くにさくロゴ
2015/08/27 第189回国会 参議院 参議院会議録情報 第189回国会 農林水産委員会 第18号
姉妹サイト
 
2015/08/27 第189回国会 参議院

参議院会議録情報 第189回国会 農林水産委員会 第18号

#1
第189回国会 農林水産委員会 第18号
平成二十七年八月二十七日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 八月二十五日
    辞任         補欠選任
     野田 国義君     小川 勝也君
     横山 信一君     平木 大作君
 八月二十六日
    辞任         補欠選任
     阿達 雅志君     馬場 成志君
     高野光二郎君     堀井  巌君
     山口那津男君     新妻 秀規君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山田 俊男君
    理 事
                野村 哲郎君
                山田 修路君
                徳永 エリ君
                紙  智子君
    委 員
                金子原二郎君
                小泉 昭男君
                古賀友一郎君
                中泉 松司君
                馬場 成志君
                堀井  巌君
                舞立 昇治君
                小川 勝也君
                郡司  彰君
                柳澤 光美君
                柳田  稔君
                新妻 秀規君
                平木 大作君
                儀間 光男君
                山田 太郎君
   衆議院議員
       修正案提出者   村岡 敏英君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       農林水産大臣   林  芳正君
   副大臣
       農林水産副大臣  小泉 昭男君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       中川 郁子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        稲熊 利和君
   政府参考人
       農林水産省経営
       局長       奥原 正明君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(山田俊男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、野田国義君、横山信一君、山口那津男君、阿達雅志君及び高野光二郎君が委員を辞任され、その補欠として小川勝也君、平木大作君、新妻秀規君、馬場成志君及び堀井巌君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(山田俊男君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案の審査のため、本日の委員会に、農林水産省経営局長奥原正明君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(山田俊男君) 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案を議題とし、内閣総理大臣に対する質疑を行います。総理、本日の御出席、大変ありがとうございます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○徳永エリ君 皆さん、おはようございます。民主党・新緑風会の徳永エリでございます。
 今日は、二十分時間をいただきましたので、総理に御質問をさせていただきたいと思います。
 私は、農林水産委員になって初めて憂鬱な朝を迎えました。こんな憂鬱なことはありません。多くの問題を残したまま、ついに誰も賛成しないこの改正法案の採決が行われることになったからであります。与党の先生方がどう対応されるか分かりませんけれども、この法案が成立することになってしまったら、日本の農業の未来に大きな禍根を残すことになると、私はそう思っております。
 総理は、この法改正について、農協の皆さんに最終的には理解をしてもらったとおっしゃっているようでございますが、果たしてそうでしょうか。大きな権力の前にどうしても守らなければならないものがあって、そのために譲るということもあるのではないでしょうか。例えば、政府が、全中、県中の指導、監査が単位農協の自由を束縛しているということを法改正の理由として挙げておられましたが、その点について、北海道の単位農協の組合長さんの声を一部御紹介させていただきたいと思います。
 全中の監査は、戦後、統制経済から自由経済への移行の過程で悪化した各単位農協の経営を健全化するために経営指導・監査が行われてきました。現在でも、根拠法の基本となる農協法及び関係法令の法的な制約を遵守し、農協業務が適正に遂行されるために必要な業務補助として行われており、単協の経済活動を拘束しているとは考えておりません。自由な経済活動が抑えられているといったことは全くありません。逆に、こういった事業をやりたいといった場合の法律的な問題や進め方のアドバイスを受けたり、先進地の事例を教わったり、身近な相談部署として協力をいただいております。そもそも協同組合は、経済的弱者が自主自立の精神の下、自由に組織されたものであり、総会や理事会で組合員がこうしたいと考えたことは実現してあげられるよう努力をしています。それは当たり前ですが、中央会もホクレンも信連も共済連も同じ考えだと思います。役員も職員も組合員から選ばれたり組合員に雇われているわけですからという御意見であります。
 ごくごく一部ですが、ほとんどの組合長さんが、この法改正には何の根拠もないとおっしゃっているわけであります。
 そして、この農協法の審議の過程で、現場にはどんどんどんどん不安と不信感が広がっております。
 一昨日の委員会で、我が党の郡司委員が資料を出しておられましたが、七月十四日の日本農業新聞が行った安倍政権の農政に関する意識調査では、政権発足から最低となる三六%でした。不支持は六一%。不支持が支持を二〇ポイント以上も上回ったということであります。安倍内閣の農政を評価しない、どちらかといえば評価しないを合わせて七五%ということであります。
 安倍農政に対する不満がこの数字に表れているのではないかと思いますが、総理、この数字を受けてどのような御感想をお持ちになりますでしょうか、お伺いいたします。
#7
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 御指摘の記事は、調査対象の属性が必ずしも明らかではございませんが、日本農業新聞による読者モニターへの意識調査の結果に関するものと承知をしております。
 我が国の農業の活性化は待ったなしの課題であり、安倍内閣においては、農業の成長産業化を図るため、農地集積バンクの創設、輸出促進や六次産業化の推進などの農政改革を進めてきたところでございます。さらに、今般、意欲ある農業の担い手がより活躍しやすい環境となるよう、農協、農業委員会、農業生産法人の三つの改革を一体的に行うこととしたわけでございます。
 こうした改革を進め、消費者ニーズに応えた強い農業をつくり上げていけば、農業の可能性は広がり、農業の所得も増えていくものと考えております。若者が自らの情熱で新たな地平を切り開き、強い農業と美しく活力ある農村を実現できるようになると確信をしております。
 こうした改革について農業者を始め皆様に御理解をいただけるように、法案が成立した暁には、現場に対して更に丁寧に説明をしていく考えでございます。
#8
○徳永エリ君 衆議院、参議院の農林水産委員会、二十四時間ずつ審議をいたしました。それから地方公聴会、参考人質疑、多くの公述人の方々、参考人の方からも御意見を賜りましたけれども、ほとんどの方が反対あるいは慎重な立場なんです。
 先ほど申し上げましたように、農協の皆さんも総理がおっしゃるように理解はしていないと思います。だとしたら、この改正法案は一体誰のための法案なのか、これが成立したら誰が喜ぶのか、その点を総理にお伺いしたいと思います。
#9
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もう既に農業人口の中における高齢化は進んでいるわけでありまして、平均年齢は六十六歳を超えているわけであります。まさに農業、農協の改革は待ったなしであり、このままでいいと思っている方はおられないんだろうと、こう思うわけであります。
 地域農業を活性化させるためには、地域農業を牽引する担い手が活躍しやすくなるようにしていくことが必要であり、農業者にとって身近な存在である農協や農業委員会が、その本来の役割を十分に発揮できるように見直すことによって、担い手が活躍しやすい環境をつくり出すのが今般の法改正の目的であります。
 衆議院、参議院の地方公聴会、参考人質疑の中で、農業の担い手の方々からは、農協は農協離れが進んでいる大規模農家や担い手の期待に応えられるような事業運営を行ってほしい、あるいはまた、農協が農業者の所得向上に全力で取り組むことを強く期待しており、農産物の販売や営農指導などに積極的に取り組んでほしい、そしてまた、農業委員は名誉職となってしまっているので、現場の生産者がなれるようにしてほしい、また、農業委員会には、農地所有者のためではなく農地利用者のための組織となってほしいなど、農協や農業委員会の改革を強く求める意見があったと聞いております。
 今回の改革はこのような担い手の思いに応えて行うものでありますが、担い手が創意工夫を発揮をし、自由な経済活動を行うことができるようになれば、小規模な家族経営も含めて地域農業全体の発展が図れるものと考えております。
#10
○徳永エリ君 確かに、総理、改革は必要だと皆さんおっしゃっているんです。でも、例えば農協の場合は、自己改革案をちゃんと提示しているわけですから、農協が農家の皆さんの声をしっかりと受け止めながら、あるいは次世代を担う若い農業者の方の声を受け止めながら自己改革をしていくべきだと。例えば、農家の所得を向上するとか強い農家をつくっていくとか、自由な活動ができるようにとおっしゃいますけれども、この法案の中には具体的にその方策が全く示されていないじゃないですか。いかがですか。
#11
○国務大臣(林芳正君) 累次この委員会でも議論をさせていただいてきておりますが、そういう環境を整備するために地域農協がそれぞれ自由に活動しやすい状況をつくっていこうと、こういう制度でございます。
 もとより、私からも御答弁を差し上げたことがあると思いますが、今回の改革によって必要条件として整備をされるわけでございますけれども、その中でどうやって所得を向上させていくのかというのは、安倍内閣になりまして、攻めの農政ということでいろんな需要、供給、バリューチェーンとやってきた、それぞれの政策を現場で最大限に生かしてもらう、その中で地域の特色を生かしてやっていく、ここに所得の増大が見えてくるものと、我々はそういうふうに期待をしておるところでございまして、この農協等の言わばプレーヤーの改革もそれに資するものだと、そういうふうに考えておるところでございます。
#12
○徳永エリ君 どうしてこの法案に対して反対なのか、慎重なのかという理由でありますけれども、やはりこの法案の作成のプロセスに対する不信感なんだと思うんですね。
 この委員会の審議の中でもいろんな委員から意見がありましたけれども、今回の改正法案は、米国商工会議所、総理の諮問機関である規制改革会議、つまり日本の財界とアメリカの財界、それから農林水産省の農家寄りではなくて財界寄りになってしまった新自由主義官僚の方々が、いわゆる官邸の権力を使って企業の農業参入の促進と農地所有を実現させるために改革を行おうとしていることは、もう皆さん気が付いています。
 この改正案には、何度も言いますけれども、今まで頑張ってきた農家の皆さんの声というのが全く反映されていません。総理御自身も、昨年の一月二十二日ダボス会議で演説され、民間企業が障壁なく農業に参入し、作りたい作物を需給のコントロール抜きに作れる時代がやってくるとおっしゃっています。これ主語、民間企業なんですね。改革の主役は企業だとおっしゃっているわけですよ。そして、その企業の参入障壁というのが農協であり、農業委員会であり、そして農地法だと。ですから、この三つの改革を一体的にやるということであります。
 だとすれば、総理、法改正の目的を、農家所得の向上のためとか、農業を強くするためとか、やる気のある農家をつくるということではなくて、本来の目的は農協、農業委員会の弱体化であり、企業の農地買収を進め、企業が農業の分野を新たにビジネスチャンスにすることが本当の法改正の目的だとはっきり言っていただいた方が現場は今後しっかり対応していけるのではないでしょうか、いかがですか。
#13
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私も、また林農林水産大臣もそうでありますが、地元は農村地帯であります。しかし、今のままではだんだん担い手は減少していくわけでありますし、農業、農地を受け継いでいく若者も残念ながらいない状況になっていく、これは地域の崩壊につながっていくという強い危機感を持っているわけであります。その中で、何としても、農業が未来ある分野である、そう若い人たちに思ってもらえるような、そういう農業に変えていかなければならないという強い危機感の中で今回の改革を行うわけであります。
 決して、今、徳永委員が御指摘になったように、企業が買収しやすいようにするということが目的ではなくて、言わば、例えば担い手の皆さんが企業という形を取る、あるいはまた企業と一緒にコラボをしていく、そして企業が今まで果たしてきた効率化、生産性を向上させるというそういう効果も十分生かしながら農業を活性化させていきたいと、こういうこともあるわけでありまして、今回の法案は、地域農業を発展させるためには地域農業を牽引する意欲ある農業の担い手が活躍しやすい環境を整備する必要があるため、農業に関連する経済主体である農協、農業委員会、農業生産法人の三つの改革を具体的に行うわけでございます。
 具体的には、農協については、地域農業を牽引する担い手が理事の主たるメンバーとなることなどにより、農産物の有利販売や安価な生産資材の提供に全力を挙げ、農業者の所得の増大を図る。農業委員会については、地域農業を牽引する担い手が農業委員の主たるメンバーとなることなどにより、農地の集積、集約等を進め、生産コストの引下げを通じて農業者の所得の増大を図る。農業生産法人については、農作業に従事する役員や構成員の要件を緩和することにより、現に農業生産を行っている農業生産法人が六次産業化を進めやすくし、法人の農業所得の増大を図るものであります。
 したがって、今回の法改正の目的は、参入企業のビジネスチャンスの拡大ということではないわけであります。
#14
○徳永エリ君 先ほどの農地の問題ですけれども、三月三日の第十二回国家戦略特別区域諮問会議で竹中平蔵議員が、農業生産法人の出資要件緩和というのは岩盤規制の一丁目一番地でやはりどうしても欠かせないと思います、農業生産法人の要件の話、これは農業そのものではありますけれども、それ以上に改革に対する日本の本気度を見るリトマス試験紙みたいに見えているところが少なくとも海外の投資家からはあると発言しています。企業の農地買収、海外の投資家の話までしているわけですよ。
 これ、戦後の日本の民主化、GHQの行った五大改革の一つが経済機構の民主化、それから財閥の解体と農地の改革であります。国が地主から農地を強制買収して小作人に極めて安く売ったと、その結果、小作地は減少して地主階級は消滅、旧小作農の経済状態が著しく改善されました。農業生産力も向上につながって、その改革の成果を維持していくために昭和二十七年に農地法が制定されたわけであります。
 今回のこの法改正によって、農地が企業に買収されるというようなことが現実に起こってしまったら、これは現代版の地主と小作農の復活ではありませんか。
#15
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 戦後の民主化の一環として行われた農地改革は、戦前の不在地主による土地所有を解体し、小作人に農地を売り渡して自作農を創設したものであります。
 その後、高度経済成長などの経済、社会の変遷を受け、農地政策の課題は、農業者が減少する中で農業の生産性を高めるために農地を流動化させ、担い手に集積、集約化することが課題となったわけであります。そのための手法として、販売方式だけでなくリース方式が重視され、農地集積バンクもリース方式を基本としているところでありますが、戦前とは異なり、賃料水準がそれほど高いわけではなく、貸し手が借り手を支配するような状況にはこれは全くないわけであります。
 一方、今回の農地法改革は、農地のリースではなく、農地を所有できる法人である農業生産法人の要件について、農業者以外の議決権要件等を緩和することにより、六次産業化を進めやすくするものであります。今回の見直しを行っても、農業者以外の議決権は二分の一未満に制限され、農業者が法人の経営を支配していること、法人は農業を行うことが義務付けられていることから、戦前の不在地主による農業支配のようなものが復活することはないと、このように確信をしております。
#16
○徳永エリ君 戦前と同じとは言いませんけれども、農業、農村に企業が入ってきて農地を買収して、そして農業経営を行う、そして農業に従事する人は給料で雇われる一労働者という形になれば、現代版の小作農と言っても私は過言ではないというふうに思っております。
 とにかく、その不安が払拭されるような答弁を委員会の審議の中でいただけませんでしたので、これからもしっかり見ていきたいというふうに思っております。
 それから、農業協同組合は、弱肉強食の資本主義経済に、自主自立の精神の下に力の弱い者が協力し合って、助け合って対抗するものです。そして、農協は、農業者のための農協であると同時に、農村地域のための農協であり、企業のようにうまくいかなくなったら撤退するというわけにはいかないんです。農業と農村に責任を持って、その使命を果たしてきました。農家や地域の要望に応える形で、信用、共済事業だけではなく、採算の取れない病院や高齢者施設、ガソリンスタンド、修理工場、地域に必要な生活インフラを支えてきたわけです。
 今回の法改正では、農協事業を株式会社や生協、社会医療法人などにできる規定が入っています。委員会の審議の中でも、この農協が担ってきた地域のインフラが消滅することは、命や暮らしに関わる問題であり、多くの地域の雇用も失われます。そして、農村のコミュニティーの崩壊につながりかねないことを多くの委員が本当に心配して何度も何度も質問していました。
 総理は、農業と地域の暮らし、どちらも支えてきた農業協同組合の役割の大切さを果たして理解しておられるのか。それから、この法改正によって農村コミュニティーが崩壊することに対する懸念というのは総理にはないのでしょうか。
#17
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日本という国は、古来から瑞穂の国と、こう言われてきたわけであります。朝早く起きて額に汗して田畑を耕し、水を分かち合いながら、みんなで五穀豊穣を祈ってきたわけであります。誰か病気になった人がいれば、みんなで米を持ち寄りながら助け合ってきた。これが日本の言わば瑞穂の国としての麗しい姿ではないかと、こう思うわけであります。こうした共助の精神が地域の農協に生きているわけでありまして、地域の農協がもっと頑張れるようにしたいと思っているわけであります。
 農協は、昭和二十二年の農協法制定以来、均質な農家組合員の協同活動を行うことにより、農産物販売や生産資材の購入などに大きな役割を果たしてきたわけであります。また、過疎化、高齢化等が進行する農村社会において、地域のインフラとしての側面を持っているのも事実であります。
 しかしながら、食料需給が不足から過剰基調となり、農業者も多様化するなど、社会経済情勢が変化する中で、農協は、農業者、特に担い手のニーズに十分に応えられず、農産物販売などの事業シェアも低下傾向にあるわけであります。
 このため、今回の改革では、農協が農業者の協同組織であるという原点に立ち返って、そこが大切なところなんですが、担い手を中心とする農業者のニーズに応えて、農業者の所得向上を図ることができるよう、農協システム全体の見直しを行うこととしております。
 この改革を通じて、農協には農業者が十分なメリットを受けられるようにした上で、地域のインフラとしての機能を果たしていただきたいと考えているものでありまして、農村コミュニティーの崩壊といった御指摘は当たらないと思います。
#18
○徳永エリ君 今の御答弁を聞いていて、農村や農村コミュニティーがこの法改正によって崩壊するということを総理は全く心配しておられないんだということがよく分かりました。
 最後に申し上げますけれども、この法改正は、成立後に政省令で決めることが余りにも多過ぎるんですね。五年後の見直し、できる規定、それから五年間調査、検討して結論を得るなど、五年後、農協、農業委員会、それから農地あるいは農村がどうなっているのか、本当に考えるとぞっとします。これからもしっかりと委員会で審議をしながら、私たちはしっかりと農業、農村を守っていきたい。そして、この改正法案に関しては、本来であればこんな法案は廃案にするべきだと、絶対に反対だということを申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#19
○平木大作君 公明党の平木大作でございます。
 ここ参議院農林水産委員会におきましても、今日も入れれば二十四時間、大変濃密な審議を進めさせていただきました。もう本当に待ったなし、このままでは農業がなくなってしまう、そういう時代の転換点において、これまでやったことのない、まさに空前絶後の大改革、この議論に私も一席をいただいた、参加させていただいたことを強く誇りに思います。
 これまで、ここ参議院においてこの議論を進めてくる中で、やはり一番の主眼というのは、これからまさに改革の主体になって、主役になって取り組んでいただく地域農協の皆様や農業委員会の皆様、こういった方たちの不安をいかにして取り除いていくのか、一つ一つ、これをこれまでの審議の中で確認をさせていただいたわけでございます。
 農協法の改正案というのが、決して今ある総合農協という在り方を解体を強制するものではないんだということ、あくまでも経営の選択肢を示したということ、また、准組合員の利用の実態の調査についても、結果ありきではなくて、しっかりと地域の皆様の利用の在り方、農協との関わり方、こういったものも含めて調査をしていただくということ、こういった点を確認させていただきました。
 また、農業委員会の在り方につきましては、選任の在り方が大きく変わってくるわけでありますけれども、その中でも、しっかりとプロセスにおいて透明性、公平性、こういったものを確保していただいて、地域の代表という、こういった性格を損なわないようにするんだ、質疑の中でるる御確認をいただいたわけでございます。
 また、今回は参考人質疑二回行いまして、また地方公聴会も行われました。こういった中では、さらに現場で農業に取り組んでいらっしゃる皆様ですとか、そういった方も交えて率直な意見交換ができたというふうに思っております。
 この中では、このままでは自分たちの農業、本当にもうやっていけないんだという、そういう率直な思いを吐露していただいた。その中において、ある意味自分の次世代につないでいける、そういう農業をつくるにはどうしたらいいのか、このままではいけないんだ、農協も変わっていかなければいけないし、またそのための農地も、貴重な農地もしっかりと維持してまた次世代につないでいかなきゃいけないんだ、こういう思いをぶつけていただいたわけでありまして、その意味では、御不満ですとか不安な点、こういった声もあったわけでありますけれども、同時に、この危機感を共有して、ある意味国と政府と現場が一緒の方向に向かってこれから頑張っていかなきゃいけないということを改めて質疑の中で確認をさせていただいたというふうに思っております。
 今回、なかなか現場の皆さんにはまだまだ不安の声また不満な声、こういった声もあるわけでありまして、しっかりとこの改革案について御理解をいただかなければいけない。そのために、やっぱり納得をしていただくということが第一歩であるというふうに思っております。改めて総理の方から、農協改革、今回何を目指してこの改革を取り組むのか、現場の農業者の皆様ですとかJAの皆様、是非分かりやすい言葉で語っていただきたい。
 また、あわせて、今回、この政府の農政改革、今取り組んでいる大きな改革の中では、例えば大規模化ですとか、あるいは集約、また異業種から、あるいは株式会社の参入といった、こういういわゆる産業政策的な側面がどうしても注目されやすいというところがあります。その中において、家族経営を中心としたこの日本の農業の担い手の皆様の中には自分の将来像がなかなか描けないという声もあるわけでありまして、今まさに描いているこの日本の農業の将来像の中で、じゃ、農協というのは一体どういう位置付けであるのか、これ併せて総理からお答えいただけたらと思っています。
#20
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我々も、今まで農協が果たしてきた役割、これは評価をしております。しかし、農協が設立をされてもう随分時間が経過をしたわけであります。その中で、果たして現在のこの状況に合っているのか、あるいはこれから新たな農業をつくっていく上において今のままでふさわしいのかどうかということを考えれば、やはり改革をしなければならないという結論に至ったわけであります。
 そして、それはむしろ農業者の皆さん、農村の皆さんや農協の皆さんと一緒になって新しい農業をつくっていくための改革でなければならないと思います。もちろん改革には、新しいことをやるわけでありますから不安もあるんだろうと思います。そうした不安の声を丁寧に拾いながら、我々はより良い改革としていきたいと考えているわけでありますが、改革をしていく上においては原点に立ち返ることが求められるんだろうと思います。農協が農業者の共同組織であるという原点にそれは立ち返ることであります。その中で、農協が正組合員である農業者、特に地域農業をリードする担い手農業者と手を携えて農業所得の向上に全力を挙げてもらう、これが今回の改革の目的であります。
 そのためには、農業者にとって最も身近な地域農協が意欲ある担い手と力を合わせて農産物を有利に販売するなど創意工夫を発揮をし、自由な経済活動を行うことが必要であります。このため、改正法案では、責任ある経営体制を確立するため、地域農協の理事の過半数を認定農業者などにすることとしました。また、農業所得の増大に最大限配慮するといった事業運営原則を規定することとしました。この改革を契機として、役員体制や販売方式をどうするかなどについて農業者と農協の役職員が徹底した話合いを行い、実践していただくということが最も重要であると考えています。こうした改革を進めていけば農業の可能性は広がっていく、こう確信をしているわけであります。
 安倍内閣では、農業の成長産業化を図るため農政改革を進めておりますが、将来に向けて農業で生計を立てていく意欲と能力のある農業者、すなわち地域農業の担い手であれば、法人経営であれ家族経営であれ幅広く支援することとしております。
 今回の農協改革により、地域農協が担い手を含めた農業者のニーズに的確に対応していけば、農産物を有利に販売し、また生産資材を有利に調達することができるようになるわけでありまして、小規模な家族経営を含めて、地域農業全体の発展が図られるものと考えております。
#21
○平木大作君 農業委員会改革についても一問お伺いしておきたいというふうに思っております。
 この改革の取組の背景としては、やはり農地利用の最適化、これが思うように進んでいないという現実があるというふうに思っております。この中で、これまでまさに任に当たられてきた農業委員会の皆様が、外からの声でありますけれども、しっかり機能していないんだ、農業委員会が機能していないからこういうふうに進まないんだと、こういう声が一部あったこともあって、自分たちが何かこれから解体されてしまう、ある意味、日を追って今回の改革が進められているんだ、そういう受け止めをされている方も実際にいらっしゃるわけでございます。
 改めてこれも確認をさせていただきたいんです。
 今回のこの農地利用の最適化、つまり担い手への集積、集約、また耕作放棄地の発生防止、さらには新規参入の促進、こういった取組、なかなか進まない要因をまず政府としてどのように捉えた上で改革に取り組まれているのか。また、その上で、選出の方法ですとか、あるいは体制一新を今回農業委員会はするわけであります。また、農地利用最適化推進委員、新設をしていく、こういう新たな任を担う方たちもいらっしゃる中で、今後、この農業委員会、また推進委員、どのような役割を期待されるのか、総理の口から御説明いただけたらと思います。
#22
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これまで担い手への農地利用の集積、集約化や耕作放棄地の発生防止、解消、新規参入の促進などがなかなか進んできませんでした。これは、農地所有者が農地を他人に貸すことに消極的、こうした中で、農地所有者が安心して貸すことのできる農地の中間的な受皿がなかった、農地の受け手を広く募集する仕組みもなかった、さらに、地域によって様々ではありますが、農地流動化に向けた調整を行う農業委員会などの関係団体が十分に機能していないことなどの要因が考えられます。
 これらを踏まえ、安倍内閣では、農地集積バンクを創設し、農地所有者が安心して農地を貸すことができる中間的な受皿と農地の受け手を広く募集する仕組みを整備したところであります。そして、今回、これに加えて、農業委員会が農地利用の最適化の推進という使命をより良く果たせるよう見直しを行うこととしたものであります。
 具体的には、地域の農業を牽引する担い手が委員の主体となるよう、農業委員会の選出方法を公選制から市町村長の任命制に改め、農業委員の過半数を原則として認定農業者とするとともに、各地域において、担い手への農地利用の集積、集約化や耕作放棄地の発生防止、解消等に向けた現場活動を行う農地利用最適化推進委員会を新設することとしたところであります。
 今般の法改正では、農業委員の選出方法を公選制から市町村長の選任制に改めることとした、その際、委員の過半数を原則として認定農業者とすることによって、地域の農業を牽引する者が農業委員会の活動をリードするような体制に改めることとしております。また、委員会としての決定行為を行う農業委員とは別に、農地利用最適化推進委員を新設をしたわけでありますが、この委員には、自らの担当地区において、農地集積バンクとも連携しながら、農地の出し手の掘り起こしなど農地利用の最適化の推進のための活動を行ってもらうこととしております。
 これらを通じて、農業委員会がその使命である担い手への農地利用の集積、集約化や耕作放棄地の発生防止、解消等をより良く果たすことができるようになることを期待をしております。
#23
○平木大作君 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
#24
○儀間光男君 維新の党の儀間でございます。
 林大臣や安倍総理に質問する前に、同僚の我が党の村岡敏英衆議院議員をこの席にお招きいたしました。理由は、衆議院で本法案の可決、成立を見たわけでありますが、十五項目にわたる附帯条項が付いております。一体、これだけ多くの附帯がなぜ付いたのか。また後で本委員会でも出るんですが、実に十六にわたる附帯決議が提出される予定であります。
 そういうことで、衆議院で十五項目にわたる附帯をせざるを得なかった必要性、そういうものがどういうことであったかを簡潔にお聞かせいただきたいと思います。
#25
○衆議院議員(村岡敏英君) 儀間議員にお答えいたします。
 我々維新の党は、政府と同じように、今の農業の取り巻く環境は大変厳しいものがあると。高齢化、そして担い手不足、生産額の低下、今、農業が大変、農村社会も衰退している。しかし、農業には未来がある、夢がある、チャンスがある、これも同じ認識であります。観光や、また農業がしっかりと大規模化によって利益を上げていく、そしてそれが六次産業化につながり、そして世界の食市場に農業が進出していく、そういうためには農協改革が必要だという認識であります。
 そして、ただ農協改革をといっても、農業界の中心である農協が自らが改革していかなきゃいけない。そして、徹底した意識改革していかなければやはり農業の未来がないという思いで、我々、法案の修正、そして附帯決議をいたしました。
 そして、農業界も決して民間企業を排除するわけじゃなく、民間企業の力も使いながら、日本の食を、日本全体はもちろんのこと、世界市場にしっかりと成長産業のためにつなげていく、そのために修正案及び附帯決議を付けさせていただいたということを御答弁申し上げます。
#26
○儀間光男君 村岡先生、ありがとうございました。
 委員長、どうぞ、後でなければ、先生、御退出でいいです。
#27
○委員長(山田俊男君) どうぞ、村岡先生。
#28
○儀間光男君 ここで、林大臣、通告はしていませんが、日常会話でやっていますからすぐお答えいただけると思うんですが、今申し上げましたように、本法案、審議すれば審議するほど疑いばっかり出て、不安ばっかり出てきたんですよ。だから、委員会の審査の中で、誰一人賛成といった議論をしたことはないと認識しております。
 今申し上げましたように、これだけの十五項目にわたる附帯決議と衆議院で修正案が出た、このことは、裏を返せば、本法案、非常に不安定な法案なのかなというような思いがしてならないんですね。十五や十六にわたる附帯決議、修正案を掛けなければこれはなかなか運用は難しいと、こういうことの裏返しではないのかなと思ったりしますが、林大臣の御所見をいただきたいと思います。
#29
○国務大臣(林芳正君) 儀間委員が今おっしゃっていただきましたのは、公聴会等々でいろんな意見が出たということをおっしゃっていただいたのかなと、こういうふうに思っておりますが、今、衆議院の維新の先生からお話がありましたように、衆議院では長時間にわたる審議の上で修正をしていただいて、そして、修正した部分を含めて維新の党にも賛成をしていただいた上で、附帯決議というのは委員会が付けるということでございます。
 したがって、これだけ大部の法律でございますので、先ほどお話がありましたように、今後運用をどうしていくか、決まった後に政省令をどうしていくか、こういう大きな課題があるわけでございます。したがって、私から附帯決議について云々するのは僣越であるかとは存じますが、そういうことについてもしっかりと委員会の意思を附帯決議によって示していただいたと、こういうふうに受け止めておるわけでございまして、それを受け止めて、しっかりとその意思を体して、この法律が成立させていただきました暁にはしっかりと運営をし、また、先ほど来御議論がありますように、現場の納得が更に得られるように説明も十分にしながら進めていく、こういう所存であるわけでございます。
#30
○儀間光男君 ありがとうございました。
 この法案を見ていますと、後で総理にお伺いしますけれど、一見して、六次産業あるいは集約農業、大規模農業、つまり市場型農業政策を展開しようというような法案だと思います。
 そこで、総理に伺いますが、私、基本的には経済がグローバル化する中で農業がそこに参画しない理由は何一つないと思うんです。そういう意味では、日本の農業がグローバル経済に参画しやすい環境をつくっていく、これについては非常に賛成であって、反対する理由は何一つないと思うんです。
 成長産業化するのは大事であるというように思います。なぜなら、特に日本の農業というのは技術的に非常にハイレベルで、品質もいいし安全であるということから、国際的に農産物を海外マーケットに出していく、そして海外マーケットでシェアをつくるということは大事なことであると思うんですね。
 そして、今回の改正法案を見ると、農協制度の見直しは、地域農協が意欲ある担い手と力を合わせて創意工夫で海外展開も行い、農業所得の向上、特にここは大事だと思うんですが、農業所得の向上につなげるというものであるし、農業委員会制度の見直しは、農地利用最適化推進委員の制度を新たに設け、農地中間管理機構の活動とも相まって農地を集約して農業の大規模化を進めていくというものであると認識します。
 その目的を一言で言えば、まさに農業の成長産業化、総理が好んでお使いになる言葉だと思うんですが、このこと自体は大変重要なことで、今回の改革を通じて農産物の輸出を拡大する、農業の担い手がどんどん強い農業をつくり上げる、農業の成長産業化を実現していく、この強い思いは共鳴もし、期待もするところであります。
 しかしながら、我が国の耕地面積の約四割は中山間地域であるということ、この現実を見なければなりません。大規模な農業経営といっても、なかなかこの地域は難しく、こうした地域を中心に我が国の農業を支えているのは家族農業であります。これ、九〇%がまだ家族農業だと言われているんですね。二〇一四年は国連が定めた国際家族農業年です。我が国の農業は、家族農業がその形を変えないままに生産性を向上してきたという世界的に見てもまれな国である、このことは国連においても非常に高く評価をされているのは周知の事実であります。
 私は、今回、この改正法案について、農業の成長産業化、つまり市場型農政の実現のために必要な改革であるという面から賛成をいたすのでありますが、その一方で、国土を守る、あるいは自然環境を保全する、つまり治山治水を維持するという観点から中山間地域を守る必要があり、また、そういった地域において日本の農業を支えている家族農業を守っていかなければならぬということも非常に大事なことであると思うんです。
 したがって、市場型農業といわゆる地域型農業、つまり共同型農政、これがバランスを取れないと、この法案を見ると、市場型に重きを置いて、別に家族農業の手当て、制度はあるんですけれども、ややもすると市場型だけに目が行って、家族農業は置き去りにされたのかというような誤解もあることを聞いておりました。
 どうぞ、総理、そういう意味では非常にバランスを取ることが大事でありますから、そのことについて総理の見解と思いのたけを聞かせていただきたいと思います。
#31
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 安倍内閣では、農業の成長産業化を図るため農政改革を進めておりますが、将来に向けて農業で生計を立てていく意欲と能力のある農業者、すなわち地域農業の担い手であれば、法人経営であれ家族経営であれ幅広く支援することとしております。
 今回の農協改革により、地域農協が担い手を含めた農業者のニーズに的確に対応していけば、農産物を有利に販売し、また生産資材を有利に調達することができるようになっていきます。こうした改革を進めていくことによって、小規模な家族経営の農業者の皆さんも含めて、地域農業全体の発展が図られると確信をしております。
 農業委員会については、農業委員は地域農業を牽引する担い手が主体となることから、家族経営を含めて、地域の農地利用の効率化が図られ、生産コストの引下げや農業所得の増大が図られるものと考えております。
 このように、農協、農業委員会のいずれの改革も、地域農業の担い手が活躍しやすい環境をつくり出すためのものでありまして、このことは、同時に小規模な家族経営も含めた地域全体の農業と農地利用の効率化につながるものと考えているわけでございまして、まさに儀間委員がおっしゃられたように、我々は決して大規模化にだけ焦点を当てているわけではないわけであります。
 広大な中山間地域があります、私の地元も中山間地域であります。しかし、そこで農業で頑張っている人たちがいるわけであります。日本人の食を支えているという誇りの下に、おいしくて安全な食料を消費者に提供していきたいと思っている家族で頑張っている人たちもいるわけであります。そういう皆さんにもしっかりと焦点を当てていく、言わば産業という側面と地域を守り食を守っていく多面的な機能、これを総合的に見ながら、しかしその中でしっかりと改革を行っていく、それが今私たちが進めている改革でございます。
#32
○儀間光男君 時間が来ましたので、終わりますが、総理、ありがとうございました。
#33
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 安倍総理は、戦後レジームからの脱却、岩盤規制の打破を掲げて、今年、六十年変わらずに来た仕組みを抜本的に改める、農協、農業委員会の改革を断行するといって法案を出されました。しかし、この農政・農協改革について審議すればするほど、疑問、不安、懸念がたくさん出されました。
 富山の地方公聴会では、自己改革案をまとめたJAの会長は、今回の改革は改革先にありきだ、従来の改革と全く違うというふうにおっしゃいました。参考人質疑では、広島のJAの会長が、だまし討ちに遭ったようだと、このように語ったわけです。全国農協青年組織協議会の会長は、青年部の意見を聞かず規制改革会議で勝手に意見を無視して進めてしまったために不満だとか不安だとかが染み付いているということを理解してほしいと、こういうふうに述べたわけです。
 協同組合として自主的に議論をして改革案をまとめているのに、結局頭ごなしに政府案を押し付けたんじゃありませんか、総理。
#34
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 農業の改革は待ったなしの課題であり、手をこまねいていていいと思っている方はおられないんだろうと思います。地域農業を活性化させるためには、地域農業を牽引する担い手が活躍しやすくなるようにしていくことが必要であり、農業者にとって身近な存在である農協が、その本来の役割を十分に発揮できるように見直すことによって、担い手が活躍しやすい環境をつくり出すのが今般の法改正の目的であります。
 また、衆議院、参議院の地方公聴会、参考人質疑の中でも、農業の担い手の方々からは、農協は農協離れが進んでいる大規模農家や担い手の期待に応えられるような事業運営を行ってほしい、農協が農業者の所得向上に全力で取り組むことを強く期待しており、農産物の販売や営農指導などに積極的に取り組んでほしいなどの農協の改革を強く求める意見があったと聞いているわけでありまして、農協は農業者によって自主的に設立された民間組織であり、その改革は自己改革が基本であることは言うまでもありませんが、今回の農協改革がこうした農協の自己改革を促進するという観点から、地域の農協について責任ある経営体制を確立するための理事構成や経営の目的などを規定し、自己改革の枠組みを明確にするとともに、中央会について地域農協の自己改革を適切にサポートできるような組織体制に移行することとしたところであります。
 今回の法改正を契機として、農業者と農協の役職員が徹底した話合いを行い、このような担い手の思いに応えて地域農業全体の発展につながる自己改革を実現していただくことを期待しております。
#35
○紙智子君 自己改革を促進するものだと言いますけれども、じゃお聞きしますけれども、例えば准組合員の事業の利用規制についてお聞きします。
 公聴会や参考人質疑でも、銀行や病院、農産物の直売所、信用、共済事業、ガソリンスタンドなどの地域住民のセーフティーネットの支え手になっている准組合員の利用を規制すれば、これ総合農協としての役割を果たせないと。だから、五年後の見直し規定を入れて調査をするという必要性が分からないと。五年後の見直し規定の削除を求める意見も出ているわけですよ。
 日本の農業を担う全国農協青年組織協議会の天笠会長は、我々の准組合員に対する理解というのは、食と農の理解を広げてくれ、我々を応援してくれる存在だ、だから我々も今まで以上に恩返しをしなきゃいけないと、こういうふうに発言しているわけですね。
 准組合員の事業の利用の問題というのは、規制先にありきということで、法律で縛るのではなくてやっぱり自主性に任せるべきだと。自主性に任せるべきではありませんか、総理。総理。
#36
○委員長(山田俊男君) 林農林水産大臣、簡潔にお願いします。
#37
○国務大臣(林芳正君) 党の御議論もいろいろいただいた上で、この法案、政府取りまとめになった経緯は何度も御説明をしてきたとおりでございまして、総理にもそこは共有をしていただいているわけでございます。
 したがって、今のような御意見も当然ありましたけれども、一方で、同じような仕事をやっている、この間は葬儀屋の例を挙げましたけれども、そういうことについて圧迫をされているんじゃないかという御意見もあったところであります。同じところを見て議論しているんではないかと、こういうこともありまして、今まで規制がなかったということで、この実態をまずは把握して、そして調査をした上で検討するということでございますので、それに従ってこの条文を提出させていただいていると、こういうことでございます。
#38
○紙智子君 総理に対する質疑ですから、林大臣は立たないでください。
 それで、結局、自主性を促進するなんて言いながら、実際にはこれを止めているわけですよ。やっぱり削除すべきだと思いますけれども、できないというのはなぜかといえば、これは在日米国の商工会議所、ここが、規制改革会議が、准組合員の利用については正組合員の利用の二分の一を超えてはならないという意見を歓迎しているということや、民間とのイコールフッティングということを求めていると。日本の財界や大企業の要求を優先させたということを言わざるを得ないわけですね。
 もう一つお聞きします。加えて、財界の意向に沿って進めようとしているTPPの問題です。
 これ、私は八月十日の予算委員会で、ハワイの閣僚会合で大筋合意に至らなかった問題で総理に質問しました。甘利大臣が米を五万トン受入れする譲歩案を示したことについて、これについても安倍総理にお聞きしたんですけれども、そのとき総理は答えませんでした。改めてお聞きしますけれども、なぜ五万トンなんでしょうか。総理。
#39
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 米は国民の主食であります。また、最も重要な基幹的な農作物であるとの認識の下、政府としても交渉を進めております。
 日米間の交渉の詳細についてはお答えを差し控えたいと思いますが、日米間の重要五品目を含む物品市場アクセスでは解決すべき課題が依然として残されており、次回閣僚会合へ向けて今後協議を継続していく考えであります。
 米を含む重要五品目については、引き続き衆参農林水産委員会決議をしっかりと受け止め、いずれ国会で御承認いただけるよう全力で交渉に当たっていく考えでございます。
#40
○紙智子君 委員長、答えていないです。私、こういうふうに答えないのであれば、ちょっと進められません。この後質問できません。
#41
○委員長(山田俊男君) 安倍総理、もう一度御発言をいただきます。
#42
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPP交渉は、全体をパッケージとして交渉しているわけでございまして、米の扱いについても何らこれ確定しているものではありません。確定していない交渉の内容について、これをコメントすることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
#43
○紙智子君 甘利さんはテレビでおっしゃったんですよ。全国放送で五万トンという数字言ったんですよ。これ、安倍総理は容認されるんですか。
#44
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日米間の交渉内容について、私は総理としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 TPP交渉では、米について米国側から非常に激しい要求がなされていることは事実でありますが、我が国においては、米は国民の主食であり、また最も重要な基幹的農作物であるとの認識の下、慎重に交渉を進めているという状況でございます。
#45
○紙智子君 全然答えていないですよ。甘利大臣がテレビで五万トンと言ったことについて認めるんですか。五万トンでよしとするんですか。五万トンだったらいいということなんですか。総理自身のお考えをお聞かせください。
#46
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさにTPPについては現在交渉中でございまして、大変厳しい交渉をしているわけでありますが、その厳しい交渉の中におきまして、私たちの基本的な立場というのは、衆議院、参議院農林水産委員会で決議をいただいているこの決議を踏まえて、日本の主食である米を基幹的な農作物であるという認識の下に慎重に交渉を進めているわけでありますが、いずれにいたしましても、この交渉が妥結をした暁には、しっかりと委員会においても御承認いただける結果を出すべく交渉を進めていきたいと、このように思っているところでございます。
#47
○紙智子君 全然答えていないんですよ。安倍総理が、御自身が、自民党は交渉力があるから聖域は確保できるんだ、そう言ってTPPに入ったんですよ。それが、五万トンだったらいいような話をされて、それで容認するのかと。交渉中のことについては語れないと言ったけれども、だったら、甘利大臣は、これは守秘義務に違反したことになるんじゃありませんか。いかがですか。
#48
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先般、委員会において紙委員の御質問に甘利大臣からもお答えをさせていただいていると、こう思うところでございますが、まさに現在交渉中であるわけでございます。その交渉の中におきましても、米については国民の主食であるとの認識の下に日本もしっかりと慎重に今交渉を進めているわけでございますが、その中身あるいは数値については、まさに交渉中であることから、私、総理大臣としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
#49
○紙智子君 答えられないのであれば、この五万トンは撤回させるべきだというふうに思います。
 アメリカ、USAのライス連合会というのは、米の関税率は問題にしていません。アクセス量の改善、つまり輸入量を増やすように求めているわけで、結局、こういう要求に応える形で譲歩案を出したということじゃありませんか。
 私は、安倍総理は、農協改革にしてもこのTPPにしても、日本の農家や国民の利益よりもアメリカや財界の方を見てやっていると言わざるを得ない。もうTPPからの撤退を強く求めて、質問を終わります。
#50
○山田太郎君 日本を元気にする会の山田太郎でございます。
 私自身、今日は採決も関係するので立場を述べながら、総理に食の安全保障と農協の関係ということについて少し質疑させていただければと思います。
 これまで会社を創業、上場させまして、どちらかというと経営の合理化ということを強く求めてきた人間でありますので、まさに農協改革、実はこの委員会でも最も厳しく、法案が出る前から農協には問題ありということを追及してきた身ではあります。もちろん、農協は職能組合としては非常に問題が多いのかなと。だからこそ改革しなければいけない、これは、安倍総理の決意は非常に分かります。改革には抵抗も伴うと思います。
 ただ、残念ながら、この委員会と、私も現場を回ってきて感じましたことは、地域協同組合としての、先ほど儀間議員の方からもありましたが、中山間地で四割の農業、それから家族経営が九割だという、この地域を支えている地域の協同組合としての側面の検討が極めて甘いというふうに今回言わざるを得ないのかなと。
 それから、担い手を増やすということが、私は今後の農業にとっては最も重要だと思っております。三百万ヘクタールをいわゆる土地利用型で維持しようと思えば、毎年二万人の新規就農者が入らなければならないという実態の中で、全く半分ぐらいしか達成していないということではもうもたないと、こういうふうに思っておりまして、地域を支える農協の在り方をもっと詰めないでこのまま採決してしまっていいのだろうかという疑問を持ちながら、今なお悩みながら今日の採決には臨みたいと、こんな思いでいるわけであります。
 さて、先ほど申し上げました食の安全保障と農協ということを少し触れたいんですが、安倍政権、農業は成長産業であるという位置付けで大変輸出を振興していこうということについては評価します。
 しかし、その農作物の輸出内容を見てみますと加工品が半分を占めておりまして、下手にただ輸出をするということを振興すると、加工品の原材料は、実際自給率が四〇%以下ということであれば、輸入に頼っていくということになりかねません。そうなると、結局輸入を増やすということにもなってしまうと。
 その場合、米がどうかということが、輸出ができるかということがもう一つ大事なことだと思っておりますが、商業用の米の輸出量を例えば見てみますと、二〇一二年が二千二百二トン、二〇一四年が四千五百十六トンと。これは農水省に資料を出していただきました。ただ、売り先をまた細かく見てみますと、一位が香港で三八・六%、千七百四十四トンと、シンガポールは千二百九十五トンということで二八・七%、何と香港とシンガポールで六割を占めているということでありまして、とてもではないけれども、これで大きな輸出が米に対してはできているとは思えない。
 一方、中国の方の輸入量を見てみますと、直近二〇一一年二百七十万トンを中国は米を輸入しているということでありますが、統計によりますと、二〇二四年、十年後ですね、米は四百二十万トン輸入の予定ということでありまして、日本国内では毎年八万トンずつ需要が減っている。少子化の影響もあるんでしょう、食の変化もあるでしょう。それを補うのは、やはり中国に対して輸出ができるかどうかというのが非常に大きいんじゃないかなと実は思っているわけであります。
 ただ、日本と中国の農産物のバランスは非常にアンバランスでありまして、日本からの中国に対する農産物の輸出は六百二十二億円、輸入は何と一兆五千億円ということでありまして、桁違いに輸入超過という実態が進んでいると。これは何でなのかなということで解いていきますと、御案内のとおり、放射能の問題で十都県に関しては輸入の規制が入っていると。ただ、十都県以外についても、野菜、果実、乳製品、茶葉等についても放射性物質の検査証明の添付による輸入というのが必要なんですが、実際この様式が決まっていないということで、実質輸出停止というような状態が続いてしまっていると。大変、これは放射能の関係ないところに関しても輸出できないということで、私は非常に遺憾な思いをしております。もちろんWTO違反ではないかという疑義もあって、政府は何回もSPS委員会に対して懸念の表明をしているということでありますが、やっぱり懸念の表明でとどまっていると。
 大臣も、去年西川大臣のときに行かれて、中国の農業部長、農業大臣ですね、交渉したということですが、これは林大臣にも頑張っていただきたいと思いますが、結局なかなか解決しないと。もうこれは総理レベルで、是非習近平国家主席と会って、トップ同士でこういう不本意な状況、やはり中国側から我々は農作物を一・五兆円買っているんであれば、一兆円ぐらい中国へ伸ばすこともできる、日本のおいしい米も買ってもらえるんじゃないか、そのときに農協の役割も非常に大きいと。
 なぜならば、これを商社経由でやってしまえば非常にコストとして安く買って支配されてしまうかもしれない。直接農家が輸出の恩恵を被るには、農協の役割もそういった意味では非常に大きいんじゃないかなと、そこが所得の倍増につながるという一つの安倍政権の新たな方向性にもなるんではないかと思っています。
 そういう意味で、これ、今度日中の間の首脳会談が行われた場合には徹底的に議論していただきたいというふうに思うんですが、総理、いかがでしょうか。
#51
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が国の農水産物は、海外展開に向け大きな可能性を有していると認識をしております。私も外遊の際にレセプション等を通じて各国の首脳に紹介をし、毎回好評をいただいています。また、首脳会談などの折に触れて、私自ら、放射性物質に係る輸入規制の撤廃を各国に働きかけてきています。
 こうした取組の結果、農林水産物・食品の輸出実績は、昨年、過去最高を更新し、六千億円となりました。今年の上半期の実績も三千五百億円と、昨年の同期間に比べて二五%増えています。このうち中国向けも四百億円、四四%増と、好調であります。中国は人口十三億六千万人の非常に大きな市場であり、山田委員も御指摘になったように、その需要をしっかりと捉えていくことが輸出の更なる増加に向けて非常に重要であると思います。
 放射性物質に係る輸入規制については、技術的な内容の協議も必要であるため、引き続き農林水産省から働きかけを行わせることとしたいと考えております。
#52
○山田太郎君 トップとして、是非トップ会談でも取り上げていただきたいというふうに思っています。
 さて、もう一つ、安保法制と食の面という件を少しやりたいと思っています。
 安保法制の方では、存立危機事態、石油、エネルギーという辺り、随分議論されました。ホルムズ海峡の機雷掃海なんというのは、そんな話が出たんですが、私は、食料に関しても、この国が自給率三九%という現状を鑑みた場合に、やはり戦略物資としてこれは食の安全ということを考える意味においては、存立危機事態のいわゆる対象物に当たるのかどうかと。私は、エネルギーと併せて日本国の国民の食の安全保障ということ、これがあるからこそ自給率を一〇〇に近づけようと思ってこれまでお金を張って日本の農業を守ってきたんだと、こういうふうに思っております。
 前回の、左藤副大臣の答弁では、残念ながら、関係ないというふうに言いましたが、私は、安倍総理の口からしっかり日本の食の安全保障も守っていくと、もし何らかのことがあれば当然これはエネルギーと並んで存立危機の対象なのかどうか、この辺り問うてみたいと思いますが、総理、いかがですか。
#53
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 政府としては、従来から、存立危機事態に該当する可能性のある事例としてホルムズ海峡の機雷封鎖の例を御説明をしてきております。これは、我が国のエネルギー自給率が僅か六%であることに加え、ホルムズ海峡は、我が国が輸入する原油の約八割、天然ガスの約三割が通過するエネルギー安全保障の観点から極めて重要な輸送経路であり、かつ、その全量を輸入する上で迂回路がないという特殊性を踏まえたものであります。
 御承知のように、この三要件というのは大変厳しい要件でございますが、これに対して、食料については、その自給率はカロリーベースで三九%、生産額ベースで六四%であり、これに加えて、食料は特定の地域のみから輸入しているものではなく、かつ状況に応じて作物を転換して対応することができることから様々な代替手段があり得ると、こう考えております。
 このようなことから、仮に我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより特定の地域からの食料輸入が滞ることがあったとしても、石油などのエネルギー源などと比較した場合は、国民生活に死活的な影響、すなわち国民の生死に関わるような深刻、重大な影響が生じることは容易には想定できるものではないと考えております。
 いずれにせよ、存立危機事態に該当するか否かについては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断する必要があると考えております。
#54
○山田太郎君 時間になりました。私は、今の総理の答弁では、何のために日本は自給率を上げているのかということを疑問にも思います。
 これで質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#55
○委員長(山田俊男君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
 内閣総理大臣は御退席いただいて結構であります。どうもありがとうございました。
 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#56
○柳田稔君 私は、民主党・新緑風会を代表し、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案に反対の立場から討論いたします。
 反対の第一の理由は、本法律案が単位農協について農業者の職能組合に純化させようとしていることであります。
 農協は、農業者のための組合であると同時に、地域のための組合でもあります。農協について株式会社等への組織変更を可能にする規定や准組合員の事業利用規制の在り方について検討する規定を設けることは、協同組織の理念と総合農協が社会的インフラとして地域で果たしている重要な役割を軽んじるとともに、農協の経営基盤そのものを大きく損なうことにつながるものであります。農協が株式会社になれば、採算が取れない地域から事業を撤退し、地域住民の大切な生活インフラが失われることが強く懸念されます。
 第二の理由は、法改正の根拠を欠いていることであります。
 本法律案に盛り込まれた中央会制度の廃止や全中監査の義務付け廃止がどのようにして単位農協の経済活動の活性化や農業者の所得向上に結び付くのか、政府から説得力のある説明は最後まで得られませんでした。全中による単位農協が自由な経営を阻害されてきたという事例も示されておりません。
 第三の理由は、農業委員の公選制の廃止と、農地利用最適化推進委員の創設です。
 農業委員の多くが無投票で当選しているとの指摘は、公選制を廃止する理由にはなりません。市町村長による選任制では、恣意的な選任が行われる可能性があります。また、屋上屋を架してまで推進委員を新設する明確な論拠はなく、農業委員と推進委員との役割分担や連携の在り方も必ずしも明確ではありません。推進委員にどのような人が任命されるのかも分かりません。
 第四の理由は、農業生産法人について、構成員要件や役員の作業従事要件を緩和していることであります。
 安倍政権は企業の農業参入を進めようという姿勢が明確であり、一般企業の農地所有を実質的に認める流れが進んでいくおそれがあります。現場は、農外企業が農地を投資の対象とし、農地の荒廃が進むことを懸念しております。
 以上であります。
 戦後における我が国民主化の大きな成果である農協や農業委員について、明確な根拠もないまま、上から目線で組織改編をしようとする本法律案は理不尽極まりないものであり、断固反対せざるを得ません。
 以上で私の反対討論を終わります。
#57
○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、農業協同組合法等の一部改正案について反対討論を行います。
 第一の反対理由は、自主自立が基本である協同組合の原則を踏みにじり、官邸主導の改革を押し付けたものだからです。
 農協法の改正案では、非営利規定の削除をしました。また、理事の過半数は認定農業者としましたが、企業も認定農業者になれますから、企業支配が強まる可能性があります。加えて、農協、全農、経済連の株式会社化も認められます。全中監査を廃止し、新たに会計士監査が導入されます。改正案は、協同組合を変質させ、株式会社に近づけるものです。
 国際協同組合同盟、ICA理事会が法改正の方向は明らかに協同組合原則を侵害するものと指摘しているように、自主自立であるべき組合組織に法的に介入することは、協同組合原則をないがしろにすることであり、容認できません。今後、准組合員の利用を規制するといいますが、法律で縛るのではなく、組合の自主性に任せるべきです。
 第二の反対理由は、農地の番人である農業委員会制度を骨抜きにするからです。
 公選制を廃止し、市町村長の任命制に変えれば、恣意的な選任になりかねません。また、目的規定から農民の地位の向上に寄与する、農業、農民に関する意見の公表、建議を削除することは、農業委員会の農民の代表機関としての権限を奪い、農地の流動化のみを行う行政の下請機関に変質させられます。農業委員は、農家の財産や農地の権利を扱います。この改正案では、地域からも信頼される農業委員会にはなりません。
 第三の反対理由は、農地法の一部改正で農地を所有できる法人の要件緩和を進めることは、企業による農業、農地支配を一層進めるものだからです。
 審議を通じ、参考人からは疑問や懸念、不安が多く出され、賛同する意見は出ませんでした。それにもかかわらず、一定時間審議したからといって採決することに強く抗議するとともに、農業組織の解体に道を開く本改正案の採択に強く抗議を表明して、反対討論といたします。
#58
○委員長(山田俊男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#59
○委員長(山田俊男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、徳永君から発言を求められておりますので、これを許します。徳永エリ君。
#60
○徳永エリ君 私は、ただいま可決されました農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び維新の党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を思いを込めて朗読いたします。
    農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議(案)
  戦後設立された農協と農業委員会は、幾多の変遷を経ながら、我が国農政の根幹としての役割を果たしてきた。
  しかしながら、この間の我が国経済社会の変貌や、地方の農業を取り巻く構造変化の中で、自主的な改革も含めて、多くの改革が求められるに至っており、技術革新・六次産業化等による高付加価値化、輸出も視野に入れた需要の開拓、担い手への農地の集積・集約化等を通じた農業の成長産業化、更なる地域振興、多様な農業の発展と農家所得の向上などその成果を着実にあげていくことが喫緊の課題となっている。
  そのためには、地域の農協が、地域の農業者と協力して農産物の有利販売・生産資材の有利調達等に創意工夫を生かして積極的に取り組むとともに、農業委員会が、その主たる使命である農地利用の最適化をより良く果たし、農業者の更なる経営発展を進めることができる環境を一体的に整備することが必要不可欠である。
  こうした中で、長い歴史を有し、地域と共に存在してきた農協と農業委員会の改革に当たっては、当委員会でも出された多くの意見を踏まえ、関係者の不安を払拭し、着実な推進を図る必要がある。
  よって政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。
 一 農協改革の目的である農業所得の増大のための農産物の有利販売・生産資材の有利調達が確実に達成されるよう、協同組合組織の発展を進める中で、農協が自主的な改革に全力で取り組むことを基本とすること。
 二 農協の理事構成及び農業委員の構成に係る農林水産省令の制定に当たっては、制度の趣旨を踏まえつつ、組織・運営の自主性・自律性を最大限尊重し、関係者の意向や地域の実態を踏まえた適切なものとなるようにすること。
 三 准組合員の利用の在り方の検討に当たっては、農業協同組合法第一条の目的を踏まえるとともに、正組合員数と准組合員数との比較等をもって規制の理由としないなど、地域のための重要なインフラとして農協が果たしている役割や関係者の意向を十分踏まえること。
   また、改正後の農業協同組合法第七条について、准組合員の事業利用を規制するものでないことなど、その改正趣旨を適切に周知すること。
 四 農業協同組合法第一条は「農業者の協同組織の発達を促進すること」を旨としており、その観点から、農協の組織変更は、あくまで選択であり、決して強制的なものではないことを周知徹底するとともに、株式会社への組織変更については、省令において定款に株式譲渡制限ルールを明記するよう措置すること。
 五 農協・全農等は、経済界との連携を図り、農業・食品産業の発展と農家所得の向上に資する経済活動を積極的に行うようにすること。
 六 農協、信連及び農林中金は、担い手等の新しい資金需要に適切に応えられるよう農業融資に積極的に取り組むこと。
 七 全中監査から公認会計士監査への移行に当たっては、農協の監査費用の実質的な負担を増加させない等の配慮事項が確実に実施されるよう、関係者の協議を踏まえ、試験的な実証を行うなど万全の措置を講ずるとともに、農業協同組合監査士の専門性が生かされるよう配慮すること。
 八 今回の農協改革に伴い、税制に関して万全の措置を講ずること。
 九 農協等、我が国協同組合の目的・理念について、国民的理解が深まるよう努力すること。
   また、農業団体は、食料・農業・農村基本法において基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとするとされていることに鑑み、農業団体に関する政策を含む、具体的農業政策の決定に当たっては、食料・農業・農村基本法の施行に関し調査審議する食料・農業・農村政策審議会の意見を尊重すること。
 十 農協系統組織は、その構成員のための組織であるという原点を踏まえ、協同組合に対する誤解を惹起することのないよう、その事業の実施に際しては、あらゆる面で公平・公正な運営に努めること。
 十一 公共性の高い農地の集約や権利移動に関する農業委員会の決定は、高い中立性と地域からの厚い信頼を必要とすることに鑑み、農業委員の公選制の廃止に当たっては、地域の代表性が堅持されるよう十分配慮し、農業委員の任命、農地利用最適化推進委員の委嘱及びそのための推薦・公募等について、定数を上回った場合に関係者の意見を聴くなど、適正な手続により公正に行われるようにすること。
   また、女性・青年が農業委員に積極的に登用されるよう、制度の趣旨を周知徹底し、働きかけを行うこと。
 十二 農業委員及び農地利用最適化推進委員について、その業務を適切に遂行できるよう十分な定数を確保するとともに、農業委員及び推進委員の報酬について、業務に見合う適切な水準にすること。また、農業委員及び推進委員の資質向上のため、研修の機会を確保するとともに、事務局体制の整備強化を図ること。以上を実施するため十分な予算を確保すること。
 十三 農業委員会は、農地中間管理機構との連携を強化し、農業委員と農地利用最適化推進委員の適切な役割分担と連携の下に、委員会全体として担い手への農地利用の集積・集約化を加速するとともに、耕作放棄地の発生防止・解消等が効率的・効果的に推進されるようにすること。
 十四 市町村長と農業委員会は、密接に連絡し、人と農地の問題の解決など地域農業の発展に責任を持って取り組むようにするとともに、農業委員会及び農業委員会ネットワーク機構が関係行政機関に対し提出する意見において、農地等の利用の最適化の推進に関する施策に関わる農業・農村の問題を幅広くくみ上げた現場の意見が反映されるようにすること。
 十五 現場から距離を置いたところで判断するという農地転用許可制度の基本的考え方に鑑み、農業委員会は、都道府県農業委員会ネットワーク機構の意見聴取が義務化されていない三十アール以下の農地についても、その意見聴取を活用できることの周知を図ること。
 十六 農業生産法人の構成員要件の緩和に伴い、農地が農外資本に支配されることがないよう、制度を適切に運用すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
#61
○委員長(山田俊男君) ただいま徳永君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#62
○委員長(山田俊男君) 多数と認めます。よって、徳永君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、林農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林農林水産大臣。
#63
○国務大臣(林芳正君) ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。
 附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
#64
○委員長(山田俊男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○委員長(山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト