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2015/07/31 第189回国会 参議院 参議院会議録情報 第189回国会 本会議 第35号
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2015/07/31 第189回国会 参議院

参議院会議録情報 第189回国会 本会議 第35号

#1
第189回国会 本会議 第35号
平成二十七年七月三十一日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三十六号
    ─────────────
  平成二十七年七月三十一日
   午前十時 本会議
    ─────────────
 第一 女性の職業生活における活躍の推進に関
  する法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 日程第一 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。国務大臣有村治子君。
   〔国務大臣有村治子君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(有村治子君) ただいま議題となりました女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化その他の社会経済情勢の変化に対応していくためには、自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性がその個性と能力を十分に発揮して職業生活において活躍することが一層重要となっていることに鑑み、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとり、女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し、もって豊かで活力ある社会を実現することを目的として、本法律案を提出する次第です。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、女性の職業生活における活躍の推進に関する基本原則を三点定めております。
 一点目は、自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性に対する職業生活に関する機会の積極的な提供及びその活用を通じて、その個性と能力が十分に発揮できるようにすることを旨として行われなければならないこととしております。
 二点目は、職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立が可能となることを旨として行われなければならないこととしております。
 三点目は、女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきものであることに留意されなければならないこととしております。
 第二に、政府は、基本原則にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針を定めることとしております。
 第三に、内閣総理大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、基本方針に即して、事業主行動計画策定指針を定めることとしております。
 第四に、常時雇用する労働者の数が三百人を超える事業主は、女性の職業生活における活躍の状況を把握し、改善すべき事情について分析した上で、事業主行動計画策定指針に即して行動計画を策定し、公表すること等としております。
 第五に、国及び地方公共団体の機関等においても、事業主としての行動計画を策定し、公表することとしております。
 第六に、常時雇用する労働者の数が三百人を超える事業主並びに国及び地方公共団体の機関等は、女性の職業選択に資するよう、女性の職業生活における活躍に関する情報を定期的に公表することとしております。
 このほか、女性の職業生活における活躍の推進に関し、必要な事項を定めることとしております。
 この法律の施行期日は、公布の日からとしておりますが、行動計画の策定等については、平成二十八年四月一日としております。
 また、この法律は、平成三十八年三月三十一日限り、その効力を失うこととしております。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第ですが、衆議院において一部修正が行われております。
 第一に、女性の職業生活における活躍の推進は、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとり行われることを明確にするとともに、男女の人権が尊重される社会の実現を目的に追加することとしております。
 第二に、女性の職業生活における活躍の推進は、職業生活における活躍に係る男女間の格差の実情を踏まえ、職種や雇用形態の変更等の機会の積極的な提供及び活用を通じ、かつ、性別による固定的な役割分担等を反映した職場慣行が女性の職業生活における活躍に対して及ぼす影響に配慮して、その個性と能力が十分に発揮できるようにすることを旨として行われなければならないこととしております。
 また、家族を構成する男女が、男女の別を問わず、相互の協力と社会の支援の下に、必要な環境の整備等により、男女の職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立が可能となることを旨として行われなければならないこととしております。
 第三に、事業主行動計画を定めるときに把握する事項として、労働時間又は勤務時間の状況を追加しております。また、一般事業主行動計画を定めた一般事業主は、一般事業主行動計画に基づく取組を実施するとともに、目標を達成するよう努めなければならないこととしております。
 これらのほか、所要の規定を整理することとしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(山崎正昭君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。大沼みずほ君。
   〔大沼みずほ君登壇、拍手〕
#6
○大沼みずほ君 自由民主党の大沼みずほです。
 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案について質問いたします。
 我が党は、総理も施政方針演説で述べられたように、全ての女性が、その生き方に自信と誇りを持ち、輝くことができる社会の実現を目指しています。本法案が最大限の成果を上げるためには何が必要かという観点から質問いたします。
 政府は、男女共同参画基本計画や日本再興戦略において、女性の就業率向上や、指導的地位に占める女性の割合向上を目標としています。
 女性の就業率は、保育の受皿拡大などの成果もあって順調に増えており、今後も増えていくと考えられます。他方、指導的地位に占める女性の割合は伸び悩んでおり、女性の役職者登用を促進する措置を講じている企業は、千人以上の企業では二七・一%と三割近くあるものの、五百名未満の企業は一三・一%という状況です。
 また、男女の賃金格差を見ると、男性の賃金を一〇〇とした場合、女性は全国平均で七二・二、私の地元山形県でも共働き率は全国二位と非常に高いのですが、七四・一となっています。全国的に女性の賃金が二、三割ほど低いのですが、これも勤続年数や管理職比率の違いが主な原因とされています。
 本法案では、数値目標を義務付けるという形で女性登用を促します。これは大きな前進ですが、企業自身が納得していなければ、義務付けをしても有名無実に終わってしまうおそれがあります。
 企業が本気で女性登用に取り組むためには、女性が多い企業と少ない企業の業績比較など、女性登用の効果について説得力のある根拠が必要だと考えます。こうした具体的な効果を示しつつ、企業向けの啓発を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。塩崎厚生労働大臣の御見解を伺います。
 女性が働くことに対する考え方や、通勤時間、保育の受皿など、女性の職業生活をめぐる状況は地域によっても大きく異なります。特に、都市と地方では人々の意識も働き方の実態も相当な違いがあります。
 本法案では、従業員が三百人を超える企業に行動計画の策定、公表を義務付けていますが、大企業がほとんどない地域や都会よりも女性が管理職に就くことに抵抗感のある地域もあります。地方における女性活躍推進をどのように進めていくお考えか、有村担当大臣にお伺いいたします。
 女性の活躍推進に当たっては、本法案の第二条にも書かれているように、単に女性だけを対象とした取組ではなく、職場全体での勤務時間の縮減や生産性の向上、育児、介護の支援策など総合的な取組が必要となります。
 特に、男性の育児、介護への参画、男性の意識改革が必要です。男性が子育て、介護のしやすい職業環境の整備のためには、イクメン、イクジイ、イクボスの存在が極めて重要になってまいります。男性が子育て、介護の時間を取りやすい職業環境の整備につき、政府の取組について、有村大臣にお伺いいたします。
 本法案は、職業生活における女性の活躍を推進するものですが、職業生活に限らず、社会のあらゆる面で女性が活躍できるよう、一層の取組を政府にお願いして、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣有村治子君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(有村治子君) 大沼みずほ議員にお答え申し上げます。
 地方における女性の活躍推進に関するお尋ねがありました。
 女性の就業率や管理職に占める女性割合などを見ると、地域によって女性の置かれている状況は様々であり、地域の実情に応じた取組を支援することが重要です。
 現在、それぞれの地域の課題に応じて、地域の経済団体、金融機関その他の様々な団体が連携し、一体となって女性活躍を推進していただけるよう、地域女性活躍推進交付金などによる支援を行っています。本法案においても、地方公共団体による推進計画の策定や協議会の設置など、地域の実情に応じた取組を盛り込んでいます。さらに、六月に決定された女性活躍加速のための重点方針二〇一五に基づき、女性の起業支援など、地域社会における女性の活躍推進のための施策を進めてまいります。
 男性が育児、介護等の時間を取りやすい職場環境の整備についてお尋ねをいただきました。
 男性の育児、介護等への参画は概して低調であり、その多くを実質的に女性が担っている現状があります。女性の活躍のためには、男性の家庭生活への主体的参画を促進し、男女が共に育児、介護等に携わることができる環境を整備することが重要です。
 六月に決定した女性活躍加速のための重点方針二〇一五に基づき、男性の育児休暇・休業の取得促進、部下の育児、介護等への参画に配慮ができる上司が評価される人事制度の普及、全国的なキャンペーンの展開などを進めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(塩崎恭久君) 大沼みずほ議員にお答えいたします。
 女性の活躍推進の効果に関する啓発についてのお尋ねがございました。
 女性の活躍推進は、企業にとっても、組織内の多様性が高まりイノベーションの促進につながるほか、女性活躍推進の取組を行った企業は、一定期間後に生産性の大きな上昇が見られるといったデータもあることから、企業の競争力が高められるなどの大きな効果があるものと考えております。
 こうした女性の活躍推進がもたらす効果について企業の認識を深めることは、企業の取組を加速化する上で大変重要であり、本法案が成立した暁には、施行に向けてその効果も含めてしっかりと周知啓発を図ってまいります。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(山崎正昭君) 林久美子君。
   〔林久美子君登壇、拍手〕
#10
○林久美子君 民主党の林久美子です。
 民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案について質問をさせていただきます。
 この法案は、昨年十月、衆議院で審議入りしたものの、年末の解散・総選挙により廃案になってしまいました。今回の安全保障関連法案については、過去最長の九十五日間の会期延長をしてまで成立を図ろうとする政府ですが、この法案は、一度あっけなく葬り去られてしまいました。そして、六十日ルール目前の今日、ようやく参議院での審議入りとなったわけです。まさに、現政権の女性活躍に対する本気度はこの程度であると言わざるを得ません。
 しかも、女性活躍担当の有村大臣は、輝く女性の象徴にトイレを取り上げようとされています。そこですか、突然トイレですか、輝く女性はトイレで化粧直しをしっかりする人なの、とことんばかにされたね、女たち。こうした多くの批判的な意見が寄せられています。女性活躍政策とともにトイレが語られることに強い違和感を禁じ得ません。女性活躍のためにやるべきことはもっとほかにあると、厳しく指摘させていただきます。
 社会での活躍を願う女性を取り巻く環境は、まだまだ厳しいのが現状です。
 第一子出産後に退職する女性は六割、非正規労働者のおよそ七割が女性、仕事と子育ての両立の難しさも間接差別の問題も解決されていません。
 組織において女性にはなかなかチャンスが与えられず、仕事への不満や行き詰まり感が高まり、離職に追い込まれるケースも多くあります。また、離職女性への正規雇用のセカンドチャンスは、残念ながら決して多くはありません。
 育児休業制度も介護休暇制度も、利用するのは女性ばかりです。長期間にわたるキャリアの中断によって女性のキャリア形成が遅れています。男性の長時間労働は変わらず続いており、時間外に働くことが難しい子育て中や介護中の女性社員は重要なポストになかなか就けないのが現状です。
 六歳未満の子供を持つ日本女性が家事などに参加する時間は一日当たり七時間四十一分、対して、日本男性は僅か一時間七分です。米国男性の二時間五十八分、スウェーデン男性の三時間二十一分などに比べても極めて少なくなっています。日本の男性は家事や育児からいまだ遠く、そのしわ寄せを女性が受け、社会での活躍のチャンスを奪われています。男性の長時間労働の是正なくして女性の活躍はあり得ません。
 それでは、本法案について具体的に質問をさせていただきます。
 今回の法案では、国や地方公共団体、さらに従業員が三百一人以上のいわゆる大企業の民間事業主には、女性の採用比率、勤続年数男女差、労働時間の状況、女性管理職比率の四つの項目について状況を把握、分析した上で、数値目標や計画期間、取組内容などを盛り込んだ行動計画を策定、公表することが義務付けられています。
 以下、問題点を指摘します。
 まず一つ目の問題点。行動計画を策定する対象が余りにも狭いという問題です。
 今回、義務付けの対象となる大企業はおよそ一万五千社で、全企業四百十万社のうちの僅か〇・四%にすぎません。しかも、女性労働者全体のうちの三六・七%しか対象にならないのです。また、総務省の労働力調査によりますと、企業規模が小さくなるほど女性雇用者の比率が高くなる傾向が見られます。
 しかし、本法案では、中小企業については行動計画の策定そのものが努力義務とされています。計画策定に関する事務が中小企業にとって負担になることも考慮しなければなりませんが、多くの女性が働いている中小企業が計画を策定しないのであれば、掛け声だけの絵に描いた餅にすぎないのではないでしょうか。
 こうしたことを踏まえると、やはり義務付けが求められる対象企業の範囲が余りにも狭く、対象を拡大すべきであると考えますが、いかがでしょうか。塩崎大臣に伺います。
 そして、二つ目の問題点。行動計画を策定するための状況把握、分析を行うべき項目が不足しているのではないかという問題です。
 対象となる四つの項目は、女性の採用比率、勤続年数男女差、労働時間の状況、女性管理職比率。つまり、これらの項目の中には、労働の対価であり、自らに対する組織の評価指標であり、生活を営む上で非常に重要な賃金が入っていません。また、正社員なのか派遣なのか、パートなのかアルバイトなのか、雇用形態の状況も項目に入っていないのです。この法案のたたき台を議論した厚生労働省の雇用均等分科会でも、賃金や雇用形態の状況を把握・分析項目に入れるべきだとの指摘があったと伺っています。
 なぜ賃金や雇用形態の状況が外れたのでしょうか。男女の賃金差が明らかになることなどを避けたのではないでしょうか。なぜ四項目に限定をしたのか。塩崎大臣、お答えください。
 加えて、三つ目の問題点。行動計画には、数値目標、計画期間、取組内容や実施時期を盛り込むことになっています。しかし、行動計画達成の上で目に見える重要な指標となる数値目標に関して、採用比率なのか、管理職比率なのか、勤続年数なのか、賃金差なのか、何を選ぶのかは完全に事業主に委ねられているのです。
 様々な取組が、数値目標を目指しつつ、バランスよく総合的に行われてこそ女性の活躍が進んでいくはずですが、このままでは、事業主にとって都合の良い数字が選ばれ、行動計画の実効性が担保できないのではないでしょうか。
 最低限、何を指標とするのか、数値目標の内容を定めるべきであると考えますが、いかがでしょうか。有村大臣の御見解を伺います。
 さらに、経済成長の観点からも、ポジティブアクションやダイバーシティーといった取組は、これからの時代、組織における標準装備だと思っています。女性の労働参加率が二〇三〇年までに男性と同じレベルにまで追い付けば、日本のGDPはおよそ二〇%上昇するとOECDによる分析も行われています。
 しかし、残念ながら、上場企業の女性役員の割合は僅か二・一%、大企業の管理職の割合で見てみても僅か四%程度にとどまっています。ですから、女性が職場で活躍するためには、今現在意思決定のポジションにある男性の理解と共感を得ることが欠かせません。また、女性が活躍し、多様性が生まれることが、結果として、組織そのものが社会の様々なニーズに応え、発展につながっていくのだということが従業員全体の共通認識となるような意識変革の取組が必要になります。
 そこで、四つ目の問題点です。本法案からは意識変革を促す具体的な取組が見えてきません。コミュニケーションの活性化や職場風土づくりを始め、共通理解を醸成する場の創出や研修なども重要だと思いますが、いかがでしょうか。有村大臣に伺います。
 そして、この法案が成立することによって、強い人たちだけではなく、厳しい状況に置かれた女性たちも救い、活躍を後押しできるのかという点について伺います。
 働きたくてもパートでしか仕事が見付からない女性、何年たっても派遣労働で賃金も上がらない女性、ドメスティック・バイオレンス、いわゆるDVを受けて身を隠しながら自立を目指す女性、母子家庭で貧困にあえいでいる女性、彼女たちをこの法律は救い、まさに活躍できる状況をつくり出してくれるのでしょうか。
 この法案の基本原則の中には、家族を構成する男女という文言が出てきます。衆議院における修正協議の際には、シングルマザーや女性の同性パートナー、独身女性も含まれるようにこの表現を修正、削除すべきであると議論がなされました。しかし、自民党には、家族を構成する男女という文言に強いこだわりが見られ、修正、削除はかないませんでした。今のままの表現ですと、シングルマザーを始めとする方々はこの法律の対象から外れてしまうのではないかという懸念が依然として残されたままです。今もって残された家族を構成する男女という表現を見る限り、そうした厳しい状況に置かれた女性たちへの温かいまなざしが感じられないのです。
 そこで、最後に、活躍するチャンスすらない女性がいるということをお伝えをしたいと思います。
 先日、私は、戸籍のない、いわゆる無戸籍の三十代の女性にお会いしました。彼女のお母さんは、夫のDVに苦しみ、着のみ着のまま逃げ出し、そこで知り合った男性との間に彼女を授かりました。刃物まで持ち出すという元夫のことが恐ろしく、離婚を申し出ることすらできぬままの出産でした。その結果、彼女の父親である男性とは入籍できず、出生届を出せば、戸籍上元のDV夫の子供になり、その存在を知られてしまうため、出生届は出されぬまま、彼女は無戸籍の子供となりました。戸籍がないので、当時は住民登録もできませんでした。まさに彼女は、この法治国家日本において、あろうことか、法律上存在しない人間となってしまいました。
 彼女の母親は何度か学校に掛け合ったようですが、住民登録がないことを理由に彼女は学校に通えませんでした。だから、彼女は小学校にも中学校にも高校にも行ったことがありません。いつも家の中で過ごし、カレンダーを見ても、来月の予定も来年の予定も、将来の希望もない日々を三十数年間過ごしてきました。彼女は、学校というところはどういうところなのかイメージもできませんと言います。当然、就職もできません。友人も一人もいません。住民票がないので、運転免許も取れないし、健康保険にも加入できません。選挙権もありませんし、納税したくてもできません。
 彼女は、どんなに活躍したくても、法律の隙間に落ちて、これまでの人生で社会と関わることができなかったのです。三十代で友人もいない、恋をしたこともない、学校にも行ったことがない、人との関わりの中で社会生活を経験したことがない。彼女の気持ち、分かるでしょうか。彼女の思い、これまでの人生、これからの人生への不安、想像することができるでしょうか。彼女も仕事をしたいと言っています。自らの意思によって職業生活を営みたいと言っています。
 この法律は、社会に出て働きたいと願うこうした無戸籍成人の女性を始め、厳しい状況に置かれた女性をも救えるのでしょうか。社会の中で彼女たちも活躍することができるようになるのでしょうか。有村大臣に伺います。
 女性の活躍は大切です。それを後押しする法律も必要です。しかし、私たちが当たり前だと思っていることすらままならない女性が今もいます。社会生活のスタートラインにすら立てない女性がいるのです。
 現政権による政策の多くが資産のある人や大企業への恩恵に偏っているように、この女性活躍推進法案も強い人に偏っているように思えてなりません。厳しい状況に置かれた女性にも光を当てる法律であってほしいと心から願い、私の質問とさせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣有村治子君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(有村治子君) 林久美子議員にお答えいたします。
 事業主行動計画における目標の内容に関するお尋ねがありました。
 これまで、女性の職業生活での活躍推進は各事業主の自主性に委ねられていましたが、今回の法案では、大企業等に数値目標を掲げた行動計画の作成を義務付けました。これは、労働界、経済界の皆様にも広く御理解をいただいて可能となった、これまでになく踏み込んだ仕組みであると考えております。
 そうした中で、女性の職業生活での活躍に向けては、採用から登用に至る各ステージにおいて、業種や個別の事業主ごとに多種多様な課題があります。このため、数値目標については、一律の項目設定を義務付けるのではなく、状況把握、課題分析の結果を踏まえ、課題解決を図るためにふさわしい項目を設定していただくことが適当であると考えております。
 政府では、各事業主の行動計画を閲覧できるホームページの整備を予定しており、こうした取組を通じて、各事業主の姿勢も明らかとなり、主体的かつ効果的な取組になるものと認識しています。
 女性が職場で活躍するための意識変革を促す取組についてお尋ねがありました。
 職場における女性の活躍は、多様な価値観や新しい視点、創意工夫などにつながり、結果として利益率の向上をもたらすなど、企業経営の発展のためにも極めて重要です。その推進のためには経営トップのリーダーシップが不可欠であり、男性を含めた経営者、管理職の意識変革を進めるとともに、御指摘のように、組織全体に対しても意識啓発や好事例の共有などの取組を進めることが必要です。
 例えば、昨年六月に、企業等のトップの方々の輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会が行動宣言を策定、公表しましたが、賛同された男性リーダーの方々からも、女性の活躍は企業競争力を高めていると伺っています。各賛同者は、自らの組織での取組のみならず、賛同者同士が連携した研修なども行われており、内閣府から情報発信しています。
 また、内閣府と経済団体が連携して、経営者、管理職向けのトップセミナーを開催し、女性活躍やワーク・ライフ・バランスの実現に向けた好事例の提供などを通じて意識変革を促していきます。
 引き続き、こうした意識変革に向けた取組を通じ、働きたい女性が働き続けることができる環境を整備していきます。
 法案が対象とする女性の範囲に関するお尋ねがありました。
 本法案は、正社員として管理職を目指すような女性のみを対象とするものでは決してなく、職業生活を営み、又は営もうとする全ての女性を対象としています。
 先ほど林議員が御指摘をされたように、一人親家庭の母親や、配偶者等から暴力を受けている女性、困難を抱えた女性への対応は非常に重要です。なかなか声を出し得ない女性に寄り添い、そして、その現場を取材して声を代弁していただいている林議員の政治姿勢に心からの敬意と共感を申し上げます。
 六月に決定した女性活躍加速のための重点方針二〇一五に基づき、マタニティーハラスメントの防止に向けた取組の強化や性犯罪の罰則に関する検討などを着実に実行することで、困難を抱えた女性が安心して暮らせる環境の整備を進めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(塩崎恭久君) 林久美子議員にお答えをいたします。
 行動計画策定義務の対象企業の範囲についてのお尋ねがございました。
 今回の法案では、三百人以下の中小企業に対しては、事務負担等を勘案し、行動計画の策定について努力義務としております。一方で、労働者の約六割が中小企業に勤めていることから、中小企業においても女性活躍推進の取組が進められるようにしていくことは非常に重要であると考えております。
 このため、中小企業に対しては、平成二十七年度において、行動計画策定の前提となる女性の活躍状況の把握や課題分析に活用できる支援ツールの開発、助成金による支援を実施する予定であり、これらの支援を通じ、中小企業を含めた社会全体の女性活躍を推進してまいります。
 状況把握、分析を行う必須項目についてのお尋ねがございました。
 状況把握、課題分析の項目は、女性活躍に向けた課題のうち、多くの企業に該当する課題である四項目を必須項目としたものでございます。一方、賃金につきましては、様々な要素が関連するものであり、必須項目とはしませんでしたが、衆議院の附帯決議も踏まえ、任意項目として加えることを検討してまいります。
 また、雇用形態の状況については、労働政策審議会で、雇用形態等の雇用管理区分ごとに状況把握、課題分析を行う必要性について、更に議論を深めることが適当とされており、今後、こうした必要性について検討してまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#13
○議長(山崎正昭君) 平木大作君。
   〔平木大作君登壇、拍手〕
#14
○平木大作君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案について質問をいたします。
 今から二十八年前の一九八七年、働く母親が子連れ出勤することの是非を問うアグネス論争が日本中で巻き起こりました。出産後、子供を連れて職場復帰したことに対して様々な意見が闘わされたこの論争は、一種の社会現象としてアメリカのタイム誌にも取り上げられた事象でした。
 この論争の一つの特徴は、当時、子連れ出勤する彼女に最も反発したのが、家庭に入るために仕事を諦めた女性や、反対にキャリアを優先して結婚を諦めた女性たちであったということです。つまり、論争を通じて浮かび上がったのは、仕事と育児の両立が難しかった当時の日本において、女性たちが人生の選択に大きな不満を抱いているという現実でした。
 その後、日本でも仕事と家庭生活の両立を支援するための制度が少しずつ整備されてきました。一九九二年に育児休業法が施行され、男女共に育児休暇の取得が可能となり、また、企業内保育所を持つ企業も四千社を超すなど、当時に比べれば制度面では働く女性に優しい社会に近づいてきたと言えます。一方で、そうしてつくった制度が十分に活用されていないといった指摘も多くなされるところです。
 アグネス論争から二十八年が経過した今、働く女性を取り巻く環境はどう変わり、依然として何が課題として残るのか。男女共同参画社会を目指す上で本法案の持つ意義は何か。有村女性活躍担当大臣にお伺いいたします。
 安倍政権では、二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合を三〇%以上とする目標を掲げ、本法案も企業に対して積極的な女性の登用を促すものとなっています。
 こうした取組に対して、企業の側からは時折、女性にげたを履かせることになる、登用する人材がいないといった批判的な声が聞かれます。しかし、女性を無理に引き上げるべきかといった議論の前になすべきことがあるはずです。それは、企業における人事慣行が、配置や昇進、教育訓練などの面で男性と女性の間に実質的な格差を生じさせるものとなっていないか、まずはきちんと検証すべきということです。
 最近の調査では、女性の主な離職理由は、結婚や育児だけではなく、むしろ仕事の行き詰まりや職務内容への不満にあるといったことが分かってきています。これは、要するに、職場において女性は、昇進意欲が乏しい、どうせ結婚や出産によって辞めてしまうといった先入観から、重要性の低い業務が割り当てられる傾向があり、このことが女性にとっても、やりがいのある仕事が与えられないことで意欲が失われ、最終的には離職する原因になってしまっているというものです。
 本法案では、事業主行動計画を策定するために、企業は女性の活躍に関する状況について把握、分析することとなっていますが、以上述べたような格差の実態を踏まえた行動計画にすることが肝要です。
 政府としても、企業内の人事慣行が男女雇用機会均等法の趣旨に沿った形で運用されているのかをきちんと検証するよう、事業主行動計画の策定に関する指針を通じて促すべきと考えますが、塩崎厚生労働大臣の御所見をお伺いいたします。
 働き方の是正も課題です。これまで、多くの職場で男性並みに長時間働けるかどうかが女性が管理職になるための暗黙の条件になってきました。これは、すなわち、本気で女性の活躍を推し進めるのであれば、長い労働時間に代表されるこれまでの働き方を男性も含めて変えていかなくてはならないということです。
 特に、育児休暇については、女性の育児休業取得率が九割に迫るところまで増加した一方、男性は僅か二%。職場に男性社員の育児参画に対する根強い抵抗感があることや、上司が部下の育休取得を妨げるパタニティーハラスメントの存在も指摘されており、早急な是正が必要です。
 このように、長時間労働を是正し、男性社員の働き方や両立支援の在り方を見直す取組については、例えば政労使会議などの場を使って、政府から積極的な問題提起を行い、是正を促すべきと考えますが、塩崎厚生労働大臣の御所見をお伺いいたします。
 本法案では、従業員三百人以下の企業については、義務ではなく努力義務にとどめることとされました。しかしながら、実際は、女性の登用に関して言えば、大企業よりもむしろ中小企業の方が進んでいることが分かっています。厚生労働省の調査でも、五千人以上の大企業では女性の管理職に占める割合が三%にすぎないのに対して、三十人未満の企業では既に一七%にまで達しています。
 問題は、中小企業の場合、コスト負担の重さなどから短時間勤務制度等の整備に二の足を踏むことが多いのに加えて、業績低迷時は自粛ムードから育児休業取得率が大幅に落ち込むなど、せっかく制度を導入しても利用が抑制されてしまうことです。女性労働者のおよそ三人に二人を雇用し、女性の登用にも積極的な中小企業の取組を支援することの意義が大きいことは明らかです。
 政府は、昨年、こうした状況を受けて、女性の活躍推進に取り組む企業に対する助成金制度を創設いたしましたが、残念なことに広く活用されているとは言えない状況です。周知を徹底するとともに、中小企業にとって使い勝手の良い制度に改善する必要があると考えますが、塩崎厚生労働大臣の御所見をお伺いいたします。
 最後に、忘れてはならないのが家庭における女性の家事、育児負担の問題です。総務省の調査によると、三歳未満の子供がいる共働き家庭において、女性の週平均家事労働時間が三時間二十一分であるのに対して、男性は僅か三十七分。育児時間は、女性三時間三十三分に対して、男性六十分。企業がどれだけ両立支援策を整備しても、極端に重い家事、育児負担を解消しない限り、女性が職場において能力を存分に発揮することはできません。
 現在、民間においても家事支援サービスやベビーシッターなどが広がっていますが、トラブルに至るケースも発生しており、品質、価格両面で安心して利用できる制度を整える必要があります。政府としても、こうした支援体制の整備を進めるのと同時に、我々男性が家事や育児に積極的に取り組むことへの意識改革の旗振り役となっていただきたいと思います。
 政府として、今後どのようにして家事、育児負担の軽減に取り組むのか、最後に有村女性活躍担当大臣にお伺いして、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣有村治子君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(有村治子君) 平木大作議員にお答えいたします。
 働く女性を取り巻く環境と本法案の意義に関するお尋ねがありました。
 政府においては、育児休業制度の創設、拡充、ワーク・ライフ・バランスの推進など、仕事と家庭の両立を支援するための様々な施策を講じ、働く女性を取り巻く環境は少しずつ向上してきました。
 しかしながら、いまだ男女共に長時間労働であること、第一子出産を機に約六割の女性が退職しているといった課題が挙げられます。また、指導的地位に占める女性の割合が先進諸国を大きく下回っており、働きたいという希望を持っていても就職できていない女性が約三百万人いらっしゃるなど、女性の力が必ずしも十分に発揮されているとは言えません。このため、これまでより更に一歩踏み込んだ対応が必要と考え、本法案を提出することといたしました。
 本法案は、働く場面で活躍したい女性が、それぞれの希望に応じて、その個性と能力を十分に発揮できる社会を実現するため、極めて大事なエンジンとなるものであると認識をいたしております。この法案によって女性の活躍を推進することで、日本の競争力、活力を維持し、持続可能で男女共に暮らしやすい社会の実現を目指してまいります。
 女性の家事、育児負担の軽減についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、女性の活躍推進のためには、女性が仕事と家事、育児等を両立できる環境の整備や、男性の家事、育児への参画を積極的に推進することが必要不可欠な要素だと認識をいたしております。
 家事支援サービスについては、安心で質の高いサービスが提供されるよう、経済産業省において今年一月に策定した事業者向けガイドラインの普及を図るとともに、来年度までに事業者認証制度を構築すべく現在検討を進めております。
 ベビーシッターについては、厚生労働省においてマッチングサイト運営者向けガイドラインの作成など、平木議員力説されるように、サービスの安全、安心の確保を図ることは極めて重要な価値です。そして、利用に係る補助などの取組を行っております。
 さらには、男性の育児休暇・休業の取得促進、部下の家事、育児、介護等への参画に配慮できる上司が評価されるような人事制度の普及促進などによって、男性の家事、育児等への主体的な参画を促進してまいります。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(塩崎恭久君) 平木大作議員にお答えを申し上げます。
 企業の行動計画策定についてのお尋ねがございました。
 男女雇用機会均等法の制定から三十年がたちますが、現在もなお、採用、配置、育成、登用など様々な側面において男女間の実質的な格差が残っております。
 本法案に基づき企業が行動計画を策定する際は、こうした様々な実質的格差の縮小を進めるための好機となるよう、政府としても、行動計画策定指針において有効な状況把握、課題分析の手法を提示し、各企業において適切な検証を基に女性活躍に向けた取組が進められるようにしてまいります。
 男性の働き方の見直しや育児参画についてのお尋ねがございました。
 女性の活躍を進めるためには、男女を通じた長時間労働の是正など働き方の見直しを進め、職場と家庭の両方において男女が共に貢献する社会を構築していくことが欠かせません。
 企業が行動計画策定に際し踏まえる行動計画策定指針には、長時間労働の是正など働き方の改革や、性別役割分担意識の見直しなど職場風土改革について先進企業の効果的取組を盛り込んでまいります。本法案の施行に向けては、労使の協力を得ながら、こうした考え方や効果的取組について、全国の企業にしっかりと周知し、取組を促してまいります。
 助成金制度の改善についてのお尋ねがございました。
 御指摘の助成金制度は、女性の管理職登用等に関する数値目標を設定した上で、一定時間数以上の研修プログラムを作成、実施し、さらに数値目標を達成した中小企業に対して研修費用を助成するものでございます。
 法案成立後は、これらの要件のうち、研修プログラムの作成、実施を要件としないことや、取組を適切に実施した場合には数値目標を達成していなくても助成金を支給する等、中小企業にとって使い勝手の良い制度に改善した上で運用をしてまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#17
○議長(山崎正昭君) 川田龍平君。
   〔川田龍平君登壇、拍手〕
#18
○川田龍平君 維新の党の川田龍平です。
 私は、難病患者の一人として、女性も含む全ての人が輝ける社会が形成されることを願い、以下、会派を代表し、質問いたします。
 安倍総理は、四月の米国議会でこう宣言しました。私たちの時代にこそ、女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけません。
 それでは、総理のこの言葉に沿って、この国が全ての女性の人権が尊重される社会を目指していくという前提でお聞きします。
 我が国にとって、二十一世紀の最重要課題として位置付けられた男女参画社会基本法が公布されてから十六年。この間、政府は、女性の社会的活躍を後押しするための数々の施策を打ってきました。しかしながら、今もこの国で女性の社会的活躍が実現できているとは言えません。
 今、日本で、女性が社会の中で活躍することを阻んでいる最大の理由とは何でしょうか。有村大臣の見解をお聞かせください。
 次に、本法律案の実効性についてお伺いいたします。
 本法律案では、従業員三百人以下の中小企業には女性の職場での活躍を後押しするための行動計画作りの策定を、それ以上の規模の大企業には計画に加えて数値目標の公表が義務付けられています。しかし、どちらも努力義務であり、目標が達成されなくても何のペナルティーもありません。数値目標を達成した企業に一律三十万円、数値以外の目標を達成した中小企業にも三十万円の助成金を検討中とのことですが、今の厳しい状況の中、三十万円で企業が喜んで女性の活躍に取り組むインセンティブになるでしょうか。
 数値目標を作らせて、その後の環境づくりは企業任せ、このやり方で女性の職場での活躍がどう実現するとお考えなのでしょうか。本法律案の実効性について、有村大臣の見解をお聞かせください。
 仮に、企業が数値目標を達成するために管理職を望まない女性を無理やり登用する可能性も否定できません。
 しかし、考えてみてください。一体なぜこの国で多くの女性が自分自身のキャリアを守るために結婚や子供を諦めているのでしょうか。仕事と家庭の両立を目指そうとしても、子育てと介護という二つの負担が働く女性の肩に重くのしかかっているからではないでしょうか。我が国のように少子化、高齢化、核家族化が進む社会では、子育てと親の介護の負担を女性だけに背負わせるやり方は明らかに持続不可能です。
 子育てにしても、様々な事情から、昔のように親のサポートを受けることができない女性、シングルマザー、経済的に困窮する女性の数も急増しています。女性たちが周囲のサポートを得られないことから起きた悲惨な事件の数々を見ても、今後は社会全体で子育てと介護の負担を分かち合う形にシフトしていかなければなりません。
 この現状に対し、政府は何をしてきたでしょう。
 安倍政権は、子育て給付金を一万円から三千円に減額し、介護報酬を九年ぶりに削減、中小の介護施設の倒産件数は跳ね上がりました。保育所の数はいまだに不足し、病児保育の整備も全く追い付いていません。今年四月には、介護保険制度を変えて、要介護度二以下の人は特別養護老人ホームに入れなくなりました。介護保険制度だけでは限界があるので、介護のために仕事を辞める女性が増えることが懸念されています。
 子育てと介護の負担がますます重くなるような政策を実行しておきながら、女性には職場で活躍してほしいという、この矛盾について、有村大臣の見解をお聞かせください。
 この法案の第二条には、家族を構成する男女が、相互の協力の下に、育児、介護等について家族の一員としての役割を円滑に果たしつつ職業生活における活動を行うという基本原則が書かれています。
 我が国の男性たちは、世界でもまれに見る長時間労働を強いられています。この法案第二条に記載されているように、男性の長時間労働が女性の仕事と家庭生活の両立を難しくさせていることは間違いありません。
 この問題を解決するために、例えばノルウェーでは、育児休暇のうち十週間は父親にしか取れず、取れなければ罰金とし、夫婦が家事や育児を分担することで女性だけに負担が掛からないよう国として支援しています。韓国では、育児休業中の所得補償率を大幅に引き上げるなど、経済的インセンティブを与えることで夫婦のワーク・アンド・ライフ・バランスの実現と女性の社会的活躍における負担軽減に取り組んでいます。
 この法案の第二条に沿って、我が国でも、諸外国と同じように、男性の長時間労働がもたらす負の影響を解決する積極的対策を入れるべきと考えますが、塩崎厚労大臣、いかがでしょうか。
 さて、女性が職場で活躍をするためには、女性ならではの健康問題に配慮も欠かせません。例えば、全ての女性が直面する更年期障害について、症状の重さには個人差がありますが、本人も周りも更年期障害だと気付かないことで仕事に支障が出るケースが少なくありません。女性の職場での活躍を後押しするならば、定期的な健康診断とは別に、女性特有のこうした健康問題に配慮した体制整備も必要だと考えますが、塩崎大臣、いかがでしょうか。
 もう一つ、女性が本当に安心して活躍できる社会をつくるために欠かせない取組が性暴力の問題です。
 NPO、BONDプロジェクトが行った調査では、街頭インタビューに応じた十代、二十代の女性のうち、六七%が性暴力を経験し、半数が自殺を考えたことがあると答えています。この問題の根本にあるのは、女性たちへの性暴力に対する無理解、無自覚、無関心であり、婦人相談所や児童相談所、学校の保健室といった今の仕組みが問題解決のために機能していないことが分かります。
 また、女性障害者は、身体的、経済的立場の弱みに付け込まれ、性的被害に遭うケースが少なくありません。DPI女性障害者ネットワークが二〇一一年に実施した調査では、回答者の三割が性的被害を訴えていました。
 今回の女性活躍法案と併せて、女性に対するあらゆる性暴力の禁止と被害救済を目的とした法制度が必要だと考えますが、上川法務大臣、有村大臣及び塩崎大臣、それぞれ見解をお聞かせください。
 全ての女性が社会の中で活躍できる社会を目指す際に、障害のある女性についてはどうでしょうか。
 実は、障害者雇用促進法の雇用状況報告書には性別記入の欄がなく、性別による集計や分析がされていません。政府は、女性の活躍推進をうたいながら、なぜ女性障害者の就労状況については実態を把握していないのでしょうか。
 今回の女性の活躍法案における障害を持つ女性の位置付けと、この女性の活躍法案と障害者雇用促進法をどのようにリンクさせていくつもりなのか、塩崎大臣の見解をお聞かせください。
 次に、女性が活躍できる社会をつくる上で最も大切な要素である教育の重要性について、政府の見解を伺います。
 私は先ほど、女性が社会で活躍するための重要課題として、女性に対する差別と偏見の解消、子育てと介護の負担軽減のための国からのサポート、男女のワーク・ライフ・バランスの実現、そして女性特有の健康問題及び障害を持つ女性への配慮が重要であることなどを申し上げました。しかしながら、これらの問題を解決し、社会を変えていくためには、政府のルールだけでは不十分です。法律は変えられても、長い間社会の中に存在してきた価値観や人の意識が変わるまでにはやはり時間が掛かるからです。
 女性や障害者を始め、性的マイノリティーなど、様々な立場の人々を尊重することの重要性を基礎教育の段階でしっかり教え、多様性を尊ぶことを学ぶ学校教育が必要と考えますが、有村大臣、いかがでしょうか。
 私は、生まれつきの難病患者、そして薬害エイズ被害者の一人として、命が守られる社会の実現を目指してずっと取り組んでまいりました。政府が掲げる女性が活躍できる社会とは、総理が米国議会で高らかに宣言した、人権が尊重される社会にほかなりません。言い換えれば、本当の意味で女性が安心して活躍できる社会とは、女性だけではなく男性にも、大人だけでなく子供や高齢者にも、私のような難病患者にとっても人生の選択肢がある生きやすい社会なのです。労働力不足解消のためにただ頭数を増やすという目先の目標ではなく、性別や立場に関係なく全国民の人権が尊重される社会を目指すこと、そうした政策の実現を心から願い、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣有村治子君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(有村治子君) 川田龍平議員にお答えいたします。
 母親が社会活動に積極的に参画し活躍していることについてお尋ねがありました。
 一般論としても、お母さんたちが子供を思う気持ちには大変強いものがあり、子供や家族のために社会活動に積極的に参加したいという思いを強く持って行動しておられるものと認識しております。
 女性が職業生活において活躍できていない理由、背景についてお尋ねがありました。
 働きたいという希望を持っていても就職できていない女性が約三百万人いらっしゃるなど、働く場面において女性の力が十分発揮されているとは言えません。この理由、背景には、男女共に長時間労働であること、子育て環境が十分でないなど、仕事と家庭生活との両立が困難な場合があること、また、ロールモデルとなる女性の管理職が少なくキャリアプランを具体的にイメージしにくいこと、固定化した性別役割分担意識がまだ残っていることなどがあると認識をいたしております。
 女性の職業生活における活躍の推進の目的に関するお尋ねがありました。
 本法案は、働けていないけれども働きたい女性、責任ある立場で働きたいという希望は持ちつつも家庭生活との両立が困難であるがゆえに昇進を諦めている女性、正社員として働くことにチャレンジしたい女性など、働く場面で活躍したいという希望を持った女性が、その希望に応じて個性と能力を十分に発揮できる社会を実現することを目的としています。
 こうした女性の活躍できる社会の実現を通じて、我が国最大の潜在力である女性の力が十分に発揮されることにより、女性だけでなく男性にとっても暮らしやすい社会、さらには豊かで活力ある持続可能な社会の実現につながるものと考えています。全ての方にとって住みやすい社会の実現に資すると確信をしております。
 育児と介護の負担が女性の職業生活における活躍に与える影響についてお尋ねがありました。
 これまで、我が国においては、家事や育児、家族の介護等の家庭的責任の多くを実質的に女性が担っていることによって、女性が職業生活において活躍することが困難になる場合が多かったと考えます。
 そのため、六月に決定した女性活躍加速のための重点方針二〇一五に基づき、子ども・子育て支援新制度による子育て支援の一層の充実、介護離職の防止に向けた法的措置をも含めた対応の検討、男性の家庭生活への主体的参画を促し、男女が共に育児、介護等に携わるための環境整備などを進め、職業生活における女性の活躍を推進していきます。
 女性の健康やライフサイクルを通じた包括的な支援についてお尋ねをいただきました。
 女性の活躍にとって、心身の健康は不可欠であり、妊娠・出産期、更年期など、御指摘のとおり、ライフサイクルによって異なる健康問題に対し、それぞれに対応した対策を行っていくことが重要です。
 これまで、男女共同参画基本計画等に基づき、女性健康支援センターにおいて年代等に応じて女性の心身の健康に関する相談に対応するなど、女性の健康をめぐる様々な問題について対策を実施しています。
 現在、第四次男女共同参画基本計画の検討を進めており、生涯を通じた女性の健康支援についても、医療分野で活躍する女性医師等が、自らのライフイベントを経験しながら女性患者に寄り添った医療ができるよう、その支援を行うことを検討しております。
 同時に、働きたい女性が、結婚や出産、育児などのライフイベントにかかわらず働き続けることができるよう、長時間労働の削減を始めとした働き方改革や、子ども・子育て支援新制度による子育て支援の一層の充実、介護離職の防止に向けた法的措置も含めた検討を進めてまいります。
 性暴力の禁止と被害救済を目的とした法制度の必要性についてお尋ねをいただきました。
 性犯罪を含む女性に対する暴力は、人権を著しく侵害するものであり、断じて許されることではありません。六月に決定した女性活躍加速のための重点方針二〇一五に基づき、性犯罪被害者のためのワンストップ支援センターの設置を促進し、関係機関と民間団体の連携を深め、被害者支援に携わる人材の育成を加速させるなど、政府を挙げて性犯罪被害者の支援に一層取り組んでまいります。
 女性の職業生活における活躍推進にとっての教育の必要性についてお尋ねをいただきました。
 男女が共に自立して個性と能力を発揮し、主体的な多様な選択を行うことができるよう、男女平等を推進する教育、学習の充実を図ることは極めて重要であると認識を一にしております。
 政府においては、これまで、男女共同参画基本計画等に基づき、学校教育において、人権の尊重や男女平等の重要性について指導の充実を図っています。現在、第四次男女共同参画基本計画の検討を進めているところであり、男女共同参画を推進する教育、学習の充実をしっかりと図ってまいります。
 本法案における性的マイノリティーの方々への配慮に関するお尋ねがありました。
 本法案は、性的マイノリティーの方々も含む、働く意思を持つ全ての女性を対象としております。本法案に基づき、採用、教育訓練、昇進などの機会の積極的な提供や、職業生活に関し本人及びその家族からの相談に応じた情報提供などにも取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(塩崎恭久君) 川田龍平議員にお答えを申し上げます。
 事前に通告をいただいていた質問事項でお聞きをいただいていないのもございましたので、適宜お答えをいたしますので、万が一抜けたときには、また御指摘をいただければというふうに思います。
 まず、本法律案の実効性についてのお尋ねがございました。
 本法律案では、中小企業に対しては、事務負担等を勘案し、行動計画策定について努力義務としております。また、大企業に対しては、目標達成について努力義務となっていますが、策定した行動計画は目標を含め公表が義務付けられているため、おのずと目標達成に向けた努力が期待をされます。
 また、企業のインセンティブとしては、目標達成企業に対する助成制度のほか、認定制度や公共調達における受注機会の増大、都道府県労働局による女性活躍推進企業の学生に対するアピールなど様々なものがあり得ると考えており、これらを企業に十分に活用いただけるよう積極的に周知を行い、女性の活躍促進を図ってまいります。
 男性の働き方の見直しについてのお尋ねがございました。
 女性の活躍を進めるためには、男女を通じた長時間労働の是正など働き方の見直しを進め、職場と家庭の両方において男女が共に貢献する社会を構築していくことが欠かせません。
 企業が行動計画策定に際して踏まえるべき行動計画策定指針には、長時間労働の是正など働き方の改革や、性別役割分担意識の見直しなど職場風土改革について先進企業の効果的取組を盛り込んでまいります。本法案の施行に際しては、効果的取組について、全国の企業にしっかりと周知するとともに、長時間労働削減なども含め、女性の活躍推進に取り組む企業に対する助成などの支援もしながら積極的な取組を促してまいります。
 職場での女性の健康相談体制についてのお尋ねがございました。
 女性の活躍を推進するためには、女性が健康に働ける体制を整備することが重要でございます。このため、女性の健康に関する相談支援を行うための女性健康支援センターを設置をし、思春期から更年期に至る女性を対象とし、身体的、精神的な悩みに対する相談指導等を行ってまいります。また、常時五十人以上の労働者を使用する事業場においては、事業者は、産業医を選任し、労働者からの健康相談に応じる等の労働者の健康管理等を行わなければならないこととしております。引き続き、こうした措置を適切に講じることにより、全ての女性が能力を発揮できる体制を整えてまいります。
 性暴力の禁止と被害救済を目的とした法制度の必要性についてのお尋ねがございました。
 厚生労働省においては、性暴力などの暴力被害を受け、保護、援助等を必要とする女性に対し、婦人相談所等において生活支援、心理的ケア等を行っており、研修等を通じて相談員の対応能力の向上を図っております。また、性暴力などの暴力被害者の二次的被害の防止を図るため、婦人相談所と関係機関との相談内容の共有等に向けた調査研究を進めていきます。厚生労働省としては、まずはこれらの取組を着実に進めることが重要であると考えており、今後とも、性暴力などの暴力被害に遭われた女性の支援に努めてまいります。
 女性障害者の職業生活における活躍推進と雇用政策についてのお尋ねがございました。
 男女を含め障害者の方々の雇用を推進していくことは重要でございます。御指摘の障害者雇用状況報告においては男女別の報告を求めておりませんが、障害者雇用実態調査において男女別の障害者雇用の実態把握に努めているところでございます。今後とも、女性障害者を取り巻く雇用の実態把握に努めてまいります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣上川陽子君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(上川陽子君) 川田龍平議員にお答え申し上げます。
 性暴力の禁止と被害者救済についてお尋ねがありました。
 強姦や強制わいせつなどの性犯罪は、被害者にとって、身体のみならず、多くの場合、精神的にも長期にわたる傷痕を残す重大な犯罪であると認識しております。
 法務省においては、昨年十月に、刑事法研究者、法曹三者、被害者支援団体関係者等の有識者から成る性犯罪の罰則に関する検討会を発足させ、これまでに十一回の会議を開催して、性犯罪の構成要件の在り方や、非親告罪化の是非などの論点について検討を行っているところです。
 性犯罪被害者の保護、支援については、関係省庁等と連携しつつ、性犯罪被害者の方々の心情に寄り添って取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#22
○議長(山崎正昭君) 田村智子君。
   〔田村智子君登壇、拍手〕
#23
○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案について質問いたします。
 安倍内閣は、昨年、成長戦略の柱に女性の活躍促進を位置付け、本法案を提出しました。しかし、稼ぐ力を取り戻す、女性の力を活用することが日本の強い経済を取り戻すために不可欠という総理の言葉には、強い違和感を禁じ得ません。
 社会の様々な分野で女性が力を発揮することは、結果として日本の経済や社会を豊かに発展させるでしょう。それは、女性差別の撤廃、地位向上に取り組んでこそ実現します。
 有村大臣、女性の活躍促進とは、稼ぐ力を取り戻すための手段なのでしょうか。それとも、我が国における男女平等の立ち遅れを認め、全ての女性の権利尊重、社会的地位向上そのものに取り組むということでしょうか。
 今や全就業者の四割以上が女性であり、女性たちは、現に日本の経済、産業を担っています。しかし、平均賃金は、正規雇用に限定しても男性の七割にすぎません。女性の管理職比率は、課長相当以上で民間七・五%、国家公務員三%にとどまり、欧米諸国はもとより、シンガポールやフィリピンなどアジア諸国と比較しても立ち遅れています。
 今年は、男女雇用機会均等法制定から三十年です。私もいわゆる均等法世代の一人で、私の周りでも多くの女性たちが男女平等を期待しながら職業生活を送ってきました。しかし、大卒の五十代女性が今も二十代男性の賃金水準のままに据え置かれている、このような実態が、民間、公務を問わず現にあるのです。
 塩崎厚労大臣にお聞きします。
 三十年が経過してなお、なぜ今も歴然とした男女の賃金格差があるのか、なぜこれほど女性の管理職が少ないのか。長時間労働や広域配転に応じるかどうかを昇進の踏み絵とするようなコース別雇用管理等で、女性への間接差別を事実上容認してきたことが大きな要因ではありませんか。
 法案では、労働者数三百人超の企業に、女性の活躍推進の取組、達成目標などを行動計画として定め、公表すること、また、採用や管理職の女性比率、継続勤務年数の男女の差異などを把握することを義務付けていますが、どういうデータを公表するかは企業任せです。
 その上、賃金の男女格差については実態把握の対象にもされていません。行動計画で管理職比率や勤続年数の格差が解消されれば賃金格差も解消されるとの答弁が衆議院の審議でありましたが、コース別雇用管理によって女性の昇給が頭打ちにされている事例は多々あります。
 女性差別を解消するには、雇用形態別、コース別、年齢別に男女の賃金実態を把握、公表すること、賃金格差解消の目標を持つことが不可欠ではありませんか。
 法案では、派遣労働者について、派遣先企業に何も義務付けていません。派遣で働く女性たちは、派遣先企業で正社員と変わらない仕事をしながら、ボーナスも退職金もないなどの格差に直面しているのです。
 派遣元企業が行動計画を策定し、実態も把握するとしていますが、そもそも女性の派遣労働者の七六%が登録型派遣です。登録型派遣について、一体どのような行動計画を策定するのでしょうか。育児休業法で派遣先企業の責任を明記していることに照らしても、派遣先企業に対して、実態把握、正社員での直接雇用の目標設定を義務付けるべきではありませんか。
 第一子の出産を機に六割の女性が離職しています。離職の理由を見ると、正規雇用の女性の二六%が、仕事を続けたかったが仕事と育児の両立が難しかった、一割近くが、解雇された、退職勧奨されたと回答しています。有村大臣、多くの女性たちが仕事か家庭かの二者択一を迫られている、その要因をどう分析されますか。
 同僚の妊娠を素直に喜べない自分が嫌になる、ある女性労働者から寄せられた声です。慢性的な人手不足にメスを入れなければ、出産、育児への職場の理解は進みません。人件費抑制による利益追求、行き過ぎたリストラ、合理化などが仕事と家庭の両立支援を妨げているという認識はありますか。また、国家公務員の定員削減が両立支援に与えている影響を調査、分析すべきではありませんか。
 深刻なのは、妊娠を知りながら長時間の立ち仕事に就かせる、うちには育児休業の規定はないと言われたなど、マタニティーハラスメントが社会問題になっていることです。マタニティーハラスメントゼロ社会の実現を政府として明確に掲げるときだと考えますが、有村大臣の見解を求めます。
 退職勧奨に応じない子育て中の女性労働者に遠距離通勤を命じたルネサス、妊娠中の客室乗務員の地上勤務を認めず無給の自宅待機を命じた日本航空など、名立たる大企業でも両立支援に逆行する人事が横行しています。また、非正規雇用の女性は、妊娠が分かると契約期間満了で雇い止めという事例が多々あります。当事者が労働局に相談しても、企業への聞き取り程度で、まともな調査もされていないのが実態です。
 出産、育児を理由とした不利益扱いを労働者が申し立てた場合、事業者の立証責任を明確にし、労働行政による調査、指導を強化することが必要ではありませんか。塩崎大臣の答弁を求めます。
 仕事と家庭の両立にとって最も大きな障壁は長時間労働です。
 三十から四十代前半の男性の四人に一人が、過労死ラインを超える月八十時間以上の残業をしています。これでは、男性の育児休業取得も進むはずがありません。
 労働基準法は、労働時間を一日八時間以内としながら、三十六条で、労使協定があれば残業を可能とし、大臣告示で、月四十五時間以内、年三百六十時間以内の時間外労働を認め、さらには、特別条項付きの協定であればこの基準を超えることをも認めています。事実、大企業の二割以上が年間八百時間超の時間外労働を届け出ています。この実態を放置して、どうして両立支援ができるでしょうか。せめて大臣告示の特別条項をなくすべきではありませんか。塩崎大臣の決断を求めます。
 長時間労働、深夜労働は、今や女性労働者の中にも蔓延しています。一九九九年、事もあろうに男女平等を理由に女性の深夜労働を解禁したことが、男女共に長時間労働を一層深刻にしているのです。
 有村大臣は、衆議院の審議で、長時間労働の是正が本丸だと答弁されました。ならば、男女共の深夜労働の規制を検討すべきではありませんか。また、規制改革会議の担当大臣として、八時間労働制の根幹を掘り崩す残業代ゼロ法案の提出を促してきたことをどう認識されますか。長時間労働の是正に本気で取り組むには、この法案の撤回こそ求められているのではありませんか。両大臣にお聞きします。
 戦後、男女平等が憲法にうたわれ、女性たちは、就職差別、若年退職制度などに立ち向かい、あからさまな女性差別を克服してきました。芝信用金庫の昇格差別裁判、パートの賃金差別を是正させた丸子警報器裁判など、安い労働力として女性を利用する企業とあまたの女性たちが自分の人生を懸けて闘い、一歩一歩女性の地位向上を実現させてきたのです。今も、新手の女性差別の仕組みを次々に編み出す経済界に女性たちは声を上げ続けています。
 政治が女性たちの闘いから何を学ぶのかが問われています。経済界からの要望で派遣労働法の改悪法案や残業代ゼロ法案を提出する安倍内閣には、女性活躍を口にする資格などないことを指摘し、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣有村治子君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(有村治子君) 田村智子議員にお答えをいたします。
 女性の活躍推進の目的についてお尋ねがありました。
 安倍内閣は、全ての女性が輝く社会の実現を最重要課題の一つとしています。女性が、自らの希望に応じ、家庭、地域、職場といったそれぞれの場において、個性と能力を十分に発揮し、輝くことができる社会を目指してまいります。
 女性の活躍を推進することは、男女共に仕事と家庭を両立でき、全ての人にとって暮らしやすい社会にもつながります。結果として、我が国の持続的成長の実現や社会の活力の維持につながると考えます。
 本法案に基づく取組によって、働く場面での女性の活躍を推進するとともに、六月に決定した女性活躍加速のための重点方針二〇一五の着実な実行などにより、あらゆる分野における女性の活躍を更に推進してまいります。
 女性の仕事と家庭の両立を妨げている要因についてお尋ねをいただきました。
 御紹介をいただきましたように、厚生労働省の調査によると、妊娠、出産を機に退職した理由として、仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさで辞めたという理由が約三割となっています。その背景には、勤務時間が合いそうにもなかった、職場に両立を支援する雰囲気がなかった、育児休業を取れそうにもなかったという理由が挙げられています。
 そのため、女性活躍加速のための重点方針二〇一五に基づき、長時間労働の削減等の働き方改革を進めるとともに、育児休業期間中の代替要員を確保した事業主への支援の拡充を図ってまいりたいと考えております。
 国家公務員の定員削減が両立支援に与えている影響に関するお尋ねをいただきました。
 国家公務員の定員については、厳しい財政状況の中、計画的に合理化を進めてきたところですが、定員を合理化するに当たっては、業務の見直しや働き方改革等を進めることにより、職員一人一人の業務負担が増加しないよう取り組んでいかなければなりません。
 また、国家公務員の仕事と育児の両立支援を図るため、今年度から初めて、各府省の産前産後休暇等の取得実態等を踏まえて、休暇等の取得による人手不足を補うことができるよう、代替要員等を配置するために必要な定員措置を初めて行うことといたしました。今後も、こうした取組により、国家公務員の仕事と家庭の両立に支障のないように努めてまいりたいと考えます。
 いわゆるマタニティーハラスメントが起こらない社会の実現についてお尋ねがありました。
 女性の活躍を推進するためには、御指摘のとおり、その大前提として、マタニティーハラスメントを始めとするあらゆるハラスメントを根絶することが必要不可欠であると考えます。このため、六月に決定した女性活躍加速のための重点方針二〇一五に基づき、マタニティーハラスメントの防止に向けた法的対応も含めた取組強化を進め、ハラスメントのない社会の実現を目指してまいります。
 長時間労働や深夜労働の問題についてお尋ねをいただきました。
 女性の活躍推進に向けた最大の障壁の一つが長時間労働であると認識をしております。御指摘の深夜労働の規制については、厚生労働省が所管となりますが、いずれにしても、長時間勤務の削減や、短時間勤務などの多様な働き方が選択できる環境の整備が重要だと認識をいたしております。
 労働基準法等の改正案について、認識についてお尋ねをいただきました。
 規制改革会議では、働く方々それぞれの健康を確保し、創造性と高い生産性を発揮できる柔軟な労働環境をつくることが必要との観点から議論を行ってきました。現在、国会に提出中の労働基準法の改正法案の所管は、第一義的には厚生労働省ですが、ワーク・ライフ・バランスの観点から、年次有給休暇を確実に取っていただくことなどの健康確保策を含む働き過ぎ是正措置を盛り込み、働く方々の多様なニーズに対応した新たな選択肢を設けたものと承知しており、時代の変化に即応したものと考えております。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(塩崎恭久君) 田村智子議員にお答えを申し上げます。
 コース別雇用管理などの間接差別や男女間の賃金格差の解消についてのお尋ねがございました。
 法で間接差別として禁止されている転勤要件等については、合理的な理由があれば差別には当たらないものであり、間接差別を容認してきたようなことはありません。御指摘の男女間賃金格差の是正や女性管理職の増加のためには、採用から登用に至る様々な側面における男女間の実質的格差を解消していくことこそ重要であると考えております。
 このため、本法案では、男女間の実質的格差の縮小の契機となるよう、採用から登用に至る項目の状況把握、課題分析を行った上で行動計画策定を求めております。また、賃金格差については、様々な要素が関連するものであり、状況把握の必須項目とはしておりませんが、衆議院の附帯決議も踏まえ、まず状況把握の任意項目として加えることを検討し、検討結果に応じた対応を行ってまいります。
 派遣労働者についての派遣元の行動計画、派遣先の実態把握などについてのお尋ねがございました。
 派遣労働者につきましては、まず雇用主である派遣元が責任を持って状況把握、課題分析、行動計画策定等に取り組む必要があることから、登録型派遣労働者については、派遣元において、派遣就業をする際に、例えばキャリアアップのための教育訓練や継続就業に向けた取組などを行うような計画策定をすることが考えられます。
 その一方、派遣労働者と雇用関係にない派遣先に対して目標設定などの義務付けを行うことは困難ですが、長時間労働や職場風土改革など、派遣元と派遣先が協力をしながら進めることが効果的と考えられる取組については、具体的な在り方について検討をしてまいります。
 出産、育児を理由とする不利益取扱いに関する指導強化などについてのお尋ねがございました。
 出産、育児を理由とする不利益取扱いについては、本年一月に、出産、育児等を契機として不利益取扱いを行った場合は、原則として、男女雇用機会均等法等に違反することを明確化する通達を発出したところでございます。これにより、事業主が客観的な資料を提出し、法違反に該当しないことを明らかにできない場合には法違反と判断をし、都道府県労働局において厳正に指導を行います。
 時間外労働に関する大臣告示における特別条項の撤廃についてのお尋ねがございました。
 特別条項を撤廃をし時間外労働の上限を設けることについては、働く方の健康確保のため必要という意見と、柔軟な事業運営に大きな影響を与えるため反対という意見の隔たりが大きく、労働政策審議会でも結論を得るには至りませんでした。
 しかしながら、労働政策審議会の建議を踏まえ、労働時間等設定改善法に基づく指針に、著しい時間外労働の縮減に取り組むことが望ましい旨を明記し、労使の取組を促すこととしております。また、現在、長時間労働が疑われる企業等への監督指導を徹底するなど、長時間労働対策の強化を図っているところです。こうした取組を通じて、働く方の長時間労働を是正し、健康の確保とワーク・ライフ・バランスの実現を図ってまいります。
 深夜労働の規制についてのお尋ねがございました。
 深夜労働は、長時間労働や過重労働につながりかねないものであり、その在り方については、働く方の健康や生活時間の確保とともに、事業活動の柔軟性の確保の観点も踏まえ、労使間で議論が尽くされるべき問題と考えております。
 本年二月に取りまとめられました労働政策審議会の建議を踏まえ、労使が自主的に取り組むことが望ましい措置の一つとして、深夜業の回数制限を労働時間等設定改善法に基づく指針に位置付け、こうした取組を促進することとしております。
 労働基準法改正法案の撤回についてのお尋ねがございました。
 今国会に提出をいたしております労働基準法等の一部を改正する法律案は、ワーク・ライフ・バランスの観点から、働き過ぎを是正するとともに、多様で柔軟な働き方を進めるものです。この法案は、長時間労働の是正策として、中小企業における月六十時間を超える時間外労働に対する割増し賃金率の引上げ、年に五日の年次有給休暇を確実に取得できる仕組みの創設、長時間労働への労働基準監督署の対応の強化などが盛り込まれており、これらはいずれも実効性ある内容と考えております。
 厚生労働省としては、この法案について、是非早期に御審議をいただき、速やかに可決いただくことをお願いをしたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
#26
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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