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2015/05/27 第189回国会 参議院 参議院会議録情報 第189回国会 本会議 第21号
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2015/05/27 第189回国会 参議院

参議院会議録情報 第189回国会 本会議 第21号

#1
第189回国会 本会議 第21号
平成二十七年五月二十七日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十一号
  平成二十七年五月二十七日
   午前十時開議
 第一 金融商品取引法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第二 平成三十二年東京オリンピック競技大会
  ・東京パラリンピック競技大会特別措置法案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第三 平成三十一年ラグビーワールドカップ大
  会特別措置法案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 持続可能な医療保険制度を構築するため
  の国民健康保険法等の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 日程第一 金融商品取引法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長古川俊治君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔古川俊治君登壇、拍手〕
#4
○古川俊治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、いわゆるプロ向けファンドをめぐる昨今の状況を踏まえ、成長資金の円滑な供給を確保しつつ、投資者の保護を図るため、適格機関投資家等特例業務を行う届出者について、一定の欠格事由を定め、リスクの説明義務等の行為規制を設けるとともに、業務改善命令、業務停止命令等の監督上の処分を導入する等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、プロ向けファンドに係る今回の制度見直しの意義、プロ向けファンドによる投資家被害の状況、プロ向けファンドについての検査監督を更に強化する必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#6
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#7
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十九  
  賛成           二百二十九  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#8
○議長(山崎正昭君) 日程第二 平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案
 日程第三 平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長水落敏栄君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔水落敏栄君登壇、拍手〕
#9
○水落敏栄君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案は、大会の円滑な準備及び運営に資するため、大会推進本部の設置及び基本方針の策定について定めるとともに、国有財産の無償使用等について必要な特別の措置を講じ、あわせて、大会推進本部が置かれている間、国務大臣の数の上限を一名増員しようとするものであります。
 次に、平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法案は、大会の円滑な準備及び運営に資するため、寄附金付郵便葉書等の発行の特例等について必要な特別の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、オリンピック・パラリンピック担当大臣及び大会推進本部の役割、新国立競技場計画の進捗状況、ラグビーワールドカップ大会への積極的な支援の必要性等について質疑が行われたほか、東京オリンピック・パラリンピック大会特別措置法案について、内閣委員会との連合審査会を開会いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して田村委員より、東京オリンピック・パラリンピック大会特別措置法案に反対、ラグビーワールドカップ大会特別措置法案に賛成の意見が述べられました。
 討論を終わり、順次採決の結果、東京オリンピック・パラリンピック大会特別措置法案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定し、ラグビーワールドカップ大会特別措置法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、東京オリンピック・パラリンピック大会特別措置法案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
 まず、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#11
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#12
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十九  
  賛成            二百十七  
  反対              十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#13
○議長(山崎正昭君) 次に、平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#14
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#15
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十六  
  賛成           二百二十六  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#16
○議長(山崎正昭君) 日程第四 持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長丸川珠代君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔丸川珠代君登壇、拍手〕
#17
○丸川珠代君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、持続可能な医療保険制度を構築するため、国民健康保険の財政支援の拡充や財政運営責任の都道府県への移行等による医療保険制度の財政基盤の安定化、被用者保険者に係る後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入、医療費適正化の推進を行うほか、患者申出療養の創設の措置を講じようとするものであります。
 なお、衆議院において、平成二十七年四月一日から施行することとされていた改正規定について、公布の日から施行することとする修正が行われております。
 委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、国立研究開発法人国立がん研究センターにおいて国内未承認薬等の実情を視察したほか、国民健康保険の運営の在り方、高齢者医療に要する費用負担の問題、患者申出療養を創設する理由等について、安倍内閣総理大臣にも出席を求め質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局しましたところ、無所属クラブを代表して薬師寺みちよ委員より、患者申出療養に係る規定を削除することを内容とする修正案が提出されました。
 次いで、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して西村まさみ委員より原案に反対、日本共産党を代表して小池晃委員より修正案に賛成、原案に反対、社会民主党・護憲連合を代表して福島みずほ委員より修正案に賛成、原案に反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
 討論を終局し、順次採決の結果、修正案は否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#18
○議長(山崎正昭君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。牧山ひろえ君。
   〔牧山ひろえ君登壇、拍手〕
#19
○牧山ひろえ君 民主党・新緑風会の牧山ひろえです。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。
 我が国は、国民皆保険制度の下、五十年以上も、誰もが安心して医療を受けることができる医療制度を実現してきました。本法案は、国民皆保険制度を支える重要な基盤である国民健康保険について、国民皆保険の実現以来、半世紀ぶりの改革を行うものです。
 また、それだけにとどまらず、医療保険全般、患者負担の見直し、患者申出療養の創設等、国民にとって非常に重要な内容が数多く含まれています。にもかかわらず、たった二週間しか審議が行われていません。また、委員会審議においては、政府から、改正後の諸制度の詳細は法律制定後に検討するという答弁が繰り返され、制度の内容について明らかにされないままでした。これでは、国民のための熟議が尽くされたとは到底言えません。
 また、平成二十五年に自公政権が提出した社会保障制度改革プログラム法案には、高齢者医療制度と年金制度の抜本改革が盛り込まれなかったため、民主党は同法案に反対いたしました。そのプログラム法案に基づいて提出された本法案にも、高齢者医療制度の抜本改革が盛り込まれていないことは大きな問題です。
 そもそも、後期高齢者医療制度を現役世代の医療保険とは別建ての制度にしたことが、保険者間や世代間の対立を助長していると思われます。
 また、今後、少子高齢化の進行により、高齢者の比率が高まる一方で、支える側の現役世代が減少していく中、保険料収入と公費だけでは自立し得ず、現役世代に過度に依存することになる高齢者医療制度が果たして持続可能と言えるのでしょうか。
 以下、本法案の問題点を個別具体的に申し述べます。
 まず、後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入についてです。
 国民健康保険は、加入者の所得水準が低いなど、財政基盤に構造的な課題を抱えており、国民健康保険に対する財政支援は必要であると考えます。しかし、全面総報酬割の導入は、本来国が行うべき財政支援を現役世代から成る各保険者に肩代わりさせる構図になっています。一般会計からの法定外繰入れや保険料収納率など、国民健康保険の運営面における問題の改善が十分になされていない中で、全面総報酬割により生み出される財源を国民健康保険に投入しては、負担が増える被用者保険側の納得は得られません。
 持続可能な医療制度、そしてそれを支える健康保険制度を維持するためには、費用負担についての各保険者の理解と納得が何より重要であるにもかかわらず、現役世代の拠出金負担に上限を設けるなどの負担構造改革については極めて不十分です。
 また、高齢者医療に係る健康保険組合の拠出金負担は約五割に迫っています。保険者が自らコントロールできない拠出金の割合が高い状況では、保険者として効率化などの努力を行ったとしても、その効果が発揮できず、重要な保険者機能が損なわれます。このまま配慮不十分なままの負担増が続けば、健保組合の解散や協会けんぽへの流出が増加しかねません。
 そもそも、被用者保険の財政持続可能性が確保されて初めて国保や後期高齢者制度の持続可能性が確保されます。ですので、本来ならば企業や国民がどの程度の負担に耐えられるかという検証から制度設計すべきところ、今回の改正法ではその点が看過されており、取れるところから取るというだけのつじつま合わせの見直しとなっているのが大きな問題です。
 次に、協会けんぽに対する国庫補助の見直しについてです。
 協会けんぽの法定準備金を超過する準備金の一六・四%相当の国庫補助が減額されます。協会けんぽは被用者保険のセーフティーネットである一方、加入者の大半は中小企業の事業主や従業員であり、財政基盤が脆弱です。全国平均保険料率は一〇%に達しており、中小企業の経営や加入者の生活に大きな負担となっています。協会けんぽの準備金が法定準備金を超過しているのは、保険料率の引上げなど協会けんぽの努力のたまものでもあります。協会けんぽの準備金に余裕ができたなら、国が召し上げるのではなく、保険料率の引下げに用いるべきです。
 次に、国民健康保険組合の国庫補助の見直しについてです。
 現行三二%である国民健康保険組合への定率補助が、加入者の所得水準に応じて一三%から三二%の補助率に変更されます。所得水準の低い国民健康保険組合への支援は必要ですが、民主党政権時の行政刷新会議の事業仕分の結論に基づき、所得水準の高い国民健康保険組合の国庫補助率はゼロにすることも含めて検討するべきであり、改革として不徹底と言えます。
 次に、患者負担の見直しについてです。
 今回、入院と在宅療養との公平性を図るため、入院時の食事代が見直されます。平成三十年度には、現在と比べて一食当たり二百円の負担増となります。入院時の食事は治療の一環であることを鑑みると、指定難病に指定されていない疾病の患者が長期入院する場合など、負担が重くなる方に対する更なるきめ細やかな配慮が必要であると考えます。
 また、紹介状なしで大病院を受診する場合に定額負担が導入されるとされています。限りある医療資源を効率的に活用し、医療機関の間の適切な役割分担を図るためには一般的にはやむを得ない側面もあるとはいえ、実質的な医療負担増となる措置だけに、低所得者の受診抑制につながらないように、また、定額負担が適切でない例外事例など、慎重にして緻密な制度設計が望まれます。
 しかしながら、政府は、制度の枠組みについては法律制定後に検討するとして、特に定額負担を求めないケースについての具体的な説明が不十分です。国民の負担を重くする内容であるにもかかわらず、法案審査の前に制度の枠組みが決定していないのは国会軽視と言わざるを得ません。
 次に、患者申出療養についてです。
 患者申出療養制度において何よりも重要なのは、安全性と有効性が確保されていること、そして将来の保険収載を前提としていること、この二点であると考えます。
 患者申出療養については、臨床研究中核病院の申請後、原則六週間で安全性、有効性等が審査されることになります。現行の先進医療では審査に六か月程度を要しているにもかかわらず、患者申出療養ではなぜこれほど大幅に期間を短縮することができるのでしょうか。また、これで本当に適切な審査が行われ、安全性、有効性が確保されるのでしょうか。
 さらに、患者申出療養により医療事故や副作用等が発生した場合の対応については今後検討することとされており、患者が申し出たことを理由に患者に過重な責任を負わせることにならないかと危惧しております。情報や知識にギャップがある中で、患者側が適切な医薬品や治療方法を申し出ることができるのかというインフォームド・コンセントの問題に関しても不安が残ります。
 保険収載については、現在の先進医療の実績から考えても、どの程度その見込みがあるのか全く保証されていないと言わざるを得ません。
 このように、本法案は多くの問題を抱えております。最も問題なのは、国民の生命、生活に関わる大改正であるにもかかわらず、関係者の納得が十分に得られていない内容や法律制定後に検討される内容が多い上に、国から国民に対して真摯な説明が行われていないことです。
 持続可能とは名ばかりの、医療保険制度への信頼を損なうような政府・与党の姿勢に抗議し、私の反対討論を終わります。(拍手)
#20
○議長(山崎正昭君) 小池晃君。
   〔小池晃君登壇、拍手〕
#21
○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、国民健康保険法等の一部を改正する法律案について、反対討論を行います。
 反対理由の第一は、本法案が、高過ぎる国民健康保険料の更なる負担増を招き、医療費削減の新たな仕組みを導入するものだからです。
 本法案による国保制度の改革が実行されても、協会けんぽの一・三倍、組合健保の一・九倍という高過ぎる国保料の水準は全体として変わらず、逆に今後、給付費増による保険料高騰が避けられないことが審議を通じて明らかになりました。
 保険料徴収により所得が生活保護基準以下に落ち込む場合に、介護保険制度には設けられている保険料免除制度が国保には存在しないこと、子供が多い世帯ほど負担増となる少子化対策に逆行する応益割保険料の矛盾なども本案によって何ら解決されません。
 それどころか、本法案に盛り込まれた都道府県による国保財政の管理、標準保険料率の提示、保険料平準化の推進などは、市町村を保険料引上げに駆り立て、無慈悲な取立ての強化につながりかねません。それは、法案の内容を先取り的に実施している大阪府の実態からも明らかであります。
 さらに、本法案は、都道府県が策定する医療費適正化計画に医療給付費の目標総額を明記し、それを地域医療構想による病床削減とリンクさせ、新たに導入する都道府県国保運営方針も適正化計画と整合させるよう義務付けています。まさに都道府県を司令塔にした強力な医療費削減の仕組みづくりにほかなりません。
 国保改革というなら、全国知事会などの関係諸団体が求めるとおり、削減されてきた定率国庫負担を抜本的に増やすことで、せめて協会けんぽ並みの保険料へ引き下げ、低所得者の負担軽減、受給権の保障を図るべきであります。
 反対理由の第二は、協会けんぽの国庫補助削減と保険料値上げへのレールを敷き、中小企業の苦境に追い打ちを掛けるからであります。
 協会けんぽの国庫補助率の下限を一三%と本則に明記すること、高齢者医療支援金の全面総報酬割による国庫補助縮減など、法案に盛り込まれた制度改変は、協会けんぽに対する国の責任を後退させ、それを保険料引上げに転嫁するという政府の方針を体現しています。実質賃金の低下や経営難に苦しむ中小企業の労働者、事業主に更なる打撃を与えることは許されません。
 反対理由の第三は、受診抑制と重症化をもたらす入院食費などの患者負担増です。
 本法案が実施されれば、高額療養費と入院食費を合わせた一か月の入院に掛かる費用は十二万円、平均給与の三割を超えてしまいます。今回の一般病床での現役世代の食費負担増が、介護施設や療養病床の負担増の際に言われた、生活の場だから在宅との公平を図るという論理で説明できないことを厚労省も認めざるを得ませんでした。公平の名で高い方に合わせるだけの御都合主義の負担増は、患者の困難に追い打ちを掛け、国民皆保険の基盤を危うくするものであります。
 紹介状を持たずに大病院を受診した際の五千円から一万円の定額負担が、厚労省の言う外来の機能分化に役立たないことも審議の中で裏付けられました。そもそもこの制度は、厚労省が一度は撤回を表明した受診時定額負担にほかならず、将来にわたって七割給付を維持するとした健康保険法違反だと言わねばなりません。
 反対理由の第四は、患者申出療養の導入が混合診療の全面解禁に道を開くものであるからです。
 現在、保険外併用療法制度として、保険適用に至らない先進医療を保険診療と併用できる評価療養制度が存在するにもかかわらず、なぜ新たな制度を導入するのか、政府から合理的な説明は最後までなされませんでした。
 実験的な医療を含む先進医療について、現在の六か月という審査期間を、最初の実施では六週間、前例があれば二週間という超短期で承認し、施設基準もない医療機関でも実施し、適格基準から外れた患者にも適用して、果たして安全性が守られるのかについても納得のいく説明はなされませんでした。
 政府は、患者申出療養は将来の保険収載が大前提と繰り返しましたが、どれだけ保険収載されるのかの見込みも示せませんでした。
 参考人質疑では、名古屋大学の石黒直樹病院長は、審査体制と管理体制がないデータの信頼性は疑われる可能性がある、データの信頼性を持たないものが果たして保険収載のときに審議対象になるのかと指摘をしましたが、この疑問に答える説明は一切なされませんでした。
 このままでは、保険収載というゴールに至らない医療技術がどんどん増えていくのではないか、引込線がどんどん増えて保険の利かない医療が滞留していくことになるのではないか、そうなれば混合診療の実質的な解禁と一体どこが違うのか、こうした疑問を積み残したままやみくもに突き進むのは、余りにも無責任ではないでしょうか。
 以上のように、本案の内容は、社会保障費の自然増削減という安倍政権の路線の下、医療への国庫負担を抑制しながら、保険者、自治体を医療費削減へ駆り立て、患者負担増の一方で、医療の産業化の名で保険会社や製薬企業の利益を最優先にするものであります。まさに、国民皆保険に大穴を空け、土台から掘り崩す暴走と言わざるを得ません。
 衆参両院における本法案の審議中にも、財政制度等審議会や経済財政諮問会議では、医療、介護の次なる負担増、給付減が怒濤のように提案されています。参議院で法案が審議されている最中に、その成立を前提に次の課題を打ち出すなど、国会を愚弄するものにほかなりません。
 厚生労働委員会の審議では、全ての野党から問題点が指摘されました。かくも問題だらけの重大法案は廃案とすべきであり、全くもって不十分な審議のまま採決に付すことは断固反対であります。
 今、安倍政権は、小泉政権時代の社会保障自然増抑制路線を完全復活させつつあります。財務省は、社会保障自然増を五千億円までしか認めないとし、昨日の質疑で首相は、既に過去三年間、八千億円から一兆円と想定された自然増に対して、年間五千億円の伸びに抑えたことを誇らしげに語りました。社会保障のための消費税だと言って増税を強行する一方で、小泉政権の二千二百億円をはるかに上回る社会保障費削減を進める。国民へのだまし討ちのようなやり方を断じて許すわけにはまいりません。
 与党の皆さんは、かつての後期高齢者医療制度導入、生活保護の母子加算廃止や、医療崩壊、介護難民を出現させた社会保障切捨て政治が、国民の激しい怒りを呼び起こし、自民党政権を崩壊に至らしめたことをもう一度思い起こすべきではないでしょうか。
 安倍政権の無理無体な政治は、社会保障制度への攻撃だけにとどまりません。労働者派遣法大改悪、残業代ゼロ法案、そして憲法破壊の戦争法案。民意に背を向けた政治には、必ず国民の怒りの鉄槌が下ることになるでしょう。
 日本共産党は、安倍暴走政治と正面から対決をし、広範な国民と力を合わせ、新しい政治を築くたゆまぬ努力を続けていくことをお誓い申し上げまして、反対討論を終わります。(拍手)
#22
○議長(山崎正昭君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#23
○議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#24
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#25
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十八  
  賛成            百四十六  
  反対             八十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#26
○議長(山崎正昭君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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