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2015/03/24 第189回国会 参議院 参議院会議録情報 第189回国会 環境委員会 第1号
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2015/03/24 第189回国会 参議院

参議院会議録情報 第189回国会 環境委員会 第1号

#1
第189回国会 環境委員会 第1号
平成二十七年三月二十四日(火曜日)
   午後零時十分開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         島尻安伊子君
    理 事         高橋 克法君
    理 事         中西 祐介君
    理 事         水岡 俊一君
    理 事         市田 忠義君
                岩城 光英君
                尾辻 秀久君
                岸  宏一君
                佐藤 信秋君
                中川 雅治君
                中曽根弘文君
                山谷えり子君
                吉川ゆうみ君
                小見山幸治君
                櫻井  充君
                長浜 博行君
                浜野 喜史君
                杉  久武君
                清水 貴之君
                水野 賢一君
    ─────────────
   委員の異動
 一月二十六日
    辞任         補欠選任
     岸  宏一君     鴻池 祥肇君
 二月二十六日
    辞任         補欠選任
     浜野 喜史君     大塚 耕平君
 二月二十七日
    辞任         補欠選任
     大塚 耕平君     浜野 喜史君
 三月十八日
    辞任         補欠選任
     浜野 喜史君     石上 俊雄君
 三月十九日
    辞任         補欠選任
     石上 俊雄君     浜野 喜史君
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     小見山幸治君     森本 真治君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         島尻安伊子君
    理 事
                高橋 克法君
                中西 祐介君
                水岡 俊一君
                市田 忠義君
    委 員
                岩城 光英君
                尾辻 秀久君
                鴻池 祥肇君
                佐藤 信秋君
                中川 雅治君
                中曽根弘文君
                吉川ゆうみ君
                櫻井  充君
                長浜 博行君
                浜野 喜史君
                森本 真治君
                杉  久武君
                清水 貴之君
                水野 賢一君
   国務大臣
       環境大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       防災))     望月 義夫君
   副大臣
       環境副大臣    北村 茂男君
       環境副大臣    小里 泰弘君
   大臣政務官
       環境大臣政務官  高橋ひなこ君
       環境大臣政務官  福山  守君
   政府特別補佐人
       原子力規制委員
       会委員長     田中 俊一君
       公害等調整委員
       会委員長     富越 和厚君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻井 敏雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○環境及び公害問題に関する調査
 (環境行政等の基本施策に関する件)
 (平成二十七年度環境省予算及び環境保全経費
 の概要に関する件)
 (公害等調整委員会の業務等に関する件)
 (原子力規制委員会の業務に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(島尻安伊子君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、岸宏一君及び小見山幸治君が委員を辞任され、その補欠として鴻池祥肇君及び森本真治君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(島尻安伊子君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、環境及び公害問題に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(島尻安伊子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(島尻安伊子君) 環境及び公害問題に関する調査を議題といたします。
 まず、環境行政等の基本施策について、望月国務大臣から所信を聴取いたします。望月国務大臣。
#6
○国務大臣(望月義夫君) 環境大臣及び原子力防災を担当する内閣府特命担当大臣の望月義夫でございます。
 第百八十九回国会における参議院環境委員会の御審議に先立ち、環境政策及び原子力防災に関する私の考えを申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いいたします。
 まず、東日本大震災からの復旧復興について申し上げます。
 東日本大震災の発生から、四年が経過いたしました。
 除染、中間貯蔵施設の整備や指定廃棄物の処理は、まさに重要な局面を迎えております。環境大臣への再任に当たり、総理から再度、閣僚全員が復興大臣のつもりで全力を尽くすよう指示を受けたところですが、被災地の復興のため、いまだ多くの方が避難生活をされているという事実を重く受け止めて、環境省の総力を挙げ、誠心誠意取り組んでまいります。
 除染は福島の復興にとって極めて重要です。国直轄で行う面的除染については、十一市町村のうち四市町村及び常磐自動車道では既に終了し、三町村の宅地部分においても全部又はおおむね終了したところです。市町村等が行う除染についても、着実な進捗を見せており、引き続き適切な支援を行ってまいります。
 また、福島の除染と復興を進めるために必要不可欠な中間貯蔵施設の整備については、先般、福島県並びに大熊町及び双葉町から施設への除去土壌等の搬入を受入れいただき、大熊町については三月十三日から搬入を開始いたしました。
 今後、引き続き、地権者の皆様への丁寧な説明を進めるとともに、施設の着実な整備と安全かつ確実な輸送を推進し、除去土壌等の継続的な搬入に向けて全力を尽くしてまいります。
 災害廃棄物の処理については、十二道県において既に完了していますが、福島県においては住民の方々が避難している地域等での処理を残しております。帰還の妨げとなる廃棄物の早期撤去を最優先の目標とし、処理を着実に進めます。
 指定廃棄物については、発生した各県内で処理するという方針の下、一時保管が逼迫している県において、地元に対し誠意を尽くしつつ、安全な処理に向けた調整を進めます。
 また、原発事故による放射線に係る住民の健康管理については、有識者会議の御意見を踏まえ、甲状腺検査等の福島県民健康調査への支援や、疾病の発生動向の把握等の取組を適切に進めてまいります。
 さらに、三陸復興国立公園やみちのく潮風トレイルなどの豊かな自然を活用したグリーン復興を進めます。
 次に、低炭素社会の構築について申し上げます。
 今年は、二〇二〇年以降の気候変動対策に関する新たな枠組みを構築する重要な年です。年末のCOP21に向けて、全ての国が参加する公平かつ実効的な国際枠組みとなるよう積極的に貢献するとともに、我が国の温室効果ガスの新しい削減目標と具体的な行動計画をできるだけ早期に策定します。
 国内の地球温暖化対策については、産業、運輸、業務、家庭などの各分野において長期的に取組を強化していく必要があります。あわせて、地球温暖化対策は地域の活性化、暮らしの質の向上、コストの削減などにつなげていく必要もあります。このため、徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入や水素の本格的な活用を進めることによる自立分散型の低炭素エネルギー社会の実現、先導的な技術を活用した削減対策の促進、環境金融による民間投資の促進などを図ってまいります。
 また、気候変動キャンペーン、ファン・トゥ・シェアを通じて、低炭素社会づくりに向けたライフスタイルの変革を進めます。
 国際的には、二国間クレジット制度を一層推進することにより、優れた低炭素技術の普及を通じて世界全体の排出削減に貢献します。
 さらに、我が国への気候変動の影響に適切に対処するため、今年夏を目途に、関係府省と協力をして政府全体の適応計画を策定します。さらに、地方公共団体や途上国に対して適応の支援を行います。
 次に、循環型社会の実現について申し上げます。
 東日本大震災の教訓を踏まえ、災害時における円滑、迅速な廃棄物処理を確保するため、関係主体の連携協力の強化や環境大臣による廃棄物の代行処理等が可能となるよう、今国会に廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律案を提出いたします。
 また、廃棄物処理施設の更新等については、広域化、集約化及び防災拠点機能の強化を図りつつ支援を進めます。併せて浄化槽についても普及を進めます。
 さらに、産業廃棄物処理業の一層の高度化や、PCB廃棄物の確実かつ適正な処理を進めます。資源の有効活用に向けて、小型家電リサイクル法に基づく回収、再資源化や、高度なリサイクルへの取組を促進してまいります。
 次に、人と自然が共生する社会の実現について申し上げます。
 私たちの暮らしは、森、里、川、海の恵みに支えられています。この自然の恵みを評価し、将来にわたって享受できるよう、これを守る取組を国民全体に広げてまいります。
 鳥獣の管理を抜本的に強化した改正鳥獣法等に基づき、鹿やイノシシの生息頭数の半減を目指します。また、絶滅危惧種の保全や外来生物の防除、魅力ある国立公園づくりなどにより、生物多様性保全を進めてまいります。
 これら低炭素社会の構築、循環型社会の実現、人と自然が共生する社会の実現については、地方創生につながるものと考えております。
 具体的には、地域には、再生可能エネルギー、豊かな自然などの地域資源がありますが、これらを保全、活用することにより、投資と雇用を生み出し、地域に資金を循環させることで、地方創生を図ってまいります。
 次に、環境省の原点である、国民の健康と良好な環境の確保などについて申し上げます。
 PM二・五による大気汚染については、国民に対する的確な情報提供の実施に努めるとともに、科学的知見の充実を図りつつ、排出抑制対策を推進します。あわせて、中国を始めとするアジア各国と、大気汚染対策に関する協力を推進します。
 また、水循環基本法に基づき、水環境の保全と健全な水循環の確保に努めるとともに、漂流・漂着・海底ごみ対策、化学物質のライフサイクル全体を通じた環境リスクの低減などに取り組みます。
 さらに、水銀に関する水俣条約の早期発効を目指し、今国会に水銀による環境の汚染の防止に関する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案を提出したところであります。
 水俣病を始めとする公害健康被害対策、石綿健康被害者の救済については、引き続き真摯に取り組みます。
 昨年、我が国でESDに関するユネスコ世界会議が開催されたことを契機に、さらに持続可能な開発のための教育の促進を図ってまいります。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会に向け、環境に優しい五輪と環境都市東京の実現を目指した取組を進めます。
 最後に、原子力防災等について申し上げます。
 万一の原子力発電所の事故に対応するため、内閣府特命担当大臣として原子力防災に取り組みます。
 原子力防災会議を中心に、関係省庁を挙げて、地方自治体の地域防災計画、避難計画策定への支援、災害時要援護者への対応や防災資機材の整備への財政支援など、きめ細かな取組を行っていきます。
 原子力災害に対する備えに完璧や終わりはありません。継続的に対策内容の充実強化に努めてまいります。
 また、原子力規制委員会が、独立性の高い三条委員会として、科学的、技術的見地から公正中立な立場で規制を進められるよう、環境大臣としてしっかりサポートします。
 以上、環境大臣として、また、原子力防災担当の内閣府特命担当大臣として、当面の取組の一端を申し上げました。
 島尻委員長を始め、理事、委員各位におかれましては、今後とも、環境行政及び原子力防災の一層の推進のため、御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
#7
○委員長(島尻安伊子君) 次に、平成二十七年度環境省予算及び環境保全経費の概要について説明を聴取いたします。北村環境副大臣。
#8
○副大臣(北村茂男君) 環境副大臣の北村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、平成二十七年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について御説明申し上げます。
 まず、一般会計予算では総額二千九百六十二億二千七百万円を計上しております。
 以下、その主要施策について御説明申し上げます。
 第一に、地球環境保全対策については、本年十二月にフランス・パリで開催される気候変動枠組条約第二十一回締約国会議に向けて、全ての国が参加する新たな法的枠組みの構築を目指すとともに、国内の各種地球温暖化対策を着実に進めてまいります。また、アジア太平洋地域を中心とする環境協力やフロン類対策を含む地球環境保全対策の推進を図ります。これらに必要な経費として一千三十八億八千四百万円を計上しております。
 第二に、廃棄物・リサイクル対策については、循環産業の育成や国際展開の支援、リデュース、リユース、リサイクルのいわゆる3Rの取組の推進、不法投棄対策や適正処理対策の推進などに必要な経費として五十七億六千二百万円を計上いたしております。また、循環型社会形成推進交付金などを活用した廃棄物処理・リサイクル施設や浄化槽の整備に必要な経費として四百八十五億二千六百万円を計上いたしております。
 第三に、自然環境の保全対策については、鳥獣保護管理の強化、絶滅のおそれのある種の保存や外来生物対策の推進など、国内における生物多様性関連施策、国立公園や世界自然遺産などの優れた自然環境の保護と適正な利用、生物多様性分野の国際貢献の推進などに必要な経費として百三十四億八千四百万円を計上いたしております。
 第四に、総合的な環境政策の推進については、環境、経済、社会が相互に高め合う社会経済の仕組みを構築する基礎を確立するべく、事業活動や金融のグリーン化、持続可能な地域づくりの推進、実効ある環境影響評価の推進などに必要な経費として三十一億六千二百万円を計上いたしております。
 第五に、公害健康被害対策等については、水俣病対策、公害健康被害補償制度や石綿による健康被害に係る救済制度の適正かつ円滑な実施、国内における旧軍毒ガス弾対策、化学物質対策の着実な推進などに必要な経費として二百六十八億三千二百万円を計上いたしております。
 第六に、大気、水、土壌環境等の保全対策については、微小粒子状物質、いわゆるPM二・五などの大気環境保全対策、健全な水循環の確保、漂流・漂着・海底ごみ対策、我が国の環境汚染対策技術の海外展開などの推進に必要な経費として五十六億九千三百万円を計上いたしております。
 第七に、環境保全に関する調査研究、技術開発については、環境汚染の監視と防止、地球環境の保全、廃棄物の適正な処理に関する調査研究、技術開発の推進などに必要な経費として百二億八千七百万円を計上いたしております。
 第八に、国民のニーズ、地域の実情に応じた環境政策を展開するため、地方環境事務所における経費として五十七億五百万円を計上いたしております。
 第九に、原子力安全の確保については、原子力規制委員会が行う原子力規制対策の推進に必要な経費として四百五十一億五千四百万円を計上いたしております。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
 まず、エネルギー対策特別会計予算では総額一千五百九十一億八百万円を計上いたしております。
 以下、その内訳について御説明申し上げます。
 第一に、地球温暖化対策については、民間資金を呼び込む環境金融の推進、我が国の優れた環境技術の海外への展開、大幅な省エネにつながる最先端の設備の導入加速化、再生可能エネルギー等を活用した低炭素な水素社会や地域主導による自立分散型の低炭素エネルギー社会の実現などに必要な経費として、エネルギー需給勘定に一般会計から一千八億円の繰入れを行い、総額として一千百二十四億八千二百万円を計上いたしております。
 第二に、原子力規制対策については、原子力規制の更なる高度化及び原子力規制委員会の専門能力の強化等を図るために必要な経費として、電源開発促進勘定に一般会計から三百五十七億八千五百万円の繰入れを行い、総額として四百六十六億二千六百万円を計上いたしております。
 次に、東日本大震災復興特別会計予算では、災害廃棄物の迅速な処理、放射性物質に汚染された土壌等の除染や中間貯蔵施設の整備、廃棄物の処理等の推進、三陸復興国立公園への再編成を軸とした東北の豊かな自然環境を生かした取組の推進などに必要な経費として、復興庁所管予算に総額六千六百七十一億五千三百万円を計上いたしております。
 以上が平成二十七年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の概要であります。
 最後に、各府省の平成二十七年度環境保全経費の概要について御説明申し上げます。
 まず、政府全体の環境政策を効果的に実施することを目的として取りまとめております環境保全経費については、平成二十七年度におけるその総額として一兆八千六十九億円を計上いたしております。
 これを事項別に見ますと、地球環境の保全のために四千四百五十六億円、生物多様性の保全及び持続可能な利用のために一千四百三十一億円、物質循環の確保と循環型社会の構築のために八百七十七億円、水環境、土壌環境、地盤環境の保全のために九百六億円、大気環境の保全のために二千百九十八億円、包括的な化学物質対策の確立と推進のために六十億円、放射性物質による環境汚染の防止のために六千八百九十三億円、各種施策の基盤となる施策等のために一千二百四十九億円をそれぞれ計上いたしております。
 以上、平成二十七年度の環境省所管の予算及び各府省の環境保全経費の概要について御説明申し上げました。
#9
○委員長(島尻安伊子君) 次に、公害等調整委員会の業務等について説明を聴取いたします。富越公害等調整委員会委員長。
#10
○政府特別補佐人(富越和厚君) 公害等調整委員会が平成二十六年中に行った公害紛争の処理に関する業務及び鉱業等に係る土地利用の調整に関する業務について御説明申し上げます。
 まず、公害紛争の処理に関する業務についてでございます。
 第一に、平成二十六年に当委員会に係属した公害紛争事件は、合計七十八件でございます。
 主な事件といたしましては、申請人らの家屋の損傷及び健康被害が工場から排出されるガスによるものかどうかの判断及び損害賠償を求めた大東市における工場からの排出物質に係る大気汚染等による財産被害等責任裁定申請事件及び同原因裁定申請事件、近隣ビルの解体・新築工事による振動等のため申請人所有のビルに沈下、傾斜等の被害が生じたとして損害賠償を求めた中央区におけるビル工事による地盤沈下被害責任裁定申請事件、申請人らに生じた健康被害が建設工事において土地を掘削した際に発生、拡散させた何らかの化学物質によるものであるとの判断を求めた江東区における建設工事からの土壌汚染による健康被害原因裁定申請事件などがございます。
 また、平成二十六年中に終結した事件といたしましては、残土処分場における埋立て等について大量の土砂による水質悪化の可能性等があるとして残土の搬入の中止等を求めた大津市における残土処分による水質汚濁被害等調停申請事件など二十九件でございます。
 以上のほか、水俣病損害賠償調停申請事件の調停成立後に症状の変化が生じたとして慰藉料額等の変更を求める申請が二件係属し、うち一件について手続が終了しております。
 当委員会では、公害紛争の迅速、適正な解決に向け、多様化、複雑化する公害紛争への着実な対応と公害紛争処理制度の利用の促進を図ってまいりました。
 具体的には、地方に在住する当事者の負担を軽減するため、被害発生地などの現地で審問期日等を積極的に開催すること、事実関係を明らかにする事件調査の充実を図ること、国民や関係機関に本制度を積極的に周知することなどに努めてまいりました。今後もこうした取組を一層進めてまいります。
 第二に、平成二十六年に都道府県公害審査会等に係属した公害紛争事件は七十五件でございます。公害の種類別では、騒音に関する事件が多くなっております。これらのうち、同年中に終結した事件は三十五件でございます。
 第三に、全国の地方公共団体の窓口に寄せられた公害苦情につきまして、平成二十五年度の実態を調査いたしました。
 公害苦情の総件数は、前年度から減少して、約七万七千件となっております。
 これを苦情の種類別に見ますと、大気汚染、水質汚濁、騒音、悪臭など、いわゆる典型七公害に関する苦情は約五万三千件、それ以外の苦情は約二万四千件となっております。
 当委員会といたしましては、住民に身近な場で公害紛争や公害苦情の処理を担う地方公共団体との情報交換などにも努め、緊密な連携を図ってまいります。
 続きまして、鉱業等に係る土地利用の調整に関する業務について御説明申し上げます。
 第一に、鉱業等に係る行政処分に対する不服の裁定に関する業務についてでございます。
 鉱業法に基づく特定の許認可などの処分に不服がある者は、一般公益や他の産業との調整を図るため、当委員会に不服の裁定を申請できるものとされております。
 平成二十六年に当委員会に係属した事件は、青森県つがる市豊富町屏風山地内の砂利採取計画認可処分に対する取消し裁定申請事件及び同参加申立て事件の二件でございます。本件は同年中に終結いたしました。
 第二に、土地収用法に基づく意見の申出等に関する業務についてでございます。
 土地収用法に基づく不服申立てに対して国土交通大臣が裁決を行おうとする場合には、当委員会の意見を求めるなどとされております。
 平成二十六年に当委員会に係属した事案は、土地収用法に基づく意見の申出二十六件であり、そのうち、同年中に処理した事案は十六件でございます。
 以上が平成二十六年中に行った公害紛争の処理に関する業務及び鉱業等に係る土地利用の調整に関する業務の概要でございます。
 続きまして、平成二十七年度公害等調整委員会の歳出予算要求額について御説明申し上げます。
 当委員会の歳出予算要求額は五億五千万円でございます。要求に当たっては、厳しい財政状況の中、公害紛争の迅速、適正な解決に資するよう、第一に、地方に在住する当事者の負担を軽減するため、現地で審問期日等を開催する経費として千二百万円、第二に、事実関係を明らかにする事件調査の実施経費として三千二百万円をそれぞれ計上しております。
 以上が平成二十七年度公害等調整委員会の歳出予算要求額の概要でございます。
 公害等調整委員会といたしましては、今後ともこれらの業務を迅速、適正に処理するため、鋭意努力してまいる所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
#11
○委員長(島尻安伊子君) 次に、原子力規制委員会の業務について説明を聴取いたします。田中原子力規制委員会委員長。
#12
○政府特別補佐人(田中俊一君) 原子力規制委員会委員長の田中俊一でございます。
 参議院環境委員会における御審議に先立ち、原子力規制委員会の業務について御説明申し上げます。
 原子力規制委員会は、原子力利用に対する確かな規制を通じて、人と環境を守るという使命を果たすため、様々な政策課題に取り組んでおります。
 まず第一に、原子力施設等に係る規制の厳正かつ適切な実施について申し上げます。
 東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ制定された新しい規制基準への適合性審査については、これまで、発電用原子炉については十一の事業者から二十四基の原子炉に係る申請が、核燃料施設等については八つの事業者から十六の施設に係る申請が出されております。このうち、九州電力川内原子力発電所一号炉、二号炉及び関西電力高浜発電所三号炉、四号炉に対して設置変更許可を行うなど、原子力施設等に関する審査を順次進めております。
 第二に、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組の監視等について申し上げます。
 原子力規制委員会としては、福島第一原子力発電所の早期かつ安全な廃炉や汚染水対策の実施に向け、規制当局としての立場から積極的な監視指導を行うとともに、周辺地域のモニタリングに取り組んでおります。引き続き、東京電力の対応状況について必要な指導や助言を行ってまいります。
 また、安全上の観点からの優先順位を明確にし、完了した措置と引き続き対策が必要な措置が分かるようにするための中期的リスクの低減目標マップ、平成二十七年二月版を決定いたしました。今後、当該マップを定期的に見直し、目標の達成状況の評価を行います。
 第三に、原子力災害対策及び放射線モニタリングの充実について申し上げます。
 原子力規制委員会では、平成二十四年、原子力災害対策特別措置法に基づき原子力災害対策指針を策定し、その充実に努めております。また、地方放射線モニタリング対策官事務所の新設等により、緊急時モニタリング体制の充実強化を図っております。
 最後に、核セキュリティー対策の強化、国際社会との連携について申し上げます。
 原子力規制委員会では、核セキュリティー対策の強化のため、先月、国際原子力機関、IAEA、国際核物質防護諮問サービス、IPPASミッションを受け入れました。今後示される正式報告書の勧告事項や助言事項について、適切な措置を講じます。
 また、原子力規制の向上のため、原子力規制委員会は、IAEA等の各種委員会に参加するとともに、IAEAの総合規制評価サービス、IRRSの受入れを進めています。
 以上、原子力規制委員会の業務について御説明いたしました。
 我が国の原子力規制に対する信頼の回復は、いまだ道半ばにあります。原子力規制委員会では、与えられた職責を踏まえ、真の安全文化を構築し、原子力利用の安全が確実に担保されるよう今後とも努力してまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
#13
○委員長(島尻安伊子君) 以上で所信及び予算等の説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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