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2015/03/19 第189回国会 参議院 参議院会議録情報 第189回国会 法務委員会 第2号
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2015/03/19 第189回国会 参議院

参議院会議録情報 第189回国会 法務委員会 第2号

#1
第189回国会 法務委員会 第2号
平成二十七年三月十九日(木曜日)
   午後零時三十五分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                熊谷  大君
                三宅 伸吾君
                有田 芳生君
                真山 勇一君
    委 員
                猪口 邦子君
                鶴保 庸介君
                溝手 顕正君
                柳本 卓治君
                足立 信也君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                矢倉 克夫君
                仁比 聡平君
                田中  茂君
                谷  亮子君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   副大臣
       法務副大臣    葉梨 康弘君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  大塚  拓君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局経理局長   垣内  正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (法務行政の基本方針に関する件)
 (平成二十七年度法務省及び裁判所関係予算に
 関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 法務及び司法行政等に関する調査を議題といたします。
 法務行政の基本方針に関する件につきまして、上川法務大臣から所信を聴取いたします。上川法務大臣。
#3
○国務大臣(上川陽子君) 所信に先立ち、申し上げさせていただきます。
 昨日、チュニジアにおいて、日本人が被害に遭うテロ事件が発生いたしました。犠牲になられた方、その御家族に心からお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。
 それでは、所信を申し述べさせていただきます。
 第三次安倍内閣において、法務大臣に再任されました上川陽子です。改めてよろしくお願い申し上げます。
 最初に、シリアにおける邦人殺害テロ事件について一言申し上げます。
 政府一丸となって対応してまいりましたが、日本人がテロの犠牲になったことは痛恨の極みです。心より哀悼の意をささげるとともに、御家族に心からお悔やみを申し上げます。
 また、非道かつ卑劣極まりないテロ行為を断固非難します。
 テロの未然防止に向けて、法務省といたしましても、不穏動向等の早期把握に全力を尽くし、情報収集、分析の強化に取り組み、関係機関と連携を図り、情報活用を進めながら、厳格な入国審査、空海港におけるパトロール等の水際対策を徹底し、一層の体制強化に努め、国内の安全確保はもとより、国外の日本人の安全確保にも万全を期してまいります。
 法務省は、戦前の司法省を前身とし、戦後、一定の組織変化はありましたが、一貫して、基本法制の維持及び整備、法秩序の維持、国民の権利擁護を通じて、国民の安全、安心な生活の基盤となる法務行政を所管してきた長い歴史を持つ役所です。
 法務省が所管する民法、刑法は、明治期に基本法制として制定され、登記・供託、矯正・保護等多くの業務は、我が国が近代国家となって以来連綿と堅実に維持、継続されてきたものです。
 論語に、一をもってこれを貫くという言葉がありますが、法務省は、時代の変転を超えて永々と国家、国民生活の基本、基盤を守り、世の中を支えてきた役所と言えます。
 ところで、戦後、我が国は、国の形の基本に、法の支配、基本的人権の尊重等の普遍的価値を掲げ、一人一人の国民の皆様の御努力によってこれらを実現してまいりました。
 法務省は、日々、法務行政を遂行することを通じて、法の支配や人権の尊重の理念を体現し、あまねく広めることにより、こうした価値への理解が社会に浸透するための一翼を担い、また、海外における法制度整備支援等の活動を通じて諸外国の法の支配の実現にも貢献してまいりました。
 一方で、近年、法務行政を取り巻く国内外の環境変化には著しいものがあります。
 この十年間、法務省におきましても、司法制度改革を始めとする様々な改革を進めてきました。
 一方、経済状況の変化は更に進展し、政府は、持続可能で活力に富んだ経済の創出と、それによって生まれる経済の好循環を全国津々浦々に広げていくため、地方創生を始めとする様々な政策課題に取り組んでおり、法務省におきましても、こうした政策に資するよう、諸施策を推進していく必要があります。
 また、グローバル化が進み、人と情報がボーダーレスに行き交う世の中となる中で、二〇二〇年にはオリンピック・パラリンピック東京大会が開催され、我が国は世界中の注目を集めることになります。テロの脅威が拡大する中、安全、安心確保のためには、国を挙げての体制整備が急務となり、法務省といたしましても、国民の皆様の御理解と御協力を得ながら、世界一安全な国日本をつくり、守る取組に果敢に挑んでいかなければなりません。
 さらに、政府の一員として、女性が輝く社会の実現など、多くの新たな政策課題の解決に向けて取り組んでいかなければなりません。
 私は、法務大臣として、法務省の長い歴史の中で培われてきた伝統を受け継ぐとともに、時代の変化に対する感覚を研ぎ澄ませ、大胆に時代を切り取る視点を持ち、新たな法務行政の役割や課題に挑戦することで、法務行政の長としての使命をしっかりと果たしてまいります。
 昨年末、犯罪対策閣僚会議において、宣言「犯罪に戻らない・戻さない」が決定されました。一たび犯罪や非行をした者を責任ある社会の一員として再び受け入れることが自然にできる社会を目指し、こうした者の住居、就労の確保を中心に、国が地方、さらには地域コミュニティー、国民の皆様と手を携えて共に歩む新たな時代の取組を宣言したものです。
 この宣言を踏まえ、再犯防止に対する国民の皆様の一層の御理解と御協力が得られるよう、保護司、協力雇用主等の民間協力者の方々が活動しやすい環境の整備や、社会を明るくする運動を始めとする様々な広報啓発活動を進めてまいります。
 私自身、葉梨康弘副大臣、大塚拓大臣政務官とともに各地を訪問し、民間ボランティアの方々など、積極的に再犯防止に取り組んでおられる現場の方々と直接対話する全国キャラバン活動を実践し、地方、地域コミュニティー、国民の皆様との協力関係を構築していくために行動してまいります。
 矯正施設における医療は、受刑者等の健康を維持するのみならず、更生にも大きな役割を果たしていることが注目され、そこで働く医療関係者の役割の重要性が見直されている一方で、深刻な医師不足に直面しています。
 この問題に対処するため、矯正医官について、勤務時間に柔軟性を持たせるなどの勤務に関する特例を設けることなどにより、医師としての能力の維持向上の機会を付与し、優れた人材を継続的かつ安定的に確保することを目的とする矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する法律案を今国会に提出する予定です。
 また、高率収容が継続し、受刑者の高齢化が進む女子刑務所では、平成二十六年度から女子施設地域支援モデル事業を開始し、地域の看護師、助産師等の専門家による御支援をいただき、処遇に良い効果が生まれています。
 今後も、新しい課題に積極的に取り組み、男子を含めた全受刑者の処遇改善を推進します。あわせて、刑務所など法務省施設について、老朽化している現状を解消するための整備を推進してまいります。
 国民の安全、安心な生活を確保するため、時代に即した新たな刑事司法制度を構築してまいります。
 そのための法整備として、証拠の収集方法の適正化、多様化及び公判審理の充実化に向け、被疑者取調べの録音・録画制度の導入や通信傍受の合理化、効率化など、多岐にわたる制度を一体として刑事司法制度に取り入れることを内容とする刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を今国会に提出しましたので、十分に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。
 さらに、刑事司法制度を国民の皆様からより一層支持、信頼されるものとするため、検察改革のための取組をたゆまず実施してまいります。
 国民生活の脅威となっているテロ、組織犯罪、凶悪犯罪への対策を始めとする治安の確保は法務行政の要です。冒頭に申し上げましたとおり、関係機関とも連携の上、更に万全の対策を講じてまいります。
 オウム真理教については、先般、団体規制法に基づく観察処分の期間更新が決定されたところであり、引き続き観察処分を適正かつ厳格に実施してまいります。
 東日本大震災からの復興を推進しなければなりません。
 そのため、住宅再建・復興まちづくりの加速化等に係る登記嘱託事件等の適切かつ迅速な実施に努めるとともに、全国的に取り組んでいる登記所備付け地図の整備についても、引き続き積極的に取り組んでまいります。
 国民参加を大きなテーマとした司法制度改革の進展は、国民の皆様の御理解と御協力のたまものであり、今後もその運用状況を見定めながら、各制度の更なる成熟に向け努力してまいります。
 裁判員制度については、順調に定着してきておりますが、この制度が我が国の司法制度の基盤としての役割をより一層果たすことができるようにするため、審判に著しい長期間を要する事件等を裁判員制度の対象事件から除外することを可能とするほか、裁判員等選任手続において犯罪被害者の氏名等の情報を保護するための規定を整備することなどを内容とする裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出しましたので、十分に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。
 私たちの社会が高齢者や障害者の方々と共に歩むために、特に手厚い援助を要するこれらの方々に対する支援については、日本司法支援センター、通称法テラスが、自治体及び福祉機関等と連携して、それらの方々の法的なニーズを掘り起こし、総合的な問題解決を図る司法ソーシャルワークと呼ばれる取組を推進しています。
 また、法テラスでは、東日本大震災からの復興のため、被災者の法的支援を実施しています。
 法務省では、今後もこうした法テラスの業務体制の充実と様々な取組の支援を行ってまいります。
 その一環として、総合法律支援の更なる充実を図るため、高齢者、障害者や大規模災害の被災者に対する法的支援の拡充などを内容とする総合法律支援法の一部を改正する法律案を今国会に提出する予定です。
 司法機能や法曹人材の問題は、国民に対する法的サービスの利便性に関わるとともに、社会経済の構造変化に伴う国の形に関わる問題でもあります。
 法曹養成制度については、様々な問題点の指摘を受け、現在、その制度の在り方について、内閣官房に置かれた法曹養成制度改革推進室が、本年七月十五日を期限として検討を進めているところです。法務省といたしましても、質、量共に豊かな法曹を養成する制度の構築に向けて引き続き検討を進め、迅速に施策を実施してまいります。
 また、司法の中核を成す裁判所体制の充実強化等を図るため、判事の増員などを内容とする裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を今国会に提出しましたので、十分に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。
 民事法制、中でも民法は、所有権や契約、親族、相続の在り方などについて、国民生活に密着した最も基本的なルールを定めた法律です。
 約百二十年前に制定されたまま、大きな改正のなかった民法の債権関係について、社会経済の変化への対応を図るとともに、国民に分かりやすいものとすることが求められています。
 こうした観点から、保証人の保護を図るための方策や消滅時効の期間の統一化等について制定以来の見直しを行う民法の一部を改正する法律案及び関係法律案を今国会に提出する予定です。
 また、海上輸送は、国民経済にも大きな影響を持つところ、国際条約の改正に伴い、海難事故等の場合に船舶の所有者等が負う責任の限度額を引き上げることを内容とする船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に再度提出しましたので、十分に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。
 政府は、オリンピック・パラリンピック東京大会が開催される二〇二〇年に訪日外国人旅行者数二千万人の達成と観光立国の実現を目指しています。
 法務省といたしましても、我が国が、国民の安全、安心を確保しつつ、外国との間で風通しよく人が往来できるよう、計画的に出入国審査体制を整備するとともに、日本人の出帰国審査の合理化、外国人の出入国審査の更なる迅速化を図るため、顔認証技術を活用した自動化ゲートの導入について、速やかに検討を進めてまいります。
 外国人材の受入れについては、昨年六月改訂の日本再興戦略に掲げられた施策の実現により、日本経済の活性化に資する外国人の受入れの促進に努めてまいります。
 そこで、技能実習制度について、技能の適正な修得等の確保及び技能実習生の保護を図るため、監理団体の許可等の制度、これらに関する事務を行う機構の創設などを内容とする外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案を今国会に厚生労働省と共同提出しました。
 また、介護福祉士の資格を有する外国人に係る在留資格を設けるほか、偽りその他不正の手段により上陸の許可等を受けた者等に適切に対処するため、罰則の整備などを行うことを内容とする出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を今国会に提出しましたので、十分に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。
 もとより、冒頭に申し上げましたように、水際対策には万全を期してまいります。
 また、不法滞在者対策も更に進めてまいります。
 北朝鮮関係については、引き続き、核、ミサイルをめぐる動向や、金正恩体制下の国内情勢等の把握に努めるとともに、日本人拉致問題等の重大な問題の解決にも資するよう、公安調査庁を中心として、関連情報の収集、分析等を積極的に行ってまいります。
 尖閣諸島関係については、我が国の主権に関わる事案の相次ぐ発生を踏まえ、関係機関と連携し、関連情報の収集、分析に尽力するなど、遺漏のない対応をしてまいります。
 近年、難民認定申請者が急増しています。
 一方、その中には、明らかに難民該当性が認められないにもかかわらず、我が国での就労を目的として申請した事案や、不法滞在者が送還停止を企図して申請した事案が含まれ、全体の審査期間の長期化をもたらし、その結果、真の難民の迅速な庇護に支障が生じかねない事態に至っています。
 法務大臣の私的懇談会である第六次出入国管理政策懇談会の下の難民認定制度に関する専門部会での検討結果を踏まえ、難民認定手続の適正かつ迅速な実施に努めてまいります。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会開催は、我が国の今を世界中に発信するチャンスです。おおらかな自信に満ちた私たち、安全、安心で、内と外の風通しが良い社会、人々の知恵が世界中を魅了する国、こうしたメッセージを法務省からも発信できるよう、法務行政において様々な課題に取り組む必要があると考えます。また、それを担う法務省の組織の在り方も、時代の変化に対応できるものとしていかなければなりません。
 私たちがおおらかな自信に満ちた個人として一人一人の人権を尊重し、擁護する、そうした豊かで成熟した社会を目指す必要があると考えます。
 社会的関心を集めている子供たちに対するいじめ、女性に対するDV、インターネットを利用した名誉、プライバシーに対する侵害、外国人に対するヘイトスピーチなどに対し、より一層、人権啓発、調査・救済活動等の取組を推進してまいります。
 ところで、親によって出生が届けられず、無戸籍のまま様々な不利益を被っている方々がおられます。これは、まさに国民としての社会的基盤が与えられないという、人間の尊厳に関わる重大な問題です。
 法務省では、現在、無戸籍の方々の実態把握を行っておりますが、同時に、全国各地の法務局において常時相談を受け、無戸籍の方に一日も早く戸籍を作っていただくためのアドバイスを懇切に行っております。成熟した社会へ成長するための試金石として、無戸籍の解消に取り組んでまいります。
 犯罪被害者等の保護、支援についても、犯罪被害者等基本法の理念にのっとり、犯罪被害者や御家族、御遺族の方々に寄り添い、その権利利益の保護を図るための各種制度を適切に運用し、きめ細やかな対応に努めてまいります。
 司法制度改革以降、その普及推進に取り組んでいる法教育は、法律の専門家ではない一般の方々が法や司法制度、これらの基礎となっている基本的価値を理解し、法的な物の考え方を身に付けることを目的とするものです。特に、未来の社会の担い手である子供たちが、法や司法によって自らの権利、自由が守られていることを学び、他者の権利、自由を等しく尊重する理念を体得することは、子供たちの未来を開くために欠かせないものと考えます。
 法務省では、関係機関、団体の協力を得て、法教育についての実情調査や、それを踏まえた教材作りなどに加え、法務行政に精通した職員が教育現場等を訪ね、実務家ならではの授業を行うなど、法教育の普及推進に力を入れてまいりましたが、更に工夫を重ね、法や司法制度が国民の皆様にとって身近なものとなるよう、法教育の充実に努めてまいります。
 国際協力については、国際連合と協力した各国の刑事司法実務家を対象とする国際研修等の実施や、アジアの開発途上国に対する立法支援、人材育成等の法制度整備支援を推進してまいります。
 また、我が国がタイ王国及びマレーシアとともにその運営の中心的役割を担うアジア矯正建築実務者会議を通じて、アジアにおける矯正建築に関する情報共有や技術支援を進めてまいります。
 訟務局の新設が来年度政府予算案に盛り込まれています。
 国の利害に関係する訴訟に適切かつ迅速に対応するとともに、紛争を未然に防止するという観点からの予防司法の充実、国際訟務への関与の在り方の検討を進めるなど、訟務機能の充実強化に取り組み、より一層国民の権利利益の保護に資するよう努めてまいります。
 女性が輝く社会を実現するためには、政府が率先して女性が活躍しやすい環境を整えていかなければなりません。
 法務省、そして全国の法務官署においても、ICTの戦略的な活用も含めた働き方の改革を進め、風通しよく働きやすい環境づくりを目指してまいります。
 その第一歩として、本年一月末、法務省における女性職員活躍とワークライフバランス推進等のための取組計画を決定し、法務省五万二千人の働き方改革宣言を行い、各種取組を開始したところです。
 国民の安全、安心な生活の基盤である法務行政は、地域コミュニティーや国民の皆様の御理解と信頼をいただいてこそ、十全なものとなります。
 広く法務省が国民生活に果たしている役割をより多くの国民の皆様に認知していただき、信頼していただけるよう、高度情報化社会にふさわしい、的確で分かりやすい情報の発信に取り組んでまいります。
 委員長を始め委員の皆様方には、日頃から法務行政の運営に格別の御尽力を賜っております。鵬程万里、遼遠として行く道は果てしなく、様々な課題もございますが、時代の大きな方向を見据えつつ、葉梨康弘副大臣、大塚拓大臣政務官と協力し、全力で取り組んでまいりますので、より一層の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
#4
○委員長(魚住裕一郎君) 上川法務大臣には御退席いただいて結構でございます。
 次に、平成二十七年度法務省及び裁判所関係予算に関する件について順次説明を聴取いたします。葉梨法務副大臣。
#5
○副大臣(葉梨康弘君) 法務副大臣の葉梨康弘でございます。
 平成二十七年度法務省所管等予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 法務省所管の一般会計予算額は七千三百七十四億八千七百万円となっており、前年度当初予算額七千二百九十八億六千二百万円と比較しますと、七十六億二千五百万円の増額となっております。
 また、復興庁所管として計上されている法務省関係の東日本大震災復興特別会計予算額は十五億八千四百万円となっており、前年度当初予算額三十八億七千六百万円と比較しますと、二十二億九千二百万円の減額となっております。
 次に、一般会計予算について、主要事項の経費を御説明申し上げます。
 まず、世界一安全な国日本をつくり、守るための犯罪対策の中でも、一たび犯罪や非行をした人を犯罪に戻らない、戻さないようにする再犯防止対策の推進は、法務省の取り組むべき重要課題であり、刑務所出所者等の住居と就労の確保や、対象者の特性に応じた施設内処遇の強化など、各般の施策を充実させることとしております。
 そこで、協力雇用主に対する刑務所出所者等就労奨励金制度の創設を含む再犯防止対策のための経費を始めとして、更生保護関係では二百五十三億七千六百万円を計上しており、前年度当初予算額と比較しますと、八億一千二百万円の増額となっており、また、矯正関係では二千三百十七億七百万円を計上しており、前年度当初予算額と比較しますと、二十一億七千七百万円の増額となっております。
 あわせて、再犯防止対策等の基盤となる法務省施設についても、老朽化している施設等の建て替え等を促進するための経費として百九十億五百万円を計上しております。
 次に、オリンピック・パラリンピック東京大会が開催される二〇二〇年の訪日外国人旅行者数二千万人と観光立国の実現を目指し、出入国管理体制の強化を図る必要があることから、そのための経費として四百六十九億三千三百万円を計上しており、前年度当初予算額と比較しますと、十七億二千八百万円の増額となっております。
 また、テロの脅威が拡大する中、テロの未然防止のための情報収集・分析機能を強化することが重要であり、公安調査庁の経費として百四十一億一千六百万円を計上しております。
 そのほか、国民の安全、安心な生活を確保するため、検察活動を充実強化するため必要な経費として一千七十九億三千百万円を計上しており、前年度当初予算額と比較しますと、十一億六千五百万円の増額となっております。
 また、国民の権利擁護の一環として、従前から取り組んでいる登記所備付け地図の整備を含む登記事務関係の経費として一千二百五十八億五千三百万円を、総合法律支援の更なる充実のための日本司法支援センター関係経費として三百八億八千万円を計上しております。
 また、子供の人権問題対策の充実強化を含む人権擁護関係の経費として三十三億五千三百万円を計上しております。
 次に、定員の関係でありますが、平成二十六年七月二十五日の閣議決定に基づく定員合理化等により、平成二十七年度においては九百七十四人の減員となる中、地方入国管理局、刑事施設及び保護観察所を中心に、出入国審査体制の整備や再犯防止対策の推進など緊急かつ優先的に対応を要する課題に対処するため一千九十一人の増員が認められており、減員との差引きにより、前年度定員と比較いたしますと、百十七人の純増となります。
 組織関係では、国の利害に関係する訴訟に適切かつ迅速に対応しつつ、予防司法機能を高めて紛争を未然に防止することにより、より一層国民の権利利益の保護を図るため、訟務局の新設が盛り込まれています。
 以上、平成二十七年度法務省所管等の予算案概要を御説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。
#6
○委員長(魚住裕一郎君) 次に、垣内最高裁判所事務総局経理局長。
#7
○最高裁判所長官代理者(垣内正君) 平成二十七年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。
 平成二十七年度裁判所所管歳出予算の総額は三千百三十億九千七百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千百十億五千八百万円と比較いたしますと、差引き二十億三千九百万円の増加となっております。
 次に、平成二十七年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。
 まず、人的機構の充実、すなわち裁判官、書記官及び事務官の増員等であります。
 かねてより裁判所の体制の充実強化が求められている中で、複雑困難化する民事訴訟事件の審理充実、成年後見関係事件を始めとする家庭事件処理の充実強化等のため、裁判官は判事三十二人、書記官は三十四人、事務官は一人、合計六十七人の増員をすることとしております。なお、このほかに、速記官から書記官への振替五人も計上しております。
 他方、政府の定員合理化計画への協力として七十一人の減員をすることとしておりますので、差引き四人の純減となります。
 次は、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。
 まず、裁判事務処理態勢の充実を図るため百四十九億五千七百万円を計上しております。
 その内容について申し上げますと、第一に、民事事件関係経費として三十九億七千四百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、専門委員手当、労働審判員関連経費等が含まれております。
 第二に、刑事事件関係経費として四十四億九百万円を計上しております。この中には、裁判員制度関連経費、心神喪失者等医療観察事件関連経費等が含まれております。
 第三に、家庭事件関係経費として六十五億七千四百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。
 また、庁舎の耐震化及び狭隘施設の整備のための経費として百四十億三千九百万円を計上しております。
 以上が平成二十七年度裁判所所管歳出予算の概要であります。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#8
○委員長(魚住裕一郎君) 以上で法務大臣の所信並びに平成二十七年度法務省及び裁判所関係予算の説明聴取は終了いたしました。
 法務大臣の所信に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 葉梨法務副大臣及び大塚法務大臣政務官は御退席いただいて結構でございます。
    ─────────────
#9
○委員長(魚住裕一郎君) 次に、先般、本委員会が行いました法務及び司法行政等に関する実情調査のための視察につきまして、視察委員の報告を聴取いたします。熊谷大君。
#10
○熊谷大君 先般行われました委員会視察につきまして、その概要を御報告申し上げます。
 去る二月二十四日、法務及び司法行政等に関する実情調査のため、宮城県の塩竈市及び仙台市を訪れました。視察委員は、魚住委員長、三宅理事、有田理事、真山理事、足立委員、矢倉委員、仁比委員、田中委員及び私、熊谷の九名でございます。
 まず、仙台市からバスで塩竈市を訪れました。車中、法務省より、法テラス被災地出張所における業務内容、震災特例法の下における東日本大震災の被災者支援の円滑、迅速な実施及び技能実習制度の概要について説明があった後、現地において、佐藤塩竈市長、協同組合連合会塩釜水産物仲卸市場の大井専務理事及び視察先である三波食品株式会社の代表取締役でもある宮城県水産加工業協同組合連合会の内海会長と、東日本大震災からの復興への取組と現在における課題等について懇談する機会を得、お話を伺いました。
 次に、水産加工品の製造販売業を営む三波食品株式会社を訪問いたしました。同社は、外国人技能実習の実施機関ですが、同社の監理団体である塩釜魚市場水産加工業協同組合の代表理事組合長でもあります内海代表取締役と同社松本専務取締役から塩釜の水産加工業における外国人技能実習の実情等について説明を伺った後、工場内を視察いたしました。
 三波食品株式会社からは、塩釜魚市場水産加工業協同組合として平成四年から外国人技能実習生の受入れを開始し、当初、技能実習実施機関として十社が登録、これまでの実績として中国人を六百十三名、インドネシア人を十三名受け入れていること、受入れ開始をした当初の三年間ほどは日本と中国との歴史、文化の違いに苦労したものの、その後は特に大きな問題もなく、入国管理局の指導を受けながら、組合としても監理団体としてかなり厳しく取り組んできたこと、東日本大震災当時は中国人技能実習生がほとんど帰国してしまい、インドネシアから技能実習生の受入れを開始したこと、三年間の技能実習を終えた実習生からは、また来日したいという要望もあること、中国国内は、二十年前と比べ生活水準が上がっている上、従来の中国における一人っ子政策の影響もあり、子供を来日させたくないと考える親もいるため、人材確保が難しくなってきていること、そのため、最近は、ベトナム大使からの要請もあり、ベトナムからの技能実習生の受入れも検討していること、来日した技能実習生に対しては、日本で三年間、高度の技術とともに歴史、文化、習慣を学んだ上、母国に帰って日本との懸け橋にならなければいけないと伝えていること、日本で技術等を習得した技能実習生が、帰国後、大手企業に就職し、通訳も兼ねて仕事を行っており、かなり重宝されていること、三年という実習期間は人材を育てるという点では短いのでもう少し長くしてほしいし、また日本に戻ってきて更に技術を磨いた上、その技術を現地に持ち帰ってほしいと考えていること等の説明がありました。
 次に、塩竈市からバスで仙台市に戻りました。車中、仙台法務局より、同局管区内における東日本大震災の発生に起因する登記所備付け地図の修正その他の復旧・復興事業の概要とその過程における様々な困難な課題について説明があった後、宮城刑務所を訪問いたしました。まず、刑務所内の医務棟、病棟、収容棟、工場などを視察した後、松村宮城刑務所長、新妻医務部長から、矯正医官を確保する上での問題点等について説明を聴取いたしました。
 宮城刑務所からは、医師不足のため医師が不在となっている施設も多く、その場合、医師会に御協力いただいたり、宮城刑務所から応援に行くこともあるが、医師が日替わりで来るため、治療方針がなかなか一定しないといった苦労があること、大多数の施設は医師の配置が一名のため、一人で診療を行わなければならず負担となっていること、医師としての能力を向上させたいと考えても、外部での研修の機会がなかなか取れないこと、兼業やフレックスタイム制が可能となれば、医療技術の維持、向上を図ることができるし、地域医療にも貢献できると考えていること、矯正医療について外部委託を行うことも考えられるが、そもそも受託先の医療機関がほとんどなく、委託費は国が運営するよりも高くなってしまう上、外部の医師では判断できないような刑務所特有の事情もあるため、矯正を理解している医師が必要であること、離島手当のような矯正医官への手当の交付を含めた給与水準の改善、六十五歳という定年年齢の引上げを検討してほしいこと等の説明がありました。
 以上が調査の概要であります。
 最後に、今回の調査に当たり、御協力をいただきました関係各位に対し、厚く御礼申し上げ、報告を終わります。
#11
○委員長(魚住裕一郎君) 以上で視察委員の報告は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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