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2015/06/18 第189回国会 参議院 参議院会議録情報 第189回国会 経済産業委員会 第18号
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2015/06/18 第189回国会 参議院

参議院会議録情報 第189回国会 経済産業委員会 第18号

#1
第189回国会 経済産業委員会 第18号
平成二十七年六月十八日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十六日
    辞任         補欠選任
     石上 俊雄君     小林 正夫君
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     堀井  巌君     林  芳正君
     小林 正夫君     柳澤 光美君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉川 沙織君
    理 事
                磯崎 仁彦君
                滝波 宏文君
                宮本 周司君
                加藤 敏幸君
                倉林 明子君
    委 員
                阿達 雅志君
                岩井 茂樹君
                高野光二郎君
                松村 祥史君
                渡邉 美樹君
                直嶋 正行君
                安井美沙子君
                柳澤 光美君
               佐々木さやか君
                浜田 昌良君
                東   徹君
                松田 公太君
                中野 正志君
                荒井 広幸君
   国務大臣
       経済産業大臣   宮沢 洋一君
   副大臣
       経済産業副大臣  山際大志郎君
   大臣政務官
       経済産業大臣政
       務官       岩井 茂樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        奥井 俊二君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       審議官      島根  悟君
       法務大臣官房審
       議官       上冨 敏伸君
       経済産業大臣官
       房審議官     平井 裕秀君
       経済産業大臣官
       房審議官     土井 良治君
       経済産業省経済
       産業政策局長   菅原 郁郎君
       特許庁長官    伊藤  仁君
       特許庁総務部長  堂ノ上武夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(吉川沙織君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、石上俊雄君及び堀井巌君が委員を辞任され、その補欠として林芳正君及び柳澤光美君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(吉川沙織君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 特許法等の一部を改正する法律案及び不正競争防止法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、特許庁長官伊藤仁君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(吉川沙織君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(吉川沙織君) 特許法等の一部を改正する法律案及び不正競争防止法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。宮沢洋一経済産業大臣。
#6
○国務大臣(宮沢洋一君) おはようございます。
 特許法等の一部を改正する法律案及び不正競争防止法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 まず、特許法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 グローバル競争が激化する中、我が国のイノベーションを促進するためには、研究者の研究開発活動に対するインセンティブの確保と、企業の競争力強化を共に実現するための環境整備が重要であります。
 そのため、発明の奨励と併せて、企業の知的財産戦略の迅速かつ確実な実施を図ることが必要であります。また、知的財産権の取得、維持などに係る企業などの負担を軽減し、知的財産権の活用促進を図ると同時に、国際的な制度調和を促進し手続の利便性を向上させることが必要となっております。
 こうした事情に鑑み、知的財産の適切な保護及び活用を実現するための制度を整備し、もって我が国のイノベーションを促進することを目的として、本法律案を提出いたしました。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、企業が組織として行う研究開発活動は我が国のイノベーションの源泉であることに鑑み、職務発明制度を見直します。具体的には、権利帰属の不安定性を解消するため、職務発明に関する特許を受ける権利について、権利が発生したときから企業などに帰属することを可能とします。また、従業者などは、特許を受ける権利などを取得などさせた場合には、相当の金銭その他の経済上の利益を受ける権利を有するものとし、企業などと従業者などがその内容を決定するための手続に関する指針の策定を法定します。
 第二に、特許料や商標登録料などを引き下げるなど、料金の見直しを行います。
 第三に、国際的な制度調和を促進するため、各国で異なる国内出願手続の統一化及び簡素化に関する条約である特許法条約及び商標法に関するシンガポール条約への加入を国内法上担保するため、手続期間経過後の救済規定の整備などを行います。
 続きまして、不正競争防止法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 経済のグローバル化が進展し、企業間の国際的な競争が激化する中、知的財産の公開、秘匿、権利化を一体的な戦略の下使い分けて効果的に活用するオープン・クローズ戦略の重要性が増しております。このため、事業者の努力と知恵の結晶である製造ノウハウなどの営業秘密を適切に保護する必要性がますます高まっております。しかしながら、情報通信技術の高度化や新興国における技術ニーズの高まりなどを背景として、昨今、我が国企業の営業秘密が海外競合企業などに不正に取得、使用されたとする紛争事例が相次いで発生しております。
 こうした中、諸外国では営業秘密に係る制度整備が着々と進められていることを踏まえると、営業秘密の保護強化は我が国にとって喫緊の課題であります。
 こうした事情に鑑み、営業秘密の漏えいに対する抑止力を向上させることで、我が国企業の競争力の源泉たる営業秘密が収益の獲得、ひいては新たなイノベーションにつながっていく環境を創出し、もって我が国の産業競争力を維持強化するべく、本法律案を提出いたしました。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、刑事、民事両面にわたって、営業秘密侵害に対する抑止力を向上させます。営業秘密侵害罪について、犯罪行為者及びその背後にいる法人の罰金額の上限を引き上げるほか、我が国企業の重要技術を不正に海外に持ち出して使用するといった事案に対しては、罰金額の上限を更に引き上げ、重罰化します。また、犯罪行為者やその背後にいる法人が不当に得た収益を没収できることとします。さらに、営業秘密侵害罪を非親告罪とします。
 民事については、訴訟手続における原告の負担を軽減する措置を講じます。被告が営業秘密を不正取得したこと及び当該営業秘密が物の生産方法などに係るものであることなどを原告が立証した場合には、当該営業秘密の使用が疑われる被告の製品は、被告が当該営業秘密を使用してこれを生産したものと推定する規定などを創設します。さらに、営業秘密を侵害していることを知って譲り受けた営業秘密侵害品の譲渡や輸出入などを差止めなどの対象とします。
 第二に、情報通信技術の高度化などを背景とした犯罪行為の多様化に対応するため、営業秘密侵害罪の処罰範囲を拡大します。営業秘密を不正に取得した者から直接開示を受けた場合でなくても、不正開示が介在したことを知って営業秘密を取得し、その営業秘密を転売などする行為を処罰対象とするほか、我が国企業の営業秘密を海外で不正に取得する行為などについても処罰の対象に含めます。また、営業秘密侵害の未遂行為も処罰の対象とします。
 以上が両法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
#7
○委員長(吉川沙織君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○宮本周司君 おはようございます。自由民主党、宮本周司でございます。
 昨日、本会議の方での代表質問もさせていただきましたので、早速、個別具体的な内容に関しまして質問をさせていただきたいと思っております。
 まずは、特許法等の一部を改正する法律案でございます。
 知的財産の適切な保護及び活用によりまして我が国のイノベーションを促進するため、発明の奨励に向けた職務発明制度の見直し等が検討され、今般の法改正が示されました。
 職務発明制度につきましては、今般の改正案で、現行の従業者帰属に加え、使用者帰属の導入を行うことを規定しております。大正十年の改正以降、我が国におきまして、従業者帰属を採用してきたこの中の流れにおきまして、今回の改正というのはやはり大きな見直しになると認識をしております。まずは、その背景と必要性、あわせまして、この法改正によって期待される効果に関しまして宮沢大臣にお伺いしたいと思います。
#9
○国務大臣(宮沢洋一君) 知的財産を取り巻く環境につきましては、経済のグローバル化やオープンイノベーションの進展などを背景にこの十年で大きく変化し、ますます知的戦略の重要性が増してきております。特に近年、製品の高度化、複雑化により、一製品が数百、数千の特許から構成されるようになっておりまして、適切な知的財産管理がますます重要となっております。
 こうした環境の変化を背景に、産業界から職務発明制度の見直しの要望が高まり、日本再興戦略などにおいて職務発明制度の見直しについて検討を明記したところであります。これを受けまして、産業界、労働界の代表、学識経験者などを集めた産業構造審議会において検討を進めてまいりました。
 本改正法案においては、こうした検討を踏まえまして、権利の帰属が不安定とならないようにするべく、職務発明に係る特許を受ける権利を初めから法人帰属とすることを可能とし、企業が特許を円滑に、かつ確実に取得できるよう環境整備を図る一方で、政府が企業と従業者の間での発明のインセンティブを決定する手続に関するガイドラインを策定をいたしまして、従業者との協議や意見聴取などの在り方について明確化することで、発明者の納得感を高め、イノベーションの源泉である発明を一層奨励することを目指しております。
#10
○宮本周司君 ありがとうございます。
 今ほど大臣の御答弁の中にもございましたが、産業界そして労働界双方からの意見もしっかりと聞いて、そして審議会等も通して今回の改正案を練り上げたということでございました。
 ただ、今回産業界の方が法改正の中で求めていたことは、やはり職務発明制度見直しの方向性が明確な形で、職務発明の特許を受ける権利は原始的に法人に帰属するものであること、また、法定対価請求権の法定は不要であり、企業の発明者に対するインセンティブ施策は法的に強制されるのではなくて、自由設計に任せることなどでございました。他方、労働界からは、産業界の意向に対しましては、現行の従業者帰属と法定対価請求権を認める基本的な構造を維持すべきだと。そういう意味では、やはり方向性が逆行しているということは否めないとは思います。
 ただ、この双方の主張をしっかりと認識をした上で、また双方の意向を十分に反映した上で今回の法改正がなされているとは思いますが、改めまして、使用者優位となって従業者等の権利が守られず、場合によっては発明意欲の低下を引き起こすようなおそれはないのか、また、双方の意向を反映することによって、法改正の段階でこういうことを聞くのは失礼なのかもしれませんが、積み残しとなるような課題が想定されないか、この辺りにつきまして、山際副大臣に是非御所見をお伺いしたいと思います。
#11
○副大臣(山際大志郎君) お答え申し上げます。
 本改正特許法案では、大臣からも答弁させていただきましたとおり、発明の奨励を目的として、従業者に対する発明のインセンティブを決定する手続に関するガイドラインの策定を法定化してございます。このガイドラインには、従業者との協議や意見聴取などの適正な在り方について明示してございます。
 企業と従業者がガイドラインに従って共同してインセンティブを決定することを通じて、インセンティブに対する双方の納得感を高めるとともに、インセンティブにつきまして予測可能性を向上させるものでございます。
 したがって、本改正特許法案によって従業者の発明意欲が向上するものと認識してございますが、実際に発明のインセンティブがどのような影響があるか、これから調査研究をしっかり行ってまいりたいと存じます。
#12
○宮本周司君 ありがとうございます。
 そうしましたら、最近の話題なんでありますが、特許法に関連する内容、知的財産に関連する内容に関しまして、財務省より先般示されました平成二十六年度の国際収支統計、こちらの方で、知的財産の黒字が、比較できる範囲の中で、過去最大の一兆六千九百七十三億円に上ったという報道がなされております。ただ、その黒字の八割程度、これは海外の子会社、海外の子会社との企業内取引によるものという検証結果も確認できております。当然その背景には日本の製造業が海外への生産移転を加速した、こういったこともあると思いますが、特に自動車です。自動車の海外生産に関しましては、この十年で約四割から七割へと拡大していると。
 そして、その中で特許使用料、またライセンス料等のロイヤリティーですね、こういった技術アイデアで海外とやり取りをしたお金を集計した総務省によります技術貿易調査によりますと、自動車業界の収入はこの十年で約二倍の一・八兆円に膨らんでいるということでありますが、このうちの約八割に当たる一・五兆円、これは海外の子会社からの還流であるということだそうです。
 また、家電などの業界におきましても海外への生産移転が進んでまいりました。そういった電気機器業界におきましても、親子企業間取引を取り除きますと海外の支払が収入の方を上回って、この業界に関しましては逆に収支の方が赤字に転落をしているという状況もあるそうでございます。
 後ほど時間があればちょっと触れたいと思いますが、電機各社に関しましては、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、一つの製品を作る上で数百、数千若しくは数万、こういった特許技術が使用されている、利用されているということもありますので、最近は海外の競業他社と相互に特許を利用できるクロスライセンス契約、これが主になっていると確認をしております。ですから、このクロスライセンス契約を使用しますと、当然、それによるこういった知的財産の収入というものはなおさらに見込めにくい、そういった状況にもあるかと思います。現在、安定した形と言っていいのか分かりませんが、円安の方が定着している状況、また、昨今いろいろな物づくり系の企業におきまして製造業の国内回帰、これが徐々に進んでいるような様相も鑑みれば、知的財産の黒字幅が今後は減少に転じていくんじゃないか、このようなことも心配され、予想されるわけでございます。
 このような状況下におきまして、今後どのような形で世界市場において知的財産でしっかりと収益を上げていくのか、稼いでいくのか、この件に関しまして特許庁の方のお考えを是非お伺いしたいと思います。
#13
○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、知財の国際収支でございます。企業内の取引のウエートが高いものでございますが、現時点においても、企業内の取引を除いた企業間取引のみで捉えた数字についても近年一応黒字幅は増加しているという傾向ではあるかと思っております。こうしたグループの企業内取引ではない知財の国際収支が引き続き増加するように、海外における日本の企業の戦略的な特許権の取得あるいは活用といったようなものをしっかりと支援していくことが必要だと認識しております。
 それから、特許庁といたしましては、国内外企業における知財戦略のいろんな先駆的な事例、こういったようなものを教材としてまとめ、かつそれを企業経営の幹部を念頭に置いた研修、こういったようなものを実施しまして、企業が持っている技術力、ノウハウ、こういったようなものを知財でいかに稼ぐかといったような、そういった戦略が構築できるような支援を始めているところでございます。
 また、大企業のみならず中小企業に対しましても、海外における知財に関する情報提供、あるいは知財の活用についての助言、あるいは知財専門家を、人材をそういった中小企業に派遣させていただいて、いろいろな支援をするといったようなことを行っております。さらに、最近では、海外で権利を取得する際にいろんな費用が、海外への出願費用とかが掛かりますので、これは中小企業に限定しておりますけれども、支援をするという対策も取ってきております。
 こうした様々な対策を通しまして、日本の企業が海外進出をして、そこでしっかりと知財で稼ぎ、国際収支においても黒字幅を増やすといったような方向で是非支援していきたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。
#14
○宮本周司君 ありがとうございます。
 今ほど御紹介をした国際収支等のデータの中で、ごく一部ですが、外部企業との取引で得た黒字が企業内取引をしっかりと上回っている、例えば医薬品のような、こういった期待される分野も存在もしております。特に、今、安倍内閣の中での成長戦略の中で、こういった医薬若しくは再生医療等、今後市場が大幅に拡大をされる、その期待が寄せられている業界かと認識しております。しかし、その可能性を秘めた業界分野におきまして、ちょっとこれもまた先行きが懸念されるような事象が先日発生をいたしました。
 今月五日でございますが、プロダクト・バイ・プロセス・クレーム、医薬品の特許をめぐる訴訟の上告審におきまして言い渡された最高裁判決に関してですが、物の特許は、原則としてその構造や特性で特定されるべきで、製造方法を書いて物の特許を取得するのは適当ではない、こういった初判断が最高裁によって示されました。
 構造や特性などの特定が難しい最先端の医薬品、若しくは化学であったり遺伝子関連ですね、こういった分野におきまして、今後特許申請が厳しく審査されるのではないかという心配が関係の業界の中でも広がっているようであります。
 当然、曖昧な記載による安易な特許申請を防ぐというところでは効果もある、そういった判決だとは思いますが、限られた最先端の発明だけが保護されるという本来の在り方に近づいたというところも、肯定的な捉え方もできるとは思います。ただ、この判決の際に、一定の特例を認める例外というものも示されてはいるんですが、その判断基準がやっぱり明確になっていないように思います。
 今後、知的財産保護の入口を絞るような、そういった事態につながらないか、若しくは、かえってこういった医薬また再生医療だけではありませんが、開発意欲をそぐような方向に働くんではないか、このようなところを危惧しているところでございます。
 これに関しましても、特許庁のお考えを是非お聞かせください。
#15
○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームと呼んでおりますけれども、先般の最高裁の判決におきまして、特許権の権利範囲につきまして、いわゆる物の発明の特許に関するクレームについて、その物の製造方法を記載して請求範囲を出しているといったようなもののこの権利範囲について、一応特許庁のこれまでの審査基準の考え方と同様に、製造方法によらず最終的に得られた生産物自体に及ぶという考え方は示されておりまして、この考え方は従来から製薬業界においても支持されているものと認識しております。
 他方で、委員御指摘のとおり、最高裁判決では、このプロダクト・バイ・プロセス・クレームの明確性について具体的な判断基準が示されておりません。そのため、現在、製薬業界も含め、ユーザー等の意見も聞きながら、この最高裁判決を踏まえた明確性の判断基準等について特許庁の中で検討を進めております。最高裁の判示内容とそごをせず、またそのユーザーの研究開発意欲をそぐことのないようにすることも配慮しながら、この明確性の判断基準については早急に検討しまして、七月の上旬を目途に検討結果を公表させていただく予定でおります。
#16
○宮本周司君 ありがとうございます。
 是非、今後の物づくり日本の未来、これを切り開いていく大きな源泉、また原動力となると私も期待しておりますので、特許庁の方でも丁寧な対応を是非よろしくお願いいたします。
 昨日の本会議での質問でも、中小企業また小規模事業者への危惧、この部分を御質問させていただきました。昨日も申し上げましたように、知的財産への対応にはなかなか余力がない、これが現実かと思っております。
 二〇一四年の内国人による特許出願件数が約二十七万件あったそうでございますが、そのうち中小企業によるものは僅か三万五千件、全体の一三%ほどにすぎませんでした。やはりこのような状況を鑑みましても、一律にこの職務発明が企業に帰属するということになりますと、職務発明規程のない中小企業では報奨等をめぐって労使間のトラブルが発生しかねない、また、そういった従業者若しくは発明者の意欲をそぐようなことにもつながりかねない、このように心配するところでございます。
 引き続き従業者帰属を希望する法人はそれを選択できるというようになっておると認識はしておりますけれども、使用者帰属が強制されないとされておりますけれども、やはりこの改正の法案が施行される段階において、中小企業に過大な負担を強いるような可能性、危険性は本当にないのか、ここを心配するところでございます。
 是非、この点に関しまして、政務官の方からお考えをお聞かせいただければと思います。
#17
○大臣政務官(岩井茂樹君) お答えをいたします。
 職務発明規程につきましては、やはり委員御指摘のとおり、大企業と中小企業、若干状況が異なるということは認識をしております。職務発明規程が定められている場合、逆に定められていない場合というのがあると思いますけれども、委員御指摘というのは、職務発明規程等においてあらかじめ特許を受ける権利を取得させることを定められていない場合ということでございますが、本改正特許法案におきましては、職務発明は、その発生したときに、企業に帰属せず従業者に帰属するものとしております。職務発明が企業に帰属しない場合には、従業者の相当の利益を請求する権利も発生をしないため、委員御懸念のような労使間のトラブルは発生をしないと考えております。
 職務発明規程ということで、大企業と中小企業は状況が違うという中で、中小企業の中にも今後職務発明規程を是非整備していきたいという声もございます。経産省といたしましては、職務発明規程を整備することで企業が給付する発明のインセンティブの内容が明確となりまして従業者のインセンティブも高まると考えているため、中小企業において職務発明規程が整備されることは望ましいとも考えております。
 このようなことに対して、まずは経産省といたしましては、職務発明規程の重要性を啓発をする全国規模の説明会の開催や、全国四十七都道府県に設置をされている知財総合支援窓口を通じて、職務発明規程整備のアドバイスを今後しっかりと行っていく予定でございます。
 これらの支援によりまして、職務発明規程を整備しようとしている中小企業をしっかりと支援をしていきたいと考えております。
#18
○宮本周司君 ありがとうございます。是非、現地、現場の状況を鑑みて適切な御指導をいただきますように、よろしくお願いします。
 また、先ほども特許庁長官の方からも、中小企業に対するいろいろな挑戦を応援する、支援する、こういった力強い御発言もあったわけでございますが、今、使用者帰属の方に所有の移行が始まるという中におきまして、先ほど大臣の方の御答弁の中にも、使用者そして従業者、ここの中で適切な発明に対する報奨や昇進などの規則、こういったものを含む手続のガイドラインを定めるという御発言がございました。
 このガイドラインに関しましては、当然、インセンティブ施策の策定の際に、使用者等に発生するコストや困難、これを低減する、また法的な予見可能性を高めるために策定されるものと認識をしております。ただ、同時に、従業者にとって不利な状況を引き起こさない、そういった手続的な公平性が保たれる内容である、このことも必要で、求められるべきと思っております。
 この意味において、このガイドライン、法的な位置付けがどのようになるんでしょうか。やはりガイドラインが裁判規範として機能しないと企業の予見性も害される可能性はあると思います。ただ、従業者にとってやっぱり不利に働くこと、これも避けなければいけないと思っております。
 それらを踏まえまして、法的な拘束力があるのか、また、どういった程度、性質のものに設定をするように今計画を予定されているのか、この件に関しまして特許庁のお考えをお聞かせください。
#19
○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 御質問いただきました本ガイドラインでございますが、企業と従業者との間のインセンティブのまさに決定の手続を具体的に明示する、そうすることによって、あらかじめインセンティブに関する予見可能性を向上させ、さらには企業と従業者双方の間での納得感を高めて、よって発明を奨励するというのが本旨でございます。
 こういったガイドラインの性質に鑑みまして、企業と従業者との間でこのガイドラインに示される手続がきちっと適正に運用されることによって、職務発明に関する紛争といったようなものを未然に防止する効果、これを期待しているものでございます。
 万が一、職務発明に関する紛争が訴訟にまで発展してしまった場合、裁判所においても、このガイドラインに示された手続が当事者同士で適正に運用されていたか否か、これが重要な判断要素として考慮されるというふうに考えておりまして、実質的に裁判に対してもそういった一定の影響力は働くものというふうに考えているところでございます。
#20
○宮本周司君 ありがとうございます。
 ただ、このガイドラインで対価や利益の決定手続等の道しるべといいますか、方向性が示されるとは認識はしているんですが、やはり更に複雑化していく、このことも私自身はちょっと心配をしております。
 例えば、先ほど電機業界のくだりのところで出しましたけれども、クロスライセンス契約でございますね。これも、過去から特許の数がやっぱり多く混在している分野におきまして、契約の当事者同士が相互に特許を利用できるというこのクロスライセンス契約でございますけれども、対象となる特許発明そのものがやっぱり包括的な取扱いになりますので、過去から使用者が従業者より承継した職務発明に関して、その支払うべき相当の対価の算定が難しかった、困難であった、またそれによる訴訟等もあったように記憶もしております。使用者帰属を導入することによりまして、更にこういった職務発明の利益評価若しくは対価の算出が困難になるんじゃないかということも心配するわけでございます。
 ただ、今回のこの法改正の方向性によれば、当然、例えば製薬業界とか、複数人でチームを組んでそういったいろいろな開発に取り組む。ただ、最終的には、これまではどちらかというと発明者のみに評価や利益が偏っていたという不具合を解消して、これからはチーム全体で平等に恩恵を得やすくなる、それによってまた社員さん、従業者さんの意欲を高める、こういったプラスの面も当然期待されるわけでございますし、こういったものが強く押し出されるという方向でガイドラインも設定はされるとは思っております。
 ただ、いずれにしましても、使用者と従業者、企業と社員、この関係におきましては、やはり力関係によっては発明した社員さんが適正な報奨を得られない可能性も秘めている。ですから、社員さんのやる気、従業者さんのやる気と、会社、使用者の負担、このバランスをしっかりと取ったそういったルール整備を誘導する、これがこのガイドラインが担っていく役割であるとも考えております。
 そういったことも踏まえまして、いま一度、どのような内容で想定をされているのか、今の質問の件も併せまして、特許庁のお考えを是非お聞かせいただければと思います。
#21
○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、研究開発に関するインセンティブでございます。これは非常に製薬業界、あるいは電機業界、それ以外の業界、業界ごとにも、あるいは企業ごとにも相当に違いがあると思っております。こういった民間の創意工夫、あるいは民間の自主性というものを最大限尊重することが、まず何よりも大事かと考えているところでございます。
 したがいまして、このガイドラインにつきましても、経済社会情勢の変化というものを踏まえて、できるだけ柔軟に対応できるように、経産大臣告示という形で定めて、その内容の検証とか調査を行っていくということも想定しているわけでございます。
 また、この発明のインセンティブについて、ガイドラインにおいて、企業の現場における創意工夫ができるだけ発揮できるよう、適正な手続の在り方ということを中心に示すことが適当だと考えてございます。
 具体的に申し上げますと、従業者に与えるインセンティブの内容を決定するときに、その基準の策定に関わる従業者とどういった形で協議をするのかといった点、それから二番目に、策定されたその基準を従業者にどういう形で開示をしていくのかと、それから三番目に、具体的に個別の発明に対して従業者にインセンティブを付与するといった段階のときに、どういうステップで意見を聞きながらやるのかというような、この手続の在り方全体を明示することを想定しているところでございます。
 こういったようなステップを踏むことによって、双方の納得感、透明性が高まるということをこのガイドラインによって図っていきたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。
#22
○宮本周司君 ありがとうございます。
 やはり日本の経済が世界の中で更に注目をされていく、その上におきましては大企業も中小企業も、いわゆる使用者側ですね、この企業そのものが健全に成長していく、このことも大切であります。ただ、今回の使用者帰属になることによって従業者さんの方に不利益に働かないように、当然、企業が成長するための源泉はその発明そのものにあるわけでございますし、ここは労働者の方、発明者の方、従業者の方、この人というものがその源泉となって存在するわけでございますので、是非丁寧な運用、また制度設計の方をお願いしたいと思っております。
 もう少し質問はあったんですが、残り時間も少なくなりましたので、本日の質問はこれで終えさせていただきます。
 ありがとうございました。
#23
○加藤敏幸君 おはようございます。民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。質問に立つ機会が多くなりまして、いろいろな視点から質問をしていきたいというふうに思います。
 会期末も押し迫りまして、そういう状況下で、委員会運営につきましてもいろいろと御相談しながら、国会での議論のやっぱり充実度は高めていくと、こういう視点で各委員、皆様方もいろいろと御質問があろうかと思います。若干重複していくこともあろうかと思いますけれども、それぞれの立場、視点、それぞれ少しずつ違うと思いますので、御答弁の方もよろしくお願いをしたいというふうに思います。
 知財戦略だとか特許、これを議論し始めると大変いろんな要素があって簡単には終わらないし、特にこれからの特許戦略、知財戦略、相当複雑になってくるし、いろんな意味で、例えばTPP含めていろんな議論が行われていることも確かですので、これはこれとして、この経産委員会としても引き続きいろんな場面で議論が必要ではないのかと、こういうふうなことを考えております。
 その中で、本日は、議題となっております主要なテーマの中の職務発明の帰属ということについて、まず冒頭御質問したいというふうに思います。
 職務発明におきまして企業側、従業員側のバランスの取れた利害調整ということにつきましては、二〇〇四年の特許法改正において一定の私は法改正を行われ、それなりの到達点にあったのではないかと、このように理解をしてきております。従業員側、使用者側、この両当事者の自主的な取組という手続重視の措置がとられまして、また対価の算出に関する技術もそれぞれ私は各企業レベルにおいても向上してきており、実際、職務発明の対価に関する訴訟は余り起こっていないというのも現実であります。
 ただ、起こっていないのは制度がよく理解されていないからだとかいろんな見方があることも事実でありますが、このような状況の下で、産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会の審議経過を得て今回の特許の法人帰属という政策展開がなされているわけでありまして、ただ、この経過を見ますと、経営側の問題意識といいましょうか、こちらの方が相当高く、強く打ち出されているという印象が強いというふうに思っております。
 小委員会の報告においては、経営の皆さん方は、商品開発や発明に関する研究活動に多くの従業員が関わり、また周辺の特許の活用など、発明のプロセスが複雑化し、対価の算出コストが増しているんだと。また、大学研究機関などとの共同研究が増える中で、権利の承継手続、これも複雑化していることなどを挙げておられますけれども、しかし本音を言えば、加えて、訴訟リスクを軽減あるいは報奨金などの対価このものをある程度射程に入れたいというんでしょうか、そういうふうな意図があることも私は事実だというふうに思います。また、当然、対価請求権の撤廃という主張点も委員の中には強くあったというふうにも聞いております。
 そこで、政府としてはこれら産業界の意見をどのように受け止められているのか、また法人帰属への方向転換について、立法事実についてどのように説明されるのか、また多くの研究者や技術者の皆さん方は今回の法改正に重大関心を持っておりますので、当事者が納得いくような、そういう説明はどうなのかということについてまずお伺いしたいと思います。
#24
○国務大臣(宮沢洋一君) 加藤委員御指摘のとおり、平成十六年、二〇〇四年の特許法の改正以降、職務発明の対価をめぐる訴訟の件数は減少いたしました。予見可能性というのは一定程度高まったものということを認識をしております。
 一方で、今産業界の意見としておっしゃいましたけれども、グローバル化が更に進むとか、更に製品の高度化、複雑化が進むとか、また共同研究等々といったようなものがたくさん出てきているといった意味でいろいろな変化があったことも事実であります。
 そして、こういうことを背景にしまして、産業構造審議会においていろんな議論が行われてまいりました。そして、おっしゃるように、産業界の生の声というのは、職務発明については自分の権利としたい、そして対価についてはそんなに縛られたくないというのが生の声であったわけでありますけれども、私どもといたしましては、やはり二つの点が大事だと思っておりまして、一つは、これは産業界の立場からしても権利の帰属が不安定にならないようにするという配慮はやはり必要だろうというふうに思っております。一方で、もう一点としまして、やはり発明のインセンティブといったものが発明者側にあるということが大変大事なことだろうというふうに思っております。
 諸外国におきましてはいろんな例があって、アメリカにおきましては、まさにアメリカ社会らしく、いわゆる職務発明制度の権利については発明者にあるけれども後は契約でやってくれということ、インセンティブについても何ら法的な制約がない、まさに契約で発明者と企業側が対等の立場でしっかりやっていくと、こういうのがアメリカでございますが、一方で、イギリス、フランス、中国などにおきましては、その職務発明の特許における権利は初めから企業に帰属する、一方で当然のことながらインセンティブについても法定化していると、こういう状況が世界にあるわけですけれども、日本の、まあ結論といたしましては、やはり職務発明の対価が最初から企業にあるということは、例えば中小企業等々を考えても、なかなか日本の実情には沿わない。しかし、ある意味では、働く側も納得した上で契約において特許を企業側に原始帰属させるという合意があるのであれば、それはそれで認められる。
 一方で、インセンティブにつきまして、やはり大変大事なものでございますから、今回は、これまでの二〇〇四年の改正に加えましてインセンティブの範囲を少し広くするとともに、インセンティブを決める手続についてガイドラインというものを作ることを法定させていただきまして、発明者側、従業員側も納得できる形でインセンティブを決めていただく手続を取っていただくということを今回法案の中に盛り込ませていただいたところであります。
#25
○加藤敏幸君 実はこれ、いわゆる発明に関わる従業員という人たちを束ねて、それでその意見を聞いてという場面はなかなか難しいんですよね、少ないんです。第一、特許そのものに関わっているという人たちも少ない。雇用労働者ざっと言って五千万のうちの何万人がこのことに関わっているのかというと極めて少数派で、年金とか医療保険とかだと、わっと皆さん盛り上がって、自分のことだからという。しかし、企業の中にあっても、正直言って製造部門の皆さん方にしてみると、あんまり、もう自分のことではない遠い世界のというか、いやあ、優秀な人たちの話だなと、こういうことで、なかなかそこが、直接、当該の従業員、発明に関わる従業員の意見をどう聴取するかということはなかなか難しい手続だと思うんですよ。
 そういうことで、例えば、そういう部分も含めて組織化している連合さんの御意見とかいろいろヒアリングする中で、最終的にいろいろ意見はありますけれども、まあ妥当ではないかという御判断もあったというふうには聞いているわけです。
 そこで、そうは言っても、その立法事実は何なんだとか、いろんなことをしていくと結構とがった議論も中にあって、最終的にそういう総合判断をされているということでいったときに、私たちは、やっぱりそのとがった部分も含めて、あるいは先ほど質問の中でも言われていました、ある種いろいろ課題があるということを見据えて、そういうふうなところを私はやっぱりきちっと解明をするし、この委員会で最後までガイドラインが明らかになるわけじゃないんですから、それを含めてどこまで議論が詰まっていくのかということ、非常に大事なことだというふうに思っています。
 それと、もう一つ付け加えますと、この先ガイドライン等の質問をいたしますけれども、いずれにせよ、使用者側に極めて偏った制度も、それから従業員、発明を行う従業員の方に偏った方式も、いずれにしてもやっぱりマイナスがあるということなんです。企業側に偏ったことになると、やっぱりペイ、払っていくものは最小化したいということになると、もうやっていられないと、まあ程々にとは言いませんけれども、結構そういうふうな意欲が減退をするし、じゃ、発明者の権利が強固に確立されますと、会社としても先々に何億と言われてもしようがないから、設備投資だとか研究開発投資の部分を小さくしていこうと。
 そういうようなことになって共に良くないということから、やっぱりベストなところはどこなのかということをあくまでも探っていくと。それの答えというのは、あくまで言っても企業ごとでいわゆるどういうインセンティブ体系をつくっていくかと。そのことが関係する人たちにどれだけ理解をされて、そのことがいわゆる企業の中における知財あるいは発明、このことが活性化するということにつながる方法でなければならないという、私はそういうテーマだというふうに思っていますので、これからそういうことで少し議論を進めていきたいというふうに思います。
 さて、訴訟リスクという課題について、これもずっといろいろ議論をされてきました。職務発明規程などを定めておけば、社員が行った発明は会社に帰属するということであれば、ある種そこで決着が付くということである。しかし、それが決着が付かないということは、ある種相当ではないと本人は思っている、だからやっぱり不満だ、不足であると。あるいは後発的に発生する利益について、私の分け前を何とかならぬのかとかいうことを含めて、結構そういう争いが出てくるし、そのこと自体は企業サイドが言われるとおり、そんな訴訟リスク、訴訟の手間暇掛けて、そんな暇じゃないんだと。そんな暇があるんだったらもっとお客さん開拓したいという、それも正しい経営の判断なんで何とかしたいなということだと思うんです。
 それで、私はそういう問題の根本的対応策について、これは特許庁ということよりも経済産業省の立場で、産業立国あるいは我が国の産業を発展させていくということからいくと、私は事業に貢献した技術者を正当に評価し処遇する仕組みということについて、もう少し日本の企業社会のコンセンサスを私は進めてほしいと。
 私も、まあ出来の悪いエンジニアでしたから申し上げますけれども、やっぱり余り大事にされていないねと。要するに給料は安いなと。もうちょっとエンジニア大事にしてよというのは正直言って共感をしているし、昨日代表質問された礒崎さんも同じような思いがあったというふうに思います。別に被害者意識を持っておるということじゃなくて。
 なぜこういうふうなことになってくるのかというと、例えば、大学の学部がどこが人気があるのかといったら医学部なんですよ。それは、その後のやっぱり僕は稼ぎというものも大きな、経済的な所得が大きな影響を与えていると。それから、田中投手ですよね、百何十億という。やっぱり、そういうふうなすごい、それは、じゃ、おまえ投げてみろと言われたらそうなんですけれども。
 やっぱり、それだけに私は各業界ごとで、例えばマスコミ業界の人たちが一体どういう処遇を受けているかとか、いろんなことをやったり、あるいは金融界だとか。それはもちろん雇用の安定だとか総合的な視点をもって最終判断はされますけれども、私はやはりそこのところを、この技術者だとか発明に関わる人たちだとかと言われている職能の方々を社会的にどう位置付けていくかと。正直言って、縁の下の力持ち、御苦労さんと、お言葉でありがとうということではなくてと。
 だから、そこのところを私はやっぱりきちっと対応していくことが、逆に言うと知財力を高めていくということにもつながると。誰も全員のことということじゃないんですけれども、処遇について私はやっぱり今の日本の企業社会の風土の中に反省すべきこともあるし、改善してほしいというふうに思います。
 正直言って、ちょっとけちけちしたところがあると。この辺のところをよろしく、大臣のお考えもお伺いしたいと思います。
#26
○国務大臣(宮沢洋一君) なかなかお答えしにくい御質問だったわけですけれども、訴訟が少ない日本は社会でありますけれども、一方で二〇〇四年以前においては訴訟が起きたりというようなことがある。一方で、企業の中ということになりますと、これは恐らく痛しかゆしじゃないかと。ガイドライン作りましても基本的には企業の中で労使間で決めていただくということになるわけですが、労を全体として考えると、一部の人だけに余りにも大きな利益が出るような合意というのは、ほかの方からすると俺たちも少しは汗かいているのにみたいな話が恐らくあって、一方で研究された方、まさにダイオードなどを研究された方からすれば自分の功績が大変大きい、だからかなりというふうなところで、会社で働いている従業員の中でのバランスをどう取るかみたいな話も恐らく出てくるし、また、研究者と言われる方だけではなくて、現場でもいろんな新しいアイデアが出て特許ということもあって、恐らく幅広い方にもいろいろ参加していただかなければいけないということで、これはまさにガイドラインを作りますが、各社においていろんなことを考えていただいて、またそういう成功例みたいなものを我々はほかの会社にもお知らせするというようなことをやっていかなければいけないんだろうと思っております。
 一方で、かつて、まさにバブルの前からバブルの頃と言っていいと思いますけれども、やはり圧倒的に金融関係とか商社というものの所得が高くてメーカーが低い、したがって、メーカーでアメリカに留学行った人がかなりの数、金融関係の同期の人の話を聞いて金融関係に転職してしまうなんということが随分あったわけですけれども、ここのところかなりメーカーの方も待遇が良くなってきているということは私は大変すばらしいことだと思っておりますし、また一方で、出過ぎたまねかもしれませんけれども、政労使というようなところで、ここ二年ほど、ともかく会社も利益を上げてもらった上でそれをしっかりと従業員に還元すべきだということを働きかけてきているということも少し一助になるのかなというふうに思っております。
 そして、今年の一月には関係省庁と業界団体トップなどで構成する技術情報等の流出防止に向けた官民戦略会議というものを開きまして、そこにおきましても、情報漏えいの予防策として、スキルのある従業員を能力主義、成果主義に基づき適正に評価する人事制度を構築し処遇するということの必要性について合意をしたところであります。
 なかなかこれすぐにできる話ではないと思いますけれども、従業員間のバランスといったものも必要な中で、やはりそういう優秀な方を、特に技術系の方についてしっかりと正当な評価を行うということが、我が国社会にとっても、恐らくその会社自身にとっても大変大事なことだということを我々としてもやはりしっかりと企業の方にもお話をしていきたいと思っております。
#27
○加藤敏幸君 このテーマについては、今後とも経産省、経産大臣の御活躍を私は期待したいというふうに思います。少し時間が掛かると思いますけれども、引き続きよろしく。
 さて、そこで、インセンティブって何なんだと、この課題について少し議論をしていきたいというふうに思います。
 先ほど大臣も言われましたように、一人でやっているんじゃないよと、みんなの協力があってのことだという辺りは日本の企業はうまくできているんです。これはもう私もやってきましたけれども、社長表彰受けたら必ずペーパーウエートが私のような管理部門まで配られて、俺、何貢献したかなと、君、技術管理でやってくれたなとか、何かにつけて配りまくるというそういう文化もあって、これはこれで非常に大事だし、チームを大事にするとか、あるいはすり合わせの技術体系の中でやっぱりお互いに知恵を出し合う。あるいは改善活動、小集団、パートのおばさんまで提案をしてくるとかいうことをもって物づくりの総合力というのはやっぱり支えられてきたという視点から立って、これもある種、いや、随分もらってあいつだけいいなとか、そういう怨嗟の的になるような状況はできるだけつくりたくないということで、そういう意味でインセンティブの分散化、インセンティブの広い範囲の配分ということで、企業の中における一つのモラルとモラールを維持してきたということも事実なんです。
 そこで、じゃ、一体インセンティブをどう考えていくのかといったときに、やはり対価として、そこはやっぱり大きいと思うんです。これはアンケートを取っても、企業の知財担当の方々も、やっぱり幾ら払うということについては非常に役割が大きいということはそのとおりですけれども、今回、インセンティブ等、たしかストックオプションとか海外留学だとかいうふうなことも例示をされておられましたけれども、やはりインセンティブをどういうふうに捉えられるのかということは、業種、業界、それから個別企業による多様性の中で、やはりどう考えていくかというのはそれぞれ企業が考えるべきだと。そのとおりなんですけれども、まあ言っても、相場を大事にする日本企業ですから、やっぱりどういう感じなのかという、相場的、水準的な議論ということもやっぱり大きいと思うんですよね。
 逆に言うと、電機業界でいくと、いや、日立さんはあれだけもらっているのにうちは低いんじゃないかと。これ、大体大学のゼミが全部分散していきますから、大体同窓会したときのもめ事がそれなんですけれども。だから、できるだけそういう話はしないと。出張旅費の精算に至っては、またもめますから、おまえのところ随分何か優しいねとか、実費だけとか。
 結構これはそういうことで、意外とそういう部分で不満が醸成されるという部分あって、これ、産構審でやると言われていますけれども、意外とこれ難解な仕事だなと、直感的に私これ難しいよと、なかなか。だから、手続だけの話ならともかく、ある種今言った相場的な部分のやっぱり水準を考えていくと、なかなか難しいこともある。
 そして、加えて、退職者というものをどう扱うのと。意外と特許の果実というのは、例えば何年か先ということが多いんですよね。産総研に行って聞きますと、十年間は死の谷だと、ほとんど何もない。ところが、十年過ぎてきて社会的にその技術に着目されると、それでうまくいきそうだなといったら期限が切れるとか、そういうふうなこともありますけれども、退職者自身をどういうふうに捉えるのか。それから、クローズド戦略を取ったときに、やっぱりそのことの発明に関わった人をどうするのかと。
 それから、もう一つ最後に、チームではない個人に依存するケースは、これはやっぱりあるんです。チームでやっているからうまくいったということもありますけれども、やっぱり変わり者が事態を打開するというケースも多々ありましたし、私も目撃してきたんです。よくあいつがおってくれたなと、早く辞めていたらちょっとどうにもならなかったと。
 この種の話は、壁にぶち当たると結構どうにもならなくなる。人海戦術では無理と。幾ら人手を掛けても解決できないということは、例えばソフトウエアも含めてある。それをやっぱり、変わり者とは言いませんけれども、そういう人たちがある瞬間、ドリルで穴を空けたようなことをやっていただくと、正直言ってやっぱり彼の功績ということというのは結構大きいケースも、まあ一%ぐらい、二%ぐらい僕はあるような、経験的に言って。
 そのことも含めて、私はちゃんとこのインセンティブを考えていく仕組みを、そういう幅を持っておかないと難しいのかなという気がしますけれども、この辺、長官、どうですか。
#28
○政府参考人(伊藤仁君) インセンティブのガイドラインの設計の仕方でございます。
 この特許法案では、付与の義務付け、発明者との協議あるいは意見聴取などの手続を中心にしたガイドラインを法定化するということを規定しているわけでございますけれども、委員御指摘のとおり、実際には個別に、個々の企業によってそのインセンティブの設計の仕方も、これまでも違っておりますし、技術あるいは見ているマーケットによってそこも大きく違ってくる部分があるかと思います。
 したがいまして、そこの多様性といいますか、各企業の自主性といったようなものをできるだけ引き出す必要があるかと思っています。
 他方で、さはさりながら、ほかはどういうものがあるのかということについての情報は、これは半分企業秘密みたいな部分もあるものですから、なかなか公開されていない企業の方が多数でございますが、今後、中小企業などにおいて普及していくということも考えますと、どういう工夫をいろんな企業がされているのかといった事例についてできるだけ材料を集めさせていただいて、それも類型化をするような形で、こういう場合にはこういう形で合理性があると、こういうようなことをお示しして、それをガイドラインで実際にそれに沿って作る場合には、職務発明規程を作る場合には参考にしていただくというような方法が一番ある意味では必要なのではないかなと思っておりまして、この事例集あるいは情報提供といったようなことの中で様々な、委員御指摘のようなチームでやる場合、あるいは個人でやる場合、あるいは退職者について企業によってどういう対応をされているのか、まとめて最後辞められるときにお払いするケースもありますし、一定期間様子を見ながら報奨金のようなものを払っているケースもあるというふうに承知しておりますけれども、これも多分それぞれの製品なり技術の特性に応じて一番いいやり方を設計されているはずだと思っておりますので、そういった事例を調査しながらやっていくことが必要だと思っています。
 いずれにしても、法案が成立いたしますと、産業界、労働界それから学識経験者から構成される産構審できちっと意見を聞いてやりますので、大企業だけでなくて、中小企業あるいは大学のような取組についてもその中で視野に入れて、実態に対応したようなものを作っていきたいというふうに考えておるところでございます。
#29
○加藤敏幸君 それで、長官、いつ頃までに大体このまとめを作られようとしているのか、ここちょっと言っていなかったんですけれども。
#30
○政府参考人(伊藤仁君) 法律におきましても一年以内に施行するということになっておりますので、施行してすぐにこのガイドラインがまとまるように、この法律が成立していただきましたらば早速にも検討を始めさせていただいて、法律施行後、遅滞なくこのガイドラインが公表できるような形で検討を進めていきたいというふうに思っております。
#31
○加藤敏幸君 精力的に、これはガイドラインを早くやっぱり明らかにしていくということも大事じゃないかなというふうに思います。
 さて、四点目といたしまして、このガイドライン策定における参加ですよね。先ほど法的拘束力につきましては答弁がございましたので、もうそれは私は、裁判所の判断にも影響を与えるというし、むしろそのことで整理が付いていくということで、この場で明快にどうだこうだということではありませんけれども、立法の意思、考え方もそうあってほしいということで、やっぱり紛争防止というふうな意味で一つ位置付けが明らかなのではないかと。
 これ、職務発明の扱いというのは労使間課題だと思うんです。このときの労というのは、労働組合という組織化されたということじゃなくても、いわゆる従業員たる身分の人たちのやっぱり集合体と使用者との関係であると。
 そこで三点確認させていただきたいんですけれども、第一は、このガイドラインを産構審でということですから、このときの労働者代表の参加が保証されるべきではないかということであります。労働法制は、これは先進国においては三者構成でやっぱり議論をしていくというのがスタンダードだということであります。ただ、産構審はそういう理屈でつくられた審議会じゃございませんけれども、この労働者、従業者を代表する者をどのように扱っていくのかという点が第一。
 二つ目は、企業内における、法人内における契約や勤務規則等についてということでございますけれども、残念ながら労働組合の組織率が二〇%を切っているということでございますので、八〇%余の企業において労使が対等の立場でこの議論ができるのか。言わば労働協約、就業規則を労使がきちっと議論できているところは二〇%に届かないという状況の中で、八割を超える部分についてどのように考えていかれるのか。
 そして、これに関連しますけれども、第三に、使用者側と従業員代表とが締結する、これは労働関係法は特に多いんですけれども、要請されておりますいろんなことがありますけれども、ここは従業員代表を選定していくプロセスが結構問題が起こっていると。例えばよく見ると総務部長が代表者になっていたり、これは古典的なケースですけれども、そこのところは本当に、真に従業員を代表するという機能を持っているのか、現実なのかということもありますので、この辺のところを、三点にわたって見解をお願いしたいと思います。
#32
○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 まず、ガイドライン策定に当たっての労働者代表の参加の件でございますけれども、法律でも産業構造審議会の意見を聴いてガイドラインを策定し公表するということになってございます。
 具体的な検討の場としては、今回の制度の議論もしていただきました産業構造審議会の知的財産分科会の下にある小委員会を想定しておりますが、現在の委員構成においても、産業界の代表に加えまして労働組合の代表者、それから労働法関係の学者、それから大学等の研究者の方にも複数参加していただいております。ガイドラインの検討、審議に当たっては、こうしたバランスに十分配慮しまして、加えて現場の労働者とかあるいは研究に従事されている方の意見をしっかりと伺っていきたいというふうに考えております。
 それから、御指摘いただきました企業の中の従業員というものの代表性という点におきまして、労働組合の組織率が低いとか、あるいは誰がそれを代表して議論するのかといったような実態があることを踏まえて、効果的な発明のインセンティブが決定されるような協議とかあるいは意見聴取の適正な在り方といったようなものをガイドラインの策定に当たっては十分に配慮して検討していきたいというふうに考えております。
 以上です。
#33
○加藤敏幸君 次に、派遣労働者など社外研究者の扱いについてということでございまして、これは、私の同級生はほとんどリタイアしていて、社長をやっておる人と私だけがまだ仕事をしておるということで、同級生とも話題の中で、結構職務上特許を扱った人が多いんです。
 それで、結構いろいろ話を聞きましたけれども、一つこれは指摘されたのは、従業員だけじゃないよ、社員だけがやっているんじゃないんですと、結構専門的な派遣労働者が参加してくれている場合もあるんですよと。これは派遣の中でも専門的な、派遣法の元々の一丁目一番地ですから、専門性のある方がやっぱり来ておられますと。これはバイオもそうなんですよね、バイオとかそういったものを含めて。そういう人たちが関わったときに、社員以外の参加者の位置付けをどういうふうにしていくのか。
 と同時に、請負の方もおられると。請負の方は指揮命令下に置いてはいけないという、だからパーテーションしてそういうふうな、これは労働関係の法の要請ですけれども。しかし、現実、この物の開発していくプロセスで、ここのパーツは、この部分、ユニットについてはA社さんにその後の製造もお願いするので、そこの技術の人に来ていただいて会議には入っていただく、そこで打合せをするということも現実的にはそれは多々あって、そういうふうな場面においてそことの関係もどうするのかと。製品そのものはほとんどそちらの方のAという企業での製造工場で、製造現場で作っていくというプロセスの中でやっぱり作り込まれていく、そのプロセスで発生した発明ということもこれは大いにあり得るわけだということを含めて、だからそういう関係をどのようにこれは整理をされていくのか。
 大学との共同研究などにおいては、結構これは最初に契約事項として明定いたしますので、ここのところは余りないんですけれども、先ほど言ったように、ある種、種々の関係、力関係が、使用者と従業者という関係とむしろ違った意味で、古典的に言えば親会社、子会社とかそういうふうな関係がつくられている場面での発明というものをどういうふうに考えていかれるのかということについて、長官、どうでしょうか。
#34
○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 派遣労働者あるいは請負労働者といった関係で実質的に企業の中で発明に係る業務をしているといった場合に、その派遣先で言わば普通の従業者等と同じ扱いにするかどうかというところは、いろんなケースがあるかと思います。これについて、実態を勘案して判断されなければいけないということだと思っておりますので、一律にルールとして決めるというのは難しいと思っておりますが、他方で、委員御指摘のとおり、各企業において派遣労働者と、あるいは派遣元企業との間で、関係者の間で一定の何かの取決めをあらかじめ結んだ上で、職務発明の取扱いということも明確にしていくことが必要だろうというふうには考えております。
 したがいまして、今後検討しますガイドラインの中においても、産構審の意見を聞きながら、こういった派遣のような形で職務発明をする場合にどういった扱いをするべきかといったような点についても記載をしていきたいというふうに考えております。
#35
○加藤敏幸君 なかなか難しい課題で、私も簡単にうまくまとめられるかどうかについては余り楽観はしていないんですけれども、しかし、そういう視点からの議論もやっぱり大いにしてもらって、私は問題点を惹起していただきたいと、こんなふうにも思います。
 次に、中小企業における特許対策ということで、これは宮本委員の質問と重複する部分がありますので、端的に、私は、中小企業の知的財産戦略をどのように支援していくかということだと思うんですよね。その点だけに限って啓発活動をしていく、知財支援センター窓口等で現実的にやっていくということで、これはこういうことなんですけれども、啓発は大事だというふうに政務官の方からお答えがあって、それもそのとおりだなと思います。
 ただ、そういうことで中小企業と特許と知財ということが本当に前に進むのか、あるいはどういうふうに進めていくのか、これは業種によって相当差がありますけれども、本当にそれをしなければならないということなのか。私は、使用者帰属にならなかった場合は社員に権利が帰属するということで、企業側は発明者への対価の支払を避けることができるという、これも一つの解決策ではありますけれども、ただ、中小企業の知的財産戦略というふうな視点から、やっぱり今特許庁として何かお考えがあるのか。先ほど政務官からお話をしていただいたという当面の政策以外で、長期的にどのように考えておられるのか、あれば。
#36
○政府参考人(伊藤仁君) 今回、中小企業団体の方からも一律に法人帰属にするということについての混乱についての指摘がございましたので、言わば選択できるような形にしたわけでございますけれども、もちろんその中で、個々の企業の判断の中で決めていくべきものだとは思いますが、やはり職務発明規程を整備することで、企業の中でどういう場合にはインセンティブが出るのかということの透明性が高まりますので、小さな企業であったとしても、それによって従業員の方がどういったことを提案していったらいいんだろうかということに対する意欲が高まることは当然あると思っております。
 したがって、イノベーションを進めていく、中小企業の活力をイノベーションにつなげていくという点からも、この職務発明が現在二割程度しか中小企業において普及されていないという数字は、決して高い数字ではないと思っておりまして、これを是非引き上げていくべきだろうというふうに考えております。
 これは時間は掛かるかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたガイドラインなどにおいて、こういった事例で、中小企業においても職務発明規程を設けて成功している企業が複数ございますので、そういった事例なども公にしながら、先ほど政務官から御説明させていただきました具体的な個別の支援、その手前で全国規模のような説明会をして、まずそういったことの重要性について気付いていただく、啓発させていただくといったようなことをまずしながら、これはやっぱり大事だというふうに気付いていただいた企業には専門家なりを派遣させていただいて、具体的な作り方を御支援するといったような形をしながら拡大していくということが我々としても必要だろうというふうに考えているところでございます。
#37
○加藤敏幸君 大企業は、まあ大企業と一くくりにしますけれども、この問題は随分現実にやってきたんですよ。だから、例えば相場、出願一件につき二万円ぐらいなものなんですわ、ざっと言って。その後、それぞれ算式があってというふうなこととか、結構苦労しながらやってきたわけで、ただ、中小企業については結構未開拓な私は分野だというふうに思っているんです。
 今言われた対策は、政務官の答弁も含めて、私はそれは是としてしっかりやっていただきたいということと、視点的に言えば、もうちょっとレベルとかパワーを二、三倍にするとかいう意味での取組だとか対策がないと、中小企業における知財というものをこれは国の力として、もっと言えば成長戦略として、グローバリゼーションの中でどうやってという、これは非常に産業政策的にも大きいんですよね。
 中小企業政策について随分いろいろ議論してきましたけれども、知財という視点から、ただ、中小企業にしてみたらこれは重荷ですよ。こんなこと一々、そうでなくたって忙しい、知財までやらないかぬのかと。だけど、そこのところがやっぱりこれから企業にとってある種の生命線になる場合もあるということで、私はここのところは、答弁は今日はともかく、これからやっぱり背負っていただいて、来年ぐらいはまた質問しますから、ひとつよろしくお願いしたいというふうに思います。
 七番目ですけれども、特許特別会計における繰越金につきまして、今、約二千億円繰越金が計上されております。繰越金についてはシステム構築に関する費用として積み立てているとされておりますけれども、このシステム構築というのはなかなか難しいもので、これは企業の中においてもいろいろシステム構築、スタートは簡単なんですけれども出口が難しい、結構厄介な仕事なんです。このことについて、どのような情報システム投資を考えておられるのか、よろしくお願いします。
#38
○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 特許行政において、この情報システムというものはコストの低減、それから質の向上という点で非常に重要であると思っております。
 二〇一三年、平成二十五年に特許庁業務・システム最適化計画というものを策定いたしまして、二〇二二年度までの十年間に向けてシステム自体の構造を見直すことと、それから政策的課題として優先的にシステム対応すべきもの、これを同時並行的に進めるという計画を立てて進めております。
 まず、システムの構造の見直しの部分でございますけれども、特許庁のシステムというのは電子出願、遡ること二十五年前、平成二年に世界で初めて電子出願システムというものを導入いたしました。以来、技術の進歩も導入しながら累次システムの増築といいますか、システム化を進めてきました。そのため、特許庁のシステムは、例えで言いますとメガバンクのシステムに匹敵するぐらいの大規模なものに現在あります。
 しかしながら、その構造というものが相当に複雑なものになっておりまして、結果としてそのシステムの改修のコストが増大する、あるいは制度改正に対応するとするとその改修のために期間が掛かるといったような事態を招いておりました。
 そこで、このシステムの構造自体をできるだけ簡素化し、国内外のいろんな要請に迅速に対応できるように、現在そのシステムの構造を大幅に見直すということを行ってきておりまして、これまで全てのホストコンピューターをオープン系のシステムという形に移行して、いわゆるレガシーシステムからの完全脱却というものを一応実現してきております。
 今後、審判とか審査、公報とか、様々な業務の個別システムがありますけれども、それについても刷新を随時行って、簡素化して信頼性の高いシステムに向けていきたいというふうに考えております。
 これはシステムの構造の部分なんですけれども、あわせて、様々な政策的な要請が来ております。例えば、大震災の発生のときに、特許庁の場合、出願日をきちんと確保してお与えしなければいけないというのがございますけれども、仮にうちのシステムが止まってしまうとそれができなくなりますので、瞬時に出願日を確保できるように受付システムを二重化するといったような対応。あるいは、中国、韓国の文献が特許関係のものが膨大に増えてきておりまして、これを機械翻訳をするシステム、検索が容易にできるシステム、こういったようなものを現在取り組んできておりまして、このシステムの投資。それから、これからも一般利用者の方に、我々の審査官が使っているいろんな文献の検索システムございますけれども、これを一般の方にも提供して、これによって発明などを事前に既にどこかでやっているものなのかどうかとか、あるいはそれをベースに使えるとかいったような情報提供のことも進めていこうと思っておりまして、ユーザーの利便性あるいは行政の効率化ということで、是非高度化を更に進めていきたいと思っております。
 それからもう一点、情報セキュリティーの問題が重要だと思っておりまして、いわゆる標的メールの攻撃に対する防御で、今のところ不審アドレスからのメールのブロックとか、あるいはメールについてはウイルスのスキャン、あるいは外部に不審な情報漏えいがあるかどうかについての監視システムという、こういった重層的なものを設けて、セキュリティーについては万全を期しているつもりではございますけれども、一方で、情報セキュリティーに関する技術は日進月歩でございますので、我々もそれを随時取り込みながら、この大きなシステムについてのセキュリティー対策についても万全を期していきたいというふうに考えておりまして、それについてもシステム投資を十分図っていきたいというふうに考えているところでございます。
 以上です。
#39
○加藤敏幸君 システム投資の概略のお話をお伺いをいたしまして、特に中国語、韓国語の翻訳を含めた仕組みを私は充実する必要もあるし、それも企業にその辺のところはやっぱり利用可能な形にしていっていただきたいというふうな希望をいたしております。
 次に、この特許料の問題ですけれども、今回引下げ措置がとられているということについて、私は非常に歓迎をしたいというふうに思います。
 特許庁の審査官の人員や処理件数など、国際的には私は非常に効率的な運営が行われているというふうに思っておりまして、別に他の省庁のことを言うわけじゃないんですけれども、結構特許庁は頑張っているねと、こんなふうに思っておりました。しかし、この特許の出願コストと保有コストということについては、知財戦略を考える上で、やっぱり数を抑えていくというところもあるけれども、それはそのままコストが増えるということで、意外とかさばるものだということで、やっぱり引き下げられるということの方向性は常に産業界とか当事者にしてみたら大きな期待のあるところでありました。
 今回、料金引下げの背景の説明をいただきたいということと、主要国の申請料金、申請のコストと維持のコスト、この辺のところを少し国際比較データがあれば明らかにしていただきたいということで、お願いします。
#40
○政府参考人(伊藤仁君) 今般、料金を引下げいたしましたのは、五年ほど前に一回引き下げたものについての見直しを全体を図りまして、中長期的に収支がバランスするという観点から一定の引下げをし、利用者のコストをできるだけ下げて拡大を図るということが趣旨でございます。
 お尋ねのとおり、特許の国際関係の料金についての比較でございますけれども、モデルケースとして、特許を取得して十年間それを保有するといったときの平均的な料金、出願のときの費用、それから審査、それから特許を取ってから、年金と呼んでいますけれども、毎年それを維持するための費用といったものの十年分の合計でございますけれども、我が国は大体四十二万円でございます。今年の四月の為替レートで計算しますと、アメリカは九十二万円、欧州が百三十一万円ということでございます、欧州特許庁でございますが、欧州特許庁で百三十一万円ということでありますので、このように、現在、我が国の特許関係料金は他の先進国に比べて高い水準ではないというふうには認識しております。
 ただ、特許特会において、中長期的な収支の見通しにおいて料金引下げの余力があるということでございましたので、今回、特許料とか商標についても引き下げるということにさせていただきました。
 今般、料金引下げの措置によって中長期的には均衡を図られていくというふうに考えておりますので、現時点において追加的に引き下げるということを予定しているわけではございませんが、経済情勢を始め将来の様々な状況、影響を見ながら、収支の状況については不断の確認をしていきたいというふうに考えているところでございます。
#41
○加藤敏幸君 御説明の中で、ある意味これ先食いをしている部分があるということの理解でよろしいですか。そこのところをやっぱりはっきりしておかないと、だから、ある部分は見通しの中で引き下げているんだということで、更に更に下がるということについては、更に更に状況が好転しないと原資は出てこないということは明確に言ってもらっていた方が早いと思います。
#42
○政府参考人(伊藤仁君) 委員御指摘のとおり、これから特許の登録件数が増えて、これまでの増えている部分がずっと年金として維持されることによる見込みが増えているので、その分をあらかじめ考慮して下げるという考え方に立っております。
#43
○加藤敏幸君 その上で、更に余力があれば引き下げていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 さて、この審査官、特許審査体制の中で、やっぱり人的戦力ということが極めて大事でありまして、特許庁におかれましては毎年任期付審査官の採用を行われていますけれども、これは常識的に言えば、期間が定められた雇用というものは不安定性があるとの印象を持っております。
 特許庁としては、どのような人材をどのような方法でどのような身分保障を付けて採用されているのか、今後の採用をどうされるのか、説明いただきたいと思います。
#44
○政府参考人(伊藤仁君) 任期付審査官についてお尋ねをいただきました。
 これは、当時大量にございました特許出願の審査未着手案件件数、バックログと呼んでいますけれども、こういったものを解消していこうということで、二〇〇四年度から五年間にわたって合計四百九十名の方を採用するということで措置したところでございます。
 この取組によりまして、あるいはその他の施策も併せまして、いわゆる一次審査通知までの期間、これを二〇一三年度末までに十一か月とするという政府目標を達成させていただきました。さらに、新たな政府目標として、二〇二三年度までに権利化までの期間を十四か月以内にし、さらに、スピードだけではなくて、世界最高品質の特許の審査の実現というものを図るという審査体制の整備を目標としておりまして、この目標の達成に向けて今後十年の作業を重点的に行うため、いわゆる従前の恒常的な審査官の増員だけではなくて、引き続き任期付審査官の増員も含めた審査体制の充実が必要だろうというふうに考えております。
 既に昨年度からその任期付審査官の新規採用を採用していまして、既に任期付審査官として十年にわたって経験を積まれている方がいらっしゃいますけれども、その方も、一旦切れますけれども引き続き審査業務を行うような、再採用と呼んでいますけれども、そういった道を確保させていただいているところでございます。
 この任期付審査官については、様々なメディアを活用して募集したり、あるいは筆記試験、面接試験によって、採用試験を通じて、主として研究開発業務に従事されていた企業や研究機関あるいは大学などにいらっしゃった方の技術的な知識あるいは経験を十分に有する人というものを採用してきております。法律的には任期付職員法というものに基づきまして、いわゆる常勤の国家公務員として雇用することとしております。
 今後とも、恒常審査官を含め審査官の採用を進めるなど、審査体制については万全を期していきたいというふうに考えております。
#45
○加藤敏幸君 これはこれでまた引き続き議論をしていきたいというふうに思います。
 以上で本日の質問の中における特許法関係の質問は一くくりを付けまして、次に、不正競争防止法に関わるところをやっていきたいと思います。
 この不正競争防止法、これの立法事実というのは、これはこれで私ども、関係する企業に直接お話を聞いておりますし、正直言ってゆゆしき事態だと、こういうふうに思うわけであります。
 なかなか鉄とか、それから電子素材だとかあるいは回路だとか、非常に長い経験の中で作られ、形成されてきた、正直言って、ここは発明者個人のものではなくて、ある種、大げさに言えば国の宝ということなんだと思うんです。
 日本は非常に鉄鋼がすばらしかったのは、明治の段階で各藩あるいは新政府そのものが結構力を入れて近代化のあれをやってきたし、また、電機それから自動車含めて、主要産業においてはそれぞれドラマがあってやってきたと。
 自動車産業が、より薄い鋼板をやっぱりもっと薄くしてほしい、一ミリじゃ駄目だ、コンマ八だ、いや、更にコンマ六。でも、へこんだら困る。型盤へ入れたらみんなぐしゃっと割れて、クラックが入っても困ると。そのための張鋼力とか、いろんなことで汗水流してやってきた、世界に誇るべき、昔から、たたら製鉄から始まって、鉄の技術は日本刀に象徴されるということで、これは世界の最新テクノロジーであったわけで。江戸時代も、鎌倉時代から、日本の中国に対する輸出品目の主力は刀剣だとか、あとは銅の、銀が入った粗鋼ですか、銅の鋳出したやつだとか、いろいろある中で、私は非常に大事なものだと思う。
 それが、ある瞬間、ただでとは言いませんけれども、不正な方法で取得をして、それが国際的なやっぱり競争力に大きな影響を与えていくということ自体が、これ国内でやったら完璧にもう犯罪だと、国境があるからなかなか難しいということであったと。
 この不正競争の入り方、この問題の入り方の中の一つは、やっぱり抑止が大事だと。被害が発生して、後からそれを明らかにして一千億円賠償しろとかそういうようなことは、でも三百億円になりましたとか、値切られましたとか、決着が付きませんとか、そのことの経済的なこと以上の被害が発生していると。だから、これはもう防止するにしくはなし、これ以上の方法はないという意味で、私は、やっぱり防止につながる総合的な対策の中で、今回、不正競争防止法というものが提起されたと、このように理解をしておりまして、これは最初の認識の問題であります。
 それともう一つは、流出した事実に気が付いていない、被害を認識していない、これも大きな課題だなということで、そのことをどう表に出していくかという取組も非常に大事なことだということだと思います。
 そのことの具体的な質問については後日に、また質問するのかというお声がありますけれども、後日に譲りたいとは思いますけれども、本日は厳罰主義ということについて大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
 営業秘密侵害に係る罰金額の上限を、個人、一千万円から二千万円に、法人については三億円から五億円に引き上げられました。また、不当報酬の没収も新たに規定をされ、さらに、未遂あるいは情報転売、これも刑事罰の対象とされていると。独禁法における課徴金の引上げにおいてもそうでありましたけれども、こういった経済犯罪において罰則金の引上げは犯罪抑止効果があるという前提になっています。そして一方では、重罰化、厳罰化はそれほど抑止効果は働かないという御意見、御議論もあります。
 経済産業省としては、この厳罰化の対応について、どのように抑止力が働くのか、この辺のところの基本的なお考えをお伺いしたいと思います。
#46
○国務大臣(宮沢洋一君) 今回の法案につきましては、まさに法改正をしまして、まさに侵害が起こった後にこういうことができるということを改正をお願いをしているわけでありますけれども、おっしゃるように、起こらないように抑止力があるということがまず大変大事なことでありまして、したがって、今回はある意味では三段階、第一段階はおっしゃいましたように刑事罰の引上げということで、個人についていえば、例えば罰金が現行最大一千万が三千万円になる、法人につきましては現行三億円が最大十億円になるといったことで、罰金が引き上げられる。
 ただ、まだ罰金だけでは当然やり得ということはあるわけでありまして、営業秘密を他者に売却することによって得た金銭や、営業秘密である設計図を使用して製造した製品といった犯罪収益を、個人、法人共に上限なく全額を没収できることとしているということで、これはかなりやり得ということはなくなるということ。
 それに加えて、その上に民事の訴訟というものがあるわけでありますけれども、これにつきましても、挙証責任の転換を一部することによりまして、民事訴訟においても負ける可能性というものが高くなってきているという三段階で、かなり抑止力があると私は思っております。
 特に、鉄の案件で韓国との間で訴訟になっておりますけれども、あれもまさに、おかしいな、おかしいなと、こう思っていたところが韓国と中国の間の訴訟で出てきて、やっぱりそうだったのかというようなことでありましたし、やはり分かるということも大変大事でありますし、一方で、恐らく鉄の今回の訴訟については、あれだけしっかりした会社であるから訴訟に持ち込めたのであって、今までの民事の制度ではなかなか訴訟に持ち込むことも難しいというのが正直これまでの状況でございまして、民事の挙証責任の転換というのもかなり効くものだと思っておりまして、三者相まって、ほかの国からすると相当手ごわい国だなと日本が思われるようになったと思っております。
#47
○加藤敏幸君 今大臣が言われた手ごわいという認識をやっぱり国際間で私は広めていく、それが非常に大事なことだということで、三段階にわたって私は強化されたということは非常に高い評価をしたいというふうに思っていますし、と同時に、訴訟したときの私は強力な体制ということもここはやっぱりやらないと、決めた以上は絶対許さないし、やり得はこれはもう当然ないと、さらにデメリット、不利益が発生するということを、これはやっぱり現実につくり上げていかないと大きな抑止力ということにはならないというふうに思っております。
 これは別に日本がきつくなったとかそういうことではなくて、国際的にそういうことを完遂することが私は国際場裏における我が国の責任だというふうに思うわけでありまして、どの国に対しても、やっぱり技術とか情報を盗んで我が繁栄とか我が利益に結び付けるということは許さないというこの秩序を、特にこういう産業、物づくりの世界においては、あるいはもうこれはソフトウエアにおいても、我が国もそれはしない、同時に他の国に対してもやらせないということを私は徹底してやっていきたいし、そうしないと、結局どれだけ汗水を流して現在まで、鉄でいえばあれだけの鋼板を作り上げるのか。これは一人一人じゃなくて何百人、何千人、何万人という人たちの汗と涙の結晶、ちょっと情緒的な表現ですけれども、そういう部分は私は政府としては是非背負っていただきたいというふうに思いますので、私は、もっとやってもいいんだと、私が言う立場じゃございませんけれども、私は必要性が高いんじゃないかということを申し上げたいと思います。
 今日の質問の最後になりますけれども、非親告罪化の実効性ということについて、先ほど申し上げましたように、親告罪から非親告罪にすることについて、これは不正行為は一切見逃さないという姿勢を強く打ち出しておるということで、これはもうある種、抑止効果ということについては私は期待できると思います。
 一方、新日鉄住金のポスコへの企業情報漏えい事件では、ポスコと宝山鋼鉄間の訴訟が起きたから明らかになったという、こういうふうな事実もありますし、多くのケースでは企業側は情報漏えいに気付いていないということもあると思います。
 今回、非親告罪に変更しても、日常的に捜査当局や経産省の出先機関などがあらゆる産業活動をつぶさに監視する、もうこれは無理なわけでございまして、内部告発の適切な対応とか他国の訴訟情報の収集とか、いろいろな対応策が必要ではないかと、このように考えております。この点について、対応策の方をお願いします。
#48
○政府参考人(菅原郁郎君) 委員御指摘のとおり、今回、非親告罪導入したことによりまして、例えばこれまで中小企業の方々が取引先に営業秘密をある意味で取られて泣き寝入りするというような事態がかなり防止できる可能性が出てくるんじゃないかと思っています。ただ、そのためにも、非親告罪にした以上は、捜査当局がしっかり証拠を固めて立件するという実効性が非常に重要になってくると思っております。
 そのためにも常日頃から、我々、技術情報については民間の方々と、今どんな技術情報が例えば海外のどういうところから狙われそうだとか、いろんな情報交換については経産省も企業の方々と常日頃やっておりますけれども、そういった情報。若しくは、委員御指摘のような様々な内部告発情報、これは警察に行く場合もありますし、経産省に来る場合も多々ございます。こういったものについて、しっかりその情報を積み上げた上で、経産省は経産省だけで情報をただ集めるんじゃなくて、営業秘密の侵害の可能性につきましては従来からやっているんですけれども、更に警察当局、捜査当局とこういう情報の共有化を進めたいと思っております。
 経産省と警察の間での情報共有、これだけでも必ずしも十分ではないと思っておりまして、この度官民フォーラム、これは、官の方は我々のみならず警察庁もしっかり入っていただきまして、そこで民間の方々とかなり機微情報、営業秘密の窃取のやり方についても警察当局からある意味で民の人にも一部披露してもらう、逆に民の方から内部のこんな動きがありそうだという民の方の機微情報も含めて警察当局と共有してもらうような場もつくりまして、こういう非親告罪としたことに伴う捜査の実効性について、従来以上に官の間、官民の間での情報の共有化を図って実効あらしめたいというふうに思っております。
#49
○加藤敏幸君 少し前に戻りますけれども、不当な利益については没収をしていくということは非常に重要なことなんですけれども、じゃ、その不当な利益がどれだけあったのか。本人が全部正しく、白状という言葉ですか、白状するというケースもありますけれども、これはやっぱり財産隠していくという、秘匿ということと連動しているということだと思うんですよ。ここはなかなか難しい課題があるわけですけれども、それは非常に分散された利得、利益をどうやって洗い出していくかという部分も含めて、本当にやるならもう全部そこまでやらないといかぬ。
 例えば、億単位で、それを不正に流出した者がやっぱりそれだけの大きな金額を得たときに、それを例えば一つの口座に置いておくということにはならないということを含めて、分散化していったときに、どういう形でそれをきちっと把握をして没収していくかということはやっぱり非常に大事なことで、それと、非親告化したことによって、今言われましたように、これはもう不正があれば告発しなければならないということですから、本人が、当該企業がいいよいいよと言ったってそれは駄目だと、これは社会の不正義なんだという姿勢で対応していただきたい。
 そのときに、私は、機微な情報を警察当局から、あるいは検察庁から、例えばこういうふうな近づき方をするんですよとかそういうふうな手口も含めて、私は、これは各企業の担当者レベル、あるいは中小企業の皆さん方にやっぱり丁寧にお話をしていくということは、同時に、そういう状況を見たときに、不審な動きがあるとかそういうようなときへの対応策を含めて、私は、やっぱり人権侵害だとか、我が国が持っている基本的人権を守っていくということとのある種ぎりぎりのラインの問題も発生してくるし、そういうような意味でいけば、私は、今、おれおれ詐欺、特殊詐欺の問題について警察庁も相当力を割いていますけれども、この方面の問題についてどのぐらい体制整備を図るのか。
 技術のことをよく分かっている警察庁では科捜研とか、すぐそういうことを思い出しますけれども、やっぱりある程度技術についても詳しい知見を持った人でないと私はこれはできないということでいくと、桜田門のやっぱり一層のレベルアップということを、今日呼べばよかったんですけど、強力に声を大きく申し上げたいというふうに思いますし、これ、本当に生半可な従来の犯罪ということの延長線上じゃ駄目だと思います。
 これはやっぱり、相当にそういう専門官をきちっと体制強化をしていただきたいというふうに思うんですけれども、当局の方がおられないのに経産省相手に言ってみてもと思いますけれども、この辺は産政局長、顔が広いとお聞きしていますので、何かお答えがあれば。
#50
○政府参考人(菅原郁郎君) 実を言うと、警察庁の態度が物すごく変わってきております。具体的には、今年に入ってからこの営業秘密侵害について、去年ベネッセの問題もありましたけれども、ああいう名簿の問題に限らず、企業間の取引における警察の立件件数が去年なんかと比べてもかなり上がっておりまして、そういう意味では、警察庁本庁のみならず県警レベルでも営業秘密侵害の社会に与える影響の大きさについては大分認識が広まってきているというふうに思っておりまして、警察庁の方に聞きますと、警察の中でも県警レベルで様々なこれから研修をやっていきたいと、それについて経産省としても協力してくれというふうに我々言われておりますので、正直申し上げて、彼らも本気で取り組むつもりがあるなというふうなことをひしひしと感じておりまして、これは我々のみならず民間の方々を含めて、警察庁のそういう捜査レベルのアップについては常日頃からしっかり協力していきたいというふうに思っております。
#51
○加藤敏幸君 産政局長、そういう心証をお持ちだということで、非常に私もそれはそれとして受け止めたいというふうに思います。
 私は、そういう諸官庁の皆さん方は、私ども、ややもするとやっぱり問題点の指摘の方に力が入っている部分もあるし、これはある種やむを得ないというふうに思うんですけれども、一方、新しいことに取り組むというときに、なかなか予算の措置だとか、お役所では難しい面もたくさん、人員の配置とか、結構内部で処理しなきゃならない壁もあるものですから、そこはやっぱり激励をしていく。こういう社会的に最先端のニーズ、必要の発生したときにはやっぱり激励をしていく、エンカレッジしていくということも私は必要だし、どんどん頑張っていただくということが私は大切だというふうに思いまして、ちょっと四分近く残してしまいましたけれども、質問が全部終わりましたので、潔くこれで終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#52
○委員長(吉川沙織君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時四十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#53
○委員長(吉川沙織君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、特許法等の一部を改正する法律案及び不正競争防止法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#54
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。
 今日は、特許法の改正について、特に大きな改正であります職務発明制度について中心的にお聞きをしようと思っております。
 これまでは発明を行った従業員に特許を受ける権利が帰属するということとされておりましたけれども、今回の改正で、初めから使用者に帰属するという場合を認めることになります。それと同時に、従業員に対しては、実質的にこれまでと同等のインセンティブを付与するということになっております。こうした職務発明制度の見直しを行う趣旨、またその背景について改めて大臣から御説明を伺いたいと思います。
#55
○国務大臣(宮沢洋一君) 知的財産を取り巻く環境は、経済のグローバル化やオープンイノベーションの進展などを背景に、この十年で大きく変化し、知財戦略の重要性が増してきております。特に、近年、製品の高度化、複雑化により、一つの製品が数百また数千の特許から構成されるようになっており、適切な知的財産管理がますます重要になってきております。こうした環境変化を背景に、産業界から職務発明制度の見直しの要望が高まり、日本再興戦略などにおいて職務発明制度の見直しを検討するよう明記されたところであります。これを受けまして、産業界また労働界の代表、学識経験者などから成る審議会、産業構造審議会におきまして制度改正が検討されてまいりました。
 本法案は、こうした検討を踏まえまして、特許権の帰属が不安定とならないようにすべく、職務発明に係る特許を受ける権利を初めから法人帰属とすることを可能とし、企業が特許を円滑かつ確実に取得できるよう環境整備を図ることとしております。
 一方、政府が企業と従業者の間での発明のインセンティブを決定する手続に関するガイドラインを策定することも法定化されておりまして、従業員との協議や意見聴取などの在り方について明確にすることで、発明者の納得感を高め、イノベーションの源泉である発明を一層奨励することを目指しております。
 以上です。
#56
○佐々木さやか君 ありがとうございます。
 もう少し詳しくお聞きしていきたいと思いますけれども、職務発明について特許を受ける権利を初めから法人帰属とすると、この趣旨についてもう少しお聞きしたいと思います。
 これまでのように、発明者から使用者が特許を受ける権利を譲り受けて、それに対して相当の対価を支払うというような形でも、特に大きな企業については、職務発明規程等があって、あらかじめ権利の譲受けなどについて取決めをしている企業は多くありますし、この十年で状況がいろいろと変わったという御説明がございましたけれども、平成十六年の法改正後は訴訟などの大きなトラブルになっている件数も多くないように思いますけれども、この職務発明制度を今回のように見直す必要性について特許庁の方から御説明をお願いします。
#57
○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、現行制度下、十年前に改正した以降、発生した職務発明の対価をめぐる訴訟は四件ということでございますし、また一億円を超えるような高額の判決というものは確認されていない状況でございます。
 他方、知財をめぐる状況、経済のグローバル化、あるいは一つの企業だけではなくて多くの企業との間でオープンイノベーションを進めるといった進展、こういったことがこの十年で大きく変化して、知財戦略の方もそれに応じて大きく変わってきているというふうに認識しております。
 大臣からお答えいたしましたように、製品の高度化、複雑化で一つの製品も非常に多くの特許から構成されること、さらには、オープンイノベーションなどの動きの中で共同研究を始めとした企業間での知的財産の相互融通、こういったようなことに伴う権利関係が非常に複雑化してきておりまして、適切な知財管理がますます重要になってきていると考えております。
 こうした状況を踏まえまして、今回の改正法案では、特許権の帰属が不安定にならないようにするということで、職務発明に係る特許を受ける権利を初めから法人帰属にすることを可能とするということで、企業としては、そういう方法を選択することによって、こうした複雑化した特許を円滑かつ確実に取得できる環境が整備されるということを目指しているものでございます。
 加えまして、政府が、企業と従業者との間での発明のインセンティブを決定する手続、これをガイドラインとして法定化することで、双方の間の協議あるいは意見聴取などの在り方を明確化して、発明者の納得感、複雑化しておりますので、そういったような意味での納得感ということ、あるいはイノベーションを進めるということで発明を一層奨励していきたいということを目指して今回の改正をお願いしておる次第でございます。
#58
○佐々木さやか君 今、この特許を受ける権利の帰属が不安定にならないようにというお話もございましたが、現行制度の課題として職務発明の漏えい対策の必要ということが指摘をされております。いわゆる二重譲渡された場合にどうするのかという問題ですけれども、これまでは、発明者が会社との間で職務規程などによってあらかじめ特許を受ける権利を譲渡するというようなことを約束をしていても、それに反して会社に黙って第三者にその権利を譲り渡してしまう、こういう場合に、第三者に対する対抗というのは、先に出願した方が、特許庁としてはそれを審査をして権利者として扱うということが三十四条一項に定められていて、そうした形になっていたので、会社としては従業員がそうしたことをしても特許を主張できないと、ここが問題点として指摘をされているということでございます。
 こういう事例が、じゃ実際に具体的に多く発生をしていたのかどうかというところを立法事実として確認させていただきたいと思います。
#59
○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 御指摘のとおりでございますが、発明者たる従業員が職務発明の特許を受ける権利を漏えいして、特許を受ける権利を勤務先企業以外の第三者に譲り渡した場合、この第三者が勤務先企業よりも先に特許庁に特許の出願をされますと、基本的にその第三者が特許権を、先に出していますので、取得できるということになるわけでございます。
 この場合、企業が職務発明について特許を受ける権利を従業者から承継する旨をあらかじめ定めていても、それにもかかわらず当該企業が特許権を取得することができないという問題でございまして、二重譲渡問題というふうに呼んでいるわけでございます。このリスク自体は非常に特許を受ける権利の帰属を不安定にするものだということで、企業がこれから迅速かつ的確に知財戦略をする意味での大きな支障があるということを指摘されてきております。
 実際、お尋ねのその件数でございますけれども、実際に訴訟にまで至った事例としては、特許庁が確認しているのは一件でございます。しかしながら、その特許出願前の職務発明について、これは基本的に企業は秘密情報として管理しておりますので、二重譲渡問題の存在自体を企業の外部の人が把握するというのは、訴訟のような形にならない限り把握するのは非常に難しくて、特許庁が確認しているこの訴訟以外にもそういった実態として起こっているものはあるのではないかというふうに考えております。
 こうした状況を踏まえまして、改正特許法においては、権利の帰属が不安定とならないように、職務発明に係る特許を受ける権利は初めから法人に帰属することを可能とすることによって、二重譲渡の問題のようなことを止めるということが可能となるということで、そういった意味の環境整備を図ろうとしているところでございます。
#60
○佐々木さやか君 例えばこういう場合はどうなんでしょうか。ちょっと細かいですけれども、職務発明がされて、ただ、その時点で会社としてはあらかじめ使用者帰属とする旨の意思表示はしていなかったと。職務発明があって、それが後で従業員が第三者に譲渡をしてしまって、その段階で会社が気付いて、これはそういう意思表示をしておけばよかったなと思ったような場合に、その段階でも会社の方で仮に先に特許の申請ができれば対抗できるのかなと思うんですけれども、そういうような、後から意思表示をしておけばよかったなと思ったような場合に、その段階で使用者帰属とする旨の意思表示を行ったらどうなるのかというところをお聞きしたいんですが。
 これは、その段階で仮にしたとしても、特許を受ける権利を承継するためには別途承継するための合意をその発明者としなきゃいけないという理解でいいのか。今回の法案でいう使用者帰属とする旨の意思表示というのは、どちらかというと一方的な意思表示だったと思うんですけれども、それをしたとしても、やっぱりその意思表示をした後の将来にわたる効果しかないのかというところをちょっと確認したいと思います。
#61
○政府参考人(伊藤仁君) 時間軸の問題だと思いますけれども、職務発明がされた場合であっても、あらかじめそういった権利を移転するというような定めが定められていないときに、その発明に係る権利が発生したときから使用者に帰属するという、原始帰属のような考え方は適用されません。
 したがいまして、このように適用されない場合であっても、職務発明がされた後で、企業とそれから発明された従業者との間で別途契約を結ぶことでその権利の帰属というものを改めて確認することはもちろん可能なわけですけれども、ただ、職務規程を結んでいない場合には、それはやはり、その権利というものは委員指摘のとおり契約時に発生していますので、将来に向かって効力を発生するということでありまして、過去のことについては及ばないということになります。
 また、企業が一方的に制定した職務発明規程に遡って、それまでなされた職務発明に係る権利を全体を譲渡させると、そういうことはできないというふうに整理してございます。
#62
○佐々木さやか君 現行制度では、特許を受ける権利を承継をさせると、それに対して相当の対価を請求できるという法定の請求権がございました。今回の見直しの後もこうした法定対価請求権と実質的に同等の権利を保障するんだということにされておりますけれども、この発明者に対して企業が付与するインセンティブ、今日も議論になっておりますけれども、どのように決まっていくのか、どのように実質的に同等の権利を担保していくのか、質問します。
#63
○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 現行の特許法三十五条の第三項で、従業者が職務発明に係る特許を受ける権利を企業に承継した場合には相当の対価の支払を受ける権利を有する旨、規定がございます。今回改正します改正法案の三十五条の四項になりますけれども、これは現行の三十五条三項の相当の対価という部分を、金銭以外のインセンティブを含めた形の相当の利益に改めまして、従業者がその給付を受ける権利を有することをこれも条文として規定してございます。このように、法律の規定によりまして、本改正特許法案においても、職務発明した従業者には現行特許法と実質的に同等の権利が保障されているという形になっております。
 加えまして、この改正特許法三十五条の六項の方で、発明のインセンティブの適正な決定手続に関するガイドラインの策定というものを法定化しておりまして、この手続に従ってインセンティブが当事者間で定められるという形になっております。各企業がこのガイドラインを尊重することによって、従業者の相当の利益を受ける権利は更に確実に保障されるという形を取っておりますので、これを併せまして実質的に同等の権利というものが担保されているものというふうに理解してございます。
#64
○佐々木さやか君 このインセンティブ、どのように定めるかのガイドラインについては今後作成をするということで、現在は検討中だと思いますけれども、このガイドラインによってしっかりとこうしたインセンティブ、実質的にこれまでと同等の権利を保障する、担保するということではありますけれども、これまでは、そうはいっても、発明者に特許を申請する権利が帰属していたのが初めから法人にということになりますと、発明者の法的な立場としては、やはり現行制度と比べると、少しは私は弱くなるんじゃないかなというふうに思っております。
 このガイドラインも定められるわけですけれども、仮にこのガイドラインが適切に守られない、またインセンティブが適切でないような場合には、その発明者の方、従業員の方、やはり弱い立場の方がその危険を負担しなければならなくなりますので、政府としましても、ガイドラインを作成して終わりということではなくて、しっかりと守られるように適宜調査をして、また検証を行って、フォローアップをしていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#65
○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 発明者に付与されるインセンティブでございますけれども、業種とかあるいは企業ごとに研究開発の戦略あるいは抱えている研究環境といったようなものが様々であると思います。いかなる基準をもって適正なものとするかというものを、内容について一律に記述することは非常に難しいと思っております。企業の自主的な判断に委ねられる部分かと思っております。
 このため、インセンティブの決定につきましては企業や従業者の双方の取決めによって行うということに委ねまして、その合理性の判断、それが適切かどうかということについては、特にそういうきちっと手続を踏んでいるかということを重視して行うということであるというふうに考えております。インセンティブについては、ガイドラインで定める予定の従業者との協議あるいは意見聴取など、適正な手続に従って従業者の意見が反映されやすいものにするという形を求めますので、従業者の納得感が得られた内容として決定されるのではないかというふうに我々は考えております。
 また、この法案が成立した後、御指摘のとおり、この改正が従業者のインセンティブ、発明のインセンティブに実際にどのような影響を与えているかといったような効果につきましても、様々な形でヒアリングやアンケートなどによりまして調査、検証しながら、フォローアップをしていきたいというふうに考えております。
 以上です。
#66
○佐々木さやか君 インセンティブを決定していく過程で企業と従業員、発明者の方がいろいろと話し合っていく、そういうプロセスがあるわけですが、その中で、インセンティブの相当性についてやっぱりなかなか発明者の方で納得ができないと、そういう争いになることもあるかと思います。そういう場合に、裁判所などに訴えることもできるわけですけれども、従業員が会社に所属しながら会社と争うというのもかなりハードルが高いですし、また裁判ということになりますと時間も費用も掛かりますので、かえって発明者には負担かと思います。
 ですので、そういった紛争が複雑化する前に企業の内部で適切に解決ができる仕組みを設けていくことが重要ではないかと思っております。こういったことも、政府がこれから定めるガイドラインにはしっかりと書き込んでいくべきではないかと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
#67
○政府参考人(伊藤仁君) このガイドラインにおいては、相当の利益の内容の決定を行う場合に従業者から意見の聴取を行うと、その適切に行うということの在り方を明示するつもりでおります。
 インセンティブについてまさに紛争が起こった場合に、まず企業がそのガイドラインに従って定めました意見の聴取の手続に基づいて、例えば社内でちゃんと個別にその方からお話を伺うということのほかに、異議の申立てのような手続、こういったようなものを通じて社内の中で未然に紛争の解決を図るということも手段としてあると思っております。
 このように、企業と従業者双方の納得感を高める手続というものを踏むことで、訴訟という手段を取らずに円満な解決を図ることを目指したいと思っておりますので、ガイドラインにおいてそういったような社内手続を具体的にどういう手順として定めるかについて是非検討していきたいと思っております。
#68
○佐々木さやか君 よろしくお願いいたします。
 今日もいろいろと議論になっておりますとおり、この法改正の趣旨というものがあるわけですけれども、それが正しく伝わらなかったりだとか、また先ほども申し上げたように、インセンティブが仮に適切に定められなかったりすると、国内の優秀な人材が海外に流出してしまうのではないかとか、また海外から優秀な人材に来てもらうということ、日本で活躍していただくということもこれから重要になってくるわけですけれども、こういう外国人材の受入れについても、今回の改正の趣旨というものを正しく理解していただく、伝えていくということが重要ではないかと思います。
 改めまして、今回の改正、こういった我が国の持続的成長のためのイノベーションの担い手の育成、また外国からの獲得というところについて、どういう意味を有すると、どういう狙いを持っているのか、御説明お願いします。
#69
○政府参考人(伊藤仁君) 日本の企業が非常に厳しいグローバル競争の中でイノベーションを進めていくためには、優秀な人材、とりわけ発明の部分についての人材を確保することが非常に大事であることはそのとおりでございます。
 今回の改正法案においても、発明者がインセンティブを受ける権利を法定化するということと、それからその内容についてどういう手順で決めるかということのガイドラインを法定化するということで、発明者の納得感を高めて発明を奨励するということは、申し上げたとおりでございます。
 例えば、アメリカなどの場合ですと、発明者の対価請求権というものは、こういった法律で法定化されているわけではございませんで、契約に基づいてやっているということでございますので、立法の趣旨といたしましても、米国などよりも発明者の権利を手厚く保護する仕組み、あるいは発明を奨励する仕組みになっているというふうに考えてはおります。
 したがいまして、今回の改正の趣旨についても、しっかりと内外にも十分説明をいたしまして、御懸念のような、この制度の改正によって海外への人材流出などに懸念を生じたりすることのないように、海外の人材も日本の企業で働く仕組みをよく理解していただくことが必要だというふうに考えているところでございます。
#70
○佐々木さやか君 先ほども申し上げたとおり、大企業の多くは職務発明規程、既に制定をしているというふうに言われております。それに対して、中小企業においては大半は定めていないと、こういうこともあって、今回の改正というのは実質的に選択できると。あらかじめ定めを置けば法人帰属とできますし、そうでなければ現行どおり発明者帰属ということで選択できる制度になっておりますけれども、しかしながら、中小企業の皆さんが余りこういう職務発明規程を設けていないということをそのままにしていていいのかというところもあるかと思います。もちろん必要に応じてではありますけれども、中小企業の知的財産の活用促進というところからも、こうした職務発明規程の制定、なかなか難しいということであれば、適切な支援を政府の方でも行っていくべきではないかと思いますけれども、こうした整備などの支援、どのように考えていらっしゃるか、お聞きします。
#71
○政府参考人(伊藤仁君) 中小企業に対して、こういった職務発明の規程を整備するということは有意義であるというふうに考えております。
 取組でございますけれども、この法案が成立いたしますれば、まずはその普及啓発ということを抜本的に強化したいと思っております。訪問型の支援というのを特許庁の制度に基づいて行っておりますけれども、職務発明制度あるいはこの法改正の内容について、企業などでこういったことに経験されたOBの方などに知財アドバイザーという形で各中小企業を訪問して、まずこういうことの意義について気付きを与えるというようなことをさせていただきたいと思っています。また、制度としては法律的な問題などありますので、専門家、弁護士、弁理士さんなどの中立的な方に協力いただきまして、各企業、中小企業に対するアドバイスといったようなこともさせていただきたいと思っています。
 それから、そういうまず啓発の部分の段階を越えた後に、具体的にじゃ作ろうという話になってくるかと思っておりますので、予算事業なども加えましてその職務発明制度の整備支援ということで、これも専門家を派遣して、弁理士、弁護士を想定をしておりますけれども、個別に企業の規程を作るといったようなところについてのアドバイスをするといったような形で、是非、この気付くことと、それから実際にそれを導入するというふうなお考えになられた企業に対する手厚い支援ということを考えていきたいというふうに思っております。
#72
○佐々木さやか君 最後に、大臣にお聞きしたいと思います。
 特許の出願がされた後の審査の期間、これ様々な努力によってだんだんと短縮をされてきたということだそうですけれども、短縮されてよかったんですが、それならばもっと出願しようということで出願も活発になってきたと。ですので、審査請求の件数というのは増えている状況にあると聞いております。
 それはそれで大変いいことではないかと思いますけれども、体制というところを申し上げますと、日本の審査官、数が足りていないんじゃないかと、こういう意見もございまして、例えばアメリカですとか欧州に比べますと、一人当たり三倍以上の件数を処理しているというふうに聞きました。こういう体制で、国際的に遜色のない審査のスピード、これを維持しながら、しかも質の高い審査をしていくと、こういうことが大丈夫なのかどうか。こういった体制をより充実させていただきたいと思いますけれども、どのように適切な、また望ましい審査の体制を実現していくのか、お聞きします。
#73
○国務大臣(宮沢洋一君) 経産省といたしましては、これは昨年の春、二〇一四年の春に、世界最速・最高品質の特許審査の実現というものを目標に掲げております。そして具体的には、二〇一二年時点の平均の権利化までの期間が三十か月程度でありましたけれども、二〇二三年度までに世界最高水準である平均十四か月まで短縮するために、任期付審査官の確保や先行技術調査における特許庁の外の人的資源の一層の活用などを進めてきております。
 その結果、最新の数字では、二〇一三年には権利化までの期間を十九か月間弱というところまで持ってくることができております。これは、アメリカが現在二十八・六か月。アメリカも迅速化の目標を持っておりまして、二〇一七年、二年後に二十か月という目標を既に日本はもう達成しているというような、大変スピード化については目標に向けて順調に進んでいるというところでございます。
 一方、審査の質といったものも大変大事でありまして、強く、広く、役に立つ特許権を付与するということを目標に掲げておりまして、まず出願人にも分かりやすいよう審査基準を抜本的に改定をいたしました。それとともに、百名の審査官に品質管理の審査をするという役割を担ってもらっておりまして、審査の質の更なる向上を図っているところであります。
 任期付審査官を増やしていただいてきたところが、これから減らせという期間に入っているのを何とか今その人数を維持するようなことで調整をしておりますが、正直言って、政府全体でまさに公務員の数の削減という大きな目標の中で、特許庁に関しましてはかなり理解をいただいた形で審査体制の充実をしていると、こういうところでございます。
#74
○佐々木さやか君 以上で終わります。ありがとうございました。
#75
○東徹君 維新の党の東徹でございます。
 今回の不正競争防止法の一部を改正する法律案、そしてまた特許法等の一部を改正する法律案、どちらも日本の産業をやっぱりしっかりと守っていく、そしてまた経済をしっかり成長させていく、日本の国益を守っていくためにおいても重要な法案だというふうに思っております。
 今回、二つの法案があるわけですが、まず不正競争防止法の改正案の方から質問をさせていただきたいと思っております。
 今回の不正競争防止法の改正案では、営業秘密侵害罪について非親告罪とするということになっております。非親告罪ということで、告訴がなくても公訴を提起することができるような犯罪になっていくということでありますけれども、企業間の取引上の力関係から、取引先に営業秘密の不正使用があった場合、告訴をすることが実際は困難であるというふうなことを踏まえますと、今回の改正で立場の弱い企業が泣き寝入りをしなくて済むようになることは非常に意義深いというふうに思っております。
 ただ、非親告罪となった場合に、それを取り締まる側である警察の体制が十分かどうか、これは検討しなくてはならないというふうに思っております。営業秘密侵害事犯における最近二年間の検挙事件数では、平成二十五年は五件、平成二十六年は十一件にとどまっているということで、非親告罪になって、扱わなければならない事件数が増えるということが予想はされますけれども、関係省庁との連携、組織改編などによる体制強化というものが非常に重要だというふうに思いますが、どのように対処していくのか、まずはお伺いをしたいと思います。
#76
○政府参考人(島根悟君) お答え申し上げます。
 警察におきましては、これまでも、営業秘密侵害事案について、生活経済事件を担当する部門を中心に、事案に応じてサイバー、刑事、警備等の各部門と連携しながら捜査を行ってきたところであります。
 今後とも、必要な体制を構築して捜査を進めるとともに、今般の改正につきまして、都道府県警察に対しまして、研修会の実施や事例研究資料の発出等、指導、教育を充実し、捜査能力の一層の向上に努めてまいりたいと考えております。
#77
○東徹君 簡単に御答弁をされましたけれども、こういった人材を手厚く配置していかなかったら、マンパワーの問題も非常に大きいですし、そしてこういったことに対する知識というものも非常に重要だというふうに思っております。その辺のところが、そういった体制がつくれるかどうかというのは本当に重要なことだと思っておりまして、その辺のところ、具体的に是非今後示していっていただきたいというふうに思っております。
 営業秘密侵害に関する実際の捜査では、そもそも、秘密に関わるため、情報や証拠、こういったものがなかなか入手しづらいということで、特にアメリカでは、FBIですけれども、おとり捜査なんかも行って情報や証拠の収集を行っているというようなことも聞いております。我が国において今後このような手法を用いる必要があると考えているのか、見解をまずは伺いたいと思います。
#78
○政府参考人(上冨敏伸君) 検察当局におきましては、営業秘密侵害事犯の捜査に当たって、警察等の関係機関と緊密に連携を取り、刑事訴訟法などによって認められております様々な捜査手法を用いて適切に証拠収集等の捜査を遂行してきております。
 今後とも、御指摘のような捜査手法を用いるかどうかも含めて適切に判断し、営業秘密侵害事犯の捜査を遂行していくものと考えております。
#79
○東徹君 それでは次に、営業秘密侵害事犯において、司法取引の導入、こういったことも前向きに検討していく必要があるというふうに思っております。
 御存じのように、こういった事犯においては、なかなか情報とか証拠、こういったものを集めるというのが非常に困難だというふうに思っておりまして、司法取引、裁判において、被告人と検察官が取引をして、被告人が罪状を認めるか、あるいは共犯者を法廷で告発する、あるいは捜査に協力することで、求刑の軽減、また幾つかの罪状の取下げなんかを行う方法でありますが、こういった司法取引の結果として、軽減された検察官の求刑に裁判所が法的に拘束されるわけではなくて、求刑以上の量刑を行うことも可能であるというふうに聞いております。
 司法取引の刑事政策上のメリット、当事者主義の理念から裁判所は司法取引の結果を尊重することが多いというふうにされておりますけれども、こういった司法取引でありますけれども、こういったことも進めていかなくてはなかなかこういった事犯を、本当に今、先ほどから申していますように、情報とか証拠、こういったものはなかなか簡単に集まらないわけでありますから、こういったものの導入というのを考えていかなくてはならないんではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#80
○政府参考人(上冨敏伸君) 現在、別に御審議いただいております刑事訴訟法の一部を改正する法律案におきまして、一定の事件について検察官と被疑者、被告人が、弁護人の同意がある場合に、被疑者、被告人が共犯者等の他人の刑事事件の解明に資する供述をするなどの協力行為をし、検察官が、被疑者、被告人の事件について、その協力行為を被疑者、被告人に有利に考慮して不起訴にしたり、より軽い罪名で起訴したり、一定の軽い求刑をするなどの取扱いをする制度、合意制度というものの導入を盛り込んでいるところでございます。
 この合意制度は、組織的な犯罪等における首謀者の関与状況を含めた事案の解明に資する供述などを得ることを可能にするものでございますが、その対象犯罪については、犯罪の性質や捜査、公判の実情等に照らして、この制度の対象とすべき必要性が高く、その利用にも適していて、かつ被害者を始めとする国民の理解も得られやすいと考えられるものに政策的に限定するという観点から、一定の財政経済犯罪と薬物・銃器犯罪に限定することとしております。このうち財政経済犯罪につきましては、詐欺、横領など一定の刑法犯などを対象とするほか、法律上例示しております租税に関する法律、いわゆる独占禁止法、金融商品取引法の罪などを含めて政令で定める罪をも対象とすることとしております。
 御指摘の営業秘密侵害罪は法文上対象犯罪として明記されてはおりませんが、今後政令を検討するに当たりましては、関係機関とも協議しつつ、先ほど申し上げた対象犯罪の基準を満たすかという観点から十分に検討してまいりたいと考えております。
#81
○東徹君 今検討されている刑事訴訟法等の一部を改正する法律のところでこのことが入っているということでありますけれども、検討されているんですけれども、「その他の財政経済関係犯罪として政令で定めるもの」というふうに書かれております。こういったものにおいては、証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度の創設ということでありますけれども、これは、合意した場合には刑を軽減するとか、そういったこととして考えてよろしいんでしょうか。
#82
○政府参考人(上冨敏伸君) 御指摘のとおり、被疑者、被告人が一定の協力行為をすることを約束するとともに、これに対応して検察官が被疑者、被告人に対して被疑者、被告人の事件を不起訴にしたり、あるいは一定の軽い求刑をするなどの取扱いをするということを合意するという制度でございます。
#83
○東徹君 分かりました。ありがとうございます。
 そういったことによってより捜査が進んでいく、そして取締りにつながっていく、そういったことに是非つなげていっていただきたいというふうに思います。
 続きまして、今回の法案で営業秘密侵害罪が非親告罪になると被害者側が訴追を望まなくても捜査ができるようになるということで、そうなると、捜査や裁判の過程において被害者側が想定しない形で秘密が拡散してしまうという可能性もあります。経済界においては、捜査や裁判の過程で秘密が拡散しかねないとする懸念も根強い、ビジネス現場の声にしっかり耳を傾け慎重に議論を進めてほしいというような声があるようにも聞いております。
 そのようなことが生じないようどのように対処していくのか、伺いたいと思います。
#84
○政府参考人(島根悟君) 捜査を行うに当たりましては、従来から、事件関係者の名誉や利益を侵害することのないよう、秘密の保持、厳正な情報管理に努めてきたところであります。
 営業秘密侵害事犯の捜査におきましては、被害企業の全面的な御協力が不可欠であることからも、今後ともその信頼を損なうことのないよう、情報管理を徹底してまいりたいと考えております。
#85
○政府参考人(上冨敏伸君) 公判段階のことについて申し上げたいと思います。
 平成二十三年六月八日に公布され、十二月一日から施行された不正競争防止法の一部を改正する法律によりまして、刑事訴訟の審理において、営業秘密の保護を図るための措置が講じられております。
 まず検察官は、営業秘密侵害罪に係る事件について証拠を開示するに当たりまして、営業秘密を構成する情報の全部又は一部を特定させることとなる事項が明らかにされることによって被害者等の事業活動に著しい支障が生じるおそれがあると認めるときには、開示の相手方に対して、その旨を告げて、被告人を含む関係者に知られないようにすることを求めることができるとされております。また、裁判所におきましては、被害者やその委託を受けた弁護士等からの申出があるときには、当該事件に係る営業秘密を構成する情報の全部又は一部を特定させることとなる事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができるとされております。
 検察当局におきましては、営業秘密の内容が公判の過程で拡散しないようにするために、こうした制度が設けられた趣旨や被害者の意向を踏まえて適切に対応しておりますが、今後ともそのように対応するものと考えております。
#86
○東徹君 しっかりとこの営業秘密、拡散しないように対応していっていただきたいと思います。
 続きまして、不正競争防止法の適用範囲についてお伺いをしたいと思います。
 本法律の適用範囲は、最高裁の判例において、競争秩序を維持すべき分野に広く認める必要があるものというふうにされており、衆議院の経済産業委員会では、営利事業か否かにかかわらず、広く経済上、その収支計算の上に立って行われるべき事業が含まれるものをいうと答弁されております。営業秘密という文言ではありますけれども、営業秘密に当たるかどうかを判断する三要件を満たせば、適用対象は企業のみではなくて自治体や独立行政法人、こういったものも含まれるということか、まずはここを確認させていただきたいと思います。
#87
○政府参考人(菅原郁郎君) 委員御指摘のとおり、営業秘密はまずは三要件を満たす必要性がございますが、そういった営業秘密を不法に窃取して、その情報をもって何らかの営利行為、いわゆる図利加害目的で使用する、この場合に営業秘密侵害罪が成立すると考えておりまして、その情報源が自治体、独法であってもこの不正競争防止法の対象には、図利加害目的で使用される場合にはなり得るというふうに考えてございます。
#88
○東徹君 ということは、自治体やそれから独立行政法人、こういったものも含まれるということでありますけれども、そうなってくると、例えば年金情報を管理する年金機構、それから生活保護情報を管理する市町村、こういった自治体なども含まれるということでいいのかどうか、ちょっと確認をさせていただきます。
#89
○政府参考人(菅原郁郎君) 先ほどの答弁と若干繰り返しになりますが、今の個別具体的な年金情報、生活保護情報に基づいて言えば、その情報が当該年金情報を、若しくは生活保護情報を扱う自治体若しくは独法においてしっかり管理されていたのかどうかというのがまず前提になると思いますが、もう一つは、その情報を窃取した犯人が不当な利益を得る目的で何らかの行為をした、若しくはしようとしているのかどうかのところで不正競争防止法の違反になるかどうか、該当する可能性があるということでございます。
#90
○東徹君 となると、患者情報を扱う医療機関なども含まれてくるのではないかなというふうに思いますし、この法律の適用範囲というのはかなり広いというふうに思います。
 そこで、適用が広いということは多くの人に関わってくる、ましてや未遂犯も今回の法改正で刑事罰の対象になるということですので、この法律の内容を国民に広く周知していく必要があるというふうに考えますが、どのように周知していくのか、お聞かせいただきたいと思います。
#91
○国務大臣(宮沢洋一君) おっしゃるように、いわゆる企業だけではなくて、その他の幅広い団体にも、また、企業の社員だけではなくて、その団体の職員等にも適用される可能性のある法律でございますので、おっしゃるように周知を徹底するということは大変大事であります。
 一方で、この法律はまさに早く実施しなければいけないということで、施行期日が公布後六月以内という、割合短期間でございます。そうした意味でも、まず捜査当局を含む関係省庁、それから専門家となり得る弁護士さんとか弁理士さんに改正事項の詳細についてまず説明を行っていかなければいけないと思っております。
 その上で、全国五十七か所の知財総合支援窓口で、無料で弁護士、弁理士などの専門家が相談を受け付けることとするほか、各業界団体や全国各地の商工会議所等と連携して各地で説明会を開催して、改正内容の丁寧な周知に全力を尽くしていく所存でございます。
#92
○東徹君 続きまして、次の質問に移らせていただきますけれども、犯罪収益の没収についてお伺いをしたいと思います。
 犯罪収益の没収についてですが、今回の不正競争防止法の改正案では、抑止力というものを向上させていくために、犯罪収益を個人、法人とも上限なく全額没収できるというふうにされております。営業秘密侵害の行為者にやり得を許さないためにも、この改正は非常に重要だというふうに考えますが、仮に、この営業秘密の侵害行為によって収益を得た者が、自分でそのお金を元手に運用などを行って更に収益を得た場合、この二次的な収益も没収の対象となるのか、お伺いしたいと思います。
#93
○政府参考人(菅原郁郎君) 没収の対象につきましては、典型的には、営業秘密を不正使用して生産した製品、営業秘密の不正持ち出しに対するその報酬などが当たりますが、例えば、その製品を売却した場合にはその売却代金、若しくは、不正に得た報酬を預貯金した場合の運用利益、要するに利子というのも没収対象の上限の中に入るというふうに理解してございます。
#94
○東徹君 ちょっとこれは通告していなかったかもしれませんが、仮に、犯罪収益、非常に今お金を得たんだけれども、もう使ってなくなってしまったといった場合、これはどのような対応をなされるんですか。
#95
○政府参考人(平井裕秀君) お答え申し上げます。
 没収の対象としては今お答え申し上げたことになりますけれども、対象とする財産がなくなってしまいますと、もちろんのことながらその対象物がないということになりますので、そこのところについての没収ということは、これはできないということになります。
#96
○東徹君 分かりました。
 今日はちょっともう時間がなくなりましたので、次回にまた続けて質問をさせていただきたいと思います。以上で終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#97
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 先ほど来、議論にもなっておりました特許審査期間の迅速化が進められている下で審査官体制の充実は喫緊の課題だということで、体制充実の取組等も御答弁あったかと思うんです。
 そこで、私の方からも確認をさせていただきたいんですけれども、日本の審査官の人数が一体どうなっているのかというのを一枚目の資料で紹介しております。こういうのを典型的な寝たきりグラフというんですけれども、全く増えていないんですよね。横ばいという状況であります。アメリカ、中国、ヨーロッパ等が伸ばしているのと比べると、実態はよく反映されているなと思うんです。
 先ほども紹介ありました日本の審査官一人当たりの一次処理件数はどうなっているかといいますと、これ二枚目に入れましたけれども、欧州が五十二件に対し日本は二百三十四件ということで、非常に多くの処理件数をこなしているということが見て取れるかと思います。現場審査官の奮闘で支えられているという実態がよく出ているなと思います。
 そこで、先ほど答弁の中で、任期付審査官を再雇用にとどまらず再々雇用もして、その質の担保に努めているというお話ありました。この再雇用でいいますと、十年で満了というのが基本だと思うんですけれども、再々雇用の実態がどうなっているのかというのを確認させていただきたい。それと併せて、二〇一三年度で十年が切れるということになっていたかと思うので、それ以降の採用、新規採用がどうなっていて、今後、二〇二三年までは戦略もあり体制の強化が必要だという御答弁でしたが、そこが上限になるということではないだろうと、今後も見通しを持って確保していく必要があろうかと思いますので、二〇二三年度以降についても基本的な考え方があればお示しいただきたいと思います。
#98
○政府参考人(堂ノ上武夫君) まず、定員についてお答え申し上げますけれども、任期付審査官の定員につきましては、当時大量にございました特許出願の審査未着手件数を解消すべく、二〇〇四年度から五年間にわたり毎年九十八名を措置してまいりましたけれども、その後十年たちました二〇一三年度末から順次任期満了を迎えているところでございます。
 今後、特許庁には、先ほど来挙がっておりますけれども、世界最速・最高品質の特許審査の実現という政府目標を達成することが求められておりますので、このため、二〇一四年度及び二〇一五年度におきましても任期付審査官を各百名措置をいたしまして、現在は合計で四百九十四名の任期付審査官の定員がございます。一方で、恒常審査官につきましては、二〇一四年度において千二百十名、二〇一五年度におきましては千二百八名というのが定員でございます。
 再雇用の実態につきましては、実は十年の任期を終えまして、希望者を募っておりまして、希望者の中から再度面接をして採用しているところでございますけれども、ちょっと正確な数字を今持っておりませんが、数十人の方が希望されまして、面接の上かなりの方が採用されて、即戦力として審査官として活躍をしていただいておるところでございます。
 今後も、決して完全に十分ということはないわけでございますので、更なる効率化を進めるとともに、審査体制の一層の整備強化を図ってまいりたいと存じます。
#99
○倉林明子君 特許の専門性、それから高い知識と経験が求められるということで、やっぱり経験豊かな審査官を育てていくということをきちんと国でもしていく必要があるというふうに思うんですね。
 さらに、今お話もありました、希望者に対しては再々任用も行っているんだということでした。その方法、手段としては大いに進めていただきたいと、経験蓄積するという観点からも進めていただきたいと思うんですけれども、問題は総枠が増えないということだと思っていて、やっぱり審査体制で一人が処理している件数が非常に多いというところで見れば限界だろうと思うんですね。しっかり質の高い審査をしていただくという観点からも、総枠としてやっぱり増員していくという検討は必要じゃないかと思うんです。大臣、いかがでしょうか。
#100
○国務大臣(宮沢洋一君) まさに委員がお示しいただきましたように、我が国の審査官というものがほかの国に比べまして大変ハードワークになっているということは確かでございまして、我々としては、ともかく恒常的な審査官また任期付き含めて増員を本当に図っていただきたいと切に思っているところでありますけれども、なかなかハードルの高い相手がございまして、そういう中で、全体、国家公務員の数を絞る中で、何とか現状維持をさせてもらえているというのが現状でございますけれども、是非とも、来年度以降、定員増に向けてまた引き続き努力をしていきたいと思っております。
#101
○倉林明子君 そんなところで弱気にならんと、大いに頑張るところは頑張っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 そこで、今回の法改正の中心点ですけれども、職務発明の権利を従業者から使用者に変えるということで、これは本当に次元が違うほど従業者の権利後退につながる危険があるものだというふうに思っております。従業者は、自らの権利を譲り渡した使用者に対し相当な対価を受ける権利があると規定されていたものが、改正後は、権利が使用者に帰属するという大転換になると。従業者の権利が三十五条四項で定める相当の利益の支払を受ける権利を定めていると。だから、権利は現行法と同等に保障されているということを説明されているんだけれども、じゃ何で相当の対価を変更したのかと。相当の利益に変えた根拠は一体何でしょうか。
#102
○政府参考人(堂ノ上武夫君) 現行特許法、相当の対価と規定されておりますけど、この文言に関しましては金銭のみを指すというふうにされていたところでございます。
 一方で、特許庁が実施いたしました一万五千人の研究者向けのアンケートによりますと、金銭以外のインセンティブも重要であるという結果が得られております。それを踏まえまして、本改正特許法案におきましては、インセンティブの範囲を金銭以外にも拡張し柔軟化を許容するという趣旨でございます。
 この従業者が受けることができる相当の利益というのは、現行法上の相当の対価と実質的には同等であると考えております。
#103
○倉林明子君 そのアンケート、私もよく読ませていただいたんだけれども、インセンティブで何が有効かということで、企業者に対するアンケートでは、報奨金、お金がインセンティブの向上に肯定的だ、こう答えた企業って一体何%あったのか。さらに、金銭外の報奨が研究開発を行う上で重要だ、こう答えた研究者がどれだけいたのか。
#104
○政府参考人(堂ノ上武夫君) 先ほどの特許庁が実施しました企業向けのアンケートによりますと、職務発明に関する報奨金の支払が研究者の発明のインセンティブを向上させているというふうに回答した企業は約七〇%でございます。他方、研究者において非金銭の報奨がインセンティブになるかという点についてのお尋ねでございましたけれども、こちらについて特許庁が実施した研究者向けアンケートによりますと、優れた発明を生み出すために重要と思うことについて、研究予算、研究設備の充実と回答した研究者は八〇%でありました。また一方、研究開発を行う上で賞状や盾などの授与を重要と回答した研究者は二五%弱でございました。
#105
○倉林明子君 低いんですよ、評価がね。
 これは数字ではっきり出ているだけじゃなくて、皆さん方が報告した特許制度小委員会でも紹介されていて、職務発明に対する非金銭的な報奨について、肯定的な意見よりも否定的な意見が多い傾向がある、あなた方が報告しているんですよ。何で、じゃ相当の利益でいいということになったのか、私は極めて疑問だというふうに思うんですね。
 つまり、研究者は求めていない、金銭が有効だと企業も考えていた。要は、発明のインセンティブが低下するということに私はつながる危険があると、そういうことを分かっていたんじゃないですかと逆に聞きたいんですけど、どうですか。
#106
○政府参考人(堂ノ上武夫君) 改正法案におきまして規定したところにおきましても、もちろん金銭の報奨というものは否定をされておりませんで、一方で、先ほど、盾、賞状等の名誉的なものについては低い数字が出ておりましたけれども、研究者におきましても、研究予算、研究設備の充実という経済上の利益につきましてはこれを重視するという回答が八割ございまして、こういったインセンティブの内容について、十分なガイドラインに沿った協議を経て基準を定めるということによってインセンティブの低下にはつながらないのではないかと考えております。
#107
○倉林明子君 インセンティブの低下につながらぬじゃないかと言うけれども、実態としての研究者や企業の評価というのはつかんでいたということは、私は改めて確認をさせていただきたいと思うし、相当の対価、相当の利益にしたということが従業者のモチベーションを低下させるということにつながったら、私は本当に、発明をどんどんしてもらおうということを、その意欲をそぐことになるということが重大だと思っていますので、指摘をしておきます。
 そこで、次に確認したいのは、大学や研究機関における権利の扱い、これについても様々な要望が出された経過がありました。そこで確認をさせていただきたいのは、NPO法人産学連携学会及び八大学産学連携本部長、この要望の中心点はどうだったか。時間ありませんので、まとめてお願いします。
#108
○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 NPO法人産学連携学会の要望は、大学については大学帰属を原則とするのではなく、契約や職務発明等の規程により権利を大学に帰属させることができるとするなど、柔軟な制度設計を求めておられるのが中心だと思っています。
 また、八大学産学連携本部の要望といたしましても、大学特有の諸事情を考慮した弾力的な運用が可能な制度の構築を求めておられたというふうに認識しております。
#109
○倉林明子君 日本学術会議が昨年七月に、大学等の研究者における発明者帰属の維持を要望されております。
 特許出願の有無にかかわらず、通常全ての研究成果が最終的には公表されると、そういうものなんですよね、学術研究という形で。企業の知財管理とは大きく異なるんだと、この指摘は重要だというふうに思うわけです。
 大学等において、現行どおり特許を受ける権利、これを大学に継承させる場合、発明者は相当の対価及び相当の利益を受けることができるのか、又は異なる報奨のルールとなるのか。これ、法上の規定は明確になっているんでしょうか。確認させてください。
#110
○政府参考人(伊藤仁君) この改正法案におけます、元々の法律もそうでございますけれども、「使用者等」には、いわゆる法人というものを含みます。これには大学の法人も含まれます。したがいまして、大学が職務発明規程を設けまして特許を受ける権利を取得した場合には、発明者は相当の利益を受ける権利を有するという形で、一般の企業と同等の扱いになります。
 それからもう一点、先ほどの要望の中で、両者から、全て一律にその権利を法人に帰属させるということについての懸念があったわけでございますので、本改正法案においても、大学の選択によって、初めから特許を受ける権利を帰属させることもできますし、発明者に帰属させることもできると、両方を選択することができるというような形になっております。
#111
○倉林明子君 大学が両方選べるということにしたということなんだけれども、大学が法人帰属を選んだ場合、この扱いいかんでは、要は、研究継続がどうなるのかということに対して不安の声が上がっているというのも事実だと思うんですね。
 要は、大学、研究機関等における適切な報奨、また研究成果の発表という自由、これがきちんと法律上も担保されるようなことになっているのかということなんですけど、どうですか。
#112
○政府参考人(伊藤仁君) 論文等の発表についての規定ではこの特許法はございませんで、その特許を受ける権利の帰属についての規定になっております。
 したがいまして、あらかじめそういったことを大学の研究者の方と大学当局との間で協議されまして、どういった扱いにするかということを検討の上整理すれば、これまでも同様だったと思いますけれども、そういった形で問題なく整理できるかと思っております。
 大学側が原始的にもし持つ場合であっても、これは特許として出願することを大学側が求めない場合には、その発明者たる先生にまたお戻しするということも十分可能でございますし、現に行われていることだと思います。
#113
○倉林明子君 現に行われていることは現行法上で可能だということなんだけど、大学が法人帰属となった場合にどうなるかと。返してもらえる場合はいいけれども、それを大学が使うとなったらまた違ってくるということが展開としてあり得ると思うんです。
 結局、発明というのは、職務発明はもちろん企業がその発明を使って企業の利益のために使うということが主体になってくると思うんだけど、大学というのは全く性格が違って、その発明を人類の生存とか生活の多様化とか社会発展に貢献するとか、要は、特許でもうけようということじゃなしに、もっと使ってもらおうという提出の仕方も大いにあるというふうに思うんです。そういう豊かな可能性が生きるような環境整備というのは、法上もきちっと担保される必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。
 そういう観点から大学の自由な研究の成果の発表や研究成果の活用というところが担保されるような必要があるだろうと思っておりまして、そういう観点から、大学等研究機関等における適切な報奨の確保というようなことも含めて法律上ちゃんと明記されるべき、担保されるべきではないかと考えるんですけど、大臣、いかがでしょう。
#114
○国務大臣(宮沢洋一君) 今いろいろ伺っておりましたけれども、まさにイギリスなどと違って原始的に法人に帰属するというふうにしていなくて、まさに当事者間の決定で職務発明規則、契約等によってどういう形で帰属するかということを今回の法律では決められるようにしたということでありまして、大学がそれぞれの事情でまさに発明者に常に帰属するとすることも自由でありますし、一方で、大学といっても、それこそマグロの養殖を企業化しているようなところもあるわけでありまして、そういうところにつきましては、恐らく企業的な感覚からそういう契約、前もって大学に属するようにすると、こういうことを自由に選択していただく。
 ですから、ある意味では大学自身がどういう選択肢も選べるという形なのが今回の法律だと御理解いただければ有り難いと思います。
#115
○倉林明子君 選べるんだけれども、選ぶのは大学ということになってくると思うんですね。
 やっぱり、大学、研究機関が選ぶということと併せて、研究者の自由をしっかり担保できるような仕掛けが要るんだというふうに思うんです。企業利益と異なる自由な研究環境ということの確保がされることを法律上もしっかり入れていく必要があるということを重ねて申し上げまして、終わります。
#116
○松田公太君 日本を元気にする会・無所属会の松田公太です。
 企業側にどのくらい利益をもたらすか、従業員側にどのくらい利益を配分するか、若しくは権利を帰属させるか、これはある意味、経営にとっては永遠のテーマじゃないかなというふうにも考えております。
 鈴木一朗選手の言葉に、強いチームというのは、個人があってチームがあると、弱いチームは個々が持っている力を発揮されない、だから勝てない。チームのためにという言葉でごまかして個人の力を発揮させないことへの言い訳を探す、そうしたらもっと勝てなくなる、悪循環です、というものもあるんですね。それが本当に正しいかどうかというのはどちら側に立つかによって違ってくると思いますし、各人それぞれ思いや議論の余地があろうかと思いますが、イチロー選手の言っている言葉の意味合いも、私は理解できる部分があろうかと思います。今回の法案は、そのようなある意味難しい、場合によっては答えがない問いを投げかけられているような気もするんですね。
 日本を元気にする会の話で恐縮ですが、私どもは、所属議員が話し合って、会派で一致して賛成、反対するもの、若しくは、国民に対して若しくは会員に対して投票を呼びかけて投票していただいたことによって決定するもの、そして党議拘束を初めから付けませんよと、法案ごとに仕組みを設けているわけですけれども、先日の電気事業法の改正につきましては、私ども、会派全員が一致をして反対とさせていただいたわけですけれども、今回のこの法案に関しましては党議拘束を付けないということになっているんです、それが通常の形なんですけれども。その場合は、委員会の採決若しくは本会議の採決まで、所属議員は最後の最後まで考え抜くことが可能だということになっておりまして、私も、正直申し上げまして、今の段階では本法案について非常に迷っているといいますか、考えているという状況でございます。ですので、今日の私の質問は両サイドからお聞きすることになろうかと思いますけれども、是非真摯に御答弁いただければというふうに思います。
 さて、個人の能力が突出しているということでいえば、やはりあの青色発光ダイオードでノーベル賞を受賞された中村教授かもしれませんけれども、御存じのとおり、この職務発明については会社との間で訴訟が争われたという経緯になっているわけです。一審の東京地裁では二〇〇四年の一月に、対価を六百四億円と算定しまして、会社に対して中村教授に請求全額の二百億円を支払うようにという判決がなされたわけですね。最終的には、二〇〇五年に高裁におきまして約八億円での和解が成立して終結しているわけですけれども、これを受けてから発明者の地位が向上してきているんじゃないかと、発明の対価もしっかりと確保された方向に向かってきているというふうに言われております。
 それは、様々な改正が小さいものかもしれませんけれどもあったというふうに考えているわけですけれども、宮沢大臣もそのような理解でよろしいでしょうか。
#117
○国務大臣(宮沢洋一君) まさに中村先生の訴訟等々を受けまして二〇〇四年に法律改正をいたしまして、相当の対価等々という新たな規定が設けられた結果、その後、二〇〇四年以降ですからまだこれから更に訴訟が出てくることはあるのかもしれませんけれども、その後、たしか四件の訴訟、しかも高額なものはないということでございますので、かなり制度的に安定してきたのだろうというふうに思っております。
#118
○松田公太君 それで、やはり疑問に思ってしまうのが、そのような中、四件しかなくなってきている、地位が向上しているという中で、今回の改正が必要なのかなということなんです。
 経団連によりますと、現行の職務発明は訴訟リスクのある予見性の低い制度であり、我が国企業の産業競争力強化に向けて職務発明の法人帰属が必要であるというふうに言っているわけですね。
 また、今回の改正は発明対価をめぐる訴訟が起きないようにするためがメーンの理由だとも言われておりますけれども、そのような理解でよろしいでしょうか。
#119
○国務大臣(宮沢洋一君) やはりそれも、改正以来十年以上たちまして、まさにグローバル化の進展、またイノベーションの進展、さらに共同研究の進展等々ということがありまして、知的財産をめぐる環境というものも大きく変わってきております。
 そういう中で、まさに産業界から最初に話があったことは事実でありますけれども、やはり発明の特許の安定化という観点から、法人帰属、そして対価についても、まさにアメリカ的な形で民民の間で決めたいというようなことが当初あったわけですけれども、やはり発明の安定という観点は大事でありますけれども、一方で、職務発明規則等々ない中小企業等々、また先ほど倉林委員と学校の話をしましたけれども、そういうことを考えると、イギリス的な最初からまさに会社に帰属するというわけにはいかないだろう。ただし、二重譲渡の問題等々を考えれば、契約等によって最初から会社にする選択肢もあり得るという制度を取る一方で、やはりイノベーション、インセンティブを持たなければいけないという観点からは、やはり相当な対価を相当な経済的利益と、少し幅は広げさせていただきましたけれども、これにつきましてはしっかりとしたプロセスの中で職務発明規程等を決めていただくということで、プロセスの透明化を図ることによって発明者の保護に資するような形にしていくということで今回法案を提出させていただいております。
#120
○松田公太君 まさしく冒頭で私が少し迷っていますよというお話をさせていただきましたが、宮沢大臣も両サイドから物事を見られて、両サイドにとってウイン・ウインのシチュエーションをつくりたいということが今の答弁の中でも表れていたと思うんですけれども。
 今回の改正というのは、発明をした者は発明について特許を受けることができるという特許法の大原則の例外を認めるということになるわけですね。ですから、発明者に特許を受ける権利が帰属しなくなるということも認める大改正ということもありますから、やはりこの立法事実、これは本当に慎重に検討していく必要があるんだろうなというふうに感じているわけでございます。
 また、経団連が言いますように、今回の改正が日本の産業競争力強化につながるということであれば、午前中も技術貿易指針についての質問があったと思いますけれども、世界最高の知財立国、これを目指して、より具体的な、私、数値目標を作るべきじゃないかなというふうにも考えております。
 既に、例えばイノベーションランキングとか、そういったものは目標としてあるようですけれども、例えば他国企業から日本が受ける年間の特許料など、そういったものの目標値というものも私は経産省で設定するということも必要じゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。
#121
○国務大臣(宮沢洋一君) 他国企業から受け取る特許料というものも実は二種類ございまして、要するに、他国に子会社等々、合弁等々を設置して、そこで生産をして、そこから企業間でもらうような特許料と、それからまた全く純粋に外国から受け取るものと、大きく分けて二つあるわけでありますけれども、特に日本企業内のやり取りではなくて外から受け取ってくる特許料について、やはり将来的にますます増えていく形というのは望ましいことでありますので、どんな目標が可能か、いろいろ検討をしてみたいと思っております。
#122
○松田公太君 おっしゃるとおり、日本の例えば子会社、現地法人からのということではなくて、他国資本の企業からということで私はよろしいかと思いますが、是非そのような目標も設定することをお願いできればというふうに思います。
 平成二十五年度に出されました特許庁の職務発明に関する各国の制度・運用から見た研究者・技術者等の人材流出に関する調査研究報告書というものがありまして、それによりますと、日本の企業や研究機関に所属経験のある者のうち、研究者、技術者が優遇されているというふうに感じている人は何と一%未満なんですね。どちらかといえば優遇されていると感じている人を合わせても一〇%未満。逆に、冷遇されていると感じている人は約一〇%おりまして、どちらかといえば冷遇されていると感じている人を合わせますと約五〇%ということです。
 一方、海外の機関に所属経験のある者のうち、海外の機関において研究者、技術者が優遇されていると感じている人、これが多いか少ないかは別にして、一〇%ということで、少なくとも国内のものよりかは非常に高い。どちらかといえば優遇されているということを合わせると約四〇%なわけです。冷遇されていると感じている人は一%しかいなくて、どちらかといえば冷遇されているを含めると、これは一〇%程度になるわけです。
 この結果を見て分かるのは、やはり日本では海外に比べて研究者、技術者の地位が低いといいますか、冷遇されていると思っているということだと思うんですね。有識者の中には、今回の改正は日本における発明者の地位を更に低下させるおそれがあると、そういう指摘をしている方もいるわけです。
 そこでお尋ねしたいんですけれども、なぜ日本の研究機関、企業ではそういった研究者が優遇されていないといいますか、冷遇されているというふうに感じてしまっているのか、どのようにお考えか、教えていただければと思います。
#123
○国務大臣(宮沢洋一君) これから役所も人事の季節に入りますけれども、人事異動が終わった後で、自分は厚遇、思ったよりいい境遇が与えられた、大変優遇されていると考える人は大体五%前後、二五%ぐらいが実力どおりと考え、七割ぐらいは不満を持つそうでありまして、そういうことを考えますと、こういうアンケートというものがどの程度受け止めていいかという問題はありますけれども、一方で、やはりポスドクの問題、ドクターを取ってもなかなか常勤に就けないというふうな問題、さらに、仕事に就いたとしても、十年以内というふうな有期雇用の技術者の方が大変多いという状況があって、こういうものはやはりもう少し制度的に我々も考えていかなければいけないというふうに思っております。
 一方でまた、先ほど加藤委員とも少し議論させていただきましたけれども、やはりこれまで、民間の企業ということになりますと、銀行とか商社といったところがある意味ではかなり待遇がいい。一方でメーカーは、三Kとまではいかないにしても、きつい仕事だし一方で給料も良くないといったところも、若干ですが良くなってきている。そういう流れをしっかり大きな流れに変えていって、やはり技術を持った方、そしてそういう能力を持った方が働きやすい職場というものを、ある意味ではこれは官だけでできるものでない、民だけでできるものではないと思いますけれども、そういう知恵をこれから出していかなければいけないというふうに思っております。
#124
○松田公太君 ありがとうございます。
 本日御出席の政府参考人の皆さんにもどう考えていらっしゃるかということを一人一人お聞きしたいところではございますが。
 今回の改正が成立しても、特許法三十五条七項によって、相当の利益の算定を裁判所に求めるということもできるわけですね。社会情勢の変化によっては訴訟が増えてくる、噴出するとまではいかないかもしれませんけれども、一気に多くなるということは想定できると思います。結局、訴訟リスクというものを抑えるためには、企業が職務発明の対価に見合った報酬を支払うということがやはり重要なんだろうと思うんですね。そのことによって発明が奨励されていくと。
 会社のリスクマネジメントとか予見可能性というものも大切なんですけれども、今の日本においては、これはもう皆さん企業勤めされた方でしたら誰でもお分かりだと思いますけれども、なかなか従業員が上司とか経営者に対して交渉するというのは難しいんですよね。そういう風土なんです、現状は。雇用形態なんかも海外とやはり違いますので、やはり契約とかもそこら辺はしっかりできていないということもあって、そのような交渉がしづらいという現状においては、まだまだ私は発明者側の保護ということもやはり重点として考えなくちゃいけないんだろうなというふうに思っているわけです。
 ガイドラインに従って相当の金銭その他の経済上の利益の内容を決定というふうにあるわけですけれども、金銭以外の経済上の利益を報酬に加えたことによって、職務発明の対価が企業により恣意的に決められるということもあろうかなというふうに思うわけです。例えば、金銭以外の例として留学とか、先ほどもお話ありましたが研究環境とか、そういったものを広げていくということがあると思うんですけれども、こういったものが過大にむしろ評価されてしまったら、逆に企業が得をするだけで、発明者サイドは余り納得感を得られなくなってしまうんだろうというふうに思うんです。
 そういったガイドラインの策定に当たっては、その他の経済上の利益であっても、例えば金銭的評価を示すようなものも盛り込むべきじゃないかなというふうに思うんです。例えば会社でいっても、全然話が変わりますけれども、PR、フリーパブリシティーがあったと。じゃ、そのフリーパブリシティーというものは広告換算したら幾らぐらいになったんだということを金銭的に出すことによって明確にするという手法もあるわけですが、そういった考え方が必要なのかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#125
○国務大臣(宮沢洋一君) そういうまさにインセンティブにつきましては民民で基本的に決めていただくわけですけれども、やはりおっしゃるように、例えば私も本会議の場でもストックオプションとか留学といったものを挙げさせていただきましたけれども、恐らくそれはアンド、オアだろうと思うんです。ともかく、自社製品二年分なんて言われてもそれは困るわけでありますから、そういった意味で、そのいろいろ選択肢を広げるといった意味で、基本的には、私は、金銭というものがある、それ以外にもこういう選択肢がある、例えば自分の研究室に新しいこういう機械を入れてほしいという希望もあるかもしれない、そういうものを含めて、恐らく一本でお示しするということにはその各企業においてならないんだろうなというふうに思っておりますが、それを完全に担保することはできないかと思いますけれども、どういうふうに誘導していくかということはこれからの知恵の出しようだと思います。
#126
○松田公太君 おっしゃるとおり、例えばストックオプションであれば、実は幾らになるか分からないけど自分の頑張り次第では上がるかもしれないということで、ある程度その金銭的な価値というものが明確になるんじゃないかなというふうに思うんですが、その他のもの、例えば、細かい話かもしれませんけれども、私が以前勤めていた会社では、やはり海外留学ということを企業サイドから推奨して行ってもらうということもあるわけですけれども、そういった際に、例えば帰国後何年間は辞められませんとか、帰国してから十年間はその代わりこの研究に没頭しなさいとか、そういうことがやっぱり付随されていることもあるんですよ。全ての企業とは言いませんけれども、大抵の私、大企業はそうだと思います。
 ただ、労働基準法の問題等もありますから、それを戻ってきて絶対辞めさせるということはできないんでしょうけれども、ただ、多くの日本人がやはり真面目ですから、そういう形で契約にあると、ちゃんと十年間は働かなきゃ、研究をもっともっとやらなきゃというふうに思うわけですよね。そうなってしまうと、やはり企業サイドにとって何となくこれは利益が大きくて、発明者サイドにとっては少ないというようなことも感じてしまうので、そういうことが私ないように是非お願いできればというふうに思います。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。最後の質問とさせていただきますが、ちょっと時間が足りないかもしれませんけれども。
 一九五九年に制定されました現行の特許法なんですけれども、産業の発達に寄与することを目的に、保護と利用のバランスを図って、発明を奨励するための法律なんですね。産業の発達のためには、発明は積極的に特許出願されて公開されることこそが重要だと。つまり、特許法の目的からいえば、ノウハウの秘匿というのは余り望ましくないんだろうというふうに思うわけです。
 今回の不正競争防止法、不競法では、一九九〇年の改正で規定された営業秘密の保護が民事、刑事双方の観点から強化されるわけです。その背景にありますのが、先ほどもお話出ていましたけれども、東芝とか新日鉄住金の営業秘密の流出事件ということになるわけです。東芝のNAND型フラッシュメモリーも、新日鉄の電磁鋼板ですね、問題になったのは、これも、実は十分に特許を取得さえすることができていれば、つまり秘匿化の道を選ばなかったら、出願公開によって、他企業が同一発明に対して重複な投資をするということもなかったでしょうし、このような問題を防ぐこともできたんじゃないかなというふうに思っているわけです。
 昨年の七月に知的財産戦略本部がまとめました知的財産推進計画二〇一四、こちらにおきましては、企業における営業秘密の扱いもオープン・アンド・クローズ戦略における重要な要素であると、企業等の競争力の源泉となる知的財産について、営業秘密として企業の内部に秘匿してブラックボックス化し、特許権と戦略的に使い分けることが重要だというふうにあるわけですけれども、特許を受けることができる発明まで不競法で民事上の保護を手厚くすればするほど、実は秘匿化へのインセンティブが高まっちゃうんじゃないかなというふうにも考えられるわけですね。そうすると、特許法と矛盾してくるというおそれがあろうかというふうに思うわけです。
 営業秘密侵害に対して刑事罰を強化するとかそれが起こらないようにするという、この辺に関しては私は賛成なんですけれども、民事的な手当てを厚く厚くしていってしまいますと、特許法との関係で逆に弊害が出てきてしまうんじゃないかなという心配も考えられるんですけれども、宮沢大臣はこの件についていかがお考えでしょうか。
#127
○国務大臣(宮沢洋一君) 恐らく、まさに特許法ができたときには、秘匿化するということについてはそれほど多くの企業が関心を持ったわけではない。
 ただ、例えばコカ・コーラのもとみたいな話は当然あるわけでありますけれども、それがやはり徐々に、特許の例えば問題点といったようなもの、出願後二十年は保護されるけれども、しかし、実際に特許が本当に有効に活用されるのが何年後かというと、結構長く時間が掛かるといったような問題等々あり、また、例えば鉄の場合でありますと、まさにスーパーハイテンというような鉄を造るノウハウといったものがどこまで特許になじんでくるのか、本当にぎりぎり守り切れるのかといったような問題等々恐らくあって、そういうものを含めてオープン・クローズ戦略というものが近年の大きな流れになってきているという中で、やはり特許は特許で薬を始めとして大変大きな役割をしているわけでありますし、一方、まさに営業秘密といったことで守っていかなければいけないものもありますし、また、今後の国際競争ということを考えたときにどっちの戦略を取るかというのもまさに企業戦略そのものでありまして、どちらがどちらというわけでもないけれども、ともかく両方守っていくということが恐らく大事なことで、ここで更にじゃ特許で守る期間を長くするかといえば、そういう考えも特に今持っているわけではないと、こういうことでございます。
#128
○松田公太君 ありがとうございます。終わらせていただきます。
#129
○中野正志君 次世代の党の中野正志でございます。
 以前、この委員会でも触れましたが、依然としてサイバー攻撃に関するニュースが目に付いております。日本年金機構の不正アクセスによる個人情報流出問題に続き、御存じのとおり、東京商工会議所でもほぼ同様の事案が発生をいたしております。非常にゆゆしき事態ではあります。
 しかし、私が懸念いたしますのは、発生した事案もさることながら、国会において関連する委員会の審議がストップするという事態であります。幸いに私たちの委員会では委員会審議拒否という愚行は発生していない、このことは強調はしておきます。本当に大変残念だなと思うのであります。
 関連の独立行政法人や公的機関へのサイバー攻撃による情報漏えい等が法案審議のストップにつながるということが慣例になれば、これからどんどんもうサイバー攻撃は止まらなくなります。当然であります。
 このような事態に対しては、国会議員が、与野党問わず、毅然とした態度で対応することが肝要である。是非、我々委員も、今後とも一致団結して委員会運営を行うべきであると。こういう事案が出てきたら、原因解明、全容究明と審議は別次元で考えていく、こういうことでないと困るわけでありますし、サイバー攻撃があったからといって国会はあたふたしない、もうそういうことでないと実は困るのでありますけれども、大臣、大変答弁しにくいと思うのでありますけれども、よその委員会のこととはいえ、こういうことについてどのようにお感じになられますか、またどういう御所見をお持ちですか、率直にお伺いをしたいと思います。
#130
○国務大臣(宮沢洋一君) サイバー攻撃につきましては、経産省といたしましても、当省及び所管独法などにおける攻撃の有無などの点検、また重要情報の適切な管理に係る対応等に努めておるところでございます。重要インフラを含めた民間事業者のサイバーセキュリティー対策についても、当省所管であります独法の情報処理推進機構、いわゆるIPAなどとも連携し、サイバーセキュリティー関連情報の収集、分析、対策ノウハウの情報発信や相談対応などを進めているところであります。
 そして、国会運営についてのお話がございましたけれども、国会運営につきまして政府として申し上げる立場にはございませんが、当参議院の経済産業委員会の運営に関しましては、委員長、理事また委員の皆様の御助力に大変心から感謝をしております。
#131
○中野正志君 いろいろな民間の方々からお電話やらメールやらいただいたのでありますけれども、日本の国会脅すにはミサイル要らぬ、サイバー攻撃すればいいと、こういう一言あったことも、それも一通や二通でないのであります。それぐらいに私たち日本の政治の劣化を懸念する声がそれなりにあったということも、私たち自身も反省をしなければならない、これは与党の皆さんも野党の皆さんも反省して掛からないと大変なことになるよということであります。
 はてさて、特許法及び不正競争防止法の改正について、もう言うまでもなく、我が国の経済産業にとって重要な法案の改正でありますし、委員各位の今までの質問からしても当然ではあります。
 大正十年の特許法改正以来、発明は発明者帰属が原則であります。今ここで使用者帰属、つまり、発明を企業側に帰属するという大変更について我が国にどのような経済的、産業的利があるのか。同時に、二〇〇四年の同法改正以降、現行法下では職務発明制度をめぐる訴訟はほとんどないにもかかわらず、本改正の時期と内容が今回に至った理由を併せてお聞きをしたいと思います。
#132
○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 知財をめぐる状況でございますけれども、経済のグローバル化、それからオープンイノベーションの進展でこの十年間大きく変化をしてきていると認識しておりますし、また知財戦略、これも重要性は増してきているというふうに思います。特に、近年、製品が高度化し、また複雑化して、一つの製品に数千にも及ぶ特許で構成されるような事態になってきていること、あるいは共同研究を始めとした企業間での知的財産の相互の融通、これに伴った権利関係が非常に複雑化してきていること、こういった状況の中で適切な知的財産管理というものがますます重要になってきているというふうに見ております。
 こうした環境変化を背景に、産業界から職務発明制度の見直しという要望が高まり、日本再興戦略などにおいても職務発明制度の見直しについての検討が明記されてきたわけでございまして、これを受けて、産業界のみならず、労働界あるいは学識経験者などを集めて産業構造審議会で一年以上にわたって検討を進めてまいりました。
 この改正する特許法案については、こうした検討を踏まえまして、権利の帰属がこういった状況の中で不安定とならないようにすると、このため、職務発明に係る特許を受ける権利を初めから法人帰属にするということを可能とする、これによって、企業が特許を円滑かつ確実に取得できるような環境整備を図り、結果として我が国のイノベーションが非常に促進されるということが可能になるというふうに見ております。
 さらに、政府が企業と従業者との間での発明のインセンティブの決定の手続に関するガイドライン、これを法定によって策定し、従業者との協議あるいは意見聴取などの在り方について明確化することで、発明者側にとっても納得感を高め、イノベーションの源泉である発明を一層奨励すると、こういった効果が狙えるというふうに考えているところでございます。
#133
○中野正志君 ええ、そうなんでありましょう。
 使用者である企業のメリットと従業員、発明者のインセンティブが両立するような職務発明制度の改善を目指す、その改正であると認識をいたしてはおりますけれども、この両者のベネフィットを満たす施策についてはどのようなことをイメージするのか、また具体的に想定されるケースをお聞きをしたいと思います。
#134
○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、企業とそれから従業者、発明者の双方にとってメリットとなるものをこの職務発明制度として目指したいと考えてございます。
 まず、企業のメリットでございますけれども、特許を受ける権利を初めから企業に帰属させることが可能となるということで、特許をまず円滑かつ早く確実に取得する、それによってスピーディーな知財戦略を組み立てることができるというふうに考えております。
 一つのケースでございますけれども、発明者たる従業者が職務発明で特許を受ける権利を勤務先の人以外の企業に、第三者に譲渡した場合、この第三者が勤務先企業よりも先に特許の出願をいたしますと当該勤務先企業が特許を取得できなくなるといったような事態、いわゆる二重譲渡のリスクというものが発生しております。今般の原始的に法人に帰属するという形によりまして、こういった問題については解消されることとなります。
 また、その従業者のメリットの方でございますけれども、職務発明をした場合に相当の金銭その他経済上の利益を受ける権利というものを保障いたしまして、発明報奨の選択肢というものを金銭以外にも広げるという柔軟性を確保することができたと思っております。具体的に想定されるケースといたしましては、従業者の希望に応じ、例えば金銭だけではなくて、留学の機会の付与などを発明の報奨とすることも可能になるというふうに考えているところでございます。
 以上です。
#135
○中野正志君 ちょっと細かい点で申し訳ありませんけれども、本改正は、特許制度小委員会でも議論されたように、発明は会社のものか社員のものかといった二者対立で考えるのではなくて、両者の信頼関係において我が国全体の経済と産業の発展に寄与してもらいたい、そういうことを踏まえた上であえて質問をいたしますけれども。
 一般的な見方では、やっぱり雇われる側、雇う側の関係において雇われる側の立場が弱いのではないかという考え方を持つ方は少なくありません。職務中とはいえ、自分の発明が企業に帰属してしまうという狭い視点で不安に思う方もいるかもしれない。
 その中で、今回の改正案ではその部分についてどのような工夫がなされているのか。続けて、もしも発明者が満足なインセンティブを企業側から受けられなかった場合、又はないがしろにされる可能性について発明者側が講じられる回避策、対抗策についてどのようなことが考えられるのか。二点、お伺いをしたいと思います。
#136
○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 まず、この改正法案におきまして、従業員側、発明者にとって相当の利益を受ける権利を保障して、かつ、これによりまして、現行の職務発明制度における法定対価請求権と実質的に同等の権利は保障するという形を法律上担保してございます。
 続いて、企業がガイドラインに従って手続を行った場合、従業者は、その基準の策定時のみならず、実際にその基準に沿って一定の相当の利益というものを具体的に企業側との間で決定する場合に従業者側の方の意見を反映させることが可能となると。したがって、金銭的な水準についても従業者の意見が反映されるような仕組みということを想定してございます。
 しかしながら、万が一従業者が満足なインセンティブを受けられなかったといった場合、例えば、企業が形式的にガイドラインに従っているように見えても、実質的には協議とかあるいは意見の聴取がされていないというような場合には、この改正特許法においてもその手順は不合理であるというふうに判断されますので、従業者は、与えられるべき相当の利益について裁判所、司法の判断を求めるというようなことまで可能となっておりますので、そういった形での言わば対抗措置というものも想定しているわけでございます。
#137
○中野正志君 不正競争防止法について質問いたしたいと思いますが、本改正案では、営業秘密侵害に係る罰金額の上限、個人については一千万円から二千万円、法人については三億円から五億円にそれぞれ引き上げることとしておりますけれども、この水準まで引き上げたという根拠は何なのでしょうか。また、この引上げによってどの程度の抑止力、今、安全保障でも抑止力強調されておりますけれども、この抑止力が強化されると期待されるのか、お聞きをしたいと思います。
#138
○大臣政務官(岩井茂樹君) 本法案においての一つのポイントというのが、営業秘密の漏えいに対してやり得を許さない、そして抑止力を向上させていくということにあります。
 そのために、営業秘密侵害罪の罰金の上限額について、個人は現行の一千万円から二千万円に、そして法人の場合は現行の三億円から五億円に引き上げた上で、さらに、昨今、我が国の企業の営業秘密が海外に漏えいをしている、また、その漏えいが与える我が国の経済そして雇用の問題へ悪影響が大変大きいということに鑑みまして、国外流出については更にそれぞれ、個人の場合で三千万円にする、そして企業の場合が十億円に加重するということになっております。つまり、重罰化をしているということであります。
 根拠ということでございますが、これらの金額につきましては、まずは我が国の刑罰法規上の個人、法人の最高金額がそれぞれ三千万円そして七億円とされているということ、そして、米国の運用基準上の最高額が二十五万ドル、一千万ドルとされていること等を踏まえたものであります。
 抑止力の効果、期待ということでございますが、一定の、この上限を上げることによって期待をできると思いますが、更に加えまして、本法案においては、罰金に加えまして、営業秘密を他者に売却することによって得た金銭といった犯罪収益を個人、法人共に上限なく全額を没収できることとしているということがありまして、これらが相まって、やり得の状況はなくなり、抑止力という効果も大変大きく期待できるのではないかと考えております。
#139
○中野正志君 我が国の経済、産業を支える中小・ベンチャー企業において、自社の営業秘密漏えいについては文字どおり死活問題であります。しかし、帝国データバンクの調査によれば、営業秘密の漏えい防止に関する取組をしている中小・ベンチャー企業は残念ながら約四七%、企業数で見れば二百万社近くの企業が対応できていないということであります。
 この現実を経産省、中小企業庁としてはどのように捉えるか、また今後、中小・ベンチャー企業にも自社の営業秘密漏えい防止に対する取組を促していく立場の役所としてはどのような策を講じていくのか、大臣の御所見をお伺いをしておきたいと思います。
#140
○国務大臣(宮沢洋一君) 委員御指摘のとおり、大企業に比べまして中小企業、特に小さな企業になればなるほど対策が講じられていないという傾向は否定できません。企業努力の結果獲得した営業秘密は、ライバル企業との差別化を通じた競争力の源泉であります。その漏えい防止についての現状については大変残念な現状でございますので、早急なてこ入れが必要だと考えております。
 このため、経済産業省といたしましては、本年、不正競争防止法による法的保護を受けるために必要となる最低限の対策を示した営業秘密管理指針の改定や、営業秘密の管理方法に関して弁護士などの専門家が無料で相談に応じる営業秘密・知財戦略相談窓口、いわゆる営業秘密一一〇番でございますけれども、の設置を行ったところでございます。
 さらに、今後、人事労務面や情報セキュリティーなど、実効的な管理方法を示す営業秘密保護マニュアルの策定、最新の営業秘密窃取の手口に関して官民で共有する官民フォーラムの開催といった取組を通じ、中小、またベンチャー企業の営業秘密管理の支援に力を尽くしていきたいと考えております。
#141
○中野正志君 残余は次でお願いをいたします。
 ありがとうございました。
#142
○荒井広幸君 荒井でございます。
 特許法の一部改正についてまずお尋ねしたいと思います。
 特許庁長官OBの方が、要旨を言えば三つ言っております。日本の職務発明は、将来的には社員と会社の契約内容に任せていくという方向が一番よいと思う、これが一点目。二点目、職務発明の議論の中心は、誰に帰属するかということではなく、発明者がやる気を出して仕事をし、その成果を世の中に役立たせてもらうためにはどのようなルールが最善かという観点だと思う。三番目、インセンティブの内容については当事者が具体的に議論すればいいのであり、法律でインセンティブの在り方まで規定するのはいかがかと思うなどのことの見解を問いかけております。
 大臣はどう認識されますでしょうか。
#143
○国務大臣(宮沢洋一君) 二点目の、職務発明の議論の中心は、誰に帰属するかということではなく、発明者がやる気を出して仕事をし、その成果を世の中に役立たせてもらうためにはどのようなルールが最善かという観点だと思う、これは全く異論がございません。
 ただ、一方で、まず、職務発明につきましては社員と会社の契約内容に任せていく、そして、インセンティブの内容についても当事者が具体的に議論すればいいのであり、法律でインセンティブの在り方云々というところは、やはりなかなか日本の社会にはまだなじんでいないのかなという気がいたします。
 まさにこれはアメリカのやり方そのものでありますけれども、アメリカにおいては発明者に取りあえず帰属するということ。一方で、基本的に、会社にその後帰属するわけですが、その間は当事者間の契約に任せるということは、やはり契約社会という、大変いろんなことが契約で行われているアメリカ、しかもローヤーがあれだけたくさんいる社会において成り立つ制度でありまして、なかなか日本のような国においては、これを今そのまま受け入れるというわけにはいかないという考えの下で今回のような法改正をお願いしていると、こういうことでございます。
#144
○荒井広幸君 各国でも違いがあるわけでして、我が国は実情に合わせてそのようにしているという御説明であろうというふうに思います。
 そこで、改正案では、相当の対価に代えて相当の利益ということになっているわけですね。この相当の利益に関する使用者側と従業員側の手続、これは後でガイドラインで大臣が決めると、こうなっているわけです。
 その際に重要だと思いますので一、二点お尋ねするんですが、特許出願の出願人内訳というんですか、出願人別内訳というんでしょうか、これを見てみますと、九七・二%。これは二〇一四年度になると思いますが、法人と官庁によるものが九七・二%だというんですね。大部分の出願が企業からの職務発明に基づいているというふうに想定されるわけです。
 特許を受ける権利を譲渡する場合の従業者に対する報奨について取決めを既に行っているのではないかと推察されるんですが、いかがでしょうか。
#145
○政府参考人(伊藤仁君) 委員御指摘のとおり、特許庁が実施したアンケートの結果によりましても、この取決めを有している企業は回答企業の九割を超えます。大企業のほとんどがこういったような取決めを持っているというふうに我々も認識しております。
#146
○荒井広幸君 では、改定や新たな取決めの策定のための作業を伴うケースが多いのではないかと思いますけれども、企業によっては、報奨の内容が改正後の相当の利益に対しても十分対応できるから、まあこのままでいいんだろう、既に準備して用意してこうやってやってきましたからと思っている向きもあると思うんですが、どう思われますか。
#147
○政府参考人(伊藤仁君) 今回の、相当の対価を金銭以外のインセンティブを含めた相当の利益に改めまして、そういったようなことをどう決めていくかの手続をガイドラインで明示することにしております。
 ガイドラインはこれから決めるものですので、それによりますけれども、これらの手続が、つまり、企業の中で行われた手続が新たに定められるガイドラインの内容を満たしているものであれば、現行のものが満たしているものであれば、改定といったような対応を講じなくても対応できるという可能性はあり得るというふうに考えております。
#148
○荒井広幸君 その場合、現在の取決めの妥当性はどういうふうに評価されるようになるのか。ガイドラインに照らし合わせるということだと思うんですけど、何らかのデメリット、例えば特許法三十五条に定める不合理性が払拭できず、相当の利益の内容をめぐってトラブルが生じたとき、ガイドラインとはまた別に、そういうトラブルが生じて初めて不利になるとか、そういうことはどうなんでしょうか。
#149
○政府参考人(伊藤仁君) 法律の改正後に職務発明規程を改定をしたかどうかにかかわらず、ガイドラインに沿ってちゃんと手順がガイドラインに沿ったものになっているかどうかによってその手続の適正性は判断されるということで考えております。
#150
○荒井広幸君 ここで、今はいわゆる特定企業が保護する、独占するという話が続いているんですが、福島第一原発事故の例でちょっと考えてみたいと思うんです。
 これだけの被害が出ている以上、とにかく住民の立場に立てば、企業も発明者も、特に除染技術や廃炉に係る技術、まだまだ確立していないわけですね、特に過酷事故というものに対して。こういう技術は、本当に悪戦苦闘して企業も、発明者といいますか研究者も取り組んでいただいているわけですが、これらは特定企業で独占するのではなく、みんなが早く安く、国にとっては安く、東電にとっても安く、それで生活者にとっては早く除染や事故の収束に貢献してもらいたいと思っているわけです。
 ついては、特許により権利を守るべきものと、オープンにして幅広い利用を促して、更に高みの技術、あるいは開発、あるいはオペレーションを含むマネジメント、こういったこともあり得ると思うんですが、そういうものをどのように峻別するか。守るべきものとオープンにするもの、こういうものはこの改正に当たっても議論したのではないかと推測するんですが、除染技術及び廃炉技術について、今例示をしましたので、どのような考え方をしているか、峻別についてお願いしたいと思います。
#151
○政府参考人(土井良治君) お答え申し上げます。
 一般的に、個別の企業が開発した新技術に関連する特許をオープン化するということは、その新しい技術の利用を促すことで市場を一挙に拡大し普及させようという際に取られる方策と理解しております。他方で、この前例のない福島第一原子力発電所の廃炉や除染のために新たに開発される技術に関しましては、福島第一原子力発電所の廃炉や除染のために特別に開発されることが通常であるというふうに理解しております。したがいまして、オープンにすることでその利用や関連する市場が即座に拡大するという性格のものではないとは思っております。
 ただ、既に、福島第一原子力発電所の現場には除染のための遠隔ロボット技術、多核種放射性物質を除去する技術など様々な新技術が導入されておりますけれども、これらは適切な開発者へのインセンティブの付与、それから東電による適切な利用が担保されること、そのような特許制度の下での技術の活用がなされることが基本というふうに認識しております。
#152
○荒井広幸君 それぞれ、そうはいっても、特許の範囲での貢献を期待すると、こういうことだろうというふうに思いますが、なかなかこれは難しいところかなというふうに思うんですね。
 それはなぜかというと、この間までお話を大臣ともさせていただきましたけど、やっぱりこういう過酷事故のときに、もちろん汎用技術、応用技術、それに当てはめられるという場合もそれは当然あるんだろうと思うんですけど、こういう人類未曽有の危機的な問題に対してやっぱりどう連携していくか。国境をまたいで、官民を超えて、こういったことは少し研究の余地があるんじゃないかなというふうに私はこの福島原発の事故で思っております。そういう感想を一つ申し上げておきたいと思います。
 役所の皆さんにも是非、いろんな意味で、先ほどありましたように、各国でどのような帰属にするかというのもあるように、やっぱり我が国が世界に言える、あるいは提案できるということでいうと、これは日本の特許なんといったら逆に縛るような話ですけど、考え方として、やっぱり世界中が協力するべきものは、オープンにするものというのはあるんじゃないかと。そういうもので救済していくという、人類に対する救済あるいは貢献のものというのはあるんじゃないかということを研究していただきたいと思います。
 不正競争防止法についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 また、特許庁のOBの方が、不正競争防止法から独立した営業秘密保護法が必要だと、そして、取締りを強化することが国家的な課題であって、まあ国際的に見ても二周遅れであると、こういったことを言われているわけです。新法を作れと、こういう積極的な発言をしているわけです。
 大臣にお尋ねしたいんですが、今回の法改正で、抑止力強化という観点からは米国や韓国とも遜色のない水準になるという見識であったかとは思いますが、改めて認識を問います。
#153
○国務大臣(宮沢洋一君) その二周遅れという御発言がいつの時点であったか存じ上げませんけれども、今回の法改正が実現した暁には、二周遅れは間違いなく解消できるというふうに思っております。
 例えば、処罰の範囲につきまして、米国やドイツなどにおいては未遂行為を処罰対象としているのに対して、今回の改正によって我が国も未遂行為を処罰対象といたしました。また、個人に対する罰金刑の上限については、米国の運用基準上の最高額が二十五万ドルということ、今回の法改正では最高三千万円ということでございますので、ほぼ同額に近い額。さらに、今回の改正では、米国やドイツなどにおいて認められている犯罪収益の没収を可能とする規定を創設しておりますけれども、韓国においてはこのような規定はございません。
 あえて申し上げますと、各国においては共謀罪といったものが導入されている国はあるわけでありますけれども、なかなか、我が国の刑法的な今までのことからいいますと、共謀罪というのは、正直まだ導入する素地というものが本件についてはできていないんだろうといったところは実は諸外国とは違っているところでありますけれども、ほぼ二周遅れは解消して、一部はもう前に出ているというのが今回の法改正だと自負をしております。
#154
○荒井広幸君 新法制定というようなことは考えていないと、こういうことですね。
#155
○国務大臣(宮沢洋一君) まさに営業秘密の保護ということが大変大事な法目的なので、新法を制定すべきという御意見があることは知っております。ただ一方で、現在の不正競争防止法にはいろんなものが対象となっておりまして、周知な商品等表示の混同惹起とか、著名な商品等表示の冒用とか、他人の商品形態を模倣する商品の提供とか、商品、サービスの原産地、品質等の誤認惹起表示云々、ドメインネームの不正取得等まで入っているわけでありますけれども、実は、営業秘密が大変大事だから、じゃ別法だというと、それ以外の部分、例えばブランドとかデザインとかいうところは、じゃ、そこまで保護が重要ではないかという意見がいろいろ出てまいりまして、まだいろんな議論の場で新法という話には至っていないというのが現状でございます。
#156
○荒井広幸君 どうやらまだ課題、あるいは整理して、問題点見ながら時期を見て考えると、こういうことかなというふうに理解をいたします。
 いずれにしても、遜色のない、むしろ優れているところもあるぞと、抑止力という意味で強化しているところもあるという水準を伺いましたが、これを運用するというのが非常に重要だと思うんです。
 そこで、警察庁にお尋ねいたします。
 とりわけ営業秘密の窃取に対し、警察がどのような捜査を行うのかは極めて重要です。今回の法改正を契機に、警察庁は営業秘密関連事案に関する捜査体制の強化拡充に努めるというものが必要ですし、いわゆる、これ何というんですかね、英語で言うと、まあ鑑識ですね、デジタル鑑識。何か英語ではフォレンジックと言うんでしょうか、まあ聞き慣れない名前ですけれども、鑑識というと、我々もテレビとかで見て、情報を集めたり、落ちているものを集めたり、それを分析して証拠性を明らかにしていくというようなことなんだろうと思いますが、このデジタル鑑識の強化を図ることも非常に重要だと思うんです。最近行われている不正アクセスなどもみんなそういう延長にあるんだと思いますが、そうした強化をしていく必要があると思いますが、どんな取組をしていくのか、警察庁の方からお願いしたいと思います。
#157
○政府参考人(島根悟君) お答え申し上げます。
 企業における競争力の源泉である営業秘密を不正な手段で領得、使用する行為は公正な経済活動を害する重大な犯罪と認識いたしております。この種事犯に対しましては、個々の捜査員に対する指導や教育を充実し実務能力の一層の向上を図るほか、事案に応じまして関係する部門による必要な体制を構築して捜査を進めているところであります。
 また、この種事犯の中には、営業秘密がデータで流出し、捜査において高度な技術的知見が必要とされた事例もございまして、いわゆるデジタルフォレンジックの強化が必須と考えているところであります。このため、警察庁に専門の技術解析センターを設置し、また解析に係る研修、訓練を実施するなど、その強化を図っているところであります。
 この種事犯におきましては被害者である企業との連携が不可欠でありますが、企業側の営業秘密保護に関する意識の高まりや管理体制の充実が図られつつあることを踏まえ、今まで以上に企業等との連携を図りつつ、捜査力の更なる向上に努めまして営業秘密侵害事犯の取締りを徹底してまいる所存であります。
#158
○荒井広幸君 二十年前になりますか、村山総理当時、超党派でNEW―WIC議員連盟というのをつくって、それはどういうものかというと、当時は情報スーパーハイウエー、アル・ゴアさんが、副大統領がまだ情報スーパーハイウエーと言っていたところで、インターネットという定まりというか、そのネットワークを含めて技術の確定はしていなかったんですが、そういうスーパー情報ハイウエー時代に、実はいち早く国会の中では超党派で、これの利活用とともにセキュアな社会をつくろうというので、いわゆるセキュリティー対策というのは行っていかなくてはならないんじゃないかという提案、答申を、国際会議なども通じましてこれらを提案をしたんです。
 そういう時代から、やはり案の定といいますか、やっぱりなかなかこういうものは難しいなと。必ずそういったものが悪用されるし、どんどん不正アクセスというようなことも起きてくるということですので、当時も警察が、それは場所は言わないでくださいなんというのは一時ありましたけど、今のようないわゆるネット上の捜査班を都内のどこに置いてあるかという話があって、それ言わないんじゃ駄目だ、視察に行けないだろうなんというような話もあったんですが、ますます、その特別チームというものをどうつくるか、今までもやってきてこの申し訳ないですけど状況なんですから、しっかり検討、そして運用、人材も育てて対応していただきたいと思います。
 終わります。
#159
○委員長(吉川沙織君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#160
○委員長(吉川沙織君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 特許法等の一部を改正する法律案及び不正競争防止法の一部を改正する法律案の審査のため、明十九日午後一時に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#161
○委員長(吉川沙織君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#162
○委員長(吉川沙織君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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