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2015/04/16 第189回国会 参議院 参議院会議録情報 第189回国会 法務委員会 第7号
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2015/04/16 第189回国会 参議院

参議院会議録情報 第189回国会 法務委員会 第7号

#1
第189回国会 法務委員会 第7号
平成二十七年四月十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     有村 治子君     島田 三郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                熊谷  大君
                三宅 伸吾君
                有田 芳生君
                真山 勇一君
    委 員
                猪口 邦子君
                島田 三郎君
                鶴保 庸介君
                牧野たかお君
                溝手 顕正君
                柳本 卓治君
                足立 信也君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                矢倉 克夫君
                仁比 聡平君
                田中  茂君
                谷  亮子君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   副大臣
       法務副大臣    葉梨 康弘君
       厚生労働副大臣  永岡 桂子君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  大塚  拓君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       内閣官房内閣人
       事局内閣審議官  堀江 宏之君
       人事院事務総局
       人材局長     大下 政司君
       法務省矯正局長  小川 新二君
   参考人
       日本弁護士連合
       会刑事拘禁制度
       改革実現本部本
       部長代行     海渡 雄一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する
 法律案(内閣提出)
    ─────────────
#2
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、有村治子さんが委員を辞任され、その補欠として島田三郎君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省矯正局長小川新二君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(魚住裕一郎君) 矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○三宅伸吾君 おはようございます。
 本日は、議題となっておりますのは、刑務所などにもっと多くのお医者さんに働いていただいて、そういう体制をしくための規制緩和のための法案でございます。
 矯正医療につきましては、八世紀に養老律令というのがございましたけれども、その養老令の中に獄令という条文がございまして、それを読んでおりましたら、疾病があれば薬を出しなさいと。そして、重病のときは足かせ、首かせを外して、そして家の者が一人、拘禁されているところに入って、家族が看病するというような記述があるわけでございます。また、江戸幕府の職制によりますと牢屋手付医師、牢医と呼ばれていたそうでございます。その後、監獄医と言われた時代がございましたけれども、いつから矯正医官という言葉が使われるようになったんでしょうか。
#7
○政府参考人(小川新二君) お答えいたします。
 刑務所等に勤務する医師の名称についてでございますが、今委員から御指摘がありましたように、明治時代には監獄医と称しておりました。その後大正十一年に、それまで監獄と称していた施設名を全て刑務所等と改称しており、当時の司法省監獄局は行刑局に改められております。さらに、戦後、アメリカの影響を受けまして、昭和二十七年に行刑局が矯正局と改められております。
 このような経緯に鑑みますと、矯正医官との呼称はおおむねこの頃から使用されるようになったと推測されますが、当方において記録として把握できる限りで申し上げますと、昭和三十一年一月四日付けの官報、第八千七百一号の付録の中におきまして矯正医官という呼称が使用されているほか、昭和三十六年に制定されました矯正医官修学資金貸与法におきましてその呼称が使用されております。
#8
○三宅伸吾君 ありがとうございます。
 矯正医官の働く場所でございますけれども、刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所、それから婦人補導院という施設があるわけであります。昭和五十年頃から直近まで、全体の収容者の推移、矯正医官の定員等につきまして、概要をお知らせください。
#9
○政府参考人(小川新二君) お答えいたします。
 まず被収容者数の推移についてでございますが、矯正施設における昭和五十年の年末収容総人員は約四万九千三百人でございました。それが、昭和六十年には約六万一千六百人まで増加いたしました。その後、昭和六十一年以降、収容人員は減少傾向となりまして、平成四年には約四万九千二百人となりましたが、その後、再度収容人員は増加に転じまして、平成十八年には約八万六千三百人となったところでございます。その後、平成十九年以降は再び減少傾向となりまして、平成二十五年には約六万六千七百人となっております。
 一方、矯正医官の定員についてでございますが、平成二十五年度まで三百三十二人でありましたが、平成二十六年度は定員合理化のため三百二十七人となっております。これに対しまして、平成十五年四月一日現在の現員は三百十六人でありまして、欠員は十六人だけでありましたが、その後現員が大きく減少しまして、平成二十年には現員二百九十一名、欠員四十一名となっております。平成二十二年度、平成二十三年度は、医師の募集等に努めたことで現員が若干増加しまして、一割程度の欠員で推移しておりましたが、平成二十四年度から再び急激に減少し、平成二十六年度の定員は三百二十七人のところ、同年四月一日現在の現員二百五十二人でありまして、二割以上の欠員が生じている状態でございます。
 以上でございます。
#10
○三宅伸吾君 矯正医官の定員の統計の関係から、平成十五年以降の実際に働いている矯正医官一人当たりの収容者数というのをちょっと割り算をしてみました。最も少ないのが平成二十三年の二百五十人であります。そして、最大が平成十八年、十九年の二百九十人でありまして、平成二十五年まで、十五年から二十五年までの十一年間の間、実際に働いている医官一人当たりの収容人数は余り大きく変化がないということが分かりました。見方によりますけれども、慢性的な医官不足が続いていたということではなかろうかと思います。そこで今回の法案が提出されたわけであります。
 現在も、内閣総理大臣の許可を得れば矯正医官は兼業が可能なわけでありますけれども、今回の法案では、法務大臣の承認により兼業を認めるということになっております。新しい法案によりまして具体的にどのような新しい分野について矯正医官の兼業が可能になるのかお聞きしたいんですけれども、あわせて、正規の勤務時間のうち最大、兼業は何時間ぐらいできるんでしょうか。それから、兼業によって矯正医官のトータルの報酬がどれぐらい増えることが見込まれるのでお医者さんがたくさん刑務所などに来てくれるのか、そのちょっと内容と効果を教えてください。
#11
○政府参考人(小川新二君) 本法案によります矯正医官の兼業に関する変更点でございますけれども、大きく二点ございます。
 一点目は、勤務時間内において診療を行う兼業を行うことにつきまして、矯正医官の能力の維持向上の機会を付与するという観点から柔軟に認めることでございます。
 勤務時間内における兼業は、現行制度におきましては、極めて限定的な場合を除きまして、職務の遂行に支障があるものとして認められていないという状況でございまして、現在、勤務時間内において診療を行う兼業を行っている矯正医官はございません。しかしながら、医師又は歯科医師としての能力の維持向上に最も資する外来診療は勤務時間と重複する平日の昼間に行われることが多いことから、病院などにおきまして医業又は歯科医業を行うものであることなど一定の要件に該当する兼業につきましては、矯正医官の能力の維持向上の機会を付与する観点から柔軟に認めることとすることでございます。
 また、二点目の変更は、兼業の許可に係る手続の簡素化でございまして、現在は内閣総理大臣及び法務大臣の許可が必要でございますけれども、これを法務大臣の承認によって可能とすることによりまして兼業の申出への対応を迅速に行うことが可能になります。
 どの程度の時間を認めるか、兼業を認めるかでございますけれども、本法案による兼業を認める時間につきましては、矯正医官の能力の維持向上の機会の付与を図るという制度趣旨を踏まえまして、職務の遂行に支障を生じることがないように、個別の事情に応じて適切に判断してまいりたいと考えております。
 また、勤務時間を割いて兼業を行う場合には、勤務しない時間分の給与を減額することになる一方、兼業の内容に応じまして適正な額の報酬を受け取ることになると思われますけれども、先ほど申し上げましたように、今回の特例は、兼業を通じて矯正医官につきまして能力の維持向上の機会の付与を図って、矯正医療が社会一般に照らして適切な医療水準を維持することを目的とするものでございまして、公務外で収入を得ることをもって矯正医官の給与と民間医療機関の医師の収入の格差是正を図ろうとするものではございません。
 以上でございます。
#12
○三宅伸吾君 給与の格差是正を図るのが狙いではないという説明でしたけれども、ただ、具体的には矯正医官の勤務時間の単位当たりの時間、そこを兼業すると、多分、より時間当たりの報酬の高い民間の病院で働いてその給料をもらうわけですからトータルの報酬は増えると、その効果によって、通常の勤務時間の三分の一とか半分以下なんでしょうけれども、矯正医官として刑務所などで働いてもらう、それによって矯正医官不足を解消しようという狙いがあるように私は思っております。
 その関係で、任期付職員制度というのがございます。その関係をちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、民間人材の採用を進めるために、専門的な知識経験を持った方を任期を定めて採用して、専門性に合ったお給料を払おうと、そういう制度が平成十二年十一月、一般職の任期付職員の採用に関する特例法律というのができております。
 この法律ができてからもう十五年もたっているんですけれども、かねて矯正医官不足が指摘されながら、なぜ過去この制度が利用できなかったのかという私、素朴な疑問がございまして、制度上又は運用面で矯正医官の不足対策にこの制度を使えなかった点が制度運用面でもしあったのであれば、教えていただきたいということであります。
 まず、幹部職員について内閣人事局に、そして一般職について人事院に、現状をお聞かせください。
#13
○政府参考人(堀江宏之君) お答えいたします。
 幹部職員について任期付職員制度を活用することは制度上妨げられているものではなく、現在五名の幹部職員について任期付職員制度を活用して任用されているところでございます。
#14
○政府参考人(大下政司君) 任期付職員法による任期付採用の制度でございますが、公務部内で確保することが困難な専門的な知識経験等を有する者について、その知識経験等を一定の期間活用して遂行することが必要な業務に従事させる場合に、公募等による適切な選考手続を経て、任期を定めて採用することができる制度であるというふうにされております。
 この制度の趣旨を考えますと、民間医療機関等の医師について、任期付職員法に基づいて一般職の国家公務員として採用することは可能であるというふうに考えておりまして、これまでも厚生労働省などにおきまして採用された実績があるというふうに承知しております。
#15
○三宅伸吾君 ありがとうございます。
 本日議題となっております法案、是非早く、早期に実施すべきだと思いますけれども、この法律案を補完する形で矯正医官の不足対策のために、今後、任期付公務員制度を活用していいのではないかと私、考える次第でございますけれども、上川法務大臣、どのような検討を法務省でされているのか、お聞かせください。
#16
○国務大臣(上川陽子君) 矯正医官の採用につきましては、幹部職員育成等の観点から、これまで定年年齢まで長期間勤務していただくということを前提としておりましたものですから、この任期付きの職員の採用につきましては基本的には行ってこなかったということでございます。しかし、今日不足する矯正医官を確保するために、任期付職員の採用につきましては大変有効な手段の一つであるというふうに考えておりまして、今後におきましては、この制度の趣旨をしっかりと踏まえた上で適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
#17
○三宅伸吾君 この法律案だけではなくて、全ての手段を尽くして矯正医療現場の医療体制の充実に向けて更なる御尽力をいただけるよう切にお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#18
○足立信也君 おはようございます。民主党の足立信也でございます。
 先週、予算の委嘱審査で私は宿題を二つ出しましたし、大変な矛盾があるんじゃないかということを申し上げました。今、資料が出て、配らせていただいているのが宿題の一つです。
 要するに、先週のことをもう一回繰り返しますと、収容者数は、今、三宅先生の質問にもありました、収容者数は減っている。そして、有病率は変わっていない。矯正医官も減り続けている。でも、矯正施設での医療費は国民医療費や老人医療費をはるかに凌駕する率で増え続けている。こういう現状なんですね。しかし、もう成立しました予算は、この医療費というのが六千七百万円の減額である。一体どういう手段を考えているのかというのが質問で、それに対して宿題があったわけで、この資料のところを申し上げますが、この薄いブルーのところが、これが施設内での医療費です。薬や医療機器の購入というのが主になると思います。それから、薄いオレンジの上の部分が外部委託といいますか、まず外部の医療機関への移送費や委託費、そして外注した検査費等々となっているわけですね。
 この前、大臣の答弁でも、高齢者が増えてきて、そして外部委託が増えてきたというようなことでおっしゃっています。なるほど、予算もそれから決算上のものも、外部委託は増えていますね。内部の方を減額していこうとしているわけですね。これはいいと思うんです。これを考えると、内部の方を減らしていこうと。具体的に矯正施設内での内部での医療費を減額させる、その手段は何ですか。
#19
○政府参考人(小川新二君) お答えいたします。
 委員御指摘のように、内部で使用する経費の主要なものとしましては、医薬品等の矯正施設内部で使用する経費でございます。その中で薬品代が非常に大きなウエートを占めるわけでございますけれども、後発医薬品等を活用する、なるべく安い医薬品を購入するというふうなことで医療費の抑制に努めていきたいというふうに考えております。
#20
○足立信也君 となると、今までは、これはスケールメリットというのがありまして、国立病院機構であるとか地域医療推進機構であるとか、スケールメリットを生かして安く購入しているんです。これ、全国にありますよね、矯正施設。スケールメリットを生かすのであれば、そもそも安く購入できているはずなんですよ、本来からいくとですよ。
 じゃ、今まで高過ぎたということを言っているのか。あるいは、後発医薬品、ジェネリックを増やしたいということは、現在のジェネリックの使用率と今年度の目標があるんですか。
#21
○政府参考人(小川新二君) 数値的な目標を持っているわけではございませんけれども、極力……(発言する者あり)後発医薬品を極力購入していきたいというふうには考えておりまして、矯正施設における平成二十五年度におきまして購入した全医薬品のうち、ジェネリック医薬品の占める割合は六七・九%という数値になっております。
 矯正施設における医薬品の調達につきましては、また、商品名で調達するのではなくて薬品の一般名で競争入札を行いまして、後発医薬品の導入を含めてなるべく安い、安価な医薬品の購入を行っているところでございまして、引き続きこれを徹底してまいりたいと考えております。
#22
○足立信也君 ジェネリックで六七・九%ってかなり高いですよ。これを増やすのは多分無理だと思います。ということは、今まで薬や医療機器を高く買っていたということだと僕は思いますよ。
 その点を指摘しておきたいんですが、大臣、今回の法律案はできるだけ施設内で対処できるようにしたいんですよね、矯正医官の数を増やしたいんですよね。なぜ予算減らすんですか。
#23
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員の方の前提として、被収容者数が減少に転じた十九年度以降も医療費が増加傾向にあるということで、その原因につきまして、今外部と内部ということの中で、外部につきましては、前回も高齢受刑者の数、あるいは矯正医官の不足によりまして施設内の診療が弱体化をしていると、こういうことが外部医療費の増加ということで回答したところでございます。
 また、ウイルス肝炎とか統合失調症等の患者の数というのも増加をしているということでありまして、そこも医療費増加の原因の一つになっているというふうに考えているところでございます。
 外部医療費につきましては、外部医療機関との調整ということでございますので、費用についてできるだけ抑制をしてまいりたいと思いますし、また矯正医官の欠員の解消を今回お願いしているところでございますが、それに伴って施設内の診療の強化を図ってまいりたいというふうに思っております。
 先ほどの御指摘になりましたジェネリックの使用ということについても、更に積極的に取り組んでいくということでございまして、この削減に向けましての努力につきましては全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。(発言する者あり)
#24
○足立信也君 質問に答えていないというのは、まさにそのとおりなんですね。
 ジェネリックはこれ以上恐らく無理でしょうというのがまず一点あった後で、矯正医官を増やして施設内でやりたいということは、薬、医療機器を今までよりも使うということですよ。なのに、どうして予算が減額できるんですかと。どうやって減額、なぜ減額するんですかということを聞いているんです。
#25
○政府参考人(小川新二君) 委員の御指摘の予算の減額というのは、平成二十七年度予算におきまして約七千万円、医療費が減額になったという点だというふうに承知しております。
 これにつきましては、基本的に被収容者の数が減少しているという状況がありまして、それによって矯正収容費の中での医療費が減額する要因もございますので、それがそのほかの増加の要因を上回ったことによりまして、平成二十七年度におきましてはその程度の予算の減額になったということでございます。
#26
○足立信也君 収容者数は減り続けているけれども医療費が一般よりもはるかに増えていますよと言っているじゃないですか、ずっと。これが物すごく減るから医療費は削減できると今言っているわけですね。無理がありますよ。まあ、これ予算成立しましたので、実際にそのように取り組まなきゃいけないんですよ、行政としては。先週の議論では、それは無理ですよと言っているんだけれども、どうやってやるかという手段も示されなかったので、今日、もう予算成立した後ですから、これしっかり取り組んでくださいよ。できるとは僕は思えませんが、取り組んでください。
 そこで、質問の内容で、先週も紹介したんですが、「塀の中の患者様」という、僕これ、著者のお名前、この前、私は大分で隣の日向藩で、てっきりヒュウガだと思ったらヒナタさんでしたので、まず訂正しておきたいと、そういうことを申し上げて。
 ところで、先ほど三宅議員の質問にもありました、矯正医官の定員を、そうはいいながら、二十六年、昨年度は定員減らしていますよね。この説明してください。
#27
○政府参考人(小川新二君) 御指摘のとおり、平成二十六年度におきましては矯正医官の定員が五人削減となっておりまして、それによりまして全体の矯正医官の定員が三百二十七人となっております。
 具体的には、少年鑑別所の矯正医官の定員が削減となったものでございます。少年鑑別所の職員定員につきましては、行政需要の変化に対応しためり張りある定員配置を実現するという観点から、平成二十二年度から平成二十六年度までの五年間に平成二十一年度末定員の一〇%以上を合理化するという国家公務員全体の定員管理の方針に沿って、平成二十六年度には十五人を合理化するということとされていたところでございます。
 少年鑑別所におきましては、比較的健康な若者を収容しているということ、またその収容期間も比較的短いということ、また迅速な医療上の対応を必要とする在所者の数が必ずしも多くはないという状況にありましたことから、非常勤医師の確保の状況であるとか、他の矯正施設で勤務する矯正医官や外部医療機関の医師による支援体制整備等の状況を勘案した上で、少年鑑別所の医療の低下を招かないように配慮しながら、少年鑑別所の医師の定員を削減することとしたものでございます。
#28
○足立信也君 理由はよく分かりますが、今回こういう法案出しているわけですから、矯正医官を増やす努力をした後で、充足率が上がってきて、でもこれ以上はもう充足できない、そこで定員削減というのが筋じゃないかなと僕は思いますね。充足率は、この前出した私の資料で、どんどんどんどん下がり続けていて、これ定員が前のままだったらこの充足率七七・一%ってもっと下がっているはずなんですね。そこにある意味理由があるのかなという気がしないでもないです。
 法案の中身に行きますけど、まず第四条の、先ほども出ておりましたが、矯正医官の正規の勤務時間というのをまず教えてください。
#29
○政府参考人(小川新二君) 本法案第四条の正規の勤務時間といいますのは、一般職の職員の勤務時間及び休暇に関する法律という法律がございまして、その十三条一項に規定する正規の勤務時間のことでございます。
 具体的に申し上げますと、矯正医官の勤務時間は、現在その勤務の法律に基づきまして一週間当たり三十八時間四十五分とされておりまして、月曜日から金曜日までの五日間におきまして、一日につき七時間四十五分の勤務時間が割り振られるものとされておりまして、通常、午前八時三十分から午後五時までの間で休憩時間を除いた七時間四十五分が勤務時間として割り振られております。
 また、本法案の施行後におきましても原則として同様に割り振られるわけでございますけれども、本法案第五条のフレックスタイム制の適用がある場合には、矯正医官から申告を経て、四週間ごとの期間につき矯正医官の勤務時間を割り振ることができることとなりますけれども、これも正規の勤務時間ということになります。この場合、人事院規則が定める基準の範囲内で矯正医官の申告を考慮しまして、四週間当たり百五十五時間の勤務時間が割り振られることとなります。
 以上でございます。
#30
○足立信也君 そこでこの日向先生の話なんですが、彼が福島刑務所に勤めていた時代に、こういうふうに書かれているんです。週三日勤務、年収約一千万円、残り二日は他施設での研修という扱いで週五日勤務ができる、非常にいいんです、皆さん来てくださいと。これは今は違うということですか。
#31
○政府参考人(小川新二君) 勤務時間としましては、先ほど申し上げましたように一週間当たり三十八時間四十五分ということでございます。その間で、例えばほかの病院とかあるいは大学の医局等で調査研究に当たるというふうなことはあろうかと思いますし、施設外で勤務をするということはあり得ることでございますけれども、勤務時間としてはあくまで一週間当たり三十八時間四十五分ということでございます。
#32
○足立信也君 ということは、さっき私読み上げましたよね、質問取りに来た人はもう少し違う答えをしましたが、週三日勤務、年収約一千万、残り二日は他施設での研修が可能と。これは、今でもオーケーなんですか、今は駄目なんですかと聞いたんです。
#33
○政府参考人(小川新二君) 研修として要件を満たすものであれば当然可能なわけでございますので、現在でも可能でございます。
#34
○足立信也君 兼業を可能にすることとフレックスタイムが売りだと言っていて、今と変わらないじゃないですか。週三日勤務で週二日外で研修、今でも可能だと。どういうことなのかなと、不思議でしようがないですね。
 じゃ、説明資料で、民間と比較して硬直的な勤務時間管理になっていると。今の説明でどこが硬直的なのかちょっと分かりませんが、そういうふうに説明されました、硬直的な勤務時間管理なんだと。でも、さっきの日向先生はこういうことも言っているんです。刑務所との交渉次第では、午前中に刑務所勤務、午後に他施設研修も可能であると。
 これ、どこが硬直的なんですかね。説明できますか。
#35
○政府参考人(小川新二君) 三十八時間四十五分の時間の中でありましても、研修として意味があることにつきましては外部機関等におきまして研修を受けることは可能ではございますけれども、やはり研修と言う以上は、研修指導者であるとかあるいは研修場所、あるいは研修時間等につきましても厳格な勤務管理が求められるところでございまして、そういった要件を満たすことは必要でございます。
 従来の矯正医官が行っている研修につきましてはそういった管理が十分でなかったという実情もございまして、これにつきまして改善も図ってきたところでございまして、そういった意味で、そういった厳格な要件のある研修につきましては現在でも可能でございますけれども、なかなかそれらの実施が困難になっているという実情がございます。
#36
○足立信也君 余り彼に責任を負わせるわけにはいかないので。
 じゃ、お聞きしますけれども、施設内と施設外の労働時間というのはきちんと分かっているんですか。週平均労働時間というのは何時間なんでしょう、施設内と施設外で。
#37
○政府参考人(小川新二君) 矯正医官は、先ほども申し上げましたように、正規の勤務時間としまして一週間三十八時間四十五分の勤務時間が割り振られているところでございますけれども、平成二十六年度の実績として、矯正医官につき、一週間当たり平均一時間三十六分の時間外勤務が行われています。
 また、矯正医官の中には、地域医療に貢献することなどを目的としまして、勤務時間外に外部医療機関における兼業等を行っている者もおりまして、平成二十六年度中に許可を受けて兼業した者につきましての勤務先での勤務時間を調査しましたところ、矯正医官一人につきまして一週間当たり平均三時間十四分というふうに推計されます。
 これらを合計しますと、あくまで一人当たりの単純平均でございますけれども、矯正医官は一週間当たり平均四十三時間三十五分勤務しているという計算になると承知しております。
#38
○足立信也君 今、四十三時間三十五分ということですね。
 実は、独立行政法人の労働政策研究・研修機構、これに調査報告があります。全国の勤務医の主たる勤務先の労働時間は平均四十六・六時間、その施設ですよ。ほかの勤務先を加えると五十三・二時間、六十時間以上の勤務が約四〇%。勤務医の四割が六十時間以上働いているということなんです。
 となると、このフレックス制あるいは兼業ですね、これ立法事実として、今全部入れて四十三時間だと。全国の勤務医は六十時間以上が四割で、平均五十三時間だと。ここに立法事実があるのかなという気がします。気がするというか、そうですよね。
 もっと言うと、後で収入の話、先ほどちらっと出ましたが、申し上げたいんですが、この方々というのは、正規の勤務時間以外は、私は、夜ほかの施設で当直したり、土日も当直、日直したりしていると思いますよ。そこは把握されているんでしょうか。してないでしょうね。
#39
○政府参考人(小川新二君) 申し訳ございません。
 矯正医官の当直、日直につきましては、今手元に資料がございませんので、今すぐお答えすることはできませんので。申し訳ございません。
#40
○足立信也君 だろうと思いますが、分かっていても言えないのかもしれません。
 次は、だんだんむなしくなるんですけど、矯正施設の医療の在り方に関する報告書からちょっと、特に先ほどから出ていますフレックスタイム制の意味が私はよく分からないんです。
 通常業務に差し支えないようにというふうに先ほどから答弁されていますが、例えばフレックスタイムというのはいつまでに申告すればフレックスタイムで働けるのか、あるいは四週間で百五十五時間ということですが、これ通常の業務を看護師さんやほかの医療関係者は通常の時間帯で働くわけで、そこだけ医師がフレックスタイムで働いていて、いないと。これ、通常の業務にどうやって差し支えないようにできるんだろう。
 先ほど示しました報告で、今、御存じだと思いますが、勤務医は宿直の次の日、八六%以上が通常勤務をしているんですね。これはほかの職種の方々と医師がいなければ通常の業務ができないんですよね。だから、当直の後もほとんどの方が通常業務をやるんですよ。これを考えると、フレックスタイムって、医師だけがぽんとフレックスタイムですといっても、本当にほかの業務の方々、業種の方々と共同してやるチーム医療等々ができるんだろうか。
 そもそも、フレックスタイムっていつ頃までに申告すればいいんですか。もう直前でいいんですか、あるいは一か月前。
#41
○政府参考人(小川新二君) フレックスタイム制によります勤務時間の割り振りは、既にフレックスタイム制が認められております研究職の職員等について言いますと、四週間ごとの期間が始まる日の前日から起算しまして、一週間前の日までに割り振りを行うということとされております。したがって、それ以前に申告をする必要があることになりますので、本法案におけるフレックスタイム制におきましても同様の仕組みとすることを想定しております。
#42
○足立信也君 ということは、曜日ごとに時間を変えるとかいうことも可能なんですか。
#43
○政府参考人(小川新二君) それも必要な場合には可能でございます。
#44
○足立信也君 そうすると、先ほど私質問しました、ほかの業種の方々との連携とかいうのはどうなるんですか。
#45
○政府参考人(小川新二君) 具体的な勤務の割り振りにつきましては人事院規則で定めることになりますけれども、当然、矯正施設における医療に支障を生じさせるような割り振りを認めるものではございません。具体的には、矯正施設の中での被収容者の診察・診療時間が十分に確保できますように、平日昼間の一定時間をいわゆるコアタイムとして勤務時間を割り振らなければならないとすることなどを想定しております。
 具体的には、先ほど申し上げましたように人事院規則で定めることになりますけれども、勤務時間は少なくとも一日二時間以上とするとか、かつ、この二時間につきましては午前九時から午後四時までの時間帯に割り振らなければならないという基準を定めることを想定しております。
 以上でございます。
#46
○足立信也君 一日二時間以上はきちっといるんだと。そうすると、さっき、冒頭言っているような外の施設での研修とこれまた矛盾します。コアタイムはきちっと確保するんだということは、ほかの職種で医師がいなければなかなかやれないようなことはそのコアタイムに集中させるということをおっしゃっているんでしょうね。かなり無理がある話だと思います。
 報告書にちょっと続いて行きます。
 定年年齢の延長はしないのか。これは宮城刑務所をこの前視察に伺ったときもおっしゃっていました。定年年齢、なるほどなと思います。特に、こういう職種の方々はそうなのかなと。しかし、今回は見送られた。それはそれで私も理解できるところはありますが、その根拠、どうして見送ったのかということを、副大臣、よろしいですか。
#47
○副大臣(葉梨康弘君) お答えします。
 それと、今の議論、矯正局長ともお話あったんですが、なかなか局長からはお話も難しいかも分からないんですが、かつて、確かにその本に書いてあるように非常にアバウトな時代というのはあったようなことを私も聞いたことはございます。ただ、今現在、矯正医療の現状において、このような形での制度を導入しないと、なかなかフレックスタイムというか外での研修というのが難しいというような意見も、また現在の矯正医官の方からも聞いているということを私からも申し上げたいと思います。
 そして、今の定年のお話ですが、六十五歳、今現在矯正医官の定年でございます。これは、新たな欠員発生の抑制、欠員補充の機会を増やす、そういう効果があるという意味で重要な提言であるというふうに私どもも考えております。ただ、一般職の国家公務員の場合、ほかの医官ですと、やはり六十五歳というのがもうマックス、リミットの定年であるということが片一方では一つ事実としてございます。
 それから、先ほど来も議論がありましたけれども、期限付職員の採用というのを、これ民間を定年退職したお医者さんを六十五歳以上であっても期限付で雇用するということも可能であるということ、これもやはり活用していったらいいんじゃないかと。さらには、今六十五歳の定年ですけれども、人事院の許可を得ますと三年間延長できる。当面、そのような現行法における措置をまずしっかり活用をしていこうという、この法案の立案段階ではそういう形の整理になったということでございます。
 ただ、やはり、しかも新しい血を入れるということも非常に大切なことでございますので、今回の法案において、兼業の緩和ですとか、あるいは今も御議論ありましたフレックスタイム制の導入というようなことで、できるだけ若いお医者さんも採用できるような、そういうような啓発もしっかり我々としてもやっていかなければいけないと思います。
 その上で、法務省として、人事院などの関係省庁とも引き続きこの定年年齢の引上げについては検討していきたいというふうに考えています。
#48
○足立信也君 葉梨副大臣、この定年年齢の延長という総合的な結論としては、私は納得します。いろいろ、延ばすべきだ、いや、ほかとの見合いというのは、総合的に考えると私は納得できます。
 次に、もう一つ報告書であったのは、新たな手当、これは年収確保ということだろうと思いますが、新たな手当、これは取りやめられたみたいですが、であるならば、平均収入と申しますか、矯正医官の方々、これはどれぐらいなんですか。
#49
○大臣政務官(大塚拓君) お答え申し上げます。
 矯正医官と民間医療機関の医師との給与水準は、これは格差があって、それが矯正医官不足の原因の一つになっているということは、今般の矯正施設の医療の在り方に関する報告書でも指摘をされているところでございます。
 一方で、一般職の国家公務員の給与の改定については、通常八月、人事院勧告がございまして、それに基づいて一般職給与法という俸給法を改定していくということが通例でございますので、矯正医官についてもこの八月の人事院勧告というものを目指して要望をしていくという方針で今回整理をしているところでございます。
 ちなみに、お尋ねのございました矯正医官の平均年収ということでございますけれども、国から支給された俸給及び全ての手当、勤勉手当とか期末手当、こうしたもの全てを合計すると、矯正医官一人当たり平成二十六年の平均で約千三百万円となっております。また、矯正医官の中には、地域医療への貢献などを目的として勤務時間外に外部医療機関における兼業等を行っている者もおるわけでございます。今、葉梨副大臣からもありましたけれども、最近はその運用が非常に諸事情で厳格になっておりまして勤務時間外ということが多いわけでございますけれども、この兼業に関わる収入額の推計、二十六年中のことでございますが、矯正医官一人当たり平均約百十八万円ということになっております。これらを合計すると、矯正医官一人当たりの平均年収は約千四百十八万円となるものと考えております。
#50
○足立信也君 今の数値を皆さんがどう考えられるかということで、私は新たな手当を取りやめたのは正解だろうと思っています。ちなみに申し上げます。私も国立大学に勤めておりましたから、講師で年収七百万です。助教授で八百万です。教授で一千万です、平均が。今、一千四百万という話が出ましたね。それをどう考えられるかは参考にしていただきたいと思います。
 もう一つ、私は大学で教えていたこともあって、今は学生の四割が女性ですよね、女子学生ですね。私の同級生も少年院で矯正医官をしています。女性です。やっぱり、自分のワーク・ライフ・バランスあるいはお子さんのこと等々を考えると、さっき管理された勤務時間というような話もありましたが、私は女性にとっては比較的働きやすい、ワーク・ライフ・バランスのためにもいい職場だと実は思っています。危険じゃないかとか怖いんじゃないかとかいう話ありますが、そこはしっかり刑務官付かれているわけで、安全、安心だと思うんですね。
 そこで、上川大臣、国の責務として今回啓発が含まれていて、そして矯正医官の重要性、そこを含めてもっと働くようになってもらいたいというようなことを国が責任を持ってやるわけですが、今まで挙げてきたようなことでは、私は、さほど変わらないし職場も混乱するだろうし、余り得策はないのかなと思いながらも、もっと女性のところはしっかり取り組んでもらってもいいんじゃないかと、そのように思っているんですが、大臣の思いといいますか、そこの女性医師についてはどのように考えられているかをお答え願いたいと思いますが。
#51
○国務大臣(上川陽子君) 国の矯正施設において女性医師の現在の割合というのも二百五十二人中四十二人ということでございまして、約一七%ということでございます。全国平均が約二割ということでありますのでそれよりは低いわけでありますが、先生御指摘のとおり、医学部に入学される方の四割が女性になっているということを考えてみましても、これから、そうした大変責務の重いわけでありますが、大きな仕事に女性がもっともっと活躍していただきたいというふうに思うところでございます。
 矯正施設の中には、男子の施設と、女性施設ということで女性刑務所がございまして、そちらにつきましては女性医師にできるだけ勤務していただきたいというふうに思うわけでございますし、また男子の施設につきましても、様々な先ほど来のお話のとおり、勤務状況を十分に勘案しながらも、女性が子育てをしている状況の中でも働くことができるように、あるいは子育て後にもまた戻っていただくことができるような環境をつくっていくというのは非常に大事なことではないかというふうに思っております。
 収容されている方が高齢になっていらっしゃる、あるいは女性の受刑者の方も増えていらっしゃる、そしてその中には妊娠していらっしゃる方もいらっしゃるというような状況でございますので、女性医師の活躍につきまして、様々な形で環境整備につきましても配慮をしていきながら、さらに女性医師のある意味ではリクルートということについては積極的に啓蒙啓発をしながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#52
○足立信也君 これで終わりますが、基本的にこれは反対できる法案ではないと思っておりますので附帯決議しっかり付けさせていただきたいと思いますし、今日、海渡弁護士いらっしゃっていますが、これ新法で作るからには、やっぱり患者としての権利擁護とか刑事施設で医療を提供することが本当にそのままでいいのか、あるいはもっと大きな範囲で厚生労働省としっかり協力しながら、あるいはそこで診るようなことも含めて、新法でやるならばそこまで踏み込んでもらいたかったなというのが私の考えでございます。
 以上で終わります。
#53
○矢倉克夫君 おはようございます。公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
 今日の法案、まず立法事実は極端な矯正医官不足。それによって生じました部分としては、まず医官の確保、個々の過重労働がかなり増えているというところ。また、それぞれ受刑者の健康状態にも影響をしている。さらには、看護師の皆様への教育とか研修の分野の影響もあるかというところであるかと思います。
 今回の法案は、まず対処すべきところとしては、個々の矯正医官の方の勤務条件が硬直化している、とりわけ勤務時間帯であったり、また兼業規制について、そこを直すことで矯正医官のなり手を増やしていくというところであるかと思います。また、私、この部分は合理性もあると思っておりますので、法案自体には賛成をさせていただきたいと思っております。
 その上でお伺いしたいんですが、今回のこの法案によりまして、今、現状直面している医官不足、これについて抜本的な解決となるのか、つまり劇的に欠員ゼロというような状態になるのか、この辺りを法務当局の御意見をお伺いしたいと思います。
#54
○政府参考人(小川新二君) 矯正医官が不足している原因につきましては、矯正施設内で医療行為を行うのみでは医師としての能力を維持向上させることが難しいということで、そういった理由で民間の医師などが矯正医官になることをちゅうちょすることが多いということ、また矯正医官の認知度が低いということなどが挙げられると考えております。
 本法案では、診療を行う兼業の許可に関する特例を定めることによりまして、矯正医官は簡便な手続の下で矯正施設外の医療機関におきまして自ら診療行為を行う機会を確保することができます。また、フレックスタイム制の適用によりまして、矯正施設外の医療機関等におきまして調査研究などを行うに当たりまして勤務時間を柔軟に割り振ることができるようになります。こういった特例は、矯正医官不足の解消に相当な効果を発揮すると考えているところでございます。
 もっとも、本法案のみで全て解決が図れる問題ではないとも考えておりまして、広報活動、啓発活動、その他の活動を通じまして、矯正施設における被収容者に対する医療の重要性に対する国民の理解と関心を深めていくこと、また矯正医官を支える医療スタッフの充実であるとか医療設備の整備であるとかの執務環境の改善、その他様々な措置を講じてまいりたいと考えておりまして、こういったことによりまして矯正医官の人材確保に努めてまいりたいと考えております。
#55
○矢倉克夫君 もちろん、今お話あったとおり、広報啓発等、その他様々ないろんな政策と合わせ技でやっていかなければいけない話であるかと思います。
 その上で、やはり、また更に大事なことは、まず医師不足というのは全国的な問題でもありますので、厚労省ともしっかりその辺りの話も協議も続けていかなければいけないというところ、あと地域医療との連携というものがやはり非常に大事になってくると思います。その意味でも、医師会ともしっかりと協議もするというような必要もあるかと思います。
 この辺り、全体のパッケージをしっかりしていくという意味では、厚生労働省であったり医師会とどのように協議をする御予定であり、今どのようにされているのか、また御説明いただきたいと思います。
#56
○政府参考人(小川新二君) 医師会との連携、協議等につきましては、矯正局と日本医師会との間でもいろいろ協議をしておりまして、法務省内で設置しました有識者会議におきましても日本医師会の方々にも御協力をいただいたという経緯がございます。また、現場の施設におきましても医師会等との連携を深めておりまして、特に地域医療との連携は極めて重要でありますので、各矯正施設におきましては、地元医師会あるいは大学医局、地域医療機関等々に対しまして医師の派遣の依頼を行うなど、連携を深めております。
 また、一つ申し上げますと、医師の確保を始めとします矯正医療体制の充実に資するため、平成二十三年度から、各矯正管区におきまして矯正医療アドバイザーというものの委嘱を行っております。これは、それぞれ矯正施設所在地の医療に精通しております医師とか、大学病院医局等におきまして医師派遣の中心になっているお医者さんなどに委嘱をいたしまして、矯正施設への医師の派遣であるとか、あるいは地域医療機関と矯正施設の連絡調整等を行っていただいているものでございます。
 以上でございます。
#57
○矢倉克夫君 今、様々な取組をされているというところはあります。とりわけ、今お話にもありました、いろんな、嘱託医師の派遣であったりとか、そういう部分もこれから必要であると思います。先ほど三宅理事の方からも話もありました、内部で矯正医官を充実させていくという方向性も当然大事ではありますが、やはり、しっかり外部から非常勤のまた医師であったり嘱託の医師を派遣していただくというような方向性も大事であると思います。
 その部分では、私いろんなところで話も聞いたんですが、やはり外部の方から、例えば一時間の診療のためだけに半日間潰すのはなかなか難しいであったり、そういうようなことを言っていらっしゃる方も非常に多いと。それは当然ですけれども、それだけ交通時間も掛かるようなところの方しか協力も得られないというようなことの事実もあるかと思います。もっと近隣の医師、医療機関の方からもしっかりと非常勤医師や嘱託医師を派遣していただく、そのようなこともしっかり、より充実させて考えていく必要もあるかと思います。
 また、先ほども少し話もありました、例えば大学病院などを定年退職された医師の方、そのような方々にも御協力をいただく。定年制の話の問題とも絡んでくるかと思いますが、そのような非常勤医師や嘱託医師の派遣又は大学病院を定年退職された方の御協力というような部分、この辺りについて、ちょっと重なる部分もあるかもしれませんが、改めて、現状どういうような動きをされているのか、御説明いただきたいと思います。
#58
○政府参考人(小川新二君) 常勤医師の確保は非常に重要と考えておりますけれども、片や常勤医師のみで矯正施設における医療需要を満たすことは困難でございますので、これまでも非常勤医師や嘱託医師にもお願いをしているところでございますし、今後もその確保も続けていきたいというふうに考えております。
 そのために、これまで地域の医療機関の医師等にお願いをしまして非常勤医師での勤務等もお願いしているところでございまして、引き続き各矯正施設からお願いをしてまいりたいというふうに考えております。
 また、大学病院等を退職した医師の活用等につきましても、先ほども御説明いたしましたけれども、任期付職員の活用などの手段で積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 定年引上げにつきましては、他の医療職との均衡等も考慮する必要がありますので本法案における実現は困難でございますけれども、法務省としましては、引き続き、人事院等の関係省庁とも協議しながら適切に検討してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
#59
○矢倉克夫君 方向性としては、そのように引き続き、いろんな課題もあるかと思いますが、是非検討していただきたいと思います。
 今申し上げましたとおり、地域医療との連携というのをどういうふうに図っていくのか、ここが非常に大事かと思いますが、今回の法案がこの地域医療との連携という観点からどのような意義を持っているのか、その部分について御所見をいただきたいと思います。
#60
○政府参考人(小川新二君) 本法案は、地域医療連携という観点から積極的な意味も一つ持っているというふうに考えております。
 と申し上げますのは、本法案は、病院や診療所などで行う兼業につきまして、法務大臣の承認によって行うことができるものとする兼業の特例を設けることとしているわけでございますけれども、多くの矯正施設は医師や医療機関の少ない地域に立地しておりまして、そういった地域におきましても深刻な医師不足の問題を抱えているというふうに承知しております。
 本法案によりまして、矯正医官が地域の医療機関で医療業務に従事することが柔軟に行えるようになれば、地域の医療機関から矯正施設に医師を派遣してもらうということだけではなくて、逆の方向でより一層地域医療に貢献することが可能となるというふうに考えております。このように、地域医療に貢献することは、矯正医官が抱きがちであります社会一般の医療から疎外されているのではないかという疎外感の解消にもつながるのではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
#61
○矢倉克夫君 確認ですけれども、今まで兼業規制があったことで、今議論になっているのは矯正医官の方が民間に兼業するという方向ではあるかと思いますが、ニーズとして、民間の外部の病院とかも矯正医官の方に勤務していただきたいというニーズがあったんですが、それが兼業規制でできなかったと。
 今回これを、兼業規制を緩やかにすることで、民間からの矯正医官の方にまた来ていただいて働いていただきたいというような要請にも応えられることができて、人事交流の部分でも非常に地域とのつながりができていくというような話であったというふうに理解をしたんですが、その点、再度ちょっと確認をさせていただきたいと思いますが。
#62
○政府参考人(小川新二君) 委員御指摘のとおりでございまして、これまでは矯正施設に外部の医療機関から来ていただくということが多かったわけでございますけれども、この法律で兼業が柔軟に認められるようになれば、矯正医官も地域医療に貢献することができるということでございます。
#63
○矢倉克夫君 私は、その意味合いでも、今回の法案は地域医療との連携というところでも意味はあるものというところは確認をさせていただきました。より一層、人材交流というところはしっかり進めていただきたいというふうに思います。
 その上で、私、根本解決という意味合いでは、地域医療の連携とともに、やはり国民の皆様に対して矯正医療というものがどのようなお仕事で重要なものなのかということも周知していただくということも非常に大事であると思います。
 例えば、報酬の部分であったりを改善をするということで医官のなり手が増えるかというと、それだけはなくて、やはり医官それぞれ皆様に仕事に対しての誇りというものを持っていただく、社会的な意義がある仕事をやっているんだということを理解していただくことはやはり大事でありますし、その前提が今まだできていないんじゃないかと。国民の皆様に対しても、矯正医官という仕事のいかなる重要性というものをまだ御理解をいただけていない原因があるから、やはり矯正医官として仕事されている方に対しても、お仕事に対しての誇りというものが見えにくい部分もひょっとしたらあるのかもしれないなというふうに思っております。
 その意味でも、広く国民に対して矯正医療の重要性や社会的使命というものもこれは啓発していくことが重要であるというふうにも思いますが、この辺り、法務省としてどのように進められているのか、また今後どれだけ力を入れていかれるのかというところを御説明をいただきたいというふうに思います。
#64
○政府参考人(小川新二君) 矯正医官の確保のためには、広く国民に対しまして矯正医療の重要性や社会的使命などを啓発することが極めて重要であるというふうに考えております。
 そういった取組の一環としまして、文部科学省の協力を得まして、国公立大学医学部に対する積極的な広報も実施しているところでございます。全国各地では、矯正管区長自らが管区の大学の医学部を訪問しまして矯正医療の意義を訴えて協力を求めたり、大学医学部における講演の機会を求めて矯正医官とともに講演を実施するなどの広報活動を行っております。
 また、刑事施設におきましては、医師会あるいは大学の医学部、あるいは都道府県等の自治体等の関係機関と協議会を開催するなどして、矯正医療に対する理解と協力を求める中で重要性や社会的使命も説明しているところでございます。
 さらに、医学会の場であるとか医学教育の場などにおきましても医療関係者への啓発を行っているほか、マスメディア等の取材に対する積極的な対応あるいは協力も行っているところでありまして、まだまだ不十分なところも多いかと思いますけれども、広く国民に認知いただけるような広報活動にこれからも努めてまいりたいというふうに考えております。
#65
○矢倉克夫君 たしか宮城の方に視察に行ったときだったと思いますが、矯正医官をされている方の悩みの一つが、医師仲間とか、またそれ以外の部分の人の集まりがあったときにも、矯正医官、働いているというふうに聞くと、何か通常の民間の医療機関では働けなかったのでそういうところで働いているかのような印象を持たれているようなこともあるみたいなこともおっしゃっていました。
 これは非常に残念なことで、本当に崇高な理念で、ある意味、制約がある状態を自ら買って出てやっていらっしゃる矯正医官の方の仕事ぶりが、誇りが傷つけられるというような状態が一番良くないことでもあると思います。その点での広報啓発活動、いかに大事な仕事で社会的に意味のある活動かということも、より具体的な、積極的なデータ等も駆使して、どれだけ社会に貢献しているのかというのももっと資料も更に集めていただいて、啓発活動というのをより良くしていただきたいというふうに、このように改めて要望をさせていただきたいと思います。
 大臣にお伺いをしたいんですが、今、とりわけ私も、抜本的解決の意味では地域医療との連携とやはり広報活動というのが大事であると。何度か再犯防止の関係でもお話もさせていただいたところではあるんですが、再犯防止でもやはり何が大事かというと、福祉従事者を含めた地域との連携というものがやはり大事だということを改めて思ったところでありまして、この矯正医官の問題というものについてもやはり同じようなものがあるかなと思ったら、いかに地域と連携をし合っていくのかというところ。
 この矯正医療というのは、保安とかその他の問題も、特殊のやはり目的もありますので、民間とは完全に一致なものはないとは思います。ただ、民間医療、地域医療との連携というものなくして保安という問題も目的もやはり達成できないと。そこをしっかりどれだけ連携をしていくのかというところは非常に大事かと思っております。
 そのためにこそ法務省の更なる取組というのも必要であると思いますし、この矯正医療という目的を達しつつ、民間と地域との連携をし合っていく環境整備というのがやはり大事かなと。例えば、遠隔地医療とかなどでもよく使われているICTの利活用とかもしている例あるかと思います。そういうようなハード面の部分も含めて、今後、法務省としても、この法案提出で終わりとせずに、やっぱりこれまで以上に一皮むけた対応というものも、一歩更に進めた対応というのも必要かと思っております。
 大臣から、この地域医療との連携がまた不可欠である、そのためにしっかりと政策をまた打っていくというようなことを御決意等も含めて一言いただければと思いますが。
#66
○国務大臣(上川陽子君) 矯正医療の目的を達成するためにも、地域医療との関わりについては今後大変重要になるという認識につきましては共有をしているところでございます。
 本当に、矯正施設内で患者さんが発生して、そして施設内で対応できない場合には地域の医療にお世話になるということ、これについては本当に御協力をいただいて治療をしていただいているところでございまして、これからもそういう意味で地域医療機関等の御支援をいただかなければいけない場面が多々あろうかというふうに思っております。その意味でも不可欠な関係づくりということであろうかというふうに思っております。
 先ほど来、局長から答弁をさせていただいておりますけれども、これまでも、厚生労働省、さらには都道府県の医療関係部局、さらには日本医師会等の医療関係機関、さらには地域の様々な診療所の先生方という形で協力の依頼を行いまして、そして関係機関からも矯正医療に対しての御協力を理解していただいているというふうに考えております。十六年以降につきましては、各刑事施設の中におきまして、毎年、地域の関係機関を構成員とする医療に関する協議会開催ということにつきまして、矯正医療に対しての御理解を更に深めて御協力を仰ぐということに努力をしているところでございますし、平成二十三年度からにつきましては、各矯正管区の地域医療に精通した矯正医療アドバイザーの配置ということでそれぞれの調整をしていただいていると、こういうことも実行をしているところでございます。
 この法案によりましてまた更に兼業が柔軟に行うことができるようになるということになりますと、矯正医官も地域の医療に対して貢献することが可能になるということでございますので、そういう意味では双方の連係プレーというのが大変密になっていく、そういうきっかけになろうということで、地域との医療の一層の連携強化ということに資するものと期待をしているところでございます。
 こうしたことにつきましては、国民の皆様の何よりも御理解ということが大変大事であるということでございますので、私どもも先頭に立って御理解を求めるべく、それぞれの関係機関にいろいろな形でお願いに行ったり、あるいは協力のお願いに行きたいというふうに思っているところでございます。
 さらに、医療の分野につきましては、地域との医療が連携が密になればなるほど、様々な医療の環境整備ということにつきましても連携をしていく場面が増えてくるかというふうに思っております。先ほどICTの活用ということにも触れていただきまして、遠隔での医療ということにつきましても、今取組が、研究も含めまして実証実験も進められているということでございますので、そういったところについても乗り遅れることのないように、そうした部分について環境整備の一つの大事な要素として検討をしていきたいというふうに考えております。
 いずれにしても、地域の医療との連携強化につきましては、この法案も審議をいただいた暁には、しっかりと更に充実すべく努力をしてまいりたいというふうに決意をしているところでございます。
#67
○矢倉克夫君 最後、大臣おっしゃったICTの利活用なども本当に重要な要素でもあるかと思います。法務省内でもこの分野における研究開発等もまた更にしっかりと進めていただきたいと思っておりますし、私も、もう少しまた勉強させていただいて、また御質問等をさせていただく機会があればさせていただきたいというふうに思っております。
 最後、大臣にもう一個。今申し上げた、あと、国民周知の部分であります。
 大臣は本当に現場にいろいろ入られて、いろんな方の御意見お伺いをされる方でもあると思いますし、やはり最後は大臣自ら様々なところで、この矯正医官のお仕事というのがやはり大事であるし、社会的に本当に意義のあることだということをよりまた積極的に語っていただくことということが非常に大事であると思います。政治の言葉というのは非常に重いと思いますし、その意味での大臣の御決意、御所見を含め、またいただければと思います。
#68
○国務大臣(上川陽子君) この矯正施設の医療につきまして、私も医療関係の様々な皆さんとの意見交換等も含めまして積極的に進めてまいりたいというふうに思っておるわけでありますが、何よりも現場の状況ということにつきましては、日本の中でも、総合的な病院の機能もございますし、また一般でいきますと診療所のような機能のところもありますので、様々なニーズに応じて適切な対応をしていくということが大変大事だというふうに考えております。
 国民の皆さんに矯正医療の意味ということについてしっかりと御理解いただくためにも、また同時に、そこで働いていただく医師を始めとして医療関係の皆さんの現場での御苦労も含めまして、そういったことについてよく現場の声を聞かせていただきながら、施策にしっかりと反映できるように努めてまいりたいというふうに考えております。
#69
○矢倉克夫君 終わります。
#70
○真山勇一君 維新の党、真山勇一です。
 今回のこの矯正医官の問題というのは、矯正施設収容者への医療というのは矯正施設内で行うという原則の中でやろうとしているわけですけれども、医師不足、大変深刻になっているということで、これを解消するための特例法案ということで、私も、当面のやっぱり何としても緊急性があるので、これ、法案というのは必要であるということでは賛同をいたします。
 しかし、今回の特例法案の中身を見てみますと、兼業の問題とそれから勤務時間の問題ということで改善をということなんですけれども、私は、何かやっぱりこれだけではなかなか弱いのではないか、やはり、十分かどうかということをもう少し検証しながら、今後どういうふうにするか、この問題は依然として残ったままになっているというふうに思うんですね。
 一つは、どうやってその医師不足を解消していくかという一つの方法として、矯正施設の収容者の医療サービス、この提供というものを矯正施設内部で全部やろうということではなくて、例えばサービスであるから民間委託をするというようなことも考えられるというわけですね。何もかも官がやるということでなくて、民間でもやれるものはやってみようじゃないかということで、法務省の矯正施設でも民間委託している例というのがあるというふうに伺っております。
 これについてちょっとお伺いしたいんですが、いわゆる民間でやっていることが、経営状態、どんな状態なのかということが一点と、現行の矯正施設内でやる矯正医官制度と比べて、いわゆる費用対効果でいうとどんなふうになっているのか、この辺りをお伺いいたしたいと思います。
#71
○国務大臣(上川陽子君) ただいま矯正施設の医療の民間委託の御指摘がございましたけれども、国の常勤医師の確保が困難となっている一部の施設につきまして、やむを得ずということで矯正施設の医療を外部医療機関に委託をしているという状況でございます。
 六庁ございます。その中には施設そのものがPFIという形の部分もございますけれども、その中で外部委託をしている主な例として月形の刑務所と、そして常勤の矯正医官が配置されている同規模の山形刑務所の状況をちょっと比較して御紹介したいというふうに存じますけれども、被収容者一人当たりの医療費の試算比較ということで、月形の刑務所におきましては、これは外部委託をしている例ということでありますが、約十四万六千円ということでございました。山形につきましては内製しているということでありますが、山形の刑務所におきましては約七万七千円ということでございまして、やはり外部委託をお願いしている事例の方が、今のケースで比較してみてでございますけれども、費用が高くなる傾向があるというものでございます。
 したがいまして、まず常勤の矯正医官、確保するということが何よりも大事だということで今回の法案のお願いをしているところでございます。
#72
○真山勇一君 やはり、十分でないところはやむを得ずということでやっていて、今のお話ですと、民間委託がやはり高いということで、施設内でやった方が、これだと倍ぐらいですね、この数字でいいますと。ただ、民間の場合はまだまだ工夫の余地もあるでしょうし、それから、何といっても、やっぱり矯正施設という特殊性でなかなか難しい面もあるんではないかというふうに思いますけれども、私は、こういうことも一つの方法として、今後選択肢の一つで検討していくということも必要ではないかというふうに思っております。
 その一方で、やはり俸給が安いということでなかなか集まらないということなんですが、例えば若いお医者さん、つまり大学で医学を学んでいる人たちに奨学金というのを出して、そして期限付でその奨学金の返済免除をするというような仕組みというのも今実際にあるというふうに伺っているんですが、この現在の制度、これについてお伺いしたいと思います。呼び名としては矯正医官修学資金貸与法という法律に基づいての貸与制度があるというふうに伺っていますが、これについて伺いたいと思います。
#73
○政府参考人(小川新二君) 委員お尋ねの矯正医官修学資金貸与制度と申しますのは昭和三十六年に発足した制度でございまして、矯正医官修学資金法に基づくものでございます。
 中身としましては、大学の医学部又は医科大学に在籍する学生で、将来、矯正施設の医師として勤務し、矯正医療に従事しようとする者に対しまして修学資金を貸与し、もって医師たる矯正施設の職員の充実に資することを目的とするということでございます。修学資金の貸与を受けた者が大学卒業後、矯正医官となって、貸与を受けていた期間の一・五倍の期間、勤務を継続した場合、ただし最短でも三年以上勤務していただく必要がございますけれども、返済債務の免除を受けることができるというものでございます。
   〔委員長退席、理事熊谷大君着席〕
 ただ、これまで、その貸与金額は一月当たり五万四千円という金額でございましたので、金額的にも少な過ぎるのではないかということで、本年度から貸与金額を月額十五万円に引き上げたところでございます。
 以上でございます。
#74
○真山勇一君 現行よりも本年度からかなり、三倍近く引き上げて月十五万の奨学金ということで、一・五倍でしたね、の勤務をすれば返済が免除されるということなんですけれども。
 この件について、こうした奨学金の制度、これほかにどんなものがあるかなというのをちょっと調べていただいたんで、それを見てみたんですけれども、例えば自治医科大学というのがありますね。これは全額奨学金で、免除されるというか貸与されるんですが、これもやはり貸与を受けた期間の一・五倍に相当する期間を、この場合は自治医科大学なんで、知事などが指定するへき地の病院、そうしたところに勤務をすれば返還が免除されるということですね。
 それから、産業医科大というのがやっぱりありまして、これも貸与を受けた期間の一・五倍勤めれば返還が免除されるということで、いわゆる産業医科大なので、産業医ですとか労災病院の医師とか、そういうところに勤めた場合、免除されるということです。これも、要するに医学部で掛かる学費を全額免除していくということですね。
 もう一つ、防衛医科大学校というのがあるんですが、こちらの方は自衛隊の幹部ということで、医師で、これは法務省の職員である矯正医官とちょっと似ているなというふうに思うんですが、この自衛隊の医師をつくるための防衛医科大学校の場合、これはもうとてもこの学校の性格上やはり優遇されていて、入学金、授業料、納入必要なくて、逆に学生手当として在学中に十万九千四百円の支給が、給料ですね、逆にもらえると。ただ、卒業後九年間は自衛隊に勤務する義務があるということなんで、この防衛医科大学校はやはりその学校の性格もあってかなり優遇されているなという気がします。例えば、学費の償還の最高額というのは四千六百万円余りということなんで、これはとても大きな補助だというふうに思うんですが。
   〔理事熊谷大君退席、委員長着席〕
 こうしたほかの奨学金の制度、学費免除を行っているというところから見ると、まだまだちょっとこれ魅力がもう一つ、例えばせっかく月十五万に上げたけれどもなかなか難しいなと、こういうことで、医師不足が解消していくのはなかなか難しいという感じもしております。
 こうした面で少しまだ改善を考えるというようなことは検討されていますでしょうか。
#75
○政府参考人(小川新二君) 先ほどもお答えしましたように、貸与金額につきましては、これまで月当たり五万四千円だったものにつきまして本年度から十五万円に引き上げたところでございますので、当面はその貸与状況等を注視しまして、その上で今後も適切に検討してまいりたいというふうに考えております。
#76
○真山勇一君 若い医学を勉強している学生さんに矯正医官というのがどういうものかというものをやっぱり理解していただくということも、この医官の不足解消制度のまた一つ大きなテーマになってくるんじゃないかと思いますので、是非若い学生も集めるということも一つ考えていくのは方法ではないかというふうに私は思っています。
 それから、今度は、制度面でやはり幾つかの問題点があるということで、それを指摘させていただきたいんですけれども、矯正施設内で万一収容者が死亡した場合、その処理手続というのはどういうふうになっているのかということと、当然死亡したわけですから死亡診断書というのが必要なんですが、これは誰が書くということなんでしょうか。この辺りの手続をちょっと伺いたいと思います。
#77
○政府参考人(小川新二君) お答えいたします。
 刑事施設の中におきまして被収容者が死亡した場合には、刑事施設及び被収容者の処遇に関する規則におきまして、刑事施設の長がその死体を検視するということになっております。また、その際には、医師を立ち会わせてその意見を聴かなければならないということになっております。こういった検視の結果、変死又は変死の疑いがあると認めるときには、検察官及び警察官である司法警察員に報告をしなければならないということになっております。
 実際上は、病死あるいは変死を問わず、死亡案件全件を検察官及び警察官である司法警察員に通報する取扱いをしております。その上で、検察官が変死又は変死の疑いがあると判断した場合には司法検視が行われ、さらに必要に応じて解剖が行われることとなります。
 また、死亡診断書につきましては、立ち会った医師等が作成するということになると承知しております。
#78
○真山勇一君 今伺いますと、普通の死亡の場合は施設の長が死亡診断書を書く、医師が立会いの下ということで、何か疑わしいことがあるときは検視を行う、司法解剖などの方法も取るということなんですけれども、いずれにしても、やっぱり施設の中で全て医療行為をやるということで、やはりその内部の密室性みたいなものがどうしても見え隠れしてしまうということなんですけれども。
 その辺り、例えば今ありました事件性があるかもしれないような死亡事例についてと、検察の方へ出すかどうかという判断、これはどなたがどんなふうにやられるんでしょうか。
#79
○政府参考人(小川新二君) 先ほどお答えいたしましたように、刑事施設において被収容者が死亡した場合におきましては、運用上は病死、変死を問わずに全件を検察官及び警察官である司法警察員に通報しておりますので、通報する判断は当然施設の長がするわけでございますけれども、全件を通報した上で検察官の判断を仰ぐということになっております。
#80
○真山勇一君 ですから、やはり内部のところで全て取りあえず処理をして、そして通報ということなので、その辺で、やはり全部矯正施設内部でやるということの、多少外から見えにくいという部分があるんではないかという気を私はしておるわけですね。
 そうしたことから、やはり多少疑いを持って見られるようなことも出てきてしまう、残念ながらそういうことがあって、そして、例えば、そうした刑務所内での事件というものも報告がされているわけです。暴行があった名古屋刑務所の事件ですとか、それから虐待ということが言われていた徳島刑務所の事件などがあって、その辺の閉鎖性みたいなものが、やはり一つ、この内部のだけということではどうしても避けられない問題で、これをどうやって解消していくかということもやはり制度上の大変大事な問題ではないかというふうに思いますし。
 それから、収容者の中には、希望してもなかなか診察が受けられないというようなことも出てくるわけですね。普通に、例えば民間で考えれば、自分で具合が悪いとか、何か症状があるということで診察を受けたければ受けに行けるということなんですけれども、なかなか希望しても受けられないというようなこともあるというふうなことが言われているんですが、この辺りについての何か対応というものはなさっていますでしょうか。
#81
○政府参考人(小川新二君) 被収容者の健康管理は国の重要な責務でございますので、やはり矯正施設の中の医療体制をしっかり整備した上で対応するということとしております。
 そして、被収容者から病気等の申出があったときには、第一義的には矯正施設の医師によりまして診察を行いまして、矯正施設の医師では対応が困難だというときには外部の医師による診察も行われるものと承知しております。
#82
○真山勇一君 申し上げた、こうした、まだほかにもあると思いますけれども、制度上の問題点というのは、やはり収容者にしてみれば、矯正医官というのはお医者さんである前にやっぱり刑務官であるという、そういうやはり目があると思うんですね、見る目がね。そうなると、やっぱり普通のいわゆる一般でいう医師と患者というような関係じゃなくて、患者側から見ると、多少、医師の前に刑務官というふうな印象がやはり強いと思うんですね。
 そうなると、いわゆる診察をすることの信頼関係、本当に診察をきちっとしてくれるのかというような信頼関係もありますので、私は、そういうところからいっても、全部矯正施設内でやるということもそれは一つやり方だと思うんですが、やはり独立性とか透明性というものも一方でお医者さんの職務の中では大事なことだと思いますので、そうしたこともやっぱりしっかりと見ていかなければならないというふうに思っております。
 そうした独立性、透明性ということでいいますと、刑事施設視察委員会という、そういう組織があるというふうなことを伺っております。これは、もちろん矯正施設内での医療が公正そして中立に行われているかどうかを監視する、視察するという役割があるわけですけれども、ただ、そういうふうに本当にこの委員会が中立性、公平性があるのかどうかという疑問の声なども出ているんですが、この刑事施設視察委員会のいわゆる中立性とか公平性というのは保たれているというふうに見ていらっしゃるでしょうか。
 例えば、委員会の委員の選定の仕方に、何かそうしたことをちゃんと保障している、担保しているということはあるんでしょうか。
#83
○政府参考人(小川新二君) お答えいたします。
 刑事施設視察委員会は、刑事施設の運営全般について第三者の目から視察をいただいて御指摘等をいただくということでございますけれども、法律上、委員につきましては、「人格識見が高く、かつ、刑事施設の運営の改善向上に熱意を有する者のうちから、法務大臣が任命する。」というふうに規定されているところでございます。
 具体的な人選でございますけれども、通達に基づきまして、委員の候補者を選定するに当たりましては弁護士会等の適当な公私の団体等に対しまして推薦を求めるということにしております。また、委員の構成が特定の範囲の年齢、性別、業種に偏ることがないように配慮しているところでございまして、中立性、公平性は確保されているというふうに承知しております。
#84
○真山勇一君 ありがとうございます。
 やっぱり一つは、公募するとかそういった方法も考えて、これは是非、やはり今の制度、矯正施設内で医療をやっていくということでありますれば、この刑事施設視察委員会というのは大変役割、重要じゃないかと思うので、例えば委員のメンバーは公募していくとか、そういう形というのは必要じゃないかなというふうに思っております。
 時間になりましたので、そういう意味で今回の特例法案には、こうした取りあえず医師不足解消する緊急性、やはり必要だと思うんですが、将来的にどうでしょう、やっぱりこれだけではなかなか医師不足、そう簡単には解消できない、例えば期限付の制度ですとか地域医療の問題とかあると思うので、もう一回大臣の方から、その辺りを踏まえたちょっと見解をお伺いしたいと思います。
#85
○委員長(魚住裕一郎君) 上川法務大臣、簡潔に願います。
#86
○国務大臣(上川陽子君) 刑事施設におきましての医療の現場ということについての問題に対して、今回の法案におきましての医師の確保ということを大優先にした形でお願いをしているわけでございますが、様々な施策を総合的な形で取り組んでいかなければいけないというふうに思っておりますし、また任期付きの任用というような制度も含めまして、きめ細かくいろんな制度を活用して、そして今の現状を打破していくということについては全力で取り組むということでやってまいりたいというふうに思っております。
#87
○真山勇一君 ありがとうございました。終わります。
#88
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 この法案は、矯正施設の医療の在り方に関する有識者検討会、この法務省の置いた検討会の報告書でも崩壊、存亡の危機にあると言わざるを得ない矯正医療の深刻な状況の下で、矯正医療の重要性を明記して国の責務を定めようとするもので、賛成をいたしますけれども、今日も議論があっている医師不足解消という点だけ見ても、この報告書の五項目の様々な提言のうち、兼業の緩和とフレックス導入という二点の具体化にとどまる、まあ第一歩といいますか、不十分なものだと私は思います。
 まして、二〇〇三年の行刑改革会議の提言で提起をされた刑事施設医療改革の方向性や、今日、参考人として日弁連刑事拘禁制度改革実現本部本部長代行の海渡雄一弁護士においでいただきましたけれども、日弁連が度々重ねてきた抜本的な改革の提言、また、こうした中で、さきに刑事被収容者処遇法が成立をいたしました。その五十六条では、施設内の医療について、社会一般の医療水準の保障ということを定めているわけです。こうした点に照らせば、この法案の成立、施行後も刑事施設医療の在り方について抜本的な改革を進めていくということが私は求められていると思います。
 そこで、まず海渡参考人にお尋ねをしたいと思うんですけれども、我が国の刑事施設における医療の根本問題あるいは構造的問題についてどんなふうにお考えでしょうか。
#89
○参考人(海渡雄一君) お答えいたします。
 日弁連の刑事拘禁制度改革実現本部の本部長代行をしております海渡と申します。発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 日弁連は、今回の法案については、刑事施設における医師不足を解消するという観点から賛成しております。しかし、この医師不足というものは今回のこの特例を認めるという形だけでは解決しないのではないか。医師不足だけではなくて、刑事施設医療が閉鎖的な刑務所の中に抱え込まれている、真山先生からも今御指摘がありましたが、刑事施設医療が処遇のためのものと位置付けられている、患者のための治療ではなくてですね、そこに根本的な問題があると思います。
 これらの問題を解決するには、被収容者の患者としての権利の保障、外部医療機関との連携の強化、大胆な外部委託を進めていく、刑事施設の医療が処遇部門、保安部門から独立していることを確保するような制度的な仕組み、刑事施設医療を厚生労働省に大胆に移管していく、これはイギリスやフランスなどで実施されて非常に成功を収めているわけですが、そういった改革が必要なのではないかというふうに考えております。
#90
○仁比聡平君 日弁連としてフランスの調査もされたと伺っておりますけれども、そうした諸外国の取組も踏まえて、我が国の刑事施設医療の抜本的な改革の方向性、柱について、今柱をお触れになりましたけれども、少し敷衍してお伺いをしたいと思いますのと、特にその中で、今も少しお話のあった矯正処遇と矯正医療の関係ですね。
 先ほど紹介もあっています名古屋刑務所の事件だとか徳島刑務所の事件だとか、こうした現実の深刻な人権侵害を通じて、行刑と医療の関係ということが我が国ではずっと問題になり続けてきたと思います。ここをどう考えるべきなのか、国際経験、水準にも照らして御意見を聞かせていただきたいと思います。
#91
○参考人(海渡雄一君) お答えいたします。
 名古屋刑務所事件、徳島刑務所事件の最大の反省というのは、刑務所医療というものがこういう事態を防ぐための警報装置として働くのではなく、むしろ刑務所側の隠蔽工作の下で全く機能しなかった。刑務所の医師も、医師であるからには、拷問的な行為が行われていることを見たときにはそれを進んで明らかにしていく医師としての倫理上の義務を負っていたはずなんですが、それが果たされなかったという点ではないかと思います。
 フランスで刑務所医療を一般の医療に変換していくということが起こったのは、一九九〇年代にフランスのサンテ刑務所という刑務所で働いていた女性医師が、フランスにおける刑務所医療が余りにもひどいということを内部告発する本を書きました。この本が大変な衝撃を与えて、これに対する対応として制度改革が実現していったという経緯がございます。
 そういう観点で、やはり今後の刑事施設の医療の改革を考えるときに最も重要な点は、外部医療機関との連携を強めていく、取りあえずは連携を強めていくということが重要だと思いますが、最終的には、今、月形刑務所やPFIの刑務所でやっているような外部委託、さらには医師の守秘義務をきちんと課した上で一定の保安上のセキュリティー上の情報は刑務所当局と共有する、非常に独立しているけれども共同するようなそういう関係を刑務所医療側と保安当局側が保つ。それが現実にフランスでは実行されていて、お互いに独立して尊敬し合いながら医療と保安が共同している姿というのを昨年四月、日弁連でフランスに行って見てきたわけですけれども、その報告書をお手元にお配りしていると思いますが。
 こういうものを見習って、この改革は実はイギリスでも実施されていますし、ノルウェーやオーストラリアなどでも実行されているんですが、同じような勧告が、二〇〇七年の拷問禁止委員会の日本政府に対する勧告の中でも、刑務所医療の独立性の確保、そして厚生労働省所管への移管を前向きに検討せよということが日本政府に対して求められています。
 今回のこの法律案自身については日弁連も賛同するわけですけれども、次のステップとして、そういうことのための勉強会からまず始めるのがいいのではないかと思うんですが、今日も厚生省も来ていただいているということですが、法務省の矯正局と厚労省の医政局、そういったところで日弁連もオブザーバーで入れていただいて勉強会などが始められる、そしてイギリスやフランスの実情をもう一度きちっと見てくるというような形をすれば、日本の刑務所医療、どんどん若い、有為なすばらしいお医者さんが来るような、そういう世界になるんじゃないか。
 フランスに行ったときに、フランスの刑務所医療で働いている若い、本当に優秀そうなお医者様がたくさんいて、刑務所医療は本当にやりがいがありますかと聞くと、非常にやりがいがあると。我々は元々の病院にいながらここに、刑務所医療にルーチンで来ているんだと、こんなに症例が豊富でやりがいのある職場はない、本当にこの職場に就かせてもらってよかったというふうにおっしゃっている若手の有為なお医者さんの話も聞きました。そういう改革が日本でも実行可能だと思います。
 多少、少しお金は掛かるということは先ほど来の審議の中でも出ていましたけれども、でも社会一般の水準の医療を提供するということが法律で決められているわけですから、そういう改革を実現していただきたいと思います。
#92
○仁比聡平君 ありがとうございます。
 大きな方向性について後ほど大臣にもお尋ねをしたいと思うんですけれども、先に海渡参考人に、そもそもみたいな話になりますが、刑事施設内における医療がどのような理念で行われるべきか、その担い手としての医官の不足の原因をどう考えるかということについてなんですが。
 お手元に、今日資料で、矯正医療をめぐる最近の諸問題についてという、この論文を書かれた当時、八王子少年鑑別所の首席専門官、札幌矯正管区の医療分類課長を務められた村中隆さんの論文を紹介しているんですが、ここの、今抜き出した前の部分に、矯正医療について、矯正医療の考え方は元をたどれば日本国憲法に基づくことになる。憲法第二十五条一項には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」という条文がある。施設内に収容され生活を送る者も、例外なくこの条文に掲げられている権利が保障されるべきであり、矯正施設は健康的な生活を営む権利を被収容者に保障する責務を負うものと解される。加えて、矯正の目的を達成するためにも、受刑作業や改善指導、あるいは矯正教育、拘置されている被収容者についても裁判や審判に向けての手続や準備、こうした収容目的の達成のためには健康であることが必要なので、健康が損なわれれば施設収容の目的が達成されなくなるといった認識を大前提として示しておられるんですね。つまり、施設内でも医療は医療であるということなのだと思うんです。
 一方で、日弁連が二〇一三年の八月二十二日付けで出されておられる提言で、医師不足の原因として、鋭いといいますか深い指摘をされている部分があります。「刑事施設医療の現状が医師の、専門家としての誇りとやりがいを実現できる環境になっていないことが大きな原因であると考える。医療判断に刑事施設が介入し、医療が処遇や保安に従属している現状では、刑事施設医療に携わろうとする医師が少ないのもむしろ当然であろう。」というふうにおっしゃっているんですが、こうした医療の性格とその独立性などについてはどんなふうにお考えでしょうか。
#93
○参考人(海渡雄一君) お答えいたします。
 刑務所医療が医師にとって魅力がないというのは、勤務時間のことや給料のことなどもあるのかもしれませんが、それがないとは申しませんけれども、やはり今、仁比委員がおっしゃられたように、刑務所医療そのものが独立性を欠いている。本来医師は独立であるべきなわけですね。ところが、刑務所側の職員が治療の場にも立ち会っている、そしていろんなことについて口を挟んでくる、そういうようなやり方の中で刑務所の中で誇りを持って働けない、そういう感覚がやはりどうしてもあると思います。
 フランスに行ったとき感じたのは、フランスでは、もちろん刑務所の保安は刑務官が守っているわけですけれども、医師が診察を行う場所には刑務官は入ってこないわけですね。のぞくことすらできない。しかし非常に重要な保安上の情報があればそれは共有するという、そういう協定も結ばれているんです。
 ですから、お互いに独立しながら刑務所の運営にも配慮しながら、そういう刑務所医療が独立した状態を確保するということが何より重要で、それが今の日本の場合できていないということ、それが医師にとって魅力に欠けていることの根本的原因ではないかと思います。
#94
○仁比聡平君 そうした指摘も鋭くされる下で、PFI方式などで、各地に一般医師といいますか、地域医療機関のドクターが刑務所の治療に当たるということが経験される中で、先ほどもお話の出た北海道の月形刑務所を例えば取りましても、このお配りしている資料のような面白い経験、効果が生まれていると思うんですね。
 右側の導入の効果というところでこの村中さんが書いておられるのは、受刑者が受診を希望してから診察を実施するまでの期間が短縮されたため、被収容者からの不満は大幅に減少した、また、検査などの充実も図られ疾病の重症化を防げるようになった、さらに、診察を行う医師の理念とも言えようが、医師は一般医療機関の医師として患者、受刑者に接しているのであり、これに対して、被収容者も無用な駆け引きをしようなどとは考えないようであるといった、地域医療機関のドクターが患者としての収容者に接するなら、こうしたプラスのといいますか経験が生まれるというこの指摘について、矯正局長はどんな御認識でしょう。
#95
○政府参考人(小川新二君) 委員御紹介のような論文に記載されているようなメリットといいますか効果も指摘されておりますので、民間委託した場合の一定の効果というのは多分あるんだろうと思います。しかしながら、反面、矯正医療というのは、逆に処遇となかなか切り離せないといいますか、不可分一体のところもあるというふうに考えております。
 例えば、いろんな犯罪の原因に、例えば薬物の依存であるとかあるいは摂食障害といった原因があった場合には、そういった原因なり背景も分かっていないと適切な矯正医療を施すことはできないということもありますし、また、実際上、日本におきましては、懲役刑ということになりますと刑務作業を義務付けるということになりますので、そういった作業の義務を免れることを目的としまして詐病の申出をする者も少なくない実態でございます。
 また、必要以上の薬を欲しがる受刑者というのも少なくないというふうな実態でございまして、こういったものも含めた受刑者に対しまして医療を適切に実施するためには、やはり処遇部門との連携ということも必要だと考えておりまして、完全に、完全といいますか、基本的に処遇と医療を分離しまして重要な情報以外については情報交換を行わないということになると、適切な医療行為ができるのかどうかについてはちょっと疑念を感じざるを得ないというふうに考えております。
 以上でございます。
#96
○仁比聡平君 私、今、処遇と医療を今局長が懸念されたほど分離せよなんて何にも言っていないし、先ほどの海渡弁護士のフランスの経験の報告もそういう意味ではないでしょう。私、月形のこうした経験についてどう思われますかという評価を聞いているときに、何でそこまでおっしゃらなきゃいけないんですか。
 詐病かどうかって、これ詐病かどうかを刑務官が決めるって変でしょう、やっぱり。それは医師が判断するべきことじゃありませんか。
#97
○政府参考人(小川新二君) 当然ながら、医師が判断すべき事柄でございます。
#98
○仁比聡平君 ですから、この行刑と医療の在り方を含めて、抜本的な様々な検討が、私これからも必要だということを申し上げたいんですよ。
 厚労副大臣においでいただきました。というのは、この有識者会議の報告書の中にも、地域医療機関との連携強化がかなり具体的に検討の結果報告をされていまして、その中に、厚生労働省所管業務である、現実には都道府県が行うわけですけれども、地域医療計画に矯正医療について盛り込むことを要請する、そういう方策も含めて地域医療機関と矯正施設の連携協力を進めるべきであるという提言があります。
 そういう意味では、地域の医師会や地域医療機関の主要なプレーヤーといいますか、仲間としてこの地域医療計画の中に位置付けていくべきではないかということだと思いますし、その次の経営の問題でいいますと、外部委託に係る診療の評価方法について、患者が被収容者であるという特殊性、困難性ゆえに一般社会における診療とは異なる配慮を要するというような面に鑑みて、受託する外部医療機関などに対する医療費などの支払については、特殊性、困難性に配慮した何らかの評価、措置がなされるべきであると、こうした考え方が示されていまして、この具体化はこれからだと思うんです。
 法務省からもいろいろ御提言があるべきでしょうし、厚生労働省も御検討をいただきたいと思うんですが、つまり目的は、収容施設の中の医療は社会一般の水準で行われなければならない、やっぱりこの理念を具体化する上で厚労省としても御協力、御努力をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#99
○副大臣(永岡桂子君) 矯正施設での医療につきましては、矯正医官の不足を始めとしていろいろと課題があることは承知をしております。
 厚生労働省といたしましては、法務省からの依頼を受けまして、昨年九月に、各都道府県始めとしまして日本医師会ですとか、あとは歯科医師会など、全国の医療関係団体に矯正施設での医療の確保につきましての配慮をお願いをしているところでございます。
 先ほど先生おっしゃっていらっしゃいました地域医療計画に矯正医療を盛り込むよう要請するというような報告書が上がったということでございましたけれども、今のところ、現時点では法務省からの要望というのはございません。
 それで、先生おっしゃいますとおり、矯正施設の収容者に対しまして社会一般の医療水準に照らして適切な医療を受けられるということをすべきだということは大変重要であり、これは当然のことだと考えております。
#100
○委員長(魚住裕一郎君) 仁比君、時間です。
#101
○仁比聡平君 大臣、この法律成立、施行後も申し上げてきたような抜本的な改革を是非進めていただきたいと思いますが、一言御決意いただけますか。
#102
○国務大臣(上川陽子君) 今回の法案が成立した後ということでございますが、矯正施設におきましての人材確保はもとより、地域の医療機関との一層の連携強化ということにつきましても様々な課題があるということでございますので、そういう方向に向かいまして取り組んでまいる所存でございます。
 被収容者に対する適切な医療の確保ということが非常に大事だということでございますので、引き続き、厚生労働省を始めとする関係省庁、しっかりと協議をしながら、たゆまぬ改革を進めてまいりたいというふうに考えております。
#103
○仁比聡平君 ありがとうございました。
#104
○田中茂君 日本を元気にする会・無所属会、無所属の田中です。
 今回提出された矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する法律案について、何点かお伺いいたします。
 私自身、今回の法律案、矯正施設における医官不足解消策、医官の安定的な確保のための施策を講じることにはもちろん賛成であります。
 ただ、国民の理解を得るためには、法務省としては、まず再犯防止を高め、犯罪と被収容者数を減らす努力を常に行っているということを国民に示す必要があると思います。さきの委員会でも何度か言われているように、一般刑法犯の検挙総数は連続して減少していますが、再犯率は過去十数年連続で上昇しています。また、矯正医療費を削減することも大事でありますが、認知件数が減っても再犯率が下がらず、公費で賄う医療費だけは増えていると。それでは、到底納税者の理解を得ることはないと思っております。その視点で、矯正医官確保に関する質問を行いたいと思います。
 矯正施設の医療体制の向上、医官の安定確保、そして再犯防止策の強化は、全て私はリンクしていると思っております。そこで、先ほど話をしましたが、国民の皆さんに納得していただくために、平成二十四年七月に作成された再犯防止に向けた総合対策についての説明をお願いしたいと思います。
 高齢化、障害者に対する対策はさきの委員会でも何回か聞いておりまして、地域生活定着支援センターの役割等も聞いておりますので、そのほかにいかなる対策を講じ、その現状と課題についての説明もお願いしたいと思います。
 当時の数値目標として、出所後二年以内に再び刑務所に入所する者等の割合を今後十年間で二〇%以上減少させるとしていますが、現段階での数値も分かればそれもお聞かせいただきたいと思います。
#105
○国務大臣(上川陽子君) ただいま法務省において取り組んでいる再犯防止対策ということで、大変重要な課題であると、委員の御指摘のとおりでございます。その御理解をいただきながら、今回の矯正医師の問題ということについても御理解をいただくことができるというふうに思っております。
 ただいま御指摘でございましたけれども、刑務所に入所する受刑者に占める再入者の割合ということでございますが、上昇をし続けているということでございまして、平成二十五年段階で約六割というふうな数字でございます。世界一安全な国日本のための再犯防止ということもございまして、これにつきましては政権挙げて取り組んでいるというところでございます。そのための大変大事な課題として、居場所とそして自立した生活を営むための仕事づくり、これが大変大事な課題であるということでございまして、そのための施策につきましては、更に充実したものとしていくべく努力をしているところでございます。
 先ほど御指摘ございました刑務所出所者の再入率の現状とそして目標ということでございますけれども、政府挙げての取組の中で、出所後二年以内の再入所率でございますが、十年間で二〇%以上減少させるという目標を設定をしているところでございます。そのために、協力雇用主の皆様を始めとして、保護司の方々の協力を得ながら、官民協力してその目標に向かって再犯防止に取り組んでいこうということでございます。
 再入率ということでありますが、平成二十四年の二年以内再入率でございますが、一八・六%という状況でございます。二十三年、前年が一九・四%ということでございますので、それに比べて少し減少してきたというところでございます。
 そうした取組の要になっているのが、何といっても、地方のあるいは地域コミュニティー、あるいは国民の皆さんとの協力関係の構築、そして何よりもその理解と協力を仰ぐということでございまして、そのために、政務三役を中心として、現地の中でそして協力を仰ぐべく、キャラバン活動ということで動いているところでございまして、再犯防止につきましては、そういう意味でも全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#106
○田中茂君 法務省の再犯防止に対する努力、ますます頑張っていただきたいと思います。平成三十三年がその十年後ということになると思うんですが、二十四年に作ったときから考えればですね。数値目標二〇%以上減少させるということで期待しておりますので、是非とも頑張っていただきたいと思います。
 そこで、矯正施設における現在の年間医療費についてでありますが、平成二十六年に公表された矯正施設の医療の在り方に関する報告書、これを拝見し、平成二十四年十月現在の受刑者数が六万七千六百三十七人に対し、患者数はその三分の二以上の四万五千四百二十四人となっております。これはこの間、足立先生の資料でも見れるわけですが、日本国民一人当たりの医療費は、二〇一二年度で約三十万七千五百円ですが、六十五歳未満は十七万七千百円、六十五歳以上は七十一万七千二百円であります。
 そこで、高齢者の方が罹患する可能性が高く、医療費も高額になるのは、一般国民でも受刑者でも変わらないと思っております。しかし、受刑者に係る医療費についてここでお尋ねしたいんですが、年代別と時系列に、その内訳、内容、増加率について教えていただけませんでしょうか。
#107
○政府参考人(小川新二君) 近年の被収容者の医療費、医薬品代や外部医療機関での診療等の医療費の推移は、年度によって微減したこともございますけれども、基本的には増加しております。収容者が減少に転じた平成十九年度以降を見ましても、同年度の予算額が約四十億一千四百万円でありましたけれども、平成二十七年度では約五十八億六千三百万円となっておりまして、両年度を比較しますと約四六%の増加という状況でございます。この間、矯正施設内で使用する医薬品等の経費はほぼ横ばいでありまして、外部医療機関の診療経費等の増加が医療費増加の主な原因であるというふうに考えております。
 以上でございます。
#108
○田中茂君 年代別には分かっていないのでしょうか。年代別というのは、六十歳以上とか、四十歳以上とか。
#109
○政府参考人(小川新二君) 被収容者の年代別の医療費の推移につきましては、統計は持ち合わせてございません。ただ、平成十七年度以降、収容人員が減少しているにもかかわらず、七十歳以上の高齢受刑者は四〇%以上増加しております。
 また、厚生労働省の統計上、御指摘がありましたように、国民一般の医療費におきましても、高齢になるほど一人当たりの医療費が高額になっている状況がございますので、高齢受刑者の医療費が全体に占める割合は近年増加しているというふうに考えています。
 以上でございます。
#110
○田中茂君 そうしたら、今年度が五十八億掛かったということですが、全体の人数は減少しているが一人当たりの医療費は増えていると。その算定といいますか、人数、一人当たりの医療費とその根拠について教えていただけませんでしょうか。
#111
○政府参考人(小川新二君) 予算書の項で申し上げますと、矯正収容費に計上されている医療費、すなわち被収容者への薬剤等の医療衛生資材費及び外部医療機関での通院、入院費等でございますけれども、平成二十七年度予算は先ほど申し上げましたように五十八億六千三百万円でありましたので、これを被収容者数で割りますと一人当たり約九万五千円となります。
 これは人件費が含まれておりません。人件費につきましては、予算上、医療関係の人件費だけを切り取るのが難しいという実情がございますので、実際の支給額で計算しますと、刑事施設における平成二十五年に実際に支給した常勤、非常勤の医療関係職員の給与、それから平成二十五年度に支出した医療衛生資材費又は外部医療機関での通院、入院費等の費用を合算しまして、平成二十五年度の一日平均、被収容者数で除した場合には一人当たり約十六万五千円となります。
 以上でございます。
#112
○田中茂君 先ほど足立先生も何度か同じような質問をされていましたんですが、医療費の高騰にしても、どうやってコストを削減するのか、そのお考えをお聞かせいただきたいと思うんですが。例えば、先ほどもおっしゃっていましたジェネリック、六七・九%使っていらっしゃると。投薬だけではなく、そういった具体的なポリシーですか、そういうのがあると私は思っておりますが、それを含めて、外部医療機関にも徹底しているのか、その点をお聞かせいただけませんでしょうか。
#113
○政府参考人(小川新二君) 医療費の削減への取組につきましては、先ほど申し上げましたように、後発医薬品の導入に積極的に取り組んでいるということがございます。また、先ほど御説明しましたように、平成二十五年度に購入した全医薬品のうちの後発医薬品の割合は六七・九%になっております。
 それに加えまして、矯正施設の被収容者が外部の医療機関で受診をした場合の医療費でございますけれども、これは自由診療の取扱いとなるわけでございますけれども、医療費の抑制の観点から、受入先病院の理解をいただきまして、保険診療と同様の診療点数一点十円の受入先病院を拡大するということで努力をしております。
 今後も引き続き、後発医薬品の導入促進であるとか、外部医療機関との調整等を行いまして、医療費の抑制に努めてまいりたいと考えております。
#114
○田中茂君 本人による保険負担がなく、全て公費で負担することになる被収容者ですので、どこまで治療することが納税者たる国民の理解を得られるのか、なかなか難しい問題だとは思うんですが、その辺をよく認識して徹底的にその辺は詰めていただきたいと思っております。
 先ほど答弁の中でちょっとお話がありましたが、経済的な負担がないために診察や薬剤の処方や検査などを執拗に求める受刑者がいると、先ほどの答弁の中でもお話しされていました。この現状にどのように対応していらっしゃるのか、対策を含む今後の方針をお聞かせください。
#115
○政府参考人(小川新二君) 先ほども申し上げましたように、被収容者の中には、過剰な薬剤を要求する者であるとか、あるいは自己の意に沿うような診察、投薬を執拗に要求する者であるとか、時には暴行や脅迫を用いてまで要求を通そうとするような者、あるいは刑務作業等から逃れるために病気を装う者などもあることも事実でございます。
 こういった被収容者につきましては、日頃から、被収容者の動静を把握している刑務官あるいは法務教官と医療スタッフとの間で情報交換等を行いまして、医療措置の必要性や緊急性を見極めるなどして対応することとしております。
 また、診察の際には、医療費は全て国民の税金により賄われているということであるとか、あるいは薬剤に過度に依存することは健康面から問題があるんだということにつきまして、被収容者に医師から説諭して、不必要な投薬治療は行わないようにするとともに、医師への暴行や脅迫等といった事態がないように刑務官や法務教官を立ち会わせることとしております。
 こういった対策を講ずることによりまして、適切な診療や薬剤投与に努めているところでございます。
#116
○田中茂君 このような姿勢に対して、モラルハザードといいますか、そういう姿勢に対しては断固とした態度で臨むということが大事だと思っております。そうしないと、医療費コスト削減など様々な面で国民の納得をいただくべく努力をしていただかないと、とても国民としては疑問に思うだけであると思っておりますので、その辺は徹底してやっていただきたいと思っております。
 次に、求めるべき医療水準についてでありますが、今回の提出案であります勤務環境等の勤務条件の改善、地域医療機関での兼業が可能、申告を考慮した柔軟な勤務時間などを通じて、矯正医官の現況の改善に対し、私自身、一定の効果が生まれる、そして必要性も理解します。しかし、医官不足解消の抜本的対策、そして社会的評価の向上はなかなかこれは難しいと、そう思っております。
 先ほど来質問もありましたが、兼業を認めることは、通常、兼業により本業の効率が落ちないことがまずもって大前提であると思っております。医師は、そもそも心身共に過酷なストレスを強いられる職業だと思っております。また、矯正医官は受刑者を相手にすることから、一層のストレスを強いられるケースも多いと思います。それを考えると、例えば兼業による長時間労働などが生じた場合、本業に支障を来すおそれがあると思っております。
 そういう支障を来さないような仕組みというか、現在どのようになっているのか、お聞かせいただけませんでしょうか。
#117
○政府参考人(小川新二君) 本法案に基づきまして導入を考えております兼業の許可の特例につきましては、あくまで医師としての能力の維持向上に資する診療を行う兼業につきまして柔軟に認めていこうということでございまして、当然ながら、矯正施設の医療に支障が生じない範囲で、また兼業による心身の著しい疲労のために職務遂行上その能率に悪影響を与えるといったおそれがない場合であることを条件として法務大臣の承認を与えることを想定をしております。
 具体的には内閣官房令、法務省令で定めることになりますけれども、その中でも必要な要件、具体的には兼業による心身の著しい疲労のために職務遂行上その能率に悪影響を与えるおそれがない場合であるとか、そういった要件を盛り込んでいきたいと考えております。そして、その運用によりまして、御指摘のような懸念がないように運用してまいりたいというふうに考えております。
#118
○田中茂君 次に質問させていただきますが、先ほど仁比先生がおっしゃった件にもちょっと関わってくると思うんですけど、昨年四月の八日、通常国会で谷垣前法務大臣が、「矯正施設は、国家権力でもって、収容者をその施設の中に入れておく、閉じ込めるわけでございますので、その中にいる間、社会一般の医療水準から見て適正な医療が受けられるようにするのは、これは国家の責務であると申さなきゃいけないと思います。」と答弁されております。
 確かにそのとおりでありますが、国の責務といいますけど、その責務を支えているのは税金であり、国民であることも事実であります。また、理由もなく国家権力が収容するわけでもなく、当然、被収容者に帰すべき理由があってそうなっているわけであります。
 国民には納税の義務があり、医療を受ける際にも健康保険を支払い、自らの負担をもって医療を受けているわけであります。そういう背景を考えると、どのようにすれば国民の理解を得られると考えておられるのか。保険料負担がない被収容者に民間医療と同レベルの医療をどこまで行えばよいのか。非常に難しい話と思うんですが、大臣に改めて、そのレベル感といいますか、その点についてお伺いしたいと思います。
#119
○国務大臣(上川陽子君) 谷垣法務大臣の御発言ということで引用されていらっしゃいましたけれども、被収容者の健康管理そして衛生管理につきましては、強制的に身柄を拘束するということでございまして、その拘束する国ということについての責任であるというふうに考えております。
 被収容者に対しましては、社会一般の保健衛生及び医療の水準に照らし、適切な保健衛生及び医療上の措置を講じることが法律で定められているというところでございます。その意味では、そうしたレベルの医療を提供するということについてたゆまぬ努力が必要ではないかというふうに考えております。
 先ほど、再犯防止との関係で今回の御指摘がございましたけれども、矯正医療につきましては、再犯あるいは再非行防止のための様々な改善指導、あるいは職業訓練の徹底と、こういう上でも大変大事な要素であるというふうに考えておりますし、また感染症あるいは精神疾患の治療そのものは、円滑に社会に復帰していただくということにつきましても大変大事な不可欠の要素であるというふうに考えております。
 そういう意味で、矯正医療そのものが刑事政策上も大変重要な意義を有しているというふうに考えておりまして、その意味で、様々な広報活動も含めて御理解をいただきながら、また同時に御協力もいただくよう努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#120
○田中茂君 私自身、とにかく国民の理解、納得を得られるようにどのような努力をされているのか、その辺を徹底的に追求していっていただきたいと思っております。
 次に、最後になりますが、矯正医官に関する広報活動についてであります。
 法務省として継続して広報活動の重要性を施策に挙げておられますが、私は大きく分けて二つのオーディエンスがあると思っております。一つは医学を志す人々を含めた医療関係者に対してであり、もう一つは広く国民全体であります。メディアで取り上げることもほとんどないため、そもそもその存在すら知らない人が、矯正医官に関してですが、大多数であると思っております。
 このような状況を打開するには、メディアを通じた積極的な認知度向上も必要だと思っておりますが、プライバシーの問題などがありますから、現場の取材は難しいかもしれません。しかし、問題意識を盛り込んだ映画、テレビ番組や漫画などを通じた認知度向上なども考えてみることも必要ではないかと思っておりますが、その点、御意見お伺いしたいと思います。
#121
○政府参考人(小川新二君) 矯正医官関係の医療関係者あるいは国民に対する広報というのは非常に大事だというふうに考えておりまして、これまでも各矯正施設におきましては、地域の医療機関等との協議会であるとか、あるいは矯正医療アドバイザーの委嘱であるとかを行っておりますし、また矯正管区におきましても、管区長が医学関係の大学で講演をするとか、あるいはインターネットに、医師の求人サイト等に広告を掲載するとかといった取組をしております。また、本省におきましても、医学関係の各種学会に広報ブースを出展するなどして認知度の向上に努めているところではございますけれども、まだまだ広報の努力が必要だと考えておりますし、特に国民全体への広報というのは、これからもっと頑張っていかなければいけないというふうに考えております。
 今年度初めて矯正医療の広報予算が認められまして、約一千九百万円余りの予算を認めていただきました。今後も引き続き、医療関係者だけでなくて、国民全体に対する矯正医官の認知度を高めるための広報活動に努めてまいりたいと考えております。
#122
○田中茂君 時間が来ましたので、私の質問はこれで終わりにしたいと思います。
 ほかにも聞きたかったことがあったんですけど、せっかく来ていただいたかもしれませんが、割愛させていただきます。
#123
○谷亮子君 谷亮子です。よろしくお願いいたします。
 本日の議題となっております矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する法律案は、矯正施設に収容されている者に対する医療の重要性に鑑み、慢性的な欠員状態が続いている矯正医官について、その能力の維持向上の機会を付与すること等により、その人材を継続的かつ安定的に確保するため、兼業の許可等に関する国家公務員法の特例を設ける等の措置を講じようとするものでございまして、今日は賛成の立場から質疑をさせていただきたいと思っております。
 そこで、まず我が国の受刑者収容施設等をめぐる状況について触れてまいりたいと思います。
 我が国における受刑者収容施設全体の収容人員の推移につきましては、これは法務省のデータによりますと、二〇〇六年の八万六千二百八十八人をピークといたしまして、二〇一三年には六万六千六百七十人と、こちらは減少傾向にございます。また、二〇一四年における診療実施件数につきましては、女性刑務所も含めました全国の刑事施設では五十五万二千百十一件、そして少年院では六万九千百五十二件、少年鑑別所では一万六千七百九十四件となっておりました。そして、同年、二〇一四年における受刑者収容施設の収容人員と患者数及び有病率につきましては、刑事施設では、収容人員の六万一千百五十二人のうち患者数が四万三百二十二人で、有病率は六五・九%、そして少年院では、収容人員二千七百二十七人のうち患者数千五百八十一人で、有病率は五八%。また少年鑑別所では、収容人員七百七人のうち患者数二百三十七人で、有病率は三三・五%となっております。
 また、参考までに調べてみましたが、一方で、厚生労働省では、三年に一回、全国民に対する調査実施時点での入院・外来患者数等について患者調査を実施していらっしゃいますが、現段階で最新のものでございます二〇一一年の調査結果では、人口一億二千七百七十九万九千人で患者数が八百六十万千五百人となっておりまして、患者数をこちら人口で割ってみますと六・七%となっておりまして、非常に低い数値でありまして、健康であるということにつながっているということで、いいことではないかなというふうに思います。
 こうした現状を踏まえまして、本日、以下の質疑に入らせていただきたいと思います。
 私は、本日は、女性受刑者の出産の現状等につきまして取り上げさせていただきたいと思います。
 まず、全国の産婦人科医の人数について調べてみますと、厚生労働省発表のデータによりますと、これは二年ごとに集計されている数字になりますが、平成二十年が一万三百八十九人、平成二十二年が一万六百五十二人、平成二十四年が一万八百六十八人、また助産師の方々の人数につきましては、これは一年ごとに集計されていた数字になりますけれども、平成二十三年が三万三千六百六人、平成二十四年が三万五千百八十五人、平成二十五年が三万六千三百九十五人となっておりまして、産婦人科医、助産師共に年々こちらはその数は増えてきているものの、都市部と地方における偏在の問題がございまして、地方においては産婦人科医また助産師共に不足しているという状況にございました。
 また、このような状況から、昨年十二月に、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は、茨城や福島などを始めとする十二県におきましては若手産婦人科医が特に少なく、将来の医師不足につながるとしまして、緊急に抜本的な対策を求めるよう緊急提言を発表されていらっしゃいます。また、産婦人科医が不足している県では隣の県やまた他県での病院で出産をするなど、産婦人科医や助産師の地域的な偏在は深刻な問題となっていると言われている現状でございます。
 そこで、今年一月十七日に、上川法務大臣は佐賀県の鳥栖市にございます女性受刑者収容施設となっております麓刑務所を視察されましたけれども、全国には九つの女性受刑者収容施設がございますが、女性受刑者による年間出生件数について教えていただきたいと思います。
#124
○政府参考人(小川新二君) お尋ねは女性受刑者による出産の件数、数ということで理解をいたしましたけれども、お答えいたしますと、平成二十年が十七件、平成二十一年が二十一件、平成二十二年が十七件、平成二十三年が二十五件、平成二十四年が十四件でございまして、平成二十年から平成二十四年までの出産数は合計九十四件でございます。
 以上でございます。
#125
○谷亮子君 ありがとうございました。
 ただいま出産の件数について、経年の件数を御報告していただきました。
 今大体、平成二十年が十七件、平成二十一年が二十一件、二十二年が十七件、平成二十三年が二十五件、平成二十四年が十四件ということで、ざっと平均を出してみますと十八、十九前後、年間に受刑者の方が出産をされているという状況になっていますが、この出産件数の調査は、先日法務省に伺いましたところ、毎年行ってはいないけれどもというようなことでございましたけれども、今後、必要に応じて是非調査をしていただきたいと思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。
#126
○政府参考人(小川新二君) これまで、出産件数自体の情報としましてはリアルタイムで継続的に把握する必要性は必ずしも高くないのではないかということで調査をしておりませんでしたけれども、今後検討してまいりたいと思います。
#127
○谷亮子君 今後検討していただきたいというふうに思います。
 そうしたことが次からの質問につながってくるわけなんですけれども、そこで、平成二十七年二月一日現在、全国の刑事施設の全てを合計いたしましても、常勤の産婦人科医が三名、そして非常勤の産婦人科医が十三名ということでございまして、全国には九つの女性受刑者の収容施設がございますけれども、産婦人科医や助産師の地域的な偏在の問題は、刑務所における出産においても同様の問題を抱えているのではないかと思いますが、矯正医官の不足の問題も踏まえまして、産婦人科医の常勤医そして非常勤医の体制を法務省としてはどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
#128
○政府参考人(小川新二君) ただいま委員から御紹介がありましたとおり、平成二十七年二月一日現在では、全国の矯正施設の産婦人科医の配置状況は常勤三名、非常勤十三名という状況でございます。
 産婦人科医につきましてはなかなか確保が難しいという状況がある中で、各施設において一生懸命確保のために努力をしているというふうに承知をしておりまして、出産時の対応も含めて、社会一般の水準に照らして適切な医療上の措置を講ずることは国の責務でございますので、各矯正施設における医療ニーズを踏まえて、産婦人科医も含めて必要な医師の確保に努めてまいりたいと考えております。
#129
○谷亮子君 やはり、健診の内容や医療器具などが不足する場合につきましては、刑務官同行の下に外部の医療機関に定期的にこれは診断に行かれているという現状も伺いましたけれども、先ほど、女性の受刑者の出産件数というのは、年平均でここのところずっと同じように件数としても推移してきているんですけれども、実際、常勤、非常勤の産婦人科医の推移を見てみますと、平成二十五年から平成二十七年にかけまして、常勤は平成二十五年は五名いらっしゃったんですけれども、現在は常勤が三名ということで減員されているというような現状もありますので、やはり矯正医官を、今回法案としてこうした問題も大きく含んでいると思いますので、こうした産婦人科医を増やしていくということも是非一緒に検討していただきたいというふうに思っています。
 また、今回の法制定によって、矯正医官の増員が、これは全体的に図られることも期待いたしますけれども、法務省におかれましては、ただいま申し上げましたように、産婦人科医を始め一人でも多くの矯正医官が刑務所、拘置所、少年院等で医療業務に当たっていただけるよう、質も含めまして取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。
 そして次に、女性の受刑者の出産体制の現状についても伺っておきたいと思います。
 刑事収容施設法の第七十八条、捕縄、手錠及び拘束衣の使用では、護送時や施設外では捕縄や手錠を付けることが定められております。これまで、出産時に手錠を外すかどうかにつきましては各刑務所による判断であったということでございますが、昨年十二月、法務省におかれましては、女性受刑者が出産する際に手錠を外すという指針を取りまとめられまして、各収容施設に通達が出されたとの報道がございました。
 現時点におきまして、どのような現状なのか、またどのような対応がなされているのかについてお聞かせいただきたいと思います。
#130
○政府参考人(小川新二君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、従前は、外部病院におきまして女子の被収容者が出産する際に手錠等を使用するかどうかについては各刑事施設の判断に委ねておりましたので、その運用に差異が認められまして、出産時においてまで手錠等を使用している例もあった状況でございました。
 それで、この点につきまして検討しまして、女子被収容者の出産時におきましては、少なくとも出産のために分娩室に入室している間は手錠及び捕縄を使用しないという取扱いとしまして、平成二十六年十二月に矯正局から各刑事施設に通知したものでございます。したがいまして、各刑事施設におきましてはこの通知に従って適切に対応しているものと認識しております。
#131
○谷亮子君 ありがとうございました。
 やはり、現時点においては、先ほど法務省からも出産時には受刑者の方の手錠を外すように通達が出されたということでございますけれども、この出産の際には、女性刑務官の方が三人一組を二組配置されているということでございます。二十四時間体制でそうした配置をしているということでございますので、なるべくやはり出産時には手錠を掛けずにこれは出産していただけるように、法務省そして各刑事施設におきましても御配慮いただければなというふうに思っております。
 そして、今日はまだまだたくさん通告させていただいていたんですけれども、時間内に収まらないようでございますので、次の質疑は省かせていただきたいと思います。
 そして、最後に、上川法務大臣に法案提出の趣旨についてお伺いさせていただきたいと思います。
 法務省におかれましては、昨年度から女子施設地域支援モデル事業を栃木、和歌山、麓刑務所の三か所で開始をされておりまして、刑務所所在の地方公共団体、看護協会、助産師会、社会福祉関係団体等の協力の下に、保健師、そして看護師、助産師、社会福祉士等といった医療、福祉等の専門家の助言また指導等を受けていらっしゃいますが、矯正医官の産婦人科医等をめぐる取組も含めまして、本法案によりどのような施策が実行に移されまして必要な矯正医官を確保していくことにつなげようとされているのか、お聞かせいただきたいと思います。
#132
○国務大臣(上川陽子君) 今回の立法でございますけれども、産婦人科医を含めまして矯正医官につきましては、社会一般の医療に触れる機会、適切に付与するということでございまして、兼業の許可の特例というのを設けさせていただきまして、法務大臣の責任の下で診療を行う兼業を迅速かつ柔軟に認めるということを一つの柱としているところでございます。
 また、症例に関するデータの収集等の調査研究を行うこと、あるいは矯正施設の外の医療機関等における調査研究でありますとか、あるいは情報の収集等を行うことのニーズにそれぞれ応じた勤務時間が設定できるようにするということでございまして、人事院規則で定めるものについていわゆるフレックスタイム制を適用することになると、こうしたことが柱としているところでございます。産婦人科医を含めましての必要な矯正医官の確保に資するものというふうに考えているところでございます。
 この法律によりましては、広報活動等を通じまして、矯正施設に収容されている者に対しましての医療の重要性に対して国民の皆さんの関心そして御理解を深めるということが何よりも必要だというふうに考えておりますので、そうしたことを通じて、また矯正医官の社会的な評価というのも高まり、また矯正医官の皆さんが現場の中で誇りを持ってしっかりと取り組んでいただくことができるように、その改善に向けて私自身先頭に立って積極的に行動してまいりたいというふうに考えております。
 女性刑務所におきましての産婦人科、産科の問題につきましてもきめ細かな対応をしていく必要があるというふうに考えておりまして、そうした面につきましてもまた対応をしっかりとしてまいりたいと思っております。
#133
○谷亮子君 実効性ある御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 今、上川大臣のお言葉にもございましたように、今回の法律案が成立した場合には、やはりまずは国民の皆様の理解等も得ながら、そうした医療措置等がこれは適切に行っていただけることを望みまして、質問を終えたいと思います。
 ありがとうございました。
#134
○委員長(魚住裕一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#135
○委員長(魚住裕一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、足立君から発言を求められておりますので、これを許します。足立信也君。
#136
○足立信也君 私は、ただいま可決されました矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、維新の党、日本共産党、日本を元気にする会・無所属会及び生活の党と山本太郎となかまたちの各派の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 矯正施設における適切な医療の提供は、被収容者の身柄を強制的に拘禁している国の責務であることに鑑み、矯正医官の減少により医療の提供が危機的な状況にある現状を重く受け止め、関係機関との連携を更に強化し、常勤の矯正医官の確保に万全を期すとともに、医療の提供体制の在り方について今後も検討を進め、一層の改善を図ること。
 二 矯正医官には原則として当直勤務がないことなどに加え、本法により勤務時間の見直し等の待遇改善が図られ、女性医師にとって、家庭と仕事の両立がしやすい勤務環境が整備されることを受け、女性医師の矯正医官への積極的な登用を進めるとともに、物的設備面においても、女性医師が矯正医官として勤務しやすい環境整備を進めること。
 三 矯正医官の兼業の許可の特例については、医師が医療を通じて地域社会における公衆衛生の向上等に協力し、国民の健康な生活を確保するという公共的な使命を負う者であり、また、他の医療機関等において医療行為等を行うことが医療知識・技術の維持・向上にも資するということから兼業を広く認めるという本法の趣旨を踏まえ、これにより矯正医官の職務遂行に不都合が生じることのないよう、適正な運用に努めること。
 四 本法により勤務時間の見直し等の待遇改善が図られた矯正医官のほか、国家公務員及びそれに準ずる身分で医療職に従事する医師の待遇改善についても、検討すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#137
○委員長(魚住裕一郎君) ただいま足立君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#138
○委員長(魚住裕一郎君) 全会一致と認めます。よって、足立君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、上川法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。上川法務大臣。
#139
○国務大臣(上川陽子君) ただいま可決されました矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
#140
○委員長(魚住裕一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#141
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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