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2015/07/09 第189回国会 参議院 参議院会議録情報 第189回国会 法務委員会 第17号
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2015/07/09 第189回国会 参議院

参議院会議録情報 第189回国会 法務委員会 第17号

#1
第189回国会 法務委員会 第17号
平成二十七年七月九日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十五日
    辞任         補欠選任
     矢倉 克夫君     石川 博崇君
     真山 勇一君     室井 邦彦君
 六月十六日
    辞任         補欠選任
     小川 敏夫君     白  眞勲君
     石川 博崇君     矢倉 克夫君
     室井 邦彦君     真山 勇一君
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     白  眞勲君     小川 敏夫君
 七月八日
    辞任         補欠選任
     猪口 邦子君     石井 正弘君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                熊谷  大君
                三宅 伸吾君
                有田 芳生君
                真山 勇一君
    委 員
                石井 正弘君
                鶴保 庸介君
                牧野たかお君
                溝手 顕正君
                柳本 卓治君
                足立 信也君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                矢倉 克夫君
                仁比 聡平君
                田中  茂君
                谷  亮子君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  世耕 弘成君
   副大臣
       法務副大臣    葉梨 康弘君
       文部科学副大臣  丹羽 秀樹君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  大塚  拓君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   中村  愼君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      久保田 治君
       内閣府大臣官房
       審議官      安田 貴彦君
       警察庁長官官房
       審議官      塩川実喜夫君
       金融庁総務企画
       局審議官     古澤 知之君
       法務大臣官房審
       議官       高嶋 智光君
       法務省民事局長  深山 卓也君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
       外務大臣官房審
       議官       山上 信吾君
       厚生労働大臣官
       房審議官     武田 俊彦君
       厚生労働大臣官
       房統計情報部長  姉崎  猛君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (ヘイトスピーチについての政府の実態調査に
 関する件)
 (選択的夫婦別氏制度の導入に関する件)
 (犯罪加害者の手記出版に対する法規制等に関
 する件)
 (性犯罪被害者の保護に関する件)
 (法務省及び最高裁判所における情報セキュリ
 ティ体制等に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、猪口邦子さんが委員を辞任され、その補欠として石井正弘君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(魚住裕一郎君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に真山勇一君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府大臣官房審議官久保田治君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(魚住裕一郎君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫でございます。
 まず、今日は官房副長官にお越しいただきました。
 七月二日ですか、官房長官の方で、人種差別の実態ですか、あるいはヘイトスピーチですか、これについて政府の方で調査をすると、このような発表があったというふうに聞き及んでいますが、まずはそれについて御説明いただけますでしょうか。
#9
○内閣官房副長官(世耕弘成君) これは、いわゆるヘイトスピーチであるとされる特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動は、広く人々に不安感を与え、差別や偏見の意識を生じさせることにつながりかねず、あってはならないことだと考えております。
 安倍内閣として、我が国で暮らしている外国人も含め、一人一人の人権が尊重される豊かで安心できる成熟した社会を実現させるためには、御指摘のヘイトスピーチのみならず、外国人に対する差別の実態をまずは的確に把握することが重要というふうに認識をしております。
 ヘイトスピーチなどの外国人に対する差別については、先日、公明党のプロジェクトチームから実態調査を求める要望があったところであります。現在、法務省において、既に実施された地方公共団体の調査結果を分析しながら、今後政府として行う調査の在り方を見極めている段階にあると承知をしておりますが、いずれにしても、できるだけ速やかに調査が実施される必要があるというふうに考えております。
#10
○小川敏夫君 調査を行うことは、特段、後で言う意見はあるんですけど、異論はないんですけれども、駄目だとは言わないんだけれども。
 まずは基本的なことですけれども、例えばヘイトスピーチに限定してお尋ねしますけれども、安倍総理が、私、予算委員会でも質問させていただきました。そこでも、安倍総理自身も、ちょっと言葉の表現は忘れたけど、ヘイトスピーチはやはりあってはならないことだと、このような基本的な姿勢をお伺いしました。今の官房副長官の御説明でも、ヘイトスピーチは、これはやはり社会的に容認できないんだという御趣旨の説明だったと思います。
 それで、確認しますけれども、そうすると、調査をした結果、ヘイトスピーチは許されないということではなくて、調査しなくても、ヘイトスピーチはそもそも許されないんだと、こういう基本的な前提の上に立っておられるわけでございますね。
#11
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 我々は、ヘイトスピーチはもちろん、ヘイトスピーチを含む外国人に対する差別は許されないものだというふうに考えております。
#12
○小川敏夫君 そうしますと、調査を進めていただくのは結構だけど、しかし、そもそも、社会的に許されないヘイトスピーチというものが現になされているなら、やはり一刻も早くそうしたヘイトスピーチが行われないような措置あるいは法的整備、こういうものをするべきではないかと私は考えるんですが、これはいかがでございましょう。
#13
○内閣官房副長官(世耕弘成君) ヘイトスピーチに関しては許されないという立場で、我々は、例えば国民に対する広報啓発活動も行ってきております。そういう意味で、政府としては、これからもしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。
#14
○小川敏夫君 その御答弁そのものは私も支持するところでありますけれども、私が言いたいのは、そうしますと、今、この委員会でヘイトスピーチに対する対策も盛り込んだ人種差別撤廃基本法というものを議員提案して既に付託されておるわけでありますが、それが審議入りされないという状態がございます。
 何か調査を待たなければヘイトスピーチ対策を講じないというのがおかしいのであって、やはり調査は調査で行っていただいて結構なんだけれども、調査をすることが、ヘイトスピーチに対する対策を講じよう、それに対する立法について議論しようということの妨げになるとか、あるいは調査をしなければそうした議論に入れないという前提ではないと思うんですが、政府の方のその調査のお考えはどうなんでしょうか、そこのところは。
#15
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 調査は調査でしっかりと進めて、そのまた結果を踏まえて、我々政府のアクションに変更を加えるべきところがあれば加えていきたいというふうに思っておりますが、今現在はやはり現行法の適切な運用と適用ということで、特に啓発の充実に努めていきたいというのが政府の今立場でございます。
#16
○小川敏夫君 委員長始め委員の皆様に今の官房副長官の答弁も踏まえた要望をさせていただきますと、やはり調査を行うということは結構でございますが、調査を行わなければ法案の審議ができない、あるいはヘイトスピーチ対策を講じることができないと、こういう趣旨のものではないようでございますし、政府の調査もそういう趣旨ではないという答弁であるようでございますので、是非とも法案の審議を早期に進めてヘイトスピーチに対する対策を立法府の姿勢として示していただきたいと、このように思っておりますので、理事会におきましても、そうした点、しっかりと議論していただきたいと思います。
#17
○委員長(魚住裕一郎君) 理事会で協議してございます。
#18
○小川敏夫君 それで、今、官房副長官のお話の中で、現行法において適正に、厳正に対応していくというお話がございました。
 それで、今日は警察庁の方にお越しいただいていますが、ヘイトスピーチがけしからぬ、けしからぬという多くの国民の声があっても、しかし今なおヘイトスピーチが繰り返されている。現行法では対応し切れないからヘイトスピーチを規制できない、こういう状況にあるんじゃないでしょうか。
#19
○政府参考人(塩川実喜夫君) お答えします。
 いわゆる右派系市民グループでございますけれども、この一部の過激な言動がヘイトスピーチであると批判されているというふうに承知しております。警察としましては、いわゆるこの右派系市民グループによるデモについて、トラブルから生じる違法行為の未然防止の観点から必要な警備措置を講じています。また、これらのデモに際しまして違法行為を認知した場合には厳正に対処しているところでございます。いわゆるヘイトスピーチと言われる言動については、個別の事案によりますが、例えば刑法の名誉毀損罪や威力業務妨害罪などが成立する場合には、法と証拠に基づき厳正に対処しているところでございます。
 また、このいわゆる右派系市民グループによるデモでございますけれども、本年六月末現在で約三十件ということで、昨年同期、六月末現在が七十件でございましたので、昨年から今年にかけて大きく減少してきているところでございます。取締りの方でございますけれども、本年に入りまして六月末現在で四人を暴行事件で検挙しているところでございます。
#20
○小川敏夫君 そうしたヘイトスピーチなどのデモが繰り返されていると。警察庁のお話は、そうしたデモに伴って違法行為があれば検挙するし、あるいはそれに反対する人たちとの間でトラブルが起きないように対策を講じている、何らかの違法行為があれば厳正に対応すると、こういう趣旨の御説明と理解したんですが、私の質問の趣旨は、そもそも、そういうヘイトスピーチを構成するようなデモ行進そのものを現行法では規制しないから、だからヘイトスピーチの示威行動が行われている、そしてそれは、デモ行進そのものは、警察は規制できないんじゃないですかと。
 ですから、その点については現行法で対応し切れないからデモ行進が繰り返されているんではないでしょうか、ヘイトスピーチのデモ行進が繰り返されているんじゃないでしょうかと、こういう趣旨でお尋ねしたんですが、いかがでしょうか。
#21
○政府参考人(塩川実喜夫君) デモということにつきましては、各都道府県における公安条例での許可届出等の対象に当たることもあれば、また道路使用許可等の対象に当たることもあるというふうに承知しております。
#22
○小川敏夫君 デモというと何か民主的な表現の行動みたいに聞こえるので、デモという言葉は使わないで、要するに、ヘイトスピーチをしながら集団で歩いている、行進していると、こういうこと自体は現行法では規制できないんですよね。
#23
○政府参考人(塩川実喜夫君) ただいまお答えしたとおりでございますけれども、デモということについてのいわゆる法規制というのは、公安条例であり、また場合によって道交法ということになっておりまして、法規制は法規制でございます。
#24
○小川敏夫君 いやいや、私はデモ行進一般を聞いているんじゃなくて、ですから、ヘイトスピーチが繰り返されていると、しかも、それに抗議する人たちとの間で衝突が起きないよう、警察も一生懸命対応しているというお話は聞きました。
 だから、私が聞いているのは、そもそも、そういうヘイトスピーチ行動そのものをやめさせることはできないんですかと聞いているわけです。多分できないから繰り返されていると思うんですよね。警察として現行法ではそれを規制できないから、結局ヘイトスピーチの行動そのものを取り締まり、規制することはできないんじゃないですかと、こう聞いているわけです。
#25
○政府参考人(塩川実喜夫君) 警察としてという観点からお答えさせていただきますと、警察はどのような言動がヘイトスピーチに当たるかどうかについて判断をする立場にはございません。それで、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、トラブル防止の観点からの警備措置と違法行為についての厳正な対処ということに努めているところでございます。
#26
○小川敏夫君 警察としてはヘイトスピーチかどうかを判断する立場にないと。それは逆に言えば、そもそも、ヘイトスピーチがいかなるもので、そしてこれが禁止されるかどうか、規制されるかどうかの法律がないからということになると思うんですがね。
 本日は、そうしたことについて、現状についての警察の説明ではなくて、政府としてどのように臨むのかという趣旨のお尋ねもしたかったので、国家公安委員長に出席を求め、その答弁をいただきたかったんですが、残念ながら理事会の方で国家公安委員長の出席ということをお認めいただけませんでしたが、こうしたヘイトスピーチに対する政府の姿勢というものをやはり説明いただくためには国家公安委員長の出席が必要であったのではないか。
 答弁の充実のために、今後は国家公安委員長を必要に応じてこの法務委員会にも出席していただきますよう、また理事会の方でも御協議いただきたいと思います。
#27
○委員長(魚住裕一郎君) 後刻理事会で協議いたします。
#28
○小川敏夫君 それで、また官房副長官にお尋ねしますけれども、調査の件でありますけれども、調査をすること、それから調査の必要性を認めていただくこと、これは大変に結構なことでございますが、そもそも我が国は、こうした人種差別の実態、ヘイトスピーチも含めて、実情について国連の人種差別撤廃委員会から調査しろと、調査するようにという勧告を受けております。
 今回のこの調査は、そうした国連の勧告を受けての調査なんでしょうか。それとも、それとは無関係に行う調査なんでしょうか。
#29
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 今回の調査の直接的なきっかけは、やはり公明党のヘイトスピーチ問題対策プロジェクトチームからいただいた要望書に基づいております。そのプロジェクトチームの要望書の中には、やはりヘイトスピーチを含む人種差別を許さないという断固たる姿勢を示す必要があるということ、そしてまた、ヘイトスピーチを含む人種差別の根絶に向けた実効性ある人種差別撤廃政策を策定するために調査を行うことということを求められております。それに基づいて今回は調査をさせていただくというものであります。
#30
○小川敏夫君 そうした取組に行動していただいております公明党さんのそうした行動も評価いたしますし、また、政府の方でそれを受けて調査するということも、それは前向きに評価はいたしますけれども、そもそも政府は、この国連人種差別撤廃委員会から調査しろという勧告を受けていながら行っていなかったのが実際の姿であります。ですから、今聞いて、そうした国連の勧告を受けたわけでもないというところが、少し動機として私としては不十分ではないかというふうに感じておりますが。
 別の質問ですけれども、調査を行うことは好ましいとしても、この調査の中立性というものもこれしっかり保たれなくてはいけないと思うんであります。そうしますと、端的に言いますと、国や行政が調査するというよりも、もっと中立的な機関を設ける、あるいは中立的な人たちで構成する何らかの委員会的なものによって、そういうものを構成して、そうした中立的な立場から調査するということが望ましいと思うんですが、今回そういう方法によらずに政府が調査するということにしたのは、これは何か事情があったんでしょうか。
#31
○内閣官房副長官(世耕弘成君) まだこれ、調査の方法等については決まっているわけではありません。ただ、今回我々が調査を実施するきっかけとなった公明党さんからの要望の中でも、実施に当たっては政治的に中立な機関に委託して行うなど、政治的中立性を担保し得る方策を講じて実施すべきであるという御指摘をいただいているところであります。
 その上で、現在法務省において、今後行う調査の在り方を見極めている段階だというふうに認識をしております。ですから、現時点で今後行う調査の方法や規模とか、あるいはどういう形態で行うのかということについては、私の方からまだお答えすることは困難でありますけれども、できるだけ速やかにきちんとした調査を実施していくべきだというふうに考えております。
#32
○小川敏夫君 それで、この調査ですけれども、今回一回きりなんでしょうか。それとも、調査の必要性があるから、政府としては継続的に調査を行っていくということなんでしょうか。
#33
○内閣官房副長官(世耕弘成君) いずれにしましても、そういう点も含めて、ちょっと調査のやり方については法務省の方で検討しているというふうに認識をしております。
#34
○小川敏夫君 政府の方でも調査の中立性ということについてはその必要性を理解しているということでございますが、今回議員提案いたしましたこの人種差別撤廃に関する法案でも、そうしたことを踏まえて、継続的に中立的な調査を行うということで審議会の設置というものを求めております。ただいまの政府の答弁の中でもありました差別に関する調査を継続的に中立的に行うということに資する内容の提案でもあると思いますので、重ねて早期審議入りということをお願い申し上げます。
 では、この点の質問につきましては終わりまして、別の質問に行きたいと思いますが、副長官はお忙しいようなので、これで結構でございます。
#35
○委員長(魚住裕一郎君) 世耕副長官、御退席で結構でございます。
#36
○小川敏夫君 法務大臣にお尋ねいたします。
 いわゆる夫婦別姓制度というものがございます。これはもう既に法制審から夫婦の別姓制度を導入するというような答申を、もう十年以上前ですか、受けておると思うんですが、それを実現しないまま今日に至っているのは、これはどういうことでしょうか。
#37
○国務大臣(上川陽子君) 委員御指摘のとおりでございまして、平成八年に法制審議会におきまして答申をいただいているところでございます。
 もっとも、この問題につきましては世論調査もずっと継続して実施しているところでございますが、国民の皆さんの間にも様々な御意見があるということでございまして、それらを踏まえての慎重な検討が必要であると、こうしたものというふうに考えているところでございます。
 現在、関連する訴訟が最高裁判所に係属しているということでございまして、最高裁判所がどのような判断をするかということにつきまして注視してまいりたいというふうに考えております。
#38
○小川敏夫君 ちょっと話はそれますが、今、衆議院で刑訴法の改正案を行っています。そこでは、法制審の答申が出たんだからということを大きな理由として早く成立させてくれと言っておるんですけれども、こっちの民法では、法制審の答申が出ても十年じゃなくて二十年近く放置しておるわけでございます。何か答申というものを、少し都合よく対応しているんじゃないかということを述べさせていただきます。
 それで、今、法務大臣から、最高裁に係属しているというような趣旨のお話がございました。私は思うんですけれども、仮に最高裁で、夫婦別姓制度、夫婦別姓による婚姻届を受理しないことが違法である、憲法違反であるという判断が出たとした場合、それに対する準備というものは法務省はしておるんでしょうか。
#39
○国務大臣(上川陽子君) まさに最高裁判所で今審理をしているということでございますので、その結果を待ちたいというふうに思っております。
#40
○小川敏夫君 夫婦別姓制度を導入するかどうか、最高裁から夫婦別姓制度を認めないことは憲法違反だと言われたら、それに従わなきゃならない、当然のことだと思うんですが。
 私がお尋ねしたい趣旨は、最高裁でそういうふうに夫婦別姓を認めなくてはいけないという判断が出たとしたら、翌日から対応しなくちゃいけないと思うんですよ。そうすると、翌日から夫婦別姓の婚姻届を受理する体制、あるいは、そもそも、夫婦別姓制度を導入しなければならないとなった場合に、つまり夫婦別姓の扱いをしなければ憲法違反だという判断が出た場合に、判断が出た直後からすぐ、夫婦別姓の戸籍というものがある、事務的なことがあるとしても、少なくとも夫婦別姓の婚姻届は受理しなくちゃいけないという事務上の義務が出てくると思うんですね。そうした準備はできていますかということをお尋ねしているんですが。
#41
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員の御質問の前提そのものが仮定ということでございまして、結果が出るということを待ってしっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。
#42
○小川敏夫君 昨年でしたか、非嫡出子の相続分について憲法違反という判断が出ました。これは相続分の協議ですから、判決が出た後、協議の中でそれを生かしていけばいいわけなんですけれども、夫婦別氏の婚姻届を受理しないことが違法だということになったら受理しなきゃいけなくなるわけですよ。それは本来、最高裁からそういう判断が示されれば翌日から受理しなくちゃいけない、受理しないことはこれは憲法違反なんですから。
 そうすると、相続分の相続協議の際にというような悠長なことじゃなくて、判決が出たら、翌日から受理しないことが憲法違反で違反なんだから、翌日から受理しなくちゃいけないことになるわけです。だけれども、そういう受理する準備ができているんですかと。仮に最高裁判決が出たらすぐに対応しなくちゃいけないんだけれども、判決が出たから対応するというようなことじゃ時間的なロスができちゃって対応できない場合があるんじゃないかということをちょっと心配してお尋ねしているんですけれども。
#43
○国務大臣(上川陽子君) ただいま、そうなった場合という形の中の仮定ということでの御質問でございますけれども、そうなったケースのときにはどうするかということでありますが、そもそも、判決そのものにつきましては、やはりその内容がしっかりとなされたときということでありまして、検討した上で適切に対応してまいりたいというふうに思っております。
#44
○小川敏夫君 ということは、何の準備もしないということですね。だけれども、判決が出た後すぐに、ああ、そういうのを待っていた、待ちに待っていたんだといって翌日に夫婦別姓の婚姻届が出された場合に、それを受理しないことはこれ違法になりますね、憲法違反になりますよね。だけれども、それを受理する体制はできていないと。
 だから、判決が出てから準備するといったんじゃ遅いんじゃないですかと言っているわけでありますけれども、判決が出てから対応すればいいというのでは、そこら辺、また新たな問題が起こると思いますが、やはり何の準備もしない、出てから考えるという考えは変わらないんですか。
#45
○国務大臣(上川陽子君) 最高裁の判決、どういう具体的な内容になるかということをしっかりと見極めて対応してまいりたいというふうに思っております。
#46
○小川敏夫君 最高裁の判決がどういうふうに出るか別に事前に教えてもらうわけじゃないから、分からないからでしょうけれども、分からないから準備しないというんじゃ、分かってからじゃ遅いからと思って質問しているんですが、何も準備しないというのは大変残念ですけれども。
 また次の、ほかの質問に移らせていただきますが、法務大臣は当然、公務員の一員として日本国憲法を守り擁護しなければならないと、そういう義務があることは御承知でございますね。
#47
○国務大臣(上川陽子君) そのとおりであるというふうに思っております。
#48
○小川敏夫君 日本国憲法の原則の重要な一つである平和原則ということも、当然これは擁護するというお考えでございますね。
#49
○国務大臣(上川陽子君) 法治国家として守るべき憲法を始めとして法律ということで、ルール・オブ・ローという原則にのっとって法務行政を担っていくべきというふうに考えております。
#50
○小川敏夫君 今法務大臣という所管のことをお話しされましたけれども、憲法はまた、憲法に関して、内閣に憲法改正の発議をするというこうした地位を与えております。ですから、大臣は、法務省を所管する法務大臣ということではなくて、憲法改正を発議する内閣の一員だという立場があるわけでございます。
 こうした平和主義に対する問題について、大臣は憲法を改正するというお考えはございますでしょうか。
#51
○国務大臣(上川陽子君) まさに内閣の一員として行動するということでございまして、その下で行動してまいりたいというふうに思っております。
#52
○小川敏夫君 いや、内閣の下でと言うけど、大臣が内閣の構成員なんですよ。閣議決定をする一員なんですよ。ですから、内閣の決まりに従うんじゃなくて、構成員である大臣にお尋ねしているわけであります。
#53
○国務大臣(上川陽子君) 法務委員会ということでございまして、法務大臣としての答弁ということであるというふうに思いますが、大変大事な様々なテーマにつきましては内閣が一つの責任を持って行動するということでございますので、その意味で、内閣の一員として、内閣の一員としての立場をしっかりと踏まえた上で、内閣全体としての行動ということに責任を持ってまいりたいというふうに思っております。
#54
○小川敏夫君 何か大臣のお話聞いていると、大臣とは全然別に内閣があるような、ちょっと勘違いするふうにも取れる御説明だったんですけれども。
 大臣は内閣の一員なんですよ。憲法改正を発議するのが内閣。そうすると、その内閣の構成員である国務大臣は、である法務大臣は、平和主義に対する原理に対して、憲法を改正するお考えはございますかと、こうお尋ねしているわけです。
#55
○国務大臣(上川陽子君) 法務大臣ということでございますが、憲法改正の要否についてということでございます。内閣の方針と同一の立場ということでございまして、それを超えて、法務大臣として憲法改正の内容について答えるべき立場にはないというふうに考えております。
#56
○小川敏夫君 いや、答える立場はあると思うんですがね。押し問答の議論をしてもしようがないから、また機会を改めてお尋ねしましょう。
 ところで、今、衆議院で我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案を審議しておりますが、この法案について、閣議決定に大臣は参加しておりますね。
#57
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員から御指摘がありました我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案につきましては、閣議決定に参加をしております。
#58
○小川敏夫君 この法律について、特に集団的自衛権の部分が憲法に適合するかどうかということを十分にお考えになって、閣議決定、すなわち提出に賛成、当然提出に賛成したんでしょうからね、その点を十分にお考えになってこの閣議決定で賛成したんでしょうか。
#59
○国務大臣(上川陽子君) この法案の定める集団的自衛権の行使、これに対しての容認の憲法適合性ということにお触れになりましたけれども、法務大臣といたしまして、この問題につきまして答弁をする立場にございません。
#60
○小川敏夫君 いや、閣議決定に臨んで、閣議決定の大臣は構成員ですから、そこで、この法案提出の閣議決定で当然賛成しておられるわけですよね。
 大臣は、この法案を読んで、その集団的自衛権の部分について、これは憲法に適合するということを御判断されたわけですよね。そうじゃないんですか。
#61
○国務大臣(上川陽子君) 先ほど答弁をする立場にはないというふうに申し上げたところでございますが、この法律につきましては憲法に適合するものとして閣議決定をされたものでございまして、内閣の一員であります法務大臣としても当然そのような立場にあることを申し上げたいというふうに考えております。
#62
○小川敏夫君 その閣議決定した国務大臣の一員として、どうしてこれが憲法に適合するのかということについてどのように検討されたんでしょうか。
#63
○国務大臣(上川陽子君) この法案に関しまして、憲法に適合するものとして閣議決定をされたものであるということで、内閣の一員である法務大臣としても当然同様の立場であるということを申し上げたところでございますけれども、この法案自身の内容とかあるいは解釈などを前提とした具体的な御質問に係ることでございまして、法務大臣として答弁をするという立場にはございませんので、答弁につきましては差し控えさせていただきたいと存じます。
#64
○小川敏夫君 法案の解釈をお尋ねしているんじゃないんです。大臣は、国務大臣として憲法を尊重し擁護する義務があるということでございます。そして、閣議というものが、だから、大臣の外に閣議があって決定に従うという問題じゃなくて、大臣は閣議の構成員なんです。ですから、こうした提出前から憲法議論がある法案について、これを大臣も、提出ということで閣議決定の場においては賛成しておるわけです。
 そうすると、その閣議決定の場において、大臣はこの憲法問題について何も考えなかったと、こういうことですか。
#65
○国務大臣(上川陽子君) この法案につきましての集団的自衛権に係る憲法適合性ということでございまして、この問題につきましては、内閣の一員として内閣の解釈と同一の立場であるということでございます。そして、その法案に対しての内閣の解釈に関しましては、答弁すべき立場にある者は一義的に当該法案の所管大臣であるということでございます。
 その意味で、繰り返しになって恐縮ではございますけれども、同法案につきましては法務省の所管するものではないということでございます。本法案の憲法適合性に関する内閣の解釈につきまして、法務大臣としてお答えをする立場にございません。
#66
○小川敏夫君 大臣は閣議に参加しておるわけですから、閣議に臨む一員としてのお考えをお尋ねしただけで、ただいまの答弁では納得できませんので、また機会を改めてお尋ねいたしますが。
 最後に、昨年の三月十七日の法務委員会で、当時の谷垣大臣に対して、土地家屋調査士さんについて、職務の重要性の割には国民にその職務の役割が知られていない部分があるので、その点について広く啓蒙したらどうかという質問をいたしましたところ、全くその趣旨に賛同いただきまして、努力するという答弁をいただきました。
 それから一年三か月たっておりますので、法務省としてはその点についてどのように具体的に啓蒙活動をしたのか、御説明ください。
#67
○国務大臣(上川陽子君) 昨年の六月十九日に、委員からの御質問に対して谷垣当時法務大臣が大変この問題に対して前向きに御答弁をされ、それに基づいて一年間取り組んできたところでございます。私も、大変大事な御指摘であるというふうに考えているところでございます。
 土地家屋調査士の皆さんにおかれましては、大変大事な財産であります不動産、これの表示に関する登記申請を代理をする、あるいは登記所備付け地図の作成に関与をすると、これは国にとりましても大変大事なインフラでございまして、その登記制度を支える法律専門家ということで、その役割につきましては非常に大きなものがあるというふうに認識をしているところでございます。
 しかし、この役割、あるいは実際に活動していらっしゃる業務の内容につきまして、国民の皆さんには幅広く御理解をいただいているというふうに思っているものではございますけれども、しかし、更にその存在あるいは役割につきまして国民に周知するということについては大変重要であるというふうに考えているところでございます。
 六月十九日のその御質問の後、法務局ホームページにおきまして日本土地家屋調査士会連合会のホームページとリンクを貼って、そして日本土地家屋調査士会連合会主催の一般国民向けの公開シンポジウム、これを後押しする形で法務省も参加をさせていただきながら、法務省の職員がパネリストとして参加をするという形の中で、こうした制度の周知に対しまして協力をさせていただいてきたところでございます。
 加えまして、本年度からということでありますけれども、この登記所備付け地図の整備につきましては更なる推進を図ろうということでございまして、これまで進めてきた全国の都市部、大変地図につきまして問題がある箇所がございますので、この地図の整備につきましては拡充をしようということ、そして新たに大都市の中心部等を対象とする地図作成作業、そして東日本大震災の被災地を対象とする地図作成作業につきましては、これを開始するということで実施しているところでございます。
 いずれも、この事業の担い手となっていただいている土地家屋調査士の皆様におきましてはこうした事業の実施に御協力をいただく形で、そして制度そのものの重要性、これにつきましても広く国民の皆さんにしっかりと御理解をいただくことができるように期待をいたしているところでございます。
 こうした実際の取組を通じて、今後とも、土地家屋調査士制度そのものの周知、さらには土地家屋調査士の皆さんの業務の御理解ということに深めていくべく努力をしてまいりたいというふうに思っております。
#68
○小川敏夫君 いや、土地家屋調査士さんの職務の内容についてお尋ねしたんじゃなくて、啓蒙活動何をやったのかということをお尋ねしたんですが、長い答弁の中でお答えはシンポジウムに人を派遣したということだけだったようにも思いますが、それでは不十分だと思いますので、更に一層努力していただきたいと思います。
 これで質問を終わりますが、文科副大臣、お呼びしながら質問できませんでした。誠に申し訳ございません。
 これで質問を終わります。
#69
○真山勇一君 維新の党、真山勇一です。よろしくお願いします。
 法律というものは私たちの生活の中で役立ってこそ生きるものであり、また意味があるものであるというふうに思っております。
   〔委員長退席、理事熊谷大君着席〕
 今、私たちの社会というのは、御覧のようにもう本当に日々大きく変わりつつあると。その中で法律というものも、やはり現実の生活となかなかそぐわなくなってきたり、あるいは遅れてきたりしている部分というのがあるという、そんなことを感じることが大変やっぱり多いんじゃないかというふうに思っています。時代に合わせてやっぱり法律というのを生かすためには、改正をしていったり、あるいは必要に応じてまた新しい法律を作るということを今していかなければならないというふうに思いますし、まさに私たちのこの委員会の役割もそうしたものであるというふうに私は認識をしております。
 今日はそのような観点から二つのテーマを取り上げまして、そして今後の法整備の参考に私自身としても考えてみたいということで取り上げさせていただきたいというふうに思います。
 まず、その二つのうちの最初なんですけれども、最近話題になった出版された本があります。もう大分大きくいろいろ取り上げたので御存じかもしれませんけれども、一九九七年に神戸市で起きました連続児童殺傷事件、その加害者の男性が手記を書いて出版をしたということで、これは大変なベストセラーになったというふうに伝えられているんですけれども、それに対して様々な反響が起きているわけですね。
 特に、その被害者の方から、これは本当に被害者を刺激する、苦しみをまた改めて思い出させるものである、こういうことは是非やめてほしい、出版を取りやめてほしいというようなこともありましたけれども、結局、本屋さんに出されて店頭に並んで飛ぶように売れてしまったということも言われているわけですけれども、波紋が大きくて、そうしたことから、出版社自身も本当に売っていいのかどうかとか、いろいろな意見もあったように聞いております。
 波紋が非常に大きいことと、それからもう一つは、やはり大事なのは、表現の自由の問題とも絡むのではないかということも提起されていることがありました。この部分というのは特に法的なものはないというふうに考えていますけれども、ただ、外国の例、アメリカでもこれ議論になってきたということが伝えられていますね。
 もうほとんど御存じだと思うのでかいつまんで説明すると、アメリカのニューヨーク州で起きた連続殺人事件、このときその犯人が現場にサムの息子という名前を残していたということで、この加害男性に出版社が、アメリカの場合は出版社が多額の報酬を持ちかけて出版しようよと持ちかけたという話で、それをきっかけにサムの息子法というのが誕生したと。これは、利益が加害者に渡らないで被害者の方に配分が行われるようにという、そういう内容の法律というふうに理解をしております。
 ただ、これも表現の自由ということに絡んで、全て受け入れられたわけじゃなくて、かなり厳しい規制、つまり本当に収益の部分というものを限定した法律になっているというふうに聞いていますし、あるいは、表現の自由ということからやはりこうした法律は不適であるということで、法律がない州もあるというふうに伺っています。ただ、大方の州、大半の州でやはりこうした規制を法律で掛けているというふうに伺っています。
 伺いたいのは、日本にも、今回、神戸の事件をきっかけにしてこの手記が大変問題になったわけですけれども、いわゆるサムの息子法、こうしたものに類する法整備というものを検討したことがあるかどうかということをお伺いしたいと思います。
#70
○政府参考人(安田貴彦君) お答え申し上げます。
 議員御指摘の米国で制定をされておりますいわゆるサムの息子法にありましては、概要は、自己の犯した罪に関する出版物により収益を得ることを規制する法律と承知をしております。
 内閣府におきましては、犯罪被害者等基本法及び同法に基づきます犯罪被害者等施策推進会議において決定された犯罪被害者等基本計画に基づきまして犯罪被害者等施策を推進しておりますが、このような立場からそうした法整備を図ることを検討したことはございません。
#71
○真山勇一君 ございませんということでしたけれども、現実としてこういうことが起きているし、波紋も大きい、そしてそれを何とか法的な問題で考える、捉えるということはできないか、そうした議論もかなり起きてきているわけです。
 やはり、被害者救済ということは大変大事だというふうに思います。確かに、加害者はもう法の制裁というのを受けているわけですから、表現の自由ということでこれをなかなか止めることというのは難しいのではないかというふうには思いますけれども、例えば被害者の一人、当時被害に遭った少年のお父さんが、精神的な苦痛を改めてこういう出版ということがあってまた思い出してしまった、心の傷が更に深くなるというようなことをやはり訴えているわけですね。
 こうしたことを考えると、被害者遺族のやはり苦しみとか苦痛とか、そういう心情があるわけですけれども、そうした心情を傷つけるような行為というものを、いわゆる不法行為、今そういう規定多分ないと思うんですが、やっぱりこれは自分が犯した、償ってはいてもこうした形でまた更に犯罪被害者を苦しめるということは不法行為にならないのかどうかという点と、犯罪にできるかどうかということも検討したことがあるかどうか、これについてもお伺いしたいと思います。
#72
○理事(熊谷大君) 真山君、どなたに。
#73
○真山勇一君 できれば大臣にお伺いしたいというふうに思っております。
#74
○国務大臣(上川陽子君) ただいま御質問の、不法行為ということに係る御質問でございますけれども、不法行為の要件ということでありますが、これは、故意又は過失によりまして他人の権利又は法律上保護される利益を違法に侵害し、損害を生じさせることということでございます。委員今御指摘のような成立の要件、加害者が被害者の御遺族の心情を傷つけるような行為ということでございますが、これがこの不法行為に該当するかどうかという判断をする上で、この不法行為の要件のうち、違法性が特に問題となるというものでございます。
 しかし、不法行為の該当性につきましては個別具体的な事案ごとに判断されるというものでございまして、一概に御答弁をするということが難しいというふうに申し上げたいと思います。
#75
○真山勇一君 ただ、これまで、今回のこの神戸の事件もありますけれども、振り返ってみると、こうしたことが今回だけではないわけですね。遡ってみるとこれまでにもかなり、いわゆる加害者だったという方が、法の制裁を受けて出た後、あるいは獄中、そういうところでやはり手記というものを出して、それが問題になってきたケースというのは、これまでも幾つかというか、かなりの数あるわけですね。古くは一九七一年の連続ピストル射殺事件というものもありますし、連合赤軍事件でもありましたし、パリの人肉事件ということもありました。
 こういうふうなことで、遡ると、それからあと、東京の、これも大きなニュースになりましたけれども、秋葉原での無差別殺傷事件、こうしたものもやはり手記を書いて、そして、それなりにやっぱり本、注目を浴びているわけですから売れる、売れるということになれば印税が入る。そうした収益、この収益が金額が大きくなればなるほど、犯罪を犯したことによってそういう収益を得るということがどうなのかという、これは非常に感情的な部分というのもあると思うんですけれども、そういうことがあると思うんです。
 こうしたことから考えると、やはり新しい一つのこういう事件の形として法整備というものを検討する必要もあるのではないかというふうに考えているんですけれども、先ほど、これまで検討されていないということだったんですが、法務大臣、いかがでしょうか。こういうものはやっぱり検討すべきケースではないかというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。
#76
○国務大臣(上川陽子君) そもそも犯罪の成否につきましては、捜査機関が収集した証拠、そしてまた個別に判断されるべき事柄でございまして、今委員の方から御指摘をいただいたようなことを一般論として申し上げるところでございますけれども、公然と事実につきまして摘示し、人の名誉を毀損する行為に当たる場合につきましては名誉毀損罪が成立するということでございます。また、公然と人を侮辱する行為に当たる場合につきましては侮辱罪が、それぞれ成立し得るものというふうに考えるところでございます。
   〔理事熊谷大君退席、委員長着席〕
 今、法務省におきましても、犯罪被害者の遺族の御心情を傷つけるということを犯罪の成立要件とするというような内容の罰則を設けるべきではないかというようなことを検討したということにつきましては、ございません。
#77
○真山勇一君 私も仕事柄、以前、議員の前はいわゆる報道の仕事に携わってきた者なので表現の自由という問題は大きく捉えておりまして、これとの兼ね合いということもあって大変難しい問題というふうには思うんですけれども、やはり時代によってこうした新しい犯罪の形が出てきて、そして思わぬ波紋というか、直接の犯罪ではなくても間接的にいろいろなことが出てくる。こうしたことにどうやって法的な対応をしていくかということは、やはり本当に悩ましくて難しい問題であるというふうに私も思いますけれども、こういう事実がこれまでにもあるわけですから、やはり前向きに検討というようなことを是非お願いしたいというふうに思っております。
 もう一つ伺いたいんですけど、こちらはやはり被害者、心情を思うと大変な犯罪ということで、性犯罪被害者の問題をちょっと取り上げたいと思うんです。
 性犯罪の被害者にとっても、プライバシーですから、そういうことの被害を受けたということは知られたくないというその気持ちの一方で、加害者に対する気持ちということもあり、大変複雑、そして苦しいものだというふうには思います。
 この犯罪被害者の保護について、どうやって保護していくかということについては、現在、法務省の性犯罪の罰則に関する検討会というのがありまして、この中で検討中であるというふうに承知しております。
 早ければ今月中、七月中にもまとめというものが出されるのではないかというふうに聞いておりますけれども、これについてちょっとお伺いしたいんですけれども、性犯罪自体を、これは今の法律ですと、一部は親告罪、つまり親告罪でなければ駄目だ、つまり被害を受けた本人が届け、告訴をしない限り犯罪ということにならないということになっているんですけれども、性犯罪を非親告罪とするべきではないだろうかというようなことが今この検討会で検討されているというふうに伺っているんですが、その状況がどういうふうなことになっているのか。これについて法務大臣というのはどういうふうに考えておられるのか、見解を伺いたいと思います。
#78
○国務大臣(上川陽子君) ただいま法務省におきまして、性犯罪の罰則に関する検討会ということで、昨年の十月からスタートをいたしまして鋭意検討をしていただいているところでございます。まさにその論点の一つが、性犯罪を非親告罪とすることについてということでございます。
 これまでにヒアリングを行いましたし、また意見交換もしていただいているということでございますが、その結果、今の段階で、ちょっと幾つか御紹介いたしますと、親告罪とされていることによって起訴、不起訴の判断が実質的に被害者に委ねられることとなるということに伴いまして、被害者の大変大きな心理的な負担になるのではないかと、そういう意味で非親告罪化を主張する御意見もございました。また、被害者が捜査をしないでほしいと望むケースもございます。そのような場合については、放っておいてほしいという被害者の権利は守られるべきではないかということで、現在の制度を維持するべきであるとするそうした御意見もございました。
 この検討会につきましては、引き続き熱心な御議論をいただいているということでございまして、その取りまとめに向けた議論が更に深まるというふうに聞いておりますので、当面につきましてはこの議論を見守りたいというふうに思っております。
#79
○真山勇一君 それから、この検討会で、こちらもテーマになっているというふうに思いますけれども、取り上げられている点についてもう一つお伺いしたいんですけれども、やはり性犯罪被害は重大ということで、それに鑑みて、性犯罪全般の、こういう犯罪には時効というのがございますね。今、刑法の改正でも、刑事訴訟法でも時効という改正の話が出ていますけれども、その時効、これを性犯罪全般については公訴時効を撤廃するか、あるいは一定期間、例えば具体的に言うと成人までは中断しておくとか、そういう考え方があるやに伺っておりますけれども、こうした一定期間中断すべしというような意見、これについてもこの法務省の検討会でやはり同様にいろいろ意見の交換が行われているというふうに伺っております。
 この公訴時効の撤廃若しくは一定期間の中断という、これについてはどういうふうにお考えでいらっしゃるでしょうか。
#80
○国務大臣(上川陽子君) 性犯罪の罰則に関する検討会においての論点の一つということで、性犯罪に関する公訴時効の撤廃又は停止についてにつきましても御議論をいただいているということでございます。
 この件につきましては、年少被害者保護の観点ということについての御議論が活発になされてきたというふうに承知をしておりますけれども、加害者が年少者である場合におきましては被害者が一定の年齢に達するまで公訴時効の進行を停止すべきであると、こうした御意見も寄せられておりますが、同時に、公訴時効の撤廃又は停止につきましては時効制度の考え方に照らして大きな疑問があると、こうした消極的な意見などがあったものというふうに聞いているところでございます。
 当面につきましては、この問題につきましても引き続き御議論いただいているということでございますので、その御議論を見守りたいというふうに思っております。
#81
○真山勇一君 近く出るので、やっぱりそのまとめを待ちたいというふうに思いますけれども。
 もう一つ、今の大臣の話の中で出ました年少者、特に年少者に対してという話がございましたけれども、そうした観点から、やっぱり性犯罪とか、それから年少者でいえば幼児に対する虐待なんということもあるわけですけれども、こうしたものというのは必ず弱い者が犠牲になるということで、そして大変苦痛を伴うということも当然精神的にあるわけですけれども、そういうことから一つの方法として考えられているものが、司法面接という言葉があって、その司法面接ということも考え検討するべきではないだろうかというような話も最近出てきております。
 この司法面接というのは、要するに、被害に遭った人がその犯罪を立証するために警察から事情を聴かれる、そしてその次、今度は検察へ行って検察で事情を聴かれる、それからまた、自分が弁護を頼めば弁護士さんからまた事情を聴かれるということで、何回も何回も自分が受けた被害ということを繰り返し話をしなければならないということで、これは恐らく考えただけでも苦痛なことだし、それを何回も何回もしゃべるということは、逆に言うと、その段階でもしかすると印象が変わったり、相手から聴かれたこと、あるいは聴き方によって変わってしまうということなので、専門の人がなるべく早いうちに、いつどこで誰がどんなことをあなたにしたのかという客観的な確実な事実をしっかりとつかまえるための面接というふうに私は伺っているんですけれども。
 こうした一つの制度、仕組みを取り入れるのも、やはり性犯罪被害者のその苦痛とか精神的な苦しみを和らげるのに必要であると思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
#82
○国務大臣(上川陽子君) 委員の先ほどの御質問に対して、私、間違えた発言をしたことをちょっと訂正させていただきたいと思いますけれども、年少被害者保護の観点ということで、時効の件につきましての発言の中で、被害者が年少者であるということを申し上げたかったのでありますけれども、加害者が年少者であるというふうに誤って申し上げましたので、おわびをして訂正させていただきたいと思います。申し訳ございませんでした。
 今、いわゆる司法面接というそうした御質問ということで、小さなお子さんの精神的な苦痛を何度も取調べを受けることによって受けるということについては問題があるということでの御質問でございました。
 この性犯罪の罰則に関する検討会におきましては、今御指摘があった司法面接につきましては検討の対象とはしていないということでございます。ただ、被害者が児童である場合、先ほど来の話がありましたとおり、被害の児童の負担軽減、そして精神的な面でのこうした問題を軽減するためにということでございまして、代表者が聴取をするという司法面接の考え方につきましては大変意義があるというふうに思っているところでございます。
 これまでも、そうした観点は非常に大事であるということでございまして、検察当局におきましても、事案の性質に応じまして、聴取の場所でありますとか、あるいは回数でありますとか、あるいは方法につきましても様々な配慮をしているところでございます。また、検察と警察の間におきましては、被害児童の事情聴取に先立ってよくよく協議をいたしまして、そしてどちらが代表して聴取を行うかということにつきましても積極的に検討をしている、そうした取組を進めているところでございます。
 子供の目線というのは何よりも大切なことでありますし、また一層の工夫、改善ということにつきましては被害者への配慮にしっかりと向き合っていきたいというふうに思っております。
#83
○委員長(魚住裕一郎君) 真山君、時間ですのでおまとめください。
#84
○真山勇一君 はい。
 今の大臣の、いいなというお答えがありました。私もこういう仕組み、いいなと思っています。是非進めていただきたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。
#85
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 今日は急な質問ということになりまして、ふだんにも増してストレートな質問になるかもしれませんけれども、そこは御勘弁をいただいて、選択的夫婦別姓と通称使用の拡大という問題についてお尋ねをしたいと思っております。
 この問題に関しては、先ほども小川委員からお話がありましたが、夫婦同姓を強制をしている今の法制度、そして待婚期間を規定している制度について、その合憲性が争われて、最高裁が大法廷に回付をした、十一月には弁論が開かれるという事態が注目を浴びています。事態と申し上げたのは、言わば堪忍袋の緒が切れたという最高裁の思いではないかと私は拝察をしているんですね。
 そうした中で、この国会に、私ども、他の野党の皆さんと御一緒に、九六年の法制審答申の内容を実現をするべきであると民法改正案を提案をさせていただいております。この審議入りも是非進めていただきたいと思うんですが、そうした中で、まず内閣府にお尋ねをしたいと思うんです。
 男女共同参画の基本計画、これが今第三次ということになっておりまして、家族法制の整備等について、「夫婦や家族の在り方の多様化や女子差別撤廃委員会の最終見解も踏まえ、婚姻適齢の男女統一、選択的夫婦別氏制度の導入等の民法改正について、引き続き検討を進める。」と記載をされているわけですね。
 この第三次基本計画の検討のプロセスでは、民法改正が必要であるとはっきり明記すべきだという議論もあったことも踏まえつつ、国際人権機関からの最終見解なども踏まえ引き続き検討を進めるという、つまり推進するんだという趣旨の規定がされているわけです。
 この第三次基本計画が今年度末に期限を迎える。すると、来年四月からの第四次になるべき基本計画をどうするのかということが今検討中だと思います。この第四次の基本計画には、この件についてはどうお書きになるんでしょうか。
#86
○政府参考人(久保田治君) お答えをいたします。
 第四次の男女共同参画基本計画につきましては、委員御指摘のとおり、現在審議を行っているところでございまして、現在、男女共同参画会議の下に計画策定の専門調査会を置きまして、基本的考え方として、計画の前提になります答申を御審議いただいているところでございます。
 政府といたしましては、この男女共同参画会議からの基本的考え方の答申を踏まえて第四次計画を策定する予定としておりまして、現時点で家族に関する法制についての記載内容は決まっていないところでございます。
#87
○仁比聡平君 冒頭に申し上げたようなこの問題をめぐる状況の下で、決まっていないとか、あるいは方向性もお話しになれないというのはどんなものなんだろうと思うんですけれども、この第四次の基本計画で、第三次基本計画以降の状況の下でこれだけの憲法問題、あるいは家族の多様化というのがいろんなアンケートなどからも明らかな中で、まさか第三次の記載の水準から後退するなんというのはあり得ないと思うんですけれども、内閣府、いかがですか。
#88
○政府参考人(久保田治君) お答えいたします。
 現在審議中の案件でございますので予断を持ってお答えすることはいたしかねますが、最高裁に家族法制に関する案件が係属中ということもございまして、それを踏まえた記載をしていくということで委員間では話し合われております。
#89
○仁比聡平君 最高裁がどういう判断をするのかを見ながら記載していくという、その話合いが理解できないんですね、私。
 今週ですか、六日にお話のあっている専門調査会の会合があって、その場でも、委員の中から最高裁を注視していくと。先ほどの上川大臣の小川委員への御答弁と同じ趣旨の発言もあったように聞くんですけれども、まず最高裁の判決でいうと、十一月に弁論なんですから、だったらいつ出るのかと、判決が。
 基本計画の期限は年度末に来るわけで、当然、四月一日からは責任を持って施行しなきゃいけないわけでしょう。計画を始めなきゃいけないわけでしょう。すると、そのためにどんな政策を掲げるのかという計画と、それに必要な予算を始めとした体制、これは年内に定めなかったらば、あるいは通常国会でそうした議論ができなかったらば四月からやれないじゃないですか。だから、第三次基本計画だって、その前の計画だって、年末十二月に閣議決定がされていると思います。
 最高裁を注視していたら十二月には閣議決定できませんけれども、そんなことで男女共同参画の事業が責任を持って行えると内閣府はお考えですか。
#90
○政府参考人(久保田治君) 第四次基本計画に関しましては、現在、委員御指摘のとおり、年内の策定を目途に作業を進めておるところでございます。最高裁の判決がどうなるかということは別途注視しつつ、その他の事業が滞りなく行われていくように計画の策定時期を考えていきたいと思っております。
#91
○仁比聡平君 元々、最高裁判決待ちになっていると、注視する、最高裁判決待ちというその政治姿勢そのものがこの二十年近くにわたって弾劾され続けているわけですね。
 ちょっと別の角度、国際人権の角度から外務省にお尋ねをしますけれども、女性差別撤廃委員会から、今申し上げているテーマについて度々条約違反であるという勧告を受け続けてきました。そして、フォローアップの対象に挙げられて、今月、日本政府から委員会に出されているレポートに対する審査が、予備審査というんでしょうか、七月の二十七日に行われる。そして、来年二月には、二〇一六年二月には本審査が行われるという状況にあるわけです。ここに日本政府はどのように臨もうとしているんですか。
#92
○政府参考人(山上信吾君) お答えいたします。
 まず、委員の方から条約違反という御指摘がございましたが、この女子差別撤廃条約十六条の一項の(g)でございます。ここは、姓の選択等につき男女同一の権利を確保することを求めているというものでございまして、日本の民法七百五十条におきましては、御案内のとおり、夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する旨規定しており、この条約の十六条一項(g)号の要請は担保されていると。したがいまして、条約上直ちに問題となるものではないと理解しております。その上で、委員御指摘のとおり、委員会の方からはこの日本の規定に対して一定の懸念が表されておるというところでございます。
 お尋ねの、来年二月の審査に対する対応でございましたが、そこは、昨年九月に政府から報告書を提出しておりますので、その内容に基づきまして、選択的夫婦別氏制度を含む民法改正についての我が国の状況についてしっかり説明をしてまいりたいと考えております。
#93
○仁比聡平君 条約違反ではないという御主張は、僕はへ理屈だと思うので、これ後ほどちょっと議論しますが、そのおっしゃる政府のレポートは、国民の理解を得て行う必要があるとの認識の下、引き続き、国民意識の動向の把握に努め、また国民の議論が深まるよう情報提供等に努めている、なお、九六年の法制審答申を受け、同年及び二〇一〇年に婚姻適齢の男女統一などを内容とする民法等の改正法案を国会に提出すべく準備をしたが、同法案については政府部内及び国民の間に様々な意見があり、国会に提出することができなかったと書いてあるんですよ。
 国会に提出することができなかったというこの経過が国内の最高裁判所において憲法判断を今迫られようとしている、そのことを女性差別撤廃委員会の林陽子委員長はもちろんよくよく御承知である。そうした下で、七月には、日本の女性運動を始めとしたNGOがつまびらかにこの日本の今の現状についてレポートされると思います。そうした中で、今お話しになったような日本政府の対応が国際社会において通用するとお考えですか。
#94
○政府参考人(山上信吾君) お答えいたします。
 私ども外交当局としましては、国内で様々な意見がある問題につきましては、その国内の現状、立場といったものについて、国際社会の理解を得るべく説明を尽くしてまいるということかと存じます。
#95
○仁比聡平君 そうした態度は絶対に通用しない、国際社会でと私は思うんですけれども。
 そこで、上川大臣、大臣は法務大臣であり、かつこの男女共同参画のメンバーでもあるわけですけれども、申し上げているように、問われているのは政治の不作為なんですね。九六年の法制審答申から考えたってもう二十年になろうとしているんですよ。その間、問題の解決ができないということが憲法判断を迫られようとしている。
 大臣は、法制審に諮問をしたお立場であり、その法制審の検討を踏まえて答申を受けた立場であり、そして法案を作成した立場なんですね。ほかの政治家とは存在の重みが違う。その大臣にとって、こうした状況というのをどうお考えになっているんですか。
#96
○国務大臣(上川陽子君) 委員御指摘をいただきましたとおり、平成八年の二月に答申が出されたわけでございますが、民法の一部を改正する法律案要綱につきましては、民法の研究者を始めといたしまして、法制審議会の委員であります様々な有識者の皆さんの御意見を踏まえて取りまとめられたというものでございます。
 法務省といたしましても、平成八年、平成二十二年、この二回にわたりまして、この答申に基づく法案につきましては国会に提出すべく準備をしてきたところでございますけれども、各方面からこの法制審議会の答申にいろんな疑問を呈する御意見もございまして、様々な意見が出されたということでございます。国民の意識に十分に配慮しながら更に慎重な検討を行う必要があるというふうなことを考えて、法案の国会への提出を見送ってきたところでございます。
 この選択的夫婦別氏制度の導入の問題につきましては、我が国におきましての家族の在り方に深く深く関わる問題であるということでございまして、国民の皆さんからの大方の理解をいただくべきものというふうに考えているところでございます。
 また、直近の世論調査、平成二十四年でございますけれども、通称使用、先ほど委員からもお触れになっていただきましたが、通称使用の選択肢も含めまして、この間、世論調査を継続して実施してきているところでございますが、この世論調査を見てみましても、国民の皆さんの意見が大きく分かれているという状況でございます。
 今後とも、引き続き、各層の御意見を幅広く聞きながら、また様々な問題提起をしながら、また関連する訴訟については、特に最高裁判所が今まさに審議していくということでございますので、そうした観点で、その判断につきましての行方ということにつきましては注視すべきものというふうに考えているところでございます。
#97
○仁比聡平君 様々な意見があるから慎重な検討が必要だというふうにこの間おっしゃるようになっていて、それは一体、この民法改正をやらないという理由になるのかということが私、大きな疑問なんですね。
 ちょっと先に、どんな方々の問題なのかということについて、厚労省においでいただいていまして、人口動態調査で、二〇一三年に法律婚の届出をされたカップルの総数、そのうち、夫の氏を名のることとしたカップルの数、妻の氏を名のることとしたカップルの数、総数と割合を御答弁ください。
#98
○政府参考人(姉崎猛君) お答えをいたします。
 私どもの人口動態統計によりますと、平成二十五年、二〇一三年の婚姻数は合計で六十六万六百十三組というふうになっておりまして、そのうち、夫の氏を選択した御夫婦は六十三万五千四百三十二組、割合として九六・二%、妻の氏を選択した御夫婦は二万五千百八十一組で、割合は三・八%というふうになっております。
#99
○仁比聡平君 つまり、一年間に六十六万を超えるカップルが法律婚をし、その九六・二%は夫の氏を称することになっている。先ほど条約違反ではないと外務省のお答えがありましたけれども、同一だという形式上の平等があっても、現実はこうなんですよ。毎年毎年、六十数万の、あるいは七十万のカップルが誕生し、女性の六十三万五千四百三十二人ですよね、二〇一三年においては、が、望んでの方ももちろんおありでしょうけれども、旧姓のままがいいというふうに思いながらも、こうした法律上の強制をされている方々がいらっしゃる。
 その下で、働く女性の意識についての、三月に日経新聞が発表した調査がこれ話題になっています。働く既婚女性の七七%の方が選択的別姓に賛成、四十代の方は八割の方が賛成だと。実際、職場で通称の使用については相当な苦労があるわけですよね。旧姓で仕事をしているという方が四人に一人に上る。その中で、二つの名前を使い分けるのが面倒だ、あるいは判こが二つ必要だ、こうした声が大きく上がっているわけですよね。
 大臣、様々な意見がある、それは賛成の人も反対の人もいるでしょう。だけれども、そうした賛成の人も反対の人もいることも含めた様々な意見を踏まえて法制審の答申は出されているのであって、それをやらない理由、つまり法制審の答申をやらない理由に様々な意見があるというのを持ち出すのは、これは背理じゃないですか。様々な意見を経て、検討して出されている答申をこれ実現するというのが大臣の責任じゃありませんか。
#100
○委員長(魚住裕一郎君) 上川法務大臣、時間ですので、答弁は簡潔に願います。
#101
○国務大臣(上川陽子君) はい。
 様々な意見ということでございますが、家族の在り方に深く関わる問題であるということで、今、世論調査も含めまして、平成二十四年の事例を紹介させていただきましたが、夫婦別氏に賛成の者が三五・五%、また通称使用のみ容認、二四・〇%、反対が三六・四%、分からないが四・一%ということでございます。世論調査のこうした動向を見てみましても、様々な意見があるということにつきまして申し上げてきたところでございます。
#102
○仁比聡平君 時間がなくなりましたから、本当に残念ですけれども、その内閣府の世論調査によっても、性別を問わず五十代以下の世代は、みんな選択的別姓をやるべきだといいますか、構わないという声が四割、あるいは四七%になるわけですよ。女性を見れば、例えば二十代の女性は五三・三%がやるべきだと言っているわけですよね。その声を、何だか賛成も反対もあるみたいなことで、やってはならないという人だけの声を何か代弁するような姿勢というのは、これは法務大臣としていかがなものですかと厳しく申し上げなければならないと思います。
 今日、銀行口座を作るについても、あるいは国民健康保険、あるいは健康保険に当たっても通称では作れないということも金融庁、厚労省に確認したいと思っておりましたけれども、時間がなくなりました。できないんですよ。通称使用には限界があるし、その二重の管理、通称と戸籍名の管理にはもう極めて膨大なコストが掛かる。
 そうした実態をしっかり見て、実現のために全力を尽くしていただきたいと願って、今日は質問を終わります。
#103
○田中茂君 日本を元気にする会・無所属会、無所属の田中茂です。
 今日は、法務省のサイバー攻撃、ウイルス感染に対するセキュリティーについて質問をさせていただきます。
 去る六月二十四日に法務省のネットワークシステムにつながれた端末で不正プログラムに感染した疑いがあるとの報道がありました。それに先立ち、国土交通省の局長がタブレット端末の置き引きに遭ったというニュースもありましたが、政府全体のセキュリティー体制はどうなっているのか、大変に不安に感じるところであります。そもそも、事務所を出て、飲酒等の立ち寄りにタブレット端末を持ち歩いていたとのことでありますが、網棚に荷物を載せるなどは、民間企業では厳禁であり、セキュリティー意識が低いのではないかと思わざるを得ません。
 そこで、法務省のセキュリティー対策はどうしているのか、お聞きしたいと思います。
 最初の質問ですが、今回の法務省の端末が不正プログラムに感染した疑いがある事案に関して、いつどこで誰がどのようにして発見したのか。法務省独自で見付けたのか、あるいは内閣サイバーセキュリティセンター、NISCからの情報なのか。具体的な経緯及び、現在調査中と聞いておりますが、現状について、NISCとの協力関係も含めてお聞かせいただけませんでしょうか。
#104
○政府参考人(高嶋智光君) お答えいたします。
 昨月、六月十七日に、法務省が保管している端末、使用している端末につきまして、不審な通信先への通信の試行があるということが当省職員によって確認されました。これは、当省が設置しておりますセキュリティーシステムに引っかかったと、こういうことでございます。
 この不審な通信先への通信の試行は、当省のシステムセキュリティーによってブロックされておりまして、そこから情報が出たということはございません。セキュリティー機能によってその試行は成功しなかったということでございますが、念のためネットへのウエブ閲覧を全部遮断しました上、原因の調査を進めました。その結果、六月二十四日、当省の端末が不正プログラムに感染した可能性があるということが判明したものであります。
 そこで、二十五日にこれを公表したものでありますが、NISC、つまり内閣サイバーセキュリティセンターとの関係におきましては、まずこのアラートを発見しました六月十七日の翌日にすぐ、試行があったけれども、つまり不審な通信先への通信の試行が確認されたけれども、これはブロックされていますということはNISCには報告しております。また、その後も随時調査の進捗状況等についてNISCに報告しまして、六月二十四日には不正プログラムに感染した疑いがあるということが判明したものですから、これにつきましてもNISCに報告しております。
 NISCとの関係におきましては、随時いろいろ援助をいただきまして対応を講じているというところでございます。
 以上でございます。
#105
○田中茂君 それでは、現在において情報流出はないということでしょうか、まだ疑いがあるということでしょうか。
#106
○政府参考人(高嶋智光君) 六月十七日に検知されましたその試行によっては、これはブロックされておりますので、そこから情報が出たということはございませんが、念のためほかに出ていないかということを調査している、そういう状況でございます。
#107
○田中茂君 ありがとうございます。
 それで、今現在、法務省でデータベース化している重要情報としてどのようなものがあるのか。セキュリティーに関しては、特に技術的なものは公にするには限界があると、そう思っております。一般的なもので結構ですので、お聞かせいただければと思います。
 また、法務省では、そのような秘匿性の高い情報の管理体制はどのようになっているのか、この点も、話せる範囲で結構ですので、お聞かせいただければと思います。
#108
○政府参考人(高嶋智光君) 法務省で管理しております、そういうセキュリティーの非常に高い情報がどのようなものであるかということにつきましては、その性質上、この場ではお答えするのは差し控えさせていただきたいと思っておりますが、今回のネットワークシステムのインシデントの関係で申し上げれば、今回この試行が検知された法務省のネットワークシステムというのは、法務省独自、法務省の一般事務を扱っている、そういうネットワークシステムでありまして、他の外庁とはまた別のシステムになっております。そことの間にはファイアウオールがしっかりつくられておりまして、法務省本省の一般事務の中だけのそういう問題が発見されたと、こういうことでございます。
#109
○田中茂君 公安調査の情報についてはどのようになっているんでしょうか、お聞かせいただければと思います。
#110
○政府参考人(高嶋智光君) 委員御指摘の公安調査庁の情報といいますのは非常に保秘性が高いものでございまして、そういう観点からの御質問かと承知しますが、公安調査庁が扱っている治安情報、ふだんから収集しています治安情報等につきましては、これは、今回ウイルスが発見された、不正プログラムが発見されたネットワークシステムとはまた別のネットワークシステムでございます。現場で情報収集している、その際につくっているネットワークは先ほど申し上げましたとおり別のシステムでありまして、そこにはしっかりとしたファイアウオールがございます。
#111
○田中茂君 ありがとうございます。
 次に、最高裁においてもデータベース化している重要情報、どのようなものなのか、管理体制はいかになっているのか、お聞かせいただけませんでしょうか。
#112
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 裁判所におきましても、事件情報の管理や司法行政に関する情報の管理を目的としてデータベースを構築して活用しているところでございます。その中に含まれている重要情報ということを具体的に申し上げますのは、先ほど法務省の答弁もございましたとおり差し控えさせていただきますが、裁判所としては、そのような、含まれている重要な情報について情報漏えいというようなことがないように管理体制を構築しているところでございます。
 データベースの保護の技術的な対策の具体的な内容は、事柄の性質上、答弁を差し控えさせていただきますが、現在政府において置かれているCSIRTというんでしょうか、そういうのと同様に、最高裁の事務総局情報政策課に情報セキュリティー対策の専門の係を設けまして、同様の体制で管理等を行っているということでございます。
#113
○田中茂君 CSIRTについては先にお答えいただいたんですが、今からちょっと質問いたしますが、どちらにしろ、どういう秘匿性の高いものがあるかというのは大体想像は付くんですが、かなり重要なものがたくさん含まれていると思いますので、その辺十分注意をしていただきたいと、そう思っております。
 そこで、サイバー攻撃は日常化しつつあるわけでありまして、ウイルスには必ず感染するという前提で処理すべきであると、そう思っております。問題は感染後の緊急事態への対応の仕方だと、そう思います。そういう意味での危機管理が重要ではないかと。そういう意味で、今さっきおっしゃったCSIRT、これは緊急対応組織ということで期待されて、二〇一三年までに全省庁にCSIRTが設置されていると、そう聞いております。
 法務省において、CSIRTの構成及び専門家の有無、レポートラインといいますか、指揮命令系統はどのようになっているのか、チェック体制を含めてお聞かせください。まずは法務省の方から、それじゃお願いいたします。
#114
○政府参考人(高嶋智光君) お答えいたします。
 法務省内におきましては、情報セキュリティーが害され又は害されるおそれがある事象が発生した場合につきましては、今委員御指摘のCSIRT、そのためにCSIRTという組織を整備してございます。
 これは、最高情報セキュリティ責任者、CISOと呼んでおりますが、この最高情報セキュリティ責任者であります官房長をヘッドとしまして、運用面、技術面等のスタッフによって構成される法務省の独自のものでございまして、この法務省CSIRTは、情報セキュリティーインシデントが発生した際、その発生した事案を正確に把握し、被害拡大防止、復旧、再発防止等を迅速かつ的確に行うことを可能とする、そういうものでございます。
 ちなみに、このCSIRTの中にはCIO補佐官という技術的な専門官が入っておりまして、このCIO補佐官、実際に法務省の中で勤務していただいているのですが、このCIO補佐官は内閣官房における非常勤の国家公務員として任用された上で当省に派遣いただいている、当省の職員としても併任されているんですけれども、そういう方でして、国家公務員という立場で守秘義務を持って働いていただいていると、こういうことでございます。
 以上です。
#115
○田中茂君 今、CISOということで、黒川さんですか、がなっていらっしゃるんですか。多分官房長というと多忙を極めていらっしゃると思うので、あと、官房長が果たしてセキュリティーにそんなに精通していらっしゃるのかどうかは微妙なところなんですが、そういう意味でその今おっしゃったCIO補佐官というのがいらっしゃるとは思います。
 この件についてはまたちょっと後で質問したいと思うんですが、最高裁の方でも同様な、CSIRTとは言わないと思うんですが、多分別の言い方、これは行政府の方での言い方だと思うので、最高裁においても同じように、その構成及び専門家の有無、先ほどCIOとおっしゃいましたが、その有無、あとレポートライン等チェック体制がどのようになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
#116
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) 先ほど、少し先に答弁してしまいまして申し訳ございませんでした。
 最高裁におきまして、CSIRTという名前は付けてはいないんですが、政府等のCSIRTと同様に、まず責任者ということで最高裁の情報政策課長を置いております。インシデント管理責任者ということで情報政策課の参事官を置き、その下にインシデント担当者、窓口ということで事務総局情報政策課の専門官ほかの係員で構成しております。さらに、それらの情報を、インシデントアドバイザーということでCIO補佐官等の助言を受けつつ、迅速に分析、検討し、適切な対策の立案、指示するための体制を整えているところでございます。
 それによりまして、情報漏えい等、仮に緊急事態が発生した場合におきましては、速やかにその係に所要の情報が集約され、内外の関係部署と的確に情報共有ができるというふうな形を取っているところでございますし、また、仮に事故が起こったような場合には復旧支援等を迅速に行えるような体制を整えているということでございます。
#117
○田中茂君 ありがとうございます。
 先ほどもちょっとお話ししましたが、CISO、そんなに専門ではないので、CIOの方がどんなに大事かというのが分かるわけでありますが、その専門家について、民間会社からの採用になると思うんですが、その場合に、セキュリティー面というか、雇用期間終了後の安全性の確保が極めて重要だと思っております。
 そこで、その会社との採用形態といいますか、具体的にはどのようにしているのか。任期終了後の秘密保持などの契約、交わしていらっしゃるとは思うんですが、どのようにしているのか、具体的にちょっとお聞かせいただければと思います。
#118
○政府参考人(高嶋智光君) 先ほども若干御説明させていただいたんですが、このCIO補佐官は国家公務員としての身分を有しております。したがいまして、国家公務員法第百条に基づく守秘義務というのを負っておりまして、これは職員がその職を退いた後といえども守秘義務は課せられる、そういう規定になってございます。
#119
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) 裁判所におきましては、CIO補佐官、補助者について競争入札を実施いたしまして、落札業者との間で委託契約を結んで、最高裁の定める資格要件を満たす者をCIO補佐官及び補助者として充てることになっております。
 契約におきましては、その受託者に対して資格要件という、情報セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度の認証でありますとか、ITストラテジスト等の公的資格を持っている等、いろんな要件を課しているところでございます。
 さらに、機密保持の点でございますが、これは受託者の契約におきまして、業務の全期間及び委託期間の終了後におきましても業務上の秘密等を第三者に開示しないということで契約を定めておりまして、適切な管理がなされているものと認識しております。
#120
○田中茂君 ありがとうございます。
 雇用形態、そういうことで、問題は、とにかく終わった後その方が常に秘密保持をしていただけるのか、もしそれができなかった場合の罰則がどうなのか、その辺は厳重な契約ということで、あと国家公務員という立場でその後も続くということですので、その辺はしっかりとしておいていただきたいと思います。
 次に、最後に、昨年、サイバーセキュリティ基本法が成立しまして、政府ではサイバーセキュリティーを高めるとしていますが、これまでの状況を考えれば、果たして全体としてのセキュリティー意識が高いか疑問を持たざるを得ないわけであります。
 この点について、法務省ではいかなる取組を現在で行っているのか。今の体制は分かるんですが、標的型メール攻撃への訓練とか教育、その辺を含めて具体的にお聞かせいただけませんでしょうか。
#121
○政府参考人(高嶋智光君) お答えいたします。
 法務省におきましては、この基本法が施行される以前から、相当前からネットワークシステムの情勢を踏まえました適正な教育を行っているところであります。全職員に対して情報の適正な取扱いやサイバー攻撃に関する訓練を行ってきております。
 また、施行後は、情勢を踏まえた標的型メール等のサイバー攻撃に関する訓練、これは実際職員にメールを送り付けまして、ちゃんと開かないようにできるかどうかと、こういう訓練をやったりしております。また、情報セキュリティ責任者を対象にした訓練、研修、それから一般職員を対象としました一般的な研修、こういう中におきましても情報セキュリティーに関する講義などを行いまして、その一層の意識の向上というのを図っているところでございます。
#122
○田中茂君 お答えできる範囲で結構なんですけど、今までの訓練で、おとりメール、おとり添付ファイル、何人か引っかかった方はいらっしゃるんですか。
#123
○政府参考人(高嶋智光君) 私自身は引っかかりませんでしたけれども、その結果については私も聞いておりませんので、ちょっとお答えができません。申し訳ございません。
#124
○田中茂君 先ほども言いましたように、法務省、最高裁には秘匿性の高い情報がありますので、サイバー攻撃が今、日常茶飯事になっております。今後も様々なウイルス、サイバー攻撃が出てくると想定されます。そこで、もちろん感染に対する事前防止も大事でありますが、感染後への迅速な対応には十分な危機意識を持って臨んでいただきたいと、そう思っております。
 最後に、時間がもうありませんが、質問させていただきます。
 先ほど真山先生からも質問がありまして、最後なものですから重なる部分があって恐縮なんですが、例の神戸児童連続殺傷事件、先ほどもお話がありましたように、この件に関しては、私自身実際に本は読んでおりません、メディアからの情報のみでありますが、元少年が書くことが唯一の自己救済の方法であったと、非常に違和感を私は覚えたわけであります。被害者遺族にも自己救済の方法などないのは明らかであります。万が一その少年がそうであったとしても、それを公表して商業的な方法で出版することに関しては、通常の感覚ではあり得ないと思うわけであります。犯罪心理学的見地などから知りたいという意見は理解できなくはありませんが、もしそうであれば、ネットで限定公開するなど商業的ではない方法などもあったのではと、そう思っております。
 このような、先ほど言いましたサムの息子法、アメリカでもあるようでありますが、犯罪者が自らの事件を商業的に利用して金銭を得ることには歯止めを掛けるべきではないかとも私自身は考えておりますが、先ほど大臣はお答えになりましたが、非常にこの件は社会的にも大きなインパクトを与えておりますので、上川大臣のこの件について御意見をお聞かせいただければと思います。
#125
○委員長(魚住裕一郎君) 上川法務大臣、時間ですので、簡潔にお願いいたします。
#126
○国務大臣(上川陽子君) はい。
 御指摘のとおり様々な意見がございまして、出版に対しての規制、抑制ということになりますと、当然のことながら表現の自由等の観点ということがございますので、慎重な検討が必要である案件というふうに考えているところでございます。
 被害者の皆さんの、また御遺族の皆さんの本当に思いを考えますと、大変、二次被害、三次被害で苦しめ続けるという状態は本当にあってはならないというふうに思うところでございます。基本法の理念にのっとって尊厳を守りつつ、また、犯罪を受けたところから本当に平穏な生活に戻っていただくところまで切れ目ない施策の支援ということについては、これはこれからもしっかりと取り組んでいくべきことであるというふうに思っております。
#127
○委員長(魚住裕一郎君) 田中君、時間です。
#128
○田中茂君 時間ですので簡潔に締めをしたいと思うんですが、本がなかなか売れないこの御時世に初版分が十万部を刷り、また増刷もしていると。出版社の意図があからさまであるわけであります。
 そこで、この事件、少年法が改正されるほどの事件であったわけでありますが、それほど社会全体に大きな衝撃と影響を与えたわけであります。司法制度改革の骨子が市民感覚を反映させた司法を目指しているのであれば、市民感覚を必要とするのは裁判員裁判だけではないと思っております。被害者や遺族が二重三重に苦しむことにより、もっと被害者遺族の立場に立った施策を是非とも検討していただきたいと、そのように思って、私の質問を終わりにいたします。
 どうもありがとうございました。
#129
○委員長(魚住裕一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午前十一時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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