くにさくロゴ
2015/01/28 第189回国会 参議院 参議院会議録情報 第189回国会 本会議 第2号
姉妹サイト
 
2015/01/28 第189回国会 参議院

参議院会議録情報 第189回国会 本会議 第2号

#1
第189回国会 本会議 第2号
平成二十七年一月二十八日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成二十七年一月二十八日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 第二 国務大臣の報告に関する件(平成二十五
  年度決算の概要について)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十六日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。柳田稔君。
   〔柳田稔君登壇、拍手〕
#4
○柳田稔君 民主党・新緑風会の柳田稔です。
 会派を代表しまして、財政演説に対し、質問をいたします。
 民主党は、年末の衆議院選挙において改選前より多い議席を獲得させていただきましたが、いまだ党勢の回復途上にあり、国民の皆様から十分な信任を得られているとは言い難い状況と痛感しました。
 民主党においては、党員、サポーター、地方議員、国会議員により開かれた代表選挙を行い、岡田新代表の下、本格的な活動を開始いたしました。民主党が二大政党制の一翼を担い得る政党として再生できるよう、私もその一員として全力を尽くしていく決意です。
 個別政策の議論は重要ですが、よって立つ理念、主義主張を明確にすることこそ政党政治の基本であると考えます。民主党は、いま一度結党時の原点に立ち返り、二年前に決定した綱領に基づいて今後の党活動、政策立案に取り組んでいきます。
 民主党は、生活者、納税者、消費者、働く者の立場に立ち、政治改革、行財政改革、地域主権改革、規制改革など、政治、社会の大胆な変革に取り組みます。
 一人一人がかけがえのない個人として尊重され、多様性を認めつつ互いに支え合い、全ての人に居場所と出番がある、強くてしなやかな共に生きる社会をつくること、国を守り国際社会の平和と繁栄に貢献すること、憲法の基本精神を具現化すること、国民とともに歩むことに力を注いでいきます。
 それでは質問に入ります。
 まず、平和と外交についてお尋ねします。
 いわゆるイスラム国により日本人が拘束されるという事案が発生しました。罪のない人命を盾に取り、脅迫、要求する残虐で卑劣なテロ行為は絶対に許されるものではありません。非常に厳しい情勢ではありますが、民主党としても、政府の外交努力をしっかり後押ししていきたいと考えています。
 中東やイスラム諸国においては、戦後日本の驚異的な経済発展に対する評価と併せて、西洋とは異なる文化や価値観を持ち、また唯一の被爆国として、国際平和に積極的に貢献する日本の姿に対し、好意的な感情を持つ人々が少なくありません。憲法九条に基づく平和主義国家としての日本の外交姿勢が国際的にも高く評価されてきたことがその要因の一つです。
 これら日本に対する好意的イメージこそが、日本の有するアドバンテージであり、西欧諸国にはない強みです。これを維持することが今後の対応にとって非常に重要であると私は思いますが、この点、安倍総理の御見解をお伺いします。
 さらに、日本の戦後一貫してきた平和主義が安倍内閣で変わるのではないかという点について質問します。
 今年は太平洋戦争終結から七十年の節目の年に当たります。安倍総理は、戦後七十年に当たっての談話について、村山談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継ぐとしつつも、日本としてアジア太平洋地域や世界のために更にどのような貢献を果たしていくのか、世界に発信できるようなものを英知を結集して考え、新たな談話に書き込んでいく考えであることを表明されました。
 しかしながら、総理の考える積極的平和主義が、これまで以上に自衛隊の海外での活動範囲を広げ、武力による日本のプレゼンスを国際社会に示すことで国際社会にアピールすることが目的だとしたら、それはこれまでの歴代内閣や民主党の立場とは異なるものだと言わざるを得ません。
 皆様御存じのとおり、日本国憲法第九条第一項には、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と記されています。すなわち、国際紛争の解決のために武力を用いないことを明確にしているのです。であるからこそ、戦後五十年における村山談話では、責任ある国際社会の一員として国際協調を促進する方針を示すとともに、それだけではなく、武力を用いない国際平和を希求する観点から、国際的な軍縮を積極的に推進していくことが肝要と記されているのです。国際協調と軍縮、これこそが憲法九条の理念に基づいた日本独自の国際貢献策ではないでしょうか。
 安倍総理の言う積極的平和主義からは、この観点、すなわち憲法九条に基づく日本独自の国際平和への貢献策に関してオリジナリティーが見えてきません。安倍総理の言うように、歴代内閣の立場を踏襲した談話とするのであれば、この点の有無が重要なポイントです。予定される七十年談話について、総理のお考えをお尋ねします。
 次に、核兵器廃絶についてです。
 世界唯一の被爆国である我が国は、核兵器廃絶に向けた国際社会の取組において大きなプレゼンスを有しているとともに、多くの国々からの期待を背負っています。我が国は、日本国憲法の根本規範である平和主義を基調にして、戦争による惨禍がこの世界に繰り返されることがないよう、国際社会の平和と安定に全力で取り組んでいかなければなりません。
 特に民主党政権時代においては、日本、オーストラリアを主導とする有志国グループにて、軍縮・不拡散ネットワーク、略称NPDIを発足させ、国家横断的なネットワークにて、核兵器や核保有国を増やさない取組に着手しました。NPDIは自民党政権においても引き継がれ、昨年四月には広島にて第八回のNPDI外相会議が開催され、広島宣言が採択されました。また、今年は、五年に一度開催されるNPT再検討会議が開催される予定です。
 しかしながら、核兵器廃絶に向けての安倍内閣の取組と意欲は希薄であるとの感を禁じ得ません。総理の掲げる積極的平和主義においては、抑止力強化や防衛体制構築、日米同盟強化、防衛装備等における技術協力などが中心となっています。本来ならば、積極的平和主義とは、唯一の被爆国としてのプレゼンスを生かす等、これら核兵器廃絶の取組こそ中心となるべきではないでしょうか。
 そこで、総理にお尋ねいたします。
 今年開催予定のNPT再検討会議を始めとして、核軍縮、核兵器廃絶への取組についてどのようにお考えになっておられるのでしょうか。総理の掲げる積極的平和主義における位置付けも含め、総理のお考えをお尋ねします。
 次に、自然災害についてお尋ねします。
 昨年は、広島市の土砂災害や御嶽山の噴火でも多くの方々が犠牲となりました。亡くなられた皆様に改めて心からお悔やみを申し上げます。
 我が国は、地震を始めとする様々な自然災害に常に襲われる国であるという厳しい認識を持たなければならないという思いを新たにしました。政府と地方自治体においても、個々の災害を決して想定外だったということで終わらせるのではなく、従来の想定、行動基準、マニュアルなど、詳細に点検し直す必要があります。
 国会でも、昨年、土砂災害防止法の改正案を成立させました。この改正法だけで十分というわけではありません。住民の皆様の理解と協力なくして防災は成り立ちません。
 政府においては、国土強靱化の言葉ばかりが躍り、災害対策を地方自治体任せにするのではなく、ソフト面での体制づくりにも力を入れていただき、国と地方自治体、そして住民の皆様が密接に連携できる災害対策こそが求められているところだと考えます。
 総理大臣の御見解と、多発する災害に立ち向かう御決意を改めてお聞きいたします。
 去る一月十七日は、あの阪神・淡路大震災から二十年という節目の日となりました。天皇皇后両陛下にも神戸にお越しいただき、追悼式典が開かれました。あの震災で犠牲となられた皆様の御冥福を改めてお祈りするとともに、被災地の真の復興とは何なのかを改めて問い直される一日となりました。外遊されていた総理は、陛下御出席の追悼式典を御欠席されました。なぜ二十年という節目の追悼式典を欠席し、外遊されたのでしょうか、お答えください。
 戦後最大の都市直下型地震となった阪神・淡路大震災から二十年がたち、国の最高責任者として、この大災害を受けた教訓は一体何だったのか、国としてこうした都市直下型地震災害にどう立ち向かっていくのか、御決意、御見解をお聞きいたします。
 東日本大震災から、はや四年の月日が流れようとしています。震災からの復興を進めるに当たっては、もちろん与党も野党もありませんし、党派的対立を持ち込むなどもってのほかでございます。安倍総理は、内閣の基本方針として、復興の加速化を第一に掲げ、まず何よりも閣僚全員が復興大臣であるとの認識を共有し、省庁の縦割りを厳に排し、現場主義を徹底するとしていることは素直に評価いたします。
 しかし、被災者の心に寄り添いながら、東日本大震災からの復興、そして福島の再生を更に加速していくと言いながら、あの原発事故以降に福島県に行ったこともない政治家を経済産業大臣に任命したのには驚きました。復興道半ばの昨年の冬、被災各市町村が最も多忙な時期に平然と解散・総選挙を行ったことも理解に苦しみます。
 この国会では地方創生なる言葉が躍るのでしょう。以前は成長戦略実現という言葉も躍っていました。被災地の皆様から見れば、こうした躍る言葉の陰で被災地が忘れ去られてしまうのが不安なのであり、地方創生ができれば復興も進む、成長戦略が実現すれば復興も進むでは、いかにも他人行儀に聞こえます。
 総理、被災地の皆様に声が届くよう、被災地、そして福島の復興なくして日本の再生はない、震災復興が第一であるとの御決意を改めてお聞かせください。
 また、被災各地から聞こえてくる声として、来年度で区切りとなる集中復興期間が延長されるのかどうかという問題があります。先ほども申し上げたように、被災地が忘れ去られるのではないかという漠然とした不安感は日々広がっているように思います。集中復興期間の延長について政府ではどのように検討が進んでいるのか、被災地の皆様に安心して生活の再生に取り組んでいただけるよう、総理大臣の見解をお伺いします。
 次に、格差拡大についてお尋ねします。
 さきの総選挙においてアベノミクスが争点になりましたが、自民党の、大都市、大企業、富裕層だけが発展して、下にはおこぼれが行けばいいとするトリクルダウンに対して、私たち自身が民主党の経済政策の基本理念をしっかりお伝えすることができなかったと思います。
 民主党は、個人の自立を尊重しつつも、格差を是正して、一人一人が能力を発揮しやすい社会をつくっていくことに全力を注ぎます。各地域、中小企業が経済を引っ張っていけるよう、とりわけ若者、女性、高齢者へのきめ細かい支援を行い、厚みのあるボトムアップ経済への転換を図ることが民主党の経済政策の大原則であります。
 様々な格差の一つとして、まず都市と地方の格差についてお尋ねします。
 都市と地方の格差は、地方都市におけるシャッター街が象徴するように、以前から課題として提起され、これから進む高齢化と人口減によって将来的に全国の地方自治体の半分が消滅する可能性があると指摘されています。都市部との格差が更に広がりかねない地方の活性化は急ぐ必要があります。
 しかし、政府の掲げる地方創生は、これまでと同様の国主導の経済中心の視点になっていないでしょうか。国のまち・ひと・しごと総合戦略を見ると、二〇二〇年までの五年間累計で東京圏から地方への十万人の人材還流や地域若者雇用の三十万人創出などの数値目標ばかりが並び、それを実現するための具体的な処方箋は見受けられません。そればかりか、政府の戦略を地方も倣えと地方版の総合戦略の策定を要請し、それに沿ったところに交付金を支給するとすれば、単なる国主導の経済対策にしかなりません。
 あくまでも地方創生は、地方の考えで、眠っていた知恵と地域独自の居場所感が十分発揮される仕組みづくりを進めるとともに、それを推し進めるため資金面で国が支えるというスタンスで構築すべきです。
 地方創生はどのようにあるべきか、総理に理念をお聞きいたします。
 また、二十六年度補正予算案で千七百億円の地方創生先行型新交付金の配分が盛り込まれていますが、二十七年度当初予算ではこのような新交付金は計上されていません。恐らく補正予算で二十七年度も乗り切るということでしょうが、そうした一回限りのような交付金で五年にわたる地方版総合戦略の実施を見通すことは地方にとっても不安な要素です。
 自由度の高い一括交付金のような制度を恒久化していく所存があるかどうか、総理にお聞きいたします。
 また、補正予算案では、消費喚起や生活支援を目的とした二千五百億円の交付金が新設されました。地元の商店街で使う商品券や、ふるさと名物の購入に使う商品券の発行などの事業が消費喚起効果の高いものとして挙げられていますが、果たして即効性はあるのでしょうか。
 二〇〇九年には、経済不安や物価高騰に直面する家計への緊急支援策として定額給付金約二兆円が家計に給付されましたが、内閣府の調査によると受給額の二五%しか消費が増えなかったとされており、効果は限定的であったと見られております。
 今回の交付金について、過去の反省は生かされているのでしょうか。総理の見解をお伺いします。
 次に、世代間の格差についてです。
 社会保障の支出が高齢者に手厚く、子供や子育て世帯には手薄であることなどから、社会保障の世代間格差が指摘されています。そのため、年齢にかかわらず、支える余力がある人がそうでない人を支える観点も取り入れて格差是正を図ることが必要だと考えております。
 しかし、安倍政権では、支える余力がない人にも負担を求めることになりかねない検討が進んでいます。例えば、安倍政権は、現在の高齢者の年金と現在の若い世代が将来受け取る年金を調整するため、年金のマクロ経済スライドを物価、賃金の伸びが小さい場合でもフルに発動できるようにすることなどを検討しています。現在の若い世代が将来受け取る年金を確保する、そのことは大変重要な課題でありますが、やり方によっては今の高齢者の年金の目減りが大きくなり、年金受給者の生活が立ち行かなくなってしまうおそれがあります。
 マクロ経済スライドを見直すに当たって、具体的にどのような制度設計をお考えなのでしょうか。総理の答弁を求めます。
 子供の貧困は特に深刻です。
 十七歳以下の子供の貧困率は、二〇一二年に一六・三%と過去最悪を記録し、子供六人に一人が貧困の状態にあると言われています。貧困問題は深刻な社会問題です。
 民主党は、中学生までの子ども手当、高校の実質的授業料無償化を実現しました。その結果、高校中退者が激減しました。一方で、昨年八月に子供の貧困対策に関する大綱が閣議決定されましたが、この大綱では貧困削減に向けた具体的な数値目標は示されず、即効性のある経済支援もありませんでした。
 私は、子供の貧困対策こそ早急な対応が必要だと考えております。対策を一年、二年と遅らせるうちに子供は大きくなってしまいます。日本の未来をつくる子供たちの貧困問題について、総理はどう対応するお考えでしょうか。お聞かせください。
 働く人の格差も深刻です。
 二〇一二年に千八百十三万人であった非正規雇用の人数は、二〇一四年十一月時点で二千十二万人になり、安倍政権で約二百万人増えたことになります。
 平成二十五年分の国税庁の民間給与実態統計調査によれば、正規雇用の平均給与が年収ベースで四百七十三万円であるのに対して、非正規雇用の平均給与は何と百六十八万円と、約三百万も格差があります。にもかかわらず、安倍政権は昨年、二度にわたって、正社員と派遣労働者の均等待遇の確保がないまま、派遣労働者を増やす労働者派遣改悪法案を提出しました。低い処遇の非正規雇用労働者が更に増えてしまいます。
 労働法制の改悪によって潤うのは、働く人を都合よく使うことばかりを考えている企業なのではありませんか。総理の答弁を求めます。
 最後に、民主党は、全ての人に居場所と出番がある、強くてしなやかな共に生きる社会をつくるために、今国会でも精いっぱい努力していく所存でございます。ここに決意を表明し、私の代表質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 柳田稔議員にお答えいたします。
 中東・イスラム諸国の対日感情及び我が国のイメージについてお尋ねがありました。
 政権発足以来、この二年間で多くの中東・イスラム諸国を訪問してきましたが、中東・イスラム諸国には日本に対して好意的な感情を抱いている人々が多いことを実感しています。これは、日本が長い歴史と伝統を守りつつ近代化に成功したこと、自由で民主的で、人権を守り、法の支配を尊重する国としてアジアや世界の平和や発展に貢献してきたこと、世界有数の経済力と科学技術力を有し、伝統文化やクールジャパン、おもてなしの心にあふれていることなどによるものであり、今後もこのような好意的なイメージを維持し、強化していくことが重要であると考えています。
 戦後七十年の談話についてお尋ねがありました。
 我が国は、戦後七十年の間、さきの大戦の深い反省とともに、ひたすらに自由で民主的で、人権を守り、法を尊重する国をつくり上げ、アジアや世界の友人たちの平和と発展のためにできる限りの貢献を行ってまいりました。
 戦後七十年の談話については、さきの大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、今後、日本としてアジア太平洋地域や世界のために更にどのような貢献を果たしていくのか、次の八十年、九十年、百年に向けて日本はどのような国になっていくのかについて、世界に発信できるようなものを英知を結集して考え、新たな談話に書き込んでいく考えであります。具体的な内容は、今後、有識者の御意見を伺いながら政府として検討していきます。
 これまで申し上げているとおり、安倍政権としては、村山談話を始め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいくとの立場であります。
 核軍縮、核兵器廃絶に向けた我が国の取組についてお尋ねがありました。
 世界で唯一の被爆国として、核兵器のない世界の実現に向け、国際社会の核軍縮・不拡散に関する取組を積極的に主導することは我が国の重要な使命です。
 四月からニューヨークで開催される二〇一五年NPT運用検討会議などを通じ、我が国は、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、核兵器のない世界の実現に向け、引き続き積極的に取り組んでまいります。
 行政と住民が連携した災害対策についてのお尋ねがありました。
 災害から国民の生命と財産を守るためには、国と地方自治体、地域住民の方々など、関係者全てが連携して災害に備え、対応することが重要であります。
 政府としては、地域住民による防災訓練、物資の備蓄、地域の特性に応じたコミュニティーレベルでの防災活動などを内容とする地区防災計画の策定など、住民が主体となった取組を促進し、自助、共助、公助のバランスが取れた災害対策を推進してまいります。
 我が国は、場所を問わず、様々な災害が発生しやすい環境にあります。常に最新の科学的知見を取り入れつつ、ハードとソフトの対策を適切に組み合わせた総合的な防災対策に今後とも政府一丸となって取り組んでまいります。
 先般の中東訪問と阪神・淡路大震災二十年追悼式典についてお尋ねがありました。
 中東地域の平和と安定は、我が国にとりエネルギー安全保障や国際的な課題への貢献等の観点から極めて重要です。私の先般の中東訪問については、かかる意義を踏まえ、あらゆる要素を総合的に検討した上で判断しました。
 一方、御指摘の阪神・淡路大震災二十年追悼式典については、政府内で日程を調整した結果、十周年追悼式典のときと同様に防災担当大臣が政府代表として出席をいたしました。
 今後とも、関係自治体と連携しながら、被災地の復旧・復興に全力で取り組んでまいります。
 阪神・淡路大震災の教訓を踏まえた都市型直下地震対策についてのお尋ねがありました。
 六千四百名を超える多くの方が犠牲となられた阪神・淡路大震災の貴重な教訓を踏まえ、政府においては、防災、危機管理に係る様々な見直しを図ってきたところであります。
 政府の初動体制を始めとする危機管理機能を強化するため、二十四時間体制で情報収集に当たる内閣情報集約センターの設置や、政府の幹部職員を発災後直ちに参集させる緊急参集チームを整備するとともに、建築物の耐震改修の促進、地震に強い町づくりや住宅に被害を受けた被災者に対する支援策の充実を図るなど、様々な災害対策を推進してまいりました。その後、東日本大震災を始めとする数多くの災害の経験を経て、我が国は今日に至っています。
 今後も、災害対策を不断に見直し、未来の世代の安心につなげていかなければなりません。私も、国のリーダーとして先頭に立ち、引き続き、都市直下型地震を始めとする大規模災害対策に万全を期してまいります。
 東日本大震災からの復興と集中復興期間の延長についてお尋ねがありました。
 東日本大震災からの復興は、引き続き安倍内閣の最重要課題です。これまで、住宅再建や心のケアを始め、福島の再生では国が前面に立つなど、復興に全力で取り組んできてまいりました。平成二十六年度補正予算及び平成二十七年度予算においても、復興の加速化を大きな柱の一つと位置付けて重点化しております。平成二十八年度以降についても、被災者の方々の心に寄り添い、しっかりと対応してまいります。
 地方創生における地方への支援についてお尋ねがありました。
 地方創生は、国と地方が緊急に取り組むべき課題であるとの認識を共有し、地方が中心となって取り組むべき課題です。やる気のある地方の創意工夫を全力で応援する、この方針に基づき、昨年末、国の総合戦略を策定しました。補正予算案にも、地域の特性を生かすための自由度の高い交付金を盛り込んだところであります。
 今後とも、国としては、意欲あふれる地方の取組に対し、予算、人材等あらゆる方策を使って全力で後押ししてまいります。
 地方創生先行型新交付金についてお尋ねがありました。
 今回の補正予算では、仕事づくりなど地方公共団体の地方創生に向けた取組が速やかに実施できるよう、自由度の高い交付金を先行的に創設することとしました。
 御指摘のとおり、地方創生には息の長い取組が必要であると認識しております。政府としては、客観的な効果検証を伴う自由度の高い新型交付金の平成二十八年度からの本格実施に向けて引き続き検討を進めてまいります。
 地方向け交付金についてお尋ねがありました。
 本交付金は、地方自治体が実施する消費喚起策や生活支援策に対して、国が支援し、地方経済の活性化等を図るものです。
 本施策については、過去の施策の検証も踏まえ、即効性ある取組となるように工夫を凝らしました。例えば、実施する事業の内容は地域の実情に応じて効果の高いものを地方自らが選ぶこととしております。また、地域商品券については、補助額以上の消費が喚起される仕組みを推奨することといたしました。さらに、事業実施時に成果の客観的指標を明示した上で、結果も公表するといった厳格な効果検証を地方自治体に求めることで、より効果の高い施策が実施されるよう促してまいります。
 年金のマクロ経済スライドについてお尋ねがありました。
 マクロ経済スライドは、平成十六年の改革により、将来世代の負担を過重にしないため、将来の保険料水準を固定し、その範囲内で給付水準を調整する仕組みとして導入されたものです。
 その在り方の見直しについては、民主党政権下で行われた社会保障・税一体改革の過程で検討課題として議論が行われ、その後の社会保障改革の道筋を示したプログラム法においても検討の必要性が明記されています。
 引き続き、現在の高齢世代と将来世代とのバランスをどのように確保するかも含め、検討を進めていきたいと考えています。
 子供の貧困対策についてのお尋ねがありました。
 子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、子供の貧困対策に取り組むことは極めて重要であると考えています。
 政府としては、子供の貧困対策に関する大綱に掲げられた施策を推進してまいります。具体的には、教育費負担の軽減を図るため、高校生等奨学給付金の拡充や大学の無利子奨学金、授業料免除の充実を図っていきます。また、中学校等で貧困の子供を支えるスクールソーシャルワーカーの配置拡充を図っていきます。さらに、中学生に対する学習支援や保護者の学び直しの支援等の施策を推進し、子供の貧困に関する指標の改善に取り組んでまいります。
 労働者派遣法改正案についてお尋ねがありました。
 提出を検討中の労働者派遣法改正案は、正社員を希望する派遣労働者について正社員への道が開かれるようにするものであり、このため、派遣先への直接雇用の依頼、計画的な教育訓練を派遣会社に初めて義務付けることなどを盛り込むこととしています。また、自らの働き方として派遣を積極的に選択している派遣労働者については、待遇の改善を図ることとしています。
 安倍内閣としては、働く方それぞれの選択がしっかり実現できるよう環境を整備するため、今後も全力で取り組んでいくこととしています。労働法制の改悪との指摘は全く当たりません。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(山崎正昭君) 関口昌一君。
   〔関口昌一君登壇、拍手〕
#7
○関口昌一君 自由民主党の関口昌一です。
 参議院自民党を代表して、財政演説に対し、質問いたします。
 冒頭、シリアにおける邦人拘束事案について伺います。
 今月二十日、ISILによって発出されたと見られる動画で、邦人二名の殺害が予告されました。私ども与党としても、二十一日、シリアにおける邦人拘束事案対策本部を設け、情報収集や対策を検討してまいりましたが、二十四日深夜、湯川遥菜さんが殺害されたと見られる写真がインターネット上に配信されてしまいました。御家族の御心痛は察するに余りあり、言葉もありません。
 また、昨日深夜、新たな音声付画像が公開されましたが、残る後藤健二さんの解放に向け、政府を挙げて引き続き全力で取り組んでいただきたいと思います。我々与党としても全力でバックアップしてまいります。
 このようなイスラム過激派をめぐっては、フランスで発生した新聞社襲撃などの連続テロ事件が全世界に大きな衝撃を与えたばかりであります。イスラム過激派やその影響を受けた個人、団体によるテロ攻撃は、海外だけでなく国内で発生する可能性も想定する必要があります。
 我が国も国際的な協調の下、世界の平和と安定のために、テロ根絶に向けた取組を更に強化していかなければなりません。今後、国内外におけるテロ対策をどのように強化していくお考えか、安倍総理に伺います。
 では、財政演説に関する質問に移ります。我が国の経済財政の状況と今回の補正予算について伺います。
 まずは、我が国の財政状況であります。
 アベノミクスによる経済の活性化や昨年の消費税引上げの効果もあって、我が国の税収は増加傾向にあります。そのため、政府が公約としている財政健全化目標のうち、二〇一五年度にプライマリーバランスの赤字半減という目標はようやく達成のめどが付きました。しかしながら、二〇二〇年度に黒字化という次なる目標はいまだに達成の見通しが立っておらず、我が国の財政は大丈夫だと胸を張って言える状況ではありません。
 二〇二〇年といえば、東京オリンピック・パラリンピックの年であります。その先はどうなるんだろうという漠然とした不安も国民の間にあるのではないかと考えます。国民が我が国の将来に対して安心できるように、また、世界の国々からの我が国に対する信認が揺るがないように、二〇二〇年にプライマリーバランス黒字化という目標は何としても達成する必要があります。
 安倍総理に、我が国の財政状況に対する現状認識と、黒字化目標の達成に向けた決意を伺います。
 次に、二〇一五年の日本経済の見通しについて伺います。
 世界の経済情勢が大きく変動しており、先行き不透明な状況になっております。日本経済についても、強気の見方と弱気の見方が交錯する状況であります。例えば、昨年は一段と円安が進み、一時は一ドル百二十円を超える水準となりました。円安によって、我が国を訪れる外国人観光客は大きく増えております。また、なかなか増えなかった輸出額も、最近少しずつでありますが増えてまいりました。同時に原材料などの輸入コストも増えており、一部の業種では円安が行き過ぎではないかという声も聞かれます。
 また、最近の原油安は、エネルギー輸入国である我が国にとって良いニュースであることは間違いありませんが、世界を見ると、原油安で利益を受ける国や企業もあれば、不利益を受ける国や企業もあります。余りにも急激な原油安は世界経済にとって不安定要因となり、我が国にとっても良い影響ばかりとは限りません。
 このように様々な要因が重なり合う中で、今年の日本経済について、特に経済成長率、物価の動向、賃上げの動向などについて、麻生財務大臣としてはどのような見通しを持たれているのか、伺います。
 次に、今回の補正予算の目玉である四千二百億円の地域住民生活等緊急支援のための交付金について伺います。
 交付金のうち二千五百億円は、プレミアム商品券の発行や低所得者向けの支援策など自治体が行う地域の消費喚起策に使われ、一千七百億円は、地方版総合戦略の策定など地方創生事業の先行的取組に使われます。特に商品券の発行などの消費喚起策に対しては、ばらまきではないかとの批判も予想されます。また、経済効果に関しても、公共事業等に比べると景気の押し上げ効果は低いのではないかといった見方もあります。
 したがって、交付金の趣旨や効果について国民への丁寧な説明が求められると考えます。本事業の趣旨と、いわゆるばらまきとはどう違うのか、どのような効果が見込まれるのかという点について、麻生財務大臣に伺います。
 続いて、中小企業・小規模事業者対策について伺います。
 今回の補正予算では、資金繰り・事業再生の支援、省エネルギー設備導入への補助、ものづくり・商業・サービス革新事業など各種の支援策が盛り込まれております。全体として、旧態依然とした事業を続けるのではなく、より時代に合った事業に転換していく、そうしたチャレンジを支援する内容になっており、評価できると思います。
 ただし、こうした支援策を直接受けることができるのは、全国の中小企業・小規模事業者のうち、ごくごく一部であります。全国各地に今回直接対象とならない中小企業・小規模事業者が何百万とあり、そこで働く方々が何千万といるわけであります。こうした方々がアベノミクスの恩恵を最大限に受け、さらに元気になっていくためには何が必要だと考えるのか、宮沢経産大臣に伺います。
 さて、政府は、昨年末に、まち・ひと・しごと創生長期ビジョンと、それを踏まえた五か年のまち・ひと・しごと総合戦略を閣議決定いたしました。いずれも、今までの地域活性化施策にはない創造的で画期的なものにしなければならないと思います。
 また、地方交付税の法定率が見直され、所得税等の法定率が引き上げられます。これは昭和四十一年以来の画期的な改正であり、地方の声にも応える改革であります。赤字地方債である臨時財政対策債を増やすという方向ではなく、交付税の法定率を引き上げるという決断は、政府の地方創生に懸ける熱意を示したものと高く評価いたします。
 こうしたことを踏まえ、地方創生に関し、質問いたします。
 まず、若い世代への支援について伺います。
 我が国の独身男女の約九割は結婚願望を持ち、希望する子供の数も二人以上となっております。一方で、現実には未婚率が上昇し、夫婦の子供の数は長期的に減少傾向にあります。若い人たちが結婚、出産、子育てに関する希望を実現できない背景には、雇用の不安定さや所得が低い状況があると指摘されております。
 長期ビジョンでは、若い世代の結婚、子育ての希望が実現するならば、出生率は一・八程度までに改善することが見込まれるとしております。この数字は、現在の出生率一・四一からかなりの増加が必要になりますが、我が国の将来のためには実現しなければならない数字であると思います。
 若い世代の結婚、子育ての希望を実現するために、そして人口減少に歯止めを掛けるためにあらゆる政策を総動員する必要があると考えますが、安倍総理に決意のほどを伺います。
 次に、地方創生における雇用の創出について伺います。
 総合戦略の四つの基本目標の一つは、地方における安定した雇用を創出するとなっております。そのために、地方において毎年十万人の若い世代の安定した雇用を生み出せる力強い地域産業の競争力強化に取り組む、そして、二〇二〇年までに累計で三十万人の若い世代が安心して働ける職場を生み出すとしております。
 三十万人というのは、東京でいえば新宿区、中野区、埼玉県でいえば川越市の人口に匹敵する人数であります。全国でこれだけの数の安心して働ける場所、職場をつくり出すのは相当な困難が予想されます。どのように実現していくのか、安倍総理のお考えを伺います。
 次に、総合戦略に盛り込まれた地方創生特区について伺います。
 やる気のある自治体を指定して先進的な取組を実施することは大変意義のあることだと思います。しかし、この地方創生特区は限られた自治体が指定される仕組みであり、千七百を超える全ての自治体にチャンスが与えられるわけではありません。
 そこで、提案でありますが、地域の実情に即した真の地方創生を進めるためには、全ての自治体に一つずつ、その自治体限定で現場の望む規制緩和を認めてはいかがでしょうか。もちろん必要な規制もあると思いますが、全ての自治体に独自の規制緩和を認めれば、各自治体も知恵を絞るでしょうし、地方創生に大きな弾みが付くと考えます。この地方創生・一自治体一規制緩和特区についてどのように考えるのか、石破国務大臣に伺います。
 自然災害は国民的な関心も高い喫緊の課題であります。被害が出る前にいかに防ぐのか、万が一被害が出てしまった場合にはいかに最小限に食い止めるのか、事前の準備が物を言います。今回の補正予算でも災害・危機等への対応が柱の一つになっております。
 そこで、災害対策について伺います。
 昨年八月に、広島市北部で大規模な土砂災害が発生し、多くの犠牲者を出したのは記憶に新しいところであります。また、昨年九月には、長野、岐阜両県にまたがる御嶽山が突然噴火し、山頂付近にいた五十七名の登山客が亡くなるという戦後最悪の火山災害となってしまいました。その後も、阿蘇山、桜島など各地で火山活動が活発になっております。
 このような中で、国土交通省は、先般、日本の人口の七四%が洪水や土砂災害、地震、液状化、津波のいずれかで大きな被害を受ける危険のある地域に住んでいるとの推計をまとめました。危険地域は国土面積の三五%を占め、災害が起きやすい場所に人口が集中している現状が浮き彫りになったわけであります。
 地球規模の気候変動や東日本大震災以降の火山活動の活発化など、従来よりも自然災害のリスクは高まっております。国土強靱化に資する予算をしっかりと確保し、ハード、ソフト両面の防災・減災対策を強力に推進すべきと考えますが、安倍総理に伺います。
 三月十四日から十八日まで、国連防災世界会議が仙台市で開催されます。各国首脳や国際機関代表、各種団体など、国内外から延べ四万人以上が参加し、今後の世界の防災戦略が議論されます。この会議が震災から四年というタイミングで被災地で開催される意義は大変大きいと思います。我が国にとって重要な課題である東日本大震災からの復興の状況を世界に発信する貴重な機会ともなります。
 第三回国連防災世界会議に向けた安倍総理の意気込みと、会議に期待する成果について伺います。
 最後になりますが、さきの衆議院総選挙において自民、公明の与党が三分の二を超える議席をいただいたことは、我々与党、そして安倍内閣のアベノミクスを中心とする政策が国民の皆様の信任を得られた結果であり、大変有り難く思います。しかしながら、我々はこの勝利に決しておごってはなりません。アベノミクスの将来への期待は、それが実績となり国民に果実がもたらされて初めて評価されます。
 今後の政策の実現に向けては、政府とともに、私も含め与党もしっかりと議論を重ねながら、国民に対してより丁寧な説明をしていくことが求められると思います。参議院自民党も安倍総理をしっかりと支え、全力で取り組んでまいりますこと、以上を申し上げ、私の質問を終わりにいたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#8
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 関口昌一議員にお答えをいたします。
 テロ根絶に向けた今後の国内外におけるテロ対策についてお尋ねがありました。
 ISILによる卑劣なテロは言語道断の暴挙であり、強く非難します。今回の事件のほかにも、フランスにおけるテロ事件に見られるように、世界でテロの脅威が増大しています。政府としては、こうした厳しい情勢を踏まえ、国際社会と緊密に連携し、情報収集の強化、在留邦人の安全の確保に向けた迅速な情報提供や、国内における警戒警備の実施、水際対策の徹底などを推進してまいります。
 今後も、テロに屈することなく、世界の平和と安定のために積極的に貢献するよう全力で取り組むとともに、我が国におけるテロの未然防止に万全を尽くしてまいります。
 財政状況に関する認識と黒字化目標についてのお尋ねがありました。
 我が国の財政については、巨額の公的債務が累積するなど、大変厳しい状況にあります。安倍内閣としては、そうした状況で我が国に対する信認が揺るがないよう、経済再生と財政健全化の両立を目指しております。二〇二〇年度の黒字化目標を堅持し、経済再生と財政健全化の両立を実現すべく、本年の夏までにその達成に向けた具体的な計画を策定いたします。
 若い世代の結婚、子育ての希望実現と人口減少の歯止めへの決意についてお尋ねがありました。
 若い世代の結婚、子育ての希望が実現された場合の出生率は一・八程度に向上すると見込んでおり、的確に政策を展開し、官民挙げて取り組むことにより、将来の人口減少に歯止めを掛けたいと考えています。
 総合戦略では、雇用対策の推進による若者の経済的安定、結婚、妊娠、出産の切れ目のない支援、働き方改革によるワーク・ライフ・バランスの実現等に客観的な指標を設定して取り組むこととしております。あらゆる施策を総動員して人口減少の克服に取り組んでまいります。
 地方での雇用創出についてお尋ねがありました。
 総合戦略には、地域産業の競争力を強化する様々な施策を盛り込んでおります。具体的には、ビッグデータを活用した地域経済分析に基づき、強みを持った産業を特定した上で創業や中核的企業の育成を行ってまいります。また、サービス産業の活性化や農林水産業の成長産業化、観光地域づくりなどに取り組んでまいります。これらを強力に推進することで若い世代の安定した雇用を創出してまいります。
 防災・減災対策の推進についてお尋ねがありました。
 東日本大震災が発生し、首都直下地震や南海トラフ地震の発生が懸念される中、国土強靱化は我が国にとって焦眉の急であります。政府としては、従来より、施設の耐震化や老朽化対策、災害時の情報伝達体制の強化など、国民の命と暮らしを守るための防災・減災対策を重点的に行ってきたところです。
 今後とも、ハードとソフトを組み合わせながら、優先順位を付けて災害に強い国づくりを計画的に進めてまいります。
 第三回国連防災世界会議についてのお尋ねがありました。
 第三回国連防災世界会議では、新たな国際的な防災枠組みが策定される予定です。防災先進国として我が国は、東日本大震災を始め、幾多の災害で得た経験や知見を世界と共有し、国際社会における防災の主流化に積極的に貢献していく考えです。さらに、東日本大震災の被災地の復興の現状を世界に発信するとともに、被災地の振興にもつなげてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(麻生太郎君) 平成二十七年度の経済の見通しについてのお尋ねがあっております。
 来年度の日本経済につきましては、雇用・所得環境が引き続き改善し、好循環が更に進展していく中で、堅調な民需に支えられた景気回復が見込まれております。こうした見方に基づき、先日閣議了解した政府の経済見通しでは、平成二十七年度につきましては、実質成長率は一・五%、物価につきましては消費者物価上昇率が一・四%程度となり、デフレ脱却に向けて着実に進展することを見込んでおります。
 政府といたしましては、政労使の取組や成長戦略を着実に実行することにより、企業収益の改善を賃上げ、雇用環境の更なる改善につなげる経済の好循環を一層進展させ、賃上げの動きを確実なものとしてまいりたいと考えております。
 地方向け交付金についてのお尋ねもありました。
 本交付金は、地方自治体が創意工夫を生かして実施する、地域における消費喚起や生活支援を行うための施策、定住促進、仕事づくりなど構造的課題への対応策に対し国が支援し、消費の喚起や地方経済の活性化を図るものであります。
 本交付金につきましては、事業に関する成果の客観的指標の明示や効果検証などを行うこととしており、いわゆるばらまきとはならないように配慮いたしているところであります。(拍手)
   〔国務大臣宮沢洋一君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(宮沢洋一君) 中小企業・小規模事業者支援についてのお尋ねがありました。
 アベノミクスの恩恵を全国津々浦々にお届けすることが重要であり、その観点から、予算による支援に加え、中小企業・小規模事業者が抱える経営課題への解決策を提示する支援体制を全国に整備するなど、あらゆる施策を総動員していくことが必要と考えております。
 このため、昨年六月には、中小企業・小規模事業者からの経営相談に乗り、先進的な経営アドバイスや適切な専門家の紹介を行うワンストップの相談窓口としてよろず支援拠点を各都道府県に整備しており、十二月までに約五万八千件の相談に対応いたしました。地域金融機関を始めとする全国二万三千の認定支援機関や全国二千の商工会、商工会議所とも連携しながら、各地の中小企業・小規模事業者の課題に応じた支援を実施しているところであります。
 また、中堅・中小企業の多くの方々が必ずしも成長戦略を自らのものとして身近に感じていただいていないことを踏まえ、経済産業省として、成長戦略の見える化を進め、経営課題を乗り越えるアイデア、成功モデルや失敗例、また、それに対応する施策などを分かりやすく取りまとめ、多くの皆様に活用していただきたいと考えております。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(石破茂君) 関口昌一議員より、地方創生特区についてのお尋ねをいただきました。
 議員御指摘のとおり、地方創生には現場の知恵を生かすことが極めて肝要であります。
 地方創生特区におきましては、地方創生を規制緩和により実現し、新たな発展モデルを構築しようとするやる気のある地方自治体を指定するものであります。その指定は、国家戦略特区としての位置付け、すなわち、大胆な規制改革の突破口として国家戦略の先駆的な取組を推進する区域であることに鑑み、必要な範囲に限定し、厳選することを基本といたしております。
 昨年夏に実施をいたしました規制改革事項等の提案募集におきましては、地方自治体からも四十八主体から地域の実情に即した御提案をいただきました。現在、地方創生特区の指定へ向け、特区ワーキンググループにおきまして提案自治体からヒアリングを実施しておるところであり、今春を目途に指定を行いたいと考えております。
 したがいまして、御指摘のように全ての自治体を特区として指定することは困難でありますが、多くの自治体から出てまいりました知恵を幅広く生かしまして、地方創生に資する規制改革を実現してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(山崎正昭君) 荒木清寛君。
   〔荒木清寛君登壇、拍手〕
#13
○荒木清寛君 私は、公明党を代表して、平成二十六年度補正予算案に関して質疑を行います。
 第三次安倍内閣が発足し、本格的な経済再生、地方創生に向け、いよいよ重大となった与党としての責任を私たちは果たしてまいります。
 自公政権の経済政策、アベノミクスを推進し、景気回復の流れを中小企業・小規模事業者や家計に広げていくことが本年の第一の課題であります。あわせて、東日本大震災からの復興加速、社会保障の安定化と充実等にも全力で取り組んでまいります。
 冒頭、いわゆるイスラム国と称するテロ集団による邦人人質事件についてお尋ねします。
 湯川遥菜氏を殺害したとしていることは、凶悪かつ卑劣な行為で、断じて許されません。政府においては、テロに屈することなく、関係各国に可能な限りの協力を求めつつ、拘束されている後藤健二氏の早期解放に向けてあらゆる手段を尽くしていただきたい。安倍総理の決意をお尋ねします。
 外交課題と人間の安全保障についてお尋ねします。
 本年はさきの大戦から七十年の節目を迎えます。戦後一貫して平和国家として歩んできた我が国が、世界の安定と平和に更なる取組をすることを国際社会に向け積極的に発信する年にしていくべきと考えます。
 その第一は、唯一の被爆国として核軍縮・不拡散の取組を主導することです。被爆者や戦争経験者の高齢化が進む中、あの悲惨な経験をいかにして後世に語り継ぐかは大きな課題です。
 そこで、我が国は、本年予定されている広島での国連軍縮会議や長崎でのパグウォッシュ会議を通し、核兵器の悲惨さ、非人道性について更に積極的に発信し、核廃絶への国際的な合意形成に努めるべきです。
 二点目は、人間の安全保障分野での取組です。本年達成期限を迎える国連ミレニアム開発目標、MDGsの成果や新たな課題を踏まえ、その後継目標である持続可能な開発目標、SDGsについて国際社会での議論が行われています。特に、この新たな目標について、誰一人取り残さない人間の安全保障の理念に立脚すべきとの方向性が打ち出されていることは極めて重要です。日本は、これを踏まえつつ、具体的かつ効果的な枠組みの策定に向けて主導的な役割を果たすべきであります。
 平和国家にふさわしい国際協力の取組について、総理のお考えをお尋ねします。
 次に、景気・経済対策についてお尋ねします。
 昨年秋に、総理は消費税率の引上げを一年半延期するという決断をされました。八%引上げの反動減からの景気回復が弱い中で、経済の好循環を確かなものにするための英断でありました。
 個人消費の喚起のために、地方自治体が地域の実情に応じて自由に使途を設計できる交付金二千五百億円が計上されたことは、公明党のこれまでの提案を踏まえたものです。自治体が知恵を絞り、地域における消費を直接喚起させ、経済効果を最大限引き出すことが期待されます。国は、効果のある対策が早期に執行されるよう、自治体の創意工夫をしっかりと支援すべきだと考えますので、総理にお答え願います。
 補正予算案のもう一つの柱が地域経済の回復に向けた取組です。
 グローバル経済の活性化だけではなく、地域で完結するローカル経済の活性化を行うことが地方創生、ひいては日本全体の経済成長と賃金上昇への近道です。
 特に、地域経済の大半を占める中小企業・小規模事業者の潜在力を引き出すため、技術開発や販路の拡大、教育やICTの活用などによる生産性の向上を産学官と金融機関が連携した上で進められるよう、政府の強力な後押しが必要です。
 また、中小企業・小規模事業者支援では、円安による原材料高騰への対応として資金繰り・事業再生支援に予算が計上されており、妥当です。
 さらには、消費増税後に低迷が続く住宅市場の活性化策として省エネ住宅向けのエコポイント制度を実施するなど、公明党の主張が数多く盛り込まれており、本補正予算の早期成立、早期執行が求められます。
 回り始めた経済の好循環を確かなものとするために、地方自治体とも連携を取りながら地方経済の活性化に取り組んでいかなくてはなりません。総理の決意をお尋ねします。
 本補正予算案は、財源には税収増と前年度剰余金を充てており、また、補正予算編成で当初予算での国債発行額を減額するのは八年ぶりとなり、財政健全化の観点からも評価できます。財政再建に向けて、安定した経済成長、恒常的な歳出抑制と削減、及び歳入の確保、この三つをバランスよく進めていく必要があります。そのため、今後、税収増が見込まれる場合には、経済の自律的な好循環を目指しつつ、財政出動は極力抑制し、着実に財政健全化を進めていく必要があります。
 今後の財政健全化に向けての考え方を総理並びに財務大臣にお尋ねします。
 軽減税率制度については、平成二十七年度与党税制改正大綱において、消費税率を一〇%に引き上げる平成二十九年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、安定財源等について、早急に具体的な検討を進めるとされました。この点、消費税率を一〇%に引き上げるのと同時に軽減税率を導入できるよう、詳細な制度設計を急ぐべきだと考えます。安倍総理の決意をお尋ねします。
 次に、地方創生についてお尋ねします。
 自公連立政権にとって、日本を元気にする地方創生は最重要のテーマです。
 さきの臨時国会において地方創生関連二法が成立したのに続き、昨年末にはまち・ひと・しごと創生長期ビジョンと総合戦略が閣議決定されました。
 人口減少、超高齢社会を迎えた中で、地域経済の停滞が重なり、多くの地方が更なる人口減少に直面しています。その流れを打ち破る最後のチャンスが今であるとの認識で、省庁の縦割りを排し、大胆かつ強力な対策を進めるべきです。地方創生の視点として、国から地方への画一的な政策の押し付けではなく、地域の特性を生かした取組としていくことが大切です。
 さらに、公明党は、何よりも、それぞれの地域で暮らし、地域を担っている人に焦点を当てる、人が生きる地方創生とすべきであると訴えてきました。長期ビジョンや総合戦略には、この考え方や、我が党が重点政策として示した活気ある温かな地域づくりをめざしてを踏まえた施策が数多く反映されており、高く評価しております。
 そこで、地方創生の実現に向けた今後の取組について、安倍総理の決意をお尋ねします。
 さて、総合戦略では、本補正予算から五年間にわたり切れ目のない施策を展開するとしています。その第一弾として、今回の補正予算案には地方創生先行型の新たな交付金千七百億円が計上されました。地方が知恵を絞り、それぞれの地域の特徴を生かした町づくりに取り組めるよう、自由度が高く各地域にとって使い勝手の良い交付金にする必要があります。
 また、さきに述べた二千五百億円の地域消費型・生活支援型の交付金の使途には、プレミアム付き商品券の発行や低所得者向け灯油等購入助成などが盛り込まれています。それぞれの地域で住民のニーズや生活事情に合った、より高い効果が望める政策に使われるべきであり、きめ細かな対応が望まれます。石破地方創生担当大臣の答弁を求めます。
 さらに、平成二十七年度中には、産業界や研究機関、金融機関、住民代表でつくる総合戦略推進組織を整備し、人口ビジョンや地方版総合戦略を各地方自治体が策定することになります。国は、財政的にはもちろんのこと、先進事例の紹介など情報提供や人材派遣を積極的に行い、地方創生を強力に支援していくことが必要です。
 これについて地方創生担当大臣に答弁を求め、質疑を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#14
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 荒木清寛議員にお答えいたします。
 シリアにおける邦人テロ事件への対応についてお尋ねがありました。
 ISILによる卑劣なテロは、言語道断の暴挙であり、強く非難します。我が国は決してテロに屈することはありません。政府としては、人命第一の立場に立ち、これまで培ってきたあらゆるチャンネルを最大限に活用し、後藤健二氏の早期解放に向けて全力を尽くしているところです。
 私自身、中東訪問中に、また帰国してからも、関係各国の首脳との間で電話会談を行い、情報収集及び早期解放について最大限の協力を要請いたしました。極めて厳しい状況ではありますが、関係各国と一層緊密に連携しつつ、早期の解放に向け全力を尽くしてまいります。
 核廃絶に向けた我が国の取組についてお尋ねがありました。
 世界で唯一の被爆国として、核兵器のない世界の実現に向け、国際社会の核軍縮・不拡散に関する取組を積極的に主導することは我が国の重要な使命であります。
 このような観点から、御指摘の広島での国連軍縮会議や長崎でのパグウォッシュ会議等の機会を通じて被爆の悲惨さを国際社会に発信するとともに、核兵器のない世界の実現に向けて引き続き積極的に取り組んでまいります。
 持続可能な開発目標の策定に向けた日本の役割についてお尋ねがありました。
 議員御指摘のとおり、本年に期限を迎えるミレニアム開発目標の後に続く持続可能な開発目標については、誰もが開発の恩恵を受けられること、すなわち、誰一人取り残さないという人間の安全保障の理念が反映されることが極めて重要であります。
 我が国は、持続可能な開発目標はこの人間の安全保障の理念に基づくべきであると主張し、国際的な議論に積極的に貢献してきており、引き続き開発に関する国際社会の議論を主導していく考えであります。
 地域経済の活性化についてお尋ねがありました。
 今回創設した地域住民生活等緊急支援のための交付金では、地域特性や実情を踏まえ、各自治体が創意工夫を生かして実施する消費喚起等の取組を国が全力で後押しする仕組みといたしました。
 また、このほかにも、地域経済の担い手である中小企業等によるイノベーションや販路開拓への支援など、地域経済の活性化に向けた施策を盛り込んでおり、地方自治体とも連携しつつ地域経済の好循環を生み出していきます。
 財政健全化に向けた考え方についてお尋ねがありました。
 安倍内閣においては、経済再生が財政健全化を促し、財政健全化の進展が経済再生の進展に寄与するという好循環をつくり出すことに取り組んでいます。二〇二〇年度の財政健全化目標を堅持し、経済再生と財政健全化の両立を実現すべく、本年の夏までにその達成に向けた具体的な計画を策定いたします。
 消費税の軽減税率についてお尋ねがありました。
 消費税の軽減税率制度については、二十七年度与党税制改正大綱を踏まえ与党で議論が進められるものと承知しており、引き続きこれを見守ってまいりたいと考えております。
 地方創生に向けた決意についてお尋ねがありました。
 地方創生では、人が生きがいを持って生活し、この地域に住んで良かったと実感できる地域社会を目指すことが必要です。このため、地方にやりがいのある仕事をつくり、若者や地域内外の有用な人材の地方への移住、定着を促進することが重要です。
 この理念の下、昨年末には国の総合戦略を策定しました。今後は、戦略に盛り込んだ施策を活用しつつ、各地方の自由な発想に基づく地方版総合戦略を支援し、人が主役の地方創生を推進してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(麻生太郎君) 財政健全化についてのお尋ねがあっております。
 安倍内閣におきましては、経済再生と財政健全化の両立を目指すことといたしております。
 こうした考えの下、二〇二〇年度におけますプライマリーバランス黒字化目標をしっかりと堅持し、本年夏までにその達成に向けた具体的な財政健全化計画を策定することといたしております。
 その策定に当たりましては、現政権のこれまでの取組を更に強化して、デフレ脱却・経済再生、歳出改革、歳入改革の三つを柱にして、これを軸に検討を進めてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(石破茂君) 荒木清寛議員から、三問御質問をいただきました。
 まず、地方創生先行型の交付金についてのお尋ねであります。
 地方創生先行型の交付金は、地方公共団体による地方版総合戦略の早期かつ有効な策定と、これに関する優良施策の実施を国として支援するものであります。
 本交付金による事業の設計に際しましては、明確な政策目標の下、客観的な指標の設定や事後的な検証を行うプロセスの確立を求めつつ、地方における継続的な事業の実施を目指す自立性、地方が自主的かつ主体的に前向きに取り組むという観点からの将来性、各地域の実態に合った施策を実施するという地域性、限られた財源や時間の中で最大限の効果を上げるための直接性などの地方創生を進めるに当たっての原則に沿いながら、地方公共団体が自由に事業設計を行うこととしております。
 このような交付金を活用して、それぞれの地域の特色を生かした地方創生の取組が進められることが極めて重要であると考えております。
 次に、地域消費喚起・生活支援型交付金についてのお尋ねをいただきました。
 地域消費喚起・生活支援型交付金につきましては、各地方公共団体の創意工夫を生かして、それぞれの地域の住民のニーズや生活事情に合ったプレミアム付き商品券の発行等が実施できるなど、自由に事業設計を行うことができる仕組みといたしております。
 国といたしましても、各地方ブロックごとに市町村職員も対象とした説明会を開催するとともに、新たに設置した地方創生推進室ではブロック担当を設けて各地方公共団体の御相談に応じておるところであり、より高い効果が望めますようきめ細かな対応を行ってまいります。
 地方創生に関する地方公共団体への支援についてのお尋ねをいただきました。
 地方創生は我が国の喫緊の課題であり、早急に取組を進める必要があることから、各地方公共団体に対しましては、平成二十七年度中には地方版総合戦略を策定していただくようお願いをいたしておるところであります。このため、各地方ブロックごとに市町村職員も対象とした説明会を実施しておりますほか、解説動画の作成などを通じまして必要な情報が地方へ確実に伝わりますよう取り組んでおるところであります。
 また、ビッグデータを活用した地域経済分析システムによる情報支援を行い、効果的な地方版総合戦略の策定、推進を支援してまいります。
 先進事例の紹介につきましては、一月二十四日の京都市を皮切りに開始した地方創生フォーラムを始めとして、各地域での先進的な事例紹介などを行ってきたところであり、今後とも積極的に行ってまいります。
 御指摘の人材派遣につきましては、地方創生人材支援制度におきまして市町村への派遣を希望する人材の募集を行っておるところであり、今後マッチングを行い、本年四月からの派遣を目指してまいります。
 以上でございます。(拍手)
#17
○議長(山崎正昭君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時二十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#18
○副議長(輿石東君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。川田龍平君。
   〔川田龍平君登壇、拍手〕
#19
○川田龍平君 維新の党の川田龍平です。
 会派を代表し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 今回のISIL、いわゆるイスラム国による邦人人質事件は、許し難い暴挙であり、一刻も早く無事に解放されることを切に望みます。
 増え続けるテロ被害から国民を守る安全対策が急がれると同時に、国民生活も苦しくなる一方です。
 所得再分配機能は予算の重要な機能の一つですが、昨年四月の消費税の八%への引上げで一番苦しんでいる低所得者層や障害者や難病患者など社会的弱者と言われる方々に対して、今回の補正予算は所得再分配機能を十分に果たしているとは思えません。我が党が常々主張しているように、まずは徹底した規制改革と地方分権、そして歳出削減を行うことで、国民生活と中小企業を苦しめ、税収を減らす結果になる消費税増税をこのタイミングでやらずとも済むはずです。
 そしてもう一つ、日本では命の安全保障である社会保障もまた危機に瀕している状態です。
 国家の急務として、例えば持続可能な国民皆保険の維持、賃上げ、原発事故後の健康被害対策など、法整備や予算にもっと力を集中すべきではないでしょうか。予算を大胆に組み替えて、必要なところに必要な予算を確保するべきです。総理のお考えをお聞かせください。
 今年は薬害エイズ裁判の結審から二十年になります。十九歳だった私は、原告として厚生大臣と真正面から向き合い、政治が動くことの大きさ、動けば変わるということを身をもって知りました。
 国会議員八年目を迎えますが、HIV治療薬の進歩や妻の支えのおかげで、先日三十九歳の誕生日を迎えることができました。十歳で感染告知を受けてから、大人になるまで、成人になるまで生きられるとは思っていませんでした。誕生日が来るたびに感じる感謝の気持ちを今生きている子供たちにも感じてほしい。命が最優先される社会の実現のためにこれからも全力を尽くします。
 命の安全保障について質問いたします。
 政府は、ドラッグラグに苦しむ患者を救うという名目で患者申出療養制度を新設し、保険外併用療養を拡充する法案を提出予定ですが、救われるターゲットであるはずの国内最大の患者団体、日本難病・疾病団体協議会が強く反対をしています。なぜでしょうか。我が国の国民皆保険制度が形骸化する危険があるからです。
 保険証一枚あれば全国の医療機関で平均水準以上の医療を安価で受けられる日本の皆保険制度は、世界から高く評価をされています。我が国では、医療は憲法二十五条に基づいた社会保障であって、政府には国民の命を守る責任があります。しかし、医療を商品として市場に委ねている米国では、政府は薬価交渉権を持たず、企業が自由に値段を付けるために、医療費も医療保険もびっくりするほど高額です。医療費が国家財政を圧迫し、医師の自殺が多く、医師不足が深刻化しています。日本を決してこのようなことにしてはなりません。
 患者申出療養制度が自由診療を増やし公的保険医療の範囲を狭めれば、治療費が払えなくなる国民は民間保険との二本立てにせざるを得なくなるでしょう。新薬も保険適用外となれば製薬会社の言い値で全額自己負担となり、米国同様に医療費がどんどん高くなるおそれがあります。
 国民皆保険制度で命を救われている当事者の一人として申し上げたい。経済成長も国の発展も、国民の命と健康があってこそです。憲法二十五条を基盤にしたこの制度を決して形骸化させることのないよう、その大きな責任を負う政府のトップとしてしっかり守っていただきたい。総理、お約束していただけますでしょうか。
 次に、震災以降、命の安全保障の一つとして成立したにもかかわらず棚上げにされている子ども・被災者支援法について伺います。
 福島県の健康調査で見付かった甲状腺がん又は疑いの子供たち百十二人のうち、手術した八十五人は悪性度の高い症例がほとんどでした。二回目の検査では、さらに甲状腺がんの疑いが四人出ています。この現状にもかかわらず、最初八割以上あった受診率が二回目は四割以下に激減しており、被災者の健康支援という本来の目的から遠ざかってしまっています。
 政府はこの国の医療費増大に警鐘を鳴らしていますが、ならば、医療費削減政策の最重要事項である予防医療としてこの健康調査受診率をもっと上げ、子供たちの甲状腺がん調査を長期にわたり続けるよう働きかけるべきではないでしょうか。
 被災者の苦しみと将来への不安、それを救済しようとする議員たちが全党一致で成立させた子ども・被災者支援法を決して風化させてはなりません。総理の見解をお聞かせください。
 国連科学委員会の評価では、福島県外でも同等の汚染が広がっているとされています。子ども・被災者支援法十三条の二にも、子どもである間に一定基準以上の放射線量が計測される地域に居住したことがある者の健康診断は生涯にわたって実施すると明記されています。安倍総理、一体福島県外での子供の甲状腺検査はいつになったら国の責任で行われるのでしょうか。
 次に、この国において命に関する大きな問題の一つ、自殺対策について伺います。
 自殺対策推進予算は毎回補正で計上されていますが、予算が打ち切られる懸念があると、自治体が本腰を入れません。厚生労働省に移管する二〇一六年度以降は、今回の補正と基金残額を合わせた予算三十六億円分を是非本予算で確保していただきたいと思います。総理大臣に決意を伺います。
 また、今回の補正による交付金は、年度をまたぎ新年度においても活用してもらうべきと考えますが、麻生財務大臣、いかがでしょうか。
 次に、私のライフワークである薬害問題に関連する質問をいたします。
 臨床研究推進予算が合計二十三・三億円計上されていることは、新薬を待ち望む難病患者の一人として大変期待するところです。しかし、その一方で、ここ数年、ディオバン事件など、研究現場と製薬業界の癒着による臨床研究の不正が相次いで発覚しています。私は、薬害被害者の一人として、臨床研究における被験者の権利保護と製薬企業の資金提供を透明化する法整備が急務と考えます。
 昨年、政府の検討会でも法制化方針が直言されているにもかかわらず、今国会への提出を見送る可能性が高いと聞いていますが、本当でしょうか。この問題は日本の臨床研究の信憑性を著しく傷つけており、放置すればするほど悪化していきます。今国会で是非法案提出をお願いいたします。塩崎厚生労働大臣、お答えください。
 私のような難病患者の長年の願いであった難病法が昨年成立し、消費増税分の使途として難病対策の予算が法定化されています。この夏には医療費助成を開始するとのことですが、前にもそう言ってずるずると延期されたという記憶があり、今回も先送りされるのではないかと患者は不安になっています。病気と闘う難病患者にとっては一日一日が非常に貴重です。全面施行を何月に行うのか、難病対策に熱心に取り組んでくださっている安倍総理の口から是非この場ではっきりとお答えいただけますでしょうか。
 新年早々、障害者福祉、報酬減額へという報道が流れました。政府内で検討の結果、現状維持との方針が内定したようですが、これは物価上昇分を勘案すると実質マイナスです。
 現場の実態を御存じでしょうか。高齢者介護と同様、障害福祉の現場でも人不足が深刻化しています。この状況で報酬を上げることなしに障害福祉サービスに携わる人材をいかに確保していくおつもりなのか、塩崎厚労大臣、お答えください。
 学校での性教育も不十分な小学校高学年から子宮頸がんワクチンを勧奨する倫理的問題については、かねてより山谷大臣と私は強い懸念を共有し、全国で深刻な副反応事例が起きている問題について共闘してきたところです。
 厚労省は、B型肝炎ワクチンの定期接種化も検討しているようですが、どちらのワクチンもアジュバントという免疫増強剤にアルミニウムを使っており、更なる副反応被害が心配されます。ワクチンに副反応は付き物ですが、子宮頸がんワクチンの場合は、その発生率がこれまでの子供向け定期接種の約七倍、インフルエンザワクチンの約四十倍と非常に高いことを見ても、今も強い懸念を拭えません。B型肝炎についても同様です。定期接種化に踏み切る前に、その安全性と必要性についてもっと慎重かつ長期の検証が必要です。
 命の問題は被害が起きてしまってからでは取り返しが付きません。塩崎厚労大臣、いかがでしょうか。
 最後に、安倍政権になってから国会審議がおろそかにされることが目に余ります。今国会はいまだに提出法案が決まっておりませんが、現時点で予想される法案は、どれもこの国の制度や根幹、国民生活を大きく変える重要なものばかりです。
 繰り返すようですが、命の安全保障については、取り返しの付かないことを引き起こさないためにも、特にしっかりやっていただきたい。丁寧な議論なしで拙速に法案を通してしまうことは有権者への背信行為です。参議院は良識の府、再考の府です。国政選挙のない今年は、是非ともしっかり時間を取り、充実し徹底した国会審議を行うよう強く求め、私の代表質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#20
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 川田龍平議員にお答えをいたします。
 補正予算についてお尋ねがありました。
 今般の経済対策は、地域の消費など経済の脆弱な部分に的を絞り、かつスピード感を持って対応を行うことで、個人消費のてこ入れと地方経済の底上げを図るものです。このため、地域の実情に配慮しつつ消費を喚起する、仕事づくりなど地方が直面する構造的な課題への実効ある取組を通じて地方の活性化を促す、災害復旧等の緊急対応や復興を加速化するという三点に重点を置いて取りまとめており、経済効果の期待できない施策に安易に回したとの御指摘は当たりません。その上で、これらの必要な事業に要する財源を超える部分については、財政健全化の観点から公債金の減額に充てることとしたところです。
 また、今回の補正予算では、所得の低い方などにもしっかりと目配りしています。具体的には、交付金を創設し、例えばプレミアム付き商品券や所得の低い方に向けた灯油等の助成、子供の多い御家庭の支援など、地方自治体の創意工夫で実施する消費喚起・生活支援策を後押しするため、二千五百億円を手当てしているところです。
 患者申出療養についてお尋ねがありました。
 患者申出療養は、患者の申出を起点とし、安全性、有効性を確認しつつ、先進的な医療を身近な医療機関で迅速に受けられるようにするものであり、同時に、保険収載に向け実施計画の作成等を求めることとしています。
 今後も、世界に誇る我が国の国民皆保険制度を堅持しつつ、困難な病気と闘う患者の思いにしっかりと応えてまいります。
 福島第一原発事故後の子供の甲状腺検査についてお尋ねがありました。
 現在の福島県で行われている二巡目の甲状腺検査は、二十六年度と二十七年度の二か年で実施する計画であり、まだ調査の途中段階です。したがって、既に終了した一巡目の検査の受診率と比較することは適当ではありません。政府としては、長期にわたってより多くの子供たちに検査を受けていただけるよう、福島県をしっかりと支えてまいります。
 また、福島県外での甲状腺検査については、周辺各県の有識者会議で、調査の必要はないとの見解が取りまとめられています。その後、環境省が設置した専門家会議では、現時点でも、施策として一律に実施することについては慎重になるべきとの意見が多かったという結論が出ています。
 お子さんや保護者の方の不安に十分思いを致し、今後とも、健康相談やリスクコミュニケーションを進めていく考えであります。
 自殺対策についてお尋ねがありました。
 我が国における自殺対策は着実に成果を上げていますが、今なお年間二万五千人以上の方が自ら命を絶たれるという深刻な状況にあることに変わりなく、国を挙げた対策を更に前に進めていく必要があります。
 政府としては、若年層向けの対策や経済情勢の変化に対応した対策など、きめ細やかな対策が実施できるよう、将来においても、予算措置も含め、しっかりと対応してまいります。
 難病対策についてお尋ねがありました。
 難病に苦しむ方々の視点に立って政策を進めていくことは、私のライフワークと考えております。
 この難病対策を充実強化するための新法が本年一月に施行され、医療費助成の対象を第一次実施分として五十六疾病から百十疾病に拡大しました。本年夏には対象疾病を更に拡大し、第一次実施分と合わせ、約三百疾病とすることとしています。
 拡大の具体的な時期については、一日も早く実現してほしいという患者の方々の思いに応えるため、できる限り七月に約三百疾病の医療費助成を実施できるよう、都道府県の状況なども踏まえつつ準備を進めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(麻生太郎君) 自殺対策の交付金の執行についてお尋ねがありました。
 補正予算の趣旨に鑑み、本交付金についても早期に事業に取り組んでいただく必要があろうと存じます。ただし、やむを得ない事情による計画の変更など、年度内に事業が完了しない場合にも、引き続き事業が実施できるよう今回の補正予算において繰越明許費として計上いたしております。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(塩崎恭久君) 川田龍平議員から三点お尋ねを頂戴いたしました。
 まず、臨床研究に係る法案についてのお尋ねでございます。
 臨床研究につきましては、昨年十二月に公表されました検討会の報告書において、一定の範囲の臨床研究には法規制が必要とされる一方、これまで法規制のなかった分野であるため、研究者等による自助努力や法規制によらない対応方策とのバランス、臨床研究に対する資金提供等の開示についての製薬企業等の取組状況も踏まえ、検討すべきとされておるところでございます。
 このため、現時点で提出時期については未定でございますけれども、今後、与党その他の関係者とも十分に相談の上、検討を進めたいというふうに考えておるところでございます。
 障害福祉サービスの報酬改定を踏まえた人材の確保についてのお尋ねがございました。
 今般の障害福祉サービスの報酬改定においては、福祉・介護職員の処遇改善加算の拡充として、一人当たり月額一万二千円相当の上乗せを行うこととしております。この拡充が福祉・介護職員の処遇改善に確実につながるようしっかりと運用していくことにより、障害福祉に携わる人材の確保を図ってまいりたいというふうに考えております。
 B型肝炎ワクチンに関するお尋ねがございました。
 B型肝炎ワクチンにつきましては、長期間にわたり世界のほとんどの国で小児に接種されており、厚生科学審議会においても、医学的、科学的観点から広く接種を促進していくことが望ましいとの提言をいただいております。
 また、御指摘のアルミニウムを含むアジュバントについて、WHOの専門委員会は、入手可能な最新の医学的知見からは健康への危険性があるとする根拠はないとの考えを示しております。
 先般、厚生科学審議会において、国民に対して広く接種機会を提供する場合の技術的な課題の検討を終えたところであり、厚生労働省としては、今後、B型肝炎ワクチンの供給体制、予防接種を実施する体制の確保、予防接種施策に対する国民の理解の促進などについて必要な調整を進めてまいります。(拍手)
    ─────────────
#23
○副議長(輿石東君) 井上哲士君。
   〔井上哲士君登壇、拍手〕
#24
○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、財政演説に関して質問します。
 質問に先立ち、いわゆるイスラム国と見られる集団による残虐非道な蛮行を厳しく非難するものです。湯川遥菜さんを殺害したとしていますが、絶対に許されません。新たな投稿があった後藤健二さんの解放を強く求め、政府に対し、人命最優先で解決するためにあらゆる努力を尽くすことを求めるものであります。
 今国会は総選挙後に初めて開かれるものでありながら、総理が国政にどう臨むかを示す所信演説が行われないことは重大です。
 そこで、私はまず、総理の基本姿勢について質問します。
 総理は、昨年の解散をアベノミクス解散と呼びました。ところが、総選挙で与党が多数を得ると、この道しかないとして、あらゆる分野で信任されたかのように進めています。しかし、自民党の比例代表での有権者比の得票は一七%にすぎず、三分の二を超える与党の議席は大政党有利に民意をゆがめる小選挙区による虚構の多数にほかなりません。
 総理は、昨日、衆議院で、選挙に白紙委任はないとし、消費税の再増税、原発再稼働、集団的自衛権の行使容認などについても選挙中に語ったと答弁されました。しかし、選挙後の世論調査は、このいずれにも国民多数が反対です。にもかかわらず数を頼んで強行するならば、白紙委任を受けたと考えているに等しいではありませんか。
 沖縄では、名護市辺野古への米軍新基地反対のオール沖縄勢力が、名護市長選挙、名護市議選、沖縄県知事選、衆議院選挙の全ての小選挙区と、四回連続して勝利し、民意が明確に示されました。ところが、総理は、県民が選んだ翁長知事とは会わず、逆に抗議する住民を排除し辺野古での海上作業を再開しています。選挙の審判も、新基地反対の圧倒的県民世論も無視することは民主主義を否定する行為だと考えないのですか。
 沖縄県は、前知事による新基地建設工事のための埋立承認に瑕疵がなかったか、検証委員会を設置しました。工事の根拠が問われ、反対の民意が明確な下、辺野古新基地建設は中止し、断念をすべきです。答弁を求めます。
 今回の補正予算案は、アベノミクスの下での実質賃金の低下に加え、昨年四月の消費税増税による深刻な景気悪化に伴う緊急経済対策です。
 一九九七年の五%への増税も消費不況の引き金になりました。同じ失敗を繰り返すのかという指摘に対し総理は、五兆円の景気対策と併せて実施するから大丈夫だとして八%へ増税しました。その結果が家計消費の落ち込みによるGDPの二期連続マイナスという重大な増税不況となり、追加の経済対策が必要となったのです。
 消費税の増税が家計消費の打撃となり、低所得者ほど重い負担となって増税不況をつくり出すことはこれまでの二度の失敗で明らかです。暮らしや景気がどうあれ、二年後には消費税を一〇%にする無謀な増税は中止すべきです。答弁を求めます。
 財政演説では、アベノミクスで経済の好循環が生まれ始めているとしています。しかし、昨年十二月の日銀のアンケート調査では、生活にゆとりがなくなってきたという人が、三月以降連続して増えて五一・一%に達しました。一方、一年後に今より景気が悪くなると答えた人は、六月以降連続して増えて三七・八%となり、良くなると答えた人は僅か七・三%にすぎません。政府の認識と国民の実感は全く懸け離れているのではないですか。
 なぜこのような乖離が生まれているのか。それは、アベノミクスが、大企業や富裕層の利益さえ増やせば、いずれ国民全体に回り経済成長につながるという破綻した古いトリクルダウンの考え方に立っているからです。
 OECDは、昨年十二月、「格差と成長」と題する報告書を発表し、所得格差が拡大すると経済成長は低下すると述べ、日本でもこの二十年間で格差拡大によりGDPが五・六%押し下げられたと分析しました。そして、同報告は、格差問題に取り組めば、社会を公平化し、経済を強固にすることができるとしています。総理は、格差の拡大が経済成長を阻害すること、逆に、格差是正のための経済政策こそ経済成長につながることを認めますか。
 政府が進めているのは格差の一層の拡大です。庶民増税の一方で、来年度から二年間で法人実効税率を三・二九%引き下げ、一・六兆円もの減税を行おうとしています。史上最高の利益を上げ、二百八十五兆円もの内部留保をため込んでいる大企業に減税しても、これまでどおり、賃上げには回らず、内部留保や株主配当に回るだけです。格差を拡大し、経済効果もない大企業減税はやめ、社会保障の充実など国民の暮らし応援にこそ転換すべきです。答弁を求めます。
 補正予算案には軍事費二千百十億円が計上され、経済対策として、在沖縄海兵隊のグアム移転など、自衛隊の安定的な運用態勢、防衛施設の円滑な運営の確保が盛り込まれました。なぜこれが地方への好循環の拡大になるのですか。
 軍事費は、第二次安倍政権発足直後の二〇一二年度補正予算に二千百二十四億円が盛り込まれ、一般会計との合計で初めて五兆円を超えました。以来、一般会計と復興特別会計、補正予算の合計で軍事費は三年連続して五兆円を超えています。国民には社会保障の切捨てなどを押し付けながら、経済対策と称して軍事費を拡大することは許されません。答弁を求めます。
 総理は、年頭会見で、平和国家としての歩みは変わらないと述べました。ところが、今、ステルス戦闘機F35、無人偵察機グローバルホーク、オスプレイ、水陸両用車両など新しい兵器調達が進められています。これによる装備体系の変更は、自衛隊を海外派兵型につくり替えるものです。
 さらに、政府は、武器輸出三原則の撤廃により武器の海外輸出を推進し、非軍事に限られていたODA大綱を改定し、他国の軍に対する支援を可能にしようとしています。平和国家としての歩みとは全く逆行するものではありませんか。
 今年は戦後七十年の節目の年です。侵略戦争で国内外に多くの犠牲を生み出した痛苦の教訓から、二度と海外で戦争しないと誓った憲法の平和主義を守り抜くことこそ求められています。憲法に反する集団的自衛権行使容認の閣議決定に伴う法改悪は中止し、閣議決定の撤回を求めるものです。
 同時に、今年は広島、長崎の被爆七十年であり、五年ぶりにNPT再検討会議が開かれます。今、世界では核兵器の非人道性、残虐性を追及し、その廃絶を求める流れが発展しています。その大きな力が、高齢の被爆者が命ある間に核兵器のない世界をと自らの被爆体験を語り広げていることです。
 ところが、昨年十二月の第三回核兵器の人道的影響に関する会議において、日本の軍縮代表部大使は、核兵器の爆発が対応できないほど悲惨な結果を招くとの見方は悲観的過ぎる、少し前向きに見てほしいと発言しました。核兵器の使用を前提とした発言であり、絶対に許されません。このような発言が政府代表からなされるのは、日本が被爆国でありながら、核抑止力論、核の傘依存の立場にあるからではありませんか。
 被爆七十年の今こそこの立場から脱却すべきです。そして、圧倒的多数で採択されている核兵器禁止条約の交渉開始を求める国連決議に対し、棄権するという被爆国として恥ずべき態度をやめ、賛成をするべきです。
 被爆七十年にふさわしい総理の決断を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#25
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上哲士議員にお答えいたします。
 政策実行に係る政治姿勢についてお尋ねがありました。
 我が自民党は、できることしか約束しない、約束したことは必ず実行する政党であります。それなくして政治への国民の信頼はありません。
 総選挙は、それぞれの政党が公約を掲げ、それを踏まえ国民が政権選択をした結果であります。であるならば、政権与党はその国民への約束を一つ一つ実現していかなければならない、その大きな責任があると考えます。それは白紙委任とは全く違います。
 私たち自民党は、御指摘のあった消費税、安全保障政策、エネルギー政策についてその考え方を公約に明確に掲げております。これらについて、今後も国会審議などを通じ、国民の皆さんに丁寧に説明し、御理解を得る努力を続けながら確実に実現してまいりたいと考えております。
 沖縄における選挙の結果及び普天間の辺野古への移設についてお尋ねがありました。
 選挙の結果については、いずれも真摯に受け止めたいと思います。最も大切なことは、住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間の固定化は絶対に避けなければならないということであります。これが大前提であり、かつ政府と地元の皆様との共通認識であると思います。辺野古への移設は、米軍の抑止力の維持と普天間の危険性除去を考え合わせたとき、唯一の解決策です。この考え方に変わりはありません。
 これは、現在の普天間を単純に辺野古へと移す計画ではありません。普天間が有する三つの機能のうち、辺野古に移るのはオスプレイなどの運用機能のみです。空中給油機は既に全機、山口県岩国基地へ移りました。緊急時の航空機受入れ機能も本土へ移します。また、オスプレイの県外訓練等も着実に進めています。埋立面積は全面返還される普天間飛行場の三分の一以下です。飛行経路は市街地の上空から海上へと変更されます。これにより、住宅防音が必要な一万以上の世帯数がゼロとなります。
 このように、辺野古への移設は沖縄の負担軽減に十分資するものであります。負担軽減に取り組む政府の姿勢が民主主義に反するとは考えていません。沖縄県による第三者委員会の設置については、詳細を承知していないのでコメントは差し控えたいと思います。
 政府としては、地元の皆様の御理解を得ながら、普天間の一日も早い返還に向け、安全に留意しながら着実に移設を進めてまいります。
 消費税率引上げについてのお尋ねがありました。
 消費税率の引上げは、国の信認を確保するとともに、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡し、子育て支援を充実していくためのものです。その増収分は、医療、年金、介護といった社会保障の給付や子育て支援の充実に充てられ、特に、所得の低い方々に対しては、国民健康保険料等の保険料軽減の拡充などを講じております。
 他方、昨年四月の消費税率引上げが個人消費に影響を及ぼしたのも事実であり、アベノミクスの成功を確かなものとするため、一〇%への引上げを十八か月延期することとしました。平成二十九年四月の一〇%への引上げを確実に実施するため、経済運営に万全を期し、経済再生と財政健全化の両立を目指してまいります。
 景気の国民の実感についてお尋ねがありました。
 政権交代以来、三本の矢の政策を進めた結果、有効求人倍率は二十二年ぶりの高水準、賃上げは平均二%以上のアップと十五年で最高、企業の経常利益は過去最高水準、企業倒産件数は二十四年ぶりに一万件を下回るなど、確実に経済の好循環は生まれ始めています。
 しかしながら、景気回復の実感が地方に暮らす方々や中小・小規模事業者の方々に届いていないのも事実です。今般の経済対策は個人消費のてこ入れと地方経済の底上げを図るものであり、これにより全国津々浦々にアベノミクスの成果を届けてまいりたいと考えています。
 また、さきの政労使会議で、経済界の皆さんが昨年に引き続き今年の賃上げにも最大限の努力を行うことを約束してくれました。今年も来年も再来年もしっかりと所得を増やしていけば、全国の方々に景気回復を実感していただくことができると考えています。
 所得格差と経済成長に関するお尋ねがありました。
 安倍政権では、経済再生に取り組む中で雇用環境の改善と社会保障や税制の見直しを行ってきているところです。特に、雇用環境については、二年連続で最低賃金の大幅引上げを実施し、パートタイム労働者について正社員との均等・均衡待遇を推進してきたところです。さらに、昨年末に取りまとめた政労使の三者の共通認識において、非正規雇用労働者のキャリアアップや処遇改善に向けた取組を今後も進めていくこととしています。このような施策を通じて、経済成長の成果が広く国民に行き渡るような取組を行ってまいります。
 なお、今回の法人税改革は、経済の好循環の定着に向けて、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げに取り組むよう促す観点から行うものであり、格差を拡大し、経済効果もない改革であるとの御指摘は全く当たりません。
 二十六年度補正予算案における防衛関係費についてお尋ねがありました。
 二十六年度補正予算案における防衛関係費については、自衛隊の活動に必要な経費に加え、緊急経済対策として、昨年末の閣議決定に基づき、多発する自然災害や一層厳しさを増す我が国周辺の安全保障環境を踏まえ、円滑な社会活動、経済活動の基盤となる安全、安心な社会を実現するために緊急に必要な経費を計上するものであります。
 さらに、防衛装備品の取得や防衛施設の整備に当たっては、一般に、主契約企業を通じて地方に所在する多数の下請企業に資金が流れるため、需要を押し上げる効果も有するものであり、実効的な経済対策になるものと考えています。
 なお、補正予算を含め、一般会計及び復興特別会計に計上した防衛関係費の合計については、二十四年度と二十五年度は五兆円に達しておらず、三年連続で五兆円を超えているとの事実はありません。
 我が国の平和国家としての歩み及び安全保障法制に関する閣議決定についてお尋ねがありました。
 我が国の平和国家としての歩みは、これからも決して変わることはありません。新たな防衛装備の調達は、専守防衛の下、あくまでも我が国の防衛に不可欠な防衛力を整備するためのものであります。自衛隊を海外派兵型につくり替えるとの御指摘は全く当たりません。
 防衛装備移転三原則は、防衛装備の海外移転に係る手続や歯止めをこれまで以上に明確化したものです。新たな開発協力大綱案は、非軍事的協力による平和と繁栄への貢献を基本方針として掲げています。また、昨年七月の閣議決定は、合理的な解釈の限界を超えるような憲法解釈の変更ではなく、政府としては、閣議決定で示された基本方針の下、切れ目のない安全保障法制の整備を進めてまいります。
 核兵器をめぐる我が国の立場についてお尋ねがありました。
 我が国としては、悲惨な惨禍をもたらす核兵器は二度と使用されるようなことがあってはならないとの立場です。核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力のゆえに、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致していないと考えます。他方で、核兵器禁止のための国際約束を作成することについては、現時点で核兵器国を含む多くの国が受け入れておらず、直ちに交渉を開始することができる状況にはないものと認識しています。
 いずれにせよ、我が国は、唯一の被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けて、今後とも現実的かつ実践的な取組を通じて最大限努力をしていく考えであります。(拍手)
#26
○副議長(輿石東君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#27
○副議長(輿石東君) 日程第二 国務大臣の報告に関する件(平成二十五年度決算の概要について)
 財務大臣から発言を求められております。発言を許します。財務大臣麻生太郎君。
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(麻生太郎君) 平成二十五年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書を会計検査院の検査報告とともに国会に提出し、また、平成二十五年度の国の債権の現在額並びに物品の増減及び現在額につきましても国会に報告をいたしましたので、その概要を御説明させていただきたいと存じます。
 まず、平成二十五年度の一般会計の決算につきましては、歳入の決算額は百六兆四百四十六億円余、歳出の決算額は百兆一千八百八十八億円余であり、差引き五兆八千五百五十七億円余の剰余を生じております。
 この剰余金につきましては、財政法第四十一条及び特別会計に関する法律等の一部を改正する等の法律附則第十五条第二項の規定により、百九十七億円余を控除した残額五兆八千三百六十億円余を既に平成二十六年度の一般会計の歳入に繰り入れております。
 なお、平成二十五年度における財政法第六条の純剰余金は一兆四千四百九十三億円余となります。
 以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額九十八兆七百六十九億円余に比べて七兆九千六百七十六億円余の増加となります。この増加額には、前年度の剰余金受入れが予算額に比べて増加した額七兆六千百六十五億円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、歳入の純増加額は三千五百十一億円余となります。
 一方、歳出につきましては、予算額九十八兆七百六十九億円余に、平成二十四年度からの繰越額七兆六千八百八十五億円余を加えました歳出予算現額百五兆七千六百五十四億円余に対し、支出済歳出額は百兆一千八百八十八億円余であり、その差額は五兆五千七百六十六億円余となります。このうち平成二十六年度への繰越額は三兆七千九百三十一億円余であり、不用額は一兆七千八百三十四億円余となっております。
 なお、歳出のうち、予備費につきましては、その予算額は三千億円であり、その使用額は二百五十四億円余であります。
 次に、平成二十五年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は十八であり、これらの決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算のとおりであります。
 次に、平成二十五年度における国税収納金整理資金の受入れ及び支払につきましては、同資金への収納済額は五十八兆一千八十五億円余であり、一般会計の歳入への組入額等は五十七兆三千八百九十八億円余でありまして、差引き七千百八十七億円余が平成二十五年度末の資金残額となります。
 次に、平成二十五年度の政府関係機関の決算でありますが、その内容につきましては、それぞれの決算書のとおりであります。
 次に、国の債権の現在額につきましては、平成二十五年度末における国の債権の総額は二百三十五兆三百六十億円余であります。
 次に、物品の増減及び現在額につきましては、平成二十五年度中における純増加額は二千七百三十八億円余であります。これを前年度末現在額十一兆八千二百七億円余に加えますと、平成二十五年度末における物品の総額は十二兆九百四十五億円余となります。
 以上が、平成二十五年度の一般会計歳入歳出決算等の概要であります。
 なお、平成二十五年度の予算の執行につきましては、予算の効率的な運用や経理の適正な処理に努めてきたところでありますが、なお会計検査院から五百九十五件の不当事項等について指摘を受けましたことは誠に遺憾であります。
 今後とも、予算の執行に当たっては一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。
 何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#29
○副議長(輿石東君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。松山政司君。
   〔松山政司君登壇、拍手〕
#30
○松山政司君 自由民主党の松山政司です。
 私は、参議院自民党を代表いたしまして、平成二十五年度決算と重要課題について質問をさせていただきます。
 まず、シリアにおいてイスラム過激派組織ISILによる邦人拘束事案が発生しました。大変残念なことに、人質一名が無残にも殺害されたとの報道に、御家族、関係者の心中を察するに余りあり、言葉もありません。昨日深夜、新たな音声付画像も公開されたとのことですが、改めて、現在拘束されている人質に危害を加えぬよう、即時解放するよう強く要求し、そのための政府の対応を全面的に支えていく所存でございます。
 総理の掲げる地球儀を俯瞰した積極的平和外交をまさに行動で示すべく、本年早々に中東四か国・地域を訪問中に起きたこの事件に、言語道断、怒りを覚えずにはいられません。
 しかし、一月にフランス・パリで発生した新聞社襲撃など、一部のイスラム過激派による連続テロの後、反イスラム感情をかき立てる動きが欧州に広がり、一般のイスラム教徒にまで危害が加えられています。
 総理がさきの会見でも述べられたように、過激主義とイスラム社会は全く別のものであると私も考えます。この緊迫した世界情勢の中でも、我が日本は、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、地域や国際社会の平和と安定に、より一層貢献しなくてはならない役割を担っていると考えます。総理の御見解をお聞かせください。
 では、決算に関する質問に移ります。
 まず、参議院の決算の取組について伺います。
 平成十五年参議院改革協議会での合意に基づいて、平成十五年度決算から、本院からの要請と会計検査院や政府の努力により、国会に早期に提出され、本院自らも早期審査に努めるなど、決算審査を充実させるための取組が続けられています。
 衆議院と違い解散のない参議院が腰を据えて取り組んでいる決算、これを予算編成に反映すべく、深く掘り下げ審査し、参議院の独自性を発揮するために決算を重視していくことは、党派を超えた総意です。また、今よく言われているPDCA、すなわち、計画、実行、評価、改善のサイクルにおいて、決算はまさに政策を評価、点検し、その結果を反映させることであると思います。
 以上の点を踏まえて、改めて安倍総理から参議院の決算審査についての御見解をお伺いいたします。
 次に、平成二十五年度予算、決算について伺います。
 平成二十五年度予算は、二十四年十二月の衆議院総選挙の結果を受け、自公政権発足直後に編成をされました。アベノミクスの三本の矢によって円高・デフレ不況から脱却をして強い経済を取り戻す、それと同時に、歳出の無駄を最大限縮減しつつ、中長期的に持続可能な財政構造を目指す、日本経済再生と財政健全化の双方の実現に向けたかなりハードルの高いものでありました。その結果、一般会計歳出決算は百兆一千八百八十八億円と、二年ぶりに百兆円を超え、過去三番目に多い歳出額。一方、新規国債発行額は約四十三兆円と、前年度と比較して約六兆六千億円、一三・一%の減少となりました。
 二つの相反する使命を背負った平成二十五年度予算、そして決算を安倍総理はどのように評価をされているのでしょうか。
#31
○副議長(輿石東君) 松山さん、ちょっとお待ちいただけますか。
 御報告申し上げます。
 議事の途中でありますが、内閣より、緊急の対応を要するため、内閣官房長官を退席させたいとの申出がございました。議長はこれを認めることにいたします。
 質疑を続けます。
#32
○松山政司君(続) 続けさせていただきます。
 平成二十五年度決算で注目すべき点の一つは、さきに述べたとおり、新規国債発行額は削減できたものの、公債依存度は四〇・八%で、残念ながら五年連続で四割を超える水準となったことです。
 また、一般会計の基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスは約二十二兆円の赤字となり、二十四年度に比べ赤字幅は約六兆八千億円縮小しましたが、平成三十二年度までに国、地方のプライマリーバランスを黒字化するとの財政健全化目標にはまだまだ道半ばです。
 また、プライマリーバランスの目標達成も重要ですが、財政法第四条の基本的考え方に立ち返り、特例公債、いわゆる赤字国債ゼロを目指すことも意識していく必要があると考えます。
 日本国債に対する信認を確保するためどのように取り組んでいくのか、麻生財務大臣の御決意を伺います。
 次に、本決算に関する会計検査院の指摘事項に関連してお伺いいたします。
 平成二十五年度決算検査報告では、全体で五百九十五件、二千八百三十一億円の指摘がございました。
 その中に、風力発電に関するものがあります。平成九年度から二十四年度までに交付した補助金等を活用した風力発電事業について、検査の結果、落雷による機器損傷等によって稼働停止してしまった発電機が約三割ありました。また、想定以下の気象条件等によって発電量が計画の約五〇%未満となる事業者が複数見受けられるなど、風力発電の実績が低迷している実情が指摘をされました。再生可能エネルギーの最大限かつ持続的な導入促進に対して、風力発電は今後とも有望なエネルギー源の一つであると見込まれております。
 再エネの導入状況、原発再稼働の状況、地球温暖化に関する国際的議論を見極めつつ、責任あるエネルギー政策を進めるために、会計検査院の指摘も踏まえ、今後政府としてどのようにエネルギーミックスの将来像を描いているのか、宮沢経産大臣の御見解をお聞かせください。
 次に、会計検査院の機能強化について伺います。
 平成二十七年度予算編成大綱にも、会計検査機能を充実強化するために、検査体制、検査活動及び研究・研修体制の充実強化を図るとあります。会計検査院は、検査報告において、会計検査だけにとどまらず、事業の経済性や効率性、有効性等を重視する取組を行っています。政府としても、各府省で政策評価を担当する組織が設置をされ、事後評価の仕組みを取り入れていますが、他方、財政健全化に取り組む先進国では、独立財政機関を設けて、より国家予算、決算の透明性を高める動きもあります。
 平成二十九年四月の消費税率引上げまでに、聖域なき歳出見直しによる無駄の縮減と施策の重点化を図ることが必要になる中で、会計検査院の機能強化も求められるのではないでしょうか。この点について、総理の見解をお聞かせください。
 最後に、ODAに関する質問をさせていただきます。
 参議院の独自性を発揮するべく取り組んでいるのがODAの調査でございます。平成十六年度から毎年度、ODA調査のための議員派遣など、ODAをめぐる諸問題の調査を積極的に行っています。
 私は、第二次安倍内閣において、外務副大臣としてエチオピアで年に一度開催されるAU、アフリカ連合総会に出席させていただき、またアフリカ、アジア各国を訪問した際も、そしてまた、平成二十五年六月に横浜でTICADX、第五回アフリカ開発会議が開催された際にも各国の首脳や閣僚と会談をし、意見交換する中で、この日本のODAに対する並々ならぬ感謝と今後への大きな期待の言葉をたくさんいただきました。アフリカ、アジア諸国を始めとするODAによってつながっている世界中の国々と日本との信頼関係がしっかりと築かれていることを感じるとともに、ODAを通して開発途上国の成長に貢献し、国際社会の一員として責任を果たしてきたことを誇りと感じました。
 そして、海外での我が国のインフラ受注が安倍内閣になって三兆円から九兆円にまで増加をしたことは、安倍総理のトップセールス外交の効果と相まって、ODAが積極的、有効的に活用されたあかしと言えるのではないでしょうか。
 しかし、円安の進行によって途上国で調達する物資などが目減りをし、そして、ODAの事業展開を支える在外公館も、現地スタッフの賃金など円建ての経費が膨らむ等、新たな問題も生じております。
 政府は、ODAの理念や原則を定めたODA大綱を十二年ぶりに改定する運びとなり、日本のODAは次の局面へと進んでいきます。同時に、国民にODAの必要性を理解いただき、支持を強化していくためにも、ODAの透明性の向上と継続的改善を進めていくことも必要と考えます。
 より戦略的、効果的な援助の実施のため、今後どのようにODAに取り組んでいくのか、岸田外務大臣の御見解をお聞かせください。
 本年は、安倍政権の正念場であるとともに、戦後七十年を迎える節目の年です。内閣総理大臣として、また責任政党の総裁として、自信と誇りを持って力強く、国民の信頼、期待に応える成果を上げてください。私ども参議院自民党も全力で総理をしっかりと支えていくことをお約束申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#33
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 松山政司議員にお答えをいたします。
 地域や国際社会の平和と安定への我が国の貢献についてお尋ねがありました。
 シリアにおける邦人テロ事件やパリで発生した新聞社襲撃事件など、世界の情勢はテロ事件の頻発により緊迫度を増しています。しかし、リスクを恐れる余りテロリストの脅かしに屈すると、我が国が国際社会から期待されているような、難民、避難民の発生により影響を受けている周辺国に対する人道支援などはおよそできなくなってしまいます。
 我が国としては、引き続き、テロに屈することなく、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から国際社会と緊密に連携し、地域や世界の平和と安定のために今後とも積極的に貢献してまいります。
 参議院の決算審査についてお尋ねがありました。
 国会における決算の審査は、執行された予算が所期の目的を果たしているか等について御審議いただき予算へと反映させていくものであり、極めて重要なものであると認識しております。参議院においてこれまでも決算審議の充実に取り組まれてきたことに改めて敬意を表するとともに、政府として、参議院における決算審議に当たり最大限協力してまいります。
 平成二十五年度予算及び決算についてお尋ねがありました。
 平成二十五年度当初予算は、経済再生に向けて、緊急経済対策に基づく二十四年度補正予算と一体的なものとして十五か月予算として編成するとともに、予算の効率化を通じて四年ぶりに税収が公債金を上回る状態を回復させ、財政健全化目標の達成に向けた第一歩となる予算とすることができたと考えています。
 一方、平成二十五年度決算においては、平成二十五年度補正予算において新規国債を増発しなかった一方で、税収が同補正予算と比べても約一・六兆円増加したことなどから、最終的に税収が公債金を約六・一兆円上回る結果となり、決算においても経済再生と財政健全化を両立させる姿を示すことができたと考えています。
 会計検査院の機能強化についてのお尋ねがありました。
 会計検査院の機能の重要性について十分認識しており、検査活動が円滑かつ厳正に行われ、その機能が十分発揮できるよう、今後も引き続き配慮していきたいと考えております。
 いずれにしろ、政府としては、会計検査院の検査報告も踏まえ、引き続き、無駄を徹底して排除し、国民の信頼を得るべく努力をしていきたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(麻生太郎君) 財政健全化の道筋についてのお尋ねがあっております。
 現内閣におきまして、経済再生と財政健全化の両立を目指すということにいたしております。日本の国債に対する信認を維持するため、政府としては、まず二〇二〇年度までの国、地方の基礎的財政収支の黒字化目標をしっかりと堅持、本年夏までにその達成に向けた具体的な財政健全化計画を策定することが重要であると考えております。(拍手)
   〔国務大臣宮沢洋一君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(宮沢洋一君) 松山議員にお答えいたします。
 再生可能エネルギーとエネルギーミックスについてのお尋ねがありました。
 再生可能エネルギーについては、昨年四月に閣議決定したエネルギー基本計画に基づき、二〇一三年から三年程度、最大限の導入拡大を図り、その後も積極的に推進していく方針としております。
 風力発電事業に関する会計検査院からの指摘に対しては、風力発電の発電実績が低迷している事業者について稼働状況を十分に把握するとともに、保安上の技術的な基準の情報や事故に係る情報を提供するなど、所要の措置を講じてまいります。
 エネルギー政策の基本は、安定供給、コスト低減、温暖化対策、安全性のいわゆる3EプラスSを実現していくことです。これを基本に、各エネルギー源の特性や各エネルギー源のバランスを十分に考慮しつつ、専門家や消費者代表などによる検討も経て、政府として現実的かつバランスの取れたエネルギーミックスをできるだけ速やかに取りまとめてまいります。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(岸田文雄君) ODA政策の進め方について御質問がありました。
 ODAは、我が国が戦略的に外交を展開する上で最も重要な手段の一つです。現在、新しい開発協力大綱の策定に向けて調整中ですが、新大綱の下では、国際社会の平和と安定及び繁栄に、より積極的に貢献することを通じ、我が国の国益にも資する開発協力を推進してまいります。
 具体的には、一つは普遍的価値の共有や国際社会の平和と安定、二つ目として途上国と日本の経済成長、三つ目として人間の安全保障の推進、四つ目として戦略的なパートナーシップの構築を柱として、外交政策に基づくODAの戦略的、効果的活用を推進してまいります。また、その成果についての評価や情報公開等による透明性の向上にしっかり取り組むことにより、ODAに対する国民の理解と支持が強化されるよう努めてまいります。(拍手)
    ─────────────
#37
○副議長(輿石東君) 相原久美子君。
   〔相原久美子君登壇、拍手〕
#38
○相原久美子君 民主党の相原久美子です。
 本日は、会派を代表し、平成二十五年度決算について質問をさせていただきます。
 参議院では、国会で成立した予算について、財政統制の充実強化の観点から、その執行状況を把握し、政策遂行のため、次期予算編成に適切に反映させることを重視してきました。それが決算の参議院と言われるゆえんであると認識しています。その意味では、平成二十五年度決算がこの通常国会冒頭から速やかに審議入りできたことに対して、関係各位に感謝申し上げます。
 決算を点検するに当たっては、歳出の重点化や効率化のみでは不十分です。国の予算が私たちの社会の安心とセーフティーネットをいかに効果的に支え、公平性を保っているかの観点がなければ、次年度以降の予算編成に生かされることはできないと考えます。
 そこで、安倍総理にお伺いいたします。
 国会における決算審査の意義をどのように捉え、それを次期予算にどのように反映させていくべきと考えておられるでしょうか。
 昨年三月、平成二十四年度決算の本会議質疑において、我が党の難波奨二議員は、充実した決算の審査を行うために、予算同様、決算においても各目明細書を作成すべきではないかとただしました。これに対し、総理及び麻生財務大臣は、決算情報について、国民により分かりやすい形で示すことは重要であり、決算の各目明細書を作成することについて実務的な問題点も含めて検討を行っている旨、答弁されています。しかし、平成二十五年度決算の提出時においても決算の各目明細書は提出されていません。
 この点に関する検討状況とその提出の可能性について、総理及び財務大臣にお尋ねいたします。
 さて、平成二十五年度決算は、安倍政権が予算編成から執行まで全てを実施した財政運営の結果を示すものですが、公共事業関係費の大幅な増加が際立っています。民主党政権下の平成二十二年度から平成二十四年度においては公共事業関係費は六兆円以下に抑えられておりましたが、政権交代後の平成二十五年度決算では二兆円以上増加し、八兆円近くにまで膨らんでいます。これはアベノミクスが公共事業に過度に依存していることの表れではないでしょうか。
 平成二十五年度末における国債及び借入金現在高が一千二十四兆円と多額に上り、将来世代への負担が重くのしかかっているにもかかわらず、つい先日決定された平成二十七年度予算案においても、建設国債の発行額は増加し、公共事業重視の姿勢は更に強まっています。低金利の状況が続けば国債の利払い費は少額で済みますが、市場における信認が低下し、一たび金利が暴騰すれば、既に膨れ上がった国債残高の利払い費が急増し、財政に壊滅的な影響を与えかねません。
 公共事業に対する支出を増大させている中で、いかにして財政再建を実現するのか、その具体策を総理にお尋ねします。
 安倍政権は、この間、アベノミクスを掲げ、経済政策がトリクルダウンをもたらすとしています。しかし、富裕層が幾ら豊かに潤っても、その富が水のように滴り落ちてくることがない事実を私たちは既に二〇〇〇年代の小泉構造改革のときに身にしみて体験しています。アベノミクスによる経済成長では、仮にトリクルダウンが発生したとしても、多数を占める中間・低所得層への波及は極めて限定され、格差は解消ではなく拡大、そして固定化に向かうのではないでしょうか。
 総理にお尋ねします。
 トリクルダウンによって中間・低所得層も含めて生活が改善されたという成功例がどの国でいつあったと認識されていますか。私は、所得の再配分にこそ政治は重点を置くべきと考えますが、いかがでしょうか。
 格差は都会と地方においても生じています。政府は、平成二十五年度の地方財政計画において、東日本大震災を契機とした防災・減災と地域経済の活性化を図るため、地方交付税の削減を通じて地方公務員給与費を八千五百四億円削減し、その削減額を防災・減災事業及び地域の元気づくり事業として計上しました。
 しかし、アベノミクスの第二の矢により公共事業が全国一斉に進められたため、資材と人材の争奪戦となったことは周知のとおりです。円安による資材費の高騰、人材不足や労務費の上昇で震災予算の執行率は平成二十五年度決算においても停滞したままです。
 政府が昨年末にまとめた緊急経済対策では、地方においては三本の矢による経済対策の効果がなかなか行き渡らず、経済の好循環の実現が十分に進展していないと自ら認めているとおり、地方経済は相変わらず冷え込んだままです。
 つまり、アベノミクスは、震災復興にも地域経済の活性化にも効果を発揮していないのではないですか。地方の一般財源の中心となる地方交付税を削ってまで財源手当てをしたものの、アベノミクスの第二の矢が邪魔をして効果が発揮できなかったと考えるべきではないでしょうか。総理の見解をお伺いいたします。
 平成二十七年度の地方財政計画では、一兆円規模のまち・ひと・しごと創生事業費を新設すると打ち出しています。しかし、その内容は、高齢化や人口減少、地域経済対策など、長年地方自治体が悩んでいた課題であり、むしろこのような財源対策が行われてこなかったことこそが問題だったのではないでしょうか。
 一方で、地方自治体からは、まち・ひと・しごと創生事業費が将来にわたる安定財源かどうかが判断できないとの危惧の声が聞こえてきます。高齢化と人口減少対策、地域経済の活性化は、まさに中長期にわたり地域の中心課題となるはずであり、一過性の財源では全く意味がありません。僅か数年の財源措置なのであれば、政府が日本の将来を左右する重要な課題を軽視している証拠と言えるでしょう。
 先ほども我が党の柳田議員からも指摘がありました。安倍総理、あなたは地方創生について異次元の政策を進めると明言されました。それが本心ならば、恒久財源として確保することを地方自治体に明言すべきではないでしょうか。明確な答弁を求めます。
 このまち・ひと・しごと創生の基本目標の一つには、地方における安定した雇用をつくることが掲げられています。しかし、予算案では、これまでの政策と代わり映えしないメニューが並んでいるだけです。地方創生や地域経済の活性化のためには地域の雇用拡大と賃金確保は不可欠です。
 安倍政権は、アベノミクスによる成果の一つとして雇用者の増加を挙げています。しかし、総務省による昨年十一月の労働力調査では、前年同月に比べ、正規雇用が二十九万人減少する一方、非正規雇用は四十八万人増加し、初めて二千万人を突破する事態となっています。雇用者の実に十人中約四人が非正規雇用労働者ということです。安定雇用者が減少し、不安定、低所得と言われる非正規が増加しているというこの実態が問題なのではないでしょうか。
 また、この国を支えるべき十五歳から二十四歳の若年非正規雇用率は、平成五年時点の一一・五%から平成二十五年には三二・三%と大きく上昇していますし、女性の雇用形態で非正規雇用が五七・二%に上っている、これが現政権が喧伝するアベノミクスの実態です。
 総理にお尋ねします。
 まち・ひと・しごと創生で掲げる雇用創出は、これまでの雇用創出とは何が違い、どのような効果を見込んでいるのでしょうか。人口減少、地方の衰退を課題とするなら、これらの非正規労働者が自立して生活ができ、子供を産み育てる選択のできる雇用環境を整備することが重要と考えますが、いかがでしょうか。
 さらに、燃油価格については一定落ち着いてきているようですが、円安による輸入原材料高、昨年の消費税アップが価格転嫁できず、中小企業の経営に非常な厳しさをもたらしています。地方都市の多くは、中小企業が地域雇用、経済に大きく寄与しているのが実態です。まち・ひと・しごと創生では、このような地方都市の中小企業をどのように捉えているのでしょうか。
 過去を振り返れば、二〇〇〇年代の小泉政権では、地方財源をカットした三位一体改革、地域を疲弊に追い込んだ市町村合併、公共サービスの担い手の削減を進めた集中改革プランを通し、地域雇用を圧縮し、公務労働においても臨時・非常勤等職員を増大させ、官製ワーキングプアを生み出してきました。歴代自民党政権は、地域の雇用を破壊する政策を進めてきたのではないですか。
 総理に提案します。
 全国津々浦々には、医療、福祉、教育、環境関係など、公共サービスとして担うことが必要とされる分野がたくさんあります。それらの場で人々の雇用と賃金を確保することこそが、地方創生と地域経済の活性化に大きな影響を与えるのではないですか。
 民主党政権下で緒に就いた自由度の高い一括交付金をより使い勝手よく拡充することこそが、地方自治体の発想を豊かにし、それぞれの地方の実態に即した雇用対策、地方創生につながると考えますが、いかがでしょうか。
 さて、アベノミクスの恩恵にあやかることがかなわぬ方々はまだまだおられます。私は、平成二十五年度予算での弱者切捨てとなった生活保護受給者の生活扶助費の引下げが忘れられません。
 平成二十五年度決算によると、生活保護費に係る国の負担額は、対前年度比で見ると二百八億円増の二兆七千九百五十一億円。また、一か月平均の被保護者人員は、前年度比二万五千八百九十八人増の二百十六万一千六百六人と増加しています。
 塩崎厚生労働大臣、平成二十五年度予算から三年間掛けて減額されている生活扶助基準の影響について説明を求めます。あわせて、現行の生活保護制度は憲法二十五条で保障されている生存権を侵すことのない制度だとの御認識ですか。お答えください。
 現在、我が国では子供の六人に一人が貧困状態にあります。子供の貧困対策の一環として行われている生活保護世帯への学習支援事業については、新たな生活困窮者自立支援制度の枠組みに移行される平成二十七年度から、国庫補助が二分の一に半減することとなっています。真に必要な保護費が削減されてしまっては、貧困の連鎖を生むことになりかねません。超党派で議員立法を制定し推進してきた子供の貧困対策にもブレーキが掛かることは必至ではないでしょうか。
 総理、子供は社会の宝であり、次の時代を担う大事な人材であることは共通認識であるかと思います。そこで、子供の貧困対策についてどのように考え、どのように対応されていくつもりか、財源確保の在り方も含め答弁を求めます。
 最後になります。
 十年くらい前に「ALWAYS 三丁目の夕日」という映画がありました。私も昭和を生きた一人として、経済成長を実感し、裕福ではないにしても心豊かさを感じる時代であったと思います。
 総理、日本を取り戻すのであれば、心豊かさを感じる日本、明日への希望の持てる日本こそ取り戻そうではありませんか。所見をお伺いして、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#39
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 相原久美子議員にお答えいたします。
 国会における決算の審査は、執行された予算が所期の目的を果たしているか等について御審議いただき予算等へと反映していくものであり、極めて重要なものと認識しています。
 政府としては、従来より、国会での審議内容や決算結果等を踏まえて、次年度の予算編成や予算執行等に的確に反映してきたところでありますが、引き続き適切に対応してまいります。
 決算の各目明細書に関するお尋ねがありました。
 決算情報について、国民により分かりやすい形でお示しすることは重要と考えております。決算について予算と同様の明細書を作成することについては、実務的な問題も含めて検討を行っているところであり、提出の可能性について確たることを申し上げることができる段階にはありません。
 いずれにせよ、充実した決算審査が行われるためにも、できる限り国民に分かりやすい形で決算をお示しできるように努めてまいります。
 公共事業と財政健全化についてお尋ねがありました。
 公共事業関係費については、平成二十五年度一般会計決算において七兆九千七百五十二億円と、前年度比二兆一千九百九十二億円の増加となっております。これは、経済の底割れの回避とデフレからの早期脱却を図る観点から、公共事業の追加を含む経済対策を実施するために編成された平成二十四年度補正予算の多くが平成二十五年度に執行されたこと等によるものですが、このような財政支出は経済状況に応じた一時的な対応であり、いつまでも続けることを想定しているものではありません。
 また、安倍政権においては、経済再生と財政健全化を両立させることとしております。二〇二〇年度の財政健全化目標についてもしっかりと堅持し、本年夏までにその達成に向けた具体的な財政健全化計画を策定いたします。その際、歳出改革については、公共事業関係費を含め、歳出全般にわたり聖域なき見直しを行ってまいります。
 所得再配分についてお尋ねがありました。
 政府がどれだけ所得再配分を繰り返しても、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことができなければ、経済全体のパイも個人の所得も減っていくと考えられます。経済政策と国民の所得環境等の改善の評価については、その国の置かれた経済状況等によって異なるものであり、一概に論じるのは困難と考えられます。
 現在の我が国においては、長引くデフレからの脱却と経済再生の実現が喫緊の課題であります。我々が目指しているのは、いわゆるトリクルダウンではなく、経済の好循環の実現であり、地方経済の底上げであります。このため、政労使による賃上げの促進などの取組や地方創生などにも取り組んでいるところであります。今後とも、三本の矢の政策を更に前に進めてまいります。
 アベノミクスの効果についてお尋ねがありました。
 被災地の復興事業を優先的に進めるため、政府としては、これまで、発注規模の大型化、生コンクリートのプラントの増設、さらには労務単価の引上げなど、累次にわたり加速化策を打ち出してきました。こうした対策により、復興事業は全体として着実に進んでいます。
 また、今般の経済対策は個人消費のてこ入れと地方経済の底上げを図るものであり、これにより全国津々浦々に景気回復の実感を届けてまいります。
 地方創生の恒久財源確保についてのお尋ねがありました。
 地方創生については、地方自治体が地域の実情に応じ自主性、主体性を最大限発揮できるよう必要な財源を確保することが重要です。このため、平成二十七年度の地方財政計画において、地方自治体が地方創生に取り組むために必要な経費として、まち・ひと・しごと創生事業費を一兆円計上することとしています。地方創生には息の長い取組が必要であることから、今後、地方法人課税の偏在是正を更に進めること等により恒久財源を確保し、まち・ひと・しごと創生事業費の安定的な確保に努めてまいります。
 地域での雇用創出と中小企業についてお尋ねがありました。
 若い世代が地方に住み、結婚、出産、子育ての希望をかなえるため、地方における若い世代の安定した雇用を創出することが重要と認識しており、総合戦略では、今後五年間で三十万人の雇用を創出することを目標としています。
 御指摘のとおり、地域の中小企業は地域経済、雇用を支えております。このため、地域の中小企業等の手掛けるふるさと名物の販路開拓支援や、サービス産業や観光など地域に根差した中小企業の競争力強化に取り組んでまいります。さらに、経営のノウハウや専門知識を有する人材を地域の中小企業へ還流させる仕組みをつくってまいります。
 地方向け交付金についてお尋ねがありました。
 民主党政権時代の一括交付金については、手続の煩雑さなどの問題が指摘されていたことから、昨年度廃止したものです。
 今回の補正予算に盛り込んだ地方創生先行型の交付金は、仕事づくりなど緊急性の高い地方公共団体の取組が速やかに実施できるよう、自由度の高い仕組みとして創設したものであります。平成二十八年度以降の本格実施についても引き続き検討してまいります。
 子供の貧困対策についてお尋ねがありました。
 子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、子供の貧困対策に取り組むことは極めて重要であると考えています。政府としては、適切に財源を確保しつつ、子供の貧困対策に関する大綱に掲げられた施策を推進してまいります。
 具体的には、教育費負担の軽減を図るため、高校生等奨学給付金の拡充や大学の無利子奨学金、授業料免除の充実を図っていきます。また、中学校等で貧困の子供を支えるスクールソーシャルワーカーの配置拡充を図っていきます。さらに、中学生に対する学習支援や保護者の学び直しの支援等の施策を推進し、子供の貧困に関する指標の改善に取り組んでまいります。
 どのような日本を取り戻すかについてお尋ねがありました。
 映画「三丁目の夕日」が描く半世紀前の日本は、みんなが今日よりも明日は良くなると信じ、明るく前を向いて生きていた時代でもあります。そうした先人たちが高度成長の大きな原動力となったことは間違いありません。しかし、長く続いたデフレによって日本人は大きく自信を失いました。日本はたそがれを迎えているといった議論すらありました。
 日本を取り戻す、それは日本人が自信を取り戻すこと、頑張れば報われるという社会を取り戻すことにほかなりません。政権交代から二年、国民の皆さんの努力によって、雇用も増え、賃金アップも実現しています。やればできるという自信がようやく生まれ始めています。五十年先もずっと夕日はきれいに違いないと、あの映画のラストシーンのごとく子供たちが日本の将来に自信を持つことができる、そんな日本を国民の皆さんとともにつくり上げていく決意であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(麻生太郎君) 決算書の各目明細書の検討状況と、その提出の可能性についてのお尋ねがあっております。
 決算情報につきましては、先ほど総理からもお話がありましたように、国民に分かりやすい形でお示しするということは大変重要なことと考えております。その上で、決算について予算と同様の各目明細書を作成することにつきましては、どのような記載内容とするのかということが適切か、また各目の内訳レベルの執行実績をどう管理、把握していくのか、また作成事務の効率性をどう高めていくかなどなど、実務的な問題も含めて、各府省の協力も得ながら検討を行っているところであります。
 様々な課題について検討を要することから、この提出の可能性について確たることを申し上げるということができる段階ではございません。財務省としては、決算の説明責任を果たす上で、どのような形での決算情報の公表が可能か、今後とも検討してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(塩崎恭久君) 生活保護についてのお尋ねがございました。
 生活扶助基準については、一般低所得世帯の消費実態や物価の下落を勘案して見直しを行ったものであり、最低限度の生活を営むのに支障のない基準となっていると考えております。
 また、生活保護法は、日本国憲法第二十五条に定める生存権保障の理念を具体化する趣旨で定められたものであり、政府としては適切に制度を実施しているものと考えております。(拍手)
    ─────────────
#42
○副議長(輿石東君) 杉久武君。
   〔杉久武君登壇、拍手〕
#43
○杉久武君 公明党の杉久武です。
 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました平成二十五年度決算について、安倍総理並びに関係大臣に質問します。
 平成二十五年度決算は、平成二十四年十二月に発足した第二次安倍内閣において初めて編成された予算の決算であり、いわゆるアベノミクスの一年目の総括として位置付けられるものであると考えます。
 具体的に決算の内容を見てみますと、平成二十五年度の歳出決算総額は、アベノミクスの第二の矢として機動的な財政政策を行った結果、百・一兆円と、二年ぶりに百兆円を超え、過去三番目の規模となりました。
 一方、歳入決算を見ますと、税収は平成二十四年度に比べ三兆円増加し、四十六・九兆円、公債金収入は四十三・四兆円となり、平成二十四年度と比較して六・五兆円減少し、五年ぶりに税収が公債金収入を上回ることとなりました。
 平成二十五年度予算は、プライマリーバランスを着実に改善させ、財政健全化目標の達成に向けた第一歩となるように編成された予算でありましたが、本日の平成二十五年度決算の概要報告を受け、改めて、アベノミクス一年目の取組に対する評価とアベノミクスの完遂に向けた決意について総理に伺います。
 次に、財政健全化に関連し、基金の管理について質問をいたします。
 国は、公益法人や独立行政法人等に対して補助金等を交付し、数多くの基金を設置しておりますが、各省庁が把握している基金の数は平成二十五年度末の時点で百七十四基金、基金の残高は三・一兆円となっております。これらの基金は、予算の単年度主義に縛られることなく、多年度にわたって支出が可能なことから、国は基金に補助金等を交付し、様々な政策課題に対して機動的な対応を行ってまいりました。
 一方で、この三・一兆円の基金残高を仮に全額国の借金の償還に充てた場合、例えば金利が一%でも年間三百十億円の利息の節約が可能になるほどの巨額な資金をプールしているとも見て取ることができます。
 このようなことから、基金の有効活用は当然ですが、基金への一層の監視や定期的な見直し体制の確立、さらには情報公開の推進を徹底して行わなければなりません。また、基金の新規設置に当たっては真に必要な事業に絞り込むべきですし、基金への安易な積み増しは厳に慎むべきです。そして、既存基金が保有している資金は国や省庁で一括管理を行い、使用見込みの低い基金については速やかに国庫返納に努めなければなりません。
 このような取組を徹して行うことによって、財政再建に資するだけでなく、国民の皆様の理解と信頼を得ることができると考えますが、基金管理への取組に対する総理の決意を伺います。
 次に、社会資本の長寿命化における維持管理・更新について質問します。
 会計検査院による決算検査報告では、社会資本の老朽化の課題が指摘されています。報告では、我が国の社会資本は、今後二十年間で、建設から五十年以上経過する施設の割合が加速度的に高くなり、平成二十四年度と平成四十四年度で比較すると、例えば道路橋は一六%から六五%に、河川管理施設は六%から四七%へと増大し、その他の施設も同じ状況になると見込まれています。
#44
○副議長(輿石東君) 杉さん、ちょっとお待ちください。
 御報告申し上げます。
 議事の途中でありますが、内閣より、緊急の対応を要するため、外務大臣を退席させたいとの申出がございました。議長はこれを認めることにいたします。
 質疑を続けてください。
#45
○杉久武君(続) 続けます。
 国土交通省では、社会資本の維持管理・更新について、三か年計画でトータルコストの縮減と予算の平準化のための長寿命化計画の策定の推進、さらに社会資本の維持管理や更新のための情報整備を行っていますが、会計検査院による検査の結果、長寿命化計画の策定はおおむね順調に進んでいるものの、計画どおりに修繕、補修が進んでいないケースや、予算の平準化への対応が十分でないケースがあるとの指摘がありました。
 社会資本の修繕や補修に当たっては、実効性のある計画の策定はもとより、限られた予算の中で補修内容や優先順位の見直しなどが機動的に行えるよう、国土交通省は事業主体に対し支援や助言を強化すべきと考えますが、太田国土交通大臣の見解を伺います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 社会資本の老朽化は、国だけでなく地方公共団体でも重要な課題です。
 高度経済成長期以降、各自治体でも多くの施設やインフラが整備されましたが、今は当時のように多くの予算が使える時代ではありません。限られた財源の中で老朽化した公共施設の建て替えや改修を行うためには、新地方公会計の導入によって無駄なく効率的に使う必要があります。
 昨年四月、総務省が発表した今後の新地方公会計の推進に関する研究会報告書による自治体への複式簿記・発生主義の導入と固定資産台帳の整備の方針を受け、公明党は、自治体の現場に即した複式簿記・発生主義の導入や固定資産台帳の整備について様々な提案を行ってまいりました。
 この公明党の提案が反映された形で、先週二十三日、具体的な財務書類の作成マニュアルが公表され、このマニュアルに基づき、全ての自治体が平成二十九年度までに新地方公会計に移行することとなりましたが、新地方公会計の導入に向けた今後の具体的な取組について、高市総務大臣の見解を伺います。
 さて、地方と比べて遅れているのが国の公会計改革です。
 国では平成十五年度より複式簿記・発生主義による国の財務書類が公表されていますが、これは、現行の決算書では明らかにされない国全体の資産や負債のストック情報を始め、当該年度で認識すべき行政コスト、さらには財源などのフロー情報も把握できる大変優れた書類です。
 平成二十五年度の国の財務書類は本日の質疑までに公表されていないのが残念でなりませんが、前年の資料に基づきますと、国の資産は六百四十・二兆円、負債は千百十七・二兆円で、資産から負債を差し引いた額はマイナス四百七十七兆円と、我が国は債務超過の状態であることが一目で分かります。
 このように、複式簿記・発生主義に基づく国の財務書類は我が国の財政状況を極めて明瞭にしてくれますが、一方、現在国会の審査対象となっている決算書は一部の精通した人以外すぐに理解できるものではないと考えます。
 アメリカやイギリス、カナダやオーストラリアなどの諸外国では、既に複式簿記・発生主義の公会計を導入しています。私は、複式簿記・発生主義に基づく国の財務書類こそ、現行の決算書よりも国民の皆様に対し正しく分かりやすい財政情報の提供という国の責務を果たすことができる書類であると考えますし、国会での審査、議決の対象にすべきであると考えますが、現行の決算書に対する認識と併せて、麻生財務大臣の見解を伺います。
 最後に一言申し上げます。
 国会の決算審査は、予算の執行状況をつぶさに検証し、その結果を次の予算編成に生かしていくPDCAサイクルのチェック機能を担っています。決算の参議院の一員として、私は、平成二十五年度決算の審査をできる限り速やかに行い、かつ充実した質疑となるよう全力を尽くすことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#46
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 杉久武議員にお答えをいたします。
 アベノミクスの評価と決意についてお尋ねがありました。
 十五年以上続くデフレからの脱却に資するため、三本の矢の取組により、経済最優先で政権運営に当たってまいりました。日本銀行は二%の物価安定の目標を掲げ、大胆な金融政策を推進し、固定化したデフレ予想は払拭されました。また、第一の矢のスピードを補うため、機動的な財政政策によって需要の下支えを行いました。
 さらに、第三の矢の成長戦略については、電力市場の自由化に向けた改革や再生医療を産業化するための改革など、これまでできるはずがないと言われていた岩盤規制の改革を行ってまいりました。
 これらの政策を矢継ぎ早に実施することにより、政権交代後に経済はプラス成長へとはっきり反転しました。引き続き、更に大胆にスピード感を持って三本の矢を進めてまいります。
 基金管理への取組についてお尋ねがありました。
 基金については、適正かつ効率的に国費を活用する観点から、毎年度のPDCAサイクルを確立することが極めて重要であります。さらに、今後、基金シートの記載内容の充実など情報公開の強化に取り組むこととしております。
 基金に対する予算措置については、地方向けも含め、基金方式による実施が真に必要な事業に絞り込み、二十六年度補正予算において、二十五年度補正予算に比べ〇・七兆円の減となる〇・五兆円を計上するなど、大幅に削減することとしております。さらに、全ての公益法人等に造成された基金を網羅的に再点検した結果、新たに〇・三兆円を超える金額を国庫に返納させることとしております。
 政府としては、今後とも、基金の適正化に向けて不断に取り組んでまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#47
○国務大臣(麻生太郎君) 決算書と国の財務書類についてのお尋ねがあっております。
 国の公会計制度につきましては、国会による財政の確実なコントロールや国民にとっての分かりやすさという観点から、確実性、客観性、透明性に優れた現金主義を取っておりまして、予算同様、現行の決算書も現金主義に基づくものとなっております。
 毎年度の決算は、この決算書に基づき審査をいただいて、個別具体的な収入、支出行為等の当否について国会の御意見をいただいてきているところです。その際には、決算審査の参考となるよう、国の財務書類もできる限り速やかに公表をいたしているところです。
 なお、国の財務書類を国会の審査、議決の対象にすべきとの御提案につきましては、会計検査院による検査をどうするか、決算書との関係で国会への提出時期をどうするかなどの課題について整理をする必要があるのではないかと考えております。(拍手)
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#48
○国務大臣(太田昭宏君) 社会資本の維持管理に対する支援や助言の強化についてお尋ねがございました。
 特に地方公共団体は、多くの社会資本を管理する一方で、技術力や財政力について体制が厳しい状況にございます。
 国土交通省では、これまで、維持管理に係る基準やマニュアルの整備、研修の充実など、地方公共団体に対する支援の強化を進めてまいりました。
 例えば、診断に緊急かつ高度な技術力を必要とする三つの橋梁を対象に、国が直接調査を行い、技術的な助言を与える直轄診断を昨年九月から試行的に実施しているところであります。また、点検、診断に関する一定の技術水準を満たすコンクリート診断士のような民間資格を登録し、地方公共団体等が活用できるよう新たな制度を創設いたしました。さらに、財政面では、防災・安全交付金により重点的に支援を行っております。
 今後とも、社会資本の維持管理に対する支援や助言を一層充実してまいります。(拍手)
   〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕
#49
○国務大臣(高市早苗君) 杉久武議員から、今後の地方公会計の取組についてお尋ねがございました。
 財政のマネジメント強化のため、地方公会計を予算編成等に積極的に活用し、地方公共団体の限られた財源を賢く使う取組を行うことは極めて重要であります。
 固定資産台帳の整備と複式簿記の導入を前提とした統一的な基準による財務書類等については、原則として平成二十九年度までの三年間で全ての地方公共団体において作成し、予算編成等に積極的に活用いただくよう、今月二十三日に要請したところです。
 当該基準による地方公会計の整備に当たっては、関係機関における研修の充実強化、標準的なソフトウエアの無償提供、固定資産台帳の整備等に係る特別交付税措置といった支援により、円滑な導入に努めてまいります。(拍手)
    ─────────────
#50
○議長(山崎正昭君) 藤巻健史君。
   〔藤巻健史君登壇、拍手〕
#51
○藤巻健史君 維新の党、藤巻です。よろしくお願いいたします。
 この二十年間で見ますと、国の実力ともいうべき名目GDP、国内総生産は、自国通貨ベースでアメリカは二・四倍、イギリスも二・四倍、オーストラリアは三・四倍、シンガポールは三・八倍、韓国は四・五倍、中国においては十五・九倍にもなっています。ところが、日本の名目GDPは、三%にすぎないとはいえ、何と減少しているのです。
 実力の伸びは他国に比べ大変見劣りをしている一方、財政赤字の方は世界と比べても断トツに悪く、デフレも進行しています。この情けない日本経済の実情は、自民党のこの二十年間の経済政策が間違えていた結果だと思います。まずは、安倍総理に、自民党のこの二十年間の経済政策を総括していただきたいと思います。
 なお、GDPの伸びに関しましては、実質ではなく名目でお答えください。日本はデフレでしたから、実質は名目よりも高く出ます。しかし、それは安倍総理が脱却しようとして努力されているデフレが貢献しているわけですから、デフレはいいねということになってしまいます。
 ところで、千三十九兆円にも積み上がった累積赤字ですが、これは二十年以上も自民党政権が税収をはるかに超える支出を続けてきた結果です。そもそも、大きな政府を保持したいのならば、国民の大きな負担が必要なはずです。歴代自民党は、大きな政府でばらまきを続けて国民の歓心を買い、その一方で税金は十分な額を集めてこなかった、すなわち、自民党政権は大きな政府と低負担といういいとこ取りの政治を行ってきたわけです。その結果がこの膨大なる借金だと思いますが、総理、このコメントに対して反論はありますでしょうか。
 ここまで借金が大きくなると、財政再建には、一、大幅増税と大幅歳出カットか、若しくは、二、インフレしかないと思われます。
 アベノミクスの三本の矢の第一の矢に量的緩和を掲げ、これほどまでの大規模な量的緩和を進めているのを拝見いたしますと、安倍政権は、国民受けしない増税と歳出カットではなく、安易なインフレ政策を採用したと思えてなりません。すなわち、アベノミクスとは、二十年間にわたる自民党のポピュリズム政治をインフレで尻拭いしようという政策に思えてならないのですが、総理、いかがでしょうか。もしそうではないとおっしゃるならば、財政再建にどのように取り組むのか、詳しくお教えください。
 政府は、二〇二〇年までに基礎的財政収支、プライマリーバランスの黒字化を国際公約していますが、プライマリーバランスとは、御承知のように国債の元本償還と利息、すなわち国債費を含んでおりません。
 私が二〇一三年十一月二十五日の参議院決算委員会で甘利大臣に二〇二〇年の国債費の額をお聞きしましたところ、約四十三兆円とのお答えを得ました。本日、プライマリーバランスの黒字化に努力するとの御回答が何度もありましたけれども、黒字化を達成したとしても、二〇二〇年は四十三兆円の赤字だということです。平成二十六年度当初予算の四十一兆円よりも大きな赤字です。これでは二〇二〇年になっても累積赤字がどんどん増え続け、とどまるところを知らないことになります。
 累積赤字が減ること、すなわち単年度予算が黒字化して初めて財政再建の第一歩が始まったと言えるはずです。プライマリーバランスの黒字化はその前提でしかありません。その前に長期金利が上昇し始めたら、支払金利が急増し、大変なことになってしまいます。プライマリーバランスの黒字化を達成した後、どのような道筋で単年度決算を黒字化していくのか、財務大臣、お答えください。
 今まで税収が最大だったのは六十・一兆円の一九九〇年です。確かに当時の消費税率は三%にすぎませんでしたが、一九九〇年はバブル末期で狂乱経済と言われたときですから、単に景気を良くすれば財政再建は進むとは言えないはずです。そのことを踏まえて、財政再建策をお答えいただければと思います。
 私自身は、税収、金利水準、社会保障費の伸び等、具体的な数字を見れば見るほど財政再建は難しいと思ってしまうので、安倍政権はインフレ政策に逃げたのではと思ってしまうのです。
 穏やかなインフレならばデフレを脱却するという意味でも結構な話だと思います。しかしながら、逆進性が極めて高い悪性インフレとなれば話は違います。年金や給料は毎月上がるでしょうが、パンの値段は毎日上がってしまいます。今日、明日のパンを買うお金はあっても、明後日パンを買うお金はなくなってしまうのです。
 その意味で、インフレが始まったときにインフレをコントロールする手段は極めて重要になります。過去、お金をじゃぶじゃぶにした国でハイパーインフレを回避できた国はほぼ皆無です。それが歴史的現実です。資金の吸収手段がないからです。
 どうやってインフレをコントロールするのか、是非教えていただければと思います。それは日銀の仕事だとおっしゃらないでください。アベノミクスで量的緩和を第一の矢に据えた以上、その弊害やリスクは政府も分析しているはずです。これしかない、黙って俺に付いてこいでは国民は納得しません。制御方法は日銀に任せるでは余りに無責任です。今までどの中央銀行や政府も見出すことができなかった、お金をじゃぶじゃぶにした後の資金吸収方法を是非、財務大臣、お教えください。
 ところで、今、日銀は、更なる量的緩和で年間八十兆円というとんでもない巨額の長期国債を買い増すことになっています。一方、参議院財政金融委員会で私が質問したところ、異次元の量的緩和が開始される直前の二〇一三年三月末から一四年六月までの十四か月間で、銀行等は五十一兆円、公的年金で四兆円、生命保険で一兆円も国債残高を減少させているそうです。
 ということは、日銀のみが巨額の国債を買い、他の機関はこれ幸いとばかりに国債を売却しているということになります。そうであれば、税収プラス税外収入は歳出の半分しかないのですから、日銀が国の借金手段である国債の購入をやめれば、国は資金繰り倒産をしてしまうことになります。
 一九九八年十二月には、資金運用部ショックがありました。大蔵省資金運用部という大口の国債の買手が買入れを中止するとのニュースで債券相場が急落したのです。当時の運用部の国債購入額は、大きかったとはいえ、今の日銀ほどではありません。約二〇%です。その運用部が購入を減らすというだけであれだけのショックが起きたのです。日銀は今、二〇%どころではなく、年間発行額の五〇%を軽く超えるペースで長期国債を買っています。
 さらに、運用部ショックのときには、いざというときには日銀が引き受け、又は最悪でも買いオペの額を増額してくれるだろうとの期待がありました。しかし、今回は、日銀自身が想像を超えるほどの超大手の買手なのです。その日銀が買うのをやめたら、ほかに買手は全く見付かりません。最後のとりでがなくなってしまうということです。
 消費者物価指数が二%を達成した段階で日銀が国債購入をやめるときのショックを政府はどう考えているのでしょうか。政府は、日銀以外に誰に国債を買ってもらい資金繰り倒産を防ぐつもりなのか、財務大臣、お答えください。
 資金繰り倒産はまずいと、日銀に未来永劫に国債を買い続けさせるのなら、日銀がヘリコプターで紙幣を空からばらまき続けるわけですから、ハイパーインフレは間違いなしだと私は思うのですが、いかがでしょうか。
 政府は、デフレ脱却を金科玉条としていますが、インフレになれば景気は良くなるのでしょうか、お答えください。もしそうであれば、全ての公共料金を二〇%上げたらいかがでしょうか。インフレになるとは思いますが、決して景気は良くなりません。
 また、一九八六年から八八年までの三年間、生鮮食品を除く全国物価指数はずっと〇・五%と低いままです。その一九八六年から八八年というのは、あの狂乱経済と言われたバブルのど真ん中です。消費者物価が上昇しなくても景気は狂乱していたのです。その経験をもってしてまでも、消費者物価指数二%は景気回復に不可欠なのか、総理、お答えください。
 最後の質問ですが、政府が二〇二〇年にプライマリーバランス黒字化にこだわるのは、その後、名目成長率の方が長期金利より高ければ財政は破綻しないという論理立てだと思います。しかし、その一方、厚労省の年金財政検証では、名目の運用利回りが賃金上昇率を上回る、すなわちスプレッドがプラスという前提で試算を行っています。長期金利の方が名目成長率より高いだろうから年金財政は安泰ですよと言っているわけですが、これでは年金財政が安定していても財政の方は破綻してしまいます。プライマリーバランスが黒字化しても借金は減らないことになるからです。
 国は、財政再建では名目成長率の方が長期金利より高いを前提とし議論をし、年金の健全性では逆に名目成長率より長期金利の方が高いを前提として国の将来を語っているのです。ケース・バイ・ケースで都合のいい数字を試算に使うのでは余りにも御都合主義だと思います。この矛盾を解消する説明を総理に求めます。
 以上です。ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#52
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 藤巻健史議員にお答えをいたします。
 この二十年間の経済政策の総括についてお尋ねがありました。
 我が国は、バブル崩壊以降、低い経済成長と長引くデフレによる停滞の二十年を経験してまいりました。この間の累次の経済対策は一定の景気下支え効果があったと考えていますが、デフレを脱却することはできませんでした。この経験を踏まえれば、従来の延長線上にある対応では経済を再生することはできません。
 このため、私の内閣では、これまでとは次元の違う政策パッケージとして三本の矢を一体的に進めており、名目GDPは政権発足時から平成二十六年七―九月期にかけて二・五%増加しています。引き続き、三本の矢の政策に全力で取り組んでまいります。
 我が国の累積債務と国民負担の関係に関するお尋ねがありました。
 我が国の財政については、GDPの二倍程度という巨額の公的債務が累積しております。その背景としては、社会保障の給付を賄うために必要な財源を確保できないことが挙げられます。こうした将来世代への負担の先送りが続く状況は改善していかなければなりません。
 世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすためにも、中期的に受益と負担の均衡を目指し、先般取りまとめた社会保障制度改革のスケジュールに沿って、改革を着実に進めてまいります。
 財政再建への取組についてお尋ねがありました。
 安倍内閣においては、経済再生と財政健全化を両立させることとしております。
 これまで、歳入面では、強い経済の実現を目指した取組を進めることにより、税収を増加させるとともに、社会保障の充実、安定化のため、昨年四月に消費税率を八%に引き上げました。また、歳出面では、社会保障の自然増を含め、徹底的な重点化、効率化を行ってまいりました。これらにより、現時点では二〇一五年度の財政健全化目標の達成が見込めるところであり、インフレで累積赤字を尻拭いしようとしているとの御指摘は全く当たりません。
 二〇二〇年度の財政健全化目標についてもしっかりと堅持し、本年の夏までにその達成に向けた具体的な計画を策定いたします。
 物価と景気についてお尋ねがありました。
 政権交代前、我が国は十五年以上続くデフレにあえいでいました。企業は賃金を抑制し、消費者も将来への不安などから消費を減らさざるを得ず、その結果、需要が低迷、デフレを加速するという悪循環から抜け出せずにいました。こうした状況を打破するため、政権奪還以来、三本の矢の政策を進めてまいりました。
 日本銀行は、二%の物価安定目標を掲げ、大胆な金融緩和を実施してきましたが、こうした取組は、固定化したデフレマインドを払拭し、経済の好循環を後押ししてきたものと考えています。
 政府の財政健全化に向けた取組等の前提についてお尋ねがありました。
 年金の財政検証において用いる経済前提は、基本的に、国、地方の経済財政の姿に関し内閣府が示している中長期の経済財政に関する試算の名目成長率や長期金利に準拠して設定されているものと承知しています。したがって、都合のいい数字を試算に使っているとの御指摘は全く当たらないと考えています。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#53
○国務大臣(麻生太郎君) 財政健全化の道筋についてのお尋ねがあっております。
 政府の財政健全化目標においては、国、地方のプライマリーバランスを二〇二〇年度までに黒字化するとともに、その後の債務残高対GDPの比率を安定的に引き下げるということを目指しております。
 財政健全化は段階的に進めていくべきものであって、まずは、この二〇二〇年度の財政健全化目標を堅持し、本年夏までにその達成に向けた具体的な計画を策定することといたしております。
 日本銀行の量的緩和を進めた後の資金吸収の方法についてのお尋ねもあっております。
 現在、日本銀行は、長引くデフレーションからの脱却のため、二%の物価安定目標を自ら設定し、その実現のために量的・質的金融緩和を推進しておられます。仮に御懸念のような急速なインフレが進む場合には、日本銀行は金融政策上適切な対応を行って二%の物価安定目標を実現していかれるものと考えております。
 その具体的な手段、内容などは、これは金融政策そのものの話ですから、政府として日本銀行に委ねることが適切であると考えており、日本銀行に先んじて政府の方から口出しするというようなことは控えるというのが当然であろうと考えております。
 日本銀行による国債購入についてのお尋ねもあっております。
 御質問の内容は、日本銀行の金融緩和からの出口に関わるものと、いろいろ言われましたけれども、これが質問の要旨だと思いますので、出口に関するものと承ります。
 日本銀行の黒田総裁は、金融緩和からの出口について述べるのは、市場の混乱を招くおそれが高いため時期尚早であると述べておられ、政府としても、出口における国債市場に対する言及は差し控えなければならぬものだと思っております。
 いずれにしても、御指摘のありました国債の安定消化は重要な課題と認識いたしております。
 政府といたしましては、今後とも、財政健全化の取組を着実に進め、日本の国債に対する信認を確保すると同時に、市場との緊密な対話に基づき、国債管理政策を適切に運営してまいりたいと考えております。
 以上です。(拍手)
    ─────────────
#54
○議長(山崎正昭君) 田村智子君。
   〔田村智子君登壇、拍手〕
#55
○田村智子君 日本共産党を代表して、ただいま議題となりました二〇一三年度決算について安倍総理に質問いたします。
 二〇一三年度予算は、政権復帰直後の自民党安倍政権によって編成されました。緊急経済対策だとして大型開発拡大の路線を復活させ、公共事業関係費は、決算ベースで前年度比プラス三八%、二・一兆円もの増額となりました。
 その中身も、大企業のためのインフラ整備に重点が置かれ、二〇一三年度以降の新規事業は、ダム建設三兆二千五百億、整備新幹線三兆七千六百億、国際コンテナ戦略港湾四千二百億、高速道路三十三兆円、さらに、超高層ビルを乱立させる大規模再開発への補助やリニア新幹線に伴う再開発事業費を含めると五十兆円を超える規模となります。
 バブル崩壊後の九〇年代にも景気対策として巨大開発が行われましたが、船の来ない港、再開発の失敗、赤字の空港など、国と地方の財政は一層悪化し、その後の自民党政権も公共事業予算を縮小せざるを得ませんでした。
 総理、巨大プロジェクトを乱立させながら財政再建を進めることができるのでしょうか、お答えください。
 こうした巨大プロジェクトは、建設産業の人手不足、資材不足を深刻にしています。その影響で、東日本大震災の被災地では、資材不足、人手不足、これらに伴う費用の高騰により、公共事業の入札不調が二割から三割にも達し、復興の遅れが指摘されています。
 総理、巨大プロジェクトが被災地復興の足を引っ張っていると認識されていますか。
 二〇一三年度復興特別会計の予算執行は六三・五%にとどまりました。住宅やなりわいの再建の遅れを直視し、入札不調への対策、支援拡充のための被災者生活再建支援法の改正などが必要と考えますが、いかがですか。
 自民、公明、民主の三党合意である税と社会保障の一体改革は二〇一三年度から実行に移されました。社会保障のためとして消費税増税を強行しながら、高齢者人口の増加に伴う当然の社会保障予算増額さえも認めないという路線に踏み込み、今次々と社会保障の切捨てが具体化されています。
 介護保険制度では、利用料の負担増、要支援者からのホームヘルプサービスやデイサービスの取上げ、介護報酬のマイナス改定など、制度始まって以来最悪の連続改悪が狙われています。介護労働者の平均賃金は全産業の平均よりも月額十万円も低く、深刻な人手不足となっています。また、特別養護老人ホームの三割は赤字経営です。事業者も労働者もぎりぎりの状態で介護を支えているのです。
 介護報酬マイナス改定に怒りの声が沸き起こるのは当然です。労働者の処遇改善に逆行する人手不足や赤字経営がより深刻となり、事業の縮小、撤退を引き起こすとの指摘をどう受け止めますか。今でも深刻な介護難民、介護離職を更に広げるとの認識はないのですか。
 医療制度では、保険料、医療費とも負担が重過ぎるという声が切実です。ところが、政府は、七十五歳以上の低所得者の保険料を二倍から十倍にも引き上げる、国民健康保険料の値上げにつながる国保の都道府県単位化、入院食事代の患者負担増など、制度改悪を進めようとしています。
 保険料が払えず正規の保険証を受け取れない、窓口負担が払えないなど、経済的理由から受診を控えるという問題が深刻になっています。医療の負担増を進めれば、低所得者が更に医療から排除されてしまうのではありませんか。
 生活保護制度では、二〇一三年度に生活扶助費の基準を見直し、三年間で七百四十億円の予算抑制を行うとしています。特に子供のいる世帯での減額が大きく、その生活を圧迫しています。これは、子供の貧困対策に逆行するものではありませんか。生活扶助費を元に戻し、住宅扶助の引下げや冬季加算廃止の方針を撤回すべきと考えますが、いかがですか。
 生活保護基準引下げは就学援助など他の制度に影響を与えることになる、このことを私は二〇一三年の予算委員会で取り上げました。就学援助は、経済的に苦しいけれど生活保護を受けていない小中学生に学用品や給食費などを支援する制度です。政府は影響がないようにすると答弁しましたが、危惧された事態が各地で生じています。
 横浜市では、生活保護基準引下げに連動して、今年度、九百七十七人が就学援助の対象外となり、そのうち七百六十二人は受けていた就学援助を打ち切られました。全国で三百十八の自治体が支給基準を引き下げたことが分かっています。就学援助に影響しないよう努力するという約束はどうなったのですか。多数の子供たちが支給対象から外れてしまったことに、政府はどのような対策を行うつもりですか。
 生活保護制度の改悪は、生活保護受給世帯を蔑む風潮を助長し、貧困に苦しみながら保護申請をためらう、諦める、行政が保護申請を回避させようとするなどの事態にもつながっています。
 昨年末、子供の貧困を取材したNHKスペシャルは、お茶漬けだけの晩御飯、栄養バランスどころかおなかいっぱい食べることもできない子供たちの姿を伝え、私も大きな衝撃を受けました。
 十八歳未満の子供の貧困率は一六・三%、六人に一人が貧困状態にあります。子供に貧困の自己責任を負わせることは絶対に許されません。貧困状態にある子供たちを探し出してでも救い出す、これこそ国と自治体に求められているのではありませんか。そのためにも、政府が子供の貧困率を減らす数値目標を定め、子供のいる世帯の生活保護捕捉率を引き上げるなどの対策を緊急に行うことが必要と考えますが、総理の見解をお聞きします。
 消費税増税は社会保障のためと言いながら、今年度消費税増税五兆円に対し、社会保障の充実予算は僅か五千億円にとどまっています。
 しかも、年金受給資格を保険料納入二十五年から十年にする法改正を行いながら、その実施は消費税を一〇%に引き上げたときという方針を変えていません。二十四年十一か月保険料を納めても一円の年金も受け取れない、これは国民の権利に関わる問題であり、長年改善が求められてきました。必要とする予算は年間三百から四百億円、これは政党助成金の予算程度であり、消費税一〇%と引換えにすることは許されません。
 政府も必要と認めた社会保障制度の充実は、予算の使い方を見直すことで直ちに実施すべきではありませんか。
 消費税増税は社会保障のためという宣伝は、もはや国民に通用しません。高齢者人口の増加に伴う社会保障予算の増額は、二〇二五年度がピークと言われています。この予算を抑え込めば、制度の連続改悪が容赦なく国民を襲うこととなります。これで社会保障の安心がどうして生まれるでしょうか。自然増を抑制するという路線は撤回すべきではありませんか。
 やるべきは、不要不急の公共事業や来年度過去最大となる軍事費を見直す、応能負担原則を徹底して大企業の利益、富裕層の所得にまともな課税を行うなどして社会保障予算を確保することではありませんか。
 日本共産党は、暮らしを追い詰め、景気を冷え込ませる消費税増税と社会保障の連続改悪を中止させるため、国民の皆さんと力を合わせ奮闘することを表明し、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#56
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 田村智子議員にお答えをいたします。
 公共事業と財政健全化についてお尋ねがありました。
 公共事業関係費については、平成二十五年度一般会計決算において七兆九千七百五十二億円と、前年度比二兆一千九百九十二億円の増加となっております。これは、経済の底割れの回避とデフレからの早期脱却を図る観点から、公共事業の追加を含む経済対策を実施するために編成された平成二十四年度補正予算の多くが平成二十五年度に執行されたことなどによるものですが、このような財政支出は経済状況に応じた一時的な対応であり、いつまでも続けることを想定しているものではありません。
 また、安倍政権においては、経済再生と財政健全化を両立させることとしており、二〇二〇年度の財政健全化目標についてもしっかりと堅持し、本年夏までにその達成に向けた具体的な財政健全化計画を策定いたします。その際、歳出改革については、公共事業関係費を含め歳出全般にわたり聖域なく見直しを行ってまいります。
 人手不足、資材不足が被災地の復興に及ぼす影響等についてお尋ねがありました。
 被災地の復興事業を優先的に進めるため、政府としては、これまで、発注規模の大型化、生コンクリートのプラントの増設、さらには労務単価の引上げなど、累次にわたり加速化策を打ち出してきました。こうした対策により、復興事業は全体として着実に進んでいます。
 今後とも、人材や資材の状況を注視しながら、復興事業の円滑な実施のための対策をきめ細かく講じてまいります。
 一方、被災者生活再建支援制度の充実については、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して慎重に検討すべきものと考えます。
 介護報酬改定についてお尋ねがありました。
 高齢者が大きく増加する中、適切な介護サービスと介護人材の確保は重要な課題であります。今回の介護報酬改定は、こうした課題に取り組むため、介護職員の処遇改善や中重度の要介護者等へのサービスの充実を行うとともに、経営の実態を踏まえ、適正化を行うものです。改定率については、保険料等への影響も考慮して設定するものです。
 平成二十七年度からは、消費税財源により都道府県に設置した基金を活用し、地域の介護ニーズに対応した介護施設等の整備や不足している介護人材の確保を進めてまいります。したがって、御指摘のような懸念は当たりません。
 医療保険制度についてお尋ねがありました。
 医療保険制度では、低所得者が安心して医療を受けられるよう、負担を軽減するため、平成二十六年度から、国民健康保険等の保険料軽減の拡充、高額療養費制度における中低所得者の自己負担限度額の引下げなどを実施しています。さらに、平成二十七年度予算案では、低所得者が多い国保への財政支援の拡充などを実施することとしています。
 急速な少子高齢化の下、国民皆保険を堅持していくため、受益と負担の均衡が取れた制度となるよう、引き続き改革を進めてまいります。
 生活保護制度についてお尋ねがありました。
 生活扶助基準については、消費実態や物価を勘案して適正な水準となるよう段階的に見直しを進めています。住宅扶助及び冬季加算についても、最低限度の生活の維持に支障がないよう配慮しつつ、より適切な水準となるよう見直すこととしております。
 本年四月には、生活保護に至る前の段階にある生活困窮者への自立支援を強化する法律を施行することとしており、平成二十七年度予算案では、子供の学習支援を含め四百億円を計上しています。
 生活扶助基準の見直しに伴う他の制度への影響については、就学援助制度も含め、それぞれの制度の趣旨や目的、実態を十分考慮しながら、できる限りその影響が及ばないよう対応することを政府の基本方針としています。
 今後とも、引き続き市町村に適切な対応を求めるなど、子供たちの教育を受ける機会が妨げられることのないよう取り組んでまいります。
 子供の貧困対策についてお尋ねがありました。
 政府としては、生活保護世帯に属する子供の高等学校等進学率や中退率、就職率等、子供の貧困に関する二十五の指標を掲げ、その改善に向けた重点施策を取りまとめた大綱を昨年八月に策定しました。同大綱に基づき、子供の貧困に関する指標の改善に向けて総合的に取組を進めてまいります。
 具体的には、教育費負担の軽減を図るため、高校生等奨学給付金の拡充や大学の無利子奨学金、授業料免除の充実を図っていきます。また、中学校等で貧困の子供を支えるスクールソーシャルワーカーの配置拡充を図っていきます。さらに、中学生に対する学習支援や保護者の学び直しの支援等の施策を推進し、子供の貧困に関する指標の改善に取り組んでまいります。
 社会保障予算についてお尋ねがありました。
 消費税増収分を活用した社会保障の充実について、平成二十七年度予算案では、限られた財源の中、施策の優先順位を付け、子ども・子育て支援新制度の予定どおりの施行などを優先的に実施することとし、受給資格期間の短縮など年金関係の措置は、法律の規定どおり、消費税率一〇%への引上げ時に実施することとしています。
 国土強靱化や安全保障など様々な課題に対応する中、社会保障関係費は高齢化に伴う自然増を含め約三十一兆五千億円、前年度に比べ約一兆円増となっており、必要な予算は確保されていると考えております。
 これらに併せ、社会保障制度を持続可能なものとしていくためには、負担能力に応じて公平に負担いただくとともに、必要な給付が適切に行われるよう、制度の重点化、効率化を行うことが必要と考えております。(拍手)
    ─────────────
#57
○議長(山崎正昭君) 松田公太君。
   〔松田公太君登壇、拍手〕
#58
○松田公太君 日本を元気にする会・無所属会の松田公太です。
 日本を元気にする会が結成されて初めての代表質問をさせていただきます。
 まずは、会派を代表して、ISILによる残虐な行為に強く抗議します。決してテロには屈しないこと、ありとあらゆる手段で国民の救出に全力を尽くすこと、そして、そのために与野党が力を合わせることを表明いたします。
 今日は、安倍総理に一つだけ今回の事件に関する質問をさせていただきます。
 身の代金要求につながったとされるエジプトでのスピーチ、ポイントとなるのが二億ドルの支援を表明した部分です。総理のスピーチと通訳された部分を照らし合わせてみますと、明らかに意味が違っています。
 日本語では、「地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、総額で二億ドル程度、支援をお約束します。」と言われましたが、英語では構成と順序が変えられ、「I will pledge assistance of a total of about 200 million U.S. dollars for those countries contending with ISIL, to help build their human capacities, infrastructure, and so on.」となっておりました。訳しますと、ISILと闘っている国が、人的能力、つまり戦闘要員、そしてインフラ、つまり戦闘の基盤を構築するために二億ドルの支援をするとなってしまっているのです。
 いかなる理由があろうともISILの行為は許されませんが、この訳では、日本が本格的に戦争に加担することになったと捉えることができ、口実を与えてしまった可能性はあります。
 余りにも違う日本語のスピーチと英語の訳に驚いたわけですが、これはあえて日本人向けの内容と世界へのメッセージとを変えて発信したのか、若しくは単純なミスなのか。あえて変えたとしたら、これは情報の正確性で問題ですし、単純なミスだとしたら余りにもケアレスです。
 いずれにせよ、既に日本人が人質になっていることを知っていた政府としては配慮がなさ過ぎると言わざるを得ません。これは、今後同じ過ちを繰り返さないためにも、しっかりと精査しなくてはいけない点だと思います。どのような理由で変わってしまったのか、総理、お答えください。
 参議院は良識の府と言われています。その理由は、解散がなく、任期も六年と長いことから、選挙にとらわれることなくじっくりと審議できることにあります。その特色を発揮できる議案の一つが決算です。
 決算を考えたときに、金融緩和によって膨らんだバランスシートのことが頭をよぎります。最近、大変な話題になっているトマ・ピケティ教授が明日、来日するそうですが、同氏は安倍総理の金融緩和政策に否定的な見方を示しています。安倍総理、どのように反論されますか。また、ピケティの資本課税論、またグローバル富裕税論についてはどのようにお考えでしょうか。
 消えた年金問題。この問題は第一次安倍内閣下で発覚し、今もなお二千万件以上が不明となっております。その原因の一つは、首相が何度も替わり、民主党への政権交代も経て、徐々に関心が薄れてしまったからではないでしょうか。
 政局的な要素を含んで作られる予算は、その時々の政権の意向によって左右されます。しかし、確定した過去を扱う決算では具体的な審査が可能ですし、数字はうそをつきません。PDCAのPやDと同じように、Cも非常に重要なのです。
 今回の厚労省の決算を見ますと、消えた年金経費として特別会計から約二十二億円以上が計上されています。一見それほど大した額ではないと思われるかもしれませんが、累積を調べると、今までに総額四千億円以上もの予算が投じられていることが分かります。現在までに回復された額は生涯受取額で二・五兆円ほどになるとのことですが、一方で、これほど莫大な費用を掛けても四割もの記録がまだ回復されておりません。
 この消えた年金問題の現状に関してどのようにお考えで、解決のための具体策はお持ちなのか。四千億円もの経費が今まで掛かっていることをどう思うのか。そして、今後幾ら必要になるのか。安倍総理と塩崎大臣、概算で結構ですので、数字でお答えいただきたいと思います。
 このように、決算をしっかりと見直すと、過去の問題を再認識して一つ一つの数字が持つ意味を追求することになり、未来のために生かすことができるようになります。しかし、国会では一月から補正予算や本予算の審議が行われるのですが、その段階では前年度第三・四半期の数字も見えておりませんし、前々年度の決算さえ審議していないという状況です。これには私は違和感を覚えます。企業でも家計でも、直近の数字を把握しないと翌年度の計画は立てられないはずです。
 より決算を重視して予算審議を行うために、二月上旬までには第三・四半期のBS、PL、最低でも予算の使用状況に内訳明細を付けたものを開示するべきだと思いますが、麻生大臣の御所見を伺いたいと思います。
 以上のような提案の根底には、参議院改革への思いがあります。我々、日本を元気にする会は、二院制を維持するのであれば、参議院の独自性を出すためにも、決算機能の強化や党議拘束の撤廃、そして抜本的な選挙制度改革による一票の格差の解消を実現するべきだと考えています。
 また、究極的には、国民の集合知、責任、そして思いを政治に反映させるために、情報を開示、提供し、一緒に議論し、国民の最終決断を最大限に尊重して重要法案等を決定するべきと考えております。我々は、そのような思いをまずは自分たちの政党で具現化し、推し進め、現実のものにしたいと思っております。
 この理念に御賛同いただける同僚議員の皆様には、いつでもお声掛けいただきたいと思います。どこの党だ、どこの会派だなど関係なく、一緒に改革を成し遂げていこうではありませんか。参議院が変われば日本の政治は変わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#59
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 松田公太議員にお答えをいたします。
 シリアにおける邦人テロ事件とエジプトで行った政策スピーチについてお尋ねがありました。
 そもそも、テロ集団の主張がどうあれ、彼らの行動については全く正当性はありません。その上で申し上げれば、スピーチの英文は和文に忠実な形で訳されており、和文と英文のニュアンスが異なっているという御指摘は当たりません。読んでいただければよく分かると思います。
 トマ・ピケティ氏の主張に関してお尋ねがありました。
 我が国における日銀による金融緩和は、固定化したデフレマインドを一掃し、持続的な経済成長の実現を目指すものであります。また、それに伴う株価の上昇は、年金積立金の運用益の改善を通じて、年金で暮らす方々の将来の安心に大いに貢献しております。税制面については、所得税の最高税率引上げ等、再配分機能の回復を図るための改正を行ってきたところです。
 また、ピケティ氏の提言するような世界的な資産課税については、その導入に当たっては執行面などでなかなか難しい面もあるのではないかと理解しています。
 いずれにせよ、安倍政権としては、引き続き、企業収益の拡大が賃金上昇や雇用拡大につながる好循環を生み出すよう取り組んでまいります。
 年金記録問題についてお尋ねがありました。
 年金記録問題については、これまで様々な取組を行い、約五千万件の未統合記録のうち約三千万件が回復しましたが、なお二千万件が残っています。更に解明を進めていくため、記録統合の可能性が高いと考えられる方に対し個別に直接接触する方法などに取り組んでまいります。
 これまでに年金記録問題への対応に要した経費は約四千億円である一方、記録が回復した結果、増額した年金額は、生涯額で少なくとも約二・五兆円であります。相応の効果は得られたものと考えています。
 今後の必要額を具体的に申し上げることはできませんが、引き続き、効率的、効果的な取組を進めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#60
○国務大臣(麻生太郎君) 財務書類の開示の在り方についての御質問があっております。
 国の資産、負債やキャッシュフロー等々、一般的な企業とはその規模が大きく異なりますのは御存じのとおりで、その把握は膨大な作業となることから、御指摘のような四半期ベースの国の財務書類を作成するためには、新たな財務書類作成のシステムと、また国有財産等の他のシステムとの連携、また各省庁の決算担当者の増員が必要ということになろうと存じます。
 また、予算の使用状況につきましては、既に現在でも、四半期ごとに予算の国会議決の単位である項の単位で公表いたしておるところです。これに加えて、より詳しい明細を作成、公表するということになりますと、これは相当の事務負担が必要となることも確かですし、システムの改修などに相当なコストも掛かることが留意しておかねばならぬところだろうと思っております。
 国の財政状況をできる限り分かりやすく国民及び国会の皆様に明らかにすることは、これは極めて重要な問題であろうというのははっきりしております。ただし、どの程度まで詳細な記録を、若しくは書類を作成するか、また、どういったスケジュールで財務諸表を公表するかといった点につきましては、それに要しますコストにつきまして、それとよく照合しつつ慎重に検討すべきものであろうと考えております。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#61
○国務大臣(塩崎恭久君) 年金記録問題についてのお尋ねがございました。
 年金記録問題につきましては、持ち主の分からない未統合記録や、紙台帳の記録とコンピューター記録の不一致の問題の解決に取り組んでまいりましたが、持ち主の手掛かりが得られないことなどにより、なお約二千万件の記録が残っております。
 残された記録の解明の困難度は増しておりますけれども、更に解明を進めていくため、記録統合の可能性が高いと考えられる方に対して個別に直接接触するなどの取組を行うこととし、その費用として、平成二十七年度予算案に約十五億円を計上したところでございます。
 これまで年金記録問題への対応のために要した経費、記録が回復した結果、増額した年金額、今後必要となる額については総理がお答えしたとおりですが、一人でも多くの方の記録の回復につながることが重要と考えており、引き続き、効率的、効果的に取り組んでまいりたいと思います。(拍手)
    ─────────────
#62
○議長(山崎正昭君) 江口克彦君。
   〔江口克彦君登壇、拍手〕
#63
○江口克彦君 次世代の党の江口克彦です。
 党を代表して、平成二十五年度決算に対し、質問をいたします。
 決算審議の重要性の一つは、効率性、有効性の観点からの審議を通じて、今は即効的な目に見える効果を発揮していないものの、いずれ大きな成果につながるであろう事業を適切に評価し、そうした事業に対し、長期的視点に立って予算配分を続けていくことを提示することであると考えます。
 昨年五月に私、視察いたしましたけれども、筑波大学では、ホウ素中性子捕捉療法、BNCT施設として、日本が世界で独走をしております中性子最先端がん治療研究開発拠点を整備いたしております。このような先端医療がん研究等は、成果が上がるまである程度の時間を要するものであります。このBNCTは、ようやく今年から臨床研究、来年から治験を開始する予定となっております。このBNCTは、エックス線治療や陽子線・重粒子線治療に比べ、治療期間も極端に短く、低コストで、ほぼ全てのがんに治療効果があるということであります。
 このような地道な研究開発事業は、将来、花開き、医療立国日本を支える重要な医療インフラを生み出すことにつながると思います。しかし、こうした基礎研究のような事業は、すぐに利益につながるものではありませんので、民間が参入することは極めて難しく、事業資金の継続的調達が難しい面もあります。目立たない地道なものではありますが、次の世代にとって重要な研究開発事業を国がきちんと評価し、そこに財政を投入していくことが求められると思います。この評価と提示は、決算審査の重要な機能であると考えます。
 決算審査の視点と決算審議の役割とこうした研究開発の取組について、総理はどのようにお考えなのか、お聞きいたします。
 次に、予算、決算の現金主義による単年度処理の結果、決算審議においても忘れがちなのは、一千兆円を超える莫大な借金を有する我が国の財政危機への備えについてであります。ここ最近の決算で顕著なのは社会保障関係費の増加でありますが、これこそこの莫大な借金が生じた大きな要因であります。これは、こうした財政運営について、選挙を通じて意思表明もすることができない十代の若者たちの肩に将来重くのしかかっていくものであり、大変ゆゆしきことだと思っております。
 財政健全化目標が達成できることを期待はしますが、経常収支の動向など現実の経済状況を見たとき、必ずしも楽観できる状況ではないように思います。
 政府は、将来の日本を背負う若い世代への責任として、社会保障制度改革を含め、財政健全化のための具体的な処方箋を描かねばならないと考えます。この機会に、財政危機回避についての次の世代への責任と具体的方策について、総理にお尋ねをいたします。
 私は、昨年、行政監視委員長を務め、国の政策立案、これを実施するための予算編成において、政策評価の必要性を痛感いたしました。政策評価においては、いかに先見性を持って、当該政策、予算が将来の日本のため、若い世代のために必要なものかという長期的視点で見極めることが重要であります。そのような政策評価を通じて、民間に委ねることのできない、だから政治がリードしていく分野を明らかにすることによってこそ、我が国の持続的な発展があると申し上げておきます。
 最後に、人質問題で懸命に取り組んでおられる安倍総理始め関係各位に感謝と激励の言葉を多くの国民の思いを添えて申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#64
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 江口克彦議員にお答えいたします。
 決算審査の視点、役割と研究開発の取組についてお尋ねがありました。
 国会における決算の審査は、執行された予算が所期の目的を果たしているか等について御審議いただき予算等へと反映していくものであり、極めて重要なものと認識しています。
 江口議員が御指摘のホウ素中性子捕捉療法は、その特徴として、再発がんに対しても治療効果が期待されるとともに、がん細胞のみを選択的に破壊するなど、その効果の高さや患者への負担の少なさが期待される開発中の技術の一つとして評価されているものと承知しています。このため、政府としては、この技術の実現に向け、筑波大学などが行う研究開発、実用化の取組を支援してきたところであります。
 今後とも、決算を通じて事業を適切に評価し、これを次年度の予算編成や予算執行等に的確に反映してまいります。
 財政健全化に向けた取組についてお尋ねがありました。
 安倍内閣においては、経済再生と財政健全化の両立を目指しているところです。三本の矢の政策により、有効求人倍率は二十二年ぶりの高水準、平成二十六年の賃上げ率は過去十五年間で最高、企業の経常利益は過去最高水準、企業倒産件数は二十四年ぶりに一万件を下回るなど、経済の好循環は生まれ始めています。社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たすとともに、国際社会における国の信認を確保するため、財政健全化を着実に進めてまいります。
 これまで、歳入面では、強い経済の実現を目指した取組を進めることにより、税収を増加させるとともに、社会保障の充実、安定化のため、昨年四月に消費税率を八%に引き上げました。また、平成二十七年度予算については、社会保障の自然増を含め、歳出の徹底的な重点化、効率化を行うなど、歳出歳入両面の取組を進めております。こうした取組もあり、現時点で二〇一五年度の財政健全化目標の達成が見込めます。
 二〇二〇年度の財政健全化目標についても堅持し、経済再生と財政健全化の両立を実現すべく、本年の夏までにその達成に向けた具体的な計画を策定いたします。(拍手)
#65
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト