配慮など、導入に際しての諸課題について包括的な研修を行うことを目的として実施しております。
 実績でございますが、本研修は、昭和六十年、一九八五年度以降、平成二十四年度、二〇一二年まで名称変更、コース内容の調整等を行いながら断続的に実施してきておりますが、原子力発電基盤整備計画コースとなりました平成十九年、二〇〇七年度以降平成二十四年度まで累計四十六名を七か国から受け入れております。
 また、費用につきましては、直近の平成二十四年度は約八百六十万、平成十九年度以降平成二十四年度までの累計申し上げますと、約五千四百万円を支出してきているところでございます。
#47
○辰巳孝太郎君 それだけのODAのお金が支出をされているということであります。
 この原子力発電所新規導入予定国が対象だということでありますけれども、これは電気事業、エネルギー供給上及び環境面における原子力発電の必要性を理解する、パブリック・アクセプタンスについての講義、視察をやるという事業の内容になっております。茨城県での二か所、福井県での二か所の原子力PR施設の視察も行っているわけであります。
 そして、このJICAが委託をしている海外電力調査会というところでありますけれども、この調査会は国内電力事業者十二社を会員として、会長は東京電力の副社長だった相澤氏であります。この相澤氏はホームページの会長挨拶で、発展途上国の原子力導入に対する技術協力を進めると、こう述べているわけであります。完全に原発推進の立場で行われる研修だと言わなければなりません。
 二〇一一年に福島原発事故が発生した後も続けていますけれども、これについての反省はないんですか。
#48
○政府参考人(石兼公博君) 平成二十三年、二〇一一年三月の東日本大震災、この発生の後は震災の経験あるいは教訓を踏まえまして、原発事故の原因、あるいは事故後の対応を含め、原子力開発と安全性の問題、これに関する講義を新たに追加するなど、一層安全面に配慮した形で実施しております。
#49
○辰巳孝太郎君 安全面を強調されるわけなんですけれども、改めて経産省に聞きたいと思いますが、この研修の主な委託先である一般社団法人の海外電力調査会は、設立以来専務理事として原発を推進する経産省からの天下りを受け入れていますね。
#50
○政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。
 お尋ねのありました海外電力調査会でございますが、昭和三十三年に社団法人として設立されたものでございます。以来、これまで専務理事八名おられますけれども、そのうち昭和四十五年以降七人が経済産業省出身者でございます。
#51
○辰巳孝太郎君 七名が経産省出身ということで、明らかに天下り先になっているわけですね。福島の事故以降、電力会社への天下りというのは自粛をされているわけでありますが、電力会社からの会費で成り立っているこの海外電力調査会には相変わらず天下りをしているということであります。
 そして、この研修、安全のための研修だと繰り返されているんですけれども、じゃ、この研修を実施する側である海外電力調査会がこの研修をどのように位置付けているのかということであります。
 二〇一〇年の十月に、当時の原子力安全・保安院が開催した原子力安全規制情報会議で海外電力調査会の部長が報告をした資料があります。ここではこう書いてあります。JICAの研修は、原子力導入のための基礎知識、人材育成支援と、こう位置付けているわけであります。そして、その後は、建設、運転の技術支援、二国間協力へと移行、強化していると、こういうふうに書いてあるわけであります。
 外務大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、今、安倍内閣は原発を含むインフラ輸出を成長戦略に位置付けて積極的に推進をしております。今後、原発輸出のためにこのODAの研修を再開する予定というのはあるんでしょうか。
#52
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の研修ですが、我が国の経験、技術、又は震災での教訓、こうしたものを生かし、原子力発電を新たに導入しようとする国に対して様々な面で課題等について包括的な知識を習得せしめるため実施してきたものであると承知をしております。
 そして、この事業につきましては、途上国の開発課題あるいはニーズ、また途上国側からの要望、また過去の研究の裨益効果、こうしたものを総合して実施を決定すると承知をしております。実施につきましては、総合的な考慮の中で検討していくことになると存じます。
 ちなみに、二〇一三年、平成二十五年度においては、本研修、実施するのに十分な要望が集まらなかった等の理由によって中止をされていると承知をしております。
#53
○辰巳孝太郎君 二〇一三年度はやらなかったということですけれども、あくまで、募集はしたけれども要望がなかったというだけの話で、これやるつもりだったわけですね。要望があればという話ありましたけれども、こんなもの要望があってもやっちゃ駄目ですよ。大体、福島の事故によって今でも十二万人を超える人たちがふるさとに戻れず、避難生活を余儀なくされております。福島の原発事故というのは、いまだに事故の収束もできずに、原因究明もできておりません。
 国際協力と言いながら、ODAを使って電力業界、原発メーカー、建設業界など、原発利益共同体が原発輸出で利益を得るための研修というのは今すぐにやめるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。
#54
○山田太郎君 日本を元気にする会・無所属会の山田太郎でございます。
 今日は、まず開発協力の約束という辺りについてお話ししたいんですが、約束というと、実は例の一月に安倍総理がISILの関係でアラブにおいて演説をしています。そのときに、周辺諸国に対して二億ドル程度の支援を約束すると、こういう話を発言されました。私、その予算はどこから出てくるのかなということを気にしておりましたらば、平成二十六年度の補正ということだったんですが、実はその平成二十六年度の補正の成立というのは二月三日なんですね。というふうにいいますと、このエジプトでの会議が一月十七日、補正の成立が二月三日ということは、まだ安倍総理が約束したときには予算の前提がなかったんじゃないかというふうに、気になったわけであります。
 それを外務省の方に問い合わせましたらば、一部の例外があるものの、国会の承認を得て等の文章を付したので対外的に表明しているという理解だと言うんですが、私は、実はちょっとそれは大盤振る舞いというか、ややもすると国会軽視に当たるのではないかなと。特に気になりますのは、一応確かにスピーチの中では国会の承認を前提にとは言っていないので、ちょっとそれは確かに大風呂敷になっちゃうのかなと思いますが、文章では国会の承認と書いてあるものの、一部にはないんじゃないかというふうな回答を得ているんですが、この一部というのは何が一部に当たるんでしょうか。
#55
○政府参考人(石兼公博君) 今まさに委員から御指摘のございましたように、中東政策スピーチの中ではそういう言及はございません。
 他方で、例えばエジプトで出しました日エジプト共同声明、ここにおきましては、国会承認を得てという文言が入っておりますし、また日ヨルダンの首脳会談におきましても、国会の承認を得てからとなりますが国際機関経由で新規支援を行いますと。それから、パレスチナを訪問された際にも、国会承認を経て新規支援を行うというふうに総理はおっしゃっております。
 このスピーチの中につきましては、確かに国会承認ということはございませんが、これは当然、国会の承認をいただくことが当然の前提という認識の下で、外交的観点から例外的に省略的な表現としたと、このように承知しております。
#56
○山田太郎君 外務大臣にもそこをお伺いしたいんですが、やっぱり非常に微妙な問題でもあったと、結果論としてかもしれませんが。そういったことで、私は決して、だから駄目だと言いたいわけじゃなくて、中長期なら中長期という形で予算を考えて、その中で、もちろん予算が単年度ということもあるのかもしれませんが、ただ、これは補正でいわゆる処している予算でもあって、非常に微妙というか、タイミングが悪いというか、その辺り、どうだったのか、外務大臣の方からも御意見というか、お聞かせいただけませんでしょうか。
#57
○国務大臣(岸田文雄君) 海外に向けてのコミットメントにつきましては、今、石兼局長からの答弁の中にもございましたように、基本的には国会の承認を得た上での約束をさせていただく、こういった姿勢で臨んでおります。
 ただ、国際儀礼上、スピーチのボリュームですとか、あるいはやり取りのタイミング等で、国会の承認を得たならばという部分が省略されるということ、これ、これまでも今までの国際的なやり取りの中で幾つか散見できると承知をしております。一部例外があるというのは、そういった点を指摘しているのだと思います。
 しかし、いずれにしましても、基本的にはこうした予算に関わる問題であります。国会の承認を得た上でしっかり話を進めなければならない、これは当然のことであります。まず、基本的には国会で御承認いただいた予算の範囲内で物事を考える、そして今後の国会での審議の状況等もしっかりと念頭に置きながらこうした国際的なコミットメントは考えていかなければならないと考えます。
#58
○山田太郎君 次に、JICAの運営交付金事業についてちょっとお伺いしたいと思っております。
 私もこのODAの中で非常にいい予算だなと思っておりまして、特に、中小企業に対してODAをうまく活用してどんどん出ていってもらいたい、それが現地への支援にもつながるんだ、こういう趣旨で始まったということを理解しております。毎年六十億前後で推移しているんですが、ちょっと、ただ、その予算の付け方で気になっておりますのは、六十億で推移しているといっても、補正の二十億程度を前提としているというところがありまして、例えば去年は、平成二十六年度、どういう形で予算が組まれたかというと、本予算で四十五億、補正で二十二億円という形で積まれたわけであります。平成二十七年度、今年の予算の話をしているわけですから話をしますと、これ、四十四億円という形で積まれているんですが、多分補正を二十億ぐらい積むんではないかというものがどうしてもこれは想起されてしまいます。
 実は、補正というのはあくまでも補正ですし、期間が限られているというか、私はしっかり本予算で六十億前後積むのが本則というか、べきじゃないかと思うんですが、もう補正を前提としているのかどうか、ちょっとうがった見方になってしまうんですけど、その辺、いかがなんでしょうか。
#59
○政府参考人(石兼公博君) 私ども、当然当初予算でしっかりといただいて、それを実際に上がってきた案件を判断しながら良いものを拾って実施していくということでございます。補正をあらかじめ期待してということはございません。補正のときに、こういう中小企業支援は重要だから、この時勢柄、是非中小企業支援ということでODA予算を付けていただきたいという予算案をお出しして、お認めいただいた上でそれを実行していくわけで、あらかじめ何か具体的な案件を予想して、あるいは補正予算を想定して計画を立てているということではございません。
#60
○山田太郎君 ただ、これもう四年目に入って、毎回補正が付いているので、もういいかげん、毎年六十億ぐらいこれをやっていくんであれば、今年は例えば六十五億とか六十七億とか、本則の予算で積まれた方が分かりやすいと思うんですが、その辺り、もう一度、いかがですか。
#61
○国務大臣(岸田文雄君) 今局長から答弁させていただきましたように、あくまでも本予算においてしっかり予算を取るというのが本筋だと承知をしております。この限られた財政状況の中で、是非財政当局の、そして国会の御理解を得ながら最大限努力は続けていきたいと存じます。
 その上で、その時々の状況に応じて緊急的に必要であると認識をしたならば補正予算もお願いする、この組合せの中でできるだけ予算の充実を図っていきたいと考えております。
#62
○山田太郎君 多分趣旨は分かっていただいたと思うので、来年度ぐらいからは検討していただければとも思っております。これ以上追及しません。
 じゃ、最後に、実は海外に対する補助金等もいろいろあって、日本、積極的だということであるんですが、JICAの予算とジェトロの予算と中小企業基盤整備機構の予算がちょっと複雑に入り交じっておりまして、中小企業の方からは使いにくいとかどこに相談すればいいかよく分からぬというようなことを聞かれたりもします。
 特にJICAは残念ながら中小企業とのまだ結び付きが少ないというところもあるんですが、この辺りの整理として、今日、政務官の方、経済産業省からも来ておりますから、是非、どんな整理を今後されていくのか、経済産業政務官、そして外務大臣の方にも、引き続きこの辺り教えていただけないでしょうか。
#63
○大臣政務官(関芳弘君) 山田委員の御意見、誠に重要な点だと思います。
 中小企業の海外展開を推進していきます際に、相手国のニーズなんかもしっかりと踏まえながらやっていっているわけなんですが、外務省、JICAさんの方とはしっかりと提携して、中小企業は今後支援をしっかりと、今までもやっておりますが、更にもっとやっていかなければならないというふうなそのお考え、私どもも確かに同じ考え方です。
 現状ではどういうふうな形でやっているかといいますと、経済産業省の方の地方経済産業局ごとに開催しております地域中小企業海外展開支援会議というのがございます。そこに外務省やJICAにも参加をしていただいておりまして、地域ごとに中小企業の海外展開を効果的に支援すると、これは定期的に情報交換をやっております。
 また、加えまして、今度は現地の方におきましては、中小企業の新興国等への進出における現地サポート体制というのを強化を図りますために、現地の官民支援機関によりまして構築をしております中小企業海外展開現地支援プラットフォームというのをつくっております。ここは、大使館、それから外務省、それからJICA、それから日本における商工会議所、法律とかそういうようなコンサルティング会社とか商社とか、こういうところが全部入っているような、そのような団体でございますが、ここの機関への取次ぎとかインフラ事業参入の情報提供等を行っているところでございまして、また途上国におきましては、加えまして、経済協力に当たりましては、インフラシステム輸出や産業の人材育成等、JICAの組織の方とはしっかりと連携を今後とも深めてまいりたいと思います。
#64
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のJICAと関係機関との連携ですが、一つは、今経産省からも答弁がありました中小企業海外展開支援会議、こうした会議を通じて情報提供や紹介を行っているわけですが、JICA自身、中小企業等からの要望に応じて、ODAを活用した中小企業等の海外展開支援に関する個別相談を実施しておりますが、企業の相談内容に応じてジェトロあるいは中小企業基盤整備機構等の他の支援機関、これを日常的に紹介をしておりますし、外務省、JICA、中小企業、ジェトロ、これはそれぞれが立ち上げている中小企業等の海外展開支援のためのホームページ、これは相互リンクを張る、こういった工夫もしております。
 引き続き関係機関との連携深めていきたいと考えております。
#65
○委員長(山本順三君) 時間が来ておりますので、まとめてください。
#66
○山田太郎君 時間になりました。終わります。
 ありがとうございました。
#67
○中野正志君 次世代の党の中野正志でございます。
 三月三十一日に参加を締め切られました、中国が主導いたしますアジアインフラ投資銀行、いわゆるAIIB、これについて、日本は参加を見送るという、私は大変賢明な判断をされたものだと率直に評価をいたしております。
 三月二十七日の予算委員会でも安倍総理には申し上げたんでありますけれども、このAIIB、現代の朝貢か、朝廷に対する貢ぎですね、現代の朝貢かとまでうわさされるAIIBでありますが、中国が国際秩序のまさに頂点を狙う腹だと、それであることは間違いなく、私は、現時点では日本はこのAIIBに参加する必要性があるとは思えない、中国のODA姿勢と日本のODA姿勢、これが違うように、統治の仕方あるいは融資の仕方についても、おのずと中国と私たち日本あるいはアメリカ合衆国とコンプライアンスは全く違うのだということが歴然としておりますから、あえて同調する必要はないと考えるからであります。
 そこで、岸田大臣に、このAIIBについていかがお考えになられておられますか、基本的な考え方、姿勢をお伺いをいたしておきたいと思います。
#68
○国務大臣(岸田文雄君) AIIBに対する立場、対応ですが、日本政府としましては、これまでも一貫して申し上げておりますとおり、公正なガバナンスを確立できるのか、特に加盟国を代表する理事会がきちんと個別案件の審査、承認を行う体制となっているのか、こういった点、さらには債務の持続可能性を無視した貸付けを行うことにより、他の債権者にも損害を与えることにはならないのか、こういった点を含めて慎重な見極めが必要であるという立場を取ってまいりましたが、この方針は今現在変わっておりません。
 AIIBに参加する場合、これは推計でありますが、莫大な出資金が求められることになります。推計でも一千億単位の大きな出資が必要になるというふうに言われております。こうしたことを考えますならば、政府としてこれは慎重にこの状況を把握した上で対応しなければならない、これは当然のことではないかと考えております。特定の期限にとらわれることなく、関係国と連携しながら、中国側に対しまして引き続き働きかけを考えていく考えです。
#69
○中野正志君 岸田大臣、全くそのとおりの姿勢でお願いをいたしておきたいと思います。大臣の近辺の大先輩の方に中国と非常に仲の良いお付き合いをされておられる方もいらっしゃるとお聞きもいたしておりますし、いろいろなお知恵があっていいんでありますけれども、少なくとも私たち、日本という国家でありますから、国益、これを基本としながら、今後とも、私も岸田大臣の姿勢は評価いたしておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 さてさて、ここ近々のこの国会の外交防衛に関する議論を聞いておりますと、どこぞの国の外務大臣の代理のような論調などが実はあって、相変わらず日本の国会も変わってないなと感じるところがあります。そのほとんどでありますけれども、まず、私たち日本の外交姿勢をくさして、中国や朝鮮半島の二つの国と歴史認識を同一化すべし、こういう議論なんでありますね。また、極端に言えば、一部ではありますけれども、戦争法案などと悪意のデマでおとしめて安倍政権に反対、反発している向きもあります。しかし、それらの国々との太平洋戦争後の七十年の今日までの歴史を考えれば、その議論が間違っていることは私は歴然としていると思います。
 例えば、ODAの問題でありますけれども、総理も七十年談話の有識者懇談会においても御発言されましたように、戦後、日本は陰徳、陰の徳を積んできたと。この美徳は自らの功績を言うことをはばかるわけでありますけれども、しかしあえて言わせてもらえば、中国には総額で三兆六千五百億円超、韓国には総額六千七百億円超のODA、これは過去の歴史に対する日本の真情の発露のODAではないだろうかとは思っております。
 ただ、さっき私があえて批判した人たちは、意識して中国、韓国へのこのODAには触れたがらない、また、中国、韓国への批判も口にはしない、また、私たち日本人のほとんどの人は、中国の軍事の大膨張が私たちに陰に陽に大変にもう負担また恐怖感を与えているということを感じているんでありますけれども、日本やアメリカ合衆国を責めても中国を責めたりなどはしない。残念ながら、この友好のあかしでもあるODA支援が、それぞれの国の発展には寄与しても、中国、韓国に関しては、あの数々の反日的な発言を顧みれば、外交的に成功しているとは言い難いなと思っております。
 まずは、先進国の仲間入りをも果たした中国、韓国でありますけれども、今後両国にはODAの支出はないものだと理解をいたしておりますが、それでよろしいんでしょうね、外務大臣。
#70
○国務大臣(岸田文雄君) まず、韓国ですが、韓国に対するODAは、同国の経済発展に伴い二〇〇一年を最後に終了しております。今後もODA供与の予定はありません。
 そして、中国については、経済発展や技術的な水準の向上に伴い、対中ODA供与の大部分を占めていた円借款及び一般無償資金協力の新規案件は終了しております。ただ一方で、越境公害ですとか感染症ですとか食品の安全など、日本国民が直接裨益し、協力の必要性が真に認められる分野における協力については一定の意義が認められることから、これらの分野に対する協力は限定的でありますが引き続き存在しています。この技術協力の分野において、今言った部分は存在いたします。
 ただ、これとて、日中間の新たな協力の在り方として、日中互恵の案件については日中双方の適切な費用負担で行う方式を導入する、こういったことにつきまして両国間で合意をしております。今後、段階的に実施に移していきたいと考えます。
#71
○中野正志君 PM二・五やらあるいは酸性雨の恐怖やらということは分からないわけではありませんけれども、やっぱり原因者負担でありますから、私たちの日本の優れた技術、いい意味でお互いウイン・ウインの形でなければならないと私たちは考えておるところでありますので、よろしくお願いいたします。
 仙台防災イニシアティブにつきましてもお聞きをしたかったんですが、三十四分までですと書いてありますので、以上で終了いたします。ありがとうございます。
#72
○又市征治君 社民党の又市です。
 開発協力大綱については、既に参考人をお招きをして意見を聴取をいたしました。三月四日の薬師寺先生の意見陳述、憲法の前文からODAを位置付けられてお話をいただいて、大変感銘深くお聞きをいたしました。
 ようやく大臣との質疑ということに今日なったわけですが、まず大臣、今回のODA大綱の名称変更というか改定は、マスコミからも大変注目を浴びているわけですけれども、どういう点が変化したのかという一覧表もありますけれども、個々の中身に入る前に、このODA大綱から開発協力大綱への変更で、支援、援助についての哲学というか、この基本的な視点、これは変化したのかどうか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
#73
○国務大臣(岸田文雄君) まず、今回の大綱の名称変更ですが、第一に、政府だけではない、民間企業、NGO、そして自治体といった多様なアクターも含めたオールジャパンの協力を目指すこと、第二として、ODA卒業国であっても、小島嶼国等の特別な脆弱性を抱える国々に対して必要な協力を行っていくことを含め、協力のスコープを広げるということ、三つ目として、我が国が、途上国、官民連携で一方的に援助をするのではなくして、途上国との対等なパートナーシップによる協力を目指すこと、こういった点を特に象徴的に表すということから、この名称の変更を行ったと承知をしています。
 そして、この新大綱のこうした考え方は、ODA六十年の歩みを踏まえつつ、国際社会の大きな変化、あるいはODAに求められる役割の変化、これを反映したものです。この新大綱で基本方針に定めた、非軍事的協力による平和と繁栄への貢献ですとか、人間の安全保障の推進ですとか、さらには自助努力支援と日本の経験と知見を踏まえた対話、協働による自立的発展に向けた協力、こういった点はこのODA六十年間に培ってきた基本哲学であって、大きな転換を図るものではないと認識をしています。
#74
○又市征治君 そういうふうに説明を聞きますと、先ほど小野さんからも実はあったことですけれども、政府の説明、このペーパーですよね、外務大臣が横にちょっとコメントを発表されている、この中身見ますと、開発協力大綱の決定についての中では、閣議決定された国家安全保障戦略も踏まえつつ、次のとおりODA大綱を改定し、開発協力大綱を進めると、こういう一節があって、そして今のこの説明によれば、この見直しの背景に、ODAに求められる役割の多様化が掲げられて、具体的には、閣議決定でも言及される国家安全保障戦略と、さらに日本再興戦略と、こういう格好で一番に挙がってきているわけですね。
 こう見ていきますと、国家安全保障戦略は、その策定の趣旨として、国家安全保障会議、NSCの司令塔機能の下、政治の強力なリーダーシップにより政府全体として国家安全保障政策を一層戦略的かつ体系的なものとして実施していく、国の他の諸施策の実施に当たっては、本戦略を踏まえ、外交力、防衛力等が全体としてその機能を円滑かつ十全に発揮できるよう国家安全保障上の観点を十分に考慮すると、こういうふうに書かれているわけであります。
 私どもは、このNSCの設置そのものについては、権限の一部集中ということやら、あるいはアメリカと日本の軍事一体化ということを促進するものだという立場から反対をいたしましたが、その点はこの際おくとしても、日本のODAがまさにこのNSCの司令塔の機能の下に置かれる、このような形で書かれておること自体が、これはいかがなものか、こういうふうに見なきゃなりませんし、あるいはまた、日本再興戦略では、U、改訂戦略における鍵となる施策として、日本の稼ぐ力を取り戻すと提起されているわけですが、そうしますと、安倍政権の目指すのは、日本の軍事政策の大きく転換をしたい、あるいは日本企業にもっと稼がせたいということにあるようですけれども、その良しあしは別にして、これ実は内政の問題です、日本がどう目指すかということは。そこにこのODAも位置付けるということになると、海外は、控えめに言っても大きな違和感、せっかく今大臣が説明をされたけれども、そのことに対する不信感を持たれることになるんじゃないのか、そういう気がしてならないんです。
 前にも申し上げたんですが、BBCワールドサービスが行っている世界各国の信頼や尊敬度のイメージ調査では、日本は二〇一二年には一位だったけれども、一三年四位、一四年には五位と、依然として高位ではあるけれども、どうも低下傾向にある。どうもこの安倍内閣の姿勢に対する評価がそういう格好で各国で見られているのではないのかという気がするわけですが、とりわけ、こうした外務省として大臣がおっしゃることと事実上ペーパーとして出てくることがどうも乖離があるように気がしてならないんで、その点を含めて、大臣のもう一度改めて見解を伺っておきたいと思います。
#75
○国務大臣(岸田文雄君) まず、国家安全保障戦略ですが、積極的平和主義の立場から世界の平和と安定及び繁栄にこれまで以上に積極的に寄与していく、こういった姿勢を示したものですが、この戦略においては、我が国としてのまず優先すべきアプローチとして外交というものをしっかり掲げています。外交を通じて、国際社会の平和と安定の阻害要因となりかねない開発問題あるいは地球規模課題への対応、また人間の安全保障に向けてODAの積極的、戦略的活用を図る、こういった内容になっています。こういった点を強調して資料として掲げているんだと認識をしております。
 また、日本の再興戦略につきましても、国際展開戦略の一環として、経済分野での国際展開の支援、好ましい国際環境の構築、あるいは人間の安全保障の推進、この三本柱を踏まえた戦略的ODAを展開する、こういった旨、この戦略の中で定めています。民間部門主導の成長を促進することで途上国の経済発展を推進し、そして開発途上国とウイン・ウインの関係を築くこと、こういったことを意図したものであると認識をしております。こういった認識の下に、国家安全保障戦略、あるいは日本再興戦略、こうしたものを掲げて、ODAの見直しの背景として掲げたものであると承知をしております。
 いずれにしても、今申し上げましたような内容につきまして正しく理解されるように引き続き説明努力は続けていきたいと考えます。
#76
○又市征治君 国家安全保障戦略というのは、日米同盟の強化を軸とした日本の目線であって、国益の強調そのものだと思うんですね。発展途上国の目線ではないわけです。日本の安全、繁栄が第一義的に考えられ、それに沿った途上国支援が優先されることになると思うんですね。
 官民連携を推進するといっても、内需に活路を見出せない民間資本の海外進出に税金を投入して環境整備を行う、先鞭を着けるということでは本末転倒、これは私もかなり前にインドネシアやタイなどに視察に行きましたけれども、まるで日本のために大きな日本にもないような冷凍庫が造られて、そこへ入った魚はすぐそのまま日本に空輸される。全く日本の利益のために、大変それは逆の意味で批判を受けている。
 あるいは、空港を造るのに、日本の大企業がそこへ行って、結局元請になってやっているということなど、これは随分と国内でも批判があったわけですよね。そういう意味で、やっぱり過去の反省というものをしっかりと生かさなきゃならぬのだと思うんです。
 あくまでも、やっぱり私は、このODAは発展途上国の非軍事、人道支援というものを徹底することが、かえって逆の意味で日本の利益にもつながってくるということになるんだろうし、その点を徹底してやっていくべきだ、このように思うわけでありますが、そのことを申し上げて、後ほどのまた一般質疑のところで続けてお伺いしたいと思います。
 終わります。
#77
○谷亮子君 谷亮子です。よろしくお願いいたします。
 本日は、まず平成二十七年度ODA予算の委嘱審査ということでございまして、岸田大臣始め、関係の皆様、よろしくお願いいたします。
 岸田外務大臣は、就任直後より五十以上の国、地域の外国首脳等、大臣等と会談を積み重ねてこられまして、様々なネットワークの構築あるいは諸外国との親密な関係を築かれていらっしゃいます。
 また、岸田大臣は、日本外交にとって最大のツールはODAであり、平和外交の柱であるとODA政策スピーチで述べられていらっしゃいました。
 昨年は、日本がODAをスタートさせてから六十年という節目を迎えたところでございますが、我が国のODA実績の支出純額の累計は約四十二兆円であることが、外務省に先週確認させていただきましたところ、外務省の御努力によりまして今回明らかになりました。
 そこで、本年二月十日に閣議決定されました新大綱となります開発協力大綱について伺ってまいりたいと思います。
 まず、開発協力大綱の中の、開発協力の適正性の確保のための原則関連の中にございます軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避では、開発協力の実施に当たっては、軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避する、民生目的、災害救助等非軍事目的の開発協力に相手国の軍又は軍籍を有する者が関係する場合には、その実質的意義に着目し、個別具体的に検討すると明記されてありますが、非軍事的用途また非軍事目的といえば相手国の軍又は軍籍を有する者でも開発協力が容認されることになるとも考えられます。そうなりますと、軍事的に転用されるかもしれないという懸念が残るのではないかということをこれまでも多く指摘されてきたことは承知いたしております。
 そこで、この大切な開発協力が効果的また効率的な開発協力推進のための原則に厳格に、さらに、閣議決定されました根幹にのっとり適正に履行される運用基準を是非お示しいただきたいと思います。
#78
○国務大臣(岸田文雄君) 近年、感染症対策ですとか、紛争後の復旧復興等の民生分野、さらには災害救援など、非軍事目的の活動においても軍が重要な役割を果たすようになり、開発目的の達成のために軍の下にある機関や軍籍を有する者に対する非軍事目的の協力が必要になる場面が増加をしています。
 そこで、新大綱では、この軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避の原則の下、これまで十分明確でなかった軍、軍人に対する非軍事目的の協力に関する方針、これを明確にした次第です。
 そして、この原則の実施につきましては、相手国の開発ニーズや経済社会状況、あるいは我が国との二国間関係等も踏まえつつ、個別具体的、案件ごとにこの援助の趣旨や目的、援助対象あるいは援助の内容、効果の観点から、総合的に実施の是非を判断していく、こうした対応を考えております。
 そして、実施した後もしっかりフォローアップする、こうした体制も考えていく所存ですし、そして何よりもこうした取組の透明性を高めていかなければなりません。是非、こうした案件ごとに調査の段階から開発協力適正会議という会議を設けて、学識経験者あるいは経済界、あるいはNGOにも参加してもらって、こうした案件についてしっかりと目を光らせてもらう、こういったことによって透明性を高めていく仕掛けをつくっていきたいと考えています。
#79
○谷亮子君 岸田大臣、ありがとうございました。
 案件ごとにその透明性を高めていく、そうしたことをしっかりと取組を進めていくということでございまして、やはり非軍事目的の開発協力が運用基準そのものであるということをただいま岸田大臣の方から御丁寧に御説明いただいたというふうに思います。
 先般、開発協力大綱に対する参考人質疑が行われまして、その中で、参考人の方が、紛争地や戦争中の国々に行かれて、軍隊というものがどういうものなのかということを御紹介してくださいました。その中では、途上国の軍が国内においては治安の維持装置として働いたり、あるいはこの大綱の中で支援していこうという少数者の方たちや先住民の方へのまさに圧制のための道具に使われているというような場合もあり、そういった途上国の軍というのは規律や文民統制の点で私たちの国の自衛隊とは大きく異なるものですと、全てがそういったことではございませんでしたけれども、このような現状も報告してくださいました。
 ですから、こうした現状を踏まえた上で、ただいま岸田大臣から御説明があったとおりに、やはりこのODA大綱は日本が平和国家として世界に貢献するための大変重要な手段であると思っておりますし、私もこの開発協力大綱にうたわれたとおりの開発協力の運用基準が適正に履行されていくということを望んでまいりたいというふうに思います。
 そして次に、ODAにおける法制度整備支援について伺いたいと思います。
 今回の開発協力大綱の中では法に関する法の支配といった文言が七か所ございますが、今日のように国際的な経済活動等がより活発化する中では、日本がODAの法制度整備支援を通じて国際社会において果たすべき役割はますます重要になってくると思います。とりわけ、アジア諸国の法制度整備のニーズは非常に高まっておりまして、日本の法制度整備支援に対する期待や要望は高まる一方の現状でございます。
 私も法務委員会でもこれまで取り上げさせていただいてまいりましたが、十九年前に我が国の援助でタイに少年院が設置されまして、法務省から職員の方々が派遣された上で取組がなされた結果、罪を犯した十八歳未満の少年の再犯率の減少につながったことを取り上げさせていただきました。やはりこれは、開発途上国が行う法制度整備のための自助努力を支援するものと私も理解いたしております。
 そこで、開発協力大綱における法制度整備支援等は大変重要な要件でございますので、今後どのような方針と方向性をお持ちでいらっしゃるのか、お伺いさせていただきます。
#80
○政府参考人(尾池厚之君) 開発協力大綱におきましては、法の支配の確立、グッドガバナンスの実現、民主化の促進、定着、女性の権利を含む基本的人権の尊重等が効果的、効率的かつ安定した経済社会活動の基盤を成している、経済社会開発を支えるものであると同時に、格差の是正を始め、公正で包摂的な社会を実現するための鍵であるというふうにしてございます。
 かかる観点から、例えば実定法の整備ですとか、あるいは法曹関係者、矯正、更生保護を含む司法関係者の育成など、法制度整備支援を行っていく考えでございます。また、議員御指摘のとおり、開発途上国自身の自主性、自発性と自助努力を重視をいたしまして、日本の経験と知見を活用しつつ、当該国の自立的発展に向けた協力を行っていく考えでございまして、法制度構築等におきましても自助努力や自立的発展の基礎を構築するという点を重視していきたいと考えてございます。
#81
○谷亮子君 実効性ある御答弁いただきまして、ありがとうございます。
 昨年、二〇一四年の日本再興戦略におきましても、その中でうたわれているとおり、やはり法制度整備などの我が国の得意分野を今後積極的に展開していくということもございましたので、今後につきましては、法務省とも連携を図っていただいて、予算面でも是非考慮していただいて検討を進めていっていただきたいとお願い申し上げまして、終わります。
#82
○荒井広幸君 荒井でございます。
 大臣には、外務大臣という立場もありますけれども、本当に積極的に海外に出ていただきまして様々な成果を上げていただいておりますこと、敬意を表します。
 私はこの間スリランカに、三度目でしたが、伺ってまいりました。ラージャパクサ大統領からシリセーナ大統領に選挙によって円満に政権交代といいますか、替わりました。それを受けて伺ってまいりました。そのときに初めて、三度目で初めて伺ったんですが、ジャヤワルダナ大統領の記念館がございまして、この記念館の裏庭といったらいいんでしょうか、そこに日本館がございました。
 ジャヤワルダナ大統領は、御案内のとおり、一九五一年のサンフランシスコ講和条約で、日本が非常に厳しい局面に立たされているときのその本会議の中で、憎しみは憎しみでは消えない、日本に対して慈悲を持って臨むべきだと、この発言が大きく各国を動かしたと言われております。御自分が亡くなられた一九九六年だったかと思いますが、そのときに、右目はスリランカの方に角膜を御提供され、左目は日本人の方に角膜を提供いただくというふうに大変親日家であり、大変我々としては有り難い方でございました。おかげで、スリランカの人も大変に我が国には親日的であるわけです。
 スマトラ沖の大地震で大津波がありまして、三万人ぐらいの方が亡くなりました。スリランカが大変な状況でしたが、真っ先に救助に、救援に伺ったのも日本でございましたし、ODAもずっと各国を抜いて一番支援をしてきましたけれども、ここ四、五年、残念なことにその座を明け渡したわけですが。
 私たち改めて、観光旅行で行く方も、それからオリンピックがあります、日本に来られた方も、それぞれの国で、我々観光した場合は改めて、観光に行って日本の、ああ、こういうことがあったのかとしみじみ反省したり、あるいは日本を誇らしく思ったりということもあります。オリンピック前に日本に来る方も、今アベノミクスの円安効果で大勢の方が日本に来ています。選挙応援に行ってもホテルが取れなくてうんと困っております。それぐらい観光客も増えているんですが、そうしたお互いの国を結んでいった様々な関係、特に人物に脚光を浴びせますと、いろいろ、草の根支援でお互いにこれらの人物を紹介し合う、そしてその業績をもう一回かみしめ合うというところに両国が信頼が深まり、平和と安定に貢献するという目的につながっていくんではないかというふうに思っております。
 外務大臣にお尋ねしたいんですが、このスリランカの一例から普遍化させていきたいと思いますが、日本館というのが大変古くなっておりました。日本人も結構スリランカ人より来ますよといっているぐらいなんですが、まだまだ少ないんですけれども、例えば日本館、古くなりましたので、修復や陳列棚の整備、そして両国の友好の歴史、こういったものを冊子にしたりパネルにしたりあるいは解説のビデオを制作したりと、こういったことで一工夫していただけないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#83
○国務大臣(岸田文雄君) まず、スリランカとの関係ですが、今委員の御指摘がありましたような歴史的な関係に基づくスリランカとの友好関係、大変重要であると認識をし、今日まで、政治、経済、経済協力、あるいは平和の定着等、様々な分野において日本とスリランカの関係を推進してきました。先月、三月十九日ですが、スリランカの新しい外務大臣、サマラウィーラ外務大臣とも電話会談をさせていただきましたが、こうした歴史的な関係に基づいて引き続き関係を推進していきたい、こういった点で一致をした次第であります。
 そして、御指摘のジャヤワルダナ記念館の日本会館ですが、これは日本とスリランカの友好関係の歴史を確認する上においても重要な施設であると考えます。このジャヤワルダナ記念館側から日本館について具体的な支援要請がある場合には、いかなる支援が実施できるか、是非検討していきたいと考えます。
#84
○荒井広幸君 恐らくあるのではないかというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思いますが。
 このように、例えば日本記念館などというのがなくとも、その人物に着目したときに、両国において本当に友好を確認する意味でも重要な人々というのはいるわけですが、そうした世界中に記念館あるいは日本館、こういったものを官民問わず設置されていると思うんです。これは何か国で大体どれぐらい、何館ぐらいあるか、把握されていますか。
#85
○政府参考人(上月豊久君) 委員、お答えいたします。
 我が国とほかの国との間の友好関係の交流、多種多様でございますし、友好関係を示す施設等についても、その土地柄や我が国の関係の態様について実に様々でございますので、その数について網羅的にお答えすることは困難でございます。
 ただし、今御指摘がありました草の根文化無償、この案件の中で我が国が直接関与している例として、また、そのうち、両国の友好関係をうたう記念館やセンター等の事例がどのぐらいあるかというのを数えてみますと、これまでに約二十件を数えまして、その中で、例えばボリビアでは日本とボリビアの文化交流のための日本ボリビア交流会館ですとか、キューバでは文化交流のためのセンターである日本キューバ友好館と、こういったものに草の根無償を提供している例がございました。
#86
○荒井広幸君 我々も過去を反省し、そして未来に向かっていかなければなりませんが、そういう姿勢を示すのも、こうした記念館、人物等の往来、深いつながり、そういったものに由来するところ、その延長上で読み込んでもらうというのもたくさんあると思うんですね。
 ですから、どうぞ大臣、そういう意味では、もう少し草の根で支援していないところも調べていただきつつ、いかがでしょうか、もちろん向こうからの要請があってこちらがお手伝いするわけではありますが、私も三回目で初めて行ったぐらいなんです。ですから、そういうところがたくさんあって、非常に立派な心を込めた日本の画家の絵などがもう無造作に、やっぱりお金がないんでつり下げてあるだけなんですね。いわれとかそういうものがあるともっとこうお互いが分かり合えると思うんですけれども、そういった記念品自体にしても、ちょっとそういうところが残念でございました。
 大臣にお願いしたいんですが、一層、向こうからの要請はあろうかと思いますが、もう一度、積極的に日本がそうした人物由来の両国の関係持っているような、記念館やそれに付随する日本館、そういったものも含めて支援していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#87
○国務大臣(岸田文雄君) 二つの国の友好の歴史を記憶にとどめるために設けられた様々な施設等に対して日本が支援するということになったならば、恐らくそのことは相手の国の国民の注目を集めることにもなるでしょうし、また、日本とその国との友好について理解を深めてもらうきっかけにもなるのではないかと考えます。
 そういった観点から、御指摘のような施設に対して日本として支援をするということ、これは外交的な立場からも重要な取組ではないかと認識をいたします。具体的には、どのようなものがあるか、いま一度確認しなければなりませんが、基本的には今のように考えます。
#88
○荒井広幸君 最後になりますが、今いろんな慰安婦の銅像問題等々いろいろありますけれども、事が起きる前に、実はそうした両国に深くいい意味での根差した人々たちの活動、歴史というのがありました。そういったものをもう一回、オリンピックを前に再度掘り下げていただいて、大臣のお言葉のような形で進めていただきたいと思います。
 終わります。
#89
○委員長(山本順三君) 以上をもちまして、平成二十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、政府開発援助関係経費についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#90
○委員長(山本順三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#91
○委員長(山本順三君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、外務大臣官房地球規模課題審議官尾池厚之君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#92
○委員長(山本順三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#93
○委員長(山本順三君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会に独立行政法人国際協力機構理事植澤利次君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#94
○委員長(山本順三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#95
○委員長(山本順三君) 政府開発援助等に関する調査のうち、開発協力大綱の下での我が国ODA等の在り方に関する件を議題といたします。
 政府から説明を聴取いたします。岸田外務大臣。
#96
○国務大臣(岸田文雄君) 開発協力大綱の決定を踏まえたODA等に関する特別委員会の開催に当たり、申し述べます。
 昨年三月、私は、日本及び国際社会が大きく変化し、政府開発援助(ODA)に求められる役割も様々に変化する中、ODAも更なる変化を遂げるべきとの考えから、ODA大綱の見直しを発表しました。それ以降、約一年にわたり、国会での議論はもとより、市民社会や経済界を始め、各界関係者との意見交換、一般からの公聴手続等幅広い議論を行ってまいりました。
 その結果、本年二月十日、ODA大綱を十二年ぶりに改定し、開発協力大綱を閣議決定いたしました。
 新大綱は、ODA大綱から開発協力大綱に名称を変化しました。このことは、第一に、官民連携を始め、政府だけでない、オールジャパンの協力を目指すこと、第二に、一人当たりの国民所得だけで判断するのではなく、小島嶼国等の特別な脆弱性を有する国等への協力を実施することも含め、協力の対象を広げること、また、第三に、我が国からの一方的な援助ではなく、開発途上国との対等なパートナーシップに基づく協力関係の強化を目指すことを象徴的に表しています。
 これらに加えて、新大綱の特色を幾つか申し述べれば、まず、外交政策に基づいた開発協力を推進し、もって国益の確保に資するようにすることを明記したこと、また、我が国が平和国家として開発協力という非軍事的協力を通じて国際社会の平和と繁栄に貢献していくこと、さらに、人間の安全保障の推進を基本方針としてしっかり位置付けたこと、第三に、包摂性、持続可能性、そして強靱性を兼ね備えた質の高い成長の推進を重点課題として打ち出したこと、第四に、発展の前提となる基盤として、普遍的価値の共有や平和、安全な社会を重点課題に位置付けたこと、第五に、女性を始め社会の多様な関係者の参画の促進を打ち出したことが挙げられます。
 本年は、ミレニアム開発目標(MDGs)の後継となるポスト二〇一五年開発アジェンダが策定される重要な年です。開発協力大綱により打ち出した、日本らしい開発理念を国際社会での議論にも積極的に発信していきたいと考えます。
 昨年、我が国のODAは六十周年を迎えました。この間我が国は、一貫して国際社会の平和と繁栄を誠実に希求し、国際社会の抱える課題の解決に真摯に取り組み、地道で着実な歩みを進めてきました。このような我が国のODAの六十年は、我が国の平和国家としての歩みを体現するものであり、まさに、国際協調主義に基づく積極的平和主義を実践してきたものです。政府としては、新たな開発協力大綱の下、我が国の有する様々な力を結集し、より戦略的かつ効果的な開発協力を推進することで、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保に、より一層積極的に貢献していく決意です。
 山本委員長を始め、理事、委員皆様の御協力をお願い申し上げます。
#97
○委員長(山本順三君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#98
○高橋克法君 自由民主党の高橋克法です。質問をさせていただきます。
 少し今、私は感激をしておりまして、荒井広幸先生からジャヤワルダナ氏のお話が出ました。講和に向けた会議のときには、ジャヤワルダナさんはスリランカの大蔵大臣で、全権としてその会議に出ていた。そして、講和の会議の中の議論を日本にとって良い方向、正しい方向にジャヤワルダナ氏の発言が導いたということなんですけれども、それ以上に、私自身は、東京裁判史観というものを私たちは教えられてきたんですけれども、植民地化されてしまったアジアの国々にとって、東京裁判史観とは違う日本の存在というものがあったということをジャヤワルダナさんはあの講和に向けた会議で発言をされていると思うんです。私自身、常にこのジャヤワルダナ氏のことをもっと日本人は知るべきだという思いがずっとあったものですから、是非、荒井広幸先生が質問をされたジャヤワルダナ記念館、私の方からも大臣にお願いを申し上げたいと思います。質問ではありません。お願いでございます。
 早速、質問に入らせていただきます。
 新大綱に対する政府の基本認識についてまずお伺いをしたいんですが、二〇〇三年にODA大綱が改定された後の世界的な開発課題の多様化でありますとか、複雑化、広範化、さらにはODA以外の資金の占める割合と役割の増大といった変化を背景にして、名称も新たに策定をされました開発協力大綱では、重要な外交手段の一つであるODAをより効率的、効果的に実施する必要性を強調しているとともに、平和で安定し繁栄した国際社会の構築を通じて我が国の国益の確保に貢献することも明記をしています。そして、人間の安全保障ということを日本の開発協力の指導理念としています。
 そこでまず、岸田大臣に、我が国がこの大綱に基づいて、今後、開発協力を推進するに当たって特に重視していきたい点についてお伺いをしたいと思います。
#99
○国務大臣(岸田文雄君) 今後、新大綱の下で開発協力を進めていく中にあって、特に重視したい点は何かという御質問ですが、まず第一には、外交政策に基づいた戦略的な開発協力を推進していくこと、二つ目としては、ODAは多様な資金、主体と連携しつつ、様々な力を動員するための触媒であると位置付けて、開発協力の実施に際し、官民連携、自治体連携等の連携を強化していくこと、第三としては、質の高い成長とそれに通じた貧困削減を重点課題の一つと位置付けて、包摂性、持続可能性、そして強靱性を兼ね備えた質の高い成長を目指した開発協力を推進していくこと、四つ目として、この開発の基盤として、法の支配等の普遍的価値の共有、平和で安全な社会の実現を重要課題の一つとして位置付けること、そして五つ目として、女性を始め多様な関係者の開発への参画を促進していくこと、こういった点を是非重視して開発協力を進めていきたいと考えています。
#100
○高橋克法君 冷戦が終わってからの世界のパワーバランス、秩序というものは確実に変化しているという中での今回の新しい大綱の決定でございますので、何とぞ、そのような考え方でしっかりと進めていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
 次に、ODA卒業国支援、コストシェア技術協力についてちょっとお伺いをしたいと思います。
 世界には、単に所得水準のみで測ることのできない様々な開発課題が存在をしています。また、比較的高所得の国であっても、その国の中に、格差の拡大の問題でありますとか、持続可能性の問題であるとか、社会開発の遅れ、自然環境などに伴う特有の脆弱性、これは南太平洋の島嶼国なんかその事例だと思いますが、そういった課題に直面する国々もあります。これらの国々に対して我が国のODAで引き続き支援を行うことは、ひいては政治、経済面などで両国関係を強化するなど我が国の国益の確保に資するものと考えています。
 新大綱では、一定の所得水準に達したOECDが定める被援助国リストから外れた、いわゆる卒業国に対する支援、特に太平洋、カリブ等の小島嶼国が有する防災や環境分野等での特別な脆弱性に対して、各国の開発ニーズの実態に応じて必要な協力を行っていくことが述べられておりますので、このことは適切なものとなっていると私自身は思っています。
 そこで、具体的になんですが、今後どの小島嶼国のどういった開発ニーズに対して我が国が支援、協力をしていくことを想定しているのか、まずお伺いをしたいと同時に、特に湾岸諸国、この諸国は大変所得の高い国々でありますけれども、この湾岸諸国にあって環境社会分野における開発ニーズが存在をし、かつ我が国の経験や先進的技術が生かせる場合には、従来よりコストシェア技協、コストシェア技術協力という、そういうスキームで支援を行ってきたと承知をしていますけれど、今年度以降もこの枠組みを用いて支援を行う予定があるかどうか、既に具体化している場合には、その概要についても説明をいただきたいと思います。
#101
○政府参考人(石兼公博君) まず、委員御指摘のとおり、それぞれの国の経済指標のみならず、その経済開発の実態、それぞれが抱える特有の脆弱性等を踏まえてそのニーズに応える形での支援をすることは、まさに私どものODAの戦略的な外交にのっとった活用だと考えております。
 まず、第一の小島嶼国でございますが、カリブの小島嶼国につきましては、これらの島々、気候変動による海面上昇あるいは自然災害による被害に大きな影響を受けやすいといった、こうした特有の脆弱性を抱えておるところでございます。そこで我が国は、カリブの共同体CARICOMの諸国に対して、こうした国々が抱える特有の脆弱性に鑑みまして、一人当たりの所得がOECD、DACの定める基準を超えた場合であっても、防災、環境、気候変動対策等の分野におきまして、援助の必要性に関する調査の実施結果を踏まえて必要な協力を行っていく方針でございます。
 当面の具体的支援といたしましては、トリニダード・トバゴ、バルバドス及びバハマの三か国に対しまして、先方の要請を検討いたしました結果、防災及び環境分野における平成二十七年度の本邦研修にこれらの国からの研修員を受け入れる用意があるということを通報済みでございます。このほか、防災、環境、気候変動対策の分野におきまして、今援助の必要性に関する各種調査をやっておるところでございますので、この実施結果を踏まえて必要な協力を実施していきたいと、このように考えております。
 また、湾岸諸国でございますが、確かに高所得国ではございますが、日本の質の高い技術あるいは知見を提供して先方の政府に必要な経費を負担させる、こういう形での技術協力、これを行ってきております。平成二十五年、これをコストシェア技術協力として協力対象の拡張を行ったところでございます。これまで我が国は、エネルギー、IT、医療、それから5S改善と、これは整理整頓等々の改善、こうした分野におきまして、サウジアラビアからの研修員の受入れ、あるいはオマーンへの短期専門家の派遣など、相手国政府に必要な経費を負担させる形で実施してきております。
 今後もこうしたコストシェアの技術協力による支援を行うべく、現在、具体的な案件形成のための調査を実施してきている、こういう状況でございます。
#102
○高橋克法君 次に、ODAと二国間クレジット、JCM、これ二国間クレジットというのは環境省が所管していると思いますが、この連携について質問します。
 昨年の八月に、中西理事とそれから民主党の石橋先生と私は、ODAの調査派遣でドミニカ、パナマ、ニカラグア、コスタリカの四か国に行ってまいりました。今現在、中米ではコスタリカとメキシコ、この両国との二国間クレジット、JCMが日本は締結をしております。二国間クレジットというのは温室効果ガス削減のためのクレジットですけれども。
 この二国間クレジットについての勉強会の中で、非常に最近興味深い話を私自身知りました。実は、日本の環境技術というのは非常に品質が高い、けれども価格も高い。これに比べて、どこの国とは言いませんが、品質が悪いけれども値段も安いという製品がある。そうすると、どうしても初期投資の段階で、まあ製品の品質はいいのは分かっているんだけれども安い方という形にならざるを得ない。しかし、この二国間クレジットという制度を利用することによって、相手国が高品質な日本製品を値段で十分に競争できる土俵にまで持ってくることができる。そうすると、相手国は本当に品質のいいものを、環境に良いものをそれなりの値段で導入することができるというような、これは実際にそういった事業を行っている企業の方からお聞きをしたわけなんです。実際に実践をされているそうなんですが。
 それを聞いたときに、環境省のホームページを見ましたら環境省のODA案件で様々な事例がありまして、まさにODAが中心となって途上国の環境支援を行っているんですけれども、この二国間クレジットの効果というのを念頭に置きつつ、環境省がやっていることだけれども念頭に置きつつ、ODAの中の環境支援メニューとの連携を図ることができれば、例えば相手国の環境の支援ができる、さらに日本の企業の進出も支援できる、そして日本の国際的な地位も上がるというような、本当にウイン・ウインの、先ほど先生がおっしゃった、ウイン・ウインの関係が図れるのではないかと思うんです。
 そこで質問なんですけれども、これから外務省は環境省とどのようにこういった部分で連携をしていくのかというのが一点。それから、JCMについてはODAとの連携も含めてどのような具体的な事例があるのか、お伺いをさせてもらいます。
#103
○政府参考人(尾池厚之君) 環境分野でのODAでございますけれども、途上国支援においては、環境政策で知見を有する環境省と連携することは極めて重要だと考えてございます。
 例えばでございますが、途上国において環境センターを設立するというような協力を行う場合には、環境省の協力を得て専門家を派遣をし、当該センターにおいて技術協力を行うというようなことをやってございます。また、自然保全や化学物質、廃棄物管理などの環境分野における国際的なフォーラムにおきましては、途上国の支援というのが大きな交渉上の要素でございまして、こういう場合には、環境省を含む関係省との十分な調整を経た上で交渉に臨んでいるところでございます。
 お尋ねの二国間クレジット制度、JCMとの関係でございますけれども、途上国の温室効果ガス排出削減の促進に大変に資する取組だと考えてございまして、我が国はこれまでに十二か国との間でこの制度の創設に係る二国間文書に署名をしてきております。この制度につきましては、環境省を含む関係省庁と連携をして推進をしているところでございますけれども、例えば環境省は、JCMを支援するスキームとして、JICAが支援するプロジェクトと連携をする基金というのを平成二十六年度に創設をしておりまして、外務省としても協力をしてきているところでございます。
 こうした連携を活用しながら、途上国の環境支援及び優れた技術の普及に貢献をしていきたいと考えてございます。
#104
○高橋克法君 もう時間が来ましたので終わりますが、最後にちょっとだけ。
 昨年、中米に行ったときにニカラグアで、あなたは中国人ですかと聞かれて、いや、違います、日本人ですと。チーノか、いや、ハポンですと言ったら、ああハポンかと。おまえのところはすごいと、ハリケーンが来ても橋が流れないんだと、ハポンが造ったのは。ハポン以外が造ったのは流れてしまうんだと。先ほど、ODAで支援をして日本企業が取るということがどうかと。これはいろんな見方があると思うんですが、ただ、そういう評価もあるということ、これは御報告をさせていただきます。
 終わります。
#105
○石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏でございます。今日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 冒頭、今回ようやく対政府質疑をさせていただいているわけでありますけれども、せっかく本院に設置をされたこのODA特別委員会、是非是非もっと活発に委員会開催され、この重要な案件であります政府開発援助についてしっかりとした参議院としての役割を果たす、そういう方向で委員長これまでも御努力をいただいていると思いますし、両筆頭も御尽力をされていると思いますが、是非今後とも委員会の開催に向けての御尽力をお願いをさせていただきたいし、外務大臣にも是非御協力をいただきたいということをお願いをさせていただきまして、質問に入らせていただきたいと思います。
 今日は、開発協力大綱、新大綱について中心に質問させていただきますが、先ほど来、質問が既に各委員からございましたけれども、今回の新大綱ほど国民の皆さんから、まあ物議を醸したといいますか、心配、懸念の声が沸き上がった大綱は過去なかったのではないかなと僕は思うわけです。私自身も、今回、大綱を改めて読ませていただいて、すごく心配をいたしております。
 今日はその国民の皆さんが心配されている特に中心的な部分についてお伺いをしたいと思うわけでありますが、まず第一に、これも先ほどからありましたけれども、今回の新大綱が、これまで我が国が長年にわたって育て上げてきた日本のODA、これは相手国の自主性や自立性、これを非常に重要視しながら、貧困撲滅、人間開発、社会開発、これを重視したODAということを、これは世界に本当に誇るべきODAをつくってきたというふうに思っております。
 ところが、やっぱり今回、どう読んでもそれが大きく変質をしてきたのではないか、国益丸出しの、自国の利益を重視、経済成長重視ということが非常に色濃く出ているのではないかということが心配されるわけです。その心配が、済みません、先ほどの大臣の説明で裏付けをされてしまいました。
 大臣、この先ほどの岸田外務大臣の発言、一言も貧困撲滅という言葉が出てまいりません。自立支援という言葉も出てまいりません。国益、まず国益という御説明でありました。これがまさに今回の新大綱の全てを説明しているんではないかと思いますが、これ大臣、そうなんでしょうか。これは、我が国ODAのこの在り方根本的に変えて、国益重視、経済成長重視、そういうことで、大臣、先ほどの御説明で裏付けされたという理解でよろしいでしょうか。
#106
○国務大臣(岸田文雄君) 新大綱を是非よく見ていただければと思いますが、新大綱におきましても、貧困削減、これ最も基本的な開発課題であると位置付けております。そして、貧困問題、これを持続可能な形で解決するためにはこれは経済成長の実現、これが不可欠であるという認識に立っています。我が国の開発協力が取り組むべき重点課題の一つとして、質の高い成長とそれを通じた貧困撲滅、こうしたものを掲げております。
 そこで単なる成長でなくして質の高い成長としたのは、格差の拡大や持続可能性の問題等をもたらさないような開発協力を目指すという意味が込められています。そして、官民連携の推進に当たっても、開発協力とともに実施される民間投資が相手国の質の高い成長につながるよう、さらには包括性そして持続可能性、強靱性、能力構築の促進等を確保するように留意する、こういったことも明記しているところであります。
 我が国としましては、これらの点を踏まえた支援を通じて開発途上国の自助努力を後押しし、将来にわたる自立的な発展に向けた開発協力、今後もこれ堅持していかなければならないと考えております。
#107
○石橋通宏君 大臣、貧困撲滅が引き続き我が国ODAの中心であるということであれば、是非大臣のこの委員会での冒頭の御説明でそれはやっぱり述べていただきたいと思うわけです。大臣、一言も出てこないということは、やっぱり違うんだなという印象を国民に伝えちゃうんですよ。だから、私はこの点をまず指摘をさせていただきたいわけです。
 大臣はよく御存じのはずです、世界の途上国の現状を。経済成長していないかというと、決して経済成長していないわけではない国はたくさんあるわけです。GDPの成長率を見れば、GDPの成長率は高い国というのは幾らでもあるわけです。しかし、一般国民の生活、貧困撲滅がまだまだ実現していないと。これは、つまり経済成長して自動的にそれが貧困撲滅につながるわけではないというのはこれまでの歴史がしっかりと物語っているわけで、それを見ていらっしゃらないのかということをつくづく考えざるを得ない、そこは指摘をしておきたいと思います。やっぱり、貧困撲滅のためにしっかりとそこに直接我が国のODA支援を充てていくということをしていかないといけない。
 官民連携と、またこれも先ほど強調されました。これまでの官民連携というのは、いわゆる我々でいう民というのは、NGO、NPO、つまりノンプロフィットです、民間の皆さん。ところが、今の政府の官民連携の民は企業ですね。企業の進出ということになると、これ、当然利益が出てくるわけです。利益を出さないと、企業というのはボランティアで行くわけじゃないですね。ということは、企業は利益が出なくなったら逃げるわけです。それで本当に途上国、裨益国の皆さんの持続的な、長期的な貧困撲滅、そして自立支援ができるのかということについては非常に懸念を持たざるを得ないというふうに思っていますが。
 大臣、どうやってその持続可能な、中長期的な貧困撲滅、自立支援を、利益を出さなければいけないという必然性を持っている企業の参加でそれを実現するんでしょうか。
#108
○国務大臣(岸田文雄君) 今回の新大綱の作成に当たっては、この十二年間の国際社会の変化、あるいはODAに対する様々な期待の変化、こういったものを踏まえて新しい大綱を作ってきたということです。そして、その変化の一つとして、確かに我が国の行う支援、公的資金も重要ですが、現実は公的資金を上回る民間の資金が様々な開発途上国に流入することによって、全体としてこうした成長とか発展を支えていく、こういった現実があります。
 ですから、日本のODAは、この民間の資金、さらには、様々な関係者の努力をつなぎ合わせる触媒としてODA、公的な資金はしっかり役割を果たしていかなければいけない、こういった認識の下に新しい大綱を作ったという経緯がありました。
 こういったことから、是非民間の資金にも大きな役割を果たしてもらわなければならない。しかし、民間の企業だけではなくして、様々なNGOですとか市民社会の関係者の方々ですとか、こうした連携、もちろん重要でありますし、こういった方々も大変重要な不可欠なパートナーであると認識をしております。オールジャパンで取り組むべきだということを強調させていただいておりますが、今申し上げましたような意味で申し上げております。
 是非、オールジャパンで取り組むことにより、そして質の高い成長を実現することによって持続可能性もしっかりと維持していきたいと考えています。
#109
○石橋通宏君 済みません、全然説明になっていないと思いますが。
 これまでにも民間資金が大きな役割を果たしている、それはそうでしょう。それも今後とも果たしていただく、その役割はあるんだと思います。しかし、これはODAでという位置付けの話ですから。そこのところで、これまで、先ほど言いましたように、我が国のODAの在り方を変質させてしまうという懸念をやっぱり繰り返し述べざるを得ません。
 一つ確認なんですが、今回、名称を、先ほど来ありましたように変更になりました。開発援助から開発協力ということになりました。これ、英文はどうなるんでしょう。これ、対外的に我々はずっとODAと。この当委員会もODA委員会ですけれども。これ、今回の大綱の名称変更に伴って対外的にもこれ名称変更を宣言するんでしょうか。ODCにして、これは我が国はこれからODCとしますと、そういうことになるわけでしょうか、ちょっと確認を、簡単にお願いします。
#110
○政府参考人(石兼公博君) ディベロップメント・コオペレーション・チャーターでございます。ただ、ODAという名称は、当然、我々がDACに報告するものはODAとしてカウントされますが、この大綱の名称はディベロップメント・コオペレーション・チャーターになります。
#111
○石橋通宏君 ちょっとそこで不思議なことが起こるわけで、これ通告していませんけど、答えてください。
 先ほどDAC卒業国に対する支援というのがありましたね、今回拡大すると。つまり、DAC卒業国に対する支援を今回したがっていると、するんだと、でも、DAC卒業国だから、DACにとってはODAとみなされないと、だから、DACに報告するときにこれODAとして報告できないので、今回、ODC、ディベロップメント・コオペレーションとして、あたかも対外的にはこれはあのODAの一環ですよと、我が国の国内ではそういうふうに説明するんだけれども、国際的にはODAとみなされないと。
 こういう国内と国外でそごのあることをやるということ、それのために、名称を日本語では変更したけれども、DACにはODAとしてODAの部分だけ報告すると、そういうことですか。
#112
○政府参考人(石兼公博君) DACとの関係につきましては、DACの基準から卒業した国に対して支援をしてはならないという規則はございません。現にほかの先進国はそういう支援をしているわけでございます。
 我々は、DACの基準に非常にこれまで厳格に、基本的にはDACのリストに載っている国を対象として支援をやってきた。しかし、それを超えるものをやってはいけないということではありません。それを超える国に対して、やはりよく見ればそこに、先ほど委員が御指摘のあったように、格差があり、特有の脆弱性があって外交上必要ということであれば御協力をしたい、こういうことでございます。
#113
○石橋通宏君 これ、今後、ちょっともう少し精査をして、本当にそのDACとの関係で整合性があるのかどうか、これちょっと追及していきたいと思いますので、今日のところはここで終わりにしておきたいと思います。
 もう一点、これも先ほど少し議論出ておりましたが、国民の皆さんの懸念というのは、やっぱり今回、他国軍への支援、これに公式に道を開いたと、外交上明記をしたということだと思うんです。
 さっき、岸田外務大臣、若干なぜそれを明記したのかということについては説明があったので、あえて同じことを答弁されるんでしょうから聞きませんが、今日資料としてお配りをしている中で、既に、外務大臣の記者会見で、これ、過去に実績として存在いたしました、つまりこれまでもやってきたんですと、だから新たにやるものじゃないんですよというふうに説明をされたわけであります。大臣、これまでも実績として存在しておりますと。
 今回、僕、資料を要求したわけです。じゃ、これまでの軍や軍人に対するいわゆる非軍事的な支援というもののリストを全て出してくださいというふうにお話をしたところ、軍、軍人に関係のある協力実績については網羅的にお示しするのは困難ですという説明がございました。これ、網羅的にお示しするのは困難ですというのは、たくさん数があり過ぎて把握していないということですか、外務大臣。
#114
○国務大臣(岸田文雄君) 二〇〇三年のODA大綱の下で、軍や軍籍を有する者が関係することから、軍事的用途への使用の回避原則に抵触することがないか慎重に検討した結果、軍事的用途への使用には当たらないと判断して実施した案件、こうした案件につきまして資料としてお出しさせていただいていたのだと思います。
 ですから、これ以外の案件については、この軍事的用途への使用の回避原則に抵触するかどうか、こういったことについて判断する必要がないと判断した次第だと思います。
#115
○石橋通宏君 いただいた資料では、網羅的にお示しするのは困難ですが、幾つかの事例を挙げれば以下のとおりですということで四件。二件は単にセミナーへの参加、一件はセネガルの病院、もう一件はJICAの研修ということですが、これ、幾つかの事例を挙げれば以下のとおりですということで四件挙がっている。
 だからお聞きしているんです。網羅的にお示しするのは困難ですがというのは、たくさん数があり過ぎて示せないということ、つまり数は厳密には把握をしておられないということですか。重ねて聞きます。
#116
○政府参考人(石兼公博君) 今大臣の方から御答弁申し上げましたように、軍や軍籍を有する者に関係することから、この使用回避原則に抵触するかどうかを慎重に検討する必要があったものについて御答弁を申し上げたいと存じます。
 と申しますのは、およそ網羅的にこれ以外の事例はありませんというのをお示しするのはなかなか難しいというのが一つ。それから、第二点といたしまして、先方からの御要請があって、それを見た上でこの回避原則に抵触するかどうか懸念がある場合には慎重に検討いたしますが、例えば広範にわたる軍の組織の下部の下部の組織、あるいは国防省の下部の下部の組織のような方々が何らかの技術研修に入っておられるときに、これを全て把握していたかということになると、私ども、基本的には把握しているはずでございますが、これを全部、今、過去の例を調べ上げるということができていないと、こういうことでございます。
 しかしながら、今も大臣が申し上げた事例、それから、今大臣、一点だけ言及を落とされたので、もう一点申し上げますが、ARFの枠組みで行われASEAN各国の軍人が参加した災害救助実動演習、この開催経費については支援いたしました。これは演習の趣旨に鑑みて、これは費用、旅費でございますが、これを我が国の分担金から軍人参加に充当されることを容認いたしました。他方、参加する軍人は演習と関係のない軍関係の活動を行わない旨の確約を得ております。
 すなわち、何度も申し上げますが、今大臣が申し上げましたように、この回避原則との関係で問題になるような案件については慎重に判断をして、その上でよしとしたものについて今きちんと御報告申し上げたところでございます。
#117
○石橋通宏君 それだったら、そういう趣旨でこの事前に資料要求したものに書いていただくべきではないですか。この書き方であれば、それが全然伝わっていないですよ。
 しかも、じゃ、回避原則に照らして問題あるなしというのは、これまで誰がどうやって判断、回避原則、事前にレクやったときにもそんなこと全然一言も聞いていませんけれども、回避原則という原則なるものがあって、明確な基準があって、どなたかがそれに対してちゃんと、それが、じゃ、問題あるなし、判断をされているのであれば、これまでどういうメカニズムで基準にのっとってやってきたか、これ、今説明要らないので、これは資料として提出をいただきたいと思いますが、委員長、よろしいでしょうか。
#118
○委員長(山本順三君) 後刻理事会で協議をいたします。
#119
○石橋通宏君 こういう曖昧な答弁されると、国民の皆さんが心配されるわけですよ。いや、これまでにも実績がありました、存在しましたと大臣が言われている。じゃ、その実績はどれぐらいあったんですかと聞くと、いや、網羅的にお示しするのは困難ですと。いや、回避原則に照らして問題あるのだけ、いや、でもそれ誰がどう判断しているの。だから心配しているんですよ、皆さんが。
 しかも、じゃ、この四件に当たったものとか、これまで照らして問題ないから実施しましたというこれのフォローアップというのは誰がどういうふうにやっておられたんでしょうか、大臣、答えてください。
#120
○国務大臣(岸田文雄君) 実施後のフォローアップですが、我が国の開発協力が軍事的用途に使用されたり、あるいは国際紛争助長につながったりしないよう、相手国政府の協力も確保しつつ、在外公館を通じたモニタリングあるいは事後評価等を通じてフォローアップすることとしております。特に軍や軍籍を有する者が関係する場合等については、特に注意を払って実施状況の確認を行っております。
#121
○石橋通宏君 その実施状況の確認をしてきたフォローアップの結果というのはお示しをいただけるんでしょうか。
#122
○政府参考人(石兼公博君) フォローアップの結果、特段これ、問題がある事例があったという報告には接しておりません。
#123
○石橋通宏君 それが実態なんでしょう。要は、本当にやっているかどうか全然分かりませんし、我々がチェックしようと思ってもチェックできないというのが恐らく実態なんでしょう。
 先ほど大臣、谷委員の質問に対して、これ透明性を確保していかなければいけない、フォローアップ体制を考えていく。これまでやっていなかったのかということをもろに証明されたようなものですよね。実績はあります、でもこれからやっていかなきゃいけませんねと。じゃ、これまで実績があるのはもう放置していたんですかと言わざるを得ないですね、示していただけないんだから。そんな、これまでやっていなかった、できていなかったものがこれから急にできるようになるんですか。
 先ほど、大臣、開発協力の適正会議、五人の委員しかいませんね。全ての案件をこの五人、これまでやってきたのかどうか、この適正会議のマンデートがどうなのか分かりませんが、これから新たにこの適正会議にやらせるということなのか、これまでにもやってきたのか分かりませんが、五人の委員でこれまでどれだけあったか分からないその全ての案件を今後やっていくと、こういうことでよろしいんですか。
 それで、全ての対象になる案件についてきちんと国民に開示をして、国民が透明性を持ってそれについてきちんとフォローできる、例えばNGO、NPOの皆さんがそれに基づいて当該国でそれがどのように実施をされているのか、きたのか、これについてフォローアップをちゃんとできる形で透明性を確保していただくということでよろしいでしょうか。
#124
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほど答弁させていただきました開発協力適正会議ですが、これは従来も存在いたします。従来もこの会議は機能してきました。
 まず、案件採択前の調査段階において、NGO、経済団体、ジャーナリスト等の有識者から成る開発協力適正会議において議論をいただき、そしてこの会議は一般の方も傍聴できる開かれたものであり、会議後は逐語的な記録をホームページ上に公開をしています。さらに、こうした透明性向上の努力としましては、JICAのホームページ上のODA見える化サイトあるいは外務省のODAホームページ上で全ODA案件を公開するとともに、ODA白書あるいは国別データブックにも掲載し、透明性を確保するよう努めてきております。
 こうした努力は引き続き続けながら、説明責任は果たしていきたいと考えます。
#125
○石橋通宏君 ちょっと不十分なんですが、全ての案件がホームページ行けば見られるといったって、そんなの分からないですね、チェックできるわけじゃないですから。
 だから、今回、繰り返しますが、国民の皆さんが大変懸念をされている。これによって、非軍事的な支援とはいえども、軍や軍人軍属に対するODAが使われるのではないか、それが転用されない保証はないのではないか、どうやって担保するのか。その一つとして、透明性を確保すると大臣答弁されているわけです、フォローアップと透明性と。であれば、その一環として、みんなに分かる形でこの透明性というものが担保されなければ、誰もチェックできないわけでありますから、この回避原則等々に照らして、軍や軍属軍人に対してODAが何らかの形で、民生支援若しくは災害支援といえども、提供される場合にはそれがきちんとモニターチェックをされる形で提供していただくことを約束してください。
#126
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の点、当然のことでありますし、今日までもこうした案件への対応としまして、相手国政府から文書等において転用等がないというようなことを確認する、あるいは実施後のフォローアップもしっかり行う、こういった取組を行ってきたわけですが、あわせて、それの透明化を図るということにつきましても、今申し上げましたように、会議を公開するあるいは様々な会議録を公開する、さらにはホームページで全ての事案をオープンにする、こういった透明化の努力、しっかり重ね合わせることによって国民から疑念を持たれないようにしっかり努力をしていきたいと考えます。
#127
○石橋通宏君 明確に答弁いただいていませんが、この軍や軍人に関わるいわゆる非軍事的な支援についてチェックできる形で情報開示をいただけるということでよろしいですね。
#128
○国務大臣(岸田文雄君) 今までも努力を続けてきましたが、これからもしっかり努力を続けたいと存じます。より透明性を高める工夫は続けていきたいと考えます。
#129
○石橋通宏君 やると言っていただけなかったのが残念ですが、努力を続けていただけるということなので、しっかりとやっていただかないと国民の皆さんの納得性、できないと思いますので、そこはやってください。よろしくお願いします。
 そこでもう一点、これに関連するところですが、今日、資料のAでお配りをさせていただきましたが、昨年の五月に、アジア安全保障会議、いわゆるシャングリラ・ダイアローグで安倍総理が基調講演をされて、そこでASEAN諸国に対するいわゆる海洋関係の支援について御発言をされております。
 ここで、二重下線を引いておりますけれども、今後ASEAN諸国に対していろんな支援をしていきますと、これ防衛装備等々についてのくだりでありますので、これ防衛関連になってくるわけですが、今日は防衛副大臣においでをいただいておりまして、ありがとうございます。
 まず、防衛副大臣に伺いたいんですが、この昨年五月の約束はもう履行されたんでしょうか。
#130
○副大臣(左藤章君) 今のところ、何もありません。
#131
○石橋通宏君 これはこれから履行されるということでよろしいでしょうか。
#132
○副大臣(左藤章君) それはいろんな案件をよく精査をしながらやっていきたいと思っております。
#133
○石橋通宏君 やらないこともあるということですね。
#134
○副大臣(左藤章君) そのとおりでございます。
#135
○石橋通宏君 これ、国際会議での安倍総理の基調講演で、お約束として申し上げましたと書かれているのにやらないこともあるというのが、これ驚きを持って受け止めさせていただきましたけれども。
 まあ、やらないこともあるという前提なんでしょうが、ここで引っかかっているのは、ODAが出てくることなんです。ここにありますように、ODA、自衛隊による能力構築、防衛装備協力などなど、いろんな支援メニューを組み合わせてと書いてあります。ここの脈絡で言うODA、どんなことをやられるんでしょうか。これは防衛副大臣なのか岸田外務大臣なのか、どちらでも構いませんが、ここで言うODA、これ、ASEAN諸国に対する海洋の防衛能力強化、守る能力強化、ODAで何をされるという安倍総理の発言なのか、確認をさせてください。
#136
○国務大臣(岸田文雄君) 考え得るのは、海上における保安能力に対する支援とか、あるいは技術協力ですとか、こういった点はODAにおいて考え得るのではないかと考えます。
#137
○石橋通宏君 大臣、確認ですが、これ安倍総理が発言される前に、外務省ちゃんとこれ、この部分で言うODAというものが具体的にどういう支援内容なのかということは協議された上で安倍総理は発言されているんでしょうか。確認です。
#138
○国務大臣(岸田文雄君) もちろん、外務省、しっかり協議した上でこの文書を作成したものだと認識をしております。
#139
○石橋通宏君 その割には大臣の答弁はっきりしませんね、だと思いますって。いや、もしきちんと事前に協議されて、しっかりと、これは国際会議の約束ですよ、安倍総理大臣の。それでODAを組み合わせてって書かれている。じゃ、ODAの部分で何をされるのか。これ、当然ながら協議をされて総理は発言されていると普通これは思いますよね。でも、先ほど防衛副大臣も、いや、やるかやらないかも分かりませんと。これ、国際約束としてはどうなのかなというふうに強い懸念を持たざるを得ませんけれども。
 今回の大綱で、先ほど来申し上げておりますように、非軍事的支援が入ってきたと。で、安倍総理がこういうふうに海外で防衛装備等々、こういう海洋の防衛能力の強化でODAという発言をされている。こういうことも国民の懸念に含まれているわけですよ。全体の流れとして、こういう総理が発言をされる、その上で今回ODA大綱が見直しをされて、非軍事的とはいえ、こういう軍、軍人に対する支援が明記をされたと。ということは、やっぱりこういうところで、どんどんどんどん軍に関わるところが拡大をされていくのではないかと。だから、ここで確認をさせていただきたかったわけですが、全く今の状況でいうと、関わってくるということはない、ないのかどうか分からないということでした。
 これも防衛副大臣、せっかくおいでをいただいておりますので、来年度予算でODAに関わるところは、防衛省に関するところは項目としては上がっておりません。つまり、来年度も含めて今後とも、いわゆるODA関連予算でいうと防衛省は一切タッチしない、関わらないという理解でよろしいんでしょうか。
#140
○副大臣(左藤章君) 今のお話ですが、防衛装備品の海外への移転については、四月の閣議決定された防衛装備移転三原則に基づいて適正に行うことが原則なんですね。そして、海上安全保障や人道支援、災害救援といった分野を中心に防衛装備技術協力を進めていくという意見交換を行っております。
 その移転について具体的な案件が決定しているわけではございませんので、そのため、どのような枠組みで防衛装備品を移転するかについては何ら決定をしておりません。
#141
○石橋通宏君 ちょっとよく分からないんですが、これ具体的に今決まっていないということですが、ODAの予算で、そういう防衛装備等々に関する、そういうことは今後ともないという理解でよろしいですか。
#142
○副大臣(左藤章君) 何ら、まだ枠組みで、移転するかについては決定をしていないということです。ODA予算についても同じです。
#143
○石橋通宏君 はっきりしませんけれども、この辺ちょっとよく精査してください。これからまた、次、確認をさせていただきますので、この辺もう少し整理をして、きちっと説明できるように準備をしておいていただきますようにお願いをしておきたいと思います。
 時間がなくなってまいりましたので、いろいろと準備をしておりましたが、聞けないところは申し訳ありません。せっかくJICAに来ていただいておりますので、最後、JICAに関わる部分で一点お伺いしておきたいと思います。
 今回の新しい大綱の下で、これも国民の皆さん懸念をされている一つが、先ほど言った国益の重視、経済成長への重視と一部でやっぱり受け止められてしまっていると。そうすると、経済成長とか企業の進出とかということになると、やっぱりこれまでJICAの方で作ってきていただいた環境社会配慮ガイドライン、この扱いが新大綱の下でどうなっていくのかということについても、特にNGO、NPOの皆さんが非常に懸念をされています。ガイドラインがないがしろにされてしまうのではないか、つまり経済成長とか企業の進出にとっては、この環境配慮ガイドラインというのは、ある意味邪魔になるのではないか、なので無視されてしまうのではないかということをすごく懸念をされておりますが、確認をさせていただきます。
 新大綱の下で、この環境社会配慮ガイドライン、ないがしろにされたり弱められたりということは一切ないと。むしろ、今後ともしっかりと強化、発展をさせていく覚悟であるということでよろしいでしょうか。
#144
○参考人(植澤利次君) お答え申し上げます。
 まず、新しい開発協力大綱におきましても、既に先生御指摘のように、貧困問題あるいは持続可能な開発というのが大事だということを位置付けられておりますので、それを実現するためにJICAのガイドラインを今まで以上にしっかりと遵守していくことが重要であると認識しております。さらに、新大綱の中でも、環境問題等についてはしっかりとやるべしということが実施上の原則でも明記されておりますので、その線を逸脱することのないように不断の努力を行っていきます。さらに、世界銀行等とも綿密に情報収集、協議を進めながら、このガイドラインが国際的なスタンダードになるよう、更なる向上に向け努力を繰り返します。
 また、先生より御指導いただいておりますミャンマーの事例で、私どもたくさんのことを学びました。これまでの経験を踏まえ、相手国等による住民との早期対話を促進するようなことにJICAとしても一層邁進し、丁寧な環境社会配慮ガイドラインを行っていきたいと思います。
 一言で申し上げれば、私ども、このガイドラインを遵守することに決意を持って臨む所存でございます。
#145
○石橋通宏君 ありがとうございます。
 今触れていただきました異議申立て手続、これ、またちょっと別の機会にしっかりと議論させていただきたいと思いますが、最後に外務大臣に、今申し上げたこのJICAの環境社会配慮ガイドライン、今決意を述べていただいて、これからしっかりとやっていく、もちろんなことだということでお話をいただきました。外務大臣としても、この環境社会配慮ガイドライン、そして異議申立て手続等々、より手続がしっかりと透明性ある形で強化をされていく、外務大臣としての決意を最後にお伺いしたいと思います。
#146
○国務大臣(岸田文雄君) 今後とも、持続可能な開発を実現するために、同ガイドラインの遵守を確保し、環境社会への影響に不断に配慮した開発協力、引き続き行っていく所存であります。そして、このことがまさに、この新大綱が重点課題として掲げる質の高い成長を実現することにつながると考えます。
#147
○石橋通宏君 以上で終わります。ありがとうございました。
#148
○杉久武君 公明党の杉久武でございます。
 委嘱審査に続きまして、新しい開発協力大綱につきまして順次質問を進めてまいりたいと思います。
   〔委員長退席、理事松山政司君着席〕
 ODA大綱の見直しにつきましては、先ほど来、様々なお話がございましたが、我が国の政府開発援助の開始から六十年目の節目を経まして、十二年ぶりに見直しが図られたところでございます。さきのODA大綱以降、我が国の開発協力を取り巻く環境は大きく変化をしてまいりました。例えば、これまでは被援助国の側に立っていました新興国が経済の発展によりまして開発協力分野で存在感を増したことや、途上国や新興国に対するODAによる資金投入よりも多くの民間資金の流入が進んだことで、被援助国の側でも民間投資や貿易促進といった自国の経済成長促進に対するニーズが高まってきているということが挙げられると思います。
 このような国際環境の変化に対応すべく、今般、新たなこの開発協力大綱が決定されましたが、当然、実効性のあるものにしなければ意味がございませんので、そのような観点から何点か確認をしたいと思います。様々、他の委員からも質問をされていることと重複する面もありますが、重要なポイントでございますので、重ねて伺いたいと思います。
 まずは従来のODAに対する総括について触れますが、これまで途上国や新興国に対する我が国のODAは、他の諸外国から一定の評価は受けてまいりましたが、しかし、良くも悪くも、ある面では玄人受けといいますか、評価というものに対して広がりに欠けているのではないかと感じております。つまり、国民の皆様はもとより、広く世界各国が、日本の開発協力に対する支援、すばらしい支援が様々ございますが、それらを十分認識していただき、支援に見合うだけの評価をいただいてきたのかといいますと、そうではない部分もあるのではないかと思います。
 むしろ、ODAという言葉からは、国内では常に批判にさらされてまいりました。例えば、開発協力の目的が不明確であるとか、ODAの成果が見えない、また日本の顔が見えないという、そういった批判もいただいてまいりました。結局、ODAは税金の無駄ではないかとか、そんなに海外にお金を出すぐらいならもっと国内に税金を使うべきだという、そういう声もあったのも事実ではないかと思います。
 こういった中で、今回の見直しの過程におきましては、我が国の開発協力が途上国や国際社会に資するのみならず、あわせて、我が国の利益にもつながるような政策を実現するとともに、相手国や国際社会における日本の開発協力の認知度を高めるといった、言わば日本の顔が見えるような開発協力を目指すということが重要であるという指摘もあったところでございます。
 このような点から、今般の新しい開発協力大綱では国益という言葉が使われておりますが、今回のこのODAが国民の利益にどういうふうにつながるのか、それが国益、また国民の利益になるんだということをしっかりと国民の皆様に説明をする必要があるのではないかと思います。
 そこで、外務大臣に伺いますが、今般の新しい開発協力大綱に基づきます我が国の国際貢献に向けた大臣の御決意と国益に対する御見解を伺いたいと思います。
#149
○国務大臣(岸田文雄君) まず、国益に対する考え方ですが、新大綱では、開発協力の目的、これを、国際社会の平和と安定及び繁栄により一層積極的に貢献するとしております。そして、そうした貢献は、国際社会への一方的な貢献というのではなくして、望ましい国際環境の形成を通じて我が国の安定や繁栄といった国益の確保にもつながる、こういった考え方を明記したものであります。
 我が国のODA、昨年六十周年を迎えました。非軍事的協力を通じて国際社会の平和と繁栄に大きく貢献をしてきました。これは平和国家としての我が国の歩みを体現するものであり、積極的平和主義の実践でもあると考えています。是非、新大綱の下においても、引き続きこの開発協力が我が国の外交政策の最も重要な手段の一つであるということを踏まえて、戦略的あるいは効率的な開発協力を進めていかなければならないと考えます。
#150
○杉久武君 次に、実際に我が国が開発協力を進めていく中で、最終的に個々の開発協力事業がどのように国益を確保し、国益に貢献したのかという点について伺いたいと思います。
 やはり、こういった点につきましてはしっかりPDCAサイクルを回して、どういう意味において国益に資したのかということについて確認をしていく必要があるかと思いますが、このPDCAサイクル、様々な場所で言葉として使われるケースが多いですが、本当にしっかりこのPDCAのサイクルが回っているのかという点については甚だ私自身もいろいろなところで疑問を感じることがございます。
 特に、計画、実行、評価、改善というこのサイクルの中で、実際にやっぱり十分な評価やそれに対しての改善を経ないまま次に進んでしまうようなケース、その評価が次の施策に向けた改善に結び付いていない、生かされていないまま終わってしまっているという、そういう印象を受けることがよくあります。効率化を図ろうとか業績を向上しようということは必要ではあるんですが、なかなかそれが目に見えてこない、そういったことを感じることもしばしばでございます。
 もちろん、国の施策につきましては、民間のように利益を追求することだけを目的としているわけではございませんので、施策によっては効果が数値化することが難しい、また効果測定自体がそもそもそぐわないようなものも多々あるかとは思いますが、この開発協力という分野においてどういうふうに、難しい面はあるんですけれども、PDCAをどう設定し効果を見ていくのかということは、これは国民に対する説明責任という意味でも重要なポイントであると思います。
 そこで、質問をいたしますが、過去のODAにつきましてどのように評価をし、どう改善に向けた努力を行ってきたのか、そして、その経験を踏まえて今後の新しい開発協力ではどのように展開していくのか、外務省の見解を伺います。
#151
○政府参考人(石兼公博君) 委員御指摘のとおり、過去の事例から教訓を学び将来の案件に生かすということは誠に重要なことだと認識しております。私ども外務省は、JICAと連携いたしまして、ODA評価体制の強化、あるいはより効果的な評価案件の選定、過去の教訓の今後への援助の着実な反映に努めてきておりますし、更に努めたいと思っております。
 新大綱の下、成果を重視しながらも、対象の特殊性あるいはそれぞれの需要を考慮した上で評価を行って、評価結果を政策決定過程あるいは事業実施に適切にフィードバックしていきたいと思います。
 ただ、委員御指摘のとおり、非常にこれはなかなか難しゅうございます。私どもとしては、ここに、一つのやり方といたしましては、一定のカテゴリーの援助については数値的な指標、例えば学校を建設する場合にはその建設によってどれだけの子供たちがそれにアクセスできるのか、あるいは学校に行く登校の時間がどれだけ短くなったのか等々の数値的な指標も設定しながら、効果がより明確に分かるような形での評価システムも導入しているところでございますし、また、やはり、今回の大綱にございますように、外交的な視点からの評価ということについても今いろいろな形でこれを評価の中に織り込むべく努力をしているところでございます。
#152
○杉久武君 なかなか評価が難しい面もあろうかとは思いますが、やはりそれが国民の目に見える形で、分かりやすい形で是非説明責任を果たしていただきたいと思います。
 それでは、続きまして、新しい大綱の中身の人間の安全保障の推進について伺いたいと思います。
 この人間の安全保障という概念は、一九九〇年代半ばに登場して以来、我が国におきましても日本外交の重要な視点の一つとして位置付けられておりまして、また各国におきましても人間の安全保障を外交の基本方針に含めるなど、国際社会におきましても重きをなしている言葉であるかと思います。
 人間の安全保障が、今回の新大綱におきましては、従来の視点という位置付けから一歩踏み込んだ形で人間の安全保障を推進とされまして、人間の安全保障が我が国の開発協力の根本にある指導理念であるとうたっておられます。
 私は、人間の安全保障という観点から申し上げたいことは、人間の安全保障とは突然襲いくる困窮の危険への対処そのものであるということであります。この突然襲いくる困窮、すなわち予期せぬ脅威というのは、自然災害を始めとして突然の経済危機が引き起こすような生活不安の拡大や気候変動を伴う急激な環境変化、様々な形で私たちに襲いかかるものでありまして、これは先進国、途上国、区別なく起こり得るものだと思います。そして、これら人間の生にとってかけがえのない中核部分をむしばむような危険や不安を少しでも軽減し取り除くための努力を払うことなくして社会の真の安寧はないと考えます。
 こういった悲劇の拡大を食い止め、地上から悲惨の二字をなくすためにはいかなるビジョンが求められ、いかなるアプローチが必要となってくるのか、こういった点からも、今般の新大綱におきまして人間の安全保障を開発協力分野においても推進するという大きな決意が込められていると思います。私は、この新大綱に対して大きな期待をこの点につきまして抱いておりますので、それが実効性あるものにするためには、いかにこれを具体化、具現化していくかということが極めて重要であると思います。
   〔理事松山政司君退席、委員長着席〕
 そこで外務省に伺いますが、今般、開発協力の指導理念として位置付けられました人間の安全保障に対する我が国の考え方、そしてこの理念に基づきます開発協力の具現化に向けた取組について伺います。
#153
○政府参考人(尾池厚之君) 人間の安全保障は、人間一人一人に焦点を当てて、その保護と能力の強化を通じまして人々が持つ豊かな潜在能力を十分に開花させるということを目指す概念でございます。
 政府といたしましては、人間の安全保障を外交の重要な柱として積極的に推進をしています。委員御指摘のとおり、今般閣議決定をいたしました開発協力大綱におきましては、人間の安全保障の考え方を我が国の開発協力の根本にある指導理念としてございます。
 この観点を踏まえまして、我が国の開発協力におきましては、人間一人一人、特に脆弱な立場に置かれやすい子供、女性、障害者、高齢者、難民、国内避難民、少数民族、先住民族等に焦点を当て、その保護と能力強化を通じまして人間の安全保障の実現に向けた協力をしていきたいと考えております。具体的には、防災、災害対策、感染症対策、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進、環境問題、気候変動対策等にODAを積極的、戦略的に活用していく考えでございます。
#154
○杉久武君 しっかりと人間の安全保障の推進を進めていただきたいと思います。
 最後に、先ほど来、他の委員からも質問がありますが、軍事的用途及び国際紛争助長への使用回避の原則の取扱いについて伺いたいと思います。
 先ほど来、様々、他の委員からも御意見がありましたが、この軍事転用の問題につきましては、先月四日の本委員会におきます参考人質疑の際にも参考人の方からもいろいろ御意見をいただいております。国際協力の現場において、NGOや国際機関でさえも支援国の軍事組織とどのような関係性を保っていくのか大きな課題であるという意見をいただいたところであります。私の質問に対しても、参考人からは、紛争地で自然災害が起こるようなことも当然あるわけで、実際の運用は本当に難しいという発言もございました。
 そういった意味からも、なかなか、ここまででオーケー、これからがアウトというしゃくし定規な切り分けというのは非常に難しいということで、個別具体的に検討という文言は、ある意味、一歩踏み込んだ支援の難しさと、難しい中でもどうしたら支援の手を伸ばしていけるのかといった思いが凝縮されている一文ではないのではないかと思います。
 そのような意味からも、今後積極的な国際貢献を行うに当たっては、決して過たず、またかつ我が国らしい支援を行うために、やはり個々の事案について国民の皆様に十分に確認をしていただき、それぞれの事案が国民の皆様の理解と賛同を得られるのかということをしっかり見ていただく、そのためには個別事案の内容についてしっかり情報開示をすべきであると思いますが、外務大臣の見解を伺います。
#155
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、軍あるいは軍籍を有する者が関係する場合に限らず、この開発協力に対する国民の理解と賛同を得る上から、開発協力の実施状況あるいは評価に関する情報を幅広く迅速に十分な透明性を持って公開していく、このことが大変重要な観点であると考えますし、新大綱においてもその旨明記しています。
 具体的には、JICAのホームページ上のODA見える化サイトあるいは外務省ODAホームページ上などで全ODA案件を公開することとしているほか、ODA白書、国別データブックなどにも掲載し、透明性を確保するよう努めてまいります。
 さらに、援助実施後も、我が国の開発協力が軍事的用途に使用されたり国際紛争助長につながったりしないよう、相手国政府の協力も確保しつつ、在外公館を通じたモニタリングあるいは事後評価を行い、しっかりとフォローアップしてまいります。特に、軍や軍籍を有する者が関係する場合については特に注意を払って実施状況の確認を行ってまいります。
 また、案件採択前の調査段階においても、NGO、経済団体、ジャーナリスト等の有識者から構成される開発協力適正会議において御議論いただくこととしております。同会議は一般の方も傍聴できる開かれたものであり、会議後は逐語的な記録をホームページ上に公開をしております。
 引き続き、透明性確保に努め、説明責任しっかり果たしていくよう努力をしていきたいと考えます。
#156
○杉久武君 時間になりましたので質問を終わります。ありがとうございました。
#157
○小野次郎君 維新の党の小野次郎です。
 同僚議員の質問を聞いていまして、私は質問通告していない問いについてちょっと聞いてみたくなりました。
 それは、今回、ODA大綱と通称呼んでいますけれども、政府開発援助という呼び方から開発協力大綱に変えたわけですけれども、変えたのはこの大綱という文書の名前だけなのかなと思っていましたが、大臣のお話の中にも、第一に、第二に、第三にとこう、これからやっていく内容についてもやはり見方を変えていくんだということもおっしゃっておられるんですが、だとすると、この大綱の名前だけをODAから開発協力に変えただけで十分なのか。
 例えば、当委員会はいまだにODA特別委員会になっているんですが、そういうものも変えた方がいいんですかね、開発協力特別委員会という名称に変えた方がいいのかどうか。これは国会のことだから国会で決めてくれとおっしゃるんだと思いますが、外務省の中では、例えば予算関係の書類だとか政省令だとか様々な通知類というのは、読み替えたというか、変更する予定があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#158
○国務大臣(岸田文雄君) 名称等につきましては、新大綱であってもその中核であるのはODAであるということ、これは変わりがないと思います。新しい大綱の下で国際協力を進めていくわけですが、その中心にあるのはODAである、この基本は変わらないと思いますので、委員会の名称等、そういったことにつきましては、そういった観点から国会の方で御判断されるものだと思います。
 そして、省令その他関係文書につきましては、名称を変更したわけですので、必要に応じて対応していくものだと考えます。
#159
○小野次郎君 何かテクニカルなことをしつこく聞いて恐縮なんですが、例えば、先ほどやった方の前段の二時間のやつは政府開発援助関係経費となっていますよね。これなんかも開発協力関係経費に変えなくてよかったんですかね。むしろ局長の方にお伺いしたいんですけど。
#160
○政府参考人(石兼公博君) 予算の項目上、予算を立てる際にODAという概念はもちろんございます。まさにそのDACの一定の規定に従って報告できるものはODAでございまして、ですから、それは政府開発援助、オフィシャル・ディベロップメント・アシスタンスでございます、これが物事の中核になっているということは間違いございません。
 ただ、私ども、開発を考える際に、ODAだけの視点にとらわれず、より幅広い視点で見ていこうという観点から、先ほど来大臣が申し上げているように開発協力大綱という名称に変えたということでございます。
#161
○小野次郎君 そうすると、例えば国際協力局の中に開発協力を担当するセクションがあると思うんですが、その所掌事務なんかの書き方は、今までどおり政府開発援助と書いたままで、開発協力とは読み替えないということですか。
#162
○政府参考人(石兼公博君) 現時点では若干精査の必要はあると思いますが、現時点で、課の所掌事務等々につきまして、特に大きな省令あるいは設置法上の変更を来す必要は必ずしもないというふうに考えております。
#163
○小野次郎君 聞いていてもよくすっきりしないですよね。これだけ力入れて政府開発援助というのと考え方変えたんだと、開発協力だとおっしゃっているんだったら、当然、関係する部分を変えないとすっきりしないと思うので。
 委員長、これ、お願いなんですが、外務省で様々な政省令とか通知類とか予算関係の書類とか、公式な文書の中で、この変更に伴ってどの部分を変えるのか変えないのかというのについて、是非、統一見解というか報告をしていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょう。お願いできますか。
#164
○国務大臣(岸田文雄君) はい。御指摘の点、整理しまして改めて御報告いたします。
#165
○委員長(山本順三君) 委員会の方でも理事会で協議をいたします。
#166
○小野次郎君 それでは、本来の質問に入りますが、新ODA大綱では、日本再興戦略の要請を受けて日本の経済活動の国際展開支援に積極活用するというふうにしていますけれども、これはどういう分野を想定してこんなことをおっしゃっているのか、お伺いしたいと思います。
#167
○国務大臣(岸田文雄君) ODA等のこの公的資金、これは途上国の開発にとって引き続き重要な役割を担います。しかしながら、ODAをめぐる様々な変化の中で、途上国への民間資金の流入が公的資金を大きく上回っている、これが現状でもあります。よって、その民間部門の活動が途上国の経済成長を促す重要な原動力となっている、こういった点を十分考慮する必要があると考えております。
 こうしたことを踏まえて、開発協力大綱においては、我が国の開発協力が、民間部門が自ら優れた技術、ノウハウや豊富な資金を開発途上国の課題解決に役立てつつ、経済活動を拡大するための触媒としての機能を果たしていくよう努める、このようにしております。こういった観点から、日本再興戦略における経済活動との関係についても触れているということであります。
#168
○小野次郎君 私は、このODAが日本の経済活動の国際展開に資するとすれば、それは、やはり協力を行った相手国の消費の水準が向上するとか生産活動の水準が向上することによってマーケットが拡大するから間接的に日本の企業の国際展開にも資するという言い方なら分かりますけれども、これ、ODA使って、日本の経済活動のその国における展開支援に使うというのは、そもそもODAの基本理念に反するのではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
#169
○国務大臣(岸田文雄君) 開発協力は、その主たる目的、これはあくまでも絶対的貧困の撲滅等の途上国の開発課題の解決や、途上国の持続的成長の達成等の経済社会開発であると思っています。こうした目的のために、民間の資金あるいは活動あるいは連携の強化があると考えます。そうした目的に向けて、民間のありようについてもしっかりと考え、そして対応を考えていく、こういった姿勢は重要なのではないかと考えます。
#170
○小野次郎君 過去の我々の経験の中でも、ひも付きと俗に言いますけれども、日本が経済協力しましょうと言って、それを日本の企業が待っているというか、待ち受け、あるいは逆に呼び水みたいに、そういう協力の要請出させておいて、で、出るとそれを日本の企業が受け取るという形のやり方は、極めて大きな批判を受けてきたと思うんですね。実際には不祥事と言ってもいいようなケースもこの長い歴史の中にはたくさんあったわけですね。
 だから、そういう意味でいうと、今までODAについては、そういったひも付きみたいなやつはやめようねということで減らす方向で努力してきたんだと思うんですが、ここへ来てまた、これを日本の経済活動の国際展開に資するんだとか、貢献させるんだとかなると、まさに、よその国に仕事取られちゃ意味ないじゃないかみたいな話になるんだったら、それは今までの歴史ともう逆転してしまうと思うんですが、大臣、そのようにお考えになりませんか。
#171
○国務大臣(岸田文雄君) まず、我が国はこのアンタイド援助に関する国際ルールにのっとってODAのアンタイド化を行っております。他方、我が国の優れた技術やノウハウを移転し、我が国の顔が見えやすい援助を推進するという観点から、途上国の要望及びニーズがある場合には、あくまでも国際的ルールの範囲内でタイド援助を実施しているということです。
 こうしたタイド、アンタイドに関する国際的なルール、これは今後もしっかり尊重しなければなりませんし、そのルールの範囲内で我が国は援助を考えていくことになります。その範囲内にあって、この我が国の優れた技術ですとか制度、こうしたものに対する開発途上国の期待にどのように応えていくのか、今後ともODAをより戦略的、効果的に活用していくという姿勢は重要なのではないかと考えます。
#172
○小野次郎君 大臣のお考えは分かりましたけれども、過去にそういった問題になったひも付き、しかも何か現地政府から協力要請出させておいて日本の企業が仕事取るみたいなことが何度かあったのは事実ですから、是非、その辺の原則を踏み外してしまって、何かよその国に仕事取られないようにしようみたいな考えに戻っているんだったら、非常にそれはこの歴史的な発展というか努力を無にしてしまうような方向ですから、是非、大臣、そういうことが起きないようにしっかりと監督していただきたい、そのことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
#173
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎です。
 政府がインフラ支援のモデルケースと位置付け、二〇一三年から官民を挙げて進めているミャンマーのティラワ開発事業について、先ほど同僚議員からもありましたけれども、地域住民が貧困に陥っていると訴えている件についてお聞きしたいと思います。
 昨年の六月、住民三名が来日し、JICA環境社会配慮ガイドラインに基づき異議の申立てを行いました。申立ての主な内容は、早期開発区域の四百ヘクタール事業に伴い移転を強いられた八十一世帯や周辺の住民が被る可能性のある実質的な損害について、強制的な追い出し、生計手段の喪失、生活の窮乏化、教育機会の喪失などを挙げております。
 企業の利益を優先して住民を貧困にするような進め方は私は改めるべきではないかと思うんですけれども、大臣の御所見をお伺いします。
#174
○国務大臣(岸田文雄君) このティラワの経済特区開発事業における住民移転ですが、住民の意思等に十分な配慮を行った適切な措置が確保されることが重要であるという認識は大切であると思っております。
 そして、この住民移転により住民の生活水準が悪化しないよう努めることはJICAの環境社会配慮ガイドラインに定められており、これまでも同ガイドラインに沿った対応をミャンマー政府に申し入れ、そしてJICAを通じた技術支援を行っています。基本的な対応はこれは相手国政府ではありますが、我が国としましても、今申し上げました観点からしっかりとミャンマー政府に申入れを行い、技術支援を行っていきたいと考えています。
 そして、御指摘の次期開発区域における住民移転につきましても、今後、ミャンマー政府が住民移転に向けた具体的な準備を行うに当たり、対象住民と丁寧に対話を行いながら適切に生計回復支援等を策定するよう、日本として必要な支援、働きかけ、行ってまいりたいと考えております。
#175
○辰巳孝太郎君 丁寧な支援ということなんですけれども、しかし、この異議申立てでは、更に残りのこの二千ヘクタールの開発に伴って千五十五世帯が移転に直面をする、より多くの人々が同様の影響を被る脅威にさらされているとしておりまして、大規模な住民移転に当たり住民が困窮しては絶対ならないというふうに思います。
 ガイドラインは遵守されているということだと思うんですけれども、しかし、この調査の報告書に対し、二〇一四年の十二月に当事者からの意見書も更に提出をされました。内容を見てみますと、例えばこの調査、審査をした役はJICAの専門家や通訳と現地調査を行っておりとして、これ中立性がないんじゃないか、村人の不信の原因になっているんじゃないか、もっと詳細で正確な情報を聴取することができたんじゃないかと、こういうことも述べているわけであります。また、当事者の意見書に添えられた国際NGO人権のための医師団が行った調査報告書では、別の調査ですね、住民が移転しない場合には拘禁すると住民を脅しており、移転のプロセスは国際ガイドラインを遵守していないと、こう指摘をして報告をしているわけであります。
 また、このJICAのガイドラインの作成にも携わったNGO団体メコン・ウォッチからの意見では、申立人が審査役から受領した通知や報告書は、この申立人が理解のできない言語、つまり英語で情報提供されたというところも指摘をされております。JICAの意思決定前の遵守状況というのを検証して結論を論じるべきではなかったのか、JICAの異議申立て制度自体の独立性に疑問を抱かざるを得ない調査結果であると、ここまで指摘しているんですけれども、大臣はこの結果をどう受け止められますか。
#176
○国務大臣(岸田文雄君) まず、こうした事業におきまして、JICAの環境社会配慮ガイドラインに沿った対応、これは大変重要であり、まずはミャンマー政府にこうしたガイドラインを尊重すること、こうした事業における国際的な水準についてしっかり理解をしてもらうべく努力をしていかなければならないと考えます。
 そして、ミャンマー政府をしっかりと支援していかなければならないわけですが、その際の対応として、やはり地元の住民の方々の理解、協力、これを欠くことはできません。我が国の対応としても、住民の皆さん方の理解という観点からも、できるだけ丁寧にあるべき対応を考えていかなければならないと考えます。
#177
○辰巳孝太郎君 ミャンマー政府の問題というよりも、このJICAの異議申立て制度自体の問題というのを指摘されているわけですから、ここは重く受け止めるべきだと言わなければならないと思います。
 やはり、我が国にとっての重要性というのを過度に優先をして、今回の大綱ですね、支援を受ける国、貧困状態にある人たちにとっての必要性というのは二の次になっているのじゃないかと言わざるを私は得ないと思います。開発援助の第一の目的である援助対象国の自立的発展の実現と、貧困そして格差の解消と私は矛盾した開発というのは改めていく、考えていくべきだというふうに指摘しておきたいと思います。
 次に、新しい大綱では、他国の軍隊そして軍人に対する支援も明記をしたわけであります。非軍事的目的に限定するとしていますけれども、これが、歯止めなく軍への支援が拡大するおそれがあります。NGOからも、軍事転用されないかきちんとモニタリングをして、その情報を公開すべきと指摘をされております。二〇〇四年にイラクの内務省に対して、これはODAですよ、緊急無償資金協力として一千百四十四台の警察車両の供与を行っておりますけれども、この車両は今どうなっているのか、モニタリング検証は当然行っているんでしょうか。
#178
○国務大臣(岸田文雄君) 二〇〇四年のイラクに対する警察車両供与支援についてですが、二〇〇三年のイラク戦争後、当時のイラク内務省は、警察官等の訓練、配置などによる警察組織の再建を進めていましたが、車両等の基本的な資機材が不足していたことから、我が国は二〇〇四年一月に、平成十五年度緊急無償、警察車両供与計画を決定し、警察車両を供与することといたしました。
 供与に当たっては、所管の公館を通じて警察車両が適切に使用されることを先方政府との間に確認をしています。我が国が供与した警察車両は、国内の警察活動に活用するためイラク国内の警察署や国境警察に配備をされました。
 こうした車両の耐用年数ですが、周辺地域の実例を見ますと六年から七年ということのようでありますが、引き続きましてこのフォローアップには努めていきたいと考えております。
#179
○辰巳孝太郎君 いや、この一千百四十四台はどこに行ったのか、廃棄をされたのか、また別のところに配置をされたのかという事後評価はされているんでしょうか。
#180
○国務大臣(岸田文雄君) こうした使用につきましては、今申し上げましたように、所管の公館を通じてこの適正な使用を確認をいたしました。そして、それに基づいて使用が行われたと承知をしております。そして、今後ともこのフォローアップについては努めていきたいと考えております。
#181
○辰巳孝太郎君 そもそも、当時のイラクの状況というのは治安が非常に悪いわけですね。だからこそ緊急で支援をしたということだと思うんですが、しかし当時の内務省はシーア派の政党であるイラク・イスラム革命最高評議会が牛耳っておりまして、非常に危険な状態にあったと。これは、NGOと外務省のODA政策協議会においてもNGOから指摘をされております。この内務省は、ODA警察車両を送った内務省は、当時、誘拐や拷問、虐殺が中心に行われていたということも国連の人権報告で報告をされていると。そういうところに支援することは非常に注意をしていかなければならないということを、このNGO団体も指摘をしているわけであります。
 結局、こういうところに送ってしまうとどういうものに使われているか分からないということでありまして、当時、アフガニスタンにも同様の無償協力というのをやっておりますけれども、カブールに送ったものが別のところに、地方に送られていたと、そういう報告もされているわけで、私は、これは軍事に転用されかねない、それの検証もできないと言わなければならないと思っております。
 新しい大綱には戦略的に治安維持の強化や外国の軍への支援まで行うことまで盛り込まれているわけでありまして、国際平和や人間の安全保障の実現を阻む事態を生みかねないと指摘しなければなりません。私はこの閣議決定の撤回を求めて、質問を終わります。
#182
○山田太郎君 日本を元気にする会・無所属会の山田太郎でございます。
 改めて、政府開発協力大綱ということで、幾つかポイントを絞ってお伺いしていきたいんですが、まず、なかなかODAのこの委員会でも議論されないので心配になっちゃいましたし、この新しい大綱の中にも出てこないんですけれども、実は海外青年協力隊事業、今年五十周年なんですよね。やっぱり、こういう方々がいるからこそ、お金でもない部分で、人と技術というんですかね、すごく日本は評価されている。
 どれぐらいこういう方々が今国外に出ていらっしゃるかというと、二千名ぐらいだということなんですが、残念ながら、二〇〇九年をピークにその数が随分減ってきています。二〇〇九年、千七百八人、二〇一〇年、千四百五十九名、千四十六、九百四十八ということで、震災の影響もあって予算が減らされたということを外務省の方からは報告を受けたんですけれども、少し今は増えてはきたということではありますが、減ってきているんですね。
 私は、今回の大綱というか戦略の中で、まさに人の部分ですね、この辺の向上と、特に今、日本人の留学の減少というのが進んでいるので、先進国に行くんじゃなくて、こういった協力隊で途上国で学ぶ時代と、こういう打ち出し方をしてもいいと思うんですが、外務省として今年、この辺り、いろんなキャンペーンとか張る企画はあるのかどうか、ちょっと、いろいろこの辺の働きかけをこれからされていくのかどうか、その辺りを大臣の方にお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。
#183
○国務大臣(岸田文雄君) 本年五十周年を迎える青年海外協力隊事業ですが、開発途上国との友好親善、相互理解を事業目的の一つとしており、開発途上国における草の根レベルでの海外協力活動、交流を通じて途上国との関係強化、あるいは友好親善に貢献してきていると認識をしています。
 これまで累計約四万人がアフリカやアジア地域を中心とする八十八の途上国に派遣され、国内外から高い評価を得ております。そして、平成二十四年度には、途上国の国づくりへの貢献と我が国企業の人材育成の双方に資する取組として民間連携ボランティア制度を創設し、多様な人材による途上国との人的交流に向け、事業の裾野の拡大に努めてきております。
 今後とも、途上国との関係強化のため、草の根レベルの、顔の見える援助である本事業を推進していきたいと考えております。
 また、協力隊五十周年を記念した式典を是非開催したいと考えております。
#184
○山田太郎君 後ろから紙がぱっとやってきて、式典はやるという確認がされたものですから、是非、我々ODAのこの委員会の議員の先生方も一緒に出ていただければなと。JICAの人たちが帰ってきたとき、やっぱり議員の数が少なかったり、これ大臣も是非、副大臣は出ていただいているんですが、という状況なので、まずここを是非、フロントで本当に頑張っている、特に女性が多いんですよね、その辺り、我々も見ていきたいなと思っています。
 二番目なんですけれども、去年、タジキスタン、キルギスの方に私もこの委員会の派遣で行かせていただきまして、草の根援助ということで、日本の安全保障に関するところということなんですけれども、前回のちょっとこの委員会のところでもやらせていただいたんですが、タジキスタンのボフタール県の学校の改修が、いわゆる供与限度額が一千万ということで、それ以上できないと。現実的にその援助が中途半端になっておりまして、校庭は直っていないわ、教科書は与えられないわということで、ここでやめだと。追加が今後できるのかといったら、それも原則できませんということで、私は、もうちょっと足せば校庭も良くなる。しかも、問題だと思ったのはトイレなんですね。トイレは全く手付かずだったんですが、そして、やっぱり学校ですから教科書と。結局、こういうところを日本が引き揚げますと、別に誰が援助してもそれはいいんですけれども、実は韓国等が入ってきて、評価されるのは誰なのかと、こんなような話にもなるわけであります。
 外務省の方としては、原則だからいろんな例外措置はあるよと言っているんですが、よくよくこの話を聞いたら、学校等に関してはこの原則を守るということだったので、これはもう大臣の方で、いや、そうじゃないと、一個ずつの案件を大事にして、広く安くというか、上限を持ってばらまくのではなくて、私はしっかり造り上げて、次の学校は現地の人たちにその造ったところを見せて展開していくような、それの方が戦略的に本当の意味での貢献につながると思いますので、その辺りの、特に上限の問題であったりとか現地の運用をもうちょっと自由にしていく、この辺り是非、もう大臣の一言で変わっていくと思いますので、いかがでしょうか。
#185
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の草の根・人間の安全保障無償資金協力ですが、途上国の草の根レベルに直接裨益する比較的小規模な事業を支援するものであることからして、供与限度額は原則として一千万円以下としています。
 しかしながら、これまでも、人間の安全保障の考え方を強く反映する場合、技術指導等ソフト面の協力を組み合わせることにより案件の継続性を協力する場合など、特別な理由がある場合には一千万を超えて支援を行っていると承知をしております。是非今後とも、現地のニーズを踏まえ、可能な限り柔軟な対応に努めていきたいと考えます。
#186
○山田太郎君 学校は特に今後の人材をつくる意味で非常に重要なんです。そういう意味で、学校だけは原則から外れるということをここでちょっと考えていただけないでしょうか。もう一度お願いします。
#187
○国務大臣(岸田文雄君) 学校だけはと一言で言ってしまいますといろんな現実があるかと思いますが、御指摘のような案件に関しましては最大限配慮するべきだと私も思いますし、是非事務方に指示を出したいと存じます。
#188
○山田太郎君 ありがとうございます。
 特に、私はもう学校だけでも、ここを少し面倒見ていただければ随分変わってくると思います。この子たちが大人になって、ああ日本というのはこういう国だったんだと、こういうふうに一緒に、まさにパートナーとしてやっていけると思っております。
 最後の質問になるかと思いますが、もう一つ、他国のODAの戦略と日本の戦略を比べた場合、どうなのかなということで、少しその辺の比較も見ていきたいと思うんですが。
 実は、大臣の方は御案内かと思いますが、他国は選択と集中ということを相当やっています。イギリスは、実は二十七か国の重点国に集中援助を行っていますし、韓国も二十六か国に全体予算の七〇%を配分していると。カナダは八〇%を二十か国、フランスもアフリカを中心に六〇%に配付していると。ドイツはもう五十か国はパートナー国として選定しているということでありまして、日本はどうかというと、良くも悪くも百六十か国に対して幅広く分散と、こういうことなわけであります。
 我々のやっぱりこの開発援助における意図というんですかね、これは必ずしも一つ一つの国々に少しずつ例えばお金を渡すということでは決してないのかなというふうにも思っておりまして、我々のもうちょっと戦略的な持ち味というか、これはアジアなのかもしれないですし、本来はもしかしたら、元々植民地、権益のなかった中東、でも石油を買っているというところでありますから、そういった外交にも使えたのかもしれませんし、何かもうちょっと戦略的なものを国の顔としてODAは持てないのかなと、こんなふうに思っているんですけど、その辺りいかがでしょうか。
#189
○国務大臣(岸田文雄君) ODAを戦略的、効果的に活用すべきだという御指摘はそのとおりだと思います。そして、今日までのODAの歩みを振り返りますと、この地域別配分を見ましても、やはりアジアが六三・九%、中東・北アフリカが一一・五%、そしてサブサハラ・アフリカ、これが一四・八%、これで大部分を占めております。こういった地域の配分を見ましても、それなりに戦略的な、そして効果的なODAの活用を考えた結果なのではないかとは考えますが、今後も、この大きな国際状況の変化に応じて戦略的、効果的な活用にしっかり努めていきたいと考えます。
#190
○山田太郎君 時間が来ていますけど、私もちょっとしつこい人間なんで、先ほどの草の根、子供こそ次の世代を担っていきますし、子供の命と考えを守っていくということは私は本当にODAの大きな意味だと思っていますから、学校だけでも、その辺り、是非大臣の方には面倒を見ていただければなと思っておりますので、そういった指示を是非出して、検討していただければと思います。
 ありがとうございました。
#191
○中野正志君 今回の新大綱で初めて盛り込まれた国益という視点についてお聞きをしたいと思います。
 我が国自身の経済状況を鑑みれば、厳しい中でも、なおよその国に比べれば結構多額のODAを行う目的の一つとして、国益の確保に資することというのはもちろんであります。特に安倍政権の掲げる積極的平和主義の観点から、ODAをより戦略的に利用する、活用するということに心から期待をいたしたいとは思っております。
 そこで、岸田大臣に我が国の国益の明確な定義をお願いしたいなと。また、実施した各プロジェクト、事業に対して国益に資したかどうか評価及びチェックをしていくのかどうか、評価する場合にはどのような評価基準があるのか、それをお伺いをしたいと思います。
#192
○国務大臣(岸田文雄君) まず、新大綱における国益の位置付けですが、開発協力の目的は、まずは、国際社会の平和と安定及び繁栄により一層積極的に貢献すること、このようにしております。そして、国際社会に一方的に貢献するというのではなくして、こうした国際社会への協力を通じて、結果として我が国の平和と安定にもつながっていく、国益にも貢献するという考え方をこの新大綱の中で明記をしたということであります。
 そして、国益とは、これ新大綱の中でも説明をしております、我が国の平和と安全の維持、更なる繁栄の実現、そして安定性及び透明性を高く、見通しが付きやすい国際環境の実現、そして普遍的価値に基づく国際秩序の維持と擁護。この新大綱におきましては、こうしたものを国益と位置付けています。これ中長期的な視点を踏まえたものであると考えております。
 我が国としましては、是非、引き続き、必要な国際環境の構築に向けて、開発協力を通じて戦略的な外交を推進していきたいと考えております。
 国益に資するかどうかチェックをするのかという御質問がありました。しかし、この点につきましては、新大綱の中では国益の位置付け、先ほど申し上げました、国際社会の平和と安定に貢献することによって結果として我が国の平和や安定にも資することになる、国益にも資することになる、こういった考え方に基づいて新大綱を作っておりますので、そういった考え方が実現されているのかどうか、こういった議論はあるかと思いますが、厳密な上で、例えば数値的に何かチェックするというものではないのではないかと考えております。
#193
○中野正志君 岸田大臣、ありがとうございます。まさに大人、大人の対応だなと、こう思います。
 実は、ここに一つのニュースがありますけれども、日本の外務省もユーチューブ上に十か国語でいろいろ動画を出しておられると。大変いいことだと思いますけれども、日本ODAがアジアの発展の基礎を築いた、この外務省の動画に韓国メディアが、事実を妄言と難癖を付けていると、こういうニュースなんであります。
 本当にお行儀が悪いなと。その中に、ソウルの地下鉄とか浦項製鉄所、あっちでいうとポハン製鉄所とでもいうんでありましょうか、これらのインフラというのはまごう方なく日本の支援がなければ私は完成できなかった、成功できなかったと、こう確信をいたしておりますけれども、相変わらず、ちょっとしたそんなことにも、まあ大きな出来事ではありますけれども、メディアがこういう形でお行儀の悪いことをするというのは本当に変わらない国だなと。
 私は韓国人の友達たくさんいるんでありますけれども、こういうことだけははっきりとお互いに議論はしております。日本にいらっしゃる韓国の方々も結構本国のやり方にクエスチョンマークを付けている人たちも多いんでありますけれども、いずれにしても、こういう事実もありますけれど、岸田大臣のような大人の対応でこれからも、とにもかくにもアジアの発展、世界の発展のために頑張るのでなければならないな、そうは思っております。
 また、もう一つでありますけれども、三月の二十七日、国連人権理事会にて北朝鮮人権状況決議が二十七か国賛成多数で採択をされました。安倍内閣が最重要課題とする拉致問題を含む北朝鮮の人権問題がこの人権理事会で採択されたことはもちろん高く評価をいたしますし、岸田大臣始め関係者の皆様方の御努力も敬意を表したいと思います。
 ただ、その一方で、反対六か国、棄権は十四か国あったことに着目をしなければなりません。二〇一三年の日本のODA支出総額の二位はベトナム、三位はインド、四位はインドネシア。しかし、ベトナムはこの決議に反対、インド、インドネシアは棄権をされております。
 開発援助をするから日本の言うことを聞けということはできないわけでありますけれども、それにしても、そもそも親日国であるはずのベトナム、あるいはインド、インドネシア、こういった国々が日本政府の最重要課題に対して、最高の外交ツールであるODA、これが効いていると言えるのか、こういう数字が出てくるとちょっとなと思うんでありますが、大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。
#194
○国務大臣(岸田文雄君) まず、開発協力は、我が国が戦略的に外交を展開する上で最も重要な政策ツールの一つであり、国際社会において我が国の立場への理解、支持を得ていく上で重要な役割を果たしていると考えます。
 御指摘のベトナムですとかインド、インドネシアといった国との関係で我が国がこれらの国々と政治面、経済面で良好な関係を維持している背景に、ODAを通じた協力があることは間違いないところであると考えております。
 そして、御指摘の北朝鮮人権状況決議ですが、この人権決議に対してどう対応するかというのは、それぞれの国、あるいは政権のありようによって、特別な考え方、姿勢を示している国があります。ですので、こうした支援とこうした人権決議における対応を直接結び付けるのは、これは適切ではないとは思います。
 人権決議に対する理解、我が国の取組に対する理解については、そのことについてしっかりと理解を得るべく、これからもしっかり努力をしていきたいと考えております。
#195
○中野正志君 是非そう願いたいものであります。
 かつて世界第一位であった私たちのODA支出額、残念ながら、日本の財政の悪化に伴って今縮小を続けて、二〇一三年は世界第四位となったと。まあある意味、量から質への転換が当然ながら求められるわけでありますけれども、質の高い対外貢献とはどういうものがあるのかと、日本は何を優先して今後の開発援助を行っていくのか、そういう中で具体的なプロジェクトがあれば、夢を語ってもいただきたいとも思います。よろしくお願いします。
#196
○国務大臣(岸田文雄君) 新しい大綱におきましては、重点課題の一つとして、質の高い成長とそれを通じた貧困撲滅を掲げております。格差の拡大や持続可能性の問題等をもたらすような経済成長ではなくして、包摂性ですとか持続可能性ですとか強靱性、こうした三つの要素を兼ね備えた質の高い成長を目指していく、こういった考えを明らかにしています。
 具体的には、女性の能力強化等、成長の果実が社会全体に行き渡り、誰一人取り残されない包括的な成長を目指した協力、あるいは環境対策等、世代を超えて持続可能な成長を目指した協力、また防災等、自然災害等への耐性及び回復力に富んだ強靱性のある成長を目指した協力、こういったものを推進していきたいと考えております。
#197
○中野正志君 その基本で頑張っていただきたいと思います。
 終わります。
#198
○又市征治君 それでは、引き続いて開発協力大綱についてお尋ねをいたします。
 今もありましたように、一般会計におけるODAの予算は一九九七年、一兆一千六百八十億円余のこれがピークで、二〇一五年度は五千四百二十億円余と半減以下、こういうことになっているわけですよ。ODA予算は、多ければ多いほどよいという単純なものではなくて、当然、その質、内容ということも問われるわけですが、いずれにしても大幅に減額されてきたということは事実であります。
 そして、今回の大綱では、普遍的価値の共有、平和で安全な社会の実現も重点課題とされて、その中では平和、安定、安全な社会の中で、安定、安全への脅威への対応として、海保あるいはテロ、治安維持なども列挙されているということであります。これらの目的それ自体、一概に否定するつもりはありませんけれども、しかし、果たしてこれらに対する支援というのは開発協力の名にふさわしいものか、これはもう疑問に思わざるを得ません。重点課題が拡大されれば、当然、支援対象国も拡大をしていく。そのとおり、ODA卒業国にも支援するとされているわけであります。
 もう一度やっぱり基本に戻って、周知のように、二〇〇〇年のミレニアム宣言では、その三、開発及び貧困の撲滅の中の十一で、我々は、我々の同胞たる男性、女性そして児童を、現在十億人以上が直面している悲惨で非人道的な極度の貧困状態から解放するため、いかなる努力も惜しまない。我々は、全ての人々が開発の権利を現実のものとすること、並びに全人類を欠乏から解放することにコミットする。こういう一文が、一節があります。
 改めて、この観点に基づく支援というのが日本のODAの基本に変わりはないということについて、もう一度大臣から御確認いただきたいと思います。
#199
○国務大臣(岸田文雄君) 新大綱におきましても、貧困削減、とりわけ絶対的貧困の撲滅、これは最も基本的な開発課題である、このように位置付けております。
 しかしながら、この貧困削減あるいは食料問題への取組を始め、開発途上国の安定的発展を実現する上で、開発途上国において法の支配あるいはガバナンスがしっかりしていること、また平和と安定、安全が確保されていること、このことが国づくり及び開発の前提条件であると考えています。
 そのため、この新大綱においては、普遍的価値の共有ですとか、平和で安全な社会の実現、これを重点課題の一つとしたものであり、我が国としてはそのような分野についても是非支援を行っていくことは重要であると認識をしております。
#200
○又市征治君 今もありましたように、貧困、格差が社会的紛争の基になっているのはもう周知の事実であります。
 卵が先か鶏が先かみたいな論議をするつもりはありませんが、今そこにある飢餓、貧困、病気の蔓延、それらへの対策というものが最重要な課題であります。テロ、内戦あるいは民族紛争の原因を突き詰めていくと、行き着く先は貧困や飢餓あるいは怨恨というか、そういう格好になっているわけで、そういう意味で、減少しているODAの予算をむしろそこにやはり基本として支出していくということでなければ国民の理解は得られないんではないかと、こう思うんです。
 そこで、先ほどからも質問に出ているわけで、問題になっているところですが、今回の開発大綱の実施上の原則の中では、非軍事的目的の開発協力に軍又は軍籍を有する者が関係する場合には、実質的意義に着目し、個別具体的に検討するとされて、従来のODA大綱では明記されていなかったこうした軍、軍籍を有する者が関係する組織へも支援は認めるということになっています。
 確かに、事前に説明をお聞きをしました軍機関の病院などへの支援は、それは必要だろう、もちろんその点は一般論として否定はしませんけれども、じゃ、軍病院に送られた医薬品などが軍事目的に使われないという保証は本当にあるのか。そういう意味では、先ほどから、いや、追跡調査を行う、こういうふうに説明をされておりますけれども、一旦相手国に渡したものを他国が、それがちゃんと使われているかどうか、点検なんかしようがないんじゃありませんか。そういう意味では、結果的に、政府は、これ非軍事的な目的に使いなさいよという、そういう当初の公文書というか確認をするだけで、それは使われておりませんという、そういう報告しかしようがないんじゃないかと思う。
 そういう意味で、軍事転用されないように、先ほどからも幾つか例が挙がっておりますけれども、どのようにチェックをされていくのか、改めてお聞きをしておきたいと思います。
 あわせて、もう一つ、これは全く念のためですが、先ほど石橋さんが質問をされた中で幾つか、フィリピンであるとか、あるいはインドネシアであるとかベトナムなどに巡視艇などの供与ということも行うということなどもある。あるいは、安倍総理は、日本は防衛装備についても今後他国への移転ができるようにするとかという、そういう話を去年の五月段階でされているわけですが、そういうものに、言ってみれば、今申し上げたような事例に間違ってもODAの予算が使われることは、これはありませんね。そのことも併せて、この二点、お聞きしておきたいと思います。
#201
○国務大臣(岸田文雄君) まず、これまでも軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避原則を遵守する観点から、軍や軍籍を有する者が関係しない場合であっても、全ての個別具体の案件ごとに軍事目的の活動への転用や国際紛争助長につながることがないか、しっかり検討した上で実施判断を行ってまいりました。
 そして、その際に、必要に応じて相手国と取り交わす文書の中で軍事目的に使用しないことを確認するなどの手当てを講じており、今後も同様の対応は続けてまいります。そして、援助実施後も、在外公館を通じてモニタリングあるいは事後評価等を通じてフォローをしていかなければなりません。こうした対応はしっかりと続けてまいります。そして、この信頼性を高めるために、先ほど申し上げました透明性の向上が重要になってまいります。是非、こうした対応の透明性を引き上げることによって、こうした対応の信頼性もしっかり高めていかなければならないと考えております。
 そして、この防衛装備の海外移転に当たりましては防衛装備移転三原則に従うことになっています。防衛装備の中には、これまでもODAにより供与した巡視船艇等も含まれますが、これは法執行能力の強化等、海上安全対応能力の向上を目的とした厳格な審査の下に行ったものであります。
 いずれにしましても、その場合も、開発協力が軍事的用途に使用されることがないよう、しっかりと検討を行い、軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避の原則、これをしっかり遵守してまいる考えであります。
#202
○又市征治君 今あったように、巡視艇などもODA予算を使うとなれば、それは相手側は、使う側が警察とは限らないわけで、軍が使うということになれば軍事転用になってしまうんじゃないですか。
 もう時間がありませんから、今回のこの開発協力大綱のキーワードというのは、どうも日本の安全保障と国益ということになっているわけで、それにかなう支援が重視されていくということになれば、これはこれまでの日本のODAを貫いてきた非軍事、人道支援とは異質のものになるんだろうと思うんですね。
 先ほども述べたように、減少した予算が更に安全保障分野につぎ込まれることになれば、この貧困や飢餓や病気に悩む人々への支援が減少していく、まして今あったように、この巡視艇まで供与することにODA予算使われることになったら、これは断固反対をせざるを得ないということを申し上げて、今日は時間ありませんから、この程度で終わりたいと思います。
#203
○谷亮子君 谷亮子です。
 平成二十七年度予算案の委嘱の審査に続きまして、対政府質疑ということで本日二度目の質疑となりますが、よろしくお願いいたします。
 この度の開発協力大綱の基本方針の関連の中にございます自助努力支援と日本の経験と知見を踏まえた対話、協働による自立的発展に向けた協力におきましては、これまでも国際協力機関でありますJICA等の関係機関等と協力をして、地域や国の実情あるいはニーズをしっかりと踏まえながら、取組や運用等が行われてきております。
 一九九五年に日本とシンガポールで開始されましたコミュニティー・ポリシング戦略コースにつきまして、一九八一年、日本の交番制度の導入を希望するシンガポールにJICAが調査団を派遣されまして始まった取組によって、その後、日本の技術協力をきっかけにシンガポールの警察が日本の交番制度導入検討を開始し、一九八三年、シンガポールの中心街に、警察署管内に八つの交番が設置されました。その取組はどんどん広がりを見せまして、現在、シンガポールには六十二か所の地区警察ポストと、地区警察センターが三十六か所設置されております。
 また、この導入から設置に至るまでの経験を共有し、自国の文化に合った交番制度を進めていきたいということで、シンガポールに対しましても、近隣諸国を始め世界各国が興味を持ち、期待されているところでございます。これは、開発が比較的進んでいる途上国が、自国の開発経験や人材等を活用して、開発が進んでいない途上国に対して協力事業を行う南南協力の代表的な事業の一つでございます。過去に日本の技術支援を受けた途上国の機関が他の途上国から研修員を受け入れて技術指導を行い、日本はそれを資金面や技術面で支援をしており、三角協力で支援をいたしております。
 そこで、現在、どの程度、諸外国からの交番制度導入の働きかけが生じているのでしょうか。また、その働きかけや期待に対して応える用意はされているのでしょうか。進展状況と、どのような形で協力支援を行っていかれるのかについて、お伺いさせていただきたいと思います。
#204
○参考人(植澤利次君) お答え申し上げます。
 まず、冒頭、委員の方から、非常に、シンガポールの例を挙げながら交番制度について御説明いただいたこと、誠にありがとうございます。
 私どもJICAは、途上国で、様々な国で様々な援助をさせていただいております。その中で、援助が成功する条件が幾つかあるわけですが、最も大事なことの一つは、人々が安心して生活できる安全な社会という環境でございます。
 ただ、途上国におきましては、貧しさゆえに様々な問題や課題がございます。そのような条件の下で、警察だけで治安と安全を保持していくことには限界がございます。警察と地域の住民が一体となって、あるいはコミュニティー全体で取組が必要でございます。
 このような取組を世界に先駆けて行ってきたのが、先生御案内のとおり日本でございます。地域住民とコミュニケーションを大事にし、地域住民の理解を深め、警察と住民との信頼関係を構築しながら地域の安全と安心を確保していくという日本独特の取組が、先生今言及されましたところの交番制度でございます。
 JICAといたしましては、日本が誇れるこの交番制度のノウハウ、地域警察のノウハウを途上国に広げ、途上国全体の発展に役立てればということで邁進してまいりました。既に、今御指摘のございましたように、三十数年前、一九八一年、シンガポールへの交番制度を含む地域警察の技術協力を皮切りに、現在、ブラジル、インドネシア、東ティモール等々に広がりを見せております。具体的には、相手国の警察官を我が国に招聘し、交番や駐在所の視察等を通じた日本の地域警察活動を学んでいただく研修、あるいは我が国の警察官を専門家として相手の国に派遣し、地域の巡回による安全確保や、そして市民からの相談対応等、地域住民の信頼を高めるための活動への助言をさせていただいております。
 今日は時間がございますので全てを申し上げられませんが、一例といたしましては、例えばインドネシアでは、ジャカルタ近郊のブカシ県というところで交番制度、地域警察の協力をした結果、住民からの相談件数がたったの三年間で四倍にも膨れ上がったという事例もございます。また、少し前、ブラジル・ワールドカップにおきましても、防犯対策というのが大変重要なイシューでございましたが、その際にも日本の交番制度というものが一役買わせていただきました。また、特にシンガポール、今まさに歴史を御披露いただきましたが、特に一九九五年からは、おっしゃいましたところの南南協力ということに力を入れておりまして、シンガポールに根付いた我が国の協力をアジアを中心に広げるということで、今現在三十か国以上、五百名近い人間に対しての研修ができております。
 交番制度を含む地域警察の協力は市民に安全と安心を与えるものであり、また、人間の安全保障の見地からも重要な課題と認識しておりますので、今後とも、相手国のニーズを十分に踏まえ、また、主務省外務省、警察庁等と十分に御相談させていただきながら協力の可能性を積極的に検討してまいりたいと思いますので、引き続き御指導よろしくお願い申し上げます。
#205
○谷亮子君 ただいまは関係省庁等々の多岐にわたる取組を丁寧に御説明いただきまして、本当にありがとうございます。
 やはり、今お話ございましたように、JICAにおかれましては国際平和に今現状、積極的に貢献していただいているということでございまして、やはり今回のこの交番制度というのは世界に広がる交番システムとして、ローマ字でKOBANは外国でも交番システムとして知られる国際語となっておりますし、同時に、日本は世界でトップクラスの治安の良い国として評価されているところでございます。
 また、JICAにおかれましては、一九八〇年代から、ただいまお話ございましたように、シンガポールやインドネシアなどあらゆる国々で交番制度の導入を支援されておりまして、治安が劇的に改善してきているという現状もこれは報告されております。このことは最も成功した国際貢献の一つであるとされているところでございまして、この交番制度につきましては大きな広がりを見せておりますし、この技術協力等は多岐にわたりますので、また質疑の機会がございましたら是非取り上げさせていただきたいと思っておりますし、期待いたしております。
 続きまして、岸田大臣にお伺いさせていただきたいと思います。
 岸田大臣におかれましては、五十か国以上の国、地域とのODAを含む外交を展開されまして、友情を深め、そして揺るぎない信頼を勝ち得られております中、ODAを含む国際外交についての指針と方向性について御所見をお聞かせいただきたいと思います。
#206
○国務大臣(岸田文雄君) まず、ODAは、我が国が戦略的に外交を進める上において最も重要な手段の一つです。是非、ODAを通じましても国際社会の平和や安定や繁栄にしっかり貢献をしていきたいと存じます。
 一方で、我が国はこうした開発の分野以外でもしっかりと国際社会に貢献をしていかなければなりません。各国や国連を始めとする国際機関としっかり連携をしていきながら、例えば平和構築ですとか軍縮・不拡散ですとか、さらには環境、人権、こうしたグローバルな課題にもしっかり取り組んでいかなければならないと思います。こうした様々な分野においてしっかりと貢献をしていく、平和国家としての歩みをしっかり示していく、こうした対応は大変重要だと思っています。
 元々、私自身、外交を進めるに当たって、外交の三本柱、日米同盟の強化、近隣諸国との関係強化、そして経済外交の強化、この三本柱を掲げて外交を進めてまいりましたが、外務大臣をやってみて、この三本柱だけでは不十分だと認識をしています。三本柱を進めつつ、あわせて、今申し上げましたグローバルな課題に取り組んでこそ我が国は国際社会においてしっかり存在感を示すことができるのではないか、こうした基本的な考え方に基づいて、これからも戦略的に外交を進めていきたいと考えております。
#207
○谷亮子君 岸田大臣、ありがとうございました。
 岸田大臣におかれましては、今後も大変な御努力を要されると思いますけれども、更に国際機関とも協力をされながら、更なる世界的安定の秩序の構築に向けて頑張っていただきたいと思っております。
 終わります。
#208
○荒井広幸君 大臣、最後までお疲れさまです。五十か国回るのとこの委員会に来るの、どっちが疲れるかなと思って聞いておりましたけれども、どちらも全力でされていると思います。敬意を表します。
 大臣が当選されて、私も一緒でしたが、野党でございました。野党になりまして、自社さ政権ができました。自社さ政権ができたときに、村山内閣において、女性のためのアジア平和国民基金、いわゆるアジア女性基金というのができたんです。あのときは、自民党は虎島和夫先生でした。長崎でございました。先輩議員でございます。それから、社会党が又市先生のところから上原康助先生、沖縄でございました。上原先生ですね。それから、さきがけからは、今、民主党に行っておられる荒井聰先生なんですね。ここが母体になっていわゆるアジア平和基金をつくったんです。
 自民党というのはやっぱりすばらしいところがあるわけで、あったと言うと問題がありますが、あるわけで、私みたいな、当選したてでしたけど、よくよく戦後を勉強しろと、問題があることを勉強しろと、私、三席に席をいただきまして、戦後五十年問題プロジェクトというのをつくったんです。そこが今言いましたアジア女性基金の大本をつくっていくんですね。ですから、私もそのときにおりましたので、非常にいろいろな意味で複雑な思いで今現在見ているんです。
 その中で、余り言われていませんが、非常に進んだことがあるんです。これはどういうことかというと、韓国と台湾を日韓併合していた時代、韓国を日韓併合していた当時ですね、小鹿島というところに強制収容したのがいわゆるハンセン病の問題なんです。これは、意外なんですけれども、裁判があった都合もありましたが、小泉総理のときに、韓国の強制収容された皆さんに償いをしようと、これ日本国民と同じようにしようというふうに、これは議員立法でした。それをやってまいりました。
 そこで、厚生省にお尋ねをいたしますけれども、このハンセン病、随分大勢の方が韓国で申し込まれました。努力をしていただきました。現在どれぐらいの方が残っているか、分かりますかね。その前にハンセン病における韓国に対する補償のこれまでの取組を簡単に説明していただいて、今何人ぐらいになったか、説明してください。
#209
○政府参考人(福本浩樹君) お答え申し上げます。
 韓国など国外のハンセン病療養所入所者に対する補償金でございますけれども、今先生御指摘いただきましたハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律、これは平成十八年に改正をされまして、この法律に基づいて国外のハンセン病療養所入所者に対しても補償金を支給するという事務を行っているところであります。
 韓国からの申請でございますけれども、この法律に基づいて、五百九十五名申請がございまして、現在まで五百八十一名の方々に補償金の支給を行ってきたところでございます。
#210
○荒井広幸君 ということは、あと、皆さん、十四人まで来ているんですよ。
 これは意外という方が野党に多いかもしれませんが、実は安倍政権のときに、私は李明博大統領とソウル市長時代から交友がございました。そんな関係がありまして、私は二回ほど安倍総理のときに、二回、三回ですね、そして厚生省、向こうの厚生省に二回ほど参りました。
 なかなか進まないんです。それで、どうするかということになったときに、両国が知恵を出したのはすごくすばらしいんです。五五年の朝鮮動乱で、強制収容されていた日韓併合の時代、資料がないんで、韓国政府が手伝って、そこにいましたよという、そういう一つの証拠、あかしが立てられるということになればそれを尊重していこうということで、一挙に進んだのが、何と自民党政権時代の麻生総理のときなんです。二百数十名の方が一挙にそれで解決していくんです。そして、ずんずんずんずんここまで来まして、実は自民党が意外に、そういったことをやっていないように見えるんですけれども、こうしたことが進んできたということは自民党の先生方も我々も改めて確認したいんです。
 そういうベースの上に立って進めていきますと、まだ決着していない人があと十四人ですね、この方々が早く、間違いなく強制収容されたということであることが証明されればいいなと思っております。日本人と同じ書類がないと駄目なんです、日韓併合時代でしたから。そういうことの中でもお互いが協力をしてやってきたということでございます。
 韓国には、これは厚生労働省に聞いた方がいいんですかね、大使館に、こうした厚労省分野のいろんな案件が今あるわけですけれども、何人ぐらいソウルの大使館には駐在しているんでしょうか。韓国と言ったらいいんですか、韓国大使館に駐在しているんでしょう。
#211
○政府参考人(宮野甚一君) お答えをいたします。
 平成二十七年四月一日現在でございますけれども、厚生労働省から外務省に出向いたしまして韓国の大使館に派遣されている職員は一名でございます。
#212
○荒井広幸君 大臣、私は、少しここは増やした方がいいと思うんです。ニュートラルな意味で増やした方がいいと思っているんですね。
 大臣にお尋ねしたいんですけれども、ほかに人権問題というようなものがあって、非常に難しい問題ではありますけれども、ハンセン病における補償というのは、今ほど申し上げましたように、日韓政府の協力と、お互いの国が、韓国もです、やっぱり歩み寄って協力してもらう、お互いに配慮するということでないとできなかった。今十四人まで来たんですよ。こういうことをもう一段両国で努力していただきたいと思うんですが、まあ一般論しか言えないと思いますが、大臣、一般論で結構です、どうですか。
#213
○国務大臣(岸田文雄君) まず、このハンセン病への対応につきまして御努力をされました委員また関係者の皆様方の取組に心から敬意を申し上げたいと思います。
 日本と韓国においては様々な難しい問題が今現在存在いたします。しかし、難しい問題があるからこそ様々な課題について率直な意見交換を行う、特に高い政治のレベルでの対話は重要であると認識をしています。今年は日韓国交正常化五十年という節目の年を迎えています。是非この年を意義ある年にするべく、様々なレベルで様々な分野において意思疎通を行い、対話を重ねることによって、未来志向で重層的な関係を構築し、前進させていかなければならないと思っています。
 私も、先月二十一日、韓国の尹炳世長官と会談を行いましたが、日韓外相会談も私が就任してから五回目となりました。是非、様々なレベルでの対話を積み重ねることによって様々な課題を前進させたいと思っています。
 今のところ月一回ペースで日韓局長級協議も行われています。こうした協議をベースにしながら、様々な対話を続けていきたいと考えています。
#214
○荒井広幸君 その三月二十一日の日中韓外相会談、大変よかったと思います。これを是非また、大臣の人柄も含めて、進めていただきたいというふうに思っております。
 九三年、四年、我々が当選してきたときに、そういう問題に直面したときに、あのとき先輩方、もう虎島先生お亡くなりになりましたけれども、戦争を経験されておられたんです。上原先生もそうでした。やっぱりいろんな課題はあるけれども、もうお年寄りになっているなと、その対象者が、時間の問題だと。何か工夫できないかという姿勢を私は一番末席で学ばさせていただいたんです。
 そういうことも含めて、ハンセン病含めてこのように実績を上げてきているんですから、どうぞそういう気持ちを持って、韓国にも歩み寄りをいただき、あのときは残念だったです。韓国側の方が少しもらうのはどうかというふうなことでしたから。残念な気持ちではありますけれども、どうかそうしたことをもう一回我々も学び直しながら、格段の大臣の御努力、総理の御努力をお願いして、終わります。
#215
○委員長(山本順三君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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