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2015/07/02 第189回国会 参議院 参議院会議録情報 第189回国会 経済産業委員会 第21号
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2015/07/02 第189回国会 参議院

参議院会議録情報 第189回国会 経済産業委員会 第21号

#1
第189回国会 経済産業委員会 第21号
平成二十七年七月二日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月三十日
    辞任         補欠選任
     石上 俊雄君     安井美沙子君
 七月一日
    辞任         補欠選任
     林  芳正君     二之湯武史君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉川 沙織君
    理 事
                磯崎 仁彦君
                滝波 宏文君
                宮本 周司君
                加藤 敏幸君
                倉林 明子君
    委 員
                阿達 雅志君
                岩井 茂樹君
                高野光二郎君
                二之湯武史君
                松村 祥史君
                渡邉 美樹君
                小林 正夫君
                直嶋 正行君
                安井美沙子君
               佐々木さやか君
                浜田 昌良君
                東   徹君
                松田 公太君
                中野 正志君
                荒井 広幸君
   国務大臣
       経済産業大臣   宮沢 洋一君
   副大臣
       経済産業副大臣  山際大志郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        奥井 俊二君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(吉川沙織君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、石上俊雄君及び林芳正君が委員を辞任され、その補欠として安井美沙子君及び二之湯武史君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(吉川沙織君) 特許法等の一部を改正する法律案及び不正競争防止法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案に対する質疑は既に終局しておりますので、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#4
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 私は、日本共産党を代表し、特許法等の一部を改正する法律案及び不正競争防止法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 特許法等の一部を改正する法律案は、職務発明に係る特許を受ける権利の原始的な帰属先を発明を行った従業者から使用者へ百八十度転換しようとするもので、容認できません。
 そもそも、二〇〇四年の法改正が適用される事件の発生もほとんどなく、法改正を行わなければならない立法事実はありません。にもかかわらず、経団連を始めとする産業界からの長年の要請に応えた本法案は、発明者のインセンティブをそぎかねず、優れた発明を生み出す環境の後退ともなるものです。
 同時に、発明の対価について、これまで相当な対価としてきたものを相当な利益と変更することは、従業者と使用者の間に圧倒的な力関係がある下で、発明者への報奨水準を後退させる危険があるものです。さらに、大学等研究機関の研究者にとって自由な研究継続を阻害しかねない問題があることを指摘しておきます。
 不正競争防止法の一部を改正する法律案に反対する第一の理由は、非親告罪化が営業秘密侵害を口実とした捜査当局の過剰な介入を引き起こすおそれがあるからです。
 非親告罪化により、警察や検察の独自捜査が可能となることで、捜査や裁判の過程で被害企業の意に反し営業秘密が流出する危険性が高まります。また、労働者の日常業務や労働組合活動、内部告発などの当然の権利の萎縮や、役職員の転職、退職を制約しかねません。憲法が保障する職業選択の自由にも関わる重大な問題であり、見過ごすことはできません。
 第二は、未遂行為に対する処罰の拡大が、実行の着手の解釈によっては処罰の対象を不当に拡大するおそれがあるからです。営業秘密侵害罪に対しては既に他の経済犯罪や企業犯罪の重い量刑が科されており、更なる罰則強化は罪刑の均衡を逸することとなります。
 第三は、営業秘密侵害行為を受けた企業の立証負担の軽減策として、被告企業に対する推定規定の創設が、被告の反証を困難にするだけでなく、正当な事業活動を行う企業が濫用の被害者となる危険があるからです。
 また、更なる厳罰強化を進める新法の制定を求める動きがあることは重大です。権力が市民社会を監視する米国の経済スパイ法のような新法は目指すべきではありません。本来、営業秘密を守る責任は企業にあります。営業秘密流出の背景には、電機産業に代表されるような大規模リストラや、下請事業者の知的財産を親事業者が奪い取るような下請いじめを改めることこそ抑止効果を高めることにつながることを指摘し、反対討論といたします。
#5
○委員長(吉川沙織君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、特許法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#6
○委員長(吉川沙織君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、加藤敏幸君から発言を求められておりますので、これを許します。加藤敏幸君。
#7
○加藤敏幸君 私は、ただいま可決されました特許法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、維新の党、日本を元気にする会・無所属会、次世代の党及び新党改革・無所属の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    特許法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 職務発明制度の見直しについては、従業者等と使用者等の双方の発明のインセンティブの向上という本見直しの必要性、目的を含め、本改正内容について広く国民に対し周知徹底を図るとともに、特に中小企業における職務発明規程の整備に係る相談・支援体制の充実を図ること。
 二 職務発明制度に係る相当の利益については、現行の職務発明制度における法定対価請求権と実質的に同等の権利であることが保障されるとともに、企業による従業者等の研究開発に係るインセンティブを高めるための創意工夫がいかされるよう経済産業大臣が定める指針において具体例等を例示すること。また、同指針の策定に当たっては、産業構造審議会等の構成員として、労使代表を始め幅広い関係者を参加させるとともに、職務発明制度に係る苦情処理の在り方等について明示するなど、企業の予見可能性と従業者等の処遇との均衡を図るための適切な措置を講ずること。さらに、今後の経済社会情勢の変化等を踏まえ、従業者等のインセンティブへの影響など本法の運用状況について適宜調査・検証を行い、必要に応じ見直しを行うこと。
 三 特許料等の引下げ及びPCT国際出願の料金体系の見直しについては、特許権等の取得・維持に係る中小企業・小規模事業者等の負担軽減が我が国企業の国際競争力及び知財戦略の一層の支援強化を図る上で重要であることに鑑み、附則の見直し期間にかかわらず施行状況を見つつ、適宜検討・見直しを行うこと。
 四 知的財産の裾野を拡大する観点から、中小企業の知的財産活動を支援するため、「知財総合支援窓口」の一層の強化拡充を図るとともに、海外展開を指向する中小企業の知的財産の権利化及び模倣品対策に係る支援策の更なる強化を図ること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#8
○委員長(吉川沙織君) ただいま加藤敏幸君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#9
○委員長(吉川沙織君) 多数と認めます。よって、加藤敏幸君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、宮沢経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。宮沢洋一経済産業大臣。
#10
○国務大臣(宮沢洋一君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。
#11
○委員長(吉川沙織君) 次に、不正競争防止法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#12
○委員長(吉川沙織君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、加藤敏幸君から発言を求められておりますので、これを許します。加藤敏幸君。
#13
○加藤敏幸君 私は、ただいま可決されました不正競争防止法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、維新の党、日本を元気にする会・無所属会、次世代の党及び新党改革・無所属の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    不正競争防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 営業秘密侵害行為に対する抑止力の向上を目的とした本法が実効性の高いものとなるよう、関係省庁間及び官民の緊密な連携を図るとともに、捜査当局においては、適確かつ迅速な取締りを行うために十全な体制の強化・拡充に努めること。また、今後の技術革新、諸外国の制度動向、経済社会情勢の変化等を踏まえ、「営業秘密管理指針」を含む営業秘密の保護の在り方等について不断の検証、見直しを行うこと。
 二 今般の改正が広範多岐にわたること等を踏まえ、本法の内容や意義について、広く国民に周知徹底を行うこと。特に、営業秘密侵害に対する刑事罰の強化に当たっては、事業者及び労働者の間に疑念や過度の萎縮が生じることのないよう、刑事罰の対象となる具体的行為類型を明確にするとともに、事業者及び労働者の日常業務や正当な行為が処罰対象とならないことを指針等によって明示し、その趣旨・内容について、事業者及び労働者双方に周知を図ること。また、企業内における営業秘密の取扱いについて、労使間の協議等により理解の促進が図られるよう努めること。
 三 中小企業の技術が我が国産業競争力の源泉であることを踏まえ、中小企業の保有する営業秘密が不当に流出することのないよう、営業秘密の流出防止対策を強化するとともに、オープン・クローズ戦略を始めとする知的財産戦略について普及啓発を推進し、相談体制の充実等の支援を行うこと。
 四 営業秘密を始めとする知的財産の重要性に鑑み、アジアを中心とした新興国に対して、営業秘密侵害行為に関する取締り強化を積極的に働きかけること。また、新興国における営業秘密保護法制の早急な確立を促すための人材育成等に向けた支援を強化すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#14
○委員長(吉川沙織君) ただいま加藤敏幸君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#15
○委員長(吉川沙織君) 多数と認めます。よって、加藤敏幸君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、宮沢経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。宮沢洋一経済産業大臣。
#16
○国務大臣(宮沢洋一君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。
#17
○委員長(吉川沙織君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○委員長(吉川沙織君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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