2015/07/27 第189回国会 参議院
参議院会議録情報 第189回国会 本会議 第34号
#1
第189回国会 本会議 第34号平成二十七年七月二十七日(月曜日)
午後一時一分開議
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#2
○議事日程 第三十五号─────────────
平成二十七年七月二十七日
午後一時 本会議
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第一 我が国及び国際社会の平和及び安全の確
保に資するための自衛隊法等の一部を改正す
る法律案及び国際平和共同対処事態に際して
我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協
力支援活動等に関する法律案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
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#3
○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。日程第一 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案(趣旨説明)
以上両案について提出者の趣旨説明を求めます。国務大臣中谷元君。
〔国務大臣中谷元君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(中谷元君) ただいま議題となりました我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。まず、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
我が国を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえ、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態に際して実施する防衛出動その他の対処措置、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に際して実施する合衆国軍隊等に対する後方支援活動等、国際連携平和安全活動のために実施する国際平和協力業務その他の我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するために我が国が実施する措置について定める必要があります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
第一に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。
これは、防衛出動の対象となる事態として、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態を追加するほか、外国における緊急事態に際しての在外邦人等の保護措置を新設し、合衆国軍隊等の部隊の武器等の防護のための武器使用の規定を整備するものです。
第二に、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部改正について御説明いたします。
これは、国際平和協力業務の実施又は物資協力の対象として新たに国際連携平和安全活動を追加するほか、国際平和協力業務に、防護を必要とする住民、被災民その他の者の生命、身体等に対する危害の防止等の業務その他の新たな業務を加えるとともに、その他国際平和協力業務の実施等のために必要な事項を定めるものであります。
第三に、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律及び周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律の一部改正について御説明いたします。
これは、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態である重要影響事態に際して、適切かつ迅速に、後方支援活動、捜索救助活動、船舶検査活動その他の重要影響事態に対応するため必要な措置を実施するために必要な事項のほか、国際平和共同対処事態に対応して我が国が実施する船舶検査活動に関し必要な事項を定めるものです。
第四に、武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律及びその他の事態対処法制の一部改正について御説明いたします。
これは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態である存立危機事態への対処について、基本となる事項を定めるほか、武力攻撃事態等又は存立危機事態において自衛隊と協力して武力攻撃又は存立危機武力攻撃を排除するために必要な外国軍隊の行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置等について定めるなど、武力攻撃事態等又は存立危機事態の推移に応じて実施する措置について定めるものです。
第五に、国家安全保障会議設置法の一部改正について御説明いたします。
これは、これまで申し上げました関係法律の一部改正等を踏まえ、国家安全保障会議の審議事項及び同会議への必須諮問事項を拡充するものです。
そのほか、関係法律の所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。
次に、国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、かつ、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があるものに際し、当該活動を行う諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等を行うことにより、国際社会の平和及び安全の確保に資することができるようにするものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
第一に、基本原則として、政府が対応措置を適切かつ迅速に実施すること、対応措置の実施は武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならないこと、協力支援活動及び捜索救助活動は現に戦闘行為が行われている現場では実施しないものとすること、外国の領域における対応措置については当該対応措置が行われることについて当該外国の同意がある場合に限り実施するものとすることなどを定めております。
第二に、この法律に基づき実施される対応措置を協力支援活動及び捜索救助活動並びに国際平和共同対処事態に際して実施する船舶検査活動とし、これらの活動のいずれかを実施することが必要な場合には閣議の決定により基本計画を定めることとしております。
第三に、自衛隊による協力支援活動としての物品及び役務の提供の実施並びに捜索救助活動の実施等を定めております。
第四に、基本計画には、国際平和共同対処事態の経緯並びに国際社会の平和及び安全に与える影響、国際社会の取組の状況、我が国が対応措置を実施することが必要であると認められる理由その他対応措置の実施に関する基本的な方針、対応措置の種類及び内容、対応措置を実施する区域の範囲、外国の領域で対応措置を実施する場合の自衛隊の部隊等の規模等を定めることとしております。
第五に、内閣総理大臣は、基本計画の決定又は変更があったときは、その内容、また、基本計画に定める対応措置が終了したときは、その結果を、遅滞なく国会に報告しなければならないこととしております。
第六に、内閣総理大臣は、対応措置の実施前に、当該対応措置を実施することにつき、基本計画を添えて国会の承認を得なければならず、国会の承認を得た日から二年を経過する日を超えて引き続き当該対応措置を行おうとするときは、当該日の三十日前の日から当該日までの間に、当該対応措置を引き続き行うことにつき、基本計画及びそのときまでに行った対応措置の内容を記載した報告書を添えて国会に付議して、その承認を求めなければならないこととしております。
第七に、防衛大臣は、対応措置の実施に当たっては、自衛隊の部隊等の安全の確保に配慮しなければならないこととしております。
第八に、協力支援活動又は捜索救助活動の実施を命ぜられた自衛官は、自己又は自己とともに現場に所在する他の自衛隊員若しくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者等の生命又は身体の防護のために一定の要件に従って武器の使用ができることとしております。
以上が、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の趣旨でございます。
以上です。(拍手)
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#5
○議長(山崎正昭君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。山本順三君。〔山本順三君登壇、拍手〕
#6
○山本順三君 自由民主党の山本順三です。私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました平和安全法制について安倍総理の答弁を求めたいと思います。
衆議院では百十六時間もの審議が行われましたが、野党各党は、これが戦争法案である、徴兵制につながるなど情緒的な議論に終始し、時間は長くとも法案の必要性や中身についての真正面からの議論は十分ではありませんでした。これこそが、国民に法案の中身が伝わらず、理解を妨げた原因ではないでしょうか。
戦後七十年、我が国は平和国家として確固たる歩みを進めてまいりました。その矜持を持ちながら、更なる時代の変化に対応するのがこの平和安全法制です。
我が国の平和と安全にとって必要なものは、平和外交と抑止力の二つです。平和外交には、安倍総理がこれまで積極的に取り組まれてまいりました。もう一方の抑止力を高める、このことについては、今回の平和安全法制が極めて重要であるということであります。アメリカが世界の警察官の座を降り、世界情勢が流動化する今、日米同盟を強化し、抑止力を高める、それ以外にどんな方法があるのでしょうか。
民主党の皆さん、反対ならば、堂々と対案を出され、現状を見据えた徹底的な議論を尽くそうではありませんか。それが政権担当能力を示す野党第一党としての責任であります。それをせず、強行採決と称し、十分な審議時間を確保した採決を批判しても、自らの身に跳ね返るだけです。民主党政権でも数多くの強行採決があったことを指摘した上で、質問に移ります。
法案への賛否を議論する前提として、核実験、ミサイル開発を続ける北朝鮮、強引な海洋進出を進める中国、ISILのような国際テロ組織の活発化など、現在の安全保障環境について正確に認識する必要があります。当然、野党も認識されていると思いますが、我が国が置かれた安全保障環境の変化について、特に北朝鮮の動向及び中国の東シナ海、南シナ海での活動状況を含めて、総理の説明をお願いをいたします。
次に、こうした現状への対応策として、なぜ現在の法制では十分ではなく、切れ目のない平和安全法制整備が必要なのか、特に、個別的自衛権の拡大ではなぜ対応できないのか、国民の皆さんへ向けて丁寧な説明を求めます。
集団的自衛権については、衆議院の地方参考人質疑において、慶応大学の細谷教授からこんなお話がございました。かつてベルギーは中立を掲げ、周辺国の善意のみを信じ、軍事ではなく外交だけに頼って自らの平和を維持しようとしました。しかし、二度の大戦で、真っ先にドイツの侵略を受けてしまいました。そのため、ベルギーは、集団的自衛権の組織であるブリュッセル条約やNATOの創設で中心的な役割を果たしました。まさに戦争の反省から集団的自衛権の必要を知ったわけです。
現在では、世界のほとんどの国が集団的自衛権の行使を認めています。それがもし戦争につながるのであれば、世界は戦争国家だらけです。我が国の集団的自衛権行使は諸外国に比べ極めて限定的ですが、集団的自衛権を行使できる国は全て戦争国家なのか、本来なら野党各党にお伺いしたいところでありますが、総理にお伺いをいたします。
集団的自衛権以外でも、平和安全法制で可能となる活動は全て世界の主要国は当たり前に行っているものです。かつて湾岸戦争時に九十億ドルを拠出した日本の対応について、当時の国際社会の反応がどのようなものであったか、是非思い出していただきたい。日本は、国際社会における責任ある国家としてその役割をしっかりと果たしていかなければなりません。今回はそのための法整備でありますが、各国はどのように評価しているのか、実際の反応を伺います。
今回の法整備には、国際的な評価とは別に、国民の間に不安の声があるのも事実ですから、その不安を払拭するために何点か質問いたします。
まずは、アメリカの戦争に巻き込まれるのではないかという不安の声です。ホルムズ海峡にとどまらず、地球の裏側まで戦争に行くのではないか、テロ組織に狙われる国になるのではないかといった声もあります。
衆議院では、存立危機事態の定義について様々な議論がありましたが、集団的自衛権の行使が認められるには厳格な要件があります。一つ、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるとき、二、他に適当な手段がないと限られるとき、そして三番目は、必要最小限度の行使しか認められない、いわゆる武力行使の新三要件です。また、国際平和支援法に基づく他国軍への後方支援についても、例外なく国会の事前承認が必要であるという歯止めがございます。
歯止めというのは、強ければいいというものではなく、強過ぎると抑止力がそがれるというジレンマがあります。また、自衛隊員のリスクが高まるという議論も相当ありましたが、集団的自衛権によって抑止力を高めることは、先ほどのベルギーの例のように、国全体として戦争に巻き込まれるリスクを減らすのです。
こうした諸々の事情を説明せず、単に戦争に巻き込まれるという不安を一方的にあおっている一部野党の宣伝活動や報道、大変これは無責任であります。平和安全法制は戦争のリスクを減らすということを総理からも明確に御説明願いたいと思います。
次に、今回の法案が憲法違反ではないかという声もあります。我が国は、これまでも自衛隊法、PKO法、周辺事態法など数々の安全保障法制を整備してまいりました。そのたびに憲法違反だという主張がなされてきましたが、本当にそうだったでしょうか。
朝日新聞が調査したその結果で、回答した憲法学者の六割以上が、自衛隊は憲法違反かその可能性があると答えたそうです。自衛隊自体が違憲であれば、PKO法も周辺事態法も今回の平和安全法制も全て違憲となってしまいます。そうした前提を説明せずに、今回の法案だけが違憲であるかのような主張をすることは、これは一方的な情報操作ではないでしょうか。
そもそも、法律が違憲であるかを決めるのは、憲法学者でも内閣でも国会でもなく、最高裁です。その最高裁の唯一の判断は、憲法九条が禁止している武力の行使には自衛の措置は含まれないという砂川判決です。今回の法案は、集団的自衛権の行使を極めて限定的に認めることで、憲法に合致するものとなっています。こうした理解でよいのか、政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。
次に、今回の法案は徴兵制につながるという声もあります。これこそは、なぜそうなるのか全く理解ができない、根も葉もない、悪意に満ちた感情的、扇動的論理であります。大前提として、徴兵制は憲法上認められません。安倍総理も、これは何度も説明をしてこられました。憲法を改正するつもりだろうと言われますが、自民党の憲法改正草案でも徴兵制など全く考えておりません。
また、自衛隊には多くの志願者がいます。最新の防衛白書によれば、採用の倍率は、職種にもよりますが、主な種目では三・六倍から五十八倍に上ります。事実として、徴兵制の必要は全くないのであります。
今回の法案は、他の主要先進国はどこでもやっている活動を一部可能にするものです。
#7
○議長(山崎正昭君) 山本君、時間が来ております。簡潔に願います。#8
○山本順三君(続) それがなぜ、どこでもやっていない徴兵制につながるのか、私には全く理解ができません。徴兵制を主張する方には、今後の審議で是非御説明いただきたい。今回の法案は徴兵制にはつながらない、この点を改めて総理からも御説明ください。そして、説明不足という批判があることは……(発言する者あり)
#9
○議長(山崎正昭君) 御静粛に。#10
○山本順三君(続) 真摯に受け止めなければなりませんけれども、是非、総理として、今後どのように国民に説明していくのか、お考えを伺います。#11
○議長(山崎正昭君) 山本君、時間が超過しております。#12
○山本順三君(続) 最後に一言申し上げます。本法案を六十日ルールを使って衆議院で再可決するのではないかという話もありますが、これほど参議院を軽視した議論はありません。参議院が採決できないから衆議院でよろしく頼む、そんな事態になれば、参議院は無用だと自ら示すことにほかならず、与野党を問わず参議院の権威に関わるまさに存立危機事態であります。
#13
○議長(山崎正昭君) 山本君、時間が超過しております。#14
○山本順三君(続) 法案の必要性について、意見は違っても真正面から議論することで衆議院との違いを示そうではありませんか。そして、最後には必ず採決し、我々良識の府として参議院の意思を示そうではありませんか。この法案審議が参議院の存在自体が問われる審議であることを指摘して、私の質問を終わります。(拍手)#15
○議長(山崎正昭君) 山本君の発言につきましては、理事間の協議に基づき、速記録を調査の上、議長において適切に措置いたしたいと存じます。〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#16
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山本順三議員にお答えをいたします。我が国を取り巻く安全保障環境の変化についてお尋ねがありました。
我が国を取り巻く安全保障環境はますます厳しさを増しております。例えば、北朝鮮は、日本の大半を射程に入れる数百発もの弾道ミサイルを配備し、核兵器を開発をしています。東シナ海においては、中国が公船による領海侵入を繰り返しています。南シナ海においては、中国が活動を活発化し、大規模かつ急速な埋立てや施設の建設を一方的に強行しています。自衛隊のスクランブルの回数は、十年前と比べ約七倍に増えています。我が国周辺における中国軍やロシア軍の活動が大いに活発化しています。アルジェリア、シリア、そしてチュニジアで日本人がテロの犠牲となるなど、ISILを始めとして暴力的な過激主義が台頭しています。
このように、我が国を取り巻く安全保障環境は、昭和四十七年に政府見解がまとめられたときから四十年以上の年月を経て大きく変化しており、今や脅威は容易に国境を越えてきます。もはやどの国も一国のみでは自国の安全を守れない時代となっています。
法整備の必要性及び個別的自衛権の拡大で対応できない理由についてお尋ねがありました。
現在の法制度の下においては、例えば、日本のため公海上で警備、監視の任務に当たる米軍が武力攻撃を受けても、日本自身への武力攻撃がなければこれを守ることができない、我が国近隣で武力紛争が発生し、取り残された多数の邦人を米国の艦船が輸送している際に、その米船舶が武力攻撃を受けたとしても、自衛隊はこれを守ることができない、PKO参加中に自衛隊の近傍で我が国のNGOが武装集団に襲われた場合でも、自衛隊は駆け付けて助けることができないといった十分ではない点があります。何もできない、何もしない、果たしてこれでよいのでしょうか。
政府は、安全保障環境が大きく変わっている中において、国民の命と平和な暮らしを守るために必要な自衛の措置とは何かを考え抜き、あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行う責任があります。平和安全法制はそのために必要不可欠です。
また、個別的自衛権と集団的自衛権は、国際法上、明確に区分されています。本来、集団的自衛権を援用して対処すべき場合に、我が国独自の考えで個別的自衛権を拡大して対処することは、国際法違反のおそれがあり、また、いわゆる先制攻撃を行ったと評価されかねないものです。したがって、そのような考え方は採用できません。
集団的自衛権の行使と戦争国家についてのお尋ねがありました。
集団的自衛権は、国連憲章第五十一条において、国連加盟国の固有の権利であるとされています。現実にも、世界中のほとんどの国が、必要な場合に集団的自衛権を行使するとしています。
今回の法整備において、限定的な集団的自衛権の行使を認めることで、我が国が戦争国家になってしまうという主張があります。仮にその主張に従えば、そもそも世界中のほとんどの国は戦争国家であり、そのような固有の権利を認めている国連憲章も国際社会の平和と安全を乱すものであるということになってしまいます。現実の国際社会を見れば、このような主張が全くの誤りであることは明白であります。
平和安全法制に対する各国の評価についてお尋ねがありました。
平和安全法制や国際協調主義に基づく積極的平和主義の考え方については、私自身、外国訪問や各国首脳の訪日の際に、直接丁寧に説明をしてきています。これに対し、米国はもとより、豪州、ASEAN諸国、ヨーロッパ、中東、アフリカ、中南米の諸国を始め、圧倒的多数の諸国から、我が国が地域や世界の平和と安定に、より一層の貢献を行うものとして大きな支持をいただいています。今後とも、我が国の取組について各国に対して丁寧に説明をしていく所存であります。
平和安全法制による抑止力の向上についてお尋ねがありました。
今回の平和安全法制が実現すれば、国民の命と平和な暮らしを守るために、グレーゾーンから集団的自衛権に関するものまで、あらゆる事態に対して切れ目のない対応を行うことが可能となります。このように、平素からいざというときの備えをしっかりと行い、隙のない体制を整えることが、紛争を未然に防止する力、抑止力を高めることになります。そして、これにより日本が攻撃を受けるリスクを減少させることができます。
また、日本が攻撃を受ければ、米軍は日本を防衛するために力を尽くしてくれます。そして、今でも、日米安保条約の義務を全うするため、日本近海で適時適切に警戒監視の任務に当たっています。
しかし、現在の法制の下では、私たちのためその任務に当たる米軍が攻撃を受けても、私たちは日本自身への攻撃がなければ彼らを守ることはできません。平和安全法制の整備により、日本が危険にさらされたとき、日米同盟は完全に機能するようになります。さらに、それを世界に発信することによって抑止力は更に高まり、日本が攻撃を受けるリスクは一層下がっていくと考えます。
法案の合憲性についてお尋ねがありました。
昨年七月の閣議決定では、安全保障環境の大きな変化により、他国に対する武力攻撃であったとしても、我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得ることを踏まえ、新三要件に基づく限定的な集団的自衛権の行使は、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として憲法上許容されると判断するに至りました。
限定的な集団的自衛権の行使の容認について、憲法との関係では、昭和四十七年の政府見解で示した憲法解釈の基本的な論理は全く変わっていません。これは、砂川事件に関する最高裁判決の考え方と軌を一にするものであります。
砂川判決は、我が国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことと言わなければならないと述べています。個別的自衛権、集団的自衛権の区別を付けずに我が国が自衛権を有することに言及した上で、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとり得ることを認めたものであると考えています。
私たちは、厳しい現実から目を背けることはできません。現実に起こり得る様々な事態にどう対応するのか、我が国の置かれた環境を常に分析、評価し、砂川判決の言う必要な自衛の措置とは何かをとことん考え抜いていく責任があります。
今回、限定的な集団的自衛権の行使を容認しましたが、それはまさに砂川判決の言う自衛の措置に限られます。あくまでも国民の命と平和な暮らしを守ることが目的であり、他国を防衛することそれ自体を目的とするものではありません。
憲法の解釈を最終的に確定する権能を有する唯一の機関は最高裁判所であり、平和安全法制はその考え方に沿った判決の範囲内のものであり、憲法に合致したものであります。
徴兵制についてお尋ねがありました。
そもそも、徴兵制は憲法第十八条が禁止する意に反する苦役に該当するなど、明確な憲法違反です。徴兵制の導入は全くあり得ません。このような憲法解釈を変更する余地は全くありません。いかなる安全保障環境の変化があろうとも、徴兵制が本人の意思に反して兵役に服する義務を強制的に負わせるものという本質が変わることはありません。
更に申し上げれば、自衛隊はハイテク装備で固められたプロ集団であり、隊員育成には長い時間が掛かります。安全保障政策上も徴兵制は必要ありません。長く徴兵制を取ってきたドイツ、フランスも二十一世紀に入ってから徴兵制をやめており、今やG7諸国はいずれも徴兵制を取っておりません。
なお、国際的に見ても、集団的自衛権の行使の有無と徴兵制か志願制かは関係ありません。例えば、スイスは集団的自衛権を行使しないが徴兵制を採用しており、集団的自衛権の行使を前提とするNATO構成国である米、英、独、仏などは志願制の下で軍を維持しています。
総理大臣が替わっても、政権が替わっても、徴兵制の導入の余地は全くありません。どうか国民の皆様には安心していただきたいと思います。
国民に対する説明についてお尋ねがありました。
国民の皆様の様々な御意見に真摯に耳を傾けながら、今後の法案審議においても工夫を凝らして分かりやすく丁寧な説明を行うよう心掛けてまいります。
また、政府の立場としてではありませんが、自民党のインターネット動画を通じて、私より今回の法整備の趣旨を直接国民の皆様にシリーズで分かりやすく説明しているほか、党としても説明会を開くなど、様々な機会を捉えて国民の皆様に幅広い御支持が得られるよう引き続き努力を重ねてまいります。(拍手)
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#17
○議長(山崎正昭君) 北澤俊美君。〔北澤俊美君登壇、拍手〕
#18
○北澤俊美君 民主党の北澤俊美であります。私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました内閣提出の安全保障関連法案について、安倍総理に質問をいたします。
憲法違反の法律案、立憲主義を理解しない総理、この二つの組合せが今回の安全保障法制であります。したがって、国民はノーと言っているのであります。世代を超えておかしいと思っているのであります。学生や若いお母さんたちが不安と怒りを胸に町に繰り出しているのであります。
今回、政府は、昭和三十四年の最高裁砂川判決で集団的自衛権が認められていたという珍説を作り出しました。しかし、圧倒的多数の憲法学者が、本法案の集団的自衛権は憲法違反だと断じております。国民も、すぐさま政府説明のまやかしに気付きました。
私の半世紀に近い政治生活の中で、そんな話は聞いたことがありません。岸信介、田中角栄、大平正芳、中曽根康弘、竹下登、橋本龍太郎、小泉純一郎、共に私の尊敬する総理大臣経験者です。自民党政権のほとんどの総理が集団的自衛権は憲法上行使できないと述べてきました。砂川判決が集団的自衛権を認めていたのなら、歴代総理は憲法違反の発言を繰り返していたことになります。
昨年二月十二日の衆議院予算委員会で安倍総理は、解釈変更による集団的自衛権の行使容認についてこう述べました。最高の責任者は私だ、政府答弁に私が責任を持って、その上で私たちは選挙で国民の審判を受ける。勘違いも甚だしい。為政者が好き勝手にできないための一線を画すために憲法があるのであります。選挙で勝っても憲法違反は正当化できません。それが立憲主義であります。
次に総理は、選挙で勝ったことに解釈改憲の正当性を求めようとします。でも、昨年十一月二十一日、衆議院を解散した日の会見であなたは何と言いましたか。この解散はアベノミクス解散であります、アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか、それを問う選挙であります。これがあなたの発言であります。
しかも、自民党の選挙公約は、こそくにも閣議決定の引用でごまかし、集団的自衛権という言葉を使いませんでした。争点隠し以外の何物でもありません。これで集団的自衛権も選挙で認められたと強弁するあなたは、眼中人なしであります。御認識を伺います。
国民の理解が深まるどころか、疑問と懸念が募るのを見た総理は開き直ります。かつての日米安保改定やPKO法案審議の際も反対が多かったことを挙げ、今では十分に国民的理解を得ている、法案が実施される中で理解が広がると述べました。
安保法案に対して今は国民の理解を得られていなくてもいい、とにかく法案を通して既成事実化すれば国民は後から付いてくると言わんばかりの発言であります。あなたに未来の民意を独占する資格はありません。総理の御見解があれば伺います。
憲法違反の指摘が増えてくると、総理は、自衛隊を創設したときは個別的自衛権すら憲法違反と批判する意見が主流だったが、今は多くの人が信任していると言うようになりました。しかし、当時と今回を同列に論じるのは詭弁であります。当時はまだ憲法制定から日が浅く、憲法解釈が十分に定まっていませんでした。これに対し、集団的自衛権行使が憲法上できないことは、戦後の歴史を通じて半世紀以上、国内的にも国際的にも評価が固まっています。
何よりも、国家に先天的に付与された自然権的権利である個別的自衛権に対し、集団的自衛権は他国との同盟などの密接性によって後天的に導かれるものであります。その性質は根本から異なります。後者も時間がたてば合憲と思われるようになると主張するのは、知的退廃にほかなりません。
総理、あなたは政治家として本当に責任を果たすつもりがあるなら、集団的自衛権の行使を可能にする憲法改正を正々堂々と掲げ、国民の信を問えばよい。それが王道であります。それなら憲法も立憲主義も傷つくことはありません。
ところが、総理は、憲法解釈の変更という言わば抜け道を選び、国会での数に頼るという覇道を邁進しています。抜け道と覇道の行き着くところ、憲法の法的安定性は大きく損なわれます。
安倍政権には、国民に誠実に説明しなければならないという気持ちが希薄であります。国会で何時間審議しても、政府が沈黙している部分にこの法案の危険が潜んでいる、この事実を私は強く危惧します。
例えば、対ISIL作戦への自衛隊派遣であります。総理は、後方支援をすることは全く考えていないと言いますが、中谷防衛大臣は、今回の法律案によって、要件を満たせば理論上、対ISIL作戦への後方支援が可能になると答弁しました。つまり、法案成立後、安倍総理の気が変われば、自衛隊をISILとの戦いに派遣することもあり得るということであります。しかし、政府は、法案への反対が増えることを恐れ、都合の悪いことには触れようとしません。本法案の成立によって対ISIL作戦での後方支援が法律上可能になるのか否か、改めて総理の見解を伺います。
総理は、パネルまで使って、邦人輸送中の米艦を守らなければならない、だから存立危機事態、すなわち集団的自衛権の行使が必要だと力説します。六月二十六日の衆議院特別委員会で我が党の岡田代表の質問に答えた総理は、存立危機事態となるのは米艦艇が武力攻撃を受けた場合だと説明しました。しかし、七月十日の質疑では、米艦艇への攻撃の明白な危険の段階で存立危機事態になると答弁しています。米艦への攻撃が実際にあった段階なのか、明白な危険の段階なのか、どの時点で存立危機事態と認定できるのかという基本的事項に関してすら、この一貫性のない答弁です。政府が制度を恣意的に運用するリスクについて懸念せざるを得ません。
法案では、存立危機事態において我が国が武力を行使できるのは、存立危機武力攻撃の排除に必要な範囲に限られます。邦人輸送中の米輸送艦の防護の例について、いつ、どのような状況において存立危機事態となるのか、その場合の存立危機武力攻撃とは何なのか、明確に説明してください。
存立危機事態は従来の武力攻撃事態等と重なる場合が多いという政府の説明に従えば、存立危機事態なるものが真に必要になるのは、従来の武力攻撃事態等とは重ならない、従来の武力攻撃事態等では対応できない事態ということになります。それは一体、いかなる場合なのか、どのような地域におけるものなのか、類型的に明らかにしていただきたい。
参議院質疑の初日に当たり、昭和二十九年、本院で、自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議が採択されている事実を私はここにおいて強調しておきたいと思います。
安倍政権においても、新三要件に該当する場合であっても、原則として他国の領域で武力の行使を行ういわゆる海外派兵は行わないとしています。その一方で、総理は、ホルムズ海峡における機雷掃海は唯一の例外であると答弁しています。
我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるにもかかわらず、外国の領域で我が国が武力行使する事例は、政府の考えとして、ホルムズ海峡における機雷掃海以外に本当にないのでしょうか。ホルムズ海峡で機雷掃海をしたくても上空を敵戦闘機に制せられていて掃海活動ができないときはどうするのか。そもそも、イランの核問題に前進が見られた今日の状況を踏まえれば、ホルムズ海峡の事例は立法事実たり得ないのではないでしょうか。
以上三点について、見解を明確にお述べください。
存立危機事態は、日本の施政下にある領域における武力攻撃への共同対処を定めた日米安保条約第五条の適用範囲ではありません。したがって、存立危機事態では、米国からの要請によって日本自身が武力行使するにもかかわらず、在日米軍基地から米軍が戦闘作戦行動を行うことは、あなたの最も尊敬するおじいさん、岸・ハーター交換公文に基づく事前協議の対象となります。これは極めてちぐはぐな状況であります。これはまさに欠陥法案であります。総理はこの点についてどう考え、どう対応するつもりでしょうか。
安倍総理、あなたは未来永劫総理大臣の職にあるわけではありません。しかし、自衛隊という組織はこれからも自衛隊であり続けます。自衛隊が実力を行使したという事実は、自衛隊が組織として存続する間、消えることはありません。法的安定性が重要なのはこのためであります。
総理は、閣議決定と強行採決により、憲法九条の重要な解釈を変更しようとしています。しかし、将来別の内閣があなたの解釈変更を否定したら、また法律を改正すれば済むという問題ではありません。憲法違反の行為を行っていたことになる自衛隊、そして自衛隊員の心情を総理はどのように考えるのか、お聞かせください。
ただいまも対案について発言がありました。そもそもこの法案は憲法違反であります。国民が求めているのは、対案ではなく廃案であります。十本の法律を一本にまとめて、さあ対案を出せなどという毛針の戦略にはくみしません。
四月二十八日、我々は、安全保障法制に関する民主党の考え方を党議決定しました。その大原則は、憲法の平和主義を貫き、専守防衛に徹することであります。
その一つは、近くは現実的に。離島など我が国の領土が武装漁民に占拠されるといった、いわゆるグレーゾーン事態への切れ目ない対応を可能とするため、領域警備法を制定します。
国民の命と平和な暮らしを守るために必要なのは、専守防衛の理念に基づく個別的自衛権であり、安倍政権が進める集団的自衛権の行使が必要とは考えておりません。我が国の個別的自衛権に関する考え方は、従来から、座して死を待てというものではありません。相手方の武力攻撃の着手の評価を再検討することにより、朝鮮半島を含めた近くの有事には個別的自衛権で確実に対応してまいります。周辺事態についても協力内容を一部充実させます。
二つ目は、遠くは抑制的にであります。周辺事態はあくまで日本周辺の事態に限定します。中東やインド洋、世界の果てまで自衛隊が米軍に付いていくことはしません。
三つ目は、人道支援は積極的に。PKO法を改正し、国際貢献できる分野を拡充します。PKO以外の国際貢献については特措法で対処します。
日本の強さは、精強な自衛隊員の努力やたゆまぬ外交によってのみ実現するのではありません。国家統治の柱である憲法の下、立憲主義と平和主義がしっかり機能してこそ、国民は団結し、諸外国も日本に信頼を寄せるのであります。
アメリカ合衆国建国の父の一人であり、米海軍の創設者でもあるジョン・アダムズは、憲法は、それが理解され、承認され、愛される場合には、規範であり、柱であり、きずなである。しかし、このような理知と愛情がなければ、それは空に揚げられたたこか……
#19
○議長(山崎正昭君) 北澤君、時間が超過いたしております。#20
○北澤俊美君(続) 気球も同然であろうと述べておられます。このまま参議院で政府の安全保障法案が通れば、憲法は理知と愛情を失います。憲法をたこにしてはなりません。安倍総理、歴史に率直に立ち向かいましょう。「きけわだつみのこえ」はもう二度と編さんさせないと誓うべきです。
参議院が最後のとりでであります。我々は、良心を懸け廃案を目指して闘います。
御列席の議員諸氏に申し上げます。党派にかかわらず、参議院の良識を見せていただくよう強くお願いをして……
#21
○議長(山崎正昭君) 北澤君、時間がかなり超過いたしております。#22
○北澤俊美君(続) 私の質問を終わります。(拍手)〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#23
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 北澤俊美議員にお答えをいたします。さきの総選挙において限定的な集団的自衛権の行使について争点となったのかとお尋ねがありました。
さきの総選挙では、昨年七月一日の閣議決定に基づき、平和安全法制を速やかに整備することを明確に公約として掲げました。選挙戦において、累次にわたり行われた党首討論会では、毎回、限定的な集団的自衛権の行使を始めとする平和安全法制について非常に活発な議論が行われました。
このように、平和安全法制が総選挙での主要な論点の一つであったことは明らかであり、総選挙において国民の皆様から強い支持をいただいたと考えています。したがって、眼中人なしとの指摘は当たりません。
平和安全法制に対する国民の理解についてお尋ねがありました。
私が日米安保条約の改定やPKO法の制定時のことについて述べたのは、当時も憲法違反や戦争に巻き込まれるといった批判が噴出しましたが、そうした批判が全く的外れなものであったことはこれまでの歴史が証明しているからであります。国民の命と平和な暮らしを守り抜くための今回の法案の必要性についても、これまでと同様、必ずや国民の皆様に正しく御理解をいただけるものと考えています。
政府としては、多くの国民の皆様に法案の趣旨を御理解いただき、幅広い御支持が得られるよう、今後の参議院における法案審議等において分かりやすく丁寧な説明を行うよう引き続き努力を重ねてまいります。
ISILに対する作戦への後方支援についてお尋ねがありました。
国際平和支援法の下で我が国が後方支援を行うためには、要件となる国連決議の存在に加えて、我が国が国際社会の一員として主体的かつ積極的に寄与する必要があるかを含め、法律に定めた要件を満たすか否かを個別具体的に判断し、かつ事前に国会の御承認をいただく必要があります。
その上で申し上げれば、政府としては、政策判断として、ISILに対する軍事的作戦を行う有志連合に参加する考えはなく、ISILに対する作戦への後方支援を行うことは全く考えていません。これは、今回の法案が成立した後であっても不変です。
我が国は、今後とも、難民、避難民に対する食糧・人道支援など我が国ならではの人道支援を拡充し、非軍事分野において国際社会における我が国の責任を毅然として果たしていく考えであります。
邦人輸送中の米艦防護の事例についてお尋ねがありました。
在留邦人を乗せた米国の船舶が武力攻撃を受ける事例については、二月十六日の衆議院本会議における答弁を含め、従来より、政府は一貫して、我が国近隣で武力紛争が発生し、米国も武力攻撃を受けている、攻撃国の言動から我が国にも武力攻撃が行われかねない、このような状況においては、取り残されている多数の在留邦人を我が国に輸送することが急務になる。そのような中、在留邦人を乗せた米国船舶が武力攻撃を受ける明白な危険がある場合は、状況を総合的に判断して、存立危機事態に当たり得るということを説明しているものであります。
いずれにせよ、存立危機事態を判断するに当たっては、あくまでも様々な要素を総合的に判断する必要があることは、これまでも繰り返し申し上げているとおりであります。
また、存立危機武力攻撃とは、存立危機事態が認定された場合における我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃であって、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるものをいいます。すなわち、存立危機事態において、我が国が排除し得る他国に対する武力攻撃のことであることから、どのような状況を我が国が存立危機事態として認定しているかによって異なります。
その上で、邦人輸送中の米艦防護の事例について申し上げれば、これが存立危機事態と認定されているとの前提に立つならば、米艦艇に対する攻撃は存立危機武力攻撃に含まれるものと考えられます。
存立危機事態と武力攻撃事態等との関係についてお尋ねがありました。
存立危機事態と武力攻撃事態等とは、それぞれ異なる観点から評価される観念であるため、ある状況についてそれぞれの観点から評価した結果、存立危機事態と武力攻撃事態等のいずれの事態にも該当することがあり得ます。
現実の安全保障環境を踏まえれば、存立危機事態に該当するような状況は、同時に武力攻撃事態等にも該当することが多いと考えられますが、異なる二つの事態が併存しているということであります。従来の武力攻撃事態等だけでは、もはや我が国の存立を全うするための対応はできないと考えています。
また、存立危機事態に認定されるような場合が、同時に我が国に対する武力攻撃が予測あるいは切迫しているとは認められないこともあり得ます。
具体的にどのような場合があり得るかについては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断するものであり、一概にお答えすることは困難でありますが、あえて申し上げれば、ホルムズ海峡で機雷が敷設される事例は、存立危機事態には該当しても武力攻撃事態等には該当しない場合として想定されます。
ホルムズ海峡での機雷掃海についてお尋ねがありました。
武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる海外派兵は、一般に、自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解してきています。このような従来からの考え方は、新三要件の下、集団的自衛権を行使する場合であっても全く変わらず、新三要件から論理必然的に導かれるものです。
繰り返し答弁しているとおり、外国の領域における武力行使については、ホルムズ海峡での機雷掃海のほかに現時点で個別具体的な活動を念頭には置いていません。
また、自衛隊が武力行使を目的として、かつての湾岸戦争での戦闘、すなわち大規模な空爆や砲撃を加えたり敵地に攻め入るような行為に参加することは、必要最小限度の自衛の措置の範囲を超えるものであって、憲法上認められるものではありません。したがって、航空優勢、海上優勢を確保するために大規模な空爆などを行うことは新三要件を満たすものではないと考えています。
なお、軍事技術が高度に発達した今日の安全保障環境の下では、海上優勢、航空優勢を常に押さえられ、安全が全く確保できない状況が長期間続くといった仮定を置くことは適切でないと考えています。状況が変化して安全を確保できる状況となった場合は機雷掃海を行うこととなります。
さらに、イランの核問題に前進が見られるとの御指摘がありましたが、そもそも特定の国がホルムズ海峡に機雷を敷設することを想定しているわけではありません。また、特定の二国間関係や国際情勢のみを念頭に存立危機事態を設けるものではありません。ホルムズ海峡を擁する中東地域においても安全保障環境がますます厳しさと不透明性を増す中で、あらゆる事態に万全の備えを整備していくことが重要であると考えています。
存立危機事態と日米間の事前協議との関係についてお尋ねがありました。
日米間では、岸・ハーター交換公文により、日米安全保障条約第五条の規定に基づいて行われるもの、すなわち我が国に対する武力攻撃の場合を除き、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は事前協議の対象であります。
存立危機事態を含め、我が国に対する武力攻撃が発生していない場合に米軍がかかる行動を取るときは事前協議が行われることとなります。これは、日米安全保障条約及びその関連取決めに基づくものであり、ちぐはぐな状況の御指摘は当たりません。
政府としては、引き続き、日米安全保障条約及びその関連取決めに基づき適切に対応してまいります。
法案に基づき活動する自衛隊員の心情についてお尋ねがありました。
憲法の解釈を最終的に確定する権能を有する唯一の機関は最高裁判所であり、平和安全法制はその考え方に沿った判決の範囲内のものであり、憲法に合致したものであります。このため、法案に基づき活動する自衛隊の行為が憲法違反になることはありません。
今後とも、自衛隊員は、国民の命と平和な暮らしを守るために任務を全うすべく全力を尽くしてくれるものと考えております。(拍手)
─────────────
#24
○議長(山崎正昭君) 荒木清寛君。〔荒木清寛君登壇、拍手〕
#25
○荒木清寛君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました平和安全法制整備法案並びに国際平和支援法案の二法案、すなわち平和安全法制について、安倍総理に質疑をいたします。平和安全法制は、衆議院特別委員会での百十六時間という長時間の審議を経て衆議院から参議院に送付されました。しかし、残念ながら国民の理解はまだ深まっていません。
国民の理解を進めるために、参議院の審議では総理及び閣僚は丁寧で真摯な答弁に努めること、また、安倍総理におかれては、あらゆる機会を利用して国民への説明を尽くすことを求めたく、お答え願います。公明党も、本院での審議において議論の工夫と努力を重ねることを決意しております。
そこで、まず、なぜ今平和安全法制が必要なのか、お尋ねします。
昨年七月一日の「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」の閣議決定は、我が国を取り巻く安全保障環境は根本的に変容し、更に変化し続けていることを指摘しています。
具体的には、「冷戦終結後の四半世紀だけをとっても、グローバルなパワーバランスの変化、技術革新の急速な進展、大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発及び拡散、国際テロなどの脅威により、アジア太平洋地域において問題や緊張が生み出されるとともに、脅威が世界のどの地域において発生しても、我が国の安全保障に直接的な影響を及ぼし得る状況になっている。」と記述しています。私たちはこの認識を共有いたします。
衆院特別委員会の参考人質疑では、民主党政権下で防衛大臣を務めた森本敏教授が、二〇〇六年頃から東アジアにおける構造的な変化が起きているとして、この地域における安全保障環境の近年の急速な変化について指摘されました。極めて重要です。こうした根本的な変化に対応するためには、我が国の安全保障の基軸である日米防衛協力体制を強化し、その信頼性を向上させる以外にはありません。そのための今回の法制の整備であると確信しています。
そこで、総理、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることを具体的に説明してください。さきの閣議決定に言うグローバルなパワーバランスの変化とはどういう意味なのか、軍事技術の高度化によりどのような事態が生じているのかを含めて、分かりやすく御説明ください。その上で、平和安全法制をなぜ今成立させなければならないのか、お答え願います。
次に、では、国民の命と平和を守るための方策は何であるのか、お尋ねします。
戦後七十年間、我が国は日本国憲法の下で平和国家として歩み続けてきました。専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならず、非核三原則を守るとの基本原則を堅持してきました。この根幹は一切変えるべきではありません。総理はどうお考えですか、お答えください。
その前提に立って、国民の命と暮らしをいかにして守るのか、公明党は議論を重ねました。言うまでもなく、いかなる紛争も平和外交によって国際法に基づく解決を行うことが根本です。そこで、公明党も、人間の安全保障の理念に基づく平和外交を与党として一貫して推進してきました。この点、総理は積極的平和外交を掲げておられ、心強く思います。平和外交の一層の実践についての総理の決意をお尋ねします。
中でも、日中及び日韓関係の改善は急務です。首脳同士が胸襟を開いて粘り強く対話を進めることを始め、両国との関係改善をいかに図るのか、総理の決意をお聞かせください。
国民の命と暮らしを守るためには、外交努力に加えて、万が一への備えも怠ることは許されません。そのための抑止力、すなわち紛争を未然に防止するための法整備が平和安全法制です。
今回の平和安全法制の整備は、原理、原則、そして視点の三段階で成り立っていることを公明党は指摘をしてまいりました。
原理とは、戦争の放棄を定めた憲法九条、また、幸福追求権を定めた憲法十三条との適合性を保つこと。原則とは、自衛隊という実力組織を出す以上は明確な法律上の根拠が必要であることです。そして、視点とは、制度があって要件が満たされれば必ず自衛隊を派遣するものではなく、その時々の適切な政策判断があるべきだという点です。
その政策判断のための視点として、第一に、国益、国際情勢、国内世論などを踏まえた我が国の主体的判断であること、第二に、自衛隊の能力、装備、経験などに照らして自衛隊にふさわしい役割であること、第三に、平和外交努力、すなわち非軍事の貢献や外交交渉と相まっての判断であることの三点が重要です。
法の施行に当たっては、この三つの視点に基づく慎重な政策判断を政府の方針とすべきであります。総理の見解をお尋ねします。
次に、存立危機事態についてお尋ねします。
他国に対する武力攻撃に対し我が国が武力をもって対処しなければ、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が国民に及ぶことが明らかな事態が存立危機事態です。
従来は、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるのは、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られると認識されてきました。しかし、現在の安全保障環境に照らして慎重に検討した結果、他国に対する武力攻撃を契機とする場合であっても、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合があり得ることについて、公明党は政府と認識を共有するに至りました。そうした存立危機事態とは具体的にどのような場合であるのか、国民が納得できるように、総理に説明を求めます。
そして、この存立危機事態に対処するために、憲法九条の下で許される自衛の措置としての厳格な新三要件を定めたのであります。新三要件はあくまでも自国防衛のための要件であって、憲法の専守防衛の大原則の枠内であることを改めて総理から御説明願います。
次に、外国軍隊への補給や輸送などの後方支援及び国際平和協力法の改正についてお尋ねします。
重要影響事態安全確保法案と国際平和支援法案に基づく後方支援活動の実施、そして国際的な平和協力活動への参加について、自衛隊の海外派遣が政府の自由になり、無制限な派遣とならないか懸念する声が国民の間にはあります。
そこで、公明党は、自衛隊の海外派遣三原則を与党協議の中で提起をいたしました。すなわち、第一に国際法上の正当性の確保、第二に国民の理解と国会関与など民主的統制の実現、第三に自衛隊の安全確保です。この三原則が今回の法制に具体的にどう盛り込まれているか、御説明ください。
特に国会承認については、我が党の強い主張により、国際平和支援法案では例外なき事前承認とされたところ、他の場合の国会承認についても極力事前承認とすべきです。また、国会承認に際しては、その判断の基礎となる十分かつ詳細な情報を政府は提供する必要があると考えますが、いかがですか。さらに、後方支援について、防衛大臣は自衛隊の部隊等が円滑かつ安全に活動することができるよう実施区域を指定するとされています。具体的にどのような地域を指定するのでしょうか。これらの点について答弁を求めます。
間もなく終戦から七十年を迎えます。憲法前文の不戦の誓い、すなわち戦争の悲惨を誰にも味わわせてはならないとの誓いを新たにし、そうした姿勢でこの重要法案の審議に公明党は臨むことを申し上げ、私の質疑といたします。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#26
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 荒木清寛議員にお答えをいたします。国民に対する説明についてお尋ねがありました。
平和安全法制は、我が国を取り巻く安全保障環境がますます厳しさを増す中で、憲法九条の範囲内で国民の命と平和な暮らしを守り抜くために不可欠な法案です。政府としては、国民の皆様の様々な御意見に真摯に耳を傾けながら、今後の参議院における法案審議においても工夫を凝らして分かりやすく丁寧な説明を行うよう心掛けてまいります。
また、政府の立場としてではありませんが、自民党のインターネット動画を通じて、私より今回の法整備の趣旨を直接国民の皆様にシリーズで分かりやすく説明しているほか、党としても説明会を開くなど、様々な機会を捉えて国民の皆様に幅広い御支持が得られるよう引き続き努力を重ねてまいります。
我が国を取り巻く安全保障環境と平和安全法制の必要性についてお尋ねがありました。
グローバルなパワーバランスの変化がアジア太平洋地域でも起きています。具体的には、中国が地域や国際社会における存在感をますます高める一方、米国は依然として世界最大の総合的な国力を有する国であるものの、国際社会における相対的な影響力は変化しています。
中国の公表国防費は、一九八九年以降、ほぼ毎年二桁の伸び率を記録し、過去二十七年間で約四十一倍となっており、今年度においては中国の国防費は日本の防衛予算の三・三倍に達しています。
東シナ海においては、尖閣諸島周辺海域において中国公船による領海侵入が繰り返されています。南シナ海においては、中国が活動を活発化し、大規模かつ急速な埋立てを一方的に強行しています。
また、軍事技術の高度化により、例えば北朝鮮は日本の大半を射程に入れる数百発もの弾道ミサイルを配備し、発射されればおよそ千キロメートルを約十分で到達できる状況になっています。また、北朝鮮は、二〇〇六年以降三回の核実験を繰り返し、ミサイルに搭載できる核兵器の開発を進めているなど、地域の安全保障に与える脅威が深刻化しています。
このように、我が国を取り巻く安全保障環境は、昭和四十七年に政府見解がまとめられたときから想像も付かないほどに大きく変化しており、もはやどの国も一国のみでは自国の安全を守れない事態となりました。
平和は唱えるだけでは実現しません。平和安全法制は、安全保障環境がますます厳しさを増している中において、国民の命と幸せな暮らしを守るため、そして、そのために地域や世界の平和と安定の確保により一層積極的に貢献していく上で必要不可欠なものであります。
専守防衛、非核三原則など、我が国の平和国家としての歩みについてお尋ねがありました。
我が国は、日本国憲法の下、戦後一貫して専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本方針を堅持してきました。こうした我が国の平和国家としての歩みは、国際社会において高い評価と尊敬を勝ち得てきております。我が国の平和国家としての歩みは、これからも決して変わることはありません。今回の平和安全法制の整備により、我が国の平和国家としての歩みをより一層確固たるものにしてまいります。
積極的平和外交の一層の実践と日中・日韓関係の改善についてお尋ねがありました。
まず、外交を通じて平和を守ることが重要なのは言うまでもありません。我が国の平和と安全を確保するために、私は近隣諸国との対話を通じた外交努力を重視しています。実際、私は、総理就任以来、地球儀を俯瞰する視点で積極的な外交を展開してまいりました。
そして、法の支配を重視する立場から、主張するときは国際法にのっとって主張すべき、武力の威嚇や力による現状変更は行ってはならない、問題を解決する際は平和的に国際法にのっとって解決すべきとの三原則を国際社会で繰り返し主張し、多くの国から賛同を得てまいりました。
中国とは、習近平国家主席との二度にわたる首脳会談を通じ、戦略的互恵関係の考え方に基づいて関係を改善していくことで一致しています。日本と中国は地域の平和と繁栄に大きな責任を共有しており、今後も様々なレベルで対話を積み重ねながら、安定的な友好関係を発展させ、国際社会の期待に応えていきたいと考えています。
韓国とも、日韓国交正常化五十周年を迎え、関係改善に向けて話合いを積み重ねてきています。隣国ゆえに日韓間には難しい問題がありますが、だからこそ前提条件を付けずに首脳レベルでも率直に話し合うべきです。私の対話のドアは常にオープンであります。
今後とも、積極的平和主義の下、全力で平和外交を展開をしていく決意であります。
平和安全法制の施行に当たっての政策判断の視点についてお尋ねがありました。
議員御指摘のとおり、平和安全法制が整備されても、法律の要件が満たされれば必ず自衛隊を派遣するわけではありません。平和安全法制に基づき実際に自衛隊が活動するに当たっては、慎重に政策判断を行っていくこととなります。
政策判断を行うに際しては、我が国の主体的判断であること、自衛隊の能力、装備、経験等に照らして自衛隊にふさわしい役割であること、その前提となる外交努力を尽くすこと等を重要な視点として慎重に政策判断を行ってまいります。
存立危機事態及び専守防衛についてお尋ねがありました。
存立危機事態とは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生するだけではなく、これにより、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態です。
具体的には、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合において、そのままでは、すなわち、その状況の下、武力を用いた対処をしなければ国民に我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況をいいます。
存立危機事態において、新三要件の下で許容されるのは、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち我が国を防衛するための自衛の措置としての武力の行使に限られます。これは、他国を防衛することそれ自体を目的とするものではなく、あくまでも憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢である専守防衛の枠内であることは言うまでもありません。
海外派遣の三原則、国会承認、情報提供及び後方支援における実施区域の指定についてお尋ねがありました。
今回の平和安全法制の整備に当たっては、公明党が提示され、本年三月の与党協議会で合意された三原則、すなわち、自衛隊の活動が国際法上の正当性を有すること、国会の関与等の民主的統制を適切に確保すること、自衛隊員の安全確保のための必要な措置を定めることを明確に法律に定めています。
具体的には、国際平和支援法やPKO法において、国連や国際機関の決議や要請等がある場合にのみ自衛隊を派遣できること、国際平和支援法では、例外なく事前の国会承認を要すること、PKO法では、停戦監視等の業務につき原則事前の国会承認を要すること、両法において、自衛隊員の安全確保に対する配慮を義務付けることなどの内容を具体的かつ明確に規定しています。
特に国会承認について、今般の安全保障法制の中には、事前の国会承認により難い場合に事後承認が認められているものもあります。そのような手段が認められているものについても、原則はあくまで事前承認であることから、政府として可能な限り国会の事前承認を追求していく考えであります。
また、自衛隊の活動の実施に関する情報の開示について、政府としては、国会及び国民の御理解を十分にいただけるよう、可能な限り最大限の情報を開示し、丁寧に説明する考えです。
後方支援における実施区域の指定に関しては、今現在戦闘行為が行われていないというだけでなく、自衛隊の部隊等が現実に活動を行う期間について戦闘行為がないと見込まれる場所を指定します。したがって、攻撃を受けない安全な場所で活動を行うことは従来と変更ありません。(拍手)
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#27
○議長(山崎正昭君) 小野次郎君。〔小野次郎君登壇、拍手〕
#28
○小野次郎君 維新の党の小野次郎です。私は党を代表して、ただいま趣旨説明があった政府提出二法案について、安倍総理に質問させていただきます。
まず、法案提出者であり、与党の代表でもある立場として、衆議院における強行採決についてどのように受け止めているのか、伺います。
次に、参議院で審議を始めるのに当たって、本院で再び強行採決や憲法上六十日ルールによる衆議院再議決という強硬手段は取らないとお約束いただきたい。この点について御認識を伺います。
次に、様々な世論調査において、ほとんどの国民が政府の法案内容の説明が十分でないと答えています。それだけでなく、国民の過半数が法案の内容に憲法違反の疑いがあると認識し、その結果、法案に対しても賛成より反対意見の方がダブルスコアに上る異様な事態となっています。この傾向は、五月十五日の法案の国会提出以降、いずれの数字も一向に改善しないだけでなく、衆議院での強行採決の後は、憲法違反の法案に反対するという国民世論はますます顕著になっています。本院での審議を見詰めるこうした厳しい国民世論をどのように認識しておられるのか、お伺いいたします。
次に、先日、報道機関に圧力を掛ける趣旨の発言をした自民党議員が批判を受け、党内で処分を受けました。これは当然です。政治が報道内容に介入することは慎むべきであるとともに、報道機関の中立公平性を保障することが極めて重要です。
さて、総理は、二十日にフジテレビ、二十一日には日本テレビと、連日出演して、一方的に政府案のみを説明する番組を放映させました。野党の見解や法案への反対意見の側に平等、公平な機会を提供することなく、政府が自らの権威や権力をかざして長時間の独占番組を組ませる行為は、圧力容認の発言をした議員と同じ発想と言わざるを得ません。現実に放映させたという点を捉えれば、単に容認する発言をしただけの議員よりもかえって責任は重大であると考えますが、総理の御認識を伺います。
次に、政府案の法律十本を一束ねにした法案提出については、個別の法案には賛成できる立場の方からも慎重かつ円滑な審議を妨げているとの強い批判があります。これに対する受け止めと、本来の十本にばらして出し直すお考えがないか、お伺いいたします。
次に、法案の国会提出前に、安倍総理は、米国大統領、議会に向かって今国会における法案の成立を公約しました。何よりもまず、我が国の国会と国民に理解を求めるという配慮がみじんも感じられないという批判について、今の時点での御認識を伺います。
次に、政府案は、どこのどのような軍事的脅威に対して日本政府としてどのような対応を取ることを想定しているのか、国会と国民に向けてもっと腹を割った率直な説明を行う方が理解が進むと考えますが、これから始まる参議院の審議に向けた姿勢をお尋ねいたします。
次に、今回の政府案は、衆議院での二か月にわたる審議を通じても、法案提出者以外には理解や賛同が広がる気配が全く見られません。二か年を掛けて野党第一党及び第二党との合意を経て成立した有事法制と比べてみても、このままでは、将来政権交代が生じた際にそのまま受け入れられるとは到底考えられませんが、この点についての御認識を伺います。
次に、憲法は、国の存立と我々の生存を自衛する権利を認めており、憲法を守って国が滅んだら元も子もないというような議論は余りにも子供じみています。むしろ、憲法適合性が保障されないままでは安保法制議論そのものが土台から成り立たないと考えますが、御認識をお伺いします。
次に、憲法学者や法制局長官経験者らが違憲の理由として指摘する主要な論点のそれぞれに対して、政府部内でどのような反論を用意したのか、検討内容を御説明願います。
次に、政府が根拠の一つとしている砂川判決から集団的自衛権の合憲性を導き出すことが困難であることについては、これまでに法律家である与党公明党山口代表を含めてほとんどの法律専門家が指摘しているところであります。専門家に受け入れられていないこのような憲法及び法律の解釈で押し通して将来にわたって法的安定性は確保できるのか、どうお考えなのか、御認識をお伺いしたいと思います。
次に、国際法の通説によれば、自国防衛は個別的自衛権、他国防衛は集団的自衛権と明確に整理されています。政府案の存立危機事態について、自国防衛のための集団的自衛権の行使という考え方自体が自己矛盾に陥っています。政府案のままでは、自国防衛をうたいながら常に他国防衛への濫用のおそれが排除されません。そして、国内での説明を正確に丁寧に伝えれば伝えるほど、国際的には、まるで手品のような解釈だとしか受け取られないと考えますが、この点の御認識をお伺いします。
次に、集団的自衛権に関する国際法上の要件として政府自らが説明している攻撃を受けた他国からの要請、これが存立危機事態の構成要件とはなっていません。法的に必要だと説明しておきながらその要件を法律上明記しないままにしておく理由をお伺いいたします。
次に、政府案の構成要件は、実は攻撃を受けた他国からの要請がない場合においても、集団的自衛権ではなくて個別的自衛権の行使としてやっぱり武力行使を行う可能性を残しているのではないかという指摘について見解を伺います。
次に、政府案の説明によれば、被害国からの要請がなければ我が国は武力行使ができない仕組みとなっています。これでは存立危機事態に当たると認定しても自らの意思で自国の存立を守ることもできないことになりますが、このような仕組みを取る理由をお伺いいたします。
次に、総理は、維新の党が独自案を国会に提出した七月八日以降、国会の答弁やテレビなどの説明においては、集団的自衛権を行使する密接な関係を有する他国の例として米国だけを挙げています。また、先日のテレビ出演の際に、母屋と離れの火事を例え話に用いた場面でも、離れとはホルムズのことですかと質問されたら、いいえ、イージス艦ですとわざわざお答えになっています。これら条文上に明記されていない限定を加えて説明するお姿は、存立危機事態の適用対象について範囲を限定しようと試みているようにも受け取られますが、この点についての御認識をお伺いいたします。
次に、イラン政府までもが不快感をあらわにして可能性を否定しているように、機雷敷設によるホルムズ海峡の封鎖という事態は現在の国際情勢の下では全く想定されません。そうであれば、今回の安保法制の中にホルムズ海峡の機雷掃海を含めることを断念するお考えはないのか、率直な御認識をお伺いいたします。
次に、維新の党は、独自案の中で、防衛出動の要件を審査する専門委員会の設置など、国会による派遣承認手続の実質化によるシビリアンコントロールの強化を打ち出しておりますが、これに対する御認識をお伺いいたします。
次に、参議院における審議と並行して継続されることになっている与野党間の協議に、総理としてどのような期待を持っておられるか、率直な御認識をお伺いいたします。
次に、自衛権行使三要件でも、我が国による武力行使は他に適当な手段がない場合に限られています。ここで他に適当な手段とは、緊張緩和を図り武力衝突の事態を回避する平和外交のことです。我が国の安全保障で当面最大の懸案は隣国中国との関係でありますが、両国間の緊張緩和を実現する平和外交の展望をお伺いいたします。
次に、我が党は、軍事力が前面に出る事態を極力避けながら、平時において領海での警備力を格段に強化する領域警備法案を民主党と共同で提出しています。領域警備強化の法整備に対する総理のお考えを伺います。
最後に、遅々として成果の上がらない外務省当局による協議にこれ以上委ねることなく、総理自らが北朝鮮の金正恩氏との直談判によって拉致被害者の即時一括帰国の実現を図る御覚悟をお持ちかどうか、御存念をお伺いいたします。
維新の党は、政府提出法案の徹底した審議を求めるとともに、憲法適合性の枠内で安全保障法制の充実強化が図られるよう、しっかりと対案を示して建設的な議論を行っていくことをお約束して、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#29
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小野次郎議員にお答えをいたします。衆議院での採決及び参議院での審議の進め方に関するお尋ねがありました。
平和安全法制は、国民の命と幸せな暮らしを守り抜くために不可欠な法案であり、審議は拙速であってはならないと考え、過去最長の九十五日間の延長をしました。
衆議院における採決は、PKO法や有事法制を上回る百十六時間もの審議を行い、熟議の後に、決めるべきときには決めるという観点から衆議院において判断されたものと認識しています。参議院における審議の進め方については参議院の御判断に従うべきと考えていますが、いずれにしても、法案の内容について十分に議論していくことが重要であると考えます。
法案に対する国民世論についてお尋ねがありました。
今回の法案に対して、国民の皆様の間に厳しい御意見があることは承知しております。平和安全法制は、我が国を取り巻く安全保障環境がますます厳しさを増す中、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために不可欠な法案であります。政府としては、国民の皆様の御意見を真摯に受け止め、引き続き、丁寧に、できる限り分かりやすい説明を行い、国民の皆様の御理解を得るよう努力してまいります。
テレビ番組での私の説明に関するお尋ねがありました。
政策を進めていくためには、国民の信頼、理解を得ることが大変重要です。平和安全法制についても、その必要性、重要性、意義について国民の皆様に分かりやすく説明し、御理解をいただくよう最大限の努力をしてまいりたいと思っています。もとより、放送事業者において放送番組の公平を堅持していただくことは当然なことでありますが、そうした中で、出演依頼をいただいた番組に積極的に出演させていただき、私自ら国民の皆様に丁寧に説明させていただいているところであります。
十本の法律を束ねた法案としたことについてお尋ねがありました。
十本の改正法の目的は、いずれも我が国の平和と安全の確保及び国際社会の平和と安全の確保という点に集約できることは明確であります。また、法律案の条項が相互に関連し、一つの体系を形作っています。そこで、一本の法律案で一覧的に示し、改正の適否を総合的に判断いただくことが適当と判断したものであります。十本にばらして出し直すなど、法形式を改めて再提出する考えはありません。
米議会演説における法案への言及についてお尋ねがありました。
そもそも、平和安全法制の整備は、平成二十四年の総選挙以来、これまで三回の選挙、常に公約に掲げ、一貫して訴えてきた課題です。特にさきの総選挙では、昨年七月一日の閣議決定に基づき、法制を速やかに整備することを明確に公約として掲げ、国民の皆様の審判を受けました。法整備の方針を閣議決定した上で、選挙において速やかに整備することを公約した以上、選挙直後の今通常国会においてその実現を図ることは当然のことであります。
このため、昨年十二月二十四日、総選挙の結果を受けて発足した第三次安倍内閣の組閣に当たっての記者会見において、平和安全法制は通常国会において成立を図る旨申し上げ、国民の皆様に私の決意をお示しいたしました。本年二月の衆議院本会議においても、二度にわたり今国会における成立を図る旨答弁をしております。米議会での演説においても、改めてこのような私の決意を申し上げたものであり、まず我が国国会及び国民に理解を求めるという配慮に欠けていたとの指摘は全く当たりません。
平和安全法制が想定する軍事的脅威及び対応ぶりについてお尋ねがありました。
今般の平和安全法制は、特定の国や地域を念頭に置いたものではありません。また、その下でどのような対応を取るのかについて具体的に述べることは、手のうちを明かすことになるので適当ではありません。あくまでもこの法案は、一層厳しさを増す安全保障環境を踏まえて、いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを守るために必要となる切れ目のない備えをつくることを目指すものであります。
いずれにせよ、政府としては、多くの国民の皆様に法案の趣旨を御理解いただき、幅広い御支持が得られるよう、今後の参議院における法案審議を始め、様々な機会を捉えて分かりやすく丁寧な説明に努めてまいります。
将来、揺るぎのない法律として国民に受け入れられるかとのお尋ねがありました。
平和安全法制は、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために、あらゆる事態に対して切れ目のない備えを可能にするものです。国民の命と平和な暮らしを守り抜く安全保障政策については、本来、与党も野党もないと考えます。我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しているという現実を踏まえれば、この法制が必要であることは多くの皆様に御理解いただけるものと確信しています。参議院における審議を通じて、この法制の必要性をしっかりと説明し、広範な理解を得られるよう努力していく考えであります。
法案の憲法適合性、政府における検討及び法的安定性についてお尋ねがありました。
まず、新三要件については、砂川判決と軌を一にするこれまでの政府の憲法解釈の基本的な論理の範囲内のものであるため、法的安定性は確保されており、将来にわたっても憲法第九条の法的安定性は確保できると考えています。
また、自衛隊の活動が武力の行使との一体化を防ぐ仕組みなどにより、武力による威嚇又は武力の行使に当たらないことを確保しています。その例外は、新三要件を満たす場合の自衛の措置に限られており、法案は憲法に適合するものであります。
法案は、これら憲法を含めた様々な論点について、有識者懇談会での議論や政府内での時間を掛けた検討、そして自民党と公明党の与党協議会における二十五回に及ぶ徹底的な議論を経てお示ししているものであります。
自国防衛のための集団的自衛権についてお尋ねがありました。
国際法上、個別的自衛権と集団的自衛権は、自国に対し発生した武力攻撃に対処するものであるか、他国に対し発生した武力攻撃に対処するものであるかという点において明確に区別されるものとして確立しています。
新三要件の下で、存立危機事態において許容される武力の行使は、他国に対して発生した武力攻撃に対処するものであり、国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合があります。しかしながら、これは、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るための必要最小限の自衛の措置に限られており、他国を防衛することそれ自体を目的とするものではありません。
新三要件は、国際的に見ても極めて厳格な要件であり、他国防衛への濫用のおそれが排除できないといった御指摘は全く当たりません。また、国際社会に対しても、平和安全法制について丁寧に説明し、非常に多くの諸国から理解と支持を得てきており、国際的に全く通用しないとの御指摘も当たりません。
武力攻撃を受けた国の要請と自衛権の行使についてお尋ねがありました。
国際法上、集団的自衛権の行使に当たっては、武力攻撃を受けた国の要請又は同意があることが当然の前提です。また、我が国が国際法を遵守することは当然のことであります。このため、存立危機事態の要件としてあえて法律上重ねて規定する必要はないと考えています。
存立危機事態に対応するために我が国が行う武力の行使は、国際法上、集団的自衛権又は武力行使を容認する安保理決議によって正当化する必要があり、個別的自衛権とみなすことはできません。
また、存立危機事態において、我が国は武力攻撃を受けた我が国と密接な関係にある他国を含む関係国と緊密に協力しつつ対処することになると考えられます。そのような際に、武力攻撃を受けた我が国と密接な関係にある他国からの要請又は同意がないことはおよそ想定されません。
我が国による武力の行使については、新三要件の下、あくまでも我が国が主体的に判断することは言うまでもなく、自らの意思で国を守ることもできないとの指摘は全く当たりません。
我が国と密接な関係にある他国の説明とホルムズ海峡での機雷掃海についてお尋ねがありました。
新三要件の第一要件に言う我が国と密接な関係にある他国とは、一般に、外部からの武力攻撃に対し、共通の危険として対処しようという共通の関心を持ち、我が国と共同して対処しようとする意思を表明する国を指すものと考えています。
従来から申し上げているとおり、具体的にどのような国が我が国と密接な関係にある他国に当たるかについては、あらかじめ特定されているものではなく、武力攻撃が発生した段階において個別具体的な状況に即して判断されるものであります。
もちろん、日米同盟の存在及びこれに基づく米軍の活動は我が国の平和と安全を維持する上で死活的に重要であり、同盟国である米国は基本的にこれに当たるであろうと考えています。そのため、実際にこれまで政府が示してきたいずれの事例でも、米国をその具体例として示しているところであります。
一方、ホルムズ海峡のケースについては、そもそも特定の国が同海峡に機雷を敷設することを想定しているわけではありません。また、特定の二国間関係や国際情勢のみを念頭に存立危機事態を設けるものでもありません。
いずれにせよ、我が国がエネルギー源の多くを依存するホルムズ海峡を擁する中東地域においても安全保障環境がますます厳しさと不透明性を増す中で、我が国の存立を脅かすような事態も起こり得るところ、あらゆる事態に万全の備えを整備しておくことが重要であると考えております。
防衛出動に関する国会承認とシビリアンコントロールについてお尋ねがありました。
自衛隊に防衛出動を命ずることは、国家の存亡と国民の生死を左右する極めて重い判断であり、シビリアンコントロールが極めて重要であることは言うまでもありません。
このため、政府案においても、自衛隊の防衛出動については、これまでどおり原則として事前の国会承認を義務付けることとしており、また、御承認をいただくために必要な情報を政府として可能な限り開示することによって、民主主義国家として国会に適切な御判断をいただく仕組みを設けているところであります。
このように、政府案においてはシビリアンコントロールは十分に確保されているところですが、こうした点についての重要性については、政府案と維新の党の独自案共に基本的な問題意識は共通しているのではないかと考えております。今後、国会において、こうした点を含めて活発な議論が行われることは望ましいことだと考えております。
今後の与野党協議についてお尋ねがありました。
衆議院では、合意には至りませんでしたが、採決直前まで与党と維新の党との間で誠実に修正協議が行われ、共通の理解も得られたものと認識しています。協議は今後も継続されるものと承知していますが、法案は国民の命と平和な暮らしを守り抜くために重要なものであるため、良い結果を出すために、しっかりと議論をし、可能な限り一致点を見出すべくお互い努力を続けていただきたいと考えております。
中国との関係改善についてお尋ねがありました。
中国との間では、東シナ海において、中国公船による度重なる領海侵入や、排他的経済水域及び大陸棚の境界未画定の海域における中国による一方的な資源開発等、極めて遺憾な状況が存在しています。中国側のこうした一方的な現状変更の試みに対しては、引き続き、毅然かつ冷静に対処していきます。
同時に、中国とは、習近平国家主席との二度にわたる首脳会談を通じ、戦略的互恵関係の考え方に基づいて関係を改善していくことで一致しています。中国と日本は地域の平和と繁栄に大きな責任を共有しており、今後も、様々なレベルで対話を積み重ねながら、安定的な友好関係を発展させ、国際社会の期待に応えていきたいと考えています。
領海の警備に関する法整備についてお尋ねがありました。
政府においては、五月十四日、武力攻撃に至らない侵害に際し、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するため、海上警備行動、治安出動等の発令手続の迅速化のための閣議決定を行いました。
また、警察や海上保安庁などの関係機関の対応能力の向上、相互の連携強化、各種訓練の充実などの取組を一層強化していくこととしており、現時点では新たな法整備が必要であるとは考えておりません。
拉致問題についてお尋ねがありました。
調査開始から一年たった今も拉致被害者の帰国が実現していないことは、誠に遺憾であります。北朝鮮からの具体的な動きを早急に引き出すべく働きかけを強化するよう、外務大臣と拉致問題担当大臣に指示したところであります。
これまで固く閉ざされていた交渉の扉をやっとこじ開けて困難な交渉を進めているところであり、北朝鮮から前向きな行動を引き出す上で、あらゆる観点から何が最も効果的かを検討しつつ、今後も、対話と圧力、行動対行動の方針の下、拉致問題の解決に向けて全力で取り組み、全ての拉致被害者の帰国を強く求めてまいります。(拍手)
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#30
○議長(山崎正昭君) 市田忠義君。〔市田忠義君登壇、拍手〕
#31
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。政府が平和安全法制の名で提出した一連の法案は、衆議院での論戦を通じて、憲法が禁じている自衛隊の海外での武力行使を進める憲法違反の戦争法案であることが明々白々となりました。圧倒的多数の憲法学者、歴代の元内閣法制局長官、日本弁護士連合会など専門家を始め、国民の多くが憲法違反の立法反対の意思を明確に示しつつあります。
内閣が違憲立法を国会に提出し、それを批判する国民多数の声を踏みにじって衆議院での採決を強行したことは、憲法と国民主権のじゅうりんそのものであり、立憲主義の原則に反する歴史的暴挙と言わなければなりません。
総理は、PKO法のときも日米安保条約改定のときも反対論があったと述べました。国民多数が反対しても法案を強行するつもりですか。国民はいずれ怒りを忘却する、あなたがそう思っているとするなら、これほど主権者国民を侮辱する言葉はありません。自分だけが正しいという独善の最たるものであり、独裁への道ではありませんか。
法案は、米国が、世界のどこであれ、アフガニスタン戦争、イラク戦争のような戦争に乗り出した際、自衛隊がこれまで戦闘地域とされてきた場所まで行って、弾薬の補給、武器の輸送などの軍事支援、兵たんを行うこととしています。総理は自衛隊が攻撃されたら武器を使用することも認めました。
陸上自衛隊幕僚監部が作成したイラク復興支援行動史には、イラク戦争でサマワに派遣された自衛隊が一触即発の危険に直面したことが生々しく書かれています。当時の責任者は、そこでの活動は純然たる軍事作戦であったと述べています。なのに、なぜただの一人も戦死者が出なかったのか。行動史は、活動地域が非戦闘地域とされたこと、任務が人道復興支援活動であったことが隊員の安全を確保する基盤だったと述べています。この二つの安全基盤を取り去って、戦闘地域で自衛隊が武器の輸送、弾薬の補給などの兵たんを行えば、相手方から攻撃される現実的危険が格段に高まることは明らかではありませんか。
現にアフガンでは、米軍の戦闘部隊への兵たんを行っている国際部隊が度々攻撃され、多くの戦死者を出しています。攻撃を受ければ応戦し戦闘になる。もし他国の国民を殺すことになれば、日本国民もまた憎悪の対象とならざるを得ません。現地に派遣される自衛隊員だけではなく、国民を脅威にさらすことになってしまうではありませんか。
PKO法の改定は何をもたらすか。形式上停戦合意がされてはいても、なお戦乱が続いている地域に自衛隊を派兵して治安活動をさせる。武器使用基準も、任務遂行のためのものも認めるなど、格段に拡大しようとしています。
米軍主導の掃討作戦と事実上一体化し、三千五百人もの戦死者を出したアフガンの国際治安支援部隊、ISAFのような活動への参加を総理は衆議院での答弁で否定しませんでした。ISAFは、昨年十二月、アフガンの治安部隊を支援するRS任務、確固たる支援任務に移行しましたが、今なお四十二か国、一万三千人以上が参加しています。米国がRS任務への参加を求めてきた場合、政府は拒否できますか。
そして、集団的自衛権行使の容認であります。
日本政府の憲法九条に関するこれまでの全ての見解は、この六十年間一貫して、海外での武力行使は許されない、集団的自衛権の行使は憲法違反であるということを土台として構築されてきました。ところが、昨年七月の閣議決定とそれを具体化した戦争法案は、この立場を百八十度転換させました。それは日本の防衛とも国民の安全とも全く無縁のものであります。アメリカが無法な戦争に乗り出した場合でも、自衛隊が参戦し、ひたすら米軍の手足となって海外で武力行使を行おうとするものにほかなりません。そのことは、総理が何にも先んじてこの夏までの成立をアメリカの議会演説で約束したことを見ても明らかではありませんか。
現行憲法が持つこの七十年の重みをもう一度かみしめるべきであります。戦後、一人の外国人も殺さず、一人の戦死者も出さなかったのは、日米同盟や軍事的抑止力のおかげではありません。世界に誇るべき日本の宝、憲法九条が存在し、平和を希求する国民の世論と運動があったからであります。
世界の紛争地で多くの日本人ボランティアの皆さんが医療や生活支援の活動をされています。これらの人々が共通して語っておられるのは、日本の自衛隊はこれまで一発も外国人に銃弾を撃っていない、一人も殺していない、だから海外でのボランティア活動ができるということでした。総理は、憲法九条が国際貢献活動の安全の担保として機能してきたことをお認めにならないのですか。
集団的自衛権行使が憲法九条の下では認められないということは、我が国において確立した法解釈であります。宮崎元法制局長官は国会で、集団的自衛権の行使容認は、限定的と称するものも含めて、従来の政府見解と相入れないものであって、これを内容とする今回の法案部分は憲法九条に違反し、速やかに撤回すべきものであると厳しく批判しました。本来、政府案は国会に提出できる内容ではなかったのであります。政府自らこれまでの法解釈を覆す内容の法案を国会に提出する、これはクーデターともいうべき法体系の破壊ではありませんか。
総理は、集団的自衛権について、戦争を未然に防ぐためのものだと言います。これほどの欺瞞を私は知りません。阪田元法制局長官は国会で、集団的自衛権を行使するということは、進んで戦争に参加するということ、敵となる相手国に我が国領土を攻撃する大義名分を与えるということにほかならない、国民を守るというより、進んで国民を危険にさらすという結果しかもたらさないと指摘しました。総理はこの指摘をどのように受け止めていますか。
政府は、これまでの憲法解釈を変更する唯一最大の理由として、安全保障環境が根本的に変化したことを挙げています。
私たちの住む北東アジアには、北朝鮮問題や領土に関する紛争問題などが存在しています。しかし、軍事対軍事の悪循環に陥ることが最も危険であります。イランの核問題も軍事に頼らない外交努力で解決されようとしています。北朝鮮問題でも、六か国協議の枠組みに立ち返るなど、外交的解決に徹するべきであります。専ら軍事に依存するのではなく、平和の環境をつくり出すための憲法九条の精神に立った外交戦略こそ求められているのではありませんか。
戦争への道は、言論の封殺をもって進められた、これが戦前、我が国がたどった歴史的事実であります。憲法違反の戦争法案をごり押しする安倍内閣の下で、自民党の一部議員によるメディアへの恫喝が表面化したことは、決して偶然ではありません。
今、参議院は、違憲立法の成立に手を貸すのかどうかが鋭く問われています。
自民党の谷垣幹事長は、国会を取り巻く強行採決反対、戦争法廃案の声について問われ、そういえばかすかに気配を感じていないわけではないと述べられました。しかし、政府・与党がどんなに耳を塞ごうとも、国民の声を遮ることは絶対にできません。国中に国民の声をとどろかせて、海外で戦争する国、殺し殺される国にしないために、若者を再び戦場に送らないために、希代の悪法、戦争法案を廃案に追い込むために全力を尽くすことを誓って、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#32
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 市田忠義議員にお答えいたします。衆議院における法案の採決及び国民の理解についてお尋ねがありました。
衆議院における採決は、PKO法や有事法制を上回る百十六時間もの審議を行い、熟議の後に、決めるべきときには決めるという観点から衆議院において判断されたものと認識しています。したがって、立憲主義に反するものではありません。
私が日米安保条約の改定やPKO法の制定時のことについて述べたのは、当時も憲法違反や戦争に巻き込まれるといった批判が噴出しましたが、そうした批判が全く的外れなものであったことはこれまでの歴史が証明しているからです。国民の命と平和な暮らしを守り抜くための今回の法案の必要性についても、これまでと同様、必ずや国民の皆様に正しく御理解をいただけると考えております。
いずれにせよ、政府としては、多くの国民の皆様に法案の趣旨を御理解いただき、幅広い御支持が得られるよう、今後の参議院における法案審議等において分かりやすく丁寧な説明に努めてまいります。
我が国が行う後方支援についてお尋ねがありました。
政府としては、我が国や国際社会の平和と安全のために活動する他国の軍隊に対し、我が国として実施できる範囲で必要なあらゆる支援を行うことができるよう法的措置を講じておくことが重要であると認識しています。重要影響事態法及び国際平和支援法に従って我が国が実施する後方支援は、武力の行使に当たらない活動です。
また、後方支援は、その性質上、そもそも戦闘が行われているような場所で行うものではなく、危険を回避して、活動の安全を確保した上で実施するものです。いかなる部隊も、後方支援を受けている間は攻撃に対して脆弱になります。このため、危険を回避し、安全を確保することは当然です。そうでなければ十分な後方支援はできません。これは国際的な軍事常識と言ってよいものです。
新たな法制上の仕組みにおいて、自衛隊が活動を実施する区域の指定に当たっては、今現在戦闘行為が行われていないというだけではなく、自衛隊が現実に活動を行う期間について戦闘行為がないと見込まれる場所を指定します。したがって、攻撃を受けない安全な場所で活動を行うことは、いわゆる非戦闘地域等の概念を設けていた従来と変更はありません。したがって、相手の攻撃対象となることは明らかといった御指摘は当たりません。
また、万が一活動場所や近傍で戦闘行為が発生した場合には、直ちに活動を休止、中断し、安全を確保します。その上で、自衛官が武器を使用できるのは、不測の事態に際して、自分や共に現場に所在する自衛隊員などの生命や身体の防護のためのやむを得ない必要がある場合のみです。武器を使って反撃しながら支援を継続するようなことはありません。したがって、自衛隊が戦闘行為を行う、あるいは自衛隊の活動が戦闘行為になるということはなく、日本国民が憎悪の対象となったり、国民が脅威にさらされるといった御指摘は当たりません。
アフガニスタンの治安部隊を支援する活動への参加を拒否できるかとのお尋ねがありました。
改正PKO法の下では、我が国が国際連携平和安全活動に参加するに当たっては、憲法や関連法令の枠内で行われるのはもちろんのこと、現地の状況をしっかりと見極め、我が国の国益に資する活動であるかや、要員の安全が確保できるか、停戦合意や受入れ同意を含む従来のPKO参加五原則と同様の厳格な原則が満たされるかなどを考慮の上、停戦監視等の業務については原則事前の国会承認を要することとなっています。
ISAFが派遣された当時のアフガニスタンにおいて参加五原則に該当する停戦合意が存在しなかったことは、これまで政府が累次答弁しているところであり、御指摘の確固たる支援ミッションについては、我が国としてこれへの参加を検討していません。
いずれにせよ、我が国が法令に従って主体的に判断することは当然であり、米国からの要請があればそれを拒否できないなどということはあり得ません。
米国の戦争に自衛隊が参加するのではないかとのお尋ねがありました。
今回の平和安全法制は、国民の命と平和な暮らしを守ることが目的であり、新三要件を満たす場合に限り、あくまでも我が国の存立を全うし国民を守るため、すなわち我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として、極めて限定的な集団的自衛権を行使できることとしたものです。
憲法上、我が国による武力の行使が許されるのは、あくまで新三要件を満たす場合に限られます。我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるとは言えない場合、他に適当な手段がある場合、必要最小限度の範囲を超える場合は新三要件を満たさないことから、武力の行使は許されず、米国からの集団的自衛権行使の要請があったとしても、憲法上断るのは当然のことであります。
新たな日米ガイドラインの中にも、日本が武力を行使するのは日本国民を守るためとはっきりと書き込んでおり、このことは日本と米国の共通の認識です。
また、政府の判断に加えて、実際に武力の行使を行うため自衛隊に防衛出動を命ずるに際しては、事態対処法第九条の定めるところにより、国権の最高機関である国会の承認を求めることとなります。
このように、米国の戦争に自衛隊が参戦するようなことは決してあり得ません。
なお、先般、米国議会における演説で、平和安全法制の成立についてこの夏までにと申し上げましたが、これは、昨年末の総選挙で公約として掲げ、その後の記者会見や国会答弁の中でも今通常国会での成立を図るとの決意を繰り返し申し上げてきていることを踏まえ、米議会で改めてこのような決意を申し上げたものであります。
憲法第九条と国際貢献活動についてお尋ねがありました。
平和安全法制の目的は、あくまでも憲法の枠内で国民の命と平和な暮らしを守り、国際社会の平和と安全にこれまで以上に貢献することです。その内容も、国際法上完全に合法で、かつ国際的に正当性のあるものであることはもとより、憲法の制約の下、諸外国と比べて極めて抑制的なものです。
このように、今回の法整備は、海外における邦人の活動を危険にさらすといったものではありません。
平和安全法制が整備されれば、外国において、我が国と協力して国づくりや平和構築のために汗を流しているボランティアやPKOの要員が危機に瀕したときに、近くにいる自衛隊が駆け付けて守ることができるようになります。また、外国における緊急事態に際して、生命又は身体に危害が加えられるおそれがある邦人について、警護や救出ができるようになります。
このように、今回の平和安全法制は、憲法第九条の下で、海外における邦人の活動に資するものであると考えています。
集団的自衛権の行使と憲法第九条についてお尋ねがありました。
昨年七月の閣議決定では、安全保障環境の大きな変化により、他国に対する武力攻撃であったとしても、我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得ることを踏まえ、新三要件に基づく限定的な集団的自衛権の行使は、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛の措置として憲法上許容されると判断するに至りました。
限定的な集団的自衛権の行使の容認について、憲法との関係では、昭和四十七年の政府見解で示した憲法解釈の基本的な論理は全く変わっていません。これは、砂川事件に関する最高裁判決の考え方と軌を一にするものであります。
砂川判決は、我が国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことと言わなければならないと述べています。個別的自衛権、集団的自衛権の区別をせずに我が国が自衛権を有することに言及した上で、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとり得ることを認めたものであると考えています。
私たちは、厳しい現実から目を背けることはできません。現実に起こり得る様々な事態にどう対応するのか、我が国の置かれた環境を常に分析、評価し、砂川判決の言う必要な自衛の措置とは何かをとことん考え抜いていく責任があります。
今回、限定的な集団的自衛権の行使を容認しましたが、それはまさに砂川判決の言う自衛の措置に限られます。あくまでも国民の命と平和な暮らしを守ることが目的であり、専ら他国の防衛を目的とするものではありません。
憲法の解釈を最終的に確定する権能を有する唯一の機関は最高裁判所であり、平和安全法制はその考え方に沿った判決の範囲内のものであり、憲法に合致したものです。法体系の破壊との御指摘は当たりません。
集団的自衛権に関する発言についてお尋ねがありました。
今回の平和安全法制は、国民の命と平和な暮らしを守ることが目的であり、新三要件を満たす場合に限り、あくまでも我が国の存立を全うし国民を守るため、すなわち我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として、極めて限定的な集団的自衛権を行使できることとしたものであります。
新たな日米ガイドラインの中にも、日本が武力を行使するのは日本国民を守るためとはっきり書き込んでおり、このことは日本と米国の共通の認識であります。もし日本が危険にさらされたときには日米同盟は完全に機能する、そのことを世界に発信することによって抑止力は更に高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなっていくと考えます。
したがって、自衛隊が進んで戦争に参加するというのは全く的外れな議論であり、国民を欺くとの御指摘は、これも全く当たりません。
外交努力の重要性と対北朝鮮外交についてお尋ねがありました。
外交努力を通じて平和を守ることが重要なのは言うまでもありません。私は、近隣諸国との対話を通じた外交努力を重視しており、総理就任以来、地球儀を俯瞰する視点で積極的な平和外交を展開してまいりました。いかなる紛争も、武力や威嚇ではなく国際法に基づいて平和的に解決すべきです。この原則を私は国際社会で繰り返し主張し、多くの国々から賛同を得てまいりました。外交を通じて平和を守る、この点はいささかも変わりません。
北朝鮮問題については、六者会合は諸懸案の解決のための有効な枠組みであり、政府としては、引き続き、関係国と緊密に連携しながら、北朝鮮に対し、安保理決議や六者会合共同声明等を誠実かつ完全に実施することを強く求めていく考えです。
その上で、万が一への備えも怠ってはなりません。国民の命と平和な暮らしを守ることは政府の重要な責務です。そのために、あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行う、それが平和安全法制の意義であります。(拍手)
#33
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十分散会